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第63回(2017) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第63回 午後1(臨床検査総論)
医療用ガスとして容器に緑色のボンベが用いられるのはどれか。
正答: ④二酸化炭素
ポイント 高圧ガス保安法に基づく容器保安規則第10条により、高圧ガス容器(ボンベ)の法定塗色は、酸素=黒、水素=赤、液化炭酸ガス=緑、液化アンモニア=白、液化塩素=黄、アセチレン=かっ色、その他の種類の高圧ガス=ねずみ色と定められている。亜酸化窒素(笑気)や窒素は法定塗色では「その他」に属し、ねずみ色である。医療ガスの識別色として青(亜酸化窒素)などを併用する場合があるため、容器の法定塗色と区別し、ラベルも併せて確認する。したがって本問の緑色ボンベは二酸化炭素である。●法定塗色(容器保安規則)=酸素(黒)・水素(赤)・液化炭酸ガス(緑)・液化アンモニア(白)・液化塩素(黄)・アセチレン(かっ色)。●その他の高圧ガス=窒素・亜酸化窒素(笑気)・ヘリウムなどはねずみ色(灰色)。●注意=医療ガスとしての識別色(亜酸化窒素の青など)は容器の法定塗色とは別体系であり、混同しない。
選択肢ごとの解説
① 酸素ボンベの塗色は黒であり、緑色ではない。 ② 窒素はその他のガスに分類されボンベの塗色はねずみ色(灰色)である。 ③ 混合ガスには専用の単一塗色は規定されておらず、緑色には該当しない。 ④ 正しい。二酸化炭素ボンベの塗色が緑色である。 ⑤ 亜酸化窒素(笑気)は容器保安規則の「その他の種類の高圧ガス」に属し、法定塗色はねずみ色である。医療用途では識別のため青を併用することがあるが、法定の緑色は液化炭酸ガスである。
第63回 午後2(臨床検査総論)
管理限界内での微妙な偏りの発見に最も適している精度管理図法はどれか。
①x̄−R ②x̄−Rs ③累積和 ④x̄−Rs−R ⑤Westgardのマルチルール
正答: ③累積和
ポイント 累積和管理図(CUSUM、cumulative sum control chart)は、各測定値と目標値との差を順次累積して打点する手法で、管理限界内にとどまる程度の微小で持続的な偏り(系統誤差・ドリフト)を、折れ線の傾きの変化として早期に鋭敏に検出できる。Xbar-R管理図やWestgardのマルチルールは突発的で大きな逸脱の検出に優れるが、小さな持続的偏りには反応が鈍い。したがって管理限界内の微妙な偏りの発見には累積和法が最も適している。●偶然誤差(再現性・ばらつき)の管理=R管理図・Rs管理図。●平均値の管理=Xbar管理図。●系統誤差・微小持続偏りの検出=累積和(CUSUM)法。●複数ルールの組合せによる検出=Westgardのマルチルール(1₂s・1₃s・2₂s・R₄s・4₁s・10x̄など)。
選択肢ごとの解説
① Xbar-R管理図は群内変動と平均の管理に用いるが、微小な持続的偏りの検出には鈍い。 ② Xbar-Rs管理図も突発的な変動の把握が主で、累積的な微小偏りの検出力は劣る。 ③ 正しい。累積和法は差を累積するため管理限界内の微小で持続的な偏りを傾きの変化として鋭敏に検出できる。 ④ Xbar-Rs-R管理図は複数の変動成分を扱うが、微妙な偏りの発見に特化したものではない。 ⑤ Westgardのマルチルールは複数ルールの組合せで誤差を検出するが、微小な持続的偏りの早期発見では累積和法に劣る。
📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。
第63回 午後3(臨床検査総論)
尿潜血試験紙法で偽陰性の原因となるのはどれか。2つ選べ。
①亜硝酸塩 ②サラシ粉 ③過酸化水素 ④次亜塩素酸塩 ⑤アスコルビン酸
正答: ①亜硝酸塩・⑤アスコルビン酸
ポイント 尿潜血試験紙法は、ヘモグロビンやミオグロビンのもつペルオキシダーゼ様作用により過酸化物を分解し、色原体(テトラメチルベンジジンなど)を酸化発色させる原理である。強い還元物質であるアスコルビン酸(ビタミンC)が共存すると酸化発色が阻害されて偽陰性となり、亜硝酸塩も還元的に作用してヘモグロビンの反応を妨げ偽陰性をきたす。一方、サラシ粉・過酸化水素・次亜塩素酸塩は酸化剤として作用し、偽陽性の原因となる。●潜血反応の偽陰性=アスコルビン酸(強還元物質)・亜硝酸塩・高比重尿。●潜血反応の偽陽性=酸化剤混入(サラシ粉・次亜塩素酸塩・過酸化水素)・月経血混入・細菌のペルオキシダーゼ。●アスコルビン酸が偽陰性を起こす他項目=ブドウ糖・ビリルビン・潜血。
選択肢ごとの解説
① 正しい。亜硝酸塩は還元的に作用し試験紙の酸化発色を妨げて偽陰性の原因となる。 ② サラシ粉は酸化作用をもち、偽陽性の原因となる。 ③ 過酸化水素は酸化剤であり、ペルオキシダーゼ様反応を進めて偽陽性の原因となる。 ④ 次亜塩素酸塩は酸化剤であり、偽陽性の原因となる。 ⑤ 正しい。アスコルビン酸(ビタミンC)は強い還元物質で酸化発色を抑制し偽陰性の原因となる。
📋 まとめの表を見る:尿試験紙法の偽陽性・偽陰性反応
尿試験紙の糖・潜血反応は酸化発色を原理とするため、還元作用をもつビタミンC(アスコルビン酸)が共存すると偽陰性となる。逆に過酸化水素・次亜塩素酸塩・サラシ粉などの酸化剤が混入すると偽陽性を示す。
第63回 午後4(臨床検査総論)
髄液検査所見を示す。考えられる疾患はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB004.f0120bd8b5.jpg
①日本脳炎 ②くも膜下出血 ③結核性髄膜炎 ④細菌性髄膜炎 ⑤ウイルス性髄膜炎
正答: ③結核性髄膜炎
ポイント 結核性髄膜炎の髄液は、外観が無色透明〜日光微塵様で、髄液圧上昇、細胞数増加(単核球=リンパ球優位)、糖低下、蛋白増加を示す。トリプトファン反応陽性は結核性髄膜炎を示唆する所見であり、糖低下は結核菌や白血球による糖消費を反映する。単核球優位でありながら糖が低下するという組合せが結核性髄膜炎の典型像である。●糖低下+多核球優位=細菌性髄膜炎(外観混濁)。●糖低下+単核球優位=結核性髄膜炎・真菌性髄膜炎(クリプトコッカス)。●糖正常+単核球優位=ウイルス性髄膜炎・日本脳炎。●血性/キサントクロミー=くも膜下出血。
選択肢ごとの解説
① 日本脳炎などウイルス性では糖は正常で、トリプトファン反応も陰性が一般的である。 ② くも膜下出血では外観は血性〜キサントクロミーで、無色透明とはならない。 ③ 正しい。単核球優位・糖低下・トリプトファン反応陽性は結核性髄膜炎に合致する。 ④ 細菌性髄膜炎は外観混濁、多核球(好中球)優位で、主な細胞が単核球とはならない。 ⑤ ウイルス性髄膜炎は単核球優位だが糖は正常で、糖低下を説明できない。
📋 まとめの表を見る:髄液検査所見と疾患の鑑別(正常・出血・細菌性/結核性/真菌性/ウイルス性髄膜炎)
細菌性髄膜炎ではLD(乳酸脱水素酵素)も上昇する。髄液糖を評価する際は必ず同時測定した血糖値と比較する(髄液糖/血糖比は正常で約0.6)。
第63回 午後5(臨床検査総論)
胆石の主要な成分はどれか。2つ選べ。
①コレステロール ②尿酸アンモニウム ③シュウ酸カルシウム ④ビリルビンカルシウム ⑤リン酸マグネシウムアンモニウム
正答: ①コレステロール・④ビリルビンカルシウム
ポイント 胆石は組成によりコレステロール石、色素石(ビリルビンカルシウムを主とする黒色石・カルシウムビリルビネート石)、まれな混合石・その他に分類される。日本でも最も多いのはコレステロールを主成分とする胆石で、次いでビリルビンカルシウムを主体とする色素石が多い。尿酸アンモニウム・シュウ酸カルシウム・リン酸マグネシウムアンモニウムはいずれも尿路結石の成分であり、胆石の主成分ではない。●胆石の主成分=コレステロール・ビリルビンカルシウム(色素)・炭酸カルシウム。●尿路結石の主成分=シュウ酸カルシウム(最多)・リン酸カルシウム・尿酸・尿酸アンモニウム。●感染性尿路結石=リン酸マグネシウムアンモニウム(ストルバイト、ウレアーゼ産生菌)。●シスチン結石=シスチン尿症。
選択肢ごとの解説
① 正しい。コレステロールは胆石の最も主要な成分である。 ② 尿酸アンモニウムは尿路結石の成分であり、胆石の主成分ではない。 ③ シュウ酸カルシウムは尿路結石で最も多い成分であり、胆石の成分ではない。 ④ 正しい。ビリルビンカルシウムは色素石の主成分で胆石の主要成分の一つである。 ⑤ リン酸マグネシウムアンモニウム(ストルバイト)は感染性尿路結石の成分で、胆石の主成分ではない。
第63回 午後6(臨床検査総論)
海外から帰国後、発熱を主訴として外来を受診した患者の末梢血Giemsa染色薄層塗抹標本を別に示す。診断として正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB006.5ff5cfed49.jpg
①住血吸虫症 ②フィラリア症 ③熱帯熱マラリア ④四日熱マラリア ⑤トリパノソーマ症
正答: ④四日熱マラリア
ポイント 四日熱マラリアはPlasmodium malariae(四日熱マラリア原虫)による。Giemsa染色薄層塗抹では、感染赤血球が腫大せず正常大にとどまり、輪状体(リング)は太く、栄養体が赤血球を横断する帯状形(バンド型、band form)を示すのが特徴で、発熱周期は72時間(四日熱)である。シュフナー斑点はみられず、海外帰国後の発熱とこれらの形態像から四日熱マラリアと診断する。●腫大せず帯状栄養体=四日熱マラリア(P. malariae)。●腫大しシュフナー斑点・アメーバ状栄養体=三日熱(P. vivax)・卵形(P. ovale)マラリア。●腫大せず細い輪状体・多重感染・三日月形配偶子=熱帯熱マラリア(P. falciparum)。●赤血球外(血漿中)を遊走する鞭毛虫体=トリパノソーマ。●リーシュマニアはヒト体内では単核食細胞(マクロファージ)内の無鞭毛体として存在し、鞭毛をもつ前鞭毛体はサシチョウバエ体内や培養でみられる。
選択肢ごとの解説
① 住血吸虫症は虫卵を尿・糞便で検出する疾患で、末梢血薄層塗抹の所見ではない。 ② フィラリアは血中ミクロフィラリアとして検出され、赤血球内寄生の形態とは異なる。 ③ 熱帯熱マラリアは感染赤血球が腫大せず輪状体は細く多重感染がみられ、帯状形はとらない。 ④ 正しい。正常大の赤血球と帯状の栄養体は四日熱マラリアに合致する。 ⑤ トリパノソーマは血漿中を遊泳する鞭毛虫体として観察され、赤血球内寄生ではない。
📋 まとめの表を見る:マラリア原虫の種類別 形態・潜伏期・発熱間隔の比較
マラリア原虫はハマダラカに刺されてスポロゾイトが体内に侵入し、まず肝細胞内で増殖(赤外型)した後、赤血球内で輪状体→アメーバ体→分裂体と発育する(無性生殖)。
第63回 午後7(臨床検査総論)
寄生虫と宿主の組合せで正しいのはどれか。
①鉤虫 — アフリカマイマイ ②顎口虫 — ミヤイリガイ ③多包条虫 — エゾヤチネズミ ④横川吸虫 — マメタニシ ⑤Manson裂頭条虫 — サクラマス
正答: ③多包条虫 — エゾヤチネズミ
ポイント 多包条虫(エキノコックス、Echinococcus multilocularis)は、中間宿主であるエゾヤチネズミなどの野ネズミの肝臓に幼虫が寄生し、終宿主であるキタキツネ・イヌの小腸で成虫となる。北海道で問題となる人獣共通感染症である。組合せ問題では各寄生虫固有の中間宿主を対比して判断する。●エキノコックス=中間宿主エゾヤチネズミ/終宿主キツネ・イヌ。●日本住血吸虫=中間宿主ミヤイリガイ。●横川吸虫=第二中間宿主アユ(淡水魚)。●顎口虫=第一中間宿主ケンミジンコ/第二中間宿主ライギョ等淡水魚。●Manson裂頭条虫=第一中間宿主ケンミジンコ/第二中間宿主カエル・ヘビ等。●広東住血線虫=中間宿主アフリカマイマイ・ナメクジ。
選択肢ごとの解説
① 鉤虫は中間宿主を必要とせず経皮・経口感染し、アフリカマイマイ(広東住血線虫の中間宿主)とは無関係である。 ② 顎口虫の第一中間宿主はケンミジンコ、第二はライギョ等の淡水魚で、ミヤイリガイ(日本住血吸虫の中間宿主)ではない。 ③ 正しい。多包条虫はエゾヤチネズミなどの野ネズミを中間宿主とする。 ④ 横川吸虫の第二中間宿主はアユなどの淡水魚で、マメタニシ(マメタニシは横川吸虫の宿主ではない)の組合せは不適である。 ⑤ Manson裂頭条虫はケンミジンコや両生類・爬虫類を介し、サクラマスの組合せは不適である。
📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。
第63回 午後8(臨床検査総論)
傷害DNAの除去修復機構に関与する4種類の酵素、〈A〉エキソヌクレアーゼ、〈B〉エンドヌクレアーゼ、〈C〉DNAポリメラーゼ及び〈D〉リガーゼが作用する順番として正しいのはどれか。
①A→B→C→D ②A→C→D→B ③B→A→D→C ④B→C→A→D ⑤C→B→D→A
正答: ④B→C→A→D
ポイント 傷害(損傷)DNAの除去修復では、まず損傷部位を認識したエンドヌクレアーゼが損傷を含む鎖に切れ込み(ニック)を入れ、DNAポリメラーゼが切れ込みの3'末端から正常な相補鎖を鋳型に新しい鎖を合成しながら、エキソヌクレアーゼが損傷部を含む古い鎖を除去し、最後にDNAリガーゼが切れ目を連結する。したがってB(エンドヌクレアーゼ)→C(DNAポリメラーゼ)→A(エキソヌクレアーゼ)→D(リガーゼ)の順となる。●DNA修復機構=塩基除去修復(BER)・ヌクレオチド除去修復(NER)・ミスマッチ修復(MMR)・組換え修復。●NER関連酵素=エンドヌクレアーゼ・エキソヌクレアーゼ・DNAポリメラーゼ・DNAリガーゼ。●NER障害疾患=色素性乾皮症(XP)。●ミスマッチ修復障害=遺伝性非ポリポーシス大腸癌(リンチ症候群)。
選択肢ごとの解説
① エキソヌクレアーゼが最初では切れ込みの導入が行われておらず、順序として誤りである。 ② エキソヌクレアーゼによる除去の前にエンドヌクレアーゼの切断が来ておらず順序が誤りである。 ③ リガーゼによる連結がポリメラーゼの合成より前に来ており順序が誤りである。 ④ 正しい。エンドヌクレアーゼ→DNAポリメラーゼ→エキソヌクレアーゼ→リガーゼの順である。 ⑤ エンドヌクレアーゼによる切れ込みの導入より先にDNAポリメラーゼが作用しており順序が誤りである。
第63回 午後9(臨床検査総論)
PCR法で使用しないのはどれか。
①制限酵素 ②プライマー ③マグネシウムイオン ④耐熱性DNAポリメラーゼ ⑤デオキシリボヌクレオシド三リン酸
正答: ①制限酵素
ポイント PCR(polymerase chain reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)の反応液には、鋳型DNA、目的領域を挟む一対のプライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ(Taqなど)、合成基質となる4種のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)、酵素活性に必要なマグネシウムイオンを含む緩衝液が用いられる。制限酵素はDNAを特定塩基配列で切断する酵素で、増幅後の解析(制限酵素断片長多型など)に用いるが、増幅反応そのものには使用しない。●PCRの構成要素=鋳型DNA・プライマー・耐熱性DNAポリメラーゼ・dNTP・Mg²⁺・緩衝液。●PCRの温度サイクル=変性(熱解離)・アニーリング(結合)・伸長(合成)。●PCR応用=RT-PCR(逆転写)・リアルタイムPCR(定量)・PCR-RFLP(制限酵素で多型解析)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。制限酵素はDNA増幅反応には用いず、PCRで使用しない。 ② プライマーは増幅の起点となり必須である。 ③ マグネシウムイオンはDNAポリメラーゼの活性に必要な補因子で使用する。 ④ 耐熱性DNAポリメラーゼは高温の変性過程に耐えて合成を担うため必須である。 ⑤ デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)はDNA合成の基質として必須である。
第63回 午後10(臨床検査総論)
体細胞の有糸分裂が起こるのはどれか。
正答: ④M期
ポイント 細胞周期はG1期(DNA合成準備)、S期(DNA複製)、G2期(分裂準備)、M期(有糸分裂)からなり、G1・S・G2をまとめて間期という。分裂を終えて増殖を停止した細胞は休止状態のG0期に入ることがある。実際に染色体が凝縮・分配されて有糸分裂が起こるのはM期であり、その他の時期は複製や分裂の準備に費やされる。●間期=G1期(合成準備)・S期(DNA複製)・G2期(分裂準備)。●分裂期=M期(前期・中期・後期・終期に区分される有糸分裂)。●休止期=G0期(細胞周期から離脱した非増殖状態)。●細胞周期チェックポイント=G1/S・G2/M・紡錘体形成チェックポイント。
選択肢ごとの解説
① G0期は細胞周期から離脱した休止期で分裂は起こらない。 ② G1期はDNA合成の準備期(間期)で分裂は起こらない。 ③ G2期は分裂の準備期(間期)で、まだ有糸分裂は起こらない。 ④ 正しい。M期に染色体が分配される有糸分裂が起こる。 ⑤ S期はDNA複製の時期(間期)で分裂は起こらない。
第63回 午後11(臨床検査医学総論)
脂肪便が認められるのはどれか。
①肝硬変 ②大腸癌 ③食道潰瘍 ④慢性膵炎 ⑤胃粘膜下腫瘍
正答: ④慢性膵炎
ポイント 脂肪便(脂肪性下痢)は脂肪の消化吸収障害により便中に脂肪が過剰に排泄される状態で、膵外分泌酵素(リパーゼ)の欠乏や胆汁うっ滞、小腸吸収障害でみられる。慢性膵炎では膵外分泌機能が低下してリパーゼ分泌が減少するため脂肪消化が障害され、悪臭を伴い水に浮く灰白色〜淡黄色の脂肪便を呈する。肝硬変や消化管腫瘍では典型的な脂肪便は通常みられない。●消化不良性(膵性)脂肪便=慢性膵炎・膵癌・膵切除(リパーゼ低下)。●胆汁うっ滞性脂肪便=閉塞性黄疸(胆汁酸欠乏)。●吸収不良性脂肪便=セリアック病・短腸症候群・Crohn病。●脂肪便の検査=便中脂肪定量・Sudan III染色・便中エラスターゼ。
選択肢ごとの解説
① 肝硬変では蛋白合成低下や門脈圧亢進が主体で、脂肪便は典型的でない。 ② 大腸癌では血便・便通異常がみられるが脂肪便は特徴的でない。 ③ 食道潰瘍では嚥下時痛や出血が主で脂肪便は生じない。 ④ 正しい。慢性膵炎では膵リパーゼ分泌低下により脂肪消化が障害され脂肪便をきたす。 ⑤ 胃粘膜下腫瘍では脂肪消化に直接影響せず脂肪便は生じにくい。
第63回 午後12(臨床検査医学総論)
ネフローゼ症候群で正しいのはどれか。
①2型糖尿病は原因とならない。 ②微小変化群によるものは成人に多い。 ③紫斑病性腎炎によるものは小児に多い。 ④尿蛋白の診断基準は1 .5 g /日以上である。 ⑤診断基準に高トリグリセライド血症がある。
正答: ③紫斑病性腎炎によるものは小児に多い。
ポイント ネフローゼ症候群は高度蛋白尿(3.5g/日以上が持続)、低アルブミン血症(血清アルブミン3.0g/dL以下)、浮腫、脂質異常症(高コレステロール血症)を主徴とする。小児では微小変化型が最も多く、紫斑病性腎炎(IgA血管炎に伴う腎炎)によるものも小児に多い。成人では膜性腎症や2型糖尿病による糖尿病性腎症が原因となりうる。●小児に多い原因=微小変化型・紫斑病性腎炎(IgA血管炎)。●成人に多い原因=膜性腎症・巣状分節性糸球体硬化症・糖尿病性腎症(2型糖尿病)。●続発性ネフローゼ=糖尿病・全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)・アミロイドーシス。●診断必須項目=蛋白尿(3.5g/日以上)・低アルブミン血症。
選択肢ごとの解説
① 2型糖尿病に伴う糖尿病性腎症はネフローゼ症候群の原因となる。 ② 微小変化型ネフローゼは小児に多く、成人に多いとはいえない。 ③ 正しい。紫斑病性腎炎(IgA血管炎)によるネフローゼは小児に多くみられる。 ④ 尿蛋白の診断基準は3.5g/日以上であり、1.5g/日以上ではない。 ⑤ 脂質異常症はネフローゼ症候群にしばしば伴うが、診断の必須条件ではない。成人の必須条件は持続する蛋白尿(3.5g/日以上)と低アルブミン血症(血清アルブミン3.0g/dL以下)である。診断基準に脂質異常症として挙げられているのは高LDLコレステロール血症であり、高トリグリセライド血症ではない。
第63回 午後13(臨床検査医学総論)
血清と比較した血漿検体の特徴で正しいのはどれか。
①溶血が多い。 ②LD活性の偽高値が少ない。 ③凝固因子が含まれていない。 ④蛋白分画への影響が少ない。 ⑤採血から測定までに時間がかかる。
正答: ②LD活性の偽高値が少ない。
ポイント 血漿は抗凝固剤を加えて凝固させずに遠心して得る上清で、血清は凝固後に得る上清である。血漿では凝固が起こらないため、凝固に伴う血小板からの逸脱酵素の遊離が少なく、乳酸脱水素酵素(LD、lactate dehydrogenase)活性やカリウムの偽高値が血清より少ない。また採血後の凝固待ち時間が不要で迅速に分離でき、フィブリノゲンなど凝固因子を含む点が血清と異なる。●血漿の特徴=凝固因子(フィブリノゲン)を含む・凝固待ち不要で迅速・LDやカリウムの偽高値が少ない。●血清の特徴=凝固因子を含まない・蛋白分画でフィブリノゲンピークが出ない。●抗凝固剤の種類=EDTA(血球計数)・クエン酸ナトリウム(凝固)・ヘパリン(生化学・血液ガス)・フッ化ナトリウム(血糖)。
選択肢ごとの解説
① 溶血は採血手技に依存し、血漿で必ず多いわけではない。 ② 正しい。血漿は凝固に伴う血小板からのLD遊離がなく、LD活性の偽高値が少ない。 ③ 血漿にはフィブリノゲンなど凝固因子が含まれており、含まれないのは血清である。 ④ 血漿はフィブリノゲンを含むため蛋白分画でフィブリノゲンのピークが現れ影響が大きい。 ⑤ 血漿は凝固を待たずに分離できるため、測定までの時間はむしろ短い。
📋 まとめの表を見る:血清と血漿の違い
第63回 午後14(臨床検査医学総論)
血中濃度が朝方から午前中に高く、午後から夜間にかけて低くなるホルモンはどれか。
①コルチゾール ②アドレナリン ③アルドステロン ④抗利尿ホルモン ⑤甲状腺刺激ホルモン
正答: ①コルチゾール
ポイント コルチゾールは視床下部・下垂体・副腎皮質系(HPA系)の制御下に明瞭な日内変動を示し、早朝(起床前後)に最高値、午後から夜間(就寝時)に最低値となる。この早朝高値・夜間低値というパターンがコルチゾールの典型で、Cushing症候群ではこの日内リズムが消失する。採血時刻によって基準値の解釈が変わるため、日内変動の理解が重要である。●早朝高値・夜間低値=コルチゾール・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)。●夜間〜早朝に高い=甲状腺刺激ホルモン(TSH)・成長ホルモン(睡眠時分泌)・メラトニン・プロラクチン。●体位・塩分で変動=アルドステロン・レニン。●浸透圧・循環血液量で調節=抗利尿ホルモン(ADH)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。コルチゾールは早朝に高く夜間に低い日内変動を示す。 ② アドレナリンはストレスや活動で変動するが、明瞭な早朝高値の日内リズムを典型とはしない。 ③ アルドステロンも体位や時刻で変動するが、本問の早朝高値・夜間低値の典型例はコルチゾールである。 ④ 抗利尿ホルモンは血漿浸透圧や循環血液量で調節され、典型的な早朝高値の日内変動を主としない。 ⑤ 甲状腺刺激ホルモンはむしろ夜間〜早朝に高い傾向があり、本問の説明と合致しない。
📋 まとめの表を見る:血清成分の日内変動パターン
第63回 午後15(臨床検査医学総論)
慢性閉塞性肺疾患の病態を示すのはどれか。2つ選べ。
①肺気腫 ②肺腺癌 ③間質性肺炎 ④慢性気管支炎 ⑤サルコイドーシス
正答: ①肺気腫・④慢性気管支炎
ポイント 慢性閉塞性肺疾患(COPD、chronic obstructive pulmonary disease)は、たばこ煙などの有害物質吸入による気流閉塞を特徴とし、病理的には終末細気管支より末梢の気腔が拡大する肺気腫と、慢性の咳・痰を呈する慢性気管支炎が含まれる。いずれも1秒率低下を示す閉塞性換気障害が共通する。間質性肺炎やサルコイドーシスは拘束性換気障害が主体で、肺腺癌は悪性腫瘍であり該当しない。●閉塞性換気障害=COPD(肺気腫・慢性気管支炎)・気管支喘息・びまん性汎細気管支炎。●拘束性換気障害=間質性肺炎(特発性肺線維症)・サルコイドーシス・じん肺・胸郭異常。●COPDの所見=1秒率低下・残気量増加・DLCO低下(気腫型)・閉塞性換気障害。
選択肢ごとの解説
① 正しい。肺気腫は気腔拡大を伴う閉塞性疾患でCOPDに含まれる。 ② 肺腺癌は悪性腫瘍でありCOPDの病態には含まれない。 ③ 間質性肺炎は拘束性換気障害が主体でCOPDには含まれない。 ④ 正しい。慢性気管支炎は慢性の気道炎症による閉塞性疾患でCOPDに含まれる。 ⑤ サルコイドーシスは肉芽腫性疾患で、COPDの病態には含まれない。
第63回 午後16(臨床生理学)
心電図を別に示す。アーチファクトを除去するための適切な方法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB016.d87dd85fce.jpg
①枕を高くする。 ②息止めを行う。 ③両手首の汗を拭き取る。 ④リラックスするよう促す。 ⑤付近の電気機器のプラグを抜く。
正答: ⑤付近の電気機器のプラグを抜く。
ポイント 心電図のアーチファクトのうち、規則的で周期的な細かい振れ(交流雑音、ハム)は商用電源(50/60Hz)の混入によって生じる。対策はアース不良の確認や、周囲の電気機器のプラグを抜くなど電源由来雑音の除去である。基線の動揺は体動や呼吸、筋電図様雑音は緊張や寒さによる筋活動が原因であり、雑音の種類を見極めて対処を選ぶ。●交流(ハム)雑音=商用電源混入。対策=アース確認・電気機器のプラグを抜く・電源コードを遠ざける。●基線動揺=体動・呼吸・電極の接触不良。対策=電極固定・皮膚処理。●筋電図様雑音=緊張・寒さ・体動。対策=リラックス・保温。●低振幅・断線=電極装着不良・誘導コードの断線。
選択肢ごとの解説
① 枕を高くするのは基線動揺対策の一例だが、交流雑音の除去には無効である。 ② 息止めは呼吸性の基線変動対策で、交流雑音には対応しない。 ③ 汗の拭き取りは電極接触不良対策で、交流雑音の主因への対処ではない。 ④ リラックスは筋電図様雑音対策で、交流雑音の除去には直結しない。 ⑤ 正しい。付近の電気機器のプラグを抜くことで商用交流雑音を除去できる。
📋 まとめの表を見る:心電図のアーチファクト(雑音)の種類・原因・対策
第63回 午後17(臨床生理学)
疾患と心電図所見の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①心筋梗塞 — 異常Q波 ②第1度房室ブロック — QRS幅延長 ③完全右脚ブロック — PR時間短縮 ④WPW症候群 — QT時間短縮 ⑤心房細動 — RR間隔不整
正答: ①心筋梗塞 — 異常Q波・⑤心房細動 — RR間隔不整
ポイント 心電図所見と疾患の対応では、陳旧性心筋梗塞で壊死部に対応する誘導に異常Q波(幅0.04秒以上、深さR波の1/4以上)が出現し、心房細動では心房の無秩序な興奮によりRR間隔が不整となりP波消失・基線にf波がみられる。第1度房室ブロックはPR延長でQRS幅は正常、完全右脚ブロックはQRS幅延長(0.12秒以上)、WPW症候群はPR短縮・デルタ波・QRS幅延長が特徴である。●異常Q波=心筋梗塞(陳旧性)。●PR延長=第1度房室ブロック。●QRS幅延長=右脚ブロック・左脚ブロック・心室内伝導障害。●PR短縮+デルタ波=WPW症候群。●RR間隔不整+f波=心房細動。
選択肢ごとの解説
① 正しい。陳旧性心筋梗塞では壊死部に対応する誘導に異常Q波が出現する。 ② 第1度房室ブロックはPR時間延長を示すが、QRS幅は正常である。 ③ 完全右脚ブロックはQRS幅延長を示し、PR短縮ではない。 ④ WPW症候群はPR短縮とデルタ波が特徴で、QT短縮を特徴とはしない。 ⑤ 正しい。心房細動ではRR間隔が不整となる。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第63回 午後18(臨床生理学)
トレッドミル運動負荷心電図検査で直ちに負荷を中止しなければならないのはどれか。2つ選べ。
①QRS幅が0.08秒となった。 ②多源性心室性期外収縮が出現した。 ③0.5 mVの水平型ST低下を認めた。 ④心拍数が80/分から130/分に増加した。 ⑤PR時間が0.16秒から0.12秒に短縮した。
正答: ②多源性心室性期外収縮が出現した。・③0.5 mVの水平型ST低下を認めた。
ポイント トレッドミル運動負荷心電図では、重篤な不整脈や強い心筋虚血が出現した時に直ちに負荷を中止する。多源性(多形性)心室性期外収縮は心室細動に移行する危険のある重症不整脈で中止基準にあたり、水平型または下降型の有意なST低下(0.1mV以上)は心筋虚血を示し、0.5mVのST低下は明らかな虚血所見で中止対象である。QRS幅0.08秒や心拍数の生理的上昇、PR時間の軽度短縮は中止理由とならない。●運動負荷中止基準(不整脈)=多源性・連発・R on Tの心室性期外収縮、心室頻拍、高度房室ブロック。●中止基準(虚血)=有意なST低下・上昇、強い胸痛(狭心痛)。●中止基準(循環)=血圧低下、過度の血圧上昇、強い疲労・呼吸困難。●生理的反応(中止不要)=心拍数増加・正常範囲のQRS/PR。
選択肢ごとの解説
① QRS幅0.08秒は正常範囲であり中止理由とならない。 ② 正しい。多源性心室性期外収縮は重症不整脈で直ちに負荷を中止する。 ③ 正しい。0.5mVの水平型ST低下は強い心筋虚血を示し直ちに負荷を中止する。 ④ 心拍数の130/分への上昇は運動負荷で予測される生理的反応で中止理由とならない。 ⑤ PR時間が0.12秒に短縮しても基準範囲内で問題なく中止理由とならない。
📋 まとめの表を見る:運動負荷試験(トレッドミル)の中止基準
QRS幅0.08秒や心拍数の生理的な増加、基準範囲内のPR時間の変動は中止基準に該当しない。
第63回 午後19(臨床生理学)
機能的残気量を決定する因子はどれか。2つ選べ。
①気道抵抗 ②吸気筋力 ③呼気筋力 ④胸郭の拡張力 ⑤肺の弾性収縮力
正答: ④胸郭の拡張力・⑤肺の弾性収縮力
ポイント 機能的残気量(FRC、functional residual capacity)は安静呼気位における肺気量で、肺を縮めようとする肺の弾性収縮力と、胸郭を外側へ広げようとする胸郭の拡張力(弾性)が釣り合う平衡点で決まる。両者の力がバランスする位置がFRCに相当する。気道抵抗や呼吸筋力は換気の速度や最大吸気・呼気量を規定する因子であり、安静位の容量であるFRCを直接は決定しない。●FRC=予備呼気量+残気量。肺の弾性収縮力と胸郭の拡張力の平衡で決定。●FRC増加=肺気腫・気管支喘息発作(過膨張)。●FRC低下=肺線維症・肺水腫・肥満・腹水(拘束性)。●FRCの測定法=ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路・窒素洗い出し)・体プレチスモグラフ。
選択肢ごとの解説
① 気道抵抗は呼気流速などに影響するが、安静呼気位の容量であるFRCを直接決めない。 ② 吸気筋力は最大吸気量に関与するが、安静位のFRCの決定因子ではない。 ③ 呼気筋力は予備呼気量や最大呼出に関与するが、FRCを直接決定しない。 ④ 正しい。胸郭の拡張力(弾性)はFRCを決める平衡因子である。 ⑤ 正しい。肺の弾性収縮力はFRCを決める平衡因子である。
第63回 午後20(臨床生理学)
クロージングボリューム測定における単一窒素呼出曲線を別に示す。クロージングボリュームはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB020.13c6b941f6.jpg
正答: ⑤
ポイント クロージングボリューム測定の単一窒素呼出曲線では、100%酸素を最大吸気位まで吸入した後にゆっくり呼出すると、第I相(死腔ガス)、第II相(死腔と肺胞の移行)、第III相(肺胞プラトー)に続き、下肺領域の末梢気道が閉塞して上肺の高窒素濃度ガスが優位となる第IV相で窒素濃度が再上昇する。第III相と第IV相の境界点(閉塞開始点)から呼出終了(残気量位)までの量がクロージングボリュームであり、図ではその区間に対応する⑤が該当する。●単一窒素呼出曲線の各相=第I相(死腔)・第II相(移行)・第III相(肺胞プラトー)・第IV相(気道閉塞)。●クロージングボリューム(CV)=第IV相の起点から残気量位まで。●クロージングキャパシティ(CC)=CV+残気量。●CV/CC増加=末梢気道病変・加齢・喫煙。
選択肢ごとの解説
① ①は呼出初期の死腔成分(第I相)に相当しクロージングボリュームではない。 ② ②は移行相(第II相)付近でクロージングボリュームには相当しない。 ③ ③は肺胞プラトー(第III相)に相当しクロージングボリュームではない。 ④ ④は第III相と第IV相の境界(閉塞開始点)付近で、クロージングボリュームの起点であって容量区間そのものではない。 ⑤ 正しい。第IV相の起点から呼出終了(残気量位)までの区間がクロージングボリュームに相当する。
第63回 午後21(臨床生理学)
動脈血ガス分析の所見を示す。pH 7.33 PaCO₂ 60 Torr HCO₃⁻ 31 mEq/L酸塩基平衡異常はどれか。
①呼吸性アシドーシス ②混合性アシドーシス ③代謝性アシドーシス ④呼吸性アルカローシス ⑤代謝性アルカローシス
正答: ①呼吸性アシドーシス
ポイント pH 7.33は基準(7.35〜7.45)より低く酸血症を示し、PaCO₂ 60Torrは上昇(高二酸化炭素血症)でこれが酸性化の一次原因である。HCO₃⁻ 31mEq/Lの上昇は腎による代償性の重炭酸イオン再吸収増加と解釈でき、PaCO₂上昇が一次変化でpHが酸性側に傾いていることから呼吸性アシドーシスと判断する。慢性的な肺胞低換気でみられる像である。●呼吸性アシドーシス=PaCO₂上昇・pH低下(肺胞低換気:COPD・呼吸抑制・神経筋疾患)。代償=HCO₃⁻上昇。●呼吸性アルカローシス=PaCO₂低下・pH上昇(過換気)。●代謝性アシドーシス=HCO₃⁻低下・pH低下(腎不全・乳酸・ケトアシドーシス・下痢)。●代謝性アルカローシス=HCO₃⁻上昇・pH上昇(嘔吐・利尿薬)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。PaCO₂上昇による酸血症でHCO₃⁻は代償性に増加しており呼吸性アシドーシスである。 ② 混合性アシドーシスならHCO₃⁻が低下するはずだが、本例は増加しており該当しない。 ③ 代謝性アシドーシスならHCO₃⁻が低下するはずで、増加している本例は該当しない。 ④ 呼吸性アルカローシスならpHは上昇しPaCO₂は低下するが、本例とは逆である。 ⑤ 代謝性アルカローシスならpHは上昇するが、本例は酸血症で該当しない。
📋 まとめの表を見る:酸塩基平衡異常の4パターン(pH・一次性変化・代償性変化)
代償は血液pHを基準範囲(7.35〜7.45)へ戻そうとする働き。呼吸性代償は換気量の増減により数時間単位、代謝性(腎性)代償はHCO₃-の排泄調節により数日単位で生じる。代償が予測範囲を超える場合は混合性障害を疑う。
第63回 午後22(臨床生理学)
肺線維症患者の肺機能検査結果で認められないのはどれか。
①1秒率の低下 ②全肺気量の減少 ③機能的残気量の減少 ④肺拡散能〈DLCO〉の低下 ⑤静肺コンプライアンスの低下
正答: ①1秒率の低下
ポイント 肺線維症(特発性肺線維症など)は間質の線維化により肺が硬く縮む拘束性換気障害をきたす。全肺気量・肺活量・機能的残気量はいずれも減少し、肺が膨らみにくくなるため静肺コンプライアンスは低下、ガス交換障害により肺拡散能(DLCO、肺一酸化炭素拡散能)は低下する。気流閉塞はないため1秒率(FEV1.0%)はむしろ正常〜上昇し、低下は認められない。●拘束性換気障害の所見=肺活量・全肺気量・FRC低下、静肺コンプライアンス低下、DLCO低下、1秒率は正常〜上昇。●代表疾患=特発性肺線維症・じん肺・サルコイドーシス・胸郭異常・神経筋疾患。●閉塞性換気障害=1秒率低下・残気量増加(COPD・喘息)。●混合性換気障害=じん肺・進行例など。
選択肢ごとの解説
① 誤り。肺線維症は拘束性障害で1秒率は正常〜上昇し、1秒率の低下は認められない。 ② 全肺気量の減少は肺線維症で認められる所見である。 ③ 機能的残気量の減少は肺の縮小により肺線維症で認められる。 ④ 肺拡散能(DLCO)の低下はガス交換障害により肺線維症で認められる。 ⑤ 静肺コンプライアンスの低下は肺が硬くなるため肺線維症で認められる。
第63回 午後23(臨床生理学)
脳波で1.5〜2.5 Hzの鋭徐波複合がみられる疾患はどれか。
①肝性脳症 ②欠神発作 ③West症候群 ④Creutzfeldt-Jakob病 ⑤Lennox-Gastaut症候群
正答: ⑤Lennox-Gastaut症候群
ポイント Lennox-Gastaut症候群は小児期に発症する難治性てんかんで、脳波上1.5〜2.5Hzの遅い棘徐波複合(slow spike-and-wave)を特徴とし、強直発作・非定型欠神・脱力発作など多彩な発作型を呈する。欠神発作は3Hzの全般性棘徐波複合、West症候群はヒプスアリスミア、Creutzfeldt-Jakob病は周期性同期性放電(PSD)が特徴で区別される。●3Hz棘徐波複合=欠神発作(小児欠神てんかん)。●1.5〜2.5Hz遅い棘徐波複合=Lennox-Gastaut症候群。●ヒプスアリスミア=West症候群(点頭てんかん)。●周期性同期性放電(PSD)=Creutzfeldt-Jakob病・亜急性硬化性全脳炎(SSPE)。●三相波=肝性脳症などの代謝性脳症。
選択肢ごとの解説
① 肝性脳症は三相波が特徴で、1.5〜2.5Hzの遅い棘徐波複合とは異なる。 ② 欠神発作は3Hzの全般性棘徐波複合が特徴である。 ③ West症候群はヒプスアリスミアを示す。 ④ Creutzfeldt-Jakob病は周期性同期性放電(PSD)が特徴である。 ⑤ 正しい。Lennox-Gastaut症候群は1.5〜2.5Hzの遅い棘徐波複合を示す。
📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。
第63回 午後24(臨床生理学)
針筋電図で神経原性変化の所見はどれか。
①Waning現象 ②Waxing現象 ③安静時の急降下爆撃音 ④針電極刺入時活動の延長 ⑤随意弱収縮時の高振幅長持続電位
正答: ⑤随意弱収縮時の高振幅長持続電位
ポイント 針筋電図で神経原性変化(前角細胞や末梢神経の障害)では、残存運動単位からの側枝発芽による神経再支配が起こり、運動単位電位が高振幅・長持続・多相性となるため、随意弱収縮時に高振幅長持続電位がみられる。一方、筋原性変化では運動単位の筋線維が脱落して低振幅・短持続・多相性の電位を示す。Waning現象は反復刺激での漸減でMG様、急降下爆撃音は筋強直放電に関連する所見である。●神経原性変化=高振幅・長持続・多相性運動単位電位、線維束自発電位、安静時の線維自発電位・陽性鋭波。●筋原性変化=低振幅・短持続・多相性運動単位電位、早期動員。●筋強直放電=急降下爆撃音(筋強直性ジストロフィーなど)。●神経筋接合部障害=反復刺激でwaning(重症筋無力症)・waxing(Lambert-Eaton症候群)。
選択肢ごとの解説
① Waning現象は反復刺激での振幅漸減で重症筋無力症などに関連し、針筋電図の神経原性所見ではない。 ② Waxing現象は反復刺激での振幅漸増でLambert-Eaton症候群などに関連し、神経原性変化を示すものではない。 ③ 急降下爆撃音は筋強直放電に伴う所見で、神経原性変化の指標ではない。 ④ 刺入時活動の延長(筋強直放電)は筋強直性疾患で目立つ所見で、神経原性変化に特異的ではない。 ⑤ 正しい。随意弱収縮時の高振幅長持続電位は神経再支配を反映する神経原性変化の所見である。
第63回 午後25(臨床生理学)
前頸部横走査による甲状腺の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB025.e70f3bfef5.jpg
①音響陰影 ②外側陰影 ③後方エコー増強 ④コメットエコー ⑤ミラーイメージ
正答: ④コメットエコー
ポイント 甲状腺の超音波検査で、コロイドを含む小囊胞などにおいて微小な高エコー点から後方へ尾を引くように現れる多重反射のアーチファクトをコメットエコー(コメット様尾、コメットサイン)という。コロイド結節など良性病変の所見として知られる。音響陰影は石灰化・結石の後方が無エコーとなる所見、後方エコー増強は囊胞などの後方が明るくなる所見、ミラーイメージは横隔膜などの強反射面での鏡面反射による虚像である。●コメットエコー=コロイド囊胞・微小結晶・金属など。●音響陰影=石灰化・結石・骨。●後方エコー増強=囊胞・液体貯留。●外側陰影(辺縁陰影)=囊胞・腫瘤辺縁の屈折。●ミラーイメージ=横隔膜など強反射面での鏡面反射。
選択肢ごとの解説
① 音響陰影は石灰化や結石の後方が無エコーとなる所見で、尾を引く高エコーではない。 ② 外側陰影は囊胞や腫瘤の辺縁に生じる屈折由来の陰影で、本所見とは異なる。 ③ 後方エコー増強は囊胞の後方が明るくなる所見で、コメットエコーとは異なる。 ④ 正しい。微小高エコーから尾を引く多重反射はコメットエコーである。 ⑤ ミラーイメージは強反射面での鏡面反射による虚像で、本所見とは異なる。
第63回 午後26(臨床生理学)
超音波検査における観察部位と用いる探触子の組合せで適切なのはどれか。
①心臓 — コンベックス型 ②乳腺 — セクタ型 ③頸動脈 — リニア型 ④前立腺 — アーク型 ⑤下肢静脈 — ラジアル型
正答: ③頸動脈 — リニア型
ポイント 超音波探触子(プローブ)は観察対象の深さと視野の形状で選択する。頸動脈などの体表に近い浅在臓器・血管には、走査面が長方形で高周波・高分解能のリニア型が適する。心臓は狭い肋間から広い扇形視野を得る必要があるためセクタ型、腹部の深部臓器には扇形に広がるコンベックス型を用いる。●リニア型=頸動脈・甲状腺・乳腺・体表軟部・四肢血管(浅部高分解能)。●セクタ型=心臓(肋間からの扇形走査)。●コンベックス型=腹部・産科(深部の広い視野)。●経直腸・経腟用=前立腺・子宮(コンベックス系の専用プローブ)。●ラジアル型=消化管・血管の管腔内超音波(内視鏡・カテーテル先端)。
選択肢ごとの解説
① 心臓は肋間走査で扇形視野が必要なためセクタ型が適し、コンベックス型は不適である。 ② 乳腺は浅在臓器で高分解能のリニア型が適し、セクタ型は不適である。 ③ 正しい。頸動脈は体表に近い浅在血管で、高周波・高分解能のリニア型が適している。 ④ 前立腺は経直腸的に観察し経直腸用プローブ(コンベックス系)を用いるため、アーク型との組合せは適切でない。 ⑤ 下肢静脈は浅在血管でリニア型が適し、ラジアル型は管腔内超音波などで用いる。
📋 まとめの表を見る:超音波探触子(プローブ)の走査方式と主な用途
第63回 午後27(臨床生理学)
心窩部縦走査による上腹部の超音波像を別に示す。番号と臓器・組織の組合せで誤っているのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB027.3b57f2c711.jpg
①① — 皮下脂肪 ②② — 肝臓 ③③ — 膵臓 ④④ — 胃 ⑤⑤ — 下大静脈
正答: ⑤⑤ — 下大静脈
ポイント 心窩部縦走査の上腹部超音波では、体表側から皮下脂肪、その深部に肝臓左葉、肝の背側に胃や膵臓、さらに背側に大血管(腹部大動脈・下大静脈)が層状に描出される。腹部大動脈は厚い壁で拍動性が強く、下大静脈は薄壁で右房へ向かい呼吸性に径が変動する点で鑑別する。番号と臓器・組織の対応の誤りを問う設問で、⑤に対応する血管の同定が要点となる。●心窩部縦走査で描出される構造=皮下脂肪・腹直筋・肝左葉・胃・膵体部・脾静脈・腹部大動脈・下大静脈。●拍動性が強い管腔=腹部大動脈(厚壁)。●薄壁で呼吸性変動を示す管腔=下大静脈。●実質臓器=肝臓・膵臓。
選択肢ごとの解説
① ①の皮下脂肪は体表側に位置し、正しい対応である。 ② ②の肝臓は体表に近い実質臓器として描出され、正しい対応である。 ③ ③の膵臓は肝の背側に位置し、正しい対応である。 ④ ④の胃は膵の腹側に位置し、正しい対応である。 ⑤ 誤り。⑤に対応するのは下大静脈ではなく、本走査で描出される大血管(腹部大動脈)であり、組合せが誤っている。
📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:主な走査法と観察対象
心窩部縦走査では体表から深部へ皮下脂肪→肝左葉→膵頭部→腹部大動脈の順に描出される。腹部大動脈は拍動性が強く壁が厚い管腔、下大静脈は薄壁で呼吸性に変動する管腔として鑑別する。
第63回 午後28(臨床生理学)
疾患と超音波所見の組合せで誤っているのはどれか。
①肝硬変 — モザイクパターン ②急性膵炎 — 液体貯留 ③急性胆囊炎 — 胆囊壁肥厚 ④腎囊胞 — 内部無エコー ⑤大腸癌 — pseudokidney sign〈偽腎徴候〉
正答: ①肝硬変 — モザイクパターン
ポイント 疾患と超音波所見の対応では、急性膵炎で膵周囲の液体貯留、急性胆囊炎で胆囊壁肥厚(しばしば層状肥厚)、腎囊胞で内部無エコーと後方エコー増強、大腸癌で腫瘍が腸管壁を取り巻くpseudokidney sign(偽腎徴候)がみられる。モザイクパターンは腫瘍内部にエコーレベルの異なる領域が隔壁を挟んでモザイク状に混在してみえるBモードの所見(nodule in nodule)で、肝細胞癌に特徴的である。肝硬変の典型像は実質エコーの粗造化・肝表面の凹凸・辺縁鈍化・脾腫であり、モザイクパターンは合致しない。●肝硬変=肝表面凹凸・実質粗造・右葉萎縮と左葉/尾状葉腫大・脾腫・側副血行路。●肝細胞癌=モザイクパターン・ハロー・後方エコー増強。●急性胆囊炎=胆囊腫大・壁肥厚・debris。●急性膵炎=膵腫大・周囲液体貯留・低エコー化。●腎囊胞=境界明瞭・内部無エコー・後方エコー増強。●消化管腫瘍=pseudokidney sign(偽腎徴候)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。モザイクパターンは肝細胞癌でみられる腫瘍内部のエコー所見で、肝硬変の所見ではない。 ② 急性膵炎では膵周囲の液体貯留がみられ、正しい組合せである。 ③ 急性胆囊炎では胆囊壁肥厚がみられ、正しい組合せである。 ④ 腎囊胞は内部無エコーで後方エコー増強を伴い、正しい組合せである。 ⑤ 大腸癌などの消化管腫瘍ではpseudokidney sign(偽腎徴候)がみられ、正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。
第63回 午後29(臨床化学)
ATP産生に関与しないのはどれか。
①解糖系 ②β酸化 ③尿素回路 ④電子伝達系 ⑤クエン酸回路
正答: ③尿素回路
ポイント アデノシン三リン酸(ATP)は、解糖系での基質レベルのリン酸化、クエン酸回路(TCA回路)と電子伝達系による酸化的リン酸化で生成され、脂肪酸のβ酸化はアセチルCoAとNADH・FADH2を供給してATP産生に寄与する。尿素回路はアンモニアを尿素に変換して解毒する代謝経路で、反応にATPを消費するため、ATP産生には関与しない。●ATPを産生する経路=解糖系(基質レベル)・クエン酸回路・電子伝達系(酸化的リン酸化)・β酸化(還元当量供給)。●ATPを消費する同化・解毒経路=尿素回路・糖新生・脂肪酸合成・グリコーゲン合成。●基質レベルのリン酸化を行う反応=解糖系(ホスホグリセリン酸キナーゼ・ピルビン酸キナーゼ)・クエン酸回路(スクシニルCoA合成酵素)。
選択肢ごとの解説
① 解糖系は基質レベルのリン酸化でATPを産生する。 ② β酸化はNADH・FADH2とアセチルCoAを供給してATP産生に寄与する。 ③ 誤り。尿素回路はアンモニア解毒の経路でATPを消費し、ATP産生には関与しない。 ④ 電子伝達系は酸化的リン酸化で大量のATPを産生する。 ⑤ クエン酸回路はNADH・FADH2とGTPを生じ、ATP産生に寄与する。
第63回 午後30(臨床化学)
アラニンとの等電点の差が最も小さいのはどれか。
①リジン ②ロイシン ③アルギニン ④グルタミン酸 ⑤アスパラギン酸
正答: ②ロイシン
ポイント アミノ酸の等電点(pI)は側鎖の解離基により決まる。中性(脂肪族)アミノ酸であるアラニンのpIは約6で、同じく側鎖に電荷をもたない中性アミノ酸のロイシンも約6と最も近い。酸性アミノ酸のグルタミン酸・アスパラギン酸はpIが約3と低く、塩基性アミノ酸のリジン・アルギニンは約10前後と高いため、アラニンとの差はいずれも大きい。●中性アミノ酸(pI≒5.5〜6)=グリシン・アラニン・バリン・ロイシン・イソロイシン・セリン・トレオニンなど。●酸性アミノ酸(pI≒2.8〜3.2)=アスパラギン酸・グルタミン酸。●塩基性アミノ酸(pI≒7.6〜10.8)=ヒスチジン・リジン・アルギニン。
選択肢ごとの解説
① リジンは塩基性アミノ酸で等電点が約10と高く、アラニンとの差が大きい。 ② 正しい。ロイシンは中性アミノ酸で等電点が約6とアラニンに近く、差が最も小さい。 ③ アルギニンは塩基性アミノ酸で等電点が約11と高く、差が大きい。 ④ グルタミン酸は酸性アミノ酸で等電点が約3と低く、差が大きい。 ⑤ アスパラギン酸は酸性アミノ酸で等電点が約3と低く、差が大きい。
第63回 午後31(臨床化学)
ビタミンとその欠乏症との組合せで正しいのはどれか。
①ビタミンA — 皮膚炎 ②ビタミンB₁ — ペラグラ ③ビタミンB₁₂ — 夜盲症 ④ビタミンC — 脚気 ⑤ビタミンD — 骨粗鬆症
正答: ⑤ビタミンD — 骨粗鬆症
ポイント ビタミンと欠乏症の対応では、ビタミンD欠乏でカルシウム・リンの代謝障害により骨の石灰化が障害され、小児ではくる病、成人では骨軟化症をきたし、骨密度低下(骨粗鬆症)にも関与する。ビタミンA欠乏は夜盲症、ビタミンB₁(チアミン)欠乏は脚気、ビタミンB₁₂(コバラミン)欠乏は巨赤芽球性貧血、ナイアシン欠乏はペラグラ、ビタミンC(アスコルビン酸)欠乏は壊血病が対応する。●脂溶性ビタミン欠乏=A(夜盲症)・D(くる病/骨軟化症)・E(溶血・神経障害)・K(出血傾向)。●水溶性ビタミン欠乏=B1(脚気・Wernicke脳症)・B2(口角炎)・ナイアシン(ペラグラ)・B6(皮膚炎・痙攣)・B12/葉酸(巨赤芽球性貧血)・C(壊血病)。
選択肢ごとの解説
① ビタミンA欠乏は夜盲症が対応し、皮膚炎との組合せは誤りである。 ② ビタミンB₁欠乏は脚気が対応し、ペラグラ(ナイアシン欠乏)との組合せは誤りである。 ③ ビタミンB₁₂欠乏は巨赤芽球性貧血が対応し、夜盲症(ビタミンA欠乏)との組合せは誤りである。 ④ ビタミンC欠乏は壊血病が対応し、脚気(ビタミンB₁欠乏)との組合せは誤りである。 ⑤ 正しい。ビタミンD欠乏はカルシウム・リン代謝障害で骨の石灰化障害(骨軟化症・骨粗鬆症)をきたす。
📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。
第63回 午後32(臨床化学)
脱水時にみられるのはどれか。2つ選べ。
①血圧上昇 ②尿量減少 ③レニン分泌低下 ④アルドステロン分泌亢進 ⑤バソプレッシン分泌低下
正答: ②尿量減少・④アルドステロン分泌亢進
ポイント 脱水では体液量・循環血液量が減少し、腎血流低下を契機にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が活性化してアルドステロン分泌が亢進し、遠位尿細管・集合管でのナトリウムと水の再吸収が促進される。同時に血漿浸透圧上昇によりバソプレッシン(抗利尿ホルモン)分泌が亢進し、集合管での水再吸収が進むため尿量は減少する。循環血液量減少により血圧はむしろ低下傾向となる。●脱水で亢進=レニン・アンジオテンシンII・アルドステロン・バソプレッシン・口渇・尿濃縮(尿量減少)。●脱水で低下=循環血液量・血圧・尿量・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)。●体液量を保持するホルモン=アルドステロン(Na再吸収)・バソプレッシン(水再吸収)。
選択肢ごとの解説
① 脱水では循環血液量減少により血圧はむしろ低下傾向となる。 ② 正しい。脱水ではバソプレッシンとアルドステロンの作用で水・ナトリウムが再吸収され、尿量は減少する。 ③ 脱水ではレニン分泌はむしろ亢進する。 ④ 正しい。脱水ではレニン・アンジオテンシン系の活性化でアルドステロン分泌が亢進する。 ⑤ 脱水では血漿浸透圧上昇によりバソプレッシン分泌はむしろ亢進する。
第63回 午後33(臨床化学)
血清鉄100 μg/dL、不飽和鉄結合能150 μg/dLにおけるトランスフェリンの飽和度〈%〉はどれか。
正答: ③40
ポイント 総鉄結合能(TIBC)は血清鉄と不飽和鉄結合能(UIBC)の和で求められる。本例ではTIBC=血清鉄100+UIBC150=250μg/dLとなる。トランスフェリン飽和度(%)は血清鉄÷TIBC×100で計算され、100÷250×100=40%となる。鉄欠乏性貧血では血清鉄低下・TIBC上昇により飽和度が低下し、ヘモクロマトーシスなど鉄過剰では上昇する。●鉄代謝指標=血清鉄・TIBC・UIBC・トランスフェリン飽和度・フェリチン。●鉄欠乏性貧血=血清鉄低下・TIBC上昇・飽和度低下・フェリチン低下。●鉄過剰(ヘモクロマトーシス等)=血清鉄上昇・飽和度上昇・フェリチン上昇。●関係式=TIBC=血清鉄+UIBC、飽和度=血清鉄/TIBC×100。
選択肢ごとの解説
① 20は計算と一致せず誤りである。 ② 33は計算と一致せず誤りである。 ③ 正しい。100÷(100+150)×100=40%である。 ④ 60は計算と一致せず誤りである。 ⑤ 67は計算と一致せず誤りである。
第63回 午後34(臨床化学)
糖尿病型であるかどうかの判定に用いないのはどれか。
①HbA1c ②随時血糖値 ③空腹時血糖値 ④グリコアルブミン ⑤75 g経口グルコース負荷試験2時間値
正答: ④グリコアルブミン
ポイント 糖尿病型の判定には、随時血糖値・空腹時血糖値・75g経口グルコース負荷試験(OGTT)2時間値の血糖値と、慢性高血糖を反映するHbA1c(ヘモグロビンA1c)が用いられる。グリコアルブミンは過去約2週間の平均血糖を反映し血糖コントロールの評価には有用だが、糖尿病型を判定する診断基準には含まれない。●糖尿病型判定に用いる指標=空腹時血糖(≧126)・随時血糖(≧200)・75gOGTT2時間値(≧200)・HbA1c(≧6.5%)。●血糖コントロールの指標(診断基準外)=グリコアルブミン(約2週間)・1,5-アンヒドログルシトール・尿糖。●HbA1cが反映する期間=過去1〜2か月。
選択肢ごとの解説
① HbA1cは慢性高血糖の指標として糖尿病型の判定に用いられる。 ② 随時血糖値は糖尿病型の判定に用いられる。 ③ 空腹時血糖値は糖尿病型の判定に用いられる。 ④ 正しい。グリコアルブミンは血糖コントロールの評価には使うが、糖尿病型の判定には用いない。 ⑤ 75g経口グルコース負荷試験2時間値は糖尿病型の判定に用いられる。
第63回 午後35(臨床化学)
LDL受容体のリガンドはどれか。2つ選べ。
①アポA1 ②アポA2 ③アポB100 ④アポC2 ⑤アポE
正答: ③アポB100・⑤アポE
ポイント LDL(低比重リポ蛋白)受容体はアポリポ蛋白を認識してリポ蛋白を取り込む。LDLに存在するアポB100と、IDL(中間比重リポ蛋白)・カイロミクロンレムナント等に存在するアポEがLDL受容体のリガンドとなり、受容体への結合と細胞内取り込みを担う。アポA1・A2はHDL(高比重リポ蛋白)の主要構成蛋白、アポC2はリポ蛋白リパーゼの補酵素であり、LDL受容体のリガンドではない。●LDL受容体のリガンド=アポB100・アポE。●HDLの主要アポ蛋白=アポA1(LCAT活性化)・アポA2。●酵素活性に関与=アポC2(リポ蛋白リパーゼ活性化)・アポC3(抑制)。●リポ蛋白とアポ蛋白=カイロミクロン(B48)・VLDL/LDL(B100)・HDL(A1/A2)・レムナント(E)。
選択肢ごとの解説
① アポA1はHDLの主要アポ蛋白でLCATを活性化し、LDL受容体のリガンドではない。 ② アポA2もHDLの構成成分で、LDL受容体のリガンドではない。 ③ 正しい。アポB100はLDL受容体のリガンドである。 ④ アポC2はリポ蛋白リパーゼの補酵素で、LDL受容体のリガンドではない。 ⑤ 正しい。アポEはLDL受容体(およびレムナント受容体)のリガンドである。
第63回 午後36(臨床化学)
リポ蛋白分析法として用いないのはどれか。
①沈殿法 ②HPLC法 ③電気泳動法 ④超遠心分離法 ⑤ガスクロマトグラフィ
正答: ⑤ガスクロマトグラフィ
ポイント リポ蛋白の分析には、密度差を利用する超遠心分離法、荷電や粒子径の違いによる電気泳動法、ポリアニオンや二価陽イオンで特定分画を沈殿させる沈殿法、粒子径で分画する高速液体クロマトグラフィ(HPLC、ゲル濾過)が用いられる。ガスクロマトグラフィは試料を気化させて分離する手法で、揮発性・低分子物質の分析に適し、巨大なリポ蛋白粒子の分析には用いられない。●リポ蛋白分析法=超遠心分離法(密度)・電気泳動法(荷電・大きさ)・沈殿法(ポリアニオン沈殿)・HPLC(粒子径)。●分画と密度=カイロミクロン<VLDL<IDL<LDL<HDL。●ガスクロマトグラフィの用途=揮発性低分子(脂肪酸・薬物・有機酸など)の分析。
選択肢ごとの解説
① 沈殿法はリポ蛋白分画の測定に用いられる。 ② HPLC法は粒子径による分画でリポ蛋白分析に用いられる。 ③ 電気泳動法はリポ蛋白の分画に用いられる。 ④ 超遠心分離法は密度差によるリポ蛋白分析の基準的方法である。 ⑤ 誤り。ガスクロマトグラフィは揮発性低分子の分析法で、リポ蛋白分析には用いない。
第63回 午後37(臨床化学)
蛋白質の生合成で誤っているのはどれか。
①転写は核内で行われる。 ②翻訳はリボソームで行われる。 ③プロモーター領域に転写因子が結合する。 ④アミノアシル-tRNAの生合成にはATPが必要である。 ⑤転写にはRNA依存性DNAポリメラーゼが必要である。
正答: ⑤転写にはRNA依存性DNAポリメラーゼが必要である。
ポイント 蛋白質生合成では、核内でDNAを鋳型にDNA依存性RNAポリメラーゼが転写を行ってmRNAを合成し、プロモーター領域に転写因子が結合して転写を制御する。次に細胞質のリボソームでmRNAを鋳型に翻訳が行われ、アミノアシルtRNAの合成にはATPが消費される。転写に必要なのはDNA依存性RNAポリメラーゼであり、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)はレトロウイルス等がRNAからDNAを合成する際に働く別の酵素である。●転写=DNA依存性RNAポリメラーゼ(核内、mRNA合成)。●翻訳=リボソーム(細胞質、アミノアシルtRNAとmRNA)。●逆転写=RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素、レトロウイルス)。●複製=DNA依存性DNAポリメラーゼ。
選択肢ごとの解説
① 転写は核内で行われ、正しい記述である。 ② 翻訳はリボソームで行われ、正しい記述である。 ③ プロモーター領域に転写因子が結合し、正しい記述である。 ④ アミノアシルtRNAの生合成にはATPが必要で、正しい記述である。 ⑤ 誤り。転写にはDNA依存性RNAポリメラーゼが必要で、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)ではない。
第63回 午後38(臨床化学)
骨格筋のエネルギー源はどれか。
①グリシン ②アルギニン ③クレアチン ④クレアチニン ⑤クレアチンリン酸
正答: ⑤クレアチンリン酸
ポイント 骨格筋では、収縮の瞬発的なエネルギー需要に対し、クレアチンリン酸が高エネルギーリン酸結合をADPに渡してATPを速やかに再生する(クレアチンキナーゼ反応)。クレアチンリン酸は即時的なエネルギーの貯蔵・供給源として働く。クレアチンはその前駆体、クレアチニンは代謝終末産物であり、グリシンとアルギニンはクレアチン合成の材料となるアミノ酸で、直接のエネルギー源ではない。●高エネルギーリン酸化合物=ATP・クレアチンリン酸・GTP・ホスホエノールピルビン酸。●クレアチン代謝=アルギニン+グリシン+メチオニン→クレアチン→クレアチンリン酸→クレアチニン(尿中排泄)。●筋のエネルギー供給系=ATP-クレアチンリン酸系(瞬発)・解糖系(無酸素)・酸化的リン酸化(有酸素)。
選択肢ごとの解説
① グリシンはクレアチン合成の材料となるが、直接のエネルギー源ではない。 ② アルギニンもクレアチン合成に関与するが、骨格筋の即時エネルギー源ではない。 ③ クレアチンはクレアチンリン酸の前駆体だが、高エネルギーリン酸供給体そのものではない。 ④ クレアチニンはクレアチンの代謝終末産物でエネルギー源にはならない。 ⑤ 正しい。クレアチンリン酸は高エネルギーリン酸を供給する骨格筋の即時的エネルギー源である。
第63回 午後39(臨床化学)
間接ビリルビンで正しいのはどれか。
①親水性である。 ②グルクロン酸とエステル結合している。 ③直接ビリルビンと比べて光で分解されにくい。 ④ジアゾ試薬との反応に反応促進剤を必要とする。 ⑤HPLC法によってβビリルビンとして検出される。
正答: ④ジアゾ試薬との反応に反応促進剤を必要とする。
ポイント 間接ビリルビン(非抱合型ビリルビン)はグルクロン酸抱合を受けておらず脂溶性で、アルブミンと結合して血中を運ばれる。Jendrassik-Grof法などでジアゾ試薬と反応させる際、水溶性が低く反応性に乏しいため、カフェインなどの反応促進剤(可溶化剤)を加えて初めて発色する点が直接ビリルビンと異なる。直接ビリルビン(抱合型)はグルクロン酸とエステル結合し親水性で、促進剤なしにジアゾ試薬と速やかに反応する。●非抱合型(間接)ビリルビン=脂溶性・アルブミン結合・促進剤要・溶血性黄疸で増加。●抱合型(直接)ビリルビン=グルクロン酸抱合・親水性・促進剤不要・閉塞性/肝細胞性黄疸で増加。●δビリルビン=アルブミンと共有結合し半減期が長い。●ビリルビン測定法=Jendrassik-Grof法・酵素法・HPLC法。
選択肢ごとの解説
① 間接ビリルビンは脂溶性であり、親水性ではない。 ② グルクロン酸とエステル結合しているのは直接(抱合型)ビリルビンである。 ③ 間接ビリルビンも光で分解され、直接ビリルビンより分解されにくいわけではない。 ④ 正しい。間接ビリルビンはジアゾ反応に反応促進剤(カフェインなど)を必要とする。 ⑤ HPLCでβビリルビンとして検出されるのは抱合型ビリルビンであり、間接ビリルビンの特徴とはいえない。
第63回 午後40(臨床化学)
血清0.2 mLを使用し、10分間の酵素反応を行ったところ、50 nmolの基質量が変化した。国際単位〈U/L〉として正しいのはどれか。
正答: ②25
ポイント 酵素活性の国際単位(U)は、1分間に1μmolの基質を変化させる酵素量と定義され、U/Lは検体1Lあたりの単位数を表す。本例では血清0.2mLで10分間に50nmol(=0.05μmol)が変化したので、1分あたりは0.05÷10=0.005μmol/0.2mLとなる。これを1L(0.2mLの5000倍)あたりに換算すると0.005×5000=25U/Lとなる。●酵素活性単位=U(μmol/分)・katal(mol/秒、SI単位)。●換算の手順=(変化量μmol÷反応時間min)÷検体量L。●単位換算=1U=16.67nkat、1μmol=1000nmol、1L=1000mL。
選択肢ごとの解説
① 5は計算と一致せず誤りである。 ② 正しい。(50nmol÷10分)を0.2mLから1Lに換算すると25U/Lである。 ③ 50は計算と一致せず誤りである。 ④ 250は計算と一致せず誤りである。 ⑤ 500は計算と一致せず誤りである。
第63回 午後41(臨床化学)
血清コリンエステラーゼのフルオライド阻害率測定に用いられるのはどれか。
①NaF ②エゼリン ③ジブカイン ④パラチオン ⑤サクシニルコリン
正答: ①NaF
ポイント 血清コリンエステラーゼ(偽コリンエステラーゼ)の遺伝的変異の鑑別には、酵素を各種阻害剤で抑制したときの阻害率を指標とする方法があり、ジブカイン阻害率(ジブカイン番号)とフルオライド阻害率が代表的である。フルオライド阻害率の測定にはフッ化ナトリウム(NaF)を阻害剤として用いる。非定型変異型では正常型に比べこれらの阻害率が低下し、遷延性無呼吸の素因の判定に役立つ。●コリンエステラーゼ阻害試験=ジブカイン番号(ジブカイン)・フルオライド阻害率(NaF)。●臨床的意義=サクシニルコリンによる遷延性無呼吸(非定型変異型)の検出。●コリンエステラーゼ阻害物質=有機リン(パラチオン)・カルバメート・エゼリン(フィゾスチグミン)。●基質=サクシニルコリンなどのコリンエステル。
選択肢ごとの解説
① 正しい。フルオライド阻害率の測定にはフッ化ナトリウム(NaF)を用いる。 ② エゼリンはコリンエステラーゼ阻害剤だが、フルオライド阻害率の試薬ではない。 ③ ジブカインはジブカイン阻害率(ジブカイン番号)の測定に用いる。 ④ パラチオンは有機リン系のコリンエステラーゼ阻害物質で、本試験の試薬ではない。 ⑤ サクシニルコリンはコリンエステラーゼの基質となる筋弛緩薬で、本試験の試薬ではない。
第63回 午後42(臨床化学)
4℃の血清保存で不安定なアイソザイムはどれか。
①LD₅ ②ALP₂ ③c-AST ④CK-MM ⑤唾液腺型アミラーゼ
正答: ①LD₅
ポイント 乳酸脱水素酵素(LD)のアイソザイムは、H型サブユニットが多いLD₁が低温で安定なのに対し、M型サブユニットが多いLD₅は4℃の冷蔵保存で失活しやすく不安定である。そのためLDアイソザイム分画では、検体を冷蔵せず室温保存するなど保存条件に注意する。ほかのアイソザイムは4℃保存で比較的安定である。●LDアイソザイム=LD₁・LD₂(心筋・赤血球・腎)/LD₃(肺・脾)/LD₄・LD₅(肝・骨格筋)。●低温で失活しやすい=LD₅(M型優位)。●LD上昇疾患=心筋梗塞・溶血・肝障害・悪性腫瘍。●検体保存の注意=LD₅は冷蔵を避ける、CKは光で失活、ALPは検体放置で上昇しうる。
選択肢ごとの解説
① 正しい。LD₅はM型サブユニットが多く、4℃保存で失活しやすく不安定である。 ② ALP₂(肝型)は4℃保存で比較的安定である。 ③ c-AST(細胞質型AST)は本問の不安定アイソザイムには該当しない。 ④ CK-MMは骨格筋型で、4℃保存で比較的安定である。 ⑤ 唾液腺型アミラーゼは4℃保存で比較的安定である。
📋 まとめの表を見る:LDアイソザイムの構造・組織分布・安定性
LDはH型・M型の2種類のサブユニットからなる四量体(分子量約134kDa)。健常人血清ではLD2の割合が最も高い。溶血で上昇するのはLD1・LD2。
第63回 午後43(臨床化学)
脂溶性ホルモンはどれか。2つ選べ。
①インスリン ②コルチゾール ③サイロキシン ④成長ホルモン ⑤プロラクチン
正答: ②コルチゾール・③サイロキシン
ポイント ステロイドホルモンと甲状腺ホルモンは脂溶性で、細胞膜を通過して細胞内(核内)受容体に結合し、遺伝子発現を介して作用する。副腎皮質由来のコルチゾールはステロイドホルモン、サイロキシン(T4)は甲状腺ホルモンで、いずれも脂溶性である。インスリン・成長ホルモン・プロラクチンはペプチド/蛋白ホルモンで水溶性であり、細胞膜の受容体を介して作用する。●脂溶性ホルモン=ステロイド(コルチゾール・アルドステロン・性ホルモン)・甲状腺ホルモン(T3・T4)。●水溶性ホルモン=ペプチド/蛋白(インスリン・成長ホルモン・プロラクチン・PTH・ACTH)・カテコールアミン(アドレナリン)。●受容体=脂溶性は核内受容体、水溶性は細胞膜受容体(セカンドメッセンジャー)。
選択肢ごとの解説
① インスリンはペプチドホルモンで水溶性である。 ② 正しい。コルチゾールはステロイドホルモンで脂溶性である。 ③ 正しい。サイロキシンは甲状腺ホルモンで脂溶性である。 ④ 成長ホルモンは蛋白ホルモンで水溶性である。 ⑤ プロラクチンは蛋白ホルモンで水溶性である。
第63回 午後44(臨床化学)
下垂体後葉ホルモンはどれか。2つ選べ。
①オキシトシン ②プロラクチン ③成長ホルモン ④バソプレッシン ⑤ヒト絨毛性ゴナドトロピン
正答: ①オキシトシン・④バソプレッシン
ポイント 下垂体後葉(神経下垂体)から分泌されるのはオキシトシンとバソプレッシン(抗利尿ホルモン)で、これらは視床下部の神経細胞で産生され、軸索輸送により後葉へ運ばれて放出される。プロラクチンと成長ホルモンは下垂体前葉ホルモンであり、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は胎盤由来で下垂体ホルモンではない。●下垂体後葉ホルモン=オキシトシン・バソプレッシン(抗利尿ホルモン)。●下垂体前葉ホルモン=成長ホルモン・プロラクチン・ACTH・TSH・LH・FSH。●胎盤由来ホルモン=ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)・ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)・エストロゲン・プロゲステロン。
選択肢ごとの解説
① 正しい。オキシトシンは下垂体後葉ホルモンである。 ② プロラクチンは下垂体前葉ホルモンである。 ③ 成長ホルモンは下垂体前葉ホルモンである。 ④ 正しい。バソプレッシン(抗利尿ホルモン)は下垂体後葉ホルモンである。 ⑤ ヒト絨毛性ゴナドトロピンは胎盤由来のホルモンである。
第63回 午後45(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。臓器または組織はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB045.9e5e334c06.jpg
正答: ③小脳
ポイント 小脳皮質のヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色像は、表層の分子層、その下に一列に並ぶ大型のPurkinje細胞層、内側の核が密に集まる顆粒層という三層構造が特徴的で、組織学的に識別しやすい。大型で洋梨状のPurkinje細胞と、密な小型細胞からなる顆粒層の配置が小脳と判断する根拠となる。大脳皮質は六層構造、下垂体は内分泌細胞の索状・胞巣状配列を示し区別される。●小脳皮質=分子層・Purkinje細胞層・顆粒層(三層)。●大脳皮質=六層構造(分子層〜多形層)。●下垂体=内分泌細胞の索状/胞巣状配列。●末梢神経=神経線維束+神経内膜・周膜・上膜。●硬膜=緻密結合組織。
選択肢ごとの解説
① 下垂体は内分泌細胞の索状・胞巣状配列を示し、三層構造の小脳とは異なる。 ② 硬膜は緻密結合組織で細胞構築に乏しく、本像とは異なる。 ③ 正しい。分子層・Purkinje細胞層・顆粒層の三層構造は小脳に合致する。 ④ 大脳皮質は六層構造で、三層構造の小脳とは異なる。 ⑤ 末梢神経は神経線維束と神経内膜・周膜などの構造を示し、本像とは異なる。
📋 まとめの表を見る:脳の主な部位の組織学的特徴
第63回 午後46(病理組織細胞学)
銅の代謝異常はどれか。
①Wilson病 ②Addison病 ③アミロイドーシス ④ヘモクロマトーシス ⑤フェニルケトン尿症
正答: ①Wilson病
ポイント Wilson病(ウィルソン病)は銅代謝異常をきたす常染色体劣性遺伝疾患で、ATP7B遺伝子の異常により胆汁中への銅排泄とセルロプラスミンへの銅取り込みが障害され、肝・脳(特に大脳基底核)・角膜などに銅が過剰蓄積する。血清セルロプラスミン低下、Kayser-Fleischer角膜輪、肝障害、錐体外路症状などを呈する。●金属代謝異常=Wilson病(銅蓄積)・ヘモクロマトーシス/ヘモジデローシス(鉄蓄積)。●アミノ酸代謝異常=フェニルケトン尿症・ホモシスチン尿症・メープルシロップ尿症。●内分泌疾患=Addison病(副腎皮質機能低下)。●蛋白沈着症=アミロイドーシス。●Wilson病の所見=セルロプラスミン低下・尿中銅増加・角膜輪。
選択肢ごとの解説
① 正しい。Wilson病は銅の代謝異常による疾患である。 ② Addison病は副腎皮質機能低下症で、銅代謝異常ではない。 ③ アミロイドーシスはアミロイド蛋白の沈着で、銅代謝異常ではない。 ④ ヘモクロマトーシスは鉄の過剰蓄積で、銅代謝異常ではない。 ⑤ フェニルケトン尿症はフェニルアラニン代謝異常で、銅代謝異常ではない。
第63回 午後47(病理組織細胞学)
肺腫瘍のH-E染色標本を別に示す。組織型はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB047.b424d66105.jpg
①腺癌 ②小細胞癌 ③軟骨肉腫 ④扁平上皮癌 ⑤悪性リンパ腫
正答: ④扁平上皮癌
ポイント 扁平上皮癌は角化(癌真珠)や細胞間橋を伴う重層扁平上皮への分化を示す癌で、肺では中枢の太い気管支に好発し、喫煙との関連が深い。H-E染色で好酸性に角化する腫瘍細胞や、同心円状に角化物が層状をなす癌真珠がみられれば扁平上皮癌を示唆する。腺癌は腺腔形成や粘液産生、小細胞癌は細胞質に乏しい小型の核濃染細胞を示し区別される。●肺癌の組織型=腺癌(末梢・腺腔/粘液)・扁平上皮癌(中枢・角化/癌真珠)・小細胞癌(中枢・神経内分泌・喫煙)・大細胞癌。●扁平上皮癌の特徴=癌真珠・細胞間橋・角化。●腺癌の特徴=腺管形成・粘液産生。●小細胞癌の特徴=小型細胞・クロマチン濃染・核molding。
選択肢ごとの解説
① 腺癌は腺腔形成や粘液産生を特徴とし、角化を示す本像とは異なる。 ② 小細胞癌は細胞質に乏しい小型の核濃染細胞からなり、角化を示さない。 ③ 軟骨肉腫は軟骨基質を産生する間葉系腫瘍で、上皮性の本像とは異なる。 ④ 正しい。角化(癌真珠)や細胞間橋を伴う本像は扁平上皮癌に合致する。 ⑤ 悪性リンパ腫はリンパ系細胞のびまん性増殖で、上皮性の癌真珠を示さない。
📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。
第63回 午後48(病理組織細胞学)
パンチ生検を行うのはどれか。
正答: ③皮膚
ポイント パンチ生検は円筒状の刃をもつ生検トレパン(パンチ)を皮膚に押し当てて回転させ、組織を円柱状に打ち抜いて採取する方法で、主に皮膚病変の組織診断に用いられる。肝臓・腎臓は経皮的針生検、前立腺は経直腸的針生検、リンパ節は摘出生検や針生検が行われ、パンチ生検は皮膚に対して行うのが代表的である。●皮膚=パンチ生検・切除生検。●肝臓・腎臓=経皮的針生検(コア針)。●前立腺=経直腸的(経会陰的)針生検。●リンパ節=摘出生検・針生検。●生検法の種類=針生検・パンチ生検・切除/切開生検・内視鏡的生検・擦過/穿刺吸引細胞診。
選択肢ごとの解説
① 肝臓は経皮的針生検が一般的で、パンチ生検は用いない。 ② 腎臓は針生検が行われ、パンチ生検は用いない。 ③ 正しい。皮膚はパンチ生検で円柱状に組織を採取する。 ④ 前立腺は経直腸的針生検が行われ、パンチ生検は用いない。 ⑤ リンパ節は摘出生検や針生検が行われ、パンチ生検は用いない。
📋 まとめの表を見る:生検法の種類と主な対象臓器
第63回 午後49(病理組織細胞学)
親水性〈水溶性〉包埋剤はどれか。2つ選べ。
①ゼラチン ②パラフィン ③セロイジン ④エポキシ樹脂 ⑤カーボワックス
正答: ①ゼラチン・⑤カーボワックス
ポイント 親水性(水溶性)包埋剤は、脱水・脱脂の工程を経ずに水溶性のまま組織を包埋できるため、脂質や水溶性物質の保持、酵素活性の保存に有利である。ゼラチンやカーボワックス(ポリエチレングリコール)がこれに該当する。パラフィンやセロイジンは脱水・脱脂を要する疎水性包埋剤であり、エポキシ樹脂は電子顕微鏡用の疎水性樹脂で水溶性ではない。●親水性(水溶性)包埋剤=ゼラチン・カーボワックス(ポリエチレングリコール)。●疎水性包埋剤=パラフィン(光顕ルーチン)・セロイジン(大きな硬組織)。●電子顕微鏡用樹脂=エポキシ樹脂・メタクリル樹脂。●水溶性包埋の利点=脱脂を避け脂質や酵素活性を保持。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ゼラチンは親水性(水溶性)の包埋剤である。 ② パラフィンは疎水性の包埋剤で脱水を要する。 ③ セロイジンは疎水性の包埋剤で水溶性ではない。 ④ エポキシ樹脂は電子顕微鏡用の疎水性樹脂で水溶性ではない。 ⑤ 正しい。カーボワックス(ポリエチレングリコール)は親水性(水溶性)の包埋剤である。
第63回 午後50(病理組織細胞学)
クリオスタットに用いられるミクロトームはどれか。
①ユング〈Jung〉型 ②ミノー〈Minot〉型 ③シャンツェ〈Schanze〉型 ④ザルトリウス〈Sartorius〉型 ⑤テトランダー〈Tetrander〉型
正答: ②ミノー〈Minot〉型
ポイント クリオスタットは凍結切片を作製するために冷却箱(庫内)にミクロトームを組み込んだ装置で、回転運動で薄切する回転式のミノー(Minot)型ミクロトームが内蔵される。ミノー型は試料を上下に動かしながら一定の厚さで薄切する代表的なミクロトームで、低温下でも安定した薄切に適する。ユング型(滑走式)やザルトリウス型などは機構・用途が異なる。●ミクロトームの種類=ミノー型(回転式、パラフィン/凍結)・ユング型(滑走式、セロイジン)・摺動式・滑走式。●クリオスタット内蔵=ミノー(回転)型。●凍結切片の用途=術中迅速診断・脂肪染色・酵素組織化学・免疫染色。●凍結包埋剤=OCTコンパウンド。
選択肢ごとの解説
① ユング型は滑走式ミクロトームで、クリオスタットの内蔵型ではない。 ② 正しい。クリオスタットには回転式のミノー型ミクロトームが用いられる。 ③ シャンツェ型は本問のクリオスタット内蔵ミクロトームには該当しない。 ④ ザルトリウス型はクリオスタットの内蔵ミクロトームではない。 ⑤ テトランダー型はクリオスタットの内蔵ミクロトームではない。
📋 まとめの表を見る:ミクロトームの種類と特徴
クリオスタットはMinot型ミクロトームを冷却庫内に内蔵した装置。一般的なパラフィンブロックの引き角は約45度、逃げ角は約5度前後に設定する。
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