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第67回(2021) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第67回 午前51(病理組織細胞学)
肝硬変症の合併症として適切でないのはどれか。
正答: ③肝腫大
ポイント 肝硬変は再生結節と線維化により肝組織が硬くなり、進行例では肝が萎縮・縮小して肝腫大はみられなくなる。門脈圧亢進から食道・胃静脈瘤、腹水、脾腫が生じ、肝細胞機能の低下で黄疸・低アルブミン血症・出血傾向をきたす。エストロゲンの肝での不活化障害により女性化乳房や手掌紅斑、クモ状血管腫が出現する。 ●門脈圧亢進による合併症=食道・胃静脈瘤・腹水・脾腫・側副血行路(メズサの頭)。 ●肝細胞機能低下による所見=黄疸・低アルブミン血症・出血傾向・肝性脳症(アンモニア上昇)。 ●エストロゲン代謝障害による所見=女性化乳房・手掌紅斑・クモ状血管腫。
選択肢ごとの解説
① 黄疸は肝細胞でのビリルビン処理・抱合能の低下により生じ、肝硬変の合併症として適切である。 ② 腹水は門脈圧亢進と低アルブミン血症が組み合わさって生じる肝硬変の代表的合併症である。 ③ 誤り。肝硬変では線維化と再生結節により肝が萎縮・縮小して硬くなるため、肝腫大は合併症として適切でない。 ④ 食道静脈瘤は門脈圧亢進による側副血行路の発達で生じ、破裂すると致死的な合併症となる。 ⑤ 女性化乳房は肝でのエストロゲン不活化障害による相対的高エストロゲン状態で生じる合併症である。
第67回 午前52(病理組織細胞学)
toluidine blue染色で異染色性を示すのはどれか。
①アミロイド ②コロイド ③セロイド ④ヘモジデリン ⑤リポフスチン
正答: ①アミロイド
ポイント 異染色性(メタクロマジー)とは、塩基性色素が酸性ムコ多糖などの高分子陰イオンと結合した部位で、色素本来の色とは異なる色調を呈する現象である。トルイジンブルーは青色色素だが、肥満細胞顆粒・軟骨基質・アミロイドなどを赤紫色に染めて異染性を示す。アミロイドはこの異染性に加え、コンゴ赤染色での偏光下黄緑色複屈折が診断的所見となる。 ●異染色性を示す物質=アミロイド・肥満細胞顆粒(ヘパリン)・軟骨基質・粘液(酸性ムコ多糖)。 ●アミロイドの証明=コンゴ赤(偏光下緑色複屈折)・ダイロン・トルイジンブルー。 ●色素沈着の鑑別=ヘモジデリン(ベルリン青陽性・鉄)・リポフスチン/セロイド(消耗性・脂質由来)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。アミロイドは酸性ムコ多糖様の性質をもち、トルイジンブルーで赤紫色の異染色性を示す。 ② コロイドは甲状腺濾胞内の蛋白成分で、トルイジンブルーで異染色性は示さない。 ③ セロイドは酸化変性した脂質由来の色素で、異染色性は示さない。 ④ ヘモジデリンは鉄を含む褐色色素でベルリン青染色に陽性となるが、異染色性は示さない。 ⑤ リポフスチンは加齢などに伴う消耗性色素で、トルイジンブルーによる異染色性は示さない。
第67回 午前53(病理組織細胞学)
肉芽腫を形成するのはどれか。
①アメーバ大腸炎 ②潰瘍性大腸炎 ③偽膜性腸炎 ④虚血性大腸炎 ⑤クローン〈Crohn〉病
正答: ⑤クローン〈Crohn〉病
ポイント 肉芽腫は類上皮細胞や多核巨細胞が結節状に集簇する慢性増殖性炎症で、結核・サルコイドーシス・クローン病などでみられる。クローン病は口腔から肛門までの全消化管に非連続性(skip lesion)の全層性炎症を起こし、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とする。潰瘍性大腸炎が粘膜・粘膜下層に限局する連続性病変で肉芽腫を作らない点が鑑別になる。 ●肉芽腫を形成する代表疾患=クローン病・結核(乾酪性)・サルコイドーシス(非乾酪性)・ハンセン病・異物肉芽腫。 ●炎症性腸疾患の鑑別=クローン病(全層性・非連続性・肉芽腫あり)/潰瘍性大腸炎(粘膜主体・連続性・肉芽腫なし・陰窩膿瘍)。 ●その他の大腸炎=アメーバ性(フラスコ状潰瘍)・偽膜性(C. difficile毒素)・虚血性(血流障害)。
選択肢ごとの解説
① アメーバ大腸炎は赤痢アメーバによるフラスコ状潰瘍を形成し、肉芽腫は特徴としない。 ② 潰瘍性大腸炎は粘膜に限局する連続性のびまん性炎症で、肉芽腫は形成しない。 ③ 偽膜性腸炎はClostridioides difficileの毒素による偽膜形成が特徴で、肉芽腫は形成しない。 ④ 虚血性大腸炎は血流障害による粘膜の壊死・潰瘍を主体とし、肉芽腫は形成しない。 ⑤ 正しい。クローン病は全層性炎症と非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とし、肉芽腫を形成する。
第67回 午前54(病理組織細胞学)
脱灰処理について正しいのはどれか。
①脱脂操作前に行う。 ②中性脱灰液では炭酸ガスが発生する。 ③EDTA脱灰法は抗原性の保持が悪い。 ④振盪器を用いると脱灰時間が短縮される。 ⑤プランク・リクロ〈Plank-Rychlo〉法は40 ℃で行う。
正答: ④振盪器を用いると脱灰時間が短縮される。
ポイント 脱灰は骨や石灰化組織からカルシウムを除去して薄切を可能にする操作で、固定後・脱脂後に行う。酸脱灰法(塩酸・硝酸・ギ酸など)は速いが抗原性やDNAを損ないやすく、EDTAによるキレート脱灰法は緩徐だが組織や抗原性・核酸の保持に優れる。脱灰の進行は振盪や軽度の加温で促進されるが、過度の加温は組織を傷めるため避ける。 ●脱灰法の分類=酸脱灰法(塩酸・硝酸・ギ酸/速いが組織・抗原損傷)/キレート脱灰法(EDTA/緩徐で保存性良好)。 ●強酸脱灰法=プランク・リクロ法(塩酸・ギ酸・塩化アルミニウム/常温〜低温・短時間)。 ●脱灰促進と判定=振盪・軽度加温で促進、終点判定はシュウ酸アンモニウム法・X線・物理的触診。
選択肢ごとの解説
① 脱灰は脱脂操作の後に行うのが一般的で、脂肪が残ると脱灰液の浸透が妨げられるため誤りである。 ② 炭酸ガスが発生するのは炭酸塩を含む組織に酸脱灰液を作用させた場合で、中性脱灰液(EDTAなど)ではガスは発生しないため誤りである。 ③ EDTA脱灰法は緩徐に作用するため抗原性やDNAの保持が良好で、保持が悪いとする記述は誤りである。 ④ 正しい。振盪器を用いると脱灰液の対流が促進され、脱灰時間が短縮される。 ⑤ プランク・リクロ法は強酸脱灰法で常温〜低温で行い、40℃の加温は組織損傷を招くため不適で誤りである。
第67回 午前55(病理組織細胞学)
喀痰細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。出現している細胞はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA055.b0f575071f.jpg
①肺胞組織球 ②気管支上皮細胞 ③腺癌細胞 ④小細胞癌細胞 ⑤扁平上皮癌細胞
正答: ④小細胞癌細胞
ポイント 小細胞癌は神経内分泌系の悪性腫瘍で、喀痰細胞診ではクロマチンが濃く核小体が目立たない裸核様の小型細胞が、相互に圧排し合う木目込み細工様(molding)の配列を示す。N/C比が極めて高く細胞質はほとんど認められず、壊死を背景に挫滅した核がみられることも多い。腺癌や扁平上皮癌に比べて細胞が小型で結合性に乏しく、配列の特徴が鑑別点となる。 ●肺癌の細胞像=小細胞癌(裸核様・molding・核小体目立たず)/腺癌(細胞質豊富・明瞭な核小体・乳頭状集塊)/扁平上皮癌(オレンジ好性角化・奇怪な核形)。 ●喀痰中の良性細胞=肺胞組織球(マクロファージ)・気管支線毛上皮細胞・扁平上皮細胞。 ●神経内分泌腫瘍=小細胞癌・カルチノイド(クロモグラニンA・シナプトフィジン陽性)。
選択肢ごとの解説
① 肺胞組織球は良性のマクロファージで、淡く豊富な細胞質と類円形の核を持ち悪性所見を欠く。 ② 気管支上皮細胞は線毛や端板を有する円柱状の良性細胞で、悪性の核所見を示さない。 ③ 腺癌細胞は細胞質が豊富で核小体が明瞭、腺腔様・乳頭状の集塊を作ることが多い。 ④ 小細胞癌細胞は核小体に乏しく裸核様で、木目込み様(molding)に配列し、本所見に合致する。 ⑤ 扁平上皮癌細胞はオレンジ好性の角化した細胞質や奇怪な核形を示し、小細胞癌とは異なる。
📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。
第67回 午前56(病理組織細胞学)
炎症の四主徴に含まれないのはどれか。
正答: ①潰瘍
ポイント 炎症の四主徴(ケルススの四徴)は発赤・腫脹・発熱(熱感)・疼痛であり、後にガレヌスが機能障害を加えて五徴とした。発赤と熱感は血管拡張による血流増加、腫脹は血漿成分の滲出、疼痛は起炎物質による神経刺激や腫脹による圧迫で生じる。潰瘍は組織の欠損であり、主徴には含まれない。 ●炎症の四主徴(ケルスス)=発赤・腫脹・発熱(熱感)・疼痛。 ●五主徴(ガレヌス追加)=上記+機能障害。 ●炎症の組織反応=充血・滲出(漿液性・線維素性・化膿性)・組織球浸潤・修復(肉芽組織)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。潰瘍は組織の欠損であり、炎症の四主徴には含まれない。 ② 腫脹は血漿成分の滲出による組織の膨張で、四主徴に含まれる。 ③ 疼痛は起炎物質や腫脹による神経刺激で生じ、四主徴に含まれる。 ④ 発熱(熱感)は局所の血管拡張と血流増加によるもので、四主徴に含まれる。 ⑤ 発赤は血管拡張と血流増加によるもので、四主徴に含まれる。
第67回 午前57(病理組織細胞学)
我が国において最も頻度の高い悪性リンパ腫はどれか。
①濾胞性リンパ腫 ②Burkittリンパ腫 ③Hodgkinリンパ腫 ④マントル細胞リンパ腫 ⑤びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
正答: ⑤びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
ポイント 悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられ、日本では非ホジキンが大半を占める。非ホジキンのうち最も頻度が高いのがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で、大型のB細胞がびまん性に増殖する中悪性度(高悪性度)のリンパ腫である。次いで濾胞性リンパ腫が多く、欧米に比べホジキンリンパ腫の頻度は低い。 ●B細胞リンパ腫=DLBCL(最多)・濾胞性(t(14;18)・BCL2)・マントル細胞(t(11;14)・cyclin D1)・Burkitt(t(8;14)・c-myc)・MALT。 ●T/NK細胞リンパ腫=成人T細胞白血病リンパ腫(HTLV-1)・末梢性T細胞リンパ腫・NK/T細胞リンパ腫。 ●ホジキンリンパ腫=Reed-Sternberg細胞(CD15・CD30陽性)・日本では比較的少ない。
選択肢ごとの解説
① 濾胞性リンパ腫は低悪性度B細胞リンパ腫で日本でも比較的多いが、最多ではない。 ② Burkittリンパ腫はc-myc転座を伴う高悪性度リンパ腫で、頻度は低い。 ③ Hodgkinリンパ腫はReed-Sternberg細胞を特徴とするが、日本では欧米より頻度が低い。 ④ マントル細胞リンパ腫はcyclin D1陽性のB細胞リンパ腫で、頻度は高くない。 ⑤ 正しい。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は日本で最も頻度の高い悪性リンパ腫である。
📋 まとめの表を見る:悪性リンパ腫の分類とわが国での頻度
第67回 午前58(病理組織細胞学)
神経組織の染色に用いないのはどれか。
①Bodian染色 ②Klüver-Barrera染色 ③Nissl染色 ④orcein染色 ⑤PTAH染色
正答: ④orcein染色
ポイント 神経組織の染色には、軸索・神経原線維を染めるボディアン法(鍍銀法)、髄鞘を染めるクリューバー・バレラ法(ルクソールファストブルー)、ニッスル小体(粗面小胞体)を染めるニッスル法、神経膠線維や横紋筋を染めるPTAH(リンタングステン酸ヘマトキシリン)などがある。オルセイン染色は弾性線維やB型肝炎ウイルス表面抗原(HBs抗原)を染める染色で、神経組織には用いない。 ●神経組織の染色=ボディアン/ビールショフスキー(軸索)・クリューバー・バレラ(髄鞘)・ニッスル(ニッスル小体)・PTAH/ホルツァー(グリア線維)。 ●弾性線維の染色=オルセイン・ワイゲルト・エラスチカ・ワン・ギーソン(EVG)。 ●オルセインの用途=弾性線維・HBs抗原・銅結合蛋白の証明。
選択肢ごとの解説
① ボディアン染色は鍍銀法で神経軸索や神経原線維を染め、神経組織に用いる。 ② クリューバー・バレラ染色(ルクソールファストブルー)は髄鞘を染め、神経組織に用いる。 ③ ニッスル染色はニューロンのニッスル小体を染め、神経組織に用いる。 ④ 誤り。オルセイン染色は弾性線維やHBs抗原の証明に用いる染色で、神経組織の染色には用いない。 ⑤ PTAH染色はグリア線維や横紋筋の横紋などを染め、神経組織にも用いられる。
第67回 午前59(臨床血液学)
基準範囲に性差を認める血算項目はどれか。2つ選べ。
①赤血球数〈RBC〉 ②網赤血球比率〈Ret〉 ③平均赤血球容積〈MCV〉 ④ヘモグロビン濃度〈Hb〉 ⑤平均赤血球ヘモグロビン濃度〈MCHC〉
正答: ①赤血球数〈RBC〉・④ヘモグロビン濃度〈Hb〉
ポイント 血算項目のうち、男性ではテストステロンによるエリスロポエチン産生促進などにより赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリットが女性より高く、基準範囲に明確な性差がある。月経による鉄喪失も女性で低値となる一因である。一方、網赤血球比率や赤血球指数(MCV・MCHC)には明らかな性差を認めない。 ●性差を認める血算項目=赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット。 ●性差が明らかでない項目=網赤血球比率・MCV・MCH・MCHC・白血球数・血小板数。 ●赤血球指数の算出=MCV=Ht/RBC、MCH=Hb/RBC、MCHC=Hb/Ht。
選択肢ごとの解説
① 正しい。赤血球数は男性で高く女性で低い性差があり、基準範囲に性差を認める。 ② 網赤血球比率は赤血球産生の指標で、基準範囲に明らかな性差は認めない。 ③ 平均赤血球容積は赤血球1個あたりの容積で、性差は明らかでない。 ④ 正しい。ヘモグロビン濃度は男性で高く女性で低い性差があり、基準範囲に性差を認める。 ⑤ 平均赤血球ヘモグロビン濃度は赤血球内のヘモグロビン濃度で、性差は明らかでない。
📋 まとめの表を見る:血算〈CBC〉項目における性差の有無
RBC・Hb・Htの性差は成人でみられ、乳幼児や高齢者では小さくなる。MCV・MCH・MCHCは成人では大きな性差を示さない一方、年齢による変化がある。特に新生児期のMCVは高く、乳幼児期の基準値は成人と異なる。
第67回 午前60(臨床血液学)
発作性夜間ヘモグロビン尿症〈PNH〉の診断に用いられる抗体はどれか。
①抗CD4 ②抗CD19 ③抗CD34 ④抗CD45 ⑤抗CD59
正答: ⑤抗CD59
ポイント 発作性夜間ヘモグロビン尿症はPIGA遺伝子の体細胞変異によりGPIアンカーが合成できず、補体制御蛋白であるCD55(DAF)とCD59(MIRL)が血球膜上に発現できなくなる後天性造血幹細胞疾患である。補体による血管内溶血が起こり、フローサイトメトリでCD55・CD59欠損血球を検出して診断する。慢性溶血・血栓症・骨髄不全を特徴とする。 ●PNHで欠損するGPIアンカー型蛋白=CD55(DAF)・CD59(MIRL)。 ●PNHの検査=フローサイトメトリ(CD55/CD59欠損)・FLAER・Ham試験・砂糖水試験。 ●CDマーカーの系統=CD4(ヘルパーT)・CD19(B細胞)・CD34(造血幹細胞)・CD45(白血球共通抗原)。
選択肢ごとの解説
① 抗CD4はヘルパーT細胞のマーカーで、PNHの診断には用いない。 ② 抗CD19はB細胞のマーカーで、PNHの診断には用いない。 ③ 抗CD34は造血幹細胞のマーカーで、PNHの診断には用いない。 ④ 抗CD45は白血球共通抗原のマーカーで、PNHの診断には用いない。 ⑤ 正しい。抗CD59はGPIアンカー型補体制御蛋白を検出し、PNHでの欠損証明に用いられる。
📋 まとめの表を見る:発作性夜間ヘモグロビン尿症〈PNH〉の病態と検査所見
📋 まとめの表を見る:主な白血病・骨髄腫の細胞表面マーカー(CD抗原)パターン
CD5は本来T細胞抗原だが、CLLでは腫瘍性B細胞に共発現する。軽鎖(κ/λ)の偏り(軽鎖制限)もB細胞腫瘍性増殖の指標となる。
第67回 午前61(臨床血液学)
血漿鉄消失時間の測定結果を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA061.2e0e7c8388.jpg
①鉄欠乏性貧血 ②巨赤芽球性貧血 ③再生不良性貧血 ④二次性赤血球増加症 ⑤自己免疫性溶血性貧血
正答: ③再生不良性貧血
ポイント 血漿鉄消失時間(PIDT)は放射性鉄(Fe-59)を用いる鉄動態検査で、注入した鉄が血漿から造血組織へ取り込まれる速さを反映する。骨髄での赤血球造血が亢進すると鉄消失は速まり、造血が低下すると遅延(延長)する。再生不良性貧血では骨髄低形成により赤血球産生が著しく低下するため鉄の取り込みが乏しく、血漿鉄消失時間が延長する。 ●血漿鉄消失時間が延長(造血低下)=再生不良性貧血。 ●血漿鉄消失時間が短縮(造血亢進・鉄需要増大)=鉄欠乏性貧血・溶血性貧血・赤血球増加症。 ●鉄動態検査の指標=血漿鉄消失時間・鉄利用率・赤血球鉄交代率。
選択肢ごとの解説
① 鉄欠乏性貧血では鉄需要が高く造血が代償的に亢進するため、血漿鉄消失はむしろ速まり延長しない。 ② 巨赤芽球性貧血では無効造血はあるが骨髄は過形成で鉄取り込みは比較的保たれ、典型像とは異なる。 ③ 正しい。再生不良性貧血では骨髄低形成により赤血球造血が低下し、血漿鉄消失時間が延長する。 ④ 二次性赤血球増加症では造血が亢進しており、鉄消失はむしろ速まる。 ⑤ 自己免疫性溶血性貧血では溶血に対し骨髄造血が亢進するため、鉄消失は遅延しない。
第67回 午前62(臨床血液学)
透過光を用いた血小板凝集能測定の方法について誤っているのはどれか。
①空腹時に採血する。 ②EDTA加血漿を使用する。 ③多血小板血漿の血小板数を確認する。 ④血小板が凝集すると光透過度が増加する。 ⑤凝集惹起物質にアデノシン二リン酸〈ADP〉を用いる。
正答: ②EDTA加血漿を使用する。
ポイント 透過光法(比濁法、Bornの方法)による血小板凝集能測定では、多血小板血漿に凝集惹起物質を加え、血小板が凝集して大きな塊になり懸濁が薄まることで光透過度が上昇するのを測定する。カルシウムイオンが凝集に必要なため抗凝固にはクエン酸ナトリウムを用い、カルシウムを恒久的にキレート除去するEDTAは使用しない。検体は薬剤や食事の影響を避けるため空腹時に採取する。 ●凝集惹起物質=ADP・コラーゲン・エピネフリン・リストセチン(vWF依存)・アラキドン酸。 ●測定法=透過光法(比濁法/多血小板血漿)・全血インピーダンス法。 ●凝集異常の疾患=血小板無力症(GPIIb/IIIa欠損)・Bernard-Soulier症候群(GPIb欠損・リストセチン凝集低下)・von Willebrand病。
選択肢ごとの解説
① 脂質や薬剤の影響を避けるため空腹時採血が望ましく、正しい記述である。 ② 誤り。EDTAはカルシウムを強くキレートして血小板凝集を妨げるため使用できず、抗凝固にはクエン酸ナトリウムを用いる。 ③ 凝集能は血小板数に依存するため、多血小板血漿の血小板数を確認するのは正しい。 ④ 血小板が凝集すると懸濁が薄まり光透過度が増加するのは正しい原理である。 ⑤ ADPは生理的な凝集惹起物質として用いられ、正しい記述である。
第67回 午前63(臨床血液学)
表面抗原と細胞の組合せで誤っているのはどれか。
①CD2 — 形質細胞 ②CD3 — T細胞 ③CD13 — 好中球 ④CD34 — 造血幹細胞 ⑤CD61 — 血小板
正答: ①CD2 — 形質細胞
ポイント CD抗原は白血球などの細胞表面分化抗原で、細胞系統の推定に用いられる。CD2はT細胞やNK細胞に発現する抗原で、形質細胞のマーカーはCD38やCD138である。CD3はT細胞、CD13は骨髄球系(好中球・単球)、CD34は造血幹細胞、CD61は血小板・巨核球のマーカーである。 ●T細胞系=CD2・CD3・CD4・CD5・CD7・CD8。 ●B細胞・形質細胞系=CD19・CD20・CD79a/形質細胞=CD38・CD138。 ●骨髄球系=CD13・CD33/幹細胞=CD34/血小板・巨核球=CD41・CD61。
選択肢ごとの解説
① 誤り。CD2はT細胞・NK細胞のマーカーであり、形質細胞のマーカー(CD38・CD138)ではないため組合せは誤りである。 ② CD3はT細胞受容体複合体を構成しT細胞のマーカーで、組合せは正しい。 ③ CD13は骨髄系細胞に発現し好中球のマーカーとして正しい。 ④ CD34は造血幹・前駆細胞のマーカーで、組合せは正しい。 ⑤ CD61は糖蛋白IIIaで血小板・巨核球のマーカーとして正しい。
📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞
第67回 午前64(臨床血液学)
血球とその形態の特徴との組合せで誤っているのはどれか。
①単球 — 核小体 ②好中球 — drumstick〈太鼓のばち〉 ③好酸球 — ペルオキシダーゼ反応陽性 ④形質細胞 — 核周明庭 ⑤骨髄芽球 — 核と細胞質の面積比〈N/C比〉が高い
正答: ①単球 — 核小体
ポイント 血球形態の特徴として、好中球の核に付属するドラムスティック(太鼓のばち)は女性の不活性化X染色体(Barr小体)を反映する付属物である。好酸球はペルオキシダーゼ陽性顆粒をもち、形質細胞は核の偏在とゴルジ装置に相当する核周明庭(perinuclear halo)を示す。芽球はN/C比が高い。単球は豊富な灰青色の細胞質と切れ込んだ核をもつが、核小体が明瞭に目立つことは特徴とされない。 ●核の付属物=ドラムスティック(女性好中球・Barr小体)。 ●ペルオキシダーゼ陽性=好中球・好酸球・単球(弱)/陰性=リンパ球・赤芽球。 ●形質細胞の特徴=核偏在・車軸状クロマチン・核周明庭・好塩基性細胞質。
選択肢ごとの解説
① 誤り。単球は豊富な灰青色の細胞質と切れ込んだ核を特徴とし、核小体が目立つことは特徴とされないため組合せは誤りである。 ② ドラムスティックは女性の好中球にみられる不活性化X染色体由来の付属物で、組合せは正しい。 ③ 好酸球はペルオキシダーゼ陽性顆粒を有し、組合せは正しい。 ④ 形質細胞はゴルジ装置に相当する核周明庭(perinuclear halo)を示し、組合せは正しい。 ⑤ 骨髄芽球は核が大きく細胞質が乏しくN/C比が高いので、組合せは正しい。
📋 まとめの表を見る:血球の核・細胞質にみられる特徴的所見
第67回 午前65(臨床血液学)
自己免疫性溶血性貧血で高値を示すのはどれか。2つ選べ。
①フェリチン ②網赤血球数 ③間接ビリルビン ④ハプトグロビン ⑤総鉄結合能〈TIBC〉
正答: ②網赤血球数・③間接ビリルビン
ポイント 自己免疫性溶血性貧血は赤血球膜に結合した自己抗体により溶血が起こる疾患で、直接クームス試験が陽性となる。溶血により赤血球が破壊されると間接(非抱合型)ビリルビンが上昇し、骨髄では代償性に造血が亢進して網赤血球が増加する。遊離ヘモグロビンと結合するハプトグロビンは消費されて低下し、乳酸脱水素酵素(LDH)は上昇する。 ●溶血で上昇=間接ビリルビン・LDH・網赤血球・血清鉄。 ●溶血で低下=ハプトグロビン。 ●溶血性貧血の分類=自己免疫性(温式・冷式・直接クームス陽性)・遺伝性球状赤血球症・PNH・酵素異常(G6PD欠損)・サラセミア。
選択肢ごとの解説
① フェリチンは鉄貯蔵を反映し、自己免疫性溶血性貧血で特異的に高値を示すものではない。 ② 正しい。溶血に対する代償性造血亢進により網赤血球数が増加し、高値を示す。 ③ 正しい。赤血球破壊により間接ビリルビンが増加し、高値を示す。 ④ ハプトグロビンは遊離ヘモグロビンと結合して消費され、溶血では低下する。 ⑤ 総鉄結合能はトランスフェリンを反映し、自己免疫性溶血性貧血で特に高値を示すものではない。
📋 まとめの表を見る:溶血性貧血の鑑別所見
自己免疫性溶血性貧血では直接クームス試験が陽性となる。
第67回 午前66(臨床血液学)
広範な皮下出血とAPTT延長が認められたのでAPTTの交差混合試験を実施した。結果を表に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA066.f6800d9d1b.jpg
①後天性血友病A ②ビタミンK欠乏症 ③von Willebrand病 ④アレルギー性紫斑病 ⑤播種性血管内凝固〈DIC〉
正答: ①後天性血友病A
ポイント クロスミキシング試験は患者血漿と正常血漿を種々の比率で混合し、凝固時間の補正の有無で凝固因子欠乏型かインヒビター型かを判別する検査である。混和直後は補正されても37℃で2時間加温後に再延長する(上に凸の曲線、インヒビターパターン)場合は、時間・温度依存性の第VIII因子インヒビターを示唆する。後天性血友病Aは抗第VIII因子自己抗体により広範な皮下出血とAPTT延長をきたす代表疾患である。 ●交差混合試験の判定=補正あり(下に凸)=因子欠乏型/補正なし・加温後再延長(上に凸)=インヒビター型。 ●第VIII因子インヒビター=後天性血友病A(時間・温度依存性)。 ●即時型インヒビター=ループスアンチコアグラント。 ●APTT延長をきたす欠乏型=血友病A・B・von Willebrand病・ビタミンK欠乏・DIC。
選択肢ごとの解説
① 正しい。加温後に再延長するインヒビターパターンは第VIII因子インヒビターを示唆し、後天性血友病Aに合致する。 ② ビタミンK欠乏症は因子欠乏型で正常血漿混合により補正され、加温後の再延長は示さない。 ③ von Willebrand病は因子欠乏型でAPTTは延長しうるが、混合で補正され加温後再延長は示さない。 ④ アレルギー性紫斑病は血管性病変で凝固時間の延長やインヒビターパターンは示さない。 ⑤ 播種性血管内凝固は消費性凝固障害で混合により補正され、時間依存性のインヒビターパターンは示さない。
第67回 午前67(臨床血液学)
末梢血のWright-Giemsa染色標本とエステラーゼ二重染色標本を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA067.4b4d532a92.jpg
①急性赤白血病 ②急性単球性白血病 ③急性巨核芽球性白血病 ④急性前骨髄球性白血病 ⑤急性リンパ芽球性白血病
正答: ②急性単球性白血病
ポイント 急性単球性白血病(AML-M5)は単球系芽球が増殖する白血病で、エステラーゼ二重染色では非特異的エステラーゼ(α-ナフチルブチレートエステラーゼなど)が陽性となり、フッ化ナトリウムで阻害される点が特徴である。芽球は豊富な細胞質と切れ込んだ核を示す。一方、特異的エステラーゼ(ナフトールASDクロロアセテートエステラーゼ)は顆粒球系に陽性で、二重染色により単球系と顆粒球系を染め分けて鑑別できる。 ●非特異的エステラーゼ陽性(NaF阻害)=単球系(急性単球性白血病)。 ●特異的(クロロアセテート)エステラーゼ陽性=顆粒球系。 ●白血病の細胞化学=MPO陽性(骨髄系・前骨髄球性のAuer小体束)/PAS陽性(ALL)/TdT陽性(リンパ芽球)。
選択肢ごとの解説
① 急性赤白血病は赤芽球系の異常増殖が主体で、非特異的エステラーゼ陽性の単球系芽球像とは異なる。 ② 正しい。非特異的エステラーゼ陽性(NaFで阻害)の単球系芽球の所見は急性単球性白血病に合致する。 ③ 急性巨核芽球性白血病は血小板系のCD41・CD61陽性芽球が特徴で、本エステラーゼ像とは異なる。 ④ 急性前骨髄球性白血病はAuer小体束(faggot細胞)やMPO強陽性が特徴で、本像とは異なる。 ⑤ 急性リンパ芽球性白血病はミエロペルオキシダーゼ・エステラーゼ陰性が原則で、本像とは異なる。
📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉のFAB分類と特徴
急性リンパ性白血病(ALL)はMPO陰性(3%未満)で鑑別する。染色体異常・融合遺伝子は既存の『白血病の染色体異常と融合遺伝子』表を参照。
第67回 午前68(臨床微生物学)
原核生物の特徴で正しいのはどれか。
①核膜を有する。 ②有糸分裂する。 ③環状の染色体を有する。 ④ミトコンドリアを有する。 ⑤細胞壁はセルロースからなる。
正答: ③環状の染色体を有する。
ポイント 原核生物(細菌など)は核膜を欠き、環状の染色体DNAが核様体として細胞質内に裸で存在する。ミトコンドリアや小胞体などの膜系細胞小器官を持たず、分裂は二分裂で行い紡錘体を形成する有糸分裂はしない。細菌の細胞壁はペプチドグリカンを主成分とし、セルロース壁を持つ植物細胞(真核生物)とは異なる。 ●原核生物の特徴=核膜なし・環状DNA・膜系小器官なし・二分裂・ペプチドグリカン細胞壁・70Sリボソーム。 ●真核生物の特徴=核膜あり・線状DNA・ミトコンドリア/小胞体あり・有糸分裂・80Sリボソーム。 ●細胞壁の成分=細菌(ペプチドグリカン)・真菌(β-グルカン・キチン)・植物(セルロース)。
選択肢ごとの解説
① 原核生物は核膜を持たず、染色体は細胞質内に存在するため誤りである。 ② 原核生物は二分裂で増殖し、紡錘体を形成する有糸分裂は行わないため誤りである。 ③ 正しい。原核生物の染色体は環状DNAで、核様体として細胞質内に存在する。 ④ ミトコンドリアは真核生物の細胞小器官で、原核生物は持たないため誤りである。 ⑤ 細菌の細胞壁はペプチドグリカンからなり、セルロースは植物細胞壁の成分であるため誤りである。
第67回 午前69(臨床微生物学)
選択物質として胆汁酸塩を含む培地はどれか。2つ選べ。
①SS寒天培地 ②CCFA寒天培地 ③TCBS寒天培地 ④セレナイト培地 ⑤Skirrow寒天培地
正答: ①SS寒天培地・③TCBS寒天培地
ポイント 胆汁酸塩は腸内細菌を選択的に発育させ、グラム陽性菌など非腸管細菌の発育を抑制する選択剤として用いられる。SS(Salmonella-Shigella)寒天培地は胆汁酸塩を含みサルモネラ・赤痢菌の分離に用い、TCBS寒天培地はビブリオ分離用で胆汁(オクスゴール)を含む。CCFAはClostridioides difficile用、セレナイト培地はサルモネラ増菌用、SkirrowはCampylobacter用である。 ●胆汁酸塩を含む選択培地=SS寒天・TCBS寒天・マッコンキー・DHL寒天。 ●抗菌薬を選択剤とする培地=CCFA(C. difficile)・Skirrow(Campylobacter)。 ●増菌培地=セレナイト・テトラチオン酸塩(サルモネラ)・アルカリペプトン水(ビブリオ)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。SS寒天培地は胆汁酸塩を含み、サルモネラ・赤痢菌の選択分離に用いる。 ② CCFA寒天培地はセフォキシチン・サイクロセリンを選択剤とするC. difficile培地で、胆汁酸塩は主たる選択剤ではない。 ③ 正しい。TCBS寒天培地はビブリオ用で胆汁(オクスゴール)を含み、胆汁成分を選択剤として利用する。 ④ セレナイト培地は亜セレン酸塩を選択剤とするサルモネラ増菌培地で、胆汁酸塩は含まない。 ⑤ Skirrow寒天培地は抗菌薬を選択剤とするカンピロバクター用培地で、胆汁酸塩は含まない。
第67回 午前70(臨床微生物学)
細胞壁合成阻害薬はどれか。
①コリスチン ②ゲンタマイシン ③バンコマイシン ④レボフロキサシン ⑤クロラムフェニコール
正答: ③バンコマイシン
ポイント 細胞壁合成阻害薬はペプチドグリカン合成を阻害する薬剤で、βラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)やグリコペプチド系(バンコマイシン・テイコプラニン)が代表である。バンコマイシンはペプチドグリカン前駆体のD-Ala-D-Alaに結合して架橋を阻害し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などのグラム陽性菌に有効である。アミノグリコシド・キノロン・クロラムフェニコールは蛋白合成や核酸合成を阻害する。 ●細胞壁合成阻害=βラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)・グリコペプチド系(バンコマイシン)・ホスホマイシン。 ●蛋白合成阻害=アミノグリコシド・テトラサイクリン・マクロライド・クロラムフェニコール。 ●核酸合成阻害=キノロン(DNAジャイレース)・リファンピシン。 ●細胞膜傷害=ポリミキシン(コリスチン)・ダプトマイシン。
選択肢ごとの解説
① コリスチンはポリミキシン系で細胞膜に作用し、細胞壁合成阻害薬ではない。 ② ゲンタマイシンはアミノグリコシド系で30Sリボソームに作用する蛋白合成阻害薬である。 ③ 正しい。バンコマイシンはペプチドグリカン前駆体に結合して細胞壁合成を阻害する。 ④ レボフロキサシンはニューキノロン系でDNAジャイレースを阻害する核酸合成阻害薬である。 ⑤ クロラムフェニコールは50Sリボソームに作用する蛋白合成阻害薬である。
第67回 午前71(臨床微生物学)
芽胞を有するのはどれか。
①Acinetobacter baumannii ②Clostridioides difficile ③Escherichia coli ④Haemophilus influenzae ⑤Klebsiella pneumoniae
正答: ②Clostridioides difficile
ポイント 芽胞(内生胞子)は環境ストレスに耐える休眠型で、グラム陽性桿菌のBacillus属とClostridium/Clostridioides属が形成する。Clostridioides difficileは芽胞を形成するため消毒用エタノールに抵抗性を示し、芽胞は熱・乾燥・消毒薬に強く長期間生存する。他の選択肢はいずれもグラム陰性桿菌で芽胞を形成しない。 ●芽胞形成菌=Bacillus属(好気性)・Clostridium/Clostridioides属(嫌気性、破傷風・ボツリヌス・ウェルシュ・ディフィシル)。 ●芽胞の抵抗性=熱・乾燥・消毒薬・紫外線に強く、滅菌(オートクレーブ)を要する。 ●選択肢の菌の分類=Acinetobacter・E. coli・Haemophilus・Klebsiellaはいずれもグラム陰性桿菌で無芽胞。
選択肢ごとの解説
① Acinetobacter baumanniiはグラム陰性桿菌で芽胞を形成しない。 ② 正しい。Clostridioides difficileはグラム陽性桿菌で芽胞を形成し、環境抵抗性を示す。 ③ Escherichia coliはグラム陰性桿菌で芽胞を形成しない。 ④ Haemophilus influenzaeはグラム陰性桿菌で芽胞を形成しない。 ⑤ Klebsiella pneumoniaeはグラム陰性桿菌で芽胞を形成しない。
📋 まとめの表を見る:代表的な偏性嫌気性菌の性状(Clostridium属・Bacteroides fragilis)
第67回 午前72(臨床微生物学)
血中濃度モニタリングが必要な抗菌薬はどれか。
①ペニシリンG ②バンコマイシン ③エリスロマイシン ④テトラサイクリン ⑤レボフロキサシン
正答: ②バンコマイシン
ポイント 治療薬物モニタリング(TDM)は治療域が狭く毒性の強い薬物で行い、抗菌薬ではバンコマイシン(腎毒性・聴器毒性)、アミノグリコシド、テイコプラニンなどが対象となる。バンコマイシンはトラフ値や曲線下面積(AUC)を指標に投与量を調整し、有効性の確保と腎障害の回避を図る。ペニシリン・キノロン・マクロライド・テトラサイクリンは安全域が広く通常TDMの対象とならない。 ●TDM対象の抗菌薬=バンコマイシン・テイコプラニン・アミノグリコシド(ゲンタマイシン・アミカシン)・ボリコナゾール。 ●TDM対象の他薬剤=ジゴキシン・テオフィリン・抗てんかん薬・リチウム・免疫抑制薬(タクロリムス)。 ●TDMの指標=トラフ値・ピーク値・AUC。
選択肢ごとの解説
① ペニシリンGは安全域が広く、通常は血中濃度モニタリングを要しない。 ② 正しい。バンコマイシンは腎毒性などのため血中濃度モニタリング(TDM)が必要である。 ③ エリスロマイシンはマクロライド系で通常TDMの対象とならない。 ④ テトラサイクリンは通常TDMの対象とならない。 ⑤ レボフロキサシンはキノロン系で通常TDMの対象とならない。
第67回 午前73(臨床微生物学)
消毒用エタノールに抵抗性を示すのはどれか。2つ選べ。
①ノロウイルス ②Candida albicans ③Clostridioides difficile ④Pseudomonas aeruginosa ⑤Staphylococcus aureus
正答: ①ノロウイルス・③Clostridioides difficile
ポイント 消毒用エタノールはエンベロープを持つウイルス・栄養型細菌・真菌に有効だが、エンベロープを持たないノロウイルスなどのノンエンベロープウイルスや、芽胞を形成するClostridioides difficileには抵抗性を示し効果が不十分である。これらには次亜塩素酸ナトリウムなどによる消毒が必要となる。緑膿菌・黄色ブドウ球菌・カンジダは栄養型でエタノールが有効である。 ●アルコール抵抗性=ノンエンベロープウイルス(ノロ・ロタ・アデノ・エンテロ)・芽胞(C. difficile・Bacillus)。 ●アルコール有効=エンベロープウイルス(インフルエンザ・ヘルペス)・栄養型細菌・真菌。 ●芽胞・ノロに有効な消毒薬=次亜塩素酸ナトリウム・過酢酸・グルタラール(高水準消毒)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ノロウイルスはエンベロープを持たないためアルコールに抵抗性を示す。 ② Candida albicansは真菌の栄養型で、消毒用エタノールが有効である。 ③ 正しい。Clostridioides difficileは芽胞を形成するためアルコールに抵抗性を示す。 ④ Pseudomonas aeruginosaはグラム陰性桿菌の栄養型で、消毒用エタノールが有効である。 ⑤ Staphylococcus aureusはグラム陽性球菌の栄養型で、消毒用エタノールが有効である。
第67回 午前74(臨床微生物学)
ワクチンが開発されていないウイルスはどれか。
①風疹ウイルス ②麻疹ウイルス ③C型肝炎ウイルス ④水痘・帯状疱疹ウイルス ⑤インフルエンザウイルス
正答: ③C型肝炎ウイルス
ポイント 風疹・麻疹・水痘・帯状疱疹・インフルエンザにはワクチンが実用化されており、生ワクチンや不活化ワクチンとして予防接種に用いられている。C型肝炎ウイルスはエンベロープ蛋白の変異性が高く中和抗体による予防が難しいため、有効なワクチンは実用化されていない。治療は直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が中心である。 ●生ワクチン=麻疹・風疹(MR)・水痘・帯状疱疹(一部)・流行性耳下腺炎・BCG・ロタ。 ●不活化/成分ワクチン=インフルエンザ・B型肝炎(HBs抗原)・日本脳炎・ヒトパピローマウイルス・帯状疱疹(不活化)。 ●ワクチンが未確立=C型肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)。
選択肢ごとの解説
① 風疹ウイルスは麻疹風疹混合(MR)生ワクチンとして実用化されている。 ② 麻疹ウイルスは麻疹風疹混合(MR)生ワクチンとして実用化されている。 ③ 正しい。C型肝炎ウイルスは変異性が高くワクチンが実用化されていない。 ④ 水痘・帯状疱疹ウイルスは水痘ワクチン・帯状疱疹ワクチンとして実用化されている。 ⑤ インフルエンザウイルスは不活化ワクチンが毎年実用化されている。
第67回 午前75(臨床微生物学)
目的菌と染色法の組合せで正しいのはどれか。
①Bacillus属 — Hiss法 ②Cryptococcus属 — Leifson法 ③Klebsiella属 — Wirtz法 ④Nocardia属 — Kinyoun法 ⑤Trichophyton属 — Neisser法
正答: ④Nocardia属 — Kinyoun法
ポイント 特殊染色には目的に応じた手技があり、ノカルジアや抗酸菌の弱抗酸性を証明するにはキニヨン染色(冷染色法)が用いられる。鞭毛はライフソン法、莢膜はヒス法やアンソニー法、芽胞はウィルツ法(マラカイトグリーン)、異染小体はナイセル法で証明する。目的菌と染色法の対応を取り違えないことが重要である。 ●抗酸菌・ノカルジア=チール・ネルゼン/キニヨン(冷染色)/オーラミン蛍光法。 ●鞭毛=ライフソン法。 ●莢膜=ヒス法・アンソニー法・墨汁法(Cryptococcus)。 ●芽胞=ウィルツ法(マラカイトグリーン)。 ●異染小体=ナイセル法・アルベルト法(ジフテリア菌)。
選択肢ごとの解説
① ヒス法は莢膜染色で、芽胞を持つBacillus属の目的染色としては適合しないため誤りである。 ② ライフソン法は鞭毛染色で、莢膜を持つCryptococcus属の証明には適さないため誤りである。 ③ ウィルツ法は芽胞染色で、莢膜を持つKlebsiella属の組合せとしては適合しないため誤りである。 ④ 正しい。キニヨン染色(冷抗酸菌染色)はノカルジアの弱抗酸性証明に適し、組合せは正しい。 ⑤ ナイセル法は異染小体染色で、真菌であるTrichophyton属の組合せとしては適合しないため誤りである。
📋 まとめの表を見る:微生物の染色法と検出対象(構造・真菌・特殊病原体)
第67回 午前76(臨床微生物学)
多剤耐性結核菌の判定に使用される抗菌薬はどれか。2つ選べ。
①イソニアジド ②エタンブトール ③ストレプトマイシン ④ピラジナミド ⑤リファンピシン
正答: ①イソニアジド・⑤リファンピシン
ポイント 多剤耐性結核菌(MDR-TB:multidrug-resistant tuberculosis)は、第一選択薬のなかでも治療の中核を担うイソニアジドとリファンピシンの両剤に同時に耐性を示す結核菌と定義される。この2剤は殺菌力と再発防止効果が高く、両者が無効になると標準治療が成立せず予後が著しく悪化する。従来は、これに加えてフルオロキノロン系薬と、注射用第二選択薬(カナマイシン・アミカシン・カプレオマイシン)の少なくとも1剤とに耐性を示すものを超多剤耐性(XDR-TB:extensively drug-resistant tuberculosis)と定義していた。WHOは2021年にこの定義を改訂し、現在はMDR/RR-TB(多剤耐性またはリファンピシン耐性の結核)にフルオロキノロン系薬への耐性と、ベダキリンまたはリネゾリドの少なくとも一方への耐性を伴うものをXDR-TBとする。MDR-TBの定義(イソニアジド+リファンピシン)は改訂後も変わらず、本問の正答にも影響しない。●抗結核第一選択薬=イソニアジド・リファンピシン・エタンブトール・ピラジナミド・ストレプトマイシン。●MDR-TBの定義薬=イソニアジド+リファンピシン。●XDR-TBの定義(WHO 2021年改訂)=MDR/RR-TB+フルオロキノロン系耐性+ベダキリンまたはリネゾリド耐性(従来はフルオロキノロン系+注射用第二選択薬)。●耐性検出法=比率法(薬剤感受性試験)・核酸増幅による耐性遺伝子検出(rpoB変異等)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。イソニアジドはリファンピシンと並ぶ治療の中核薬で、多剤耐性の定義を構成する2剤の一つである。 ② エタンブトールは併用される第一選択薬だが、多剤耐性の定義を構成する2剤には含まれない。 ③ ストレプトマイシンは第一選択薬の一つだが、多剤耐性の定義を構成する2剤には含まれない。 ④ ピラジナミドは初期強化療法に用いられるが、多剤耐性の定義を構成する2剤には含まれない。 ⑤ 正しい。リファンピシンはイソニアジドと並ぶ治療の中核薬で、多剤耐性の定義を構成する2剤の一つである。
第67回 午前77(臨床微生物学)
腸内細菌科の細菌をTSI培地(左)とSIM培地(右)へ接種し、35 ℃で好気培養した結果を別に示す。SIM培地にはインドール試薬を滴下済みである。考えられる細菌はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA077.226a2915dc.jpg
①Citrobacter freundii ②Escherichia coli ③Klebsiella pneumoniae ④Proteus vulgaris ⑤Shigella sonnei
正答: ②Escherichia coli
ポイント Escherichia coli(大腸菌)はブドウ糖と乳糖の両方を発酵してガスを産生し、硫化水素は産生しないため、TSI培地(triple sugar iron agar)では斜面・高層がともに黄変しガス産生陽性、黒変なしとなる。SIM培地ではトリプトファンを分解してインドールを生成するためインドール試薬滴下で赤色リングを呈し、運動性も陽性である。乳糖発酵による全面黄変・ガス産生・インドール陽性・運動性陽性の組合せが大腸菌に合致する。●TSIの斜面(乳糖・白糖)/高層(ブドウ糖)反応=黄変は発酵、赤は非発酵。●H₂S産生陽性=Salmonella・Proteus・Citrobacterの一部。●インドール陽性=大腸菌・Proteus vulgaris・Morganella。●非運動性=Klebsiella・Shigella。●乳糖非発酵=Salmonella・Shigella・Proteus。
選択肢ごとの解説
① Citrobacter freundiiは硫化水素産生陽性のものが多くインドールは陰性傾向で、本所見と合わない。 ② 正しい。乳糖・ブドウ糖発酵によるTSI全面黄変、ガス産生、インドール陽性、運動性陽性は大腸菌に合致する。 ③ Klebsiella pneumoniaeはインドール陰性かつ非運動性で、本所見と合わない。 ④ Proteus vulgarisは硫化水素産生陽性となることが多く、本所見と合わない。 ⑤ Shigella sonneiは乳糖非発酵・ガス非産生・非運動性で、本所見と合わない。
📋 まとめの表を見る:腸内細菌科の生化学的性状の鑑別(乳糖分解・硫化水素・リジン脱炭酸・インドール)
サルモネラ・赤痢菌など乳糖非分解菌はTSI培地で高層部のみ黄変し斜面は赤色のまま残るが、大腸菌など乳糖分解菌は斜面・高層とも黄変する。チフス菌(Typhi)はTSI培地でガスをほとんど産生せず硫化水素も少量にとどまる点が他の多くのSalmonella血清型と異なる。尿素分解(ウレアーゼ)陽性の代表はProteus属・Morganella属・Providencia属。
第67回 午前78(臨床微生物学)
プラスミドについて誤っているのはどれか。
①環状のDNAである。 ②接合によって伝達する。 ③耐性因子の1つである。 ④染色体から独立した遺伝体である。 ⑤細菌に感染するウイルスの総称である。
正答: ⑤細菌に感染するウイルスの総称である。
ポイント プラスミドは染色体とは独立して自律複製する環状の二本鎖DNAで、薬剤耐性遺伝子(R因子)や接合伝達に関わる遺伝情報を担う。接合(conjugation)によって菌から菌へ水平伝達され、薬剤耐性の拡散に寄与する。これに対し細菌に感染するウイルスはバクテリオファージであり、プラスミドとは全く別の概念である。●遺伝情報の水平伝達=接合(プラスミド)・形質導入(ファージ)・形質転換(裸のDNA取り込み)。●可動性遺伝因子=プラスミド・トランスポゾン・インテグロン・バクテリオファージ。●プラスミドが運ぶ形質=薬剤耐性・毒素産生・接合能・重金属耐性。
選択肢ごとの解説
① プラスミドは環状DNAであり、正しい記述である。 ② プラスミドは接合により菌間で伝達されるため、正しい記述である。 ③ プラスミドは薬剤耐性遺伝子(R因子)を運ぶことがあり、正しい記述である。 ④ プラスミドは染色体から独立して複製する遺伝体であり、正しい記述である。 ⑤ 誤り。細菌に感染するウイルスの総称はバクテリオファージであり、プラスミドの説明としては誤りである。
第67回 午前79(臨床免疫学)
ABO血液型抗原について正しいのはどれか。
①O型ではH抗原がない。 ②赤血球のみに発現している。 ③亜型は後天的な抗原変異である。 ④特異性を決定するのは糖鎖である。 ⑤新生児の発現量は成人と同じである。
正答: ④特異性を決定するのは糖鎖である。
ポイント ABO血液型の抗原特異性は赤血球膜上の糖鎖(糖脂質・糖蛋白)の末端糖によって決まる。共通の前駆体であるH抗原にN-アセチルガラクトサミンが付加するとA抗原、ガラクトースが付加するとB抗原となり、付加されなければH抗原のままO型となる。ABH抗原は赤血球以外の上皮や分泌液(分泌型)にも発現し、新生児では発現量が成人より少なく、亜型は糖転移酵素遺伝子の変異による先天的なものである。●ABO抗原合成=前駆体→H抗原(FUT1)→A(N-アセチルガラクトサミン転移酵素)/B(ガラクトース転移酵素)。●分泌型・非分泌型=唾液中ABH物質の有無(FUT2)。●Bombay型=H抗原を欠きABともに発現しない。●抗原量の差=O型でH抗原最多、新生児で減弱。
選択肢ごとの解説
① O型でもH抗原は存在し、むしろH抗原量が最も多いため誤りである。 ② ABH抗原は赤血球以外の組織や分泌液にも発現するため、赤血球のみという記述は誤りである。 ③ 亜型は糖転移酵素遺伝子の変異による先天的なもので、後天的変異ではないため誤りである。 ④ 正しい。ABO抗原の特異性を決定するのは糖鎖の末端糖であり、正しい記述である。 ⑤ 新生児の抗原発現量は成人より少なく成熟が不十分なため、成人と同じという記述は誤りである。
第67回 午前80(臨床免疫学)
ABO血液型検査を行ったところ、オモテ検査B型、ウラ検査O型で判定保留となった。最も考えられるのはどれか。
①B亜型 ②cisAB型 ③後天性B ④白血病 ⑤不規則抗体
正答: ⑤不規則抗体
ポイント ABO血液型はオモテ検査(抗A・抗B血清で赤血球抗原を調べる)とウラ検査(既知A・B血球で血漿中の規則抗体を調べる)の両方を行い、両者が一致して初めて確定する。本症例はオモテB型でウラがO型相当(抗A・抗Bともに反応)となっており、B型なら本来反応すべきでない抗B様の反応が加わっている。これはウラ検査の血球と反応する不規則抗体の存在が最も考えられ、判定保留として追加検査を要する。●オモテ弱化・欠失=亜型・白血病等での抗原減弱・後天性B。●ウラ過剰反応=不規則抗体・寒冷凝集素・連銭形成。●ウラ減弱・欠失=低・無γ-グロブリン血症・新生児・高齢者。●特殊型=cisAB(一つのcisABアレルからA・B両方の活性をもつ糖転移酵素が生じる)。
選択肢ごとの解説
① B亜型ではオモテのB抗原反応が弱化するが、ウラがO型相当となる主因の説明にはなりにくい。 ② cisAB型は、一つのcisABアレルに由来する糖転移酵素がA・B両方の活性をもつ特殊型である。本症例のオモテB型・ウラ過剰反応を説明する最有力の原因ではない。 ③ 後天性Bはオモテで偽の弱いB反応を呈する病態で、本症例の像の主因とはなりにくい。 ④ 白血病では抗原減弱が起こりうるがオモテ反応の低下が主体で、ウラの過剰反応は説明できない。 ⑤ 正しい。ウラ検査の血球と予期せず反応する不規則抗体の存在が、判定保留となる最も考えられる原因である。
第67回 午前81(臨床免疫学)
HEp-2細胞を核材に用いた抗核抗体の蛍光抗体法による染色写真を別に示す。最も考えられる疾患はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA081.41d890b254.jpg
①関節リウマチ ②CREST症候群 ③Sjögren症候群 ④混合性結合組織病 ⑤全身性エリテマトーデス
正答: ②CREST症候群
ポイント 抗核抗体の間接蛍光抗体法(HEp-2細胞を基質に用いる)では、染色パターンから対応抗原と関連疾患を推定する。離散斑紋型(discrete speckled、セントロメア型)は核内に多数の点状蛍光を示し、分裂期細胞では分裂面に並ぶ点状像となる抗セントロメア抗体に対応し、CREST症候群(限局皮膚硬化型全身性強皮症)と関連が深い。本写真のパターンからCREST症候群が最も考えられる。●均一(homogeneous)型=抗dsDNA・抗ヒストン抗体=全身性エリテマトーデス・薬剤誘発性ループス。●斑紋(speckled)型=抗U1-RNP(混合性結合組織病)・抗SS-A/SS-B(Sjögren症候群)・抗Sm。●セントロメア(discrete speckled)型=抗セントロメア抗体=CREST症候群。●核小体(nucleolar)型=抗Scl-70・抗RNAポリメラーゼ=びまん型強皮症。
選択肢ごとの解説
① 関節リウマチは抗CCP抗体やリウマトイド因子が特徴で、特定の抗核抗体パターンとの強い関連は乏しい。 ② 正しい。離散斑紋(セントロメア)型は抗セントロメア抗体に対応し、CREST症候群と関連が深い。 ③ Sjögren症候群は抗SS-A/SS-B抗体による斑紋型が特徴で、セントロメア型は典型的でない。 ④ 混合性結合組織病は抗U1-RNP抗体による斑紋型が特徴で、セントロメア型とは異なる。 ⑤ 全身性エリテマトーデスは均一型や辺縁型(抗dsDNA抗体)が特徴で、セントロメア型とは異なる。
📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患
第67回 午前82(臨床免疫学)
ハプテンに対する抗体の作製で誤っているのはどれか。
①動脈注射する。 ②複数回接種する。 ③アジュバントを用いる。 ④キャリア蛋白に結合させる。 ⑤ポリクローナル抗体が作られる。
正答: ①動脈注射する。
ポイント ハプテンは単独では免疫原性を持たない低分子物質で、キャリア蛋白に結合させてはじめて抗体産生を誘導できる。免疫はアジュバントを併用し、抗体価を高めるため間隔をおいて複数回(ブースター)接種する。免疫した動物の血清からは多クローン性のポリクローナル抗体が得られる。投与経路は皮下・皮内・腹腔内・筋肉内などが用いられ、塞栓や組織傷害のリスクが高い動脈注射は通常行わない。●抗体作製の要素=抗原(ハプテン+キャリア)・アジュバント・複数回免疫・適切な投与経路。●ポリクローナル抗体=動物血清由来・多様なエピトープを認識。●モノクローナル抗体=ハイブリドーマ法・単一エピトープ。●代表的アジュバント=フロイント完全/不完全アジュバント・水酸化アルミニウム。
選択肢ごとの解説
① 誤り。免疫には皮下・腹腔内などを用い、塞栓のリスクから動脈注射は通常行わないため誤りである。 ② 抗体価を高めるため間隔をおいて複数回接種(ブースター)するのは正しい。 ③ 免疫応答を増強するアジュバントを併用するのは正しい。 ④ ハプテンは低分子のためキャリア蛋白に結合させて免疫原性を付与するのは正しい。 ⑤ 動物を免疫すると多クローン性のポリクローナル抗体が得られるため正しい。
第67回 午前83(臨床免疫学)
末梢血のフローサイトメトリのドットプロット図を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67aA083.349cfff44f.jpg
①単球 ②顆粒球 ③血小板 ④リンパ球 ⑤壊れた細胞の破片
正答: ②顆粒球
ポイント 末梢血のフローサイトメトリでは前方散乱光(FSC:細胞の大きさを反映)と側方散乱光(SSC:細胞内顆粒や内部構造の複雑さを反映)でドットプロットを描くと、白血球が三つの主要集団に分かれる。顆粒球は内部顆粒が豊富でSSCが大きく、サイズも大きいためFSC・SSCともに高い領域に位置する。リンパ球はFSC・SSCともに小さく、単球は両者の中間に分布する。●FSC低・SSC低=リンパ球。●FSC中・SSC中=単球。●FSC高・SSC高=顆粒球。●原点付近(FSC極小)=血小板・赤血球破砕物・デブリ(細胞破片)。●応用=白血球分画・CD抗原解析によるリンパ球サブセット・白血病細胞のゲーティング。
選択肢ごとの解説
① 単球はFSC・SSCともに中間の領域に分布し、最も顆粒の多い集団ではない。 ② 正しい。側方散乱光が大きい集団は顆粒に富む顆粒球に相当する。 ③ 血小板はFSCが非常に小さく、白血球の集団とは別の原点付近に位置する。 ④ リンパ球はFSC・SSCともに小さい領域に分布し、顆粒球の位置とは異なる。 ⑤ 壊れた細胞の破片はFSCが極めて小さい原点付近に分布する。
第67回 午前84(臨床免疫学)
ABO血液型のオモテ検査で部分凝集を呈する原因はどれか。2つ選べ。
①亜型 ②連銭形成 ③異型輸血後 ④寒冷凝集素 ⑤ABO不適合腎移植後
正答: ①亜型・③異型輸血後
ポイント ABO血液型オモテ検査の部分凝集(mixed-field agglutination:凝集塊と非凝集赤血球が顕微鏡下で混在する像)は、抗原を持つ赤血球と持たない赤血球が同一検体内に共存するときにみられる。亜型(A3型など)では抗原量が不均一な赤血球が混在して部分凝集を呈する。異型輸血後や造血幹細胞移植後では、患者由来とドナー由来で抗原型の異なる赤血球が混在して部分凝集となる。連銭形成や寒冷凝集素はこれとは別の機序による凝集像である。●部分凝集の原因=亜型(A3等)・異型輸血後・造血幹細胞移植後・キメラ。●連銭形成=高蛋白血症で赤血球が積み重なる(生理食塩液で解離)。●寒冷凝集素=低温でのIgM自己抗体による凝集。●ABO亜型=A1・A2・A3・Ax・Am・Bx等。
選択肢ごとの解説
① 正しい。A3型などの亜型では抗原量の異なる赤血球が混在し部分凝集を呈する。 ② 連銭形成は赤血球が積み重なる現象で真の凝集ではなく、部分凝集の原因とは機序が異なる。 ③ 正しい。異型輸血後は患者由来とドナー由来で抗原型の異なる赤血球が混在し部分凝集を呈する。 ④ 寒冷凝集素は低温で赤血球全体を凝集させるもので、部分凝集の典型的原因ではない。 ⑤ ABO不適合腎移植は赤血球抗原の混在を直接もたらさず、部分凝集の原因とはなりにくい。
第67回 午前85(臨床免疫学)
新鮮凍結血漿を輸血する適応となる検査データとして正しいのはどれか。
①PTが40%以下 ②PT-INRが1.5以上 ③APTTが基準値の1.5倍以上 ④血清アルブミン値が2.0 g/dL以下 ⑤血漿フィブリノゲン値が150 mg/dL以下
正答: ⑤血漿フィブリノゲン値が150 mg/dL以下
ポイント 新鮮凍結血漿(FFP:fresh frozen plasma)の輸血は複数の凝固因子を一括補充することを目的とし、PT(プロトロンビン時間)やAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)の著明延長を伴う出血傾向時に適応となる。指針上の目安はPT活性30%以下またはPT-INR2.0以上、APTTが基準上限の2倍以上、あるいはフィブリノゲン100〜150mg/dL以下といった明らかな凝固障害である。アルブミン補充を目的としたFFP使用は不適切である。●FFP適応=複数凝固因子欠乏・播種性血管内凝固・大量輸血時の希釈性凝固障害・ワルファリン緊急補正。●適応の目安=PT活性30%以下/INR2.0以上、APTT基準上限2倍以上、フィブリノゲン100〜150mg/dL以下。●アルブミン低下=アルブミン製剤の適応(FFPは不適)。
選択肢ごとの解説
① PT活性40%以下は凝固障害ではあるが、FFP適応の目安(30%以下)より緩く単独では適応根拠として弱い。 ② PT-INR1.5以上はやや延長だが、FFP適応の目安(INR2.0以上)には達していない。 ③ APTT基準値1.5倍以上はやや延長だが、目安の2倍以上には達していない。 ④ 血清アルブミンの低下はアルブミン製剤の適応であり、FFPの適応根拠とはならない。 ⑤ 正しい。フィブリノゲン150mg/dL以下は凝固因子補充の目安に合致し、FFP輸血の適応となる。
第67回 午前86(臨床免疫学)
Donath-Landsteiner抗体の特徴として正しいのはどれか。
①異好抗体 ②温式抗体 ③自然抗体 ④CD35特異性 ⑤P血液型特異性
正答: ⑤P血液型特異性
ポイント Donath-Landsteiner抗体(ドナート・ランドスタイナー抗体)は発作性寒冷ヘモグロビン尿症(PCH:paroxysmal cold hemoglobinuria)の原因となる二相性溶血素で、IgGクラスの自己抗体である。寒冷下(低温相)で赤血球膜のP血液型抗原に結合し、体温(37℃)に戻ると補体が活性化されて血管内溶血を起こす二相性の溶血を呈する。Donath-Landsteiner試験(二相性溶血試験)で証明される。●自己免疫性溶血性貧血の抗体=温式(IgG、Rh関連)・寒冷凝集素(IgM、I/i抗原、寒冷凝集素症)・二相性溶血素(IgG、P抗原、PCH)。●血管内溶血=補体活性化・ヘモグロビン尿・ハプトグロビン低下。●P血液型=Pp系(PP1Pk)抗原。
選択肢ごとの解説
① Donath-Landsteiner抗体は自己抗体であり、種を越えて反応する異好抗体ではない。 ② 本抗体は低温で結合し体温で溶血を起こす二相性抗体であり、純粋な温式抗体ではない。 ③ 本抗体は感染後などに産生される自己抗体で、生来存在する自然抗体とは性質が異なる。 ④ 本抗体の特異性はP血液型抗原であり、補体受容体であるCD35に対する特異性ではない。 ⑤ 正しい。Donath-Landsteiner抗体はP血液型抗原に特異性を持つ。
第67回 午前87(臨床免疫学)
遺伝性血管神経性浮腫の原因はどれか。
①C3欠損 ②CD59欠損 ③補体の寒冷活性化 ④C1インヒビター欠損 ⑤アデノシンデアミナーゼ〈ADA〉欠損
正答: ④C1インヒビター欠損
ポイント 遺伝性血管性浮腫(HAE:hereditary angioedema、遺伝性血管神経性浮腫)は補体制御因子であるC1インヒビター(C1-INH)の遺伝性欠損または機能異常により起こる常染色体顕性遺伝疾患である。C1-INHは補体古典経路とともにブラジキニン産生系(カリクレイン-キニン系)を抑制しており、欠損するとブラジキニンが過剰となって血管透過性が亢進し、喉頭・四肢・顔面・消化管に反復性の浮腫をきたす。検査では補体C4の低下が特徴的である。●補体欠損症=C1〜C4欠損(自己免疫・易感染)・C5〜C9欠損(Neisseria反復感染)・C1-INH欠損(HAE)。●C1-INH欠損の検査=C4低下・C1-INH定量/活性低下。●発作性夜間ヘモグロビン尿症=CD55/CD59欠損(GPIアンカー異常)。●重症複合免疫不全症=アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損等。
選択肢ごとの解説
① C3欠損は反復性の化膿性感染症の原因となるが、遺伝性血管性浮腫の原因ではない。 ② CD59欠損は発作性夜間ヘモグロビン尿症に関与し、血管性浮腫の原因ではない。 ③ 補体の寒冷活性化(コールドアクチベーション)は、採血後の血清を低温に置いたときに試験管内で補体が活性化して補体価が低下する現象であり、遺伝性血管性浮腫の原因ではない。寒冷凝集素症による生体内の補体活性化とは区別する。 ④ 正しい。C1インヒビター欠損によりブラジキニンが過剰となり、遺伝性血管性浮腫を起こす。 ⑤ アデノシンデアミナーゼ欠損は重症複合免疫不全症の原因で、血管性浮腫の原因ではない。
📋 まとめの表を見る:補体価〈CH50〉異常パターンと考えられる病態
コールドアクチベーションは生体内の病態ではなく採血後の試験管内で生じる現象である点に注意。血清と血漿でCH50に乖離を認める場合はこの現象を疑う。
第67回 午前88(臨床免疫学)
免疫担当細胞で正しいのはどれか。2つ選べ。
①B細胞は抗原提示能を持たない。 ②マスト細胞はFcγ受容体を発現している。 ③NK細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃する。 ④マクロファージはオプソニン化した細菌を貪食する。 ⑤CD8陽性キラーT細胞はMHCクラスⅡ抗原と反応する。
正答: ②マスト細胞はFcγ受容体を発現している。・③NK細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃する。 または ②マスト細胞はFcγ受容体を発現している。・④マクロファージはオプソニン化した細菌を貪食する。 または ③NK細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃する。・④マクロファージはオプソニン化した細菌を貪食する。(いずれの組合せも正解)
ポイント 免疫担当細胞のうち、マスト細胞(肥満細胞)はFcγ受容体に加え高親和性IgE受容体(FcεRI)を発現する。NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は抗原非特異的にウイルス感染細胞や腫瘍細胞を傷害する自然免疫の細胞である。マクロファージは抗体や補体C3bでオプソニン化された細菌をFc受容体・補体受容体を介して効率よく貪食する。一方、B細胞はMHCクラスIIを介する抗原提示能を持ち、CD8陽性キラーT細胞はMHCクラスIを認識する。●抗原提示細胞=樹状細胞・マクロファージ・B細胞(MHCクラスII)。●自然免疫の細胞傷害=NK細胞(感染細胞・腫瘍細胞)。●オプソニン=抗体(IgG)・補体C3b。●T細胞のMHC認識=CD8陽性T細胞はクラスI、CD4陽性T細胞はクラスII。●複数正答の認定=本問は公式正答表で「2・3」「2・4」「3・4」のいずれの組合せも正解と認められている。本ドリルでは公式に認められたいずれの組合せ(2つ)を選んでも正解になる。
解説 採点上、選択肢2・3・4のうち2つを選べば正答(複数の組合せを正答とする)。
選択肢ごとの解説
① B細胞はMHCクラスIIを介して抗原提示能を持つため、提示能を持たないという記述は誤りである。 ② 正しい。マスト細胞はFcγ受容体や高親和性IgE受容体を発現しており、正しい記述である。 ③ 正しい。NK細胞はウイルス感染した自己細胞を傷害する自然免疫の細胞であり、正しい記述である。 ④ 正しい。マクロファージはオプソニン化された細菌を受容体を介して貪食するため、正しい記述である。 ⑤ CD8陽性キラーT細胞はMHCクラスIを認識するため、クラスIIと反応するという記述は誤りである。
第67回 午前89(臨床免疫学)
造血幹細胞移植の提供者に行うべき検査はどれか。2つ選べ。
①HLA検査 ②HIV抗体検査 ③不規則抗体検査 ④単球貪食能試験 ⑤リンパ球サブセット検査
正答: ①HLA検査・②HIV抗体検査
ポイント 造血幹細胞移植では、ドナーとレシピエントのHLA(human leukocyte antigen:主要組織適合抗原)の一致度が生着率や移植片対宿主病(GVHD)の発症に直結するため、提供者にHLA検査が必須である。また移植による感染症伝播を防ぐため、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)抗体をはじめB型・C型肝炎ウイルス、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)、梅毒などの感染症スクリーニングを提供者に行う。不規則抗体検査・単球貪食能試験・リンパ球サブセット検査は提供者選定の必須項目ではない。●ドナー適合性=HLA型(A・B・C・DR等)・ABO血液型。●ドナー感染症検査=HIV・HBV・HCV・HTLV-1・梅毒・サイトメガロウイルス。●GVHD=ドナーT細胞が宿主組織を攻撃(皮膚・肝・消化管)。●幹細胞源=骨髄・末梢血幹細胞・臍帯血。
選択肢ごとの解説
① 正しい。HLA検査はドナーとレシピエントの適合性評価に必須である。 ② 正しい。HIV抗体検査は感染症の伝播を防ぐため提供者に行うべき検査である。 ③ 不規則抗体検査は輸血の安全に関わるが、造血幹細胞提供者に必須の検査ではない。 ④ 単球貪食能試験は提供者選定に行う必須検査ではない。 ⑤ リンパ球サブセット検査は提供者選定に行う必須検査ではない。
第67回 午前90(公衆衛生学)
医療計画の5疾病5事業でないのはどれか。
正答: ①高血圧
ポイント 医療法に基づく医療計画では、地域で重点的に対策する5疾病と5事業が定められている。5疾病はがん・脳卒中・急性心筋梗塞(心血管疾患)・糖尿病・精神疾患であり、5事業は救急医療・災害医療・へき地医療・周産期医療・小児医療である(後に新興感染症発生・まん延時の医療が加わり6事業化された)。高血圧は単独の指定疾病ではなく、脳卒中や心疾患の危険因子として位置づけられる。●5疾病=がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・精神疾患。●5事業=救急医療・災害医療・へき地医療・周産期医療・小児医療(+新興感染症で6事業)。●高血圧・脂質異常症・喫煙=生活習慣病・循環器疾患の危険因子。
選択肢ごとの解説
① 誤り。高血圧は5疾病に含まれず、脳卒中や心疾患の危険因子として扱われるため該当しない。 ② 糖尿病は5疾病に含まれる。 ③ 災害医療は5事業に含まれる。 ④ 精神疾患は5疾病に含まれる。 ⑤ 周産期医療は5事業に含まれる。
第67回 午前91(公衆衛生学)
正しい組合せはどれか。
①禁煙教室 — 一次予防 ②健康相談 — 二次予防 ③服薬指導 — 三次予防 ④作業環境測定 — 二次予防 ⑤精神科デイケア — 一次予防
正答: ①禁煙教室 — 一次予防
ポイント 予防医学は、一次予防(健康増進・発症予防)、二次予防(早期発見・早期治療)、三次予防(機能回復・社会復帰など)に分ける。禁煙教室は発症につながる危険因子を減らす一次予防であり、本問の正しい組合せである。健康相談や作業環境測定も一次予防、治療の一環としての服薬指導は本問では二次予防、精神科デイケアは三次予防と整理する。 ●一次予防=健康教育・予防接種・禁煙教室・健康相談・作業環境測定。 ●二次予防=健康診断・がん検診・早期治療。 ●三次予防=リハビリテーション・精神科デイケア・社会復帰支援。 同じ名称の指導でも対象と目的により段階が変わるため、本問の分類と実際の介入目的を区別する。
選択肢ごとの解説
① 正しい。禁煙教室は発症を防ぐ健康増進活動であり、一次予防として正しい組合せである。 ② 健康相談は発症予防のための一次予防に分類され、二次予防とする組合せは誤りである。 ③ 誤り。本問では服薬指導を治療の一環として二次予防に位置づけるため、「三次予防」との組合せは選ばない。三次予防の代表は、機能回復や社会復帰を目的とするリハビリテーション・精神科デイケアである。実務上は服薬指導の目的・対象によって位置づけが変わりうるため、すべての服薬指導を一律に分類しない。 ④ 作業環境測定は有害要因を除く一次予防であり、二次予防とする組合せは誤りである。 ⑤ 精神科デイケアは社会復帰・再発防止を目的とする三次予防であり、一次予防とする組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:予防医学の段階(一次・二次・三次予防)
第67回 午前92(公衆衛生学)
健康日本21〈第二次〉に含まれないのはどれか。
①健康格差の縮小 ②健康寿命の延伸 ③生活習慣病の予防 ④高齢者の社会参加の促進 ⑤児童の虐待防止対策の強化
正答: ⑤児童の虐待防止対策の強化
ポイント 健康日本21(第二次)は、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を最終目標に掲げ、生活習慣病の発症・重症化予防、社会生活機能の維持・向上、健康を支え守るための社会環境の整備、栄養・身体活動・休養・喫煙・飲酒・歯口腔の健康など生活習慣および社会環境の改善を基本的方向とする。高齢者の社会参加促進は社会生活機能の維持の観点から含まれるが、児童の虐待防止対策の強化は健康日本21(第二次)の枠組みには含まれない。●健康日本21(第二次)の最終目標=健康寿命の延伸・健康格差の縮小。●基本的方向=生活習慣病の発症・重症化予防・社会生活機能の維持向上・社会環境の整備・生活習慣の改善。●対象生活習慣=栄養/食生活・身体活動/運動・休養・飲酒・喫煙・歯口腔の健康。
選択肢ごとの解説
① 健康格差の縮小は健康日本21(第二次)の最終目標であり、含まれる。 ② 健康寿命の延伸は健康日本21(第二次)の最終目標であり、含まれる。 ③ 生活習慣病の予防は健康日本21(第二次)の主要な柱であり、含まれる。 ④ 高齢者の社会参加促進は社会生活機能の維持の観点から含まれる。 ⑤ 誤り。児童の虐待防止対策の強化は健康日本21(第二次)の枠組みには含まれない。
第67回 午前93(公衆衛生学)
ダイオキシン類について誤っているのはどれか。
①催奇形性がある。 ②神経毒性がある。 ③生物濃縮を起こす。 ④DNA障害作用がある。 ⑤内分泌攪乱作用がある。
正答: ④DNA障害作用がある。
ポイント ダイオキシン類は塩素を含む有機化合物の総称で、極めて分解されにくく脂溶性が高いため食物連鎖を通じて生物濃縮される環境汚染物質である。催奇形性、発がん性、内分泌攪乱(環境ホルモン)作用、肝・神経毒性などを示す。その発がん性は主にアリル炭化水素受容体(AhR)を介した促進的(プロモーター的)機序によると考えられ、直接DNAに作用する遺伝毒性は主要な機序とはされない。●ダイオキシン類の毒性=催奇形性・発がん(プロモーター作用)・内分泌攪乱・肝障害・塩素挫瘡。●生物濃縮を起こす物質=ダイオキシン類・PCB・有機水銀・有機塩素系農薬(DDT等)。●発生源=廃棄物焼却・農薬製造の不純物。●最毒性異性体=2,3,7,8-四塩化ジベンゾパラジオキシン(TCDD)。
選択肢ごとの解説
① ダイオキシン類は催奇形性を示し、正しい記述である。 ② ダイオキシン類は神経毒性を示し、正しい記述である。 ③ ダイオキシン類は脂溶性が高く生物濃縮を起こすため、正しい記述である。 ④ 誤り。ダイオキシン類の発がんは受容体を介する促進的機序が主体で、直接的なDNA障害作用は主要な機序とされないため誤りである。 ⑤ ダイオキシン類は内分泌攪乱作用を示し、正しい記述である。
第67回 午前94(公衆衛生学)
原因物質と職業がんの組合せで誤っているのはどれか。
①石綿 — 肺癌 ②ヒ素 — 皮膚癌 ③ベンゼン — 白血病 ④β-ナフチルアミン — 胆管癌 ⑤塩化ビニルモノマー — 肝血管肉腫
正答: ④β-ナフチルアミン — 胆管癌
ポイント 職業がんは特定の化学物質への曝露と特定臓器のがんが結びつく。石綿(アスベスト)は肺がん・悪性中皮腫、ヒ素は皮膚がん・肺がん、ベンゼンは骨髄毒性により白血病、塩化ビニルモノマーは肝血管肉腫を起こす。β-ナフチルアミンなどの芳香族アミンは膀胱がんの原因物質であり、胆管がんはジクロロメタンや1,2-ジクロロプロパンといった有機溶剤への高濃度曝露で問題となった。●発がん物質と職業がん=石綿(肺がん・中皮腫)・ヒ素(皮膚がん・肺がん)・ベンゼン(白血病)・塩化ビニル(肝血管肉腫)・芳香族アミン/β-ナフチルアミン・ベンジジン(膀胱がん)・クロム/ニッケル(肺がん・鼻腔がん)・有機溶剤ジクロロメタン等(胆管がん)。
選択肢ごとの解説
① 石綿(アスベスト)は肺がんや中皮腫を起こし、組合せは正しい。 ② ヒ素は皮膚がんを起こし、組合せは正しい。 ③ ベンゼンは骨髄毒性により白血病を起こし、組合せは正しい。 ④ 誤り。β-ナフチルアミンは膀胱がんの原因物質であり、胆管がんとの組合せは誤りである。 ⑤ 塩化ビニルモノマーは肝血管肉腫を起こし、組合せは正しい。
📋 まとめの表を見る:職業がんを起こす主な原因物質
第67回 午前95(医用工学概論)
生体物質の光学的特性について正しいのはどれか。
①水は赤外線の吸収が小さい。 ②硝子体は可視光をよく吸収する。 ③ヘモグロビンは近赤外線をよく吸収する。 ④生体の高分子物質は紫外線をよく吸収する。 ⑤メラニンは波長が長い可視光をよく吸収する。
正答: ④生体の高分子物質は紫外線をよく吸収する。
ポイント 生体物質の光学的特性は波長依存性を持つ。蛋白質や核酸などの高分子は、芳香族アミノ酸(トリプトファン・チロシン)や核酸塩基により紫外線(およそ260〜280nm付近)をよく吸収する。水は赤外線を強く吸収し、ヘモグロビンは可視光を強く吸収する一方で近赤外線の吸収は比較的小さく、これがパルスオキシメトリや近赤外分光法の原理となる。メラニンは波長が短いほど吸収が大きい。●紫外吸収=蛋白質(280nm、トリプトファン等)・核酸(260nm)。●赤外吸収=水(O-H伸縮)。●可視〜近赤外=ヘモグロビン(酸素化/脱酸素化で吸収差)→パルスオキシメトリ。●メラニン=短波長ほど吸収大。●応用機器=吸光光度計・パルスオキシメータ・近赤外分光装置。
選択肢ごとの解説
① 水は赤外線を強く吸収するため、吸収が小さいという記述は誤りである。 ② 硝子体は透明で可視光をよく透過し、強く吸収しないため誤りである。 ③ ヘモグロビンは近赤外線の吸収が比較的小さく、これを利用した近赤外分光が成り立つため、よく吸収するという記述は誤りである。 ④ 正しい。蛋白質や核酸などの高分子は紫外線をよく吸収するため、正しい記述である。 ⑤ メラニンは波長が短いほど吸収が大きく、長波長の可視光をよく吸収するという記述は誤りである。
📋 まとめの表を見る:生体物質の光学的特性(吸収スペクトル)
第67回 午前96(医用工学概論)
電圧利得20倍の増幅器A1と200倍のA2を直列に接続したときの増幅度として最も近い値〔dB〕はどれか。
正答: ⑤72
ポイント 増幅器を直列(縦続)に接続すると、全体の電圧増幅率は各段の積となるため20×200=4000倍である。デシベル(dB)表示では電圧比に対し20×log10(増幅率)で計算する。20×log10(4000)=20×(log10 4+log10 1000)≒20×(0.6+3)=20×3.6=72dBとなる。各段をdBで表すと、20倍は約26dB、200倍は約46dBであり、その和としても約72dBが得られる。●dB換算(電圧比)=20×log10(比):2倍≒6dB・10倍=20dB・100倍=40dB・1000倍=60dB。●dB換算(電力比)=10×log10(比)。●縦続接続=倍率は積、dBは和。
選択肢ごとの解説
① 30dBは電圧比約32倍に相当し、4000倍の増幅度とは合わない。 ② 46dBは200倍の1段分に相当し、直列接続全体の値ではない。 ③ 60dBは電圧比1000倍に相当し、4000倍とは合わない。 ④ 66dBは電圧比約2000倍に相当し、4000倍より小さい。 ⑤ 正しい。20倍×200倍=4000倍は20×log10(4000)≒72dBとなり、最も近い。
第67回 午前97(医用工学概論)
測定対象の物理量変化に対応した起電力を利用したセンサはどれか。2つ選べ。
①圧電素子 ②CdSセル ③サーミスタ ④ホール素子 ⑤ストレインゲージ
正答: ①圧電素子・④ホール素子
ポイント 本問は、測定量の変化を電圧として取り出すセンサを選ぶ問題である。圧電素子は加わった力に応じた電荷を生じ、ホール素子は駆動電流を流した状態で磁束密度に比例するホール電圧を生じる。したがって正答は圧電素子とホール素子。ホール素子は外部電源不要の自己発電型ではない。 ●電圧出力を利用=圧電素子・熱電対・光電池・ホール素子。ただしホール素子には駆動が必要。 ●抵抗変化を利用=サーミスタ(温度)・CdSセル(光)・ストレインゲージ(ひずみ)。 ●静電容量変化を利用=コンデンサマイク・容量式変位センサ。
選択肢ごとの解説
① 正しい。圧電素子は加わる力に応じて電荷(起電力)を生じる能動型センサである。 ② CdSセルは光で抵抗が変化する光導電素子で、自ら起電力を生じない。 ③ サーミスタは温度で抵抗が変化する受動素子で、起電力を生じない。 ④ 正しい。ホール素子は磁場により起電力(ホール電圧)を生じるセンサである。 ⑤ ストレインゲージはひずみで抵抗が変化する受動素子で、起電力を生じない。
📋 まとめの表を見る:トランスデューサ(センサ)の変換原理による分類
第67回 午前98(医用工学概論)
病院電気設備の安全基準〈JIS T 1022〉において非接地配線方式を設けなければならない医用室はどれか。
①集中治療室 ②検体検査室 ③病理検査室 ④生理検査室 ⑤一般病室
正答: ①集中治療室
ポイント 病院電気設備の安全基準(JIS T 1022)では、医用室を患者への電撃の危険度に応じて分類し、心臓に直接電極やカテーテルを挿入するなどミクロショックの危険がある区域(カテゴリA・B)には、停電や地絡時にも電源供給を維持できる非接地配線方式(絶縁変圧器による)と非常電源が要求される。集中治療室は重症患者に対して心臓近傍の処置が想定されるため、非接地配線方式の設置対象となる。検査室や一般病室はこれに該当しない。●非接地配線方式=絶縁変圧器で電源を接地から絶縁し、一線地絡でも給電継続・地絡電流を抑制。●医用接地方式=機器・金属部を等電位に接続しマクロ/ミクロショックを防止。●非常電源=一般非常電源・特別非常電源・無停電非常電源。●ミクロショック=心臓直接の微小電流で心室細動。
選択肢ごとの解説
① 正しい。集中治療室は心臓近傍の処置が想定され、非接地配線方式を設けるべき医用室に該当する。 ② 検体検査室は患者に直接電撃の危険を生じる区域ではなく、非接地配線方式の対象ではない。 ③ 病理検査室は患者処置を行う区域ではなく、非接地配線方式の対象ではない。 ④ 生理検査室は通常の医用接地方式で対応し、非接地配線方式の必須対象ではない。 ⑤ 一般病室は心臓内処置を伴わず、非接地配線方式の対象ではない。
📋 まとめの表を見る:医用室のカテゴリ別 安全設備の適用(JIS T1022)
○=設けなければならない、+=必要に応じて設ける(保護接地はA〜D全カテゴリで必須のため表から省略)。心臓に直接電極・カテーテルを挿入または接触し使用する医用室(カテゴリA・B)には、ミクロショック対策として非接地配線方式を必ず設ける。集中治療室はカテゴリA、検体検査室・病理検査室・生理検査室・一般病室(電極等を体内に使用しない場合)はカテゴリDに該当する。
第67回 午前99(医用工学概論)
コンピュータデータベースの操作言語はどれか。
①SQL ②HTML ③SMTP ④UNIX ⑤TELNET
正答: ①SQL
ポイント SQL(Structured Query Language:構造化問い合わせ言語)はリレーショナルデータベースのデータ定義・操作・問い合わせを行う標準言語である。HTMLはウェブ文書を記述するマークアップ言語、SMTPは電子メールを送信する通信プロトコル、TELNETは遠隔のコンピュータにログインする通信プロトコル、UNIXはオペレーティングシステムであり、いずれもデータベース操作言語ではない。●データベース操作=SQL(SELECT・INSERT・UPDATE・DELETE)。●マークアップ言語=HTML・XML。●通信プロトコル=SMTP(送信)・POP/IMAP(受信)・HTTP(ウェブ)・TELNET(遠隔ログイン)・FTP(ファイル転送)。●オペレーティングシステム=UNIX・Linux・Windows。
選択肢ごとの解説
① 正しい。SQLはリレーショナルデータベースを操作するための問い合わせ言語である。 ② HTMLはウェブページを記述するマークアップ言語で、データベース操作言語ではない。 ③ SMTPは電子メールを送信するための通信プロトコルである。 ④ UNIXはオペレーティングシステムであり、データベース操作言語ではない。 ⑤ TELNETは遠隔のコンピュータにログインするための通信プロトコルである。
第67回 午前100(医用工学概論)
光学顕微鏡の説明で誤っているのはどれか。
①コンデンサレンズは絞りを通過した光を集光するためにある。 ②実体顕微鏡では観察対象が動くと同じ方向に像が動いて見える。 ③双眼実体顕微鏡で両眼観察すると、観察対象が立体的に見える。 ④高倍率対物レンズの方が低倍率対物レンズに比べ焦点距離が長い。 ⑤対物レンズの倍率は標本に対する中間像〈倒立の実像〉の倍率である。
正答: ④高倍率対物レンズの方が低倍率対物レンズに比べ焦点距離が長い。
ポイント 光学顕微鏡では対物レンズの倍率が高いほど焦点距離は短く、作動距離(標本とレンズ先端の距離)も短くなる。コンデンサレンズは絞り(開口絞り)を通った光を標本に集光する役割を持つ。実体顕微鏡は正立像を結ぶため対象を動かすと像も同じ方向に動き、双眼実体顕微鏡では左右の視差により対象が立体的に見える。対物レンズは標本の倒立実像(中間像)を作り、これを接眼レンズでさらに拡大する。●顕微鏡の倍率=対物倍率×接眼倍率。●高倍率対物レンズ=焦点距離・作動距離が短い・開口数(NA)大・分解能高い。●コンデンサ=照明光を標本に集光、開口絞りで分解能・コントラスト調整。●結像=対物レンズが倒立実像(中間像)→接眼レンズで拡大虚像。
選択肢ごとの解説
① コンデンサレンズが絞りを通った光を標本に集光するのは正しい説明である。 ② 実体顕微鏡は正立像を結ぶため、対象を動かすと同じ方向に像が動くのは正しい。 ③ 双眼実体顕微鏡では左右の視差により対象が立体的に見えるのは正しい。 ④ 誤り。高倍率対物レンズほど焦点距離は短く、長いという記述は誤りである。 ⑤ 対物レンズは標本に対し倒立の実像(中間像)を作り、これを接眼レンズで拡大するため正しい説明である。
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