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第63回(2017) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第63回 午後51(病理組織細胞学)
Masson trichrome染色が診断に適さないのはどれか。
①肝硬変 ②間質性肺炎 ③糸球体腎炎 ④神経内分泌腫瘍 ⑤陳旧性心筋梗塞
正答: ④神経内分泌腫瘍
ポイント Masson trichrome(マッソントリクローム)染色は膠原線維を青または緑、筋線維や赤血球・細胞質を赤に染め分ける三色染色で、結合組織(膠原線維)の増生・分布を評価する。肝硬変の線維化、間質性肺炎の肺胞隔壁線維化、糸球体腎炎のメサンギウム基質や基底膜の変化、陳旧性心筋梗塞の瘢痕など、膠原線維の沈着を伴う病態の評価に適する。神経内分泌腫瘍は内分泌顆粒(神経分泌顆粒)を持つ腫瘍であり、その証明には鍍銀法や免疫染色を用いるため線維染色は診断に適さない。 ●膠原線維・結合組織の染色=Masson trichrome・アザン・van Gieson・渡辺の鍍銀法(細網線維)。 ●神経内分泌の証明=Grimelius鍍銀法・クロモグラニンA/シナプトフィジン/CD56免疫染色。 ●そのほかの特殊染色=弾性線維(Elastica van Gieson・Weigert)・アミロイド(Congo red)・鉄(Berlin blue)・メラニン(Masson-Fontana)。
選択肢ごとの解説
① 肝硬変では膠原線維の増生と結節形成が起こり、Masson trichromeで線維化の程度を青緑に評価できる。 ② 間質性肺炎では肺胞隔壁の線維化が進行し、Masson trichromeで増生した膠原線維を染め出せる。 ③ 糸球体腎炎ではメサンギウム基質や基底膜の変化をMasson trichromeで観察でき、線維化評価に有用である。 ④ 誤り。神経内分泌腫瘍の診断は内分泌顆粒を示すGrimelius鍍銀法や免疫染色で行うもので、膠原線維を見るMasson trichromeは適さない。 ⑤ 陳旧性心筋梗塞では壊死心筋が膠原線維による瘢痕に置き換わり、Masson trichromeで瘢痕を青緑に描出できる。
第63回 午後52(病理組織細胞学)
渡辺の鍍銀法の染色標本を別に示す。臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB052.d17406ddb0.jpg
正答: ②肝臓
ポイント 渡辺の鍍銀法は格子線維(細網線維)を黒色に染め出す鍍銀法である。肝臓では類洞(洞様毛細血管)に沿って細網線維が肝細胞索を取り囲むように規則正しく配列し、特徴的な網工像を呈する。この格子線維の分布パターンを手がかりに臓器が推定でき、本標本は肝臓の所見に合致する。 ●細網線維(格子線維)の染色=渡辺の鍍銀法・Gomori鍍銀法・PAS反応。 ●臓器ごとの細網線維分布=肝臓は類洞沿いの規則的網工、脾臓では赤脾髄・白脾髄の支持網、リンパ節ではリンパ濾胞や髄索などに分布、腎臓は糸球体・尿細管周囲。 ●膠原線維との染め分け=Masson trichrome・アザン・van Gieson(細網線維はⅢ型コラーゲンが主体)。
選択肢ごとの解説
① 肺の細網線維分布は肺胞構築に沿うもので、肝臓に特徴的な類洞沿いの規則的網工とは異なる。 ② 正しい。肝臓は類洞に沿って細網線維が肝細胞索を取り囲み、渡辺の鍍銀法で規則的な網工像として黒く描出される。 ③ 腎臓は糸球体や尿細管周囲に細網線維が分布し、肝臓の類洞性網工とは像が異なる。 ④ 大腸は粘膜・粘膜下組織の層構築が特徴で、肝臓の類洞性格子線維像とは異なる。 ⑤ リンパ節は被膜・小柱と髄索周囲に細網線維が密に分布し、肝臓の規則的索状網工とは異なる。
📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象
第63回 午後53(病理組織細胞学)
皮膚のH-E染色標本を別に示す。組織内の褐色色素を証明する染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB053.282e1022fa.jpg
①PTAH染色 ②Grimelius染色 ③Congo red染色 ④Berlin blue染色 ⑤Masson-Fontana染色
正答: ⑤Masson-Fontana染色
ポイント 皮膚組織内の褐色色素として代表的なものはメラニンである。Masson-Fontana(マッソン・フォンタナ)染色は銀鏡反応(アルゼンタフィン反応)を利用し、還元能を持つメラニンや親銀性物質を黒色に染め出す。メラニンがアンモニア銀液から銀を還元析出させることで証明され、皮膚の褐色色素の同定に適する。 ●メラニンの証明=Masson-Fontana染色(陽性)・脱色(漂白)試験で消退。 ●褐色色素の鑑別=メラニン(Masson-Fontana陽性)・ヘモジデリン(Berlin blue陽性)・リポフスチン(PAS・Schmorl陽性、自家蛍光)。 ●そのほかの好銀・親銀=Grimelius(好銀=argyrophil)・Masson-Fontana(親銀=argentaffin)の違い。
選択肢ごとの解説
① PTAH染色(リンタングステン酸ヘマトキシリン)はグリア線維や横紋筋・フィブリンを染める染色で、褐色色素の証明には用いない。 ② Grimelius染色は神経内分泌顆粒(好銀性顆粒)を証明する鍍銀法で、メラニン証明が主目的ではない。 ③ Congo red染色はアミロイドを橙赤色に染め偏光下で緑色複屈折を示す染色で、褐色色素の証明には用いない。 ④ Berlin blue染色は三価鉄(ヘモジデリン)を青色に染める反応で、褐色色素でもメラニンの証明には用いない。 ⑤ 正しい。Masson-Fontana染色は銀鏡反応によりメラニンを黒色に染め出し、皮膚の褐色色素を証明できる。
📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象
第63回 午後54(病理組織細胞学)
胃癌摘出時の郭清リンパ節標本を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB054.34a31540f7.jpg
①PAS反応 ②Berlin blue染色 ③Alcian blue染色 ④mucicarmine染色 ⑤toluidine blue染色
正答: ③Alcian blue染色
ポイント 胃癌には印環細胞癌や粘液癌など粘液を産生する組織型が多く、リンパ節転移巣でも腫瘍細胞が粘液を保持することがある。Alcian blue(アルシアンブルー)染色は酸性粘液多糖類(酸性ムチン)をpH依存的に青色に染める染色で、本標本は転移性胃癌のリンパ節において腫瘍細胞内・間質の酸性粘液を青色に描出した像と考えられる。 ●粘液の染色=Alcian blue(酸性粘液=青)・PAS反応(中性粘液=赤紫)・mucicarmine(上皮性酸性粘液=赤)・コロイド鉄。 ●pHによるAlcian blueの使い分け=pH2.5ではカルボキシル基ムチンとスルホムチンの両方が染まり、pH1.0では主にスルホムチンが染まる。 ●胃癌の組織型=管状腺癌・乳頭腺癌・低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌(Lauren分類では腸型/びまん型)。
選択肢ごとの解説
① PAS反応は中性粘液やグリコーゲン・基底膜を赤紫色に染める反応で、本図の青色染色像とは異なる。 ② Berlin blue染色は三価鉄を青色に染める反応で、粘液の証明には用いない。 ③ 正しい。Alcian blue染色は酸性粘液多糖類を青色に染め、胃癌の産生する酸性粘液を証明できる。 ④ mucicarmine染色は上皮性酸性粘液を赤色に染める染色で、青色の染色像とは異なる。 ⑤ toluidine blue染色は異染性により肥満細胞顆粒や軟骨基質を赤紫に示す染色で、本図の所見とは異なる。
📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象
第63回 午後55(病理組織細胞学)
Giemsa染色で正しいのはどれか。
①細胞は大きくみえる。 ②細胞が剝離しやすい。 ③水溶性封入剤を用いる。 ④95%エタノール湿固定を行う。 ⑤角化細胞は黄橙色に染色される。
正答: ①細胞は大きくみえる。
ポイント Giemsa(ギムザ)染色は細胞診で用いられる空気乾燥標本用の染色で、塗抹後に風乾してから染色する。乾燥の過程で細胞が伸展・扁平化するため、95%エタノールで湿固定するPapanicolaou(パパニコロウ)染色に比べて細胞や核が大きくみえるのが特徴である。クロマチン構造や細胞質性状、間質性・分泌性背景の観察に優れる。 ●Giemsa染色(空気乾燥固定)の特徴=細胞が大きくみえる・異染性で背景物質を把握しやすい・血液細胞や悪性リンパ腫の評価に有用。 ●Papanicolaou染色(湿固定)の特徴=細胞が小さくみえる・角化細胞はオレンジG陽性で黄橙色・核クロマチンが鮮明。 ●細胞診の固定法=湿固定(95%エタノール)/乾燥固定(風乾)/コーティング固定。
選択肢ごとの解説
① 正しい。Giemsa染色は空気乾燥により細胞が伸展・扁平化するため、湿固定標本より細胞が大きくみえる。 ② Giemsa染色は風乾固定で細胞がスライドに付着しやすく、剝離しやすいという特徴はない。 ③ Giemsa染色標本は通常そのまま鏡検でき、水溶性封入剤を必須とするわけではない。 ④ 95%エタノールによる湿固定はPapanicolaou染色で行うもので、Giemsa染色は空気乾燥固定である。 ⑤ 角化細胞が黄橙色(オレンジG)に染まるのはPapanicolaou染色の特徴で、Giemsa染色ではみられない。
📋 まとめの表を見る:パパニコロウ染色とギムザ染色の比較
乾燥固定を要する染色にはギムザ染色のほかペルオキシダーゼ染色などの血液学的染色がある。
第63回 午後56(病理組織細胞学)
気管支擦過細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。組織型はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB056.ad07b704b0.jpg
①腺癌 ②小細胞癌 ③扁平上皮癌 ④悪性リンパ腫 ⑤カルチノイド
正答: ②小細胞癌
ポイント 小細胞癌は核細胞質比が極めて高く細胞質に乏しい裸核状の小型異型細胞が、木目込み細工様に密集して核鋳型(モールディング)を示すのが特徴である。クロマチンは微細顆粒状で核小体は不明瞭、壊死を背景に挫滅した細胞(crush artifact)がみられる。気管支擦過細胞診のPapanicolaou標本における本所見は小細胞癌に合致する。 ●肺癌の主な組織型=腺癌・扁平上皮癌・小細胞癌・大細胞癌・カルチノイド(神経内分泌腫瘍)。 ●小細胞癌の細胞所見=裸核状小型細胞・核鋳型・微細顆粒状クロマチン・壊死とcrush artifact・神経内分泌マーカー陽性。 ●鑑別=腺癌(腺腔形成・核小体明瞭)/扁平上皮癌(角化・オレンジ好性細胞質)/悪性リンパ腫(孤立散在性)。
選択肢ごとの解説
① 腺癌は細胞質が比較的豊富で核小体が明瞭、腺腔形成や核偏在を示し、裸核状の小細胞癌とは異なる。 ② 正しい。小細胞癌は裸核状の小型異型細胞が核鋳型を示して密集し、微細顆粒状クロマチンを呈する。 ③ 扁平上皮癌は厚いオレンジ好性の角化細胞質や奇怪な細胞形態を示し、小細胞癌とは異なる。 ④ 悪性リンパ腫は孤立散在性の異型リンパ球が主体で核鋳型を示さず、小細胞癌とは異なる。 ⑤ カルチノイドは細胞境界の明瞭な均一な細胞が索状・ロゼット状に並び、核鋳型や壊死は乏しい。
📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。
第63回 午後57(病理組織細胞学)
病理解剖で正しいのはどれか。
①不慮の事故死の原因を調べる。 ②遺体の引き取り人がいない場合は施行できない。 ③剖検医の指示下では臨床検査技師が開頭できる。 ④病院内であれば所轄保健所の許可なく実施できる。 ⑤犯罪が疑われる所見を認めた場合は行政解剖に移される。
正答: ③剖検医の指示下では臨床検査技師が開頭できる。
ポイント 病理解剖(病理剖検)は病死した患者の死因究明や治療効果の検証を目的とし、遺族の承諾のもとに行われる。死体解剖保存法では解剖は原則として医師等の資格者が行うが、剖検医(解剖を行う医師)の指示・監督下では臨床検査技師が開頭などの介助を行うことが認められている。事故死や犯罪が疑われる異状死は司法解剖・行政解剖の対象であり、病理解剖とは区別される。 ●解剖の種類=病理解剖(死因究明・遺族承諾)/行政解剖(監察医が異状死を検案)/司法解剖(犯罪関与の疑い・裁判所の鑑定)/系統解剖(医学教育)。 ●関連法規=死体解剖保存法・医師法(異状死体の届出義務)・死因究明等推進基本法。 ●臨床検査技師の関与=剖検医の指示下での解剖介助・標本作製・組織処理。
選択肢ごとの解説
① 不慮の事故死など異状死の原因究明は司法解剖や行政解剖で行うもので、病理解剖の対象ではない。 ② 引取者がいないことだけで解剖できなくなるわけではない。死体解剖保存法第7条では、死亡確認後30日を経過しても引取者がない場合など、遺族の承諾を要しない例外を定めている。 ③ 正しい。剖検医の指示・監督下であれば、臨床検査技師が開頭などの解剖介助を行うことが認められている。 ④ 病院内であることだけでは保健所長の許可は免除されない。死体解剖保存法第2条では原則として許可を要し、厚生労働大臣が認定した解剖資格者などが行う場合に例外がある。遺族の承諾は第7条による別の要件である。 ⑤ 犯罪が疑われる所見を認めた場合は異状死として警察へ届け出るべきで、行政解剖ではなく司法解剖の対象となりうる。
第63回 午後58(病理組織細胞学)
毒物及び劇物取締法で劇物に指定されているのはどれか。2つ選べ。
①塩酸 ②アセトン ③エタノール ④ホルマリン ⑤フェロシアン化カリウム
正答: ①塩酸・④ホルマリン
ポイント 毒物及び劇物取締法は急性毒性などの危険性に応じて物質を毒物・劇物に指定している。塩酸(10%を超えるもの)やホルムアルデヒド(ホルマリン、1%を超えるもの)は劇物に指定され、容器表示・保管・施錠などの管理が義務づけられる。エタノールやアセトンは引火性溶剤として消防法上の危険物には該当するが、毒物及び劇物取締法の劇物ではない。 ●検査室で扱う主な劇物=塩酸・硫酸・硝酸・ホルムアルデヒド(ホルマリン)・フェノール・水酸化ナトリウム(一定濃度を超えるもの)。 ●毒物の例=シアン化合物・水銀化合物・ヒ素化合物。 ●引火性液体で劇物ではないもの=エタノール・アセトン(消防法の危険物に該当)。●メタノール・キシレンは引火性の危険物であると同時に原体が劇物にも指定されており、消防法と毒物及び劇物取締法の規制は重複しうる。
選択肢ごとの解説
① 正しい。塩酸(一定濃度を超えるもの)は毒物及び劇物取締法で劇物に指定されている。 ② アセトンは引火性溶剤で消防法の危険物だが、毒物及び劇物取締法の劇物には指定されていない。 ③ エタノールは引火性液体だが、毒物及び劇物取締法の劇物には指定されていない。 ④ 正しい。ホルマリン(ホルムアルデヒド、一定濃度を超えるもの)は劇物に指定されている。 ⑤ フェロシアン化カリウムは安定で毒性が低く、劇物には指定されていない。
第63回 午後59(臨床血液学)
活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉に関与するのはどれか。2つ選べ。
①プロトロンビン ②組織因子 ③第Ⅶ因子 ④第Ⅻ因子 ⑤第XIII因子
正答: ①プロトロンビン・④第Ⅻ因子
ポイント 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は内因系および共通系の凝固因子を反映する検査で、第Ⅻ・Ⅺ・Ⅸ・Ⅷ因子(内因系)と第Ⅹ・Ⅴ・Ⅱ(プロトロンビン)・Ⅰ(フィブリノゲン)因子(共通系)が関与する。一方、外因系の第Ⅶ因子や組織因子(第Ⅲ因子)はプロトロンビン時間(PT)に反映され、APTTには関与しない。 ●内因系凝固因子(APTTで反映)=第Ⅻ・Ⅺ・Ⅸ・Ⅷ因子。 ●外因系凝固因子(PTで反映)=組織因子(第Ⅲ)・第Ⅶ因子。 ●共通系凝固因子(PT・APTT両方で反映)=第Ⅹ・Ⅴ・Ⅱ(プロトロンビン)・Ⅰ(フィブリノゲン)因子。
選択肢ごとの解説
① 正しい。プロトロンビン(第Ⅱ因子)は共通系の凝固因子でAPTTに関与する。 ② 組織因子(第Ⅲ因子)は外因系の引き金でPTに反映され、APTTには関与しない。 ③ 第Ⅶ因子は外因系の因子でPTに反映され、APTTには関与しない。 ④ 正しい。第Ⅻ因子は内因系の接触相を開始する因子でAPTTに関与する。 ⑤ 第XIII因子(フィブリン安定化因子)はフィブリン形成後にフィブリンを架橋して安定化する因子で、凝固時間の測定終点であるフィブリン析出より後に働くため、APTTには反映されない。
第63回 午後60(臨床血液学)
健常成人における検査値でみられないのはどれか。
①赤血球数 450万/μL ②ヘモグロビン濃度 14 g/dL ③ヘマトクリット 42% ④網赤血球数 15万/μL ⑤血小板数 20万/μL
正答: ④網赤血球数 15万/μL
ポイント 健常成人では網赤血球数は赤血球数の約0.5〜2%(実数でおおむね2〜10万/μL、基準範囲は概ね4〜6万/μL前後)にとどまる。赤血球数450万/μL、ヘモグロビン濃度14g/dL、ヘマトクリット42%、血小板数20万/μLはいずれも健常範囲内である。網赤血球15万/μLは赤血球産生が著しく亢進した溶血や出血の回復期などでみられる高値で、健常成人ではみられない。 ●末梢血の基準範囲(成人)=赤血球430〜570万/μL(男)・ヘモグロビン13〜17g/dL(男)・ヘマトクリット40〜50%(男)・血小板15〜35万/μL。 ●網赤血球増加(産生亢進)=溶血性貧血・出血後回復期・鉄剤など治療への反応。 ●網赤血球減少(産生低下)=再生不良性貧血・赤芽球癆・無効造血。
選択肢ごとの解説
① 赤血球数450万/μLは健常成人の基準範囲内である。 ② ヘモグロビン濃度14g/dLは健常成人の基準範囲内である。 ③ ヘマトクリット42%は健常成人の基準範囲内である。 ④ 誤り。網赤血球15万/μLは赤血球産生が著しく亢進した病態でみられる高値で、健常成人ではみられない。 ⑤ 血小板数20万/μLは健常成人の基準範囲内である。
第63回 午後61(臨床血液学)
血小板無力症でみられるのはどれか。2つ選べ。
①APTT延長 ②血小板数減少 ③出血時間延長 ④ADP凝集能低下 ⑤リストセチン凝集能低下
正答: ③出血時間延長・④ADP凝集能低下
ポイント 血小板無力症(Glanzmann病)は血小板膜糖蛋白GPⅡb/Ⅲa(フィブリノゲン受容体)の異常により血小板凝集が障害される先天性疾患である。フィブリノゲンを介した一次凝集が起こらないため、ADPやコラーゲンなど各種惹起物質による凝集が低下するが、リストセチン凝集(GPⅠb-von Willebrand因子依存)は保たれる。血小板数は正常で凝固系(APTT)も正常だが、血小板機能不全により出血時間は延長する。 ●血小板無力症(Glanzmann病)=GPⅡb/Ⅲa異常・ADP/コラーゲン凝集低下・リストセチン凝集正常・出血時間延長。 ●Bernard-Soulier症候群=GPⅠb/Ⅸ異常・リストセチン凝集低下・巨大血小板・血小板減少。 ●von Willebrand病=vWF異常・リストセチン凝集低下・APTT延長・出血時間延長。
選択肢ごとの解説
① APTTは凝固因子の検査であり、血小板機能異常である血小板無力症では正常で延長しない。 ② 血小板無力症は血小板の機能異常で数は正常であり、血小板数は減少しない。 ③ 正しい。血小板凝集障害により一次止血が不良となり、出血時間が延長する。 ④ 正しい。GPⅡb/Ⅲa異常によりフィブリノゲンを介した凝集が起こらず、ADP凝集能が低下する。 ⑤ リストセチン凝集はGPⅠb-von Willebrand因子系に依存し、血小板無力症では正常で低下しない。
第63回 午後62(臨床血液学)
von Willebrand病で正しいのはどれか。2つ選べ。
①FDPが上昇する。 ②APTTが延長する。 ③血小板数が増加する。 ④出血時間が延長する。 ⑤X染色体性劣性遺伝疾患である。
正答: ②APTTが延長する。・④出血時間が延長する。
ポイント von Willebrand病はvon Willebrand因子(vWF)の量的・質的異常による先天性出血性疾患である。vWFは血小板の血管内皮への粘着を担うとともに第Ⅷ因子のキャリア蛋白でもあるため、vWF低下に伴い第Ⅷ因子も低下しAPTTが延長する。血小板粘着障害により出血時間も延長する。血小板数は正常、FDPは上昇せず、遺伝形式は常染色体性(多くは優性)である。 ●von Willebrand病=vWF低下・第Ⅷ因子低下・APTT延長・出血時間延長・リストセチン凝集低下・常染色体遺伝。 ●血友病A/B=第Ⅷ/Ⅸ因子欠乏・APTT延長・出血時間正常・X染色体劣性遺伝。 ●一次止血の異常(出血時間延長)=血小板減少症・血小板機能異常症・von Willebrand病。
選択肢ごとの解説
① von Willebrand病は線溶亢進を伴う病態ではなく、FDP(フィブリン分解産物)は上昇しない。 ② 正しい。vWF低下により第Ⅷ因子も低下し、APTTが延長する。 ③ 血小板数は正常で増加しない。 ④ 正しい。vWFによる血小板粘着が障害され、出血時間が延長する。 ⑤ von Willebrand病は常染色体性遺伝であり、X染色体劣性遺伝の血友病とは異なる。
第63回 午後63(臨床血液学)
末梢血のWright-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB063.84bfebe76e.jpg
①赤芽球癆 ②サラセミア ③鉄芽球性貧血 ④再生不良性貧血 ⑤細血管障害性溶血性貧血
正答: ⑤細血管障害性溶血性貧血
ポイント 細血管障害性溶血性貧血では、微小血管内のフィブリン網や異常血管によって赤血球が機械的に破砕され、破砕赤血球(シストサイト、ヘルメット細胞や三角形赤血球)が末梢血に出現する。血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、播種性血管内凝固(DIC)などでみられ、本標本の破砕赤血球像が本病態を示唆する。 ●細血管障害性溶血性貧血の原因=TTP・HUS・DIC・悪性高血圧・人工弁。 ●破砕赤血球を伴う溶血のマーカー=間接ビリルビン上昇・LDH上昇・ハプトグロビン低下・網赤血球増加。 ●赤血球形態の異常=標的赤血球(サラセミア・肝疾患)・球状赤血球(遺伝性球状赤血球症)・涙滴赤血球(骨髄線維症)。
選択肢ごとの解説
① 赤芽球癆は赤芽球系の選択的低形成で、破砕赤血球は特徴ではない。 ② サラセミアは標的赤血球や好塩基性斑点を伴う小球性低色素性貧血で、破砕赤血球が主体ではない。 ③ 鉄芽球性貧血は環状鉄芽球を特徴とし、二相性赤血球はみられるが破砕赤血球は主所見ではない。 ④ 再生不良性貧血は汎血球減少を呈し、破砕赤血球は特徴ではない。 ⑤ 正しい。細血管障害性溶血性貧血では赤血球が機械的に破砕され、破砕赤血球(シストサイト)が出現する。
第63回 午後64(臨床血液学)
検査所見と疾患の組合せで正しいのはどれか。
①好塩基球増加 — 慢性骨髄性白血病 ②好酸球増加 — Cushing症候群 ③好中球増加 — ウイルス感染症 ④単球増加 — 伝染性単核症 ⑤リンパ球増加 — 敗血症
正答: ①好塩基球増加 — 慢性骨髄性白血病
ポイント 好塩基球増加は慢性骨髄性白血病(CML)の特徴的所見で、好酸球増加とともに白血球分画でみられる。好酸球増加はアレルギー疾患・寄生虫感染・薬剤などで、好中球増加は細菌感染で、リンパ球増加はウイルス感染で、単球増加は結核や感染回復期などでみられる。Cushing症候群(糖質コルチコイド過剰)ではむしろ好酸球は減少する。 ●好塩基球増加=慢性骨髄性白血病・骨髄増殖性腫瘍。 ●好酸球増加=アレルギー疾患・寄生虫感染・薬剤性・好酸球増多症候群。 ●好中球増加=細菌感染・炎症・ステロイド。●リンパ球増加=ウイルス感染(伝染性単核症など)。●単球増加=結核・感染回復期・単球性白血病。
選択肢ごとの解説
① 正しい。好塩基球増加は慢性骨髄性白血病に特徴的な所見である。 ② Cushing症候群(糖質コルチコイド過剰)では好酸球はむしろ減少する。 ③ 好中球増加は主に細菌感染症でみられ、ウイルス感染症ではむしろ減少傾向となる。 ④ 伝染性単核症では異型リンパ球を伴うリンパ球増加が主体で、単球増加が代表的所見ではない。 ⑤ 敗血症では好中球増加が主体で、リンパ球増加は典型的ではない。
📋 まとめの表を見る:疾患・病態と白血球分画の変化パターン
第63回 午後65(臨床血液学)
PML-RARA融合遺伝子がみられるのはどれか。
①急性赤白血病 ②急性単球性白血病 ③急性巨核芽球性白血病 ④急性骨髄単球性白血病 ⑤急性前骨髄球性白血病
正答: ⑤急性前骨髄球性白血病
ポイント PML-RARA融合遺伝子はt(15;17)転座により生じ、急性前骨髄球性白血病(APL、FAB分類のAML M3)に特異的にみられる。レチノイン酸受容体α(RARA)の異常により前骨髄球の段階で分化が停止する。全トランス型レチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法が奏効する一方、播種性血管内凝固(DIC)の合併に注意を要する。 ●急性骨髄性白血病の代表的染色体・融合遺伝子=APL t(15;17)/PML-RARA・AML M2 t(8;21)/RUNX1-RUNX1T1・AML M4Eo inv(16)/CBFB-MYH11。 ●慢性骨髄性白血病=t(9;22)(フィラデルフィア染色体)/BCR-ABL1。 ●APLの特徴=Auer小体(faggot細胞)・強いペルオキシダーゼ陽性・DIC合併・ATRA奏効。
選択肢ごとの解説
① 急性赤白血病はPML-RARA融合遺伝子を特徴としない。 ② 急性単球性白血病はMLL(KMT2A)再構成などがみられ、PML-RARAは特徴的でない。 ③ 急性巨核芽球性白血病はPML-RARA融合遺伝子を特徴としない。 ④ 急性骨髄単球性白血病はinv(16)などがみられるが、PML-RARAは特徴的でない。 ⑤ 正しい。急性前骨髄球性白血病はt(15;17)によるPML-RARA融合遺伝子を特徴とする。
📋 まとめの表を見る:白血病の染色体異常と融合遺伝子
予後との関連は疾患・遺伝子異常・治療によって異なる(急性骨髄性白血病ではt(8;21)・inv(16)・t(15;17)が予後良好群、t(9;11)のKMT2A::MLLT3は中間群。t(11;14)を伴うマントル細胞リンパ腫やPh陽性急性リンパ性白血病はむしろ予後不良とされる)。CMLではBCR-ABL1が診断・治療標的である。融合遺伝子の表記は「A-B」「A::B」のどちらの過去問表記にも対応する。
第63回 午後66(臨床血液学)
慢性骨髄性白血病に特徴的な所見はどれか。
①PAS染色陽性 ②環状鉄芽球増加 ③ペルオキシダーゼ染色陰性 ④非特異的エステラーゼ染色陽性 ⑤好中球アルカリホスファターゼ活性低下
正答: ⑤好中球アルカリホスファターゼ活性低下
ポイント 好中球アルカリホスファターゼ(NAP/好中球ALP)活性は慢性骨髄性白血病(CML)で低下するのが特徴で、類白血病反応との鑑別に有用である。CMLはt(9;22)(フィラデルフィア染色体)によるBCR-ABL1融合遺伝子を持ち、成熟好中球まで分化した顆粒球が著しく増加する。NAPスコアは感染症などの類白血病反応では上昇するため、低値はCMLを示唆する。 ●NAPスコア低下=慢性骨髄性白血病・発作性夜間ヘモグロビン尿症。 ●NAPスコア上昇=類白血病反応・感染症・真性多血症・妊娠。 ●白血病の細胞化学染色=ミエロペルオキシダーゼ(骨髄系陽性)・非特異的エステラーゼ(単球系陽性)・PAS(リンパ系・赤白血病で陽性)。
選択肢ごとの解説
① PAS染色陽性は急性リンパ性白血病や赤白血病などでみられる所見で、CMLに特徴的ではない。 ② 環状鉄芽球増加は鉄芽球性貧血や骨髄異形成症候群の所見で、CMLの特徴ではない。 ③ CMLの顆粒球はペルオキシダーゼ陽性であり、陰性はリンパ系を示唆する。 ④ 非特異的エステラーゼ陽性は単球系の所見で、CMLに特徴的ではない。 ⑤ 正しい。CMLでは好中球アルカリホスファターゼ活性が低下し、類白血病反応との鑑別に役立つ。
📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉と慢性骨髄性白血病〈CML〉の鑑別点
第63回 午後67(臨床血液学)
リンパ球で正しいのはどれか。2つ選べ。
①B細胞は骨髄で産生される。 ②NK細胞は免疫グロブリンを産生する。 ③成熟T細胞はトロンボポエチンを産生する。 ④成熟B細胞は細胞表面に補体レセプターを持つ。 ⑤健常成人の末梢血ではT細胞よりもB細胞が多い。
正答: ①B細胞は骨髄で産生される。・④成熟B細胞は細胞表面に補体レセプターを持つ。
ポイント B細胞は骨髄で産生・成熟するリンパ球で、細胞表面に免疫グロブリン(B細胞受容体)や補体レセプター(CR2/CD21など)を発現する。T細胞は骨髄由来だが胸腺で成熟する。NK(ナチュラルキラー)細胞は免疫グロブリンを産生せず自然免疫を担い、抗体産生はB細胞由来の形質細胞が行う。健常成人末梢血ではT細胞がリンパ球の約70〜80%を占め、B細胞は約10〜20%である。 ●B細胞=骨髄で成熟・表面免疫グロブリン・補体レセプター(CD21)・抗体産生(形質細胞へ分化)。 ●T細胞=胸腺で成熟・CD3陽性・末梢血リンパ球の多数を占める・細胞性免疫。 ●NK細胞=CD16/CD56陽性・自然免疫・抗体非依存的細胞傷害/抗体依存性細胞傷害(ADCC)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。B細胞は骨髄で産生・成熟するリンパ球である。 ② NK細胞は自然免疫を担い、免疫グロブリンは産生しない(抗体産生は形質細胞が行う)。 ③ 成熟T細胞はトロンボポエチンを産生しない(トロンボポエチンは主に肝臓で産生される)。 ④ 正しい。成熟B細胞は細胞表面に補体レセプター(CD21など)を発現する。 ⑤ 健常成人末梢血ではT細胞がB細胞より多く、約70〜80%を占める。
第63回 午後68(臨床微生物学)
グラム陽性菌とグラム陰性菌に共通する細胞壁の構成成分はどれか。
①タイコ酸 ②リン脂質 ③リポ多糖体 ④ペプチドグリカン ⑤(1→3)-β-D-グルカン
正答: ④ペプチドグリカン
ポイント ペプチドグリカンは細菌の細胞壁を構成する基本骨格で、グラム陽性菌・グラム陰性菌に共通して存在する。グラム陽性菌は厚いペプチドグリカン層とタイコ酸を持ち、グラム陰性菌は薄いペプチドグリカン層の外側に外膜(リポ多糖体=LPSを含む)を持つ。両者に共通する構成成分はペプチドグリカンである。 ●グラム陽性菌の細胞壁=厚いペプチドグリカン層・タイコ酸(リポタイコ酸)。 ●グラム陰性菌の細胞壁=薄いペプチドグリカン層・外膜・リポ多糖体(LPS、内毒素)。 ●真菌の細胞壁成分=(1→3)-β-D-グルカン・キチン・マンナン(細菌にはない)。
選択肢ごとの解説
① タイコ酸はグラム陽性菌の細胞壁に特有の成分で、グラム陰性菌にはない。 ② リン脂質は細胞膜の主成分であり、細胞壁に共通する構成成分という設問の趣旨に合わない。 ③ リポ多糖体(LPS)はグラム陰性菌の外膜に特有の成分で、グラム陽性菌にはない。 ④ 正しい。ペプチドグリカンはグラム陽性菌・陰性菌に共通する細胞壁の基本骨格である。 ⑤ (1→3)-β-D-グルカンは真菌の細胞壁成分で、細菌の構成成分ではない。
第63回 午後69(臨床微生物学)
DNAウイルスはどれか。
①風疹ウイルス ②デングウイルス ③エボラウイルス ④A型肝炎ウイルス ⑤B型肝炎ウイルス
正答: ⑤B型肝炎ウイルス
ポイント B型肝炎ウイルスはヘパドナウイルス科に属するDNAウイルスである。風疹ウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、A型肝炎ウイルスはいずれもRNAウイルスである。肝炎ウイルスのうちB型のみがDNAウイルスで、A・C・D・E型はRNAウイルスである点が鑑別の要点となる。 ●主なDNAウイルス=ヘルペスウイルス・アデノウイルス・パピローマウイルス・ポックスウイルス・B型肝炎ウイルス(ヘパドナ)。 ●主なRNAウイルス=インフルエンザ・麻疹・風疹・ポリオ・A/C/E型肝炎ウイルス・コロナウイルス。 ●肝炎ウイルスの核酸=B型=DNA、A・C・D・E型=RNA。
選択肢ごとの解説
① 風疹ウイルスはトガウイルス科のRNAウイルスである。 ② デングウイルスはフラビウイルス科のRNAウイルスである。 ③ エボラウイルスはフィロウイルス科のRNAウイルスである。 ④ A型肝炎ウイルスはピコルナウイルス科のRNAウイルスである。 ⑤ 正しい。B型肝炎ウイルスはヘパドナウイルス科に属するDNAウイルスである。
📋 まとめの表を見る:主なウイルスの核酸型(DNA/RNA)による分類
肝炎ウイルスの中ではB型肝炎ウイルスのみがDNAウイルスであり、A・C・D・E型はRNAウイルスである。
第63回 午後70(臨床微生物学)
発育に二酸化炭素が必須な細菌はどれか。
①Bordetella pertussis ②Haemophilus influenzae ③Legionella pneumophila ④Neisseria gonorrhoeae ⑤Pseudomonas aeruginosa
正答: ④Neisseria gonorrhoeae
ポイント Neisseria gonorrhoeae(淋菌)は発育に二酸化炭素(5〜10%CO₂)を必要とする好炭酸ガス性菌で、チョコレート寒天培地などで炭酸ガス培養を行う。栄養要求が厳しく乾燥や温度変化に弱い。同属のNeisseria meningitidis(髄膜炎菌)も同様にCO₂要求性が高い。 ●発育にCO₂を要する菌=Neisseria gonorrhoeae・Neisseria meningitidis・一部のCampylobacter・Brucella。 ●発育に特殊な栄養を要する菌=Haemophilus(X因子・V因子)・Legionella(システイン・鉄/BCYEα培地)・Bordetella(Bordet-Gengou培地)。 ●Neisseriaの性状=グラム陰性双球菌・オキシダーゼ陽性・糖分解能で鑑別。
選択肢ごとの解説
① Bordetella pertussis(百日咳菌)はBordet-Gengou培地などで発育するが、CO₂が必須ではない。 ② Haemophilus influenzaeはX因子・V因子を要求するが、CO₂が必須とまではいえない。 ③ Legionella pneumophilaはBCYEα培地でシステイン・鉄を要求する菌で、CO₂必須ではない。 ④ 正しい。Neisseria gonorrhoeae(淋菌)は発育に二酸化炭素を必要とする好炭酸ガス性菌である。 ⑤ Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)は栄養要求の少ない偏性好気性菌で、CO₂必須ではない。
📋 まとめの表を見る:特殊な発育因子・培養条件を必要とする細菌
第63回 午後71(臨床微生物学)
プラスミドで正しいのはどれか。2つ選べ。
①RNAである。 ②一本鎖である。 ③細胞質内に存在する。 ④ウイルスの構成成分である。 ⑤抗菌薬耐性の情報を伝達する。
正答: ③細胞質内に存在する。・⑤抗菌薬耐性の情報を伝達する。
ポイント プラスミドは細菌の染色体外に存在する自己複製能を持つ環状二本鎖DNAで、細胞質内に存在する。薬剤耐性遺伝子や病原性遺伝子などをコードし、接合・形質導入などにより菌間で伝達されることで抗菌薬耐性を広げる。ウイルスの構成成分ではない。 ●プラスミドの性質=環状二本鎖DNA・染色体外・自己複製・細胞質内・接合伝達。 ●プラスミドが担う形質=薬剤耐性(Rプラスミド)・病原性(毒素産生)・代謝能・接合性(Fプラスミド)。 ●細菌の遺伝子伝達=接合(プラスミド)・形質導入(バクテリオファージ)・形質転換(裸のDNA取り込み)。
選択肢ごとの解説
① プラスミドはDNAであり、RNAではない。 ② プラスミドは環状の二本鎖DNAであり、一本鎖ではない。 ③ 正しい。プラスミドは染色体外の細胞質内に存在する。 ④ プラスミドは細菌の遺伝因子であり、ウイルスの構成成分ではない。 ⑤ 正しい。プラスミドは抗菌薬耐性遺伝子などをコードし、その情報を菌間で伝達する。
第63回 午後72(臨床微生物学)
細菌と毒素の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①Clostridium botulinum — エンテロトキシン ②Shigella dysenteriae — 耐熱性溶血毒 ③Staphylococcus aureus — 皮膚剝脱毒素 ④Streptococcus pyogenes — 発赤毒素 ⑤Vibrio parahaemolyticus — ベロ毒素
正答: ③Staphylococcus aureus — 皮膚剝脱毒素・④Streptococcus pyogenes — 発赤毒素
ポイント Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)は表皮剝脱毒素(exfoliative toxin)を産生し、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)を起こす。Streptococcus pyogenes(A群溶血性レンサ球菌)は発赤毒素(発熱外毒素)を産生し猩紅熱の発疹を起こす。一方、ボツリヌス菌は神経毒、赤痢菌は志賀毒素、腸炎ビブリオは耐熱性溶血毒を産生するため、これらの組合せは誤りである。 ●黄色ブドウ球菌の毒素=表皮剝脱毒素(SSSS)・腸管毒(エンテロトキシン、食中毒)・toxic shock syndrome toxin・コアグラーゼ。 ●A群溶連菌の毒素=発赤毒素(猩紅熱)・ストレプトリジンO/S・ストレプトキナーゼ。 ●その他=ボツリヌス菌=神経毒、赤痢菌=志賀毒素、腸管出血性大腸菌=ベロ毒素(志賀毒素類似)、腸炎ビブリオ=耐熱性溶血毒。
選択肢ごとの解説
① Clostridium botulinumはボツリヌス神経毒を産生し、エンテロトキシンとの組合せは誤りである。 ② Shigella dysenteriaeは志賀毒素を産生し、耐熱性溶血毒との組合せは誤りである。 ③ 正しい。Staphylococcus aureusは皮膚剝脱毒素(表皮剝脱毒素)を産生する。 ④ 正しい。Streptococcus pyogenesは発赤毒素を産生し猩紅熱の発疹を起こす。 ⑤ ベロ毒素は腸管出血性大腸菌が産生する毒素で、腸炎ビブリオ(耐熱性溶血毒を産生)との組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:主な細菌毒素
TSST-1・エンテロトキシン・発赤毒素はスーパー抗原として働く。EHECのベロ毒素は志賀毒素(Stx)とも呼ばれ、Stx1・Stx2などに分けられる。Stx1はShigella dysenteriae 1型の志賀毒素と極めて近縁であり、「別々の無関係な毒素」として覚えない。
第63回 午後73(臨床微生物学)
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉で三類感染症はどれか。
①結核 ②ペスト ③ジフテリア ④重症急性呼吸器症候群 ⑤腸管出血性大腸菌感染症
正答: ⑤腸管出血性大腸菌感染症
ポイント 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)で、腸管出血性大腸菌感染症は三類感染症に分類される。三類は飲食物を介して集団発生しうる感染症で就業制限の対象となり、コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフスが含まれる。結核・ジフテリア・重症急性呼吸器症候群(SARS)は二類、ペストは一類感染症である。 ●一類感染症=エボラ出血熱・ペスト・痘そう・ラッサ熱・南米出血熱など。 ●二類感染症=結核・ジフテリア・SARS・MERS・鳥インフルエンザ(H5N1等)。 ●三類感染症=コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症。
選択肢ごとの解説
① 結核は二類感染症である。 ② ペストは一類感染症である。 ③ ジフテリアは二類感染症である。 ④ 重症急性呼吸器症候群(SARS)は二類感染症である。 ⑤ 正しい。腸管出血性大腸菌感染症は三類感染症である。
第63回 午後74(臨床微生物学)
膿性痰のGram染色標本を別に示す。推定される菌の鑑別性状で正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB074.1a858faf9a.jpg
①CAMPテスト陽性 ②胆汁溶解テスト陽性 ③Lancefieldの分類C群 ④馬尿酸加水分解テスト陽性 ⑤バシトラシン感受性テスト感性
正答: ②胆汁溶解テスト陽性
ポイント 膿性痰のGram染色で莢膜を有するグラム陽性双球菌(ランセット型)がみられれば肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)が推定される。肺炎球菌は胆汁溶解試験陽性・オプトヒン感受性で同定され、血液寒天培地でα溶血を示す。CAMP試験陽性や馬尿酸加水分解陽性はB群レンサ球菌、バシトラシン感性はA群レンサ球菌の性状である。 ●肺炎球菌(S. pneumoniae)=ランセット型双球菌・莢膜・α溶血・胆汁溶解陽性・オプトヒン感性。 ●A群レンサ球菌(S. pyogenes)=β溶血・バシトラシン感性・PYRテスト陽性。 ●B群レンサ球菌(S. agalactiae)=β溶血・CAMP試験陽性・馬尿酸加水分解陽性。
選択肢ごとの解説
① CAMP試験陽性はStreptococcus agalactiae(B群レンサ球菌)の性状で、肺炎球菌ではない。 ② 正しい。肺炎球菌は胆汁溶解試験陽性で、これにより同定される。 ③ 肺炎球菌はLancefield群別されない菌で、C群分類は該当しない。 ④ 馬尿酸加水分解試験陽性はB群レンサ球菌の性状で、肺炎球菌ではない。 ⑤ バシトラシン感性はStreptococcus pyogenes(A群レンサ球菌)の性状で、肺炎球菌ではない。
第63回 午後75(臨床微生物学)
Bacillus anthracisで正しいのはどれか。
①鞭毛を有する。 ②端在性芽胞を有する。 ③β-ラクタマーゼを産生する。 ④レシチナーゼテスト陽性である。 ⑤ヒツジ血液寒天培地でβ溶血を示す。
正答: ④レシチナーゼテスト陽性である。
ポイント Bacillus anthracis(炭疽菌)はグラム陽性大桿菌で芽胞を形成し、莢膜を有する。鞭毛を持たず非運動性である点が、運動性を持つBacillus cereusなど他のBacillus属との鑑別点となる。レシチナーゼ(卵黄反応)陽性で、ヒツジ血液寒天培地では非溶血性、ペニシリン感受性で通常β-ラクタマーゼを産生しない。 ●Bacillus anthracis=非運動性(鞭毛なし)・莢膜あり・芽胞(中心〜偏在性)・レシチナーゼ陽性・非溶血・ペニシリン感性。 ●Bacillus cereus=運動性あり・β溶血・嘔吐毒/下痢毒による食中毒。 ●芽胞形成菌=Bacillus属(好気性)・Clostridium属(嫌気性、ボツリヌス・破傷風・ガス壊疽)。
選択肢ごとの解説
① 炭疽菌は鞭毛を持たず非運動性である。 ② 炭疽菌の芽胞は中心〜偏在性で、端在性ではない。 ③ 炭疽菌は通常ペニシリン感受性でβ-ラクタマーゼを産生しない。 ④ 正しい。炭疽菌はレシチナーゼ(卵黄反応)テスト陽性である。 ⑤ 炭疽菌はヒツジ血液寒天培地で非溶血性であり、β溶血を示さない。
第63回 午後76(臨床微生物学)
髄液の墨汁標本を別に示す。推定される菌種の特徴で正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB076.052a90de26.jpg
①二形性を示す。 ②発芽管を形成する。 ③仮性菌糸を形成する。 ④厚膜胞子を形成する。 ⑤ウレアーゼを産生する。
正答: ⑤ウレアーゼを産生する。
ポイント 髄液の墨汁標本で、厚い莢膜が黒い背景に抜けて見える円形の酵母様真菌が描出されれば、クリプトコッカス(Cryptococcus neoformans)が推定される。本菌は出芽(狭い基部での出芽)で増殖し、菌糸や仮性菌糸を作らず、ウレアーゼ産生陽性・フェノールオキシダーゼ(メラニン産生)陽性が特徴である。莢膜多糖抗原のラテックス凝集試験が髄膜炎の迅速診断に有用で、ハトの糞からの吸入感染が知られる。●墨汁染色で莢膜が見える=Cryptococcus neoformans。●発芽管・厚膜胞子・仮性菌糸を作る=Candida albicans。●二形性真菌(25℃菌糸・37℃酵母)=Histoplasma capsulatum・Blastomyces・Coccidioides・Sporothrix。●ウレアーゼ陽性の主な細菌=Helicobacter pylori・Proteus・Ureaplasma。
選択肢ごとの解説
① 二形性を示すのはHistoplasmaなどの二形性真菌で、クリプトコッカスは温度によらず酵母様の単一形態をとる。 ② 発芽管を形成するのはCandida albicansの特徴で、クリプトコッカスは発芽管を作らない。 ③ 仮性菌糸を形成するのはCandidaの特徴で、クリプトコッカスは仮性菌糸を作らない。 ④ 厚膜胞子を形成するのはCandida albicansの特徴で、クリプトコッカスは作らない。 ⑤ 正しい。Cryptococcus neoformansはウレアーゼ産生陽性であり、本菌の同定指標となる。
📋 まとめの表を見る:酵母様真菌の鑑別(Cryptococcus・Candida・Trichosporon)
Candida albicansの厚膜胞子・仮性菌糸の証明にはlactophenol cotton blue染色を用いる(墨汁法はCryptococcusの莢膜証明に用いる)。
第63回 午後77(臨床微生物学)
ワクチン接種で予防可能な髄膜炎の原因菌はどれか。2つ選べ。
①Escherichia coli ②Haemophilus influenzae ③Neisseria meningitidis ④Streptococcus agalactiae ⑤Streptococcus pneumoniae
正答: ②Haemophilus influenzae・③Neisseria meningitidis または ②Haemophilus influenzae・⑤Streptococcus pneumoniae または ③Neisseria meningitidis・⑤Streptococcus pneumoniae(いずれの組合せも正解)
ポイント 細菌性髄膜炎の主要原因菌のうち、インフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae type b、Hib)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)はいずれも莢膜多糖を成分とするワクチンがあり、接種により予防可能である。これらは莢膜をもつことで補体・貪食を回避し侵襲性感染を起こすため、莢膜抗原がワクチン標的となる。大腸菌(Escherichia coli)やB群溶血性レンサ球菌(Streptococcus agalactiae)は新生児髄膜炎の原因菌だが、定期接種のワクチンはない。●小児の細菌性髄膜炎=Hib・肺炎球菌(ワクチン普及で減少)。●思春期・集団発生=髄膜炎菌。●新生児髄膜炎=B群溶血性レンサ球菌・大腸菌・Listeria monocytogenes。●莢膜ワクチンの例=Hib・肺炎球菌・髄膜炎菌。●複数正答の認定=本問は公式正答表で「2・3」「2・5」「3・5」のいずれの組合せも正解と認められている。本ドリルでは公式に認められたいずれの組合せ(2つ)を選んでも正解になる。
解説 採点上、選択肢2・3・5のうち2つを選べば正答(複数の組合せを正答とする)。
選択肢ごとの解説
① 大腸菌(Escherichia coli)は新生児髄膜炎の原因菌だが、予防ワクチンはない。 ② 正しい。インフルエンザ菌b型(Hib)はHibワクチンで予防可能である。 ③ 正しい。髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は髄膜炎菌ワクチンで予防可能である。 ④ B群溶血性レンサ球菌(Streptococcus agalactiae)は新生児髄膜炎の原因菌だが、定期接種ワクチンはない。 ⑤ 正しい。肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は肺炎球菌ワクチンで予防可能である。
第63回 午後78(臨床微生物学)
イムノクロマト法による抗原検査が行われているのはどれか。2つ選べ。
①RSウイルス ②EBウイルス ③麻疹ウイルス ④ムンプスウイルス ⑤インフルエンザウイルス
正答: ①RSウイルス・⑤インフルエンザウイルス
ポイント イムノクロマトグラフィー法による迅速抗原検査は、RSウイルスとインフルエンザウイルスで広く臨床に普及している。いずれも鼻咽頭ぬぐい液などの検体から十数分で結果が得られ、外来診療で活用される。EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)は抗体検査(VCA抗体・EBNA抗体)が主体、麻疹ウイルスとムンプスウイルスは血清抗体検査やPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)が中心で、これらにイムノクロマト抗原検査は一般化していない。●イムノクロマト抗原検査が普及=インフルエンザ・RSウイルス・アデノウイルス・新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)。●抗体検査が主体=EBウイルス・麻疹・風疹・ムンプス。●核酸検査(PCR)が診断の柱=結核菌・百日咳菌・各種ウイルスの確定診断。
選択肢ごとの解説
① 正しい。RSウイルスはイムノクロマト法による迅速抗原検査が実用化されている。 ② EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)はVCA抗体・EBNA抗体などの抗体検査が主体で、イムノクロマト抗原検査は一般的でない。 ③ 麻疹ウイルスは抗体検査やPCRで診断され、イムノクロマト抗原検査は一般的でない。 ④ ムンプスウイルスは抗体検査が主体で、イムノクロマト抗原検査は一般的でない。 ⑤ 正しい。インフルエンザウイルスはイムノクロマト法による迅速抗原検査が広く行われている。
第63回 午後79(臨床免疫学)
細胞傷害性T細胞のT細胞レセプターで正しいのはどれか。
①遺伝子の再構成は起きない。 ②MHCクラスⅡ拘束性を持つ。 ③CD4分子と共同して機能する。 ④抗原提示細胞からの刺激を受ける。 ⑤α鎖、β鎖、γ鎖およびδ鎖からなる四量体である。
正答: ④抗原提示細胞からの刺激を受ける。
ポイント 細胞傷害性T細胞(CTL、CD8陽性T細胞)はMHC(主要組織適合遺伝子複合体)クラスⅠ拘束性に標的細胞を認識し、CD8分子と協調して機能する。T細胞受容体(TCR)はα鎖とβ鎖(一部はγ鎖・δ鎖)からなる二量体で、遺伝子再構成によって膨大な抗原特異性の多様性を獲得する。CTLは抗原提示細胞や標的細胞のMHCクラスⅠ上に提示された抗原ペプチドの刺激を受けて活性化し、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞を傷害する。●MHCクラスⅠ拘束・CD8=細胞傷害性T細胞。●MHCクラスⅡ拘束・CD4=ヘルパーT細胞。●TCRの構成=αβ型(大多数)とγδ型。●多様性獲得の機構=V(D)J遺伝子再構成(TCR・免疫グロブリンに共通)。
選択肢ごとの解説
① TCRは遺伝子再構成により多様な抗原特異性を獲得するため、再構成が起きないとする記述は誤りである。 ② 細胞傷害性T細胞はMHCクラスⅠ拘束性であり、クラスⅡ拘束性はヘルパーT細胞である。 ③ 細胞傷害性T細胞はCD8分子と協調し、CD4分子はヘルパーT細胞のマーカーである。 ④ 正しい。細胞傷害性T細胞は抗原提示細胞などのMHCクラスⅠ上の抗原提示刺激を受けて活性化する。 ⑤ TCRはαβまたはγδの二量体であり、四量体ではない。
第63回 午後80(臨床免疫学)
免疫グロブリンで正しいのはどれか。
①IgAは胎盤通過性がある。 ②IgDはT細胞に存在する。 ③IgEは肥満細胞に結合する。 ④IgGは補体活性化能がない。 ⑤IgMは分泌成分と結合している。
正答: ③IgEは肥満細胞に結合する。
ポイント IgEは肥満細胞や好塩基球表面の高親和性Fcε受容体(FcεRI)に結合し、抗原による架橋でヒスタミンなどの脱顆粒を起こしてⅠ型(即時型)アレルギーを引き起こす。胎盤を通過できる免疫グロブリンはIgGのみで、補体古典経路を活性化するのはIgMとIgGである。IgDはB細胞表面に存在し、分泌成分(secretory component)と結合するのは粘膜分泌型のIgAである。●胎盤通過=IgGのみ。●補体古典経路活性化=IgM(最も強い)・IgG。●分泌型・二量体=IgA(分泌成分と結合)。●B細胞表面の抗原受容体=IgM・IgD。●Ⅰ型アレルギー・寄生虫感染=IgE。
選択肢ごとの解説
① 胎盤を通過するのはIgGであり、IgAには胎盤通過性はない。 ② IgDはB細胞表面に存在する抗原受容体であり、T細胞には存在しない。 ③ 正しい。IgEは肥満細胞・好塩基球の高親和性受容体に結合し、Ⅰ型アレルギーを起こす。 ④ IgGは古典経路を介して補体を活性化する能力をもつ。 ⑤ 分泌成分と結合するのは分泌型IgAであり、IgMではない。
第63回 午後81(臨床免疫学)
地帯現象がみられるのはどれか。2つ選べ。
①蛍光抗体法 ②免疫比ろう法 ③酵素免疫測定法 ④化学発光免疫測定法 ⑤ラテックス凝集比濁法
正答: ②免疫比ろう法・⑤ラテックス凝集比濁法
ポイント 地帯現象(プロゾーン現象)は抗体または抗原が過剰なときに免疫複合体の格子形成(架橋)が妨げられ、本来陽性であるべき検体が偽陰性や低値を示す現象である。抗原抗体反応による凝集・沈降そのものを光学的に直接測定する免疫比濁法(免疫比ろう法=ネフェロメトリーや透過光を見る方法)やラテックス凝集比濁法でみられ、希釈再検で値が上がることで確認できる。蛍光抗体法・酵素免疫測定法・化学発光免疫測定法は標識を介して検出するため、地帯現象の影響を受けにくい。●地帯現象を生じやすい=免疫比濁法・免疫比ろう法・ラテックス凝集比濁法(凝集・沈降を直接測定)。●フック効果(高濃度域での低下)=サンドイッチ法(一段法)で問題となる。●対策=検体希釈・段階希釈再検。
選択肢ごとの解説
① 蛍光抗体法は標識抗体で検出する方法であり、典型的な地帯現象は生じにくい。 ② 正しい。免疫比ろう法(ネフェロメトリー)は抗原抗体反応の濁りを測定するため、抗原過剰時に地帯現象を生じうる。 ③ 酵素免疫測定法は標識を介する測定であり、地帯現象の影響を受けにくい。 ④ 化学発光免疫測定法は標識を介する測定であり、地帯現象の影響を受けにくい。 ⑤ 正しい。ラテックス凝集比濁法は抗原抗体反応による凝集を測定するため、抗原過剰時に地帯現象を生じうる。
📋 まとめの表を見る:免疫測定法の測定原理と地帯現象(プロゾーン)
地帯現象は抗原または抗体が過剰なときに生じ、検体希釈や試薬量の調整で対策する。免疫比濁法は化学発光免疫測定法より感度が低く、サイトカインのような極微量物質の測定には適さない。
第63回 午後82(臨床免疫学)
B型肝炎ウイルスワクチンの効果を判定する検査はどれか。
①HBc抗体 ②HBe抗原 ③HBe抗体 ④HBs抗原 ⑤HBs抗体
正答: ⑤HBs抗体
ポイント B型肝炎ウイルス(HBV)ワクチンはHBs抗原(表面抗原)を成分とし、接種により中和抗体であるHBs抗体が産生される。したがってワクチンの効果判定はHBs抗体の獲得(陽転)で行う。HBc抗体は自然感染でのみ出現するためワクチン接種者では陰性であり、HBe抗原・HBe抗体はウイルス増殖能や感染経過の指標で、いずれもワクチン効果の指標とはならない。●ワクチン効果判定=HBs抗体(陽転で免疫獲得)。●感染の既往(自然感染)=HBc抗体陽性。●持続感染(キャリア)=HBs抗原陽性。●ウイルス増殖・感染力=HBe抗原陽性、低下=HBe抗体陽転(セロコンバージョン)。
選択肢ごとの解説
① HBc抗体は自然感染で出現する抗体であり、ワクチンでは産生されず効果判定に用いない。 ② HBe抗原はウイルス増殖の指標であり、ワクチン効果判定には用いない。 ③ HBe抗体は感染経過の指標であり、ワクチン効果判定には用いない。 ④ HBs抗原はワクチン成分かつ感染の指標であり、効果判定に用いるのは産生される抗体である。 ⑤ 正しい。HBs抗体の獲得によりB型肝炎ワクチンの効果を判定する。
📋 まとめの表を見る:肝炎ウイルスマーカーの解釈
第63回 午後83(臨床免疫学)
肝細胞癌の腫瘍マーカーはどれか。2つ選べ。
①PSA ②CEA ③AFP ④CA19-9 ⑤PIVKA-Ⅱ
正答: ③AFP・⑤PIVKA-Ⅱ
ポイント 肝細胞癌の代表的腫瘍マーカーはAFP(α-フェトプロテイン)とPIVKA-Ⅱ(ビタミンK欠乏性タンパク、protein induced by vitamin K absence or antagonist-Ⅱ)である。AFPは胎児期の肝で産生される糖タンパクで肝細胞癌で再上昇し、PIVKA-Ⅱは異常プロトロンビンで産生機序が異なるため、両者の併用測定で診断感度が高まる。PSA(前立腺特異抗原)は前立腺癌、CEA(癌胎児性抗原)は大腸癌など消化器癌、CA19-9は膵癌・胆道癌のマーカーである。●肝細胞癌=AFP・PIVKA-Ⅱ。●前立腺癌=PSA。●大腸癌・消化器癌=CEA。●膵癌・胆道癌=CA19-9。●卵巣癌=CA125。●乳癌=CA15-3。
選択肢ごとの解説
① PSA(前立腺特異抗原)は前立腺癌の腫瘍マーカーであり、肝細胞癌ではない。 ② CEA(癌胎児性抗原)は大腸癌など消化器癌で上昇するマーカーで、肝細胞癌に特異的ではない。 ③ 正しい。AFP(α-フェトプロテイン)は肝細胞癌の代表的腫瘍マーカーである。 ④ CA19-9は膵癌・胆道癌のマーカーであり、肝細胞癌ではない。 ⑤ 正しい。PIVKA-Ⅱは肝細胞癌の腫瘍マーカーで、AFPと併用される。
📋 まとめの表を見る:主な腫瘍マーカーと高値を示す代表疾患
第63回 午後84(臨床免疫学)
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の標的分子はどれか。
正答: ②CD4
ポイント ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はエンベロープ糖タンパクgp120がCD4分子に結合することで標的細胞に吸着し、ケモカイン受容体であるCCR5やCXCR4を共受容体として侵入する。標的はCD4陽性Tリンパ球やマクロファージ・樹状細胞で、CD4陽性T細胞の持続的減少により細胞性免疫が破綻し、後天性免疫不全症候群(AIDS)に進行する。●HIVの主受容体=CD4。●HIVの共受容体=CCR5・CXCR4。●CD4=ヘルパーT細胞、CD8=細胞傷害性T細胞、CD20=B細胞、CD34=造血幹細胞、CD1=脂質抗原提示。
選択肢ごとの解説
① CD1は脂質抗原を提示する分子であり、HIVの標的ではない。 ② 正しい。HIVはCD4分子を主要受容体として標的とし、CD4陽性T細胞などに感染する。 ③ CD8は細胞傷害性T細胞のマーカーであり、HIVの主要受容体ではない。 ④ CD20はB細胞のマーカーであり、HIVの標的ではない。 ⑤ CD34は造血幹細胞のマーカーであり、HIVの標的ではない。
第63回 午後85(臨床免疫学)
橋本病でみられる自己抗体はどれか。
①抗CCP抗体 ②抗基底膜抗体 ③抗リン脂質抗体 ④抗ミトコンドリア抗体 ⑤抗サイログロブリン抗体
正答: ⑤抗サイログロブリン抗体
ポイント 橋本病(慢性甲状腺炎)は自己免疫性甲状腺疾患で、抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体)と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体、旧称・抗マイクロソーム抗体)が陽性となる。これらの自己抗体や細胞性免疫が甲状腺組織を慢性的に傷害し、甲状腺機能低下症をきたす。抗CCP抗体は関節リウマチ、抗ミトコンドリア抗体は原発性胆汁性胆管炎の自己抗体である。●橋本病=抗サイログロブリン抗体・抗TPO抗体。●Basedow病=抗TSH受容体抗体(TRAb・TSAb)。●関節リウマチ=抗CCP抗体・リウマトイド因子。●原発性胆汁性胆管炎=抗ミトコンドリア抗体。●Goodpasture症候群=抗糸球体基底膜抗体。●抗リン脂質抗体症候群=抗カルジオリピン抗体・ループスアンチコアグラント。
選択肢ごとの解説
① 抗CCP抗体は関節リウマチに特異的な自己抗体であり、橋本病ではない。 ② 抗基底膜抗体はGoodpasture症候群でみられる自己抗体であり、橋本病ではない。 ③ 抗リン脂質抗体は抗リン脂質抗体症候群でみられる自己抗体であり、橋本病ではない。 ④ 抗ミトコンドリア抗体は原発性胆汁性胆管炎の自己抗体であり、橋本病ではない。 ⑤ 正しい。抗サイログロブリン抗体は橋本病でみられる自己抗体である。
📋 まとめの表を見る:臓器特異的自己抗体と自己免疫疾患
サイロキシン結合グロブリン〈TBG〉は甲状腺ホルモンの運搬蛋白であり、自己抗体の標的とはならない。
第63回 午後86(臨床免疫学)
血清補体価〈CH50〉の測定で用いられる反応はどれか。
①中和反応 ②沈降反応 ③溶解反応 ④赤血球凝集抑制反応 ⑤ラテックス凝集反応
正答: ③溶解反応
ポイント 血清補体価(CH50)は補体古典経路全体の活性を測定する検査で、抗体で感作したヒツジ赤血球を50%溶血させるのに必要な血清希釈度を指標とする。すなわち補体による感作赤血球の溶解(溶血)反応を利用する。C1からC9までいずれかの成分が消費・欠損するとCH50は低下し、消費性疾患(全身性エリテマトーデス活動期など)や補体欠損症の評価に用いる。●CH50の原理=感作赤血球の溶血(溶解反応)。●CH50低下=補体消費(活動性SLE・糸球体腎炎)・補体欠損症・産生低下。●CH50上昇=炎症(急性期反応)。●補体活性化経路=古典経路・第二経路(副経路)・レクチン経路。
選択肢ごとの解説
① 中和反応はウイルスや毒素の感染性・毒性を抗体が打ち消す反応であり、CH50の原理ではない。 ② 沈降反応は可溶性抗原と抗体の沈降を利用する反応であり、CH50の原理ではない。 ③ 正しい。CH50は補体による感作赤血球の溶解(溶血)反応を利用して測定する。 ④ 赤血球凝集抑制反応はウイルスによる血球凝集の抑制をみる反応であり、CH50の原理ではない。 ⑤ ラテックス凝集反応はラテックス粒子の凝集をみる反応であり、CH50の原理ではない。
第63回 午後87(臨床免疫学)
タイプ・アンド・スクリーンで正しいのはどれか。
①術前に検査は行わず検体のみ採取しておく。 ②患者の血液型検査だけを術前に済ませておく。 ③患者の血液型と不規則抗体の検査を術前に済ませておく。 ④患者に使用予定の在庫血液との交差適合試験を術前に済ませておく。 ⑤すべての在庫血液との交差適合試験を術前に済ませておく。
正答: ③患者の血液型と不規則抗体の検査を術前に済ませておく。
ポイント タイプ・アンド・スクリーン(type and screen、T&S)は、輸血の可能性が比較的低い待機手術などで、あらかじめ患者のABO・Rh血液型と不規則抗体スクリーニングのみを実施しておき、交差適合試験用の血液を確保しておかない準備方式である。不規則抗体が陰性であれば、輸血が必要になった際にコンピュータクロスマッチや生理食塩液法による迅速な交差適合試験で対応でき、血液の効率的運用と廃棄削減につながる。●T&S=血液型+不規則抗体スクリーニングのみ事前実施(交差適合試験用血液は確保しない)。●不規則抗体陰性時の対応=コンピュータクロスマッチ等。●関連方式=最大手術血液準備量(MSBOS)・手術血液準備量計算法(SBOE)。
選択肢ごとの解説
① T&Sでは血液型・不規則抗体検査を術前に実施するもので、検体採取のみではない。 ② 血液型検査だけでは不十分で、不規則抗体スクリーニングも併せて行うのがT&Sである。 ③ 正しい。タイプ・アンド・スクリーンは患者の血液型と不規則抗体の検査を術前に済ませておく方式である。 ④ T&Sでは交差適合試験用の血液を準備せず必要時に対応するもので、これは交差適合試験を済ませる方式の説明である。 ⑤ すべての在庫血液との交差適合試験はT&Sの効率的運用の主旨と異なり、T&Sの説明ではない。
📋 まとめの表を見る:術前輸血準備:予測出血量に応じた検査方針
タイプ・アンド・スクリーンは血液製剤の有効活用と輸血検査業務の合理化を目的とする。
第63回 午後88(臨床免疫学)
カラム法による血液型検査の結果を別に示す。判定として正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB088.240e13a8cd.jpg
①オモテ検査AB型、ウラ検査AB型、Rh陽性 ②オモテ検査AB型、ウラ検査O型、Rh陰性 ③オモテ検査O型、ウラ検査AB型、Rh陰性 ④オモテ検査O型、ウラ検査O型、Rh陰性 ⑤オモテ検査O型、ウラ検査O型、Rh陽性
正答: ③オモテ検査O型、ウラ検査AB型、Rh陰性
ポイント カラム凝集法(ゲルカラム法)ではゲルマトリックスの上部や中間に凝集塊が捕捉されれば陽性、赤血球がカラム底部まで沈降すれば陰性と判定する。オモテ検査(患者赤血球と抗A・抗B試薬)がともに陰性ならばO型と判定する。ウラ検査(患者血清とA1血球・B血球)では、血清中に抗A・抗B両抗体が存在して両血球と凝集すればO型、両抗体を欠きいずれの血球とも凝集しなければAB型のウラ反応を示す。本図はオモテO型・ウラAB型のオモテウラ不一致で、Rhは抗D試薬で陰性反応を示している。実際にはABO亜型や抗体産生不全などの追加検索を要する所見である。●オモテウラ不一致の原因=ABO亜型・抗体産生低下(新生児・高齢者・免疫不全)・寒冷凝集素・連銭形成・不規則抗体・採血ミス。●カラム法の判定=上層凝集=陽性、底部沈降=陰性。
選択肢ごとの解説
① オモテ検査はAB型ではなくRhも陽性ではないため、該当しない。 ② オモテ検査はAB型ではなく、ウラ検査もO型ではないため、該当しない。 ③ 正しい。オモテ検査O型・ウラ検査AB型・Rh陰性のオモテウラ不一致の判定である。 ④ ウラ検査がO型ではないため、該当しない。 ⑤ ウラ検査がO型でなくRhも陽性ではないため、該当しない。
第63回 午後89(臨床免疫学)
貯血式自己血輸血で正しいのはどれか。
①同種免疫を防止できる。 ②緊急手術時で適応となる。 ③取り違え輸血を防止できる。 ④保管管理体制が不要である。 ⑤家族血を代用することができる。
正答: ①同種免疫を防止できる。
ポイント 貯血式自己血輸血は、手術前に計画的に患者自身の血液を採取・保存しておき、術中・術後に返血する方法である。同種血を用いないため、同種免疫(不規則抗体の産生)、輸血感染症、輸血関連移植片対宿主病(GVHD)を回避できる。一方、複数回の計画的採血を要するため緊急手術には適さず、適切な保管・管理体制が必要で、採血や返血の段階での取り違えリスクは残るため照合は必須である。●自己血輸血の方式=貯血式・希釈式(術前)・回収式(術中・術後)。●自己血の利点=同種免疫回避・感染症回避・GVHD回避。●自己血の限界=緊急手術に不向き・貯血量に限界・取り違えリスクは残存・保管管理が必要。
選択肢ごとの解説
① 正しい。自己血を用いるため同種免疫(不規則抗体産生など)を防止できる。 ② 貯血式は計画的に採血・保存するため、緊急手術には適応となりにくい。 ③ 自己血でも採血・保管・返血の各段階で取り違えは起こりうるため、防止できるとは言えない。 ④ 自己血も適切な保管・管理体制が必要であり、不要ではない。 ⑤ 自己血輸血は患者本人の血液を用いるものであり、家族血で代用できるものではない。
第63回 午後90(公衆衛生学)
昭和25年〈1950年〉から平成26年〈2014年〉までの65年間の我が国の人口動態統計で、粗死亡率でみた死因の第1位となった年次の回数が最も多いのはどれか。
正答: ①悪性新生物
ポイント 我が国の死因順位は時代とともに変化してきた。昭和25年(1950年)には結核が上位を占め、その後脳血管疾患が第1位の時期を経て、昭和56年(1981年)以降は悪性新生物(がん)が一貫して第1位を維持している。昭和25年から平成26年(2014年)までの65年間で、第1位となった年次の回数が最も多いのは悪性新生物である。●近年の死因順位(粗死亡率)=第1位・悪性新生物、上位に心疾患・老衰・脳血管疾患・肺炎。●第1位の変遷=結核(戦後)→脳血管疾患→悪性新生物(1981年以降)。●関連統計=人口動態統計(出生・死亡・婚姻・離婚・死産)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。悪性新生物は昭和56年以降一貫して第1位を占め、第1位となった年次の回数が最も多い。 ② 心疾患は第2位前後で推移し、第1位となった年次は悪性新生物より少ない。 ③ 全結核は戦後の一時期に第1位だったが、その後激減し回数は少ない。 ④ 脳血管疾患は1950〜1970年代に第1位の時期があったが、悪性新生物より回数は少ない。 ⑤ 肺炎は近年順位を上げたが、第1位となった年次は悪性新生物より少ない。
第63回 午後91(公衆衛生学)
患者調査で正しいのはどれか。
①5年に1回実施される。 ②世帯を対象として調査する。 ③年齢別の有訴者率が分かる。 ④傷病別の平均在院日数が分かる。 ⑤医療費についての調査が含まれる。
正答: ④傷病別の平均在院日数が分かる。
ポイント 患者調査は医療施設を利用する患者を対象とし、3年に1回実施される標本調査である。推計患者数、受療率、退院患者の傷病別平均在院日数などが把握できる。世帯を対象とし有訴者率・通院者率を調べるのは国民生活基礎調査であり、医療費の動向を扱うのは国民医療費の統計である。●患者調査(3年ごと・医療施設対象)=推計患者数・受療率・平均在院日数。●国民生活基礎調査(世帯対象)=有訴者率・通院者率・所得・介護状況。●国民医療費=年間の医療費総額・財源・年齢別費用。●人口動態統計=出生・死亡・死因。
選択肢ごとの解説
① 患者調査は3年に1回実施され、5年に1回ではない。 ② 患者調査は医療施設を対象とする調査であり、世帯を対象とするのは国民生活基礎調査である。 ③ 有訴者率が分かるのは国民生活基礎調査であり、患者調査ではない。 ④ 正しい。患者調査では傷病別の平均在院日数を把握できる。 ⑤ 医療費の調査は国民医療費の統計で扱われ、患者調査には含まれない。
第63回 午後92(公衆衛生学)
微小粒子物質PM2.5で誤っているのはどれか。
①たばこの煙に含まれる。 ②環境基準値が設定されている。 ③浮遊粒子状物質〈SPM〉である。 ④肺の奥深くまで入り込みやすい。 ⑤粒子の重量は2.5 mg以下と規定される。
正答: ⑤粒子の重量は2.5 mg以下と規定される。
ポイント 微小粒子状物質PM2.5は粒径2.5マイクロメートル(μm)以下の微小粒子で、重量ではなく粒子の直径(大きさ)で定義される。粒径が小さいため肺の奥(肺胞)まで到達しやすく、呼吸器・循環器系への健康影響が問題となる。たばこの煙やディーゼル排ガスなどに含まれ、浮遊粒子状物質(SPM)よりさらに細かい粒子群で、環境基本法に基づく環境基準が設定されている。●大気汚染に係る環境基準項目=二酸化硫黄・二酸化窒素・一酸化炭素・光化学オキシダント・浮遊粒子状物質(SPM、10μm以下)・微小粒子状物質(PM2.5、2.5μm以下)。●PM2.5の発生源=燃焼(自動車・工場・たばこ)・二次生成。●健康影響=呼吸器疾患・循環器疾患のリスク上昇。
選択肢ごとの解説
① PM2.5はたばこの煙にも含まれるため、正しい記述である。 ② PM2.5には環境基準値が設定されているため、正しい記述である。 ③ PM2.5は浮遊粒子状物質(SPM)よりさらに細かい微小粒子で、SPMに含まれる範囲のものであり、正しい記述である。 ④ PM2.5は粒径が小さく肺の奥深くまで入り込みやすいため、正しい記述である。 ⑤ 誤り。PM2.5は粒子の直径が2.5μm以下と規定されるものであり、重量が2.5mg以下と規定されるものではない。
第63回 午後93(公衆衛生学)
特定健康診査・特定保健指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
①都道府県が実施する。 ②65歳以上を対象とする。 ③健康増進法が根拠法である。 ④目的にメタボリックシンドローム対策がある。 ⑤喫煙歴は保健指導対象者を選定する項目である。
正答: ④目的にメタボリックシンドローム対策がある。・⑤喫煙歴は保健指導対象者を選定する項目である。
ポイント 特定健康診査・特定保健指導は高齢者の医療の確保に関する法律を根拠とし、40〜74歳の医療保険加入者を対象に医療保険者が実施する。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・改善を目的とし、腹囲・BMIや血糖・脂質・血圧の検査結果に喫煙歴などの追加リスクを組み合わせて、保健指導の階層化(動機付け支援・積極的支援などの対象者選定)を行う。●根拠法=高齢者の医療の確保に関する法律。●実施主体=医療保険者。●対象=40〜74歳の被保険者・被扶養者。●目的=メタボリックシンドローム対策(生活習慣病予防)。●階層化=腹囲・BMI+血糖・脂質・血圧+喫煙歴で支援区分を決定。●参考=健康増進法は健康診査・健康日本21などの根拠法。
選択肢ごとの解説
① 実施主体は医療保険者であり、都道府県ではない。 ② 対象は40〜74歳であり、65歳以上に限定されるものではない。 ③ 根拠法は高齢者の医療の確保に関する法律であり、健康増進法ではない。 ④ 正しい。特定健康診査・特定保健指導はメタボリックシンドローム対策を目的としている。 ⑤ 正しい。喫煙歴は保健指導の対象者を階層化・選定する際の追加リスク項目である。
第63回 午後94(公衆衛生学)
世界保健機関〈WHO〉の活動はどれか。
①識字率を向上させる。 ②難民の帰還支援を行う。 ③世界食糧援助計画を実施する。 ④国際疾病分類〈ICD〉を作成する。 ⑤労働者の健康保護について勧告する。
正答: ④国際疾病分類〈ICD〉を作成する。
ポイント 世界保健機関(WHO)は国際連合の専門機関の一つで、保健衛生分野の国際協力を担う。国際疾病分類(ICD)の作成・改訂、感染症対策、保健基準の策定などがその活動である。識字率向上は国連教育科学文化機関(UNESCO)、難民の帰還支援は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界食糧援助は世界食糧計画(WFP)、労働者の健康保護に関する勧告は国際労働機関(ILO)が担う。●WHO=ICD作成・感染症対策・保健基準。●UNESCO=教育・科学・文化(識字率)。●UNHCR=難民支援。●WFP=食糧援助。●ILO=労働条件・労働者保護。●UNICEF=児童の福祉・保健。
選択肢ごとの解説
① 識字率向上は国連教育科学文化機関(UNESCO)の活動であり、WHOではない。 ② 難民の帰還支援は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動であり、WHOではない。 ③ 世界食糧援助計画は世界食糧計画(WFP)の活動であり、WHOではない。 ④ 正しい。国際疾病分類(ICD)の作成・改訂は世界保健機関(WHO)の活動である。 ⑤ 労働者の健康保護に関する勧告は国際労働機関(ILO)の活動であり、WHOが主体ではない。
第63回 午後95(医用工学概論)
入力電圧を50倍に増幅する増幅器Aと200倍に増幅する増幅器Bがある。増幅器AとBを直列に接続したときの全体の増幅度[dB]はどれか。
正答: ③80
ポイント 増幅器を直列(縦続)接続したときの電圧増幅度(倍率)は各段の倍率の積となるため、50倍×200倍=10000倍となる。デシベル(dB)表示では電圧比のため20×log10(倍率)で計算し、20×log10(10000)=20×4=80dBとなる。なお各段をdBで求めて加算しても、約34dB+約46dB=80dBで一致する。●電圧比のデシベル=20log10(倍率)。●電力比のデシベル=10log10(倍率)。●縦続接続=倍率は積、デシベルは和。●目安=10倍=20dB、100倍=40dB、1000倍=60dB、10000倍=80dB。
選択肢ごとの解説
① 40dBは100倍に相当し、本問の10000倍とは一致しない。 ② 60dBは1000倍に相当し、本問の10000倍とは一致しない。 ③ 正しい。50×200=10000倍で、20log10(10000)=80dBとなる。 ④ 100dBは100000倍に相当し、本問の10000倍とは一致しない。 ⑤ 120dBは1000000倍に相当し、本問の10000倍とは一致しない。
第63回 午後96(医用工学概論)
図の回路の入力(A、B)と出力(Y)の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB096.cc0bec128a.jpg
①A=0、B=0 — Y=0 ②A=1、B=0 — Y=0 ③A=0、B=1 — Y=1 ④A=1、B=1 — Y=0 ⑤A=1、B=1 — Y=1
正答: ③A=0、B=1 — Y=1・④A=1、B=1 — Y=0
ポイント 図の回路はAND記号の出力側に否定(反転)を表す小円が付いたNAND回路で、Y=NOT(A AND B)である。NANDでは(0,0)→1、(0,1)→1、(1,0)→1、(1,1)→0となり、両入力がともに1のときだけ出力0、それ以外は出力1である。したがってA=0・B=1でY=1、A=1・B=1でY=0の組合せが正しい。●基本論理ゲート=AND(両方1で1)・OR(いずれか1で1)・NOT(反転)。●NAND・NOR=ANDやORの出力を反転。●XOR(排他的論理和)=入力が異なるとき1。●XNOR=入力が一致するとき1(一致回路)。
選択肢ごとの解説
① A=0・B=0のときNAND回路の出力はY=1であり、Y=0とする本組合せは誤りである。 ② A=1・B=0のときNAND回路の出力はY=1であり、Y=0とする本組合せは誤りである。 ③ 正しい。A=0・B=1のとき出力Y=1となり、本回路の真理値表に合致する。 ④ 正しい。A=1・B=1のとき出力Y=0となり、本回路の真理値表に合致する。 ⑤ A=1・B=1のときNAND回路の出力はY=0であり、Y=1とする本組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:論理回路の真理値表(基本論理ゲート)
NANDはAND、NOR はOR の出力を反転したもの。NOT回路は1入力のみで出力はXの反転(0→1、1→0)。
第63回 午後97(医用工学概論)
図に示す医用機器関連図記号の説明はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k63pB097.c415fa467d.jpg
①高電圧 ②等電位化 ③保護接地 ④B形装着部 ⑤クラスⅡ機器
正答: ②等電位化
ポイント 医用電気機器の安全に関する図記号のうち、下向きの三角形(逆三角形)を用いた記号は等電位化(equipotentiality)を示し、機器の導電部を等電位化導線(バスバー)に接続する端子を表す。円の中に水平線を重ねた接地記号を描くのは保護接地の図記号であり、等電位化記号と混同しない。等電位化は、電位差による感電(マクロショック・ミクロショック)を防ぐため、患者環境内の各機器や金属部を同じ電位に保つことを目的とする。保護接地・B形装着部・クラスⅡ機器・高電圧などはそれぞれ異なる図形で区別される。●等電位化=逆三角形の記号、導電部を同電位に保つ端子。●保護接地=接地(アース)記号。●クラスⅡ機器=二重四角(二重絶縁)。●装着部の図記号=B形は枠なしの人型、BF形は四角枠内の人型、CF形は四角枠内のハート。●高電圧=稲妻状の記号。
選択肢ごとの解説
① 高電圧は稲妻状の記号で示され、本図記号とは異なる。 ② 正しい。本図記号は等電位化を示し、等電位化端子を表す。 ③ 保護接地は接地(アース)記号で示され、等電位化記号とは異なる。 ④ B形装着部は人体記号を用いた装着部記号で示され、本図記号とは異なる。 ⑤ クラスⅡ機器は二重四角の記号で示され、本図記号とは異なる。
第63回 午後98(医用工学概論)
複数のハードディスクを組み合わせて信頼性を高めるのはどれか。
①IEEE1394 ②RAID ③RS-232C ④SSD ⑤USB
正答: ②RAID
ポイント RAID(Redundant Array of Independent Disks)は複数のハードディスクを組み合わせ、データを分散・冗長化することで信頼性や性能を高める技術である。ミラーリングを行うRAID1やパリティを用いるRAID5などでは、ディスクが1台故障してもデータを保護・復旧できる。IEEE1394・RS-232C・USBはデータ転送用の接続インタフェース、SSD(solid state drive)は半導体記憶装置であり、いずれも冗長化技術ではない。●RAIDの代表構成=RAID0(ストライピング・高速だが冗長性なし)・RAID1(ミラーリング)・RAID5(パリティ分散)・RAID6(二重パリティ)・RAID10(1+0)。●接続インタフェース=USB・IEEE1394・RS-232C・SATA・SCSI。●記憶媒体=HDD・SSD・光ディスク。
選択肢ごとの解説
① IEEE1394はデータ転送用のシリアルインタフェース規格であり、ディスクの冗長化技術ではない。 ② 正しい。RAIDは複数のハードディスクを組み合わせて冗長化し信頼性を高める技術である。 ③ RS-232Cはシリアル通信インタフェース規格であり、ディスクの冗長化技術ではない。 ④ SSDは半導体記憶装置(記憶媒体)であり、複数ディスクを組み合わせる冗長化技術ではない。 ⑤ USBは周辺機器接続インタフェース規格であり、ディスクの冗長化技術ではない。
第63回 午後99(医用工学概論)
DNAの増幅に用いられるのはどれか。
①サーマルサイクラー ②フローサイトメータ ③キャピラリ電気泳動装置 ④高速液体クロマトグラフィ装置 ⑤パルスフィールド電気泳動装置
正答: ①サーマルサイクラー
ポイント DNAの増幅にはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応、polymerase chain reaction)が用いられ、これを実行する装置がサーマルサイクラー(熱循環装置)である。熱変性・アニーリング(プライマー結合)・伸長の各温度を周期的に正確に制御することでDNAを指数関数的に増幅する。フローサイトメータは細胞・粒子の解析、キャピラリ電気泳動装置・パルスフィールド電気泳動装置はDNA断片の分離、高速液体クロマトグラフィ装置は物質の分離分析に用いる装置である。●DNA増幅=PCR(サーマルサイクラー)。●定量・検出=リアルタイムPCR装置。●分離・解析=アガロース/キャピラリ電気泳動・パルスフィールド電気泳動(大型DNA)。●細胞解析=フローサイトメータ。●物質分離分析=高速液体クロマトグラフィ。
選択肢ごとの解説
① 正しい。サーマルサイクラーは温度を周期制御してPCRによるDNA増幅を行う装置である。 ② フローサイトメータは細胞や粒子を解析する装置であり、DNA増幅には用いない。 ③ キャピラリ電気泳動装置はDNA断片の分離・解析に用い、増幅装置ではない。 ④ 高速液体クロマトグラフィ装置は物質の分離分析に用い、DNA増幅装置ではない。 ⑤ パルスフィールド電気泳動装置は大きなDNAの分離に用い、増幅装置ではない。
第63回 午後100(医用工学概論)
純水製造の基本原理でないのはどれか。
①蒸留法 ②逆浸透法 ③イオン交換法 ④活性炭吸着法 ⑤連続再生電気脱イオン法
正答: ④活性炭吸着法
ポイント 純水・超純水の製造は、蒸留法、逆浸透(reverse osmosis、RO)法、イオン交換法、連続再生電気脱イオン(electrodeionization、EDI)法などの原理を組み合わせ、水中のイオンや溶存物質を除去して行う。活性炭吸着法は残留塩素や有機物・においを除く前処理工程であり、脱イオン・脱塩そのものを担う純水製造の基本原理ではない。●純水製造の基本原理=蒸留法・逆浸透法・イオン交換法・連続再生電気脱イオン法・限外ろ過。●前処理=活性炭吸着(残留塩素・有機物除去)・砂ろ過・軟水化。●水質指標=電気伝導率(比抵抗)・全有機炭素(TOC)・微粒子数。
選択肢ごとの解説
① 蒸留法は水を蒸発・凝縮させて不純物を除く純水製造の基本原理である。 ② 逆浸透法は半透膜でイオンや溶質を除去する純水製造の基本原理である。 ③ イオン交換法は陽・陰イオンを交換樹脂で除去する純水製造の基本原理である。 ④ 誤り。活性炭吸着法は残留塩素や有機物を除く前処理であり、脱イオンを行う純水製造の基本原理ではない。 ⑤ 連続再生電気脱イオン法は電気的にイオンを除去し樹脂を再生する純水製造の原理である。
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