第66回(2020) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第66回 午前1(臨床検査総論)

臨床検査室において尿浸透圧の測定に用いられるのはどれか。

正答: ②氷点降下法

ポイント
尿浸透圧は溶質粒子の総数を反映する束一的性質であり、臨床検査室では氷点降下法(凝固点降下法)が標準法として用いられる。溶質が増えるほど水の凝固点が降下し、その降下度が溶質の質量モル濃度に比例することを利用して浸透圧を算出する。蒸気圧降下法も束一的性質を利用するが揮発性溶質の影響を受けるため、尿では氷点降下法が一般的である。●束一的性質を利用する測定=氷点降下法(標準)・蒸気圧降下法・沸点上昇法・浸透圧法。●尿の物理化学的指標=浸透圧(溶質粒子数を反映)・比重(溶質の質量と種類を反映、屈折計法/尿比重計)。●浸透圧の関連検査=血清浸透圧・浸透圧ギャップ(実測値と計算値の差)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前2(臨床検査総論)

関節液中にピロリン酸カルシウムが認められるのはどれか。

正答: ②偽痛風

ポイント
偽痛風は関節内にピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)結晶が沈着して起こる急性関節炎で、関節液中に弱い正の複屈折を示す短冊状・菱形結晶を認める。針状で強い負の複屈折を示す尿酸ナトリウム結晶を呈する痛風と偏光顕微鏡で鑑別される。膝関節など大関節に好発し、X線で関節軟骨の石灰化(軟骨石灰化症)を伴うことが多い。●結晶誘発性関節炎=痛風(尿酸ナトリウム、針状・負の複屈折)・偽痛風(ピロリン酸カルシウム、菱形・正の複屈折)。●感染性関節炎=化膿性関節炎(細菌、好中球と菌)。●非結晶性炎症=関節リウマチ(自己免疫性滑膜炎)・変形性関節症(軟骨変性)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前3(臨床検査総論)

尿沈渣の無染色標本を別に示す。認められる結晶はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA003.3bd0e618c5.jpg
第66回 午前3 の図

正答: ②シスチン結晶

ポイント
尿中シスチン結晶は無色透明な正六角形の板状結晶で、しばしば重なり合って出現する。先天性のアミノ酸再吸収障害であるシスチン尿症で認められ、酸性尿で溶解度が低く析出しやすい。シアノニトロプルシド反応(ニトロプルシド試験)が陽性となることでも確認できる。●無色透明の異常結晶=シスチン(正六角形板状)・チロシン(針状束状)・ロイシン(同心円状球状)。●酸性尿の結晶=尿酸(黄褐色多形)・シュウ酸カルシウム(正八面体・封筒状)。●アルカリ性尿の結晶=リン酸カルシウム・リン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト、棺蓋状)。●代謝・病的結晶=ビリルビン(黄褐色針状)・コレステロール(板状切り欠き)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前4(臨床検査総論)

臨床検査技師が放射性同位元素〈RI〉を取扱う際に遵守すべきなのはどれか。

正答: ③測定試薬の管理台帳作成

ポイント
放射性同位元素(RI)を用いる検査では放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づき、使用・保管・廃棄の状況を記録する管理台帳(帳簿)の作成・保存が義務づけられている。被ばく低減の三原則(時間を短く・距離を遠く・遮蔽する)と汚染管理が基本である。臨床検査技師がRIを取り扱うのに特別な免許は不要だが、放射線業務従事者としての教育訓練と健康診断が求められる。●外部被ばく低減の三原則=時間・距離・遮蔽。●被ばくの種類=外部被ばく・内部被ばく(吸入・経口・経皮)。●放射線測定器=GM計数管・シンチレーション検出器・電離箱・個人線量計(フィルムバッジ・ガラス線量計)。●RI廃棄物の処理=専用容器で保管し許可業者へ引渡し(オートクレーブや焼却で放射能は消えない)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前5(臨床検査総論)

糞便に用いる検査法はどれか。2つ選べ。

正答: ②Sudan Ⅲ染色法・⑤抗ヒトヘモグロビンイムノクロマト法

ポイント
糞便検査では脂肪便の評価にSudan Ⅲ染色(脂肪染色)、消化管出血の検出に抗ヒトヘモグロビン抗体を用いた免疫学的便潜血検査(イムノクロマト法)が用いられる。免疫法は食事由来の動物性ヘモグロビンや上部消化管出血の影響を受けにくく、下部消化管出血のスクリーニングに適する。化学的便潜血検査と異なり食事制限を要しない利点がある。●糞便の検査=便潜血(免疫法・化学的グアヤック法)・脂肪染色(Sudan Ⅲ)・寄生虫卵検査・便培養。●尿蛋白の検査=スルホサリチル酸法・試験紙法。●新生児マススクリーニング=Guthrie法(フェニルアラニンなど)・タンデムマス法。●ビリルビンの測定=ジアゾカップリング法。

選択肢ごとの解説

第66回 午前6(臨床検査総論)

夜間採血の新鮮血塗抹標本に検出された勢い良く動く虫体の写真を別に示す。この寄生虫の感染経路はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA006.3f82c4d7f8.jpg
第66回 午前6 の図

正答: ②経皮感染

ポイント
夜間採血の新鮮血で活発に動く虫体はミクロフィラリア(バンクロフト糸状虫・マレー糸状虫の幼虫)で、リンパ系フィラリア症の原因となる。感染は媒介蚊の吸血時に感染幼虫が皮膚から侵入する経皮感染で成立する。多くの種で夜間に末梢血へ出現する夜間定期出現性を示し、夜間採血が診断に有用である。●経皮感染する寄生虫=フィラリア(蚊媒介)・鉤虫・住血吸虫(セルカリアが皮膚侵入)・マラリア(蚊媒介)。●経口感染する寄生虫=回虫・蟯虫・無鉤条虫・有鉤条虫・アニサキス・赤痢アメーバ。●経胎盤感染=トキソプラズマ。●節足動物媒介=マラリア(ハマダラカ)・フィラリア(イエカ等)・バベシア(マダニ)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:寄生虫・原虫の感染経路の分類

感染経路代表的な寄生虫
経皮感染(幼虫が能動的に侵入)住血吸虫、糞線虫、鉤虫
経皮感染(昆虫の吸血=ベクター媒介)フィラリア、マラリア、トリパノソーマ、リーシュマニア
経胎盤感染トキソプラズマ
接触感染(性行為感染)赤痢アメーバ、腟トリコモナス、Lambl鞭毛虫、ケジラミ
自家感染糞線虫、有鉤条虫、小形条虫
経口感染回虫、鞭虫、蟯虫、アニサキス、条虫類など

📋 まとめの表を見る:寄生虫症と媒介動物(ベクター)

媒介動物媒介する疾患
ハマダラカマラリア
蚊(イエカ・ヤブカ)バンクロフト糸状虫症・マレー糸状虫症
サシチョウバエリーシュマニア症
ツェツェバエアフリカトリパノソーマ症(睡眠病)
サシガメクルーズトリパノソーマ症(シャーガス病)
マダニ紅斑熱、野兎病、重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉
ツツガムシ(幼虫)つつが虫病
蚊が媒介するのはマラリア・フィラリアのみで、リーシュマニア(サシチョウバエ)・トリパノソーマ症(ツェツェバエ/サシガメ)とは媒介昆虫が異なる点が問われやすい。

第66回 午前7(臨床検査総論)

静脈採血法について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①採血前に患者自身に姓名を名乗ってもらう。・②ホルダーは患者ごとに交換する。

ポイント
静脈採血では患者誤認防止のため、可能な限り患者自身に姓名を名乗ってもらい本人確認を行う。採血ホルダーは血液の付着による交差感染を防ぐため患者ごとに交換(ディスポーザブル化)するのが原則である。穿刺部位の第一選択は橈側皮静脈・肘正中皮静脈で、内側を走る神経・動脈の損傷を避けるため尺側皮静脈は慎重を要する。●採血の安全管理=本人確認(患者に名乗らせる)・ホルダーの患者ごと交換・リキャップ禁止・針刺し防止器具の使用。●採血部位=肘正中皮静脈・橈側皮静脈(第一選択)/尺側皮静脈(神経損傷リスク)。●止血=抜針後は揉まずに直接圧迫。●採血合併症=神経損傷・血管迷走神経反射・皮下血腫。

選択肢ごとの解説

第66回 午前8(臨床検査総論)

試験紙法で尿潜血が陽性、尿沈渣で赤血球が陰性となるのはどれか。2つ選べ。

正答: ③横紋筋融解症・④ABO型不適合輸血

ポイント
試験紙の尿潜血反応はヘモグロビンのもつペルオキシダーゼ様活性を検出するため、赤血球そのものが沈渣になくてもヘモグロビンやミオグロビンが尿中に存在すれば陽性となる。横紋筋融解症ではミオグロビン尿、血管内溶血(ABO型不適合輸血など)ではヘモグロビン尿により、沈渣赤血球が陰性でも潜血陽性となる。沈渣赤血球も陽性となるのは糸球体性・尿路性の血尿である。●潜血陽性・沈渣赤血球陰性=ミオグロビン尿(横紋筋融解症・挫滅)・ヘモグロビン尿(血管内溶血、ABO不適合輸血・発作性夜間ヘモグロビン尿症)。●潜血陽性・沈渣赤血球陽性=糸球体性血尿(IgA腎症・急速進行性糸球体腎炎、変形赤血球・赤血球円柱)・尿路性血尿(結石・腫瘍、均一赤血球)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:尿潜血反応と尿沈渣赤血球の解離(陽性・陰性の不一致)の原因

パターン考えられる原因
尿沈渣赤血球(-)・尿試験紙潜血(+)低張尿・古尿のアルカリ化による溶血・尿沈渣赤血球の見落とし(ゴースト状赤血球・変形赤血球)・ヘモグロビン尿・ミオグロビン尿・多量の過酸化水素水の混入
尿沈渣赤血球(+)・尿試験紙潜血(-)試験紙の劣化・アスコルビン酸の混入・沈渣中赤血球の誤認(酵母様真菌・シュウ酸カルシウム)
横紋筋融解症(ミオグロビン尿)やABO型不適合輸血による血管内溶血(ヘモグロビン尿)は、潜血反応陽性・沈渣赤血球陰性の代表例。

第66回 午前9(臨床検査総論)

結核性髄膜炎の髄液所見として正しいのはどれか。

正答: ③単核球の増加

ポイント
結核性髄膜炎の髄液は、細胞増多がリンパ球(単核球)優位、蛋白増加、糖低下を示すのが典型である。クロール(塩化物)も低下し、アデノシンデアミナーゼ(ADA)活性は上昇する。好中球優位で著明な糖低下を示す細菌性髄膜炎と対比される。●結核性髄膜炎の髄液=単核球(リンパ球)優位・蛋白増加・糖低下・クロール低下・ADA上昇。●細菌性(化膿性)髄膜炎=好中球優位・蛋白著増・糖著減・髄液混濁。●ウイルス性髄膜炎=リンパ球優位・蛋白軽度増加・糖正常。●真菌性(クリプトコッカス)髄膜炎=リンパ球優位・糖低下・墨汁染色陽性。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:髄液検査所見と疾患の鑑別(正常・出血・細菌性/結核性/真菌性/ウイルス性髄膜炎)

項目正常髄液出血細菌性髄膜炎結核性髄膜炎真菌性髄膜炎ウイルス性髄膜炎
色調・混濁水様無色透明赤色(新鮮)〜黄色(古い)混濁・フィブリン析出(厚い粘膜様)混濁・フィブリン析出(くもの巣状)--
髄液圧(60〜150mmH2O)基準内↑↑↑↑↑
細胞数(0〜5/µL)基準内(小リンパ球主体)↑(赤血球)↑(好中球)↑(リンパ球)↑(リンパ球)↑(リンパ球)
蛋白(10〜40mg/dL)基準内↑↑↑↑↑
糖(50〜80mg/dL)基準内↑↓↓↓→(変化なし)
クロール(120〜130mEq/L)基準内-↓↓↓↓
トリプトファン反応(-)(-)(-)(+)(-)(-)
細菌性髄膜炎ではLD(乳酸脱水素酵素)も上昇する。髄液糖を評価する際は必ず同時測定した血糖値と比較する(髄液糖/血糖比は正常で約0.6)。

第66回 午前10(臨床検査総論)

内部精度管理法で患者データを用いるのはどれか。2つ選べ。

正答: ③項目間チェック法・④デルタチェック法

ポイント
内部精度管理には、既知濃度の管理試料を測定する方法と、患者データそのものを利用する方法がある。管理試料を用いるのはX-R管理図・累積和法・マルチルール管理図である。患者データを用いる代表的手法が項目間チェック(相関のある項目どうしの整合性確認)とデルタチェック(同一患者の前回値と今回値の差の確認)である。●管理試料を用いる方法=X-R管理図法・累積和(CUSUM)法・マルチルール(Westgard)管理図法・twin plot法。●患者データを用いる方法=項目間チェック法・デルタチェック法・患者データ平均法(正常者平均法)。●外部精度管理=外部精度管理調査(サーベイ)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)

分類代表的な方法
管理試料を用いる方法x̄-R管理図法(x̄-Rs法・x̄-Rs-R法)・累積和法(CUSUM法)・双値法(ツインプロット法・Youden plot法)・マルチルール管理図法・臼井法
管理試料を用いない方法(患者データを利用)二重測定法・Hoffmann法(ナンバープラス法・正常者平均値法)・個別検体の管理法(高値低値チェック法・項目間チェック法・デルタチェック法)・|R/x̄|管理法(新谷法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。

第66回 午前11(臨床検査医学総論)

急性リンパ芽球性白血病にみられる染色体異常はどれか。

正答: ③t(9;22)

ポイント
急性リンパ芽球性白血病(ALL)にみられる代表的染色体異常はt(9;22)(フィラデルフィア染色体、BCR-ABL1融合遺伝子)で、成人ALLで頻度が高く予後不良因子となる。同じ転座は慢性骨髄性白血病でもみられる。各転座は特定の造血器腫瘍に対応する。●ALL/リンパ系=t(9;22)(BCR-ABL1)・t(12;21)(小児)・t(8;14)(Burkittリンパ腫、MYC)・t(14;18)(濾胞性リンパ腫、BCL2)。●AML/骨髄系=t(8;21)(M2、RUNX1-RUNX1T1)・t(15;17)(M3、PML-RARA)・inv(16)(M4Eo)。●慢性骨髄性白血病=t(9;22)(BCR-ABL1)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:白血病の染色体異常と融合遺伝子

疾患染色体異常融合遺伝子
慢性骨髄性白血病〈CML〉t(9;22)(q34;q11.2)BCR::ABL1
急性リンパ性白血病〈ALL〉(一部)t(9;22)(q34;q11.2)BCR::ABL1

第66回 午前12(臨床検査医学総論)

動脈血液ガス分析で、pH 7.48、PaO₂ 98 Torr、PaCO₂ 30 Torr、HCO₃⁻ 22 mmol/Lであった。考えられるのはどれか。

正答: ④過換気症候群

ポイント
pH 7.48の上昇とPaCO₂ 30 Torrの低下があり、HCO₃⁻はほぼ正常下限であることから、呼吸性アルカローシス(過換気)と判断できる。過換気症候群では不安や疼痛などで換気が亢進し、二酸化炭素が過剰に排出されてアルカローシスとなる。代謝性代償が十分及ぶ前の急性期像である。●呼吸性アルカローシス(PaCO₂低下)=過換気症候群・高地・発熱・肺塞栓・サリチル酸中毒初期。●呼吸性アシドーシス(PaCO₂上昇)=慢性肺気腫・低換気・呼吸抑制。●代謝性アルカローシス(HCO₃⁻上昇)=嘔吐・胃液吸引・原発性アルドステロン症・利尿薬。●代謝性アシドーシス(HCO₃⁻低下)=急性膵炎・腎不全・糖尿病性ケトアシドーシス・下痢。

選択肢ごとの解説

第66回 午前13(臨床検査医学総論)

1型糖尿病と関連のある自己抗体はどれか。

正答: ①抗GAD抗体

ポイント
1型糖尿病は膵島β細胞の自己免疫性破壊で発症し、抗GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)抗体が代表的な膵島関連自己抗体である。抗IA-2抗体・抗インスリン抗体・抗ZnT8抗体も関連する。これらは発症前から陽性となることがあり、緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断にも有用である。●1型糖尿病=抗GAD抗体・抗IA-2抗体・抗インスリン抗体・抗ZnT8抗体(膵島自己抗体)。●自己免疫性甲状腺疾患=抗サイログロブリン抗体・抗TPO抗体・抗TSH受容体抗体。●膠原病=抗SS-A/SS-B抗体(Sjögren症候群)・抗リン脂質抗体(抗リン脂質抗体症候群)。●自己免疫性肝疾患=抗平滑筋抗体(自己免疫性肝炎)・抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臓器特異的自己抗体と自己免疫疾患

自己抗体対応する疾患
抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体悪性貧血
抗TSH受容体抗体Basedow病
抗サイログロブリン抗体・抗甲状腺ペルオキシダーゼ(抗マイクロソーム)抗体橋本病(慢性甲状腺炎)
抗アセチルコリン受容体抗体重症筋無力症
抗ミトコンドリア抗体原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉
抗赤血球抗体自己免疫性溶血性貧血
抗血小板抗体特発性血小板減少性紫斑病〈ITP〉
抗糸球体基底膜抗体Goodpasture症候群
抗平滑筋抗体・抗核抗体自己免疫性肝炎
抗副腎皮質抗体特発性Addison病
リウマトイド因子・抗CCP抗体関節リウマチ〈RA〉
抗GAD抗体1型糖尿病
抗dsDNA抗体・抗Sm抗体全身性エリテマトーデス〈SLE〉
抗Scl-70抗体・抗セントロメア抗体全身性強皮症(全身性硬化症)
抗Jo-1抗体多発性筋炎・皮膚筋炎
抗SS-A抗体・抗SS-B抗体Sjögren症候群
抗ENA抗体・抗U1-RNP抗体混合性結合組織病〈MCTD〉
サイロキシン結合グロブリン〈TBG〉は甲状腺ホルモンの運搬蛋白であり、自己抗体の標的とはならない。

第66回 午前14(臨床検査医学総論)

肝硬変について誤っているのはどれか。

正答: ①肝右葉腫大が認められる。

ポイント
肝硬変では線維化により肝は萎縮し、特に右葉が縮小して左葉・尾状葉が代償性に腫大することが多く、表面は凹凸不整となる。門脈圧亢進により脾腫・血小板減少・食道静脈瘤を生じ、ICG(インドシアニングリーン)試験では肝予備能低下のため色素排泄が遅延する。本邦の肝硬変はC型肝炎ウイルスが主要原因の一つである。●肝硬変の形態変化=右葉萎縮・左葉/尾状葉腫大・表面凹凸不整・辺縁鈍化。●門脈圧亢進の所見=脾腫・血小板減少・食道静脈瘤・腹水・側副血行路。●肝予備能の評価=ICG試験・アルブミン・プロトロンビン時間・Child-Pugh分類。●肝硬変の原因=C型/B型肝炎ウイルス・アルコール・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前15(臨床検査医学総論)

推算糸球体濾過量〈eGFR〉の推算に必要な項目はどれか。2つ選べ。

正答: ②性別・④年齢

ポイント
日本人のeGFR(推算糸球体濾過量)は、血清クレアチニン値・年齢・性別の3項目から算出する。式はeGFR=194×Cr⁻¹·⁰⁹⁴×年齢⁻⁰·²⁸⁷で、女性では×0.739の補正係数を乗じる。身長・体重・腹囲は不要で、クレアチニンが筋肉量の影響を受けるため、筋肉量が極端な例ではシスタチンCに基づくeGFRが推奨される。●血清Cr由来eGFRに必要=血清クレアチニン・年齢・性別。●シスタチンC由来eGFR=血清シスタチンC・年齢・性別(筋肉量の影響を受けにくい)。●小児のSchwartz式=身長・血清クレアチニン。●体表面積補正のクリアランス=身長・体重を要する(実測クレアチニンクリアランス)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前16(臨床生理学)

大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでの心時相はどれか。

正答: ④等容弛緩期

ポイント
心周期で大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでの時相は等容弛緩期で、心室は弛緩するが流入も駆出もないため容積は一定のまま心室内圧が急速に低下する。心室圧が心房圧を下回ると僧帽弁が開き、急速流入期へ移行する。Ⅱ音(大動脈弁閉鎖)に続く時相である。●収縮期=等容収縮期(僧帽弁閉鎖から大動脈弁開放、容積一定で圧上昇)・駆出期(大動脈弁開放)。●拡張期=等容弛緩期(大動脈弁閉鎖から僧帽弁開放、容積一定で圧低下)・急速流入期・緩徐流入期・心房収縮期。●心音との対応=Ⅰ音(房室弁閉鎖、収縮期開始)・Ⅱ音(半月弁閉鎖、拡張期開始)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前17(臨床生理学)

連続波ドプラ法を用いるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①三尖弁逆流速度測定・③大動脈弁狭窄症の弁口部圧較差推定

ポイント
連続波ドプラ法は送受信を連続して行うため高速血流の最大速度を折り返し(エイリアシング)なく計測できるが、ビーム上のどの深さの信号かを特定できない。三尖弁逆流速度から右室・肺動脈圧を、大動脈弁狭窄の弁口部圧較差を簡易ベルヌーイ式(圧較差=4V²)で評価する際に用いる。低速血流の局在評価や組織速度にはパルスドプラ・組織ドプラ・カラードプラが適する。●連続波ドプラ=高速血流の最大速度測定(弁狭窄の圧較差・弁逆流速度)、距離分解能なし。●パルスドプラ=特定深さの血流速度(左室流入E/A波)、高速ではエイリアシング。●組織ドプラ=心筋・弁輪運動速度。●カラードプラ=血流の方向・分布の可視化(逆流ジェット・吸い込み血流PISA)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前18(臨床生理学)

心尖部四腔像の収縮期カラードプラ像を別に示す。この症例で考えられる心雑音はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA018.acc3ddf57a.jpg
第66回 午前18 の図

正答: ④全収縮期雑音

ポイント
心尖部四腔像の収縮期にカラードプラで左房へ向かう逆流ジェットを認める所見は僧帽弁閉鎖不全症を示し、聴診上は全収縮期(汎収縮期)雑音となる。収縮期を通じて左室圧が左房圧を上回り続けるため、Ⅰ音からⅡ音まで途切れず連続する雑音となる。●全収縮期(汎収縮期)雑音=僧帽弁閉鎖不全・三尖弁閉鎖不全・心室中隔欠損。●駆出性収縮期雑音=大動脈弁狭窄・肺動脈弁狭窄(収縮中期に増強する菱形)。●拡張早期雑音=大動脈弁逆流・肺動脈弁逆流。●拡張中期〜前収縮期雑音=僧帽弁狭窄。●連続性雑音=動脈管開存症。

選択肢ごとの解説

第66回 午前19(臨床生理学)

心電図を別に示す。正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA019.d5e0de207b.jpg
第66回 午前19 の図

正答: ⑤広範前壁梗塞

ポイント
広範前壁梗塞は左冠動脈前下行枝近位部の閉塞により、V1からV6にかけて広くST上昇や異常Q波を認める。前壁中隔から側壁にまたがる広い領域が障害され、心機能低下や心不全をきたしやすい。誘導と障害部位の対応から梗塞部位を判定する。●梗塞部位と誘導=前壁中隔(V1-2)・前壁(V3-4)・側壁(V5-6、Ⅰ、aVL)・広範前壁(V1-6)。●下壁梗塞=Ⅱ・Ⅲ・aVF(右冠動脈)。●後壁梗塞=V1-2の高R波・ST低下(鏡像)。●右室梗塞=右側胸部誘導V3R-V4RのST上昇。●責任冠動脈=前下行枝(前壁)・回旋枝(側壁/後壁)・右冠動脈(下壁/右室)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前20(臨床生理学)

スパイロメトリで測定できる肺気量分画はどれか。2つ選べ。

正答: ③1回換気量・④最大吸気量

ポイント
スパイロメトリは口元での気量変化を測定するため、ガス交換で実際に出入りする量、すなわち1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・肺活量・最大吸気量は測定できる。一方、最大呼出後も肺に残る残気量を含む分画(残気量・機能的残気量・全肺気量)は呼出しきれないため直接測定できず、ガス希釈法や体プレチスモグラフが必要となる。●スパイロメトリで測定可能=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・肺活量・最大吸気量。●測定不能(残気量を含む)=残気量・機能的残気量・全肺気量。●残気量の測定法=ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路法・窒素洗い出し法)・体プレチスモグラフ。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:呼吸機能検査:測定項目と測定方法

測定項目測定方法備考
残気量〈RV〉ガス希釈法または体プレチスモグラフ法(スパイロメトリでは測定不可)機能的残気量〈FRC〉から予備呼気量を引いて算出
機能的残気量〈FRC〉ガス希釈法(開放・閉鎖回路法)、体プレチスモグラフ法体プレチスモグラフ法はBoyleの法則を利用
肺拡散能〈DLco〉1回呼吸法(一酸化炭素を使用)ガス希釈法ではない
クロージングボリューム〈CV〉単一窒素呼出曲線(レジデントガス法)、ボーラス法単一窒素呼出曲線の第Ⅳ相の気量に相当
ピークフロー〈PEF〉・V50・V25フローボリューム曲線正常はピークフロー>V50>V25の順(V50・V25は末梢気道の指標)
努力肺活量〈FVC〉・1秒量フローボリューム曲線・スパイロメトリ-
肺活量〈VC〉・1回換気量・予備呼気量・予備吸気量スパイロメトリ緩徐な呼吸で測定

第66回 午前21(臨床生理学)

肺拡散能力の1回呼吸法による測定用吸入ガスに含まれないのはどれか。

正答: ②CO₂

ポイント
肺拡散能力(DLCO)の1回呼吸法では、指標ガスとして拡散の指標である一酸化炭素(CO)、肺胞気量の希釈指標となる不溶性のヘリウム(He)を含み、これに窒素(N2)と酸素(O₂)を混合した吸入ガスを用いる。二酸化炭素(CO₂)は測定対象でも希釈指標でもないため吸入ガスには含まれない。●1回呼吸法の吸入ガス=一酸化炭素CO(拡散指標)・ヘリウムHe(肺胞気量の希釈指標)・窒素N2・酸素O₂。●拡散能の低下=肺気腫・肺線維症・貧血・肺塞栓。●拡散能の上昇=多血症・肺胞出血・左右シャント。●標識ガスの代替=メタンやネオンを希釈指標に用いる装置もある。

選択肢ごとの解説

第66回 午前22(臨床生理学)

静肺コンプライアンスが上昇するのはどれか。

正答: ①肺気腫

ポイント
静肺コンプライアンスは単位圧あたりの肺容積変化、すなわち肺の膨らみやすさを表す。肺気腫では肺胞壁・弾性線維の破壊により肺が膨らみやすくなり、コンプライアンスは上昇する。逆に肺線維症では肺実質が硬化してコンプライアンスは低下し、胸郭側の制限性疾患では肺自体のコンプライアンスは大きく変わらない。●コンプライアンス上昇=肺気腫(弾性線維破壊)・加齢。●コンプライアンス低下=肺線維症・間質性肺炎・肺水腫・無気肺・サーファクタント欠乏。●胸郭(肺外)の制限=高度肥満・脊柱側弯症・胸膜肥厚(肺コンプライアンス自体は不変)。●気道狭窄=気管支喘息・慢性気管支炎(閉塞性で換気障害)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前23(臨床生理学)

臨床検査技師が単独で行うことができないのはどれか。

正答: ⑤気道過敏性試験

ポイント
気道過敏性試験(メサコリン負荷など)は気管支収縮薬を吸入させて気道の反応をみる検査で、薬剤投与による気管支攣縮など急変リスクを伴うため、医師の指示・立会いのもとで行う必要があり、臨床検査技師が単独では実施できない。基準嗅覚検査・聴力検査・味覚検査・気道抵抗測定は検査技師が単独で実施可能である。●技師が単独で行える生理機能検査=基準嗅覚検査・骨導/気導聴力検査・電気味覚検査・気道抵抗測定・心電図・脳波・肺機能。●医師の指示・立会いを要する=気道過敏性試験(薬剤負荷)・運動負荷試験・血液ガス採血(動脈穿刺は条件付き)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前24(臨床生理学)

肝硬変の超音波所見はどれか。

正答: ①肝表面の不整

ポイント
肝硬変の超音波所見は、線維化・再生結節による肝表面の凹凸不整(鋸歯状)、肝辺縁の鈍化、肝実質エコーの粗造化、右葉萎縮・左葉/尾状葉腫大が特徴である。門脈圧亢進に伴う脾腫や腹水も認める。脂肪肝でみられる深部エコー減衰や肝腎コントラスト増強とは区別される。●肝硬変の超音波所見=肝表面の凹凸不整・辺縁鈍化・実質粗造化・右葉萎縮/左葉腫大・脾腫・腹水。●脂肪肝の所見=肝腎コントラスト増強(肝高輝度)・深部エコー減衰・肝内血管の不明瞭化。●肝血管腫=高エコー腫瘤・カメレオンサイン・ワックスアンドウェインサイン。●転移性肝腫瘍=ブルズアイ(標的状)サイン・低エコー結節。

選択肢ごとの解説

第66回 午前25(臨床生理学)

乳腺の単純性囊胞の超音波所見はどれか。

正答: ③辺縁が境界明瞭である。

ポイント
乳腺の単純性囊胞は液体貯留であり、超音波では辺縁平滑・境界明瞭、内部無エコー、後方エコー増強、両側に側方陰影を示す良性パターンを呈する。点状高エコーや内部充実部、後方音響陰影は充実性腫瘤や石灰化を示唆し、囊胞とは区別される。●単純性囊胞の所見=境界明瞭・辺縁平滑・内部無エコー・後方エコー増強・側方陰影。●充実性腫瘤を示唆する所見=境界部低エコー帯(ハロー)・内部点状高エコー(石灰化)・後方音響陰影・内部充実エコー。●良性腫瘤=線維腺腫(境界明瞭・楕円形)。●悪性を示唆=境界不明瞭・縦横比高値・微細石灰化・後方エコー減弱。

選択肢ごとの解説

第66回 午前26(臨床生理学)

概日リズムの中枢はどれか。2つ選べ。

正答: ②松果体・⑤視交叉上核

ポイント
概日リズム(サーカディアンリズム)の主時計は視床下部の視交叉上核にあり、網膜からの光情報を受けて約24時間周期の生体リズムを統括する。視交叉上核からの神経出力は松果体に伝わり、暗環境でメラトニンの分泌を促して睡眠覚醒・体温・ホルモン分泌の日内リズムを形成する。松果体はこの出力を内分泌シグナルへ変換する中継・実行部位として概日リズム制御の中枢機構を構成する。●概日リズム関連=視交叉上核(主時計)・松果体(メラトニン)・網膜視床下部路(光同調)。●睡眠覚醒に関わる部位=網様体(覚醒維持)・視床下部(オレキシン)・脳幹(レム睡眠)。●下垂体ホルモン=後葉(オキシトシン・バソプレシン)・前葉(成長ホルモン・ACTH等)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前27(臨床生理学)

電気味覚検査の対象となる鼓索神経を分岐する脳神経はどれか。

正答: ②顔面神経

ポイント
電気味覚検査は舌に微弱な電流を流し、被検者が味を自覚する最小の電流値を閾値として測定する検査で、味覚障害を定量的に評価する自覚的検査である。舌前2/3の味覚は鼓索神経が担い、この鼓索神経は顔面神経から分岐して中耳の鼓室を通り舌に至る。一方、舌後1/3の味覚は舌咽神経が担うため、鼓索神経領域の評価は顔面神経の機能を反映する。●味覚を担う脳神経=顔面神経(鼓索神経、舌前2/3)・舌咽神経(舌後1/3)・迷走神経(喉頭蓋・咽頭)。●顔面神経の枝=鼓索神経(味覚・唾液分泌)・大錐体神経(涙腺)・アブミ骨筋神経。●舌に分布する脳神経=舌下神経(運動)・三叉神経下顎枝(体性感覚)・顔面神経・舌咽神経(味覚)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:味覚を伝える脳神経とその支配領域

脳神経支配領域
顔面神経(鼓索神経)舌前2/3の味覚(鼓索神経は顔面神経から分岐し中耳の鼓室を通り舌に至る)
舌咽神経舌後1/3の味覚
迷走神経喉頭蓋・咽頭の味覚
電気味覚検査は鼓索神経(顔面神経)領域の機能評価に用いる。

第66回 午前28(臨床生理学)

血流依存性血管拡張反応〈FMD〉に影響を与えない因子はどれか。

正答: ①飲水

ポイント
血流依存性血管拡張反応〈FMD〉は前腕を一定時間駆血して解放し、その後の反応性充血による血流増加で上腕動脈が拡張する程度を超音波で測定する血管内皮機能検査である。血管拡張は内皮由来の一酸化窒素を介するため、内皮機能や血管トーヌスに作用する因子は測定値を変動させる。喫煙・カフェイン・運動・食事は影響因子として検査前に制限し、月経周期は測定時期を考慮する。ビタミンC(アスコルビン酸)も抗酸化作用で内皮機能を改善し得るため影響する一方、単なる水分摂取(飲水)は内皮機能に影響しない。●FMDに影響する因子=喫煙・カフェイン・運動・食事・月経周期・温度・交感神経活動。●内皮機能を改善し得る因子=ビタミンC(抗酸化)・運動習慣・スタチン。●血管内皮機能の評価=FMD・反応性充血指数〈RHI〉。脈波伝播速度〈PWV〉は主に動脈壁の硬さを評価する指標で、内皮機能検査とは区別する。

選択肢ごとの解説

第66回 午前29(臨床化学)

生体で正しいのはどれか。

正答: ⑤膠質浸透圧は血中アルブミン濃度に依存する。

ポイント
膠質浸透圧(血漿膠質浸透圧)は血漿蛋白、とくに分子数の多いアルブミンによって生じ、血管内に水分を保持して血管外への漏出を防ぐ力となる。アルブミンが低下すると膠質浸透圧が下がり、間質へ水分が移行して浮腫を生じる。なお血漿蛋白は生理的pHで陰イオンとして緩衝に働き、赤血球は高張液で水を失って萎縮し、成人男性の体水分は約60%、間質液の異常蓄積は浮腫であって充血ではない。●膠質浸透圧の規定因子=アルブミン(主)・グロブリン。●浮腫の機序=膠質浸透圧低下(低アルブミン血症)・静水圧上昇・血管透過性亢進・リンパ流障害。●浸透圧の種類=晶質浸透圧(電解質・血漿浸透圧)・膠質浸透圧(蛋白)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前30(臨床化学)

β-1,2グリコシド結合をもつのはどれか。

正答: ①イヌリン

ポイント
イヌリンはフルクトース(果糖)がグリコシド結合で多数連なり末端にグルコースをもつフルクタンで、生体で代謝されず糸球体で自由に濾過されるため糸球体濾過量〈GFR〉測定の標準物質として用いられる。設問のβ-結合をもつ多糖はこのイヌリンであり、ほかの選択肢はいずれも結合様式が異なる。ヘパリンとコンドロイチン硫酸はウロン酸とアミノ糖からなる硫酸化グリコサミノグリカン、アガロースはガラクトース系多糖、グリコーゲンはα結合のグルコース多糖である。●フルクタン=イヌリン(GFR指標)。●グリコサミノグリカン=ヘパリン・コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸・ケラタン硫酸。●グルコース多糖=グリコーゲン・デンプン(α結合)、セルロース(β-1,4結合)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前31(臨床化学)

基質と酵素の組合せでアンモニアが関係するのはどれか。2つ選べ。

正答: ②尿素 — ウレアーゼ・④グルタミン酸 — グルタミン酸デヒドロゲナーゼ

ポイント
アンモニアが反応に関与するのは、ウレアーゼによる尿素の分解(尿素+水→アンモニア+二酸化炭素)と、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによるα-ケトグルタル酸とアンモニアからのグルタミン酸生成(およびその逆の酸化的脱アミノ)である。この両反応を共役させた系は血中尿素窒素〈BUN〉やアンモニア測定の基礎となる。一方、尿酸-ウリカーゼ、クレアチン-クレアチンキナーゼ、アスパラギン酸-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの反応ではアンモニアは遊離しない。●アンモニアが関与する酵素=ウレアーゼ・グルタミン酸デヒドロゲナーゼ・グルタミナーゼ。●アミノ基転移(アンモニア遊離なし)=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ〈AST〉・アラニンアミノトランスフェラーゼ〈ALT〉。●尿酸代謝=ウリカーゼ(尿酸→アラントイン+過酸化水素)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:アンモニアが生成される主な酵素反応

酵素基質生成物
ウレアーゼ尿素アンモニア、CO₂
グルタミナーゼグルタミンアンモニア、グルタミン酸
グルタミン酸デヒドロゲナーゼグルタミン酸アンモニア、2-オキソグルタル酸
クレアチニンディミナーゼクレアチニンアンモニア、N-メチルヒダントイン
尿酸-ウリカーゼ(生成物はアラントイン・CO₂・過酸化水素)、クレアチン-クレアチンキナーゼ、アスパラギン酸-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ〈AST〉の反応では、いずれもアンモニアは生成されない。

第66回 午前32(臨床化学)

糖尿病精査のため来院した患者の検査結果で糖尿病型を示すのはどれか。2つ選べ。

正答: ①HbA1c 6.8%・⑤75 g経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値210 mg/dL

ポイント
糖尿病型の判定基準は、空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、75g経口ブドウ糖負荷試験〈OGTT〉2時間値200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上のいずれかを満たすことである。本例ではHbA1c 6.8%(6.5%以上)とOGTT2時間値210mg/dL(200mg/dL以上)が該当して糖尿病型を示す。随時血糖170mg/dLは基準未満、OGTT1時間値とグリコアルブミンは判定基準項目ではない。●糖尿病型の判定指標=空腹時血糖126以上・随時血糖200以上・OGTT2時間値200以上・HbA1c 6.5%以上。●血糖コントロール指標とその反映期間=HbA1c(1〜2か月)・グリコアルブミン(約2週間)・1,5-アンヒドログルシトール(数日)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前33(臨床化学)

過去約2か月の平均血糖値から想定されるHbA1c値より測定値が高値になるのはどれか。

正答: ⑤鉄欠乏性貧血

ポイント
HbA1cはヘモグロビンとグルコースが結合した安定型糖化産物で、赤血球寿命(約120日)に依存して過去1〜2か月の平均血糖を反映する。鉄欠乏性貧血では赤血球の産生・代謝回転が低下して古い赤血球が相対的に増えるため、糖化が進んだヘモグロビンが多くなりHbA1cは平均血糖から想定される値より高値となる。逆に溶血性貧血・大量出血後・輸血後・腎性貧血のエリスロポエチン投与時などは若い赤血球が増えてHbA1cは低値傾向となる。●HbA1cが偽高値となる病態=鉄欠乏性貧血・赤血球寿命延長・脾摘後。●HbA1cが偽低値となる病態=溶血性貧血・出血・輸血後・エリスロポエチン投与・赤血球寿命短縮。●補完指標=グリコアルブミン(赤血球の影響を受けにくい)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前34(臨床化学)

血糖調節機構の組合せで誤っているのはどれか。

正答: ③グルカゴン — グリコーゲン分解抑制

ポイント
グルカゴンは膵ランゲルハンス島α細胞から分泌される血糖上昇ホルモンで、肝臓でグリコーゲン分解と糖新生を促進して血糖を上げる。したがって「グリコーゲン分解抑制」とする組合せは作用が逆であり誤りである。一方、インスリンは解糖系・グリコーゲン合成・脂肪合成を促進し、肝はグリコーゲン合成と貯蔵を行い、脂肪組織はトリグリセライドを合成し、腎臓は肝とともに糖新生を担う。●血糖を上げるホルモン=グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモン。●血糖を下げるホルモン=インスリン。●糖新生を行う臓器=肝臓・腎臓(皮質)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血糖調節に関わる主な臓器・ホルモンの作用

臓器・ホルモン血糖に対する作用
インスリン解糖系を促進し血糖値を低下させる。肝でのグリコーゲン合成も促進する
グルカゴン肝でのグリコーゲン分解・糖新生を促進し血糖値を上昇させる(グリコーゲン分解を抑制するのではない)
肝臓グリコーゲンの合成・分解、糖新生を担う中心的な臓器
腎臓肝臓とともに糖新生を行う
脂肪組織インスリン作用下でトリグリセライドを合成する
コルチゾール・アドレナリン・成長ホルモンいずれも血糖値を上昇させる(インスリン拮抗ホルモン)

第66回 午前35(臨床化学)

クロールについて正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③嘔吐により血中濃度が低下する。・⑤アニオンギャップ値の算出に必要である。

ポイント
クロール(塩化物イオン)は細胞外液の主要陰イオンで約90%が細胞外に存在し、蛋白とは結合せず遊離イオンとして分布する。胃液は塩酸を含むため、嘔吐により胃酸が失われると血中クロールが低下し低クロール性代謝性アルカローシスをきたす。またアニオンギャップ=Na⁺−(Cl⁻+HCO₃⁻)の算出にクロール値が必要である。なおα-アミラーゼはクロールを活性化因子として要するが、活性中心に含まれるわけではない。●細胞外液の主要陰イオン=クロール・重炭酸イオン。●クロール低下をきたす病態=嘔吐・利尿薬・代謝性アルカローシス。●アニオンギャップ上昇の原因=乳酸アシドーシス・ケトアシドーシス・腎不全・中毒。

選択肢ごとの解説

第66回 午前36(臨床化学)

血清蛋白泳動分画を別に示す。この患者の血清中に増加が考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA036.8f385fde0c.jpg
第66回 午前36 の図

正答: ⑤IgG

ポイント
図ではγ分画に狭く鋭いピークを認め、M蛋白による単クローン性免疫グロブリン増加を示唆する。選択肢ではIgGが該当する。慢性炎症などでみられる多クローン性増加は幅広いγ分画の増加を示し、この図とは区別する。免疫グロブリンのクラスの同定には免疫固定法などを用いる。●M蛋白(単クローン性)=多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症。●γ分画増加(多クローン性)=慢性炎症・肝硬変・膠原病。●各分画の主な蛋白=アルブミン分画(アルブミン)・α1(α₁-アンチトリプシン)・α2(ハプトグロビン・セルロプラスミン)・β(トランスフェリン・補体)・γ(免疫グロブリン)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血清蛋白電気泳動の分画と主な構成蛋白

泳動分画(陽極→陰極の順)主な構成蛋白
プレアルブミン(最も陽極側)プレアルブミン(トランスサイレチン)
アルブミンアルブミン
α1α1-アンチトリプシン、α1-リポプロテイン、α1-アシドグリコプロテイン
α1とα2の間サイロキシン結合蛋白
α2α2-マクログロブリン、α2-リポプロテイン、セルロプラスミン、ハプトグロビン
βトランスフェリン、ヘモペキシン、β-リポプロテイン、補体C3・C4
fastγ(緩衝液組成でβ〜γ領域に分布)CRP
γ(最も陰極側)フィブリノゲン(血清中には出現しない)、免疫グロブリン(IgG、IgMなど)
肝硬変ではアルブミン低下とともにγ分画が増加し、β-γ bridging(β分画とγ分画の谷が埋まる所見)を呈する。ネフローゼ症候群ではアルブミン・免疫グロブリンが低下し、α2・β・プレβ分画が増加する。多発性骨髄腫などのM蛋白血症ではγ分画に鋭いピーク(M蛋白)が出現する。

第66回 午前37(臨床化学)

グルクロン酸抱合の不良により間接ビリルビンが増加するのはどれか。

正答: ③Gilbert症候群

ポイント
Gilbert症候群はビリルビン抱合酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素〈UGT1A1〉活性が軽度低下するため、グルクロン酸抱合が不十分となって間接(非抱合型)ビリルビンが軽度上昇する良性の体質性黄疸である。溶血性貧血も間接ビリルビンが上昇するが、これは抱合不良ではなくビリルビン産生過剰によるものである。閉塞性黄疸とDubin-Johnson症候群は抱合後の排泄障害により直接ビリルビンが上昇する。●抱合不良による間接ビリルビン上昇=Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群。●産生過剰による間接ビリルビン上昇=溶血性貧血。●排泄障害による直接ビリルビン上昇=閉塞性黄疸・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群。

選択肢ごとの解説

第66回 午前38(臨床化学)

過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応で正しいのはどれか。

正答: ⑤分析感度を変化させることができる。

ポイント
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応(Trinder反応)は、酸化酵素反応で生じた過酸化水素をペルオキシダーゼ存在下で4-アミノアンチピリンと色原体(フェノール系など)に作用させ、キノン色素を生成して可視部の吸光度増加を測定する方法である。色原体の組合せを変えるとモル吸光係数が変わるため分析感度を調整できる。一方、ビリルビンやアスコルビン酸などの還元性物質の影響を受けやすく、測定波長は色原体に応じた可視部で、脱水素酵素は用いない。●過酸化水素を生じる酸化酵素=グルコースオキシダーゼ・コレステロールオキシダーゼ・ウリカーゼ。●Trinder反応の妨害物質=ビリルビン・アスコルビン酸・ヘモグロビン。●脱水素酵素系(NAD(P)H, 340nm)=グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ・乳酸デヒドロゲナーゼ。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:生化学的呈色反応系の比較(Trinder反応とNAD(P)H系)

反応系検出する変化主な酵素・試薬妨害を受けやすい物質
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系(Trinder反応)可視部の吸光度増加(キノン色素生成)グルコースオキシダーゼ・コレステロールオキシダーゼ・ウリカーゼ+フェノール+4-アミノアンチピリンビリルビン・アスコルビン酸・ヘモグロビン(溶血)
NAD(P)H系(脱水素酵素系)340nmの吸光度変化ヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(HK-G6PD法)など比較的受けにくい
Trinder反応は色原体の組合せで分析感度を調整できるが、還元性物質による妨害を受けやすい。分光光度法における共存物質影響試験の代表的対象はヘモグロビン(溶血)とアスコルビン酸である。

第66回 午前39(臨床化学)

自動分析装置を用いる二波長法で誤っているのはどれか。

正答: ⑤主波長は極大吸収波長より短波長側に設定する。

ポイント
二波長法は、測定対象の極大吸収波長付近に主波長を、吸収のほとんどない波長に副波長を設定し、両波長の吸光度差を測定する手法である。これにより試料の濁りや光源の変動、セルの汚れなどによる非特異的吸光が相殺され、測定精度が向上する。主波長は対象物質の極大吸収波長付近に置くのが原則であり、「極大吸収波長より短波長側に設定する」という記述は誤りである。●二波長法の利点=濁りの影響軽減・光量補正・バックグラウンド補正。●波長の設定=主波長(極大吸収付近)・副波長(吸収のない側)。●適用=1試薬系・2試薬系いずれにも応用可能。

選択肢ごとの解説

第66回 午前40(臨床化学)

リポ蛋白について誤っているのはどれか。

正答: ⑤LDLはアガロースゲル電気泳動法でVLDLよりも陽極側に移動する。

ポイント
リポ蛋白は比重で分類され、比重が高いものほど蛋白含量が多く脂質含量が少ない(HDL>LDL>IDL>VLDL>カイロミクロンの順に比重が高い)。アガロースゲル電気泳動では原点側からカイロミクロン、β位(LDL)、preβ位(VLDL)、α位(HDL)の順に泳動され、易動度はLDL(β)よりVLDL(preβ)の方が陽極側へ進む。したがって「LDLがVLDLより陽極側に移動する」という記述は逆であり誤りである。●リポ蛋白の比重順(高→低)=HDL・LDL・IDL・VLDL・カイロミクロン。●電気泳動の易動度(陽極側へ)=α(HDL)・preβ(VLDL)・β(LDL)、原点(カイロミクロン)。●主な構成脂質=カイロミクロン・VLDL(トリグリセライド主体)、LDL(コレステロール主体)、HDL(蛋白主体)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前41(臨床化学)

レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉反応の生成物はどれか。2つ選べ。

正答: ②リゾレシチン・⑤エステル型コレステロール

ポイント
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉は主にHDL上で働き、レシチン(ホスファチジルコリン)の脂肪酸を遊離コレステロールに転移する酵素である。この反応の生成物はエステル型コレステロールと、脂肪酸が外れて生じるリゾレシチン(リゾホスファチジルコリン)である。エステル化されたコレステロールはHDL粒子の核に取り込まれ、末梢からのコレステロール逆転送を進める。●LCAT反応の生成物=エステル型コレステロール・リゾレシチン。●LCAT反応の基質=遊離コレステロール・レシチン。●コレステロール逆転送系の関連分子=HDL・LCAT・コレステロールエステル転送蛋白〈CETP〉・ABCA1。

選択肢ごとの解説

第66回 午前42(臨床化学)

蛋白質合成の場として重要なのはどれか。

正答: ③リボソーム

ポイント
蛋白質合成(翻訳)はリボソーム上で行われ、mRNAの塩基配列(コドン)に従いtRNAが運ぶアミノ酸が順次ペプチド結合で連結される。粗面小胞体に付着したリボソームは分泌蛋白や膜蛋白を、遊離リボソームは細胞質内蛋白を合成する。Golgi装置は合成された蛋白の修飾・選別を担い、リボソームをもたない滑面小胞体は脂質合成や解毒を行う。●蛋白質合成=リボソーム(翻訳)・粗面小胞体(分泌蛋白・膜蛋白)。●細胞小器官の主な機能=Golgi装置(修飾・選別)・滑面小胞体(脂質合成・解毒)・ミトコンドリア(ATP産生)・ペルオキシソーム(脂肪酸酸化・過酸化物処理)・リソソーム(分解)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前43(臨床化学)

血中薬物濃度測定〈TDM〉の対象とならない薬物はどれか。

正答: ①抗凝固薬

ポイント
治療薬物モニタリング〈TDM〉は有効域と中毒域が近接し、血中濃度と効果・副作用がよく相関する薬物について血中濃度を測定し、投与量を最適化するために行う。抗てんかん薬・抗不整脈薬・免疫抑制薬・アミノ配糖体抗菌薬・ジギタリス製剤・テオフィリンなどが代表的対象である。抗凝固薬のワルファリンはプロトロンビン時間国際標準比〈PT-INR〉という薬効指標で管理するため、血中濃度を測定するTDMの対象とはしない。●TDMの主な対象=抗てんかん薬・抗不整脈薬・免疫抑制薬・アミノ配糖体抗菌薬・ジギタリス・テオフィリン・抗悪性腫瘍薬の一部。●薬効指標で管理する薬=ワルファリン(PT-INR)・未分画ヘパリン(APTT)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:治療薬物モニタリング〈TDM〉の対象薬と検体の種類

薬剤分類検体
タクロリムス免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬)全血(赤血球内分布が多いため)
シクロスポリン免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬)全血(赤血球内分布が多いため)
ジゴキシン強心配糖体血清
フェノバルビタール抗てんかん薬血清
アミノ配糖体抗菌薬抗菌薬血清
ワルファリン(抗凝固薬)は血中濃度でなくPT-INRという薬効指標で管理するためTDMの対象としない。

第66回 午前44(臨床化学)

尿中デオキシピリジノリン〈DPD〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ④健常者では成長期に高値を示す。・⑤原発性副甲状腺機能亢進症で高値を示す。

ポイント
尿中デオキシピリジノリン〈DPD〉はI型コラーゲンの分子間架橋に由来し、骨基質が分解される際に尿中へ排泄されるため、骨吸収(骨破壊)の指標として用いられる。骨吸収が亢進する病態で高値となるので、骨形成が盛んな成長期、原発性副甲状腺機能亢進症、骨粗鬆症、悪性腫瘍の骨転移などで高値を示す。代謝の影響を受けにくく尿で測定できる利点がある。●骨吸収マーカー=デオキシピリジノリン・ピリジノリン・I型コラーゲン架橋N-テロペプチド〈NTX〉・酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ〈TRACP-5b〉。●骨形成マーカー=骨型アルカリホスファターゼ〈BAP〉・I型プロコラーゲンN-プロペプチド〈P1NP〉・オステオカルシン。●骨吸収亢進をきたす病態=原発性副甲状腺機能亢進症・骨転移・閉経後骨粗鬆症・甲状腺機能亢進症。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:骨代謝マーカーの分類(骨吸収マーカー・骨形成マーカー)

分類主なマーカー
骨吸収マーカーデオキシピリジノリン〈DPD〉・I型コラーゲン架橋N-テロペプチド〈NTX〉・I型コラーゲン架橋C-テロペプチド〈CTX〉・酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ〈TRACP-5b〉
骨形成マーカー骨型アルカリホスファターゼ〈BAP〉・オステオカルシン・I型プロコラーゲンN-プロペプチド〈P1NP〉・I型プロコラーゲンC-プロペプチド〈PICP〉
骨吸収が亢進する病態(原発性副甲状腺機能亢進症・骨転移・閉経後骨粗鬆症・成長期)で骨吸収マーカーが高値となる。

第66回 午前45(病理組織細胞学)

弾性線維の染色法はどれか。2つ選べ。

正答: ①orcein染色・⑤elastica van Gieson染色

ポイント
弾性線維を選択的に染める代表的染色法はorcein(オルセイン)染色とelastica van Gieson〈EVG〉染色である。オルセイン染色は弾性線維を褐色に、EVGはレゾルシン・フクシンで弾性線維を黒紫〜黒に染め、続くvan Gieson液で膠原線維を赤、筋線維や細胞質を黄色に染め分ける。血管壁の弾性板の評価や動脈瘤・血管炎の観察に用いられる。●弾性線維染色=orcein・elastica van Gieson・Weigert弾性線維染色。●膠原線維染色=Masson trichrome・van Gieson・アザン。●その他=Berlin blue(鉄・ヘモジデリン)・toluidine blue(メタクロマジー、肥満細胞・軟骨基質)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前46(病理組織細胞学)

小脳のKlüver-Barrera染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA046.6ff5514924.jpg
第66回 午前46 の図

正答: ②Nissl小体

ポイント
Klüver-Barrera〈KB〉染色は、ルクソールファストブルーで髄鞘を青緑色に、クレシルバイオレットでニッスル物質を染め分ける神経組織用染色である。神経細胞体の細胞質内に染まる粗大な顆粒状構造はNissl小体で、その実体は蛋白合成を担う粗面小胞体とリボソームの集塊である。神経細胞の傷害時には軸索反応として中心性融解(Nissl小体の消失)が起こる。●KB染色で観察する構造=髄鞘(青緑)・Nissl小体(青紫)。●細胞内封入体=Russell小体(形質細胞、免疫グロブリン)・Mallory小体(肝細胞、アルコール性肝障害)・Lewy小体(神経細胞、Parkinson病)。●石灰化・沈着物=砂粒体(同心円状石灰化)・アミロイド小体。

選択肢ごとの解説

第66回 午前47(病理組織細胞学)

透過型電子顕微鏡標本作製に使用しないのはどれか。

正答: ⑤テトランダー〈Tetrander〉型ミクロトーム

ポイント
透過型電子顕微鏡用の超薄切片は、樹脂包埋した試料をガラスナイフまたはダイヤモンドナイフで超薄に切削し、グリッド(メッシュ)に載せて作製する。トルイジンブルー染色は、超薄切片を切り出す前に厚めの準超薄切片を染めて観察部位を光学顕微鏡で確認するために用いる。テトランダー型ミクロトームは骨など硬組織用の大型ミクロトームであり、電子顕微鏡用の超薄切片作製には用いない。●超薄切片作製の器具=ウルトラミクロトーム・ガラスナイフ・ダイヤモンドナイフ・グリッド。●電顕用染色(電子染色)=酢酸ウラニル・クエン酸鉛。●硬組織用=テトランダー型ミクロトーム・研磨標本。

選択肢ごとの解説

第66回 午前48(病理組織細胞学)

Papanicolaou染色に用いられる色素はどれか。2つ選べ。

正答: ①エオジンY・⑤ビスマルクブラウン

ポイント
Papanicolaou染色は、核を染めるヘマトキシリンと、細胞質を染めるOG-6(オレンジG)およびEA(ライトグリーン・エオジンY・ビスマルクブラウンを含む)からなる多色染色で、扁平上皮細胞の角化状態を色調の違いで評価できる。細胞質色素のうち、エオジンYは成熟扁平上皮を赤〜橙に、ビスマルクブラウンとともにEA液を構成して微細な色調の差を生み出す。●Papanicolaou染色の構成=ヘマトキシリン(核)・OG-6(オレンジG)・EA(ライトグリーン・エオジンY・ビスマルクブラウン)。●他染色の代表色素=Gram染色(クリスタル紫)・アザン(アゾカルミンG)・メチルグリーン-ピロニン染色(メチルグリーン)。

選択肢ごとの解説

第66回 午前49(病理組織細胞学)

萎縮を示す心臓のH-E染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66aA049.bd8a2ee64e.jpg
第66回 午前49 の図

正答: ④リポフスチン

ポイント
心筋の萎縮では、細胞内に黄褐色の消耗色素であるリポフスチンが核周囲に沈着し、臓器全体が褐色を帯びる褐色萎縮を呈する。リポフスチンはリソソームでの脂質・蛋白の不完全分解の残渣で、加齢や慢性消耗状態で蓄積し、H-E染色で核周囲に黄褐色の微細顆粒として認められる。●細胞内色素・沈着物=リポフスチン(消耗色素)・メラニン(メラノサイト)・ヘモジデリン(鉄)・ビリルビン。●人工産物の色素=ホルマリン色素(酸性ホルマリンとヘモグロビンの反応で生じる)。●マラリア色素(ヘモゾイン)=マラリア原虫が赤血球内でヘモグロビンを分解して生じる色素で、人工産物ではないがホルマリン色素と形態が類似する。●萎縮の種類=褐色萎縮(心・肝)・廃用性萎縮・圧迫萎縮・神経性萎縮。

選択肢ごとの解説

第66回 午前50(病理組織細胞学)

融解壊死が主体となるのはどれか。

正答: ②脳梗塞

ポイント
壊死は組織の性状により様式が異なる。脳は脂質に富み構造蛋白が少ないため、梗塞では組織が液状に崩れる融解壊死(液状化壊死)となり、後に囊胞を形成する。これに対し腎・脾・心など多くの実質臓器の梗塞は、組織構築が一時的に保たれる凝固壊死を示す。融解壊死は脳梗塞のほか、好中球の蛋白分解酵素が働く化膿性炎(膿瘍)で特徴的にみられる。●融解壊死を示す=脳梗塞・化膿性炎(膿瘍)。●凝固壊死を示す=心筋梗塞・腎梗塞・脾梗塞。●その他の壊死=乾酪壊死(結核)・脂肪壊死(急性膵炎)・壊疽(乾性・湿性)。

選択肢ごとの解説