第68回(2022) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第68回 午前51(病理組織細胞学)
アポトーシスについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①細胞膜の破裂を伴う。
- ②ATPを必要としない。
- ③クロマチンが濃縮する。
- ④高度の炎症を惹起する。
- ⑤DNAはヌクレオソーム単位で切断される。
正答: ③クロマチンが濃縮する。・⑤DNAはヌクレオソーム単位で切断される。
ポイント
アポトーシスは遺伝子に制御されたプログラム細胞死で、ATPを消費する能動的過程である。カスパーゼの活性化を受けてエンドヌクレアーゼがDNAをヌクレオソーム単位(約180塩基対の倍数)で切断し、クロマチンは核膜直下に凝集・濃縮(核濃縮)したのち核が断片化する。細胞は縮小してアポトーシス小体に分割され、細胞膜の連続性を保ったままマクロファージに貪食されるため、細胞内容が漏出するネクローシス(壊死)と異なり炎症をほとんど惹起しない。
●アポトーシスの特徴=細胞縮小・核濃縮・DNAラダー・アポトーシス小体・炎症なし・ATP依存。
●ネクローシスの特徴=細胞膨化・細胞膜破裂・内容物漏出・高度の炎症・ATP非依存(受動的)。
●関連分子=カスパーゼ・Bcl-2ファミリー・Fas/FasL・チトクロムc・p53。
選択肢ごとの解説
- ① 細胞膜の破裂を伴うのはネクローシス(壊死)であり、アポトーシスでは細胞膜の連続性が保たれたままアポトーシス小体に分割される。
- ② アポトーシスはATPを消費する能動的な過程であり、エネルギー非依存で受動的に進むのは虚血などによるネクローシスである。
- ③ 正しい。アポトーシスではクロマチンが核膜直下に凝集して濃縮(核濃縮)し、続いて核が断片化する。
- ④ 高度の炎症を惹起するのはネクローシスであり、アポトーシス小体は速やかに貪食されるため炎症はほとんど起こらない。
- ⑤ 正しい。エンドヌクレアーゼによりDNAがヌクレオソーム単位で切断され、電気泳動でラダー(はしご状)パターンを示す。
第68回 午前52(病理組織細胞学)
病理組織学的検査で推奨される固定液はどれか。
- ①10%中性ホルマリン液
- ②10%等張ホルマリン液
- ③10%中性緩衝ホルマリン液
- ④2%グルタルアルデヒド液
- ⑤4%パラホルムアルデヒド液
正答: ③10%中性緩衝ホルマリン液
ポイント
病理組織標本では蛋白を架橋して組織構造を保持する固定が必要で、ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)が最も広く用いられる。長期保存や免疫染色・分子検査での安定性を確保するため、リン酸緩衝液で中性付近(pH7前後)に調整した10%中性緩衝ホルマリン液が標準的に推奨される。緩衝化していないホルマリンは保存中に酸性化してホルマリン色素を生じやすく、抗原性も損ないやすい。
●固定液の種類=アルデヒド系(ホルマリン・グルタルアルデヒド・パラホルムアルデヒド)・アルコール系(メタノール・エタノール)・酸化剤系。
●用途別=光学顕微鏡=10%中性緩衝ホルマリン、電子顕微鏡=グルタルアルデヒド+四酸化オスミウム、免疫・分子=中性緩衝ホルマリンまたはパラホルムアルデヒド。
●固定不良の所見=ホルマリン色素・自己融解・乾燥アーチファクト。
選択肢ごとの解説
- ① 10%中性ホルマリン液は緩衝作用がなく、保存中に酸性化してホルマリン色素を生じやすいため標準とされない。
- ② 10%等張ホルマリン液は浸透圧を調整したものだが、pHを安定に保つ緩衝作用がなく標準とはされない。
- ③ 正しい。10%中性緩衝ホルマリン液は組織保存性に優れ、免疫染色や分子検査にも適するため病理組織学的検査の標準固定液である。
- ④ 2%グルタルアルデヒド液は電子顕微鏡用の微細構造固定に用いられ、浸透が遅く光学顕微鏡の通常検査には不向きである。
- ⑤ 4%パラホルムアルデヒド液は免疫組織化学や凍結切片などの特殊用途に用いられ、日常の病理組織検査の標準固定液ではない。
第68回 午前53(病理組織細胞学)
中皮に覆われている腔はどれか。2つ選べ。
正答: ②胸腔・③心膜腔
ポイント
中皮は胸膜・腹膜・心膜などの漿膜表面を覆う単層扁平上皮で、漿液を分泌して臓器の摩擦を減らす。これらが包む体腔(胸腔・腹腔・心膜腔)は漿膜腔であり、表面は中皮細胞に覆われる。一方、関節腔の内面は滑膜、肺胞腔は肺胞上皮、鼻腔は呼吸上皮で内張りされ、いずれも中皮ではない。
●中皮(漿膜)で覆われる腔=胸腔・腹腔・心膜腔。
●滑膜で覆われる腔=関節腔・腱鞘・滑液包。
●呼吸上皮など別組織で覆われる腔=鼻腔・気管・肺胞腔(肺胞上皮Ⅰ型・Ⅱ型)。
●中皮由来腫瘍=中皮腫(アスベスト曝露と関連)。
選択肢ごとの解説
- ① 関節腔の内面は滑膜(滑膜細胞)で覆われており、中皮ではない。
- ② 正しい。胸腔は漿膜である胸膜に包まれ、その表面は中皮細胞で覆われている。
- ③ 正しい。心膜腔は心膜(漿膜)に包まれ、その表面は中皮細胞で覆われている。
- ④ 肺胞腔はⅠ型・Ⅱ型肺胞上皮細胞で覆われ、中皮ではない。
- ⑤ 鼻腔は多列線毛上皮などの呼吸上皮や嗅上皮で覆われ、中皮ではない。
第68回 午前54(病理組織細胞学)
虚血性心疾患はどれか。2つ選べ。
- ①狭心症
- ②心筋梗塞
- ③心内膜炎
- ④肥大型心筋症
- ⑤心室中隔欠損症
正答: ①狭心症・②心筋梗塞
ポイント
虚血性心疾患は冠動脈の狭窄・閉塞による心筋への血流(酸素)供給不足で生じる病態である。需要に供給が追いつかず一過性に虚血を生じるのが狭心症、冠動脈閉塞により心筋が壊死するのが心筋梗塞で、いずれも代表的な虚血性心疾患である。心内膜炎は感染や炎症、肥大型心筋症は心筋自体の異常、心室中隔欠損症は先天性の構造異常で、虚血が一次病態ではない。
●虚血性心疾患=狭心症(労作性・異型)・心筋梗塞・虚血性心筋症。
●炎症性=感染性心内膜炎・心筋炎・心膜炎。
●心筋症=肥大型・拡張型・拘束型・不整脈原性右室心筋症。
●先天性心疾患=心室中隔欠損症・心房中隔欠損症・Fallot四徴症・動脈管開存症。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。狭心症は冠動脈狭窄により一過性に心筋虚血を生じる虚血性心疾患である。
- ② 正しい。心筋梗塞は冠動脈の閉塞により心筋が壊死する虚血性心疾患である。
- ③ 心内膜炎は心内膜・心臓弁の感染や炎症であり、虚血性心疾患ではない。
- ④ 肥大型心筋症は心筋自体の肥大を来す心筋症であり、冠動脈虚血を一次病態としない。
- ⑤ 心室中隔欠損症は左右心室間の壁に欠損がある先天性心疾患であり、虚血性心疾患ではない。
第68回 午前55(病理組織細胞学)
T細胞性リンパ腫はどれか。
- ①菌状息肉腫
- ②濾胞性リンパ腫
- ③Burkittリンパ腫
- ④Hodgkinリンパ腫
- ⑤マントル細胞リンパ腫
正答: ①菌状息肉腫
ポイント
菌状息肉症(菌状息肉腫)は皮膚を主座とする成熟T細胞性リンパ腫で、表皮向性を示すヘルパーT細胞が腫瘍化したものである。表皮内に腫瘍細胞が集簇するPautrier微小膿瘍を特徴とする。これに対し濾胞性リンパ腫・Burkittリンパ腫・マントル細胞リンパ腫はいずれもB細胞性リンパ腫で、Hodgkinリンパ腫はReed-Sternberg細胞を特徴とし通常B細胞由来とされる。
●T細胞性リンパ腫=菌状息肉症(皮膚T細胞リンパ腫)・成人T細胞白血病リンパ腫・末梢性T細胞リンパ腫・血管免疫芽球性T細胞リンパ腫。
●B細胞性リンパ腫=濾胞性(BCL2)・Burkitt(MYC)・マントル細胞(cyclin D1)・びまん性大細胞型・MALTリンパ腫。
●Hodgkinリンパ腫=Reed-Sternberg細胞(CD15・CD30陽性)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。菌状息肉症は皮膚に生じる代表的なT細胞性リンパ腫(皮膚T細胞リンパ腫)である。
- ② 濾胞性リンパ腫はt(14;18)によるBCL2過剰発現を伴うB細胞性リンパ腫である。
- ③ Burkittリンパ腫はMYC転座を伴うB細胞性リンパ腫である。
- ④ Hodgkinリンパ腫はReed-Sternberg細胞を特徴とし、通常B細胞由来とされT細胞性ではない。
- ⑤ マントル細胞リンパ腫はt(11;14)によるcyclin D1過剰発現を伴うB細胞性リンパ腫である。
📋 まとめの表を見る:悪性リンパ腫の分類とわが国での頻度
第68回 午前56(病理組織細胞学)
膠原線維の染色に用いられる染色法はどれか。2つ選べ。
- ①PAS反応
- ②azan染色
- ③Feulgen反応
- ④mucicarmine染色
- ⑤Masson trichrome染色
正答: ②azan染色・⑤Masson trichrome染色
ポイント
膠原線維(コラーゲン線維)を染め分ける代表的な染色は結合組織染色で、azan染色では膠原線維が青色に、Masson trichrome染色では青または緑に染まる。いずれも線維化の評価や腫瘍間質の観察に用いられる。PAS反応は多糖類や基底膜、Feulgen反応はDNA、mucicarmine染色は上皮性粘液を対象とし、膠原線維の特異的染色ではない。
●膠原線維(結合組織)染色=azan染色・Masson trichrome染色・van Gieson染色。
●弾性線維染色=Elastica van Gieson・Weigert染色。
●多糖・粘液染色=PAS反応・Alcian blue・mucicarmine染色。
●核酸染色=Feulgen反応(DNA)・メチルグリーンピロニン(RNA)。
選択肢ごとの解説
- ① PAS反応は糖原・中性粘液多糖・基底膜などを赤紫に染める反応で、膠原線維の染色法ではない。
- ② 正しい。azan染色は膠原線維を青色に染め分ける代表的な結合組織染色である。
- ③ Feulgen反応はDNAを特異的に染める核染色であり、膠原線維は染めない。
- ④ mucicarmine染色は上皮性(酸性)粘液を赤色に染める染色で、膠原線維の染色法ではない。
- ⑤ 正しい。Masson trichrome染色は膠原線維を青または緑に染め分ける代表的な結合組織染色である。
第68回 午前57(病理組織細胞学)
病理解剖の感染対策で誤っているのはどれか。
- ①陽圧式空調
- ②エプロンの着用
- ③使用器具の滅菌
- ④入室前の手袋着用
- ⑤感染症の既往の確認
正答: ①陽圧式空調
ポイント
病理解剖では結核などの感染性病原体への曝露対策が重要で、解剖室は周囲への汚染拡散を防ぐため陰圧式空調とし、室外への空気の流出を抑える。手袋・エプロン・マスクなどの個人防護具着用、使用器具の滅菌、感染症既往の確認はいずれも標準的な感染対策である。陽圧式空調は無菌を保つべきクリーンルームで用いるものであり、解剖室には不適である。
●空調の使い分け=陰圧=結核病室・解剖室・隔離室(汚染拡散防止)、陽圧=手術室・無菌室(外部汚染の侵入防止)。
●標準予防策=手袋・マスク・ガウン(エプロン)・ゴーグル・手指衛生。
●感染経路別予防策=接触・飛沫・空気感染予防策。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。陽圧式空調は室内の空気が外へ流出して汚染を拡散させるため不適で、解剖室では陰圧式空調が正しい。
- ② エプロンの着用は体液曝露を防ぐ標準的な感染対策であり、正しい措置である。
- ③ 使用器具の滅菌は病原体の伝播を防ぐ標準的な感染対策であり、正しい措置である。
- ④ 入室前の手袋着用は接触感染を防ぐ標準的な感染対策であり、正しい措置である。
- ⑤ 感染症の既往の確認は曝露リスク評価に必要な標準的な感染対策であり、正しい措置である。
第68回 午前58(病理組織細胞学)
子宮頸部擦過細胞診検査のPapanicolaou染色標本を別に示す。この細胞に関連の深い病原体はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA058.423025bc79.jpg

- ①カンジダ
- ②ガードネレラ菌
- ③トリコモナス原虫
- ④単純ヘルペスウイルス
- ⑤ヒトパピローマウイルス
正答: ⑤ヒトパピローマウイルス
ポイント
子宮頸部細胞診で観察される核周囲明庭(コイロサイトーシス)は、核周囲が広く空胞化し核が腫大・濃染して異型を示す細胞変化で、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に特徴的である。高リスク型HPVの持続感染は子宮頸部上皮内病変から子宮頸癌へ進展する原因となる。コイロサイトはこの感染を示す細胞学的指標である。
●細胞診で病原体を示唆する所見=コイロサイト→ヒトパピローマウイルス、すりガラス状核・多核巨細胞→単純ヘルペスウイルス、巨細胞化・明瞭な核内封入体(owl's eye)→サイトメガロウイルス。
●腟内菌叢の所見=clue cell→ガードネレラ(細菌性腟症)、仮性菌糸→カンジダ、洋ナシ形原虫→トリコモナス。
●HPV関連=尖圭コンジローマ・子宮頸部異形成・子宮頸癌(扁平上皮癌)。
選択肢ごとの解説
- ① カンジダは仮性菌糸や分芽胞子として観察され、コイロサイトのような核周囲明庭は示さない。
- ② ガードネレラ菌は扁平上皮に小桿菌が付着したclue cellとして観察され、本所見とは異なる。
- ③ トリコモナス原虫は洋ナシ形の原虫として観察され、本所見の原因ではない。
- ④ 単純ヘルペスウイルスは多核巨細胞やすりガラス状の核内封入体を示し、コイロサイトーシスとは異なる。
- ⑤ 正しい。核周囲明庭を示すコイロサイトはヒトパピローマウイルス感染に特徴的な細胞所見である。
📋 まとめの表を見る:細胞診における病原体感染の細胞像(子宮頸部等)
第68回 午前59(臨床血液学)
末梢血で過分葉核好中球がみられる場合に検査すべき項目はどれか。
正答: ③葉酸
ポイント
末梢血で好中球の核分葉が過剰になる過分葉核好中球(分葉5葉以上が増加)は、ビタミンB₁₂または葉酸の欠乏による巨赤芽球性貧血を示唆する所見である。これらはDNA合成に必要で、欠乏すると核成熟が遅れて過分葉や赤血球の大球性を生じる。したがって葉酸(およびビタミンB₁₂)の測定が必要となる。
●巨赤芽球性貧血=ビタミンB₁₂欠乏(悪性貧血・胃切除)・葉酸欠乏(摂取不足・妊娠・アルコール)。所見=大球性・過分葉核好中球・LD上昇・間接ビリルビン上昇。
●小球性貧血=鉄欠乏(鉄・フェリチン低下)・サラセミア・鉄芽球性貧血。
●鉛中毒=好塩基性斑点(赤血球)。
選択肢ごとの解説
- ① 鉄は鉄欠乏性貧血の評価項目で小球性低色素性貧血を来すが、過分葉核好中球とは関連しない。
- ② 鉛は鉛中毒で好塩基性斑点を伴う貧血を来すが、過分葉核好中球の原因ではない。
- ③ 正しい。葉酸欠乏はDNA合成障害による巨赤芽球性貧血を来し過分葉核好中球の原因となるため、検査すべき項目である。
- ④ フェリチンは体内貯蔵鉄の指標で鉄欠乏の評価に用いられ、過分葉核好中球とは関連しない。
- ⑤ エリスロポエチンは赤血球産生を促すホルモンで、過分葉核好中球の原因評価には用いない。
第68回 午前60(臨床血液学)
疾患と診断に用いる細胞表面マーカーとの組合せで誤っているのはどれか。
- ①多発性骨髄腫 — CD38
- ②急性骨髄性白血病 — CD33
- ③急性リンパ性白血病 — CD10
- ④慢性リンパ性白血病 — CD3
- ⑤成人T細胞白血病リンパ腫 — CD25
正答: ④慢性リンパ性白血病 — CD3
ポイント
細胞表面マーカー(CD抗原)はフローサイトメトリーで白血病・リンパ腫を鑑別するのに用いる。慢性リンパ性白血病はB細胞性が大半でCD19・CD20・CD5・CD23を発現し、T細胞系のマーカーであるCD3は本来発現しない。各疾患は系統や成熟度を反映するマーカーの組合せで特徴づけられる。
●骨髄系=CD13・CD33(急性骨髄性白血病)、形質細胞=CD38・CD138(多発性骨髄腫)。
●B細胞系=CD19・CD20、前駆B(急性リンパ性白血病)=CD10(CALLA)、慢性リンパ性白血病=CD5・CD23陽性。
●T細胞系=CD2・CD3・CD5・CD7、成人T細胞白血病リンパ腫=CD4・CD25陽性。
選択肢ごとの解説
- ① 多発性骨髄腫は形質細胞の腫瘍でCD38を強く発現するため、正しい組合せである。
- ② 急性骨髄性白血病は骨髄系マーカーであるCD33を発現することが多く、正しい組合せである。
- ③ 急性リンパ性白血病(B前駆細胞型)はCD10(CALLA)を発現することが多く、正しい組合せである。
- ④ 誤り。慢性リンパ性白血病はB細胞性が主でCD19・CD5・CD23などを発現し、T細胞マーカーのCD3は発現しないため誤った組合せである。
- ⑤ 成人T細胞白血病リンパ腫は制御性T細胞様の性格をもちCD25(インターロイキン2受容体α鎖)を発現するため、正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:主な白血病・骨髄腫の細胞表面マーカー(CD抗原)パターン
CD5は本来T細胞抗原だが、CLLでは腫瘍性B細胞に共発現する。軽鎖(κ/λ)の偏り(軽鎖制限)もB細胞腫瘍性増殖の指標となる。
第68回 午前61(臨床血液学)
クロスミキシング試験の結果を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA061.ed5bba6cf8.jpg

- ①肝不全
- ②後天性血友病A
- ③ワルファリン服用
- ④von Willebrand病
- ⑤播種性血管内凝固(DIC)
正答: ②後天性血友病A
ポイント
クロスミキシング試験は患者血漿と正常血漿を混合して凝固時間の補正の有無をみる検査で、凝固因子欠乏では補正され(下に凸)、インヒビター(凝固因子に対する抗体)では補正されない(上に凸)。後天性血友病Aは第Ⅷ因子に対する自己抗体により、即時混合では延長が残り、さらに加温(37℃・2時間)後により延長が強まる時間依存性を示すのが特徴である。補正されないパターンはインヒビターの存在を示す。
●補正される(欠乏型)=肝不全・ワルファリン服用・von Willebrand病・播種性血管内凝固・血友病。
●補正されない(インヒビター型)=後天性血友病A(第Ⅷ因子インヒビター)・ループスアンチコアグラント。
●時間依存性インヒビター=第Ⅷ因子インヒビター(後天性血友病A)。
選択肢ごとの解説
- ① 肝不全では凝固因子の産生低下による欠乏型で、正常血漿混合により補正されるため本パターンに合わない。
- ② 正しい。後天性血友病Aは第Ⅷ因子インヒビターによりクロスミキシング試験で補正されず、時間依存性を示す。
- ③ ワルファリン服用はビタミンK依存性凝固因子の低下による欠乏型で、混合により補正される。
- ④ von Willebrand病はvon Willebrand因子・第Ⅷ因子の欠乏型で、混合により補正される。
- ⑤ 播種性血管内凝固(DIC)は凝固因子の消費による欠乏が主体で、混合により補正される傾向にある。
📋 まとめの表を見る:クロスミキシング試験の判定パターン
後天性血友病Aでは混和直後よりも37℃・2時間後の遅延反応でさらに上に凸となる(時間依存性)。
第68回 午前62(臨床血液学)
Bリンパ球で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①胸腺で成熟する。
- ②CD 13を発現する。
- ③IL-6が機能を抑制する。
- ④抗体産生細胞に分化する。
- ⑤健常成人の末梢血ではTリンパ球よりも少ない。
正答: ④抗体産生細胞に分化する。・⑤健常成人の末梢血ではTリンパ球よりも少ない。
ポイント
Bリンパ球は骨髄で成熟し、抗原刺激により形質細胞へ分化して抗体(免疫グロブリン)を産生する液性免疫の中心的細胞である。CD19・CD20などのB細胞マーカーを発現し、インターロイキン6はむしろ形質細胞への分化や抗体産生を促進する。健常成人の末梢血リンパ球ではTリンパ球が多数を占め、Bリンパ球はそれより少ない。
●Bリンパ球=骨髄で成熟・CD19/CD20・形質細胞へ分化・抗体産生(液性免疫)。
●Tリンパ球=胸腺で成熟・CD3・末梢血リンパ球の多数を占める。ヘルパーT(CD4)・細胞傷害性T(CD8)。
●骨髄系マーカー=CD13・CD33(Bリンパ球は発現しない)。
選択肢ごとの解説
- ① Bリンパ球は骨髄で成熟する。胸腺で成熟するのはTリンパ球である。
- ② CD13は骨髄系細胞のマーカーであり、Bリンパ球はCD19・CD20などを発現する。
- ③ インターロイキン6はBリンパ球の形質細胞への分化や抗体産生を促進する方向に働き、機能を抑制するわけではない。
- ④ 正しい。Bリンパ球は抗原刺激を受けて抗体産生細胞(形質細胞)へ分化する。
- ⑤ 正しい。健常成人の末梢血リンパ球ではTリンパ球が多数を占め、Bリンパ球はTリンパ球より少ない。
第68回 午前63(臨床血液学)
血管拡張作用をもつのはどれか。
- ①セロトニン
- ②エピネフリン
- ③トロンボキサンA2
- ④プロスタサイクリン
- ⑤アデノシン二リン酸(ADP)
正答: ④プロスタサイクリン
ポイント
プロスタサイクリン(PGI2)は血管内皮細胞で産生されるプロスタノイドで、血管平滑筋を弛緩させて血管を拡張し、血小板凝集を抑制する。これに対しトロンボキサンA2は血小板で産生され、血管収縮と血小板凝集を促進する相反する作用をもつ。両者のバランスが血管緊張と止血を調節する。
●血管拡張・血小板凝集抑制=プロスタサイクリン(PGI2)・一酸化窒素(NO)。
●血管収縮・血小板凝集促進=トロンボキサンA2・セロトニン・アデノシン二リン酸(ADP)。
●血小板放出物質=ADP・セロトニン・トロンボキサンA2・血小板第4因子。
選択肢ごとの解説
- ① セロトニンは血小板から放出され、多くの血管で収縮作用を示す。
- ② エピネフリンはα受容体を介して主に血管収縮を引き起こす(部位により拡張もあるが代表作用は収縮)。
- ③ トロンボキサンA2は血管収縮と血小板凝集を促進する作用をもつ。
- ④ 正しい。プロスタサイクリン(PGI2)は血管拡張作用と血小板凝集抑制作用をもつ。
- ⑤ アデノシン二リン酸(ADP)は血小板を活性化して凝集を促進する物質である。
第68回 午前64(臨床血液学)
末梢血のMay-Giemsa染色標本及びペルオキシダーゼ染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA064.df57c67395.jpg

- ①伝染性単核球症
- ②急性骨髄性白血病
- ③成人T細胞白血病
- ④慢性リンパ性白血病
- ⑤原発性マクログロブリン血症
正答: ②急性骨髄性白血病
ポイント
末梢血のMay-Giemsa染色で芽球(核小体が明瞭で細胞質に乏しい大型細胞)が多数みられ、ペルオキシダーゼ染色が陽性であれば骨髄系の急性骨髄性白血病が考えられる。ミエロペルオキシダーゼ陽性は骨髄系芽球の指標で、棒状のAuer小体を伴うこともある。リンパ性白血病や反応性のリンパ球増多ではペルオキシダーゼは陰性である。
●ペルオキシダーゼ陽性=骨髄系芽球(急性骨髄性白血病)、Auer小体。
●ペルオキシダーゼ陰性=リンパ系(急性リンパ性白血病・慢性リンパ性白血病)・単球系は弱陽性〜陰性。
●反応性リンパ球増加=伝染性単核球症(異型リンパ球・EBウイルス)。
●花弁状核=成人T細胞白血病。
選択肢ごとの解説
- ① 伝染性単核球症は異型リンパ球の増加が主体で、芽球やペルオキシダーゼ陽性所見は示さない。
- ② 正しい。芽球が多数みられペルオキシダーゼ染色陽性であることから、骨髄系の急性骨髄性白血病が考えられる。
- ③ 成人T細胞白血病は花弁状核のT細胞増加が特徴で、ペルオキシダーゼは陰性である。
- ④ 慢性リンパ性白血病は成熟小型Bリンパ球の増加が主体で、ペルオキシダーゼは陰性である。
- ⑤ 原発性マクログロブリン血症はリンパ形質細胞の増殖でIgMが増加する疾患で、ペルオキシダーゼ陽性芽球はみられない。
📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉のFAB分類と特徴
急性リンパ性白血病(ALL)はMPO陰性(3%未満)で鑑別する。染色体異常・融合遺伝子は既存の『白血病の染色体異常と融合遺伝子』表を参照。
第68回 午前65(臨床血液学)
健常者の末梢血のニューメチレンブルー染色標本を別に示す。矢印が示す細胞について正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA065.0b0d0067d5.jpg

- ①赤血球造血の指標となる。
- ②鉄欠乏性貧血で増加する。
- ③採血後放置すると増加する。
- ④青色の物質はヘモグロビンの変性物である。
- ⑤健常者の末梢血中に3,000〜10,000/μL存在する。
正答: ①赤血球造血の指標となる。
ポイント
ニューメチレンブルー染色で網状の青色物質(リボソームRNAの残存物)を示す細胞は網赤血球で、脱核直後の若い赤血球である。網赤血球数は骨髄での赤血球産生(造血)の活性を反映する指標となり、溶血や出血後・治療反応で増加する。健常者末梢血では赤血球の約0.5〜2%で、絶対数は数万/μL程度である。
●網赤血球=若い赤血球・残存RNAを超生体染色で検出・造血の指標。増加=溶血性貧血・出血後・治療反応、低下=再生不良性貧血・骨髄抑制。
●超生体染色=ニューメチレンブルー・ブリリアントクレシルブルー。
●赤血球封入体=Heinz小体(変性ヘモグロビン)・Howell-Jolly小体(核残存)・好塩基性斑点(RNA凝集)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。矢印が示すのは網赤血球で、赤血球造血の活性を反映する指標となる。
- ② 鉄欠乏性貧血では赤血球産生が低下し網赤血球は増加せず、むしろ低値となることが多い。
- ③ 採血後放置するとRNAが消失して網赤血球として算定される細胞は減少する方向であり、増加はしない。
- ④ 青色の網状物質はリボソームRNAの残存物であり、ヘモグロビンの変性物(Heinz小体など)ではない。
- ⑤ 網赤血球は健常者末梢血で赤血球の約0.5〜2%、絶対数で数万/μL程度であり、3,000〜10,000/μLという記載は当てはまらない。
第68回 午前66(臨床血液学)
活性化プロテインCが失活させるのはどれか。2つ選べ。
- ①第Ⅴ因子
- ②第Ⅶ因子
- ③第Ⅷ因子
- ④第Ⅸ因子
- ⑤第Ⅹ因子
正答: ①第Ⅴ因子・③第Ⅷ因子
ポイント
活性化プロテインCは抗凝固作用をもつセリンプロテアーゼで、補酵素プロテインSとともに活性型第Ⅴ因子(Ⅴa)と活性型第Ⅷ因子(Ⅷa)を限定分解して失活させ、凝固反応を抑制する。これらは凝固促進系の補助因子であり、その失活が凝固の負の制御となる。第Ⅴ因子に変異がありこの分解に抵抗するのが第Ⅴ因子Leiden変異で、血栓傾向の原因となる。
●抗凝固系=プロテインC・プロテインS(Ⅴa・Ⅷaを失活)、アンチトロンビン(トロンビン・Ⅹaを阻害)、組織因子経路インヒビター。
●先天性血栓性素因=プロテインC欠乏・プロテインS欠乏・アンチトロンビン欠乏・第Ⅴ因子Leiden変異。
●ビタミンK依存因子=Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ・プロテインC・プロテインS。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。活性化プロテインCは活性型第Ⅴ因子(Ⅴa)を限定分解して失活させる。
- ② 第Ⅶ因子は活性化プロテインCの基質ではなく、これにより失活しない。
- ③ 正しい。活性化プロテインCは活性型第Ⅷ因子(Ⅷa)を限定分解して失活させる。
- ④ 第Ⅸ因子は活性化プロテインCの基質ではなく、これにより失活しない。
- ⑤ 第Ⅹ因子は活性化プロテインCの基質ではなく、これにより失活しない。
📋 まとめの表を見る:血液凝固因子と凝固制御因子
※プロテインC・プロテインS・アンチトロンビン・組織因子経路インヒビターは凝固を抑える抗凝固(凝固制御)因子で、凝固因子には含まれない。
第68回 午前67(臨床血液学)
55歳の男性。リンパ節腫大と肝腫大のほか、高カルシウム血症と血清LD高値を認める。末梢血のMay-Giemsa染色標本を別に示す。この疾患に関係があるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA067.cc1901a7f9.jpg

- ①BCR-ABL1
- ②PML-RARA
- ③EBウイルス
- ④HTLV-1ウイルス
- ⑤Reed-Sternberg細胞
正答: ④HTLV-1ウイルス
ポイント
リンパ節腫大・肝腫大に高カルシウム血症と血清LD高値を伴い、末梢血に花弁状(フラワー細胞)の異型Tリンパ球がみられる病態は成人T細胞白血病リンパ腫を示唆する。本疾患はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染が原因で、主に母乳を介して感染し長い潜伏期を経て発症する。高カルシウム血症は本疾患に特徴的な合併症である。
●ウイルスと血液腫瘍=HTLV-1→成人T細胞白血病リンパ腫、EBウイルス→Burkittリンパ腫・Hodgkinリンパ腫、ヒトヘルペスウイルス8→原発性体腔液リンパ腫。
●融合遺伝子=BCR-ABL1→慢性骨髄性白血病、PML-RARA→急性前骨髄球性白血病。
●特徴的細胞=フラワー細胞→成人T細胞白血病、Reed-Sternberg細胞→Hodgkinリンパ腫。
選択肢ごとの解説
- ① BCR-ABL1は慢性骨髄性白血病やフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に関連し、本病態とは異なる。
- ② PML-RARAは急性前骨髄球性白血病に関連する融合遺伝子で、本病態とは異なる。
- ③ EBウイルスはBurkittリンパ腫やHodgkinリンパ腫、伝染性単核球症などに関連し、本病態の原因ではない。
- ④ 正しい。成人T細胞白血病リンパ腫はHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)感染が原因で、高カルシウム血症やフラワー細胞を特徴とする。
- ⑤ Reed-Sternberg細胞はHodgkinリンパ腫の特徴的細胞で、本病態とは異なる。
📋 まとめの表を見る:ウイルス感染に関連する血液・リンパ系疾患
第68回 午前68(臨床微生物学)
鞭毛を有するのはどれか。
- ①Acinetobacter baumannii
- ②Clostridium perfringens
- ③Klebsiella pneumoniae
- ④Shigella sonnei
- ⑤Vibrio parahaemolyticus
正答: ⑤Vibrio parahaemolyticus
ポイント
鞭毛は細菌の運動器官で、運動性をもつ菌に存在する。Vibrio parahaemolyticus(腸炎ビブリオ)は極単毛性の鞭毛をもち活発に運動する。一方、Klebsiella pneumoniaeやAcinetobacter baumannii、Shigella(赤痢菌)は非運動性で鞭毛をもたず、Clostridium perfringensも非運動性とされる。
●鞭毛をもつ(運動性)=Vibrio・Salmonella・Proteus・Pseudomonas・Escherichia coli。
●非運動性(鞭毛なし)=Shigella・Klebsiella・Acinetobacter・Clostridium perfringens・連鎖球菌・ブドウ球菌。
●鞭毛配置=単毛・両毛・叢毛・周毛。
選択肢ごとの解説
- ① Acinetobacter baumanniiは非運動性のブドウ糖非発酵菌で、鞭毛をもたない。
- ② Clostridium perfringensは非運動性のクロストリジウムであり、鞭毛をもたない。
- ③ Klebsiella pneumoniaeは莢膜をもつが非運動性で、鞭毛をもたない。
- ④ Shigella sonnei(赤痢菌)は非運動性で鞭毛をもたない。
- ⑤ 正しい。Vibrio parahaemolyticus(腸炎ビブリオ)は鞭毛をもち活発に運動する。
第68回 午前69(臨床微生物学)
染色法と染色液の組合せで正しいのはどれか。
- ①Hiss法 — マラカイト緑液
- ②Wirtz法 — 石炭酸フクシン液
- ③Gram染色 — パイフェル液
- ④Giménez染色 — ゲンチアナ紫液
- ⑤Ziehl-Neelsen染色 — サフラニン液
正答: ③Gram染色 — パイフェル液
ポイント
細菌の染色法は対象とする構造に応じて染色液が定まる。Gram染色ではクリスタル紫で染めた後にヨウ素液(ルゴール液)を媒染剤として用いて色素との複合体を形成させ、アルコール脱色後にパイフェル液(チール石炭酸フクシンを希釈した液)で後染色する。パイフェル液は媒染剤ではなく後染色液である。Hiss法(莢膜)、Wirtz法(芽胞)、Giménez染色、Ziehl-Neelsen染色(抗酸菌)はそれぞれ異なる染色液を用いる。
●Gram染色=クリスタル紫+ヨウ素液〈ルゴール液〉(媒染)+アルコール(脱色)+パイフェル液〈希釈石炭酸フクシン〉/サフラニン(後染色)。
●芽胞染色=Wirtz法(マラカイト緑)。莢膜染色=Hiss法・墨汁法。
●抗酸菌染色=Ziehl-Neelsen法(石炭酸フクシン)・蛍光染色(オーラミン)。
●リケッチア・レジオネラ=Giménez染色(石炭酸フクシン)。
選択肢ごとの解説
- ① Hiss法は莢膜染色で、マラカイト緑は芽胞染色(Wirtz法)に用いられるため誤った組合せである。
- ② Wirtz法は芽胞染色でマラカイト緑を用いる。石炭酸フクシン液はZiehl-Neelsen染色などで用いる。
- ③ 正しい。パイフェル液はチール石炭酸フクシンを希釈した赤色の色素液で、Gram染色の後染色(対比染色)に用いられる。媒染剤はヨウ素液(ルゴール液)である。
- ④ Giménez染色はリケッチアやレジオネラなどの染色で石炭酸フクシンを用い、ゲンチアナ紫液ではない。
- ⑤ Ziehl-Neelsen染色は抗酸菌染色で石炭酸フクシンを用い、サフラニン液は対比染色に用いられるが第一染色液ではない。
📋 まとめの表を見る:微生物の染色法と検出対象(構造・真菌・特殊病原体)
第68回 午前70(臨床微生物学)
β-ラクタム系抗菌薬でないのはどれか。
- ①メロペネム
- ②セファゾリン
- ③ピペラシリン
- ④セフォタキシム
- ⑤レボフロキサシン
正答: ⑤レボフロキサシン
ポイント
β-ラクタム系抗菌薬はβ-ラクタム環をもち、細菌の細胞壁合成(ペプチドグリカンの架橋)を阻害して殺菌的に作用する。ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系・モノバクタム系が含まれる。レボフロキサシンはニューキノロン(フルオロキノロン)系で、DNAジャイレースやトポイソメラーゼⅣを阻害し、構造も作用機序も異なる。
●β-ラクタム系=ペニシリン系(ピペラシリン)・セフェム系(セファゾリン・セフォタキシム)・カルバペネム系(メロペネム)・モノバクタム系(アズトレオナム)。
●細胞壁合成阻害(非β-ラクタム)=バンコマイシン(グリコペプチド)。
●核酸合成阻害=キノロン系(レボフロキサシン)・リファンピシン。
●蛋白合成阻害=アミノグリコシド・マクロライド・テトラサイクリン。
選択肢ごとの解説
- ① メロペネムはカルバペネム系のβ-ラクタム系抗菌薬である。
- ② セファゾリンはセフェム系(第一世代セファロスポリン)のβ-ラクタム系抗菌薬である。
- ③ ピペラシリンはペニシリン系のβ-ラクタム系抗菌薬である。
- ④ セフォタキシムはセフェム系(第三世代セファロスポリン)のβ-ラクタム系抗菌薬である。
- ⑤ 誤り。レボフロキサシンはフルオロキノロン系抗菌薬であり、β-ラクタム系ではない。
第68回 午前71(臨床微生物学)
感染経路が空気感染である病原体はどれか。2つ選べ。
- ①Measles virus〈麻疹ウイルス〉
- ②Mycobacterium tuberculosis
- ③Mycoplasma pneumoniae
- ④Neisseria meningitidis
- ⑤Rubella virus〈風疹ウイルス〉
正答: ①Measles virus〈麻疹ウイルス〉・②Mycobacterium tuberculosis
ポイント
空気感染は直径5マイクロメートル以下の飛沫核が空気中を長く浮遊し、これを吸入して感染する経路で、麻疹・結核・水痘が代表である。麻疹ウイルスと結核菌は空気感染する。一方、Mycoplasma pneumoniaeや髄膜炎菌、風疹ウイルスは主に飛沫感染で、より大きな飛沫が短距離で伝播する。
●空気感染=麻疹ウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス・結核菌。
●飛沫感染=インフルエンザウイルス・風疹ウイルス・ムンプスウイルス・髄膜炎菌・百日咳菌・マイコプラズマ。
●接触感染=メチシリン耐性黄色ブドウ球菌・ノロウイルス・腸管出血性大腸菌。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。麻疹ウイルス(Measles virus)は飛沫核が空気中を浮遊する空気感染を起こす。
- ② 正しい。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は飛沫核による空気感染を起こす。
- ③ Mycoplasma pneumoniaeは主に飛沫感染で伝播し、空気感染ではない。
- ④ Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)は主に飛沫感染で伝播し、空気感染ではない。
- ⑤ 風疹ウイルス(Rubella virus)は主に飛沫感染で伝播し、空気感染ではない。
第68回 午前72(臨床微生物学)
微生物の分類について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①原虫は真核生物である。
- ②細菌は真核生物である。
- ③真菌は原核生物である。
- ④リケッチアは真核生物である。
- ⑤ウイルスは原核生物、真核生物のどちらにも分類されない。
正答: ①原虫は真核生物である。・⑤ウイルスは原核生物、真核生物のどちらにも分類されない。
ポイント
生物は核膜に包まれた核をもつ真核生物と、もたない原核生物に大別される。原虫・真菌は真核生物、細菌・リケッチア・クラミジアは原核生物である。ウイルスは細胞構造をもたず単独では自己増殖できないため、原核生物にも真核生物にも分類されない。
●真核生物=原虫・真菌・酵母・ヒト。
●原核生物=細菌・リケッチア・クラミジア・マイコプラズマ・スピロヘータ。
●細胞構造をもたない=ウイルス(DNAまたはRNA+カプシド)・プリオン(蛋白のみ)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。原虫は核膜に包まれた核をもつ真核生物である。
- ② 細菌は核膜をもたない原核生物であり、真核生物ではない。
- ③ 真菌は核膜に包まれた核をもつ真核生物であり、原核生物ではない。
- ④ リケッチアは細胞内寄生性の細菌であり、原核生物である。
- ⑤ 正しい。ウイルスは細胞構造をもたないため、原核生物・真核生物のどちらにも分類されない。
📋 まとめの表を見る:紛らわしい微生物の分類(真核生物か原核生物か)
原虫・真菌は核膜をもつ核を有する真核生物、細菌・リケッチア・クラミジア・マイコプラズマは核膜のない核様体をもつ原核生物である。ウイルスは細胞構造をもたないため、いずれにも分類されない。Pneumocystis jiroveciiとCryptococcus neoformansは名称や性状から誤認しやすいが真菌に分類される。逆にActinomyces・Nocardiaは放線菌、Treponemaはスピロヘータで、いずれも細菌(原核生物)である。
第68回 午前73(臨床微生物学)
新生児髄膜炎が疑われた患児の髄液のGram染色標本を別に示す。最も考えられる菌種はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA073.3d59afde1f.jpg

- ①Escherichia coli
- ②Listeria monocytogenes
- ③Neisseria gonorrhoeae
- ④Pseudomonas aeruginosa
- ⑤Streptococcus agalactiae
正答: ①Escherichia coli
ポイント
新生児髄膜炎の主要原因菌はB群連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)と大腸菌(Escherichia coli)である。髄液のGram染色でグラム陰性桿菌がみられれば大腸菌が最も考えられる。B群連鎖球菌はグラム陽性連鎖球菌、リステリアはグラム陽性桿菌として観察され、染色性と形態から鑑別できる。
●新生児髄膜炎=B群連鎖球菌・大腸菌・Listeria monocytogenes。
●乳幼児〜小児の髄膜炎=肺炎球菌・インフルエンザ菌・髄膜炎菌。
●Gram染色像=グラム陰性桿菌(大腸菌)・グラム陽性連鎖球菌(B群連鎖球菌)・グラム陽性桿菌(リステリア)・グラム陰性双球菌(髄膜炎菌・淋菌)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。グラム陰性桿菌の像であれば、新生児髄膜炎の主要原因菌である大腸菌(Escherichia coli)が最も考えられる。
- ② Listeria monocytogenesはグラム陽性桿菌で、像が陰性桿菌であれば該当しない。
- ③ Neisseria gonorrhoeaeはグラム陰性双球菌で、新生児髄膜炎の主要原因とはならない。
- ④ Pseudomonas aeruginosaはグラム陰性桿菌だが、新生児髄膜炎の主要原因菌ではない。
- ⑤ Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)はグラム陽性連鎖球菌で、像が陰性桿菌であれば該当しない。
📋 まとめの表を見る:年齢群別 細菌性髄膜炎の主な起因菌
Streptococcus agalactiaeとListeria monocytogenesはともにCAMPテスト・馬尿酸塩加水分解試験が陽性を示すが、前者はグラム陽性球菌、後者はグラム陽性桿菌である点で鑑別する。
第68回 午前74(臨床微生物学)
喀痰のGram染色標本を別に示す。顕微鏡による観察で、図中の細胞Aを48個/100倍1視野、細胞Bを5個/100倍1視野認めた。該当するGeckler分類はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA074.89dd72c45b.jpg

- ①Geckler1群
- ②Geckler2群
- ③Geckler3群
- ④Geckler4群
- ⑤Geckler5群
正答: ①Geckler1群
ポイント
Geckler分類は喀痰の品質評価で、100倍1視野あたりの白血球(好中球)数と扁平上皮細胞数の比から下気道由来かを判定する。扁平上皮細胞が多いほど唾液混入が強く培養に不適とされ、白血球が多く扁平上皮が少ないほど良質である。設問では扁平上皮細胞(細胞A)が48個と多く白血球(細胞B)が5個と少ないため、唾液混入が著しいGeckler1群に該当する。
●Geckler分類(100倍1視野)=扁平上皮細胞と白血球数で群分け、4群・5群が良質(培養適)、1〜3群は唾液混入で不適。
●喀痰肉眼評価=Miller-Jones分類(膿性度)。
●良質喀痰の目安=扁平上皮細胞少数・白血球多数(下気道由来)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。扁平上皮細胞が48個と多く白血球が5個と少ないため、唾液混入が著しいGeckler1群に該当する。
- ② Geckler2群は扁平上皮細胞がやや多い群で、設問の細胞数の組合せには該当しない。
- ③ Geckler3群は中間的な群で、設問の細胞数の組合せには該当しない。
- ④ Geckler4群は扁平上皮細胞が少なく白血球が多い良質喀痰の群で、設問の像には該当しない。
- ⑤ Geckler5群は扁平上皮細胞がごく少ない良質喀痰の群で、設問の像には該当しない。
📋 まとめの表を見る:喀痰の品質評価:Geckler分類(鏡検所見、倍率100倍1視野)
4群・5群は白血球優位・扁平上皮少数で良質(検査に適する)。1〜3群は唾液混入が疑われ検体として不適切。6群は経気道吸引痰に限り適切な検体とされる。
第68回 午前75(臨床微生物学)
Bacteroides fragilisについて正しいのはどれか。
- ①黒色色素を産生する。
- ②インドール陽性である。
- ③カタラーゼ陰性である。
- ④エスクリンを加水分解する。
- ⑤アミノグリコシド系抗菌薬に感性を示す。
正答: ④エスクリンを加水分解する。
ポイント
Bacteroides fragilisはグラム陰性の偏性嫌気性桿菌で、腸内常在菌でありながら腹腔内感染や敗血症の起因菌となる。20%胆汁存在下でも発育し、エスクリンを加水分解する性状をもつ。Prevotellaなどの黒色色素産生菌と異なり色素を産生せず、嫌気性のためアミノグリコシド系には自然耐性を示す。
●Bacteroides fragilisの性状=グラム陰性偏性嫌気性桿菌・胆汁抵抗性・エスクリン加水分解陽性・カタラーゼ陽性・色素非産生。
●黒色色素産生嫌気性菌=Prevotella・Porphyromonas。
●嫌気性菌の自然耐性=アミノグリコシド系(酸素依存的取り込みのため無効)。
●βラクタマーゼ産生=Bacteroides fragilisは産生株が多くペニシリン耐性。
選択肢ごとの解説
- ① 黒色色素を産生するのはPrevotellaやPorphyromonasなどで、Bacteroides fragilisは黒色色素を産生しない。
- ② Bacteroides fragilisは一般にインドール陰性である。
- ③ Bacteroides fragilisはカタラーゼ陽性を示すことが多く、陰性ではない。
- ④ 正しい。Bacteroides fragilisはエスクリンを加水分解する性状をもつ。
- ⑤ Bacteroides fragilisは嫌気性菌でアミノグリコシド系抗菌薬には自然耐性であり、感性を示さない。
第68回 午前76(臨床微生物学)
選択分離培地と目的菌の組合せで正しいのはどれか。
- ①CIN寒天培地 — Yersinia属
- ②DHL寒天培地 — Campylobacter属
- ③NAC寒天培地 — Shigella属
- ④Skirrow寒天培地 — Legionella属
- ⑤WYOα寒天培地 — Pseudomonas属
正答: ①CIN寒天培地 — Yersinia属
ポイント
選択分離培地は目的菌の発育を選択的に支持し、夾雑菌を抑制剤や色素で抑えることで分離を容易にする。CIN寒天培地(cefsulodin-irgasan-novobiocin培地)はYersinia enterocolitica(腸炎エルシニア)の選択分離に用いられ、抗菌薬で常在菌を抑えつつ、マンニトール分解と中性赤により菌集落の中心部が赤い「ブルズアイ(bull's-eye)」状を呈する。残る選択肢は目的菌が入れ替わっており、各培地の本来の対象菌を区別する必要がある。●腸内細菌の分離鑑別=DHL寒天培地・SS寒天培地・マッコンキー寒天培地(乳糖分解とコロニー色で鑑別)。●Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)=NAC寒天培地(cetrimide加)。●Campylobacter属=Skirrow培地・スキロー変法(微好気・抗菌薬加)。●Legionella属=WYOα・BCYEα培地(L-システインと鉄要求性に対応)。●Vibrio属=TCBS寒天培地。●Yersinia属=CIN寒天培地。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。CIN寒天培地はYersinia属(特に腸炎エルシニア)の選択分離培地で、ブルズアイ状集落を示す。
- ② DHL寒天培地は腸内細菌科の分離・鑑別に用いる培地であり、Campylobacter属の分離には用いない。
- ③ NAC寒天培地はPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)の選択分離に用いる培地であり、Shigella属用ではない。
- ④ Skirrow寒天培地はCampylobacter属の微好気培養下での選択分離培地であり、Legionella属用ではない。
- ⑤ WYOα(BCYEα系)寒天培地はLegionella属の分離に用いる培地であり、Pseudomonas属用ではない。
📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地
第68回 午前77(臨床微生物学)
腸管感染を起こすのはどれか。2つ選べ。
- ①ウエストナイルウイルス
- ②エンテロウイルス
- ③デングウイルス
- ④ノロウイルス
- ⑤EBウイルス
正答: ②エンテロウイルス・④ノロウイルス
ポイント
腸管感染を起こすウイルスは糞口感染で経口的に侵入し、腸管で増殖する。ただし、腸管で増殖するウイルスがすべて急性胃腸炎を起こすわけではなく、腸管への感染・増殖と症状としての急性胃腸炎は区別する。ノロウイルスは冬季の感染性胃腸炎の代表的原因で、少量のウイルスで集団発生を起こす。エンテロウイルス(ポリオウイルス・コクサッキーウイルス・エコーウイルスなど)はピコルナウイルス科で腸管内で増殖し糞口感染するが、ヘルパンギーナや無菌性髄膜炎など多彩な病態も示す。一方、フラビウイルス科のウエストナイルウイルス・デングウイルスは蚊媒介性で全身感染・脳炎・出血熱を起こし、EBウイルスは唾液を介して伝播し伝染性単核球症を起こすため、いずれも腸管感染が主体ではない。●急性胃腸炎の代表的原因ウイルス=ノロウイルス・ロタウイルス・サポウイルス・アストロウイルス・腸管アデノウイルス。●腸管で増殖して全身の多彩な病型を示すウイルス=エンテロウイルス。●蚊媒介性ウイルス(アルボウイルス)=デングウイルス・ウエストナイルウイルス・日本脳炎ウイルス・ジカウイルス。●ヘルペスウイルス科=EBウイルス・サイトメガロウイルス・単純ヘルペスウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス。
選択肢ごとの解説
- ① ウエストナイルウイルスは蚊が媒介するフラビウイルスで脳炎などを起こし、腸管感染が主体ではない。
- ② 正しい。エンテロウイルスは糞口感染で腸管内に侵入・増殖し腸管感染を起こす。
- ③ デングウイルスは蚊が媒介するフラビウイルスで発熱・出血熱を起こし、腸管感染が主体ではない。
- ④ 正しい。ノロウイルスは糞口感染で急性胃腸炎(腸管感染)を起こす代表的ウイルスである。
- ⑤ EBウイルスは唾液を介して伝播し伝染性単核球症などを起こすヘルペスウイルスで、腸管感染が主体ではない。
第68回 午前78(臨床微生物学)
IPA反応陽性を示すのはどれか。
- ①Citrobacter freundii
- ②Escherichia coli
- ③Klebsiella oxytoca
- ④Morganella morganii
- ⑤Serratia marcescens
正答: ④Morganella morganii
ポイント
IPA反応はトリプトファンデアミナーゼによってトリプトファンが脱アミノ化されインドールピルビン酸(indolepyruvic acid)を生じる反応で、塩化第二鉄の添加により褐色を呈して陽性と判定する。この酵素を有するのはProteus属・Morganella属・Providencia属の3群で、これらの鑑別と腸内細菌科内での同定に用いられる。Morganella morganiiはこの群に属しIPA反応陽性を示す。Citrobacter・Escherichia・Klebsiella・Serratiaは本酵素をもたず陰性である。●IPA(トリプトファンデアミナーゼ)陽性=Proteus属・Morganella属・Providencia属。●尿素分解(ウレアーゼ)陽性=Proteus属・Morganella属・一部のKlebsiella・Helicobacter・Ureaplasma。●インドール陽性(トリプトファナーゼ)=Escherichia coli・Proteus vulgaris・Morganella morganii・Klebsiella oxytoca。●Proteus属の特徴=遊走(スウォーミング)現象・硫化水素産生(mirabilis)。
選択肢ごとの解説
- ① Citrobacter freundiiはトリプトファンデアミナーゼをもたずIPA反応陰性である。
- ② Escherichia coliはトリプトファンデアミナーゼをもたずIPA反応陰性である。
- ③ Klebsiella oxytocaはトリプトファンデアミナーゼをもたずIPA反応陰性である。
- ④ 正しい。Morganella morganiiはProteus群に属しトリプトファンデアミナーゼを有するためIPA反応陽性を示す。
- ⑤ Serratia marcescensはトリプトファンデアミナーゼをもたずIPA反応陰性である。
📋 まとめの表を見る:腸内細菌科における特殊な生化学反応の陽性菌群(IPA反応・DNase試験)
第68回 午前79(臨床免疫学)
IgEについて正しいのはどれか。
- ①J鎖を持つ。
- ②補体を活性化する。
- ③2つのサブクラスがある。
- ④分子量は約900,000である。
- ⑤H鎖の定常部ドメインは4個からなる。
正答: ⑤H鎖の定常部ドメインは4個からなる。
ポイント
IgEはⅠ型アレルギー(即時型過敏反応)を担う免疫グロブリンで、血清中濃度は5クラス中最も低い。肥満細胞や好塩基球の高親和性Fcε受容体(FcεRⅠ)に結合し、抗原による架橋でヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質を放出させる。単量体でJ鎖をもたず、補体古典経路を活性化しない。重鎖(ε鎖)の定常部ドメインが4個(Cε1〜Cε4)あり、IgGの3個より1個多いのが構造上の特徴である。●単量体(H2L2)=IgG・IgD・IgE。●多量体でJ鎖をもつ=五量体IgM・分泌型二量体IgA。●補体古典経路を活性化=IgM・IgG(IgG1・IgG3が強い)。●サブクラスをもつ=IgG(4種)・IgA(2種)。●胎盤通過性=IgG。●Fc受容体=IgE(FcεR)・IgG(FcγR)・IgA(FcαR)。
選択肢ごとの解説
- ① J鎖をもつのは多量体を形成するIgM(五量体)と分泌型IgA(二量体)であり、IgEは単量体でJ鎖をもたない。
- ② IgEは補体古典経路を活性化しない。古典経路を活性化するのは主にIgMとIgGである。
- ③ サブクラスをもつのはIgG(4種)やIgA(2種)であり、IgEにはサブクラスがない。
- ④ 分子量約900,000を示すのは五量体のIgMであり、IgEは単量体で分子量約190,000である。
- ⑤ 正しい。IgEの重鎖(ε鎖)定常部ドメインは4個からなり、IgGより1個多い。
📋 まとめの表を見る:5種類の免疫グロブリンの主な性状
単クローン性増加=1クローン由来で単一Igが増加(原発性マクログロブリン血症=IgM)。多クローン性増加=感染症・自己免疫疾患など。
第68回 午前80(臨床免疫学)
補体のC1成分について正しいのはどれか。
- ①易熱性成分である。
- ②走化性因子として働く。
- ③別経路の活性化に関与する。
- ④活性化にはMg²⁺が必要である。
- ⑤補体成分の中で血清中の濃度が最も高い。
正答: ①易熱性成分である。
ポイント
補体C1は古典経路の起動に働く複合体で、認識サブユニットC1qと酵素前駆体C1r・C1sがカルシウムイオン依存的に会合した構造をもつ。抗原抗体複合体中の抗体Fc部にC1qが結合すると活性化が始まる。C1は熱に弱い易熱性成分で、血清を56℃・30分で加熱処理(非働化/補体不活化)すると失活するため、補体活性を除く目的で利用される。走化性活性をもつのはC5aやC3aなどのアナフィラトキシンで、血清中濃度が最も高い補体成分はC3である。●古典経路の起点=C1q-C1r-C1s(Ca²⁺依存・抗原抗体複合体で活性化)。●第二経路(副経路)=C3・B因子・D因子・プロパージン(Mg²⁺依存)。●レクチン経路=MBL・フィコリン・MASP。●アナフィラトキシン・走化因子=C3a・C4a・C5a。●膜侵襲複合体=C5b-C6-C7-C8-C9。●最高濃度の補体=C3。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。補体C1は易熱性成分で、56℃・30分の加熱(非働化)により失活する。
- ② 走化性因子として働くのはC5aなどのアナフィラトキシンであり、C1ではない。
- ③ 別経路(第二経路)の活性化に関与するのはC3・B因子・D因子などであり、C1は古典経路の成分である。
- ④ C1複合体の会合・活性化にはカルシウムイオンが必要であり、Mg²⁺ではない(Mg²⁺は第二経路で必要)。
- ⑤ 血清中濃度が最も高い補体成分はC3であり、C1ではない。
第68回 午前81(臨床免疫学)
血清中にMタンパクが認められる疾患はどれか。
- ①慢性肝炎
- ②Basedow病
- ③骨髄異形成症候群
- ④原発性マクログロブリン血症
- ⑤全身性エリテマトーデス(SLE)
正答: ④原発性マクログロブリン血症
ポイント
Mタンパク(M蛋白/単クローン性免疫グロブリン)は単一の形質細胞・B細胞クローンが腫瘍性に増殖して産生する均一な免疫グロブリンで、血清蛋白電気泳動でγ〜β領域に鋭いMピークとして検出され、免疫固定法でクラスとL鎖型を同定する。原発性マクログロブリン血症(Waldenströmマクログロブリン血症)は単クローン性IgMを産生するリンパ形質細胞性リンパ腫で、典型的にMタンパクを伴う。多発性骨髄腫もMタンパクを伴う代表疾患である。慢性肝炎やSLEでは多クローン性高γグロブリン血症となりMタンパクは出ない。●Mタンパクを伴う疾患=多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症・意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)・形質細胞腫・重鎖病・原発性アミロイドーシス。●多クローン性高γグロブリン血症=慢性肝炎・肝硬変・SLE・慢性感染症・自己免疫疾患。●Bence Jones蛋白=尿中の単クローン性遊離L鎖(骨髄腫など)。
選択肢ごとの解説
- ① 慢性肝炎では多クローン性のγグロブリン増加がみられるが、単クローン性のMタンパクは認められない。
- ② Basedow病は抗TSH受容体抗体を伴う自己免疫性甲状腺機能亢進症で、Mタンパクは認められない。
- ③ 骨髄異形成症候群は造血幹細胞の異常による血球減少と異形成を来す疾患で、Mタンパクは特徴ではない。
- ④ 正しい。原発性マクログロブリン血症は単クローン性IgM(Mタンパク)が血清中に増加する疾患である。
- ⑤ 全身性エリテマトーデス(SLE)は多クローン性の高γグロブリン血症を示すが、単クローン性Mタンパクは認められない。
第68回 午前82(臨床免疫学)
免疫担当細胞について正しいのはどれか。
- ①好塩基球は貪食能を持つ。
- ②NK細胞はIFN-γを産生する。
- ③好中球は遅延型過敏反応に関与する。
- ④Th2細胞は主に細胞性免疫に関与する。
- ⑤CD4陽性T細胞はMHCクラスⅡを発現する。
正答: ②NK細胞はIFN-γを産生する。
ポイント
免疫担当細胞はそれぞれ固有の表面マーカーと機能をもつ。NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は自然免疫を担う大型顆粒リンパ球で、IFN-γ(インターフェロンγ)を産生してマクロファージを活性化し、抗体非依存的にウイルス感染細胞や腫瘍細胞を傷害する。CD4陽性T細胞はMHCクラスⅡに提示された抗原を認識する側であり、クラスⅡを恒常的に発現するのは樹状細胞・マクロファージ・B細胞などの抗原提示細胞である。Th1細胞が細胞性免疫、Th2細胞が液性免疫・アレルギーを担い、遅延型過敏反応はT細胞とマクロファージが主体となる。●自然免疫の細胞=好中球・マクロファージ・樹状細胞・NK細胞・肥満細胞。●ヘルパーT細胞の分化=Th1(IFN-γ・細胞性免疫)・Th2(IL-4/5/13・液性免疫/アレルギー)・Th17(IL-17)・Treg(免疫抑制)。●MHCクラスⅡ発現=樹状細胞・マクロファージ・B細胞。●貪食能をもつ細胞=好中球・単球/マクロファージ・樹状細胞。
選択肢ごとの解説
- ① 好塩基球は脱顆粒によりヒスタミンなどを放出するが、貪食能はほとんどもたない。
- ② 正しい。NK細胞はIFN-γを産生し、マクロファージ活性化や抗腫瘍・抗ウイルス作用に関与する。
- ③ 遅延型過敏反応に関与するのは主にTリンパ球とマクロファージであり、好中球が主体ではない。
- ④ 細胞性免疫に主に関与するのはTh1細胞であり、Th2細胞は液性免疫やアレルギーに関与する。
- ⑤ MHCクラスⅡを恒常的に発現するのは抗原提示細胞であり、CD4陽性T細胞はクラスⅡを認識する側で恒常的には発現しない。
📋 まとめの表を見る:MHCクラスⅠ・クラスⅡの違い
HLA遺伝子は第6染色体短腕上に存在する。NK細胞はMHCクラスⅠの発現が低下した細胞(missing self)を傷害する。
第68回 午前83(臨床免疫学)
CRP産生に関与するサイトカインはどれか。
- ①IFN-γ
- ②IL-4
- ③IL-6
- ④IL-18
- ⑤TGF-β
正答: ③IL-6
ポイント
CRP(C反応性蛋白)は代表的な急性期蛋白で、炎症や組織傷害の際に肝臓での産生が誘導され、刺激後数時間で上昇する鋭敏な炎症マーカーである。この産生誘導を主に担うのがIL-6(インターロイキン6)で、肝細胞に作用してCRPやフィブリノゲン、血清アミロイドAなど急性期蛋白の合成を強力に促す。IL-6は急性期反応の中心的サイトカインである。●急性期蛋白=CRP・血清アミロイドA・フィブリノゲン・ハプトグロビン・α₁-アンチトリプシン・セルロプラスミン・補体(増加)/アルブミン・トランスフェリン・プレアルブミン(減少)。●炎症性サイトカイン=IL-1・IL-6・TNF-α。●Th2サイトカイン=IL-4・IL-5・IL-13。●抗炎症・免疫抑制性=IL-10・TGF-β。●IFN-γ誘導=IL-12・IL-18。
選択肢ごとの解説
- ① IFN-γは抗ウイルス作用やマクロファージ活性化に関与するが、CRP産生の主要な誘導因子ではない。
- ② IL-4はTh2分化やIgEクラススイッチに関与するサイトカインで、CRP産生は誘導しない。
- ③ 正しい。IL-6は肝細胞に作用してCRPなどの急性期蛋白の産生を強力に誘導する。
- ④ IL-18はIFN-γ産生を誘導するサイトカインで、CRP産生の主要誘導因子ではない。
- ⑤ TGF-βは免疫抑制・線維化に関与するサイトカインで、CRP産生を誘導しない。
第68回 午前84(臨床免疫学)
臨床的意義のある不規則抗体はどれか。
正答: ①抗C
ポイント
輸血で問題となる不規則抗体(ABO以外の血液型抗体)のうち臨床的意義があるのは、37℃で反応するIgG性抗体で、間接抗グロブリン試験で検出され、遅発性溶血性輸血副反応や新生児溶血性疾患の原因となるものである。Rh系(抗D・抗C・抗E・抗c・抗e)、Kidd系(抗Jka・抗Jkb)、Duffy系(抗Fya・抗Fyb)、Kell系(抗K)、Diego系などが該当する。抗Cはこれに含まれる。一方、抗Lewis(抗Leb)・抗N・抗P1・抗Xgaなどは主に室温反応性のIgM性で、37℃では反応しにくく臨床的意義は低いことが多い。●臨床的意義が高い(37℃反応・IgG)=Rh系・Kidd系・Duffy系・Kell系・Diego系・Ss系の一部。●臨床的意義が低い(室温反応・IgM)=Lewis系・P1・M/N(多くは)・Xga・Lutheran系の一部。●新生児溶血性疾患の主因=抗D(Rh不適合)・抗A/抗B(ABO不適合)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。抗CはRh系の抗体で37℃で反応し溶血性副反応を起こしうるため、臨床的意義のある不規則抗体である。
- ② 抗Lebは主に室温で反応するIgM性抗体で、一般に臨床的意義は低い。
- ③ 抗Nは多くが室温反応性のIgM性抗体で、一般に臨床的意義は低い。
- ④ 抗P1は室温反応性のIgM性抗体が多く、一般に臨床的意義は低い。
- ⑤ 抗Xgaは溶血性副反応を起こすことはまれで、一般に臨床的意義は低い。
第68回 午前85(臨床免疫学)
交差適合試験の主試験が陽性になる可能性が高いのはどれか。
- ①患者がA型、提供者がO型
- ②患者がAB型、提供者がO型
- ③患者が直接抗グロブリン試験陽性
- ④提供者が直接抗グロブリン試験陽性
- ⑤患者がRhD陽性、提供者がRhD陰性
正答: ④提供者が直接抗グロブリン試験陽性
ポイント
交差適合試験の主試験(major側)は患者血清と提供者(供血者)赤血球を反応させ、患者血清中の抗体が提供者赤血球と反応しないか(凝集・溶血の有無)を確認する。提供者赤血球が直接抗グロブリン試験(DAT)陽性、すなわち赤血球膜にあらかじめIgGや補体が結合している場合、抗グロブリン法による主試験で抗グロブリン試薬が架橋して凝集を生じ、主試験が陽性となりうる。ABO適合の組合せやRhDの陰陽そのものは主試験陽性の直接要因にならず、患者のDAT陽性は患者赤血球の所見で主試験には影響しない。●主試験=患者血清+供血者赤血球(供血者赤血球の抗体感作で陽性化)。●副試験(minor)=患者赤血球+供血者血清。●DAT陽性の原因=自己免疫性溶血性貧血・新生児溶血性疾患・薬剤性・不適合輸血後・血液型不適合。●交差適合試験の段階=生理食塩液法・酵素法・間接抗グロブリン試験。
選択肢ごとの解説
- ① 患者A型・提供者O型はABO適合の組合せであり、主試験で凝集は生じにくい。
- ② 患者AB型・提供者O型もABO適合の組合せであり、主試験で凝集は生じにくい。
- ③ 患者が直接抗グロブリン試験陽性なのは患者赤血球の所見であり、提供者赤血球を用いる主試験には直接影響しない。
- ④ 正しい。提供者赤血球が直接抗グロブリン試験陽性であれば、抗グロブリン法による主試験で凝集が生じ陽性となりやすい。
- ⑤ RhD陽性患者にRhD陰性血を輸血する組合せは抗原刺激の問題はなく、主試験陽性の要因ではない。
📋 まとめの表を見る:交差適合試験が陽性(不適合)になる原因
HBs抗体など感染症スクリーニング項目は赤血球と反応する抗体ではないため、交差適合試験の不適合原因にはならない。
第68回 午前86(臨床免疫学)
カラム凝集法の反応像を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68aA086.426638e55a.jpg

- ①A型 RhD陽性
- ②O型 RhD陽性
- ③O型 RhD陰性
- ④AB型RhD陰性
- ⑤AB型RhD陽性
正答: ⑤AB型RhD陽性
ポイント
カラム凝集法(ゲルカラム法)は、抗体を含むカラムに赤血球を加えて遠心し、凝集塊はゲル上層やゲル中にとどまり、非凝集の赤血球はカラム底部に沈降することで反応の強弱を判定する。オモテ試験では抗A・抗B・抗Dの各カラムでの凝集の有無からABO血液型とRhD型を判定する。抗A・抗B・抗Dのすべてで凝集(上層にトラップ)を示せば、A抗原・B抗原・D抗原をいずれももつAB型RhD陽性と判定される。●ABO判定=オモテ試験(抗A・抗B試薬と患者赤血球)+ウラ試験(A1・B血球と患者血清)。●RhD判定=抗D試薬で凝集すればD陽性、陰性なら陰性確認試験(D陰性確認・weak D)。●カラム法の利点=判定の標準化・客観化・微量検体・自動化対応。●凝集の判定=上層トラップ=陽性、底部沈降=陰性。
選択肢ごとの解説
- ① 抗B・抗Dでも凝集を示す反応像であれば、A型RhD陽性ではない。
- ② 抗A・抗Bで凝集を示す反応像であれば、O型ではない。
- ③ 抗A・抗B・抗Dで凝集を示す反応像であれば、O型RhD陰性ではない。
- ④ 抗Dで凝集を示す反応像であれば、RhD陰性ではない。
- ⑤ 正しい。抗A・抗B・抗Dのすべてで凝集を示す反応像であり、AB型RhD陽性と判定される。
第68回 午前87(臨床免疫学)
CH50が高値を示す疾患はどれか。
- ①肝硬変
- ②悪性腫瘍
- ③血管神経性浮腫
- ④全身性エリテマトーデス(SLE)
- ⑤膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)
正答: ②悪性腫瘍
ポイント
CH50(50%溶血補体価)は感作ヒツジ赤血球を50%溶血させるのに要する血清量から求める補体価で、古典経路全体(C1〜C9)の総合活性を反映する。補体は急性期蛋白の側面をもち、悪性腫瘍や各種炎症では産生亢進により高値を示すことがある。逆に、免疫複合体により補体が大量に消費されるSLEや膜性増殖性糸球体腎炎、肝での産生が低下する肝硬変、C1インヒビター欠損で補体が持続的に消費される遺伝性血管神経性浮腫ではCH50が低値となる。●CH50低下(消費)=SLE・膜性増殖性糸球体腎炎・急性糸球体腎炎・クリオグロブリン血症・遺伝性血管性浮腫(C1-INH欠損)。●CH50低下(産生低下)=肝硬変・劇症肝炎・栄養障害・先天性補体欠損症。●CH50上昇(産生亢進)=悪性腫瘍・感染症・各種炎症・急性期反応。●補体個別測定=C3・C4(古典経路消費でともに低下、第二経路ではC3優位に低下)。
選択肢ごとの解説
- ① 肝硬変では肝での補体産生が低下しCH50は低値となる。
- ② 正しい。悪性腫瘍では炎症・急性期反応により補体産生が亢進しCH50が高値を示すことがある。
- ③ 遺伝性血管神経性浮腫はC1インヒビター欠損で補体が消費され、C4低下を伴いCH50は低値傾向となる。
- ④ 全身性エリテマトーデス(SLE)は免疫複合体による補体消費でCH50が低値となる。
- ⑤ 膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は補体の持続的消費によりCH50が低値となる。
第68回 午前88(臨床免疫学)
輸血用血液製剤について誤っているのはどれか。
- ①濃厚血小板は振盪しながら保存する。
- ②赤血球液の保存温度は2〜6℃である。
- ③濃厚血小板の有効期限は採血後7日間である。
- ④新鮮凍結血漿の有効期限は採血後1年間である。
- ⑤洗浄赤血球液の有効期限は製造後48時間である。
正答: ③濃厚血小板の有効期限は採血後7日間である。
ポイント
輸血用血液製剤は製剤ごとに保存条件と有効期限が定められている。濃厚血小板(血小板濃厚液)は20〜24℃で振盪しながら保存し、有効期限は出題当時採血後4日間であった(室温保存のため細菌増殖リスクがあり期限が短い。細菌スクリーニング導入に伴い2025年7月末の供給分から採血後6日間に延長された)。赤血球液は2〜6℃で保存、新鮮凍結血漿は-20℃以下で凍結し採血後1年間、洗浄赤血球液は開放系処理を伴うため製造後の有効期限が短く設定される。濃厚血小板の有効期限を7日間とする記述が誤りである。●保存温度=赤血球液2〜6℃・濃厚血小板20〜24℃(要振盪)・新鮮凍結血漿-20℃以下。●有効期限=赤血球液は採血後(製造方法による)・濃厚血小板は採血後6日間(2025年7月末に4日間から延長)・新鮮凍結血漿1年間・洗浄赤血球液は製造後短期間。●振盪保存の理由=血小板の凝集防止とガス交換維持。●放射線照射=輸血後GVHD予防のため照射赤血球・照射血小板を使用。
選択肢ごとの解説
- ① 濃厚血小板は血小板機能維持のため20〜24℃で振盪しながら保存するのが正しい。
- ② 赤血球液の保存温度は2〜6℃であり、設問の体裁差はあるが正しい保存温度帯を指す。
- ③ 誤り。出題当時の濃厚血小板の有効期限は採血後4日間であり、7日間とする記載は誤りである。なお細菌スクリーニング導入に伴い2025年7月末の供給分から採血後6日間に延長されたが、いずれにせよ7日間ではない。
- ④ 新鮮凍結血漿の有効期限は採血後1年間であり、正しい。
- ⑤ 洗浄赤血球液は開放系処理を伴うため有効期限が製造後短く設定されており、正しい記述である。
第68回 午前89(臨床免疫学)
輸血副反応と原因の組合せで正しいのはどれか。
- ①C型肝炎 — 輸血用血液製剤中のリンパ球
- ②血管内溶血 — 輸血用血液製剤の補体
- ③輸血後GVHD — 不規則抗体
- ④輸血関連循環過負荷(TACO) — 抗内皮細胞抗体
- ⑤輸血関連急性肺障害(TRALI) — 抗白血球抗体
正答: ⑤輸血関連急性肺障害(TRALI) — 抗白血球抗体
ポイント
輸血副反応は原因により分類され、それぞれ機序が異なる。輸血関連急性肺障害(TRALI)は、主に提供者血漿中の抗白血球抗体(抗HLA抗体・抗好中球抗体)が患者の白血球(好中球)を活性化し、肺毛細血管内皮を傷害して非心原性肺水腫を起こす反応で、輸血後6時間以内に呼吸困難・低酸素血症を呈する。輸血後GVHDは製剤中の生着した供血者リンパ球が原因、輸血関連循環過負荷(TACO)は循環血液量の過負荷が原因で、C型肝炎はHCVの混入が原因であり、他の選択肢は組合せが入れ替わっている。●免疫学的副反応=溶血性輸血副反応(不適合輸血)・TRALI(抗白血球抗体)・輸血後GVHD(供血者リンパ球)・アレルギー/アナフィラキシー(IgA抗体等)。●非免疫学的副反応=TACO(循環過負荷)・細菌感染・ウイルス感染(HBV/HCV/HIV)・鉄過剰。●溶血の機序=血管内溶血(ABO不適合・補体活性化)/血管外溶血(IgG感作)。
選択肢ごとの解説
- ① C型肝炎の原因はHCVの混入であり、製剤中のリンパ球ではない。リンパ球が原因となるのは輸血後GVHDである。
- ② 血管内溶血は不適合輸血による抗原抗体反応と補体活性化が原因であり、単に製剤の補体が原因とする記述は適切でない。
- ③ 輸血後GVHDの原因は生着した供血者リンパ球であり、不規則抗体ではない。
- ④ 輸血関連循環過負荷(TACO)の原因は循環血液量の過負荷であり、抗内皮細胞抗体ではない。
- ⑤ 正しい。輸血関連急性肺障害(TRALI)は主に提供者血漿中の抗白血球抗体(抗HLA・抗好中球抗体)が原因で起こる。
📋 まとめの表を見る:輸血副作用の機序・発症時期と予防・対策
輸血副作用は「溶血性/非溶血性」×「免疫学的/非免疫学的」×「即時型/遅発型」で整理できる。
第68回 午前90(公衆衛生学)
院内の医療安全を確保するための措置に含まれないのはどれか。
- ①ヒヤリ・ハット事例を収集する。
- ②安全管理のための職員研修を行う。
- ③医療過誤を起こした職員を処罰する。
- ④検査実施時に患者名の確認を遵守させる。
- ⑤医療事故発生時に原因解明のための調査を行う。
正答: ③医療過誤を起こした職員を処罰する。
ポイント
医療安全確保の措置は、ヒヤリ・ハット事例(インシデント)の収集・分析、職員研修、患者確認(患者誤認防止)の徹底、事故発生時の原因究明調査など、システムの欠陥を分析し再発を防止する仕組みづくりが中心である。これは「人は誰でも誤りうる」という前提に立ち、個人の責任追及ではなく原因分析を重視する考え方に基づく。過誤を起こした職員を処罰する罰則主義は、ヒヤリ・ハットや事故の報告を萎縮させて情報収集を妨げ、かえって安全文化を損なうため、安全確保の措置には含まれない。●医療安全の仕組み=医療安全管理者の配置・医療安全管理委員会・指針整備・職員研修・インシデント報告制度。●再発防止の手法=根本原因分析(RCA)・故障モード影響解析(FMEA)・フィードバックと改善。●患者誤認防止=氏名・生年月日の本人確認・リストバンド・検体ラベル照合・ダブルチェック。●報告制度の理念=非懲罰性・秘匿性・独立性。
選択肢ごとの解説
- ① ヒヤリ・ハット事例の収集は事故の前段階を把握して再発防止に役立てる安全確保の措置である。
- ② 安全管理のための職員研修は医療安全の意識と知識を高める安全確保の措置である。
- ③ 誤り。医療過誤を起こした職員を処罰することは報告を萎縮させ安全文化を損なうため、医療安全確保の措置には含まれない。
- ④ 検査実施時の患者名確認の遵守は患者誤認防止のための基本的な安全確保の措置である。
- ⑤ 医療事故発生時の原因解明調査は再発防止に不可欠な安全確保の措置である。
第68回 午前91(公衆衛生学)
健康増進法に基づくがん検診で対象年齢が50歳以上であるのはどれか。
正答: ①胃がん
ポイント
健康増進法に基づく市町村のがん検診は、対象がんごとに対象年齢・受診間隔・検査方法が指針で定められている。胃がん検診は原則50歳以上を対象とし、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査を2年に1回行う(エックス線は当分の間40歳以上も可)。肺がん検診と大腸がん検診は40歳以上で年1回、乳がん検診は40歳以上で2年に1回(マンモグラフィ)、子宮頸がん検診は20歳以上で2年に1回が対象である。●対象年齢=胃がん50歳以上・肺がん40歳以上・大腸がん40歳以上・乳がん40歳以上・子宮頸がん20歳以上。●検査方法=胃がん(胃部X線/内視鏡)・肺がん(胸部X線+喀痰細胞診)・大腸がん(便潜血検査)・乳がん(マンモグラフィ)・子宮頸がん(細胞診)。●受診間隔=肺がん・大腸がんは年1回、胃がん・乳がん・子宮頸がんは2年に1回。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。胃がん検診は原則50歳以上を対象とする。
- ② 肺がん検診は40歳以上を対象とする。
- ③ 乳がん検診は40歳以上を対象とする。
- ④ 大腸がん検診は40歳以上を対象とする。
- ⑤ 子宮頸がん検診は20歳以上を対象とする。
第68回 午前92(公衆衛生学)
2019年の我が国の人口動態統計で10年前と比較して上昇しているのはどれか。
- ①出生率
- ②粗死亡率
- ③自然増減率
- ④乳児死亡率
- ⑤年齢調整死亡率
正答: ②粗死亡率
ポイント
人口動態統計の各指標は、少子化と人口の高齢化を反映して変化している。粗死亡率(人口千対の死亡数)は実際の人口の年齢構成に依存するため、高齢者割合の増加に伴い近年上昇傾向にあり、10年前と比較しても上昇している。一方、年齢構成の影響を除いた年齢調整死亡率は医療進歩により低下傾向、出生率・乳児死亡率も低下し、自然増減率(出生率−死亡率)は出生減・死亡増によりマイナスへ推移している。●上昇している指標=粗死亡率(高齢化の影響)。●低下している指標=出生率・合計特殊出生率・乳児死亡率・年齢調整死亡率・婚姻率。●マイナスへ推移=自然増減率(2007年頃以降)。●年齢調整の意義=人口の年齢構成の違いを除いて死亡水準を比較する指標。
選択肢ごとの解説
- ① 出生率は低下傾向にあり、10年前と比較して上昇していない。
- ② 正しい。粗死亡率は高齢化の進行に伴い上昇している。
- ③ 自然増減率は出生減・死亡増によりマイナス方向へ推移しており、上昇していない。
- ④ 乳児死亡率は低下傾向にあり、上昇していない。
- ⑤ 年齢調整死亡率は年齢構成の影響を除いた指標で低下傾向にあり、上昇していない。
第68回 午前93(公衆衛生学)
就学時健康診断に含まれないのはどれか。
- ①聴診
- ②色覚検査
- ③知能検査
- ④歯および口腔検査
- ⑤胸部エックス線撮影
正答: ②色覚検査・⑤胸部エックス線撮影
ポイント
就学時健康診断は学校保健安全法に基づき、小学校就学の前年に市町村教育委員会が行う健康診断で、栄養状態、脊柱・胸郭の疾病・異常、視力・聴力、眼・耳鼻咽喉頭・皮膚疾患、歯および口腔の疾病・異常、その他の疾病・異常の有無(聴診を含む内科的所見)、知能などを検査する。色覚検査は必須項目ではなく希望者に実施される扱いで、胸部エックス線撮影は就学時健康診断の項目には含まれない(結核検診としての胸部X線は別の枠組み・対象)。●就学時健康診断の項目=栄養状態・脊柱胸郭・視力聴力・眼耳鼻咽喉皮膚・歯口腔・その他疾病異常(聴診)・知能。●含まれないもの=色覚検査(必須でない)・胸部エックス線撮影。●定期健康診断(児童生徒)=身長体重・視力聴力・結核(問診と必要時X線)・心臓(心電図)・尿検査・歯口腔。
選択肢ごとの解説
- ① 聴診(心音・呼吸音などの内科的診察)は就学時健康診断に含まれる。
- ② 誤り。色覚検査は就学時健康診断の必須項目に含まれない。
- ③ 知能検査は就学時健康診断に含まれる。
- ④ 歯および口腔の検査は就学時健康診断に含まれる。
- ⑤ 誤り。胸部エックス線撮影は就学時健康診断には含まれない。
第68回 午前94(公衆衛生学)
業務上疾病の原因で最も多いのはどれか。
正答: ①負傷
ポイント
業務上疾病は労働に起因して発生する疾病で、労働者災害補償の対象となる。その原因別件数では、負傷に起因する疾病(とくに重量物取扱いや不自然な作業姿勢による災害性腰痛)が最も多くを占める。近年は新興感染症による休業も増加した年があるが、平時の構成では負傷起因の疾病が最多である。化学物質・物理的因子・作業態様・病原体による疾病もあるが、件数では負傷に基づくものが上位を占める。●業務上疾病の原因分類=負傷に起因する疾病(災害性腰痛など)・物理的因子(熱中症・騒音性難聴・電離放射線障害・振動障害)・化学物質(中毒・じん肺)・作業態様(非災害性腰痛・頸肩腕症候群・VDT作業)・病原体(結核・B型肝炎など職業感染)。●代表的職業病=じん肺・騒音性難聴・振動障害(白ろう病)・熱中症・腰痛。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。業務上疾病の原因で最も多いのは負傷(負傷に起因する疾病)である。
- ② 病原体による業務上疾病は一定数あるが、負傷に比べて少ない。
- ③ 化学物質による業務上疾病は一定数あるが、負傷に比べて少ない。
- ④ 作業態様に起因する疾病は一定数あるが、負傷に比べて少ない。
- ⑤ 物理的因子による業務上疾病は一定数あるが、負傷に比べて少ない。
📋 まとめの表を見る:業務上疾病の原因別割合
新型コロナウイルス感染症の流行以降は、これを含めると病原体による疾病数が突出して多くなる年がある。
第68回 午前95(医用工学概論)
超音波の伝搬速度が最も速いのはどれか。
正答: ⑤頭蓋骨
ポイント
音波の伝搬速度は媒質の体積弾性率(硬さ)と密度で決まり、弾性率が大きいほど速くなるため、一般に固体>液体>気体の順に速い。生体内では骨が最も硬く伝搬速度が速く、頭蓋骨など緻密骨では約3,000〜4,000 m/sに達する。軟部組織(肝臓など)や水は約1,500 m/s前後で、脂肪はやや遅く、空気は密度・弾性とも低いため約340 m/sと最も遅い。超音波検査で骨や空気(消化管ガス・肺)が描出を妨げるのはこの音速差・音響インピーダンス差による。●生体内の音速の目安=空気約340・脂肪約1,450・水約1,480〜1,500・軟部組織(平均)約1,530・肝臓約1,540・骨約3,000〜4,000 m/s。●音響インピーダンス=密度×音速(界面で大きく異なると強く反射)。●超音波の不得手=骨・空気を含む臓器(肺・消化管ガス)。
選択肢ごとの解説
- ① 水中の音速は約1,500 m/sで軟部組織と同程度であり、骨より遅い。
- ② 肝臓など軟部組織の音速は約1,540 m/s程度で、骨より遅い。
- ③ 空気中の音速は約340 m/sで、生体内のどの組織よりも遅い。
- ④ 脂肪の音速は約1,450 m/sで軟部組織のなかでもやや遅く、骨より遅い。
- ⑤ 正しい。頭蓋骨は硬い固体で弾性率が大きいため、これらの中で超音波の伝搬速度が最も速い。
第68回 午前96(医用工学概論)
電圧利得が20倍の増幅器を3つ直列につないだ増幅器の利得[dB]はどれか。ただし、log2 = 0.3とする。
正答: ③78
ポイント
増幅器を直列(縦続)接続すると全体の電圧利得は各段の倍率の積となり、デシベル(dB)表示では各段の利得の和になる。電圧利得のデシベルは20log10(電圧比)で求められ、20倍は20log10(20)=20×(log10 2+log10 10)=20×(0.3+1)=26 dBとなる。同じ増幅器を3段直列にすると26 dB×3=78 dBである。●電圧利得=20log10(Vout/Vin)[dB]。●電力利得=10log10(Pout/Pin)[dB]。●縦続接続=倍率は積、dBは和。●代表値=2倍≒6 dB・10倍=20 dB・100倍=40 dB・1/√2倍≒-3 dB(電力半減点)。
選択肢ごとの解説
- ① 46 dBは20倍を約15.3 dBと誤るなどした値で、計算に合わない。
- ② 66 dBは1段あたり22 dBとした場合の値で、20倍=26 dBとは合わない。
- ③ 正しい。20倍の利得は26 dB(20×(1+0.3))で、3段直列では26×3=78 dBとなる。
- ④ 96 dBは1段あたり32 dBとした場合の値で、20倍=26 dBとは合わない。
- ⑤ 124 dBは計算に合わず、誤りである。
第68回 午前97(医用工学概論)
アナログ信号をデジタル信号へ変換するとき、サンプル値の最大値と最小値の間を一定の幅で分割することを示すのはどれか。
正答: ④量子化
ポイント
アナログ信号をデジタル信号へ変換するA/D変換は、時間軸を一定間隔で区切って信号値を取り出す標本化(サンプリング)、取り出した振幅を有限段階の離散値に対応させる量子化、その値を2進符号などに変換する符号化(コード化)の3段階からなる。設問のように、サンプル値の最大値と最小値の間を一定の幅(量子化ステップ)で分割し、各値を最も近い段階に割り当てる処理が量子化である。量子化に伴って生じる本来の値との差は量子化誤差(量子化雑音)となる。●A/D変換の3段階=標本化(時間の離散化)・量子化(振幅の離散化)・符号化(数値の符号化)。●標本化定理(ナイキスト)=信号の最高周波数の2倍超で標本化する。●量子化誤差=ビット数を増やすと低減(分解能向上)。●関連用語=サンプリング周波数・量子化ビット数・ダイナミックレンジ。
選択肢ごとの解説
- ① 正規化は値の範囲を一定の基準にそろえる処理で、量子化とは異なる。
- ② 標準化はデータの平均や分散をそろえる統計的処理で、量子化とは異なる。
- ③ 標本化は時間方向に一定間隔で信号値を取り出す処理であり、振幅の分割ではない。
- ④ 正しい。量子化はサンプル値の最大・最小の間を一定幅で分割し離散的な段階に割り当てる処理である。
- ⑤ コード化(符号化)は量子化した値を2進数などの符号に変換する処理であり、振幅の分割そのものではない。
📋 まとめの表を見る:A/D変換の3段階(標本化・量子化・符号化)
標本化定理により、標本化周波数は信号の最高周波数の2倍以上必要である。
第68回 午前98(医用工学概論)
医療情報システムで臨床検査項目分類コードとして用いられるのはどれか。
- ①DICOM
- ②HL7
- ③ICD 11
- ④JLAC
- ⑤PACS
正答: ④JLAC
ポイント
医療情報システムでは目的別に標準コード・規格が用いられる。臨床検査項目の分類にはJLAC(臨床検査項目分類コード/日本臨床検査医学会が制定、現行はJLAC10)が用いられ、検体検査・生理機能検査の項目を体系的にコード化して施設間でのデータ互換を可能にする。DICOMは医用画像の保存・通信フォーマット、HL7は医療情報交換のメッセージ規格、ICD-11は疾病・死因の国際統計分類、PACSは医用画像の保存・通信システムであり、いずれも検査項目分類コードではない。●臨床検査項目分類=JLAC10。●医用画像規格=DICOM(フォーマット/通信)・PACS(保存通信システム)。●医療情報交換=HL7(メッセージ規格)・SS-MIX(標準化ストレージ)。●疾病分類=ICD-10/ICD-11。●医薬品コード=HOT・YJコード。
選択肢ごとの解説
- ① DICOMは医用画像のフォーマットと通信の標準規格であり、検査項目分類コードではない。
- ② HL7は医療情報交換のためのメッセージ規格であり、検査項目分類コードそのものではない。
- ③ ICD-11は疾病および関連保健問題の国際統計分類であり、臨床検査項目の分類コードではない。
- ④ 正しい。JLACは臨床検査項目分類コードとして医療情報システムで用いられる。
- ⑤ PACSは医用画像の保存・通信システムであり、検査項目分類コードではない。
📋 まとめの表を見る:医療情報システムの主な標準規格・コード
MEDLINEの検索ツールとしてPubMedがある。臨床検査項目の分類コードはJLACであり、DICOM・PACSは医用画像、HL7は情報交換の通信規格、ICDは疾病分類である点を区別する。
第68回 午前99(医用工学概論)
波長220 nmの光の分類はどれか。
- ①紫外線A
- ②紫外線B
- ③紫外線C
- ④赤外線A
- ⑤赤外線B
正答: ③紫外線C
ポイント
紫外線は波長により紫外線A(UVA、315〜400 nm)、紫外線B(UVB、280〜315 nm)、紫外線C(UVC、100〜280 nm)に分類される。波長220 nmは280 nm以下であるため紫外線Cに該当する。紫外線Cは波長が短くエネルギーが高いため殺菌作用が強く(DNA吸収極大の260 nm付近を含む)、殺菌灯に利用されるが、太陽光由来のものは成層圏のオゾン層でほぼ吸収され地表には到達しない。●紫外線の区分=UVA 315〜400 nm(生活紫外線・真皮到達・しわ)・UVB 280〜315 nm(日焼け・紅斑・皮膚癌)・UVC 100〜280 nm(殺菌・オゾン層で遮断)。●赤外線の区分=IR-A約760〜1,400 nm・IR-B 1,400〜3,000 nm・IR-C 3,000 nm〜1 mm。●可視光=約380〜780 nm。●殺菌に有効な波長=約254 nm(紫外線C)。
選択肢ごとの解説
- ① 紫外線Aは波長315〜400 nmであり、220 nmは該当しない。
- ② 紫外線Bは波長280〜315 nmであり、220 nmは該当しない。
- ③ 正しい。紫外線Cは波長100〜280 nmで、220 nmはこれに該当する。
- ④ 赤外線Aは可視光より長波長(約760〜1,400 nm)であり、220 nmは該当しない。
- ⑤ 赤外線Bは赤外線Aよりさらに長波長(約1,400〜3,000 nm)であり、220 nmは該当しない。
📋 まとめの表を見る:紫外線・赤外線の波長区分
紫外線は波長が短いほどエネルギーが高い。UV-Cは太陽光由来のものはオゾン層でほぼ吸収され通常地表に届かないが、紫外線滅菌装置に利用される。UV-Bは表皮のDNA・細胞膜を損傷し日焼けの原因となり、UV-AよりUV-Bの方が有害性が強い。UV-Aは真皮まで達しコラーゲンやエラスチン線維を破壊し、しわ・たるみの原因となる。
第68回 午前100(医用工学概論)
200 mL、20 ℃の水を700 Wの電子レンジで1分間加熱した。加えられたエネルギーがすべて水の加熱に使われたとき、水のおよその温度[℃]はどれか。ただし、水の比熱は4,200 J/(kg・℃)とする。
正答: ④70
ポイント
加熱に要する熱量は、熱量=比熱×質量×温度上昇(Q=c・m・ΔT)で表される。電子レンジが700 Wで1分間(60秒)に与えるエネルギーはQ=700 W×60 s=42,000 Jである。水200 mLは質量0.2 kg、比熱4,200 J/(kg・℃)なので、温度上昇ΔT=Q÷(c・m)=42,000÷(0.2×4,200)=50℃となる。初期温度20℃にこの上昇分を加えて、加熱後の水温はおよそ70℃である。●熱量の式=Q=c・m・ΔT。●仕事率(電力)=エネルギー÷時間(W=J/s)。●水の比熱=約4,200 J/(kg・℃)=約4.2 J/(g・℃)=1 cal/(g・℃)。●潜熱=融解熱・気化熱(状態変化では温度は一定)。●単位換算=1 cal=約4.2 J。
選択肢ごとの解説
- ① 40℃は温度上昇分の計算が合わず、誤りである。
- ② 50℃は温度上昇分(50℃)のみで初期温度20℃を加えておらず、誤りである。
- ③ 60℃は計算が合わず、誤りである。
- ④ 正しい。加えたエネルギー42,000 Jによる温度上昇は50℃で、初期20℃と合わせて約70℃となる。
- ⑤ 80℃は計算が合わず、誤りである。