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第59回(2013) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第59回 午前1(臨床検査総論)
OTC(over the counter)検査として実施されるのはどれか。2つ選べ。
①尿糖 ②妊娠反応 ③ABO血液型 ④インフルエンザ ⑤動脈血酸素分圧
正答: ①尿糖・②妊娠反応
ポイント OTC検査(over the counter)は医療機関を介さず薬局などで購入し、家庭で被検者自身が実施・判定できる検査をいう。採血や専門的手技・機器を要さず、尿などの非侵襲的検体を試験紙やイムノクロマトで簡便に判定できることが条件となる。尿糖は試験紙を尿に浸すだけで色調変化を読め、妊娠反応は尿中hCGをイムノクロマト法で検出でき、いずれも家庭用キットとして広く市販されている。一方ABO血液型・動脈血酸素分圧・専門的感染症診断は検体採取や装置・判定技術を要し、家庭での実施には適さない。●家庭で実施可=尿糖・尿蛋白・尿潜血・妊娠反応・排卵検査。●家庭で実施不可(医療機関要)=ABO血液型・血液ガス分析・培養同定・専門的抗原検査。
選択肢ごとの解説
① 正しい。尿糖は試験紙を尿に浸し色調変化で判定でき、糖尿病のスクリーニング用に家庭用キットが市販されている。 ② 正しい。妊娠反応は尿中hCGをイムノクロマト法で検出するもので、市販の妊娠検査薬として家庭で簡便に判定できる。 ③ ABO血液型は赤血球抗原と血清抗体の確認が必要で、専門的な手技・判定を要し家庭用OTC検査には含まれない。 ④ インフルエンザ抗原検査は鼻腔・咽頭ぬぐい液の採取と判定を要し、当時は医療機関で行う検査でOTCに含まれない。 ⑤ 動脈血酸素分圧は動脈穿刺と血液ガス分析装置が必要で、家庭で実施できる検査ではない。
第59回 午前2(臨床検査総論)
EDTA加血漿で測定すると低値を示すのはどれか。
①尿酸 ②カルシウム ③クレアチニン ④コレステロール ⑤コリンエステラーゼ
正答: ②カルシウム
ポイント EDTAはカルシウム・マグネシウムなどの二価金属イオンをキレートする抗凝固剤で、血液中のカルシウムイオンを封鎖して凝固カスケードを阻止する。このためEDTA加血漿でカルシウムを測定すると、キレートにより遊離カルシウムが捕捉され見かけ上の低値を示す。カルシウム測定には血清またはヘパリン加血漿を用いるのが適切で、EDTA加検体は不適である。他の尿酸・クレアチニン・コレステロール・コリンエステラーゼはEDTAによるキレートや反応阻害を受けにくく、測定値はほぼ変化しない。●EDTAの作用=カルシウム・マグネシウムをキレートし凝固を阻止(カルシウム測定には不適)。●抗凝固剤と用途=EDTAは血算、クエン酸ナトリウムは凝固検査・赤沈、ヘパリンは血液ガス・生化学、フッ化ナトリウムは血糖(解糖阻止)。
選択肢ごとの解説
① 尿酸はEDTAでキレートされず安定で、EDTA加血漿でも血清とほぼ同等の値を示す。 ② 正しい。EDTAはカルシウムをキレートして封鎖するため、EDTA加血漿で測定すると見かけ上低値となる。 ③ クレアチニンはEDTAの影響を受けず、EDTA加血漿でも血清と同様の値が得られる。 ④ コレステロールは脂質でありEDTAによるキレートを受けないため、低値化は起こらない。 ⑤ コリンエステラーゼは酵素活性でEDTAキレートの影響を受けにくく、測定値の低下はみられない。
第59回 午前3(臨床検査総論)
測定値の精密さの許容誤差限界について誤っているのはどれか。
①技能試験は検査室の認定である。 ②健常者の個体間生理的変動から求める。 ③医学的有用性は臨床医の経験から求める。 ④技術水準は外部精度管理調査によって決める。 ⑤Tonksの許容誤差限界では基準範囲が広い項目は許容限界が大きい。
正答: ②健常者の個体間生理的変動から求める。
ポイント 精密さの許容誤差限界は、測定値がどの程度ばらついてよいかを医学的・統計的根拠から定める指標で、健常者の個体内生理的変動、疾患鑑別に必要な医学的有用性、現状で達成可能な技術水準などを基に設定される。個体内変動を基準とするのが原則であり、個体間変動から直接求めるわけではない点に注意する。技能試験は外部の管理試料を測定して検査室の技術能力を客観評価する精度管理活動であり、検査室そのものの認定とは別の位置づけである。Tonksの考え方では基準範囲が広い項目ほど許容される誤差限界も大きくとる。●許容誤差限界の根拠=個体内生理的変動・医学的有用性・技術水準。●関連事項=技能試験は技術能力評価、外部精度管理調査で技術水準を判定、Tonks法は基準範囲幅に応じて許容限界を設定。
選択肢ごとの解説
① 技能試験は検査室の測定能力を客観評価する外部精度管理であり、検査室そのものの認定とは別の位置づけである。 ② 誤り。許容誤差限界は健常者の個体内生理的変動から求めるのが基本で、個体間変動から直接求めるとする記述は適切でない。 ③ 医学的有用性に基づく許容限界は、疾患鑑別に必要な精度として臨床医の経験・判断を踏まえて求められる。 ④ 技術水準に基づく許容限界は、多施設が参加する外部精度管理調査の成績から達成可能な水準として決められる。 ⑤ Tonksの許容誤差限界では基準範囲が広い項目ほど許容される誤差限界も大きく設定され、記述は正しい。
📋 まとめの表を見る:許容誤差限界の考え方
第59回 午前4(臨床検査総論)
x-R管理図法で管理できないのはどれか。
①正確度 ②日間誤差 ③シフト現象 ④試薬の劣化 ⑤トレンド現象
正答: ①正確度
ポイント x-R管理図法は、毎日同一の管理試料を反復測定し平均値xと範囲Rの推移を監視する内部精度管理手法である。R管理図は併行精度(測定内のバラツキ)を、x管理図はその日内・日間の変動や系統的なずれを捉え、シフト現象(突然の一方向への偏り)やトレンド現象(連続的な漸増・漸減)を検出できる。試薬の劣化による測定値の漸進的変化もトレンドとして現れるため検出可能である。ただし正確度(真の値からのかたより、真度)は管理試料の真値や標準法との比較が必要で、x-R管理図単独では評価できない。●x-R管理図で検出可=日間誤差・シフト現象・トレンド現象・試薬劣化。●検出不可=正確度(真度)は外部精度管理調査・標準法との比較が必要。
選択肢ごとの解説
① 誤り。正確度(真値からのかたより)は管理試料の真値や標準法との照合が必要で、x-R管理図単独では評価できない。 ② 日間誤差は連日の平均値xの変動として現れるため、x-R管理図で監視・検出できる。 ③ シフト現象は管理値が一定方向に突然偏って持続する変化で、x管理図上で検出できる。 ④ 試薬の劣化は測定値の漸進的な変化として現れ、トレンドとしてx-R管理図で検出できる。 ⑤ トレンド現象は管理値が連続的に一方向へ漸増・漸減する変化で、x管理図で検出できる。
📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。
第59回 午前5(臨床検査総論)
男性より女性で高値を示す血清成分はどれか。
①CK ②γ-GT ③尿酸 ④血清鉄 ⑤HDL-コレステロール
正答: ⑤HDL-コレステロール
ポイント HDL-コレステロールはエストロゲンの作用によって産生・血中濃度が高まるため、女性では男性より高値を示す血清成分である。性差は性ホルモンや骨格筋量の違いを反映しており、性別ごとに基準範囲が設けられる項目も多い。これに対しCKは骨格筋由来で筋肉量を反映し男性で高く、γ-GTは飲酒で誘導されやすく男性で高く、尿酸は男性ホルモンの影響で尿細管再吸収が増えて男性で高く、血清鉄も月経のない男性で相対的に高い。●女性で高値=HDL-コレステロール(エストロゲン作用)。●男性で高値=CK・クレアチニン(筋肉量)、尿酸・血清鉄、γ-GT(飲酒の影響を受けやすい)。
選択肢ごとの解説
① CKは骨格筋由来酵素で筋肉量を反映するため、筋量の多い男性で高値を示す。 ② γ-GTはアルコールで誘導されやすく、飲酒量の多い傾向のある男性で高値を示す。 ③ 尿酸は男性ホルモンの影響で尿細管再吸収が増えるため、男性で高値を示す。 ④ 血清鉄は月経のない男性で相対的に高く、女性では月経による鉄喪失で低めとなる。 ⑤ 正しい。HDL-コレステロールはエストロゲンにより産生が高まるため、女性で男性より高値を示す。
📋 まとめの表を見る:性差がある主な血液検査項目
既存の『血算〈CBC〉項目における性差の有無』表と一部項目(Hb・Ht・赤血球数)が重複するが、本表は血液化学検査項目を含む広い範囲を対象とする。
第59回 午前6(臨床検査総論)
尿試験紙法の項目でアスコルビン酸の服用により偽陰性を示すのはどれか。2つ選べ。
正答: ②ブドウ糖・④潜血反応
ポイント 尿試験紙のブドウ糖反応はグルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼによる酸化発色を、潜血反応はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用による酸化発色を原理とする。いずれも酸化反応で発色するため、強い還元作用をもつアスコルビン酸(ビタミンC)が尿中に多量に共存すると発色が妨げられ偽陰性を示す。多量のビタミンC服用後に尿糖・尿潜血が偽陰性化するのはこの機序による。蛋白・ケトン体・白血球反応は酸化発色を主原理としないため、アスコルビン酸の影響を受けにくい。●アスコルビン酸で偽陰性=ブドウ糖・潜血(酸化発色を阻害)。●試験紙の主原理=蛋白はpH指示薬の蛋白誤差、ケトン体はニトロプルシド反応、白血球は白血球エステラーゼ反応。
選択肢ごとの解説
① 蛋白反応はpH指示薬の蛋白誤差を利用し酸化反応ではないため、アスコルビン酸の影響を受けにくい。 ② 正しい。ブドウ糖はグルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼによる酸化発色を用いるため、アスコルビン酸で偽陰性となる。 ③ ケトン体反応はニトロプルシド反応を用い酸化発色ではないため、アスコルビン酸の影響を受けにくい。 ④ 正しい。潜血反応はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用による酸化発色を用いるため、アスコルビン酸で偽陰性となる。 ⑤ 白血球反応は白血球エステラーゼ活性を検出するもので、アスコルビン酸による偽陰性化は主原理ではない。
📋 まとめの表を見る:尿試験紙法の偽陽性・偽陰性反応
尿試験紙の糖・潜血反応は酸化発色を原理とするため、還元作用をもつビタミンC(アスコルビン酸)が共存すると偽陰性となる。逆に過酸化水素・次亜塩素酸塩・サラシ粉などの酸化剤が混入すると偽陽性を示す。
第59回 午前7(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色、強拡大標本を別に示す。この結晶を溶解するのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA007.092394b3e8.jpg
①希塩酸 ②アセトン ③アンモニア ④クロロホルム ⑤アルコール・エーテル混合液
正答: ①希塩酸
ポイント 尿沈渣の結晶は溶解性の違いが鑑別の重要な手がかりとなり、酸(希塩酸)に溶けるもの、アルカリに溶けるもの、有機溶媒に溶けるものに分けて考える。図にみられる正八面体(封筒状)の結晶はシュウ酸カルシウム二水和物である。希塩酸に溶解する性質から選択肢1を選ぶ。結晶の形態だけでなく溶解試薬への反応をあわせて確認することで種類を確定できる。●希塩酸(酸)で溶解=シュウ酸カルシウム・リン酸塩・炭酸塩など(尿酸結晶は希塩酸には溶けない)。●アルカリ(水酸化カリウム)で溶解=尿酸・尿酸塩。●アンモニア水(アルカリ性水溶液)で溶解=シスチン。●有機溶媒で溶解=コレステロール(クロロホルム・エーテル)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。図は正八面体(封筒状)のシュウ酸カルシウム二水和物結晶で、希塩酸に溶解する。 ② アセトンは脂質系結晶の溶解に用いられることがあるが、この結晶の溶解条件には合致しない。 ③ アンモニアはシスチン結晶などの溶解に用いられるが、この結晶の溶解には該当しない。 ④ クロロホルムはコレステロール結晶の溶解に用いられるが、この結晶は溶解しない。 ⑤ アルコール・エーテル混合液は脂質・コレステロールの溶解に用いるが、この結晶は溶解しない。
第59回 午前8(臨床検査総論)
幼虫移行症を起こすのはどれか。
正答: ⑤広東住血線虫
ポイント 幼虫移行症は、ヒトが本来の終宿主でない寄生虫の幼虫が体内に侵入し、成虫になれないまま組織内を移動して障害を起こす病態をいう。広東住血線虫はナメクジ・カタツムリなどの中間宿主を介して経口感染し、ヒト体内で成虫になれず幼虫のまま中枢神経系へ移行して好酸球性髄膜脳炎を起こす幼虫移行症の代表である。一方、鞭虫・肝吸虫・小形条虫はヒトを終宿主とし、成虫が消化管などに寄生して幼虫移行症は起こさない。●幼虫移行症を起こす=広東住血線虫・イヌ回虫(トキソカラ)・顎口虫・アニサキス・旋毛虫。●ヒトを終宿主とし成虫が寄生=鞭虫・肝吸虫・小形条虫など。
選択肢ごとの解説
① 鞭虫はヒト大腸に成虫が寄生する線虫で、幼虫移行症は起こさない。 ② 肝吸虫はヒト胆管に成虫が寄生する吸虫で、幼虫移行症の原因とはならない。 ③ 糞線虫はヒト小腸に寄生し自家感染を起こすが、典型的な幼虫移行症の代表ではない。 ④ 小形条虫はヒト小腸に成虫が寄生する条虫で、幼虫移行症は起こさない。 ⑤ 正しい。広東住血線虫はヒト体内で幼虫が中枢神経へ移行し好酸球性髄膜脳炎を起こす幼虫移行症である。
第59回 午前9(臨床検査総論)
検便で検出された虫卵の写真を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA009.ef79d541cf.jpg
①ウエステルマン肺吸虫 ②マンソン住血吸虫 ③有害異形吸虫 ④肝吸虫 ⑤肝蛭
正答: ②マンソン住血吸虫
ポイント 住血吸虫卵は虫種により棘の位置と排泄経路が異なり、これが鑑別の決め手となる。図の便中虫卵は側方に明瞭な小棘(側棘)をもつ吸虫卵で、マンソン住血吸虫卵の特徴を示す。マンソン住血吸虫は腸間膜静脈に寄生し、産卵された卵が大腸壁から腸管腔へ移動して糞便中に排泄される。他の肺吸虫・肝吸虫・肝蛭・異形吸虫の卵は卵蓋をもち側棘を欠くため区別できる。●糞便中・側棘=マンソン住血吸虫。●糞便中・端在の小突起(小さな側棘)=日本住血吸虫。●尿中・端棘(後端の棘)=ビルハルツ住血吸虫。
選択肢ごとの解説
① ウエステルマン肺吸虫卵は卵蓋をもつ楕円形で側棘はなく、喀痰・糞便中にみられるが本像と異なる。 ② 正しい。明瞭な側棘をもつ吸虫卵で、腸間膜静脈に寄生し糞便中に排泄されるマンソン住血吸虫卵である。 ③ 有害異形吸虫卵は微小な卵蓋付きの卵で側棘はなく、本像と一致しない。 ④ 肝吸虫卵は卵蓋と肩状隆起をもつ電球様の微小卵で、側棘はみられない。 ⑤ 肝蛭卵は大型で卵蓋をもつが側棘はなく、本像のマンソン住血吸虫卵とは異なる。
第59回 午前10(臨床検査総論)
三日熱マラリア患者の末梢血塗抹Wright-Giemsa染色標本を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA010.cd389f0f95.jpg
①輪状体 ②分裂体 ③アメーバ体 ④雌性生殖母体 ⑤雄性生殖母体
正答: ②分裂体
ポイント 赤血球内では輪状体から栄養体、分裂体へと発育し、分裂体が崩壊してメロゾイトを放出する。この無性生殖の経路とは別に、一部の原虫が雌雄の生殖母体へ分化する。三日熱マラリアの末梢血塗抹で、感染赤血球内に複数のメロゾイト核と色素が集まって認められる像は分裂体である。三日熱マラリアでは感染赤血球が腫大しSchüffner斑点を伴い、成熟分裂体は約16個の核(メロゾイト)をもつのが特徴である。●赤内型の発育=輪状体→アメーバ体(栄養体)→分裂体(シゾント、複数核)。●有性世代=雌性・雄性生殖母体(ガメトサイト)。●三日熱の特徴=感染赤血球の腫大・Schüffner斑点・分裂体は約16個の核。
選択肢ごとの解説
① 輪状体は感染初期の細い指輪状の像で、本像の複数核を伴う発育像とは異なる。 ② 正しい。感染赤血球内に複数のメロゾイト核と色素が集まった像で、分裂体(シゾント)である。 ③ アメーバ体(栄養体)は不整形に広がる発育途中の像で、複数核をもつ本像とは異なる。 ④ 雌性生殖母体は赤血球いっぱいに広がる類円形の有性世代で、複数核に分裂した本像とは異なる。 ⑤ 雄性生殖母体は細胞質が淡く核がゆるい有性世代で、メロゾイト核が集まる本像とは異なる。
📋 まとめの表を見る:マラリア原虫の種類別 形態・潜伏期・発熱間隔の比較
マラリア原虫はハマダラカに刺されてスポロゾイトが体内に侵入し、まず肝細胞内で増殖(赤外型)した後、赤血球内で輪状体→アメーバ体→分裂体と発育する(無性生殖)。
第59回 午前11(臨床検査医学総論)
成人に対する胸骨圧迫について正しいのはどれか。
①胸骨上部で行う。 ②1分間に60回行う。 ③柔らかい敷物の上で行う。 ④片手で脈を確認しながら行う。 ⑤人工呼吸2回に対し胸骨圧迫30回のペースで行う。
正答: ⑤人工呼吸2回に対し胸骨圧迫30回のペースで行う。
ポイント 成人の胸骨圧迫は胸骨の下半分を圧迫部位とし、硬い床面など平らで硬い面の上で行う。1分間に100〜120回のテンポで、胸が約5cm沈む深さまで絶え間なく圧迫し、人工呼吸2回に対し胸骨圧迫30回(30:2)のサイクルで実施する。脈の確認に時間をかけず、ただちに質の高い圧迫を継続して圧迫の中断を最小限にすることが救命率向上に重要である。●正しい胸骨圧迫=胸骨下半分・硬い面・30:2・100〜120回/分・深さ約5cm。●避けるべき=胸骨上部の圧迫・柔らかい面での実施・圧迫の不要な中断・脈確認に時間をかけること。
選択肢ごとの解説
① 胸骨圧迫は胸骨の下半分で行うのが正しく、胸骨上部では効果が乏しく不適切である。 ② 圧迫テンポは1分間に100〜120回であり、60回では拍出が不十分で不適切である。 ③ 柔らかい敷物の上では圧迫力が逃げて有効に伝わらないため、硬い面の上で行う。 ④ 脈の確認に時間をかけず絶え間なく圧迫を続けるべきで、片手で脈をみながら行うのは不適切である。 ⑤ 正しい。人工呼吸2回に対し胸骨圧迫30回(30:2)のペースで行うのが成人一次救命処置の標準である。
第59回 午前12(臨床検査医学総論)
胃にみられる寄生虫はどれか。
①鞭虫 ②横川吸虫 ③アニサキス ④有棘顎口虫 ⑤ランブル鞭毛虫
正答: ③アニサキス
ポイント 寄生虫は虫種ごとに寄生部位が決まっており、胃に病変を作る代表がアニサキスである。アニサキスはサバ・イカなどの海産魚介類に幼虫が寄生し、これを生食すると幼虫が胃壁に刺入して激しい心窩部痛を伴う急性胃アニサキス症を起こす。他の寄生虫は寄生部位が異なり、鞭虫は大腸、横川吸虫は小腸、ランブル鞭毛虫は十二指腸〜小腸に寄生する。●胃に寄生・病変=アニサキス(胃壁刺入)。●小腸に寄生=横川吸虫・回虫・有棘顎口虫(移行)など。●大腸に寄生=鞭虫。●十二指腸〜小腸の原虫=ランブル鞭毛虫(ジアルジア)。
選択肢ごとの解説
① 鞭虫は大腸(盲腸)に寄生する線虫で、胃にはみられない。 ② 横川吸虫は小腸に寄生する吸虫で、胃には寄生しない。 ③ 正しい。アニサキス幼虫は生の海産魚介で経口摂取され胃壁に刺入し、急性胃アニサキス症を起こす。 ④ 有棘顎口虫は主に皮下や消化管を移行する幼虫移行症を起こすが、胃を主病巣とはしない。 ⑤ ランブル鞭毛虫は十二指腸〜小腸に寄生する原虫で、胃には寄生しない。
📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。
第59回 午前13(臨床検査医学総論)
急激な頭痛で発症するのはどれか。
①脳血栓 ②脳塞栓 ③脳内出血 ④くも膜下出血 ⑤一過性脳虚血発作
正答: ④くも膜下出血
ポイント くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂などにより、突然の激しい頭痛(バットで殴られたような頭痛)で発症するのが典型で、発症が急激で頭痛が前面に出る点が他の脳血管障害と異なる。脳血栓・脳塞栓・脳内出血は片麻痺や意識障害など局所神経症状が主体となり、一過性脳虚血発作は局所症状が短時間で消失する。突然発症の激烈な頭痛をみたらくも膜下出血を第一に考える。●急激な激しい頭痛で発症=くも膜下出血(動脈瘤破裂)。●局所神経症状が主体=脳血栓(緩徐進行)・脳塞栓(突発の麻痺)・脳内出血。●一過性で短時間に消失=一過性脳虚血発作(TIA)。
選択肢ごとの解説
① 脳血栓は動脈硬化を背景に緩徐に進行し局所神経症状を呈することが多く、突然の激しい頭痛で発症するとは限らない。 ② 脳塞栓は心原性塞栓などで急に局所症状を生じるが、主症状は麻痺などで頭痛が前面に出るとは限らない。 ③ 脳内出血は頭痛を伴うことがあるが、局所神経症状や意識障害が主で、くも膜下出血ほどの急激な頭痛発症が典型ではない。 ④ 正しい。くも膜下出血は動脈瘤破裂などにより突然の激烈な頭痛で発症するのが典型である。 ⑤ 一過性脳虚血発作は局所症状が短時間で消失するもので、急激な激しい頭痛を主症状とはしない。
第59回 午前14(臨床検査医学総論)
ADH分泌刺激試験はどれか。
①水制限試験 ②ACTH試験 ③メチラポン試験 ④ブドウ糖負荷試験 ⑤デキサメサゾン試験
正答: ①水制限試験
ポイント 水制限試験は飲水を制限して血漿浸透圧を上昇させ、生理的にADH(抗利尿ホルモン、バソプレシン)の分泌を刺激して尿濃縮能を評価する検査で、尿崩症の鑑別に用いられる。中枢性尿崩症ではADH分泌が増えず尿が濃縮されないが、その後バソプレシン投与で尿が濃縮されれば中枢性、されなければ腎性と判定する。他の試験は副腎皮質や膵内分泌の評価でADH分泌刺激試験ではない。●ADH分泌刺激=水制限試験(高浸透圧負荷)。●副腎皮質・下垂体系の検査=ACTH試験(副腎反応性)、メチラポン試験・デキサメサゾン抑制試験(下垂体-副腎軸)。●膵内分泌の検査=ブドウ糖負荷試験。
選択肢ごとの解説
① 正しい。水制限試験は血漿浸透圧を上昇させて生理的にADH分泌を刺激し、尿崩症の鑑別に用いる。 ② ACTH試験は副腎皮質の反応性をみる検査で、ADH分泌刺激試験ではない。 ③ メチラポン試験は下垂体-副腎系のACTH予備能を評価する検査で、ADHとは関係しない。 ④ ブドウ糖負荷試験は耐糖能やインスリン分泌を評価する検査で、ADH分泌刺激試験ではない。 ⑤ デキサメサゾン試験はコルチゾール分泌の抑制をみる検査で、ADH分泌刺激試験ではない。
第59回 午前15(臨床検査医学総論)
免疫グロブリンが単クローン性に増加する疾患はどれか。
①肝硬変 ②敗血症 ③関節リウマチ ④Guillain-Barré症候群 ⑤原発性マクログロブリン血症
正答: ⑤原発性マクログロブリン血症
ポイント 免疫グロブリンの増加は、一つの形質細胞クローン由来で単一の免疫グロブリンが増える単クローン性と、複数クローン由来で多様な免疫グロブリンが増える多クローン性に分けられる。原発性マクログロブリン血症(Waldenströmマクログロブリン血症)はリンパ形質細胞が単クローン性に増殖しIgMをM蛋白として大量産生する疾患で、単クローン性増加を示す代表である。一方、肝硬変・感染症・自己免疫疾患では多クローン性に免疫グロブリンが増加する。●単クローン性増加(M蛋白)=原発性マクログロブリン血症(IgM)・多発性骨髄腫。●多クローン性増加=肝硬変・慢性感染症・自己免疫疾患(関節リウマチ等)。
選択肢ごとの解説
① 肝硬変では免疫グロブリンが多クローン性に増加し、単クローン性の増加ではない。 ② 敗血症など感染症では免疫応答により多クローン性に免疫グロブリンが増加する。 ③ 関節リウマチは自己免疫疾患で、免疫グロブリンは多クローン性に増加する。 ④ Guillain-Barré症候群は末梢神経の自己免疫疾患で、単クローン性免疫グロブリン増加を主徴としない。 ⑤ 正しい。原発性マクログロブリン血症はIgMが単クローン性に大量産生され、M蛋白として増加する。
📋 まとめの表を見る:5種類の免疫グロブリンの主な性状
単クローン性増加=1クローン由来で単一Igが増加(原発性マクログロブリン血症=IgM)。多クローン性増加=感染症・自己免疫疾患など。
第59回 午前16(臨床生理学)
循環機能で正しいのはどれか。2つ選べ。
①心筋の興奮は全か無かの法則に従う。 ②分時拍出量は心拍数と最大血圧で表す。 ③脈波の伝わる速さは血流と同じである。 ④健常者の心臓拍動の歩調取りは房室結節である。 ⑤心音のⅠ音とⅡ音の間は収縮期である。
正答: ①心筋の興奮は全か無かの法則に従う。・⑤心音のⅠ音とⅡ音の間は収縮期である。
ポイント 心筋の興奮は刺激が閾値を超えると最大の収縮を生じ、それ以下では収縮が起こらない全か無かの法則に従う。また心音はⅠ音が房室弁の閉鎖、Ⅱ音が半月弁の閉鎖に対応し、Ⅰ音からⅡ音までの間は心室が収縮している収縮期にあたる。これに対し心拍動の歩調取り(ペースメーカ)は洞房結節であり、分時拍出量は1回拍出量×心拍数で表され、脈波伝播速度は実際の血流速度よりはるかに速い。●正しい=心筋は全か無かの法則・Ⅰ〜Ⅱ音間は収縮期。●誤りの訂正=歩調取りは洞房結節(房室結節ではない)、分時拍出量=1回拍出量×心拍数、脈波伝播速度は血流速度より速い。
選択肢ごとの解説
① 正しい。心筋の興奮は閾値を超えると最大収縮を生じる全か無かの法則に従う。 ② 分時拍出量は1回拍出量と心拍数の積で表され、心拍数と最大血圧で表すとする記述は誤りである。 ③ 脈波の伝わる速さは血管壁を伝わる速度で実際の血流速度よりはるかに速く、同じとする記述は誤りである。 ④ 健常者の心臓拍動の歩調取りは洞房結節であり、房室結節とする記述は誤りである。 ⑤ 正しい。Ⅰ音(房室弁閉鎖)からⅡ音(半月弁閉鎖)までの間は心室収縮期にあたる。
📋 まとめの表を見る:心周期の各時相(心室収縮期・拡張期)と心音の対応
収縮期はI音とII音の間、拡張期はII音と次のI音の間にあたる。心臓の歩調取りは洞房結節。分時拍出量=1回拍出量×心拍数。
第59回 午前17(臨床生理学)
心電図(別冊No.4)を別に示す。最も近い心拍数はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA017.c1987f4608.jpg
①20〜30 ②40〜50 ③60〜70 ④80〜90 ⑤100〜110
正答: ③60〜70
ポイント 心電図から心拍数を読む基本は、R-R間隔(秒)から1分間の拍数を算出する方法である。標準記録速度25mm/秒では1mmが0.04秒、1大マス(5mm)が0.2秒に相当し、60をR-R間隔(秒)で割る、または300をR-R間の大マス数で割る簡便法で心拍数を推定できる。本図のR-R間隔から算出すると心拍数は約60〜70拍/分に最も近い。●心拍数の算出=60÷R-R間隔(秒)、または300÷R-R間の大マス数。●記録速度=標準25mm/秒(1mm=0.04秒、1大マス=0.2秒)。●目安=大マス3個で約100、4個で約75、5個で約60拍/分。
選択肢ごとの解説
① 20〜30拍/分はR-R間隔が著しく延長した高度徐脈に相当し、本図の間隔とは合致しない。 ② 40〜50拍/分は徐脈に相当し、本図のR-R間隔より広い場合の値で本図とは合致しない。 ③ 正しい。本図のR-R間隔から算出すると心拍数は約60〜70拍/分に最も近い。 ④ 80〜90拍/分はR-R間隔がより短い場合の値で、本図の間隔とは合致しない。 ⑤ 100〜110拍/分は頻脈寄りでR-R間隔が短く、本図の間隔とは合致しない。
第59回 午前18(臨床生理学)
心電図(別冊No.4)を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA018.8c97dfe131.jpg
①PQ短縮 ②QT延長 ③右房負荷 ④右脚ブロック ⑤Ⅱ度房室ブロック
正答: ④右脚ブロック
ポイント 本心電図の所見は右脚ブロックで、右脚の伝導遅延により右室の興奮が遅れ、QRS終末部が遅れて描かれる。右側胸部誘導V1ではrSR'型(M字型)を示し、QRS幅が延長し、Ⅰ・V6誘導では幅広いS波がみられるのが特徴である。完全右脚ブロックはQRS幅0.12秒以上、不完全型はそれ未満で区別する。●右脚ブロックの所見=V1のrSR'(M字型)・QRS幅延長・Ⅰ/V6の幅広いS波。●鑑別=左脚ブロックはV1で幅広いQS型、V5/V6でM字型を示す。●その他の所見=PQ短縮はWPW、QT延長は再分極異常、右房負荷はP波増高。
選択肢ごとの解説
① PQ短縮はWPW症候群などでみられる所見で、本図の右脚ブロック像とは異なる。 ② QT延長はST-T部分の延長を示す所見で、本図の所見とは異なる。 ③ 右房負荷はP波増高(肺性P)を示す所見で、本図のQRS変化とは異なる。 ④ 正しい。V1のrSR'型とQRS幅延長を呈する右脚ブロックの所見である。 ⑤ Ⅱ度房室ブロックはPQ延長やQRS脱落を示すもので、本図の所見とは異なる。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第59回 午前19(臨床生理学)
健常成人の呼吸器の構造と機能について正しいのはどれか。2つ選べ。
①細気管支壁には気管支軟骨が存在する。 ②肺胞でのガス交換は拡散により行われる。 ③機能的残気量(FRC)は仰臥位では立位よりも上昇する。 ④動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)は肺胞換気量に反比例する。 ⑤座位において肺胞の換気血流比は肺尖部よりも肺底部の方が高い。
正答: ②肺胞でのガス交換は拡散により行われる。・④動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)は肺胞換気量に反比例する。
ポイント 肺胞でのガス交換は酸素と二酸化炭素の分圧差に従う拡散により行われ、能動輸送ではない。また動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)は肺胞換気量に反比例し、換気量が増えればPaCO₂は低下し、減れば上昇する。一方、細気管支壁には気管支軟骨は存在せず(軟骨は気管支まで)、機能的残気量(FRC)は仰臥位では横隔膜が挙上して立位より低下し、座位での換気血流比は重力の影響で肺底部より肺尖部のほうが高い。●正しい=肺胞ガス交換は拡散・PaCO₂は肺胞換気量に反比例。●誤りの訂正=細気管支に軟骨なし、FRCは仰臥位で低下、換気血流比は肺尖部>肺底部。
選択肢ごとの解説
① 細気管支壁には気管支軟骨は存在せず、軟骨は気管支までであるため記述は誤りである。 ② 正しい。肺胞でのガス交換は酸素・二酸化炭素の分圧差に従う拡散により行われる。 ③ 機能的残気量は仰臥位では横隔膜が挙上して低下し、立位より上昇するとする記述は誤りである。 ④ 正しい。動脈血二酸化炭素分圧は肺胞換気量に反比例し、換気量が増えると低下する。 ⑤ 座位では換気血流比は肺尖部のほうが高く、肺底部のほうが高いとする記述は誤りである。
第59回 午前20(臨床生理学)
肺気量分画の図を別に示す。各肺気量分画の名称で正しいのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA020.ccbb911f2b.jpg
①①:最大吸気量(inspiratory capacity:IC) ②②:1回換気量(tidal volume:VT) ③③:肺胞換気量(alveolar ventilation volume:VA) ④④:機能的残気量(functional residual capacity:FRC) ⑤⑤:全肺気量(total lung capacity:TLC)
正答: ①①:最大吸気量(inspiratory capacity:IC)・④④:機能的残気量(functional residual capacity:FRC)
ポイント 肺気量分画では、最大吸気量(IC)は安静呼気位から最大吸気までの量を、機能的残気量(FRC)は安静呼気位に肺内に残る量(予備呼気量+残気量)を指す。スパイロメトリで直接測定できる分画と、残気量を含むため直接測定できずガス希釈法や体プレチスモグラフで算出する分画を区別することが重要である。図中の各区分と名称を照合すると、①は最大吸気量、④は機能的残気量に対応する。●直接測定可=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・肺活量・最大吸気量。●直接測定不可(残気量を含む)=機能的残気量・全肺気量・残気量(ガス希釈法等で算出)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。①は安静呼気位から最大吸気までの量で、最大吸気量(IC)の名称が適切である。 ② ②は安静呼気位から最大呼気位までの量で、予備呼気量(ERV)である。1回換気量は安静吸気位と安静呼気位の間の量を指す。 ③ ③は安静吸気位から最大吸気位までの量で、予備吸気量(IRV)である。肺胞換気量ではない。 ④ 正しい。④は安静呼気位に残る量(予備呼気量+残気量)で、機能的残気量(FRC)が適切である。 ⑤ ⑤は最大吸気位から最大呼気位までの量で、肺活量(VC)である。全肺気量(TLC)はこれに残気量(RV)を加えた量である。
📋 まとめの表を見る:呼吸機能検査:測定項目と測定方法
第59回 午前21(臨床生理学)
動脈血ガス分析の結果とその解釈の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA021.7b2d805784.jpg
正答: ①・③
ポイント 動脈血ガスの解釈はpH・PaCO₂・HCO₃−の組合せから酸塩基平衡を判定する。まずpHが酸性側か塩基性側かをみて、PaCO₂が一次的に変化していれば呼吸性、HCO₃−が一次的に変化していれば代謝性と判断し、代償の方向も確認する。pH7.40・PaCO₂ 42・HCO₃− 22はいずれも基準範囲内で正常範囲である。pH低下(アシデミア)でPaCO₂が著明に上昇していれば呼吸性アシドーシスと解釈できる。●呼吸性アシドーシス=pH↓・PaCO₂↑。●呼吸性アルカローシス=pH↑・PaCO₂↓。●代謝性アシドーシス=pH↓・HCO₃−↓。●代謝性アルカローシス=pH↑・HCO₃−↑。
選択肢ごとの解説
① 正しい。pH7.40・PaCO₂ 42・HCO₃− 22はいずれも基準範囲内で正常と解釈でき、組合せは適切である。 ② pH7.55のアルカレミアだがHCO₃−が低い組合せで、HCO₃−上昇を伴う代謝性アルカローシスの解釈とは整合しない。 ③ 正しい。pH7.20とアシデミアでPaCO₂ 78と著明高値を示し、呼吸性アシドーシスの解釈が適切である。 ④ pH7.48でアルカレミアだがPaCO₂ 48と高値で、呼吸性アルカローシス(PaCO₂低下)の解釈とは整合しない。 ⑤ pH7.39とほぼ正常でHCO₃−も高値であり、代謝性アシドーシス(HCO₃−低下・pH低下)の解釈とは整合しない。
📋 まとめの表を見る:酸塩基平衡異常の4パターン(pH・一次性変化・代償性変化)
代償は血液pHを基準範囲(7.35〜7.45)へ戻そうとする働き。呼吸性代償は換気量の増減により数時間単位、代謝性(腎性)代償はHCO₃-の排泄調節により数日単位で生じる。代償が予測範囲を超える場合は混合性障害を疑う。
第59回 午前22(臨床生理学)
睡眠時無呼吸症候群について正しいのはどれか。2つ選べ。
①脳波上の覚醒回数は重症度と関係がない。 ②non REM睡眠時には急速眼球運動がみられる。 ③無呼吸出現時には動脈血酸素飽和度が低下する。 ④閉塞型睡眠時無呼吸では胸壁と腹壁の奇異性運動がみられる。 ⑤non REM睡眠における睡眠ステージ1はステージ3よりも深い睡眠である。
正答: ③無呼吸出現時には動脈血酸素飽和度が低下する。・④閉塞型睡眠時無呼吸では胸壁と腹壁の奇異性運動がみられる。
ポイント 睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸出現時に換気が停止して動脈血酸素飽和度(SpO₂)が低下する。閉塞型睡眠時無呼吸では上気道が閉塞した状態で呼吸努力が続くため、胸壁と腹壁が逆方向に動く奇異性運動がみられる。覚醒反応(arousal)の頻度は無呼吸の重症度と関連し、急速眼球運動はnon REM睡眠ではなくREM睡眠でみられる現象である。睡眠ステージは数字が大きいほど深く、ステージ1はステージ3より浅い。●正しい=無呼吸時にSpO₂低下・閉塞型で胸腹壁の奇異性運動。●誤りの訂正=覚醒回数は重症度と関連、急速眼球運動はREM睡眠、睡眠ステージは数字が大きいほど深い(ステージ3>ステージ1)。
選択肢ごとの解説
① 脳波上の覚醒回数(arousal)は無呼吸の重症度と関連するため、関係がないとする記述は誤りである。 ② 急速眼球運動はREM睡眠でみられるもので、non REM睡眠時にみられるとする記述は誤りである。 ③ 正しい。無呼吸出現時には換気停止により動脈血酸素飽和度が低下する。 ④ 正しい。閉塞型睡眠時無呼吸では気道閉塞下の呼吸努力により胸壁と腹壁の奇異性運動がみられる。 ⑤ 睡眠ステージは数字が大きいほど深く、ステージ1はステージ3より浅い睡眠であるため記述は誤りである。
📋 まとめの表を見る:睡眠時無呼吸症候群〈SAS〉の病型分類
無呼吸出現時には(病型によらず)動脈血酸素飽和度〈SpO₂〉が低下する。
第59回 午前23(臨床生理学)
感覚情報が最初に伝わる部位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①視覚 — 前頭葉 ②嗅覚 — 後頭葉 ③味覚 — 後頭葉 ④聴覚 — 側頭葉 ⑤体性感覚 — 頭頂葉
正答: ④聴覚 — 側頭葉・⑤体性感覚 — 頭頂葉
ポイント 感覚情報が最初に伝わる一次感覚野は感覚の種類ごとに大脳皮質上で部位が決まっている。聴覚は側頭葉の一次聴覚野に、体性感覚は頭頂葉の中心後回にある一次体性感覚野に最初に伝わる。これに対し視覚は後頭葉の一次視覚野、嗅覚は側頭葉内側の嗅皮質、味覚は頭頂弁蓋・島皮質に伝わるため、設問の組合せのうち正しいのは聴覚-側頭葉と体性感覚-頭頂葉である。●一次感覚野=聴覚は側頭葉・体性感覚は頭頂葉・視覚は後頭葉。●その他=嗅覚は側頭葉内側の嗅皮質、味覚は頭頂弁蓋・島皮質に伝わる。
選択肢ごとの解説
① 視覚は後頭葉の一次視覚野に最初に伝わるため、前頭葉との組合せは誤りである。 ② 嗅覚は側頭葉内側の嗅皮質に伝わるため、後頭葉との組合せは誤りである。 ③ 味覚は頭頂弁蓋・島皮質に伝わるため、後頭葉との組合せは誤りである。 ④ 正しい。聴覚は側頭葉の一次聴覚野に最初に伝わるため、組合せは正しい。 ⑤ 正しい。体性感覚は頭頂葉(中心後回)の一次体性感覚野に最初に伝わるため、組合せは正しい。
📋 まとめの表を見る:中枢神経系の部位と機能
言語中枢はほとんどの場合、左半球(優位半球)にある。運動は中心前回、体性感覚は中心後回であり取り違えやすい。
第59回 午前24(臨床生理学)
脳死判定の脳波記録時にすべきなのはどれか。
①アースを接地しない。 ②記録中には刺激をしない。 ③オトガイに電極をつける。 ④測定感度を4倍以上に上げる。 ⑤フィルタをすべてオフにする。
正答: ④測定感度を4倍以上に上げる。
ポイント 脳死判定の脳波記録では、大脳の電気的無活動(平坦脳波)を確実に証明することが目的となる。微小な電位の有無を厳密に確認するため、測定感度を通常の4倍以上に上げて記録し、規定の時間にわたり連続記録する。同時にアースを確実に接地して雑音を抑え、適切なフィルタ設定を行い、音や痛みなどの刺激への反応の有無も確認する必要がある。●脳死脳波記録の要件=感度を4倍以上に上げる・規定時間の連続記録・アース接地・刺激への反応確認。●避けるべき=アース未接地・刺激を行わないこと・フィルタを全てオフにすることは不適切。
選択肢ごとの解説
① アースは確実に接地して雑音を抑える必要があり、接地しないとする記述は不適切である。 ② 音や痛みなどの刺激に対する反応の有無を確認する必要があり、刺激をしないとする記述は不適切である。 ③ オトガイへの電極装着は筋電図記録などの目的で、脳死脳波の必須手技として挙げる本肢は適切でない。 ④ 正しい。平坦脳波を確実に証明するため、測定感度を通常の4倍以上に上げて記録する。 ⑤ フィルタは適切に設定して記録すべきで、すべてオフにするとする記述は不適切である。
第59回 午前25(臨床生理学)
脳波所見と疾患の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①三相性波 — Creutzfeldt-Jakob病 ②多棘徐波複合 — ミオクロニーてんかん ③3Hz棘徐波複合 — 欠神発作型てんかん ④ヒプスアリスミア — Lennox症候群 ⑤周期性同期性放電 — Alzheimer病
正答: ②多棘徐波複合 — ミオクロニーてんかん・③3Hz棘徐波複合 — 欠神発作型てんかん
ポイント 脳波所見は疾患ごとに特徴的なパターンを示し、その対応を理解することが診断の手がかりとなる。多棘徐波複合はミオクロニーてんかんで、3Hz棘徐波複合は欠神発作型てんかんでみられる代表的所見である。一方、三相性波は肝性脳症などの代謝性脳症、ヒプスアリスミアはWest症候群(点頭てんかん)、周期性同期性放電(PSD)はCreutzfeldt-Jakob病やSSPEでみられるため、これらの組合せは適切でない。●正しい=多棘徐波複合はミオクロニーてんかん、3Hz棘徐波複合は欠神発作。●他の対応=三相性波は肝性脳症、ヒプスアリスミアはWest症候群、周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病・SSPE。
選択肢ごとの解説
① 三相性波は肝性脳症など代謝性脳症の所見で、Creutzfeldt-Jakob病との組合せは誤りである。 ② 正しい。多棘徐波複合はミオクロニーてんかんでみられる特徴的脳波所見である。 ③ 正しい。3Hz棘徐波複合は欠神発作型てんかんに特徴的な脳波所見である。 ④ ヒプスアリスミアはWest症候群(点頭てんかん)の所見で、Lennox症候群との組合せは適切でない。 ⑤ 周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病やSSPEでみられ、Alzheimer病との組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。
第59回 午前26(臨床生理学)
超音波の周波数を高くしたときに起こる変化として正しいのはどれか。2つ選べ。
①透過性は高くなる。 ②指向性は良くなる。 ③分解能は高くなる。 ④減衰は小さくなる。 ⑤伝播速度は低下する。
正答: ②指向性は良くなる。・③分解能は高くなる。
ポイント 超音波の周波数を高くすると波長が短くなり、ビームの広がりが抑えられて超音波が直進しやすくなるため指向性が向上する。さらに波長の短縮によって近接した2点を分離して描出できるようになり、距離分解能・方位分解能がいずれも高くなる。一方で、組織内での吸収・散乱によるエネルギー損失は周波数が高いほど大きくなるため、減衰が増して深部まで到達しにくくなり透過性は低下する。音の伝播速度は媒質の弾性率と密度によって決まる固有値であり、周波数を変えても変化しない。臨床では浅い部位を高周波で高分解能に観察し、深い部位を低周波で高透過性に観察するという使い分けがなされる。●周波数を上げると向上する=指向性、距離分解能、方位分解能。●周波数を上げると不利になる=減衰の増大とそれに伴う到達深度・透過性の低下。●周波数に依存しない=音速(媒質固有の値で決まる)。
選択肢ごとの解説
① 周波数が高いほど組織での吸収・散乱による減衰が増し、深部へ届きにくくなって透過性はむしろ低下するため、この記述は誤りである。 ② 正しい。波長が短くなるとビームの広がりが抑えられて超音波が直進しやすくなり、結果として指向性が良くなる。 ③ 正しい。波長の短縮により近接した2点を分離して描出できるようになり、距離分解能・方位分解能がともに高くなる。 ④ 高周波ほど組織での吸収・散乱が増えて減衰はむしろ大きくなるため、減衰が小さくなるというこの記述は誤りである。 ⑤ 伝播速度は媒質の弾性率と密度で決まる固有値で周波数には依存せず、高周波にしても低下しないためこの記述は誤りである。
📋 まとめの表を見る:超音波検査における周波数と分解能・深達度の関係
方位分解能(横方向分解能)は電子フォーカスによるビーム集束で向上し、周波数のみでは決まらない。
第59回 午前27(臨床生理学)
心臓超音波所見で健常者にみられないのはどれか。
①駆出率72 % ②左房径54 mm ③大動脈径25 mm ④心室中隔厚10 mm ⑤左室拡張末期径 — 49 mm
正答: ②左房径54 mm
ポイント 成人の心臓超音波計測の基準値は、左房径が約40mm未満、大動脈径が約40mm未満、心室中隔厚および左室後壁厚が11mm以下、左室拡張末期径が約55mm以下、駆出率が55%以上である。設問のうち左房径54mmは正常上限の40mmを大きく超えており、左房拡大を示す異常値であって健常者にはみられない。これに対し他の4項目はいずれも基準範囲内に収まる値であり、健常者でも認められる。各計測値は心腔の拡大、壁の肥厚、収縮能の評価に用いられ、基準値からの逸脱の有無が心疾患の重要な手がかりとなるため、正常範囲を正しく踏まえて健常者にみられない異常値を判別する必要がある。●左房・左室の拡大=左房径40mm以上、左室拡張末期径55mm超は容量負荷を示唆する。●壁厚の増加=心室中隔・後壁が12mm以上で心肥大を疑う。●収縮能の低下=駆出率が55%未満で収縮機能障害を疑い、心不全の評価に用いる。
選択肢ごとの解説
① 駆出率72%は基準値である55%以上を十分に満たす正常範囲の値であり、健常者でも認められるため健常者にみられる。 ② 左房径54mmは正常上限の40mmを大きく超える左房拡大の異常値であり、健常者にはみられない。 ③ 大動脈径25mmは基準の40mm未満に収まる正常範囲の値であり、健常者でも認められるため健常者にみられる。 ④ 心室中隔厚10mmは基準の11mm以下に収まり肥大はみられない正常な値で、健常者でも認められるため健常者にみられる。 ⑤ 左室拡張末期径49mmは約55mm以下という正常範囲に収まる値であり、健常者でも認められるため健常者にみられる。
📋 まとめの表を見る:心臓超音波(Mモード法)の主な計測項目の基準範囲
胸骨左縁長軸像で計測する項目。右室径自体はこの断面では正確な計測は難しい。
第59回 午前28(臨床生理学)
脂肪肝の超音波所見はどれか。2つ選べ。
①高輝度肝 ②肝表面凹凸 ③後方エコー増強 ④モザイクパターン ⑤肝腎コントラスト陽性
正答: ①高輝度肝・⑤肝腎コントラスト陽性
ポイント 脂肪肝では肝細胞内に中性脂肪が過剰に蓄積し、超音波では肝実質エコーが全体に上昇して高輝度肝(bright liver)を呈する。さらに肝よりも腎皮質のエコーが相対的に低くなることで両者の明るさの差が際立ち、肝腎コントラスト陽性となる。蓄積した脂肪による減衰のため深部エコーは減弱し、肝深部や横隔膜が描出されにくくなるのも特徴である。これらの所見の組合せから脂肪肝が示唆される。●脂肪肝の所見=高輝度肝、肝腎コントラスト陽性、深部エコーの減衰、肝内脈管の不明瞭化。●肝硬変の所見=肝表面の凹凸、辺縁の鈍化、内部エコーの不均一。●肝細胞癌の所見=モザイクパターン、後方エコー増強、腫瘍周囲の低エコー帯(ハロー)。それぞれの所見がどの疾患に対応するかを正確に区別し、脂肪肝に特有の高輝度肝と肝腎コントラスト陽性を肝硬変や腫瘍の所見と取り違えないことが重要である。
選択肢ごとの解説
① 正しい。肝細胞内への中性脂肪の蓄積により肝実質エコーが全体に上昇する高輝度肝(bright liver)を呈する。 ② 肝表面の凹凸は線維化と再生結節による肝硬変の所見であり、脂肪肝の所見ではないためこの選択肢は誤りである。 ③ 後方エコー増強は嚢胞や一部の腫瘍でみられ、脂肪肝はむしろ深部が減衰するため脂肪肝の所見としては誤りである。 ④ モザイクパターンは内部構造が不均一な肝細胞癌の所見であり、脂肪肝ではみられないためこの選択肢は誤りである。 ⑤ 正しい。肝が高輝度化して腎皮質より明るくなり両者の差が際立つ肝腎コントラスト陽性は脂肪肝の所見である。
📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。
第59回 午前29(臨床化学)
細胞小器官と機能の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①ミトコンドリア — 蛋白質合成 ②粗面小胞体 — ATP産生 ③リソソーム — 物質の消化 ④ゴルジ体 — 物質の酸化 ⑤核 — mRNA合成
正答: ③リソソーム — 物質の消化・⑤核 — mRNA合成
ポイント 細胞小器官はそれぞれ固有の機能を担っている。リソソームは多種の加水分解酵素を内包し、細胞が取り込んだ物質や不要となった細胞内成分を消化・分解する分解の中心的な場である。核はDNAを保持し、これを鋳型として転写を行い、蛋白質合成の設計図となるmRNAを合成する場である。これら2つの組合せが正しい。各小器官の機能を正確に対応づけて理解することが重要である。●エネルギー産生=ミトコンドリアがATP産生と酸化的リン酸化を担う。●蛋白質の合成と修飾=リボソームが蛋白質合成、粗面小胞体が分泌蛋白・膜蛋白の合成、ゴルジ体が糖鎖付加と選別・輸送を担う。●分解と遺伝情報=リソソームが物質の消化、核がDNAの保持とmRNAの合成を担う。これらの機能の対応を取り違えると組合せ問題で誤答につながるため、各小器官の役割を正確に区別する必要がある。
選択肢ごとの解説
① ミトコンドリアはATPを産生する場であり、蛋白質合成を担うのはリボソームであるため、この組合せは誤りである。 ② 粗面小胞体はリボソームが付着して蛋白質を合成する場であり、ATP産生は担わないため、この組合せは誤りである。 ③ 正しい。リソソームは加水分解酵素を内包し、取り込んだ物質や不要な細胞内成分を消化・分解する場である。 ④ ゴルジ体は糖鎖付加など蛋白質の修飾と選別・輸送を行う場であり、物質の酸化は担わないため組合せは誤りである。 ⑤ 正しい。核はDNAを鋳型として転写を行い、蛋白質合成の設計図となるmRNAを合成する場であるためこの組合せは適切である。
📋 まとめの表を見る:細胞小器官の膜構造と主な機能
二重膜構造をもつのは核とミトコンドリアのみ。電子顕微鏡ではミトコンドリアのクリステ、粗面小胞体のリボソーム付着、ゴルジ体の層状の膜嚢が特徴的に観察される。
第59回 午前30(臨床化学)
Lambert-Beerの法則が成り立つ条件で、吸光度1.0における透過率は吸光度2.0における透過率の何倍か。
正答: ④10倍
ポイント Lambert-Beerの法則では吸光度Aと透過率Tの間にA=-log10Tの関係が成り立ち、これを変形するとT=10⁻ᴬとなる。したがって吸光度1.0のときの透過率はT=10⁻¹=0.1、吸光度2.0のときはT=10⁻²=0.01である。両者の比は0.1÷0.01=10となり、吸光度1.0における透過率は吸光度2.0における透過率の10倍である。吸光度が1増えるごとに透過率は10分の1になるという対数の関係を用いて計算する。●基本式=A=εcl(εはモル吸光係数、cは濃度、lは光路長)で、吸光度は濃度と光路長に比例する。●透過率との関係=A=-log10T、すなわちT=10⁻ᴬである。●成立条件=単色光であること、希薄溶液であること、溶質間相互作用や光の散乱がないことが必要である。
選択肢ごとの解説
① 吸光度差1に対する透過率の比は10倍であり、2倍ではないためこの選択肢は誤りである。透過率はT=10⁻ᴬで求められる。 ② 透過率は吸光度差1につき10分の1になる関係であり、両者の比は4倍にはならないためこの選択肢は誤りである。 ③ 吸光度1.0と2.0の透過率はそれぞれ0.1と0.01でその比は10倍であり、5倍ではないためこの選択肢は誤りである。 ④ 正しい。T=10⁻¹=0.1、T=10⁻²=0.01であり、その比は0.1÷0.01=10倍となる。 ⑤ 透過率の比は10倍であり、20倍にはならないためこの選択肢は誤りである。吸光度差1で透過率は10分の1になる。
第59回 午前31(臨床化学)
アニオンギャップが増加するのはどれか。2つ選べ。
①下痢 ②腎不全 ③慢性肺気腫 ④低アルブミン血症 ⑤糖尿病性ケトアシドーシス
正答: ②腎不全・⑤糖尿病性ケトアシドーシス
ポイント アニオンギャップ(AG)はNa−(Cl+HCO₃)で算出され、通常は測定されない陰イオンが増加するとAGが上昇する。腎不全では硫酸・リン酸などの不揮発性酸が貯留し、これを緩衝するためにHCO₃が消費されてAGが増大する。糖尿病性ケトアシドーシスでは陰イオンであるケトン体が増加し、同様にAGが上昇する。いずれもAG上昇型の代謝性アシドーシスである。●AG上昇型=腎不全、糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、メタノールなどの中毒。●AG正常型(高Cl性)=下痢、尿細管性アシドーシスで、失われたHCO₃を血中のClが補うためAGは変わらない。●AGを低下させる要因=低アルブミン血症で、陰イオンであるアルブミンの減少によりAGはむしろ低下する。AGが上昇するか正常にとどまるかで代謝性アシドーシスの原因を絞り込むことができる。
選択肢ごとの解説
① 下痢は失われたHCO₃を血中のClが補う高Cl性のAG正常型アシドーシスであり、AGは増加しないためこの選択肢は誤りである。 ② 正しい。腎不全では硫酸・リン酸などの不揮発性酸が貯留しHCO₃が消費されるため、AGが増加するこれが該当する。 ③ 慢性肺気腫はCO₂貯留が主体の呼吸性アシドーシスであり、AGを上昇させる病態ではないためこの選択肢は誤りである。 ④ 低アルブミン血症は陰イオンであるアルブミンの減少によりAGをむしろ低下させるため、増加するとはいえず誤りである。 ⑤ 正しい。糖尿病性ケトアシドーシスでは陰イオンであるケトン体が増加するため、AGが増加しこれが該当する。
第59回 午前32(臨床化学)
血清中のNa:145 mmol/l、血糖値:90 mg/dl、尿素窒素:14 mg/dlのとき、血清浸透圧〔mOsm/kg・H₂O〕の数値に最も近いのはどれか。
正答: ③280
ポイント 血清浸透圧の概算は2×[Na⁺]+血糖値/18+尿素窒素/2.8(血糖と尿素窒素はmg/dL単位)の式で求められる。設問の値を代入すると、2×145=290、血糖90/18=5、尿素窒素14/2.8=5となり、合計は290+5+5=300mOsm/kgである。選択肢のうちこの計算値に最も近いのは280である。血清浸透圧はNaが主たる規定因子であり、ブドウ糖と尿素窒素の寄与は通常は比較的小さい。●計算式=2×[Na⁺]+Glu/18+BUN/2.8で概算する。●基準値=おおむね275〜290mOsm/kgである。●浸透圧ギャップ=実測値と計算値の差が大きい場合は、アルコールや中毒物質など計算式に含まれない浸透圧物質の存在を示唆するため、中毒の鑑別に活用される。浸透圧はNaを主体とし、ブドウ糖と尿素窒素の寄与を加えて概算する点を踏まえれば算出は容易である。
選択肢ごとの解説
① 計算値は約300mOsm/kgであり、160とは大きくかけ離れているため最も近い値とはいえず、この選択肢は誤りである。 ② 計算値は約300mOsm/kgであり、220との差は80mOsm/kgで、280との差20mOsm/kgより大きいため最も近い値とはいえず、この選択肢は誤りである。 ③ 正しい。2×145+90/18+14/2.8=300となり、選択肢のなかでは280が最も近い。 ④ 計算値は約300mOsm/kgであり、340には達しないため最も近い値とはいえず、この選択肢は誤りである。 ⑤ 計算値は約300mOsm/kgであり、400とは大きくかけ離れているため最も近い値とはいえず、この選択肢は誤りである。
第59回 午前33(臨床化学)
最も長期間の血糖コントロールの状態を反映するのはどれか。
①HbA1c ②インスリン ③C-ペプチド ④グリコアルブミン ⑤1,5-アンヒドログルシトール
正答: ①HbA1c
ポイント HbA1cはヘモグロビンにブドウ糖が非酵素的に結合して生じる糖化産物で、赤血球の寿命である約120日にわたる血糖状態を反映し、過去1〜2か月の平均血糖を表す最も長期間のコントロール指標である。これに対しグリコアルブミンは約2週間、1,5-アンヒドログルシトールは数日と、反映する期間がより短い。インスリンやC-ペプチドは膵β細胞の分泌能を示す指標であり、血糖コントロール期間の指標ではない。●長期(1〜2か月)を反映=HbA1c。●中期(約2週間)を反映=グリコアルブミン(フルクトサミン)。●短期(数日)を反映=1,5-アンヒドログルシトール。●インスリン分泌能の指標=インスリン、C-ペプチドで、これらは膵β細胞の機能評価に用いられ血糖の経時的な反映には用いない。各指標が反映する期間の違いを正確に踏まえることが要点である。
選択肢ごとの解説
① 正しい。赤血球寿命の約120日を反映し、過去1〜2か月の平均血糖を示す最も長期間のコントロール指標である。 ② インスリンは膵β細胞の分泌能を示す指標であり、長期間の血糖コントロールを反映する指標ではないため誤りである。 ③ C-ペプチドはインスリン分泌能の評価に用いる指標であり、長期間の血糖コントロールを反映する指標ではないため誤りである。 ④ グリコアルブミンが反映する期間は約2週間でHbA1cより短期間であるため、最も長期間を反映する指標とはいえず誤りである。 ⑤ 1,5-アンヒドログルシトールは数日間の血糖を反映する最も短期の指標であり、最も長期間の指標ではないため誤りである。
第59回 午前34(臨床化学)
脂肪酸について正しいのはどれか。
①胆汁酸の材料として使われる。 ②空腹時に脂肪組織に取り込まれる。 ③血中では長鎖脂肪酸より中鎖脂肪酸が多い。 ④遊離型コレステロールに結合して親水性を増す。 ⑤不飽和脂肪酸の方が飽和脂肪酸より酸化されやすい。
正答: ⑤不飽和脂肪酸の方が飽和脂肪酸より酸化されやすい。
ポイント 脂肪酸は炭化水素鎖をもつカルボン酸で、二重結合を含まないものを飽和脂肪酸、含むものを不飽和脂肪酸という。二重結合の部位は反応性が高く酸化(過酸化)を受けやすいため、不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸より酸化されやすい。これが正しい。胆汁酸はコレステロールから合成され、空腹時にはむしろ脂肪組織から脂肪酸が放出される側である。●脂肪酸の性質=不飽和度(二重結合の数)が高いほど融点が低く酸化されやすい。●エネルギー動態=空腹時は脂肪分解が進んで遊離脂肪酸が血中へ放出される。●関連物質の由来=胆汁酸やステロイドはコレステロールから合成され、脂肪酸がコレステロールに結合するとエステル化して疎水性がむしろ増す。脂肪酸の構造と性質、エネルギー代謝との関係を整合的に理解することが重要であり、不飽和脂肪酸が酸化を受けやすいという性質は脂質過酸化の観点からも重要である。
選択肢ごとの解説
① 胆汁酸はコレステロールを材料として合成されるものであり、脂肪酸が直接の材料ではないためこの選択肢は誤りである。 ② 空腹時はむしろ脂肪分解が進んで脂肪組織から脂肪酸が放出される側であり、取り込まれる側ではないため誤りである。 ③ 血中の遊離脂肪酸は長鎖脂肪酸が大部分を占めており、中鎖脂肪酸の方が多いというこの選択肢の記述は誤りである。 ④ 脂肪酸がコレステロールに結合するとエステル化して疎水性がむしろ増すのであり、親水性を増すとする記述は誤りである。 ⑤ 正しい。二重結合をもつ不飽和脂肪酸はその部位の反応性が高く酸化を受けやすいため、飽和脂肪酸より酸化されやすい。
第59回 午前35(臨床化学)
アミノ酸について正しいのはどれか。2つ選べ。
①グリシンは塩基性アミノ酸である。 ②アスパラギンは酸性アミノ酸である。 ③バリンは必須アミノ酸のひとつである。 ④トリプトファンはインドール核をもつ。 ⑤チロシンは加水分解されてオルニチンと尿素を生じる。
正答: ③バリンは必須アミノ酸のひとつである。・④トリプトファンはインドール核をもつ。
ポイント アミノ酸は側鎖の性質によって分類される。バリンはロイシン・イソロイシンとともに分枝鎖アミノ酸に属し、体内で合成できないため食事から摂取すべき必須アミノ酸の一つである。トリプトファンは側鎖に二環性のインドール核をもつ芳香族アミノ酸である。これら2つが正しい。アミノ酸の酸性・塩基性は側鎖の電荷で決まる。●必須アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン・リシン・メチオニン・フェニルアラニン・トレオニン・トリプトファン・ヒスチジン。●酸性・塩基性=酸性はアスパラギン酸・グルタミン酸、塩基性はリシン・アルギニン・ヒスチジン。●特徴的な側鎖構造=トリプトファンはインドール核、フェニルアラニンとチロシンはベンゼン環をもつ芳香族アミノ酸である。必須か否か、酸性か塩基性か、側鎖の構造という3つの観点を分けて理解することが要点である。
選択肢ごとの解説
① グリシンは側鎖が水素原子のみである最も簡単な中性アミノ酸であり、塩基性アミノ酸ではないためこの選択肢は誤りである。 ② アスパラギンは側鎖にアミド基をもつ中性アミノ酸であり、酸性アミノ酸はアスパラギン酸であるためこの選択肢は誤りである。 ③ 正しい。バリンはロイシン・イソロイシンとともに分枝鎖アミノ酸で体内合成ができず、食事から摂取すべき必須アミノ酸の一つである。 ④ 正しい。トリプトファンは側鎖に二環性のインドール核をもつ芳香族アミノ酸であり、この構造が特徴である。 ⑤ 加水分解されてオルニチンと尿素を生じるのはアルギニンであり、チロシンではないためこの選択肢の記述は誤りである。
第59回 午前36(臨床化学)
血清クレアチニンについて正しいのはどれか。
①脱水で低下する。 ②妊娠で上昇する。 ③肝臓で合成される。 ④透析前後で変化しない。 ⑤女性より男性で高値を示す。
正答: ⑤女性より男性で高値を示す。
ポイント クレアチニンは筋肉中のクレアチンの代謝産物として一定量が生成され、糸球体で濾過された後ほとんど再吸収されずに尿中へ排泄されるため、糸球体濾過量(GFR)の指標として用いられる。血中濃度は筋肉量を反映するため、筋肉量の多い男性は女性より高値を示す。これが正しい。各要因が血中濃度をどう動かすかを理解することが重要である。●産生と排泄=筋クレアチンに由来し糸球体で濾過され、腎機能の評価に用いる。●上昇する病態=腎機能低下、脱水による血液濃縮、横紋筋融解などの筋崩壊。●低下・低値となる要因=筋肉量の減少、妊娠(GFR増加による希釈)、透析による血中からの除去。各要因が血中濃度を上げるか下げるかを病態生理から整合的に判断することが重要である。
選択肢ごとの解説
① 脱水では血液が濃縮されるため血中クレアチニンはむしろ上昇するのであり、低下するというこの選択肢の記述は誤りである。 ② 妊娠では糸球体濾過量が増加して希釈されるため血中クレアチニンはむしろ低下し、上昇するとはいえないため誤りである。 ③ クレアチニンは主に筋肉中のクレアチンに由来して生成されるものであり、肝臓で合成されるとする記述は誤りである。 ④ 透析では血中のクレアチニンが除去されるため透析前後で低下するのであり、変化しないとするこの記述は誤りである。 ⑤ 正しい。血中濃度は筋肉量を反映するため、一般に筋肉量の多い男性は女性に比べて高値を示すこれが正しい。
第59回 午前37(臨床化学)
非抱合型ビリルビンが優位に上昇するのはどれか。
①新生児黄疸 ②閉塞性黄疸 ③薬剤性肝障害 ④急性ウイルス性肝炎 ⑤Dubin-Johnson症候群
正答: ①新生児黄疸
ポイント 非抱合型(間接)ビリルビンはヘムの分解で生じ、アルブミンと結合して肝へ運ばれ、肝でグルクロン酸抱合を受ける前の分画である。新生児黄疸では肝のグルクロン酸抱合酵素(UDP-グルクロン酸転移酵素)が未熟で抱合がビリルビン産生に追いつかず、非抱合型ビリルビンが優位に上昇する。これが正しい。黄疸はどの段階の障害かによって優位となる分画が分かれる。●非抱合型(間接)優位=溶血性黄疸、新生児黄疸、Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群(抱合酵素の異常)。●抱合型(直接)優位=閉塞性黄疸、肝細胞障害(ウイルス性肝炎・薬剤性)。●排泄障害による直接型上昇=Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群。ビリルビン代謝のどの段階が障害されるかによって優位となる分画が決まる点を理解することが重要である。
選択肢ごとの解説
① 正しい。新生児は肝のグルクロン酸抱合酵素が未熟で抱合が追いつかず、非抱合型ビリルビンが優位に上昇する。 ② 閉塞性黄疸は胆汁排泄路の閉塞により抱合型(直接)ビリルビンが優位に上昇するため、非抱合型優位とはいえず誤りである。 ③ 薬剤性肝障害では肝細胞障害や胆汁うっ滞により抱合型ビリルビンが上昇しやすいため、非抱合型優位とはいえず誤りである。 ④ 急性ウイルス性肝炎は肝細胞障害により抱合型ビリルビンが上昇するため、非抱合型が優位に上昇するとはいえず誤りである。 ⑤ Dubin-Johnson症候群は抱合型ビリルビンの胆汁中への排泄障害で直接型が上昇するため、非抱合型優位ではなく誤りである。
📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。
第59回 午前38(臨床化学)
ヒトの血中アミラーゼについて正しいのはどれか。
①膵臓でのみ産生される。 ②腎糸球体で濾過される。 ③血中半減期は約24時間である。 ④α-1,6-グルコシド結合を切断する。 ⑤活性中心に亜鉛イオンを含有する。
正答: ②腎糸球体で濾過される。
ポイント アミラーゼは分子量が約5万と小さく、血清酵素のなかで例外的に腎糸球体で濾過されて尿中へ排泄される。これが尿中アミラーゼ測定の根拠となる。膵型のほか唾液腺型のアイソザイムがあり、産生は膵臓に限らない。作用はデンプンのα-1,4-グルコシド結合を内部から加水分解することで、活性中心にはカルシウムイオンを要する。●由来=膵型(P型)と唾液腺型(S型)のアイソザイムがある。●作用=多糖のα-1,4結合を内部から切断するエンドアミラーゼで、活性にカルシウムを要する。●動態=血中半減期は数時間と短く、低分子であるため腎で濾過されて尿中へ排泄される。これらの由来・作用・動態の性質が膵炎をはじめとする膵疾患の診断や病態評価に活用される点が重要である。
選択肢ごとの解説
① アミラーゼは膵臓だけでなく唾液腺でも産生され唾液腺型アイソザイムが存在するため、膵臓のみで産生されるとはいえず誤りである。 ② 正しい。アミラーゼは分子量が約5万と小さいため血清酵素のなかでは例外的に腎糸球体で濾過され、尿中へ排泄される。 ③ アミラーゼの血中半減期は数時間と短いものであり、約24時間であるとするこの選択肢の記述は誤りである。 ④ アミラーゼが切断するのはデンプンのα-1,4-グルコシド結合であり、α-1,6結合を切断するとするこの記述は誤りである。 ⑤ アミラーゼの活性に必要なのはカルシウムイオンであり、活性中心に亜鉛イオンを含有するとするこの記述は誤りである。
第59回 午前39(臨床化学)
酵素について正しいのはどれか。
①γ-GTは肝の逸脱酵素である。 ②ALPはMg²⁺で賦活化される。 ③リパーゼは酸化還元酵素である。 ④ALTはピリドキサルリン酸により阻害される。 ⑤LDアイソザイムのうち、−20 ℃保存ではLD₁が最も失活しやすい。
正答: ②ALPはMg²⁺で賦活化される。
ポイント ALP(アルカリホスファターゼ)はマグネシウムや亜鉛を活性化因子とする金属酵素であり、Mg²⁺により賦活化される。これが正しい。各酵素の由来、補酵素、安定性を正確に対応づけて理解する必要がある。●由来と逸脱=γ-GTは胆道系に多い胆道系酵素、ALTは肝の逸脱酵素、ALPは肝・骨・胎盤・小腸由来のアイソザイムをもつ。●補酵素・活性化=ALTはピリドキサルリン酸を補酵素とし阻害ではなく賦活される、ALPはマグネシウムで賦活される、リパーゼは脂質を分解する加水分解酵素である。●安定性=LDアイソザイムでは低温保存でLD₅などが失活しやすく、LD₁はむしろ比較的安定である。各酵素の由来・補酵素・安定性の3点を取り違えないことが要点である。
選択肢ごとの解説
① γ-GTは胆道系に多く存在する胆道系酵素であり、肝の逸脱酵素はALTやASTであるため、この選択肢の記述は誤りである。 ② 正しい。ALPはマグネシウムや亜鉛を活性化因子として要する金属酵素であり、Mg²⁺により賦活化されるため適切である。 ③ リパーゼは脂質のエステル結合を加水分解する加水分解酵素であり、酸化還元酵素ではないため、この選択肢の記述は誤りである。 ④ ALTはピリドキサルリン酸を補酵素として活性に必要とするのであり、これにより阻害されるとするこの記述は誤りである。 ⑤ 低温保存で失活しやすいのはLD₅などであり、LD₁はむしろ比較的安定であるため、この選択肢の記述は誤りである。
第59回 午前40(臨床化学)
血中薬物モニタリング(TDM)を行わないのはどれか。
①ジゴキシン ②テオフィリン ③プレドニゾロン ④バンコマイシン ⑤フェノバルビタール
正答: ③プレドニゾロン
ポイント 血中薬物モニタリング(TDM)は、有効血中濃度域と中毒域が近接していたり、個人差や腎機能の影響が大きい薬剤について、血中濃度を指標に投与量を最適化するために行う。プレドニゾロンは副腎皮質ステロイドで、その効果は臨床症状や検査値で評価し血中濃度の測定で投与調整を行わないため、TDMの対象外である。これが行わないものである。●TDMの対象=ジゴキシン(強心配糖体)、テオフィリン(気管支拡張薬)、バンコマイシン(抗MRSA薬)、フェノバルビタール(抗てんかん薬)など治療域が狭い薬。●TDMを行わない薬=プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド。●目的=有効性の確保と中毒・副作用の回避、腎機能や個人差に応じた用量調整である。どの薬剤がTDMの対象となり、どの薬剤が対象とならないかを薬の性質から判断することが重要である。
選択肢ごとの解説
① ジゴキシンは治療域が狭く中毒を起こしやすいためTDMを行う対象であり、TDMを行わない薬とはいえないため誤りである。 ② テオフィリンは有効域と中毒域が近接しTDMの対象となる薬であり、TDMを行わない薬とはいえないため誤りである。 ③ 正しい。プレドニゾロンは臨床効果や検査値で評価する薬で、血中濃度を指標とするTDMを行わない。 ④ バンコマイシンは腎毒性の回避と有効性確保のためTDMを行う対象であり、TDMを行わない薬とはいえないため誤りである。 ⑤ フェノバルビタールは抗てんかん薬でTDMの代表的な対象であり、TDMを行わない薬とはいえないため誤りである。
第59回 午前41(臨床化学)
視床下部によって分泌が直接調節されるホルモンはどれか。
①エストロゲン ②カルシトニン ③コルチゾール ④サイロキシン ⑤成長ホルモン
正答: ⑤成長ホルモン
ポイント 視床下部は放出ホルモンや抑制ホルモンを介して下垂体を制御し、内分泌系を統御している。成長ホルモンは視床下部から分泌される成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)とソマトスタチン(抑制)によって、下垂体前葉からの分泌が直接調節される。これが正しい。●視床下部が下垂体前葉を介して直接調節=成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、性腺刺激ホルモン。●末梢内分泌腺がさらに分泌=エストロゲン(卵巣)、コルチゾール(副腎)、サイロキシン(甲状腺)で、これらは下垂体ホルモンを介する二次的な調節を受ける。●視床下部に依存しない=カルシトニンで、甲状腺C細胞が血中カルシウム濃度に応じて分泌する。視床下部が直接調節する下垂体ホルモンと、末梢腺から分泌される末梢ホルモンを区別して考えることが重要である。
選択肢ごとの解説
① エストロゲンは卵巣から分泌され、下垂体の性腺刺激ホルモンを介する二次的な調節を受けるため、直接調節ではなく誤りである。 ② カルシトニンは甲状腺C細胞が血中カルシウム濃度に応じて分泌するものであり、視床下部による調節ではないため誤りである。 ③ コルチゾールは副腎皮質から分泌され、下垂体のACTHを介する二次的な調節を受けるため、直接調節ではなく誤りである。 ④ サイロキシンは甲状腺から分泌され、下垂体のTSHを介する間接的な調節を受けるため、視床下部による直接調節ではなく誤りである。 ⑤ 正しい。成長ホルモンはGHRHとソマトスタチンによって下垂体前葉からの分泌が視床下部により直接調節される。
第59回 午前42(臨床化学)
Basedow病による甲状腺機能亢進症において低下するのはどれか。
正答: ③TSH
ポイント Basedow病はTSH受容体に対する自己抗体(TRAb)が受容体を持続的に刺激し、甲状腺ホルモンが過剰に産生される自己免疫性の甲状腺機能亢進症である。過剰なT3・T4による負のフィードバックで下垂体からのTSH分泌が抑制されるため、TSHが低下する。これが低下するものである。●機能亢進で上昇する=T3、FT4、サイログロブリン、骨代謝亢進に伴うALP。●機能亢進で低下する=TSHで、過剰な甲状腺ホルモンによる負のフィードバックによって分泌が抑制される。●原因=TSH受容体抗体(TRAb)が受容体を刺激し続けることによる甲状腺の持続的な過剰刺激である。甲状腺ホルモンが上昇する一方でTSHは負のフィードバックで低下するという検査値の動きを、病態生理から整合的に理解することが重要である。
選択肢ごとの解説
① T3は甲状腺ホルモンの過剰産生によりむしろ上昇するのであり、低下するとはいえないためこの選択肢は誤りである。 ② FT4も甲状腺ホルモンの過剰産生によりむしろ上昇するのであり、低下するとはいえないためこの選択肢は誤りである。 ③ 正しい。過剰な甲状腺ホルモンによる負のフィードバックでTSH分泌が抑制されるため、TSHが低下する。 ④ ALPは甲状腺機能亢進に伴う骨代謝亢進によりむしろ上昇しうるため、低下するとはいえずこの選択肢は誤りである。 ⑤ サイログロブリンは甲状腺の活動亢進によりむしろ上昇するのであり、低下するとはいえないためこの選択肢は誤りである。
第59回 午前43(臨床化学)
核酸を構成するプリン塩基はどれか。2つ選べ。
正答: ②アデニン・④グアニン
ポイント 核酸を構成する塩基は、縮合した二環構造をもつプリン塩基と、単環構造のピリミジン塩基に大別される。プリン塩基はアデニンとグアニンの2つであり、これらが正しい。塩基どうしが相補的に対合することでDNAやRNAの二次構造が支えられる。●プリン塩基(二環性)=アデニン、グアニン。●ピリミジン塩基(単環性)=シトシン、チミン(DNAに含まれる)、ウラシル(RNAに含まれる)。●塩基対=アデニンはチミン(RNAではウラシル)と、グアニンはシトシンと相補的に水素結合で対合する。塩基の環構造の違いがプリンとピリミジンの分類の基準となるため、二環性か単環性かに着目して各塩基を分類することが重要である。DNAとRNAで含まれる塩基(チミンとウラシル)が異なる点も合わせて理解しておく必要がある。
選択肢ごとの解説
① チミンは単環構造のピリミジン塩基でDNAに含まれる塩基であり、二環構造をもつプリン塩基ではないため誤りである。 ② 正しい。アデニンは縮合した二環構造をもつプリン塩基であり、チミン(RNAではウラシル)と相補的に対合する。 ③ ウラシルは単環構造のピリミジン塩基でRNAに含まれる塩基であり、二環構造をもつプリン塩基ではないため誤りである。 ④ 正しい。グアニンは縮合した二環構造をもつプリン塩基であり、ピリミジン塩基のシトシンと相補的に対合する。 ⑤ シトシンは単環構造のピリミジン塩基であり、二環構造をもつプリン塩基ではないためこの選択肢は誤りである。
第59回 午前44(臨床化学)
尿素呼気試験に使用される安定同位体はどれか。
正答: ②¹³C
ポイント 尿素呼気試験はHelicobacter pyloriのもつ強いウレアーゼ活性を利用する感染診断法で、放射線を出さない安定同位体である¹³Cで標識した尿素を内服させる。胃内にピロリ菌が存在すると尿素が分解され、¹³Cを含む二酸化炭素が呼気中に増加するため、呼気中の¹³CO₂を測定して感染の有無を判定する。●安定同位体(非放射性)=¹³Cで尿素呼気試験に使用する、¹⁵Nも安定同位体だが本試験の標識には用いない。●放射性同位体=³H、³²P、¹³¹Iで、放射線を出し標識・治療などに用いられるが本試験には使わない。●検査原理=ピロリ菌のウレアーゼによる尿素の分解で生じる標識CO₂を呼気中で検出する。被検者の被曝がない安定同位体が用いられる点が要点である。
選択肢ごとの解説
① ³Hは放射線を出す放射性同位体であり、放射線を出さない標識を用いる尿素呼気試験には使用しないためこの選択肢は誤りである。 ② 正しい。放射線を出さない安定同位体である¹³Cで尿素を標識し、これを内服させて尿素呼気試験に用いる。 ③ ¹⁵Nは安定同位体ではあるが尿素呼気試験の標識には用いられないため、本試験で使用する同位体としては誤りである。 ④ ³²Pは放射線を出す放射性同位体であり、被曝のない安定同位体を用いる尿素呼気試験には使用しないため誤りである。 ⑤ ¹³¹Iは放射線を出す放射性同位体で甲状腺の検査や治療に用いられ、尿素呼気試験には使用しないため誤りである。
第59回 午前45(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。この臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA045.99c9f85174.jpg
正答: ④膀胱
ポイント (画像は膀胱の組織像である。)膀胱の粘膜は移行上皮(尿路上皮)で覆われており、内腔の伸展度に応じて細胞層の見かけの厚みが変化する。表層には複数の下層細胞を覆う大型の被蓋細胞(アンブレラ細胞)が並ぶのが特徴で、この所見から膀胱と判定できる。上皮の種類は臓器を同定するうえで重要な手がかりとなる。●移行上皮(尿路上皮)=腎盂・尿管・膀胱・尿道の一部を覆い、伸展性に富み表層に被蓋細胞をもつ。●重層扁平上皮=皮膚・食道・子宮頸部など機械的刺激を受ける部位を覆う。●単層円柱上皮・線毛上皮=胃や腸などの消化管粘膜は単層円柱上皮、気管は多列線毛上皮で覆われる。表層の被蓋細胞と層構造の変化という移行上皮の特徴を捉えれば、他の上皮との鑑別が可能となる。
選択肢ごとの解説
① 皮膚は角化を伴う重層扁平上皮で覆われており、移行上皮に特徴的な被蓋細胞の像とは異なるためこの選択肢は誤りである。 ② 胃は粘液を分泌する単層円柱上皮の腺上皮で覆われており、移行上皮の組織像とは異なるためこの選択肢は誤りである。 ③ 気管は線毛をもつ多列線毛上皮で覆われており、被蓋細胞をもつ移行上皮の組織像とは異なるためこの選択肢は誤りである。 ④ 正しい。移行上皮で表層に大型の被蓋細胞を認める像であり、伸展性に富むことからこの臓器は膀胱であると判定できる。 ⑤ 子宮頸部は重層扁平上皮と頸管腺の円柱上皮で覆われており、移行上皮の組織像とは異なるためこの選択肢は誤りである。
📋 まとめの表を見る:臓器・部位と被覆上皮の対応
内皮は血管・リンパ管、中皮は体腔(漿膜)の表面を被覆する単層扁平上皮で、局在により呼び分ける。肺胞の内面は中皮ではなく肺胞上皮(Ⅰ型・Ⅱ型肺胞上皮細胞)が覆う。
第59回 午前46(病理組織細胞学)
腫瘍と免疫組織化学的マーカーの組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①肝細胞癌 — c-kit ②絨毛癌 — hCG ③消化管間質腫瘍(GIST) — AFP ④前立腺癌 — CA19-9 ⑤大腸癌 — CEA
正答: ②絨毛癌 — hCG・⑤大腸癌 — CEA
ポイント 免疫組織化学的マーカーは腫瘍の由来や性質を同定するために用いられる。絨毛癌は栄養膜(トロホブラスト)由来でhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を産生・発現する。大腸癌をはじめとする腺癌はCEA(癌胎児性抗原)を発現する。これら2つの組合せが正しい。●腫瘍に対応するマーカー=絨毛癌・hCG、肝細胞癌・AFP、消化管間質腫瘍(GIST)・c-kit(CD117)。●腺癌系のマーカー=大腸癌・CEA、膵癌や胆道癌・CA19-9、前立腺癌・PSA。●設問の誤った組合せ=肝細胞癌-c-kit、GIST-AFP、前立腺癌-CA19-9はいずれもマーカーが入れ替わっており正しくない。腫瘍とマーカーの正確な対応を把握することが重要である。
選択肢ごとの解説
① c-kit(CD117)はGISTのマーカーであり、肝細胞癌のマーカーはAFPであるため、この組合せは正しくなく誤りである。 ② 正しい。絨毛癌は栄養膜(トロホブラスト)由来でhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を産生・発現するため、この組合せは適切である。 ③ AFPは肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍のマーカーであり、GISTのマーカーはc-kitであるため、この組合せは正しくなく誤りである。 ④ 前立腺癌のマーカーはPSAであり、CA19-9は膵癌・胆道癌などのマーカーであるため、この組合せは正しくなく誤りである。 ⑤ 正しい。大腸癌をはじめとする腺癌は癌胎児性抗原であるCEAを発現するため、この組合せは適切である。
📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。
第59回 午前47(病理組織細胞学)
Ⅱ型アレルギー反応はどれか。2つ選べ。
①Goodpasture症候群 ②関節リウマチ ③気管支喘息 ④重症筋無力症 ⑤全身性エリテマトーデス(SLE)
正答: ①Goodpasture症候群・④重症筋無力症
ポイント II型アレルギーは、細胞表面や組織の抗原に結合した抗体(IgG・IgM)が、補体活性化や抗体依存性細胞傷害を介して標的を傷害する細胞傷害型反応である。Goodpasture症候群は糸球体基底膜と肺胞基底膜に対する抗体が、重症筋無力症はアセチルコリン受容体に対する抗体が標的を傷害するII型である。これらが正しい。●I型(即時型・IgE)=気管支喘息、アナフィラキシー、花粉症。●II型(細胞傷害型)=Goodpasture症候群、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、不適合輸血。●III型(免疫複合体型)=全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、急性糸球体腎炎。●IV型(遅延型・T細胞)=接触皮膚炎、ツベルクリン反応。各疾患がどの型に分類されるかを、関与する免疫成分(IgE・抗体・免疫複合体・T細胞)から判別することが重要である。
選択肢ごとの解説
① 正しい。Goodpasture症候群は糸球体基底膜などに対する抗体が組織を傷害する細胞傷害型のII型アレルギー反応である。 ② 関節リウマチは免疫複合体の沈着が関与するIII型アレルギーであり、II型アレルギー反応ではないため誤りである。 ③ 気管支喘息はIgEを介して肥満細胞が脱顆粒する即時型のI型アレルギーであり、II型アレルギー反応ではないため誤りである。 ④ 正しい。重症筋無力症はアセチルコリン受容体に対する抗体が受容体を傷害する細胞傷害型のII型アレルギー反応である。 ⑤ 全身性エリテマトーデス(SLE)は免疫複合体の沈着によるIII型アレルギーであり、II型アレルギー反応ではないため誤りである。
第59回 午前48(病理組織細胞学)
急性炎症初期で主体となる細胞はどれか。
正答: ②好中球
ポイント 急性炎症の初期には、まず好中球が血管内皮へ接着して血管外の組織へ遊走し、起炎菌などを貪食・殺菌して炎症反応の主体となる。発症後数時間で局所に集積する最前線の細胞であり、これが正しい。炎症の時相とその時相で主体となる細胞の対応を理解することが重要である。●急性炎症の主体=好中球で、初期に最も早く遊走して貪食・殺菌を担う。●慢性炎症の主体=リンパ球、マクロファージ(組織球)、形質細胞。●特殊な病態に関与=好酸球はアレルギーや寄生虫感染、好塩基球は即時型アレルギーに関与する。炎症の発症初期には好中球が主体となり、時間経過に伴って好中球からマクロファージやリンパ球などの単核球へと主体が移行していく点が要点である。
選択肢ごとの解説
① 組織球(マクロファージ)は慢性炎症や肉芽腫形成で主体となる細胞であり、急性炎症の初期に主体となる細胞ではないため誤りである。 ② 正しい。好中球は急性炎症の初期に最も早く血管外の組織へ遊走し、貪食・殺菌を担って炎症反応の主体となる。 ③ 好酸球はアレルギー反応や寄生虫感染で増加する細胞であり、急性炎症の初期に主体となる細胞ではないため誤りである。 ④ 好塩基球は即時型アレルギーに関与しヒスタミンなどを放出する細胞で、急性炎症の初期に主体となる細胞ではないため誤りである。 ⑤ リンパ球は慢性炎症やウイルス感染で主体となる細胞であり、急性炎症の初期に主体となる細胞ではないため誤りである。
第59回 午前49(病理組織細胞学)
成人に好発する腫瘍はどれか。
正答: ①膠芽腫
ポイント 膠芽腫(グリオブラストーマ)はグリア(神経膠)細胞由来の最も悪性度の高い脳腫瘍であり、中高年の成人に好発する。これに対し、語尾に芽腫のつく腫瘍の多くは胎生期の未熟な前駆細胞に由来し小児に好発するため、設問のうち成人に好発するのは膠芽腫である。これが正しい。●成人に好発=膠芽腫で、神経膠腫のなかで最も悪性度が高い。●小児に好発する芽腫=髄芽腫(小脳)、肝芽腫(肝)、腎芽腫すなわちWilms腫瘍(腎)、神経芽腫(副腎髄質・交感神経節)。●特徴=芽腫は胎生期の未分化な細胞に由来し、主に乳幼児から小児期にかけて発生する。膠芽腫は名称に芽がつくものの成人に好発する点が例外的であり、好発年齢から腫瘍を鑑別することが重要である。
選択肢ごとの解説
① 正しい。膠芽腫はグリア(神経膠)細胞に由来する最も悪性度の高い脳腫瘍であり、中高年の成人に好発する腫瘍である。 ② 髄芽腫は小脳に生じる悪性腫瘍で小児に好発する芽腫であり、成人に好発する腫瘍とはいえないため誤りである。 ③ 肝芽腫は未分化な肝前駆細胞に由来し乳幼児に好発する腫瘍であり、成人に好発する腫瘍とはいえないため誤りである。 ④ 腎芽腫(Wilms腫瘍)は小児に好発する腎の胎児性腫瘍であり、成人に好発する腫瘍とはいえないため誤りである。 ⑤ 神経芽腫は副腎髄質や交感神経節に生じ乳幼児に好発する腫瘍であり、成人に好発する腫瘍とはいえないため誤りである。
第59回 午前50(病理組織細胞学)
腎臓について誤っているのはどれか。
①右腎は左腎より低い位置にある。 ②実質は皮質と髄質に区別される。 ③腎門部には腎動静脈が出入りする。 ④傍糸球体装置は尿管極に位置する。 ⑤尿細管上皮には微絨毛が発達している。
正答: ④傍糸球体装置は尿管極に位置する。
ポイント 腎臓は後腹膜腔に位置する一対の臓器である。傍糸球体装置は、糸球体に出入りする輸入・輸出細動脈と遠位尿細管が接する血管極に位置するものであり、尿管極ではない。よってこの記述が誤りであり、設問の答えとなる。他の選択肢はいずれも腎臓の正しい解剖・組織所見である。●傍糸球体装置=血管極に位置し、レニンを分泌して血圧・体液量を調節する。●位置関係=上方の肝に圧排されて右腎は左腎よりやや低い位置にある。●構造=実質は外側の皮質と内側の髄質に分かれ、腎門部を腎動静脈・尿管・神経が出入りし、近位尿細管上皮には微絨毛(刷子縁)が発達する。傍糸球体装置の位置を血管極と尿管極で取り違えないことが本問の要点であり、レニン分泌を介した血圧調節の場として理解する必要がある。
選択肢ごとの解説
① 右腎は上方の肝に圧排されて左腎より低い位置にあるのは解剖学的に正しい記述であり、誤っている記述ではないため答えではない。 ② 腎実質が外側の皮質と内側の髄質に区別されるのは正しい記述であり、誤っている記述ではないためこの選択肢は答えではない。 ③ 腎門部に腎動静脈や尿管などが出入りするのは正しい記述であり、誤っている記述ではないためこの選択肢は答えではない。 ④ 誤り。傍糸球体装置は輸入・輸出細動脈と遠位尿細管が接する血管極に位置し、尿管極ではない。 ⑤ 近位尿細管上皮に微絨毛(刷子縁)が発達しているのは正しい記述であり、誤っている記述ではないため答えではない。
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