第63回(2017) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第63回 午前51(病理組織細胞学)

術中迅速組織標本作製法で正しいのはどれか。

正答: ①急速に凍結する。

ポイント
術中迅速組織標本作製法は、手術中に短時間で病理診断を行うため凍結切片を用いる。組織をOCTコンパウンドなどの包埋剤で支持し、クリオスタット内で急速に凍結させて凍結ブロックを作り、庫内温度約-20℃前後で薄切してヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行う。緩慢に凍結すると組織内に氷晶が形成され構造が破壊されるため、液体窒素やドライアイスによる急速凍結が必須である。ホルマリン固定パラフィン包埋に比べ迅速だが、形態の保存性は劣る。●凍結切片用包埋剤=OCTコンパウンド。●凍結手段=液体窒素・ドライアイス・クリオスタット内急速凍結。●迅速染色=HE染色(術中迅速の基本)。●薄切困難な組織=脂肪組織(凍結しても硬化しにくい)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前52(病理組織細胞学)

大腸癌の特殊染色標本を別に示す。この染色法が目的とする対象はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA052.28804b055a.jpg
第63回 午前52 の図

正答: ②弾性線維

ポイント
結合組織の線維成分を染め分ける特殊染色の問題で、対象は弾性線維である。弾性線維はelastica van Gieson染色やVerhoeff染色、Weigert resorcin-fuchsin染色で黒〜紫黒色に選択的に染め出される。線維成分ごとに用いる染色が異なり、膠原線維と弾性線維は形態が似るため染色で識別する。●弾性線維=elastica van Gieson・Verhoeff・Weigert(黒〜紫黒色)。●膠原線維=Masson trichrome(青〜緑)・azan(青)・van Gieson(赤)。●細網線維=Gömöri鍍銀法など銀染色(黒)。●基底膜=PAS反応(赤紫)・PAM染色(黒)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前53(病理組織細胞学)

腎臓の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA053.9aea21fd8b.jpg
第63回 午前53 の図

正答: ③PAM染色

ポイント
腎糸球体の基底膜を黒色に染め出す像が示されており、染色法はPAM(periodic acid methenamine silver、過ヨウ素酸メセナミン銀)染色である。PAM染色は基底膜や細網線維を銀により黒色に染め、糸球体係蹄壁の肥厚やスパイク形成などの病変評価に有用である。線維成分や基底膜は染色ごとに発色が異なるため染め分ける。●基底膜の評価=PAM染色(黒)・PAS反応(赤紫)。●膠原線維=Masson trichrome(青緑)・azan(青)。●弾性線維=elastica van Gieson(黒)。●細網線維=Gömöri鍍銀法(黒)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前54(病理組織細胞学)

免疫組織化学的マーカーと疾患の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤S100蛋白 — 悪性黒色腫

ポイント
免疫組織化学的マーカーは腫瘍の由来や鑑別に用いられる。S100蛋白は神経堤由来細胞のマーカーで、悪性黒色腫やシュワン細胞腫瘍、樹状細胞などに陽性となる。各マーカーは対応する腫瘍が決まっており、組合せの正誤を判定する。●上皮性腫瘍=サイトケラチン・CEA(消化器腺癌)。●肝細胞癌・卵黄囊腫瘍=AFP。●卵巣漿液性癌=CA125。●消化管間質腫瘍(GIST)・精上皮腫=c-kit(CD117)。●神経堤由来(悪性黒色腫・神経鞘腫)=S100蛋白。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応

マーカー陽性となる代表的な腫瘍由来・意義
CD20B細胞リンパ腫B細胞系マーカー
CD3T細胞リンパ腫T細胞系マーカー
HER2乳癌過剰発現が分子標的治療の適応判定に関与
エストロゲン受容体〈ER〉乳癌ホルモン受容体・内分泌療法の適応判定
AFP肝細胞癌・卵黄嚢腫瘍胚細胞・肝細胞由来マーカー
CEA大腸癌など消化管腺癌腺癌に共通するマーカー
PSA前立腺癌前立腺特異抗原
CA125卵巣漿液性癌卵巣癌マーカー
hCG絨毛癌栄養膜(トロホブラスト)由来
c-kit(CD117)消化管間質腫瘍〈GIST〉カハール介在細胞由来、分子標的治療の適応判定
ALK肺腺癌の一部・未分化大細胞リンパ腫遺伝子融合(EML4-ALK等)を反映
S100蛋白悪性黒色腫・神経鞘腫瘍神経堤由来細胞マーカー
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。

第63回 午前55(病理組織細胞学)

膵臓の透過型電子顕微鏡写真を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA055.836b6fec0e.jpg
第63回 午前55 の図

正答: ④ミトコンドリア

ポイント
膵臓外分泌(腺房)細胞の透過型電子顕微鏡像で、矢印が示すのはミトコンドリアである。ミトコンドリアは外膜と内膜の二重膜をもち、内膜が内側に陥入したクリステ構造を呈し、ATP産生を担う。他の細胞内小器官は形態が異なるため、二重膜・クリステの有無で識別する。●二重膜+クリステ=ミトコンドリア。●核膜に囲まれた大型構造=核、核内の濃染塊=核小体。●扁平囊の積み重なり=ゴルジ装置。●リボソーム付着の膜系=粗面小胞体、付着なし=滑面小胞体。●膵腺房細胞の頂部=チモゲン顆粒(分泌顆粒)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前56(病理組織細胞学)

悪性腫瘍細胞の特徴はどれか。

正答: ④核クロマチン増量

ポイント
悪性腫瘍細胞は異型性を示し、核クロマチンの増量(濃染)、核の大小不同・不整形、核小体の明瞭化・腫大、核細胞質比(N/C比)の増大などがみられる。これらは細胞増殖の亢進と核内DNA量の増加を反映する所見である。良性・反応性細胞では核は円形で整い、クロマチンは細顆粒状で核小体は目立たない。●核所見=クロマチン増量・濃染、大小不同、核形不整、核小体腫大。●核細胞質比=N/C比の増大。●集塊・配列=不規則な重積・極性の乱れ。●良性の対比=核の円形整、細顆粒状クロマチン、N/C比低値。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:悪性腫瘍細胞にみられる核・細胞質の異型所見(総論)

所見内容
核細胞質比〈N/C比〉増大(核が細胞質に対し相対的に大きい)
核クロマチン増量・不均等分布(濃染)
核形不整(大小不同・多形性)
核小体腫大・明瞭化
細胞配列極性の乱れ、重積性の集塊
腺癌の所見(例)腺管・腺腔の形成、粘液産生、周囲間質への浸潤
良性・反応性細胞は核が円形で整い、クロマチンは細顆粒状で核小体は目立たない。

第63回 午前57(病理組織細胞学)

Papanicolaou染色標本における扁平上皮癌の細胞学的特徴はどれか。

正答: ③光輝性の黄色細胞質

ポイント
Papanicolaou染色における扁平上皮癌の細胞学的特徴は、オレンジG(OG)に染まる光輝性の黄色〜橙色の角化型細胞質である。角化を反映してオレンジ好染を示し、おたまじゃくし型・線維型・紡錘型などの奇怪な細胞形態、核の濃染・不整を伴う。一方、粘液産生・腺腔様構造・立体的重積集塊は腺癌の特徴である。●扁平上皮癌=角化(オレンジG好染)、奇怪な細胞形、核濃染、平面的配列。●腺癌=粘液産生、腺腔様・乳頭状構造、立体的重積集塊。●Papanicolaou染色の色調=角化細胞はオレンジ、非角化・傍基底はライトグリーン好染。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)

組織型組織像・細胞像の特徴好発部位頻度予後
扁平上皮癌細胞間橋・角化・癌真珠。重層扁平上皮に類似。Pap染色では角化を反映した光輝性の橙色細胞質肺門部(中枢)約30%比較的良
腺癌管腔形成のある立方・円柱状上皮の増殖、粘液産生末梢部約38%(最多)不良
小細胞癌均等な小型細胞が胞巣状・索状に増殖、裸核様小型細胞、核鋳型(molding)、中心壊死肺門部(中枢)約22%最も不良
大細胞癌大型で多形性の細胞が特定の配列を作らず増殖、低分化末梢部に多い約4%不良
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。

第63回 午前58(病理組織細胞学)

病理解剖時に摘出された臓器の肉眼写真を別に示す。臓器はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA058.52cf4e96aa.jpg
第63回 午前58 の図

正答: ④脾臓

ポイント
病理解剖で摘出された臓器の肉眼像で、臓器は脾臓である。脾臓は暗赤色〜紫褐色で被膜に包まれ、割面では赤脾髄と白脾髄からなる比較的均一な実質を呈し、辺縁に切痕(脾切痕)がみられることがある。臓器は形・色・割面構造で鑑別する。●含気性スポンジ状割面=肺。●中腔・心室心房と弁・筋=心臓。●楔形で大型、褐色の小葉構造=肝臓。●暗赤色・被膜・赤脾髄白脾髄=脾臓。●ソラマメ形・皮質髄質構造=腎臓。

選択肢ごとの解説

第63回 午前59(臨床血液学)

腎臓で産生されるのはどれか。

正答: ②エリスロポエチン

ポイント
エリスロポエチンは主に腎臓の尿細管間質に存在する線維芽細胞様細胞で産生される造血因子で、赤血球の産生を促進する。低酸素が産生刺激となり、腎不全では産生が低下して腎性貧血をきたす。各造血因子は産生部位が異なる。●腎臓産生=エリスロポエチン(赤血球系)。●肝臓産生=トロンボポエチン(血小板系、腎臓でも一部)。●T細胞産生=インターロイキン-3など。●単球マクロファージ・線維芽細胞・内皮細胞産生=顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)・単球マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前60(臨床血液学)

活性化プロテインCが失活させるのはどれか。

正答: ①第Ⅴ因子

ポイント
活性化プロテインC(APC)は、プロテインSを補酵素として活性型第Ⅴ因子(Va)と活性型第Ⅷ因子(Ⅷa)を限定分解して失活させる、生理的抗凝固機構の中心因子である。第Ⅴ因子のArg506がAPCの切断部位で、ここに変異をもつ第Ⅴ因子Leiden変異ではAPC抵抗性となり血栓傾向をきたす。●APCの基質=活性型第Ⅴ因子・活性型第Ⅷ因子。●APCの補酵素=プロテインS。●生理的抗凝固因子=アンチトロンビン(トロンビン・第Ⅹa因子を阻害)、TFPI(組織因子経路阻害物質)、プロテインC・S系。●APC抵抗性=第Ⅴ因子Leiden変異。

選択肢ごとの解説

第63回 午前61(臨床血液学)

末梢血のフローサイトメトリでリンパ球ゲートを行い、抗CD19-PE標識抗体と抗CD3-FITC標識抗体で二重染色解析を行った。プロット図を別に示す。T細胞が現れる領域はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA061.5168f73765.jpg
第63回 午前61 の図

正答: ④

ポイント
末梢血リンパ球を抗CD19(B細胞マーカー)と抗CD3(T細胞マーカー)で二重染色すると、T細胞はCD3陽性・CD19陰性の象限に分布する。二次元プロットでCD3軸が陽性かつCD19軸が陰性の領域に出現する集団がT細胞である。●CD3陽性・CD19陰性=T細胞。●CD19(またはCD20)陽性・CD3陰性=B細胞。●CD3陰性・CD19陰性でCD16/56陽性=NK細胞。●二重陰性領域=主にNK細胞・非リンパ球。●T細胞サブセット=CD4陽性ヘルパー、CD8陽性細胞傷害性。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:リンパ球サブセットの表面抗原による判別

細胞主な表面抗原
T細胞CD3陽性(CD19陰性)
B細胞CD19陽性(CD3陰性)
NK細胞CD3陰性・CD19陰性(CD16・CD56陽性)

第63回 午前62(臨床血液学)

ビタミンK欠乏症でみられるのはどれか。

正答: ①PT延長

ポイント
ビタミンKは第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子とプロテインC・Sの肝での合成(γ-カルボキシル化)に必要である。欠乏ではこれらの因子活性が低下し、半減期の短い第Ⅶ因子を含む外因系を反映するプロトロンビン時間(PT)がまず延長し、ついで活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)も延長する。血小板数・出血時間・フィブリノゲン・Dダイマーには直接影響しない。●ビタミンK依存性因子=第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子、プロテインC・S。●欠乏で延長=PT(先行)、APTT。●不変=血小板数、出血時間、フィブリノゲン、Dダイマー。●原因=新生児、胆道閉塞・吸収不良、ワルファリン、抗菌薬長期投与。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンK依存性の凝固因子と欠乏時の検査所見

区分該当する因子・検査備考
ビタミンK依存性(凝固因子)第II〈プロトロンビン〉・VII・IX・X因子肝でγ-カルボキシル化を受けて活性化
ビタミンK依存性(抗凝固因子)プロテインC・プロテインS抗凝固因子として働く
ビタミンK非依存性第V・VIII・XI・XII因子、フィブリノゲン〈第I因子〉、アンチトロンビンワルファリンでも直接は低下しない
欠乏時に延長する検査プロトロンビン時間〈PT〉(先行)、進行するとAPTTも延長第VII因子は半減期が短く鋭敏
欠乏時に変化しない項目血小板数、出血時間、フィブリノゲン量血小板・血管系はビタミンK非依存
ビタミンKは肝臓での凝固因子・抗凝固因子の産生時に、グルタミン酸残基をγ-カルボキシル化する反応の補酵素として働く。

第63回 午前63(臨床血液学)

溶血性貧血で低下または減少するのはどれか。

正答: ③血清ハプトグロビン

ポイント
溶血性貧血では赤血球破壊が亢進し、逸脱酵素である血清LD(乳酸脱水素酵素)、ヘモグロビン分解産物の間接(非抱合型)ビリルビン、尿中ウロビリノゲンが増加し、骨髄の代償で網赤血球数も増加する。一方ハプトグロビンは血中に遊離したヘモグロビンと結合して肝で処理されるため消費され、血清ハプトグロビンは低下する。これは特に血管内溶血の鋭敏な指標である。●溶血で増加=LD、間接ビリルビン、尿中ウロビリノゲン、網赤血球、血清遊離ヘモグロビン。●溶血で低下=血清ハプトグロビン。●血管内溶血の指標=ヘモグロビン尿、ヘモジデリン尿、ハプトグロビン著減。

選択肢ごとの解説

第63回 午前64(臨床血液学)

Pappenheimer小体の構成成分はどれか。

正答: ②非ヘム鉄顆粒

ポイント
Pappenheimer小体は赤血球内に出現する非ヘム鉄(フェリチン・ヘモジデリン)を含む顆粒で、鉄染色(ベルリン青染色)で青色に染まり、鉄芽球性貧血や脾摘後などでみられる。Wright-Giemsa染色では好塩基性の小顆粒として観察される。赤血球封入体は構成成分が異なる。●非ヘム鉄顆粒=Pappenheimer小体(鉄染色陽性)。●核の残存物=Howell-Jolly小体。●リボソーム(残存RNA)の集合=好塩基性斑点(点状好塩基性赤血球)。●ヘモグロビンの酸化変性物=Heinz小体(超生体染色)。●ヘモグロビン異常凝集=H封入体。

選択肢ごとの解説

第63回 午前65(臨床血液学)

末梢血のWright-Giemsa染色標本を別に示す。所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA065.f6255c114f.jpg
第63回 午前65 の図

正答: ④Pelger-Huët異常

ポイント
末梢血塗抹で好中球の核が分葉せず、眼鏡状(二分葉・鼻眼鏡状)やピーナッツ状の低分葉核を示す所見はPelger-Huët異常である。先天性のものは無害だが、骨髄異形成症候群などでは後天性(偽Pelger-Huët)として出現する。好中球の各種異常は形態が異なる。●低分葉核(眼鏡状)=Pelger-Huët異常。●細胞質の青色封入体=Döhle小体(感染・炎症)。●粗大好塩基性顆粒=中毒性顆粒(重症感染)。●巨大異常顆粒=Chédiak-Higashi異常。●形質細胞内免疫グロブリン封入体=Russell小体。

選択肢ごとの解説

第63回 午前66(臨床血液学)

DICを合併しやすいのはどれか。

正答: ④急性前骨髄球性白血病

ポイント
急性前骨髄球性白血病(APL、急性骨髄性白血病M3)は、白血病細胞の異常顆粒に組織因子や顆粒球プロテアーゼ・線溶活性化物質が多く、これらの放出により著明な凝固線溶亢進をきたしDIC(播種性血管内凝固)を高率に合併する。早期からの全トランス型レチノイン酸(ATRA)治療とDIC管理が重要である。●DICを起こしやすい血液疾患=APL(M3)。●固形がん=前立腺癌・膵癌など(腺癌)。●産科=常位胎盤早期剝離・羊水塞栓。●感染=グラム陰性菌敗血症。●その他=重症外傷・熱傷・大手術・巨大血管腫。

選択肢ごとの解説

第63回 午前67(臨床血液学)

末梢血塗抹標本で好中球の核の過分葉がみられた貧血患者に検査すべき項目はどれか。

正答: ④ビタミンB₁₂

ポイント
好中球の核の過分葉は巨赤芽球性貧血を示唆する所見で、その原因はビタミンB₁₂または葉酸の欠乏によるDNA合成障害である。したがってビタミンB₁₂(および葉酸)を測定すべきである。鉄・フェリチンは鉄欠乏性貧血、エリスロポエチンは腎性貧血の評価項目で、過分葉好中球とは関連が弱い。●過分葉好中球・大球性貧血=巨赤芽球性貧血→ビタミンB₁₂・葉酸を測定。●ビタミンB₁₂欠乏=悪性貧血(内因子欠乏)、胃切除後、回腸病変。●小球性低色素性貧血=鉄欠乏(鉄・フェリチン・TIBC)。●腎性貧血=エリスロポエチン低値。

選択肢ごとの解説

第63回 午前68(臨床微生物学)

ウイルスで正しいのはどれか。

正答: ⑤偏性細胞内寄生体である。

ポイント
ウイルスは核酸(DNAまたはRNA)と蛋白質の殻(カプシド)からなり、自己増殖能を持たず宿主細胞内でのみ増殖する偏性細胞内寄生体である。核膜・細胞質などの細胞構造を持たず、二分裂や有糸分裂も行わず、宿主細胞内で部品を合成・組み立てて増殖する。プラスミドは細菌の染色体外DNAでありウイルスの特徴ではない。●ウイルスの特徴=非細胞性、核酸+カプシド、偏性細胞内寄生、自己増殖能なし。●ウイルスにあるもの=DNAまたはRNA(いずれか一方)、カプシド、一部はエンベロープ。●ウイルスにないもの=核膜・細胞小器官、リボソーム、代謝系、プラスミド。

選択肢ごとの解説

第63回 午前69(臨床微生物学)

消毒用エタノールに対して抵抗性を示すのはどれか。2つ選べ。

正答: ①ノロウイルス・②ロタウイルス

ポイント
消毒用エタノールはエンベロープ(脂質二重膜)を持つウイルスには有効だが、エンベロープを持たないノンエンベロープウイルスには抵抗性で効きにくい。ノロウイルス・ロタウイルスはノンエンベロープウイルスでエタノール抵抗性を示し、消毒には次亜塩素酸ナトリウムが用いられる。C型肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)・インフルエンザウイルスはエンベロープを持ちエタノールが有効である。●ノンエンベロープ(エタノール抵抗性)=ノロ・ロタ・アデノ・エンテロ・A型/E型肝炎・パルボウイルス。●エンベロープ(エタノール感受性)=インフルエンザ・ヘルペス・HIV・B型/C型肝炎・コロナ・麻疹・風疹。●ノンエンベロープに有効=次亜塩素酸ナトリウム。

選択肢ごとの解説

第63回 午前70(臨床微生物学)

細菌と選択培地の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②Clostridium difficile — CCFA寒天培地・④Pseudomonas aeruginosa — NAC寒天培地

ポイント
選択培地は目的菌の発育を促し他菌を抑制する。Clostridioides(Clostridium)difficileはCCFA(cycloserine cefoxitin fructose agar)寒天培地、Pseudomonas aeruginosaはNAC寒天培地で選択分離される。菌種ごとに対応する選択培地が決まっている。●Clostridioides difficile=CCFA寒天培地。●Pseudomonas aeruginosa=NAC寒天培地。●Bacteroides fragilis=BBE(bacteroides bile esculin)培地。●Neisseria属(淋菌・髄膜炎菌)=Thayer-Martin培地。●Yersinia・エロモナス=CIN寒天培地。●腸内細菌=SS寒天・DHL寒天・マッコンキー寒天。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地

培地名目的菌・用途分類
TCBS寒天培地Vibrio属(コレラ菌・腸炎ビブリオ等)選択分離
SS寒天培地Salmonella属・Shigella属選択分離
DHL寒天培地腸内細菌(Salmonella・Shigella等)選択分離
マッコンキー寒天培地腸内細菌(乳糖分解の鑑別)選択分離
CIN寒天培地Yersinia属(Y. enterocolitica等)選択分離
BBE寒天培地Bacteroides fragilis群選択分離
CCFA寒天培地Clostridioides difficile選択分離
NAC寒天培地Pseudomonas aeruginosa選択分離
Thayer-Martin寒天培地・GC寒天培地Neisseria属(淋菌・髄膜炎菌)選択分離
Skirrow寒天培地・CCDA培地Campylobacter属・Helicobacter属選択分離
Bordet-Gengou培地Bordetella pertussis(百日咳菌)選択分離(セファレキシン添加が一般的)
PPLO寒天培地Mycoplasma pneumoniae選択分離
WYOα寒天培地Legionella属選択分離
BCYEα寒天培地Legionella属非選択分離
マンニット食塩培地Staphylococcus属選択分離
小川培地Mycobacterium tuberculosis等の抗酸菌選択分離(マラカイトグリーンが選択剤)
Sabouraud寒天培地真菌全般分離・形態観察用(酸性培地)
Cary-Blair培地腸管病原菌検体輸送
King A培地Pseudomonas aeruginosaのピオシアニン産生確認性状確認
LIM培地腸内細菌のリジン脱炭酸・インドール・運動性確認性状確認
Mueller-Hinton寒天培地薬剤感受性試験(ディスク拡散法・希釈法)薬剤感受性検査

第63回 午前71(臨床微生物学)

Pseudomonas aeruginosaに対して抗菌力を有するのはどれか。

正答: ②イミペネム

ポイント
Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)は多くの抗菌薬に自然耐性を示すが、抗緑膿菌活性をもつ薬剤は限られる。カルバペネム系のイミペネム、ピペラシリン、セフタジジム・セフェピム、抗緑膿菌性フルオロキノロン、アミノグリコシドなどには抗菌力がある。狭域のβ-ラクタム薬は無効である。●抗緑膿菌活性あり=イミペネム・メロペネム(カルバペネム)、ピペラシリン、セフタジジム・セフェピム、シプロフロキサシン・レボフロキサシン、ゲンタマイシン・アミカシン。●抗緑膿菌活性なし=アンピシリン、第一世代セファロスポリン(セファゾリン)、多くの第三世代(セフォタキシム)、セファマイシン系(セフメタゾール)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前72(臨床微生物学)

作用機序と抗菌薬の組合せで正しいのはどれか。

正答: ③蛋白合成阻害 — テトラサイクリン系

ポイント
抗菌薬は作用機序により分類される。テトラサイクリン系は30Sリボソームサブユニットに結合してアミノアシルtRNAの結合を妨げ、蛋白合成を阻害する。各系統と機序の対応を判定する。●細胞壁合成阻害=β-ラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)、グリコペプチド系(バンコマイシン)。●蛋白合成阻害=アミノグリコシド系・テトラサイクリン系(30S)、マクロライド系・クロラムフェニコール・リンコマイシン系(50S)。●核酸合成阻害=キノロン系(DNAジャイレース・トポイソメラーゼ)、リファンピシン(RNAポリメラーゼ)。●葉酸合成阻害=サルファ剤・トリメトプリム。●細胞質膜障害=ポリミキシン。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:抗菌薬の作用機序と主な系統

作用機序系統代表的な薬剤
細胞壁合成阻害β-ラクタム系(ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系・モノバクタム系)ペニシリンG、セファゾリン、セフォタキシム、メロペネム、アズトレオナム
細胞壁合成阻害グリコペプチド系バンコマイシン、テイコプラニン
蛋白質合成阻害(30Sサブユニット)アミノグリコシド系ゲンタマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン
蛋白質合成阻害(30Sサブユニット)テトラサイクリン系テトラサイクリン、ミノサイクリン
蛋白質合成阻害(50Sサブユニット)マクロライド系エリスロマイシン、クラリスロマイシン
蛋白質合成阻害(50Sサブユニット)リンコマイシン系リンコマイシン、クリンダマイシン
核酸(DNA)合成阻害キノロン系(ニューキノロン)シプロフロキサシン、レボフロキサシン
核酸(RNA)合成阻害リファマイシン系リファンピシン
葉酸合成阻害スルホンアミド系(サルファ剤)スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤)
細胞膜障害ポリペプチド系コリスチン、ポリミキシンB

第63回 午前73(臨床微生物学)

日和見感染症はどれか。

正答: ⑤ニューモシスチス肺炎

ポイント
日和見感染症は宿主の免疫能が低下した際に弱毒病原体が起こす感染症である。ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jirovecii)はAIDSや免疫抑制薬使用時など免疫低下状態で発症する代表的な日和見感染症である。他の選択肢は免疫正常者にも起こる通常の感染症である。●代表的日和見感染=ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染、カンジダ・アスペルギルス・クリプトコックス症、非結核性抗酸菌症、トキソプラズマ症。●通常感染症(免疫正常者にも)=梅毒(Treponema pallidum)、オウム病(Chlamydia psittaci)、腸チフス(Salmonella Typhi)、感染性心内膜炎。

選択肢ごとの解説

第63回 午前74(臨床微生物学)

急性咽頭炎患者の咽頭粘液を5%ヒツジ血液寒天培地(左)とチョコレート寒天培地(右)の分画培地に接種し、35 ℃で24時間炭酸ガス培養を行った培地を別に示す。分離菌は、グラム陽性球菌、カタラーゼテスト陰性、LancefieldのA群抗原陽性であった。推定される菌種はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA074.1bead3fdd4.jpg
第63回 午前74 の図

正答: ④Streptococcus pyogenes

ポイント
グラム陽性球菌でカタラーゼ陰性、Lancefield A群抗原陽性という所見はStreptococcus pyogenes(A群β溶血性レンサ球菌、GAS)を示す。血液寒天培地で明瞭なβ溶血を示し、急性咽頭炎・扁桃炎・猩紅熱や、続発症としてリウマチ熱・急性糸球体腎炎の原因となる。バシトラシン感受性・PYR陽性が補助所見である。●A群(β溶血)=Streptococcus pyogenes(咽頭炎・猩紅熱)。●B群(β溶血)=Streptococcus agalactiae(新生児敗血症・髄膜炎)。●α溶血・胆汁溶解陽性・オプトヒン感受性=Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)。●口腔レンサ球菌(α溶血)=S. mitis・S. sanguinis(感染性心内膜炎)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主なレンサ球菌(Streptococcus属)の性状比較

項目S. pyogenesS. agalactiaeS. pneumoniae
Lancefieldの抗原分類A群B群なし(群抗原をもたない)
溶血性α'〜βα'〜βα
莢膜形成d(菌株により異なる)+(莢膜多糖で血清型分類)+
DNase産生+--
馬尿酸加水分解テスト-+-
CAMPテスト-+-
胆汁溶解テスト--+
PYR試験+--
バシトラシン感受性テスト感性(S)耐性(R)耐性(R)
オプトヒン感受性テスト耐性(R)耐性(R)感性(S)
主な疾患咽頭炎・扁桃炎・猩紅熱・糸球体腎炎・リウマチ熱新生児髄膜炎・敗血症肺炎・中耳炎・髄膜炎・敗血症
いずれもGram陽性球菌・カタラーゼテスト陰性・普通寒天培地には発育しない。

第63回 午前75(臨床微生物学)

Legionella pneumophilaで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③尿中抗原検査で検出できる。・④β-ラクタマーゼを産生する。

ポイント
Legionella pneumophilaはグラム陰性桿菌で、システインと鉄を要求するためBCYEα培地でのみ発育し、通常の血液寒天培地には発育しない。偏性好気性で、尿中抗原検査(血清群1を検出)が迅速診断に有用である。β-ラクタマーゼを産生するためペニシリン・セフェムは無効で、細胞内移行性のよいマクロライドやフルオロキノロンが治療に用いられる。●Legionellaの性状=グラム陰性桿菌、偏性好気性、システイン・鉄要求性。●培養=BCYEα寒天培地(血液寒天培地に発育せず)。●診断=尿中抗原検査、喀痰の蛍光抗体法・遺伝子検査。●治療=マクロライド・フルオロキノロン(β-ラクタム無効)。●感染源=汚染された空調冷却塔水・循環式浴槽などのエアロゾル。

選択肢ごとの解説

第63回 午前76(臨床微生物学)

Candida属で仮性菌糸を形成しないのはどれか。

正答: ②C. glabrata

ポイント
Candida属の多くは培地上で出芽だけでなく仮性菌糸(偽菌糸)を形成するが、Candida glabrataは仮性菌糸を形成せず出芽型の酵母様細胞のみを示すのが特徴である。C. albicansは血清中で発芽管(germ tube)を出し、コーンミール寒天上で厚膜胞子(厚壁胞子)も作る。C. tropicalis・C. parapsilosis・C. kruseiはいずれも仮性菌糸を形成する。●仮性菌糸を作るCandida=C. albicans・C. tropicalis・C. parapsilosis・C. krusei・C. dubliniensis。●仮性菌糸を作らない(出芽のみ)=C. glabrata。●C. albicansに特徴的な所見=発芽管・厚膜胞子。●フルコナゾール低感受性で注意される菌種=C. glabrata・C. krusei。

選択肢ごとの解説

第63回 午前77(臨床微生物学)

プリオン蛋白が病原因子となる疾患はどれか。2つ選べ。

正答: ②ウシ海綿状脳症・⑤Creutzfeldt-Jakob病

ポイント
プリオン病は感染性をもつ異常プリオン蛋白が脳に蓄積し神経変性を起こす伝達性海綿状脳症で、ヒトのCreutzfeldt-Jakob病(クロイツフェルト・ヤコブ病)とウシのウシ海綿状脳症(BSE)が代表である。核酸(DNA・RNA)を持たず、通常の加熱や消毒に強い抵抗性を示す点でウイルスや細菌と異なる。急性灰白髄炎(ポリオ)はポリオウイルス、亜急性硬化性全脳炎は麻疹ウイルスの遅発感染、BurkittリンパはEBウイルスによるもので、いずれもプリオンは関与しない。●ヒトのプリオン病=Creutzfeldt-Jakob病・Gerstmann-Sträussler-Scheinker症候群・致死性家族性不眠症・クールー病。●動物のプリオン病=ウシ海綿状脳症(BSE)・スクレイピー(ヒツジ)。●ウイルスによる中枢神経疾患=急性灰白髄炎(ポリオ)・亜急性硬化性全脳炎(麻疹)。●EBウイルス関連腫瘍=Burkittリンパ腫・上咽頭癌。

選択肢ごとの解説

第63回 午前78(臨床微生物学)

Aspergillus fumigatusの模式図を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA078.633da78134.jpg
第63回 午前78 の図

正答: ①頂囊

ポイント
Aspergillus fumigatusの分生子頭は、分生子柄(こにでぃおふぉあ)の先端がフラスコ状に膨らんだ頂囊(vesicle)、その表面に放射状に並ぶフィアライド、そこから連鎖状に外生する分生子から構成される。A. fumigatusはフィアライドが頂囊に直接付く単列(unisetiate)で、矢印が示すのは膨大した頂囊である。A. nigerなどではフィアライドとの間にメツラ(metula)が介在する二列構造をとる。●Aspergillus分生子頭の構造=分生子柄→頂囊→(メツラ)→フィアライド→分生子。●単列性(メツラなし)=A. fumigatus。●二列性(メツラあり)=A. niger・A. flavus。●頂囊のつき方=A. fumigatusはフィアライドが上半部に偏在する。

選択肢ごとの解説

第63回 午前79(臨床免疫学)

免疫寛容の破綻が発症原因となる疾患はどれか。

正答: ②関節リウマチ

ポイント
免疫寛容は自己抗原に対して免疫反応を起こさない状態で、その破綻により自己の成分を攻撃する自己免疫疾患が発症する。関節リウマチは自己抗原に対する免疫応答で関節滑膜に慢性炎症を起こす代表的な自己免疫疾患である。花粉症や接触性皮膚炎は外来抗原に対する過剰反応(アレルギー)、移植片対宿主病は移植細胞による同種免疫反応、血液型不適合妊娠は胎児赤血球抗原に対する同種免疫反応であり、いずれも自己への免疫寛容破綻ではない。●自己免疫疾患(免疫寛容の破綻)=関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・橋本病・Basedow病・自己免疫性溶血性貧血。●アレルギー(外来抗原への過剰反応)=花粉症(Ⅰ型)・接触性皮膚炎(Ⅳ型)。●同種免疫反応=移植片対宿主病・移植拒絶反応・血液型不適合妊娠(新生児溶血性疾患)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前80(臨床免疫学)

免疫応答で正しいのはどれか。

正答: ⑤一次反応より二次反応の方が多くの抗体が産生される。

ポイント
抗原に初めて曝露する一次反応では、まずIgMが出現し遅れてIgGが産生され、抗体価の立ち上がりも緩やかで量も少ない。同じ抗原に再曝露する二次反応では、一次反応で生じた記憶B細胞が速やかに反応し、潜伏期が短く、IgGを主体に多量の抗体が産生される。記憶B細胞は一次反応で生じるものであり、二次反応はあくまで同一抗原の再曝露で起こる。●一次反応の特徴=潜伏期が長い・IgMが先行・抗体価は低い。●二次反応の特徴=潜伏期が短い・IgGが主体・抗体価が高く持続。●記憶細胞の役割=二次反応での速やかな高親和性抗体産生(ブースター効果)。●抗体産生に関与する細胞=B細胞(形質細胞へ分化)・ヘルパーT細胞。

選択肢ごとの解説

第63回 午前81(臨床免疫学)

補体で正しいのはどれか。

正答: ⑤C1複合体形成にカルシウムイオンを必要とする。

ポイント
補体古典経路の起点であるC1複合体(C1q・C1r・C1s)の形成・活性化にはカルシウムイオンが必要である。血中濃度はC3が最も高く、レクチン経路はマンノース結合レクチンが病原体糖鎖を認識する自然免疫の経路である。アナフィラトキシンはC3a・C4a・C5aであり、C3bはオプソニン化を担う。B因子は副経路(第二経路)のみに関与する。●補体活性化の3経路=古典経路(抗原抗体複合体・C1q開始)・レクチン経路(MBL)・副経路(C3b・B因子・D因子)。●アナフィラトキシン=C3a・C4a・C5a。●オプソニン=C3b。●膜侵襲複合体(MAC)=C5b-C6-C7-C8-C9。●血中濃度の高い補体=C3。

選択肢ごとの解説

第63回 午前82(臨床免疫学)

生ワクチンはどれか。

正答: ①麻疹

ポイント
生ワクチンは弱毒化した病原体を用い、生体内で増殖して感染に近い強い免疫を誘導する。麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎・BCG・ロタウイルス・黄熱が該当する。A型肝炎ワクチンは不活化、B型肝炎ワクチンはHBs抗原を用いる成分(コンポーネント)ワクチン、肺炎球菌ワクチンは多糖体・結合型の成分ワクチン、破傷風トキソイドは毒素を無毒化したトキソイドであり、いずれも生ワクチンではない。●生ワクチン=麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎・BCG・ロタウイルス・黄熱。●不活化ワクチン=A型肝炎・ポリオ(不活化)・日本脳炎・インフルエンザ・狂犬病。●成分(コンポーネント)ワクチン=B型肝炎(HBs抗原)・肺炎球菌・ヒトパピローマウイルス。●トキソイド=破傷風・ジフテリア。

選択肢ごとの解説

第63回 午前83(臨床免疫学)

腫瘍細胞で特異的に産生されるのはどれか。

正答: ⑤BCR-ABL融合蛋白

ポイント
BCR-ABL融合蛋白は慢性骨髄性白血病でフィラデルフィア染色体(t(9;22)転座)により生じる異常蛋白で、正常細胞には存在しない腫瘍細胞特異的な産物である。チロシンキナーゼ活性をもち、分子標的治療薬(チロシンキナーゼ阻害薬)の標的となる。NSE(神経特異エノラーゼ)・hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)・SCC(扁平上皮癌関連抗原)・CA15-3はいずれも腫瘍マーカーだが、正常組織や妊娠でも産生されるため腫瘍特異的とはいえない。●腫瘍特異的な異常蛋白(融合遺伝子由来)=BCR-ABL(慢性骨髄性白血病)・PML-RARA(急性前骨髄球性白血病)・EWS-FLI1(Ewing肉腫)。●腫瘍関連抗原(正常組織にも存在)=CEA・AFP・CA19-9・CA15-3・SCC・NSE。●胎児・妊娠でも産生=AFP・hCG。

選択肢ごとの解説

第63回 午前84(臨床免疫学)

Ⅲ型アレルギー性疾患はどれか。

正答: ①膜性腎症

ポイント
Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型)は抗原抗体複合体が組織に沈着して補体を活性化し、好中球浸潤による炎症や組織傷害を起こす機序で、膜性腎症(の一部)・血清病・全身性エリテマトーデス・糸球体腎炎が該当する。Basedow病はTSH受容体刺激抗体によるⅤ型(刺激型)、自己免疫性溶血性貧血と特発性血小板減少性紫斑病は細胞表面抗原への抗体によるⅡ型、アトピー性皮膚炎はIgE主体のⅠ型(とⅣ型)が関与する。●Ⅰ型(即時型・IgE)=アナフィラキシー・気管支喘息・花粉症・アトピー性皮膚炎。●Ⅱ型(細胞傷害型)=自己免疫性溶血性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・不適合輸血。●Ⅲ型(免疫複合体型)=血清病・全身性エリテマトーデス・糸球体腎炎。●Ⅳ型(遅延型・T細胞)=接触性皮膚炎・ツベルクリン反応。●Ⅴ型(刺激型)=Basedow病・重症筋無力症。

選択肢ごとの解説

第63回 午前85(臨床免疫学)

フローサイトメトリで正しいのはどれか。

正答: ①核内DNA量を測定できる。

ポイント
フローサイトメトリは細胞を1個ずつ流路に流してレーザーを当て、散乱光と蛍光を測定して個々の細胞の性状を解析する手法である。蛍光色素で核内DNAを染色すればDNA量を測定でき、細胞周期や倍数性の解析が可能である。前方散乱光(FSC)は細胞の大きさ、側方散乱光(SSC)は細胞内顆粒など内部構造を反映する。標識には蛍光標識モノクローナル抗体を用い、ラテックスビーズなどの人工粒子も測定できる。●フローサイトメトリの測定情報=前方散乱光(細胞の大きさ)・側方散乱光(内部構造・顆粒)・蛍光(表面マーカー・DNA量)。●臨床応用=白血病/リンパ腫の表面マーカー解析・CD4陽性細胞数・DNAプロイディ測定。●光源=レーザー。●標識=蛍光色素標識抗体(FITC・PEなど)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:フローサイトメトリーの原理

測定パラメータ得られる情報
前方散乱光〈FSC〉細胞の大きさ
側方散乱光〈SSC〉細胞内部の顆粒・核などの複雑さ(内部構造)
蛍光蛍光標識抗体による表面抗原・細胞内抗原の検出、蛍光色素によるDNA量の測定
シース液により細胞を一列に整列させ1個ずつレーザー光で測定する。膜透過処理を行えば細胞内抗原も検出できる。臨床応用としてリンパ球サブセット(CD4・CD8等)解析やDNA倍数性解析に用いる。

第63回 午前86(臨床免疫学)

ABO式血液型判定で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②オモテ検査とウラ検査を両方行う。・④部分凝集がみられるときは亜型の可能性がある。

ポイント
ABO血液型判定では、赤血球膜上の抗原を調べるオモテ検査と、血清中の抗A・抗B抗体を調べるウラ検査を両方行い、両者の結果が一致することを確認する。部分凝集(mixed field)がみられるときは亜型、ABO不適合輸血後、造血幹細胞移植後、キメラなどの可能性を考える。ウラ検査の血球濃度は通常2〜5%程度で、カラム凝集法でも部分凝集は判定可能である。●オモテ検査=赤血球抗原を抗A・抗B血清で調べる。●ウラ検査=血清中の抗A・抗B抗体をA1・B血球で調べる。●オモテ・ウラ不一致の原因=亜型・不規則抗体・寒冷凝集素・低γ-グロブリン血症・連銭形成。●部分凝集の原因=亜型・輸血後・移植後・キメラ。

選択肢ごとの解説

第63回 午前87(臨床免疫学)

患者と供血者の血液型の組合せで赤血球製剤の輸血によって急性溶血反応が起こるのはどれか。

正答: ③患者O型 — 供血者A型

ポイント
ABO不適合輸血で急性溶血反応が起こるのは、患者血清中の抗体が供血赤血球の抗原と反応する組合せである。患者O型は抗A・抗B抗体を持つため、A型赤血球を輸血すると抗A抗体が供血赤血球と反応して血管内溶血を起こす。O型赤血球はA・B抗原を持たず他血液型の患者に輸血しても溶血しにくく、患者AB型は抗A・抗B抗体を持たない。RhD陰性患者へのRhD陽性赤血球輸血は初回は即時の急性溶血を起こさず、抗D抗体産生による遅発性溶血が問題となる。●ABO適合の原則=患者の持つ抗体と反応しない赤血球を輸血する。●抗体保有=A型(抗B)・B型(抗A)・O型(抗A・抗B)・AB型(なし)。●赤血球輸血で万能供血型=O型(A・B抗原なし)。●Rh不適合輸血=初回は感作のみ、再輸血や妊娠で遅発性溶血・新生児溶血性疾患。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ABO血液型の抗原・抗体と輸血用血液製剤の適合

血液型赤血球の抗原血清中の抗体適合する赤血球製剤(供血者型)適合する血漿・血小板製剤(供血者型)血液製剤ラベル色
A型A抗原抗B抗体A型・O型A型・AB型黄色
B型B抗原抗A抗体B型・O型B型・AB型白色
O型抗原なし抗A抗体・抗B抗体O型のみO型・A型・B型・AB型青色
AB型A抗原・B抗原抗体なしA型・B型・O型・AB型AB型のみ桃色
赤血球製剤は、供血者赤血球の抗原が患者血清中の抗体と反応しない型を選ぶため「抗原の少ない型」ほど適合範囲が広い(O型が万能供血者、AB型が万能受血者)。血漿・血小板製剤は逆に、供血者血漿中の抗体が患者赤血球の抗原と反応しない型を選ぶため、赤血球とは適合関係が左右反対になる(AB型血漿が万能供血)。血液型が確定できない緊急輸血では、赤血球製剤はO型、血漿・血小板製剤はAB型を用いる(RhD陰性製剤は病院在庫が乏しく供給に時間を要するため、救命優先でRhD陽性製剤を応急的に使用することがある)。ラベル色は日本赤十字社の規定で取り違い防止のために用いられる。

第63回 午前88(臨床免疫学)

血液製剤とその使用目的で正しいのはどれか。

正答: ③赤血球液は末梢循環系への酸素供給を目的とする。

ポイント
赤血球液はヘモグロビンによる末梢組織への酸素供給を目的とし、貧血や急性出血に用いる。新鮮凍結血漿は凝固因子の補充、血小板濃厚液は血小板減少による出血傾向の改善が目的である。アルブミン製剤は膠質浸透圧の維持・循環血漿量の確保が目的で、栄養補給目的の使用は適応外とされる。成分輸血の原則上、必要な成分のみを補うため赤血球液と血小板濃厚液を全血の代用として漫然と併用する考え方は適切でない。●血液製剤と目的=赤血球液(酸素運搬)・新鮮凍結血漿(凝固因子補充)・血小板濃厚液(出血傾向改善)・アルブミン(膠質浸透圧維持)。●成分輸血の原則=不足する成分だけを補う。●不適切なアルブミン使用=栄養補給目的・単なる低アルブミン血症の補正。

選択肢ごとの解説

第63回 午前89(臨床免疫学)

直接抗グロブリン試験の目的はどれか。2つ選べ。

正答: ②赤血球感作タンパクの検査・③自己免疫性溶血性貧血の検査

ポイント
直接抗グロブリン試験(直接Coombs試験)は、生体内(in vivo)で既に赤血球表面に結合している抗体や補体(感作蛋白)を、抗グロブリン血清を加えて検出する検査である。自己免疫性溶血性貧血、新生児溶血性疾患の児赤血球、不適合輸血後の溶血、薬剤性溶血性貧血の診断に用いる。不規則抗体や母親血清中の遊離抗体など血清中に存在する抗体は、間接抗グロブリン試験で検出する。●直接抗グロブリン試験の適応=自己免疫性溶血性貧血・新生児溶血性疾患(児赤血球)・不適合輸血後溶血・薬剤性溶血。●間接抗グロブリン試験の適応=不規則抗体スクリーニング・交差適合試験・母体抗体検査・抗体同定。●検出対象=直接法(赤血球結合抗体・補体)/間接法(血清中遊離抗体)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前90(公衆衛生学)

三次予防はどれか。2つ選べ。

正答: ④精神科デイケア・⑤リハビリテーション

ポイント
予防は段階により三つに分けられる。一次予防は健康な時期に行う発症予防(健康教育・予防接種・生活習慣改善)、二次予防は発症後早期の早期発見・早期治療(がん検診・人間ドック)、三次予防は発症・治療後の機能回復・再発防止・社会復帰(リハビリテーション・精神科デイケア)を指す。精神科デイケアとリハビリテーションは三次予防に該当する。●一次予防=健康教育・予防接種・栄養指導・生活習慣の改善。●二次予防=がん検診・健康診断・人間ドック(早期発見・早期治療)。●三次予防=リハビリテーション・精神科デイケア・再発防止・社会復帰支援。

選択肢ごとの解説

第63回 午前91(公衆衛生学)

平成25年〈2013年〉国民生活基礎調査において65歳以上男性の要介護者等で介護が必要となった主な原因のうち最も多いのはどれか。

正答: ③脳血管疾患

ポイント
国民生活基礎調査では、要介護者等が介護を要するようになった主な原因を調べている。平成25年(2013年)の調査では、65歳以上男性で脳血管疾患(脳卒中)が最も多い原因であった。脳血管疾患は片麻痺などの後遺症を残しやすく、男性で割合が高い傾向がある。近年の調査では認知症や高齢による衰弱、骨折・転倒の割合も増加している。●要介護の主な原因(全体で上位)=認知症・脳血管疾患・高齢による衰弱・骨折・転倒・関節疾患。●男性で多い原因=脳血管疾患。●女性で多い原因=認知症・骨折・転倒・関節疾患。●調査名=国民生活基礎調査(厚生労働省)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前92(公衆衛生学)

疾患あり100人、疾患なし100人の合計200人の集団に対し、スクリーニング検査を実施したところ、感度は90%、特異度は40%であった。2×2表で正しいのはどれか。

正答: ①〔検査陽性〕疾患あり 90・疾患なし 60/〔検査陰性〕疾患あり 10・疾患なし 40(人)

ポイント
感度は疾患ありのうち検査陽性となる割合で、疾患あり100人×90%=90人が陽性、残り10人が陰性となる。特異度は疾患なしのうち検査陰性となる割合で、疾患なし100人×40%=40人が陰性、残り60人が陽性となる。したがって検査陽性は疾患あり90・疾患なし60、検査陰性は疾患あり10・疾患なし40となる選択肢が正しい。●感度=真陽性/(真陽性+偽陰性)=疾患ありの陽性率。●特異度=真陰性/(真陰性+偽陽性)=疾患なしの陰性率。●陽性的中度=真陽性/全陽性。●陰性的中度=真陰性/全陰性。●有病率の影響=的中度は有病率に依存し、感度・特異度は依存しない。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:検査の指標(感度・特異度・尤度比)と臨床的意義

指標定義意義
感度疾患ありの者を正しく陽性と判定する割合高いと陰性の場合に除外診断に有用
特異度疾患なしの者を正しく陰性と判定する割合高いと陽性の場合に確定診断に有用
陽性尤度比疾患ありが疾患なしに比べ何倍陽性になりやすいか大きいほど確定診断に有用(特異度が高い検査ほど大きい)
陰性尤度比疾患ありが疾患なしに比べ何倍陰性になりやすいか小さい(0に近い)ほど除外診断に有用(感度が高い検査ほど小さい)
陽性反応的中度検査陽性者のうち真に疾患ありの割合有病率(検査前確率)が高いほど高くなる
カットオフ値疾患なし群と疾患あり群の分布から検査の陽性・陰性を分ける基準値感度と特異度はトレードオフの関係にある
的中度は感度・特異度だけでなく対象集団の有病率(検査前確率)の影響を受ける。

第63回 午前93(公衆衛生学)

虚血性心疾患のリスクファクターでないのはどれか。

正答: ④高身体活動

ポイント
虚血性心疾患の主なリスクファクターは喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・加齢・男性・家族歴などで、いずれも動脈硬化を促進する。身体活動はむしろ多いほど予防的に働くため、高身体活動はリスクファクターではなく、逆に運動不足(身体活動の低下)がリスクとなる。●虚血性心疾患のリスクファクター=喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満(内臓脂肪型)・加齢・家族歴。●予防的に働く因子=適度な身体活動(運動)・禁煙・適正体重の維持。●是正可能なリスク(生活習慣)=喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症・運動不足。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:虚血性心疾患の危険因子と防御因子

区分因子
危険因子(リスクファクター)喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症
防御因子適度な身体活動(高身体活動)

第63回 午前94(公衆衛生学)

国直轄の衛生行政機関はどれか。

正答: ⑤労働基準監督署

ポイント
労働基準監督署は厚生労働省の地方支分部局である都道府県労働局の下に置かれる国(国直轄)の機関で、労働基準法・労働安全衛生法などの監督を行う。保健所は都道府県・政令指定都市・特別区などが設置し、市町村保健センターは市町村が設置する地方の機関、福祉事務所も都道府県・市町村が設置する。教育委員会も地方自治体に置かれる機関である。●国(国直轄)の機関=労働基準監督署(都道府県労働局の下)・検疫所。●都道府県・政令市・特別区の機関=保健所。●市町村の機関=市町村保健センター。●福祉行政機関=福祉事務所(都道府県・市町村)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前95(医用工学概論)

100 kΩの抵抗器にもう1つの抵抗器を並列に接続し、それらの合成抵抗を50 kΩとしたい。接続すべき抵抗器の抵抗値[kΩ]はどれか。

正答: ④100

ポイント
抵抗の並列接続では合成抵抗の逆数が各抵抗の逆数の和になり、1/R合成=1/R1+1/R2で表される。100kΩに抵抗Rを並列接続して合成抵抗を50kΩにするには、1/50=1/100+1/Rを解いてR=100kΩとなる。等しい二つの抵抗を並列にすると合成抵抗は半分になるため、100kΩと100kΩの並列で50kΩが得られる。●抵抗の合成=直列はR1+R2(和)、並列は1/(1/R1+1/R2)。●等しい二抵抗の並列=合成は半分。●コンデンサの合成=抵抗と逆(並列で和、直列で逆数和)。●オームの法則=V=IR。

選択肢ごとの解説

第63回 午前96(医用工学概論)

図の回路で正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63aA096.ed1d3fa02c.jpg
第63回 午前96 の図

正答: ⑤遮断周波数では出力電圧は入力電圧の1/√2となる。

ポイント
図は入力に直列のC、出力側に並列のRを置いたCR回路(高域通過=微分回路)で、遮断(カットオフ)周波数では出力電圧が入力電圧の1/√2(約0.707倍、利得-3dB)となる。これはコンデンサのリアクタンスと抵抗の大きさが等しくなる周波数で、低域通過・高域通過いずれのCR回路でも成り立つ。時定数はτ=CR(CとRの積)で、遮断周波数はfc=1/(2πCR)であり、Cが大きいほどfcは低くなる。●CR積分回路(低域通過)=高周波を減衰、矩形波入力で積分波形。●CR微分回路(高域通過)=低周波を減衰、矩形波入力で微分波形。●時定数τ=CR。●遮断周波数fc=1/(2πCR)。●遮断周波数での利得=-3dB(1/√2倍)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前97(医用工学概論)

サーマルアレイ式記録器で誤っているのはどれか。

正答: ①記録に感光紙を使用する。

ポイント
サーマルアレイ式記録器は、多数のサーマル(熱)素子を一列に並べたヘッドを用い、デジタル信号に応じて各素子を発熱させ感熱紙を発色させて記録する方式である。感熱紙を用いるため感光紙は使用しない。波形と同時に目盛りや文字もデジタル制御で記録でき、数kHz程度までのリアルタイム記録が可能で、ペン書き式に比べ高速・高精細である。●記録方式=サーマルアレイ式(感熱紙・熱素子)・インクジェット式・ペン書き式・感光紙式(光記録)。●サーマルアレイ式の特徴=デジタル制御・高速応答(数kHz)・目盛り同時記録・高密度の素子配列。●感光紙を用いる記録=光(紫外線)記録方式。

選択肢ごとの解説

第63回 午前98(医用工学概論)

文字コードはどれか。

正答: ①ASCII

ポイント
ASCII(American Standard Code for Information Interchange)は英数字・記号を7ビットで表す代表的な文字コードである。JLAC10は日本臨床検査医学会が定めた臨床検査項目分類コード、JPEGは静止画像の圧縮方式、MEDLINEは医学文献データベース、UNIXはオペレーティングシステムであり、いずれも文字コードではない。●文字コード=ASCII・JIS・シフトJIS・EUC・Unicode(UTF-8)。●臨床検査項目コード=JLAC10・JLAC11。●画像の圧縮・形式=JPEG・PNG・GIF・DICOM。●文献データベース=MEDLINE・医中誌。●オペレーティングシステム=UNIX・Linux・Windows。

選択肢ごとの解説

第63回 午前99(医用工学概論)

個人情報に該当しないのはどれか。

正答: ①検体番号

ポイント
個人情報は氏名・生年月日などにより特定の個人を識別できる情報、または他の情報と容易に照合して個人を識別できる情報をいう。氏名や患者IDと結びつく診察カード・検査依頼書・検査報告書、特定個人に由来する検査済みの血液(検体)はいずれも個人情報に該当しうる。一方、単なる検体番号それ自体は対応表など他の情報と照合しなければ個人を特定できないため、それ単独では個人情報に該当しない。●個人情報に該当=氏名・生年月日・住所・患者ID・診療記録・特定個人の検体。●単独では該当しにくい=匿名化された検体番号(照合表がなければ識別不可)。●個人情報の取扱い=個人情報保護法・匿名加工情報・要配慮個人情報(病歴等)。

選択肢ごとの解説

第63回 午前100(医用工学概論)

エチレンオキサイドガス滅菌の特徴はどれか。

正答: ⑤滅菌後に充分なエアレーションが必要である。

ポイント
エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌は低温(40〜60℃程度)で行えるため、熱や湿気に弱い内視鏡やプラスチック器材の滅菌に適する。ガスに毒性・発癌性・残留性があるため、滅菌後は残留ガスを除去する十分なエアレーション(曝気)が必要である。薬液(液体)の滅菌や高温加熱は行わず、ガスが透過する紙製包材も使用できる。●滅菌法=高圧蒸気滅菌(オートクレーブ・121℃高圧)・乾熱滅菌(160〜180℃)・エチレンオキサイドガス滅菌(低温・要エアレーション)・過酸化水素低温プラズマ滅菌・放射線滅菌・ろ過滅菌(液体・易熱性)。●EOG滅菌の注意点=毒性・発癌性・要エアレーション・低温で熱に弱い器材に適する。

選択肢ごとの解説