第63回(2017) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第63回 午前1(臨床検査総論)
臨床検査技師が単独で行うことができるのはどれか。2つ選べ。
- ①頭皮誘導による脳波検査
- ②針電極による筋電図検査
- ③散瞳薬を用いた眼底写真検査
- ④冷水刺激による眼振電図検査
- ⑤マウスピースを用いた呼吸機能検査
正答: ①頭皮誘導による脳波検査・⑤マウスピースを用いた呼吸機能検査
ポイント
生理学的検査も、臨床検査技師等に関する法律第2条に基づく医師または歯科医師の指示の下で行う。本問の「単独で行う」は、医師の指示が不要という意味ではなく、技師が実施できる行為の範囲を問う表現である。脳波・心電図・心音図・呼吸機能・基礎代謝・筋電図(針電極を除く)・眼振電図(冷水・温水・電気・光刺激を除く)・superficialな超音波などが含まれる。一方、針電極の穿刺・散瞳薬の点眼・温度刺激など侵襲や薬剤投与・刺激を伴う行為は医師の管理下で行う。●技師が単独可=頭皮誘導脳波・標準心電図・スパイロメトリー・体表面超音波・サーモグラフィ。●刺激・薬剤を伴い制限=散瞳薬点眼眼底撮影・冷水/温水刺激眼振電図・誘発電位の電気刺激。●侵襲を伴い医師管理=針筋電図・動脈採血・組織採取。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。頭皮に電極を装着する脳波検査は非侵襲的で、技師が単独で行える生理学的検査に含まれる。
- ② 針電極を皮膚・筋へ穿刺する筋電図は侵襲を伴うため、技師が単独では行えない。
- ③ 散瞳薬の点眼は薬剤投与にあたり、これを用いた眼底写真検査は医師の指示・管理を要する。
- ④ 冷水刺激(カロリックテスト)は温度刺激を伴う眼振電図であり、技師が単独で行える範囲から除外されている。
- ⑤ 正しい。マウスピースを用いた呼吸機能(スパイロメトリー)検査は非侵襲的で、技師が単独で行える。
第63回 午前2(臨床検査総論)
許容誤差限界(CV%)を求めるTonksの式を示す。(①)内の数値として正しいのはどれか。〔許容誤差限界(CV%)=(基準範囲の幅×(①)÷基準範囲の中央値)×100×1/2〕
正答: ①1/4
ポイント
Tonksの式は生理的変動の幅(基準範囲)から測定の許容誤差限界を推定する経験式で、許容誤差限界(変動係数CV%)=(基準範囲の幅×1/4÷基準範囲の中央値)×100×1/2で表される。末尾の×1/2は、±の範囲で示される許容誤差限界を測定のばらつきの指標である変動係数CVへ換算するための係数である。係数1/4は、測定誤差を生理的変動の概ね4分の1以内に抑えれば臨床判断に支障しないという考えに基づく目標精度の目安である。●精度管理の指標=変動係数CV(精密さ)・偏り(bias、正確さ)・総合誤差(total error)。●許容誤差の設定法=Tonks式(生理的変動由来)・生物学的変動データ(Fraser)・臨床判断値からの設定。●管理図=Levey-Jennings法・Westgardの多規則(1-2s、1-3s、2-2s、R-4s等)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。Tonksの式の係数は1/4であり、(基準範囲の幅×1/4÷中央値)×100×1/2で許容誤差限界(CV%)を求める。
- ② 1/2では係数が大きく、許容される誤差が過大に算出されるため定義に合わない。
- ③ 係数1ではTonksの式の定義から外れ、許容誤差が過大評価となる。
- ④ 係数2ではTonksの式に一致せず、許容誤差が著しく過大となる。
- ⑤ 係数4ではTonksの式の定義から外れる。
📋 まとめの表を見る:許容誤差限界の考え方
第63回 午前3(臨床検査総論)
健常成人男性の1日平均原尿量〈糸球体濾過量〉に最も近い値[L]はどれか。
正答: ③150
ポイント
健常成人の糸球体濾過量(GFR)は約100〜120 mL/分で、1日に換算すると約150〜180 Lの原尿が生成される。原尿の99%以上は尿細管で再吸収され、最終的な1日尿量は約1〜1.5 Lとなる。選択肢のうち150 Lがこの原尿量に最も近い。●腎機能の指標=GFR(イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス、eGFR)・腎血漿流量(PAHクリアランス)。●尿細管機能=濃縮力(尿浸透圧)・再吸収率・PSP排泄試験。●1日量の目安=原尿約150 L・最終尿約1.5 L・再吸収率約99%。
選択肢ごとの解説
- ① 15 Lは1日原尿量としては1桁少なく、適合しない。
- ② 50 LもGFRから算出される1日原尿量には届かない。
- ③ 正しい。GFR約100 mL/分から算出される1日原尿量は約150 Lで、これに最も近い。
- ④ 500 Lは1日原尿量としては過大である。
- ⑤ 1,500 Lは原尿量として桁が大きすぎる。
第63回 午前4(臨床検査総論)
尿沈渣に見られた結晶を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA004.5b06fd36fa.jpg

- ①高尿酸血症
- ②閉塞性黄疸
- ③ネフローゼ症候群
- ④先天性シスチン尿症
- ⑤先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症
正答: ②閉塞性黄疸
ポイント
ビリルビン結晶は黄褐色〜赤褐色の細い針状・束状(束ねた針状)の結晶として尿沈渣に出現し、抱合型(直接)ビリルビンが尿中へ排泄される状態でみられる。胆道閉塞による閉塞性黄疸では直接ビリルビンが上昇し尿中に排泄されるため、この結晶を生じる。●代謝異常に伴う結晶=尿酸(高尿酸血症)・シスチン(先天性シスチン尿症、六角形)・2,8-ジヒドロキシアデニン(APRT欠損症)。●正常〜病的結晶=シュウ酸カルシウム(封筒状)・リン酸塩・ビリルビン(閉塞性黄疸)。●薬剤性結晶=スルファ剤・アシクロビル・インジナビル。
選択肢ごとの解説
- ① 高尿酸血症では黄褐色の菱形・砥石状などの尿酸結晶がみられ、本図の所見とは異なる。
- ② 正しい。閉塞性黄疸では尿中に抱合型ビリルビンが排泄され、黄褐色の針状・束状のビリルビン結晶が出現する。
- ③ ネフローゼ症候群では脂肪円柱や卵円形脂肪体がみられ、本結晶とは関連しない。
- ④ 先天性シスチン尿症では特徴的な六角形のシスチン結晶がみられ、本図とは異なる。
- ⑤ アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症では2,8-ジヒドロキシアデニン結晶がみられ、本図とは異なる。
第63回 午前5(臨床検査総論)
免疫学的便潜血検査で正しいのはどれか。
- ①痔核で陽性とならない。
- ②大腸ポリープで陽性とならない。
- ③検査前の食事内容制限を必要とする。
- ④連続2日検査をすると陽性率は上昇する。
- ⑤大腸早期癌のスクリーニングとして90%の感度がある。
正答: ④連続2日検査をすると陽性率は上昇する。
ポイント
免疫学的便潜血検査はヒトヘモグロビンに対する抗体を用いるため、食事由来の動物血や植物由来ペルオキシダーゼの影響を受けず、化学法(グアヤック法)と異なり食事制限を必要としない。消化管出血は間欠的に起こるため、連続2日法など複数日の採便により病変の検出率(陽性率)が向上する。●便潜血法=化学法(グアヤック法、食事制限要、上部消化管出血も検出)・免疫法(ヒトHb特異、食事制限不要、主に下部消化管)。●偽陰性要因=上部消化管出血でのHb変性・大量ビタミンC(化学法)・採便から時間経過。●大腸癌スクリーニング=免疫法2日法、感度は早期癌で低く進行癌で高い。
選択肢ごとの解説
- ① 痔核でも出血があれば陽性となりうるため、陽性とならないとはいえない。
- ② 大腸ポリープからの出血でも陽性となりうるため、陽性とならないとはいえない。
- ③ 免疫法はヒトヘモグロビン特異的で食事制限を必要としないため誤りである。
- ④ 正しい。出血は間欠的なため、連続2日検査することで病変の検出率(陽性率)が上昇する。
- ⑤ 大腸早期癌に対する感度は90%には及ばず、早期癌では偽陰性も生じやすい。
📋 まとめの表を見る:便潜血検査:化学的検査法と免疫学的検査法の比較
第63回 午前6(臨床検査総論)
肝吸虫症の対策として正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①川魚の生食をやめる。
- ②川で水浴びをしない。
- ③トイレで排便を行う。
- ④蚊帳に入って就寝する。
- ⑤熱処理の不十分な豚肉を食べない。
正答: ①川魚の生食をやめる。・③トイレで排便を行う。
ポイント
肝吸虫(Clonorchis sinensis)は淡水巻貝(マメタニシ)を第一中間宿主、コイ科の淡水魚を第二中間宿主とし、その川魚の生食で経口感染する。虫卵は胆管から糞便とともに排泄され水系を汚染して感染環が成立するため、川魚の生食回避と糞便の衛生的処理(トイレでの排便)が対策となる。●経口感染(魚介由来)=肝吸虫(コイ科魚)・横川吸虫(アユ等)・ウエステルマン肺吸虫(カニ)・アニサキス(海産魚)。●経皮感染=日本住血吸虫・鉤虫・糞線虫。●節足動物媒介=マラリア(蚊)・フィラリア(蚊)・ツツガムシ病(ダニ)。●獣肉由来=有鉤条虫・無鉤条虫・旋毛虫(豚・牛)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。肝吸虫の感染源はコイ科川魚の生食であり、これをやめることが直接の対策となる。
- ② 肝吸虫は経口感染で経皮感染しないため、水浴びの回避は対策とならない。
- ③ 正しい。糞便中の虫卵が水系を汚染して感染環が成立するため、トイレでの排便(糞便の衛生的処理)が対策となる。
- ④ 蚊帳は蚊が媒介する疾患の対策であり、経口感染する肝吸虫には無関係である。
- ⑤ 熱処理不十分な豚肉の回避は有鉤条虫や旋毛虫の対策であり、肝吸虫とは関連しない。
第63回 午前7(臨床検査総論)
皮膚に付着していた虫体〈体長2.5 mm〉の写真を別に示す。この虫が引き起こすのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA007.e124c69823.jpg

- ①疥癬
- ②ペスト
- ③発疹チフス
- ④ツツガムシ病
- ⑤重症熱性血小板減少症候群
正答: ⑤重症熱性血小板減少症候群
ポイント
体長2.5 mm程度で皮膚に固着して吸血するのはマダニであり、マダニはSFTSウイルスを媒介して重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を引き起こす。SFTSは発熱・消化器症状とともに血小板減少・白血球減少を呈し、致死率が高い。●マダニ媒介=SFTS・日本紅斑熱・ライム病・回帰熱。●他のダニ媒介=ツツガムシ病(ツツガムシ幼虫、約0.2 mm)・疥癬(ヒゼンダニ、約0.4 mm、皮内寄生)。●ノミ媒介=ペスト・発疹熱。●シラミ媒介=発疹チフス(コロモジラミ)・回帰熱。
選択肢ごとの解説
- ① 疥癬はヒゼンダニ(体長約0.3〜0.4 mm、皮内に寄生)によるもので、体長2.5 mmで体表に固着する本虫体とは異なる。
- ② ペストはノミが媒介する細菌感染症であり、本虫体(マダニ)とは関連しない。
- ③ 発疹チフスはコロモジラミが媒介し、マダニによるものではない。
- ④ ツツガムシ病はツツガムシ幼虫(体長約0.2 mm)が媒介し、体長2.5 mmの本虫体とは異なる。
- ⑤ 正しい。体長2.5 mmのマダニはSFTSウイルスを媒介し、重症熱性血小板減少症候群を引き起こす。
第63回 午前8(臨床検査総論)
糞便検査で虫卵が検出されるのはどれか。2つ選べ。
- ①有棘顎口虫
- ②日本住血吸虫
- ③ビルハルツ〈Bilharz〉住血吸虫
- ④バンクロフト〈Bancroft〉糸状虫
- ⑤ウエステルマン〈Westerman〉肺吸虫
正答: ②日本住血吸虫・⑤ウエステルマン〈Westerman〉肺吸虫
ポイント
糞便から虫卵が検出されるのは、成虫が腸管や消化管へ通じる臓器に寄生し、虫卵が腸管腔へ排出される寄生虫である。日本住血吸虫は腸間膜静脈に寄生し虫卵が腸壁を破って糞便中へ、ウエステルマン肺吸虫は肺に寄生するが虫卵が喀痰とともに嚥下され糞便中にも出現する。●糞便で虫卵検出=回虫・鉤虫・鞭虫・日本住血吸虫・肝吸虫・横川吸虫・ウエステルマン肺吸虫(喀痰でも)。●尿で虫卵=ビルハルツ住血吸虫(膀胱静脈叢)。●血液で検出=バンクロフト糸状虫(ミクロフィラリア)・マラリア原虫。●組織・幼虫移行=有棘顎口虫・アニサキス・旋毛虫。
選択肢ごとの解説
- ① 有棘顎口虫は幼虫移行症を起こし組織内に迷入するため、糞便中に虫卵は検出されない。
- ② 正しい。日本住血吸虫は腸間膜静脈に寄生し、虫卵が腸壁を経て糞便中に排出される。
- ③ ビルハルツ住血吸虫は膀胱静脈叢に寄生し、虫卵は主に尿中に検出される。
- ④ バンクロフト糸状虫はリンパ系に寄生し、ミクロフィラリアは血液中に出現する。
- ⑤ 正しい。ウエステルマン肺吸虫は肺に寄生し、虫卵は喀痰のほか嚥下されて糞便中にも検出される。
第63回 午前9(臨床検査総論)
遺伝子の変異原と人体への影響の組合せで最も関連の深いのはどれか。
- ①放射線 — 大腸癌
- ②紫外線 — 甲状腺癌
- ③活性酸素 — 乳癌
- ④ベンゾピレン — 皮膚癌
- ⑤ニトロソ化合物 — 肺癌
正答: ④ベンゾピレン — 皮膚癌
ポイント
発癌に関わる変異原はそれぞれ標的臓器が知られている。ベンゾピレンはタバコ煙や焼け焦げ・燃焼産物に含まれる代表的な多環芳香族炭化水素で、塗布部位の皮膚癌や肺癌の発癌に関与する。各変異原と最も関連の深い臓器の組合せを問う設問である。●物理的変異原=放射線(白血病・甲状腺癌)・紫外線(皮膚癌、特に基底細胞癌・有棘細胞癌・悪性黒色腫)。●化学的変異原=ベンゾピレン等多環芳香族炭化水素(皮膚癌・肺癌)・ニトロソ化合物(胃癌)・アフラトキシン(肝細胞癌)・アニリン色素(膀胱癌)・ベンゼン(白血病)。●ウイルス=HBV/HCV(肝癌)・HPV(子宮頸癌)・EBV(Burkittリンパ腫)。
選択肢ごとの解説
- ① 放射線は白血病や甲状腺癌との関連が深く、大腸癌との組合せは最適でない。
- ② 紫外線は皮膚癌との関連が深く、甲状腺癌とは結びつかない。
- ③ 活性酸素は多様な臓器障害に関わるが、乳癌との特異的な組合せとしては最適でない。
- ④ 正しい。ベンゾピレンは多環芳香族炭化水素で、皮膚癌・肺癌の発癌との関連が深い。
- ⑤ ニトロソ化合物は胃癌など消化器癌との関連が深く、肺癌との組合せは最適でない。
📋 まとめの表を見る:発癌に関連する変異原物質と標的臓器
ベンゾピレンは皮膚癌および肺癌の両方と関連が深い。
第63回 午前10(臨床検査総論)
遺伝子検査法とその目的の組合せで誤っているのはどれか。
- ①ノザンブロット法 — DNA断片の解析
- ②FISH法 — 欠失解析
- ③DNAマイクロアレイ法 — 網羅的遺伝子解析
- ④シークエンス解析法 — 変異解析
- ⑤マイクロサテライトDNA解析法 — キメリズム解析
正答: ①ノザンブロット法 — DNA断片の解析
ポイント
ノザンブロット法はRNA(mRNA)を電気泳動で分離し標識プローブで検出する方法で、遺伝子発現の解析に用いる。DNA断片の解析はサザンブロット法であり、両者を取り違えた組合せが誤りとなる。●ブロット法=サザン(DNA)・ノザン(RNA)・ウエスタン(蛋白質)。●染色体・欠失解析=FISH法(蛍光プローブで特定部位を可視化)・CGH。●配列・変異解析=ダイレクトシークエンス・次世代シークエンサー・PCR-RFLP。●網羅的解析=DNAマイクロアレイ(遺伝子発現・SNP)。●多型・キメリズム=マイクロサテライト(STR)解析(個人識別・移植後キメリズム)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。ノザンブロット法はRNA(mRNA)の解析法であり、DNA断片の解析はサザンブロット法が用いられる。
- ② FISH法は蛍光プローブで染色体上の特定部位を可視化し、欠失解析に用いられる。
- ③ DNAマイクロアレイ法は多数の遺伝子を同時に検出でき、網羅的遺伝子解析に用いられる。
- ④ シークエンス解析法は塩基配列を直接決定でき、変異解析に用いられる。
- ⑤ マイクロサテライトDNA解析法は反復配列の多型を利用し、移植後のキメリズム解析などに用いられる。
📋 まとめの表を見る:遺伝子関連検査法とその目的
ノザンブロット法(RNA)とサザンブロット法(DNA)を取り違えないことが本問の要点。
第63回 午前11(臨床検査医学総論)
患者が訴える症状として誤っているのはどれか。
正答: ②心雑音
ポイント
症候は患者自身が自覚して訴える自覚症状(症状)と、医療者が診察・検査で把握する他覚所見(徴候)に大別される。心雑音は聴診によって医療者が捉える他覚所見であり、患者が訴える自覚症状ではない。●自覚症状=疼痛(関節痛・頭痛)・発熱感・浮腫の自覚・めまい・倦怠感・悪心。●他覚所見=心雑音・呼吸音異常・浮腫(他覚的にも確認)・黄疸・チアノーゼ・リンパ節腫大。●自他覚にまたがる=浮腫や発熱は患者も自覚し医療者も計測・観察できる。
選択肢ごとの解説
- ① 関節痛は患者が自覚して訴える自覚症状である。
- ② 誤り。心雑音は聴診で得られる他覚所見であり、患者が訴える自覚症状ではない。
- ③ 発熱は患者が自覚しうる自覚症状である。
- ④ 浮腫は患者がむくみとして自覚し訴えうる症状である。
- ⑤ めまいは患者が自覚して訴える代表的な自覚症状である。
第63回 午前12(臨床検査医学総論)
市中肺炎の原因菌でないのはどれか。
- ①Aspergillus fumigatus
- ②Chlamydophila pneumoniae
- ③Haemophilus influenzae
- ④Mycoplasma pneumoniae
- ⑤Streptococcus pneumoniae
正答: ①Aspergillus fumigatus
ポイント
市中肺炎の主要原因菌は肺炎球菌・インフルエンザ菌などの細菌と、マイコプラズマ・クラミドフィラ・レジオネラなどの非定型病原体である。Aspergillus fumigatusは真菌で、好中球減少や免疫抑制状態での日和見感染(侵襲性肺アスペルギルス症)を起こすもので、通常の市中肺炎の原因とはならない。●典型的市中肺炎=肺炎球菌・インフルエンザ菌・モラクセラ・黄色ブドウ球菌。●非定型肺炎=マイコプラズマ・クラミドフィラ・レジオネラ。●院内・日和見肺炎=緑膿菌・MRSA・アスペルギルス・ニューモシスチス。●ウイルス性=インフルエンザウイルス・RSウイルス。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。Aspergillus fumigatusは真菌で、免疫不全者の日和見感染を起こし、通常の市中肺炎の原因菌ではない。
- ② Chlamydophila pneumoniaeは非定型肺炎を起こす市中肺炎の原因菌である。
- ③ Haemophilus influenzaeは市中肺炎の代表的な細菌性原因菌である。
- ④ Mycoplasma pneumoniaeは若年者の非定型肺炎を起こす市中肺炎の原因菌である。
- ⑤ Streptococcus pneumoniaeは市中肺炎の最も主要な原因菌である。
第63回 午前13(臨床検査医学総論)
Ⅲ型高脂血症として正しいのはどれか。
- ①膵炎の原因になる。
- ②アキレス腱黄色腫がみられる。
- ③動脈硬化の原因とはならない。
- ④トリグリセライドが増加する。
- ⑤アポリポ蛋白C2の異常が原因である。
正答: ④トリグリセライドが増加する。
ポイント
Ⅲ型高脂血症(家族性異常βリポ蛋白血症)はアポリポ蛋白Eのアイソフォーム異常(E2/E2ホモ接合)によりカイロミクロンレムナントやIDL(中間比重リポ蛋白)が肝で取り込めず蓄積する病態で、血中コレステロールとトリグリセライドがともに増加する。手掌線条黄色腫や結節性黄色腫が特徴で動脈硬化を強く促進する。●WHO(Fredrickson)分類=Ⅰ型(カイロミクロン↑、LPL/アポC2欠損)・Ⅱa型(LDL↑、FH、アキレス腱黄色腫)・Ⅱb型(LDL+VLDL↑)・Ⅲ型(レムナント↑、アポE2/E2、手掌線条黄色腫)・Ⅳ型(VLDL↑)・Ⅴ型(カイロミクロン+VLDL↑、膵炎)。●合併症=高TG血症(Ⅰ・Ⅴ型)→急性膵炎、レムナント・LDL↑→動脈硬化。
選択肢ごとの解説
- ① 急性膵炎の原因となるのは著明な高トリグリセライド血症を示すⅠ型やⅤ型であり、Ⅲ型の典型ではない。
- ② アキレス腱黄色腫はLDL受容体異常による家族性高コレステロール血症(Ⅱa型)の特徴で、Ⅲ型では手掌線条黄色腫が特徴的である。
- ③ Ⅲ型はレムナント蓄積により動脈硬化を強く促進するため、原因とならないとはいえない。
- ④ 正しい。Ⅲ型ではレムナント増加によりコレステロールとともにトリグリセライドが増加する。
- ⑤ Ⅲ型の原因はアポEの異常(E2/E2)であり、アポC2の異常はⅠ型(リポ蛋白リパーゼ補因子欠損)に関連する。
📋 まとめの表を見る:脂質異常症のWHO(Fredrickson)分類
第63回 午前14(臨床検査医学総論)
ヘリコバクター・ピロリ感染症の検査の検体として誤っているのはどれか。
正答: ①胃液
ポイント
ヘリコバクター・ピロリ感染の検査には、内視鏡で胃粘膜を採取して行う侵襲的検査(迅速ウレアーゼ試験・培養・組織鏡検)と、非侵襲的検査(尿素呼気試験・血清/尿中抗体・便中抗原)がある。血清・呼気・尿・便はいずれも検体となるが、胃液は標準的な診断検体としては用いられない。●侵襲的(胃粘膜)=迅速ウレアーゼ試験・培養・鏡検(組織染色)。●非侵襲的=尿素呼気試験(呼気)・抗体測定(血清・尿)・便中抗原。●除菌判定=尿素呼気試験・便中抗原(抗体は除菌後も長く陽性で判定に不向き)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。胃液はヘリコバクター・ピロリ検査の標準的検体としては用いられず、診断には胃粘膜や呼気・血清・尿・便を用いる。
- ② 血清は抗ヘリコバクター・ピロリ抗体測定の検体として用いられる。
- ③ 呼気は尿素呼気試験の検体として用いられる。
- ④ 尿は尿中抗体測定の検体として用いられる。
- ⑤ 便は便中抗原測定の検体として用いられる。
第63回 午前15(臨床検査医学総論)
尿試験紙法の検査でビタミンC服用者の検体で偽陰性となるのはどれか。
- ①ウロビリノゲン
- ②ケトン体
- ③蛋白
- ④白血球反応
- ⑤ブドウ糖
正答: ⑤ブドウ糖
ポイント
尿試験紙のブドウ糖反応はグルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼによる酸化発色を利用するため、強い還元作用をもつビタミンC(アスコルビン酸)が共存すると発色が抑制され偽陰性となる。同じく酸化発色を用いる潜血反応もビタミンCの影響を受けやすい。●ビタミンC(還元)で偽陰性=ブドウ糖・潜血(いずれも酸化発色系)。●反応原理=蛋白(pH指示薬の蛋白誤差)・ウロビリノゲン(アゾカップリング)・ケトン体(ニトロプルシド)・白血球(エステラーゼ)・亜硝酸塩(Griess反応)。●偽陽性要因=尿pH高値での蛋白偽陽性・酸化性洗浄剤での潜血偽陽性。
選択肢ごとの解説
- ① ウロビリノゲンはアゾカップリング反応で測定され、ビタミンCによる偽陰性は典型的でない。
- ② ケトン体はニトロプルシド反応で測定され、ビタミンCの還元作用による偽陰性は問われない。
- ③ 蛋白は蛋白誤差(色素結合)で測定され、ビタミンCの影響を受けにくい。
- ④ 白血球反応はエステラーゼ反応で測定され、ビタミンCによる偽陰性の主たる対象ではない。
- ⑤ 正しい。ブドウ糖反応は酸化発色を利用するため、還元作用をもつビタミンC共存下で偽陰性となる。
📋 まとめの表を見る:尿試験紙法とビタミンC(アスコルビン酸)の影響
ビタミンCは糖・潜血の酸化発色や、ビリルビン・亜硝酸塩のジアゾ反応による発色を妨げ、偽陰性の原因となりうる。蛋白はpH指示薬を用いる非酸化還元系の反応のため、ビタミンCの影響を受けにくい。
第63回 午前16(臨床生理学)
健常成人の心内圧で80 mmHgを超えるのはどれか。
- ①右心房収縮期圧
- ②右心室拡張期圧
- ③左心房収縮期圧
- ④左心室拡張期圧
- ⑤左心室収縮期圧
正答: ⑤左心室収縮期圧
ポイント
心内圧は体循環へ拍出する左心系で高く、肺循環側の右心系や各心房圧は低い。左心室収縮期圧は約120 mmHgに達し、選択肢のうち80 mmHgを超える唯一の値である。右心房・右心室・左心房の圧、および心室拡張期圧はいずれも数〜十数 mmHg程度である。●正常心内圧の目安=右心房 約2〜6 mmHg・右心室 収縮期約25/拡張期約4 mmHg・肺動脈 約25/10 mmHg・左心房 約8〜12 mmHg・左心室 収縮期約120/拡張期約8 mmHg・大動脈 約120/80 mmHg。●左右差=体循環(高圧)の左心系、肺循環(低圧)の右心系。
選択肢ごとの解説
- ① 右心房収縮期圧は数 mmHg程度で80 mmHgを大きく下回る。
- ② 右心室拡張期圧は数 mmHg程度と低い。
- ③ 左心房収縮期圧は十数 mmHg程度で80 mmHgには達しない。
- ④ 左心室拡張期圧は10 mmHg前後と低い。
- ⑤ 正しい。左心室収縮期圧は約120 mmHgで、80 mmHgを超える唯一の値である。
第63回 午前17(臨床生理学)
心電図でV1のR波が増高する心筋梗塞の部位はどれか。
正答: ⑤純後壁
ポイント
純後壁梗塞は標準12誘導に直接対応する誘導がないため、対側に位置するV1〜V2にミラーイメージ(鏡像)として高いR波(R波増高)とST低下、陽性化したT波が現れる。これは後壁の壊死による起電力の変化を前胸部誘導が鏡像的に反映した所見である。●心筋梗塞の責任冠動脈と誘導=前壁中隔(左前下行枝、V1〜V4の異常Q波)・側壁(左回旋枝、Ⅰ・aVL・V5〜V6)・下壁(右冠動脈、Ⅱ・Ⅲ・aVF)・後壁(右冠/回旋枝、V1〜V2のR増高・ST低下=鏡像、V7〜V9で確認)。●ミラーイメージ=後壁・下壁梗塞での対側誘導変化。
選択肢ごとの解説
- ① 前壁中隔梗塞ではV1〜V4で異常Q波がみられ、R波増高ではない。
- ② 側壁梗塞ではⅠ、aVL、V5〜V6に変化がみられる。
- ③ 高位側壁梗塞ではⅠ、aVLに変化がみられる。
- ④ 下壁梗塞ではⅡ、Ⅲ、aVFに異常Q波がみられる。
- ⑤ 正しい。純後壁梗塞では対側誘導であるV1のR波が鏡像的に増高する。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第63回 午前18(臨床生理学)
Holter心電図を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA018.d8e130a3c2.jpg

- ①洞房ブロック
- ②第1度房室ブロック
- ③Wenckebach型第2度房室ブロック
- ④MobitzⅡ型第2度房室ブロック
- ⑤第3度房室ブロック
正答: ③Wenckebach型第2度房室ブロック
ポイント
Wenckebach型(MobitzⅠ型)第2度房室ブロックは、PQ(PR)間隔が拍動ごとに次第に延長し、ついにP波の後にQRSが脱落する周期(Wenckebach周期)を繰り返すのが特徴である。脱落直後のPQ間隔は短縮し、再び延長を始める。図はこのPQ漸増後の脱落パターンを示す。●洞機能・房室伝導の異常=洞房ブロック(P波そのものが脱落)・第1度房室ブロック(PQ延長のみ脱落なし)・第2度MobitzⅠ型/Wenckebach(PQ漸増後脱落)・第2度MobitzⅡ型(PQ一定で突然脱落)・高度房室ブロック・第3度(完全)房室ブロック(房室解離)。●ブロック部位=Ⅰ型は房室結節、Ⅱ型はHis束以下が多い。
選択肢ごとの解説
- ① 洞房ブロックは洞結節から心房への伝導障害でP波そのものが脱落するもので、PQ漸増を伴わない。
- ② 第1度房室ブロックはPQ延長のみでQRS脱落を伴わない。
- ③ 正しい。PQ間隔が漸次延長しQRSが脱落するWenckebach周期を示しており、Wenckebach型第2度房室ブロックである。
- ④ MobitzⅡ型はPQ延長を伴わず突然QRSが脱落するもので、本図とは異なる。
- ⑤ 第3度房室ブロックは房室解離を呈しP波とQRSが無関係に出現する。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第63回 午前19(臨床生理学)
血流依存性血管拡張反応〈FMD〉で血管内皮から放出されるのはどれか。
正答: ④NO
ポイント
血流依存性血管拡張反応(FMD)は、上腕の駆血解除後に生じる血流増加(ずり応力)が血管内皮を刺激し、内皮型一酸化窒素合成酵素を介して一酸化窒素(NO)が放出され、平滑筋を弛緩させて血管が拡張する現象である。拡張率は血管内皮機能の指標として評価される。●内皮由来の血管作動物質=拡張因子=一酸化窒素(NO)・プロスタサイクリン(PGI2)・内皮由来過分極因子(EDHF)、収縮因子=エンドセリン・トロンボキサンA2。●内皮機能検査=FMD(反応性充血)・血管内皮機能のずり応力依存性評価。●NOの作用=平滑筋弛緩・血小板凝集抑制・白血球接着抑制。
選択肢ごとの解説
- ① 一酸化炭素(CO)はFMDで内皮から放出される主たる血管拡張物質ではない。
- ② 二酸化炭素(CO₂)は代謝産物で、FMDで放出される血管拡張物質ではない。
- ③ 窒素(N2)は不活性ガスでFMDには関与しない。
- ④ 正しい。FMDではずり応力により血管内皮から一酸化窒素(NO)が放出され血管が拡張する。
- ⑤ 酸素(O₂)はFMDで放出される血管拡張因子ではない。
第63回 午前20(臨床生理学)
スパイログラムを別に示す。Aが示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA020.25d7caeb71.jpg

- ①残気量
- ②一回換気量
- ③最大吸気量
- ④予備呼気量
- ⑤機能的残気量
正答: ④予備呼気量
ポイント
スパイログラムは安静呼吸を基準に肺気量を区分する。安静呼気位(安静時に吐き終えた位置)からさらに最大まで吐き出せる量が予備呼気量であり、Aはこの区分を示す。予備呼気量と残気量の和が機能的残気量となる。●肺気量の分画=一回換気量(TV)・予備吸気量(IRV)・予備呼気量(ERV)・残気量(RV)。●容量(合算)=最大吸気量(IC=TV+IRV)・機能的残気量(FRC=ERV+RV)・肺活量(VC=IRV+TV+ERV)・全肺気量(TLC=VC+RV)。●スパイロメトリーで測れない=残気量・機能的残気量・全肺気量(ガス希釈法や体プレチスモグラフが必要)。
選択肢ごとの解説
- ① 残気量は最大呼気後も肺に残る量で、スパイログラムでは直接測定できない。
- ② 一回換気量は安静時の1呼吸あたりの換気量で、Aの位置とは異なる。
- ③ 最大吸気量は安静呼気位から最大吸気位までの量で、Aとは異なる。
- ④ 正しい。Aは安静呼気位から最大呼気位までの予備呼気量を示す。
- ⑤ 機能的残気量は予備呼気量と残気量の和で、スパイログラム単独では測定できない。
第63回 午前21(臨床生理学)
フローボリューム曲線を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA021.752c54b8dc.jpg

- ①肺線維症
- ②気管支腫瘍
- ③気管支喘息
- ④慢性閉塞性肺疾患
- ⑤びまん性汎細気管支炎
正答: ①肺線維症
ポイント
肺線維症などの拘束性換気障害では、肺の弾性収縮力が増大し肺容量(肺活量)が減少するため、フローボリューム曲線は全体が縮小し、ピークフローが鋭く立ち上がって急峻に下降する先細りの形を呈する。閉塞性障害でみられる呼気フローの下に凸の陥凹は示さない。●拘束性障害=肺線維症・間質性肺炎(曲線縮小、先細り)。●閉塞性障害=気管支喘息・COPD・びまん性汎細気管支炎(呼気フロー下に凸の陥凹)。●上気道狭窄=気管支腫瘍・気管狭窄(吸気・呼気相の平坦化、プラトー)。●指標=1秒率(FEV1.0%)低下で閉塞性、%肺活量低下で拘束性。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。肺線維症では肺容量減少により曲線が縮小し、先細りの拘束性パターンを呈する。
- ② 気管支腫瘍など中枢気道狭窄では吸気・呼気相の平坦化(プラトー)がみられる。
- ③ 気管支喘息では呼気フローが下に凸となる閉塞性パターンを呈する。
- ④ 慢性閉塞性肺疾患では呼気フローが下に凸となる閉塞性パターンを呈する。
- ⑤ びまん性汎細気管支炎は末梢気道病変で閉塞性パターンを示す。
第63回 午前22(臨床生理学)
顔面神経の起始部はどれか。
正答: ③橋
ポイント
顔面神経(第Ⅶ脳神経)は脳幹の橋下部(橋延髄移行部)から起始する。橋には三叉神経・外転神経・顔面神経・内耳(前庭蝸牛)神経の核が存在し、顔面神経は橋小脳角を経て内耳道から顔面の表情筋を支配する。●脳神経の起始部=中脳=動眼神経(Ⅲ)・滑車神経(Ⅳ)。橋=三叉神経(Ⅴ)・外転神経(Ⅵ)・顔面神経(Ⅶ)・内耳神経(Ⅷ)。延髄=舌咽神経(Ⅸ)・迷走神経(Ⅹ)・副神経(Ⅺ)・舌下神経(Ⅻ)。大脳・間脳=嗅神経(Ⅰ)・視神経(Ⅱ)。●顔面神経の機能=表情筋運動・味覚(舌前2/3)・涙腺/唾液腺分泌・アブミ骨筋。
選択肢ごとの解説
- ① 大脳は顔面神経の起始部ではない。
- ② 中脳からは動眼神経・滑車神経が起始する。
- ③ 正しい。顔面神経は橋から起始する脳神経である。
- ④ 延髄からは舌咽・迷走・副・舌下神経が起始する。
- ⑤ 小脳は運動の協調に関わり、顔面神経の起始部ではない。
第63回 午前23(臨床生理学)
脳波賦活法として誤っているのはどれか。
正答: ⑤磁気刺激
ポイント
脳波の賦活法は潜在する異常波を誘発するための手技で、開閉眼・過呼吸・光刺激(閃光刺激)・睡眠(自然睡眠・薬物睡眠)が用いられる。磁気刺激(経頭蓋磁気刺激)は運動誘発電位の測定などに使う手技であり、脳波の賦活法には含まれない。●脳波賦活法=開閉眼(α波の抑制を評価)・過呼吸(徐波化、欠神発作の3Hz棘徐波誘発)・光刺激(光感受性てんかん)・睡眠(側頭葉てんかん等の異常波誘発)。●誘発電位=視覚誘発電位(光)・聴性誘発電位(音)・体性感覚誘発電位(電気)・運動誘発電位(磁気刺激)。
選択肢ごとの解説
- ① 睡眠は睡眠賦活として脳波の賦活法に含まれる。
- ② 開閉眼はα波の抑制などを評価する基本的な賦活法である。
- ③ 過呼吸は徐波化や異常波を誘発する賦活法である。
- ④ 光刺激(閃光刺激)は光感受性てんかんの異常波を誘発する賦活法である。
- ⑤ 誤り。磁気刺激は脳波の賦活法ではなく、経頭蓋磁気刺激として運動誘発電位などの検査で用いられる。
第63回 午前24(臨床生理学)
病態と脳波所見の組合せで誤っているのはどれか。
- ①橋出血 — α昏睡
- ②精神運動発作 — 側頭部棘波
- ③ミオクローヌス発作 — 多棘徐波複合
- ④うつ病 — 周期性同期性放電
- ⑤自律神経発作 — 6Hzと14Hzとの陽性棘波
正答: ④うつ病 — 周期性同期性放電
ポイント
周期性同期性放電(PSD)はCreutzfeldt-Jakob病や亜急性硬化性全脳炎などでみられる特徴的脳波所見で、うつ病の所見ではない。うつ病では特異的な周期性放電を認めない。各病態に対応する脳波所見の正誤を問う設問である。●特徴的脳波所見=周期性同期性放電(Creutzfeldt-Jakob病・亜急性硬化性全脳炎)・三相波(肝性脳症)・3Hz棘徐波複合(欠神発作)・ヒプスアリスミア(West症候群)・側頭部棘波(側頭葉てんかん=精神運動発作)・多棘徐波複合(ミオクローヌス発作)・α昏睡(脳幹障害・低酸素脳症)。●非特異的=うつ病・神経症では特異的異常を欠くことが多い。
選択肢ごとの解説
- ① 橋出血など脳幹障害ではα昏睡(反応性に乏しいα波様活動)がみられうる。
- ② 精神運動発作(側頭葉てんかん)では側頭部に棘波がみられる。
- ③ ミオクローヌス発作では多棘徐波複合がみられる。
- ④ 誤り。周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病などでみられる所見で、うつ病の脳波所見ではない。
- ⑤ 6Hzと14Hzの陽性棘波は自律神経発作などに関連する所見とされる。
📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。
第63回 午前25(臨床生理学)
軸索変性時の複合筋活動電位の変化として特徴的なのはどれか。
- ①多相化
- ②振幅の低下
- ③持続時間の延長
- ④伝導速度の低下
- ⑤被刺激閾値の上昇
正答: ②振幅の低下
ポイント
軸索変性では機能する運動神経線維の数そのものが減少するため、神経を刺激して筋から記録する複合筋活動電位(CMAP)の振幅が低下する。一方、脱髄性病変では髄鞘の障害により伝導速度の低下や時間的分散(脱同期)による持続時間延長・多相化が特徴で、両者の鑑別に用いられる。●軸索障害(軸索変性)=CMAP振幅低下・神経原性変化(高振幅多相性運動単位電位、線維自発電位)。●脱髄=伝導速度低下・遠位潜時延長・伝導ブロック・時間的分散による持続時間延長。●再支配=筋電図での多相性・高振幅運動単位電位(慢性神経原性)。●代表疾患=軸索型/脱髄型Guillain-Barré症候群・糖尿病性神経障害。
選択肢ごとの解説
- ① 多相化は神経再支配に伴う運動単位電位の所見で、軸索変性のCMAPの特徴ではない。
- ② 正しい。軸索変性では機能線維数の減少によりCMAPの振幅が低下する。
- ③ 持続時間の延長は脱髄による時間的分散の特徴で、軸索変性の特徴ではない。
- ④ 伝導速度の低下は脱髄性病変の特徴である。
- ⑤ 被刺激閾値の上昇は軸索変性に特徴的なCMAP変化ではない。
📋 まとめの表を見る:神経伝導検査における軸索変性と脱髄の鑑別所見
伝導速度の速い神経線維に軸索消失があると軽度の低下・延長がみられることがある。軸索変性の病初期には可逆性の伝導ブロック(reversible conduction failure)がみられることがある。近位刺激で健常者でもみられる生理的な振幅低下の機序として、神経線維間の伝導速度差による生理的な時間的分散とそれに伴う位相相殺があり、病的な伝導ブロックとは区別される。
第63回 午前26(臨床生理学)
心臓の胸骨左縁長軸像におけるカラードプラ像を別に示す。矢印に認められる所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA026.dbaeb74ad1.jpg

- ①三尖弁閉鎖不全
- ②心房中隔欠損
- ③僧帽弁閉鎖不全
- ④心室中隔欠損
- ⑤大動脈弁閉鎖不全
正答: ③僧帽弁閉鎖不全
ポイント
胸骨左縁長軸像で僧帽弁の左房側へ向かう収縮期のモザイク状ジェットは、僧帽弁閉鎖不全の逆流を示す。逆流血流は左室から左房へ向かうため、長軸像では左房内へ広がる乱流(モザイクシグナル)として描出される。逆流量の評価には逆流ジェット面積、縮流部(vena contracta)幅、近位部等速度面(PISA)法などが用いられる。●左心系の弁逆流=僧帽弁閉鎖不全(収縮期に左房へ)・大動脈弁閉鎖不全(拡張期に左室へ)。●右心系の弁逆流=三尖弁閉鎖不全(収縮期に右房へ)・肺動脈弁閉鎖不全(拡張期に右室へ)。●短絡性疾患=心房中隔欠損・心室中隔欠損・動脈管開存。
選択肢ごとの解説
- ① 三尖弁閉鎖不全の逆流は収縮期に右室から右房へ向かい、胸骨左縁長軸像の僧帽弁部位に現れる所見ではない。
- ② 心房中隔欠損は左房と右房の間の短絡であり、僧帽弁の左房側に向かう収縮期ジェットとは部位も病態も異なる。
- ③ 正しい。左室から左房へ向かう収縮期のモザイク状ジェットは僧帽弁閉鎖不全の逆流像である。
- ④ 心室中隔欠損は左室と右室の間の短絡ジェットで、僧帽弁逆流の本部位の所見とは異なる。
- ⑤ 大動脈弁閉鎖不全の逆流は拡張期に大動脈から左室へ向かうもので、収縮期にみられる本所見とは時相も向きも異なる。
第63回 午前27(臨床生理学)
頸動脈の超音波検査において動脈硬化症の患者でみられやすいのはどれか。2つ選べ。
- ①穿通枝
- ②プラーク
- ③ポリープ
- ④デブリエコー
- ⑤内中膜複合体肥厚
正答: ②プラーク・⑤内中膜複合体肥厚
ポイント
頸動脈超音波で動脈硬化を反映する所見は、内中膜複合体(intima-media complex:IMC)の肥厚と、内膜に限局して突出するプラークである。内中膜複合体厚(IMT)の増大は早期動脈硬化の指標で、進行すると限局性に隆起したプラークを形成し、表面の潰瘍化や石灰化、可動性プラークを伴うことがある。プラークの性状(低輝度・潰瘍・可動性)は脳梗塞リスクの評価に重要である。●動脈硬化を示す頸動脈所見=内中膜複合体肥厚・プラーク・狭窄(収縮期最高血流速度上昇)・閉塞。●プラークの危険性状=低輝度(脂質・血腫主体)・潰瘍形成・可動性。●ほかの管腔内エコー=血栓・デブリエコー(嚢胞・胆嚢内沈渣など)はそれぞれ別病態の所見。
選択肢ごとの解説
- ① 穿通枝は脳実質を栄養する細い分枝動脈で、頸動脈本幹の動脈硬化所見ではない。
- ② 正しい。プラークは内膜に限局して突出する隆起性病変で、動脈硬化の代表的所見である。
- ③ ポリープは消化管などの粘膜から突出する隆起性病変を指す用語で、頸動脈の動脈硬化所見ではない。
- ④ デブリエコーは嚢胞内や胆嚢内などの浮遊性沈渣を表す所見で、頸動脈の動脈硬化を反映する所見ではない。
- ⑤ 正しい。内中膜複合体肥厚は早期動脈硬化を反映する代表的所見である。
第63回 午前28(臨床生理学)
下腹部正中横走査による男性の骨盤腔の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA028.690a99857e.jpg

正答: ②前立腺
ポイント
下腹部正中横走査では、尿で満たされた膀胱が前方の無エコー(黒い)領域として描出され、その後下方に接して充実性エコーの前立腺が位置する。前立腺は膀胱を音響窓として経腹的に観察でき、左右対称の楕円形構造として描出される。経直腸超音波では内腺・外腺の区別や腫瘍評価がより詳細に可能となる。●男性骨盤腔の超音波解剖=膀胱(前方の無エコー域)・前立腺(膀胱直下の充実性)・精嚢(前立腺の後上方、左右対称の管状)・直腸(最背側)。●前立腺の代表的疾患=前立腺肥大症(内腺腫大)・前立腺癌(外腺発生が多い)。●関連腫瘍マーカー=前立腺特異抗原(PSA)。
選択肢ごとの解説
- ① 精嚢は前立腺の後上方に左右一対で位置する管状構造で、膀胱直下に描出される充実性の主構造とは異なる。
- ② 正しい。膀胱の後下方に描出される左右対称の充実性構造は前立腺である。
- ③ 直腸は前立腺のさらに後方(最背側)に位置し、本矢印の構造とは異なる。
- ④ 尿道は前立腺内を貫く細い管腔構造で、矢印が示す主構造としては適さない。
- ⑤ 膀胱は尿を満たした前方の無エコー域として描出され、矢印が示す充実性構造とは異なる。
📋 まとめの表を見る:男性骨盤腔超音波解剖(膀胱・前立腺・精嚢・直腸)
骨盤内超音波検査では膀胱にある程度の尿を貯留させた状態(膀胱充満法)が望ましい。
第63回 午前29(臨床化学)
生体の微量成分元素はどれか。2つ選べ。
正答: ①銅・③セレン
ポイント
微量元素は体内含有量がごく少なく、酵素の補因子や活性中心として機能する元素で、銅・セレン・亜鉛・鉄・マンガン・モリブデン・コバルト・クロムなどが該当する。一方、リン・カルシウム・マグネシウムは骨や細胞内に多量に存在する主要(多量)元素であり、微量元素には分類されない。銅はセルロプラスミンやスーパーオキシドジスムターゼの、セレンはグルタチオンペルオキシダーゼの構成成分である。●微量元素と関連蛋白/酵素=銅(セルロプラスミン・SOD)・鉄(ヘモグロビン・トランスフェリン)・亜鉛(多数の金属酵素)・セレン(グルタチオンペルオキシダーゼ)・モリブデン(キサンチンオキシダーゼ)。●主要(多量)元素=ナトリウム・カリウム・カルシウム・リン・マグネシウム・塩素・硫黄。●欠乏症=亜鉛欠乏(味覚障害・皮膚炎)・銅欠乏(貧血)・セレン欠乏(心筋症)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。銅はセルロプラスミンなどの補因子となる微量元素である。
- ② リンは骨やリン酸化合物(ATP・核酸)に多く含まれる主要(多量)元素である。
- ③ 正しい。セレンはグルタチオンペルオキシダーゼの構成元素である微量元素である。
- ④ カルシウムは骨の主成分として体内に多量に存在する主要元素である。
- ⑤ マグネシウムは多くの酵素反応に関与するが、体内含有量からは主要(多量)元素に分類される。
第63回 午前30(臨床化学)
2ポイント法で第2試薬反応後の吸光度0.100を検体盲検補正すると0.095であった。この検体の第1試薬反応後の吸光度はどれか。ただし、検体量は10 μL、第1試薬量は240 μL、第2試薬量は50 μLとする。
- ①0.005
- ②0.006
- ③0.024
- ④0.030
- ⑤0.150
正答: ②0.006
ポイント
2ポイント法では、第1試薬反応後と第2試薬反応後の吸光度差から目的成分を求めるが、第2試薬を加えると反応液量が増えて希釈されるため、両時点の吸光度は同一の液量基準に換算する必要がある。第1試薬反応後の液量は検体10+第1試薬240=250 μL、第2試薬反応後は+第2試薬50=300 μL。第2試薬反応後の実測吸光度0.100と検体盲検補正後の0.095との差0.005は、第1試薬反応後の吸光度が第2試薬添加により300 μLへ希釈されて持ち込まれた分に相当する。希釈分を戻すと、第1試薬反応後(液量250 μL)の吸光度は0.005×300/250=0.006と算出される。●測光法の種類=エンドポイント(終点)法・レート(初速度)法・2ポイント法。●補正の考え方=試薬盲検・検体盲検・液量(希釈)補正。●吸光度の基礎=Lambert-Beerの法則(吸光度=モル吸光係数×濃度×光路長)。
選択肢ごとの解説
- ① 0.005は希釈補正の換算結果と一致しない値である。
- ② 正しい。実測0.100と検体盲検補正後0.095の差0.005に希釈比300/250を掛けると、第1試薬反応後の吸光度は0.006となる。
- ③ 0.024は与えられた液量条件での換算結果と一致しない。
- ④ 0.030は希釈補正を考慮した算出値と一致しない。
- ⑤ 0.150は桁が大きく、本計算結果と一致しない。
第63回 午前31(臨床化学)
Michaelis-Menten式の初速度分析法で測定可能なのはどれか。
- ①ウリカーゼを用いる尿酸の測定
- ②ウレアーゼを用いる尿素窒素の測定
- ③ヘキソキナーゼを用いるグルコースの測定
- ④アシルCoAシンセターゼを用いる遊離脂肪酸の測定
- ⑤コレステロールオキシダーゼを用いる総コレステロールの測定
正答: ②ウレアーゼを用いる尿素窒素の測定
ポイント
初速度分析法で基質濃度を求めるときは、[S]≪Kmとして反応速度が基質濃度に比例する1次反応領域を用いる。酵素活性を測定するときは、基質を十分に加えた0次反応領域を用いる。ウレアーゼを用いる尿素窒素測定では、生成したアンモニアをグルタミン酸脱水素酵素などの共役反応で連続的に追跡でき、初速度分析に適する。一方、尿酸・グルコース・遊離脂肪酸・総コレステロールの酵素法は、反応を平衡(終点)まで進めて吸光度を読む終点(エンドポイント)法で行われることが多い。●測定方式=レート(初速度)法・エンドポイント(終点)法・2ポイント法。●共役(共役指示)反応の例=ウレアーゼ+グルタミン酸脱水素酵素・ヘキソキナーゼ+グルコース-6-リン酸脱水素酵素。●酵素反応速度論=Michaelis定数(Km)・最大速度(Vmax)・Lineweaver-Burkプロット。
選択肢ごとの解説
- ① ウリカーゼによる尿酸測定は反応を終点まで進める終点(エンドポイント)法で測定されることが多い。
- ② 正しい。ウレアーゼによる尿素窒素測定は共役反応を連続追跡する初速度(レート)分析法で測定できる。
- ③ ヘキソキナーゼ法によるグルコース測定は終点(エンドポイント)法で行われる。
- ④ アシルCoAシンセターゼを用いる遊離脂肪酸測定は終点(エンドポイント)法で行われる。
- ⑤ コレステロールオキシダーゼによる総コレステロール測定は終点(エンドポイント)法で行われる。
第63回 午前32(臨床化学)
アニオンギャップの計算に用いるイオンはどれか。2つ選べ。
- ①重炭酸
- ②無機リン
- ③カルシウム
- ④ナトリウム
- ⑤マグネシウム
正答: ①重炭酸・④ナトリウム
ポイント
アニオンギャップ(陰イオン間隙)は血漿中で通常測定されない陰イオン量を反映する指標で、AG=Na⁺−(Cl⁻+HCO₃⁻)で計算される。計算に用いるのは陽イオンのナトリウムと、陰イオンのクロールおよび重炭酸(HCO₃⁻)である。アニオンギャップは代謝性アシドーシスの鑑別に有用で、増加型では乳酸・ケト酸・腎不全による酸貯留などが、正常型では下痢や尿細管性アシドーシスなどが考えられる。●アニオンギャップ増加型代謝性アシドーシスの原因=乳酸アシドーシス・糖尿病性ケトアシドーシス・腎不全(尿毒症)・中毒(メタノール・エチレングリコール)。●正常アニオンギャップ(高クロール性)アシドーシス=下痢・尿細管性アシドーシス。●計算に用いるイオン=ナトリウム(陽)・クロール/重炭酸(陰)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。重炭酸(HCO₃⁻)はアニオンギャップの計算式に用いる陰イオンである。
- ② 無機リンはアニオンギャップの計算式には用いない。
- ③ カルシウムは陽イオンだがアニオンギャップの計算式には含まれない。
- ④ 正しい。ナトリウム(Na⁺)はアニオンギャップ計算に用いる主要な陽イオンである。
- ⑤ マグネシウムはアニオンギャップの計算式には用いない。
第63回 午前33(臨床化学)
サルコイドーシス患者の血清で高値を示すのはどれか。
- ①カリウム
- ②クロール
- ③カルシウム
- ④ナトリウム
- ⑤マグネシウム
正答: ③カルシウム
ポイント
サルコイドーシスでは類上皮細胞肉芽腫を構成するマクロファージが活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD)を産生し、腸管からのカルシウム吸収が亢進するため高カルシウム血症・高カルシウム尿症をきたす。検査では血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)やリゾチームの上昇、両側肺門リンパ節腫脹がみられる。電解質ではカルシウムが高値を示し、ほかのカリウム・クロール・ナトリウム・マグネシウムは特徴的変化を示さない。●サルコイドーシスの検査所見=高カルシウム血症・血清ACE上昇・リゾチーム上昇・ツベルクリン反応陰性化・両側肺門リンパ節腫脹。●高カルシウム血症の他の原因=原発性副甲状腺機能亢進症・悪性腫瘍(PTHrP産生・骨転移)・ビタミンD過剰。●肉芽腫性疾患=結核・サルコイドーシス・クローン病。
選択肢ごとの解説
- ① カリウムはサルコイドーシスで特徴的に高値を示す項目ではない。
- ② クロールはサルコイドーシスで特徴的に上昇する項目ではない。
- ③ 正しい。サルコイドーシスでは活性型ビタミンD産生亢進により血清カルシウムが上昇する。
- ④ ナトリウムはサルコイドーシスで特徴的に上昇する項目ではない。
- ⑤ マグネシウムはサルコイドーシスで特徴的に上昇する項目ではない。
📋 まとめの表を見る:サルコイドーシスの主な検査所見
第63回 午前34(臨床化学)
糖新生を行うのはどれか。
正答: ③肝臓
ポイント
糖新生はアミノ酸・乳酸・グリセロールなどの糖以外の物質からグルコースを合成する経路で、主に肝臓で行われ、絶食時には腎皮質でも行われる。糖新生の最終段階に必要なグルコース-6-ホスファターゼをもつのは肝臓と腎臓のみで、骨格筋や脳はこの酵素を欠くため遊離グルコースを血中に供給できない。肝臓は血糖維持の中心臓器である。●糖新生を行う臓器=肝臓(主)・腎臓(絶食時)。●糖新生の基質=乳酸(Cori回路)・糖原性アミノ酸(アラニンなど)・グリセロール。●血糖調節ホルモン=インスリン(低下)・グルカゴン/アドレナリン/コルチゾール(上昇)。
選択肢ごとの解説
- ① 脳はグルコースを主要エネルギー源として消費する臓器で、糖新生は行わない。
- ② 心臓は糖新生を行わない。
- ③ 正しい。肝臓はグルコース-6-ホスファターゼをもち糖新生を行う中心臓器である。
- ④ 骨格筋はグルコース-6-ホスファターゼを欠くため糖新生を行えない。
- ⑤ 脂肪組織は糖新生を行わない。
第63回 午前35(臨床化学)
リポ蛋白の主要な構成成分でないのはどれか。
- ①リン脂質
- ②遊離脂肪酸
- ③トリグリセライド
- ④遊離型コレステロール
- ⑤エステル型コレステロール
正答: ②遊離脂肪酸
ポイント
リポ蛋白はアポ蛋白(アポリポ蛋白)を骨格とし、リン脂質・コレステロール(遊離型・エステル型)・トリグリセライドを脂質成分として含む粒子である。粒子表面は親水性のリン脂質・遊離型コレステロール・アポ蛋白で覆われ、疎水性の中心部にトリグリセライドとエステル型コレステロールを内包する。遊離脂肪酸はアルブミンと結合して血中を運搬されるため、リポ蛋白の主要構成成分ではない。●リポ蛋白の構成=表層(リン脂質・遊離型コレステロール・アポ蛋白)・核(トリグリセライド・エステル型コレステロール)。●リポ蛋白の種類(比重順)=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。●脂質の運搬=遊離脂肪酸はアルブミン結合で運ばれる。
選択肢ごとの解説
- ① リン脂質はリポ蛋白表面を構成する主要成分である。
- ② 誤り。遊離脂肪酸はアルブミンと結合して運搬され、リポ蛋白の主要構成成分ではない。
- ③ トリグリセライドはリポ蛋白の中心部(核)を構成する主要成分である。
- ④ 遊離型コレステロールはリポ蛋白の表面を構成する成分である。
- ⑤ エステル型コレステロールはリポ蛋白の核を構成する主要成分である。
第63回 午前36(臨床化学)
アポA1を含有するリポ蛋白はどれか。2つ選べ。
- ①カイロミクロン
- ②VLDL
- ③IDL
- ④LDL
- ⑤HDL
正答: ①カイロミクロン・⑤HDL
ポイント
アポA1はHDLの主要アポ蛋白で、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)を活性化してコレステロールのエステル化を促す。アポA1は腸管で合成されるカイロミクロンにも含まれ、代謝の過程でHDLへ転移する。VLDL・IDL・LDLの主要アポ蛋白はアポB100であり、アポA1は主成分ではない。●主なアポ蛋白と機能=アポA1(HDL主成分・LCAT活性化)・アポB100(VLDL・LDL・LDL受容体結合)・アポB48(カイロミクロン)・アポC2(リポ蛋白リパーゼ活性化)・アポE(受容体結合)。●リポ蛋白の代表アポ蛋白=カイロミクロン(B48・A1・C・E)・VLDL/LDL(B100)・HDL(A1・A2)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。カイロミクロンは腸管で合成され、アポA1を含有する。
- ② VLDLの主要アポ蛋白はアポB100で、アポA1は主成分ではない。
- ③ IDLはVLDL由来でアポB100を主とし、アポA1は主成分ではない。
- ④ LDLの主要アポ蛋白はアポB100で、アポA1は含まない。
- ⑤ 正しい。HDLはアポA1を主要アポ蛋白として含有する。
第63回 午前37(臨床化学)
血清蛋白電気泳動でα₂分画の蛋白質はどれか。2つ選べ。
- ①CRP
- ②ヘモペキシン
- ③ハプトグロビン
- ④トランスフェリン
- ⑤セルロプラスミン
正答: ③ハプトグロビン・⑤セルロプラスミン
ポイント
血清蛋白電気泳動でα₂分画に泳動される代表的蛋白は、ハプトグロビン・セルロプラスミン・α2マクログロブリンである。ハプトグロビンは遊離ヘモグロビンと結合して回収する蛋白で溶血の指標、セルロプラスミンは銅を運搬する蛋白でWilson病で低下する。これらはいずれも急性期反応や特定病態で変動する。●血清蛋白分画と代表蛋白=アルブミン(アルブミン)・α1(α1アンチトリプシン・α1酸性糖蛋白)・α2(ハプトグロビン・セルロプラスミン・α2マクログロブリン)・β(トランスフェリン・ヘモペキシン・C3)・γ(免疫グロブリン・CRP)。●急性期蛋白=CRP・ハプトグロビン・α1アンチトリプシン・フィブリノゲン(上昇)。
選択肢ごとの解説
- ① CRPは主にγ分画付近に泳動され、α₂分画の代表蛋白ではない。
- ② ヘモペキシンはβ分画に泳動される蛋白である。
- ③ 正しい。ハプトグロビンはα₂分画に泳動される代表的蛋白である。
- ④ トランスフェリンはβ分画に泳動される蛋白である。
- ⑤ 正しい。セルロプラスミンはα₂分画に泳動される銅運搬蛋白である。
📋 まとめの表を見る:血清蛋白電気泳動の分画と主な構成蛋白
肝硬変ではアルブミン低下とともにγ分画が増加し、β-γ bridging(β分画とγ分画の谷が埋まる所見)を呈する。ネフローゼ症候群ではアルブミン・免疫グロブリンが低下し、α2・β・プレβ分画が増加する。多発性骨髄腫などのM蛋白血症ではγ分画に鋭いピーク(M蛋白)が出現する。
第63回 午前38(臨床化学)
血清にウレアーゼを反応させたところ17 mg/dLのアンモニアが生じた。この血清中の尿素窒素濃度[mg/dL]はどれか。ただし、アンモニア〈NH₃〉の分子量を17、尿素〈(NH₂)₂CO〉の分子量を60とする。
正答: ②14
ポイント
ウレアーゼは尿素1分子を加水分解し、2分子のアンモニアと二酸化炭素を生じる。アンモニア17 mg/dLは分子量17なので17/17=1 mmol/dL(10 mmol/L)に相当し、尿素はその半量の0.5 mmol/dLとなる。尿素窒素は尿素分子中の窒素2原子分(窒素原子量14×2=28)で表すため、0.5 mmol/dL×28 mg/mmol=14 mg/dLが尿素窒素濃度となる。尿素窒素(BUN)は腎機能や蛋白代謝の指標である。●窒素化合物の腎機能指標=尿素窒素(BUN)・クレアチニン・尿酸。●ウレアーゼを用いる測定=尿素窒素測定(生成アンモニアを共役反応で検出)。●単位換算の基礎=モル濃度=質量濃度÷分子量、尿素窒素=尿素モル濃度×28。
選択肢ごとの解説
- ① 7 mg/dLは尿素窒素を窒素2原子分(×28)で換算していない誤った値である。
- ② 正しい。アンモニア17 mg/dL(1 mmol/dL)から尿素は0.5 mmol/dL、尿素窒素は0.5×28=14 mg/dLとなる。
- ③ 21 mg/dLは与えられた条件での換算結果と一致しない。
- ④ 28 mg/dLは尿素を半量にする換算を行っておらず誤りである。
- ⑤ 35 mg/dLは本計算結果と一致しない。
第63回 午前39(臨床化学)
直接ビリルビンが上昇するのはどれか。
- ①胆汁うっ滞
- ②溶血性貧血
- ③新生児黄疸
- ④Gilbert症候群
- ⑤Crigler-Najjar症候群
正答: ①胆汁うっ滞
ポイント
直接(抱合型)ビリルビンは肝細胞でグルクロン酸抱合を受けた水溶性のビリルビンで、胆汁中へ排泄される。胆汁うっ滞や閉塞性黄疸で胆汁排泄が障害されると、抱合型ビリルビンが血中に逆流して直接ビリルビンが上昇する。一方、溶血や抱合酵素の異常では抱合前の間接(非抱合型)ビリルビンが上昇する。●直接ビリルビン優位(抱合後の排泄障害)=胆汁うっ滞・閉塞性黄疸・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群。●間接ビリルビン優位(産生過剰・抱合障害)=溶血性貧血・新生児黄疸・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群。●ビリルビン代謝=ヘム→間接ビリルビン→(肝でグルクロン酸抱合)→直接ビリルビン→胆汁排泄。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。胆汁うっ滞では抱合型ビリルビンの排泄が障害され、直接ビリルビンが血中に逆流して上昇する。
- ② 溶血性貧血ではビリルビン産生過剰により非抱合型(間接)ビリルビンが上昇する。
- ③ 新生児黄疸はグルクロン酸抱合能の未熟により間接ビリルビンが上昇する。
- ④ Gilbert症候群は軽度の抱合障害により間接ビリルビンが上昇する。
- ⑤ Crigler-Najjar症候群はグルクロン酸転移酵素の欠損・低下により間接ビリルビンが上昇する。
第63回 午前40(臨床化学)
LDアイソザイムで1、2型優位なのはどれか。2つ選べ。
- ①赤血球
- ②肝細胞
- ③心筋細胞
- ④リンパ球
- ⑤肺胞上皮細胞
正答: ①赤血球・③心筋細胞
ポイント
乳酸脱水素酵素(LD)はH型とM型の2種のサブユニット4個の組合せで、LD₁(H4)からLD₅(M4)の5種のアイソザイムに分かれる。H型優位のLD₁・LD₂は心筋・赤血球・腎に多く、M型優位のLD₄・LD₅は肝・骨格筋に多い。臓器障害の局在推定にアイソザイムパターンが用いられ、赤血球と心筋はLD₁・LD₂優位を示す。●LDアイソザイムの臓器分布=LD₁・LD₂(心筋・赤血球・腎)・LD₃(肺・脾・リンパ系)・LD₄・LD₅(肝・骨格筋)。●LD上昇をきたす病態=心筋梗塞・溶血・悪性腫瘍・肝障害・筋疾患。●アイソザイム分析を用いる酵素=LD・クレアチンキナーゼ(CK-MM/MB/BB)・アルカリホスファターゼ・アミラーゼ。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。赤血球はLD₁・LD₂(H型優位)が多い。
- ② 肝細胞はLD₅(M型優位)が多く、LD₁・LD₂優位ではない。
- ③ 正しい。心筋細胞はLD₁・LD₂(H型優位)が多い。
- ④ リンパ球はLD₂・LD₃が比較的多いものの、心筋・赤血球ほどLD₁・LD₂優位ではない。
- ⑤ 肺胞上皮はLD₃が優位とされ、LD₁・LD₂優位ではない。
📋 まとめの表を見る:LDアイソザイムの構造・組織分布・安定性
LDはH型・M型の2種類のサブユニットからなる四量体(分子量約134kDa)。健常人血清ではLD2の割合が最も高い。溶血で上昇するのはLD1・LD2。
第63回 午前41(臨床化学)
骨芽細胞の増殖で血中濃度が上昇するのはどれか。
- ①オステオカルシン
- ②デオキシピリジノリン
- ③Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド
- ④Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド
- ⑤酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性
正答: ①オステオカルシン
ポイント
オステオカルシンは骨芽細胞が産生する非コラーゲン性の骨基質蛋白で、骨形成(骨芽細胞の活動)が亢進すると血中濃度が上昇する骨形成マーカーである。ビタミンK依存性にカルボキシル化されてカルシウムと結合する。一方、コラーゲンのテロペプチドや酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼは破骨細胞による骨吸収を反映するマーカーである。●骨形成マーカー=オステオカルシン・骨型アルカリホスファターゼ・Ⅰ型プロコラーゲン-N-プロペプチド(P1NP)。●骨吸収マーカー=Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド(CTX)・N-テロペプチド(NTX)・デオキシピリジノリン・酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRACP-5b)。●骨代謝関連病態=骨粗鬆症・骨軟化症・原発性副甲状腺機能亢進症・骨転移。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。オステオカルシンは骨芽細胞が産生する骨形成マーカーで、骨芽細胞の活動亢進で血中濃度が上昇する。
- ② デオキシピリジノリンは破骨細胞による骨吸収を反映する骨吸収マーカーである。
- ③ Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチドは骨吸収マーカーである。
- ④ Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチドは骨吸収マーカーである。
- ⑤ 酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼは破骨細胞由来の骨吸収マーカーである。
第63回 午前42(臨床化学)
Addison病で高値を示すのはどれか。2つ選べ。
- ①ACTH
- ②血清リン
- ③血清カリウム
- ④血清ナトリウム
- ⑤血清コルチゾール
正答: ①ACTH・③血清カリウム
ポイント
Addison病(原発性副腎皮質機能低下症)では副腎皮質の破壊によりコルチゾールとアルドステロンがともに低下する。コルチゾール低下によって視床下部・下垂体へのネガティブフィードバックが外れ、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が上昇する。アルドステロン低下によりナトリウム再吸収が低下してナトリウム喪失(低ナトリウム血症)とカリウム貯留(高カリウム血症)が生じる。ACTH上昇は色素沈着の原因にもなる。●Addison病の検査所見=コルチゾール低下・アルドステロン低下・ACTH上昇・低ナトリウム血症・高カリウム血症・低血糖・色素沈着。●続発性(下垂体性)副腎不全との違い=ACTHが低下し、色素沈着や高カリウム血症は目立たない。●副腎皮質ホルモン=糖質コルチコイド(コルチゾール)・鉱質コルチコイド(アルドステロン)・副腎アンドロゲン。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。コルチゾール低下によるネガティブフィードバックの解除でACTHが上昇する。
- ② 血清リンはAddison病で特徴的に高値を示す項目ではない。
- ③ 正しい。アルドステロン低下によるカリウム貯留で血清カリウムが上昇する。
- ④ アルドステロン低下によりナトリウムは喪失し、血清ナトリウムは低値となる。
- ⑤ Addison病はコルチゾール産生低下が本態であり、血清コルチゾールは低値となる。
第63回 午前43(臨床化学)
間質性肺炎のマーカーはどれか。
- ①KL-6
- ②トロポニン
- ③シスタチンC
- ④プロカルシトニン
- ⑤心臓型脂肪酸結合蛋白〈H-FABP〉
正答: ①KL-6
ポイント
KL-6(シアル化糖鎖抗原KL-6)はⅡ型肺胞上皮細胞や呼吸細気管支上皮から産生される糖蛋白で、間質性肺炎で増殖した上皮から血中に逸脱して上昇する。間質性肺炎の活動性評価や予後判定のマーカーとして用いられる。同様の間質性肺炎マーカーに肺サーファクタント蛋白(SP-A・SP-D)がある。●間質性肺炎マーカー=KL-6・SP-A・SP-D。●心筋傷害マーカー=トロポニン・心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)・CK-MB。●腎機能マーカー=シスタチンC・クレアチニン・尿素窒素。●感染・炎症マーカー=プロカルシトニン(細菌感染・敗血症)・CRP。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。KL-6はⅡ型肺胞上皮由来の糖蛋白で間質性肺炎のマーカーである。
- ② トロポニンは心筋傷害のマーカーである。
- ③ シスタチンCは糸球体濾過量を反映する腎機能マーカーである。
- ④ プロカルシトニンは細菌感染・敗血症のマーカーである。
- ⑤ 心臓型脂肪酸結合蛋白は心筋傷害の早期マーカーである。
第63回 午前44(臨床化学)
ミトコンドリア分画にアイソザイムが存在するのはどれか。
- ①LD
- ②AST
- ③アミラーゼ
- ④コリンエステラーゼ
- ⑤アルカリホスファターゼ
正答: ②AST
ポイント
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)には細胞質型とミトコンドリア型の2つのアイソザイムが存在する。通常血中には細胞質型が主だが、重度の肝細胞障害やアルコール性肝障害などミトコンドリアまで及ぶ細胞壊死ではミトコンドリア型ASTが逸脱し、障害の重症度評価に用いられる。LDやアミラーゼ、アルカリホスファターゼのアイソザイムはミトコンドリア分画には存在しない。●ミトコンドリア型をもつ酵素=AST(細胞質型・ミトコンドリア型)・クレアチンキナーゼ(CK-Mt)。●アイソザイムの分かれ方の例=LD(サブユニット組合せ)・ALP(臓器別)・アミラーゼ(P型・S型)。●AST/ALT=肝細胞傷害の指標、AST優位上昇は重症肝障害・心筋・筋疾患でみられる。
選択肢ごとの解説
- ① LDのアイソザイムはサブユニットの組合せによるもので、ミトコンドリア型は存在しない。
- ② 正しい。ASTには細胞質型とミトコンドリア型のアイソザイムが存在する。
- ③ アミラーゼはP型・S型に分かれるが、ミトコンドリア型は存在しない。
- ④ コリンエステラーゼにミトコンドリア型アイソザイムは存在しない。
- ⑤ アルカリホスファターゼは臓器別アイソザイムをもつが、ミトコンドリア型ではない。
📋 まとめの表を見る:臨床酵素の細胞内局在
ASTには細胞質型(c-AST)とミトコンドリア型(m-AST)の2種類のアイソザイムが存在し、重篤な組織壊死(重症肝障害など)ではミトコンドリア型が血中に逸脱して上昇する。
第63回 午前45(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA045.83e11b5efc.jpg

正答: ④尿管
ポイント
尿管はH-E染色で内腔を移行上皮(尿路上皮)が覆い、伸展していない状態では内腔が星状(不規則な放射状)を呈し、外側に厚い平滑筋層をもつ。移行上皮は組織の伸展に応じて細胞の形が変化するのが特徴で、表層には傘細胞がみられる。図はこの尿路上皮と筋層の構造を示す。●上皮の種類と代表臓器=移行上皮(尿管・膀胱・腎盂)・重層扁平上皮(食道・皮膚)・線毛円柱上皮(気管・気管支)・単層円柱上皮(胃・腸)。●尿路の組織=粘膜(尿路上皮)・粘膜固有層・筋層・外膜。●甲状腺の組織=コロイドを入れた濾胞構造と濾胞上皮。
選択肢ごとの解説
- ① 気管は線毛円柱上皮に覆われ硝子軟骨をもつ臓器で、移行上皮ではない。
- ② 食道は重層扁平上皮に覆われる臓器で、移行上皮ではない。
- ③ 大腸は単層円柱上皮と多数の杯細胞をもつ臓器で、移行上皮ではない。
- ④ 正しい。尿管は移行上皮(尿路上皮)と厚い平滑筋層をもち、図はこの構造を示す。
- ⑤ 甲状腺はコロイドを入れた濾胞構造をもち、上皮の性状が尿管とは異なる。
📋 まとめの表を見る:臓器・部位と被覆上皮の対応
内皮は血管・リンパ管、中皮は体腔(漿膜)の表面を被覆する単層扁平上皮で、局在により呼び分ける。肺胞の内面は中皮ではなく肺胞上皮(Ⅰ型・Ⅱ型肺胞上皮細胞)が覆う。
第63回 午前46(病理組織細胞学)
萎縮するのはどれか。
- ①授乳期の乳腺
- ②高齢者の前立腺
- ③思春期以降の胸腺
- ④腎摘出後の残存腎
- ⑤スポーツ選手の心臓
正答: ③思春期以降の胸腺
ポイント
萎縮とは、いったん正常に発達した臓器・組織や細胞が、容積を減じて縮小することをいう。胸腺は思春期にかけて発達した後、思春期以降に脂肪組織へ置き換わりながら生理的に退縮(加齢性萎縮)する代表的な臓器である。一方、機能亢進・負荷・代償により細胞容積や数が増す変化は肥大・過形成であり、萎縮ではない。●萎縮の種類=生理的萎縮(胸腺・加齢)・廃用性萎縮(不動)・圧迫萎縮・神経性萎縮・内分泌性萎縮。●肥大・過形成の例=授乳期乳腺(過形成)・スポーツ心臓(作業性肥大)・代償性肥大(片腎摘出後の残腎)・前立腺肥大症。●細胞適応=萎縮・肥大・過形成・化生。
選択肢ごとの解説
- ① 授乳期の乳腺は機能亢進により分泌組織が増生(過形成・肥大)する。
- ② 高齢者の前立腺は加齢で肥大することが多く、萎縮の典型ではない。
- ③ 正しい。胸腺は思春期以降に脂肪へ置き換わりながら生理的に退縮(萎縮)する。
- ④ 腎摘出後の残存腎は代償性に肥大する。
- ⑤ スポーツ選手の心臓は運動負荷による作業性肥大を起こす。
第63回 午前47(病理組織細胞学)
膵癌で正しいのはどれか。
- ①予後良好である。
- ②早期発見が難しい。
- ③女性に多く発生する。
- ④内分泌細胞由来が多い。
- ⑤骨への血行性転移が多い。
正答: ②早期発見が難しい。
ポイント
膵癌は早期には症状が乏しく、発見時には周囲臓器への浸潤や転移を伴って進行していることが多いため、早期発見が難しく予後不良の代表的な癌である。組織型は膵管上皮由来の浸潤性膵管癌(腺癌)が大半を占め、リンパ行性・血行性転移により肝転移をきたしやすい。喫煙・慢性膵炎・糖尿病が危険因子とされる。●膵癌の特徴=早期発見困難・予後不良・膵管由来腺癌が多い・肝転移が多い。●膵腫瘍の分類=浸潤性膵管癌・膵内分泌腫瘍(神経内分泌腫瘍)・粘液性/漿液性嚢胞腫瘍・膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)。●関連腫瘍マーカー=CA19-9・CEA。
選択肢ごとの解説
- ① 膵癌は予後不良の代表的な癌であり、予後良好ではない。
- ② 正しい。膵癌は自覚症状に乏しく、発見時には進行していることが多いため早期発見が難しい。
- ③ 膵癌は男性にやや多い傾向があり、女性に多いとはいえない。
- ④ 膵癌の大半は膵管上皮由来の腺癌で、内分泌細胞由来は少数である。
- ⑤ 膵癌は肝転移が多く、骨への血行性転移が多いとはいえない。
第63回 午前48(病理組織細胞学)
大腸癌で正しいのはどれか。
- ①低分化腺癌が多い。
- ②上行結腸に好発する。
- ③大腸腺腫症で好発する。
- ④小腸癌より発生頻度が低い。
- ⑤早期癌にはBorrmann分類を用いる。
正答: ③大腸腺腫症で好発する。
ポイント
大腸癌は高分化〜中分化腺癌が多く、好発部位はS状結腸・直腸である。家族性大腸腺腫症(大腸腺腫症)では大腸に多数の腺腫が発生し、放置すると高率に癌化するため大腸癌が好発する。発生頻度は小腸癌よりはるかに高い。大腸癌の肉眼型は大腸癌取扱い規約により0〜5型に分類する。0型は表在型で、早期癌と推定する病変に用いる。●大腸癌の特徴=高分化腺癌が多い・S状結腸/直腸に好発・腺腫からの腺腫癌化が多い。●大腸癌の素因=家族性大腸腺腫症(APC遺伝子)・リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)・潰瘍性大腸炎。●大腸癌の肉眼型=0型(表在型)・1型(腫瘤型)・2型(潰瘍限局型)・3型(潰瘍浸潤型)・4型(びまん浸潤型)・5型(分類不能)。
選択肢ごとの解説
- ① 大腸癌は高分化〜中分化腺癌が多く、低分化腺癌が多いわけではない。
- ② 大腸癌はS状結腸・直腸に好発し、上行結腸が最多ではない。
- ③ 正しい。家族性大腸腺腫症(大腸腺腫症)では多数の腺腫から高率に癌化し、大腸癌が好発する。
- ④ 大腸癌は小腸癌よりはるかに発生頻度が高い。
- ⑤ 早期大腸癌では、表在型に当たる0型の肉眼分類を用いる。大腸癌の肉眼型は大腸癌取扱い規約で分類し、Borrmann分類を早期癌に用いるという記述は誤りである。
第63回 午前49(病理組織細胞学)
中和操作を要する脱灰法・脱灰液はどれか。2つ選べ。
- ①ギ酸
- ②EDTA法
- ③電気脱灰法
- ④トリクロロ酢酸
- ⑤プランク・リクロ〈Plank-Rychlo〉法
正答: ③電気脱灰法・⑤プランク・リクロ〈Plank-Rychlo〉法
ポイント
酸を用いる脱灰法では組織が酸性に傾き、その後の染色性(特に核染色)が損なわれるため、脱灰後に中和操作(アルカリ処理や十分な水洗)を要するものがある。電気脱灰法は酸性脱灰液中で直流通電して脱灰を促進するため脱灰後の中和を要し、プランク・リクロ法(Plank-Rychlo法)は塩酸とギ酸などを含む強酸性の急速脱灰液で、染色性保持のために中和操作が必要である。●脱灰法の種類=酸脱灰(ギ酸・塩酸・硝酸・トリクロロ酢酸)・キレート脱灰(EDTA法)・電気脱灰法・イオン交換脱灰。●中和を要する代表=電気脱灰法・プランク・リクロ法(強酸・急速脱灰)。●EDTA法の特徴=中性付近で緩徐に脱灰し抗原性・染色性を保ちやすいが時間を要する。
選択肢ごとの解説
- ① ギ酸は比較的緩徐な酸脱灰液で、本設問が問う中和操作を要する代表とはされない。
- ② EDTA法はキレート作用による中性付近の脱灰で、中和操作を要しない。
- ③ 正しい。電気脱灰法は酸性液中で通電して脱灰するため、脱灰後に中和操作を要する。
- ④ トリクロロ酢酸は固定・脱灰に用いられるが、本設問が問う中和を要する代表とはされない。
- ⑤ 正しい。プランク・リクロ法は強酸を含む急速脱灰液で、中和操作を要する。
📋 まとめの表を見る:脱灰法の種類と特徴(分類・適温・中和操作)
無機酸(塩酸・硝酸)・Plank-Rychlo液・電気脱灰法は中和操作が必要。有機酸(ギ酸・トリクロロ酢酸)とEDTA法は中和不要で、有機酸は水洗せず直接70%アルコールに浸漬する。EDTA法は唯一の中性脱灰液で、他の酸脱灰法より高い温度(約30℃)で行える。
第63回 午前50(病理組織細胞学)
ミクロトームの刀台で行う操作はどれか。2つ選べ。
- ①逃げ角の設定
- ②引き角の設定
- ③切片厚の設定
- ④カセットクランプの固定
- ⑤パラフィンブロック表面の角度調節
正答: ①逃げ角の設定・②引き角の設定
ポイント
ミクロトームの刀台(ナイフホルダー)は刃を保持し、薄切に適した刃の角度を設定する部分である。逃げ角(クリアランス角)はナイフ刃面とブロック面(切片)との間の角度で、切片が刃に張りつくのを防ぐために刀台で設定する。引き角(傾斜角)はナイフの長軸方向への傾きで、これも刀台で調節する。切片厚の設定やブロック固定は本体側の機構で行う。●刀台(ナイフホルダー)で行う設定=逃げ角(クリアランス角)・引き角(傾斜角)。●ミクロトーム本体で行う操作=切片厚の設定・送り(前進量)・ブロックホルダーの固定と角度調節(フェーシング)。●ミクロトームの種類=滑走式・回転式(ロータリー)・凍結(クリオスタット)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。逃げ角の設定は刃を保持する刀台(ナイフホルダー)で行う操作である。
- ② 正しい。引き角の設定はナイフの傾きとして刀台で行う操作である。
- ③ 切片厚の設定はミクロトーム本体の送り機構で行い、刀台では行わない。
- ④ カセットクランプの固定はブロックを保持する本体側の操作で、刀台では行わない。
- ⑤ パラフィンブロック表面の角度調節はブロックホルダー側で行う操作で、刀台では行わない。