第68回(2022) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第68回 午前1(臨床検査総論)
臨床検査室の品質と能力に関する国際規格はどれか。
- ①ISO 9001
- ②ISO 13485
- ③ISO 15189
- ④ISO 17025
- ⑤ISO 22870
正答: ③ISO 15189
ポイント
ISO 15189は臨床検査室の品質マネジメントシステムと技術的能力に関する国際規格で、ISO 9001(品質管理の一般要求事項)の考え方とISO/IEC 17025(試験所・校正機関の能力要求事項)を統合し、医療検査室向けに具体化したものである。認定取得により検査結果の信頼性と国際的な互換性が担保され、分析前・分析中・分析後の全プロセス、要員の力量、機器の保守・校正などが評価対象となる。日本では日本適合性認定協会(JAB)が認定を行っている。●検査室・品質関連の国際規格=ISO 15189(臨床検査室の品質・能力)・ISO/IEC 17025(試験所の能力)・ISO 9001(一般的な品質マネジメント)。
●医療機器・周辺規格=ISO 13485(医療機器の品質マネジメント)・ISO 22870(POCTの品質・能力、15189を補完)。
●検査工程の3区分=分析前(採取・搬送・前処理)・分析中(測定・内部精度管理)・分析後(報告・解釈)。
選択肢ごとの解説
- ① ISO 9001は業種を問わない品質マネジメントシステムの一般規格であり、臨床検査室に特化したものではない。
- ② ISO 13485は医療機器の設計・製造に関する品質マネジメント規格で、検査室の能力規格ではない。
- ③ 正しい。ISO 15189は臨床検査室の品質と能力に関する国際規格で、品質管理と技術的能力の双方を要求する。
- ④ ISO/IEC 17025は試験所・校正機関の一般的な能力規格であり、医療検査室専用ではない。
- ⑤ ISO 22870はISO 15189を補完する臨床現場即時検査(POCT)の品質・能力に関する規格で、検査室全体を対象とする規格ではない。
第68回 午前2(臨床検査総論)
分析前プロセスの品質管理はどれか。2つ選べ。
- ①検体量の確認
- ②精度管理試料の測定
- ③精度管理成績の保存
- ④分析装置導入前の性能評価
- ⑤検体採取から測定開始までの時間の確認
正答: ①検体量の確認・⑤検体採取から測定開始までの時間の確認
ポイント
検査工程は患者準備・採取・搬送・前処理までの分析前(プレアナリティカル)、測定そのものの分析中、結果報告・解釈の分析後(ポストアナリティカル)に分けられる。検査結果に影響する誤差の多くは分析前プロセスに由来するとされ、検体量・採取条件・採取から測定開始までの時間の管理が重要である。精度管理試料の測定や精度管理成績の保存は分析中の内部精度管理・記録管理、装置の性能評価は導入時の妥当性確認(検証)に該当する。●分析前の管理=患者準備・採血手技・検体量・抗凝固剤の選択・搬送時間と温度・前処理(遠心・分離)。
●分析中の管理=内部精度管理試料の測定・管理図の作成・外部精度管理(サーベイ)。
●分析後の管理=結果の検証・パニック値報告・記録保存・結果の解釈と報告。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。検体量の確認は採取された検体が測定に適切な量かを判断する分析前プロセスの品質管理である。
- ② 精度管理試料の測定は分析中プロセスの内部精度管理にあたる。
- ③ 精度管理成績の保存は記録管理であり、分析前プロセスの品質管理ではない。
- ④ 分析装置導入前の性能評価は装置の妥当性確認(検証)であり、日常の分析前プロセスとは異なる。
- ⑤ 正しい。採取から測定開始までの時間の確認は検体の劣化を防ぐための分析前プロセスの品質管理である。
第68回 午前3(臨床検査総論)
採血した全血検体をそのまま室温で一晩放置した。値の低下が予想されるのはどれか。
- ①カリウム
- ②無機リン
- ③アンモニア
- ④グルコース
- ⑤クレアチニン
正答: ④グルコース
ポイント
全血を血漿・血清に分離せず室温で長時間放置すると、赤血球の解糖系が継続してグルコースが消費され、値が低下する(おおむね1時間に5〜7%程度低下する)。一方、細胞内に高濃度に存在する成分は細胞膜の機能低下に伴い漏出するため、カリウムや無機リン、乳酸脱水素酵素(LD)はむしろ上昇する。アンモニアもアミノ酸の脱アミノなどで増加傾向を示し、クレアチニンは比較的安定している。血糖測定では速やかな血漿分離か、解糖阻止剤(フッ化ナトリウムなど)入り採血管の使用が必要である。●放置で低下する成分=グルコース(解糖による消費)。
●放置で上昇する成分=カリウム・無機リン・LD・AST(細胞内からの漏出)、アンモニア(脱アミノ)。
●放置で比較的安定な成分=クレアチニン・尿素窒素・総蛋白。
選択肢ごとの解説
- ① カリウムは赤血球内から漏出するため、室温放置で上昇する。
- ② 無機リンも細胞内からの遊離により上昇傾向となる。
- ③ アンモニアはアミノ酸の脱アミノなどにより放置で増加する。
- ④ 正しい。グルコースは血球の解糖により消費され続けるため、室温放置で値が低下する。
- ⑤ クレアチニンは室温放置に比較的安定で、著明な低下はみられない。
第68回 午前4(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本を別に示す。この構造物の成分はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA004.8b33895513.jpg

- ①尿酸
- ②シスチン
- ③ビリルビン
- ④リン酸カルシウム
- ⑤シュウ酸カルシウム
正答: ⑤シュウ酸カルシウム
ポイント
尿沈渣で封筒様(正八面体)の無色結晶はシュウ酸カルシウム結晶であり、二水和物が正八面体状を示すため無染色標本でも特徴的な形態をとる。健常者でも酸性〜中性尿でみられるが、多量に出現する場合はエチレングリコール中毒や尿路結石症を考慮する。シスチン結晶は無色の正六角形板状、尿酸結晶は黄褐色の菱形・砂状、リン酸カルシウムはアルカリ性尿で非晶性・楔状を示すなど、結晶は形態とpHから鑑別する。●酸性尿でみられる結晶=尿酸(黄褐色の菱形・砂状)・シュウ酸カルシウム(封筒様の正八面体)・シスチン(無色六角形板状)。
●アルカリ性尿でみられる結晶=リン酸アンモニウムマグネシウム(棺蓋状)・リン酸カルシウム・尿酸アンモニウム。
●異常・薬剤性結晶=シスチン(シスチン尿症)・チロシン・ロイシン(重症肝障害)・コレステロール・スルファ剤など薬剤結晶。
選択肢ごとの解説
- ① 尿酸結晶は黄褐色の菱形・砂状で、酸性尿に出現する。
- ② シスチン結晶は無色の正六角形板状で、シスチン尿症でみられる。
- ③ ビリルビン結晶は黄褐色の針状・顆粒状を呈しビリルビン陽性尿でみられるが、無色の封筒様結晶とは色調・形態が一致しない。
- ④ リン酸カルシウムはアルカリ性尿で非晶性または楔状を示す。
- ⑤ 正しい。封筒様(正八面体)の無色結晶はシュウ酸カルシウム結晶の典型像である。
第68回 午前5(臨床検査総論)
Miller & Jones〈喀痰の肉眼的品質評価〉分類で、膿性部分が1/2の痰の分類はどれか。
正答: ④P2
ポイント
Miller & Jones分類は喀痰の肉眼的品質を膿性の程度で評価する方法で、Mは粘液性(M1は唾液、M2は粘液痰)、Pは膿性で膿性部分の占める割合により分類する。P1は膿性部分が全体の1/3以下、P2は1/3〜2/3、P3は2/3以上である。膿性部分が1/2の痰は1/3〜2/3の範囲にあたるためP2に該当する。膿性部分が多いほど下気道由来の良質な喀痰とされ、細菌検査に適する。●Miller & Jones分類=M1(唾液)・M2(粘液性)・P1(膿性1/3以下)・P2(膿性1/3〜2/3)・P3(膿性2/3以上)。
●Geckler分類=顕微鏡下で好中球数と扁平上皮数から喀痰の品質を評価(グループ4・5が良質)。
●良質喀痰の条件=唾液の混入が少なく膿性成分が多い(下気道由来を反映)。
選択肢ごとの解説
- ① M1は唾液様の検体で、膿性部分を含まない。
- ② M2は膿性部分がわずかに認められる粘液性の痰である。
- ③ P1は膿性部分が全体の1/3以下のものである。
- ④ 正しい。P2は膿性部分が全体の1/3〜2/3を占めるもので、1/2の痰はこれに該当する。
- ⑤ P3は膿性部分が全体の2/3以上を占めるものである。
📋 まとめの表を見る:喀痰の品質評価:Miller & Jones分類
Geckler分類(Gram染色標本の鏡検所見に基づく)では、視野あたり白血球数が多く扁平上皮細胞数が少ない5群が最も良質で、1〜3群は培養に不適切(6群は経気道吸引痰に限り適切)。白血球数は生体の炎症反応の指標、扁平上皮細胞数は唾液混入(汚染)の指標。
第68回 午前6(臨床検査総論)
化膿性髄膜炎を疑う髄液所見として誤っているのはどれか。
- ①混濁
- ②LDの上昇
- ③蛋白濃度の上昇
- ④多形核球比率の上昇
- ⑤髄液糖/血糖比の上昇
正答: ⑤髄液糖/血糖比の上昇
ポイント
化膿性(細菌性)髄膜炎では髄液の混濁、好中球(多形核球)優位の細胞増多、蛋白上昇、乳酸脱水素酵素(LD)上昇がみられ、髄液糖は細菌や炎症細胞による消費で低下する。このため髄液糖/血糖比はおおむね0.4以下に低下するのが特徴で、上昇は誤りである。ウイルス性髄膜炎ではリンパ球優位で糖は正常範囲のことが多く、結核性・真菌性髄膜炎ではリンパ球優位で糖が低下する点が鑑別に役立つ。●細菌性髄膜炎の髄液=混濁・好中球優位・蛋白上昇・糖低下(糖/血糖比低下)・LD上昇。
●ウイルス性髄膜炎の髄液=水様透明・リンパ球優位・蛋白軽度上昇・糖正常。
●結核性/真菌性髄膜炎の髄液=リンパ球優位・蛋白上昇・糖低下(細菌性との鑑別に注意)。
選択肢ごとの解説
- ① 混濁は炎症細胞の増加により生じ、化膿性髄膜炎に合致する所見である。
- ② 乳酸脱水素酵素(LD)の上昇は細胞破壊や炎症を反映し、化膿性髄膜炎でみられる。
- ③ 蛋白濃度の上昇は血液脳関門の破綻を反映し、合致する所見である。
- ④ 多形核球(好中球)比率の上昇は細菌性髄膜炎の典型所見である。
- ⑤ 誤り。化膿性髄膜炎では糖が消費され髄液糖/血糖比は低下するため、上昇は合致しない。
第68回 午前7(臨床検査総論)
幼虫移行症をきたすのはどれか。
- ①小形条虫
- ②無鉤条虫
- ③日本海裂頭条虫
- ④マンソン裂頭条虫
- ⑤クジラ複殖門条虫〈大複殖門条虫〉
正答: ④マンソン裂頭条虫
ポイント
マンソン裂頭条虫の幼虫(プレロセルコイド)はヒト体内で組織内を移行し、孤虫症(スパルガヌム症)として幼虫移行症を起こす。ヒトはケンミジンコを含む水の摂取や、カエル・ヘビの生食などで感染する。小形条虫・無鉤条虫・日本海裂頭条虫・クジラ複殖門条虫はいずれも成虫が消化管に寄生するのが主体で、典型的な幼虫移行症は起こさない。●ヒトで幼虫移行症(組織移行)を起こす寄生虫=マンソン裂頭条虫(孤虫症)・イヌ/ネコ回虫(トキソカラ症)・有鉤条虫(有鉤嚢虫症)・アニサキス・顎口虫・旋毛虫。
●成虫が腸管に寄生する条虫=無鉤条虫(ウシ)・有鉤条虫(ブタ)・日本海裂頭条虫(サケ・マス)・小形条虫・広節裂頭条虫。
●感染経路の特徴=生食(淡水魚・獣肉)・経皮感染・中間宿主の摂取による。
選択肢ごとの解説
- ① 小形条虫はヒト腸管に成虫が寄生し、幼虫移行症は主体ではない。
- ② 無鉤条虫はウシを中間宿主とし、ヒト腸管に成虫が寄生する。
- ③ 日本海裂頭条虫はサケ・マス由来でヒト腸管に成虫が寄生する。
- ④ 正しい。マンソン裂頭条虫の幼虫はヒト組織内を移行し、孤虫症(幼虫移行症)を起こす。
- ⑤ クジラ複殖門条虫(大複殖門条虫)はヒト腸管に成虫が寄生する条虫である。
📋 まとめの表を見る:幼虫移行症を起こす主な寄生虫(内臓・皮膚)
ヒトが終宿主でない寄生虫がヒトに感染すると幼虫のまま成虫になれず体内を移行する。
第68回 午前8(臨床検査総論)
マラリア患者の血液塗抹標本のGiemsa染色に適するバッファーのpHはどれか。
正答: ③7.4
ポイント
マラリア原虫を観察するGiemsa染色では、シュフナー斑点などの所見を明瞭に描出するためにpH7.2前後(おおむね7.0〜7.4)の緩衝液を用いる。pHが酸性に傾くと赤血球内顆粒が染まりにくく、アルカリ性に傾くと染色性が変化するため原虫の同定に支障をきたす。塗抹標本は厚層(原虫検出)と薄層(虫種同定)の両方を作製し、適切なpH管理のもとで観察するのが基本である。●Giemsa染色で観察する血液寄生原虫=マラリア原虫(熱帯熱・三日熱・四日熱・卵形)・バベシア・トリパノソーマ・リーシュマニア。
●マラリアの形態所見=シュフナー斑点(三日熱・卵形)・モーレル斑点(熱帯熱)・輪状体・分裂体・生殖母体。
●標本作製=厚層塗抹(原虫の検出・スクリーニング)と薄層塗抹(虫種の同定)。
選択肢ごとの解説
- ① pH6.2では酸性に傾きすぎ、原虫顆粒の染色が不良となる。
- ② pH6.8でもやや酸性で、シュフナー斑点などが明瞭に染まりにくい。
- ③ 正しい。pH7.4前後はマラリア原虫のGiemsa染色に適し、特徴的な所見が明瞭に描出される。
- ④ pH8.0はアルカリ性に傾き、染色性が変化する。
- ⑤ pH8.6は強アルカリ性で、原虫の同定に適さない。
第68回 午前9(臨床検査総論)
慢性骨髄性白血病で高頻度にみられる染色体の構造異常はどれか。
正答: ⑤転座
ポイント
慢性骨髄性白血病ではフィラデルフィア染色体が高頻度にみられ、これは9番と22番染色体間の相互転座t(9;22)(q34;q11)によって生じる構造異常である。この転座により融合遺伝子BCR-ABL1が形成され、恒常的に活性化したチロシンキナーゼが細胞増殖を促す。チロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブなど)がこの病態に対する治療の中心となる。●染色体の構造異常=転座(相互転座・Robertson転座)・欠失・逆位・重複・挿入・環状染色体。
●代表的な転座と疾患=t(9;22)(慢性骨髄性白血病・BCR-ABL1)・t(15;17)(急性前骨髄球性白血病・PML-RARA)・t(8;14)(Burkittリンパ腫・MYC)・t(8;21)(急性骨髄性白血病)。
●数的異常=トリソミー(21トリソミー等)・モノソミー・異数性。
選択肢ごとの解説
- ① 逆位は染色体内の断片が逆向きに再結合する異常で、慢性骨髄性白血病の代表的異常ではない。
- ② 欠失は染色体の一部が失われる異常で、本症の代表的異常ではない。
- ③ 挿入はある染色体断片が別の部位に入り込む異常で、本症の特徴ではない。
- ④ 重複は染色体の一部が重複する異常で、本症の特徴ではない。
- ⑤ 正しい。t(9;22)転座によるフィラデルフィア染色体が慢性骨髄性白血病に高頻度でみられる。
第68回 午前10(臨床検査総論)
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の原因遺伝子はどれか。
- ①APC
- ②RB1
- ③MEN1
- ④MSH2
- ⑤BRCA1/2
正答: ⑤BRCA1/2
ポイント
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)はBRCA1またはBRCA2遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とする常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である。これらの遺伝子はDNA二本鎖切断の相同組換え修復に関わる癌抑制遺伝子で、機能喪失により乳がん・卵巣がんの発症リスクが高まる。BRCA変異を持つ腫瘍はポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬への感受性が高いことが知られる。●遺伝性腫瘍症候群と原因遺伝子=遺伝性乳がん卵巣がん症候群(BRCA1/2)・家族性大腸腺腫症(APC)・リンチ症候群(MSH2・MLH1などミスマッチ修復遺伝子)・網膜芽細胞腫(RB1)・多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)・Li-Fraumeni症候群(TP53)。
●BRCA遺伝子の機能=相同組換えによるDNA二本鎖切断修復。
●関連治療=PARP阻害薬(合成致死を利用した分子標的治療)。
選択肢ごとの解説
- ① APCは家族性大腸腺腫症の原因遺伝子である。
- ② RB1は網膜芽細胞腫の原因遺伝子である。
- ③ MEN1は多発性内分泌腫瘍症1型の原因遺伝子である。
- ④ MSH2はリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)に関わるミスマッチ修復遺伝子である。
- ⑤ 正しい。BRCA1/2の生殖細胞系列変異が遺伝性乳がん卵巣がん症候群の原因である。
第68回 午前11(臨床検査医学総論)
一次救命措置において、胸骨圧迫前に行うべきこととして誤っているのはどれか。
- ①119番通報
- ②安全の確認
- ③意識の確認
- ④呼吸の確認
- ⑤対光反射の確認
正答: ⑤対光反射の確認
ポイント
一次救命処置(BLS)では、まず周囲の安全確認を行い、反応(意識)の確認、応援要請と119番通報・自動体外式除細動器(AED)の手配、呼吸の確認を経て、心停止と判断したら直ちに胸骨圧迫を開始する。対光反射の確認は瞳孔を用いた神経学的評価であってBLSの手順には含まれず、これに時間を費やすことは胸骨圧迫開始の遅れにつながる。●BLSの手順=安全確認→反応(意識)の確認→応援要請・119番通報・AED手配→呼吸と脈拍の確認→胸骨圧迫→人工呼吸→AEDによる除細動。
●質の高い胸骨圧迫=深さ約5cm・1分間に100〜120回・圧迫解除を十分に・中断を最小に。
●二次救命処置(ALS)=気道確保・薬剤投与・原因検索など医療従事者が行う高度な蘇生。
選択肢ごとの解説
- ① 119番通報は応援・救急要請として胸骨圧迫前に行うべき手順である。
- ② 安全の確認は処置を始める前に最初に行うべき手順である。
- ③ 意識(反応)の確認は胸骨圧迫前に行う手順である。
- ④ 呼吸の確認は心停止の判断に必要で、胸骨圧迫前に行う。
- ⑤ 誤り。対光反射の確認は一次救命処置の手順に含まれず、胸骨圧迫前に行う必要はない。
第68回 午前12(臨床検査医学総論)
B型急性肝炎におけるHBs抗原、HBs抗体、HBe抗原、HBe抗体、HBc抗体の推移を別に示す。HBc抗体はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA012.dfaa0865cf.jpg

正答: ③C
ポイント
B型急性肝炎では、最初にHBs抗原とHBe抗原が出現してウイルス増殖の指標となり、続いてHBc抗体(初期はIgM型)が早期から検出され、感染既往を反映して長く持続する。HBe抗原の消失とHBe抗体の出現(セロコンバージョン)、さらにHBs抗原の消失とHBs抗体の出現が治癒・免疫獲得を示す。図のCはHBs抗原・HBe抗原に続いて早期から出現し長期に持続する曲線で、HBc抗体に該当する。●ウイルス増殖・感染性の指標=HBs抗原・HBe抗原・HBV-DNA。
●感染既往・持続の指標=HBc抗体(IgM-HBc抗体は急性期、IgG-HBc抗体は持続)。
●治癒・免疫獲得の指標=HBe抗体(セロコンバージョン)・HBs抗体(ワクチン接種でも陽性)。
選択肢ごとの解説
- ① AはHBs抗原に相当し、感染初期に出現し治癒で消失する。
- ② BはHBe抗原に相当し、ウイルス増殖期に一致して推移する。
- ③ 正しい。Cは早期から出現し長期に持続する推移を示し、HBc抗体に該当する。
- ④ DはHBe抗体に相当し、HBe抗原消失後に出現する。
- ⑤ EはHBs抗体に相当し、治癒・免疫獲得後に出現する。
第68回 午前13(臨床検査医学総論)
腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか。
- ①敗血症
- ②尿管結石
- ③前立腺肥大
- ④急速進行性糸球体腎炎
- ⑤全身性エリテマトーデス(SLE)
正答: ①敗血症
ポイント
急性腎不全(急性腎障害)は障害部位により腎前性・腎性・腎後性に分類される。腎前性は腎血流の低下が原因で、敗血症によるショックや出血・脱水・心不全などで腎灌流が減ると生じる。腎後性は尿路の閉塞(尿管結石・前立腺肥大)、腎性は糸球体や尿細管の障害(急速進行性糸球体腎炎・急性尿細管壊死・ループス腎炎など)が原因となる。腎前性は早期に循環を是正すれば可逆的である。●腎前性(腎血流低下)=敗血症性ショック・出血・脱水・心不全・大量輸液不足。
●腎性(腎実質障害)=急性尿細管壊死・急速進行性糸球体腎炎・ループス腎炎・薬剤性腎障害。
●腎後性(尿路閉塞)=尿管結石・前立腺肥大・尿路腫瘍・後腹膜線維症。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。敗血症はショックによる腎血流低下を介して腎前性急性腎不全の原因となる。
- ② 尿管結石は尿路閉塞による腎後性急性腎不全の原因である。
- ③ 前立腺肥大は下部尿路閉塞による腎後性急性腎不全の原因である。
- ④ 急速進行性糸球体腎炎は糸球体障害による腎性急性腎不全の原因である。
- ⑤ 全身性エリテマトーデス(SLE)はループス腎炎を介した腎性の腎障害の原因である。
第68回 午前14(臨床検査医学総論)
サルコイドーシスの診断に最も有用なのはどれか。
- ①アンギオテンシン変換酵素(ACE)
- ②CRP
- ③IL-6
- ④KL-6
- ⑤SP-D
正答: ①アンギオテンシン変換酵素(ACE)
ポイント
サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患で、類上皮細胞肉芽腫(非乾酪性肉芽腫)を形成する。血清アンギオテンシン変換酵素(ACE)は肉芽腫の類上皮細胞から産生され、活動性の指標および診断の補助として有用である。CRPやインターロイキン6(IL-6)は非特異的炎症マーカー、KL-6やサーファクタントプロテインD(SP-D)は間質性肺炎のマーカーであり、いずれもサルコイドーシスに特異的ではない。●サルコイドーシス関連検査=血清アンギオテンシン変換酵素(ACE)・リゾチーム・可溶性IL-2受容体・血清/尿中カルシウム上昇・ツベルクリン反応陰性化。
●間質性肺炎のマーカー=KL-6・SP-D・SP-A。
●非特異的炎症マーカー=CRP・赤血球沈降速度・IL-6。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。血清アンギオテンシン変換酵素(ACE)は肉芽腫から産生され、サルコイドーシスの診断・活動性評価に有用である。
- ② CRPは非特異的な炎症マーカーで、サルコイドーシスに特異的ではない。
- ③ インターロイキン6(IL-6)は炎症性サイトカインで、疾患特異性に乏しい。
- ④ KL-6は間質性肺疾患の活動性指標で、サルコイドーシスに特異的ではない。
- ⑤ サーファクタントプロテインD(SP-D)は肺胞上皮由来の間質性肺炎マーカーで、本症の診断に最も有用ではない。
第68回 午前15(臨床検査医学総論)
ビタミン欠乏症について正しいのはどれか。
- ①ビタミンA欠乏で白内障になる。
- ②ビタミンB₁₂欠乏で巨赤芽球性貧血になる。
- ③ビタミンC欠乏で溶血性貧血になる。
- ④ビタミンD欠乏で尿管結石になる。
- ⑤ビタミンE欠乏でWernicke脳症になる。
正答: ②ビタミンB₁₂欠乏で巨赤芽球性貧血になる。
ポイント
ビタミンB₁₂(コバラミン)は葉酸とともにDNA合成に必要で、欠乏すると赤芽球のDNA合成障害により巨赤芽球性貧血を生じる。胃の壁細胞が分泌する内因子と結合して回腸末端で吸収されるため、悪性貧血(内因子の欠乏)や胃切除後・回腸切除後で欠乏しやすい。ビタミンA欠乏は夜盲症、ビタミンC欠乏は壊血病、ビタミンD欠乏はくる病・骨軟化症、ビタミンB₁欠乏はWernicke脳症・脚気の原因となる。●脂溶性ビタミンの欠乏症=ビタミンA(夜盲症)・ビタミンD(くる病・骨軟化症)・ビタミンE(溶血・神経障害)・ビタミンK(出血傾向)。
●水溶性ビタミンの欠乏症=ビタミンB₁(Wernicke脳症・脚気)・ビタミンB₁₂/葉酸(巨赤芽球性貧血)・ビタミンC(壊血病)・ナイアシン(ペラグラ)。
●ビタミンB₁₂の吸収=内因子と結合し回腸末端で吸収される。
選択肢ごとの解説
- ① ビタミンA欠乏で生じるのは夜盲症であり、白内障ではない。
- ② 正しい。ビタミンB₁₂欠乏ではDNA合成障害により巨赤芽球性貧血となる。
- ③ ビタミンC欠乏で生じるのは壊血病であり、溶血性貧血ではない。
- ④ ビタミンD欠乏ではくる病や骨軟化症が生じ、尿管結石とは結びつかない。
- ⑤ Wernicke脳症はビタミンB₁欠乏で生じ、ビタミンE欠乏によるものではない。
📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。
第68回 午前16(臨床生理学)
心電図を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA016.9b56f4f8ae.jpg

- ①下壁梗塞
- ②側壁梗塞
- ③前壁中隔梗塞
- ④Brugada症候群
- ⑤四肢電極の付け間違い
正答: ①下壁梗塞
ポイント
下壁梗塞は主に右冠動脈の閉塞で生じ、下壁を反映するII・III・aVF誘導にST上昇や異常Q波、陰性T波などの梗塞所見が現れる。前壁中隔梗塞は左前下行枝の閉塞でV1〜V4、側壁梗塞はI・aVL・V5〜V6に変化が出る。誘導の組合せから責任血管と障害部位を推定するのが心電図読影の基本である。図ではII・III・aVF誘導に梗塞所見がみられ、下壁梗塞と判断される。●梗塞部位と誘導・責任血管=下壁(II・III・aVF/右冠動脈)・前壁中隔(V1〜V4/左前下行枝)・側壁(I・aVL・V5〜V6/左回旋枝)・広範前壁(V1〜V6・I・aVL)。
●心筋梗塞の心電図経時変化=T波増高→ST上昇→異常Q波→冠性T波(陰性T波)。
●鑑別を要する所見=Brugada症候群(V1〜V3のcoved型ST上昇)・電極付け間違いによる極性異常。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。II・III・aVF誘導の梗塞所見は下壁梗塞を示す。
- ② 側壁梗塞ではI・aVL・V5〜V6に変化が出るため、本図には合致しない。
- ③ 前壁中隔梗塞ではV1〜V4に変化が出るため、合致しない。
- ④ Brugada症候群はV1〜V3のcoved型ST上昇が特徴で、本図とは異なる。
- ⑤ 四肢電極の付け間違いでは特定の誘導の極性が逆転するなどの所見で、梗塞所見とは異なる。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第68回 午前17(臨床生理学)
肺活量 2.00 L、1回換気量0.50 L、予備呼気量0.80 L、最大吸気量1.20 L、機能的残気量 1.90 Lであった。残気量[L]はどれか。
- ①0.70
- ②1.10
- ③1.40
- ④2.40
- ⑤3.10
正答: ②1.10
ポイント
残気量は最大呼出後に肺内に残る空気量で、機能的残気量から予備呼気量を引いて求める。設問では機能的残気量1.90 Lから予備呼気量0.80 Lを引き、残気量は1.10 Lとなる。残気量はスパイロメトリーでは直接測定できず、ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路法・窒素洗い出し法)や体プレチスモグラフで求める。肺活量と残気量の和が全肺気量である。●肺気量分画=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・残気量(直接測定不能)。
●合成された容量=機能的残気量(予備呼気量+残気量)・最大吸気量(1回換気量+予備吸気量)・肺活量・全肺気量(肺活量+残気量)。
●残気量・機能的残気量の測定法=ヘリウム希釈法・窒素洗い出し法・体プレチスモグラフ。
選択肢ごとの解説
- ① 0.70 Lは機能的残気量と予備呼気量の関係に合わず、誤りである。
- ② 正しい。機能的残気量1.90 Lから予備呼気量0.80 Lを引いた1.10 Lが残気量である。
- ③ 1.40 Lは計算が合わず、誤りである。
- ④ 2.40 Lは計算が合わず、誤りである。
- ⑤ 3.10 Lは計算が合わず、誤りである。
第68回 午前18(臨床生理学)
クロージングボリューム測定における単一窒素呼出曲線を別に示す。クロージングボリュームはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA018.6385744f88.jpg

正答: ③
ポイント
クロージングボリューム(CV)は末梢気道(下肺領域)が閉塞し始めてから最大呼出までに呼出される肺気量で、単一窒素呼出曲線では第Ⅲ相から第Ⅳ相への変曲点以降の容量で示される。第Ⅳ相は重力依存性の下肺領域の気道閉塞により高濃度の窒素が出て濃度が急上昇する区間で、加齢や末梢気道病変で増大する。図の③がこの変曲点(第Ⅳ相の立ち上がり)以降の区間を示す。●単一窒素呼出曲線の相=第Ⅰ相(死腔のガス・窒素ほぼ0)・第Ⅱ相(死腔と肺胞気の移行)・第Ⅲ相(肺胞プラトー)・第Ⅳ相(下肺領域の閉塞で窒素急上昇)。
●関連指標=クロージングボリューム(第Ⅳ相分)・クロージングキャパシティ(CV+残気量)。
●増大する病態・要因=加齢・喫煙・末梢気道病変(早期の閉塞性変化を反映)。
選択肢ごとの解説
- ① ①は曲線の初期相にあたり、クロージングボリュームではない。
- ② ②は第Ⅲ相(肺胞プラトー)付近を示し、クロージングボリュームには該当しない。
- ③ 正しい。③は第Ⅳ相の立ち上がり以降を示し、クロージングボリュームに該当する。
- ④ ④は別の区間を示し、該当しない。
- ⑤ ⑤は別の区間を示し、該当しない。
第68回 午前19(臨床生理学)
1回呼吸法による肺拡散能力測定で濃度を測定するのはどれか。2つ選べ。
正答: ①CO・③He
ポイント
1回呼吸法による肺拡散能力(DLCO)測定では、肺胞気から血中へ拡散する指標ガスとして一酸化炭素(CO)を、肺胞容量(拡散が起こる肺気量)を求めるための非拡散性指標ガスとしてヘリウム(He)などの不活性ガスを用いる。吸入混合ガス中のCOとHeの希釈・吸収を呼出ガスで測定することで拡散能を算出する。酸素や二酸化炭素はこの希釈・吸収量の測定には用いない。●DLCO測定で測定するガス=一酸化炭素(CO、拡散性の指標)・ヘリウム(He、肺胞容量算出の非拡散性指標)。
●測定法=1回呼吸法(シングルブレス法)が標準。
●DLCO低下をきたす病態=肺気腫・間質性肺炎・肺血管疾患・貧血(補正が必要)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。一酸化炭素(CO)は肺胞膜を介して血中へ拡散する指標ガスとして濃度を測定する。
- ② 二酸化炭素(CO₂)は1回呼吸法の指標ガスとしては濃度測定に用いない。
- ③ 正しい。ヘリウム(He)は肺胞容量算出のための非拡散性指標ガスとして濃度を測定する。
- ④ 窒素(N2)は1回呼吸法のDLCO測定で濃度測定の対象ではない。
- ⑤ 酸素(O₂)は本測定で濃度測定の対象ではない。
第68回 午前20(臨床生理学)
自律神経の線維はどれか。2つ選べ。
正答: ④B線維・⑤C線維
ポイント
末梢神経線維はErlanger-Gasserの分類により太い順にA・B・Cに分けられる。B線維は自律神経の節前線維(細い有髄線維)、C線維は自律神経の節後線維や痛覚・温度覚を伝える無髄線維で、ともに自律神経に関与する。A線維は体性の運動・感覚を担い、Aα(運動・固有感覚)、Aβ(触圧覚)、Aγ(筋紡錘)、Aδ(痛覚・温度覚)に細分される。●A線維(有髄・速い)=Aα(運動・固有感覚)・Aβ(触圧覚)・Aγ(筋紡錘支配)・Aδ(鋭い痛み・温度覚)。
●B線維=自律神経の節前線維(細い有髄)。
●C線維(無髄・遅い)=自律神経の節後線維・鈍い痛み・温度覚。
選択肢ごとの解説
- ① Aα線維は太い有髄線維で、運動や固有感覚を伝える体性線維である。
- ② Aβ線維は触圧覚を伝える体性感覚線維である。
- ③ Aδ線維は痛覚・温度覚を伝える体性感覚線維である。
- ④ 正しい。B線維は自律神経の節前線維で、自律神経系に属する。
- ⑤ 正しい。C線維は自律神経の節後線維(無髄)を含み、自律神経系に属する。
第68回 午前21(臨床生理学)
体性感覚の伝導路を含むのはどれか。
正答: ⑤視床
ポイント
体性感覚(触覚・深部感覚・痛覚・温度覚など)の伝導路は脊髄から上行し、視床の腹側後核で第三次ニューロンに中継されて大脳皮質の体性感覚野へ至る。したがって視床は体性感覚伝導路を含む。外側毛帯は聴覚、外側膝状体は視覚の伝導路に属し、錐体路は随意運動の下行路、前根は運動神経線維の出力路である。●体性感覚の上行路=後索-内側毛帯路(識別性触覚・深部感覚)・脊髄視床路(痛覚・温度覚)→いずれも視床で中継。
●視覚・聴覚の中継=外側膝状体(視覚)・内側膝状体/外側毛帯(聴覚)。
●運動の下行路=錐体路(皮質脊髄路)・前根(運動神経の脊髄からの出力)。
選択肢ごとの解説
- ① 前根は運動神経線維の出力路であり、体性感覚の伝導路ではない。
- ② 錐体路は随意運動を伝える下行性伝導路である。
- ③ 外側毛帯は聴覚の伝導路に含まれる。
- ④ 外側膝状体は視覚伝導路の中継核である。
- ⑤ 正しい。視床は体性感覚伝導路の中継核を含み、感覚情報を大脳皮質へ伝える。
第68回 午前22(臨床生理学)
正中神経における運動神経伝導検査の模式的な記録波形を別に示す。軸索変性のパターンはどれか。なお、図中の破線は正常波形を示す。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA022.36c8cc7515.jpg

正答: ②
ポイント
運動神経伝導検査では、軸索変性(軸索障害)では機能する軸索数の減少を反映して複合筋活動電位(CMAP)の振幅が低下するが、伝導速度や潜時は比較的保たれる。これに対し脱髄では伝導速度の低下、潜時の延長、伝導ブロックや時間的分散が主体で、振幅は比較的保たれやすい。図中、破線の正常波形に比べて振幅が低下し潜時・波形幅が大きく変わらないパターンが軸索変性に該当し、②が示す。●軸索変性のパターン=CMAP振幅低下・伝導速度ほぼ保持・潜時ほぼ保持。
●脱髄のパターン=伝導速度低下・遠位潜時延長・伝導ブロック・時間的分散(振幅は比較的保持)。
●検査指標=複合筋活動電位(CMAP)・運動神経伝導速度・遠位潜時・F波。
選択肢ごとの解説
- ① ①は軸索変性のパターンに該当しない波形である。
- ② 正しい。②は振幅が低下し潜時・伝導速度が保たれる軸索変性のパターンを示す。
- ③ ③は脱髄を示唆する潜時延長・波形変化などのパターンで、軸索変性ではない。
- ④ ④は軸索変性のパターンに該当しない。
- ⑤ ⑤は軸索変性のパターンに該当しない。
第68回 午前23(臨床生理学)
64歳の男性。家族に「最近ぼーっとしていることが多い」と指摘され受診した。脳波を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA023.47eefd21ab.jpg

- ①棘波
- ②三相波
- ③多棘徐波複合
- ④14 Hz陽性棘波
- ⑤周期性同期性放電
正答: ①棘波
ポイント
棘波は持続が短く(おおむね20〜70ミリ秒)尖った突発波で、てんかん性異常として出現する。問題の64歳男性は意識の途切れ(ぼーっとする)を示唆する症状があり、脳波で棘波がみられればてんかん性放電を示す。三相波は肝性脳症など代謝性脳症、周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病などでみられ、14Hz陽性棘波は健常者の睡眠でもみられる良性所見である。●てんかん性突発波=棘波(20〜70ミリ秒)・鋭波(70〜200ミリ秒)・棘徐波複合・多棘徐波複合。
●代謝性・特定疾患の所見=三相波(肝性脳症など)・周期性同期性放電(Creutzfeldt-Jakob病)・PLEDs(急性脳病変)。
●良性・非てんかん性所見=14&6Hz陽性棘波・小鋭棘波・睡眠時の頭蓋頂鋭波。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。棘波は短く尖った突発波で、てんかん性放電を示す所見である。
- ② 三相波は肝性脳症などの代謝性脳症でみられる所見である。
- ③ 多棘徐波複合は全般てんかんなどでみられるが、本図の所見ではない。
- ④ 14Hz陽性棘波は睡眠時にみられる良性所見である。
- ⑤ 周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病などでみられる所見である。
第68回 午前24(臨床生理学)
睡眠ステージ1から睡眠ステージ2に移行したと判断できる脳波の波形はどれか。
- ①α波
- ②紡錘波
- ③低振幅速波
- ④丘波〈徐波〉
- ⑤瘤波〈頭頂鋭波〉
正答: ②紡錘波
ポイント
睡眠ステージ2への移行は、睡眠紡錘波(11〜16Hzの紡錘状群発)やK複合波の出現で判定される。ステージ1は低振幅で混合周波数の脳波と頭頂部鋭波(瘤波)の出現が特徴で、覚醒・閉眼安静ではα波が優位である。徐波(δ波)が一定割合を超えるとステージ3以降の深睡眠(徐波睡眠)となる。●睡眠段階と脳波所見=覚醒(α波)・ステージN1(低振幅混合周波数・頭頂部鋭波)・ステージN2(睡眠紡錘波・K複合波)・ステージN3(高振幅徐波=δ波の徐波睡眠)。
●REM睡眠=低振幅速波・急速眼球運動・筋緊張低下。
●判定に用いる検査=終夜睡眠ポリグラフ検査(脳波・眼電図・筋電図を同時記録)。
選択肢ごとの解説
- ① α波は覚醒・閉眼安静時に優位な律動で、ステージ2移行の指標ではない。
- ② 正しい。紡錘波(睡眠紡錘波)の出現は睡眠ステージ2への移行を示す。
- ③ 低振幅速波はステージ1や覚醒・REM睡眠でみられる。
- ④ 丘波(徐波)はステージ3以降の深睡眠で増加する。
- ⑤ 瘤波(頭頂部鋭波)はステージ1で出現する所見である。
📋 まとめの表を見る:睡眠段階(AASM分類)と脳波所見
睡眠ステージ1(N1)からステージ2(N2)への移行は、紡錘波の出現で判断する。旧Rechtschaffen & Kales分類のStage3・4はAASM分類でStage N3に統一された。
第68回 午前25(臨床生理学)
心臓超音波像を別に示す。矢印で示すアーチファクトの原因はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA025.e444eaa9de.jpg

- ①音響陰影
- ②鏡面現象
- ③多重反射
- ④レンズ効果
- ⑤サイドローブ
正答: ⑤サイドローブ
ポイント
サイドローブは超音波探触子の主ビーム以外の方向に放射される副次的なビームで、本来の方向外にある強反射体を主ビーム上にあるかのように虚像として描出するアーチファクトを生じる。心臓超音波では弧状の偽像として現れることがある。多重反射は平行な反射面間の往復、鏡面現象は強反射面を鏡として生じる虚像、音響陰影は強反射・減衰体後方の信号欠損、レンズ効果(屈折)は組織による屈折で実像がずれる現象である。●ビームに起因するアーチファクト=サイドローブ・グレーティングローブ・ビーム幅による偽像。
●反射・伝搬に起因するアーチファクト=多重反射(コメットサイン含む)・鏡面現象・音響陰影・後方エコー増強・レンズ効果(屈折)。
●減衰・速度に起因するアーチファクト=音響陰影・後方エコー増強・音速の違いによる位置ずれ。
選択肢ごとの解説
- ① 音響陰影は石灰化など強反射・減衰体の後方が無信号になる現象である。
- ② 鏡面現象は強反射面を鏡として実像の反対側に虚像が描出される現象である。
- ③ 多重反射は平行な反射面間で超音波が往復し、等間隔の偽像を生じる現象である。
- ④ レンズ効果は組織による屈折で実像がずれて描出される現象である。
- ⑤ 正しい。サイドローブは主ビーム外の副次ビームによる虚像で、本図のアーチファクトの原因である。
第68回 午前26(臨床生理学)
心臓超音波像を別に示す。この像を描出する際の探触子の位置はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA026.dabbd6da81.jpg

正答: ③傍胸骨
ポイント
心臓超音波検査の標準的アプローチは、傍胸骨左縁・心尖部・心窩部(肋骨弓下)・胸骨上窩の4つに大別される。傍胸骨アプローチは胸骨左縁第3〜4肋間に探触子を置き、左室流出路・大動脈弁・僧帽弁・左室・左房を描出する長軸像と、大動脈弁レベルから心尖部に至る短軸像が得られる代表的な走査窓である。描出された断面の構造物の配置から、どのアプローチで得られた像かを判断する。
●傍胸骨=長軸像(左室流出路・大動脈弁・僧帽弁)・短軸像(大動脈弁レベル/僧帽弁レベル/乳頭筋レベル/心尖部レベル)。
●心尖部=四腔像・二腔像・長軸像・五腔像。
●心窩部(肋骨弓下)=四腔像・下大静脈長軸像。
●胸骨上窩=大動脈弓の評価。
選択肢ごとの解説
- ① 心窩部(肋骨弓下)は肝臓を音響窓として心臓や下大静脈を描出するアプローチで、本図の断面とは異なる。
- ② 心尖部は左室心尖に探触子を置き四腔像や二腔像など長軸方向の断面を得るアプローチである。
- ③ 正しい。傍胸骨左縁から長軸像・短軸像を描出するアプローチであり、探触子は傍胸骨に置く。
- ④ 右胸壁からのアプローチは標準的な基本断面の描出には通常用いない。
- ⑤ 胸骨上窩は大動脈弓やその分枝の評価に用いるアプローチである。
第68回 午前27(臨床生理学)
深部静脈血栓症に対する下肢静脈超音波検査で実施しないのはどれか。
- ①座位
- ②圧迫法
- ③寒冷負荷
- ④ミルキング法
- ⑤Valsalva法〈呼吸法〉
正答: ③寒冷負荷
ポイント
下肢静脈超音波による深部静脈血栓症の検査では、静脈を充満させて評価しやすくするために座位や立位とし、探触子で静脈を押す圧迫法で虚脱の有無(血栓があると虚脱しない)を確認する。さらに下腿を握って血流を増やすミルキング法や、Valsalva法(息こらえ)による血流変化・逆流の評価を組み合わせる。寒冷負荷は手指などを冷水に浸してレイノー現象や末梢循環障害を誘発・評価する手法であり、深部静脈血栓症の検査では実施しない。
●深部静脈血栓症の評価手技=圧迫法・ミルキング法(増強法)・Valsalva法・カラードプラ。
●体位の工夫=座位・立位・逆Trendelenburg位(静脈を充満させる)。
●寒冷負荷の用途=レイノー現象・末梢動脈循環障害の評価。
選択肢ごとの解説
- ① 座位は下肢静脈を充満させ血栓を描出・評価しやすくするため用いられる。
- ② 圧迫法は探触子で静脈を圧迫し虚脱するか否かで血栓の有無を判定する基本手技である。
- ③ 誤り。寒冷負荷はレイノー現象など末梢循環障害の評価に用いる手法で、深部静脈血栓症の検査では実施しない。
- ④ ミルキング法は下腿を圧迫して血流を増強し血栓や逆流を評価する手技である。
- ⑤ Valsalva法は息こらえによる血流変化で逆流や血栓を評価する手技である。
第68回 午前28(臨床生理学)
サーモグラフィ検査の注意点について誤っているのはどれか。
- ①検査直前の飲食を制限する。
- ②測定部位の化粧を落とさせる。
- ③検査室の湿度は50%程度に保つ。
- ④検査室の温度は20 ℃程度に保つ。
- ⑤15〜30分間の検査室環境への馴化を行う。
正答: ④検査室の温度は20 ℃程度に保つ。
ポイント
サーモグラフィは体表から放射される赤外線を検出して皮膚温の分布を画像化する検査で、外部環境による皮膚温変動を排除するための環境管理が重要である。検査室は温度23℃前後・湿度50%程度の一定環境に保ち、被検者は化粧やクリームを落とし、検査前の飲食・喫煙・運動を制限したうえで15〜30分間の馴化を行う。検査室温度を20℃程度の低温に保つと体表温が下がって血管反応や分布評価に影響するため、設定として適切でない。
●皮膚温に影響する除外因子=飲食・喫煙・運動・入浴・化粧やクリーム。
●環境条件=室温23℃前後・湿度50%前後・無風・15〜30分の馴化。
●サーモグラフィの適応=レイノー現象・閉塞性動脈疾患・複合性局所疼痛症候群・乳腺評価など。
選択肢ごとの解説
- ① 検査直前の飲食制限は体表温への影響を避けるため適切な注意点である。
- ② 測定部位の化粧を落とさせるのは赤外線放射と皮膚温の正確な測定のため適切である。
- ③ 湿度を50%程度に保つのは皮膚温を安定させる適切な環境管理である。
- ④ 誤り。検査室温度を20℃程度に保つのは低すぎ、体表温が下がり評価に影響するため適切でない。
- ⑤ 15〜30分間の室環境への馴化は皮膚温を安定させるため適切な手順である。
第68回 午前29(臨床化学)
糖新生を行う臓器はどれか。2つ選べ。
正答: ②肝臓・④腎臓
ポイント
糖新生は乳酸・糖原性アミノ酸・グリセロールなどの非糖質からグルコースを合成する経路で、絶食時や飢餓時の血糖維持を担う。最終段階のグルコース-6-ホスファターゼを発現する臓器のみが生成したグルコースを血中へ放出でき、これは肝臓と腎臓(腎皮質)に限られる。脳・心臓・骨格筋・脾臓はこの酵素を欠くため、血糖維持に寄与する糖新生は行わない。
●糖新生を行う臓器=肝臓(主座)・腎臓(腎皮質、飢餓時に寄与)。
●糖新生の主基質=乳酸(コリ回路)・アラニン(グルコース–アラニン回路)・グリセロール・糖原性アミノ酸。
●糖新生を行わない=脳・心臓・骨格筋・赤血球(グルコース-6-ホスファターゼを欠く)。
選択肢ごとの解説
- ① 脳は糖新生を行わず、グルコースを主要なエネルギー源として消費する側である。
- ② 正しい。肝臓は糖新生の主要臓器で、絶食時の血糖維持を担う。
- ③ 心臓はグルコース-6-ホスファターゼを欠き糖新生を行わない。
- ④ 正しい。腎臓(腎皮質)は飢餓時などに糖新生を行う臓器である。
- ⑤ 脾臓は糖新生を行わない。
第68回 午前30(臨床化学)
糖尿病の診断で糖尿病型の判定に用いられないのはどれか。
- ①HbA1c
- ②随時血糖値
- ③空腹時血糖値
- ④グリコアルブミン
- ⑤75 g経口ブドウ糖負荷後2時間血糖値
正答: ④グリコアルブミン
ポイント
糖尿病の診断における糖尿病型の判定には、空腹時血糖値126mg/dL以上、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上の血糖基準と、HbA1c(ヘモグロビンA1c)6.5%以上が用いられる。グリコアルブミンは過去約2週間の平均血糖を反映し血糖コントロールの指標となるが、糖尿病型の判定基準には含まれていない。糖尿病型の血糖値とHbA1cがともに確認されれば1回で糖尿病と診断できる。
●糖尿病型の判定指標=空腹時血糖126以上・随時血糖200以上・OGTT2時間値200以上・HbA1c 6.5%以上。
●血糖コントロール指標(診断基準外)=グリコアルブミン(約2週間)・1,5-アンヒドログルシトール。
●HbA1cの注意=異常ヘモグロビン症・溶血・出血・鉄欠乏で乖離する。
選択肢ごとの解説
- ① HbA1c(ヘモグロビンA1c)は6.5%以上で糖尿病型と判定される診断指標である。
- ② 随時血糖値は200mg/dL以上で糖尿病型と判定される指標である。
- ③ 空腹時血糖値は126mg/dL以上で糖尿病型と判定される指標である。
- ④ 誤り。グリコアルブミンは血糖コントロールの指標だが、糖尿病型の判定基準には用いられない。
- ⑤ 75g経口ブドウ糖負荷後2時間血糖値は200mg/dL以上で糖尿病型と判定される指標である。
第68回 午前31(臨床化学)
ケトン体はどれか。2つ選べ。
- ①胆汁酸
- ②アセトン
- ③アラキドン酸
- ④トロンボキサン
- ⑤3-ヒドロキシ酪酸
正答: ②アセトン・⑤3-ヒドロキシ酪酸
ポイント
ケトン体はアセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)・アセトンの3種を指し、肝臓で脂肪酸のβ酸化により生じたアセチルCoAから合成される。飢餓や糖尿病性ケトアシドーシスで増加し、肝外組織(脳・心筋・骨格筋)のエネルギー源として利用される。胆汁酸はコレステロール由来、アラキドン酸は多価不飽和脂肪酸、トロンボキサンはアラキドン酸代謝産物(エイコサノイド)であり、いずれもケトン体ではない。
●ケトン体=アセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸・アセトン。
●ケトン体が増える病態=飢餓・絶食・糖尿病性ケトアシドーシス・高脂肪低糖質食。
●アラキドン酸代謝産物(エイコサノイド)=プロスタグランジン・トロンボキサン・ロイコトリエン。
選択肢ごとの解説
- ① 胆汁酸はコレステロール由来の脂質でケトン体ではない。
- ② 正しい。アセトンはケトン体の一つで、アセト酢酸の脱炭酸により生じる。
- ③ アラキドン酸は多価不飽和脂肪酸でケトン体ではない。
- ④ トロンボキサンはアラキドン酸代謝産物(エイコサノイド)でケトン体ではない。
- ⑤ 正しい。3-ヒドロキシ酪酸はケトン体の一つで、ケトーシスで増加する。
第68回 午前32(臨床化学)
代謝系と調節酵素の組合せで正しいのはどれか。
- ①解糖系 — ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ
- ②糖新生 — アセチルCoAカルボキシラーゼ
- ③脂肪酸合成 — ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
- ④クエン酸回路 — ヘキソキナーゼ
- ⑤コレステロール合成 — 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル(HMG)CoA還元酵素
正答: ⑤コレステロール合成 — 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル(HMG)CoA還元酵素
ポイント
各代謝系には反応全体の速度を決める調節酵素(律速酵素)があり、その組合せの正誤を判断する。コレステロール合成の律速酵素は3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル(HMG)CoA還元酵素で、スタチン系薬の標的でもある。解糖系はホスホフルクトキナーゼ-1、糖新生はピルビン酸カルボキシラーゼやホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、脂肪酸合成はアセチルCoAカルボキシラーゼ、クエン酸回路はクエン酸シンターゼやイソクエン酸デヒドロゲナーゼが調節を担う。
●律速酵素=解糖系:ホスホフルクトキナーゼ-1。
●糖新生:ピルビン酸カルボキシラーゼ・ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ・フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ。
●脂肪酸合成:アセチルCoAカルボキシラーゼ/コレステロール合成:HMG-CoA還元酵素/クエン酸回路:クエン酸シンターゼ。
選択肢ごとの解説
- ① 解糖系の調節酵素はホスホフルクトキナーゼ-1であり、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼではない。
- ② 糖新生の調節酵素はピルビン酸カルボキシラーゼなどで、アセチルCoAカルボキシラーゼは脂肪酸合成の酵素である。
- ③ 脂肪酸合成の調節酵素はアセチルCoAカルボキシラーゼで、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体ではない。
- ④ クエン酸回路の調節酵素はクエン酸シンターゼなどで、ヘキソキナーゼは解糖系の酵素である。
- ⑤ 正しい。HMG-CoA還元酵素はコレステロール合成の律速酵素であり、組合せは正しい。
📋 まとめの表を見る:主な代謝系の調節(律速)酵素
律速酵素は複数該当する場合もある。ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体はTCA回路(アセチルCoA生成段階)の調節酵素であり、脂肪酸合成の調節酵素ではない。
第68回 午前33(臨床化学)
ビリルビン代謝について正しいのはどれか。
- ①ウロビリンは腸肝循環する。
- ②直接ビリルビンは還元されウロビリノゲンになる。
- ③間接ビリルビンは腸内細菌により加水分解される。
- ④δビリルビンは間接ビリルビンにアルブミンが結合している。
- ⑤ヘムのポルフィリン環はヘムオキシゲナーゼによって開環される。
正答: ⑤ヘムのポルフィリン環はヘムオキシゲナーゼによって開環される。
ポイント
ヘムの分解はヘムオキシゲナーゼによるポルフィリン環の開環から始まり、ビリベルジンを経て間接(非抱合型)ビリルビンとなる。間接ビリルビンはアルブミンと結合して肝へ運ばれ、グルクロン酸抱合を受けて直接(抱合型)ビリルビンとなり胆汁中へ排泄される。腸内では抱合型ビリルビンが腸内細菌の作用で脱抱合され、非抱合型ビリルビンを経てウロビリノゲンに還元される。ウロビリノゲンの一部は腸肝循環し、酸化されたウロビリンは終末産物として排泄される。δビリルビンは直接ビリルビンがアルブミンに共有結合したものである。
●ヘム代謝の流れ=ヘム→(ヘムオキシゲナーゼ)ビリベルジン→間接ビリルビン→(グルクロン酸抱合)直接ビリルビン→(腸内で脱抱合)間接ビリルビン→(還元)ウロビリノゲン→ウロビリン/ステルコビリン。
●間接ビリルビン上昇=溶血・新生児黄疸・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群。
●直接ビリルビン上昇=閉塞性黄疸・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群。
選択肢ごとの解説
- ① 腸肝循環するのはウロビリノゲンであり、酸化された終末産物であるウロビリンではない。
- ② 抱合型(直接)ビリルビンは、腸内でまずβ-グルクロニダーゼにより脱抱合され、非抱合型ビリルビンとなってから還元されてウロビリノゲンとなる。本問では、この脱抱合の段階を区別する。
- ③ 加水分解(脱抱合)されるのは直接(抱合型)ビリルビンである。生じた間接(非抱合型)ビリルビンは還元され、ウロビリノゲンとなる。
- ④ δビリルビンは直接(抱合型)ビリルビンがアルブミンに結合したもので、間接ビリルビンではない。
- ⑤ 正しい。ヘムのポルフィリン環はヘムオキシゲナーゼにより開環され、ビリルビン生成が始まる。
第68回 午前34(臨床化学)
酵素法によるカルシウム測定に用いられるのはどれか。2つ選べ。
- ①α-アミラーゼ
- ②ヘキソキナーゼ
- ③ガラクトシダーゼ
- ④ホスホリパーゼD
- ⑤ピルビン酸キナーゼ
正答: ①α-アミラーゼ・④ホスホリパーゼD
ポイント
酵素法によるカルシウム測定は、カルシウムイオンを補因子(活性化因子)として要求する酵素の活性変化を利用する方法である。α-アミラーゼはカルシウム依存性酵素で、検体中のカルシウム量に応じた活性を指標にできる。ホスホリパーゼDもカルシウムを必要とする酵素で、共役反応により測定に用いられる。ヘキソキナーゼ・ピルビン酸キナーゼ・ガラクトシダーゼはカルシウム測定には用いない。
●カルシウムの測定法=酵素法(α-アミラーゼ法・ホスホリパーゼD法)・キレート比色法(OCPC法・アルセナゾⅢ法)・原子吸光法・イオン選択電極法。
●カルシウム依存性酵素の例=α-アミラーゼ・ホスホリパーゼ。
●補因子別の酵素=マグネシウム要求性(多くのキナーゼ)・亜鉛要求性(アルカリホスファターゼ・炭酸脱水酵素)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。α-アミラーゼはカルシウム依存性酵素で、酵素法によるカルシウム測定に用いられる。
- ② ヘキソキナーゼはグルコース測定などに用いる酵素でカルシウム測定には用いない。
- ③ ガラクトシダーゼはカルシウム測定には用いない。
- ④ 正しい。ホスホリパーゼDはカルシウムを要求する酵素で、酵素法によるカルシウム測定に用いられる。
- ⑤ ピルビン酸キナーゼはカルシウム測定には用いない。
第68回 午前35(臨床化学)
体内の鉄代謝について正しいのはどれか。
- ①健常人の総鉄量は約10 gである。
- ②鉄の1/3はヘモグロビンに含まれる。
- ③鉄はフェリチンと結合し貯蔵される。
- ④トランスフェリンは日内変動がある。
- ⑤ミオグロビンは8個の鉄分子を含む。
正答: ③鉄はフェリチンと結合し貯蔵される。
ポイント
体内総鉄量は健常成人で約3〜4gで、その約2/3はヘモグロビンに含まれる機能鉄である。貯蔵鉄はフェリチンやヘモジデリンとして肝・脾・骨髄に蓄えられ、血中ではトランスフェリンと結合して運搬される。ミオグロビンは1分子あたり1個のヘム(鉄1原子)を含む。各記述の数値・分布を比較して正誤を判断する。
●鉄の分布=機能鉄(ヘモグロビン約2/3・ミオグロビン・酵素鉄)・貯蔵鉄(フェリチン・ヘモジデリン)・運搬鉄(トランスフェリン)。
●鉄欠乏で低下=血清鉄・フェリチン・トランスフェリン飽和度(上昇=総鉄結合能)。
●鉄過剰=フェリチン上昇(ヘモクロマトーシス・輸血後鉄過剰)。
選択肢ごとの解説
- ① 健常人の総鉄量は約3〜4gであり、約10gは誤りである。
- ② 鉄の約2/3がヘモグロビンに含まれるため、1/3とするのは誤りである。
- ③ 正しい。鉄はフェリチンと結合して貯蔵鉄として蓄えられる。
- ④ トランスフェリンに顕著な日内変動があるとはいえず、この記述は適切でない。
- ⑤ ミオグロビンは1分子中にヘム1個(鉄原子1個)しかもたず、8個という記述は誤りである(ヘム4個・鉄原子4個をもつのはヘモグロビン)。
📋 まとめの表を見る:体内鉄の分布・存在形態(機能鉄・貯蔵鉄・運搬鉄)
健常成人の体内総鉄量は約3〜4g。
第68回 午前36(臨床化学)
芳香族アミノ酸はどれか。
- ①リジン
- ②アラニン
- ③チロシン
- ④システイン
- ⑤イソロイシン
正答: ③チロシン
ポイント
芳香族アミノ酸はベンゼン環など芳香環を側鎖に持つアミノ酸で、フェニルアラニン・チロシン・トリプトファンが該当する。チロシンはフェニルアラニンの水酸化により生成し、カテコールアミン・甲状腺ホルモン・メラニンの前駆体となる。リジンは塩基性、アラニンとイソロイシンは脂肪族(イソロイシンは分枝鎖)、システインは含硫アミノ酸である。
●芳香族アミノ酸=フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン。
●分枝鎖アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン。
●含硫アミノ酸=メチオニン・システイン/塩基性アミノ酸=リジン・アルギニン・ヒスチジン。
選択肢ごとの解説
- ① リジンは塩基性アミノ酸であり芳香族ではない。
- ② アラニンは側鎖がメチル基の脂肪族アミノ酸である。
- ③ 正しい。チロシンは芳香環を側鎖に持つ芳香族アミノ酸である。
- ④ システインは含硫アミノ酸であり芳香族ではない。
- ⑤ イソロイシンは分枝鎖を持つ脂肪族(分枝鎖)アミノ酸である。
第68回 午前37(臨床化学)
尿素回路について正しいのはどれか。
- ①腎臓に存在する。
- ②ATPを産生する。
- ③アンモニアを無毒化する。
- ④ピルビン酸を必要とする。
- ⑤律速酵素はアルギナーゼである。
正答: ③アンモニアを無毒化する。
ポイント
尿素回路(オルニチン回路)は主に肝臓で営まれ、有毒なアンモニアを無毒な尿素に変換して尿中へ排泄する経路である。1分子の尿素合成にATPを消費し、産生はしない。律速酵素はカルバモイルリン酸合成酵素Iで、最終段階のアルギナーゼはアルギニンから尿素とオルニチンを生じる。回路の障害は高アンモニア血症を引き起こす。
●尿素回路の酵素=カルバモイルリン酸合成酵素I(律速)・オルニチントランスカルバモイラーゼ・アルギニノコハク酸合成酵素・アルギニノコハク酸リアーゼ・アルギナーゼ。
●局在=肝臓(一部はミトコンドリアと細胞質)。
●高アンモニア血症の原因=尿素回路酵素欠損症・肝不全・門脈大循環シャント。
選択肢ごとの解説
- ① 尿素回路は主に肝臓に存在し、腎臓が主座ではない。
- ② 尿素回路はATPを消費する経路であり、産生はしない。
- ③ 正しい。尿素回路は有毒なアンモニアを尿素に変換して無毒化する。
- ④ 尿素回路はピルビン酸を直接の基質として必要としない。
- ⑤ 律速酵素はカルバモイルリン酸合成酵素Iであり、アルギナーゼではない。
第68回 午前38(臨床化学)
生化学自動分析装置の検出部に後分光方式を用いることで可能となるのはどれか。
- ①二波長法での測定
- ②終点分析法での測定
- ③速度分析法での測定
- ④紫外部吸収法での測定
- ⑤2ポイント法での測定
正答: ①二波長法での測定
ポイント
後分光方式は光源からの白色光をまず試料に通し、その後で回折格子により分光して複数の波長を同時に検出する方式である。これにより主波長と副波長を同時に測定する二波長法が可能となり、検体の濁りや干渉物質による吸光度の影響を補正できる。前分光方式では特定波長の光をあらかじめ取り出して試料に当てるため、同時多波長測定には向かない。
●分光方式=前分光(試料前で分光)・後分光(試料後で分光、多波長同時検出が可能)。
●二波長法の利点=濁度・干渉物質・気泡の影響補正。
●反応測定法=終点分析法(エンドポイント)・速度分析法(レート)・2ポイント法。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。後分光方式は複数波長を同時検出できるため、二波長法での測定が可能となる。
- ② 終点分析法は前分光方式でも実施でき、後分光方式に固有の利点ではない。
- ③ 速度分析法も前分光方式で実施可能であり、後分光に固有ではない。
- ④ 紫外部吸収法での測定自体は分光方式の前後に固有のものではない。
- ⑤ 2ポイント法は時間経過に着目した測定法で、後分光方式に固有の利点ではない。
第68回 午前39(臨床化学)
血清ナトリウムイオンの測定に使用される電極はどれか。2つ選べ。
- ①酵素電極
- ②ガラス電極
- ③バリノマイシン電極
- ④クラウンエーテル電極
- ⑤第4級アンモニウム塩電極
正答: ②ガラス電極・④クラウンエーテル電極
ポイント
血清ナトリウムイオンのイオン選択電極法では、ナトリウムに選択的な感応膜を用いる。ナトリウム感応性ガラス電極(ナトリウムガラス膜)と、クラウンエーテルを中性キャリアとする液膜電極がナトリウムを選択的に検出する。バリノマイシンはカリウム選択電極、第4級アンモニウム塩は塩化物イオンなど陰イオン選択電極に用いられ、ナトリウム測定には適さない。
●ナトリウム電極=ガラス電極・クラウンエーテル電極。
●カリウム電極=バリノマイシン電極。
●塩化物イオン電極=第4級アンモニウム塩電極・ハロゲン化銀膜電極/酵素電極=グルコース・尿素などの基質測定。
選択肢ごとの解説
- ① 酵素電極は基質を酵素反応で検出する電極でナトリウム測定には用いない。
- ② 正しい。ナトリウム感応性ガラス電極は血清ナトリウムイオンの測定に用いられる。
- ③ バリノマイシン電極はカリウムイオン選択電極であり、ナトリウム測定には用いない。
- ④ 正しい。クラウンエーテル電極はナトリウムを選択的に検出する中性キャリア型電極である。
- ⑤ 第4級アンモニウム塩電極は陰イオンの測定に用いられ、ナトリウムには適さない。
第68回 午前40(臨床化学)
血清中の総コレステロール値が225 mg/dL、HDL-コレステロール値が45 mg/dL、トリグリセライド値が250 mg/dLであった。Friedewald式によるLDL-コレステロール値はどれか。
- ①55 mg/dL
- ②97 mg/dL
- ③130 mg/dL
- ④155 mg/dL
- ⑤180 mg/dL
正答: ③130 mg/dL
ポイント
Friedewald式はLDL-コレステロール=総コレステロール−HDL-コレステロール−トリグリセライド/5で算出され、トリグリセライド/5はVLDL-コレステロールの推定値に相当する。本例では225−45−250/5=225−45−50=130mg/dLとなる。この式はトリグリセライドが400mg/dL以上では誤差が大きくなり適用できない。
●Friedewald式=LDL-C=TC−HDL-C−TG/5(mg/dL単位)。
●適用外=TG 400mg/dL以上・カイロミクロン血症・Ⅲ型高脂血症。
●代替=直接法(直接測定LDL-C)・non-HDLコレステロール(TC−HDL-C)。
選択肢ごとの解説
- ① 55mg/dLは計算が合わず誤りである。
- ② 97mg/dLは計算が合わず誤りである。
- ③ 正しい。225−45−250/5=130mg/dLがFriedewald式によるLDL-コレステロール値である。
- ④ 155mg/dLは計算が合わず誤りである。
- ⑤ 180mg/dLは計算が合わず誤りである。
第68回 午前41(臨床化学)
DNAを含む細胞内小器官はどれか。
- ①小胞体
- ②ゴルジ体
- ③リボソーム
- ④ミトコンドリア
- ⑤ペルオキシソーム
正答: ④ミトコンドリア
ポイント
ミトコンドリアは核とは別に独自の環状DNA(ミトコンドリアDNA)を持つ細胞内小器官で、母系遺伝する。内膜の電子伝達系による酸化的リン酸化でATPを産生する。小胞体・ゴルジ体・リボソーム・ペルオキシソームはDNAを含まない。ミトコンドリアDNAの変異はミトコンドリア病(MELAS・MERRFなど)の原因となる。
●DNAを含む構造=核・ミトコンドリア(細胞では)/植物では葉緑体も。
●ミトコンドリアの機能=酸化的リン酸化・クエン酸回路・β酸化・アポトーシス制御。
●DNAを含まない小器官=小胞体・ゴルジ体・リボソーム・ペルオキシソーム・リソソーム。
選択肢ごとの解説
- ① 小胞体は蛋白質合成や脂質代謝に関わるがDNAは含まない。
- ② ゴルジ体は蛋白質の修飾・選別を行う器官でDNAを含まない。
- ③ リボソームは蛋白質合成の場でDNAは含まない。
- ④ 正しい。ミトコンドリアは独自の環状DNAを持つ細胞内小器官である。
- ⑤ ペルオキシソームは過酸化物の代謝を行う器官でDNAを含まない。
第68回 午前42(臨床化学)
肝合成能の評価に用いられるのはどれか。
- ①ICG試験
- ②血清ALT値
- ③血清ビリルビン値
- ④血中アンモニア値
- ⑤プロトロンビン時間
正答: ⑤プロトロンビン時間
ポイント
凝固因子の多く(フィブリノゲン、プロトロンビン、第Ⅴ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子など)は肝臓で合成されるため、プロトロンビン時間は肝の蛋白合成能を鋭敏に反映する。とくに半減期の短い第Ⅶ因子の低下を早期に捉えられ、劇症肝炎や肝不全の重症度評価に用いられる。ICG試験は色素排泄能・肝血流、ALTは肝細胞障害、ビリルビンは排泄能、アンモニアは解毒能を反映するもので、合成能の直接指標ではない。
●肝合成能の指標=プロトロンビン時間・アルブミン・コリンエステラーゼ・総コレステロール。
●肝細胞障害の指標=AST・ALT・LD。
●胆道系・排泄能=ALP・γ-GT・ビリルビン・ICG試験/解毒能=血中アンモニア。
選択肢ごとの解説
- ① ICG試験は肝の色素排泄能・血流を評価するもので、合成能の指標ではない。
- ② 血清ALT値は肝細胞障害の指標であり、合成能の指標ではない。
- ③ 血清ビリルビン値は排泄能や代謝を反映し、合成能の直接指標ではない。
- ④ 血中アンモニア値は肝の解毒能を反映し、合成能の指標ではない。
- ⑤ 正しい。プロトロンビン時間は肝で合成される凝固因子を反映し、肝合成能の評価に用いられる。
第68回 午前43(臨床化学)
消化管から分泌されないのはどれか。
- ①ガストリン
- ②セクレチン
- ③インクレチン
- ④カルシトニン
- ⑤コレシストキニン
正答: ④カルシトニン
ポイント
カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)から分泌されるホルモンで、破骨細胞を抑制して血中カルシウムを低下させる。消化管からは分泌されない。ガストリンは胃のG細胞、セクレチンとコレシストキニンは十二指腸、インクレチン(GIP・GLP-1)も消化管から分泌される消化管ホルモンである。各ホルモンの分泌部位を区別して判断する。
●消化管ホルモン=ガストリン(胃G細胞)・セクレチン・コレシストキニン・GIP・GLP-1(インクレチン)・モチリン・ソマトスタチン。
●カルシウム調節ホルモン=副甲状腺ホルモン(上昇)・カルシトニン(C細胞、低下)・活性型ビタミンD。
●インクレチンの作用=食後のインスリン分泌促進・グルカゴン抑制。
選択肢ごとの解説
- ① ガストリンは胃のG細胞から分泌される消化管ホルモンである。
- ② セクレチンは十二指腸から分泌される消化管ホルモンである。
- ③ インクレチン(GIP・GLP-1)は消化管から分泌されインスリン分泌を促す。
- ④ 誤り。カルシトニンは甲状腺C細胞から分泌され、消化管からは分泌されない。
- ⑤ コレシストキニンは十二指腸から分泌される消化管ホルモンである。
第68回 午前44(臨床化学)
Michaelis定数(Km)について正しいのはどれか。
- ①測定pHの変化に影響されない。
- ②アイソザイム間では差異がない。
- ③大きいほど酵素と基質の親和性が高い。
- ④競合阻害物質の存在下では大きくなる。
- ⑤最大反応速度(Vmax)の半分の速度である。
正答: ④競合阻害物質の存在下では大きくなる。
ポイント
Michaelis定数Kmは反応速度が最大反応速度Vmaxの半分となるときの基質濃度で、酵素と基質の親和性を反映し、Kmが小さいほど親和性が高い。競合阻害では阻害物質が基質と活性部位を奪い合うため、見かけのKmが大きくなる一方Vmaxは変化しない。KmはpH・温度・アイソザイムの種類によって変わる酵素固有の値である。
●酵素阻害の様式=競合阻害(見かけKm増加・Vmax不変)・非競合阻害(Km不変・Vmax低下)・不競合阻害(Km・Vmaxともに低下)。
●Lineweaver-Burkプロット=1/v対1/[S]の直線、x切片=−1/Km、y切片=1/Vmax。
●Kmに影響する因子=pH・温度・アイソザイム。
選択肢ごとの解説
- ① Kmは測定pHの変化により影響を受けるため、影響されないとするのは誤りである。
- ② Kmはアイソザイム間で異なるため、差異がないとする記述は誤りである。
- ③ Kmが大きいほど親和性は低いため、高いとする記述は誤りである。
- ④ 正しい。競合阻害物質の存在下では見かけのKmが大きくなる。
- ⑤ Kmは反応速度がVmaxの半分になるときの基質濃度であり、速度そのものではないため記述として正答ではない。
第68回 午前45(病理組織細胞学)
褐色萎縮で沈着するのはどれか。
- ①脂肪
- ②メラニン
- ③アミロイド
- ④グリコーゲン
- ⑤リポフスチン
正答: ⑤リポフスチン
ポイント
褐色萎縮は心臓や肝臓などで加齢や消耗に伴いリポフスチン(消耗色素)が細胞質に沈着し、臓器が褐色を帯びて萎縮する現象である。リポフスチンは脂質の過酸化により生じる残渣で、長寿命の心筋細胞や肝細胞、神経細胞に蓄積する。メラニンは色素細胞由来、アミロイドは異常蛋白の沈着、グリコーゲンは糖原で、いずれも褐色萎縮の本態ではない。
●褐色萎縮の沈着物=リポフスチン(消耗色素・脂褐素)。
●内因性色素=メラニン・ヘモジデリン・ビリルビン・リポフスチン。
●萎縮の種類=生理的萎縮・廃用萎縮・圧迫萎縮・神経性萎縮・内分泌性萎縮。
選択肢ごとの解説
- ① 脂肪の沈着は脂肪変性であり、褐色萎縮の本態ではない。
- ② メラニンは色素細胞由来の色素で褐色萎縮には関与しない。
- ③ アミロイドは異常蛋白の沈着で、褐色萎縮とは異なる。
- ④ グリコーゲンは糖原の蓄積で、褐色萎縮の沈着物ではない。
- ⑤ 正しい。褐色萎縮ではリポフスチンが沈着し臓器が褐色を呈する。
第68回 午前46(病理組織細胞学)
術中迅速診断における標本作製で使用するのはどれか。
- ①固定液
- ②スクロース
- ③パラフィン
- ④水溶性封入剤
- ⑤ユング型ミクロトーム
正答: ①固定液
ポイント
術中迅速診断では凍結切片を用い、検体を凍結包埋剤に包んでクリオスタットで薄切し、固定・染色して短時間で診断する。短時間処理であっても標本作製には固定液による迅速固定が用いられる。パラフィン包埋やユング型ミクロトームによる薄切、水溶性封入剤は通常の永久標本作製で用いる工程であり、凍結切片には該当しない。
●凍結切片の工程=凍結包埋剤による包埋・クリオスタット薄切・固定液による固定・迅速染色(ヘマトキシリン・エオジンなど)。
●永久標本の工程=ホルマリン固定・脱水・パラフィン包埋・ミクロトーム薄切・染色・封入。
●術中迅速診断の目的=病変の良悪性判定・断端評価・転移の有無の確認。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。術中迅速診断の凍結切片作製では固定液を用いて迅速に固定する。
- ② スクロースは主に電子顕微鏡用や凍結保護に用いるもので、術中迅速の標準工程ではない。
- ③ パラフィンは永久標本のパラフィン包埋で用い、凍結切片では用いない。
- ④ 水溶性封入剤は術中迅速診断の標本作製に必須の工程ではない。
- ⑤ ユング型ミクロトームはパラフィン切片の薄切に用い、凍結切片ではクリオスタットを用いる。
第68回 午前47(病理組織細胞学)
腎組織の未固定凍結切片を用いた免疫組織化学染色を別に示す。この染色法について正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA047.df67eb8490.jpg

- ①加熱処理を行う。
- ②発色反応操作を行う。
- ③偏光顕微鏡で観察する。
- ④内因性ペルオキシダーゼをブロックする。
- ⑤フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗体を使用する。
正答: ⑤フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗体を使用する。
ポイント
腎組織の未固定凍結切片を用いる免疫染色は蛍光抗体直接法(直接蛍光抗体法)で、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)などの蛍光色素で標識した抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で観察する。糸球体へのIgG・IgA・補体(C3など)の沈着パターンの評価に用いられる。加熱処理(抗原賦活)・発色反応・内因性ペルオキシダーゼのブロックは酵素抗体法で行う操作であり、蛍光抗体法では行わない。
●蛍光抗体法の標識=FITC・ローダミン(観察は蛍光顕微鏡)。
●酵素抗体法の操作=抗原賦活(加熱)・内因性ペルオキシダーゼブロック・発色反応(DABなど)。
●腎生検の蛍光抗体法所見=IgA腎症(メサンギウムIgA)・膜性腎症(顆粒状IgG)・抗糸球体基底膜抗体病(線状IgG)。
選択肢ごとの解説
- ① 加熱処理(抗原賦活)はパラフィン切片の酵素抗体法で行う操作で、本法では不要である。
- ② 発色反応操作は酵素抗体法で行うもので、蛍光抗体法では行わない。
- ③ 観察は蛍光顕微鏡で行い、偏光顕微鏡ではない。
- ④ 内因性ペルオキシダーゼのブロックは酵素抗体法で行う操作である。
- ⑤ 正しい。FITC標識抗体を用い蛍光顕微鏡で観察する蛍光抗体直接法である。
第68回 午前48(病理組織細胞学)
電子顕微鏡標本作製で透過型と走査型に共通するのはどれか。
- ①二重固定
- ②樹脂包埋
- ③超薄切
- ④酢酸ウラン染色
- ⑤金属イオン蒸着
正答: ①二重固定
ポイント
電子顕微鏡標本作製では、グルタルアルデヒドによる前固定とオスミウム酸による後固定の二重固定が、透過型・走査型に共通する基本操作である。超薄切・樹脂包埋・酢酸ウラン染色は透過型に特有、金属イオン蒸着(金などのスパッタコーティング)は走査型に特有の処理である。共通工程と各型固有の工程を区別して判断する。
●共通工程=二重固定(グルタルアルデヒド前固定+オスミウム酸後固定)・脱水。
●透過型に特有=樹脂包埋・超薄切(ウルトラミクロトーム)・電子染色(酢酸ウラン・クエン酸鉛)。
●走査型に特有=臨界点乾燥・金属蒸着(スパッタコーティング)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。二重固定はグルタルアルデヒドとオスミウム酸による固定で、透過型・走査型に共通する。
- ② 樹脂包埋は超薄切のために透過型で行う処理である。
- ③ 超薄切は透過型に特有の処理である。
- ④ 酢酸ウラン染色は透過型の電子染色である。
- ⑤ 金属イオン蒸着は走査型に特有の表面処理である。
第68回 午前49(病理組織細胞学)
後腹膜臓器はどれか。2つ選べ。
正答: ③膵臓・④腎臓
ポイント
後腹膜臓器は腹膜の後方に位置し前面のみが腹膜に覆われる臓器で、膵臓(尾部を除く大部分)、腎臓、副腎、尿管、十二指腸の大部分、腹部大動脈・下大静脈などが該当する。胃・肝臓・子宮体部は腹膜に広く覆われた腹腔内臓器である。臓器の位置関係は手術や画像診断の理解に重要である。
●後腹膜臓器=腎臓・副腎・尿管・膵臓(大部分)・十二指腸(大部分)・腹部大動脈・下大静脈。
●腹腔内臓器(腹膜内)=胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・肝臓・脾臓・子宮。
●腹膜の構造=壁側腹膜・臓側腹膜・腸間膜・大網。
選択肢ごとの解説
- ① 胃は腹膜に広く覆われた腹腔内臓器であり、後腹膜臓器ではない。
- ② 肝臓は腹膜に覆われた腹腔内臓器である。
- ③ 正しい。膵臓は大部分が後腹膜に位置する後腹膜臓器である。
- ④ 正しい。腎臓は後腹膜腔に位置する後腹膜臓器である。
- ⑤ 子宮体部は骨盤腔の腹膜に覆われた臓器であり、後腹膜臓器ではない。
第68回 午前50(病理組織細胞学)
ヒトの生殖細胞の分裂について誤っているのはどれか。
- ①精子・卵子を作るために2回の分裂が必要である。
- ②第一分裂の開始時にDNAを複製する。
- ③第一分裂では染色体の一部に組換えが生じる。
- ④1個の卵母細胞から4個の卵子が生じる。
- ⑤生じた精子・卵子は23本の染色体を含む。
正答: ②第一分裂の開始時にDNAを複製する。・④1個の卵母細胞から4個の卵子が生じる。
ポイント
減数分裂では分裂開始前の間期(第一分裂前期に先立つS期)に一度だけDNAが複製され、その後2回の連続した分裂(第一・第二減数分裂)を経て染色体数が半減した配偶子が作られる。卵形成では1個の一次卵母細胞から1個の卵子と複数の極体が生じ、4個の卵子はできない。第一分裂では相同染色体間で組換え(交叉)が起こり、生じた配偶子は半数のn=23本の染色体を持つ。
●減数分裂の要点=DNA複製は分裂前の間期で1回・2回の連続分裂・染色体数半減・相同染色体の組換え。
●精子形成=1個の一次精母細胞から4個の精子。
●卵形成=1個の一次卵母細胞から1個の卵子+極体(第一極体・第二極体)。
選択肢ごとの解説
- ① 精子・卵子を作るのに2回の分裂が必要という記述は減数分裂として正しい。
- ② 誤り。DNA複製は第一分裂の前の間期に行われ、第一分裂の開始時に複製するという記述は誤りである。
- ③ 第一分裂で相同染色体間に組換え(交叉)が生じるという記述は正しい。
- ④ 誤り。1個の卵母細胞からは1個の卵子と極体が生じるため、4個の卵子が生じるという記述は誤りである。
- ⑤ 生じた精子・卵子が半数のn=23本の染色体を含むという記述は正しい。