第64回(2018) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第64回 午前51(病理組織細胞学)

腎臓の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA051.fe27fee636.jpg
第64回 午前51 の図

正答: ⑤Masson trichrome染色

ポイント
Masson trichrome(マッソン・トリクローム)染色は膠原線維を青緑色(アニリン青使用時)または青色、細胞質・筋線維・赤血球を赤色に染め分ける三色結合織染色である。腎では糸球体基底膜やメサンギウム基質、間質・血管周囲の線維化を評価するのに有用で、慢性腎疾患の進行度判定に用いられる。媒染としてリンタングステン酸を用いて染色色素の分布を調整する点が特徴である。
●結合織(膠原線維)染色=Masson trichrome(青緑/青)・azan(アニリン青で青)・van Gieson(赤)。
●基底膜の染色=PAS反応(赤紫)・PAM/過ヨウ素酸メセナミン銀(黒)。
●筋・グリア線維=PTAH(青)。
●弾性線維=Elastica van Gieson・Weigert染色。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腎糸球体基底膜を対象とする特殊染色とその呈色

染色法呈色
PAM染色黒褐色〜黒色(メセナミン銀)
PAS反応赤紫色(Schiff試薬)
Masson trichrome染色基底膜・メサンギウム基質は青色(アニリン青)。免疫複合体沈着物は赤色
azan-Mallory染色基底膜・メサンギウム基質は青色(アニリン青)。免疫複合体沈着物は赤色(アゾカルミンG)
いずれも腎糸球体基底膜・メサンギウム基質を観察できるが、染色法により呈色が異なる。

第64回 午前52(病理組織細胞学)

軟骨組織の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA052.dc7cb2b1e3.jpg
第64回 午前52 の図

正答: ③Alcian blue染色

ポイント
Alcian blue(アルシアン青)染色は酸性ムコ多糖(グリコサミノグリカン)を青色に染める染色法で、軟骨基質に豊富なプロテオグリカンを鮮やかに染め出す。染色液のpH2.5ではカルボキシル基をもつ粘液と硫酸基をもつ粘液の両方が染まり、pH1.0では主に硫酸基をもつ酸性粘液が染まる。両条件を比較して酸性粘液の性状を評価する。軟骨組織の同定や上皮性・間質性粘液の評価に用いられる。
●酸性ムコ多糖の染色=Alcian blue(青)・toluidine blue(異染性で赤紫)・コロイド鉄染色。
●上皮性粘液の染色=mucicarmine(赤)・PAS反応(赤紫)。
●結合織染色=azan・Masson trichrome。
●鉄(ヘモジデリン)の染色=Berlin blue/ベルリン青(青)。

選択肢ごとの解説

第64回 午前53(病理組織細胞学)

FISH法について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②染色体転座の検出に用いる。・④キメラ遺伝子の検出に用いる。

ポイント
FISH(fluorescence in situ hybridization:蛍光in situハイブリダイゼーション)法は、蛍光標識したDNAプローブを標的の染色体領域や遺伝子に相補的に結合させ、蛍光顕微鏡で観察する手法である。染色体転座、BCR-ABL1などのキメラ(融合)遺伝子、遺伝子の増幅・欠失の検出に用いられ、分裂中期染色体だけでなく間期核でも解析できる。蛍光色素は退色するため永久標本にはならず、対比染色にはDAPIを用いる。
●染色体・遺伝子異常の検出法=FISH・染色体分染(G分染)・サザンブロット・PCR・マイクロアレイ。
●FISHの用途=転座(融合・スプリットシグナル)・増幅(HER2等)・欠失・数的異常(モノソミー/トリソミー)。
●蛍光色素=FITC(緑)・ローダミン/Texas red(赤)・対比染色DAPI(青)。

選択肢ごとの解説

第64回 午前54(病理組織細胞学)

透過型電子顕微鏡標本の作製法について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①電子染色を行う。・④後固定にはオスミウム酸を用いる。

ポイント
透過型電子顕微鏡(TEM)標本では、前固定にグルタルアルデヒド、後固定に四酸化オスミウム(オスミウム酸)を用いて微細構造を保持し、脂質に電子密度を与える。脱水後はプロピレンオキシド(酸化プロピレン)で置換し、エポキシ樹脂などで包埋して超薄切片を作製する。切片は酢酸ウランやクエン酸鉛による電子染色でコントラストを付与する。パラフィン包埋やエタノール固定は光学顕微鏡用で電顕には適さない。
●固定=前固定グルタルアルデヒド、後固定四酸化オスミウム。
●脱水=上昇系列エタノールまたはアセトン。
●置換=プロピレンオキシド。
●包埋=エポキシ樹脂(Epon等)。
●電子染色=酢酸ウラン・クエン酸鉛。

選択肢ごとの解説

第64回 午前55(病理組織細胞学)

子宮頸部擦過細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA055.27c3a13b18.jpg
第64回 午前55 の図

正答: ③トリコモナス

ポイント
腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)はトリコモナス腟炎の原因原虫で、Papanicolaou(パパニコロウ)染色では灰緑色〜淡好酸性で核が偏在する洋ナシ形〜類円形の構造として観察される。背景に好中球が多く、扁平上皮細胞には核周明庭や軽度核腫大、好中球の付着(cannon ball)を伴うことがある。鞭毛は固定標本では確認しにくい。
●腟内の細胞診で見る微生物=トリコモナス(灰緑色洋ナシ形)・カンジダ(仮性菌糸と出芽胞子)・放線菌(菌塊)・Leptothrix(細長い糸状の細菌)。
●ウイルス性細胞変化=HPV(コイロサイト)・単純ヘルペス(核内封入体・多核化・すりガラス核)・サイトメガロウイルス(フクロウの目様核内封入体)。
●正常腟内常在菌=デーデルライン桿菌(乳酸桿菌)。

選択肢ごとの解説

第64回 午前56(病理組織細胞学)

子宮頸部細胞診でコイロサイトに関係する微生物はどれか。

正答: ⑤ヒトパピローマウイルス

ポイント
コイロサイトは核周明庭(核の周囲の明るい空隙)と核腫大・核形不整・二核化を示す扁平上皮細胞で、ヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)感染の細胞学的特徴である。HPVは子宮頸部の前がん病変や扁平上皮癌と密接に関連し、特に高リスク型(16型・18型など)が発がんに寄与する。コイロサイトーシスはHPV感染の指標となる。
●HPV関連細胞所見=コイロサイト(核周明庭)・異形成・扁平上皮内病変(SIL)。
●他のウイルス性細胞変化=単純ヘルペス(多核・すりガラス核内封入体)・サイトメガロウイルス(フクロウの目様核内封入体)。
●HPV関連腫瘍=子宮頸癌・尖圭コンジローマ・中咽頭癌。

選択肢ごとの解説

第64回 午前57(病理組織細胞学)

悪性細胞で頻度の高い所見はどれか。2つ選べ。

正答: ①核形不整・②核小体明瞭化

ポイント
悪性細胞では核形不整、核腫大による核と細胞質の面積比(N/C比)の増大、核小体の明瞭化・増数、クロマチンの増量・粗大化や分布不均一などの核異型が高頻度にみられる。これらは細胞の異常増殖と核の活性亢進を反映する。細胞質内顆粒や粘液は細胞の分化方向を示す所見で、悪性そのものの一般的指標ではない。
●核の悪性所見=核腫大・核形不整・N/C比増大・核小体明瞭化と増数・クロマチン増量と分布不均一・核分裂像。
●集塊の悪性所見=重積性・極性の乱れ・結合性低下。
●良性を示唆する所見=均一な核・整った核縁・低いN/C比・規則的な配列。

選択肢ごとの解説

第64回 午前58(病理組織細胞学)

病理解剖について正しいのはどれか。

正答: ①医師以外の者でも実施できる。

ポイント
病理解剖は死体解剖保存法に基づいて行われ、解剖を実施するのは医師または歯科医師であり、その他に解剖資格認定を受けた者が行う場合がある。原則として遺族の承諾を得る必要があり、剖検結果の臨床的説明は担当医師が行う。臨床検査技師は組織標本の作製や解剖の介助を担う立場であり、解剖の主体や結果説明者ではない。
●解剖の種類=病理解剖(病死の死因究明、死体解剖保存法)・行政解剖(監察医、異状死体)・司法解剖(犯罪関連、刑事訴訟法)・系統解剖(医学教育)。
●病理解剖の要件=遺族の承諾・医師等による実施。
●臨床検査技師の役割=標本作製・介助(解剖の主体や説明者ではない)。

選択肢ごとの解説

第64回 午前59(臨床血液学)

肝細胞が産生するのはどれか。

正答: ②トロンボポエチン

ポイント
トロンボポエチンは主に肝細胞で産生されるサイトカインで、骨髄の巨核球の増殖・分化を促進し血小板産生を高める。これに対しエリスロポエチンは主に腎臓(尿細管周囲の間質細胞)で産生され赤血球産生を促す。各造血因子の産生臓器の違いを区別することが要点である。
●肝臓で主に産生=トロンボポエチン・凝固因子(フィブリノゲン等)・アルブミン・C反応性蛋白(CRP)。
●腎臓で産生=エリスロポエチン・レニン・活性型ビタミンD。
●コロニー刺激因子=G-CSF・M-CSF・GM-CSF(線維芽細胞・内皮細胞・単球・マクロファージなどが産生)。
●T細胞産生サイトカイン=インターロイキン-2・インターフェロンγ。

選択肢ごとの解説

第64回 午前60(臨床血液学)

濃染顆粒に含まれるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①ADP・②セロトニン

ポイント
血小板の濃染顆粒(dense granule、δ顆粒)にはADP・ATP・セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)・カルシウムイオン・ピロリン酸などの低分子物質が含まれ、放出されると血小板の活性化・凝集を増幅し血管収縮にも寄与する。一方α顆粒にはフィブリノゲン、von Willebrand因子、血小板第4因子、β-トロンボグロブリン、血小板由来増殖因子などの蛋白が含まれる。グリコーゲンは細胞質に貯蔵される。
●濃染顆粒(δ顆粒)=ADP・ATP・セロトニン・カルシウム・ピロリン酸。
●α顆粒=フィブリノゲン・von Willebrand因子・血小板第4因子・β-トロンボグロブリン・PDGF。
●細胞質に貯蔵=グリコーゲン。
●関連疾患=濃染顆粒欠損(storage pool病)・灰色血小板症候群(α顆粒欠損)。

選択肢ごとの解説

第64回 午前61(臨床血液学)

血小板から放出されるのはどれか。

正答: ④トロンボキサンA2

ポイント
トロンボキサンA2は活性化した血小板内でアラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX-1)およびトロンボキサン合成酵素を介して産生・放出される強力な血小板凝集促進・血管収縮物質である。コラーゲンやエピネフリンは血小板を活性化する外因性の刺激物質であり、トロンボモジュリンは血管内皮細胞に存在する抗凝固分子である。リストセチンはvon Willebrand因子依存性の凝集を誘導する検査用試薬である。
●血小板が放出する物質=トロンボキサンA2・濃染顆粒内容(ADP・セロトニン)・α顆粒内容(フィブリノゲン・vWF・血小板第4因子)。
●血小板を活性化する外因性刺激=コラーゲン・ADP・エピネフリン・トロンビン・リストセチン(試薬)。
●内皮の抗凝固分子=トロンボモジュリン・ヘパラン硫酸・プロスタサイクリン。
●アスピリンの作用=COX阻害でトロンボキサンA2産生を抑制。

選択肢ごとの解説

第64回 午前62(臨床血液学)

播種性血管内凝固〈DIC〉の診断に用いられないのはどれか。

正答: ④抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体

ポイント
播種性血管内凝固〈DIC〉の診断では凝固活性化と線溶亢進を反映する分子マーカーが用いられる。可溶性フィブリンモノマー複合体、プロトロンビンフラグメント1+2〈PF 1+2〉、トロンビン・アンチトロンビン複合体〈TAT〉は凝固活性化を、プラスミン・プラスミンインヒビター複合体〈PIC〉は線溶活性化を反映する。抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体はヘパリン起因性血小板減少症〈HIT〉の診断指標であり、DICとは異なる病態を示す。
●凝固活性化マーカー=PF 1+2・TAT・可溶性フィブリンモノマー複合体・Dダイマー(線溶も反映)。
●線溶活性化マーカー=PIC・FDP・Dダイマー。
●DICの一般検査=血小板減少・PT延長・フィブリノゲン低下・FDP/Dダイマー上昇。
●HITの指標=抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体。

選択肢ごとの解説

第64回 午前63(臨床血液学)

リンパ球と単球との鑑別に有用な染色法はどれか。

正答: ④非特異的エステラーゼ染色

ポイント
非特異的エステラーゼ染色(α-ナフチルブチレートエステラーゼなど)は単球系細胞でびまん性に強陽性となり、フッ化ナトリウム添加で活性が阻害される点が特徴で、リンパ球は陰性〜点状陽性にとどまる。このため単球とリンパ球の鑑別に有用である。特異的エステラーゼ(ナフトールAS-Dクロロアセテートエステラーゼ)は顆粒球系に陽性となる。
●単球系陽性=非特異的エステラーゼ(NaF阻害あり)。
●顆粒球系陽性=特異的エステラーゼ(クロロアセテート)・ペルオキシダーゼ・好中球アルカリホスファターゼ(NAP)。
●鉄芽球・ヘモジデリン=鉄染色(Berlin blue)。
●グリコーゲン=PAS染色(巨核球・赤白血病・ALLで陽性傾向)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血液細胞化学染色(特殊染色)の目的・判定・臨床意義

染色目的・陽性の対象臨床意義
鉄染色3価の非ヘモグロビン鉄(環状鉄芽球など)の証明骨髄異形成症候群〈MDS〉・鉄芽球性貧血の環状鉄芽球の鑑別
ペルオキシダーゼ染色顆粒球系細胞で陽性、リンパ系は陰性AML(3%以上陽性)とALLの鑑別
特異的エステラーゼ染色顆粒球系細胞で陽性非特異的エステラーゼとの二重染色でM4の鑑別
非特異的エステラーゼ染色単球系細胞で陽性、フッ化ナトリウムで阻害される単球性白血病(M4・M5)の鑑別
PAS染色正常赤芽球は陰性、異常な赤芽球やリンパ芽球で陽性赤白血病(M6)・ALL・MDSの異常赤芽球の検出
好中球アルカリホスファターゼ〈NAP〉染色好中球の成熟度を反映CML・PNHで低値、真性多血症・重症感染症で高値

第64回 午前64(臨床血液学)

赤血球の封入体はどれか。2つ選べ。

正答: ③ハインツ〈Heinz〉小体・⑤パッペンハイマー〈Pappenheimer〉小体

ポイント
赤血球の封入体には、変性ヘモグロビンからなるハインツ〈Heinz〉小体(超生体染色で検出、酸化的溶血で出現)と、鉄を含むパッペンハイマー〈Pappenheimer〉小体(鉄染色陽性)がある。ほかに核残遺物のHowell-Jolly小体やリボソーム残遺による好塩基性斑点も赤血球封入体である。デーレ〈Döhle〉小体・アウエル〈Auer〉小体は白血球系の所見、ラッセル〈Russell〉小体は形質細胞内の免疫グロブリン蓄積物である。
●赤血球封入体=ハインツ小体(変性Hb)・パッペンハイマー小体(鉄)・Howell-Jolly小体(核残遺)・好塩基性斑点(リボソーム残遺)・Cabot環。
●白血球封入体=デーレ小体(中毒性顆粒に伴う)・アウエル小体(骨髄芽球・APL)。
●形質細胞=ラッセル小体・モット細胞。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血球の核・細胞質にみられる特徴的所見

所見対応する血球補足
ドラムスティック(太鼓のばち)好中球(女性)不活性化X染色体(Barr小体)に由来する核の付属物
明瞭な核小体骨髄芽球などの幼若な芽球N/C比(核/細胞質比)も高い
トルイジン青による異染性(メタクロマジー)好塩基球顆粒中のヘパリン等が原因
核周明庭(perinuclear halo)形質細胞Golgi装置に相当する淡明帯。核は偏在しクロマチンは車軸状
ペルオキシダーゼ反応陽性好中球・好酸球・単球(弱陽性)リンパ球・赤芽球・形質細胞は陰性

第64回 午前65(臨床血液学)

末梢血のWright-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA065.346e49c191.jpg
第64回 午前65 の図

正答: ④慢性骨髄性白血病

ポイント
慢性骨髄性白血病では末梢血で著明な白血球増加とともに、好中球・後骨髄球・骨髄球・前骨髄球など各成熟段階の顆粒球が連続的に出現し(左方移動)、好塩基球・好酸球も増加する。慢性期では芽球の割合は低い。BCR-ABL1融合遺伝子(Philadelphia染色体)が病因で、好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアは低下する。
●骨髄性白血病=急性骨髄性(芽球主体・Auer小体)・慢性骨髄性(各成熟段階の顆粒球連続出現・好塩基球増多・NAP低下・BCR-ABL1)。
●リンパ性白血病=急性リンパ性(リンパ芽球)・慢性リンパ性(成熟小型リンパ球増多・smudge cell)。
●成人T細胞白血病=HTLV-1関連・花弁状核(flower cell)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉と慢性骨髄性白血病〈CML〉の鑑別点

項目AMLCML
芽球比率20%以上慢性期は5%未満
白血病裂孔(芽球と成熟好中球の間の中間段階を欠く所見)みられるみられない(各成熟段階が連続的に存在)
好中球アルカリホスファターゼ〈NAP〉スコア様々著明に低下
好塩基球増加目立たない特徴的にみられる
代表的な遺伝子異常t(8;21)・inv(16)・t(15;17)などt(9;22) BCR-ABL1(ほぼ全例)

第64回 午前66(臨床血液学)

骨髄穿刺液のWright-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA066.dc2b7a1109.jpg
第64回 午前66 の図

正答: ③多発性骨髄腫

ポイント
多発性骨髄腫では骨髄に異常形質細胞(骨髄腫細胞)が増殖し、偏在した核と車軸状クロマチン、核周明庭(ゴルジ野)を伴う細胞や、多核・大型の異型形質細胞がみられる。単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の産生により高γグロブリン血症、尿中Bence Jones蛋白、溶骨性病変、高カルシウム血症、腎障害(CRABと総称)をきたす。
●形質細胞腫瘍=多発性骨髄腫・形質細胞腫・原発性マクログロブリン血症(IgM産生)。
●骨髄腫の所見=M蛋白・溶骨性病変・高Ca血症・腎障害・貧血・赤血球連銭形成。
●他の骨髄異常細胞=赤白血病(異型赤芽球)・血球貪食症候群(貪食マクロファージ)・骨髄線維症(dry tap・涙滴赤血球)・Reed-Sternberg細胞(Hodgkinリンパ腫)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:多発性骨髄腫の特徴的所見

項目内容
骨髄腫細胞(形質細胞)の形態核の偏在、車軸状クロマチン、核周明庭(Golgi野)
M蛋白単クローン性免疫グロブリンの増加
Bence Jones蛋白尿中に排泄される免疫グロブリン軽鎖
赤血球所見連銭形成(M蛋白による赤血球同士の結合)
骨・電解質溶骨性病変、高カルシウム血症

第64回 午前67(臨床血液学)

プロトロンビン時間が正常で活性化部分トロンボプラスチン時間が延長しているときに考えられるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①血友病B・⑤抗リン脂質抗体症候群

ポイント
プロトロンビン時間〈PT〉正常・活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉延長は、内因系のみの異常を示すパターンである。第Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ因子欠乏(血友病Aは第Ⅷ、血友病Bは第Ⅸ)やループスアンチコアグラント(抗リン脂質抗体)でこのパターンを示す。第Ⅶ因子欠乏やビタミンK欠乏、肝障害ではPTも延長するため合致しない。
●PT延長のみ=第Ⅶ因子欠乏(外因系)。
●APTT延長のみ=第Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ因子欠乏(血友病A/B等)・ループスアンチコアグラント。
●PT・APTTともに延長=第Ⅹ・Ⅴ・Ⅱ因子欠乏・フィブリノゲン異常・ビタミンK欠乏・肝障害・DIC・ワルファリン。
●いずれも正常=第ⅩⅢ因子欠乏(架橋形成のみ障害)。

選択肢ごとの解説

第64回 午前68(臨床微生物学)

原核生物はどれか。2つ選べ。

正答: ③Chlamydia psittaci・⑤Escherichia coli

ポイント
原核生物は核膜に包まれた明瞭な核を持たず、細菌(真正細菌)やリケッチア・クラミジアが含まれる。Chlamydia psittaci(オウム病クラミジア)とEscherichia coli(大腸菌)は細菌で原核生物である。真菌であるAspergillus・Candidaや原虫であるEntamoebaは核膜を持つ真核生物である。
●原核生物=細菌(大腸菌等)・リケッチア・クラミジア・マイコプラズマ。
●真核生物=真菌(Aspergillus・Candida)・原虫(Entamoeba・Plasmodium)・寄生虫・ヒト細胞。
●ウイルス=細胞構造を持たず原核・真核のいずれにも属さない。

選択肢ごとの解説

第64回 午前69(臨床微生物学)

細菌の構造について正しいのはどれか。

正答: ⑤ペプチドグリカンは細胞壁の構成成分である。

ポイント
細菌は原核生物であり、核膜やミトコンドリアなどの膜で囲まれた細胞小器官を持たない。細胞壁の主要構成成分はペプチドグリカンで、グラム陽性菌では厚いペプチドグリカン層とタイコ酸を持ち、グラム陰性菌では薄いペプチドグリカン層の外側にリポ多糖(内毒素)を含む外膜を持つ。呼吸鎖の電子伝達系は細胞膜上に存在する。
●グラム陽性菌の細胞壁=厚いペプチドグリカン・タイコ酸/リポタイコ酸。
●グラム陰性菌の細胞壁=薄いペプチドグリカン・外膜(リポ多糖=内毒素を含む)・ペリプラズム。
●共通成分=ペプチドグリカン(細胞壁の主成分)。
●原核生物の特徴=核膜なし・ミトコンドリアなし・70Sリボソーム。

選択肢ごとの解説

第64回 午前70(臨床微生物学)

加温が必要な染色法はどれか。2つ選べ。

正答: ②Wirtz法・④Ziehl-Neelsen染色

ポイント
Wirtz(ウィルツ)法(芽胞染色)はマラカイトグリーンを芽胞に浸透させるため火炎による加温が必要である。Ziehl-Neelsen(チール・ネールゼン)染色(抗酸菌染色)も石炭酸フクシンを加温して菌体の脂質層に浸透させる。墨汁法・Neisser染色・Gram染色(Huckerの変法)は加温を要しない常温染色である。
●加温を要する染色=Wirtz法(芽胞)・Ziehl-Neelsen染色(抗酸菌、温染法)。
●加温不要(常温)=Gram染色・Neisser染色(異染小体)・墨汁法(莢膜)・Kinyoun染色(抗酸菌の冷染法)。
●抗酸菌染色の蛍光法=オーラミン・ローダミン染色。

選択肢ごとの解説

第64回 午前71(臨床微生物学)

人体に使用できない消毒薬はどれか。

正答: ③グルタルアルデヒド

ポイント
グルタルアルデヒドは高水準消毒薬で、内視鏡など耐熱性に乏しい器具の消毒・滅菌に用いられるが、皮膚・粘膜への刺激性が強く人体には使用できない。ポビドンヨード、消毒用エタノール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩は人体(生体)に使用できる消毒薬である。ただし使用部位は薬剤・製剤ごとに異なり、ポビドンヨードは皮膚・粘膜に使用できる一方、消毒用エタノールやクロルヘキシジングルコン酸塩製剤は腟・膀胱・口腔等の粘膜面への使用が禁忌とされ、皮膚の消毒に用いる。
●高水準消毒薬(器具用、人体不可)=グルタルアルデヒド・過酢酸・フタラール。
●中水準消毒薬=消毒用エタノール・ポビドンヨード・次亜塩素酸ナトリウム。
●低水準消毒薬=塩化ベンザルコニウム(第四級アンモニウム)・クロルヘキシジングルコン酸塩。
●皮膚消毒に用いるもの=消毒用エタノール・ポビドンヨード・クロルヘキシジン。

選択肢ごとの解説

第64回 午前72(臨床微生物学)

基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉産生菌の薬剤感受性検査で感性を示す抗菌薬はどれか。

正答: ①イミペネム

ポイント
基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉はペニシリン系、広域セファロスポリン系(セフォタキシムなど第三世代)、モノバクタム系(アズトレオナム)を分解するが、カルバペネム系(イミペネムなど)やセファマイシン系は分解しにくい。したがってESBL産生菌に対してはカルバペネム系が感受性を示すことが多い。クラブラン酸などのβ-ラクタマーゼ阻害薬で阻害される点を利用して検出する。
●ESBLが分解する薬剤=ペニシリン・広域セファロスポリン(第三世代)・モノバクタム(アズトレオナム)。
●ESBLに安定(有効)=カルバペネム(イミペネム・メロペネム)・セファマイシン(セフォキシチン)。
●ESBL確認試験=クラブラン酸による阻害(ディスク・微量液体希釈)。
●他の耐性機構=AmpC型・メタロβ-ラクタマーゼ(カルバペネム分解)・MRSA(PBP2′)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:β-ラクタマーゼの分子分類(Amblerクラス)と分解する主な薬剤

クラス酵素名分解する主な薬剤
Aペニシリナーゼペニシリン系
Bカルバペネマーゼ・メタロ-β-ラクタマーゼ〈MBL〉ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系
Cセファロスポリナーゼペニシリン系・セフェム系(第一〜第三世代)
Dオキサシリナーゼペニシリン系
クラスA・C・Dは活性中心にセリン残基をもつセリン型β-ラクタマーゼ、クラスBは活性中心に亜鉛をもつ金属酵素(メタロ-β-ラクタマーゼ)である。基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉は主にクラスAのβ-ラクタマーゼが変異した酵素で、ペニシリン系に加えセフェム系(第一〜第四世代)も分解するが、カルバペネム系は分解しにくいためカルバペネム系抗菌薬(イミペネム等)が有効。

第64回 午前73(臨床微生物学)

Streptococcus属について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③S. agalactiaeは馬尿酸加水分解テスト陽性である。・④S. pneumoniaeはオプトヒン感受性テスト陽性である。

ポイント
S. agalactiae(B群レンサ球菌)は馬尿酸加水分解テストおよびCAMPテストが陽性となる。S. pneumoniae(肺炎球菌)はオプトヒン感受性および胆汁溶解テストが陽性で、これがS. mitisなどのα溶血性レンサ球菌(viridans group)との鑑別点となる。S. pyogenesはLancefield(ランスフィールド)のA群抗原を有する。
●A群(S. pyogenes)=β溶血・バシトラシン感受性・PYRテスト陽性。
●B群(S. agalactiae)=CAMPテスト陽性・馬尿酸加水分解陽性。
●肺炎球菌(S. pneumoniae)=α溶血・オプトヒン感受性・胆汁溶解陽性。
●viridans group(S. mitis等)=α溶血・オプトヒン耐性・胆汁溶解陰性。
●腸球菌=胆汁エスクリン陽性・6.5%食塩加培地で発育。

選択肢ごとの解説

第64回 午前74(臨床微生物学)

Vibrio属でTCBS寒天培地に青緑色コロニーを形成するのはどれか。2つ選べ。

正答: ④V. mimicus・⑤V. parahaemolyticus

ポイント
TCBS(チオ硫酸塩・クエン酸塩・胆汁酸塩・ショ糖)寒天培地はVibrio属の選択分離培地で、ショ糖の分解能で集落の色が異なる。ショ糖分解菌(V. cholerae、V. alginolyticus、V. fluvialis)は黄色集落、ショ糖非分解菌(V. mimicus、V. parahaemolyticus)は青緑色集落を形成する。コレラ菌(V. cholerae)が黄色集落となる点が鑑別に役立つ。
●TCBS黄色集落(ショ糖分解)=V. cholerae・V. alginolyticus・V. fluvialis。
●TCBS青緑色集落(ショ糖非分解)=V. mimicus・V. parahaemolyticus・V. vulnificus。
●腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)=好塩性・神奈川現象(耐熱性溶血毒)。
●コレラ菌=コレラ毒素・耐熱性なし・血清型O1/O139。

選択肢ごとの解説

第64回 午前75(臨床微生物学)

大分生子を形成しないのはどれか。

正答: ①Aspergillus fumigatus

ポイント
Aspergillus fumigatusは頂囊にフラスコ形のフィアライドが直接付く単列性の分生子頭から小型の分生子(小分生子)を連鎖状に形成する糸状菌で、大分生子は形成しない。頂囊とフィアライドの間に介在するメトレはもたず、メトレを介する二列性の分生子頭はA. nigerなどでみられる。皮膚糸状菌であるEpidermophyton・Microsporum・Trichophytonや、Fusariumは特徴的な大分生子(棍棒状・紡錘形・鎌形など)を形成し、菌種同定の手がかりとなる。
●大分生子を形成=Microsporum(紡錘形・粗造壁)・Epidermophyton(棍棒状)・Fusarium(鎌形/紡錘形)・Trichophyton(細長い棍棒状、種により乏しい)。
●大分生子を形成しない=Aspergillus(分生子頭の小分生子連鎖)・Penicillium(箒状)・Candida(出芽・仮性菌糸)。
●皮膚糸状菌=Trichophyton・Microsporum・Epidermophyton。

選択肢ごとの解説

第64回 午前76(臨床微生物学)

異常プリオン蛋白によって起こるのはどれか。

正答: ②Creutzfeldt-Jakob病

ポイント
Creutzfeldt-Jakob病(クロイツフェルト・ヤコブ病)は、正常プリオン蛋白(PrPC)が異常型(PrPSc)へ構造変化して脳に蓄積し神経変性をきたすプリオン病で、急速進行性認知症とミオクローヌス、脳波の周期性同期性放電を特徴とする。病理学的には大脳皮質の海綿状変性・神経細胞脱落・グリオーシスがみられ、核酸を持たない蛋白のみの感染因子による点が他の神経変性疾患と根本的に異なる。他選択肢はそれぞれアミロイドβ蓄積・ウイルス感染・運動ニューロン変性・自己免疫という別機序による。●プリオン病=Creutzfeldt-Jakob病・ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群・致死性家族性不眠症・クールー。●神経変性疾患(蛋白蓄積)=Alzheimer病(アミロイドβ・タウ)・Parkinson病(αシヌクレイン)・筋萎縮性側索硬化症。●中枢神経のウイルス感染=進行性多巣性白質脳症(JCウイルス)・亜急性硬化性全脳炎(麻疹ウイルス)。●自己免疫性末梢神経障害=ギラン・バレー症候群・慢性炎症性脱髄性多発神経炎。

選択肢ごとの解説

第64回 午前77(臨床微生物学)

膀胱炎患者の中間尿を、5%ヒツジ血液寒天培地(左)とBTB乳糖寒天培地(右)の分画培地で35 ℃、24時間好気培養した写真を別に示す。推定される菌種はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA077.f8658a3fb9.jpg
第64回 午前77 の図

正答: ④Proteus mirabilis

ポイント
Proteus mirabilisは周毛性の鞭毛を持ち、血液寒天培地上で遊走(スウォーミング)して同心円状の波紋状集落を形成する。強いウレアーゼ活性で尿素を分解して尿をアルカリ化し、乳糖非分解菌のためBTB乳糖寒天培地では集落周囲が青色(アルカリ性)を呈する。尿路感染の原因菌で、尿のアルカリ化によりリン酸アンモニウムマグネシウム結石(ストルバイト結石)の形成に関与する。●腸内細菌科の乳糖分解性=乳糖分解(Escherichia coli・Klebsiella pneumoniae・Enterobacter cloacae)/乳糖非分解(Proteus・Salmonella・Shigella)。●遊走(スウォーミング)を示す菌=Proteus属。●強ウレアーゼ陽性菌=Proteus・Helicobacter pylori・Ureaplasma。●尿路感染の主要原因菌=Escherichia coli・Klebsiella pneumoniae・Proteus mirabilis・腸球菌。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:尿路感染症由来グラム陰性桿菌の鑑別(乳糖分解性・特徴的性状)

菌種乳糖分解特徴的性状
Escherichia coli分解尿路感染症の主要原因菌
Klebsiella pneumoniae分解莢膜形成・粘稠な集落
Enterobacter cloacae分解日和見感染の原因菌
Proteus mirabilis非分解遊走(スウォーミング)・強いウレアーゼ活性
Pseudomonas aeruginosa非発酵(ブドウ糖非発酵菌)緑色色素産生
BTB乳糖寒天培地は乳糖分解菌の集落を黄色、非分解菌を青色に呈色させる非選択分離培地である。Proteus属は遊走性(スウォーミング)を示し、強いウレアーゼ活性により尿をアルカリ化する(ストルバイト結石の一因)。

第64回 午前78(臨床微生物学)

イムノクロマト法による尿中抗原検査が行われるのはどれか。2つ選べ。

正答: ②Legionella pneumophila・⑤Streptococcus pneumoniae

ポイント
尿中抗原検査(イムノクロマト法)は、尿に排泄される菌体由来の可溶性抗原を検出する迅速診断法で、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)の莢膜多糖抗原と、レジオネラ(Legionella pneumophila血清群1)のリポ多糖抗原に対して臨床応用されている。培養を待たずに数分で判定でき、抗菌薬投与後でも検出可能な点が利点である。インフルエンザ菌・髄膜炎菌・B群レンサ球菌の尿中抗原検査は一般に行われない。●尿中抗原(イムノクロマト)=肺炎球菌・レジオネラ(血清群1)。●迅速抗原検査の主な対象=A群レンサ球菌(咽頭ぬぐい液)・インフルエンザウイルス・SARS-CoV-2・ノロウイルス(便)。●髄膜炎の原因菌=肺炎球菌・髄膜炎菌・インフルエンザ菌b型・B群レンサ球菌(新生児)。

選択肢ごとの解説

第64回 午前79(臨床免疫学)

MHCクラスⅡ分子を発現している細胞はどれか。

正答: ⑤B細胞

ポイント
MHCクラスⅡ分子(HLA-DR・DQ・DPなど)は抗原提示細胞であるB細胞・マクロファージ・樹状細胞に発現し、外来抗原ペプチドをCD4陽性ヘルパーT細胞に提示する。一方MHCクラスⅠ分子はほぼ全ての有核細胞に発現し、CD8陽性細胞傷害性T細胞へ内因性抗原を提示する。選択肢中で赤血球・血小板はMHCクラスⅡを発現せず(血小板は無核だがHLAクラスⅠは発現する)、好中球やT細胞も定常状態ではクラスⅡを発現しないため、B細胞が該当する。●MHCクラスⅡ発現(プロフェッショナル抗原提示細胞)=B細胞・マクロファージ・樹状細胞。●MHCクラスⅠ発現=ほぼ全ての有核細胞と血小板(無核だが発現する)。成熟赤血球は発現しない。●CD4=ヘルパーT細胞・MHCクラスⅡと結合/CD8=細胞傷害性T細胞・MHCクラスⅠと結合。

選択肢ごとの解説

第64回 午前80(臨床免疫学)

抗原抗体反応について正しいのはどれか。

正答: ③水素結合が関与する。

ポイント
抗原抗体反応は、共有結合を伴わない非共有結合(水素結合・イオン結合・ファンデルワールス力・疎水結合)により抗原決定基と抗体可変部が立体的に結合する可逆的反応である。極端な酸性(pH3など)や高温(56℃以上)といった条件では結合エネルギーを上回り複合体は解離するため、抗体の解離・精製に応用される。共有結合は関与せず、結合は環境条件で変化する。●抗原抗体結合に関与する非共有結合=水素結合・イオン(静電的)結合・ファンデルワールス力・疎水結合。●抗体の親和性指標=アフィニティー(単一結合)・アビディティー(多価結合)。●非働化=補体は56℃30分で失活するが抗原抗体結合とは別の現象。

選択肢ごとの解説

第64回 午前81(臨床免疫学)

試験管内で37℃で行った反応のうち、溶血が観察されるのはどれか。2つ選べ。ただし、〈 〉は反応後、カルシウムとマグネシウムを添加した生理食塩液で3回洗浄したことを示す。

正答: ②〈ヒツジ赤血球+抗ヒツジ赤血球抗体〉+モルモット補体・④ヒツジ赤血球+抗ヒツジ赤血球抗体(56℃、30分処理済)+モルモット補体

ポイント
補体による溶血が成立するには、まず赤血球に抗体が結合して感作され、その後に活性のある補体が古典経路を活性化する順序が必要である。56℃30分の加熱は補体(特にC1・C2など易熱性成分)を非働化するが、IgG・IgM抗体の結合活性はこの処理で失われない。したがって抗体側を加熱しても感作能は保たれ、別途活性な補体を加えれば溶血するが、補体側を加熱した場合や、感作前に補体を加えて洗浄した場合(補体は洗い流され、その後に抗体を加えても新たな補体が存在しない)は溶血しない。●補体古典経路の活性化=抗原抗体複合体(IgM・IgG)→C1→C4・C2→C3→C5〜C9(膜侵襲複合体)で溶血。●非働化=56℃30分で補体失活、抗体は耐熱。●補体の3経路=古典経路・第二経路(副経路)・レクチン経路。

選択肢ごとの解説

第64回 午前82(臨床免疫学)

フローサイトメトリで誤っているのはどれか。

正答: ④側方散乱光からは細胞の大きさに関わる情報が得られる。

ポイント
フローサイトメトリでは、レーザー光を細胞に照射し、前方散乱光(FSC)が細胞の大きさを、側方散乱光(SSC)が細胞内部の顆粒や核の複雑さを反映する。シース液により細胞を一列に整列させて1個ずつ測定し、蛍光標識抗体で細胞表面抗原を、膜透過処理を行えば細胞内抗原も検出できる。本問は誤りを問うており、細胞の大きさは前方散乱光から得られる情報のため、側方散乱光が大きさを反映するという記述が誤りとなる。●前方散乱光(FSC)=細胞の大きさ/側方散乱光(SSC)=内部構造・顆粒性。●リンパ球サブセット=CD4・CD8・CD19・CD20・CD56等の表面マーカー解析。●臨床応用=白血病・リンパ腫の免疫学的分類、CD4陽性細胞数測定。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:フローサイトメトリーの原理

測定パラメータ得られる情報
前方散乱光〈FSC〉細胞の大きさ
側方散乱光〈SSC〉細胞内部の顆粒・核などの複雑さ(内部構造)
蛍光蛍光標識抗体による表面抗原・細胞内抗原の検出、蛍光色素によるDNA量の測定
シース液により細胞を一列に整列させ1個ずつレーザー光で測定する。膜透過処理を行えば細胞内抗原も検出できる。臨床応用としてリンパ球サブセット(CD4・CD8等)解析やDNA倍数性解析に用いる。

第64回 午前83(臨床免疫学)

30歳の女性。出産後に発熱が続き、蝶形紅斑および蛋白尿を認めたため入院した。腎生検を行い、蛍光抗体法によってC1qを染色した結果(別冊No.12)を別に示す。血液検査で認められる可能性が高い所見はどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA083.3d464686dc.jpg
第64回 午前83 の図

正答: ③リンパ球減少・⑤補体活性低下

ポイント
出産後の発熱・蝶形紅斑・蛋白尿に加え、腎生検でC1qを含む免疫複合体の係蹄壁・メサンギウムへのびまん性沈着(ループス腎炎のフルハウスパターン)がみられることから、全身性エリテマトーデス(SLE)が示唆される。SLEの血液所見では自己抗体や免疫複合体による血球減少(リンパ球減少・白血球減少・溶血性貧血・血小板減少)と、免疫複合体による補体消費でCH50・C3・C4が低下する補体活性低下が特徴的である。●SLEの血球減少=リンパ球減少・白血球減少・自己免疫性溶血性貧血・血小板減少。●補体低下=免疫複合体による消費(CH50・C3・C4低下)は活動性の指標。●SLEの皮膚・腎=蝶形紅斑・円板状皮疹・ループス腎炎。

選択肢ごとの解説

第64回 午前84(臨床免疫学)

30歳の女性。出産後に発熱が続き、蝶形紅斑および蛋白尿を認めたため入院した。腎生検を行い、蛍光抗体法によってC1qを染色した結果(別冊No.12)を別に示す。この患者に認められる可能性の高い自己抗体はどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA084.352f11259f.jpg
第64回 午前84 の図

正答: ①抗核抗体・③抗DNA抗体

ポイント
全身性エリテマトーデス(SLE)では抗核抗体がほぼ全例で陽性となりスクリーニングに用いられ、なかでも抗二本鎖DNA抗体と抗Sm抗体が疾患特異性の高い自己抗体である。抗二本鎖DNA抗体は疾患活動性やループス腎炎の進展と相関する。一方、抗Jo-1抗体は多発性筋炎・抗合成酵素症候群、抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎、抗セントロメア抗体は限局性強皮症(CREST症候群)に関連する別の疾患マーカーである。●SLE=抗核抗体・抗二本鎖DNA抗体・抗Sm抗体。●多発性筋炎・皮膚筋炎=抗Jo-1抗体・抗ARS抗体・抗Mi-2抗体。●強皮症=抗Scl-70(びまん型)・抗セントロメア(限局型)。●自己免疫性肝炎=抗平滑筋抗体・抗核抗体/原発性胆汁性胆管炎=抗ミトコンドリア抗体。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患

染色パターン推定される抗体代表的な疾患
辺縁(peripheral)型抗DNA抗体全身性エリテマトーデス〈SLE〉
均質(homogeneous)型抗ヒストン抗体/抗DNP抗体SLE・薬剤誘発性ループス/SLE・RA・全身性強皮症
斑紋(speckled)型 — 抗U1-RNP抗体抗ENA抗体混合性結合組織病〈MCTD〉
斑紋(speckled)型 — 抗Sm抗体抗ENA抗体SLE
斑紋(speckled)型 — 抗SS-B抗体抗ENA抗体Sjögren症候群
斑紋(speckled)型 — 抗Scl-70抗体抗ENA抗体全身性強皮症
核小体(nucleolar)型抗核小体抗体・抗PM-Scl抗体全身性強皮症
散在斑紋(discrete speckled)型抗セントロメア抗体CREST症候群
細胞質(cytoplasmic)型抗ミトコンドリア抗体/抗Jo-1抗体/抗SS-A抗体原発性胆汁性胆管炎/多発性筋炎・皮膚筋炎/Sjögren症候群

第64回 午前85(臨床免疫学)

血液型がA型〈遺伝子型AO〉とB型〈遺伝子型BO〉の両親から生まれた子がO型である確率はどれか。

正答: ③25%

ポイント
ABO血液型は3つの対立遺伝子(A・B・O)の組合せで決まり、O遺伝子はA・Bに対して劣性である。遺伝子型AOの親はAまたはOの遺伝子を1/2ずつ、遺伝子型BOの親はBまたはOの遺伝子を1/2ずつ子に伝える。子がO型(遺伝子型OO)となるのは両親からO遺伝子を受け継いだ場合のみで、確率は1/2×1/2=1/4=25%である。●AO×BOの子の表現型=AB型(1/4)・A型(1/4)・B型(1/4)・O型(1/4)。●O遺伝子の性質=劣性、ホモ接合OOでのみO型を発現。●関連遺伝法則=メンデルの分離の法則・独立の法則。

選択肢ごとの解説

第64回 午前86(臨床免疫学)

交差適合試験の主試験において、生理食塩液法陰性、間接抗グロブリン試験陽性となる原因として最も考えられるのはどれか。

正答: ①抗Jka

ポイント
交差適合試験の主試験で生理食塩液法陰性・間接抗グロブリン試験陽性となるのは、37℃で反応し抗グロブリン試薬を加えて初めて凝集が検出される不完全抗体、すなわちIgGクラスの不規則抗体の存在を示す。抗Jka(Kidd血液型)はIgG性で間接抗グロブリン試験で検出される代表的な抗体である。一方、冷式自己抗体やABO不適合の抗A・抗BはIgM性で生理食塩液法(室温・低温)で直接凝集を示すため、このパターンとは合致しない。●間接抗グロブリン試験で検出されるIgG性抗体=抗Jka・抗D・抗E・抗Fya・抗K。●生理食塩液法(IgM)で反応=抗A・抗B・抗M・抗Lea・寒冷凝集素。●Kidd系抗体の特徴=力価変動が大きく遅発性溶血性輸血反応の原因となりやすい。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:交差適合試験の検査法と検出する抗体

検査法検出される抗体代表例
生理食塩液法(室温〜低温)完全抗体〈IgM〉抗A・抗B、寒冷凝集素
間接抗グロブリン試験(37℃+抗ヒトグロブリン試薬)不完全抗体〈IgG〉抗Jka、抗D、抗E、抗Fya、抗K
酵素法(ブロメリンなど)IgG抗体の反応増強Rh系抗体の検出感度向上
反応増強剤(PEG・LISS・ウシアルブミンなど)は感作を促進し、抗ヒトグロブリン試薬(クームス試薬)は感作赤血球を凝集させる。

第64回 午前87(臨床免疫学)

不規則抗体について正しいのはどれか。

正答: ②IgGクラスの抗体が臨床的に重要である。

ポイント
不規則抗体のうち臨床的に重要なのは、体温(37℃)で反応するIgGクラスの抗体であり、溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患の原因となる。これらは抗グロブリン試薬を加える間接抗グロブリン試験で検出される。輸血歴がなくても妊娠による感作が起こりうるため検査は必要であり、Rh系ではD以外のC・c・E・eに対する抗体も検出対象となる。酵素法はRh系抗体を増強する一方、MNSs系抗原は酵素で破壊され反応性が低下する。●臨床的意義の高いIgG性不規則抗体=抗D・抗E・抗c・抗Jka・抗Fya・抗K。●検出法=IgM(生理食塩液法)/IgG(間接抗グロブリン試験)。●酵素法で増強=Rh・Kidd系/酵素で減弱・破壊=MNSs・Duffy系。

選択肢ごとの解説

第64回 午前88(臨床免疫学)

輸血副作用と原因の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤輸血関連急性肺障害〈TRALI〉 — 抗白血球抗体

ポイント
輸血関連急性肺障害(TRALI)は、供血者血漿中に含まれる抗白血球抗体(抗HLA抗体・抗顆粒球抗体)が患者の好中球を活性化し、肺毛細血管の透過性が亢進して非心原性肺水腫をきたす重篤な副作用である。一方、輸血後GVHDは供血者由来リンパ球が原因で放射線照射により予防し、血管内溶血はABO不適合などの抗体、輸血後肝炎はウイルス感染、循環過負荷(TACO)は容量・速度負荷が原因である。●免疫性輸血副作用=溶血性副作用(ABO不適合)・TRALI(抗白血球抗体)・アレルギー(IgA欠損等)・輸血後GVHD(供血者リンパ球)。●非免疫性=循環過負荷(TACO)・感染症伝播(肝炎・HIV・梅毒)・鉄過剰。●予防=放射線照射(GVHD)・白血球除去(TRALI・サイトカイン反応)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:輸血副作用の機序・発症時期と予防・対策

副作用機序発症時期予防・対策
ABO不適合輸血(急性溶血性)免疫学的(IgM性抗A・抗B)即時型不規則抗体検査・交差適合試験の徹底
遅発性溶血性輸血反応免疫学的(既往感作による不規則抗体、抗Jkaなど)遅発型(輸血後7〜10日)不規則抗体スクリーニング・同定
発熱性非溶血性輸血副作用免疫学的(抗白血球抗体・サイトカイン)即時型保存前白血球除去
アレルギー・アナフィラキシー免疫学的(抗IgA抗体など)即時型IgA欠損の確認、洗浄血の使用
輸血関連急性肺障害〈TRALI〉免疫学的(供血者血漿中の抗白血球抗体・抗HLA抗体)即時型(輸血後6時間以内)妊娠歴のある女性供血者血漿を避ける
輸血後GVHD免疫学的(供血者Tリンパ球が生着し宿主組織を攻撃)遅発型(輸血後7〜14日)血液製剤への放射線照射(約15Gy)
輸血後感染症(肝炎など)非免疫学的(病原体混入)遅発型核酸増幅検査〈NAT〉
細菌汚染によるショック非免疫学的即時型(輸血後4時間以内)無菌的採血操作・外観検査
輸血関連循環過負荷〈TACO〉非免疫学的(循環血液量の急増)即時型輸血速度・輸血量の調整
鉄過剰症非免疫学的(長期反復輸血)遅発型鉄キレート療法
輸血副作用は「溶血性/非溶血性」×「免疫学的/非免疫学的」×「即時型/遅発型」で整理できる。

第64回 午前89(臨床免疫学)

移植について正しいのはどれか。

正答: ③急性拒絶反応は細胞傷害性T細胞が関与する。

ポイント
急性拒絶反応は、移植後数日〜数週間に、レシピエントの細胞傷害性T細胞(およびヘルパーT細胞)がドナーのMHC抗原を認識して攻撃する細胞性免疫反応で、免疫抑制薬に反応しやすい。造血幹細胞は骨髄だけでなくG-CSF動員後の末梢血や臍帯血からも採取できる。ヒトからヒトへの非同一遺伝子間の移植は同種(同種異系)移植であり、移植後GVHDはドナー由来リンパ球がレシピエント組織を攻撃する反応である。肝臓は免疫学的寛容が得られやすくHLA適合性の要求度は他臓器より低い。●移植の分類=自家・同系(一卵性双生児)・同種(同種異系)・異種移植。●拒絶反応=超急性(既存抗体)・急性(T細胞主体)・慢性(血管病変)。●造血幹細胞源=骨髄・末梢血幹細胞・臍帯血。

選択肢ごとの解説

第64回 午前90(公衆衛生学)

平成25年の我が国の統計指標で大小関係が誤っているのはどれか。

正答: ③平均寿命>0歳平均余命

ポイント
平均寿命は0歳児の平均余命そのものを指す指標であるため、両者は定義上等しく、平均寿命>0歳平均余命という大小関係は成立しない(本問は誤りを問う)。合計特殊出生率は男女両方の子を含むため女児のみを数える総再生産率より大きく、粗死亡率は高齢化した人口構成の影響で年齢調整死亡率より大きい。死産率は周産期死亡率より大きく、当時の日本では死亡率が出生率を上回っていた。●再生産に関する指標=合計特殊出生率>総再生産率>純再生産率。●死亡指標=粗死亡率(高齢化で上昇)・年齢調整死亡率(基準人口で補正)・周産期死亡率・乳児死亡率。●平均余命=平均寿命は0歳の平均余命。

選択肢ごとの解説

第64回 午前91(公衆衛生学)

温室効果ガスはどれか。2つ選べ。

正答: ③フロン・⑤二酸化炭素

ポイント
温室効果ガスは、地表から放射される赤外線を吸収・再放射して大気を温め地球温暖化に寄与する気体で、二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・フロン類(ハイドロフルオロカーボン等)・六フッ化硫黄などが該当する。フロン類は分子あたりの温室効果が極めて大きく、このうちクロロフルオロカーボン(CFC)などの特定フロンはオゾン層破壊物質でもある。ハイドロフルオロカーボン(HFC)はオゾン層を破壊しないが、強力な温室効果をもつ。酸素・窒素・アルゴンは大気の主成分だが赤外線をほとんど吸収せず温室効果を持たない。●京都議定書の対象ガス=二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・ハイドロフルオロカーボン・パーフルオロカーボン・六フッ化硫黄。●大気の主成分(非温室効果)=窒素・酸素・アルゴン。●オゾン層破壊物質=クロロフルオロカーボン(特定フロン)・ハロン。

選択肢ごとの解説

第64回 午前92(公衆衛生学)

電離放射線でないのはどれか。

正答: ④紫外線

ポイント
電離放射線は、物質を構成する原子から電子をはじき出して電離(イオン化)させるエネルギーを持つ放射線で、α線・β線・γ線・X線・中性子線などが含まれる。紫外線は電磁波であるが電離を起こすほどのエネルギーは持たず、非電離放射線に分類される(本問は電離放射線でないものを問う)。電離放射線はDNA損傷を介して確率的影響(発がん・遺伝的影響)や確定的影響(脱毛・白内障等)を生じる。●電離放射線(電磁波型)=X線・γ線/(粒子線型)=α線・β線・中性子線・陽子線。●非電離放射線=紫外線・可視光線・赤外線・マイクロ波・電波。●放射線の影響=確率的影響(しきい値なし)・確定的影響(しきい値あり)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:電離放射線と非電離放射線の分類

分類種類
電離放射線(電磁放射線)エックス線・γ線
電離放射線(粒子放射線)α線・β線・中性子線
非電離放射線紫外線・可視光線・赤外線・マイクロ波
電離放射線は物質を構成する原子から電子をはじき出し電離させる作用をもつ。

第64回 午前93(公衆衛生学)

我が国のメタボリックシンドロームの診断基準項目に含まれるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①血圧・⑤中性脂肪

ポイント
日本のメタボリックシンドローム診断基準は、内臓脂肪蓄積を反映する腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)を必須項目とし、これに加えて高血圧(収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上)・脂質異常(中性脂肪150mg/dL以上または高比重リポ蛋白コレステロール40mg/dL未満)・高血糖(空腹時血糖110mg/dL以上)のうち2項目以上を満たすと診断する。体重・尿糖・心電図は基準項目に含まれない。●必須項目=腹囲(内臓脂肪蓄積)。●選択3項目=血圧・血清脂質(中性脂肪・HDLコレステロール)・空腹時血糖。●類似概念=特定健診・特定保健指導の対象選定に用いられる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:メタボリックシンドローム診断基準

区分項目基準値
必須項目腹部肥満(ウエスト周囲径)男性85cm以上/女性90cm以上
選択項目①血糖空腹時血糖110mg/dL以上
選択項目②脂質中性脂肪150mg/dL以上 かつ/または HDLコレステロール40mg/dL未満
選択項目③血圧収縮期130mmHg以上 かつ/または 拡張期85mmHg以上
必須項目(腹部肥満)に加え、選択項目①〜③のうち2項目以上に該当するとメタボリックシンドロームと診断する。高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症・高血圧・糖尿病について薬物治療を受けている場合は、その項目に該当するものとする。体重・尿糖・心電図は特定健康診査の検診項目に含まれるが、この診断基準項目には含まれない。

第64回 午前94(公衆衛生学)

介護保険制度について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ④要支援者の割合が近年増加している。・⑤認知機能の障害は介護保険の対象となる。

ポイント
介護保険制度では認知症などによる認知機能障害も要介護認定の対象となり、近年は要支援者(軽度者)の割合が増加傾向にある。被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳で医療保険に加入する第2号被保険者からなり、第2号は特定疾病による要介護状態のときに給付対象となる。手すり設置などの住宅改修費の支給制度があり、保険料は市町村(保険者)ごとに異なり全国一律ではない。●第1号被保険者=65歳以上/第2号被保険者=40〜64歳(特定疾病で給付)。●給付=居宅サービス・施設サービス・地域密着型・住宅改修・福祉用具。●要介護度=要支援1〜2・要介護1〜5の7段階。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:社会保険制度の比較(医療保険・介護保険・労災保険等)

制度保険者/被保険者保険料負担特記事項
医療保険74歳までの国民(被用者保険/国民健康保険)、75歳以上等は後期高齢者医療制度被保険者(社会保険方式)給付は原則現物給付(自己負担は原則3割)
介護保険保険者は市区町村・特別区。被保険者は40歳以上(第1号:65歳以上/第2号:40〜64歳)被保険者(市町村ごとに額は異なり全国一律ではない)住宅改修や認知機能障害も給付対象。近年、要支援・軽度要介護者の割合が増加
労災保険原則すべての労働者(公務員を除く)が被保険者事業主が全額負担(被保険者の負担なし)通勤災害も対象。療養に自己負担なし
雇用保険労働者が被保険者被保険者と事業主が負担-
年金保険20歳以上60歳未満の全国民が国民年金に加入。会社員等は厚生年金に加入国民年金は被保険者、厚生年金は被保険者と雇用者が負担-

第64回 午前95(医用工学概論)

放射線に対する組織・臓器の相対的な感受性〈組織加重係数〉が最も小さいのはどれか。

正答: ②脳

ポイント
ICRP(国際放射線防護委員会)の組織加重係数は、全身均等被ばくの確率的影響を1としたときの各臓器・組織の寄与の割合を表し、全係数の合計が1となるよう定められている。赤色骨髄・乳房・甲状腺・胃などは比較的大きな係数を持つ放射線感受性の高い組織だが、脳は係数が小さい臓器に分類される(本問は最も小さいものを問う)。●組織加重係数が大きい(0.12)=赤色骨髄・結腸・肺・胃・乳房。●中程度=生殖腺・膀胱・食道・肝臓・甲状腺。●小さい=骨表面・脳・唾液腺・皮膚。●関連=等価線量×組織加重係数の総和=実効線量。

選択肢ごとの解説

第64回 午前96(医用工学概論)

図の入出力関係となる回路はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA096.ec5e76200f.jpg
第64回 午前96 の図

正答: ②

ポイント
コンデンサ(C)を直列、抵抗(R)を並列に配置した回路は微分回路(高域通過フィルタ)として働く。コンデンサは直流・低周波を通さず高周波(急峻な変化)を通すため、方形波を入力すると立ち上がり・立ち下がりの瞬間に尖ったパルス状の出力が生じる入出力関係を示す。これに対し抵抗を直列・コンデンサを並列にした回路は積分回路(低域通過フィルタ)として働く。●微分回路(高域通過)=C直列・R並列/方形波→尖頭波。●積分回路(低域通過)=R直列・C並列/方形波→鋸歯状・三角波状。●フィルタの遮断=時定数τ=CR(または L/R)で決まる。

選択肢ごとの解説

第64回 午前97(医用工学概論)

コンピュータのCPUはどれか。

正答: ①演算装置

ポイント
CPU(中央処理装置)はコンピュータの中核をなし、演算装置(算術論理演算装置)と制御装置から構成され、主記憶からプログラムの命令を読み出して解釈・実行し、演算と各装置の制御を行う。記憶装置・入力装置・出力装置・通信装置はCPUと連携して動作する周辺・補助装置で、CPUそのものではない。コンピュータの五大装置は演算・制御・記憶・入力・出力からなる。●コンピュータの五大装置=演算装置・制御装置(=CPU)・記憶装置・入力装置・出力装置。●記憶装置=主記憶(RAM・ROM)・補助記憶(ハードディスク等)。●入力装置=キーボード・マウス/出力装置=ディスプレイ・プリンタ。

選択肢ごとの解説

第64回 午前98(医用工学概論)

8bitのAD変換器で0〜2.5 Vの電圧を変換するとき、電圧の分解能に最も近いのはどれか。

正答: ③10 mV

ポイント
AD変換器(アナログ・デジタル変換器)の分解能は、入力電圧範囲をビット数で決まる量子化段階数で割って求められる。8bitでは2の8乗=256段階に量子化されるため、入力電圧範囲を約2.5Vとすると分解能は2.5V÷256≒約9.8mVとなり、選択肢では10mVが最も近い。ビット数が増えるほど段階数が増え分解能は細かくなる。●分解能=(入力電圧範囲)÷(2のビット数乗)。●ビット数と段階数=8bit→256・10bit→1024・12bit→4096。●関連=標本化(サンプリング)周波数・量子化誤差・ナイキスト周波数。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:べき乗による情報量・組合せ数の計算

例計算結果
6ビット(2進数6桁)2の6乗64通り
9ビット(2進数9桁)2の9乗512通り(300種類の区別に必要な最小ビット数)
10ビット(2進数10桁)2の10乗1,024通り(1キロバイト=1,024バイト)
16ビット(2バイト)2の16乗65,536通り
8bit AD変換器(0〜2.5V)の分解能2.5V ÷ 2の8乗(256)約9.8mV(≒10mV)
DNA塩基3個の配列(A・C・G・Tの4種類)4の3乗64通り(コドン、情報量はlog2 64=6bit)
nビットの2進数では2のn乗通り、n種類の記号をr桁並べる場合はnのr乗通りの組合せを表現できる。

第64回 午前99(医用工学概論)

医療に関わる個人情報について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②患者は自身の診療録の開示請求ができる。・④個人情報はあらかじめ定めた利用目的の範囲に限り利用できる。

ポイント
医療における個人情報の取扱いでは、本人である患者は自身の診療録(カルテ)の開示を請求できる。また個人情報はあらかじめ特定した利用目的の範囲内に限って利用でき、目的外利用や第三者提供には原則として本人の同意が必要である。検体検査の結果も個人を識別しうる個人情報に含まれ、臨床検査技師には臨床検査技師等に関する法律により守秘義務が課されている。●個人情報保護の原則=利用目的の特定・目的外利用の制限・第三者提供の制限・開示請求権。●守秘義務の根拠=臨床検査技師等に関する法律(資格法)。●要配慮個人情報=病歴・検査結果等は取扱いに本人同意が原則必要。

選択肢ごとの解説

第64回 午前100(医用工学概論)

分光光度計で真の吸光度よりも小さい値となるのはどれか。

正答: ④測定光に迷光が含まれる。

ポイント
分光光度計で測定光に迷光(測定波長以外の光)が混入すると、本来試料に吸収されるべき波長以外の光が検出器に届くため、見かけ上の透過光が増加し、算出される吸光度は真の値より小さくなる。とくに高吸光度域でこの影響が大きく、Lambert-Beerの法則からの負の偏りを生じる。一方、セルの汚れ・試料の混濁・光路長の増加は吸光度を大きくする方向に作用する。●吸光度を大きくする要因=セルの汚れ・試料の混濁(散乱)・光路長の増加。●吸光度を小さくする要因=迷光の混入。●Lambert-Beerの法則=吸光度=モル吸光係数×濃度×光路長。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:分光光度計の吸光度に影響する要因

要因吸光度への影響
セルの汚れ大きくなる(見かけ上、真の値より大きい)
光路長の増加大きくなる(Lambertの法則により比例)
溶液の混濁大きくなる(透過率の低下による)
測定光への迷光の混入小さくなる(真の吸光度より小さい値となる)
光源ランプの照度低下変化しない
吸光度はLambert-Beerの法則により、溶液の濃度と光路長の積に比例する(実測ではおよそ0〜2の範囲で測定する)。