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第65回(2019) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第65回 午前1(臨床検査総論)
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉における四類感染症はどれか。2つ選べ。
①マラリア ②アメーバ赤痢 ③ジアルジア症 ④エキノコックス症 ⑤クリプトスポリジウム症
正答: ①マラリア・④エキノコックス症
ポイント 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)の四類感染症は、主に動物・飲食物・媒介節足動物を介してヒトに感染し、ヒトからヒトへの直接伝播が原則ない疾患群である。マラリアは蚊媒介、エキノコックス症は虫卵の経口摂取により感染し、いずれも四類に該当する。アメーバ赤痢・ジアルジア症・クリプトスポリジウム症は嚢子・オーシストの糞口感染によりヒト間伝播が起こりうるため五類に分類される。同じ寄生虫疾患でも感染経路の特性により類別が分かれる。 ●四類感染症(媒介・経口の例)=マラリア・エキノコックス症・デング熱・日本脳炎・つつが虫病・ボツリヌス症・E型/A型肝炎・狂犬病。 ●五類感染症(寄生虫・原虫の例)=アメーバ赤痢・ジアルジア症・クリプトスポリジウム症。 ●届出単位の対比=一類・二類は入院勧告等を伴う重篤疾患、三類は飲食物媒介の集団発生疾患(コレラ・細菌性赤痢・腸チフス等)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。マラリアはハマダラカが媒介する原虫感染症で、ヒトからヒトへの直接感染がなく四類感染症である。 ② アメーバ赤痢は赤痢アメーバの嚢子による糞口感染でヒト間伝播がありうるため五類感染症である。 ③ ジアルジア症はランブル鞭毛虫(腸管ジアルジア)の嚢子により糞口感染しうるため五類感染症である。 ④ 正しい。エキノコックス症はキツネ・イヌを終宿主とし虫卵の経口摂取で感染する四類感染症である。 ⑤ クリプトスポリジウム症はオーシストの水系・糞口感染で集団発生しうるため五類感染症である。
📋 まとめの表を見る:感染症法における感染症の類型分類
第65回 午前2(臨床検査総論)
統計的にブランク試料と区別しうる最低濃度を指すのはどれか。
①管理限界 ②許容限界 ③検出限界 ④性能限界 ⑤定量限界
正答: ③検出限界
ポイント 検出限界とは、ブランク(空試料)の測定値の分布と統計的に区別できる最も低い分析対象物濃度を指し、一般にブランクの標準偏差の数倍を基準として定義される。これに対し定量限界は、十分な精度(再現性)と正確さをもって定量しうる最低濃度であり、検出限界より高い濃度に設定される。両者は近接した概念だが意味が異なるため区別する。 ●分析能の指標=検出限界・定量限界・直線性(測定範囲)・正確さ・精度(併行精度・室内再現精度)。 ●精度管理の指標=管理限界(管理図の上限・下限)・許容限界(許容誤差)・標準偏差・変動係数。 ●感度に関する語=分析感度(検量線の傾き)・診断感度(疾患検出率)。
選択肢ごとの解説
① 管理限界は精度管理図において許容できる変動範囲を示す上下の限界線であり、最低検出濃度の定義ではない。 ② 許容限界は許容しうる誤差の範囲を示す概念であり、本問の最低濃度の定義には該当しない。 ③ 正しい。検出限界はブランク試料と統計的に区別しうる最低濃度を指す。 ④ 性能限界は分析法や装置の到達能力を漠然と表す語で、本問の定義には該当しない。 ⑤ 定量限界は十分な精度・正確さで定量できる最低濃度で、検出限界より高い濃度に設定される。
📋 まとめの表を見る:分析法の性能に関する用語の違い(検出限界・定量限界・許容限界等)
第65回 午前3(臨床検査総論)
採取後室温で長時間放置された尿で上昇するのはどれか。
①pH ②ケトン体 ③ブドウ糖 ④ビリルビン ⑤ウロビリノゲン
正答: ①pH
ポイント 採取後の尿を室温で長時間放置すると、尿中で細菌が増殖し尿素をアンモニアへ分解するため、pHはアルカリ性へと上昇する。同時にブドウ糖は細菌や解糖により消費されて減少し、ビリルビンは光や酸化で分解されて減少、ウロビリノゲンは酸化されてウロビリンとなり減少する。ケトン体は揮発性のアセトンを含み揮発・分解により減少する。したがって長時間放置で上昇するのはpHである。 ●放置で増加するもの=pH(アルカリ化)・細菌数・濁度・亜硝酸塩(細菌が硝酸塩を還元)・アンモニア臭。 ●放置で減少するもの=ブドウ糖・ケトン体・ビリルビン・ウロビリノゲン・赤血球/白血球(崩壊)。 ●適切な保存=速やかな検査、冷蔵保存、保存剤の使用。
選択肢ごとの解説
① 正しい。細菌による尿素分解でアンモニアが生じ、pHはアルカリ性に傾いて上昇する。 ② ケトン体は揮発性のアセトン等を含み、放置で分解・揮発して減少する。 ③ ブドウ糖は細菌や解糖により消費されて減少する。 ④ ビリルビンは光や酸化により分解されて減少する。 ⑤ ウロビリノゲンは酸化されてウロビリンとなり減少する。
第65回 午前4(臨床検査総論)
尿路系の出血部位を推定できる尿検査はどれか。
①潜血反応 ②ジアゾ反応 ③塩化第二鉄反応 ④ミオグロビン測定 ⑤変形赤血球の観察
正答: ⑤変形赤血球の観察
ポイント 尿沈渣中の赤血球形態を観察すると、糸球体(腎性)由来の血尿では赤血球が糸球体基底膜を通過する際の物理的・浸透圧的ストレスにより変形を受け、大小不同・辺縁不整・コブ状などの変形赤血球が多くみられる。一方、尿路(下部)由来の出血では大きさのそろった正常形態の赤血球が主体となる。したがって変形赤血球の有無により出血部位を糸球体性か非糸球体性かに推定できる。 ●血尿の検査=潜血反応(有無の検出)・尿沈渣赤血球形態(変形赤血球で部位推定)・赤血球円柱(糸球体性を示唆)。 ●糸球体性血尿の所見=変形赤血球・赤血球円柱・蛋白尿の合併。 ●非糸球体性血尿の所見=均一な赤血球・凝血塊(尿路結石・腫瘍・膀胱炎等)。
選択肢ごとの解説
① 潜血反応は血尿の有無を検出するが、出血部位を推定することはできない。 ② ジアゾ反応は尿中ビリルビン等の検出に用いる反応で、出血部位推定とは無関係である。 ③ 塩化第二鉄反応はフェニルケトン尿症等のスクリーニングに用いる反応で、出血部位推定には用いない。 ④ ミオグロビン測定は横紋筋融解症の評価等に用い、尿路出血部位の推定はできない。 ⑤ 正しい。変形赤血球が多ければ糸球体性、均一な赤血球なら非糸球体性と出血部位を推定できる。
第65回 午前5(臨床検査総論)
ヒトを中間宿主とするのはどれか。
①蟯虫症 ②マラリア ③横川吸虫症 ④日本海裂頭条虫症 ⑤Manson裂頭条虫症
正答: ②マラリア
ポイント マラリア原虫はハマダラカ(蚊)の体内で雌雄配偶子が接合し有性生殖(スポロゴニー)を完了するため、蚊が終宿主にあたる。ヒトでは肝細胞内および赤血球内で無性生殖(分裂増殖)が行われるため、ヒトは中間宿主となる。これに対し蟯虫・横川吸虫・日本海裂頭条虫では、ヒトが成虫の寄生する終宿主となる。マンソン裂頭条虫ではヒトに通常成虫は寄生しない。 ●ヒトが中間宿主=マラリア(赤内型分裂)・有鉤条虫の嚢虫症(虫卵経口時)・トキソプラズマ・エキノコックス。 ●ヒトが終宿主=蟯虫・回虫・横川吸虫・無鉤条虫・有鉤条虫(成虫)・日本海裂頭条虫。 ●マラリアの病型=熱帯熱・三日熱・四日熱・卵形マラリア。
選択肢ごとの解説
① 蟯虫症ではヒトが成虫の寄生する終宿主であり、中間宿主を介さない。 ② 正しい。マラリアは蚊が有性生殖を行う終宿主で、ヒトは無性生殖が起こる中間宿主である。 ③ 横川吸虫症ではヒトは成虫が寄生する終宿主で、第二中間宿主はアユ等の淡水魚である。 ④ 日本海裂頭条虫症ではヒトが終宿主で、中間宿主はケンミジンコとサケ・マスである。 ⑤ マンソン裂頭条虫の終宿主はイヌ・ネコなどで、ヒトでは通常成虫にならず、幼虫による孤虫症を起こす。ヒトは主に待機宿主として扱われ、感染経路によっては第二中間宿主にもなりうる。本問では、ヒト体内で無性生殖を行うマラリア原虫を選ぶ。
第65回 午前6(臨床検査総論)
経皮感染をする寄生虫はどれか。2つ選べ。
正答: ②糸状虫・③糞線虫 または ②糸状虫・④住血吸虫 または ③糞線虫・④住血吸虫(いずれの組合せも正解)
ポイント 経皮感染をする寄生虫は、土壌中の感染型幼虫や水中のセルカリアが皮膚を能動的に貫通して侵入する。糞線虫は土壌中の幼虫(フィラリア型幼虫)が皮膚から侵入し、住血吸虫はセルカリアが水中で皮膚を貫通する。糸状虫(フィラリア)は蚊の刺咬時に感染幼虫が刺し口から経皮的に侵入する。回虫は成熟虫卵の経口摂取、アニサキスは海産魚介の生食による経口感染である。 ●経皮感染(能動的皮膚侵入)=糞線虫・鉤虫・住血吸虫(マンソン・日本・ビルハルツ)。 ●節足動物媒介で経皮的に侵入=糸状虫(バンクロフト糸状虫等)・マラリア・リーシュマニア。 ●経口感染=回虫・鞭虫・蟯虫・アニサキス・無鉤/有鉤条虫・横川吸虫。●複数正答の認定=本問は公式正答表で「2・3」「2・4」「3・4」のいずれの組合せも正解と認められている。本ドリルでは公式に認められたいずれの組合せ(2つ)を選んでも正解になる。
解説 採点上、選択肢2・3・4のうち2つを選べば正答(複数の組合せを正答とする)。
選択肢ごとの解説
① 回虫は成熟虫卵を経口摂取して感染する経口感染であり、経皮感染しない。 ② 正しい。糸状虫(フィラリア)は蚊の刺咬時に感染幼虫が皮膚から侵入する経皮感染である。 ③ 正しい。糞線虫は土壌中の感染型幼虫が皮膚を貫通して経皮感染する。 ④ 正しい。住血吸虫はセルカリアが水中で皮膚を貫通して経皮感染する。 ⑤ アニサキスはサバ等の海産魚介類の生食による経口感染である。
📋 まとめの表を見る:寄生虫・原虫の感染経路の分類
第65回 午前7(臨床検査総論)
46歳の男性。主訴は腹部不快感。現病歴として、外国旅行中に加熱不十分の牛ステーキを食べ、帰国して3か月後、肛門周囲から条虫の肉厚の片節が1個ずつ分離して排出され、糞便中で動いていた。虫体の写真を別に示す。診断として考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA007.93c90379e8.jpg
①多包条虫症 ②単包条虫症 ③無鉤条虫症 ④有鉤条虫症 ⑤日本海裂頭条虫症
正答: ③無鉤条虫症
ポイント 加熱不十分の牛肉摂取後に、肉厚で運動性のある受胎片節が単独で肛門から自然排出されるのは無鉤条虫の特徴的な病像である。無鉤条虫は牛を中間宿主とし、頭節に鉤を欠き、受胎片節の子宮側枝数が片側15本以上と多い。有鉤条虫は豚肉が感染源で子宮側枝数が少なく、虫卵の経口摂取により嚢虫症を起こすリスクがある点で鑑別される。 ●牛肉由来=無鉤条虫症(片節が運動性をもって排出、嚢虫症なし)。 ●豚肉由来=有鉤条虫症(嚢虫症のリスクあり)。 ●淡水魚・サケマス由来=日本海裂頭条虫症(薄い帯状の体節連鎖が排出)。 ●包虫症=多包条虫(キツネ終宿主・肝に多包虫)・単包条虫(イヌ終宿主・嚢胞形成)。
選択肢ごとの解説
① 多包条虫症はキツネ等を終宿主とし、ヒトでは肝臓に多包虫を形成する重篤な疾患で、片節排出という病像を呈さない。 ② 単包条虫症はイヌを終宿主とし、ヒトでは単包虫の嚢胞を形成するもので、本病歴に合致しない。 ③ 正しい。牛肉摂取歴と運動性のある肉厚片節の単独排出は牛由来の無鉤条虫症に合致する。 ④ 有鉤条虫は豚肉が感染源で子宮側枝数が少なく嚢虫症のリスクを伴う点で、牛肉摂取歴と矛盾する。 ⑤ 日本海裂頭条虫症はサケ・マスの生食が原因で、排出されるのは肉厚片節ではなく薄い帯状の体節連鎖である。
第65回 午前8(臨床検査総論)
検査法とその目的の組合せで誤っているのはどれか。
①Schlesinger法 — 便中ウロビリン体定性試験 ②セロファンテープ法 — 鞭虫検査 ③便中ヘモグロビン定量 — 大腸がん検査 ④糞便塗抹Sudan Ⅲ染色 — 脂肪吸収不良検査 ⑤ホルマリン・エーテル法〈MGL法〉 — 寄生虫集卵検査
正答: ②セロファンテープ法 — 鞭虫検査
ポイント セロファンテープ法(粘着テープ肛囲検査)は、夜間に肛門周囲へ移動して産卵する蟯虫の虫卵を検出する方法であり、鞭虫の検査法ではない。鞭虫卵は糞便中に排出されるため、集卵法(ホルマリン・エーテル法など)で検出する。検査法と対象寄生虫・目的の正しい対応を問う組合せ問題である。 ●虫卵検出法=直接塗抹法・集卵法(ホルマリン・エーテル法〔MGL法〕・浮遊法)・セロファンテープ法(蟯虫)。 ●便の化学的検査=Schlesinger法(ウロビリン体)・便潜血(ヘモグロビン)・Sudan III染色(脂肪)。 ●大腸がんスクリーニング=免疫学的便潜血(便中ヘモグロビン定量)。
選択肢ごとの解説
① Schlesinger法は便中・尿中のウロビリン体の定性試験であり、組合せは正しい。 ② 誤り。セロファンテープ法は肛囲に産卵する蟯虫の虫卵検査法であり、糞便中に虫卵が出る鞭虫の検査には適さない。 ③ 便中ヘモグロビン定量は消化管出血をとらえる大腸がんスクリーニングに用い、組合せは正しい。 ④ 糞便塗抹のSudan III染色は脂肪滴を染め脂肪吸収不良の評価に用い、組合せは正しい。 ⑤ ホルマリン・エーテル法(MGL法)は寄生虫卵の集卵法であり、組合せは正しい。
📋 まとめの表を見る:糞便関連の各種検査法とその目的
第65回 午前9(臨床検査総論)
プライマーとプローブの両方を用いるのはどれか。
①FISH法 ②LAMP法 ③ノザンブロット法 ④Real-time PCR法 ⑤シークエンス解析〈ジデオキシ法〉
正答: ④Real-time PCR法
ポイント リアルタイムPCR(Real-time PCR)法は、プライマーで標的領域を増幅しながら、蛍光標識プローブ(TaqManプローブ等)のシグナルを経時的に検出して増幅をリアルタイムに監視する手法であり、プライマーとプローブの両方を用いる点が特徴である。他の方法は片方のみを用いるか、増幅自体を行わない。 ●プライマーを用いる増幅法=PCR・リアルタイムPCR・LAMP(複数プライマー)・シークエンス反応。 ●プローブを用いるハイブリダイゼーション法=FISH・サザンブロット・ノザンブロット。 ●プライマーとプローブ併用=リアルタイムPCR(TaqMan法)。 ●検出標識=蛍光(インターカレーター/プローブ)・放射性・ジゴキシゲニン。
選択肢ごとの解説
① FISH法は蛍光標識プローブを染色体・細胞にハイブリダイズさせる手法で、プライマーは用いない。 ② LAMP法は複数のプライマーで等温増幅を行う方法で、プローブを必須としない。 ③ ノザンブロット法はRNAを電気泳動後に標識プローブで検出する方法で、プライマーは用いない。 ④ 正しい。リアルタイムPCRはプライマーによる増幅と蛍光プローブによる検出を併用する。 ⑤ シークエンス解析(ジデオキシ法)はプライマーと蛍光標識ジデオキシヌクレオチドを用いるが、プローブは使用しない。
第65回 午前10(臨床検査総論)
分染法と染色部位の組合せで誤っているのはどれか。
①Cバンド分染法 — 動原体部を選択的に染め分ける。 ②Gバンド分染法 — 染色体末端部を選択的に染める。 ③NOR分染法 — 仁形成部分を選択的に染め分ける。 ④Qバンド分染法 — Y染色体の長腕末端部が強く染まる。 ⑤Rバンド分染法 — 不活化X染色体が染まる。
正答: ②Gバンド分染法 — 染色体末端部を選択的に染める。
ポイント Gバンド分染法はトリプシン処理後にGiemsa染色を行い、染色体全長に明暗の縞模様(バンドパターン)を生じさせて染色体の同定や構造異常の検出に用いる手法であり、特定の末端部だけを選択的に染めるものではない。染色体末端(テロメア)を強調するのはTバンド(Rバンド系)である。各分染法と特異的に染まる部位の正しい対応を問う組合せ問題である。 ●ヘテロクロマチン染色=Cバンド(動原体部)・NOR分染(仁形成部)。 ●バンドパターン法=Gバンド(全長の縞模様)・Rバンド(Gと逆パターン)・Qバンド(蛍光、Y長腕末端が明るい)。 ●末端強調=Tバンド(テロメア)。 ●不活化X染色体=遅延複製を利用したR系・BrdU法で識別。
選択肢ごとの解説
① Cバンド分染法はセントロメア(動原体)部の構成的ヘテロクロマチンを選択的に染め、組合せは正しい。 ② 誤り。Gバンド分染法は染色体全長にバンドパターンを生じる方法であり、末端部を選択的に染めるものではない。 ③ NOR分染法は仁(核小体)形成部の領域を選択的に染め分け、組合せは正しい。 ④ Qバンド分染法ではキナクリン蛍光でY染色体長腕末端部が強く明るく染まり、組合せは正しい。 ⑤ Rバンド分染法はGバンドと逆の染め分けで不活化X染色体等が染まり、組合せは正しい。
📋 まとめの表を見る:染色体分染法(バンディング法)の種類と特徴
GバンドとRバンドは互いに逆の濃淡パターンを示す。QバンドはGバンドと同じ濃淡パターンだが、蛍光染色法である点が異なる。
第65回 午前11(臨床検査医学総論)
ADH不適合分泌症候群〈SIADH〉について誤っているのはどれか。
①脱水がみられる。 ②尿浸透圧が高い。 ③意識障害を生じる。 ④低ナトリウム血症がみられる。 ⑤病因として肺小細胞癌がある。
正答: ①脱水がみられる。
ポイント 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では抗利尿ホルモン(ADH)の過剰分泌により腎集合管での水再吸収が亢進し、体内に水が貯留して希釈性の低ナトリウム血症をきたす。水貯留により細胞外液量はむしろ正常〜増加傾向となり、脱水は生じない。尿は濃縮されて尿浸透圧が高く、肺小細胞癌等の異所性ADH産生が代表的病因となる。 ●低Na血症の鑑別=水貯留(SIADH・心不全・肝硬変・腎不全)/Na喪失(嘔吐・下痢・利尿薬・副腎不全)。 ●SIADHの特徴=低Na血症・尿浸透圧高値・血漿浸透圧低値・体液量正常〜増加・脱水なし。 ●異所性ADH産生腫瘍=肺小細胞癌が代表。 ●対照疾患=中枢性/腎性尿崩症(ADH作用低下で多尿・高Na傾向)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。SIADHはADH過剰による水貯留が本態であり、脱水ではなく体液量はむしろ保たれて希釈性低ナトリウム血症をきたす。 ② ADHにより水再吸収が亢進するため尿は濃縮され、尿浸透圧は高くなり正しい。 ③ 高度の低ナトリウム血症により意識障害を生じうるため、正しい。 ④ 水貯留による希釈で低ナトリウム血症がみられ、正しい。 ⑤ 肺小細胞癌は異所性ADH産生によりSIADHの病因となり、正しい。
📋 まとめの表を見る:抗利尿ホルモン〈ADH〉分泌異常症:尿崩症とSIADHの比較
第65回 午前12(臨床検査医学総論)
腎不全で起こる電解質異常はどれか。
①高カルシウム血症 ②高ナトリウム血症 ③高リン血症 ④低カリウム血症 ⑤低マグネシウム血症
正答: ③高リン血症
ポイント 腎不全では糸球体濾過量(GFR)の低下によりリンの排泄が障害され、高リン血症をきたす。さらに活性型ビタミンD産生の低下で腸管からのカルシウム吸収が減少して低カルシウム血症となり、カリウムの排泄低下で高カリウム血症、不揮発性酸の蓄積で代謝性アシドーシスを生じる。電解質異常の方向を正確に把握することが要点である。 ●腎不全で上昇=リン・カリウム・マグネシウム・尿素窒素・クレアチニン・水分。 ●腎不全で低下=カルシウム(活性型ビタミンD低下)・重炭酸イオン(代謝性アシドーシス)・エリスロポエチン(腎性貧血)。 ●続発する病態=腎性骨異栄養症(二次性副甲状腺機能亢進症)・高カリウム性不整脈。
選択肢ごとの解説
① 腎不全では活性型ビタミンD低下とリン貯留により低カルシウム血症となるため、高カルシウム血症は誤りである。 ② 腎不全では水・ナトリウム貯留が主であり、高ナトリウム血症は典型的ではない。 ③ 正しい。GFR低下によりリン排泄が障害され高リン血症をきたす。 ④ 腎不全ではカリウム排泄が低下し高カリウム血症となるため、低カリウム血症は誤りである。 ⑤ 腎不全ではマグネシウム排泄低下により高マグネシウム血症に傾き、低マグネシウム血症は誤りである。
第65回 午前13(臨床検査医学総論)
血球貪食症候群で高値を示すのはどれか。2つ選べ。
①血小板数 ②白血球数 ③血清フェリチン ④血漿フィブリノゲン ⑤血清トリグリセライド
正答: ③血清フェリチン・⑤血清トリグリセライド
ポイント 血球貪食症候群(血球貪食性リンパ組織球症、HLH)はマクロファージの過剰な活性化により骨髄や脾臓で血球が貪食され、汎血球減少をきたす。活性化マクロファージから放出される血清フェリチンは著明に高値となり、高サイトカイン状態でリポ蛋白リパーゼ活性が低下して血清トリグリセライドが上昇する。フィブリノゲンは消費・低下し、これらは診断基準にも組み込まれている。 ●本症で高値=血清フェリチン・血清トリグリセライド・可溶性IL-2受容体・LDH・各種サイトカイン。 ●本症で低値=血小板数・白血球数・ヘモグロビン(汎血球減少)・血漿フィブリノゲン・ナチュラルキラー細胞活性。 ●基礎疾患=感染(EBウイルス等)・悪性リンパ腫・自己免疫疾患・遺伝性(家族性HLH)。
選択肢ごとの解説
① 血球貪食により血小板は減少するため、高値は誤りである。 ② 汎血球減少を反映して白血球も減少するため、高値は誤りである。 ③ 正しい。活性化マクロファージにより血清フェリチンは著明に高値を示す。 ④ 本症ではフィブリノゲンは消費・低下し、高値ではない。 ⑤ 正しい。リポ蛋白リパーゼ活性低下により血清トリグリセライドは高値を示す。
第65回 午前14(臨床検査医学総論)
pH 7.32、PaCO₂ 27 Torr、HCO₃⁻ 13 mmol/L、Na⁺ 138 mmol/L、K⁺ 4.5 mmol/L、Cl⁻ 102 mmol/Lであった。考えられるのはどれか。
①心不全 ②間質性肺炎 ③尿細管性アシドーシス ④原発性アルドステロン症 ⑤糖尿病性ケトアシドーシス
正答: ⑤糖尿病性ケトアシドーシス
ポイント pH 7.32と低下し、HCO₃⁻ 13 mmol/Lと低値で代謝性アシドーシスを示し、PaCO₂ 27 Torrの低下は呼吸性代償を表す。アニオンギャップはNa⁺−(Cl⁻+HCO₃⁻)=138−(102+13)=23と開大しており、ケト酸が蓄積する糖尿病性ケトアシドーシスに合致する。アニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスの代表的病態を判定する問題である。 ●アニオンギャップ開大性代謝性アシドーシス=糖尿病性ケトアシドーシス・乳酸アシドーシス・腎不全(尿毒症)・中毒(メタノール・エチレングリコール・サリチル酸)。 ●アニオンギャップ正常(高Cl性)=尿細管性アシドーシス・下痢。 ●代謝性アルカローシス=嘔吐・原発性アルドステロン症・利尿薬。
選択肢ごとの解説
① 心不全単独では本問のようなアニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスの典型像は呈さない。 ② 間質性肺炎は拡散障害による低酸素が主体で、本データのアシドーシス像とは合致しない。 ③ 尿細管性アシドーシスはアニオンギャップ正常(高Cl性)の代謝性アシドーシスを呈する点で本データと異なる。 ④ 原発性アルドステロン症は代謝性アルカローシスと低カリウム血症をきたし、本データと逆である。 ⑤ 正しい。HCO₃⁻低下・呼吸性代償・アニオンギャップ開大(約23)は糖尿病性ケトアシドーシスに合致する。
第65回 午前15(臨床検査医学総論)
空腹時血清中の総コレステロール350 mg/dL、トリグリセライド105 mg/dL、HDL-コレステロール49 mg/dLのとき、Friedewaldの計算式から求めたLDL-コレステロール値[mg/dL]はどれか。
正答: ③280
ポイント Friedewald(フリードワルド)の計算式は、LDL-コレステロール=総コレステロール−HDL-コレステロール−トリグリセライド/5で求める。本問では350−49−105/5=350−49−21=280 mg/dLとなる。なおトリグリセライドが400 mg/dL以上の場合は本式の精度が低下し適用できないため、直接法による測定が必要である。 ●脂質の検査値=総コレステロール・HDL-コレステロール・LDL-コレステロール・トリグリセライド・non-HDLコレステロール。 ●LDL-Cの求め方=Friedewald式(TG<400で適用可)・直接測定法。 ●リポ蛋白分画=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。
選択肢ごとの解説
① 245は計算が合致せず誤りである。 ② 270は計算が合致せず誤りである。 ③ 正しい。350−49−(105/5)=280 mg/dLとなる。 ④ 305は計算が合致せず誤りである。 ⑤ 310は計算が合致せず誤りである。
第65回 午前16(臨床生理学)
健常人の心内圧において、拡張期と収縮期の差が最も大きいのはどれか。
正答: ④左室
ポイント 左室は拡張期にはほぼ0に近い低圧で血液を充満させ、収縮期には大動脈へ駆出するため約120 mmHg前後まで上昇する。このため拡張期圧と収縮期圧の差が四腔および大動脈の中で最も大きい。右室も同様に駆出するが、肺循環は低圧系のため収縮期圧が約25 mmHgと低く、圧差は左室より小さい。 ●左心系の圧(収縮期/拡張期の目安)=左室120/0〜12・大動脈120/80・左房は平均約8 mmHgと低圧。 ●右心系の圧=右室25/0〜5・肺動脈25/10・右房は平均約3 mmHgと低圧。 ●心房は充満を担う低圧系で収縮・拡張の圧差が小さい。
選択肢ごとの解説
① 右房は低圧系で拡張期・収縮期の圧差は小さい。 ② 右室は肺動脈へ駆出するが低圧系(収縮期約25 mmHg)のため左室ほど圧差は大きくない。 ③ 左房は低圧系で圧差は小さい。 ④ 正しい。左室は拡張期の低圧から収縮期に大動脈圧(約120 mmHg)まで上昇し、圧差が最も大きい。 ⑤ 大動脈は脈圧(収縮期と拡張期の差)はあるが、拡張期も比較的高圧に保たれるため左室ほどの圧差はない。
第65回 午前17(臨床生理学)
心電図を別に示す。正しいのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA017.dca1755ae9.jpg
①洞停止 ②心室頻拍 ③心房細動 ④洞不整脈 ⑤完全右脚ブロック
正答: ③心房細動・⑤完全右脚ブロック
ポイント 本図の心電図は基線が不規則に細かく揺れて明瞭なP波を欠き、RR間隔がまったく不規則(絶対性不整)であることから心房細動と判読できる。さらにQRS幅の延長とV1誘導の特徴的な波形(rsR'型)から完全右脚ブロックの合併を認める。両者を同時に満たす所見を選ぶ問題である。 ●上室性の不整脈=心房細動(P波消失・絶対性不整)・心房粗動(鋸歯状F波)・洞不整脈(呼吸性RR変動)・洞停止(P波の脱落)。 ●脚ブロック=完全右脚ブロック(V1でrsR'・幅広QRS)・完全左脚ブロック(V5・6で幅広R)。 ●心室性不整脈=心室頻拍(幅広QRSが規則的に連続)・心室細動。
選択肢ごとの解説
① 洞停止はP波が一定期間欠落する所見で、不規則な基線細動を伴う本図には合致しない。 ② 心室頻拍は幅広いQRSが規則的に連続するもので、本図のRR不整とは異なる。 ③ 正しい。明瞭なP波を欠きRR間隔が絶対性不整であることから心房細動である。 ④ 洞不整脈はP波が存在し呼吸性にRR間隔が変動するもので、P波を欠く本図とは異なる。 ⑤ 正しい。QRS幅延長とV1の特徴的波形(rsR'型)から完全右脚ブロックを認める。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第65回 午前18(臨床生理学)
運動負荷心電図で正しいのはどれか。2つ選べ。
①重症大動脈弁狭窄症は禁忌である。 ②Masterの2階段試験での負荷量は年齢、性別および身長で決める。 ③トレッドミル負荷試験は心電図と経皮的酸素飽和度を記録する。 ④最大予測心拍数は300から年齢を引いた数である。 ⑤運動負荷の中止徴候として持続する10 mmHg以上の血圧低下がある。
正答: ①重症大動脈弁狭窄症は禁忌である。・⑤運動負荷の中止徴候として持続する10 mmHg以上の血圧低下がある。
ポイント 運動負荷心電図において、重症大動脈弁狭窄症は運動による心拍出量増加に応じきれず失神や突然死のリスクが高いため絶対的禁忌である。運動負荷の中止徴候には、持続する10 mmHg以上の血圧低下、強い胸痛、危険な不整脈、著明なST変化などがある。Masterの階段試験は年齢・性別・体重で負荷量を決め、最大予測心拍数は概ね220から年齢を引いて求める。 ●運動負荷の禁忌=急性心筋梗塞・不安定狭心症・重症大動脈弁狭窄症・コントロール不良の不整脈・急性心不全。 ●負荷法=Masterの二段階階段試験(年齢・性別・体重で規定)・トレッドミル・エルゴメーター。 ●中止徴候=血圧低下(10 mmHg以上持続)・強い胸痛・危険な不整脈・著明なST低下/上昇・呼吸困難。
選択肢ごとの解説
① 正しい。重症大動脈弁狭窄症は運動負荷で失神・突然死のリスクが高く禁忌である。 ② Masterの階段試験の負荷量は年齢・性別・体重で決めるもので、身長は用いないため誤りである。 ③ トレッドミル負荷試験で記録するのは主に心電図と血圧であり、経皮的酸素飽和度を必須とはしない点で適切でない。 ④ 最大予測心拍数は概ね220から年齢を引いた値であり、300からではないため誤りである。 ⑤ 正しい。持続する10 mmHg以上の血圧低下は運動負荷の中止徴候である。
第65回 午前19(臨床生理学)
呼吸不全を呈する筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉の肺機能検査で予想される結果はどれか。2つ選べ。ただし、他の呼吸器疾患の合併はないものとする。
①1秒率低下 ②残気量減少 ③肺活量減少 ④機能的残気量減少 ⑤肺拡散能〈DLCO〉低下
正答: ③肺活量減少・⑤肺拡散能〈DLCO〉低下
ポイント 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では呼吸筋(横隔膜・肋間筋等)の筋力低下により拘束性換気障害をきたし、肺活量や全肺気量が低下する。気道自体は正常なため1秒率は保たれる。肺胞のガス交換能を示す肺拡散能(DLCO)は本来正常だが、呼吸筋力低下による肺胞低換気や有効肺胞面積の減少を反映して低下しうる。残気量・機能的残気量は減少傾向となる。 ●拘束性換気障害(%肺活量低下)=間質性肺炎・肺線維症・神経筋疾患(ALS・重症筋無力症)・胸郭変形。 ●閉塞性換気障害(1秒率低下)=慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息。 ●DLCO低下=間質性肺炎・肺気腫・肺血管疾患・肺胞低換気。 ●DLCO上昇=肺胞出血・多血症。
選択肢ごとの解説
① ALSは気道閉塞ではなく呼吸筋力低下による拘束性障害で、1秒率はむしろ保たれるため低下は予想されない。 ② 残気量は減少しうるが、本問で問われる代表的所見としては肺活量減少のほうが適切である。 ③ 正しい。呼吸筋力低下による拘束性換気障害で肺活量が減少する。 ④ 機能的残気量は減少しうるが、典型的に問われる主要所見としては選ばれない。 ⑤ 正しい。肺胞低換気や有効肺胞面積の低下を反映して肺拡散能(DLCO)は低下しうる。
第65回 午前20(臨床生理学)
フローボリューム曲線を別に示す。測定項目と検査結果の組合せで誤っているのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA020.e51aefe911.jpg
①V25 — 3.0 L/秒 ②V50 — 0.9 L/秒 ③最大吸気量 — 2.8 L ④努力肺活量 — 4.5 L ⑤ピークフロー — 9.4 L/秒
正答: ①V25 — 3.0 L/秒
ポイント フローボリューム曲線では、努力肺活量の25%残気位における呼出流量V25は曲線終末近くの低い流量となり、健常者ではV50よりさらに小さい値をとる。ピークフローは曲線の最高点、努力肺活量は横軸の全幅から読み取る。V25が3.0 L/秒という大きな値はV50(0.9 L/秒)を上回っており、曲線形と矛盾するため組合せが誤りである。 ●フローボリューム曲線の指標=ピークフロー(最大呼気流量)・V50・V25(末梢気道の指標)・努力肺活量・最大吸気量。 ●末梢気道病変=V25・V50の低下・下降脚の下に凸の変形。 ●正常な大小関係=ピークフロー>V50>V25。
選択肢ごとの解説
① 誤り。V25は呼出終末近くの低流量であり、V50(0.9 L/秒)を上回る3.0 L/秒という値は曲線形と矛盾する。 ② V50は努力肺活量50%位の流量で、曲線から0.9 L/秒と読み取れ整合する。 ③ 最大吸気量は曲線下方の吸気側から読み取れ、2.8 Lは整合する。 ④ 努力肺活量は曲線の横軸全幅にあたり、4.5 Lは整合する。 ⑤ ピークフローは曲線の最高流量点であり、9.4 L/秒は整合する。
📋 まとめの表を見る:呼吸機能検査:測定項目と測定方法
第65回 午前21(臨床生理学)
動脈血酸素含量〈CaO₂〉の算出に必要なのはどれか。2つ選べ。
①PaO₂ ②SpO₂ ③心拍出量 ④ヘモグロビン濃度 ⑤混合静脈血酸素分圧〈PvO₂〉
正答: ①PaO₂・④ヘモグロビン濃度
ポイント 動脈血酸素含量(CaO2)は、ヘモグロビンに結合した酸素量(1.34×Hb×SaO₂)と血漿に物理的に溶解した酸素量(0.003×PaO₂)の和で求められる。したがってヘモグロビン濃度と酸素分圧(PaO₂、および飽和度SaO₂)が必須である。心拍出量や混合静脈血酸素分圧は酸素運搬量や酸素消費量の算出に用いるが、CaO2そのものの計算には不要である。 ●CaO2の構成=結合酸素(1.34×Hb×SaO₂)+溶存酸素(0.003×PaO₂)。 ●酸素運搬量(DO2)=CaO2×心拍出量。 ●酸素消費量=(CaO2−CvO2)×心拍出量(Fickの原理)。 ●関連指標=SpO₂・PaO₂・酸素解離曲線。
選択肢ごとの解説
① 正しい。PaO₂は溶存酸素量の算出に必要であり、酸素飽和度の決定にも関与する。 ② 酸素飽和度SpO₂は含量算出に有用だが、本問ではPaO₂とヘモグロビン濃度が正答として選ばれている。 ③ 心拍出量は酸素運搬量の算出に用いるが、CaO2そのものの計算には不要である。 ④ 正しい。ヘモグロビン濃度は結合酸素量の算出に必須である。 ⑤ 混合静脈血酸素分圧は動脈血酸素含量の算出には用いない。
第65回 午前22(臨床生理学)
呼吸性アシドーシスはどれか。
①pH 7.47 PaCO₂ 30 Torr HCO₃⁻ 23 mmol/L ②pH 7.47 PaCO₂ 46 Torr HCO₃⁻ 32 mmol/L ③pH 7.40 PaCO₂ 40 Torr HCO₃⁻ 24 mmol/L ④pH 7.34 PaCO₂ 60 Torr HCO₃⁻ 30 mmol/L ⑤pH 7.30 PaCO₂ 30 Torr HCO₃⁻ 16 mmol/L
正答: ④pH 7.34 PaCO₂ 60 Torr HCO₃⁻ 30 mmol/L
ポイント 呼吸性アシドーシスは肺胞低換気によりPaCO₂が貯留して45 Torrを超え、pHが酸性側(7.35未満)へ傾く病態である。pH 7.34と低下し、PaCO₂ 60 Torrと上昇している値が呼吸性アシドーシスに合致する。HCO₃⁻ 30 mmol/Lへの上昇は腎による代償(重炭酸の再吸収増加)を示す。pHとPaCO₂の変化方向から病態を判定する。 ●呼吸性アシドーシス=PaCO₂上昇・pH低下(慢性閉塞性肺疾患・換気不全・呼吸抑制)。 ●呼吸性アルカローシス=PaCO₂低下・pH上昇(過換気)。 ●代謝性アシドーシス=HCO₃⁻低下・pH低下(糖尿病性ケトアシドーシス・腎不全・下痢)。 ●代謝性アルカローシス=HCO₃⁻上昇・pH上昇(嘔吐・利尿薬)。
選択肢ごとの解説
① pH高値・PaCO₂低値は呼吸性アルカローシスであり、呼吸性アシドーシスではない。 ② pH高値・PaCO₂高値・HCO₃⁻高値は代謝性アルカローシス(呼吸性代償)であり該当しない。 ③ すべて基準範囲内で正常な酸塩基平衡を示す。 ④ 正しい。pH 7.34の低下とPaCO₂ 60 Torrの上昇は呼吸性アシドーシスを示し、HCO₃⁻上昇は腎性代償である。 ⑤ pH低下・PaCO₂低下・HCO₃⁻低下は代謝性アシドーシス(呼吸性代償)であり該当しない。
📋 まとめの表を見る:酸塩基平衡異常の4パターン(pH・一次性変化・代償性変化)
代償は血液pHを基準範囲(7.35〜7.45)へ戻そうとする働き。呼吸性代償は換気量の増減により数時間単位、代謝性(腎性)代償はHCO₃-の排泄調節により数日単位で生じる。代償が予測範囲を超える場合は混合性障害を疑う。
第65回 午前23(臨床生理学)
超音波画像にみられる音響陰影の説明として誤っているのはどれか。
①強い減衰の後方にみられやすい。 ②強い反射の後方にみられやすい。 ③結石の後方にみられやすい。 ④囊胞の後方にみられやすい。 ⑤ガス〈空気〉の後方にみられやすい。
正答: ④囊胞の後方にみられやすい。
ポイント 音響陰影(音響シャドウ)は、結石・石灰化・ガスなど超音波を強く反射または減衰させる構造の後方に超音波が届かず、無エコー域(暗い帯)として現れる現象である。一方、嚢胞のような液体貯留の後方では音波がよく透過するため、むしろエコーが強く描出される後方エコー増強がみられる。したがって嚢胞の後方にみられやすいとする記述が誤りである。 ●音響陰影を生じる構造=結石・石灰化・骨・ガス(空気)・金属。 ●後方エコー増強を生じる構造=嚢胞・膿瘍・膀胱など液体貯留。 ●その他のアーチファクト=多重反射・サイドローブ・鏡面現象・コメットエコー。
選択肢ごとの解説
① 強い減衰を生じる構造の後方に音響陰影がみられやすく、正しい。 ② 強い反射を起こす構造の後方に音波が到達せず音響陰影が生じるため、正しい。 ③ 結石は強い反射・減衰を起こし後方に音響陰影を生じるため、正しい。 ④ 誤り。嚢胞の後方は音波がよく透過するため後方エコー増強がみられ、音響陰影ではない。 ⑤ ガスや空気は強く反射・散乱し後方に音響陰影を生じるため、正しい。
第65回 午前24(臨床生理学)
大動脈弁狭窄の超音波検査で弁口部の最高流速が4 m/sのとき、狭窄前後の圧較差[mmHg]に最も近いのはどれか。
正答: ⑤64
ポイント 簡易ベルヌーイ式により、狭窄部前後の圧較差ΔP(mmHg)は4×(最高流速V)²で近似される。最高流速4 m/sを代入すると4×4²=4×16=64 mmHgとなる。連続波ドプラ法で計測した弁口最高流速から、大動脈弁狭窄症の重症度を評価する基本式である。 ●ドプラ法による評価=最高流速・圧較差(簡易ベルヌーイ式)・弁口面積(連続の式)。 ●大動脈弁狭窄症の重症度指標=最高流速・平均圧較差・弁口面積。 ●関連指標=連続の式(弁口面積=左室流出路面積×流出路流速時間積分/弁口部流速時間積分)。
選択肢ごとの解説
① 4は計算が合致せず誤りである。 ② 8は計算が合致せず誤りである。 ③ 16は4×4の値であり、最高流速を二乗していないため誤りである。 ④ 48は計算が合致せず誤りである。 ⑤ 正しい。4×(4)²=64 mmHgとなる。
第65回 午前25(臨床生理学)
脳波検査において周期性同期性高振幅徐波結合を認めるのはどれか。
①亜急性硬化性全脳炎 ②肝性脳症 ③欠神発作 ④脳動脈硬化症 ⑤もやもや病
正答: ①亜急性硬化性全脳炎
ポイント 周期性同期性高振幅徐波(周期性同期性放電、PSD)は、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)でみられる特徴的な脳波所見で、数秒ごとに反復する高振幅複合波が左右半球に同期して出現する。本症は麻疹ウイルスの持続感染による遅発性中枢神経疾患であり、出現する複合波が体のミオクローヌスに同期することが多い。 ●脳波の特徴的所見と疾患=周期性同期性放電(亜急性硬化性全脳炎)・周期性同期性放電(クロイツフェルト・ヤコブ病)・三相波(肝性脳症)。 ●てんかん波=3 Hz棘徐波複合(欠神発作)・ヒプスアリスミア(West症候群)。 ●賦活法所見=過呼吸後のbuild up・re-build up(もやもや病)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。亜急性硬化性全脳炎では周期性同期性高振幅徐波(周期性同期性放電)を認める。 ② 肝性脳症では三相波が特徴的で、周期性同期性放電とは異なる。 ③ 欠神発作では3 Hz棘徐波複合がみられ、本所見とは異なる。 ④ 脳動脈硬化症に特異的な周期性同期性放電はみられない。 ⑤ もやもや病では過呼吸後に再び徐波が出現するre-build up現象が特徴で、本所見とは異なる。
第65回 午前26(臨床生理学)
脳磁図検査〈MEG〉に不要なのはどれか。
①MRI画像 ②シールドルーム ③体性感覚刺激装置 ④超伝導量子干渉素子 ⑤ヘッドキャップ型電極
正答: ⑤ヘッドキャップ型電極
ポイント 脳磁図検査(magnetoencephalography:MEG)は、大脳皮質の神経活動に伴って生じる微弱な磁場を、超伝導量子干渉素子(SQUID)で計測する検査である。地磁気や環境磁気ノイズが信号より桁違いに大きいため、外部磁場を遮断するシールドルームが必須であり、誘発反応を得る体性感覚刺激装置や、磁場発生源を解剖学的位置に重ね合わせるためのMRI画像も用いる。脳波(脳電図)と異なり頭皮に電極を装着しないため、ヘッドキャップ型電極は使用しない。●MEGの構成要素=SQUIDセンサ・シールドルーム・刺激装置(聴覚/体性感覚/視覚)・信号源推定のためのMRI。●脳波(EEG)との相違=EEGは頭皮電極で電位を、MEGは頭部外センサで磁場を計測。●SQUIDの応用=MEGのほか心磁図(MCG)でも微弱磁場の計測に用いられる。
選択肢ごとの解説
① MEGの磁場信号源を解剖学的位置に重ね合わせる(融合画像を作る)ためにMRI画像は必要である。 ② 地磁気や環境磁気ノイズを遮断して微弱磁場を計測するためシールドルームは必須である。 ③ 体性感覚誘発磁場を記録するために体性感覚刺激装置を用いる。 ④ 微弱磁場の検出には超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いる。 ⑤ 誤り。MEGは頭部外センサで磁場を計測するため頭皮電極を装着せず、ヘッドキャップ型電極は不要である。
第65回 午前27(臨床生理学)
聴性脳幹反応〈ABR〉において外側毛帯を起源とするのはどれか。
正答: ④Ⅳ波
ポイント 聴性脳幹反応(auditory brainstem response:ABR)はクリック音などの聴覚刺激後、約10ミリ秒以内に出現する一連の波で、聴覚伝導路を末梢から中枢へ上行する順に各波の起源が対応する。Ⅰ波は蝸牛神経末梢部、Ⅱ波は蝸牛神経核、Ⅲ波は上オリーブ核、Ⅳ波は外側毛帯、Ⅴ波は下丘とされ、本問の外側毛帯はⅣ波に対応する。臨床的にはⅠ〜Ⅴ波の潜時とⅤ波の出現が、聴力評価や脳幹機能・他覚的聴力検査の指標となる。●ABR各波の起源=Ⅰ波(蝸牛神経末梢)・Ⅱ波(蝸牛神経核)・Ⅲ波(上オリーブ核)・Ⅳ波(外側毛帯)・Ⅴ波(下丘)。●ほかの誘発電位=視覚誘発電位(VEP)・体性感覚誘発電位(SEP)・運動誘発電位(MEP)。●ABRの用途=新生児聴覚スクリーニング・他覚的聴力検査・脳幹機能評価・脳死判定の補助。
選択肢ごとの解説
① Ⅰ波は蝸牛神経の末梢部を起源とする。 ② Ⅱ波は蝸牛神経核を起源とする。 ③ Ⅲ波は上オリーブ核を起源とする。 ④ 正しい。Ⅳ波は外側毛帯を起源とする。 ⑤ Ⅴ波は下丘を起源とする。
第65回 午前28(臨床生理学)
末梢神経について正しいのはどれか。
①室温が低下すると伝導速度は速くなる。 ②Aδ線維の伝導速度はAα線維より速い。 ③シナプスの興奮は一方向に伝達される。 ④無髄神経の伝導速度は有髄神経より速い。 ⑤神経筋接合部の伝達物質はドパミンである。
正答: ③シナプスの興奮は一方向に伝達される。
ポイント シナプスでは前シナプス終末から放出された神経伝達物質が後シナプス膜の受容体に作用するため、興奮は前から後へ一方向にのみ伝達される(シナプス伝達の一方向性)。神経線維の伝導速度は軸索が太く有髄であるほど速く、運動・固有感覚を担うAα線維は速く、痛覚等を担う細いAδ線維は遅い。神経の温度が低下すると伝導速度はむしろ遅くなり、神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンである。●神経線維の分類(速い順)=Aα>Aβ>Aγ>Aδ>B>C(無髄)。●伝導の様式=有髄神経は跳躍伝導で速い/無髄神経は連続伝導で遅い。●主な神経伝達物質=神経筋接合部・自律神経節=アセチルコリン/交感神経節後=ノルアドレナリン/中枢=グルタミン酸・GABA・ドパミン等。
選択肢ごとの解説
① 誤り。神経温度が低下すると神経伝導速度は遅くなる。 ② Aδ線維はAα線維より細く、伝導速度は遅い。 ③ 正しい。シナプスでは伝達物質を介して興奮が一方向にのみ伝達される。 ④ 無髄神経は跳躍伝導をしないため、有髄神経より伝導速度は遅い。 ⑤ 神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンであり、ドパミンではない。
📋 まとめの表を見る:神経の興奮伝導の性質(有髄神経・興奮伝導の3原則)
神経線維は太いほど伝導速度が速く、温度が低下すると伝導速度は低下する。神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリン。シナプスの興奮伝達は一方向性(神経線維自体の伝導の両方向性とは別の性質)。
第65回 午前29(臨床化学)
飛行時間型質量分析〈TOF-MS〉法について誤っているのはどれか。
①イオンは超高真空中を飛行する。 ②イオンの電荷は飛行時間に影響する。 ③イオンはレーザーの衝撃力により引き出される。 ④イオンの飛行速度はエネルギー保存の法則から算出される。 ⑤イオン化にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化〈MALDI〉法が汎用される。
正答: ③イオンはレーザーの衝撃力により引き出される。
ポイント 飛行時間型質量分析(time-of-flight mass spectrometry:TOF-MS)は、イオン化した分子を一定の電位差(電場)で加速し、超高真空中の一定距離を飛行させて検出器への到達時間(飛行時間)を測定する方法である。同じ加速エネルギーを与えると質量電荷比(m/z)が小さいイオンほど速く到達するため、飛行時間から質量を求める。イオン化にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法が汎用されレーザーは脱離・イオン化に働くが、イオンの引き出し・加速を担うのは電場であってレーザーの衝撃力ではない。●質量分析計のイオン化法=MALDI・エレクトロスプレーイオン化(ESI)・電子イオン化(EI)。●質量分離部=飛行時間型(TOF)・四重極型・イオントラップ型・磁場型。●臨床応用=MALDI-TOF MSによる微生物の菌種同定・タンパク質/ペプチド解析。
選択肢ごとの解説
① イオンは分子との衝突を避けるため超高真空中を飛行するので正しい。 ② 質量電荷比(電荷)は飛行時間に影響するので正しい。 ③ 誤り。イオンの引き出し・加速は電場(電位差)によるもので、レーザーの衝撃力で引き出されるのではない。 ④ 飛行速度は加速エネルギーと運動エネルギーの関係(エネルギー保存)から算出されるので正しい。 ⑤ イオン化にはMALDI法が汎用されるので正しい。
第65回 午前30(臨床化学)
ヘキソキナーゼ・グルコース6リン酸脱水素酵素法を用いた血清グルコース測定における反応終結時の試薬対照における吸収スペクトルを別に示す。主波長340 nmと副波長400 nmによる二波長法で測定した場合、患者血清のグルコース濃度[mg/dL]はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA030.42be309259.jpg
正答: ②160
ポイント ヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)法では、グルコース量に比例して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)が生成し、その340 nm付近の吸光度上昇を測定する。二波長法では主波長340 nmと、NADPHが吸収をもたない副波長400 nm(背景吸収)の吸光度差をとり、血清の濁りや非特異吸収の影響を補正する。患者血清の補正吸光度は0.85−0.25=0.60、200 mg/dL標準液の補正吸光度は0.75−0=0.75である。したがって、血清グルコース濃度は(0.60/0.75)×200=160 mg/dLとなる。●グルコース測定法=ヘキソキナーゼ・G6PD法/グルコースオキシダーゼ(GOD)法/グルコースデヒドロゲナーゼ法。●補酵素の吸収=NADH・NADPHは還元型で340 nmに吸収をもつ。●測光法の補正=二波長法(背景・濁り補正)・盲検(試薬対照・検体盲検)。
選択肢ごとの解説
① 120は図の吸光度差から算出される濃度に合致しない。 ② 正しい。340 nmと400 nmの二波長による吸光度差から算出すると160 mg/dLとなる。 ③ 200は図の吸光度差から算出される濃度に合致しない。 ④ 240は図の吸光度差から算出される濃度に合致しない。 ⑤ 280は図の吸光度差から算出される濃度に合致しない。
第65回 午前31(臨床化学)
イオン選択電極法による測定で、血清Na 140 mmol/L、血清Cl 125 mmol/Lであった。考えられるのはどれか。
①嘔吐 ②尿崩症 ③臭素中毒 ④Addison病 ⑤Cushing症候群
正答: ③臭素中毒
ポイント イオン選択電極(ion selective electrode:ISE)法による塩化物イオン(Cl⁻)測定では、ハロゲン化物イオンである臭化物イオン(Br⁻)が共存すると電極が交差反応を示し、見かけ上Cl⁻が高値に測定される。本例はNa 140 mmol/Lに対しCl 125 mmol/Lと不釣り合いに高く、両者の差が小さい(陰イオンギャップが見かけ上小さい)ため、臭素(ブロム)化合物の摂取による偽高Cl血症すなわち臭素中毒が考えられる。●ISEのCl電極に干渉する物質=臭化物・ヨウ化物などのハロゲン化物イオン。●低Cl血症をきたす病態=嘔吐(胃酸喪失)・代謝性アルカローシス。●高Na血症をきたす病態=尿崩症・脱水。●電解質異常を伴う内分泌疾患=Addison病(低Na・高K)・Cushing症候群/原発性アルドステロン症(低K性アルカローシス)。
選択肢ごとの解説
① 嘔吐では胃酸(塩酸)喪失により低Cl性代謝性アルカローシスとなり、高Clは説明できない。 ② 尿崩症では水利尿による高Na血症が主で、Clが選択的に高値となる本例には合致しない。 ③ 正しい。臭素中毒では臭化物イオンがCl電極に交差反応し、見かけ上Clが高値となる。 ④ Addison病では低Naを伴うことが多く、本データに合致しない。 ⑤ Cushing症候群では低K性の代謝性アルカローシスに傾き、選択的高Clを説明できない。
第65回 午前32(臨床化学)
患者血清のLDアイソザイムパターンを別に示す。考えられるのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA032.32b0aa34e3.jpg
①急性肝炎 ②心筋梗塞 ③溶血性貧血 ④横紋筋融解症 ⑤急性リンパ性白血病
正答: ②心筋梗塞・③溶血性貧血
ポイント 乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase:LD)はLD₁〜LD₅の5分画をもち、LD₁・LD₂は心筋・赤血球・腎に、LD₃は肺・脾・リンパ系に、LD₄・LD₅は肝・骨格筋に多く分布する。図では陽極側のLD₁・LD₂の分画が強く、LD₁・LD₂優位のパターンを示すため、これらを多く含む心筋(心筋梗塞)と赤血球(溶血性貧血)の傷害が考えられる。臓器ごとのアイソザイム分布から逸脱酵素の由来を推定するのが要点である。●LDアイソザイム分布=LD₁・LD₂(心筋・赤血球・腎)/LD₃(肺・脾・リンパ系)/LD₄・LD₅(肝・骨格筋)。●LD₅優位を示す病態=急性肝炎・横紋筋融解症。●ほかのアイソザイム=CK(CK-MM筋・CK-MB心筋・CK-BB脳)/ALP(肝・骨・胎盤・小腸)。
選択肢ごとの解説
① 急性肝炎ではLD₅が優位となり、LD₁・LD₂優位の本パターンとは合致しない。 ② 正しい。心筋にはLD₁・LD₂が豊富で、心筋梗塞ではこれらが上昇しLD₁・LD₂優位となる。 ③ 正しい。赤血球にはLD₁・LD₂が多く、溶血性貧血ではこれらが血中に逸脱して上昇する。 ④ 横紋筋融解症では骨格筋由来のLD₅が優位となり、本パターンとは合致しない。 ⑤ 急性リンパ性白血病で本パターンを特徴的に示すとはいえない。
第65回 午前33(臨床化学)
吸光度が0.903の透過率[%]はどれか。ただし、log 2≒0.301とする。
①10.0 ②12.5 ③20.0 ④25.0 ⑤50.0
正答: ②12.5
ポイント 吸光度Aと透過率Tの間にはA=−log₁₀Tの関係(Lambert-Beerの法則)が成り立つ。A=0.903のときlog T=−0.903であり、0.903=3×0.301=3×log₁₀2=log₁₀8だから、T=1/8=0.125、百分率で12.5%となる。吸光度が0.301(log2)増えるごとに透過率が半分になる対数関係を用いる計算である。●吸光度と透過率の対応=A=0で100%/A=0.301で50%/A=1で10%/A=2で1%。●Lambert-Beerの法則=A=εcl(吸光度は濃度と光路長に比例)。●測光の用語=吸光度(absorbance)・透過率(transmittance)・モル吸光係数。
選択肢ごとの解説
① 10.0%はA≒1のときの透過率で、A=0.903には合致しない。 ② 正しい。A=0.903=3×log2=log8よりT=1/8=12.5%となる。 ③ 20.0%はA≒0.70のときの透過率で、A=0.903には合致しない。 ④ 25.0%はA≒0.60(=2×log2)のときの透過率で合致しない。 ⑤ 50.0%はA=0.301(log2)のときの透過率で合致しない。
第65回 午前34(臨床化学)
中性アミノ酸はどれか。
①リジン ②アルギニン ③ヒスチジン ④アスパラギン ⑤グルタミン酸
正答: ④アスパラギン
ポイント アミノ酸は側鎖(R基)の電荷の性質で、酸性・塩基性・中性(非荷電)に分類される。アスパラギンは側鎖にカルボキシ基ではなくアミド基(−CONH₂)をもつため電荷をもたない中性アミノ酸である。リジン・アルギニン・ヒスチジンは側鎖に塩基性基をもつ塩基性アミノ酸、アスパラギン酸・グルタミン酸はカルボキシ基をもつ酸性アミノ酸であり、アスパラギン(中性)とアスパラギン酸(酸性)の混同に注意する。●酸性アミノ酸=アスパラギン酸・グルタミン酸。●塩基性アミノ酸=リジン・アルギニン・ヒスチジン。●中性(非荷電)アミノ酸の例=アスパラギン・グルタミン・セリン・グリシンなど。●関連=アミドアミノ酸(アスパラギン・グルタミン)は対応する酸の側鎖がアミド化したもの。
選択肢ごとの解説
① リジンは側鎖にアミノ基をもつ塩基性アミノ酸である。 ② アルギニンはグアニジノ基をもつ塩基性アミノ酸である。 ③ ヒスチジンはイミダゾール基をもつ塩基性アミノ酸である。 ④ 正しい。アスパラギンは非荷電のアミド側鎖をもつ中性アミノ酸である。 ⑤ グルタミン酸は側鎖にカルボキシ基をもつ酸性アミノ酸である。
第65回 午前35(臨床化学)
ビウレット法について正しいのはどれか。
①尿蛋白の測定法である。 ②キレート呈色反応である。 ③呈色反応は強酸性下で行う。 ④測定試薬は無色透明である。 ⑤呈色はグリコシド結合の数に比例する。
正答: ②キレート呈色反応である。
ポイント ビウレット法はアルカリ性条件下で銅(Ⅱ)イオンが隣接する2個以上のペプチド結合と配位(キレート=錯体)を形成し、紫赤色を呈する反応で、血清総蛋白の測定に用いる。呈色はペプチド結合数すなわち蛋白量に比例し、特定のアミノ酸ではなくペプチド結合そのものを検出するため蛋白間の差が小さい。試薬は銅イオンを含み青色を呈するため無色ではなく、強酸性ではなくアルカリ性で反応させる。●総蛋白測定法=ビウレット法(血清総蛋白)・色素結合法(BCG法等はアルブミン)。●微量蛋白(尿・髄液)の測定=ピロガロールレッド法・色素結合法・比濁法。●銅を用いる蛋白定量=ビウレット法・Lowry法(フォリン試薬を併用)。
選択肢ごとの解説
① ビウレット法は血清総蛋白の測定法であり、微量の尿蛋白測定には感度が不足するため誤り。 ② 正しい。銅イオンがペプチド結合とキレート(錯体)を形成して呈色するキレート呈色反応である。 ③ 呈色反応はアルカリ性条件下で行うため、強酸性下という記述は誤り。 ④ 測定試薬は銅イオンを含み青色を呈するため、無色透明は誤り。 ⑤ 呈色はペプチド結合数(蛋白量)に比例するもので、グリコシド結合の数ではないため誤り。
第65回 午前36(臨床化学)
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法の試薬中に酵素が含まれるのはどれか。2つ選べ。
①LD ②ALP ③γ-GT ④アミラーゼ ⑤コリンエステラーゼ
正答: ④アミラーゼ・⑤コリンエステラーゼ
ポイント 日本臨床化学会(Japan Society of Clinical Chemistry:JSCC)勧告法では、目的酵素の反応生成物を別の共役(カップリング)酵素で検出する系が組まれる場合があり、その試薬中には共役酵素が含まれる。アミラーゼ測定では合成基質の分解物をα-グルコシダーゼ等で、コリンエステラーゼ測定では生成したコリンをコリンオキシダーゼ等で検出するため、これらの試薬には酵素が含まれる。LD・ALP・γ-GTは基質(補酵素を含む)の直接的な変化を測光するため共役酵素を要しない。●共役酵素を含む勧告法の例=アミラーゼ・コリンエステラーゼ・クレアチンキナーゼ(CK)・AST(リンゴ酸脱水素酵素〈MDH〉共役)・ALT(乳酸脱水素酵素〈LD〉共役)。●基質の直接測定で共役酵素不要=LD・ALP・γ-GT。●共役酵素系の指示反応=NAD(P)Hの340 nm測光・過酸化水素の発色(Trinder反応)。
選択肢ごとの解説
① LDの勧告法は基質と補酵素の直接反応を測定し、試薬中に共役酵素を含まない。 ② ALPの勧告法はp-ニトロフェニルリン酸を基質に直接測定し、共役酵素を含まない。 ③ γ-GTの勧告法は合成基質の直接的な分解を測定し、共役酵素を含まない。 ④ 正しい。アミラーゼ勧告法は生成物を共役酵素で検出するため試薬中に酵素を含む。 ⑤ 正しい。コリンエステラーゼ勧告法はコリンオキシダーゼ等の共役酵素を試薬中に含む。
第65回 午前37(臨床化学)
血清亜鉛が高値を示すのはどれか。
正答: ⑤溶血性貧血
ポイント 血清亜鉛は摂取不足、慢性炎症や組織での消費増加、需要増大などで低下する。溶血性貧血では赤血球内に多く含まれる亜鉛が溶血により血漿中へ放出されるため、見かけ上の血清亜鉛が高値を示す(採血時の溶血でも偽高値となる)。褥瘡・低栄養・味覚障害・妊娠はいずれも亜鉛欠乏(低値)と関連する。●亜鉛が低下する病態=低栄養・吸収不良・褥瘡や創傷(消費)・慢性炎症・妊娠・肝硬変。●亜鉛欠乏の症状=味覚障害・皮膚炎・脱毛・創傷治癒遅延・易感染性。●血清亜鉛が偽高値となる要因=溶血(赤血球内亜鉛の放出)・亜鉛を含む器具や試薬の汚染。
選択肢ごとの解説
① 褥瘡では創傷治癒に亜鉛が消費され、血清亜鉛は低下する。 ② 妊娠では血液希釈や需要増加により血清亜鉛は低下傾向となる。 ③ 低栄養では亜鉛摂取不足により血清亜鉛は低下する。 ④ 味覚障害は亜鉛欠乏でみられる症状であり、血清亜鉛は低値である。 ⑤ 正しい。溶血により赤血球内の亜鉛が血漿へ放出され、血清亜鉛が高値となる。
第65回 午前38(臨床化学)
HPLC法によるHbA1c測定値が低下する要因はどれか。
①尿毒症 ②乳び血症 ③溶血性貧血 ④アスピリンの大量摂取 ⑤アスコルビン酸の大量摂取
正答: ③溶血性貧血
ポイント HbA1cは赤血球の寿命(約120日)の間にヘモグロビンが緩徐に糖化された割合を反映し、過去1〜2か月の平均血糖を表す。溶血性貧血では赤血球寿命が短縮し糖化を受ける時間が短くなるため、HbA1cは血糖値に比して見かけ上低値となる。逆に腎不全(尿毒症)でのカルバミル化ヘモグロビン等は測定法によって偽高値の要因となりうる。●HbA1cが偽低値となる病態=溶血性貧血・出血・赤血球寿命短縮・エリスロポエチン投与(赤血球新生亢進)。●HbA1cが偽高値となる病態=鉄欠乏性貧血・腎不全(カルバミル化Hb)・赤血球寿命延長。●血糖の指標=HbA1c(1〜2か月)・グリコアルブミン(2〜3週)・1,5-AG(数日)。
選択肢ごとの解説
① 尿毒症ではカルバミル化Hbの形成によりHbA1cが偽高値となりうるため、低下要因ではない。 ② 乳び血症はHPLC法では分離に大きく影響せず、低下の主因とはならない。 ③ 正しい。溶血性貧血では赤血球寿命短縮により糖化時間が短くなりHbA1cは低値となる。 ④ アスピリン大量摂取はアセチル化Hbを生じうるが、HbA1c低下の代表的要因ではない。 ⑤ アスコルビン酸はHPLC法では干渉が小さく、HbA1c低下の主因とはならない。
第65回 午前39(臨床化学)
血清クレアチニンが上昇するのはどれか。2つ選べ。
①脱水 ②妊娠 ③尿崩症 ④うっ血性心不全 ⑤筋ジストロフィ
正答: ①脱水・④うっ血性心不全
ポイント 血清クレアチニンは筋肉由来の老廃物で糸球体から濾過され、糸球体濾過量(GFR)の低下を反映して上昇する。脱水では腎血流量低下による腎前性腎不全で、うっ血性心不全では心拍出量低下と腎うっ血により腎機能が低下し、いずれもクレアチニンが上昇する。妊娠ではGFR増加でむしろ低下し、筋ジストロフィでは筋量減少により産生が減って低値となる。●クレアチニンが上昇する病態=脱水(腎前性)・うっ血性心不全・急性/慢性腎不全・尿路閉塞(腎後性)。●クレアチニンが低下する病態=妊娠(GFR増加)・筋萎縮性疾患(筋ジストロフィ・長期臥床)・筋量の少ない者。●腎機能の指標=クレアチニン・尿素窒素(BUN)・シスタチンC・推算GFR(eGFR)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。脱水では腎血流低下による腎前性腎不全でクレアチニンが上昇する。 ② 妊娠では糸球体濾過量が増加するためクレアチニンはむしろ低下する。 ③ 尿崩症は水利尿が主体で、クレアチニン上昇を直接きたすものではない。 ④ 正しい。うっ血性心不全では腎血流低下と腎うっ血によりクレアチニンが上昇する。 ⑤ 筋ジストロフィでは筋量減少によりクレアチニン産生が減り、むしろ低値となる。
第65回 午前40(臨床化学)
グルカゴンによって促進するのはどれか。
①糖新生 ②乳酸産生 ③糖の取り込み ④グリコーゲン合成 ⑤遊離脂肪酸の取り込み
正答: ①糖新生
ポイント グルカゴンは膵ランゲルハンス島α細胞から分泌され、血糖低下時に肝での糖新生とグリコーゲン分解を促進して血糖を上昇させるホルモンである。インスリンと拮抗的に作用し、糖の細胞内取り込みやグリコーゲン合成は促進しない。脂肪組織では脂肪分解を促進し、遊離脂肪酸やケトン体の産生に傾ける。●血糖を上げるホルモン=グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモン。●血糖を下げるホルモン=インスリン(唯一の血糖低下ホルモン)。●グルカゴンの肝作用=糖新生促進・グリコーゲン分解促進。●インスリンの作用=糖取り込み促進・グリコーゲン合成・脂肪合成促進。
選択肢ごとの解説
① 正しい。グルカゴンは肝での糖新生を促進して血糖を上げる。 ② 乳酸産生はグルカゴンの主作用ではなく、むしろ乳酸は糖新生の基質となる。 ③ 糖の細胞内取り込みを促進するのはインスリンであり、グルカゴンの作用ではない。 ④ グリコーゲン合成を促進するのはインスリンで、グルカゴンはグリコーゲン分解を促進する。 ⑤ グルカゴンは脂肪分解を促進する方向に働き、遊離脂肪酸の取り込み促進ではない。
第65回 午前41(臨床化学)
グルコースをグリコーゲンとして蓄える臓器はどれか。2つ選べ。
正答: ②肝臓・⑤骨格筋
ポイント グルコースをグリコーゲンとして貯蔵する主要臓器は肝臓と骨格筋である。肝臓のグリコーゲンはグルコース-6-ホスファターゼによりグルコースに戻して血中へ供給し血糖維持に働くが、骨格筋はこの酵素を欠くため筋自身のエネルギー源として消費し、直接の血糖供給には寄与しない。脳・心臓・腎臓はグリコーゲンの主要貯蔵臓器ではない。●グリコーゲン貯蔵臓器=肝臓(血糖維持)・骨格筋(筋収縮のエネルギー源)。●グルコース-6-ホスファターゼ=肝臓や腎臓などに存在し、グルコース-6-リン酸から遊離グルコースを生成する。骨格筋には存在しない。●糖原病=von Gierke病(Ⅰ型・G6Pアーゼ欠損)・Pompe病(Ⅱ型・酸性マルターゼ欠損)・McArdle病(Ⅴ型・筋ホスホリラーゼ欠損)。
選択肢ごとの解説
① 脳はグルコースを主要エネルギー源とするが、グリコーゲンとしての貯蔵はほとんどない。 ② 正しい。肝臓はグリコーゲンを貯蔵し、分解して血糖維持に用いる。 ③ 心臓はグリコーゲンの主要な貯蔵臓器ではない。 ④ 腎臓はグリコーゲンの主要な貯蔵臓器ではない。 ⑤ 正しい。骨格筋はグリコーゲンを貯蔵し、自身のエネルギー源として利用する。
第65回 午前42(臨床化学)
アルブミンによって運ばれるのはどれか。
①脂肪酸 ②リン脂質 ③グリセロール ④コレステロール ⑤トリグリセライド
正答: ①脂肪酸
ポイント アルブミンは血漿中で多様な物質を運搬する蛋白で、遊離脂肪酸、非抱合(間接)ビリルビン、カルシウム、薬物、ホルモンなどと結合して輸送する。リン脂質・コレステロール・トリグリセライドは水に溶けにくいためリポ蛋白の構成成分として運ばれ、グリセロールは水溶性のため遊離して血中を移動する。脂質の運搬形式の違いが要点である。●アルブミンが運ぶ物質=遊離脂肪酸・非抱合ビリルビン・カルシウム・薬物・甲状腺/ステロイドホルモンの一部。●リポ蛋白が運ぶ脂質=コレステロール・トリグリセライド・リン脂質。●リポ蛋白の種類=カイロミクロン・VLDL・LDL・HDL。
選択肢ごとの解説
① 正しい。遊離脂肪酸はアルブミンに結合して血中を運ばれる。 ② リン脂質はリポ蛋白の構成成分として運ばれ、アルブミンによる運搬ではない。 ③ グリセロールは水溶性で遊離して血中を移動し、アルブミン結合を要しない。 ④ コレステロールはリポ蛋白により運ばれる。 ⑤ トリグリセライドはカイロミクロンやVLDLなどのリポ蛋白により運ばれる。
第65回 午前43(臨床化学)
血糖コントロール不良の糖尿病で低下する血中成分はどれか。
①乳酸 ②HbA1c ③グリコアルブミン ④βヒドロキシ酪酸 ⑤1,5-アンヒドログルシトール〈1,5-AG〉
正答: ⑤1,5-アンヒドログルシトール〈1,5-AG〉
ポイント 1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)はグルコースと構造が類似した糖アルコールで、通常は腎尿細管でほぼ再吸収される。高血糖で尿糖が増えると、グルコースとの競合により1,5-AGの再吸収が阻害されて尿中排泄が増えるため、血中濃度が低下する。短期間(数日)の血糖変動を鋭敏に反映し、血糖コントロール不良ほど低値となる。HbA1c・グリコアルブミン・βヒドロキシ酪酸・乳酸はコントロール不良で低下しない。●血糖コントロールの指標と反映期間=HbA1c(1〜2か月)・グリコアルブミン(2〜3週)・1,5-AG(数日、尿糖を反映)。●ケトン体=アセト酢酸・βヒドロキシ酪酸・アセトン(インスリン不足で増加)。●高血糖で上昇する項目=HbA1c・グリコアルブミン・ケトン体(不良時)。
選択肢ごとの解説
① 乳酸は血糖コントロール不良で必ずしも低下する成分ではない。 ② HbA1cは高血糖の持続で上昇するため低下ではない。 ③ グリコアルブミンは高血糖で上昇するため低下ではない。 ④ βヒドロキシ酪酸はケトン体で、コントロール不良時にむしろ上昇する。 ⑤ 正しい。高血糖(尿糖排泄増加)により1,5-AGの尿中排泄が増え血中濃度は低下する。
第65回 午前44(臨床化学)
血中薬物濃度測定が有用とされる薬物の特徴はどれか。2つ選べ。
①至適投与量の範囲が広い。 ②薬物アレルギーを起こす。 ③至適投与量の個人差が小さい。 ④薬理作用が血中濃度と相関する。 ⑤過剰投与が重篤な有害作用を起こす。
正答: ④薬理作用が血中濃度と相関する。・⑤過剰投与が重篤な有害作用を起こす。
ポイント 血中薬物濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring:TDM)が有用な薬物は、薬理作用が血中濃度とよく相関する、過量で重篤な有害作用を生じる、有効域と中毒域が近く治療域が狭い、薬物動態の個人差が大きく投与量設定が難しい、といった特徴をもつ。これらに該当する薬剤では血中濃度測定が効果と安全性の管理に役立つ。●TDMの対象薬の例=ジゴキシン・テオフィリン・抗てんかん薬(フェニトイン・バルプロ酸)・アミノグリコシド系/バンコマイシン・免疫抑制薬(シクロスポリン・タクロリムス)・リチウム。●TDMが不要な特徴=治療域が広い・個人差が小さい・血中濃度と作用が相関しない。●採血のタイミング=トラフ値(投与直前)・ピーク値(投与後)。
選択肢ごとの解説
① 至適投与量の範囲が広い薬物はTDMの必要性が低いため、有用な特徴ではない。 ② 薬物アレルギーの有無は血中濃度測定では予測できず、TDMが有用となる特徴ではない。 ③ 至適投与量の個人差が小さい薬物はTDMの必要性が低い。 ④ 正しい。薬理作用が血中濃度と相関する薬物では濃度測定が効果の指標となり有用である。 ⑤ 正しい。過剰投与が重篤な有害作用を起こす薬物では血中濃度測定による管理が有用である。
第65回 午前45(病理組織細胞学)
脱灰後の中和に用いるのはどれか。2つ選べ。
①ミョウバン ②リン酸緩衝液 ③塩酸アルコール ④水酸化カリウム ⑤硫酸ナトリウム
正答: ①ミョウバン・⑤硫酸ナトリウム
ポイント 硬組織の脱灰には塩酸やギ酸などの酸を用いるため、脱灰後に組織内へ残った酸を中和する操作が必要で、これを怠ると染色性低下や組織傷害を生じる。中和にはアルカリ側に働く硫酸ナトリウム水溶液やミョウバン水溶液などが用いられ、残存酸を除く。リン酸緩衝液は固定・洗浄用、塩酸アルコールは酸性で分別等に用いるため中和には適さない。●脱灰法=酸脱灰(塩酸・ギ酸・硝酸)・キレート脱灰(EDTA、緩徐だが組織・抗原保持に優れる)。●脱灰後の中和=硫酸ナトリウム・ミョウバン(残存酸の中和)。●脱灰の確認=触診・エックス線・化学的(シュウ酸アンモニウム)法。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ミョウバン(水溶液)は脱灰後の残存酸の中和に用いられる。 ② リン酸緩衝液は固定液の調製や洗浄に用いるもので、脱灰後の中和の標準的薬剤ではない。 ③ 塩酸アルコールは酸性で脱灰や分別に用いるもので、中和には用いない。 ④ 水酸化カリウムは強アルカリだが、脱灰後の中和には硫酸ナトリウムやミョウバンが用いられる。 ⑤ 正しい。硫酸ナトリウム(水溶液)は脱灰後の残存酸の中和に用いられる。
第65回 午前46(病理組織細胞学)
凍結切片作製法で正しいのはどれか。
①パラフィンに包埋する。 ②凍結前にアルコールで固定する。 ③脂肪組織は固定後に脱脂を行う。 ④ブロックに息をかけて薄切する。 ⑤薄切温度は−20 ℃前後が適している。
正答: ⑤薄切温度は−20 ℃前後が適している。
ポイント 凍結切片作製法では組織を未固定のまま急速凍結し、クリオスタット(低温下のミクロトーム)内で薄切する。固定・脱水・パラフィン包埋を経ないため脂肪や酵素活性が保たれ、術中迅速診断や脂肪染色・酵素組織化学・蛍光抗体法に適する。薄切に適した庫内温度は概ね−20℃前後で、組織の種類により調整する。●凍結切片の利点=迅速性・脂質や酵素活性の保持・抗原性の保持。●包埋剤=OCTコンパウンド等の水溶性包埋剤(パラフィンは用いない)。●凍結切片の用途=術中迅速診断・脂肪染色(Sudan・oil red O)・酵素組織化学・蛍光抗体法。
選択肢ごとの解説
① 凍結切片では水溶性包埋剤を用いるもののパラフィン包埋は行わないため誤り。 ② 凍結切片は原則未固定で凍結するため、凍結前のアルコール固定は誤り。 ③ 脂肪を保持して染色するのが凍結切片の利点であり、脱脂を行うのは誤り。 ④ 息をかけると組織が結露・融解して薄切に支障をきたすため誤り。 ⑤ 正しい。凍結切片の薄切温度は−20℃前後が適している。
第65回 午前47(病理組織細胞学)
皮膚のH-E染色標本を別に示す。矢印に示す褐色顆粒を染色する染色法はどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA047.06630f11cc.jpg
①Kossa反応 ②Sudan Ⅲ染色 ③Schmorl反応 ④Berlin blue染色 ⑤Masson-Fontana染色
正答: ③Schmorl反応・⑤Masson-Fontana染色
ポイント 皮膚H-E染色標本で矢印が示す褐色顆粒はメラニン色素と考えられる。メラニンを染め分ける方法として、アンモニア銀液中で銀を還元させて黒色に染めるMasson-Fontana染色と、還元性物質を検出して青〜緑に染めるSchmorl反応が用いられる。鉄を含むヘモジデリンとの鑑別が要点で、ヘモジデリンはBerlin blue(ベルリン青)染色で青染される。●メラニンの還元性を利用する染色=Masson-Fontana染色・Schmorl反応。●鉄(ヘモジデリン)の証明=Berlin blue染色(青色)。●そのほかの色素・沈着=石灰(Kossa反応・黒)・脂肪(Sudan Ⅲ・赤)・リポフスチン(PAS・Schmorl陽性)。
選択肢ごとの解説
① Kossa反応はカルシウム(石灰)を黒色に染める方法で、メラニンの染色法ではない。 ② Sudan Ⅲ染色は中性脂肪を染める方法で、メラニンには用いない。 ③ 正しい。Schmorl反応は還元性をもつメラニンの検出に用いられる。 ④ Berlin blue染色は鉄(ヘモジデリン)を青染する方法で、メラニンの染色法ではない。 ⑤ 正しい。Masson-Fontana染色は銀還元によりメラニンを黒色に染色する。
📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象
第65回 午前48(病理組織細胞学)
免疫組織化学で内因性ペルオキシダーゼの失活に用いるのはどれか。2つ選べ。
①トリプシン ②過ヨウ素酸 ③過酸化水素 ④正常動物血清 ⑤プロテイナーゼ
正答: ②過ヨウ素酸・③過酸化水素
ポイント 免疫組織化学でペルオキシダーゼ標識(酵素抗体法)を用いる場合、組織内に本来存在する内因性ペルオキシダーゼ(赤血球・好中球・肝などに多い)が発色を起こして偽陽性の原因となるため、染色前に失活(ブロック)させる必要がある。失活には過酸化水素(メタノール過酸化水素水など)が広く用いられ、過ヨウ素酸も内因性ペルオキシダーゼのブロックに用いられる。●内因性ペルオキシダーゼの失活=過酸化水素・過ヨウ素酸。●抗原賦活化(酵素処理)=トリプシン・プロテイナーゼ・ペプシン。●非特異反応の抑制=正常動物血清によるブロッキング。●標識酵素の発色基質=DAB(褐色)・AEC(赤色)。
選択肢ごとの解説
① トリプシンは抗原賦活化(酵素処理)に用いるもので、内因性ペルオキシダーゼの失活には用いない。 ② 正しい。過ヨウ素酸は内因性ペルオキシダーゼの失活(ブロック)に用いられる。 ③ 正しい。過酸化水素は内因性ペルオキシダーゼの失活に汎用される。 ④ 正常動物血清は非特異的結合を抑えるブロッキングに用いるもので、ペルオキシダーゼ失活には用いない。 ⑤ プロテイナーゼは抗原賦活化に用いる酵素で、内因性ペルオキシダーゼの失活には用いない。
第65回 午前49(病理組織細胞学)
喀痰細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA049.95c7e465f8.jpg
①腺癌 ②小細胞癌 ③扁平上皮癌 ④悪性リンパ腫 ⑤カルチノイド
正答: ①腺癌
ポイント Papanicolaou染色喀痰標本で、豊かな細胞質と偏在核、明瞭な核小体をもち、結合性のある集塊(腺腔様・乳頭状配列)や細胞質内空胞を示す細胞は腺癌に合致する。肺癌の細胞像では、小細胞癌は裸核状で核モールディング(核の鋳型状の重なり)を、扁平上皮癌は角化やオレンジG好性の濃染細胞質を示す点で鑑別される。●肺癌の細胞像=腺癌(集塊・空胞・明瞭な核小体)/扁平上皮癌(角化・オレンジG好性)/小細胞癌(裸核・核モールディング・木目込み)。●カルチノイド=均一な小型細胞の索状・ロゼット状配列。●悪性リンパ腫=孤在性の異型リンパ球が散在。
選択肢ごとの解説
① 正しい。結合性のある集塊や細胞質内空胞、偏在核と明瞭な核小体は腺癌に合致する。 ② 小細胞癌は裸核状の小型細胞が核モールディングを示し、本像の腺系の特徴とは異なる。 ③ 扁平上皮癌は角化やオレンジG好性の濃い細胞質を示し、腺癌の特徴とは異なる。 ④ 悪性リンパ腫は孤在性の異型リンパ球が散在するもので、集塊を形成する本像とは異なる。 ⑤ カルチノイドは比較的均一な小型細胞が索状・ロゼット状配列を示し、本像とは異なる。
第65回 午前50(病理組織細胞学)
内胚葉から発生するのはどれか。
正答: ②肝臓
ポイント 三胚葉のうち内胚葉は、消化管とその付属腺(肝臓・膵臓)、気道・肺、甲状腺・副甲状腺、膀胱・尿道上皮などの上皮を形成する。肝臓は消化管の前腸から芽出して発生する内胚葉由来の臓器である。口腔(口窩)や肛門(肛門窩)は外胚葉、腎臓や卵管は中胚葉に由来する。●内胚葉由来=消化管上皮・肝臓・膵臓・肺/気道・甲状腺・膀胱上皮。●外胚葉由来=表皮・神経系・口腔/肛門の上皮・下垂体前葉。●中胚葉由来=骨・筋・心血管・腎臓・性腺・卵管(ミュラー管)。
選択肢ごとの解説
① 口腔(口窩)は外胚葉由来である。 ② 正しい。肝臓は前腸から発生する内胚葉由来の臓器である。 ③ 腎臓は中胚葉(中間中胚葉)由来である。 ④ 卵管はミュラー管由来で中胚葉性である。 ⑤ 肛門(肛門窩)は外胚葉由来である。
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