第59回(2013) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第59回 午前1(臨床検査総論)

OTC(over the counter)検査として実施されるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①尿糖・②妊娠反応

ポイント
OTC検査(over the counter)は医療機関を介さず薬局などで購入し、家庭で被検者自身が実施・判定できる検査をいう。採血や専門的手技・機器を要さず、尿などの非侵襲的検体を試験紙やイムノクロマトで簡便に判定できることが条件となる。尿糖は試験紙を尿に浸すだけで色調変化を読め、妊娠反応は尿中hCGをイムノクロマト法で検出でき、いずれも家庭用キットとして広く市販されている。一方ABO血液型・動脈血酸素分圧・専門的感染症診断は検体採取や装置・判定技術を要し、家庭での実施には適さない。●家庭で実施可=尿糖・尿蛋白・尿潜血・妊娠反応・排卵検査。●家庭で実施不可(医療機関要)=ABO血液型・血液ガス分析・培養同定・専門的抗原検査。

選択肢ごとの解説

第59回 午前2(臨床検査総論)

EDTA加血漿で測定すると低値を示すのはどれか。

正答: ②カルシウム

ポイント
EDTAはカルシウム・マグネシウムなどの二価金属イオンをキレートする抗凝固剤で、血液中のカルシウムイオンを封鎖して凝固カスケードを阻止する。このためEDTA加血漿でカルシウムを測定すると、キレートにより遊離カルシウムが捕捉され見かけ上の低値を示す。カルシウム測定には血清またはヘパリン加血漿を用いるのが適切で、EDTA加検体は不適である。他の尿酸・クレアチニン・コレステロール・コリンエステラーゼはEDTAによるキレートや反応阻害を受けにくく、測定値はほぼ変化しない。●EDTAの作用=カルシウム・マグネシウムをキレートし凝固を阻止(カルシウム測定には不適)。●抗凝固剤と用途=EDTAは血算、クエン酸ナトリウムは凝固検査・赤沈、ヘパリンは血液ガス・生化学、フッ化ナトリウムは血糖(解糖阻止)。

選択肢ごとの解説

第59回 午前3(臨床検査総論)

測定値の精密さの許容誤差限界について誤っているのはどれか。

正答: ②健常者の個体間生理的変動から求める。

ポイント
精密さの許容誤差限界は、測定値がどの程度ばらついてよいかを医学的・統計的根拠から定める指標で、健常者の個体内生理的変動、疾患鑑別に必要な医学的有用性、現状で達成可能な技術水準などを基に設定される。個体内変動を基準とするのが原則であり、個体間変動から直接求めるわけではない点に注意する。技能試験は外部の管理試料を測定して検査室の技術能力を客観評価する精度管理活動であり、検査室そのものの認定とは別の位置づけである。Tonksの考え方では基準範囲が広い項目ほど許容される誤差限界も大きくとる。●許容誤差限界の根拠=個体内生理的変動・医学的有用性・技術水準。●関連事項=技能試験は技術能力評価、外部精度管理調査で技術水準を判定、Tonks法は基準範囲幅に応じて許容限界を設定。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:許容誤差限界の考え方

考え方基準・提唱備考
北村の許容誤差限界(1966)個体内変動SD÷平均値×100×1/2現在最も広く使用
Tonksの許容誤差限界(1963)基準範囲幅×1/4÷中央値×100×1/2基準範囲が広いほど限界大
技術水準に基づくもの外部精度管理・技能試験〈PT〉検査室の技術を客観評価
臨床的有用性に基づくもの臨床的有用性から経験的に設定―

第59回 午前4(臨床検査総論)

x-R管理図法で管理できないのはどれか。

正答: ①正確度

ポイント
x-R管理図法は、毎日同一の管理試料を反復測定し平均値xと範囲Rの推移を監視する内部精度管理手法である。R管理図は併行精度(測定内のバラツキ)を、x管理図はその日内・日間の変動や系統的なずれを捉え、シフト現象(突然の一方向への偏り)やトレンド現象(連続的な漸増・漸減)を検出できる。試薬の劣化による測定値の漸進的変化もトレンドとして現れるため検出可能である。ただし正確度(真の値からのかたより、真度)は管理試料の真値や標準法との比較が必要で、x-R管理図単独では評価できない。●x-R管理図で検出可=日間誤差・シフト現象・トレンド現象・試薬劣化。●検出不可=正確度(真度)は外部精度管理調査・標準法との比較が必要。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)

分類代表的な方法
管理試料を用いる方法x̄-R管理図法(x̄-Rs法・x̄-Rs-R法)・累積和法(CUSUM法)・双値法(ツインプロット法・Youden plot法)・マルチルール管理図法・臼井法
管理試料を用いない方法(患者データを利用)二重測定法・Hoffmann法(ナンバープラス法・正常者平均値法)・個別検体の管理法(高値低値チェック法・項目間チェック法・デルタチェック法)・|R/x̄|管理法(新谷法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。

第59回 午前5(臨床検査総論)

男性より女性で高値を示す血清成分はどれか。

正答: ⑤HDL-コレステロール

ポイント
HDL-コレステロールはエストロゲンの作用によって産生・血中濃度が高まるため、女性では男性より高値を示す血清成分である。性差は性ホルモンや骨格筋量の違いを反映しており、性別ごとに基準範囲が設けられる項目も多い。これに対しCKは骨格筋由来で筋肉量を反映し男性で高く、γ-GTは飲酒で誘導されやすく男性で高く、尿酸は男性ホルモンの影響で尿細管再吸収が増えて男性で高く、血清鉄も月経のない男性で相対的に高い。●女性で高値=HDL-コレステロール(エストロゲン作用)。●男性で高値=CK・クレアチニン(筋肉量)、尿酸・血清鉄、γ-GT(飲酒の影響を受けやすい)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:性差がある主な血液検査項目

性差の方向代表的な検査項目
男性>女性尿酸〈UA〉・クレアチニン〈Cr〉・血清鉄〈Fe〉・クレアチンキナーゼ〈CK〉・γ-GT・ヘモグロビン〈Hb〉・ヘマトクリット〈Ht〉・赤血球数など
男性<女性HDL-コレステロール・クレアチン・FSH(卵胞刺激ホルモン)・LH(黄体形成ホルモン)など
既存の『血算〈CBC〉項目における性差の有無』表と一部項目(Hb・Ht・赤血球数)が重複するが、本表は血液化学検査項目を含む広い範囲を対象とする。

第59回 午前6(臨床検査総論)

尿試験紙法の項目でアスコルビン酸の服用により偽陰性を示すのはどれか。2つ選べ。

正答: ②ブドウ糖・④潜血反応

ポイント
尿試験紙のブドウ糖反応はグルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼによる酸化発色を、潜血反応はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用による酸化発色を原理とする。いずれも酸化反応で発色するため、強い還元作用をもつアスコルビン酸(ビタミンC)が尿中に多量に共存すると発色が妨げられ偽陰性を示す。多量のビタミンC服用後に尿糖・尿潜血が偽陰性化するのはこの機序による。蛋白・ケトン体・白血球反応は酸化発色を主原理としないため、アスコルビン酸の影響を受けにくい。●アスコルビン酸で偽陰性=ブドウ糖・潜血(酸化発色を阻害)。●試験紙の主原理=蛋白はpH指示薬の蛋白誤差、ケトン体はニトロプルシド反応、白血球は白血球エステラーゼ反応。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:尿試験紙法の偽陽性・偽陰性反応

項目偽陽性の原因偽陰性の原因
糖酸化剤(過酸化水素、次亜塩素酸塩、サラシ粉)ビタミンC、L-DOPA、ホモゲンチジン酸
潜血(ヘモグロビン)酸化剤(過酸化水素、次亜塩素酸塩、サラシ粉)ビタミンC、L-DOPA、亜硝酸塩
蛋白強アルカリ尿(pH8以上)、逆性石けん、アミノカプロン酸、キニーネ、クロルヘキシジン強酸性尿(pH2以下)
ビリルビンクロルプロマジン、セレニウムビタミンC、亜硝酸塩、古い尿
亜硝酸塩(細菌)フェナゾピリジンビタミンC、古い尿
尿試験紙の糖・潜血反応は酸化発色を原理とするため、還元作用をもつビタミンC(アスコルビン酸)が共存すると偽陰性となる。逆に過酸化水素・次亜塩素酸塩・サラシ粉などの酸化剤が混入すると偽陽性を示す。

第59回 午前7(臨床検査総論)

尿沈渣の無染色、強拡大標本を別に示す。この結晶を溶解するのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA007.092394b3e8.jpg
第59回 午前7 の図

正答: ①希塩酸

ポイント
尿沈渣の結晶は溶解性の違いが鑑別の重要な手がかりとなり、酸(希塩酸)に溶けるもの、アルカリに溶けるもの、有機溶媒に溶けるものに分けて考える。図にみられる正八面体(封筒状)の結晶はシュウ酸カルシウム二水和物である。希塩酸に溶解する性質から選択肢1を選ぶ。結晶の形態だけでなく溶解試薬への反応をあわせて確認することで種類を確定できる。●希塩酸(酸)で溶解=シュウ酸カルシウム・リン酸塩・炭酸塩など(尿酸結晶は希塩酸には溶けない)。●アルカリ(水酸化カリウム)で溶解=尿酸・尿酸塩。●アンモニア水(アルカリ性水溶液)で溶解=シスチン。●有機溶媒で溶解=コレステロール(クロロホルム・エーテル)。

選択肢ごとの解説

第59回 午前8(臨床検査総論)

幼虫移行症を起こすのはどれか。

正答: ⑤広東住血線虫

ポイント
幼虫移行症は、ヒトが本来の終宿主でない寄生虫の幼虫が体内に侵入し、成虫になれないまま組織内を移動して障害を起こす病態をいう。広東住血線虫はナメクジ・カタツムリなどの中間宿主を介して経口感染し、ヒト体内で成虫になれず幼虫のまま中枢神経系へ移行して好酸球性髄膜脳炎を起こす幼虫移行症の代表である。一方、鞭虫・肝吸虫・小形条虫はヒトを終宿主とし、成虫が消化管などに寄生して幼虫移行症は起こさない。●幼虫移行症を起こす=広東住血線虫・イヌ回虫(トキソカラ)・顎口虫・アニサキス・旋毛虫。●ヒトを終宿主とし成虫が寄生=鞭虫・肝吸虫・小形条虫など。

選択肢ごとの解説

第59回 午前9(臨床検査総論)

検便で検出された虫卵の写真を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA009.ef79d541cf.jpg
第59回 午前9 の図

正答: ②マンソン住血吸虫

ポイント
住血吸虫卵は虫種により棘の位置と排泄経路が異なり、これが鑑別の決め手となる。図の便中虫卵は側方に明瞭な小棘(側棘)をもつ吸虫卵で、マンソン住血吸虫卵の特徴を示す。マンソン住血吸虫は腸間膜静脈に寄生し、産卵された卵が大腸壁から腸管腔へ移動して糞便中に排泄される。他の肺吸虫・肝吸虫・肝蛭・異形吸虫の卵は卵蓋をもち側棘を欠くため区別できる。●糞便中・側棘=マンソン住血吸虫。●糞便中・端在の小突起(小さな側棘)=日本住血吸虫。●尿中・端棘(後端の棘)=ビルハルツ住血吸虫。

選択肢ごとの解説

第59回 午前10(臨床検査総論)

三日熱マラリア患者の末梢血塗抹Wright-Giemsa染色標本を別に示す。正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA010.cd389f0f95.jpg
第59回 午前10 の図

正答: ②分裂体

ポイント
赤血球内では輪状体から栄養体、分裂体へと発育し、分裂体が崩壊してメロゾイトを放出する。この無性生殖の経路とは別に、一部の原虫が雌雄の生殖母体へ分化する。三日熱マラリアの末梢血塗抹で、感染赤血球内に複数のメロゾイト核と色素が集まって認められる像は分裂体である。三日熱マラリアでは感染赤血球が腫大しSchüffner斑点を伴い、成熟分裂体は約16個の核(メロゾイト)をもつのが特徴である。●赤内型の発育=輪状体→アメーバ体(栄養体)→分裂体(シゾント、複数核)。●有性世代=雌性・雄性生殖母体(ガメトサイト)。●三日熱の特徴=感染赤血球の腫大・Schüffner斑点・分裂体は約16個の核。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:マラリア原虫の種類別 形態・潜伏期・発熱間隔の比較

項目三日熱熱帯熱四日熱卵形
末梢血に出現する型輪状体・アメーバ体・分裂体・生殖母体輪状体・生殖母体三日熱に同じ三日熱に同じ
赤血球内の原虫数1個2個(多重感染しやすい)1個1個
赤血球の形円形で大きくなる円形で大きくならない円形で大きくならない卵形でやや大きくなる
アメーバ体(後期栄養体)Schüffner斑点著明末梢血に出現し難い帯状になる(バンド型)卵形で一端が鋸歯状
分裂体内メロゾイト数12〜18個8〜18個8〜10個6〜12個
生殖母体円形半月(ソーセージ)状三日熱に似る三日熱に似る
潜伏期12〜17日7〜21日18〜40日16〜18日
発熱間隔48時間毎48時間毎(不規則)72時間毎48時間毎
マラリア原虫はハマダラカに刺されてスポロゾイトが体内に侵入し、まず肝細胞内で増殖(赤外型)した後、赤血球内で輪状体→アメーバ体→分裂体と発育する(無性生殖)。

第59回 午前11(臨床検査医学総論)

成人に対する胸骨圧迫について正しいのはどれか。

正答: ⑤人工呼吸2回に対し胸骨圧迫30回のペースで行う。

ポイント
成人の胸骨圧迫は胸骨の下半分を圧迫部位とし、硬い床面など平らで硬い面の上で行う。1分間に100〜120回のテンポで、胸が約5cm沈む深さまで絶え間なく圧迫し、人工呼吸2回に対し胸骨圧迫30回(30:2)のサイクルで実施する。脈の確認に時間をかけず、ただちに質の高い圧迫を継続して圧迫の中断を最小限にすることが救命率向上に重要である。●正しい胸骨圧迫=胸骨下半分・硬い面・30:2・100〜120回/分・深さ約5cm。●避けるべき=胸骨上部の圧迫・柔らかい面での実施・圧迫の不要な中断・脈確認に時間をかけること。

選択肢ごとの解説

第59回 午前12(臨床検査医学総論)

胃にみられる寄生虫はどれか。

正答: ③アニサキス

ポイント
寄生虫は虫種ごとに寄生部位が決まっており、胃に病変を作る代表がアニサキスである。アニサキスはサバ・イカなどの海産魚介類に幼虫が寄生し、これを生食すると幼虫が胃壁に刺入して激しい心窩部痛を伴う急性胃アニサキス症を起こす。他の寄生虫は寄生部位が異なり、鞭虫は大腸、横川吸虫は小腸、ランブル鞭毛虫は十二指腸〜小腸に寄生する。●胃に寄生・病変=アニサキス(胃壁刺入)。●小腸に寄生=横川吸虫・回虫・有棘顎口虫(移行)など。●大腸に寄生=鞭虫。●十二指腸〜小腸の原虫=ランブル鞭毛虫(ジアルジア)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主

寄生虫第一中間宿主第二中間宿主(ヒトの位置づけ)終宿主
肝吸虫マメタニシコイ科淡水魚(フナ・モツゴ等)ヒト・イヌ
横川吸虫カワニナアユ等の淡水魚ヒト
肝蛭ヒメモノアラガイ第二中間宿主なし。メタセルカリアが水草などに付着ヒト・ウシ等
宮崎肺吸虫ホラアナミジンニナサワガニヒト
Westerman肺吸虫カワニナサワガニ・モクズガニヒト
日本住血吸虫ミヤイリガイ(中間宿主はこれのみ)—ヒト
日本海裂頭条虫ケンミジンコサケ・マスヒト
無鉤条虫ウシ—ヒト
有鉤条虫ブタ—ヒト
多包条虫(エキノコックス)野ネズミ(エゾヤチネズミ等)(ヒトも中間宿主になりうる)キツネ・イヌ
単包条虫ヒツジ(ヒトも中間宿主になりうる)イヌ
アニサキスオキアミサバ・イカ(ヒトは非固有宿主=幼虫移行のみ)イルカ・クジラ
広東住血線虫アフリカマイマイ・ナメクジ第二中間宿主なし。カエル・エビなどは待機宿主(ヒトは非固有宿主)ネズミ
有棘顎口虫ケンミジンコドジョウなどの淡水魚・カエルなどの両生類(ヒトは非固有宿主)イヌ
Manson裂頭条虫ケンミジンコヘビ・カエル(ヒトは非固有宿主=待機宿主)イヌ・ネコ
マラリア原虫—ヒト(中間宿主)蚊(ハマダラカ)
トキソプラズマ—ヒト・ネズミ(中間宿主)ネコ
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。

第59回 午前13(臨床検査医学総論)

急激な頭痛で発症するのはどれか。

正答: ④くも膜下出血

ポイント
くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂などにより、突然の激しい頭痛(バットで殴られたような頭痛)で発症するのが典型で、発症が急激で頭痛が前面に出る点が他の脳血管障害と異なる。脳血栓・脳塞栓・脳内出血は片麻痺や意識障害など局所神経症状が主体となり、一過性脳虚血発作は局所症状が短時間で消失する。突然発症の激烈な頭痛をみたらくも膜下出血を第一に考える。●急激な激しい頭痛で発症=くも膜下出血(動脈瘤破裂)。●局所神経症状が主体=脳血栓(緩徐進行)・脳塞栓(突発の麻痺)・脳内出血。●一過性で短時間に消失=一過性脳虚血発作(TIA)。

選択肢ごとの解説

第59回 午前14(臨床検査医学総論)

ADH分泌刺激試験はどれか。

正答: ①水制限試験

ポイント
水制限試験は飲水を制限して血漿浸透圧を上昇させ、生理的にADH(抗利尿ホルモン、バソプレシン)の分泌を刺激して尿濃縮能を評価する検査で、尿崩症の鑑別に用いられる。中枢性尿崩症ではADH分泌が増えず尿が濃縮されないが、その後バソプレシン投与で尿が濃縮されれば中枢性、されなければ腎性と判定する。他の試験は副腎皮質や膵内分泌の評価でADH分泌刺激試験ではない。●ADH分泌刺激=水制限試験(高浸透圧負荷)。●副腎皮質・下垂体系の検査=ACTH試験(副腎反応性)、メチラポン試験・デキサメサゾン抑制試験(下垂体-副腎軸)。●膵内分泌の検査=ブドウ糖負荷試験。

選択肢ごとの解説

第59回 午前15(臨床検査医学総論)

免疫グロブリンが単クローン性に増加する疾患はどれか。

正答: ⑤原発性マクログロブリン血症

ポイント
免疫グロブリンの増加は、一つの形質細胞クローン由来で単一の免疫グロブリンが増える単クローン性と、複数クローン由来で多様な免疫グロブリンが増える多クローン性に分けられる。原発性マクログロブリン血症(Waldenströmマクログロブリン血症)はリンパ形質細胞が単クローン性に増殖しIgMをM蛋白として大量産生する疾患で、単クローン性増加を示す代表である。一方、肝硬変・感染症・自己免疫疾患では多クローン性に免疫グロブリンが増加する。●単クローン性増加(M蛋白)=原発性マクログロブリン血症(IgM)・多発性骨髄腫。●多クローン性増加=肝硬変・慢性感染症・自己免疫疾患(関節リウマチ等)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:5種類の免疫グロブリンの主な性状

種類構造血中量特徴
IgG単量体最多(800〜1,600)胎盤通過・4サブクラス・感染防御
IgM5量体―初期抗体・補体活性化能が最高・最古
IgA分泌型は2量体唾液・涙・初乳など蛋白分解酵素に抵抗・粘膜免疫
IgD単量体微量B細胞表面・分化に関与・代謝速い
IgE単量体最少肥満細胞Fc受容体・Ⅰ型アレルギー
単クローン性増加=1クローン由来で単一Igが増加(原発性マクログロブリン血症=IgM)。多クローン性増加=感染症・自己免疫疾患など。

第59回 午前16(臨床生理学)

循環機能で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①心筋の興奮は全か無かの法則に従う。・⑤心音のⅠ音とⅡ音の間は収縮期である。

ポイント
心筋の興奮は刺激が閾値を超えると最大の収縮を生じ、それ以下では収縮が起こらない全か無かの法則に従う。また心音はⅠ音が房室弁の閉鎖、Ⅱ音が半月弁の閉鎖に対応し、Ⅰ音からⅡ音までの間は心室が収縮している収縮期にあたる。これに対し心拍動の歩調取り(ペースメーカ)は洞房結節であり、分時拍出量は1回拍出量×心拍数で表され、脈波伝播速度は実際の血流速度よりはるかに速い。●正しい=心筋は全か無かの法則・Ⅰ〜Ⅱ音間は収縮期。●誤りの訂正=歩調取りは洞房結節(房室結節ではない)、分時拍出量=1回拍出量×心拍数、脈波伝播速度は血流速度より速い。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:心周期の各時相(心室収縮期・拡張期)と心音の対応

時相内容対応する心音
等容収縮期房室弁・動脈弁が閉鎖、心室容積不変で内圧上昇(僧帽弁閉鎖〜大動脈弁開放)I音(房室弁閉鎖音)
駆出期動脈弁開放、心室から血液拍出(大動脈弁開放〜大動脈弁閉鎖)-
等容弛緩期房室弁・動脈弁が閉鎖、心室容積不変で内圧低下(大動脈弁閉鎖〜僧帽弁開放)II音(動脈弁閉鎖音)
急速充満期房室弁開放直後、心室へ急速に血液流入III音(生じることがある)
緩速充満期心室へ緩やかな血液流入が続く-
心房収縮期心房収縮で血液を心室へ送る(心室拡張期に含まれる)IV音(拡張障害等で生じることがある)
収縮期はI音とII音の間、拡張期はII音と次のI音の間にあたる。心臓の歩調取りは洞房結節。分時拍出量=1回拍出量×心拍数。

第59回 午前17(臨床生理学)

心電図(別冊No.4)を別に示す。最も近い心拍数はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA017.c1987f4608.jpg
第59回 午前17 の図

正答: ③60〜70

ポイント
心電図から心拍数を読む基本は、R-R間隔(秒)から1分間の拍数を算出する方法である。標準記録速度25mm/秒では1mmが0.04秒、1大マス(5mm)が0.2秒に相当し、60をR-R間隔(秒)で割る、または300をR-R間の大マス数で割る簡便法で心拍数を推定できる。本図のR-R間隔から算出すると心拍数は約60〜70拍/分に最も近い。●心拍数の算出=60÷R-R間隔(秒)、または300÷R-R間の大マス数。●記録速度=標準25mm/秒(1mm=0.04秒、1大マス=0.2秒)。●目安=大マス3個で約100、4個で約75、5個で約60拍/分。

選択肢ごとの解説

第59回 午前18(臨床生理学)

心電図(別冊No.4)を別に示す。所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA018.8c97dfe131.jpg
第59回 午前18 の図

正答: ④右脚ブロック

ポイント
本心電図の所見は右脚ブロックで、右脚の伝導遅延により右室の興奮が遅れ、QRS終末部が遅れて描かれる。右側胸部誘導V1ではrSR'型(M字型)を示し、QRS幅が延長し、Ⅰ・V6誘導では幅広いS波がみられるのが特徴である。完全右脚ブロックはQRS幅0.12秒以上、不完全型はそれ未満で区別する。●右脚ブロックの所見=V1のrSR'(M字型)・QRS幅延長・Ⅰ/V6の幅広いS波。●鑑別=左脚ブロックはV1で幅広いQS型、V5/V6でM字型を示す。●その他の所見=PQ短縮はWPW、QT延長は再分極異常、右房負荷はP波増高。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見

疾患心電図所見
心筋梗塞(陳旧性)異常Q波(心筋壊死を反映)
第1度房室ブロックPQ〈PR〉時間の延長(0.21秒以上)、QRS波の脱落なし
完全右脚ブロックQRS幅延長、V1・V2でrsR'型、V5・V6で深いS波
WPW症候群PQ〈PR〉時間の短縮、デルタ波、QRS幅延長
心房細動RR間隔不整(絶対性不整脈)

第59回 午前19(臨床生理学)

健常成人の呼吸器の構造と機能について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②肺胞でのガス交換は拡散により行われる。・④動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)は肺胞換気量に反比例する。

ポイント
肺胞でのガス交換は酸素と二酸化炭素の分圧差に従う拡散により行われ、能動輸送ではない。また動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)は肺胞換気量に反比例し、換気量が増えればPaCO₂は低下し、減れば上昇する。一方、細気管支壁には気管支軟骨は存在せず(軟骨は気管支まで)、機能的残気量(FRC)は仰臥位では横隔膜が挙上して立位より低下し、座位での換気血流比は重力の影響で肺底部より肺尖部のほうが高い。●正しい=肺胞ガス交換は拡散・PaCO₂は肺胞換気量に反比例。●誤りの訂正=細気管支に軟骨なし、FRCは仰臥位で低下、換気血流比は肺尖部>肺底部。

選択肢ごとの解説

第59回 午前20(臨床生理学)

肺気量分画の図を別に示す。各肺気量分画の名称で正しいのはどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA020.ccbb911f2b.jpg
第59回 午前20 の図

正答: ①①:最大吸気量(inspiratory capacity:IC)・④④:機能的残気量(functional residual capacity:FRC)

ポイント
肺気量分画では、最大吸気量(IC)は安静呼気位から最大吸気までの量を、機能的残気量(FRC)は安静呼気位に肺内に残る量(予備呼気量+残気量)を指す。スパイロメトリで直接測定できる分画と、残気量を含むため直接測定できずガス希釈法や体プレチスモグラフで算出する分画を区別することが重要である。図中の各区分と名称を照合すると、①は最大吸気量、④は機能的残気量に対応する。●直接測定可=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・肺活量・最大吸気量。●直接測定不可(残気量を含む)=機能的残気量・全肺気量・残気量(ガス希釈法等で算出)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:呼吸機能検査:測定項目と測定方法

測定項目測定方法備考
残気量〈RV〉ガス希釈法または体プレチスモグラフ法(スパイロメトリでは測定不可)機能的残気量〈FRC〉から予備呼気量を引いて算出
機能的残気量〈FRC〉ガス希釈法(開放・閉鎖回路法)、体プレチスモグラフ法体プレチスモグラフ法はBoyleの法則を利用
肺拡散能〈DLco〉1回呼吸法(一酸化炭素を使用)ガス希釈法ではない
クロージングボリューム〈CV〉単一窒素呼出曲線(レジデントガス法)、ボーラス法単一窒素呼出曲線の第Ⅳ相の気量に相当
ピークフロー〈PEF〉・V50・V25フローボリューム曲線正常はピークフロー>V50>V25の順(V50・V25は末梢気道の指標)
努力肺活量〈FVC〉・1秒量フローボリューム曲線・スパイロメトリ-
肺活量〈VC〉・1回換気量・予備呼気量・予備吸気量スパイロメトリ緩徐な呼吸で測定

第59回 午前21(臨床生理学)

動脈血ガス分析の結果とその解釈の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA021.7b2d805784.jpg
第59回 午前21 の図

正答: ①・③

ポイント
動脈血ガスの解釈はpH・PaCO₂・HCO₃−の組合せから酸塩基平衡を判定する。まずpHが酸性側か塩基性側かをみて、PaCO₂が一次的に変化していれば呼吸性、HCO₃−が一次的に変化していれば代謝性と判断し、代償の方向も確認する。pH7.40・PaCO₂ 42・HCO₃− 22はいずれも基準範囲内で正常範囲である。pH低下(アシデミア)でPaCO₂が著明に上昇していれば呼吸性アシドーシスと解釈できる。●呼吸性アシドーシス=pH↓・PaCO₂↑。●呼吸性アルカローシス=pH↑・PaCO₂↓。●代謝性アシドーシス=pH↓・HCO₃−↓。●代謝性アルカローシス=pH↑・HCO₃−↑。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:酸塩基平衡異常の4パターン(pH・一次性変化・代償性変化)

病態pH一次性変化代償性変化主な原因
呼吸性アシドーシス↓PaCO₂↑HCO₃-↑(腎性代償)肺胞低換気(COPD・呼吸中枢抑制・神経筋疾患など)
呼吸性アルカローシス↑PaCO₂↓HCO₃-↓(腎性代償)過換気(過換気症候群・発熱・肺塞栓など)
代謝性アシドーシス↓HCO₃-↓PaCO₂↓(呼吸性代償)糖尿病性ケトアシドーシス・腎不全・下痢など
代謝性アルカローシス↑HCO₃-↑PaCO₂↑(呼吸性代償)嘔吐・利尿薬・原発性アルドステロン症など
代償は血液pHを基準範囲(7.35〜7.45)へ戻そうとする働き。呼吸性代償は換気量の増減により数時間単位、代謝性(腎性)代償はHCO₃-の排泄調節により数日単位で生じる。代償が予測範囲を超える場合は混合性障害を疑う。

第59回 午前22(臨床生理学)

睡眠時無呼吸症候群について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③無呼吸出現時には動脈血酸素飽和度が低下する。・④閉塞型睡眠時無呼吸では胸壁と腹壁の奇異性運動がみられる。

ポイント
睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸出現時に換気が停止して動脈血酸素飽和度(SpO₂)が低下する。閉塞型睡眠時無呼吸では上気道が閉塞した状態で呼吸努力が続くため、胸壁と腹壁が逆方向に動く奇異性運動がみられる。覚醒反応(arousal)の頻度は無呼吸の重症度と関連し、急速眼球運動はnon REM睡眠ではなくREM睡眠でみられる現象である。睡眠ステージは数字が大きいほど深く、ステージ1はステージ3より浅い。●正しい=無呼吸時にSpO₂低下・閉塞型で胸腹壁の奇異性運動。●誤りの訂正=覚醒回数は重症度と関連、急速眼球運動はREM睡眠、睡眠ステージは数字が大きいほど深い(ステージ3>ステージ1)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:睡眠時無呼吸症候群〈SAS〉の病型分類

病型特徴
閉塞性〈OSAS〉上気道の狭窄・閉塞による気流停止。換気努力は伴う(胸腹壁の奇異性=シーソー運動がみられる)。肥満・アデノイド・巨舌症等が原因、男性・肥満者に多い
中枢性〈CSAS〉呼吸中枢の障害で呼吸運動そのものが消失(胸郭・腹壁の動きがない)。自律神経障害・正常圧水頭症等が原因
混合性〈MSAS〉閉塞性と中枢性の混合。中枢性で始まり閉塞性に移行することが多い
無呼吸出現時には(病型によらず)動脈血酸素飽和度〈SpO₂〉が低下する。

第59回 午前23(臨床生理学)

感覚情報が最初に伝わる部位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ④聴覚 — 側頭葉・⑤体性感覚 — 頭頂葉

ポイント
感覚情報が最初に伝わる一次感覚野は感覚の種類ごとに大脳皮質上で部位が決まっている。聴覚は側頭葉の一次聴覚野に、体性感覚は頭頂葉の中心後回にある一次体性感覚野に最初に伝わる。これに対し視覚は後頭葉の一次視覚野、嗅覚は側頭葉内側の嗅皮質、味覚は頭頂弁蓋・島皮質に伝わるため、設問の組合せのうち正しいのは聴覚-側頭葉と体性感覚-頭頂葉である。●一次感覚野=聴覚は側頭葉・体性感覚は頭頂葉・視覚は後頭葉。●その他=嗅覚は側頭葉内側の嗅皮質、味覚は頭頂弁蓋・島皮質に伝わる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:中枢神経系の部位と機能

部位機能
一次運動野(前頭葉・中心前回)随意運動の中枢
一次体性感覚野(頭頂葉・中心後回)体性感覚(触覚・痛覚など)の中枢
視覚野(後頭葉・鳥距溝)視覚
聴覚野(側頭葉・上側頭回後部〜横側頭回)聴覚
味覚野(側頭葉内側の島)味覚
嗅覚野(前頭葉下部の嗅脳)嗅覚
運動性言語中枢〈Broca野〉(前頭葉下前頭回)発語(言語の表出)
感覚性言語中枢〈Wernicke野〉(側頭葉上側頭回)言語理解
海馬(側頭葉内側・大脳辺縁系)記憶(特に短期記憶の固定)
視床(間脳)嗅覚以外の感覚神経路の中継核
視床下部(間脳)自律神経・内分泌の総合中枢(体温・摂食・飲水調節など)
小脳運動の調整・平衡保持
脳幹(中脳・橋・延髄)意識の保持、呼吸・循環など生命維持、睡眠覚醒の調節
脊髄運動系・知覚系・自律神経系の伝導路
言語中枢はほとんどの場合、左半球(優位半球)にある。運動は中心前回、体性感覚は中心後回であり取り違えやすい。

第59回 午前24(臨床生理学)

脳死判定の脳波記録時にすべきなのはどれか。

正答: ④測定感度を4倍以上に上げる。

ポイント
脳死判定の脳波記録では、大脳の電気的無活動(平坦脳波)を確実に証明することが目的となる。微小な電位の有無を厳密に確認するため、測定感度を通常の4倍以上に上げて記録し、規定の時間にわたり連続記録する。同時にアースを確実に接地して雑音を抑え、適切なフィルタ設定を行い、音や痛みなどの刺激への反応の有無も確認する必要がある。●脳死脳波記録の要件=感度を4倍以上に上げる・規定時間の連続記録・アース接地・刺激への反応確認。●避けるべき=アース未接地・刺激を行わないこと・フィルタを全てオフにすることは不適切。

選択肢ごとの解説

第59回 午前25(臨床生理学)

脳波所見と疾患の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②多棘徐波複合 — ミオクロニーてんかん・③3Hz棘徐波複合 — 欠神発作型てんかん

ポイント
脳波所見は疾患ごとに特徴的なパターンを示し、その対応を理解することが診断の手がかりとなる。多棘徐波複合はミオクロニーてんかんで、3Hz棘徐波複合は欠神発作型てんかんでみられる代表的所見である。一方、三相性波は肝性脳症などの代謝性脳症、ヒプスアリスミアはWest症候群(点頭てんかん)、周期性同期性放電(PSD)はCreutzfeldt-Jakob病やSSPEでみられるため、これらの組合せは適切でない。●正しい=多棘徐波複合はミオクロニーてんかん、3Hz棘徐波複合は欠神発作。●他の対応=三相性波は肝性脳症、ヒプスアリスミアはWest症候群、周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病・SSPE。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患

脳波所見対応する疾患・病態
3Hz棘徐波複合欠神発作(欠神発作型/小発作型てんかん)
多棘波・多棘徐波複合ミオクロニー発作(若年ミオクロニーてんかん)
ヒプスアリスミアWest症候群(点頭てんかん)
1.5〜2.5Hz鋭徐波複合(遅棘徐波複合)Lennox-Gastaut症候群
三相波肝性脳症・腎性脳症などの代謝性脳症
周期性同期性放電〈PSD〉孤発性(古典型)Creutzfeldt-Jakob病、亜急性硬化性全脳炎〈SSPE〉
周期性一側性てんかん型放電〈PLEDs〉単純ヘルペス脳炎、脳血管障害急性期
広汎性α波脳動脈硬化症(慢性脳循環不全)
re-build up(過呼吸後の再増高現象)もやもや病
6&14Hz陽性棘波自律神経発作(健常者にもみられる非特異的所見)
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。

第59回 午前26(臨床生理学)

超音波の周波数を高くしたときに起こる変化として正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②指向性は良くなる。・③分解能は高くなる。

ポイント
超音波の周波数を高くすると波長が短くなり、ビームの広がりが抑えられて超音波が直進しやすくなるため指向性が向上する。さらに波長の短縮によって近接した2点を分離して描出できるようになり、距離分解能・方位分解能がいずれも高くなる。一方で、組織内での吸収・散乱によるエネルギー損失は周波数が高いほど大きくなるため、減衰が増して深部まで到達しにくくなり透過性は低下する。音の伝播速度は媒質の弾性率と密度によって決まる固有値であり、周波数を変えても変化しない。臨床では浅い部位を高周波で高分解能に観察し、深い部位を低周波で高透過性に観察するという使い分けがなされる。●周波数を上げると向上する=指向性、距離分解能、方位分解能。●周波数を上げると不利になる=減衰の増大とそれに伴う到達深度・透過性の低下。●周波数に依存しない=音速(媒質固有の値で決まる)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:超音波検査における周波数と分解能・深達度の関係

条件内容
周波数を高くする距離分解能(縦方向分解能)が向上するが、減衰が増大し深達度(透過性)は低下する
周波数を低くする分解能は劣るが減衰が少なく深部への到達性に優れる
主な使用周波数の目安心臓(セクタ型):1〜5MHz、腹部(コンベックス型):1〜5・2〜9MHz、乳腺・甲状腺・体表血管(リニア型):3〜12・5〜18MHz
方位分解能(横方向分解能)は電子フォーカスによるビーム集束で向上し、周波数のみでは決まらない。

第59回 午前27(臨床生理学)

心臓超音波所見で健常者にみられないのはどれか。

正答: ②左房径54 mm

ポイント
成人の心臓超音波計測の基準値は、左房径が約40mm未満、大動脈径が約40mm未満、心室中隔厚および左室後壁厚が11mm以下、左室拡張末期径が約55mm以下、駆出率が55%以上である。設問のうち左房径54mmは正常上限の40mmを大きく超えており、左房拡大を示す異常値であって健常者にはみられない。これに対し他の4項目はいずれも基準範囲内に収まる値であり、健常者でも認められる。各計測値は心腔の拡大、壁の肥厚、収縮能の評価に用いられ、基準値からの逸脱の有無が心疾患の重要な手がかりとなるため、正常範囲を正しく踏まえて健常者にみられない異常値を判別する必要がある。●左房・左室の拡大=左房径40mm以上、左室拡張末期径55mm超は容量負荷を示唆する。●壁厚の増加=心室中隔・後壁が12mm以上で心肥大を疑う。●収縮能の低下=駆出率が55%未満で収縮機能障害を疑い、心不全の評価に用いる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:心臓超音波(Mモード法)の主な計測項目の基準範囲

項目基準範囲
大動脈径〈AoD〉22〜35mm
左房径〈LAD〉25〜39mm
心室中隔厚〈IVST〉7〜11mm
左室後壁厚〈LVPWT〉7〜11mm
左室拡張末期径〈LVDd〉38〜54mm
左室収縮末期径〈LVDs〉22〜38mm
左室内径短縮率〈%FS〉28〜41%
左室駆出率〈EF〉55〜80%
右室拡張末期径〈RVDd〉13〜22mm
胸骨左縁長軸像で計測する項目。右室径自体はこの断面では正確な計測は難しい。

第59回 午前28(臨床生理学)

脂肪肝の超音波所見はどれか。2つ選べ。

正答: ①高輝度肝・⑤肝腎コントラスト陽性

ポイント
脂肪肝では肝細胞内に中性脂肪が過剰に蓄積し、超音波では肝実質エコーが全体に上昇して高輝度肝(bright liver)を呈する。さらに肝よりも腎皮質のエコーが相対的に低くなることで両者の明るさの差が際立ち、肝腎コントラスト陽性となる。蓄積した脂肪による減衰のため深部エコーは減弱し、肝深部や横隔膜が描出されにくくなるのも特徴である。これらの所見の組合せから脂肪肝が示唆される。●脂肪肝の所見=高輝度肝、肝腎コントラスト陽性、深部エコーの減衰、肝内脈管の不明瞭化。●肝硬変の所見=肝表面の凹凸、辺縁の鈍化、内部エコーの不均一。●肝細胞癌の所見=モザイクパターン、後方エコー増強、腫瘍周囲の低エコー帯(ハロー)。それぞれの所見がどの疾患に対応するかを正確に区別し、脂肪肝に特有の高輝度肝と肝腎コントラスト陽性を肝硬変や腫瘍の所見と取り違えないことが重要である。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見

疾患特徴的な超音波所見
肝嚢胞類円形・境界明瞭・内部無エコー・後方エコー増強
肝血管腫境界明瞭な高エコー腫瘤、体位変換で内部エコーが変化(カメレオンサイン)
肝膿瘍経過とともに充実性→混合性→嚢胞性へ変化、辺縁不整・境界不明瞭
肝硬変肝表面の凹凸不整・辺縁鈍化、実質エコーの粗雑化、肝内脈管の狭小化・不明瞭化、脾腫
肝細胞癌内部モザイクパターン(nodule in nodule)、辺縁低エコー帯(ハロー)、側方陰影
転移性肝癌類似エコー像の多発結節、幅広い辺縁低エコー帯+中心部高エコーの同心円状像(bull's eye sign/target sign)
脂肪肝肝実質の輝度上昇(bright liver)、肝深部エコーの減衰、肝腎コントラストの増強
急性膵炎膵腫大、内部エコー不均一で低輝度、膵・腎周囲の液体貯留
急性胆嚢炎胆嚢腫大、胆嚢壁肥厚、胆石・胆泥
腎嚢胞類円形・内部無エコー・後方エコー増強
大腸癌(進行例)限局性の壁肥厚がpseudokidney sign〈偽腎徴候〉として描出
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。

第59回 午前29(臨床化学)

細胞小器官と機能の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③リソソーム — 物質の消化・⑤核 — mRNA合成

ポイント
細胞小器官はそれぞれ固有の機能を担っている。リソソームは多種の加水分解酵素を内包し、細胞が取り込んだ物質や不要となった細胞内成分を消化・分解する分解の中心的な場である。核はDNAを保持し、これを鋳型として転写を行い、蛋白質合成の設計図となるmRNAを合成する場である。これら2つの組合せが正しい。各小器官の機能を正確に対応づけて理解することが重要である。●エネルギー産生=ミトコンドリアがATP産生と酸化的リン酸化を担う。●蛋白質の合成と修飾=リボソームが蛋白質合成、粗面小胞体が分泌蛋白・膜蛋白の合成、ゴルジ体が糖鎖付加と選別・輸送を担う。●分解と遺伝情報=リソソームが物質の消化、核がDNAの保持とmRNAの合成を担う。これらの機能の対応を取り違えると組合せ問題で誤答につながるため、各小器官の役割を正確に区別する必要がある。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:細胞小器官の膜構造と主な機能

細胞小器官膜構造主な機能
核二重膜(核膜孔でループ状に連結)遺伝情報の保持、DNA複製・mRNA合成(転写)
ミトコンドリア二重膜(内膜がクリステを形成)TCA回路・電子伝達系でATP産生、脂肪酸のβ酸化
粗面小胞体単膜(リボソームが付着)蛋白質合成(付着リボソームで行われる)
滑面小胞体単膜脂質合成、ステロイドホルモン合成、薬物代謝
ゴルジ体単膜蛋白質の修飾(糖鎖付加)・濃縮・分泌
リソソーム単膜加水分解酵素による細胞内消化
リボソーム膜構造なし(RNAと蛋白質の複合体)蛋白質合成の場
ペルオキシソーム単膜過酸化水素の分解、脂質の酸化
二重膜構造をもつのは核とミトコンドリアのみ。電子顕微鏡ではミトコンドリアのクリステ、粗面小胞体のリボソーム付着、ゴルジ体の層状の膜嚢が特徴的に観察される。

第59回 午前30(臨床化学)

Lambert-Beerの法則が成り立つ条件で、吸光度1.0における透過率は吸光度2.0における透過率の何倍か。

正答: ④10倍

ポイント
Lambert-Beerの法則では吸光度Aと透過率Tの間にA=-log10Tの関係が成り立ち、これを変形するとT=10⁻ᴬとなる。したがって吸光度1.0のときの透過率はT=10⁻¹=0.1、吸光度2.0のときはT=10⁻²=0.01である。両者の比は0.1÷0.01=10となり、吸光度1.0における透過率は吸光度2.0における透過率の10倍である。吸光度が1増えるごとに透過率は10分の1になるという対数の関係を用いて計算する。●基本式=A=εcl(εはモル吸光係数、cは濃度、lは光路長)で、吸光度は濃度と光路長に比例する。●透過率との関係=A=-log10T、すなわちT=10⁻ᴬである。●成立条件=単色光であること、希薄溶液であること、溶質間相互作用や光の散乱がないことが必要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前31(臨床化学)

アニオンギャップが増加するのはどれか。2つ選べ。

正答: ②腎不全・⑤糖尿病性ケトアシドーシス

ポイント
アニオンギャップ(AG)はNa−(Cl+HCO₃)で算出され、通常は測定されない陰イオンが増加するとAGが上昇する。腎不全では硫酸・リン酸などの不揮発性酸が貯留し、これを緩衝するためにHCO₃が消費されてAGが増大する。糖尿病性ケトアシドーシスでは陰イオンであるケトン体が増加し、同様にAGが上昇する。いずれもAG上昇型の代謝性アシドーシスである。●AG上昇型=腎不全、糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、メタノールなどの中毒。●AG正常型(高Cl性)=下痢、尿細管性アシドーシスで、失われたHCO₃を血中のClが補うためAGは変わらない。●AGを低下させる要因=低アルブミン血症で、陰イオンであるアルブミンの減少によりAGはむしろ低下する。AGが上昇するか正常にとどまるかで代謝性アシドーシスの原因を絞り込むことができる。

選択肢ごとの解説

第59回 午前32(臨床化学)

血清中のNa:145 mmol/l、血糖値:90 mg/dl、尿素窒素:14 mg/dlのとき、血清浸透圧〔mOsm/kg・H₂O〕の数値に最も近いのはどれか。

正答: ③280

ポイント
血清浸透圧の概算は2×[Na⁺]+血糖値/18+尿素窒素/2.8(血糖と尿素窒素はmg/dL単位)の式で求められる。設問の値を代入すると、2×145=290、血糖90/18=5、尿素窒素14/2.8=5となり、合計は290+5+5=300mOsm/kgである。選択肢のうちこの計算値に最も近いのは280である。血清浸透圧はNaが主たる規定因子であり、ブドウ糖と尿素窒素の寄与は通常は比較的小さい。●計算式=2×[Na⁺]+Glu/18+BUN/2.8で概算する。●基準値=おおむね275〜290mOsm/kgである。●浸透圧ギャップ=実測値と計算値の差が大きい場合は、アルコールや中毒物質など計算式に含まれない浸透圧物質の存在を示唆するため、中毒の鑑別に活用される。浸透圧はNaを主体とし、ブドウ糖と尿素窒素の寄与を加えて概算する点を踏まえれば算出は容易である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前33(臨床化学)

最も長期間の血糖コントロールの状態を反映するのはどれか。

正答: ①HbA1c

ポイント
HbA1cはヘモグロビンにブドウ糖が非酵素的に結合して生じる糖化産物で、赤血球の寿命である約120日にわたる血糖状態を反映し、過去1〜2か月の平均血糖を表す最も長期間のコントロール指標である。これに対しグリコアルブミンは約2週間、1,5-アンヒドログルシトールは数日と、反映する期間がより短い。インスリンやC-ペプチドは膵β細胞の分泌能を示す指標であり、血糖コントロール期間の指標ではない。●長期(1〜2か月)を反映=HbA1c。●中期(約2週間)を反映=グリコアルブミン(フルクトサミン)。●短期(数日)を反映=1,5-アンヒドログルシトール。●インスリン分泌能の指標=インスリン、C-ペプチドで、これらは膵β細胞の機能評価に用いられ血糖の経時的な反映には用いない。各指標が反映する期間の違いを正確に踏まえることが要点である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前34(臨床化学)

脂肪酸について正しいのはどれか。

正答: ⑤不飽和脂肪酸の方が飽和脂肪酸より酸化されやすい。

ポイント
脂肪酸は炭化水素鎖をもつカルボン酸で、二重結合を含まないものを飽和脂肪酸、含むものを不飽和脂肪酸という。二重結合の部位は反応性が高く酸化(過酸化)を受けやすいため、不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸より酸化されやすい。これが正しい。胆汁酸はコレステロールから合成され、空腹時にはむしろ脂肪組織から脂肪酸が放出される側である。●脂肪酸の性質=不飽和度(二重結合の数)が高いほど融点が低く酸化されやすい。●エネルギー動態=空腹時は脂肪分解が進んで遊離脂肪酸が血中へ放出される。●関連物質の由来=胆汁酸やステロイドはコレステロールから合成され、脂肪酸がコレステロールに結合するとエステル化して疎水性がむしろ増す。脂肪酸の構造と性質、エネルギー代謝との関係を整合的に理解することが重要であり、不飽和脂肪酸が酸化を受けやすいという性質は脂質過酸化の観点からも重要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前35(臨床化学)

アミノ酸について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③バリンは必須アミノ酸のひとつである。・④トリプトファンはインドール核をもつ。

ポイント
アミノ酸は側鎖の性質によって分類される。バリンはロイシン・イソロイシンとともに分枝鎖アミノ酸に属し、体内で合成できないため食事から摂取すべき必須アミノ酸の一つである。トリプトファンは側鎖に二環性のインドール核をもつ芳香族アミノ酸である。これら2つが正しい。アミノ酸の酸性・塩基性は側鎖の電荷で決まる。●必須アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン・リシン・メチオニン・フェニルアラニン・トレオニン・トリプトファン・ヒスチジン。●酸性・塩基性=酸性はアスパラギン酸・グルタミン酸、塩基性はリシン・アルギニン・ヒスチジン。●特徴的な側鎖構造=トリプトファンはインドール核、フェニルアラニンとチロシンはベンゼン環をもつ芳香族アミノ酸である。必須か否か、酸性か塩基性か、側鎖の構造という3つの観点を分けて理解することが要点である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前36(臨床化学)

血清クレアチニンについて正しいのはどれか。

正答: ⑤女性より男性で高値を示す。

ポイント
クレアチニンは筋肉中のクレアチンの代謝産物として一定量が生成され、糸球体で濾過された後ほとんど再吸収されずに尿中へ排泄されるため、糸球体濾過量(GFR)の指標として用いられる。血中濃度は筋肉量を反映するため、筋肉量の多い男性は女性より高値を示す。これが正しい。各要因が血中濃度をどう動かすかを理解することが重要である。●産生と排泄=筋クレアチンに由来し糸球体で濾過され、腎機能の評価に用いる。●上昇する病態=腎機能低下、脱水による血液濃縮、横紋筋融解などの筋崩壊。●低下・低値となる要因=筋肉量の減少、妊娠(GFR増加による希釈)、透析による血中からの除去。各要因が血中濃度を上げるか下げるかを病態生理から整合的に判断することが重要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前37(臨床化学)

非抱合型ビリルビンが優位に上昇するのはどれか。

正答: ①新生児黄疸

ポイント
非抱合型(間接)ビリルビンはヘムの分解で生じ、アルブミンと結合して肝へ運ばれ、肝でグルクロン酸抱合を受ける前の分画である。新生児黄疸では肝のグルクロン酸抱合酵素(UDP-グルクロン酸転移酵素)が未熟で抱合がビリルビン産生に追いつかず、非抱合型ビリルビンが優位に上昇する。これが正しい。黄疸はどの段階の障害かによって優位となる分画が分かれる。●非抱合型(間接)優位=溶血性黄疸、新生児黄疸、Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群(抱合酵素の異常)。●抱合型(直接)優位=閉塞性黄疸、肝細胞障害(ウイルス性肝炎・薬剤性)。●排泄障害による直接型上昇=Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群。ビリルビン代謝のどの段階が障害されるかによって優位となる分画が決まる点を理解することが重要である。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)

分画水溶性・血中結合尿中排泄ジアゾ反応光に対する安定性高値を示す代表疾患
非抱合型(間接)ビリルビン脂溶性・アルブミンと結合排泄されない促進剤(メタノール等)が必要不安定(光異性化を受ける)溶血性貧血・新生児黄疸・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群
抱合型(直接)ビリルビン水溶性・グルクロン酸抱合尿中に排泄される促進剤なしで直接反応比較的安定閉塞性黄疸(胆汁うっ滞)・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群
δビリルビン抱合型ビリルビンがアルブミンと共有結合したもの尿中に排泄されない(半減期が長い)--黄疸遷延時に増加
シャントビリルビン(早期ビリルビン)成熟赤血球のヘム以外(肝・腎のシトクロムやカタラーゼ、未熟赤血球等)に由来---代謝回転の速い特殊な分画で、δビリルビンとは別概念
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。

第59回 午前38(臨床化学)

ヒトの血中アミラーゼについて正しいのはどれか。

正答: ②腎糸球体で濾過される。

ポイント
アミラーゼは分子量が約5万と小さく、血清酵素のなかで例外的に腎糸球体で濾過されて尿中へ排泄される。これが尿中アミラーゼ測定の根拠となる。膵型のほか唾液腺型のアイソザイムがあり、産生は膵臓に限らない。作用はデンプンのα-1,4-グルコシド結合を内部から加水分解することで、活性中心にはカルシウムイオンを要する。●由来=膵型(P型)と唾液腺型(S型)のアイソザイムがある。●作用=多糖のα-1,4結合を内部から切断するエンドアミラーゼで、活性にカルシウムを要する。●動態=血中半減期は数時間と短く、低分子であるため腎で濾過されて尿中へ排泄される。これらの由来・作用・動態の性質が膵炎をはじめとする膵疾患の診断や病態評価に活用される点が重要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前39(臨床化学)

酵素について正しいのはどれか。

正答: ②ALPはMg²⁺で賦活化される。

ポイント
ALP(アルカリホスファターゼ)はマグネシウムや亜鉛を活性化因子とする金属酵素であり、Mg²⁺により賦活化される。これが正しい。各酵素の由来、補酵素、安定性を正確に対応づけて理解する必要がある。●由来と逸脱=γ-GTは胆道系に多い胆道系酵素、ALTは肝の逸脱酵素、ALPは肝・骨・胎盤・小腸由来のアイソザイムをもつ。●補酵素・活性化=ALTはピリドキサルリン酸を補酵素とし阻害ではなく賦活される、ALPはマグネシウムで賦活される、リパーゼは脂質を分解する加水分解酵素である。●安定性=LDアイソザイムでは低温保存でLD₅などが失活しやすく、LD₁はむしろ比較的安定である。各酵素の由来・補酵素・安定性の3点を取り違えないことが要点である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前40(臨床化学)

血中薬物モニタリング(TDM)を行わないのはどれか。

正答: ③プレドニゾロン

ポイント
血中薬物モニタリング(TDM)は、有効血中濃度域と中毒域が近接していたり、個人差や腎機能の影響が大きい薬剤について、血中濃度を指標に投与量を最適化するために行う。プレドニゾロンは副腎皮質ステロイドで、その効果は臨床症状や検査値で評価し血中濃度の測定で投与調整を行わないため、TDMの対象外である。これが行わないものである。●TDMの対象=ジゴキシン(強心配糖体)、テオフィリン(気管支拡張薬)、バンコマイシン(抗MRSA薬)、フェノバルビタール(抗てんかん薬)など治療域が狭い薬。●TDMを行わない薬=プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド。●目的=有効性の確保と中毒・副作用の回避、腎機能や個人差に応じた用量調整である。どの薬剤がTDMの対象となり、どの薬剤が対象とならないかを薬の性質から判断することが重要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前41(臨床化学)

視床下部によって分泌が直接調節されるホルモンはどれか。

正答: ⑤成長ホルモン

ポイント
視床下部は放出ホルモンや抑制ホルモンを介して下垂体を制御し、内分泌系を統御している。成長ホルモンは視床下部から分泌される成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)とソマトスタチン(抑制)によって、下垂体前葉からの分泌が直接調節される。これが正しい。●視床下部が下垂体前葉を介して直接調節=成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、性腺刺激ホルモン。●末梢内分泌腺がさらに分泌=エストロゲン(卵巣)、コルチゾール(副腎)、サイロキシン(甲状腺)で、これらは下垂体ホルモンを介する二次的な調節を受ける。●視床下部に依存しない=カルシトニンで、甲状腺C細胞が血中カルシウム濃度に応じて分泌する。視床下部が直接調節する下垂体ホルモンと、末梢腺から分泌される末梢ホルモンを区別して考えることが重要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前42(臨床化学)

Basedow病による甲状腺機能亢進症において低下するのはどれか。

正答: ③TSH

ポイント
Basedow病はTSH受容体に対する自己抗体(TRAb)が受容体を持続的に刺激し、甲状腺ホルモンが過剰に産生される自己免疫性の甲状腺機能亢進症である。過剰なT3・T4による負のフィードバックで下垂体からのTSH分泌が抑制されるため、TSHが低下する。これが低下するものである。●機能亢進で上昇する=T3、FT4、サイログロブリン、骨代謝亢進に伴うALP。●機能亢進で低下する=TSHで、過剰な甲状腺ホルモンによる負のフィードバックによって分泌が抑制される。●原因=TSH受容体抗体(TRAb)が受容体を刺激し続けることによる甲状腺の持続的な過剰刺激である。甲状腺ホルモンが上昇する一方でTSHは負のフィードバックで低下するという検査値の動きを、病態生理から整合的に理解することが重要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前43(臨床化学)

核酸を構成するプリン塩基はどれか。2つ選べ。

正答: ②アデニン・④グアニン

ポイント
核酸を構成する塩基は、縮合した二環構造をもつプリン塩基と、単環構造のピリミジン塩基に大別される。プリン塩基はアデニンとグアニンの2つであり、これらが正しい。塩基どうしが相補的に対合することでDNAやRNAの二次構造が支えられる。●プリン塩基(二環性)=アデニン、グアニン。●ピリミジン塩基(単環性)=シトシン、チミン(DNAに含まれる)、ウラシル(RNAに含まれる)。●塩基対=アデニンはチミン(RNAではウラシル)と、グアニンはシトシンと相補的に水素結合で対合する。塩基の環構造の違いがプリンとピリミジンの分類の基準となるため、二環性か単環性かに着目して各塩基を分類することが重要である。DNAとRNAで含まれる塩基(チミンとウラシル)が異なる点も合わせて理解しておく必要がある。

選択肢ごとの解説

第59回 午前44(臨床化学)

尿素呼気試験に使用される安定同位体はどれか。

正答: ②¹³C

ポイント
尿素呼気試験はHelicobacter pyloriのもつ強いウレアーゼ活性を利用する感染診断法で、放射線を出さない安定同位体である¹³Cで標識した尿素を内服させる。胃内にピロリ菌が存在すると尿素が分解され、¹³Cを含む二酸化炭素が呼気中に増加するため、呼気中の¹³CO₂を測定して感染の有無を判定する。●安定同位体(非放射性)=¹³Cで尿素呼気試験に使用する、¹⁵Nも安定同位体だが本試験の標識には用いない。●放射性同位体=³H、³²P、¹³¹Iで、放射線を出し標識・治療などに用いられるが本試験には使わない。●検査原理=ピロリ菌のウレアーゼによる尿素の分解で生じる標識CO₂を呼気中で検出する。被検者の被曝がない安定同位体が用いられる点が要点である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前45(病理組織細胞学)

H-E染色標本を別に示す。この臓器はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59aA045.99c9f85174.jpg
第59回 午前45 の図

正答: ④膀胱

ポイント
(画像は膀胱の組織像である。)膀胱の粘膜は移行上皮(尿路上皮)で覆われており、内腔の伸展度に応じて細胞層の見かけの厚みが変化する。表層には複数の下層細胞を覆う大型の被蓋細胞(アンブレラ細胞)が並ぶのが特徴で、この所見から膀胱と判定できる。上皮の種類は臓器を同定するうえで重要な手がかりとなる。●移行上皮(尿路上皮)=腎盂・尿管・膀胱・尿道の一部を覆い、伸展性に富み表層に被蓋細胞をもつ。●重層扁平上皮=皮膚・食道・子宮頸部など機械的刺激を受ける部位を覆う。●単層円柱上皮・線毛上皮=胃や腸などの消化管粘膜は単層円柱上皮、気管は多列線毛上皮で覆われる。表層の被蓋細胞と層構造の変化という移行上皮の特徴を捉えれば、他の上皮との鑑別が可能となる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臓器・部位と被覆上皮の対応

上皮の種類分布部位
重層扁平上皮(非角化)食道・腟・肛門・口腔
重層扁平上皮(角化)表皮
単層円柱上皮胃・小腸・大腸・胆嚢
単層線毛円柱上皮卵管・子宮
多列線毛上皮(円柱)気管・気管支・鼻腔
移行上皮(尿路上皮)腎盂・尿管・膀胱
単層扁平上皮(内皮)血管・リンパ管の内壁
単層扁平上皮(中皮)胸膜・腹膜・心膜(体腔表面)
単層扁平上皮(肺胞上皮)肺胞(表面の大部分をⅠ型肺胞上皮細胞が覆う)
内皮は血管・リンパ管、中皮は体腔(漿膜)の表面を被覆する単層扁平上皮で、局在により呼び分ける。肺胞の内面は中皮ではなく肺胞上皮(Ⅰ型・Ⅱ型肺胞上皮細胞)が覆う。

第59回 午前46(病理組織細胞学)

腫瘍と免疫組織化学的マーカーの組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②絨毛癌 — hCG・⑤大腸癌 — CEA

ポイント
免疫組織化学的マーカーは腫瘍の由来や性質を同定するために用いられる。絨毛癌は栄養膜(トロホブラスト)由来でhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を産生・発現する。大腸癌をはじめとする腺癌はCEA(癌胎児性抗原)を発現する。これら2つの組合せが正しい。●腫瘍に対応するマーカー=絨毛癌・hCG、肝細胞癌・AFP、消化管間質腫瘍(GIST)・c-kit(CD117)。●腺癌系のマーカー=大腸癌・CEA、膵癌や胆道癌・CA19-9、前立腺癌・PSA。●設問の誤った組合せ=肝細胞癌-c-kit、GIST-AFP、前立腺癌-CA19-9はいずれもマーカーが入れ替わっており正しくない。腫瘍とマーカーの正確な対応を把握することが重要である。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応

マーカー陽性となる代表的な腫瘍由来・意義
CD20B細胞リンパ腫B細胞系マーカー
CD3T細胞リンパ腫T細胞系マーカー
HER2乳癌過剰発現が分子標的治療の適応判定に関与
エストロゲン受容体〈ER〉乳癌ホルモン受容体・内分泌療法の適応判定
AFP肝細胞癌・卵黄嚢腫瘍胚細胞・肝細胞由来マーカー
CEA大腸癌など消化管腺癌腺癌に共通するマーカー
PSA前立腺癌前立腺特異抗原
CA125卵巣漿液性癌卵巣癌マーカー
hCG絨毛癌栄養膜(トロホブラスト)由来
c-kit(CD117)消化管間質腫瘍〈GIST〉カハール介在細胞由来、分子標的治療の適応判定
ALK肺腺癌の一部・未分化大細胞リンパ腫遺伝子融合(EML4-ALK等)を反映
S100蛋白悪性黒色腫・神経鞘腫瘍神経堤由来細胞マーカー
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。

第59回 午前47(病理組織細胞学)

Ⅱ型アレルギー反応はどれか。2つ選べ。

正答: ①Goodpasture症候群・④重症筋無力症

ポイント
II型アレルギーは、細胞表面や組織の抗原に結合した抗体(IgG・IgM)が、補体活性化や抗体依存性細胞傷害を介して標的を傷害する細胞傷害型反応である。Goodpasture症候群は糸球体基底膜と肺胞基底膜に対する抗体が、重症筋無力症はアセチルコリン受容体に対する抗体が標的を傷害するII型である。これらが正しい。●I型(即時型・IgE)=気管支喘息、アナフィラキシー、花粉症。●II型(細胞傷害型)=Goodpasture症候群、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、不適合輸血。●III型(免疫複合体型)=全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、急性糸球体腎炎。●IV型(遅延型・T細胞)=接触皮膚炎、ツベルクリン反応。各疾患がどの型に分類されるかを、関与する免疫成分(IgE・抗体・免疫複合体・T細胞)から判別することが重要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前48(病理組織細胞学)

急性炎症初期で主体となる細胞はどれか。

正答: ②好中球

ポイント
急性炎症の初期には、まず好中球が血管内皮へ接着して血管外の組織へ遊走し、起炎菌などを貪食・殺菌して炎症反応の主体となる。発症後数時間で局所に集積する最前線の細胞であり、これが正しい。炎症の時相とその時相で主体となる細胞の対応を理解することが重要である。●急性炎症の主体=好中球で、初期に最も早く遊走して貪食・殺菌を担う。●慢性炎症の主体=リンパ球、マクロファージ(組織球)、形質細胞。●特殊な病態に関与=好酸球はアレルギーや寄生虫感染、好塩基球は即時型アレルギーに関与する。炎症の発症初期には好中球が主体となり、時間経過に伴って好中球からマクロファージやリンパ球などの単核球へと主体が移行していく点が要点である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前49(病理組織細胞学)

成人に好発する腫瘍はどれか。

正答: ①膠芽腫

ポイント
膠芽腫(グリオブラストーマ)はグリア(神経膠)細胞由来の最も悪性度の高い脳腫瘍であり、中高年の成人に好発する。これに対し、語尾に芽腫のつく腫瘍の多くは胎生期の未熟な前駆細胞に由来し小児に好発するため、設問のうち成人に好発するのは膠芽腫である。これが正しい。●成人に好発=膠芽腫で、神経膠腫のなかで最も悪性度が高い。●小児に好発する芽腫=髄芽腫(小脳)、肝芽腫(肝)、腎芽腫すなわちWilms腫瘍(腎)、神経芽腫(副腎髄質・交感神経節)。●特徴=芽腫は胎生期の未分化な細胞に由来し、主に乳幼児から小児期にかけて発生する。膠芽腫は名称に芽がつくものの成人に好発する点が例外的であり、好発年齢から腫瘍を鑑別することが重要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午前50(病理組織細胞学)

腎臓について誤っているのはどれか。

正答: ④傍糸球体装置は尿管極に位置する。

ポイント
腎臓は後腹膜腔に位置する一対の臓器である。傍糸球体装置は、糸球体に出入りする輸入・輸出細動脈と遠位尿細管が接する血管極に位置するものであり、尿管極ではない。よってこの記述が誤りであり、設問の答えとなる。他の選択肢はいずれも腎臓の正しい解剖・組織所見である。●傍糸球体装置=血管極に位置し、レニンを分泌して血圧・体液量を調節する。●位置関係=上方の肝に圧排されて右腎は左腎よりやや低い位置にある。●構造=実質は外側の皮質と内側の髄質に分かれ、腎門部を腎動静脈・尿管・神経が出入りし、近位尿細管上皮には微絨毛(刷子縁)が発達する。傍糸球体装置の位置を血管極と尿管極で取り違えないことが本問の要点であり、レニン分泌を介した血圧調節の場として理解する必要がある。

選択肢ごとの解説