第68回(2022) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第68回 午前1(臨床検査総論)

臨床検査室の品質と能力に関する国際規格はどれか。

正答: ③ISO 15189

ポイント
ISO 15189は臨床検査室の品質マネジメントシステムと技術的能力に関する国際規格で、ISO 9001(品質管理の一般要求事項)の考え方とISO/IEC 17025(試験所・校正機関の能力要求事項)を統合し、医療検査室向けに具体化したものである。認定取得により検査結果の信頼性と国際的な互換性が担保され、分析前・分析中・分析後の全プロセス、要員の力量、機器の保守・校正などが評価対象となる。日本では日本適合性認定協会(JAB)が認定を行っている。●検査室・品質関連の国際規格=ISO 15189(臨床検査室の品質・能力)・ISO/IEC 17025(試験所の能力)・ISO 9001(一般的な品質マネジメント)。
●医療機器・周辺規格=ISO 13485(医療機器の品質マネジメント)・ISO 22870(POCTの品質・能力、15189を補完)。
●検査工程の3区分=分析前(採取・搬送・前処理)・分析中(測定・内部精度管理)・分析後(報告・解釈)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前2(臨床検査総論)

分析前プロセスの品質管理はどれか。2つ選べ。

正答: ①検体量の確認・⑤検体採取から測定開始までの時間の確認

ポイント
検査工程は患者準備・採取・搬送・前処理までの分析前(プレアナリティカル)、測定そのものの分析中、結果報告・解釈の分析後(ポストアナリティカル)に分けられる。検査結果に影響する誤差の多くは分析前プロセスに由来するとされ、検体量・採取条件・採取から測定開始までの時間の管理が重要である。精度管理試料の測定や精度管理成績の保存は分析中の内部精度管理・記録管理、装置の性能評価は導入時の妥当性確認(検証)に該当する。●分析前の管理=患者準備・採血手技・検体量・抗凝固剤の選択・搬送時間と温度・前処理(遠心・分離)。
●分析中の管理=内部精度管理試料の測定・管理図の作成・外部精度管理(サーベイ)。
●分析後の管理=結果の検証・パニック値報告・記録保存・結果の解釈と報告。

選択肢ごとの解説

第68回 午前3(臨床検査総論)

採血した全血検体をそのまま室温で一晩放置した。値の低下が予想されるのはどれか。

正答: ④グルコース

ポイント
全血を血漿・血清に分離せず室温で長時間放置すると、赤血球の解糖系が継続してグルコースが消費され、値が低下する(おおむね1時間に5〜7%程度低下する)。一方、細胞内に高濃度に存在する成分は細胞膜の機能低下に伴い漏出するため、カリウムや無機リン、乳酸脱水素酵素(LD)はむしろ上昇する。アンモニアもアミノ酸の脱アミノなどで増加傾向を示し、クレアチニンは比較的安定している。血糖測定では速やかな血漿分離か、解糖阻止剤(フッ化ナトリウムなど)入り採血管の使用が必要である。●放置で低下する成分=グルコース(解糖による消費)。
●放置で上昇する成分=カリウム・無機リン・LD・AST(細胞内からの漏出)、アンモニア(脱アミノ)。
●放置で比較的安定な成分=クレアチニン・尿素窒素・総蛋白。

選択肢ごとの解説

第68回 午前4(臨床検査総論)

尿沈渣の無染色標本を別に示す。この構造物の成分はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA004.8b33895513.jpg
第68回 午前4 の図

正答: ⑤シュウ酸カルシウム

ポイント
尿沈渣で封筒様(正八面体)の無色結晶はシュウ酸カルシウム結晶であり、二水和物が正八面体状を示すため無染色標本でも特徴的な形態をとる。健常者でも酸性〜中性尿でみられるが、多量に出現する場合はエチレングリコール中毒や尿路結石症を考慮する。シスチン結晶は無色の正六角形板状、尿酸結晶は黄褐色の菱形・砂状、リン酸カルシウムはアルカリ性尿で非晶性・楔状を示すなど、結晶は形態とpHから鑑別する。●酸性尿でみられる結晶=尿酸(黄褐色の菱形・砂状)・シュウ酸カルシウム(封筒様の正八面体)・シスチン(無色六角形板状)。
●アルカリ性尿でみられる結晶=リン酸アンモニウムマグネシウム(棺蓋状)・リン酸カルシウム・尿酸アンモニウム。
●異常・薬剤性結晶=シスチン(シスチン尿症)・チロシン・ロイシン(重症肝障害)・コレステロール・スルファ剤など薬剤結晶。

選択肢ごとの解説

第68回 午前5(臨床検査総論)

Miller & Jones〈喀痰の肉眼的品質評価〉分類で、膿性部分が1/2の痰の分類はどれか。

正答: ④P2

ポイント
Miller & Jones分類は喀痰の肉眼的品質を膿性の程度で評価する方法で、Mは粘液性(M1は唾液、M2は粘液痰)、Pは膿性で膿性部分の占める割合により分類する。P1は膿性部分が全体の1/3以下、P2は1/3〜2/3、P3は2/3以上である。膿性部分が1/2の痰は1/3〜2/3の範囲にあたるためP2に該当する。膿性部分が多いほど下気道由来の良質な喀痰とされ、細菌検査に適する。●Miller & Jones分類=M1(唾液)・M2(粘液性)・P1(膿性1/3以下)・P2(膿性1/3〜2/3)・P3(膿性2/3以上)。
●Geckler分類=顕微鏡下で好中球数と扁平上皮数から喀痰の品質を評価(グループ4・5が良質)。
●良質喀痰の条件=唾液の混入が少なく膿性成分が多い(下気道由来を反映)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:喀痰の品質評価:Miller & Jones分類

分類肉眼的性状培養検査への適性
M1膿性成分を含まない粘液性痰不適
M2膿性成分がわずかに認められる粘液性痰不適
P1膿性成分が1/3以下不適
P2膿性成分が1/3〜2/3適
P3膿性成分が2/3以上適
Geckler分類(Gram染色標本の鏡検所見に基づく)では、視野あたり白血球数が多く扁平上皮細胞数が少ない5群が最も良質で、1〜3群は培養に不適切(6群は経気道吸引痰に限り適切)。白血球数は生体の炎症反応の指標、扁平上皮細胞数は唾液混入(汚染)の指標。

第68回 午前6(臨床検査総論)

化膿性髄膜炎を疑う髄液所見として誤っているのはどれか。

正答: ⑤髄液糖/血糖比の上昇

ポイント
化膿性(細菌性)髄膜炎では髄液の混濁、好中球(多形核球)優位の細胞増多、蛋白上昇、乳酸脱水素酵素(LD)上昇がみられ、髄液糖は細菌や炎症細胞による消費で低下する。このため髄液糖/血糖比はおおむね0.4以下に低下するのが特徴で、上昇は誤りである。ウイルス性髄膜炎ではリンパ球優位で糖は正常範囲のことが多く、結核性・真菌性髄膜炎ではリンパ球優位で糖が低下する点が鑑別に役立つ。●細菌性髄膜炎の髄液=混濁・好中球優位・蛋白上昇・糖低下(糖/血糖比低下)・LD上昇。
●ウイルス性髄膜炎の髄液=水様透明・リンパ球優位・蛋白軽度上昇・糖正常。
●結核性/真菌性髄膜炎の髄液=リンパ球優位・蛋白上昇・糖低下(細菌性との鑑別に注意)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前7(臨床検査総論)

幼虫移行症をきたすのはどれか。

正答: ④マンソン裂頭条虫

ポイント
マンソン裂頭条虫の幼虫(プレロセルコイド)はヒト体内で組織内を移行し、孤虫症(スパルガヌム症)として幼虫移行症を起こす。ヒトはケンミジンコを含む水の摂取や、カエル・ヘビの生食などで感染する。小形条虫・無鉤条虫・日本海裂頭条虫・クジラ複殖門条虫はいずれも成虫が消化管に寄生するのが主体で、典型的な幼虫移行症は起こさない。●ヒトで幼虫移行症(組織移行)を起こす寄生虫=マンソン裂頭条虫(孤虫症)・イヌ/ネコ回虫(トキソカラ症)・有鉤条虫(有鉤嚢虫症)・アニサキス・顎口虫・旋毛虫。
●成虫が腸管に寄生する条虫=無鉤条虫(ウシ)・有鉤条虫(ブタ)・日本海裂頭条虫(サケ・マス)・小形条虫・広節裂頭条虫。
●感染経路の特徴=生食(淡水魚・獣肉)・経皮感染・中間宿主の摂取による。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:幼虫移行症を起こす主な寄生虫(内臓・皮膚)

分類代表的な寄生虫
内臓幼虫移行症イヌ回虫・ネコ回虫・アニサキス・広東住血線虫・包虫(エキノコックス)・イヌ糸状虫
皮膚幼虫移行症(皮膚爬行症)顎口虫・旋尾線虫・マンソン裂頭条虫(孤虫症)・イヌ鉤虫。有鉤条虫の皮下嚢虫症は結節を生じる病態で、皮膚爬行症とは区別する。
ヒトが終宿主でない寄生虫がヒトに感染すると幼虫のまま成虫になれず体内を移行する。

第68回 午前8(臨床検査総論)

マラリア患者の血液塗抹標本のGiemsa染色に適するバッファーのpHはどれか。

正答: ③7.4

ポイント
マラリア原虫を観察するGiemsa染色では、シュフナー斑点などの所見を明瞭に描出するためにpH7.2前後(おおむね7.0〜7.4)の緩衝液を用いる。pHが酸性に傾くと赤血球内顆粒が染まりにくく、アルカリ性に傾くと染色性が変化するため原虫の同定に支障をきたす。塗抹標本は厚層(原虫検出)と薄層(虫種同定)の両方を作製し、適切なpH管理のもとで観察するのが基本である。●Giemsa染色で観察する血液寄生原虫=マラリア原虫(熱帯熱・三日熱・四日熱・卵形)・バベシア・トリパノソーマ・リーシュマニア。
●マラリアの形態所見=シュフナー斑点(三日熱・卵形)・モーレル斑点(熱帯熱)・輪状体・分裂体・生殖母体。
●標本作製=厚層塗抹(原虫の検出・スクリーニング)と薄層塗抹(虫種の同定)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前9(臨床検査総論)

慢性骨髄性白血病で高頻度にみられる染色体の構造異常はどれか。

正答: ⑤転座

ポイント
慢性骨髄性白血病ではフィラデルフィア染色体が高頻度にみられ、これは9番と22番染色体間の相互転座t(9;22)(q34;q11)によって生じる構造異常である。この転座により融合遺伝子BCR-ABL1が形成され、恒常的に活性化したチロシンキナーゼが細胞増殖を促す。チロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブなど)がこの病態に対する治療の中心となる。●染色体の構造異常=転座(相互転座・Robertson転座)・欠失・逆位・重複・挿入・環状染色体。
●代表的な転座と疾患=t(9;22)(慢性骨髄性白血病・BCR-ABL1)・t(15;17)(急性前骨髄球性白血病・PML-RARA)・t(8;14)(Burkittリンパ腫・MYC)・t(8;21)(急性骨髄性白血病)。
●数的異常=トリソミー(21トリソミー等)・モノソミー・異数性。

選択肢ごとの解説

第68回 午前10(臨床検査総論)

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の原因遺伝子はどれか。

正答: ⑤BRCA1/2

ポイント
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)はBRCA1またはBRCA2遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とする常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である。これらの遺伝子はDNA二本鎖切断の相同組換え修復に関わる癌抑制遺伝子で、機能喪失により乳がん・卵巣がんの発症リスクが高まる。BRCA変異を持つ腫瘍はポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬への感受性が高いことが知られる。●遺伝性腫瘍症候群と原因遺伝子=遺伝性乳がん卵巣がん症候群(BRCA1/2)・家族性大腸腺腫症(APC)・リンチ症候群(MSH2・MLH1などミスマッチ修復遺伝子)・網膜芽細胞腫(RB1)・多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)・Li-Fraumeni症候群(TP53)。
●BRCA遺伝子の機能=相同組換えによるDNA二本鎖切断修復。
●関連治療=PARP阻害薬(合成致死を利用した分子標的治療)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前11(臨床検査医学総論)

一次救命措置において、胸骨圧迫前に行うべきこととして誤っているのはどれか。

正答: ⑤対光反射の確認

ポイント
一次救命処置(BLS)では、まず周囲の安全確認を行い、反応(意識)の確認、応援要請と119番通報・自動体外式除細動器(AED)の手配、呼吸の確認を経て、心停止と判断したら直ちに胸骨圧迫を開始する。対光反射の確認は瞳孔を用いた神経学的評価であってBLSの手順には含まれず、これに時間を費やすことは胸骨圧迫開始の遅れにつながる。●BLSの手順=安全確認→反応(意識)の確認→応援要請・119番通報・AED手配→呼吸と脈拍の確認→胸骨圧迫→人工呼吸→AEDによる除細動。
●質の高い胸骨圧迫=深さ約5cm・1分間に100〜120回・圧迫解除を十分に・中断を最小に。
●二次救命処置(ALS)=気道確保・薬剤投与・原因検索など医療従事者が行う高度な蘇生。

選択肢ごとの解説

第68回 午前12(臨床検査医学総論)

B型急性肝炎におけるHBs抗原、HBs抗体、HBe抗原、HBe抗体、HBc抗体の推移を別に示す。HBc抗体はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA012.dfaa0865cf.jpg
第68回 午前12 の図

正答: ③C

ポイント
B型急性肝炎では、最初にHBs抗原とHBe抗原が出現してウイルス増殖の指標となり、続いてHBc抗体(初期はIgM型)が早期から検出され、感染既往を反映して長く持続する。HBe抗原の消失とHBe抗体の出現(セロコンバージョン)、さらにHBs抗原の消失とHBs抗体の出現が治癒・免疫獲得を示す。図のCはHBs抗原・HBe抗原に続いて早期から出現し長期に持続する曲線で、HBc抗体に該当する。●ウイルス増殖・感染性の指標=HBs抗原・HBe抗原・HBV-DNA。
●感染既往・持続の指標=HBc抗体(IgM-HBc抗体は急性期、IgG-HBc抗体は持続)。
●治癒・免疫獲得の指標=HBe抗体(セロコンバージョン)・HBs抗体(ワクチン接種でも陽性)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前13(臨床検査医学総論)

腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか。

正答: ①敗血症

ポイント
急性腎不全(急性腎障害)は障害部位により腎前性・腎性・腎後性に分類される。腎前性は腎血流の低下が原因で、敗血症によるショックや出血・脱水・心不全などで腎灌流が減ると生じる。腎後性は尿路の閉塞(尿管結石・前立腺肥大)、腎性は糸球体や尿細管の障害(急速進行性糸球体腎炎・急性尿細管壊死・ループス腎炎など)が原因となる。腎前性は早期に循環を是正すれば可逆的である。●腎前性(腎血流低下)=敗血症性ショック・出血・脱水・心不全・大量輸液不足。
●腎性(腎実質障害)=急性尿細管壊死・急速進行性糸球体腎炎・ループス腎炎・薬剤性腎障害。
●腎後性(尿路閉塞)=尿管結石・前立腺肥大・尿路腫瘍・後腹膜線維症。

選択肢ごとの解説

第68回 午前14(臨床検査医学総論)

サルコイドーシスの診断に最も有用なのはどれか。

正答: ①アンギオテンシン変換酵素(ACE)

ポイント
サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患で、類上皮細胞肉芽腫(非乾酪性肉芽腫)を形成する。血清アンギオテンシン変換酵素(ACE)は肉芽腫の類上皮細胞から産生され、活動性の指標および診断の補助として有用である。CRPやインターロイキン6(IL-6)は非特異的炎症マーカー、KL-6やサーファクタントプロテインD(SP-D)は間質性肺炎のマーカーであり、いずれもサルコイドーシスに特異的ではない。●サルコイドーシス関連検査=血清アンギオテンシン変換酵素(ACE)・リゾチーム・可溶性IL-2受容体・血清/尿中カルシウム上昇・ツベルクリン反応陰性化。
●間質性肺炎のマーカー=KL-6・SP-D・SP-A。
●非特異的炎症マーカー=CRP・赤血球沈降速度・IL-6。

選択肢ごとの解説

第68回 午前15(臨床検査医学総論)

ビタミン欠乏症について正しいのはどれか。

正答: ②ビタミンB₁₂欠乏で巨赤芽球性貧血になる。

ポイント
ビタミンB₁₂(コバラミン)は葉酸とともにDNA合成に必要で、欠乏すると赤芽球のDNA合成障害により巨赤芽球性貧血を生じる。胃の壁細胞が分泌する内因子と結合して回腸末端で吸収されるため、悪性貧血(内因子の欠乏)や胃切除後・回腸切除後で欠乏しやすい。ビタミンA欠乏は夜盲症、ビタミンC欠乏は壊血病、ビタミンD欠乏はくる病・骨軟化症、ビタミンB₁欠乏はWernicke脳症・脚気の原因となる。●脂溶性ビタミンの欠乏症=ビタミンA(夜盲症)・ビタミンD(くる病・骨軟化症)・ビタミンE(溶血・神経障害)・ビタミンK(出血傾向)。
●水溶性ビタミンの欠乏症=ビタミンB₁(Wernicke脳症・脚気)・ビタミンB₁₂/葉酸(巨赤芽球性貧血)・ビタミンC(壊血病)・ナイアシン(ペラグラ)。
●ビタミンB₁₂の吸収=内因子と結合し回腸末端で吸収される。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症

ビタミン(主な化学名)主な欠乏症
ビタミンA(レチノール)夜盲症、結膜乾燥症
ビタミンD(カルシフェロール)くる病、骨軟化症、低カルシウム血症
ビタミンE(α-トコフェロール)新生児溶血性貧血
ビタミンK(メナキノン)新生児メレナ、血液凝固障害(第II・VII・IX・X因子とプロテインC・Sの低下)、PIVKA-IIの出現
ビタミンB1(チアミン)脚気、Wernicke脳症、高ピルビン酸血症
ビタミンB2(リボフラビン)口内炎、舌炎、皮膚炎
ナイアシン(ビタミンB3)ペラグラ(日光過敏症を伴う)。Hartnup病(遺伝性の中性アミノ酸輸送障害)ではトリプトファン吸収障害から二次的にナイアシン不足を生じ、ペラグラ様症状を呈する
パントテン酸(ビタミンB5)皮膚炎
ビタミンB6(ピリドキシン)皮膚炎、日光過敏症
ビオチン(ビタミンB7)脱毛、若白髪、湿疹
ビタミンB12(コバラミン)巨赤芽球性貧血、メチルマロン酸血症、高ホモシステイン血症
葉酸(ビタミンBc)巨赤芽球性貧血。妊娠前後の不足は胎児の神経管閉鎖障害リスクを高める
ビタミンC(アスコルビン酸)壊血病
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。

第68回 午前16(臨床生理学)

心電図を別に示す。正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA016.9b56f4f8ae.jpg
第68回 午前16 の図

正答: ①下壁梗塞

ポイント
下壁梗塞は主に右冠動脈の閉塞で生じ、下壁を反映するII・III・aVF誘導にST上昇や異常Q波、陰性T波などの梗塞所見が現れる。前壁中隔梗塞は左前下行枝の閉塞でV1〜V4、側壁梗塞はI・aVL・V5〜V6に変化が出る。誘導の組合せから責任血管と障害部位を推定するのが心電図読影の基本である。図ではII・III・aVF誘導に梗塞所見がみられ、下壁梗塞と判断される。●梗塞部位と誘導・責任血管=下壁(II・III・aVF/右冠動脈)・前壁中隔(V1〜V4/左前下行枝)・側壁(I・aVL・V5〜V6/左回旋枝)・広範前壁(V1〜V6・I・aVL)。
●心筋梗塞の心電図経時変化=T波増高→ST上昇→異常Q波→冠性T波(陰性T波)。
●鑑別を要する所見=Brugada症候群(V1〜V3のcoved型ST上昇)・電極付け間違いによる極性異常。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見

疾患心電図所見
心筋梗塞(陳旧性)異常Q波(心筋壊死を反映)
第1度房室ブロックPQ〈PR〉時間の延長(0.21秒以上)、QRS波の脱落なし
完全右脚ブロックQRS幅延長、V1・V2でrsR'型、V5・V6で深いS波
WPW症候群PQ〈PR〉時間の短縮、デルタ波、QRS幅延長
心房細動RR間隔不整(絶対性不整脈)

第68回 午前17(臨床生理学)

肺活量 2.00 L、1回換気量0.50 L、予備呼気量0.80 L、最大吸気量1.20 L、機能的残気量 1.90 Lであった。残気量[L]はどれか。

正答: ②1.10

ポイント
残気量は最大呼出後に肺内に残る空気量で、機能的残気量から予備呼気量を引いて求める。設問では機能的残気量1.90 Lから予備呼気量0.80 Lを引き、残気量は1.10 Lとなる。残気量はスパイロメトリーでは直接測定できず、ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路法・窒素洗い出し法)や体プレチスモグラフで求める。肺活量と残気量の和が全肺気量である。●肺気量分画=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・残気量(直接測定不能)。
●合成された容量=機能的残気量(予備呼気量+残気量)・最大吸気量(1回換気量+予備吸気量)・肺活量・全肺気量(肺活量+残気量)。
●残気量・機能的残気量の測定法=ヘリウム希釈法・窒素洗い出し法・体プレチスモグラフ。

選択肢ごとの解説

第68回 午前18(臨床生理学)

クロージングボリューム測定における単一窒素呼出曲線を別に示す。クロージングボリュームはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA018.6385744f88.jpg
第68回 午前18 の図

正答: ③

ポイント
クロージングボリューム(CV)は末梢気道(下肺領域)が閉塞し始めてから最大呼出までに呼出される肺気量で、単一窒素呼出曲線では第Ⅲ相から第Ⅳ相への変曲点以降の容量で示される。第Ⅳ相は重力依存性の下肺領域の気道閉塞により高濃度の窒素が出て濃度が急上昇する区間で、加齢や末梢気道病変で増大する。図の③がこの変曲点(第Ⅳ相の立ち上がり)以降の区間を示す。●単一窒素呼出曲線の相=第Ⅰ相(死腔のガス・窒素ほぼ0)・第Ⅱ相(死腔と肺胞気の移行)・第Ⅲ相(肺胞プラトー)・第Ⅳ相(下肺領域の閉塞で窒素急上昇)。
●関連指標=クロージングボリューム(第Ⅳ相分)・クロージングキャパシティ(CV+残気量)。
●増大する病態・要因=加齢・喫煙・末梢気道病変(早期の閉塞性変化を反映)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前19(臨床生理学)

1回呼吸法による肺拡散能力測定で濃度を測定するのはどれか。2つ選べ。

正答: ①CO・③He

ポイント
1回呼吸法による肺拡散能力(DLCO)測定では、肺胞気から血中へ拡散する指標ガスとして一酸化炭素(CO)を、肺胞容量(拡散が起こる肺気量)を求めるための非拡散性指標ガスとしてヘリウム(He)などの不活性ガスを用いる。吸入混合ガス中のCOとHeの希釈・吸収を呼出ガスで測定することで拡散能を算出する。酸素や二酸化炭素はこの希釈・吸収量の測定には用いない。●DLCO測定で測定するガス=一酸化炭素(CO、拡散性の指標)・ヘリウム(He、肺胞容量算出の非拡散性指標)。
●測定法=1回呼吸法(シングルブレス法)が標準。
●DLCO低下をきたす病態=肺気腫・間質性肺炎・肺血管疾患・貧血(補正が必要)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前20(臨床生理学)

自律神経の線維はどれか。2つ選べ。

正答: ④B線維・⑤C線維

ポイント
末梢神経線維はErlanger-Gasserの分類により太い順にA・B・Cに分けられる。B線維は自律神経の節前線維(細い有髄線維)、C線維は自律神経の節後線維や痛覚・温度覚を伝える無髄線維で、ともに自律神経に関与する。A線維は体性の運動・感覚を担い、Aα(運動・固有感覚)、Aβ(触圧覚)、Aγ(筋紡錘)、Aδ(痛覚・温度覚)に細分される。●A線維(有髄・速い)=Aα(運動・固有感覚)・Aβ(触圧覚)・Aγ(筋紡錘支配)・Aδ(鋭い痛み・温度覚)。
●B線維=自律神経の節前線維(細い有髄)。
●C線維(無髄・遅い)=自律神経の節後線維・鈍い痛み・温度覚。

選択肢ごとの解説

第68回 午前21(臨床生理学)

体性感覚の伝導路を含むのはどれか。

正答: ⑤視床

ポイント
体性感覚(触覚・深部感覚・痛覚・温度覚など)の伝導路は脊髄から上行し、視床の腹側後核で第三次ニューロンに中継されて大脳皮質の体性感覚野へ至る。したがって視床は体性感覚伝導路を含む。外側毛帯は聴覚、外側膝状体は視覚の伝導路に属し、錐体路は随意運動の下行路、前根は運動神経線維の出力路である。●体性感覚の上行路=後索-内側毛帯路(識別性触覚・深部感覚)・脊髄視床路(痛覚・温度覚)→いずれも視床で中継。
●視覚・聴覚の中継=外側膝状体(視覚)・内側膝状体/外側毛帯(聴覚)。
●運動の下行路=錐体路(皮質脊髄路)・前根(運動神経の脊髄からの出力)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前22(臨床生理学)

正中神経における運動神経伝導検査の模式的な記録波形を別に示す。軸索変性のパターンはどれか。なお、図中の破線は正常波形を示す。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA022.36c8cc7515.jpg
第68回 午前22 の図

正答: ②

ポイント
運動神経伝導検査では、軸索変性(軸索障害)では機能する軸索数の減少を反映して複合筋活動電位(CMAP)の振幅が低下するが、伝導速度や潜時は比較的保たれる。これに対し脱髄では伝導速度の低下、潜時の延長、伝導ブロックや時間的分散が主体で、振幅は比較的保たれやすい。図中、破線の正常波形に比べて振幅が低下し潜時・波形幅が大きく変わらないパターンが軸索変性に該当し、②が示す。●軸索変性のパターン=CMAP振幅低下・伝導速度ほぼ保持・潜時ほぼ保持。
●脱髄のパターン=伝導速度低下・遠位潜時延長・伝導ブロック・時間的分散(振幅は比較的保持)。
●検査指標=複合筋活動電位(CMAP)・運動神経伝導速度・遠位潜時・F波。

選択肢ごとの解説

第68回 午前23(臨床生理学)

64歳の男性。家族に「最近ぼーっとしていることが多い」と指摘され受診した。脳波を別に示す。所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA023.47eefd21ab.jpg
第68回 午前23 の図

正答: ①棘波

ポイント
棘波は持続が短く(おおむね20〜70ミリ秒)尖った突発波で、てんかん性異常として出現する。問題の64歳男性は意識の途切れ(ぼーっとする)を示唆する症状があり、脳波で棘波がみられればてんかん性放電を示す。三相波は肝性脳症など代謝性脳症、周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病などでみられ、14Hz陽性棘波は健常者の睡眠でもみられる良性所見である。●てんかん性突発波=棘波(20〜70ミリ秒)・鋭波(70〜200ミリ秒)・棘徐波複合・多棘徐波複合。
●代謝性・特定疾患の所見=三相波(肝性脳症など)・周期性同期性放電(Creutzfeldt-Jakob病)・PLEDs(急性脳病変)。
●良性・非てんかん性所見=14&6Hz陽性棘波・小鋭棘波・睡眠時の頭蓋頂鋭波。

選択肢ごとの解説

第68回 午前24(臨床生理学)

睡眠ステージ1から睡眠ステージ2に移行したと判断できる脳波の波形はどれか。

正答: ②紡錘波

ポイント
睡眠ステージ2への移行は、睡眠紡錘波(11〜16Hzの紡錘状群発)やK複合波の出現で判定される。ステージ1は低振幅で混合周波数の脳波と頭頂部鋭波(瘤波)の出現が特徴で、覚醒・閉眼安静ではα波が優位である。徐波(δ波)が一定割合を超えるとステージ3以降の深睡眠(徐波睡眠)となる。●睡眠段階と脳波所見=覚醒(α波)・ステージN1(低振幅混合周波数・頭頂部鋭波)・ステージN2(睡眠紡錘波・K複合波)・ステージN3(高振幅徐波=δ波の徐波睡眠)。
●REM睡眠=低振幅速波・急速眼球運動・筋緊張低下。
●判定に用いる検査=終夜睡眠ポリグラフ検査(脳波・眼電図・筋電図を同時記録)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:睡眠段階(AASM分類)と脳波所見

睡眠段階脳波の主な所見区分
Stage W(覚醒)後頭部優位のα波。閉眼安静時に出現覚醒
Stage N1α波が減少し振幅低下、低振幅4〜7Hzのθ波混在。後半に瘤波〈頭頂鋭波〉が出現Non-REM睡眠
Stage N2紡錘波(12〜14Hz)が出現。明瞭な陰性鋭波に続いて陽性成分が現れるK複合(持続0.5秒以上)も出現Non-REM睡眠
Stage N3高振幅δ波(2Hz以下・75μV以上)が1エポックの20%以上を占めるNon-REM睡眠(徐波睡眠)
Stage R(REM)N1に似た低振幅波形だが瘤波は出現しない。急速眼球運動を伴うREM睡眠
睡眠ステージ1(N1)からステージ2(N2)への移行は、紡錘波の出現で判断する。旧Rechtschaffen & Kales分類のStage3・4はAASM分類でStage N3に統一された。

第68回 午前25(臨床生理学)

心臓超音波像を別に示す。矢印で示すアーチファクトの原因はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA025.e444eaa9de.jpg
第68回 午前25 の図

正答: ⑤サイドローブ

ポイント
サイドローブは超音波探触子の主ビーム以外の方向に放射される副次的なビームで、本来の方向外にある強反射体を主ビーム上にあるかのように虚像として描出するアーチファクトを生じる。心臓超音波では弧状の偽像として現れることがある。多重反射は平行な反射面間の往復、鏡面現象は強反射面を鏡として生じる虚像、音響陰影は強反射・減衰体後方の信号欠損、レンズ効果(屈折)は組織による屈折で実像がずれる現象である。●ビームに起因するアーチファクト=サイドローブ・グレーティングローブ・ビーム幅による偽像。
●反射・伝搬に起因するアーチファクト=多重反射(コメットサイン含む)・鏡面現象・音響陰影・後方エコー増強・レンズ効果(屈折)。
●減衰・速度に起因するアーチファクト=音響陰影・後方エコー増強・音速の違いによる位置ずれ。

選択肢ごとの解説

第68回 午前26(臨床生理学)

心臓超音波像を別に示す。この像を描出する際の探触子の位置はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA026.dabbd6da81.jpg
第68回 午前26 の図

正答: ③傍胸骨

ポイント
心臓超音波検査の標準的アプローチは、傍胸骨左縁・心尖部・心窩部(肋骨弓下)・胸骨上窩の4つに大別される。傍胸骨アプローチは胸骨左縁第3〜4肋間に探触子を置き、左室流出路・大動脈弁・僧帽弁・左室・左房を描出する長軸像と、大動脈弁レベルから心尖部に至る短軸像が得られる代表的な走査窓である。描出された断面の構造物の配置から、どのアプローチで得られた像かを判断する。
●傍胸骨=長軸像(左室流出路・大動脈弁・僧帽弁)・短軸像(大動脈弁レベル/僧帽弁レベル/乳頭筋レベル/心尖部レベル)。
●心尖部=四腔像・二腔像・長軸像・五腔像。
●心窩部(肋骨弓下)=四腔像・下大静脈長軸像。
●胸骨上窩=大動脈弓の評価。

選択肢ごとの解説

第68回 午前27(臨床生理学)

深部静脈血栓症に対する下肢静脈超音波検査で実施しないのはどれか。

正答: ③寒冷負荷

ポイント
下肢静脈超音波による深部静脈血栓症の検査では、静脈を充満させて評価しやすくするために座位や立位とし、探触子で静脈を押す圧迫法で虚脱の有無(血栓があると虚脱しない)を確認する。さらに下腿を握って血流を増やすミルキング法や、Valsalva法(息こらえ)による血流変化・逆流の評価を組み合わせる。寒冷負荷は手指などを冷水に浸してレイノー現象や末梢循環障害を誘発・評価する手法であり、深部静脈血栓症の検査では実施しない。
●深部静脈血栓症の評価手技=圧迫法・ミルキング法(増強法)・Valsalva法・カラードプラ。
●体位の工夫=座位・立位・逆Trendelenburg位(静脈を充満させる)。
●寒冷負荷の用途=レイノー現象・末梢動脈循環障害の評価。

選択肢ごとの解説

第68回 午前28(臨床生理学)

サーモグラフィ検査の注意点について誤っているのはどれか。

正答: ④検査室の温度は20 ℃程度に保つ。

ポイント
サーモグラフィは体表から放射される赤外線を検出して皮膚温の分布を画像化する検査で、外部環境による皮膚温変動を排除するための環境管理が重要である。検査室は温度23℃前後・湿度50%程度の一定環境に保ち、被検者は化粧やクリームを落とし、検査前の飲食・喫煙・運動を制限したうえで15〜30分間の馴化を行う。検査室温度を20℃程度の低温に保つと体表温が下がって血管反応や分布評価に影響するため、設定として適切でない。
●皮膚温に影響する除外因子=飲食・喫煙・運動・入浴・化粧やクリーム。
●環境条件=室温23℃前後・湿度50%前後・無風・15〜30分の馴化。
●サーモグラフィの適応=レイノー現象・閉塞性動脈疾患・複合性局所疼痛症候群・乳腺評価など。

選択肢ごとの解説

第68回 午前29(臨床化学)

糖新生を行う臓器はどれか。2つ選べ。

正答: ②肝臓・④腎臓

ポイント
糖新生は乳酸・糖原性アミノ酸・グリセロールなどの非糖質からグルコースを合成する経路で、絶食時や飢餓時の血糖維持を担う。最終段階のグルコース-6-ホスファターゼを発現する臓器のみが生成したグルコースを血中へ放出でき、これは肝臓と腎臓(腎皮質)に限られる。脳・心臓・骨格筋・脾臓はこの酵素を欠くため、血糖維持に寄与する糖新生は行わない。
●糖新生を行う臓器=肝臓(主座)・腎臓(腎皮質、飢餓時に寄与)。
●糖新生の主基質=乳酸(コリ回路)・アラニン(グルコース–アラニン回路)・グリセロール・糖原性アミノ酸。
●糖新生を行わない=脳・心臓・骨格筋・赤血球(グルコース-6-ホスファターゼを欠く)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前30(臨床化学)

糖尿病の診断で糖尿病型の判定に用いられないのはどれか。

正答: ④グリコアルブミン

ポイント
糖尿病の診断における糖尿病型の判定には、空腹時血糖値126mg/dL以上、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上の血糖基準と、HbA1c(ヘモグロビンA1c)6.5%以上が用いられる。グリコアルブミンは過去約2週間の平均血糖を反映し血糖コントロールの指標となるが、糖尿病型の判定基準には含まれていない。糖尿病型の血糖値とHbA1cがともに確認されれば1回で糖尿病と診断できる。
●糖尿病型の判定指標=空腹時血糖126以上・随時血糖200以上・OGTT2時間値200以上・HbA1c 6.5%以上。
●血糖コントロール指標(診断基準外)=グリコアルブミン(約2週間)・1,5-アンヒドログルシトール。
●HbA1cの注意=異常ヘモグロビン症・溶血・出血・鉄欠乏で乖離する。

選択肢ごとの解説

第68回 午前31(臨床化学)

ケトン体はどれか。2つ選べ。

正答: ②アセトン・⑤3-ヒドロキシ酪酸

ポイント
ケトン体はアセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)・アセトンの3種を指し、肝臓で脂肪酸のβ酸化により生じたアセチルCoAから合成される。飢餓や糖尿病性ケトアシドーシスで増加し、肝外組織(脳・心筋・骨格筋)のエネルギー源として利用される。胆汁酸はコレステロール由来、アラキドン酸は多価不飽和脂肪酸、トロンボキサンはアラキドン酸代謝産物(エイコサノイド)であり、いずれもケトン体ではない。
●ケトン体=アセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸・アセトン。
●ケトン体が増える病態=飢餓・絶食・糖尿病性ケトアシドーシス・高脂肪低糖質食。
●アラキドン酸代謝産物(エイコサノイド)=プロスタグランジン・トロンボキサン・ロイコトリエン。

選択肢ごとの解説

第68回 午前32(臨床化学)

代謝系と調節酵素の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤コレステロール合成 — 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル(HMG)CoA還元酵素

ポイント
各代謝系には反応全体の速度を決める調節酵素(律速酵素)があり、その組合せの正誤を判断する。コレステロール合成の律速酵素は3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル(HMG)CoA還元酵素で、スタチン系薬の標的でもある。解糖系はホスホフルクトキナーゼ-1、糖新生はピルビン酸カルボキシラーゼやホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、脂肪酸合成はアセチルCoAカルボキシラーゼ、クエン酸回路はクエン酸シンターゼやイソクエン酸デヒドロゲナーゼが調節を担う。
●律速酵素=解糖系:ホスホフルクトキナーゼ-1。
●糖新生:ピルビン酸カルボキシラーゼ・ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ・フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ。
●脂肪酸合成:アセチルCoAカルボキシラーゼ/コレステロール合成:HMG-CoA還元酵素/クエン酸回路:クエン酸シンターゼ。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な代謝系の調節(律速)酵素

代謝系調節(律速)酵素
解糖系ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ
糖新生ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ、グルコース-6-ホスファターゼ
グリコーゲン合成グリコーゲン合成酵素
グリコーゲン分解グリコーゲンホスホリラーゼ
TCA回路(クエン酸回路)ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体、イソクエン酸脱水素酵素、クエン酸シンターゼ
脂肪酸生合成アセチルCoAカルボキシラーゼ
脂肪酸β酸化カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1〈CPT-1〉
コレステロール合成3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル〈HMG〉CoA還元酵素
尿素回路カルバモイルリン酸合成酵素
律速酵素は複数該当する場合もある。ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体はTCA回路(アセチルCoA生成段階)の調節酵素であり、脂肪酸合成の調節酵素ではない。

第68回 午前33(臨床化学)

ビリルビン代謝について正しいのはどれか。

正答: ⑤ヘムのポルフィリン環はヘムオキシゲナーゼによって開環される。

ポイント
ヘムの分解はヘムオキシゲナーゼによるポルフィリン環の開環から始まり、ビリベルジンを経て間接(非抱合型)ビリルビンとなる。間接ビリルビンはアルブミンと結合して肝へ運ばれ、グルクロン酸抱合を受けて直接(抱合型)ビリルビンとなり胆汁中へ排泄される。腸内では抱合型ビリルビンが腸内細菌の作用で脱抱合され、非抱合型ビリルビンを経てウロビリノゲンに還元される。ウロビリノゲンの一部は腸肝循環し、酸化されたウロビリンは終末産物として排泄される。δビリルビンは直接ビリルビンがアルブミンに共有結合したものである。
●ヘム代謝の流れ=ヘム→(ヘムオキシゲナーゼ)ビリベルジン→間接ビリルビン→(グルクロン酸抱合)直接ビリルビン→(腸内で脱抱合)間接ビリルビン→(還元)ウロビリノゲン→ウロビリン/ステルコビリン。
●間接ビリルビン上昇=溶血・新生児黄疸・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群。
●直接ビリルビン上昇=閉塞性黄疸・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群。

選択肢ごとの解説

第68回 午前34(臨床化学)

酵素法によるカルシウム測定に用いられるのはどれか。2つ選べ。

正答: ①α-アミラーゼ・④ホスホリパーゼD

ポイント
酵素法によるカルシウム測定は、カルシウムイオンを補因子(活性化因子)として要求する酵素の活性変化を利用する方法である。α-アミラーゼはカルシウム依存性酵素で、検体中のカルシウム量に応じた活性を指標にできる。ホスホリパーゼDもカルシウムを必要とする酵素で、共役反応により測定に用いられる。ヘキソキナーゼ・ピルビン酸キナーゼ・ガラクトシダーゼはカルシウム測定には用いない。
●カルシウムの測定法=酵素法(α-アミラーゼ法・ホスホリパーゼD法)・キレート比色法(OCPC法・アルセナゾⅢ法)・原子吸光法・イオン選択電極法。
●カルシウム依存性酵素の例=α-アミラーゼ・ホスホリパーゼ。
●補因子別の酵素=マグネシウム要求性(多くのキナーゼ)・亜鉛要求性(アルカリホスファターゼ・炭酸脱水酵素)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前35(臨床化学)

体内の鉄代謝について正しいのはどれか。

正答: ③鉄はフェリチンと結合し貯蔵される。

ポイント
体内総鉄量は健常成人で約3〜4gで、その約2/3はヘモグロビンに含まれる機能鉄である。貯蔵鉄はフェリチンやヘモジデリンとして肝・脾・骨髄に蓄えられ、血中ではトランスフェリンと結合して運搬される。ミオグロビンは1分子あたり1個のヘム(鉄1原子)を含む。各記述の数値・分布を比較して正誤を判断する。
●鉄の分布=機能鉄(ヘモグロビン約2/3・ミオグロビン・酵素鉄)・貯蔵鉄(フェリチン・ヘモジデリン)・運搬鉄(トランスフェリン)。
●鉄欠乏で低下=血清鉄・フェリチン・トランスフェリン飽和度(上昇=総鉄結合能)。
●鉄過剰=フェリチン上昇(ヘモクロマトーシス・輸血後鉄過剰)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:体内鉄の分布・存在形態(機能鉄・貯蔵鉄・運搬鉄)

分類主なもの特徴
機能鉄ヘモグロビン(総鉄量の約2/3)・ミオグロビン・各種酵素鉄ミオグロビンは1分子あたり1個の鉄(ヘム)を含む
貯蔵鉄フェリチン・ヘモジデリン肝・脾・骨髄などに蓄えられる
運搬鉄トランスフェリン血中で鉄を輸送。健常者では約1/3が鉄と結合している
健常成人の体内総鉄量は約3〜4g。

第68回 午前36(臨床化学)

芳香族アミノ酸はどれか。

正答: ③チロシン

ポイント
芳香族アミノ酸はベンゼン環など芳香環を側鎖に持つアミノ酸で、フェニルアラニン・チロシン・トリプトファンが該当する。チロシンはフェニルアラニンの水酸化により生成し、カテコールアミン・甲状腺ホルモン・メラニンの前駆体となる。リジンは塩基性、アラニンとイソロイシンは脂肪族(イソロイシンは分枝鎖)、システインは含硫アミノ酸である。
●芳香族アミノ酸=フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン。
●分枝鎖アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン。
●含硫アミノ酸=メチオニン・システイン/塩基性アミノ酸=リジン・アルギニン・ヒスチジン。

選択肢ごとの解説

第68回 午前37(臨床化学)

尿素回路について正しいのはどれか。

正答: ③アンモニアを無毒化する。

ポイント
尿素回路(オルニチン回路)は主に肝臓で営まれ、有毒なアンモニアを無毒な尿素に変換して尿中へ排泄する経路である。1分子の尿素合成にATPを消費し、産生はしない。律速酵素はカルバモイルリン酸合成酵素Iで、最終段階のアルギナーゼはアルギニンから尿素とオルニチンを生じる。回路の障害は高アンモニア血症を引き起こす。
●尿素回路の酵素=カルバモイルリン酸合成酵素I(律速)・オルニチントランスカルバモイラーゼ・アルギニノコハク酸合成酵素・アルギニノコハク酸リアーゼ・アルギナーゼ。
●局在=肝臓(一部はミトコンドリアと細胞質)。
●高アンモニア血症の原因=尿素回路酵素欠損症・肝不全・門脈大循環シャント。

選択肢ごとの解説

第68回 午前38(臨床化学)

生化学自動分析装置の検出部に後分光方式を用いることで可能となるのはどれか。

正答: ①二波長法での測定

ポイント
後分光方式は光源からの白色光をまず試料に通し、その後で回折格子により分光して複数の波長を同時に検出する方式である。これにより主波長と副波長を同時に測定する二波長法が可能となり、検体の濁りや干渉物質による吸光度の影響を補正できる。前分光方式では特定波長の光をあらかじめ取り出して試料に当てるため、同時多波長測定には向かない。
●分光方式=前分光(試料前で分光)・後分光(試料後で分光、多波長同時検出が可能)。
●二波長法の利点=濁度・干渉物質・気泡の影響補正。
●反応測定法=終点分析法(エンドポイント)・速度分析法(レート)・2ポイント法。

選択肢ごとの解説

第68回 午前39(臨床化学)

血清ナトリウムイオンの測定に使用される電極はどれか。2つ選べ。

正答: ②ガラス電極・④クラウンエーテル電極

ポイント
血清ナトリウムイオンのイオン選択電極法では、ナトリウムに選択的な感応膜を用いる。ナトリウム感応性ガラス電極(ナトリウムガラス膜)と、クラウンエーテルを中性キャリアとする液膜電極がナトリウムを選択的に検出する。バリノマイシンはカリウム選択電極、第4級アンモニウム塩は塩化物イオンなど陰イオン選択電極に用いられ、ナトリウム測定には適さない。
●ナトリウム電極=ガラス電極・クラウンエーテル電極。
●カリウム電極=バリノマイシン電極。
●塩化物イオン電極=第4級アンモニウム塩電極・ハロゲン化銀膜電極/酵素電極=グルコース・尿素などの基質測定。

選択肢ごとの解説

第68回 午前40(臨床化学)

血清中の総コレステロール値が225 mg/dL、HDL-コレステロール値が45 mg/dL、トリグリセライド値が250 mg/dLであった。Friedewald式によるLDL-コレステロール値はどれか。

正答: ③130 mg/dL

ポイント
Friedewald式はLDL-コレステロール=総コレステロール−HDL-コレステロール−トリグリセライド/5で算出され、トリグリセライド/5はVLDL-コレステロールの推定値に相当する。本例では225−45−250/5=225−45−50=130mg/dLとなる。この式はトリグリセライドが400mg/dL以上では誤差が大きくなり適用できない。
●Friedewald式=LDL-C=TC−HDL-C−TG/5(mg/dL単位)。
●適用外=TG 400mg/dL以上・カイロミクロン血症・Ⅲ型高脂血症。
●代替=直接法(直接測定LDL-C)・non-HDLコレステロール(TC−HDL-C)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前41(臨床化学)

DNAを含む細胞内小器官はどれか。

正答: ④ミトコンドリア

ポイント
ミトコンドリアは核とは別に独自の環状DNA(ミトコンドリアDNA)を持つ細胞内小器官で、母系遺伝する。内膜の電子伝達系による酸化的リン酸化でATPを産生する。小胞体・ゴルジ体・リボソーム・ペルオキシソームはDNAを含まない。ミトコンドリアDNAの変異はミトコンドリア病(MELAS・MERRFなど)の原因となる。
●DNAを含む構造=核・ミトコンドリア(細胞では)/植物では葉緑体も。
●ミトコンドリアの機能=酸化的リン酸化・クエン酸回路・β酸化・アポトーシス制御。
●DNAを含まない小器官=小胞体・ゴルジ体・リボソーム・ペルオキシソーム・リソソーム。

選択肢ごとの解説

第68回 午前42(臨床化学)

肝合成能の評価に用いられるのはどれか。

正答: ⑤プロトロンビン時間

ポイント
凝固因子の多く(フィブリノゲン、プロトロンビン、第Ⅴ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子など)は肝臓で合成されるため、プロトロンビン時間は肝の蛋白合成能を鋭敏に反映する。とくに半減期の短い第Ⅶ因子の低下を早期に捉えられ、劇症肝炎や肝不全の重症度評価に用いられる。ICG試験は色素排泄能・肝血流、ALTは肝細胞障害、ビリルビンは排泄能、アンモニアは解毒能を反映するもので、合成能の直接指標ではない。
●肝合成能の指標=プロトロンビン時間・アルブミン・コリンエステラーゼ・総コレステロール。
●肝細胞障害の指標=AST・ALT・LD。
●胆道系・排泄能=ALP・γ-GT・ビリルビン・ICG試験/解毒能=血中アンモニア。

選択肢ごとの解説

第68回 午前43(臨床化学)

消化管から分泌されないのはどれか。

正答: ④カルシトニン

ポイント
カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)から分泌されるホルモンで、破骨細胞を抑制して血中カルシウムを低下させる。消化管からは分泌されない。ガストリンは胃のG細胞、セクレチンとコレシストキニンは十二指腸、インクレチン(GIP・GLP-1)も消化管から分泌される消化管ホルモンである。各ホルモンの分泌部位を区別して判断する。
●消化管ホルモン=ガストリン(胃G細胞)・セクレチン・コレシストキニン・GIP・GLP-1(インクレチン)・モチリン・ソマトスタチン。
●カルシウム調節ホルモン=副甲状腺ホルモン(上昇)・カルシトニン(C細胞、低下)・活性型ビタミンD。
●インクレチンの作用=食後のインスリン分泌促進・グルカゴン抑制。

選択肢ごとの解説

第68回 午前44(臨床化学)

Michaelis定数(Km)について正しいのはどれか。

正答: ④競合阻害物質の存在下では大きくなる。

ポイント
Michaelis定数Kmは反応速度が最大反応速度Vmaxの半分となるときの基質濃度で、酵素と基質の親和性を反映し、Kmが小さいほど親和性が高い。競合阻害では阻害物質が基質と活性部位を奪い合うため、見かけのKmが大きくなる一方Vmaxは変化しない。KmはpH・温度・アイソザイムの種類によって変わる酵素固有の値である。
●酵素阻害の様式=競合阻害(見かけKm増加・Vmax不変)・非競合阻害(Km不変・Vmax低下)・不競合阻害(Km・Vmaxともに低下)。
●Lineweaver-Burkプロット=1/v対1/[S]の直線、x切片=−1/Km、y切片=1/Vmax。
●Kmに影響する因子=pH・温度・アイソザイム。

選択肢ごとの解説

第68回 午前45(病理組織細胞学)

褐色萎縮で沈着するのはどれか。

正答: ⑤リポフスチン

ポイント
褐色萎縮は心臓や肝臓などで加齢や消耗に伴いリポフスチン(消耗色素)が細胞質に沈着し、臓器が褐色を帯びて萎縮する現象である。リポフスチンは脂質の過酸化により生じる残渣で、長寿命の心筋細胞や肝細胞、神経細胞に蓄積する。メラニンは色素細胞由来、アミロイドは異常蛋白の沈着、グリコーゲンは糖原で、いずれも褐色萎縮の本態ではない。
●褐色萎縮の沈着物=リポフスチン(消耗色素・脂褐素)。
●内因性色素=メラニン・ヘモジデリン・ビリルビン・リポフスチン。
●萎縮の種類=生理的萎縮・廃用萎縮・圧迫萎縮・神経性萎縮・内分泌性萎縮。

選択肢ごとの解説

第68回 午前46(病理組織細胞学)

術中迅速診断における標本作製で使用するのはどれか。

正答: ①固定液

ポイント
術中迅速診断では凍結切片を用い、検体を凍結包埋剤に包んでクリオスタットで薄切し、固定・染色して短時間で診断する。短時間処理であっても標本作製には固定液による迅速固定が用いられる。パラフィン包埋やユング型ミクロトームによる薄切、水溶性封入剤は通常の永久標本作製で用いる工程であり、凍結切片には該当しない。
●凍結切片の工程=凍結包埋剤による包埋・クリオスタット薄切・固定液による固定・迅速染色(ヘマトキシリン・エオジンなど)。
●永久標本の工程=ホルマリン固定・脱水・パラフィン包埋・ミクロトーム薄切・染色・封入。
●術中迅速診断の目的=病変の良悪性判定・断端評価・転移の有無の確認。

選択肢ごとの解説

第68回 午前47(病理組織細胞学)

腎組織の未固定凍結切片を用いた免疫組織化学染色を別に示す。この染色法について正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA047.df67eb8490.jpg
第68回 午前47 の図

正答: ⑤フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗体を使用する。

ポイント
腎組織の未固定凍結切片を用いる免疫染色は蛍光抗体直接法(直接蛍光抗体法)で、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)などの蛍光色素で標識した抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で観察する。糸球体へのIgG・IgA・補体(C3など)の沈着パターンの評価に用いられる。加熱処理(抗原賦活)・発色反応・内因性ペルオキシダーゼのブロックは酵素抗体法で行う操作であり、蛍光抗体法では行わない。
●蛍光抗体法の標識=FITC・ローダミン(観察は蛍光顕微鏡)。
●酵素抗体法の操作=抗原賦活(加熱)・内因性ペルオキシダーゼブロック・発色反応(DABなど)。
●腎生検の蛍光抗体法所見=IgA腎症(メサンギウムIgA)・膜性腎症(顆粒状IgG)・抗糸球体基底膜抗体病(線状IgG)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前48(病理組織細胞学)

電子顕微鏡標本作製で透過型と走査型に共通するのはどれか。

正答: ①二重固定

ポイント
電子顕微鏡標本作製では、グルタルアルデヒドによる前固定とオスミウム酸による後固定の二重固定が、透過型・走査型に共通する基本操作である。超薄切・樹脂包埋・酢酸ウラン染色は透過型に特有、金属イオン蒸着(金などのスパッタコーティング)は走査型に特有の処理である。共通工程と各型固有の工程を区別して判断する。
●共通工程=二重固定(グルタルアルデヒド前固定+オスミウム酸後固定)・脱水。
●透過型に特有=樹脂包埋・超薄切(ウルトラミクロトーム)・電子染色(酢酸ウラン・クエン酸鉛)。
●走査型に特有=臨界点乾燥・金属蒸着(スパッタコーティング)。

選択肢ごとの解説

第68回 午前49(病理組織細胞学)

後腹膜臓器はどれか。2つ選べ。

正答: ③膵臓・④腎臓

ポイント
後腹膜臓器は腹膜の後方に位置し前面のみが腹膜に覆われる臓器で、膵臓(尾部を除く大部分)、腎臓、副腎、尿管、十二指腸の大部分、腹部大動脈・下大静脈などが該当する。胃・肝臓・子宮体部は腹膜に広く覆われた腹腔内臓器である。臓器の位置関係は手術や画像診断の理解に重要である。
●後腹膜臓器=腎臓・副腎・尿管・膵臓(大部分)・十二指腸(大部分)・腹部大動脈・下大静脈。
●腹腔内臓器(腹膜内)=胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・肝臓・脾臓・子宮。
●腹膜の構造=壁側腹膜・臓側腹膜・腸間膜・大網。

選択肢ごとの解説

第68回 午前50(病理組織細胞学)

ヒトの生殖細胞の分裂について誤っているのはどれか。

正答: ②第一分裂の開始時にDNAを複製する。・④1個の卵母細胞から4個の卵子が生じる。

ポイント
減数分裂では分裂開始前の間期(第一分裂前期に先立つS期)に一度だけDNAが複製され、その後2回の連続した分裂(第一・第二減数分裂)を経て染色体数が半減した配偶子が作られる。卵形成では1個の一次卵母細胞から1個の卵子と複数の極体が生じ、4個の卵子はできない。第一分裂では相同染色体間で組換え(交叉)が起こり、生じた配偶子は半数のn=23本の染色体を持つ。
●減数分裂の要点=DNA複製は分裂前の間期で1回・2回の連続分裂・染色体数半減・相同染色体の組換え。
●精子形成=1個の一次精母細胞から4個の精子。
●卵形成=1個の一次卵母細胞から1個の卵子+極体(第一極体・第二極体)。

選択肢ごとの解説