第65回(2019) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第65回 午前51(病理組織細胞学)
病因のうち内因はどれか。2つ選べ。
- ①遺伝的因子
- ②化学的因子
- ③加齢的因子
- ④感染性因子
- ⑤物理的因子
正答: ①遺伝的因子・③加齢的因子
ポイント
病因は宿主に内在する内因と、外界から作用する外因に大別される。内因は宿主側の素因で、遺伝的因子、年齢(加齢)、性別、人種、体質、内分泌・免疫状態などが含まれる。外因は宿主の外から作用するもので、物理的因子(外傷・温度・放射線)、化学的因子、栄養障害、生物学的因子(感染性因子)が代表である。本問は遺伝的因子と加齢的因子の2つが内因に該当する。
●内因=遺伝的因子・加齢・性別・人種・体質・内分泌異常・免疫状態。
●外因(物理的)=外傷・温度・気圧・放射線・電流。
●外因(化学的)=薬物・毒物・酸アルカリ。
●外因(生物学的)=細菌・ウイルス・真菌・寄生虫。
●外因(栄養)=栄養素の過剰・欠乏。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。遺伝的因子は宿主自身がもつ素因であり、内因に分類される。
- ② 化学的因子は外界から作用する外因である。
- ③ 正しい。加齢(年齢)は宿主側の素因であり、内因に分類される。
- ④ 感染性因子(細菌・ウイルスなど)は外部から侵入する生物学的因子で、外因である。
- ⑤ 物理的因子(外傷・温度・放射線など)は外部から作用する外因である。
第65回 午前52(病理組織細胞学)
Down症候群について正しいのはどれか。
- ①短頭を呈する。
- ②性染色体異常を示す。
- ③染色体数は45本である。
- ④精神発達遅滞は稀である。
- ⑤出生約1万人に1人の頻度で発生する。
正答: ①短頭を呈する。
ポイント
Down症候群は21番染色体が3本となる21トリソミーで、常染色体異常であり染色体数は正常の46本より1本多い47本となる。特徴的所見として短頭、扁平な後頭部、つり上がった眼裂、内眼角贅皮(蒙古ひだ)、単一手掌屈曲線(猿線)、精神発達遅滞、先天性心疾患(心内膜床欠損など)がある。発生頻度は出生約1,000人に1人で、母体高齢出産で頻度が上昇する。
●常染色体トリソミー=Down症候群(21トリソミー)・Edwards症候群(18トリソミー)・Patau症候群(13トリソミー)。
●性染色体異常=Turner症候群(45,X)・Klinefelter症候群(47,XXY)。
●Down症候群の頭頸部所見=短頭・扁平後頭・つり上がり眼裂・内眼角贅皮・巨舌。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。短頭は扁平な後頭部とともにDown症候群の特徴的な頭部所見である。
- ② 21番という常染色体の異常であり、性染色体異常ではない。
- ③ 21トリソミーのため染色体数は47本であり、45本ではない。
- ④ 精神発達遅滞はほぼ必発であり、稀ではない。
- ⑤ 発生頻度は出生約1,000人に1人であり、1万人に1人ではない。
第65回 午前53(病理組織細胞学)
充血について正しいのはどれか。
- ①動脈血栓が原因となる。
- ②病変部は暗紫色を示す。
- ③病変部の温度は低下する。
- ④局所の動脈の拡張による。
- ⑤長期に及ぶと線維性結合組織の増生を示す。
正答: ④局所の動脈の拡張による。
ポイント
充血は局所の細動脈拡張により流入する動脈血が増加した状態で、病変部は鮮紅色を呈し温度は上昇する。炎症や運動などに伴う能動的な変化である。一方うっ血は静脈血の流出障害により還流が滞る受動的状態で、暗紫色を呈し温度は低下し、長期化すると線維化(うっ血性硬化)を生じる。動脈血栓は血流を遮断して虚血・梗塞をきたすため、充血の原因とはならない。
●充血=細動脈拡張・鮮紅色・温度上昇・能動的。
●うっ血=静脈還流障害・暗紫色・温度低下・浮腫・長期化で線維化。
●虚血/梗塞=動脈の閉塞(血栓・塞栓)による血流途絶。
●慢性うっ血の例=肝(ナツメグ肝)・肺(心不全細胞)。
選択肢ごとの解説
- ① 動脈血栓は血流を遮断して虚血・梗塞をきたすもので、充血の原因ではない。
- ② 鮮紅色を呈するのが充血で、暗紫色を示すのはうっ血である。
- ③ 動脈血の流入増加により局所温度は上昇する。低下するのはうっ血である。
- ④ 正しい。充血は局所の細動脈拡張による動脈血流入の増加である。
- ⑤ 長期化で線維性結合組織の増生(うっ血性硬化)を示すのはうっ血である。
第65回 午前54(病理組織細胞学)
大腸癌について正しいのはどれか。
- ①扁平上皮癌が多い。
- ②血行性転移は肝臓に多い。
- ③上行結腸に最も多く発生する。
- ④肉眼分類の1型は潰瘍形成を示す。
- ⑤早期大腸癌は粘膜固有層に浸潤が限局するものと定義される。
正答: ②血行性転移は肝臓に多い。
ポイント
大腸癌の大部分は腺癌で、好発部位はS状結腸と直腸である。大腸の静脈血は門脈に流入するため、血行性転移は肝臓に最も多くみられる。肉眼分類では限局潰瘍型(2型)が多い。早期大腸癌は深達度が粘膜下層までにとどまるものと定義され、リンパ節転移の有無は問わない。
●大腸癌の組織型=腺癌が大部分(扁平上皮癌は稀)。
●好発部位=S状結腸・直腸が多い。
●血行性転移=門脈経由で肝臓に最多、次いで肺。
●早期癌の定義=深達度が粘膜下層まで(リンパ節転移は不問)。
●肉眼分類=0型(表在)・1型(隆起腫瘤)・2型(限局潰瘍)・3型(浸潤潰瘍)・4型(びまん浸潤)。
選択肢ごとの解説
- ① 大腸癌は腺癌が大部分を占め、扁平上皮癌は稀である。
- ② 正しい。大腸の静脈血は門脈に流入するため、血行性転移は肝臓に最も多い。
- ③ 好発部位はS状結腸・直腸であり、上行結腸が最多ではない。
- ④ 肉眼分類の1型は隆起した腫瘤型であり、潰瘍形成を示さない。潰瘍形成を示すのは2型(限局潰瘍型)・3型(浸潤潰瘍型)である。
- ⑤ 早期大腸癌は深達度が粘膜下層までと定義され、粘膜固有層に限局するものとは限らない。
第65回 午前55(病理組織細胞学)
乾酪壊死を伴う肉芽腫を形成するのはどれか。
- ①結核症
- ②放線菌症
- ③Hansen病
- ④カンジダ症
- ⑤トキソプラズマ症
正答: ①結核症
ポイント
乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫はⅣ型(遅延型)アレルギーを背景に形成され、結核の典型像である。結核結節では類上皮細胞、Langhans型巨細胞、リンパ球が中心の乾酪壊死を取り囲む。同じ抗酸菌でもHansen病では乾酪壊死を通常伴わず、放線菌・真菌・原虫感染とも組織像が異なる。
●乾酪壊死を伴う肉芽腫=結核症(代表)。
●乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫=サルコイドーシス・Crohn病・Hansen病(類結核型)。
●化膿性肉芽腫=放線菌症(ドルーゼ)・猫ひっかき病。
●異物肉芽腫=縫合糸・痛風結節。
●肉芽腫を構成する細胞=類上皮細胞・Langhans型巨細胞・リンパ球。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。結核症は乾酪壊死を中心とする類上皮細胞肉芽腫(結核結節)を形成する代表的疾患である。
- ② 放線菌症は菌塊(ドルーゼ)を伴う化膿性肉芽腫を形成し、乾酪壊死は特徴的でない。
- ③ Hansen病は肉芽腫を形成するが乾酪壊死は通常伴わない。
- ④ カンジダ症は化膿性炎や肉芽腫を生じるが乾酪壊死は特徴的でない。
- ⑤ トキソプラズマ症はリンパ節の類上皮細胞集簇などを示すが乾酪壊死は伴わない。
第65回 午前56(病理組織細胞学)
臓器と被覆上皮の組合せで正しいのはどれか。
- ①胃 — 重層扁平上皮
- ②腟 — 線毛円柱上皮
- ③気管 — 多列線毛上皮
- ④食道 — 多列線毛上皮
- ⑤卵管 — 重層扁平上皮
正答: ③気管 — 多列線毛上皮
ポイント
上皮は機能に応じた形態をとる。気道(気管・気管支)は多列線毛上皮で粘液線毛輸送を担う。胃・腸は単層円柱上皮、食道・腟・口腔・皮膚は重層扁平上皮、卵管・子宮頸管は線毛のある単層円柱上皮である。被覆部位への物理的・機能的要求が上皮型を決定する。本問では気管と多列線毛上皮の組合せが正しい。
●重層扁平上皮=表皮・口腔・食道・腟・肛門・角膜。
●単層円柱上皮=胃・小腸・大腸・胆嚢。
●多列線毛上皮=気管・気管支・鼻腔。
●単層線毛円柱上皮=卵管・子宮。
●移行上皮(尿路上皮)=腎盂・尿管・膀胱。
●単層扁平上皮=肺胞・血管内皮・中皮。
選択肢ごとの解説
- ① 胃の被覆上皮は単層円柱上皮であり、重層扁平上皮ではない。
- ② 腟は重層扁平上皮であり、線毛円柱上皮ではない。
- ③ 正しい。気管は多列線毛上皮で覆われ、粘液線毛輸送を担う。
- ④ 食道は重層扁平上皮であり、多列線毛上皮ではない。
- ⑤ 卵管は線毛をもつ単層円柱上皮であり、重層扁平上皮ではない。
📋 まとめの表を見る:臓器・部位と被覆上皮の対応
内皮は血管・リンパ管、中皮は体腔(漿膜)の表面を被覆する単層扁平上皮で、局在により呼び分ける。肺胞の内面は中皮ではなく肺胞上皮(Ⅰ型・Ⅱ型肺胞上皮細胞)が覆う。
第65回 午前57(病理組織細胞学)
Ⅱ型アレルギー反応による疾患はどれか。
- ①気管支喘息
- ②関節リウマチ
- ③アレルギー性鼻炎
- ④Goodpasture症候群
- ⑤全身性エリテマトーデス〈SLE〉
正答: ④Goodpasture症候群
ポイント
Ⅱ型アレルギーは細胞表面や基底膜の抗原に対するIgG・IgM抗体が、補体活性化や食細胞による貪食を介して組織を傷害する反応である。Goodpasture症候群は糸球体・肺胞基底膜のⅣ型コラーゲンに対する抗体による代表的Ⅱ型疾患で、急速進行性糸球体腎炎と肺出血をきたす。気管支喘息・アレルギー性鼻炎はⅠ型、関節リウマチやSLEは免疫複合体(Ⅲ型)が主体である。
●Ⅰ型(即時型・IgE)=気管支喘息・アレルギー性鼻炎・蕁麻疹・アナフィラキシー。
●Ⅱ型(細胞傷害型)=Goodpasture症候群・自己免疫性溶血性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・重症筋無力症・Basedow病。
●Ⅲ型(免疫複合体型)=全身性エリテマトーデス・急性糸球体腎炎・血清病。
●Ⅳ型(遅延型・細胞性)=結核・接触皮膚炎・移植拒絶。
選択肢ごとの解説
- ① 気管支喘息はIgEを介するⅠ型アレルギーである。
- ② 関節リウマチは自己抗体や免疫複合体が関与するが、Ⅱ型ではない。
- ③ アレルギー性鼻炎はIgEを介するⅠ型アレルギーである。
- ④ 正しい。Goodpasture症候群は基底膜抗原に対する抗体によるⅡ型アレルギー疾患である。
- ⑤ 全身性エリテマトーデスは免疫複合体による組織傷害が主体のⅢ型アレルギー疾患である。
第65回 午前58(病理組織細胞学)
後腹膜臓器はどれか。
正答: ⑤膵臓
ポイント
後腹膜臓器は腹膜後方に位置し前面のみ腹膜に覆われる臓器で、膵臓(尾部を除く)、十二指腸(大部分)、腎臓、副腎、尿管、腹部大動脈・下大静脈などが含まれる。これに対し胃・肝臓・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸は腸間膜をもつ腹膜内臓器である。本問では膵臓が後腹膜臓器に該当する。
●後腹膜臓器(一次性)=腎臓・副腎・尿管・腹部大動脈・下大静脈。
●後腹膜臓器(二次性)=十二指腸・膵臓・上行結腸・下行結腸。
●腹膜内臓器=胃・肝臓・脾臓・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸。
選択肢ごとの解説
- ① 胃は腸間膜・大網をもつ腹膜内臓器である。
- ② 肝臓は無漿膜野を除き腹膜に覆われる腹膜内臓器である。
- ③ 結腸のうち上行・下行結腸は後腹膜に固定されるが、横行・S状結腸は腹膜内臓器であり、結腸を一括した本選択肢は正答ではない。
- ④ 小腸(空腸・回腸)は腸間膜をもつ腹膜内臓器である。
- ⑤ 正しい。膵臓は後腹膜に位置する代表的な後腹膜臓器である。
第65回 午前59(臨床血液学)
血球の分化とそれを誘導するサイトカインの組合せで正しいのはどれか。
- ①好塩基球 — IL-5
- ②好酸球 — IL-4
- ③好中球 — G-CSF
- ④単球 — IL-2
- ⑤リンパ球 — M-CSF
正答: ③好中球 — G-CSF
ポイント
血球分化は系統特異的なサイトカイン(コロニー刺激因子・インターロイキン)に誘導される。好中球の分化・成熟はG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)が誘導する。好酸球はIL-5、好塩基球・肥満細胞はIL-3やSCF(幹細胞因子)、単球・マクロファージはM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)やGM-CSF、リンパ球はIL-7が関与する。各因子の標的系統を取り違えないことが要点である。
●好中球=G-CSF。
●好酸球=IL-5。
●好塩基球・肥満細胞=IL-3・SCF。
●単球/マクロファージ=M-CSF・GM-CSF。
●リンパ球=IL-7(T・B共通)。
●赤血球=エリスロポエチン。
●血小板(巨核球)=トロンボポエチン。
選択肢ごとの解説
- ① 好塩基球の分化にはIL-3などが関与し、IL-5は好酸球に対応する。
- ② 好酸球の分化を主に誘導するのはIL-5であり、IL-4ではない。
- ③ 正しい。好中球の分化・成熟はG-CSFにより誘導される。
- ④ 単球・マクロファージの分化はM-CSFが誘導し、IL-2はT細胞増殖に関わる。
- ⑤ リンパ球の分化にはIL-7などが関与し、M-CSFは単球系のサイトカインである。
📋 まとめの表を見る:血球分化を誘導する主な造血因子・サイトカイン
好中球はG-CSFのほかIL-3・GM-CSFでも産生促進され、好酸球はIL-5のほかIL-3・GM-CSFでも促進される(1因子1系統の単純対応ではない)。好塩基球の分化誘導因子はIL-3・IL-4とされるが不明な点が多い。
第65回 午前60(臨床血液学)
血液検体のフローサイトメトリで、ゲーティングした細胞集団の所見を別に示す。この細胞集団はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA060.7cb00c491b.jpg

- ①成熟Bリンパ球性腫瘍細胞
- ②成熟Tリンパ球性腫瘍細胞
- ③急性リンパ性白血病細胞
- ④正常Bリンパ球
- ⑤正常Tリンパ球
正答: ①成熟Bリンパ球性腫瘍細胞
ポイント
フローサイトメトリでゲーティングした細胞集団が表面免疫グロブリン軽鎖(κまたはλ)のいずれかに偏る軽鎖制限(light chain restriction)を示し、CD19・CD20が陽性であれば、モノクローナルに増殖した成熟Bリンパ球性腫瘍と判断される。正常Bリンパ球はκとλがほぼ均等に分布し軽鎖制限を示さない点が鑑別の決め手となる。
●成熟B細胞腫瘍マーカー=CD19・CD20陽性+軽鎖制限(κ/λ偏り)。
●成熟T細胞腫瘍マーカー=CD3など汎T細胞抗原陽性。
●前駆細胞(急性白血病)マーカー=TdT・CD34・CD10。
●正常B細胞の判定=κ/λがほぼ均等(多クローン性)。
●軽鎖制限を示す代表疾患=慢性リンパ性白血病・濾胞性リンパ腫。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。CD19/CD20陽性で軽鎖制限を示すモノクローナルな集団は成熟Bリンパ球性腫瘍細胞と判断される。
- ② 成熟Tリンパ球性腫瘍ではCD3などT細胞マーカーが陽性となり、B細胞マーカーや軽鎖制限の所見と合わない。
- ③ 急性リンパ性白血病ではTdTやCD34など前駆細胞マーカーが陽性となる。
- ④ 正常Bリンパ球はκ/λがほぼ均等で軽鎖制限を示さない。
- ⑤ 正常Tリンパ球はB細胞マーカーや軽鎖制限を示さない。
📋 まとめの表を見る:主な白血病・骨髄腫の細胞表面マーカー(CD抗原)パターン
CD5は本来T細胞抗原だが、CLLでは腫瘍性B細胞に共発現する。軽鎖(κ/λ)の偏り(軽鎖制限)もB細胞腫瘍性増殖の指標となる。
第65回 午前61(臨床血液学)
悪性貧血の原因となるのはどれか。
- ①胃癌病変からの出血
- ②胃の全摘手術
- ③エリスロポエチンの産生低下
- ④鉄の利用障害
- ⑤内因子に対する自己抗体
正答: ⑤内因子に対する自己抗体
ポイント
悪性貧血は自己免疫性胃炎を背景に胃壁細胞が障害され、内因子に対する自己抗体により内因子が不足し、ビタミンB₁₂が回腸末端で吸収されず生じる巨赤芽球性貧血である。抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体が検出され、汎血球減少や神経症状(亜急性連合性脊髄変性症)を伴う。胃全摘後もB12欠乏をきたすが、それは手術による内因子産生消失であり、本症の本態は自己抗体である。
●巨赤芽球性貧血の原因=ビタミンB₁₂欠乏(悪性貧血・胃全摘・回腸切除)・葉酸欠乏。
●悪性貧血の自己抗体=抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体。
●鉄欠乏性貧血=消化管出血・月経過多・吸収障害。
●腎性貧血=エリスロポエチン産生低下。
●鉄芽球性貧血=鉄利用障害(環状鉄芽球)。
選択肢ごとの解説
- ① 胃癌からの出血は鉄欠乏性貧血の原因であり、悪性貧血ではない。
- ② 胃全摘でも内因子欠乏によるB12欠乏は起こるが、これは術後の続発症であり悪性貧血そのものの原因ではない。
- ③ エリスロポエチン産生低下は腎性貧血の原因である。
- ④ 鉄の利用障害は鉄芽球性貧血や慢性疾患に伴う貧血の機序である。
- ⑤ 正しい。内因子に対する自己抗体により内因子が欠乏し、ビタミンB₁₂吸収障害をきたすのが悪性貧血の原因である。
第65回 午前62(臨床血液学)
血小板に含まれるのはどれか。
- ①von Willebrand因子
- ②アンチトロンビン
- ③キモトリプシン
- ④第Ⅻ因子
- ⑤第Ⅶ因子
正答: ①von Willebrand因子
ポイント
von Willebrand因子は血小板のα顆粒および血管内皮細胞のWeibel-Palade小体に貯蔵され、血小板の血管壁への粘着と第Ⅷ因子の安定化(保護)に働く。アンチトロンビンや凝固因子(第Ⅻ・Ⅶ因子)は主に肝臓で産生され血漿中に存在する。血小板α顆粒の内容物としてはほかにフィブリノゲン、第Ⅴ因子、血小板由来増殖因子(PDGF)、β-トロンボグロブリンがある。
●血小板α顆粒=von Willebrand因子・フィブリノゲン・第Ⅴ因子・PDGF・β-トロンボグロブリン・血小板第4因子。
●血小板濃染顆粒(δ顆粒)=ADP・ATP・セロトニン・カルシウム。
●肝臓で産生される凝固因子=第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子(ビタミンK依存性)ほか。
●凝固抑制因子=アンチトロンビン・プロテインC・プロテインS。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。von Willebrand因子は血小板のα顆粒に含まれ、血小板粘着に関与する。
- ② アンチトロンビンは肝臓で産生され血漿中に存在する凝固抑制因子である。
- ③ キモトリプシンは膵臓由来の消化酵素であり、血小板成分ではない。
- ④ 第Ⅻ因子は肝臓で産生される血漿凝固因子である。
- ⑤ 第Ⅶ因子は肝臓で産生される血漿凝固因子である。
第65回 午前63(臨床血液学)
健常成人における鉄の体内分布比率が最も高いのはどれか。
- ①血清鉄
- ②組織鉄
- ③貯蔵鉄
- ④ヘモグロビン鉄
- ⑤ミオグロビン鉄
正答: ④ヘモグロビン鉄
ポイント
成人男性の体内総鉄量は約3〜4 gで、その約3分の2(最も高い比率)はヘモグロビン鉄として赤血球に存在する。次いで貯蔵鉄(フェリチン・ヘモジデリン)が約3分の1を占め、ミオグロビン鉄や酵素などの組織鉄は少量である。血清鉄(トランスフェリン結合鉄)はごく一部にすぎない。
●ヘモグロビン鉄=総鉄の約2/3(最多)。
●貯蔵鉄=フェリチン・ヘモジデリン(肝・脾・骨髄)、約1/3。
●組織鉄/ミオグロビン鉄=筋・酵素中、少量。
●血清鉄=トランスフェリン結合鉄、ごく微量。
●鉄欠乏の進行順=貯蔵鉄低下→血清鉄低下→ヘモグロビン低下。
選択肢ごとの解説
- ① 血清鉄(トランスフェリン結合鉄)は総鉄量のごく一部で、比率は最も低い。
- ② 組織鉄(酵素鉄など)は少量で、最も高い比率ではない。
- ③ 貯蔵鉄は総鉄量の約3分の1で、ヘモグロビン鉄に次ぐ。
- ④ 正しい。体内鉄の約3分の2を占めるヘモグロビン鉄が最も高い比率である。
- ⑤ ミオグロビン鉄は組織鉄の一部で比率は低い。
第65回 午前64(臨床血液学)
赤血球浸透圧抵抗検査で抵抗性が減弱するのはどれか。
- ①肝硬変症
- ②サラセミア
- ③鉄欠乏性貧血
- ④甲状腺機能亢進症
- ⑤遺伝性球状赤血球症
正答: ⑤遺伝性球状赤血球症
ポイント
赤血球浸透圧抵抗(食塩水抵抗)は赤血球の表面積/体積比に依存する。球状化した赤血球は表面積に余裕がなく、低張液でわずかな水分流入でも容易に溶血するため抵抗性は減弱(低下)する。遺伝性球状赤血球症がその代表である。逆に菲薄で扁平な標的赤血球を呈するサラセミアや鉄欠乏性貧血、肝疾患では抵抗性が増強する。
●浸透圧抵抗減弱(低下)=遺伝性球状赤血球症(球状化)。
●浸透圧抵抗増強(亢進)=サラセミア・鉄欠乏性貧血・肝硬変(いずれも標的赤血球・菲薄赤血球)。
●抵抗を決める因子=表面積/体積比(膜の余裕)。
●関連検査=自己溶血試験・浸透圧脆弱性試験。
選択肢ごとの解説
- ① 肝硬変では標的赤血球が増え、抵抗性はむしろ増強傾向となる。
- ② サラセミアは標的赤血球を呈し、浸透圧抵抗は増強する。
- ③ 鉄欠乏性貧血は菲薄な赤血球で抵抗性が増強する。
- ④ 甲状腺機能亢進症は浸透圧抵抗減弱の典型疾患ではない。
- ⑤ 正しい。遺伝性球状赤血球症では球状化により浸透圧抵抗が減弱する。
第65回 午前65(臨床血液学)
末梢血液のMay-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA065.8913c458ef.jpg

- ①血球貪食症候群〈HPS〉
- ②Hodgkinリンパ腫〈HL〉
- ③成人T細胞白血病〈ATL〉
- ④ヘアリー細胞白血病〈HCL〉
- ⑤慢性リンパ性白血病〈CLL〉
正答: ③成人T細胞白血病〈ATL〉
ポイント
成人T細胞白血病はヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)の感染を背景とし、末梢血に核に深い切れ込みのある花弁状(flower cell)の異常リンパ球が出現するのが特徴である。CD4陽性T細胞由来で、九州・沖縄など特定地域に多く、母乳を介した母子感染が主体である。高カルシウム血症、皮膚病変、リンパ節腫大、日和見感染を伴うことがある。
●成人T細胞白血病=HTLV-1・花弁状細胞・CD4陽性・高カルシウム血症。
●ヘアリー細胞白血病=細胞質の毛様突起・酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ陽性。
●慢性リンパ性白血病=小型成熟リンパ球の単調増加・スマッジ細胞。
●Hodgkinリンパ腫=Reed-Sternberg細胞。
●血球貪食症候群=組織球による血球貪食像。
選択肢ごとの解説
- ① 血球貪食症候群は組織球による血球貪食像が特徴で、花弁状リンパ球は示さない。
- ② Hodgkinリンパ腫はReed-Sternberg細胞を特徴とし、末梢血の花弁状細胞とは異なる。
- ③ 正しい。花弁状(flower cell)の異常リンパ球は成人T細胞白血病に特徴的な像である。
- ④ ヘアリー細胞白血病は細胞質に毛様突起をもつ細胞が特徴である。
- ⑤ 慢性リンパ性白血病は小型成熟リンパ球の単調な増加が特徴である。
📋 まとめの表を見る:ウイルス感染に関連する血液・リンパ系疾患
第65回 午前66(臨床血液学)
JAK2遺伝子変異が高頻度でみられるのはどれか。
- ①多発性骨髄腫
- ②真性赤血球増加症〈PV〉
- ③Hodgkinリンパ腫〈HL〉
- ④急性骨髄性白血病〈AML〉
- ⑤原発性マクログロブリン血症
正答: ②真性赤血球増加症〈PV〉
ポイント
JAK2 V617F変異はBCR-ABL陰性の骨髄増殖性腫瘍に高頻度でみられ、特に真性赤血球増加症ではほぼ全例(90%以上)に認められる。本態性血小板血症や原発性骨髄線維症でも約半数に検出され、診断補助の重要な分子マーカーとなる。エリスロポエチン非依存性の赤血球増加をきたす点が二次性多血症との鑑別に役立つ。
●JAK2 V617F変異=真性赤血球増加症(ほぼ全例)・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症(約半数)。
●BCR-ABL融合遺伝子(Philadelphia染色体)=慢性骨髄性白血病。
●MYD88変異=原発性マクログロブリン血症(Waldenström)。
●PML-RARA融合=急性前骨髄球性白血病。
●骨髄増殖性腫瘍=慢性骨髄性白血病・真性赤血球増加症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症。
選択肢ごとの解説
- ① 多発性骨髄腫は形質細胞腫瘍でJAK2変異とは関連しない。
- ② 正しい。真性赤血球増加症ではJAK2 V617F変異がほぼ全例にみられる。
- ③ Hodgkinリンパ腫はJAK2変異と高頻度には関連しない。
- ④ 急性骨髄性白血病ではJAK2変異は高頻度ではない。
- ⑤ 原発性マクログロブリン血症はMYD88変異が特徴で、JAK2変異とは関連しない。
📋 まとめの表を見る:真性赤血球増加症〈PV〉の主な検査所見
第65回 午前67(臨床血液学)
血小板減少とPT延長をともに認めるのはどれか。2つ選べ。
- ①肝硬変
- ②血友病A
- ③播種性血管内凝固〈DIC〉
- ④von Willebrand病〈VWD〉
- ⑤特発性血小板減少性紫斑病〈ITP〉
正答: ①肝硬変・③播種性血管内凝固〈DIC〉
ポイント
血小板減少とプロトロンビン時間(PT)延長を同時にきたすには、血小板の消費・産生低下と外因系凝固因子の障害が併存する病態が必要である。播種性血管内凝固では微小血栓形成に伴い血小板と凝固因子がともに消費され、両者が異常となる。肝硬変では凝固因子産生低下によるPT延長と、脾機能亢進・トロンボポエチン産生低下による血小板減少が併存する。
●血小板減少+PT延長=播種性血管内凝固・肝硬変(重症肝障害)。
●PT延長のみ=ビタミンK欠乏・ワルファリン投与・第Ⅶ因子欠乏。
●APTT延長のみ=血友病A(第Ⅷ因子)・血友病B(第Ⅸ因子)。
●血小板減少のみ=特発性血小板減少性紫斑病。
●出血時間延長・APTT延長=von Willebrand病。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。肝硬変では凝固因子産生低下でPTが延長し、脾機能亢進で血小板も減少する。
- ② 血友病Aは第Ⅷ因子欠乏でAPTTが延長するが、PTと血小板は正常である。
- ③ 正しい。播種性血管内凝固では血小板・凝固因子の消費により血小板減少とPT延長をともに認める。
- ④ von Willebrand病は出血時間延長やAPTT延長を示すが、PTと血小板数は基本的に正常である。
- ⑤ 特発性血小板減少性紫斑病は血小板減少のみで、PTは正常である。
第65回 午前68(臨床微生物学)
微好気性菌はどれか。
- ①Campylobacter jejuni
- ②Fusobacterium nucleatum
- ③Neisseria gonorrhoeae
- ④Pseudomonas aeruginosa
- ⑤Streptococcus pyogenes
正答: ①Campylobacter jejuni
ポイント
微好気性菌は大気より低い酸素濃度(約5%)かつ高い二酸化炭素濃度(約10%)の環境で発育する細菌である。Campylobacter属やHelicobacter属が代表で、Campylobacter jejuniは細菌性食中毒の主要原因菌である。Skirrow培地などの選択培地を用い、42℃微好気培養で分離し、らせん状のGram陰性桿菌として観察される。
●微好気性菌=Campylobacter jejuni・Helicobacter pylori。
●偏性嫌気性菌=Fusobacterium・Bacteroides・Clostridium。
●偏性好気性菌=Pseudomonas aeruginosa・結核菌。
●通性嫌気性菌=大腸菌・Streptococcus pyogenes・ブドウ球菌。
●炭酸ガス要求性(好気)=Neisseria gonorrhoeae。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。Campylobacter jejuniは微好気性菌で、低酸素・高炭酸ガス環境で発育する。
- ② Fusobacterium nucleatumは偏性嫌気性菌である。
- ③ Neisseria gonorrhoeaeは炭酸ガスを要求する好気性菌である。
- ④ Pseudomonas aeruginosaは偏性好気性菌である。
- ⑤ Streptococcus pyogenesは通性嫌気性菌である。
第65回 午前69(臨床微生物学)
高水準消毒薬はどれか。
- ①ポビドンヨード
- ②消毒用エタノール
- ③グルタルアルデヒド
- ④塩化ベンザルコニウム
- ⑤次亜塩素酸ナトリウム
正答: ③グルタルアルデヒド
ポイント
消毒薬は殺菌スペクトルにより高・中・低水準に分類される。高水準消毒薬は大量の芽胞が存在する場合を除く全ての微生物を殺滅するもので、グルタルアルデヒド、過酢酸、フタラールが該当し、内視鏡など耐熱性のない器具の消毒に用いる。芽胞まで確実に殺滅するのは滅菌であり、特にフタラールの殺芽胞作用は遅い。次亜塩素酸ナトリウムやアルコール、ポビドンヨードは中水準、第四級アンモニウム塩やクロルヘキシジンは低水準である。
●高水準=グルタルアルデヒド・過酢酸・フタラール(大量の芽胞を除く全微生物に有効。フタラールの殺芽胞作用は遅い)。
●中水準=次亜塩素酸ナトリウム・消毒用エタノール・ポビドンヨード(結核菌に有効、芽胞は不確実)。
●低水準=塩化ベンザルコニウム(第四級アンモニウム塩)・クロルヘキシジン(芽胞・結核菌に無効)。
選択肢ごとの解説
- ① ポビドンヨードは中水準消毒薬である。
- ② 消毒用エタノールは中水準消毒薬である。
- ③ 正しい。グルタルアルデヒドは芽胞にも有効な高水準消毒薬である。
- ④ 塩化ベンザルコニウム(第四級アンモニウム塩)は低水準消毒薬である。
- ⑤ 次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬である。
第65回 午前70(臨床微生物学)
髄膜炎が疑われる患者の髄液を5%ヒツジ血液寒天培地(左)とチョコレート寒天培地(右)の分画培地で35 ℃、24時間、炭酸ガス培養した写真を別に示す。髄液のGram染色では、多数の好中球と共にGram陽性球菌が認められた。分離菌はBTB乳糖寒天培地に発育せず、カタラーゼ試験陰性、オプトヒンに感性を示した。推定される菌種はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA070.17c20da6e3.jpg

- ①Listeria monocytogenes
- ②Neisseria meningitidis
- ③Staphylococcus aureus
- ④Streptococcus agalactiae
- ⑤Streptococcus pneumoniae
正答: ⑤Streptococcus pneumoniae
ポイント
Gram陽性球菌、カタラーゼ陰性、オプトヒン感性、BTB乳糖寒天培地に非発育という所見はStreptococcus pneumoniae(肺炎球菌)に合致する。肺炎球菌は莢膜をもつ双球菌で、髄膜炎・肺炎・中耳炎の主要原因菌である。血液寒天上でα溶血を示し、胆汁溶解陽性、オプトヒン感性が他のα溶血連鎖球菌(緑色連鎖球菌)との鑑別点となる。
●肺炎球菌=Gram陽性双球菌・カタラーゼ陰性・α溶血・オプトヒン感性・胆汁溶解陽性・莢膜あり。
●緑色連鎖球菌=α溶血・オプトヒン耐性・胆汁溶解陰性。
●化膿レンサ球菌=β溶血・バシトラシン感性。
●B群レンサ球菌(agalactiae)=CAMP試験陽性。
●髄膜炎主要原因菌=肺炎球菌・髄膜炎菌・インフルエンザ菌・B群レンサ球菌・リステリア。
選択肢ごとの解説
- ① Listeria monocytogenesはGram陽性桿菌でカタラーゼ陽性であり、所見と合わない。
- ② Neisseria meningitidisはGram陰性双球菌であり、Gram陽性球菌という所見に合わない。
- ③ Staphylococcus aureusはカタラーゼ陽性であり、本例のカタラーゼ陰性と合わない。
- ④ Streptococcus agalactiaeはオプトヒン耐性で、CAMP試験陽性などで鑑別される。
- ⑤ 正しい。Gram陽性球菌・カタラーゼ陰性・オプトヒン感性は肺炎球菌に合致する。
📋 まとめの表を見る:主なレンサ球菌(Streptococcus属)の性状比較
いずれもGram陽性球菌・カタラーゼテスト陰性・普通寒天培地には発育しない。
第65回 午前71(臨床微生物学)
リジン脱炭酸反応陽性を示すのはどれか。
- ①Citrobacter freundii
- ②Proteus mirabilis
- ③Salmonella Typhi
- ④Shigella sonnei
- ⑤Yersinia enterocolitica
正答: ③Salmonella Typhi
ポイント
リジン脱炭酸酵素はアミノ酸リジンをカダベリンに変換し、培地のアルカリ化により判定する。腸内細菌科ではSalmonella属(多くの血清型、Typhiを含む)やKlebsiella属、Enterobacter属が陽性を示す。一方Proteus属、Citrobacter freundii、Shigella属、Yersinia属は陰性である。腸内細菌科の同定における鑑別生化学反応の一つである。
●リジン脱炭酸陽性=Salmonella属・Klebsiella属・Enterobacter属。
●リジン脱炭酸陰性=Proteus属・Citrobacter freundii・Shigella属・Yersinia属。
●その他の脱炭酸酵素=オルニチン脱炭酸・アルギニン脱水素酵素。
●Salmonella Typhiの特徴=硫化水素弱陽性・クエン酸利用陰性・リジン脱炭酸陽性。
選択肢ごとの解説
- ① Citrobacter freundiiはリジン脱炭酸反応陰性である。
- ② Proteus mirabilisはリジン脱炭酸反応陰性である。
- ③ 正しい。Salmonella Typhiはリジン脱炭酸反応陽性を示す。
- ④ Shigella sonneiはリジン脱炭酸反応陰性である。
- ⑤ Yersinia enterocoliticaはリジン脱炭酸反応陰性である。
📋 まとめの表を見る:腸内細菌科の生化学的性状の鑑別(乳糖分解・硫化水素・リジン脱炭酸・インドール)
サルモネラ・赤痢菌など乳糖非分解菌はTSI培地で高層部のみ黄変し斜面は赤色のまま残るが、大腸菌など乳糖分解菌は斜面・高層とも黄変する。チフス菌(Typhi)はTSI培地でガスをほとんど産生せず硫化水素も少量にとどまる点が他の多くのSalmonella血清型と異なる。尿素分解(ウレアーゼ)陽性の代表はProteus属・Morganella属・Providencia属。
第65回 午前72(臨床微生物学)
血液培養検査で培養陽性になった好気ボトル内容液のGram染色標本を別に示す。嫌気ボトルは培養陰性であった。分離菌はオキシダーゼテスト陽性であった。推定されるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA072.1a4c6dfb43.jpg

- ①Acinetobacter baumannii
- ②Escherichia coli
- ③Haemophilus influenzae
- ④Klebsiella pneumoniae
- ⑤Pseudomonas aeruginosa
正答: ⑤Pseudomonas aeruginosa
ポイント
好気ボトルのみ陽性でGram陰性桿菌、オキシダーゼ陽性という所見は偏性好気性のPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)に合致する。緑膿菌はブドウ糖非発酵菌で、緑色色素ピオシアニンや蛍光色素を産生し、特有の芳香臭を発する。日和見感染・院内感染・敗血症の重要な原因菌で、多剤耐性を示すことがある。腸内細菌科がオキシダーゼ陰性である点が鑑別の要点となる。
●オキシダーゼ陽性・ブドウ糖非発酵=Pseudomonas aeruginosa・他のシュードモナス属。
●オキシダーゼ陰性・ブドウ糖非発酵=Acinetobacter baumannii・Stenotrophomonas maltophilia。
●オキシダーゼ陰性・通性嫌気性=腸内細菌科(大腸菌・Klebsiella)。
●V・X因子要求=Haemophilus influenzae。
●緑膿菌の特徴=ピオシアニン・偏性好気性・多剤耐性・日和見感染。
選択肢ごとの解説
- ① Acinetobacter baumanniiはオキシダーゼ陰性のGram陰性球桿菌である。
- ② Escherichia coliはオキシダーゼ陰性の通性嫌気性菌で、嫌気ボトルでも発育しうる。
- ③ Haemophilus influenzaeは通常の血液寒天で発育しにくくV・X因子を要求する小桿菌である。
- ④ Klebsiella pneumoniaeはオキシダーゼ陰性の通性嫌気性菌である。
- ⑤ 正しい。オキシダーゼ陽性・偏性好気性のGram陰性桿菌はPseudomonas aeruginosaに合致する。
📋 まとめの表を見る:グラム陰性桿菌の分類(腸内細菌目・ビブリオ科・パスツレラ科・非発酵菌群)とオキシダーゼ・糖代謝
第65回 午前73(臨床微生物学)
培地の滅菌に用いられる方法はどれか。2つ選べ。
- ①ガス滅菌
- ②乾熱滅菌
- ③濾過滅菌
- ④放射線滅菌
- ⑤高圧蒸気滅菌
正答: ③濾過滅菌・⑤高圧蒸気滅菌
ポイント
培地の滅菌では成分の熱変性を避ける必要がある。寒天など耐熱性の一般培地は高圧蒸気滅菌(オートクレーブ、121℃・15〜20分)で行う。一方、熱に弱い血清・尿素・抗菌薬・糖などを含む溶液は、孔径0.22 μmのメンブランフィルターによる濾過滅菌を用いる。乾熱滅菌・放射線滅菌・ガス滅菌は器具向けで、培地には一般に用いない。
●高圧蒸気滅菌=オートクレーブ(121℃・15分)、一般培地・耐熱器具。
●濾過滅菌=0.22 μmフィルター、血清・抗菌薬・糖など易熱性溶液。
●乾熱滅菌=160〜180℃、ガラス・金属器具。
●ガス滅菌=酸化エチレンガス、耐熱性のない医療器具。
●放射線滅菌=γ線、ディスポーザブル器具の工業滅菌。
選択肢ごとの解説
- ① ガス滅菌(酸化エチレンガス)は熱に弱い医療器具向けで、培地の滅菌には一般に用いない。
- ② 乾熱滅菌は高温(160〜180℃)でガラス・金属器具向けであり、培地成分を破壊するため不適である。
- ③ 正しい。熱に弱い成分を含む培地・溶液は濾過滅菌で無菌化する。
- ④ 放射線滅菌はディスポーザブル器具向けで、検査室の培地滅菌に通常用いない。
- ⑤ 正しい。一般の培地は高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)で滅菌する。
第65回 午前74(臨床微生物学)
輸入真菌症の原因菌はどれか。
- ①Coccidioides immitis
- ②Exophiala dermatitidis
- ③Malassezia furfur
- ④Rhizopus arrhizus〈R. oryzae〉
- ⑤Sporothrix schenckii
正答: ①Coccidioides immitis
ポイント
輸入真菌症は国内に常在せず、流行地への渡航・滞在で感染して帰国後に発症する深在性真菌症である。Coccidioides immitis(コクシジオイデス症、米国南西部・中南米などの乾燥地帯に分布)が代表で、ほかにヒストプラズマ、パラコクシジオイデス、ブラストミセスがある。培養時の感染リスクが高くバイオセーフティ上の取扱いに注意を要する。
●輸入真菌症=Coccidioides immitis・Histoplasma capsulatum・Paracoccidioides・Blastomyces。
●国内に分布する深在性真菌症=Aspergillus・Candida・Cryptococcus・Mucor(Rhizopus)。
●表在性・皮下真菌症=Malassezia furfur(癜風)・Sporothrix schenckii(スポロトリックス症)・Exophiala(黒色真菌症)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。Coccidioides immitisは流行地への渡航で感染する輸入真菌症の代表的原因菌である。
- ② Exophiala dermatitidisは黒色真菌で、国内にも分布し輸入真菌症ではない。
- ③ Malassezia furfurは皮膚常在真菌で、癜風などの原因となる。
- ④ Rhizopus arrhizusはムーコル症の原因菌で、輸入真菌症ではない。
- ⑤ Sporothrix schenckiiはスポロトリックス症の原因で国内にも分布する。
第65回 午前75(臨床微生物学)
ウイルスとマイコプラズマに共通する特徴はどれか。
- ①細胞壁をもたない。
- ②二分裂で増殖する。
- ③抗生物質に感受性がない。
- ④偏性細胞内寄生性である。
- ⑤DNAとRNAのいずれか一方をもつ。
正答: ①細胞壁をもたない。
ポイント
マイコプラズマは細胞壁をもたない最小の自己増殖性細菌で、ペニシリンなど細胞壁合成阻害薬が無効である。ウイルスも細胞壁をもたない。したがって両者の共通点は細胞壁を欠くことである。一方、ウイルスはDNAかRNAの一方のみをもち自己増殖できず偏性細胞内寄生するのに対し、マイコプラズマはDNAとRNAの両方をもち無細胞培地で二分裂増殖できる点が異なる。
●細胞壁をもたない=マイコプラズマ・ウイルス(共通)・L型菌。
●ウイルスの特徴=DNAかRNAの一方・偏性細胞内寄生・自己増殖不能・抗菌薬無効。
●マイコプラズマの特徴=両核酸保有・無細胞培地で二分裂増殖・マクロライド/テトラサイクリン感性。
●細胞壁を標的とする抗菌薬=β-ラクタム系(ペニシリン・セフェム)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。ウイルスもマイコプラズマも細胞壁をもたない点が共通する。
- ② 二分裂増殖はマイコプラズマの特徴で、ウイルスは宿主細胞内で複製するため共通点ではない。
- ③ マイコプラズマはマクロライドなど蛋白合成阻害薬に感受性があり、抗生物質が無効とは限らない。
- ④ 偏性細胞内寄生はウイルスの特徴で、マイコプラズマは細胞外で増殖できる。
- ⑤ DNAとRNAのいずれか一方をもつのはウイルスの特徴で、マイコプラズマは両方をもつ。
第65回 午前76(臨床微生物学)
目的菌と分離培地の組合せで正しいのはどれか。
- ①Salmonella enterica subsp. enterica — BBE寒天培地
- ②Mycobacterium tuberculosis — Skirrow寒天培地
- ③Legionella pneumophila — 5%ヒツジ血液寒天培地
- ④Bordetella pertussis — GC寒天培地
- ⑤Clostridium difficile〈Clostridioides difficile〉 — CCFA寒天培地
正答: ⑤Clostridium difficile〈Clostridioides difficile〉 — CCFA寒天培地
ポイント
選択分離培地は目的菌の発育を助け夾雑菌を抑制する組成で設計され、目的菌ごとに使い分ける。Clostridioides difficile(旧Clostridium difficile)にはCCFA(cycloserine-cefoxitin-fructose agar)寒天培地を用い、サイクロセリンとセフォキシチンで他菌を抑制する。誤りの組合せでは目的菌に対する本来の培地を取り違えている点に注意する。●腸内細菌・腸管病原菌=SalmonellaやShigellaはSS寒天やDHL寒天、腸管出血性大腸菌O157はソルビトール・マッコンキー(SMAC)寒天。●抗酸菌=Mycobacterium tuberculosisは小川培地(卵培地)や2%小川・MGIT液体培地。●Legionella=BCYEα寒天(システイン・鉄添加)。●百日咳菌Bordetella pertussis=Bordet-Gengou培地やCSM培地。●Campylobacter=Skirrow培地やCCDA。●淋菌・髄膜炎菌=Thayer-Martin培地やGC寒天。●嫌気性のBacteroides=BBE(Bacteroides bile esculin)寒天。
選択肢ごとの解説
- ① Salmonella enterica subsp. entericaの分離にはSS寒天やDHL寒天を用い、BBE寒天はBacteroides fragilisグループ用である。
- ② Mycobacterium tuberculosisには小川培地などを用い、Skirrow寒天培地はCampylobacter用である。
- ③ Legionella pneumophilaはシステインと鉄を要求しBCYEα培地で発育し、5%ヒツジ血液寒天培地では発育しにくい。
- ④ Bordetella pertussisにはBordet-Gengou培地などを用い、GC寒天培地は淋菌・髄膜炎菌用である。
- ⑤ 正しい。Clostridioides difficileの選択分離にはCCFA(cycloserine-cefoxitin-fructose agar)寒天培地を用いる。
📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地
第65回 午前77(臨床微生物学)
Staphylococcus aureusのメチシリン耐性の判定に用いるのはどれか。
- ①ペニシリンG
- ②オキサシリン
- ③セファゾリン
- ④バンコマイシン
- ⑤テイコプラニン
正答: ②オキサシリン
ポイント
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)はmecA遺伝子がコードする低親和性のペニシリン結合蛋白PBP2'(PBP2a)によりβ-ラクタム薬全般に耐性を示す。判定基準薬であるメチシリンは製造中止のため、代用としてオキサシリンの最小発育阻止濃度測定やセフォキシチンディスク拡散法で耐性を判定する。バンコマイシンやテイコプラニンはMRSA感染の治療薬であり、耐性の判定には用いない。●判定に用いる薬剤=オキサシリン(MIC測定)、セフォキシチン(mecA発現を鋭敏に誘導するディスク)。●確認試験=PBP2'検出(ラテックス凝集)、mecA遺伝子検出(PCR)。●MRSA治療薬=バンコマイシン、テイコプラニン、リネゾリド、ダプトマイシン、アルベカシン。●関連耐性菌=バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(VISA)・バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)。
選択肢ごとの解説
- ① ペニシリンGはβ-ラクタマーゼに分解されやすく、メチシリン耐性の判定指標には用いない。
- ② 正しい。オキサシリン(またはセフォキシチン)でメチシリン耐性を判定する。
- ③ セファゾリンは第一世代セファロスポリンで、メチシリン耐性の判定には用いない。
- ④ バンコマイシンはMRSAの治療薬であり、メチシリン耐性の判定指標ではない。
- ⑤ テイコプラニンはMRSAの治療薬であり、耐性判定には用いない。
第65回 午前78(臨床微生物学)
TCBS寒天培地で黄色コロニーを形成するVibrio属菌はどれか。2つ選べ。
- ①V. cholerae
- ②V. fluvialis
- ③V. mimicus
- ④V. parahaemolyticus
- ⑤V. vulnificus
正答: ①V. cholerae・②V. fluvialis
ポイント
TCBS(thiosulfate-citrate-bile salts-sucrose)寒天培地はVibrio属の選択分離培地で、ショ糖(スクロース)分解の有無で集落色が分かれる。ショ糖を分解して酸を産生する菌は指示薬の変化で黄色集落、非分解菌は青緑色〜緑色集落となる。V. choleraeとV. fluvialis、V. alginolyticusはショ糖分解で黄色、V. parahaemolyticusやV. vulnificus、V. mimicusはショ糖非分解で緑色集落を呈する。●黄色集落(ショ糖分解)=V. cholerae、V. fluvialis、V. alginolyticus。●緑色集落(ショ糖非分解)=V. parahaemolyticus、V. vulnificus、V. mimicus。●鑑別に用いる性状=オキシダーゼ陽性、 string test、塩濃度要求(好塩性の有無)。●関連培地=アルカリペプトン水(増菌)、CHROMagar Vibrio。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。V. choleraeはショ糖分解陽性でTCBS上に黄色集落を形成する。
- ② 正しい。V. fluvialisはショ糖分解陽性で黄色集落を形成する。
- ③ V. mimicusはショ糖非分解で緑色集落を形成する。
- ④ V. parahaemolyticusはショ糖非分解で緑色集落を形成する。
- ⑤ V. vulnificusはショ糖非分解で緑色集落を形成する。
第65回 午前79(臨床免疫学)
受動免疫による感染防止対策が行われているのはどれか。
- ①結核
- ②B型肝炎
- ③インフルエンザ
- ④肺炎球菌感染症
- ⑤ヒト免疫不全ウイルス感染症
正答: ②B型肝炎
ポイント
受動免疫は既成の抗体(免疫グロブリン製剤)を投与して即時的な防御を与える方法で、宿主自身が抗体を産生する能動免疫(ワクチン接種)とは作用機序が異なる。B型肝炎では母子感染防止や針刺し事故後の暴露後予防に抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)を投与する受動免疫が行われる(B型肝炎ワクチンとの併用が基本)。結核・インフルエンザ・肺炎球菌感染症はワクチンによる能動免疫が予防の中心である。●受動免疫の例=抗HBs免疫グロブリン(B型肝炎)、破傷風免疫グロブリン、抗狂犬病免疫グロブリン、抗D免疫グロブリン(Rh感作予防)、母体からの経胎盤IgG移行・母乳IgA。●能動免疫(ワクチン)の例=BCG(結核)、インフルエンザ、肺炎球菌、麻疹・風疹、B型肝炎ワクチン。●受動免疫の特徴=効果は即時だが短期間で消失し、免疫記憶は成立しない。
選択肢ごとの解説
- ① 結核はBCGワクチンによる能動免疫が予防対策である。
- ② 正しい。B型肝炎では抗HBsヒト免疫グロブリン投与による受動免疫が母子感染予防や暴露後予防で行われる。
- ③ インフルエンザはワクチンによる能動免疫が予防の中心である。
- ④ 肺炎球菌感染症はワクチンによる能動免疫で予防する。
- ⑤ ヒト免疫不全ウイルス感染症に対する受動免疫による標準的な感染防止対策は確立していない。
📋 まとめの表を見る:受動免疫と能動免疫の代表例
B型肝炎の母子感染予防や針刺し事故後の曝露後予防では、HBIG(受動免疫)とHBワクチン(能動免疫)を併用する。
第65回 午前80(臨床免疫学)
健常成人の末梢血白血球で2番目に数が多いのはどれか。
正答: ⑤T細胞
ポイント
健常成人の末梢血白血球分画では好中球が最も多く約40〜70%を占め、次いでリンパ球が約20〜40%を占める。末梢血リンパ球の約60〜80%はT細胞で、B細胞やNK細胞より多い。単球は約2〜8%、好酸球は約1〜5%、好塩基球は1%未満にとどまる。白血球全体での2番目はリンパ球であり、その主体であるT細胞が該当する。●白血球の概数比=好中球(最多)>リンパ球>単球>好酸球>好塩基球。●リンパ球の内訳=T細胞(CD3陽性、最多)>B細胞(CD19・CD20陽性)>NK細胞(CD16・CD56陽性)。●T細胞の主なサブセット=ヘルパーT細胞(CD4陽性)、細胞傷害性T細胞(CD8陽性)で、CD4/CD8比は約2が正常範囲。
選択肢ごとの解説
- ① 単球は白血球の約2〜8%で、2番目には該当しない。
- ② 好酸球は白血球の約1〜5%で少数である。
- ③ 好中球は最も数が多く、2番目ではない。
- ④ B細胞は末梢血リンパ球の中ではT細胞より少ない。
- ⑤ 正しい。リンパ球が好中球に次いで2番目に多く、その主体はT細胞である。
📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞
第65回 午前81(臨床免疫学)
MHC分子について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①クラスⅠ分子はヘルパーT細胞と結合する。
- ②クラスⅠ分子は外から入ってきた蛋白抗原を提示する。
- ③クラスⅡ分子にはHLA-DR、DQ、DPがある。
- ④クラスⅡ分子はマクロファージに発現している。
- ⑤クラスⅡ分子にはβ₂-ミクログロブリンが結合している。
正答: ③クラスⅡ分子にはHLA-DR、DQ、DPがある。・④クラスⅡ分子はマクロファージに発現している。
ポイント
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスⅠ分子は全有核細胞に発現し、細胞内で合成された内因性抗原ペプチドを提示してCD8陽性の細胞傷害性T細胞に認識される。MHCクラスⅡ分子は樹状細胞・マクロファージ・B細胞などの抗原提示細胞に発現し、取り込んだ外因性抗原を提示してCD4陽性のヘルパーT細胞に認識される。ヒトのMHCはHLAと呼ばれ、クラスⅠにHLA-A・B・C、クラスⅡにHLA-DR・DQ・DPがある。●クラスⅠ=全有核細胞に発現、内因性抗原、CD8陽性T細胞、β₂-ミクログロブリンが結合、HLA-A・B・C。●クラスⅡ=抗原提示細胞に発現、外因性抗原、CD4陽性T細胞、HLA-DR・DQ・DP。●臨床的意義=HLAは臓器移植の組織適合性、特定HLAと疾患感受性(HLA-B27と強直性脊椎炎など)に関与する。
選択肢ごとの解説
- ① クラスⅠ分子はCD8陽性の細胞傷害性T細胞と結合し、ヘルパーT細胞と結合するのはクラスⅡ分子である。
- ② 外因性(外来)抗原を提示するのはクラスⅡ分子で、クラスⅠは内因性抗原を提示する。
- ③ 正しい。ヒトのMHCクラスⅡ分子にはHLA-DR・DQ・DPがある。
- ④ 正しい。クラスⅡ分子は抗原提示細胞であるマクロファージに発現している。
- ⑤ β₂-ミクログロブリンが結合するのはクラスⅠ分子であり、クラスⅡではない。
第65回 午前82(臨床免疫学)
化学発光酵素免疫測定法〈CLEIA〉に用いられるのはどれか。
- ①金コロイド
- ②ルテニウム
- ③ルミノール
- ④ルシフェリン
- ⑤フルオレセインイソチオシアネート〈FITC〉
正答: ③ルミノール
ポイント
化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)は標識酵素(アルカリホスファターゼやペルオキシダーゼ)の触媒反応で発光基質を発光させ、その発光量から抗原・抗体量を測定する。ペルオキシダーゼ系ではルミノールが代表的な化学発光基質で、過酸化水素存在下で発光する。標識物質や発光原理が方式ごとに異なる点が鑑別の要点である。●化学発光基質=ルミノール(ペルオキシダーゼ系)、AMPPDなどのジオキセタン誘導体(アルカリホスファターゼ系)。●電気化学発光(ECLIA)=ルテニウム錯体を標識に用いる。●生物発光=ルシフェリン・ルシフェラーゼ系。●蛍光標識=FITC、ユーロピウムなどの希土類(時間分解蛍光)。●その他の標識=金コロイド(イムノクロマト法)、放射性同位元素(RIA)、酵素(ELISA)。
選択肢ごとの解説
- ① 金コロイドはイムノクロマトグラフィー法の標識に用いられる。
- ② ルテニウムは電気化学発光免疫測定法(ECLIA)の標識に用いられる。
- ③ 正しい。ルミノールはCLEIAで用いられる化学発光基質である。
- ④ ルシフェリンはルシフェラーゼによる生物発光に用いられる。
- ⑤ フルオレセインイソチオシアネート(FITC)は蛍光標識に用いられる色素である。
第65回 午前83(臨床免疫学)
次の不規則抗体のうち、臨床的意義がないのはどれか。
正答: ⑤抗P1
ポイント
臨床的意義のある不規則抗体は37℃や抗グロブリン相で反応するIgG性が多く、溶血性輸血副作用や胎児・新生児溶血性疾患を起こしうる。Rh系の抗E、Duffy系の抗Fya、Kidd系の抗JkbはいずれもIgG性で意義が高い。一方、抗P1(P血液型系)は主にIgM性で室温以下の低温反応性であり、37℃ではほとんど反応せず、臨床的意義に乏しいとされる。●臨床的意義が高い(IgG・37℃反応)=抗D・抗E・抗c(Rh)、抗K(Kell)、抗Fya・抗Fyb(Duffy)、抗Jka・抗Jkb(Kidd)、抗S・抗s。●臨床的意義が乏しい(IgM・低温反応性)=抗P1、抗Lea・抗Leb(Lewis)、抗M・抗N(多くは室温)、抗I。●確認の指標=37℃や間接抗グロブリン試験での反応性の有無。
選択肢ごとの解説
- ① 抗EはRh系のIgG性抗体で、溶血性輸血副作用を起こしうる臨床的意義のある抗体である。
- ② 抗FyaはDuffy系のIgG性抗体で臨床的意義がある。
- ③ 抗JkbはKidd系のIgG性抗体で、遅発性溶血性輸血反応を起こしうる臨床的意義のある抗体である。
- ④ 抗LeaはLewis系で低温反応性のIgMが多いが、本問では抗P1がより明確に臨床的意義に乏しいとされ正答ではない。
- ⑤ 正しい。抗P1は主にIgM性・低温反応性で37℃ではほとんど反応せず、臨床的意義がないとされる。
第65回 午前84(臨床免疫学)
カラム法による血液型検査の結果(別冊No.12)を別に示す。判定として正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA084.14d388508c.jpg

- ①オモテ検査O型、ウラ検査A型、Rh陽性
- ②オモテ検査O型、ウラ検査B型、Rh陽性
- ③オモテ検査AB型、ウラ検査A型、Rh陽性
- ④オモテ検査AB型、ウラ検査A型、Rh陰性
- ⑤オモテ検査AB型、ウラ検査B型、Rh陽性
正答: ②オモテ検査O型、ウラ検査B型、Rh陽性
ポイント
ABO血液型はオモテ検査(被検者赤血球と抗A・抗B試薬の反応)とウラ検査(被検者血清とA・B試験血球の反応)が一致して判定される。オモテO型は抗A・抗Bいずれにも凝集しない型で、ウラB型は血清中に抗AのみをもちA試験血球と凝集する型に相当する。Rh型は抗D試薬との反応で陽性・陰性を判定し、凝集すれば陽性である。カラム法では凝集塊がゲル上層に捕捉される(陽性)か沈降する(陰性)かで判定する。●オモテ検査=赤血球膜上のA・B抗原を抗A・抗B試薬で検出。●ウラ検査=血清中の規則抗体(抗A・抗B)をA・B試験血球で検出。●判定原則=オモテとウラが一致して確定。●Rh判定=抗D試薬で陽性・陰性、必要に応じてweak D(Du)試験。
選択肢ごとの解説
- ① ウラ検査がA型を示す結果ではなく、図の所見と一致しない。
- ② 正しい。図の所見はオモテ検査O型・ウラ検査B型・Rh陽性に合致する。
- ③ オモテ検査がAB型を示す所見ではなく、図と一致しない。
- ④ オモテAB型・Rh陰性のいずれも図の所見と一致しない。
- ⑤ オモテAB型・ウラB型の所見は図と一致しない。
第65回 午前85(臨床免疫学)
カラム法による血液型検査の結果(別冊No.12)を別に示す。このような判定結果となった原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65aA085.14d388508c.jpg

- ①亜型
- ②連銭形成
- ③免疫不全患者
- ④過去の骨髄移植
- ⑤不規則抗体保有患者
正答: ①亜型・④過去の骨髄移植
ポイント
ABO血液型でオモテ検査とウラ検査が一致しない(オモテ・ウラ不一致)原因は、抗原側の要因と抗体側の要因に大別される。亜型では赤血球膜上の抗原発現が弱くオモテ検査が弱反応となり不一致を生じる。骨髄移植後はドナー由来の赤血球が産生されオモテが移行する一方、患者由来の抗体や混合視野が残り不一致を生じる。連銭形成や不規則抗体は主にウラ検査や交差適合試験の偽陽性要因である。●抗原側(オモテの異常)=ABO亜型、白血病などによる抗原減弱、骨髄・幹細胞移植後のキメラ、汎血球凝集。●抗体側(ウラの異常)=新生児・高齢者・免疫不全での抗体産生低下、連銭形成、寒冷凝集素、不規則抗体。●混合視野を示す例=骨髄移植後、不適合輸血後、亜型の一部。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。亜型では抗原が弱発現となりオモテ検査が弱反応となって不一致を生じる。
- ② 連銭形成は主にウラ検査の偽凝集を生じる要因で、本設問の不一致の主原因としては選ばれない。
- ③ 免疫不全患者は抗体産生低下でウラ検査の減弱を生じうるが、本設問の正答には選ばれない。
- ④ 正しい。過去の骨髄移植ではドナー型赤血球と患者由来抗体が混在し、オモテ・ウラ不一致を生じる。
- ⑤ 不規則抗体保有はウラ検査や交差適合試験の反応に影響するが、本設問の正答には選ばれない。
第65回 午前86(臨床免疫学)
赤血球浮遊液の濃度を最も高く調整するのはどれか。
- ①ABO血液型検査〈試験管法〉
- ②ABO血液型検査〈スライド法〉
- ③不規則抗体検査〈試験管法〉
- ④不規則抗体検査〈カラム法〉
- ⑤交差適合試験〈生理食塩液法〉
正答: ②ABO血液型検査〈スライド法〉
ポイント
輸血関連検査では手技ごとに最適な赤血球浮遊濃度が異なる。スライド法は短時間で肉眼的に強い凝集を判定するため、最も高濃度(10〜20%程度)の赤血球浮遊液を用いる。試験管法は2〜5%、カラム法(ゲルカラム凝集法)や抗グロブリン試験では0.8%程度の低濃度に調整した赤血球を用いる。●スライド法=高濃度(10〜20%程度)、迅速だが感度は低い。●試験管法=2〜5%程度。●カラム法・マイクロプレート法=0.8%前後の低濃度。●濃度設定の意味=高濃度は強い直接凝集の判定に、低濃度は抗グロブリン試験など微弱反応の精密判定に適する。
選択肢ごとの解説
- ① ABO血液型検査(試験管法)は2〜5%程度の中等度濃度で、最高濃度ではない。
- ② 正しい。ABO血液型検査(スライド法)は強い凝集を肉眼で判定するため最も高濃度の赤血球浮遊液を用いる。
- ③ 不規則抗体検査(試験管法)は数%程度の濃度で、スライド法より低い。
- ④ 不規則抗体検査(カラム法)は0.8%程度の低濃度を用いる。
- ⑤ 交差適合試験(生理食塩液法)は数%程度で、スライド法より低い。
第65回 午前87(臨床免疫学)
37 ℃の加温が必要な検査はどれか。
- ①ABO血液型検査〈スライド法〉
- ②Rh血液型検査〈カラム法〉
- ③交差適合試験〈生理食塩液法〉
- ④直接抗グロブリン試験〈カラム法〉
- ⑤間接抗グロブリン試験〈試験管法〉
正答: ⑤間接抗グロブリン試験〈試験管法〉
ポイント
間接抗グロブリン試験(IAT)は被検者血清中のIgG型不規則抗体を検出する方法で、抗体と赤血球を37℃で十分に反応(感作)させた後、抗ヒトグロブリン試薬を加えて凝集をみる。IgG抗体は37℃が至適反応温度のため加温が必須である。ABOやRhの直接凝集反応、生理食塩液法の交差試験は室温で行え、加温を要しない。●37℃加温を要する検査=間接抗グロブリン試験、不規則抗体スクリーニング・同定(IgG検出)、抗グロブリン法による交差適合試験。●加温を要しない(室温・直接凝集)=ABOオモテ・ウラ(スライド/試験管)、Rh(D)検査、生理食塩液法交差試験。●直接抗グロブリン試験=既に生体内で感作された赤血球をそのまま抗グロブリン試薬で検出するため感作のための加温を要しない。
選択肢ごとの解説
- ① ABO血液型検査(スライド法)は室温で行う直接凝集反応である。
- ② Rh血液型検査(カラム法)は加温を必須としない。
- ③ 交差適合試験(生理食塩液法)は室温で行う。
- ④ 直接抗グロブリン試験は既に生体内で赤血球に結合した抗体を検出するもので、37℃加温の感作過程を要しない。
- ⑤ 正しい。間接抗グロブリン試験はIgG抗体を37℃で反応させる必要があるため加温が必要である。
第65回 午前88(臨床免疫学)
貯血式自己血輸血の実施に必要とされる条件はどれか。2つ選べ。
- ①16歳以上
- ②体重30 kg以上
- ③全身状態が良好な患者
- ④緊急を要しない待機手術
- ⑤血中ヘモグロビン濃度が10.0 g/dL以上
正答: ③全身状態が良好な患者・④緊急を要しない待機手術
ポイント
貯血式自己血輸血は手術前に患者自身の血液をあらかじめ採取・保存し、術中・術後に返血する方法で、同種血輸血による感染症や同種免疫、移植片対宿主病などのリスクを避けられる。実施条件として、緊急を要しない待機手術であること、貯血や手術に耐えうる全身状態が良好であることなどが求められる。●自己血輸血の方式=貯血式(術前に採血・保存)、希釈式(麻酔導入後に採血し代用血漿で希釈)、回収式(術中・術後の出血を回収・洗浄して返血)。●貯血式の主な条件=待機手術、全身状態良好、一定以上のヘモグロビン値(貯血前後の基準あり)。●利点=同種血の感染・免疫リスク回避。●注意点=採血による貧血・血管迷走神経反応、細菌汚染、取り違え防止。
選択肢ごとの解説
- ① 年齢を一律に16歳以上と限定する条件は、本設問の必須要件としては選ばれない。
- ② 体重30 kg以上という数値そのものは、本設問の正答としては選ばれない。
- ③ 正しい。貯血や手術に耐えうる全身状態が良好な患者であることが必要な条件である。
- ④ 正しい。十分な貯血期間を確保できる、緊急を要しない待機手術であることが必要な条件である。
- ⑤ ヘモグロビン10.0 g/dL以上という数値設定は、本設問の正答としては選ばれない。
📋 まとめの表を見る:貯血式自己血輸血の実施条件
第65回 午前89(臨床免疫学)
免疫学的機序による輸血副作用はどれか。2つ選べ。
- ①鉄過剰症
- ②輸血後GVHD
- ③高カリウム血症
- ④輸血関連循環過負荷〈TACO〉
- ⑤輸血関連急性肺障害〈TRALI〉
正答: ②輸血後GVHD・⑤輸血関連急性肺障害〈TRALI〉
ポイント
輸血副作用は免疫学的機序によるものと非免疫学的機序によるものに大別される。免疫学的なものには溶血性輸血反応、輸血後移植片対宿主病(GVHD)、輸血関連急性肺障害(TRALI)、アレルギー反応・アナフィラキシーなどがある。輸血後GVHDはドナーリンパ球が宿主組織を攻撃する反応で、TRALIは抗白血球抗体などによる肺障害である。鉄過剰症・高カリウム血症・輸血関連循環過負荷(TACO)は非免疫学的な副作用である。●免疫学的副作用=溶血性輸血反応(急性・遅発性)、輸血後GVHD、TRALI、アレルギー・アナフィラキシー、血小板輸血不応。●非免疫学的副作用=細菌汚染による敗血症、TACO(循環過負荷)、鉄過剰症、高カリウム血症、低体温、クエン酸中毒。●輸血後GVHDの予防=放射線照射血の使用。
選択肢ごとの解説
- ① 鉄過剰症は多数回輸血による鉄の蓄積で、非免疫学的な副作用である。
- ② 正しい。輸血後GVHDはドナーリンパ球が宿主を攻撃する免疫学的機序による副作用である。
- ③ 高カリウム血症は保存血の溶血などによる非免疫学的な副作用である。
- ④ 輸血関連循環過負荷(TACO)は循環血液量の過負荷による非免疫学的な副作用である。
- ⑤ 正しい。輸血関連急性肺障害(TRALI)は抗白血球(抗HLA・抗好中球)抗体などによる免疫学的機序の肺障害である。
📋 まとめの表を見る:輸血副作用の機序・発症時期と予防・対策
輸血副作用は「溶血性/非溶血性」×「免疫学的/非免疫学的」×「即時型/遅発型」で整理できる。
第65回 午前90(公衆衛生学)
虚血性心疾患の三次予防はどれか。
- ①職場の分煙
- ②特定保健指導
- ③ストレスチェック
- ④食事バランスガイド
- ⑤職場復帰後の適正配置
正答: ⑤職場復帰後の適正配置
ポイント
疾病予防は一次・二次・三次に分けられる。一次予防は発症前の健康増進と危険因子の回避、二次予防は早期発見・早期治療、三次予防は発症後の重症化防止・機能回復・社会復帰である。虚血性心疾患の三次予防には、発症後の再発防止、心臓リハビリテーション、職場復帰支援などが該当し、職場復帰後の適正配置はこれにあたる。●一次予防=健康増進、禁煙・分煙、適切な食事(食事バランスガイド)、特定保健指導、ストレスチェック、予防接種。●二次予防=健康診断・がん検診による早期発見、早期治療。●三次予防=リハビリテーション、再発防止、機能回復訓練、職場復帰後の適正配置・社会復帰支援。
選択肢ごとの解説
- ① 職場の分煙は発症前の危険因子回避であり一次予防である。
- ② 特定保健指導は危険因子をもつ人への一次予防である。
- ③ ストレスチェックは発症前の予防対策で一次予防に位置づけられる。
- ④ 食事バランスガイドは健康増進のための一次予防である。
- ⑤ 正しい。発症後の職場復帰後の適正配置は社会復帰を支える三次予防である。
第65回 午前91(公衆衛生学)
検査の考え方について正しいのはどれか。
- ①カットオフ値は量反応曲線で決める。
- ②感度を低くすると特異度が低くなる。
- ③検査前確率が低いと偽陽性が少なくなる。
- ④特異度が高い検査は確定診断に有用である。
- ⑤陽性尤度比が高い検査は除外診断に有用である。
正答: ④特異度が高い検査は確定診断に有用である。
ポイント
検査の有用性は感度・特異度や尤度比で評価する。特異度が高い(偽陽性が少ない)検査は陽性のとき疾患である確からしさが高く、確定診断(rule in)に有用である。感度が高い検査は陰性のとき疾患を除外(rule out)するのに有用である。感度と特異度は一般にトレードオフの関係にあり、カットオフ値の設定で変化する。●感度=疾患ありを陽性とする割合、高いと除外診断(陰性で除外、SnNout)に有用。●特異度=疾患なしを陰性とする割合、高いと確定診断(陽性で確定、SpPin)に有用。●陽性尤度比=大きいほど確定診断に有用、陰性尤度比=小さいほど除外診断に有用。●カットオフ値=ROC曲線(感度と1−特異度の関係)で適切な値を決める。●検査前確率=有病率に応じてベイズの定理で陽性的中度・陰性的中度が変化する。
選択肢ごとの解説
- ① カットオフ値はROC曲線などで決めるもので、量反応曲線で決めるわけではない。
- ② 感度と特異度は一般にトレードオフの関係にあり、感度を低くすると特異度は高くなる傾向がある。
- ③ 検査前確率が低くても偽陽性が必ず減るわけではなく、むしろ陽性的中度が下がる。
- ④ 正しい。特異度が高い検査は陽性のとき疾患の確からしさが高く、確定診断に有用である。
- ⑤ 陽性尤度比が高い検査は確定診断に有用で、除外診断に有用なのは陰性尤度比が小さい検査である。
📋 まとめの表を見る:検査の指標(感度・特異度・尤度比)と臨床的意義
的中度は感度・特異度だけでなく対象集団の有病率(検査前確率)の影響を受ける。
第65回 午前92(公衆衛生学)
予防接種法に基づく定期の予防接種の対象でないのはどれか。
- ①百日咳
- ②A型肝炎
- ③ジフテリア
- ④Hib感染症
- ⑤急性灰白髄炎
正答: ②A型肝炎
ポイント
予防接種法に基づく定期接種にはA類疾病(主に集団予防目的で努力義務がある)とB類疾病(主に個人予防目的)がある。A類には百日咳・ジフテリア・破傷風・急性灰白髄炎(ポリオ)・麻疹・風疹・日本脳炎・Hib感染症・小児用肺炎球菌・B型肝炎・水痘・ロタ・ヒトパピローマウイルス(HPV)などが含まれる。A型肝炎ワクチンは任意接種であり、定期接種の対象ではない。●A類疾病=ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、結核(BCG)、Hib、小児肺炎球菌、B型肝炎、水痘、ロタ、HPV。●B類疾病=高齢者のインフルエンザ、高齢者の肺炎球菌感染症、新型コロナ(時期により)。●任意接種の例=A型肝炎、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、髄膜炎菌など。帯状疱疹ワクチンは2025年度から65歳の人などを対象に定期接種へ追加された。対象外の接種は任意接種となるため、出題当時の制度と区別する。
選択肢ごとの解説
- ① 百日咳は四種混合などとして定期接種(A類疾病)の対象である。
- ② 誤り。A型肝炎ワクチンは任意接種であり、予防接種法に基づく定期接種の対象ではない。
- ③ ジフテリアは四種混合などとして定期接種(A類疾病)の対象である。
- ④ Hib感染症は定期接種(A類疾病)の対象である。
- ⑤ 急性灰白髄炎(ポリオ)は定期接種(A類疾病)の対象である。
第65回 午前93(公衆衛生学)
保健所の業務でないのはどれか。
- ①食品衛生
- ②精神保健
- ③人口動態統計
- ④下水道の衛生
- ⑤母子健康手帳の交付
正答: ⑤母子健康手帳の交付
ポイント
保健所は地域保健法に基づき都道府県・政令指定都市・中核市・特別区などが設置し、食品衛生・環境衛生・精神保健・感染症対策・人口動態統計など広域的・専門的な保健サービスを担う。一方、母子健康手帳の交付・乳幼児健診・予防接種・各種健康相談など住民に身近な対人保健サービスは市町村(市町村保健センター)が担う。●保健所の主な業務=食品衛生、環境衛生(飲料水・下水道など)、精神保健福祉、感染症・結核対策、難病対策、人口動態統計・地域保健に関する統計、医事・薬事の監視。●市町村(保健センター)の主な業務=母子健康手帳の交付、乳幼児・妊産婦健診、予防接種、健康相談・健康教育、特定健診・保健指導。●根拠法=地域保健法。
選択肢ごとの解説
- ① 食品衛生は保健所の業務である。
- ② 精神保健は保健所の業務である。
- ③ 人口動態統計に関する業務は保健所が担う。
- ④ 下水道など環境衛生は保健所の業務である。
- ⑤ 誤り。母子健康手帳の交付は市町村の業務であり、保健所の業務ではない。
第65回 午前94(公衆衛生学)
我が国の介護保険制度について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①保険者は都道府県である。
- ②被保険者は20歳以上である。
- ③要支援者に対して介護給付が行われる。
- ④ケアプランは利用者本人が作ることができる。
- ⑤最近5年間で要支援認定者数が増加している。
正答: ④ケアプランは利用者本人が作ることができる。・⑤最近5年間で要支援認定者数が増加している。
ポイント
介護保険制度の保険者は市町村および特別区であり、被保険者は第1号(65歳以上)と第2号(40〜64歳の医療保険加入者)に分かれる。要介護者には介護給付、要支援者には予防給付が行われる。ケアプラン(介護サービス計画)は介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成するほか、利用者本人が作成するセルフケアプランも認められている。要支援認定者数は近年増加傾向にある。●保険者=市町村・特別区。●被保険者=第1号(65歳以上)、第2号(40〜64歳の医療保険加入者)。●給付=要介護者に介護給付、要支援者に予防給付。●ケアプラン作成=介護支援専門員、または利用者本人(セルフケアプラン)。●関連職種=介護支援専門員、訪問介護員、地域包括支援センター。
選択肢ごとの解説
- ① 介護保険の保険者は市町村・特別区であり、都道府県ではない。
- ② 被保険者は40歳以上であり、20歳以上ではない。
- ③ 要支援者には予防給付が行われ、介護給付が行われるのは要介護者である。
- ④ 正しい。ケアプランは介護支援専門員のほか、利用者本人が作成することもできる。
- ⑤ 正しい。近年、要支援認定者数は増加傾向にある。
第65回 午前95(医用工学概論)
生体組織の電気的特性について正しいのはどれか。
- ①結合組織の透磁率は鉄とほぼ等しい。
- ②細胞膜は細胞質よりも抵抗率が低い。
- ③測定する方向により物性値が異なる。
- ④比誘電率は電流の大きさに依存する。
- ⑤脂肪組織は筋組織よりも導電率が高い。
正答: ③測定する方向により物性値が異なる。
ポイント
生体組織の電気的特性は組織ごとに異なり、同一組織でも測定方向によって物性値が変わる異方性を示す(特に筋・神経の線維方向)。細胞膜は脂質二重層からなり高い抵抗をもつため、細胞質より抵抗率が高い。比誘電率は組織固有の値で電流の大きさには依存しない。筋組織は水分・電解質が多く、脂肪組織より導電率が高い。●導電率の高低=血液・体液・筋(高)>脂肪・骨(低)、水分・電解質量に依存。●異方性=筋・神経は線維方向と直交方向で導電率が異なる。●細胞膜=高抵抗・コンデンサ的性質をもち、周波数で等価インピーダンスが変化(β分散)。●透磁率=生体はほぼ真空に近く、強磁性体(鉄)のような高い透磁率はもたない。
選択肢ごとの解説
- ① 結合組織の透磁率はほぼ真空に近く、強磁性体である鉄のような高い透磁率はもたない。
- ② 細胞膜は脂質二重層で抵抗率が高く、細胞質よりも抵抗率は高い。
- ③ 正しい。筋組織などは異方性をもち、測定する方向により物性値(導電率など)が異なる。
- ④ 比誘電率は組織固有の値であり、電流の大きさには依存しない。
- ⑤ 脂肪組織は水分が少なく導電率が低く、筋組織よりも導電率は低い。
第65回 午前96(医用工学概論)
商用交流100 Vの瞬時値で最大電圧[V]に近いのはどれか。
正答: ③140
ポイント
商用交流100 Vは実効値(rms)で表示される。正弦波交流では最大値(波高値)は実効値の√2倍であり、100×√2≒141 Vとなる。したがって最大電圧は約140 Vが最も近い。実効値は同じ電力を生じる直流に相当する値で、最大値=実効値×√2、平均値(半波の絶対値平均)=最大値×2/πの関係がある。●正弦波の諸量=実効値=最大値/√2、平均値(全波整流)=最大値×2/π。●波形率=実効値/平均値≒1.11、波高率=最大値/実効値=√2≒1.41(正弦波)。●応用=商用100 V実効値の最大値は約141 V、200 V実効値の最大値は約283 V。
選択肢ごとの解説
- ① 100 Vは実効値であり、最大値ではない。
- ② 120 Vは計算値の約141 Vに最も近い値ではない。
- ③ 正しい。最大値は100×√2≒141 Vであり、約140 Vに最も近い。
- ④ 170 Vは100 V実効値の最大値(約141 V)より大きく、適切でない。
- ⑤ 200 Vは実効値の2倍にあたり、最大値とは一致しない。
第65回 午前97(医用工学概論)
信号の大きさの違いをパルスの幅の違いに変換する変調はどれか。
正答: ⑤PWM
ポイント
パルス変調には信号の大きさをパルスのどの要素に対応させるかで複数の方式がある。PWM(パルス幅変調)は信号の大きさをパルスの幅(持続時間)に変換する。PAMは振幅、PPMは位置(時間的ずれ)、PFMは周波数に変換し、PCMは標本化・量子化して符号化するデジタル変調である。●アナログパルス変調=PAM(パルス振幅変調・振幅)、PWM(パルス幅変調・幅)、PPM(パルス位置変調・位置)、PFM(パルス周波数変調・周波数)。●デジタル変調=PCM(パルス符号変調・標本化/量子化/符号化)。●応用=PWMはモータ制御・スイッチング電源・調光、PCMは音声・通信のデジタル化。
選択肢ごとの解説
- ① PAM(パルス振幅変調)は信号の大きさをパルスの振幅に変換する。
- ② PCM(パルス符号変調)は標本値を量子化・符号化するデジタル変調である。
- ③ PFM(パルス周波数変調)は信号の大きさをパルスの周波数に変換する。
- ④ PPM(パルス位置変調)は信号の大きさをパルスの位置(時間的ずれ)に変換する。
- ⑤ 正しい。PWM(パルス幅変調)は信号の大きさをパルスの幅に変換する。
第65回 午前98(医用工学概論)
体表から商用交流100 Vが加わって生じる電撃で、心室細動を発生させる電流閾値はどれか。
- ①100 μA
- ②1 mA
- ③10 mA
- ④100 mA
- ⑤1 A
正答: ④100 mA
ポイント
体表(手などの皮膚)から体内に商用交流電流が流入する電撃をマクロショックという。マクロショックで心室細動を生じる電流閾値は約100 mAとされる。これに対し、心臓に直接電流が流れるミクロショックでは約100 μA(0.1 mA)で心室細動が起こりうる。電流値ごとに感知・離脱・細動の閾値が定まっており、医療機器の安全管理の基本となる。●マクロショック(体表から)の主な閾値=最小感知電流約1 mA、離脱限界電流約10 mA、心室細動約100 mA。●ミクロショック(心臓直接)=心室細動の閾値約100 μA、安全限界10 μA。●安全対策=アースの確実な接続、漏れ電流の管理、CF形装着部の使用、絶縁・接地監視。
選択肢ごとの解説
- ① 100 μAはミクロショックでの心室細動閾値であり、体表からのマクロショックでは該当しない。
- ② 1 mAは最小感知電流のレベルで、心室細動の閾値ではない。
- ③ 10 mAは離脱限界電流付近であり、心室細動の閾値ではない。
- ④ 正しい。体表からのマクロショックで心室細動を生じる電流閾値は約100 mAである。
- ⑤ 1 Aは心室細動の閾値をはるかに超え、熱傷などをきたす大電流である。
📋 まとめの表を見る:感電(マクロショック・ミクロショック)の電流閾値
上記は成人男性の値であり、女性は男性の2/3、小児は1/2とされる。
第65回 午前99(医用工学概論)
情報システムのセキュリティ対策として適切でないのはどれか。
- ①OSのアップデート
- ②USBポートの無効化
- ③ユーザーパスワードの共有化
- ④接続機器のMACアドレス認証
- ⑤パケットフィルタリングの実施
正答: ③ユーザーパスワードの共有化
ポイント
情報システムのセキュリティ対策では、本人認証の確実性と通信・機器の管理が重要である。OS更新による脆弱性対策、不要なUSBポートの無効化、接続機器のMACアドレス認証、パケットフィルタリングはいずれも適切な対策である。一方、ユーザーパスワードの共有は本人特定を不能にし、不正アクセスやログ追跡を困難にするため不適切である。●技術的対策=OS・ソフトの更新、ウイルス対策、パケットフィルタリング・ファイアウォール、MACアドレス認証、通信の暗号化。●物理的・管理的対策=USBポートの制限、入退室管理、アクセス権限の最小化、ログの取得・監査。●認証の原則=パスワードは個人ごとに設定し共有しない、定期変更や多要素認証を併用。●不適切な行為=パスワードの共有・使い回し・付箋での掲示。
選択肢ごとの解説
- ① OSのアップデートは脆弱性を解消する適切な対策である。
- ② USBポートの無効化は情報漏洩やマルウェア侵入の防止に有効な適切な対策である。
- ③ 誤り。ユーザーパスワードの共有化は本人認証とログ追跡を破綻させ、セキュリティ対策として適切でない。
- ④ 接続機器のMACアドレス認証は不正機器の接続防止に有効な適切な対策である。
- ⑤ パケットフィルタリングは不正な通信を遮断する適切な対策である。
第65回 午前100(医用工学概論)
上皿天秤の測定誤差の原因とならないのはどれか。
- ①天秤が傾いている。
- ②分銅が錆びている。
- ③空調設備の風が当たる。
- ④設置台が振動している。
- ⑤校正した場所と測定した場所が違う。
正答: ⑤校正した場所と測定した場所が違う。
ポイント
上皿天秤は被測定物の質量を分銅と比較して釣り合わせる秤量器で、水平が保たれていない、分銅の劣化(錆・摩耗)、気流や振動などの外乱があると測定誤差を生じる。一方、左右の皿で同じ重力加速度を受けて比較するため、重力加速度の場所差の影響を相殺し、校正した場所と測定した場所が違っても測定値に影響しない。重力差の影響を受けるのは重力で校正する電子天秤である。●上皿天秤の誤差要因=水平不良(傾き)、分銅の錆・摩耗、気流(空調の風)、振動、ピンセット未使用による分銅の汚染。●場所差の影響を受けない理由=分銅との比較秤量のため重力加速度が相殺される。●電子天秤との違い=電子天秤は重力(荷重)を測るため設置場所の重力差で校正が必要。
選択肢ごとの解説
- ① 天秤の傾き(水平不良)は測定誤差の原因となる。
- ② 分銅の錆は質量基準を狂わせ測定誤差の原因となる。
- ③ 空調設備の風は皿に力を及ぼし測定誤差の原因となる。
- ④ 設置台の振動は釣り合いや読み取りを乱し測定誤差の原因となる。
- ⑤ 正しい。上皿天秤は分銅との比較秤量のため重力の場所差の影響を受けず、校正場所と測定場所の違いは誤差原因とならない。
📋 まとめの表を見る:天秤(上皿天秤・電子天秤)の測定誤差要因・使用条件
電子天秤は設置場所の重力加速度や磁場の影響を受ける点が上皿天秤と異なる。