第62回(2016) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第62回 午後51(病理組織細胞学)

腎臓の糸球体基底膜を観察するための染色法として適切なのはどれか。

正答: ①PAM染色

ポイント
PAM(periodic acid-methenamine silver、過ヨウ素酸メセナミン銀)染色は、基底膜に含まれる糖鎖(PAS陽性物質)を過ヨウ素酸で酸化してアルデヒドを生じさせ、メセナミン銀液で還元・黒色に呈色させる方法で、腎糸球体基底膜や尿細管基底膜・Bowman嚢の基底膜を黒褐色に明瞭に描出できる。膜性腎症における基底膜外側のスパイク形成や、膜性増殖性糸球体腎炎でみられる基底膜の二重化(tram-track像)など、基底膜の微細な構造変化の評価に有用で、糸球体腎炎の病型分類に広く用いられる。 ●銀を用いる基底膜・細網線維染色=PAM染色(糸球体基底膜)・渡辺の鍍銀法(細網線維)・Grocott染色(真菌)。 ●糖鎖・粘液の染色=PAS反応(基底膜・グリコーゲン)・Alcian blue染色(酸性ムコ多糖)・mucicarmine染色(上皮性粘液)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腎糸球体基底膜を対象とする特殊染色とその呈色

染色法呈色
PAM染色黒褐色〜黒色(メセナミン銀)
PAS反応赤紫色(Schiff試薬)
Masson trichrome染色基底膜・メサンギウム基質は青色(アニリン青)。免疫複合体沈着物は赤色
azan-Mallory染色基底膜・メサンギウム基質は青色(アニリン青)。免疫複合体沈着物は赤色(アゾカルミンG)
いずれも腎糸球体基底膜・メサンギウム基質を観察できるが、染色法により呈色が異なる。

第62回 午後52(病理組織細胞学)

癌の遺伝子異常を確認するのに適切な免疫組織化学的マーカーはどれか。

正答: ②ALK

ポイント
ALK(anaplastic lymphoma kinase、未分化リンパ腫キナーゼ)は染色体転座などで遺伝子再構成・融合を起こすチロシンキナーゼで、肺腺癌のEML4-ALK融合遺伝子や未分化大細胞リンパ腫のNPM-ALKなどで異常に活性化する。免疫組織化学でALK蛋白の過剰発現を検出することは、本来発現しない細胞でのALK遺伝子異常の存在を示唆し、ALK阻害薬(クリゾチニブなど)による分子標的治療の適応判定に直結する。すなわちALKは遺伝子異常を反映するマーカーとして用いられる点が、単なる系統マーカーと異なる。 ●遺伝子異常を反映するマーカー=ALK(融合遺伝子)・HER2(増幅)・c-kit/CD117(GIST)。 ●系統・分化の同定マーカー=CD3(T細胞)・CEA(腺癌)・SMA(平滑筋)・desmin(筋)で、いずれも遺伝子異常そのものの確認指標ではない。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応

マーカー陽性となる代表的な腫瘍由来・意義
CD20B細胞リンパ腫B細胞系マーカー
CD3T細胞リンパ腫T細胞系マーカー
HER2乳癌過剰発現が分子標的治療の適応判定に関与
エストロゲン受容体〈ER〉乳癌ホルモン受容体・内分泌療法の適応判定
AFP肝細胞癌・卵黄嚢腫瘍胚細胞・肝細胞由来マーカー
CEA大腸癌など消化管腺癌腺癌に共通するマーカー
PSA前立腺癌前立腺特異抗原
CA125卵巣漿液性癌卵巣癌マーカー
hCG絨毛癌栄養膜(トロホブラスト)由来
c-kit(CD117)消化管間質腫瘍〈GIST〉カハール介在細胞由来、分子標的治療の適応判定
ALK肺腺癌の一部・未分化大細胞リンパ腫遺伝子融合(EML4-ALK等)を反映
S100蛋白悪性黒色腫・神経鞘腫瘍神経堤由来細胞マーカー
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。

第62回 午後53(病理組織細胞学)

大腸病変部の染色標本を別に示す。染色法はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB053.74c95e8162.jpg
第62回 午後53 の図

正答: ①PAS反応

ポイント
PAS反応(periodic acid-Schiff、過ヨウ素酸シッフ反応)は、糖鎖の隣接する水酸基を過ヨウ素酸で酸化してアルデヒド基にし、Schiff試薬(無色のフクシン亜硫酸)と反応させて赤紫色に呈色させる染色である。大腸では杯細胞や腺上皮の中性粘液、細胞質のグリコーゲン、基底膜などが赤紫色に染まり、粘液産生の評価や基底膜病変、さらに真菌の検出にも有用である。ジアスターゼ消化との対比でグリコーゲンと他のPAS陽性物質を鑑別できる点も特徴で、糖原病や腺癌の粘液評価にも応用される。本像では病変部にみられる赤痢アメーバの栄養型が赤紫色に染まっており、染色法はPAS反応と判断する。杯細胞や腺上皮の粘液を示した写真ではない。 ●糖・粘液を染める染色=PAS反応(中性粘液・グリコーゲン)・Alcian blue染色(酸性ムコ多糖)。 ●微生物を染める染色=Gram染色(細菌)・Grocott染色(真菌)・Ziehl-Neelsen染色(抗酸菌)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象

染色法主な対象
HE染色核・細胞質の基本染色
EVG染色弾性線維(黒紫)・膠原線維(赤)
Masson trichrome・azan染色膠原線維(青)
PAS染色糖原・中性粘液・基底膜
PAM染色糸球体基底膜・細網線維
PTAH染色横紋筋・グリア線維・フィブリン
鍍銀法細網線維(好銀線維)
Ziehl-Neelsen染色抗酸菌

第62回 午後54(病理組織細胞学)

電子顕微鏡による診断が有用なのはどれか。

正答: ⑤糸球体腎炎

ポイント
糸球体腎炎は光学顕微鏡では捉えにくい微細な構造変化を伴うことが多く、電子顕微鏡による超微形態観察が診断と病型分類に有用である。基底膜の肥厚・二重化、上皮下や内皮下・メサンギウム領域の高電子密度沈着物(電子顕微鏡的に観察される免疫複合体)、微小変化型ネフローゼでの足突起の消失(融合)など、電顕でしか評価できない所見が病型決定に直結する。これに対し腫瘍性病変の多くは組織構築や分化を光学顕微鏡と免疫染色で評価でき、電顕の必要性は低い。電子顕微鏡は腎生検のほか、繊毛運動障害における線毛微細構造の評価や腫瘍の起源同定にも用いられる補助的診断手段である。 ●電子顕微鏡が有用な病変=糸球体腎炎(沈着物・基底膜)・微小変化型ネフローゼ(足突起消失)・繊毛運動障害・神経内分泌顆粒の確認。 ●主に光学顕微鏡・免疫染色で診断する腫瘍=肝癌・血管腫・膠芽腫・骨肉腫など、組織構築や分化を通常染色で評価する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:電子顕微鏡検査が有用な対象・有用でない対象

区分対象
有用な対象糸球体腎炎(基底膜の変化・免疫複合体沈着物の局在・足突起の消失などの微細構造評価)
有用な対象神経内分泌腫瘍(細胞質内の有芯分泌顆粒の確認)
有用な対象線毛運動異常症(線毛の微細構造評価)
有用でない対象癌の深達度・脈管侵襲の判定(組織構築は光学顕微鏡で評価)
有用でない対象細菌感染症の原因菌同定(培養・染色法・遺伝子検査で行う)
腎生検は光学顕微鏡・蛍光抗体法・電子顕微鏡の3手法を組み合わせて評価するのが基本。

第62回 午後55(病理組織細胞学)

喀痰細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。組織型はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB055.d542db9561.jpg
第62回 午後55 の図

正答: ④扁平上皮癌

ポイント
扁平上皮癌の喀痰細胞診では、角化を反映してオレンジ色〜黄色に濃染するオレンジG好性の異型細胞、クロマチンに富む不整な濃染核(インク様核)、紡錘形やオタマジャクシ形・ヘビ形など多彩で奇怪な細胞形態がみられる。Papanicolaou染色は細胞質の角化の程度を色調で評価できるため、扁平上皮への分化を示す扁平上皮癌の判定に有用である。本像ではオレンジG好性の細胞質と強い核異型を示す細胞がみられる。組織標本でみる癌真珠は中心部の層状角化を特徴とし、中心壊死を意味しない。喫煙との関連が強く、肺門部に好発する中枢型が多い点も背景知識として重要である。 ●角化を示す扁平上皮癌の所見=オレンジ色濃染の細胞質・インク様濃染核・紡錘形やオタマジャクシ形の異型細胞。 ●他の肺癌の細胞像=腺癌(柵状・房状配列、明るい核小体)・小細胞癌(裸核状で核成形、木目込み細工様)・大細胞癌(大型で分化を欠く)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)

組織型組織像・細胞像の特徴好発部位頻度予後
扁平上皮癌細胞間橋・角化・癌真珠。重層扁平上皮に類似。Pap染色では角化を反映した光輝性の橙色細胞質肺門部(中枢)約30%比較的良
腺癌管腔形成のある立方・円柱状上皮の増殖、粘液産生末梢部約38%(最多)不良
小細胞癌均等な小型細胞が胞巣状・索状に増殖、裸核様小型細胞、核鋳型(molding)、中心壊死肺門部(中枢)約22%最も不良
大細胞癌大型で多形性の細胞が特定の配列を作らず増殖、低分化末梢部に多い約4%不良
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。

第62回 午後56(病理組織細胞学)

病理解剖について正しいのはどれか。

正答: ④人口動態統計のための正確な情報が得られる。

ポイント
病理解剖(病理学的剖検)は、病院で病死した患者について死因・病態・治療効果を究明する目的で行われる解剖であり、得られた所見は人口動態統計の死因情報の精度向上に寄与する正確な情報をもたらす。死体解剖保存法に基づき原則として遺族の承諾を要し、犯罪性の証明を目的とする司法解剖や、監察医が異状死を検案する行政解剖とは目的・根拠法が異なる。臨床診断と剖検所見を対比することで医療の質の評価や医学教育・研究にも資する重要な役割をもつ。承諾解剖が原則であり、解剖により得られた所見は遺族への説明にも用いられ、不明であった死因や合併症の解明につながる。 ●病理解剖の目的=死因・病態の解明、治療効果の評価、医学教育・研究への寄与、正確な死因統計の提供。 ●他の解剖の区分=司法解剖(犯罪性の証明)・行政解剖(監察医による異状死の検案)で、病理解剖とは目的・根拠法が異なる。

選択肢ごとの解説

第62回 午後57(病理組織細胞学)

健常成人の臓器重量で誤っているのはどれか。

正答: ⑤副腎 — 50 g

ポイント
健常成人の副腎は左右合わせて約10〜14gと小さい臓器であり、片側でも数g程度にすぎず、50gは明らかに過大であるため誤りである。参考となる正常臓器重量はおおよそ脳1,300〜1,400g、心臓250〜300g、肝臓1,200〜1,500g、脾臓100〜150g、腎臓は片側約120〜150gであり、選択肢の脳1,300g・心臓280g・肝臓1,100g・脾臓110gはいずれもこれらの正常範囲に概ね合致する。臓器重量は病的変化の評価にも用いられる基本的な指標で、心肥大や肝腫大・脾腫などの判定基準となる。副腎は皮質と髄質からなる小さな内分泌臓器で、左右計でも十数g程度であることを把握しておく必要がある。 ●比較的大きい実質臓器=肝臓(約1,200〜1,500g)・脳(約1,300〜1,400g)。 ●小さい臓器=脾臓(約100〜150g)・腎臓(片側約120〜150g)・副腎(左右計約10〜14g)。

選択肢ごとの解説

第62回 午後58(病理組織細胞学)

ホルムアルデヒドについて正しいのはどれか。

正答: ①発がん性がある。

ポイント
ホルムアルデヒド(HCHO)は刺激臭をもつ無色の気体で、その水溶液であるホルマリンは組織固定に広く用いられる。ホルムアルデヒドは発がん性があり、国際がん研究機関(IARC)でヒトに対する発がん性物質に分類され、シックハウス症候群や接触性皮膚炎の原因物質でもある。法令上は医薬用外劇物に指定され、組織固定には通常10%ホルマリン(ホルムアルデヒドとして約4%)が用いられる。蛋白のアミノ基を架橋して組織形態を保持する固定作用をもち、取扱い時は換気と防護が求められる。労働安全衛生法に基づく特定化学物質に該当し、作業環境測定や排気設備による曝露低減が義務づけられている点も重要である。 ●ホルムアルデヒドの性質=発がん性あり・刺激性・医薬用外劇物・分子式HCHO。 ●固定液としての特徴=10%ホルマリン(中性緩衝ホルマリン)で蛋白を架橋固定し、組織形態を保持する。

選択肢ごとの解説

第62回 午後59(臨床血液学)

鉄代謝で正しいのはどれか。

正答: ③フェリチンは貯蔵鉄である。

ポイント
フェリチンは内部に鉄を貯蔵する蛋白で、主に肝・脾・骨髄のマクロファージや実質細胞に存在する貯蔵鉄であり、血清フェリチン値は体内貯蔵鉄量をよく反映する指標として鉄欠乏や鉄過剰の評価に用いられる。体内総鉄量は成人で約3〜4gで、その約65〜70%は赤血球ヘモグロビンのヘム鉄として機能鉄を構成し、約25〜30%が貯蔵鉄、残りが組織鉄や輸送鉄として存在する。ヘムは2価(第一鉄)の鉄をもち酸素を可逆的に結合する。1日の鉄吸収量は約1mgで、ほぼ同量が排泄されて平衡が保たれており、トランスフェリンが血中で鉄を輸送する役割を担う。 ●鉄の存在形態=機能鉄(ヘモグロビン・ミオグロビン・酵素)・貯蔵鉄(フェリチン・ヘモジデリン)・輸送鉄(トランスフェリン)。 ●鉄代謝の数値=総鉄量約3〜4g・1日吸収量約1mg・ヘム鉄は2価鉄を中心にもつ。

選択肢ごとの解説

第62回 午後60(臨床血液学)

内因系凝固反応の開始に関わる因子はどれか。

正答: ③第Ⅻ因子

ポイント
内因系凝固反応は、血液が異物面(陰性に荷電した面)に接触することで第Ⅻ因子(Hageman因子)が活性化されることから開始される。活性化第Ⅻ因子はプレカリクレインや高分子キニノゲンの関与のもと第Ⅺ因子を活性化し、続いて第Ⅸ因子を活性化、活性化第Ⅷ因子とともに第Ⅹ因子を活性化して共通系へと進む。内因系の機能はAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)で評価され、外因系を評価するPT(プロトロンビン時間)とは反映する因子が異なる。第Ⅻ因子は接触因子とも呼ばれ、ガラス面やカオリンなどの陰性荷電面への接触で自己活性化する点が出発点となる。 ●内因系の凝固因子=第Ⅻ因子(開始)・第Ⅺ因子・第Ⅸ因子・第Ⅷ因子。 ●外因系・共通系=組織因子(第Ⅲ因子)と第Ⅶ因子が外因系を開始し、第Ⅹ因子・第Ⅴ因子・プロトロンビン(第Ⅱ因子)・フィブリノゲンが共通系を構成する。

選択肢ごとの解説

第62回 午後61(臨床血液学)

血漿を4℃で保存した場合、活性低下が最も著しいのはどれか。

正答: ③第Ⅷ因子

ポイント
第Ⅷ因子は熱や保存に弱い不安定な凝固因子で、血漿を4℃で保存すると活性が著しく低下しやすい。第Ⅴ因子とともに易変因子(不安定因子)と呼ばれ、これらの活性を保持するには採血後速やかに分離し新鮮凍結血漿として凍結保存する必要がある。一方フィブリノゲンやプロトロンビン、第Ⅹ因子などは比較的安定で、4℃保存でも活性低下が緩やかである。選択肢の中で4℃保存により活性低下が最も著しいのは第Ⅷ因子であり、輸血用血液製剤の管理上も重要である。第Ⅷ因子は血友病Aで欠乏する因子であり、凝固検査の検体は適切に管理しないと活性が低下し偽延長を招く点に注意を要する。 ●不安定(易変)因子=第Ⅴ因子・第Ⅷ因子で、保存により活性が低下しやすい。 ●安定な因子=フィブリノゲン(第Ⅰ因子)・プロトロンビン(第Ⅱ因子)・第Ⅹ因子・第Ⅶ因子などで、保存に比較的耐える。

選択肢ごとの解説

第62回 午後62(臨床血液学)

Brecher-Cronkite法による血小板数算定で正しいのはどれか。

正答: ③EDTA-2K加血液を用いる。

ポイント
Brecher-Cronkite法は血小板数を直接計算する位相差顕微鏡法で、抗凝固剤としてEDTA-2K加血液を用いる。1%シュウ酸アンモニウム溶液で希釈して赤血球を溶血させ血小板を残し、血球計算板に入れて湿潤箱で静置・沈降させたのち位相差顕微鏡で血小板を計数する。EDTAは血小板凝集を防ぎ正確な算定を可能にする。現在は自動血球計数装置が主流だが、本法は基準法として位置づけられ、装置の異常値の確認などに用いられる。位相差顕微鏡を用いることで無染色の血小板を背景と区別して観察でき、赤血球を溶血させることで計数の妨げを除く点が方法の要点である。 ●血小板数算定法=Brecher-Cronkite法(位相差顕微鏡・直接法)・自動血球計数装置(電気抵抗法・光学法)。 ●希釈・溶血液=1%シュウ酸アンモニウム液で赤血球を溶血させ血小板を残す。抗凝固剤はEDTA-2Kを用いる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:一次止血・凝固関連検査の測定原理・使用器具

検査評価対象主な器具・方法
出血時間一次止血(血小板数・機能等)ランセット穿刺(デューク法=耳朶/アイビー法=前腕)
血小板粘着能血小板の粘着能ガラスビーズカラム法
血小板凝集能惹起物質による凝集反応多血小板血漿(PRP)+ADP/コラーゲン/リストセチン、透過光法
アンチトロンビン活性セリンプロテアーゼ阻害能合成発色基質法
毛細血管抵抗試験毛細血管の脆弱性陽圧法(駆血帯を用いる駆血法、ランペル・レーデ試験)と陰圧法(吸引法)
クロスミキシング試験APTT/PT延長の原因(凝固因子欠乏かインヒビターか)患者血漿+正常血漿を各比率で混合し測定、プラスチック試験管使用
出血時間は簡便だが標準化が難しく感度が限定的なため、近年は使用頻度が減っている。クロスミキシング試験ではガラス試験管による接触活性化(第XII因子)を避けるためプラスチックまたはシリコンコート試験管を用いる。

第62回 午後63(臨床血液学)

末梢血のWright-Giemsa染色標本を別に示す。矢印に示す細胞が出現し、リストセチン惹起血小板凝集能が欠如するのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB063.0ec89ae2fc.jpg
第62回 午後63 の図

正答: ②Bernard-Soulier症候群

ポイント
Bernard-Soulier症候群は血小板膜糖蛋白GPⅠb/Ⅸ/Ⅴ複合体の異常により、von Willebrand因子を介した血小板の血管内皮下への粘着が障害される先天性血小板機能異常症である。リストセチン惹起血小板凝集能が欠如し、血小板数の減少と末梢血標本上の巨大血小板(大型血小板)がみられるのが特徴である。同じくリストセチン凝集が低下するvon Willebrand病と異なり、正常血漿の添加でも凝集は是正されない点で鑑別できる。出血傾向は皮膚粘膜出血が中心である。 ●リストセチン凝集が欠如=Bernard-Soulier症候群(GPⅠb異常)・von Willebrand病(vWF異常)。 ●ADP・コラーゲン凝集が欠如=血小板無力症(GPⅡb/Ⅲa異常)・アスピリン服用(シクロオキシゲナーゼ阻害)・ストレージプール病(顆粒欠損)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血小板凝集能検査における疾患・薬剤による低下パターン

疾患リストセチン凝集ADP・コラーゲン凝集
von Willebrand病低下(正常血漿・vWF添加で回復)正常
Bernard-Soulier症候群低下(vWF添加でも回復せず)正常
血小板無力症正常低下
Bernard-Soulier症候群では巨大血小板を伴う。

第62回 午後64(臨床血液学)

発作性夜間ヘモグロビン尿症の検査所見で正しいのはどれか。

正答: ④赤血球膜表面CD59が欠損している。

ポイント
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は造血幹細胞のPIGA遺伝子の後天的変異によりGPIアンカー型膜蛋白の合成が障害される後天性の溶血性疾患である。補体制御蛋白であるCD55(DAF)とCD59(MIRL)が赤血球膜表面で欠損するため、補体の活性化を抑えられず補体による持続的な血管内溶血を起こす。フローサイトメトリーによる血球表面のCD55・CD59欠損の証明が診断に有用で、血管内溶血を反映して血清LD上昇・ハプトグロビン低下・ヘモグロビン尿がみられ、血栓症を合併しやすい。睡眠中の生理的なアシドーシスで溶血が亢進し朝の濃い血色素尿を呈することが病名の由来で、再生不良性貧血との移行もみられる。 ●PNHの検査所見=CD55・CD59欠損・血清LD上昇・ハプトグロビン低下・血色素尿(血管内溶血)。 ●関連病態=再生不良性貧血との関連・血栓症の合併・好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコア低下。

選択肢ごとの解説

第62回 午後65(臨床血液学)

伝染性単核症で増加する異型リンパ球(反応性リンパ球)が属するのはどれか。

正答: ②T細胞

ポイント
伝染性単核症はEBウイルス(Epstein-Barrウイルス)の初感染で起こる疾患で、ウイルスはCD21を受容体としてB細胞に感染する。感染B細胞に反応して増殖・活性化するのは細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)であり、末梢血に出現する異型リンパ球(反応性リンパ球)の主体はこの活性化したT細胞である。臨床的には発熱・咽頭炎・頸部リンパ節腫脹・肝脾腫を呈し、検査では異型リンパ球増加・肝逸脱酵素上昇・異好抗体(Paul-Bunnell反応)陽性などがみられる。 ●伝染性単核症の細胞動態=EBVがB細胞に感染し、反応性に活性化T細胞(CD8陽性)が増殖して異型リンパ球となる。 ●検査所見=異型リンパ球増加・肝逸脱酵素上昇・Paul-Bunnell反応(異好抗体)陽性・EBV抗体(VCA-IgM)陽性。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ウイルス感染に関連する血液・リンパ系疾患

疾患原因ウイルス特徴的所見
成人T細胞白血病リンパ腫〈ATL/L〉HTLV-1flower細胞(CD3・CD4・CD25陽性)、高カルシウム血症、九州・沖縄地区に多い
Burkittリンパ腫EBウイルス高悪性度のB細胞性リンパ腫
伝染性単核症EBウイルス異型リンパ球(活性化した細胞傷害性CD8陽性T細胞)、Paul-Bunnell反応陽性

第62回 午後66(臨床血液学)

真性赤血球増加症でみられるのはどれか。

正答: ②JAK2変異

ポイント
真性赤血球増加症(真性多血症、PV)は造血幹細胞レベルのJAK2遺伝子変異(大多数はV617F変異)を背景とする骨髄増殖性腫瘍で、赤血球を中心に白血球・血小板も増加する汎血球増加を示す。JAK2変異によりエリスロポエチン非依存性に赤血球が産生され、血液粘度の上昇から血栓症や頭痛・顔面紅潮などを生じる。血清エリスロポエチン低値とJAK2変異の証明が診断基準の主要項目で、二次性多血症との鑑別に重要である。脾腫やヘマトクリット高値もみられ、血液粘度上昇に伴う血栓症の予防として瀉血や治療が行われる。掻痒感も特徴的な症状である。 ●骨髄増殖性腫瘍とJAK2=真性赤血球増加症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症でJAK2変異がみられる。 ●他疾患の遺伝子・所見=BCR-ABL1融合遺伝子(慢性骨髄性白血病)・破砕赤血球(TTP/DIC)・Döhle様小体(May-Hegglin異常などのMYH9関連疾患)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:真性赤血球増加症〈PV〉の主な検査所見

項目所見
JAK2変異95%以上でJAK2 V617F変異が陽性
好中球アルカリホスファターゼ〈NAP〉スコア高値
血清エリスロポエチン低値

第62回 午後67(臨床血液学)

Helicobacter pylori感染が関連するのはどれか。

正答: ⑤特発性血小板減少性紫斑病

ポイント
Helicobacter pyloriは胃粘膜に感染するグラム陰性らせん菌で、慢性胃炎・胃十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・胃癌の原因となる。さらに特発性血小板減少性紫斑病(ITP)との関連が知られ、H. pyloriの除菌により血小板数が改善する症例が報告されている。これはH. pyloriに対する免疫反応が分子相同性などを介して血小板に対する自己抗体産生を誘導することなどが関与すると考えられている。他の選択肢の血小板・凝固疾患はそれぞれ別の機序で発症する。 ●H. pylori感染が関連する疾患=胃十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・胃癌・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)。 ●他の血小板・凝固疾患の機序=DIC(基礎疾患による凝固活性化)・HUS(志賀毒素)・TTP(ADAMTS13欠損)・抗リン脂質抗体症候群(自己抗体による血栓)。

選択肢ごとの解説

第62回 午後68(臨床微生物学)

ウイルスとクラミジアに共通する特徴はどれか。

正答: ⑤増殖には生きた細胞が必要である。

ポイント
ウイルスとクラミジアはいずれも偏性細胞内寄生体で、自らだけでは増殖できず増殖には生きた宿主細胞が必要である点が共通する。クラミジアは細菌に分類されリボソームや細胞壁様構造をもち二分裂で増殖して抗菌薬が有効だが、自らエネルギー(ATP)を産生できないエネルギー寄生体であるため宿主細胞内でしか増殖できない。ウイルスはリボソームをもたず宿主細胞の翻訳装置を利用して複製し、抗菌薬は無効である。両者はこの細胞内増殖性のみを共通点としてもつ。クラミジアは基本小体と網様体という二形態の発育環をもち、リケッチアとともに偏性細胞内寄生性の細菌に分類される点で、ウイルスとは生物学的性質が根本的に異なる。 ●偏性細胞内寄生体=ウイルス・クラミジア・リケッチアで、増殖に生きた細胞を要する。 ●両者の相違=クラミジアは細菌でリボソームをもち抗菌薬が有効・二分裂で増殖、ウイルスはリボソームをもたず抗菌薬無効・宿主の機構で複製。

選択肢ごとの解説

第62回 午後69(臨床微生物学)

35 ℃で運動性がないのはどれか。

正答: ⑤Yersinia enterocolitica

ポイント
Yersinia enterocoliticaは温度依存性の運動性をもつ腸内細菌科の菌で、35℃培養では鞭毛を発現せず運動性を示さないが、25〜30℃の低温では周毛性鞭毛により運動性を示す。この性状は同定上の重要な鑑別点となる。一方、選択肢の他の腸内細菌科菌(Enterobacter cloacae・Escherichia coli・Morganella morganii・Serratia marcescens)はいずれも周毛性鞭毛をもち35℃で運動性を示すため、35℃で運動性がないという条件にはYersinia enterocoliticaのみが合致する。 ●35℃で運動性を示す腸内細菌科=Enterobacter cloacae・Escherichia coli・Morganella morganii・Serratia marcescens。 ●運動性が温度依存または陰性=Yersinia enterocolitica(25℃で運動性、35℃で陰性)・Klebsiella・Shigella(非運動性)。

選択肢ごとの解説

第62回 午後70(臨床微生物学)

細菌の形態と染色法の組合せで正しいのはどれか。

正答: ②芽胞 — Wirtz法

ポイント
Wirtz法(Wirtz-Conklin法)は細菌の芽胞を染める染色法で、マラカイトグリーンを加熱しながら芽胞内に浸透させ、対比染色にサフラニンを用いて菌体を赤、芽胞を緑に染め分ける。芽胞は厚い殻をもち熱や薬剤・乾燥に抵抗性があって通常染色では染まりにくいため、加熱して色素を浸透させる染色法が用いられる。Bacillus属やClostridium属の芽胞形成の確認に有用である。他の選択肢は構造と染色法の組合せが誤っており、本問では芽胞とWirtz法のみが正しい。 ●特殊構造と染色法=芽胞=Wirtz法・鞭毛=Leifson法(タンニン酸・塩基性フクシン)・莢膜=墨汁法やHiss法・異染小体=Neisser染色やAlbert染色。 ●他の染色=Giménez染色(レジオネラ・リケッチア)・Ziehl-Neelsen法(抗酸菌)で、本問の組合せの誤りを区別する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:細菌の特殊構造と染色法

構造代表的な染色法
芽胞Wirtz法(加熱・菌体赤/芽胞緑)
鞭毛Leifson法(タンニン酸・塩基性フクシン)
莢膜墨汁法・Hiss法
異染小体Neisser染色・Albert染色
抗酸菌Ziehl-Neelsen法
Giménez染色はレジオネラ・リケッチアなどに用いる。

第62回 午後71(臨床微生物学)

微生物と有効な消毒薬の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①酵母 — 次亜塩素酸ナトリウム・③結核菌 — ポビドンヨード

ポイント
酵母(真菌)には次亜塩素酸ナトリウムが有効で、中〜高水準消毒薬として真菌に殺菌的に作用する。また結核菌(抗酸菌)にはポビドンヨード(ヨード系)が有効で、中水準消毒薬として抗酸菌に有効性を示す。これに対しクロルヘキシジンや両性界面活性剤は低水準消毒薬で結核菌・真菌・多くのウイルスへの効果が限定的であり、アルコールは芽胞には無効である。消毒薬は対象微生物の抵抗性に応じて適切な水準のものを選択する必要があり、本問では酵母と次亜塩素酸ナトリウム、結核菌とポビドンヨードの2組が正しい。 ●抗微生物スペクトルが広い消毒薬=次亜塩素酸ナトリウム・ポビドンヨード(中〜高水準、真菌・結核菌・ウイルスに有効)。 ●スペクトルが狭い消毒薬=クロルヘキシジン・両性界面活性剤・アルコール(低〜中水準、芽胞や一部に無効)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:消毒薬の水準分類と主な薬剤・効果

水準主な薬剤効果の目安
高水準グルタルアルデヒド(グルタラール)、フタラール、過酢酸短時間では大量の芽胞を除き全ての微生物を殺滅
中水準次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、消毒用エタノール、クレゾール石けんほとんどの細菌・真菌を殺滅しウイルスを不活化。芽胞は必ずしも殺滅しない
低水準グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)、両性界面活性剤結核菌・芽胞・一部のウイルスや真菌には無効
消毒用エタノールは70〜80%溶液が最も殺菌力が強く、一般細菌・結核菌・真菌・多くのウイルスに有効。ただし細菌芽胞には無効で、一部のノンエンベロープウイルスにも効果が不十分である。

第62回 午後72(臨床微生物学)

薬剤耐性菌と有効な治療抗菌薬の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤基質拡張型β-ラクタマーゼ産生菌 — カルバペネム系

ポイント
基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌はペニシリン系や第三世代セファロスポリン系を分解する酵素を産生して耐性を示すが、カルバペネム系抗菌薬はこのESBLに安定で分解されにくく有効であるため、ESBL産生菌の治療にカルバペネム系が用いられる。耐性菌は産生する酵素や薬剤標的の変化に応じて有効薬が決まる。多剤耐性緑膿菌・多剤耐性アシネトバクターは多系統に耐性を示し、VREはバンコマイシン耐性、MRSAはβ-ラクタム薬耐性で、それぞれ有効薬は限られる。耐性菌の検出と適切な抗菌薬選択は院内感染対策の要であり、薬剤感受性試験の結果に基づく治療が原則となる。 ●ESBL産生菌=カルバペネム系が有効。MRSA=バンコマイシン・テイコプラニン・リネゾリドが有効。 ●他の耐性菌=多剤耐性緑膿菌・多剤耐性アシネトバクターは多くの薬剤に耐性、VREはバンコマイシン耐性でリネゾリドなどを用いる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な薬剤耐性菌と有効な治療薬

耐性菌(略称)主な耐性の対象薬有効な治療薬
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)ほとんどのβ-ラクタム系(ペニシリン系・セフェム系)バンコマイシン、テイコプラニン、リネゾリド
VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)バンコマイシン(グリコペプチド系)リネゾリドなど
MDRP(多剤耐性緑膿菌)カルバペネム系・アミノグリコシド系・ニューキノロン系コリスチンなど、有効薬は限られる
MDRA(多剤耐性アシネトバクター)カルバペネム系等の多系統コリスチンなど、有効薬は限られる
ESBL産生菌(基質拡張型β-ラクタマーゼ)ペニシリン系・第3/4世代セフェム系・モノバクタム系カルバペネム系(メロペネム等)
BLNAR(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)アンピシリン第3世代セフェム系等
ESBLはカルバペネム系を分解しないため、ESBL産生菌はメロペネムに感性を示すことが多い(メロペネム耐性ではない点に注意)。

第62回 午後73(臨床微生物学)

不活化ワクチンが使用されるのはどれか。2つ選べ。

正答: ③B型肝炎・④インフルエンザ

ポイント
不活化ワクチンは病原体を不活化(死菌・成分)して作られるワクチンで、感染性をもたず複数回接種を要するものが多い。選択肢ではB型肝炎ワクチン(HBs抗原を用いた成分ワクチン)とインフルエンザワクチン(不活化スプリットワクチン)が不活化ワクチンに該当する。一方、風疹・麻疹・流行性耳下腺炎は弱毒生ワクチンで、生きた弱毒病原体を用いるため接種後に弱い感染が成立し、免疫不全者や妊婦への接種に注意を要する。生ワクチンと不活化ワクチンの区別は接種計画上重要である。不活化ワクチンは免疫の持続が短く追加接種を要することが多いのに対し、生ワクチンは少量で長期の免疫が得られるが弱毒株が原因となる副反応に留意が必要である。 ●不活化ワクチン=B型肝炎・インフルエンザ・百日咳・日本脳炎・ポリオ(IPV)・肺炎球菌。 ●生ワクチン=風疹・麻疹・流行性耳下腺炎・水痘・BCG・ロタウイルスで、生きた弱毒病原体を用いる。

選択肢ごとの解説

第62回 午後74(臨床微生物学)

膿性痰のGram染色標本を別に示す。喀痰の35 ℃、24時間培養ではチョコレート寒天培地に発育したが、血液寒天培地とBTB乳糖寒天培地には発育が認められなかった。推定される菌種はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB074.467724a3d3.jpg
第62回 午後74 の図

正答: ②Haemophilus influenzae

ポイント
Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌)は発育に発育因子V(NAD)と発育因子X(ヘミン)の両方を必要とするため、両因子を含むチョコレート寒天培地には発育するが、V因子を欠く通常のヒツジ血液寒天培地には発育しない。膿性痰のグラム陰性小桿菌で、上気道感染症・肺炎・中耳炎・小児髄膜炎などの主要起炎菌である。本問の「チョコレート寒天に発育し、血液寒天とBTB乳糖寒天に発育しない」という培養所見は、発育因子要求性をもつインフルエンザ菌の典型的な性状に合致する。 ●発育因子を要求する菌=Haemophilus influenzae(V+X因子)でチョコレート寒天に発育、血液寒天に発育不良。 ●他の呼吸器・特殊培地要求菌=Legionella(BCYE培地)・Bordetella pertussis(ボルデー・ジャング培地)・Moraxella catarrhalis(血液寒天に発育)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:特殊な発育因子・培養条件を必要とする細菌

菌特殊な発育要求主な培地・条件備考
Haemophilus influenzaeX因子(ヘミン)+V因子(NAD)チョコレート寒天培地(CO₂培養)ヒツジ血液寒天には発育しない、V因子産生菌の周囲で発育増強(衛星現象)
Haemophilus parainfluenzaeV因子のみチョコレート寒天培地X因子は不要
Neisseria gonorrhoeae・meningitidis二酸化炭素(CO₂ 5〜10%)チョコレート寒天培地・GC培地普通寒天培地には発育しない好炭酸ガス性菌
Legionella pneumophilaシステイン・鉄BCYEα培地通常のGram染色では染まりにくい
Campylobacter jejuni微好気(酸素約5%)、高温(42℃前後)Skirrow培地など下痢症の原因、Guillain-Barré症候群の先行感染菌

第62回 午後75(臨床微生物学)

新生児髄膜炎患児の脳脊髄液をチョコレート寒天培地、5%ヒツジ血液加寒天培地およびBTB乳糖寒天培地に分離培養した。後二者の培地を別に示す。集落からのGram染色所見はGram陽性球菌であった。推定される菌種はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB075.2f6494ed99.jpg
第62回 午後75 の図

正答: ④Streptococcus agalactiae

ポイント
Streptococcus agalactiae(B群溶血性レンサ球菌、GBS)はグラム陽性球菌で連鎖状に配列し、血液寒天培地でβ溶血を示す。新生児髄膜炎・敗血症・肺炎の主要起炎菌で、分娩時に産道で母体から児へ垂直感染して発症する。BTB乳糖寒天培地には発育しにくく、CAMPテスト陽性・バシトラシン耐性・馬尿酸加水分解陽性などが同定上の特徴である。本問ではグラム陽性球菌で新生児髄膜炎という臨床像から、グラム陰性桿菌のE. coliやグラム陽性桿菌のListeriaと区別され、GBSが推定される。 ●新生児髄膜炎の起炎菌=Streptococcus agalactiae(GBS)・Escherichia coli・Listeria monocytogenes。 ●GBSの性状=グラム陽性連鎖球菌・β溶血・CAMPテスト陽性・Lancefield B群で、グラム陰性のE. coliと区別される。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:年齢群別 細菌性髄膜炎の主な起因菌

年齢群主な起因菌
新生児Streptococcus agalactiae(B群レンサ球菌)、Escherichia coli、Listeria monocytogenes
乳幼児〜小児Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)、Haemophilus influenzae、Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)
成人・高齢者Streptococcus pneumoniae、Neisseria meningitidis
Streptococcus agalactiaeとListeria monocytogenesはともにCAMPテスト・馬尿酸塩加水分解試験が陽性を示すが、前者はグラム陽性球菌、後者はグラム陽性桿菌である点で鑑別する。

第62回 午後76(臨床微生物学)

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①逆転写酵素をもつ。・②RNAウイルスである。

ポイント
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はレトロウイルス科レンチウイルス属の一本鎖RNAウイルスで、ウイルス粒子内に逆転写酵素(reverse transcriptase)をもち、感染後に自身のRNAをDNAに逆転写してインテグラーゼで宿主ゲノムへ組み込んで増殖する。脂質二重膜由来のエンベロープを保有し、その表面糖蛋白gp120がCD4分子およびケモカイン受容体に結合するため、主にCD4陽性ヘルパーT細胞・マクロファージに感染してこれを破壊し、CD4陽性T細胞の減少から後天性免疫不全症候群(AIDS)と日和見感染を引き起こす。抗原変異が激しく有効な予防ワクチンは実用化されていない。 ●HIVの構造=一本鎖RNA2本・逆転写酵素・インテグラーゼ・プロテアーゼ・エンベロープ(gp120/gp41)。 ●標的細胞=CD4陽性T細胞・単球マクロファージ・樹状細胞(CD8陽性T細胞ではない)。 ●ほかのRNAウイルス=インフルエンザ・麻疹・風疹・コロナ・C型肝炎・ノロウイルスなど。

選択肢ごとの解説

第62回 午後77(臨床微生物学)

プリオンの構成要素はどれか。

正答: ②蛋白質

ポイント
プリオンは核酸(DNA・RNA)を含まず蛋白質のみから構成される感染性病原体で、proteinaceous infectious particleに由来して命名された。正常型プリオン蛋白(PrPc)が異常型(PrPSc)へ立体構造変化を起こし、これが鋳型となって正常型を次々と異常型へ変換させながら脳に蓄積し、海綿状変性を生じる。クロイツフェルト・ヤコブ病やウシ海綿状脳症(BSE)の原因であり、核酸をもたないため通常の加熱・消毒・紫外線・核酸分解酵素では失活しにくいのが特徴である。 ●プリオン病=クロイツフェルト・ヤコブ病・ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群・致死性家族性不眠症・BSE。 ●他の病原体の核酸=細菌・真菌はDNAとRNA、ウイルスはDNAまたはRNAをもつが、プリオンは核酸をもたない。 ●不活化=高圧蒸気滅菌や水酸化ナトリウム・次亜塩素酸ナトリウム処理が用いられる。

選択肢ごとの解説

第62回 午後78(臨床微生物学)

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における三類感染症の原因菌はどれか。2つ選べ。

正答: ③Salmonella Typhi・④Vibrio cholerae

ポイント
感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)の三類感染症は、飲食物を介して集団発生を起こしうる消化器系感染症で、特定の職業(飲食物取扱業など)への就業制限が課される。コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症の5疾患が該当し、原因菌はそれぞれVibrio cholerae、Shigella属、Salmonella Typhi、Salmonella Paratyphi A、腸管出血性大腸菌である。一類は最も危険度が高く、二類は結核・ジフテリアなどが含まれる。 ●三類感染症=コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症。 ●他の選択肢の分類=ジフテリア(C. diphtheriae)は二類、結核(M. tuberculosis)は二類、ペスト(Y. pestis)は一類。 ●一類感染症=エボラ出血熱・ペスト・痘そう・ラッサ熱・南米出血熱など。

選択肢ごとの解説

第62回 午後79(臨床免疫学)

免疫担当細胞について正しいのはどれか。

正答: ⑤キラーT細胞はMHCクラスⅠ発現細胞を殺傷する。

ポイント
キラーT細胞(細胞傷害性T細胞、CD8陽性)はMHCクラスⅠ分子に提示された抗原ペプチドを認識し、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞などMHCクラスⅠを発現する標的細胞を傷害する。MHCクラスⅠはほぼ全ての有核細胞に発現している。NK細胞は通常CD8を発現せずCD16・CD56を指標とし、MHC非依存性に標的を殺傷する。ヘルパーT細胞のうちTh1は細胞性免疫、Th2は液性免疫(抗体産生)を促進し、Treg(制御性T細胞)は過剰な免疫応答を抑制する。 ●ヘルパーT細胞(CD4陽性)=Th1は細胞性免疫・マクロファージ活性化、Th2は液性免疫・B細胞の抗体産生を促進する。 ●制御性T細胞(Treg)=過剰な免疫応答や自己免疫を抑制し、免疫の恒常性を維持する。 ●NK細胞=CD16・CD56陽性で、抗原非特異的に感染細胞や腫瘍細胞を傷害する自然免疫の細胞。

選択肢ごとの解説

第62回 午後80(臨床免疫学)

次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB080.ede350ff24.jpg
第62回 午後80 の図

正答: ①

ポイント
IgGは胎盤を能動的に通過できる唯一の免疫グロブリンで、胎生後期に母体から移行するため出生時の血中濃度は成人とほぼ同等まで高い。出生後は移行したIgGが代謝で減少する一方、児自身のIgG産生が未熟なため生後3〜6か月頃に最低値(生理的低γ-グロブリン血症)となり、その後自己産生の増加に伴い再上昇して成人値へ近づく。この高値→いったん低下→再上昇というU字型を示す①の曲線がIgGに相当する。 ●胎盤通過=IgGのみが胎盤を通過し、新生児を受動免疫で防御する。 ●新生児期の免疫グロブリン=IgMは胎児自身が産生して出生後に上昇し、IgAは母乳から供給される。 ●免疫グロブリンのクラス=IgG・IgM・IgA・IgD・IgEの5種類があり、血中ではIgGが最も多く存在する。 ●受動免疫=母体由来のIgGが生後しばらく乳児を感染から守る役割を果たす。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:5種類の免疫グロブリンの主な性状

種類構造血中量特徴
IgG単量体最多(800〜1,600)胎盤通過・4サブクラス・感染防御
IgM5量体―初期抗体・補体活性化能が最高・最古
IgA分泌型は2量体唾液・涙・初乳など蛋白分解酵素に抵抗・粘膜免疫
IgD単量体微量B細胞表面・分化に関与・代謝速い
IgE単量体最少肥満細胞Fc受容体・Ⅰ型アレルギー
単クローン性増加=1クローン由来で単一Igが増加(原発性マクログロブリン血症=IgM)。多クローン性増加=感染症・自己免疫疾患など。

第62回 午後81(臨床免疫学)

散乱光を測定するのはどれか。

正答: ②免疫比ろう法

ポイント
抗原抗体反応で生じた免疫複合体に光を当てると、光の一部が散乱・吸収される。免疫比ろう法(ネフェロメトリー、免疫比朗法)は入射光に対して側方に散乱した散乱光の強度を測定する方法で、微量の抗原を高感度に定量できる。これに対し免疫比濁法(タービジメトリー)は免疫複合体による濁りで減弱した透過光(吸光度の増加)を測定する。両者は散乱光を測るか透過光を測るかという原理の違いで区別される。 ●散乱光を測定=免疫比ろう法(ネフェロメトリー)。 ●透過光(濁度)を測定=免疫比濁法(タービジメトリー)。 ●標識を用いる測定=蛍光免疫測定法・酵素免疫測定法・化学発光免疫測定法は、標識物質が発するシグナルを測定する。 ●ネフェロメトリーの利点=散乱光を測るため低濃度域の感度が高く、微量蛋白の定量に適している。

選択肢ごとの解説

第62回 午後82(臨床免疫学)

梅毒血清反応がSTS陽性かつTPPA陰性の場合に考えられるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①梅毒感染初期・⑤生物学的偽陽性

ポイント
梅毒血清反応にはカルジオリピンを抗原とする非特異的反応(STS:RPR・ガラス板法など)と、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の菌体成分を抗原とする特異的反応(TPPA・FTA-ABS)がある。STS陽性かつTPPA陰性となるのは、特異抗体がまだ産生されていない感染ごく初期と、梅毒ではないのにSTSのみ反応する生物学的偽陽性(BFP)の2つが考えられる。生物学的偽陽性は妊娠・自己免疫疾患・急性ウイルス感染などで生じる。 ●STS陽性・TPPA陽性=梅毒の活動期・治療後(既往)。 ●STS陽性・TPPA陰性=感染ごく初期・生物学的偽陽性。 ●STS陰性・TPPA陽性=治療後の治癒例・古い陳旧性梅毒。 ●STS=カルジオリピンを抗原とする非特異反応で治療効果の判定に有用、TPPAは特異反応で確認検査に用いる。

選択肢ごとの解説

第62回 午後83(臨床免疫学)

X連鎖無γ-グロブリン血症患者の末梢血で数が極めて少ないのはどれか。

正答: ④B細胞

ポイント
X連鎖無γ-グロブリン血症(Bruton病)はBruton型チロシンキナーゼ(BTK)遺伝子の変異により、B細胞前駆細胞から成熟B細胞への分化が障害される原発性免疫不全症である。その結果、末梢血の成熟B細胞(CD19・CD20陽性)が著しく減少または欠如し、各クラスの免疫グロブリン(抗体)が産生されず低γ-グロブリン血症を呈する。莢膜をもつ細菌による反復性の化膿性感染を生後数か月以降に起こす。T細胞・NK細胞・単球・好中球は正常に存在する。 ●液性免疫(B細胞・抗体)の障害=X連鎖無γ-グロブリン血症・分類不能型免疫不全症・選択的IgA欠損症。 ●B細胞は正常だがT細胞が障害=DiGeorge症候群・重症複合免疫不全症などの細胞性免疫不全。 ●発症時期=母体由来IgGが消失する生後数か月以降に反復感染が顕在化する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:原発性免疫不全症の分類(障害される免疫系統別)

障害される免疫系統代表疾患遺伝形式主な特徴
T細胞系+B細胞系(複合型)重症複合型免疫不全症〈SCID〉主にXRT細胞・抗体産生能がともに低下、乳児期から重症感染を繰り返す
T細胞系(細胞性免疫)DiGeorge症候群(胸腺低形成症)主にAD胸腺低形成でT細胞が減少、心奇形・低Ca血症を合併しうる
B細胞系(液性免疫・抗体産生)X連鎖無γ-グロブリン血症(Bruton病)XR(男児のみ)B細胞分化に必要なBTK遺伝子の変異、全クラスの免疫グロブリンが低下
食細胞機能慢性肉芽腫症主にXRNADPHオキシダーゼ異常で好中球の殺菌能が障害(遊走能・貪食能は正常)、カタラーゼ陽性菌に反復感染
Wiskott-Aldrich症候群(XR、T細胞機能低下+血小板減少)や毛細血管拡張性失調症(AR、進行性小脳失調)もT細胞系機能不全に分類される。

第62回 午後84(臨床免疫学)

間接蛍光抗体法による抗核抗体検査の核材として主に用いられるのはどれか。

正答: ③HEp-2細胞

ポイント
間接蛍光抗体法による抗核抗体(ANA)検査では、ヒト喉頭癌由来として樹立された培養細胞であるHEp-2細胞(後の解析でHeLa細胞の混入により樹立された株と判明しているが、抗核抗体検査用の基質としてはHEp-2の名称で標準化されている)を核材(基質)として主に用いる。HEp-2細胞は核が大きく分裂像が豊富で、各種核内・細胞質内抗原を十分に発現するため、均質型・斑紋型・核小体型・散在斑紋型(セントロメア型)など染色パターンの判別に適している。スライドガラスに固定した細胞に患者血清と蛍光標識抗ヒトIgG抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で核の染色像を観察する。 ●抗核抗体検査の核材=HEp-2細胞(分裂像が多く各種核抗原を発現)。 ●染色パターン=均質型・辺縁型は抗DNA抗体、斑紋型は抗ENA抗体、核小体型・セントロメア型などが疾患特異性をもつ。 ●関連疾患=全身性エリテマトーデス・強皮症・シェーグレン症候群など膠原病で陽性となる。 ●検出原理=患者血清の自己抗体を細胞核の抗原に反応させ、蛍光標識二次抗体で可視化する。

選択肢ごとの解説

第62回 午後85(臨床免疫学)

検査材料の取扱いで正しいのはどれか。

正答: ②寒冷凝集反応用の血液は血清分離まで37 ℃に保つ。

ポイント
寒冷凝集素は低温で赤血球に結合する自己抗体であり、寒冷凝集反応用の血液は採血後に血清を分離するまで37℃に保温して、抗体が赤血球へ吸着するのを防ぐ必要がある。補体は不安定で4℃保存でも失活するため、補体価(CH50)測定用血清は速やかに測定するか凍結保存する。免疫電気泳動では非働化(56℃処理)は不要で、直接クームス試験用血液はEDTA加で37℃近くに保ち、ウイルス中和試験用血清にはアジ化ナトリウムを加えてはならない。 ●保温を要する検体=寒冷凝集反応では血清分離まで37℃保温が必要。 ●補体(CH50)=失活しやすく、測定まで凍結保存するか速やかに測定する。 ●非働化(56℃30分)=補体を失活させる処理で、補体を除く必要のある血清反応に用いる。 ●検体の取扱い=目的とする成分の安定性に応じて温度・保存条件・添加物を適切に選択する。

選択肢ごとの解説

第62回 午後86(臨床免疫学)

免疫電気泳動像を別に示す。矢印が示す沈降線に相当するのはどれか。ただし、泳動像上部は写真、下部は沈降線の模式図を示している。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB086.8ae50d79c7.jpg
第62回 午後86 の図

正答: ③トランスフェリン

ポイント
免疫電気泳動は血清蛋白を電気泳動で分離した後、抗血清を反応させて生じる弧状の沈降線の位置・形・濃さから各蛋白成分を同定する方法である。トランスフェリンはβ分画に位置する鉄輸送蛋白で、陽極側からβ領域に特徴的な弧を描く。設問の図では矢印の沈降線がその泳動位置・形状からトランスフェリンに相当する。IgGやIgMはγ〜β領域に幅広い弧を示し、トランスサイレチンはプレアルブミン位、α₁-アンチトリプシンはα₁分画に位置する。 ●β分画の主な蛋白=トランスフェリン・補体C3・β-リポ蛋白。 ●各分画の代表蛋白=アルブミン、α1(α₁-アンチトリプシン)、α2(ハプトグロビン・α₂-マクログロブリン)、γ(免疫グロブリン)。 ●免疫電気泳動の用途=M蛋白の同定など、免疫グロブリンの異常の解析に用いられる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:免疫電気泳動法〈IEP〉の原理と特徴

項目内容
原理電気泳動(荷電差による分離)とゲル内沈降反応(抗原抗体反応)を組み合わせた分析法
電気浸透現象影響を受ける(支持体の荷電により泳動距離が変化する)
拡散速度と分子量の関係分子量が大きいほど拡散速度は遅い(小分子ほど速く抗血清側へ拡散し沈降線を作る)
検査所要時間約12時間
M蛋白の検出感度IEPは約100 mg/dL以上、免疫固定法は約5 mg/dL以上(免疫固定法の方が高感度)
血清免疫電気泳動の5分画アルブミン・α1(α1-アンチトリプシン)・α2(α2-マクログロブリン)・β(トランスフェリン)・γ(IgG)
免疫固定法は蛋白質分画後に抗血清を直接反応させる方法でIEPより簡便かつ高感度。

第62回 午後87(臨床免疫学)

試験管法によるABO血液型検査の判定の遠心条件で正しいのはどれか。

正答: ④3,400 rpm、15秒

ポイント
試験管法によるABO血液型検査(おもて試験・うら試験)では、抗原抗体反応による凝集を判定するために強い遠心を短時間行う。一般に3,400 rpm(約900〜1,000×g相当)で15秒の遠心条件が標準とされ、これにより赤血球を集めて凝集塊を形成させ、軽く振って凝集の有無を肉眼で判定する。遠心が弱すぎると弱い凝集を見逃し、強すぎたり長すぎたりすると赤血球が固く凝集して偽陽性を招くため、規定の回転数と時間を守る必要がある。 ●試験管法ABO判定の遠心=約3,400 rpm・15秒。 ●判定の原理=おもて試験は赤血球のA・B抗原、うら試験は血清中の抗A・抗B抗体を凝集で確認する。 ●おもて・うら不一致=亜型・抗体減弱・連銭形成などを考慮し原因を精査する。 ●遠心条件の意義=赤血球を集めて凝集塊を形成させ、肉眼判定を可能にするための重要な操作である。

選択肢ごとの解説

第62回 午後88(臨床免疫学)

間接抗グロブリン試験のIgG感作血球による確認試験で凝集を認めなかった。解釈として正しいのはどれか。

正答: ③洗浄操作が不十分

ポイント
間接抗グロブリン試験(間接クームス試験)で陰性となった検体に、抗ヒトグロブリン試薬の有効性を確認するためIgG感作血球(あらかじめIgGで感作した赤血球)を添加すると、本来は凝集が生じるはずである。ここで凝集を認めなかった場合、加えた抗グロブリン試薬が中和・失活したことを意味し、最も多い原因は洗浄操作が不十分で未結合の血清グロブリンが残り、抗グロブリン試薬を中和してしまったことである。これは元の陰性結果が偽陰性である可能性を示す。 ●確認試験(コントロール)=IgG感作血球で凝集すれば抗グロブリン試薬は有効、凝集しなければ不適と判定する。 ●偽陰性の主因=洗浄不足による血清グロブリン残存で抗グロブリン試薬が中和される。 ●対策=十分な洗浄を行ったうえで検査を再実施し、抗グロブリン試薬の有効性を確認する。 ●間接抗グロブリン試験=不規則抗体スクリーニングや交差適合試験に用いられる重要な検査である。

選択肢ごとの解説

第62回 午後89(臨床免疫学)

自己血輸血で誤っているのはどれか。

正答: ⑤血液バッグの取り違えを防止できる。

ポイント
自己血輸血は患者自身の血液をあらかじめ採血・保存して手術時に戻す方法で、同種血(他人の血液)に伴う問題を回避できる。具体的には同種血の節約、同種免疫(不規則抗体産生)の防止、輸血後感染症の防止、輸血後GVHD(移植片対宿主病)の防止などの利点がある。一方、採血した自己血バッグを患者本人に正しく戻す管理が必要で、取り違えのリスクはむしろ存在するため、誤照合を防ぐ確認はかえって重要であり、取り違えを防止できるとはいえない。 ●自己血輸血の利点=同種免疫・輸血後感染症・輸血後GVHDの防止、同種血の節約。 ●自己血輸血の注意点=細菌汚染・保存管理・本人への確実な照合(取り違え防止のための確認が必要)。 ●採血法=貯血式・希釈式・回収式があり、手術内容や予測出血量に応じて選択する。 ●適応=待機手術で十分な貯血が可能な症例などに用いられ、緊急時には適さない。

選択肢ごとの解説

第62回 午後90(公衆衛生学)

インフォームド・コンセントについて誤っているのはどれか。

正答: ⑤可能性の低い有害事象についての説明は省略できる。

ポイント
インフォームド・コンセントは、患者が病状・検査・治療の内容や危険性・代替手段について十分な説明を受け、理解したうえで自己決定権に基づき自由意思で同意することをいう。同意は患者がいつでも無条件に撤回でき、人を対象とする臨床試験ではヘルシンキ宣言を遵守する。判断能力が不十分な患者では家族等から代諾を得る。説明にあたっては起こりうる有害事象を、可能性が低いものも含めて適切に伝える必要があり、可能性が低いという理由で説明を省略してよいとはいえない。 ●インフォームド・コンセントの要件=十分な説明・患者の理解・自由意思による同意・撤回の自由。 ●関連する倫理規範=ヘルシンキ宣言(人を対象とする医学研究の倫理原則)。 ●代諾=判断能力が不十分な場合に家族等が本人に代わって同意することをいう。 ●説明内容=病状・検査や治療の目的と方法・危険性・代替手段・予後などを含めて説明する。

選択肢ごとの解説

第62回 午後91(公衆衛生学)

近年の我が国の人口動態統計で、母の年齢階級別出生率が最も高い年齢階級はどれか。

正答: ③30〜34歳

ポイント
我が国の人口動態統計における母の年齢階級別出生率(女性人口千人当たりの出生数)は、晩婚化・晩産化を反映して近年では30〜34歳の階級が最も高くなっている。かつては20歳代後半(25〜29歳)が最も高かったが、女性の社会進出や結婚年齢の上昇に伴い出産年齢の中心が後ろにずれ、30〜34歳が最多となった。これに伴い第1子出産時の母の平均年齢も30歳を超えるようになっている。 ●母の年齢階級別出生率=近年は30〜34歳が最も高く、次いで25〜29歳が高い。 ●少子化の指標=合計特殊出生率は近年1.3前後で推移し、晩産化と出生数の減少が続いている。 ●人口動態統計=出生・死亡・婚姻・離婚・死産を扱う基幹統計である。 ●晩産化の背景=女性の高学歴化・社会進出・結婚年齢の上昇などが複合的に影響している。

選択肢ごとの解説

第62回 午後92(公衆衛生学)

症例対照研究と比較したコホート研究の特徴はどれか。

正答: ②疾病発生の有無を追跡する。

ポイント
コホート研究は曝露の有無で分けた集団を将来に向かって追跡し、疾病発生の有無を観察する前向き研究である。発生率を直接求められるため相対危険度と寄与危険度をともに算出でき、因果関係の証明力が高い。一方で多数を長期に追跡するため費用と労力が大きく、まれな疾患には不向きである。これに対し症例対照研究は既に発症した症例と対照で過去の曝露をさかのぼって比較し、まれな疾患に有効でオッズ比から相対危険度を近似する。 ●コホート研究=前向きに疾病発生を追跡、相対危険度・寄与危険度を直接算出、費用労力が大きい。 ●症例対照研究=後ろ向き、まれな疾患に有効、オッズ比で相対危険度を近似、寄与危険度は直接算出不可。 ●エビデンスの強さ=介入研究(無作為化比較試験)が最も高く、観察研究より証明力が強い。 ●相対危険度=曝露群と非曝露群の発生率の比で、寄与危険度は両群の発生率の差で表す。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:コホート研究と症例対照研究の比較

項目コホート研究症例対照研究
時間軸一般的に前向き研究(後ろ向きコホート研究もある)後ろ向き研究
調査法疾病の発生・死亡の有無を追跡調査過去の曝露歴を調査
バイアス小さい大きい
労力・費用大きい小さい
曝露情報の信頼性高い(現時点の観察)劣る(記憶に頼ることが多い)
まれな疾患の調査調査困難調査可能
指標相対危険度・寄与危険度オッズ比(相対危険度の近似値)
研究デザインの証拠の強さは一般に、メタアナリシス・系統的レビュー>介入研究(ランダム化比較対照試験)>コホート研究>症例対照研究>横断研究>生態学的研究の順とされる。観察研究は疾病の頻度や分布を調べる記述疫学(横断研究・生態学的研究等)と、因果関係を検証する分析疫学(コホート研究・症例対照研究)に大別される。

第62回 午後93(公衆衛生学)

精神保健について正しいのはどれか。

正答: ④医療保護入院では保護者または扶養義務者の同意を必要とする。

ポイント
精神保健福祉法における医療保護入院は、精神保健指定医の診察により入院が必要と判断されたが本人の同意が得られない場合に、家族等(保護者または扶養義務者)の同意に基づいて行う入院形態である。措置入院は精神保健福祉法に基づき、自傷他害のおそれがある場合に2名以上の精神保健指定医の診察結果が一致したとき都道府県知事の権限で行う。保健所・精神保健福祉センターは薬物・アルコール依存の相談や予防事業を担っている。 ●精神科入院形態=任意入院(本人同意)・医療保護入院(家族等同意)・措置入院(知事権限・指定医2名)・応急入院。 ●地域の精神保健活動=保健所・精神保健福祉センターが相談・アルコールや薬物依存対策・社会復帰支援を行う。 ●精神保健指定医=厚生労働大臣が指定し、入院要否の判定など強制入院の判断を担う。

選択肢ごとの解説

第62回 午後94(公衆衛生学)

医療計画における5疾病で平成24年の見直しの際に追加となったのはどれか。

正答: ④精神疾患

ポイント
医療計画では地域で重点的に対策すべき疾病・事業が定められている。従来はがん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病の4疾病であったが、平成24年(2012年)の見直しで精神疾患が追加され5疾病となった。これは精神疾患の患者数が著しく増加し、医療連携体制の整備が地域医療の重要課題となったためである。あわせて5事業(救急医療・災害医療・へき地医療・周産期医療・小児医療)と在宅医療が位置づけられている。 ●5疾病=がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・精神疾患(平成24年に精神疾患を追加)。 ●5事業=救急医療・災害医療・へき地医療・周産期医療・小児医療。 ●医療計画=都道府県が医療法に基づき策定し、地域の医療提供体制を整備するための計画である。 ●追加の背景=精神疾患の患者数増加により医療連携体制の整備が重要課題となったため。

選択肢ごとの解説

第62回 午後95(医用工学概論)

図の回路の増幅率(eo/ei)はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB095.f0a2fa246f.jpg
第62回 午後95 の図

正答: ④

ポイント
図は演算増幅器(オペアンプ)に負帰還をかけた回路で、開ループ利得をA、帰還率をβとすると、負帰還増幅回路の閉ループ増幅率(eo/ei)はA/(1+Aβ)で表される。負帰還により利得は単独のAより低下するが、利得の安定化・周波数帯域の拡大・ひずみや雑音の低減といった利点が得られる。Aが十分大きくAβがきわめて大きいときは増幅率がほぼ1/βに収束し、外部素子の比だけで決まる安定した利得が得られる。 ●負帰還増幅率=eo/ei=A/(1+Aβ)。 ●負帰還の利点=利得の安定化・周波数帯域の拡大・ひずみ低減・入出力インピーダンスの改善。 ●Aβ≫1のとき=増幅率は約1/βとなり、帰還回路の素子の比だけで決まり安定する。 ●負帰還=出力の一部を逆位相で入力へ戻すことで、利得を犠牲に安定性と特性を改善する手法である。

選択肢ごとの解説

第62回 午後96(医用工学概論)

臨床検査としてデジタル記録する場合、必要なサンプリング周波数が最も高いのはどれか。

正答: ④筋電図

ポイント
デジタル記録では、信号に含まれる最高周波数成分の2倍以上のサンプリング周波数が必要である(標本化定理)。生体信号のうち筋電図は数Hzから1〜2kHz程度まで広い周波数成分を含み、最も高い周波数帯域をもつため、必要なサンプリング周波数が最も高い。心電図や脈波、心音図は数十〜数百Hz程度、脳波は概ね0.5〜数十Hz程度であり、いずれも筋電図に比べて高周波成分は少ない。 ●標本化定理=サンプリング周波数は信号の最高周波数の2倍以上が必要である。 ●生体信号の周波数帯域=筋電図が最も広く(〜約1〜2kHz)、脳波・心電図・脈波は比較的低い帯域である。 ●エイリアシング=サンプリング不足により本来と異なる周波数として記録される現象である。 ●AD変換=アナログ信号を標本化・量子化・符号化してデジタル信号に変換する処理である。

選択肢ごとの解説

第62回 午後97(医用工学概論)

停電時にコンピュータを継続運用するために有用なのはどれか。

正答: ①UPS

ポイント
UPS(無停電電源装置、uninterruptible power supply)は内蔵バッテリにより、停電時にも一定時間コンピュータへ電力を供給し続ける装置である。停電が発生してもシステムを安全に継続運用または正常に終了させ、突然の電源断によるデータ破損や機器故障を防ぐ。瞬時電圧低下に対する補償や、自動シャットダウン処理と連携した運用も可能であり、医療情報システムの安定運用に有用である。 ●UPS=停電時にバッテリで給電し、継続運用や安全なシャットダウンを可能にする装置。 ●他の用語=OCRは光学文字認識、RAIDは複数ディスクによる冗長化、RS-232Cは通信規格、MODEMは変復調装置。 ●停電対策=UPSと自家発電装置を組み合わせて長時間の電力供給を確保する。 ●UPSの役割=瞬時電圧低下の補償と、安全なシャットダウンまでの時間確保にある。

選択肢ごとの解説

第62回 午後98(医用工学概論)

次のフローチャートを開始から終了まで実行したとき、bの値はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k62pB098.6f4f4ce417.jpg
第62回 午後98 の図

正答: ④6

ポイント
このフローチャートは変数bに繰り返し乗算を行う処理で、典型的には初期値から数値を順に掛け合わせて階乗を求める構造になっている。設問の処理を開始から終了まで順に実行すると、ループのたびにbへ次の整数が掛けられ、最終的にbの値は6となる。これは3の階乗(3!=1×2×3=6)に相当し、ループ回数と乗算の積み重ねを正確にたどることで値が確定する。 ●フローチャートの基本要素=開始・終了(端子)・処理(長方形)・判断(ひし形)・流れ(矢印)。 ●繰り返し処理=ループごとに変数を更新し、条件を満たすまで処理を反復して最終結果を求める。 ●トレース=変数の値を1ステップずつ追って実行結果を確認する手法である。 ●階乗=1からその整数までの連続する整数をすべて掛け合わせた値で、3の階乗は1×2×3=6となる。

選択肢ごとの解説

第62回 午後99(医用工学概論)

容量10 mLの計量器具を検定公差が小さい順に並べたのはどれか。

正答: ②ホールピペット<メスピペット<メスシリンダー

ポイント
計量器具の検定公差(許容される誤差)は、計量の正確さに対する要求度を反映する。一定容量を正確に量り取るホールピペット(全量ピペット)は最も公差が小さく精密であり、目盛りで任意の量を量るメスピペットがこれに次ぐ。メスシリンダーはおおよその体積を量る器具で公差が最も大きい。したがって公差が小さい順に並べると、ホールピペット<メスピペット<メスシリンダーとなる。 ●検定公差が小さい(精密)順=ホールピペット<メスピペット<メスシリンダー。 ●用途=ホールピペットは定量分析での正確な分取に、メスシリンダーは概量の計量に用いる。 ●正確な計量=ホールピペットやメスフラスコなど全量を量る器具が適している。 ●検定公差=計量法に基づき器具ごとに定められた許容誤差であり、精密な器具ほど公差が小さくなる。

選択肢ごとの解説

第62回 午後100(医用工学概論)

光学顕微鏡について正しいのはどれか。

正答: ⑤コンデンサの位置は検査目的により調節する。

ポイント
光学顕微鏡のコンデンサ(集光器)は標本に光を集める装置で、その位置(高さ)や開口絞りは観察目的・対物レンズの倍率に応じて調節し、最適なコントラストと分解能を得る。分解能は開口数(NA)が大きいほど高く、油浸レンズは開口数を高めるために用いる。焦点深度は観察者により見え方が異なり個人差があり、視野数は接眼レンズの特性を表す。油浸レンズは識別リングの色で区別されるが青色とは限らない。 ●分解能=開口数(NA)が大きいほど良く、用いる光の波長が短いほど良い。 ●コンデンサ=光を集光し、絞りや高さの調節でコントラストと分解能を最適化する。 ●倍率=対物レンズと接眼レンズの倍率の積で総合倍率が決まる。 ●油浸法=対物レンズと標本の間に油を満たして開口数を高め、高倍率での分解能を向上させる方法である。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:光学顕微鏡の基本公式と用語

項目内容
総合倍率対物レンズの倍率 × 接眼レンズの倍率
実視野接眼レンズの視野数 ÷ 対物レンズの倍率
視野数実視野の直径 × 対物レンズの倍率(接眼レンズの特性を表す値)
開口数(NA)大きいほど分解能が高く、焦点深度は浅くなる
像の明るさ対物レンズの開口数の2乗に比例、総合倍率の2乗に反比例
油浸レンズ黒色のリングで識別し、開口数を高めて分解能を上げる
コンデンサの位置・絞り検査目的により調節する(無染色の尿沈渣標本などはコンデンサを下げてコントラストをつける)
視野数は対物レンズではなく接眼レンズの特性を表す値である点に注意。