第64回(2018) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第64回 午前51(病理組織細胞学)
腎臓の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA051.fe27fee636.jpg

- ①PAS反応
- ②PAM染色
- ③PTAH染色
- ④toluidine blue染色
- ⑤Masson trichrome染色
正答: ⑤Masson trichrome染色
ポイント
Masson trichrome(マッソン・トリクローム)染色は膠原線維を青緑色(アニリン青使用時)または青色、細胞質・筋線維・赤血球を赤色に染め分ける三色結合織染色である。腎では糸球体基底膜やメサンギウム基質、間質・血管周囲の線維化を評価するのに有用で、慢性腎疾患の進行度判定に用いられる。媒染としてリンタングステン酸を用いて染色色素の分布を調整する点が特徴である。
●結合織(膠原線維)染色=Masson trichrome(青緑/青)・azan(アニリン青で青)・van Gieson(赤)。
●基底膜の染色=PAS反応(赤紫)・PAM/過ヨウ素酸メセナミン銀(黒)。
●筋・グリア線維=PTAH(青)。
●弾性線維=Elastica van Gieson・Weigert染色。
選択肢ごとの解説
- ① PAS反応は糖質・基底膜を赤紫色に染める反応で、膠原線維を青緑色に染め分ける三色像とは異なる。
- ② PAM(過ヨウ素酸メセナミン銀)染色は基底膜を黒色に染める銀染色で、青緑色の三色像とは合致しない。
- ③ PTAH(リンタングステン酸ヘマトキシリン)染色は横紋筋やグリア線維を青色に染める染色で、腎膠原線維の三色染め分けとは異なる。
- ④ toluidine blue染色は異染性を示す塩基性色素染色で、肥満細胞顆粒や軟骨基質の染色に用いられ、本像とは異なる。
- ⑤ 正しい。Masson trichrome染色で膠原線維が青緑色、細胞質・筋が赤色に染め分けられた所見であり、腎間質や基底膜の線維化評価に用いられる。
📋 まとめの表を見る:腎糸球体基底膜を対象とする特殊染色とその呈色
いずれも腎糸球体基底膜・メサンギウム基質を観察できるが、染色法により呈色が異なる。
第64回 午前52(病理組織細胞学)
軟骨組織の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA052.dc7cb2b1e3.jpg

- ①azan染色
- ②Berlin blue染色
- ③Alcian blue染色
- ④mucicarmine染色
- ⑤toluidine blue染色
正答: ③Alcian blue染色
ポイント
Alcian blue(アルシアン青)染色は酸性ムコ多糖(グリコサミノグリカン)を青色に染める染色法で、軟骨基質に豊富なプロテオグリカンを鮮やかに染め出す。染色液のpH2.5ではカルボキシル基をもつ粘液と硫酸基をもつ粘液の両方が染まり、pH1.0では主に硫酸基をもつ酸性粘液が染まる。両条件を比較して酸性粘液の性状を評価する。軟骨組織の同定や上皮性・間質性粘液の評価に用いられる。
●酸性ムコ多糖の染色=Alcian blue(青)・toluidine blue(異染性で赤紫)・コロイド鉄染色。
●上皮性粘液の染色=mucicarmine(赤)・PAS反応(赤紫)。
●結合織染色=azan・Masson trichrome。
●鉄(ヘモジデリン)の染色=Berlin blue/ベルリン青(青)。
選択肢ごとの解説
- ① azan染色は膠原線維を青色、細胞質を赤色に染める結合織染色で、軟骨基質の酸性ムコ多糖を特異的に示すものではない。
- ② Berlin blue(ベルリン青)染色は三価鉄イオンを青色に染めるヘモジデリン検出法で、軟骨染色には用いない。
- ③ 正しい。Alcian blue染色は軟骨基質の酸性ムコ多糖を青色に染め、軟骨組織の同定に適した像である。
- ④ mucicarmine染色は上皮性酸性粘液を赤色に染める染色で、軟骨基質の染色法としては典型的でない。
- ⑤ toluidine blue染色も軟骨基質を異染性(赤紫)に染めうるが、本問の青色染色像はAlcian blueに合致する。
第64回 午前53(病理組織細胞学)
FISH法について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①標本は永久標本となる。
- ②染色体転座の検出に用いる。
- ③観察には偏光顕微鏡を用いる。
- ④キメラ遺伝子の検出に用いる。
- ⑤核はフルオレセインイソチオシアネート〈FITC〉で染色する。
正答: ②染色体転座の検出に用いる。・④キメラ遺伝子の検出に用いる。
ポイント
FISH(fluorescence in situ hybridization:蛍光in situハイブリダイゼーション)法は、蛍光標識したDNAプローブを標的の染色体領域や遺伝子に相補的に結合させ、蛍光顕微鏡で観察する手法である。染色体転座、BCR-ABL1などのキメラ(融合)遺伝子、遺伝子の増幅・欠失の検出に用いられ、分裂中期染色体だけでなく間期核でも解析できる。蛍光色素は退色するため永久標本にはならず、対比染色にはDAPIを用いる。
●染色体・遺伝子異常の検出法=FISH・染色体分染(G分染)・サザンブロット・PCR・マイクロアレイ。
●FISHの用途=転座(融合・スプリットシグナル)・増幅(HER2等)・欠失・数的異常(モノソミー/トリソミー)。
●蛍光色素=FITC(緑)・ローダミン/Texas red(赤)・対比染色DAPI(青)。
選択肢ごとの解説
- ① 蛍光色素は経時的に退色するため、FISH標本は永久標本とはならない。
- ② 正しい。染色体転座の検出はFISH法の代表的用途で、融合シグナルやスプリットシグナルで判定する。
- ③ 観察には偏光顕微鏡ではなく蛍光顕微鏡を用いるため誤りである。
- ④ 正しい。BCR-ABL1などのキメラ(融合)遺伝子の検出はFISH法の主要な適応である。
- ⑤ 核の対比染色にはDAPIなどを用いるのが一般的で、フルオレセインイソチオシアネート〈FITC〉は標的プローブの蛍光標識色素であり核全体を染めるものではない。
第64回 午前54(病理組織細胞学)
透過型電子顕微鏡標本の作製法について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①電子染色を行う。
- ②包埋にはパラフィンを用いる。
- ③前固定にはエタノールを用いる。
- ④後固定にはオスミウム酸を用いる。
- ⑤置換にはイソプロパノールを用いる。
正答: ①電子染色を行う。・④後固定にはオスミウム酸を用いる。
ポイント
透過型電子顕微鏡(TEM)標本では、前固定にグルタルアルデヒド、後固定に四酸化オスミウム(オスミウム酸)を用いて微細構造を保持し、脂質に電子密度を与える。脱水後はプロピレンオキシド(酸化プロピレン)で置換し、エポキシ樹脂などで包埋して超薄切片を作製する。切片は酢酸ウランやクエン酸鉛による電子染色でコントラストを付与する。パラフィン包埋やエタノール固定は光学顕微鏡用で電顕には適さない。
●固定=前固定グルタルアルデヒド、後固定四酸化オスミウム。
●脱水=上昇系列エタノールまたはアセトン。
●置換=プロピレンオキシド。
●包埋=エポキシ樹脂(Epon等)。
●電子染色=酢酸ウラン・クエン酸鉛。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。超薄切片に酢酸ウラン・クエン酸鉛などで電子染色を行い、構造のコントラストを高める。
- ② 包埋にはパラフィンではなくエポキシ樹脂などの樹脂を用いるため誤りである。
- ③ 前固定にはエタノールではなくグルタルアルデヒドを用いるため誤りである。
- ④ 正しい。後固定には四酸化オスミウム(オスミウム酸)を用い、脂質の固定と電子密度の付与を行う。
- ⑤ 脱水後の置換にはイソプロパノールではなくプロピレンオキシド(酸化プロピレン)を用いるのが一般的で誤りである。
第64回 午前55(病理組織細胞学)
子宮頸部擦過細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA055.27c3a13b18.jpg

- ①カンジダ
- ②クラミジア
- ③トリコモナス
- ④クリプトコッカス
- ⑤サイトメガロウイルス
正答: ③トリコモナス
ポイント
腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)はトリコモナス腟炎の原因原虫で、Papanicolaou(パパニコロウ)染色では灰緑色〜淡好酸性で核が偏在する洋ナシ形〜類円形の構造として観察される。背景に好中球が多く、扁平上皮細胞には核周明庭や軽度核腫大、好中球の付着(cannon ball)を伴うことがある。鞭毛は固定標本では確認しにくい。
●腟内の細胞診で見る微生物=トリコモナス(灰緑色洋ナシ形)・カンジダ(仮性菌糸と出芽胞子)・放線菌(菌塊)・Leptothrix(細長い糸状の細菌)。
●ウイルス性細胞変化=HPV(コイロサイト)・単純ヘルペス(核内封入体・多核化・すりガラス核)・サイトメガロウイルス(フクロウの目様核内封入体)。
●正常腟内常在菌=デーデルライン桿菌(乳酸桿菌)。
選択肢ごとの解説
- ① カンジダは仮性菌糸と出芽胞子を形成する真菌で、扁平上皮が串刺し状に並ぶ像を呈し、本像のトリコモナスとは異なる。
- ② クラミジアは細胞内に封入体を形成する偏性細胞内寄生菌で、Papanicolaou染色での独立した原虫様構造としては観察されない。
- ③ 正しい。矢印で示すのは腟トリコモナスで、灰緑色の洋ナシ形構造として観察される。
- ④ クリプトコッカスは厚い莢膜を持つ酵母様真菌で、子宮頸部擦過細胞診で典型的に見る微生物ではない。
- ⑤ サイトメガロウイルス感染は核内封入体(フクロウの目様)を示す細胞変化で、トリコモナスの像とは異なる。
第64回 午前56(病理組織細胞学)
子宮頸部細胞診でコイロサイトに関係する微生物はどれか。
- ①カンジダ
- ②トリコモナス
- ③ヘルペスウイルス
- ④デーデルライン桿菌
- ⑤ヒトパピローマウイルス
正答: ⑤ヒトパピローマウイルス
ポイント
コイロサイトは核周明庭(核の周囲の明るい空隙)と核腫大・核形不整・二核化を示す扁平上皮細胞で、ヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)感染の細胞学的特徴である。HPVは子宮頸部の前がん病変や扁平上皮癌と密接に関連し、特に高リスク型(16型・18型など)が発がんに寄与する。コイロサイトーシスはHPV感染の指標となる。
●HPV関連細胞所見=コイロサイト(核周明庭)・異形成・扁平上皮内病変(SIL)。
●他のウイルス性細胞変化=単純ヘルペス(多核・すりガラス核内封入体)・サイトメガロウイルス(フクロウの目様核内封入体)。
●HPV関連腫瘍=子宮頸癌・尖圭コンジローマ・中咽頭癌。
選択肢ごとの解説
- ① カンジダは真菌で、コイロサイトとは関係しない。
- ② トリコモナスは原虫で、扁平上皮の核周明庭を特徴とするコイロサイトとは関係しない。
- ③ ヘルペスウイルスは核内封入体や多核化を起こすが、コイロサイトの原因ではない。
- ④ デーデルライン桿菌は腟内の常在乳酸桿菌で、上皮細胞の細胞質溶解(cytolysis)を起こすがコイロサイトとは無関係である。
- ⑤ 正しい。コイロサイト(核周明庭を伴う細胞)はヒトパピローマウイルス感染を反映する所見である。
第64回 午前57(病理組織細胞学)
悪性細胞で頻度の高い所見はどれか。2つ選べ。
- ①核形不整
- ②核小体明瞭化
- ③細胞質内顆粒
- ④細胞質内粘液
- ⑤核と細胞質の面積比〈N/C比〉の減少
正答: ①核形不整・②核小体明瞭化
ポイント
悪性細胞では核形不整、核腫大による核と細胞質の面積比(N/C比)の増大、核小体の明瞭化・増数、クロマチンの増量・粗大化や分布不均一などの核異型が高頻度にみられる。これらは細胞の異常増殖と核の活性亢進を反映する。細胞質内顆粒や粘液は細胞の分化方向を示す所見で、悪性そのものの一般的指標ではない。
●核の悪性所見=核腫大・核形不整・N/C比増大・核小体明瞭化と増数・クロマチン増量と分布不均一・核分裂像。
●集塊の悪性所見=重積性・極性の乱れ・結合性低下。
●良性を示唆する所見=均一な核・整った核縁・低いN/C比・規則的な配列。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。核形不整は核膜の凹凸・切れ込みを示す核異型で、悪性細胞に高頻度にみられる。
- ② 正しい。核小体の明瞭化・増数は核活性亢進を反映し、悪性細胞でよくみられる所見である。
- ③ 細胞質内顆粒は特定の分化を示す所見で、悪性に特有の高頻度所見ではない。
- ④ 細胞質内粘液は腺系分化の指標で、悪性であることを直接示す高頻度所見ではない。
- ⑤ 悪性細胞では核腫大によりN/C比は減少ではなく増大するため、この記述は悪性所見と矛盾する。
第64回 午前58(病理組織細胞学)
病理解剖について正しいのはどれか。
- ①医師以外の者でも実施できる。
- ②遺族への解剖結果説明は臨床検査技師が行う。
- ③遺体の引き取り人がいない場合は実施できない。
- ④原則として死後48時間以内に行わなくてはならない。
- ⑤生前の本人の意思が明確であれば遺族が反対しても実施できる。
正答: ①医師以外の者でも実施できる。
ポイント
病理解剖は死体解剖保存法に基づいて行われ、解剖を実施するのは医師または歯科医師であり、その他に解剖資格認定を受けた者が行う場合がある。原則として遺族の承諾を得る必要があり、剖検結果の臨床的説明は担当医師が行う。臨床検査技師は組織標本の作製や解剖の介助を担う立場であり、解剖の主体や結果説明者ではない。
●解剖の種類=病理解剖(病死の死因究明、死体解剖保存法)・行政解剖(監察医、異状死体)・司法解剖(犯罪関連、刑事訴訟法)・系統解剖(医学教育)。
●病理解剖の要件=遺族の承諾・医師等による実施。
●臨床検査技師の役割=標本作製・介助(解剖の主体や説明者ではない)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。解剖資格を持つ者が行う場合があり、医師・歯科医師以外でも実施できる。
- ② 遺族への解剖結果の説明は医師が行うものであり、臨床検査技師が行うのではない。
- ③ 引き取り人の有無は実施可否を直接規定するものではなく、承諾の要件とは別である。
- ④ 病理解剖に死後48時間以内という法定の時間制限はなく、この記述は誤りである。
- ⑤ 病理解剖は原則として遺族の承諾を要し、遺族が反対しても本人の意思のみで実施できるとはいえない。
第64回 午前59(臨床血液学)
肝細胞が産生するのはどれか。
- ①エリスロポエチン
- ②トロンボポエチン
- ③顆粒球コロニー刺激因子
- ④インターロイキン-2〈IL-2〉
- ⑤マクロファージコロニー刺激因子
正答: ②トロンボポエチン
ポイント
トロンボポエチンは主に肝細胞で産生されるサイトカインで、骨髄の巨核球の増殖・分化を促進し血小板産生を高める。これに対しエリスロポエチンは主に腎臓(尿細管周囲の間質細胞)で産生され赤血球産生を促す。各造血因子の産生臓器の違いを区別することが要点である。
●肝臓で主に産生=トロンボポエチン・凝固因子(フィブリノゲン等)・アルブミン・C反応性蛋白(CRP)。
●腎臓で産生=エリスロポエチン・レニン・活性型ビタミンD。
●コロニー刺激因子=G-CSF・M-CSF・GM-CSF(線維芽細胞・内皮細胞・単球・マクロファージなどが産生)。
●T細胞産生サイトカイン=インターロイキン-2・インターフェロンγ。
選択肢ごとの解説
- ① エリスロポエチンは主に腎臓で産生され、赤血球産生を促進するため誤りである。
- ② 正しい。トロンボポエチンは肝細胞で産生され、巨核球・血小板の産生を促進する。
- ③ 顆粒球コロニー刺激因子〈G-CSF〉はマクロファージ・線維芽細胞・内皮細胞などで産生され、肝細胞産生の代表ではない。
- ④ インターロイキン-2〈IL-2〉はおもに活性化T細胞が産生するサイトカインで、肝細胞産生ではない。
- ⑤ マクロファージコロニー刺激因子〈M-CSF〉は線維芽細胞・内皮細胞・単球などが産生し、肝細胞産生の代表ではない。
第64回 午前60(臨床血液学)
濃染顆粒に含まれるのはどれか。2つ選べ。
- ①ADP
- ②セロトニン
- ③グリコーゲン
- ④フィブリノゲン
- ⑤von Willebrand因子
正答: ①ADP・②セロトニン
ポイント
血小板の濃染顆粒(dense granule、δ顆粒)にはADP・ATP・セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)・カルシウムイオン・ピロリン酸などの低分子物質が含まれ、放出されると血小板の活性化・凝集を増幅し血管収縮にも寄与する。一方α顆粒にはフィブリノゲン、von Willebrand因子、血小板第4因子、β-トロンボグロブリン、血小板由来増殖因子などの蛋白が含まれる。グリコーゲンは細胞質に貯蔵される。
●濃染顆粒(δ顆粒)=ADP・ATP・セロトニン・カルシウム・ピロリン酸。
●α顆粒=フィブリノゲン・von Willebrand因子・血小板第4因子・β-トロンボグロブリン・PDGF。
●細胞質に貯蔵=グリコーゲン。
●関連疾患=濃染顆粒欠損(storage pool病)・灰色血小板症候群(α顆粒欠損)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。ADPは濃染顆粒に含まれ、放出されて血小板凝集を増幅する。
- ② 正しい。セロトニンは濃染顆粒に含まれ、放出により血管収縮や血小板活性化に寄与する。
- ③ グリコーゲンは細胞質に貯蔵される多糖で、濃染顆粒の内容物ではない。
- ④ フィブリノゲンは濃染顆粒ではなくα顆粒に含まれる。
- ⑤ von Willebrand因子は濃染顆粒ではなくα顆粒に含まれる。
第64回 午前61(臨床血液学)
血小板から放出されるのはどれか。
- ①コラーゲン
- ②エピネフリン
- ③リストセチン
- ④トロンボキサンA2
- ⑤トロンボモジュリン
正答: ④トロンボキサンA2
ポイント
トロンボキサンA2は活性化した血小板内でアラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX-1)およびトロンボキサン合成酵素を介して産生・放出される強力な血小板凝集促進・血管収縮物質である。コラーゲンやエピネフリンは血小板を活性化する外因性の刺激物質であり、トロンボモジュリンは血管内皮細胞に存在する抗凝固分子である。リストセチンはvon Willebrand因子依存性の凝集を誘導する検査用試薬である。
●血小板が放出する物質=トロンボキサンA2・濃染顆粒内容(ADP・セロトニン)・α顆粒内容(フィブリノゲン・vWF・血小板第4因子)。
●血小板を活性化する外因性刺激=コラーゲン・ADP・エピネフリン・トロンビン・リストセチン(試薬)。
●内皮の抗凝固分子=トロンボモジュリン・ヘパラン硫酸・プロスタサイクリン。
●アスピリンの作用=COX阻害でトロンボキサンA2産生を抑制。
選択肢ごとの解説
- ① コラーゲンは血管内皮下に存在し血小板を活性化する物質で、血小板から放出されるものではない。
- ② エピネフリンは副腎髄質由来の血小板活性化物質であり、血小板から放出されるものではない。
- ③ リストセチンはvon Willebrand因子依存性の血小板凝集を誘導する検査用試薬で、血小板が放出するものではない。
- ④ 正しい。トロンボキサンA2は活性化血小板から放出され、血小板凝集と血管収縮を促進する。
- ⑤ トロンボモジュリンは血管内皮細胞表面に存在しトロンビンと結合してプロテインCを活性化する分子で、血小板放出物質ではない。
第64回 午前62(臨床血液学)
播種性血管内凝固〈DIC〉の診断に用いられないのはどれか。
- ①可溶性フィブリンモノマー複合体
- ②プロトロンビンフラグメント1+2〈PF 1+2〉
- ③トロンビン・アンチトロンビン複合体
- ④抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体
- ⑤プラスミン・プラスミンインヒビター複合体
正答: ④抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体
ポイント
播種性血管内凝固〈DIC〉の診断では凝固活性化と線溶亢進を反映する分子マーカーが用いられる。可溶性フィブリンモノマー複合体、プロトロンビンフラグメント1+2〈PF 1+2〉、トロンビン・アンチトロンビン複合体〈TAT〉は凝固活性化を、プラスミン・プラスミンインヒビター複合体〈PIC〉は線溶活性化を反映する。抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体はヘパリン起因性血小板減少症〈HIT〉の診断指標であり、DICとは異なる病態を示す。
●凝固活性化マーカー=PF 1+2・TAT・可溶性フィブリンモノマー複合体・Dダイマー(線溶も反映)。
●線溶活性化マーカー=PIC・FDP・Dダイマー。
●DICの一般検査=血小板減少・PT延長・フィブリノゲン低下・FDP/Dダイマー上昇。
●HITの指標=抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体。
選択肢ごとの解説
- ① 可溶性フィブリンモノマー複合体は凝固活性化を反映し、DICの診断に用いられる。
- ② プロトロンビンフラグメント1+2〈PF 1+2〉はトロンビン生成(凝固活性化)を反映し、DIC診断に用いられる。
- ③ トロンビン・アンチトロンビン複合体はトロンビン生成を示し、DICの凝固活性化マーカーである。
- ④ 誤り。抗ヘパリン・血小板第4因子複合体抗体はヘパリン起因性血小板減少症〈HIT〉の診断指標であり、DICの診断には用いられない。
- ⑤ プラスミン・プラスミンインヒビター複合体は線溶活性化を反映し、DIC診断に用いられる。
第64回 午前63(臨床血液学)
リンパ球と単球との鑑別に有用な染色法はどれか。
- ①鉄染色
- ②PAS染色
- ③特異的エステラーゼ染色
- ④非特異的エステラーゼ染色
- ⑤アルカリホスファターゼ染色
正答: ④非特異的エステラーゼ染色
ポイント
非特異的エステラーゼ染色(α-ナフチルブチレートエステラーゼなど)は単球系細胞でびまん性に強陽性となり、フッ化ナトリウム添加で活性が阻害される点が特徴で、リンパ球は陰性〜点状陽性にとどまる。このため単球とリンパ球の鑑別に有用である。特異的エステラーゼ(ナフトールAS-Dクロロアセテートエステラーゼ)は顆粒球系に陽性となる。
●単球系陽性=非特異的エステラーゼ(NaF阻害あり)。
●顆粒球系陽性=特異的エステラーゼ(クロロアセテート)・ペルオキシダーゼ・好中球アルカリホスファターゼ(NAP)。
●鉄芽球・ヘモジデリン=鉄染色(Berlin blue)。
●グリコーゲン=PAS染色(巨核球・赤白血病・ALLで陽性傾向)。
選択肢ごとの解説
- ① 鉄染色は鉄芽球やヘモジデリンの検出に用いられ、リンパ球と単球の鑑別には適さない。
- ② PAS染色はグリコーゲンなどを染めるが、リンパ球と単球を明確に鑑別する代表的染色ではない。
- ③ 特異的エステラーゼ染色は顆粒球系に陽性を示し、単球とリンパ球の鑑別には非特異的エステラーゼが適する。
- ④ 正しい。非特異的エステラーゼ染色は単球系に強陽性、リンパ球に弱いため両者の鑑別に有用である。
- ⑤ アルカリホスファターゼ染色〈NAP〉は好中球の活性評価に用いられ、リンパ球と単球の鑑別には適さない。
📋 まとめの表を見る:血液細胞化学染色(特殊染色)の目的・判定・臨床意義
第64回 午前64(臨床血液学)
赤血球の封入体はどれか。2つ選べ。
- ①デーレ〈Döhle〉小体
- ②アウエル〈Auer〉小体
- ③ハインツ〈Heinz〉小体
- ④ラッセル〈Russell〉小体
- ⑤パッペンハイマー〈Pappenheimer〉小体
正答: ③ハインツ〈Heinz〉小体・⑤パッペンハイマー〈Pappenheimer〉小体
ポイント
赤血球の封入体には、変性ヘモグロビンからなるハインツ〈Heinz〉小体(超生体染色で検出、酸化的溶血で出現)と、鉄を含むパッペンハイマー〈Pappenheimer〉小体(鉄染色陽性)がある。ほかに核残遺物のHowell-Jolly小体やリボソーム残遺による好塩基性斑点も赤血球封入体である。デーレ〈Döhle〉小体・アウエル〈Auer〉小体は白血球系の所見、ラッセル〈Russell〉小体は形質細胞内の免疫グロブリン蓄積物である。
●赤血球封入体=ハインツ小体(変性Hb)・パッペンハイマー小体(鉄)・Howell-Jolly小体(核残遺)・好塩基性斑点(リボソーム残遺)・Cabot環。
●白血球封入体=デーレ小体(中毒性顆粒に伴う)・アウエル小体(骨髄芽球・APL)。
●形質細胞=ラッセル小体・モット細胞。
選択肢ごとの解説
- ① デーレ〈Döhle〉小体は好中球の細胞質にみられる青色の封入体で、赤血球の封入体ではない。
- ② アウエル〈Auer〉小体は骨髄芽球などの細胞質にみられる針状構造で、赤血球の封入体ではない。
- ③ 正しい。ハインツ〈Heinz〉小体は変性ヘモグロビンからなる赤血球の封入体で、超生体染色で検出される。
- ④ ラッセル〈Russell〉小体は形質細胞内の免疫グロブリン蓄積物で、赤血球の封入体ではない。
- ⑤ 正しい。パッペンハイマー〈Pappenheimer〉小体は鉄を含む赤血球の封入体で、鉄染色で陽性となる。
📋 まとめの表を見る:血球の核・細胞質にみられる特徴的所見
第64回 午前65(臨床血液学)
末梢血のWright-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA065.346e49c191.jpg

- ①急性骨髄性白血病
- ②急性リンパ性白血病
- ③成人T細胞白血病
- ④慢性骨髄性白血病
- ⑤慢性リンパ性白血病
正答: ④慢性骨髄性白血病
ポイント
慢性骨髄性白血病では末梢血で著明な白血球増加とともに、好中球・後骨髄球・骨髄球・前骨髄球など各成熟段階の顆粒球が連続的に出現し(左方移動)、好塩基球・好酸球も増加する。慢性期では芽球の割合は低い。BCR-ABL1融合遺伝子(Philadelphia染色体)が病因で、好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアは低下する。
●骨髄性白血病=急性骨髄性(芽球主体・Auer小体)・慢性骨髄性(各成熟段階の顆粒球連続出現・好塩基球増多・NAP低下・BCR-ABL1)。
●リンパ性白血病=急性リンパ性(リンパ芽球)・慢性リンパ性(成熟小型リンパ球増多・smudge cell)。
●成人T細胞白血病=HTLV-1関連・花弁状核(flower cell)。
選択肢ごとの解説
- ① 急性骨髄性白血病では芽球が主体で、各成熟段階が連続して出現する慢性骨髄性白血病の像とは異なる。
- ② 急性リンパ性白血病ではリンパ芽球が主体で、顆粒球の各成熟段階が並ぶ像ではない。
- ③ 成人T細胞白血病では花弁状核の異型リンパ球が特徴で、顆粒球系の連続出現像とは異なる。
- ④ 正しい。各成熟段階の顆粒球が連続して出現し好塩基球増多を伴う像は慢性骨髄性白血病に合致する。
- ⑤ 慢性リンパ性白血病では成熟小型リンパ球の増加が主体で、顆粒球系の像とは異なる。
📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉と慢性骨髄性白血病〈CML〉の鑑別点
第64回 午前66(臨床血液学)
骨髄穿刺液のWright-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA066.dc2b7a1109.jpg

- ①赤白血病
- ②骨髄線維症
- ③多発性骨髄腫
- ④血球貪食症候群
- ⑤ホジキン〈Hodgkin〉リンパ腫
正答: ③多発性骨髄腫
ポイント
多発性骨髄腫では骨髄に異常形質細胞(骨髄腫細胞)が増殖し、偏在した核と車軸状クロマチン、核周明庭(ゴルジ野)を伴う細胞や、多核・大型の異型形質細胞がみられる。単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の産生により高γグロブリン血症、尿中Bence Jones蛋白、溶骨性病変、高カルシウム血症、腎障害(CRABと総称)をきたす。
●形質細胞腫瘍=多発性骨髄腫・形質細胞腫・原発性マクログロブリン血症(IgM産生)。
●骨髄腫の所見=M蛋白・溶骨性病変・高Ca血症・腎障害・貧血・赤血球連銭形成。
●他の骨髄異常細胞=赤白血病(異型赤芽球)・血球貪食症候群(貪食マクロファージ)・骨髄線維症(dry tap・涙滴赤血球)・Reed-Sternberg細胞(Hodgkinリンパ腫)。
選択肢ごとの解説
- ① 赤白血病では異型赤芽球と芽球の増加が主体で、形質細胞増加の像とは異なる。
- ② 骨髄線維症では骨髄の線維化により穿刺液が得にくく(dry tap)、末梢に涙滴赤血球を伴う像で、形質細胞増加とは異なる。
- ③ 正しい。偏在核・核周明庭を伴う異型形質細胞の増加は多発性骨髄腫に合致する。
- ④ 血球貪食症候群では血球を貪食したマクロファージが主体で、形質細胞増加の像とは異なる。
- ⑤ ホジキン〈Hodgkin〉リンパ腫はReed-Sternberg細胞を特徴とし、骨髄穿刺で形質細胞が主体となる像とは異なる。
📋 まとめの表を見る:多発性骨髄腫の特徴的所見
第64回 午前67(臨床血液学)
プロトロンビン時間が正常で活性化部分トロンボプラスチン時間が延長しているときに考えられるのはどれか。2つ選べ。
- ①血友病B
- ②劇症肝炎
- ③第Ⅶ因子欠乏症
- ④ビタミンK欠乏症
- ⑤抗リン脂質抗体症候群
正答: ①血友病B・⑤抗リン脂質抗体症候群
ポイント
プロトロンビン時間〈PT〉正常・活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉延長は、内因系のみの異常を示すパターンである。第Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ因子欠乏(血友病Aは第Ⅷ、血友病Bは第Ⅸ)やループスアンチコアグラント(抗リン脂質抗体)でこのパターンを示す。第Ⅶ因子欠乏やビタミンK欠乏、肝障害ではPTも延長するため合致しない。
●PT延長のみ=第Ⅶ因子欠乏(外因系)。
●APTT延長のみ=第Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ因子欠乏(血友病A/B等)・ループスアンチコアグラント。
●PT・APTTともに延長=第Ⅹ・Ⅴ・Ⅱ因子欠乏・フィブリノゲン異常・ビタミンK欠乏・肝障害・DIC・ワルファリン。
●いずれも正常=第ⅩⅢ因子欠乏(架橋形成のみ障害)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。血友病Bは第Ⅸ因子欠乏で内因系のみが障害され、PT正常・APTT延長を示す。
- ② 劇症肝炎では複数の凝固因子が低下しPTも延長するため、このパターンには合致しない。
- ③ 第Ⅶ因子は外因系因子で、欠乏ではPTが延長するためこのパターンには合致しない。
- ④ ビタミンK欠乏では第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子が低下しPTも延長するため、このパターンには合致しない。
- ⑤ 正しい。抗リン脂質抗体症候群ではループスアンチコアグラントによりAPTTが延長し、PTは正常のことが多い。
第64回 午前68(臨床微生物学)
原核生物はどれか。2つ選べ。
- ①Aspergillus fumigatus
- ②Candida albicans
- ③Chlamydia psittaci
- ④Entamoeba histolytica
- ⑤Escherichia coli
正答: ③Chlamydia psittaci・⑤Escherichia coli
ポイント
原核生物は核膜に包まれた明瞭な核を持たず、細菌(真正細菌)やリケッチア・クラミジアが含まれる。Chlamydia psittaci(オウム病クラミジア)とEscherichia coli(大腸菌)は細菌で原核生物である。真菌であるAspergillus・Candidaや原虫であるEntamoebaは核膜を持つ真核生物である。
●原核生物=細菌(大腸菌等)・リケッチア・クラミジア・マイコプラズマ。
●真核生物=真菌(Aspergillus・Candida)・原虫(Entamoeba・Plasmodium)・寄生虫・ヒト細胞。
●ウイルス=細胞構造を持たず原核・真核のいずれにも属さない。
選択肢ごとの解説
- ① Aspergillus fumigatusは真菌で、核膜を持つ真核生物である。
- ② Candida albicansは真菌で、核膜を持つ真核生物である。
- ③ 正しい。Chlamydia psittaciは偏性細胞内寄生の細菌で原核生物である。
- ④ Entamoeba histolyticaは原虫で、核膜を持つ真核生物である。
- ⑤ 正しい。Escherichia coliは細菌で原核生物である。
第64回 午前69(臨床微生物学)
細菌の構造について正しいのはどれか。
- ①核膜が存在する。
- ②ミトコンドリアが存在する。
- ③外膜はグラム陽性菌の菌体外側に存在する。
- ④タイコ酸はグラム陰性菌の細胞壁に存在する。
- ⑤ペプチドグリカンは細胞壁の構成成分である。
正答: ⑤ペプチドグリカンは細胞壁の構成成分である。
ポイント
細菌は原核生物であり、核膜やミトコンドリアなどの膜で囲まれた細胞小器官を持たない。細胞壁の主要構成成分はペプチドグリカンで、グラム陽性菌では厚いペプチドグリカン層とタイコ酸を持ち、グラム陰性菌では薄いペプチドグリカン層の外側にリポ多糖(内毒素)を含む外膜を持つ。呼吸鎖の電子伝達系は細胞膜上に存在する。
●グラム陽性菌の細胞壁=厚いペプチドグリカン・タイコ酸/リポタイコ酸。
●グラム陰性菌の細胞壁=薄いペプチドグリカン・外膜(リポ多糖=内毒素を含む)・ペリプラズム。
●共通成分=ペプチドグリカン(細胞壁の主成分)。
●原核生物の特徴=核膜なし・ミトコンドリアなし・70Sリボソーム。
選択肢ごとの解説
- ① 細菌は原核生物で核膜を持たないため誤りである。
- ② 細菌はミトコンドリアを持たず、呼吸鎖(電子伝達系)は細胞膜に存在するため誤りである。
- ③ 外膜はグラム陰性菌の細胞壁外側に存在し、グラム陽性菌には外膜がないため誤りである。
- ④ タイコ酸はグラム陽性菌の細胞壁に存在し、グラム陰性菌にはないため誤りである。
- ⑤ 正しい。ペプチドグリカンは細菌細胞壁の主要構成成分である。
第64回 午前70(臨床微生物学)
加温が必要な染色法はどれか。2つ選べ。
- ①墨汁法
- ②Wirtz法
- ③Neisser染色
- ④Ziehl-Neelsen染色
- ⑤Gram染色〈Huckerの変法〉
正答: ②Wirtz法・④Ziehl-Neelsen染色
ポイント
Wirtz(ウィルツ)法(芽胞染色)はマラカイトグリーンを芽胞に浸透させるため火炎による加温が必要である。Ziehl-Neelsen(チール・ネールゼン)染色(抗酸菌染色)も石炭酸フクシンを加温して菌体の脂質層に浸透させる。墨汁法・Neisser染色・Gram染色(Huckerの変法)は加温を要しない常温染色である。
●加温を要する染色=Wirtz法(芽胞)・Ziehl-Neelsen染色(抗酸菌、温染法)。
●加温不要(常温)=Gram染色・Neisser染色(異染小体)・墨汁法(莢膜)・Kinyoun染色(抗酸菌の冷染法)。
●抗酸菌染色の蛍光法=オーラミン・ローダミン染色。
選択肢ごとの解説
- ① 墨汁法は莢膜を背景の墨汁で陰性染色する方法で、加温は不要である。
- ② 正しい。Wirtz法(芽胞染色)はマラカイトグリーンを芽胞に浸透させるため加温が必要である。
- ③ Neisser染色は異染小体の染色で、加温は不要である。
- ④ 正しい。Ziehl-Neelsen染色は石炭酸フクシンを加温して抗酸菌に浸透させるため加温が必要である。
- ⑤ Gram染色(Huckerの変法)は加温を要しない常温の鑑別染色である。
第64回 午前71(臨床微生物学)
人体に使用できない消毒薬はどれか。
- ①ポビドンヨード
- ②消毒用エタノール
- ③グルタルアルデヒド
- ④塩化ベンザルコニウム
- ⑤クロルヘキシジングルコン酸塩
正答: ③グルタルアルデヒド
ポイント
グルタルアルデヒドは高水準消毒薬で、内視鏡など耐熱性に乏しい器具の消毒・滅菌に用いられるが、皮膚・粘膜への刺激性が強く人体には使用できない。ポビドンヨード、消毒用エタノール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩は人体(生体)に使用できる消毒薬である。ただし使用部位は薬剤・製剤ごとに異なり、ポビドンヨードは皮膚・粘膜に使用できる一方、消毒用エタノールやクロルヘキシジングルコン酸塩製剤は腟・膀胱・口腔等の粘膜面への使用が禁忌とされ、皮膚の消毒に用いる。
●高水準消毒薬(器具用、人体不可)=グルタルアルデヒド・過酢酸・フタラール。
●中水準消毒薬=消毒用エタノール・ポビドンヨード・次亜塩素酸ナトリウム。
●低水準消毒薬=塩化ベンザルコニウム(第四級アンモニウム)・クロルヘキシジングルコン酸塩。
●皮膚消毒に用いるもの=消毒用エタノール・ポビドンヨード・クロルヘキシジン。
選択肢ごとの解説
- ① ポビドンヨードは皮膚・粘膜の消毒に用いられる人体使用可能な消毒薬である。
- ② 消毒用エタノールは皮膚消毒に広く用いられる人体使用可能な消毒薬である。
- ③ 正しい。グルタルアルデヒドは器具用の高水準消毒薬で刺激性が強く、人体には使用できない。
- ④ 塩化ベンザルコニウムは低水準消毒薬で、皮膚・粘膜・創傷部などに使用できる。
- ⑤ クロルヘキシジングルコン酸塩は皮膚消毒に用いられる人体使用可能な消毒薬である。
第64回 午前72(臨床微生物学)
基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉産生菌の薬剤感受性検査で感性を示す抗菌薬はどれか。
- ①イミペネム
- ②セファゾリン
- ③アズトレオナム
- ④セフォタキシム
- ⑤ベンジルペニシリン〈ペニシリンG〉
正答: ①イミペネム
ポイント
基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉はペニシリン系、広域セファロスポリン系(セフォタキシムなど第三世代)、モノバクタム系(アズトレオナム)を分解するが、カルバペネム系(イミペネムなど)やセファマイシン系は分解しにくい。したがってESBL産生菌に対してはカルバペネム系が感受性を示すことが多い。クラブラン酸などのβ-ラクタマーゼ阻害薬で阻害される点を利用して検出する。
●ESBLが分解する薬剤=ペニシリン・広域セファロスポリン(第三世代)・モノバクタム(アズトレオナム)。
●ESBLに安定(有効)=カルバペネム(イミペネム・メロペネム)・セファマイシン(セフォキシチン)。
●ESBL確認試験=クラブラン酸による阻害(ディスク・微量液体希釈)。
●他の耐性機構=AmpC型・メタロβ-ラクタマーゼ(カルバペネム分解)・MRSA(PBP2′)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。イミペネムはカルバペネム系でESBLに分解されにくく、ESBL産生菌に感性を示す。
- ② セファゾリンは第一世代セファロスポリンでESBLにより分解され、感性を示しにくい。
- ③ アズトレオナムはモノバクタム系でESBLにより分解されるため感性を示しにくい。
- ④ セフォタキシムは第三世代セファロスポリンでESBLの主要な基質であり分解される。
- ⑤ ベンジルペニシリン〈ペニシリンG〉はペニシリン系でESBLにより分解されるため感性を示しにくい。
📋 まとめの表を見る:β-ラクタマーゼの分子分類(Amblerクラス)と分解する主な薬剤
クラスA・C・Dは活性中心にセリン残基をもつセリン型β-ラクタマーゼ、クラスBは活性中心に亜鉛をもつ金属酵素(メタロ-β-ラクタマーゼ)である。基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉は主にクラスAのβ-ラクタマーゼが変異した酵素で、ペニシリン系に加えセフェム系(第一〜第四世代)も分解するが、カルバペネム系は分解しにくいためカルバペネム系抗菌薬(イミペネム等)が有効。
第64回 午前73(臨床微生物学)
Streptococcus属について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①S. mitisは胆汁溶解テスト陽性である。
- ②S. pyogenesはLancefieldのG群抗原を有する。
- ③S. agalactiaeは馬尿酸加水分解テスト陽性である。
- ④S. pneumoniaeはオプトヒン感受性テスト陽性である。
- ⑤S. dysgalactiae subsp. equisimilisはCAMPテスト陽性である。
正答: ③S. agalactiaeは馬尿酸加水分解テスト陽性である。・④S. pneumoniaeはオプトヒン感受性テスト陽性である。
ポイント
S. agalactiae(B群レンサ球菌)は馬尿酸加水分解テストおよびCAMPテストが陽性となる。S. pneumoniae(肺炎球菌)はオプトヒン感受性および胆汁溶解テストが陽性で、これがS. mitisなどのα溶血性レンサ球菌(viridans group)との鑑別点となる。S. pyogenesはLancefield(ランスフィールド)のA群抗原を有する。
●A群(S. pyogenes)=β溶血・バシトラシン感受性・PYRテスト陽性。
●B群(S. agalactiae)=CAMPテスト陽性・馬尿酸加水分解陽性。
●肺炎球菌(S. pneumoniae)=α溶血・オプトヒン感受性・胆汁溶解陽性。
●viridans group(S. mitis等)=α溶血・オプトヒン耐性・胆汁溶解陰性。
●腸球菌=胆汁エスクリン陽性・6.5%食塩加培地で発育。
選択肢ごとの解説
- ① S. mitisは胆汁溶解テスト陰性で、陽性となるのは肺炎球菌であるため誤りである。
- ② S. pyogenesはLancefieldのA群抗原を有するため、G群とする記述は誤りである。
- ③ 正しい。S. agalactiaeは馬尿酸加水分解テスト陽性で、これはB群レンサ球菌の特徴である。
- ④ 正しい。S. pneumoniaeはオプトヒン感受性テスト陽性で、α溶血性レンサ球菌との鑑別に用いられる。
- ⑤ CAMPテストはS. agalactiaeが陽性となる試験で、S. dysgalactiae subsp. equisimilisの特徴とするのは誤りである。
第64回 午前74(臨床微生物学)
Vibrio属でTCBS寒天培地に青緑色コロニーを形成するのはどれか。2つ選べ。
- ①V. alginolyticus
- ②V. cholerae
- ③V. fluvialis
- ④V. mimicus
- ⑤V. parahaemolyticus
正答: ④V. mimicus・⑤V. parahaemolyticus
ポイント
TCBS(チオ硫酸塩・クエン酸塩・胆汁酸塩・ショ糖)寒天培地はVibrio属の選択分離培地で、ショ糖の分解能で集落の色が異なる。ショ糖分解菌(V. cholerae、V. alginolyticus、V. fluvialis)は黄色集落、ショ糖非分解菌(V. mimicus、V. parahaemolyticus)は青緑色集落を形成する。コレラ菌(V. cholerae)が黄色集落となる点が鑑別に役立つ。
●TCBS黄色集落(ショ糖分解)=V. cholerae・V. alginolyticus・V. fluvialis。
●TCBS青緑色集落(ショ糖非分解)=V. mimicus・V. parahaemolyticus・V. vulnificus。
●腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)=好塩性・神奈川現象(耐熱性溶血毒)。
●コレラ菌=コレラ毒素・耐熱性なし・血清型O1/O139。
選択肢ごとの解説
- ① V. alginolyticusはショ糖分解性で黄色集落を形成するため、青緑色集落とは異なる。
- ② V. choleraeはショ糖分解性で黄色集落を形成する。
- ③ V. fluvialisはショ糖分解性で黄色集落を形成する。
- ④ 正しい。V. mimicusはショ糖非分解でTCBS寒天培地に青緑色集落を形成する。
- ⑤ 正しい。V. parahaemolyticusはショ糖非分解でTCBS寒天培地に青緑色集落を形成する。
第64回 午前75(臨床微生物学)
大分生子を形成しないのはどれか。
- ①Aspergillus fumigatus
- ②Epidermophyton floccosum
- ③Fusarium solani
- ④Microsporum canis
- ⑤Trichophyton rubrum
正答: ①Aspergillus fumigatus
ポイント
Aspergillus fumigatusは頂囊にフラスコ形のフィアライドが直接付く単列性の分生子頭から小型の分生子(小分生子)を連鎖状に形成する糸状菌で、大分生子は形成しない。頂囊とフィアライドの間に介在するメトレはもたず、メトレを介する二列性の分生子頭はA. nigerなどでみられる。皮膚糸状菌であるEpidermophyton・Microsporum・Trichophytonや、Fusariumは特徴的な大分生子(棍棒状・紡錘形・鎌形など)を形成し、菌種同定の手がかりとなる。
●大分生子を形成=Microsporum(紡錘形・粗造壁)・Epidermophyton(棍棒状)・Fusarium(鎌形/紡錘形)・Trichophyton(細長い棍棒状、種により乏しい)。
●大分生子を形成しない=Aspergillus(分生子頭の小分生子連鎖)・Penicillium(箒状)・Candida(出芽・仮性菌糸)。
●皮膚糸状菌=Trichophyton・Microsporum・Epidermophyton。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。Aspergillus fumigatusは分生子頭から小分生子を形成し、大分生子は形成しない。
- ② Epidermophyton floccosumは棍棒状の大分生子を形成する皮膚糸状菌である。
- ③ Fusarium solaniは鎌形(紡錘形)の大分生子を形成する。
- ④ Microsporum canisは紡錘形で表面が粗造な大分生子を形成する皮膚糸状菌である。
- ⑤ Trichophyton rubrumは細長い棍棒状の大分生子(および多数の小分生子)を形成しうる皮膚糸状菌である。
第64回 午前76(臨床微生物学)
異常プリオン蛋白によって起こるのはどれか。
- ①Alzheimer病
- ②Creutzfeldt-Jakob病
- ③進行性多巣性白質脳症
- ④筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
- ⑤ギラン・バレー〈Guillain-Barré〉症候群
正答: ②Creutzfeldt-Jakob病
ポイント
Creutzfeldt-Jakob病(クロイツフェルト・ヤコブ病)は、正常プリオン蛋白(PrPC)が異常型(PrPSc)へ構造変化して脳に蓄積し神経変性をきたすプリオン病で、急速進行性認知症とミオクローヌス、脳波の周期性同期性放電を特徴とする。病理学的には大脳皮質の海綿状変性・神経細胞脱落・グリオーシスがみられ、核酸を持たない蛋白のみの感染因子による点が他の神経変性疾患と根本的に異なる。他選択肢はそれぞれアミロイドβ蓄積・ウイルス感染・運動ニューロン変性・自己免疫という別機序による。●プリオン病=Creutzfeldt-Jakob病・ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群・致死性家族性不眠症・クールー。●神経変性疾患(蛋白蓄積)=Alzheimer病(アミロイドβ・タウ)・Parkinson病(αシヌクレイン)・筋萎縮性側索硬化症。●中枢神経のウイルス感染=進行性多巣性白質脳症(JCウイルス)・亜急性硬化性全脳炎(麻疹ウイルス)。●自己免疫性末梢神経障害=ギラン・バレー症候群・慢性炎症性脱髄性多発神経炎。
選択肢ごとの解説
- ① Alzheimer病はアミロイドβとタウ蛋白の蓄積による神経変性疾患で、プリオンが原因ではない。
- ② 正しい。Creutzfeldt-Jakob病は異常プリオン蛋白(PrPSc)の蓄積によって起こる代表的プリオン病である。
- ③ 進行性多巣性白質脳症はJCウイルスによる脱髄性疾患で、プリオンが原因ではない。
- ④ 筋萎縮性側索硬化症は運動ニューロンの変性疾患で、プリオンが原因ではない。
- ⑤ ギラン・バレー症候群は先行感染後に生じる自己免疫性の末梢神経障害で、プリオンが原因ではない。
第64回 午前77(臨床微生物学)
膀胱炎患者の中間尿を、5%ヒツジ血液寒天培地(左)とBTB乳糖寒天培地(右)の分画培地で35 ℃、24時間好気培養した写真を別に示す。推定される菌種はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA077.f8658a3fb9.jpg

- ①Enterobacter cloacae
- ②Escherichia coli
- ③Klebsiella pneumoniae
- ④Proteus mirabilis
- ⑤Pseudomonas aeruginosa
正答: ④Proteus mirabilis
ポイント
Proteus mirabilisは周毛性の鞭毛を持ち、血液寒天培地上で遊走(スウォーミング)して同心円状の波紋状集落を形成する。強いウレアーゼ活性で尿素を分解して尿をアルカリ化し、乳糖非分解菌のためBTB乳糖寒天培地では集落周囲が青色(アルカリ性)を呈する。尿路感染の原因菌で、尿のアルカリ化によりリン酸アンモニウムマグネシウム結石(ストルバイト結石)の形成に関与する。●腸内細菌科の乳糖分解性=乳糖分解(Escherichia coli・Klebsiella pneumoniae・Enterobacter cloacae)/乳糖非分解(Proteus・Salmonella・Shigella)。●遊走(スウォーミング)を示す菌=Proteus属。●強ウレアーゼ陽性菌=Proteus・Helicobacter pylori・Ureaplasma。●尿路感染の主要原因菌=Escherichia coli・Klebsiella pneumoniae・Proteus mirabilis・腸球菌。
選択肢ごとの解説
- ① Enterobacter cloacaeは乳糖分解菌で遊走集落を作らないため、所見と合致しにくい。
- ② Escherichia coliは遊走せず、BTB乳糖培地で乳糖分解により黄色集落を呈するため所見と合致しにくい。
- ③ Klebsiella pneumoniaeは莢膜による粘稠性の大型集落を作る乳糖分解菌で、遊走集落の所見とは異なる。
- ④ 正しい。Proteus mirabilisは血液寒天培地で遊走集落を作り、乳糖非分解のためBTB培地でアルカリ性(青色)を示す。
- ⑤ Pseudomonas aeruginosaは乳糖非分解だが緑色色素産生やオキシダーゼ陽性が特徴で、遊走集落の所見とは異なる。
📋 まとめの表を見る:尿路感染症由来グラム陰性桿菌の鑑別(乳糖分解性・特徴的性状)
BTB乳糖寒天培地は乳糖分解菌の集落を黄色、非分解菌を青色に呈色させる非選択分離培地である。Proteus属は遊走性(スウォーミング)を示し、強いウレアーゼ活性により尿をアルカリ化する(ストルバイト結石の一因)。
第64回 午前78(臨床微生物学)
イムノクロマト法による尿中抗原検査が行われるのはどれか。2つ選べ。
- ①Haemophilus influenzae
- ②Legionella pneumophila
- ③Neisseria meningitidis
- ④Streptococcus agalactiae
- ⑤Streptococcus pneumoniae
正答: ②Legionella pneumophila・⑤Streptococcus pneumoniae
ポイント
尿中抗原検査(イムノクロマト法)は、尿に排泄される菌体由来の可溶性抗原を検出する迅速診断法で、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)の莢膜多糖抗原と、レジオネラ(Legionella pneumophila血清群1)のリポ多糖抗原に対して臨床応用されている。培養を待たずに数分で判定でき、抗菌薬投与後でも検出可能な点が利点である。インフルエンザ菌・髄膜炎菌・B群レンサ球菌の尿中抗原検査は一般に行われない。●尿中抗原(イムノクロマト)=肺炎球菌・レジオネラ(血清群1)。●迅速抗原検査の主な対象=A群レンサ球菌(咽頭ぬぐい液)・インフルエンザウイルス・SARS-CoV-2・ノロウイルス(便)。●髄膜炎の原因菌=肺炎球菌・髄膜炎菌・インフルエンザ菌b型・B群レンサ球菌(新生児)。
選択肢ごとの解説
- ① Haemophilus influenzaeに対する尿中抗原検査は一般的に行われていない。
- ② 正しい。Legionella pneumophila(血清群1)は尿中抗原のイムノクロマト法による迅速診断が行われる。
- ③ Neisseria meningitidisに対する尿中抗原検査は一般的に行われていない。
- ④ Streptococcus agalactiae(B群レンサ球菌)に対する尿中抗原検査は通常行われていない。
- ⑤ 正しい。Streptococcus pneumoniaeは莢膜多糖抗原を尿中抗原のイムノクロマト法で検出する迅速診断が行われる。
第64回 午前79(臨床免疫学)
MHCクラスⅡ分子を発現している細胞はどれか。
正答: ⑤B細胞
ポイント
MHCクラスⅡ分子(HLA-DR・DQ・DPなど)は抗原提示細胞であるB細胞・マクロファージ・樹状細胞に発現し、外来抗原ペプチドをCD4陽性ヘルパーT細胞に提示する。一方MHCクラスⅠ分子はほぼ全ての有核細胞に発現し、CD8陽性細胞傷害性T細胞へ内因性抗原を提示する。選択肢中で赤血球・血小板はMHCクラスⅡを発現せず(血小板は無核だがHLAクラスⅠは発現する)、好中球やT細胞も定常状態ではクラスⅡを発現しないため、B細胞が該当する。●MHCクラスⅡ発現(プロフェッショナル抗原提示細胞)=B細胞・マクロファージ・樹状細胞。●MHCクラスⅠ発現=ほぼ全ての有核細胞と血小板(無核だが発現する)。成熟赤血球は発現しない。●CD4=ヘルパーT細胞・MHCクラスⅡと結合/CD8=細胞傷害性T細胞・MHCクラスⅠと結合。
選択肢ごとの解説
- ① 赤血球は無核でMHCクラスⅡ分子を発現しない。
- ② 血小板はMHCクラスⅡ分子を発現しない。無核だがHLAクラスⅠ分子は発現しており、血小板輸血不応の一因となる。
- ③ 好中球は通常MHCクラスⅡ分子を発現せず、主要な抗原提示細胞ではない。
- ④ T細胞は活性化時を除き定常状態ではMHCクラスⅡを発現しない。
- ⑤ 正しい。B細胞はプロフェッショナル抗原提示細胞でMHCクラスⅡ分子を発現する。
第64回 午前80(臨床免疫学)
抗原抗体反応について正しいのはどれか。
- ①不可逆的反応である。
- ②共有結合が関与する。
- ③水素結合が関与する。
- ④pH3で抗原抗体複合体は安定である。
- ⑤56 ℃で抗原抗体複合体は安定である。
正答: ③水素結合が関与する。
ポイント
抗原抗体反応は、共有結合を伴わない非共有結合(水素結合・イオン結合・ファンデルワールス力・疎水結合)により抗原決定基と抗体可変部が立体的に結合する可逆的反応である。極端な酸性(pH3など)や高温(56℃以上)といった条件では結合エネルギーを上回り複合体は解離するため、抗体の解離・精製に応用される。共有結合は関与せず、結合は環境条件で変化する。●抗原抗体結合に関与する非共有結合=水素結合・イオン(静電的)結合・ファンデルワールス力・疎水結合。●抗体の親和性指標=アフィニティー(単一結合)・アビディティー(多価結合)。●非働化=補体は56℃30分で失活するが抗原抗体結合とは別の現象。
選択肢ごとの解説
- ① 抗原抗体反応は非共有結合による可逆的反応であり、不可逆的とするのは誤りである。
- ② 抗原抗体反応に共有結合は関与しないため誤りである。
- ③ 正しい。水素結合は抗原抗体反応に関与する非共有結合の一つである。
- ④ pH3のような強酸性条件では抗原抗体複合体は解離するため、安定とするのは誤りである。
- ⑤ 56℃などの高温では抗原抗体複合体は解離しやすく、安定とするのは誤りである。
第64回 午前81(臨床免疫学)
試験管内で37℃で行った反応のうち、溶血が観察されるのはどれか。2つ選べ。ただし、〈 〉は反応後、カルシウムとマグネシウムを添加した生理食塩液で3回洗浄したことを示す。
- ①ヒツジ赤血球+モルモット補体
- ②〈ヒツジ赤血球+抗ヒツジ赤血球抗体〉+モルモット補体
- ③〈ヒツジ赤血球+モルモット補体〉+抗ヒツジ赤血球抗体
- ④ヒツジ赤血球+抗ヒツジ赤血球抗体(56℃、30分処理済)+モルモット補体
- ⑤ヒツジ赤血球+モルモット補体(56℃、30分処理済)+抗ヒツジ赤血球抗体
正答: ②〈ヒツジ赤血球+抗ヒツジ赤血球抗体〉+モルモット補体・④ヒツジ赤血球+抗ヒツジ赤血球抗体(56℃、30分処理済)+モルモット補体
ポイント
補体による溶血が成立するには、まず赤血球に抗体が結合して感作され、その後に活性のある補体が古典経路を活性化する順序が必要である。56℃30分の加熱は補体(特にC1・C2など易熱性成分)を非働化するが、IgG・IgM抗体の結合活性はこの処理で失われない。したがって抗体側を加熱しても感作能は保たれ、別途活性な補体を加えれば溶血するが、補体側を加熱した場合や、感作前に補体を加えて洗浄した場合(補体は洗い流され、その後に抗体を加えても新たな補体が存在しない)は溶血しない。●補体古典経路の活性化=抗原抗体複合体(IgM・IgG)→C1→C4・C2→C3→C5〜C9(膜侵襲複合体)で溶血。●非働化=56℃30分で補体失活、抗体は耐熱。●補体の3経路=古典経路・第二経路(副経路)・レクチン経路。
選択肢ごとの解説
- ① 抗体による感作がないため補体は活性化されず、溶血は起こらない。
- ② 正しい。抗体で感作した赤血球に活性な補体を加えると古典経路が活性化し溶血する。
- ③ 感作前に補体を加えて洗浄すると補体は洗い流され、その後に抗体を加えても溶血は起こらない。
- ④ 正しい。抗体は56℃処理でも結合活性が保たれるため、感作した赤血球に新たな補体を加えると溶血する。
- ⑤ 補体を56℃30分で処理すると非働化され、抗体を加えても溶血は起こらない。
第64回 午前82(臨床免疫学)
フローサイトメトリで誤っているのはどれか。
- ①細胞内抗原を測定できる。
- ②リンパ球サブセット検査に使用する。
- ③測定器の光源としてレーザー光を使用する。
- ④側方散乱光からは細胞の大きさに関わる情報が得られる。
- ⑤細胞がシース液の流れによって一列になって搬送される。
正答: ④側方散乱光からは細胞の大きさに関わる情報が得られる。
ポイント
フローサイトメトリでは、レーザー光を細胞に照射し、前方散乱光(FSC)が細胞の大きさを、側方散乱光(SSC)が細胞内部の顆粒や核の複雑さを反映する。シース液により細胞を一列に整列させて1個ずつ測定し、蛍光標識抗体で細胞表面抗原を、膜透過処理を行えば細胞内抗原も検出できる。本問は誤りを問うており、細胞の大きさは前方散乱光から得られる情報のため、側方散乱光が大きさを反映するという記述が誤りとなる。●前方散乱光(FSC)=細胞の大きさ/側方散乱光(SSC)=内部構造・顆粒性。●リンパ球サブセット=CD4・CD8・CD19・CD20・CD56等の表面マーカー解析。●臨床応用=白血病・リンパ腫の免疫学的分類、CD4陽性細胞数測定。
選択肢ごとの解説
- ① 膜透過処理を行えば細胞内抗原も測定でき、正しい記述である。
- ② リンパ球サブセット検査はフローサイトメトリの代表的用途であり、正しい記述である。
- ③ 光源にレーザー光を使用するのは正しい記述である。
- ④ 誤り。側方散乱光は細胞内部構造(顆粒性)の情報を反映し、細胞の大きさは前方散乱光から得られる。
- ⑤ 細胞がシース液の流れで一列に整列して搬送されるのは正しい記述である。
📋 まとめの表を見る:フローサイトメトリーの原理
シース液により細胞を一列に整列させ1個ずつレーザー光で測定する。膜透過処理を行えば細胞内抗原も検出できる。臨床応用としてリンパ球サブセット(CD4・CD8等)解析やDNA倍数性解析に用いる。
第64回 午前83(臨床免疫学)
30歳の女性。出産後に発熱が続き、蝶形紅斑および蛋白尿を認めたため入院した。腎生検を行い、蛍光抗体法によってC1qを染色した結果(別冊No.12)を別に示す。血液検査で認められる可能性が高い所見はどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA083.3d464686dc.jpg

- ①大球性貧血
- ②好中球増多
- ③リンパ球減少
- ④γ-グロブリン低下
- ⑤補体活性低下
正答: ③リンパ球減少・⑤補体活性低下
ポイント
出産後の発熱・蝶形紅斑・蛋白尿に加え、腎生検でC1qを含む免疫複合体の係蹄壁・メサンギウムへのびまん性沈着(ループス腎炎のフルハウスパターン)がみられることから、全身性エリテマトーデス(SLE)が示唆される。SLEの血液所見では自己抗体や免疫複合体による血球減少(リンパ球減少・白血球減少・溶血性貧血・血小板減少)と、免疫複合体による補体消費でCH50・C3・C4が低下する補体活性低下が特徴的である。●SLEの血球減少=リンパ球減少・白血球減少・自己免疫性溶血性貧血・血小板減少。●補体低下=免疫複合体による消費(CH50・C3・C4低下)は活動性の指標。●SLEの皮膚・腎=蝶形紅斑・円板状皮疹・ループス腎炎。
選択肢ごとの解説
- ① 全身性エリテマトーデスでは溶血性や慢性疾患による貧血が主で、大球性貧血は特徴的所見ではない。
- ② 全身性エリテマトーデスでは白血球減少が特徴で、好中球増多は典型的でない。
- ③ 正しい。全身性エリテマトーデスではリンパ球減少が高頻度にみられる血液所見である。
- ④ 全身性エリテマトーデスでは自己抗体産生のためγ-グロブリンはむしろ上昇しやすく、低下は典型的でない。
- ⑤ 正しい。全身性エリテマトーデスでは免疫複合体による補体消費で補体活性(CH50・C3・C4)が低下する。
第64回 午前84(臨床免疫学)
30歳の女性。出産後に発熱が続き、蝶形紅斑および蛋白尿を認めたため入院した。腎生検を行い、蛍光抗体法によってC1qを染色した結果(別冊No.12)を別に示す。この患者に認められる可能性の高い自己抗体はどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA084.352f11259f.jpg

- ①抗核抗体
- ②抗Jo-1抗体
- ③抗DNA抗体
- ④抗平滑筋抗体
- ⑤抗セントロメア抗体
正答: ①抗核抗体・③抗DNA抗体
ポイント
全身性エリテマトーデス(SLE)では抗核抗体がほぼ全例で陽性となりスクリーニングに用いられ、なかでも抗二本鎖DNA抗体と抗Sm抗体が疾患特異性の高い自己抗体である。抗二本鎖DNA抗体は疾患活動性やループス腎炎の進展と相関する。一方、抗Jo-1抗体は多発性筋炎・抗合成酵素症候群、抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎、抗セントロメア抗体は限局性強皮症(CREST症候群)に関連する別の疾患マーカーである。●SLE=抗核抗体・抗二本鎖DNA抗体・抗Sm抗体。●多発性筋炎・皮膚筋炎=抗Jo-1抗体・抗ARS抗体・抗Mi-2抗体。●強皮症=抗Scl-70(びまん型)・抗セントロメア(限局型)。●自己免疫性肝炎=抗平滑筋抗体・抗核抗体/原発性胆汁性胆管炎=抗ミトコンドリア抗体。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。抗核抗体は全身性エリテマトーデスでほぼ全例陽性となる重要な自己抗体である。
- ② 抗Jo-1抗体は多発性筋炎・抗合成酵素症候群に関連し、全身性エリテマトーデスの代表的自己抗体ではない。
- ③ 正しい。抗DNA(抗二本鎖DNA)抗体は全身性エリテマトーデスに特異性が高く、疾患活動性と相関する。
- ④ 抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎に関連し、全身性エリテマトーデスの代表的自己抗体ではない。
- ⑤ 抗セントロメア抗体は限局性強皮症(CREST症候群)に関連し、全身性エリテマトーデスの代表的自己抗体ではない。
📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患
第64回 午前85(臨床免疫学)
血液型がA型〈遺伝子型AO〉とB型〈遺伝子型BO〉の両親から生まれた子がO型である確率はどれか。
正答: ③25%
ポイント
ABO血液型は3つの対立遺伝子(A・B・O)の組合せで決まり、O遺伝子はA・Bに対して劣性である。遺伝子型AOの親はAまたはOの遺伝子を1/2ずつ、遺伝子型BOの親はBまたはOの遺伝子を1/2ずつ子に伝える。子がO型(遺伝子型OO)となるのは両親からO遺伝子を受け継いだ場合のみで、確率は1/2×1/2=1/4=25%である。●AO×BOの子の表現型=AB型(1/4)・A型(1/4)・B型(1/4)・O型(1/4)。●O遺伝子の性質=劣性、ホモ接合OOでのみO型を発現。●関連遺伝法則=メンデルの分離の法則・独立の法則。
選択肢ごとの解説
- ① 5%は両親からO遺伝子が伝わる確率1/4(25%)と一致せず誤りである。
- ② 12.5%(1/8)は両親からO遺伝子が伝わる確率1/4と一致しない。
- ③ 正しい。各親からO遺伝子が伝わる確率1/2同士の積で1/4=25%となる。
- ④ 33.3%は1/4(25%)と一致せず誤りである。
- ⑤ 50%(1/2)は片親のみからO遺伝子が伝わる確率に相当し、O型(両親からO)の確率1/4とは異なる。
第64回 午前86(臨床免疫学)
交差適合試験の主試験において、生理食塩液法陰性、間接抗グロブリン試験陽性となる原因として最も考えられるのはどれか。
- ①抗Jka
- ②Rh不適合
- ③ABO不適合
- ④冷式自己抗体
- ⑤汎血球凝集反応
正答: ①抗Jka
ポイント
交差適合試験の主試験で生理食塩液法陰性・間接抗グロブリン試験陽性となるのは、37℃で反応し抗グロブリン試薬を加えて初めて凝集が検出される不完全抗体、すなわちIgGクラスの不規則抗体の存在を示す。抗Jka(Kidd血液型)はIgG性で間接抗グロブリン試験で検出される代表的な抗体である。一方、冷式自己抗体やABO不適合の抗A・抗BはIgM性で生理食塩液法(室温・低温)で直接凝集を示すため、このパターンとは合致しない。●間接抗グロブリン試験で検出されるIgG性抗体=抗Jka・抗D・抗E・抗Fya・抗K。●生理食塩液法(IgM)で反応=抗A・抗B・抗M・抗Lea・寒冷凝集素。●Kidd系抗体の特徴=力価変動が大きく遅発性溶血性輸血反応の原因となりやすい。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。抗JkaはIgGクラスで間接抗グロブリン試験陽性・生理食塩液法陰性のパターンを示す。
- ② Rh不適合(抗D)もIgG性だが選択肢の他の抗体との比較で最も典型的なのは抗Jkaであり、本パターンの代表として選ばれる。
- ③ ABO不適合の抗A・抗BはIgM性で生理食塩液法で凝集するため、このパターンとは合致しない。
- ④ 冷式自己抗体はIgM性で生理食塩液法(低温)で凝集を示すため、このパターンとは合致しない。
- ⑤ 汎血球凝集反応は赤血球膜の潜在抗原露出による現象で、本パターンの原因としては考えにくい。
📋 まとめの表を見る:交差適合試験の検査法と検出する抗体
反応増強剤(PEG・LISS・ウシアルブミンなど)は感作を促進し、抗ヒトグロブリン試薬(クームス試薬)は感作赤血球を凝集させる。
第64回 午前87(臨床免疫学)
不規則抗体について正しいのはどれか。
- ①輸血歴がない場合は検査不要である。
- ②IgGクラスの抗体が臨床的に重要である。
- ③酵素法はMNSs血液型に対する抗体を検出する。
- ④生理食塩液法は主にIgGクラスの抗体を検出する。
- ⑤D以外のRh血液型抗原に対する抗体は検出されない。
正答: ②IgGクラスの抗体が臨床的に重要である。
ポイント
不規則抗体のうち臨床的に重要なのは、体温(37℃)で反応するIgGクラスの抗体であり、溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患の原因となる。これらは抗グロブリン試薬を加える間接抗グロブリン試験で検出される。輸血歴がなくても妊娠による感作が起こりうるため検査は必要であり、Rh系ではD以外のC・c・E・eに対する抗体も検出対象となる。酵素法はRh系抗体を増強する一方、MNSs系抗原は酵素で破壊され反応性が低下する。●臨床的意義の高いIgG性不規則抗体=抗D・抗E・抗c・抗Jka・抗Fya・抗K。●検出法=IgM(生理食塩液法)/IgG(間接抗グロブリン試験)。●酵素法で増強=Rh・Kidd系/酵素で減弱・破壊=MNSs・Duffy系。
選択肢ごとの解説
- ① 輸血歴がなくても妊娠などで感作されうるため、検査不要とするのは誤りである。
- ② 正しい。37℃で反応するIgGクラスの不規則抗体が臨床的に重要である。
- ③ 酵素法はMNSs系抗原を破壊し反応性をむしろ低下させるため、この記述は誤りである。
- ④ 生理食塩液法は主にIgMクラスの抗体を検出し、IgGの検出は間接抗グロブリン試験によるため誤りである。
- ⑤ D以外のRh抗原(C・c・E・e)に対する抗体も検出されるため、検出されないとするのは誤りである。
第64回 午前88(臨床免疫学)
輸血副作用と原因の組合せで正しいのはどれか。
- ①肝炎 — 輸血製剤のリンパ球
- ②血管内溶血 — 輸血製剤の補体
- ③輸血後GVHD — 不規則抗体
- ④循環過負荷〈TACO〉 — 抗内皮細胞抗体
- ⑤輸血関連急性肺障害〈TRALI〉 — 抗白血球抗体
正答: ⑤輸血関連急性肺障害〈TRALI〉 — 抗白血球抗体
ポイント
輸血関連急性肺障害(TRALI)は、供血者血漿中に含まれる抗白血球抗体(抗HLA抗体・抗顆粒球抗体)が患者の好中球を活性化し、肺毛細血管の透過性が亢進して非心原性肺水腫をきたす重篤な副作用である。一方、輸血後GVHDは供血者由来リンパ球が原因で放射線照射により予防し、血管内溶血はABO不適合などの抗体、輸血後肝炎はウイルス感染、循環過負荷(TACO)は容量・速度負荷が原因である。●免疫性輸血副作用=溶血性副作用(ABO不適合)・TRALI(抗白血球抗体)・アレルギー(IgA欠損等)・輸血後GVHD(供血者リンパ球)。●非免疫性=循環過負荷(TACO)・感染症伝播(肝炎・HIV・梅毒)・鉄過剰。●予防=放射線照射(GVHD)・白血球除去(TRALI・サイトカイン反応)。
選択肢ごとの解説
- ① 輸血後肝炎はウイルス感染が原因で、輸血製剤のリンパ球によるものではないため誤りである。
- ② 血管内溶血は不適合抗体(抗A・抗Bなど)が原因で、輸血製剤の補体を主因とするのは誤りである。
- ③ 輸血後GVHDは供血者由来のリンパ球が原因で、不規則抗体によるものではないため誤りである。
- ④ 循環過負荷(TACO)は輸血量・速度による容量負荷が原因で、抗内皮細胞抗体によるものではない。
- ⑤ 正しい。TRALIは供血者血漿中の抗白血球抗体が患者好中球を活性化して起こる非心原性肺水腫である。
📋 まとめの表を見る:輸血副作用の機序・発症時期と予防・対策
輸血副作用は「溶血性/非溶血性」×「免疫学的/非免疫学的」×「即時型/遅発型」で整理できる。
第64回 午前89(臨床免疫学)
移植について正しいのはどれか。
- ①造血幹細胞は末梢血から採取できない。
- ②ヒトからヒトへの移植を同系移植という。
- ③急性拒絶反応は細胞傷害性T細胞が関与する。
- ④移植後GVHDはレシピエント由来のリンパ球が関与する。
- ⑤肝臓移植では他の臓器移植より高いHLA適合性が求められる。
正答: ③急性拒絶反応は細胞傷害性T細胞が関与する。
ポイント
急性拒絶反応は、移植後数日〜数週間に、レシピエントの細胞傷害性T細胞(およびヘルパーT細胞)がドナーのMHC抗原を認識して攻撃する細胞性免疫反応で、免疫抑制薬に反応しやすい。造血幹細胞は骨髄だけでなくG-CSF動員後の末梢血や臍帯血からも採取できる。ヒトからヒトへの非同一遺伝子間の移植は同種(同種異系)移植であり、移植後GVHDはドナー由来リンパ球がレシピエント組織を攻撃する反応である。肝臓は免疫学的寛容が得られやすくHLA適合性の要求度は他臓器より低い。●移植の分類=自家・同系(一卵性双生児)・同種(同種異系)・異種移植。●拒絶反応=超急性(既存抗体)・急性(T細胞主体)・慢性(血管病変)。●造血幹細胞源=骨髄・末梢血幹細胞・臍帯血。
選択肢ごとの解説
- ① 造血幹細胞はG-CSF動員後に末梢血からも採取でき、採取できないとするのは誤りである。
- ② ヒトからヒトへ(非同一遺伝子)の移植は同種(同種異系)移植であり、同系移植とするのは誤りである。
- ③ 正しい。急性拒絶反応はレシピエントの細胞傷害性T細胞が関与する細胞性免疫反応である。
- ④ 移植後GVHDはレシピエント由来ではなくドナー由来のリンパ球が関与するため誤りである。
- ⑤ 肝臓移植は免疫学的寛容が得られやすく、他臓器より高いHLA適合性を必須としないため誤りである。
第64回 午前90(公衆衛生学)
平成25年の我が国の統計指標で大小関係が誤っているのはどれか。
- ①合計特殊出生率>総再生産率
- ②粗死亡率>年齢調整死亡率
- ③平均寿命>0歳平均余命
- ④死産率>周産期死亡率
- ⑤死亡率>出生率
正答: ③平均寿命>0歳平均余命
ポイント
平均寿命は0歳児の平均余命そのものを指す指標であるため、両者は定義上等しく、平均寿命>0歳平均余命という大小関係は成立しない(本問は誤りを問う)。合計特殊出生率は男女両方の子を含むため女児のみを数える総再生産率より大きく、粗死亡率は高齢化した人口構成の影響で年齢調整死亡率より大きい。死産率は周産期死亡率より大きく、当時の日本では死亡率が出生率を上回っていた。●再生産に関する指標=合計特殊出生率>総再生産率>純再生産率。●死亡指標=粗死亡率(高齢化で上昇)・年齢調整死亡率(基準人口で補正)・周産期死亡率・乳児死亡率。●平均余命=平均寿命は0歳の平均余命。
選択肢ごとの解説
- ① 合計特殊出生率は男女両方の出生を含み、女児のみの総再生産率より大きいため正しい関係である。
- ② 粗死亡率は高齢者の多い人口構成の影響で年齢調整死亡率より大きく、正しい関係である。
- ③ 誤り。平均寿命は0歳の平均余命そのものであり両者は等しく、平均寿命>0歳平均余命という大小関係は成立しない。
- ④ 死産率(妊娠満12週以後の死児)は周産期死亡率より大きく、正しい関係である。
- ⑤ 当時の日本では死亡率が出生率を上回っており、死亡率>出生率は正しい関係である。
第64回 午前91(公衆衛生学)
温室効果ガスはどれか。2つ選べ。
正答: ③フロン・⑤二酸化炭素
ポイント
温室効果ガスは、地表から放射される赤外線を吸収・再放射して大気を温め地球温暖化に寄与する気体で、二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・フロン類(ハイドロフルオロカーボン等)・六フッ化硫黄などが該当する。フロン類は分子あたりの温室効果が極めて大きく、このうちクロロフルオロカーボン(CFC)などの特定フロンはオゾン層破壊物質でもある。ハイドロフルオロカーボン(HFC)はオゾン層を破壊しないが、強力な温室効果をもつ。酸素・窒素・アルゴンは大気の主成分だが赤外線をほとんど吸収せず温室効果を持たない。●京都議定書の対象ガス=二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・ハイドロフルオロカーボン・パーフルオロカーボン・六フッ化硫黄。●大気の主成分(非温室効果)=窒素・酸素・アルゴン。●オゾン層破壊物質=クロロフルオロカーボン(特定フロン)・ハロン。
選択肢ごとの解説
- ① 酸素は大気の主成分だが赤外線を吸収せず、温室効果ガスではない。
- ② 窒素は大気の主成分だが赤外線を吸収せず、温室効果ガスではない。
- ③ 正しい。フロン類は分子あたり強力な温室効果を持つ温室効果ガスである。
- ④ アルゴンは不活性ガスで温室効果ガスではない。
- ⑤ 正しい。二酸化炭素は代表的な温室効果ガスである。
第64回 午前92(公衆衛生学)
電離放射線でないのはどれか。
正答: ④紫外線
ポイント
電離放射線は、物質を構成する原子から電子をはじき出して電離(イオン化)させるエネルギーを持つ放射線で、α線・β線・γ線・X線・中性子線などが含まれる。紫外線は電磁波であるが電離を起こすほどのエネルギーは持たず、非電離放射線に分類される(本問は電離放射線でないものを問う)。電離放射線はDNA損傷を介して確率的影響(発がん・遺伝的影響)や確定的影響(脱毛・白内障等)を生じる。●電離放射線(電磁波型)=X線・γ線/(粒子線型)=α線・β線・中性子線・陽子線。●非電離放射線=紫外線・可視光線・赤外線・マイクロ波・電波。●放射線の影響=確率的影響(しきい値なし)・確定的影響(しきい値あり)。
選択肢ごとの解説
- ① α線はヘリウム原子核の流れで強い電離作用を持つ電離放射線である。
- ② β線は電子の流れで電離作用を持つ電離放射線である。
- ③ γ線は高エネルギー電磁波で電離作用を持つ電離放射線である。
- ④ 誤り。紫外線は電離を起こすエネルギーを持たず、非電離放射線に分類される。
- ⑤ 中性子線は電気的に中性の粒子線だが、間接的に強い電離を起こす電離放射線である。
📋 まとめの表を見る:電離放射線と非電離放射線の分類
電離放射線は物質を構成する原子から電子をはじき出し電離させる作用をもつ。
第64回 午前93(公衆衛生学)
我が国のメタボリックシンドロームの診断基準項目に含まれるのはどれか。2つ選べ。
正答: ①血圧・⑤中性脂肪
ポイント
日本のメタボリックシンドローム診断基準は、内臓脂肪蓄積を反映する腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)を必須項目とし、これに加えて高血圧(収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上)・脂質異常(中性脂肪150mg/dL以上または高比重リポ蛋白コレステロール40mg/dL未満)・高血糖(空腹時血糖110mg/dL以上)のうち2項目以上を満たすと診断する。体重・尿糖・心電図は基準項目に含まれない。●必須項目=腹囲(内臓脂肪蓄積)。●選択3項目=血圧・血清脂質(中性脂肪・HDLコレステロール)・空腹時血糖。●類似概念=特定健診・特定保健指導の対象選定に用いられる。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。血圧(収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上)は診断基準項目に含まれる。
- ② 体重は診断基準項目に含まれず、用いられるのは腹囲(内臓脂肪蓄積)である。
- ③ 尿糖は診断基準項目に含まれず、用いられるのは空腹時血糖である。
- ④ 心電図は診断基準項目に含まれない。
- ⑤ 正しい。中性脂肪(150mg/dL以上)は脂質異常として診断基準項目に含まれる。
📋 まとめの表を見る:メタボリックシンドローム診断基準
必須項目(腹部肥満)に加え、選択項目①〜③のうち2項目以上に該当するとメタボリックシンドロームと診断する。高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症・高血圧・糖尿病について薬物治療を受けている場合は、その項目に該当するものとする。体重・尿糖・心電図は特定健康診査の検診項目に含まれるが、この診断基準項目には含まれない。
第64回 午前94(公衆衛生学)
介護保険制度について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①住宅改修には利用できない。
- ②被保険者は65歳以上である。
- ③介護保険料は全国一律である。
- ④要支援者の割合が近年増加している。
- ⑤認知機能の障害は介護保険の対象となる。
正答: ④要支援者の割合が近年増加している。・⑤認知機能の障害は介護保険の対象となる。
ポイント
介護保険制度では認知症などによる認知機能障害も要介護認定の対象となり、近年は要支援者(軽度者)の割合が増加傾向にある。被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳で医療保険に加入する第2号被保険者からなり、第2号は特定疾病による要介護状態のときに給付対象となる。手すり設置などの住宅改修費の支給制度があり、保険料は市町村(保険者)ごとに異なり全国一律ではない。●第1号被保険者=65歳以上/第2号被保険者=40〜64歳(特定疾病で給付)。●給付=居宅サービス・施設サービス・地域密着型・住宅改修・福祉用具。●要介護度=要支援1〜2・要介護1〜5の7段階。
選択肢ごとの解説
- ① 介護保険は手すり設置などの住宅改修費の支給があり、利用できないとするのは誤りである。
- ② 被保険者には40〜64歳の第2号被保険者も含まれるため、65歳以上のみとするのは誤りである。
- ③ 介護保険料は市町村(保険者)ごとに異なり、全国一律ではないため誤りである。
- ④ 正しい。近年、要支援者の割合は増加傾向にある。
- ⑤ 正しい。認知症による認知機能障害は介護保険(要介護認定)の対象となる。
📋 まとめの表を見る:社会保険制度の比較(医療保険・介護保険・労災保険等)
第64回 午前95(医用工学概論)
放射線に対する組織・臓器の相対的な感受性〈組織加重係数〉が最も小さいのはどれか。
正答: ②脳
ポイント
ICRP(国際放射線防護委員会)の組織加重係数は、全身均等被ばくの確率的影響を1としたときの各臓器・組織の寄与の割合を表し、全係数の合計が1となるよう定められている。赤色骨髄・乳房・甲状腺・胃などは比較的大きな係数を持つ放射線感受性の高い組織だが、脳は係数が小さい臓器に分類される(本問は最も小さいものを問う)。●組織加重係数が大きい(0.12)=赤色骨髄・結腸・肺・胃・乳房。●中程度=生殖腺・膀胱・食道・肝臓・甲状腺。●小さい=骨表面・脳・唾液腺・皮膚。●関連=等価線量×組織加重係数の総和=実効線量。
選択肢ごとの解説
- ① 胃は組織加重係数が比較的大きい臓器で、最小ではない。
- ② 正しい。脳は組織加重係数が小さい臓器に分類される。
- ③ 赤色骨髄は組織加重係数が大きい感受性の高い組織である。
- ④ 乳房は組織加重係数が大きい感受性の高い組織である。
- ⑤ 甲状腺は組織加重係数が比較的大きい組織で、最小ではない。
第64回 午前96(医用工学概論)
図の入出力関係となる回路はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64aA096.ec5e76200f.jpg

正答: ②
ポイント
コンデンサ(C)を直列、抵抗(R)を並列に配置した回路は微分回路(高域通過フィルタ)として働く。コンデンサは直流・低周波を通さず高周波(急峻な変化)を通すため、方形波を入力すると立ち上がり・立ち下がりの瞬間に尖ったパルス状の出力が生じる入出力関係を示す。これに対し抵抗を直列・コンデンサを並列にした回路は積分回路(低域通過フィルタ)として働く。●微分回路(高域通過)=C直列・R並列/方形波→尖頭波。●積分回路(低域通過)=R直列・C並列/方形波→鋸歯状・三角波状。●フィルタの遮断=時定数τ=CR(または L/R)で決まる。
選択肢ごとの解説
- ① R直列・C並列は積分回路(低域通過)に相当し、図の入出力関係とは異なる。
- ② 正しい。C直列・R並列は微分回路(高域通過)として図の入出力関係を与える。
- ③ R1直列・R2並列は単なる分圧回路で、周波数依存の微分特性を示さない。
- ④ L直列・R並列はインダクタを用いた回路で、本問のC直列・R並列の入出力関係とは異なる。
- ⑤ L直列・C並列はLC回路で共振特性を示し、図の入出力関係とは異なる。
第64回 午前97(医用工学概論)
コンピュータのCPUはどれか。
- ①演算装置
- ②記憶装置
- ③出力装置
- ④通信装置
- ⑤入力装置
正答: ①演算装置
ポイント
CPU(中央処理装置)はコンピュータの中核をなし、演算装置(算術論理演算装置)と制御装置から構成され、主記憶からプログラムの命令を読み出して解釈・実行し、演算と各装置の制御を行う。記憶装置・入力装置・出力装置・通信装置はCPUと連携して動作する周辺・補助装置で、CPUそのものではない。コンピュータの五大装置は演算・制御・記憶・入力・出力からなる。●コンピュータの五大装置=演算装置・制御装置(=CPU)・記憶装置・入力装置・出力装置。●記憶装置=主記憶(RAM・ROM)・補助記憶(ハードディスク等)。●入力装置=キーボード・マウス/出力装置=ディスプレイ・プリンタ。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。CPUは演算装置(と制御装置)からなり、演算・制御を担う中央処理装置である。
- ② 記憶装置はメモリやストレージでデータを保持する装置であり、CPUそのものではない。
- ③ 出力装置はディスプレイやプリンタなどで、CPUではない。
- ④ 通信装置はデータの送受信を担う装置で、CPUではない。
- ⑤ 入力装置はキーボードなどでデータを入力する装置で、CPUではない。
第64回 午前98(医用工学概論)
8bitのAD変換器で0〜2.5 Vの電圧を変換するとき、電圧の分解能に最も近いのはどれか。
- ①1 mV
- ②5 mV
- ③10 mV
- ④16 mV
- ⑤20 mV
正答: ③10 mV
ポイント
AD変換器(アナログ・デジタル変換器)の分解能は、入力電圧範囲をビット数で決まる量子化段階数で割って求められる。8bitでは2の8乗=256段階に量子化されるため、入力電圧範囲を約2.5Vとすると分解能は2.5V÷256≒約9.8mVとなり、選択肢では10mVが最も近い。ビット数が増えるほど段階数が増え分解能は細かくなる。●分解能=(入力電圧範囲)÷(2のビット数乗)。●ビット数と段階数=8bit→256・10bit→1024・12bit→4096。●関連=標本化(サンプリング)周波数・量子化誤差・ナイキスト周波数。
選択肢ごとの解説
- ① 1mVは2.5V÷256≒9.8mVより小さすぎ、最も近い値ではない。
- ② 5mVは算出値約9.8mVより小さく、最も近い値ではない。
- ③ 正しい。2.5V÷256≒9.8mVで、最も近い値は10mVである。
- ④ 16mVは算出値約9.8mVより大きく、最も近い値ではない。
- ⑤ 20mVは算出値約9.8mVより大きく、最も近い値ではない。
📋 まとめの表を見る:べき乗による情報量・組合せ数の計算
nビットの2進数では2のn乗通り、n種類の記号をr桁並べる場合はnのr乗通りの組合せを表現できる。
第64回 午前99(医用工学概論)
医療に関わる個人情報について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①検体検査の結果は個人情報に含まれない。
- ②患者は自身の診療録の開示請求ができる。
- ③臨床検査技師には法による守秘義務は課されていない。
- ④個人情報はあらかじめ定めた利用目的の範囲に限り利用できる。
- ⑤患者の同意がなくても検査依頼医は検査後の血液を研究に利用できる。
正答: ②患者は自身の診療録の開示請求ができる。・④個人情報はあらかじめ定めた利用目的の範囲に限り利用できる。
ポイント
医療における個人情報の取扱いでは、本人である患者は自身の診療録(カルテ)の開示を請求できる。また個人情報はあらかじめ特定した利用目的の範囲内に限って利用でき、目的外利用や第三者提供には原則として本人の同意が必要である。検体検査の結果も個人を識別しうる個人情報に含まれ、臨床検査技師には臨床検査技師等に関する法律により守秘義務が課されている。●個人情報保護の原則=利用目的の特定・目的外利用の制限・第三者提供の制限・開示請求権。●守秘義務の根拠=臨床検査技師等に関する法律(資格法)。●要配慮個人情報=病歴・検査結果等は取扱いに本人同意が原則必要。
選択肢ごとの解説
- ① 検体検査の結果も個人を識別しうる個人情報に含まれるため誤りである。
- ② 正しい。患者は自身の診療録の開示を請求することができる。
- ③ 臨床検査技師には臨床検査技師等に関する法律により守秘義務が課されているため誤りである。
- ④ 正しい。個人情報はあらかじめ特定した利用目的の範囲内に限って利用できる。
- ⑤ 患者の同意なく検査後の血液を研究に利用することは原則できず、目的外利用には本人同意が必要であるため誤りである。
第64回 午前100(医用工学概論)
分光光度計で真の吸光度よりも小さい値となるのはどれか。
- ①セルが汚れている。
- ②光路長が増加する。
- ③試料が混濁している。
- ④測定光に迷光が含まれる。
- ⑤光源ランプの照度が低下している。
正答: ④測定光に迷光が含まれる。
ポイント
分光光度計で測定光に迷光(測定波長以外の光)が混入すると、本来試料に吸収されるべき波長以外の光が検出器に届くため、見かけ上の透過光が増加し、算出される吸光度は真の値より小さくなる。とくに高吸光度域でこの影響が大きく、Lambert-Beerの法則からの負の偏りを生じる。一方、セルの汚れ・試料の混濁・光路長の増加は吸光度を大きくする方向に作用する。●吸光度を大きくする要因=セルの汚れ・試料の混濁(散乱)・光路長の増加。●吸光度を小さくする要因=迷光の混入。●Lambert-Beerの法則=吸光度=モル吸光係数×濃度×光路長。
選択肢ごとの解説
- ① セルが汚れていると散乱・吸収が加わり、吸光度はむしろ大きく測定されやすい。
- ② 光路長が増加するとLambert-Beerの法則により吸光度は大きくなるため、小さくなる原因ではない。
- ③ 試料の混濁は光散乱により吸光度を大きく測定させる要因で、小さくなる原因ではない。
- ④ 正しい。迷光が混入すると見かけの透過光が増し、吸光度は真の値より小さく測定される。
- ⑤ 光源ランプの照度低下は測定の感度・安定性に影響するが、吸光度を系統的に小さくする主因ではない。
📋 まとめの表を見る:分光光度計の吸光度に影響する要因
吸光度はLambert-Beerの法則により、溶液の濃度と光路長の積に比例する(実測ではおよそ0〜2の範囲で測定する)。