第67回(2021) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第67回 午前1(臨床検査総論)

検査や投薬の種類・量に関わらず、病気の種類と入院日数に応じて医療費が決められる診療報酬計算の方式を指す用語はどれか。

正答: ②DPC〈diagnosis procedure combination〉

ポイント
DPC(diagnosis procedure combination、診断群分類包括評価)は、病名と提供した診療行為の組合せで定められた診断群ごとに、入院1日あたりの定額点数で入院医療費を算定する包括払い方式である。検査や投薬を追加しても基本部分の収入は増えないため、過剰検査・過剰投薬の抑制と在院日数短縮の動機づけとなる。投薬・検査の量に応じて加算する出来高払いと対比される。●診療報酬・医療経済の用語=DPC(包括払い)・出来高払い・診療報酬点数。●臨床試験・品質管理=GCP(医薬品の臨床試験の実施基準)・SOP(標準作業手順書)・TQC(全社的品質管理)。●重症度スコア=APACHE(集中治療の予後評価)・SOFA・GCS(意識レベル)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:医療の品質・診療報酬に関する主な用語(DPC・APACHE・GCP・SOP・TQC)

略語正式名称意味
DPCDiagnosis Procedure Combination診断群分類に基づく1日当たり定額報酬算定制度(包括払い)。従来の出来高払いと組み合わせて算定
APACHEAcute Physiology and Chronic Health Evaluation集中治療患者の重症度・予後を評価するスコア
GCPGood Clinical Practice医薬品の臨床試験実施の基準
SOPStandard Operation Procedure検査手順書(標準作業手順書)
TQCTotal Quality Control臨床検査のあらゆる段階を対象とした総合的品質管理

第67回 午前2(臨床検査総論)

尿試験紙法による検査でビタミンC内服の影響が小さいのはどれか。

正答: ③蛋白

ポイント
尿試験紙のうち、糖はグルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ(GOD・POD)法、潜血はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用による酸化発色を利用し、ビリルビンはジアゾ反応、亜硝酸塩はジアゾ化カップリングによる発色を利用する。強い還元作用をもつビタミンC(アスコルビン酸)が共存すると、酸化発色の抑制やジアゾ反応の阻害により、これらはいずれも偽陰性となりやすい。これに対して蛋白の検出はpH指示薬の蛋白誤差を利用する反応で酸化還元に依存しないため、ビタミンC内服の影響を受けにくい。検体採取前のビタミンC大量摂取は尿定性検査の偽陰性の原因となり注意を要する。●ビタミンCで偽陰性となりやすい項目=糖(GOD・POD法の酸化発色)・潜血(ペルオキシダーゼ様作用の酸化発色)・ビリルビン(ジアゾ反応)・亜硝酸塩(ジアゾ化カップリング)。●影響が小さい項目=蛋白(蛋白誤差法)・pH(指示薬)。●尿試験紙の偽陽性/偽陰性要因=高比重・薬剤・色素・細菌混入。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:尿試験紙法とビタミンC(アスコルビン酸)の影響

検査項目発色の原理ビタミンCの影響
ブドウ糖(尿糖)GOD・POD法(酸化発色)偽陰性
潜血(ヘモグロビン)Hbのペルオキシダーゼ様作用(酸化発色)偽陰性
ビリルビンジアゾカップリングによる発色偽陰性
亜硝酸塩ジアゾ化・カップリングによる発色偽陰性
蛋白pH指示薬による蛋白誤差影響を受けにくい
ビタミンCは糖・潜血の酸化発色や、ビリルビン・亜硝酸塩のジアゾ反応による発色を妨げ、偽陰性の原因となりうる。蛋白はpH指示薬を用いる非酸化還元系の反応のため、ビタミンCの影響を受けにくい。

第67回 午前3(臨床検査総論)

尿沈渣中の白血球と上皮細胞との鑑別に用いるのはどれか。

正答: ②Prescott-Brodie染色

ポイント
尿沈渣で白血球(主に好中球)と尿細管上皮や小型扁平上皮との鑑別が困難な場合、Prescott-Brodie染色(ペルオキシダーゼ染色)が有用である。好中球は細胞質顆粒のミエロペルオキシダーゼ活性により陽性に染まるのに対し、上皮細胞は陰性であるため両者を区別できる。膿尿の評価や変性した白血球の同定にも用いられる。●尿沈渣の補助染色=Prescott-Brodie染色(白血球と上皮の鑑別)・Sternheimer染色/Sternheimer-Malbin染色(細胞・円柱の鑑別)・Sudan III染色(脂肪・脂肪円柱)。●鉄染色=Berlin blue染色(三価鉄・ヘモジデリン)。●髄液・体腔液=Samson染色(細胞算定)・May-Giemsa染色(血球形態)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:尿沈渣に用いられる主な染色法と鑑別対象

染色法原理・概要主な鑑別対象
Sternheimer染色(S染色)固定なしの超生体染色(核・細胞質を染色)核・円柱基質は青色、細胞質(赤血球)は赤紫色
Sternheimer-Malbin染色(SM染色)S染色とほぼ同様、好中球の鑑別に有用死細胞は強染、好中球は輝細胞(無染)として観察
Prescott-Brodie染色ペルオキシダーゼ反応による白血球と上皮細胞の鑑別青色〜青黒色(陽性)=顆粒球(好中球)、赤色(陰性)=リンパ球・赤血球など
Berlin blue染色3価鉄反応による鉄染色青藍色=ヘモジデリン顆粒
Hansel染色好酸球顆粒の証明好酸球顆粒が赤色
Lugol染色ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液による染色黄色=グリコーゲン含有上皮細胞
Sudan III染色代表的な脂肪染色橙赤色=中性脂肪(卵円形脂肪体・脂肪円柱)

第67回 午前4(臨床検査総論)

糞便の特徴と疾患の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②灰白色便 — 閉塞性黄疸・④米のとぎ汁様便 — コレラ

ポイント
便色や性状は出血部位や病態を反映する。上部消化管出血では血液中のヘモグロビンが胃酸や腸内細菌の作用で変性しタール状の黒色便(メレナ)となり、下部消化管出血では鮮血便となる。胆道閉塞では胆汁色素ビリルビンが腸管に排泄されず灰白色便を呈し、コレラでは腸管毒素による大量水様便が米のとぎ汁様便となる。●便色と病態=黒色便(タール便)=上部消化管出血、鮮血便=下部消化管出血、灰白色便=閉塞性黄疸・脂肪便。●粘血便を呈する腸管感染症=イチゴゼリー状粘血便=アメーバ赤痢、粘血膿性便=細菌性赤痢(赤痢菌)・腸管出血性大腸菌。●水様便=米のとぎ汁様便=コレラ、白色水様下痢便=ロタウイルス腸炎。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:糞便の色調・性状と疾患

色調・性状考えられる疾患・原因
黄色〜黄緑色激しい下痢(ウロビリン生成が起こらないため)
黒色(タール便)上部消化管出血、鉄剤投与時
鮮紅色(血便)下部消化管出血、肛門部出血
緑色緑黄色野菜の大量摂取(ビリルビン→ビリベルジン)
灰白色閉塞性黄疸、膵頭部癌、バリウム投与時
白色(水様)ロタウイルス腸炎、コレラ(米のとぎ汁様便)
粘液便過敏性大腸炎など腸の炎症
粘血便(血液+粘液)細菌性赤痢、カンピロバクター腸炎、潰瘍性大腸炎、腸結核
イチゴゼリー状粘血便アメーバ赤痢
膿性便細菌性赤痢、アメーバ赤痢、潰瘍性大腸炎、Crohn病など下部腸管の化膿性炎症
脂肪便慢性膵炎、吸収不良症候群
健常者の糞便はウロビリンやステルコビリンにより淡褐色〜黄褐色を呈する。灰白色便は総胆管結石・膵頭部癌など閉塞性黄疸で、いちごゼリー状粘血便はアメーバ赤痢で、米のとぎ汁様便はコレラでみられる。

第67回 午前5(臨床検査総論)

最もサイズが小さいのはどれか。

正答: ③横川吸虫卵

ポイント
横川吸虫卵は約25〜30µmと極めて小型の吸虫卵で、肝吸虫卵とともに最も小さい部類に入る。これに対し鉤虫卵・鞭虫卵は40〜60µm程度、日本住血吸虫卵やウェステルマン肺吸虫卵はさらに大型である。寄生虫卵の鑑別では大きさ・形・卵蓋や棘の有無が手がかりとなる。●小型の虫卵(おおむね30µm前後)=横川吸虫卵・肝吸虫卵。●中等大の虫卵=鉤虫卵(約60×40µmの薄殻楕円形)・鞭虫卵(レモン形で両端に栓)・回虫卵。●大型の虫卵=日本住血吸虫卵(側方に小棘)・ウェステルマン肺吸虫卵(卵蓋あり)・肥大吸虫卵。

選択肢ごとの解説

第67回 午前6(臨床検査総論)

成人男性がアフリカから帰国後に発熱した。末梢血厚層塗抹のGiemsa染色標本を別に示す。この感染症について正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA006.b18f9464a2.jpg
第67回 午前6 の図

正答: ④感染初期に肝臓で増殖する。

ポイント
アフリカ帰国後の発熱で末梢血厚層塗抹のGiemsa染色から原虫が検出される代表的疾患はマラリアである。マラリア原虫はハマダラカ(雌)に刺されてスポロゾイトとして体内に入り、まず肝細胞内で増殖(赤外型シゾント)した後に赤血球へ侵入し赤内型として発育する。熱帯熱マラリアは重症化しやすく無治療では致死的となる。●ハマダラカ媒介=マラリア(熱帯熱・三日熱・四日熱・卵形)。●ツェツェバエ媒介=アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)。●サシガメ媒介=シャーガス病(クルーズトリパノソーマ)。●サシチョウバエ媒介=リーシュマニア症。●治療薬=クロロキン・メフロキン・アルテミシニン製剤・アトバコン/プログアニル。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:マラリア原虫の種類別 形態・潜伏期・発熱間隔の比較

項目三日熱熱帯熱四日熱卵形
末梢血に出現する型輪状体・アメーバ体・分裂体・生殖母体輪状体・生殖母体三日熱に同じ三日熱に同じ
赤血球内の原虫数1個2個(多重感染しやすい)1個1個
赤血球の形円形で大きくなる円形で大きくならない円形で大きくならない卵形でやや大きくなる
アメーバ体(後期栄養体)Schüffner斑点著明末梢血に出現し難い帯状になる(バンド型)卵形で一端が鋸歯状
分裂体内メロゾイト数12〜18個8〜18個8〜10個6〜12個
生殖母体円形半月(ソーセージ)状三日熱に似る三日熱に似る
潜伏期12〜17日7〜21日18〜40日16〜18日
発熱間隔48時間毎48時間毎(不規則)72時間毎48時間毎
マラリア原虫はハマダラカに刺されてスポロゾイトが体内に侵入し、まず肝細胞内で増殖(赤外型)した後、赤血球内で輪状体→アメーバ体→分裂体と発育する(無性生殖)。

第67回 午前7(臨床検査総論)

採血中に患者の顔面が蒼白になり、気分不快を訴えた。この採血合併症について誤っているのはどれか。

正答: ②高齢者に多い。

ポイント
採血中に顔面蒼白・気分不快・血圧低下・徐脈をきたすのは血管迷走神経反応(神経調節性失神)である。緊張・疼痛・不安・空腹などが誘因となって迷走神経が過度に刺激され、徐脈と末梢血管拡張により脳血流が低下する。若年者や緊張しやすい人に多く、症状出現時は直ちに採血を中止し仰臥位で下肢を挙上する。●血管迷走神経反応の所見=徐脈・血圧低下・顔面蒼白・冷汗・悪心・失神。●誘因=緊張・不安・疼痛・空腹・長時間の立位。●他の採血合併症=神経損傷(しびれ・放散痛)・皮下血腫・動脈穿刺・止血困難・感染。

選択肢ごとの解説

第67回 午前8(臨床検査総論)

空気感染予防策を必要とするのはどれか。2つ選べ。

正答: ①結核・②水痘

ポイント
空気感染(飛沫核感染)予防策が必要なのは結核・麻疹・水痘で、5µm以下の飛沫核が長時間空中を浮遊し広範囲に伝播するため、陰圧個室とN95マスクが必要となる。風疹・百日咳・流行性耳下腺炎は主に飛沫感染であり、サージカルマスクによる飛沫予防策で対応する。●空気感染(陰圧室・N95)=結核・麻疹・水痘。●飛沫感染(サージカルマスク)=風疹・百日咳・流行性耳下腺炎・インフルエンザ・髄膜炎菌・マイコプラズマ。●接触感染(手袋・ガウン)=MRSA・腸管出血性大腸菌・ノロウイルス・疥癬。

選択肢ごとの解説

第67回 午前9(臨床検査総論)

ピンク色泡沫状で漿液性の喀痰が得られた。考えられる疾患はどれか。

正答: ③肺水腫

ポイント
ピンク色泡沫状で漿液性の喀痰は肺水腫に特徴的である。左心不全などで肺毛細血管圧が上昇すると血漿成分が肺胞内へ漏出し、呼気の空気と混ざって泡沫状となり、わずかな赤血球の漏出によってピンク色を呈する。喀痰の性状は原因疾患の推定に有用である。●喀痰の性状と疾患=ピンク色泡沫状漿液性痰=肺水腫、血痰・喀血=肺結核・肺癌・気管支拡張症、鉄錆色痰=肺炎球菌性肺炎、膿性・三層痰=気管支拡張症・肺膿瘍、粘液膿性痰=慢性気管支炎。●喀痰検査=Miller-Jones分類(膿性度)・Geckler分類(細胞数による品質評価)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前10(臨床検査総論)

黄色のバイオハザードマークが貼付されている容器に廃棄するのはどれか。

正答: ①開封した注射針

ポイント
感染性廃棄物のバイオハザードマークは廃棄物の性状で色分けされ、黄色は鋭利物(注射針・メス・ガラスなどの損傷性廃棄物)、橙色は固形物、赤色は液状・泥状物を示す。針刺し事故を防ぐため、使用後の注射針はリキャップせず専用の硬質容器(黄色)へ廃棄する。●バイオハザードマークの色分け=黄色=鋭利物(針・メス・ガラス)、橙色=固形物(ガーゼ・チューブ・手袋)、赤色=液状・泥状物(血液・体液・検体)。●標準予防策の関連=リキャップ禁止・専用容器の使用・分別廃棄。

選択肢ごとの解説

第67回 午前11(臨床検査医学総論)

一次救命処置に含まれないのはどれか。

正答: ④静脈路確保

ポイント
一次救命処置(basic life support、BLS)は専門器具や薬剤を使わずに行う救命処置で、反応・意識の確認、応援要請と通報、気道確保、人工呼吸と胸骨圧迫(心肺蘇生)、AED(自動体外式除細動器)による除細動からなる。静脈路確保や薬剤投与・気管挿管は二次救命処置(advanced life support、ALS)に含まれる医療行為である。●BLSの構成=反応確認・通報・胸骨圧迫・気道確保・人工呼吸・AED。●ALSの構成=静脈路確保・薬剤投与(アドレナリン等)・気管挿管・モニター心電図・原因検索。●AED適応波形=心室細動・無脈性心室頻拍。

選択肢ごとの解説

第67回 午前12(臨床検査医学総論)

ヒトパピローマウイルスによって引き起こされるのはどれか。

正答: ④子宮頸癌

ポイント
ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus、HPV)は子宮頸癌の主要な原因であり、特に高リスク型のHPV16・18型の持続感染が関与する。前癌病変(子宮頸部上皮内病変)を経て浸潤癌へ進展するため、HPVワクチンと子宮頸部細胞診による予防・早期発見が重要である。●HPV関連腫瘍=子宮頸癌・中咽頭癌・肛門癌・陰茎癌・尖圭コンジローマ(低リスク型6・11)。●ウイルス関連腫瘍=EBウイルス(Burkittリンパ腫・上咽頭癌)・B型/C型肝炎ウイルス(肝細胞癌)・ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(成人T細胞白血病)。●細菌関連腫瘍=ヘリコバクター・ピロリ(胃癌・MALTリンパ腫)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前13(臨床検査医学総論)

間質性肺炎の血清マーカーはどれか。2つ選べ。

正答: ②KL-6・⑤SP-D

ポイント
間質性肺炎の血清マーカーにはⅡ型肺胞上皮や呼吸器に由来する糖蛋白が用いられる。KL-6はⅡ型肺胞上皮細胞由来のシアル化糖鎖抗原で、間質性肺炎の活動性や予後の指標となる。SP-D(肺サーファクタント蛋白D)も同様にⅡ型肺胞上皮由来の間質性肺炎マーカーである。CYFRA・ProGRP・SLXはいずれも肺癌の腫瘍マーカーである。●間質性肺炎マーカー=KL-6・SP-D・SP-A・LD(活動性)。●肺癌の腫瘍マーカー=小細胞肺癌=ProGRP・NSE、扁平上皮癌=CYFRA・SCC、腺癌=CEA・SLX・CA15-3。

選択肢ごとの解説

第67回 午前14(臨床検査医学総論)

心不全の重症度評価に用いられるのはどれか。

正答: ②BNP

ポイント
BNP(brain natriuretic peptide、脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心室壁の伸展・負荷に応じて主に心室から分泌され、心不全の重症度評価や治療効果判定に用いられる。心室への容量負荷・圧負荷が増すと上昇するため、心不全の診断と経過観察に有用なマーカーである。前駆体由来のNT-proBNPも同様に用いられる。●心不全マーカー=BNP・NT-proBNP・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)。●心筋傷害マーカー=心筋トロポニンT/I・CK-MB・心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)・ミオグロビン。●非特異的逸脱酵素=AST・LD・CK。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:BNP値による心不全重症度の目安(カットオフ値)

BNP値(pg/mL)心不全の可能性
18.4未満基準値(心不全はない)
18.4〜40心不全の可能性は低い
40〜100心不全の症状はない(軽度の可能性)
100〜200多くは無症状(治療対象の可能性あり)
200〜500心不全の可能性あり(治療対象)
500以上重症心不全
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心室の負荷に応じて心臓から分泌され、心不全の診断・重症度評価に用いられる(日本心不全学会による指標)。原典ページの単位表記は「pg/dL」だったが、BNPは通常pg/mLで測定される数値であり、日本心不全学会の公表資料(18.4/40/100/200pg/mL等)とも一致するため、単位はpg/mLに修正して記載した。

第67回 午前15(臨床検査医学総論)

慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉で増加するのはどれか。

正答: ①残気量

ポイント
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)では末梢気道の閉塞と肺の過膨張により呼出が障害され、空気がとらえ込まれる(エアトラッピング)。その結果、残気量や機能的残気量が増加する一方、1秒量・1秒率は低下する。閉塞性換気障害では1秒率70%未満が診断の指標となる。●COPDで増加=残気量・機能的残気量・全肺気量(過膨張)。●COPDで低下=1秒量・1秒率・肺拡散能(肺気腫合併時)。●換気障害の分類=閉塞性=1秒率低下、拘束性=%肺活量80%未満、混合性=両者低下。

選択肢ごとの解説

第67回 午前16(臨床生理学)

成人の心電図で異常値はどれか。

正答: ③QRS幅0.20秒

ポイント
成人心電図の基準値では、P波幅は0.10秒以内、PR時間は0.12〜0.20秒、QRS幅は0.10秒以内が正常範囲である。QRS幅が0.12秒以上に延長すると心室内伝導障害(脚ブロックなど)を示唆し、0.20秒は明らかな異常延長である。●心電図の基準値=P波幅0.10秒以内、PR時間0.12〜0.20秒、QRS幅0.10秒以内、QTc約0.36〜0.44秒、正常電気軸−30〜+90度。●延長の意義=PR延長=房室ブロック、QRS延長=脚ブロック・心室内伝導障害、QT延長=催不整脈・電解質異常。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:心電図の各波形・時間と成因

波形/時間成因(意味)基準範囲
P波心房の脱分極(興奮)幅0.11秒以下・高さ0.25mV未満
PR〈PQ〉時間房室伝導時間0.12〜0.20秒(小児0.11〜0.16秒)
QRS波(時間)心室の脱分極(興奮)0.06〜0.10秒
ST部分心室全体の興奮終了に相当基線に一致するか軽度上昇
T波心室の再分極高さ1.2mV未満かつR波高の10分の1以上
QTc(補正QT時間)電気的収縮時間成人0.35〜0.44秒(女性は男性より長い)
U波T波の後に出現、成因は不明高さ0.2mV未満
心房の再分極(Ta波)は振幅が小さくQRS波に重なるため、通常の心電図には明瞭に現れない。

第67回 午前17(臨床生理学)

心電図を別に示す。正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA017.4758a6d577.jpg
第67回 午前17 の図

正答: ⑤四肢電極の付け間違い

ポイント
四肢電極(特に左右上肢)の付け間違いでは、Ⅰ誘導のP波・QRS・T波がすべて逆転し、aVRが本来のaVL様の正常波形のように見えるなど特徴的な所見を呈する。胸部誘導のR波移行は正常パターンを保つため、右胸心との鑑別ができる(右胸心では胸部誘導でもR波漸増が乱れる)。●四肢電極の取り違え所見=左右上肢入れ違いでⅠ誘導全体の逆転・aVRとaVLの入れ替わり様、胸部誘導は正常。●鑑別=右胸心=四肢・胸部とも逆転(V1〜V6でR波減高)、胸部電極誤り=胸部のR波移行異常のみ。●関連=Einthovenの三角・標準12誘導。

選択肢ごとの解説

第67回 午前18(臨床生理学)

トレッドミル負荷試験について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①不安定狭心症は禁忌である。・④運動誘発性不整脈の診断に用いられる。

ポイント
トレッドミル負荷試験は運動による心電図変化から虚血性心疾患や運動誘発性不整脈を評価する検査である。不安定狭心症は運動で心筋梗塞を誘発する危険があり禁忌である。目標心拍数は年齢から推定し(220−年齢など)、誘導はMason-Likar変法による12誘導が一般的、Bruce法は3分ごとに速度と傾斜を増す多段階負荷法である。●運動負荷の禁忌=不安定狭心症・急性心筋梗塞急性期・重症大動脈弁狭窄・コントロール不良の不整脈/心不全・急性大動脈解離。●陽性所見=ST低下(水平・下降型)1mm以上・狭心痛・血圧低下。●Bruce法=3分ごとに速度・傾斜を増大する多段階法。●ホルター心電図=CM5・NASA誘導。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:運動負荷試験(トレッドミル)の禁忌

分類主な項目
絶対禁忌急性心筋梗塞(2日以内)・不安定狭心症・コントロール不良の不整脈・症状のある重症大動脈弁狭窄・コントロール不良の心不全・急性肺塞栓症/肺梗塞・急性心筋炎/心膜炎・急性大動脈解離・急性活動性内科疾患
相対禁忌左冠動脈主幹部狭窄・中等度狭窄性弁膜症・電解質異常・重症高血圧(収縮期>200または拡張期>110)・頻脈性/徐脈性不整脈・肥大型心筋症等の左室流出路狭窄・高度房室ブロック・肺高血圧症・ジギタリス中毒等
第1度房室ブロックは禁忌に該当せず実施可能。目標心拍数は予測最大心拍数〔(220-年齢)/分〕の85〜90%。誘導法はMason-Likar法。Bruce法は3分ごとに負荷を増大。

第67回 午前19(臨床生理学)

傍胸骨長軸のカラードプラ像を別に示す。この症例で聴取される可能性が最も高い心雑音はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA019.2e168f3cca.jpg
第67回 午前19 の図

正答: ③拡張早期雑音

ポイント
傍胸骨長軸像のカラードプラで拡張期に左室流出路へ向かう逆流ジェットがみられる場合、大動脈弁閉鎖不全症(逆流)が考えられる。聴診では第Ⅱ音直後の拡張早期から始まり減衰していく灌水様(吹鳴様)の拡張早期雑音を胸骨左縁で聴取する。雑音のタイミングと性状は弁膜症の鑑別に重要である。●雑音と弁膜症=拡張早期雑音=大動脈弁/肺動脈弁閉鎖不全、全収縮期雑音=僧帽弁/三尖弁閉鎖不全・心室中隔欠損、駆出性収縮期雑音=大動脈弁/肺動脈弁狭窄、拡張中期ランブル=僧帽弁狭窄、連続性雑音=動脈管開存症。

選択肢ごとの解説

第67回 午前20(臨床生理学)

ボイル・シャルルの法則の記載で正しいのはどれか。ただし、気体の体積、圧力、絶対温度をそれぞれV、P、Tとし、定数をRとする。

正答: ②P・V/T = R

ポイント
ボイル・シャルルの法則は、一定量の気体について圧力Pと体積Vの積を絶対温度Tで割った値が一定となる関係(PV/T=一定)を示す。理想気体の状態方程式PV=nRTから1molあたりではPV/T=Rとなる。Pは体積に反比例(ボイルの法則)し、Vは絶対温度に比例(シャルルの法則)する。●気体の法則=ボイルの法則(PV=一定、T一定)・シャルルの法則(V/T=一定、P一定)・ボイル・シャルルの法則(PV/T=一定)・理想気体の状態方程式(PV=nRT)。●関連=アボガドロの法則・ドルトンの分圧の法則・ヘンリーの法則(気体の溶解)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前21(臨床生理学)

吸気および呼気ともに最大努力で得られたフローボリューム曲線を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA021.561ef3b6bb.jpg
第67回 午前21 の図

正答: ①気管狭窄

ポイント
フローボリューム曲線で吸気相・呼気相ともにピークフローが平坦化(プラトー)する所見は、固定性の中枢気道狭窄(気管狭窄)を示唆する。可変性の胸郭外狭窄では吸気が、胸郭内狭窄では呼気が制限されるが、固定性狭窄では呼気・吸気の両相が制限され箱型を呈する。COPDや喘息は呼気フローが下に凹む末梢の閉塞性パターンを示す。●フローボリューム曲線のパターン=固定性上気道狭窄=吸気・呼気とも平坦化、可変性胸郭外狭窄=吸気平坦化、可変性胸郭内狭窄=呼気平坦化、末梢気道閉塞(COPD・喘息)=呼気の下方凹み、拘束性障害(間質性肺炎・後側弯)=曲線の小型化(高さ・幅の縮小)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前22(臨床生理学)

ガス希釈法による測定が必要な肺気量分画はどれか。2つ選べ。

正答: ①全肺気量・⑤機能的残気量

ポイント
肺気量分画のうち残気量を含む分画はスパイロメトリーでは直接測定できないため、ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路法・窒素洗い出し法)や体プレチスモグラフで求める。機能的残気量は残気量を含むため希釈法が必要で、これを基準に全肺気量も算出される。残気量を含まない1回換気量・予備呼気量・予備吸気量・最大吸気量・肺活量は通常のスパイロメトリーで測定できる。●スパイロメトリーで測定可=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・最大吸気量・肺活量。●ガス希釈法・体プレチスモグラフが必要=残気量・機能的残気量・全肺気量。●測定法=ヘリウム希釈法・窒素洗い出し法・体プレチスモグラフ(胸郭ガス量を測定)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:呼吸機能検査:測定項目と測定方法

測定項目測定方法備考
残気量〈RV〉ガス希釈法または体プレチスモグラフ法(スパイロメトリでは測定不可)機能的残気量〈FRC〉から予備呼気量を引いて算出
機能的残気量〈FRC〉ガス希釈法(開放・閉鎖回路法)、体プレチスモグラフ法体プレチスモグラフ法はBoyleの法則を利用
肺拡散能〈DLco〉1回呼吸法(一酸化炭素を使用)ガス希釈法ではない
クロージングボリューム〈CV〉単一窒素呼出曲線(レジデントガス法)、ボーラス法単一窒素呼出曲線の第Ⅳ相の気量に相当
ピークフロー〈PEF〉・V50・V25フローボリューム曲線正常はピークフロー>V50>V25の順(V50・V25は末梢気道の指標)
努力肺活量〈FVC〉・1秒量フローボリューム曲線・スパイロメトリ-
肺活量〈VC〉・1回換気量・予備呼気量・予備吸気量スパイロメトリ緩徐な呼吸で測定

第67回 午前23(臨床生理学)

低水準の消毒が適切でないのはどれか。

正答: ③マウスピース

ポイント
消毒水準は対象器具の感染リスク(スポルディング分類)に応じて選択する。粘膜または損傷のある皮膚に接触する器具はセミクリティカル器具であり、高水準消毒が必要である。マウスピースは口腔粘膜に触れるためセミクリティカル器具であり、低水準消毒では不十分である。健常皮膚に触れるノンクリティカル器具は低水準消毒で足りる。●スポルディング分類=クリティカル(無菌組織・血管内に挿入)=滅菌、セミクリティカル(粘膜・損傷皮膚に接触)=高水準消毒、ノンクリティカル(健常皮膚に接触)=低〜中水準消毒。●セミクリティカル例=内視鏡・マウスピース・体腔内エコープローブ。●ノンクリティカル例=心電図電極・血圧計・体表エコープローブ・聴診器。

選択肢ごとの解説

第67回 午前24(臨床生理学)

超音波画像のアーチファクトで虚像が出現しないのはどれか。

正答: ①音響陰影

ポイント
超音波のアーチファクトには実際にない像(虚像)を生じるものと、像そのものは虚像ではないものがある。音響陰影は結石やガスなどの強い反射・減衰体の背後に超音波が届かず無エコー域(影)となる現象で、存在しない構造物を新たに描出するわけではないため虚像ではない。多重反射・サイドローブ・ミラーイメージ・レンズ効果は本来ない位置に像を生じる虚像である。●虚像を生じるアーチファクト=多重反射(コメットサイン含む)・サイドローブ・ミラーイメージ(鏡面像)・レンズ効果(屈折による位置ずれ)。●虚像でない現象=音響陰影(後方減衰)・後方エコー増強。

選択肢ごとの解説

第67回 午前25(臨床生理学)

右季肋部縦走査による超音波像を別に示す。所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA025.3c0d6674f8.jpg
第67回 午前25 の図

正答: ⑤肝腎コントラストの増強

ポイント
右季肋部縦走査で肝臓と右腎の輝度差(肝腎コントラスト)が増強している所見は、脂肪肝で典型的にみられる。肝細胞内に中性脂肪が沈着すると肝実質の輝度が上昇し、相対的に低エコーの腎皮質との差が大きくなる。脂肪肝では深部の減衰(深部エコー減衰)や肝内脈管の不明瞭化(脈管不明瞭化)も伴う。●脂肪肝の超音波所見=肝腎コントラスト増強・深部エコー減衰・脈管不明瞭化・bright liver。●他疾患の所見=肝硬変=肝表面不整・辺縁鈍化、肝細胞癌=モザイクパターン・ハロー、転移性肝腫瘍=ブルズアイ(標的)サイン、肝血管腫=高エコー・カメレオンサイン。

選択肢ごとの解説

第67回 午前26(臨床生理学)

感音性難聴を呈するのはどれか。2つ選べ。

正答: ④突発性難聴・⑤メニエール〈Ménière〉病

ポイント
難聴は障害部位により外耳・中耳の障害による伝音難聴と、内耳(蝸牛)・聴神経の障害による感音難聴に大別される。感音難聴には突発性難聴、メニエール(Ménière)病、加齢性難聴、騒音性難聴、薬剤性難聴などが含まれ、伝音難聴には耳垢塞栓、耳硬化症、中耳炎、外耳道閉鎖などがある。本問では突発性難聴とメニエール病が内耳由来の感音難聴に該当する。
●伝音難聴=耳垢塞栓・滲出性/慢性中耳炎・耳硬化症・鼓膜穿孔・外耳道閉鎖。
●感音難聴=突発性難聴・メニエール病・加齢性難聴・騒音性難聴・薬剤性(アミノグリコシド等)・聴神経腫瘍。
●混合性難聴=伝音と感音の両成分を併せもつ(進行した耳硬化症など)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前27(臨床生理学)

反回神経を分岐する脳神経はどれか。

正答: ③Ⅹ

ポイント
反回神経は迷走神経(第Ⅹ脳神経)から分岐し、喉頭の声帯運動(輪状甲状筋を除く内喉頭筋)を支配する運動神経である。左反回神経は大動脈弓の下を、右反回神経は右鎖骨下動脈の下を回って反転上行するため、胸部大動脈瘤や肺尖部腫瘍、甲状腺手術などで障害され嗄声や声帯麻痺をきたす。第Ⅹ脳神経が迷走神経である。
●第Ⅷ脳神経=内耳神経(聴覚・平衡覚)。
●第Ⅸ脳神経=舌咽神経(舌後1/3の味覚・咽頭知覚)。
●第Ⅹ脳神経=迷走神経(反回神経を分岐、咽喉頭・内臓に分布)。
●第Ⅺ脳神経=副神経(胸鎖乳突筋・僧帽筋)。
●第Ⅻ脳神経=舌下神経(舌の運動)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前28(臨床生理学)

中心前回にあるのはどれか。

正答: ①運動領

ポイント
中心前回は前頭葉の中心溝のすぐ前方に位置する脳回で、一次運動野(運動領、ブロードマン4野)があり随意運動の指令を出す。一方、中心溝の後方の中心後回には一次体性感覚野(感覚領)があり、両者は中心溝を挟んで前後に向かい合う。運動・感覚とも身体各部が一定の地図状に配列する(体部位局在)。
●運動領=中心前回(一次運動野)。
●感覚領(体性感覚)=中心後回(一次体性感覚野)。
●視覚領=後頭葉の鳥距溝周囲(一次視覚野)。
●聴覚領=側頭葉の横側頭回(一次聴覚野)。
●嗅覚領=側頭葉内側(梨状皮質・嗅内皮質)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前29(臨床化学)

血糖コントロールの指標について正しいのはどれか。

正答: ①HbA1cは溶血性疾患で低値になる。

ポイント
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は赤血球内のヘモグロビンにグルコースが非酵素的に結合した割合で、赤血球寿命(約120日)を反映して過去約1〜2か月の平均血糖を示す。溶血性貧血など赤血球寿命が短縮する病態では糖化を受ける時間が短くなり、HbA1cは見かけ上低値となる。グリコアルブミンは約2週間、1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は数日の血糖を反映し、尿糖排泄が増えると低下する。
●長期指標=HbA1c(約1〜2か月)。
●中期指標=グリコアルブミン(約2週間)。
●短期指標=1,5-アンヒドログルシトール(数日、尿糖増加で低下)。
●HbA1cが血糖の程度に比べ低値となる代表例=溶血性貧血・出血後などの赤血球寿命短縮。腎性貧血、透析、エリスロポエチン治療でも低値となりうる。
●高値となる代表例=鉄欠乏性貧血。
●測定法による影響=異常ヘモグロビンや腎不全で生じるカルバミル化ヘモグロビンの影響は測定法により異なり、一律に高値・低値としない。

選択肢ごとの解説

第67回 午前30(臨床化学)

乳酸について誤っているのはどれか。

正答: ①肝硬変で減少する。

ポイント
乳酸は嫌気的解糖の最終産物として骨格筋や赤血球などで産生される陰イオンで、組織への酸素供給が不足する低酸素血症やショックで増加する。乳酸は主に肝臓でコリ回路により糖新生の材料として処理されるため、肝硬変など肝機能が低下した状態ではむしろ血中乳酸が増加し、減少はしない。乳酸アシドーシスでは乳酸陰イオンの蓄積により測定されない陰イオン(アニオンギャップ)が増大する。
●乳酸産生=骨格筋・赤血球・脳(嫌気的解糖)。
●乳酸処理=肝臓(糖新生・コリ回路)・腎臓。
●乳酸増加=低酸素血症・ショック・肝不全・激しい運動・ビグアナイド薬。
●アニオンギャップ増加性アシドーシス=乳酸アシドーシス・ケトアシドーシス・腎不全・中毒(メタノール等)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前31(臨床化学)

ケトン体はどれか。2つ選べ。

正答: ②アセトン・⑤3-ヒドロキシ酪酸

ポイント
ケトン体はアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)、アセトンの3種を指し、飢餓や糖尿病などで脂肪酸のβ酸化が亢進した際に肝で生成される。アセトンはアセト酢酸の脱炭酸により生じ、3-ヒドロキシ酪酸はアセト酢酸の還元で生じる。糖尿病性ケトアシドーシスでは特に3-ヒドロキシ酪酸が増加する。胆汁酸・ピルビン酸・アラキドン酸はいずれもケトン体ではない。
●ケトン体=アセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸・アセトン。
●ケトン体増加=飢餓・絶食・糖尿病性ケトアシドーシス・アルコール性ケトーシス・低糖質食。
●非ケトン体=胆汁酸(コレステロール由来)・ピルビン酸(解糖系中間体)・アラキドン酸(多価不飽和脂肪酸)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前32(臨床化学)

ビタミン欠乏症と疾患の組合せで誤っているのはどれか。

正答: ⑤ビタミンK — 脚気

ポイント
脚気はビタミンB₁(チアミン)欠乏で生じ、末梢神経障害(多発神経炎)や心不全(衝心脚気)をきたす。ビタミンK欠乏では肝でのプロトロンビンなど凝固因子(第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子)合成障害により出血傾向や新生児メレナが起こる。したがってビタミンK−脚気の組合せが誤りである。
●脂溶性ビタミン欠乏=ビタミンA(夜盲症・角膜乾燥)・ビタミンD(くる病・骨軟化症)・ビタミンE(溶血・神経障害)・ビタミンK(出血傾向)。
●水溶性ビタミン欠乏=ビタミンB₁(脚気・Wernicke脳症)・ビタミンB₂(口角炎)・ナイアシン(ペラグラ)・ビタミンB₁₂/葉酸(巨赤芽球性貧血)・ビタミンC(壊血病)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症

ビタミン(主な化学名)主な欠乏症
ビタミンA(レチノール)夜盲症、結膜乾燥症
ビタミンD(カルシフェロール)くる病、骨軟化症、低カルシウム血症
ビタミンE(α-トコフェロール)新生児溶血性貧血
ビタミンK(メナキノン)新生児メレナ、血液凝固障害(第II・VII・IX・X因子とプロテインC・Sの低下)、PIVKA-IIの出現
ビタミンB1(チアミン)脚気、Wernicke脳症、高ピルビン酸血症
ビタミンB2(リボフラビン)口内炎、舌炎、皮膚炎
ナイアシン(ビタミンB3)ペラグラ(日光過敏症を伴う)。Hartnup病(遺伝性の中性アミノ酸輸送障害)ではトリプトファン吸収障害から二次的にナイアシン不足を生じ、ペラグラ様症状を呈する
パントテン酸(ビタミンB5)皮膚炎
ビタミンB6(ピリドキシン)皮膚炎、日光過敏症
ビオチン(ビタミンB7)脱毛、若白髪、湿疹
ビタミンB12(コバラミン)巨赤芽球性貧血、メチルマロン酸血症、高ホモシステイン血症
葉酸(ビタミンBc)巨赤芽球性貧血。妊娠前後の不足は胎児の神経管閉鎖障害リスクを高める
ビタミンC(アスコルビン酸)壊血病
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。

第67回 午前33(臨床化学)

ヘキソキナーゼが作用する糖はどれか。2つ選べ。

正答: ③ガラクトース・⑤フルクトース

ポイント
ヘキソキナーゼは解糖系の最初の段階で六炭糖(ヘキソース)の6位をリン酸化する酵素で、グルコースのほかフルクトース、マンノース、ガラクトースなどの六炭糖を基質とする。リボース、リブロース、キシルロースはいずれも五炭糖(ペントース)であり、ヘキソキナーゼの基質とならない。本問の選択肢のうち六炭糖はガラクトースとフルクトースである。
●六炭糖(ヘキソース)=グルコース・フルクトース・ガラクトース・マンノース。
●五炭糖(ペントース)=リボース・デオキシリボース・リブロース・キシルロース・アラビノース。
●糖をリン酸化する酵素=ヘキソキナーゼ・グルコキナーゼ(肝・膵)・フルクトキナーゼ・ガラクトキナーゼ。

選択肢ごとの解説

第67回 午前34(臨床化学)

糖代謝について正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ④糖新生系はピルビン酸からグルコースを新生する代謝系である。・⑤ジペプチジルペプチダーゼ4〈DPP-4〉はインクレチンを分解する。

ポイント
糖新生はピルビン酸・乳酸・糖原性アミノ酸・グリセロールなどの非糖質からグルコースを合成する代謝系で、主に肝臓(一部腎臓)で行われる。ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)はインクレチン(GLP-1〈グルカゴン様ペプチド1〉・GIP〈グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド〉)を速やかに分解する酵素で、その阻害薬が糖尿病治療に用いられる。インスリン抵抗性は分泌低下ではなく標的組織の感受性低下であり、ソマトスタチンはインスリン・グルカゴン分泌を抑制する。
●血糖を上げるホルモン=グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモン。
●血糖を下げる=インスリン。
●インクレチン=GLP-1・GIP(DPP-4で分解)。
●糖新生の材料=乳酸・ピルビン酸・糖原性アミノ酸・グリセロール。
●インスリンとC-ペプチド=プロインスリンから等モル(1:1)で分泌。

選択肢ごとの解説

第67回 午前35(臨床化学)

無機質と結合蛋白質の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤マグネシウム — アルブミン

ポイント
無機質(金属イオン)は特定の結合蛋白により血中を運搬される。鉄はトランスフェリン、銅はセルロプラスミン、カルシウムやマグネシウムは一部がアルブミンに結合して運ばれ、鉄の貯蔵蛋白はフェリチンである。本問ではマグネシウム−アルブミンの組合せが正しく、他はいずれも担体が誤って組まれている。
●鉄=トランスフェリン(運搬)・フェリチン/ヘモジデリン(貯蔵)。
●銅=セルロプラスミン。
●カルシウム・マグネシウム=一部がアルブミンに結合。
●甲状腺ホルモン・レチノール=トランスサイレチン(プレアルブミン)。
●ヘモグロビン(遊離)=ハプトグロビン。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:無機質・微量元素などの血中結合蛋白

成分主な結合蛋白
鉄トランスフェリン(貯蔵蛋白はフェリチン)
銅セルロプラスミン、アルブミン
亜鉛α2-マクログロブリン、アルブミン
カルシウム・マグネシウムアルブミン
甲状腺ホルモンサイロキシン結合グロブリン、トランスサイレチン、アルブミン
ビタミンAレチノール結合蛋白
非抱合型ビリルビンアルブミン
尿酸アルブミン
遊離脂肪酸アルブミン
トランスサイレチンはサイロキシンを結合して運ぶ。また、レチノール結合蛋白(RBP)と複合体を形成してビタミンAの運搬に関与する。鉄の主な運搬蛋白はトランスフェリンである。

第67回 午前36(臨床化学)

生体内で炎症時に減少する蛋白質成分はどれか。

正答: ④トランスフェリン

ポイント
炎症や組織傷害に応じて血中濃度が上昇する蛋白を急性相反応物質(正の急性相蛋白)といい、C反応性蛋白(CRP)、α₁-アンチトリプシン、α₁-酸性糖蛋白、ハプトグロビン、フィブリノゲン、セルロプラスミンなどが含まれる。これに対し炎症時にむしろ低下する蛋白を負の急性相反応物質といい、トランスフェリン、アルブミン、トランスサイレチン(プレアルブミン)が代表である。本問ではトランスフェリンが減少する。
●正の急性相蛋白=CRP・α₁-アンチトリプシン・α₁-酸性糖蛋白・ハプトグロビン・フィブリノゲン・セルロプラスミン・血清アミロイドA。
●負の急性相蛋白=アルブミン・トランスフェリン・トランスサイレチン・レチノール結合蛋白。

選択肢ごとの解説

第67回 午前37(臨床化学)

ビリルビンの極大吸収波長〔nm〕はどれか。

正答: ③450

ポイント
ビリルビンは黄色の胆汁色素で、可視部の約450nm付近に極大吸収を示す。この吸収特性を利用し、新生児黄疸では経皮的・血中ビリルビン測定や、青色光(約450nm)でビリルビンを水溶性異性体に変える光線療法が行われる。波長と被測定物質の吸収特性の対応を把握しておく。
●約260nm=核酸(DNA・RNA)の極大吸収。
●約280nm=蛋白質(芳香族アミノ酸)の極大吸収。
●約340nm=還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)/NADPHの吸収。
●約450nm=ビリルビン。
●約540・575nm=オキシヘモグロビンの吸収帯。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臨床検査で用いる主要物質の極大吸収波長比較

物質極大吸収波長
核酸(DNA・RNA)約260nm
蛋白質(芳香族アミノ酸)約280nm
NAD(P)H約340nm
ビリルビン約450nm
ヘモグロビンソーレー帯 約410nm、可視部 約540/575nm

第67回 午前38(臨床化学)

細胞内液に含まれるイオン〔mEq/L〕で最も多いのはどれか。

正答: ③HPO₄²⁻

ポイント
細胞内液と細胞外液ではイオン組成が大きく異なる。細胞内液の主な陽イオンはカリウム(K⁺)とマグネシウム(Mg²⁺)、主な陰イオンはリン酸(HPO₄²⁻)と蛋白である。一方、細胞外液ではナトリウム(Na⁺)と塩化物(Cl⁻)、重炭酸(HCO₃⁻)が主体となる。選択肢のうち細胞内液で最も多いのはリン酸イオンである。
●細胞内液の主要陽イオン=K⁺・Mg²⁺。
●細胞内液の主要陰イオン=HPO₄²⁻(リン酸)・蛋白。
●細胞外液の主要陽イオン=Na⁺。
●細胞外液の主要陰イオン=Cl⁻・HCO₃⁻。

選択肢ごとの解説

第67回 午前39(臨床化学)

リポ蛋白の表面部に存在しているのはどれか。2つ選べ。

正答: ①レシチン・④遊離型コレステロール

ポイント
リポ蛋白は脂質と蛋白の球状複合体で、疎水性の強いトリグリセライドとエステル型コレステロールが内部(核)に、両親媒性のリン脂質(レシチン)・遊離型コレステロール・アポ蛋白が表面の単層を形成する。表面成分は親水基を血漿側に向けることで疎水性脂質を可溶化し運搬する。遊離脂肪酸はリポ蛋白を構成せず主にアルブミンと結合して運ばれる。
●リポ蛋白の表面=リン脂質(レシチン)・遊離型コレステロール・アポ蛋白。
●リポ蛋白の内部(核)=トリグリセライド・エステル型コレステロール。
●リポ蛋白の比重順(軽→重)=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。
●遊離脂肪酸の運搬=アルブミン。

選択肢ごとの解説

第67回 午前40(臨床化学)

中間比重リポ蛋白〈IDL〉の比重について正しいのはどれか。

正答: ③LDLとVLDLの中間

ポイント
リポ蛋白は超遠心法で比重により分類され、軽い順にカイロミクロン、超低比重リポ蛋白(VLDL)、中間比重リポ蛋白(IDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)となる。IDLはVLDLが代謝されてLDLになる中間段階の粒子で、比重はVLDLとLDLの間に位置する。比重が大きいほど蛋白含量が多く脂質含量が少ない。
●比重順(軽→重)=カイロミクロン<VLDL<IDL<LDL<HDL。
●粒子径順(大→小)=カイロミクロン>VLDL>IDL>LDL>HDL。
●主な脂質=カイロミクロン/VLDLはトリグリセライド主体、LDL/HDLはコレステロール主体。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主なリポ蛋白の分類(比重・脂質構成・アポ蛋白・蛋白含有量)

リポ蛋白比重の順序主なコア脂質主なアポ蛋白蛋白含有量(重量%)
カイロミクロン最小(最も軽い)外因性トリグリセライドB48・A1約2%(最小)
VLDLカイロミクロンの次に小さい内因性トリグリセライドB100・C・E約8%
IDLVLDLとLDLの中間トリグリセライド+コレステロールB100・C・E約12%
LDLIDLより大きい(比重1.019〜1.063)エステル型コレステロールB100約32%
HDL最大(最も重い)コレステロール・リン脂質A1・A2・C・E約50%(最大)
電気泳動での移動度は陽極側からHDL(α)>VLDL(preβ)>LDL(β)>原点(カイロミクロン)の順。アポA1はLCATを活性化、アポC2はLPLを活性化、アポC3はLPLを抑制、アポEはLDL受容体・レムナント受容体に認識される。LDL-コレステロールは日内変動が少なく、血清混濁はLDL自体ではなくトリグリセライド(カイロミクロン・VLDL)による。

第67回 午前41(臨床化学)

核酸を含まない細胞内小器官はどれか。

正答: ⑤ゴルジ〈Golgi〉装置

ポイント
核酸(DNA・RNA)を含む細胞内小器官には、DNAをもつ核とミトコンドリア、RNAをもつ核小体・リボソーム・粗面小胞体(リボソームが付着)などがある。ゴルジ(Golgi)装置は蛋白質の糖鎖修飾・選別・輸送・分泌を担う扁平な膜系で、核酸を含まない。各小器官の機能と構成成分を区別する必要がある。
●DNAを含む=核・ミトコンドリア。
●RNAを含む=核小体(rRNA合成)・リボソーム(rRNA)・粗面小胞体(付着リボソーム)。
●核酸を含まない=ゴルジ装置・滑面小胞体・リソソーム・ペルオキシソーム。

選択肢ごとの解説

第67回 午前42(臨床化学)

逸脱酵素でないのはどれか。

正答: ⑤ChE

ポイント
逸脱酵素は本来細胞内に局在し、細胞傷害により血中へ漏出して上昇する酵素で、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、乳酸脱水素酵素(LD)、クレアチンキナーゼ(CK)などが該当する。コリンエステラーゼ(ChE)は肝で合成され血中へ分泌される酵素であり、肝障害ではむしろ合成低下により低下する。したがって逸脱酵素ではない。
●逸脱酵素=AST・ALT・LD・CK・アルドラーゼ・酸性/アルカリホスファターゼ(一部)。
●肝で合成される蛋白=コリンエステラーゼや多くの凝固因子。凝固因子には、活性化により酵素となるものも含まれる。
●臓器特異性=CKは骨格筋・心筋・脳、ALTは肝、ASTは肝・心筋・骨格筋。

選択肢ごとの解説

第67回 午前43(臨床化学)

ビタミンDの25位を水酸化する臓器はどれか。

正答: ②肝臓

ポイント
ビタミンDは皮膚での合成や食事からの摂取の後、まず肝臓で25位が水酸化されて25-ヒドロキシビタミンDとなり、次いで腎臓の近位尿細管で1α位が水酸化されて活性型の1,25-ジヒドロキシビタミンDとなる。25位の水酸化は肝臓、1α位の水酸化は腎臓が担う点が代謝の要である。
●ビタミンD活性化の経路=皮膚/食事→肝(25位水酸化)→腎(1α位水酸化)→活性型1,25-(OH)2ビタミンD。
●1α-水酸化酵素を促進=パラトルモン(PTH)・低リン血症。
●活性型ビタミンDの作用=腸管でのカルシウム・リン吸収促進、骨吸収促進。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き

分類ビタミン化学名主な働き
脂溶性ビタミンAレチノール視覚(ロドプシン)・上皮の維持。RBP〈レチノール結合蛋白〉で運搬
脂溶性ビタミンDカルシフェロール腸管Ca・P吸収、骨形成。肝で25位、腎で1α位が水酸化され活性化
脂溶性ビタミンEトコフェロール抗酸化作用(生体膜の脂質を保護)
脂溶性ビタミンKフィロキノン/メナキノン血液凝固因子(第II・VII・IX・X因子)の生成
水溶性ビタミンB1チアミン糖代謝の補酵素(TPP)
水溶性ビタミンB2リボフラビン酸化還元の補酵素(FAD・FMN)
水溶性ナイアシンニコチン酸酸化還元の補酵素(NAD・NADP)
水溶性ビタミンB6ピリドキシンアミノ基転移酵素の補酵素(PLP)
水溶性ビタミンB12コバラミンDNA合成・造血(胃壁細胞の内因子と結合し回腸で吸収)
水溶性葉酸(フォラシン)DNA合成・造血
水溶性ビタミンCアスコルビン酸コラーゲン合成・抗酸化
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。

第67回 午前44(臨床化学)

カルシウムイオン50 mg/dLは何mEq/Lか。ただし、カルシウム原子量は40とする。

正答: ⑤25.0

ポイント
mEq/L(ミリ当量/リットル)は当量濃度で、mg/dLからは(mg/dL×10×イオン価数)÷原子量で換算する(×10はdLからLへの換算)。カルシウムは2価で原子量40なので、50mg/dL×10×2÷40=25mEq/Lとなる。電解質の濃度換算では原子量と価数の確認が必須である。
●換算式=mEq/L=(mg/dL×10×価数)÷原子量。
●1価イオン=Na⁺・K⁺・Cl⁻(当量=モル)。
●2価イオン=Ca²⁺・Mg²⁺(当量=モル×2)。
●参考=Ca²⁺ 20mg/Lで1mEq/L相当(原子量40÷価数2=当量20)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前45(病理組織細胞学)

パラフィン切片の伸展について正しいのはどれか。

正答: ①気泡の発生を防ぐ。

ポイント
パラフィン切片の伸展は、薄切で生じた切片のしわや折れ込みを温水(パラフィン融点よりやや低い温度の伸展槽)に浮かべて伸ばし、しわ・気泡のない平らな切片をスライドガラスに貼り付ける操作である。気泡やしわは観察の妨げや染色ムラの原因となるため、伸展により防ぐ。伸展後に乾燥・固着させる。
●薄切の流れ=粗削り→本削り(薄切)→伸展(温水)→スライド貼付→乾燥(パラフィン融解・固着)。
●伸展温水の温度=パラフィン融点よりやや低い(おおむね45℃前後)。
●伸展の目的=しわ・折れ・気泡の除去、密着の確保。

選択肢ごとの解説

第67回 午前46(病理組織細胞学)

銀液を使用するのはどれか。2つ選べ。

正答: ②Grimelius染色・④Masson-Fontana染色

ポイント
銀液(硝酸銀など)を用いる鍍銀染色には、好銀性細胞・神経内分泌顆粒を染めるGrimelius染色、メラニンや銀親和性物質を染めるMasson-Fontana染色、細網線維を染める鍍銀染色(渡辺法など)がある。いずれも銀イオンの還元・沈着を利用して黒褐色に発色させる。PAS染色は多糖類、Berlin blue染色は鉄、methyl green-pyronin染色は核酸を染め、銀液は用いない。
●鍍銀(銀液使用)染色=Grimelius・Masson-Fontana・細網線維鍍銀・Bodian(神経)・Grocott(真菌)。
●PAS=多糖類・糖蛋白(過ヨウ素酸シッフ反応)。
●Berlin blue=鉄(ヘモジデリン)。
●methyl green-pyronin=DNA(緑)とRNA(赤)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前47(病理組織細胞学)

肝臓の特殊染色標本を別に示す。染色はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA047.fcb7591a78.jpg
第67回 午前47 の図

正答: ①azan染色

ポイント
azan染色は膠原線維を青色、細胞質・筋線維・赤血球を赤色に染める結合組織染色で、肝臓では線維化の評価に用いられ門脈域や線維性隔壁が青く描出される。アゾカルミンとアニリン青を用いる二段染色である。Masson trichrome染色も膠原線維を青緑に染めるが、本図の染色像はazan染色に相当する。
●結合組織(膠原線維)染色=azan・Masson trichrome。
●弾性線維染色=Victoria blue・elastica van Gieson・Weigert。
●脂肪染色=oil red O・Sudan(凍結切片)。
●異染性染色=toluidine blue(肥満細胞・軟骨基質)。

選択肢ごとの解説

第67回 午前48(病理組織細胞学)

酵素抗体法について正しいのはどれか。

正答: ②ポリマー法は感度が高い。

ポイント
酵素抗体法(免疫組織化学)は抗原抗体反応に酵素標識(ペルオキシダーゼ等)を組み合わせ、発色基質により目的抗原を可視化する方法である。ポリマー法は二次抗体と多数の酵素分子を高分子担体に結合させるため感度が高く、内因性ビオチンによる非特異反応も避けられる。凍結切片でも実施でき、抗原賦活の加熱処理後は徐冷とし、内因性ペルオキシダーゼのブロッキングは発色前に行う。
●標識法の感度=直接法<間接法<標識ポリマー法/ABC法(高感度)。
●抗原賦活=加熱処理(オートクレーブ・電子レンジ)・酵素処理。
●内因性活性の除去=過酸化水素で内因性ペルオキシダーゼをブロック(発色前)。
●検出酵素=ペルオキシダーゼ・アルカリホスファターゼ。

選択肢ごとの解説

第67回 午前49(病理組織細胞学)

H-E染色標本を別に示す。この臓器はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA049.776b798ccd.jpg
第67回 午前49 の図

正答: ③甲状腺

ポイント
甲状腺はヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色で、コロイドを満たした大小さまざまな濾胞が単層の立方上皮で囲まれた特徴的な構造を示す。濾胞内のコロイド(サイログロブリン)は好酸性に均一に染まる。この濾胞構造が甲状腺の組織学的特徴で、他臓器との鑑別点となる。
●甲状腺=コロイドを満たす濾胞構造(濾胞上皮+傍濾胞細胞)。
●下垂体前葉=索状・胞巣状の内分泌細胞(好酸性・好塩基性・嫌色素性)。
●唾液腺=漿液腺房・粘液腺房と導管。
●膵臓=外分泌腺房とランゲルハンス島。
●副腎=皮質(球状・束状・網状帯)と髄質。

選択肢ごとの解説

第67回 午前50(病理組織細胞学)

圧迫萎縮を示すのはどれか。

正答: ④水腎症における腎実質の菲薄化

ポイント
圧迫萎縮は持続的な外力・内圧による圧迫で組織の血流障害や細胞減少が起こり萎縮する現象で、水腎症では尿の貯留による腎盂内圧の上昇で腎実質が圧迫され菲薄化する。これに対し廃用性萎縮(長期臥床の筋萎縮)、加齢に伴う萎縮(胸腺・骨)、栄養障害・悪液質による萎縮(末期癌の脂肪萎縮)は機序が異なる。
●圧迫萎縮=水腎症の腎実質菲薄化・腫瘍周囲組織の萎縮・動脈瘤による骨びらん。
●廃用(無為)性萎縮=長期臥床・ギプス固定による筋萎縮。
●加齢(生理的)萎縮=胸腺・性腺・脳の萎縮。
●内分泌性萎縮=下垂体機能低下による副腎・甲状腺萎縮。
●栄養障害性萎縮=悪液質・飢餓による脂肪・筋萎縮。

選択肢ごとの解説