第61回(2015) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第61回 午後51(病理組織細胞学)
脱灰液として用いないのはどれか。
正答: ④硫酸
ポイント
脱灰は骨や石灰化組織からカルシウム塩を除去して薄切による切片作製を可能にする操作で、酸を用いる酸脱灰(塩酸・ギ酸・硝酸など)とキレート剤を用いるキレート脱灰(EDTA)に大別される。トリクロロ酢酸も弱い脱灰作用をもち脱灰液として用いられるが、硫酸はカルシウムと反応して難溶性の硫酸カルシウムを生じ、これが組織内に沈着してかえって脱灰を妨げるため、脱灰液としては用いない。 ●酸脱灰液=塩酸・硝酸(脱灰は速いが組織損傷・核染色性低下を生じやすい)、ギ酸(緩徐で組織保存性が良い)、トリクロロ酢酸。 ●キレート脱灰=EDTA(脱灰は極めて遅いが抗原性・微細構造の保存に優れ、免疫染色や電子顕微鏡標本に適する)。 ●脱灰の終了判定=物理的方法(針刺し・屈曲)・化学的方法(シュウ酸アンモニウムによる沈殿確認)・エックス線撮影。
選択肢ごとの解説
- ① 塩酸は脱灰作用が強く速やかに脱灰できるが、組織の損傷や核の染色性低下を生じやすい代表的な酸脱灰液である。
- ② ギ酸は緩徐に作用して組織の保存性が良好な酸脱灰液で、塩酸より穏やかなため広く脱灰に用いられる薬剤である。
- ③ 硝酸は脱灰速度が速い強力な酸脱灰液であるが、組織傷害が強いため使用時間に注意しながら脱灰に用いる薬剤である。
- ④ 誤り。硫酸はカルシウムと難溶性の硫酸カルシウムを形成して組織内に沈着し脱灰を妨げるため、脱灰液としては用いない。
- ⑤ トリクロロ酢酸は弱い脱灰作用をもち、組織保存性が比較的良好であるため脱灰液として用いられる試薬である。
第61回 午後52(病理組織細胞学)
elastica van Gieson染色標本を別に示す。矢印部分を染色している色素はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB052.3f5b8e6a02.jpg

- ①orcein液
- ②メセナミン銀液
- ③Sudan black B染色液
- ④アルデヒド・フクシン液
- ⑤ワイゲルト〈Weigert〉のレゾルシン・フクシン液
正答: ⑤ワイゲルト〈Weigert〉のレゾルシン・フクシン液
ポイント
elastica van Gieson(EVG)染色は弾性線維と膠原線維を同時に染め分ける重複染色で、弾性線維を黒紫~黒色に、膠原線維を赤色に、筋線維や細胞質を黄色に染める。このうち弾性線維を黒く染める色素はワイゲルトのレゾルシン・フクシン液であり、矢印部の弾性線維を染色しているのはこの色素である。続いて用いるvan Gieson液(酸フクシンとピクリン酸)は対比染色として膠原線維と他成分を赤と黄に染め分ける。 ●弾性線維染色=ワイゲルトのレゾルシン・フクシン、アルデヒド・フクシン、オルセイン(いずれも弾性線維を染めるが、EVGではレゾルシン・フクシンを用いる)。 ●膠原線維染色=van Gieson(赤)、Masson trichrome(青または緑)、アザン(青)。 ●EVG染色の判定=弾性線維が増生・断裂・重複する変化は動脈硬化や血管炎の評価に有用で、内弾性板や外弾性板の連続性も観察できる。
選択肢ごとの解説
- ① オルセイン液は弾性線維を別の方法で褐色に染める色素であるが、EVG染色で弾性線維を染めるのはレゾルシン・フクシンである。
- ② メセナミン銀液は基底膜や真菌・細網線維を黒色に染める銀染色用試薬で、EVG染色の弾性線維染色には用いない試薬である。
- ③ Sudan black B染色液は脂質を黒色に染める色素で、弾性線維と膠原線維を染め分けるEVG染色には用いない色素である。
- ④ アルデヒド・フクシン液は弾性線維を紫色に染める色素であるが、EVG染色で用いる弾性線維色素はレゾルシン・フクシンである。
- ⑤ 正しい。ワイゲルトのレゾルシン・フクシン液はEVG染色で弾性線維を黒紫~黒色に染める色素で、矢印部の弾性線維を染色している。
第61回 午後53(病理組織細胞学)
組織内構造物と染色法の組合せで誤っているのはどれか。
- ①神経内分泌顆粒 — Grimelius染色
- ②胆汁色素 — Gmelin法
- ③ヘモジデリン — Congo red染色
- ④メラニン色素 — Masson-Fontana染色
- ⑤リポフスチン — Schmorl反応
正答: ③ヘモジデリン — Congo red染色
ポイント
組織内構造物には特異的な特殊染色が対応する。鉄を含むヘモジデリンを証明するのはBerlinブルー(プルシアンブルー)反応であり、Congo red染色はアミロイドを橙赤色に染める方法であるため、ヘモジデリンとCongo red染色という組合せは誤りである。神経内分泌顆粒はGrimelius染色(好銀性)、胆汁色素はGmelin法、メラニンはMasson-Fontana染色(銀還元性)、リポフスチンはSchmorl反応で証明される。 ●色素・物質と染色=メラニン:Masson-Fontana、ヘモジデリン:Berlinブルー、胆汁:Gmelin、リポフスチン:Schmorl、アミロイド:Congo red。 ●銀染色の分類=好銀性(Grimelius、外来銀と還元剤を要する)と嗜銀性(Masson-Fontana、組織自身が銀を還元する)。
選択肢ごとの解説
- ① 神経内分泌顆粒はGrimelius染色によって好銀性に黒色に証明される構造物であり、この組合せは正しい記述である。
- ② 胆汁色素はGmelin法による緑~青の変色反応で証明される色素であり、この組合せは正しい記述である。
- ③ 誤り。ヘモジデリンはBerlinブルー(プルシアンブルー)反応で青色に証明される。Congo red染色はアミロイドを染める方法である。
- ④ メラニン色素はMasson-Fontana染色によって銀還元性に黒色に証明される色素であり、この組合せは正しい記述である。
- ⑤ リポフスチンはSchmorl反応によって青緑色に証明される消耗性色素であり、この組合せは正しい記述である。
📋 まとめの表を見る:組織内構造物・疾患・病原体と特殊染色の対応
第61回 午後54(病理組織細胞学)
肺病変部の染色標本を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB054.ad19018a17.jpg

- ①Feulgen反応
- ②Gram染色
- ③Grocott染色
- ④mucicarmine染色
- ⑤渡辺の鍍銀法
正答: ③Grocott染色
ポイント
Grocott染色(グロコット・メセナミン銀染色)は真菌やニューモシスチスの細胞壁の多糖を銀によって黒色に染める方法で、肺の真菌感染症やニューモシスチス肺炎の診断に用いられる。背景は淡緑色(ライトグリーン)に対比染色され、真菌の菌糸や胞子、ニューモシスチスの嚢子が黒く明瞭に描出される。肺病変部で黒色に染まった病原体を示している本標本の染色法はGrocott染色である。 ●真菌・ニューモシスチスの染色=Grocott(黒)、PAS反応(赤紫)。 ●その他の銀染色=渡辺の鍍銀法(細網線維)、メセナミン銀(基底膜)。 ●肺感染症の主な染色=Gram染色(一般細菌)、Ziehl-Neelsen染色(抗酸菌)、Grocott染色(真菌・ニューモシスチス)。 ●Grocott染色の原理=クロム酸で細胞壁の多糖を酸化してアルデヒドを生じさせ、メセナミン銀液で銀を還元・析出させるもので、菌体の輪郭が黒く縁取られて観察される。
選択肢ごとの解説
- ① Feulgen反応はDNAを赤紫色に染める核酸の組織化学的染色で、真菌や病原体そのものの証明には用いない反応である。
- ② Gram染色は一般細菌を陽性(紫)・陰性(赤)に染め分ける方法で、真菌を黒色に染めるGrocott染色とは目的が異なる。
- ③ 正しい。Grocott染色は真菌やニューモシスチスの細胞壁を銀で黒色に染める方法で、肺の真菌・ニューモシスチス感染の診断に用いる。
- ④ mucicarmine染色は上皮性酸性粘液を赤色に染める方法でクリプトコッカスの莢膜も染めるが、本標本の黒色描出とは異なる染色である。
- ⑤ 渡辺の鍍銀法は細網線維を黒色に染める銀染色で、真菌そのものを黒く描出する目的の染色ではない方法である。
📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象
第61回 午後55(病理組織細胞学)
免疫組織化学染色で核が陽性になるのはどれか。2つ選べ。
正答: ④Ki67・⑤p53
ポイント
免疫組織化学染色では標的抗原の細胞内局在に応じて、細胞膜・細胞質・核のいずれかが陽性となる。核内に局在する分子はKi67(増殖細胞の核に発現する増殖マーカー)とp53(癌抑制遺伝子産物で、変異により分解されず核に蓄積する)であり、いずれも核が陽性となる。一方CD3とCD20は細胞膜、CEAは細胞膜・細胞質、HER2は細胞膜に発現する。 ●核に陽性=Ki67(増殖能評価)、p53、エストロゲン受容体(ER)・プロゲステロン受容体(PgR)、TTF-1、MyoD1。 ●細胞膜に陽性=CD3・CD20(リンパ球マーカー)、HER2、EGFR、E-cadherin。 ●細胞質に陽性=サイログロブリン、デスミン、CEA(膜と質)。 ●局在の意義=陽性部位を正しく判定することが必須で、核に発現するKi67やホルモン受容体では細胞質の染まりは非特異反応として判定から除く。
選択肢ごとの解説
- ① CD3はT細胞の細胞膜に発現するマーカーで、染色では細胞膜が陽性となり、核が陽性となるものではない抗原である。
- ② CEA(癌胎児性抗原)は腺癌などの細胞膜・細胞質に発現する抗原で、核が陽性となるものではない抗原である。
- ③ HER2は乳癌などの細胞膜に発現する受容体型分子で、細胞膜が陽性となり、核が陽性となるものではない分子である。
- ④ 正しい。Ki67は増殖期の細胞の核に発現する増殖マーカーで、核が陽性となり腫瘍の増殖能評価に用いられる分子である。
- ⑤ 正しい。p53は癌抑制遺伝子産物で、変異により分解されず核に蓄積するため核が陽性となる分子である。
📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。
第61回 午後56(病理組織細胞学)
腹水細胞診のPapanicolaou染色標本とPAS反応標本を別に示す。組織型はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB056.fbad801e98.jpg

- ①腺癌
- ②中皮腫
- ③小細胞癌
- ④扁平上皮癌
- ⑤悪性リンパ腫
正答: ①腺癌
ポイント
本像は細胞質内の粘液によって核が辺縁へ圧排された異型細胞を示し、PAS反応で粘液が陽性となることから、選択肢では腺癌を考える。腺癌では腺腔形成や乳頭状・結合性集塊を示すこともあるが、今回の写真の主な根拠は印環細胞形態と細胞質内粘液である。
●体腔液で鑑別する細胞=反応性中皮細胞、中皮腫、転移性腺癌、悪性リンパ腫など。
●粘液染色=PASは中性粘液などを赤紫色、Alcian blueは酸性粘液を青色、mucicarmineは上皮性酸性粘液を赤色に染める。
●腺癌と中皮腫の鑑別=腺癌側のCEA・Ber-EP4など、中皮側のcalretinin・D2-40などを組み合わせる。中皮腫ではヒアルロン酸などがAlcian blue陽性となる場合があり、粘液染色の陽性・陰性だけで鑑別を確定しない。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。本像では核が辺縁へ圧排された異型細胞がみられ、PAS反応で細胞質内の粘液が陽性を示す。印環細胞形態を示す腺癌に合致する。
- ② 中皮腫では異型中皮細胞が出現する。腺癌の上皮性粘液との鑑別が必要だが、中皮腫のヒアルロン酸などがAlcian blue陽性となる場合もあり、粘液染色はすべて陰性とはいえない。細胞形態と免疫染色を組み合わせて鑑別する。
- ③ 小細胞癌は核小体が目立たず木目込み状の細胞配列を呈する小型裸核細胞の癌で、粘液をもつ腺癌とは異なる組織型である。
- ④ 扁平上皮癌は角化や細胞間橋を示しオレンジ好性の細胞質を呈する癌で、粘液陽性の腺癌とは異なる組織型である。
- ⑤ 悪性リンパ腫は結合性に乏しい孤在性の異型リンパ球が出現するもので、粘液をもつ腺上皮の癌とは異なる腫瘍である。
📋 まとめの表を見る:体腔液細胞診における良性(反応性中皮細胞)と悪性細胞の鑑別
体腔液細胞診では転移性腺癌が最多。
第61回 午後57(病理組織細胞学)
成人臓器の重量で正常なのはどれか。2つ選べ。
- ①心臓 — 150 g
- ②右肺 — 900 g
- ③肝臓 — 1,100 g
- ④脾臓 — 500 g
- ⑤左腎 — 140 g
正答: ③肝臓 — 1,100 g・⑤左腎 — 140 g
ポイント
成人臓器の正常重量を把握することは病理解剖や法医学で基本となる。肝臓は約1,000~1,400g、左腎は約120~150gで、肝臓1,100gと左腎140gはいずれも正常範囲にある。これに対し心臓は約250~350g(150gは小さすぎる)、片肺は右が約450~600g・左が約350~500g(右肺900gは過大)、脾臓は約100~150g(500gは脾腫)であり、これらは正常範囲外である。 ●正常臓器重量(成人)=心臓250~350g、肝臓1,000~1,400g、脾臓100~150g、腎臓(片側)120~150g。 ●肺重量=右肺450~600g、左肺350~500g(右が左よりやや重い)。 ●脾腫の目安=150g以上、著明な脾腫は門脈圧亢進や血液疾患などで生じる。 ●心肥大の目安=心臓は350g以上で肥大とされ、高血圧や弁膜症などで増加する。臓器重量は浮腫やうっ血、線維化の評価にも用いられる。
選択肢ごとの解説
- ① 心臓の正常重量は成人で約250~350gであり、150gは小さすぎるため正常範囲外であり正常とはいえない。
- ② 右肺の正常重量は約450~600gであり、900gは過大であるため正常範囲外であり正常とはいえない。
- ③ 正しい。肝臓の正常重量は成人で約1,000~1,400gであり、1,100gは正常範囲内であるため正常といえる。
- ④ 脾臓の正常重量は約100~150gであり、500gは著明な脾腫を示すため正常範囲外であり正常とはいえない。
- ⑤ 正しい。腎臓(片側)の正常重量は約120~150gであり、左腎140gは正常範囲内であるため正常といえる。
第61回 午後58(病理組織細胞学)
毒物及び劇物取締法において劇物に指定されていないのはどれか。
- ①キシレン
- ②エタノール
- ③メタノール
- ④クロロホルム
- ⑤ホルムアルデヒド
正答: ②エタノール
ポイント
毒物及び劇物取締法は急性毒性の強い物質を毒物・劇物に指定して保管・取扱いを管理する法律である。エタノール(エチルアルコール)は飲料や消毒に広く用いられ毒性が低いため、劇物には指定されていない。これに対しメタノール・クロロホルム・ホルムアルデヒド・キシレンは劇物に指定されており、病理検査室で扱う際は施錠保管や使用記録など法的な管理が必要となる。 ●劇物の例=メタノール、ホルムアルデヒド(ホルマリン)、キシレン、クロロホルム、塩酸・硫酸・硝酸(濃度規定あり)。 ●指定されない例=エタノール(毒性が低い)。 ●毒物の例=シアン化合物、水銀化合物、ヒ素化合物(劇物よりさらに毒性が強い)。 ●管理上の要点=毒物・劇物は他の物と区別して施錠保管し、容器に「医薬用外毒物(赤地に白字)」「医薬用外劇物(白地に赤字)」を表示する。
選択肢ごとの解説
- ① キシレンは脱パラフィンや透徹に用いる有機溶媒で、劇物に指定されており施錠保管などの法的管理を要する物質である。
- ② 誤り。エタノールは毒性が低く飲料や消毒に広く用いられる物質で、劇物には指定されていないため正答となる。
- ③ メタノールは中毒によって失明を起こす毒性をもつ有機溶媒で、劇物に指定されており管理を要する物質である。
- ④ クロロホルムは麻酔作用と肝毒性をもつ有機溶媒で、劇物に指定されており取扱いに注意を要する物質である。
- ⑤ ホルムアルデヒドは固定に用いるが粘膜刺激性や発癌性をもつ物質で、劇物に指定されており管理を要する物質である。
第61回 午後59(臨床血液学)
細胞周期でDNA合成が行われるのはどれか。
正答: ⑤S期
ポイント
細胞周期は間期(G1期・S期・G2期)とM期(分裂期)からなり、DNAの複製すなわち合成が行われるのはS期(synthesis期)である。S期にDNA量が2倍となり、続くG2期で分裂の準備が整い、M期で複製された染色体が2つの娘細胞に均等に分配される。G0期は細胞周期から外れた静止期であり、DNA合成は行われない。 ●細胞周期の各期=G1期(分裂後の成長・RNAと蛋白合成)、S期(DNA複製)、G2期(分裂準備)、M期(有糸分裂)。 ●G0期=静止期。分化した細胞が周期を離れて留まる状態で、刺激によりG1期へ復帰しうる。 ●チェックポイント=G1/S期、G2/M期、M期の紡錘体チェックポイントで周期の進行を監視する。 ●フローサイトメトリー=細胞のDNA量を測定して各期の細胞の割合を解析でき、S期の細胞割合は腫瘍の増殖能の指標となる。
選択肢ごとの解説
- ① G0期は細胞周期から外れた静止期であり、DNAの合成も細胞の分裂もこの時期には行われない時期である。
- ② G1期は分裂後の成長期でRNAや蛋白質を合成する時期であるが、DNAそのものの複製は行われない時期である。
- ③ G2期はDNAの合成を終えて分裂に備える時期であり、DNAそのものの複製はこの時期には行われない時期である。
- ④ M期は複製された染色体が娘細胞に分配される分裂期であり、DNAの複製はこの時期には行われない時期である。
- ⑤ 正しい。S期はDNAの複製(合成)が行われる時期であり、この時期に細胞のDNA量が2倍になる時期である。
第61回 午後60(臨床血液学)
自動血球計数器法で赤血球数偽低値、MCV偽高値、MCHC偽高値となるのはどれか。
- ①高血糖
- ②脂質異常症
- ③白血球増加症
- ④寒冷凝集素症
- ⑤高ビリルビン血症
正答: ④寒冷凝集素症
ポイント
寒冷凝集素症では低温で赤血球が凝集し、自動血球計数器がその凝集塊を1個の大きな赤血球と誤認するため、赤血球数は偽低値、平均赤血球容積(MCV)は偽高値となる。ヘモグロビン(Hb)は凝集の影響を受けにくいため、Hb/Htから計算されるMCHCも偽高値となる。検体を37℃に加温して再測定すると凝集が解離し正しい値が得られる。 ●寒冷凝集素症の測定誤差=赤血球数偽低値、MCV偽高値、MCHC偽高値、Ht偽低値。対処は37℃加温。 ●高ビリルビン血症・脂質異常症=主にHb(比色)に干渉して偽高値を生じうる。 ●著しい高血糖=希釈時の浸透圧差で赤血球が膨化し、MCV・Htが偽高値となりうる。 ●白血球著増=Hbや赤血球計数に干渉することがある。 ●寒冷凝集素症の背景=マイコプラズマ感染や伝染性単核球症、リンパ増殖性疾患などに伴い、寒冷曝露で末梢循環障害や溶血を生じることがある。
選択肢ごとの解説
- ① 高血糖は赤血球を膨化させHtやMCVに影響しうるが、赤血球数偽低値とMCHC偽高値を同時に起こす典型ではない病態である。
- ② 脂質異常症は乳びによりHbの比色を妨げて偽高値を生じうるが、赤血球数偽低値とMCV偽高値の組合せの主因ではない病態である。
- ③ 白血球増加症は赤血球計数やHbに干渉しうるが、寒冷凝集による赤血球数偽低値とMCV偽高値の典型ではない病態である。
- ④ 正しい。寒冷凝集素症では赤血球の凝集塊を大型赤血球と誤認し、赤血球数偽低値・MCV偽高値・MCHC偽高値となる。
- ⑤ 高ビリルビン血症はHbの比色測定に干渉して偽高値を生じうるが、赤血球凝集による偽低値の原因とはならない病態である。
第61回 午後61(臨床血液学)
赤血球沈降速度で正しいのはどれか。
- ①DICでは促進する。
- ②赤血球増加症では促進する。
- ③活動性の結核では促進する。
- ④原発性マクログロブリン血症では遅延する。
- ⑤急性炎症の回復期ではCRPより早く正常化する。
正答: ③活動性の結核では促進する。
ポイント
赤血球沈降速度(赤沈・血沈)は赤血球が沈む速さで、フィブリノゲンやγグロブリンの増加で促進し、赤血球の増加や形態異常で遅延する。活動性の結核では炎症によってフィブリノゲンやグロブリンが増加するため、赤沈は促進する。赤沈は炎症の経過をやや遅れて反映し、回復期にはCRPより遅れて正常化する性質がある。 ●赤沈促進=感染や炎症(結核など)、貧血、高γグロブリン血症(多発性骨髄腫・マクログロブリン血症)、妊娠。 ●赤沈遅延=赤血球増加症、DICや無フィブリノゲン血症、赤血球の形態異常(球状・鎌状赤血球)。 ●CRPとの違い=CRPは炎症で速やかに上昇・低下し、赤沈は緩徐で回復が遅れる。 ●測定法=Westergren法が標準で、抗凝固剤に3.8%クエン酸ナトリウムを用い、1時間後の血漿層の高さ(mm)を読み取る。基準は成人で約10mm以下。
選択肢ごとの解説
- ① DICではフィブリノゲンが消費されて低下するため、赤沈は促進ではなくむしろ遅延する病態であり誤りである。
- ② 赤血球増加症では赤血球が互いに沈みにくくなるため、赤沈は促進ではなくむしろ遅延する病態であり誤りである。
- ③ 正しい。活動性の結核では炎症によりフィブリノゲンやグロブリンが増加するため、赤沈は促進する病態である。
- ④ 原発性マクログロブリン血症ではIgMの著増で赤血球が連銭形成し、赤沈は遅延ではなく著しく促進するため誤りである。
- ⑤ 急性炎症の回復期では赤沈はCRPより遅れて正常化するため、CRPより早く正常化することはなく誤りである。
第61回 午後62(臨床血液学)
疾患・薬剤の服用と低下する血小板凝集能の組合せで正しいのはどれか。
- ①血小板無力症 — リストセチン凝集能
- ②アスピリン服用 — ADP二次凝集能
- ③ワルファリン服用 — ADP一次凝集能
- ④von Willebrand病 — エピネフリン凝集能
- ⑤Bernard-Soulier症候群 — コラーゲン凝集能
正答: ②アスピリン服用 — ADP二次凝集能
ポイント
血小板凝集能検査は惹起物質に対する凝集反応によって血小板機能を評価する。アスピリンはシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害してトロンボキサンA2の産生を抑えるため、ADP惹起時の二次凝集(放出反応に伴う不可逆凝集)が低下する。血小板無力症ではGPIIb/IIIa異常でADPやコラーゲンなど多くの凝集が低下するがリストセチン凝集は保たれ、Bernard-Soulier症候群ではGPIb異常でリストセチン凝集が低下する。 ●アスピリン=COX阻害でTXA2が低下し、ADP二次凝集やコラーゲン凝集が低下する。一次凝集は保たれる。 ●血小板無力症(GPIIb/IIIa欠損)=ADP・コラーゲン・エピネフリン凝集が低下し、リストセチン凝集は正常。 ●Bernard-Soulier症候群・von Willebrand病=リストセチン凝集が低下する。
選択肢ごとの解説
- ① 血小板無力症ではGPIIb/IIIa異常によりADPやコラーゲン凝集が低下するが、リストセチン凝集はむしろ保たれるため誤りである。
- ② 正しい。アスピリンはCOX阻害でTXA2の産生を抑え、ADP惹起時の二次凝集(放出反応による不可逆凝集)を低下させる。
- ③ ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子を抑える抗凝固薬で、血小板のADP一次凝集能を直接低下させるものではない薬剤である。
- ④ von Willebrand病ではvWFの減少によりリストセチン凝集が低下するが、エピネフリン凝集が特異的に低下するわけではない。
- ⑤ Bernard-Soulier症候群ではGPIb異常によりリストセチン凝集が低下するが、コラーゲン凝集は比較的保たれるため誤りである。
📋 まとめの表を見る:血小板凝集能検査:疾患・薬剤による低下パターン
血小板凝集は、惹起物質でGPIIb/IIIa複合体が活性化型となりフィブリノゲンを介して起こる可逆性の一次凝集と、TXA2・ADP放出を伴う不可逆性の二次凝集からなる。
第61回 午後63(臨床血液学)
血液検査で赤血球300万/μL、Hb 6.0 g/dL、Ht 21%であった。可能性があるのはどれか。2つ選べ。
- ①悪性貧血
- ②再生不良性貧血
- ③サラセミア
- ④自己免疫性溶血性貧血
- ⑤鉄欠乏性貧血
正答: ③サラセミア・⑤鉄欠乏性貧血
ポイント
本例はHb 6.0g/dLに対して赤血球300万/μLと相対的に赤血球数が保たれ、MCV=Ht/RBC=21/300×1000=70fLと小球性、MCHC=Hb/Ht=6.0/21×100≒28.6%と低色素性で、小球性低色素性貧血を示す。これに該当するのはサラセミアと鉄欠乏性貧血である。悪性貧血や自己免疫性溶血性貧血は大球性~正球性、再生不良性貧血は正球性であり、いずれも本例の所見とは合わない。 ●小球性低色素性貧血(MCV低下)=鉄欠乏性貧血、サラセミア、鉄芽球性貧血、慢性炎症に伴う貧血。 ●大球性貧血(MCV高値)=悪性貧血(ビタミンB₁₂欠乏)、葉酸欠乏。 ●正球性貧血=再生不良性貧血、溶血性貧血、急性出血。 ●小球性貧血の鑑別=血清フェリチンや鉄、TIBCで鉄欠乏を、ヘモグロビン電気泳動でサラセミアを、骨髄の鉄染色で鉄芽球性貧血を区別する。
選択肢ごとの解説
- ① 悪性貧血はビタミンB₁₂欠乏による大球性貧血でMCVが高値となり、本例の小球性低色素性の所見とは合わない貧血である。
- ② 再生不良性貧血は汎血球減少を伴う正球性貧血であり、本例の小球性低色素性という所見とは合わない貧血である。
- ③ 正しい。サラセミアはグロビン鎖合成低下による小球性低色素性貧血で、赤血球数が比較的保たれる本例の所見と一致する。
- ④ 自己免疫性溶血性貧血は赤血球破壊による正球性~大球性貧血であり、本例の小球性低色素性の所見とは合わない貧血である。
- ⑤ 正しい。鉄欠乏性貧血は鉄不足によるヘモグロビン合成低下で小球性低色素性貧血を呈し、本例の所見と一致する貧血である。
第61回 午後64(臨床血液学)
末梢血塗抹Wright-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB064.47e7f9c3a2.jpg

- ①遺伝性球状赤血球症
- ②骨髄線維症
- ③腎性貧血
- ④赤芽球癆
- ⑤鉄芽球性貧血
正答: ②骨髄線維症
ポイント
骨髄線維症では骨髄の線維化により正常な造血が障害され、脾臓などでの髄外造血が起こるため、末梢血に涙滴赤血球(ティアドロップ細胞)や赤芽球・幼若顆粒球が出現する白赤芽球症を呈する。標本に涙滴赤血球と幼若血球がみられる本例は骨髄線維症が考えられる。脾腫を伴い、骨髄穿刺では吸引できないドライタップとなりやすいのも特徴である。 ●骨髄線維症の所見=涙滴赤血球、白赤芽球症、巨大血小板、脾腫、ドライタップ、JAK2遺伝子変異。 ●涙滴赤血球をきたす病態=骨髄線維症、髄外造血、骨髄癆。 ●他の貧血の血球像=遺伝性球状赤血球症(小型球状赤血球)、鉄芽球性貧血(二相性・環状鉄芽球)、赤芽球癆(赤芽球著減)。 ●骨髄線維症の分類=原発性骨髄線維症は骨髄増殖性腫瘍の一つで、巨核球の増生と異形成、骨髄の膠原線維・細網線維の増生を特徴とする。
選択肢ごとの解説
- ① 遺伝性球状赤血球症は中心淡明を欠く小型の球状赤血球がみられる溶血性貧血で、涙滴赤血球を主体とする本像とは異なる。
- ② 正しい。骨髄線維症では涙滴赤血球や白赤芽球症がみられ、髄外造血と脾腫を伴う本標本の血球像と一致する病態である。
- ③ 腎性貧血はエリスロポエチン低下による正球性正色素性貧血で、特徴的な涙滴赤血球を伴わないため本像とは異なる貧血である。
- ④ 赤芽球癆は赤芽球が著明に減少する貧血であり、末梢血に涙滴赤血球や幼若血球が増える本像とは異なる病態である。
- ⑤ 鉄芽球性貧血は二相性の赤血球や骨髄の環状鉄芽球が特徴の貧血で、涙滴赤血球を主体とする本像とは異なる病態である。
第61回 午後65(臨床血液学)
慢性骨髄性白血病の慢性期にみられるのはどれか。2つ選べ。
- ①骨髄の芽球比率20%
- ②末梢血の好塩基球増加
- ③PML /RARA融合遺伝子
- ④9番と22番染色体の相互転座
- ⑤好中球アルカリホスファターゼ陽性指数上昇
正答: ②末梢血の好塩基球増加・④9番と22番染色体の相互転座
ポイント
慢性骨髄性白血病(CML)の慢性期では、フィラデルフィア染色体すなわち9番と22番染色体の相互転座t(9;22)と、それによって生じるBCR-ABL1融合遺伝子を認める。末梢血では好中球を主体とする著明な白血球増加に加えて、好塩基球や好酸球の増加がみられる。好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアは低下し、芽球比率は慢性期では低く保たれる。 ●CML慢性期=t(9;22)/Ph染色体、BCR-ABL1融合遺伝子、好塩基球増加、NAPスコア低下、脾腫。 ●急性転化の指標=芽球比率20%以上、貧血や血小板減少の進行。 ●PML/RARA融合遺伝子=急性前骨髄球性白血病(APL)に特異的で、CMLとは異なる。 ●CMLの治療=BCR-ABL1のチロシンキナーゼを標的とするイマチニブなどの分子標的薬が用いられ、慢性期の予後を大きく改善した。
選択肢ごとの解説
- ① 骨髄の芽球比率20%は急性白血病または急性転化を示す所見であり、慢性期のCMLでは芽球比率は低く保たれるため誤りである。
- ② 正しい。CMLの慢性期では好塩基球が増加し、好中球を主体とする著明な白血球増加とともにみられる所見である。
- ③ PML/RARA融合遺伝子は急性前骨髄球性白血病に特異的な所見であり、CMLの慢性期ではみられない遺伝子異常である。
- ④ 正しい。CMLでは9番と22番染色体の相互転座t(9;22)によりPh染色体・BCR-ABL1融合遺伝子を生じる病態である。
- ⑤ CMLでは好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアは上昇ではなく低下するため、上昇という所見は当てはまらず誤りである。
第61回 午後66(臨床血液学)
末梢血塗抹Wright-Giemsa染色標本を別に示す。細胞表面マーカーではCD5、CD19及びCD20は陽性でCD10は陰性であった。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB066.2ea1afa46c.jpg

- ①急性単球性白血病
- ②急性リンパ性白血病
- ③成人T細胞白血病
- ④慢性骨髄単球性白血病
- ⑤慢性リンパ性白血病
正答: ⑤慢性リンパ性白血病
ポイント
細胞表面マーカーでCD5・CD19・CD20が陽性、CD10が陰性という所見は、B細胞でありながらT細胞抗原のCD5を共発現する慢性リンパ性白血病(CLL)に合致し、末梢血に成熟した小型リンパ球が増加する本例はCLLが考えられる。CLLでは塗抹標本上で壊れやすい細胞すなわちスマッジ細胞(破砕細胞)もみられるのが特徴である。 ●CLLの免疫表現型=CD5陽性、CD19陽性、CD20弱陽性、CD23陽性、CD10陰性、表面免疫グロブリン弱陽性。 ●CD10陽性のB細胞腫瘍=濾胞性リンパ腫、Burkittリンパ腫、一部の急性リンパ性白血病。 ●CLLの所見=成熟小型リンパ球の増加、スマッジ細胞、緩徐な経過、高齢者に多い。 ●CLLの病態=小型成熟Bリンパ球が末梢血・骨髄・リンパ節に増加する低悪性度の腫瘍で、組織型では小リンパ球性リンパ腫と同一の疾患とされる。
選択肢ごとの解説
- ① 急性単球性白血病は単芽球や前単球の増殖であり、CD5陽性のB細胞マーカーを示す成熟リンパ球増加の本例とは異なる。
- ② 急性リンパ性白血病は芽球の増殖でCD10陽性のことが多く、成熟小型リンパ球がCD5陽性を示す本例とは異なる病態である。
- ③ 成人T細胞白血病はHTLV-1関連でCD4陽性の花弁状核細胞が出現する病態で、B細胞マーカー陽性の本例とは異なる病態である。
- ④ 慢性骨髄単球性白血病は単球増加を伴う骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍であり、B細胞リンパ球が増加する本例とは異なる病態である。
- ⑤ 正しい。CD5・CD19・CD20陽性でCD10陰性という所見は慢性リンパ性白血病に合致し、成熟小型リンパ球増加の本例と一致する。
📋 まとめの表を見る:主な白血病・骨髄腫の細胞表面マーカー(CD抗原)パターン
CD5は本来T細胞抗原だが、CLLでは腫瘍性B細胞に共発現する。軽鎖(κ/λ)の偏り(軽鎖制限)もB細胞腫瘍性増殖の指標となる。
第61回 午後67(臨床血液学)
DICで低下するのはどれか。2つ選べ。
- ①FDP
- ②血小板数
- ③フィブリノゲン
- ④可溶性フィブリンモノマー複合体〈SFMC〉
- ⑤トロンビン-アンチトロンビン複合体〈TAT〉
正答: ②血小板数・③フィブリノゲン
ポイント
播種性血管内凝固(DIC)では全身の微小血栓形成によって凝固因子と血小板が消費されるため、血小板数とフィブリノゲンが低下する。一方で、生じた血栓に対する線溶亢進によりFDPやDダイマーは上昇し、凝固活性化を反映する可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)やトロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)も上昇する。 ●DICで低下=血小板数、フィブリノゲン、アンチトロンビン(消費)、プラスミノゲン。 ●DICで上昇=FDP・Dダイマー(線溶亢進)、SFMC・TAT(凝固亢進のマーカー)、PT・APTTの延長。 ●DICの基礎疾患=敗血症、急性前骨髄球性白血病、固形癌、産科疾患。 ●DICの診断=血小板数・フィブリノゲン・FDP/Dダイマー・PTを点数化する基準を用い、基礎疾患の存在と臨床所見を合わせて総合的に判断する。
選択肢ごとの解説
- ① FDPはフィブリンやフィブリノゲンの分解産物で、DICでは線溶亢進により上昇するため低下せず誤りである。
- ② 正しい。DICでは全身の微小血栓形成により血小板が消費されるため、血小板数は低下する所見である。
- ③ 正しい。DICではフィブリノゲンが消費されて低下し、これが出血傾向を生じる一因となる所見である。
- ④ 可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)は凝固の活性化を反映してDICで上昇するため、低下せず誤りである。
- ⑤ トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)はトロンビン生成を反映してDICで上昇するため、低下せず誤りである。
第61回 午後68(臨床微生物学)
偏性細胞寄生体はどれか。
- ①Bacillus anthracis
- ②Chlamydia trachomatis
- ③Legionella pneumophila
- ④Mycobacterium avium
- ⑤Yersinia pestis
正答: ②Chlamydia trachomatis
ポイント
偏性細胞内寄生体(偏性細胞寄生体)は宿主細胞内でしか増殖できない微生物で、独自のエネルギー産生系を欠くクラミジアやリケッチアが該当する。Chlamydia trachomatisはエネルギーであるATPを宿主細胞に依存する偏性細胞内寄生菌で、トラコーマや性器クラミジア感染症の原因となる。他の選択肢は人工培地で増殖が可能で、細胞外でも増殖しうる細菌である。 ●偏性細胞内寄生体=Chlamydia、Rickettsia、Coxiella、Orientia(いずれもATP産生を宿主に依存)、ウイルス。 ●人工培地で増殖可能=Bacillus、Legionella(特殊培地)、Mycobacterium、Yersinia。 ●クラミジアの生活環=感染型の基本小体と増殖型の網様体を周期的にとる。 ●Chlamydia trachomatisの病型=血清型によりトラコーマ、性器感染症(子宮頸管炎・尿道炎)、新生児の封入体結膜炎・肺炎を起こす。
選択肢ごとの解説
- ① Bacillus anthracisは炭疽の原因菌で、好気性の芽胞形成菌として人工培地で増殖でき、偏性細胞内寄生体ではない細菌である。
- ② 正しい。Chlamydia trachomatisはATP産生を宿主に依存する偏性細胞内寄生菌で、宿主細胞内でしか増殖できない細菌である。
- ③ Legionella pneumophilaは特殊培地で培養可能なグラム陰性桿菌で、細胞内増殖もするが偏性細胞内寄生体ではない細菌である。
- ④ Mycobacterium aviumは抗酸菌で小川培地などの人工培地で増殖でき、偏性細胞内寄生体ではないため誤りである細菌である。
- ⑤ Yersinia pestisはペストの原因菌で、人工培地で増殖可能なグラム陰性桿菌であり、偏性細胞内寄生体ではない細菌である。
第61回 午後69(臨床微生物学)
Gram染色法について正しいのはどれか。
- ①芽胞はGram陽性に染まる。
- ②脱色にはLugol液を用いる。
- ③サフラニンは対比染色に用いる。
- ④エタノールでクリスタル紫を定着させる。
- ⑤細胞膜の違いを反映して細菌を染め分ける。
正答: ③サフラニンは対比染色に用いる。
ポイント
Gram染色は細菌を細胞壁構造の違いに基づきグラム陽性(紫)とグラム陰性(赤)に染め分ける方法である。手順はクリスタル紫で染色し、Lugol(ヨウ素)液で媒染し、アルコールで脱色し、最後にサフラニン(またはフクシン)で対比染色する。サフラニンは脱色後にグラム陰性菌を赤く染める対比染色として用いるため、これが正しい記述である。 ●Gram染色の手順=クリスタル紫(染色)→Lugol液(媒染)→アルコール(脱色)→サフラニン(対比染色)。 ●陽性・陰性の差=厚いペプチドグリカン層をもつ陽性菌は色素複合体を保持して紫、陰性菌は脱色されて赤になる。 ●芽胞=Gram染色では染まりにくく、専用の芽胞染色を要する。 ●臨床的意義=Gram染色は塗抹で迅速に菌の有無や形態(球菌・桿菌)と染色性を判定でき、培養前の起炎菌推定や検体の質の評価に役立つ。
選択肢ごとの解説
- ① 芽胞は厚い殻に覆われているためGram染色では染まりにくく、グラム陽性に染まるとはいえないため誤りである記述である。
- ② 脱色にはアルコールを用いるのが正しく、Lugol液は色素を組織に固定する媒染に用いる試薬であるため誤りである。
- ③ 正しい。サフラニンは脱色後にグラム陰性菌を赤く染める対比染色として用いられる色素であり、適切な記述である。
- ④ エタノールはクリスタル紫を定着させるのではなく、色素複合体を脱色する目的で用いる試薬であるため誤りである記述である。
- ⑤ 染め分けは細胞膜ではなく、ペプチドグリカン層を含む細胞壁構造の違いを反映しているため、細胞膜とするのは誤りである。
第61回 午後70(臨床微生物学)
培地と使用目的の組合せで正しいのはどれか。
- ①GC寒天培地 — 検体輸送
- ②LIM培地 — 選択増菌
- ③PPLO寒天培地 — 検体保存
- ④SS寒天培地 — 性状確認
- ⑤TCBS寒天培地 — 選択分離
正答: ⑤TCBS寒天培地 — 選択分離
ポイント
細菌検査では培地をその目的に応じて使い分ける。TCBS寒天培地はコレラ菌や腸炎ビブリオなどビブリオ属の選択分離に用いる選択培地であり、この組合せが正しい。GC寒天培地は淋菌などの分離培養、LIM培地は腸内細菌の性状確認(リジン脱炭酸・インドール・運動性)、PPLO培地はマイコプラズマの培養、SS寒天培地はサルモネラや赤痢菌の選択分離に用いる。 ●選択分離培地=TCBS(ビブリオ)、SS寒天(サルモネラ・赤痢菌)、マッコンキー、CIN(エルシニア)。 ●性状確認培地=LIM(リジン・インドール・運動性)、TSI、SIM。 ●特殊培地=PPLO(マイコプラズマ)、GC・チョコレート(淋菌・髄膜炎菌)、小川(抗酸菌)。 ●TCBS寒天培地の判定=ショ糖を分解するコレラ菌は黄色、分解しない腸炎ビブリオは緑色の集落を形成し、集落の色調で両者を推定できる。
選択肢ごとの解説
- ① GC寒天培地は淋菌などの分離培養に用いる培地であり、検体輸送に用いる培地ではないためこの組合せは誤りである。
- ② LIM培地はリジン脱炭酸・インドール・運動性を調べる性状確認用の培地で、選択増菌には用いないため誤りである。
- ③ PPLO寒天培地はマイコプラズマの培養に用いる培地であり、検体保存用の培地ではないためこの組合せは誤りである。
- ④ SS寒天培地はサルモネラや赤痢菌の選択分離に用いる培地であり、性状確認用の培地ではないため誤りである。
- ⑤ 正しい。TCBS寒天培地はコレラ菌や腸炎ビブリオなどビブリオ属の選択分離に用いる選択培地であり適切である。
📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地
第61回 午後71(臨床微生物学)
抗菌薬とその系統名の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①クリンダマイシン — ペニシリン系
- ②ゲンタマイシン — アミノグリコシド系
- ③シプロフロキサシン — キノロン系
- ④セファゾリン — マクロライド系
- ⑤ミノサイクリン — セフェム系
正答: ②ゲンタマイシン — アミノグリコシド系・③シプロフロキサシン — キノロン系
ポイント
抗菌薬は化学構造によって系統分類される。ゲンタマイシンはアミノグリコシド系で蛋白合成の30Sサブユニットを阻害し、シプロフロキサシンはキノロン(ニューキノロン)系でDNAジャイレースを阻害するため、これらの組合せが正しい。クリンダマイシンはリンコマイシン系、セファゾリンはセフェム系、ミノサイクリンはテトラサイクリン系に属する。 ●細胞壁合成阻害=βラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)、グリコペプチド系(バンコマイシン)。 ●蛋白合成阻害=アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、リンコマイシン系(クリンダマイシン)。 ●核酸合成阻害=キノロン系(DNAジャイレース)、リファンピシン(RNAポリメラーゼ)。 ●その他の作用機序=葉酸合成阻害(ST合剤=サルファ剤とトリメトプリム)、細胞膜障害(ポリミキシン)。系統名は作用点や副作用の理解にも結びつく。
選択肢ごとの解説
- ① クリンダマイシンはリンコマイシン系に属する蛋白合成阻害薬であり、ペニシリン系ではないためこの組合せは誤りである。
- ② 正しい。ゲンタマイシンはアミノグリコシド系の抗菌薬で、30Sサブユニットに作用して蛋白合成を阻害する薬剤である。
- ③ 正しい。シプロフロキサシンはキノロン(ニューキノロン)系の抗菌薬で、DNAジャイレースを阻害する薬剤である。
- ④ セファゾリンはセフェム系(βラクタム系)の細胞壁合成阻害薬であり、マクロライド系ではないためこの組合せは誤りである。
- ⑤ ミノサイクリンはテトラサイクリン系に属する蛋白合成阻害薬であり、セフェム系ではないためこの組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:抗菌薬の作用機序と主な系統
第61回 午後72(臨床微生物学)
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律において一類感染症はどれか。
- ①日本脳炎
- ②ジフテリア
- ③エボラ出血熱
- ④急性灰白髄炎
- ⑤腎症候性出血熱
正答: ③エボラ出血熱
ポイント
感染症法では感染力や重篤性に応じて感染症を一類から五類などに分類する。一類感染症は最も危険性が高い群で、エボラ出血熱・クリミア-コンゴ出血熱・痘そう・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱・南米出血熱が指定され、原則入院など厳重な対応が求められる。設問の選択肢のうちエボラ出血熱が一類感染症に該当する。 ●一類感染症=エボラ出血熱、クリミア-コンゴ出血熱、痘そう、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱。 ●二類感染症=結核、ジフテリア、急性灰白髄炎(ポリオ)、SARS、MERS、鳥インフルエンザ(一部)。 ●四類=日本脳炎・腎症候性出血熱・狂犬病・マラリアなど、五類=麻疹・梅毒・後天性免疫不全症候群など。 ●三類感染症=コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスで、特定の業務への就業が制限される。
選択肢ごとの解説
- ① 日本脳炎は蚊が媒介する四類感染症に分類される疾患であり、一類感染症ではないためこの選択肢は誤りである。
- ② ジフテリアは二類感染症に分類される疾患であり、一類感染症ではないためこの選択肢は答えとして誤りである。
- ③ 正しい。エボラ出血熱は危険性が最も高い一類感染症に分類される疾患であり、設問の正答に該当する。
- ④ 急性灰白髄炎(ポリオ)は二類感染症に分類される疾患であり、一類感染症ではないためこの選択肢は誤りである。
- ⑤ 腎症候性出血熱はハンタウイルスによる四類感染症に分類される疾患であり、一類感染症ではないため誤りである。
第61回 午後73(臨床微生物学)
人工呼吸器管理中の入院患者の痰のGram染色標本を別に示す。最優勢の細菌について考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB073.1683461c26.jpg

- ①Acinetobacter baumannii
- ②Corynebacterium striatum
- ③Neisseria gonorrhoeae
- ④Pseudomonas aeruginosa
- ⑤Streptococcus agalactiae
正答: ①Acinetobacter baumannii
ポイント
人工呼吸器を装着した患者で問題となる人工呼吸器関連肺炎(VAP)の原因菌として、Acinetobacter baumanniiは重要である。グラム染色ではグラム陰性の短い球桿菌(ブドウ糖非発酵菌)として観察され、多剤耐性を示すことがあり院内感染の原因となる。標本上の最優勢菌の所見から、本例ではAcinetobacter baumanniiが考えられる。 ●グラム陰性球桿菌=Acinetobacter(ブドウ糖非発酵)、Moraxella、Haemophilus(小桿菌)。 ●人工呼吸器関連肺炎の原因菌=緑膿菌、Acinetobacter、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌などの院内感染菌。 ●ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌=緑膿菌、Acinetobacter、Stenotrophomonas(いずれも院内感染で問題となる)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。Acinetobacter baumanniiはグラム陰性球桿菌で、多剤耐性を示す院内感染・人工呼吸器関連肺炎の原因菌である。
- ② Corynebacterium striatumはグラム陽性桿菌であり、人工呼吸器患者の優勢なグラム陰性菌という所見とは異なる細菌である。
- ③ Neisseria gonorrhoeaeはグラム陰性双球菌で淋疾の原因菌であり、人工呼吸器関連肺炎の優勢菌の所見とは異なる細菌である。
- ④ Pseudomonas aeruginosaはグラム陰性桿菌でVAPの原因となるが、短い球桿菌として観察される所見とは異なる細菌である。
- ⑤ Streptococcus agalactiaeはグラム陽性連鎖球菌であり、グラム陰性菌が優勢である本例の所見とは異なる細菌である。
第61回 午後74(臨床微生物学)
Streptococcus pyogenesが産生する毒素はどれか。
- ①腸管毒素〈enterotoxin〉
- ②神経毒素〈neurotoxin〉
- ③発赤毒素〈erythrogenic toxin〉
- ④表皮剥離毒素〈exfoliative toxin〉
- ⑤毒素性ショック症候群毒素〈toxic shock syndrome toxin-1〉
正答: ③発赤毒素〈erythrogenic toxin〉
ポイント
Streptococcus pyogenes(A群β溶血性レンサ球菌)は多彩な毒素や酵素を産生する。発赤毒素(発熱外毒素/erythrogenic toxin)は猩紅熱の特徴的な発疹を引き起こす毒素で、本菌が産生する。このほかにストレプトリジンOやS、ストレプトキナーゼ、DNase Bなどを産生し、咽頭炎やリウマチ熱などを起こす。 ●Streptococcus pyogenesの産生物=発赤毒素(猩紅熱)、ストレプトリジンOとS(溶血)、ストレプトキナーゼ、ヒアルロニダーゼ、DNase。 ●他菌の毒素=腸管毒素・TSST-1・表皮剥離毒素(黄色ブドウ球菌)、神経毒素(ボツリヌス菌・破傷風菌)。 ●関連疾患=咽頭炎、猩紅熱、丹毒、リウマチ熱、急性糸球体腎炎。 ●スーパー抗原=発赤毒素の一部はスーパー抗原として作用し、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(毒素性ショック様症候群)を起こすことがある。
選択肢ごとの解説
- ① 腸管毒素(enterotoxin)は黄色ブドウ球菌などが産生し食中毒を起こす毒素であり、本菌の代表的な毒素ではないため誤りである。
- ② 神経毒素(neurotoxin)はボツリヌス菌や破傷風菌が産生する毒素であり、本菌が産生する毒素ではないためこの選択肢は誤りである。
- ③ 正しい。発赤毒素(erythrogenic toxin)はStreptococcus pyogenesが産生し、猩紅熱の発疹を引き起こす毒素である。
- ④ 表皮剥離毒素(exfoliative toxin)は黄色ブドウ球菌が産生し熱傷様皮膚症候群を起こす毒素であり、本菌の毒素ではない。
- ⑤ 毒素性ショック症候群毒素(TSST-1)は黄色ブドウ球菌が産生する毒素であり、本菌が産生する毒素ではないため誤りである。
第61回 午後75(臨床微生物学)
通性嫌気性菌はどれか。
- ①Bacillus subtilis
- ②Clostridium perfringens
- ③Moraxella catarrhalis
- ④Prevotella melaninogenica
- ⑤Yersinia enterocolitica
正答: ⑤Yersinia enterocolitica
ポイント
通性嫌気性菌は酸素の有無にかかわらず増殖でき、酸素があれば呼吸を、なければ発酵によりエネルギーを得る細菌である。Yersinia enterocoliticaは腸内細菌科に属する通性嫌気性のグラム陰性桿菌で、低温でも増殖する性質をもち感染性腸炎を起こす。腸内細菌科のほか、ブドウ球菌や連鎖球菌も通性嫌気性菌に分類される。 ●通性嫌気性菌=腸内細菌科(大腸菌やYersiniaなど)、ブドウ球菌、連鎖球菌、ビブリオ。 ●偏性好気性菌=緑膿菌、Bacillus(芽胞形成・好気性)、結核菌、Moraxella。 ●偏性嫌気性菌=Clostridium、Bacteroides、Prevotella、Fusobacterium(酸素存在下では増殖できない)。 ●微好気性菌=CampylobacterやHelicobacterは低酸素・高二酸化炭素の環境を好み、通常の好気・嫌気培養とは別の条件を要する。
選択肢ごとの解説
- ① Bacillus subtilisは芽胞を形成する好気性のグラム陽性桿菌であり、通性嫌気性菌ではないためこの選択肢は誤りである。
- ② Clostridium perfringensは芽胞を形成する偏性嫌気性のグラム陽性桿菌であり、通性嫌気性菌ではないため誤りである。
- ③ Moraxella catarrhalisは好気性のグラム陰性双球菌であり、通性嫌気性菌ではないためこの選択肢は答えとして誤りである。
- ④ Prevotella melaninogenicaは偏性嫌気性のグラム陰性桿菌で、酸素存在下では増殖できず通性嫌気性菌ではないため誤りである。
- ⑤ 正しい。Yersinia enterocoliticaは腸内細菌科の通性嫌気性グラム陰性桿菌で、酸素の有無にかかわらず増殖できる細菌である。
第61回 午後76(臨床微生物学)
ヘルペスウイルス科に属するのはどれか。
- ①B型肝炎ウイルス
- ②アデノウイルス
- ③水痘・帯状疱疹ウイルス
- ④ヒトパピローマウイルス
- ⑤ヒトパルボウイルスB19
正答: ③水痘・帯状疱疹ウイルス
ポイント
ヘルペスウイルス科はエンベロープを持つ大型の二本鎖DNAウイルスで、初感染後に宿主細胞へ生涯にわたり潜伏感染し、免疫低下や加齢を契機に再活性化する性質が共通する。水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は飛沫・接触で初感染して全身性の水痘を起こし、その後に知覚神経節へ潜伏し、再活性化すると神経支配領域に一致した帯状疱疹を生じる典型的なヘルペスウイルス科ウイルスである。 ●ヘルペスウイルス科=単純ヘルペスウイルス1・2型、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、ヒトヘルペスウイルス6・7・8型(いずれもエンベロープ+二本鎖DNA)。 ●他科のDNAウイルス=B型肝炎ウイルス(ヘパドナウイルス科)、アデノウイルス(アデノウイルス科)、ヒトパピローマウイルス(パピローマウイルス科)、ヒトパルボウイルスB19(パルボウイルス科)。
選択肢ごとの解説
- ① B型肝炎ウイルスはエンベロープを持つ部分二本鎖DNAウイルスでヘパドナウイルス科に属し、ヘルペスウイルス科ではない。
- ② アデノウイルスはエンベロープを持たない正二十面体の二本鎖DNAウイルスでアデノウイルス科に属し、ヘルペスウイルス科ではない。
- ③ 正しい。水痘・帯状疱疹ウイルスはエンベロープを持つ二本鎖DNAウイルスでヘルペスウイルス科に属し、神経節に潜伏して再活性化する。
- ④ ヒトパピローマウイルスはエンベロープを持たない二本鎖DNAウイルスでパピローマウイルス科に属し、子宮頸癌などと関連する。
- ⑤ ヒトパルボウイルスB19はエンベロープを持たない一本鎖DNAウイルスでパルボウイルス科に属し、伝染性紅斑の原因である。
第61回 午後77(臨床微生物学)
ノロウイルスの消毒薬として使用するのはどれか。
- ①クレゾール
- ②フェノール
- ③70%エタノール
- ④両性界面活性剤
- ⑤次亜塩素酸ナトリウム
正答: ⑤次亜塩素酸ナトリウム
ポイント
ノロウイルスはエンベロープを持たないノンエンベロープウイルスで、アルコール(エタノール)や逆性石けんに抵抗性を示すため、70%エタノールでは十分な消毒効果が得られない。これに有効なのは次亜塩素酸ナトリウムであり、強い酸化作用によってウイルス粒子を不活化する。汚物・吐物の処理には次亜塩素酸ナトリウム液を用い、加熱(85〜90℃で90秒以上)も有効である。 ●ノロウイルスに有効=次亜塩素酸ナトリウム、十分な加熱。 ●無効・不十分=アルコール類(エタノール・イソプロパノール)、両性界面活性剤・逆性石けん(陽イオン界面活性剤)、フェノール・クレゾールなど、エンベロープを持たないウイルスには効きにくい消毒薬である。手指は流水と石けんによる物理的洗浄が基本となる。 ●消毒水準の整理=高水準(過酢酸・グルタラール)、中水準(次亜塩素酸ナトリウム・アルコール・ヨウ素)、低水準(両性界面活性剤・第四級アンモニウム塩)に分類される。
選択肢ごとの解説
- ① クレゾールはフェノール系消毒薬で一般細菌や結核菌に有効だが、ノロウイルスの消毒には適さず効果が不十分である。
- ② フェノール(石炭酸)は一般細菌に有効な中水準消毒薬だが、ノロウイルスに対しては効果が不十分で消毒薬として適さない。
- ③ 70%エタノールはエンベロープを持つウイルスには有効だが、ノンエンベロープのノロウイルスに対しては効果が乏しい。
- ④ 両性界面活性剤は一般細菌に有効だが、ノロウイルスに対する消毒効果は不十分で適さない。
- ⑤ 正しい。次亜塩素酸ナトリウムは強い酸化作用によりノンエンベロープのノロウイルスを不活化でき、有効な消毒薬である。
第61回 午後78(臨床微生物学)
我が国における新生児髄膜炎の原因菌として頻度が高いのはどれか。
- ①Cryptococcus neoformans
- ②Escherichia coli
- ③Haemophilus influenzae
- ④Neisseria meningitidis
- ⑤Streptococcus pneumoniae
正答: ②Escherichia coli
ポイント
我が国における新生児髄膜炎(生後早期から生後1か月ころ)の主要原因菌は、産道を介して伝播するB群溶血性レンサ球菌(GBS)と大腸菌(Escherichia coli)である。大腸菌はグラム陰性桿菌で、新生児の腸内や母体の産道から侵入し、敗血症や髄膜炎を起こす頻度が高い原因菌である。新生児は免疫が未熟なため重症化しやすい。 ●新生児髄膜炎の主要原因菌=B群レンサ球菌、大腸菌、リステリア(産道・経胎盤感染が中心)。 ●年長児・成人の細菌性髄膜炎=肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)が中心となる。 ●Cryptococcus neoformansは莢膜を持つ真菌で、免疫不全者の真菌性髄膜炎の原因である。
選択肢ごとの解説
- ① Cryptococcus neoformansは莢膜を持つ酵母様真菌で、免疫不全者の髄膜炎の原因だが新生児髄膜炎では頻度が低い。
- ② 正しい。大腸菌はグラム陰性桿菌で、産道や腸内から侵入しB群レンサ球菌と並ぶ新生児髄膜炎の主要原因菌である。
- ③ Haemophilus influenzaeは乳幼児期以降の細菌性髄膜炎の原因菌だが、新生児期の主要原因菌ではない。
- ④ Neisseria meningitidisは思春期・成人の流行性髄膜炎の原因菌で、新生児髄膜炎では頻度が高くない。
- ⑤ Streptococcus pneumoniaeは年長児・成人の細菌性髄膜炎の主要原因菌だが、新生児期の主要原因菌ではない。
第61回 午後79(臨床免疫学)
IgAについて正しいのはどれか。
- ①5量体である。
- ②分泌成分と結合する。
- ③胎盤通過性を有する。
- ④4種のサブクラスがある。
- ⑤補体古典経路を活性化する。
正答: ②分泌成分と結合する。
ポイント
IgAは血清中ではモノマー(単量体)として、分泌液中ではJ鎖で結合した二量体に上皮細胞由来の分泌成分(secretory component)が付加した分泌型IgAとして存在し、唾液・腸液・初乳などで粘膜免疫の主役を担う。分泌成分はIgAを酵素分解から保護する役割を持つ。胎盤を通過するのはIgGのみで、補体古典経路を活性化するのはIgM・IgGである。 ●IgAの特徴=血清型はモノマー、分泌型は二量体+分泌成分、サブクラスはIgA1とIgA2の2種、粘膜局所免疫を担う。 ●他クラスとの区別=五量体はIgM、胎盤通過はIgGのみ、補体古典経路活性化はIgM・IgG(IgAは古典経路を活性化せず副経路に関与しうる)。 ●免疫グロブリンの基本=重鎖と軽鎖からなりFab部分で抗原に結合する。血清中の存在量はIgGが最も多く、次いでIgA、IgMの順である。
選択肢ごとの解説
- ① 5量体(五量体)であるのはIgMであり、IgAは血清中ではモノマー、分泌型では二量体として存在し五量体ではない。
- ② 正しい。分泌型IgAは上皮細胞由来の分泌成分と結合した二量体で、酵素分解を受けにくく粘膜局所免疫を担う。
- ③ 胎盤通過性を有するのはIgGのみであり、IgAは胎盤を通過せず母体から胎児へは移行しない抗体である。
- ④ IgAのサブクラスはIgA1とIgA2の2種であり、4種のサブクラス(IgG1〜4)を持つのはIgGである。
- ⑤ 補体古典経路を活性化するのはIgM・IgGであり、IgAは補体の古典経路を活性化しない抗体である。
第61回 午後80(臨床免疫学)
Ouchterlony法〈二重免疫拡散法〉の結果の模式図を別に示す。一部共通抗原と反応しているのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB080.d33382fdd3.jpg

正答: ②CとD
ポイント
Ouchterlony法(二重免疫拡散法)は寒天ゲル中で抗原と抗体を相対する穴から拡散させ、両者が出会った位置に抗原抗体複合体による沈降線(沈降帯)を形成させる方法である。隣り合う抗原同士の関係は沈降線の形で判定でき、完全に同一なら線が滑らかに融合する同一性反応、まったく異なる抗原なら線が交差する非同一性反応を示す。一部共通の抗原では一方に拍車(スパー、spur)を生じる部分同一性反応となる。 ●判定パターン=同一性反応(融合)は同一抗原、非同一性反応(交差)は別抗原、部分同一性反応(スパー形成)は一部共通抗原を意味する。 ●応用=抗原の異同の判定や抗原・抗体の存在確認に用いられる。本問では部分同一性反応(スパー)を示す組合せが一部共通抗原と反応していると判定される。 ●沈降反応の応用法=二重免疫拡散法のほか、一元放射免疫拡散法(SRID)による定量、免疫電気泳動による血清蛋白分画の解析などがある。
選択肢ごとの解説
- ① BとCの組合せはこの設問の沈降線パターンでは一部共通抗原を示す部分同一性反応の関係には該当しない。
- ② 正しい。CとDの沈降線は一方にスパー(拍車)を生じる部分同一性反応を示し、一部共通抗原と反応している。
- ③ DとEの組合せはこの設問の沈降線パターンでは一部共通抗原を示す部分同一性反応の関係には該当しない。
- ④ EとFの組合せはこの設問の沈降線パターンでは一部共通抗原を示す部分同一性反応の関係には該当しない。
- ⑤ GとBの組合せはこの設問の沈降線パターンでは一部共通抗原を示す部分同一性反応の関係には該当しない。
第61回 午後81(臨床免疫学)
B型急性肝炎の発症の指標はどれか。
- ①HBe抗原陽性
- ②HBe抗体陽性
- ③HBs抗原陽性
- ④HBs抗体陽性
- ⑤IgM-HBc抗体陽性
正答: ⑤IgM-HBc抗体陽性
ポイント
B型急性肝炎の発症期には、HBVコア抗原に対するIgM型のHBc抗体(IgM-HBc抗体)が高力価で陽性となり、急性感染の診断指標となる。HBc抗体のうちIgMクラスは感染初期に一過性に強く上昇するため、急性肝炎の発症と既往感染や持続感染(IgG-HBc抗体優位)とを鑑別できる重要な指標である。 ●急性B型肝炎の指標=IgM-HBc抗体(高力価)、HBs抗原陽性が初期からみられる。 ●各マーカーの意味=HBs抗原は感染の存在、HBs抗体は感染既往・免疫獲得(治癒・ワクチン後)、HBe抗原はウイルス増殖と感染力が強い状態、HBe抗体は増殖低下(セロコンバージョン)、IgG-HBc抗体は既往または持続感染を示す。 ●感染経過=HBs抗原は感染早期から、続いてIgM-HBc抗体が出現し、回復期にはHBs抗体・HBe抗体・IgG-HBc抗体へと推移する。
選択肢ごとの解説
- ① HBe抗原陽性はウイルスの増殖が活発で感染力が強いことを示すが、急性発症そのものを示す指標ではない。
- ② HBe抗体陽性はウイルス増殖の低下(セロコンバージョン)を示すもので、急性肝炎の発症指標ではない。
- ③ HBs抗原陽性はB型肝炎ウイルス感染の存在を示すが、急性と慢性の鑑別はできず発症の指標にはならない。
- ④ HBs抗体陽性は感染既往や免疫獲得(治癒・ワクチン後)を示すもので、急性発症の指標ではない。
- ⑤ 正しい。IgM-HBc抗体は感染初期に高力価で一過性に陽性となり、B型急性肝炎の発症の指標となる。
第61回 午後82(臨床免疫学)
慢性肉芽腫症で障害されるのはどれか。
正答: ①殺菌能
ポイント
慢性肉芽腫症はNADPHオキシダーゼの欠損により好中球・マクロファージが活性酸素(殺菌に必要なスーパーオキシドや過酸化水素)を産生できず、貪食はできても取り込んだ菌を殺菌できない食細胞機能異常症である。したがって障害されるのは殺菌能であり、貪食能・遊走能・抗体産生能・細胞傷害能は保たれる。カタラーゼ陽性菌による反復感染と肉芽腫形成を特徴とする。 ●障害される能力=殺菌能(活性酸素を介した殺菌が障害される)。 ●保たれる能力=貪食能・遊走能・抗体産生能(B細胞機能)・細胞傷害能(NK・細胞傷害性T細胞)。 ●臨床的特徴=黄色ブドウ球菌・セラチア・アスペルギルスなどカタラーゼ陽性菌による反復感染、肉芽腫形成、NBT還元試験陰性で診断される。 ●原発性免疫不全の分類=食細胞機能異常症のほか、T細胞系の細胞性免疫不全、B細胞系の液性免疫不全、両者を欠く重症複合免疫不全症(SCID)がある。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。慢性肉芽腫症はNADPHオキシダーゼ欠損で活性酸素を産生できず殺菌能が障害され、カタラーゼ陽性菌に反復感染する。
- ② 貪食能は慢性肉芽腫症では保たれており、菌の取り込みは可能だが取り込んだ後の殺菌ができない点が問題となる。
- ③ 遊走能は慢性肉芽腫症では保たれており、好中球が感染部位へ遊走・移動する機能は障害されない。
- ④ 抗体産生能はB細胞・形質細胞の機能であり、食細胞機能異常症である慢性肉芽腫症では障害されない。
- ⑤ 細胞傷害能はNK細胞や細胞傷害性T細胞の機能であり、慢性肉芽腫症で障害される能力ではない。
📋 まとめの表を見る:原発性免疫不全症の分類(障害される免疫系統別)
Wiskott-Aldrich症候群(XR、T細胞機能低下+血小板減少)や毛細血管拡張性失調症(AR、進行性小脳失調)もT細胞系機能不全に分類される。
第61回 午後83(臨床免疫学)
抗セントロメア抗体が診断に有用な疾患はどれか。
- ①多発性筋炎
- ②CREST症候群
- ③Sjögren症候群
- ④自己免疫性肝炎
- ⑤全身性エリテマトーデス
正答: ②CREST症候群
ポイント
抗セントロメア抗体は強皮症の限局型であるCREST症候群の診断に有用な自己抗体で、染色体のセントロメア(動原体)を標的とする。CRESTは石灰沈着(Calcinosis)、Raynaud現象、食道運動障害(Esophageal dysfunction)、強指症(Sclerodactyly)、毛細血管拡張(Telangiectasia)の頭文字で、皮膚硬化が手指など末梢に限局し比較的予後良好な限局皮膚硬化型全身性強皮症に分類される。 ●抗セントロメア抗体=CREST症候群(限局型強皮症)で陽性となる。 ●他疾患の特徴的自己抗体=多発性筋炎は抗Jo-1抗体(抗ARS抗体)、Sjögren症候群は抗SS-A/SS-B抗体、自己免疫性肝炎は抗核抗体・抗平滑筋抗体、全身性エリテマトーデスは抗ds-DNA抗体・抗Sm抗体である。
選択肢ごとの解説
- ① 多発性筋炎は抗Jo-1抗体(抗ARS抗体)が特徴的で、抗セントロメア抗体は診断には有用ではない。
- ② 正しい。抗セントロメア抗体は限局型強皮症であるCREST症候群の診断に有用な自己抗体である。
- ③ Sjögren症候群は抗SS-A/Ro抗体・抗SS-B/La抗体が特徴で、抗セントロメア抗体は診断には有用ではない。
- ④ 自己免疫性肝炎は抗核抗体・抗平滑筋抗体が特徴で、抗セントロメア抗体は診断の指標とはならない。
- ⑤ 全身性エリテマトーデスは抗ds-DNA抗体・抗Sm抗体が特徴で、抗セントロメア抗体は診断には有用ではない。
📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患
第61回 午後84(臨床免疫学)
MGUS〈monoclonal gammopathy of undetermined significance〉で正しいのはどれか。
- ①骨髄の形質細胞比率は10%以上である。
- ②尿中Bence Jones蛋白が陽性となる。
- ③若年者より高齢者に多くみられる。
- ④過粘稠度症候群を呈する。
- ⑤骨病変を認める。
正答: ③若年者より高齢者に多くみられる。
ポイント
MGUS(意義不明の単クローン性γグロブリン血症)は、血清中に単クローン性免疫グロブリン(Mタンパク)を認めるが、多発性骨髄腫やマクログロブリン血症の診断基準を満たさない前癌的病態である。臓器障害を伴わず無症候性で、高齢者に多くみられ、加齢とともに頻度が増加し、年率約1%で多発性骨髄腫などへ移行するため経過観察が行われる。 ●MGUSの定義=血清Mタンパク3g/dL未満、骨髄形質細胞10%未満、臓器障害(CRAB)なし、高齢者に多い。 ●多発性骨髄腫との鑑別=骨髄腫は形質細胞10%以上、Mタンパク高値、骨病変(溶骨)・高カルシウム血症・腎障害・貧血(CRAB)、尿中Bence Jones蛋白陽性、過粘稠度症候群などの臓器障害を伴う点で異なる。 ●Mタンパクを示す疾患=多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、MGUS、原発性アミロイドーシスなどで単クローン性免疫グロブリンが検出される。
選択肢ごとの解説
- ① 骨髄の形質細胞比率が10%以上となるのは多発性骨髄腫であり、MGUSでは形質細胞は10%未満にとどまる。
- ② 尿中Bence Jones蛋白陽性は多発性骨髄腫でみられる所見であり、MGUSでは原則として陰性である。
- ③ 正しい。MGUSは若年者より高齢者に多くみられ、加齢とともに頻度が増加する無症候性の病態である。
- ④ 過粘稠度症候群はMタンパク高値の多発性骨髄腫やマクログロブリン血症でみられ、MGUSでは通常生じない。
- ⑤ 骨病変(溶骨性病変)は多発性骨髄腫の所見であり、臓器障害を伴わないMGUSでは骨病変を認めない。
第61回 午後85(臨床免疫学)
補体のcold activationで正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①血清C4濃度が低下する。
- ②C型慢性肝炎でみられる。
- ③血清補体価が高値を示す。
- ④EDTA加血漿でみられる。
- ⑤クリオグロブリンが原因となる。
正答: ②C型慢性肝炎でみられる。・⑤クリオグロブリンが原因となる。
ポイント
補体のcold activation(寒冷活性化)は、クリオグロブリンなどの存在下で低温(4℃)に放置すると補体が活性化・消費される現象で、C型慢性肝炎に伴うクリオグロブリン血症でみられる。採血後に検体を低温で長時間放置すると血清補体価(CH50)は低下するがC3・C4の蛋白濃度は正常に保たれ、活性のみが低下する見かけ上の低補体血症を示すため、採血後は速やかに血清分離・測定を行う必要がある。 ●cold activationの特徴=低温で補体が活性化・消費され血清補体価は低下する、クリオグロブリンが原因となる、C型慢性肝炎でみられる。 ●注意点=EDTAは補体活性化を阻害するため逆に防止に働く、血清補体価は高値ではなく低値となる、検体取扱いの不適切による偽性低補体血症の原因となる。 ●補体の測定=CH50は古典経路全体の活性を、C3・C4は個々の成分量を反映し、消費性疾患では低値、急性炎症では上昇しうる。
選択肢ごとの解説
- ① cold activationで低下するのは補体の活性(CH50)であり、C3・C4の蛋白濃度は正常に保たれるため、血清C4濃度が低下するという記述は誤りである。
- ② 正しい。cold activationはクリオグロブリンを伴うC型慢性肝炎でみられ、低温での補体活性化・消費を生じる。
- ③ 血清補体価は低温での補体消費により高値ではなく低値を示すため、高値とするこの記述は誤りである。
- ④ EDTAは補体活性化を抑制(キレートで阻害)するため、EDTA加血漿ではcold activationは生じにくい。
- ⑤ 正しい。クリオグロブリンが低温で補体を活性化・消費する原因となり、cold activationを引き起こす。
📋 まとめの表を見る:補体のコールドアクチベーション(寒冷活性化)の特徴
血清補体価と血漿補体価に乖離がみられる場合はコールドアクチベーションを疑う。C3・C4がともに低値であればコールドアクチベーションは否定的で、他の補体欠損症を考える。
第61回 午後86(臨床免疫学)
ABO血液型検査で血清側の原因によってオモテ・ウラ不一致となるのはどれか。2つ選べ。
- ①亜型
- ②後天性B
- ③寒冷凝集素
- ④汎血球凝集
- ⑤不規則抗体
正答: ③寒冷凝集素・⑤不規則抗体
ポイント
ABO血液型検査でオモテ検査(抗A・抗B試薬で患者赤血球の抗原を調べる)とウラ検査(A・B試薬血球で患者血清の抗体を調べる)が一致しない場合、その原因は赤血球側と血清側に分けられる。血清(ウラ)側の原因には予期せぬ抗体の存在が関与し、寒冷凝集素や不規則抗体は患者血清中の抗体異常としてウラ検査の判定に影響して不一致を生じる。 ●血清(ウラ)側の原因=寒冷凝集素、不規則抗体、抗体価低下(高齢者・新生児)、連銭形成、グロブリン異常。 ●赤血球(オモテ)側の原因=亜型(亜−型などの抗原減弱)、後天性B、汎血球凝集、白血病などによる抗原減弱。本問では寒冷凝集素と不規則抗体が血清側の原因に該当する。 ●ABO血液型の検査原則=オモテ検査とウラ検査の結果が一致して初めて判定が確定する。不一致時は原因を検索し再検査を行う必要がある。
選択肢ごとの解説
- ① 亜−型は赤血球側のA抗原が減弱する亜型であり、オモテ検査に影響する赤血球側の不一致原因に分類される。
- ② 後天性Bは腸内細菌酵素でA抗原が変化し赤血球がB様に反応する現象で、オモテ側(赤血球側)の不一致原因である。
- ③ 正しい。寒冷凝集素は患者血清中の抗体異常であり、ウラ検査に影響して血清側のオモテ・ウラ不一致を生じる。
- ④ 汎血球凝集は赤血球膜の潜在抗原が露出して凝集する現象で、オモテ検査に影響する赤血球側の不一致原因である。
- ⑤ 正しい。不規則抗体は患者血清中の予期せぬ抗体であり、ウラ検査に影響して血清側のオモテ・ウラ不一致を生じる。
第61回 午後87(臨床免疫学)
カラム凝集法による血液型検査の結果を別に示す。正しい判定はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB087.71184b1d84.jpg

- ①A型Rh(D)陽性
- ②B型Rh(D)陽性
- ③O型Rh(D)陰性
- ④AB型Rh(D)陰性
- ⑤判定保留
正答: ②B型Rh(D)陽性
ポイント
カラム凝集法(ゲルカラム遠心法)は、ゲルを充填したカラム内で抗原抗体反応を行い、凝集した赤血球はゲルの上層から中間に捕捉され(陽性)、凝集しない赤血球は遠心によりカラム底に沈む(陰性)ことで判定する方法である。オモテ検査(抗A・抗B)とウラ検査(A・B血球)、Rh(D)の反応を総合して血液型を判定する。 ●判定原理=凝集すればゲル上部に層を形成(陽性)、凝集しなければカラム底に沈降(陰性)する。 ●本問の結果=オモテ検査で抗Bに凝集し抗Aに非凝集、ウラ検査でA血球に凝集しB血球に非凝集、抗Dに凝集を示すため、B型でRh(D)陽性と判定される。オモテ・ウラが一致し判定保留には当たらない。 ●Rh(D)検査の注意=抗D試薬で陰性の場合は弱D(weak D)や部分Dの可能性を考慮し、間接抗グロブリン試験による確認を行う場合がある。
選択肢ごとの解説
- ① A型Rh(D)陽性は抗A試薬に凝集するパターンであり、本問の抗Bに凝集する所見とは一致しないため誤りである。
- ② 正しい。抗Bおよび抗Dに凝集し抗Aには非凝集という所見から、B型でRh(D)陽性と判定される。
- ③ O型Rh(D)陰性は抗A・抗Bがともに非凝集で抗Dも非凝集のパターンであり、本問の結果とは一致しない。
- ④ AB型Rh(D)陰性は抗A・抗Bがともに凝集するパターンであり、本問の抗Aに非凝集の所見とは一致しない。
- ⑤ 判定保留はオモテ・ウラ不一致など判定困難時の対応であり、本問は明瞭にB型Rh(D)陽性と判定できる。
第61回 午後88(臨床免疫学)
不規則抗体検査について正しいのはどれか。
- ①輸血歴がない場合は不要である。
- ②酵素法はMNSs血液型に対する抗体を検出する。
- ③生理食塩液法は主にIgGクラスの抗体を検出する。
- ④間接抗グロブリン試験で不十分な血球洗浄は偽陰性の原因になる。
- ⑤間接抗グロブリン試験反応増強剤のうちウシアルブミンは最も作用が強い。
正答: ④間接抗グロブリン試験で不十分な血球洗浄は偽陰性の原因になる。
ポイント
間接抗グロブリン試験(間接クームス試験)では、感作させた赤血球に抗グロブリン試薬を加えて凝集を検出するが、血球洗浄が不十分だと残存した血清中の遊離グロブリンが抗グロブリン試薬を中和してしまい、偽陰性の原因となる。そのため反応前の血球洗浄は十分に行う必要がある。 ●不規則抗体検査の要点=間接抗グロブリン試験は主にIgGクラス抗体を検出、生理食塩液法は主にIgMクラス抗体(寒冷抗体など)を検出、酵素法はRh系抗体の検出に優れMNS系抗体は酵素で抗原が変性し検出しにくい。 ●反応増強剤=ポリエチレングリコール(PEG)や低イオン強度溶液(LISS)が強力で、ウシアルブミンの増強作用は比較的弱い。輸血歴がなくても妊娠で感作されうる。 ●不規則抗体の臨床的意義=Rh系・Kidd系・Duffy系などのIgG抗体は遅発性溶血性輸血反応や新生児溶血性疾患の原因となるため検出が重要である。
選択肢ごとの解説
- ① 輸血歴がなくても妊娠などで感作され不規則抗体を保有しうるため、輸血歴がなければ検査不要とはいえない。
- ② 酵素法はRh系抗体の検出に優れる一方、MNSs血液型に対する抗体は酵素で抗原が変性するため検出しにくい。
- ③ 生理食塩液法は主にIgMクラスの抗体を検出する方法で、IgGクラス抗体の検出には間接抗グロブリン試験を用いる。
- ④ 正しい。間接抗グロブリン試験で血球洗浄が不十分だと残存グロブリンが試薬を中和し、偽陰性の原因となる。
- ⑤ 間接抗グロブリン試験の反応増強剤ではPEGやLISSが強力で、ウシアルブミンの増強作用は最も強くはない。
第61回 午後89(臨床免疫学)
Rh(D)不適合による新生児溶血性疾患について正しいのはどれか。
- ①第1子から起こる。
- ②血管内溶血を起こす。
- ③間接ビリルビンは変化しない。
- ④母親の不規則抗体検査で発生を予測する。
- ⑤児への抗D免疫グロブリン投与により予防する。
正答: ④母親の不規則抗体検査で発生を予測する。
ポイント
Rh(D)不適合による新生児溶血性疾患(HDFN)は、D陰性の母体がD陽性児の赤血球で感作され産生した抗D抗体(IgG)が胎盤を通過し、児の赤血球を破壊することで起こる。発症の予測には母親の不規則抗体検査(抗D抗体の検出)が有用である。感作は主に分娩時に成立するため、通常は第2子以降で発症し、第1子では起こりにくい。 ●Rh不適合HDFNの特徴=抗D(IgG)が胎盤を通過、脾臓などでの血管外溶血、間接ビリルビン上昇による黄疸・核黄疸、第2子以降での発症が多い。 ●予防=D陰性の母親に抗D免疫グロブリンを投与して母体の感作を防ぐ(児ではなく母親に投与する)。母親の不規則抗体検査で発生を予測する。 ●ABO不適合HDFNとの違い=ABO不適合は第1子でも発症しうるが症状は軽く、Rh不適合は第2子以降で重症化しやすい点が異なる。
選択肢ごとの解説
- ① 通常は分娩時の感作を経て第2子以降で発症し、第1子では原則として起こりにくい疾患である。感作の成立に時間を要するためである。
- ② Rh不適合による溶血は主に脾臓などでの血管外溶血であり、血管内溶血が主体となる疾患ではない。
- ③ 赤血球破壊により間接ビリルビンが上昇し黄疸・核黄疸を生じるため、変化しないとするこの記述は誤りである。
- ④ 正しい。母親の不規則抗体検査で抗D抗体を検出することで、新生児溶血性疾患の発生を予測できる。
- ⑤ 予防に用いる抗D免疫グロブリンは児ではなくD陰性の母親に投与し、母体の感作を防ぐためのものである。
第61回 午後90(公衆衛生学)
一次予防はどれか。
- ①がん検診
- ②予防接種
- ③精神科デイケア
- ④じん肺健康診断
- ⑤リハビリテーション
正答: ②予防接種
ポイント
予防医学は発症の段階に応じて一次・二次・三次予防に分けられる。一次予防とは疾病の発生そのものを未然に防ぐ取り組みで、健康増進と特異的予防が含まれる。予防接種は感染症の発症を防ぐ特異的予防であり、一次予防に該当する。 ●一次予防=健康増進(生活習慣の改善・健康教育)、特異的予防(予防接種・環境衛生・事故防止)。 ●二次予防=早期発見・早期治療(がん検診・じん肺健康診断などのスクリーニングや健康診断)。 ●三次予防=重症化防止・機能回復・社会復帰(リハビリテーション・精神科デイケア・再発防止)。本問では予防接種が一次予防に該当し、がん検診・じん肺健診は二次予防、リハビリ・デイケアは三次予防に当たる。 ●スクリーニングの指標=二次予防の検査では感度・特異度・陽性的中度などで有効性を評価し、早期発見による予後改善を目指す。
選択肢ごとの解説
- ① がん検診は疾病の早期発見・早期治療を目的とするスクリーニングであり、二次予防に分類される。
- ② 正しい。予防接種は感染症の発症を未然に防ぐ特異的予防であり、一次予防に該当する取り組みである。
- ③ 精神科デイケアは社会復帰や再発防止を目的とする取り組みであり、三次予防に分類される。疾病の発生予防そのものではない。
- ④ じん肺健康診断は職業性疾患の早期発見を目的とする健康診断であり、二次予防に分類される。予防そのものを目的とはしない。
- ⑤ リハビリテーションは機能回復や社会復帰を目的とする取り組みであり、三次予防に分類される。発生予防が目的ではない。
第61回 午後91(公衆衛生学)
人口動態調査の情報源はどれか。
- ①国勢調査
- ②受療者調査
- ③診療報酬明細
- ④指定医療機関からの届出
- ⑤市区町村への住民からの届出
正答: ⑤市区町村への住民からの届出
ポイント
人口動態調査は、出生・死亡・婚姻・離婚・死産という人口動態事象を継続的に把握する調査で、その情報源は市区町村への住民からの届出(出生届・死亡届・婚姻届・離婚届・死産届)である。市区町村が届出を受理して人口動態調査票を作成し、これを集計して人口動態統計が作成される。 ●人口動態統計の情報源=戸籍法・死産届出規程に基づく市区町村への届出(出生・死亡・婚姻・離婚・死産)。 ●他調査との区別=国勢調査は5年ごとの全数調査(人口静態統計)、患者調査・受療行動調査は医療機関を対象とした標本調査、感染症発生動向調査は指定医療機関からの届出による。診療報酬明細(レセプト)はNDBなどに活用される。 ●人口静態統計と動態統計=静態統計は国勢調査によるある時点の人口、動態統計は届出による一定期間の人口の変化を表す。
選択肢ごとの解説
- ① 国勢調査は5年ごとに全人口を調べる人口静態統計の調査であり、人口動態調査の情報源ではない。
- ② 受療者調査(患者調査)は医療機関を対象とした標本調査であり、人口動態調査の情報源ではない。
- ③ 診療報酬明細(レセプト)は医療費請求のための情報であり、人口動態調査の直接の情報源ではない。
- ④ 指定医療機関からの届出は感染症発生動向調査などの情報源であり、人口動態調査の情報源ではない。
- ⑤ 正しい。人口動態調査は市区町村への住民からの届出(出生・死亡・婚姻・離婚・死産)を情報源とする。
第61回 午後92(公衆衛生学)
ランダム化比較対照試験〈RCT〉で、最初に実施するのはどれか。
- ①介入の開始
- ②アウトカムの比較
- ③エビデンスの創出
- ④ランダム化割り付け
- ⑤インフォームドコンセントの取得
正答: ⑤インフォームドコンセントの取得
ポイント
ランダム化比較対照試験(RCT)は、対象者を無作為に介入群と対照群に割り付けて効果を比較する前向き介入研究で、因果関係の検証に最も信頼性の高い研究デザインとされる。その実施手順では、まず対象者にインフォームドコンセントを取得して研究参加の同意を得ることが最初に行われ、その後にランダム化割り付け、介入の開始、アウトカムの比較へと進む。 ●RCTの手順=(1)インフォームドコンセントの取得→(2)ランダム化割り付け→(3)介入の開始→(4)アウトカムの比較・解析。 ●倫理原則=被験者の自由意思による同意が研究実施の前提であり、ヘルシンキ宣言に基づき同意取得が最初に必要となる。エビデンスの創出は試験全体を通じて得られる成果である。 ●研究デザインの階層=エビデンスレベルはメタアナリシス・系統的レビューが最上位で、RCT、コホート研究、症例対照研究の順に位置づけられる。
選択肢ごとの解説
- ① 介入の開始はインフォームドコンセント取得とランダム化割り付けの後に行われる手順であり、最初ではない。
- ② アウトカムの比較は介入後に得られた結果を評価する段階であり、試験の最後に近い手順で最初ではない。
- ③ エビデンスの創出は試験全体を通じて得られる成果であり、最初に実施する具体的な手順ではない。
- ④ ランダム化割り付けはインフォームドコンセント取得の後に行われる手順であり、最初に実施するものではない。
- ⑤ 正しい。RCTでは被験者の自由意思による同意(インフォームドコンセント)の取得を最初に実施する。
第61回 午後93(公衆衛生学)
輻射熱を測定するために用いるのはどれか。
- ①カタ寒暖計
- ②黒球温度計
- ③熱線風速計
- ④アウグスト乾湿計
- ⑤アスマン通風乾湿計
正答: ②黒球温度計
ポイント
輻射熱(放射熱)は物体の表面から放射される赤外線などの電磁波エネルギーによる熱で、これを測定するために用いるのが黒球温度計である。黒球温度計は黒く塗装した中空の銅球の中心に温度計を入れた構造で、周囲からの輻射熱を吸収して平衡温度を示し、気温・気流・輻射を含む総合的な暑熱環境を評価できる。 ●黒球温度計=輻射熱の測定、暑さ指数(WBGT)の算出に用いる(屋外では乾球・湿球・黒球温度から算出する)。 ●他の測定器=カタ寒暖計は冷却力から気流(微気流)を測定、熱線風速計は風速を測定、アウグスト乾湿計・アスマン通風乾湿計は気温と湿度を測定する器具であり、いずれも輻射熱の測定には用いない。 ●温熱環境の4要素=気温・湿度・気流・輻射熱が人体の温熱感覚に影響し、これらを総合した指標として実効温度やWBGTが用いられる。
選択肢ごとの解説
- ① カタ寒暖計は冷却力の測定から微気流(気流)を求める器具であり、輻射熱の測定には用いない。輻射熱の評価には適さない器具である。
- ② 正しい。黒球温度計は黒球が周囲の輻射熱を吸収して平衡温度を示し、輻射熱の測定に用いられる器具である。
- ③ 熱線風速計は加熱した線の冷却を利用して風速を測定する器具であり、輻射熱の測定には用いない。
- ④ アウグスト乾湿計は気温と湿度を測定する乾湿球温度計であり、輻射熱の測定には用いない器具である。
- ⑤ アスマン通風乾湿計は通風下で気温と湿度を正確に測定する器具であり、輻射熱の測定には用いない。
第61回 午後94(公衆衛生学)
介護保険の保険者はどれか。
- ①保健所
- ②市区町村
- ③厚生労働省
- ④福祉事務所
- ⑤介護老人福祉施設
正答: ②市区町村
ポイント
介護保険制度の保険者は市区町村(市町村および特別区)である。市区町村が保険料の徴収、要介護認定、保険給付の支給などを行う運営主体となり、国・都道府県がこれを財政・制度面で支える仕組みである。被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳の医療保険加入者である第2号被保険者に分けられる。 ●介護保険の保険者=市区町村(市町村・特別区)。 ●被保険者=第1号(65歳以上)、第2号(40〜64歳の医療保険加入者)。 ●関連機関の役割=保健所は地域保健の中核機関、厚生労働省は制度設計を担う国の所管機関、福祉事務所は生活保護等の福祉行政、介護老人福祉施設はサービス提供施設であり、いずれも介護保険の保険者ではない。 ●社会保険の種類=医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険があり、介護保険は2000年に施行された比較的新しい制度である。
選択肢ごとの解説
- ① 保健所は地域保健の中核機関であり、介護保険制度の保険者(運営主体)ではないため誤りである。
- ② 正しい。介護保険の保険者は市区町村であり、要介護認定や保険給付などの制度運営を担う。保険給付の運営主体となる。
- ③ 厚生労働省は介護保険制度の設計や所管を行う国の機関であり、保険者(運営主体)ではない。運営主体である保険者ではない。
- ④ 福祉事務所は生活保護などの社会福祉行政を担う機関であり、介護保険の保険者ではないため誤りである。
- ⑤ 介護老人福祉施設は介護サービスを提供する施設であり、保険者(運営主体)ではないため誤りである。
📋 まとめの表を見る:社会保険制度の比較(医療保険・介護保険・労災保険等)
第61回 午後95(医用工学概論)
コンデンサの静電容量の単位はどれか。
- ①クーロン
- ②ジーメンス
- ③ジュール
- ④ファラッド
- ⑤ヘンリー
正答: ④ファラッド
ポイント
コンデンサの静電容量(キャパシタンス)は、どれだけの電荷を蓄えられるかを表す量で、その単位はファラッド(F)である。1ファラッドは1ボルトの電圧を加えたときに1クーロンの電荷を蓄える容量と定義され、関係式はC=Q/V(電荷量を電圧で割る)で表される。 ●静電容量の単位=ファラッド(F)、定義はC=Q/V。 ●他の電気量の単位=クーロン(C)は電荷量、ジーメンス(S)はコンダクタンス(電気抵抗の逆数)、ジュール(J)はエネルギー・仕事、ヘンリー(H)はインダクタンス(コイルの自己誘導・相互誘導)を表す。これらはそれぞれ別の物理量の単位であり、静電容量の単位とは区別する必要がある。 ●受動素子の基本=抵抗(Ω)・コンデンサ(F)・コイル(H)が基本素子で、交流回路ではコンデンサとコイルがリアクタンスを生じる。
選択肢ごとの解説
- ① クーロン(C)は電荷量を表す単位であり、コンデンサの静電容量を表す単位ではないため誤りである。
- ② ジーメンス(S)はコンダクタンス(電気抵抗の逆数)を表す単位であり、静電容量の単位ではない。
- ③ ジュール(J)はエネルギーや仕事を表す単位であり、コンデンサの静電容量を表す単位ではない。
- ④ 正しい。ファラッド(F)はコンデンサの静電容量の単位で、1Vで1Cの電荷を蓄える容量を表す。
- ⑤ ヘンリー(H)はコイルのインダクタンスを表す単位であり、コンデンサの静電容量の単位ではない。
第61回 午後96(医用工学概論)
図の回路はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB096.a546d390a0.jpg

- ①電源回路
- ②微分回路
- ③反転増幅回路
- ④フィルタ回路
- ⑤ブリッジ回路
正答: ③反転増幅回路
ポイント
反転増幅回路は演算増幅器(オペアンプ)を用いた基本回路で、入力信号を反転入力端子(−)に入力抵抗を介して加え、出力から反転入力へ帰還抵抗を接続した負帰還構成をとる。出力は入力と逆位相(反転)で増幅され、増幅率は帰還抵抗と入力抵抗の比で−Rf/Rinと決まる。非反転入力(+)は接地される。 ●反転増幅回路の特徴=入出力が逆位相、増幅率=−Rf/Rin、仮想短絡(バーチャルショート)により反転入力は仮想接地(0V)となる。 ●他回路との区別=微分回路はコンデンサで入力の変化率(時間微分)を出力、フィルタ回路は特定周波数を通過・除去、ブリッジ回路は4つの抵抗の平衡を利用した測定回路、電源回路は機器へ電力を供給する回路である。 ●オペアンプの理想特性=入力インピーダンス無限大・出力インピーダンス0・増幅率無限大とみなし、負帰還により安定した増幅を得る。
選択肢ごとの解説
- ① 電源回路は機器に電力を供給する回路であり、図のオペアンプを用いた反転増幅の構成とは異なる。
- ② 微分回路は入力電圧の変化率(時間微分)を出力する回路であり、図の反転増幅回路とは構成が異なる。
- ③ 正しい。図はオペアンプの反転入力に入力抵抗と帰還抵抗を接続した負帰還構成で、反転増幅回路である。
- ④ フィルタ回路は特定の周波数成分を通過または減衰させる回路であり、図の反転増幅回路とは異なる。
- ⑤ ブリッジ回路は4つの抵抗(またはインピーダンス)の平衡を利用する測定回路であり、図とは異なる。
第61回 午後97(医用工学概論)
CR結合回路(微分回路)に2 Vのステップ電圧を入力したときの出力波形を図に示す。この回路の時定数[ms]はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k61pB097.1bc8b48d81.jpg

正答: ②5
ポイント
CR結合回路(微分回路)にステップ電圧を入力すると、出力はコンデンサの充放電に従って指数関数的に減衰する。時定数τ=CRは、出力が初期値の約36.8%(1/e)まで減衰するのに要する時間として波形から読み取ることができる。本問では入力2Vに対し、出力が初期値の約37%(約0.74V)まで減衰する時間が約5msと読み取れることから、時定数は5msとなる。 ●時定数の定義=τ=CR(抵抗とコンデンサの積)、初期値の63.2%まで変化(充電)または36.8%まで減衰(放電)に要する時間。 ●波形からの読み取り=微分回路の出力は入力ステップの立ち上がり直後に最大となり、その後τで指数減衰し、おおむね5τでほぼ0に収束する。本問のグラフでは減衰の時定数が5msと読み取れる。 ●微分回路と積分回路=微分回路(CR)は入力の変化に応答して立ち上がりを強調し、積分回路(RC)は入力を時間的に平滑化する働きを持つ。
選択肢ごとの解説
- ① 2msでは出力が初期値の約37%まで減衰する時間とグラフが一致せず、時定数として適切ではない。
- ② 正しい。出力が初期値の約36.8%(1/e)まで減衰する時間が約5msと読み取れ、時定数は5msである。
- ③ 10msでは出力の減衰がグラフの示す変化と一致せず、時定数として適切ではないため誤りである。
- ④ 15msでは出力の減衰がグラフの示す変化と一致せず、時定数として適切ではないため誤りである。
- ⑤ 20msでは出力の減衰がグラフの示す変化と一致せず、時定数として適切ではないため誤りである。
第61回 午後98(医用工学概論)
二進法で110から11を引いた値はどれか。
正答: ③11
ポイント
二進法の110は十進数で6、11は十進数で3に相当する。6から3を引くと3となり、これを二進法で表すと11である。二進法の減算では桁借り(borrow)を用いて、110−11=011=11と計算でき、結果は二進数で11となる。 ●二進・十進の変換=110は1×4+1×2+0×1=6、11は1×2+1×1=3、計算結果の3は二進数で11と表される。 ●二進減算の手順=最下位の桁から順に引き、引けない桁は一つ上位の桁から1を借りて2を加えて計算する。110−011を筆算すると最下位の0−1で借りが生じ、残りの桁を計算して結果は011(=二進数の11)となる。 ●コンピュータの数表現=内部では二進数で処理され、負数は2の補数で表現される。十六進数は二進数を簡潔に表すために併用される。本問は単純な二進数同士の減算であり、桁借りを正しく処理すれば確実に求められる。
選択肢ごとの解説
- ① 二進数の1は十進数で1に相当し、6−3=3の計算結果とは一致しないため誤りである。
- ② 二進数の10は十進数で2に相当し、6−3=3の計算結果とは一致しないため誤りである。減算結果としては誤りである。
- ③ 正しい。110が示す6から11が示す3を引くと二進数の11(十進数の3)となり、減算結果と一致する。
- ④ 二進数の100は十進数で4に相当し、6−3=3の計算結果とは一致しないため誤りである。減算結果としては誤りである。
- ⑤ 二進数の101は十進数で5に相当し、6−3=3の計算結果とは一致しないため誤りである。減算結果としては誤りである。
第61回 午後99(医用工学概論)
インターフェースの規格はどれか。
正答: ⑤USB
ポイント
USB(Universal Serial Bus)は、コンピュータと周辺機器を接続するためのインターフェース(接続)規格である。シリアル転送方式で多様な機器を1つの規格で接続でき、給電もできることから現在最も広く普及している接続規格の一つである。 ●インターフェース(接続)規格=USB、IEEE1394、RS-232C、HDMI、LAN(Ethernet)など、機器間のデータ伝送を規定する。 ●他選択肢の意味=ALU(算術論理演算装置)はCPU内部で演算を行う装置、CRT(陰極線管)は画像を表示するディスプレイ装置、OCR(光学文字認識)は文字を読み取る技術・装置、RAM(随時書込み読出しメモリ)は主記憶装置であり、いずれもインターフェースの規格ではない。 ●コンピュータの5大装置=入力・出力・記憶・演算・制御装置からなり、演算と制御を担うのがCPU(中央処理装置)である。
選択肢ごとの解説
- ① ALU(算術論理演算装置)はCPU内部で演算処理を行う装置であり、インターフェースの規格ではない。
- ② CRT(陰極線管)は画像を表示するディスプレイ装置であり、インターフェースの規格ではないため誤りである。
- ③ OCR(光学文字認識)は印刷・手書き文字を読み取る技術・装置であり、インターフェースの規格ではない。
- ④ RAM(随時書込み読出しメモリ)はデータを一時記憶する主記憶装置であり、インターフェースの規格ではない。
- ⑤ 正しい。USBはコンピュータと周辺機器を接続するシリアル方式のインターフェース規格である。
第61回 午後100(医用工学概論)
光学顕微鏡の使用法で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①高倍率から低倍率の順で観察を行う。
- ②視野絞り像が視野の外になるように調節する。
- ③ピント合わせはステージを徐々に上げながら行う。
- ④対物レンズを変換する際はレボルバを持って回転させる。
- ⑤使用する対物レンズの開口数に照明系の開口数を合わせる。
正答: ④対物レンズを変換する際はレボルバを持って回転させる。・⑤使用する対物レンズの開口数に照明系の開口数を合わせる。
ポイント
光学顕微鏡の使用では、観察は視野の広い低倍率から始めて高倍率へ進める。ピント合わせは対物レンズと試料(プレパラート)の衝突を避けるため、横から見て一度近づけてからステージを下げながら(離しながら)合わせる。対物レンズを変換する際はレボルバを持って回転させ、レンズ本体は持たない。また分解能を最大にするには、照明系(コンデンサ)の開口数を使用する対物レンズの開口数に合わせて調整する。 ●正しい操作=レボルバを持って対物レンズを変換する、照明系(コンデンサ)の開口数を対物レンズの開口数に合わせる。 ●誤った操作の訂正=観察は低倍率から高倍率の順に行う、視野絞り像は視野内に収まるよう調節する、ピント合わせは衝突防止のためステージを下げながら(遠ざけながら)行う。 ●顕微鏡の分解能=分解能は光の波長と開口数で決まり、波長が短く開口数が大きいほど高くなる。油浸レンズは開口数を高めて分解能を向上させる。
選択肢ごとの解説
- ① 観察は低倍率から高倍率の順で行うのが正しく、高倍率から低倍率の順とするこの記述は誤りである。
- ② 視野絞り像は視野内に収まるよう調節して照明範囲を最適化するのが正しく、視野の外にするのは誤りである。
- ③ ピント合わせは対物レンズと試料の衝突を防ぐため、ステージを下げながら(遠ざけながら)行うのが正しい。
- ④ 正しい。対物レンズを変換する際はレンズ本体ではなくレボルバを持って回転させるのが適切な操作である。
- ⑤ 正しい。分解能を高めるため、照明系(コンデンサ)の開口数を使用する対物レンズの開口数に合わせる。