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第64回(2018) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第64回 午後51(病理組織細胞学)
アンモニア銀を用いる染色法はどれか。2つ選べ。
①PAM染色 ②Kossa反応 ③渡辺の鍍銀法 ④Grimelius染色 ⑤Masson-Fontana染色
正答: ③渡辺の鍍銀法・⑤Masson-Fontana染色
ポイント 鍍銀法は銀塩の還元により目的物を黒染する染色法で、用いる銀液により大きく二系統に分けられる。硝酸銀にアンモニア水を加えて銀アンモニア錯体(アンモニア銀)とした液を用いるのが渡辺の鍍銀法とMasson-Fontana染色で、前者は細網線維を、後者はメラニンや親銀性顆粒を黒染する。PAM(過ヨウ素酸メセナミン銀)染色やGrocott染色は硝酸銀とメセナミン(ヘキサミン)から調製するメセナミン銀を用いる染色で、アンモニア銀は用いない。Kossa反応とGrimelius染色は硝酸銀をそのまま用いる。●アンモニア銀(銀アンモニア錯体)系=渡辺の鍍銀法(細網線維)・Masson-Fontana染色(メラニン・親銀性顆粒)。●メセナミン銀系=PAM染色(基底膜)・Grocott染色(真菌・ニューモシスチス)。●硝酸銀系=Kossa反応(カルシウム)・Grimelius染色(好銀性内分泌顆粒)。●親銀性(銀還元性、argentaffin)と好銀性(argyrophil)の別=Masson-Fontana法は外部還元剤不要の親銀性反応、Grimelius法は外部還元剤を要する好銀性反応。
選択肢ごとの解説
① PAM染色は硝酸銀とメセナミン(ヘキサミン)から調製するメセナミン銀を用いる基底膜染色で、アンモニア銀は用いない。 ② Kossa反応は硝酸銀を用いてカルシウム沈着部を黒染する方法で、アンモニア銀は用いない。 ③ 正しい。渡辺の鍍銀法は細網線維を黒染する方法で、銀アンモニア(アンモニア銀)液を用いて行う。 ④ Grimelius染色は硝酸銀を用いて好銀性の内分泌顆粒を染める方法で、アンモニア銀は用いない。 ⑤ 正しい。Masson-Fontana染色はアンモニア銀(銀アンモニア錯体)を用いてメラニンや親銀性顆粒を黒染する。
第64回 午後52(病理組織細胞学)
toluidine blue染色で異染性を示すのはどれか。
①膠原線維 ②脂肪細胞 ③心筋線維 ④神経線維 ⑤軟骨基質
正答: ⑤軟骨基質
ポイント 異染性(メタクロマジー)とは、塩基性色素が本来の色調と異なる色で組織を染める現象で、酸性ムコ多糖(プロテオグリカン)の硫酸基やカルボキシル基に色素分子が高密度に重合配列することで生じる。トルイジンブルー(青色の塩基性色素)は、酸性ムコ多糖に富む軟骨基質を赤紫色に染め分ける。膠原線維・脂肪細胞・心筋線維・神経線維はいずれも酸性ムコ多糖に乏しく、異染性を示さない。●異染性を示すもの=軟骨基質・肥満細胞顆粒(ヘパリン)・粘液・アミロイド(メチルバイオレット系)。●トルイジンブルーの用途=肥満細胞の検出・軟骨基質・神経組織(Nissl小体)の染色。●酸性ムコ多糖を染める他法=アルシアン青(pH別で硫酸化/非硫酸化を区別)・コロイド鉄染色・PAS反応(中性粘液)。
選択肢ごとの解説
① 膠原線維はコラーゲンが主体で酸性ムコ多糖に乏しく、異染性を示さない。 ② 脂肪細胞は中性脂肪が主体で、トルイジンブルーの異染性は示さない。 ③ 心筋線維は収縮蛋白が主体で、異染性を示さない。 ④ 神経線維は正常では異染性を示さない。 ⑤ 正しい。軟骨基質は酸性ムコ多糖(プロテオグリカン)に富み、トルイジンブルーで赤紫色の異染性を示す。
第64回 午後53(病理組織細胞学)
肺の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB053.c8ddb66259.jpg
①Gram染色 ②orcein染色 ③Giemsa染色 ④Grocott染色 ⑤mucicarmine染色
正答: ④Grocott染色
ポイント 肺の特殊染色で真菌や肺胞内のニューモシスチス・イロベチー(旧称カリニ)を黒染する代表的方法はGrocott染色(メセナミン銀染色)である。菌体壁の多糖をクロム酸で酸化して生じたアルデヒド基がメセナミン銀を還元し、菌体を黒褐色に、背景を淡緑色(ライトグリーン)に染め分ける。本像では、肺胞内に黒染した菌体が淡緑色の背景上に描出された像と考えられる。Grocott染色は深在性真菌症やニューモシスチス肺炎の検出に有用である。●真菌・ニューモシスチスの染色=Grocott染色(メセナミン銀・黒染)・PAS反応(赤紫染)。●クリプトコッカスの莢膜=ムチカルミン染色(赤染)・墨汁法(排除帯)。●弾性線維・HBs抗原=オルセイン染色。●抗酸菌=チール・ネルゼン染色(赤染)。
選択肢ごとの解説
① グラム染色は細菌のグラム陽性・陰性の染め分けに用い、真菌を黒染する銀染色像とは異なる。 ② オルセイン染色は弾性線維やB型肝炎表面抗原の染色に用い、本像には合致しない。 ③ ギムザ染色は血液細胞や一部微生物に用いるが、黒い菌体像を呈する銀染色ではない。 ④ 正しい。Grocott染色(メセナミン銀)は真菌やニューモシスチスの菌体壁を黒染し、肺の真菌・ニューモシスチス検出に用いる。 ⑤ ムチカルミン染色は粘液やクリプトコッカスの莢膜を赤染する方法で、黒染像とは異なる。
📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象
第64回 午後54(病理組織細胞学)
走査型電子顕微鏡標本の作製過程に含まれないのはどれか。
正答: ③超薄切
ポイント 「含まれないのはどれか」型の設問である。走査型電子顕微鏡(SEM)は試料表面を電子線で走査し、放出される二次電子から立体的な表面像を得る。標本作製では細切・固定・脱水乾燥のあと、試料に導電性を与えるため金やオスミウム等を蒸着する金属イオン蒸着や導電染色を行う。超薄切は試料内部を電子線が透過する透過型電子顕微鏡(TEM)の標本作製過程であり、表面観察を行うSEMには含まれない。●走査型電子顕微鏡(SEM・表面像)=細切・固定・脱水乾燥(臨界点乾燥等)・導電染色・金属イオン蒸着。●透過型電子顕微鏡(TEM・内部微細構造)=固定(グルタルアルデヒド・四酸化オスミウム)・脱水・樹脂包埋・超薄切・電子染色(酢酸ウラン・クエン酸鉛)。
選択肢ごとの解説
① 細切はSEM標本作製に含まれる過程で、適切な大きさに試料を切り出す。 ② 固定はSEM標本作製に含まれ、グルタルアルデヒドなどで構造を保持する。 ③ 誤り。超薄切は試料を透過させる透過型電子顕微鏡の標本作製過程であり、表面観察を行う走査型電子顕微鏡には含まれない。 ④ 導電染色はSEM標本作製に含まれ、試料表面に導電性を付与してチャージアップを防ぐ。 ⑤ 金属イオン蒸着はSEM標本作製に含まれ、金などを蒸着して導電性と二次電子放出を高める。
第64回 午後55(病理組織細胞学)
電子顕微鏡による検索が有用なのはどれか。2つ選べ。
①癌の深達度の判定 ②糸球体腎炎の分類 ③癌の脈管侵襲の有無 ④神経内分泌顆粒の確認 ⑤細菌性肺炎における原因菌の同定
正答: ②糸球体腎炎の分類・④神経内分泌顆粒の確認
ポイント 電子顕微鏡は光学顕微鏡の分解能を超える微細(超微)構造を観察できる点に意義がある。糸球体腎炎の分類では基底膜の変化や電子高密度沈着物(免疫複合体)の局在を超微形態で評価でき、神経内分泌腫瘍では細胞質内の有芯顆粒(神経内分泌顆粒)の確認に有用である。癌の深達度や脈管侵襲は組織全体の構築を見る光学顕微鏡レベルの評価であり、細菌の同定は培養や染色で行うため、いずれも電子顕微鏡は適さない。●電子顕微鏡が有用な対象=糸球体腎炎の微細分類・神経内分泌顆粒・線毛(運動)異常症の線毛構造・腫瘍細胞内小器官(デスモソーム・メラノソーム等)。●光学顕微鏡で評価=癌の深達度・脈管侵襲・組織型。●細菌同定=培養・グラム染色・質量分析・遺伝子検査。
選択肢ごとの解説
① 癌の深達度判定は組織全体の浸潤範囲を見る必要があり、光学顕微鏡で評価する。 ② 正しい。糸球体腎炎の分類は基底膜の変化や免疫複合体沈着の微細構造を要し、電子顕微鏡が有用である。 ③ 癌の脈管侵襲の有無は光学顕微鏡(必要に応じ弾性線維染色など)で評価する。 ④ 正しい。神経内分泌顆粒(有芯顆粒)は電子顕微鏡で確認でき、神経内分泌腫瘍の診断に有用である。 ⑤ 細菌性肺炎の原因菌同定は培養・グラム染色などで行い、電子顕微鏡は通常用いない。
📋 まとめの表を見る:電子顕微鏡検査が有用な対象・有用でない対象
腎生検は光学顕微鏡・蛍光抗体法・電子顕微鏡の3手法を組み合わせて評価するのが基本。
第64回 午後56(病理組織細胞学)
子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。腫瘍細胞所見について正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB056.6b619dba73.jpg
正答: ⑤核小体明瞭
ポイント 子宮頸部の悪性(腫瘍)細胞の所見を問う図問題である。一般に悪性細胞は核腫大、核細胞質比(N/C比)増大、核形不整、クロマチン増量・不均等分布とともに核小体の明瞭化を示し、核小体明瞭はrRNAの合成やリボソーム形成の亢進を反映する悪性所見である。角化・核濃染・層状構造は扁平上皮の成熟や分化を反映する所見で、悪性を直接示すものではない。本像では、明瞭な核小体をもつ異型細胞が呈示されていると考えられる。●悪性細胞の核所見=核腫大・N/C比増大・核形不整・クロマチン増量・核小体明瞭・核分裂異常。●扁平上皮の成熟/分化所見=角化・オレンジG好性・層状(重層)配列。●子宮頸部細胞診の評価=ベセスダシステム(NILM/ASC-US/LSIL/HSIL/SCC)。
選択肢ごとの解説
① 角化は扁平上皮の成熟・分化を反映する所見で、悪性を直接示すものではない。 ② 核濃染(クロマチン濃染)はみられることがあるが、本問で示された正答所見ではない。 ③ 核分裂像は悪性の参考となるが、本問で示された所見ではない。 ④ 層状構造は良性扁平上皮の重層配列を示し、悪性所見ではない。 ⑤ 正しい。図では核内に明瞭な核小体が認められる。核小体はrRNAの合成やリボソームの形成に関わり、その明瞭化は悪性細胞でしばしばみられるが、反応性細胞でも認めることがある。
📋 まとめの表を見る:悪性腫瘍細胞にみられる核・細胞質の異型所見(総論)
良性・反応性細胞は核が円形で整い、クロマチンは細顆粒状で核小体は目立たない。
第64回 午後57(病理組織細胞学)
頸部リンパ節穿刺吸引細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB057.8da3ef106f.jpg
①腺癌 ②小細胞癌 ③脂肪肉腫 ④扁平上皮癌 ⑤悪性リンパ腫
正答: ④扁平上皮癌
ポイント 頸部リンパ節穿刺吸引細胞診で転移性病変を考える図問題である。頸部リンパ節は頭頸部や肺・食道の扁平上皮癌の転移好発部位であり、本来リンパ球からなるリンパ節に角化や明瞭な細胞境界をもつ異型扁平上皮細胞集塊が出現すれば転移性扁平上皮癌を考える。本像では、オレンジG好性の角化を伴う異型扁平上皮細胞が呈示されていると考えられる。●転移性扁平上皮癌の細胞所見=角化・濃染核・明瞭な細胞境界・オタマジャクシ細胞。●頸部リンパ節腫大の鑑別=転移癌・悪性リンパ腫(単調な異型リンパ球)・結核性リンパ節炎(類上皮細胞・乾酪壊死)・反応性過形成。●他の転移癌像=腺癌(腺腔・粘液)・小細胞癌(裸核状小細胞・木目込み)。
選択肢ごとの解説
① 腺癌は腺腔形成や粘液を示すが、頸部リンパ節転移で頻度が高いのは扁平上皮癌である。 ② 小細胞癌は裸核状の小型細胞が木目込み状に配列し、本像とは異なる。 ③ 脂肪肉腫は軟部腫瘍でリンパ節穿刺像としては考えにくい。 ④ 正しい。頸部リンパ節は頭頸部扁平上皮癌の転移好発部位で、角化を伴う異型扁平上皮細胞がみられる。 ⑤ 悪性リンパ腫は単調な異型リンパ球の増殖を示し、扁平上皮細胞集塊とは像が異なる。
第64回 午後58(病理組織細胞学)
医薬用外劇物に指定されているのはどれか。2つ選べ。
①エタノール ②メタノール ③パラフィン ④イソプロパノール ⑤ホルムアルデヒド
正答: ②メタノール・⑤ホルムアルデヒド
ポイント 毒物及び劇物取締法における医薬用外劇物の指定を問う問題である。メタノールは摂取により代謝産物のギ酸が蓄積し視神経障害(失明)や代謝性アシドーシスを起こすため劇物に指定され、ホルムアルデヒド(ホルマリンの主成分)も強い粘膜刺激性と発がん性から劇物に指定されている。エタノール・イソプロパノール(消毒用アルコール)・パラフィン(包埋剤)はいずれも劇物指定を受けていない。●検査室で扱う医薬用外劇物の例=メタノール・ホルムアルデヒド・キシレン・フェノール・過酸化水素(高濃度)。●毒物の例=シアン化合物・水銀化合物・ヒ素化合物。●指定なしの有機溶媒等=エタノール・イソプロパノール・パラフィン。
選択肢ごとの解説
① エタノールは医薬用外劇物に指定されていない。 ② 正しい。メタノールは視神経障害(失明)の毒性をもち、医薬用外劇物に指定されている。 ③ パラフィンは劇物に指定されていない包埋剤である。 ④ イソプロパノールは医薬用外劇物に指定されていない。 ⑤ 正しい。ホルムアルデヒド(ホルマリン)は粘膜刺激性・発がん性をもち、医薬用外劇物に指定されている。
第64回 午後59(臨床血液学)
骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本を別に示す。矢印の細胞について誤っているのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB059.6058a1e8ce.jpg
①貪食作用を持つ。 ②抗原提示を行う。 ③サイトカインの産生を行う。 ④動脈硬化の形成に関与する。 ⑤免疫グロブリンを産生する。
正答: ⑤免疫グロブリンを産生する。
ポイント 「誤っているのはどれか」型の図問題である。骨髄のメイ・ギムザ標本で示された矢印の細胞は、豊富な細胞質と貪食像をもつマクロファージ(単球由来)と考えられる。マクロファージは異物・老廃細胞の貪食、抗原提示によるT細胞への情報伝達、インターロイキン1や腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン産生を行い、酸化LDLを取り込んだ泡沫細胞として動脈硬化巣の形成にも関与する。免疫グロブリン(抗体)を産生するのはB細胞から分化した形質細胞であり、マクロファージは産生しない。●単核食細胞系(マクロファージ・単球・樹状細胞)の機能=貪食・抗原提示・サイトカイン産生・炎症調節。●形質細胞の機能=免疫グロブリン(抗体)産生。●骨髄でみる大型細胞=マクロファージ・巨核球・破骨細胞(多核)・骨芽細胞。
選択肢ごとの解説
① マクロファージは貪食作用をもち、異物や老廃細胞を取り込む。 ② マクロファージは抗原提示を行い、T細胞へ抗原情報を伝える。 ③ マクロファージはインターロイキン1や腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカインを産生する。 ④ マクロファージは酸化LDLを取り込んだ泡沫細胞として動脈硬化巣の形成に関与する。 ⑤ 誤り。免疫グロブリンを産生するのは形質細胞であり、マクロファージは免疫グロブリンを産生しない。
📋 まとめの表を見る:白血球・単球系細胞の主な機能
第64回 午後60(臨床血液学)
一次止血はどれか。
①血小板の粘着 ②組織因子の発現 ③トロンビンの産生 ④フィブリンの分解 ⑤プラスミノゲンの活性化
正答: ①血小板の粘着
ポイント 止血機構は一次止血と二次止血に大別される。一次止血は血管損傷部で血小板がフォン・ヴィレブランド因子を介して露出した内皮下コラーゲンに粘着し、続いて活性化・凝集して血小板血栓(白色血栓)を形成する過程である。組織因子の発現に始まるトロンビン産生・フィブリン形成は二次止血(凝固反応)で、フィブリン分解やプラスミノゲンの活性化は線溶系に属する。●一次止血=血小板の粘着(vWF・コラーゲン)・放出・凝集。●二次止血=組織因子・凝固カスケード・トロンビン産生・フィブリン形成・第ⅩⅢ因子による安定化。●線溶系=プラスミノゲン活性化(t-PA)・プラスミン・フィブリン分解(FDP・Dダイマー)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。血小板の粘着は一次止血の起点で、フォン・ヴィレブランド因子を介し内皮下コラーゲンに粘着する。 ② 組織因子の発現は二次止血(凝固反応)の開始に関与する。 ③ トロンビンの産生は二次止血の凝固カスケードに属する。 ④ フィブリンの分解は線溶系の反応で、止血ではなく血栓溶解に関わる。 ⑤ プラスミノゲンの活性化は線溶系の反応である。
第64回 午後61(臨床血液学)
凝固因子でないのはどれか。
①組織因子 ②プロテインC ③フィブリノゲン ④プロトロンビン ⑤フィブリン安定化因子
正答: ②プロテインC
ポイント 「凝固因子でないのはどれか」型の設問である。プロテインCはトロンビン・トロンボモジュリン複合体により活性化され、活性化第Ⅴ因子・第Ⅷ因子を分解してトロンビン産生を抑える抗凝固(凝固制御)因子であり、凝固カスケードを進める凝固因子ではない。組織因子(第Ⅲ因子)、フィブリノゲン(第Ⅰ因子)、プロトロンビン(第Ⅱ因子)、フィブリン安定化因子(第ⅩⅢ因子)はいずれも凝固因子である。●凝固因子(第Ⅰ〜ⅩⅢ因子)=フィブリノゲン・プロトロンビン・組織因子・第Ⅴ・Ⅶ・Ⅷ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅺ・Ⅻ・第ⅩⅢ因子。●抗凝固(凝固制御)因子=アンチトロンビン・プロテインC・プロテインS・トロンボモジュリン・組織因子経路インヒビター。●ビタミンK依存性因子=第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子・プロテインC・プロテインS。
選択肢ごとの解説
① 組織因子は第Ⅲ因子で、外因系凝固を開始する凝固因子である。 ② 誤り。プロテインCは活性化第Ⅴ・第Ⅷ因子を分解する抗凝固因子であり、凝固因子ではない。 ③ フィブリノゲンは第Ⅰ因子で、トロンビンによりフィブリンへ転換される凝固因子である。 ④ プロトロンビンは第Ⅱ因子で、トロンビンの前駆体となる凝固因子である。 ⑤ フィブリン安定化因子は第ⅩⅢ因子で、フィブリンを架橋安定化する凝固因子である。
📋 まとめの表を見る:血液凝固因子と凝固制御因子
※プロテインC・プロテインS・アンチトロンビン・組織因子経路インヒビターは凝固を抑える抗凝固(凝固制御)因子 で、凝固因子には含まれない。
第64回 午後62(臨床血液学)
赤血球沈降速度を遅延させるのはどれか。2つ選べ。
①赤血球増加症 ②寒冷凝集素症 ③高グロブリン血症 ④低アルブミン血症 ⑤低フィブリノゲン血症
正答: ①赤血球増加症・⑤低フィブリノゲン血症
ポイント 赤血球沈降速度(赤沈)は、血漿蛋白とりわけフィブリノゲンやγ-グロブリンが赤血球表面の陰性荷電を中和して連銭(ルロー)形成を促すと促進し、赤血球数が多いほど沈降が妨げられて遅延する。赤血球増加症(多血)では赤血球数増加により赤沈は遅延し、低フィブリノゲン血症では連銭形成が起こりにくく赤沈は遅延する。寒冷凝集素症(赤血球凝集)、高グロブリン血症、低アルブミン血症(アルブミン/グロブリン比低下)はいずれも赤沈を促進する。●赤沈促進=感染・炎症(フィブリノゲン・CRP増加)・多発性骨髄腫等の高グロブリン血症・貧血・妊娠・低アルブミン血症。●赤沈遅延=赤血球増加症(多血)・低フィブリノゲン血症(DIC・肝不全)・著明な赤血球形態異常(球状・鎌状)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。赤血球増加症では赤血球数が多く沈降が妨げられるため、赤沈は遅延する。 ② 寒冷凝集素症では赤血球凝集が起こり、赤沈は促進される。 ③ 高グロブリン血症は連銭形成を促し、赤沈を促進させる。 ④ 低アルブミン血症はアルブミン/グロブリン比の低下を介して赤沈を促進させる。 ⑤ 正しい。低フィブリノゲン血症では連銭形成が起きにくく、赤沈は遅延する。
第64回 午後63(臨床血液学)
血小板凝集を惹起させるのはどれか。
①一酸化窒素 ②アスピリン ③エピネフリン ④ワルファリン ⑤フィブリノペプチドA〈FPA〉
正答: ③エピネフリン
ポイント 血小板凝集を惹起する物質を問う問題である。エピネフリン(アドレナリン)は血小板表面のα2アドレナリン受容体に結合して細胞内サイクリックAMPを低下させ、ADP・コラーゲン・トロンビン・リストセチンなどとともに血小板凝集を惹起する代表的な凝集惹起物質で、血小板凝集能検査の惹起剤にも用いられる。一酸化窒素は血小板内サイクリックGMPを上昇させて凝集を抑制し、アスピリンはシクロオキシゲナーゼ阻害でトロンボキサンA2産生を抑えて凝集を抑制、ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子産生を抑える抗凝固薬で凝集惹起作用はない。●血小板凝集惹起物質=ADP・コラーゲン・トロンビン・エピネフリン・リストセチン・トロンボキサンA2・アラキドン酸。●凝集抑制物質=一酸化窒素・プロスタサイクリン(PGI2)・アスピリン・チエノピリジン系(クロピドグレル)。
選択肢ごとの解説
① 一酸化窒素は血小板内サイクリックGMPを上昇させ、凝集を抑制する。 ② アスピリンはシクロオキシゲナーゼを阻害しトロンボキサンA2産生を抑え、凝集を抑制する。 ③ 正しい。エピネフリンは血小板表面のα2アドレナリン受容体を介して凝集を惹起する。 ④ ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子の産生を抑える抗凝固薬で、血小板凝集を惹起しない。 ⑤ フィブリノペプチドAはトロンビンがフィブリノゲンから遊離させる断片で、凝集惹起物質ではない。
第64回 午後64(臨床血液学)
17歳の女性。発熱と頸部リンパ節腫脹を主訴に来院した。血液検査では末梢血のリンパ球が著しく増加していた。末梢血のMay-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB064.7f0c3e4b8f.jpg
①ホジキン〈Hodgkin〉リンパ腫 ②有毛細胞白血病 ③血球貪食症候群 ④伝染性単核球症 ⑤多発性骨髄腫
正答: ④伝染性単核球症
ポイント 若年者の発熱・頸部リンパ節腫脹と末梢血リンパ球の著増、異型リンパ球(反応性リンパ球)の出現は、エプスタイン・バー(EB)ウイルスの初感染による伝染性単核球症を示唆する図問題である。異型リンパ球は細胞質が広く好塩基性で、隣接細胞の縁取りや核形不整を示す活性化Tリンパ球である。正答前提では、こうした幅広い細胞質をもつ異型リンパ球が呈示されていると考えられ、ポール・バンネル反応や抗EBウイルス抗体が陽性となる。●異型リンパ球が増える病態=伝染性単核球症(EBウイルス)・サイトメガロウイルス感染・風疹・ウイルス性肝炎・薬剤アレルギー。●末梢血リンパ球著増の鑑別=伝染性単核球症・百日咳(成熟小リンパ球)・慢性リンパ性白血病・急性リンパ性白血病。
選択肢ごとの解説
① ホジキンリンパ腫はリード・スターンベルグ細胞を特徴とし、末梢血リンパ球著増を主体とはしない。 ② 有毛細胞白血病は中高年に多く、毛様突起をもつ細胞が特徴で本病態と異なる。 ③ 血球貪食症候群はマクロファージの血球貪食像が特徴で、リンパ球著増像とは異なる。 ④ 正しい。EBウイルス初感染による伝染性単核球症で、発熱・頸部リンパ節腫脹と異型リンパ球増加を示す。 ⑤ 多発性骨髄腫は形質細胞の腫瘍性増殖で高齢者に多く、本病態と異なる。
📋 まとめの表を見る:ウイルス感染に関連する血液・リンパ系疾患
第64回 午後65(臨床血液学)
骨髄異形成症候群に特徴的な所見として誤っているのはどれか。
①染色体異常を伴う。 ②骨髄は低形成である。 ③環状鉄芽球がみられる。 ④好中球の顆粒が乏しい。 ⑤微小巨核球がみられる。
正答: ②骨髄は低形成である。
ポイント 「誤っているのはどれか」型の設問である。骨髄異形成症候群は造血幹細胞の後天的異常により無効造血をきたす腫瘍性疾患で、末梢血では血球減少を示すが骨髄は無効造血を反映して正〜過形成であることが多い。環状鉄芽球、好中球の脱顆粒や偽ペルゲル・フェット核異常、微小巨核球などの形態異形成と、5番・7番染色体異常などの染色体異常を伴う。骨髄低形成は典型像ではなく、再生不良性貧血との鑑別点となる(低形成性の骨髄異形成症候群は例外的)。●骨髄異形成症候群の異形成所見=赤芽球系(環状鉄芽球・巨赤芽球様変化)・顆粒球系(脱顆粒・偽ペルゲル核)・巨核球系(微小巨核球・分離核)。●染色体異常=5q−・−7/7q−・+8・複雑核型。●鑑別=再生不良性貧血(低形成)・巨赤芽球性貧血・急性骨髄性白血病(芽球20%以上)。
選択肢ごとの解説
① 骨髄異形成症候群は5番・7番欠失など染色体異常をしばしば伴う。 ② 誤り。骨髄異形成症候群の骨髄は無効造血を反映して通常正〜過形成であり、低形成は典型像ではない。 ③ 環状鉄芽球はミトコンドリアへの鉄沈着を反映し、骨髄異形成症候群でみられる。 ④ 好中球の顆粒減少(脱顆粒)は骨髄異形成症候群の異形成所見である。 ⑤ 微小巨核球は骨髄異形成症候群に特徴的な巨核球系異形成所見である。
📋 まとめの表を見る:骨髄異形成症候群〈MDS〉の血球系統別 異形成所見
骨髄は多くの場合、正〜過形成(低形成の病型もある)、芽球比率は20%未満(20%以上は急性骨髄性白血病)。染色体異常は5q-・-7/7q-・+8など多様で、病型特異的なものは少ない。
第64回 午後66(臨床血液学)
血小板減少をきたすのはどれか。
①血友病B ②真性多血症 ③ビタミンK欠乏症 ④アレルギー性紫斑病 ⑤溶血性尿毒症症候群
正答: ⑤溶血性尿毒症症候群
ポイント 血小板減少をきたす疾患を問う問題である。溶血性尿毒症症候群は血栓性微小血管症の一つで、主に腸管出血性大腸菌の志賀毒素により血管内皮が障害され、微小血管内に血小板血栓が形成されて血小板が消費されるため血小板減少をきたす(溶血性貧血・急性腎障害を伴う三徴)。血友病Bは第Ⅸ因子欠乏、ビタミンK欠乏症は凝固因子産生低下でいずれも血小板数は正常、真性多血症はむしろ血小板増加、アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)は血管壁の炎症で血小板は正常である。●血小板減少の機序別=産生低下(再生不良性貧血・骨髄異形成症候群・白血病)・破壊亢進(免疫性血小板減少症・薬剤性)・消費亢進(DIC・溶血性尿毒症症候群・血栓性血小板減少性紫斑病)・分布異常(脾機能亢進)。●血小板正常で出血傾向=血友病・ビタミンK欠乏・IgA血管炎(血管性)。
選択肢ごとの解説
① 血友病Bは第Ⅸ因子の欠乏による凝固異常で、血小板数は正常である。 ② 真性多血症は骨髄増殖性腫瘍で、血小板はむしろ増加することが多い。 ③ ビタミンK欠乏症は凝固因子産生低下によるもので、血小板は減少しない。 ④ アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)は血管壁の炎症によるもので、血小板数は正常である。 ⑤ 正しい。溶血性尿毒症症候群は微小血管内の血小板血栓形成で血小板が消費され、血小板減少をきたす。
第64回 午後67(臨床血液学)
後天性血友病Aの検査所見として誤っているのはどれか。
①第Ⅷ因子活性は低下する。 ②第Ⅷ因子インヒビターが検出される。 ③プロトロンビン時間は基準範囲内である。 ④クロスミキシング試験は下に凸の曲線を示す。 ⑤活性化部分トロンボプラスチン時間は延長する。
正答: ④クロスミキシング試験は下に凸の曲線を示す。
ポイント 「誤っているのはどれか」型の設問である。後天性血友病Aは第Ⅷ因子に対する自己抗体(インヒビター)が出現する疾患で、内因系を反映する活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が延長し第Ⅷ因子活性が低下する一方、外因系を反映するプロトロンビン時間(PT)は正常である。第Ⅷ因子インヒビターは時間・温度依存性に作用するため、患者血漿と正常血漿を混合するクロスミキシング試験では、混合直後の即時反応では阻害が軽度でAPTTがある程度補正される(下に凸〜直線的となる)こともあるが、37℃で2時間加温した遅延反応では阻害が強まって補正されず、上に凸の曲線を示す。遅延反応でも下に凸(補正される)のままの曲線は凝固因子欠乏型を示し、本症には合致しない。●クロスミキシング試験=下に凸(補正型)=因子欠乏型(血友病など)/上に凸(非補正型)=インヒビター・ループスアンチコアグラント。●後天性血友病Aの所見=APTT延長・PT正常・第Ⅷ因子活性低下・インヒビター陽性・クロスミキシング非補正。●APTT延長の鑑別=血友病A・B・フォン・ヴィレブランド病・ヘパリン・ループスアンチコアグラント。
選択肢ごとの解説
① 後天性血友病Aではインヒビターにより第Ⅷ因子活性は低下する。 ② 第Ⅷ因子インヒビター(自己抗体)が検出されるのが本症の特徴である。 ③ 外因系を反映するプロトロンビン時間は基準範囲内である。 ④ 誤り。インヒビター型では加温後(遅延反応)に非補正の上に凸の曲線を示す。遅延反応でも下に凸(補正)のままなら因子欠乏型の所見であり、後天性血友病Aには合致しない(即時反応では一時的に補正されることがある)。 ⑤ 内因系を反映する活性化部分トロンボプラスチン時間はインヒビターにより延長する。
📋 まとめの表を見る:クロスミキシング試験の判定パターン
後天性血友病Aでは即時反応でいったん補正されることがあっても、37℃・2時間加温後の遅延反応では補正されず上に凸のパターンが明瞭になる(時間依存性)。
第64回 午後68(臨床微生物学)
Staphylococcus aureusについて正しいのはどれか。2つ選べ。
①DNase陰性である。 ②マンニット非分解である。 ③カタラーゼテスト陽性である。 ④6.5%食塩加培地に発育しない。 ⑤コアグラーゼテスト陽性である。
正答: ③カタラーゼテスト陽性である。・⑤コアグラーゼテスト陽性である。
ポイント 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の性状を問う問題である。本菌はカタラーゼ陽性のグラム陽性球菌(ブドウの房状配列)で、レンサ球菌(カタラーゼ陰性)との鑑別にカタラーゼ試験が用いられる。さらにコアグラーゼ陽性が、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌など)との鑑別の決め手となる。DNase陽性、マンニット(マンニトール)分解陽性、6.5%食塩加培地に発育する耐塩性などの性状も示す。●黄色ブドウ球菌の性状=カタラーゼ陽性・コアグラーゼ陽性・DNase陽性・マンニット分解陽性・耐塩性(卵黄加マンニット食塩培地で黄変)。●ブドウ球菌の鑑別=コアグラーゼ陽性(S. aureus)/陰性(S. epidermidis・S. saprophyticus)。●主な病原性=食中毒(エンテロトキシン)・毒素性ショック症候群・MRSA。
選択肢ごとの解説
① 黄色ブドウ球菌はDNase陽性であり、陰性とする記述は誤りである。 ② 黄色ブドウ球菌はマンニット分解陽性で、卵黄加マンニット食塩培地で黄変するため非分解とする記述は誤りである。 ③ 正しい。黄色ブドウ球菌はカタラーゼ陽性で、レンサ球菌との鑑別点となる。 ④ 黄色ブドウ球菌は耐塩性があり6.5%食塩加培地に発育するため、発育しないとする記述は誤りである。 ⑤ 正しい。黄色ブドウ球菌はコアグラーゼ陽性で、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌と鑑別される。
📋 まとめの表を見る:ブドウ球菌属の鑑別(カタラーゼ・コアグラーゼ・マンニット分解・耐塩性)
レンサ球菌属・腸球菌属はカタラーゼ陰性であり、この点がブドウ球菌属との一次鑑別点となる。S. aureusの選択分離にはマンニット食塩培地(卵黄加マンニット食塩寒天)を用いる。
第64回 午後69(臨床微生物学)
らせん菌はどれか。
①Acinetobacter baumannii ②Bordetella pertussis ③Campylobacter jejuni ④Fusobacterium nucleatum ⑤Legionella pneumophila
正答: ③Campylobacter jejuni
ポイント らせん菌(らせん状の形態をもつグラム陰性桿菌)を問う問題である。カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)は2菌が連なるとカモメの翼状(gull-wing)にみえるらせん状のグラム陰性桿菌で、微好気・42℃培養を好み、カンピロバクター腸炎の主要原因菌である。他はらせん状ではなく、アシネトバクターは球桿菌、ボルデテラ・レジオネラは桿菌、フゾバクテリウムは両端の尖った紡錘状桿菌である。●らせん菌・らせん状菌=Campylobacter・Helicobacter pylori(彎曲〜らせん)・Vibrio(コンマ状の彎曲菌)・スピロヘータ(Treponema・Leptospira・Borrelia)。●彎曲・紡錘状との区別=Vibrio(コンマ状)・Fusobacterium(紡錘状)。●Campylobacterの培養=微好気・42℃・スキロー培地。
選択肢ごとの解説
① アシネトバクター・バウマニはグラム陰性球桿菌で、らせん状ではない。 ② 百日咳菌(Bordetella pertussis)はグラム陰性短桿菌で、らせん状ではない。 ③ 正しい。カンピロバクター・ジェジュニはカモメ翼状のらせん状グラム陰性桿菌で、微好気性である。 ④ フゾバクテリウム・ヌクレアタムは両端が尖った紡錘状桿菌で、らせん状ではない。 ⑤ レジオネラ・ニューモフィラはグラム陰性桿菌で、らせん状ではない。
第64回 午後70(臨床微生物学)
細菌と酸素必要度による分類の組合せで正しいのはどれか。
①Campylobacter jejuni — 通性嫌気性菌 ②Clostridium difficile — 偏性好気性菌 ③Mycobacterium tuberculosis — 偏性好気性菌 ④Pseudomonas aeruginosa — 微好気性菌 ⑤Staphylococcus aureus — 偏性嫌気性菌
正答: ③Mycobacterium tuberculosis — 偏性好気性菌
ポイント 細菌と酸素必要度(酸素要求性)の組合せを問う問題である。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は酸素のある環境でのみ発育する偏性好気性菌であり、組合せは正しい。カンピロバクターは大気より低酸素を好む微好気性菌、クロストリディオイデス・ディフィシレ(Clostridium difficile)は酸素存在下で発育できない偏性嫌気性菌、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は偏性好気性菌、黄色ブドウ球菌は酸素の有無にかかわらず発育できる通性嫌気性菌であり、それぞれ組合せが誤っている。●偏性好気性菌=結核菌・緑膿菌・Bacillus・百日咳菌・レジオネラ。●偏性嫌気性菌=Clostridium・Bacteroides・Fusobacterium。●通性嫌気性菌=腸内細菌科・ブドウ球菌・レンサ球菌。●微好気性菌=Campylobacter・Helicobacter。
選択肢ごとの解説
① カンピロバクター・ジェジュニは微好気性菌であり、通性嫌気性とする組合せは誤りである。 ② クロストリディオイデス・ディフィシレは偏性嫌気性菌であり、偏性好気性とする組合せは誤りである。 ③ 正しい。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は偏性好気性菌である。 ④ 緑膿菌は偏性好気性菌であり、微好気性とする組合せは誤りである。 ⑤ 黄色ブドウ球菌は通性嫌気性菌であり、偏性嫌気性とする組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:Gram染色性・形態と酸素要求性による細菌の分類
第64回 午後71(臨床微生物学)
細胞壁合成阻害薬はどれか。
①アミカシン ②イミペネム ③ポリミキシンB ④ミノサイクリン ⑤リファンピシン
正答: ②イミペネム
ポイント 細胞壁合成阻害薬を問う問題である。イミペネムはカルバペネム系のβ-ラクタム薬で、細菌のペニシリン結合蛋白に結合してペプチドグリカン架橋(細胞壁合成)を阻害し殺菌的に作用する。アミカシン(アミノグリコシド系)とミノサイクリン(テトラサイクリン系)はリボソームに作用する蛋白合成阻害薬、ポリミキシンBは細胞膜のリン脂質に作用する細胞膜障害薬、リファンピシンはRNAポリメラーゼを阻害するRNA合成阻害薬であり、いずれも細胞壁合成阻害ではない。●細胞壁合成阻害=β-ラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)・グリコペプチド系(バンコマイシン)・ホスホマイシン。●蛋白合成阻害=アミノグリコシド・テトラサイクリン・マクロライド・クロラムフェニコール。●核酸合成阻害=キノロン(DNA)・リファンピシン(RNA)。●細胞膜障害=ポリミキシン・ダプトマイシン。●葉酸合成阻害=サルファ薬・トリメトプリム。
選択肢ごとの解説
① アミカシンはアミノグリコシド系で、リボソームに作用する蛋白合成阻害薬である。 ② 正しい。イミペネムはカルバペネム系β-ラクタム薬で、ペプチドグリカン合成を阻害する細胞壁合成阻害薬である。 ③ ポリミキシンBは細胞膜のリン脂質に作用する細胞膜障害薬である。 ④ ミノサイクリンはテトラサイクリン系で、リボソームに作用する蛋白合成阻害薬である。 ⑤ リファンピシンはRNAポリメラーゼを阻害するRNA合成阻害薬である。
第64回 午後72(臨床微生物学)
空気感染対策が必要なのはどれか。
①肺結核 ②百日咳 ③肺炎球菌性肺炎 ④マイコプラズマ肺炎 ⑤肺非結核性抗酸菌症
正答: ①肺結核
ポイント 空気感染(飛沫核感染)対策が必要な疾患を問う問題である。空気感染は5μm以下の飛沫核として病原体が長時間空気中を浮遊して伝播するもので、結核・麻疹・水痘が代表である。肺結核では患者を陰圧個室で管理し、医療者はN95マスク(微粒子用マスク)を着用する空気感染対策が必要となる。百日咳・マイコプラズマ肺炎は飛沫感染で飛沫予防策(サージカルマスク)の対象であり、肺炎球菌性肺炎も飛沫感染するが通常は標準予防策で対応する(施設内で伝播がみられる場合に飛沫予防策を追加する)。肺非結核性抗酸菌症は環境(水・土壌)由来でヒト‐ヒト感染をしないため空気感染対策は不要である。●空気(飛沫核)感染=結核・麻疹・水痘(播種性帯状疱疹を含む)。●飛沫感染=インフルエンザ・百日咳・流行性耳下腺炎・風疹・マイコプラズマ・肺炎球菌・髄膜炎菌。●接触感染=MRSA・ノロウイルス・腸管出血性大腸菌・疥癬。
選択肢ごとの解説
① 正しい。肺結核は飛沫核(空気)感染を起こし、陰圧個室とN95マスクによる空気感染対策が必要である。 ② 百日咳は飛沫感染で、飛沫予防策で対応する。 ③ 肺炎球菌性肺炎は飛沫感染で、空気感染対策は不要である。 ④ マイコプラズマ肺炎は飛沫感染で、空気感染対策は不要である。 ⑤ 肺非結核性抗酸菌症はヒトからヒトへ感染せず、空気感染対策は不要である。
第64回 午後73(臨床微生物学)
Salmonella entericaについて正しいのはどれか。
①S. Typhimuriumは乳糖を分解する。 ②S. TyphiはTSI培地でガスを産生する。 ③S. Enteritidisはリジン脱炭酸反応陽性である。 ④S. enterica subsp. arizonaeはONPGテスト陰性である。 ⑤S. Paratyphi Aはシモンズのクエン酸塩培地に発育する。
正答: ③S. Enteritidisはリジン脱炭酸反応陽性である。
ポイント サルモネラ(Salmonella enterica)の生化学的性状を問う問題である。腸炎菌(S. Enteritidis)はリジン脱炭酸反応陽性で、これはサルモネラ属の典型的性状であり正しい。サルモネラは一般に乳糖非分解で、ネズミチフス菌(S. Typhimurium)も乳糖を分解しない。チフス菌(S. Typhi)はTSI培地でガスを産生せず硫化水素は弱陽性、S. enterica subsp. arizonaeはONPG(β-ガラクトシダーゼ)試験陽性、パラチフスA菌(S. Paratyphi A)はシモンズのクエン酸塩培地に発育しないなど、各血清型で性状が異なる。●サルモネラ属の一般性状=乳糖非分解・硫化水素産生・リジン脱炭酸陽性・運動性あり・TSIで斜面赤/高層黄。●チフス菌の特徴=ガス非産生・硫化水素弱陽性・クエン酸塩陰性。●腸内細菌科の鑑別=IMViC試験・TSI・LIM培地。
選択肢ごとの解説
① ネズミチフス菌(S. Typhimurium)は乳糖非分解であり、乳糖を分解するとする記述は誤りである。 ② チフス菌(S. Typhi)はTSI培地でガスを産生しないため、産生するとする記述は誤りである。 ③ 正しい。腸炎菌(S. Enteritidis)はリジン脱炭酸反応陽性で、サルモネラ属の典型的性状である。 ④ S. enterica subsp. arizonaeはONPG試験陽性であり、陰性とする記述は誤りである。 ⑤ パラチフスA菌(S. Paratyphi A)はシモンズのクエン酸塩培地に発育しないため、発育するとする記述は誤りである。
📋 まとめの表を見る:腸内細菌科の生化学的性状の鑑別(乳糖分解・硫化水素・リジン脱炭酸・インドール)
サルモネラ・赤痢菌など乳糖非分解菌はTSI培地で高層部のみ黄変し斜面は赤色のまま残るが、大腸菌など乳糖分解菌は斜面・高層とも黄変する。チフス菌(Typhi)はTSI培地でガスをほとんど産生せず硫化水素も少量にとどまる点が他の多くのSalmonella血清型と異なる。尿素分解(ウレアーゼ)陽性の代表はProteus属・Morganella属・Providencia属。
第64回 午後74(臨床微生物学)
Mycobacterium属の特徴について誤っているのはどれか。
①M. lepraeは小川培地に発育する。 ②M. fortuitumは7日以内に発育する。 ③M. kansasiiは光発色試験陽性である。 ④M. marinumの至適発育温度は30 ℃前後である。 ⑤M. tuberculosisは小川培地上でR型コロニーを形成する。
正答: ①M. lepraeは小川培地に発育する。
ポイント 「誤っているのはどれか」型の設問である。らい菌(Mycobacterium leprae)はヒトやアルマジロの生体内でのみ増殖し、小川培地を含む人工培地では培養できない。迅速発育抗酸菌のM. fortuitumは7日以内に発育し、M. kansasiiは光照射で黄色色素を産生する光発色菌(光発色試験陽性)、M. marinumは魚や水中環境に由来し至適発育温度が約30℃と低い、結核菌は小川培地上で乾燥・粗厚なR型(菌索形成を伴うコード状)コロニーを形成し、いずれの記述も正しい。●培養できない抗酸菌=M. leprae(らい菌)。●迅速発育菌(7日以内)=M. fortuitum・M. chelonae・M. abscessus。●遅発育・光発色菌=M. kansasii・M. marinum(低温好性)。●暗発色菌=M. scrofulaceum・M. gordonae。●非発色菌=M. avium complex・M. tuberculosis。
選択肢ごとの解説
① 誤り。らい菌(M. leprae)は人工培地で培養できず、小川培地に発育しない。 ② M. fortuitumは迅速発育菌で7日以内に発育するため正しい。 ③ M. kansasiiは光に当てると黄色色素を産生する光発色菌で、光発色試験陽性は正しい。 ④ M. marinumの至適発育温度は30℃前後で、低温を好むため正しい。 ⑤ 結核菌(M. tuberculosis)は小川培地上で乾燥した粗厚なR型コロニーを形成するため正しい。
📋 まとめの表を見る:抗酸菌(Mycobacterium属)の分類(Runyon分類・発育速度・結核菌の特徴)
抗酸菌は世代時間が長く発育が遅い(培養に数週間を要する)。BCGワクチンには結核菌ではなくMycobacterium bovisの弱毒株が用いられる。Nocardia属は抗酸菌ではないが部分的な抗酸性を示す点で紛らわしい。
第64回 午後75(臨床微生物学)
血液培養が陽性となったため、ボトル内容液のGram染色〈Huckerの変法〉と墨汁法を実施した。染色標本を別に示す。推定される菌が形成するのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB075.897552f6f6.jpg
正答: ①莢膜
ポイント 血液培養陽性ボトルのグラム染色(ハッカーの変法)と墨汁法を行った図問題である。墨汁法では墨の微粒子が莢膜に入り込めないため、菌体の周囲に墨を排除した厚い透明帯(莢膜)が描出される。丸い酵母様細胞と、墨汁法で菌体周囲にみられる明瞭な透明帯から、莢膜をもつCryptococcus属を考える。本菌は厚い多糖性の莢膜を形成する点が特徴で、髄膜炎や真菌血症の原因となる。実際に墨汁法の写真では、丸い菌体の周囲に墨を排除する透明帯がみられ、正答の莢膜に一致する。●莢膜を形成する病原体=Cryptococcus neoformans(墨汁法で排除帯)・肺炎球菌・インフルエンザ菌・髄膜炎菌・肺炎桿菌。●Candidaの形態=発芽管(血清で形成)・仮性菌糸・厚膜胞子。●糸状菌の構造=真性菌糸・分節胞子・分生子。
選択肢ごとの解説
① 正しい。Cryptococcus属は多糖性の莢膜を形成し、墨汁法で菌体周囲の透明な排除帯として観察できる。本像はこの莢膜を示す。 ② 発芽管はカンジダ・アルビカンスが血清中で形成する構造で、本菌の特徴ではない。 ③ 真性菌糸はカビ(糸状菌)でみられるが、莢膜を示す本菌の所見ではない。 ④ 厚膜胞子はカンジダ・アルビカンスなどが形成する構造で、本問の所見ではない。 ⑤ 分節胞子は一部の糸状菌でみられるが、本問の墨汁排除像とは異なる。
📋 まとめの表を見る:酵母様真菌の鑑別(Cryptococcus・Candida・Trichosporon)
Candida albicansの厚膜胞子・仮性菌糸の証明にはlactophenol cotton blue染色を用いる(墨汁法はCryptococcusの莢膜証明に用いる)。
第64回 午後76(臨床微生物学)
蚊が媒介するウイルス感染症はどれか。2つ選べ。
①A型肝炎 ②デング熱 ③日本脳炎 ④ラッサ熱 ⑤伝染性紅斑
正答: ②デング熱・③日本脳炎
ポイント 蚊が媒介するウイルス感染症はアルボウイルス(節足動物媒介ウイルス)に含まれる。デング熱はネッタイシマカ・ヒトスジシマカ、日本脳炎はコガタアカイエカが媒介し、いずれも蚊体内でウイルスが増殖してから刺咬で伝播する。A型肝炎は経口(糞口)感染、ラッサ熱はげっ歯類媒介、伝染性紅斑は飛沫感染で、いずれも蚊媒介ではない。●蚊媒介ウイルス=デング熱・日本脳炎・黄熱・ウエストナイル熱・チクングニア熱・ジカ熱。●蚊媒介の原虫・寄生虫=マラリア・フィラリア症。●げっ歯類媒介=ラッサ熱・腎症候性出血熱(ハンタウイルス)。●飛沫感染ウイルス=伝染性紅斑(パルボウイルスB19)・麻疹・風疹・インフルエンザ。●経口感染肝炎=A型肝炎・E型肝炎。
選択肢ごとの解説
① A型肝炎ウイルスは汚染された飲食物による経口(糞口)感染で伝播し、蚊は媒介しない。 ② 正しい。デング熱はネッタイシマカ・ヒトスジシマカが媒介するアルボウイルス感染症である。 ③ 正しい。日本脳炎はコガタアカイエカが媒介するアルボウイルス感染症である。 ④ ラッサ熱はげっ歯類(マストミス)の排泄物を介して感染し、蚊媒介ではない。 ⑤ 伝染性紅斑はパルボウイルスB19による飛沫感染で、蚊は媒介しない。
第64回 午後77(臨床微生物学)
膿性痰のGram染色〈Huckerの変法〉標本を別に示す。分離菌はチョコレート寒天培地に発育したが、5%ヒツジ血液寒天培地およびBTB乳糖寒天培地には発育しなかった。推定される菌種はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB077.2e03f166ab.jpg
①Acinetobacter baumannii ②Haemophilus influenzae ③Klebsiella pneumoniae ④Pasteurella multocida ⑤Pseudomonas aeruginosa
正答: ②Haemophilus influenzae
ポイント チョコレート寒天培地のみに発育し、ヒツジ血液寒天培地やBTB乳糖寒天培地に発育しないという発育性状は、X因子(ヘミン)とV因子(NAD)の両者を要求するHaemophilus influenzaeに合致する。これらの発育因子は加熱処理で赤血球を溶血させたチョコレート寒天には豊富に含まれるが、非加熱の血液寒天ではV因子が利用しにくいため発育しない。グラム陰性の小桿菌(多形性)として観察される。●発育因子要求性のHaemophilus=インフルエンザ菌(X・V両因子)・H. parainfluenzae(V因子のみ)。●チョコレート寒天で良好に発育する菌=Haemophilus属・Neisseria gonorrhoeae。●ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌=Pseudomonas aeruginosa・Acinetobacter baumannii。●乳糖分解性腸内細菌=Klebsiella pneumoniae・Escherichia coli。
選択肢ごとの解説
① Acinetobacter baumanniiは普通寒天や血液寒天に発育するため、本性状に合致しない。 ② 正しい。Haemophilus influenzaeはX因子・V因子を要求し、両者を含むチョコレート寒天のみに発育する。 ③ Klebsiella pneumoniaeは乳糖分解性でBTB乳糖寒天にも発育するため、合致しない。 ④ Pasteurella multocidaは血液寒天に発育するため、本性状に合致しない。 ⑤ Pseudomonas aeruginosaは普通寒天や血液寒天に発育するため、合致しない。
📋 まとめの表を見る:特殊な発育因子・培養条件を必要とする細菌
第64回 午後78(臨床微生物学)
尿路感染症を疑う患者の中間尿を滅菌生理食塩液で100倍希釈し、希釈尿の10 μLを定量培養した。尿路感染の原因と判断できる細菌数1×10⁵ cfu/mLと判定されるコロニー数はどれか。
正答: ②10
ポイント 尿の定量培養における細菌数の計算問題である。中間尿を100倍希釈すると、原尿1×10⁵ cfu/mLは1×10³ cfu/mLになる。この希釈尿10μL(=0.01mL)を培養するため、出現コロニー数は1×10³ cfu/mL×0.01mL=10個となる。したがって判定基準である10⁵ cfu/mLに相当するコロニー数は10である。●尿路感染の定量培養基準=10⁵ cfu/mL以上で有意(中間尿)、カテーテル尿は10²〜10⁴でも考慮。●尿路感染の主要原因菌=Escherichia coli・Klebsiella pneumoniae・Proteus mirabilis・Enterococcus・Staphylococcus saprophyticus。●定量法=白金耳(1μL/10μL)法・希釈平板法。
選択肢ごとの解説
① 1コロニーは希釈・採取量から10⁴ cfu/mLに相当し、判定基準値より低い。 ② 正しい。10⁵ cfu/mLを100倍希釈すると10³ cfu/mL、その0.01mLで10コロニーとなる。 ③ 100コロニーは10⁶ cfu/mLに相当し、基準値より高い。 ④ 1,000コロニーは10⁷ cfu/mLに相当し、基準値より高い。 ⑤ 10,000コロニーは10⁸ cfu/mLに相当し、計数上も現実的でない。
第64回 午後79(臨床免疫学)
補体の副経路の構成要素はどれか。2つ選べ。
正答: ③C3・⑤C5
ポイント 補体活性化の副経路(第二経路)は抗体に依存せず、微生物表面などで自然に生じたC3bを起点に増幅される。副経路の構成要素はC3とB因子・D因子・プロパージンであり、このうち副経路に固有なのはB因子・D因子・プロパージンである。C3は古典経路・レクチン経路・副経路のすべてに共通する中心成分であり、C5は副経路を経て進む膜侵襲複合体形成経路(終末経路)の構成要素として関与する。C4・C2は古典経路とレクチン経路に共通する構成要素、C1(C1q・C1r・C1s)は古典経路のみの構成要素で、いずれも副経路には関与しない。●古典経路=C1(C1q・C1r・C1s)・C4・C2、抗原抗体複合体で活性化。●レクチン経路=マンノース結合レクチン(MBL)・MASP・C4・C2。●副経路=C3・B因子・D因子・プロパージン、抗体非依存性。●共通経路(終末経路)=C5・C6・C7・C8・C9による膜侵襲複合体(MAC)。
選択肢ごとの解説
① C1は古典経路で抗原抗体複合体を認識する成分で、副経路には関与しない。 ② C2は古典経路・レクチン経路でC3転換酵素の形成に関わる成分で、副経路の構成要素ではない。 ③ 正しい。C3は副経路の中心的構成要素で、C3bが微生物表面で増幅される。 ④ C4は古典経路・レクチン経路の構成要素で、副経路には関与しない。 ⑤ 正しい。C5は副経路を経て進む終末経路の構成要素で、膜侵襲複合体形成に関わる。
第64回 午後80(臨床免疫学)
炎症性サイトカインはどれか。2つ選べ。
①インターロイキン-3〈IL-3〉 ②インターロイキン-4〈IL-4〉 ③インターロイキン-6〈IL-6〉 ④インターロイキン-10〈IL-10〉 ⑤腫瘍壊死因子-α〈TNF-α〉
正答: ③インターロイキン-6〈IL-6〉・⑤腫瘍壊死因子-α〈TNF-α〉
ポイント 炎症性(前炎症性)サイトカインは発熱・急性期蛋白産生・血管内皮活性化などを誘導する。代表はインターロイキン-6〈IL-6〉とインターロイキン-1〈IL-1〉、腫瘍壊死因子-α〈TNF-α〉である。IL-3は造血促進因子、IL-4はTh2分化・IgE産生、IL-10は抗炎症性サイトカインで、炎症性サイトカインには含まれない。●炎症性サイトカイン=IL-1・IL-6・TNF-α・IL-8(好中球遊走)。●抗炎症性サイトカイン=IL-10・TGF-β。●Th1関連=IL-2・IFN-γ。●Th2関連=IL-4・IL-5・IL-13。●造血関連=IL-3・GM-CSF・エリスロポエチン。
選択肢ごとの解説
① IL-3は造血幹細胞の増殖・分化を促す因子で、炎症性サイトカインではない。 ② IL-4はTh2分化やIgE産生を促す因子で、炎症性サイトカインではない。 ③ 正しい。IL-6は急性期蛋白産生や発熱を誘導する代表的な炎症性サイトカインである。 ④ IL-10は炎症反応を抑える抗炎症性サイトカインである。 ⑤ 正しい。TNF-αは発熱や全身性炎症反応を起こす代表的な炎症性サイトカインである。
第64回 午後81(臨床免疫学)
ELISA法で正しいのはどれか。
①B/F分離を必要とする。 ②HIV感染の確認試験に用いる。 ③液体シンチレーションカウンタを用いる。 ④底部がU型のマイクロプレートを用いる。 ⑤感度は逆受身赤血球凝集反応と同程度である。
正答: ①B/F分離を必要とする。
ポイント 酵素免疫測定法〈ELISA〉は抗原抗体反応に酵素標識を用い、酵素基質の発色を吸光度として測定する手法である。標識が結合した分(B=bound)と遊離分(F=free)を洗浄により分離するB/F分離が原理上必要である。固相には底部が平底のマイクロプレートを用い、放射性同位元素は使わないため液体シンチレーションカウンタは不要で、感度は逆受身赤血球凝集反応より高い。●標識免疫測定法=ELISA(酵素)・RIA(放射性同位元素)・蛍光免疫測定法(FIA)・化学発光免疫測定法(CLIA)。●HIV確認試験=ウエスタンブロット法・核酸増幅検査(NAT)。●凝集反応=赤血球凝集(U底プレート)・ラテックス凝集。●B/F分離不要の均一系=ラテックス凝集比濁法など。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ELISAは結合標識(B)と遊離標識(F)を分離するB/F分離を必要とする。 ② HIV感染の確認試験にはウエスタンブロット法などが用いられ、ELISAはスクリーニングに用いる。 ③ 液体シンチレーションカウンタはRIA(放射免疫測定)で用い、酵素を標識とするELISAでは不要である。 ④ ELISAは平底のマイクロプレートを用い、U型は赤血球凝集反応などで用いる。 ⑤ ELISAの感度は逆受身赤血球凝集反応より高い。
第64回 午後82(臨床免疫学)
検査と用いられる検査法の組合せで正しいのはどれか。
①IgG定量検査 — 二重免疫拡散法 ②梅毒抗体検査 — 間接蛍光抗体法 ③HCV抗体検査 — 逆受身凝集反応 ④CD4/CD8検査 — 化学発光免疫測定法 ⑤インターフェロン-γ遊離試験 — 毒素中和反応
正答: ②梅毒抗体検査 — 間接蛍光抗体法
ポイント 検査項目と検査法の妥当な組合せを問う問題である。梅毒トレポネーマ抗体検査の確認試験の一つに間接蛍光抗体法(FTA-ABS)があり、正しい組合せである。IgG定量は免疫比濁法やネフェロメトリー、HCV抗体は化学発光免疫測定法〈CLIA〉や酵素免疫測定法〈EIA〉、CD4/CD8はフローサイトメトリー、インターフェロン-γ遊離試験〈IGRA〉は酵素免疫測定法で測定する。●免疫グロブリン定量=免疫比濁法・ネフェロメトリー。●梅毒検査=脂質抗体(RPR等)・TP抗体(TPHA・FTA-ABS)。●ウイルス肝炎マーカー=CLIA・EIA・イムノクロマト法。●細胞表面マーカー解析=フローサイトメトリー。●結核感染診断=IGRA(QuantiFERON・T-SPOT)。
選択肢ごとの解説
① IgG定量検査は免疫比濁法やネフェロメトリーで行い、二重免疫拡散法は定性的で定量には不適である。 ② 正しい。梅毒抗体検査の確認試験の一つにFTA-ABS(間接蛍光抗体法)があり、適切な組合せである。 ③ HCV抗体検査はCLIAやEIAで行い、逆受身凝集反応との組合せは適切でない。 ④ CD4/CD8検査はフローサイトメトリーで行い、化学発光免疫測定法は用いない。 ⑤ インターフェロン-γ遊離試験は酵素免疫測定法などで測定し、毒素中和反応とは無関係である。
📋 まとめの表を見る:免疫血清学的検査項目と検査法の対応
受身凝集反応には、抗原を感作したラテックスやゼラチンなどの粒子を用いて抗体を検出する方法がある。一方、RPRサークルテストは脂質抗原と抗体による絮状沈降反応であり、受身凝集反応とは区別する。
第64回 午後83(臨床免疫学)
臓器特異性の高い腫瘍マーカーはどれか。2つ選べ。
①CA19-9 ②CEA ③PIVKA-II ④PSA ⑤SCC
正答: ③PIVKA-II・④PSA
ポイント 臓器特異性の高い腫瘍マーカーを問う問題である。前立腺特異抗原〈PSA〉は前立腺(前立腺癌)に特異性が高く、PIVKA-II(ビタミンK欠乏誘導蛋白)は肝細胞癌で特異的に上昇する。CA19-9・CEA・SCCは複数臓器の癌で上昇しうる非特異的(汎用的)マーカーである。●臓器特異性の高いマーカー=PSA(前立腺)・PIVKA-II/AFP(肝細胞癌)・サイログロブリン/カルシトニン(甲状腺)。●消化器・膵胆道=CA19-9・CEA・DUPAN-2。●扁平上皮癌=SCC・CYFRA。●卵巣=CA125。●乳腺=CA15-3。●小細胞肺癌=NSE・ProGRP。
選択肢ごとの解説
① CA19-9は膵・胆道・消化器など複数臓器の癌で上昇し、臓器特異性は高くない。 ② CEAは大腸をはじめ多くの腺癌で上昇し、臓器特異性は高くない。 ③ 正しい。PIVKA-IIは肝細胞癌で特異的に上昇し、臓器特異性が高い。 ④ 正しい。PSAは前立腺に特異性が高く、前立腺癌の腫瘍マーカーとして用いる。 ⑤ SCCは肺・子宮頸部・食道などの扁平上皮癌全般で上昇し、臓器特異性は高くない。
第64回 午後84(臨床免疫学)
イムノクロマト法による抗原の検出が行われていない感染症はどれか。
①梅毒 ②肺炎球菌感染症 ③溶血性連鎖球菌感染症 ④B型肝炎 ⑤インフルエンザ
正答: ①梅毒
ポイント 「行われていないのはどれか」型の設問である。イムノクロマト法による抗原検出は、肺炎球菌(尿中抗原)、A群溶血性連鎖球菌(咽頭抗原)、B型肝炎(HBs抗原)、インフルエンザ(ウイルス抗原)などで実用化されている。梅毒の検査はトレポネーマ抗体と脂質(カルジオリピン)抗体の検出が主体で、イムノクロマト法による抗原検出は一般に行われていない。●イムノクロマト抗原検査=インフルエンザ・新型コロナ・A群溶連菌・肺炎球菌尿中抗原・レジオネラ尿中抗原・ロタ/ノロウイルス・RSウイルス・HBs抗原。●抗体検出が主体=梅毒(RPR・TP抗体)・HIV(スクリーニング+確認)。●便中抗原=ヘリコバクター・ピロリ。
選択肢ごとの解説
① 誤り。梅毒の検査はトレポネーマ抗体・脂質抗体の検出が主で、イムノクロマト法による抗原検出は行われていない。 ② 肺炎球菌感染症は尿中抗原をイムノクロマト法で検出する迅速検査が行われている。 ③ 溶血性連鎖球菌感染症はA群溶連菌抗原をイムノクロマト法で検出する迅速検査が普及している。 ④ B型肝炎はHBs抗原をイムノクロマト法で検出する迅速検査が行われている。 ⑤ インフルエンザはウイルス抗原をイムノクロマト法で検出する迅速検査が広く行われている。
第64回 午後85(臨床免疫学)
補体のコールドアクチベーション〈寒冷活性化〉で正しいのはどれか。2つ選べ。
①HCV抗体が関連している。 ②C3蛋白濃度は低値である。 ③C4蛋白濃度は低値である。 ④血清補体価〈CH50〉は正常である。 ⑤クリオグロブリンが関連している。
正答: ①HCV抗体が関連している。・⑤クリオグロブリンが関連している。
ポイント 補体のコールドアクチベーション(寒冷活性化)は、採血後の検体を低温で放置する間に試験管内で補体が活性化される現象である。C型肝炎ウイルス〈HCV〉抗体陽性例やクリオグロブリン血症に関連し、低温でクリオグロブリンが免疫複合体を形成して補体(特に古典経路)を活性化するため血清補体価〈CH50〉は低下するが、C3・C4の蛋白濃度は正常に保たれる(補体活性と蛋白量の乖離)。in vitroの現象であり生体内の補体消費を反映するわけではない点が特徴である。●コールドアクチベーション関連=HCV感染・クリオグロブリン血症(特にII型)。●補体消費を伴う病態=全身性エリテマトーデス(SLE)・膜性増殖性糸球体腎炎・血清病。●補体価検査=CH50(古典経路総合活性)・C3・C4個別測定。●クリオグロブリン分類=I型(単クローン)・II型/III型(混合型)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。コールドアクチベーションはHCV抗体陽性例(HCV関連クリオグロブリン血症)にしばしば関連する。 ② コールドアクチベーションで低下するのは補体活性(CH50)であり、C3蛋白濃度は正常に保たれる。 ③ CH50が低下してもC4蛋白濃度は正常に保たれる。蛋白量まで低下する生体内の補体消費(SLEなど)とは区別される。 ④ 試験管内で補体が活性化・消費されるため血清補体価(CH50)は正常でなく低下しうる。 ⑤ 正しい。クリオグロブリンが低温で補体を活性化する現象であり、クリオグロブリンが関連している。
📋 まとめの表を見る:補体のコールドアクチベーション(寒冷活性化)の特徴
血清補体価と血漿補体価に乖離がみられる場合はコールドアクチベーションを疑う。C3・C4がともに低値であればコールドアクチベーションは否定的で、他の補体欠損症を考える。
第64回 午後86(臨床免疫学)
不規則抗体スクリーニングで抗Eと抗cが検出された患者のRh血液型はどれか。
①CCDEE ②CCDee ③CcDEe ④ccDEE ⑤ccDEe
正答: ②CCDee
ポイント 抗体は原則として自身が保有しない(陰性の)抗原に対してのみ産生される。不規則抗体として抗Eと抗cが検出された患者は、E抗原とc抗原をともに欠くRh型をもつと考えられる。E陰性・c陰性に該当するのはCCDee(DCe/DCeのホモ接合)である。他の選択肢はEまたはcのいずれかを保有するため、抗E・抗cの両方は産生しえない。●Rh抗原の対立関係=C/c・E/eで一方を欠くと対応抗体を産生しうる。●Rh血液型抗原=D・C・c・E・e(Dに対立するdは抗原として存在しない)。●臨床的に重要な不規則抗体=抗D・抗E・抗c・抗Kidd(Jka/Jkb)・抗Duffy(Fya/Fyb)。●遅発性溶血性輸血反応の原因になりやすい=抗Jka・抗E。
選択肢ごとの解説
① CCDEEはE抗原を保有するため抗Eを産生しえず、合致しない。 ② 正しい。CCDeeはE抗原・c抗原をともに欠くため、抗Eと抗cを産生しうる。 ③ CcDEeはE・cをともに保有するため、抗E・抗cを産生しえない。 ④ ccDEEはc・Eを保有するため、抗E・抗cを産生しえず合致しない。 ⑤ ccDEeはc・Eを保有するため、抗E・抗cを産生しえず合致しない。
第64回 午後87(臨床免疫学)
1989年に検査が行われるようになり、日本での輸血後肝炎の減少に大きく貢献した検査項目はどれか。
①HAV抗体 ②HBs抗原 ③HCV抗体 ④HEV抗体 ⑤サイトメガロウイルス抗原
正答: ③HCV抗体
ポイント C型肝炎ウイルス〈HCV〉は1989年に発見され、同年以降HCV抗体検査が輸血用血液のスクリーニングに導入された。当時の輸血後肝炎の多くを占めていた非A非B型肝炎の大半がC型肝炎であったため、この検査の導入により輸血後肝炎が激減した。HBs抗原検査はそれ以前から実施されていた。●輸血用血液のスクリーニング検査=HBs抗原・HCV抗体・HIV抗体/抗原・HTLV-1抗体・梅毒・核酸増幅検査〈NAT〉。●輸血で伝播しうる病原体=HBV・HCV・HIV・HTLV-1・梅毒トレポネーマ・サイトメガロウイルス。●経口感染肝炎=A型・E型(輸血の主因ではない)。
選択肢ごとの解説
① HAV抗体はA型肝炎の検査で、A型肝炎は輸血後肝炎の主因ではないため該当しない。 ② HBs抗原はB型肝炎のスクリーニングで以前から行われており、1989年導入の貢献項目ではない。 ③ 正しい。HCV抗体検査が1989年以降に導入され、輸血後C型肝炎を激減させた。 ④ HEV抗体はE型肝炎の検査で、輸血後肝炎減少の主因ではない。 ⑤ サイトメガロウイルス抗原は本問の輸血後肝炎減少には該当しない。
第64回 午後88(臨床免疫学)
患者の間接抗グロブリン試験による不規則抗体スクリーニングの反応結果の写真とパネル血球のアンチグラムを別に示す。考えられる不規則抗体はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB088.374a43ce15.jpg
正答: ③抗E
ポイント 間接抗グロブリン試験による不規則抗体スクリーニングでは、パネル血球の抗原表(アンチグラム)と各血球の反応の有無を照合して抗体を同定する。本問では反応陽性を示した血球がすべてE抗原陽性、反応陰性の血球がE抗原陰性と一致しており、抗Eと判定される。間接抗グロブリン試験はIgG型の不完全抗体(37℃反応性)の検出に適する。●Rh系抗体(IgG・37℃・間接抗グロブリン法で検出)=抗D・抗E・抗c・抗C・抗e。●低温反応性(IgM)抗体=抗M・抗N・抗P1・抗Lewis。●抗体同定法=パネル血球とのcross out(消去法)・抗原量依存(用量効果)の確認。●臨床的意義が高い=抗Jka・抗Fya・抗K。
選択肢ごとの解説
① 抗Cは反応パターンがC抗原の有無と一致せず、合致しない。 ② 抗Dは反応パターンがD抗原の有無と一致せず、合致しない。 ③ 正しい。反応陽性血球がすべてE抗原陽性と一致しており、抗Eと判定される。 ④ 抗JkaはJka抗原の有無と反応が一致せず、合致しない。 ⑤ 抗MはM抗原の有無と反応が一致せず、合致しない。
📋 まとめの表を見る:不規則抗体同定検査:反応相と抗体推定の原則
同定は既知抗原表(アンチグラム)とパネル赤血球の反応を照合し、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を消去していく消去法で行う。消去されずに残った抗体が「否定できない抗体」であり、陽性反応を示した赤血球に共通する抗原に対応する抗体を「可能性の高い抗体」と推定する。抗原量が少ないと反応が弱まる量的効果(dosage)があるため、量的効果のある抗原はホモ接合の血球で陰性の場合に消去するのが原則である。間接抗グロブリン試験の反応増強剤にはLISS(低イオン強度溶液)やPEG(ポリエチレングリコール)が用いられる。
第64回 午後89(臨床免疫学)
血液製剤と保管温度の組合せで正しいのはどれか。
①赤血球液 — 6〜10℃ ②洗浄赤血球 — 30〜37℃ ③濃厚血小板 — 20〜24℃ ④新鮮凍結血漿 — −10℃以下 ⑤アルブミン製剤 — 0℃以下
正答: ③濃厚血小板 — 20〜24℃
ポイント 血液製剤は種類ごとに最適な保管温度が定められている。濃厚血小板は20〜24℃で振盪(撹拌)しながら保存するのが正しく、低温保存すると血小板機能が低下し凝集塊を生じる。赤血球液・洗浄赤血球は2〜6℃で冷蔵、新鮮凍結血漿は−20℃以下で凍結保存、アルブミン製剤などの血漿分画製剤は室温(30℃以下)で保存する。●赤血球製剤=2〜6℃冷蔵、有効期間採血後21〜28日。●血小板製剤=20〜24℃振盪、有効期間採血後4日。●新鮮凍結血漿=−20℃以下凍結、融解後は速やかに使用。●血漿分画製剤(アルブミン・免疫グロブリン)=室温(30℃以下)遮光。
選択肢ごとの解説
① 赤血球液は2〜6℃で保存するため、6〜10℃という組合せは誤りである。 ② 洗浄赤血球も2〜6℃で保存するため、30〜37℃という組合せは誤りである。 ③ 正しい。濃厚血小板は20〜24℃で振盪保存し、低温による機能低下を防ぐ。 ④ 新鮮凍結血漿は−20℃以下で凍結保存するため、−10℃以下という組合せは誤りである。 ⑤ アルブミン製剤は室温(30℃以下)保存で、0℃以下という組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:輸血用血液製剤の保存温度・保存方法・有効期間
濃厚血小板を低温保存すると血小板機能が低下し凝集塊を生じるため、室温(20〜24℃)で振盪しながら保存する。
第64回 午後90(公衆衛生学)
患者調査で正しいのはどれか。
①全数調査である。 ②有訴者率が分かる。 ③毎年1回実施される。 ④患者に聞き取り調査を行う。 ⑤歯科診療所が調査対象に含まれる。
正答: ⑤歯科診療所が調査対象に含まれる。
ポイント 患者調査は医療施設を対象に3年に1回行われる標本調査で、受療率や推計患者数、傷病の状況を把握する。調査対象の医療施設には病院・一般診療所のほか歯科診療所も含まれる。全数調査ではなく標本調査であり、有訴者率は国民生活基礎調査で把握される指標である。患者本人への聞き取りではなく医療施設の記録に基づいて行われる。●患者調査(3年ごと・施設対象)=受療率・推計患者数・平均在院日数。●国民生活基礎調査=有訴者率・通院者率・世帯状況。●人口動態調査(毎年・全数)=出生・死亡・婚姻・離婚・死産。●国勢調査(5年ごと・全数)=人口・世帯。●国民健康・栄養調査=栄養摂取・生活習慣。
選択肢ごとの解説
① 患者調査は標本調査であり、全数調査ではない。 ② 有訴者率は国民生活基礎調査で把握される指標で、患者調査では分からない。 ③ 患者調査は毎年ではなく3年に1回実施される。 ④ 患者調査は医療施設の記録に基づくもので、患者本人への聞き取りは行わない。 ⑤ 正しい。患者調査の対象医療施設には病院・一般診療所のほか歯科診療所も含まれる。
第64回 午後91(公衆衛生学)
騒音性難聴で正しいのはどれか。
①聴力は回復する。 ②感音難聴である。 ③短時間曝露では発生しない。 ④1,000 Hz中心の聴力低下が生じる。 ⑤発症早期から日常会話の聴取が困難になる。
正答: ②感音難聴である。
ポイント 騒音性難聴は強大な騒音への長期曝露による内耳(蝸牛)の有毛細胞障害で生じる感音難聴である。初期は会話域より高い4,000 Hz付近の聴力が選択的に低下するc5-dipを示し、日常会話には支障が出にくい。障害された有毛細胞は再生しないため聴力は回復しない。なお強大音への短時間曝露でも急性音響性難聴が生じうる。●難聴の分類=伝音難聴(外耳・中耳)・感音難聴(内耳・聴神経)・混合性難聴。●感音難聴の原因=騒音性・加齢性(老人性)・突発性・メニエール病・薬剤性(アミノグリコシド系)。●騒音性難聴の特徴=両側性・c5-dip(4,000 Hz)・不可逆性。●職業性難聴として労災対象になりうる。
選択肢ごとの解説
① 騒音性難聴で障害された有毛細胞は再生せず、聴力は回復しない。 ② 正しい。騒音性難聴は内耳有毛細胞の障害による感音難聴である。 ③ 強大音への短時間曝露でも急性音響性難聴が起こりうるため、この記述は誤りである。 ④ 初期は4,000 Hz付近の聴力低下(c5-dip)が特徴で、1,000 Hz中心ではない。 ⑤ 発症早期は高音域中心の障害で、日常会話の聴取困難は進行してから生じる。
📋 まとめの表を見る:難聴の分類と騒音性難聴の特徴
第64回 午後92(公衆衛生学)
学校保健安全法で解熱後3日経過するまで出席停止となるのはどれか。
正答: ③麻しん
ポイント 学校保健安全法施行規則では、麻疹の出席停止期間は「解熱した後3日を経過するまで」と定められている。水痘はすべての発疹が痂皮化するまで、風疹は発疹が消失するまで、百日咳は特有の咳が消失するまでまたは5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで、流行性耳下腺炎は耳下腺等の腫脹発現後5日を経過しかつ全身状態が良好になるまでである。●第二種学校感染症の出席停止基準=インフルエンザ(発症後5日かつ解熱後2日)・百日咳・麻疹(解熱後3日)・流行性耳下腺炎(腫脹後5日)・風疹・水痘(痂皮化)・咽頭結膜熱・結核・髄膜炎菌性髄膜炎。●第一種=エボラ出血熱・ジフテリア等(治癒まで)。
選択肢ごとの解説
① 水痘の出席停止期間はすべての発疹が痂皮化するまでである。 ② 風しんの出席停止期間は発疹が消失するまでである。 ③ 正しい。麻しんの出席停止期間は解熱した後3日を経過するまでである。 ④ 百日咳は特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまでである。 ⑤ 流行性耳下腺炎は耳下腺等の腫脹発現後5日を経過しかつ全身状態が良好になるまでである。
第64回 午後93(公衆衛生学)
会社員が加入する社会保険のうち、被保険者が保険料を負担しないのはどれか。
①医療保険 ②介護保険 ③雇用保険 ④年金保険 ⑤労災保険
正答: ⑤労災保険
ポイント 労働者災害補償保険(労災保険)の保険料は全額を事業主が負担し、被保険者である労働者は負担しない。これは業務上・通勤途上の災害に対する補償が事業主の責任に基づくためである。医療保険・年金保険(厚生年金)は労使折半、介護保険も40歳以上の被保険者が負担し、雇用保険は事業主と労働者の双方が負担する。●社会保険の5分野=医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険。●労使折半=健康保険・厚生年金。●全額事業主負担=労災保険。●被保険者負担あり=介護保険(40歳以上)・雇用保険(労使双方)。●労働保険=労災保険+雇用保険。
選択肢ごとの解説
① 医療保険の保険料は被保険者と事業主が折半で負担する。 ② 介護保険の保険料も40歳以上の被保険者が負担する。 ③ 雇用保険の保険料は事業主と労働者の双方が負担する。 ④ 年金保険(厚生年金)の保険料は労使折半で被保険者も負担する。 ⑤ 正しい。労災保険の保険料は全額事業主負担で、被保険者である労働者は負担しない。
第64回 午後94(公衆衛生学)
定期予防接種の対象疾病でないのはどれか。
①水痘 ②破傷風 ③麻しん ④ジフテリア ⑤流行性耳下腺炎
正答: ⑤流行性耳下腺炎
ポイント 「対象疾病でないのはどれか」型の設問である。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は予防接種法に基づく定期予防接種の対象疾病に含まれておらず、任意接種に位置づけられる。水痘・破傷風・麻疹・ジフテリアはいずれも定期予防接種の対象疾病である。●定期接種A類(主に小児)=ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・麻疹・風疹・日本脳炎・水痘・B型肝炎・Hib・小児用肺炎球菌・ロタ・ヒトパピローマウイルス(HPV)。●定期接種B類(主に高齢者)=インフルエンザ・高齢者肺炎球菌。●任意接種=流行性耳下腺炎・A型肝炎・髄膜炎菌など。
選択肢ごとの解説
① 水痘は定期予防接種の対象疾病である。 ② 破傷風は四種混合(DPT-IPV)などに含まれる定期予防接種の対象疾病である。 ③ 麻しんはMR(麻疹風疹混合)ワクチンとして定期予防接種の対象疾病である。 ④ ジフテリアは四種混合に含まれる定期予防接種の対象疾病である。 ⑤ 誤り。流行性耳下腺炎は任意接種であり、定期予防接種の対象疾病に含まれない。
第64回 午後95(医用工学概論)
単位と物理量の組合せで正しいのはどれか。
①A — インダクタンス ②C — 電荷 ③F — 電力 ④H — 磁束密度 ⑤T — キャパシタンス
正答: ②C — 電荷
ポイント SI単位記号と物理量の組合せを問う問題である。C(クーロン)は電荷(電気量)の単位で正しい。Aはインダクタンスではなく電流の単位、Fはキャパシタンス(静電容量)の単位、Hはインダクタンスの単位、Tは磁束密度(テスラ)の単位であり、いずれも組合せが誤っている。●電気の単位=A(電流)・V(電圧)・Ω(抵抗)・C(電荷)・F(静電容量)。●磁気の単位=H(インダクタンス)・T(磁束密度)・Wb(磁束)。●仕事・電力=J(エネルギー)・W(電力)。●周波数=Hz。
選択肢ごとの解説
① A(アンペア)は電流の単位であり、インダクタンスとの組合せは誤りである。 ② 正しい。C(クーロン)は電荷(電気量)の単位である。 ③ F(ファラド)はキャパシタンス(静電容量)の単位であり、電力との組合せは誤りである。 ④ H(ヘンリー)はインダクタンスの単位であり、磁束密度との組合せは誤りである。 ⑤ T(テスラ)は磁束密度の単位であり、キャパシタンスとの組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:物理量の名称と単位記号(電気・磁気)
第64回 午後96(医用工学概論)
磁場を起電力に変換するトランスデューサはどれか。
①ストレンゲージ ②差動トランス ③ホール素子 ④サーミスタ ⑤圧電素子
正答: ③ホール素子
ポイント 磁場(磁束密度)を起電力(電圧)に変換するトランスデューサを問う問題である。ホール素子はホール効果を利用し、電流が流れる半導体に垂直に磁場を加えると磁場に比例した起電力(ホール電圧)を生じる。ストレンゲージは歪み、差動トランスは変位、サーミスタは温度、圧電素子は圧力・力をそれぞれ電気信号に変換する素子である。●物理量とトランスデューサ=磁場→ホール素子、歪み→ストレンゲージ、変位→差動トランス、温度→サーミスタ/熱電対、圧力・加速度→圧電素子、光→フォトダイオード。●温度センサ=サーミスタ・熱電対・測温抵抗体。●圧力・力センサ=圧電素子・ストレンゲージ式。
選択肢ごとの解説
① ストレンゲージは歪み(変形)を抵抗変化として検出する素子である。 ② 差動トランスは変位を検出する素子で、磁場検出用ではない。 ③ 正しい。ホール素子はホール効果により磁場を起電力(ホール電圧)に変換する。 ④ サーミスタは温度を抵抗変化として検出する素子である。 ⑤ 圧電素子は圧力・力を電荷(電圧)に変換する素子である。
第64回 午後97(医用工学概論)
JIS T 0601-1:2012において医用電気機器の漏れ電流でないのはどれか。
①接触電流 ②誘導電流 ③患者測定電流 ④患者漏れ電流 ⑤接地漏れ電流
正答: ②誘導電流・③患者測定電流
ポイント 「漏れ電流でないのはどれか」型の設問である。JIS T 0601-1:2012で規定される漏れ電流は接地漏れ電流・接触電流(旧外装漏れ電流)・患者漏れ電流であり、患者測定電流は機能上患者に意図的に流れる電流で漏れ電流とは性質が異なり、誘導電流は規定の漏れ電流項目に含まれない。両者が「漏れ電流でないもの」として選ばれる。●JIS T 0601-1の漏れ電流=接地漏れ電流・接触電流・患者漏れ電流。●患者測定電流=正常な使用時に患者接続部間で患者に流れる電流のうち生理的効果を意図しないもの(増幅器のバイアス電流やインピーダンス測定用電流など。漏れ電流とは区別)。●機器の装着部分類=B形・BF形・CF形(CFは心臓に直接適用可で許容値が最も厳しい)。●許容値の例=正常状態の患者漏れ電流CF形10μA等。
選択肢ごとの解説
① 接触電流はJIS T 0601-1で規定される漏れ電流の一つである。 ② 誤り。誘導電流はJIS T 0601-1の漏れ電流項目として規定されていない。 ③ 誤り。患者測定電流は患者に意図的に流れる測定電流で、本来の漏れ電流とは性質が異なる。 ④ 患者漏れ電流はJIS T 0601-1で規定される漏れ電流の一つである。 ⑤ 接地漏れ電流はJIS T 0601-1で規定される漏れ電流の一つである。
📋 まとめの表を見る:医用電気機器の漏れ電流の種類(JIS T 0601-1)
患者測定電流と誘導電流は、JIS T 0601-1が定める漏れ電流の区分には含まれない。
第64回 午後98(医用工学概論)
図のフローチャートを開始から終了まで実行して、bに0〜10の偶数を合計した値を得たい。①に入る記号はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k64pB098.be8ce1e0d0.jpg
正答: ②≦
ポイント 2〜10の偶数を変数bに合計する繰り返し処理の継続条件を問う問題である。図のように変数を0から始め(0→a、0→b)2ずつ増やして加算する場合、10までを含めて合計するには「変数≦10」の間ループを継続する必要がある。等号を含まない<では変数が10のとき条件を満たさず10が加算されないため、等号を含む≦が正しい。≧や>では繰り返しの方向が逆になり、意図した加算ができない。●フローチャート記号=端子(開始/終了)・処理(長方形)・判断(ひし形)・ループ。●比較演算子=<(より小)・≦(以下)・=(等しい)・≧(以上)・>(より大)。●繰り返し構造=前判定(while)・後判定(do-while)・回数指定(for)。
選択肢ごとの解説
① <では変数が10のとき条件を満たさず、10が合計に含まれないため誤りである。 ② 正しい。≦であれば変数が10のときも条件を満たし、10までの偶数を合計できる。 ③ =(等しい)では開始直後の判定(a=0)で条件が成立せず、一度も加算されないままb=0で終了するため誤り。 ④ ≧では繰り返しの方向が逆になり、意図した加算ができない。 ⑤ >でも繰り返しの方向が逆で、2〜10の偶数を合計できない。
第64回 午後99(医用工学概論)
POCT〈ポイント・オブ・ケア・テスティング〉対応機器の特徴として誤っているのはどれか。
①患者が自ら操作する。 ②ポータブル機器が多い。 ③検査結果が迅速に得られる。 ④メンテナンスが容易である。 ⑤簡単な訓練で使用可能となる。
正答: ①患者が自ら操作する。
ポイント 「誤っているのはどれか」型の設問である。POCT(臨床現場即時検査)はベッドサイドや診療現場で医療従事者が行う迅速検査で、ポータブル機器が多く、結果が迅速に得られ、メンテナンスが容易で簡単な訓練で使用できる。患者が自ら操作するのは自己検査(セルフテスト)であり、医療従事者が行うPOCTの一般的特徴ではない。●POCTの例=血糖測定・血液ガス分析・心筋マーカー(トロポニン)・インフルエンザ抗原・尿検査・凝固(PT-INR)。●POCTの利点=迅速性・小型・簡便操作・少量検体。●POCTの留意点=精度管理・測定者の教育・中央検査室との整合性。●自己検査=血糖自己測定(SMBG)・妊娠検査。
選択肢ごとの解説
① 誤り。POCTは医療従事者が診療現場で行う検査であり、患者が自ら操作するのは特徴ではない。 ② POCT機器はベッドサイドで使えるようポータブルなものが多い。 ③ POCTは検査結果が迅速に得られ、その場で診療に活かせる。 ④ POCT機器はメンテナンスが容易になるよう設計されている。 ⑤ POCT機器は簡単な訓練で使用可能となるよう操作性が高い。
第64回 午後100(医用工学概論)
DNAの分離に用いられる装置はどれか。
①デンシトメータ ②サーマルサイクラー ③フローサイトメータ ④シンチレーションカウンタ ⑤アガロースゲル電気泳動装置
正答: ⑤アガロースゲル電気泳動装置
ポイント DNAの分離(サイズによる分画)に用いる装置を問う問題である。アガロースゲル電気泳動装置は、負に帯電したDNA断片を電場で陽極側へ移動させ、ゲルの網目構造による移動度の差で分子量(サイズ)に応じて分離する。デンシトメータは濃度測定、サーマルサイクラーはPCRの温度制御、フローサイトメータは細胞解析、シンチレーションカウンタは放射線測定の装置でありDNAの分離は行わない。●核酸分離・解析=アガロースゲル電気泳動・キャピラリー電気泳動・パルスフィールド電気泳動。●核酸増幅=サーマルサイクラー(PCR)・リアルタイムPCR装置。●定量・検出=デンシトメータ・分光光度計・シーケンサ。●細胞解析=フローサイトメータ。
選択肢ごとの解説
① デンシトメータは泳動後の濃度(量)を測定する装置で、DNAの分離は行わない。 ② サーマルサイクラーはPCRで温度サイクルを制御する装置で、DNAを分離する装置ではない。 ③ フローサイトメータは細胞を解析する装置で、DNAの分離は行わない。 ④ シンチレーションカウンタは放射線を測定する装置で、DNAの分離は行わない。 ⑤ 正しい。アガロースゲル電気泳動装置はDNA断片をサイズに応じて分離する。
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