第67回(2021) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第67回 午後51(病理組織細胞学)

H-E染色標本を別に示す。臓器はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB051.24d96eaef3.jpg
第67回 午後51 の図

正答: ③腎臓

ポイント
腎臓のH-E染色標本では、皮質に腎小体(糸球体とBowman嚢からなる球状構造)が散在し、その周囲を多数の尿細管断面が密に充填する。糸球体は他臓器に存在しない球形の毛細血管塊であり、組織同定の決め手となる。皮質の尿細管は、好酸性の細胞質と刷子縁をもつ近位尿細管と、やや淡明で内腔が広い遠位尿細管に区別され、髄質では集合管や直細尿管が放射状に走行する。●泌尿器の組織=糸球体・近位/遠位尿細管・集合管・腎盂移行上皮。●他臓器の球状構造との鑑別=膵Langerhans島(内分泌細胞集塊)・脾白脾髄(リンパ濾胞)。●索状/小葉構造の臓器=肝臓(肝細胞索+類洞)・副腎皮質(束状帯の索)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後52(病理組織細胞学)

重層扁平上皮で覆われているのはどれか。2つ選べ。

正答: ②食道・⑤腟

ポイント
重層扁平上皮は扁平な細胞が多層に重なる上皮で、機械的刺激の強い部位を保護する。口腔・咽頭・食道・肛門管・腟・外子宮頸部・角膜・皮膚(皮膚のみ角化型)などにみられる。これに対し気道は多列線毛円柱上皮、消化管粘膜の多くは単層円柱上皮、尿路は移行上皮(尿路上皮)で覆われ、これらが鑑別の要点となる。食道と腟はいずれも非角化重層扁平上皮で覆われる。●重層扁平上皮(非角化)=食道・腟・外子宮頸部・口腔・咽頭・喉頭蓋。●単層円柱上皮=胃・小腸・大腸・胆嚢。●多列線毛円柱上皮=気管・気管支・鼻腔。●移行上皮=腎盂・尿管・膀胱・近位尿道。

選択肢ごとの解説

第67回 午後53(病理組織細胞学)

臍帯の血管について正常なのはどれか。

正答: ③2動脈1静脈

ポイント
正常な臍帯はゼリー状のWharton膠様質の中に3本の血管、すなわち臍動脈2本と臍静脈1本を含む。臍動脈は胎児から胎盤へ低酸素・老廃物に富む血液を運び、臍静脈は胎盤から胎児へ酸素や栄養に富む血液を運ぶ。臍動脈が1本しかない単一臍帯動脈は染色体異常や先天奇形と関連することがあり、胎盤・臍帯の観察上の注意点となる。●胎児循環の特殊路=静脈管(Arantius管)・卵円孔・動脈管(Botallo管)。●胎盤の構成=絨毛・絨毛間腔・脱落膜。●臍帯異常=単一臍帯動脈・臍帯過捻転・臍帯卵膜付着。

選択肢ごとの解説

第67回 午後54(病理組織細胞学)

パラフィン包埋法の脱水に使用されるのはどれか。

正答: ③アルコール

ポイント
パラフィン包埋では、固定後の組織から水分を除く脱水、パラフィンと混和できるよう仲介する透徹、続いてパラフィン浸透の順で処理する。脱水には親水基と親油基を併せもつエタノールなどのアルコールを低濃度から高濃度へ段階的に用い、組織収縮を抑えながら水分を置換する。続く透徹にはキシレンなどの有機溶媒でアルコールを置換し、パラフィンを浸透させる。●脱水剤=エタノール・アセトン・イソプロパノール。●透徹剤(中間剤)=キシレン・トルエン・クロロホルム。●固定液=ホルマリン・アルコール固定・Carnoy液。●包埋剤=パラフィン・樹脂(エポキシ)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後55(病理組織細胞学)

酸性色素はどれか。2つ選べ。

正答: ①エオジン・②ライト緑

ポイント
色素は解離して生じるイオンの荷電により酸性色素と塩基性色素に大別される。酸性色素は色素本体が陰イオンとなり、細胞質などの陽性(好酸性)成分を赤やオレンジ、緑に染める。塩基性色素は色素本体が陽イオンとなり、核酸を含む核(好塩基性成分)を青紫に染める。エオジンとライト緑(ファストグリーン系の緑色色素)はいずれも酸性色素である。●酸性色素=エオジン・ライト緑・オレンジG・フロキシン。●塩基性色素=ヘマトキシリン・メチレン青・トルイジン青・メチル緑・クレシル紫。●異染性を示す塩基性色素=トルイジン青・メチレン青(肥満細胞顆粒・軟骨基質)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後56(病理組織細胞学)

細胞診検体の種類と塗抹法の組合せで正しいのはどれか。

正答: ④喀痰 — すり合わせ法

ポイント
細胞診の塗抹法は検体の性状に合わせて選ぶ。液状検体(喀痰・体腔液・尿)はすり合わせ法や直接塗抹・遠心後塗抹を、固形組織は捺印法(リンパ節など)や圧挫法(脳腫瘍などの軟らかい組織)を用いる。喀痰は粘稠なため、2枚のスライドガラスで挟んですり合わせ、薄く均一に展開するすり合わせ法が適する。検体性状と塗抹法の対応を理解することが正答の鍵となる。●液状検体の塗抹=すり合わせ法(喀痰)・遠心後塗抹/集細胞法(体腔液・尿)・直接塗抹。●固形組織=捺印法(割面押捺)・圧挫法(スクイーズ法、軟組織・脳腫瘍)。●標本作製の追加法=液状化検体細胞診(LBC)・セルブロック法。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:細胞診検体の種類と塗抹法

検体適した塗抹法
喀痰すり合わせ法
体腔液(胸水・腹水)・尿直接塗抹法または遠心後塗抹(集細胞法)
リンパ節・軟部組織など固形検体捺印法(割面押捺)
脳腫瘍などの軟らかい組織圧挫法(スクイーズ法)
液状検体は性状に応じてすり合わせ法・直接塗抹・遠心後塗抹を使い分け、固形組織は捺印法・圧挫法を用いる。液状化検体細胞診(LBC)やセルブロック法などの追加的な標本作製法もある。

第67回 午後57(病理組織細胞学)

大動脈弓から直接分岐する血管はどれか。2つ選べ。

正答: ①腕頭動脈・⑤左鎖骨下動脈

ポイント
大動脈弓からは通常、起始部側から腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈の3本が直接分岐する。腕頭動脈はさらに右総頸動脈と右鎖骨下動脈に分かれるため、右側の総頸動脈や鎖骨下動脈は大動脈弓から直接は出ない。椎骨動脈は左右とも鎖骨下動脈の枝である。本問では腕頭動脈と左鎖骨下動脈が直接分岐する血管にあたる。●大動脈弓の3分枝=腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈。●腕頭動脈の分枝=右総頸動脈・右鎖骨下動脈。●鎖骨下動脈の枝=椎骨動脈・内胸動脈・甲状頸動脈。●総頸動脈の分枝=内頸動脈・外頸動脈。

選択肢ごとの解説

第67回 午後58(病理組織細胞学)

毒物及び劇物取締法で劇物に指定されているのはどれか。2つ選べ。

正答: ①塩酸・④ホルムアルデヒド

ポイント
毒物及び劇物取締法では、毒性の程度に応じて毒物と劇物が指定され、検査室で扱う試薬の保管・管理上の区分となる。劇物には塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、ホルムアルデヒド(ホルマリン)、メタノール、過酸化水素などが含まれる。一方、エタノール・アセトン・イソプロピルアルコールは劇物には指定されていない。本問では塩酸とホルムアルデヒドが劇物にあたる。●劇物の例=塩酸・硫酸・硝酸・水酸化ナトリウム・ホルムアルデヒド・メタノール・過酸化水素・アンモニア水。●毒物の例=シアン化合物(青酸カリ)・ヒ素化合物・水銀・セレン。●劇物に該当しない検査試薬=エタノール・アセトン・イソプロピルアルコール。●キシレンは毒物及び劇物指定令で劇物に指定されており、劇物として保管・管理する。

選択肢ごとの解説

第67回 午後59(臨床血液学)

末梢血のWright-Giemsa染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB059.5b0f21170f.jpg
第67回 午後59 の図

正答: ①血栓性血小板減少性紫斑病・②溶血性尿毒症症候群

ポイント
末梢血塗抹で破砕赤血球(赤血球断片、シストサイト)が多数みられる場合は、血栓性微小血管症を考える。代表が血栓性血小板減少性紫斑病と溶血性尿毒症症候群で、微小血管内に血小板血栓が形成され、流れる赤血球が物理的に破壊されて溶血と血小板減少をきたす。血栓性血小板減少性紫斑病はADAMTS13活性著減によりvon Willebrand因子の超巨大重合体が分解されず血小板血栓を生じ、溶血性尿毒症症候群は腸管出血性大腸菌(志賀毒素産生)感染や補体制御異常を背景とする。●破砕赤血球を呈する血栓性微小血管症=血栓性血小板減少性紫斑病・溶血性尿毒症症候群・播種性血管内凝固。●有棘赤血球(アカントサイト)=無β-リポ蛋白血症・肝疾患。●涙滴赤血球+白赤芽球症=原発性骨髄線維症。●標的赤血球=サラセミア・肝疾患・脾摘後。

選択肢ごとの解説

第67回 午後60(臨床血液学)

骨髄異形成症候群について誤っているのはどれか。

正答: ⑤骨髄の芽球比率は30%以上である。

ポイント
骨髄異形成症候群は造血幹細胞のクローン性異常による腫瘍性疾患で、無効造血により末梢血では血球減少を、骨髄では各系統の形態異常(異形成)を呈する。骨髄の芽球比率は20%未満であり、20%以上になると急性骨髄性白血病と診断される。芽球の増加は白血病への移行リスクの指標となり、芽球比率による病型分類が予後評価の基礎となる。●骨髄異形成症候群の所見=血球減少・無効造血・三系統の異形成・環状鉄芽球・芽球20%未満。●異形成の例=偽Pelger-Huët核異常・低分葉巨核球(微小巨核球)・環状鉄芽球。●芽球20%以上=急性骨髄性白血病へ。●類縁の骨髄増殖性腫瘍=慢性骨髄性白血病・真性赤血球増加症・原発性骨髄線維症。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:骨髄異形成症候群〈MDS〉の血球系統別 異形成所見

系統主な異形成所見
好中球(顆粒球)系偽Pelger核異常、脱顆粒、過分葉、NAPスコア減少
血小板(巨核球)系微小巨核球、円形単核巨核球、円形分離多核巨核球、巨大血小板
赤血球(赤芽球)系環状鉄芽球、多核赤芽球、巨赤芽球様変化
骨髄は一般に正〜過形成だが、低形成を示す病型(低形成MDS)も存在する。芽球比率は20%未満(20%以上は急性骨髄性白血病)。染色体異常は5q-・-7/7q-・+8など多様で、病型特異的なものは少ない。

第67回 午後61(臨床血液学)

骨髄穿刺液のWright-Giemsa染色標本を別に示す。この症例で認められる所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB061.ca7df02571.jpg
第67回 午後61 の図

正答: ③Bence Jones蛋白

ポイント
骨髄塗抹で核偏在・車軸状(時計皿状)クロマチン・核周明庭をもつ形質細胞が増加する像は多発性骨髄腫を示唆する。腫瘍化した形質細胞は単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)を産生し、その遊離軽鎖が尿中に排泄されるとBence Jones蛋白として検出される。骨融解病変による高カルシウム血症、腎障害、貧血、易感染性を伴うことが多い。●多発性骨髄腫の検査所見=M蛋白(血清蛋白電気泳動のM峰)・Bence Jones蛋白・赤血球連銭形成・骨融解・高カルシウム血症。●ファゴット細胞(束状Auer小体)=急性前骨髄球性白血病。●Reed-Sternberg細胞=Hodgkinリンパ腫。●抗HTLV-1抗体・花弁状核細胞=成人T細胞白血病/リンパ腫。●BCR-ABL1融合遺伝子=慢性骨髄性白血病。

選択肢ごとの解説

第67回 午後62(臨床血液学)

産生にビタミンKを必要としない凝固因子はどれか。

正答: ②第Ⅴ因子

ポイント
ビタミンKは肝臓での凝固因子産生時にグルタミン酸残基のγ-カルボキシル化に必要で、これによりカルシウムイオンと結合して活性をもつ型となる。ビタミンK依存性凝固因子は第Ⅱ(プロトロンビン)・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子と、抗凝固に働くプロテインC・プロテインSである。第Ⅴ因子はこれに含まれず、産生にビタミンKを必要としない。●ビタミンK依存性凝固因子=第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子・プロテインC・プロテインS。●ビタミンK欠乏/拮抗(ワルファリン)でPT延長=外因系(第Ⅶ)が鋭敏。●肝で産生されるが非ビタミンK依存=第Ⅴ・第Ⅷ・フィブリノゲン。●第Ⅷ因子は血管内皮でも産生される。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンK依存性の凝固因子と欠乏時の検査所見

区分該当する因子・検査備考
ビタミンK依存性(凝固因子)第II〈プロトロンビン〉・VII・IX・X因子肝でγ-カルボキシル化を受けて活性化
ビタミンK依存性(抗凝固因子)プロテインC・プロテインS抗凝固因子として働く
ビタミンK非依存性第V・VIII・XI・XII因子、フィブリノゲン〈第I因子〉、アンチトロンビンワルファリンでも直接は低下しない
欠乏時に延長する検査プロトロンビン時間〈PT〉(先行)、進行するとAPTTも延長第VII因子は半減期が短く鋭敏
欠乏時に変化しない項目血小板数、出血時間、フィブリノゲン量血小板・血管系はビタミンK非依存
ビタミンKは肝臓での凝固因子・抗凝固因子の産生時に、グルタミン酸残基をγ-カルボキシル化する反応の補酵素として働く。

第67回 午後63(臨床血液学)

末梢血の好酸球減少がみられるのはどれか。

正答: ③Cushing症候群

ポイント
好酸球はアレルギー疾患や寄生虫感染で増加し、副腎皮質ステロイド(コルチゾール)の過剰で減少する。Cushing症候群では内因性のコルチゾール過剰により好酸球がリンパ組織や骨髄へ移行・隔離され、末梢血の好酸球が減少する。逆に喘息やアレルギー性気管支肺アスペルギルス症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症などでは好酸球が増加する。●好酸球減少=Cushing症候群・副腎皮質ステロイド投与・急性感染症の初期・重症ストレス。●好酸球増加=気管支喘息・寄生虫感染(アニサキス症ほか)・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Churg-Strauss症候群)・薬剤アレルギー・好酸球性白血病。

選択肢ごとの解説

第67回 午後64(臨床血液学)

T細胞リンパ腫はどれか。

正答: ④未分化大細胞リンパ腫

ポイント
リンパ腫は由来細胞によりB細胞性とT細胞性に大別される。未分化大細胞リンパ腫はCD30陽性のT細胞性(または系統未確定型)リンパ腫で、ALK遺伝子転座を伴う型がある。一方、濾胞性・Burkitt・マントル細胞・リンパ形質細胞性リンパ腫はいずれもB細胞性であり、由来細胞と関連遺伝子異常の違いが診断・治療方針の基礎となる。●T/NK細胞リンパ腫=未分化大細胞リンパ腫・末梢性T細胞リンパ腫・成人T細胞白血病/リンパ腫・菌状息肉症。●B細胞リンパ腫=濾胞性(BCL2/t(14;18))・Burkitt(MYC/t(8;14))・マントル細胞(サイクリンD1/t(11;14))・リンパ形質細胞性(Waldenströmマクログロブリン血症)・びまん性大細胞型。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:悪性リンパ腫の代表的な病型(B細胞性・T/NK細胞性)

由来代表的な病型
B細胞性濾胞性リンパ腫、Burkittリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫
T/NK細胞性未分化大細胞リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫、菌状息肉症

第67回 午後65(臨床血液学)

網赤血球について正しいのはどれか。

正答: ④正染性赤芽球から脱核直後の赤血球である。

ポイント
網赤血球は正染性赤芽球が脱核した直後の幼若赤血球で、細胞質に残存するリボソーム由来のRNAをニューメチレン青などの超生体染色で網状構造として可視化できる。健常人では総赤血球数の約0.5〜2%を占め、骨髄の赤血球産生能を反映するため溶血や出血で増加する。RNAをわずかに含むがDNAは含まず、成熟赤血球よりやや大きく比重は小さい。●網赤血球増加=溶血性貧血・出血後・鉄欠乏性貧血の鉄補充後・骨髄回復期。●網赤血球減少(低~不適切)=再生不良性貧血・赤芽球癆・無治療の鉄/ビタミン欠乏。●関連指標=網赤血球産生指数・未熟網赤血球比率(IRF)。●超生体染色=ニューメチレン青・ブリリアントクレシル青。

選択肢ごとの解説

第67回 午後66(臨床血液学)

巨大血小板がみられるのはどれか。2つ選べ。

正答: ②May-Hegglin異常症・③Bernard-Soulier症候群

ポイント
巨大血小板(大型血小板)は血小板産生や膜・細胞骨格の異常で出現する。May-Hegglin異常症はMYH9遺伝子異常により巨大血小板・血小板減少・顆粒球のDöhle小体様封入体を呈する。Bernard-Soulier症候群は血小板膜糖蛋白GPIb/Ⅸ/Ⅴ複合体の異常で巨大血小板と血小板減少を生じ、von Willebrand因子依存性のリストセチン凝集が障害される。●巨大血小板+血小板減少=May-Hegglin異常症(MYH9異常)・Bernard-Soulier症候群(GPIb/Ⅸ/Ⅴ異常)・Gray血小板症候群。●小型血小板+血小板減少+湿疹/易感染=Wiskott-Aldrich症候群。●巨大顆粒(好中球など)=Chédiak-Higashi症候群。●血小板形態正常の出血傾向=von Willebrand病・血友病。

選択肢ごとの解説

第67回 午後67(臨床血液学)

播種性血管内凝固〈DIC〉の所見で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②D-ダイマー上昇・⑤プロトロンビン時間延長

ポイント
播種性血管内凝固では全身の微小血管で凝固が活性化し、血小板と凝固因子が大量に消費されて減少する。その結果、外因系・共通系を反映するプロトロンビン時間は延長し、フィブリノゲンは消費されて低下する。二次線溶の亢進によりフィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)とD-ダイマーが上昇する一方、消費された血小板は減少する。●播種性血管内凝固の所見=血小板減少・PT延長・APTT延長・フィブリノゲン低下・FDP/D-ダイマー上昇・アンチトロンビン低下・α2-プラスミンインヒビター低下。●基礎疾患=敗血症・産科疾患・急性前骨髄球性白血病・固形癌。●類縁鑑別=血栓性血小板減少性紫斑病・溶血性尿毒症症候群(PT/APTTは正常傾向)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後68(臨床微生物学)

血液媒介感染を起こすのはどれか。2つ選べ。

正答: ③B型肝炎ウイルス・⑤ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉

ポイント
血液媒介感染は血液や体液を介して伝播する感染で、針刺し事故や輸血、母子感染で問題となる。代表はB型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスとヒト免疫不全ウイルスである。一方、RSウイルス・アデノウイルス・インフルエンザウイルスは主に飛沫や接触で伝播する呼吸器系ウイルスである。標準予防策に加え、血液媒介病原体には針刺し対策が重要となる。●血液媒介感染=B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・ヒトT細胞白血病ウイルス1型・梅毒トレポネーマ。●飛沫感染=インフルエンザウイルス・風疹・流行性耳下腺炎・百日咳。●飛沫/接触=RSウイルス・アデノウイルス・新型コロナウイルス。●空気感染=結核菌・麻疹ウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス。

選択肢ごとの解説

第67回 午後69(臨床微生物学)

血液培養陽性ボトル内容液のGram染色標本を別に示す。35 ℃、5%炭酸ガス培養後のヒツジ血液寒天培地上のコロニーはβ溶血を示し、カタラーゼ試験陰性およびPYR試験陽性であった。推定されるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB069.69db1482f1.jpg
第67回 午後69 の図

正答: ⑤Streptococcus pyogenes

ポイント
ヒツジ血液寒天培地でβ溶血(完全溶血)を示し、カタラーゼ陰性のグラム陽性球菌(連鎖状配列)は連鎖球菌属を考える。さらにPYR(ピロリドニルアリルアミダーゼ)試験陽性は、A群β溶血性連鎖球菌であるStreptococcus pyogenesに特徴的で、バシトラシン感受性も示す。咽頭炎や猩紅熱、続発症としてのリウマチ熱・急性糸球体腎炎の原因となる。●β溶血=Streptococcus pyogenes(A群、PYR陽性)・Streptococcus agalactiae(B群、CAMP試験陽性・馬尿酸加水分解陽性)。●α溶血=Streptococcus pneumoniae(オプトヒン感受性・胆汁溶解)・viridans group。●カタラーゼ陽性グラム陽性球菌=Staphylococcus属(黄色ブドウ球菌はコアグラーゼ陽性)。●PYR陽性=Streptococcus pyogenes・腸球菌。

選択肢ごとの解説

第67回 午後70(臨床微生物学)

検体と検出菌の組合せで汚染菌と解釈されるのはどれか。

正答: ③髄液 — Propionibacterium acnes

ポイント
汚染菌(コンタミネーション)の判断は、本来無菌であるべき検体に皮膚常在菌などが混入していないかで行う。髄液は本来無菌だが、Propionibacterium acnes(現Cutibacterium acnes)は皮膚常在菌であり、腰椎穿刺時の混入が多く汚染菌と解釈されやすい。一方、血液からのStaphylococcus aureusや髄液からの真の病原菌は起炎菌として重視される。●皮膚常在菌(汚染を疑う)=Propionibacterium(Cutibacterium)acnes・コアグラーゼ陰性ブドウ球菌・Corynebacterium属(ジフテリア菌を除く)・Bacillus属。●無菌検体=血液・髄液・関節液・胸腹水。●起炎菌として重要=喀痰の肺炎球菌・胆汁のKlebsiella・尿の大腸菌・血液の黄色ブドウ球菌。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:検体別の主な常在菌と汚染菌の解釈

検体(部位)主な常在菌
皮膚Cutibacterium acnes、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus属
鼻腔Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis
口腔Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Staphylococcus aureus、Haemophilus influenzae、Neisseria meningitidis、Corynebacterium属
大腸Bacteroides属、Enterococcus属、Escherichia coli、Clostridium属、Lactobacillus属
腟Lactobacillus属、Streptococcus属、Gardnerella vaginalis
血液・髄液・関節液など本来無菌の検体からCutibacterium acnesやコアグラーゼ陰性ブドウ球菌などの皮膚常在菌が検出された場合は、採血・穿刺時の混入による汚染菌と解釈されることが多い。

第67回 午後71(臨床微生物学)

多形性を示すGram陰性桿菌はどれか。

正答: ③Haemophilus influenzae

ポイント
Haemophilus influenzaeは多形性(球桿菌から細長い桿菌まで形が一定しない)を示す小型のグラム陰性桿菌で、発育にX因子(ヘミン)とV因子(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、NAD)を必要とする。両因子を含むチョコレート寒天培地で発育し、V因子を供給する黄色ブドウ球菌の周囲で発育が増強する衛星現象を示す。一方、腸内細菌科や緑膿菌、プロテウスは比較的均一な桿菌である。●発育にX/V因子要求=Haemophilus influenzae(多形性・衛星現象・チョコレート寒天)。●遊走(スウォーミング)=Proteus mirabilis。●ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌=Pseudomonas aeruginosa(緑色色素ピオシアニン)。●特殊培地が必要=Legionella pneumophila(BCYEα寒天、システイン要求)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:特殊な発育因子・培養条件を必要とする細菌

菌特殊な発育要求主な培地・条件備考
Haemophilus influenzaeX因子(ヘミン)+V因子(NAD)チョコレート寒天培地(CO₂培養)ヒツジ血液寒天には発育しない、V因子産生菌の周囲で発育増強(衛星現象)
Haemophilus parainfluenzaeV因子のみチョコレート寒天培地X因子は不要
Neisseria gonorrhoeae・meningitidis二酸化炭素(CO₂ 5〜10%)チョコレート寒天培地・GC培地普通寒天培地には発育しない好炭酸ガス性菌
Legionella pneumophilaシステイン・鉄BCYEα培地通常のGram染色では染まりにくい
Campylobacter jejuni微好気(酸素約5%)、高温(42℃前後)Skirrow培地など下痢症の原因、Guillain-Barré症候群の先行感染菌

第67回 午後72(臨床微生物学)

121 ℃、20分間の加熱処理で感染性が失われないのはどれか。

正答: ④プリオン

ポイント
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ、121℃・20分前後)は芽胞を含む通常の微生物を死滅させる標準的滅菌法である。しかしプリオンは核酸をもたない異常蛋白質であり、通常条件の高圧蒸気滅菌では完全には不活化されない。プリオン対策には134℃で延長した高圧蒸気滅菌や、高濃度の水酸化ナトリウム・次亜塩素酸ナトリウムによる処理が必要となる。●高圧蒸気滅菌で死滅=細菌(芽胞含む)・真菌・ウイルス・マイコプラズマ。●通常滅菌に高度抵抗性=プリオン(134℃延長/強アルカリ・強酸化剤が必要)。●芽胞形成菌=Bacillus属・Clostridium属(消毒薬抵抗性)。●消毒薬抵抗性の指標的微生物(高→低)=プリオン>芽胞>抗酸菌>一般細菌/エンベロープ非保有ウイルス>エンベロープ保有ウイルス。

選択肢ごとの解説

第67回 午後73(臨床微生物学)

染色法とその対象となる微生物の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②KOH法 — Trichophyton rubrum・④Giménez染色 — Legionella pneumophila

ポイント
微生物の染色・標本作製法は対象に応じて選ぶ。皮膚糸状菌(白癬菌)の検出には角質を溶かして菌糸を観察しやすくするKOH(水酸化カリウム)法が用いられる。Legionella pneumophilaはGiménez染色で赤く染まる。墨汁法はCryptococcusの莢膜、Grocott染色は真菌全般、Ziehl-Neelsen染色は抗酸菌の検出に用いる組合せが正しい。●KOH法=皮膚糸状菌(Trichophyton等)・Candida(直接鏡検)。●Giménez染色=Legionella・リケッチア。●墨汁法(陰性染色)=Cryptococcus neoformansの莢膜。●Grocott(メセナミン銀)染色=真菌・ニューモシスチス。●Ziehl-Neelsen(抗酸菌染色)=結核菌・非結核性抗酸菌・ノカルジア(変法)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:微生物の染色法と検出対象(構造・真菌・特殊病原体)

染色法検出対象備考
Wirtz法〈Wirtz-Conklin法〉芽胞(Bacillus属・Clostridium属)マラカイトグリーンで加温染色、対比染色はサフラニン
Hiss法莢膜フクシン液またはゲンチアナ紫液、加温染色
Leifson法鞭毛ホルマリン固定後に色素で塗抹染色
Neisser法・Albert法異染小体(Corynebacterium diphtheriae)異染小体は黒褐色、菌体は黄色に染まる
Ziehl-Neelsen法抗酸菌(結核菌等)石炭酸フクシンで加温染色、赤色に呈色
Kinyoun法(冷染色)抗酸菌・Nocardia属(弱抗酸性)加温せずに抗酸性を証明できる
オーラミン・ローダミン法(蛍光法)抗酸菌(結核菌等)蛍光顕微鏡でのスクリーニングに用いる
Giménez〈ヒメネス〉染色Legionella属・リケッチア属菌体は赤色、背景はマラカイト緑により緑〜青緑色に染まる
墨汁法(陰性染色)Cryptococcus属の莢膜髄液中のクリプトコックスの莢膜観察に用いる
KOH法(水酸化カリウム法)皮膚糸状菌(Trichophyton属等)角質を溶解し直接鏡検する
Grocott〈メセナミン銀〉染色真菌全般・Pneumocystis jirovecii黒褐色に染色、主に病理標本で用いる
Gram染色(パイフェル液使用)グラム陽性菌・陰性菌の鑑別クリスタル紫→ヨウ素液〈ルゴール液〉(媒染)→アルコール脱色→パイフェル液〈希釈石炭酸フクシン〉またはサフラニン(後染色)

第67回 午後74(臨床微生物学)

検体の輸送を目的に使用する培地はどれか。

正答: ②Cary-Blair培地

ポイント
輸送培地は採取した検体中の病原体を死滅させずに検査室へ運ぶための培地で、増菌は目的とせず栄養を抑え乾燥や酸化を防ぐ。Cary-Blair培地は腸管病原菌(コレラ菌・赤痢菌・サルモネラ・カンピロバクターなど)の輸送に広く用いられる半固形の輸送培地である。一方、セレナイトは増菌、Skirrowやチアー・マーチンは選択分離培地である。●輸送培地=Cary-Blair培地(腸管病原菌)・Stuart培地・Amies培地(一般細菌・淋菌)。●増菌培地=セレナイト培地(サルモネラ)・アルカリペプトン水(コレラ菌)・チオグリコレート培地(嫌気性菌含む)。●選択分離培地=Skirrow寒天(Campylobacter)・Thayer-Martin寒天(淋菌・髄膜炎菌)・SS寒天・マッコンキー寒天。

選択肢ごとの解説

第67回 午後75(臨床微生物学)

Escherichia coliを対象に実施した薬剤耐性の確認試験を別に示す。検出目的のβ-ラクタマーゼはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB075.9bb8f8aaeb.jpg
第67回 午後75 の図

正答: ⑤基質拡張型β-ラクタマーゼ

ポイント
基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)は、第三世代セファロスポリンやモノバクタムを分解し、クラブラン酸などのβ-ラクタマーゼ阻害薬で阻害される酵素である。確認試験では、セフォタキシムやセフタジジムの単剤と、それぞれにクラブラン酸を併用したディスクの阻止円を比較し、併用で阻止円が拡大すれば陽性と判定する(ダブルディスク法・複合ディスク法)。Escherichia coliやKlebsiella pneumoniaeで問題となる。●ESBL=第三世代セファロスポリンを分解・クラブラン酸で阻害(ダブルディスク法)。●AmpC型(セファロスポリナーゼ)=クラブラン酸で阻害されにくい・ボロン酸で阻害。●メタロ-β-ラクタマーゼ=カルバペネム分解・EDTA(金属キレート)で阻害。●KPC型カルバペネマーゼ=ボロン酸で阻害。●OXA型(オキサシリナーゼ)=オキサシリン分解。

選択肢ごとの解説

第67回 午後76(臨床微生物学)

真菌と特徴の組合せで正しいのはどれか。

正答: ①Coccidioides immitis — 二形性真菌

ポイント
真菌は発育形態によって糸状菌(カビ型)、酵母(出芽型)、二形性真菌に大別される。二形性真菌は環境中(25℃前後)では菌糸型をとり、宿主体内(37℃)では酵母型または特殊な組織型をとるもので、Coccidioides immitisは環境中で菌糸(分節型分生子)、組織内では球状体(spherule)をとる輸入真菌である。各選択肢は組合せの正誤を問うており、Cryptococcus neoformansは莢膜をもつ酵母、Fonsecaea pedrosoiは黒色真菌、Microsporum canisは皮膚糸状菌、Sporothrix schenckiiは二形性真菌である点で他は誤りとなる。
●二形性真菌=Coccidioides immitis・Histoplasma capsulatum・Blastomyces dermatitidis・Paracoccidioides brasiliensis・Sporothrix schenckii・Penicillium(Talaromyces) marneffei。
●酵母(様)=Cryptococcus neoformans・Candida albicans・Malassezia。
●糸状菌(カビ)=Aspergillus・Mucor(ケカビ)・皮膚糸状菌(Trichophyton・Microsporum・Epidermophyton)。
●黒色真菌(クロモブラストミコーシス・黒色菌糸症)=Fonsecaea pedrosoi・Phialophora・Cladophialophora・Exophiala。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:真菌の分類(酵母・糸状菌・二形性真菌・黒色真菌)

分類代表的な真菌特徴
二形性真菌Histoplasma capsulatum、Blastomyces dermatitidis、Coccidioides immitis、Paracoccidioides brasiliensis、Sporothrix schenckii、Penicillium(Talaromyces) marneffei環境中(25℃前後)で菌糸形、体内(37℃)で酵母形または特殊な組織型をとる
酵母(様)真菌Candida albicans仮性菌糸・厚膜胞子・発芽管をいずれも形成する
酵母(様)真菌Candida glabrata仮性菌糸・厚膜胞子・発芽管をいずれも形成しない
酵母(様)真菌Cryptococcus neoformans、Cryptococcus gattii莢膜を形成し、ウレアーゼを産生する
糸状菌(カビ)Aspergillus属分生子頭・フィアライドをもつ、大分生子は形成しない
糸状菌(皮膚糸状菌)Trichophyton属、Microsporum属、Epidermophyton属毛髪・皮膚・爪に寄生する
黒色真菌Fonsecaea pedrosoi、Phialophora属、Exophiala属細胞壁にメラニン色素を含み褐色〜黒色のコロニーを形成
Candida属の仮性菌糸・厚膜胞子・発芽管の有無は種によって異なり、C. glabrataはこれらをいずれも形成しない点で他のCandida属(C. tropicalis・C. krusei・C. parapsilosis等は仮性菌糸を形成)と異なる。

第67回 午後77(臨床微生物学)

Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群と関連しているのはどれか。

正答: ①Campylobacter jejuni

ポイント
Guillain-Barré症候群は先行感染の1〜3週後に発症する急性の自己免疫性末梢神経障害で、左右対称性の弛緩性運動麻痺を主徴とする。先行感染病原体として最も代表的なのがCampylobacter jejuni腸炎で、菌体のリポオリゴ糖が末梢神経のガングリオシド(GM1など)と分子相同性をもつため、産生された抗ガングリオシド抗体が交差反応して神経を傷害する。ほかにサイトメガロウイルスやEBウイルス、Mycoplasma pneumoniaeなども先行感染となり得るが、本設問ではCampylobacter jejuniが該当する。
●Guillain-Barré症候群の先行感染=Campylobacter jejuni・サイトメガロウイルス・EBウイルス・Mycoplasma pneumoniae・インフルエンザ等。
●Campylobacter jejuniの特徴=らせん状グラム陰性桿菌・微好気性・42℃発育・鶏肉由来の食中毒。
●Helicobacter pylori=胃炎・胃十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・胃癌。
●Treponema pallidum=梅毒(スピロヘータ)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:便のGram染色でみられる彎曲・らせん状グラム陰性桿菌の鑑別

菌形態特徴
Campylobacter jejuniカモメの翼状(S字状)に彎曲微好気性、42℃発育、Skirrow培地、Guillain-Barré症候群の先行感染菌
Vibrio parahaemolyticusコンマ状(単一の屈曲)好塩性、TCBS寒天培地、海産物による食中毒
Helicobacter pyloriらせん状(複数回転)ウレアーゼ産生、胃粘膜に生息、胃炎・胃潰瘍・胃MALTリンパ腫の原因

第67回 午後78(臨床微生物学)

イムノクロマト法による抗原検査が行われているのはどれか。2つ選べ。

正答: ③アデノウイルス・⑤インフルエンザウイルス

ポイント
イムノクロマト法は金コロイドなどで標識した抗体を用い、検体中の抗原を毛細管現象でメンブレン上に展開して短時間(10〜15分程度)で判定する簡易迅速検査である。臨床ではインフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、SARS-CoV-2、A群溶連菌などの迅速抗原検査として広く普及している。一方、風疹・麻疹・ムンプスは主に血清抗体(IgM/IgG)測定や核酸増幅検査(PCR)で診断され、ベッドサイドのイムノクロマト抗原検査は一般的でない。
●迅速抗原検査(イムノクロマト)が普及=インフルエンザ・アデノ・RS・ヒトメタニューモ・SARS-CoV-2・ノロ・ロタ・A群溶連菌。
●主に抗体(血清診断)・PCRで診断=風疹・麻疹・ムンプス・サイトメガロ・EBウイルス。
●原理=標識抗体+毛細管現象によるサンドイッチ法/競合法。

選択肢ごとの解説

第67回 午後79(臨床免疫学)

体重70 kgの成人に赤血球液4単位を輸血した際の予測上昇Hb値に最も近い値[g/dL]はどれか。なお、循環血液量[mL]は体重[kg]× 70であり、2単位の赤血球液は60 gのHbを含むこととする。

正答: ②2.4

ポイント
輸血による予測上昇Hb値は、投与した総Hb量を患者の循環血液量で割って求める。本設問では循環血液量=70 kg×70=4900 mL=49 dL、赤血球液4単位のHb量=60 g×2=120 gである。よって上昇Hb値=120 g÷49 dL≒2.45≒2.4 g/dLとなり、選択肢のうち最も近いのは2.4である。循環血液量の単位をmLからdLへ換算してg/dLの単位に合わせる点が計算の要点である。
●輸血効果の予測式=予測上昇Hb値〔g/dL〕=投与Hb量〔g〕÷循環血液量〔dL〕。
●循環血液量の概算=体重〔kg〕×約70 mL(成人)。
●赤血球液(RBC)=2単位で約60 gのHbを含む。
●関連指標=予測血小板増加・回収率(CCI)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後80(臨床免疫学)

輸血副反応のうち最も遅く発症するのはどれか。

正答: ②輸血後GVHD

ポイント
輸血副反応は発症までの時間で急性(24時間以内)と遅発性に大別される。細菌感染症(敗血症)、アレルギー反応、輸血関連急性肺障害(TRALI、6時間以内)、輸血関連循環過負荷(TACO)はいずれも輸血中〜数時間以内に発症する急性反応である。これに対し輸血後移植片対宿主病(GVHD)はドナーリンパ球が患者組織を攻撃する反応で、輸血後おおむね1〜2週間(約7〜14日)で発熱・紅斑・肝障害・汎血球減少を呈し最も遅く発症するため、放射線照射血により予防する。
●急性(24時間以内)=溶血性(ABO不適合)・発熱性非溶血性・アレルギー/アナフィラキシー・TRALI・TACO・細菌感染(敗血症)。
●遅発性=遅発性溶血反応(数日〜2週)・輸血後GVHD(1〜2週)・輸血後紫斑病・鉄過剰症・ウイルス感染(HBV・HCV・HIV)。
●予防=GVHDは放射線照射血、TRALIは男性由来血漿の優先。

選択肢ごとの解説

第67回 午後81(臨床免疫学)

新生児溶血性疾患を引き起こすのはどれか。2つ選べ。

正答: ①抗E・②抗M

ポイント
新生児溶血性疾患は、母体で産生されたIgG型同種抗体が胎盤を通過し胎児赤血球を感作・破壊することで生じる。Rh系の抗D・抗E・抗cなどIgG型でかつ抗原性が強い抗体が原因となりやすく、抗Eは典型的な原因抗体である。抗MはIgMが主体だがIgG成分を含む例があり溶血性疾患を起こし得るのに対し、抗N・抗Leb・抗JMHは胎盤通過性や臨床的意義が乏しく原因となりにくい。
●新生児溶血性疾患を起こしやすい抗体=抗D・抗E・抗c(Rh系)・抗K(Kell系)・抗Fya・抗Jka。
●起こしにくい(IgM主体・胎盤非通過)=抗Lea・抗Leb(Lewis系)・抗P1・抗I・抗N。
●抗M=通常IgMだがIgG成分を含むと溶血性疾患を起こし得る。
●機序=母体IgGの胎盤通過による胎児赤血球の感作。

選択肢ごとの解説

第67回 午後82(臨床免疫学)

健常人の末梢血リンパ球で最も数が多いのはどれか。

正答: ①CD3陽性細胞

ポイント
末梢血リンパ球はT細胞・B細胞・NK細胞に大別され、健常成人ではT細胞が約70〜80%を占めて最も多い。CD3はすべての成熟T細胞に発現する汎T細胞マーカーであり、CD4陽性ヘルパーT細胞やCD8陽性細胞傷害性T細胞はいずれもCD3陽性集団に含まれるため、CD3陽性細胞数が最も多くなる。CD19はB細胞(約10〜20%)、CD56はNK細胞(約10%)のマーカーである。
●T細胞マーカー=CD3(汎T)・CD4(ヘルパー)・CD8(細胞傷害性)、健常人CD4/CD8比は約2。
●B細胞マーカー=CD19・CD20・CD79a・表面免疫グロブリン。
●NK細胞マーカー=CD16・CD56(CD3陰性)。
●割合の目安=T約70〜80%>B約10〜20%>NK約10%。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞

CD発現細胞・特徴
CD3汎T細胞、T細胞受容体
CD4ヘルパーT細胞(単球でも弱陽性)
CD10幼若B細胞(CALLA)
CD13顆粒球系細胞(CD33とともにFAB分類M0の診断に有用)
CD14成熟単球
CD19B細胞
CD20B細胞
CD25活性化T細胞(IL-2受容体α鎖、成人T細胞白血病でも陽性)
CD33顆粒球系細胞(CD13とともにFAB分類M0の診断に有用)
CD34造血幹細胞
CD38多発性骨髄腫細胞・形質細胞で強陽性(形質細胞に特異的ではない)
CD41巨核球(FAB分類M7の診断に有用)
CD45白血球全般(共通白血球抗原)
CD56NK細胞
CD61血小板(FAB分類M7の診断に有用)
CD138形質細胞に特異的

第67回 午後83(臨床免疫学)

T細胞のみを刺激するマイトジェンはどれか。2つ選べ。

正答: ①コンカナバリンA〈Con A〉・③フィトヘムアグルチニン〈PHA〉

ポイント
マイトジェンはリンパ球を抗原非特異的・多クローン性に活性化して幼若化・増殖を誘導する物質で、刺激する細胞種によって区別される。コンカナバリンA(Con A)とフィトヘムアグルチニン(PHA)はT細胞を特異的に刺激する植物レクチンである。これに対しリポポリサッカリド(LPS)はB細胞、ポークウィードマイトジェン(PWM)はT・B両細胞、Staphylococcus aureus Cowan I株(SAC)はB細胞を刺激する点で区別される。
●T細胞を刺激=コンカナバリンA(Con A)・フィトヘムアグルチニン(PHA)。
●B細胞を刺激=リポポリサッカリド(LPS)・Staphylococcus aureus Cowan I(SAC)・ヤマゴボウ由来の一部。
●T・B両細胞を刺激=ポークウィードマイトジェン(PWM)。
●用途=リンパ球幼若化試験による細胞性免疫能の評価。

選択肢ごとの解説

第67回 午後84(臨床免疫学)

ツベルクリン反応に関与しないのはどれか。

正答: ①補体

ポイント
ツベルクリン反応はⅣ型(遅延型)アレルギーで、抗原(精製ツベルクリン)の皮内注射後48〜72時間で発赤・硬結を生じる。感作されたT細胞(主にCD4陽性Th1細胞)が抗原を認識してインターフェロンγなどのサイトカインを放出し、マクロファージを活性化・集積させ、プロスタグランジンなどの炎症メディエーターが局所反応に関与する。抗体や補体が中心的に働くⅡ型・Ⅲ型反応とは異なり、Ⅳ型では補体は関与しない。
●Ⅳ型(遅延型)に関与=感作T細胞・マクロファージ・インターフェロンγなどのサイトカイン・炎症メディエーター。
●Ⅳ型の例=ツベルクリン反応・接触性皮膚炎・移植拒絶反応・肉芽腫形成。
●補体が主役=Ⅱ型(細胞傷害型)・Ⅲ型(免疫複合体型)。
●Ⅰ型=IgE・肥満細胞・ヒスタミン(即時型)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後85(臨床免疫学)

抗体同定検査の抗原表及びカラム凝集法の間接抗グロブリン試験の結果を別に示す。可能性の高い抗体はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k67pB085.65a61489d4.jpg
第67回 午後85 の図

正答: ③抗E

ポイント
抗体同定検査では、各パネル赤血球の抗原構成を示す抗原表と、それぞれの赤血球との反応結果を照合し、陽性パターンに一致する抗原を推定する。間接抗グロブリン試験はIgG型不規則抗体の検出に用い、37℃で感作させた後に抗ヒトグロブリン試薬(クームス試薬)で凝集を確認する。本設問では反応陽性となった赤血球がすべてE抗原陽性、陰性となった赤血球がE抗原陰性のパターンに合致するため、抗Eが最も可能性が高い。
●Rh系抗原=D・C・c・E・e。
●Duffy系=Fya・Fyb(抗Fybなど)。
●Kidd系=Jka・Jkb(抗Jkbなど)。
●判定の原則=陽性赤血球がすべて当該抗原陽性かつ陰性赤血球が当該抗原陰性なら、その抗原に対する抗体と推定する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不規則抗体同定検査:反応相と抗体推定の原則

反応相・検出法検出される抗体クラス代表的な血液型系
生理食塩液法(室温)IgM(冷式抗体)MNS系(抗M)・Lewis系・P1系
酵素法(パパイン・ブロメリン処理)IgG(一部の抗体で反応増強)Rh系
間接抗グロブリン試験(37℃)IgG(温式抗体)Rh系(抗D・抗E・抗c等)・Kidd系・Duffy系
同定は既知抗原表(アンチグラム)とパネル赤血球の反応を照合し、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を消去していく消去法で行う。消去されずに残った抗体が「否定できない抗体」であり、陽性反応を示した赤血球に共通する抗原に対応する抗体を「可能性の高い抗体」と推定する。抗原量が少ないと反応が弱まる量的効果(dosage)があるため、量的効果のある抗原はホモ接合の血球で陰性の場合に消去するのが原則である。間接抗グロブリン試験の反応増強剤にはLISS(低イオン強度溶液)やPEG(ポリエチレングリコール)が用いられる。

第67回 午後86(臨床免疫学)

輸血後の反応について正しいのはどれか。

正答: ③急性の非溶血性輸血反応は主に発熱やアレルギー症状である。

ポイント
輸血反応は溶血性/非溶血性、急性/遅発性に分類される。急性溶血性反応は主にABO不適合輸血のIgM型抗A・抗B抗体による血管内溶血で、輸血中〜直後に発症し致死的となり得る。遅発性溶血性反応はRhなど不規則抗体の二次免疫応答(既往感作の再活性化)により数日〜2週間後に起こる。急性の非溶血性反応は発熱性非溶血性反応やアレルギー反応が主体である。
●急性溶血性反応=主にABO不適合(IgM)・血管内溶血・輸血直後。
●遅発性溶血性反応=Rh等の不規則抗体の二次応答・数日〜2週後。
●急性非溶血性反応=発熱性非溶血性反応(FNHTR)・アレルギー/アナフィラキシー・TRALI・TACO。
●溶血所見=ヘモグロビン尿・血漿赤色化・LDH上昇・ハプトグロビン低下。

選択肢ごとの解説

第67回 午後87(臨床免疫学)

標識抗原抗体反応の組合せで正しいのはどれか。

正答: ②酵素免疫測定法 — アルカリホスファターゼ

ポイント
標識抗原抗体反応は、抗原または抗体に付ける標識物質によって測定原理が異なる。蛍光抗体法はフルオレセインイソチオシアネート(FITC)などの蛍光色素、酵素免疫測定法(EIA/ELISA)はアルカリホスファターゼやペルオキシダーゼ、化学発光免疫測定法(CLIA)はアクリジニウムエステルなど、生物発光免疫測定法はルシフェラーゼ、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)はルテニウム錯体を標識に用いる。したがって正しい組合せは酵素免疫測定法とアルカリホスファターゼである。
●蛍光標識=FITC・ローダミン(蛍光抗体法・FIA)。
●酵素標識=アルカリホスファターゼ・ペルオキシダーゼ(EIA・ELISA)。
●化学発光標識=アクリジニウムエステル・ルミノール(CLIA)。
●発光酵素=ルシフェラーゼ(生物発光)。
●電気化学発光=ルテニウム錯体(ECLIA)/金コロイドはイムノクロマト法。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:免疫測定法と標識物質

測定法標識物質
蛍光抗体法FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、DANS、ローダミン
放射免疫測定法〈RIA〉¹²⁵Iなどの放射性同位元素
酵素免疫測定法〈EIA〉ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ
生物発光免疫測定法〈BLIA〉ルシフェラーゼ(基質はルシフェリン)
化学発光免疫測定法〈CLIA〉アクリジニウムエステルなど
化学発光酵素免疫測定法〈CLEIA〉アルカリホスファターゼやペルオキシダーゼなどの酵素(発光基質はAMPPD〈アダマンチル誘導体〉やルミノール)
電気化学発光免疫測定法〈ECLIA〉ルテニウム
アルカリホスファターゼは酵素標識であり蛍光色素ではないため、蛍光抗体法とは組み合わない。

第67回 午後88(臨床免疫学)

検査結果と解釈の組合せで正しいのはどれか。

正答: ④IgM型HBc抗体陽性 — B型肝炎の発症

ポイント
肝炎ウイルスマーカーは病期や感染状態の解釈に用いる。IgM型HBc抗体はB型肝炎の急性期(発症期)に陽性となる初感染(急性肝炎)の指標であり、これが正しい組合せである。IgM型HA抗体はA型肝炎の急性期を示し、IgG型HA抗体は既往感染・免疫を示す。HBs抗体は感染既往や免疫獲得(ワクチン後を含む)、HBe抗体陽性はウイルス増殖・感染性の低下を示し、HCV抗体陽性のみでは治癒とはいえない。
●A型肝炎=IgM型HA抗体(急性期)/IgG型HA抗体(既往・免疫)。
●B型肝炎=HBs抗原(感染)・HBs抗体(既往・免疫)・HBe抗原(増殖・高感染性)・HBe抗体(低感染性)・IgM型HBc抗体(急性期)・IgG型HBc抗体(既往)・HBV-DNA(増殖量)。
●C型肝炎=HCV抗体(感染既往・持続)・HCV-RNA(現在の感染・治癒判定)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:肝炎ウイルスマーカーの解釈

マーカー意味
HBs抗原HBV感染の存在(現在感染している)
HBs抗体HBV感染の既往または免疫獲得(ワクチン接種後を含む)
HBe抗原HBVの活発な増殖・高い感染性
HBe抗体セロコンバージョン後、ウイルス増殖・感染性の低下
IgM型HBc抗体B型肝炎の急性期(発症)の指標
IgG型HBc抗体B型肝炎の既往感染
HBV-DNAウイルスの増殖量(量的指標)
IgM型HA抗体A型肝炎の急性期
IgG型HA抗体A型肝炎の既往感染・免疫
HCV抗体C型肝炎の感染既往または持続感染(単独では治癒の指標にならない)
HCV-RNAC型肝炎ウイルスの現在の感染・治癒判定に用いる

第67回 午後89(臨床免疫学)

CRPについて誤っているのはどれか。

正答: ④肺炎球菌に対する抗体である。

ポイント
C反応性蛋白(CRP)は炎症や組織傷害時に肝臓でインターロイキン6(IL-6)の刺激により産生される急性相反応物質である。肺炎球菌のC多糖体に結合する性質から命名されたが、それ自体は抗体ではなく、補体(古典経路)を活性化しオプソニンとして貪食を促進する自然免疫の蛋白である。炎症の程度を反映する指標として広く用いられる。
●CRPの性質=肝臓で産生・IL-6で誘導・急性相反応物質・補体活性化・オプソニン作用。
●代表的な急性相反応物質=CRP・血清アミロイドA・フィブリノゲン・ハプトグロビン・フェリチン・α1アンチトリプシン。
●炎症で低下する蛋白(ネガティブ急性相反応物質)=アルブミン・トランスフェリン・トランスサイレチン。
●炎症性サイトカイン=IL-1・IL-6・TNF-α。

選択肢ごとの解説

第67回 午後90(公衆衛生学)

国勢調査で分かるのはどれか。

正答: ④老年化指数

ポイント
国勢調査は日本に居住するすべての人と世帯を対象に5年ごとに行われる全数調査で、人口・年齢構成・世帯・就業状態などの基本属性を把握する。年齢別人口(年少人口・生産年齢人口・老年人口)が得られるため、老年化指数(老年人口÷年少人口×100)を算出できる。一方、粗死亡率・総再生産率・合計特殊出生率は人口動態統計から、平均寿命は生命表から求める指標である。
●国勢調査(全数調査)から分かる=人口・年齢構成・人口密度・世帯数・老年化指数・従属人口指数。
●人口動態統計から分かる=粗死亡率・出生率・合計特殊出生率・総再生産率・純再生産率・死産率・婚姻率。
●生命表から分かる=平均余命・平均寿命。
●老年化指数=老年人口÷年少人口×100。

選択肢ごとの解説

第67回 午後91(公衆衛生学)

ある疾患の有病率を調べるために行うのはどれか。

正答: ①横断研究

ポイント
有病率はある一時点で疾患を有する者の割合であり、その測定には集団のある時点での疾患の有無を一度に調べる横断研究(断面研究)が適する。コホート研究や症例対照研究は曝露と疾病発生(罹患率)の関連を調べる分析疫学であり、有病率の把握が主目的ではない。症例集積研究は記述、生態学的研究は集団単位での関連の探索が目的である。
●記述疫学=症例報告・症例集積研究・横断研究(有病率の測定)。
●分析疫学=コホート研究(罹患率・相対危険)・症例対照研究(オッズ比)・生態学的研究(集団単位)。
●有病率=(ある時点の患者数÷集団人数)。
●罹患率=(一定期間の新規発生数÷観察人時)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後92(公衆衛生学)

特定健康診査について誤っているのはどれか。

正答: ②根拠法は健康増進法である。

ポイント
特定健康診査は高齢者の医療の確保に関する法律を根拠とし、40〜74歳の医療保険の被保険者・被扶養者を対象に医療保険者が実施する健診である。メタボリックシンドロームに着目し、腹囲・体格指数(BMI)・血圧・血糖・脂質・尿検査(尿糖・尿蛋白)などを行い、結果に応じて特定保健指導につなげる。健康増進法は健康日本21や受動喫煙対策などの根拠法であり、本健診の根拠法ではないため、その組合せが誤りである。
●特定健康診査=根拠は高齢者の医療の確保に関する法律・対象40〜74歳・実施は医療保険者・メタボに着目。
●基本項目=身体計測(腹囲・BMI)・血圧・血液(血糖・脂質・肝機能)・尿(尿糖・尿蛋白)。
●健康増進法=健康日本21・国民健康・栄養調査・受動喫煙対策。
●関連=特定保健指導(動機付け支援・積極的支援)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後93(公衆衛生学)

作業環境管理はどれか。2つ選べ。

正答: ③局所排気装置の設置・⑤作業場の管理区分の判定

ポイント
労働衛生の3管理は作業環境管理・作業管理・健康管理である。作業環境管理は有害因子を発生源で抑えて作業環境を良好に保つ対策で、局所排気装置の設置や作業環境測定とその結果に基づく管理区分(第1〜3管理区分)の判定が該当する。保護具の使用や労働時間の短縮は作業者側の曝露を抑える作業管理、特殊健康診断は労働者の健康状態を把握する健康管理に分類される。
●作業環境管理=局所排気装置・全体換気・有害物質の代替・作業環境測定・管理区分判定。
●作業管理=作業方法の改善・作業時間(曝露時間)の短縮・保護具の使用。
●健康管理=一般/特殊健康診断・事後措置・健康相談。
●関連法=労働安全衛生法・作業環境測定法。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:労働衛生の3管理

管理内容具体例
作業環境管理有害要因を取り除き作業環境を良好に保つ局所排気装置の設置、作業環境測定、管理区分の判定
作業管理労働者の作業方法・作業時間・作業量を管理する保護具の使用、作業時間の短縮
健康管理疾病の早期発見と発生予防健康診断とその後の保健指導

第67回 午後94(公衆衛生学)

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉で二類感染症に定められているのはどれか。2つ選べ。

正答: ①結核・⑤ジフテリア

ポイント
感染症法は感染力や罹患した場合の重篤度などにより感染症を一類から五類などに分類する。二類感染症には結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)、急性灰白髄炎(ポリオ)が含まれる。コレラは三類、ペストと痘そう(天然痘)は一類に分類されるため、二類に該当するのは結核とジフテリアである。
●一類=エボラ出血熱・痘そう・ペスト・ラッサ熱・南米出血熱・マールブルグ病・クリミア・コンゴ出血熱。
●二類=結核・ジフテリア・SARS・MERS・急性灰白髄炎・鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)。
●三類=コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症。
●四類=E型/A型肝炎・狂犬病・マラリア・デング熱など。

選択肢ごとの解説

第67回 午後95(医用工学概論)

銅製導線が長さ20.0 m、断面積0.10 mm²のとき、銅の抵抗率を1.68 ×10⁻⁸ Ω mとすると、その両端間の抵抗値[Ω]はどれか。

正答: ③3.36

ポイント
導線の電気抵抗は R=ρL/S で求められる(ρは抵抗率、Lは長さ、Sは断面積)。本設問では ρ=1.68×10⁻⁸ Ω·m、L=20.0 m、S=0.10 mm²=0.10×10⁻⁶ m²=1.0×10⁻⁷ m²である。代入すると R=1.68×10⁻⁸×20.0÷(1.0×10⁻⁷)=3.36 Ωとなる。断面積の単位を平方ミリメートルから平方メートルへ正しく換算する点が計算の要点である。
●抵抗の式=R=ρL/S(直列で長さに比例、断面積に反比例)。
●抵抗率(20℃)=銅 約1.68×10⁻⁸ Ω·m・銀が最小・アルミ・鉄と続く。
●関連=導電率σ=1/ρ・温度上昇で金属の抵抗は増加。
●オームの法則=V=IR。

選択肢ごとの解説

第67回 午後96(医用工学概論)

商用交流によるマクロショックで最小感知電流[mA]はどれか。

正答: ②1

ポイント
マクロショックは体表から人体に流入する電流による感電で、商用交流(約50〜60 Hz)では最小感知電流が約1 mAとされる。電流が増えると不快感・痛み、離脱限界電流(約10 mA前後)、さらに約100 mAで心室細動を起こす危険域へと進む。これに対し心臓内に直接電流が流れるミクロショックでは、わずか約0.1 mA(100 μA)でも心室細動を起こし得る。
●マクロショック(商用交流・体表流入)=最小感知約1 mA・離脱限界約10 mA・心室細動約100 mA。
●ミクロショック(心臓直接)=心室細動約0.1 mA(100 μA)・安全限界10 μA。
●感電の影響因子=電流の大きさ・周波数・通電経路・通電時間。
●関連=マクロショック対策(保護接地)/ミクロショック対策(等電位化・CF形装着部)。

選択肢ごとの解説

第67回 午後97(医用工学概論)

コンピュータのハードディスク装置の信頼性向上のために利用されるのはどれか。

正答: ④RAID

ポイント
RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)は複数のハードディスクを組み合わせて1つの論理ドライブのように扱う技術である。ミラーリング(RAID1)やパリティ(RAID5など)によりデータを冗長化し、1台が故障してもデータを失わない信頼性向上や、ストライピングによる読み書きの高速化を実現する。GPUは画像・並列演算処理、BIOSは起動時のハードウェア制御、DHCPはIPアドレスの自動割当、RS-232Cはシリアル通信規格である。
●RAIDの代表構成=RAID0(ストライピング・高速だが冗長性なし)・RAID1(ミラーリング)・RAID5(パリティ分散)・RAID6(二重パリティ)・RAID10。
●GPU=画像・並列演算処理装置。
●BIOS/UEFI=起動時のハードウェア初期化。
●DHCP=IPアドレス自動割当プロトコル。
●RS-232C=シリアル通信規格。

選択肢ごとの解説

第67回 午後98(医用工学概論)

300種類の検査項目をコード化する場合、最小限必要な記憶容量[bit]はどれか。

正答: ④9

ポイント
nビットで表現できる組合せは2ⁿ通りである。300種類を区別するには 2ⁿ ≧ 300 を満たす最小のnを求める。2⁸=256では300に足りず、2⁹=512で300を上回るため、最小限必要なのは9ビットである。表現したい種類数を上回る最小の2のべき乗を探す、コード化の基本的な考え方である。
●ビット数と表現可能数=2ⁿ通り(8ビット=256・9ビット=512・10ビット=1024)。
●必要ビット数=n=⌈log₂(種類数)⌉。
●関連単位=1バイト=8ビット・1ニブル=4ビット。
●符号化の例=ASCII(7ビット)・拡張ASCII(8ビット)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:べき乗による情報量・組合せ数の計算

例計算結果
6ビット(2進数6桁)2の6乗64通り
9ビット(2進数9桁)2の9乗512通り(300種類の区別に必要な最小ビット数)
10ビット(2進数10桁)2の10乗1,024通り(1キロバイト=1,024バイト)
16ビット(2バイト)2の16乗65,536通り
8bit AD変換器(0〜2.5V)の分解能2.5V ÷ 2の8乗(256)約9.8mV(≒10mV)
DNA塩基3個の配列(A・C・G・Tの4種類)4の3乗64通り(コドン、情報量はlog2 64=6bit)
nビットの2進数では2のn乗通り、n種類の記号をr桁並べる場合はnのr乗通りの組合せを表現できる。

第67回 午後99(医用工学概論)

ネットワーク情報システムに外部からの侵入を許す原因となるのはどれか。

正答: ④OSの自動アップデートの中止

ポイント
情報システムのセキュリティは多層的な対策で守られる。OSの自動アップデートを中止すると、既知の脆弱性が修正されないまま放置され、その脆弱性を突いた外部からの侵入や攻撃を受けやすくなる。ファイアウォール、VPN、公開鍵暗号システム、MACアドレスによる機器認証はいずれも不正アクセスを防ぐための対策であり、これらを適切に運用することがセキュリティの維持につながる。
●不正侵入の原因=OS/ソフトの未更新(脆弱性放置)・弱いパスワード・不審なメール添付・不要なポート開放。
●技術的対策=ファイアウォール・VPN・暗号化(公開鍵/共通鍵)・侵入検知システム(IDS/IPS)・MACアドレス認証。
●運用的対策=定期的なアップデート・アクセス権管理・ログ監視・教育。

選択肢ごとの解説

第67回 午後100(医用工学概論)

電子天秤の設置場所として適切なのはどれか。

正答: ⑤相対湿度が60%である。

ポイント
電子天秤は微量の質量を高精度に測定するため外乱の影響を受けやすく、気流・振動・急な温度変化・直射日光・静電気を避け、安定した水平な台に設置する必要がある。相対湿度は低すぎると静電気が生じ、高すぎると結露や試料の吸湿を招くため、おおむね45〜60%程度の中程度が適する。したがって相対湿度60%の環境が設置場所として適切である。
●電子天秤の設置条件=水平で安定した台・防振・気流を避ける(風防使用)・直射日光を避ける・一定温度・相対湿度45〜60%程度。
●誤差要因=気流・振動・温度変化・静電気・結露・地球の重力差(緯度・標高)。
●関連操作=水平調整・ゼロ点(風袋)調整・分銅による校正。

選択肢ごとの解説