第66回(2020) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第66回 午後1(臨床検査総論)

RT-PCR法が診断に有用なのはどれか。

正答: ④慢性骨髄性白血病

ポイント
RT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法は、逆転写酵素でRNAをcDNAに変換してから増幅する手法で、融合遺伝子由来のキメラmRNAや遺伝子発現量の検出に有用である。慢性骨髄性白血病ではt(9;22)転座でフィラデルフィア染色体が生じ、BCR-ABL1融合遺伝子から転写されるキメラmRNAをRT-PCRで定量することで診断と微小残存病変のモニタリングが可能となる。染色体数異常や微小欠失症候群は核型分析・FISH・染色体マイクロアレイで診断され、RNA発現を見るRT-PCRの適応ではない。●融合遺伝子検出(RT-PCR)=慢性骨髄性白血病(BCR-ABL1)・急性前骨髄球性白血病(PML-RARA)・Ewing肉腫(EWS-FLI1)。●染色体数・構造異常=Turner症候群(45,X)・Klinefelter症候群(47,XXY)・Down症候群(21トリソミー)→核型分析・FISH。●微小欠失症候群=DiGeorge症候群(22q11.2)・Prader-Willi/Angelman症候群(15q11-13)→FISH・マイクロアレイ・メチル化解析。●点変異=真性赤血球増加症(JAK2 V617F)→アレル特異的PCR・配列解析。

選択肢ごとの解説

第66回 午後2(臨床検査総論)

核酸の純度を判定する際に用いられる吸光度の波長[nm]はどれか。2つ選べ。

正答: ③260・⑤280

ポイント
核酸の純度と濃度は紫外吸収スペクトルで評価する。核酸を構成する塩基は260nmに、蛋白質は芳香族アミノ酸(チロシン・トリプトファン)により280nmに吸収極大を示すため、両波長の吸光度を測定する。A260/A280比はDNAで約1.8、RNAで約2.0が純度の目安で、蛋白質混入があると比が低下する。●吸光度の指標波長=260nm(核酸・塩基)・280nm(蛋白質・芳香族アミノ酸)・230nm(フェノールや塩などの夾雑物)。●純度比=A260/A280(蛋白質混入)・A260/A230(有機溶媒・塩混入)。●核酸定量の換算=A260=1で二本鎖DNA約50μg/mL・一本鎖RNA約40μg/mL・一本鎖DNA約33μg/mL。

選択肢ごとの解説

第66回 午後3(臨床検査総論)

セントロメアにあるヘテロクロマチンを特異的に染色するのはどれか。

正答: ①C染色法

ポイント
C分染法(C-banding)は塩酸と水酸化バリウムなどの酸・アルカリ処理後にGiemsa染色を行い、セントロメア近傍やY染色体長腕などに分布する構成的(恒常的)ヘテロクロマチンを特異的に濃染する。これらは反復配列に富む領域で、その量的多型(ヘテロクロマチン多型)の評価に用いられる。各分染法は染色対象とする染色体領域が異なる。●セントロメア・恒常ヘテロクロマチン=C分染法。●全染色体の縞模様(同定)=G分染法(トリプシン+Giemsa)。●核小体形成部位(rRNA遺伝子領域)=NOR銀染色法。●蛍光による分染=Q分染法(キナクリン)。●G分染と逆パターン(末端評価)=R分染法。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:染色体分染法(バンディング法)の種類と特徴

分染法特徴
Rバンド分染法GC(グアニン・シトシン)塩基対優位部が濃染。Gバンドと明暗が逆
Cバンド分染法セントロメア近傍の構成的ヘテロクロマチンを濃染
染色体観察に適するのは細胞周期の中期(染色体が最も凝縮する時期)である。

第66回 午後4(臨床検査総論)

幼稚園で肛囲検査法〈セロファンテープ法〉による虫卵検査を行い、1人の園児から虫卵が検出された。虫卵の写真を別に示す。とるべき対応はどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB004.65b35e54d8.jpg
第66回 午後4 の図

正答: ②陽性者への抗蠕虫薬投与・⑤陽性者家族の寝具の日光消毒

ポイント
肛囲(セロファンテープ)検査法で園児から検出される虫卵の代表は蟯虫(ぎょうちゅう)である。蟯虫は経口的に虫卵を摂取して感染し、雌虫が夜間に肛門周囲へ産卵するため、起床直後の肛囲検査で虫卵が検出される。対応は陽性者への駆虫薬(ピランテルパモ酸塩など)投与と、虫卵が付着しやすい寝具・衣類の処理(日光消毒・洗濯)で、媒介昆虫を介さないため蚊の駆除や抗体検査・ワクチンは無意味である。●経口感染(虫卵・接触)=蟯虫・回虫・鞭虫。●経皮感染=鉤虫・糞線虫・住血吸虫。●蚊媒介=マラリア・フィラリア。●ハエ・サシチョウバエ媒介=リーシュマニア・トリパノソーマ。●集団対策=駆虫薬投与・衣類寝具の処理・手洗い励行(蟯虫)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:感染経路別の予防策

寄生虫検出法・対応
蟯虫肛囲(セロファンテープ)検査法で検出。陽性者へ抗蠕虫薬投与、寝具の日光消毒等で予防

第66回 午後5(臨床検査総論)

トキソプラズマについて誤っているのはどれか。

正答: ②細胞外寄生原虫である。

ポイント
トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)はネコ科動物を終宿主とする偏性細胞内寄生原虫で、ヒトには加熱不十分な食肉中のシストや、ネコ糞便由来オーシストの経口摂取で感染する。免疫正常者では大部分が不顕性感染にとどまるが、妊娠初期の初感染では経胎盤感染により先天性トキソプラズマ症(水頭症・脈絡網膜炎・脳内石灰化の三徴)を生じうる。血清IgM抗体高値は近時の初感染を示唆する。●偏性細胞内寄生原虫=トキソプラズマ・マラリア原虫・リーシュマニア(マクロファージ内で増殖)。●トリパノソーマ=Trypanosoma cruziは細胞内増殖期をもつが、アフリカトリパノソーマ(T. brucei)は全生活環を通じて細胞外(血流中)で増殖する。●先天感染(TORCH)=トキソプラズマ・風疹・サイトメガロウイルス・単純ヘルペス。●経口感染原虫=トキソプラズマ・赤痢アメーバ・クリプトスポリジウム・ランブル鞭毛虫。●感染時期の指標=IgM(近時・初感染)・IgGアビディティ(感染時期推定)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後6(臨床検査総論)

ダニ類が媒介する感染症はどれか。

正答: ③日本紅斑熱

ポイント
日本紅斑熱はRickettsia japonicaによるリケッチア感染症で、マダニに刺咬されて感染する。発熱・発疹・刺し口(焼痂)を三徴とし、西日本を中心に発生する。媒介節足動物は疾患ごとに異なり、蚊・サシチョウバエ・水系経皮感染など機序の違いを区別する必要がある。●ダニ類媒介=マダニ:日本紅斑熱・SFTS・ライム病など。ツツガムシ:つつが虫病。●蚊媒介=マラリア・デング熱・日本脳炎・フィラリア・ウエストナイル熱。●サシチョウバエ媒介=リーシュマニア症。●経皮(水・土壌)感染=レプトスピラ症・鉤虫症・住血吸虫症。

選択肢ごとの解説

第66回 午後7(臨床検査総論)

X染色体連鎖性遺伝病はどれか。

正答: ①血友病B

ポイント
血友病BはX染色体上の第Ⅸ因子遺伝子の異常による伴性(X連鎖)劣性遺伝病で、保因者の母から男児へ遺伝して発症しやすい。X連鎖劣性遺伝では原則として男性に発症が偏る。遺伝形式(常染色体優性・劣性、X連鎖、ミトコンドリア)の区別が鑑別の鍵となる。●X連鎖劣性=血友病A(第Ⅷ因子)・血友病B(第Ⅸ因子)・Duchenne型筋ジストロフィー・赤緑色覚異常・G6PD欠損症。●常染色体劣性=鎌状赤血球症・β-サラセミア・フェニルケトン尿症・嚢胞性線維症。●常染色体優性=Huntington病・Marfan症候群・家族性高コレステロール血症。●ミトコンドリア遺伝=Leber遺伝性視神経症・MELAS。

選択肢ごとの解説

第66回 午後8(臨床検査総論)

コルセミド処理が細胞周期を停止させる時期はどれか。

正答: ③分裂中期

ポイント
コルセミド(コルヒチンの類縁体)は微小管の重合を阻害して紡錘体形成を妨げ、姉妹染色分体が両極へ分離できないため、染色体が最も凝縮する分裂中期で細胞周期を停止させる。これにより分裂中期の細胞を集積でき、観察に適した染色体標本が得られる。染色体分析では中期像を解析対象とする。●細胞周期=間期(G1・S・G2)→分裂期(前期・中期・後期・終期)。●中期停止(紡錘体毒)=コルセミド・コルヒチン・ビンカアルカロイド・タキサン。●染色体標本作製の流れ=培養→コルセミド処理(中期集積)→低張処理→固定→展開・分染。●染色体観察に適する時期=分裂中期(最も凝縮)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後9(臨床検査総論)

尿沈渣の無染色標本を別に示す。この構造物が生成されるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB009.484b21bd60.jpg
第66回 午後9 の図

正答: ②胆管癌

ポイント
尿沈渣でビリルビン結晶は黄褐色の針状・束状(または顆粒状)の結晶として観察され、直接ビリルビンの尿中排泄が増加する閉塞性黄疸で出現する。胆管癌など胆道の閉塞では抱合型ビリルビンが血中・尿中へ逆流し、結晶として析出する。結晶尿は基礎疾患を反映するため、結晶形態と臨床背景の対応を把握する必要がある。●結晶と基礎疾患=ビリルビン結晶(閉塞性黄疸・胆管癌)・シスチン結晶(シスチン尿症)・尿酸結晶(高尿酸血症・痛風)・2,8-ジヒドロキシアデニン結晶(APRT欠損症)・ロイシン/チロシン結晶(重症肝障害)。●尿の鉄染色陽性=ヘモジデリン尿(発作性夜間ヘモグロビン尿症)。●結晶の形態=シスチン(六角板状)・コレステロール(切れ込み板状)・リン酸アンモニウムマグネシウム(棺蓋状)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:尿中に出現する主な病的結晶成分と関連疾患

結晶成分尿pH色調関連疾患
ロイシン酸性尿淡黄色重症肝障害
チロシン酸性尿無色〜黄色重症肝障害
シスチン酸性尿無色先天性シスチン尿症
ビリルビン酸性尿黄褐色黄疸(閉塞性黄疸等)
コレステロール酸性〜中性尿無色乳び尿・ネフローゼ症候群
2,8-ジヒドロキシアデニン〈DHA〉酸性尿黄褐色先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ〈APRT〉欠損症
尿酸酸性尿黄褐色高尿酸血症・痛風

第66回 午後10(臨床検査総論)

糖尿病性腎症の早期発見に有用な尿検査項目はどれか。

正答: ②アルブミン

ポイント
糖尿病性腎症の早期診断には尿中微量アルブミンの測定が有用である。糸球体障害の初期には、通常の尿試験紙では検出されない微量のアルブミンが尿中へ漏出し(微量アルブミン尿)、これが顕性蛋白尿に先行する。早期に発見し血糖・血圧管理を行うことで腎症の進展を抑制できる。●糖尿病性腎症の病期指標=尿中微量アルブミン(早期)・尿蛋白(顕性腎症)・推算糸球体濾過量eGFR(腎機能低下)。●糸球体障害マーカー=アルブミン・トランスフェリン・IgG。●尿細管障害マーカー=β2ミクログロブリン・α1ミクログロブリン・NAG・L-FABP。●糖代謝の指標=HbA1c・グリコアルブミン・尿ケトン体(インスリン欠乏)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後11(臨床検査医学総論)

細胞内液において最も多い陽イオンはどれか。

正答: ①K⁺

ポイント
細胞内液で最も多い陽イオンはK⁺(カリウムイオン)で、細胞外液ではNa⁺(ナトリウムイオン)が最多である。この濃度勾配はNa⁺-K⁺ ATPアーゼ(ナトリウムポンプ)が能動的に維持し、静止膜電位の形成や活動電位による興奮の発生に不可欠である。電解質の分布は体液区分ごとに大きく異なる。●細胞内液の主な陽イオン=K⁺(最多)・Mg²⁺。●細胞外液の主な陽イオン=Na⁺(最多)・Ca²⁺。●主な陰イオン=細胞外液はCl⁻・HCO₃⁻、細胞内液はリン酸・蛋白質。●膜電位の維持=Na⁺-K⁺ ATPアーゼ(3Na⁺排出/2K⁺取り込み)。●細胞内Ca²⁺=極めて低濃度に保たれ、情報伝達のセカンドメッセンジャーとして働く。

選択肢ごとの解説

第66回 午後12(臨床検査医学総論)

染色体検査の結果で診断が可能なのはどれか。

正答: ④Klinefelter症候群

ポイント
Klinefelter症候群は47,XXYなどの性染色体数異常で、核型分析(染色体検査)で診断できる。一方、点変異・リピート伸長・酵素欠損による疾患は通常の染色体検査では検出できず、遺伝子解析や酵素活性測定を要する。疾患ごとに適切な検査法を選択する必要がある。●染色体検査(核型分析)で診断=Klinefelter症候群(47,XXY)・Turner症候群(45,X)・Down症候群(21トリソミー)・慢性骨髄性白血病(t(9;22))。●リピート伸長(遺伝子検査)=Huntington病(CAG)・脆弱X症候群(CGG)・筋強直性ジストロフィー(CTG)。●酵素活性・遺伝子解析=Gaucher病(グルコセレブロシダーゼ)・Lesch-Nyhan症候群(HPRT)・Tay-Sachs病。●多因子・蛋白蓄積=Alzheimer型認知症。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:遺伝性疾患の診断法の違い(染色体検査・遺伝子検査)

疾患原因主に用いる検査
Klinefelter症候群性染色体(X染色体)の数的異常染色体検査(核型分析)
Down症候群など常染色体の数的異常(トリソミー等)染色体検査(核型分析)
Huntington病4番染色体Huntington遺伝子のCAG配列の異常増幅遺伝子検査
Lesch-Nyhan症候群HGPRT遺伝子異常遺伝子検査
Gaucher病β-グルコシダーゼ遺伝子変異遺伝子検査
Alzheimer型認知症APOE ε4はリスク因子の一つAPOE多型はリスクに関する情報であり、単独で確定診断する検査ではない

第66回 午後13(臨床検査医学総論)

Basedow病について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③TSHが低値である。・④びまん性甲状腺腫を認める。

ポイント
Basedow病はTSH受容体抗体(TRAb)が甲状腺を刺激して甲状腺機能亢進症を起こす自己免疫疾患で、若年〜中年女性に多い。甲状腺ホルモン高値による負のフィードバックでTSHは低値となり、TRAbの刺激でびまん性甲状腺腫を呈する。代謝亢進により頻脈・体重減少・総コレステロール低下・眼球突出などを伴う。●甲状腺機能亢進症の所見=TSH低値・遊離T3/T4高値・頻脈・体重減少・コレステロール低下・発汗増加。●Basedow病の三徴(Merseburg)=びまん性甲状腺腫・頻脈・眼球突出。●関連自己抗体=TRAb(TSH受容体抗体)・抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体。●甲状腺機能低下症(橋本病など)=TSH高値・徐脈・体重増加・コレステロール上昇。

選択肢ごとの解説

第66回 午後14(臨床検査医学総論)

IgA腎症について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①男性に多い。・③血尿が認められる。

ポイント
IgA腎症は糸球体メサンギウム領域にIgAが優位に沈着する慢性糸球体腎炎で、男性にやや多く、無症候性の顕微鏡的血尿(時に上気道感染後の肉眼的血尿)と蛋白尿で発見される。経過は一般に緩徐で、進行例では高血圧や腎機能低下を伴う。蛍光抗体法でメサンギウムへのIgAとC3の沈着を認める。●原発性糸球体腎炎=IgA腎症・微小変化型ネフローゼ・膜性腎症・膜性増殖性糸球体腎炎・巣状分節性糸球体硬化症。●血尿をきたす腎炎=IgA腎症・急性糸球体腎炎(溶連菌後)・急速進行性糸球体腎炎・Alport症候群。●急速進行性の経過=半月体形成性腎炎(ANCA関連・抗GBM抗体病)。●免疫沈着部位=IgA腎症(メサンギウム)・膜性腎症(上皮下)・ループス腎炎(多彩)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後15(臨床検査医学総論)

Holter心電図が診断に有用でないのはどれか。

正答: ⑤大動脈弁閉鎖不全

ポイント
Holter(ホルター)心電図は24時間以上にわたり日常生活下の心電図を連続記録し、発作性・間欠的に出現する不整脈や虚血性ST変化の検出に有用である。大動脈弁閉鎖不全は弁膜症であり、その診断・重症度評価は心臓超音波検査や聴診(拡張期灌水様雑音)によるもので、心電図記録は適さない。●Holter心電図が有用=発作性不整脈(発作性心房細動・発作性上室頻拍・心室期外収縮)・異型狭心症(夜間ST上昇)・Brugada症候群(ST日内変動)・失神の精査。●弁膜症の評価=心臓超音波検査(断層・ドプラ)・聴診・心臓カテーテル。●虚血性心疾患=運動負荷心電図・冠動脈CT/造影・心筋シンチ。●心機能・形態の評価=心エコー・心臓MRI。

選択肢ごとの解説

第66回 午後16(臨床生理学)

心臓超音波検査で肺動脈弁が観察されるのはどれか。

正答: ⑤大動脈弁レベル短軸像

ポイント
心臓超音波で肺動脈弁は、大動脈弁レベル短軸像(傍胸骨短軸断面の大動脈基部レベル)で、中央の大動脈を取り囲む右室流出路から肺動脈へ続く部分として描出される。この断面では大動脈弁、右房、三尖弁、右室流出路、肺動脈弁の位置関係が一望でき、右心系の評価に適する。●傍胸骨長軸像=左室流出路・大動脈弁・僧帽弁・左房。●大動脈弁レベル短軸像=大動脈弁(三尖)・右房・三尖弁・右室流出路・肺動脈弁。●乳頭筋レベル短軸像=左室壁運動(局所壁運動異常)。●心尖部四腔像=左右の心房・心室・僧帽弁・三尖弁。●心窩部断面=下大静脈・肝静脈の評価。

選択肢ごとの解説

第66回 午後17(臨床生理学)

胸部誘導心電図を別に示す。所見として正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB017.6571e8b863.jpg
第66回 午後17 の図

正答: ⑤Ⅲ度房室ブロック

ポイント
Ⅲ度(完全)房室ブロックでは房室間の伝導が完全に途絶し、P波とQRS波がそれぞれ独立した一定の間隔で出現する(完全房室解離)。心房はより速い洞調律、心室はより遅い補充調律で駆動されるため、PP間隔・RR間隔はそれぞれ規則的だがP波数がQRS数より多く、両者に対応関係がない。徐脈による失神(Adams-Stokes発作)をきたしうる。●房室ブロックの分類=Ⅰ度(PQ延長のみ)・Ⅱ度Wenckebach型(PQ漸増後に脱落)・Ⅱ度Mobitz Ⅱ型(PQ一定で突然脱落)・Ⅲ度(完全房室解離)。●洞機能の異常=洞房ブロック・洞不全症候群(SSS)・洞停止。●補充調律=房室接合部調律・心室固有調律。●ペースメーカ適応=高度房室ブロック・症候性徐脈。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見

疾患心電図所見
心筋梗塞(陳旧性)異常Q波(心筋壊死を反映)
第1度房室ブロックPQ〈PR〉時間の延長(0.21秒以上)、QRS波の脱落なし
完全右脚ブロックQRS幅延長、V1・V2でrsR'型、V5・V6で深いS波
WPW症候群PQ〈PR〉時間の短縮、デルタ波、QRS幅延長
心房細動RR間隔不整(絶対性不整脈)

第66回 午後18(臨床生理学)

1気圧の大気を吸入した時、PaO₂ 88 Torr、PaCO₂ 40 Torrであった。肺胞気動脈血酸素分圧較差[Torr]はどれか。ただし、呼吸商は0.8とする。

正答: ②12

ポイント
肺胞気酸素分圧PAO₂は肺胞気式 PAO₂=PIO2-PaCO₂/R で求める。1気圧・室内空気の吸入気酸素分圧PIO2は、飽和水蒸気圧47Torrを差し引いた(760-47)×0.21≒150Torrとなる。PaCO₂ 40Torr、呼吸商R 0.8よりPAO₂≒150-40/0.8=100Torrとなり、肺胞気動脈血酸素分圧較差AaDO2=PAO₂-PaO₂=100-88=12Torrである。●AaDO2開大の機序=換気血流比不均等・拡散障害・シャント。●AaDO2正常で低酸素=肺胞低換気(換気量低下・PaCO₂上昇)・吸入気酸素分圧低下(高地)。●正常値の目安=若年で10Torr前後、加齢で増大。●呼吸商R=産生CO₂/消費O₂(通常約0.8)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後19(臨床生理学)

簡易型終夜睡眠ポリグラフィで記録されないのはどれか。

正答: ②眼電図

ポイント
簡易型終夜睡眠ポリグラフィ(簡易PSG)は在宅での睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングに用い、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)、鼻気流(呼吸センサ)、いびき音、脈拍数、胸腹部の呼吸運動などを記録する。一方、睡眠段階の判定に必要な脳波・眼電図・オトガイ筋電図は記録されず、これらは標準(精密)PSGで評価する。●簡易PSGで記録=SpO₂・鼻気流・脈拍・胸腹部運動・いびき・体位。●標準PSGで追加記録=脳波(睡眠段階)・眼電図(REM判定)・オトガイ筋電図・下肢筋電図・心電図。●睡眠段階判定の3要素=脳波・眼電図・筋電図。●無呼吸の評価指標=無呼吸低呼吸指数(AHI)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:簡易型終夜睡眠ポリグラフィと標準(終夜睡眠ポリグラフィ〈PSG〉)の違い

区分測定項目できないこと
簡易型(携帯型)鼻呼吸センサ・気道音センサ・経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO₂〉(その他、胸腹呼吸運動・体位・心電図・脈拍を測定する場合もある)睡眠段階の判定(脳波・眼電図・オトガイ筋筋電図を測定しないため)
標準型(PSG)脳波・眼電図〈EOG〉・オトガイ筋筋電図(睡眠段階の評価)に加え、鼻口の温度センサ・鼻圧センサ・胸腹壁運動・SpO₂など-(睡眠時無呼吸症候群の確定診断・重症度判定が可能)
簡易型は在宅での睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングに用いる。

第66回 午後20(臨床生理学)

特発性肺線維症の肺機能検査値として典型的でないのはどれか。

正答: ⑤FEV1% 50%

ポイント
特発性肺線維症は肺の線維化による拘束性換気障害を呈し、%肺活量・%全肺気量・%機能的残気量の低下を示す。一方、気道狭窄は伴わないため1秒率(FEV1%)はむしろ正常〜上昇する。閉塞性障害でみられるFEV1%低値(50%など)は特発性肺線維症では典型的でない。●拘束性換気障害=%VC低下・%TLC低下・FEV1%保持(間質性肺炎・肺線維症・胸郭変形・神経筋疾患)。●閉塞性換気障害=FEV1%低下・残気量増加(慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息)。●混合性障害=%VC低下+FEV1%低下。●特発性肺線維症の他所見=肺拡散能(DLCO)低下・労作時低酸素・捻髪音・蜂巣肺。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:換気機能障害の分類(%肺活量〈%VC〉・1秒率〈FEV1%〉による判定)

分類判定基準主な疾患・病態
正常%VC≧80% かつ FEV1%≧70%―
拘束性換気障害%VC<80% かつ FEV1%≧70%間質性肺炎・肺線維症・胸郭/胸膜病変・呼吸筋力低下など
閉塞性換気障害%VC≧80% かつ FEV1%<70%COPD(肺気腫・慢性気管支炎)・気管支喘息など
混合性換気障害%VC<80% かつ FEV1%<70%拘束性と閉塞性の合併
閉塞性換気障害ではフローボリューム曲線が下に凸の形となる。機能的残気量〈FRC〉は肺の過膨張により上昇する(肺気腫・COPDなど)。

第66回 午後21(臨床生理学)

健常成人で加齢とともに増加するのはどれか。

正答: ③残気量

ポイント
加齢に伴い肺の弾性収縮力が低下し、末梢気道が呼気時に閉じやすくなるため、残気量と機能的残気量は増加する。一方、肺活量・努力肺活量・1秒量・1秒率は低下する。気道が早期に閉じ始める肺気量を示すクロージングボリュームも加齢とともに増加する。●加齢で増加=残気量・機能的残気量・残気率(残気量/全肺気量)・クロージングボリューム。●加齢で低下=肺活量・努力肺活量・1秒量・1秒率・肺拡散能。●ほぼ不変=全肺気量(残気量増加と肺活量低下で相殺)。●弾性低下の影響=肺コンプライアンス上昇・末梢気道閉塞・換気血流不均等の増大。

選択肢ごとの解説

第66回 午後22(臨床生理学)

健常成人の超音波検査で得られた腹部のBモード像を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB022.b5bb9904f8.jpg
第66回 午後22 の図

正答: ③膵臓

ポイント
腹部Bモードで膵臓は上腹部の正中やや左寄りに横走し、肝臓(左葉)を音響窓として描出される。背側を走る脾静脈や上腸間膜動脈・大動脈を指標として同定し、実質は均一でやや高〜等エコーを示す。膵頭部・体部・尾部を連続的に観察し、主膵管の拡張や腫瘤の有無を評価する。●膵臓描出の指標血管=背側の脾静脈・上腸間膜動脈・下大静脈・腹部大動脈。●実質臓器(高〜等エコー)=肝臓・膵臓・脾臓・腎実質。●無エコー(液体)構造=胆囊・膀胱・血管・嚢胞。●音響窓=肝臓(膵・胆道)・脾臓(左腎・膵尾部)・充満膀胱(骨盤内臓器)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後23(臨床生理学)

体表からの超音波検査において観察に用いる周波数が最も低い臓器はどれか。

正答: ②心臓

ポイント
超音波は周波数が高いほど分解能が良いが、組織での減衰が大きく深部到達性が低下する。心臓は胸壁から深い位置にあるため、深達性を優先して低い周波数(おおむね2〜3.5MHz)のプローブを用いる。一方、甲状腺・前立腺などの表在・近接臓器は高周波(7〜15MHzなど)で高分解能の観察を行う。●低周波(深部)=心臓・成人腹部(肝・腎・膵)・産科。●高周波(表在)=甲状腺・乳腺・体表・血管・運動器。●経腔的近接(高周波)=経直腸(前立腺)・経腟(婦人科)。●周波数と性能のトレードオフ=高周波(高分解能・低深達)、低周波(低分解能・高深達)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後24(臨床生理学)

10/20法による脳波電極P3の部位について正しいのはどれか。

正答: ③左頭頂葉の中央

ポイント
国際10/20法の電極命名では、アルファベットが脳葉(部位)を、数字が半球を示し、奇数が左半球、偶数が右半球、zが正中を表す。Pは頭頂(parietal)部を示すため、P3は左頭頂部(左頭頂葉の中央付近)に位置する。番号は中央から離れるほど大きくなる。●部位記号=Fp(前頭極)・F(前頭)・C(中心)・P(頭頂)・T(側頭)・O(後頭)・A(耳朶)。●半球=奇数(左)・偶数(右)・z(正中、Fz/Cz/Pz)。●代表電極=P3(左頭頂)・P4(右頭頂)・T3またはT7(左側頭)・T4またはT8(右側頭)・Cz(正中中心)。●基準電極=A1・A2(両耳朶)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後25(臨床生理学)

脳波で広汎性多棘徐波複合を呈するのはどれか。

正答: ⑤若年性ミオクロニーてんかん

ポイント
若年性ミオクロニーてんかんは思春期に発症する特発性全般てんかんで、脳波上、覚醒時や光刺激により両側性・広汎性の多棘徐波複合(polyspike-and-wave)を呈する。起床後しばらくの間に上肢に出現するミオクローヌス発作を特徴とし、しばしば全般強直間代発作を伴う。てんかん症候群ごとに特徴的な脳波所見が異なる。●脳波所見とてんかん=3Hz棘徐波複合(欠神発作)・ヒプスアリスミア(West症候群)・遅棘徐波複合1.5〜2.5Hz(Lennox-Gastaut症候群)・広汎性多棘徐波複合(若年性ミオクロニーてんかん)。●全般てんかん=欠神てんかん・若年性ミオクロニーてんかん・覚醒時大発作てんかん。●年齢依存性てんかん性脳症=West症候群(乳児)・Lennox-Gastaut症候群(幼児)。●賦活法=過呼吸(欠神誘発)・光刺激(光感受性てんかん)・睡眠。

選択肢ごとの解説

第66回 午後26(臨床生理学)

表面筋電図上、数十msecの電気活動が不規則に作動筋・拮抗筋間で同期してみられるのはどれか。

正答: ⑤ミオクローヌス

ポイント
ミオクローヌスは数十msecの短い不随意な筋放電が突発的・不規則に生じる不随意運動で、表面筋電図では作動筋と拮抗筋が同期した短い放電として記録される。他の不随意運動は放電の持続時間・律動性・作動筋/拮抗筋の関係によって鑑別される。律動的か非律動的か、持続的か瞬間的かが判定の手がかりとなる。
●律動性(リズミカル)=振戦(一定周期の反復放電)。
●持続的な筋緊張亢進=筋強剛(固縮)・ジストニア(同時収縮による異常姿勢)。
●持続的な強直性・間代性放電=けいれん(てんかん発作など)。
●瞬間的・非律動性の同期放電=ミオクローヌス。

選択肢ごとの解説

第66回 午後27(臨床生理学)

MRIのプロトン密度強調像が有用なのはどれか。

正答: ④膝関節

ポイント
MRIのプロトン密度強調像はT1緩和・T2緩和の影響を抑えて組織内の水素原子(プロトン)密度差を反映する画像で、関節軟骨・半月板・靱帯など信号の異なる構造の描出に優れ、膝関節の評価に有用である。撮像の重みづけ(T1・T2・プロトン密度・拡散)により得意とする対象が異なるため、目的臓器に応じて選択する。骨格筋・軟部・水成分のコントラストを得たい関節領域で利点が大きい。
●T1強調像=解剖学的構造の把握・脂肪/造影評価(脳・骨髄など)。
●T2強調像=水・浮腫・軟部コントラスト(子宮・前立腺など骨盤臓器、乳房)。
●プロトン密度強調像=関節軟骨・半月板・靱帯(膝関節)。
●拡散強調像=急性期脳梗塞・腫瘍。
●MRアンギオグラフィ=血管(腹部大動脈など)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後28(臨床生理学)

副交感神経節後線維の伝達物質はどれか。

正答: ④アセチルコリン

ポイント
副交感神経は節前線維・節後線維ともに伝達物質がアセチルコリンであるコリン作動性神経である。交感神経も節前線維はアセチルコリンを放出するが、節後線維は原則としてノルアドレナリンを放出する(汗腺などは例外的にアセチルコリン)。伝達物質と受容体(ニコチン性・ムスカリン性・アドレナリン性)の対応が自律神経薬理の基本となる。
●コリン作動性=副交感神経の節前・節後、交感神経の節前、運動神経終板、交感神経性汗腺。
●アドレナリン作動性=交感神経節後線維(大部分)。
●ホルモン=アドレナリン(副腎髄質)・メラトニン(松果体)。
●中枢神経伝達物質=セロトニン・ドパミン・GABAなど。

選択肢ごとの解説

第66回 午後29(臨床化学)

ある酵素のKm値が2mmol/Lであるとき、最大反応速度〈Vmax〉の98%を得るための基質終濃度[mmol/L]に最も近いのはどれか。ただし、Michaelis-Mentenの式v=Vmax・[S]/(Km+[S])が適用される。

正答: ③100

ポイント
Michaelis-Mentenの式 v=Vmax・S/(Km+S) において、v/Vmax=S/(Km+S)=0.98となる基質濃度Sを求める。0.98(Km+S)=S を整理するとS=0.98Km/0.02=49Km となり、Km=2mmol/Lより S≒98≒100mmol/Lとなる。一般にVmaxのx%を得る基質濃度はS=〔x/(100−x)〕×Kmで表される。
●S=Km のとき v=Vmaxの50%(Kmの定義)。
●S=9Km で90%、S=49Km で98%、S=99Km で99%。
●Km=酵素と基質の親和性の指標(小さいほど高親和性)。
●Vmax=全酵素が基質飽和となるときの最大反応速度。

選択肢ごとの解説

第66回 午後30(臨床化学)

膵Langerhans島から分泌されるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①グルカゴン・④ソマトスタチン

ポイント
膵Langerhans島はホルモンを分泌する内分泌部で、A(α)細胞からグルカゴン、B(β)細胞からインスリン、D(δ)細胞からソマトスタチン、PP細胞から膵ポリペプチドを分泌する。セクレチンやコレシストキニンは消化管粘膜の内分泌細胞から分泌される消化管ホルモンであり、膵島由来ではない。各ホルモンの産生細胞と作用を区別する。
●膵Langerhans島=グルカゴン(A/α)・インスリン(B/β)・ソマトスタチン(D/δ)・膵ポリペプチド(PP)。
●消化管ホルモン=セクレチン(十二指腸S細胞)・コレシストキニン(小腸I細胞)・ガストリン(胃G細胞)・GIP。
●性ステロイド=エストロゲン(卵巣・胎盤)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後31(臨床化学)

放射線感受性が高いのはどれか。

正答: ⑤リンパ組織

ポイント
放射線感受性はBergonié-Tribondeauの法則に従い、細胞分裂が盛んで未分化な細胞ほど高い。リンパ組織(リンパ球)や造血細胞、生殖細胞、腸上皮は高感受性で、神経・筋・骨など高度に分化した組織は低感受性である。なおリンパ球は分裂しない成熟細胞であっても例外的に放射線感受性が極めて高い。
●高感受性=リンパ組織(リンパ球)・骨髄(造血細胞)・生殖腺・腸上皮・水晶体上皮。
●中等度=皮膚・血管内皮・成長軟骨。
●低感受性=神経組織・筋組織・骨組織・結合組織・脂肪組織。

選択肢ごとの解説

第66回 午後32(臨床化学)

アミラーゼアイソザイムで正しいのはどれか。

正答: ⑤腎不全ではP型、S型ともに上昇する。

ポイント
アミラーゼにはP型(膵由来)とS型(唾液腺由来)のアイソザイムがある。急性膵炎ではP型が、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)ではS型が上昇する。両型とも低分子のため糸球体で濾過され尿中に排泄されるが、腎不全では排泄が低下し血中でP型・S型ともに上昇する。マクロアミラーゼ血症では尿中排泄が低下し血中で高値となる。
●P型上昇=急性膵炎・膵癌・膵管閉塞。
●S型上昇=流行性耳下腺炎・唾液腺疾患。
●両型上昇=腎不全(排泄低下)。
●血中上昇・尿中低下=マクロアミラーゼ血症。

選択肢ごとの解説

第66回 午後33(臨床化学)

骨吸収マーカーはどれか。2つ選べ。

正答: ③酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ〈TRAcP-5b〉・④デオキシピリジノリン〈DPD〉

ポイント
骨吸収マーカーは破骨細胞活性やⅠ型コラーゲンの分解を反映し、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAcP-5b)、デオキシピリジノリン(DPD)、Ⅰ型コラーゲン架橋N/C-テロペプチド(NTX・CTX)などがある。一方、骨形成マーカーは骨芽細胞活性やコラーゲン合成を反映し、オステオカルシン(OC)、骨型アルカリホスファターゼ(BAP)、Ⅰ型プロコラーゲン-N-プロペプチド(P1NP)などがある。両者を区別して骨代謝回転を評価する。
●骨吸収マーカー=TRAcP-5b・DPD・NTX・CTX・ピリジノリン。
●骨形成マーカー=オステオカルシン・BAP・P1NP・P1CP。
●骨マトリックス関連=低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC、ビタミンK不足の指標)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後34(臨床化学)

原発性副甲状腺機能亢進症で認められないのはどれか。

正答: ⑤活性型ビタミンD3合成低下

ポイント
この設問は原発性副甲状腺機能亢進症で「認められないもの」を問う型である。副甲状腺ホルモン(PTH)過剰により骨吸収亢進(病的骨折)、高カルシウム血症、尿中リン排泄増加による低リン血症をきたす。PTHは腎の1α水酸化酵素を活性化して活性型ビタミンD3(カルシトリオール)合成を促進するため、その合成は低下しない。近位尿細管での重炭酸再吸収低下により代謝性アシドーシスを伴いうる。
●PTH作用=骨吸収亢進・腎でのCa再吸収増加・リン排泄増加・1α水酸化酵素活性化(活性型ビタミンD増加)。
●原発性副甲状腺機能亢進症=高Ca血症・低P血症・PTH高値・病的骨折(線維性骨炎)・尿路結石。
●続発性=慢性腎不全などでPTH代償性上昇(低Ca・高P)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後35(臨床化学)

心筋梗塞の心筋マーカーとして適切でないのはどれか。

正答: ①LD₃

ポイント
この設問は心筋梗塞の心筋マーカーとして「適切でないもの」を問う型である。心筋梗塞では心筋特異性の高いトロポニンT/I、CK-MB、ミオシン軽鎖、心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)が用いられる。乳酸脱水素酵素(LD)アイソザイムでは心筋はLD₁が優位であり、LD₃は肺などに多く心筋特異性が低い。発症からの経過時間に応じてマーカーを使い分ける。
●超早期(1〜数時間)=H-FABP・ミオグロビン。
●早期〜数日=CK-MB・トロポニンT/I・ミオシン軽鎖。
●心筋優位のLD=LD₁(LD₁>LD₂の逆転)。
●LD₃=肺・脾・リンパ系に多く心筋特異性が低い。

選択肢ごとの解説

第66回 午後36(臨床化学)

日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で、ヘキソキナーゼとグルコース-6-リン酸脱水素酵素の共役により測定されるのはどれか。

正答: ①CK

ポイント
日本臨床化学会(JSCC)勧告法のクレアチンキナーゼ(CK)測定は、クレアチンリン酸とADPからCKがATPを生成し、ヘキソキナーゼがグルコースをグルコース-6-リン酸(G6P)に変換、続くグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)反応でNADPHを生成し、340nmの吸光度上昇を測定する共役系を用いる。酵素ごとに測定原理(基質・共役酵素)が異なる。
●CK=ヘキソキナーゼ+G6PD共役(NADPH生成、340nm)。
●AST/ALT=リンゴ酸脱水素酵素/乳酸脱水素酵素との共役(NADH減少、340nm)。
●ALP=4-ニトロフェニルリン酸を基質に黄色のp-ニトロフェノール生成(405nm)。
●γ-GT=γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリド等を基質。
●アミラーゼ(JSCC勧告法)=エチリデン保護された4-ニトロフェニルマルトヘプタオシドを基質とし、α-グルコシダーゼを指示酵素として生成する4-ニトロフェノールを測定する共役系。

選択肢ごとの解説

第66回 午後37(臨床化学)

アミノトランスフェラーゼのホロ化に必要なのはどれか。

正答: ②ピリドキシン

ポイント
アミノトランスフェラーゼ(AST・ALT)はピリドキサールリン酸(PLP)を補酵素とし、これと結合してホロ酵素となることでアミノ基転移反応の活性を発揮する。PLPはビタミンB₆(ピリドキシン)の活性型であり、補酵素を欠くアポ酵素は活性が低い。各酵素が必要とするビタミン由来補酵素を区別することが重要である。
●ビタミンB₆(PLP)=アミノ基転移酵素(AST・ALT)・脱炭酸酵素。
●ビタミンB₁(チアミンピロリン酸)=ピルビン酸/α-ケトグルタル酸脱水素酵素・トランスケトラーゼ。
●ビタミンB₂(FAD・FMN)=酸化還元酵素。
●ナイアシン(NAD・NADP)=脱水素酵素。
●ビタミンB₁₂(コバラミン)=メチルマロニルCoAムターゼ・メチオニン合成。

選択肢ごとの解説

第66回 午後38(臨床化学)

慢性腎臓病〈CKD〉の病期分類に用いられる検査項目はどれか。2つ選べ。

正答: ③糸球体濾過量・④尿蛋白定量値

ポイント
慢性腎臓病(CKD)の重症度分類は、原因(Cause)、糸球体濾過量GFRによるGステージ、尿蛋白(尿アルブミン)によるAステージを組み合わせるCGA分類で評価する。すなわちGFRと尿蛋白(尿アルブミン定量)の両者が病期分類に直接用いられる項目である。尿浸透圧・尿糖・尿素窒素/クレアチニン比は分類項目ではない。
●Gステージ=GFR(G1〜G5、推算GFRで判定)。
●Aステージ=尿アルブミン/クレアチニン比または尿蛋白(A1〜A3)。
●CKDの定義=尿異常・画像・血液・病理での腎障害、またはGFR60未満が3か月以上持続。
●尿素窒素/クレアチニン比=脱水・消化管出血など腎前性評価。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:慢性腎臓病〈CKD〉の重症度分類(CGA分類)

区分分類基準値
GFR区分(G)G1eGFR 90以上(正常または高値)
GFR区分(G)G2eGFR 60〜89(正常または軽度低下)
GFR区分(G)G3aeGFR 45〜59(軽度〜中等度低下)
GFR区分(G)G3beGFR 30〜44(中等度〜高度低下)
GFR区分(G)G4eGFR 15〜29(高度低下)
GFR区分(G)G5eGFR 15未満(末期腎不全〈ESKD〉)
蛋白尿区分(A)・原疾患が糖尿病A1〜A3尿アルブミン/Cr比:30未満(正常)/30〜299(微量アルブミン尿)/300以上(顕性アルブミン尿) [mg/gCr]
蛋白尿区分(A)・原疾患が糖尿病以外A1〜A3尿蛋白/Cr比:0.15未満(正常)/0.15〜0.49(軽度蛋白尿)/0.50以上(高度蛋白尿) [g/gCr]
重症度は原疾患(C)・GFR区分(G)・蛋白尿区分(A)を組み合わせて評価する(CGA分類)。透析治療中はステージに「D」を付す(例:G5D)。尿浸透圧・尿糖定量値・尿素窒素/クレアチニン比は病期分類には用いない。

第66回 午後39(臨床化学)

水酸基をもつアミノ酸はどれか。2つ選べ。

正答: ①セリン・③スレオニン

ポイント
側鎖に水酸基(ヒドロキシ基)をもつアミノ酸はセリン、スレオニン(トレオニン)、チロシンである。これらの水酸基はリン酸化や糖鎖付加(O-結合型)の部位となり、蛋白質の機能調節に関与する。アミノ酸は側鎖の官能基(水酸基・含硫・酸性・塩基性・芳香族・分枝鎖など)で分類される。
●水酸基(ヒドロキシ)=セリン・スレオニン・チロシン。
●含硫=システイン・メチオニン。
●酸性(カルボキシ基)=アスパラギン酸・グルタミン酸。
●塩基性=リジン・アルギニン・ヒスチジン。
●イミノ酸(環状)=プロリン。
●芳香族=フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン。

選択肢ごとの解説

第66回 午後40(臨床化学)

酸化的脱アミノ反応に関与しているのはどれか。

正答: ②グルタミン酸デヒドロゲナーゼ

ポイント
酸化的脱アミノ反応はグルタミン酸デヒドロゲナーゼがグルタミン酸をα-ケトグルタル酸とアンモニアに変換する反応で、NAD(P)を補酵素とする。アミノ基転移酵素が集めたアミノ基はグルタミン酸に集約され、本酵素によりアンモニアとして遊離して尿素回路に送られる。尿素回路を構成する各酵素とは反応様式が異なる。
●酸化的脱アミノ=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(NAD(P)依存、アンモニア遊離)。
●アミノ基転移=AST・ALT(ピリドキサールリン酸依存)。
●尿素回路=カルバモイルリン酸シンセターゼ・オルニチントランスカルバモイラーゼ・アルギニノコハク酸シンセターゼ・アルギニノコハク酸リアーゼ・アルギナーゼ。

選択肢ごとの解説

第66回 午後41(臨床化学)

1分子中に窒素を3つ有するのはどれか。

正答: ⑤クレアチニン

ポイント
クレアチニンは1分子中に窒素を3つもつ含窒素化合物で、筋肉のクレアチンリン酸の非酵素的分解によって生成し、腎糸球体で濾過排泄される。尿酸は窒素4個、ビリルビンもテトラピロール由来で窒素4個、尿素は窒素2個、アンモニアは窒素1個と含窒素数が異なる。腎機能評価の指標となる。
●窒素1個=アンモニア(NH₃)。
●窒素2個=尿素(CO(NH2)2)。
●窒素3個=クレアチニン。
●窒素4個=尿酸(プリン由来)・ビリルビン(テトラピロール由来)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後42(臨床化学)

ビタミンの欠乏と疾患の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤ビタミンK欠乏症 — 新生児メレナ

ポイント
ビタミン欠乏症は欠乏するビタミンと症候の対応を正確に把握する必要がある。ビタミンK欠乏は凝固因子(第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子)の合成低下による出血傾向をきたし、新生児では腸内細菌叢の未熟と母乳中含量の低さから新生児メレナ(消化管出血)を起こす。他の組合せはいずれも欠乏ビタミンと症候が入れ替わっており誤りである。
●ビタミンA欠乏=夜盲症・角膜乾燥症。
●ビタミンB₁欠乏=脚気・Wernicke脳症。
●ビタミンB₁₂・葉酸欠乏=巨赤芽球性貧血。悪性貧血は自己免疫性胃炎に伴う内因子欠乏によりビタミンB₁₂の吸収が障害されて起こる。
●ビタミンC欠乏=壊血病。
●ビタミンD欠乏=くる病・骨軟化症。
●ビタミンK欠乏=出血傾向・新生児メレナ。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症

ビタミン(主な化学名)主な欠乏症
ビタミンA(レチノール)夜盲症、結膜乾燥症
ビタミンD(カルシフェロール)くる病、骨軟化症、低カルシウム血症
ビタミンE(α-トコフェロール)新生児溶血性貧血
ビタミンK(メナキノン)新生児メレナ、血液凝固障害(第II・VII・IX・X因子とプロテインC・Sの低下)、PIVKA-IIの出現
ビタミンB1(チアミン)脚気、Wernicke脳症、高ピルビン酸血症
ビタミンB2(リボフラビン)口内炎、舌炎、皮膚炎
ナイアシン(ビタミンB3)ペラグラ(日光過敏症を伴う)。Hartnup病(遺伝性の中性アミノ酸輸送障害)ではトリプトファン吸収障害から二次的にナイアシン不足を生じ、ペラグラ様症状を呈する
パントテン酸(ビタミンB5)皮膚炎
ビタミンB6(ピリドキシン)皮膚炎、日光過敏症
ビオチン(ビタミンB7)脱毛、若白髪、湿疹
ビタミンB12(コバラミン)巨赤芽球性貧血、メチルマロン酸血症、高ホモシステイン血症
葉酸(ビタミンBc)巨赤芽球性貧血。妊娠前後の不足は胎児の神経管閉鎖障害リスクを高める
ビタミンC(アスコルビン酸)壊血病
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。

第66回 午後43(臨床化学)

細菌感染による敗血症で上昇しないのはどれか。

正答: ⑤(1→3)-β-D-グルカン

ポイント
この設問は細菌感染による敗血症で「上昇しないもの」を問う型である。細菌性敗血症ではC反応性蛋白(CRP)、プロカルシトニン、プレセプシン(可溶性CD14サブタイプ)が上昇し、グラム陰性菌ではエンドトキシン(リポ多糖)も検出される。一方、β-D-グルカンは真菌細胞壁成分で深在性真菌症の指標であり、細菌感染では上昇しない。
●細菌感染マーカー=CRP・プロカルシトニン・プレセプシン。
●グラム陰性菌=エンドトキシン(リポ多糖)。
●真菌マーカー=β-D-グルカン(深在性真菌症)・アスペルギルス抗原(ガラクトマンナン)・カンジダ抗原。
●急性相反応蛋白=CRP・血清アミロイドA・フィブリノゲン。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:感染症関連バイオマーカーの比較(細菌性・真菌性・敗血症)

マーカー上昇する主な病態備考
CRP炎症全般(細菌・ウイルスとも)急性相反応蛋白
プロカルシトニン細菌感染・敗血症ウイルス感染では上昇しにくい
プレセプシン細菌感染・敗血症可溶性CD14サブタイプ
エンドトキシングラム陰性菌感染リポ多糖成分
(1→3)-β-D-グルカン深在性(侵襲性)真菌症(アスペルギルス症・カンジダ症等)ムコール症・クリプトコッカス症では上昇しにくい。細菌・ウイルス感染では上昇しない

第66回 午後44(臨床化学)

肝臓の解毒機能の評価に用いられるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①ICG試験・③血中アンモニア値

ポイント
肝臓の解毒(異物の摂取・代謝・排泄)機能の評価には、肝による色素の摂取・排泄能をみるインドシアニングリーン(ICG)試験と、肝での尿素サイクルによるアンモニア処理能を反映する血中アンモニア値が用いられる。ALPは胆道系、コレステロールやプロトロンビン時間(PT)は肝の合成能を主に反映し、解毒機能の直接的指標ではない。
●解毒・排泄能=ICG試験・血中アンモニア値・血清総ビリルビン。
●合成能=アルブミン・コリンエステラーゼ・コレステロール・プロトロンビン時間(PT)。
●胆道系(胆汁うっ滞)=ALP・γ-GT・総ビリルビン(直接型)。
●肝細胞傷害=AST・ALT・LD。

選択肢ごとの解説

第66回 午後45(病理組織細胞学)

術中迅速組織標本を別に示す。矢印で示す現象が生じた工程はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB045.49f48d0056.jpg
第66回 午後45 の図

正答: ②凍結

ポイント
術中迅速組織標本は凍結切片で作製するが、組織内の水分が凍結時に氷晶を形成すると、細胞や組織に空胞状の人工的構造(氷晶アーチファクト)が生じる。これは凍結工程に由来し、急速凍結や適切な包埋・処理によって軽減できる。組織標本作製の各工程で生じる人工産物(アーチファクト)を区別する。
●凍結=氷晶アーチファクト(空胞状構造)。
●薄切=しわ・裂け・ナイフ傷(刃の傷などによる線状の傷)・チャター(刃や試料の振動などによる縞状の厚薄)。
●固定=固定不良による変性・収縮、ホルマリン色素沈着。
●包埋=気泡の混入。
●染色=色素沈着・脱染。

選択肢ごとの解説

第66回 午後46(病理組織細胞学)

Mayerのhematoxylin液に含まれないのはどれか。

正答: ①グリセリン

ポイント
この設問はMayerのヘマトキシリン液に「含まれないもの」を問う型である。Mayerのヘマトキシリン液は核染色用の媒染ヘマトキシリンで、ヘマトキシリン、媒染剤の硫酸アルミニウムカリウム(カリウムミョウバン)、酸化剤のヨウ素酸ナトリウム、防腐剤の抱水クロラール、酸性化と分別のための結晶クエン酸からなる。グリセリンは含まれない。
●ヘマトキシリンの色素母体=ヘマトキシリン(酸化されてヘマテインに)。
●媒染剤=硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン媒染)。
●酸化(熟成)剤=ヨウ素酸ナトリウム(化学的熟成)。
●防腐剤=抱水クロラール。
●分別・調整=結晶クエン酸(酸性化)。
●他のヘマトキシリン=Carazzi・Gill・Harris・Delafieldなど。

選択肢ごとの解説

第66回 午後47(病理組織細胞学)

気管支擦過のPapanicolaou染色標本を別に示す。細胞はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB047.03a58a49c4.jpg
第66回 午後47 の図

正答: ②線毛円柱上皮細胞

ポイント
気管支擦過のPapanicolaou染色標本でみられる線毛円柱上皮細胞は、細胞の一端に終末板(terminal bar)とそこから伸びる線毛を有し、反対側に核がある柱状(円柱状)の良性細胞である。線毛の存在は正常気道上皮の指標であり、線毛をもたない悪性細胞との重要な鑑別点となる。
●良性気道上皮=線毛円柱上皮細胞(終末板+線毛)・基底細胞・杯細胞。
●化生=扁平上皮化生細胞。
●悪性=扁平上皮癌(角化・奇怪型)・腺癌(腺腔形成・核小体明瞭)・小細胞癌(裸核・核鋳型・木目込み)。

選択肢ごとの解説

第66回 午後48(病理組織細胞学)

H-E染色標本を別に示す。臓器はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB048.ce6fa5f5d9.jpg
第66回 午後48 の図

正答: ③膵臓

ポイント
膵臓のH-E染色像では、外分泌部の腺房(好酸性の酵素顆粒をもつ腺房細胞の集まり)の中に、淡明な細胞集塊として内分泌部のLangerhans島が島状に散在する所見が特徴的である。この外分泌腺房とランゲルハンス島の混在構造が膵臓の組織学的な指標となる。
●膵臓=外分泌腺房+淡明なLangerhans島+導管。
●肝臓=肝細胞索・類洞・中心静脈・グリソン鞘(小葉構造)。
●腎臓=糸球体・尿細管。
●脾臓=白脾髄(リンパ濾胞)・赤脾髄(脾洞)。
●副腎=皮質(球状帯・束状帯・網状帯)+髄質。

選択肢ごとの解説

第66回 午後49(病理組織細胞学)

早期胃癌について正しいのはどれか。

正答: ⑤肉眼分類では0型に相当する。

ポイント
早期胃癌は癌の浸潤が粘膜下層までにとどまるものをいい、リンパ節転移の有無は問わない(リンパ節転移があっても深達度が粘膜下層までなら早期胃癌に含まれる)。肉眼分類では表在型の0型に相当し、隆起型(0-Ⅰ・0-Ⅱa)だけでなく陥凹型(0-Ⅱc・0-Ⅲ)も含まれる。深達度の定義を正確に理解することが重要である。
●早期胃癌の定義=深達度が粘膜下層(SM)まで(リンパ節転移は問わない)。
●進行胃癌=固有筋層以深に浸潤。
●肉眼分類(0型=表在型)=0-Ⅰ(隆起)・0-Ⅱa(表面隆起)・0-Ⅱb(表面平坦)・0-Ⅱc(表面陥凹)・0-Ⅲ(陥凹)。
●進行癌の肉眼型=Borrmann 1〜4型。

選択肢ごとの解説

第66回 午後50(病理組織細胞学)

子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k66pB050.84293c2a3e.jpg
第66回 午後50 の図

正答: ②扁平上皮癌

ポイント
子宮頸部の扁平上皮癌では、Papanicolaou染色で核の腫大・濃染(クロマチン増量)と核/細胞質比(N/C比)の増大を示す異型扁平上皮細胞が出現し、しばしばオレンジ色に角化した奇怪な形(おたまじゃくし型・線維型・紡錘型)の細胞を伴う。背景に壊死性物質(腫瘍素因)を認めることがある。
●扁平上皮癌=異型扁平細胞・角化(オレンジG好性)・奇怪型細胞・腫瘍素因。
●腺癌=腺腔形成・核小体明瞭・柱状の異型細胞。
●腟カンジダ症=仮性菌糸・出芽胞子(分芽胞子)。
●ヘルペス感染症=多核巨細胞・すりガラス状核・核内封入体。
●トリコモナス腟炎=洋梨型の原虫・好中球浸潤。

選択肢ごとの解説