第67回(2021) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第67回 午後1(臨床検査総論)
イムノクロマト法による便潜血検査について正しいのはどれか。
- ①検体は冷凍で輸送する。
- ②食事制限が必要である。
- ③IgG感作赤血球を用いる。
- ④プロゾーン現象がみられる。
- ⑤上部消化管出血と下部消化管出血の検出感度は同等である。
正答: ④プロゾーン現象がみられる。
ポイント
イムノクロマト法による便潜血検査は、ヒトヘモグロビンに特異的な抗体を用いる免疫学的便潜血検査であり、ヒト固有の蛋白を標的とするため食事中の動物性血液やペルオキシダーゼ活性をもつ食品の影響を受けず食事制限が不要である。検体は常温〜冷蔵で取り扱い、抗原であるヘモグロビンが著しく高濃度のときは抗原過剰により標識複合体形成が阻害され偽陰性となるプロゾーン現象(地帯現象)がみられる。ヘモグロビンは上部消化管では胃酸や消化酵素で変性・分解されやすいため、下部消化管出血に比べ検出感度が低い。
●便潜血検査=免疫学的法(ヒトヘモグロビン抗体・食事制限不要・下部消化管出血に有用)/化学的法(グアヤック法・ペルオキシダーゼ反応・食事制限が必要)。
●抗原抗体反応の地帯現象=抗体過剰側を前地帯(プロゾーン)、抗原過剰側を後地帯という。免疫測定で抗原過剰による偽低値・偽陰性を広く「プロゾーン現象」や「高用量フック効果」と呼ぶ場合があり、本問はこの意味で用いている。
●下部消化管出血のスクリーニング=便潜血陽性→大腸内視鏡(大腸癌・大腸ポリープの検出)。
選択肢ごとの解説
- ① 免疫学的便潜血検査の検体は常温〜冷蔵で保存・輸送し、冷凍は必須でない。高温や長期保存はヘモグロビン変性による偽陰性の原因となる。
- ② ヒトヘモグロビンに特異的な抗体を用いるため動物血や植物のペルオキシダーゼの影響を受けず、食事制限は不要である。
- ③ IgG感作赤血球を用いるのは間接赤血球凝集反応であり、イムノクロマト法では金コロイド標識抗体などを用いる。
- ④ 正しい。抗原であるヘモグロビンが著しく高濃度のとき、抗原過剰により標識複合体形成が阻害され偽陰性となるプロゾーン現象がみられる。
- ⑤ ヘモグロビンは上部消化管で胃酸・消化酵素により分解・変性しやすく、上部消化管出血の検出感度は下部消化管出血より低い。
📋 まとめの表を見る:便潜血検査:化学的検査法と免疫学的検査法の比較
第67回 午後2(臨床検査総論)
網膜芽細胞腫の原因遺伝子はどれか。
- ①ABL1
- ②BRCA1
- ③EGFR
- ④KRAS
- ⑤RB1
正答: ⑤RB1
ポイント
網膜芽細胞腫は乳幼児に発症する眼内悪性腫瘍で、第13番染色体長腕(13q14)にある癌抑制遺伝子RB1の両アレルの不活化により発症する。両アレルが機能を失って初めて発症する点はKnudsonの2ヒット説の代表例であり、遺伝性では一方の変異を生殖細胞系列で受け継ぐため若年・両側性に発症しやすい。RB1産物は細胞周期のG1/S期移行を制御し、その喪失により細胞増殖が脱制御される。
●癌抑制遺伝子=RB1(網膜芽細胞腫)・TP53(Li-Fraumeni症候群)・APC(家族性大腸腺腫症)・BRCA1/2(遺伝性乳癌・卵巣癌)・VHL(von Hippel-Lindau病)。
●癌遺伝子=KRAS(大腸癌・膵癌)・EGFR(肺癌)・ABL1(BCR-ABL1/慢性骨髄性白血病)・MYC・HER2。
●2ヒット説=両アレル不活化で発症(網膜芽細胞腫が代表例)。
選択肢ごとの解説
- ① ABL1は慢性骨髄性白血病のBCR-ABL1融合遺伝子に関与するチロシンキナーゼ遺伝子で、網膜芽細胞腫の原因ではない。
- ② BRCA1は遺伝性乳癌・卵巣癌の原因となるDNA修復関連の癌抑制遺伝子で、網膜芽細胞腫の原因ではない。
- ③ EGFRは上皮成長因子受容体遺伝子で、肺癌などで活性化変異がみられるが網膜芽細胞腫の原因ではない。
- ④ KRASは大腸癌・膵癌などで変異する癌遺伝子で、網膜芽細胞腫の原因ではない。
- ⑤ 正しい。RB1は13q14に位置する癌抑制遺伝子で、その両アレルの不活化により網膜芽細胞腫が発症する。
第67回 午後3(臨床検査総論)
細胞周期の段階のうち、G染色法において染色体を観察するのに適しているのはどれか。
正答: ③中期
ポイント
細胞分裂の中期では染色体が最も凝縮し、紡錘体により赤道面に整列するため、個々の染色体の形態が明瞭で観察に適する。Gバンド分染(G染色法)ではこの中期染色体を用いて核型分析を行う。間期は染色質が脱凝縮しており染色体としては観察できず、前期・後期・終期も形態観察には適さない。
●細胞周期=間期(G1期・S期〈DNA合成〉・G2期)と分裂期(M期)。
●分裂期=前期(凝縮開始)・中期(赤道面整列・観察に最適)・後期(姉妹染色分体が両極へ分離)・終期(脱凝縮・核膜再形成)。
●染色体分染法=Gバンド(核型分析)・Qバンド(蛍光)・Cバンド(セントロメア・ヘテロクロマチン)・Rバンド(Gバンドと逆)。
選択肢ごとの解説
- ① 間期はDNA合成や転写が行われる時期で、染色質は脱凝縮しており個々の染色体を観察できない。
- ② 前期では染色体は凝縮を始めるが、まだ十分に短縮しておらず赤道面に整列していないため観察には不向きである。
- ③ 正しい。中期では染色体が最大限に凝縮し赤道面に整列するため、Gバンド分染による染色体観察に最も適する。
- ④ 後期では姉妹染色分体が両極へ分かれて移動するため、形態観察には適さない。
- ⑤ 終期では染色体が再び脱凝縮し核膜が再形成されるため、観察には適さない。
📋 まとめの表を見る:染色体分染法(バンディング法)の種類と特徴
染色体観察に適するのは細胞周期の中期(染色体が最も凝縮する時期)である。
第67回 午後4(臨床検査総論)
夕食にしめ鯖を摂取後、深夜に激烈な腹痛を訴えた。上部消化管の内視鏡像を別に示す。この寄生虫について正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB004.a52c83dfb7.jpg

- ①病変は胃に限局する。
- ②生の牛肉でも感染する。
- ③ヒトを終宿主としている。
- ④−20 ℃保存で虫体は死滅する。
- ⑤有効な抗寄生虫薬が存在する。
正答: ④−20 ℃保存で虫体は死滅する。
ポイント
しめ鯖などの生鮮海産魚を介して感染し、摂食後数時間で激烈な腹痛をきたす上部消化管内視鏡所見は、胃壁に穿入したアニサキス幼虫を示唆する。アニサキスはヒトを非固有宿主とするため成虫にはならず、胃や腸壁に穿入して急性アニサキス症を起こし、終宿主はクジラ・イルカなどの海産哺乳類である。有効な駆虫薬はなく治療は内視鏡的虫体摘出が基本で、予防は加熱または冷凍(-20℃・24時間以上)で虫体を死滅させることである。
●魚介類由来の寄生虫=アニサキス(サバ・イカ)・顎口虫(ライギョ・ドジョウ)・横川吸虫(アユ)・日本海裂頭条虫(サケ・マス)・肺吸虫(モクズガニ)。
●終宿主が海産哺乳類=アニサキス(ヒトは非固有宿主=幼虫移行症)。
●冷凍・加熱で予防=アニサキス(-20℃24時間以上、または60℃以上の加熱)。
選択肢ごとの解説
- ① アニサキスは胃のみならず腸管壁にも穿入し腸アニサキス症を起こすため、病変は胃に限局しない。
- ② アニサキスはサバなど海産魚の生食で感染するもので、生の牛肉では感染しない。牛肉は無鉤条虫などの感染源である。
- ③ ヒトはアニサキスの非固有宿主(終宿主ではない)であり、終宿主はクジラやイルカなどの海産哺乳類である。
- ④ 正しい。アニサキス幼虫は-20℃で24時間以上の冷凍により死滅し、これが有効な予防法である。
- ⑤ アニサキスに有効な抗寄生虫薬は確立されておらず、治療は内視鏡的虫体摘出が基本である。
📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。
第67回 午後5(臨床検査総論)
検便で診断できるのはどれか。
- ①無鉤条虫症
- ②剛棘顎口虫症
- ③Manson孤虫症
- ④広東住血線虫症
- ⑤多包条虫〈エキノコックス〉症
正答: ①無鉤条虫症
ポイント
検便(糞便検査)で診断できる寄生虫症は、虫卵や受胎片節などが糞便中に排泄されるものである。無鉤条虫はヒトを終宿主として小腸に寄生し、虫卵や片節を糞便中に排出するため検便で診断できる。一方、剛棘顎口虫症・Manson孤虫症・広東住血線虫症のような幼虫が組織を移行する幼虫移行症や、虫卵が糞便に出ないエキノコックス症は検便での診断が困難である。
●検便で診断可(成虫が腸管寄生)=無鉤条虫・有鉤条虫・回虫・鞭虫・鉤虫・日本海裂頭条虫。
●幼虫移行症(検便不可・血清/画像診断)=剛棘顎口虫・Manson孤虫・広東住血線虫・トキソカラ(イヌ・ネコ回虫)。
●画像・血清診断=多包条虫(エキノコックス症)・有鉤嚢虫症。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。無鉤条虫はヒト小腸に寄生し、虫卵や片節を糞便中に排泄するため検便で診断できる。
- ② 剛棘顎口虫症はヒト体内を幼虫が移行する幼虫移行症で、糞便中に虫卵は出ず検便では診断できない。
- ③ Manson孤虫症はマンソン裂頭条虫の幼虫(プレロセルコイド)が皮下などに移行する幼虫移行症で、検便では診断できない。
- ④ 広東住血線虫症は好酸球性髄膜炎を起こす幼虫移行症で、ヒトでは成虫にならず糞便中に虫卵が出ないため検便で診断できない。
- ⑤ 多包条虫症(エキノコックス症)は幼虫(包虫)が肝臓などに寄生する病態で、ヒト糞便中に虫卵は出ず画像・血清診断による。
第67回 午後6(臨床検査総論)
漏出性腹水に合致する所見はどれか。
- ①混濁
- ②pH 7.20
- ③比重1.026
- ④LD 480 U/L
- ⑤蛋白1.8 g/dL
正答: ⑤蛋白1.8 g/dL
ポイント
腹水は漏出液と滲出液に大別される。漏出液は静水圧上昇や膠質浸透圧低下(肝硬変・心不全・低蛋白血症など)で生じ、蛋白濃度が低く(一般に2.5 g/dL未満)、比重が低く(1.015以下)、乳酸脱水素酵素(LD)が低く、細胞成分が少なく清澄である。滲出液は炎症・悪性腫瘍によるもので蛋白・比重・LDが高く混濁し、pHは感染時に低下する。蛋白1.8 g/dLという低蛋白は漏出性腹水に合致する。
●漏出液(非炎症性)=蛋白<2.5 g/dL・比重<1.015・LD低値・清澄/原因=肝硬変・心不全・ネフローゼ。
●滲出液(炎症・腫瘍性)=蛋白高値・比重>1.018・LD高値・混濁/原因=細菌性腹膜炎・癌性腹膜炎・結核。
●鑑別基準=Rivalta反応(滲出液で陽性)・血清腹水アルブミン勾配(SAAG)。
選択肢ごとの解説
- ① 混濁は炎症や悪性腫瘍を示唆する滲出液の所見であり、漏出液は通常清澄である。
- ② pHの著明な低下は感染性腹膜炎など滲出性病態でみられる所見で、漏出液に特徴的とはいえない。
- ③ 比重1.026は高値であり滲出液(比重1.018以上)の所見で、漏出液は比重が低い。
- ④ LD 480 U/Lは高値で滲出液を示唆し、漏出液ではLDは低い。
- ⑤ 正しい。蛋白1.8 g/dLという低蛋白は漏出性腹水(一般に蛋白2.5 g/dL未満)に合致する所見である。
第67回 午後7(臨床検査総論)
塩基置換により終止コドンが生じる遺伝子変異の種類はどれか。
- ①サイレント変異
- ②ナンセンス変異
- ③ミスセンス変異
- ④フレームシフト変異
- ⑤ミススプライシング変異
正答: ②ナンセンス変異
ポイント
塩基置換による点変異のうち、アミノ酸を指定するコドンが終止コドン(UAA・UAG・UGA)に変化するものをナンセンス変異という。終止コドンが早期に出現すると蛋白合成が途中で止まり、短縮した異常蛋白が生じる。同義置換で同じアミノ酸となるのがサイレント変異、別のアミノ酸に変わるのがミスセンス変異であり、いずれも終止コドンは生じない。
●点変異(塩基置換)=サイレント(同義・アミノ酸不変)・ミスセンス(別アミノ酸)・ナンセンス(終止コドン化)。
●読み枠の変化=フレームシフト変異(塩基の挿入・欠失)。
●スプライシング異常=ミススプライシング(スプライス部位変異)。
●終止コドン=UAA・UAG・UGA。
選択肢ごとの解説
- ① サイレント変異は塩基置換が起きても同じアミノ酸を指定する同義変異で、終止コドンは生じない。
- ② 正しい。ナンセンス変異はアミノ酸を指定するコドンが終止コドンに変化する塩基置換で、蛋白合成が途中で停止する。
- ③ ミスセンス変異は塩基置換により別のアミノ酸を指定するコドンに変わる変異で、終止コドンは生じない。
- ④ フレームシフト変異は塩基の挿入・欠失により読み枠がずれる変異で、塩基置換による終止コドン形成とは機序が異なる。
- ⑤ ミススプライシング変異はスプライス部位の異常によりエクソン・イントロンの境界が変化する変異で、終止コドンの直接形成を指すものではない。
第67回 午後8(臨床検査総論)
ヒトのテロメアについて誤っているのはどれか。
- ①染色体を安定化する。
- ②染色体両腕の末端領域を指す。
- ③テロメラーゼにより短縮する。
- ④体細胞では分裂ごとに短縮する。
- ⑤6塩基の繰り返しDNA配列からなる。
正答: ③テロメラーゼにより短縮する。
ポイント
テロメアは染色体末端のTTAGGGという6塩基の繰り返し配列からなり、染色体末端を保護して安定化させる構造である。体細胞ではDNA複製のたびに末端が短縮し、これが分裂回数の限界(細胞老化)の一因となる。テロメラーゼは逆転写酵素活性によりテロメアを伸長(延長)する酵素であって短縮させるものではなく、生殖細胞・幹細胞・多くの癌細胞で活性が高い。
●テロメアの役割=染色体末端の保護・安定化・末端複製問題の緩衝。
●テロメラーゼ=逆転写酵素活性でテロメアを伸長/高活性=生殖細胞・幹細胞・癌細胞。
●染色体の構造領域=テロメア(末端)・セントロメア(動原体)・複製起点。
選択肢ごとの解説
- ① テロメアは染色体末端を保護し安定化させる構造であり、この記述は正しい。
- ② テロメアは染色体の両腕末端に存在する反復配列領域であり、この記述は正しい。
- ③ 誤り。テロメラーゼはテロメアを伸長する酵素であり、短縮させるという記述は誤りである。
- ④ 体細胞ではDNA複製のたびにテロメアが短縮し細胞老化に関与するため、この記述は正しい。
- ⑤ ヒトのテロメアはTTAGGGの6塩基の繰り返し配列からなり、この記述は正しい。
第67回 午後9(臨床検査総論)
健常成人の脳脊髄液について正しいのはどれか。
- ①色調は黄色である。
- ②糖濃度は血漿の約10%である。
- ③蛋白濃度は血清の約10%である。
- ④細胞成分はリンパ球が主体である。
- ⑤クロール濃度は血清より低値である。
正答: ④細胞成分はリンパ球が主体である。
ポイント
健常成人の脳脊髄液は無色透明で、糖濃度は血漿の約60〜70%、蛋白濃度は血清の約0.5%程度ときわめて低い。細胞数は少なく、存在する細胞成分はリンパ球が主体である。クロール濃度は血清よりやや高値を示し、これらの基準からの逸脱(蛋白上昇・糖低下・細胞増多など)は髄膜炎などの病態を示唆する。
●髄膜炎の髄液鑑別=細菌性(多核球増多・糖著減・蛋白増)/ウイルス性(リンパ球増多・糖正常)/結核性(リンパ球増多・糖低下・蛋白増・クロール低下)。
●キサントクロミー(黄色調)=くも膜下出血後・高度蛋白増。
●正常髄液=無色透明・リンパ球主体・糖は血漿の約6割。
選択肢ごとの解説
- ① 健常成人の脳脊髄液は無色透明であり、黄色(キサントクロミー)はくも膜下出血後などの異常所見である。
- ② 脳脊髄液の糖濃度は血漿の約60〜70%であり、約10%ではない。糖の著明な低下は細菌性髄膜炎などで生じる。
- ③ 脳脊髄液の蛋白濃度は血清の約0.5%程度と極めて低く、約10%ではない。
- ④ 正しい。健常成人の脳脊髄液の細胞成分はリンパ球が主体で、細胞数自体はごく少ない。
- ⑤ 脳脊髄液のクロール濃度は血清よりやや高値であり、低値ではない。
第67回 午後10(臨床検査総論)
x̄-R管理図法で管理するのはどれか。2つ選べ。
- ①施設間差
- ②標準液の劣化
- ③検体採取の過誤
- ④分析機器の異常
- ⑤パニック値の検出
正答: ②標準液の劣化・④分析機器の異常
ポイント
X̄-R管理図は、定常的に測定する管理試料(標準試料)の測定値の平均(X̄)と範囲(R)を継時的にプロットし、分析系の精度・正確度の変動を監視する内部精度管理法である。標準液の劣化による系統誤差や、分析機器の異常による平均・ばらつきの変動など、測定系そのものに由来する誤差を検出できる。施設間差・検体採取の過誤・個別検体のパニック値検出は管理図で監視する対象ではない。
●内部精度管理=X̄-R管理図・X-Rs-R管理図・二重測定(同時再現性)・Westgard多重規則(1₂ₛ・1₃ₛ・2₂ₛ・R₄ₛ)。
●外部精度管理=サーベイ(施設間差の評価)。
●管理図で検出=系統誤差(標準液劣化・キャリブレーションずれ)・偶然誤差(機器不安定)。
選択肢ごとの解説
- ① 施設間差は外部精度管理(サーベイ)で評価するもので、施設内のX̄-R管理図では管理しない。
- ② 正しい。標準液の劣化は測定値の系統的なずれを生じ、X̄-R管理図で検出できる。
- ③ 検体採取の過誤は個別の検体に関する誤りであり、管理試料を用いるX̄-R管理図では監視できない。
- ④ 正しい。分析機器の異常は測定値の平均やばらつきの変動として現れ、X̄-R管理図で検出できる。
- ⑤ パニック値の検出は個々の患者検体の異常値判定であり、精度管理図での管理対象ではない。
📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。
第67回 午後11(臨床検査医学総論)
肝硬変の症候に含まれないのはどれか。
- ①脾腫
- ②下肢静脈瘤
- ③血小板減少
- ④ICG 15分停滞率上昇
- ⑤コリンエステラーゼ低値
正答: ②下肢静脈瘤
ポイント
肝硬変では門脈圧亢進と肝合成・解毒能の低下が起こる。門脈圧亢進により脾腫、脾機能亢進による血小板減少、食道・胃静脈瘤などの側副血行路が生じ、肝の蛋白合成能低下によりコリンエステラーゼが低下し、色素排泄能低下によりインドシアニングリーン(ICG)15分停滞率が上昇する。下肢静脈瘤は下肢の表在静脈弁不全による末梢性病変で、門脈圧亢進とは直接関係せず肝硬変の症候には含まれない。
●門脈圧亢進の症候=脾腫・脾機能亢進(汎血球減少)・食道胃静脈瘤・腹壁静脈怒張(メデューサの頭)・腹水。
●肝合成能低下=低アルブミン血症・コリンエステラーゼ低下・凝固因子低下(PT延長)。
●肝予備能評価=ICG15分停滞率・Child-Pugh分類。
選択肢ごとの解説
- ① 脾腫は門脈圧亢進により生じる肝硬変の代表的症候であり、含まれる。
- ② 誤り。下肢静脈瘤は下肢表在静脈の弁不全によるもので、肝硬変・門脈圧亢進の症候には含まれない。
- ③ 血小板減少は脾機能亢進やトロンボポエチン産生低下により生じる肝硬変の症候で、含まれる。
- ④ ICG15分停滞率上昇は肝の色素排泄・処理能低下を反映する肝硬変の所見で、含まれる。
- ⑤ コリンエステラーゼ低値は肝の蛋白合成能低下を反映する肝硬変の症候で、含まれる。
第67回 午後12(臨床検査医学総論)
M蛋白が検出されるのはどれか。2つ選べ。
- ①骨髄線維症
- ②多発性骨髄腫
- ③Hodgkinリンパ腫
- ④急性リンパ性白血病
- ⑤原発性マクログロブリン血症
正答: ②多発性骨髄腫・⑤原発性マクログロブリン血症
ポイント
M蛋白は単一の形質細胞クローンが産生する均一な免疫グロブリン(またはその構成成分)で、血清蛋白電気泳動でM峰(モノクローナルなピーク)として検出される。形質細胞の腫瘍性増殖を示す多発性骨髄腫、およびIgMを産生するリンパ形質細胞性リンパ腫である原発性マクログロブリン血症(Waldenström)で出現する。骨髄線維症・Hodgkinリンパ腫・急性リンパ性白血病はM蛋白を産生しない。
●M蛋白産生疾患=多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症・MGUS(意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症)・形質細胞腫。
●M蛋白検出法=血清蛋白電気泳動(M峰)・免疫固定法(クラス同定)・尿中Bence Jones蛋白。
●非産生=骨髄線維症(骨髄増殖性腫瘍)・Hodgkinリンパ腫・急性リンパ性白血病。
選択肢ごとの解説
- ① 骨髄線維症は造血幹細胞由来の骨髄増殖性腫瘍で骨髄の線維化をきたすが、M蛋白を産生しない。
- ② 正しい。多発性骨髄腫は形質細胞の腫瘍性増殖により単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)を産生する。
- ③ Hodgkinリンパ腫はReed-Sternberg細胞を特徴とするリンパ腫で、M蛋白は通常検出されない。
- ④ 急性リンパ性白血病は未熟リンパ芽球の増殖で、免疫グロブリンを分泌せずM蛋白は検出されない。
- ⑤ 正しい。原発性マクログロブリン血症はリンパ形質細胞が単クローン性IgM(M蛋白)を産生する疾患である。
第67回 午後13(臨床検査医学総論)
Down症候群で認められるのはどれか。
- ①t(8;14)
- ②t(9;22)
- ③13トリソミー
- ④21トリソミー
- ⑤Xモノソミー
正答: ④21トリソミー
ポイント
Down症候群は21番染色体が3本となる21トリソミーが原因で、知的障害・特徴的顔貌・先天性心疾患などを呈する。多くは減数分裂時の不分離による標準型トリソミーで母体高齢が危険因子となり、一部に転座型やモザイク型がある。13トリソミーはPatau症候群、Xモノソミー(45,X)はTurner症候群の核型である。
●常染色体トリソミー=21トリソミー(Down)・18トリソミー(Edwards)・13トリソミー(Patau)。
●性染色体異常=Xモノソミー45,X(Turner)・47,XXY(Klinefelter)。
●代表的転座=t(9;22)(Philadelphia染色体/慢性骨髄性白血病)・t(8;14)(Burkittリンパ腫)・t(15;17)(急性前骨髄球性白血病)。
選択肢ごとの解説
- ① t(8;14)はBurkittリンパ腫でみられる転座で、Down症候群の核型ではない。
- ② t(9;22)はPhiladelphia染色体で慢性骨髄性白血病などにみられ、Down症候群の核型ではない。
- ③ 13トリソミーはPatau症候群の核型であり、Down症候群ではない。
- ④ 正しい。21トリソミー(21番染色体が3本)がDown症候群の原因核型である。
- ⑤ Xモノソミー(45,X)はTurner症候群の核型であり、Down症候群ではない。
📋 まとめの表を見る:染色体数的異常症候群の分類と核型
第67回 午後14(臨床検査医学総論)
乳癌の腫瘍マーカーはどれか。
- ①AFP
- ②CA15-3
- ③DU-PAN-2
- ④PSA
- ⑤SCC
正答: ②CA15-3
ポイント
CA15-3は乳癌で上昇する代表的な腫瘍マーカーで、主に進行・再発の評価に用いられる。腫瘍マーカーは臓器特異性が必ずしも高くないため、早期診断より経過観察に有用なことが多い。アルファフェトプロテイン(AFP)は肝細胞癌・胚細胞腫瘍、前立腺特異抗原(PSA)は前立腺癌、扁平上皮癌関連抗原(SCC)は扁平上皮癌、DU-PAN-2は膵癌などのマーカーである。
●乳癌=CA15-3・CEA・HER2。
●消化器癌=CEA・CA19-9・DU-PAN-2・SPan-1(膵・胆道)・AFP(肝)。
●泌尿生殖器=PSA(前立腺)・hCG/AFP(胚細胞腫瘍)。
●扁平上皮癌=SCC(子宮頸部・肺・食道)。
●卵巣癌=CA125。
選択肢ごとの解説
- ① AFPは肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍などの腫瘍マーカーで、乳癌のマーカーではない。
- ② 正しい。CA15-3は乳癌の代表的腫瘍マーカーで、再発・転移の評価に用いられる。
- ③ DU-PAN-2は膵癌・胆道癌などの腫瘍マーカーで、乳癌のマーカーではない。
- ④ PSAは前立腺特異抗原で前立腺癌のマーカーであり、乳癌のマーカーではない。
- ⑤ SCCは扁平上皮癌関連抗原で子宮頸癌・肺扁平上皮癌などのマーカーであり、乳癌のマーカーではない。
第67回 午後15(臨床検査医学総論)
血清コリンエステラーゼ活性が低下するのはどれか。
- ①鉛中毒
- ②水銀中毒
- ③青酸中毒
- ④有機リン中毒
- ⑤一酸化炭素中毒
正答: ④有機リン中毒
ポイント
有機リン中毒では、有機リン化合物がコリンエステラーゼを不可逆的に阻害してアセチルコリンが蓄積し、縮瞳・流涎・気道分泌過多などのムスカリン様症状や筋線維束攣縮などのニコチン様症状を呈する。血清コリンエステラーゼ活性の低下は有機リン曝露の指標となり、解毒にはアトロピンとプラリドキシム(PAM)が用いられる。鉛・水銀・青酸・一酸化炭素中毒はそれぞれ異なる機序で毒性を示し、コリンエステラーゼ活性を特異的に低下させるものではない。
●有機リン中毒=コリンエステラーゼ阻害・アセチルコリン蓄積・縮瞳・解毒はアトロピン+PAM。
●コリンエステラーゼ低下のその他=肝障害(合成能低下)・低栄養。
●他の中毒=鉛(ヘム合成阻害・好塩基性斑点赤血球)・水銀(腎・神経障害)・青酸(チトクロム酸化酵素阻害)・一酸化炭素(COヘモグロビン形成)。
選択肢ごとの解説
- ① 鉛中毒はヘム合成阻害による貧血や末梢神経障害を起こすが、コリンエステラーゼ活性を低下させるものではない。
- ② 水銀中毒は腎障害や神経障害を起こすが、血清コリンエステラーゼ活性低下を特徴としない。
- ③ 青酸中毒は細胞のチトクロム酸化酵素を阻害して組織呼吸を障害するもので、コリンエステラーゼ阻害ではない。
- ④ 正しい。有機リン化合物はコリンエステラーゼを阻害し、血清コリンエステラーゼ活性を低下させる。
- ⑤ 一酸化炭素中毒はヘモグロビンと結合して酸素運搬を障害するもので、コリンエステラーゼ活性を低下させるものではない。
第67回 午後16(臨床生理学)
心電図を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB016.4bc995905d.jpg

- ①右脚ブロック
- ②左脚ブロック
- ③急性前壁中隔梗塞
- ④A型WPW症候群
- ⑤B型WPW症候群
正答: ④A型WPW症候群
ポイント
図はWPW(Wolff-Parkinson-White)症候群の心電図で、PQ短縮・デルタ波・QRS幅増大が特徴である。WPW症候群はKent束(副伝導路)による心室の早期興奮で生じ、A型は胸部誘導(特にV1)でデルタ波・QRSが上向き(陽性)を示し左室側の副伝導路に対応する。B型はV1でQRSが下向き(陰性)となる。
●WPW症候群=PQ短縮・デルタ波・QRS延長/A型(V1陽性・左側副伝導路)・B型(V1陰性・右側副伝導路)。
●合併不整脈=発作性上室頻拍(房室回帰性頻拍)・心房細動(偽性心室頻拍に注意)。
●脚ブロック鑑別=右脚ブロック(V1でrSR'型)・左脚ブロック(V1で深い陰性QRS)。
選択肢ごとの解説
- ① 右脚ブロックはV1でrSR'型のQRS幅延長を示す所見で、本図のデルタ波を伴うWPW型とは異なる。
- ② 左脚ブロックはV1で深い陰性QRS、側壁誘導で幅広いR波を示す所見で、本図とは異なる。
- ③ 急性前壁中隔梗塞はST上昇や異常Q波を示す所見で、本図とは異なる。
- ④ 正しい。V1でデルタ波・QRSが陽性を示すA型WPW症候群の心電図所見である。
- ⑤ B型WPW症候群はV1でQRSが陰性となるもので、本図の所見とは異なる。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第67回 午後17(臨床生理学)
血流依存性血管拡張反応〈FMD〉の測定で誤っているのはどれか。
- ①測定する腕とは対側の上腕で血圧を測定する。
- ②安静時の上腕動脈の血管径を測定する。
- ③前腕部または上腕部を駆血する。
- ④駆血圧は収縮期血圧とする。
- ⑤駆血解除後、最大拡張時の血管径を測定する。
正答: ④駆血圧は収縮期血圧とする。
ポイント
血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation:FMD)は、上腕などを駆血して虚血後に解除し、反応性充血による血流増加が血管内皮からの一酸化窒素(NO)産生を介して上腕動脈を拡張させる程度を超音波で評価する血管内皮機能検査である。駆血圧は確実な動脈血流遮断のため収縮期血圧より十分高く(通常収縮期血圧+50 mmHg程度)設定し、収縮期血圧そのものとはしない。安静時血管径と最大拡張時血管径の変化率で評価する。
●FMD=血管内皮機能(NO依存性拡張)・動脈硬化の早期指標。
●測定手技=対側上腕で血圧測定・安静時径測定・駆血(収縮期血圧+50 mmHg・5分)・解除後最大拡張径測定・変化率算出。
●関連検査=脈波伝播速度(PWV)・心臓足首血管指数(CAVI)・足関節上腕血圧比(ABI)。
選択肢ごとの解説
- ① 測定側と反対の上腕で血圧を測定するのは適切で、誤りではない。
- ② 安静時の上腕動脈血管径を基準値として測定するのは適切で、誤りではない。
- ③ 前腕または上腕を駆血して虚血を作るのは適切な手技で、誤りではない。
- ④ 誤り。駆血圧は確実に動脈血流を遮断するため収縮期血圧より十分高く設定するもので、収縮期血圧そのものとするのは誤りである。
- ⑤ 駆血解除後の反応性充血により最大拡張した時点の血管径を測定するのは適切で、誤りではない。
第67回 午後18(臨床生理学)
左室流入血流速波形のE/Aを計測するのはどれか。
- ①Bモード法
- ②Mモード法
- ③カラードプラ法
- ④パルスドプラ法
- ⑤連続波ドプラ法
正答: ④パルスドプラ法
ポイント
左室流入血流速波形のE波(拡張早期流入)とA波(心房収縮による流入)を計測するには、サンプルゲートを僧帽弁口に設定して特定部位(特定深度)の血流速を測定できるパルスドプラ法を用いる。E/A比は左室拡張能の評価に用いられる。連続波ドプラは高速血流の最大速度測定に適するが部位特定はできず、Bモード・Mモード・カラードプラはE/Aの定量計測には適さない。
●ドプラ法=パルスドプラ(部位特定・低速血流・E/A計測)・連続波ドプラ(高速血流最大速度・狭窄圧較差)・カラードプラ(血流の方向と速度を色表示)。
●左室拡張能評価=E/A比・E/e'・減速時間(DT)・等容弛緩時間。
●断層・運動評価=Bモード(形態)・Mモード(時間変化)。
選択肢ごとの解説
- ① Bモード法は断層像(形態)を描出する方法で、血流速波形の計測には用いない。
- ② Mモード法は一直線上の動きの時間的変化を記録する方法で、血流速波形の計測には用いない。
- ③ カラードプラ法は血流の方向・速度を二次元的に色表示するもので、E/A波形の定量計測には適さない。
- ④ 正しい。パルスドプラ法はサンプルゲートを僧帽弁口に設定でき、左室流入血流のE波・A波を計測できる。
- ⑤ 連続波ドプラ法は高速血流の最大流速測定に適するが、深さ方向の部位特定ができずE/A計測には用いない。
第67回 午後19(臨床生理学)
連続波ドプラ法で三尖弁逆流の最大流速が3.0 m/sであった。推定される収縮期肺動脈圧[mmHg]はどれか。ただし、右房圧を5mmHgとする。
正答: ④41
ポイント
三尖弁逆流から収縮期肺動脈圧を推定するには、簡易ベルヌーイ式で右室-右房間の圧較差ΔP=4V²を求め、これに右房圧を加える。最大流速V=3.0 m/sではΔP=4×3.0²=36 mmHg、これに右房圧5 mmHgを加えて41 mmHgとなる。右室流出路狭窄がなければ収縮期肺動脈圧は収縮期右室圧に等しい。
●簡易ベルヌーイ式=ΔP=4V²(圧較差[mmHg]、V=最大流速[m/s])。
●収縮期肺動脈圧=4V²(三尖弁逆流速度)+右房圧。
●ドプラ圧較差応用=大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄・心室中隔欠損の圧較差推定。
選択肢ごとの解説
- ① 27は計算式に合致しない。4×3.0²+5は41 mmHgであり27にはならない。
- ② 31は計算式に合致しない。
- ③ 36は右房圧を加える前の圧較差(4V²)の値であり、最終的な肺動脈圧ではない。
- ④ 正しい。4×3.0²=36 mmHgに右房圧5 mmHgを加え、収縮期肺動脈圧は41 mmHgとなる。
- ⑤ 45は計算式に合致しない。
第67回 午後20(臨床生理学)
酸素解離曲線のシフトに関与しないのはどれか。
- ①pH
- ②温度
- ③二酸化炭素分圧
- ④ヘモグロビン濃度
- ⑤2,3-ジホスホグリセリン酸〈2,3-DPG〉
正答: ④ヘモグロビン濃度
ポイント
酸素解離曲線はヘモグロビンの酸素親和性を示し、pH低下(酸性)・温度上昇・二酸化炭素分圧上昇・2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)増加で右方移動(親和性低下、組織への酸素放出促進)する。これらの作用はBohr効果などとして知られる。ヘモグロビン濃度は血液の酸素含量(総量)には影響するが、曲線の形やシフト(酸素親和性)には関与しない。
●右方移動(酸素を放しやすい)=pH低下・温度上昇・PCO₂上昇・2,3-DPG増加(Bohr効果)。
●左方移動(酸素を離しにくい)=pH上昇・温度低下・PCO₂低下・2,3-DPG減少・一酸化炭素ヘモグロビン・胎児ヘモグロビン。
●シフトに無関係=ヘモグロビン濃度(酸素含量=総量に影響)。
選択肢ごとの解説
- ① pHは酸素解離曲線のシフトに関与する(Bohr効果)。
- ② 温度は酸素親和性に影響し曲線をシフトさせる因子である。
- ③ 二酸化炭素分圧は酸素親和性に影響し曲線をシフトさせる因子である。
- ④ 誤り。ヘモグロビン濃度は酸素含量に影響するが、酸素解離曲線のシフト(酸素親和性)には関与しない。
- ⑤ 2,3-DPGはヘモグロビンの酸素親和性を低下させ曲線を右方移動させる因子である。
第67回 午後21(臨床生理学)
安静呼気位から最大吸気位までの肺気量はどれか。
- ①肺活量
- ②全肺気量
- ③1回換気量
- ④最大吸気量
- ⑤予備吸気量
正答: ④最大吸気量
ポイント
安静呼気位(機能的残気量の位置)から最大吸気位まで吸い込める量を最大吸気量(inspiratory capacity:IC)といい、1回換気量と予備吸気量の和に相当する。肺活量は最大呼気位から最大吸気位までの量、全肺気量は最大吸気位における肺内の全ガス量であり、起点・終点が異なる。これら肺気量分画の定義の区別が問われている。
●肺気量分画=1回換気量(TV)・予備吸気量(IRV)・予備呼気量(ERV)・残気量(RV)。
●容量(分画の和)=最大吸気量IC=TV+IRV/機能的残気量FRC=ERV+RV/肺活量VC=IRV+TV+ERV/全肺気量TLC=VC+RV。
●基準点=安静呼気位=FRCの位置(ICの起点)。
選択肢ごとの解説
- ① 肺活量は最大呼気位から最大吸気位まで(予備吸気量+1回換気量+予備呼気量)であり、安静呼気位を起点としない。
- ② 全肺気量は最大吸気位における肺内の全ガス量で、安静呼気位からの吸気量ではない。
- ③ 1回換気量は安静時の1回の呼吸で出入りする量であり、最大吸気位までの量ではない。
- ④ 正しい。最大吸気量は安静呼気位から最大吸気位までに吸い込める量(1回換気量+予備吸気量)である。
- ⑤ 予備吸気量は安静吸気位から最大吸気位までの量で、安静呼気位を起点としない。
第67回 午後22(臨床生理学)
フローボリューム曲線を別に示す。この症例で低下するのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB022.5ac33a0fcc.jpg

- ①1秒率
- ②残気量
- ③全肺気量
- ④機能的残気量
- ⑤静肺コンプライアンス
正答: ①1秒率
ポイント
閉塞性換気障害ではフローボリューム曲線の呼出脚が下に凸(下方に湾曲)となり、最大呼気流量や1秒率(FEV1.0%)が低下する。気道抵抗増大により呼出が障害される一方、肺の過膨張により残気量・機能的残気量・全肺気量はむしろ増加する。したがってこの症例で低下するのは1秒率である。
●閉塞性換気障害=1秒率低下(70%未満)・呼出脚が下に凸・残気量増加/代表=慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息・肺気腫。
●拘束性換気障害=肺活量低下(%肺活量80%未満)・全肺気量減少/代表=間質性肺炎・肺線維症。
●混合性=1秒率と%肺活量がともに低下。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。閉塞性換気障害では気道抵抗増大により呼出が障害され、1秒率が低下する。
- ② 閉塞性障害では肺の過膨張により残気量はむしろ増加し、低下しない。
- ③ 閉塞性障害では全肺気量はむしろ増加傾向で、低下しない。
- ④ 閉塞性障害では機能的残気量はエアトラッピングにより増加し、低下しない。
- ⑤ 静肺コンプライアンスは肺気腫などで増加することがあり、本症例で低下する指標とはいえない。
第67回 午後23(臨床生理学)
単一呼吸法によるクロージングボリューム測定で使用するガスはどれか。
- ①酸素単独
- ②酸素および窒素
- ③酸素およびヘリウム
- ④酸素および一酸化炭素
- ⑤酸素および二酸化炭素
正答: ①酸素単独
ポイント
クロージングボリューム測定の単一呼吸法(レジデントガス法)では、最大呼気後に純酸素(100%酸素)を最大吸気まで吸入し、その後ゆっくり呼出しながら呼気中窒素濃度を連続測定する。肺尖部と肺底部で酸素による肺内窒素の希釈の度合いが異なるため、呼出末期の窒素濃度上昇(第IV相の立ち上がり)として末梢気道の閉鎖を検出する。
●クロージングボリューム=末梢気道が閉鎖し始める時点から最大呼気位までの肺気量・第IV相で評価。
●単一呼吸法=純酸素吸入+呼気窒素濃度測定(レジデントガス法)。
●他の呼吸機能ガス=ヘリウム(機能的残気量=希釈法)・一酸化炭素(肺拡散能DLCO)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。単一呼吸法では純酸素(酸素単独)を吸入し、呼気中窒素濃度の変化からクロージングボリュームを測定する。
- ② 酸素と窒素の混合ガスは用いず、純酸素を吸入して肺内の窒素を希釈する方法である。
- ③ 酸素とヘリウムの組合せは用いない。ヘリウムは機能的残気量測定(希釈法)で用いる。
- ④ 酸素と一酸化炭素の組合せは肺拡散能(DLCO)測定で用いるもので、クロージングボリュームには用いない。
- ⑤ 酸素と二酸化炭素の組合せはクロージングボリューム測定には用いない。
第67回 午後24(臨床生理学)
右肋骨弓下横走査による超音波像を別に示す。矢印が示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB024.8fe1b2ad71.jpg

- ①音響陰影
- ②鏡面現象
- ③多重反射
- ④サイドローブ
- ⑤後方エコー増強
正答: ①音響陰影
ポイント
右肋骨弓下横走査では胆嚢結石などの強い反射体の後方に超音波が透過せず、無エコー(黒)の帯として描出される音響陰影(アコースティックシャドウ)がみられる。これは結石・ガス・石灰化など超音波を強く反射・減衰させる構造の後方に生じるアーチファクトであり、胆石診断の手がかりとなる。
●超音波アーチファクト=音響陰影(強反射体後方の無エコー帯)・後方エコー増強(嚢胞後方の高輝度)・多重反射(等間隔の虚像)・鏡面現象(横隔膜での対称虚像)・サイドローブ(副ローブ虚像)。
●音響陰影の原因=結石・石灰化・ガス(消化管)・骨。
●後方エコー増強の原因=嚢胞・胆嚢・膀胱など液体貯留。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。強い反射・減衰体(結石など)の後方に生じる無エコーの帯状領域が音響陰影である。
- ② 鏡面現象は横隔膜などの強い反射面を境に虚像が対称に描出されるアーチファクトで、無エコー帯とは異なる。
- ③ 多重反射は平行な反射面間で超音波が反復反射して等間隔の虚像が現れるアーチファクトで、本所見とは異なる。
- ④ サイドローブは主ビーム以外の副ローブによる虚像で、無エコー帯を示すものではない。
- ⑤ 後方エコー増強は嚢胞など減衰の少ない構造の後方が明るく描出される現象で、音響陰影とは逆の所見である。
第67回 午後25(臨床生理学)
前頸部横走査による超音波像を別に示す。食道はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB025.7996f90255.jpg

正答: ④
ポイント
前頸部横走査では甲状腺左葉の背側・気管の左側に食道が描出される。食道は層状の壁構造を示し、嚥下により内腔の変化や蠕動が観察できることが鑑別点となる。気管は前方の強いガスエコーとして、総頸動脈・内頸静脈は外側の管腔構造として区別される。
●前頸部横走査の構造=甲状腺(左右葉・峡部)・気管(前方ガスエコー)・食道(左葉背側・気管左側・層状壁)・総頸動脈/内頸静脈(外側)。
●食道の鑑別点=嚥下時の内腔変化・蠕動・層状壁構造(target sign様)。
●甲状腺超音波の対象病変=結節・嚢胞・びまん性腫大(橋本病・バセドウ病)・石灰化(乳頭癌)。
選択肢ごとの解説
- ① ①は右内頸静脈。甲状腺右葉の外側で、右総頸動脈②のさらに外側にある管腔構造であり、食道ではない。
- ② ②は右総頸動脈。甲状腺右葉の外側にある円形の管腔構造であり、甲状腺左葉の背側にある食道とは位置が異なる。
- ③ ③は気管。前方の弧状の強いエコーと、その背側の含気による減衰が目印である。食道④はこの左側に位置する。
- ④ 正しい。気管の左側・甲状腺左葉の背側に位置し、層状壁構造を示す④が食道である。
- ⑤ ⑤は甲状腺左葉内の嚢胞性病変。左葉の実質内にある類円形の無エコー域で、左葉背側に位置し層状壁構造を示す食道④とは区別できる。
第67回 午後26(臨床生理学)
脳波で1.5〜2.5 Hz鋭徐波複合を認めるのはどれか。
- ①欠神発作
- ②West症候群
- ③覚醒時大発作てんかん
- ④Lennox-Gastaut症候群
- ⑤若年性ミオクロニーてんかん
正答: ④Lennox-Gastaut症候群
ポイント
Lennox-Gastaut症候群は幼児期に発症する難治性のてんかん性脳症で、強直発作・脱力発作・非定型欠神など多彩な発作型と知的障害を伴う。脳波では覚醒時に1.5〜2.5 Hzの遅い鋭徐波複合(slow spike-and-wave)が広汎性にみられ、睡眠時には速律動(10 Hz前後)も出現する。発作型と脳波所見の対応がてんかん症候群の鑑別の基礎となる。
●てんかん性脳症=Lennox-Gastaut症候群(1.5〜2.5 Hz鋭徐波複合)・West症候群(ヒプスアリスミア)・大田原症候群(suppression-burst)。
●全般てんかんの脳波=定型欠神(3 Hz棘徐波複合)・若年ミオクロニー(多棘徐波複合)・覚醒時大発作(全般性棘徐波)。
●焦点てんかんの脳波=側頭葉てんかん(側頭部棘波)・中心側頭部棘波てんかん(Rolandic discharge)。
選択肢ごとの解説
- ① 欠神発作は左右対称・同期性の3 Hz棘徐波複合を示し、1.5〜2.5 Hzの遅い鋭徐波複合ではない。
- ② West症候群は高振幅・不規則な徐波と多焦点性棘波が混在するヒプスアリスミアを示し、本所見とは異なる。
- ③ 覚醒時大発作てんかんは全般性の棘徐波・多棘徐波を示すが、1.5〜2.5 Hzの遅い鋭徐波複合を特徴としない。
- ④ 正しい。Lennox-Gastaut症候群は覚醒時に1.5〜2.5 Hzの遅い鋭徐波複合を呈する難治性てんかん性脳症である。
- ⑤ 若年性ミオクロニーてんかんは4〜6 Hzの多棘徐波複合を示し、1.5〜2.5 Hzの遅い鋭徐波複合ではない。
📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。
第67回 午後27(臨床生理学)
運動神経線維はどれか。
正答: ①Aα
ポイント
末梢神経線維はErlanger-Gasserの分類で線維の太さ・有髄無髄・伝導速度により分けられる。Aα線維は最も太い有髄線維で伝導速度が最速(約70〜120 m/s)であり、骨格筋を支配する運動神経(α運動ニューロン)と筋紡錘・腱器官からの固有感覚を担う。太い有髄線維ほど伝導が速いという関係が神経伝導検査の基礎となる。
●A群有髄線維=Aα(運動・固有感覚)・Aβ(触圧覚)・Aγ(筋紡錘運動)・Aδ(速い痛覚・温度覚)。
●B線維=自律神経節前線維(有髄・細い)。
●C線維=無髄で遅い痛覚・温度覚・自律神経節後線維。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。Aα線維は最も太く伝導速度が速い有髄線維で、骨格筋を支配する運動神経線維である。
- ② Aβ線維は触圧覚を伝える有髄感覚線維で、骨格筋運動を支配する線維ではない。
- ③ Aδ線維は速い痛覚・温度覚を伝える細い有髄感覚線維で、運動神経線維ではない。
- ④ B線維は自律神経の節前線維で、骨格筋を支配する運動神経線維ではない。
- ⑤ C線維は無髄で遅い痛覚や自律神経節後線維を担い、運動神経線維ではない。
第67回 午後28(臨床生理学)
神経伝導検査で、感覚線維機能のみ評価可能なのはどれか。
- ①脛骨神経
- ②尺骨神経
- ③正中神経
- ④橈骨神経
- ⑤腓腹神経
正答: ⑤腓腹神経
ポイント
腓腹神経は下腿後外側から足背外側の皮膚感覚を担う純粋な感覚神経で、運動線維を含まないため神経伝導検査では感覚神経活動電位(SNAP)のみが評価できる。アクセスしやすく多発神経障害のスクリーニングで感覚機能の指標として広く用いられる。脛骨・尺骨・正中・橈骨神経はいずれも運動線維と感覚線維を含む混合神経で、運動・感覚双方の伝導検査が可能である。
●純粋感覚神経=腓腹神経・浅腓骨神経・内側前腕皮神経・橈骨神経浅枝。
●混合神経=正中神経・尺骨神経・脛骨神経・腓骨神経。
●運動伝導検査の指標=遠位潜時・運動神経伝導速度・複合筋活動電位(CMAP)。
選択肢ごとの解説
- ① 脛骨神経は運動・感覚両方の線維を含む混合神経であり、運動機能も評価できる。
- ② 尺骨神経は運動・感覚両方の線維を含む混合神経で、感覚線維のみではない。
- ③ 正中神経は運動・感覚両方の線維を含む混合神経で、感覚線維のみではない。
- ④ 橈骨神経は運動・感覚両方の線維を含む混合神経で、感覚線維のみではない。
- ⑤ 正しい。腓腹神経は感覚線維のみからなる純粋感覚神経で、感覚機能のみを評価できる。
第67回 午後29(臨床化学)
メタボリックシンドロームの診断基準に含まれるのはどれか。2つ選べ。
- ①中性脂肪
- ②遊離脂肪酸
- ③総コレステロール
- ④HDL-コレステロール
- ⑤LDL-コレステロール
正答: ①中性脂肪・④HDL-コレステロール
ポイント
日本のメタボリックシンドロームの診断基準は内臓脂肪蓄積(腹囲が男性85 cm以上・女性90 cm以上)を必須項目とし、脂質異常・血圧高値・空腹時高血糖のうち2項目以上で診断する。脂質異常の項目は中性脂肪150 mg/dL以上またはHDLコレステロール40 mg/dL未満であり、いずれかを満たせば1項目として数える。LDLコレステロールや総コレステロールは動脈硬化の指標ではあるが本診断基準には含まれない。
●メタボの必須項目=内臓脂肪蓄積(腹囲)。
●選択3項目=脂質異常(中性脂肪≧150 or HDL<40)・血圧(≧130/85)・空腹時血糖(≧110)。
●基準に含まれない脂質=総コレステロール・LDLコレステロール・遊離脂肪酸。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。中性脂肪(トリグリセリド)150 mg/dL以上は脂質異常の項目として診断基準に含まれる。
- ② 遊離脂肪酸はメタボリックシンドロームの診断基準項目には含まれない。
- ③ 総コレステロールはメタボリックシンドロームの診断基準項目には含まれない。
- ④ 正しい。HDLコレステロール40 mg/dL未満は脂質異常の項目として診断基準に含まれる。
- ⑤ LDLコレステロールは動脈硬化性疾患の指標だが、メタボリックシンドロームの診断基準項目には含まれない。
📋 まとめの表を見る:メタボリックシンドロームの診断基準
腹囲基準に加え、血中脂質・血圧・血糖のうち2項目以上に該当する場合にメタボリックシンドロームと診断する。予備群は腹囲基準を満たし選択項目が1項目のみの場合をいう。腹囲基準未満でBMI25以上の者を拾い上げるのは特定保健指導の対象者選定(階層化)の基準であり、診断基準上の予備群ではない。総コレステロール・LDL-コレステロール・遊離脂肪酸は本診断基準には含まれない。
第67回 午後30(臨床化学)
下垂体後葉ホルモンはどれか。2つ選べ。
- ①オキシトシン
- ②甲状腺刺激ホルモン
- ③成長ホルモン
- ④バソプレシン
- ⑤プロラクチン
正答: ①オキシトシン・④バソプレシン
ポイント
下垂体後葉ホルモンはオキシトシンとバソプレシン(抗利尿ホルモン)の2つで、視床下部の室傍核・視索上核の神経細胞で合成され軸索を通って後葉に運ばれ分泌される(神経分泌)。オキシトシンは子宮平滑筋収縮と射乳を、バソプレシンは腎集合管での水再吸収促進と血管収縮を担う。成長ホルモン・プロラクチン・甲状腺刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌される。
●下垂体後葉ホルモン=オキシトシン・バソプレシン(抗利尿ホルモン)。
●下垂体前葉ホルモン=成長ホルモン・プロラクチン・甲状腺刺激ホルモン・副腎皮質刺激ホルモン・卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン。
●視床下部ホルモン=放出ホルモン(TRH・CRH・GnRH・GHRH)・抑制ホルモン(ソマトスタチン・ドパミン)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。オキシトシンは視床下部で合成され下垂体後葉から分泌されるホルモンである。
- ② 甲状腺刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、後葉ホルモンではない。
- ③ 成長ホルモンは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、後葉ホルモンではない。
- ④ 正しい。バソプレシン(抗利尿ホルモン)は視床下部で合成され下垂体後葉から分泌される。
- ⑤ プロラクチンは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、後葉ホルモンではない。
第67回 午後31(臨床化学)
心筋梗塞発症時に最も早く上昇するのはどれか。
- ①LD
- ②CK-MB
- ③心筋トロポニンT
- ④心筋ミオシン軽鎖
- ⑤心臓型脂肪酸結合蛋白〈H-FABP〉
正答: ⑤心臓型脂肪酸結合蛋白〈H-FABP〉
ポイント
心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)は心筋細胞質に多量に存在する低分子量蛋白で、心筋傷害時に細胞外へ速やかに逸脱し発症後1〜2時間で血中上昇が始まる、最も早期に上昇する心筋マーカーである。心筋トロポニンTやCK-MBは数時間遅れて上昇し、LDはさらに遅れてピークに達する。各マーカーの出現・ピーク時間の違いが発症時期の推定と早期診断に利用される。
●超早期マーカー=H-FABP・ミオグロビン(発症後1〜2時間)。
●心筋特異性が高いマーカー=心筋トロポニンT/I・CK-MB。
●ピークが遅いマーカー=LD(乳酸脱水素酵素)・AST。
選択肢ごとの解説
- ① LD(乳酸脱水素酵素)は発症後12〜24時間以降に上昇しピークも遅く、最も早く上昇するマーカーではない。
- ② CK-MBは発症後4〜8時間ほどで上昇し始め、H-FABPより遅れる。
- ③ 心筋トロポニンTは発症後3〜4時間以降に上昇し長期間持続するが、上昇開始はH-FABPより遅い。
- ④ 心筋ミオシン軽鎖は発症後やや遅れて上昇するマーカーで、最も早く上昇するものではない。
- ⑤ 正しい。心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)は低分子で心筋細胞質に多く、発症後最も早く血中に上昇する。
📋 まとめの表を見る:心筋傷害マーカーの比較(血中出現時期・特異性)
第67回 午後32(臨床化学)
Michaelis-Mentenの式について正しいのはどれか。ただし、[S]:基質濃度、v:速度、Vmax:最大反応速度、Km:Michaelis定数とする。
- ①Km値の単位はmg/dLで表す。
- ②0次反応領域でVmaxが得られる。
- ③Km値とはVmaxの1/3の速度をあたえる[S]を意味する。
- ④[S]がKm値に対して著しく低いときv=Vmaxに近似する。
- ⑤終点分析法で反応時間を早めるにはKm値が大きい酵素を使用する。
正答: ②0次反応領域でVmaxが得られる。
ポイント
Michaelis-Mentenの式は v=Vmax[S]/(Km+[S]) で表され、酵素反応速度と基質濃度の関係を示す。基質濃度が十分高くKmに比べ著しく大きいと反応速度は基質濃度に依存しなくなり最大速度Vmaxに近づく(ゼロ次反応領域)。Km値はVmaxの2分の1の速度を与える基質濃度で、酵素の基質親和性の指標であり、単位は濃度(mol/L等)で表す。
●反応速度論の用語=Vmax(最大速度)・Km(Michaelis定数)・kcat(触媒定数)。
●Km値の意味=小さいほど基質親和性が高い。
●反応領域=一次反応領域([S]≪Kmでvが[S]に比例)・ゼロ次反応領域([S]≫Kmでv≒Vmax)。
選択肢ごとの解説
- ① Km値は基質濃度の次元をもち単位は濃度(mol/Lなど)で表され、mg/dLに限定されるものではない。
- ② 正しい。基質濃度が十分高いゼロ次反応領域では反応速度がVmaxに近づく。
- ③ Km値はVmaxの2分の1の速度を与える基質濃度を意味し、Vmaxそのものを与える濃度ではない。
- ④ [S]がKmに対して著しく低いときは一次反応領域でvは[S]に比例し、Vmaxには近似しない。
- ⑤ 終点分析法で反応を速めるにはKm値が小さく基質親和性が高い酵素が有利であり、Km値が大きい酵素ではない。
第67回 午後33(臨床化学)
ホルモンと生理作用の組合せで正しいのはどれか。
- ①インクレチン — 抗利尿作用
- ②オキシトシン — 抗アレルギー作用
- ③コルチゾール — 子宮収縮作用
- ④バソプレシン — インスリン分泌促進作用
- ⑤アンジオテンシンⅡ — 血管収縮作用
正答: ⑤アンジオテンシンⅡ — 血管収縮作用
ポイント
アンジオテンシンⅡはレニン・アンジオテンシン系の活性ペプチドで、血管平滑筋を直接収縮させて血圧を上昇させるとともに副腎皮質からのアルドステロン分泌を促す。各ホルモンの本来の生理作用の対応が問われており、インクレチンはインスリン分泌促進、オキシトシンは子宮収縮・射乳、コルチゾールは抗炎症・糖新生促進、バソプレシンは抗利尿が主作用である。
●昇圧系ホルモン=アンジオテンシンⅡ(血管収縮)・アルドステロン(Na再吸収)・バソプレシン(水再吸収)・カテコールアミン。
●血糖調節ホルモン=インスリン(低下)・グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモン・インクレチン(GLP-1・GIP)。
●子宮・乳腺作用=オキシトシン(子宮収縮・射乳)・プロラクチン(乳汁産生)。
選択肢ごとの解説
- ① インクレチンはインスリン分泌を促進する消化管ホルモンで、抗利尿作用はない。
- ② オキシトシンは子宮収縮・射乳作用をもつホルモンで、抗アレルギー作用は主作用ではない。
- ③ コルチゾールは抗炎症・糖新生促進などの作用をもち、子宮収縮作用はオキシトシンの作用である。
- ④ バソプレシンは抗利尿作用が主で、インスリン分泌促進作用はインクレチンの作用である。
- ⑤ 正しい。アンジオテンシンⅡは血管平滑筋を収縮させ血圧を上昇させる血管収縮作用をもつ。
📋 まとめの表を見る:主なホルモンの産生部位と主な作用
アンジオテンシンⅡ(レニンで生じたアンジオテンシンⅠから、主にACEの作用で生成)は末梢血管平滑筋を収縮させ血圧を上昇させるとともに、副腎皮質からのアルドステロン分泌を促進する。インクレチンは小腸から分泌される消化管ホルモンの総称でインスリン分泌を促進し、抗利尿作用はもたない(バソプレシンと混同しない)。
第67回 午後34(臨床化学)
電磁波はどれか。2つ選べ。
正答: ②γ線・③赤外線
ポイント
電磁波は電場と磁場の振動が伝わる波動で質量をもたず、波長の短い順にγ線・X線・紫外線・可視光線・赤外線・電波(マイクロ波)などが含まれる。本問のγ線と赤外線はいずれも電磁波である。一方、β線(電子)・電子線・陽子線は質量をもつ荷電粒子の流れ(粒子線)であり、電磁波とは本質的に異なる。
●電磁波=γ線・X線・紫外線・可視光線・赤外線・電波。
●荷電粒子線=α線(ヘリウム核)・β線(電子)・電子線・陽子線・重粒子線。
●非荷電粒子線=中性子線。
選択肢ごとの解説
- ① β線は原子核から放出される電子の流れであり、質量をもつ粒子線で電磁波ではない。
- ② 正しい。γ線は原子核から放出される波長の短い電磁波である。
- ③ 正しい。赤外線は可視光より波長の長い電磁波である。
- ④ 電子線は電子の流れで、質量をもつ粒子線であり電磁波ではない。
- ⑤ 陽子線は陽子の流れで、質量をもつ粒子線であり電磁波ではない。
第67回 午後35(臨床化学)
上昇するアイソザイムと疾患の組合せで正しいのはどれか。
- ①ALP₁ — 閉塞性黄疸
- ②ALP₂ — 悪性腫瘍の骨転移
- ③ALP₃ — 肝硬変
- ④ALP₄ — 腎不全
- ⑤ALP₅ — 潰瘍性大腸炎
正答: ①ALP₁ — 閉塞性黄疸
ポイント
アルカリホスファターゼ(ALP)アイソザイムは電気泳動の易動度で分類され、由来臓器が異なる。ALP₁は肝・胆道由来の高分子型で、閉塞性黄疸など胆汁うっ滞で出現・上昇する。ALP₂は肝由来、ALP₃は骨由来、ALP₄は胎盤由来、ALP₅は小腸由来であり、骨転移ではALP₃、肝硬変などの肝障害ではALP₂が上昇する。
●ALP₁=肝・胆道(高分子型、閉塞性黄疸・胆汁うっ滞)。
●ALP₂=肝(肝炎・肝硬変)。
●ALP₃=骨(骨転移・骨疾患・成長期)。
●ALP₄=胎盤(妊娠後期)・ALP₅=小腸(B型/O型分泌型の食後)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。ALP₁は肝・胆道由来の高分子型で、閉塞性黄疸など胆汁うっ滞で上昇する。
- ② 悪性腫瘍の骨転移で上昇するのは骨由来のALP₃であり、ALP₂ではない。
- ③ 肝硬変など肝疾患で上昇するのは肝由来のALP₂であり、骨由来のALP₃ではない。
- ④ ALP₄は胎盤由来で妊娠後期などに上昇するもので、腎不全とは結びつかない。
- ⑤ ALP₅は小腸由来でB型・O型分泌型の食後などに上昇するもので、潰瘍性大腸炎との特異的な組合せではない。
📋 まとめの表を見る:ALPアイソザイムと上昇する主な病態
第67回 午後36(臨床化学)
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で共役酵素を用いないのはどれか。
正答: ⑤γ-GT
ポイント
γ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)のJSCC勧告法は、合成基質L-γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリドから遊離する黄色のp-ニトロアニリン誘導体を直接吸光度で測定するため、共役(指示)酵素を必要としない。一方、AST・CK・AMY・ChEなどの勧告法では生成物を別の酵素反応に共役させ、最終的にNAD(P)Hの増減などを測定するため共役酵素を用いる。
●共役酵素を用いる勧告法=AST(リンゴ酸脱水素酵素)・ALT(乳酸脱水素酵素)・CK(ヘキソキナーゼ・G6PD)・AMY(α-グルコシダーゼ等)・ChE(指示反応系)。
●共役酵素を用いない=γ-GT(発色基質を直接測定)。
●測定の指示系=NAD(P)Hの340 nm吸光度変化・発色色素の可視吸光度。
選択肢ごとの解説
- ① ASTのJSCC勧告法はリンゴ酸脱水素酵素を共役酵素として用いる。
- ② AMY(アミラーゼ)の勧告法は補助(共役)酵素を用いて発色させる方法が用いられる。
- ③ CKのJSCC勧告法はヘキソキナーゼとグルコース-6-リン酸脱水素酵素を共役酵素として用いる。
- ④ ChE(コリンエステラーゼ)の測定では反応系に共役(指示)酵素を用いる方法がある。
- ⑤ 正しい。γ-GTの勧告法は遊離する発色物質を直接測定するため、共役酵素を用いない。
第67回 午後37(臨床化学)
ビタミンについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①ビタミンAは抗酸化作用がある。
- ②ビタミンDは骨代謝に関与する。
- ③ビタミンCは視覚の正常化に関与する。
- ④ビタミンEはコラーゲンの形成に関与する。
- ⑤ビタミンB₆はアミノトランスフェラーゼの補酵素となる。
正答: ②ビタミンDは骨代謝に関与する。・⑤ビタミンB₆はアミノトランスフェラーゼの補酵素となる。
ポイント
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの代表的生理機能が問われている。ビタミンDは活性型(1,25-ジヒドロキシビタミンD)となりカルシウム・リン代謝を介して骨代謝に関与する。ビタミンB₆はピリドキサールリン酸として働きアミノ基転移酵素(アミノトランスフェラーゼ)の補酵素となる。ビタミンAは視覚(ロドプシン)と上皮維持、ビタミンCはコラーゲン合成、ビタミンEは抗酸化に主に関与する。
●脂溶性ビタミン=A(視覚・上皮)・D(骨・Ca代謝)・E(抗酸化)・K(血液凝固)。
●水溶性ビタミン(補酵素)=B1(糖代謝)・B2(酸化還元)・B6(アミノ基転移)・B12/葉酸(造血)・C(コラーゲン合成・抗酸化)。
●欠乏症=A(夜盲症)・D(くる病・骨軟化症)・B1(脚気)・C(壊血病)。
選択肢ごとの解説
- ① ビタミンAにも抗酸化作用はあるが、本来の代表的作用は視覚(ロドプシン)と上皮維持であり、抗酸化作用を主作用とする記述は適切でない。
- ② 正しい。ビタミンDは活性化されてカルシウム・リン代謝を調節し、骨代謝に関与する。
- ③ 視覚の正常化に関与するのはビタミンAであり、ビタミンCではない。
- ④ コラーゲンの形成に関与するのはビタミンCであり、ビタミンEではない。
- ⑤ 正しい。ビタミンB₆(ピリドキサールリン酸)はアミノトランスフェラーゼなどの補酵素となる。
📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。
📋 まとめの表を見る:水溶性ビタミンの補酵素型と関連酵素
ALP・アミラーゼ・γ-GTはビタミン由来の補酵素を必要としない(ALP・アミラーゼは金属イオンが補助因子)。
第67回 午後38(臨床化学)
必須アミノ酸でないのはどれか。
- ①セリン
- ②バリン
- ③リジン
- ④メチオニン
- ⑤トリプトファン
正答: ①セリン
ポイント
必須アミノ酸は体内で十分に合成できず食事からの摂取が必要なアミノ酸で、ヒトではバリン・ロイシン・イソロイシン・リジン・メチオニン・トリプトファン・フェニルアラニン・トレオニン・ヒスチジンの9種である。セリンは3-ホスホグリセリン酸を経て生体内で合成できる非必須アミノ酸である。本問は「でないもの」型であり、非必須アミノ酸を選ぶ。
●必須アミノ酸(9種)=バリン・ロイシン・イソロイシン・リジン・メチオニン・トリプトファン・フェニルアラニン・トレオニン・ヒスチジン。
●非必須アミノ酸=セリン・グリシン・アラニン・アスパラギン酸・グルタミン酸・プロリンなど。
●分岐鎖アミノ酸(BCAA)=バリン・ロイシン・イソロイシン。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。セリンは3-ホスホグリセリン酸などから体内合成できる非必須アミノ酸であり、必須アミノ酸ではない。
- ② バリンは分岐鎖アミノ酸の一つで必須アミノ酸である。
- ③ リジンは体内で合成できない必須アミノ酸である。
- ④ メチオニンは含硫アミノ酸で必須アミノ酸である。
- ⑤ トリプトファンは必須アミノ酸である。
第67回 午後39(臨床化学)
血液中で蛋白質と結合して存在しているのはどれか。
- ①尿素
- ②アンモニア
- ③クレアチン
- ④ビリルビン
- ⑤クレアチニン
正答: ④ビリルビン
ポイント
間接ビリルビン(非抱合型)は水に難溶で、血中ではアルブミンと結合して肝へ運搬される。肝で抱合を受けて水溶性の直接ビリルビンとなり胆汁中へ排泄される。一方、尿素・アンモニア・クレアチン・クレアチニンは低分子で水溶性が高く、蛋白とは結合せず血漿中に遊離して存在する。
●血中で蛋白と結合して運搬される物質=間接ビリルビン(アルブミン)・遊離脂肪酸(アルブミン)・甲状腺ホルモン・ステロイドホルモン・カルシウムの一部。
●遊離(蛋白非結合)で存在する低分子=尿素・アンモニア・クレアチン・クレアチニン・尿酸。
●ビリルビン代謝=間接(非抱合)→肝で抱合→直接(抱合)→胆汁排泄。
選択肢ごとの解説
- ① 尿素は水溶性が高く、蛋白と結合せず遊離して存在する。
- ② アンモニアは水溶性が高く、蛋白と結合せず存在する。
- ③ クレアチンは水溶性で、蛋白と結合せず存在する。
- ④ 正しい。間接(非抱合型)ビリルビンは水に難溶で、血中ではアルブミンと結合して運搬される。
- ⑤ クレアチニンは水溶性で蛋白と結合せず、糸球体で濾過される。
第67回 午後40(臨床化学)
血清10 μLを使用して10分間の酵素反応を行ったところ、10 nmolの基質量が変化した。酵素量[U/L]はどれか。
正答: ③100
ポイント
酵素活性の国際単位U(ユニット)は1分間に1 μmolの基質を変化させる酵素量で、U/Lは試料1 L当たりの活性を表す。本問では血清10 μL中で10分間に10 nmol(=0.01 μmol)の基質が変化したので、1分間あたりでは0.01÷10=0.001 μmol/minとなる。これを試料量10 μL(=10×10⁻⁶ L)当たりに換算すると0.001 μmol/min÷(10×10⁻⁶ L)=100 U/Lとなる。
●酵素活性単位=U(μmol/min)・kat(mol/s、SI単位)・1 kat=6×10⁷ U。
●換算の基本=1 μmol=1000 nmol、1 μL=10⁻⁶ L。
●計算の手順=(1)変化量を時間で割る (2)μmol/minに統一 (3)試料体積(L)で割る。
選択肢ごとの解説
- ① 1 U/Lは換算結果と一致しない。
- ② 10 U/Lは換算結果と一致しない。
- ③ 正しい。1分間あたり0.001 μmolの変化を試料量10×10⁻⁶ Lで割ると100 U/Lとなる。
- ④ 1,000 U/Lは換算結果と一致しない。
- ⑤ 10,000 U/Lは換算結果と一致しない。
第67回 午後41(臨床化学)
病原体の構成成分で検査に用いられるのはどれか。2つ選べ。
- ①プレセプシン
- ②エンドトキシン
- ③プロカルシトニン
- ④アミロイドA蛋白
- ⑤(1→3)-β-D-グルカン
正答: ②エンドトキシン・⑤(1→3)-β-D-グルカン
ポイント
感染症の検査には病原体そのものの構成成分を測定するものと、宿主が産生する炎症マーカーを測定するものがある。エンドトキシンはグラム陰性菌外膜のリポ多糖(LPS)成分でリムルス試験により測定する。(1→3)-β-D-グルカンは真菌の細胞壁構成成分で深在性真菌症の指標となる。一方、プレセプシン・プロカルシトニン・血清アミロイドAはいずれも宿主側が産生する生体マーカーである。
●病原体の構成成分=エンドトキシン(グラム陰性菌LPS)・(1→3)-β-D-グルカン(真菌細胞壁)・莢膜抗原・菌体成分。
●宿主側の炎症マーカー=プレセプシン・プロカルシトニン・C反応性蛋白(CRP)・血清アミロイドA。
●真菌感染マーカー=β-D-グルカン・ガラクトマンナン抗原・カンジダ抗原。
選択肢ごとの解説
- ① プレセプシンは宿主の単球が産生するCD14由来の生体側マーカーで、病原体の構成成分ではない。
- ② 正しい。エンドトキシンはグラム陰性菌外膜のリポ多糖で、病原体の構成成分として検査に用いられる。
- ③ プロカルシトニンは宿主が産生する炎症性マーカーで、病原体の構成成分ではない。
- ④ アミロイドA蛋白(血清アミロイドA)は宿主が産生する急性期反応蛋白で、病原体の構成成分ではない。
- ⑤ 正しい。(1→3)-β-D-グルカンは真菌の細胞壁構成成分で、深在性真菌症の検査に用いられる。
第67回 午後42(臨床化学)
尿を検体として測定するのはどれか。
- ①オステオカルシン
- ②デオキシピリジノリン
- ③骨型アルカリホスファターゼ
- ④酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ5b型
- ⑤Ⅰ型プロコラーゲンN末端プロペプチド
正答: ②デオキシピリジノリン
ポイント
骨吸収マーカーであるデオキシピリジノリンはⅠ型コラーゲンの架橋成分で、破骨細胞による骨吸収時に分解され尿中に排泄されるため尿を検体として測定する。オステオカルシン・骨型アルカリホスファターゼ・Ⅰ型プロコラーゲンN末端プロペプチドは骨形成マーカーで血清測定、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ5b型は骨吸収マーカーだが血清で測定する。
●骨形成マーカー(血清)=骨型ALP・オステオカルシン・Ⅰ型プロコラーゲンN末端プロペプチド(P1NP)。
●骨吸収マーカー(尿)=デオキシピリジノリン・Ⅰ型コラーゲン架橋N末端/C末端テロペプチド(NTX/CTX)。
●骨吸収マーカー(血清)=酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ5b(TRACP-5b)・血清CTX。
選択肢ごとの解説
- ① オステオカルシンは骨形成マーカーで、血清を検体として測定する。
- ② 正しい。デオキシピリジノリンは骨吸収マーカーで尿中に排泄され、尿を検体として測定する。
- ③ 骨型アルカリホスファターゼは骨形成マーカーで、血清を検体として測定する。
- ④ 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ5b型は骨吸収マーカーだが、血清を検体として測定する。
- ⑤ Ⅰ型プロコラーゲンN末端プロペプチドは骨形成マーカーで、血清を検体として測定する。
第67回 午後43(臨床化学)
ケトン基を有するのはどれか。2つ選べ。
- ①乳酸
- ②グリシン
- ③グルコース
- ④ピルビン酸
- ⑤フルクトース
正答: ④ピルビン酸・⑤フルクトース
ポイント
ケトン基(炭素鎖の内部にあるカルボニル基C=O)をもつ化合物が問われている。ピルビン酸はα-ケト酸でケトン基をもつ。フルクトース(果糖)はケトン基を有する単糖(ケトース)である。一方、乳酸はヒドロキシ酸、グリシンはアミノ酸、グルコースはアルデヒド基をもつアルドースであり、いずれもケトン基をもたない。
●ケトン基をもつ=ピルビン酸(α-ケト酸)・フルクトース(ケトース)・アセト酢酸・アセトン。
●アルデヒド基をもつ=グルコース・ガラクトース(アルドース)。
●官能基の分類=カルボキシル基(-COOH)・ヒドロキシ基(-OH)・アミノ基(-NH2)・カルボニル基(ケトン/アルデヒド)。
選択肢ごとの解説
- ① 乳酸はヒドロキシル基とカルボキシル基をもつヒドロキシ酸で、ケトン基はもたない。
- ② グリシンはアミノ基とカルボキシル基をもつ最も単純なアミノ酸で、ケトン基はもたない。
- ③ グルコースはアルデヒド基をもつアルドースで、ケトン基はもたない。
- ④ 正しい。ピルビン酸はα-ケト酸でケトン基(カルボニル基)を有する。
- ⑤ 正しい。フルクトース(果糖)はケトン基を有する単糖(ケトース)である。
第67回 午後44(臨床化学)
腎糸球体障害の指標となる検査項目はどれか。2つ選べ。
- ①血清エリスロポエチン
- ②血清クレアチニン
- ③血清シスタチンC
- ④尿中N-アセチルグルコサミニダーゼ〈NAG〉
- ⑤尿中β₂-ミクログロブリン
正答: ②血清クレアチニン・③血清シスタチンC
ポイント
腎糸球体障害(濾過機能低下)の指標は、糸球体で濾過されるが再吸収・分泌の影響を受けにくく、濾過量低下に伴い血中に貯留する物質である。血清クレアチニンと血清シスタチンCは糸球体濾過量(GFR)の低下を反映する代表的指標である。尿中N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)や尿中β₂-ミクログロブリンは尿細管障害の指標であり、糸球体障害の指標ではない。
●糸球体障害(GFR低下)の指標=血清クレアチニン・血清シスタチンC・血清尿素窒素・推算GFR。
●尿細管障害の指標=尿中NAG・尿中β₂-ミクログロブリン・尿中α₁-ミクログロブリン・尿中L-FABP。
●腎内分泌機能の指標=血清エリスロポエチン(造血)・活性型ビタミンD。
選択肢ごとの解説
- ① 血清エリスロポエチンは腎の内分泌(造血ホルモン産生)機能を反映するもので、糸球体濾過機能の指標ではない。
- ② 正しい。血清クレアチニンは糸球体で濾過され、濾過量低下で上昇する糸球体障害の指標である。
- ③ 正しい。血清シスタチンCは糸球体で濾過され再吸収後に分解されるため、糸球体濾過量低下を鋭敏に反映する。
- ④ 尿中NAGは尿細管上皮由来の酵素で、尿細管障害の指標であり糸球体障害の指標ではない。
- ⑤ 尿中β₂-ミクログロブリンは近位尿細管での再吸収障害を反映する尿細管障害の指標で、糸球体障害の指標ではない。
第67回 午後45(病理組織細胞学)
子宮頸部擦過細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。細胞はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB045.bce892a6ea.jpg

- ①頸管腺細胞
- ②扁平上皮細胞
- ③腺癌細胞
- ④扁平上皮癌細胞
- ⑤ヘルペス感染細胞
正答: ②扁平上皮細胞
ポイント
子宮頸部擦過細胞診のPapanicolaou染色で、正常な扁平上皮細胞は豊富な細胞質をもち、表層型はオレンジG好性(橙色)、中層・傍基底層型はライトグリーン好性(淡緑〜青緑)に染まる。核は小型で類円形・整であり核小体は目立たず、核と細胞質の比(N/C比)は低い。正常な頸管腺細胞とは、柱状の形態、核の位置、蜂巣状・柵状配列などから鑑別する。癌細胞では核腫大・クロマチン増量・核形不整などの異型が鑑別の参考になる。
●正常扁平上皮=表層型(オレンジG好性)・中層型(ライトグリーン好性)・傍基底層型。
●頸管腺細胞=柱状・基底側偏在核・蜂巣状/柵状配列。
●異型/悪性細胞=核腫大・クロマチン増量・核小体明瞭・N/C比増大。
選択肢ごとの解説
- ① 頸管腺細胞は柱状の細胞質と基底側に偏在した核をもち、本図の扁平上皮細胞とは形態が異なる。
- ② 正しい。豊富な細胞質と小型で整った核を示す扁平上皮細胞である。
- ③ 腺癌細胞は核腫大・クロマチン増量・核小体明瞭など腺系の異型を示し、正常扁平上皮とは異なる。
- ④ 扁平上皮癌細胞は核腫大・クロマチン増量・N/C比増大など扁平上皮系の異型を示し、正常細胞とは異なる。
- ⑤ ヘルペス感染細胞はすりガラス状核や多核化、核内封入体を示し、本図とは異なる。
第67回 午後46(病理組織細胞学)
セルブロック法について誤っているのはどれか。
- ①免疫染色ができる。
- ②ホルマリンで固定する。
- ③細胞集塊の観察に適する。
- ④パラフィン切片を作製する。
- ⑤細胞数が少ない検体の方が有用性が高い。
正答: ⑤細胞数が少ない検体の方が有用性が高い。
ポイント
セルブロック法は穿刺液や体腔液などの細胞成分を遠心などで集め、ホルマリン固定・パラフィン包埋し組織標本様に薄切して観察・免疫染色を行う方法である。細胞集塊の構築の観察や追加の免疫染色・特殊染色に有用だが、十分な細胞数があるほど標本の有用性は高まり、細胞数が少ない検体では適さない。本問は「誤っているもの」型で、細胞数が少ないほど有用とする記述を選ぶ。
●セルブロック法の利点=免疫染色可能・細胞集塊の構築観察・追加切片の作製・長期保存。
●作製工程=細胞集収→ホルマリン固定→パラフィン包埋→薄切→染色。
●適応条件=十分な細胞量がある検体(体腔液・穿刺液・喀痰など)。
選択肢ごとの解説
- ① セルブロック標本はパラフィン切片を作製でき免疫染色が可能であり、この記述は正しい。
- ② セルブロック法ではホルマリンで固定するのが一般的で、この記述は正しい。
- ③ セルブロック法は細胞集塊の構築を組織標本様に観察でき、この記述は正しい。
- ④ セルブロック法ではパラフィン切片を作製するため、この記述は正しい。
- ⑤ 誤り。セルブロック法は細胞数が十分あるほど有用であり、細胞数が少ない検体ほど有用性が高いとする記述は誤りである。
📋 まとめの表を見る:細胞診検体の種類と塗抹法
液状検体は性状に応じてすり合わせ法・直接塗抹・遠心後塗抹を使い分け、固形組織は捺印法・圧挫法を用いる。液状化検体細胞診(LBC)やセルブロック法などの追加的な標本作製法もある。
第67回 午後47(病理組織細胞学)
電子顕微鏡標本作製についての組合せで正しいのはどれか。
- ①グルタルアルデヒド — 後固定
- ②酢酸ウラン — 包埋
- ③ガラスナイフ — トリミング
- ④ダイヤモンドナイフ — 超薄切
- ⑤ビームカプセル — 電子染色
正答: ④ダイヤモンドナイフ — 超薄切
ポイント
電子顕微鏡標本作製では、グルタルアルデヒドで前固定し四酸化オスミウムで後固定したのち、エポキシ樹脂などに包埋する。トリミングはカミソリ刃で行い、ガラスナイフは面出しや準超薄切に、ダイヤモンドナイフは超薄切片の作製に用いる。電子染色には酢酸ウランやクエン酸鉛を用いる。各試薬・器具と作製工程の正しい対応が問われている。
●固定=グルタルアルデヒド(前固定)・四酸化オスミウム(後固定)。
●包埋=エポキシ樹脂(エポン等)・包埋カプセル(ビームカプセル)。
●切片=カミソリ刃(トリミング)・ガラスナイフ(面出し・準超薄切)・ダイヤモンドナイフ(超薄切)。
●電子染色=酢酸ウラン・クエン酸鉛。
選択肢ごとの解説
- ① グルタルアルデヒドは前固定に用い後固定には四酸化オスミウムを用いるため、組合せが誤りである。
- ② 酢酸ウランは電子染色に用いる試薬であり、包埋ではないため組合せが誤りである。
- ③ トリミングは通常カミソリ刃で行い、ガラスナイフは面出しや光学顕微鏡観察用の準超薄切片の作製に用いるため、この組合せは適切でない。
- ④ 正しい。ダイヤモンドナイフは超薄切片の作製に用いる。
- ⑤ ビームカプセル(包埋カプセル)は試料の包埋に用いる器具で、電子染色とは結びつかないため組合せが誤りである。
📋 まとめの表を見る:透過型電子顕微鏡標本作製の工程と試薬・器具
光学顕微鏡標本(パラフィン法)は固定=ホルマリン、脱水=エタノール、置換=キシレン、包埋=パラフィンであり、電顕標本の試薬とは異なる。
第67回 午後48(病理組織細胞学)
病理学的検査において使用される有害物質で、管理濃度が0.1 ppmであるのはどれか。
- ①アセトン
- ②キシレン
- ③メタノール
- ④クロロホルム
- ⑤ホルムアルデヒド
正答: ⑤ホルムアルデヒド
ポイント
ホルムアルデヒド(ホルマリンの主成分)は発がん性・粘膜刺激性をもち、労働衛生上の管理濃度は0.1 ppmと厳しく定められている。病理検査での固定作業時には局所排気装置の設置や曝露低減措置が求められる。キシレン・アセトン・メタノール・クロロホルムなどの有機溶剤はいずれも管理濃度が0.1 ppmより高い値に設定されている。
●低い管理濃度の物質=ホルムアルデヒド(0.1 ppm)・特定第二類物質。
●病理検査で扱う有機溶剤=キシレン・アセトン・メタノール・クロロホルム・エタノール。
●曝露低減策=局所排気装置・密閉化・保護具(手袋・マスク)・作業環境測定。
選択肢ごとの解説
- ① アセトンの管理濃度は数百ppm程度で、0.1 ppmではない。
- ② キシレンの管理濃度は数十ppm程度で、0.1 ppmではない。
- ③ メタノールの管理濃度は0.1 ppmより高く設定されている。
- ④ クロロホルムの管理濃度は0.1 ppmより高く設定されている。
- ⑤ 正しい。ホルムアルデヒドは発がん性が問題となり、管理濃度が0.1 ppmと定められている。
第67回 午後49(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。炎症の種類はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB049.fdd8c9a2df.jpg

- ①化膿性炎
- ②出血性炎
- ③漿液性炎
- ④カタル性炎
- ⑤肉芽腫性炎
正答: ⑤肉芽腫性炎
ポイント
肉芽腫性炎はマクロファージが類上皮細胞やLanghans型多核巨細胞に変化し、肉芽腫(類上皮細胞肉芽腫)を形成する慢性炎症である。結核・サルコイドーシス・異物反応・クローン病などでみられる。H-E染色では類上皮細胞の集簇と多核巨細胞、周囲のリンパ球浸潤が観察され、他の炎症型との鑑別点となる。
●肉芽腫性炎=結核(乾酪壊死)・サルコイドーシス・異物肉芽腫・クローン病・ハンセン病。
●滲出性炎=漿液性炎・カタル性炎・線維素性炎・化膿性炎・出血性炎。
●肉芽腫の構成細胞=類上皮細胞・Langhans型多核巨細胞・リンパ球。
選択肢ごとの解説
- ① 化膿性炎は好中球の浸潤と膿瘍形成を特徴とする炎症で、肉芽腫の像とは異なる。
- ② 出血性炎は組織への著明な赤血球漏出を伴う炎症で、肉芽腫の像とは異なる。
- ③ 漿液性炎は漿液性滲出を主体とする炎症で、肉芽腫の像とは異なる。
- ④ カタル性炎は粘膜での粘液分泌亢進を伴う炎症で、肉芽腫の像とは異なる。
- ⑤ 正しい。類上皮細胞や多核巨細胞による肉芽腫形成を示す肉芽腫性炎である。
📋 まとめの表を見る:肉芽腫性疾患(特異性炎)のまとめ
肉芽腫を形成しない炎症の例=慢性膵炎・化膿性虫垂炎・ウイルス性肝炎・線維素性胸膜炎・潰瘍性大腸炎・偽膜性腸炎・アメーバ大腸炎。放線菌症では菌塊(硫黄顆粒)を伴う化膿性肉芽腫性炎を生じる。類上皮細胞は病原体等を消化できない活性化マクロファージが紡錘形に変化したもの。
第67回 午後50(病理組織細胞学)
細胞診検体採取で、主に穿刺吸引法を用いる部位はどれか。
正答: ②甲状腺
ポイント
穿刺吸引細胞診(FNA)は細い針を病変に刺して陰圧で細胞を吸引採取する方法で、体表から触知・描出できる充実性臓器の腫瘤に適する。甲状腺結節は超音波ガイド下穿刺吸引細胞診の代表的適応である。口腔・膀胱・子宮頸部・子宮内膜は擦過や尿(自然尿・洗浄尿)など他の採取法が主に用いられる。
●穿刺吸引細胞診の適応=甲状腺・乳腺・リンパ節・唾液腺・体表腫瘤。
●擦過細胞診=子宮頸部・口腔・気管支(ブラシ)。
●剝離(自然)細胞診=尿(膀胱)・喀痰・体腔液(胸水・腹水)。
●子宮内膜=専用ブラシ/吸引による擦過・吸引採取。
選択肢ごとの解説
- ① 口腔は擦過法で細胞を採取するのが主で、穿刺吸引法の主たる対象ではない。
- ② 正しい。甲状腺結節は穿刺吸引細胞診の代表的適応部位である。
- ③ 膀胱は自然尿や洗浄尿による尿細胞診が主で、穿刺吸引法の対象ではない。
- ④ 子宮頸部は擦過法で細胞を採取するのが主で、穿刺吸引法ではない。
- ⑤ 子宮内膜は擦過・吸引(内膜擦過)による細胞採取が主で、針穿刺による吸引が主体ではない。