第66回(2020) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第66回 午後1(臨床検査総論)
RT-PCR法が診断に有用なのはどれか。
- ①Turner症候群
- ②DiGeorge症候群
- ③真性赤血球増加症
- ④慢性骨髄性白血病
- ⑤Prader-Willi症候群
正答: ④慢性骨髄性白血病
ポイント
RT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法は、逆転写酵素でRNAをcDNAに変換してから増幅する手法で、融合遺伝子由来のキメラmRNAや遺伝子発現量の検出に有用である。慢性骨髄性白血病ではt(9;22)転座でフィラデルフィア染色体が生じ、BCR-ABL1融合遺伝子から転写されるキメラmRNAをRT-PCRで定量することで診断と微小残存病変のモニタリングが可能となる。染色体数異常や微小欠失症候群は核型分析・FISH・染色体マイクロアレイで診断され、RNA発現を見るRT-PCRの適応ではない。●融合遺伝子検出(RT-PCR)=慢性骨髄性白血病(BCR-ABL1)・急性前骨髄球性白血病(PML-RARA)・Ewing肉腫(EWS-FLI1)。●染色体数・構造異常=Turner症候群(45,X)・Klinefelter症候群(47,XXY)・Down症候群(21トリソミー)→核型分析・FISH。●微小欠失症候群=DiGeorge症候群(22q11.2)・Prader-Willi/Angelman症候群(15q11-13)→FISH・マイクロアレイ・メチル化解析。●点変異=真性赤血球増加症(JAK2 V617F)→アレル特異的PCR・配列解析。
選択肢ごとの解説
- ① Turner症候群はX染色体モノソミー(45,X)が本態で、核型分析やFISHで診断され、RT-PCRの適応ではない。
- ② DiGeorge症候群は22q11.2の微小欠失で、FISHや染色体マイクロアレイで検出される。
- ③ 真性赤血球増加症はJAK2 V617F点変異が主体で、アレル特異的PCRや配列解析で検出される。
- ④ 正しい。慢性骨髄性白血病はBCR-ABL1融合遺伝子のキメラmRNAをRT-PCRで検出・定量でき、診断と治療効果判定に有用である。
- ⑤ Prader-Willi症候群は15q11-q13父由来領域の欠失やインプリンティング異常で、メチル化解析やFISHで診断される。
第66回 午後2(臨床検査総論)
核酸の純度を判定する際に用いられる吸光度の波長[nm]はどれか。2つ選べ。
正答: ③260・⑤280
ポイント
核酸の純度と濃度は紫外吸収スペクトルで評価する。核酸を構成する塩基は260nmに、蛋白質は芳香族アミノ酸(チロシン・トリプトファン)により280nmに吸収極大を示すため、両波長の吸光度を測定する。A260/A280比はDNAで約1.8、RNAで約2.0が純度の目安で、蛋白質混入があると比が低下する。●吸光度の指標波長=260nm(核酸・塩基)・280nm(蛋白質・芳香族アミノ酸)・230nm(フェノールや塩などの夾雑物)。●純度比=A260/A280(蛋白質混入)・A260/A230(有機溶媒・塩混入)。●核酸定量の換算=A260=1で二本鎖DNA約50μg/mL・一本鎖RNA約40μg/mL・一本鎖DNA約33μg/mL。
選択肢ごとの解説
- ① 240nmは核酸純度判定の指標波長ではない。
- ② 250nmは核酸純度判定の指標波長ではない。
- ③ 正しい。260nmは核酸(塩基)の吸収極大で、濃度測定と純度判定の基準波長である。
- ④ 270nmは核酸純度判定の指標波長ではない。
- ⑤ 正しい。280nmは蛋白質(芳香族アミノ酸)の吸収極大で、A260/A280比により蛋白質混入を評価する。
第66回 午後3(臨床検査総論)
セントロメアにあるヘテロクロマチンを特異的に染色するのはどれか。
- ①C染色法
- ②G染色法
- ③NOR染色法
- ④Q染色法
- ⑤R染色法
正答: ①C染色法
ポイント
C分染法(C-banding)は塩酸と水酸化バリウムなどの酸・アルカリ処理後にGiemsa染色を行い、セントロメア近傍やY染色体長腕などに分布する構成的(恒常的)ヘテロクロマチンを特異的に濃染する。これらは反復配列に富む領域で、その量的多型(ヘテロクロマチン多型)の評価に用いられる。各分染法は染色対象とする染色体領域が異なる。●セントロメア・恒常ヘテロクロマチン=C分染法。●全染色体の縞模様(同定)=G分染法(トリプシン+Giemsa)。●核小体形成部位(rRNA遺伝子領域)=NOR銀染色法。●蛍光による分染=Q分染法(キナクリン)。●G分染と逆パターン(末端評価)=R分染法。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。C染色法はセントロメア近傍の構成的ヘテロクロマチンを特異的に濃染する。
- ② G染色法はトリプシン処理後Giemsa染色でG陽性・陰性の縞模様を示し、全染色体の同定に用いられる。
- ③ NOR染色法は銀染色で核小体形成部位(リボソームRNA遺伝子領域)を染める。
- ④ Q染色法はキナクリンによる蛍光でG分染に類似したバンドを示す。
- ⑤ R染色法はG分染と逆のバンドパターンを示し、染色体末端の評価に有用である。
📋 まとめの表を見る:染色体分染法(バンディング法)の種類と特徴
染色体観察に適するのは細胞周期の中期(染色体が最も凝縮する時期)である。
第66回 午後4(臨床検査総論)
幼稚園で肛囲検査法〈セロファンテープ法〉による虫卵検査を行い、1人の園児から虫卵が検出された。虫卵の写真を別に示す。とるべき対応はどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB004.65b35e54d8.jpg

- ①園児全員の抗体検査
- ②陽性者への抗蠕虫薬投与
- ③園児全員へのワクチン接種
- ④陽性者居住地周辺の蚊の駆除
- ⑤陽性者家族の寝具の日光消毒
正答: ②陽性者への抗蠕虫薬投与・⑤陽性者家族の寝具の日光消毒
ポイント
肛囲(セロファンテープ)検査法で園児から検出される虫卵の代表は蟯虫(ぎょうちゅう)である。蟯虫は経口的に虫卵を摂取して感染し、雌虫が夜間に肛門周囲へ産卵するため、起床直後の肛囲検査で虫卵が検出される。対応は陽性者への駆虫薬(ピランテルパモ酸塩など)投与と、虫卵が付着しやすい寝具・衣類の処理(日光消毒・洗濯)で、媒介昆虫を介さないため蚊の駆除や抗体検査・ワクチンは無意味である。●経口感染(虫卵・接触)=蟯虫・回虫・鞭虫。●経皮感染=鉤虫・糞線虫・住血吸虫。●蚊媒介=マラリア・フィラリア。●ハエ・サシチョウバエ媒介=リーシュマニア・トリパノソーマ。●集団対策=駆虫薬投与・衣類寝具の処理・手洗い励行(蟯虫)。
選択肢ごとの解説
- ① 蟯虫症の診断・対応は虫卵検出が基本で、園児全員の抗体検査は不要かつ有用でない。
- ② 正しい。陽性者には抗蠕虫薬(駆虫薬)を投与する。
- ③ 蟯虫に対する有効なワクチンは存在せず、全員への接種は適切でない。
- ④ 蟯虫は経口感染で蚊などの媒介昆虫を介さないため、蚊の駆除は無意味である。
- ⑤ 正しい。虫卵が付着した寝具を日光消毒することは再感染・拡散防止に有効である。
📋 まとめの表を見る:感染経路別の予防策
第66回 午後5(臨床検査総論)
トキソプラズマについて誤っているのはどれか。
- ①ネコが終宿主である。
- ②細胞外寄生原虫である。
- ③大部分は不顕性感染である。
- ④妊娠中の初感染により経胎盤感染が起こる。
- ⑤トキソプラズマIgM抗体が高ければ初感染を疑う。
正答: ②細胞外寄生原虫である。
ポイント
トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)はネコ科動物を終宿主とする偏性細胞内寄生原虫で、ヒトには加熱不十分な食肉中のシストや、ネコ糞便由来オーシストの経口摂取で感染する。免疫正常者では大部分が不顕性感染にとどまるが、妊娠初期の初感染では経胎盤感染により先天性トキソプラズマ症(水頭症・脈絡網膜炎・脳内石灰化の三徴)を生じうる。血清IgM抗体高値は近時の初感染を示唆する。●偏性細胞内寄生原虫=トキソプラズマ・マラリア原虫・リーシュマニア(マクロファージ内で増殖)。●トリパノソーマ=Trypanosoma cruziは細胞内増殖期をもつが、アフリカトリパノソーマ(T. brucei)は全生活環を通じて細胞外(血流中)で増殖する。●先天感染(TORCH)=トキソプラズマ・風疹・サイトメガロウイルス・単純ヘルペス。●経口感染原虫=トキソプラズマ・赤痢アメーバ・クリプトスポリジウム・ランブル鞭毛虫。●感染時期の指標=IgM(近時・初感染)・IgGアビディティ(感染時期推定)。
選択肢ごとの解説
- ① ネコ(ネコ科動物)が終宿主で有性生殖を行う、という記述は正しい。
- ② 誤り。トキソプラズマは宿主細胞内で増殖する偏性細胞内寄生原虫であり、細胞外寄生原虫ではない。
- ③ 免疫正常者では大部分が不顕性感染にとどまる、という記述は正しい。
- ④ 妊娠中の初感染で経胎盤感染が起こり先天性感染を生じる、という記述は正しい。
- ⑤ トキソプラズマIgM抗体高値は初感染(近時感染)を疑う所見であり、正しい。
第66回 午後6(臨床検査総論)
ダニ類が媒介する感染症はどれか。
- ①デング熱
- ②マラリア
- ③日本紅斑熱
- ④レプトスピラ症
- ⑤皮膚リーシュマニア症
正答: ③日本紅斑熱
ポイント
日本紅斑熱はRickettsia japonicaによるリケッチア感染症で、マダニに刺咬されて感染する。発熱・発疹・刺し口(焼痂)を三徴とし、西日本を中心に発生する。媒介節足動物は疾患ごとに異なり、蚊・サシチョウバエ・水系経皮感染など機序の違いを区別する必要がある。●ダニ類媒介=マダニ:日本紅斑熱・SFTS・ライム病など。ツツガムシ:つつが虫病。●蚊媒介=マラリア・デング熱・日本脳炎・フィラリア・ウエストナイル熱。●サシチョウバエ媒介=リーシュマニア症。●経皮(水・土壌)感染=レプトスピラ症・鉤虫症・住血吸虫症。
選択肢ごとの解説
- ① デング熱はネッタイシマカ・ヒトスジシマカなどの蚊が媒介する。
- ② マラリアはハマダラカ(蚊)が媒介する。
- ③ 正しい。日本紅斑熱はマダニ(ダニ類)が媒介するリケッチア感染症である。
- ④ レプトスピラ症はネズミなど保菌動物の尿に汚染された水・土壌からの経皮・経粘膜感染で、ダニは媒介しない。
- ⑤ 皮膚リーシュマニア症はサシチョウバエが媒介する。
第66回 午後7(臨床検査総論)
X染色体連鎖性遺伝病はどれか。
- ①血友病B
- ②鎌状赤血球症
- ③β-サラセミア
- ④Huntington病
- ⑤フェニルケトン尿症
正答: ①血友病B
ポイント
血友病BはX染色体上の第Ⅸ因子遺伝子の異常による伴性(X連鎖)劣性遺伝病で、保因者の母から男児へ遺伝して発症しやすい。X連鎖劣性遺伝では原則として男性に発症が偏る。遺伝形式(常染色体優性・劣性、X連鎖、ミトコンドリア)の区別が鑑別の鍵となる。●X連鎖劣性=血友病A(第Ⅷ因子)・血友病B(第Ⅸ因子)・Duchenne型筋ジストロフィー・赤緑色覚異常・G6PD欠損症。●常染色体劣性=鎌状赤血球症・β-サラセミア・フェニルケトン尿症・嚢胞性線維症。●常染色体優性=Huntington病・Marfan症候群・家族性高コレステロール血症。●ミトコンドリア遺伝=Leber遺伝性視神経症・MELAS。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。血友病BはX染色体上の第Ⅸ因子遺伝子異常によるX連鎖(伴性)劣性遺伝病である。
- ② 鎌状赤血球症はβグロビン遺伝子変異による常染色体劣性遺伝病である。
- ③ β-サラセミアはβグロビン遺伝子異常による常染色体劣性遺伝病である。
- ④ Huntington病はHTT遺伝子のCAGリピート伸長による常染色体優性遺伝病である。
- ⑤ フェニルケトン尿症はフェニルアラニン水酸化酵素欠損による常染色体劣性遺伝病である。
第66回 午後8(臨床検査総論)
コルセミド処理が細胞周期を停止させる時期はどれか。
正答: ③分裂中期
ポイント
コルセミド(コルヒチンの類縁体)は微小管の重合を阻害して紡錘体形成を妨げ、姉妹染色分体が両極へ分離できないため、染色体が最も凝縮する分裂中期で細胞周期を停止させる。これにより分裂中期の細胞を集積でき、観察に適した染色体標本が得られる。染色体分析では中期像を解析対象とする。●細胞周期=間期(G1・S・G2)→分裂期(前期・中期・後期・終期)。●中期停止(紡錘体毒)=コルセミド・コルヒチン・ビンカアルカロイド・タキサン。●染色体標本作製の流れ=培養→コルセミド処理(中期集積)→低張処理→固定→展開・分染。●染色体観察に適する時期=分裂中期(最も凝縮)。
選択肢ごとの解説
- ① 間期はDNA複製や転写が行われる時期で、染色体は凝縮しておらず分析に適さない。
- ② 分裂前期は染色体凝縮が始まる段階だが、コルセミドが停止させる時期ではない。
- ③ 正しい。コルセミドは紡錘体形成を阻害し、染色体が最も凝縮する分裂中期で細胞周期を停止させる。
- ④ 分裂後期は姉妹染色分体が両極へ移動する時期である。
- ⑤ 分裂終期は核膜が再形成され細胞質分裂に向かう時期である。
第66回 午後9(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本を別に示す。この構造物が生成されるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB009.484b21bd60.jpg

- ①痛風
- ②胆管癌
- ③シスチン尿症
- ④発作性夜間ヘモグロビン尿症
- ⑤アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症
正答: ②胆管癌
ポイント
尿沈渣でビリルビン結晶は黄褐色の針状・束状(または顆粒状)の結晶として観察され、直接ビリルビンの尿中排泄が増加する閉塞性黄疸で出現する。胆管癌など胆道の閉塞では抱合型ビリルビンが血中・尿中へ逆流し、結晶として析出する。結晶尿は基礎疾患を反映するため、結晶形態と臨床背景の対応を把握する必要がある。●結晶と基礎疾患=ビリルビン結晶(閉塞性黄疸・胆管癌)・シスチン結晶(シスチン尿症)・尿酸結晶(高尿酸血症・痛風)・2,8-ジヒドロキシアデニン結晶(APRT欠損症)・ロイシン/チロシン結晶(重症肝障害)。●尿の鉄染色陽性=ヘモジデリン尿(発作性夜間ヘモグロビン尿症)。●結晶の形態=シスチン(六角板状)・コレステロール(切れ込み板状)・リン酸アンモニウムマグネシウム(棺蓋状)。
選択肢ごとの解説
- ① 痛風(高尿酸血症)では尿酸結晶がみられるが、ビリルビン結晶とは形態・成因が異なる。
- ② 正しい。胆管癌などの閉塞性黄疸では直接ビリルビンが尿中に排泄され、ビリルビン結晶が出現する。
- ③ シスチン尿症では六角板状のシスチン結晶がみられる。
- ④ 発作性夜間ヘモグロビン尿症ではヘモジデリン尿がみられるが、ビリルビン結晶とは異なる。
- ⑤ アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症では2,8-ジヒドロキシアデニン結晶がみられる。
📋 まとめの表を見る:尿中に出現する主な病的結晶成分と関連疾患
第66回 午後10(臨床検査総論)
糖尿病性腎症の早期発見に有用な尿検査項目はどれか。
- ①ケトン体
- ②アルブミン
- ③ヘモグロビン
- ④ウロビリノゲン
- ⑤トランスフェリン
正答: ②アルブミン
ポイント
糖尿病性腎症の早期診断には尿中微量アルブミンの測定が有用である。糸球体障害の初期には、通常の尿試験紙では検出されない微量のアルブミンが尿中へ漏出し(微量アルブミン尿)、これが顕性蛋白尿に先行する。早期に発見し血糖・血圧管理を行うことで腎症の進展を抑制できる。●糖尿病性腎症の病期指標=尿中微量アルブミン(早期)・尿蛋白(顕性腎症)・推算糸球体濾過量eGFR(腎機能低下)。●糸球体障害マーカー=アルブミン・トランスフェリン・IgG。●尿細管障害マーカー=β2ミクログロブリン・α1ミクログロブリン・NAG・L-FABP。●糖代謝の指標=HbA1c・グリコアルブミン・尿ケトン体(インスリン欠乏)。
選択肢ごとの解説
- ① ケトン体はインスリン欠乏による脂肪分解亢進を反映するが、早期腎症の指標ではない。
- ② 正しい。尿中微量アルブミンは糖尿病性腎症の早期糸球体障害を反映する鋭敏な指標である。
- ③ ヘモグロビン(潜血)は早期腎症の指標ではない。
- ④ ウロビリノゲンは肝・胆道機能を反映する項目で、腎症の指標ではない。
- ⑤ トランスフェリンも糸球体透過性の指標となりうるが、早期腎症の標準的検査項目はアルブミンである。
第66回 午後11(臨床検査医学総論)
細胞内液において最も多い陽イオンはどれか。
正答: ①K⁺
ポイント
細胞内液で最も多い陽イオンはK⁺(カリウムイオン)で、細胞外液ではNa⁺(ナトリウムイオン)が最多である。この濃度勾配はNa⁺-K⁺ ATPアーゼ(ナトリウムポンプ)が能動的に維持し、静止膜電位の形成や活動電位による興奮の発生に不可欠である。電解質の分布は体液区分ごとに大きく異なる。●細胞内液の主な陽イオン=K⁺(最多)・Mg²⁺。●細胞外液の主な陽イオン=Na⁺(最多)・Ca²⁺。●主な陰イオン=細胞外液はCl⁻・HCO₃⁻、細胞内液はリン酸・蛋白質。●膜電位の維持=Na⁺-K⁺ ATPアーゼ(3Na⁺排出/2K⁺取り込み)。●細胞内Ca²⁺=極めて低濃度に保たれ、情報伝達のセカンドメッセンジャーとして働く。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。細胞内液で最も多い陽イオンはK⁺である。
- ② Na⁺は細胞外液で最も多い陽イオンである。
- ③ Ca²⁺は細胞内遊離濃度が極めて低く保たれており最多ではない。
- ④ Mg²⁺は細胞内に存在するがK⁺より少ない。
- ⑤ Zn²⁺は微量元素で量的には主要陽イオンではない。
第66回 午後12(臨床検査医学総論)
染色体検査の結果で診断が可能なのはどれか。
- ①Alzheimer型認知症
- ②Gaucher病
- ③Huntington病
- ④Klinefelter症候群
- ⑤Lesch-Nyhan症候群
正答: ④Klinefelter症候群
ポイント
Klinefelter症候群は47,XXYなどの性染色体数異常で、核型分析(染色体検査)で診断できる。一方、点変異・リピート伸長・酵素欠損による疾患は通常の染色体検査では検出できず、遺伝子解析や酵素活性測定を要する。疾患ごとに適切な検査法を選択する必要がある。●染色体検査(核型分析)で診断=Klinefelter症候群(47,XXY)・Turner症候群(45,X)・Down症候群(21トリソミー)・慢性骨髄性白血病(t(9;22))。●リピート伸長(遺伝子検査)=Huntington病(CAG)・脆弱X症候群(CGG)・筋強直性ジストロフィー(CTG)。●酵素活性・遺伝子解析=Gaucher病(グルコセレブロシダーゼ)・Lesch-Nyhan症候群(HPRT)・Tay-Sachs病。●多因子・蛋白蓄積=Alzheimer型認知症。
選択肢ごとの解説
- ① Alzheimer型認知症は染色体数の異常ではなく、染色体検査では診断できない。
- ② Gaucher病はグルコセレブロシダーゼ欠損による疾患で、酵素活性や遺伝子解析で診断する。
- ③ Huntington病はHTT遺伝子のCAGリピート伸長による疾患で、遺伝子検査で診断する。
- ④ 正しい。Klinefelter症候群は47,XXYなどの性染色体数異常で、染色体検査で診断できる。
- ⑤ Lesch-Nyhan症候群はHPRT遺伝子異常による疾患で、酵素活性や遺伝子解析で診断する。
📋 まとめの表を見る:遺伝性疾患の診断法の違い(染色体検査・遺伝子検査)
第66回 午後13(臨床検査医学総論)
Basedow病について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①男性に多い。
- ②徐脈を認める。
- ③TSHが低値である。
- ④びまん性甲状腺腫を認める。
- ⑤総コレステロールが高値である。
正答: ③TSHが低値である。・④びまん性甲状腺腫を認める。
ポイント
Basedow病はTSH受容体抗体(TRAb)が甲状腺を刺激して甲状腺機能亢進症を起こす自己免疫疾患で、若年〜中年女性に多い。甲状腺ホルモン高値による負のフィードバックでTSHは低値となり、TRAbの刺激でびまん性甲状腺腫を呈する。代謝亢進により頻脈・体重減少・総コレステロール低下・眼球突出などを伴う。●甲状腺機能亢進症の所見=TSH低値・遊離T3/T4高値・頻脈・体重減少・コレステロール低下・発汗増加。●Basedow病の三徴(Merseburg)=びまん性甲状腺腫・頻脈・眼球突出。●関連自己抗体=TRAb(TSH受容体抗体)・抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体。●甲状腺機能低下症(橋本病など)=TSH高値・徐脈・体重増加・コレステロール上昇。
選択肢ごとの解説
- ① Basedow病は女性に多く、男性に多いは誤り。
- ② 甲状腺機能亢進により頻脈となり、徐脈ではない。
- ③ 正しい。甲状腺ホルモン高値の負のフィードバックでTSHは低値となる。
- ④ 正しい。TSH受容体抗体の刺激によりびまん性甲状腺腫を認める。
- ⑤ 甲状腺機能亢進では代謝亢進により総コレステロールは低下し、高値は誤り。
第66回 午後14(臨床検査医学総論)
IgA腎症について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①男性に多い。
- ②血圧が低下する。
- ③血尿が認められる。
- ④補体C3が遠位尿細管に沈着する。
- ⑤急速進行性の経過をとることが多い。
正答: ①男性に多い。・③血尿が認められる。
ポイント
IgA腎症は糸球体メサンギウム領域にIgAが優位に沈着する慢性糸球体腎炎で、男性にやや多く、無症候性の顕微鏡的血尿(時に上気道感染後の肉眼的血尿)と蛋白尿で発見される。経過は一般に緩徐で、進行例では高血圧や腎機能低下を伴う。蛍光抗体法でメサンギウムへのIgAとC3の沈着を認める。●原発性糸球体腎炎=IgA腎症・微小変化型ネフローゼ・膜性腎症・膜性増殖性糸球体腎炎・巣状分節性糸球体硬化症。●血尿をきたす腎炎=IgA腎症・急性糸球体腎炎(溶連菌後)・急速進行性糸球体腎炎・Alport症候群。●急速進行性の経過=半月体形成性腎炎(ANCA関連・抗GBM抗体病)。●免疫沈着部位=IgA腎症(メサンギウム)・膜性腎症(上皮下)・ループス腎炎(多彩)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。IgA腎症は男性にやや多い。
- ② 進行例では高血圧を伴うことが多く、血圧低下は典型的でない。
- ③ 正しい。血尿(顕微鏡的または肉眼的)が高頻度に認められる。
- ④ 補体C3はメサンギウム領域にIgAとともに沈着するもので、遠位尿細管への沈着ではない。
- ⑤ 経過は一般に緩徐で、急速進行性をとることは多くない。
第66回 午後15(臨床検査医学総論)
Holter心電図が診断に有用でないのはどれか。
- ①異型狭心症
- ②Brugada症候群
- ③発作性心房細動
- ④発作性上室頻拍
- ⑤大動脈弁閉鎖不全
正答: ⑤大動脈弁閉鎖不全
ポイント
Holter(ホルター)心電図は24時間以上にわたり日常生活下の心電図を連続記録し、発作性・間欠的に出現する不整脈や虚血性ST変化の検出に有用である。大動脈弁閉鎖不全は弁膜症であり、その診断・重症度評価は心臓超音波検査や聴診(拡張期灌水様雑音)によるもので、心電図記録は適さない。●Holter心電図が有用=発作性不整脈(発作性心房細動・発作性上室頻拍・心室期外収縮)・異型狭心症(夜間ST上昇)・Brugada症候群(ST日内変動)・失神の精査。●弁膜症の評価=心臓超音波検査(断層・ドプラ)・聴診・心臓カテーテル。●虚血性心疾患=運動負荷心電図・冠動脈CT/造影・心筋シンチ。●心機能・形態の評価=心エコー・心臓MRI。
選択肢ごとの解説
- ① 異型狭心症は安静時・夜間に発作性のST上昇を呈し、Holter心電図で捉えられる。
- ② Brugada症候群は特徴的ST変化が日内変動するため、Holter記録が補助的に有用である。
- ③ 発作性心房細動は間欠的に出現するため、長時間記録のHolterが有用である。
- ④ 発作性上室頻拍も発作性であり、Holter心電図で検出しうる。
- ⑤ 誤り。大動脈弁閉鎖不全は弁膜症で、診断は心臓超音波検査や聴診によるため、Holter心電図は有用でない。
第66回 午後16(臨床生理学)
心臓超音波検査で肺動脈弁が観察されるのはどれか。
- ①心尖部四腔像
- ②傍胸骨長軸像
- ③心窩部矢状断面像
- ④乳頭筋レベル短軸像
- ⑤大動脈弁レベル短軸像
正答: ⑤大動脈弁レベル短軸像
ポイント
心臓超音波で肺動脈弁は、大動脈弁レベル短軸像(傍胸骨短軸断面の大動脈基部レベル)で、中央の大動脈を取り囲む右室流出路から肺動脈へ続く部分として描出される。この断面では大動脈弁、右房、三尖弁、右室流出路、肺動脈弁の位置関係が一望でき、右心系の評価に適する。●傍胸骨長軸像=左室流出路・大動脈弁・僧帽弁・左房。●大動脈弁レベル短軸像=大動脈弁(三尖)・右房・三尖弁・右室流出路・肺動脈弁。●乳頭筋レベル短軸像=左室壁運動(局所壁運動異常)。●心尖部四腔像=左右の心房・心室・僧帽弁・三尖弁。●心窩部断面=下大静脈・肝静脈の評価。
選択肢ごとの解説
- ① 心尖部四腔像は左右の心房・心室と房室弁を観察する断面で、肺動脈弁は描出されにくい。
- ② 傍胸骨長軸像は左室流出路・大動脈弁・僧帽弁を観察する断面である。
- ③ 心窩部矢状断面像は下大静脈などの評価に用いる。
- ④ 乳頭筋レベル短軸像は左室の壁運動評価に用いる断面である。
- ⑤ 正しい。大動脈弁レベル短軸像で右室流出路に連なる肺動脈弁が観察される。
第66回 午後17(臨床生理学)
胸部誘導心電図を別に示す。所見として正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB017.6571e8b863.jpg

- ①洞房ブロック
- ②Ⅰ度房室ブロック
- ③Wenckebach型房室ブロック
- ④Mobitz Ⅱ型房室ブロック
- ⑤Ⅲ度房室ブロック
正答: ⑤Ⅲ度房室ブロック
ポイント
Ⅲ度(完全)房室ブロックでは房室間の伝導が完全に途絶し、P波とQRS波がそれぞれ独立した一定の間隔で出現する(完全房室解離)。心房はより速い洞調律、心室はより遅い補充調律で駆動されるため、PP間隔・RR間隔はそれぞれ規則的だがP波数がQRS数より多く、両者に対応関係がない。徐脈による失神(Adams-Stokes発作)をきたしうる。●房室ブロックの分類=Ⅰ度(PQ延長のみ)・Ⅱ度Wenckebach型(PQ漸増後に脱落)・Ⅱ度Mobitz Ⅱ型(PQ一定で突然脱落)・Ⅲ度(完全房室解離)。●洞機能の異常=洞房ブロック・洞不全症候群(SSS)・洞停止。●補充調律=房室接合部調律・心室固有調律。●ペースメーカ適応=高度房室ブロック・症候性徐脈。
選択肢ごとの解説
- ① 洞房ブロックは洞結節からの興奮伝導が間欠的に途絶してP波ごと脱落するもので、房室解離は示さない。
- ② Ⅰ度房室ブロックはPQ間隔の延長のみで、すべてのP波に続いてQRSが出現する。
- ③ Wenckebach型(Mobitz Ⅰ型)はPQ間隔が漸増した後にQRSが脱落する。
- ④ Mobitz Ⅱ型はPQ間隔が一定のまま突然QRSが脱落する。
- ⑤ 正しい。Ⅲ度房室ブロックでは房室伝導が完全に途絶し、P波とQRSが独立して出現する(完全房室解離)。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第66回 午後18(臨床生理学)
1気圧の大気を吸入した時、PaO₂ 88 Torr、PaCO₂ 40 Torrであった。肺胞気動脈血酸素分圧較差[Torr]はどれか。ただし、呼吸商は0.8とする。
正答: ②12
ポイント
肺胞気酸素分圧PAO₂は肺胞気式 PAO₂=PIO2-PaCO₂/R で求める。1気圧・室内空気の吸入気酸素分圧PIO2は、飽和水蒸気圧47Torrを差し引いた(760-47)×0.21≒150Torrとなる。PaCO₂ 40Torr、呼吸商R 0.8よりPAO₂≒150-40/0.8=100Torrとなり、肺胞気動脈血酸素分圧較差AaDO2=PAO₂-PaO₂=100-88=12Torrである。●AaDO2開大の機序=換気血流比不均等・拡散障害・シャント。●AaDO2正常で低酸素=肺胞低換気(換気量低下・PaCO₂上昇)・吸入気酸素分圧低下(高地)。●正常値の目安=若年で10Torr前後、加齢で増大。●呼吸商R=産生CO₂/消費O₂(通常約0.8)。
選択肢ごとの解説
- ① 2Torrは計算と一致しない。
- ② 正しい。PAO₂≒100Torr、PaO₂ 88TorrよりAaDO2は約12Torrである。
- ③ 22Torrは計算と一致しない。
- ④ 32Torrは計算と一致しない。
- ⑤ 42Torrは計算と一致しない。
第66回 午後19(臨床生理学)
簡易型終夜睡眠ポリグラフィで記録されないのはどれか。
正答: ②眼電図
ポイント
簡易型終夜睡眠ポリグラフィ(簡易PSG)は在宅での睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングに用い、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)、鼻気流(呼吸センサ)、いびき音、脈拍数、胸腹部の呼吸運動などを記録する。一方、睡眠段階の判定に必要な脳波・眼電図・オトガイ筋電図は記録されず、これらは標準(精密)PSGで評価する。●簡易PSGで記録=SpO₂・鼻気流・脈拍・胸腹部運動・いびき・体位。●標準PSGで追加記録=脳波(睡眠段階)・眼電図(REM判定)・オトガイ筋電図・下肢筋電図・心電図。●睡眠段階判定の3要素=脳波・眼電図・筋電図。●無呼吸の評価指標=無呼吸低呼吸指数(AHI)。
選択肢ごとの解説
- ① SpO₂はパルスオキシメータで簡易PSGでも記録される。
- ② 正しい。眼電図は睡眠段階(特にREM)判定用で、簡易型終夜睡眠ポリグラフィでは記録されない。
- ③ 鼻気流は呼吸イベント検出のため簡易PSGで記録される。
- ④ 脈拍数はパルスオキシメータで記録される。
- ⑤ 胸郭運動は呼吸努力の評価のため簡易PSGで記録される。
📋 まとめの表を見る:簡易型終夜睡眠ポリグラフィと標準(終夜睡眠ポリグラフィ〈PSG〉)の違い
簡易型は在宅での睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングに用いる。
第66回 午後20(臨床生理学)
特発性肺線維症の肺機能検査値として典型的でないのはどれか。
- ①%VC 60%
- ②%FVC 60%
- ③%FRC 70%
- ④%TLC 70%
- ⑤FEV1% 50%
正答: ⑤FEV1% 50%
ポイント
特発性肺線維症は肺の線維化による拘束性換気障害を呈し、%肺活量・%全肺気量・%機能的残気量の低下を示す。一方、気道狭窄は伴わないため1秒率(FEV1%)はむしろ正常〜上昇する。閉塞性障害でみられるFEV1%低値(50%など)は特発性肺線維症では典型的でない。●拘束性換気障害=%VC低下・%TLC低下・FEV1%保持(間質性肺炎・肺線維症・胸郭変形・神経筋疾患)。●閉塞性換気障害=FEV1%低下・残気量増加(慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息)。●混合性障害=%VC低下+FEV1%低下。●特発性肺線維症の他所見=肺拡散能(DLCO)低下・労作時低酸素・捻髪音・蜂巣肺。
選択肢ごとの解説
- ① %VC 60%は拘束性障害を反映し、特発性肺線維症で典型的である。
- ② %FVC 60%も拘束性障害を反映し、矛盾しない。
- ③ %FRC 70%の低下も肺容量減少を反映し、矛盾しない。
- ④ %TLC 70%の低下も拘束性障害として典型的である。
- ⑤ 誤り。特発性肺線維症では1秒率は保たれる〜上昇するため、FEV1% 50%という低値は典型的でない。
📋 まとめの表を見る:換気機能障害の分類(%肺活量〈%VC〉・1秒率〈FEV1%〉による判定)
閉塞性換気障害ではフローボリューム曲線が下に凸の形となる。機能的残気量〈FRC〉は肺の過膨張により上昇する(肺気腫・COPDなど)。
第66回 午後21(臨床生理学)
健常成人で加齢とともに増加するのはどれか。
正答: ③残気量
ポイント
加齢に伴い肺の弾性収縮力が低下し、末梢気道が呼気時に閉じやすくなるため、残気量と機能的残気量は増加する。一方、肺活量・努力肺活量・1秒量・1秒率は低下する。気道が早期に閉じ始める肺気量を示すクロージングボリュームも加齢とともに増加する。●加齢で増加=残気量・機能的残気量・残気率(残気量/全肺気量)・クロージングボリューム。●加齢で低下=肺活量・努力肺活量・1秒量・1秒率・肺拡散能。●ほぼ不変=全肺気量(残気量増加と肺活量低下で相殺)。●弾性低下の影響=肺コンプライアンス上昇・末梢気道閉塞・換気血流不均等の増大。
選択肢ごとの解説
- ① 1秒率は加齢とともに低下する。
- ② 1秒量は加齢とともに低下する。
- ③ 正しい。残気量は肺弾性低下により加齢とともに増加する。
- ④ 肺活量は加齢とともに低下する。
- ⑤ 努力肺活量は加齢とともに低下する。
第66回 午後22(臨床生理学)
健常成人の超音波検査で得られた腹部のBモード像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB022.b5bb9904f8.jpg

正答: ③膵臓
ポイント
腹部Bモードで膵臓は上腹部の正中やや左寄りに横走し、肝臓(左葉)を音響窓として描出される。背側を走る脾静脈や上腸間膜動脈・大動脈を指標として同定し、実質は均一でやや高〜等エコーを示す。膵頭部・体部・尾部を連続的に観察し、主膵管の拡張や腫瘤の有無を評価する。●膵臓描出の指標血管=背側の脾静脈・上腸間膜動脈・下大静脈・腹部大動脈。●実質臓器(高〜等エコー)=肝臓・膵臓・脾臓・腎実質。●無エコー(液体)構造=胆囊・膀胱・血管・嚢胞。●音響窓=肝臓(膵・胆道)・脾臓(左腎・膵尾部)・充満膀胱(骨盤内臓器)。
選択肢ごとの解説
- ① 胃は消化管ガスで描出が妨げられやすく、本図の実質臓器とは異なる。
- ② 肝臓は右上腹部を主とする大きな実質臓器で、本図の対象とは部位が異なる。
- ③ 正しい。上腹部を横走し脾静脈を背側指標に描出される実質臓器は膵臓である。
- ④ 胆囊は肝下面の無エコー(液体)構造として描出される。
- ⑤ 脾臓は左季肋部背側に位置する実質臓器である。
第66回 午後23(臨床生理学)
体表からの超音波検査において観察に用いる周波数が最も低い臓器はどれか。
正答: ②心臓
ポイント
超音波は周波数が高いほど分解能が良いが、組織での減衰が大きく深部到達性が低下する。心臓は胸壁から深い位置にあるため、深達性を優先して低い周波数(おおむね2〜3.5MHz)のプローブを用いる。一方、甲状腺・前立腺などの表在・近接臓器は高周波(7〜15MHzなど)で高分解能の観察を行う。●低周波(深部)=心臓・成人腹部(肝・腎・膵)・産科。●高周波(表在)=甲状腺・乳腺・体表・血管・運動器。●経腔的近接(高周波)=経直腸(前立腺)・経腟(婦人科)。●周波数と性能のトレードオフ=高周波(高分解能・低深達)、低周波(低分解能・高深達)。
選択肢ごとの解説
- ① 甲状腺は表在臓器で高周波プローブを用いる。
- ② 正しい。心臓は深部にあるため最も低い周波数のプローブを用いる。
- ③ 脾臓は心臓ほど深くなく、より高い周波数で観察できる。
- ④ 膵臓も心臓より浅く、中程度の周波数で観察する。
- ⑤ 前立腺は経直腸など近接アプローチで高周波を用いる。
第66回 午後24(臨床生理学)
10/20法による脳波電極P3の部位について正しいのはどれか。
- ①正中中心部
- ②左側頭葉の中央
- ③左頭頂葉の中央
- ④右側頭葉の中央
- ⑤右頭頂葉の中央
正答: ③左頭頂葉の中央
ポイント
国際10/20法の電極命名では、アルファベットが脳葉(部位)を、数字が半球を示し、奇数が左半球、偶数が右半球、zが正中を表す。Pは頭頂(parietal)部を示すため、P3は左頭頂部(左頭頂葉の中央付近)に位置する。番号は中央から離れるほど大きくなる。●部位記号=Fp(前頭極)・F(前頭)・C(中心)・P(頭頂)・T(側頭)・O(後頭)・A(耳朶)。●半球=奇数(左)・偶数(右)・z(正中、Fz/Cz/Pz)。●代表電極=P3(左頭頂)・P4(右頭頂)・T3またはT7(左側頭)・T4またはT8(右側頭)・Cz(正中中心)。●基準電極=A1・A2(両耳朶)。
選択肢ごとの解説
- ① 正中中心部はCz電極の部位である。
- ② 左側頭葉の中央はT3(T7)電極の部位である。
- ③ 正しい。P3は左頭頂部(左頭頂葉の中央付近)に位置する。
- ④ 右側頭葉の中央はT4(T8)電極の部位である。
- ⑤ 右頭頂葉の中央はP4電極の部位である。
第66回 午後25(臨床生理学)
脳波で広汎性多棘徐波複合を呈するのはどれか。
- ①欠神発作
- ②West症候群
- ③自律神経発作
- ④Lennox-Gastaut症候群
- ⑤若年性ミオクロニーてんかん
正答: ⑤若年性ミオクロニーてんかん
ポイント
若年性ミオクロニーてんかんは思春期に発症する特発性全般てんかんで、脳波上、覚醒時や光刺激により両側性・広汎性の多棘徐波複合(polyspike-and-wave)を呈する。起床後しばらくの間に上肢に出現するミオクローヌス発作を特徴とし、しばしば全般強直間代発作を伴う。てんかん症候群ごとに特徴的な脳波所見が異なる。●脳波所見とてんかん=3Hz棘徐波複合(欠神発作)・ヒプスアリスミア(West症候群)・遅棘徐波複合1.5〜2.5Hz(Lennox-Gastaut症候群)・広汎性多棘徐波複合(若年性ミオクロニーてんかん)。●全般てんかん=欠神てんかん・若年性ミオクロニーてんかん・覚醒時大発作てんかん。●年齢依存性てんかん性脳症=West症候群(乳児)・Lennox-Gastaut症候群(幼児)。●賦活法=過呼吸(欠神誘発)・光刺激(光感受性てんかん)・睡眠。
選択肢ごとの解説
- ① 欠神発作は3Hzの広汎性棘徐波複合を呈する。
- ② West症候群はヒプスアリスミアを呈する。
- ③ 自律神経発作は広汎性多棘徐波複合を典型的所見とはしない。
- ④ Lennox-Gastaut症候群は遅棘徐波複合(1.5〜2.5Hz)を呈する。
- ⑤ 正しい。若年性ミオクロニーてんかんは広汎性多棘徐波複合を呈する。
第66回 午後26(臨床生理学)
表面筋電図上、数十msecの電気活動が不規則に作動筋・拮抗筋間で同期してみられるのはどれか。
- ①振戦
- ②筋強剛
- ③けいれん
- ④ジストニア
- ⑤ミオクローヌス
正答: ⑤ミオクローヌス
ポイント
ミオクローヌスは数十msecの短い不随意な筋放電が突発的・不規則に生じる不随意運動で、表面筋電図では作動筋と拮抗筋が同期した短い放電として記録される。他の不随意運動は放電の持続時間・律動性・作動筋/拮抗筋の関係によって鑑別される。律動的か非律動的か、持続的か瞬間的かが判定の手がかりとなる。
●律動性(リズミカル)=振戦(一定周期の反復放電)。
●持続的な筋緊張亢進=筋強剛(固縮)・ジストニア(同時収縮による異常姿勢)。
●持続的な強直性・間代性放電=けいれん(てんかん発作など)。
●瞬間的・非律動性の同期放電=ミオクローヌス。
選択肢ごとの解説
- ① 振戦は一定周期で反復する律動性(リズミカル)放電を示し、数十msecの非律動性同期放電とは異なる。
- ② 筋強剛(固縮)は持続的な筋緊張亢進であり、短い同期放電を特徴とはしない。
- ③ けいれんは持続的な強直性・間代性の筋放電を示す。
- ④ ジストニアは作動筋・拮抗筋の持続的同時収縮による異常姿勢を呈し、放電は持続的である。
- ⑤ 正しい。ミオクローヌスは数十msecの短い放電が作動筋・拮抗筋に同期して不規則にみられる。
第66回 午後27(臨床生理学)
MRIのプロトン密度強調像が有用なのはどれか。
正答: ④膝関節
ポイント
MRIのプロトン密度強調像はT1緩和・T2緩和の影響を抑えて組織内の水素原子(プロトン)密度差を反映する画像で、関節軟骨・半月板・靱帯など信号の異なる構造の描出に優れ、膝関節の評価に有用である。撮像の重みづけ(T1・T2・プロトン密度・拡散)により得意とする対象が異なるため、目的臓器に応じて選択する。骨格筋・軟部・水成分のコントラストを得たい関節領域で利点が大きい。
●T1強調像=解剖学的構造の把握・脂肪/造影評価(脳・骨髄など)。
●T2強調像=水・浮腫・軟部コントラスト(子宮・前立腺など骨盤臓器、乳房)。
●プロトン密度強調像=関節軟骨・半月板・靱帯(膝関節)。
●拡散強調像=急性期脳梗塞・腫瘍。
●MRアンギオグラフィ=血管(腹部大動脈など)。
選択肢ごとの解説
- ① 子宮の評価には軟部コントラストに優れるT2強調像が主に用いられる。
- ② 前立腺の評価にはT2強調像や拡散強調像が用いられる。
- ③ 乳房の評価には脂肪抑制T2や造影ダイナミック撮像が用いられる。
- ④ 正しい。膝関節では軟骨・半月板・靱帯の評価にプロトン密度強調像が有用である。
- ⑤ 腹部大動脈の評価にはMRアンギオグラフィなどが用いられる。
第66回 午後28(臨床生理学)
副交感神経節後線維の伝達物質はどれか。
- ①セロトニン
- ②メラトニン
- ③アドレナリン
- ④アセチルコリン
- ⑤ノルアドレナリン
正答: ④アセチルコリン
ポイント
副交感神経は節前線維・節後線維ともに伝達物質がアセチルコリンであるコリン作動性神経である。交感神経も節前線維はアセチルコリンを放出するが、節後線維は原則としてノルアドレナリンを放出する(汗腺などは例外的にアセチルコリン)。伝達物質と受容体(ニコチン性・ムスカリン性・アドレナリン性)の対応が自律神経薬理の基本となる。
●コリン作動性=副交感神経の節前・節後、交感神経の節前、運動神経終板、交感神経性汗腺。
●アドレナリン作動性=交感神経節後線維(大部分)。
●ホルモン=アドレナリン(副腎髄質)・メラトニン(松果体)。
●中枢神経伝達物質=セロトニン・ドパミン・GABAなど。
選択肢ごとの解説
- ① セロトニンは中枢神経などの伝達物質で、副交感神経節後線維の伝達物質ではない。
- ② メラトニンは松果体から分泌されるホルモンで神経節の伝達物質ではない。
- ③ アドレナリンは副腎髄質から分泌されるホルモンで、節後線維の主要伝達物質ではない。
- ④ 正しい。副交感神経節後線維の伝達物質はアセチルコリンである。
- ⑤ ノルアドレナリンは交感神経節後線維の主要伝達物質である。
第66回 午後29(臨床化学)
ある酵素のKm値が2mmol/Lであるとき、最大反応速度〈Vmax〉の98%を得るための基質終濃度[mmol/L]に最も近いのはどれか。ただし、Michaelis-Mentenの式v=Vmax・[S]/(Km+[S])が適用される。
正答: ③100
ポイント
Michaelis-Mentenの式 v=Vmax・S/(Km+S) において、v/Vmax=S/(Km+S)=0.98となる基質濃度Sを求める。0.98(Km+S)=S を整理するとS=0.98Km/0.02=49Km となり、Km=2mmol/Lより S≒98≒100mmol/Lとなる。一般にVmaxのx%を得る基質濃度はS=〔x/(100−x)〕×Kmで表される。
●S=Km のとき v=Vmaxの50%(Kmの定義)。
●S=9Km で90%、S=49Km で98%、S=99Km で99%。
●Km=酵素と基質の親和性の指標(小さいほど高親和性)。
●Vmax=全酵素が基質飽和となるときの最大反応速度。
選択肢ごとの解説
- ① 25mmol/L(12.5Km)では反応速度はVmaxの約93%にとどまる。
- ② 50mmol/L(25Km)ではVmaxの約96%にとどまる。
- ③ 正しい。S=49KmすなわちKm 2mmol/Lの約49倍、約100mmol/LがVmaxの98%を与える。
- ④ 200mmol/LではVmaxの約99%となり、98%に最も近い値ではない。
- ⑤ 400mmol/Lは過大で、98%に最も近い値ではない。
第66回 午後30(臨床化学)
膵Langerhans島から分泌されるのはどれか。2つ選べ。
- ①グルカゴン
- ②セクレチン
- ③エストロゲン
- ④ソマトスタチン
- ⑤コレシストキニン
正答: ①グルカゴン・④ソマトスタチン
ポイント
膵Langerhans島はホルモンを分泌する内分泌部で、A(α)細胞からグルカゴン、B(β)細胞からインスリン、D(δ)細胞からソマトスタチン、PP細胞から膵ポリペプチドを分泌する。セクレチンやコレシストキニンは消化管粘膜の内分泌細胞から分泌される消化管ホルモンであり、膵島由来ではない。各ホルモンの産生細胞と作用を区別する。
●膵Langerhans島=グルカゴン(A/α)・インスリン(B/β)・ソマトスタチン(D/δ)・膵ポリペプチド(PP)。
●消化管ホルモン=セクレチン(十二指腸S細胞)・コレシストキニン(小腸I細胞)・ガストリン(胃G細胞)・GIP。
●性ステロイド=エストロゲン(卵巣・胎盤)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。グルカゴンはLangerhans島A(α)細胞から分泌される。
- ② セクレチンは十二指腸粘膜のS細胞から分泌される消化管ホルモンである。
- ③ エストロゲンは卵巣などから分泌される性ステロイドホルモンである。
- ④ 正しい。ソマトスタチンはLangerhans島D(δ)細胞から分泌される。
- ⑤ コレシストキニンは小腸粘膜のI細胞から分泌される消化管ホルモンである。
第66回 午後31(臨床化学)
放射線感受性が高いのはどれか。
- ①筋肉組織
- ②結合組織
- ③脂肪組織
- ④神経組織
- ⑤リンパ組織
正答: ⑤リンパ組織
ポイント
放射線感受性はBergonié-Tribondeauの法則に従い、細胞分裂が盛んで未分化な細胞ほど高い。リンパ組織(リンパ球)や造血細胞、生殖細胞、腸上皮は高感受性で、神経・筋・骨など高度に分化した組織は低感受性である。なおリンパ球は分裂しない成熟細胞であっても例外的に放射線感受性が極めて高い。
●高感受性=リンパ組織(リンパ球)・骨髄(造血細胞)・生殖腺・腸上皮・水晶体上皮。
●中等度=皮膚・血管内皮・成長軟骨。
●低感受性=神経組織・筋組織・骨組織・結合組織・脂肪組織。
選択肢ごとの解説
- ① 筋肉組織は高度に分化した組織で放射線感受性は低い。
- ② 結合組織は放射線感受性が比較的低い。
- ③ 脂肪組織は放射線感受性が低い。
- ④ 神経組織は高度に分化し放射線感受性が低い。
- ⑤ 正しい。リンパ組織はリンパ球の感受性が高く、放射線感受性が高い。
第66回 午後32(臨床化学)
アミラーゼアイソザイムで正しいのはどれか。
- ①S型は尿に排泄されない。
- ②急性膵炎ではS型が上昇する。
- ③P型はS型よりも分子量が大きい。
- ④流行性耳下腺炎ではP型が上昇する。
- ⑤腎不全ではP型、S型ともに上昇する。
正答: ⑤腎不全ではP型、S型ともに上昇する。
ポイント
アミラーゼにはP型(膵由来)とS型(唾液腺由来)のアイソザイムがある。急性膵炎ではP型が、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)ではS型が上昇する。両型とも低分子のため糸球体で濾過され尿中に排泄されるが、腎不全では排泄が低下し血中でP型・S型ともに上昇する。マクロアミラーゼ血症では尿中排泄が低下し血中で高値となる。
●P型上昇=急性膵炎・膵癌・膵管閉塞。
●S型上昇=流行性耳下腺炎・唾液腺疾患。
●両型上昇=腎不全(排泄低下)。
●血中上昇・尿中低下=マクロアミラーゼ血症。
選択肢ごとの解説
- ① S型も低分子で尿中に排泄されるため、排泄されないとするのは誤り。
- ② 急性膵炎では膵由来のP型が上昇するため、S型上昇とするのは誤り。
- ③ P型とS型の分子量はほぼ同等で、P型が大きいとするのは誤り。
- ④ 流行性耳下腺炎では唾液腺由来のS型が上昇するため、P型上昇とするのは誤り。
- ⑤ 正しい。腎不全では排泄低下によりP型・S型ともに血中で上昇する。
第66回 午後33(臨床化学)
骨吸収マーカーはどれか。2つ選べ。
- ①オステオカルシン〈OC〉
- ②骨型アルカリホスファターゼ〈BAP〉
- ③酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ〈TRAcP-5b〉
- ④デオキシピリジノリン〈DPD〉
- ⑤プロコラーゲン・ペプチド
正答: ③酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ〈TRAcP-5b〉・④デオキシピリジノリン〈DPD〉
ポイント
骨吸収マーカーは破骨細胞活性やⅠ型コラーゲンの分解を反映し、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAcP-5b)、デオキシピリジノリン(DPD)、Ⅰ型コラーゲン架橋N/C-テロペプチド(NTX・CTX)などがある。一方、骨形成マーカーは骨芽細胞活性やコラーゲン合成を反映し、オステオカルシン(OC)、骨型アルカリホスファターゼ(BAP)、Ⅰ型プロコラーゲン-N-プロペプチド(P1NP)などがある。両者を区別して骨代謝回転を評価する。
●骨吸収マーカー=TRAcP-5b・DPD・NTX・CTX・ピリジノリン。
●骨形成マーカー=オステオカルシン・BAP・P1NP・P1CP。
●骨マトリックス関連=低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC、ビタミンK不足の指標)。
選択肢ごとの解説
- ① オステオカルシンは骨芽細胞が産生する骨形成マーカーである。
- ② 骨型アルカリホスファターゼ(BAP)は骨芽細胞由来の骨形成マーカーである。
- ③ 正しい。酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAcP-5b)は破骨細胞由来の骨吸収マーカーである。
- ④ 正しい。デオキシピリジノリン(DPD)はコラーゲン架橋分解産物に由来する骨吸収マーカーである。
- ⑤ プロコラーゲン・ペプチド(P1NP/P1CPなど)はコラーゲン合成を反映する骨形成マーカーである。
第66回 午後34(臨床化学)
原発性副甲状腺機能亢進症で認められないのはどれか。
- ①病的骨折
- ②低リン血症
- ③高カルシウム血症
- ④代謝性アシドーシス
- ⑤活性型ビタミンD3合成低下
正答: ⑤活性型ビタミンD3合成低下
ポイント
この設問は原発性副甲状腺機能亢進症で「認められないもの」を問う型である。副甲状腺ホルモン(PTH)過剰により骨吸収亢進(病的骨折)、高カルシウム血症、尿中リン排泄増加による低リン血症をきたす。PTHは腎の1α水酸化酵素を活性化して活性型ビタミンD3(カルシトリオール)合成を促進するため、その合成は低下しない。近位尿細管での重炭酸再吸収低下により代謝性アシドーシスを伴いうる。
●PTH作用=骨吸収亢進・腎でのCa再吸収増加・リン排泄増加・1α水酸化酵素活性化(活性型ビタミンD増加)。
●原発性副甲状腺機能亢進症=高Ca血症・低P血症・PTH高値・病的骨折(線維性骨炎)・尿路結石。
●続発性=慢性腎不全などでPTH代償性上昇(低Ca・高P)。
選択肢ごとの解説
- ① 骨吸収亢進による病的骨折はみられ、認められる所見である。
- ② 尿中リン排泄増加により低リン血症がみられ、認められる所見である。
- ③ PTH過剰による骨吸収亢進で高カルシウム血症がみられ、認められる所見である。
- ④ 近位尿細管での重炭酸再吸収低下により代謝性アシドーシスを伴いうる。
- ⑤ 誤り。PTHは腎の1α水酸化酵素を活性化し活性型ビタミンD3合成を促進するため、合成低下は認められない。
第66回 午後35(臨床化学)
心筋梗塞の心筋マーカーとして適切でないのはどれか。
- ①LD₃
- ②CK-MB
- ③トロポニンT
- ④ミオシン軽鎖
- ⑤心臓型脂肪酸結合蛋白〈H-FABP〉
正答: ①LD₃
ポイント
この設問は心筋梗塞の心筋マーカーとして「適切でないもの」を問う型である。心筋梗塞では心筋特異性の高いトロポニンT/I、CK-MB、ミオシン軽鎖、心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)が用いられる。乳酸脱水素酵素(LD)アイソザイムでは心筋はLD₁が優位であり、LD₃は肺などに多く心筋特異性が低い。発症からの経過時間に応じてマーカーを使い分ける。
●超早期(1〜数時間)=H-FABP・ミオグロビン。
●早期〜数日=CK-MB・トロポニンT/I・ミオシン軽鎖。
●心筋優位のLD=LD₁(LD₁>LD₂の逆転)。
●LD₃=肺・脾・リンパ系に多く心筋特異性が低い。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。心筋ではLD₁が優位でありLD₃は心筋特異性が低く、心筋マーカーとして適切でない。
- ② CK-MBは心筋特異性が高く有用なマーカーである。
- ③ トロポニンTは心筋特異性が最も高いマーカーである。
- ④ ミオシン軽鎖は心筋傷害を反映するマーカーである。
- ⑤ 心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)は発症早期に上昇する有用なマーカーである。
第66回 午後36(臨床化学)
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で、ヘキソキナーゼとグルコース-6-リン酸脱水素酵素の共役により測定されるのはどれか。
正答: ①CK
ポイント
日本臨床化学会(JSCC)勧告法のクレアチンキナーゼ(CK)測定は、クレアチンリン酸とADPからCKがATPを生成し、ヘキソキナーゼがグルコースをグルコース-6-リン酸(G6P)に変換、続くグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)反応でNADPHを生成し、340nmの吸光度上昇を測定する共役系を用いる。酵素ごとに測定原理(基質・共役酵素)が異なる。
●CK=ヘキソキナーゼ+G6PD共役(NADPH生成、340nm)。
●AST/ALT=リンゴ酸脱水素酵素/乳酸脱水素酵素との共役(NADH減少、340nm)。
●ALP=4-ニトロフェニルリン酸を基質に黄色のp-ニトロフェノール生成(405nm)。
●γ-GT=γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリド等を基質。
●アミラーゼ(JSCC勧告法)=エチリデン保護された4-ニトロフェニルマルトヘプタオシドを基質とし、α-グルコシダーゼを指示酵素として生成する4-ニトロフェノールを測定する共役系。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。CKはヘキソキナーゼとグルコース-6-リン酸脱水素酵素の共役系で測定される。
- ② ASTはリンゴ酸脱水素酵素との共役系で測定される。
- ③ ALPは4-ニトロフェニルリン酸を基質に測定される。
- ④ γ-GTはγ-グルタミル-p-ニトロアニリド系の基質を用いて測定される。
- ⑤ アミラーゼは合成基質を用いた共役系で測定される。
第66回 午後37(臨床化学)
アミノトランスフェラーゼのホロ化に必要なのはどれか。
- ①コバラミン
- ②ピリドキシン
- ③リボフラビン
- ④トコフェロール
- ⑤ニコチンアミド
正答: ②ピリドキシン
ポイント
アミノトランスフェラーゼ(AST・ALT)はピリドキサールリン酸(PLP)を補酵素とし、これと結合してホロ酵素となることでアミノ基転移反応の活性を発揮する。PLPはビタミンB₆(ピリドキシン)の活性型であり、補酵素を欠くアポ酵素は活性が低い。各酵素が必要とするビタミン由来補酵素を区別することが重要である。
●ビタミンB₆(PLP)=アミノ基転移酵素(AST・ALT)・脱炭酸酵素。
●ビタミンB₁(チアミンピロリン酸)=ピルビン酸/α-ケトグルタル酸脱水素酵素・トランスケトラーゼ。
●ビタミンB₂(FAD・FMN)=酸化還元酵素。
●ナイアシン(NAD・NADP)=脱水素酵素。
●ビタミンB₁₂(コバラミン)=メチルマロニルCoAムターゼ・メチオニン合成。
選択肢ごとの解説
- ① コバラミン(ビタミンB₁₂)はメチル基転移などの補酵素でアミノ基転移には関与しない。
- ② 正しい。ピリドキシン(ビタミンB₆)の活性型ピリドキサールリン酸がアミノ基転移の補酵素である。
- ③ リボフラビン(ビタミンB₂)はFAD・FMNの構成成分で酸化還元酵素の補酵素である。
- ④ トコフェロール(ビタミンE)は抗酸化作用をもつ脂溶性ビタミンである。
- ⑤ ニコチンアミド(ナイアシン)はNAD・NADPの構成成分である。
第66回 午後38(臨床化学)
慢性腎臓病〈CKD〉の病期分類に用いられる検査項目はどれか。2つ選べ。
- ①尿浸透圧
- ②尿糖定量値
- ③糸球体濾過量
- ④尿蛋白定量値
- ⑤尿素窒素/クレアチニン比
正答: ③糸球体濾過量・④尿蛋白定量値
ポイント
慢性腎臓病(CKD)の重症度分類は、原因(Cause)、糸球体濾過量GFRによるGステージ、尿蛋白(尿アルブミン)によるAステージを組み合わせるCGA分類で評価する。すなわちGFRと尿蛋白(尿アルブミン定量)の両者が病期分類に直接用いられる項目である。尿浸透圧・尿糖・尿素窒素/クレアチニン比は分類項目ではない。
●Gステージ=GFR(G1〜G5、推算GFRで判定)。
●Aステージ=尿アルブミン/クレアチニン比または尿蛋白(A1〜A3)。
●CKDの定義=尿異常・画像・血液・病理での腎障害、またはGFR60未満が3か月以上持続。
●尿素窒素/クレアチニン比=脱水・消化管出血など腎前性評価。
選択肢ごとの解説
- ① 尿浸透圧は尿濃縮力の指標でCKDの病期分類項目ではない。
- ② 尿糖定量値はCKDの病期分類項目ではない。
- ③ 正しい。糸球体濾過量(GFR)はGステージの判定に用いられる。
- ④ 正しい。尿蛋白(尿アルブミン)定量値はAステージの判定に用いられる。
- ⑤ 尿素窒素/クレアチニン比は脱水などの評価に用い、病期分類項目ではない。
📋 まとめの表を見る:慢性腎臓病〈CKD〉の重症度分類(CGA分類)
重症度は原疾患(C)・GFR区分(G)・蛋白尿区分(A)を組み合わせて評価する(CGA分類)。透析治療中はステージに「D」を付す(例:G5D)。尿浸透圧・尿糖定量値・尿素窒素/クレアチニン比は病期分類には用いない。
第66回 午後39(臨床化学)
水酸基をもつアミノ酸はどれか。2つ選べ。
- ①セリン
- ②プロリン
- ③スレオニン
- ④メチオニン
- ⑤アスパラギン酸
正答: ①セリン・③スレオニン
ポイント
側鎖に水酸基(ヒドロキシ基)をもつアミノ酸はセリン、スレオニン(トレオニン)、チロシンである。これらの水酸基はリン酸化や糖鎖付加(O-結合型)の部位となり、蛋白質の機能調節に関与する。アミノ酸は側鎖の官能基(水酸基・含硫・酸性・塩基性・芳香族・分枝鎖など)で分類される。
●水酸基(ヒドロキシ)=セリン・スレオニン・チロシン。
●含硫=システイン・メチオニン。
●酸性(カルボキシ基)=アスパラギン酸・グルタミン酸。
●塩基性=リジン・アルギニン・ヒスチジン。
●イミノ酸(環状)=プロリン。
●芳香族=フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。セリンは側鎖に水酸基をもつアミノ酸である。
- ② プロリンはイミノ酸(環状)で側鎖に水酸基をもたない。
- ③ 正しい。スレオニンは側鎖に水酸基をもつアミノ酸である。
- ④ メチオニンは含硫アミノ酸で水酸基をもたない。
- ⑤ アスパラギン酸は酸性(カルボキシ基)アミノ酸で水酸基をもたない。
第66回 午後40(臨床化学)
酸化的脱アミノ反応に関与しているのはどれか。
- ①アルギナーゼ
- ②グルタミン酸デヒドロゲナーゼ
- ③アルギニノコハク酸シンセターゼ
- ④カルバモイルリン酸シンセターゼ
- ⑤アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
正答: ②グルタミン酸デヒドロゲナーゼ
ポイント
酸化的脱アミノ反応はグルタミン酸デヒドロゲナーゼがグルタミン酸をα-ケトグルタル酸とアンモニアに変換する反応で、NAD(P)を補酵素とする。アミノ基転移酵素が集めたアミノ基はグルタミン酸に集約され、本酵素によりアンモニアとして遊離して尿素回路に送られる。尿素回路を構成する各酵素とは反応様式が異なる。
●酸化的脱アミノ=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(NAD(P)依存、アンモニア遊離)。
●アミノ基転移=AST・ALT(ピリドキサールリン酸依存)。
●尿素回路=カルバモイルリン酸シンセターゼ・オルニチントランスカルバモイラーゼ・アルギニノコハク酸シンセターゼ・アルギニノコハク酸リアーゼ・アルギナーゼ。
選択肢ごとの解説
- ① アルギナーゼはアルギニンを尿素とオルニチンに分解する尿素回路の酵素である。
- ② 正しい。グルタミン酸デヒドロゲナーゼがグルタミン酸の酸化的脱アミノを触媒する。
- ③ アルギニノコハク酸シンセターゼはシトルリンからアルギニノコハク酸を生成する尿素回路の酵素である。
- ④ カルバモイルリン酸シンセターゼはアンモニアからカルバモイルリン酸を生成する尿素回路の酵素である。
- ⑤ アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼはアミノ基転移を触媒する酵素で、酸化的脱アミノではない。
第66回 午後41(臨床化学)
1分子中に窒素を3つ有するのはどれか。
- ①尿酸
- ②尿素
- ③アンモニア
- ④ビリルビン
- ⑤クレアチニン
正答: ⑤クレアチニン
ポイント
クレアチニンは1分子中に窒素を3つもつ含窒素化合物で、筋肉のクレアチンリン酸の非酵素的分解によって生成し、腎糸球体で濾過排泄される。尿酸は窒素4個、ビリルビンもテトラピロール由来で窒素4個、尿素は窒素2個、アンモニアは窒素1個と含窒素数が異なる。腎機能評価の指標となる。
●窒素1個=アンモニア(NH₃)。
●窒素2個=尿素(CO(NH2)2)。
●窒素3個=クレアチニン。
●窒素4個=尿酸(プリン由来)・ビリルビン(テトラピロール由来)。
選択肢ごとの解説
- ① 尿酸はプリン代謝産物で1分子中に窒素を4つもつ。
- ② 尿素は1分子中に窒素を2つもつ。
- ③ アンモニアは1分子中に窒素を1つもつ。
- ④ ビリルビンはテトラピロール由来で1分子中に窒素を4つもつ。
- ⑤ 正しい。クレアチニンは1分子中に窒素を3つもつ。
第66回 午後42(臨床化学)
ビタミンの欠乏と疾患の組合せで正しいのはどれか。
- ①ビタミンA欠乏症 — くる病
- ②ビタミンB₁欠乏症 — 悪性貧血
- ③ビタミンB₁₂欠乏症 — Wernicke脳症
- ④ビタミンD欠乏症 — 夜盲症
- ⑤ビタミンK欠乏症 — 新生児メレナ
正答: ⑤ビタミンK欠乏症 — 新生児メレナ
ポイント
ビタミン欠乏症は欠乏するビタミンと症候の対応を正確に把握する必要がある。ビタミンK欠乏は凝固因子(第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子)の合成低下による出血傾向をきたし、新生児では腸内細菌叢の未熟と母乳中含量の低さから新生児メレナ(消化管出血)を起こす。他の組合せはいずれも欠乏ビタミンと症候が入れ替わっており誤りである。
●ビタミンA欠乏=夜盲症・角膜乾燥症。
●ビタミンB₁欠乏=脚気・Wernicke脳症。
●ビタミンB₁₂・葉酸欠乏=巨赤芽球性貧血。悪性貧血は自己免疫性胃炎に伴う内因子欠乏によりビタミンB₁₂の吸収が障害されて起こる。
●ビタミンC欠乏=壊血病。
●ビタミンD欠乏=くる病・骨軟化症。
●ビタミンK欠乏=出血傾向・新生児メレナ。
選択肢ごとの解説
- ① ビタミンA欠乏は夜盲症をきたし、くる病はビタミンD欠乏で生じる。
- ② ビタミンB₁欠乏は脚気やWernicke脳症をきたし、悪性貧血はビタミンB₁₂欠乏で生じる。
- ③ ビタミンB₁₂欠乏は悪性貧血をきたし、Wernicke脳症はビタミンB₁欠乏で生じる。
- ④ ビタミンD欠乏はくる病・骨軟化症をきたし、夜盲症はビタミンA欠乏で生じる。
- ⑤ 正しい。ビタミンK欠乏は新生児メレナ(出血傾向)をきたす。
📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。
第66回 午後43(臨床化学)
細菌感染による敗血症で上昇しないのはどれか。
- ①CRP
- ②プレセプシン
- ③エンドトキシン
- ④プロカルシトニン
- ⑤(1→3)-β-D-グルカン
正答: ⑤(1→3)-β-D-グルカン
ポイント
この設問は細菌感染による敗血症で「上昇しないもの」を問う型である。細菌性敗血症ではC反応性蛋白(CRP)、プロカルシトニン、プレセプシン(可溶性CD14サブタイプ)が上昇し、グラム陰性菌ではエンドトキシン(リポ多糖)も検出される。一方、β-D-グルカンは真菌細胞壁成分で深在性真菌症の指標であり、細菌感染では上昇しない。
●細菌感染マーカー=CRP・プロカルシトニン・プレセプシン。
●グラム陰性菌=エンドトキシン(リポ多糖)。
●真菌マーカー=β-D-グルカン(深在性真菌症)・アスペルギルス抗原(ガラクトマンナン)・カンジダ抗原。
●急性相反応蛋白=CRP・血清アミロイドA・フィブリノゲン。
選択肢ごとの解説
- ① CRPは細菌感染・炎症で上昇する急性相反応蛋白である。
- ② プレセプシンは細菌感染(敗血症)で上昇するマーカーである。
- ③ エンドトキシンはグラム陰性菌感染で上昇する。
- ④ プロカルシトニンは細菌性敗血症で特異的に上昇する。
- ⑤ 誤り。β-D-グルカンは真菌の指標であり、細菌感染による敗血症では上昇しない。
📋 まとめの表を見る:感染症関連バイオマーカーの比較(細菌性・真菌性・敗血症)
第66回 午後44(臨床化学)
肝臓の解毒機能の評価に用いられるのはどれか。2つ選べ。
- ①ICG試験
- ②血清ALP値
- ③血中アンモニア値
- ④血清コレステロール値
- ⑤プロトロンビン時間〈PT〉
正答: ①ICG試験・③血中アンモニア値
ポイント
肝臓の解毒(異物の摂取・代謝・排泄)機能の評価には、肝による色素の摂取・排泄能をみるインドシアニングリーン(ICG)試験と、肝での尿素サイクルによるアンモニア処理能を反映する血中アンモニア値が用いられる。ALPは胆道系、コレステロールやプロトロンビン時間(PT)は肝の合成能を主に反映し、解毒機能の直接的指標ではない。
●解毒・排泄能=ICG試験・血中アンモニア値・血清総ビリルビン。
●合成能=アルブミン・コリンエステラーゼ・コレステロール・プロトロンビン時間(PT)。
●胆道系(胆汁うっ滞)=ALP・γ-GT・総ビリルビン(直接型)。
●肝細胞傷害=AST・ALT・LD。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。ICG試験は肝の色素摂取・排泄能を評価し、解毒(処理排泄)機能の指標となる。
- ② 血清ALPは胆道系酵素であり、解毒機能の評価項目ではない。
- ③ 正しい。血中アンモニア値は肝の尿素サイクルによる解毒能を反映する。
- ④ 血清コレステロール値は肝の合成能・脂質代謝を反映する。
- ⑤ プロトロンビン時間(PT)は肝の凝固因子合成能を反映する。
第66回 午後45(病理組織細胞学)
術中迅速組織標本を別に示す。矢印で示す現象が生じた工程はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB045.49f48d0056.jpg

正答: ②凍結
ポイント
術中迅速組織標本は凍結切片で作製するが、組織内の水分が凍結時に氷晶を形成すると、細胞や組織に空胞状の人工的構造(氷晶アーチファクト)が生じる。これは凍結工程に由来し、急速凍結や適切な包埋・処理によって軽減できる。組織標本作製の各工程で生じる人工産物(アーチファクト)を区別する。
●凍結=氷晶アーチファクト(空胞状構造)。
●薄切=しわ・裂け・ナイフ傷(刃の傷などによる線状の傷)・チャター(刃や試料の振動などによる縞状の厚薄)。
●固定=固定不良による変性・収縮、ホルマリン色素沈着。
●包埋=気泡の混入。
●染色=色素沈着・脱染。
選択肢ごとの解説
- ① 組織採取の工程では氷晶による空胞は生じない。
- ② 正しい。氷晶アーチファクトは凍結工程で組織内の水分が氷晶化して生じる。
- ③ 薄切の工程ではしわや裂けが生じうるが氷晶アーチファクトではない。
- ④ 固定はホルマリンなどによる工程で、氷晶アーチファクトの原因ではない。
- ⑤ 染色の工程は色素付与であり氷晶アーチファクトとは関係しない。
第66回 午後46(病理組織細胞学)
Mayerのhematoxylin液に含まれないのはどれか。
- ①グリセリン
- ②結晶クエン酸
- ③抱水クロラール
- ④ヨウ素酸ナトリウム
- ⑤硫酸アルミニウムカリウム
正答: ①グリセリン
ポイント
この設問はMayerのヘマトキシリン液に「含まれないもの」を問う型である。Mayerのヘマトキシリン液は核染色用の媒染ヘマトキシリンで、ヘマトキシリン、媒染剤の硫酸アルミニウムカリウム(カリウムミョウバン)、酸化剤のヨウ素酸ナトリウム、防腐剤の抱水クロラール、酸性化と分別のための結晶クエン酸からなる。グリセリンは含まれない。
●ヘマトキシリンの色素母体=ヘマトキシリン(酸化されてヘマテインに)。
●媒染剤=硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン媒染)。
●酸化(熟成)剤=ヨウ素酸ナトリウム(化学的熟成)。
●防腐剤=抱水クロラール。
●分別・調整=結晶クエン酸(酸性化)。
●他のヘマトキシリン=Carazzi・Gill・Harris・Delafieldなど。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。グリセリンはMayerのヘマトキシリン液に含まれない。
- ② 結晶クエン酸は酸性化・分別のため含まれる。
- ③ 抱水クロラールは防腐剤として含まれる。
- ④ ヨウ素酸ナトリウムは酸化(熟成)剤として含まれる。
- ⑤ 硫酸アルミニウムカリウムは媒染剤として含まれる。
第66回 午後47(病理組織細胞学)
気管支擦過のPapanicolaou染色標本を別に示す。細胞はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB047.03a58a49c4.jpg

- ①扁平上皮細胞
- ②線毛円柱上皮細胞
- ③腺癌細胞
- ④小細胞癌細胞
- ⑤扁平上皮癌細胞
正答: ②線毛円柱上皮細胞
ポイント
気管支擦過のPapanicolaou染色標本でみられる線毛円柱上皮細胞は、細胞の一端に終末板(terminal bar)とそこから伸びる線毛を有し、反対側に核がある柱状(円柱状)の良性細胞である。線毛の存在は正常気道上皮の指標であり、線毛をもたない悪性細胞との重要な鑑別点となる。
●良性気道上皮=線毛円柱上皮細胞(終末板+線毛)・基底細胞・杯細胞。
●化生=扁平上皮化生細胞。
●悪性=扁平上皮癌(角化・奇怪型)・腺癌(腺腔形成・核小体明瞭)・小細胞癌(裸核・核鋳型・木目込み)。
選択肢ごとの解説
- ① 扁平上皮細胞は多角形で線毛をもたない。
- ② 正しい。終末板と線毛を有する柱状細胞は線毛円柱上皮細胞である。
- ③ 腺癌細胞は核腫大・核小体明瞭で線毛をもたない。
- ④ 小細胞癌細胞は裸核状で核の鋳型現象を示し線毛をもたない。
- ⑤ 扁平上皮癌細胞は異型扁平細胞で線毛をもたない。
第66回 午後48(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB048.ce6fa5f5d9.jpg

正答: ③膵臓
ポイント
膵臓のH-E染色像では、外分泌部の腺房(好酸性の酵素顆粒をもつ腺房細胞の集まり)の中に、淡明な細胞集塊として内分泌部のLangerhans島が島状に散在する所見が特徴的である。この外分泌腺房とランゲルハンス島の混在構造が膵臓の組織学的な指標となる。
●膵臓=外分泌腺房+淡明なLangerhans島+導管。
●肝臓=肝細胞索・類洞・中心静脈・グリソン鞘(小葉構造)。
●腎臓=糸球体・尿細管。
●脾臓=白脾髄(リンパ濾胞)・赤脾髄(脾洞)。
●副腎=皮質(球状帯・束状帯・網状帯)+髄質。
選択肢ごとの解説
- ① 肝臓は肝細胞索と類洞、中心静脈・グリソン鞘からなる小葉構造を示す。
- ② 腎臓は糸球体と尿細管からなる構造を示す。
- ③ 正しい。腺房の中に淡明なLangerhans島が散在する所見は膵臓である。
- ④ 脾臓は白脾髄と赤脾髄からなるリンパ性臓器である。
- ⑤ 副腎は皮質(球状・束状・網状帯)と髄質からなる。
第66回 午後49(病理組織細胞学)
早期胃癌について正しいのはどれか。
- ①静脈侵襲を認めない。
- ②陥凹病変は含まれない。
- ③浸潤は粘膜内に限局する。
- ④リンパ節転移を認めない。
- ⑤肉眼分類では0型に相当する。
正答: ⑤肉眼分類では0型に相当する。
ポイント
早期胃癌は癌の浸潤が粘膜下層までにとどまるものをいい、リンパ節転移の有無は問わない(リンパ節転移があっても深達度が粘膜下層までなら早期胃癌に含まれる)。肉眼分類では表在型の0型に相当し、隆起型(0-Ⅰ・0-Ⅱa)だけでなく陥凹型(0-Ⅱc・0-Ⅲ)も含まれる。深達度の定義を正確に理解することが重要である。
●早期胃癌の定義=深達度が粘膜下層(SM)まで(リンパ節転移は問わない)。
●進行胃癌=固有筋層以深に浸潤。
●肉眼分類(0型=表在型)=0-Ⅰ(隆起)・0-Ⅱa(表面隆起)・0-Ⅱb(表面平坦)・0-Ⅱc(表面陥凹)・0-Ⅲ(陥凹)。
●進行癌の肉眼型=Borrmann 1〜4型。
選択肢ごとの解説
- ① 早期胃癌でも脈管(静脈)侵襲を認めることがあり、認めないとするのは誤り。
- ② 陥凹型(0-Ⅱc・0-Ⅲなど)も含まれるため、含まれないとするのは誤り。
- ③ 浸潤は粘膜下層まで及ぶことがあり、粘膜内に限局するとは限らない。
- ④ リンパ節転移があっても深達度が条件を満たせば早期胃癌で、認めないとするのは誤り。
- ⑤ 正しい。早期胃癌は肉眼分類で表在型の0型に相当する。
第66回 午後50(病理組織細胞学)
子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB050.84293c2a3e.jpg

- ①腺癌
- ②扁平上皮癌
- ③腟カンジダ症
- ④ヘルペス感染症
- ⑤トリコモナス腟炎
正答: ②扁平上皮癌
ポイント
子宮頸部の扁平上皮癌では、Papanicolaou染色で核の腫大・濃染(クロマチン増量)と核/細胞質比(N/C比)の増大を示す異型扁平上皮細胞が出現し、しばしばオレンジ色に角化した奇怪な形(おたまじゃくし型・線維型・紡錘型)の細胞を伴う。背景に壊死性物質(腫瘍素因)を認めることがある。
●扁平上皮癌=異型扁平細胞・角化(オレンジG好性)・奇怪型細胞・腫瘍素因。
●腺癌=腺腔形成・核小体明瞭・柱状の異型細胞。
●腟カンジダ症=仮性菌糸・出芽胞子(分芽胞子)。
●ヘルペス感染症=多核巨細胞・すりガラス状核・核内封入体。
●トリコモナス腟炎=洋梨型の原虫・好中球浸潤。
選択肢ごとの解説
- ① 腺癌は腺腔形成や核小体明瞭な円柱状の異型細胞を示し、本像とは異なる。
- ② 正しい。核腫大・濃染と角化を伴う異型扁平上皮細胞は扁平上皮癌を示す。
- ③ 腟カンジダ症では仮性菌糸や胞子がみられる感染症である。
- ④ ヘルペス感染症では多核巨細胞やすりガラス状核がみられる。
- ⑤ トリコモナス腟炎では洋梨型の原虫がみられる。