第59回(2013) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第59回 午後51(病理組織細胞学)

パラフィン包埋法で正しいのはどれか。

正答: ③パラフィン浸透前には脱アルコール操作が必要である。

ポイント
パラフィン包埋では、固定後の組織を上行アルコール系列で十分に脱水し、キシレンなどの中間剤でアルコールを置換(透徹・脱アルコール)してから融解パラフィンを浸透させて包埋する。パラフィンは親水性をもたず水やアルコールとは混和しないため、浸透前に脱アルコール操作を行ってアルコールを中間剤に置き換える操作が必須となる。固定が不十分な組織は包埋後に追加固定はできず、固定の不良はそのまま標本の不良につながるため、固定は包埋前に完了させておく必要がある。硬パラフィンの融点は56〜58℃前後で50℃を超え、薄切に適した硬さをもつ。●脱水=アルコール濃度を段階的に上げて組織内の水を除く操作で、急ぐと収縮・硬化を招く●透徹(中間剤)=キシレン等でアルコールを置換しパラフィンと親和させる●浸透・包埋=融解パラフィンを組織内に行き渡らせてブロックに固める。

選択肢ごとの解説

第59回 午後52(病理組織細胞学)

術中迅速診断用の凍結切片標本について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②ドライアイス・アセトンは凍結に適している。・④薄切温度は−20 ℃前後が適している。

ポイント
術中迅速診断では固定・脱水を行わず、新鮮組織を急速凍結してクリオスタットで凍結切片を作製し短時間で診断する。急速凍結には氷晶形成を抑える低温寒剤が適し、ドライアイス・アセトンは約−79℃で組織を素早く凍らせ氷晶を小さく保つため凍結に適している。薄切はクリオスタット庫内で−20℃前後に保って行うと適度な硬さで連続切片が得られる。ホルマリン固定や脱水は迅速性を損ない組織を硬化させるため凍結切片には不向きである。組織を凍結させる包埋剤としてはOCTコンパウンドが用いられ、薄切後はただちにHE染色を行って鏡検する。●凍結切片の利点=迅速(数分〜十数分)で術中に良悪性や切除断端を判定できる●欠点=氷晶による形態のひずみで恒久標本より細胞像が劣り微細構造の評価には限界がある●染色=時間のかからない迅速HE染色が標準で用いられる。

選択肢ごとの解説

第59回 午後53(病理組織細胞学)

内分泌細胞の染色法はどれか。2つ選べ。

正答: ②Grimelius染色・④Masson-Fontana染色

ポイント
神経内分泌細胞の分泌顆粒には、銀染色で検出できる成分が含まれる。Grimelius染色は外来性の還元剤を用いる好銀性(argyrophil)反応で、膵島や消化管の神経内分泌顆粒を黒褐色に描出する。Masson-Fontana染色は組織成分自体の還元性を利用する銀親和性(argentaffin、嗜銀性とも呼ばれる)反応で、銀親和性顆粒やメラニンを黒色に染める。銀の還元は染色中の反応であり、ホルモンを貯蔵する生理機能ではない。●好銀性=Grimelius、外来還元剤を要する。●銀親和性=Masson-Fontana、外来還元剤を要しない。●鉄=Berlin blue。●カルシウム塩=Kossa反応。●弾性線維=Victoria blue・orcein。

選択肢ごとの解説

第59回 午後54(病理組織細胞学)

真菌の染色法はどれか。2つ選べ。

正答: ①Grocott染色・③PAS染色

ポイント
真菌の細胞壁はキチンやグルカンなどの多糖類に富み、酸化で生じたアルデヒド基を検出する反応や金属銀の沈着を利用した銀染色によって組織内で証明できる。Grocott染色(グロコット・メセナミン銀)は真菌細胞壁を黒色に明瞭に染め、PAS染色は過ヨウ素酸で多糖類を酸化して赤紫色に染め菌体を浮き上がらせる。いずれも組織内真菌の検出に広く用いられる基本的な染色であり、菌体の輪郭や形態を観察するのに有用である。●真菌=Grocott(銀・黒色)・PAS(多糖・赤紫色)●弾性線維=orcein●スピロヘータやらせん菌=Warthin-Starry(鍍銀法)●抗酸菌=Ziehl-Neelsen(赤色)。これらは染める対象が互いに異なる染色である。

選択肢ごとの解説

第59回 午後55(病理組織細胞学)

乳癌組織の免疫組織化学染色標本(別冊No.9)を別に示す。使用された抗体はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB055.bfd3857edb.jpg
第59回 午後55 の図

正答: ②抗HER2/neu抗体

ポイント
乳癌では細胞膜上のHER2/neu(ErbB2)蛋白の過剰発現を抗HER2/neu抗体で免疫染色し、腫瘍細胞膜が全周性に強く染まれば陽性(3+)と判定する。膜が均一かつ全周性に染色されるパターンはHER2に特徴的で、本標本のように膜が縁取られて染まる像はHER2過剰発現を示す。HER2過剰発現は予後不良因子であると同時に抗HER2薬の適応を決める治療標的である。HER2は上皮成長因子受容体ファミリーに属する膜貫通型の受容体型チロシンキナーゼである。●核に染まる=Ki-67(増殖能)・p53・エストロゲン受容体(ER)・プロゲステロン受容体(PgR)(ホルモン受容体は核)●細胞膜に染まる=HER2/neu●乳癌の代表的免疫染色=ER・PgR・HER2・Ki-67の組合せで治療方針を決定する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応

マーカー陽性となる代表的な腫瘍由来・意義
CD20B細胞リンパ腫B細胞系マーカー
CD3T細胞リンパ腫T細胞系マーカー
HER2乳癌過剰発現が分子標的治療の適応判定に関与
エストロゲン受容体〈ER〉乳癌ホルモン受容体・内分泌療法の適応判定
AFP肝細胞癌・卵黄嚢腫瘍胚細胞・肝細胞由来マーカー
CEA大腸癌など消化管腺癌腺癌に共通するマーカー
PSA前立腺癌前立腺特異抗原
CA125卵巣漿液性癌卵巣癌マーカー
hCG絨毛癌栄養膜(トロホブラスト)由来
c-kit(CD117)消化管間質腫瘍〈GIST〉カハール介在細胞由来、分子標的治療の適応判定
ALK肺腺癌の一部・未分化大細胞リンパ腫遺伝子融合(EML4-ALK等)を反映
S100蛋白悪性黒色腫・神経鞘腫瘍神経堤由来細胞マーカー
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。

第59回 午後56(病理組織細胞学)

乳癌組織の免疫組織化学染色標本(別冊No.9)を別に示す。この免疫組織化学染色が判定するのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB056.c0b8728554.jpg
第59回 午後56 の図

正答: ④治療薬適応

ポイント
HER2/neuの免疫組織化学染色は、抗HER2薬であるトラスツズマブなどの分子標的治療の適応を判定するために行うコンパニオン診断である。膜染色が3+の過剰発現例や、2+でFISHにより遺伝子増幅が確認された例が治療の対象となる。HER2は予後因子であると同時に治療標的としての意義が大きく、この染色は治療薬適応の決定を目的とする。判定が2+(境界域)の場合はFISHやISHで遺伝子増幅の有無を確認して陽性かどうかを最終判定する。●治療薬適応を判定=HER2(抗HER2薬)・ER/PgR(内分泌療法の適応)●増殖能を判定=Ki-67●組織型・間質浸潤・脈管侵襲=HE染色や形態学的観察で評価するものであり、HER2免疫染色の主目的ではない。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応

マーカー陽性となる代表的な腫瘍由来・意義
CD20B細胞リンパ腫B細胞系マーカー
CD3T細胞リンパ腫T細胞系マーカー
HER2乳癌過剰発現が分子標的治療の適応判定に関与
エストロゲン受容体〈ER〉乳癌ホルモン受容体・内分泌療法の適応判定
AFP肝細胞癌・卵黄嚢腫瘍胚細胞・肝細胞由来マーカー
CEA大腸癌など消化管腺癌腺癌に共通するマーカー
PSA前立腺癌前立腺特異抗原
CA125卵巣漿液性癌卵巣癌マーカー
hCG絨毛癌栄養膜(トロホブラスト)由来
c-kit(CD117)消化管間質腫瘍〈GIST〉カハール介在細胞由来、分子標的治療の適応判定
ALK肺腺癌の一部・未分化大細胞リンパ腫遺伝子融合(EML4-ALK等)を反映
S100蛋白悪性黒色腫・神経鞘腫瘍神経堤由来細胞マーカー
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。

第59回 午後57(病理組織細胞学)

子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB057.4d66b268c9.jpg
第59回 午後57 の図

正答: ③上皮内癌

ポイント
本像ではN/C比が著しく高く、クロマチン増量と核形不整を示す小型の異型扁平上皮細胞がみられ、選択肢では上皮内癌を考える。現在のベセスダ分類ではHSILに相当する所見である。上皮内癌は組織学的には強い異型を示す細胞が上皮全層を置換し、基底膜を越える浸潤を欠く。しかし、擦過細胞診では上皮の層構造や間質浸潤を直接判定できないため、確定には組織診が必要である。壊死性背景が乏しいことだけで浸潤癌を除外しない。●異形成=組織学的に核異型が軽〜中等度で、異型細胞が上皮の一部にとどまる●上皮内癌=強い異型細胞が上皮全層を置換するが浸潤はない●浸潤癌=基底膜を越えて浸潤し、細胞診では壊死性背景(tumor diathesis)が参考所見となる。これらの段階の確定は組織診で行う。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:子宮頸部細胞診 Bethesdaシステムの分類

Bethesda分類従来のクラス分類推定される病変
NILMI・II非腫瘍性所見・炎症
ASC-USII・IIIa軽度扁平上皮内病変疑い
ASC-HIIIa・IIIb高度扁平上皮内病変疑い
LSILIIIaHPV感染・軽度異形成
HSILIIIa・IIIb・IV中等度異形成・高度異形成・上皮内癌
SCCV扁平上皮癌
AGCIIIa腺異型または腺病変疑い
AISIV上皮内腺癌
AdenocarcinomaV腺癌
上皮内癌(CIS)は従来分類のIVに相当し、Bethesdaシステムでは概ねHSILに含まれる。

第59回 午後58(病理組織細胞学)

感染症とその一次予防の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤結核 — BCG

ポイント
一次予防とは感染そのものの発生を防ぐ対策をいい、ワクチン接種がその代表である。結核に対するBCGは弱毒化したウシ型結核菌の生ワクチンで、乳児期の接種により結核、特に重症となりやすい粟粒結核や結核性髄膜炎の発症を予防する一次予防である。インターフェロンによるC型肝炎治療は一次予防ではない。一方、現在のHIV予防では抗HIV薬によるPrEP・PEPも用いられ、薬剤名だけで予防の段階を決めることはできない。一次予防には予防接種のほか生活環境の改善や健康教育も含まれる。●一次予防=ワクチン(BCG・B型肝炎ワクチンなど)で発症を未然に防ぐ●二次予防=検診などによる早期発見・早期治療●三次予防=発症後の治療や重症化・再発の防止(抗HIV薬・インターフェロンなど)。曝露後のγ-グロブリン投与は受動免疫による緊急予防にあたる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:感染症対策における一次予防・二次予防・三次予防

予防のレベル内容代表例
一次予防発症そのものを未然に防ぐBCG接種(結核)、B型肝炎ワクチン、生活環境改善・健康教育
二次予防早期発見・早期治療健診・検診によるスクリーニング
三次予防重症化・再発・後遺症の防止抗HIV薬による治療、インターフェロン治療、リハビリテーション
曝露後のγ-グロブリン投与(受動免疫)による緊急予防は一次予防に含めて扱われる。

第59回 午後59(臨床血液学)

血球産生について正しいのはどれか。

正答: ⑤髄外造血では末梢血に幼若な血球が出現する。

ポイント
髄外造血とは骨髄以外の臓器、主に肝臓や脾臓で血球が産生される状態で、骨髄線維症や重度の溶血など骨髄での造血が需要に追いつかないときにみられる。髄外造血では造血環境が未熟なため末梢血に幼若な赤芽球や骨髄球などの幼若血球が出現し、白赤芽球症と呼ばれる像を呈する。胎生期の造血は卵黄嚢で始まり肝臓・脾臓を経て骨髄へ移行し、出生後は骨髄が主要な造血の場となる。●胎生造血の場の移行=卵黄嚢→肝臓・脾臓→骨髄●エリスロポエチンの産生=主に腎臓(一部肝臓)で低酸素に応じて分泌される●形質細胞=リンパ系幹細胞由来のB細胞が分化したものであり骨髄系ではない。これらが造血の基本的知識となる。

選択肢ごとの解説

第59回 午後60(臨床血液学)

血小板活性化マーカーはどれか。

正答: ②β-トロンボグロブリン(β-TG)

ポイント
β-トロンボグロブリン(β-TG)は血小板のα顆粒に含まれる蛋白で、血小板が活性化して脱顆粒すると血漿中に放出されるため、血小板の活性化を反映するマーカーとなる。同じα顆粒由来の血小板第4因子(PF4)とともに血小板の活性化・消費の程度を表す指標として用いられる。他の選択肢はいずれも凝固系または線溶系の活性化を示す分子マーカーである。これらの分子マーカーは血栓性疾患やDICの病態把握に用いられる。●血小板活性化=β-TG・PF4(α顆粒からの放出)●凝固活性化=可溶性フィブリン・プロトロンビンフラグメントF1+2・トロンビン-アンチトロンビン複合体(トロンビン生成を反映)●線溶活性化=プラスミン-プラスミンインヒビター複合体・Dダイマー・FDP。

選択肢ごとの解説

第59回 午後61(臨床血液学)

骨髄染色標本を別に示す。考えられる診断はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB061.9bce35abc3.jpg
第59回 午後61 の図

正答: ②急性リンパ性白血病

ポイント
急性リンパ性白血病(ALL)では、核/細胞質比が高く明瞭な核小体を有し細胞質に乏しい均一なリンパ系芽球が骨髄を占拠する。芽球の細胞質には顆粒やAuer小体を欠き、ミエロペルオキシダーゼは陰性で、小児に好発する点が特徴である。骨髄系芽球にみられる顆粒やAuer小体を欠いた均一なリンパ系芽球の像から本診断が考えられる。確定には表面抗原解析による細胞系統の同定が行われる。●急性白血病の芽球=核小体が明瞭でN/C比が高い、AML系はAuer小体やアズール顆粒をもちMPO陽性、ALLはMPO陰性●慢性骨髄性白血病=顆粒球系の各成熟段階が連続的に増加し好塩基球も増える●慢性リンパ性白血病=成熟した小型リンパ球の単調な増加。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉のFAB分類と特徴

病型(FAB)別名MPO(ペルオキシダーゼ)特徴
M0最未分化型骨髄芽球性白血病陰性免疫学的マーカーは骨髄系のみ陽性
M1急性未分化型骨髄芽球性白血病3%以上陽性骨髄中の芽球が90%以上
M2急性分化型骨髄芽球性白血病3%以上陽性芽球90%未満、一部にt(8;21)
M3急性前骨髄球性白血病(APL)高率陽性t(15;17)、Auer小体束(faggot細胞)、DIC合併
M4急性骨髄単球性白血病3%以上陽性顆粒球系・単球系がともに増加、非特異的エステラーゼ陽性(M4Eoは好酸球増加・inv(16))
M5急性単球性白血病陰性非特異的エステラーゼ陽性
M6急性赤白血病3%以上陽性赤芽球50%以上
M7急性巨核芽球性白血病陰性巨核球系マーカー(CD41・CD42・CD61)陽性
急性リンパ性白血病(ALL)はMPO陰性(3%未満)で鑑別する。染色体異常・融合遺伝子は既存の『白血病の染色体異常と融合遺伝子』表を参照。

第59回 午後62(臨床血液学)

血球とその形態の特徴の組合せで誤っているのはどれか。

正答: ②前骨髄球 — 好塩基性斑点

ポイント
好塩基性斑点(好塩基性点状赤血球)はリボソームRNAの残存により赤血球内に青色顆粒が点在する所見で、鉛中毒やサラセミアなどでみられる赤血球の異常である。前骨髄球は顆粒球系の幼若細胞でアズール顆粒(一次顆粒)を多数もつのが特徴であり、好塩基性斑点は前骨髄球の特徴ではないため、この組合せは誤りである。好塩基性斑点は鉛がヘム合成酵素を阻害してRNAが残存することにより生じる。●正しい組合せ=骨髄芽球は明瞭な核小体をもつ、好中球の核付属物drumstick(女性のX染色体由来)、好塩基球はトルイジン青で異染性(メタクロマジー)、形質細胞はGolgi装置による核周明庭をもつ●好塩基性斑点=赤血球にみられる所見で前骨髄球とは関係がない。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血球の核・細胞質にみられる特徴的所見

所見対応する血球補足
ドラムスティック(太鼓のばち)好中球(女性)不活性化X染色体(Barr小体)に由来する核の付属物
明瞭な核小体骨髄芽球などの幼若な芽球N/C比(核/細胞質比)も高い
トルイジン青による異染性(メタクロマジー)好塩基球顆粒中のヘパリン等が原因
核周明庭(perinuclear halo)形質細胞Golgi装置に相当する淡明帯。核は偏在しクロマチンは車軸状
ペルオキシダーゼ反応陽性好中球・好酸球・単球(弱陽性)リンパ球・赤芽球・形質細胞は陰性

第59回 午後63(臨床血液学)

造血幹細胞に特徴的な細胞表面抗原はどれか。

正答: ④CD34

ポイント
CD34は造血幹細胞や前駆細胞のほか血管内皮細胞に発現する細胞表面抗原で、未分化な造血幹細胞のマーカーとして用いられ、末梢血幹細胞移植では採取される幹細胞数の指標となる。細胞の成熟に伴い発現が消失するため、CD34陽性は細胞の幼若性を示す指標となる。CD分類はモノクローナル抗体で認識される白血球の表面抗原を統一的に分類したものである。●系統を示すマーカー=CD4(ヘルパーT細胞・単球)・CD10(CALLA、Bリンパ芽球やALL)・CD33(骨髄系細胞)●共通白血球抗原=CD45(白血球全般に発現)●幹細胞・前駆細胞=CD34(未分化な造血細胞や血管内皮)。これらは細胞系統や分化段階の判定に用いられる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞

CD発現細胞・特徴
CD3汎T細胞、T細胞受容体
CD4ヘルパーT細胞(単球でも弱陽性)
CD10幼若B細胞(CALLA)
CD13顆粒球系細胞(CD33とともにFAB分類M0の診断に有用)
CD14成熟単球
CD19B細胞
CD20B細胞
CD25活性化T細胞(IL-2受容体α鎖、成人T細胞白血病でも陽性)
CD33顆粒球系細胞(CD13とともにFAB分類M0の診断に有用)
CD34造血幹細胞
CD38多発性骨髄腫細胞・形質細胞で強陽性(形質細胞に特異的ではない)
CD41巨核球(FAB分類M7の診断に有用)
CD45白血球全般(共通白血球抗原)
CD56NK細胞
CD61血小板(FAB分類M7の診断に有用)
CD138形質細胞に特異的

第59回 午後64(臨床血液学)

血液中のリンパ球が増加するのはどれか。2つ選べ。

正答: ④伝染性単核症・⑤百日咳

ポイント
末梢血のリンパ球が増加するのはウイルス感染症や一部の細菌感染である。伝染性単核症はEBウイルス感染症で、異型リンパ球を伴う絶対的リンパ球増多を示すのが特徴である。百日咳は百日咳菌の産生する毒素の作用により小型成熟リンパ球が著明に増加する。一方でCushing症候群、化膿性の細菌感染、心筋梗塞などでは好中球が増加する。リンパ球増多の評価では絶対数(個/μL)の増加で判定するのが原則である。●リンパ球増多=ウイルス感染(伝染性単核症など)・百日咳・結核●好中球増多=細菌性化膿性感染・心筋梗塞・Cushing症候群(ステロイド作用)●好酸球増多=アレルギー疾患や寄生虫感染。これらは増加する白血球の種類で鑑別される。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:疾患・病態と白血球分画の変化パターン

病態主な変化
細菌感染・急性炎症・ストレス・ステロイド好中球増加
Cushing症候群好中球増加・好酸球/リンパ球減少
寄生虫感染・アレルギー疾患好酸球増加
アレルギー疾患・慢性骨髄性白血病好塩基球増加
ウイルス感染リンパ球増加
真性多血症好中球・血小板・赤血球とも増加

第59回 午後65(臨床血液学)

次の文により65、66の問いに答えよ。78歳の男性。強打した前腕の激しい痛みと急速に増大する皮下血腫を主訴に救急外来を受診した。生来健康であった。血液所見:白血球9,200/μl、Hb 12.0 g/dl、血小板29万/μl、PT 10秒(正常対照10秒)、APTT 81秒(正常対照30秒)。考えられるのはどれか。

正答: ⑤後天性血友病A(第Ⅷ因子インヒビター)

ポイント
後天性血友病A(第Ⅷ因子インヒビター)は、生来健康な高齢者などに突然発症し、第Ⅷ因子に対する自己抗体(インヒビター)が産生されて第Ⅷ因子活性が低下する後天性の出血性疾患である。本例はPT正常・APTT延長(81秒)の内因系単独異常で、急速に増大する皮下血腫など重篤な出血を呈しており後天性血友病Aに合致する。先天性血友病と異なり高齢で発症し性別を問わない。自己抗体が第Ⅷ因子の機能を阻害するため重篤な出血を起こしやすい。●PT正常・APTT延長=内因系因子(第Ⅷ・Ⅸ因子など)の異常やインヒビター●PT・APTTともに延長=共通系の異常や複合的な凝固異常●血小板数が正常で出血傾向がある=凝固因子の異常や機能異常を考える。

選択肢ごとの解説

第59回 午後66(臨床血液学)

次の文により65、66の問いに答えよ。78歳の男性。強打した前腕の激しい痛みと急速に増大する皮下血腫を主訴に救急外来を受診した。生来健康であった。血液所見:白血球9,200/μl、Hb 12.0 g/dl、血小板29万/μl、PT 10秒(正常対照10秒)、APTT 81秒(正常対照30秒)。この患者に必要な検査はどれか。

正答: ③クロスミキシング試験

ポイント
後天性血友病Aを疑う際は、APTT延長が凝固因子の欠乏によるものか、インヒビター(抗体)の存在によるものかを区別するクロスミキシング試験が必要である。患者血漿と正常血漿を混合し、APTTが補正されれば因子欠乏、補正されなければインヒビターの存在を示す。本例はインヒビターによる延長のためAPTTは補正されない。インヒビターは時間とともに作用するため即時と加温(37℃・2時間)の両方で判定する。●クロスミキシング試験=補正される=因子欠乏型、補正されない=インヒビター型と判別できる●確定診断にはさらに第Ⅷ因子活性の測定とインヒビター力価(Bethesda法)の測定を行う●抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラントは抗リン脂質抗体症候群の検査で本例では補助的である。

選択肢ごとの解説

第59回 午後67(臨床血液学)

減数分裂を行う細胞はどれか。

正答: ①精母細胞

ポイント
減数分裂は染色体数を半減させて配偶子を形成する特殊な細胞分裂で、生殖細胞でのみ行われる。精母細胞は精子形成の過程で減数分裂を行い、二倍体(2n)の細胞から一倍体(n)の精子細胞を生じる。前赤芽球・骨髄芽球・破骨細胞・巨核芽球などの体細胞系の細胞は体細胞分裂(有糸分裂)のみを行い、染色体数は変わらない。●減数分裂=生殖細胞(精母細胞・卵母細胞)で配偶子形成のため染色体数を半減させる●体細胞分裂=それ以外の体細胞で染色体数を保ったまま増殖する●巨核球の核内分裂=核内倍加(DNA倍加)で多倍体の核となるもので減数分裂ではない。

選択肢ごとの解説

第59回 午後68(臨床微生物学)

肺炎患者の喀痰Gram染色標本を別に示す。起因菌と考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB068.8b177ab190.jpg
第59回 午後68 の図

正答: ②Moraxella catarrhalis

ポイント
Moraxella catarrhalisはグラム陰性の双球菌で、喀痰のGram染色では好中球の内外に並ぶそら豆状の陰性双球菌として観察される。慢性気道感染や高齢者・COPD患者の肺炎の起因菌となり、形態はNeisseriaに似るがオキシダーゼ陽性・DNase陽性などで鑑別される。本例のように陰性に染まる双球菌の像から本菌が考えられる。●グラム陰性双球菌=Moraxella catarrhalis・Neisseria(淋菌・髄膜炎菌)●グラム陽性双球菌=Streptococcus pneumoniae(莢膜をもつランセット状)●グラム陰性小桿菌=Haemophilus influenzae●細胞壁を欠きGram染色されない=Mycoplasma pneumoniae。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:Neisseria属・Moraxella属の糖分解パターンによる鑑別

菌グラム染色形態グルコース分解マルトース分解備考
Neisseria meningitidis陰性双球菌分解分解髄膜炎菌、CO₂要求性、飛沫感染、五類感染症(全数把握)
Neisseria gonorrhoeae陰性双球菌分解非分解淋菌、CO₂要求性、初尿での核酸増幅検査
Moraxella catarrhalis陰性双球菌非分解非分解下気道感染症・中耳炎、ヒツジ血液寒天にも発育
Haemophilus influenzaeもグルコース・マルトースをともに分解するが、双球菌ではなく多形性の球桿菌である点で鑑別する。

第59回 午後69(臨床微生物学)

下痢便のGram染色標本を別に示す。矢印で示すグラム陰性菌はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB069.947c8f69ae.jpg
第59回 午後69 の図

正答: ②Campylobacter jejuni

ポイント
Campylobacter jejuniはグラム陰性のらせん状(S字状・カモメ翼状)の細い湾曲桿菌で、下痢便のGram染色では矢印で示されるような特徴的な曲がった細菌として観察される。微好気性で42℃で発育し、鶏肉などを介した細菌性腸炎の主要な起因菌である。Guillain-Barré症候群の先行感染としても重要である。●らせん・湾曲した菌=Campylobacter(カモメ翼状)・Helicobacter(らせん状)・Vibrio(コンマ状)●Vibrio parahaemolyticusはコンマ状で海産物による食中毒の原因●Yersinia enterocolitica・Aeromonas hydrophilaはグラム陰性桿菌で湾曲は目立たない。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:便のGram染色でみられる彎曲・らせん状グラム陰性桿菌の鑑別

菌形態特徴
Campylobacter jejuniカモメの翼状(S字状)に彎曲微好気性、42℃発育、Skirrow培地、Guillain-Barré症候群の先行感染菌
Vibrio parahaemolyticusコンマ状(単一の屈曲)好塩性、TCBS寒天培地、海産物による食中毒
Helicobacter pyloriらせん状(複数回転)ウレアーゼ産生、胃粘膜に生息、胃炎・胃潰瘍・胃MALTリンパ腫の原因

第59回 午後70(臨床微生物学)

光発色性のあるのはどれか。

正答: ③Mycobacterium kansasii

ポイント
Mycobacterium kansasiiは光発色菌(photochromogen)に分類される非結核性抗酸菌で、暗所で培養すると無色だが光に曝すと黄橙色のカロテノイド系色素を産生する性質をもつ。Runyon分類のⅠ群にあたり、肺結核に類似した慢性肺感染症を起こす。●Runyon分類=Ⅰ群光発色菌(M. kansasii・M. marinum)・Ⅱ群暗発色菌(M. scrofulaceum)・Ⅲ群非発色菌(M. avium-intracellulare)・Ⅳ群迅速発育菌(M. fortuitumなど)●結核菌群(M. tuberculosis・M. bovis)は色素を産生しない●M. lepraeは人工培地に発育しないらい菌で発色性を論じる対象ではない。

選択肢ごとの解説

第59回 午後71(臨床微生物学)

真菌をTween 80加コンミール寒天培地でスライド培養した。顕微鏡写真を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB071.7fe2cb2b87.jpg
第59回 午後71 の図

正答: ②Candida albicans

ポイント
Candida albicansはコーンミール・Tween80加寒天でのスライド培養で、仮性菌糸とその先端や節に形成される厚壁胞子(厚膜分生子、chlamydospore)を作るのが特徴で、これにより同定される。この厚壁胞子の形成は他のCandida属との重要な鑑別点となる。さらに血清中での発芽管(germ tube)形成試験も本菌の同定に有用である。●Candida albicans=仮性菌糸+厚壁胞子+発芽管陽性●Cryptococcus neoformans=厚い莢膜をもつ出芽酵母(墨汁法で証明)●Aspergillus=有隔菌糸と分生子頭●Trichophyton=皮膚糸状菌で大分生子・小分生子を形成する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:酵母様真菌の鑑別(Cryptococcus・Candida・Trichosporon)

菌特徴的な構造莢膜(墨汁法)
Cryptococcus neoformans莢膜を形成、ウレアーゼ試験陽性陽性(墨汁法で排除帯として観察)
Candida albicans発芽管・仮性菌糸・厚膜胞子を形成陰性
Trichosporon属真正菌糸・分節胞子を形成陰性
Candida albicansの厚膜胞子・仮性菌糸の証明にはlactophenol cotton blue染色を用いる(墨汁法はCryptococcusの莢膜証明に用いる)。

第59回 午後72(臨床微生物学)

原因となるウイルスと疾病の組合せで正しいのはどれか。

正答: ②コクサッキーウイルス — ヘルパンギーナ

ポイント
コクサッキーウイルス(特にA群)はエンテロウイルス属のウイルスで、口腔粘膜の小水疱や潰瘍と発熱を呈するヘルパンギーナの主要な原因であり、夏かぜとして乳幼児に流行する。手足口病の原因にもなる。他の選択肢は原因ウイルスと疾患の対応が一致しない。●正しい対応=コクサッキーウイルス=ヘルパンギーナ・手足口病●突発性発疹=ヒトヘルペスウイルス6・7●伝染性紅斑(リンゴ病)=パルボウイルスB19●乳児嘔吐下痢症=ロタウイルス●帯状疱疹=水痘・帯状疱疹ウイルス。これらは原因ウイルスと疾患の正しい組合せである。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主なウイルスと疾患

ウイルス核酸エンベロープ疾患
ヒトパルボウイルスB19DNA−伝染性紅斑(リンゴ病)
単純ヘルペスウイルスDNA+1型:口唇/角膜ヘルペス、2型:性器ヘルペス
水痘・帯状疱疹ウイルスDNA+水痘、帯状疱疹、脳炎
EBウイルスDNA+伝染性単核球症、Burkittリンパ腫
サイトメガロウイルスDNA+巨細胞封入体症、間質性肺炎
ヒトヘルペスウイルス6、7DNA+突発性発疹
B型肝炎ウイルスDNA+B型肝炎
アデノウイルスDNA−咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎
アデノウイルス40、41DNA−乳児の急性胃腸炎
パピローマウイルスDNA−疣贅(いぼ)、子宮頸癌
エンテロウイルス71RNA−手足口病
ロタウイルスRNA−乳児嘔吐下痢症
ノロウイルスRNA−ウイルス性食中毒・胃腸炎
日本脳炎ウイルスRNA+日本脳炎
エコーウイルスRNA−夏風邪、無菌性髄膜炎
コクサッキーウイルスRNA−A群:ヘルパンギーナ・手足口病、B群:流行性筋痛症・心筋炎
ライノウイルスRNA−風邪症候群(成人の普通感冒)
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉RNA+AIDS
風疹ウイルスRNA+風疹、先天性風疹症候群
ムンプスウイルスRNA+流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
インフルエンザウイルスRNA+流行性感冒
デングウイルスRNA+デング熱、デング出血熱
C型肝炎ウイルスRNA+C型肝炎、肝硬変、肝癌
RSウイルスRNA+乳児の冬季肺炎(細気管支炎)
コロナウイルスRNA+普通感冒など

第59回 午後73(臨床微生物学)

HIVの確認検査はどれか。

正答: ④ウエスタンブロット法

ポイント
HIV感染の診断は、まずスクリーニング検査(酵素免疫測定法など)で陽性となった検体について確認検査を行う手順をとる。確認検査にはウエスタンブロット法が用いられ、HIVの各構造蛋白(gp160・gp120・p24など)に対する抗体を個別のバンドとして検出し、特異的に判定する。近年は核酸増幅検査(NAT)も確認に併用される。●スクリーニング=酵素免疫測定法・イムノクロマト法(感度を重視する)●確認=ウエスタンブロット法(特異性を重視する)や核酸増幅検査●感作ゼラチン粒子凝集法(PA法)はスクリーニングに用いる凝集反応である。

選択肢ごとの解説

第59回 午後74(臨床微生物学)

プリオンが感染因子となる疾患はどれか。2つ選べ。

正答: ①Creutzfeldt-Jacob病・②ウシ海綿状脳症

ポイント
プリオン病は異常プリオン蛋白(PrPSc)が感染因子となり、正常プリオン蛋白を次々と異常型に変換して海綿状脳症を起こす疾患である。Creutzfeldt-Jakob病はヒトのプリオン病、ウシ海綿状脳症(BSE)はウシのプリオン病であり、いずれも核酸をもたない蛋白のみが感染因子となって伝播する点が特徴である。他の選択肢はいずれもウイルスによる感染症である。●プリオン病=Creutzfeldt-Jakob病・ウシ海綿状脳症・クールー・スクレイピー(核酸をもたない蛋白性感染因子)●ウイルス感染症=狂犬病(ラブドウイルス)・日本脳炎(フラビウイルス)・ラッサ熱(アレナウイルス)。

選択肢ごとの解説

第59回 午後75(臨床微生物学)

髄液とその他の検査材料で感受性判定基準(感性、中間、耐性)が異なるのはどれか。

正答: ⑤Streptococcus pneumoniae

ポイント
Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)は、ペニシリン耐性化(PRSP)が問題となるため、感染部位によって感受性の判定基準(ブレイクポイント)が分けられている。髄膜炎では血液脳関門により薬剤の移行が制限され重篤化しやすいことから、髄液由来株には非髄膜炎例より厳しい(低い)ペニシリンのブレイクポイントが設定され、髄液とその他の検査材料で耐性判定が異なる。●感受性判定=原則として統一した基準値(MIC)で判定する●肺炎球菌のペニシリン=髄膜炎(髄液)か非髄膜炎かで判定基準が異なる●他の菌(大腸菌・インフルエンザ菌・髄膜炎菌・B群溶連菌)は部位別の二重基準を設けていない。

選択肢ごとの解説

第59回 午後76(臨床微生物学)

微生物を含むエアロゾルが発生する操作はどれか。2つ選べ。

正答: ②検査材料の遠沈・③白金耳の火炎滅菌

ポイント
微生物を含むエアロゾルとは、病原体を含む微細な液滴(飛沫核)が空気中に浮遊した状態をいい、吸入による実験室内感染(ラボラトリ感染)の主要な経路となる。液体検体を機械的に攪拌・加圧・加熱・噴霧するような操作で発生しやすく、検体を高速で回転させる遠心分離では容器の破損や遠心後の開栓時に菌を含む飛沫が飛び散り、白金耳を炎にかざす火炎滅菌では白金耳に付着した検体液が急激な加熱で弾けて周囲にエアロゾルを生じる。感染性エアロゾルを生じうる検体操作には生物学的安全キャビネットを用いる。遠心では密閉ローターや密閉式安全カップを使用し、必要な装填・開封操作をキャビネット内で行う。キャビネット内の開放炎は気流を乱すため原則として避け、使い捨て白金耳相当品や適切な電気式滅菌器を用いる。●エアロゾルが生じやすい操作=遠心分離、白金耳の火炎滅菌、ピペッティング、激しい混和、容器の開栓、超音波による菌体破砕。●飛沫がほとんど生じない操作=密封容器の運搬・保存、固形培地上のコロニーの目視観察、滅菌済み廃棄物の処理。

選択肢ごとの解説

第59回 午後77(臨床微生物学)

血液培養において汚染菌の可能性が高いのはどれか。

正答: ③Propionibacterium acnes

ポイント
血液培養で検出された菌が真の起因菌か汚染菌(コンタミネーション)かは、その菌が皮膚常在菌か否か、複数セット採取での陽性率や陽性化までの時間などから総合的に判断する。Propionibacterium acnes(現Cutibacterium acnes)は皮膚の毛包や脂腺に常在する嫌気性グラム陽性桿菌で、採血の穿刺時に皮膚から血液培養ボトルへ混入しやすく、複数セット中1セットのみの単独陽性であれば汚染の可能性が高いと考える。検出された場合は患者背景や他セットの結果と併せて意義を評価する。●汚染菌になりやすい皮膚常在菌=コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、Cutibacterium(Propionibacterium)acnes、Corynebacterium属、Bacillus属。●真の起因菌になりやすい菌=腸内細菌目、緑膿菌、腸球菌、黄色ブドウ球菌、Candida属。

選択肢ごとの解説

第59回 午後78(臨床微生物学)

PCR法で使用しないのはどれか。

正答: ①制限酵素

ポイント
PCR(polymerase chain reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)は、標的DNAを試験管内で指数関数的に増幅する手法で、二本鎖を解離させる高温の熱変性、プライマーを結合させるアニーリング、新しい鎖を合成する伸長という3段階の温度サイクルを繰り返す。反応に必須の成分は、鋳型となるDNA、標的領域の両端を挟む一対のプライマー、高温に耐えて働く耐熱性DNAポリメラーゼ、合成の基質となるデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)、そしてポリメラーゼの活性に必要な補因子であるマグネシウムイオンである。制限酵素はDNAを特定の塩基配列で切断する酵素で、クローニングや制限断片長解析で用いるがPCRの増幅反応そのものには使用しない。●PCRに必須=プライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ(Taq等)、dNTP、Mg²⁺、緩衝液。●PCRには用いない=制限酵素、DNAリガーゼ。

選択肢ごとの解説

第59回 午後79(臨床免疫学)

抗原提示細胞はどれか。2つ選べ。

正答: ①B細胞・③樹状細胞

ポイント
抗原提示細胞は、取り込んだ抗原を細胞内で分解し、MHCクラスII分子にペプチド断片を載せてヘルパーT細胞に提示することで、獲得免疫応答を始動させる細胞である。MHCクラスIIを恒常的に発現し、T細胞を活性化する共刺激分子をもつプロフェッショナル抗原提示細胞は、樹状細胞・マクロファージ・B細胞の3種であり、なかでも樹状細胞は最も強力でナイーブT細胞をも活性化できる。B細胞はB細胞受容体で特異的に捕えた抗原を効率よく提示する。●プロフェッショナル抗原提示細胞=樹状細胞、マクロファージ、B細胞。●抗原提示を主としない細胞=好中球(細菌の貪食殺菌が主体)、肥満細胞(IgE依存性の即時型アレルギー)、キラーT細胞(感染細胞や腫瘍細胞の傷害が役割)。●関連=マクロファージも貪食した抗原をMHCクラスIIで提示するプロフェッショナル抗原提示細胞であり、樹状細胞・B細胞とともに獲得免疫の起点を担う。

選択肢ごとの解説

第59回 午後80(臨床免疫学)

J鎖をもつ免疫グロブリンはどれか。2つ選べ。

正答: ①IgA・⑤IgM

ポイント
J鎖(joining chain)は、免疫グロブリンの単量体どうしを連結する小さなポリペプチドで、多量体を形成するIgAとIgMにのみ含まれる。IgAは粘膜分泌時にJ鎖を介して二量体を形成して分泌型IgAとなり、IgMは血中でJ鎖を介して五量体を形成する。J鎖は多量体化と分泌に必須であり、IgMの五量体構造は強い補体活性化能をもたらす。一方、単量体として存在するIgG・IgD・IgEはJ鎖をもたない。●J鎖をもつ免疫グロブリン=分泌型IgA(二量体)、IgM(五量体)。●J鎖をもたない単量体の免疫グロブリン=IgG、IgD、IgE。●関連事項=分泌型IgAは上皮細胞由来の分泌成分(secretory component)も付与され、粘膜面で分解を受けにくく安定化する。また五量体のIgMは分子量が大きく血管内にとどまりやすいため、感染初期に最初に産生される抗体となる。

選択肢ごとの解説

第59回 午後81(臨床免疫学)

散乱光の強度を測定原理とするのはどれか。

正答: ③免疫比ろう法

ポイント
免疫比ろう法(ネフェロメトリー)は、抗原抗体反応によって形成された微小な免疫複合体に光を照射し、複合体の粒子によって散乱した光(散乱光)の強度を測定して抗原量を定量する方法である。散乱光の強度は免疫複合体の量に応じて増加するため、微量の抗原を高感度に測定できる。これに対し免疫比濁法(タービジメトリー)は、複合体による濁りで減弱した透過光の量(濁度・吸光度)を測定する方式であり、両者は同じ抗原抗体反応を用いるが測定する光が異なる。●散乱光を測定原理とする=免疫比ろう法(ネフェロメトリー)。●透過光(濁度・吸光度)を測定原理とする=免疫比濁法(タービジメトリー)。●標識物質を用いて検出する=蛍光抗体法、酵素免疫測定法、化学発光免疫測定法。●補足=免疫比ろう法は感度が高く微量蛋白の定量に適し、免疫比濁法は自動分析装置で多検体を迅速に処理できる利点があり、測定対象の濃度域に応じて使い分けられる。

選択肢ごとの解説

第59回 午後82(臨床免疫学)

能動免疫はどれか。2つ選べ。

正答: ①感染による抗体獲得・②ワクチン接種による抗体獲得

ポイント
能動免疫は、生体自身が抗原の刺激に応答して抗体や記憶細胞を産生して獲得する免疫であり、効果の発現は遅いものの免疫記憶が成立するため長期間持続する。病原体への自然感染による抗体獲得と、ワクチン接種による抗体獲得がこれにあたる。これに対し受動免疫は、他者や他個体が産生済みの抗体を受け取って獲得する免疫であり、即効性はあるが免疫記憶が残らないため効果は一時的で、抗体が代謝されると失われる。●能動免疫=自然感染による抗体獲得、ワクチン接種(自ら抗体を産生し長期持続)。●受動免疫=γ-グロブリン製剤の投与、母乳(初乳IgA)を介した移行、胎盤を介したIgGの移行(他者の抗体を受け取り効果は一時的)。●補足=胎盤を通過できるのはIgGのみであり、新生児は生後しばらく母由来のIgGに守られるが、自らの免疫が成熟するまで一過性に低ガンマグロブリン血症となる時期がある。

選択肢ごとの解説

第59回 午後83(臨床免疫学)

臓器特異的な自己免疫疾患はどれか。

正答: ③橋本病

ポイント
自己免疫疾患は、標的とする自己抗原の分布によって、特定の臓器に存在する自己抗原を標的とする臓器特異的自己免疫疾患と、核成分など全身の細胞に共通する自己抗原を標的とする全身性(非臓器特異的)自己免疫疾患に大別される。橋本病(慢性甲状腺炎)は甲状腺を標的とし、抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体によって甲状腺組織が破壊され、甲状腺機能低下症をきたす代表的な臓器特異的自己免疫疾患である。●臓器特異的自己免疫疾患=橋本病、Basedow病、1型糖尿病、重症筋無力症、悪性貧血、原発性胆汁性胆管炎。●全身性(非臓器特異的)自己免疫疾患=SLE、強皮症、関節リウマチ、結節性多発性動脈炎、Sjögren症候群、多発性筋炎。●補足=全身性の疾患では抗核抗体など全身の細胞核成分に対する自己抗体が陽性となることが多く、臓器特異的な疾患では橋本病の抗甲状腺抗体のように標的臓器に対応した自己抗体が検出される。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臓器特異的自己抗体と自己免疫疾患

自己抗体対応する疾患
抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体悪性貧血
抗TSH受容体抗体Basedow病
抗サイログロブリン抗体・抗甲状腺ペルオキシダーゼ(抗マイクロソーム)抗体橋本病(慢性甲状腺炎)
抗アセチルコリン受容体抗体重症筋無力症
抗ミトコンドリア抗体原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉
抗赤血球抗体自己免疫性溶血性貧血
抗血小板抗体特発性血小板減少性紫斑病〈ITP〉
抗糸球体基底膜抗体Goodpasture症候群
抗平滑筋抗体・抗核抗体自己免疫性肝炎
抗副腎皮質抗体特発性Addison病
リウマトイド因子・抗CCP抗体関節リウマチ〈RA〉
抗GAD抗体1型糖尿病
抗dsDNA抗体・抗Sm抗体全身性エリテマトーデス〈SLE〉
抗Scl-70抗体・抗セントロメア抗体全身性強皮症(全身性硬化症)
抗Jo-1抗体多発性筋炎・皮膚筋炎
抗SS-A抗体・抗SS-B抗体Sjögren症候群
抗ENA抗体・抗U1-RNP抗体混合性結合組織病〈MCTD〉
サイロキシン結合グロブリン〈TBG〉は甲状腺ホルモンの運搬蛋白であり、自己抗体の標的とはならない。

第59回 午後84(臨床免疫学)

抗セントロメア抗体陽性血清が蛍光抗体法による抗核抗体検査で示す染色パターンはどれか。

正答: ⑤散在斑紋型(discrete speckled)

ポイント
抗核抗体検査を蛍光抗体間接法(HEp-2細胞などを基質とする)で行うと、患者血清中の自己抗体が標的とする核内抗原の局在に応じて、特徴的な染色パターンが観察される。抗セントロメア抗体は、細胞分裂期に凝集する染色体の動原体(セントロメア)に局在するため、間期細胞では核内に多数の小さな点状の蛍光が散在する散在斑紋型(discrete speckled、dot状)を示し、CREST症候群を含む限局性強皮症と関連が深い。●代表的な染色パターンと対応する抗体=均一型→抗ds-DNA抗体・抗ヒストン抗体、斑紋型→抗U1-RNP・抗Sm・抗SS-A/SS-B抗体、核小体型→抗Scl-70抗体等、散在斑紋型→抗セントロメア抗体、細胞質型→抗ミトコンドリア抗体・抗Jo-1抗体。●補足=染色パターンは含まれる自己抗体の種類を推定する手がかりとなり、続いて二重免疫拡散法や特異的抗体測定で対応抗原を同定し、疾患の鑑別に役立てる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患

染色パターン推定される抗体代表的な疾患
辺縁(peripheral)型抗DNA抗体全身性エリテマトーデス〈SLE〉
均質(homogeneous)型抗ヒストン抗体/抗DNP抗体SLE・薬剤誘発性ループス/SLE・RA・全身性強皮症
斑紋(speckled)型 — 抗U1-RNP抗体抗ENA抗体混合性結合組織病〈MCTD〉
斑紋(speckled)型 — 抗Sm抗体抗ENA抗体SLE
斑紋(speckled)型 — 抗SS-B抗体抗ENA抗体Sjögren症候群
斑紋(speckled)型 — 抗Scl-70抗体抗ENA抗体全身性強皮症
核小体(nucleolar)型抗核小体抗体・抗PM-Scl抗体全身性強皮症
散在斑紋(discrete speckled)型抗セントロメア抗体CREST症候群
細胞質(cytoplasmic)型抗ミトコンドリア抗体/抗Jo-1抗体/抗SS-A抗体原発性胆汁性胆管炎/多発性筋炎・皮膚筋炎/Sjögren症候群

第59回 午後85(臨床免疫学)

Bence Jones蛋白について正しいのはどれか。

正答: ④単クローン性の遊離L鎖である。

ポイント
Bence Jones蛋白は、形質細胞の単クローン性(腫瘍性)増殖に伴って過剰に産生される、単クローン性の遊離L鎖(免疫グロブリン軽鎖、κまたはλのいずれか一方)である。分子量が小さいため腎糸球体を通過して尿中に排泄され、多発性骨髄腫やマクログロブリン血症でみられる。約56℃で白濁・凝固し、100℃近くまで加温すると再び溶解するという熱凝固性が古典的な特徴である。●Bence Jones蛋白の性質=形質細胞由来の単クローン性遊離L鎖、低分子で尿中に排泄、56℃で凝固し100℃で再溶解。●免疫グロブリン軽鎖の構造=可変部1ドメインと定常部1ドメインの計2ドメインからなる(定常部が3〜4ドメインあるのは重鎖である)。●補足=多発性骨髄腫では血清・尿の蛋白電気泳動でM蛋白の鋭いピーク(Mピーク)を認め、免疫電気泳動や免疫固定法で単クローン性であることを確認する。

選択肢ごとの解説

第59回 午後86(臨床免疫学)

免疫電気泳動像を別に示す。疾患として考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB086.eeb84cf56e.jpg
第59回 午後86 の図

正答: ④原発性マクログロブリン血症

ポイント
原発性マクログロブリン血症(Waldenströmマクログロブリン血症)は、リンパ形質細胞性リンパ腫が単クローン性のIgMを大量に産生する疾患である。免疫電気泳動では、IgMを構成するμ鎖の沈降線と、κまたはλいずれか一方のL鎖の沈降線とが、同じ移動位置で限局性に膨隆した異常弧(M弧)を示し、両者が一致することで分泌型IgMによるM蛋白と判定できる。はμ鎖と単一L鎖が対応して突出する像を呈する。●M蛋白の同定=重鎖の型(γ・α・μ)と軽鎖の型(κ・λ)の組合せから疾患を判定する。●μ+単一L鎖=原発性マクログロブリン血症、γ+単一L鎖=IgG型骨髄腫、α+単一L鎖=IgA型骨髄腫、L鎖のみ=Bence Jones蛋白型骨髄腫。●補足=原発性マクログロブリン血症ではIgMが大量に増えるため血液粘稠度が上昇し、過粘稠度症候群による視力障害や出血傾向、神経症状をきたすことがある。

選択肢ごとの解説

第59回 午後87(臨床免疫学)

不規則抗体について正しいのはどれか。

正答: ③IgGクラスの抗体が臨床的に重要である。

ポイント
不規則抗体は、ABO血液型抗原以外の赤血球血液型抗原に対する抗体の総称で、輸血や妊娠による免疫感作で産生される免疫抗体が主体である。臨床的に問題となるのはIgGクラスの抗体で、37℃で反応し胎盤も通過するため、間接抗グロブリン試験(クームス試験)で検出され、溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患の原因となる。輸血前にはこの間接抗グロブリン試験を含む不規則抗体スクリーニングが行われる。●臨床的に重要な不規則抗体(IgG・37℃反応・間接抗グロブリン試験で検出)=抗Rh(D・E・c等)、抗Duffy、抗Kidd、抗Diego(a)。●日本人で頻度が高いもの=抗E抗体、抗Lewis抗体、抗Di(a)抗体。●検出法=間接抗グロブリン試験(生理食塩液法ではIgG抗体の多くを見逃す)。●補足=不規則抗体スクリーニングで陽性となった場合は抗体同定検査でその特異性を決定し、対応抗原が陰性の血液を選んで交差適合試験を行ったうえで輸血する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不規則抗体同定検査:反応相と抗体推定の原則

反応相・検出法検出される抗体クラス代表的な血液型系
生理食塩液法(室温)IgM(冷式抗体)MNS系(抗M)・Lewis系・P1系
酵素法(パパイン・ブロメリン処理)IgG(一部の抗体で反応増強)Rh系
間接抗グロブリン試験(37℃)IgG(温式抗体)Rh系(抗D・抗E・抗c等)・Kidd系・Duffy系
同定は既知抗原表(アンチグラム)とパネル赤血球の反応を照合し、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を消去していく消去法で行う。消去されずに残った抗体が「否定できない抗体」であり、陽性反応を示した赤血球に共通する抗原に対応する抗体を「可能性の高い抗体」と推定する。抗原量が少ないと反応が弱まる量的効果(dosage)があるため、量的効果のある抗原はホモ接合の血球で陰性の場合に消去するのが原則である。間接抗グロブリン試験の反応増強剤にはLISS(低イオン強度溶液)やPEG(ポリエチレングリコール)が用いられる。

第59回 午後88(臨床免疫学)

輸血副作用とその予防策または対処法の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①輸血後肝炎 — 核酸増幅検査(NAT)・④溶血性輸血副作用 — 不規則抗体検査

ポイント
輸血副作用は機序ごとに予防策・対処法が異なるため、機序と対策を正確に対応づける必要がある。輸血後肝炎はドナー血中の肝炎ウイルス混入が原因で、核酸増幅検査(NAT)によるスクリーニングでウイルスの検出感度を高めて発生を低減する。溶血性輸血副作用は赤血球抗原に対する抗体による血管内・血管外溶血で、輸血前の不規則抗体検査と交差適合試験によって不適合を回避し、発症時には原因抗体の検索を行う。●機序と対策の正しい対応=輸血後肝炎→核酸増幅検査(NAT)、溶血性輸血副作用→不規則抗体検査・交差適合試験、輸血後GVHD→血液製剤への放射線照射、非溶血性発熱反応→白血球除去、輸血関連急性肺傷害(TRALI)→抗白血球抗体陰性ドナーの選択。●補足=輸血後GVHDは輸血されたドナーリンパ球が患者組織を攻撃する致死的合併症で、放射線照射でリンパ球の増殖能を失わせて予防する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:輸血副作用の機序・発症時期と予防・対策

副作用機序発症時期予防・対策
ABO不適合輸血(急性溶血性)免疫学的(IgM性抗A・抗B)即時型不規則抗体検査・交差適合試験の徹底
遅発性溶血性輸血反応免疫学的(既往感作による不規則抗体、抗Jkaなど)遅発型(輸血後7〜10日)不規則抗体スクリーニング・同定
発熱性非溶血性輸血副作用免疫学的(抗白血球抗体・サイトカイン)即時型保存前白血球除去
アレルギー・アナフィラキシー免疫学的(抗IgA抗体など)即時型IgA欠損の確認、洗浄血の使用
輸血関連急性肺障害〈TRALI〉免疫学的(供血者血漿中の抗白血球抗体・抗HLA抗体)即時型(輸血後6時間以内)妊娠歴のある女性供血者血漿を避ける
輸血後GVHD免疫学的(供血者Tリンパ球が生着し宿主組織を攻撃)遅発型(輸血後7〜14日)血液製剤への放射線照射(約15Gy)
輸血後感染症(肝炎など)非免疫学的(病原体混入)遅発型核酸増幅検査〈NAT〉
細菌汚染によるショック非免疫学的即時型(輸血後4時間以内)無菌的採血操作・外観検査
輸血関連循環過負荷〈TACO〉非免疫学的(循環血液量の急増)即時型輸血速度・輸血量の調整
鉄過剰症非免疫学的(長期反復輸血)遅発型鉄キレート療法
輸血副作用は「溶血性/非溶血性」×「免疫学的/非免疫学的」×「即時型/遅発型」で整理できる。

第59回 午後89(臨床免疫学)

新生児溶血性疾患の新生児へ赤血球を輸血する際に、実施する必要がない検査はどれか。

正答: ④父親の不規則抗体

ポイント
新生児溶血性疾患(新生児溶血性黄疸)は、母児間の血液型不適合により、母親が産生したIgGクラスの抗体が胎盤を通過して児に移行し、児の赤血球を破壊することで生じる病態である。児への輸血用血液を選択するには、児の血液型、母児双方の血液型、そして溶血の原因となった抗体を特定するための母親の不規則抗体検査が必要となる。父親の不規則抗体は児の溶血に直接関与しないため、輸血実施に必須の検査ではない。●新生児への輸血で必要な検査=児の血液型、母親の血液型と母親の不規則抗体(原因抗体の特定)、父親の血液型(児がもつ抗原の由来の推定)。●実施する必要がない検査=父親の不規則抗体(児の溶血の原因は母親由来の抗体であるため)。●補足=児への輸血では、母由来の原因抗体に対応する抗原をもたない血液を選び、母親の血液とも交差適合試験を行うことで、移行した抗体による溶血を防ぐ配慮が必要である。

選択肢ごとの解説

第59回 午後90(公衆衛生学)

部位別にみた悪性新生物の年齢調整死亡率を1960年と2010年で比較した。女性において2010年で低下がみられるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①胃・④子宮

ポイント
年齢調整死亡率は、集団の年齢構成の違いによる影響を取り除いて死亡リスクを比較するための指標で、基準人口に合わせて補正した死亡率である。女性において1960年から2010年にかけて低下したのは胃と子宮であり、胃は冷蔵庫の普及による食塩・塩蔵品摂取の減少やHelicobacter pylori感染への対策が、子宮は子宮頸癌検診の普及などが背景にある。●女性で年齢調整死亡率が低下した部位=胃、子宮。●年齢調整死亡率が上昇した部位=気管・気管支および肺、乳房、大腸。●変化の背景=食生活の改善とがん検診の普及により胃・子宮が減少し、喫煙の影響や脂肪摂取の増加など生活様式の欧米化により肺・乳房・大腸が増加した。●補足=年齢調整死亡率は高齢化が進む集団どうしや経年変化を公平に比較するために用いられ、実数の粗死亡率とは増減の傾向が異なる場合がある点に注意する。

選択肢ごとの解説

第59回 午後91(公衆衛生学)

化学物質と曝露の生体指標の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①カドミウム — 尿中β₂-ミクログロブリン・③ニトロベンゼン — 血中メトヘモグロビン

ポイント
生体指標(バイオマーカー)は、化学物質への曝露量や生体への影響を、尿や血液などの生体試料中の物質量で評価する指標であり、物質ごとに特異的な指標が用いられる。カドミウム曝露では近位尿細管が障害されて再吸収が低下するため尿中β₂-ミクログロブリンが増加し、ニトロベンゼンやアニリンは赤血球内のヘモグロビンを酸化してメトヘモグロビンを生成するため血中メトヘモグロビンが増加する。●正しい組合せ=カドミウム→尿中β₂-ミクログロブリン、ニトロベンゼン→血中メトヘモグロビン。●他の代表的な組合せ=トルエン→尿中馬尿酸、ベンゼン→尿中フェノール、鉛→尿中δ-アミノレブリン酸、有機リン系農薬→血清コリンエステラーゼ低下、水銀→尿中水銀。●補足=生体指標は曝露量の把握だけでなく早期の健康影響の検出にも用いられ、特殊健康診断や作業環境管理における曝露評価の重要な手段となっている。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:化学物質・有機溶剤と生体曝露指標(生物学的モニタリング)

物質主な検査項目(生体指標)
カドミウム尿中β2-ミクログロブリン(尿中低分子蛋白)・尿中カドミウム
鉛尿中δ-アミノレブリン酸
ベンゼン尿中フェノール
ニトロベンゼン血中メトヘモグロビン
トルエン尿中馬尿酸
キシレン尿中メチル馬尿酸
マンガン血中マンガン
スチレン尿中マンデル酸
ノルマルヘキサン尿中2,5-ヘキサンジオン
有機リン系農薬は血清コリンエステラーゼ活性の低下、メチル水銀は毛髪中・血中水銀が曝露指標となる。尿中水銀は主として金属水銀・無機水銀の曝露評価に用い、メチル水銀と区別する。生物学的モニタリングは血液・尿・毛髪など生体試料から作業者の化学物質曝露量を評価する手法である。

第59回 午後92(公衆衛生学)

介護保険について正しいのはどれか。

正答: ③ケアプランは本人が作成できる。

ポイント
介護保険は市町村および特別区を保険者とする社会保険で、要介護・要支援の認定を受けた被保険者に介護サービスを給付する制度である。サービスの利用にはケアプラン(居宅サービス計画)が必要だが、これは介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成するほか、被保険者本人が自ら作成して市町村に届け出ることもできる(セルフケアプラン)。●介護保険の要点=保険者は市町村・特別区、第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40〜64歳の医療保険加入者、ケアプランは本人が作成することも可能。●施設サービス=要介護者は介護老人保健施設や介護老人福祉施設等を利用でき、施設への入所は施設との契約によって行われる。●補足=介護保険の財源は被保険者の保険料と公費(国・都道府県・市町村)でまかなわれ、利用者は原則として費用の一部を自己負担してサービスを受ける仕組みである。

選択肢ごとの解説

第59回 午後93(公衆衛生学)

臨床検査技師が採血を行うことができない部位はどれか。

正答: ②大腿静脈

ポイント
臨床検査技師は、医師の具体的な指示の下で採血を行うことができるが、その採血部位は臨床検査技師等に関する法令や関係通知によって限定されている。採血が認められているのは、肘静脈などの四肢の表在静脈と、耳朶・指頭などの毛細血管に限られ、大腿静脈のような深部の静脈や動脈からの採血は認められていない。大腿静脈は鼠径部の深部を走行し、大腿動脈や神経に近接して穿刺の危険が大きいため、その採血は医師が行う。●臨床検査技師が採血できる部位=肘静脈、手背・足背などの四肢の表在静脈、耳朶や指頭の毛細血管。●臨床検査技師が採血できない部位=大腿静脈などの深部の静脈・動脈(これらは医師が行う)。●補足=臨床検査技師が採血を行えるのはあくまで医師または歯科医師の具体的な指示があった場合に限られ、検体検査に必要な範囲で四肢の表在静脈や毛細血管からの採血が認められている。

選択肢ごとの解説

第59回 午後94(公衆衛生学)

公衆衛生の事業と、それを規定する法律の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤公共の場所での受動喫煙の防止 — 健康増進法

ポイント
公衆衛生の各事業は、それぞれ根拠となる法律によって規定されており、事業と法律の対応を正確に把握することが求められる。公共の場所での受動喫煙の防止は健康増進法に定められており、多数の者が利用する施設の管理者に対し、受動喫煙を防止するための措置を講じることを求めている。●正しい組合せ=公共の場所での受動喫煙の防止→健康増進法。●他の正しい対応=保健所の設置や地域保健対策→地域保健法、医療計画の策定→医療法、労働者への健康診断の実施→労働安全衛生法、工場の大気汚染物質の排出規制→大気汚染防止法。●環境基本法は環境保全の基本理念や施策の枠組みを定める法律で、個別の排出規制は大気汚染防止法などが担う。●補足=労働基準法は労働条件の最低基準を定める法律であり、労働者の健康管理や健康診断などの具体的な実施事項は労働安全衛生法に分けて規定されている。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:公衆衛生の事業と根拠法

事業・項目根拠法
保健所・市町村保健センターの設置地域保健法
医療計画の策定・特定機能病院/医療安全支援センターの設置医療法
労働者の健康診断の実施(特定健康診査を除く一般・特殊健診)労働安全衛生法
自動車排出ガスの排出規制大気汚染防止法(自動車NOx・PM法)
公共の場所での受動喫煙防止・国民健康・栄養調査の実施健康増進法
労働基準法は労働時間・賃金など労働条件の最低基準を定める法律で、健康診断など具体的な安全衛生対策は労働安全衛生法が別に規定する。環境基本法は環境保全の基本理念・施策の枠組みを定める法律で、個別の排出規制は大気汚染防止法などが担う。

第59回 午後95(医用工学概論)

バイポーラトランジスタで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ④電子と正孔のキャリアを利用して動作する。・⑤エミッタ、ベース、コレクタの3端子をもつ。

ポイント
バイポーラトランジスタ(接合型トランジスタ)は、エミッタ・ベース・コレクタの3端子をもち、小さなベース電流によって大きなコレクタ電流を制御する電流制御形の半導体素子である。電子と正孔の両方(バイポーラ=二極性)のキャリアが伝導に関与する点が、電圧制御で多数キャリアのみを利用する電界効果トランジスタ(FET)と本質的に異なる。●バイポーラトランジスタの特徴=電流制御形、電子と正孔の両キャリアを利用、入力抵抗が低い、温度の影響を受けやすい、エミッタ・ベース・コレクタの3端子をもつ。●電界効果トランジスタ(FET)の特徴=電圧制御形、単一キャリアを利用、入力抵抗が高い(数MΩ以上)、ソース・ゲート・ドレインの3端子をもつ。●補足=バイポーラトランジスタは増幅作用やスイッチング作用をもち、温度上昇でコレクタ電流が増えて発熱がさらに進む熱暴走を起こしうるため、回路には温度補償が組み込まれることが多い。

選択肢ごとの解説

第59回 午後96(医用工学概論)

NOR回路はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k59pB096.74b7df1e75.jpg
第59回 午後96 の図

正答: ③3

ポイント
NOR回路は、論理和(OR)の出力を反転した論理回路で、全ての入力が0のときだけ出力が1となり、いずれか一つでも入力が1になれば出力は0になる否定論理和(NOT-OR)のゲートである。回路記号では、ORゲートの後縁が曲線的な盾形の形状の出力側に、否定(反転)を示す小円(バブル)が付く点が特徴である。【別冊の図】では、OR形状の出力端に小円を伴う記号がNOR回路にあたる。●基本論理ゲート=AND(論理積)、OR(論理和)、NOT(否定・反転)。●否定を伴う複合ゲート=NAND(ANDの出力を反転)、NOR(ORの出力を反転)、これらは出力側の小円で否定を表す。●NORの真理値=全ての入力が0のときのみ出力1、それ以外はすべて0となる。

選択肢ごとの解説

第59回 午後97(医用工学概論)

人体の電撃反応(商用交流・1秒間通電)でマクロショック(心室細動)が生じる電流値[mA]の大きさはどれか。

正答: ⑤100

ポイント
電撃反応は、電流が流れる部位と電流値によって生体への影響が大きく異なる。マクロショックは体表から体内へ電流が流入する通常の感電であり、商用交流(50/60Hz)を1秒間通電した場合、おおむね100mA以上で心室細動が誘発される。一方、心臓カテーテルなどを介して心筋へ直接微小電流が流れるミクロショックでは、約0.1mAという桁違いに小さい電流で心室細動を起こすため、心臓に直接導線が達する状況では特に注意が必要である。●体表通電(マクロショック・商用交流1秒間)の目安=約1mAで最小感知電流、約10mAで離脱限界電流、約100mAで心室細動。●心臓直接通電(ミクロショック)=約0.1mAで心室細動。同じ心室細動でも通電部位によって閾値の桁が大きく異なる。●補足=ミクロショックを防ぐため医用電気機器には漏れ電流の厳しい基準が定められ、確実な接地や絶縁、保護手段の二重化によって患者の安全が確保されている。

選択肢ごとの解説

第59回 午後98(医用工学概論)

無停電電源装置の略号として正しいのはどれか。

正答: ⑤UPS

ポイント
無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)は、停電や瞬時電圧低下が生じた際に内蔵バッテリから自動的に電力を供給し、接続された機器を一定時間動作させ続ける装置である。医療現場ではコンピュータのデータ保護や生命維持装置の継続運転、機器を安全に停止させるための時間の確保などに用いられる。●UPS=無停電電源装置(停電時にバッテリから給電して機器の動作を維持する)。●紛らわしい略語の意味=CPU(中央処理装置、演算と制御を担う)、LCD(液晶ディスプレイ、表示装置)、OMR(光学式マーク読取装置、マークシートの読取り)、PDA(携帯情報端末)。いずれも電源装置とは機能が全く異なる略語である。●補足=UPSの方式には常時商用給電方式・ラインインタラクティブ方式・常時インバータ給電方式などがある。常時インバータ給電方式は停電時にも原則として無瞬断で給電できるが、他の方式では切替時間が生じる機種がある。

選択肢ごとの解説

第59回 午後99(医用工学概論)

表形式のデータを保存、変換するためのフォーマットはどれか。

正答: ②CSV

ポイント
CSV(Comma-Separated Values)は、各項目の値をカンマで区切って、行と列からなる表形式のデータを記録するテキスト形式である。表計算ソフトやデータベース、各種アプリケーション間でのデータの交換・変換に広く用いられ、テキストベースであるため特定のソフトに依存せず読み書きできる汎用性の高さが特徴である。●表形式データの保存・変換に用いる形式=CSV(カンマ区切りのテキスト)。●他のファイル形式とその用途=AVI(映像と音声を含む動画)、JPEG(静止画像の圧縮)、MP3(音声の圧縮)、TIFF(高画質の静止画像)。これらはいずれもマルチメディアデータを扱う形式であり、表形式データの保存・変換には用いない。●補足=CSVは構造が単純で人間にも読みやすく、検査データや患者情報を別システムへ移行・取込みする際の汎用的な中間形式として臨床現場でも広く利用されている。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ファイル形式の分類(静止画像・動画・音声・表形式)

種類主なファイル形式
静止画像JPEG・TIFF・BMP・GIF・PNG
動画AVI・FLV・MP4・MOV・WMV
音声MP3・AAC・WAV・MIDI
表形式データCSV
テキストTXT

第59回 午後100(医用工学概論)

滅菌について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②γ線は包装後の滅菌に有効である。・⑤過酸化水素プラズマ滅菌はカテーテル製品の滅菌に有効である。

ポイント
滅菌は、芽胞を含むすべての微生物を死滅または除去する処理であり、対象物の耐熱性や耐湿性に応じて適切な方法を選択する。γ線滅菌は透過力が高いため、包装した後の医療器材を密封したまま滅菌でき、使い捨て製品の工業的な滅菌に用いられる。過酸化水素低温プラズマ滅菌は低温・短時間で行えるため、熱に弱いプラスチック製のカテーテルや内視鏡関連器材の滅菌に適する。●滅菌法と対象の対応=高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)→芽胞を含む耐熱・耐湿の器材、乾熱滅菌(160〜190℃)→ガラスや金属、γ線滅菌→包装済みの製品、過酸化水素プラズマ滅菌や酸化エチレンガス滅菌→熱に弱い器材。●濾過滅菌=加熱できない血清や培地などの液体に用いる。●補足=滅菌の効果はインジケータや生物学的指標(芽胞)を用いて確認し、対象物の材質と用途に合わない方法を選ぶと滅菌不良や器材の損傷を招くため、方法の選択が重要である。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:滅菌法の種類・条件・対象

滅菌法条件主な対象・特徴
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)121℃、15〜20分(湿熱)耐熱・耐湿の器具、水、培地。芽胞にも有効
乾熱滅菌160〜170℃で120分、170〜180℃で60分、180〜190℃で30分など温度と時間を組で設定(250℃・60分でエンドトキシン不活化)ガラス器具・耐熱性器具。培地は不可
酸化エチレンガス(EOG)滅菌50〜60℃、湿度40%(低温)熱に弱いプラスチック・カテーテル。要エアレーション(残留毒性)
過酸化水素低温プラズマ滅菌低温カテーテル・ゴム製品・電子機器。芽胞にも有効
濾過滅菌加熱しない血清・培地など熱に弱い液体。ウイルス等は孔径により除去できない場合がある
放射線(γ線)滅菌常温包装後の製品にも滅菌可能
高圧蒸気滅菌は芽胞形成菌を含め有効だが、プリオンは通常の方法では不活化できない。