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第65回(2019) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第65回 午後51(病理組織細胞学)
喀痰細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。出現している細胞はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB051.77af0f62f9.jpg
①リンパ球 ②肺胞組織球 ③小細胞癌細胞 ④気管支上皮細胞 ⑤扁平上皮癌細胞
正答: ②肺胞組織球
ポイント 肺胞組織球(肺胞マクロファージ)は喀痰中に最も普通にみられる細胞で、豊富で泡沫状の細胞質をもち、しばしば炭粉などの異物を貪食する。核は円形〜腎形で偏在し、クロマチンは繊細で核小体は目立たず異型に乏しい。多数出現する場合は検体が下気道(肺胞領域)に到達した良好な喀痰であることの目安となる指標細胞でもある。●喀痰中の良性細胞=肺胞組織球・気管支線毛上皮細胞・杯細胞・扁平上皮細胞(口腔由来の汚染)。●喀痰中の悪性細胞=扁平上皮癌・腺癌・小細胞癌。●貪食を示す細胞=肺胞組織球(炭粉・ヘモジデリン貪食でheart failure cell)・異物巨細胞。
選択肢ごとの解説
① リンパ球は小型で細胞質に乏しく核がほぼ細胞全体を占め、泡沫状の豊富な細胞質や貪食像をもたない。 ② 正しい。肺胞組織球は豊富な泡沫状の細胞質と偏在性の円形〜腎形核をもち異物の貪食像を伴う良性細胞で、喀痰標本で最も普通にみられる。 ③ 小細胞癌細胞は裸核状で核クロマチンが濃染し相互圧排(モールディング)を示す悪性細胞で、良性の組織球とは性状が異なる。 ④ 気管支上皮細胞は円柱状で線毛や終板をもち極性を保って配列し、泡沫状細胞質の組織球とは形態が異なる。 ⑤ 扁平上皮癌細胞はオレンジ好性の角化異型細胞や奇怪な細胞形を示し核は濃染・腫大し、良性組織球の所見とは合致しない。
第65回 午後52(病理組織細胞学)
病理解剖において臨床検査技師が実施できないのはどれか。
①開頭 ②皮膚の縫合 ③臓器重量の測定 ④細菌培養検体の採取 ⑤遺族への剖検所見の説明
正答: ⑤遺族への剖検所見の説明
ポイント 病理解剖(剖検)では、臨床検査技師は医師の指示・監督のもとで開頭・開胸開腹、臓器摘出、臓器重量測定、検体採取、皮膚縫合などの手技を補助・実施できる。一方、剖検所見の医学的判断や遺族への結果説明は診断・説明という医行為であり、医師が行うべき業務で技師の業務範囲には含まれない。死体解剖保存法および臨床検査技師等に関する法律が業務の範囲を定めている。●技師が実施できる剖検手技=開頭・開胸開腹・臓器摘出と計測・検体採取・縫合。●医師が行う行為=剖検所見の判断・診断・遺族への説明・死亡診断。●関連法規=死体解剖保存法・臨床検査技師等に関する法律。
選択肢ごとの解説
① 開頭は剖検手技の一部で、医師の指導下に臨床検査技師が実施可能である。 ② 皮膚の縫合は剖検後の処置として技師が補助・実施できる手技である。 ③ 臓器重量の測定は剖検における基本的な計測作業で、技師が実施できる。 ④ 細菌培養検体の採取は検査に必要な手技で、技師が実施できる。 ⑤ 誤り。遺族への剖検所見の説明は医学的判断を伴う医師の業務であり、臨床検査技師が実施することはできない。
第65回 午後53(病理組織細胞学)
ホルムアルデヒドを含む固定液はどれか。
①PLP液 ②ブアン〈Bouin〉液 ③カルノア〈Carnoy〉液 ④ツェンカー〈Zenker〉液 ⑤ザンボーニ〈Zamboni〉液
正答: ②ブアン〈Bouin〉液
ポイント ホルムアルデヒド(ホルマリン)はアルデヒドによる蛋白の架橋固定を行う代表的固定剤である。ブアン液はピクリン酸・ホルマリン・氷酢酸の混合液であり、ホルムアルデヒドを含む。一方、カルノアやツェンカーはアルコール系・昇汞系でホルムアルデヒドを含まない。●アルデヒド系固定液=ホルマリン・ブアン液・PLP液・ザンボーニ液(パラホルムアルデヒドを含む)。●アルコール系固定液=カルノア液・メタノール・エタノール。●昇汞(水銀)系固定液=ツェンカー液・B-5固定液。●ピクリン酸を含む固定液=ブアン液・ザンボーニ液。
選択肢ごとの解説
① PLP液(過ヨウ素酸-リジン-パラホルムアルデヒド)はパラホルムアルデヒドを含むが、糖鎖保持を目的とする特殊固定液で、本問で問われる代表的なホルムアルデヒド含有固定液はブアン液である。 ② 正しい。ブアン液はピクリン酸・ホルマリン(ホルムアルデヒド)・氷酢酸の混合固定液で、ホルムアルデヒドを含む。 ③ カルノア液はエタノール・クロロホルム・氷酢酸からなるアルコール系固定液で、ホルムアルデヒドを含まない。 ④ ツェンカー液は重クロム酸カリウム・昇汞(塩化第二水銀)を主体とする固定液で、ホルムアルデヒドを含まない。 ⑤ ザンボーニ液はパラホルムアルデヒドを含むが、本問の標準解答はブアン液である。
第65回 午後54(病理組織細胞学)
がん遺伝子はどれか。
①APC ②BRCA1 ③RAS ④RB ⑤TP53〈p53〉
正答: ③RAS
ポイント がん遺伝子(オンコジーン)は活性化により細胞増殖を促進する遺伝子で、正常型(原がん遺伝子)の点突然変異・増幅・転座などで恒常的に活性化して発がんに働く。RASは増殖シグナルを伝えるGTP結合蛋白をコードする代表的ながん遺伝子で、点突然変異により恒常的活性化を起こす。これに対しがん抑制遺伝子は不活化(両アレル欠失)により発がんに働く。●がん遺伝子=RAS・MYC・HER2(ERBB2)・ABL・MYB。●がん抑制遺伝子=APC・RB・TP53(p53)・BRCA1/2・PTEN・VHL。●DNA修復関連=BRCA1/2・MLH1・MSH2(ミスマッチ修復)。
選択肢ごとの解説
① APCは家族性大腸腺腫症に関わるがん抑制遺伝子であり、がん遺伝子ではない。 ② BRCA1は遺伝性乳癌・卵巣癌に関わるDNA修復関連のがん抑制遺伝子である。 ③ 正しい。RASは増殖シグナルを伝えるGTP結合蛋白をコードするがん遺伝子で、点突然変異による恒常的活性化で発がんに働く。 ④ RB(網膜芽細胞腫遺伝子)は細胞周期のG1/S移行を制御するがん抑制遺伝子である。 ⑤ TP53(p53)はゲノムの守護者と呼ばれるがん抑制遺伝子である。
第65回 午後55(病理組織細胞学)
脂質の染色法でないのはどれか。
①Congo red染色 ②Nile blue染色 ③oil red O染色 ④Sudan black B染色 ⑤Sudan Ⅲ染色
正答: ①Congo red染色
ポイント 脂質染色は脂溶性色素(ズダン色素など)が組織内の脂肪に溶け込む性質を利用して中性脂肪などを染める方法で、凍結切片を用いる。oil red O・Sudan Ⅲ・Sudan black B・Nile blueなどが該当する。一方、Congo red染色はアミロイドを橙赤色に染め偏光下で黄緑色の複屈折を示すアミロイド染色であり、脂質染色ではない。●脂質(脂肪)染色=oil red O・Sudan Ⅲ・Sudan IV・Sudan black B・Nile blue(中性脂肪と酸性脂質の染め分け)・オスミウム酸。●アミロイド染色=Congo red・ダイロン・チオフラビンT(蛍光)。●糖質染色=PAS・アルシアン青。
選択肢ごとの解説
① 誤り。Congo red染色はアミロイドを橙赤色に染める染色法で脂質染色ではなく、偏光顕微鏡で黄緑色の複屈折を示す。 ② Nile blue染色は中性脂肪を赤、酸性脂質を青に染め分ける脂質染色である。 ③ oil red O染色は中性脂肪を赤橙色に染める代表的な脂質染色である。 ④ Sudan black B染色は脂質を黒色に染める脂質染色である。 ⑤ Sudan Ⅲ染色は中性脂肪を橙赤色に染める脂質染色である。
第65回 午後56(病理組織細胞学)
肉芽腫性炎はどれか。
①急性膵炎 ②腎盂腎炎 ③気管支肺炎 ④サルコイドーシス ⑤急性ウイルス性肝炎
正答: ④サルコイドーシス
ポイント 肉芽腫性炎は類上皮細胞・多核巨細胞・リンパ球からなる肉芽腫(限局性の慢性炎症巣)を形成する特殊型の慢性炎症である。サルコイドーシスは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を全身に形成する原因不明の疾患で、両側肺門リンパ節腫脹や肺・眼・皮膚病変を呈する。これに対し急性膵炎・腎盂腎炎・気管支肺炎は好中球を主体とする急性・化膿性炎症である。●感染性肉芽腫=結核(乾酪壊死を伴う)・らい・梅毒(ゴム腫)・真菌症・猫ひっかき病。●非感染性肉芽腫=サルコイドーシス(非乾酪性)・クローン病・異物肉芽腫・ウェゲナー肉芽腫症(多発血管炎性肉芽腫症)。●化膿性炎=腎盂腎炎・気管支肺炎・膿瘍。
選択肢ごとの解説
① 急性膵炎は膵酵素の自己消化による急性壊死性・出血性炎症で、肉芽腫性炎ではない。 ② 腎盂腎炎は主に好中球浸潤を伴う化膿性炎症である。 ③ 気管支肺炎は好中球浸潤を主体とする化膿性炎症である。 ④ 正しい。サルコイドーシスは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を全身に形成する代表的な肉芽腫性炎である。 ⑤ 急性ウイルス性肝炎は肝細胞の変性壊死とリンパ球浸潤を主体とし、肉芽腫性炎ではない。
第65回 午後57(病理組織細胞学)
病理組織標本の偏光顕微鏡観察が有用なのはどれか。2つ選べ。
①メラニン ②アミロイド ③ケイ酸結晶 ④ビリルビン ⑤ヘモジデリン
正答: ②アミロイド・③ケイ酸結晶
ポイント 偏光顕微鏡は複屈折性(異方性)をもつ物質を暗視野中に明るく観察できる。アミロイドはCongo red染色後に黄緑色の複屈折を示し、ケイ酸(シリカ)などの無機結晶も複屈折性を呈する。色素であるメラニン・ビリルビン・ヘモジデリンは複屈折性をもたず偏光観察の対象とならない。●偏光で複屈折を示すもの=アミロイド(Congo red後)・尿酸結晶(痛風)・ピロリン酸カルシウム結晶(偽痛風)・ケイ酸結晶・コレステロール結晶・異物(縫合糸・タルク)。●色素(複屈折なし)=メラニン・ヘモジデリン(鉄、ベルリン青で同定)・ビリルビン・リポフスチン。
選択肢ごとの解説
① メラニンは褐黒色の色素で複屈折性をもたず、偏光観察の対象とならない。 ② 正しい。アミロイドはCongo red染色後に偏光下で黄緑色の複屈折を示し、偏光顕微鏡観察が有用である。 ③ 正しい。ケイ酸結晶(シリカ)は複屈折性をもち、珪肺結節の診断などで偏光顕微鏡観察が有用である。 ④ ビリルビンは黄褐色の色素で複屈折性に乏しく、偏光観察には適さない。 ⑤ ヘモジデリンは鉄含有の褐色色素で複屈折性をもたず、ベルリン青反応で同定する。
第65回 午後58(病理組織細胞学)
細胞診検体処理法のうち集細胞法でないのはどれか。
①圧挫法 ②遠心沈殿法 ③フィルター法 ④自動細胞収集法 ⑤セルブロック法
正答: ①圧挫法
ポイント 集細胞法は体腔液・尿・洗浄液などの液状検体中に散在する細胞を集めて標本化する処理法で、遠心沈殿法・フィルター法・自動細胞収集法(オートスメア/サイトスピン)・セルブロック法などがある。圧挫法は組織片やリンパ節を2枚のスライドガラスで挟んで押しつぶし塗抹する捺印・塗抹系の方法であり、液状検体から細胞を集める集細胞操作ではない。●集細胞法=遠心沈殿法・フィルター法・自動細胞収集法(サイトスピン)・セルブロック法・液状化検体細胞診(LBC)。●塗抹(標本作製)法=直接塗抹・すり合わせ法・圧挫法・捺印法。
選択肢ごとの解説
① 誤り。圧挫法は組織片をスライドガラスで挟んで押しつぶす塗抹法であり、液状検体から細胞を集める集細胞法ではない。 ② 遠心沈殿法は遠心により細胞を沈殿させて集める集細胞法である。 ③ フィルター法はメンブランフィルターで細胞を捕集する集細胞法である。 ④ 自動細胞収集法は遠心塗抹装置などで細胞を集める集細胞法である。 ⑤ セルブロック法は集めた細胞を凝集・包埋してブロック化する集細胞法である。
第65回 午後59(臨床血液学)
伝染性単核球症でみられる異型リンパ球の説明として正しいのはどれか。
①ウイルスが感染したB細胞である。 ②ウイルスを攻撃するNK細胞である。 ③活性化したT細胞である。 ④腫瘍化したリンパ腫細胞である。 ⑤未分化なリンパ芽球である。
正答: ③活性化したT細胞である。
ポイント 伝染性単核球症はEBウイルス(Epstein-Barrウイルス)がB細胞に感染して起こり、末梢血に増加する異型リンパ球は感染B細胞を排除しようと反応して活性化した細胞傷害性T細胞である。豊富で好塩基性の細胞質と周囲赤血球への辺縁の張り出し(ダウニー細胞)を特徴とする。Paul-Bunnell反応(異好抗体)が陽性となる。●異型リンパ球を生じる疾患=伝染性単核球症(EBウイルス)・サイトメガロウイルス感染・風疹・ウイルス性肝炎・薬剤アレルギー。●EBウイルス関連疾患=伝染性単核球症・Burkittリンパ腫・上咽頭癌・ホジキンリンパ腫の一部。
選択肢ごとの解説
① EBウイルスが感染するのはB細胞だが、増加する異型リンパ球そのものは反応性のT細胞である。 ② 異型リンパ球の主体は活性化T細胞であり、NK細胞ではない。 ③ 正しい。伝染性単核球症の異型リンパ球は、EBウイルス感染B細胞に反応して活性化した細胞傷害性T細胞である。 ④ 伝染性単核球症は良性のウイルス感染症であり、腫瘍化したリンパ腫細胞ではない。 ⑤ 異型リンパ球は活性化した成熟T細胞であり、未分化なリンパ芽球ではない。
📋 まとめの表を見る:ウイルス感染に関連する血液・リンパ系疾患
第65回 午後60(臨床血液学)
血小板無力症で異常となるのはどれか。
①凝固時間 ②血小板数 ③血小板粘着能 ④ADP血小板凝集能 ⑤リストセチン血小板凝集能
正答: ④ADP血小板凝集能
ポイント 血小板無力症(Glanzmann病)は血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIa(フィブリノゲン受容体)の異常で、フィブリノゲンを介した血小板どうしの凝集が障害される常染色体潜性遺伝の血小板機能異常症である。ADP・コラーゲン・エピネフリンなど各種惹起物質による凝集が低下する一方、GPIb依存性のリストセチン凝集は正常で、これがvon Willebrand病やBernard-Soulier症候群との鑑別点となる。血小板数は正常である。●血小板凝集能の異常=血小板無力症(GPIIb/IIIa異常、リストセチン以外低下)・Bernard-Soulier症候群(GPIb異常、リストセチン凝集低下)・von Willebrand病(vWF低下、リストセチン凝集低下)。●血小板数の異常=特発性血小板減少性紫斑病・血栓性血小板減少性紫斑病。
選択肢ごとの解説
① 凝固時間は凝固因子を反映する検査で、血小板機能異常の血小板無力症では正常である。 ② 血小板数は血小板無力症では正常で、数の異常はみられない。 ③ 血小板粘着能はGPIb-vWFを介し、血小板無力症では基本的に保たれる。 ④ 正しい。血小板無力症はGPIIb/IIIa異常のため、ADPなどによる血小板凝集能が低下・欠如する。 ⑤ リストセチン凝集はGPIb依存性で、GPIIb/IIIa異常の血小板無力症では正常である。
第65回 午後61(臨床血液学)
赤血球の異常所見はどれか。2つ選べ。
①Cabot環 ②Auer小体 ③Döhle小体 ④Russell小体 ⑤Schüffner斑点
正答: ①Cabot環・⑤Schüffner斑点
ポイント Cabot環は赤血球内に出現する青紫色の環状・8の字状の構造物で、紡錘体(有糸分裂装置)の遺残物とされ、巨赤芽球性貧血や重症貧血でみられる。Schüffner斑点はマラリア(三日熱・卵形)原虫感染赤血球にみられる微細顆粒で、いずれも赤血球の異常所見である。一方、Auer小体・Döhle小体は白血球、Russell小体は形質細胞の所見である。●赤血球内封入体=Cabot環・Howell-Jolly小体(核遺残)・好塩基性斑点(鉛中毒・サラセミア)・パッペンハイマー小体(鉄)・Schüffner斑点(マラリア)。●白血球の封入体=Auer小体(骨髄性白血病芽球)・Döhle小体(感染症の好中球)・中毒性顆粒。●形質細胞=Russell小体(細胞質)・Dutcher小体(核内)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。Cabot環は赤血球内の環状・8の字状の青紫色構造物で、巨赤芽球性貧血などでみられる赤血球の異常所見である。 ② Auer小体は骨髄性白血病の芽球細胞質にみられる針状封入体で、赤血球の所見ではない。 ③ Döhle小体は好中球の細胞質にみられる青色封入体で、赤血球の所見ではない。 ④ Russell小体は形質細胞内の免疫グロブリン蓄積物で、赤血球の所見ではない。 ⑤ 正しい。Schüffner斑点はマラリア原虫感染赤血球にみられる微細顆粒で、赤血球の異常所見である。
第65回 午後62(臨床血液学)
細胞と表面抗原の組合せで誤っているのはどれか。
①幹細胞 — CD33 ②巨核球 — CD41 ③単球 — CD14 ④B細胞 — CD19 ⑤NK細胞 — CD56
正答: ①幹細胞 — CD33
ポイント CD33は骨髄系細胞のマーカーで、骨髄芽球以降の顆粒球系・単球系細胞に発現するが、最も未分化な造血幹細胞ではCD34が陽性でありCD33は陰性であるため、幹細胞との組合せは誤りである。各表面抗原(CD分類)は血球の系統や分化段階の判定に用いられる。●造血幹細胞・前駆細胞=CD34・CD117。●骨髄系=CD13・CD33(顆粒球・単球系)。●単球=CD14。●巨核球・血小板=CD41・CD42・CD61。●Tリンパ球=CD2・CD3・CD4・CD8。●Bリンパ球=CD19・CD20・CD79a。●NK細胞=CD16・CD56。
選択肢ごとの解説
① 誤り。造血幹細胞のマーカーはCD34であり、CD33は骨髄系前駆細胞以降に発現する抗原で、幹細胞との組合せとしては不適切である。 ② 巨核球はCD41(GPIIb)を発現し、正しい組合せである。 ③ 単球はCD14を発現し、正しい組合せである。 ④ B細胞はCD19を発現し、正しい組合せである。 ⑤ NK細胞はCD56を発現し、正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞
第65回 午後63(臨床血液学)
骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB063.674229ef8e.jpg
①慢性骨髄性白血病〈CML〉 ②急性単球性白血病〈AMoL〉 ③急性リンパ性白血病〈ALL〉 ④急性前骨髄球性白血病〈APL〉 ⑤大顆粒リンパ球性白血病〈LGL〉
正答: ④急性前骨髄球性白血病〈APL〉
ポイント 急性前骨髄球性白血病(APL、FAB分類M3)は異常前骨髄球の増殖を特徴とし、アズール顆粒に富み、束状に重なったAuer小体(faggot細胞)を認める。t(15;17)転座によるPML-RARA融合遺伝子を有し、播種性血管内凝固(DIC)を合併しやすい。全トランス型レチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法が著効する。●FAB分類(急性骨髄性白血病)=M0〜M3(顆粒球系)・M4(骨髄単球性)・M5(単球性)・M6(赤白血病)・M7(巨核芽球性)。●Auer小体=骨髄性白血病で陽性、APLでは束状(faggot)。●白血病とDIC=APL(M3)で高頻度。●ペルオキシダーゼ=骨髄系陽性・リンパ系陰性。
選択肢ごとの解説
① 慢性骨髄性白血病は各成熟段階の顆粒球が増加し、束状Auer小体を伴う異常前骨髄球の像とは異なる。 ② 急性単球性白血病は単芽球・前単球の増殖が主体で、faggot細胞を伴う前骨髄球増殖の像とは異なる。 ③ 急性リンパ性白血病はペルオキシダーゼ陰性のリンパ芽球が増殖し、顆粒に富む前骨髄球の像とは異なる。 ④ 正しい。アズール顆粒に富み束状Auer小体を有する異常前骨髄球の増殖は急性前骨髄球性白血病に特徴的で、DICを合併しやすい。 ⑤ 大顆粒リンパ球性白血病は大型顆粒をもつ成熟リンパ球の増殖で、骨髄芽球系腫瘍ではない。
📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉のFAB分類と特徴
急性リンパ性白血病(ALL)はMPO陰性(3%未満)で鑑別する。染色体異常・融合遺伝子は既存の『白血病の染色体異常と融合遺伝子』表を参照。
第65回 午後64(臨床血液学)
末梢血のMay-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB064.1e4013c737.jpg
①サラセミア ②溶血性貧血 ③鉄芽球性貧血 ④再生不良性貧血 ⑤巨赤芽球性貧血
正答: ⑤巨赤芽球性貧血
ポイント 巨赤芽球性貧血はビタミンB₁₂または葉酸欠乏によるDNA合成障害で核成熟が遅れる貧血で、末梢血では大型の卵円形赤血球(大球性・MCV高値)や好中球の過分葉が特徴である。骨髄では核と細胞質の成熟解離を示す巨赤芽球がみられる。ビタミンB₁₂欠乏では内因子欠乏(悪性貧血)や胃切除が原因となる。●大球性貧血=巨赤芽球性貧血(ビタミンB₁₂・葉酸欠乏)。●小球性低色素性貧血=鉄欠乏性貧血・サラセミア・鉄芽球性貧血・慢性疾患に伴う貧血。●正球性貧血=再生不良性貧血・溶血性貧血・腎性貧血・急性出血。
選択肢ごとの解説
① サラセミアは小球性低色素性で標的赤血球や好塩基性斑点を示し、大球性の所見とは合致しない。 ② 溶血性貧血は多染性赤血球や球状赤血球など溶血像を示し、過分葉好中球を伴う大球性とは異なる。 ③ 鉄芽球性貧血は二相性(低色素と正常球の混在)を示し、巨赤芽球性貧血の所見とは異なる。 ④ 再生不良性貧血は汎血球減少を示すが赤血球形態は正球性が主で、過分葉や大球性は特徴的でない。 ⑤ 正しい。大型卵円形赤血球(大球性)や好中球の過分葉を示す像は巨赤芽球性貧血に特徴的で、ビタミンB₁₂・葉酸欠乏で生じる。
📋 まとめの表を見る:赤血球指数〈MCV〉による貧血の分類と主な疾患
第65回 午後65(臨床血液学)
骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本を別に示す。診断にあたり、ペルオキシダーゼ染色と合わせて必要となるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB065.cf6def86b2.jpg
①鉄染色 ②PAS染色 ③エステラーゼ染色 ④酸ホスファターゼ染色 ⑤アルカリホスファターゼ染色
正答: ③エステラーゼ染色
ポイント 急性白血病の系統鑑別では、ミエロペルオキシダーゼ染色(骨髄系で陽性)に加えてエステラーゼ染色を併用する。特異的エステラーゼ(ナフトールAS-Dクロロアセテートエステラーゼ)は顆粒球系で陽性、非特異的エステラーゼ(α-ナフチルブチレートなど)は単球系で陽性となり、後者はフッ化ナトリウムで阻害される点が鑑別に用いられる。●急性白血病の特殊染色=ペルオキシダーゼ(骨髄系)・特異的エステラーゼ(顆粒球系)・非特異的エステラーゼ(単球系、NaFで阻害)・PAS(リンパ性・赤白血病)。●鉄染色=環状鉄芽球(鉄芽球性貧血・MDS)。●好中球アルカリホスファターゼ(NAP)=慢性骨髄性白血病で低下、類白血病反応で上昇。
選択肢ごとの解説
① 鉄染色は環状鉄芽球の同定に用いる染色で、骨髄性・単球性の系統鑑別には用いない。 ② PAS染色は急性リンパ性白血病や赤白血病で陽性となるが、ペルオキシダーゼと併用する系統鑑別の主体ではない。 ③ 正しい。エステラーゼ染色はペルオキシダーゼ染色と併用し、特異的エステラーゼで顆粒球系、非特異的エステラーゼで単球系を鑑別する。 ④ 酸ホスファターゼ染色はヘアリー細胞白血病(酒石酸抵抗性)などで用いる特殊染色である。 ⑤ アルカリホスファターゼ染色(好中球ALP)は慢性骨髄性白血病と類白血病反応の鑑別に用いる検査である。
📋 まとめの表を見る:血液細胞化学染色(特殊染色)の目的・判定・臨床意義
第65回 午後66(臨床血液学)
血算で赤血球250万/μL、Hb 5.0 g/dL、Ht 18%、白血球3,500/μL、血小板40万/μLであった。考えられるのはどれか。
①腎性貧血 ②鉄欠乏性貧血 ③再生不良性貧血 ④自己免疫性溶血性貧血 ⑤ビタミンB₁₂欠乏性貧血
正答: ②鉄欠乏性貧血
ポイント 赤血球250万/μL、Hb 5.0g/dL、Ht 18%から、平均赤血球容積(MCV)は約72fL、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)は約28%となり、小球性低色素性貧血である。小球性低色素性貧血の代表は鉄欠乏性貧血で、慢性出血や鉄摂取不足により生じ、血清鉄低下・総鉄結合能上昇・フェリチン低下を示す。●小球性低色素性貧血(MCV低下)=鉄欠乏性貧血・サラセミア・鉄芽球性貧血・慢性疾患に伴う貧血。●正球性正色素性貧血=再生不良性貧血・溶血性貧血・腎性貧血・急性出血。●大球性貧血=巨赤芽球性貧血(ビタミンB₁₂・葉酸欠乏)。
選択肢ごとの解説
① 腎性貧血はエリスロポエチン産生低下による正球性正色素性貧血で、小球性低色素性の本例とは合わない。 ② 正しい。MCV約72fL・MCHC約28%の小球性低色素性貧血であり、鉄欠乏性貧血が最も考えられる。 ③ 再生不良性貧血は汎血球減少を伴う正球性正色素性貧血で、本例とは合わない。 ④ 自己免疫性溶血性貧血は正球性〜大球性で、小球性低色素性の本例とは合わない。 ⑤ ビタミンB₁₂欠乏性貧血は大球性正色素性貧血であり、小球性低色素性の本例とは正反対である。
第65回 午後67(臨床血液学)
ビタミンK欠乏で異常を示すのはどれか。2つ選べ。
①出血時間 ②第Ⅻ因子活性 ③フィブリノゲン ④プロテインC活性 ⑤プロトロンビン時間〈PT〉
正答: ④プロテインC活性・⑤プロトロンビン時間〈PT〉
ポイント ビタミンKは凝固因子II・VII・IX・X、および抗凝固因子であるプロテインC・プロテインSのγ-カルボキシル化に必要である。ビタミンK欠乏ではこれらが減少し、外因系を反映するプロトロンビン時間(PT)が延長する。抗凝固因子のプロテインC活性も低下し、ワルファリン(ビタミンK拮抗薬)投与でも同様の変化を示す。●ビタミンK依存性因子=II・VII・IX・X・プロテインC・プロテインS。●ビタミンK非依存性=I(フィブリノゲン)・V・VIII・XI・XII・XIII。●PT延長=外因系(VII)・共通系(II・V・X・I)の異常、ビタミンK欠乏・肝障害・ワルファリン。●APTT延長=内因系(VIII・IX・XI・XII)の異常。
選択肢ごとの解説
① 出血時間は主に血小板機能を反映し、ビタミンK欠乏では延長しない。 ② 第Ⅻ因子はビタミンK非依存性であり、欠乏の影響を受けない。 ③ フィブリノゲン(第Ⅰ因子)はビタミンK非依存性で、欠乏では低下しない。 ④ 正しい。プロテインCはビタミンK依存性の抗凝固因子で、欠乏により活性が低下する。 ⑤ 正しい。プロトロンビン時間〈PT〉はビタミンK依存性のII・VII・X因子を反映し、欠乏で延長する。
📋 まとめの表を見る:ビタミンK依存性の凝固因子と欠乏時の検査所見
ビタミンKは肝臓での凝固因子・抗凝固因子の産生時に、グルタミン酸残基をγ-カルボキシル化する反応の補酵素として働く。
第65回 午後68(臨床微生物学)
作用機序が細胞壁合成阻害によるのはどれか。2つ選べ。
①アンピシリン ②ゲンタマイシン ③ミノサイクリン ④シプロフロキサシン ⑤バンコマイシン
正答: ①アンピシリン・⑤バンコマイシン
ポイント 細胞壁合成阻害薬にはβ-ラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム系)とグリコペプチド系(バンコマイシン)がある。アンピシリンはペニシリン系でペプチドグリカン架橋酵素(ペニシリン結合蛋白)を阻害し、バンコマイシンはペプチドグリカン前駆体のD-Ala-D-Alaに結合して合成を阻害する。●細胞壁合成阻害=β-ラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)・グリコペプチド系(バンコマイシン)・ホスホマイシン。●蛋白合成阻害=アミノグリコシド系(30S)・テトラサイクリン系(30S)・マクロライド系(50S)・クロラムフェニコール(50S)。●核酸合成阻害=キノロン系(DNAジャイレース)・リファンピシン(RNAポリメラーゼ)。●葉酸合成阻害=ST合剤。
選択肢ごとの解説
① 正しい。アンピシリンはペニシリン系で、細胞壁ペプチドグリカンの架橋合成を阻害する。 ② ゲンタマイシンはアミノグリコシド系で、30Sリボソームに作用し蛋白合成を阻害する。 ③ ミノサイクリンはテトラサイクリン系で、30Sリボソームに作用し蛋白合成を阻害する。 ④ シプロフロキサシンはニューキノロン系で、DNAジャイレースを阻害しDNA複製を妨げる。 ⑤ 正しい。バンコマイシンはグリコペプチド系で、ペプチドグリカン前駆体に結合し細胞壁合成を阻害する。
第65回 午後69(臨床微生物学)
蚊が媒介するのはどれか。
正答: ②黄熱
ポイント 黄熱は黄熱ウイルスによる蚊媒介性のウイルス感染症で、ネッタイシマカなどが媒介する。回帰熱はダニまたはシラミ、ライム病と日本紅斑熱はマダニが媒介する。Q熱のヒトへの主な感染経路は、感染動物に由来する汚染粉じん・エアロゾルの吸入である。媒介する節足動物(ベクター)ごとに疾患を区別する。●蚊媒介=黄熱・デング熱・ジカ熱・日本脳炎・マラリア・ウエストナイル熱・フィラリア症。●マダニ媒介=日本紅斑熱・ライム病・回帰熱(ダニ媒介)・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)。●ツツガムシ(幼虫)媒介=ツツガムシ病(ツツガムシはケダニ亜目でマダニとは別のダニ)。●シラミ媒介=発疹チフス・回帰熱(シラミ媒介)。●Q熱=ヒトでは感染動物の出産物・排泄物などに由来する汚染粉じん・エアロゾルの吸入が主。
選択肢ごとの解説
① Q熱はCoxiella burnetiiによる人獣共通感染症である。ヒトは主に感染動物の出産物・排泄物などで汚染された粉じんやエアロゾルを吸入して感染する。蚊媒介性ではない。 ② 正しい。黄熱は黄熱ウイルスによる蚊媒介性感染症で、ネッタイシマカなどの蚊が媒介する。 ③ 回帰熱はBorreliaによる感染症で、シラミやマダニが媒介する。 ④ ライム病はBorrelia burgdorferiによる感染症で、マダニが媒介する。 ⑤ 日本紅斑熱はRickettsia japonicaによる感染症で、マダニが媒介する。
第65回 午後70(臨床微生物学)
経口感染する肝炎ウイルスはどれか。2つ選べ。
正答: ①A型・⑤E型
ポイント 肝炎ウイルスのうちA型とE型は経口(糞口)感染し、流行性肝炎を起こすが通常は慢性化しない(E型は臓器移植後など免疫抑制下で慢性化する例が報告されている)。B型・C型・D型は血液・体液を介して感染し、慢性化や肝硬変・肝細胞癌のリスクとなる。E型はブタ・シカ・イノシシの加熱不十分な肉摂取による人獣共通感染としても重要である。●経口(糞口)感染=A型・E型(通常は慢性化しない。E型は免疫抑制下で慢性化しうる)。●血液・体液感染=B型・C型・D型(慢性化あり)。●D型=B型と共感染・重感染して初めて成立(不完全ウイルス)。●慢性化・発癌リスク=B型・C型。
選択肢ごとの解説
① 正しい。A型肝炎ウイルスは経口(糞口)感染し、汚染された水や食品を介して伝播する。 ② B型肝炎ウイルスは血液・体液を介して感染し、経口感染は主経路でない。 ③ C型肝炎ウイルスは血液を介して感染し、経口感染しない。 ④ D型肝炎ウイルスはB型と共感染し血液を介して伝播し、経口感染しない。 ⑤ 正しい。E型肝炎ウイルスは経口(糞口)感染し、汚染水や加熱不十分な肉を介して伝播する。
第65回 午後71(臨床微生物学)
染色法と目的菌の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①墨汁法 — Candida albicans ②Giménez〈ヒメネス〉染色 — Legionella pneumophila ③芽胞染色 — Corynebacterium diphtheriae ④オーラミン・ローダミン染色 — Mycobacterium tuberculosis ⑤異染小体染色 — Clostridium difficile〈Clostridioides difficile〉
正答: ②Giménez〈ヒメネス〉染色 — Legionella pneumophila・④オーラミン・ローダミン染色 — Mycobacterium tuberculosis
ポイント Giménez染色はLegionellaやRickettsiaの染色に用いられ菌体を赤色に染める。オーラミン・ローダミン染色は蛍光色素を用いた抗酸菌(結核菌)染色である。各染色は目的菌の細胞壁・構造的特徴に応じて選択される。●抗酸菌染色=Ziehl-Neelsen染色・Kinyoun染色・オーラミン(蛍光)。●莢膜の観察=墨汁法(Cryptococcus)・莢膜染色。●芽胞染色=Wirtz-Conklin法(Bacillus・Clostridium)。●異染小体(メタクロマジー)染色=Neisser法・Albert法(Corynebacterium diphtheriae)。●Legionella・Rickettsia=Giménez染色。
選択肢ごとの解説
① 墨汁法はCryptococcus neoformansの莢膜観察に用いる方法で、Candida albicansとの組合せは不適切である。 ② 正しい。Giménez染色はLegionella pneumophilaの染色に用いられ、菌体を赤色に染める。 ③ 芽胞染色は芽胞形成菌(Bacillus・Clostridiumなど)に用いるもので、Corynebacterium diphtheriaeは芽胞を形成せず不適切である。 ④ 正しい。オーラミン・ローダミン染色は蛍光抗酸菌染色で、Mycobacterium tuberculosisの検出に用いる。 ⑤ 異染小体染色はCorynebacterium diphtheriaeに用いるもので、Clostridium difficileとの組合せは不適切である。
📋 まとめの表を見る:微生物の染色法と検出対象(構造・真菌・特殊病原体)
第65回 午後72(臨床微生物学)
下気道感染症患者の喀痰のGram染色標本を別に示す。分離菌は5%ヒツジ血液寒天培地およびチョコレート寒天培地に発育した。推定されるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB072.b73600cf07.jpg
①Fusobacterium nucleatum ②Haemophilus influenzae ③Klebsiella pneumoniae ④Moraxella catarrhalis ⑤Pseudomonas aeruginosa
正答: ④Moraxella catarrhalis
ポイント Moraxella catarrhalisはGram陰性双球菌で、下気道感染症(特に慢性気道感染症や高齢者・慢性閉塞性肺疾患患者)や中耳炎・副鼻腔炎の起因菌となる。ヒツジ血液寒天培地・チョコレート寒天培地に発育し、オキシダーゼ陽性・DNase陽性で、多くがβ-ラクタマーゼを産生する。●Gram陰性球菌=Moraxella catarrhalis(双球菌)・Neisseria(淋菌・髄膜炎菌)。●Gram陰性桿菌(呼吸器)=Haemophilus influenzae(X・V因子要求)・Klebsiella pneumoniae・Pseudomonas aeruginosa。●嫌気性Gram陰性桿菌=Fusobacterium・Bacteroides。
選択肢ごとの解説
① Fusobacterium nucleatumは偏性嫌気性のGram陰性紡錘状桿菌で、好気的に発育する本例とは合わない。 ② Haemophilus influenzaeはX・V因子要求性のため通常のヒツジ血液寒天には発育しにくく、Gram陰性球菌像とも異なる。 ③ Klebsiella pneumoniaeはGram陰性桿菌で粘稠なコロニーを作り、球菌像を示す本例とは合わない。 ④ 正しい。Moraxella catarrhalisはGram陰性双球菌で、血液寒天・チョコレート寒天に発育し下気道感染を起こす。 ⑤ Pseudomonas aeruginosaはGram陰性桿菌で、球菌像を示す本例とは形態が異なる。
📋 まとめの表を見る:Neisseria属・Moraxella属の糖分解パターンによる鑑別
Haemophilus influenzaeもグルコース・マルトースをともに分解するが、双球菌ではなく多形性の球桿菌である点で鑑別する。
第65回 午後73(臨床微生物学)
血液培養陽性のボトル内容液から分離培養したコロニーのGram染色像を別に示す。Gram染色では矢印で示す形態を示し、好気培養で発育せず、カタラーゼテスト陰性であった。推定されるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB073.c22bf5e512.jpg
①Actinomyces spp. ②Bacillus spp. ③Clostridium spp. ④Corynebacterium spp. ⑤Nocardia spp.
正答: ③Clostridium spp.
ポイント Clostridium属はGram陽性の芽胞形成桿菌で、偏性嫌気性のため好気培養では発育せず、カタラーゼ陰性である。血液培養から検出され、好気発育せずカタラーゼ陰性のGram陽性桿菌はClostridium属が推定される。●偏性嫌気性Gram陽性桿菌(芽胞形成)=Clostridium(破傷風・ガス壊疽・ボツリヌス・ディフィシル)。●好気性・通性Gram陽性桿菌(芽胞形成)=Bacillus(カタラーゼ陽性)。●Gram陽性分枝桿菌(芽胞なし)=Actinomyces(嫌気性)・Nocardia(好気性・部分抗酸性)。●Gram陽性桿菌(芽胞なし・好気)=Corynebacterium・Listeria。
選択肢ごとの解説
① Actinomyces spp.はGram陽性の分枝状桿菌で芽胞を形成せず、芽胞形成性の嫌気性桿菌が想定される本例とは合わない。 ② Bacillus spp.は芽胞形成桿菌だが好気性・通性嫌気性でカタラーゼ陽性であり、好気発育せずカタラーゼ陰性の本例とは合わない。 ③ 正しい。Clostridium属は偏性嫌気性のGram陽性芽胞形成桿菌で、好気培養で発育せずカタラーゼ陰性である。 ④ Corynebacterium spp.はGram陽性桿菌だが芽胞を形成せず好気性であり、本例とは合わない。 ⑤ Nocardia spp.はGram陽性の分枝状・部分抗酸性桿菌で好気性であり、本例とは合わない。
📋 まとめの表を見る:代表的な偏性嫌気性菌の性状(Clostridium属・Bacteroides fragilis)
第65回 午後74(臨床微生物学)
ウイルスと疾患の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①EBウイルス — 伝染性単核球症 ②ロタウイルス — 乳児嘔吐下痢症 ③ポリオウイルス — 急性胃腸炎 ④ヒトコロナウイルス — 流行性角結膜炎 ⑤ヒトパルボウイルス — 手足口病
正答: ①EBウイルス — 伝染性単核球症・②ロタウイルス — 乳児嘔吐下痢症
ポイント EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)はヘルペスウイルス科で伝染性単核球症やBurkittリンパ腫・上咽頭癌に関与する。ロタウイルスは乳幼児の嘔吐下痢症(冬季下痢症)の主要原因である。●下痢症のウイルス=ロタウイルス(乳幼児)・ノロウイルス・アデノウイルス(腸管型)・サポウイルス。●発疹・小児疾患=ヒトパルボウイルスB19(伝染性紅斑/リンゴ病)・コクサッキー・エンテロウイルス71(手足口病)・麻疹・風疹。●結膜炎=アデノウイルス(流行性角結膜炎・咽頭結膜熱)。●ポリオウイルス=急性灰白髄炎(ポリオ)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。EBウイルスは伝染性単核球症の原因ウイルスである。 ② 正しい。ロタウイルスは乳幼児の嘔吐下痢症(冬季下痢症)の主要原因ウイルスである。 ③ ポリオウイルスは急性灰白髄炎(ポリオ)を起こすウイルスで、急性胃腸炎との組合せは不適切である。 ④ ヒトコロナウイルスは主に上気道感染(かぜ)を起こし、流行性角結膜炎はアデノウイルスによるため不適切である。 ⑤ ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑(リンゴ病)を起こし、手足口病はエンテロウイルス(コクサッキー・エンテロウイルス71)によるため不適切である。
📋 まとめの表を見る:主なウイルスと疾患
第65回 午後75(臨床微生物学)
プラスミドによる耐性遺伝子の伝播に該当するのはどれか。
①形質転換 ②形質導入 ③抗原変異 ④接合伝達 ⑤非相同組換え
正答: ④接合伝達
ポイント 細菌間の遺伝子伝播には、形質転換(裸のDNA取り込み)、形質導入(バクテリオファージ介在)、接合伝達(性線毛を介した直接接触)がある。プラスミドに乗った薬剤耐性遺伝子の伝播は、供与菌の性線毛を介して受容菌へプラスミドを移す接合伝達による。●形質転換=環境中の裸のDNAを取り込む(肺炎球菌・Haemophilus)。●形質導入=バクテリオファージが宿主DNAを運搬。●接合伝達=Fプラスミド・Rプラスミドが性線毛を介して伝播(薬剤耐性の主経路)。●トランスポゾン・インテグロン=可動性遺伝因子による耐性遺伝子の移動。
選択肢ごとの解説
① 形質転換は環境中の裸のDNAを菌が取り込む現象で、プラスミドを介した接合とは機構が異なる。 ② 形質導入はバクテリオファージが菌の遺伝子を運ぶ伝播で、プラスミドの接合伝達とは異なる。 ③ 抗原変異は表面抗原の変化であり、遺伝子伝播の機構ではない。 ④ 正しい。接合伝達は性線毛を介した菌どうしの接触によりプラスミド(耐性遺伝子)を伝える機構である。 ⑤ 非相同組換えはDNA配列の組換えの一様式であり、菌間のプラスミド伝播の機構ではない。
第65回 午後76(臨床微生物学)
Mycobacterium属でⅠ群〈光発色菌群〉はどれか。
①M. abscessus ②M. avium ③M. fortuitum ④M. kansasii ⑤M. tuberculosis
正答: ④M. kansasii
ポイント 非結核性抗酸菌はコロニーの色素産生と発育速度によりRunyon(ラニヨン)分類でⅠ〜Ⅳ群に分けられる。Ⅰ群(光発色菌群、photochromogen)は遅発育菌のうち暗所では無色だが光照射により黄〜橙色の色素を産生する群で、Mycobacterium kansasiiとM. marinumが代表である。Ⅱ群(暗発色菌群、scotochromogen)は光の有無にかかわらず色素を産生し、Ⅲ群(非発色菌群、nonchromogen)は色素を産生せず、Ⅳ群(迅速発育菌)は1週間以内に発育する。 ●遅発育菌Ⅰ群(光発色)=M. kansasii・M. marinum。 ●遅発育菌Ⅱ群(暗発色)=M. scrofulaceum・M. gordonae。 ●遅発育菌Ⅲ群(非発色)=M. avium・M. intracellulare(MAC)。 ●迅速発育菌Ⅳ群=M. fortuitum・M. chelonae・M. abscessus。
選択肢ごとの解説
① M. abscessusは1週間以内に発育する迅速発育菌(Ⅳ群)であり、Ⅰ群光発色菌群ではない。 ② M. aviumは色素を産生しない非発色菌群(Ⅲ群)でMAC群に属し、Ⅰ群ではない。 ③ M. fortuitumは迅速発育菌(Ⅳ群)であり、Ⅰ群ではない。 ④ 正しい。M. kansasiiは光照射により黄色色素を産生する光発色菌群(Ⅰ群)の代表である。 ⑤ M. tuberculosis(結核菌)は非発色性で、そもそもRunyon分類の対象となる非結核性抗酸菌ではない。
第65回 午後77(臨床微生物学)
インフルエンザウイルスの主な感染経路はどれか。2つ選べ。
①接触感染 ②飛沫感染 ③空気感染 ④血液感染 ⑤経口感染
正答: ①接触感染・②飛沫感染
ポイント インフルエンザウイルスは咳・くしゃみ・会話で放出される飛沫(直径5マイクロメートル以上)を近距離で吸入する飛沫感染と、ウイルスの付着した手指やドアノブなどを介して粘膜へ運ばれる接触感染を主な経路とする。飛沫は短距離で落下するため通常の飛沫予防策(マスク・手指衛生)で対応できる点が、長距離を漂う飛沫核による空気感染と異なる。空気(飛沫核)感染を主経路とするのは結核・麻疹・水痘の3疾患である。 ●飛沫感染=インフルエンザ・風疹・流行性耳下腺炎・百日咳・髄膜炎菌。 ●空気(飛沫核)感染=結核・麻疹・水痘。 ●接触感染=インフルエンザ・ノロウイルス・MRSA・疥癬。 ●経口(糞口)感染=ノロウイルス・ロタウイルス・腸管出血性大腸菌・A型肝炎。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ウイルスの付着した手指や物品を介する接触感染はインフルエンザの主要経路の一つである。 ② 正しい。咳・くしゃみで放出される飛沫を吸入する飛沫感染はインフルエンザの主要経路である。 ③ 空気(飛沫核)感染を主経路とするのは結核・麻疹・水痘であり、インフルエンザの主経路ではない。 ④ 血液感染はB型・C型肝炎ウイルスやHIVなどの経路で、インフルエンザの主な感染経路ではない。 ⑤ 経口(糞口)感染はノロウイルスなどの経路で、インフルエンザの主な感染経路ではない。
第65回 午後78(臨床微生物学)
Pseudomonas aeruginosaで正しいのはどれか。
①4℃で発育する。 ②周毛性鞭毛をもつ。 ③ブドウ糖を発酵する。 ④オキシダーゼ陰性である。 ⑤ピオシアニンを産生する。
正答: ⑤ピオシアニンを産生する。
ポイント Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)はブドウ糖非発酵のGram陰性桿菌で、極単毛(単毛性)鞭毛による運動性をもち、オキシダーゼ陽性を示す。青緑色の色素ピオシアニンと黄緑色の蛍光色素ピオベルジン(フルオレセイン)を産生し、培地が緑色を呈して独特の芳香を放つのが特徴である。42℃でも発育し、消毒薬や多くの抗菌薬に抵抗性を示すため、易感染患者の日和見感染や院内感染の重要起因菌となる。 ●ブドウ糖非発酵Gram陰性桿菌=Pseudomonas・Acinetobacter・Stenotrophomonas・Burkholderia。 ●オキシダーゼ陽性=Pseudomonas・Vibrio・Neisseria・Campylobacter(腸内細菌科は陰性)。 ●緑膿菌の色素=ピオシアニン(青緑)・ピオベルジン(蛍光)・ピオルビン(赤)・ピオメラニン(褐)。
選択肢ごとの解説
① 緑膿菌は42℃では発育するが、4℃では発育しない。4℃で発育するのはPseudomonas fluorescensなどである。 ② 緑膿菌は極在性の単毛(単毛性)鞭毛をもち、菌体全周に鞭毛をもつ周毛性ではない。 ③ 緑膿菌はブドウ糖非発酵菌であり、ブドウ糖を発酵しない。 ④ 緑膿菌はオキシダーゼ陽性であり、陰性ではない。 ⑤ 正しい。緑膿菌は青緑色色素ピオシアニンを産生し、これが特徴的所見である。
📋 まとめの表を見る:細菌が産生する色素と代表菌
Pseudomonas aeruginosaはアシルアミダーゼ試験も陽性を示す。
第65回 午後79(臨床免疫学)
結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉でサイトカインを産生する細胞はどれか。
①単球 ②B細胞 ③マクロファージ ④ヘルパーT細胞 ⑤細胞傷害性T細胞
正答: ④ヘルパーT細胞
ポイント 結核菌特異的インターフェロンγ遊離測定法(IGRA、interferon-gamma release assay。QuantiFERONやT-SPOT)は、結核菌に特異的なESAT-6やCFP-10などの抗原で全血またはリンパ球を刺激し、放出されるインターフェロンγを測定する検査である。インターフェロンγを産生するのは結核菌抗原に感作された記憶ヘルパーT細胞(Th1細胞)であり、BCG接種や大半の非結核性抗酸菌の影響を受けないため、ツベルクリン反応より特異度が高い。 ●Th1サイトカイン=インターフェロンγ・インターロイキン2・腫瘍壊死因子(細胞性免疫・マクロファージ活性化)。 ●Th2サイトカイン=インターロイキン4・5・13(B細胞活性化・IgE産生・好酸球)。 ●抗体産生細胞=形質細胞(B細胞由来)。 ●結核の補助診断=IGRA・ツベルクリン反応・喀痰塗抹/培養・核酸増幅検査。
選択肢ごとの解説
① 単球は抗原提示やサイトカイン産生に関与するが、IGRAで測定するインターフェロンγの産生主体ではない。 ② B細胞は抗体(免疫グロブリン)を産生する細胞で、インターフェロンγの主産生細胞ではない。 ③ マクロファージは抗原提示や貪食を担い、インターフェロンγにより活性化される側で産生主体ではない。 ④ 正しい。IGRAでインターフェロンγを産生するのは結核菌抗原に感作されたヘルパーT細胞(Th1)である。 ⑤ 細胞傷害性T細胞は感染細胞や腫瘍細胞の傷害が主機能で、IGRAのインターフェロンγ産生主体はヘルパーT細胞である。
第65回 午後80(臨床免疫学)
腫瘍マーカーと対象となる腫瘍との組合せで誤っているのはどれか。
①CEA — 胃癌 ②SCC — 大腸癌 ③CA125 — 卵巣癌 ④CA19-9 — 膵癌 ⑤PIVKA-Ⅱ — 肝癌
正答: ②SCC — 大腸癌
ポイント SCC(squamous cell carcinoma related antigen、扁平上皮癌関連抗原)は子宮頸癌・肺扁平上皮癌・食道癌・頭頸部癌など扁平上皮癌のマーカーで、腺癌が主体の大腸癌のマーカーではない。大腸癌・胃癌など消化器の腺癌ではCEA(carcinoembryonic antigen、癌胎児性抗原)が用いられる。腫瘍マーカーは臓器特異性が完全ではなく、組織型と対応づけて理解する必要がある。 ●扁平上皮癌=SCC・CYFRA(サイトケラチン19フラグメント)。 ●消化器腺癌(胃・大腸)=CEA・CA19-9。 ●膵・胆道癌=CA19-9・DUPAN-2・SPan-1。 ●卵巣癌=CA125・CA72-4。 ●肝細胞癌=AFP(αフェトプロテイン)・PIVKA-Ⅱ。 ●前立腺癌=PSA。
選択肢ごとの解説
① CEAは胃癌・大腸癌など消化器癌で上昇する代表的腫瘍マーカーで、胃癌との組合せは妥当である。 ② 誤り。SCCは扁平上皮癌(子宮頸癌・肺・食道など)のマーカーであり、腺癌主体の大腸癌のマーカーではない。大腸癌ではCEAが用いられる。 ③ CA125は卵巣癌の代表的腫瘍マーカーで、正しい組合せである。 ④ CA19-9は膵癌・胆道癌のマーカーで、正しい組合せである。 ⑤ PIVKA-ⅡはビタミンK欠乏で増加する異常プロトロンビンで肝細胞癌のマーカーであり、正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:主な腫瘍マーカーと高値を示す代表疾患
第65回 午後81(臨床免疫学)
新生児の梅毒血清反応において先天梅毒を示唆する所見はどれか。
①TPPA法が陽性である。 ②RPRカードテストが陽性である。 ③抗カルジオリピン抗体が陽性である。 ④FTA-ABS法でIgM抗体が陽性である。 ⑤生後数か月の間に無治療でも抗体価の低下がみられる。
正答: ④FTA-ABS法でIgM抗体が陽性である。
ポイント 新生児ではIgG型抗体が母体から経胎盤的に移行するため、母体由来の梅毒抗体が陽性でも児自身の感染(先天梅毒)とは限らない。一方IgMは分子量が大きく胎盤を通過しないため、新生児自身が産生したFTA-ABS-IgM抗体(蛍光トレポネーマ抗体吸収試験のIgM抗体)の陽性は、児自身がTreponema pallidumに感染していること、すなわち先天梅毒を示唆する所見となる。母体由来のIgG抗体価は治療がなくても時間とともに低下していく。 ●梅毒の脂質(非トレポネーマ)抗原検査=RPR・VDRL(カルジオリピンに対する抗体、生物学的偽陽性あり、治療効果判定に有用)。 ●梅毒のトレポネーマ抗原検査=TPPA・TPHA・FTA-ABS(特異度が高い)。 ●胎盤を通過する抗体=IgG(受動免疫)/通過しない=IgM(児の感染指標)。
選択肢ごとの解説
① TPPA法の陽性は母体由来IgGの経胎盤移行でも生じ、先天梅毒の確定所見とはならない。 ② RPRカードテストの陽性も母体由来抗体の影響を受け、児自身の感染を直接示すものではない。 ③ 抗カルジオリピン抗体(脂質抗体)の陽性も母体由来IgGの影響があり、先天梅毒の特異的指標ではない。 ④ 正しい。IgMは胎盤を通過しないため、新生児のFTA-ABS-IgM抗体陽性は児自身の感染すなわち先天梅毒を示唆する。 ⑤ 母体由来抗体は時間とともに低下するのが通常であり、無治療での抗体価低下はむしろ移行抗体の消退で先天梅毒を示唆しない。
📋 まとめの表を見る:梅毒血清学的検査の特徴
感染初期はSTS法のみ陽性でTPPA法は陰性のことがある(STS陽性・TPPA陰性は感染初期または生物学的偽陽性を示唆)。先天梅毒の診断にはFTA-ABS法によるIgM型抗体の検出(児自身の産生を反映)が有用。
第65回 午後82(臨床免疫学)
間接蛍光抗体法による抗核抗体検査所見(別冊No.13)を別に示す。この所見の染色パターンはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB082.00253634e4.jpg
正答: ②斑紋型
ポイント 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査では、HEp-2細胞などを基質とし核内の蛍光分布パターンを観察する。斑紋型(speckled、斑紋状)は核内に微細〜粗大な顆粒状(斑点状)の蛍光が散在するパターンで、核小体は染まらない。このパターンは抗ENA抗体(抗U1-RNP・抗Sm・抗SS-A/SS-B・抗Scl-70抗体など)でみられ、混合性結合組織病やSLE、シェーグレン症候群などで検出される。 ●均質型(homogeneous)=抗二本鎖DNA抗体・抗ヒストン抗体(SLE・薬剤誘発性ループス)。 ●斑紋型(speckled)=抗ENA抗体(抗U1-RNP・抗Sm・抗SS-A/SS-B)。 ●辺縁型(peripheral/rim)=抗二本鎖DNA抗体(SLE、活動性と相関)。 ●核小体型(nucleolar)=抗核小体抗体(全身性強皮症)。 ●細胞質型=抗ミトコンドリア抗体・抗Jo-1抗体。
選択肢ごとの解説
① 均質型は核全体が一様に染まるパターンで、抗二本鎖DNA抗体・抗ヒストン抗体でみられる。 ② 正しい。斑紋型は核内に顆粒状(斑点状)の蛍光が散在するパターンで、抗ENA抗体などでみられる。 ③ 辺縁型は核の辺縁が縁取られるように染まるパターンで、抗二本鎖DNA抗体でみられる。 ④ 核小体型は核小体が選択的に染まるパターンで、抗核小体抗体でみられ全身性強皮症と関連する。 ⑤ 細胞質型は核外の細胞質が染まるパターンで、抗ミトコンドリア抗体などでみられる。
📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患
第65回 午後83(臨床免疫学)
間接蛍光抗体法による抗核抗体検査所見(別冊No.13)を別に示す。この所見を示す自己抗体はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB083.00253634e4.jpg
①抗DNA抗体 ②抗核小体抗体 ③抗ヒストン抗体 ④抗ミトコンドリア抗体 ⑤抗ENA〈可溶性核抗原〉抗体
正答: ⑤抗ENA〈可溶性核抗原〉抗体
ポイント 前問の斑紋型染色パターンを呈する自己抗体は抗ENA(extractable nuclear antigen、可溶性核抗原)抗体であり、抗U1-RNP・抗Sm・抗SS-A・抗SS-B抗体などが含まれる。これらは核内の蛋白・核酸複合体に対する抗体で、混合性結合組織病(抗U1-RNP)、SLE(抗Sm・抗SS-A)、シェーグレン症候群(抗SS-A/SS-B)など特定の膠原病と関連する。 ●斑紋型を示す抗ENA抗体=抗U1-RNP(混合性結合組織病)・抗Sm(SLE特異)・抗SS-A/SS-B(シェーグレン症候群)・抗Scl-70(全身性強皮症)。 ●均質・辺縁型=抗二本鎖DNA抗体(SLE)・抗ヒストン抗体(薬剤誘発性ループス)。 ●核小体型=抗核小体抗体(強皮症)。 ●細胞質型=抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)・抗Jo-1抗体(多発筋炎)。
選択肢ごとの解説
① 抗二本鎖DNA抗体は均質型や辺縁型を示し、斑紋型の典型ではない。 ② 抗核小体抗体は核小体型を示し、斑紋型ではない。 ③ 抗ヒストン抗体は均質型を示し、斑紋型ではない。 ④ 抗ミトコンドリア抗体は細胞質型を示し、核の斑紋型ではない。 ⑤ 正しい。斑紋型を示す自己抗体は抗ENA(可溶性核抗原)抗体で、抗U1-RNPや抗Sm抗体などが含まれる。
📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患
第65回 午後84(臨床免疫学)
モノクローナル抗体作製法について正しいのはどれか。
①細胞融合剤としてエタノールを使用する。 ②HAT培地中のヒポキサンチンは核酸合成を阻害する。 ③骨髄腫同士の融合細胞はHAT培地中のチミジンにより死滅する。 ④骨髄腫細胞とB細胞が融合したものはハイブリドーマと呼ばれる。 ⑤B細胞同士の融合細胞はHAT培地中のアミノプテリンにより死滅する。
正答: ④骨髄腫細胞とB細胞が融合したものはハイブリドーマと呼ばれる。
ポイント モノクローナル抗体は、抗原で免疫した動物の脾臓B細胞(抗体産生能をもつが寿命が短い)と、無限増殖能をもつ骨髄腫細胞(ミエローマ)を融合させたハイブリドーマから得る。細胞融合にはポリエチレングリコール(PEG)を用いる。選択にはHAT培地(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン)を用い、アミノプテリンが核酸のde novo(新規)合成を阻害するため、HGPRT(ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)を欠損させた骨髄腫はサルベージ経路も使えず死滅する。B細胞由来のHGPRTをもつハイブリドーマのみがヒポキサンチンを利用して生存する。 ●ハイブリドーマ作製の要素=B細胞(特異性)+骨髄腫細胞(不死性)+PEG(融合)+HAT培地(選択)。 ●HAT培地の各成分=ヒポキサンチン/チミジン(サルベージ経路の基質)・アミノプテリン(de novo合成阻害)。 ●抗体の種類=モノクローナル抗体(単一エピトープ)・ポリクローナル抗体(複数エピトープ)。
選択肢ごとの解説
① 細胞融合剤にはポリエチレングリコール(PEG)を用い、エタノールは融合剤ではない。 ② ヒポキサンチンはサルベージ経路の基質として核酸合成を供給する物質であり、合成を阻害するのではない。 ③ 骨髄腫同士の融合細胞はHGPRT欠損のため、チミジンではなくアミノプテリンによるde novo合成阻害で死滅する。 ④ 正しい。骨髄腫細胞とB細胞が融合したものはハイブリドーマと呼ばれ、HAT培地で選択的に生存する。 ⑤ B細胞同士の融合細胞は寿命が短く自然に死滅するものであり、アミノプテリンによる死滅が選択原理ではない。
📋 まとめの表を見る:モノクローナル抗体作製(ハイブリドーマ法)の要素
骨髄腫細胞とB細胞が融合した細胞をハイブリドーマと呼ぶ。細胞融合剤にエタノールは用いない。
第65回 午後85(臨床免疫学)
細菌に対する自然免疫の機能で誤っているのはどれか。
①Toll様受容体が菌体成分を認識する。 ②補体系では主として古典経路が働く。 ③好中球は血中から炎症箇所に移動する。 ④粘膜を覆っている粘液には抗菌作用がある。 ⑤樹状細胞は抗原提示により獲得免疫への橋渡しを行う。
正答: ②補体系では主として古典経路が働く。
ポイント 自然免疫は病原体を非特異的・即時的に排除する防御で、Toll様受容体による病原体関連分子パターン(PAMPs)の認識、好中球・マクロファージによる貪食、補体の活性化、粘膜の粘液・リゾチームなどの抗菌作用からなる。自然免疫で主に働く補体経路は抗体を必要としない第二経路(副経路、alternative pathway)とレクチン経路であり、抗体(免疫複合体)を起点とする古典経路は獲得免疫と連動して働く。 ●補体活性化経路=古典経路(抗体依存・獲得免疫)/第二経路(菌体表面で直接・自然免疫)/レクチン経路(マンノース結合レクチン・自然免疫)。 ●自然免疫の構成=物理化学的バリア(皮膚・粘液・リゾチーム)・食細胞(好中球・マクロファージ)・NK細胞・補体・パターン認識受容体(Toll様受容体)。 ●獲得免疫=T細胞(細胞性)・B細胞/抗体(液性)・抗原特異性と記憶。
選択肢ごとの解説
① Toll様受容体はリポ多糖(LPS)などの菌体成分(PAMPs)を認識する自然免疫の受容体で、正しい記述である。 ② 誤り。自然免疫で主に働く補体経路は抗体非依存の第二経路(副経路)・レクチン経路であり、抗体依存の古典経路ではない。 ③ 好中球は血中から炎症部位へ遊走して貪食する自然免疫の主役で、正しい記述である。 ④ 粘膜の粘液にはリゾチームなどの抗菌物質が含まれ、自然免疫のバリアとして正しい記述である。 ⑤ 樹状細胞は抗原提示により獲得免疫へ橋渡しする細胞で、正しい記述である。
第65回 午後86(臨床免疫学)
健常成人の血清免疫電気泳動像を別に示す。矢印が示す沈降線に相当するのはどれか。ただし、泳動像上部は写真、下部はその一部の模式図を示す。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB086.2410788363.jpg
正答: ②IgA
ポイント 血清免疫電気泳動では、血清成分を寒天上で電気泳動した後に抗ヒト血清を反応させ、各蛋白が抗原抗体反応で形成する沈降線(弧)の位置・長さ・形で異常蛋白を評価する。IgGは血清中で最も濃度が高く、長く濃い沈降線を形成する。IgAは血清中で2番目に多い免疫グロブリンで、IgGの陽極側寄りに特徴的な沈降線を示し、矢印はこのIgAに相当する。 ●免疫グロブリンの血清濃度(多い順)=IgG>IgA>IgM>IgD>IgE。 ●IgG=最多・胎盤通過・二次応答の主体。 ●IgA=分泌液中の局所免疫(分泌型IgA)。 ●IgM=五量体・一次応答で最初に産生・分子量最大。 ●IgE=Ⅰ型アレルギー・寄生虫感染。 ●M蛋白(単クローン性)=多発性骨髄腫でM-bow(鋭い沈降線の膨隆)を呈する。
選択肢ごとの解説
① IgGは血清中で最も多く長く濃い沈降線を形成するが、本問の矢印はそれとは別の沈降線を指している。 ② 正しい。矢印が示す沈降線はIgAに相当し、IgAは血清中で2番目に多い免疫グロブリンである。 ③ IgMは五量体で分子量が大きく、IgGより陰極側に短い沈降線を作るが、矢印の位置とは異なる。 ④ IgDは血清中濃度が極めて低く、通常の免疫電気泳動では明瞭な沈降線を形成しにくい。 ⑤ IgEは血清中濃度が最も低く、通常の免疫電気泳動では検出されにくい。
📋 まとめの表を見る:5種類の免疫グロブリンの主な性状
単クローン性増加=1クローン由来で単一Igが増加(原発性マクログロブリン血症=IgM)。多クローン性増加=感染症・自己免疫疾患など。
第65回 午後87(臨床免疫学)
血液製剤の細菌汚染対策のために重要なのはどれか。
①外観の検査 ②放射線照射 ③核酸増幅検査 ④抗HLA抗体検査 ⑤トリプターゼ測定
正答: ①外観の検査
ポイント 血液製剤の細菌汚染は輸血による敗血症など重篤な副作用を起こすため、輸血直前に製剤の外観(色調の変化・凝集・溶血・混濁・気泡・バッグの破損など)を目視で確認することが重要である。異常を認めた製剤は使用を中止する。なお核酸増幅検査(NAT)はウイルス感染対策、放射線照射は輸血後移植片対宿主病(GVHD)予防のための対策であり、いずれも細菌汚染対策ではない。 ●細菌汚染対策=外観の目視確認・採血時の皮膚消毒・初流血除去・保存温度管理。 ●ウイルス感染対策=核酸増幅検査(NAT)・問診・抗体スクリーニング。 ●輸血後GVHD対策=放射線照射。 ●TRALI(輸血関連急性肺障害)対策=抗HLA/抗顆粒球抗体陽性ドナーの管理。
選択肢ごとの解説
① 正しい。血液製剤の外観検査(色調変化・混濁・凝集・溶血などの目視確認)は細菌汚染を発見する重要な手段である。 ② 放射線照射は輸血後移植片対宿主病(GVHD)の予防が目的で、細菌汚染対策ではない。 ③ 核酸増幅検査(NAT)はHBV・HCV・HIVなどのウイルス感染対策が目的で、細菌汚染対策ではない。 ④ 抗HLA抗体検査は輸血関連急性肺障害や血小板輸血不応の対策に関わり、細菌汚染対策ではない。 ⑤ トリプターゼ測定はアナフィラキシーなどマスト細胞活性化の指標であり、細菌汚染対策ではない。
第65回 午後88(臨床免疫学)
血液製剤のラベルの色と血液型の組合せで正しいのはどれか。
①A型 — 青色 ②B型 — 白色 ③O型 — 桃色 ④AB型 — 黄色 ⑤AB型 — 緑色
正答: ②B型 — 白色
ポイント 輸血用血液製剤のラベルはABO血液型ごとに色分けされており、A型は黄色、B型は白色、O型は青色、AB型は桃色(ピンク)と規定されている。この色分けは血液型の取り違えという重大な医療事故を視覚的に防止するための仕組みであり、製剤の払い出しや照合の際の補助となる。 ●ABO血液型とラベル色=A型(黄)・B型(白)・O型(青)・AB型(桃)。 ●ABO血液型と抗原/抗体=A型(A抗原・抗B)・B型(B抗原・抗A)・O型(抗A抗B)・AB型(A/B抗原・抗体なし)。 ●輸血時の安全確認=交差適合試験・患者と製剤の照合・ベッドサイド最終確認。
選択肢ごとの解説
① A型のラベル色は黄色であり、青色は誤りである。 ② 正しい。B型のラベル色は白色である。 ③ O型のラベル色は青色であり、桃色は誤りである。 ④ AB型のラベル色は桃色であり、黄色は誤りである。 ⑤ AB型のラベル色は桃色であり、緑色は誤りである。
📋 まとめの表を見る:ABO血液型の抗原・抗体と輸血用血液製剤の適合
赤血球製剤は、供血者赤血球の抗原が患者血清中の抗体と反応しない型を選ぶため「抗原の少ない型」ほど適合範囲が広い(O型が万能供血者、AB型が万能受血者)。血漿・血小板製剤は逆に、供血者血漿中の抗体が患者赤血球の抗原と反応しない型を選ぶため、赤血球とは適合関係が左右反対になる(AB型血漿が万能供血)。血液型が確定できない緊急輸血では、赤血球製剤はO型、血漿・血小板製剤はAB型を用いる(RhD陰性製剤は病院在庫が乏しく供給に時間を要するため、救命優先でRhD陽性製剤を応急的に使用することがある)。ラベル色は日本赤十字社の規定で取り違い防止のために用いられる。
第65回 午後89(臨床免疫学)
不規則抗体同定検査の間接抗グロブリン試験〈試験管法〉と直接抗グロブリン試験〈試験管法〉の両方に使用されるのはどれか。2つ選べ。
①ブロメリン ②パネル赤血球 ③被検者の血清 ④IgG感作赤血球 ⑤被検者の赤血球
正答: ④IgG感作赤血球・⑤被検者の赤血球
ポイント 間接抗グロブリン試験は被検血清中の不完全抗体が試験管内で赤血球に感作するかを抗グロブリン試薬で検出する方法で、直接抗グロブリン試験は生体内ですでに赤血球に結合している抗体や補体を検出する方法である。両試験に共通して用いられるのは、抗グロブリン試薬の反応性が正しく機能していることを確認するコントロール用のIgG感作赤血球(陰性反応のとき試薬の失活でないことを保証する)と、被検者本人の赤血球である(直接法では被検対象、間接法でも自己対照などとして用いる)。 ●間接抗グロブリン試験に固有=被検者血清・パネル/スクリーニング赤血球(抗体同定)。 ●直接抗グロブリン試験=被検者赤血球そのものを抗グロブリン試薬と反応(自己免疫性溶血性貧血・新生児溶血性疾患・薬剤性溶血の診断)。 ●両法共通=IgG感作赤血球(コントロール)・被検者赤血球。 ●酵素(ブロメリン・フィシン・パパイン)=抗体の検出感度を高める前処理(間接法)。
選択肢ごとの解説
① ブロメリンは赤血球を処理して抗原抗体反応を増強する酵素試薬で、間接法側に用い直接抗グロブリン試験には用いない。 ② パネル赤血球は抗体同定のための既知抗原赤血球で、間接抗グロブリン試験に用いるが直接法には用いない。 ③ 被検者の血清は間接抗グロブリン試験に用いるが、赤血球結合抗体を直接検出する直接抗グロブリン試験には用いない。 ④ 正しい。IgG感作赤血球は抗グロブリン試薬の反応性確認用コントロールとして間接法・直接法の両方で用いられる。 ⑤ 正しい。被検者の赤血球は直接抗グロブリン試験の被検対象であり、間接法でも自己対照などとして両方に用いられる。
📋 まとめの表を見る:直接抗グロブリン試験と間接抗グロブリン試験の比較
両試験とも抗グロブリン試薬(Coombs試薬)を使用し、非凝集時にはIgG感作赤血球を加えて試薬の有効性を確認する点は共通。
第65回 午後90(公衆衛生学)
平成29年〈2017年〉の日本の人口について正しいのはどれか。
①出生数は100万人を超えている。 ②粗死亡率は前年より低下している。 ③総再生産率は純再生産率より小さい。 ④合計特殊出生率は1.3を下回っている。 ⑤年齢調整死亡率は男性より女性の方が低い。
正答: ⑤年齢調整死亡率は男性より女性の方が低い。
ポイント 年齢調整死亡率は基準人口を用いて年齢構成の影響を取り除いた死亡率で、平成29年(2017年)の日本では男性より女性の方が低い。同年の出生数は約94万人で100万人を下回り、合計特殊出生率は1.43で1.3を上回っていた。総再生産率(女児の出生のみで計算し死亡を考慮しない)は、その女児がさらに母になるまでの死亡を差し引いた純再生産率より大きい。近年の粗死亡率は高齢化により上昇傾向にある。 ●出生関連指標=合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子の数)・総再生産率(女児のみ)・純再生産率(女児+死亡考慮)。 ●死亡関連指標=粗死亡率・年齢調整死亡率・乳児死亡率・標準化死亡比(SMR)。 ●人口統計の出典=出生/死亡は人口動態統計、年齢構成は国勢調査。
選択肢ごとの解説
① 平成29年の出生数は約94万人で100万人を下回っており、誤りである。 ② 近年の粗死亡率は高齢化により上昇傾向にあり、前年より低下しているとはいえない。 ③ 総再生産率は死亡を考慮しない指標であり、死亡を考慮した純再生産率より大きいため、小さいとする記述は誤りである。 ④ 平成29年の合計特殊出生率は1.43であり、1.3を下回っていないため誤りである。 ⑤ 正しい。年齢調整死亡率は男性より女性の方が低い。
第65回 午後91(公衆衛生学)
国民生活基礎調査で報告されているのはどれか。2つ選べ。
正答: ③通院者率・⑤有訴者率
ポイント 国民生活基礎調査は世帯・健康・介護・所得などを世帯への聞き取りで調べる大規模統計で、健康票では自覚症状のある者の割合である有訴者率と、通院している者の割合である通院者率が報告される。これらは住民の主観的な健康状態を反映する指標である。一方、医療機関側からみた受療率は患者調査で、健康診断で異常を認めた割合である有所見率は別の調査で扱われる。 ●国民生活基礎調査の指標=有訴者率・通院者率・要介護度・所得・貧困率。 ●患者調査の指標=受療率・推計患者数・平均在院日数・総患者数。 ●健康診断関連=有所見率・特定健診の保健指導該当者率。
選択肢ごとの解説
① 受診率は国民生活基礎調査の主要報告項目ではない。 ② 受療率は患者調査で報告される指標であり、国民生活基礎調査の項目ではない。 ③ 正しい。通院者率(通院している者の割合)は国民生活基礎調査で報告される指標である。 ④ 有所見率は健康診断の結果に関する指標であり、国民生活基礎調査の項目ではない。 ⑤ 正しい。有訴者率(自覚症状のある者の割合)は国民生活基礎調査で報告される指標である。
第65回 午後92(公衆衛生学)
職場の有害因子と生物学的モニタリングの尿中測定項目の組合せで誤っているのはどれか。
①鉛 — δ-アミノレブリン酸 ②トルエン — 馬尿酸 ③キシレン — メチル馬尿酸 ④マンガン — フェノール ⑤カドミウム — β₂-ミクログロブリン
正答: ④マンガン — フェノール
ポイント 生物学的モニタリングは有害物質の体内曝露量を尿中・血中の本体や代謝物で評価する手法である。マンガン曝露では尿中フェノールは指標とならず、フェノールはベンゼン曝露の尿中代謝物指標である。鉛では尿中δ-アミノレブリン酸(ヘム合成阻害により増加)、トルエンでは尿中馬尿酸、キシレンでは尿中メチル馬尿酸が指標となる。 ●鉛=尿中δ-アミノレブリン酸・血中鉛・赤血球プロトポルフィリン。 ●トルエン=尿中馬尿酸/キシレン=尿中メチル馬尿酸。 ●ベンゼン=尿中フェノール・尿中t,t-ムコン酸。 ●スチレン=尿中マンデル酸/トリクロロエチレン=尿中トリクロロ酢酸。 ●カドミウム=尿中β₂-ミクログロブリン(尿細管障害指標)。
選択肢ごとの解説
① 鉛曝露ではヘム合成阻害により尿中δ-アミノレブリン酸が増加し、正しい組合せである。 ② トルエン曝露では尿中馬尿酸が指標となり、正しい組合せである。 ③ キシレン曝露では尿中メチル馬尿酸が指標となり、正しい組合せである。 ④ 誤り。マンガン曝露の尿中指標としてフェノールは用いない。尿中フェノールはベンゼン曝露の指標である。 ⑤ カドミウム曝露では尿細管障害の指標として尿中β₂-ミクログロブリンが用いられ、正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:化学物質・有機溶剤と生体曝露指標(生物学的モニタリング)
有機リン系農薬は血清コリンエステラーゼ活性の低下、メチル水銀の曝露評価では毛髪中・血中水銀が用いられる。尿中水銀は主として金属水銀・無機水銀の曝露評価に用い、メチル水銀と区別する。生物学的モニタリングは血液・尿・毛髪など生体試料から作業者の化学物質曝露量を評価する手法である。
第65回 午後93(公衆衛生学)
特定健康診査の必須項目はどれか。2つ選べ。
①γ-GT ②心電図 ③眼底検査 ④空腹時血糖 ⑤総コレステロール
正答: ①γ-GT・④空腹時血糖
ポイント 特定健康診査はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した40〜74歳対象の健診で、基本(必須)項目には身体計測(腹囲・BMI)、血圧、血中脂質(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)、肝機能(AST・ALT・γ-GT)、血糖(空腹時血糖またはHbA1c)、尿検査(尿糖・尿蛋白)などが含まれる。心電図・眼底検査・貧血検査は詳細な健診(追加項目)であり、一定の条件下に医師の判断で実施される。 ●特定健診の必須項目=身体計測・血圧・脂質(TG/HDL/LDL)・肝機能(AST/ALT/γ-GT)・血糖(空腹時血糖/HbA1c)・尿検査。 ●詳細な健診(追加項目)=心電図・眼底検査・貧血検査・血清クレアチニン。 ●特定保健指導=動機付け支援・積極的支援。
選択肢ごとの解説
① 正しい。γ-GTは肝機能検査として特定健康診査の必須項目に含まれる。 ② 心電図は詳細な健診(追加項目)であり、必須項目ではない。 ③ 眼底検査は詳細な健診(追加項目)であり、必須項目ではない。 ④ 正しい。空腹時血糖(またはHbA1c)は血糖検査として特定健康診査の必須項目に含まれる。 ⑤ 総コレステロールは必須項目ではなく、脂質の必須項目は中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロールである。
第65回 午後94(公衆衛生学)
我が国の医療保険制度について正しいのはどれか。
①加入は任意である。 ②介護保険制度を含む。 ③租税が主な財源である。 ④療養の給付は現金給付である。 ⑤被用者保険と国民健康保険に分けられる。
正答: ⑤被用者保険と国民健康保険に分けられる。
ポイント 日本の医療保険は国民皆保険を原則とし、職域を基盤とする被用者保険(健康保険・共済組合・船員保険など)と、それ以外の地域住民を対象とする国民健康保険に大別される。加入は法律で義務づけられ任意ではなく、主な財源は保険料(一部公費補助あり)である。療養の給付は原則として現物給付(医療サービスそのものの提供)であり、介護保険は医療保険とは別個の社会保険制度である。 ●社会保険の5分野=医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険。 ●医療保険の種類=被用者保険(健康保険・共済組合・船員保険)・国民健康保険・後期高齢者医療制度。 ●給付の形態=現物給付(療養の給付)・現金給付(傷病手当金・出産育児一時金)。
選択肢ごとの解説
① 日本は国民皆保険で加入は法律上の義務であり、任意ではない。 ② 介護保険は医療保険とは別個の社会保険制度であり、医療保険には含まれない。 ③ 医療保険の主な財源は保険料であり、租税が主財源ではない。 ④ 療養の給付は原則として現物給付(医療サービスの提供)であり、現金給付ではない。 ⑤ 正しい。日本の医療保険は被用者保険と国民健康保険に大別される。
📋 まとめの表を見る:社会保険制度の比較(医療保険・介護保険・労災保険等)
第65回 午後95(医用工学概論)
アナログ信号のデジタル信号への変換において信号を一定の時間間隔で読み取ることを示すのはどれか。
正答: ③標本化
ポイント アナログ信号をデジタル信号へ変換する過程は、標本化(サンプリング)→量子化→符号化(コード化)の順で進む。標本化は連続的なアナログ信号を一定の時間間隔で読み取って離散的な時系列にする操作であり、その間隔の逆数が標本化周波数である。量子化は読み取った各値を有限段階のレベルに振り分け、符号化はそのレベルを2進数などのコードで表現する。 ●A/D変換の3段階=標本化(時間軸の離散化)・量子化(振幅の離散化)・符号化(2進数表現)。 ●標本化定理(ナイキスト)=信号の最高周波数の2倍以上で標本化すれば波形を復元できる。 ●関連量=標本化周波数・量子化ビット数・分解能・折り返し雑音(エイリアシング)。
選択肢ごとの解説
① 正規化は値を一定範囲に揃える処理であり、時間方向の読み取りではない。 ② 標準化はデータの基準化・規格化を指し、標本化とは異なる。 ③ 正しい。標本化(サンプリング)は一定の時間間隔で信号値を読み取る操作である。 ④ 量子化は標本化した各値を離散的なレベルに振り分ける操作であり、時間方向の読み取りではない。 ⑤ コード化(符号化)は量子化した値を2進数などで表現する操作である。
📋 まとめの表を見る:A/D変換の3段階(標本化・量子化・符号化)
標本化定理により、標本化周波数は信号の最高周波数の2倍以上必要である。
第65回 午後96(医用工学概論)
磁場を検出できるのはどれか。2つ選べ。
①ストレンゲージ ②サーミスタ ③ホール素子 ④SQUID ⑤CdS
正答: ③ホール素子・④SQUID
ポイント 磁場を検出できる素子には、半導体に電流を流し磁場により生じる起電力(ホール電圧)を利用するホール素子と、超伝導リングのジョセフソン接合を用いる超伝導量子干渉素子であるSQUID(superconducting quantum interference device)がある。SQUIDは極めて微弱な磁場を検出でき、脳磁図(MEG)や心磁図の計測に用いられる。一方、ひずみ・温度・光を検出する素子は磁場検出には用いない。 ●磁場検出=ホール素子・SQUID・磁気抵抗素子(MR素子)。 ●ひずみ(変形)=ストレンゲージ。 ●温度=サーミスタ・熱電対・測温抵抗体。 ●光(照度)=CdS(硫化カドミウム)・フォトダイオード・フォトトランジスタ。
選択肢ごとの解説
① ストレンゲージは機械的なひずみ(変形)を抵抗変化で検出する素子で、磁場検出はできない。 ② サーミスタは温度変化を抵抗変化で検出する素子で、磁場検出はできない。 ③ 正しい。ホール素子はホール効果を利用して磁場を検出できる。 ④ 正しい。SQUID(超伝導量子干渉素子)は微弱な磁場を検出でき、脳磁図などに用いられる。 ⑤ CdS(硫化カドミウム)は光により抵抗が変化する光導電素子で、磁場検出はできない。
第65回 午後97(医用工学概論)
DNAの塩基をA、C、G、Tの4種類で表すとき、連続した塩基3個の配列で表現できる最大の情報量はどれか。
正答: ④64
ポイント 塩基はA・C・G・Tの4種類であり、連続した3個の配列(トリプレット、コドン)で表現できる組合せ数は、各位置が4通りで3個分なので4の3乗=64通りである。実際の遺伝暗号でも、3塩基1組のコドンが64通りあり、20種類のアミノ酸と終止コドンを過不足なく指定できることに対応する。 ●順列の考え方=n種類をr桁並べる場合の数はnのr乗(4の3乗=64)。 ●情報量の単位=1塩基は4通り=2ビット、3塩基で6ビット(2の6乗=64)。 ●遺伝暗号の特徴=64コドン・20アミノ酸・縮重(同一アミノ酸を複数コドンが指定)・終止コドン(UAA/UAG/UGA)。
選択肢ごとの解説
① 12は4×3の計算であり、配列の組合せ数の求め方として誤りである。 ② 24は4×3×2など誤った計算結果であり、4の3乗とは一致しない。 ③ 32は2の5乗であり、塩基3個の組合せ数ではない。 ④ 正しい。4種類の塩基3個の配列は4の3乗=64通りで、最大の情報量は64である。 ⑤ 81は3の4乗であり、本問の4の3乗とは一致しない。
📋 まとめの表を見る:べき乗による情報量・組合せ数の計算
nビットの2進数では2のn乗通り、n種類の記号をr桁並べる場合はnのr乗通りの組合せを表現できる。
第65回 午後98(医用工学概論)
定義済み処理を表すフローチャート記号はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k65pB098.1b517c2493.jpg
①長方形 ②長方形の左右に縦線 ③円の中に× ④ひし形 ⑤上辺と左辺が二重線の四角形
正答: ②長方形の左右に縦線
ポイント フローチャート(流れ図)では処理の種類ごとに記号が規定されている。定義済み処理(サブルーチンなどあらかじめ別に定義された一連の処理を呼び出すもの)は、長方形の左右に縦線を加えた記号で表す。通常の処理(演算・代入)は長方形、判断(分岐)はひし形、データの入出力は平行四辺形、開始・終了の端子は角丸長方形(だ円)で表す。 ●処理=長方形/定義済み処理(サブルーチン)=両側に縦線を加えた長方形。 ●判断(分岐)=ひし形/端子(開始・終了)=角丸長方形。 ●入出力=平行四辺形/表示=下辺が波形/ループ=六角形。 ●流れの方向=矢印(線)。
選択肢ごとの解説
① 長方形は通常の処理(演算・代入など)を表す記号である。 ② 正しい。長方形の左右に縦線を加えた記号は定義済み処理(サブルーチン)を表す。 ③ 円の中に×などの記号は本問の定義済み処理を表す記号ではない。 ④ ひし形は判断(分岐)を表す記号である。 ⑤ 上辺と左辺が二重線の四角形は定義済み処理の標準記号とは異なる。
第65回 午後99(医用工学概論)
臨床検査情報の一次利用はどれか。
①保健所への報告 ②医学研究への利用 ③教育用資料の作成 ④経営管理への利用 ⑤患者治療法選択への利用
正答: ⑤患者治療法選択への利用
ポイント 臨床検査情報の一次利用とは、検査本来の目的である患者個人の診療、すなわち診断・治療法の選択・治療効果の判定・経過観察に検査結果を直接用いることを指す。これに対し、二次利用は得られた検査情報を本来の診療目的以外に活用するもので、医学研究・教育・病院経営管理・公衆衛生統計・感染症報告などが該当し、個人情報保護や匿名化への配慮が必要となる。 ●一次利用=当該患者の診断・治療方針決定・経過観察・予後判定。 ●二次利用=医学研究・教育用資料・経営管理・公衆衛生統計・行政報告(保健所への感染症届出など)。 ●二次利用の留意点=匿名化・個人情報保護・倫理審査。
選択肢ごとの解説
① 保健所への報告(感染症統計など)は本来の診療目的外であり、二次利用にあたる。 ② 医学研究への利用は本来の診療目的外であり、二次利用にあたる。 ③ 教育用資料の作成は本来の診療目的外であり、二次利用にあたる。 ④ 経営管理への利用は本来の診療目的外であり、二次利用にあたる。 ⑤ 正しい。患者治療法選択への利用は当該患者の診療に直接用いる一次利用である。
第65回 午後100(医用工学概論)
純水製造法で、イオン交換法が逆浸透法より効率的に除去できる物質はどれか。
正答: ①塩素
ポイント 純水製造ではイオン交換法と逆浸透法を組み合わせる。イオン交換法は陽イオン交換樹脂・陰イオン交換樹脂により溶存イオン(電解質)を効率的に除去でき、塩素イオン(塩化物イオン)などのイオンの除去に優れる。一方、逆浸透法は半透膜を用いてイオン以外の比較的大きな不純物、すなわち細菌・エンドトキシン・微粒子・有機物などの除去に優れるため、塩素のようなイオンはイオン交換法の方が効率的に除去できる。 ●イオン交換法が得意=溶存イオン(塩化物・カルシウム・ナトリウムなどの電解質)。 ●逆浸透法が得意=細菌・エンドトキシン・微粒子・高分子有機物(イオン以外)。 ●その他の精製=活性炭(残留塩素・有機物)・限外ろ過(微粒子・パイロジェン)・蒸留(多くの不純物)・紫外線(殺菌)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。塩素(塩化物イオン)はイオンであり、イオン交換法が逆浸透法より効率的に除去できる。 ② 細菌は逆浸透膜で効率的に除去され、イオン交換法では除去しにくい。 ③ メタンなどの非電解質ガスはイオンではなく、イオン交換法では除去しにくい。 ④ 浮遊粒子は逆浸透や前処理のろ過で除去され、イオン交換法の得意分野ではない。 ⑤ エンドトキシンは逆浸透膜で効率的に除去され、イオン交換法では除去しにくい。
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