← テキスト版の目次 アプリ版で解く
第67回(2021) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第67回 午前1(臨床検査総論)
検査や投薬の種類・量に関わらず、病気の種類と入院日数に応じて医療費が決められる診療報酬計算の方式を指す用語はどれか。
①APACHE〈acute physiology and chronic health evaluation〉 ②DPC〈diagnosis procedure combination〉 ③GCP〈good clinical practice〉 ④SOP〈standard operation procedure〉 ⑤TQC〈total quality control〉
正答: ②DPC〈diagnosis procedure combination〉
ポイント DPC(diagnosis procedure combination、診断群分類包括評価)は、病名と提供した診療行為の組合せで定められた診断群ごとに、入院1日あたりの定額点数で入院医療費を算定する包括払い方式である。検査や投薬を追加しても基本部分の収入は増えないため、過剰検査・過剰投薬の抑制と在院日数短縮の動機づけとなる。投薬・検査の量に応じて加算する出来高払いと対比される。●診療報酬・医療経済の用語=DPC(包括払い)・出来高払い・診療報酬点数。●臨床試験・品質管理=GCP(医薬品の臨床試験の実施基準)・SOP(標準作業手順書)・TQC(全社的品質管理)。●重症度スコア=APACHE(集中治療の予後評価)・SOFA・GCS(意識レベル)。
選択肢ごとの解説
① APACHE(acute physiology and chronic health evaluation)は重症患者の生理学的指標と慢性疾患から予後・重症度を点数化する評価法であり、診療報酬計算とは関係しない。 ② 正しい。DPC(diagnosis procedure combination)は病名と入院日数に応じて1日あたりの医療費を定額で決める包括評価方式で、検査や投薬の量によらない。 ③ GCP(good clinical practice、医薬品の臨床試験の実施基準)は治験を倫理的・科学的に適正に実施するための基準であり、診療報酬とは無関係である。 ④ SOP(standard operation procedure、標準作業手順書)は作業を標準化した手順書であり、診療報酬計算の方式ではない。 ⑤ TQC(total quality control、全社的品質管理)は品質管理を全部門的に行う管理手法であり、医療費計算方式ではない。
📋 まとめの表を見る:医療の品質・診療報酬に関する主な用語(DPC・APACHE・GCP・SOP・TQC)
第67回 午前2(臨床検査総論)
尿試験紙法による検査でビタミンC内服の影響が小さいのはどれか。
正答: ③蛋白
ポイント 尿試験紙のうち、糖はグルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ(GOD・POD)法、潜血はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用による酸化発色を利用し、ビリルビンはジアゾ反応、亜硝酸塩はジアゾ化カップリングによる発色を利用する。強い還元作用をもつビタミンC(アスコルビン酸)が共存すると、酸化発色の抑制やジアゾ反応の阻害により、これらはいずれも偽陰性となりやすい。これに対して蛋白の検出はpH指示薬の蛋白誤差を利用する反応で酸化還元に依存しないため、ビタミンC内服の影響を受けにくい。検体採取前のビタミンC大量摂取は尿定性検査の偽陰性の原因となり注意を要する。●ビタミンCで偽陰性となりやすい項目=糖(GOD・POD法の酸化発色)・潜血(ペルオキシダーゼ様作用の酸化発色)・ビリルビン(ジアゾ反応)・亜硝酸塩(ジアゾ化カップリング)。●影響が小さい項目=蛋白(蛋白誤差法)・pH(指示薬)。●尿試験紙の偽陽性/偽陰性要因=高比重・薬剤・色素・細菌混入。
選択肢ごとの解説
① 糖の検出はグルコースオキシダーゼによる酸化反応を利用するため、ビタミンCの還元作用で偽陰性となりやすい。 ② 潜血反応はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用による酸化発色を利用するため、ビタミンCの影響を受けやすい。 ③ 正しい。蛋白の検出は指示薬の蛋白誤差を利用する反応で酸化還元を伴わないため、ビタミンC内服の影響が小さい。 ④ 亜硝酸塩はジアゾ化・カップリングによる発色を利用するが、ビタミンCにより反応が阻害され偽陰性となりやすい。 ⑤ ビリルビンの検出はジアゾ反応による発色を利用し、ビタミンCにより偽陰性となりやすい。
📋 まとめの表を見る:尿試験紙法とビタミンC(アスコルビン酸)の影響
ビタミンCは糖・潜血の酸化発色や、ビリルビン・亜硝酸塩のジアゾ反応による発色を妨げ、偽陰性の原因となりうる。蛋白はpH指示薬を用いる非酸化還元系の反応のため、ビタミンCの影響を受けにくい。
第67回 午前3(臨床検査総論)
尿沈渣中の白血球と上皮細胞との鑑別に用いるのはどれか。
①Berlin blue染色 ②Prescott-Brodie染色 ③Samson染色 ④May-Giemsa染色 ⑤Sudan Ⅲ染色
正答: ②Prescott-Brodie染色
ポイント 尿沈渣で白血球(主に好中球)と尿細管上皮や小型扁平上皮との鑑別が困難な場合、Prescott-Brodie染色(ペルオキシダーゼ染色)が有用である。好中球は細胞質顆粒のミエロペルオキシダーゼ活性により陽性に染まるのに対し、上皮細胞は陰性であるため両者を区別できる。膿尿の評価や変性した白血球の同定にも用いられる。●尿沈渣の補助染色=Prescott-Brodie染色(白血球と上皮の鑑別)・Sternheimer染色/Sternheimer-Malbin染色(細胞・円柱の鑑別)・Sudan III染色(脂肪・脂肪円柱)。●鉄染色=Berlin blue染色(三価鉄・ヘモジデリン)。●髄液・体腔液=Samson染色(細胞算定)・May-Giemsa染色(血球形態)。
選択肢ごとの解説
① Berlin blue染色は三価鉄を検出する染色で、ヘモジデリンの証明などに用い、白血球と上皮の鑑別には使わない。 ② 正しい。Prescott-Brodie染色は好中球のペルオキシダーゼ活性を利用し、白血球と上皮細胞を鑑別できる。 ③ Samson染色は髄液の細胞算定に用いる染色であり、尿沈渣の白血球と上皮の鑑別には用いない。 ④ May-Giemsa染色は血球の形態観察に広く用いるが、尿沈渣での白血球と上皮の特異的鑑別を目的とした染色ではない。 ⑤ Sudan III染色は中性脂肪を染める染色で、脂肪円柱や卵円形脂肪体の証明に用いる。
📋 まとめの表を見る:尿沈渣に用いられる主な染色法と鑑別対象
第67回 午前4(臨床検査総論)
糞便の特徴と疾患の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①黒色便 — 下部消化管出血 ②灰白色便 — 閉塞性黄疸 ③白色下痢便 — アメーバ赤痢 ④米のとぎ汁様便 — コレラ ⑤イチゴゼリー状粘血便 — 細菌性赤痢
正答: ②灰白色便 — 閉塞性黄疸・④米のとぎ汁様便 — コレラ
ポイント 便色や性状は出血部位や病態を反映する。上部消化管出血では血液中のヘモグロビンが胃酸や腸内細菌の作用で変性しタール状の黒色便(メレナ)となり、下部消化管出血では鮮血便となる。胆道閉塞では胆汁色素ビリルビンが腸管に排泄されず灰白色便を呈し、コレラでは腸管毒素による大量水様便が米のとぎ汁様便となる。●便色と病態=黒色便(タール便)=上部消化管出血、鮮血便=下部消化管出血、灰白色便=閉塞性黄疸・脂肪便。●粘血便を呈する腸管感染症=イチゴゼリー状粘血便=アメーバ赤痢、粘血膿性便=細菌性赤痢(赤痢菌)・腸管出血性大腸菌。●水様便=米のとぎ汁様便=コレラ、白色水様下痢便=ロタウイルス腸炎。
選択肢ごとの解説
① 誤り。黒色便(タール便)は上部消化管出血で生じる。下部消化管出血では鮮血便となる。 ② 正しい。閉塞性黄疸では胆汁が腸管に流れず糞便への色素排泄が減るため、灰白色便となる。 ③ 誤り。白色水様下痢便はロタウイルス腸炎などでみられる。アメーバ赤痢ではイチゴゼリー状の粘血便が典型である。 ④ 正しい。コレラでは腸管毒素により大量の水様性下痢を生じ、米のとぎ汁様便と表現される。 ⑤ 誤り。イチゴゼリー状粘血便はアメーバ赤痢で典型的である。細菌性赤痢では粘血膿性便を呈する。
📋 まとめの表を見る:糞便の色調・性状と疾患
健常者の糞便はウロビリンやステルコビリンにより淡褐色〜黄褐色を呈する。灰白色便は総胆管結石・膵頭部癌など閉塞性黄疸で、いちごゼリー状粘血便はアメーバ赤痢で、米のとぎ汁様便はコレラでみられる。
第67回 午前5(臨床検査総論)
最もサイズが小さいのはどれか。
①鉤虫卵 ②鞭虫卵 ③横川吸虫卵 ④日本住血吸虫卵 ⑤Westerman肺吸虫卵
正答: ③横川吸虫卵
ポイント 横川吸虫卵は約25〜30µmと極めて小型の吸虫卵で、肝吸虫卵とともに最も小さい部類に入る。これに対し鉤虫卵・鞭虫卵は40〜60µm程度、日本住血吸虫卵やウェステルマン肺吸虫卵はさらに大型である。寄生虫卵の鑑別では大きさ・形・卵蓋や棘の有無が手がかりとなる。●小型の虫卵(おおむね30µm前後)=横川吸虫卵・肝吸虫卵。●中等大の虫卵=鉤虫卵(約60×40µmの薄殻楕円形)・鞭虫卵(レモン形で両端に栓)・回虫卵。●大型の虫卵=日本住血吸虫卵(側方に小棘)・ウェステルマン肺吸虫卵(卵蓋あり)・肥大吸虫卵。
選択肢ごとの解説
① 鉤虫卵は約60×40µmの薄い殻の楕円形で、横川吸虫卵より大きい。 ② 鞭虫卵は約50µmのレモン形(両端に栓)で、横川吸虫卵より大きい。 ③ 正しい。横川吸虫卵は約25〜30µmと最も小型で、肝吸虫卵に類似する。 ④ 日本住血吸虫卵は約70〜100µmと大型で、側方に小棘をもつ。 ⑤ ウェステルマン肺吸虫卵は約80〜120µmと大型で、卵蓋をもつ。
第67回 午前6(臨床検査総論)
成人男性がアフリカから帰国後に発熱した。末梢血厚層塗抹のGiemsa染色標本を別に示す。この感染症について正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA006.b18f9464a2.jpg
①自然治癒する。 ②治療薬はない。 ③ツェツェバエが媒介する。 ④感染初期に肝臓で増殖する。 ⑤細胞内寄生細菌感染症である。
正答: ④感染初期に肝臓で増殖する。
ポイント アフリカ帰国後の発熱で末梢血厚層塗抹のGiemsa染色から原虫が検出される代表的疾患はマラリアである。マラリア原虫はハマダラカ(雌)に刺されてスポロゾイトとして体内に入り、まず肝細胞内で増殖(赤外型シゾント)した後に赤血球へ侵入し赤内型として発育する。熱帯熱マラリアは重症化しやすく無治療では致死的となる。●ハマダラカ媒介=マラリア(熱帯熱・三日熱・四日熱・卵形)。●ツェツェバエ媒介=アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)。●サシガメ媒介=シャーガス病(クルーズトリパノソーマ)。●サシチョウバエ媒介=リーシュマニア症。●治療薬=クロロキン・メフロキン・アルテミシニン製剤・アトバコン/プログアニル。
選択肢ごとの解説
① マラリアは無治療では重症化・致死的となり得るため、自然治癒を前提にしてはならない。 ② マラリアにはクロロキンやアルテミシニン製剤などの治療薬があり、誤りである。 ③ ツェツェバエが媒介するのはアフリカトリパノソーマ症(睡眠病)であり、マラリアはハマダラカが媒介する。 ④ 正しい。マラリア原虫は感染初期に肝細胞内で増殖(赤外型シゾント)してから赤血球に侵入する。 ⑤ マラリアは原虫(真核生物)による感染症であり、細胞内寄生細菌感染症ではない。
📋 まとめの表を見る:マラリア原虫の種類別 形態・潜伏期・発熱間隔の比較
マラリア原虫はハマダラカに刺されてスポロゾイトが体内に侵入し、まず肝細胞内で増殖(赤外型)した後、赤血球内で輪状体→アメーバ体→分裂体と発育する(無性生殖)。
第67回 午前7(臨床検査総論)
採血中に患者の顔面が蒼白になり、気分不快を訴えた。この採血合併症について誤っているのはどれか。
①徐脈になる。 ②高齢者に多い。 ③血圧が低下する。 ④緊張が誘因となる。 ⑤直ちに採血を中止する。
正答: ②高齢者に多い。
ポイント 採血中に顔面蒼白・気分不快・血圧低下・徐脈をきたすのは血管迷走神経反応(神経調節性失神)である。緊張・疼痛・不安・空腹などが誘因となって迷走神経が過度に刺激され、徐脈と末梢血管拡張により脳血流が低下する。若年者や緊張しやすい人に多く、症状出現時は直ちに採血を中止し仰臥位で下肢を挙上する。●血管迷走神経反応の所見=徐脈・血圧低下・顔面蒼白・冷汗・悪心・失神。●誘因=緊張・不安・疼痛・空腹・長時間の立位。●他の採血合併症=神経損傷(しびれ・放散痛)・皮下血腫・動脈穿刺・止血困難・感染。
選択肢ごとの解説
① 血管迷走神経反応では迷走神経亢進により徐脈となるため、正しい記述である。 ② 誤り。血管迷走神経反応は若年者や緊張しやすい人に多く、高齢者に多いという記述は誤りである。 ③ 末梢血管拡張と心拍出量低下により血圧が低下するため、正しい記述である。 ④ 緊張・不安・疼痛などが誘因となるため、正しい記述である。 ⑤ 症状出現時は速やかに採血を中止し安静・下肢挙上などの対応をとるため、正しい記述である。
第67回 午前8(臨床検査総論)
空気感染予防策を必要とするのはどれか。2つ選べ。
正答: ①結核・②水痘
ポイント 空気感染(飛沫核感染)予防策が必要なのは結核・麻疹・水痘で、5µm以下の飛沫核が長時間空中を浮遊し広範囲に伝播するため、陰圧個室とN95マスクが必要となる。風疹・百日咳・流行性耳下腺炎は主に飛沫感染であり、サージカルマスクによる飛沫予防策で対応する。●空気感染(陰圧室・N95)=結核・麻疹・水痘。●飛沫感染(サージカルマスク)=風疹・百日咳・流行性耳下腺炎・インフルエンザ・髄膜炎菌・マイコプラズマ。●接触感染(手袋・ガウン)=MRSA・腸管出血性大腸菌・ノロウイルス・疥癬。
選択肢ごとの解説
① 正しい。結核は飛沫核として空気中を浮遊する空気感染であり、空気感染予防策が必要である。 ② 正しい。水痘は飛沫核により空気感染するため、空気感染予防策が必要である。 ③ 風疹は主に飛沫感染であり、飛沫予防策で対応する。 ④ 百日咳は飛沫感染であり、飛沫予防策で対応する。 ⑤ 流行性耳下腺炎(ムンプス)は飛沫感染であり、飛沫予防策で対応する。
第67回 午前9(臨床検査総論)
ピンク色泡沫状で漿液性の喀痰が得られた。考えられる疾患はどれか。
正答: ③肺水腫
ポイント ピンク色泡沫状で漿液性の喀痰は肺水腫に特徴的である。左心不全などで肺毛細血管圧が上昇すると血漿成分が肺胞内へ漏出し、呼気の空気と混ざって泡沫状となり、わずかな赤血球の漏出によってピンク色を呈する。喀痰の性状は原因疾患の推定に有用である。●喀痰の性状と疾患=ピンク色泡沫状漿液性痰=肺水腫、血痰・喀血=肺結核・肺癌・気管支拡張症、鉄錆色痰=肺炎球菌性肺炎、膿性・三層痰=気管支拡張症・肺膿瘍、粘液膿性痰=慢性気管支炎。●喀痰検査=Miller-Jones分類(膿性度)・Geckler分類(細胞数による品質評価)。
選択肢ごとの解説
① 肺癌では血痰や粘液性・膿性痰がみられることはあるが、ピンク色泡沫状漿液性痰は典型ではない。 ② 肺梗塞では血痰がみられることがあるが、漿液性泡沫状痰は典型ではない。 ③ 正しい。肺水腫では血漿成分が肺胞へ漏出し、ピンク色泡沫状で漿液性の喀痰を生じる。 ④ 気管支炎では膿性・粘液膿性痰が主体であり、ピンク色泡沫状漿液性痰ではない。 ⑤ 気管支拡張症では大量の膿性痰や三層に分かれる痰が特徴であり、漿液性泡沫状痰ではない。
第67回 午前10(臨床検査総論)
黄色のバイオハザードマークが貼付されている容器に廃棄するのはどれか。
①開封した注射針 ②血液が入った採血管 ③痰が入った採取容器 ④血液が付着したガーゼ ⑤採血時に用いた酒精綿
正答: ①開封した注射針
ポイント 感染性廃棄物のバイオハザードマークは廃棄物の性状で色分けされ、黄色は鋭利物(注射針・メス・ガラスなどの損傷性廃棄物)、橙色は固形物、赤色は液状・泥状物を示す。針刺し事故を防ぐため、使用後の注射針はリキャップせず専用の硬質容器(黄色)へ廃棄する。●バイオハザードマークの色分け=黄色=鋭利物(針・メス・ガラス)、橙色=固形物(ガーゼ・チューブ・手袋)、赤色=液状・泥状物(血液・体液・検体)。●標準予防策の関連=リキャップ禁止・専用容器の使用・分別廃棄。
選択肢ごとの解説
① 正しい。開封した注射針は鋭利な損傷性廃棄物であり、黄色のバイオハザードマークの容器に廃棄する。 ② 血液が入った採血管は液状・泥状物に該当し、赤色マークの容器に廃棄する。 ③ 痰が入った採取容器は液状・泥状物に該当し、赤色マークの容器に廃棄する。 ④ 血液が付着したガーゼは固形物に該当し、橙色マークの容器に廃棄する。 ⑤ 採血時に用いた酒精綿は固形物(橙色)に分類され、鋭利物ではない。
第67回 午前11(臨床検査医学総論)
一次救命処置に含まれないのはどれか。
①意識確認 ②気道確保 ③人工呼吸 ④静脈路確保 ⑤AEDの使用
正答: ④静脈路確保
ポイント 一次救命処置(basic life support、BLS)は専門器具や薬剤を使わずに行う救命処置で、反応・意識の確認、応援要請と通報、気道確保、人工呼吸と胸骨圧迫(心肺蘇生)、AED(自動体外式除細動器)による除細動からなる。静脈路確保や薬剤投与・気管挿管は二次救命処置(advanced life support、ALS)に含まれる医療行為である。●BLSの構成=反応確認・通報・胸骨圧迫・気道確保・人工呼吸・AED。●ALSの構成=静脈路確保・薬剤投与(アドレナリン等)・気管挿管・モニター心電図・原因検索。●AED適応波形=心室細動・無脈性心室頻拍。
選択肢ごとの解説
① 意識確認(反応の確認)は一次救命処置の最初の手順であり、BLSに含まれる。 ② 気道確保は一次救命処置に含まれる基本手技である。 ③ 人工呼吸は胸骨圧迫とともに一次救命処置に含まれる。 ④ 誤り。静脈路確保は薬剤投与のための医療行為で二次救命処置に含まれ、一次救命処置には含まれない。 ⑤ AED(自動体外式除細動器)の使用は一次救命処置に含まれ、市民でも行える除細動である。
第67回 午前12(臨床検査医学総論)
ヒトパピローマウイルスによって引き起こされるのはどれか。
正答: ④子宮頸癌
ポイント ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus、HPV)は子宮頸癌の主要な原因であり、特に高リスク型のHPV16・18型の持続感染が関与する。前癌病変(子宮頸部上皮内病変)を経て浸潤癌へ進展するため、HPVワクチンと子宮頸部細胞診による予防・早期発見が重要である。●HPV関連腫瘍=子宮頸癌・中咽頭癌・肛門癌・陰茎癌・尖圭コンジローマ(低リスク型6・11)。●ウイルス関連腫瘍=EBウイルス(Burkittリンパ腫・上咽頭癌)・B型/C型肝炎ウイルス(肝細胞癌)・ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(成人T細胞白血病)。●細菌関連腫瘍=ヘリコバクター・ピロリ(胃癌・MALTリンパ腫)。
選択肢ごとの解説
① 乳癌はホルモンや遺伝的素因が関与し、HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因とはされていない。 ② 卵巣癌はHPVとの関連は明らかでない。 ③ 子宮筋腫は良性の平滑筋腫瘍で、HPV感染とは無関係である。 ④ 正しい。子宮頸癌は高リスク型HPVの持続感染が主要な原因である。 ⑤ 子宮体癌(子宮内膜癌)はエストロゲン依存性が主で、HPVとの関連は乏しい。
第67回 午前13(臨床検査医学総論)
間質性肺炎の血清マーカーはどれか。2つ選べ。
①CYFRA ②KL-6 ③ProGRP ④SLX ⑤SP-D
正答: ②KL-6・⑤SP-D
ポイント 間質性肺炎の血清マーカーにはⅡ型肺胞上皮や呼吸器に由来する糖蛋白が用いられる。KL-6はⅡ型肺胞上皮細胞由来のシアル化糖鎖抗原で、間質性肺炎の活動性や予後の指標となる。SP-D(肺サーファクタント蛋白D)も同様にⅡ型肺胞上皮由来の間質性肺炎マーカーである。CYFRA・ProGRP・SLXはいずれも肺癌の腫瘍マーカーである。●間質性肺炎マーカー=KL-6・SP-D・SP-A・LD(活動性)。●肺癌の腫瘍マーカー=小細胞肺癌=ProGRP・NSE、扁平上皮癌=CYFRA・SCC、腺癌=CEA・SLX・CA15-3。
選択肢ごとの解説
① CYFRA(サイトケラチン19フラグメント)は非小細胞肺癌(特に扁平上皮癌)の腫瘍マーカーである。 ② 正しい。KL-6はⅡ型肺胞上皮細胞由来の糖蛋白で、間質性肺炎の血清マーカーである。 ③ ProGRP(ガストリン放出ペプチド前駆体)は小細胞肺癌の腫瘍マーカーである。 ④ SLX(シアリルLeX-i抗原)は腺癌などの腫瘍マーカーである。 ⑤ 正しい。SP-D(肺サーファクタント蛋白D)はⅡ型肺胞上皮由来で、間質性肺炎のマーカーである。
第67回 午前14(臨床検査医学総論)
心不全の重症度評価に用いられるのはどれか。
正答: ②BNP
ポイント BNP(brain natriuretic peptide、脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心室壁の伸展・負荷に応じて主に心室から分泌され、心不全の重症度評価や治療効果判定に用いられる。心室への容量負荷・圧負荷が増すと上昇するため、心不全の診断と経過観察に有用なマーカーである。前駆体由来のNT-proBNPも同様に用いられる。●心不全マーカー=BNP・NT-proBNP・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)。●心筋傷害マーカー=心筋トロポニンT/I・CK-MB・心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)・ミオグロビン。●非特異的逸脱酵素=AST・LD・CK。
選択肢ごとの解説
① AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は肝・心筋・骨格筋に含まれる逸脱酵素で、心不全の重症度評価には用いない。 ② 正しい。BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心室の負荷に応じて分泌され、心不全の重症度評価に用いられる。 ③ CK(クレアチンキナーゼ)は骨格筋・心筋障害の指標で、心不全重症度の評価には用いない。 ④ LD(乳酸脱水素酵素)は多臓器に含まれる逸脱酵素で、心不全重症度の指標ではない。 ⑤ トロポニンは心筋傷害(急性心筋梗塞など)のマーカーであり、心不全の重症度評価には主に用いない。
📋 まとめの表を見る:BNP値による心不全重症度の目安(カットオフ値)
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心室の負荷に応じて心臓から分泌され、心不全の診断・重症度評価に用いられる(日本心不全学会による指標)。原典ページの単位表記は「pg/dL」だったが、BNPは通常pg/mLで測定される数値であり、日本心不全学会の公表資料(18.4/40/100/200pg/mL等)とも一致するため、単位はpg/mLに修正して記載した。
第67回 午前15(臨床検査医学総論)
慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉で増加するのはどれか。
正答: ①残気量
ポイント 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)では末梢気道の閉塞と肺の過膨張により呼出が障害され、空気がとらえ込まれる(エアトラッピング)。その結果、残気量や機能的残気量が増加する一方、1秒量・1秒率は低下する。閉塞性換気障害では1秒率70%未満が診断の指標となる。●COPDで増加=残気量・機能的残気量・全肺気量(過膨張)。●COPDで低下=1秒量・1秒率・肺拡散能(肺気腫合併時)。●換気障害の分類=閉塞性=1秒率低下、拘束性=%肺活量80%未満、混合性=両者低下。
選択肢ごとの解説
① 正しい。COPDでは空気のとらえ込みにより残気量が増加する。 ② 肺活量はCOPDでは正常または低下し、増加はしない。 ③ 1秒率は閉塞性障害により低下し、増加しない。 ④ 1秒量は気道閉塞により低下し、増加しない。 ⑤ 肺拡散能は肺気腫を伴うCOPDでは肺胞破壊により低下する。
第67回 午前16(臨床生理学)
成人の心電図で異常値はどれか。
①P波幅0.10秒 ②PR時間0.18秒 ③QRS幅0.20秒 ④QTc 0.40秒 ⑤電気軸 60度
正答: ③QRS幅0.20秒
ポイント 成人心電図の基準値では、P波幅は0.10秒以内、PR時間は0.12〜0.20秒、QRS幅は0.10秒以内が正常範囲である。QRS幅が0.12秒以上に延長すると心室内伝導障害(脚ブロックなど)を示唆し、0.20秒は明らかな異常延長である。●心電図の基準値=P波幅0.10秒以内、PR時間0.12〜0.20秒、QRS幅0.10秒以内、QTc約0.36〜0.44秒、正常電気軸−30〜+90度。●延長の意義=PR延長=房室ブロック、QRS延長=脚ブロック・心室内伝導障害、QT延長=催不整脈・電解質異常。
選択肢ごとの解説
① P波幅0.10秒は正常範囲(0.10秒以内)で異常ではない。 ② PR時間0.18秒は正常範囲(0.12〜0.20秒)で異常ではない。 ③ 正しい。QRS幅0.20秒は正常上限0.10秒を大きく超え、心室内伝導障害を示す異常値である。 ④ QTc 0.40秒は正常範囲内で異常ではない。 ⑤ 電気軸60度は正常範囲(おおむね−30〜+90度)内で異常ではない。
📋 まとめの表を見る:心電図の各波形・時間と成因
心房の再分極(Ta波)は振幅が小さくQRS波に重なるため、通常の心電図には明瞭に現れない。
第67回 午前17(臨床生理学)
心電図を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA017.4758a6d577.jpg
①右胸心 ②右軸偏位 ③側壁梗塞 ④胸部電極の付け間違い ⑤四肢電極の付け間違い
正答: ⑤四肢電極の付け間違い
ポイント 四肢電極(特に左右上肢)の付け間違いでは、Ⅰ誘導のP波・QRS・T波がすべて逆転し、aVRが本来のaVL様の正常波形のように見えるなど特徴的な所見を呈する。胸部誘導のR波移行は正常パターンを保つため、右胸心との鑑別ができる(右胸心では胸部誘導でもR波漸増が乱れる)。●四肢電極の取り違え所見=左右上肢入れ違いでⅠ誘導全体の逆転・aVRとaVLの入れ替わり様、胸部誘導は正常。●鑑別=右胸心=四肢・胸部とも逆転(V1〜V6でR波減高)、胸部電極誤り=胸部のR波移行異常のみ。●関連=Einthovenの三角・標準12誘導。
選択肢ごとの解説
① 右胸心では胸部誘導でもR波の漸増が逆転し、四肢誘導の逆転だけでは説明できない。 ② 右軸偏位では電気軸が右方に偏るが、Ⅰ誘導全体の逆転やaVRの異常を呈する四肢電極誤りとは所見が異なる。 ③ 側壁梗塞ではⅠ・aVL・V5・V6に異常Q波やST変化がみられるが、本図の所見とは異なる。 ④ 胸部電極の付け間違いでは胸部誘導のR波移行が乱れるが、四肢誘導は正常で本図と異なる。 ⑤ 正しい。Ⅰ誘導の逆転やaVRの正常様波形など、四肢電極の付け間違いに特徴的な所見を示している。
第67回 午前18(臨床生理学)
トレッドミル負荷試験について正しいのはどれか。2つ選べ。
①不安定狭心症は禁忌である。 ②目標心拍数は体重で決める。 ③誘導方法はCM5誘導を用いる。 ④運動誘発性不整脈の診断に用いられる。 ⑤Bruce法では1分ごとに負荷量を増大させる。
正答: ①不安定狭心症は禁忌である。・④運動誘発性不整脈の診断に用いられる。
ポイント トレッドミル負荷試験は運動による心電図変化から虚血性心疾患や運動誘発性不整脈を評価する検査である。不安定狭心症は運動で心筋梗塞を誘発する危険があり禁忌である。目標心拍数は年齢から推定し(220−年齢など)、誘導はMason-Likar変法による12誘導が一般的、Bruce法は3分ごとに速度と傾斜を増す多段階負荷法である。●運動負荷の禁忌=不安定狭心症・急性心筋梗塞急性期・重症大動脈弁狭窄・コントロール不良の不整脈/心不全・急性大動脈解離。●陽性所見=ST低下(水平・下降型)1mm以上・狭心痛・血圧低下。●Bruce法=3分ごとに速度・傾斜を増大する多段階法。●ホルター心電図=CM5・NASA誘導。
選択肢ごとの解説
① 正しい。不安定狭心症は運動負荷で重篤な虚血や梗塞を誘発する危険があり禁忌である。 ② 目標心拍数は体重ではなく年齢を基に推定するため誤りである。 ③ トレッドミル負荷ではMason-Likar変法による12誘導が一般的で、CM5誘導を用いるのはホルター心電図などである。 ④ 正しい。運動により誘発される不整脈の診断にトレッドミル負荷試験は用いられる。 ⑤ Bruce法は1分ごとではなく3分ごとに速度・傾斜を増大させるため誤りである。
📋 まとめの表を見る:運動負荷試験(トレッドミル)の禁忌
第1度房室ブロックは禁忌に該当せず実施可能。目標心拍数は予測最大心拍数〔(220-年齢)/分〕の85〜90%。誘導法はMason-Likar法。Bruce法は3分ごとに負荷を増大。
第67回 午前19(臨床生理学)
傍胸骨長軸のカラードプラ像を別に示す。この症例で聴取される可能性が最も高い心雑音はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA019.2e168f3cca.jpg
①機能性雑音 ②連続性雑音 ③拡張早期雑音 ④全収縮期雑音 ⑤駆出性収縮期雑音
正答: ③拡張早期雑音
ポイント 傍胸骨長軸像のカラードプラで拡張期に左室流出路へ向かう逆流ジェットがみられる場合、大動脈弁閉鎖不全症(逆流)が考えられる。聴診では第Ⅱ音直後の拡張早期から始まり減衰していく灌水様(吹鳴様)の拡張早期雑音を胸骨左縁で聴取する。雑音のタイミングと性状は弁膜症の鑑別に重要である。●雑音と弁膜症=拡張早期雑音=大動脈弁/肺動脈弁閉鎖不全、全収縮期雑音=僧帽弁/三尖弁閉鎖不全・心室中隔欠損、駆出性収縮期雑音=大動脈弁/肺動脈弁狭窄、拡張中期ランブル=僧帽弁狭窄、連続性雑音=動脈管開存症。
選択肢ごとの解説
① 機能性(無害性)雑音は器質的異常を伴わない収縮期雑音で、本症例の拡張期逆流所見とは合致しない。 ② 連続性雑音は動脈管開存症など収縮期から拡張期に連続する雑音で、本所見とは異なる。 ③ 正しい。大動脈弁逆流では拡張早期から始まる灌水様の拡張早期雑音を聴取する。 ④ 全収縮期雑音は僧帽弁閉鎖不全症や心室中隔欠損でみられ、本所見の拡張期逆流とは異なる。 ⑤ 駆出性収縮期雑音は大動脈弁狭窄などでみられる収縮期雑音で、拡張期逆流とは異なる。
第67回 午前20(臨床生理学)
ボイル・シャルルの法則の記載で正しいのはどれか。ただし、気体の体積、圧力、絶対温度をそれぞれV、P、Tとし、定数をRとする。
①P・T/V = R ②P・V/T = R ③R・P/T = V ④R・V/P = T ⑤T・V/P = R
正答: ②P・V/T = R
ポイント ボイル・シャルルの法則は、一定量の気体について圧力Pと体積Vの積を絶対温度Tで割った値が一定となる関係(PV/T=一定)を示す。理想気体の状態方程式PV=nRTから1molあたりではPV/T=Rとなる。Pは体積に反比例(ボイルの法則)し、Vは絶対温度に比例(シャルルの法則)する。●気体の法則=ボイルの法則(PV=一定、T一定)・シャルルの法則(V/T=一定、P一定)・ボイル・シャルルの法則(PV/T=一定)・理想気体の状態方程式(PV=nRT)。●関連=アボガドロの法則・ドルトンの分圧の法則・ヘンリーの法則(気体の溶解)。
選択肢ごとの解説
① P・T/Vは法則の関係を満たさず、誤りである。 ② 正しい。P・V/T≒Rがボイル・シャルルの法則(理想気体の状態方程式)に一致する。 ③ R・P/T≒Vは状態方程式と一致せず、誤りである。 ④ R・V/P≒Tは状態方程式と一致せず、誤りである。 ⑤ T・V/P≒Rは状態方程式と一致せず、誤りである。
第67回 午前21(臨床生理学)
吸気および呼気ともに最大努力で得られたフローボリューム曲線を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA021.561ef3b6bb.jpg
①気管狭窄 ②間質性肺炎 ③気管支喘息 ④胸椎後側弯症 ⑤慢性閉塞性肺疾患
正答: ①気管狭窄
ポイント フローボリューム曲線で吸気相・呼気相ともにピークフローが平坦化(プラトー)する所見は、固定性の中枢気道狭窄(気管狭窄)を示唆する。可変性の胸郭外狭窄では吸気が、胸郭内狭窄では呼気が制限されるが、固定性狭窄では呼気・吸気の両相が制限され箱型を呈する。COPDや喘息は呼気フローが下に凹む末梢の閉塞性パターンを示す。●フローボリューム曲線のパターン=固定性上気道狭窄=吸気・呼気とも平坦化、可変性胸郭外狭窄=吸気平坦化、可変性胸郭内狭窄=呼気平坦化、末梢気道閉塞(COPD・喘息)=呼気の下方凹み、拘束性障害(間質性肺炎・後側弯)=曲線の小型化(高さ・幅の縮小)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。吸気・呼気とも平坦化する固定性狭窄のパターンは気管狭窄を示唆する。 ② 間質性肺炎は拘束性障害で曲線が小型化し、上下が平坦化するパターンとは異なる。 ③ 気管支喘息は呼気フローが下に凹む末梢の閉塞性パターンを示す。 ④ 胸椎後側弯症は胸郭運動制限による拘束性障害で、曲線の平坦化とは異なる。 ⑤ 慢性閉塞性肺疾患は呼気フローの下方凹みを呈し、両相の平坦化とは異なる。
第67回 午前22(臨床生理学)
ガス希釈法による測定が必要な肺気量分画はどれか。2つ選べ。
①全肺気量 ②1回換気量 ③最大吸気量 ④予備呼気量 ⑤機能的残気量
正答: ①全肺気量・⑤機能的残気量
ポイント 肺気量分画のうち残気量を含む分画はスパイロメトリーでは直接測定できないため、ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路法・窒素洗い出し法)や体プレチスモグラフで求める。機能的残気量は残気量を含むため希釈法が必要で、これを基準に全肺気量も算出される。残気量を含まない1回換気量・予備呼気量・予備吸気量・最大吸気量・肺活量は通常のスパイロメトリーで測定できる。●スパイロメトリーで測定可=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・最大吸気量・肺活量。●ガス希釈法・体プレチスモグラフが必要=残気量・機能的残気量・全肺気量。●測定法=ヘリウム希釈法・窒素洗い出し法・体プレチスモグラフ(胸郭ガス量を測定)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。全肺気量は残気量を含むため、ガス希釈法などによる測定が必要である。 ② 1回換気量は通常のスパイロメトリーで直接測定できる。 ③ 最大吸気量は1回換気量と予備吸気量の和で、スパイロメトリーで測定できる。 ④ 予備呼気量はスパイロメトリーで直接測定できる。 ⑤ 正しい。機能的残気量は残気量を含むため、ガス希釈法による測定が必要である。
📋 まとめの表を見る:呼吸機能検査:測定項目と測定方法
第67回 午前23(臨床生理学)
低水準の消毒が適切でないのはどれか。
①ヘッドホン ②心電図の電極 ③マウスピース ④ノーズクリップ ⑤体表アプローチエコープローブ
正答: ③マウスピース
ポイント 消毒水準は対象器具の感染リスク(スポルディング分類)に応じて選択する。粘膜または損傷のある皮膚に接触する器具はセミクリティカル器具であり、高水準消毒が必要である。マウスピースは口腔粘膜に触れるためセミクリティカル器具であり、低水準消毒では不十分である。健常皮膚に触れるノンクリティカル器具は低水準消毒で足りる。●スポルディング分類=クリティカル(無菌組織・血管内に挿入)=滅菌、セミクリティカル(粘膜・損傷皮膚に接触)=高水準消毒、ノンクリティカル(健常皮膚に接触)=低〜中水準消毒。●セミクリティカル例=内視鏡・マウスピース・体腔内エコープローブ。●ノンクリティカル例=心電図電極・血圧計・体表エコープローブ・聴診器。
選択肢ごとの解説
① ヘッドホンは健常皮膚に触れるノンクリティカル器具で、低水準消毒で適切である。 ② 心電図の電極は健常皮膚に触れるノンクリティカル器具で、低水準消毒で適切である。 ③ 誤り。マウスピースは粘膜に接触するセミクリティカル器具であり、低水準消毒では不適切で高水準消毒が必要である。 ④ ノーズクリップは皮膚に触れるノンクリティカル器具で、低水準消毒で適切である。 ⑤ 体表アプローチのエコープローブは健常皮膚に触れるノンクリティカル器具で、低水準消毒で適切である。
第67回 午前24(臨床生理学)
超音波画像のアーチファクトで虚像が出現しないのはどれか。
①音響陰影 ②多重反射 ③レンズ効果 ④サイドローブ ⑤ミラーイメージ
正答: ①音響陰影
ポイント 超音波のアーチファクトには実際にない像(虚像)を生じるものと、像そのものは虚像ではないものがある。音響陰影は結石やガスなどの強い反射・減衰体の背後に超音波が届かず無エコー域(影)となる現象で、存在しない構造物を新たに描出するわけではないため虚像ではない。多重反射・サイドローブ・ミラーイメージ・レンズ効果は本来ない位置に像を生じる虚像である。●虚像を生じるアーチファクト=多重反射(コメットサイン含む)・サイドローブ・ミラーイメージ(鏡面像)・レンズ効果(屈折による位置ずれ)。●虚像でない現象=音響陰影(後方減衰)・後方エコー増強。
選択肢ごとの解説
① 正しい。音響陰影は減衰によりエコーが消失する現象で、存在しない像を描出する虚像ではない。 ② 多重反射は反射体間で繰り返し反射し、実在しない複数の像を生じる虚像である。 ③ レンズ効果は組織による屈折で像の位置がずれ、虚像を生じる。 ④ サイドローブは主ビーム以外の副ローブによるエコーで、実在しない像(虚像)を生じる。 ⑤ ミラーイメージは強い反射面を鏡として反対側に虚像を生じる現象である。
第67回 午前25(臨床生理学)
右季肋部縦走査による超音波像を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA025.3c0d6674f8.jpg
①肝表面不整 ②カメレオンサイン ③ブルズアイサイン ④モザイクパターン ⑤肝腎コントラストの増強
正答: ⑤肝腎コントラストの増強
ポイント 右季肋部縦走査で肝臓と右腎の輝度差(肝腎コントラスト)が増強している所見は、脂肪肝で典型的にみられる。肝細胞内に中性脂肪が沈着すると肝実質の輝度が上昇し、相対的に低エコーの腎皮質との差が大きくなる。脂肪肝では深部の減衰(深部エコー減衰)や肝内脈管の不明瞭化(脈管不明瞭化)も伴う。●脂肪肝の超音波所見=肝腎コントラスト増強・深部エコー減衰・脈管不明瞭化・bright liver。●他疾患の所見=肝硬変=肝表面不整・辺縁鈍化、肝細胞癌=モザイクパターン・ハロー、転移性肝腫瘍=ブルズアイ(標的)サイン、肝血管腫=高エコー・カメレオンサイン。
選択肢ごとの解説
① 肝表面不整は肝硬変などでみられる所見で、本図の肝腎コントラスト増強とは異なる。 ② カメレオンサインは肝血管腫でみられる所見で、本図の所見とは異なる。 ③ ブルズアイサイン(標的様像)は転移性肝腫瘍などでみられる所見である。 ④ モザイクパターンは肝細胞癌でみられる内部エコー像である。 ⑤ 正しい。肝腎コントラストの増強は肝への脂肪沈着(脂肪肝)を示す代表的所見である。
第67回 午前26(臨床生理学)
感音性難聴を呈するのはどれか。2つ選べ。
①耳垢塞栓 ②耳硬化症 ③中耳炎 ④突発性難聴 ⑤メニエール〈Ménière〉病
正答: ④突発性難聴・⑤メニエール〈Ménière〉病
ポイント 難聴は障害部位により外耳・中耳の障害による伝音難聴と、内耳(蝸牛)・聴神経の障害による感音難聴に大別される。感音難聴には突発性難聴、メニエール(Ménière)病、加齢性難聴、騒音性難聴、薬剤性難聴などが含まれ、伝音難聴には耳垢塞栓、耳硬化症、中耳炎、外耳道閉鎖などがある。本問では突発性難聴とメニエール病が内耳由来の感音難聴に該当する。 ●伝音難聴=耳垢塞栓・滲出性/慢性中耳炎・耳硬化症・鼓膜穿孔・外耳道閉鎖。 ●感音難聴=突発性難聴・メニエール病・加齢性難聴・騒音性難聴・薬剤性(アミノグリコシド等)・聴神経腫瘍。 ●混合性難聴=伝音と感音の両成分を併せもつ(進行した耳硬化症など)。
選択肢ごとの解説
① 耳垢塞栓は外耳道の閉塞によるもので、伝音難聴である。 ② 耳硬化症はアブミ骨底の固着による伝音難聴が主体である(進行例では感音成分を伴うこともある)。 ③ 中耳炎は中耳腔の炎症・貯留液による伝音難聴である。 ④ 正しい。突発性難聴は内耳(蝸牛)の急性障害による感音難聴である。 ⑤ 正しい。メニエール病は内リンパ水腫による感音難聴で、回転性めまいや耳鳴り、耳閉感を反復する。
第67回 午前27(臨床生理学)
反回神経を分岐する脳神経はどれか。
正答: ③Ⅹ
ポイント 反回神経は迷走神経(第Ⅹ脳神経)から分岐し、喉頭の声帯運動(輪状甲状筋を除く内喉頭筋)を支配する運動神経である。左反回神経は大動脈弓の下を、右反回神経は右鎖骨下動脈の下を回って反転上行するため、胸部大動脈瘤や肺尖部腫瘍、甲状腺手術などで障害され嗄声や声帯麻痺をきたす。第Ⅹ脳神経が迷走神経である。 ●第Ⅷ脳神経=内耳神経(聴覚・平衡覚)。 ●第Ⅸ脳神経=舌咽神経(舌後1/3の味覚・咽頭知覚)。 ●第Ⅹ脳神経=迷走神経(反回神経を分岐、咽喉頭・内臓に分布)。 ●第Ⅺ脳神経=副神経(胸鎖乳突筋・僧帽筋)。 ●第Ⅻ脳神経=舌下神経(舌の運動)。
選択肢ごとの解説
① 第Ⅷ脳神経は内耳神経で聴覚と平衡覚を伝え、反回神経を分岐しない。 ② 第Ⅸ脳神経は舌咽神経で、反回神経を分岐しない。 ③ 正しい。第Ⅹ脳神経(迷走神経)から反回神経が分岐し、声帯運動を支配する。 ④ 第Ⅺ脳神経は副神経で胸鎖乳突筋・僧帽筋を支配し、反回神経は分岐しない。 ⑤ 第Ⅻ脳神経は舌下神経で舌の運動を支配し、反回神経は分岐しない。
第67回 午前28(臨床生理学)
中心前回にあるのはどれか。
正答: ①運動領
ポイント 中心前回は前頭葉の中心溝のすぐ前方に位置する脳回で、一次運動野(運動領、ブロードマン4野)があり随意運動の指令を出す。一方、中心溝の後方の中心後回には一次体性感覚野(感覚領)があり、両者は中心溝を挟んで前後に向かい合う。運動・感覚とも身体各部が一定の地図状に配列する(体部位局在)。 ●運動領=中心前回(一次運動野)。 ●感覚領(体性感覚)=中心後回(一次体性感覚野)。 ●視覚領=後頭葉の鳥距溝周囲(一次視覚野)。 ●聴覚領=側頭葉の横側頭回(一次聴覚野)。 ●嗅覚領=側頭葉内側(梨状皮質・嗅内皮質)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。中心前回には一次運動野(運動領)が存在する。 ② 感覚領(一次体性感覚野)は中心後回にあり、中心前回ではない。 ③ 嗅覚領は側頭葉内側(梨状皮質など)にあり、中心前回ではない。 ④ 視覚領は後頭葉の鳥距溝周囲にあり、中心前回ではない。 ⑤ 連合領は前頭・頭頂・側頭の広い領域に分布し、中心前回に限局しない。
第67回 午前29(臨床化学)
血糖コントロールの指標について正しいのはどれか。
①HbA1cは溶血性疾患で低値になる。 ②HbA1cは過去約2週間の平均血糖値を反映する。 ③グリコアルブミンは過去約2か月の平均血糖値を反映する。 ④1,5-アンヒドログルシトール〈1,5-AG〉は腎性糖尿で高値になる。 ⑤1,5-アンヒドログルシトール〈1,5-AG〉は過去約3か月の平均血糖値を反映する。
正答: ①HbA1cは溶血性疾患で低値になる。
ポイント HbA1c(ヘモグロビンA1c)は赤血球内のヘモグロビンにグルコースが非酵素的に結合した割合で、赤血球寿命(約120日)を反映して過去約1〜2か月の平均血糖を示す。溶血性貧血など赤血球寿命が短縮する病態では糖化を受ける時間が短くなり、HbA1cは見かけ上低値となる。グリコアルブミンは約2週間、1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は数日の血糖を反映し、尿糖排泄が増えると低下する。 ●長期指標=HbA1c(約1〜2か月)。 ●中期指標=グリコアルブミン(約2週間)。 ●短期指標=1,5-アンヒドログルシトール(数日、尿糖増加で低下)。 ●HbA1cが血糖の程度に比べ低値となる代表例=溶血性貧血・出血後などの赤血球寿命短縮。腎性貧血、透析、エリスロポエチン治療でも低値となりうる。 ●高値となる代表例=鉄欠乏性貧血。 ●測定法による影響=異常ヘモグロビンや腎不全で生じるカルバミル化ヘモグロビンの影響は測定法により異なり、一律に高値・低値としない。
選択肢ごとの解説
① 正しい。溶血性疾患では赤血球寿命の短縮により糖化時間が短くなり、HbA1cは見かけ上低値となる。 ② HbA1cは過去約1〜2か月の平均血糖を反映するため、約2週間とする記述は誤りである。 ③ グリコアルブミンは過去約2週間の平均血糖を反映するため、約2か月とする記述は誤りである。 ④ 1,5-アンヒドログルシトールは尿糖排泄が増えると消費・排泄されて低値となるため、腎性糖尿で高値とする記述は誤りである。 ⑤ 1,5-アンヒドログルシトールは数日程度の短期血糖を反映するため、約3か月とする記述は誤りである。
第67回 午前30(臨床化学)
乳酸について誤っているのはどれか。
①肝硬変で減少する。 ②筋肉で産生される。 ③低酸素血症で増加する。 ④血中では陰イオンとして存在する。 ⑤乳酸アシドーシスではアニオンギャップが増加する。
正答: ①肝硬変で減少する。
ポイント 乳酸は嫌気的解糖の最終産物として骨格筋や赤血球などで産生される陰イオンで、組織への酸素供給が不足する低酸素血症やショックで増加する。乳酸は主に肝臓でコリ回路により糖新生の材料として処理されるため、肝硬変など肝機能が低下した状態ではむしろ血中乳酸が増加し、減少はしない。乳酸アシドーシスでは乳酸陰イオンの蓄積により測定されない陰イオン(アニオンギャップ)が増大する。 ●乳酸産生=骨格筋・赤血球・脳(嫌気的解糖)。 ●乳酸処理=肝臓(糖新生・コリ回路)・腎臓。 ●乳酸増加=低酸素血症・ショック・肝不全・激しい運動・ビグアナイド薬。 ●アニオンギャップ増加性アシドーシス=乳酸アシドーシス・ケトアシドーシス・腎不全・中毒(メタノール等)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。乳酸は肝で糖新生により処理されるため、肝硬変では処理低下によりむしろ増加する。減少とする記述は誤りである。 ② 乳酸は嫌気的解糖により筋肉で産生されるため、正しい。 ③ 低酸素血症では嫌気的代謝が亢進し乳酸が増加するため、正しい。 ④ 乳酸は生理的pHで解離して陰イオン(乳酸イオン)として存在するため、正しい。 ⑤ 乳酸アシドーシスでは乳酸陰イオンの蓄積によりアニオンギャップが増加するため、正しい。
第67回 午前31(臨床化学)
ケトン体はどれか。2つ選べ。
①胆汁酸 ②アセトン ③ピルビン酸 ④アラキドン酸 ⑤3-ヒドロキシ酪酸
正答: ②アセトン・⑤3-ヒドロキシ酪酸
ポイント ケトン体はアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)、アセトンの3種を指し、飢餓や糖尿病などで脂肪酸のβ酸化が亢進した際に肝で生成される。アセトンはアセト酢酸の脱炭酸により生じ、3-ヒドロキシ酪酸はアセト酢酸の還元で生じる。糖尿病性ケトアシドーシスでは特に3-ヒドロキシ酪酸が増加する。胆汁酸・ピルビン酸・アラキドン酸はいずれもケトン体ではない。 ●ケトン体=アセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸・アセトン。 ●ケトン体増加=飢餓・絶食・糖尿病性ケトアシドーシス・アルコール性ケトーシス・低糖質食。 ●非ケトン体=胆汁酸(コレステロール由来)・ピルビン酸(解糖系中間体)・アラキドン酸(多価不飽和脂肪酸)。
選択肢ごとの解説
① 胆汁酸はコレステロールから肝で合成される脂質で、ケトン体ではない。 ② 正しい。アセトンはケトン体の一つで、アセト酢酸の脱炭酸により生じる。 ③ ピルビン酸は解糖系の中間代謝物であり、ケトン体ではない。 ④ アラキドン酸は多価不飽和脂肪酸であり、ケトン体ではない。 ⑤ 正しい。3-ヒドロキシ酪酸はケトン体の主成分で、ケトアシドーシスで増加する。
第67回 午前32(臨床化学)
ビタミン欠乏症と疾患の組合せで誤っているのはどれか。
①ビタミンA — 夜盲症 ②ビタミンB₁ — Wernicke脳症 ③ビタミンC — 壊血病 ④ビタミンD — くる病 ⑤ビタミンK — 脚気
正答: ⑤ビタミンK — 脚気
ポイント 脚気はビタミンB₁(チアミン)欠乏で生じ、末梢神経障害(多発神経炎)や心不全(衝心脚気)をきたす。ビタミンK欠乏では肝でのプロトロンビンなど凝固因子(第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子)合成障害により出血傾向や新生児メレナが起こる。したがってビタミンK−脚気の組合せが誤りである。 ●脂溶性ビタミン欠乏=ビタミンA(夜盲症・角膜乾燥)・ビタミンD(くる病・骨軟化症)・ビタミンE(溶血・神経障害)・ビタミンK(出血傾向)。 ●水溶性ビタミン欠乏=ビタミンB₁(脚気・Wernicke脳症)・ビタミンB₂(口角炎)・ナイアシン(ペラグラ)・ビタミンB₁₂/葉酸(巨赤芽球性貧血)・ビタミンC(壊血病)。
選択肢ごとの解説
① ビタミンA欠乏は夜盲症や角膜乾燥を起こすため、正しい組合せである。 ② ビタミンB₁欠乏はWernicke脳症や脚気を起こすため、正しい組合せである。 ③ ビタミンC欠乏はコラーゲン合成障害による壊血病を起こすため、正しい組合せである。 ④ ビタミンD欠乏は骨石灰化障害によるくる病・骨軟化症を起こすため、正しい組合せである。 ⑤ 誤り。脚気の原因はビタミンB₁欠乏であり、ビタミンK欠乏とする組合せは誤りである。ビタミンK欠乏は出血傾向を起こす。
📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。
第67回 午前33(臨床化学)
ヘキソキナーゼが作用する糖はどれか。2つ選べ。
①リボース ②リブロース ③ガラクトース ④キシルロース ⑤フルクトース
正答: ③ガラクトース・⑤フルクトース
ポイント ヘキソキナーゼは解糖系の最初の段階で六炭糖(ヘキソース)の6位をリン酸化する酵素で、グルコースのほかフルクトース、マンノース、ガラクトースなどの六炭糖を基質とする。リボース、リブロース、キシルロースはいずれも五炭糖(ペントース)であり、ヘキソキナーゼの基質とならない。本問の選択肢のうち六炭糖はガラクトースとフルクトースである。 ●六炭糖(ヘキソース)=グルコース・フルクトース・ガラクトース・マンノース。 ●五炭糖(ペントース)=リボース・デオキシリボース・リブロース・キシルロース・アラビノース。 ●糖をリン酸化する酵素=ヘキソキナーゼ・グルコキナーゼ(肝・膵)・フルクトキナーゼ・ガラクトキナーゼ。
選択肢ごとの解説
① リボースは五炭糖(ペントース)であり、ヘキソキナーゼの基質ではない。 ② リブロースは五炭糖であり、ヘキソキナーゼの基質ではない。 ③ 正しい。ガラクトースは六炭糖であり、ヘキソキナーゼによりリン酸化される。 ④ キシルロースは五炭糖であり、ヘキソキナーゼの基質ではない。 ⑤ 正しい。フルクトースは六炭糖であり、ヘキソキナーゼによりリン酸化される。
第67回 午前34(臨床化学)
糖代謝について正しいのはどれか。2つ選べ。
①ソマトスタチンはインスリン分泌を促進する。 ②インスリン抵抗性はインスリン分泌が低下した状態である。 ③C-ペプチドとインスリンは1:2の分子数比で放出される。 ④糖新生系はピルビン酸からグルコースを新生する代謝系である。 ⑤ジペプチジルペプチダーゼ4〈DPP-4〉はインクレチンを分解する。
正答: ④糖新生系はピルビン酸からグルコースを新生する代謝系である。・⑤ジペプチジルペプチダーゼ4〈DPP-4〉はインクレチンを分解する。
ポイント 糖新生はピルビン酸・乳酸・糖原性アミノ酸・グリセロールなどの非糖質からグルコースを合成する代謝系で、主に肝臓(一部腎臓)で行われる。ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)はインクレチン(GLP-1〈グルカゴン様ペプチド1〉・GIP〈グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド〉)を速やかに分解する酵素で、その阻害薬が糖尿病治療に用いられる。インスリン抵抗性は分泌低下ではなく標的組織の感受性低下であり、ソマトスタチンはインスリン・グルカゴン分泌を抑制する。 ●血糖を上げるホルモン=グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモン。 ●血糖を下げる=インスリン。 ●インクレチン=GLP-1・GIP(DPP-4で分解)。 ●糖新生の材料=乳酸・ピルビン酸・糖原性アミノ酸・グリセロール。 ●インスリンとC-ペプチド=プロインスリンから等モル(1:1)で分泌。
選択肢ごとの解説
① ソマトスタチンはインスリン分泌を抑制するため、促進とする記述は誤りである。 ② インスリン抵抗性はインスリンが効きにくい状態であり、分泌が低下した状態ではないため誤りである。 ③ C-ペプチドとインスリンはプロインスリンから等モル(1:1)で放出されるため、1:2とする記述は誤りである。 ④ 正しい。糖新生はピルビン酸などの非糖質からグルコースを新生する代謝系である。 ⑤ 正しい。DPP-4はインクレチンを分解する酵素であり、その阻害薬はインクレチン作用を保つ。
第67回 午前35(臨床化学)
無機質と結合蛋白質の組合せで正しいのはどれか。
①鉄 — トランスサイレチン ②銅 — α₂-マクログロブリン ③亜鉛 — セルロプラスミン ④カルシウム — フェリチン ⑤マグネシウム — アルブミン
正答: ⑤マグネシウム — アルブミン
ポイント 無機質(金属イオン)は特定の結合蛋白により血中を運搬される。鉄はトランスフェリン、銅はセルロプラスミン、カルシウムやマグネシウムは一部がアルブミンに結合して運ばれ、鉄の貯蔵蛋白はフェリチンである。本問ではマグネシウム−アルブミンの組合せが正しく、他はいずれも担体が誤って組まれている。 ●鉄=トランスフェリン(運搬)・フェリチン/ヘモジデリン(貯蔵)。 ●銅=セルロプラスミン。 ●カルシウム・マグネシウム=一部がアルブミンに結合。 ●甲状腺ホルモン・レチノール=トランスサイレチン(プレアルブミン)。 ●ヘモグロビン(遊離)=ハプトグロビン。
選択肢ごとの解説
① 鉄を運搬するのはトランスフェリンであり、トランスサイレチンは甲状腺ホルモン・ビタミンAを運ぶため誤りである。 ② 銅を運搬するのはセルロプラスミンであり、α₂-マクログロブリンではないため誤りである。 ③ 亜鉛は主にアルブミンなどと結合し、セルロプラスミンは銅の運搬蛋白であるため誤りである。 ④ カルシウムはアルブミンと結合し、フェリチンは鉄の貯蔵蛋白であるため誤りである。 ⑤ 正しい。マグネシウムは血中で一部がアルブミンと結合して存在する。
📋 まとめの表を見る:無機質・微量元素などの血中結合蛋白
トランスサイレチンはサイロキシンを結合して運ぶ。また、レチノール結合蛋白(RBP)と複合体を形成してビタミンAの運搬に関与する。鉄の主な運搬蛋白はトランスフェリンである。
第67回 午前36(臨床化学)
生体内で炎症時に減少する蛋白質成分はどれか。
①α₁-アンチトリプシン ②α₁-酸性糖蛋白 ③ハプトグロビン ④トランスフェリン ⑤フィブリノゲン
正答: ④トランスフェリン
ポイント 炎症や組織傷害に応じて血中濃度が上昇する蛋白を急性相反応物質(正の急性相蛋白)といい、C反応性蛋白(CRP)、α₁-アンチトリプシン、α₁-酸性糖蛋白、ハプトグロビン、フィブリノゲン、セルロプラスミンなどが含まれる。これに対し炎症時にむしろ低下する蛋白を負の急性相反応物質といい、トランスフェリン、アルブミン、トランスサイレチン(プレアルブミン)が代表である。本問ではトランスフェリンが減少する。 ●正の急性相蛋白=CRP・α₁-アンチトリプシン・α₁-酸性糖蛋白・ハプトグロビン・フィブリノゲン・セルロプラスミン・血清アミロイドA。 ●負の急性相蛋白=アルブミン・トランスフェリン・トランスサイレチン・レチノール結合蛋白。
選択肢ごとの解説
① α₁-アンチトリプシンは正の急性相反応物質で炎症時に増加するため、減少しない。 ② α₁-酸性糖蛋白は正の急性相反応物質で炎症時に増加するため、減少しない。 ③ ハプトグロビンは正の急性相反応物質で炎症時に増加するため、減少しない。 ④ 正しい。トランスフェリンは負の急性相反応物質で、炎症時に減少する。 ⑤ フィブリノゲンは正の急性相反応物質で炎症時に増加するため、減少しない。
第67回 午前37(臨床化学)
ビリルビンの極大吸収波長〔nm〕はどれか。
正答: ③450
ポイント ビリルビンは黄色の胆汁色素で、可視部の約450nm付近に極大吸収を示す。この吸収特性を利用し、新生児黄疸では経皮的・血中ビリルビン測定や、青色光(約450nm)でビリルビンを水溶性異性体に変える光線療法が行われる。波長と被測定物質の吸収特性の対応を把握しておく。 ●約260nm=核酸(DNA・RNA)の極大吸収。 ●約280nm=蛋白質(芳香族アミノ酸)の極大吸収。 ●約340nm=還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)/NADPHの吸収。 ●約450nm=ビリルビン。 ●約540・575nm=オキシヘモグロビンの吸収帯。
選択肢ごとの解説
① 260nmは核酸(DNA・RNA)の極大吸収波長であり、ビリルビンではない。 ② 340nmは還元型補酵素(NADH)の極大吸収波長であり、ビリルビンではない。 ③ 正しい。ビリルビンは約450nm付近に極大吸収を示す黄色色素である。 ④ 540nmはオキシヘモグロビンの吸収帯付近であり、ビリルビンの極大ではない。 ⑤ 570nmはオキシヘモグロビンの吸収帯付近であり、ビリルビンの極大吸収波長ではない。
📋 まとめの表を見る:臨床検査で用いる主要物質の極大吸収波長比較
第67回 午前38(臨床化学)
細胞内液に含まれるイオン〔mEq/L〕で最も多いのはどれか。
①Cl⁻ ②HCO₃⁻ ③HPO₄²⁻ ④Mg²⁺ ⑤Na⁺
正答: ③HPO₄²⁻
ポイント 細胞内液と細胞外液ではイオン組成が大きく異なる。細胞内液の主な陽イオンはカリウム(K⁺)とマグネシウム(Mg²⁺)、主な陰イオンはリン酸(HPO₄²⁻)と蛋白である。一方、細胞外液ではナトリウム(Na⁺)と塩化物(Cl⁻)、重炭酸(HCO₃⁻)が主体となる。選択肢のうち細胞内液で最も多いのはリン酸イオンである。 ●細胞内液の主要陽イオン=K⁺・Mg²⁺。 ●細胞内液の主要陰イオン=HPO₄²⁻(リン酸)・蛋白。 ●細胞外液の主要陽イオン=Na⁺。 ●細胞外液の主要陰イオン=Cl⁻・HCO₃⁻。
選択肢ごとの解説
① Cl⁻は細胞外液の主要陰イオンで、細胞内液では少ない。 ② HCO₃⁻は細胞外液に多い陰イオンで、細胞内液で最も多いものではない。 ③ 正しい。HPO₄²⁻(リン酸)は細胞内液の主要な陰イオンである。 ④ Mg²⁺は細胞内液に多い陽イオンだが、選択肢中で最も多いリン酸イオンには及ばない。 ⑤ Na⁺は細胞外液の主要陽イオンで、細胞内液では少ない。
第67回 午前39(臨床化学)
リポ蛋白の表面部に存在しているのはどれか。2つ選べ。
①レシチン ②遊離脂肪酸 ③トリグリセライド ④遊離型コレステロール ⑤エステル型コレステロール
正答: ①レシチン・④遊離型コレステロール
ポイント リポ蛋白は脂質と蛋白の球状複合体で、疎水性の強いトリグリセライドとエステル型コレステロールが内部(核)に、両親媒性のリン脂質(レシチン)・遊離型コレステロール・アポ蛋白が表面の単層を形成する。表面成分は親水基を血漿側に向けることで疎水性脂質を可溶化し運搬する。遊離脂肪酸はリポ蛋白を構成せず主にアルブミンと結合して運ばれる。 ●リポ蛋白の表面=リン脂質(レシチン)・遊離型コレステロール・アポ蛋白。 ●リポ蛋白の内部(核)=トリグリセライド・エステル型コレステロール。 ●リポ蛋白の比重順(軽→重)=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。 ●遊離脂肪酸の運搬=アルブミン。
選択肢ごとの解説
① 正しい。レシチン(リン脂質)は両親媒性でリポ蛋白の表面に存在する。 ② 遊離脂肪酸はリポ蛋白を構成せず、主にアルブミンと結合して運ばれる。 ③ トリグリセライドは疎水性でリポ蛋白の内部(核)に存在する。 ④ 正しい。遊離型コレステロールは水酸基をもち、両親媒性的に表面に配置される。 ⑤ エステル型コレステロールは疎水性が高く、リポ蛋白の内部(核)に存在する。
第67回 午前40(臨床化学)
中間比重リポ蛋白〈IDL〉の比重について正しいのはどれか。
①HDL3とHDL2の中間 ②HDL2とLDLの中間 ③LDLとVLDLの中間 ④VLDLとCMの中間 ⑤CMとCMレムナントの中間
正答: ③LDLとVLDLの中間
ポイント リポ蛋白は超遠心法で比重により分類され、軽い順にカイロミクロン、超低比重リポ蛋白(VLDL)、中間比重リポ蛋白(IDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)となる。IDLはVLDLが代謝されてLDLになる中間段階の粒子で、比重はVLDLとLDLの間に位置する。比重が大きいほど蛋白含量が多く脂質含量が少ない。 ●比重順(軽→重)=カイロミクロン<VLDL<IDL<LDL<HDL。 ●粒子径順(大→小)=カイロミクロン>VLDL>IDL>LDL>HDL。 ●主な脂質=カイロミクロン/VLDLはトリグリセライド主体、LDL/HDLはコレステロール主体。
選択肢ごとの解説
① HDL3とHDL2の中間はHDLの亜分画の話であり、IDLの比重位置ではない。 ② HDL2とLDLの中間はIDLの比重位置ではない。 ③ 正しい。IDLはVLDLが代謝されてLDLになる中間で、比重はLDLとVLDLの中間である。 ④ VLDLとカイロミクロンの中間はIDLの比重位置ではない。 ⑤ カイロミクロンとカイロミクロンレムナントの中間はIDLの比重位置ではない。
📋 まとめの表を見る:主なリポ蛋白の分類(比重・脂質構成・アポ蛋白・蛋白含有量)
電気泳動での移動度は陽極側からHDL(α)>VLDL(preβ)>LDL(β)>原点(カイロミクロン)の順。アポA1はLCATを活性化、アポC2はLPLを活性化、アポC3はLPLを抑制、アポEはLDL受容体・レムナント受容体に認識される。LDL-コレステロールは日内変動が少なく、血清混濁はLDL自体ではなくトリグリセライド(カイロミクロン・VLDL)による。
第67回 午前41(臨床化学)
核酸を含まない細胞内小器官はどれか。
①核小体 ②粗面小胞体 ③リボソーム ④ミトコンドリア ⑤ゴルジ〈Golgi〉装置
正答: ⑤ゴルジ〈Golgi〉装置
ポイント 核酸(DNA・RNA)を含む細胞内小器官には、DNAをもつ核とミトコンドリア、RNAをもつ核小体・リボソーム・粗面小胞体(リボソームが付着)などがある。ゴルジ(Golgi)装置は蛋白質の糖鎖修飾・選別・輸送・分泌を担う扁平な膜系で、核酸を含まない。各小器官の機能と構成成分を区別する必要がある。 ●DNAを含む=核・ミトコンドリア。 ●RNAを含む=核小体(rRNA合成)・リボソーム(rRNA)・粗面小胞体(付着リボソーム)。 ●核酸を含まない=ゴルジ装置・滑面小胞体・リソソーム・ペルオキシソーム。
選択肢ごとの解説
① 核小体はリボソームRNAの合成の場でRNAを含むため、核酸を含む。 ② 粗面小胞体はリボソームが付着しRNAを含むため、核酸を含む。 ③ リボソームはリボソームRNA(rRNA)から構成され、核酸を含む。 ④ ミトコンドリアは独自のミトコンドリアDNAをもつため、核酸を含む。 ⑤ 正しい。ゴルジ装置は蛋白質の修飾・輸送を担う膜構造で、核酸を含まない。
第67回 午前42(臨床化学)
逸脱酵素でないのはどれか。
正答: ⑤ChE
ポイント 逸脱酵素は本来細胞内に局在し、細胞傷害により血中へ漏出して上昇する酵素で、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、乳酸脱水素酵素(LD)、クレアチンキナーゼ(CK)などが該当する。コリンエステラーゼ(ChE)は肝で合成され血中へ分泌される酵素であり、肝障害ではむしろ合成低下により低下する。したがって逸脱酵素ではない。 ●逸脱酵素=AST・ALT・LD・CK・アルドラーゼ・酸性/アルカリホスファターゼ(一部)。 ●肝で合成される蛋白=コリンエステラーゼや多くの凝固因子。凝固因子には、活性化により酵素となるものも含まれる。 ●臓器特異性=CKは骨格筋・心筋・脳、ALTは肝、ASTは肝・心筋・骨格筋。
選択肢ごとの解説
① CKは骨格筋・心筋に多い逸脱酵素で、組織傷害で上昇する。 ② LDは多臓器に分布する逸脱酵素で、組織傷害で上昇する。 ③ ALTは肝細胞に多い逸脱酵素で、肝障害で上昇する。 ④ ASTは肝・心筋・骨格筋に分布する逸脱酵素で、組織傷害で上昇する。 ⑤ 誤り。ChEは肝で合成・分泌される酵素であり逸脱酵素ではなく、肝障害ではむしろ低下する。
第67回 午前43(臨床化学)
ビタミンDの25位を水酸化する臓器はどれか。
正答: ②肝臓
ポイント ビタミンDは皮膚での合成や食事からの摂取の後、まず肝臓で25位が水酸化されて25-ヒドロキシビタミンDとなり、次いで腎臓の近位尿細管で1α位が水酸化されて活性型の1,25-ジヒドロキシビタミンDとなる。25位の水酸化は肝臓、1α位の水酸化は腎臓が担う点が代謝の要である。 ●ビタミンD活性化の経路=皮膚/食事→肝(25位水酸化)→腎(1α位水酸化)→活性型1,25-(OH)2ビタミンD。 ●1α-水酸化酵素を促進=パラトルモン(PTH)・低リン血症。 ●活性型ビタミンDの作用=腸管でのカルシウム・リン吸収促進、骨吸収促進。
選択肢ごとの解説
① 肺はビタミンDの25位水酸化を行わない。 ② 正しい。ビタミンDの25位水酸化は肝臓で行われる。 ③ 胸腺はビタミンDの水酸化には関与しない。 ④ 腎臓は25位ではなく1α位を水酸化して活性型を生成する。 ⑤ 副甲状腺はパラトルモンを分泌するが、ビタミンDの25位水酸化は行わない。
📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。
第67回 午前44(臨床化学)
カルシウムイオン50 mg/dLは何mEq/Lか。ただし、カルシウム原子量は40とする。
①0.25 ②1.25 ③2.50 ④12.5 ⑤25.0
正答: ⑤25.0
ポイント mEq/L(ミリ当量/リットル)は当量濃度で、mg/dLからは(mg/dL×10×イオン価数)÷原子量で換算する(×10はdLからLへの換算)。カルシウムは2価で原子量40なので、50mg/dL×10×2÷40=25mEq/Lとなる。電解質の濃度換算では原子量と価数の確認が必須である。 ●換算式=mEq/L=(mg/dL×10×価数)÷原子量。 ●1価イオン=Na⁺・K⁺・Cl⁻(当量=モル)。 ●2価イオン=Ca²⁺・Mg²⁺(当量=モル×2)。 ●参考=Ca²⁺ 20mg/Lで1mEq/L相当(原子量40÷価数2=当量20)。
選択肢ごとの解説
① 0.25は桁が大きく異なり、計算結果と一致しない。 ② 1.25は計算結果と一致しない。 ③ 2.50は計算結果と一致しない。 ④ 12.5は価数2を考慮しない場合(50×10÷40)の値であり、2価を反映していないため誤りである。 ⑤ 正しい。50mg/dL×10×2価÷原子量40=25.0mEq/Lとなる。
第67回 午前45(病理組織細胞学)
パラフィン切片の伸展について正しいのはどれか。
①気泡の発生を防ぐ。 ②切片を乾燥させてから行う。 ③切片の傷を修復するために行う。 ④小さな切片では伸展の必要がない。 ⑤パラフィンの融点と同じ温度で行う。
正答: ①気泡の発生を防ぐ。
ポイント パラフィン切片の伸展は、薄切で生じた切片のしわや折れ込みを温水(パラフィン融点よりやや低い温度の伸展槽)に浮かべて伸ばし、しわ・気泡のない平らな切片をスライドガラスに貼り付ける操作である。気泡やしわは観察の妨げや染色ムラの原因となるため、伸展により防ぐ。伸展後に乾燥・固着させる。 ●薄切の流れ=粗削り→本削り(薄切)→伸展(温水)→スライド貼付→乾燥(パラフィン融解・固着)。 ●伸展温水の温度=パラフィン融点よりやや低い(おおむね45℃前後)。 ●伸展の目的=しわ・折れ・気泡の除去、密着の確保。
選択肢ごとの解説
① 正しい。伸展は切片のしわや気泡を除き、平坦に貼り付けるために行う。 ② 伸展は乾燥前に温水で行う操作であり、乾燥させてから行うものではない。 ③ 伸展は切片の傷を修復する操作ではなく、しわ・折れを伸ばす操作である。 ④ 小さな切片でもしわや気泡を除くため伸展は必要である。 ⑤ 伸展はパラフィン融点よりやや低い温度の温水で行い、融点と同じ温度では行わない。
第67回 午前46(病理組織細胞学)
銀液を使用するのはどれか。2つ選べ。
①PAS染色 ②Grimelius染色 ③Berlin blue染色 ④Masson-Fontana染色 ⑤methyl green-pyronin染色
正答: ②Grimelius染色・④Masson-Fontana染色
ポイント 銀液(硝酸銀など)を用いる鍍銀染色には、好銀性細胞・神経内分泌顆粒を染めるGrimelius染色、メラニンや銀親和性物質を染めるMasson-Fontana染色、細網線維を染める鍍銀染色(渡辺法など)がある。いずれも銀イオンの還元・沈着を利用して黒褐色に発色させる。PAS染色は多糖類、Berlin blue染色は鉄、methyl green-pyronin染色は核酸を染め、銀液は用いない。 ●鍍銀(銀液使用)染色=Grimelius・Masson-Fontana・細網線維鍍銀・Bodian(神経)・Grocott(真菌)。 ●PAS=多糖類・糖蛋白(過ヨウ素酸シッフ反応)。 ●Berlin blue=鉄(ヘモジデリン)。 ●methyl green-pyronin=DNA(緑)とRNA(赤)。
選択肢ごとの解説
① PAS染色は過ヨウ素酸シッフ反応で多糖類・糖蛋白を染める染色で、銀液は用いない。 ② 正しい。Grimelius染色は銀液を用いる鍍銀染色で、好銀性細胞(神経内分泌顆粒)を染める。 ③ Berlin blue染色は鉄(ヘモジデリン)を検出する染色で、銀液は用いない。 ④ 正しい。Masson-Fontana染色は銀液を用い、メラニンや銀親和性物質を黒色に染める。 ⑤ methyl green-pyronin染色はDNAとRNAを染め分ける染色で、銀液は用いない。
第67回 午前47(病理組織細胞学)
肝臓の特殊染色標本を別に示す。染色はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA047.fcb7591a78.jpg
①azan染色 ②oil red O染色 ③Victoria blue染色 ④toluidine blue染色 ⑤Masson trichrome染色
正答: ①azan染色
ポイント azan染色は膠原線維を青色、細胞質・筋線維・赤血球を赤色に染める結合組織染色で、肝臓では線維化の評価に用いられ門脈域や線維性隔壁が青く描出される。アゾカルミンとアニリン青を用いる二段染色である。Masson trichrome染色も膠原線維を青緑に染めるが、本図の染色像はazan染色に相当する。 ●結合組織(膠原線維)染色=azan・Masson trichrome。 ●弾性線維染色=Victoria blue・elastica van Gieson・Weigert。 ●脂肪染色=oil red O・Sudan(凍結切片)。 ●異染性染色=toluidine blue(肥満細胞・軟骨基質)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。azan染色は膠原線維を青、細胞質を赤に染める結合組織染色である。 ② oil red O染色は中性脂肪を赤橙色に染める染色で、本図の所見とは異なる。 ③ Victoria blue染色は弾性線維やB型肝炎ウイルス表面抗原などを染める染色である。 ④ toluidine blue染色は肥満細胞顆粒などの異染性物質を染める染色である。 ⑤ Masson trichrome染色も膠原線維を染めるが、本図の染色像はazan染色である。
第67回 午前48(病理組織細胞学)
酵素抗体法について正しいのはどれか。
①凍結切片では行わない。 ②ポリマー法は感度が高い。 ③加熱処理後は急速に冷却する。 ④一次抗体と二次抗体を混和する。 ⑤内因性ペルオキシダーゼの除去は発色後に行う。
正答: ②ポリマー法は感度が高い。
ポイント 酵素抗体法(免疫組織化学)は抗原抗体反応に酵素標識(ペルオキシダーゼ等)を組み合わせ、発色基質により目的抗原を可視化する方法である。ポリマー法は二次抗体と多数の酵素分子を高分子担体に結合させるため感度が高く、内因性ビオチンによる非特異反応も避けられる。凍結切片でも実施でき、抗原賦活の加熱処理後は徐冷とし、内因性ペルオキシダーゼのブロッキングは発色前に行う。 ●標識法の感度=直接法<間接法<標識ポリマー法/ABC法(高感度)。 ●抗原賦活=加熱処理(オートクレーブ・電子レンジ)・酵素処理。 ●内因性活性の除去=過酸化水素で内因性ペルオキシダーゼをブロック(発色前)。 ●検出酵素=ペルオキシダーゼ・アルカリホスファターゼ。
選択肢ごとの解説
① 酵素抗体法は凍結切片でも行えるため、行わないとする記述は誤りである。 ② 正しい。ポリマー法は多数の酵素を結合させるため感度が高い。 ③ 加熱処理(抗原賦活)後は急速冷却ではなく徐冷が望ましく、急冷は組織剥離の原因となる。 ④ 間接法では一次抗体と二次抗体を段階的に反応させ、両者を混和はしない。 ⑤ 内因性ペルオキシダーゼの除去(ブロッキング)は発色前に行うべきで、発色後では意味がない。
第67回 午前49(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。この臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA049.776b798ccd.jpg
正答: ③甲状腺
ポイント 甲状腺はヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色で、コロイドを満たした大小さまざまな濾胞が単層の立方上皮で囲まれた特徴的な構造を示す。濾胞内のコロイド(サイログロブリン)は好酸性に均一に染まる。この濾胞構造が甲状腺の組織学的特徴で、他臓器との鑑別点となる。 ●甲状腺=コロイドを満たす濾胞構造(濾胞上皮+傍濾胞細胞)。 ●下垂体前葉=索状・胞巣状の内分泌細胞(好酸性・好塩基性・嫌色素性)。 ●唾液腺=漿液腺房・粘液腺房と導管。 ●膵臓=外分泌腺房とランゲルハンス島。 ●副腎=皮質(球状・束状・網状帯)と髄質。
選択肢ごとの解説
① 下垂体は索状・胞巣状に配列する内分泌細胞からなり、濾胞構造を主体としない。 ② 唾液腺は漿液腺房や粘液腺房と導管からなり、コロイドを満たす濾胞構造ではない。 ③ 正しい。コロイドを満たした濾胞構造が特徴的であり、甲状腺と判断できる。 ④ 膵臓は外分泌腺房とランゲルハンス島からなり、濾胞構造ではない。 ⑤ 副腎は皮質(球状帯・束状帯・網状帯)と髄質からなり、濾胞構造ではない。
第67回 午前50(病理組織細胞学)
圧迫萎縮を示すのはどれか。
①閉経後の骨粗鬆症 ②成人における胸腺萎縮 ③長期臥床による骨格筋萎縮 ④水腎症における腎実質の菲薄化 ⑤末期癌における脂肪組織の萎縮
正答: ④水腎症における腎実質の菲薄化
ポイント 圧迫萎縮は持続的な外力・内圧による圧迫で組織の血流障害や細胞減少が起こり萎縮する現象で、水腎症では尿の貯留による腎盂内圧の上昇で腎実質が圧迫され菲薄化する。これに対し廃用性萎縮(長期臥床の筋萎縮)、加齢に伴う萎縮(胸腺・骨)、栄養障害・悪液質による萎縮(末期癌の脂肪萎縮)は機序が異なる。 ●圧迫萎縮=水腎症の腎実質菲薄化・腫瘍周囲組織の萎縮・動脈瘤による骨びらん。 ●廃用(無為)性萎縮=長期臥床・ギプス固定による筋萎縮。 ●加齢(生理的)萎縮=胸腺・性腺・脳の萎縮。 ●内分泌性萎縮=下垂体機能低下による副腎・甲状腺萎縮。 ●栄養障害性萎縮=悪液質・飢餓による脂肪・筋萎縮。
選択肢ごとの解説
① 閉経後骨粗鬆症はエストロゲン低下による骨吸収亢進で起こり、圧迫萎縮ではない。 ② 成人の胸腺萎縮は加齢に伴う生理的萎縮であり、圧迫によるものではない。 ③ 長期臥床による骨格筋萎縮は廃用性萎縮であり、圧迫萎縮ではない。 ④ 正しい。水腎症では貯留した尿の圧迫により腎実質が菲薄化する圧迫萎縮を示す。 ⑤ 末期癌の脂肪萎縮は栄養障害・悪液質による萎縮であり、圧迫萎縮ではない。
← テキスト版の目次