第63回(2017) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第63回 午後1(臨床検査総論)

医療用ガスとして容器に緑色のボンベが用いられるのはどれか。

正答: ④二酸化炭素

ポイント
高圧ガス保安法に基づく容器保安規則第10条により、高圧ガス容器(ボンベ)の法定塗色は、酸素=黒、水素=赤、液化炭酸ガス=緑、液化アンモニア=白、液化塩素=黄、アセチレン=かっ色、その他の種類の高圧ガス=ねずみ色と定められている。亜酸化窒素(笑気)や窒素は法定塗色では「その他」に属し、ねずみ色である。医療ガスの識別色として青(亜酸化窒素)などを併用する場合があるため、容器の法定塗色と区別し、ラベルも併せて確認する。したがって本問の緑色ボンベは二酸化炭素である。●法定塗色(容器保安規則)=酸素(黒)・水素(赤)・液化炭酸ガス(緑)・液化アンモニア(白)・液化塩素(黄)・アセチレン(かっ色)。●その他の高圧ガス=窒素・亜酸化窒素(笑気)・ヘリウムなどはねずみ色(灰色)。●注意=医療ガスとしての識別色(亜酸化窒素の青など)は容器の法定塗色とは別体系であり、混同しない。

選択肢ごとの解説

第63回 午後2(臨床検査総論)

管理限界内での微妙な偏りの発見に最も適している精度管理図法はどれか。

正答: ③累積和

ポイント
累積和管理図(CUSUM、cumulative sum control chart)は、各測定値と目標値との差を順次累積して打点する手法で、管理限界内にとどまる程度の微小で持続的な偏り(系統誤差・ドリフト)を、折れ線の傾きの変化として早期に鋭敏に検出できる。Xbar-R管理図やWestgardのマルチルールは突発的で大きな逸脱の検出に優れるが、小さな持続的偏りには反応が鈍い。したがって管理限界内の微妙な偏りの発見には累積和法が最も適している。●偶然誤差(再現性・ばらつき)の管理=R管理図・Rs管理図。●平均値の管理=Xbar管理図。●系統誤差・微小持続偏りの検出=累積和(CUSUM)法。●複数ルールの組合せによる検出=Westgardのマルチルール(1₂s・1₃s・2₂s・R₄s・4₁s・10x̄など)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)

分類代表的な方法
管理試料を用いる方法x̄-R管理図法(x̄-Rs法・x̄-Rs-R法)・累積和法(CUSUM法)・双値法(ツインプロット法・Youden plot法)・マルチルール管理図法・臼井法
管理試料を用いない方法(患者データを利用)二重測定法・Hoffmann法(ナンバープラス法・正常者平均値法)・個別検体の管理法(高値低値チェック法・項目間チェック法・デルタチェック法)・|R/x̄|管理法(新谷法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。

第63回 午後3(臨床検査総論)

尿潜血試験紙法で偽陰性の原因となるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①亜硝酸塩・⑤アスコルビン酸

ポイント
尿潜血試験紙法は、ヘモグロビンやミオグロビンのもつペルオキシダーゼ様作用により過酸化物を分解し、色原体(テトラメチルベンジジンなど)を酸化発色させる原理である。強い還元物質であるアスコルビン酸(ビタミンC)が共存すると酸化発色が阻害されて偽陰性となり、亜硝酸塩も還元的に作用してヘモグロビンの反応を妨げ偽陰性をきたす。一方、サラシ粉・過酸化水素・次亜塩素酸塩は酸化剤として作用し、偽陽性の原因となる。●潜血反応の偽陰性=アスコルビン酸(強還元物質)・亜硝酸塩・高比重尿。●潜血反応の偽陽性=酸化剤混入(サラシ粉・次亜塩素酸塩・過酸化水素)・月経血混入・細菌のペルオキシダーゼ。●アスコルビン酸が偽陰性を起こす他項目=ブドウ糖・ビリルビン・潜血。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:尿試験紙法の偽陽性・偽陰性反応

項目偽陽性の原因偽陰性の原因
糖酸化剤(過酸化水素、次亜塩素酸塩、サラシ粉)ビタミンC、L-DOPA、ホモゲンチジン酸
潜血(ヘモグロビン)酸化剤(過酸化水素、次亜塩素酸塩、サラシ粉)ビタミンC、L-DOPA、亜硝酸塩
蛋白強アルカリ尿(pH8以上)、逆性石けん、アミノカプロン酸、キニーネ、クロルヘキシジン強酸性尿(pH2以下)
ビリルビンクロルプロマジン、セレニウムビタミンC、亜硝酸塩、古い尿
亜硝酸塩(細菌)フェナゾピリジンビタミンC、古い尿
尿試験紙の糖・潜血反応は酸化発色を原理とするため、還元作用をもつビタミンC(アスコルビン酸)が共存すると偽陰性となる。逆に過酸化水素・次亜塩素酸塩・サラシ粉などの酸化剤が混入すると偽陽性を示す。

第63回 午後4(臨床検査総論)

髄液検査所見を示す。考えられる疾患はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB004.f0120bd8b5.jpg
第63回 午後4 の図

正答: ③結核性髄膜炎

ポイント
結核性髄膜炎の髄液は、外観が無色透明〜日光微塵様で、髄液圧上昇、細胞数増加(単核球=リンパ球優位)、糖低下、蛋白増加を示す。トリプトファン反応陽性は結核性髄膜炎を示唆する所見であり、糖低下は結核菌や白血球による糖消費を反映する。単核球優位でありながら糖が低下するという組合せが結核性髄膜炎の典型像である。●糖低下+多核球優位=細菌性髄膜炎(外観混濁)。●糖低下+単核球優位=結核性髄膜炎・真菌性髄膜炎(クリプトコッカス)。●糖正常+単核球優位=ウイルス性髄膜炎・日本脳炎。●血性/キサントクロミー=くも膜下出血。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:髄液検査所見と疾患の鑑別(正常・出血・細菌性/結核性/真菌性/ウイルス性髄膜炎)

項目正常髄液出血細菌性髄膜炎結核性髄膜炎真菌性髄膜炎ウイルス性髄膜炎
色調・混濁水様無色透明赤色(新鮮)〜黄色(古い)混濁・フィブリン析出(厚い粘膜様)混濁・フィブリン析出(くもの巣状)--
髄液圧(60〜150mmH2O)基準内↑↑↑↑↑
細胞数(0〜5/µL)基準内(小リンパ球主体)↑(赤血球)↑(好中球)↑(リンパ球)↑(リンパ球)↑(リンパ球)
蛋白(10〜40mg/dL)基準内↑↑↑↑↑
糖(50〜80mg/dL)基準内↑↓↓↓→(変化なし)
クロール(120〜130mEq/L)基準内-↓↓↓↓
トリプトファン反応(-)(-)(-)(+)(-)(-)
細菌性髄膜炎ではLD(乳酸脱水素酵素)も上昇する。髄液糖を評価する際は必ず同時測定した血糖値と比較する(髄液糖/血糖比は正常で約0.6)。

第63回 午後5(臨床検査総論)

胆石の主要な成分はどれか。2つ選べ。

正答: ①コレステロール・④ビリルビンカルシウム

ポイント
胆石は組成によりコレステロール石、色素石(ビリルビンカルシウムを主とする黒色石・カルシウムビリルビネート石)、まれな混合石・その他に分類される。日本でも最も多いのはコレステロールを主成分とする胆石で、次いでビリルビンカルシウムを主体とする色素石が多い。尿酸アンモニウム・シュウ酸カルシウム・リン酸マグネシウムアンモニウムはいずれも尿路結石の成分であり、胆石の主成分ではない。●胆石の主成分=コレステロール・ビリルビンカルシウム(色素)・炭酸カルシウム。●尿路結石の主成分=シュウ酸カルシウム(最多)・リン酸カルシウム・尿酸・尿酸アンモニウム。●感染性尿路結石=リン酸マグネシウムアンモニウム(ストルバイト、ウレアーゼ産生菌)。●シスチン結石=シスチン尿症。

選択肢ごとの解説

第63回 午後6(臨床検査総論)

海外から帰国後、発熱を主訴として外来を受診した患者の末梢血Giemsa染色薄層塗抹標本を別に示す。診断として正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB006.5ff5cfed49.jpg
第63回 午後6 の図

正答: ④四日熱マラリア

ポイント
四日熱マラリアはPlasmodium malariae(四日熱マラリア原虫)による。Giemsa染色薄層塗抹では、感染赤血球が腫大せず正常大にとどまり、輪状体(リング)は太く、栄養体が赤血球を横断する帯状形(バンド型、band form)を示すのが特徴で、発熱周期は72時間(四日熱)である。シュフナー斑点はみられず、海外帰国後の発熱とこれらの形態像から四日熱マラリアと診断する。●腫大せず帯状栄養体=四日熱マラリア(P. malariae)。●腫大しシュフナー斑点・アメーバ状栄養体=三日熱(P. vivax)・卵形(P. ovale)マラリア。●腫大せず細い輪状体・多重感染・三日月形配偶子=熱帯熱マラリア(P. falciparum)。●赤血球外(血漿中)を遊走する鞭毛虫体=トリパノソーマ。●リーシュマニアはヒト体内では単核食細胞(マクロファージ)内の無鞭毛体として存在し、鞭毛をもつ前鞭毛体はサシチョウバエ体内や培養でみられる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:マラリア原虫の種類別 形態・潜伏期・発熱間隔の比較

項目三日熱熱帯熱四日熱卵形
末梢血に出現する型輪状体・アメーバ体・分裂体・生殖母体輪状体・生殖母体三日熱に同じ三日熱に同じ
赤血球内の原虫数1個2個(多重感染しやすい)1個1個
赤血球の形円形で大きくなる円形で大きくならない円形で大きくならない卵形でやや大きくなる
アメーバ体(後期栄養体)Schüffner斑点著明末梢血に出現し難い帯状になる(バンド型)卵形で一端が鋸歯状
分裂体内メロゾイト数12〜18個8〜18個8〜10個6〜12個
生殖母体円形半月(ソーセージ)状三日熱に似る三日熱に似る
潜伏期12〜17日7〜21日18〜40日16〜18日
発熱間隔48時間毎48時間毎(不規則)72時間毎48時間毎
マラリア原虫はハマダラカに刺されてスポロゾイトが体内に侵入し、まず肝細胞内で増殖(赤外型)した後、赤血球内で輪状体→アメーバ体→分裂体と発育する(無性生殖)。

第63回 午後7(臨床検査総論)

寄生虫と宿主の組合せで正しいのはどれか。

正答: ③多包条虫 — エゾヤチネズミ

ポイント
多包条虫(エキノコックス、Echinococcus multilocularis)は、中間宿主であるエゾヤチネズミなどの野ネズミの肝臓に幼虫が寄生し、終宿主であるキタキツネ・イヌの小腸で成虫となる。北海道で問題となる人獣共通感染症である。組合せ問題では各寄生虫固有の中間宿主を対比して判断する。●エキノコックス=中間宿主エゾヤチネズミ/終宿主キツネ・イヌ。●日本住血吸虫=中間宿主ミヤイリガイ。●横川吸虫=第二中間宿主アユ(淡水魚)。●顎口虫=第一中間宿主ケンミジンコ/第二中間宿主ライギョ等淡水魚。●Manson裂頭条虫=第一中間宿主ケンミジンコ/第二中間宿主カエル・ヘビ等。●広東住血線虫=中間宿主アフリカマイマイ・ナメクジ。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主

寄生虫第一中間宿主第二中間宿主(ヒトの位置づけ)終宿主
肝吸虫マメタニシコイ科淡水魚(フナ・モツゴ等)ヒト・イヌ
横川吸虫カワニナアユ等の淡水魚ヒト
肝蛭ヒメモノアラガイ第二中間宿主なし。メタセルカリアが水草などに付着ヒト・ウシ等
宮崎肺吸虫ホラアナミジンニナサワガニヒト
Westerman肺吸虫カワニナサワガニ・モクズガニヒト
日本住血吸虫ミヤイリガイ(中間宿主はこれのみ)—ヒト
日本海裂頭条虫ケンミジンコサケ・マスヒト
無鉤条虫ウシ—ヒト
有鉤条虫ブタ—ヒト
多包条虫(エキノコックス)野ネズミ(エゾヤチネズミ等)(ヒトも中間宿主になりうる)キツネ・イヌ
単包条虫ヒツジ(ヒトも中間宿主になりうる)イヌ
アニサキスオキアミサバ・イカ(ヒトは非固有宿主=幼虫移行のみ)イルカ・クジラ
広東住血線虫アフリカマイマイ・ナメクジ第二中間宿主なし。カエル・エビなどは待機宿主(ヒトは非固有宿主)ネズミ
有棘顎口虫ケンミジンコドジョウなどの淡水魚・カエルなどの両生類(ヒトは非固有宿主)イヌ
Manson裂頭条虫ケンミジンコヘビ・カエル(ヒトは非固有宿主=待機宿主)イヌ・ネコ
マラリア原虫—ヒト(中間宿主)蚊(ハマダラカ)
トキソプラズマ—ヒト・ネズミ(中間宿主)ネコ
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。

第63回 午後8(臨床検査総論)

傷害DNAの除去修復機構に関与する4種類の酵素、〈A〉エキソヌクレアーゼ、〈B〉エンドヌクレアーゼ、〈C〉DNAポリメラーゼ及び〈D〉リガーゼが作用する順番として正しいのはどれか。

正答: ④B→C→A→D

ポイント
傷害(損傷)DNAの除去修復では、まず損傷部位を認識したエンドヌクレアーゼが損傷を含む鎖に切れ込み(ニック)を入れ、DNAポリメラーゼが切れ込みの3'末端から正常な相補鎖を鋳型に新しい鎖を合成しながら、エキソヌクレアーゼが損傷部を含む古い鎖を除去し、最後にDNAリガーゼが切れ目を連結する。したがってB(エンドヌクレアーゼ)→C(DNAポリメラーゼ)→A(エキソヌクレアーゼ)→D(リガーゼ)の順となる。●DNA修復機構=塩基除去修復(BER)・ヌクレオチド除去修復(NER)・ミスマッチ修復(MMR)・組換え修復。●NER関連酵素=エンドヌクレアーゼ・エキソヌクレアーゼ・DNAポリメラーゼ・DNAリガーゼ。●NER障害疾患=色素性乾皮症(XP)。●ミスマッチ修復障害=遺伝性非ポリポーシス大腸癌(リンチ症候群)。

選択肢ごとの解説

第63回 午後9(臨床検査総論)

PCR法で使用しないのはどれか。

正答: ①制限酵素

ポイント
PCR(polymerase chain reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)の反応液には、鋳型DNA、目的領域を挟む一対のプライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ(Taqなど)、合成基質となる4種のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)、酵素活性に必要なマグネシウムイオンを含む緩衝液が用いられる。制限酵素はDNAを特定塩基配列で切断する酵素で、増幅後の解析(制限酵素断片長多型など)に用いるが、増幅反応そのものには使用しない。●PCRの構成要素=鋳型DNA・プライマー・耐熱性DNAポリメラーゼ・dNTP・Mg²⁺・緩衝液。●PCRの温度サイクル=変性(熱解離)・アニーリング(結合)・伸長(合成)。●PCR応用=RT-PCR(逆転写)・リアルタイムPCR(定量)・PCR-RFLP(制限酵素で多型解析)。

選択肢ごとの解説

第63回 午後10(臨床検査総論)

体細胞の有糸分裂が起こるのはどれか。

正答: ④M期

ポイント
細胞周期はG1期(DNA合成準備)、S期(DNA複製)、G2期(分裂準備)、M期(有糸分裂)からなり、G1・S・G2をまとめて間期という。分裂を終えて増殖を停止した細胞は休止状態のG0期に入ることがある。実際に染色体が凝縮・分配されて有糸分裂が起こるのはM期であり、その他の時期は複製や分裂の準備に費やされる。●間期=G1期(合成準備)・S期(DNA複製)・G2期(分裂準備)。●分裂期=M期(前期・中期・後期・終期に区分される有糸分裂)。●休止期=G0期(細胞周期から離脱した非増殖状態)。●細胞周期チェックポイント=G1/S・G2/M・紡錘体形成チェックポイント。

選択肢ごとの解説

第63回 午後11(臨床検査医学総論)

脂肪便が認められるのはどれか。

正答: ④慢性膵炎

ポイント
脂肪便(脂肪性下痢)は脂肪の消化吸収障害により便中に脂肪が過剰に排泄される状態で、膵外分泌酵素(リパーゼ)の欠乏や胆汁うっ滞、小腸吸収障害でみられる。慢性膵炎では膵外分泌機能が低下してリパーゼ分泌が減少するため脂肪消化が障害され、悪臭を伴い水に浮く灰白色〜淡黄色の脂肪便を呈する。肝硬変や消化管腫瘍では典型的な脂肪便は通常みられない。●消化不良性(膵性)脂肪便=慢性膵炎・膵癌・膵切除(リパーゼ低下)。●胆汁うっ滞性脂肪便=閉塞性黄疸(胆汁酸欠乏)。●吸収不良性脂肪便=セリアック病・短腸症候群・Crohn病。●脂肪便の検査=便中脂肪定量・Sudan III染色・便中エラスターゼ。

選択肢ごとの解説

第63回 午後12(臨床検査医学総論)

ネフローゼ症候群で正しいのはどれか。

正答: ③紫斑病性腎炎によるものは小児に多い。

ポイント
ネフローゼ症候群は高度蛋白尿(3.5g/日以上が持続)、低アルブミン血症(血清アルブミン3.0g/dL以下)、浮腫、脂質異常症(高コレステロール血症)を主徴とする。小児では微小変化型が最も多く、紫斑病性腎炎(IgA血管炎に伴う腎炎)によるものも小児に多い。成人では膜性腎症や2型糖尿病による糖尿病性腎症が原因となりうる。●小児に多い原因=微小変化型・紫斑病性腎炎(IgA血管炎)。●成人に多い原因=膜性腎症・巣状分節性糸球体硬化症・糖尿病性腎症(2型糖尿病)。●続発性ネフローゼ=糖尿病・全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)・アミロイドーシス。●診断必須項目=蛋白尿(3.5g/日以上)・低アルブミン血症。

選択肢ごとの解説

第63回 午後13(臨床検査医学総論)

血清と比較した血漿検体の特徴で正しいのはどれか。

正答: ②LD活性の偽高値が少ない。

ポイント
血漿は抗凝固剤を加えて凝固させずに遠心して得る上清で、血清は凝固後に得る上清である。血漿では凝固が起こらないため、凝固に伴う血小板からの逸脱酵素の遊離が少なく、乳酸脱水素酵素(LD、lactate dehydrogenase)活性やカリウムの偽高値が血清より少ない。また採血後の凝固待ち時間が不要で迅速に分離でき、フィブリノゲンなど凝固因子を含む点が血清と異なる。●血漿の特徴=凝固因子(フィブリノゲン)を含む・凝固待ち不要で迅速・LDやカリウムの偽高値が少ない。●血清の特徴=凝固因子を含まない・蛋白分画でフィブリノゲンピークが出ない。●抗凝固剤の種類=EDTA(血球計数)・クエン酸ナトリウム(凝固)・ヘパリン(生化学・血液ガス)・フッ化ナトリウム(血糖)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血清と血漿の違い

項目血清血漿
凝固因子(フィブリノゲン等)含まれない含まれる
LD・カリウム等の偽高値血液凝固時に血小板由来成分が混入し偽高値になりやすい偽高値になりにくい
蛋白分画フィブリノゲンピークなしフィブリノゲンピークの分だけ総蛋白・蛋白分画が増加
分離までの時間血液凝固を待つ必要があり時間がかかる抗凝固剤使用で直ちに遠心分離可能(迅速)
溶血のしやすさ血餅分離の際に溶血しやすい相対的に溶血しにくい

第63回 午後14(臨床検査医学総論)

血中濃度が朝方から午前中に高く、午後から夜間にかけて低くなるホルモンはどれか。

正答: ①コルチゾール

ポイント
コルチゾールは視床下部・下垂体・副腎皮質系(HPA系)の制御下に明瞭な日内変動を示し、早朝(起床前後)に最高値、午後から夜間(就寝時)に最低値となる。この早朝高値・夜間低値というパターンがコルチゾールの典型で、Cushing症候群ではこの日内リズムが消失する。採血時刻によって基準値の解釈が変わるため、日内変動の理解が重要である。●早朝高値・夜間低値=コルチゾール・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)。●夜間〜早朝に高い=甲状腺刺激ホルモン(TSH)・成長ホルモン(睡眠時分泌)・メラトニン・プロラクチン。●体位・塩分で変動=アルドステロン・レニン。●浸透圧・循環血液量で調節=抗利尿ホルモン(ADH)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血清成分の日内変動パターン

血清成分日内変動
ACTH・コルチゾール早朝高値・夜間低値
レニン活性午前高値・夜間低値
血清鉄・ビリルビン早朝〜午前高値・夜間低値
アルブミン・無機リン早朝低値・午後高値
メラトニン・甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉・抗利尿ホルモン日中低値・夜間高値
成長ホルモン・プロラクチン日中低値・夜間睡眠時に最高値
ヘモグロビン早朝空腹時に低値・午後高値

第63回 午後15(臨床検査医学総論)

慢性閉塞性肺疾患の病態を示すのはどれか。2つ選べ。

正答: ①肺気腫・④慢性気管支炎

ポイント
慢性閉塞性肺疾患(COPD、chronic obstructive pulmonary disease)は、たばこ煙などの有害物質吸入による気流閉塞を特徴とし、病理的には終末細気管支より末梢の気腔が拡大する肺気腫と、慢性の咳・痰を呈する慢性気管支炎が含まれる。いずれも1秒率低下を示す閉塞性換気障害が共通する。間質性肺炎やサルコイドーシスは拘束性換気障害が主体で、肺腺癌は悪性腫瘍であり該当しない。●閉塞性換気障害=COPD(肺気腫・慢性気管支炎)・気管支喘息・びまん性汎細気管支炎。●拘束性換気障害=間質性肺炎(特発性肺線維症)・サルコイドーシス・じん肺・胸郭異常。●COPDの所見=1秒率低下・残気量増加・DLCO低下(気腫型)・閉塞性換気障害。

選択肢ごとの解説

第63回 午後16(臨床生理学)

心電図を別に示す。アーチファクトを除去するための適切な方法はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB016.d87dd85fce.jpg
第63回 午後16 の図

正答: ⑤付近の電気機器のプラグを抜く。

ポイント
心電図のアーチファクトのうち、規則的で周期的な細かい振れ(交流雑音、ハム)は商用電源(50/60Hz)の混入によって生じる。対策はアース不良の確認や、周囲の電気機器のプラグを抜くなど電源由来雑音の除去である。基線の動揺は体動や呼吸、筋電図様雑音は緊張や寒さによる筋活動が原因であり、雑音の種類を見極めて対処を選ぶ。●交流(ハム)雑音=商用電源混入。対策=アース確認・電気機器のプラグを抜く・電源コードを遠ざける。●基線動揺=体動・呼吸・電極の接触不良。対策=電極固定・皮膚処理。●筋電図様雑音=緊張・寒さ・体動。対策=リラックス・保温。●低振幅・断線=電極装着不良・誘導コードの断線。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:心電図のアーチファクト(雑音)の種類・原因・対策

種類主な原因対策
交流(ハム)雑音商用電源(50/60Hz)の混入、アース不良アースの接続確認、周囲の電気機器のプラグを抜く
筋電図の混入患者の筋緊張・体の力み患者に力を抜いてもらう、保温してリラックスさせる
基線の動揺体動・呼吸・電極の接触不良電極をしっかり固定する、安静を保つ

第63回 午後17(臨床生理学)

疾患と心電図所見の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①心筋梗塞 — 異常Q波・⑤心房細動 — RR間隔不整

ポイント
心電図所見と疾患の対応では、陳旧性心筋梗塞で壊死部に対応する誘導に異常Q波(幅0.04秒以上、深さR波の1/4以上)が出現し、心房細動では心房の無秩序な興奮によりRR間隔が不整となりP波消失・基線にf波がみられる。第1度房室ブロックはPR延長でQRS幅は正常、完全右脚ブロックはQRS幅延長(0.12秒以上)、WPW症候群はPR短縮・デルタ波・QRS幅延長が特徴である。●異常Q波=心筋梗塞(陳旧性)。●PR延長=第1度房室ブロック。●QRS幅延長=右脚ブロック・左脚ブロック・心室内伝導障害。●PR短縮+デルタ波=WPW症候群。●RR間隔不整+f波=心房細動。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見

疾患心電図所見
心筋梗塞(陳旧性)異常Q波(心筋壊死を反映)
第1度房室ブロックPQ〈PR〉時間の延長(0.21秒以上)、QRS波の脱落なし
完全右脚ブロックQRS幅延長、V1・V2でrsR'型、V5・V6で深いS波
WPW症候群PQ〈PR〉時間の短縮、デルタ波、QRS幅延長
心房細動RR間隔不整(絶対性不整脈)

第63回 午後18(臨床生理学)

トレッドミル運動負荷心電図検査で直ちに負荷を中止しなければならないのはどれか。2つ選べ。

正答: ②多源性心室性期外収縮が出現した。・③0.5 mVの水平型ST低下を認めた。

ポイント
トレッドミル運動負荷心電図では、重篤な不整脈や強い心筋虚血が出現した時に直ちに負荷を中止する。多源性(多形性)心室性期外収縮は心室細動に移行する危険のある重症不整脈で中止基準にあたり、水平型または下降型の有意なST低下(0.1mV以上)は心筋虚血を示し、0.5mVのST低下は明らかな虚血所見で中止対象である。QRS幅0.08秒や心拍数の生理的上昇、PR時間の軽度短縮は中止理由とならない。●運動負荷中止基準(不整脈)=多源性・連発・R on Tの心室性期外収縮、心室頻拍、高度房室ブロック。●中止基準(虚血)=有意なST低下・上昇、強い胸痛(狭心痛)。●中止基準(循環)=血圧低下、過度の血圧上昇、強い疲労・呼吸困難。●生理的反応(中止不要)=心拍数増加・正常範囲のQRS/PR。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:運動負荷試験(トレッドミル)の中止基準

分類主な項目
不整脈多源性(多形性)心室性期外収縮・心室頻拍・R on T・持続する上室頻拍/心房細動・II度/III度房室ブロック・脚ブロックの出現
ST変化水平型・下行傾斜型のST低下0.1mV以上、ST上昇0.1mV以上
血圧反応収縮期250mmHg以上または拡張期120mmHg以上への上昇、運動中10mmHg以上の血圧低下
自覚症状・他覚所見胸痛・呼吸困難・下肢疲労・めまい・ふらつき・チアノーゼ、被検者からの中止要請
QRS幅0.08秒や心拍数の生理的な増加、基準範囲内のPR時間の変動は中止基準に該当しない。

第63回 午後19(臨床生理学)

機能的残気量を決定する因子はどれか。2つ選べ。

正答: ④胸郭の拡張力・⑤肺の弾性収縮力

ポイント
機能的残気量(FRC、functional residual capacity)は安静呼気位における肺気量で、肺を縮めようとする肺の弾性収縮力と、胸郭を外側へ広げようとする胸郭の拡張力(弾性)が釣り合う平衡点で決まる。両者の力がバランスする位置がFRCに相当する。気道抵抗や呼吸筋力は換気の速度や最大吸気・呼気量を規定する因子であり、安静位の容量であるFRCを直接は決定しない。●FRC=予備呼気量+残気量。肺の弾性収縮力と胸郭の拡張力の平衡で決定。●FRC増加=肺気腫・気管支喘息発作(過膨張)。●FRC低下=肺線維症・肺水腫・肥満・腹水(拘束性)。●FRCの測定法=ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路・窒素洗い出し)・体プレチスモグラフ。

選択肢ごとの解説

第63回 午後20(臨床生理学)

クロージングボリューム測定における単一窒素呼出曲線を別に示す。クロージングボリュームはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB020.13c6b941f6.jpg
第63回 午後20 の図

正答: ⑤

ポイント
クロージングボリューム測定の単一窒素呼出曲線では、100%酸素を最大吸気位まで吸入した後にゆっくり呼出すると、第I相(死腔ガス)、第II相(死腔と肺胞の移行)、第III相(肺胞プラトー)に続き、下肺領域の末梢気道が閉塞して上肺の高窒素濃度ガスが優位となる第IV相で窒素濃度が再上昇する。第III相と第IV相の境界点(閉塞開始点)から呼出終了(残気量位)までの量がクロージングボリュームであり、図ではその区間に対応する⑤が該当する。●単一窒素呼出曲線の各相=第I相(死腔)・第II相(移行)・第III相(肺胞プラトー)・第IV相(気道閉塞)。●クロージングボリューム(CV)=第IV相の起点から残気量位まで。●クロージングキャパシティ(CC)=CV+残気量。●CV/CC増加=末梢気道病変・加齢・喫煙。

選択肢ごとの解説

第63回 午後21(臨床生理学)

動脈血ガス分析の所見を示す。pH 7.33 PaCO₂ 60 Torr HCO₃⁻ 31 mEq/L酸塩基平衡異常はどれか。

正答: ①呼吸性アシドーシス

ポイント
pH 7.33は基準(7.35〜7.45)より低く酸血症を示し、PaCO₂ 60Torrは上昇(高二酸化炭素血症)でこれが酸性化の一次原因である。HCO₃⁻ 31mEq/Lの上昇は腎による代償性の重炭酸イオン再吸収増加と解釈でき、PaCO₂上昇が一次変化でpHが酸性側に傾いていることから呼吸性アシドーシスと判断する。慢性的な肺胞低換気でみられる像である。●呼吸性アシドーシス=PaCO₂上昇・pH低下(肺胞低換気:COPD・呼吸抑制・神経筋疾患)。代償=HCO₃⁻上昇。●呼吸性アルカローシス=PaCO₂低下・pH上昇(過換気)。●代謝性アシドーシス=HCO₃⁻低下・pH低下(腎不全・乳酸・ケトアシドーシス・下痢)。●代謝性アルカローシス=HCO₃⁻上昇・pH上昇(嘔吐・利尿薬)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:酸塩基平衡異常の4パターン(pH・一次性変化・代償性変化)

病態pH一次性変化代償性変化主な原因
呼吸性アシドーシス↓PaCO₂↑HCO₃-↑(腎性代償)肺胞低換気(COPD・呼吸中枢抑制・神経筋疾患など)
呼吸性アルカローシス↑PaCO₂↓HCO₃-↓(腎性代償)過換気(過換気症候群・発熱・肺塞栓など)
代謝性アシドーシス↓HCO₃-↓PaCO₂↓(呼吸性代償)糖尿病性ケトアシドーシス・腎不全・下痢など
代謝性アルカローシス↑HCO₃-↑PaCO₂↑(呼吸性代償)嘔吐・利尿薬・原発性アルドステロン症など
代償は血液pHを基準範囲(7.35〜7.45)へ戻そうとする働き。呼吸性代償は換気量の増減により数時間単位、代謝性(腎性)代償はHCO₃-の排泄調節により数日単位で生じる。代償が予測範囲を超える場合は混合性障害を疑う。

第63回 午後22(臨床生理学)

肺線維症患者の肺機能検査結果で認められないのはどれか。

正答: ①1秒率の低下

ポイント
肺線維症(特発性肺線維症など)は間質の線維化により肺が硬く縮む拘束性換気障害をきたす。全肺気量・肺活量・機能的残気量はいずれも減少し、肺が膨らみにくくなるため静肺コンプライアンスは低下、ガス交換障害により肺拡散能(DLCO、肺一酸化炭素拡散能)は低下する。気流閉塞はないため1秒率(FEV1.0%)はむしろ正常〜上昇し、低下は認められない。●拘束性換気障害の所見=肺活量・全肺気量・FRC低下、静肺コンプライアンス低下、DLCO低下、1秒率は正常〜上昇。●代表疾患=特発性肺線維症・じん肺・サルコイドーシス・胸郭異常・神経筋疾患。●閉塞性換気障害=1秒率低下・残気量増加(COPD・喘息)。●混合性換気障害=じん肺・進行例など。

選択肢ごとの解説

第63回 午後23(臨床生理学)

脳波で1.5〜2.5 Hzの鋭徐波複合がみられる疾患はどれか。

正答: ⑤Lennox-Gastaut症候群

ポイント
Lennox-Gastaut症候群は小児期に発症する難治性てんかんで、脳波上1.5〜2.5Hzの遅い棘徐波複合(slow spike-and-wave)を特徴とし、強直発作・非定型欠神・脱力発作など多彩な発作型を呈する。欠神発作は3Hzの全般性棘徐波複合、West症候群はヒプスアリスミア、Creutzfeldt-Jakob病は周期性同期性放電(PSD)が特徴で区別される。●3Hz棘徐波複合=欠神発作(小児欠神てんかん)。●1.5〜2.5Hz遅い棘徐波複合=Lennox-Gastaut症候群。●ヒプスアリスミア=West症候群(点頭てんかん)。●周期性同期性放電(PSD)=Creutzfeldt-Jakob病・亜急性硬化性全脳炎(SSPE)。●三相波=肝性脳症などの代謝性脳症。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患

脳波所見対応する疾患・病態
3Hz棘徐波複合欠神発作(欠神発作型/小発作型てんかん)
多棘波・多棘徐波複合ミオクロニー発作(若年ミオクロニーてんかん)
ヒプスアリスミアWest症候群(点頭てんかん)
1.5〜2.5Hz鋭徐波複合(遅棘徐波複合)Lennox-Gastaut症候群
三相波肝性脳症・腎性脳症などの代謝性脳症
周期性同期性放電〈PSD〉孤発性(古典型)Creutzfeldt-Jakob病、亜急性硬化性全脳炎〈SSPE〉
周期性一側性てんかん型放電〈PLEDs〉単純ヘルペス脳炎、脳血管障害急性期
広汎性α波脳動脈硬化症(慢性脳循環不全)
re-build up(過呼吸後の再増高現象)もやもや病
6&14Hz陽性棘波自律神経発作(健常者にもみられる非特異的所見)
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。

第63回 午後24(臨床生理学)

針筋電図で神経原性変化の所見はどれか。

正答: ⑤随意弱収縮時の高振幅長持続電位

ポイント
針筋電図で神経原性変化(前角細胞や末梢神経の障害)では、残存運動単位からの側枝発芽による神経再支配が起こり、運動単位電位が高振幅・長持続・多相性となるため、随意弱収縮時に高振幅長持続電位がみられる。一方、筋原性変化では運動単位の筋線維が脱落して低振幅・短持続・多相性の電位を示す。Waning現象は反復刺激での漸減でMG様、急降下爆撃音は筋強直放電に関連する所見である。●神経原性変化=高振幅・長持続・多相性運動単位電位、線維束自発電位、安静時の線維自発電位・陽性鋭波。●筋原性変化=低振幅・短持続・多相性運動単位電位、早期動員。●筋強直放電=急降下爆撃音(筋強直性ジストロフィーなど)。●神経筋接合部障害=反復刺激でwaning(重症筋無力症)・waxing(Lambert-Eaton症候群)。

選択肢ごとの解説

第63回 午後25(臨床生理学)

前頸部横走査による甲状腺の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB025.e70f3bfef5.jpg
第63回 午後25 の図

正答: ④コメットエコー

ポイント
甲状腺の超音波検査で、コロイドを含む小囊胞などにおいて微小な高エコー点から後方へ尾を引くように現れる多重反射のアーチファクトをコメットエコー(コメット様尾、コメットサイン)という。コロイド結節など良性病変の所見として知られる。音響陰影は石灰化・結石の後方が無エコーとなる所見、後方エコー増強は囊胞などの後方が明るくなる所見、ミラーイメージは横隔膜などの強反射面での鏡面反射による虚像である。●コメットエコー=コロイド囊胞・微小結晶・金属など。●音響陰影=石灰化・結石・骨。●後方エコー増強=囊胞・液体貯留。●外側陰影(辺縁陰影)=囊胞・腫瘤辺縁の屈折。●ミラーイメージ=横隔膜など強反射面での鏡面反射。

選択肢ごとの解説

第63回 午後26(臨床生理学)

超音波検査における観察部位と用いる探触子の組合せで適切なのはどれか。

正答: ③頸動脈 — リニア型

ポイント
超音波探触子(プローブ)は観察対象の深さと視野の形状で選択する。頸動脈などの体表に近い浅在臓器・血管には、走査面が長方形で高周波・高分解能のリニア型が適する。心臓は狭い肋間から広い扇形視野を得る必要があるためセクタ型、腹部の深部臓器には扇形に広がるコンベックス型を用いる。●リニア型=頸動脈・甲状腺・乳腺・体表軟部・四肢血管(浅部高分解能)。●セクタ型=心臓(肋間からの扇形走査)。●コンベックス型=腹部・産科(深部の広い視野)。●経直腸・経腟用=前立腺・子宮(コンベックス系の専用プローブ)。●ラジアル型=消化管・血管の管腔内超音波(内視鏡・カテーテル先端)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:超音波探触子(プローブ)の走査方式と主な用途

プローブ走査方式の特徴主な用途部位
セクタ型小さい接触面から扇状に走査、狭い肋間から深部まで観察可心臓
リニア型振動子を直線配列し直線状に走査、高分解能だが深部視野は狭い頸動脈・甲状腺・乳腺・体表血管・下肢静脈
コンベックス型リニアと同原理で振動子が凸状配列、扇状に広い視野腹部
ラジアル型管腔内に挿入し振動子を回転させ360度走査経直腸前立腺・経食道消化管
アーク型振動子を円弧状に動かし垂直入射可能だが、現在はほぼ使用されない(かつて)乳腺・甲状腺

第63回 午後27(臨床生理学)

心窩部縦走査による上腹部の超音波像を別に示す。番号と臓器・組織の組合せで誤っているのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB027.3b57f2c711.jpg
第63回 午後27 の図

正答: ⑤⑤ — 下大静脈

ポイント
心窩部縦走査の上腹部超音波では、体表側から皮下脂肪、その深部に肝臓左葉、肝の背側に胃や膵臓、さらに背側に大血管(腹部大動脈・下大静脈)が層状に描出される。腹部大動脈は厚い壁で拍動性が強く、下大静脈は薄壁で右房へ向かい呼吸性に径が変動する点で鑑別する。番号と臓器・組織の対応の誤りを問う設問で、⑤に対応する血管の同定が要点となる。●心窩部縦走査で描出される構造=皮下脂肪・腹直筋・肝左葉・胃・膵体部・脾静脈・腹部大動脈・下大静脈。●拍動性が強い管腔=腹部大動脈(厚壁)。●薄壁で呼吸性変動を示す管腔=下大静脈。●実質臓器=肝臓・膵臓。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:主な走査法と観察対象

走査法主な観察対象
右肋間走査肝右葉・胆嚢・右腎
右肋骨弓下走査肝右葉・胆嚢・右腎(門脈・肝静脈も描出)
心窩部縦走査肝左葉・膵臓・腹部大動脈(上腸間膜動脈・脾静脈も描出)
心窩部縦走査では体表から深部へ皮下脂肪→肝左葉→膵頭部→腹部大動脈の順に描出される。腹部大動脈は拍動性が強く壁が厚い管腔、下大静脈は薄壁で呼吸性に変動する管腔として鑑別する。

第63回 午後28(臨床生理学)

疾患と超音波所見の組合せで誤っているのはどれか。

正答: ①肝硬変 — モザイクパターン

ポイント
疾患と超音波所見の対応では、急性膵炎で膵周囲の液体貯留、急性胆囊炎で胆囊壁肥厚(しばしば層状肥厚)、腎囊胞で内部無エコーと後方エコー増強、大腸癌で腫瘍が腸管壁を取り巻くpseudokidney sign(偽腎徴候)がみられる。モザイクパターンは腫瘍内部にエコーレベルの異なる領域が隔壁を挟んでモザイク状に混在してみえるBモードの所見(nodule in nodule)で、肝細胞癌に特徴的である。肝硬変の典型像は実質エコーの粗造化・肝表面の凹凸・辺縁鈍化・脾腫であり、モザイクパターンは合致しない。●肝硬変=肝表面凹凸・実質粗造・右葉萎縮と左葉/尾状葉腫大・脾腫・側副血行路。●肝細胞癌=モザイクパターン・ハロー・後方エコー増強。●急性胆囊炎=胆囊腫大・壁肥厚・debris。●急性膵炎=膵腫大・周囲液体貯留・低エコー化。●腎囊胞=境界明瞭・内部無エコー・後方エコー増強。●消化管腫瘍=pseudokidney sign(偽腎徴候)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見

疾患特徴的な超音波所見
肝嚢胞類円形・境界明瞭・内部無エコー・後方エコー増強
肝血管腫境界明瞭な高エコー腫瘤、体位変換で内部エコーが変化(カメレオンサイン)
肝膿瘍経過とともに充実性→混合性→嚢胞性へ変化、辺縁不整・境界不明瞭
肝硬変肝表面の凹凸不整・辺縁鈍化、実質エコーの粗雑化、肝内脈管の狭小化・不明瞭化、脾腫
肝細胞癌内部モザイクパターン(nodule in nodule)、辺縁低エコー帯(ハロー)、側方陰影
転移性肝癌類似エコー像の多発結節、幅広い辺縁低エコー帯+中心部高エコーの同心円状像(bull's eye sign/target sign)
脂肪肝肝実質の輝度上昇(bright liver)、肝深部エコーの減衰、肝腎コントラストの増強
急性膵炎膵腫大、内部エコー不均一で低輝度、膵・腎周囲の液体貯留
急性胆嚢炎胆嚢腫大、胆嚢壁肥厚、胆石・胆泥
腎嚢胞類円形・内部無エコー・後方エコー増強
大腸癌(進行例)限局性の壁肥厚がpseudokidney sign〈偽腎徴候〉として描出
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。

第63回 午後29(臨床化学)

ATP産生に関与しないのはどれか。

正答: ③尿素回路

ポイント
アデノシン三リン酸(ATP)は、解糖系での基質レベルのリン酸化、クエン酸回路(TCA回路)と電子伝達系による酸化的リン酸化で生成され、脂肪酸のβ酸化はアセチルCoAとNADH・FADH2を供給してATP産生に寄与する。尿素回路はアンモニアを尿素に変換して解毒する代謝経路で、反応にATPを消費するため、ATP産生には関与しない。●ATPを産生する経路=解糖系(基質レベル)・クエン酸回路・電子伝達系(酸化的リン酸化)・β酸化(還元当量供給)。●ATPを消費する同化・解毒経路=尿素回路・糖新生・脂肪酸合成・グリコーゲン合成。●基質レベルのリン酸化を行う反応=解糖系(ホスホグリセリン酸キナーゼ・ピルビン酸キナーゼ)・クエン酸回路(スクシニルCoA合成酵素)。

選択肢ごとの解説

第63回 午後30(臨床化学)

アラニンとの等電点の差が最も小さいのはどれか。

正答: ②ロイシン

ポイント
アミノ酸の等電点(pI)は側鎖の解離基により決まる。中性(脂肪族)アミノ酸であるアラニンのpIは約6で、同じく側鎖に電荷をもたない中性アミノ酸のロイシンも約6と最も近い。酸性アミノ酸のグルタミン酸・アスパラギン酸はpIが約3と低く、塩基性アミノ酸のリジン・アルギニンは約10前後と高いため、アラニンとの差はいずれも大きい。●中性アミノ酸(pI≒5.5〜6)=グリシン・アラニン・バリン・ロイシン・イソロイシン・セリン・トレオニンなど。●酸性アミノ酸(pI≒2.8〜3.2)=アスパラギン酸・グルタミン酸。●塩基性アミノ酸(pI≒7.6〜10.8)=ヒスチジン・リジン・アルギニン。

選択肢ごとの解説

第63回 午後31(臨床化学)

ビタミンとその欠乏症との組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤ビタミンD — 骨粗鬆症

ポイント
ビタミンと欠乏症の対応では、ビタミンD欠乏でカルシウム・リンの代謝障害により骨の石灰化が障害され、小児ではくる病、成人では骨軟化症をきたし、骨密度低下(骨粗鬆症)にも関与する。ビタミンA欠乏は夜盲症、ビタミンB₁(チアミン)欠乏は脚気、ビタミンB₁₂(コバラミン)欠乏は巨赤芽球性貧血、ナイアシン欠乏はペラグラ、ビタミンC(アスコルビン酸)欠乏は壊血病が対応する。●脂溶性ビタミン欠乏=A(夜盲症)・D(くる病/骨軟化症)・E(溶血・神経障害)・K(出血傾向)。●水溶性ビタミン欠乏=B1(脚気・Wernicke脳症)・B2(口角炎)・ナイアシン(ペラグラ)・B6(皮膚炎・痙攣)・B12/葉酸(巨赤芽球性貧血)・C(壊血病)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症

ビタミン(主な化学名)主な欠乏症
ビタミンA(レチノール)夜盲症、結膜乾燥症
ビタミンD(カルシフェロール)くる病、骨軟化症、低カルシウム血症
ビタミンE(α-トコフェロール)新生児溶血性貧血
ビタミンK(メナキノン)新生児メレナ、血液凝固障害(第II・VII・IX・X因子とプロテインC・Sの低下)、PIVKA-IIの出現
ビタミンB1(チアミン)脚気、Wernicke脳症、高ピルビン酸血症
ビタミンB2(リボフラビン)口内炎、舌炎、皮膚炎
ナイアシン(ビタミンB3)ペラグラ(日光過敏症を伴う)。Hartnup病(遺伝性の中性アミノ酸輸送障害)ではトリプトファン吸収障害から二次的にナイアシン不足を生じ、ペラグラ様症状を呈する
パントテン酸(ビタミンB5)皮膚炎
ビタミンB6(ピリドキシン)皮膚炎、日光過敏症
ビオチン(ビタミンB7)脱毛、若白髪、湿疹
ビタミンB12(コバラミン)巨赤芽球性貧血、メチルマロン酸血症、高ホモシステイン血症
葉酸(ビタミンBc)巨赤芽球性貧血。妊娠前後の不足は胎児の神経管閉鎖障害リスクを高める
ビタミンC(アスコルビン酸)壊血病
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。

第63回 午後32(臨床化学)

脱水時にみられるのはどれか。2つ選べ。

正答: ②尿量減少・④アルドステロン分泌亢進

ポイント
脱水では体液量・循環血液量が減少し、腎血流低下を契機にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が活性化してアルドステロン分泌が亢進し、遠位尿細管・集合管でのナトリウムと水の再吸収が促進される。同時に血漿浸透圧上昇によりバソプレッシン(抗利尿ホルモン)分泌が亢進し、集合管での水再吸収が進むため尿量は減少する。循環血液量減少により血圧はむしろ低下傾向となる。●脱水で亢進=レニン・アンジオテンシンII・アルドステロン・バソプレッシン・口渇・尿濃縮(尿量減少)。●脱水で低下=循環血液量・血圧・尿量・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)。●体液量を保持するホルモン=アルドステロン(Na再吸収)・バソプレッシン(水再吸収)。

選択肢ごとの解説

第63回 午後33(臨床化学)

血清鉄100 μg/dL、不飽和鉄結合能150 μg/dLにおけるトランスフェリンの飽和度〈%〉はどれか。

正答: ③40

ポイント
総鉄結合能(TIBC)は血清鉄と不飽和鉄結合能(UIBC)の和で求められる。本例ではTIBC=血清鉄100+UIBC150=250μg/dLとなる。トランスフェリン飽和度(%)は血清鉄÷TIBC×100で計算され、100÷250×100=40%となる。鉄欠乏性貧血では血清鉄低下・TIBC上昇により飽和度が低下し、ヘモクロマトーシスなど鉄過剰では上昇する。●鉄代謝指標=血清鉄・TIBC・UIBC・トランスフェリン飽和度・フェリチン。●鉄欠乏性貧血=血清鉄低下・TIBC上昇・飽和度低下・フェリチン低下。●鉄過剰(ヘモクロマトーシス等)=血清鉄上昇・飽和度上昇・フェリチン上昇。●関係式=TIBC=血清鉄+UIBC、飽和度=血清鉄/TIBC×100。

選択肢ごとの解説

第63回 午後34(臨床化学)

糖尿病型であるかどうかの判定に用いないのはどれか。

正答: ④グリコアルブミン

ポイント
糖尿病型の判定には、随時血糖値・空腹時血糖値・75g経口グルコース負荷試験(OGTT)2時間値の血糖値と、慢性高血糖を反映するHbA1c(ヘモグロビンA1c)が用いられる。グリコアルブミンは過去約2週間の平均血糖を反映し血糖コントロールの評価には有用だが、糖尿病型を判定する診断基準には含まれない。●糖尿病型判定に用いる指標=空腹時血糖(≧126)・随時血糖(≧200)・75gOGTT2時間値(≧200)・HbA1c(≧6.5%)。●血糖コントロールの指標(診断基準外)=グリコアルブミン(約2週間)・1,5-アンヒドログルシトール・尿糖。●HbA1cが反映する期間=過去1〜2か月。

選択肢ごとの解説

第63回 午後35(臨床化学)

LDL受容体のリガンドはどれか。2つ選べ。

正答: ③アポB100・⑤アポE

ポイント
LDL(低比重リポ蛋白)受容体はアポリポ蛋白を認識してリポ蛋白を取り込む。LDLに存在するアポB100と、IDL(中間比重リポ蛋白)・カイロミクロンレムナント等に存在するアポEがLDL受容体のリガンドとなり、受容体への結合と細胞内取り込みを担う。アポA1・A2はHDL(高比重リポ蛋白)の主要構成蛋白、アポC2はリポ蛋白リパーゼの補酵素であり、LDL受容体のリガンドではない。●LDL受容体のリガンド=アポB100・アポE。●HDLの主要アポ蛋白=アポA1(LCAT活性化)・アポA2。●酵素活性に関与=アポC2(リポ蛋白リパーゼ活性化)・アポC3(抑制)。●リポ蛋白とアポ蛋白=カイロミクロン(B48)・VLDL/LDL(B100)・HDL(A1/A2)・レムナント(E)。

選択肢ごとの解説

第63回 午後36(臨床化学)

リポ蛋白分析法として用いないのはどれか。

正答: ⑤ガスクロマトグラフィ

ポイント
リポ蛋白の分析には、密度差を利用する超遠心分離法、荷電や粒子径の違いによる電気泳動法、ポリアニオンや二価陽イオンで特定分画を沈殿させる沈殿法、粒子径で分画する高速液体クロマトグラフィ(HPLC、ゲル濾過)が用いられる。ガスクロマトグラフィは試料を気化させて分離する手法で、揮発性・低分子物質の分析に適し、巨大なリポ蛋白粒子の分析には用いられない。●リポ蛋白分析法=超遠心分離法(密度)・電気泳動法(荷電・大きさ)・沈殿法(ポリアニオン沈殿)・HPLC(粒子径)。●分画と密度=カイロミクロン<VLDL<IDL<LDL<HDL。●ガスクロマトグラフィの用途=揮発性低分子(脂肪酸・薬物・有機酸など)の分析。

選択肢ごとの解説

第63回 午後37(臨床化学)

蛋白質の生合成で誤っているのはどれか。

正答: ⑤転写にはRNA依存性DNAポリメラーゼが必要である。

ポイント
蛋白質生合成では、核内でDNAを鋳型にDNA依存性RNAポリメラーゼが転写を行ってmRNAを合成し、プロモーター領域に転写因子が結合して転写を制御する。次に細胞質のリボソームでmRNAを鋳型に翻訳が行われ、アミノアシルtRNAの合成にはATPが消費される。転写に必要なのはDNA依存性RNAポリメラーゼであり、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)はレトロウイルス等がRNAからDNAを合成する際に働く別の酵素である。●転写=DNA依存性RNAポリメラーゼ(核内、mRNA合成)。●翻訳=リボソーム(細胞質、アミノアシルtRNAとmRNA)。●逆転写=RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素、レトロウイルス)。●複製=DNA依存性DNAポリメラーゼ。

選択肢ごとの解説

第63回 午後38(臨床化学)

骨格筋のエネルギー源はどれか。

正答: ⑤クレアチンリン酸

ポイント
骨格筋では、収縮の瞬発的なエネルギー需要に対し、クレアチンリン酸が高エネルギーリン酸結合をADPに渡してATPを速やかに再生する(クレアチンキナーゼ反応)。クレアチンリン酸は即時的なエネルギーの貯蔵・供給源として働く。クレアチンはその前駆体、クレアチニンは代謝終末産物であり、グリシンとアルギニンはクレアチン合成の材料となるアミノ酸で、直接のエネルギー源ではない。●高エネルギーリン酸化合物=ATP・クレアチンリン酸・GTP・ホスホエノールピルビン酸。●クレアチン代謝=アルギニン+グリシン+メチオニン→クレアチン→クレアチンリン酸→クレアチニン(尿中排泄)。●筋のエネルギー供給系=ATP-クレアチンリン酸系(瞬発)・解糖系(無酸素)・酸化的リン酸化(有酸素)。

選択肢ごとの解説

第63回 午後39(臨床化学)

間接ビリルビンで正しいのはどれか。

正答: ④ジアゾ試薬との反応に反応促進剤を必要とする。

ポイント
間接ビリルビン(非抱合型ビリルビン)はグルクロン酸抱合を受けておらず脂溶性で、アルブミンと結合して血中を運ばれる。Jendrassik-Grof法などでジアゾ試薬と反応させる際、水溶性が低く反応性に乏しいため、カフェインなどの反応促進剤(可溶化剤)を加えて初めて発色する点が直接ビリルビンと異なる。直接ビリルビン(抱合型)はグルクロン酸とエステル結合し親水性で、促進剤なしにジアゾ試薬と速やかに反応する。●非抱合型(間接)ビリルビン=脂溶性・アルブミン結合・促進剤要・溶血性黄疸で増加。●抱合型(直接)ビリルビン=グルクロン酸抱合・親水性・促進剤不要・閉塞性/肝細胞性黄疸で増加。●δビリルビン=アルブミンと共有結合し半減期が長い。●ビリルビン測定法=Jendrassik-Grof法・酵素法・HPLC法。

選択肢ごとの解説

第63回 午後40(臨床化学)

血清0.2 mLを使用し、10分間の酵素反応を行ったところ、50 nmolの基質量が変化した。国際単位〈U/L〉として正しいのはどれか。

正答: ②25

ポイント
酵素活性の国際単位(U)は、1分間に1μmolの基質を変化させる酵素量と定義され、U/Lは検体1Lあたりの単位数を表す。本例では血清0.2mLで10分間に50nmol(=0.05μmol)が変化したので、1分あたりは0.05÷10=0.005μmol/0.2mLとなる。これを1L(0.2mLの5000倍)あたりに換算すると0.005×5000=25U/Lとなる。●酵素活性単位=U(μmol/分)・katal(mol/秒、SI単位)。●換算の手順=(変化量μmol÷反応時間min)÷検体量L。●単位換算=1U=16.67nkat、1μmol=1000nmol、1L=1000mL。

選択肢ごとの解説

第63回 午後41(臨床化学)

血清コリンエステラーゼのフルオライド阻害率測定に用いられるのはどれか。

正答: ①NaF

ポイント
血清コリンエステラーゼ(偽コリンエステラーゼ)の遺伝的変異の鑑別には、酵素を各種阻害剤で抑制したときの阻害率を指標とする方法があり、ジブカイン阻害率(ジブカイン番号)とフルオライド阻害率が代表的である。フルオライド阻害率の測定にはフッ化ナトリウム(NaF)を阻害剤として用いる。非定型変異型では正常型に比べこれらの阻害率が低下し、遷延性無呼吸の素因の判定に役立つ。●コリンエステラーゼ阻害試験=ジブカイン番号(ジブカイン)・フルオライド阻害率(NaF)。●臨床的意義=サクシニルコリンによる遷延性無呼吸(非定型変異型)の検出。●コリンエステラーゼ阻害物質=有機リン(パラチオン)・カルバメート・エゼリン(フィゾスチグミン)。●基質=サクシニルコリンなどのコリンエステル。

選択肢ごとの解説

第63回 午後42(臨床化学)

4℃の血清保存で不安定なアイソザイムはどれか。

正答: ①LD₅

ポイント
乳酸脱水素酵素(LD)のアイソザイムは、H型サブユニットが多いLD₁が低温で安定なのに対し、M型サブユニットが多いLD₅は4℃の冷蔵保存で失活しやすく不安定である。そのためLDアイソザイム分画では、検体を冷蔵せず室温保存するなど保存条件に注意する。ほかのアイソザイムは4℃保存で比較的安定である。●LDアイソザイム=LD₁・LD₂(心筋・赤血球・腎)/LD₃(肺・脾)/LD₄・LD₅(肝・骨格筋)。●低温で失活しやすい=LD₅(M型優位)。●LD上昇疾患=心筋梗塞・溶血・肝障害・悪性腫瘍。●検体保存の注意=LD₅は冷蔵を避ける、CKは光で失活、ALPは検体放置で上昇しうる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:LDアイソザイムの構造・組織分布・安定性

アイソザイムサブユニット構成主な分布臓器半減期の傾向4℃保存での安定性
LD1 (H4)H型4個心筋・赤血球・腎最も長い(約79時間)安定
LD2 (H3M1)H型3・M型1心筋・赤血球・腎長い安定
LD3H型2・M型2肺・脾・リンパ系中間比較的安定
LD4 (H1M3)H型1・M型3肝・骨格筋短い不安定
LD5 (M4)M型4個肝・骨格筋最も短い不安定(失活しやすい)
LDはH型・M型の2種類のサブユニットからなる四量体(分子量約134kDa)。健常人血清ではLD2の割合が最も高い。溶血で上昇するのはLD1・LD2。

第63回 午後43(臨床化学)

脂溶性ホルモンはどれか。2つ選べ。

正答: ②コルチゾール・③サイロキシン

ポイント
ステロイドホルモンと甲状腺ホルモンは脂溶性で、細胞膜を通過して細胞内(核内)受容体に結合し、遺伝子発現を介して作用する。副腎皮質由来のコルチゾールはステロイドホルモン、サイロキシン(T4)は甲状腺ホルモンで、いずれも脂溶性である。インスリン・成長ホルモン・プロラクチンはペプチド/蛋白ホルモンで水溶性であり、細胞膜の受容体を介して作用する。●脂溶性ホルモン=ステロイド(コルチゾール・アルドステロン・性ホルモン)・甲状腺ホルモン(T3・T4)。●水溶性ホルモン=ペプチド/蛋白(インスリン・成長ホルモン・プロラクチン・PTH・ACTH)・カテコールアミン(アドレナリン)。●受容体=脂溶性は核内受容体、水溶性は細胞膜受容体(セカンドメッセンジャー)。

選択肢ごとの解説

第63回 午後44(臨床化学)

下垂体後葉ホルモンはどれか。2つ選べ。

正答: ①オキシトシン・④バソプレッシン

ポイント
下垂体後葉(神経下垂体)から分泌されるのはオキシトシンとバソプレッシン(抗利尿ホルモン)で、これらは視床下部の神経細胞で産生され、軸索輸送により後葉へ運ばれて放出される。プロラクチンと成長ホルモンは下垂体前葉ホルモンであり、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は胎盤由来で下垂体ホルモンではない。●下垂体後葉ホルモン=オキシトシン・バソプレッシン(抗利尿ホルモン)。●下垂体前葉ホルモン=成長ホルモン・プロラクチン・ACTH・TSH・LH・FSH。●胎盤由来ホルモン=ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)・ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)・エストロゲン・プロゲステロン。

選択肢ごとの解説

第63回 午後45(病理組織細胞学)

H-E染色標本を別に示す。臓器または組織はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB045.9e5e334c06.jpg
第63回 午後45 の図

正答: ③小脳

ポイント
小脳皮質のヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色像は、表層の分子層、その下に一列に並ぶ大型のPurkinje細胞層、内側の核が密に集まる顆粒層という三層構造が特徴的で、組織学的に識別しやすい。大型で洋梨状のPurkinje細胞と、密な小型細胞からなる顆粒層の配置が小脳と判断する根拠となる。大脳皮質は六層構造、下垂体は内分泌細胞の索状・胞巣状配列を示し区別される。●小脳皮質=分子層・Purkinje細胞層・顆粒層(三層)。●大脳皮質=六層構造(分子層〜多形層)。●下垂体=内分泌細胞の索状/胞巣状配列。●末梢神経=神経線維束+神経内膜・周膜・上膜。●硬膜=緻密結合組織。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:脳の主な部位の組織学的特徴

部位組織学的特徴
大脳皮質灰白質は層構造を呈し錐体細胞・紡錘細胞など様々な神経細胞からなる。髄質(白質)は有髄神経線維からなる
小脳皮質表層から分子層・プルキンエ〈Purkinje〉細胞層・顆粒層の構造を呈し、Purkinje細胞が分子層と顆粒層に挟まれて横一列に並ぶ
下垂体前葉腺性下垂体。好酸性細胞・好塩基性細胞などの内分泌細胞からなる
下垂体後葉神経性下垂体。神経膠細胞と神経細胞由来の神経線維に富む
末梢神経神経細胞・神経線維とSchwann細胞などの支持細胞からなる

第63回 午後46(病理組織細胞学)

銅の代謝異常はどれか。

正答: ①Wilson病

ポイント
Wilson病(ウィルソン病)は銅代謝異常をきたす常染色体劣性遺伝疾患で、ATP7B遺伝子の異常により胆汁中への銅排泄とセルロプラスミンへの銅取り込みが障害され、肝・脳(特に大脳基底核)・角膜などに銅が過剰蓄積する。血清セルロプラスミン低下、Kayser-Fleischer角膜輪、肝障害、錐体外路症状などを呈する。●金属代謝異常=Wilson病(銅蓄積)・ヘモクロマトーシス/ヘモジデローシス(鉄蓄積)。●アミノ酸代謝異常=フェニルケトン尿症・ホモシスチン尿症・メープルシロップ尿症。●内分泌疾患=Addison病(副腎皮質機能低下)。●蛋白沈着症=アミロイドーシス。●Wilson病の所見=セルロプラスミン低下・尿中銅増加・角膜輪。

選択肢ごとの解説

第63回 午後47(病理組織細胞学)

肺腫瘍のH-E染色標本を別に示す。組織型はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB047.b424d66105.jpg
第63回 午後47 の図

正答: ④扁平上皮癌

ポイント
扁平上皮癌は角化(癌真珠)や細胞間橋を伴う重層扁平上皮への分化を示す癌で、肺では中枢の太い気管支に好発し、喫煙との関連が深い。H-E染色で好酸性に角化する腫瘍細胞や、同心円状に角化物が層状をなす癌真珠がみられれば扁平上皮癌を示唆する。腺癌は腺腔形成や粘液産生、小細胞癌は細胞質に乏しい小型の核濃染細胞を示し区別される。●肺癌の組織型=腺癌(末梢・腺腔/粘液)・扁平上皮癌(中枢・角化/癌真珠)・小細胞癌(中枢・神経内分泌・喫煙)・大細胞癌。●扁平上皮癌の特徴=癌真珠・細胞間橋・角化。●腺癌の特徴=腺管形成・粘液産生。●小細胞癌の特徴=小型細胞・クロマチン濃染・核molding。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)

組織型組織像・細胞像の特徴好発部位頻度予後
扁平上皮癌細胞間橋・角化・癌真珠。重層扁平上皮に類似。Pap染色では角化を反映した光輝性の橙色細胞質肺門部(中枢)約30%比較的良
腺癌管腔形成のある立方・円柱状上皮の増殖、粘液産生末梢部約38%(最多)不良
小細胞癌均等な小型細胞が胞巣状・索状に増殖、裸核様小型細胞、核鋳型(molding)、中心壊死肺門部(中枢)約22%最も不良
大細胞癌大型で多形性の細胞が特定の配列を作らず増殖、低分化末梢部に多い約4%不良
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。

第63回 午後48(病理組織細胞学)

パンチ生検を行うのはどれか。

正答: ③皮膚

ポイント
パンチ生検は円筒状の刃をもつ生検トレパン(パンチ)を皮膚に押し当てて回転させ、組織を円柱状に打ち抜いて採取する方法で、主に皮膚病変の組織診断に用いられる。肝臓・腎臓は経皮的針生検、前立腺は経直腸的針生検、リンパ節は摘出生検や針生検が行われ、パンチ生検は皮膚に対して行うのが代表的である。●皮膚=パンチ生検・切除生検。●肝臓・腎臓=経皮的針生検(コア針)。●前立腺=経直腸的(経会陰的)針生検。●リンパ節=摘出生検・針生検。●生検法の種類=針生検・パンチ生検・切除/切開生検・内視鏡的生検・擦過/穿刺吸引細胞診。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:生検法の種類と主な対象臓器

生検法対象・特徴
パンチ生検皮膚(円筒状のトレパンで組織を打ち抜く)
経皮的針生検(コア針)肝臓・腎臓などの実質臓器
経直腸的針生検前立腺
摘出生検・切除生検リンパ節・体表腫瘤など
内視鏡的生検消化管・気管支など管腔臓器

第63回 午後49(病理組織細胞学)

親水性〈水溶性〉包埋剤はどれか。2つ選べ。

正答: ①ゼラチン・⑤カーボワックス

ポイント
親水性(水溶性)包埋剤は、脱水・脱脂の工程を経ずに水溶性のまま組織を包埋できるため、脂質や水溶性物質の保持、酵素活性の保存に有利である。ゼラチンやカーボワックス(ポリエチレングリコール)がこれに該当する。パラフィンやセロイジンは脱水・脱脂を要する疎水性包埋剤であり、エポキシ樹脂は電子顕微鏡用の疎水性樹脂で水溶性ではない。●親水性(水溶性)包埋剤=ゼラチン・カーボワックス(ポリエチレングリコール)。●疎水性包埋剤=パラフィン(光顕ルーチン)・セロイジン(大きな硬組織)。●電子顕微鏡用樹脂=エポキシ樹脂・メタクリル樹脂。●水溶性包埋の利点=脱脂を避け脂質や酵素活性を保持。

選択肢ごとの解説

第63回 午後50(病理組織細胞学)

クリオスタットに用いられるミクロトームはどれか。

正答: ②ミノー〈Minot〉型

ポイント
クリオスタットは凍結切片を作製するために冷却箱(庫内)にミクロトームを組み込んだ装置で、回転運動で薄切する回転式のミノー(Minot)型ミクロトームが内蔵される。ミノー型は試料を上下に動かしながら一定の厚さで薄切する代表的なミクロトームで、低温下でも安定した薄切に適する。ユング型(滑走式)やザルトリウス型などは機構・用途が異なる。●ミクロトームの種類=ミノー型(回転式、パラフィン/凍結)・ユング型(滑走式、セロイジン)・摺動式・滑走式。●クリオスタット内蔵=ミノー(回転)型。●凍結切片の用途=術中迅速診断・脂肪染色・酵素組織化学・免疫染色。●凍結包埋剤=OCTコンパウンド。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ミクロトームの種類と特徴

構造名称使用目的特徴
滑走式Jung型パラフィン切片最も一般的に使用される。滑走路は2本
滑走式Schanze型パラフィン切片Jung型に比べて小型。滑走路は1本
滑走式Tetrander型パラフィン切片Jung型に比べて大型で、大型切片や硬組織の薄切に適する
回転式Sartorius型凍結切片試料台の組織片を液化炭酸ガスで凍結させながら薄切する
回転式Minot型パラフィン切片・凍結切片・電子顕微鏡用の超薄切片刃を上に向けて垂直に固定し回転ハンドルで薄切する。クリオスタット庫内に設置される
クリオスタットはMinot型ミクロトームを冷却庫内に内蔵した装置。一般的なパラフィンブロックの引き角は約45度、逃げ角は約5度前後に設定する。