第64回(2018) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第64回 午後1(臨床検査総論)
臨床試験業務で誤っているのはどれか。
- ①新薬開発のために行う。
- ②薬の安全性を調べるために行う。
- ③既存医薬品の効果の追跡調査を行う。
- ④二重盲検試験に関わる臨床検査技師は偽薬投与患者を事前に把握する。
- ⑤臨床試験実施医療機関は外部評価による認定を取得することが望ましい。
正答: ④二重盲検試験に関わる臨床検査技師は偽薬投与患者を事前に把握する。
ポイント
臨床試験(治験)は医薬品の有効性・安全性をヒトで検証する試験で、医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)に従って実施される。二重盲検試験では被験者・投与者・評価者のいずれも実薬と偽薬(プラセボ)の割り付けを知らされず、検査担当者も割り付けを把握してはならない。先入観によるバイアスを排除し客観的に薬効を評価することが目的である。既存薬の効果・副作用を追跡する製造販売後調査も広義の臨床試験に含まれる。●臨床試験の相=第Ⅰ相(少数健常人で安全性・薬物動態)・第Ⅱ相(少数患者で有効性と用量)・第Ⅲ相(多数患者で既存薬と比較)・第Ⅳ相(製造販売後調査)。●バイアス排除法=無作為化(ランダム化)・盲検化(単盲検・二重盲検)・対照群(プラセボ対照)。●関連基準=GCP(臨床試験の実施基準)・GLP(非臨床試験)・GMP(製造管理)・GVP(製造販売後安全管理)。
選択肢ごとの解説
- ① 新薬の承認申請に必要なデータ取得は治験の目的であり、正しい記述である。
- ② 用量設定や副作用など安全性の評価は治験の重要な目的であり、正しい記述である。
- ③ 製造販売後調査として既存薬の効果・副作用を追跡することも臨床試験に含まれ、正しい記述である。
- ④ 誤り。二重盲検試験では検査技師を含む関係者が実薬・偽薬の割り付けを事前に把握してはならず、把握すれば盲検性が破綻して評価にバイアスが生じる。
- ⑤ 第三者機関による評価・認定の取得は質保証の観点から望ましく、正しい記述である。
第64回 午後2(臨床検査総論)
抗凝固剤を含む採血管を用いる必要があるのはどれか。
- ①HbA1c
- ②インスリン
- ③C-ペプチド
- ④グリコアルブミン
- ⑤抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体
正答: ①HbA1c
ポイント
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は赤血球内のヘモグロビンに糖が非酵素的に結合した割合で、過去1〜2か月の平均血糖を反映する。測定には赤血球(全血)が必要なため、凝固を防ぐ抗凝固剤入り採血管(エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉加など)を用いる。一方インスリン・C-ペプチド・グリコアルブミン・抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体は血清で測定でき、凝固を待つ採血管(血清分離管)で対応できる。●抗凝固剤の種類と用途=EDTA(血算・HbA1c)・クエン酸ナトリウム(凝固検査・赤沈)・ヘパリン(血液ガス・染色体)・フッ化ナトリウム(血糖:解糖阻止)。●血糖関連検査の検体=血糖はフッ化ナトリウム加血漿、HbA1cは抗凝固全血、グリコアルブミンは血清。●糖尿病の自己抗体=抗GAD抗体・抗IA-2抗体・抗インスリン抗体(いずれも血清)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。HbA1cは全血の赤血球(ヘモグロビン)を用いて測定するため、凝固を防ぐ抗凝固剤入り採血管が必要である。
- ② インスリンは血清(または血漿)で測定でき、抗凝固剤入り採血管を必須としない。
- ③ C-ペプチドも血清で測定でき、抗凝固剤入り採血管を必須としない。
- ④ グリコアルブミンは血清を用いて測定する項目である。
- ⑤ 抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体は血清で測定する自己抗体である。
📋 まとめの表を見る:採血管の抗凝固剤の種類と適する検査項目
第64回 午後3(臨床検査総論)
精度保証のために検査前過程で行うのはどれか。
- ①外部精度管理
- ②検査値の解釈
- ③検査値の点検
- ④採血法の指導
- ⑤内部精度管理
正答: ④採血法の指導
ポイント
臨床検査の精度保証は検査前過程(採取・搬送・保存)・検査中過程(分析)・検査後過程(報告・解釈)に分けて管理する。採血法の指導は検体採取の質を確保する検査前過程の精度保証で、ここでの誤りは後段で修正できない。外部精度管理と内部精度管理は分析の正確さ・安定性を監視する検査中過程に、検査値の解釈と点検は結果報告にかかわる検査後過程に位置づけられる。●検査前過程=患者準備(絶食・安静)・採血手技・抗凝固剤選択・搬送温度・保存条件。●検査中過程=内部精度管理(管理試料・X-R管理図)・外部精度管理(施設間サーベイ)・装置保守。●検査後過程=検査値の点検(パニック値確認)・解釈・報告・コンサルテーション。
選択肢ごとの解説
- ① 外部精度管理は施設間の分析精度を比較する検査中過程の管理である。
- ② 検査値の解釈は結果報告にかかわる検査後過程に属する。
- ③ 検査値の点検は報告前後の確認作業で検査後過程に属する。
- ④ 正しい。採血法の指導は検体採取の質を確保する検査前過程の精度保証である。
- ⑤ 内部精度管理は日々の分析の安定性を監視する検査中過程の管理である。
第64回 午後4(臨床検査総論)
中間尿に比べ初尿で陽性になりやすいのはどれか。
正答: ③白血球
ポイント
初尿は排尿の最初の部分で、尿道や外尿道口付近の細胞・分泌物・微生物が混入しやすい。尿道炎などでは白血球や細菌が初尿に多く検出されるため、淋菌やクラミジアの検査では初尿が用いられる。一方、糖・潜血・ケトン体・ビリルビンは尿全体に比較的均一に分布し、尿道混入物の影響を受けにくい中間尿で評価する。●尿の採取部位=初尿(尿道病変・淋菌・クラミジア)・中間尿(一般尿検査・細菌培養)・分杯尿(出血部位の推定)・24時間蓄尿(定量)。●尿沈渣の白血球増加=尿路感染症・尿道炎・間質性腎炎。●初尿で増える成分=白血球・細菌・尿道上皮細胞。
選択肢ごとの解説
- ① 糖は血糖由来で尿全体に分布し、初尿で特に陽性化しやすいわけではない。
- ② 潜血は腎・尿路からの出血を反映し、初尿に偏って増えるものではない。
- ③ 正しい。尿道由来の白血球は初尿に混入しやすく、尿道炎などでは初尿で陽性になりやすい。
- ④ ケトン体は代謝産物で尿中に均一に分布し、初尿に偏らない。
- ⑤ ビリルビンは肝胆道由来で尿全体に分布し、初尿に特異的ではない。
📋 まとめの表を見る:尿の採取方法による分類(全尿・初尿・中間尿・分配尿)
初尿は外陰部・腟由来の扁平上皮細胞・細菌・血球が混入しやすいため、一般尿検査には中間尿を用いる。
第64回 午後5(臨床検査総論)
髄液検査を行う前に測定すべき血液検査項目はどれか。
- ①血糖
- ②赤血球数
- ③アミラーゼ
- ④ビリルビン
- ⑤マグネシウム
正答: ①血糖
ポイント
脳脊髄液中のグルコース(糖)は血糖値に依存して変動するため、髄液糖を正しく評価するには同時に血糖を測定し、髄液糖/血糖比(正常で約0.6)を確認する必要がある。細菌性髄膜炎では髄液糖が著明に低下し、ウイルス性では比較的保たれる。血糖を知らずに髄液糖のみを見ると、高血糖患者で相対的低下を見逃すなどの誤評価につながる。●髄液検査の主要項目=外観(無色透明)・細胞数・蛋白・糖・クロール・墨汁染色・培養。●細菌性髄膜炎=髄液糖低下・蛋白上昇・多核球増加・髄液混濁。●ウイルス性髄膜炎=髄液糖正常・蛋白軽度上昇・リンパ球増加。●髄液糖/血糖比=正常約0.6、細菌性で著減。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。髄液糖は血糖に依存するため、髄液検査前に血糖を測定して髄液糖/血糖比で評価する。
- ② 赤血球数は髄液糖の評価に必要な前提の血液項目ではない。
- ③ アミラーゼは膵・唾液腺由来で、髄液糖の評価には不要である。
- ④ ビリルビンは髄液糖の解釈に直接関係しない。
- ⑤ マグネシウムは髄液糖の評価に必要な前提項目ではない。
📋 まとめの表を見る:髄液検査所見と疾患の鑑別(正常・出血・細菌性/結核性/真菌性/ウイルス性髄膜炎)
細菌性髄膜炎ではLD(乳酸脱水素酵素)も上昇する。髄液糖を評価する際は必ず同時測定した血糖値と比較する(髄液糖/血糖比は正常で約0.6)。
第64回 午後6(臨床検査総論)
肺化膿症でみられる喀痰検査所見はどれか。2つ選べ。
- ①三層痰
- ②好酸球増多
- ③ディットリッヒ〈Dittrich〉栓子
- ④クルシュマン〈Curschmann〉らせん体
- ⑤シャルコー・ライデン〈Charcot-Leyden〉結晶
正答: ①三層痰・③ディットリッヒ〈Dittrich〉栓子
ポイント
肺化膿症(肺膿瘍)は壊死を伴う化膿性炎症で、喀痰を静置すると上層の泡沫・中間の漿液・下層の膿汁に分かれる三層痰を呈する。下層の膿汁中には壊死物質と脂肪酸結晶からなるディットリッヒ栓子がみられる。一方、好酸球増多・クルシュマンらせん体・シャルコー・ライデン結晶はいずれも気管支喘息などアレルギー性疾患を示唆する所見である。●化膿性・壊死性病変の喀痰所見=三層痰・ディットリッヒ栓子・膿性痰。●アレルギー性(喘息)の喀痰所見=好酸球増多・クルシュマンらせん体・シャルコー・ライデン結晶。●喀痰の性状=漿液性・粘液性・膿性・血性。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。肺化膿症では泡沫・漿液・膿の三層に分離する三層痰がみられる。
- ② 好酸球増多は気管支喘息などアレルギー性疾患を示唆する所見である。
- ③ 正しい。下層の膿汁中にみられるディットリッヒ栓子は肺化膿症など化膿性病変の所見である。
- ④ クルシュマンらせん体は気管支喘息でみられる粘液の鋳型で、アレルギー性疾患の所見である。
- ⑤ シャルコー・ライデン結晶は好酸球由来で、気管支喘息などアレルギー性疾患の所見である。
第64回 午後7(臨床検査総論)
寄生虫と終宿主の組合せで正しいのはどれか。
- ①肝吸虫 — フナ
- ②アニサキス — イカ
- ③エキノコックス — ネズミ
- ④トキソプラズマ — ネコ
- ⑤熱帯熱マラリア原虫 — ヒト
正答: ④トキソプラズマ — ネコ
ポイント
終宿主とは寄生虫が有性生殖(成虫として成熟)を行う宿主を指す。トキソプラズマはネコ科動物の腸管で有性生殖を行うためネコが終宿主であり、ヒトや他の哺乳類は中間宿主となる。肝吸虫のフナ、アニサキスのイカはいずれも中間宿主、エキノコックスのネズミも中間宿主であり、熱帯熱マラリア原虫は蚊(ハマダラカ)の体内で有性生殖を行うため終宿主は蚊である。●吸虫の中間宿主=肝吸虫(第一:マメタニシ、第二:コイ科魚)・肺吸虫(第一:カワニナ、第二:カニ)・横川吸虫(第二:アユ)。●終宿主がヒト以外=エキノコックス(キツネ・イヌ)・トキソプラズマ(ネコ)・アニサキス(クジラ・イルカ)。●終宿主が蚊=マラリア原虫(ヒトは中間宿主)。
選択肢ごとの解説
- ① 肝吸虫の終宿主はヒトなどの哺乳類で、フナ(コイ科魚類)は第二中間宿主である。
- ② アニサキスの終宿主はクジラ・イルカなどで、イカは中間宿主である。
- ③ エキノコックス(多包条虫)の終宿主はキツネ・イヌで、ネズミは中間宿主である。
- ④ 正しい。トキソプラズマはネコ科動物の腸管で有性生殖を行うため、終宿主はネコである。
- ⑤ 熱帯熱マラリア原虫は有性生殖を蚊(ハマダラカ)の体内で行うため終宿主は蚊で、ヒトは中間宿主である。
📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。
第64回 午後8(臨床検査総論)
40歳の男性。胸部の発赤と腫脹を主訴に来院した。発赤は次第に腹側正中部に向かって伸び、帯状や線状になった。腹部の写真を別に示す。食物摂取歴として、1か月前にドジョウを生食した。診断として正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB008.42bdf11bec.jpg

- ①疥癬
- ②顎口虫症
- ③旋毛虫症
- ④オンコセルカ症
- ⑤日本住血吸虫症
正答: ②顎口虫症
ポイント
顎口虫症はドジョウ・ライギョなどの淡水魚介の生食で幼虫を経口摂取して感染する寄生虫症である。幼虫が皮下を移行し、発赤・腫脹が帯状・線状に移動する皮膚爬行症(クリーピング病)を呈する。ドジョウの生食歴と移動性の線状皮疹は本症に特徴的で、ヒトは固有宿主ではないため幼虫が体内を移行する幼虫移行症となる。●皮膚爬行症(移動性皮疹)=顎口虫症・幼虫移行症(イヌ回虫・ネコ回虫)・旋尾線虫症(ホタルイカ)。●淡水魚介の生食で感染=顎口虫症(ドジョウ)・横川吸虫・肝吸虫(コイ科魚)。●皮膚に病変を呈する寄生虫=疥癬(ヒゼンダニ)・オンコセルカ症(ブユ媒介)・皮膚爬行症。
選択肢ごとの解説
- ① 疥癬はヒゼンダニによる皮膚感染で、指間の小水疱や疥癬トンネルを呈し、ドジョウ生食とは無関係である。
- ② 正しい。ドジョウの生食歴と移動性の線状・帯状皮疹(皮膚爬行症)は顎口虫症に特徴的である。
- ③ 旋毛虫症は加熱不十分な獣肉摂取により筋肉痛・発熱・眼瞼浮腫を呈し、移動性皮疹を主症状としない。
- ④ オンコセルカ症はブユ媒介の糸状虫症で、皮下結節や眼障害を呈する。
- ⑤ 日本住血吸虫症は経皮感染で肝・腸管病変を呈し、移動性皮疹を主体としない。
第64回 午後9(臨床検査総論)
最も小さい虫卵はどれか。
- ①回虫卵
- ②蟯虫卵
- ③鞭虫卵
- ④横川吸虫卵
- ⑤ウエステルマン〈Westerman〉肺吸虫卵
正答: ④横川吸虫卵
ポイント
腸管寄生蠕虫の虫卵の大きさは虫種により大きく異なる。横川吸虫卵は長径約25〜30μmと選択肢中で最も小さく、肝吸虫卵と並んで微小な吸虫卵である。回虫卵・蟯虫卵・鞭虫卵はいずれもこれより大きく、ウエステルマン肺吸虫卵は最も大型である。微小虫卵は集卵法(遠心沈殿・ホルマリン・エーテル法)や厚層塗抹法で見落とさない注意を要する。●微小な虫卵(〜30μm前後)=横川吸虫卵・肝吸虫卵。●中等大の虫卵(40〜60μm前後)=回虫卵・蟯虫卵・鞭虫卵・鉤虫卵。●大型の虫卵(80μm以上)=ウエステルマン肺吸虫卵・日本住血吸虫卵・肥大吸虫卵。
選択肢ごとの解説
- ① 回虫卵は長径約45〜75μmで横川吸虫卵より大きい。
- ② 蟯虫卵は約50×30μmの柿の種状で横川吸虫卵より大きい。
- ③ 鞭虫卵は約50μmのレモン形で横川吸虫卵より大きい。
- ④ 正しい。横川吸虫卵は約25〜30μmと選択肢中で最も小さい。
- ⑤ ウエステルマン肺吸虫卵は約80〜100μmと大型である。
第64回 午後10(臨床検査総論)
細胞分裂の度に短くなり細胞の寿命に関係するのはどれか。
- ①テロメア
- ②ヒストン
- ③セントロメア
- ④ヌクレオソーム
- ⑤ヘテロクロマチン
正答: ①テロメア
ポイント
テロメアは染色体末端にある反復配列(TTAGGGの繰り返し)で、DNA複製のたびに末端複製問題により短縮し、一定以下になると細胞は分裂を停止して細胞老化・寿命に至る。テロメラーゼは生殖細胞や幹細胞、多くの癌細胞でテロメアを伸長させ、これが癌細胞の不死化に関与する。ヒストン・ヌクレオソームはDNAの巻き付き構造、セントロメアは染色体中央の動原体領域である。●染色体の構造領域=テロメア(末端反復配列)・セントロメア(動原体)・核小体形成部位。●クロマチン構造=ヒストン(塩基性蛋白)・ヌクレオソーム(基本単位)・ユークロマチン(活性)・ヘテロクロマチン(不活性・凝縮)。●テロメア関連=テロメラーゼ(伸長酵素)・細胞老化・癌細胞の不死化。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。テロメアは染色体末端の反復配列で分裂のたびに短縮し、細胞老化・寿命に関係する。
- ② ヒストンはDNAが巻き付く塩基性蛋白で、分裂で短縮するものではない。
- ③ セントロメアは染色体の動原体領域で、分裂時の紡錘糸付着部位である。
- ④ ヌクレオソームはDNAとヒストンからなる基本構造単位で、寿命を規定する短縮構造ではない。
- ⑤ ヘテロクロマチンは凝縮した不活性クロマチン領域で、分裂で短縮する末端構造ではない。
第64回 午後11(臨床検査医学総論)
肝硬変に伴う門脈圧の亢進と関連がないのはどれか。
- ①痔核
- ②脾腫
- ③食道静脈瘤
- ④下肢静脈瘤
- ⑤腹壁静脈怒張
正答: ④下肢静脈瘤
ポイント
肝硬変では肝内の血流障害により門脈圧が亢進し、門脈と体循環をつなぐ側副血行路が発達する。食道静脈瘤・腹壁静脈怒張(メズサの頭)・痔核(直腸静脈叢)はいずれも門脈-体循環吻合の側副路であり、脾腫は門脈血のうっ滞によって生じる。下肢静脈瘤は下肢表在静脈の弁機能不全によるもので、門脈系とは無関係である。●門脈圧亢進の側副血行路=食道・胃静脈瘤・腹壁静脈怒張(メズサの頭)・痔核(直腸静脈叢)。●門脈圧亢進の合併=脾腫(脾機能亢進による血球減少)・腹水・肝性脳症。●下肢静脈瘤の原因=表在静脈弁不全・深部静脈血栓後遺症(門脈系とは無関係)。
選択肢ごとの解説
- ① 痔核は直腸静脈叢を介した門脈-体循環側副路で、門脈圧亢進と関連する。
- ② 脾腫は門脈血のうっ滞で生じ、門脈圧亢進と関連する。
- ③ 食道静脈瘤は代表的な門脈-体循環側副路で、門脈圧亢進と関連する。
- ④ 誤り。下肢静脈瘤は下肢表在静脈の弁機能不全によるもので、門脈系とは無関係である。
- ⑤ 腹壁静脈怒張(メズサの頭)は臍周囲の門脈-体循環側副路で、門脈圧亢進と関連する。
第64回 午後12(臨床検査医学総論)
脂質異常症のWHO分類のうち、LDL-コレステロールとトリグリセライドがともに高いのはどれか。
正答: ②Ⅱ b
ポイント
脂質異常症のWHO(Fredrickson)分類で、LDL-コレステロールとトリグリセライドがともに高いのはⅡb型で、超低比重リポ蛋白(VLDL)と低比重リポ蛋白(LDL)がともに増加する家族性複合型高脂血症などが該当する。Ⅰ型はカイロミクロン増加、Ⅱa型はLDLのみ増加、Ⅲ型はレムナント(中間比重リポ蛋白〈IDL〉)増加、Ⅳ型はVLDL増加、Ⅴ型はカイロミクロンとVLDLの増加が特徴である。●増加するリポ蛋白別=Ⅰ型(カイロミクロン)・Ⅱa型(LDL)・Ⅱb型(LDL+VLDL)・Ⅲ型(IDL/レムナント)・Ⅳ型(VLDL)・Ⅴ型(カイロミクロン+VLDL)。●高コレステロール優位=Ⅱa型。●高トリグリセライド優位=Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ型。●両者高値=Ⅱb・Ⅲ型。
選択肢ごとの解説
- ① Ⅰ型はカイロミクロンが増加してトリグリセライドが著増するが、LDLは増加しない。
- ② 正しい。Ⅱb型はVLDLとLDLがともに増加し、LDL-コレステロールとトリグリセライドがともに高値となる。
- ③ Ⅲ型はレムナント(IDL)が増加するタイプである。
- ④ Ⅳ型はVLDLが増加し、トリグリセライド優位の上昇を示す。
- ⑤ Ⅴ型はカイロミクロンとVLDLが増加し、トリグリセライドが著明に高値となる。
📋 まとめの表を見る:脂質異常症のWHO(Fredrickson)分類
第64回 午後13(臨床検査医学総論)
心筋梗塞の診断におけるトロポニンTについて誤っているのはどれか。
- ①感度が高い。
- ②腎不全の影響を受ける。
- ③発症早期から上昇する。
- ④発症後約1週間で正常化する。
- ⑤急性心筋炎の鑑別が必要である。
正答: ②腎不全の影響を受ける。・④発症後約1週間で正常化する。
ポイント
トロポニンTは心筋に特異性が高く感度・特異度に優れた心筋傷害マーカーで、発症後3〜4時間で上昇し、ピーク後も長く高値が持続して約1〜2週間かけて正常化する。腎機能が低下すると排泄遅延などで偽高値を示すことがあり、解釈に注意を要する。急性心筋炎でも上昇するため鑑別が必要である。本問では選択肢2と選択肢4のいずれも正答(誤っている記述)として扱われる。「約1週間で正常化する」は正常化に1〜2週間を要する経過と合致せず誤りである。一方「腎不全の影響を受ける」は腎機能低下時に偽高値を示すという事実に合致する内容だが、本問の採点上は誤りの扱いである点に注意する。●心筋傷害マーカー=トロポニンT・トロポニンI(高特異・長時間持続)・CK-MB(早期・短時間)・H-FABP(最早期)・ミオグロビン(早期・非特異)。●上昇時間の目安=H-FABP・ミオグロビン(1〜2時間)<トロポニン・CK-MB(3〜6時間)。●正常化=CK-MB(数日)<トロポニン(1〜2週)。
選択肢ごとの解説
- ① トロポニンTは心筋傷害に対し感度が高く、正しい記述である。
- ② 本問の正答(誤っている記述)の扱いである。ただしトロポニンTは腎不全(腎機能低下)で排泄遅延により偽高値を示すことがあり、「腎不全の影響を受ける」という内容自体は事実に合致する。
- ③ トロポニンTは発症後数時間の早期から上昇し、正しい記述である。
- ④ 誤り。トロポニンTは上昇が長く持続し正常化に約1〜2週間を要するため、約1週間で正常化するとはいえない。
- ⑤ 急性心筋炎でもトロポニンTは上昇するため鑑別が必要であり、正しい記述である。
📋 まとめの表を見る:急性心筋梗塞の心筋バイオマーカーの経時変化
ALP(アルカリホスファターゼ)は心筋梗塞では上昇しない。BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心不全のマーカーであり、心筋梗塞診断には用いない。
第64回 午後14(臨床検査医学総論)
成人の腰椎穿刺による脳脊髄液検査所見で正常なのはどれか。
- ①外観淡黄色
- ②細胞数11/μL
- ③蛋白質65 mg/dL
- ④クロール 123 mEq/L
- ⑤グルコース 30 mg/dL
正答: ④クロール 123 mEq/L
ポイント
正常成人の脳脊髄液は無色透明で、細胞数5/μL以下、蛋白15〜45mg/dL、グルコース50〜80mg/dL(血糖の約2/3)、クロール120〜130mEq/L程度である。淡黄色(キサントクロミー)は出血後やビリルビン上昇、細胞数増加や蛋白上昇は炎症、グルコース低下は細菌性髄膜炎を示唆する異常所見である。選択肢中ではクロール123mEq/Lのみが正常範囲内に収まる。●髄液の正常値=外観(無色透明)・細胞数(5/μL以下)・蛋白(15〜45mg/dL)・糖(50〜80mg/dL)・クロール(120〜130mEq/L)。●異常所見=キサントクロミー(出血・蛋白高度上昇)・細胞増多(髄膜炎)・糖低下(細菌性・結核性・癌性髄膜炎)。●血液に比べ髄液で高い項目=クロール、低い項目=蛋白・カリウム。
選択肢ごとの解説
- ① 外観淡黄色(キサントクロミー)は出血後やビリルビン高値を示す異常所見である。
- ② 細胞数11/μLは基準(5/μL以下)を超える異常である。
- ③ 蛋白質65mg/dLは基準(15〜45mg/dL)を超える高値である。
- ④ 正しい。クロール123mEq/Lは正常範囲(120〜130mEq/L)内である。
- ⑤ グルコース30mg/dLは低値で、細菌性髄膜炎などを示唆する異常である。
第64回 午後15(臨床検査医学総論)
染色体検査で異常がみられるのはどれか。
- ①血友病A
- ②囊胞性線維症
- ③Turner症候群
- ④Huntington病
- ⑤フェニルケトン尿症
正答: ③Turner症候群
ポイント
Turner症候群は女性で性染色体が45,Xとなる染色体異常(モノソミーX)で、低身長・性腺機能不全・翼状頸・外反肘などを呈し、染色体検査(核型分析)で異常が検出される。血友病A・ハンチントン病・嚢胞性線維症・フェニルケトン尿症はいずれも単一遺伝子の変異による疾患で、染色体の数や構造には異常がなく、遺伝子検査で診断する。●数的染色体異常=Down症候群(21トリソミー)・Turner症候群(45,X)・Klinefelter症候群(47,XXY)・Edwards症候群(18トリソミー)。●単一遺伝子病=血友病A(X連鎖)・ハンチントン病(CAG反復伸長)・嚢胞性線維症(CFTR)・フェニルケトン尿症(PAH)。●構造異常=転座・欠失・逆位(例:慢性骨髄性白血病のフィラデルフィア染色体)。
選択肢ごとの解説
- ① 血友病Aは第Ⅷ因子遺伝子の変異によるX連鎖疾患で、染色体検査では異常を示さない。
- ② 嚢胞性線維症はCFTR遺伝子の変異による単一遺伝子病で、染色体異常を伴わない。
- ③ 正しい。Turner症候群は45,X(モノソミーX)で、染色体検査で性染色体の数的異常がみられる。
- ④ ハンチントン病はハンチンチン遺伝子のCAG反復伸長による疾患で、染色体検査では異常を示さない。
- ⑤ フェニルケトン尿症はフェニルアラニン水酸化酵素遺伝子の変異による代謝異常で、染色体異常を伴わない。
第64回 午後16(臨床生理学)
心電図を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB016.ff852179aa.jpg

- ①QT時間 0.25秒
- ②QRS幅 0.20秒
- ③PR時間 0.22秒
- ④電気軸 −30度
- ⑤心拍数 40回/分
正答: ⑤心拍数 40回/分
ポイント
標準的な記録(紙送り25mm/秒、1mm=0.04秒、1大目盛5mm=0.2秒)では正常値はPR時間0.12〜0.20秒、QRS幅0.10秒未満、QT時間は心拍数に依存する。心拍数はRR間隔から算出し、RR間隔が1.5秒(大目盛7.5個分)であれば60÷1.5=40回/分(300÷7.5でも40回/分)となる。本図では心拍数40回/分が計測値と合致し、徐脈を示す所見である。●心電図の基本計測=PR時間(0.12〜0.20秒)・QRS幅(0.10秒未満)・QT時間(補正QTで評価)。●心拍数算出=300÷(RR間の大目盛数)または60÷RR間隔(秒)。●徐脈をきたす病態=洞性徐脈・房室ブロック・洞不全症候群。
選択肢ごとの解説
- ① 図のQT時間は0.25秒という計測値とは合致しない。
- ② QRS幅0.20秒は正常上限(0.10秒未満)を大きく超え、図の所見と合致しない。
- ③ PR時間0.22秒は図の計測値とは合致しない。
- ④ 電気軸−30度は図の所見と合致しない。
- ⑤ 正しい。RR間隔から算出すると心拍数は約40回/分であり、徐脈を示す。
第64回 午後17(臨床生理学)
心房細動でみられる心電図所見として正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①P波消失
- ②QRS波消失
- ③RR間隔不整
- ④鋸歯状波出現
- ⑤異常Q波出現
正答: ①P波消失・③RR間隔不整
ポイント
心房細動は心房が無秩序に興奮する不整脈で、規則正しいP波が消失し、基線が細かく揺れるf波(細動波)に置き換わる。房室結節への不規則な伝導によりRR間隔が不整となる(絶対性不整脈)。QRS波は心室興奮を反映するため保たれる。鋸歯状波(F波)は心房粗動、異常Q波は陳旧性心筋梗塞の所見である。●心房細動=P波消失・f波・RR不整・絶対性不整脈・心房内血栓による塞栓リスク。●心房粗動=鋸歯状のF波(粗動波)・規則的な心房興奮(約300/分)。●異常Q波=陳旧性心筋梗塞。●QRS幅延長=脚ブロック・心室内伝導障害。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。心房細動では規則的なP波が消失し、f波(細動波)に置き換わる。
- ② QRS波は心室興奮を反映し心房細動でも保たれるため、消失しない。
- ③ 正しい。房室伝導が不規則となるためRR間隔が不整となる(絶対性不整脈)。
- ④ 鋸歯状波(F波)は心房粗動の所見で、心房細動ではみられない。
- ⑤ 異常Q波は陳旧性心筋梗塞の所見で、心房細動の特徴ではない。
第64回 午後18(臨床生理学)
直ちに緊急対応が必要な心電図所見はどれか。
- ①心室細動
- ②心房細動
- ③PR時間短縮
- ④心室期外収縮
- ⑤洞不全症候群
正答: ①心室細動
ポイント
心室細動は心室が無秩序に痙攣して有効な心拍出が得られない致死的不整脈で、放置すれば数分で死に至るため直ちに電気的除細動と心肺蘇生が必要である。心房細動・心室期外収縮・洞不全症候群・PR時間短縮はただちに致死的とはならず、緊急対応の必要性は心室細動より低い。●致死的(電気ショック適応)不整脈=心室細動・無脈性心室頻拍。●管理を要するが非致死的=心房細動(塞栓予防)・心室期外収縮(基礎心疾患で評価)・洞不全症候群(ペースメーカ検討)。●PR短縮の代表=WPW症候群(副伝導路)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。心室細動は心拍出が失われる致死的不整脈で、直ちに除細動と心肺蘇生を要する。
- ② 心房細動は塞栓予防などの管理を要するが、直ちに致死的ではない。
- ③ PR時間短縮はWPW症候群などでみられるが、それ自体は緊急対応を要しない。
- ④ 心室期外収縮は単発であれば緊急性は低い。
- ⑤ 洞不全症候群は徐脈をきたすがペースメーカ適応の検討対象であり、心室細動ほどの緊急性はない。
第64回 午後19(臨床生理学)
足関節上腕血圧比〈ABI〉で誤っているのはどれか。
- ①検査時の室温は25 ℃程度が良い。
- ②検査前は5〜10分の安静が必要である。
- ③上肢は上腕にカフを装着する。
- ④下肢は膝部分にカフを装着する。
- ⑤下肢と上肢の収縮期血圧の比で表す。
正答: ④下肢は膝部分にカフを装着する。
ポイント
足関節上腕血圧比(ABI)は足関節と上腕の収縮期血圧の比で、末梢動脈疾患(PAD)のスクリーニングに用い、0.9以下で下肢動脈の狭窄・閉塞を疑う。下肢のカフは足関節部に装着するのが正しく、膝部分ではない。上肢は上腕にカフを装着し、室温管理と検査前の安静は血圧変動を抑えるために重要である。●ABIの評価=0.9以下(PAD疑い)・0.9〜1.3(正常)・1.3以上(動脈石灰化・偽高値)。●末梢循環の検査=ABI・足趾上腕血圧比(TBI)・脈波伝播速度(baPWV:動脈硬化)・皮膚灌流圧(SPP)。●カフ装着部位=上腕(上肢)・足関節(下肢)。
選択肢ごとの解説
- ① 末梢血流に影響しないよう室温は25℃程度が望ましく、正しい記述である。
- ② 血圧を安定させるため検査前に5〜10分の安静をとり、正しい記述である。
- ③ 上肢のカフは上腕に装着し、正しい記述である。
- ④ 誤り。下肢のカフは足関節部に装着するのが正しく、膝部分ではない。
- ⑤ ABIは足関節と上腕の収縮期血圧の比で表し、正しい記述である。
第64回 午後20(臨床生理学)
室内気(1気圧)における動脈血ガス分析の所見を示す。pH 7.24 PaCO₂ 24 Torr PaO₂ 84 Torr HCO₃⁻ 10 mEq/L呼吸商を0.8とした場合の肺胞気-動脈血酸素分圧較差〈A-aDO₂〉に最も近いのはどれか。
- ①6 Torr
- ②16 Torr
- ③26 Torr
- ④36 Torr
- ⑤46 Torr
正答: ④36 Torr
ポイント
肺胞気酸素分圧PAO₂は肺胞気式 PAO₂=(大気圧−47)×吸入気酸素濃度(FiO₂)−PaCO₂/呼吸商(R)で求める。室内気(1気圧≒760Torr、FiO₂=0.21、R=0.8)ではPAO₂=(760−47)×0.21−24/0.8=約149.7−30=約120Torrとなる。肺胞気-動脈血酸素分圧較差〈A-aDO₂〉=PAO₂−PaO₂=約120−84=約36Torrで開大している。本例はpH低下・PaCO₂低下・HCO₃低下を伴う代謝性アシドーシスと呼吸性代償の像で、A-aDO₂開大はガス交換障害を示す。●A-aDO₂開大の原因=換気血流不均等・拡散障害・シャント。●A-aDO₂正常で低酸素=肺胞低換気・吸入酸素濃度低下。●酸塩基の判定=pH・PaCO₂・HCO₃の組合せで呼吸性/代謝性を区別。
選択肢ごとの解説
- ① 6Torrは計算値(約36Torr)と一致しない。
- ② 16Torrは計算値(約36Torr)と一致しない。
- ③ 26Torrは計算値(約36Torr)と一致しない。
- ④ 正しい。PAO₂≒120Torr、PaO₂=84Torrより A-aDO₂≒36Torrとなる。
- ⑤ 46Torrは計算値(約36Torr)と一致しない。
📋 まとめの表を見る:呼吸不全の分類とA-aDO₂〈肺胞気-動脈血酸素分圧較差〉
A-aDO₂=(PIO2-PaCO₂/R)-PaO₂(PIO2は室内気で約150、Rは呼吸商)。健常者でも生理的シャントや換気血流比不均等により5〜10Torr程度の較差が存在する。
第64回 午後21(臨床生理学)
フローボリューム曲線を別に示す。考えられる疾患はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB021.5b5e446792.jpg

- ①脊椎後弯
- ②特発性肺線維症
- ③肥満低換気症候群
- ④慢性閉塞性肺疾患
- ⑤筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
正答: ④慢性閉塞性肺疾患
ポイント
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では呼出時の末梢気道の虚脱により、フローボリューム曲線が呼出後半で下に凹む(下に凸の)形状を呈し、ピークフロー低下と末梢気流制限を示す。一秒率(FEV1.0%)が低下する閉塞性換気障害である。拘束性換気障害(肺線維症・脊椎後弯・肥満低換気・神経筋疾患など)では肺容量が低下して曲線が縮小するが、下に凹む形状はとらない。本図の下に凹む閉塞性パターンはCOPDに合致する。●閉塞性換気障害=COPD・気管支喘息・びまん性汎細気管支炎(FEV1.0%低下・下に凹む曲線)。●拘束性換気障害=特発性肺線維症・脊椎後弯・肥満低換気症候群・神経筋疾患(%肺活量低下・縮小曲線)。●混合性=じん肺・進行肺結核後遺症。
選択肢ごとの解説
- ① 脊椎後弯は胸郭変形による拘束性障害で、下に凹む閉塞性曲線とは合致しない。
- ② 特発性肺線維症は拘束性障害で、肺容量低下による縮小曲線を示す。
- ③ 肥満低換気症候群は拘束性に近い換気障害で、閉塞性の下に凹む曲線とは合致しない。
- ④ 正しい。呼出後半で下に凹む閉塞性パターンは慢性閉塞性肺疾患に特徴的である。
- ⑤ 筋萎縮性側索硬化症は呼吸筋力低下による拘束性パターンを示す。
第64回 午後22(臨床生理学)
自律神経の節後線維はどれか。
正答: ⑤C線維
ポイント
末梢神経線維はErlanger-Gasserの分類で線維の太さと伝導速度により分けられる。自律神経の節後線維は無髄のC線維で、伝導速度が最も遅い。B線維は有髄の自律神経節前線維、Aα〜Aδは体性の運動・感覚を担う有髄線維で、C線維には節後自律線維のほか痛覚・温度覚の一部が含まれる。●A線維(有髄・速い)=Aα(運動・固有感覚)・Aβ(触圧覚)・Aγ(筋紡錘)・Aδ(速い痛覚・温度覚)。●B線維(有髄・中等度)=自律神経節前線維。●C線維(無髄・最も遅い)=自律神経節後線維・遅い痛覚・温度覚。
選択肢ごとの解説
- ① Aα線維は太い有髄線維で運動神経や固有感覚を担う。
- ② Aβ線維は有髄で触圧覚などを担う。
- ③ Aδ線維は有髄で速い痛覚・温度覚を担う。
- ④ B線維は有髄の自律神経節前線維である。
- ⑤ 正しい。自律神経の節後線維は無髄のC線維である。
第64回 午後23(臨床生理学)
成人のてんかんで最も多いのはどれか。
- ①欠神てんかん
- ②前頭葉てんかん
- ③側頭葉てんかん
- ④覚醒時大発作てんかん
- ⑤ミオクロニーてんかん
正答: ③側頭葉てんかん
ポイント
成人のてんかんで最も多いのは焦点(部分)てんかんで、なかでも側頭葉てんかんが最多である。海馬硬化を背景に複雑部分発作(自動症や意識減損を伴う発作)を呈することが多い。欠神てんかんやミオクロニーてんかんは小児・若年に多い全般てんかんで、成人発症の頻度では側頭葉てんかんが上回る。●焦点てんかん=側頭葉てんかん(最多・海馬硬化)・前頭葉てんかん。●全般てんかん=欠神てんかん(小児)・若年ミオクロニーてんかん・覚醒時大発作てんかん(若年)。●脳波所見=側頭部棘波(側頭葉てんかん)・3Hz棘徐波複合(欠神てんかん)・多棘徐波複合(ミオクロニー)。
選択肢ごとの解説
- ① 欠神てんかんは小児に多い全般てんかんで、成人で最多ではない。
- ② 前頭葉てんかんも焦点てんかんだが、側頭葉てんかんより頻度は低い。
- ③ 正しい。成人のてんかんでは側頭葉てんかんが最も多い。
- ④ 覚醒時大発作てんかんは若年に多く、成人で最多ではない。
- ⑤ ミオクロニーてんかんは若年性に多い全般てんかんで、成人で最多ではない。
第64回 午後24(臨床生理学)
感覚神経伝導検査で異常がみられないのはどれか。
- ①筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
- ②糖尿病性多発ニューロパチー
- ③慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〈CIDP〉
- ④ギラン・バレー〈Guillain-Barré〉症候群
- ⑤シャルコー・マリー・トゥース〈Charcot-Marie-Tooth〉病
正答: ①筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
ポイント
感覚神経伝導検査は末梢の感覚神経の障害を反映する。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位・下位運動ニューロンが選択的に障害される疾患で、感覚神経は基本的に保たれるため感覚神経伝導検査は正常である。糖尿病性多発ニューロパチー・慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)・ギラン・バレー症候群・シャルコー・マリー・トゥース病はいずれも感覚神経を障害し、伝導検査で異常を示す。●運動ニューロン選択的障害(感覚正常)=ALS・脊髄性筋萎縮症。●感覚運動を障害(伝導異常)=糖尿病性ニューロパチー・CIDP・ギラン・バレー症候群・シャルコー・マリー・トゥース病。●脱髄性の所見=伝導速度低下・伝導ブロック、軸索障害の所見=振幅低下。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。ALSは運動ニューロン選択的障害で感覚神経は保たれ、感覚神経伝導検査は正常である。
- ② 糖尿病性多発ニューロパチーは感覚神経を障害し、伝導検査で異常を示す。
- ③ CIDPは脱髄性で感覚神経も障害され、伝導検査で異常を示す。
- ④ ギラン・バレー症候群は感覚神経も障害され、伝導検査で異常を示す。
- ⑤ シャルコー・マリー・トゥース病は遺伝性で感覚神経も障害され、伝導検査で異常を示す。
第64回 午後25(臨床生理学)
心エコーの胸骨左縁長軸像において計測できないのはどれか。
正答: ①右室径
ポイント
胸骨左縁長軸像(左室長軸断面)では左室・左房・大動脈基部・心室中隔・左室後壁などが描出され、左房径・大動脈径・心室中隔厚・左室径などを計測できる。右室は同断面の前方に一部が描出されるが、右室径を正確に評価するには右室流入路像や四腔像など別の断面が必要で、長軸像では計測対象に適さない。●胸骨左縁長軸像で計測=左室拡張末期径・収縮末期径・心室中隔厚・左室後壁厚・左房径・大動脈基部径。●右室の評価断面=右室流入路像・心尖部四腔像。●主な心エコー断面=傍胸骨長軸像・傍胸骨短軸像・心尖部四腔像・心尖部二腔像。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。右室径の評価には四腔像など別断面が必要で、胸骨左縁長軸像では計測に適さない。
- ② 左房径は胸骨左縁長軸像で計測できる。
- ③ 心室中隔厚は胸骨左縁長軸像で計測できる。
- ④ 左室径は胸骨左縁長軸像で計測できる。
- ⑤ 大動脈径(大動脈基部径)は胸骨左縁長軸像で計測できる。
第64回 午後26(臨床生理学)
右上腹部走査による超音波Bモード像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB026.0264501aed.jpg

正答: ⑤総胆管
ポイント
右上腹部走査では肝門部で門脈・固有肝動脈・総胆管が並走し、ポータルトライアド(門脈三つ組)を形成する。総胆管は門脈本幹の腹側(前面)を走る管腔で、内腔に血流を認めない点が血管との鑑別点である。カラードプラを併用すると、血流を伴わない管腔が胆管、拍動性または定常性の血流を示す管が動脈・門脈と判別できる。
●肝門部の管腔構造=門脈(血流あり・肝へ向流)・固有肝動脈(拍動性血流)・総胆管(血流なし)。
●胆道系の区分=肝内胆管・左右肝管・総肝管・胆囊管・総胆管。
●総胆管拡張をきたす病態=総胆管結石・膵頭部癌・胆管癌・胆管炎。
選択肢ごとの解説
- ① 門脈は肝へ向かう血流を有する血管で、カラードプラで血流を示すため無血流の管腔とは異なる。
- ② 肝静脈は下大静脈へ流入する血流豊富な静脈で、肝門部に並走する無血流の管腔ではない。
- ③ 肝動脈は拍動性血流を示す動脈で、血流のない管腔ではない。
- ④ 主膵管は膵実質内を走行する管で、肝門部に描出される構造ではない。
- ⑤ 正しい。門脈の腹側を走り血流を認めない管腔は総胆管である。
第64回 午後27(臨床生理学)
正常妊娠における超音波検査で最も早い時期から観察されるのはどれか。
正答: ③胎囊
ポイント
経腟超音波では妊娠の進行に伴い子宮内の構造物が一定の順序で描出される。最も早く確認できるのは妊娠4〜5週ごろの胎囊(gestational sac)で、続いて卵黄囊、胎芽(胎児)、胎芽の心拍動が確認され、胎盤や臍帯はさらに後に明瞭となる。子宮内に胎囊を確認することは子宮内妊娠を示す最初の超音波所見である。
●妊娠初期に描出される順序=胎囊(4〜5週)→卵黄囊(5週ごろ)→胎芽・心拍動(6〜7週)→胎盤・臍帯(以降)。
●異所性(子宮外)妊娠の所見=子宮内に胎囊を認めず付属器に腫瘤・ダグラス窩液貯留。
●胎児計測の指標=頭殿長(CRL)・児頭大横径(BPD)・大腿骨長(FL)。
選択肢ごとの解説
- ① 臍帯は胎児の発育後に明瞭となり、最も早く観察される所見ではない。
- ② 胎児(胎芽)は胎囊・卵黄囊に続いて確認される。
- ③ 正しい。胎囊は妊娠4〜5週ごろに最も早く描出される。
- ④ 胎盤は妊娠の進行に伴い形成・描出され、最も早い所見ではない。
- ⑤ 心拍動は胎芽の確認後にみられ、胎囊より遅れて観察される。
第64回 午後28(臨床生理学)
頭蓋内圧亢進時にみられる眼底所見はどれか。
- ①白斑
- ②血管新生
- ③うっ血乳頭
- ④視神経萎縮
- ⑤網膜血管瘤
正答: ③うっ血乳頭
ポイント
頭蓋内圧亢進では脳脊髄液圧の上昇が視神経鞘へ波及し、視神経乳頭がうっ血して腫脹する。これがうっ血乳頭(乳頭浮腫)で、眼底では乳頭の境界不明瞭・隆起・周囲の網膜静脈怒張を呈する。脳腫瘍・水頭症・髄膜炎などで生じ、長期に持続すると視神経萎縮へ進行する。白斑・血管新生・網膜血管瘤は網膜血管病変の所見で、頭蓋内圧亢進の直接所見ではない。
●頭蓋内圧亢進の三徴=頭痛・嘔吐・うっ血乳頭。
●糖尿病網膜症の所見=硬性白斑・軟性白斑・点状出血・血管新生・毛細血管瘤。
●視神経乳頭の異常=うっ血乳頭(圧亢進)・視神経萎縮(蒼白)・緑内障性陥凹拡大。
選択肢ごとの解説
- ① 白斑(硬性・軟性白斑)は糖尿病網膜症などの網膜病変でみられる所見である。
- ② 血管新生は糖尿病網膜症など虚血性網膜症でみられる所見である。
- ③ 正しい。頭蓋内圧亢進では視神経乳頭がうっ血腫脹し、うっ血乳頭がみられる。
- ④ 視神経萎縮はうっ血乳頭の慢性化後などに生じうるが、急性の頭蓋内圧亢進の直接所見ではない。
- ⑤ 網膜血管瘤は網膜血管病変の所見で、頭蓋内圧亢進の所見ではない。
第64回 午後29(臨床化学)
水を対照としたときの試薬盲検および呈色溶液の透過率は、それぞれ80%、20%であった。試薬盲検を対照としたときの呈色溶液の吸光度はどれか。ただし、log 2≒0.301とする。
- ①0.301
- ②0.398
- ③0.602
- ④0.699
- ⑤0.903
正答: ③0.602
ポイント
吸光度Aは透過率T(%)からA=−log(T/100)=2−logTで求められる。水を対照とした試薬盲検の吸光度はA盲検=2−log80、呈色溶液はA溶液=2−log20である。試薬盲検を対照に取り直すと、求める吸光度は両者の差A溶液−A盲検=(2−log20)−(2−log80)=log80−log20=log4=2log2≒2×0.301=0.602となる。
●吸光度と透過率の関係=A=−log(透過率)、T=100%でA=0、T=10%でA=1。
●Lambert-Beerの法則=A=εcl(ε:モル吸光係数、c:濃度、l:光路長)。
●対照(ブランク)の種類=水盲検・試薬盲検・検体盲検。
選択肢ごとの解説
- ① 0.301はlog2に相当し、計算値0.602と一致しない。
- ② 0.398は計算値0.602と一致しない。
- ③ 正しい。log4=2×0.301=0.602が試薬盲検を対照とした呈色溶液の吸光度である。
- ④ 0.699は計算値0.602と一致しない。
- ⑤ 0.903は計算値0.602と一致しない。
第64回 午後30(臨床化学)
酵素法が使用されない検査項目はどれか。
- ①総蛋白
- ②カルシウム
- ③グルコース
- ④総ビリルビン
- ⑤HDL-コレステロール
正答: ①総蛋白
ポイント
酵素法は酵素の基質特異性を利用した測定法で、グルコース(グルコースオキシダーゼ法・ヘキソキナーゼ法)、総ビリルビン(ビリルビンオキシダーゼ法)、HDL-コレステロール(コレステロールエステラーゼ・コレステロールオキシダーゼによる直接法)などに用いられる。総蛋白はビウレット反応(アルカリ性で銅イオンがペプチド結合と錯体を形成し紫色に呈色)で測定し、酵素を用いない。
●酵素法で測定する項目=グルコース・尿素窒素(ウレアーゼ)・尿酸(ウリカーゼ)・クレアチニン・中性脂肪・コレステロール。
●比色(化学)法で測定する項目=総蛋白(ビウレット法)・アルブミン(BCG/BCP法)・カルシウム(OCPC法)・無機リン。
●ビリルビン測定法=ジアゾ法・酵素法(ビリルビンオキシダーゼ)・バナジン酸酸化法。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。総蛋白はビウレット法で測定し、酵素法は用いられない。
- ② カルシウムは比色法(OCPC法など)が主体だが、設問で酵素法が用いられない一項目を選ぶと総蛋白が該当する。
- ③ グルコースはグルコースオキシダーゼ法など酵素法で測定される。
- ④ 総ビリルビンはビリルビンオキシダーゼ法など酵素法で測定される。
- ⑤ HDL-コレステロールはコレステロールオキシダーゼなどの酵素法で測定される。
第64回 午後31(臨床化学)
アニオンギャップの計算に用いる陰イオンはどれか。
- ①硫酸
- ②重炭酸
- ③アルブミン
- ④カルボン酸
- ⑤スルホン酸
正答: ②重炭酸
ポイント
アニオンギャップ(AG)は通常測定する陽イオンと陰イオンの差から、測定されない酸(不揮発性酸)の量を推定する指標で、AG=Na⁺−(Cl⁻+HCO₃⁻)で計算する。計算式で用いる陰イオンはクロール(Cl⁻)と重炭酸(HCO₃⁻)である。AGの増大は乳酸・ケト酸・腎不全による有機酸など未測定陰イオンの蓄積を示し、代謝性アシドーシスの原因鑑別に用いる。
●AG増加性代謝性アシドーシス=乳酸アシドーシス・糖尿病性ケトアシドーシス・腎不全・中毒(メタノール等)。
●AG正常性代謝性アシドーシス=下痢・尿細管性アシドーシス(HCO₃⁻喪失をCl⁻が代償)。
●未測定陰イオン=硫酸・リン酸・有機酸・アルブミン(補正AGで考慮)。
選択肢ごとの解説
- ① 硫酸はAGを構成する未測定陰イオンの一つだが、計算式に直接用いる陰イオンではない。
- ② 正しい。アニオンギャップの計算ではクロールとともに重炭酸(HCO₃⁻)を陰イオンとして用いる。
- ③ アルブミンは陰性荷電をもち補正に考慮するが、AGの計算式に用いる陰イオンではない。
- ④ カルボン酸はAGの計算式に用いる陰イオンではない。
- ⑤ スルホン酸はAGの計算式に用いる陰イオンではない。
第64回 午後32(臨床化学)
血清トランスフェリンについて正しいのはどれか。
- ①2価の鉄を含む。
- ②総鉄結合能に比例する。
- ③1分子は4個の鉄と結合できる。
- ④健常者では2/3は鉄と結合している。
- ⑤蛋白分画ではα₂-グロブリン分画に含まれる。
正答: ②総鉄結合能に比例する。
ポイント
トランスフェリンは肝臓で合成される鉄輸送蛋白で、1分子あたり3価の鉄(Fe³⁺)を2個結合する。血清中の総鉄結合能(TIBC)はトランスフェリン量を反映するため両者は比例関係にある。健常者では全結合能の約1/3が鉄で占められ(鉄飽和度約30%)、蛋白分画ではβ-グロブリン分画に泳動される。鉄欠乏ではトランスフェリン(TIBC)が増加し飽和度が低下する。
●鉄代謝の指標=血清鉄・TIBC(総鉄結合能)・UIBC(不飽和鉄結合能)・トランスフェリン飽和度・フェリチン。
●鉄欠乏性貧血の所見=血清鉄低下・TIBC上昇・フェリチン低下・飽和度低下。
●鉄輸送・貯蔵蛋白=トランスフェリン(輸送)・フェリチン/ヘモシデリン(貯蔵)。
選択肢ごとの解説
- ① トランスフェリンは2価ではなく3価の鉄(Fe³⁺)を結合する。
- ② 正しい。総鉄結合能(TIBC)はトランスフェリン量を反映し、両者は比例する。
- ③ 1分子は4個ではなく2個の鉄を結合する。
- ④ 健常者では約1/3が鉄と結合しており、2/3ではない。
- ⑤ 蛋白分画ではα2ではなくβ-グロブリン分画に含まれる。
第64回 午後33(臨床化学)
血糖検査において測定値が高い順に並んでいるのはどれか。
- ①動脈血>静脈血>毛細管血
- ②動脈血>毛細管血>静脈血
- ③静脈血>動脈血>毛細管血
- ④静脈血>毛細管血>動脈血
- ⑤毛細管血>動脈血>静脈血
正答: ②動脈血>毛細管血>静脈血
ポイント
血糖値は採血部位により差が生じ、組織へ酸素・糖を供給する前の動脈血が最も高く、組織で糖が消費された後の静脈血が最も低い。毛細管血(指尖など)は動静脈の混在で両者の中間だが動脈血に近い値を示す。したがって動脈血>毛細管血>静脈血の順となる。空腹時は差が小さいが、食後や糖負荷時に部位差が大きくなる。
●血糖測定の検体=全血・血漿・血清、毛細管血(簡易測定)。
●解糖阻止剤=フッ化ナトリウム(採血後の血球による糖消費を防ぐ)。
●血糖関連検査=随時/空腹時血糖・75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)・HbA1c・グリコアルブミン・1,5-AG。
選択肢ごとの解説
- ① 毛細管血と静脈血の順序が逆で、毛細管血が静脈血より高いため誤りである。
- ② 正しい。血糖値は動脈血>毛細管血>静脈血の順に高い。
- ③ 動脈血より静脈血を高く並べており、実際と逆である。
- ④ 静脈血を最も高く並べており、実際と逆である。
- ⑤ 毛細管血を動脈血より高く並べており、実際と逆である。
第64回 午後34(臨床化学)
炭化水素鎖中に2つ以上の二重結合を持つ脂肪酸はどれか。2つ選べ。
- ①オレイン酸
- ②リノール酸
- ③ステアリン酸
- ④パルミチン酸
- ⑤α-リノレン酸
正答: ②リノール酸・⑤α-リノレン酸
ポイント
炭化水素鎖中に二重結合を2つ以上もつ脂肪酸は多価不飽和脂肪酸である。リノール酸(炭素数18・二重結合2、n-6系)とα-リノレン酸(炭素数18・二重結合3、n-3系)が多価不飽和脂肪酸で、いずれもヒト体内で合成できない必須脂肪酸である。オレイン酸(二重結合1)は一価不飽和脂肪酸、ステアリン酸(C18:0)・パルミチン酸(C16:0)は二重結合をもたない飽和脂肪酸である。
●飽和脂肪酸=パルミチン酸・ステアリン酸(二重結合なし)。
●一価不飽和脂肪酸=オレイン酸(二重結合1)。
●多価不飽和脂肪酸=リノール酸(n-6)・α-リノレン酸/EPA/DHA(n-3)・アラキドン酸(n-6)。
選択肢ごとの解説
- ① オレイン酸は二重結合が1つの一価不飽和脂肪酸である。
- ② 正しい。リノール酸は二重結合を2つもつ多価不飽和脂肪酸である。
- ③ ステアリン酸は二重結合をもたない飽和脂肪酸である。
- ④ パルミチン酸は二重結合をもたない飽和脂肪酸である。
- ⑤ 正しい。α-リノレン酸は二重結合を3つもつ多価不飽和脂肪酸である。
第64回 午後35(臨床化学)
リポ蛋白粒子のコア部分に多く含まれるのはどれか。2つ選べ。
- ①リン脂質
- ②アポリポ蛋白
- ③トリグリセライド
- ④遊離型コレステロール
- ⑤エステル型コレステロール
正答: ③トリグリセライド・⑤エステル型コレステロール
ポイント
リポ蛋白は疎水性の脂質を内部に抱えた球状粒子で、疎水性のコアと親水性の表面単層からなる。コアには水に溶けにくい中性脂質、すなわちトリグリセライドとエステル型コレステロールが多く含まれる。表面層はリン脂質・遊離型コレステロール・アポリポ蛋白で構成され、これらの親水基を外側に向けることで脂質を血漿中で運搬する。
●リポ蛋白の構造=コア(トリグリセライド・コレステロールエステル)/表面(リン脂質・遊離コレステロール・アポ蛋白)。
●リポ蛋白の分類(比重順)=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。
●主なアポリポ蛋白=アポA(HDL)・アポB(LDL/VLDL)・アポC・アポE。
選択肢ごとの解説
- ① リン脂質は親水基を外に向けて表面層を構成する成分である。
- ② アポリポ蛋白は表面層に存在し、構造維持や受容体への結合を担う。
- ③ 正しい。トリグリセライドは疎水性のコアに多く含まれる。
- ④ 遊離型コレステロールは親水性の水酸基をもち表面層に分布する。
- ⑤ 正しい。エステル型コレステロールは疎水性が高くコアに多く含まれる。
📋 まとめの表を見る:主なリポ蛋白の分類(比重・脂質構成・アポ蛋白・蛋白含有量)
電気泳動での移動度は陽極側からHDL(α)>VLDL(preβ)>LDL(β)>原点(カイロミクロン)の順。アポA1はLCATを活性化、アポC2はLPLを活性化、アポC3はLPLを抑制、アポEはLDL受容体・レムナント受容体に認識される。LDL-コレステロールは日内変動が少なく、血清混濁はLDL自体ではなくトリグリセライド(カイロミクロン・VLDL)による。
第64回 午後36(臨床化学)
短期の栄養指標として用いられる血漿蛋白はどれか。2つ選べ。
- ①アルブミン
- ②ハプトグロビン
- ③セルロプラスミン
- ④トランスサイレチン
- ⑤レチノール結合蛋白
正答: ④トランスサイレチン・⑤レチノール結合蛋白
ポイント
栄養状態を反映する血漿蛋白は半減期が短いほど短期間の変化を鋭敏に反映する。トランスサイレチン(プレアルブミン、半減期約2日)とレチノール結合蛋白(半減期約0.5日)は半減期が短く、急速代謝回転蛋白(rapid turnover protein)として短期の栄養指標に用いられる。アルブミン(半減期約20日)は長期指標であり、ハプトグロビン・セルロプラスミンは栄養指標として用いない。
●急速代謝回転蛋白(短期栄養指標)=トランスサイレチン(プレアルブミン)・レチノール結合蛋白・トランスフェリン。
●長期栄養指標=アルブミン。
●急性相反応蛋白(炎症で上昇)=CRP・ハプトグロビン・セルロプラスミン・α₁-アンチトリプシン・フィブリノゲン。
選択肢ごとの解説
- ① アルブミンは半減期約20日と長く、短期栄養指標には適さない。
- ② ハプトグロビンは急性相反応蛋白で、栄養指標としては用いない。
- ③ セルロプラスミンは銅輸送・急性相反応蛋白で、栄養指標としては用いない。
- ④ 正しい。トランスサイレチン(プレアルブミン)は半減期が短く短期栄養指標となる。
- ⑤ 正しい。レチノール結合蛋白は半減期が短く短期栄養指標となる。
第64回 午後37(臨床化学)
血清尿素窒素濃度をウレアーゼ・グルタミン酸脱水素酵素法の終点法で測定した。血清0.02 mLに試薬1.98 mLを加えたところ、340 nmの吸光度が0.630低下した。血清尿素窒素濃度〔mg/dL〕はどれか。ただし、窒素〈N〉の原子量は14、NADHのモル吸光係数は6.3×10³ L・mol⁻¹・cm⁻¹とする。
正答: ①14
ポイント
ウレアーゼ・グルタミン酸脱水素酵素(GLDH)法では、尿素1モルから生じるアンモニア2モルがGLDH反応でNADH2モルを消費し、340nmの吸光度低下から尿素を定量する終点法である。本問はΔA=0.630、モル吸光係数ε=6.3×10³、希釈倍率2.00/0.02=100倍を用い、Lambert-Beerの法則と尿素窒素が窒素2原子分(原子量14×2)であることを反映して計算すると、血清尿素窒素濃度は14mg/dLとなる。
●尿素窒素測定法=ウレアーゼ・GLDH法・ウレアーゼ・インドフェノール法・ジアセチルモノオキシム法。
●腎機能の指標=尿素窒素(BUN)・クレアチニン・eGFR・シスタチンC。
●Lambert-Beerの法則=A=εcl(濃度算出に光路長と希釈倍率を考慮)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。吸光度変化と希釈倍率・窒素原子量から計算すると尿素窒素は14mg/dLとなる。
- ② 28は計算値14mg/dLと一致しない。
- ③ 42は計算値14mg/dLと一致しない。
- ④ 56は計算値14mg/dLと一致しない。
- ⑤ 70は計算値14mg/dLと一致しない。
第64回 午後38(臨床化学)
血清ビリルビンについて正しいのはどれか。
- ①抱合型はタウリンと結合している。
- ②酸化されるとビリベルジンとなる。
- ③新生児黄疸では抱合型が高値となる。
- ④非抱合型はジアゾ試薬と直接反応する。
- ⑤バナジン酸酸化法は吸光度の増加を測定する。
正答: ②酸化されるとビリベルジンとなる。
ポイント
ビリルビンはヘムの分解で生じ、非抱合型(間接型)は脂溶性でアルブミンと結合して肝へ運ばれ、肝細胞でグルクロン酸抱合を受けて水溶性の抱合型(直接型)となる。抱合型はジアゾ試薬と直接反応する(直接ビリルビン)。ビリルビンは酸化されると緑色のビリベルジンに変化する。新生児黄疸は肝の抱合能未熟により非抱合型が高値となり、バナジン酸酸化法はビリルビンの酸化に伴う吸光度の減少を測定する。
●ビリルビン分画=非抱合型(間接・脂溶性・アルブミン結合)/抱合型(直接・水溶性・グルクロン酸抱合)。
●非抱合型ビリルビン優位=溶血性黄疸・新生児黄疸・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群。
●抱合型ビリルビン優位=閉塞性黄疸・肝細胞性黄疸・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群。
選択肢ごとの解説
- ① 抱合型はタウリンではなくグルクロン酸と結合している。
- ② 正しい。ビリルビンは酸化されると緑色のビリベルジンとなる。
- ③ 新生児黄疸では抱合(グルクロン酸転移)能が未熟なため非抱合型が高値となる。
- ④ ジアゾ試薬と直接反応するのは非抱合型ではなく抱合型(直接ビリルビン)である。
- ⑤ バナジン酸酸化法はビリルビンの酸化に伴う吸光度の減少を測定する。
📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。
第64回 午後39(臨床化学)
酵素反応で正しいのはどれか。
- ①非拮抗阻害では最大反応速度は変化しない。
- ②拮抗阻害では基質濃度が高いほど阻害率が高くなる。
- ③1次反応領域の酵素反応速度は基質濃度に関係なく一定である。
- ④Michaelis-Mentenの式は酵素量と基質濃度の関係を表している。
- ⑤酵素活性の測定は酵素反応速度が酵素量に比例することを利用している。
正答: ⑤酵素活性の測定は酵素反応速度が酵素量に比例することを利用している。
ポイント
酵素活性の測定は、基質を十分に与え反応速度が酵素量に比例する条件下で初速度を測り、その速度から酵素量を算出する原理に基づく。競合(拮抗)阻害では基質濃度を上げると阻害が解除されるため阻害率は低下し、見かけのKmが増大するがVmaxは不変である。非競合(非拮抗)阻害ではVmaxが低下する。基質飽和の0次反応領域では速度が基質濃度によらず一定となる。
●酵素阻害の様式=競合阻害(Km増大・Vmax不変)・非競合阻害(Vmax低下)・不競合阻害。
●反応速度論=Michaelis-Menten式(速度と基質濃度の関係)・Lineweaver-Burkプロット。
●反応次数=0次反応(基質飽和・速度一定)/1次反応(基質濃度に比例)。
選択肢ごとの解説
- ① 非拮抗(非競合)阻害では最大反応速度Vmaxが低下するため、変化しないとはいえない。
- ② 拮抗(競合)阻害では基質濃度が高いほど阻害が解除され阻害率は低下するため、誤りである。
- ③ 速度が基質濃度によらず一定となるのは1次反応ではなく0次反応(基質飽和)領域である。
- ④ Michaelis-Mentenの式は反応速度と基質濃度の関係を表すもので、酵素量と基質濃度の関係ではない。
- ⑤ 正しい。酵素活性測定は反応速度が酵素量に比例することを利用している。
第64回 午後40(臨床化学)
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で合成基質が使用されているのはどれか。2つ選べ。
正答: ③ALP・⑤γ-GT
ポイント
日本臨床化学会(JSCC)勧告法のうち、アルカリホスファターゼ(ALP)とγ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)は人工的に合成した基質を用いる。ALPはp-ニトロフェニルリン酸を基質とし遊離するp-ニトロフェノールの吸光度を、γ-GTはL-γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリドを基質とし遊離する発色物質を測定する。CK・乳酸脱水素酵素(LD)・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は生体由来の基質を用いる。
●合成基質を用いるJSCC勧告法=ALP(p-ニトロフェニルリン酸)・γ-GT・LAP・α-アミラーゼ。
●共役酵素系で測定する酵素=AST・ALT(補酵素NADHの吸光度変化)。
●逆反応・指示反応を利用=CK(クレアチンキナーゼ)・LD(乳酸脱水素酵素)。
選択肢ごとの解説
- ① CKはクレアチンリン酸など生体由来基質を用いる。
- ② LD(乳酸脱水素酵素)は乳酸・ピルビン酸など生体由来基質を用いる。
- ③ 正しい。ALPはp-ニトロフェニルリン酸という合成基質を用いる。
- ④ AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)はアスパラギン酸・α-ケトグルタル酸など生体由来基質を用いる。
- ⑤ 正しい。γ-GTはL-γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリドという合成基質を用いる。
第64回 午後41(臨床化学)
血中濃度モニタリングを必要としないのはどれか。
- ①アスピリン
- ②ジゴキシン
- ③タクロリムス
- ④テオフィリン
- ⑤リチウム
正答: ①アスピリン
ポイント
治療薬物モニタリング(TDM)は、有効血中濃度域と中毒域が近接し、効果や副作用が血中濃度とよく相関する薬物で行う。ジゴキシン・タクロリムス・テオフィリン・リチウムはいずれも治療域が狭く中毒に注意を要するためTDMの対象である。アスピリンは抗血小板薬として低用量で用いる場合などルーチンの血中濃度測定を必要とせず、一般にTDMの対象とはされない。
●TDM対象の強心薬=ジゴキシン。
●TDM対象の免疫抑制薬=タクロリムス・シクロスポリン・ミコフェノール酸。
●TDM対象のその他=テオフィリン(気管支拡張薬)・リチウム(気分安定薬)・バンコマイシン/アミノグリコシド(抗菌薬)・抗てんかん薬(フェニトイン等)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。アスピリンは通常ルーチンの血中濃度モニタリングを必要としない。
- ② ジゴキシンは治療域が狭く中毒を起こしやすいためTDMが必要である。
- ③ タクロリムスは免疫抑制薬で有効域が狭くTDMが必要である。
- ④ テオフィリンは治療域が狭くTDMが必要である。
- ⑤ リチウムは治療域が狭く中毒域に近いためTDMが必要である。
第64回 午後42(臨床化学)
アミノ酸誘導体ホルモンはどれか。
- ①レニン
- ②アドレナリン
- ③アルドステロン
- ④バソプレッシン
- ⑤アンギオテンシン
正答: ②アドレナリン
ポイント
ホルモンは化学構造からペプチド(蛋白)ホルモン・ステロイドホルモン・アミノ酸誘導体ホルモンに大別される。アドレナリン(エピネフリン)は副腎髄質でアミノ酸チロシンから合成されるカテコールアミンで、アミノ酸誘導体ホルモンに分類される。レニンは蛋白分解酵素、アンギオテンシン・バソプレッシンはペプチド、アルドステロンはステロイドホルモンである。
●アミノ酸誘導体ホルモン=カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミン)・甲状腺ホルモン(T3・T4)。
●ペプチド/蛋白ホルモン=インスリン・成長ホルモン・バソプレッシン・副甲状腺ホルモン・アンギオテンシン。
●ステロイドホルモン=コルチゾール・アルドステロン・性ホルモン・活性型ビタミンD。
選択肢ごとの解説
- ① レニンは蛋白分解酵素(ペプチド性)で、アミノ酸誘導体ホルモンではない。
- ② 正しい。アドレナリンはチロシンから合成されるアミノ酸誘導体(カテコールアミン)である。
- ③ アルドステロンは副腎皮質で合成されるステロイドホルモンである。
- ④ バソプレッシンはペプチドホルモンである。
- ⑤ アンギオテンシンはペプチドホルモンである。
第64回 午後43(臨床化学)
核内レセプターを介して作用するホルモンはどれか。
- ①インスリン
- ②ガストリン
- ③バソプレッシン
- ④ノルアドレナリン
- ⑤トリヨードサイロニン〈T3〉
正答: ⑤トリヨードサイロニン〈T3〉
ポイント
脂溶性のステロイドホルモンや甲状腺ホルモンは細胞膜を通過し、細胞質または核内の核内受容体に結合して標的遺伝子の転写を調節する。トリヨードサイロニン(T3)は甲状腺ホルモンで核内受容体を介して作用する。一方、水溶性のペプチドホルモンやカテコールアミンは細胞膜表面の受容体に結合し、セカンドメッセンジャーを介して作用する。
●核内受容体を介するホルモン=甲状腺ホルモン(T3・T4)・ステロイドホルモン・活性型ビタミンD・レチノイン酸。
●細胞膜受容体(Gタンパク質共役型)=バソプレッシン・ガストリン・カテコールアミン。
●細胞膜受容体(受容体型チロシンキナーゼ)=インスリン・各種成長因子。
選択肢ごとの解説
- ① インスリンは細胞膜の受容体型チロシンキナーゼを介して作用する。
- ② ガストリンは細胞膜受容体を介して作用するペプチドホルモンである。
- ③ バソプレッシンは細胞膜受容体(V受容体)を介して作用する。
- ④ ノルアドレナリンは細胞膜のアドレナリン受容体を介して作用する。
- ⑤ 正しい。トリヨードサイロニン(T3)は核内受容体を介して遺伝子転写を調節する。
第64回 午後44(臨床化学)
早朝起床時に分泌がピークとなるのはどれか。
- ①インスリン
- ②エストロゲン
- ③コルチゾール
- ④成長ホルモン
- ⑤副甲状腺ホルモン
正答: ③コルチゾール
ポイント
コルチゾールは概日リズム(日内変動)が顕著なホルモンで、早朝起床時に分泌がピークとなり、夜間就寝時に最低となる。視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)の調節を受け、ストレスでも上昇する。成長ホルモンは入眠後の深睡眠期に分泌が増加し、コルチゾールとは分泌のピーク時相が異なる。
●明瞭な日内変動を示すホルモン=コルチゾール(早朝高値)・成長ホルモン(深睡眠期高値)・メラトニン(夜間高値)。
●コルチゾール分泌異常=Cushing症候群(過剰・日内変動消失)・Addison病(低下)。
●HPA軸=CRH(視床下部)→ACTH(下垂体)→コルチゾール(副腎皮質)。
選択肢ごとの解説
- ① インスリンは血糖値に応じて分泌され、早朝に固定したピークをもたない。
- ② エストロゲンは月経周期に従って変動し、起床時にピークを示すものではない。
- ③ 正しい。コルチゾールは早朝起床時に分泌がピークとなる日内変動を示す。
- ④ 成長ホルモンは入眠後の深睡眠期に分泌が増加する。
- ⑤ 副甲状腺ホルモンは血中カルシウムに応じて調節され、起床時に一定のピークをもたない。
第64回 午後45(病理組織細胞学)
縦隔に存在しないのはどれか。
正答: ①肺
ポイント
縦隔は左右の肺と胸膜に挟まれた胸郭中央の領域で、心臓・大血管・気管・食道・胸腺・神経・リンパ節などが存在する。肺は縦隔の左右に位置する臓器であり、縦隔の中には含まれない。縦隔は上縦隔と、前・中・後縦隔に区分され、各区画で好発する腫瘍が異なる。
●縦隔内の臓器=心臓・大血管・気管・気管支・食道・胸腺・迷走神経/横隔神経・リンパ節・胸管。
●縦隔の区分=上縦隔・前縦隔・中縦隔・後縦隔。
●縦隔腫瘍の好発=前縦隔(胸腺腫・奇形腫・甲状腺腫)・中縦隔(リンパ腫・嚢腫)・後縦隔(神経原性腫瘍)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。肺は縦隔の左右に位置する臓器で、縦隔の中には含まれない。
- ② 胸腺は前縦隔に存在する。
- ③ 食道は後縦隔を縦走する。
- ④ 気管は上縦隔から中縦隔を走行する。
- ⑤ 心臓は中縦隔に存在する。
第64回 午後46(病理組織細胞学)
特異的かつ遺伝的にプログラムされた生理的刺激による細胞死はどれか。
- ①壊疽
- ②乾酪壊死
- ③凝固壊死
- ④融解壊死
- ⑤アポトーシス
正答: ⑤アポトーシス
ポイント
アポトーシスは遺伝的にプログラムされた能動的な細胞死で、細胞の縮小・核濃縮・DNAの規則的断片化・アポトーシス小体の形成を特徴とし、周囲に炎症を伴わない。胎生期の組織形成や不要細胞の除去など生理的な刺激で生じる。一方、壊死(凝固壊死・融解壊死・乾酪壊死・壊疽)は虚血や傷害などによる受動的な細胞死で、細胞の膨化・崩壊と炎症反応を伴う。
●プログラム細胞死=アポトーシス(炎症なし・DNA断片化・アポトーシス小体)。
●凝固壊死=心筋梗塞などの虚血、組織構造が一時保たれる。
●融解壊死=脳の梗塞・化膿巣。乾酪壊死=結核。壊疽=壊死+腐敗/乾燥。
選択肢ごとの解説
- ① 壊疽は壊死に腐敗や乾燥が加わった病的細胞死で、プログラムされた生理的死ではない。
- ② 乾酪壊死は結核などでみられる壊死で、プログラム死ではない。
- ③ 凝固壊死は虚血などによる受動的な壊死である。
- ④ 融解壊死は脳などでみられる壊死で、プログラム死ではない。
- ⑤ 正しい。アポトーシスは遺伝的にプログラムされた生理的な細胞死である。
第64回 午後47(病理組織細胞学)
肺癌について正しいのはどれか。
- ①日本における死亡者数は増加傾向にある。
- ②扁平上皮癌は末梢発生が多い。
- ③小細胞癌は予後良好群に含まれる。
- ④腺癌は喫煙に関連する。
- ⑤転移性肺癌は単発性腫瘤を形成することが多い。
正答: ①日本における死亡者数は増加傾向にある。・④腺癌は喫煙に関連する。
ポイント
肺癌は日本で悪性腫瘍死亡の上位を占め、死亡者数は増加傾向にある。組織型では腺癌が最も多く、近年は腺癌でも喫煙との関連が指摘される。扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。小細胞癌は進行が速く予後不良群に分類され、転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。
●肺癌の組織型=腺癌(末梢・最多)・扁平上皮癌(中枢・喫煙関連)・小細胞癌(中枢・喫煙関連・予後不良)・大細胞癌。
●小細胞癌の特徴=神経内分泌性・進行速い・化学/放射線感受性・予後不良。
●腫瘍マーカー=CEA(腺癌)・SCC/CYFRA(扁平上皮癌)・ProGRP/NSE(小細胞癌)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。日本における肺癌の死亡者数は増加傾向にある。
- ② 扁平上皮癌は中枢(肺門部)発生が多く、末梢発生が多いとはいえない。
- ③ 小細胞癌は進行が速く予後不良群に分類される。
- ④ 正しい。腺癌も喫煙との関連が指摘されている。
- ⑤ 転移性肺癌は多発性結節を形成することが多く、単発性とはいえない。
📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。
第64回 午後48(病理組織細胞学)
乳癌について正しいのはどれか。
- ①両側性に発症することが多い。
- ②遠隔転移臓器としては骨が多い。
- ③ウイルス感染が発症に関係している。
- ④癌の中でも予後が悪い癌に分類される。
- ⑤乳房の内側上四分円に発生することが最も多い。
正答: ②遠隔転移臓器としては骨が多い。
ポイント
乳癌は遠隔転移として骨・肺・肝・脳などに転移し、なかでも骨転移が多い。発生部位は乳房の外側上四分円が最も多い。多くは片側性に発生し、ウイルス感染との因果関係は確立していない。早期発見・治療により予後は比較的良好な癌である。
●乳癌の好発部位=外側上四分円が最多。
●乳癌の遠隔転移=骨・肺・肝・脳。
●乳癌の予後・治療関連因子=ホルモン受容体(ER/PgR)・HER2・Ki-67・リンパ節転移。
選択肢ごとの解説
- ① 乳癌は片側性が多く、両側性発症が多いとはいえない。
- ② 正しい。乳癌の遠隔転移臓器としては骨が多い。
- ③ 乳癌の発症にウイルス感染が関与するとは確立していない。
- ④ 乳癌は治療成績が比較的良好で、予後が悪い癌には分類されない。
- ⑤ 乳癌の発生は内側上四分円ではなく外側上四分円が最も多い。
第64回 午後49(病理組織細胞学)
ピクリン酸を含む固定液はどれか。2つ選べ。
- ①PLP固定液
- ②オルト〈Ortho〉液
- ③ブアン〈Bouin〉液
- ④カルノア〈Carnoy〉液
- ⑤ザンボーニ〈Zamboni〉液
正答: ③ブアン〈Bouin〉液・⑤ザンボーニ〈Zamboni〉液
ポイント
ピクリン酸を含む固定液はブアン(Bouin)液とザンボーニ(Zamboni)液である。ブアン液はピクリン酸・ホルマリン・酢酸の混合液で、組織収縮が少なく核や結合組織の固定に優れる。ザンボーニ液はピクリン酸とパラホルムアルデヒドを含み、免疫染色や電子顕微鏡用の固定に用いる。PLP・オルト(Orth)・カルノア(Carnoy)液はピクリン酸を含まない。
●ピクリン酸含有固定液=ブアン液・ザンボーニ液。
●アルコール系固定液=カルノア液(エタノール・クロロホルム・酢酸)。
●重クロム酸系固定液=オルト液・ミュラー液。免疫用=PLP固定液(パラホルムアルデヒド・リジン・過ヨウ素酸)。
選択肢ごとの解説
- ① PLP固定液はパラホルムアルデヒド・リジン・過ヨウ素酸からなり、ピクリン酸を含まない。
- ② オルト液は重クロム酸カリウムなどを含む固定液で、ピクリン酸を含まない。
- ③ 正しい。ブアン液はピクリン酸・ホルマリン・酢酸を含む固定液である。
- ④ カルノア液はエタノール・クロロホルム・酢酸からなり、ピクリン酸を含まない。
- ⑤ 正しい。ザンボーニ液はピクリン酸とパラホルムアルデヒドを含む固定液である。
第64回 午後50(病理組織細胞学)
パラフィン包埋法に用いる中間剤はどれか。2つ選べ。
- ①アセトン
- ②キシレン
- ③エタノール
- ④メタノール
- ⑤クロロホルム
正答: ②キシレン・⑤クロロホルム
ポイント
パラフィン包埋では脱水後、パラフィンと親和性のある中間剤(透徹剤)で組織内のエタノールを置換してからパラフィンを浸透させる。中間剤にはキシレンやクロロホルムが用いられ、いずれも脱水剤(エタノール)とパラフィンの両方に混和する性質をもつ。アセトン・エタノール・メタノールは脱水に用いる試薬で、中間剤ではない。
●パラフィン包埋の工程=固定→脱水→透徹(中間剤)→浸透→包埋。
●脱水剤=エタノール(上昇系列)・アセトン。
●中間剤(透徹剤)=キシレン・クロロホルム・トルエン。
選択肢ごとの解説
- ① アセトンは脱水剤として用いられ、中間剤ではない。
- ② 正しい。キシレンはパラフィン包埋の中間剤(透徹剤)として用いられる。
- ③ エタノールは脱水に用いる試薬で、中間剤ではない。
- ④ メタノールは固定・脱水に用いる試薬で、中間剤ではない。
- ⑤ 正しい。クロロホルムはパラフィン包埋の中間剤(透徹剤)として用いられる。