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第63回(2017) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第63回 午前51(病理組織細胞学)
術中迅速組織標本作製法で正しいのはどれか。
①急速に凍結する。 ②包埋剤は使用しない。 ③脂肪組織は薄切しやすい。 ④Papanicolaou染色を行う。 ⑤クリオスタットの庫内温度は0℃である。
正答: ①急速に凍結する。
ポイント 術中迅速組織標本作製法は、手術中に短時間で病理診断を行うため凍結切片を用いる。組織をOCTコンパウンドなどの包埋剤で支持し、クリオスタット内で急速に凍結させて凍結ブロックを作り、庫内温度約-20℃前後で薄切してヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行う。緩慢に凍結すると組織内に氷晶が形成され構造が破壊されるため、液体窒素やドライアイスによる急速凍結が必須である。ホルマリン固定パラフィン包埋に比べ迅速だが、形態の保存性は劣る。●凍結切片用包埋剤=OCTコンパウンド。●凍結手段=液体窒素・ドライアイス・クリオスタット内急速凍結。●迅速染色=HE染色(術中迅速の基本)。●薄切困難な組織=脂肪組織(凍結しても硬化しにくい)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。氷晶形成による組織破壊を防ぐため、液体窒素やドライアイスなどで急速に凍結させることが基本である。 ② OCTコンパウンドなどの包埋剤で組織を支持して凍結ブロックを作製するため、包埋剤を使用しないとはいえない。 ③ 脂肪組織は凍結しても硬化しにくく薄切が困難な代表的組織であり、薄切しやすいとはいえない。 ④ 術中迅速はHE染色が基本であり、Papanicolaou染色は細胞診で用いる染色法で組織標本には行わない。 ⑤ クリオスタットの庫内温度は約-20℃前後に設定するのが一般的で、設問の値とは一致しない。
第63回 午前52(病理組織細胞学)
大腸癌の特殊染色標本を別に示す。この染色法が目的とする対象はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA052.28804b055a.jpg
正答: ②弾性線維
ポイント 結合組織の線維成分を染め分ける特殊染色の問題で、対象は弾性線維である。弾性線維はelastica van Gieson染色やVerhoeff染色、Weigert resorcin-fuchsin染色で黒〜紫黒色に選択的に染め出される。線維成分ごとに用いる染色が異なり、膠原線維と弾性線維は形態が似るため染色で識別する。●弾性線維=elastica van Gieson・Verhoeff・Weigert(黒〜紫黒色)。●膠原線維=Masson trichrome(青〜緑)・azan(青)・van Gieson(赤)。●細網線維=Gömöri鍍銀法など銀染色(黒)。●基底膜=PAS反応(赤紫)・PAM染色(黒)。
選択肢ごとの解説
① 筋線維は通常HEやMasson trichromeで評価され、本設問の染色対象ではない。 ② 正しい。弾性線維を選択的に黒〜紫黒色に染め出す特殊染色(elastica染色など)が示されている。 ③ 細網線維はGömöri鍍銀法など銀染色で黒色に染まる別の線維成分である。 ④ 膠原線維はMasson trichromeやazanで青〜緑に染まる成分で、本染色の主目的ではない。 ⑤ 神経線維は鍍銀法や免疫染色で評価され、本染色の対象ではない。
第63回 午前53(病理組織細胞学)
腎臓の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA053.9aea21fd8b.jpg
①PAS反応 ②azan染色 ③PAM染色 ④Masson trichrome染色 ⑤elastica van Gieson染色
正答: ③PAM染色
ポイント 腎糸球体の基底膜を黒色に染め出す像が示されており、染色法はPAM(periodic acid methenamine silver、過ヨウ素酸メセナミン銀)染色である。PAM染色は基底膜や細網線維を銀により黒色に染め、糸球体係蹄壁の肥厚やスパイク形成などの病変評価に有用である。線維成分や基底膜は染色ごとに発色が異なるため染め分ける。●基底膜の評価=PAM染色(黒)・PAS反応(赤紫)。●膠原線維=Masson trichrome(青緑)・azan(青)。●弾性線維=elastica van Gieson(黒)。●細網線維=Gömöri鍍銀法(黒)。
選択肢ごとの解説
① PAS反応は基底膜やメサンギウム基質を赤紫色に染めるが、黒色には染めない。 ② azan染色は膠原線維を青色に染める染色法で、本像とは異なる。 ③ 正しい。糸球体基底膜が銀により黒色に染め出されており、PAM染色による所見である。 ④ Masson trichrome染色は膠原線維を青緑に染める染色法で、黒色化させるPAMとは異なる。 ⑤ elastica van Gieson染色は弾性線維を黒、膠原線維を赤に染める染色法で、糸球体基底膜の評価には用いない。
第63回 午前54(病理組織細胞学)
免疫組織化学的マーカーと疾患の組合せで正しいのはどれか。
①AFP — 膵癌 ②CA125 — 胆囊癌 ③CEA — 骨肉腫 ④c-kit — 髄芽腫 ⑤S100蛋白 — 悪性黒色腫
正答: ⑤S100蛋白 — 悪性黒色腫
ポイント 免疫組織化学的マーカーは腫瘍の由来や鑑別に用いられる。S100蛋白は神経堤由来細胞のマーカーで、悪性黒色腫やシュワン細胞腫瘍、樹状細胞などに陽性となる。各マーカーは対応する腫瘍が決まっており、組合せの正誤を判定する。●上皮性腫瘍=サイトケラチン・CEA(消化器腺癌)。●肝細胞癌・卵黄囊腫瘍=AFP。●卵巣漿液性癌=CA125。●消化管間質腫瘍(GIST)・精上皮腫=c-kit(CD117)。●神経堤由来(悪性黒色腫・神経鞘腫)=S100蛋白。
選択肢ごとの解説
① α-フェトプロテイン(AFP)は肝細胞癌や卵黄囊腫瘍のマーカーであり、膵癌の代表的マーカーではない。 ② CA125は卵巣癌のマーカーであり、胆囊癌との組合せは適切でない。 ③ 癌胎児性抗原(CEA)は大腸癌など消化器腺癌のマーカーで、骨肉腫とは対応しない。 ④ c-kit(CD117)はGISTや精上皮腫のマーカーで、髄芽腫の代表マーカーではない。 ⑤ 正しい。S100蛋白は神経堤由来の悪性黒色腫に陽性となる代表的マーカーである。
📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。
第63回 午前55(病理組織細胞学)
膵臓の透過型電子顕微鏡写真を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA055.836b6fec0e.jpg
①核 ②核小体 ③滑面小胞体 ④ミトコンドリア ⑤ゴルジ〈Golgi〉装置
正答: ④ミトコンドリア
ポイント 膵臓外分泌(腺房)細胞の透過型電子顕微鏡像で、矢印が示すのはミトコンドリアである。ミトコンドリアは外膜と内膜の二重膜をもち、内膜が内側に陥入したクリステ構造を呈し、ATP産生を担う。他の細胞内小器官は形態が異なるため、二重膜・クリステの有無で識別する。●二重膜+クリステ=ミトコンドリア。●核膜に囲まれた大型構造=核、核内の濃染塊=核小体。●扁平囊の積み重なり=ゴルジ装置。●リボソーム付着の膜系=粗面小胞体、付着なし=滑面小胞体。●膵腺房細胞の頂部=チモゲン顆粒(分泌顆粒)。
選択肢ごとの解説
① 核は核膜に囲まれた大型の構造で、クリステを持つ矢印の像とは異なる。 ② 核小体は核内のリボソームRNA合成の場で、細胞質にある矢印の構造とは異なる。 ③ 滑面小胞体はリボソームの付着しない膜系の網目で、内部にクリステを持たない。 ④ 正しい。二重膜とクリステ構造を有する細胞内小器官であり、ミトコンドリアである。 ⑤ ゴルジ装置は扁平な膜囊が積み重なった構造で、クリステを持つ矢印とは異なる。
第63回 午前56(病理組織細胞学)
悪性腫瘍細胞の特徴はどれか。
①核の円形化 ②核小体不明瞭 ③細胞質空胞化 ④核クロマチン増量 ⑤核と細胞質の面積比〈N/C比〉の低下
正答: ④核クロマチン増量
ポイント 悪性腫瘍細胞は異型性を示し、核クロマチンの増量(濃染)、核の大小不同・不整形、核小体の明瞭化・腫大、核細胞質比(N/C比)の増大などがみられる。これらは細胞増殖の亢進と核内DNA量の増加を反映する所見である。良性・反応性細胞では核は円形で整い、クロマチンは細顆粒状で核小体は目立たない。●核所見=クロマチン増量・濃染、大小不同、核形不整、核小体腫大。●核細胞質比=N/C比の増大。●集塊・配列=不規則な重積・極性の乱れ。●良性の対比=核の円形整、細顆粒状クロマチン、N/C比低値。
選択肢ごとの解説
① 悪性細胞では核形が不整で大小不同を示すことが多く、円形化はむしろ良性に近い所見である。 ② 悪性細胞では核小体が明瞭・腫大することが多く、不明瞭は悪性の特徴ではない。 ③ 細胞質の空胞化は変性や分泌などでもみられ、悪性に特異的な所見ではない。 ④ 正しい。核内DNA量の増加を反映して核クロマチンが増量・濃染することは悪性細胞の代表的特徴である。 ⑤ 悪性細胞では核が大きくなりN/C比は上昇するのが特徴で、低下は誤りである。
📋 まとめの表を見る:悪性腫瘍細胞にみられる核・細胞質の異型所見(総論)
良性・反応性細胞は核が円形で整い、クロマチンは細顆粒状で核小体は目立たない。
第63回 午前57(病理組織細胞学)
Papanicolaou染色標本における扁平上皮癌の細胞学的特徴はどれか。
①粘液産生 ②腺腔様構造 ③光輝性の黄色細胞質 ④立体的な重積性集塊 ⑤細顆粒状のクロマチン
正答: ③光輝性の黄色細胞質
ポイント Papanicolaou染色における扁平上皮癌の細胞学的特徴は、オレンジG(OG)に染まる光輝性の黄色〜橙色の角化型細胞質である。角化を反映してオレンジ好染を示し、おたまじゃくし型・線維型・紡錘型などの奇怪な細胞形態、核の濃染・不整を伴う。一方、粘液産生・腺腔様構造・立体的重積集塊は腺癌の特徴である。●扁平上皮癌=角化(オレンジG好染)、奇怪な細胞形、核濃染、平面的配列。●腺癌=粘液産生、腺腔様・乳頭状構造、立体的重積集塊。●Papanicolaou染色の色調=角化細胞はオレンジ、非角化・傍基底はライトグリーン好染。
選択肢ごとの解説
① 粘液産生は腺癌の特徴であり、扁平上皮癌の細胞学的特徴ではない。 ② 腺腔様構造は腺癌でみられる配列であり、扁平上皮癌の特徴ではない。 ③ 正しい。角化を反映してオレンジGに光輝性の黄色〜橙色に染まる細胞質は扁平上皮癌の特徴である。 ④ 立体的な重積性集塊は腺癌でみられやすく、扁平上皮癌では平面的配列が多い。 ⑤ 細顆粒状のクロマチンは良性に近い所見で、扁平上皮癌に特異的な特徴ではない。
📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。
第63回 午前58(病理組織細胞学)
病理解剖時に摘出された臓器の肉眼写真を別に示す。臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA058.52cf4e96aa.jpg
正答: ④脾臓
ポイント 病理解剖で摘出された臓器の肉眼像で、臓器は脾臓である。脾臓は暗赤色〜紫褐色で被膜に包まれ、割面では赤脾髄と白脾髄からなる比較的均一な実質を呈し、辺縁に切痕(脾切痕)がみられることがある。臓器は形・色・割面構造で鑑別する。●含気性スポンジ状割面=肺。●中腔・心室心房と弁・筋=心臓。●楔形で大型、褐色の小葉構造=肝臓。●暗赤色・被膜・赤脾髄白脾髄=脾臓。●ソラマメ形・皮質髄質構造=腎臓。
選択肢ごとの解説
① 肺は含気性でスポンジ状の割面を示し、暗赤色充実性の脾臓とは異なる。 ② 心臓は心室・心房と弁・心筋からなる中腔性臓器で、実質性の脾臓とは異なる。 ③ 肝臓は楔形で大きく、割面は褐色の小葉構造を示し、脾臓とは形態が異なる。 ④ 正しい。暗赤色で被膜に包まれた実質性臓器であり、肉眼像から脾臓と判断される。 ⑤ 腎臓はソラマメ形で皮質と髄質の構造を示し、脾臓とは割面像が異なる。
第63回 午前59(臨床血液学)
腎臓で産生されるのはどれか。
①インターロイキン-3 ②エリスロポエチン ③顆粒球コロニー刺激因子 ④単球マクロファージコロニー刺激因子 ⑤トロンボポエチン
正答: ②エリスロポエチン
ポイント エリスロポエチンは主に腎臓の尿細管間質に存在する線維芽細胞様細胞で産生される造血因子で、赤血球の産生を促進する。低酸素が産生刺激となり、腎不全では産生が低下して腎性貧血をきたす。各造血因子は産生部位が異なる。●腎臓産生=エリスロポエチン(赤血球系)。●肝臓産生=トロンボポエチン(血小板系、腎臓でも一部)。●T細胞産生=インターロイキン-3など。●単球マクロファージ・線維芽細胞・内皮細胞産生=顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)・単球マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)。
選択肢ごとの解説
① インターロイキン-3は活性化T細胞などで産生される造血因子で、腎臓産生ではない。 ② 正しい。エリスロポエチンは腎臓で産生され赤血球産生を促進する造血因子である。 ③ 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)はマクロファージや線維芽細胞などで産生される。 ④ 単球マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)も線維芽細胞・内皮細胞などで産生される。 ⑤ トロンボポエチンは主に肝臓で産生され(腎臓でも一部産生される)血小板産生を調節する因子で、主な産生部位は腎臓ではない。
第63回 午前60(臨床血液学)
活性化プロテインCが失活させるのはどれか。
①第Ⅴ因子 ②第Ⅶ因子 ③第Ⅸ因子 ④第Ⅹ因子 ⑤第Ⅺ因子
正答: ①第Ⅴ因子
ポイント 活性化プロテインC(APC)は、プロテインSを補酵素として活性型第Ⅴ因子(Va)と活性型第Ⅷ因子(Ⅷa)を限定分解して失活させる、生理的抗凝固機構の中心因子である。第Ⅴ因子のArg506がAPCの切断部位で、ここに変異をもつ第Ⅴ因子Leiden変異ではAPC抵抗性となり血栓傾向をきたす。●APCの基質=活性型第Ⅴ因子・活性型第Ⅷ因子。●APCの補酵素=プロテインS。●生理的抗凝固因子=アンチトロンビン(トロンビン・第Ⅹa因子を阻害)、TFPI(組織因子経路阻害物質)、プロテインC・S系。●APC抵抗性=第Ⅴ因子Leiden変異。
選択肢ごとの解説
① 正しい。活性化プロテインCは活性型第Ⅴ因子を(第Ⅷ因子とともに)分解して失活させる。 ② 第Ⅶ因子は組織因子と複合体を形成する外因系因子で、APCの基質ではない。 ③ 第Ⅸ因子は内因系の凝固因子で、APCによって直接失活される基質ではない。 ④ 第Ⅹ因子はプロトロンビナーゼの構成因子で、APCの直接の基質ではない。 ⑤ 第Ⅺ因子は内因系の上流因子で、APCによって失活される因子ではない。
第63回 午前61(臨床血液学)
末梢血のフローサイトメトリでリンパ球ゲートを行い、抗CD19-PE標識抗体と抗CD3-FITC標識抗体で二重染色解析を行った。プロット図を別に示す。T細胞が現れる領域はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA061.5168f73765.jpg
正答: ④
ポイント 末梢血リンパ球を抗CD19(B細胞マーカー)と抗CD3(T細胞マーカー)で二重染色すると、T細胞はCD3陽性・CD19陰性の象限に分布する。二次元プロットでCD3軸が陽性かつCD19軸が陰性の領域に出現する集団がT細胞である。●CD3陽性・CD19陰性=T細胞。●CD19(またはCD20)陽性・CD3陰性=B細胞。●CD3陰性・CD19陰性でCD16/56陽性=NK細胞。●二重陰性領域=主にNK細胞・非リンパ球。●T細胞サブセット=CD4陽性ヘルパー、CD8陽性細胞傷害性。
選択肢ごとの解説
① ①の領域はCD3陽性・CD19陰性の象限ではなく、T細胞の分布領域ではない。 ② ②の領域はT細胞の分布する象限ではない。 ③ ③の領域はT細胞の分布する象限ではない。 ④ 正しい。CD3陽性かつCD19陰性の象限であり、T細胞が出現する領域である。 ⑤ ①と③の組合せはT細胞のみが分布する単一の象限を示しておらず、適切でない。
📋 まとめの表を見る:リンパ球サブセットの表面抗原による判別
第63回 午前62(臨床血液学)
ビタミンK欠乏症でみられるのはどれか。
①PT延長 ②血小板数減少 ③出血時間延長 ④Dダイマー上昇 ⑤フィブリノゲン低下
正答: ①PT延長
ポイント ビタミンKは第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子とプロテインC・Sの肝での合成(γ-カルボキシル化)に必要である。欠乏ではこれらの因子活性が低下し、半減期の短い第Ⅶ因子を含む外因系を反映するプロトロンビン時間(PT)がまず延長し、ついで活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)も延長する。血小板数・出血時間・フィブリノゲン・Dダイマーには直接影響しない。●ビタミンK依存性因子=第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子、プロテインC・S。●欠乏で延長=PT(先行)、APTT。●不変=血小板数、出血時間、フィブリノゲン、Dダイマー。●原因=新生児、胆道閉塞・吸収不良、ワルファリン、抗菌薬長期投与。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ビタミンK依存性凝固因子の活性低下により外因系を反映するPTが延長する。 ② ビタミンKは血小板産生に関与せず、欠乏で血小板数は減少しない。 ③ 出血時間は血小板機能と血管を反映する検査で、ビタミンK欠乏では延長しない。 ④ Dダイマーは二次線溶の産物で、ビタミンK欠乏では上昇しない。 ⑤ フィブリノゲンの合成はビタミンKに依存せず、欠乏で低下しない。
📋 まとめの表を見る:ビタミンK依存性の凝固因子と欠乏時の検査所見
ビタミンKは肝臓での凝固因子・抗凝固因子の産生時に、グルタミン酸残基をγ-カルボキシル化する反応の補酵素として働く。
第63回 午前63(臨床血液学)
溶血性貧血で低下または減少するのはどれか。
①血清LD ②網赤血球数 ③血清ハプトグロビン ④血清間接ビリルビン ⑤尿中ウロビリノゲン
正答: ③血清ハプトグロビン
ポイント 溶血性貧血では赤血球破壊が亢進し、逸脱酵素である血清LD(乳酸脱水素酵素)、ヘモグロビン分解産物の間接(非抱合型)ビリルビン、尿中ウロビリノゲンが増加し、骨髄の代償で網赤血球数も増加する。一方ハプトグロビンは血中に遊離したヘモグロビンと結合して肝で処理されるため消費され、血清ハプトグロビンは低下する。これは特に血管内溶血の鋭敏な指標である。●溶血で増加=LD、間接ビリルビン、尿中ウロビリノゲン、網赤血球、血清遊離ヘモグロビン。●溶血で低下=血清ハプトグロビン。●血管内溶血の指標=ヘモグロビン尿、ヘモジデリン尿、ハプトグロビン著減。
選択肢ごとの解説
① 血清LDは赤血球破壊により逸脱して上昇するため、低下しない。 ② 網赤血球数は溶血に対する骨髄の代償で増加するため、減少しない。 ③ 正しい。遊離ヘモグロビンと結合して消費されるため血清ハプトグロビンは低下する。 ④ 間接ビリルビンはヘモグロビン分解の増加により上昇するため、減少しない。 ⑤ 尿中ウロビリノゲンはビリルビン代謝亢進により増加するため、減少しない。
第63回 午前64(臨床血液学)
Pappenheimer小体の構成成分はどれか。
①核の残存物 ②非ヘム鉄顆粒 ③紡錘糸の残存物 ④リボソームの集合 ⑤ヘモグロビンの酸化変性物
正答: ②非ヘム鉄顆粒
ポイント Pappenheimer小体は赤血球内に出現する非ヘム鉄(フェリチン・ヘモジデリン)を含む顆粒で、鉄染色(ベルリン青染色)で青色に染まり、鉄芽球性貧血や脾摘後などでみられる。Wright-Giemsa染色では好塩基性の小顆粒として観察される。赤血球封入体は構成成分が異なる。●非ヘム鉄顆粒=Pappenheimer小体(鉄染色陽性)。●核の残存物=Howell-Jolly小体。●リボソーム(残存RNA)の集合=好塩基性斑点(点状好塩基性赤血球)。●ヘモグロビンの酸化変性物=Heinz小体(超生体染色)。●ヘモグロビン異常凝集=H封入体。
選択肢ごとの解説
① 核の残存物から成るのはHowell-Jolly小体であり、Pappenheimer小体ではない。 ② 正しい。Pappenheimer小体は非ヘム鉄を含む鉄顆粒で、鉄染色で青染する。 ③ 紡錘糸の残存物は本小体の構成成分ではない。 ④ リボソームの集合から成るのは好塩基性斑点(点状好塩基性赤血球)である。 ⑤ ヘモグロビンの酸化変性物から成るのはHeinz小体であり、Pappenheimer小体ではない。
第63回 午前65(臨床血液学)
末梢血のWright-Giemsa染色標本を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA065.f6255c114f.jpg
①Döhle小体 ②中毒性顆粒 ③Russell小体 ④Pelger-Huët異常 ⑤Chédiak-Higashi異常
正答: ④Pelger-Huët異常
ポイント 末梢血塗抹で好中球の核が分葉せず、眼鏡状(二分葉・鼻眼鏡状)やピーナッツ状の低分葉核を示す所見はPelger-Huët異常である。先天性のものは無害だが、骨髄異形成症候群などでは後天性(偽Pelger-Huët)として出現する。好中球の各種異常は形態が異なる。●低分葉核(眼鏡状)=Pelger-Huët異常。●細胞質の青色封入体=Döhle小体(感染・炎症)。●粗大好塩基性顆粒=中毒性顆粒(重症感染)。●巨大異常顆粒=Chédiak-Higashi異常。●形質細胞内免疫グロブリン封入体=Russell小体。
選択肢ごとの解説
① Döhle小体は好中球細胞質内の青色封入体で、核の低分葉を示す本像とは異なる。 ② 中毒性顆粒は好中球の粗大な好塩基性顆粒で、核形態の異常を示す本像とは異なる。 ③ Russell小体は形質細胞内の免疫グロブリン封入体で、好中球の所見ではない。 ④ 正しい。好中球核の低分葉(眼鏡状核)を示しており、Pelger-Huët異常である。 ⑤ Chédiak-Higashi異常は巨大な異常顆粒を特徴とし、低分葉核の本像とは異なる。
第63回 午前66(臨床血液学)
DICを合併しやすいのはどれか。
①肺結核 ②薬剤性肝障害 ③大腿骨頸部骨折 ④急性前骨髄球性白血病 ⑤自己免疫性溶血性貧血
正答: ④急性前骨髄球性白血病
ポイント 急性前骨髄球性白血病(APL、急性骨髄性白血病M3)は、白血病細胞の異常顆粒に組織因子や顆粒球プロテアーゼ・線溶活性化物質が多く、これらの放出により著明な凝固線溶亢進をきたしDIC(播種性血管内凝固)を高率に合併する。早期からの全トランス型レチノイン酸(ATRA)治療とDIC管理が重要である。●DICを起こしやすい血液疾患=APL(M3)。●固形がん=前立腺癌・膵癌など(腺癌)。●産科=常位胎盤早期剝離・羊水塞栓。●感染=グラム陰性菌敗血症。●その他=重症外傷・熱傷・大手術・巨大血管腫。
選択肢ごとの解説
① 肺結核は慢性感染症であり、DICを高頻度に合併する病態ではない。 ② 薬剤性肝障害は肝機能障害をきたすが、DICを直接合併しやすい疾患ではない。 ③ 大腿骨頸部骨折は脂肪塞栓のリスクはあるが、DICを特に合併しやすいとはいえない。 ④ 正しい。腫瘍細胞の顆粒から組織因子などが放出され、DICを高率に合併する。 ⑤ 自己免疫性溶血性貧血は溶血が主病態で、DICを特に合併しやすい疾患ではない。
第63回 午前67(臨床血液学)
末梢血塗抹標本で好中球の核の過分葉がみられた貧血患者に検査すべき項目はどれか。
①鉄 ②亜鉛 ③フェリチン ④ビタミンB₁₂ ⑤エリスロポエチン
正答: ④ビタミンB₁₂
ポイント 好中球の核の過分葉は巨赤芽球性貧血を示唆する所見で、その原因はビタミンB₁₂または葉酸の欠乏によるDNA合成障害である。したがってビタミンB₁₂(および葉酸)を測定すべきである。鉄・フェリチンは鉄欠乏性貧血、エリスロポエチンは腎性貧血の評価項目で、過分葉好中球とは関連が弱い。●過分葉好中球・大球性貧血=巨赤芽球性貧血→ビタミンB₁₂・葉酸を測定。●ビタミンB₁₂欠乏=悪性貧血(内因子欠乏)、胃切除後、回腸病変。●小球性低色素性貧血=鉄欠乏(鉄・フェリチン・TIBC)。●腎性貧血=エリスロポエチン低値。
選択肢ごとの解説
① 鉄は鉄欠乏性貧血の評価項目で、過分葉好中球を伴う巨赤芽球性貧血の原因検索には適さない。 ② 亜鉛欠乏は味覚障害などをきたすが、過分葉好中球の原因検索項目ではない。 ③ フェリチンは貯蔵鉄の指標で鉄欠乏の評価に用いるが、本病態とは関連が弱い。 ④ 正しい。過分葉好中球は巨赤芽球性貧血を示唆し、ビタミンB₁₂欠乏の検索が必要である。 ⑤ エリスロポエチンは腎性貧血の評価項目で、過分葉好中球の原因検索には適さない。
第63回 午前68(臨床微生物学)
ウイルスで正しいのはどれか。
①核膜がある。 ②単細胞である。 ③有糸分裂する。 ④プラスミドを有する。 ⑤偏性細胞内寄生体である。
正答: ⑤偏性細胞内寄生体である。
ポイント ウイルスは核酸(DNAまたはRNA)と蛋白質の殻(カプシド)からなり、自己増殖能を持たず宿主細胞内でのみ増殖する偏性細胞内寄生体である。核膜・細胞質などの細胞構造を持たず、二分裂や有糸分裂も行わず、宿主細胞内で部品を合成・組み立てて増殖する。プラスミドは細菌の染色体外DNAでありウイルスの特徴ではない。●ウイルスの特徴=非細胞性、核酸+カプシド、偏性細胞内寄生、自己増殖能なし。●ウイルスにあるもの=DNAまたはRNA(いずれか一方)、カプシド、一部はエンベロープ。●ウイルスにないもの=核膜・細胞小器官、リボソーム、代謝系、プラスミド。
選択肢ごとの解説
① ウイルスは細胞構造を持たず、核膜は存在しない。 ② ウイルスは細胞ではなく粒子であり、単細胞生物ではない。 ③ ウイルスは有糸分裂せず、宿主細胞内で部品を合成して組み立てられる。 ④ プラスミドは細菌の染色体外DNAであり、ウイルスの特徴ではない。 ⑤ 正しい。ウイルスは宿主細胞内でのみ増殖する偏性細胞内寄生体である。
第63回 午前69(臨床微生物学)
消毒用エタノールに対して抵抗性を示すのはどれか。2つ選べ。
①ノロウイルス ②ロタウイルス ③C型肝炎ウイルス ④ヒト免疫不全ウイルス ⑤インフルエンザウイルス
正答: ①ノロウイルス・②ロタウイルス
ポイント 消毒用エタノールはエンベロープ(脂質二重膜)を持つウイルスには有効だが、エンベロープを持たないノンエンベロープウイルスには抵抗性で効きにくい。ノロウイルス・ロタウイルスはノンエンベロープウイルスでエタノール抵抗性を示し、消毒には次亜塩素酸ナトリウムが用いられる。C型肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)・インフルエンザウイルスはエンベロープを持ちエタノールが有効である。●ノンエンベロープ(エタノール抵抗性)=ノロ・ロタ・アデノ・エンテロ・A型/E型肝炎・パルボウイルス。●エンベロープ(エタノール感受性)=インフルエンザ・ヘルペス・HIV・B型/C型肝炎・コロナ・麻疹・風疹。●ノンエンベロープに有効=次亜塩素酸ナトリウム。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ノロウイルスはエンベロープを持たないためエタノールに抵抗性を示す。 ② 正しい。ロタウイルスもエンベロープを持たずエタノール抵抗性を示す。 ③ C型肝炎ウイルスはエンベロープを持つためエタノールが有効である。 ④ ヒト免疫不全ウイルスはエンベロープを持ちエタノールに感受性である。 ⑤ インフルエンザウイルスはエンベロープを持ちエタノールが有効である。
第63回 午前70(臨床微生物学)
細菌と選択培地の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①Bacteroides fragilis — CW寒天培地 ②Clostridium difficile — CCFA寒天培地 ③Enterococcus faecalis — Thayer-Martin培地 ④Pseudomonas aeruginosa — NAC寒天培地 ⑤Salmonella Enteritidis — CIN寒天培地
正答: ②Clostridium difficile — CCFA寒天培地・④Pseudomonas aeruginosa — NAC寒天培地
ポイント 選択培地は目的菌の発育を促し他菌を抑制する。Clostridioides(Clostridium)difficileはCCFA(cycloserine cefoxitin fructose agar)寒天培地、Pseudomonas aeruginosaはNAC寒天培地で選択分離される。菌種ごとに対応する選択培地が決まっている。●Clostridioides difficile=CCFA寒天培地。●Pseudomonas aeruginosa=NAC寒天培地。●Bacteroides fragilis=BBE(bacteroides bile esculin)培地。●Neisseria属(淋菌・髄膜炎菌)=Thayer-Martin培地。●Yersinia・エロモナス=CIN寒天培地。●腸内細菌=SS寒天・DHL寒天・マッコンキー寒天。
選択肢ごとの解説
① Bacteroides fragilisの選択培地はBBE寒天培地などで、CW寒天培地との組合せは適切でない。 ② 正しい。Clostridioides difficileはCCFA寒天培地で選択分離される。 ③ Thayer-Martin培地はNeisseria属の選択培地で、Enterococcus faecalisとの組合せは適切でない。 ④ 正しい。Pseudomonas aeruginosaはNAC寒天培地で選択分離される。 ⑤ CIN寒天培地はYersiniaやエロモナスの選択培地で、Salmonellaとの組合せは適切でない。
📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地
第63回 午前71(臨床微生物学)
Pseudomonas aeruginosaに対して抗菌力を有するのはどれか。
①アンピシリン ②イミペネム ③セファゾリン ④セフォタキシム ⑤セフメタゾール
正答: ②イミペネム
ポイント Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)は多くの抗菌薬に自然耐性を示すが、抗緑膿菌活性をもつ薬剤は限られる。カルバペネム系のイミペネム、ピペラシリン、セフタジジム・セフェピム、抗緑膿菌性フルオロキノロン、アミノグリコシドなどには抗菌力がある。狭域のβ-ラクタム薬は無効である。●抗緑膿菌活性あり=イミペネム・メロペネム(カルバペネム)、ピペラシリン、セフタジジム・セフェピム、シプロフロキサシン・レボフロキサシン、ゲンタマイシン・アミカシン。●抗緑膿菌活性なし=アンピシリン、第一世代セファロスポリン(セファゾリン)、多くの第三世代(セフォタキシム)、セファマイシン系(セフメタゾール)。
選択肢ごとの解説
① アンピシリンは緑膿菌に抗菌力を持たない。 ② 正しい。カルバペネム系のイミペネムは緑膿菌に抗菌力を有する。 ③ セファゾリンは第一世代セファロスポリンで緑膿菌には無効である。 ④ セフォタキシムは第三世代だが抗緑膿菌活性に乏しく、緑膿菌には適さない。 ⑤ セフメタゾールはセファマイシン系で緑膿菌には抗菌力を持たない。
第63回 午前72(臨床微生物学)
作用機序と抗菌薬の組合せで正しいのはどれか。
①細胞質膜障害 — アミノグリコシド系 ②核酸合成阻害 — グリコペプチド系 ③蛋白合成阻害 — テトラサイクリン系 ④葉酸合成阻害 — β-ラクタム系 ⑤細胞壁合成阻害 — キノロン系
正答: ③蛋白合成阻害 — テトラサイクリン系
ポイント 抗菌薬は作用機序により分類される。テトラサイクリン系は30Sリボソームサブユニットに結合してアミノアシルtRNAの結合を妨げ、蛋白合成を阻害する。各系統と機序の対応を判定する。●細胞壁合成阻害=β-ラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)、グリコペプチド系(バンコマイシン)。●蛋白合成阻害=アミノグリコシド系・テトラサイクリン系(30S)、マクロライド系・クロラムフェニコール・リンコマイシン系(50S)。●核酸合成阻害=キノロン系(DNAジャイレース・トポイソメラーゼ)、リファンピシン(RNAポリメラーゼ)。●葉酸合成阻害=サルファ剤・トリメトプリム。●細胞質膜障害=ポリミキシン。
選択肢ごとの解説
① アミノグリコシド系の主作用は蛋白合成阻害であり、細胞質膜障害ではない。 ② グリコペプチド系の作用は細胞壁合成阻害であり、核酸合成阻害ではない。 ③ 正しい。テトラサイクリン系は30Sリボソームに作用して蛋白合成を阻害する。 ④ β-ラクタム系は細胞壁合成阻害であり、葉酸合成阻害ではない。 ⑤ キノロン系は核酸合成阻害であり、細胞壁合成阻害ではない。
📋 まとめの表を見る:抗菌薬の作用機序と主な系統
第63回 午前73(臨床微生物学)
日和見感染症はどれか。
①梅毒 ②オウム病 ③腸チフス ④感染性心内膜炎 ⑤ニューモシスチス肺炎
正答: ⑤ニューモシスチス肺炎
ポイント 日和見感染症は宿主の免疫能が低下した際に弱毒病原体が起こす感染症である。ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jirovecii)はAIDSや免疫抑制薬使用時など免疫低下状態で発症する代表的な日和見感染症である。他の選択肢は免疫正常者にも起こる通常の感染症である。●代表的日和見感染=ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染、カンジダ・アスペルギルス・クリプトコックス症、非結核性抗酸菌症、トキソプラズマ症。●通常感染症(免疫正常者にも)=梅毒(Treponema pallidum)、オウム病(Chlamydia psittaci)、腸チフス(Salmonella Typhi)、感染性心内膜炎。
選択肢ごとの解説
① 梅毒はTreponema pallidumによる性感染症で、免疫正常者にも起こり日和見感染ではない。 ② オウム病はChlamydia psittaciによる人獣共通感染症で、日和見感染症ではない。 ③ 腸チフスはSalmonella Typhiによる全身感染症で、日和見感染症ではない。 ④ 感染性心内膜炎は弁膜異常などを基盤に起こる感染症で、典型的な日和見感染ではない。 ⑤ 正しい。ニューモシスチス肺炎は免疫低下時に発症する代表的な日和見感染症である。
第63回 午前74(臨床微生物学)
急性咽頭炎患者の咽頭粘液を5%ヒツジ血液寒天培地(左)とチョコレート寒天培地(右)の分画培地に接種し、35 ℃で24時間炭酸ガス培養を行った培地を別に示す。分離菌は、グラム陽性球菌、カタラーゼテスト陰性、LancefieldのA群抗原陽性であった。推定される菌種はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA074.1bead3fdd4.jpg
①Streptococcus agalactiae ②Streptococcus mitis ③Streptococcus pneumoniae ④Streptococcus pyogenes ⑤Streptococcus sanguinis
正答: ④Streptococcus pyogenes
ポイント グラム陽性球菌でカタラーゼ陰性、Lancefield A群抗原陽性という所見はStreptococcus pyogenes(A群β溶血性レンサ球菌、GAS)を示す。血液寒天培地で明瞭なβ溶血を示し、急性咽頭炎・扁桃炎・猩紅熱や、続発症としてリウマチ熱・急性糸球体腎炎の原因となる。バシトラシン感受性・PYR陽性が補助所見である。●A群(β溶血)=Streptococcus pyogenes(咽頭炎・猩紅熱)。●B群(β溶血)=Streptococcus agalactiae(新生児敗血症・髄膜炎)。●α溶血・胆汁溶解陽性・オプトヒン感受性=Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)。●口腔レンサ球菌(α溶血)=S. mitis・S. sanguinis(感染性心内膜炎)。
選択肢ごとの解説
① Streptococcus agalactiaeはLancefield B群であり、A群抗原陽性の本菌とは異なる。 ② Streptococcus mitisは口腔レンサ球菌(α溶血)でA群抗原陽性ではない。 ③ Streptococcus pneumoniaeはα溶血を示しA群抗原を持たず、本所見とは異なる。 ④ 正しい。グラム陽性球菌・カタラーゼ陰性・A群抗原陽性からStreptococcus pyogenesと推定される。 ⑤ Streptococcus sanguinisは口腔レンサ球菌でA群抗原陽性ではない。
📋 まとめの表を見る:主なレンサ球菌(Streptococcus属)の性状比較
いずれもGram陽性球菌・カタラーゼテスト陰性・普通寒天培地には発育しない。
第63回 午前75(臨床微生物学)
Legionella pneumophilaで正しいのはどれか。2つ選べ。
①偏性嫌気性菌である。 ②グラム陽性桿菌である。 ③尿中抗原検査で検出できる。 ④β-ラクタマーゼを産生する。 ⑤5%ヒツジ血液寒天培地に発育する。
正答: ③尿中抗原検査で検出できる。・④β-ラクタマーゼを産生する。
ポイント Legionella pneumophilaはグラム陰性桿菌で、システインと鉄を要求するためBCYEα培地でのみ発育し、通常の血液寒天培地には発育しない。偏性好気性で、尿中抗原検査(血清群1を検出)が迅速診断に有用である。β-ラクタマーゼを産生するためペニシリン・セフェムは無効で、細胞内移行性のよいマクロライドやフルオロキノロンが治療に用いられる。●Legionellaの性状=グラム陰性桿菌、偏性好気性、システイン・鉄要求性。●培養=BCYEα寒天培地(血液寒天培地に発育せず)。●診断=尿中抗原検査、喀痰の蛍光抗体法・遺伝子検査。●治療=マクロライド・フルオロキノロン(β-ラクタム無効)。●感染源=汚染された空調冷却塔水・循環式浴槽などのエアロゾル。
選択肢ごとの解説
① Legionellaは偏性好気性菌であり、偏性嫌気性菌ではない。 ② Legionellaはグラム陰性桿菌であり、グラム陽性桿菌ではない。 ③ 正しい。尿中抗原検査(血清群1)で検出でき迅速診断に有用である。 ④ 正しい。β-ラクタマーゼを産生するためβ-ラクタム系は無効である。 ⑤ Legionellaはシステインと鉄を要求しBCYEα培地でのみ発育し、血液寒天培地には発育しない。
第63回 午前76(臨床微生物学)
Candida属で仮性菌糸を形成しないのはどれか。
①C. albicans ②C. glabrata ③C. krusei ④C. parapsilosis ⑤C. tropicalis
正答: ②C. glabrata
ポイント Candida属の多くは培地上で出芽だけでなく仮性菌糸(偽菌糸)を形成するが、Candida glabrataは仮性菌糸を形成せず出芽型の酵母様細胞のみを示すのが特徴である。C. albicansは血清中で発芽管(germ tube)を出し、コーンミール寒天上で厚膜胞子(厚壁胞子)も作る。C. tropicalis・C. parapsilosis・C. kruseiはいずれも仮性菌糸を形成する。●仮性菌糸を作るCandida=C. albicans・C. tropicalis・C. parapsilosis・C. krusei・C. dubliniensis。●仮性菌糸を作らない(出芽のみ)=C. glabrata。●C. albicansに特徴的な所見=発芽管・厚膜胞子。●フルコナゾール低感受性で注意される菌種=C. glabrata・C. krusei。
選択肢ごとの解説
① C. albicansは仮性菌糸に加え発芽管・厚膜胞子を形成する。 ② 正しい。C. glabrataは仮性菌糸を形成せず出芽型の酵母様細胞のみを示す。 ③ C. kruseiは仮性菌糸を形成する。 ④ C. parapsilosisは仮性菌糸を形成する。 ⑤ C. tropicalisは仮性菌糸を形成する。
第63回 午前77(臨床微生物学)
プリオン蛋白が病原因子となる疾患はどれか。2つ選べ。
①急性灰白髄炎 ②ウシ海綿状脳症 ③Burkittリンパ腫 ④亜急性硬化性全脳炎 ⑤Creutzfeldt-Jakob病
正答: ②ウシ海綿状脳症・⑤Creutzfeldt-Jakob病
ポイント プリオン病は感染性をもつ異常プリオン蛋白が脳に蓄積し神経変性を起こす伝達性海綿状脳症で、ヒトのCreutzfeldt-Jakob病(クロイツフェルト・ヤコブ病)とウシのウシ海綿状脳症(BSE)が代表である。核酸(DNA・RNA)を持たず、通常の加熱や消毒に強い抵抗性を示す点でウイルスや細菌と異なる。急性灰白髄炎(ポリオ)はポリオウイルス、亜急性硬化性全脳炎は麻疹ウイルスの遅発感染、BurkittリンパはEBウイルスによるもので、いずれもプリオンは関与しない。●ヒトのプリオン病=Creutzfeldt-Jakob病・Gerstmann-Sträussler-Scheinker症候群・致死性家族性不眠症・クールー病。●動物のプリオン病=ウシ海綿状脳症(BSE)・スクレイピー(ヒツジ)。●ウイルスによる中枢神経疾患=急性灰白髄炎(ポリオ)・亜急性硬化性全脳炎(麻疹)。●EBウイルス関連腫瘍=Burkittリンパ腫・上咽頭癌。
選択肢ごとの解説
① 急性灰白髄炎はポリオウイルスによる疾患で、プリオンは関与しない。 ② 正しい。ウシ海綿状脳症は異常プリオン蛋白による伝達性海綿状脳症である。 ③ Burkittリンパ腫はEBウイルスが関与する腫瘍で、プリオンは関与しない。 ④ 亜急性硬化性全脳炎は麻疹ウイルスの遅発感染で、プリオンは関与しない。 ⑤ 正しい。Creutzfeldt-Jakob病は異常プリオン蛋白によるヒトの代表的プリオン病である。
第63回 午前78(臨床微生物学)
Aspergillus fumigatusの模式図を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA078.633da78134.jpg
正答: ①頂囊
ポイント Aspergillus fumigatusの分生子頭は、分生子柄(こにでぃおふぉあ)の先端がフラスコ状に膨らんだ頂囊(vesicle)、その表面に放射状に並ぶフィアライド、そこから連鎖状に外生する分生子から構成される。A. fumigatusはフィアライドが頂囊に直接付く単列(unisetiate)で、矢印が示すのは膨大した頂囊である。A. nigerなどではフィアライドとの間にメツラ(metula)が介在する二列構造をとる。●Aspergillus分生子頭の構造=分生子柄→頂囊→(メツラ)→フィアライド→分生子。●単列性(メツラなし)=A. fumigatus。●二列性(メツラあり)=A. niger・A. flavus。●頂囊のつき方=A. fumigatusはフィアライドが上半部に偏在する。
選択肢ごとの解説
① 正しい。分生子柄の先端がフラスコ状に膨らんだ構造であり、頂囊である。 ② 分生子は頂囊上のフィアライドから連鎖状に形成される胞子で、膨大した頂囊とは異なる。 ③ メツラはフィアライドを支える中間細胞で、A. fumigatusでは通常欠く構造である。 ④ 分生子柄は頂囊を支える柄であり、膨大部そのものではない。 ⑤ フィアライドは分生子を産生する細胞で、頂囊表面に並ぶ別の構造である。
第63回 午前79(臨床免疫学)
免疫寛容の破綻が発症原因となる疾患はどれか。
①花粉症 ②関節リウマチ ③接触性皮膚炎 ④移植片対宿主病 ⑤血液型不適合妊娠
正答: ②関節リウマチ
ポイント 免疫寛容は自己抗原に対して免疫反応を起こさない状態で、その破綻により自己の成分を攻撃する自己免疫疾患が発症する。関節リウマチは自己抗原に対する免疫応答で関節滑膜に慢性炎症を起こす代表的な自己免疫疾患である。花粉症や接触性皮膚炎は外来抗原に対する過剰反応(アレルギー)、移植片対宿主病は移植細胞による同種免疫反応、血液型不適合妊娠は胎児赤血球抗原に対する同種免疫反応であり、いずれも自己への免疫寛容破綻ではない。●自己免疫疾患(免疫寛容の破綻)=関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・橋本病・Basedow病・自己免疫性溶血性貧血。●アレルギー(外来抗原への過剰反応)=花粉症(Ⅰ型)・接触性皮膚炎(Ⅳ型)。●同種免疫反応=移植片対宿主病・移植拒絶反応・血液型不適合妊娠(新生児溶血性疾患)。
選択肢ごとの解説
① 花粉症はⅠ型アレルギーで外来抗原に対する反応であり、免疫寛容の破綻ではない。 ② 正しい。関節リウマチは自己抗原に対する免疫寛容の破綻による自己免疫疾患である。 ③ 接触性皮膚炎はⅣ型アレルギーで外来抗原に対する反応であり、免疫寛容破綻ではない。 ④ 移植片対宿主病は移植細胞による同種免疫反応で、自己への免疫寛容破綻ではない。 ⑤ 血液型不適合妊娠は胎児赤血球への同種免疫反応で、免疫寛容の破綻ではない。
第63回 午前80(臨床免疫学)
免疫応答で正しいのはどれか。
①一次反応でIgMはIgGに遅れて出現する。 ②二次反応でIgMは出現しない。 ③二次反応で記憶B細胞が生じる。 ④二次反応は初回と異なる抗原を2回目に投与したとき起きる。 ⑤一次反応より二次反応の方が多くの抗体が産生される。
正答: ⑤一次反応より二次反応の方が多くの抗体が産生される。
ポイント 抗原に初めて曝露する一次反応では、まずIgMが出現し遅れてIgGが産生され、抗体価の立ち上がりも緩やかで量も少ない。同じ抗原に再曝露する二次反応では、一次反応で生じた記憶B細胞が速やかに反応し、潜伏期が短く、IgGを主体に多量の抗体が産生される。記憶B細胞は一次反応で生じるものであり、二次反応はあくまで同一抗原の再曝露で起こる。●一次反応の特徴=潜伏期が長い・IgMが先行・抗体価は低い。●二次反応の特徴=潜伏期が短い・IgGが主体・抗体価が高く持続。●記憶細胞の役割=二次反応での速やかな高親和性抗体産生(ブースター効果)。●抗体産生に関与する細胞=B細胞(形質細胞へ分化)・ヘルパーT細胞。
選択肢ごとの解説
① 一次反応ではIgMがIgGに先行して出現し、IgGより遅れて出現するわけではない。 ② 二次反応でもIgMがわずかに出現しうるが主体はIgGで、出現しないとは言い切れない。 ③ 記憶B細胞は一次反応で生じ、二次反応で新たに生じるという記述は適切でない。 ④ 二次反応は同一抗原の再曝露で起こり、異なる抗原を投与したときではない。 ⑤ 正しい。記憶細胞の働きにより二次反応では一次反応より多くの抗体が速やかに産生される。
第63回 午前81(臨床免疫学)
補体で正しいのはどれか。
①血中濃度はC4が最も高値である。 ②レクチン経路は獲得免疫に関与する。 ③C3bはアナフィラトキシンとして作用する。 ④B因子は古典的経路と副経路の両方に関与する。 ⑤C1複合体形成にカルシウムイオンを必要とする。
正答: ⑤C1複合体形成にカルシウムイオンを必要とする。
ポイント 補体古典経路の起点であるC1複合体(C1q・C1r・C1s)の形成・活性化にはカルシウムイオンが必要である。血中濃度はC3が最も高く、レクチン経路はマンノース結合レクチンが病原体糖鎖を認識する自然免疫の経路である。アナフィラトキシンはC3a・C4a・C5aであり、C3bはオプソニン化を担う。B因子は副経路(第二経路)のみに関与する。●補体活性化の3経路=古典経路(抗原抗体複合体・C1q開始)・レクチン経路(MBL)・副経路(C3b・B因子・D因子)。●アナフィラトキシン=C3a・C4a・C5a。●オプソニン=C3b。●膜侵襲複合体(MAC)=C5b-C6-C7-C8-C9。●血中濃度の高い補体=C3。
選択肢ごとの解説
① 補体成分の血中濃度はC3が最も高く、C4が最も高いわけではない。 ② レクチン経路はマンノース結合レクチンが関与する自然免疫の経路で、獲得免疫ではない。 ③ アナフィラトキシンはC3a・C4a・C5aであり、C3bはオプソニン化を担う。 ④ B因子は副経路(第二経路)に関与する因子で、古典経路には関与しない。 ⑤ 正しい。C1複合体の形成・活性化にはカルシウムイオンが必要である。
第63回 午前82(臨床免疫学)
生ワクチンはどれか。
①麻疹 ②A型肝炎 ③B型肝炎 ④肺炎球菌 ⑤破傷風トキソイド
正答: ①麻疹
ポイント 生ワクチンは弱毒化した病原体を用い、生体内で増殖して感染に近い強い免疫を誘導する。麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎・BCG・ロタウイルス・黄熱が該当する。A型肝炎ワクチンは不活化、B型肝炎ワクチンはHBs抗原を用いる成分(コンポーネント)ワクチン、肺炎球菌ワクチンは多糖体・結合型の成分ワクチン、破傷風トキソイドは毒素を無毒化したトキソイドであり、いずれも生ワクチンではない。●生ワクチン=麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎・BCG・ロタウイルス・黄熱。●不活化ワクチン=A型肝炎・ポリオ(不活化)・日本脳炎・インフルエンザ・狂犬病。●成分(コンポーネント)ワクチン=B型肝炎(HBs抗原)・肺炎球菌・ヒトパピローマウイルス。●トキソイド=破傷風・ジフテリア。
選択肢ごとの解説
① 正しい。麻疹ワクチンは弱毒生ワクチンである。 ② A型肝炎ワクチンは不活化ワクチンであり、生ワクチンではない。 ③ B型肝炎ワクチンはHBs抗原を用いる成分ワクチンで、生ワクチンではない。 ④ 肺炎球菌ワクチンは多糖体・結合型の成分ワクチンで、生ワクチンではない。 ⑤ 破傷風トキソイドは無毒化した毒素を用いるもので、生ワクチンではない。
第63回 午前83(臨床免疫学)
腫瘍細胞で特異的に産生されるのはどれか。
①NSE ②hCG ③SCC ④CA15-3 ⑤BCR-ABL融合蛋白
正答: ⑤BCR-ABL融合蛋白
ポイント BCR-ABL融合蛋白は慢性骨髄性白血病でフィラデルフィア染色体(t(9;22)転座)により生じる異常蛋白で、正常細胞には存在しない腫瘍細胞特異的な産物である。チロシンキナーゼ活性をもち、分子標的治療薬(チロシンキナーゼ阻害薬)の標的となる。NSE(神経特異エノラーゼ)・hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)・SCC(扁平上皮癌関連抗原)・CA15-3はいずれも腫瘍マーカーだが、正常組織や妊娠でも産生されるため腫瘍特異的とはいえない。●腫瘍特異的な異常蛋白(融合遺伝子由来)=BCR-ABL(慢性骨髄性白血病)・PML-RARA(急性前骨髄球性白血病)・EWS-FLI1(Ewing肉腫)。●腫瘍関連抗原(正常組織にも存在)=CEA・AFP・CA19-9・CA15-3・SCC・NSE。●胎児・妊娠でも産生=AFP・hCG。
選択肢ごとの解説
① NSEは神経内分泌腫瘍などのマーカーだが正常神経組織にも存在し、腫瘍特異的ではない。 ② hCGは絨毛性腫瘍のマーカーだが正常妊娠でも産生され、腫瘍特異的ではない。 ③ SCCは扁平上皮癌のマーカーだが正常扁平上皮にも存在し、腫瘍特異的ではない。 ④ CA15-3は乳癌などのマーカーだが正常組織にも存在し、腫瘍特異的ではない。 ⑤ 正しい。BCR-ABL融合蛋白は染色体転座により腫瘍細胞で特異的に産生される。
第63回 午前84(臨床免疫学)
Ⅲ型アレルギー性疾患はどれか。
①膜性腎症 ②Basedow病 ③アトピー性皮膚炎 ④自己免疫性溶血性貧血 ⑤特発性血小板減少性紫斑病〈ITP〉
正答: ①膜性腎症
ポイント Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型)は抗原抗体複合体が組織に沈着して補体を活性化し、好中球浸潤による炎症や組織傷害を起こす機序で、膜性腎症(の一部)・血清病・全身性エリテマトーデス・糸球体腎炎が該当する。Basedow病はTSH受容体刺激抗体によるⅤ型(刺激型)、自己免疫性溶血性貧血と特発性血小板減少性紫斑病は細胞表面抗原への抗体によるⅡ型、アトピー性皮膚炎はIgE主体のⅠ型(とⅣ型)が関与する。●Ⅰ型(即時型・IgE)=アナフィラキシー・気管支喘息・花粉症・アトピー性皮膚炎。●Ⅱ型(細胞傷害型)=自己免疫性溶血性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・不適合輸血。●Ⅲ型(免疫複合体型)=血清病・全身性エリテマトーデス・糸球体腎炎。●Ⅳ型(遅延型・T細胞)=接触性皮膚炎・ツベルクリン反応。●Ⅴ型(刺激型)=Basedow病・重症筋無力症。
選択肢ごとの解説
① 正しい。膜性腎症は免疫複合体が糸球体に沈着するⅢ型アレルギー性疾患である。 ② Basedow病はTSH受容体刺激抗体によるⅤ型(刺激型)アレルギーである。 ③ アトピー性皮膚炎はIgEが関与するⅠ型などが主体で、Ⅲ型ではない。 ④ 自己免疫性溶血性貧血は赤血球に対する抗体によるⅡ型アレルギーである。 ⑤ 特発性血小板減少性紫斑病は血小板に対する抗体によるⅡ型アレルギーである。
第63回 午前85(臨床免疫学)
フローサイトメトリで正しいのはどれか。
①核内DNA量を測定できる。 ②酵素標識モノクローナル抗体を用いる。 ③測定器の光源に重水素ランプを用いる。 ④ラテックスビーズなどの人工粒子は測定できない。 ⑤前方散乱光から細胞の内部構造に関する情報が得られる。
正答: ①核内DNA量を測定できる。
ポイント フローサイトメトリは細胞を1個ずつ流路に流してレーザーを当て、散乱光と蛍光を測定して個々の細胞の性状を解析する手法である。蛍光色素で核内DNAを染色すればDNA量を測定でき、細胞周期や倍数性の解析が可能である。前方散乱光(FSC)は細胞の大きさ、側方散乱光(SSC)は細胞内顆粒など内部構造を反映する。標識には蛍光標識モノクローナル抗体を用い、ラテックスビーズなどの人工粒子も測定できる。●フローサイトメトリの測定情報=前方散乱光(細胞の大きさ)・側方散乱光(内部構造・顆粒)・蛍光(表面マーカー・DNA量)。●臨床応用=白血病/リンパ腫の表面マーカー解析・CD4陽性細胞数・DNAプロイディ測定。●光源=レーザー。●標識=蛍光色素標識抗体(FITC・PEなど)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。蛍光色素でDNAを染色し核内DNA量(細胞周期・倍数性)を測定できる。 ② フローサイトメトリは蛍光標識抗体を用い、酵素標識抗体は通常用いない。 ③ 光源にはレーザーを用いるのが一般的で、重水素ランプではない。 ④ ラテックスビーズなどの人工粒子も測定でき、測定できないという記述は誤りである。 ⑤ 細胞の内部構造情報は側方散乱光から得られ、前方散乱光は細胞の大きさを反映する。
📋 まとめの表を見る:フローサイトメトリーの原理
シース液により細胞を一列に整列させ1個ずつレーザー光で測定する。膜透過処理を行えば細胞内抗原も検出できる。臨床応用としてリンパ球サブセット(CD4・CD8等)解析やDNA倍数性解析に用いる。
第63回 午前86(臨床免疫学)
ABO式血液型判定で正しいのはどれか。2つ選べ。
①ウラ検査は血球濃度10%で行う。 ②オモテ検査とウラ検査を両方行う。 ③カラム法では部分凝集が判定できない。 ④部分凝集がみられるときは亜型の可能性がある。 ⑤スライド法では判定用抗体滴下後5秒以内に判定する。
正答: ②オモテ検査とウラ検査を両方行う。・④部分凝集がみられるときは亜型の可能性がある。
ポイント ABO血液型判定では、赤血球膜上の抗原を調べるオモテ検査と、血清中の抗A・抗B抗体を調べるウラ検査を両方行い、両者の結果が一致することを確認する。部分凝集(mixed field)がみられるときは亜型、ABO不適合輸血後、造血幹細胞移植後、キメラなどの可能性を考える。ウラ検査の血球濃度は通常2〜5%程度で、カラム凝集法でも部分凝集は判定可能である。●オモテ検査=赤血球抗原を抗A・抗B血清で調べる。●ウラ検査=血清中の抗A・抗B抗体をA1・B血球で調べる。●オモテ・ウラ不一致の原因=亜型・不規則抗体・寒冷凝集素・低γ-グロブリン血症・連銭形成。●部分凝集の原因=亜型・輸血後・移植後・キメラ。
選択肢ごとの解説
① ウラ検査の血球濃度は通常2〜5%程度で行い、10%ではない。 ② 正しい。ABO判定ではオモテ検査とウラ検査の両方を行い一致を確認する。 ③ カラム法でも部分凝集は判定でき、判定できないという記述は誤りである。 ④ 正しい。部分凝集がみられるときは亜型などの可能性を考える。 ⑤ スライド法では一定時間観察して判定し、5秒以内という記述は適切でない。
第63回 午前87(臨床免疫学)
患者と供血者の血液型の組合せで赤血球製剤の輸血によって急性溶血反応が起こるのはどれか。
①患者A型 — 供血者O型 ②患者B型 — 供血者O型 ③患者O型 — 供血者A型 ④患者AB型 — 供血者A型 ⑤患者RhD陰性 — 供血者RhD陽性
正答: ③患者O型 — 供血者A型
ポイント ABO不適合輸血で急性溶血反応が起こるのは、患者血清中の抗体が供血赤血球の抗原と反応する組合せである。患者O型は抗A・抗B抗体を持つため、A型赤血球を輸血すると抗A抗体が供血赤血球と反応して血管内溶血を起こす。O型赤血球はA・B抗原を持たず他血液型の患者に輸血しても溶血しにくく、患者AB型は抗A・抗B抗体を持たない。RhD陰性患者へのRhD陽性赤血球輸血は初回は即時の急性溶血を起こさず、抗D抗体産生による遅発性溶血が問題となる。●ABO適合の原則=患者の持つ抗体と反応しない赤血球を輸血する。●抗体保有=A型(抗B)・B型(抗A)・O型(抗A・抗B)・AB型(なし)。●赤血球輸血で万能供血型=O型(A・B抗原なし)。●Rh不適合輸血=初回は感作のみ、再輸血や妊娠で遅発性溶血・新生児溶血性疾患。
選択肢ごとの解説
① 患者A型は抗B抗体のみを持ち、O型赤血球はA・B抗原がないため急性溶血は起こらない。 ② 患者B型は抗A抗体のみを持ち、O型赤血球とは反応せず急性溶血は起こらない。 ③ 正しい。患者O型は抗A抗体を持ち、A型赤血球と反応して急性溶血を起こす。 ④ 患者AB型は抗A・抗B抗体を持たず、A型赤血球を輸血しても急性溶血は起こらない。 ⑤ RhD陰性患者へのRhD陽性赤血球輸血は初回は即時の急性溶血を起こさず、遅発性に抗体産生が起こる。
📋 まとめの表を見る:ABO血液型の抗原・抗体と輸血用血液製剤の適合
赤血球製剤は、供血者赤血球の抗原が患者血清中の抗体と反応しない型を選ぶため「抗原の少ない型」ほど適合範囲が広い(O型が万能供血者、AB型が万能受血者)。血漿・血小板製剤は逆に、供血者血漿中の抗体が患者赤血球の抗原と反応しない型を選ぶため、赤血球とは適合関係が左右反対になる(AB型血漿が万能供血)。血液型が確定できない緊急輸血では、赤血球製剤はO型、血漿・血小板製剤はAB型を用いる(RhD陰性製剤は病院在庫が乏しく供給に時間を要するため、救命優先でRhD陽性製剤を応急的に使用することがある)。ラベル色は日本赤十字社の規定で取り違い防止のために用いられる。
第63回 午前88(臨床免疫学)
血液製剤とその使用目的で正しいのはどれか。
①アルブミン製剤は栄養補給を目的とする。 ②新鮮凍結血漿は創傷治癒促進を目的とする。 ③赤血球液は末梢循環系への酸素供給を目的とする。 ④赤血球液と血小板濃厚液の併用は全血の代用を目的とする。 ⑤血小板濃厚液は手術前患者の血小板数を10万/μL以上にすることを目的とする。
正答: ③赤血球液は末梢循環系への酸素供給を目的とする。
ポイント 赤血球液はヘモグロビンによる末梢組織への酸素供給を目的とし、貧血や急性出血に用いる。新鮮凍結血漿は凝固因子の補充、血小板濃厚液は血小板減少による出血傾向の改善が目的である。アルブミン製剤は膠質浸透圧の維持・循環血漿量の確保が目的で、栄養補給目的の使用は適応外とされる。成分輸血の原則上、必要な成分のみを補うため赤血球液と血小板濃厚液を全血の代用として漫然と併用する考え方は適切でない。●血液製剤と目的=赤血球液(酸素運搬)・新鮮凍結血漿(凝固因子補充)・血小板濃厚液(出血傾向改善)・アルブミン(膠質浸透圧維持)。●成分輸血の原則=不足する成分だけを補う。●不適切なアルブミン使用=栄養補給目的・単なる低アルブミン血症の補正。
選択肢ごとの解説
① アルブミン製剤は膠質浸透圧維持が目的で、栄養補給目的の使用は適切でない。 ② 新鮮凍結血漿は凝固因子補充が目的で、創傷治癒促進が目的ではない。 ③ 正しい。赤血球液はヘモグロビンによる末梢組織への酸素供給を目的とする。 ④ 成分輸血の原則上、赤血球液と血小板濃厚液を全血代用として併用する考えは適切でない。 ⑤ 血小板濃厚液は出血傾向の改善が目的で、術前に一律10万/μL以上にすることを目的とはしない。
第63回 午前89(臨床免疫学)
直接抗グロブリン試験の目的はどれか。2つ選べ。
①不規則抗体の検査 ②赤血球感作タンパクの検査 ③自己免疫性溶血性貧血の検査 ④抗体解離試験の抗体特異性の検査 ⑤新生児溶血性疾患の母親血清の検査
正答: ②赤血球感作タンパクの検査・③自己免疫性溶血性貧血の検査
ポイント 直接抗グロブリン試験(直接Coombs試験)は、生体内(in vivo)で既に赤血球表面に結合している抗体や補体(感作蛋白)を、抗グロブリン血清を加えて検出する検査である。自己免疫性溶血性貧血、新生児溶血性疾患の児赤血球、不適合輸血後の溶血、薬剤性溶血性貧血の診断に用いる。不規則抗体や母親血清中の遊離抗体など血清中に存在する抗体は、間接抗グロブリン試験で検出する。●直接抗グロブリン試験の適応=自己免疫性溶血性貧血・新生児溶血性疾患(児赤血球)・不適合輸血後溶血・薬剤性溶血。●間接抗グロブリン試験の適応=不規則抗体スクリーニング・交差適合試験・母体抗体検査・抗体同定。●検出対象=直接法(赤血球結合抗体・補体)/間接法(血清中遊離抗体)。
選択肢ごとの解説
① 不規則抗体(血清中の遊離抗体)の検出は間接抗グロブリン試験の目的である。 ② 正しい。赤血球に結合した感作タンパク(抗体・補体)の検出が直接法の目的である。 ③ 正しい。自己免疫性溶血性貧血で赤血球に結合した自己抗体の検出に用いる。 ④ 抗体解離後の抗体特異性検査は解離試験・間接法で行う領域で、直接法そのものの目的ではない。 ⑤ 新生児溶血性疾患の母親血清(遊離抗体)の検査は間接抗グロブリン試験の目的である。
第63回 午前90(公衆衛生学)
三次予防はどれか。2つ選べ。
①がん検診 ②健康教育 ③予防接種 ④精神科デイケア ⑤リハビリテーション
正答: ④精神科デイケア・⑤リハビリテーション
ポイント 予防は段階により三つに分けられる。一次予防は健康な時期に行う発症予防(健康教育・予防接種・生活習慣改善)、二次予防は発症後早期の早期発見・早期治療(がん検診・人間ドック)、三次予防は発症・治療後の機能回復・再発防止・社会復帰(リハビリテーション・精神科デイケア)を指す。精神科デイケアとリハビリテーションは三次予防に該当する。●一次予防=健康教育・予防接種・栄養指導・生活習慣の改善。●二次予防=がん検診・健康診断・人間ドック(早期発見・早期治療)。●三次予防=リハビリテーション・精神科デイケア・再発防止・社会復帰支援。
選択肢ごとの解説
① がん検診は早期発見を目的とする二次予防であり、三次予防ではない。 ② 健康教育は発症を防ぐ一次予防であり、三次予防ではない。 ③ 予防接種は発症を防ぐ一次予防であり、三次予防ではない。 ④ 正しい。精神科デイケアは社会復帰・再発防止を図る三次予防である。 ⑤ 正しい。リハビリテーションは機能回復・社会復帰を図る三次予防である。
第63回 午前91(公衆衛生学)
平成25年〈2013年〉国民生活基礎調査において65歳以上男性の要介護者等で介護が必要となった主な原因のうち最も多いのはどれか。
①心疾患 ②認知症 ③脳血管疾患 ④骨折・転倒 ⑤高齢による衰弱
正答: ③脳血管疾患
ポイント 国民生活基礎調査では、要介護者等が介護を要するようになった主な原因を調べている。平成25年(2013年)の調査では、65歳以上男性で脳血管疾患(脳卒中)が最も多い原因であった。脳血管疾患は片麻痺などの後遺症を残しやすく、男性で割合が高い傾向がある。近年の調査では認知症や高齢による衰弱、骨折・転倒の割合も増加している。●要介護の主な原因(全体で上位)=認知症・脳血管疾患・高齢による衰弱・骨折・転倒・関節疾患。●男性で多い原因=脳血管疾患。●女性で多い原因=認知症・骨折・転倒・関節疾患。●調査名=国民生活基礎調査(厚生労働省)。
選択肢ごとの解説
① 心疾患は介護が必要となった主な原因の上位ではあるが最多ではない。 ② 認知症は上位の原因だが、平成25年の65歳以上男性では最多ではない。 ③ 正しい。平成25年の65歳以上男性では脳血管疾患が最も多い原因であった。 ④ 骨折・転倒は介護原因の一つだが、男性では最多ではない。 ⑤ 高齢による衰弱は介護原因の一つだが、男性では最多ではない。
第63回 午前92(公衆衛生学)
疾患あり100人、疾患なし100人の合計200人の集団に対し、スクリーニング検査を実施したところ、感度は90%、特異度は40%であった。2×2表で正しいのはどれか。
①〔検査陽性〕疾患あり 90・疾患なし 60/〔検査陰性〕疾患あり 10・疾患なし 40(人) ②〔検査陽性〕疾患あり 90・疾患なし 40/〔検査陰性〕疾患あり 10・疾患なし 60(人) ③〔検査陽性〕疾患あり 60・疾患なし 90/〔検査陰性〕疾患あり 40・疾患なし 10(人) ④〔検査陽性〕疾患あり 60・疾患なし 10/〔検査陰性〕疾患あり 40・疾患なし 90(人) ⑤〔検査陽性〕疾患あり 10・疾患なし 60/〔検査陰性〕疾患あり 90・疾患なし 40(人)
正答: ①〔検査陽性〕疾患あり 90・疾患なし 60/〔検査陰性〕疾患あり 10・疾患なし 40(人)
ポイント 感度は疾患ありのうち検査陽性となる割合で、疾患あり100人×90%=90人が陽性、残り10人が陰性となる。特異度は疾患なしのうち検査陰性となる割合で、疾患なし100人×40%=40人が陰性、残り60人が陽性となる。したがって検査陽性は疾患あり90・疾患なし60、検査陰性は疾患あり10・疾患なし40となる選択肢が正しい。●感度=真陽性/(真陽性+偽陰性)=疾患ありの陽性率。●特異度=真陰性/(真陰性+偽陽性)=疾患なしの陰性率。●陽性的中度=真陽性/全陽性。●陰性的中度=真陰性/全陰性。●有病率の影響=的中度は有病率に依存し、感度・特異度は依存しない。
選択肢ごとの解説
① 正しい。感度90%で疾患あり陽性90・陰性10、特異度40%で疾患なし陰性40・陽性60となり一致する。 ② 疾患なしの陽性60・陰性40が逆になっており、特異度40%と矛盾する。 ③ 疾患ありの陽性・陰性の数が感度90%と一致しない。 ④ 疾患ありの陽性60は感度90%と一致しない。 ⑤ 疾患ありの陽性10・陰性90は感度90%と矛盾する。
📋 まとめの表を見る:検査の指標(感度・特異度・尤度比)と臨床的意義
的中度は感度・特異度だけでなく対象集団の有病率(検査前確率)の影響を受ける。
第63回 午前93(公衆衛生学)
虚血性心疾患のリスクファクターでないのはどれか。
正答: ④高身体活動
ポイント 虚血性心疾患の主なリスクファクターは喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・加齢・男性・家族歴などで、いずれも動脈硬化を促進する。身体活動はむしろ多いほど予防的に働くため、高身体活動はリスクファクターではなく、逆に運動不足(身体活動の低下)がリスクとなる。●虚血性心疾患のリスクファクター=喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満(内臓脂肪型)・加齢・家族歴。●予防的に働く因子=適度な身体活動(運動)・禁煙・適正体重の維持。●是正可能なリスク(生活習慣)=喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症・運動不足。
選択肢ごとの解説
① 喫煙は虚血性心疾患の代表的なリスクファクターである。 ② 高血圧は動脈硬化を促進する重要なリスクファクターである。 ③ 糖尿病は動脈硬化を促進する重要なリスクファクターである。 ④ 誤り。身体活動が多いことはむしろ予防的に働き、高身体活動はリスクファクターではない。 ⑤ 脂質異常症は動脈硬化を促進する重要なリスクファクターである。
📋 まとめの表を見る:虚血性心疾患の危険因子と防御因子
第63回 午前94(公衆衛生学)
国直轄の衛生行政機関はどれか。
①保健所 ②教育委員会 ③福祉事務所 ④保健センター ⑤労働基準監督署
正答: ⑤労働基準監督署
ポイント 労働基準監督署は厚生労働省の地方支分部局である都道府県労働局の下に置かれる国(国直轄)の機関で、労働基準法・労働安全衛生法などの監督を行う。保健所は都道府県・政令指定都市・特別区などが設置し、市町村保健センターは市町村が設置する地方の機関、福祉事務所も都道府県・市町村が設置する。教育委員会も地方自治体に置かれる機関である。●国(国直轄)の機関=労働基準監督署(都道府県労働局の下)・検疫所。●都道府県・政令市・特別区の機関=保健所。●市町村の機関=市町村保健センター。●福祉行政機関=福祉事務所(都道府県・市町村)。
選択肢ごとの解説
① 保健所は都道府県・政令市・特別区などが設置する地方の機関である。 ② 教育委員会は地方自治体に置かれる機関で、国直轄ではない。 ③ 福祉事務所は都道府県・市町村が設置する地方の機関である。 ④ 保健センター(市町村保健センター)は市町村が設置する地方の機関である。 ⑤ 正しい。労働基準監督署は都道府県労働局の下に置かれる国直轄の労働・衛生行政機関である。
第63回 午前95(医用工学概論)
100 kΩの抵抗器にもう1つの抵抗器を並列に接続し、それらの合成抵抗を50 kΩとしたい。接続すべき抵抗器の抵抗値[kΩ]はどれか。
正答: ④100
ポイント 抵抗の並列接続では合成抵抗の逆数が各抵抗の逆数の和になり、1/R合成=1/R1+1/R2で表される。100kΩに抵抗Rを並列接続して合成抵抗を50kΩにするには、1/50=1/100+1/Rを解いてR=100kΩとなる。等しい二つの抵抗を並列にすると合成抵抗は半分になるため、100kΩと100kΩの並列で50kΩが得られる。●抵抗の合成=直列はR1+R2(和)、並列は1/(1/R1+1/R2)。●等しい二抵抗の並列=合成は半分。●コンデンサの合成=抵抗と逆(並列で和、直列で逆数和)。●オームの法則=V=IR。
選択肢ごとの解説
① 0.5kΩを並列にすると合成抵抗は0.5kΩ未満となり、50kΩにはならない。 ② 1kΩを並列にすると合成抵抗は1kΩ未満となり、50kΩにはならない。 ③ 50kΩを並列にすると合成抵抗は約33kΩとなり、50kΩにはならない。 ④ 正しい。100kΩと100kΩの並列で合成抵抗は半分の50kΩとなる。 ⑤ 500kΩを並列にすると合成抵抗は約83kΩとなり、50kΩにはならない。
第63回 午前96(医用工学概論)
図の回路で正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA096.ed1d3fa02c.jpg
①低域通過回路として機能する。 ②回路の時定数はCとRの和で表される。 ③矩形波を入力すると積分波形が出力される。 ④Cの容量が大きいほど遮断周波数は高くなる。 ⑤遮断周波数では出力電圧は入力電圧の1/√2となる。
正答: ⑤遮断周波数では出力電圧は入力電圧の1/√2となる。
ポイント 図は入力に直列のC、出力側に並列のRを置いたCR回路(高域通過=微分回路)で、遮断(カットオフ)周波数では出力電圧が入力電圧の1/√2(約0.707倍、利得-3dB)となる。これはコンデンサのリアクタンスと抵抗の大きさが等しくなる周波数で、低域通過・高域通過いずれのCR回路でも成り立つ。時定数はτ=CR(CとRの積)で、遮断周波数はfc=1/(2πCR)であり、Cが大きいほどfcは低くなる。●CR積分回路(低域通過)=高周波を減衰、矩形波入力で積分波形。●CR微分回路(高域通過)=低周波を減衰、矩形波入力で微分波形。●時定数τ=CR。●遮断周波数fc=1/(2πCR)。●遮断周波数での利得=-3dB(1/√2倍)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。図は入力直列C・出力並列Rの高域通過(微分)回路であり、低域通過回路ではない。 ② 時定数はCとRの積(τ=CR)で表され、和ではない。 ③ 矩形波入力で積分波形が出るのは低域通過(積分)構成であり、図の高域通過(微分)回路では微分波形が出力されるため誤り。 ④ 遮断周波数fc=1/(2πCR)であり、Cが大きいほどfcは低くなる。高くなるは誤りである。 ⑤ 正しい。遮断周波数では出力電圧は入力電圧の1/√2(-3dB)となる。
第63回 午前97(医用工学概論)
サーマルアレイ式記録器で誤っているのはどれか。
①記録に感光紙を使用する。 ②信号をデジタル変換している。 ③波形と同時に目盛りも記録できる。 ④数kHz程度までリアルタイム記録できる。 ⑤サーマル素子の密度は8個/mm程度である。
正答: ①記録に感光紙を使用する。
ポイント サーマルアレイ式記録器は、多数のサーマル(熱)素子を一列に並べたヘッドを用い、デジタル信号に応じて各素子を発熱させ感熱紙を発色させて記録する方式である。感熱紙を用いるため感光紙は使用しない。波形と同時に目盛りや文字もデジタル制御で記録でき、数kHz程度までのリアルタイム記録が可能で、ペン書き式に比べ高速・高精細である。●記録方式=サーマルアレイ式(感熱紙・熱素子)・インクジェット式・ペン書き式・感光紙式(光記録)。●サーマルアレイ式の特徴=デジタル制御・高速応答(数kHz)・目盛り同時記録・高密度の素子配列。●感光紙を用いる記録=光(紫外線)記録方式。
選択肢ごとの解説
① 誤り。サーマルアレイ式は感熱紙を加熱発色させて記録する方式で、感光紙は使用しない。 ② 信号をデジタル変換してサーマル素子を制御して記録するため、この記述は正しい。 ③ 目盛りもデジタル制御で波形と同時に記録でき、この記述は正しい。 ④ 数kHz程度までのリアルタイム記録が可能で、この記述は正しい。 ⑤ サーマル素子の密度は1mmあたり数個程度で高密度記録が可能であり、この記述は正しい。
第63回 午前98(医用工学概論)
文字コードはどれか。
①ASCII ②JLAC10 ③JPEG ④MEDLINE ⑤UNIX
正答: ①ASCII
ポイント ASCII(American Standard Code for Information Interchange)は英数字・記号を7ビットで表す代表的な文字コードである。JLAC10は日本臨床検査医学会が定めた臨床検査項目分類コード、JPEGは静止画像の圧縮方式、MEDLINEは医学文献データベース、UNIXはオペレーティングシステムであり、いずれも文字コードではない。●文字コード=ASCII・JIS・シフトJIS・EUC・Unicode(UTF-8)。●臨床検査項目コード=JLAC10・JLAC11。●画像の圧縮・形式=JPEG・PNG・GIF・DICOM。●文献データベース=MEDLINE・医中誌。●オペレーティングシステム=UNIX・Linux・Windows。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ASCIIは英数字・記号を表す代表的な文字コードである。 ② JLAC10は臨床検査項目分類コードであり、文字コードではない。 ③ JPEGは静止画像の圧縮方式であり、文字コードではない。 ④ MEDLINEは医学文献データベースであり、文字コードではない。 ⑤ UNIXはオペレーティングシステムであり、文字コードではない。
第63回 午前99(医用工学概論)
個人情報に該当しないのはどれか。
①検体番号 ②診察カード ③検査依頼書 ④検査報告書 ⑤検査済みの血液
正答: ①検体番号
ポイント 個人情報は氏名・生年月日などにより特定の個人を識別できる情報、または他の情報と容易に照合して個人を識別できる情報をいう。氏名や患者IDと結びつく診察カード・検査依頼書・検査報告書、特定個人に由来する検査済みの血液(検体)はいずれも個人情報に該当しうる。一方、単なる検体番号それ自体は対応表など他の情報と照合しなければ個人を特定できないため、それ単独では個人情報に該当しない。●個人情報に該当=氏名・生年月日・住所・患者ID・診療記録・特定個人の検体。●単独では該当しにくい=匿名化された検体番号(照合表がなければ識別不可)。●個人情報の取扱い=個人情報保護法・匿名加工情報・要配慮個人情報(病歴等)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。検体番号それ自体は他の情報と照合しなければ個人を特定できず、単独では個人情報に該当しない。 ② 診察カードは氏名や患者IDを含み個人を識別できるため個人情報に該当する。 ③ 検査依頼書は患者情報を含み個人を識別できるため個人情報に該当する。 ④ 検査報告書は患者情報を含み個人を識別できるため個人情報に該当する。 ⑤ 検査済みの血液は特定個人に由来する検体であり個人情報に該当しうる。
第63回 午前100(医用工学概論)
エチレンオキサイドガス滅菌の特徴はどれか。
①薬液の滅菌ができる。 ②紙製の包材は使用できない。 ③160 ℃で60分間の加熱をする。 ④絶対気圧2kg/cm²以上に加圧する。 ⑤滅菌後に充分なエアレーションが必要である。
正答: ⑤滅菌後に充分なエアレーションが必要である。
ポイント エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌は低温(40〜60℃程度)で行えるため、熱や湿気に弱い内視鏡やプラスチック器材の滅菌に適する。ガスに毒性・発癌性・残留性があるため、滅菌後は残留ガスを除去する十分なエアレーション(曝気)が必要である。薬液(液体)の滅菌や高温加熱は行わず、ガスが透過する紙製包材も使用できる。●滅菌法=高圧蒸気滅菌(オートクレーブ・121℃高圧)・乾熱滅菌(160〜180℃)・エチレンオキサイドガス滅菌(低温・要エアレーション)・過酸化水素低温プラズマ滅菌・放射線滅菌・ろ過滅菌(液体・易熱性)。●EOG滅菌の注意点=毒性・発癌性・要エアレーション・低温で熱に弱い器材に適する。
選択肢ごとの解説
① 薬液(液体)の滅菌はろ過滅菌などで行い、エチレンオキサイドガス滅菌では行わない。 ② 紙製の包材も使用でき、使用できないという記述は誤りである。 ③ 160℃で60分間の加熱は乾熱滅菌の条件であり、低温で行うEOG滅菌とは異なる。 ④ 高圧加熱は高圧蒸気滅菌の条件であり、低温で行うEOG滅菌の特徴ではない。 ⑤ 正しい。毒性ガスが残留するため滅菌後に十分なエアレーションが必要である。
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