第66回(2020) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第66回 午前1(臨床検査総論)
臨床検査室において尿浸透圧の測定に用いられるのはどれか。
- ①屈折計法
- ②氷点降下法
- ③ガラス電極法
- ④陽イオン抽出法
- ⑤メタクロマジー法
正答: ②氷点降下法
ポイント
尿浸透圧は溶質粒子の総数を反映する束一的性質であり、臨床検査室では氷点降下法(凝固点降下法)が標準法として用いられる。溶質が増えるほど水の凝固点が降下し、その降下度が溶質の質量モル濃度に比例することを利用して浸透圧を算出する。蒸気圧降下法も束一的性質を利用するが揮発性溶質の影響を受けるため、尿では氷点降下法が一般的である。●束一的性質を利用する測定=氷点降下法(標準)・蒸気圧降下法・沸点上昇法・浸透圧法。●尿の物理化学的指標=浸透圧(溶質粒子数を反映)・比重(溶質の質量と種類を反映、屈折計法/尿比重計)。●浸透圧の関連検査=血清浸透圧・浸透圧ギャップ(実測値と計算値の差)。
選択肢ごとの解説
- ① 屈折計法は尿比重の簡易測定に用いる方法で、溶質の質量と種類を屈折率として反映するが、溶質粒子数を反映する浸透圧そのものは測定できない。
- ② 正しい。氷点降下法は溶質粒子数に依存する凝固点降下を利用しており、尿や血清の浸透圧測定の標準法である。
- ③ ガラス電極法は水素イオン濃度(pH)測定に用いる電位差測定法であり、浸透圧測定の原理ではない。
- ④ 陽イオン抽出法はナトリウムなど特定陽イオンの分離・定量に関わる手法で、総浸透圧の測定には用いない。
- ⑤ メタクロマジー法は色素が結合対象により異なる色調を示す異調染色を利用する染色法であり、浸透圧測定とは無関係である。
第66回 午前2(臨床検査総論)
関節液中にピロリン酸カルシウムが認められるのはどれか。
- ①痛風
- ②偽痛風
- ③化膿性関節炎
- ④関節リウマチ
- ⑤変形性関節症
正答: ②偽痛風
ポイント
偽痛風は関節内にピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)結晶が沈着して起こる急性関節炎で、関節液中に弱い正の複屈折を示す短冊状・菱形結晶を認める。針状で強い負の複屈折を示す尿酸ナトリウム結晶を呈する痛風と偏光顕微鏡で鑑別される。膝関節など大関節に好発し、X線で関節軟骨の石灰化(軟骨石灰化症)を伴うことが多い。●結晶誘発性関節炎=痛風(尿酸ナトリウム、針状・負の複屈折)・偽痛風(ピロリン酸カルシウム、菱形・正の複屈折)。●感染性関節炎=化膿性関節炎(細菌、好中球と菌)。●非結晶性炎症=関節リウマチ(自己免疫性滑膜炎)・変形性関節症(軟骨変性)。
選択肢ごとの解説
- ① 痛風では関節液中に尿酸ナトリウム結晶(針状、強い負の複屈折)が認められ、ピロリン酸カルシウム結晶ではない。
- ② 正しい。偽痛風はピロリン酸カルシウム二水和物結晶の沈着による関節炎で、関節液中に菱形・短冊状の結晶を認める。
- ③ 化膿性関節炎は細菌感染による関節炎で、関節液は混濁し多数の好中球と菌を認めるが結晶はみられない。
- ④ 関節リウマチは自己免疫性の滑膜炎で、関節液中に結晶は認めず炎症細胞が主体である。
- ⑤ 変形性関節症は加齢・機械的負荷による軟骨変性で、関節液は粘稠度が保たれ結晶は認めない。
第66回 午前3(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本を別に示す。認められる結晶はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA003.3bd0e618c5.jpg

- ①尿酸結晶
- ②シスチン結晶
- ③ビリルビン結晶
- ④リン酸カルシウム結晶
- ⑤シュウ酸カルシウム結晶
正答: ②シスチン結晶
ポイント
尿中シスチン結晶は無色透明な正六角形の板状結晶で、しばしば重なり合って出現する。先天性のアミノ酸再吸収障害であるシスチン尿症で認められ、酸性尿で溶解度が低く析出しやすい。シアノニトロプルシド反応(ニトロプルシド試験)が陽性となることでも確認できる。●無色透明の異常結晶=シスチン(正六角形板状)・チロシン(針状束状)・ロイシン(同心円状球状)。●酸性尿の結晶=尿酸(黄褐色多形)・シュウ酸カルシウム(正八面体・封筒状)。●アルカリ性尿の結晶=リン酸カルシウム・リン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト、棺蓋状)。●代謝・病的結晶=ビリルビン(黄褐色針状)・コレステロール(板状切り欠き)。
選択肢ごとの解説
- ① 尿酸結晶は黄褐色で菱形・砂時計状など多彩な形態を示し、酸性尿に出現するが無色の正六角形板状ではない。
- ② 正しい。無色透明の正六角形板状結晶はシスチン結晶の典型像で、シスチン尿症で認められる。
- ③ ビリルビン結晶は黄褐色から赤褐色の針状・顆粒状で、閉塞性黄疸などビリルビン尿でみられる。
- ④ リン酸カルシウム結晶はアルカリ尿に出現する無色の楔状・板状結晶で、正六角形ではない。
- ⑤ シュウ酸カルシウム結晶は正八面体(封筒状)が典型で、正六角形板状とは形態が異なる。
第66回 午前4(臨床検査総論)
臨床検査技師が放射性同位元素〈RI〉を取扱う際に遵守すべきなのはどれか。
- ①ゴム手袋の二重装着
- ②放射線防護服の着用
- ③測定試薬の管理台帳作成
- ④放射線業務従事者の免許取得
- ⑤RI廃棄物のオートクレーブ処理
正答: ③測定試薬の管理台帳作成
ポイント
放射性同位元素(RI)を用いる検査では放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づき、使用・保管・廃棄の状況を記録する管理台帳(帳簿)の作成・保存が義務づけられている。被ばく低減の三原則(時間を短く・距離を遠く・遮蔽する)と汚染管理が基本である。臨床検査技師がRIを取り扱うのに特別な免許は不要だが、放射線業務従事者としての教育訓練と健康診断が求められる。●外部被ばく低減の三原則=時間・距離・遮蔽。●被ばくの種類=外部被ばく・内部被ばく(吸入・経口・経皮)。●放射線測定器=GM計数管・シンチレーション検出器・電離箱・個人線量計(フィルムバッジ・ガラス線量計)。●RI廃棄物の処理=専用容器で保管し許可業者へ引渡し(オートクレーブや焼却で放射能は消えない)。
選択肢ごとの解説
- ① ゴム手袋の二重装着は汚染防止上有用な場合もあるが、RI取扱いで遵守すべき事項として一律に法定されたものではない。
- ② 放射線防護服の着用は診断用RIの取扱いで必須ではなく、遵守すべき法的事項とは言えない。
- ③ 正しい。RIの使用・保管・廃棄を記録する管理台帳(帳簿)の作成・保存は放射線障害防止法上の遵守事項である。
- ④ RIを取り扱うには放射線業務従事者としての教育・登録が必要だが、「免許取得」という制度はない。
- ⑤ RI廃棄物は法令に従い専用容器で保管し許可業者へ引き渡すものであり、オートクレーブ処理では放射能は消えない。
第66回 午前5(臨床検査総論)
糞便に用いる検査法はどれか。2つ選べ。
- ①Guthrie法
- ②Sudan Ⅲ染色法
- ③スルホサリチル酸法
- ④ジアゾカップリング法
- ⑤抗ヒトヘモグロビンイムノクロマト法
正答: ②Sudan Ⅲ染色法・⑤抗ヒトヘモグロビンイムノクロマト法
ポイント
糞便検査では脂肪便の評価にSudan Ⅲ染色(脂肪染色)、消化管出血の検出に抗ヒトヘモグロビン抗体を用いた免疫学的便潜血検査(イムノクロマト法)が用いられる。免疫法は食事由来の動物性ヘモグロビンや上部消化管出血の影響を受けにくく、下部消化管出血のスクリーニングに適する。化学的便潜血検査と異なり食事制限を要しない利点がある。●糞便の検査=便潜血(免疫法・化学的グアヤック法)・脂肪染色(Sudan Ⅲ)・寄生虫卵検査・便培養。●尿蛋白の検査=スルホサリチル酸法・試験紙法。●新生児マススクリーニング=Guthrie法(フェニルアラニンなど)・タンデムマス法。●ビリルビンの測定=ジアゾカップリング法。
選択肢ごとの解説
- ① Guthrie法は新生児マススクリーニングで血液中のフェニルアラニンなどを細菌の発育で検出する方法で、糞便検査ではない。
- ② 正しい。Sudan Ⅲ染色は中性脂肪を赤橙色に染める脂肪染色で、糞便中の脂肪(脂肪便)の評価に用いる。
- ③ スルホサリチル酸法は尿蛋白の検出に用いる方法で、糞便検査には用いない。
- ④ ジアゾカップリング法は尿ビリルビンや血清ビリルビンの測定に用いる反応で、糞便検査ではない。
- ⑤ 正しい。抗ヒトヘモグロビン抗体を用いたイムノクロマト法は免疫学的便潜血検査で、糞便中のヒトヘモグロビンを検出する。
第66回 午前6(臨床検査総論)
夜間採血の新鮮血塗抹標本に検出された勢い良く動く虫体の写真を別に示す。この寄生虫の感染経路はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA006.3f82c4d7f8.jpg

- ①経口感染
- ②経皮感染
- ③経気管感染
- ④経胎盤感染
- ⑤性行為感染
正答: ②経皮感染
ポイント
夜間採血の新鮮血で活発に動く虫体はミクロフィラリア(バンクロフト糸状虫・マレー糸状虫の幼虫)で、リンパ系フィラリア症の原因となる。感染は媒介蚊の吸血時に感染幼虫が皮膚から侵入する経皮感染で成立する。多くの種で夜間に末梢血へ出現する夜間定期出現性を示し、夜間採血が診断に有用である。●経皮感染する寄生虫=フィラリア(蚊媒介)・鉤虫・住血吸虫(セルカリアが皮膚侵入)・マラリア(蚊媒介)。●経口感染する寄生虫=回虫・蟯虫・無鉤条虫・有鉤条虫・アニサキス・赤痢アメーバ。●経胎盤感染=トキソプラズマ。●節足動物媒介=マラリア(ハマダラカ)・フィラリア(イエカ等)・バベシア(マダニ)。
選択肢ごとの解説
- ① 経口感染は飲食物を介する感染経路で、フィラリアの感染様式ではない。
- ② 正しい。ミクロフィラリア(フィラリア)は媒介蚊の吸血時に感染幼虫が皮膚から侵入する経皮感染で成立する。
- ③ 経気管感染は飛沫・空気を介する経路で、フィラリアには該当しない。
- ④ 経胎盤感染は母体から胎児への垂直感染で、フィラリアの主たる経路ではない。
- ⑤ 性行為感染はフィラリアの感染経路ではない。
📋 まとめの表を見る:寄生虫・原虫の感染経路の分類
📋 まとめの表を見る:寄生虫症と媒介動物(ベクター)
蚊が媒介するのはマラリア・フィラリアのみで、リーシュマニア(サシチョウバエ)・トリパノソーマ症(ツェツェバエ/サシガメ)とは媒介昆虫が異なる点が問われやすい。
第66回 午前7(臨床検査総論)
静脈採血法について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①採血前に患者自身に姓名を名乗ってもらう。
- ②ホルダーは患者ごとに交換する。
- ③採血部位は尺側皮静脈が第一選択となる。
- ④抜針後は穿刺部を揉む。
- ⑤針はホルダーから外して廃棄する。
正答: ①採血前に患者自身に姓名を名乗ってもらう。・②ホルダーは患者ごとに交換する。
ポイント
静脈採血では患者誤認防止のため、可能な限り患者自身に姓名を名乗ってもらい本人確認を行う。採血ホルダーは血液の付着による交差感染を防ぐため患者ごとに交換(ディスポーザブル化)するのが原則である。穿刺部位の第一選択は橈側皮静脈・肘正中皮静脈で、内側を走る神経・動脈の損傷を避けるため尺側皮静脈は慎重を要する。●採血の安全管理=本人確認(患者に名乗らせる)・ホルダーの患者ごと交換・リキャップ禁止・針刺し防止器具の使用。●採血部位=肘正中皮静脈・橈側皮静脈(第一選択)/尺側皮静脈(神経損傷リスク)。●止血=抜針後は揉まずに直接圧迫。●採血合併症=神経損傷・血管迷走神経反射・皮下血腫。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。患者誤認防止のため、可能な限り患者自身に姓名を名乗ってもらい本人確認を行う。
- ② 正しい。ホルダーは血液による汚染で交差感染の原因となるため、患者ごとに交換する。
- ③ 尺側皮静脈は内側に正中神経や上腕動脈が近接し損傷リスクが高く、第一選択にはならない。
- ④ 抜針後は揉まずに穿刺部を直接圧迫して止血するのが正しく、揉むと皮下出血を助長する。
- ⑤ 針はリキャップせず安全装置を作動させ、ホルダーごと専用容器へ廃棄するのが安全で、外して廃棄するのは誤りである。
第66回 午前8(臨床検査総論)
試験紙法で尿潜血が陽性、尿沈渣で赤血球が陰性となるのはどれか。2つ選べ。
- ①IgA腎症
- ②尿路結石
- ③横紋筋融解症
- ④ABO型不適合輸血
- ⑤急速進行性糸球体腎炎
正答: ③横紋筋融解症・④ABO型不適合輸血
ポイント
試験紙の尿潜血反応はヘモグロビンのもつペルオキシダーゼ様活性を検出するため、赤血球そのものが沈渣になくてもヘモグロビンやミオグロビンが尿中に存在すれば陽性となる。横紋筋融解症ではミオグロビン尿、血管内溶血(ABO型不適合輸血など)ではヘモグロビン尿により、沈渣赤血球が陰性でも潜血陽性となる。沈渣赤血球も陽性となるのは糸球体性・尿路性の血尿である。●潜血陽性・沈渣赤血球陰性=ミオグロビン尿(横紋筋融解症・挫滅)・ヘモグロビン尿(血管内溶血、ABO不適合輸血・発作性夜間ヘモグロビン尿症)。●潜血陽性・沈渣赤血球陽性=糸球体性血尿(IgA腎症・急速進行性糸球体腎炎、変形赤血球・赤血球円柱)・尿路性血尿(結石・腫瘍、均一赤血球)。
選択肢ごとの解説
- ① IgA腎症は糸球体性血尿をきたし、沈渣で赤血球(変形赤血球)を認めるため潜血陽性かつ赤血球陽性となる。
- ② 尿路結石は粘膜損傷による血尿で沈渣に赤血球を認めるため、赤血球陰性とはならない。
- ③ 正しい。横紋筋融解症ではミオグロビン尿となり、試験紙は陽性だが沈渣赤血球は陰性となる。
- ④ 正しい。ABO型不適合輸血では血管内溶血によるヘモグロビン尿で、試験紙陽性・沈渣赤血球陰性となる。
- ⑤ 急速進行性糸球体腎炎は強い糸球体障害で血尿を生じ、沈渣に赤血球・赤血球円柱を認める。
📋 まとめの表を見る:尿潜血反応と尿沈渣赤血球の解離(陽性・陰性の不一致)の原因
横紋筋融解症(ミオグロビン尿)やABO型不適合輸血による血管内溶血(ヘモグロビン尿)は、潜血反応陽性・沈渣赤血球陰性の代表例。
第66回 午前9(臨床検査総論)
結核性髄膜炎の髄液所見として正しいのはどれか。
- ①糖の増加
- ②蛋白の減少
- ③単核球の増加
- ④クロールの増加
- ⑤アデノシンデアミナーゼ〈ADA〉活性の低下
正答: ③単核球の増加
ポイント
結核性髄膜炎の髄液は、細胞増多がリンパ球(単核球)優位、蛋白増加、糖低下を示すのが典型である。クロール(塩化物)も低下し、アデノシンデアミナーゼ(ADA)活性は上昇する。好中球優位で著明な糖低下を示す細菌性髄膜炎と対比される。●結核性髄膜炎の髄液=単核球(リンパ球)優位・蛋白増加・糖低下・クロール低下・ADA上昇。●細菌性(化膿性)髄膜炎=好中球優位・蛋白著増・糖著減・髄液混濁。●ウイルス性髄膜炎=リンパ球優位・蛋白軽度増加・糖正常。●真菌性(クリプトコッカス)髄膜炎=リンパ球優位・糖低下・墨汁染色陽性。
選択肢ごとの解説
- ① 結核性髄膜炎では髄液糖は減少し、増加することはない。
- ② 蛋白は増加するのが典型で、減少は誤りである。
- ③ 正しい。結核性髄膜炎の細胞増多はリンパ球(単核球)優位であるのが特徴である。
- ④ クロール(塩化物)は低下するのが典型で、増加は誤りである。
- ⑤ アデノシンデアミナーゼ(ADA)活性は上昇するのが結核性髄膜炎の特徴で、低下は誤りである。
📋 まとめの表を見る:髄液検査所見と疾患の鑑別(正常・出血・細菌性/結核性/真菌性/ウイルス性髄膜炎)
細菌性髄膜炎ではLD(乳酸脱水素酵素)も上昇する。髄液糖を評価する際は必ず同時測定した血糖値と比較する(髄液糖/血糖比は正常で約0.6)。
第66回 午前10(臨床検査総論)
内部精度管理法で患者データを用いるのはどれか。2つ選べ。
- ①累積和法
- ②X̄-R管理図法
- ③項目間チェック法
- ④デルタチェック法
- ⑤マルチルール管理図法
正答: ③項目間チェック法・④デルタチェック法
ポイント
内部精度管理には、既知濃度の管理試料を測定する方法と、患者データそのものを利用する方法がある。管理試料を用いるのはX-R管理図・累積和法・マルチルール管理図である。患者データを用いる代表的手法が項目間チェック(相関のある項目どうしの整合性確認)とデルタチェック(同一患者の前回値と今回値の差の確認)である。●管理試料を用いる方法=X-R管理図法・累積和(CUSUM)法・マルチルール(Westgard)管理図法・twin plot法。●患者データを用いる方法=項目間チェック法・デルタチェック法・患者データ平均法(正常者平均法)。●外部精度管理=外部精度管理調査(サーベイ)。
選択肢ごとの解説
- ① 累積和法は管理試料の測定値の累積和を監視する方法で、患者データを直接用いるものではない。
- ② X-R管理図法は管理試料の平均値と範囲を管理する方法で、患者データではなく管理試料を用いる。
- ③ 正しい。項目間チェック法は同一患者の関連項目間の整合性を確認するもので、患者データを用いる。
- ④ 正しい。デルタチェック法は同一患者の前回値と今回値の差を確認するもので、患者データを用いる。
- ⑤ マルチルール管理図法は管理試料の測定値を複数の判定基準で評価する方法で、患者データを用いない。
📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。
第66回 午前11(臨床検査医学総論)
急性リンパ芽球性白血病にみられる染色体異常はどれか。
- ①t(8;14)
- ②t(8;21)
- ③t(9;22)
- ④t(14;18)
- ⑤t(15;17)
正答: ③t(9;22)
ポイント
急性リンパ芽球性白血病(ALL)にみられる代表的染色体異常はt(9;22)(フィラデルフィア染色体、BCR-ABL1融合遺伝子)で、成人ALLで頻度が高く予後不良因子となる。同じ転座は慢性骨髄性白血病でもみられる。各転座は特定の造血器腫瘍に対応する。●ALL/リンパ系=t(9;22)(BCR-ABL1)・t(12;21)(小児)・t(8;14)(Burkittリンパ腫、MYC)・t(14;18)(濾胞性リンパ腫、BCL2)。●AML/骨髄系=t(8;21)(M2、RUNX1-RUNX1T1)・t(15;17)(M3、PML-RARA)・inv(16)(M4Eo)。●慢性骨髄性白血病=t(9;22)(BCR-ABL1)。
選択肢ごとの解説
- ① t(8;14)はBurkittリンパ腫・白血病でみられるMYC遺伝子に関連する転座である。
- ② t(8;21)は急性骨髄性白血病(M2)にみられるRUNX1-RUNX1T1の転座である。
- ③ 正しい。t(9;22)はフィラデルフィア染色体(BCR-ABL1)で、急性リンパ芽球性白血病や慢性骨髄性白血病にみられる。
- ④ t(14;18)は濾胞性リンパ腫にみられるBCL2遺伝子に関連する転座である。
- ⑤ t(15;17)は急性前骨髄球性白血病(M3)のPML-RARAの転座である。
📋 まとめの表を見る:白血病の染色体異常と融合遺伝子
第66回 午前12(臨床検査医学総論)
動脈血液ガス分析で、pH 7.48、PaO₂ 98 Torr、PaCO₂ 30 Torr、HCO₃⁻ 22 mmol/Lであった。考えられるのはどれか。
- ①胃液吸引
- ②急性膵炎
- ③慢性肺気腫
- ④過換気症候群
- ⑤原発性アルドステロン症
正答: ④過換気症候群
ポイント
pH 7.48の上昇とPaCO₂ 30 Torrの低下があり、HCO₃⁻はほぼ正常下限であることから、呼吸性アルカローシス(過換気)と判断できる。過換気症候群では不安や疼痛などで換気が亢進し、二酸化炭素が過剰に排出されてアルカローシスとなる。代謝性代償が十分及ぶ前の急性期像である。●呼吸性アルカローシス(PaCO₂低下)=過換気症候群・高地・発熱・肺塞栓・サリチル酸中毒初期。●呼吸性アシドーシス(PaCO₂上昇)=慢性肺気腫・低換気・呼吸抑制。●代謝性アルカローシス(HCO₃⁻上昇)=嘔吐・胃液吸引・原発性アルドステロン症・利尿薬。●代謝性アシドーシス(HCO₃⁻低下)=急性膵炎・腎不全・糖尿病性ケトアシドーシス・下痢。
選択肢ごとの解説
- ① 胃液吸引は胃酸喪失による代謝性アルカローシスを生じ、HCO₃⁻上昇を伴うため本データと合わない。
- ② 急性膵炎は重症化すると代謝性アシドーシスを生じ、HCO₃⁻低下となるため合わない。
- ③ 慢性肺気腫は二酸化炭素貯留による呼吸性アシドーシス(PaCO₂上昇)が典型で、本データと逆である。
- ④ 正しい。pH上昇・PaCO₂低下は呼吸性アルカローシスであり、過換気症候群が考えられる。
- ⑤ 原発性アルドステロン症はカリウム喪失と代謝性アルカローシス(HCO₃⁻上昇)を示し、合わない。
第66回 午前13(臨床検査医学総論)
1型糖尿病と関連のある自己抗体はどれか。
- ①抗GAD抗体
- ②抗SS-A抗体
- ③抗平滑筋抗体
- ④抗リン脂質抗体
- ⑤抗サイログロブリン抗体
正答: ①抗GAD抗体
ポイント
1型糖尿病は膵島β細胞の自己免疫性破壊で発症し、抗GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)抗体が代表的な膵島関連自己抗体である。抗IA-2抗体・抗インスリン抗体・抗ZnT8抗体も関連する。これらは発症前から陽性となることがあり、緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断にも有用である。●1型糖尿病=抗GAD抗体・抗IA-2抗体・抗インスリン抗体・抗ZnT8抗体(膵島自己抗体)。●自己免疫性甲状腺疾患=抗サイログロブリン抗体・抗TPO抗体・抗TSH受容体抗体。●膠原病=抗SS-A/SS-B抗体(Sjögren症候群)・抗リン脂質抗体(抗リン脂質抗体症候群)。●自己免疫性肝疾患=抗平滑筋抗体(自己免疫性肝炎)・抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。抗GAD抗体は1型糖尿病の膵島自己免疫を反映する代表的自己抗体である。
- ② 抗SS-A抗体はSjögren症候群や全身性エリテマトーデスに関連する自己抗体で、1型糖尿病とは関連しない。
- ③ 抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎に関連する自己抗体である。
- ④ 抗リン脂質抗体は抗リン脂質抗体症候群(血栓症・習慣流産)に関連する。
- ⑤ 抗サイログロブリン抗体は橋本病など自己免疫性甲状腺疾患に関連する。
📋 まとめの表を見る:臓器特異的自己抗体と自己免疫疾患
サイロキシン結合グロブリン〈TBG〉は甲状腺ホルモンの運搬蛋白であり、自己抗体の標的とはならない。
第66回 午前14(臨床検査医学総論)
肝硬変について誤っているのはどれか。
- ①肝右葉腫大が認められる。
- ②血小板減少が認められる。
- ③食道静脈瘤が認められる。
- ④ICG試験で排泄が停滞する。
- ⑤C型肝炎ウイルスによるものが多い。
正答: ①肝右葉腫大が認められる。
ポイント
肝硬変では線維化により肝は萎縮し、特に右葉が縮小して左葉・尾状葉が代償性に腫大することが多く、表面は凹凸不整となる。門脈圧亢進により脾腫・血小板減少・食道静脈瘤を生じ、ICG(インドシアニングリーン)試験では肝予備能低下のため色素排泄が遅延する。本邦の肝硬変はC型肝炎ウイルスが主要原因の一つである。●肝硬変の形態変化=右葉萎縮・左葉/尾状葉腫大・表面凹凸不整・辺縁鈍化。●門脈圧亢進の所見=脾腫・血小板減少・食道静脈瘤・腹水・側副血行路。●肝予備能の評価=ICG試験・アルブミン・プロトロンビン時間・Child-Pugh分類。●肝硬変の原因=C型/B型肝炎ウイルス・アルコール・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。肝硬変では肝右葉はむしろ萎縮(縮小)するのが一般的で、右葉腫大は典型所見ではない。
- ② 門脈圧亢進による脾機能亢進で血小板減少を生じるのは正しい所見である。
- ③ 門脈圧亢進により側副血行路が発達し食道静脈瘤を生じるのは正しい。
- ④ 肝予備能低下によりICG試験で色素排泄が停滞(停滞率上昇)するのは正しい。
- ⑤ 本邦の肝硬変はC型肝炎ウイルスによるものが多いというのは正しい記述である。
第66回 午前15(臨床検査医学総論)
推算糸球体濾過量〈eGFR〉の推算に必要な項目はどれか。2つ選べ。
正答: ②性別・④年齢
ポイント
日本人のeGFR(推算糸球体濾過量)は、血清クレアチニン値・年齢・性別の3項目から算出する。式はeGFR=194×Cr⁻¹·⁰⁹⁴×年齢⁻⁰·²⁸⁷で、女性では×0.739の補正係数を乗じる。身長・体重・腹囲は不要で、クレアチニンが筋肉量の影響を受けるため、筋肉量が極端な例ではシスタチンCに基づくeGFRが推奨される。●血清Cr由来eGFRに必要=血清クレアチニン・年齢・性別。●シスタチンC由来eGFR=血清シスタチンC・年齢・性別(筋肉量の影響を受けにくい)。●小児のSchwartz式=身長・血清クレアチニン。●体表面積補正のクリアランス=身長・体重を要する(実測クレアチニンクリアランス)。
選択肢ごとの解説
- ① 身長はeGFR推算式には含まれない(小児のSchwartz式では用いるが成人式では不要)。
- ② 正しい。性別はeGFR推算に必要な項目で、女性では補正係数を乗じる。
- ③ 体重はeGFR推算式には含まれない。
- ④ 正しい。年齢はeGFR推算式に含まれる必須項目である。
- ⑤ 腹囲はeGFR推算とは無関係である。
第66回 午前16(臨床生理学)
大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでの心時相はどれか。
- ①急速流入期
- ②駆出期
- ③心房収縮期
- ④等容弛緩期
- ⑤等容収縮期
正答: ④等容弛緩期
ポイント
心周期で大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでの時相は等容弛緩期で、心室は弛緩するが流入も駆出もないため容積は一定のまま心室内圧が急速に低下する。心室圧が心房圧を下回ると僧帽弁が開き、急速流入期へ移行する。Ⅱ音(大動脈弁閉鎖)に続く時相である。●収縮期=等容収縮期(僧帽弁閉鎖から大動脈弁開放、容積一定で圧上昇)・駆出期(大動脈弁開放)。●拡張期=等容弛緩期(大動脈弁閉鎖から僧帽弁開放、容積一定で圧低下)・急速流入期・緩徐流入期・心房収縮期。●心音との対応=Ⅰ音(房室弁閉鎖、収縮期開始)・Ⅱ音(半月弁閉鎖、拡張期開始)。
選択肢ごとの解説
- ① 急速流入期は僧帽弁が開いた後に血液が心室へ流れ込む時相で、本問が問う弁の動きの間には当たらない。
- ② 駆出期は大動脈弁が開いて心室から血液が駆出される時相である。
- ③ 心房収縮期は拡張末期に心房が収縮して心室充満を補う時相である。
- ④ 正しい。等容弛緩期は大動脈弁閉鎖から僧帽弁開放までの、容積一定で心室圧が低下する時相である。
- ⑤ 等容収縮期は僧帽弁閉鎖から大動脈弁開放までの、容積一定で心室圧が上昇する時相である。
第66回 午前17(臨床生理学)
連続波ドプラ法を用いるのはどれか。2つ選べ。
- ①三尖弁逆流速度測定
- ②僧帽弁輪運動速度測定
- ③大動脈弁狭窄症の弁口部圧較差推定
- ④左室流入血流速波形による左室拡張能評価
- ⑤僧帽弁閉鎖不全症の逆流弁口吸い込み血流の検出
正答: ①三尖弁逆流速度測定・③大動脈弁狭窄症の弁口部圧較差推定
ポイント
連続波ドプラ法は送受信を連続して行うため高速血流の最大速度を折り返し(エイリアシング)なく計測できるが、ビーム上のどの深さの信号かを特定できない。三尖弁逆流速度から右室・肺動脈圧を、大動脈弁狭窄の弁口部圧較差を簡易ベルヌーイ式(圧較差=4V²)で評価する際に用いる。低速血流の局在評価や組織速度にはパルスドプラ・組織ドプラ・カラードプラが適する。●連続波ドプラ=高速血流の最大速度測定(弁狭窄の圧較差・弁逆流速度)、距離分解能なし。●パルスドプラ=特定深さの血流速度(左室流入E/A波)、高速ではエイリアシング。●組織ドプラ=心筋・弁輪運動速度。●カラードプラ=血流の方向・分布の可視化(逆流ジェット・吸い込み血流PISA)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。三尖弁逆流の高速ジェット速度測定は連続波ドプラ法で行い、肺高血圧の評価に用いる。
- ② 僧帽弁輪運動速度は低速で、組織ドプラ法(パルス系)で測定するため連続波ではない。
- ③ 正しい。大動脈弁狭窄の高速ジェットによる弁口部圧較差推定は連続波ドプラ法で行う。
- ④ 左室流入血流速波形(E波・A波)による拡張能評価はパルスドプラ法で行う。
- ⑤ 逆流弁口の吸い込み血流(PISA)の検出はカラードプラ法で行う。
第66回 午前18(臨床生理学)
心尖部四腔像の収縮期カラードプラ像を別に示す。この症例で考えられる心雑音はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA018.acc3ddf57a.jpg

- ①連続性雑音
- ②拡張早期雑音
- ③前収縮期雑音
- ④全収縮期雑音
- ⑤駆出性収縮期雑音
正答: ④全収縮期雑音
ポイント
心尖部四腔像の収縮期にカラードプラで左房へ向かう逆流ジェットを認める所見は僧帽弁閉鎖不全症を示し、聴診上は全収縮期(汎収縮期)雑音となる。収縮期を通じて左室圧が左房圧を上回り続けるため、Ⅰ音からⅡ音まで途切れず連続する雑音となる。●全収縮期(汎収縮期)雑音=僧帽弁閉鎖不全・三尖弁閉鎖不全・心室中隔欠損。●駆出性収縮期雑音=大動脈弁狭窄・肺動脈弁狭窄(収縮中期に増強する菱形)。●拡張早期雑音=大動脈弁逆流・肺動脈弁逆流。●拡張中期〜前収縮期雑音=僧帽弁狭窄。●連続性雑音=動脈管開存症。
選択肢ごとの解説
- ① 連続性雑音は収縮期から拡張期に連続する雑音で、動脈管開存症などでみられる。
- ② 拡張早期雑音は大動脈弁逆流などでみられる拡張期の雑音である。
- ③ 前収縮期雑音は心房収縮期に一致する雑音で、僧帽弁狭窄でみられる。
- ④ 正しい。収縮期に左房へ向かう逆流(僧帽弁閉鎖不全)は全収縮期雑音を生じる。
- ⑤ 駆出性収縮期雑音は大動脈弁狭窄などで収縮中期に増強する菱形の雑音である。
第66回 午前19(臨床生理学)
心電図を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA019.d5e0de207b.jpg

- ①右室梗塞
- ②下壁梗塞
- ③後壁梗塞
- ④高位側壁梗塞
- ⑤広範前壁梗塞
正答: ⑤広範前壁梗塞
ポイント
広範前壁梗塞は左冠動脈前下行枝近位部の閉塞により、V1からV6にかけて広くST上昇や異常Q波を認める。前壁中隔から側壁にまたがる広い領域が障害され、心機能低下や心不全をきたしやすい。誘導と障害部位の対応から梗塞部位を判定する。●梗塞部位と誘導=前壁中隔(V1-2)・前壁(V3-4)・側壁(V5-6、Ⅰ、aVL)・広範前壁(V1-6)。●下壁梗塞=Ⅱ・Ⅲ・aVF(右冠動脈)。●後壁梗塞=V1-2の高R波・ST低下(鏡像)。●右室梗塞=右側胸部誘導V3R-V4RのST上昇。●責任冠動脈=前下行枝(前壁)・回旋枝(側壁/後壁)・右冠動脈(下壁/右室)。
選択肢ごとの解説
- ① 右室梗塞は右側胸部誘導(V3R-V4R)のST上昇でとらえられ、本図の所見とは異なる。
- ② 下壁梗塞はⅡ・Ⅲ・aVFのST上昇・Q波が特徴で、本図とは部位が異なる。
- ③ 後壁梗塞はV1-2の高いR波・ST低下(鏡像)として現れ、本図とは異なる。
- ④ 高位側壁梗塞はⅠ・aVLの変化が中心で、広範な前胸部誘導変化とは異なる。
- ⑤ 正しい。V1からV6にわたる広範な前胸部誘導の変化は広範前壁梗塞を示す。
第66回 午前20(臨床生理学)
スパイロメトリで測定できる肺気量分画はどれか。2つ選べ。
- ①残気量
- ②全肺気量
- ③1回換気量
- ④最大吸気量
- ⑤機能的残気量
正答: ③1回換気量・④最大吸気量
ポイント
スパイロメトリは口元での気量変化を測定するため、ガス交換で実際に出入りする量、すなわち1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・肺活量・最大吸気量は測定できる。一方、最大呼出後も肺に残る残気量を含む分画(残気量・機能的残気量・全肺気量)は呼出しきれないため直接測定できず、ガス希釈法や体プレチスモグラフが必要となる。●スパイロメトリで測定可能=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・肺活量・最大吸気量。●測定不能(残気量を含む)=残気量・機能的残気量・全肺気量。●残気量の測定法=ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路法・窒素洗い出し法)・体プレチスモグラフ。
選択肢ごとの解説
- ① 残気量は最大呼出後も肺に残る量で、スパイロメトリでは測定できない。
- ② 全肺気量は残気量を含むため、スパイロメトリでは測定できない。
- ③ 正しい。1回換気量は安静呼吸時の出入り量で、スパイロメトリで測定できる。
- ④ 正しい。最大吸気量(1回換気量+予備吸気量)はスパイロメトリで測定できる。
- ⑤ 機能的残気量は残気量を含むため、スパイロメトリでは測定できない。
📋 まとめの表を見る:呼吸機能検査:測定項目と測定方法
第66回 午前21(臨床生理学)
肺拡散能力の1回呼吸法による測定用吸入ガスに含まれないのはどれか。
正答: ②CO₂
ポイント
肺拡散能力(DLCO)の1回呼吸法では、指標ガスとして拡散の指標である一酸化炭素(CO)、肺胞気量の希釈指標となる不溶性のヘリウム(He)を含み、これに窒素(N2)と酸素(O₂)を混合した吸入ガスを用いる。二酸化炭素(CO₂)は測定対象でも希釈指標でもないため吸入ガスには含まれない。●1回呼吸法の吸入ガス=一酸化炭素CO(拡散指標)・ヘリウムHe(肺胞気量の希釈指標)・窒素N2・酸素O₂。●拡散能の低下=肺気腫・肺線維症・貧血・肺塞栓。●拡散能の上昇=多血症・肺胞出血・左右シャント。●標識ガスの代替=メタンやネオンを希釈指標に用いる装置もある。
選択肢ごとの解説
- ① 一酸化炭素(CO)は拡散能力の指標ガスとして吸入ガスに含まれる。
- ② 誤り。二酸化炭素(CO₂)は1回呼吸法の吸入ガスには含まれない。
- ③ ヘリウム(He)は肺胞気量を求める希釈指標ガスとして含まれる。
- ④ 窒素(N2)は希釈用の不活性ガスとして含まれる。
- ⑤ 酸素(O₂)は生理的に必要な成分として吸入ガスに含まれる。
第66回 午前22(臨床生理学)
静肺コンプライアンスが上昇するのはどれか。
- ①肺気腫
- ②高度肥満
- ③肺線維症
- ④気管支喘息
- ⑤脊柱側弯症
正答: ①肺気腫
ポイント
静肺コンプライアンスは単位圧あたりの肺容積変化、すなわち肺の膨らみやすさを表す。肺気腫では肺胞壁・弾性線維の破壊により肺が膨らみやすくなり、コンプライアンスは上昇する。逆に肺線維症では肺実質が硬化してコンプライアンスは低下し、胸郭側の制限性疾患では肺自体のコンプライアンスは大きく変わらない。●コンプライアンス上昇=肺気腫(弾性線維破壊)・加齢。●コンプライアンス低下=肺線維症・間質性肺炎・肺水腫・無気肺・サーファクタント欠乏。●胸郭(肺外)の制限=高度肥満・脊柱側弯症・胸膜肥厚(肺コンプライアンス自体は不変)。●気道狭窄=気管支喘息・慢性気管支炎(閉塞性で換気障害)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。肺気腫では弾性線維の破壊で肺が膨らみやすくなり、静肺コンプライアンスは上昇する。
- ② 高度肥満は胸郭・腹部による外からの制限が主で、肺コンプライアンスの上昇要因ではない。
- ③ 肺線維症は肺が硬化し、コンプライアンスは低下する。
- ④ 気管支喘息は気道狭窄が主体で、静肺コンプライアンスの上昇は典型的でない。
- ⑤ 脊柱側弯症は胸郭変形による拘束性障害で、肺コンプライアンスを上昇させない。
第66回 午前23(臨床生理学)
臨床検査技師が単独で行うことができないのはどれか。
- ①基準嗅覚検査
- ②気道抵抗測定
- ③骨導聴力検査
- ④電気味覚検査
- ⑤気道過敏性試験
正答: ⑤気道過敏性試験
ポイント
気道過敏性試験(メサコリン負荷など)は気管支収縮薬を吸入させて気道の反応をみる検査で、薬剤投与による気管支攣縮など急変リスクを伴うため、医師の指示・立会いのもとで行う必要があり、臨床検査技師が単独では実施できない。基準嗅覚検査・聴力検査・味覚検査・気道抵抗測定は検査技師が単独で実施可能である。●技師が単独で行える生理機能検査=基準嗅覚検査・骨導/気導聴力検査・電気味覚検査・気道抵抗測定・心電図・脳波・肺機能。●医師の指示・立会いを要する=気道過敏性試験(薬剤負荷)・運動負荷試験・血液ガス採血(動脈穿刺は条件付き)。
選択肢ごとの解説
- ① 基準嗅覚検査は臨床検査技師が単独で実施できる生理機能検査である。
- ② 気道抵抗測定は臨床検査技師が単独で行える検査である。
- ③ 骨導聴力検査は臨床検査技師が単独で実施できる聴力検査である。
- ④ 電気味覚検査は臨床検査技師が単独で実施できる検査である。
- ⑤ 正しい。気道過敏性試験は薬剤負荷を伴い急変リスクがあるため、臨床検査技師が単独では行えない。
第66回 午前24(臨床生理学)
肝硬変の超音波所見はどれか。
- ①肝表面の不整
- ②カメレオンサイン
- ③ブルズアイサイン
- ④肝深部エコーの減衰
- ⑤肝腎コントラストの増強
正答: ①肝表面の不整
ポイント
肝硬変の超音波所見は、線維化・再生結節による肝表面の凹凸不整(鋸歯状)、肝辺縁の鈍化、肝実質エコーの粗造化、右葉萎縮・左葉/尾状葉腫大が特徴である。門脈圧亢進に伴う脾腫や腹水も認める。脂肪肝でみられる深部エコー減衰や肝腎コントラスト増強とは区別される。●肝硬変の超音波所見=肝表面の凹凸不整・辺縁鈍化・実質粗造化・右葉萎縮/左葉腫大・脾腫・腹水。●脂肪肝の所見=肝腎コントラスト増強(肝高輝度)・深部エコー減衰・肝内血管の不明瞭化。●肝血管腫=高エコー腫瘤・カメレオンサイン・ワックスアンドウェインサイン。●転移性肝腫瘍=ブルズアイ(標的状)サイン・低エコー結節。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。肝表面の不整(凹凸)は再生結節と線維化を反映する肝硬変の代表的所見である。
- ② カメレオンサインは肝血管腫でみられる所見で、肝硬変の所見ではない。
- ③ ブルズアイサイン(標的状)は転移性肝腫瘍などでみられる所見である。
- ④ 肝深部エコーの減衰は脂肪肝でみられる所見である。
- ⑤ 肝腎コントラストの増強は脂肪肝で肝実質が高輝度となる所見である。
第66回 午前25(臨床生理学)
乳腺の単純性囊胞の超音波所見はどれか。
- ①側方陰影を伴う。
- ②後方に音響陰影を伴う。
- ③辺縁が境界明瞭である。
- ④境界部に低エコー帯を伴う。
- ⑤内部に点状高エコーを認める。
正答: ③辺縁が境界明瞭である。
ポイント
乳腺の単純性囊胞は液体貯留であり、超音波では辺縁平滑・境界明瞭、内部無エコー、後方エコー増強、両側に側方陰影を示す良性パターンを呈する。点状高エコーや内部充実部、後方音響陰影は充実性腫瘤や石灰化を示唆し、囊胞とは区別される。●単純性囊胞の所見=境界明瞭・辺縁平滑・内部無エコー・後方エコー増強・側方陰影。●充実性腫瘤を示唆する所見=境界部低エコー帯(ハロー)・内部点状高エコー(石灰化)・後方音響陰影・内部充実エコー。●良性腫瘤=線維腺腫(境界明瞭・楕円形)。●悪性を示唆=境界不明瞭・縦横比高値・微細石灰化・後方エコー減弱。
選択肢ごとの解説
- ① 側方陰影は囊胞でもみられるが、本問では辺縁の境界明瞭が単純性囊胞をより端的に示す所見である。
- ② 後方の音響陰影は石灰化や充実性腫瘤を示唆し、単純性囊胞では後方エコーはむしろ増強する。
- ③ 正しい。単純性囊胞は辺縁が平滑で境界明瞭、内部無エコーを示す。
- ④ 境界部の低エコー帯(ハロー)は充実性腫瘤を示唆し、単純性囊胞の所見ではない。
- ⑤ 内部の点状高エコーは充実成分や石灰化を示唆し、単純性囊胞では内部は無エコーである。
第66回 午前26(臨床生理学)
概日リズムの中枢はどれか。2つ選べ。
正答: ②松果体・⑤視交叉上核
ポイント
概日リズム(サーカディアンリズム)の主時計は視床下部の視交叉上核にあり、網膜からの光情報を受けて約24時間周期の生体リズムを統括する。視交叉上核からの神経出力は松果体に伝わり、暗環境でメラトニンの分泌を促して睡眠覚醒・体温・ホルモン分泌の日内リズムを形成する。松果体はこの出力を内分泌シグナルへ変換する中継・実行部位として概日リズム制御の中枢機構を構成する。●概日リズム関連=視交叉上核(主時計)・松果体(メラトニン)・網膜視床下部路(光同調)。●睡眠覚醒に関わる部位=網様体(覚醒維持)・視床下部(オレキシン)・脳幹(レム睡眠)。●下垂体ホルモン=後葉(オキシトシン・バソプレシン)・前葉(成長ホルモン・ACTH等)。
選択肢ごとの解説
- ① 海馬は記憶の形成・固定に関与する大脳辺縁系の部位で、概日リズムの中枢ではない。
- ② 正しい。松果体は視交叉上核の出力を受けてメラトニンを分泌し、概日リズムの調節に中心的に働く。
- ③ 網様体は脳幹に広がり覚醒と睡眠の維持に関与するが、概日リズムの主時計ではない。
- ④ 下垂体後葉はオキシトシン・バソプレシンを放出する部位で、概日リズムの中枢ではない。
- ⑤ 正しい。視交叉上核は視床下部にあり光情報を受ける体内時計の主時計で、概日リズムの中枢である。
第66回 午前27(臨床生理学)
電気味覚検査の対象となる鼓索神経を分岐する脳神経はどれか。
- ①三叉神経
- ②顔面神経
- ③舌咽神経
- ④迷走神経
- ⑤舌下神経
正答: ②顔面神経
ポイント
電気味覚検査は舌に微弱な電流を流し、被検者が味を自覚する最小の電流値を閾値として測定する検査で、味覚障害を定量的に評価する自覚的検査である。舌前2/3の味覚は鼓索神経が担い、この鼓索神経は顔面神経から分岐して中耳の鼓室を通り舌に至る。一方、舌後1/3の味覚は舌咽神経が担うため、鼓索神経領域の評価は顔面神経の機能を反映する。●味覚を担う脳神経=顔面神経(鼓索神経、舌前2/3)・舌咽神経(舌後1/3)・迷走神経(喉頭蓋・咽頭)。●顔面神経の枝=鼓索神経(味覚・唾液分泌)・大錐体神経(涙腺)・アブミ骨筋神経。●舌に分布する脳神経=舌下神経(運動)・三叉神経下顎枝(体性感覚)・顔面神経・舌咽神経(味覚)。
選択肢ごとの解説
- ① 三叉神経は顔面の体性感覚や舌前2/3の一般感覚を担うが、味覚を伝える鼓索神経の分岐元ではない。
- ② 正しい。鼓索神経は顔面神経から分岐し、舌前2/3の味覚を伝える。
- ③ 舌咽神経は舌後1/3の味覚を担う神経であり、鼓索神経の分岐元ではない。
- ④ 迷走神経は喉頭蓋や咽頭の味覚に関与するが、鼓索神経とは別系統である。
- ⑤ 舌下神経は舌の運動を支配する神経で、味覚には関与しない。
📋 まとめの表を見る:味覚を伝える脳神経とその支配領域
電気味覚検査は鼓索神経(顔面神経)領域の機能評価に用いる。
第66回 午前28(臨床生理学)
血流依存性血管拡張反応〈FMD〉に影響を与えない因子はどれか。
正答: ①飲水
ポイント
血流依存性血管拡張反応〈FMD〉は前腕を一定時間駆血して解放し、その後の反応性充血による血流増加で上腕動脈が拡張する程度を超音波で測定する血管内皮機能検査である。血管拡張は内皮由来の一酸化窒素を介するため、内皮機能や血管トーヌスに作用する因子は測定値を変動させる。喫煙・カフェイン・運動・食事は影響因子として検査前に制限し、月経周期は測定時期を考慮する。ビタミンC(アスコルビン酸)も抗酸化作用で内皮機能を改善し得るため影響する一方、単なる水分摂取(飲水)は内皮機能に影響しない。●FMDに影響する因子=喫煙・カフェイン・運動・食事・月経周期・温度・交感神経活動。●内皮機能を改善し得る因子=ビタミンC(抗酸化)・運動習慣・スタチン。●血管内皮機能の評価=FMD・反応性充血指数〈RHI〉。脈波伝播速度〈PWV〉は主に動脈壁の硬さを評価する指標で、内皮機能検査とは区別する。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。単なる飲水(水分摂取)はFMDに影響を与えず、検査前の制限対象とはされない。
- ② 喫煙は血管内皮機能を低下させFMDに影響するため、検査前に控える必要がある。
- ③ 月経周期はエストロゲンの変動を介して内皮機能に影響するため、考慮が必要である。
- ④ カフェインは血管に作用しFMDに影響するため、検査前に摂取を控える。
- ⑤ ビタミンCは抗酸化作用で内皮機能を改善し得るため、FMDに影響する因子である。
第66回 午前29(臨床化学)
生体で正しいのはどれか。
- ①血漿蛋白は酸として緩衝作用を示す。
- ②赤血球を高張液にさらすと膨張する。
- ③成人男性の体重の約80%は水である。
- ④間質液が異常に蓄積した状態を充血という。
- ⑤膠質浸透圧は血中アルブミン濃度に依存する。
正答: ⑤膠質浸透圧は血中アルブミン濃度に依存する。
ポイント
膠質浸透圧(血漿膠質浸透圧)は血漿蛋白、とくに分子数の多いアルブミンによって生じ、血管内に水分を保持して血管外への漏出を防ぐ力となる。アルブミンが低下すると膠質浸透圧が下がり、間質へ水分が移行して浮腫を生じる。なお血漿蛋白は生理的pHで陰イオンとして緩衝に働き、赤血球は高張液で水を失って萎縮し、成人男性の体水分は約60%、間質液の異常蓄積は浮腫であって充血ではない。●膠質浸透圧の規定因子=アルブミン(主)・グロブリン。●浮腫の機序=膠質浸透圧低下(低アルブミン血症)・静水圧上昇・血管透過性亢進・リンパ流障害。●浸透圧の種類=晶質浸透圧(電解質・血漿浸透圧)・膠質浸透圧(蛋白)。
選択肢ごとの解説
- ① 血漿蛋白は生理的pHで負に帯電し、緩衝作用は陰イオン(塩基的)として働く面が大きく、酸として緩衝するとは言えない。
- ② 赤血球を高張液にさらすと細胞内から水が流出して収縮(萎縮)するのであり、膨張ではない。
- ③ 成人男性の体水分は体重の約60%であり、80%ではない。
- ④ 間質液が異常に蓄積した状態は浮腫(水腫)であり、充血ではない。
- ⑤ 正しい。膠質浸透圧は主に血中アルブミン濃度に依存する。
第66回 午前30(臨床化学)
β-1,2グリコシド結合をもつのはどれか。
- ①イヌリン
- ②ヘパリン
- ③アガロース
- ④グリコーゲン
- ⑤コンドロイチン硫酸
正答: ①イヌリン
ポイント
イヌリンはフルクトース(果糖)がグリコシド結合で多数連なり末端にグルコースをもつフルクタンで、生体で代謝されず糸球体で自由に濾過されるため糸球体濾過量〈GFR〉測定の標準物質として用いられる。設問のβ-結合をもつ多糖はこのイヌリンであり、ほかの選択肢はいずれも結合様式が異なる。ヘパリンとコンドロイチン硫酸はウロン酸とアミノ糖からなる硫酸化グリコサミノグリカン、アガロースはガラクトース系多糖、グリコーゲンはα結合のグルコース多糖である。●フルクタン=イヌリン(GFR指標)。●グリコサミノグリカン=ヘパリン・コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸・ケラタン硫酸。●グルコース多糖=グリコーゲン・デンプン(α結合)、セルロース(β-1,4結合)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。イヌリンはフルクトースがβ結合で連なるフルクタンで、設問のβ-グリコシド結合をもつ。
- ② ヘパリンはウロン酸とアミノ糖からなる硫酸化グリコサミノグリカンで、フルクタンではない。
- ③ アガロースはガラクトースと3,6-アンヒドロガラクトースが連なる多糖である。
- ④ グリコーゲンはグルコースがα-1,4およびα-1,6結合で連なる多糖である。
- ⑤ コンドロイチン硫酸はウロン酸とアミノ糖からなる硫酸化グリコサミノグリカンである。
第66回 午前31(臨床化学)
基質と酵素の組合せでアンモニアが関係するのはどれか。2つ選べ。
- ①尿酸 — ウリカーゼ
- ②尿素 — ウレアーゼ
- ③クレアチン — クレアチンキナーゼ〈CK〉
- ④グルタミン酸 — グルタミン酸デヒドロゲナーゼ
- ⑤アスパラギン酸 — アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ〈AST〉
正答: ②尿素 — ウレアーゼ・④グルタミン酸 — グルタミン酸デヒドロゲナーゼ
ポイント
アンモニアが反応に関与するのは、ウレアーゼによる尿素の分解(尿素+水→アンモニア+二酸化炭素)と、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによるα-ケトグルタル酸とアンモニアからのグルタミン酸生成(およびその逆の酸化的脱アミノ)である。この両反応を共役させた系は血中尿素窒素〈BUN〉やアンモニア測定の基礎となる。一方、尿酸-ウリカーゼ、クレアチン-クレアチンキナーゼ、アスパラギン酸-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの反応ではアンモニアは遊離しない。●アンモニアが関与する酵素=ウレアーゼ・グルタミン酸デヒドロゲナーゼ・グルタミナーゼ。●アミノ基転移(アンモニア遊離なし)=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ〈AST〉・アラニンアミノトランスフェラーゼ〈ALT〉。●尿酸代謝=ウリカーゼ(尿酸→アラントイン+過酸化水素)。
選択肢ごとの解説
- ① 尿酸-ウリカーゼ反応は尿酸を酸化してアラントインと過酸化水素を生じる反応で、アンモニアは関与しない。
- ② 正しい。ウレアーゼは尿素を分解してアンモニアと二酸化炭素を生じ、アンモニアが関係する。
- ③ クレアチン-クレアチンキナーゼ反応はクレアチンとATPからクレアチンリン酸を生じる反応で、アンモニアは関与しない。
- ④ 正しい。グルタミン酸デヒドロゲナーゼ反応はアンモニアを基質または生成物とし、アンモニアが関係する。
- ⑤ アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ反応はアミノ基転移でアンモニアを遊離せず、関与しない。
📋 まとめの表を見る:アンモニアが生成される主な酵素反応
尿酸-ウリカーゼ(生成物はアラントイン・CO₂・過酸化水素)、クレアチン-クレアチンキナーゼ、アスパラギン酸-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ〈AST〉の反応では、いずれもアンモニアは生成されない。
第66回 午前32(臨床化学)
糖尿病精査のため来院した患者の検査結果で糖尿病型を示すのはどれか。2つ選べ。
- ①HbA1c 6.8%
- ②随時血糖値170 mg/dL
- ③グリコアルブミン14.8%
- ④75 g経口ブドウ糖負荷試験1時間血糖値220 mg/dL
- ⑤75 g経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値210 mg/dL
正答: ①HbA1c 6.8%・⑤75 g経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値210 mg/dL
ポイント
糖尿病型の判定基準は、空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、75g経口ブドウ糖負荷試験〈OGTT〉2時間値200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上のいずれかを満たすことである。本例ではHbA1c 6.8%(6.5%以上)とOGTT2時間値210mg/dL(200mg/dL以上)が該当して糖尿病型を示す。随時血糖170mg/dLは基準未満、OGTT1時間値とグリコアルブミンは判定基準項目ではない。●糖尿病型の判定指標=空腹時血糖126以上・随時血糖200以上・OGTT2時間値200以上・HbA1c 6.5%以上。●血糖コントロール指標とその反映期間=HbA1c(1〜2か月)・グリコアルブミン(約2週間)・1,5-アンヒドログルシトール(数日)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。HbA1c 6.8%は6.5%以上であり、糖尿病型を示す。
- ② 随時血糖値170mg/dLは200mg/dL未満で、糖尿病型の基準を満たさない。
- ③ グリコアルブミン14.8%は基準範囲内であり、糖尿病型の判定基準項目でもない。
- ④ 75gOGTTの1時間値は糖尿病型の判定基準項目ではなく、判定に用いるのは2時間値である。
- ⑤ 正しい。75gOGTT2時間値210mg/dLは200mg/dL以上で、糖尿病型を示す。
第66回 午前33(臨床化学)
過去約2か月の平均血糖値から想定されるHbA1c値より測定値が高値になるのはどれか。
- ①輸血後
- ②腎性貧血
- ③大量出血後
- ④溶血性貧血
- ⑤鉄欠乏性貧血
正答: ⑤鉄欠乏性貧血
ポイント
HbA1cはヘモグロビンとグルコースが結合した安定型糖化産物で、赤血球寿命(約120日)に依存して過去1〜2か月の平均血糖を反映する。鉄欠乏性貧血では赤血球の産生・代謝回転が低下して古い赤血球が相対的に増えるため、糖化が進んだヘモグロビンが多くなりHbA1cは平均血糖から想定される値より高値となる。逆に溶血性貧血・大量出血後・輸血後・腎性貧血のエリスロポエチン投与時などは若い赤血球が増えてHbA1cは低値傾向となる。●HbA1cが偽高値となる病態=鉄欠乏性貧血・赤血球寿命延長・脾摘後。●HbA1cが偽低値となる病態=溶血性貧血・出血・輸血後・エリスロポエチン投与・赤血球寿命短縮。●補完指標=グリコアルブミン(赤血球の影響を受けにくい)。
選択肢ごとの解説
- ① 輸血後は新しい赤血球が加わるためHbA1cはむしろ低値傾向となる。
- ② 腎性貧血ではエリスロポエチン製剤で赤血球産生が亢進し、若い赤血球が増えてHbA1cは低値傾向となる。
- ③ 大量出血後は赤血球の若返りによりHbA1cは低値傾向となる。
- ④ 溶血性貧血では赤血球寿命の短縮によりHbA1cは低値となる。
- ⑤ 正しい。鉄欠乏性貧血では赤血球の代謝回転が低下して古い赤血球が増え、HbA1cが見かけ上高値となる。
第66回 午前34(臨床化学)
血糖調節機構の組合せで誤っているのはどれか。
- ①インスリン — 解糖系促進
- ②肝臓 — グリコーゲン合成
- ③グルカゴン — グリコーゲン分解抑制
- ④脂肪組織 — トリグリセライド合成
- ⑤腎臓 — 糖新生
正答: ③グルカゴン — グリコーゲン分解抑制
ポイント
グルカゴンは膵ランゲルハンス島α細胞から分泌される血糖上昇ホルモンで、肝臓でグリコーゲン分解と糖新生を促進して血糖を上げる。したがって「グリコーゲン分解抑制」とする組合せは作用が逆であり誤りである。一方、インスリンは解糖系・グリコーゲン合成・脂肪合成を促進し、肝はグリコーゲン合成と貯蔵を行い、脂肪組織はトリグリセライドを合成し、腎臓は肝とともに糖新生を担う。●血糖を上げるホルモン=グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモン。●血糖を下げるホルモン=インスリン。●糖新生を行う臓器=肝臓・腎臓(皮質)。
選択肢ごとの解説
- ① インスリンは解糖系を促進して血糖を下げるため、正しい組合せである。
- ② 肝臓はグルコースをグリコーゲンとして合成・貯蔵するため、正しい組合せである。
- ③ 誤り。グルカゴンは肝のグリコーゲン分解を促進して血糖を上げるのであり、「分解抑制」は作用が逆である。
- ④ 脂肪組織はトリグリセライドを合成して脂肪を蓄積するため、正しい組合せである。
- ⑤ 腎臓は肝とともに糖新生を行う臓器であり、正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:血糖調節に関わる主な臓器・ホルモンの作用
第66回 午前35(臨床化学)
クロールについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①約90%が細胞内に存在する。
- ②蛋白質との結合型が存在する。
- ③嘔吐により血中濃度が低下する。
- ④α-アミラーゼの活性中心に含まれる。
- ⑤アニオンギャップ値の算出に必要である。
正答: ③嘔吐により血中濃度が低下する。・⑤アニオンギャップ値の算出に必要である。
ポイント
クロール(塩化物イオン)は細胞外液の主要陰イオンで約90%が細胞外に存在し、蛋白とは結合せず遊離イオンとして分布する。胃液は塩酸を含むため、嘔吐により胃酸が失われると血中クロールが低下し低クロール性代謝性アルカローシスをきたす。またアニオンギャップ=Na⁺−(Cl⁻+HCO₃⁻)の算出にクロール値が必要である。なおα-アミラーゼはクロールを活性化因子として要するが、活性中心に含まれるわけではない。●細胞外液の主要陰イオン=クロール・重炭酸イオン。●クロール低下をきたす病態=嘔吐・利尿薬・代謝性アルカローシス。●アニオンギャップ上昇の原因=乳酸アシドーシス・ケトアシドーシス・腎不全・中毒。
選択肢ごとの解説
- ① クロールは約90%が細胞外に存在しており、細胞内ではない。
- ② クロールは遊離イオンとして存在し、蛋白との結合型は基本的に存在しない。
- ③ 正しい。嘔吐により胃酸(塩化物)が失われるため血中クロール濃度は低下する。
- ④ クロールはα-アミラーゼの活性化因子として働くが、活性中心に含まれるわけではない。
- ⑤ 正しい。アニオンギャップの算出にはクロール値が必要である。
第66回 午前36(臨床化学)
血清蛋白泳動分画を別に示す。この患者の血清中に増加が考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA036.8f385fde0c.jpg

- ①アルブミン
- ②α₁-アンチトリプシン
- ③リポ蛋白
- ④トランスフェリン
- ⑤IgG
正答: ⑤IgG
ポイント
図ではγ分画に狭く鋭いピークを認め、M蛋白による単クローン性免疫グロブリン増加を示唆する。選択肢ではIgGが該当する。慢性炎症などでみられる多クローン性増加は幅広いγ分画の増加を示し、この図とは区別する。免疫グロブリンのクラスの同定には免疫固定法などを用いる。●M蛋白(単クローン性)=多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症。●γ分画増加(多クローン性)=慢性炎症・肝硬変・膠原病。●各分画の主な蛋白=アルブミン分画(アルブミン)・α1(α₁-アンチトリプシン)・α2(ハプトグロビン・セルロプラスミン)・β(トランスフェリン・補体)・γ(免疫グロブリン)。
選択肢ごとの解説
- ① アルブミンはアルブミン分画に泳動され、γ分画の増加とは部位が異なる。
- ② α₁-アンチトリプシンはα₁分画に泳動され、γ分画の増加には該当しない。
- ③ リポ蛋白はα・β分画域に泳動され、γ分画増加の主因ではない。
- ④ トランスフェリンはβ分画に泳動され、γ分画の増加には該当しない。
- ⑤ 正しい。図ではγ分画に鋭いピークがあり、免疫グロブリンの単クローン性増加を示唆する。選択肢ではIgGが該当する。
📋 まとめの表を見る:血清蛋白電気泳動の分画と主な構成蛋白
肝硬変ではアルブミン低下とともにγ分画が増加し、β-γ bridging(β分画とγ分画の谷が埋まる所見)を呈する。ネフローゼ症候群ではアルブミン・免疫グロブリンが低下し、α2・β・プレβ分画が増加する。多発性骨髄腫などのM蛋白血症ではγ分画に鋭いピーク(M蛋白)が出現する。
第66回 午前37(臨床化学)
グルクロン酸抱合の不良により間接ビリルビンが増加するのはどれか。
- ①閉塞性黄疸
- ②溶血性貧血
- ③Gilbert症候群
- ④急性ウイルス性肝炎
- ⑤Dubin-Johnson症候群
正答: ③Gilbert症候群
ポイント
Gilbert症候群はビリルビン抱合酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素〈UGT1A1〉活性が軽度低下するため、グルクロン酸抱合が不十分となって間接(非抱合型)ビリルビンが軽度上昇する良性の体質性黄疸である。溶血性貧血も間接ビリルビンが上昇するが、これは抱合不良ではなくビリルビン産生過剰によるものである。閉塞性黄疸とDubin-Johnson症候群は抱合後の排泄障害により直接ビリルビンが上昇する。●抱合不良による間接ビリルビン上昇=Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群。●産生過剰による間接ビリルビン上昇=溶血性貧血。●排泄障害による直接ビリルビン上昇=閉塞性黄疸・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群。
選択肢ごとの解説
- ① 閉塞性黄疸は胆汁排泄の障害により直接(抱合型)ビリルビンが上昇する。
- ② 溶血性貧血は間接ビリルビンが上昇するが、原因は抱合不良ではなくビリルビン産生過剰である。
- ③ 正しい。Gilbert症候群はグルクロン酸抱合酵素活性の低下により間接ビリルビンが増加する。
- ④ 急性ウイルス性肝炎は肝細胞障害で直接・間接いずれも上昇し得るが、抱合不良が主機序ではない。
- ⑤ Dubin-Johnson症候群は抱合後のビリルビン排泄障害であり、直接ビリルビンが上昇する。
第66回 午前38(臨床化学)
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応で正しいのはどれか。
- ①脱水素酵素を使用する。
- ②測定波長は340 nmである。
- ③吸光度の減少量を測定する。
- ④共存物質の影響を受けにくい。
- ⑤分析感度を変化させることができる。
正答: ⑤分析感度を変化させることができる。
ポイント
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応(Trinder反応)は、酸化酵素反応で生じた過酸化水素をペルオキシダーゼ存在下で4-アミノアンチピリンと色原体(フェノール系など)に作用させ、キノン色素を生成して可視部の吸光度増加を測定する方法である。色原体の組合せを変えるとモル吸光係数が変わるため分析感度を調整できる。一方、ビリルビンやアスコルビン酸などの還元性物質の影響を受けやすく、測定波長は色原体に応じた可視部で、脱水素酵素は用いない。●過酸化水素を生じる酸化酵素=グルコースオキシダーゼ・コレステロールオキシダーゼ・ウリカーゼ。●Trinder反応の妨害物質=ビリルビン・アスコルビン酸・ヘモグロビン。●脱水素酵素系(NAD(P)H, 340nm)=グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ・乳酸デヒドロゲナーゼ。
選択肢ごとの解説
- ① 本系はペルオキシダーゼを用いる呈色反応であり、脱水素酵素を使用する反応ではない。
- ② 測定波長は色原体に応じた可視部(例えば500nm前後)であり、NAD(P)Hの340nmではない。
- ③ 呈色により吸光度は増加するため、吸光度の減少量を測定するというのは誤りである。
- ④ ビリルビンやアスコルビン酸などの還元性物質の影響を受けやすく、影響を受けにくいというのは誤りである。
- ⑤ 正しい。色原体の選択によりモル吸光係数すなわち分析感度を変化させることができる。
📋 まとめの表を見る:生化学的呈色反応系の比較(Trinder反応とNAD(P)H系)
Trinder反応は色原体の組合せで分析感度を調整できるが、還元性物質による妨害を受けやすい。分光光度法における共存物質影響試験の代表的対象はヘモグロビン(溶血)とアスコルビン酸である。
第66回 午前39(臨床化学)
自動分析装置を用いる二波長法で誤っているのはどれか。
- ①光量補正が可能となる。
- ②2つの波長の吸光度差を測定する。
- ③試料の濁りの影響を軽減することができる。
- ④1試薬系の検査試薬に適用することができる。
- ⑤主波長は極大吸収波長より短波長側に設定する。
正答: ⑤主波長は極大吸収波長より短波長側に設定する。
ポイント
二波長法は、測定対象の極大吸収波長付近に主波長を、吸収のほとんどない波長に副波長を設定し、両波長の吸光度差を測定する手法である。これにより試料の濁りや光源の変動、セルの汚れなどによる非特異的吸光が相殺され、測定精度が向上する。主波長は対象物質の極大吸収波長付近に置くのが原則であり、「極大吸収波長より短波長側に設定する」という記述は誤りである。●二波長法の利点=濁りの影響軽減・光量補正・バックグラウンド補正。●波長の設定=主波長(極大吸収付近)・副波長(吸収のない側)。●適用=1試薬系・2試薬系いずれにも応用可能。
選択肢ごとの解説
- ① 二波長法では副波長を基準として光源変動などを補正できるため、光量補正が可能というのは正しい。
- ② 2つの波長での吸光度差を測定するのは二波長法の原理であり、正しい。
- ③ 副波長で濁りによる非特異的吸光を差し引けるため、濁りの影響を軽減できるというのは正しい。
- ④ 二波長法は1試薬系の検査試薬にも適用でき、正しい。
- ⑤ 誤り。主波長は対象物質の極大吸収波長付近に設定するのが原則であり、極大より短波長側に設定するとは限らない。
第66回 午前40(臨床化学)
リポ蛋白について誤っているのはどれか。
- ①HDLはLDLよりも蛋白質含量が高い。
- ②IDLはLDLとVLDLの中間の比重をもつ。
- ③カイロミクロンはVLDLよりも粒子サイズが大きい。
- ④VLDLはカイロミクロンよりもトリグリセライド含量が低い。
- ⑤LDLはアガロースゲル電気泳動法でVLDLよりも陽極側に移動する。
正答: ⑤LDLはアガロースゲル電気泳動法でVLDLよりも陽極側に移動する。
ポイント
リポ蛋白は比重で分類され、比重が高いものほど蛋白含量が多く脂質含量が少ない(HDL>LDL>IDL>VLDL>カイロミクロンの順に比重が高い)。アガロースゲル電気泳動では原点側からカイロミクロン、β位(LDL)、preβ位(VLDL)、α位(HDL)の順に泳動され、易動度はLDL(β)よりVLDL(preβ)の方が陽極側へ進む。したがって「LDLがVLDLより陽極側に移動する」という記述は逆であり誤りである。●リポ蛋白の比重順(高→低)=HDL・LDL・IDL・VLDL・カイロミクロン。●電気泳動の易動度(陽極側へ)=α(HDL)・preβ(VLDL)・β(LDL)、原点(カイロミクロン)。●主な構成脂質=カイロミクロン・VLDL(トリグリセライド主体)、LDL(コレステロール主体)、HDL(蛋白主体)。
選択肢ごとの解説
- ① HDLはLDLより比重が高く蛋白含量も高いため、正しい記述である。
- ② IDLはVLDLとLDLの中間の比重をもつため、正しい記述である。
- ③ カイロミクロンはリポ蛋白で最大の粒子でVLDLより大きいため、正しい記述である。
- ④ VLDLはカイロミクロンよりトリグリセライド含量が低いため、正しい記述である。
- ⑤ 誤り。アガロースゲル電気泳動ではVLDL(preβ)がLDL(β)より陽極側に移動するため、LDLがVLDLより陽極側というのは逆である。
第66回 午前41(臨床化学)
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉反応の生成物はどれか。2つ選べ。
- ①遊離脂肪酸
- ②リゾレシチン
- ③トリグリセライド
- ④スフィンゴミエリン
- ⑤エステル型コレステロール
正答: ②リゾレシチン・⑤エステル型コレステロール
ポイント
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉は主にHDL上で働き、レシチン(ホスファチジルコリン)の脂肪酸を遊離コレステロールに転移する酵素である。この反応の生成物はエステル型コレステロールと、脂肪酸が外れて生じるリゾレシチン(リゾホスファチジルコリン)である。エステル化されたコレステロールはHDL粒子の核に取り込まれ、末梢からのコレステロール逆転送を進める。●LCAT反応の生成物=エステル型コレステロール・リゾレシチン。●LCAT反応の基質=遊離コレステロール・レシチン。●コレステロール逆転送系の関連分子=HDL・LCAT・コレステロールエステル転送蛋白〈CETP〉・ABCA1。
選択肢ごとの解説
- ① 遊離脂肪酸はLCAT反応の生成物ではなく、脂肪酸はコレステロールへ転移される。
- ② 正しい。リゾレシチンはレシチンから脂肪酸が外れて生じるLCAT反応の生成物である。
- ③ トリグリセライドはLCAT反応の生成物ではない。
- ④ スフィンゴミエリンはLCAT反応とは無関係である。
- ⑤ 正しい。エステル型コレステロールはLCATによりコレステロールがエステル化されて生じる生成物である。
第66回 午前42(臨床化学)
蛋白質合成の場として重要なのはどれか。
- ①Golgi装置
- ②滑面小胞体
- ③リボソーム
- ④ミトコンドリア
- ⑤ペルオキシソーム
正答: ③リボソーム
ポイント
蛋白質合成(翻訳)はリボソーム上で行われ、mRNAの塩基配列(コドン)に従いtRNAが運ぶアミノ酸が順次ペプチド結合で連結される。粗面小胞体に付着したリボソームは分泌蛋白や膜蛋白を、遊離リボソームは細胞質内蛋白を合成する。Golgi装置は合成された蛋白の修飾・選別を担い、リボソームをもたない滑面小胞体は脂質合成や解毒を行う。●蛋白質合成=リボソーム(翻訳)・粗面小胞体(分泌蛋白・膜蛋白)。●細胞小器官の主な機能=Golgi装置(修飾・選別)・滑面小胞体(脂質合成・解毒)・ミトコンドリア(ATP産生)・ペルオキシソーム(脂肪酸酸化・過酸化物処理)・リソソーム(分解)。
選択肢ごとの解説
- ① Golgi装置は蛋白の糖鎖修飾・選別・輸送を行う場で、合成の場ではない。
- ② 滑面小胞体は脂質合成や解毒に関わりリボソームをもたず、蛋白合成の場ではない。
- ③ 正しい。リボソームはmRNAを翻訳して蛋白質を合成する場である。
- ④ ミトコンドリアはATP産生が主機能で、蛋白合成の主たる場ではない。
- ⑤ ペルオキシソームは脂肪酸酸化や過酸化物の処理を行う場で、蛋白合成の場ではない。
第66回 午前43(臨床化学)
血中薬物濃度測定〈TDM〉の対象とならない薬物はどれか。
- ①抗凝固薬
- ②抗不整脈薬
- ③免疫抑制薬
- ④抗てんかん薬
- ⑤アミノ配糖体抗菌薬
正答: ①抗凝固薬
ポイント
治療薬物モニタリング〈TDM〉は有効域と中毒域が近接し、血中濃度と効果・副作用がよく相関する薬物について血中濃度を測定し、投与量を最適化するために行う。抗てんかん薬・抗不整脈薬・免疫抑制薬・アミノ配糖体抗菌薬・ジギタリス製剤・テオフィリンなどが代表的対象である。抗凝固薬のワルファリンはプロトロンビン時間国際標準比〈PT-INR〉という薬効指標で管理するため、血中濃度を測定するTDMの対象とはしない。●TDMの主な対象=抗てんかん薬・抗不整脈薬・免疫抑制薬・アミノ配糖体抗菌薬・ジギタリス・テオフィリン・抗悪性腫瘍薬の一部。●薬効指標で管理する薬=ワルファリン(PT-INR)・未分画ヘパリン(APTT)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。抗凝固薬はPT-INRなどの薬効指標で管理するため、血中濃度を測定するTDMの対象とはならない。
- ② 抗不整脈薬は有効域が狭く中毒を起こしやすいため、TDMの対象となる。
- ③ 免疫抑制薬(シクロスポリン・タクロリムスなど)はTDMの代表的対象である。
- ④ 抗てんかん薬は血中濃度と効果・副作用が相関し、TDMの対象である。
- ⑤ アミノ配糖体抗菌薬は腎毒性・聴器毒性の回避のためTDMの対象である。
📋 まとめの表を見る:治療薬物モニタリング〈TDM〉の対象薬と検体の種類
ワルファリン(抗凝固薬)は血中濃度でなくPT-INRという薬効指標で管理するためTDMの対象としない。
第66回 午前44(臨床化学)
尿中デオキシピリジノリン〈DPD〉について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①骨粗鬆症で低値を示す。
- ②男性は女性よりも高値を示す。
- ③悪性腫瘍の骨転移で低値を示す。
- ④健常者では成長期に高値を示す。
- ⑤原発性副甲状腺機能亢進症で高値を示す。
正答: ④健常者では成長期に高値を示す。・⑤原発性副甲状腺機能亢進症で高値を示す。
ポイント
尿中デオキシピリジノリン〈DPD〉はI型コラーゲンの分子間架橋に由来し、骨基質が分解される際に尿中へ排泄されるため、骨吸収(骨破壊)の指標として用いられる。骨吸収が亢進する病態で高値となるので、骨形成が盛んな成長期、原発性副甲状腺機能亢進症、骨粗鬆症、悪性腫瘍の骨転移などで高値を示す。代謝の影響を受けにくく尿で測定できる利点がある。●骨吸収マーカー=デオキシピリジノリン・ピリジノリン・I型コラーゲン架橋N-テロペプチド〈NTX〉・酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ〈TRACP-5b〉。●骨形成マーカー=骨型アルカリホスファターゼ〈BAP〉・I型プロコラーゲンN-プロペプチド〈P1NP〉・オステオカルシン。●骨吸収亢進をきたす病態=原発性副甲状腺機能亢進症・骨転移・閉経後骨粗鬆症・甲状腺機能亢進症。
選択肢ごとの解説
- ① 骨粗鬆症では骨吸収が亢進するためDPDは高値を示し、低値とするのは誤りである。
- ② DPDは一般に女性、とくに閉経後で高値傾向であり、男性が女性より高いとは言えない。
- ③ 悪性腫瘍の骨転移では骨破壊によりDPDは高値を示すため、低値とするのは誤りである。
- ④ 正しい。健常者でも骨形成・骨代謝が盛んな成長期にはDPDが高値を示す。
- ⑤ 正しい。原発性副甲状腺機能亢進症では副甲状腺ホルモン過剰で骨吸収が亢進し、DPDが高値となる。
📋 まとめの表を見る:骨代謝マーカーの分類(骨吸収マーカー・骨形成マーカー)
骨吸収が亢進する病態(原発性副甲状腺機能亢進症・骨転移・閉経後骨粗鬆症・成長期)で骨吸収マーカーが高値となる。
第66回 午前45(病理組織細胞学)
弾性線維の染色法はどれか。2つ選べ。
- ①orcein染色
- ②Berlin blue染色
- ③toluidine blue染色
- ④Masson trichrome染色
- ⑤elastica van Gieson染色
正答: ①orcein染色・⑤elastica van Gieson染色
ポイント
弾性線維を選択的に染める代表的染色法はorcein(オルセイン)染色とelastica van Gieson〈EVG〉染色である。オルセイン染色は弾性線維を褐色に、EVGはレゾルシン・フクシンで弾性線維を黒紫〜黒に染め、続くvan Gieson液で膠原線維を赤、筋線維や細胞質を黄色に染め分ける。血管壁の弾性板の評価や動脈瘤・血管炎の観察に用いられる。●弾性線維染色=orcein・elastica van Gieson・Weigert弾性線維染色。●膠原線維染色=Masson trichrome・van Gieson・アザン。●その他=Berlin blue(鉄・ヘモジデリン)・toluidine blue(メタクロマジー、肥満細胞・軟骨基質)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。orcein染色は弾性線維を褐色に染める代表的な弾性線維染色である。
- ② Berlin blue染色は鉄(ヘモジデリン)の検出に用いる染色で、弾性線維染色ではない。
- ③ toluidine blue染色はメタクロマジーを利用して肥満細胞や軟骨基質を染めるもので、弾性線維染色ではない。
- ④ Masson trichrome染色は膠原線維を青または緑に染め分ける染色で、弾性線維を特異的に染めるものではない。
- ⑤ 正しい。elastica van Gieson染色は弾性線維を黒紫に染める代表的染色である。
第66回 午前46(病理組織細胞学)
小脳のKlüver-Barrera染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA046.6ff5514924.jpg

- ①砂粒体
- ②Nissl小体
- ③Russell小体
- ④Mallory小体
- ⑤アミロイド小体
正答: ②Nissl小体
ポイント
Klüver-Barrera〈KB〉染色は、ルクソールファストブルーで髄鞘を青緑色に、クレシルバイオレットでニッスル物質を染め分ける神経組織用染色である。神経細胞体の細胞質内に染まる粗大な顆粒状構造はNissl小体で、その実体は蛋白合成を担う粗面小胞体とリボソームの集塊である。神経細胞の傷害時には軸索反応として中心性融解(Nissl小体の消失)が起こる。●KB染色で観察する構造=髄鞘(青緑)・Nissl小体(青紫)。●細胞内封入体=Russell小体(形質細胞、免疫グロブリン)・Mallory小体(肝細胞、アルコール性肝障害)・Lewy小体(神経細胞、Parkinson病)。●石灰化・沈着物=砂粒体(同心円状石灰化)・アミロイド小体。
選択肢ごとの解説
- ① 砂粒体は同心円状の石灰化体で、髄膜腫や甲状腺乳頭癌などにみられ、神経細胞内の構造ではない。
- ② 正しい。神経細胞質内に染まる粗大な顆粒状の構造はNissl小体(粗面小胞体)である。
- ③ Russell小体は形質細胞内の免疫グロブリン蓄積体であり、神経細胞のものではない。
- ④ Mallory小体はアルコール性肝障害などで肝細胞内に出現する硝子様封入体である。
- ⑤ アミロイド小体は脳組織にみられる球状構造だが、KB染色でNissl物質として染まる本構造とは異なる。
第66回 午前47(病理組織細胞学)
透過型電子顕微鏡標本作製に使用しないのはどれか。
- ①ガラスナイフ
- ②グリッドメッシュ
- ③ダイヤモンドナイフ
- ④toluidine blue染色液
- ⑤テトランダー〈Tetrander〉型ミクロトーム
正答: ⑤テトランダー〈Tetrander〉型ミクロトーム
ポイント
透過型電子顕微鏡用の超薄切片は、樹脂包埋した試料をガラスナイフまたはダイヤモンドナイフで超薄に切削し、グリッド(メッシュ)に載せて作製する。トルイジンブルー染色は、超薄切片を切り出す前に厚めの準超薄切片を染めて観察部位を光学顕微鏡で確認するために用いる。テトランダー型ミクロトームは骨など硬組織用の大型ミクロトームであり、電子顕微鏡用の超薄切片作製には用いない。●超薄切片作製の器具=ウルトラミクロトーム・ガラスナイフ・ダイヤモンドナイフ・グリッド。●電顕用染色(電子染色)=酢酸ウラニル・クエン酸鉛。●硬組織用=テトランダー型ミクロトーム・研磨標本。
選択肢ごとの解説
- ① ガラスナイフは超薄切片や準超薄切片の作製に用いるため、電顕標本作製に使用する。
- ② グリッドメッシュは超薄切片を載せる支持体であり、電顕標本作製に使用する。
- ③ ダイヤモンドナイフは超薄切片作製に用いる主要な刃で、電顕標本作製に使用する。
- ④ トルイジンブルー染色液は準超薄切片で観察部位を確認するために用いるため、使用する。
- ⑤ 誤り。テトランダー型ミクロトームは硬組織用の大型機器で、電子顕微鏡の超薄切片作製には使用しない。
第66回 午前48(病理組織細胞学)
Papanicolaou染色に用いられる色素はどれか。2つ選べ。
- ①エオジンY
- ②クリスタル紫
- ③アゾカルミンG
- ④メチルグリーン
- ⑤ビスマルクブラウン
正答: ①エオジンY・⑤ビスマルクブラウン
ポイント
Papanicolaou染色は、核を染めるヘマトキシリンと、細胞質を染めるOG-6(オレンジG)およびEA(ライトグリーン・エオジンY・ビスマルクブラウンを含む)からなる多色染色で、扁平上皮細胞の角化状態を色調の違いで評価できる。細胞質色素のうち、エオジンYは成熟扁平上皮を赤〜橙に、ビスマルクブラウンとともにEA液を構成して微細な色調の差を生み出す。●Papanicolaou染色の構成=ヘマトキシリン(核)・OG-6(オレンジG)・EA(ライトグリーン・エオジンY・ビスマルクブラウン)。●他染色の代表色素=Gram染色(クリスタル紫)・アザン(アゾカルミンG)・メチルグリーン-ピロニン染色(メチルグリーン)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。エオジンYはEA液に含まれる細胞質染色色素で、Papanicolaou染色に用いられる。
- ② クリスタル紫はGram染色などに用いる色素で、Papanicolaou染色の構成色素ではない。
- ③ アゾカルミンGはアザン染色に用いる色素で、Papanicolaou染色には用いない。
- ④ メチルグリーンはメチルグリーン-ピロニン染色などに用いる色素で、Papanicolaou染色の色素ではない。
- ⑤ 正しい。ビスマルクブラウンはEA液に含まれる色素で、Papanicolaou染色に用いられる。
第66回 午前49(病理組織細胞学)
萎縮を示す心臓のH-E染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA049.bd8a2ee64e.jpg

- ①メラニン
- ②アミロイド
- ③グリコーゲン
- ④リポフスチン
- ⑤ホルマリン色素
正答: ④リポフスチン
ポイント
心筋の萎縮では、細胞内に黄褐色の消耗色素であるリポフスチンが核周囲に沈着し、臓器全体が褐色を帯びる褐色萎縮を呈する。リポフスチンはリソソームでの脂質・蛋白の不完全分解の残渣で、加齢や慢性消耗状態で蓄積し、H-E染色で核周囲に黄褐色の微細顆粒として認められる。●細胞内色素・沈着物=リポフスチン(消耗色素)・メラニン(メラノサイト)・ヘモジデリン(鉄)・ビリルビン。●人工産物の色素=ホルマリン色素(酸性ホルマリンとヘモグロビンの反応で生じる)。●マラリア色素(ヘモゾイン)=マラリア原虫が赤血球内でヘモグロビンを分解して生じる色素で、人工産物ではないがホルマリン色素と形態が類似する。●萎縮の種類=褐色萎縮(心・肝)・廃用性萎縮・圧迫萎縮・神経性萎縮。
選択肢ごとの解説
- ① メラニンはメラノサイト由来の黒褐色色素であり、心筋の萎縮で核周囲に沈着する色素ではない。
- ② アミロイドは細胞外に沈着する好酸性無構造物質で、核周囲の褐色顆粒とは異なる。
- ③ グリコーゲンは細胞質内の多糖でPAS陽性だが、褐色顆粒として核周囲に蓄積する色素ではない。
- ④ 正しい。心筋の萎縮(褐色萎縮)で核周囲に沈着する黄褐色色素はリポフスチンである。
- ⑤ ホルマリン色素は固定による人工産物で組織に散在する黒褐色色素であり、萎縮を示す細胞内色素ではない。
第66回 午前50(病理組織細胞学)
融解壊死が主体となるのはどれか。
正答: ②脳梗塞
ポイント
壊死は組織の性状により様式が異なる。脳は脂質に富み構造蛋白が少ないため、梗塞では組織が液状に崩れる融解壊死(液状化壊死)となり、後に囊胞を形成する。これに対し腎・脾・心など多くの実質臓器の梗塞は、組織構築が一時的に保たれる凝固壊死を示す。融解壊死は脳梗塞のほか、好中球の蛋白分解酵素が働く化膿性炎(膿瘍)で特徴的にみられる。●融解壊死を示す=脳梗塞・化膿性炎(膿瘍)。●凝固壊死を示す=心筋梗塞・腎梗塞・脾梗塞。●その他の壊死=乾酪壊死(結核)・脂肪壊死(急性膵炎)・壊疽(乾性・湿性)。
選択肢ごとの解説
- ① 腎梗塞は凝固壊死を示す典型的な臓器であり、融解壊死ではない。
- ② 正しい。脳梗塞は脂質に富む組織の特性から融解壊死(液状化壊死)を示す。
- ③ 肺梗塞は出血性梗塞となるが基本は凝固壊死であり、融解壊死が主体ではない。
- ④ 脾梗塞は凝固壊死を示す典型例である。
- ⑤ 小腸梗塞は出血性梗塞となるが、融解壊死が主体となるわけではない。