第68回(2022) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第68回 午後1(臨床検査総論)
内部精度管理法で管理血清を用いるのはどれか。2つ選べ。
- ①|R/X̄|管理法
- ②X̄-R管理図法
- ③項目間チェック法
- ④デルタチェック法
- ⑤マルチルール管理図法
正答: ②X̄-R管理図法・⑤マルチルール管理図法
ポイント
内部精度管理のうち、既知濃度の管理血清(管理試料)を反復測定して評価するのはX̄-R管理図法とマルチルール(Westgard)管理図法である。X̄-R管理図法は同一管理血清の反復測定値から平均値X̄と範囲Rを算出して管理限界線と比較し、X̄が系統誤差(偏り)、Rが偶然誤差(ばらつき)を反映する。マルチルール管理図法は1_2s・1_3s・2_2s・R_4s・4_1s・10x̄などの複数判定規則を組み合わせ、偽棄却を抑えつつ誤差検出力を高める。これに対し患者検体の連続データを利用する手法は管理血清を用いない。●管理試料(管理血清)を用いる法=X̄-R管理図法・マルチルール法・X̄管理図法・累積和(CUSUM)法。●患者データを用いる法=項目間チェック法・デルタチェック法・正常者平均値(X̄_B、Bull)法・患者データ平均値法。●管理図の判定規則=1_2s(警告)・1_3s・2_2s・R_4s・4_1s・10x̄。
選択肢ごとの解説
- ① |R/X̄|管理法は患者検体の連続測定値の変動(R/X̄比)を利用する患者データ精度管理法であり、管理血清は用いない。
- ② 正しい。X̄-R管理図法は管理血清を反復測定し、平均値X̄と範囲Rをプロットして系統誤差・偶然誤差を監視する管理血清使用法である。
- ③ 項目間チェック法は同一患者検体内の関連項目(AST/ALT、Na/Clなど)の比や整合性をみる患者データ法で、管理血清を用いない。
- ④ デルタチェック法は同一患者の前回値と今回値の差を比較する患者データ法であり、管理血清は用いない。
- ⑤ 正しい。マルチルール管理図法は管理血清の測定値に1_3s・2_2sなど複数規則を適用して誤差検出力を高める管理血清使用法である。
📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。
第68回 午後2(臨床検査総論)
標準予防策において感染性を考慮しない体液・分泌物はどれか。
正答: ①汗
ポイント
標準予防策(スタンダードプリコーション)は、すべての患者の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚を感染性をもつものとして扱う考え方である。この原則のなかで汗のみが例外とされ、感染性を考慮しなくてよい唯一の体液とされる。汗には病原体がほとんど含まれないためで、尿・髄液・精液・唾液はいずれも病原体を含み得るため感染性を考慮して取り扱う。●感染性を考慮する体液・分泌物=血液・髄液・胸水・腹水・心嚢液・関節液・精液・腟分泌物・唾液・尿・便。●感染性を考慮しない例外=汗。●標準予防策の構成要素=手指衛生・個人防護具(手袋・マスク・ガウン・ゴーグル)・針刺し防止・呼吸器衛生・環境整備。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。汗は標準予防策において感染性を考慮しなくてよい唯一の体液・分泌物である。
- ② 尿は標準予防策で感染性を考慮する排泄物に含まれる。
- ③ 髄液は感染性を考慮して取り扱う体液であり例外ではない。
- ④ 精液は感染性を考慮する体液で、性感染症の病原体を含み得る。
- ⑤ 唾液も感染性を考慮する分泌物であり、血液混入の可能性もある。
第68回 午後3(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本及びSternheimer染色標本を別に示す。矢印が示す構造物はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB003.6b2508c28c.jpg

- ①顆粒円柱
- ②脂肪円柱
- ③硝子円柱
- ④上皮円柱
- ⑤赤血球円柱
正答: ①顆粒円柱
ポイント
尿沈渣の円柱は尿細管で分泌されるTamm-Horsfallムコ蛋白を基質とし、これに細胞や成分が封入されて形成される。顆粒円柱は基質内に変性した細胞由来の顆粒を含み、無染色でも顆粒状構造として認識でき、Sternheimer(S)染色では基質と顆粒が明瞭に染め分けられる。硝子円柱が細胞封入物の変性・崩壊を経て移行したもので、腎実質障害を示唆する病的円柱である。●円柱の種類=硝子円柱(基質のみ・しばしば生理的)・顆粒円柱・上皮円柱・赤血球円柱・白血球円柱・脂肪円柱・ろう様円柱・幅広円柱。●病的意義=赤血球円柱(糸球体腎炎・糸球体性血尿)・白血球円柱(腎盂腎炎・間質性腎炎)・上皮円柱(尿細管壊死)・ろう様円柱(高度・慢性の腎障害)。●脂肪円柱=ネフローゼ症候群で偏光下マルタ十字を示す。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。基質内に顆粒状構造を含み、無染色・Sternheimer染色いずれでも顆粒が認識できる顆粒円柱である。
- ② 脂肪円柱は基質内に屈折性の脂肪滴を含み、偏光下でマルタ十字を示す点で顆粒円柱と異なる。
- ③ 硝子円柱は基質のみからなり内部に顆粒や封入物を含まず、ほぼ無色透明である。
- ④ 上皮円柱は基質内に尿細管上皮細胞が封入された円柱で、顆粒ではなく細胞が認められる。
- ⑤ 赤血球円柱は基質内に赤血球が封入され糸球体性血尿を示唆する円柱で、構成が異なる。
第68回 午後4(臨床検査総論)
便潜血の免疫学的検査法で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①便中の鉄を検出する。
- ②食事制限が必要である。
- ③化学的検査法より検出感度は低い。
- ④便の表面をこするように採取する。
- ⑤上部より下部の消化管出血の検査に適している。
正答: ④便の表面をこするように採取する。・⑤上部より下部の消化管出血の検査に適している。
ポイント
免疫学的便潜血検査(fecal immunochemical test:FIT)は抗ヒトヘモグロビン抗体でヒトのヘモグロビンを特異的に検出する方法である。ヒトヘモグロビンのみに反応するため肉類や鉄剤などの食事・薬剤制限が不要で、化学的(グアヤック)法より高感度・高特異度である。ヘモグロビンは上部消化管を通過する間に消化酵素で変性するため、変性を受けにくい下部消化管(大腸)出血の検出に適し、大腸癌スクリーニングに用いられる。便表面を擦るように採取するのは表面に付着した血液を効率よく回収するためである。●便潜血検査の種類=化学的法(グアヤック法・オルトトリジン法、ヘムのペルオキシダーゼ様活性を利用)・免疫学的法(FIT、抗ヒトHb抗体)。●化学的法の偽陽性=獣肉・血液入り食品・鉄剤・一部野菜(食事制限要)。●免疫学的法の特徴=食事制限不要・下部消化管出血に適する。●大腸癌スクリーニング=FIT2日法が一次検査。
選択肢ごとの解説
- ① 便中の鉄ではなくヒトヘモグロビン蛋白を抗原抗体反応で検出する。
- ② ヒトヘモグロビンに特異的に反応するため、肉や鉄剤などの食事制限は不要である。
- ③ 化学的(グアヤック)法よりも検出感度は高い。
- ④ 正しい。便表面を擦るように採取することで付着した血液を効率よく回収する。
- ⑤ 正しい。ヘモグロビンは上部消化管で消化・変性するため、変性を受けにくい下部消化管出血の検査に適している。
📋 まとめの表を見る:便潜血検査:化学的検査法と免疫学的検査法の比較
第68回 午後5(臨床検査総論)
関節液の異常所見はどれか。
- ①淡黄色透明
- ②比重1.010
- ③細胞数50/μL
- ④好中球比率10%
- ⑤蛋白濃度3.5 g/dL
正答: ⑤蛋白濃度3.5 g/dL
ポイント
正常関節液は淡黄色透明で粘稠度が高く、有核細胞数は少なく(おおむね200/μL未満)、好中球比率も低い(25%未満)。蛋白濃度は血漿より低く1〜2 g/dL程度である。炎症性関節液では血管・滑膜透過性の亢進により蛋白濃度が上昇し、細胞数増加と好中球比率上昇を伴う。蛋白濃度3.5 g/dLは血漿に近い高値で滑膜透過性亢進を示す異常所見であり、他の項目はいずれも正常範囲である。●関節液の分類=非炎症性(変形性関節症、細胞<2000/μL)・炎症性(関節リウマチ・痛風など、細胞2000〜50000/μL)・化膿性(細菌性、細胞>50000/μL・好中球優位)・血性(外傷・血友病)。●結晶の鑑別=尿酸ナトリウム(痛風、針状・負の複屈折)・ピロリン酸カルシウム(偽痛風、菱形・正の複屈折)。●正常値の目安=蛋白1〜2 g/dL・細胞数<200/μL・粘稠度高。
選択肢ごとの解説
- ① 淡黄色透明は正常関節液の外観であり異常所見ではない。
- ② 比重1.010は正常範囲内であり異常とはいえない。
- ③ 細胞数50/μLは正常(200/μL未満)で異常ではない。
- ④ 好中球比率10%は低値であり炎症を示す異常所見ではない。
- ⑤ 正しい。正常関節液の蛋白濃度は1〜2 g/dL程度で、3.5 g/dLは血漿に近い高値であり滑膜透過性亢進を示す異常所見である。
📋 まとめの表を見る:正常関節液の性状と異常値の目安
蛋白濃度が明らかに高値(例:3.5g/dL)の場合は滑膜透過性亢進などの異常所見を示唆する。
第68回 午後6(臨床検査総論)
中間宿主を有するのはどれか。
正答: ⑤糸状虫
ポイント
中間宿主とは寄生虫が幼虫期に発育する宿主のことである。糸状虫(フィラリア)は蚊を中間宿主とし、血中のミクロフィラリアが吸血時に蚊体内へ移行して感染幼虫へ発育し、再びヒトへ伝播する。これに対し回虫・蟯虫・鉤虫・鞭虫は中間宿主を必要としない。回虫・鞭虫・鉤虫は土壌伝播性線虫であり、蟯虫は肛門周囲の虫卵が手指や寝具などを介して経口感染する。●中間宿主をもつ線虫=糸状虫(蚊)・旋毛虫(ブタ・経口)・回旋糸状虫(ブユ)・アニサキス(甲殻類・魚類)。●土壌伝播性線虫(中間宿主なし)=回虫・鞭虫・鉤虫・糞線虫。●蟯虫=中間宿主なし。手指・寝具などを介する経口感染。●中間宿主をもつ吸虫=肝吸虫(マメタニシ→淡水魚)・肺吸虫(カワニナ→カニ)・横川吸虫(カワニナ→アユ)・日本住血吸虫(ミヤイリガイ)。●条虫=無鉤条虫(ウシ)・有鉤条虫(ブタ)・日本海裂頭条虫(ケンミジンコ→魚)。
選択肢ごとの解説
- ① 回虫は虫卵が経口的に直接感染する土壌伝播性線虫で、中間宿主を持たない。
- ② 蟯虫は肛門周囲の虫卵が経口的に直接感染し、中間宿主を必要としない。
- ③ 鉤虫は経皮または経口で感染幼虫が直接ヒトへ侵入し、中間宿主を持たない。
- ④ 鞭虫は虫卵が経口的に直接感染する土壌伝播性線虫で、中間宿主を持たない。
- ⑤ 正しい。糸状虫(フィラリア)は蚊を中間宿主とし、蚊体内で感染幼虫へ発育してヒトへ伝播する。
第68回 午後7(臨床検査総論)
致死率が最も高いのはどれか。
- ①サルマラリア
- ②卵形マラリア
- ③熱帯熱マラリア
- ④三日熱マラリア
- ⑤四日熱マラリア
正答: ③熱帯熱マラリア
ポイント
ヒトに感染するマラリアのうち熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)は致死率が最も高い。赤血球の発育段階を選ばず感染するため高度の原虫寄生率となり、感染赤血球が血管内皮へ付着(細胞接着)して微小循環障害を起こし、脳マラリア・重症貧血・多臓器不全をきたす。三日熱・卵形マラリアは肝に休眠原虫(ヒプノゾイト)を残して再発するが致死率は低く、四日熱・サルマラリアも一般に重症化は少ない。●ヒトのマラリア原虫=熱帯熱(P. falciparum、悪性・致死率高・脳マラリア)・三日熱(P. vivax、再発あり)・卵形(P. ovale、再発あり)・四日熱(P. malariae、慢性・腎症)・サル(P. knowlesi、人獣共通)。●再発(ヒプノゾイト)をもつ=三日熱・卵形。●診断=Giemsa染色塗抹標本での原虫検出、迅速抗原検査。
選択肢ごとの解説
- ① サルマラリア(P. knowlesiなど)は重症化することもあるが、致死率は熱帯熱マラリアより低い。
- ② 卵形マラリアは比較的軽症で、肝内休眠原虫による再発はあるが致死率は低い。
- ③ 正しい。熱帯熱マラリアは高度の原虫寄生率と感染赤血球の血管内皮付着により脳マラリア・多臓器不全を起こし、致死率が最も高い。
- ④ 三日熱マラリアは肝内休眠原虫による再発をきたすが致死率は低い。
- ⑤ 四日熱マラリアは慢性に経過することがあるが致死率は低い。
第68回 午後8(臨床検査総論)
染色体分染法でグアニン〈G〉-シトシン〈C〉塩基対優位部が濃染するのはどれか。
- ①Cバンド分染法
- ②Gバンド分染法
- ③Qバンド分染法
- ④Rバンド分染法
- ⑤NOR分染法
正答: ④Rバンド分染法
ポイント
染色体分染法のうちRバンド分染法は、グアニン・シトシン(GC)塩基対に富む領域が濃染する方法で、AT塩基対に富む部位が濃染するGバンドと明暗が逆(reverse)になる。GC領域は遺伝子密度が高く、Gバンドで淡染して観察しにくい染色体末端付近の解析に有用である。CバンドはセントロメアのヘテロクロマチンをQバンドは蛍光で、NORは核小体形成部位を染め分ける。●分染法=Gバンド(AT優位部濃染、核型分析の基本)・Rバンド(GC優位部濃染、Gと逆)・Cバンド(構成的ヘテロクロマチン=セントロメア・Yq)・Qバンド(キナクリン蛍光、AT優位部)・NOR(銀染色、rRNA遺伝子の核小体形成部位)。●高精度法=分染後のFISH・SKY(スペクトル核型分析)。●用途=数的異常(トリソミー等)・構造異常(転座・欠失)の同定。
選択肢ごとの解説
- ① Cバンド分染法はセントロメア周囲の構成的ヘテロクロマチンを濃染する方法で、GC優位部の染色ではない。
- ② Gバンド分染法はAT塩基対に富む部位が濃染し、GC優位部は淡染する。
- ③ Qバンド分染法はキナクリン蛍光でAT優位部が明るく蛍光する方法である。
- ④ 正しい。Rバンド分染法はGC塩基対に富む領域が濃染し、Gバンドと明暗が逆になる。
- ⑤ NOR分染法は核小体形成部位(リボソームRNA遺伝子領域)を銀染色で染め出す方法である。
📋 まとめの表を見る:染色体分染法(バンディング法)の種類と特徴
染色体観察に適するのは細胞周期の中期(染色体が最も凝縮する時期)である。
第68回 午後9(臨床検査総論)
アミノ酸を結合してリボソームに運搬する働きをするのはどれか。
- ①mRNA
- ②rRNA
- ③tRNA
- ④hnRNA
- ⑤snRNA
正答: ③tRNA
ポイント
tRNA(転移RNA、transfer RNA)はアミノアシルtRNA合成酵素によって特定のアミノ酸を結合し、mRNAのコドンに相補的なアンチコドンを介してリボソーム上に正しいアミノ酸を運搬する。これにより伸長中のペプチド鎖へアミノ酸が順次付加され、翻訳が進行する。mRNAは遺伝情報を伝える鋳型、rRNAはリボソームの構成成分でペプチド結合形成を触媒する。●RNAの種類と機能=mRNA(伝令、翻訳の鋳型)・tRNA(転移、アミノ酸運搬)・rRNA(リボソーム、ペプチド結合触媒)・hnRNA(mRNA前駆体)・snRNA(スプライシング)・snoRNA(rRNA修飾)・miRNA/siRNA(遺伝子発現調節)。●翻訳の場=リボソーム(大・小サブユニット)。●コドン=開始コドンAUG(メチオニン)・終止コドンUAA/UAG/UGA。
選択肢ごとの解説
- ① mRNAは遺伝情報をコドンとして運ぶ鋳型RNAであり、アミノ酸を運搬しない。
- ② rRNAはリボソームを構成しペプチド結合形成を触媒するが、アミノ酸の運搬は行わない。
- ③ 正しい。tRNAは特定のアミノ酸を結合し、アンチコドンを介してリボソームへ運搬する。
- ④ hnRNAは核内で生じるmRNA前駆体であり、アミノ酸運搬の機能はない。
- ⑤ snRNAはスプライシングなどに関与する核内低分子RNAで、アミノ酸を運搬しない。
第68回 午後10(臨床検査総論)
PCR法において核酸増幅産物の特異性を高める方法として正しいのはどれか。
- ①サイクル数を増やす。
- ②プライマー濃度を下げる。
- ③アニーリング温度を下げる。
- ④マグネシウム濃度を上げる。
- ⑤DNAポリメラーゼ濃度を上げる。
正答: ②プライマー濃度を下げる。
ポイント
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の特異性はプライマーが標的配列にのみ正しく結合(アニーリング)することで担保される。プライマー濃度を下げると非特異的なミスプライミングやプライマーダイマーの形成が抑えられ、増幅産物の特異性が高まる。逆にサイクル数の増加・アニーリング温度の低下・マグネシウムイオン濃度の上昇・DNAポリメラーゼの過剰はいずれも非特異的増幅を助長して特異性を低下させる。●特異性を高める操作=プライマー濃度低減・アニーリング温度上昇・タッチダウンPCR・ホットスタートPCR・ネステッドPCR。●非特異増幅を招く要因=アニーリング温度過低・Mg²⁺過剰・プライマー/酵素過剰・サイクル数過多。●PCRの応用=リアルタイムPCR(定量)・RT-PCR(RNA鋳型)・マルチプレックスPCR・デジタルPCR。
選択肢ごとの解説
- ① サイクル数を増やすと非特異産物も蓄積しやすく、特異性は低下する。
- ② 正しい。プライマー濃度を下げるとプライマーダイマーや非特異的結合が減り、増幅産物の特異性が高まる。
- ③ アニーリング温度を下げると非特異的なプライマー結合が増え、特異性は低下する。
- ④ マグネシウム濃度を上げるとポリメラーゼ活性とともに非特異増幅も増加し、特異性は低下する。
- ⑤ DNAポリメラーゼ濃度を上げると非特異産物が増え、特異性は低下する。
第68回 午後11(臨床検査医学総論)
末梢神経障害を呈するのはどれか。
- ①Alzheimer病
- ②Creutzfeldt-Jakob病
- ③Guillain-Barré症候群
- ④Parkinson病
- ⑤Wilson病
正答: ③Guillain-Barré症候群
ポイント
Guillain-Barré症候群は先行感染(Campylobacter jejuni腸炎や上気道感染)後に自己免疫機序で末梢神経の髄鞘や軸索が障害される急性炎症性脱髄性多発神経炎で、左右対称性の弛緩性運動麻痺と深部腱反射消失をきたす末梢神経障害である。髄液で蛋白細胞解離を認める。Alzheimer病・Creutzfeldt-Jakob病・Parkinson病・Wilson病はいずれも中枢神経が主体の疾患である。●末梢神経障害=Guillain-Barré症候群・慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)・糖尿病性末梢神経障害・Charcot-Marie-Tooth病。●中枢の変性疾患=Alzheimer病(認知症)・Parkinson病(黒質ドパミン神経)・筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン)。●プリオン病=Creutzfeldt-Jakob病。●代謝性=Wilson病(銅蓄積、肝・基底核)。
選択肢ごとの解説
- ① Alzheimer病は大脳の変性による認知症で中枢神経障害である。
- ② Creutzfeldt-Jakob病はプリオンによる中枢神経変性疾患である。
- ③ 正しい。Guillain-Barré症候群は自己免疫機序で末梢神経の脱髄・軸索障害を起こす末梢神経障害である。
- ④ Parkinson病は黒質ドパミン神経の変性による中枢神経疾患である。
- ⑤ Wilson病は銅の蓄積による肝・基底核障害で、神経症状は中枢性である。
第68回 午後12(臨床検査医学総論)
染色体検査が診断に有用なのはどれか。
- ①血友病A
- ②サラセミア
- ③Gaucher病
- ④Turner症候群
- ⑤フェニルケトン尿症
正答: ④Turner症候群
ポイント
Turner症候群は性染色体が45,X(X染色体の1本欠失)や構造異常・モザイクとなる染色体異常症で、染色体核型検査が診断に直接有用である。低身長・性腺機能低下(原発性無月経)・翼状頸・外反肘などを呈する。血友病A・サラセミア・Gaucher病・フェニルケトン尿症は特定遺伝子の点変異・欠失による疾患で、染色体数・構造の異常ではないため核型検査では診断できず、遺伝子検査や酵素・代謝物測定で診断する。●染色体核型検査で診断する数的異常=Down症候群(21トリソミー)・Edwards症候群(18トリソミー)・Patau症候群(13トリソミー)・Turner症候群(45,X)・Klinefelter症候群(47,XXY)。●遺伝子(DNA)検査で診断=血友病A(F8)・サラセミア(グロビン)・Gaucher病・PKU(PAH)。●代謝・酵素検査=先天代謝異常症のスクリーニング。
選択肢ごとの解説
- ① 血友病AはF8遺伝子変異による凝固第Ⅷ因子欠乏で、染色体核型では診断できない。
- ② サラセミアはグロビン遺伝子異常によるヘモグロビン合成障害で、染色体検査では診断できない。
- ③ Gaucher病はグルコセレブロシダーゼ遺伝子変異による酵素欠損で、酵素・遺伝子検査で診断する。
- ④ 正しい。Turner症候群は45,XなどX染色体の欠失による染色体異常症で、染色体核型検査が診断に有用である。
- ⑤ フェニルケトン尿症はフェニルアラニン水酸化酵素の遺伝子変異による代謝異常で、代謝物測定や遺伝子検査で診断する。
第68回 午後13(臨床検査医学総論)
ROC曲線の縦軸と横軸の組合せで正しいのはどれか。
- ①感度 — 特異度
- ②特異度 — 感度
- ③感度 — 偽陽性率
- ④偽陽性率 — 感度
- ⑤偽陽性率 — 特異度
正答: ③感度 — 偽陽性率
ポイント
ROC曲線(受信者動作特性曲線)は検査のカットオフ値を変化させたときの判別能を示す曲線で、縦軸に感度(真陽性率)、横軸に偽陽性率(1−特異度)をとる。曲線が左上に近いほど判別能が高く、曲線下面積(AUC)が1に近いほど性能がよい。横軸を特異度そのものではなく偽陽性率(1−特異度)でとる点が要点である。●ROC関連指標=感度(真陽性率)・特異度・偽陽性率(1−特異度)・AUC(曲線下面積、0.5で無意味・1.0で完全)。●最適カットオフの指標=Youden指数(感度+特異度−1)、左上隅への最近接点。●検査性能の指標=陽性的中率・陰性的中率・尤度比。●関連=有病率は的中率に影響するが感度・特異度には影響しない。
選択肢ごとの解説
- ① 縦軸は感度で正しいが、横軸は特異度ではなく偽陽性率(1−特異度)である。
- ② 縦軸を特異度、横軸を感度とする組合せは誤りである。
- ③ 正しい。ROC曲線は縦軸に感度、横軸に偽陽性率(1−特異度)をとる。
- ④ 縦軸と横軸が逆で、感度が横軸になっており誤りである。
- ⑤ 縦軸を偽陽性率、横軸を特異度とする組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:ROC曲線の指標
横軸を「特異度」ではなく「偽陽性率(1-特異度)」でとる点が組合せ問題の要点。
第68回 午後14(臨床検査医学総論)
関節リウマチの診断に用いられるのはどれか。
- ①抗CCP抗体
- ②抗GAD抗体
- ③抗SS-A抗体
- ④抗サイログロブリン抗体
- ⑤抗アセチルコリン受容体抗体
正答: ①抗CCP抗体
ポイント
抗CCP抗体(抗環状シトルリン化ペプチド抗体)はシトルリン化された自己蛋白に対する自己抗体で、関節リウマチに対して高い特異度をもち、早期診断や予後(骨びらん進行)予測に用いられる。リウマトイド因子より特異度が高く、発症前から陽性化することがある。他の選択肢はそれぞれ別の自己免疫疾患の指標である。●自己抗体と疾患=抗CCP抗体・リウマトイド因子(関節リウマチ)・抗GAD抗体(1型糖尿病)・抗SS-A/SS-B抗体(Sjögren症候群・SLE)・抗サイログロブリン抗体/抗TPO抗体(橋本病)・抗TSH受容体抗体(Basedow病)・抗アセチルコリン受容体抗体(重症筋無力症)・抗dsDNA抗体・抗Sm抗体(SLE)・抗Scl-70抗体(全身性強皮症)・抗Jo-1抗体(多発性筋炎)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。抗CCP抗体は関節リウマチに特異度が高く、早期診断に有用な自己抗体である。
- ② 抗GAD抗体は1型糖尿病の膵島自己抗体であり関節リウマチの指標ではない。
- ③ 抗SS-A抗体はSjögren症候群や全身性エリテマトーデスで陽性となる抗体である。
- ④ 抗サイログロブリン抗体は橋本病など自己免疫性甲状腺疾患の指標である。
- ⑤ 抗アセチルコリン受容体抗体は重症筋無力症の診断に用いられる抗体である。
📋 まとめの表を見る:臓器特異的自己抗体と自己免疫疾患
第68回 午後15(臨床検査医学総論)
分子標的薬投与の決定にERBB2(HER2)増幅の検索を行うのはどれか。
正答: ①乳癌
ポイント
ERBB2(HER2)はヒト上皮成長因子受容体2型のチロシンキナーゼ型受容体で、その遺伝子増幅・蛋白過剰発現が乳癌の一部にみられる。HER2陽性乳癌では抗HER2抗体薬(トラスツズマブなど)の分子標的治療の適応判定のため、免疫染色(IHC)やFISHによる増幅検索を行う。胃癌でもHER2が検索されるが、選択肢中では乳癌が該当する。●がんと分子標的(コンパニオン診断)=乳癌/胃癌(HER2増幅→トラスツズマブ)・非小細胞肺癌(EGFR変異→ゲフィチニブ、ALK融合→クリゾチニブ)・大腸癌(RAS変異→抗EGFR抗体の適応外)・GIST(KIT変異→イマチニブ)・悪性黒色腫(BRAF V600E→ベムラフェニブ)・卵巣癌/乳癌(BRCA変異→PARP阻害薬)。●検査法=IHC・FISH・PCR・次世代シーケンサー。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。乳癌ではHER2遺伝子増幅・過剰発現を検索し、抗HER2抗体薬の適応を判定する。
- ② 卵巣癌の分子標的治療はBRCA変異などが指標で、HER2増幅検索は標準ではない。
- ③ 子宮頸癌の治療選択にHER2増幅の検索は通常用いられない。
- ④ 子宮体癌でHER2が検討される場合もあるが、設問の標準的な対象は乳癌である。
- ⑤ 前立腺癌の治療選択にHER2増幅の検索は用いられない。
📋 まとめの表を見る:コンパニオン診断:がん種と分子標的薬・対応バイオマーカー
コンパニオン診断は医薬品の効果・副作用を投与前に予測する検査で、血液・尿・組織・画像・遺伝子など様々な検査法が用いられる。
第68回 午後16(臨床生理学)
心周期現象の圧曲線模式図を別に示す。大動脈圧曲線はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB016.0127bfaeba.jpg

正答: ①
ポイント
心周期の左心系圧曲線では、左室の収縮により左室圧が大動脈圧を超えると大動脈弁が開いて駆出が起こる。大動脈圧曲線は駆出期に左室圧曲線とほぼ重なる高い収縮期圧を示し、大動脈弁閉鎖時に切痕(ディクロティックノッチ)を生じた後、拡張期に緩やかに下降する。この高圧・ノッチを示す曲線が大動脈圧曲線である。●左心系の圧曲線(高→低)=大動脈圧(収縮期約120/拡張期約80 mmHg・ノッチあり)・左室圧(収縮期は大動脈圧と一致、拡張期は0近くまで低下)・左房圧(a波・c波・v波、平均約5〜10 mmHg)。●弁の開閉=大動脈弁開放(駆出開始)・閉鎖(ノッチ・Ⅱ音)・僧帽弁開放(拡張期充満)・閉鎖(Ⅰ音)。●右心系=肺動脈圧・右室圧・右房圧(低圧系)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。①は収縮期に左室圧と重なる高圧を示し、弁閉鎖時のノッチを伴う大動脈圧曲線の特徴に合致する。
- ② ②は大動脈圧曲線の特徴である高い収縮期圧やノッチの波形に合致しない。
- ③ ③は左房圧や左室圧など別の圧曲線の波形であり大動脈圧曲線ではない。
- ④ ④は別の圧曲線を示しており大動脈圧曲線の波形ではない。
- ⑤ ⑤は別の圧曲線を示しており大動脈圧曲線の波形ではない。
第68回 午後17(臨床生理学)
四肢誘導心電図を別に示す。正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB017.2b4211f6dd.jpg

- ①右脚ブロック
- ②房室ブロック
- ③WPW症候群
- ④ペーシングリズム
- ⑤不随意運動によるアーチファクト
正答: ④ペーシングリズム
ポイント
ペーシングリズムでは、ペースメーカからの電気刺激を示す鋭く細いペーシングスパイクが各拍動の直前に出現し、心室ペーシングではそれに続いて幅広いQRS波が生じる。各QRS(または各P波)の直前に規則的なスパイクが認められることが診断の決め手で、これにより他の不整脈やアーチファクトと鑑別される。●ペースメーカ波形=心房ペーシング(P波前にスパイク)・心室ペーシング(幅広QRS前にスパイク)・両室ペーシング。●スパイクを伴わない波形の鑑別=右脚ブロック(V1でrSR'・幅広QRS)・WPW症候群(PQ短縮+デルタ波)・房室ブロック(PQ延長・P-QRS解離)。●アーチファクト=筋電図・体動・基線動揺による不規則な乱れ。
選択肢ごとの解説
- ① 右脚ブロックはV1でrSR'パターンなどを示すが、ペーシングスパイクは伴わない。
- ② 房室ブロックはPQ延長やP波とQRSの解離を示し、スパイクは認めない。
- ③ WPW症候群はデルタ波とPQ短縮を示し、ペーシングスパイクは伴わない。
- ④ 正しい。各QRS直前にペーシングスパイクが認められ、ペーシングリズムと判断できる。
- ⑤ 不随意運動によるアーチファクトは不規則な基線の乱れで、規則的なスパイクとQRSの組合せは示さない。
第68回 午後18(臨床生理学)
ホルター心電図検査で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①単極誘導が用いられる。
- ②ST変化は検出できない。
- ③記録中の行動記録は解析に必要である。
- ④NASA誘導はP波の検出に優れている。
- ⑤CM5誘導の波形は胸部誘導のV1に類似する。
正答: ③記録中の行動記録は解析に必要である。・④NASA誘導はP波の検出に優れている。
ポイント
ホルター心電図(長時間心電図)は双極誘導を用いて日常生活下で24時間以上記録し、不整脈やST変化を解析する検査である。患者が記録中の症状・行動・服薬などを記す行動記録(日誌)は、検出された不整脈やST変化と症状・行動との対応を解析するために必要である。NASA誘導は胸骨上・下に電極を置く誘導でP波の検出に優れる。●ホルター心電図の誘導=NASA誘導(P波明瞭)・CM5誘導(V5類似、ST・虚血評価)・CC5誘導。●解析項目=不整脈(期外収縮・心房細動・徐脈)・ST変化(虚血)・心拍変動・QT。●関連長時間記録=イベントレコーダー・植込み型ループレコーダー。●注意=行動記録との照合が必須、電極装着不良はアーチファクトの原因。
選択肢ごとの解説
- ① ホルター心電図は単極誘導ではなく双極誘導を用いる。
- ② ホルター心電図はST変化を検出でき、虚血の評価にも用いられる。
- ③ 正しい。記録中の症状や行動を記した行動記録は、不整脈や症状との対応解析に必要である。
- ④ 正しい。NASA誘導は胸骨の上下に電極を置く誘導でP波の検出に優れている。
- ⑤ CM5誘導の波形は胸部誘導のV5に類似し、V1ではないため誤りである。
📋 まとめの表を見る:ホルター心電図の代表的誘導法
双極誘導・2チャンネル収録が一般的で、NASA誘導とCM5(またはCC5)誘導を組み合わせて記録することが多い。行動記録(症状・行動の記録)は解析に必要。
第68回 午後19(臨床生理学)
最大呼気曲線を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB019.9ecd3b965c.jpg

- ①間質性肺炎
- ②胸椎後側弯症
- ③慢性閉塞性肺疾患
- ④筋萎縮性側索硬化症
- ⑤睡眠時無呼吸症候群
正答: ③慢性閉塞性肺疾患
ポイント
図は横軸が時間、縦軸が呼出量の最大呼気曲線(容量時間曲線)である。最初の1秒間の呼出量が最終的な努力肺活量に比べて小さく、その後も呼出が長く続いているため、1秒率が低い閉塞性換気障害を示す。選択肢では慢性閉塞性肺疾患が最も適切である。
●容量時間曲線では、呼出開始から1秒の量が1秒量、最終呼出量が努力肺活量で、1秒率=1秒量÷努力肺活量×100。
●間質性肺炎、胸郭変形、呼吸筋疾患による拘束性障害では肺活量が低下するが、1秒率は比較的保たれる。
●この図の縦軸は流量ではないので、フローボリューム曲線の下降脚やピークフローを読み取る図ではない。
選択肢ごとの解説
- ① 間質性肺炎では主に拘束性換気障害を示し、肺活量が低下しても1秒率は比較的保たれる。本図の強い呼出遷延と1秒率低下には合わない。
- ② 胸椎後側弯症では胸郭の拡張制限による拘束性換気障害が主体で、本図の低い1秒率を主所見とする閉塞性パターンとは異なる。
- ③ 正しい。最初の1秒の呼出量が努力肺活量に比べて小さく、呼出完了まで長時間を要するため、慢性閉塞性肺疾患による閉塞性換気障害を考える。
- ④ 筋萎縮性側索硬化症では呼吸筋力低下による肺活量低下が主体で、1秒率は比較的保たれる。本図の閉塞性パターンを第一には説明しない。
- ⑤ 睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の呼吸停止・低呼吸を評価して診断する。本図の低い1秒率と呼出遷延を説明する選択肢としては慢性閉塞性肺疾患が適切である。
📋 まとめの表を見る:換気機能障害の分類(%肺活量〈%VC〉・1秒率〈FEV1%〉による判定)
閉塞性換気障害ではフローボリューム曲線が下に凸の形となる。機能的残気量〈FRC〉は肺の過膨張により上昇する(肺気腫・COPDなど)。
第68回 午後20(臨床生理学)
動脈血ガス分析の所見を示す。pH 7.36 PaO₂ 58 Torr PaCO₂ 56 Torr HCO₃⁻ 31 mEq/L誤っているのはどれか。
- ①呼吸不全である。
- ②腎性代償である。
- ③アシデミアである。
- ④肺胞低換気である。
- ⑤呼吸性アシドーシスである。
正答: ③アシデミアである。
ポイント
本例はPaCO₂ 56 Torrと高値で呼吸性アシドーシスを呈し、HCO₃⁻ 31 mEq/Lと上昇して腎による代償(重炭酸イオンの再吸収増加)が働いている。代償が十分でpHが7.36と正常下限内に保たれているため、血液は酸性側に偏っておらずアシデミア(pH 7.35未満)ではない。PaO₂ 58 Torrは呼吸不全(60 Torr未満)に相当し、PaCO₂上昇は肺胞低換気を反映するので、これらの記述は正しい。アシデミアとする記述が誤りである。●酸塩基平衡の異常=呼吸性アシドーシス(PaCO₂↑、肺胞低換気)・呼吸性アルカローシス(PaCO₂↓、過換気)・代謝性アシドーシス(HCO₃⁻↓)・代謝性アルカローシス(HCO₃⁻↑)。●代償=呼吸性異常は腎が(HCO₃⁻調整)・代謝性異常は肺が(換気調整)代償。●呼吸不全=PaO₂<60 Torr(Ⅰ型)、これにPaCO₂>45 Torrを伴う(Ⅱ型)。●用語=アシデミア(pH<7.35)・アルカレミア(pH>7.45)。
選択肢ごとの解説
- ① PaO₂ 58 TorrとPaCO₂上昇からⅡ型呼吸不全に相当し、呼吸不全であるとの記述は正しい。
- ② HCO₃⁻ 31 mEq/Lへの上昇は呼吸性アシドーシスに対する腎性代償であり、記述は正しい。
- ③ 誤り。pH 7.36は正常下限内に保たれており、アシデミア(pH 7.35未満)ではないため、この記述が誤りである。
- ④ PaCO₂ 56 Torrの上昇は肺胞低換気を反映しており、記述は正しい。
- ⑤ PaCO₂上昇による呼吸性アシドーシスであり、記述は正しい。
📋 まとめの表を見る:酸塩基平衡異常の4パターン(pH・一次性変化・代償性変化)
代償は血液pHを基準範囲(7.35〜7.45)へ戻そうとする働き。呼吸性代償は換気量の増減により数時間単位、代謝性(腎性)代償はHCO₃-の排泄調節により数日単位で生じる。代償が予測範囲を超える場合は混合性障害を疑う。
📋 まとめの表を見る:呼吸不全の分類とA-aDO₂〈肺胞気-動脈血酸素分圧較差〉
A-aDO₂=(PIO2-PaCO₂/R)-PaO₂(PIO2は室内気で約150、Rは呼吸商)。健常者でも生理的シャントや換気血流比不均等により5〜10Torr程度の較差が存在する。
第68回 午後21(臨床生理学)
神経線維における活動電位とその伝導について誤っているのはどれか。
- ①温度が低いと伝導は遅くなる。
- ②軸索の直径が太いほど伝導は速い。
- ③活動電位の大きさは減衰せずに伝導する。
- ④中間部で発生した活動電位は両方向に伝導する。
- ⑤刺激の強さに比例して発生する活動電位が大きくなる。
正答: ⑤刺激の強さに比例して発生する活動電位が大きくなる。
ポイント
神経の活動電位は全か無かの法則に従い、刺激が閾値を超えればその振幅は刺激強度によらず一定で、刺激を強めても活動電位の大きさは増大しない(刺激強度は発火頻度や動員される線維数に反映される)。伝導速度は軸索が太いほど(内部抵抗が小さい)、また温度が高いほど速く、活動電位は再生的に発生するため減衰せず、中間部で発生すれば両方向へ伝導する。刺激の強さに比例して活動電位が大きくなるとする記述が誤りである。●活動電位の性質=全か無かの法則・不応期(絶対/相対)・減衰なし伝導・両方向性伝導(生理的には一方向)。●伝導速度を上げる要因=軸索が太い・有髄(跳躍伝導)・高温。●イオン機構=脱分極(Na⁺流入)・再分極(K⁺流出)・静止電位(Na-K ポンプ)。●関連=神経伝導検査で運動・感覚神経伝導速度を測定。
選択肢ごとの解説
- ① 温度が低いとイオンチャネルの動態が遅くなり伝導は遅くなるため、記述は正しい。
- ② 軸索が太いほど内部抵抗が小さく伝導は速くなるため、記述は正しい。
- ③ 活動電位は再生的に発生し減衰せず伝導するため、記述は正しい。
- ④ 中間部で発生した活動電位は両方向へ伝導するため、記述は正しい。
- ⑤ 誤り。活動電位は全か無かの法則に従い、刺激の強さに比例して大きさが変わることはないため、この記述が誤りである。
第68回 午後22(臨床生理学)
誘発電位を別に示す。この記録はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB022.5e329ace46.jpg

- ①視覚誘発電位
- ②事象関連電位
- ③聴性定常反応
- ④聴性脳幹反応
- ⑤体性感覚誘発電位
正答: ④聴性脳幹反応
ポイント
聴性脳幹反応(auditory brainstem response:ABR)は短いクリック音刺激後10ミリ秒以内に、第Ⅰ波から第Ⅴ波までの規則的な小さな陽性波が連続して現れる短潜時の誘発電位である。各波は蝸牛神経から脳幹の聴覚伝導路の各部位に対応し、波の潜時・出現の有無から他覚的聴力評価や脳幹機能・脳死判定の補助に用いられる。図でこのⅠ〜Ⅴの連続波が認められればABRである。●誘発電位の種類=視覚誘発電位(VEP、後頭部P100)・聴性脳幹反応(ABR、短潜時Ⅰ〜Ⅴ波)・聴性定常反応(ASSR、周波数解析)・体性感覚誘発電位(SEP、末梢神経刺激)・事象関連電位(P300、認知・長潜時)。●潜時による分類=短潜時(ABR)・中潜時・長潜時(P300)。●臨床応用=新生児聴覚スクリーニング・脳幹機能評価・術中モニタリング。
選択肢ごとの解説
- ① 視覚誘発電位は光・パターン刺激で後頭部にP100などを記録するもので、ABRの短潜時Ⅰ〜Ⅴ波とは異なる。
- ② 事象関連電位はP300など認知関連の長潜時成分で、ABRの波形とは異なる。
- ③ 聴性定常反応は周期的刺激への定常応答を周波数解析で評価するもので、Ⅰ〜Ⅴ波の波形とは異なる。
- ④ 正しい。音刺激後10ミリ秒以内にⅠ〜Ⅴの小さな陽性波が連続して現れる短潜時誘発電位は聴性脳幹反応である。
- ⑤ 体性感覚誘発電位は末梢神経刺激で頭頂部などに記録され、ABRとは刺激・波形が異なる。
📋 まとめの表を見る:誘発電位の種類と特徴
意識や睡眠の影響を受けにくいのはABR。ABRは聴覚障害・脳幹障害・脳死判定などに用いる。
第68回 午後23(臨床生理学)
針筋電図検査において急性脱神経でみられるのはどれか。
- ①急速動員
- ②陽性鋭波
- ③高振幅電位
- ④多相性電位
- ⑤ミオトニー放電
正答: ②陽性鋭波
ポイント
急性脱神経では神経支配を失った筋線維が脱神経過敏となり、安静時に異常自発放電として陽性鋭波や線維自発電位(fibrillation potential)が出現する。これらは脱神経後1〜数週間して現れる急性〜亜急性の脱神経所見である。一方、高振幅・多相性・長持続の運動単位電位は慢性脱神経後の神経再支配(側枝発芽)を反映する慢性期の所見である。●針筋電図の異常所見=安静時(線維自発電位・陽性鋭波・線維束自発電位・ミオトニー放電・複合反復放電)・随意収縮時(運動単位電位の振幅・持続・多相性、動員パターン)。●神経原性変化=急性は陽性鋭波・線維自発電位、慢性は高振幅・多相性・干渉波減少。●筋原性変化=低振幅・短持続・多相性電位、早期動員(急速動員)。●ミオトニー放電=筋強直性ジストロフィー・先天性筋強直症。
選択肢ごとの解説
- ① 急速動員(早期動員)は筋原性疾患でみられる動員パターンで、急性脱神経の所見ではない。
- ② 正しい。陽性鋭波は脱神経を受けた筋線維の安静時異常自発放電であり、急性脱神経でみられる。
- ③ 高振幅電位は神経再支配を反映する慢性脱神経の所見で、急性期にはみられない。
- ④ 多相性電位も神経再支配を反映する慢性期の所見で、急性脱神経の所見ではない。
- ⑤ ミオトニー放電は筋強直性ジストロフィーなどでみられ、急性脱神経の所見ではない。
第68回 午後24(臨床生理学)
心臓超音波カラードプラ法の四腔像を別に示す。疾患はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB024.9a9c5b11ae.jpg

- ①Fallot四徴症
- ②大血管転位症
- ③動脈管開存症
- ④心室中隔欠損症
- ⑤心房中隔欠損症
正答: ⑤心房中隔欠損症
ポイント
心房中隔欠損症では心房中隔の欠損部を通じて左房から右房への短絡血流が生じ、カラードプラ四腔像で心房中隔を横切る血流シグナルが描出される。左右短絡による容量負荷で右房・右室が拡大する。欠損部位が心房中隔にあること、短絡が左→右であることが鑑別の要点である。●先天性心疾患(非チアノーゼ性・左右短絡)=心房中隔欠損症・心室中隔欠損症・動脈管開存症(大動脈→肺動脈)。●チアノーゼ性=Fallot四徴症(心室中隔欠損・大動脈騎乗・肺動脈狭窄・右室肥大)・完全大血管転位症・総肺静脈還流異常。●ASDの分類=二次孔型(最多)・一次孔型・静脈洞型。●超音波所見=右房右室拡大・心房中隔の途絶・左右短絡血流・三尖弁逆流から肺動脈圧推定。
選択肢ごとの解説
- ① Fallot四徴症は心室中隔欠損・大動脈騎乗・肺動脈狭窄・右室肥大を呈し、四腔像での心房中隔短絡所見とは異なる。
- ② 大血管転位症は大動脈と肺動脈の起始異常を呈する疾患で、心房中隔の短絡像とは異なる。
- ③ 動脈管開存症は大動脈と肺動脈間の短絡であり、四腔像の心房中隔を横切る血流とは異なる。
- ④ 心室中隔欠損症は心室中隔を横切る短絡血流を示し、心房中隔の短絡とは部位が異なる。
- ⑤ 正しい。心房中隔を横切る左→右短絡血流が描出され、右房・右室拡大を伴う心房中隔欠損症の所見である。
📋 まとめの表を見る:先天性心疾患の心エコーにおける短絡(シャント)血流の向き
心室中隔の奇異性運動は心房中隔欠損症を代表とする右室容量負荷疾患でみられる。
第68回 午後25(臨床生理学)
上腹部超音波像を別に示す。走査法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB025.b4927b096a.jpg

- ①右肋間走査
- ②心窩部横走査
- ③心窩部縦走査
- ④右季肋部斜走査
- ⑤右肋骨弓下走査
正答: ②心窩部横走査
ポイント
心窩部横走査はプローブを心窩部に横向き(体軸に直交)に当てる走査法で、上腹部の膵臓・腹部大動脈・下大静脈・肝左葉などを横断面で描出する。膵頭部から膵体・膵尾部までを連続的に追え、上腹部臓器のスクリーニングに用いられる。描出される横断面構造(脊椎前面を走る大血管と膵)とプローブの当て方から走査法を判定する。●腹部超音波の主な走査法=心窩部横走査(膵・大血管)・心窩部縦走査(腹部大動脈長軸・肝左葉)・右季肋部斜走査(胆囊・総胆管・肝右葉)・右肋骨弓下走査(肝・肝静脈・下大静脈合流部)・右肋間走査(肝右葉・門脈・胆囊)。●描出臓器の目安=膵は心窩部横走査、胆囊は右季肋部、腎は側腹部走査。●観察の基本=呼吸調整(吸気保持)で肝・腎を肋骨弓下へ移動させる。
選択肢ごとの解説
- ① 右肋間走査は右肋間からプローブを当てて肝右葉や胆囊などを描出する走査で、得られる断面が異なる。
- ② 正しい。心窩部に横向きに当て、膵臓・腹部大動脈・下大静脈などを横断面で描出する心窩部横走査である。
- ③ 心窩部縦走査は体軸に沿った縦断面を描出する走査で、横断像とは異なる。
- ④ 右季肋部斜走査は右季肋部から斜めに当て胆囊・肝などを描出する走査である。
- ⑤ 右肋骨弓下走査は肋骨弓下から肝・肝静脈などを描出する走査で、得られる断面が異なる。
第68回 午後26(臨床生理学)
下腹部正中横走査による女性の骨盤腔の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB026.a53923ce8f.jpg

正答: ②子宮
ポイント
下腹部正中横走査では、前方の無エコー(尿貯留)の膀胱を音響窓として、その背側に子宮が描出される。子宮は均一な低~等エコーの筋層をもつ西洋梨型の充実性臓器で、内腔に内膜の高エコー帯(内膜エコー)を伴う。前方の膀胱、後方の直腸、側方の卵巣との位置関係から正中の充実性臓器を子宮と同定する。●骨盤腔の超音波解剖=前方に膀胱、中央に子宮、後方に直腸、子宮の側方に卵巣・卵管。●子宮の超音波所見=筋層エコーと内膜エコー、月経周期で内膜の厚み・エコー輝度が変化。●関連病変=子宮筋腫(充実性腫瘤)・子宮腺筋症・内膜増殖症・卵巣囊胞。●ダグラス窩(直腸子宮窩)=腹腔内最下点で腹水・出血の貯留を確認する部位。
選択肢ごとの解説
- ① 腟は子宮の下方に連続する細い管腔構造で、矢印が示す骨盤腔中央の充実性臓器とは部位が異なる。
- ② 正しい。膀胱の背側に位置し、均一な筋層と内膜エコーを伴う西洋梨型の充実性臓器は子宮である。
- ③ 直腸は骨盤腔後方に位置し、内腔のガスで多重反射や音響陰影を伴うことが多く子宮とは描出が異なる。
- ④ 膀胱は子宮の前方にある無エコー(尿貯留)の構造で、充実性の子宮とは性状が異なる。
- ⑤ 卵巣は子宮の側方にある小卵円形構造で、正中の充実性臓器である子宮とは位置が異なる。
第68回 午後27(臨床生理学)
医療用MRIについて誤っているのはどれか。
- ①任意の断面を画像化できる。
- ②炭素の磁気共鳴信号を画像化する。
- ③拡散強調画像は急性期の脳梗塞検出能に優れる。
- ④頭部では造影剤を用いずに血管の撮影ができる。
- ⑤拡散テンソル画像は神経線維の走行を描出できる。
正答: ②炭素の磁気共鳴信号を画像化する。
ポイント
医療用磁気共鳴画像(MRI)は、生体に最も多く存在する水素原子核(プロトン)の磁気共鳴信号を画像化するもので、炭素核を信号源とするのではない。任意断面の直接撮像、造影剤を用いないMRアンギオグラフィ(特に頭部のtime-of-flight法)、急性期脳梗塞を高信号として鋭敏にとらえる拡散強調画像、水分子拡散の異方性から神経線維走行を可視化する拡散テンソル画像などが可能である。信号源が水素核である点が誤りの選択肢の鍵となる。●MRIの基本=静磁場・傾斜磁場・RFパルスで水素核の信号を空間情報化、T1強調・T2強調・FLAIR等のコントラスト。●特殊撮像=拡散強調画像(DWI、急性期脳梗塞)・拡散テンソル画像(神経線維)・MRアンギオグラフィ(非造影血管描出)・MRスペクトロスコピー(代謝物)。●禁忌・注意=強磁性体・心臓ペースメーカ・体内金属、造影剤(ガドリニウム)の腎性全身性線維症。
選択肢ごとの解説
- ① MRIは傾斜磁場の制御により任意の断面を直接画像化でき、記述は正しい。
- ② 誤り。医療用MRIは炭素ではなく水素原子核(プロトン)の磁気共鳴信号を画像化するため、この記述が誤りである。
- ③ 拡散強調画像は細胞性浮腫を反映して急性期脳梗塞を高信号で鋭敏に検出でき、記述は正しい。
- ④ 頭部ではtime-of-flight法などのMRアンギオグラフィで造影剤を用いず血管を描出でき、記述は正しい。
- ⑤ 拡散テンソル画像は水分子拡散の異方性から神経線維の走行を描出でき、記述は正しい。
第68回 午後28(臨床生理学)
眼底写真を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB028.fe0a3e71a7.jpg

正答: ⑤視神経乳頭
ポイント
眼底写真で視神経乳頭は、視神経が眼球を出る部位に相当する境界明瞭な類円形の淡い黄白色領域で、網膜中心動静脈がここから放射状に出入りし、中央に生理的乳頭陥凹を伴う。黄斑は乳頭の耳側にあるやや暗い無血管領域で、その中心の最も感度が高い部位が中心窩である。血管の出入りという特徴から正常構造の視神経乳頭を同定する。●眼底の正常構造=視神経乳頭・黄斑・中心窩・網膜血管(動脈は明赤色で細く、静脈は暗赤色で太い)。●視神経乳頭の評価=陥凹乳頭比(C/D比、緑内障で拡大)・乳頭浮腫(頭蓋内圧亢進)。●眼底病変=白斑(硬性・軟性白斑)・出血・新生血管=糖尿病網膜症・高血圧性眼底変化。
選択肢ごとの解説
- ① 黄斑は乳頭の耳側にあるやや暗い無血管の領域で、血管が放射状に出入りする淡い類円形構造とは異なる。
- ② 白斑は滲出物などの病変所見であり、血管が出入りする正常構造ではない。
- ③ 水晶体は眼内の屈折組織で、眼底写真には描出されない。
- ④ 中心窩は黄斑の中心にある最も感度の高い部位で、視神経乳頭とは部位が異なる。
- ⑤ 正しい。網膜血管が放射状に出入りする境界明瞭な淡い類円形領域は視神経乳頭である。
📋 まとめの表を見る:眼底の正常構造(視神経乳頭・黄斑・中心窩)
第68回 午後29(臨床化学)
水溶性ビタミンはどれか。2つ選べ。
- ①ビタミンA
- ②ビタミンC
- ③ビタミンE
- ④ビタミンK
- ⑤葉酸
正答: ②ビタミンC・⑤葉酸
ポイント
水溶性ビタミンはビタミンB群とビタミンCで、過剰分は尿中に排泄されるため体内に蓄積しにくく、欠乏症が比較的早く現れる。葉酸はビタミンB群(ビタミンB₉)に属する水溶性ビタミンである。ビタミンA・D・E・Kは脂溶性ビタミンで肝臓や脂肪組織に蓄積し、過剰摂取で過剰症を起こし得る。選択肢ではビタミンCと葉酸が水溶性に該当する。●水溶性ビタミン=ビタミンB₁(チアミン)・B2・ナイアシン・B6・B12・葉酸・パントテン酸・ビオチン・ビタミンC。●脂溶性ビタミン=ビタミンA(夜盲症)・D(くる病・骨軟化症)・E・K(凝固因子・出血傾向)。●欠乏症=ビタミンC欠乏で壊血病、葉酸・B12欠乏で巨赤芽球性貧血。
選択肢ごとの解説
- ① ビタミンAは脂溶性ビタミンで肝臓に蓄積し、水溶性ではない。
- ② 正しい。ビタミンCは水溶性ビタミンで、過剰分は尿中に排泄される。
- ③ ビタミンEは脂溶性ビタミンで抗酸化作用をもち、水溶性ではない。
- ④ ビタミンKは脂溶性ビタミンで凝固因子の生成に関与し、水溶性ではない。
- ⑤ 正しい。葉酸はビタミンB群に属する水溶性ビタミンである。
📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。
第68回 午後30(臨床化学)
尿を検体として測定するのはどれか。
- ①オステオカルシン〈OC〉
- ②骨型アルカリホスファターゼ〈BAP〉
- ③Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド〈CTX〉
- ④Ⅰ型プロコラーゲンCプロペプチド〈PICP〉
- ⑤Ⅰ型プロコラーゲンNプロペプチド〈PINP〉
正答: ③Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド〈CTX〉
ポイント
Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド(CTX)は、破骨細胞による骨吸収でⅠ型コラーゲンが分解されて生じる骨吸収マーカーで、尿を検体として測定できる(尿中CTX)。オステオカルシン(OC)と骨型アルカリホスファターゼ(BAP)は骨形成マーカーで血清を検体とし、Ⅰ型プロコラーゲンのC末端・N末端プロペプチド(PICP・PINP)もコラーゲン合成過程で生じる血清骨形成マーカーである。尿検体で測定する骨吸収マーカーがCTXである。●骨吸収マーカー=デオキシピリジノリン(DPD、尿)・Ⅰ型コラーゲン架橋N/Cテロペプチド(NTX・CTX)・酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRACP-5b、血清)。●骨形成マーカー=オステオカルシン・骨型アルカリホスファターゼ・PICP・PINP。●臨床応用=骨粗鬆症の病態評価・治療効果判定。
選択肢ごとの解説
- ① オステオカルシン(OC)は骨形成マーカーで、血清を検体として測定する。
- ② 骨型アルカリホスファターゼ(BAP)は骨形成マーカーで、血清を検体として測定する。
- ③ 正しい。Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド(CTX)は骨吸収マーカーで、尿を検体として測定できる。
- ④ Ⅰ型プロコラーゲンCプロペプチド(PICP)はコラーゲン合成由来の骨形成マーカーで、血清を検体とする。
- ⑤ Ⅰ型プロコラーゲンNプロペプチド(PINP)はコラーゲン合成由来の骨形成マーカーで、血清を検体とする。
第68回 午後31(臨床化学)
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応に必要な試薬はどれか。2つ選べ。
- ①ADP
- ②NAD(P)H
- ③フェノール
- ④4-ニトロフェノール
- ⑤4-アミノアンチピリン
正答: ③フェノール・⑤4-アミノアンチピリン
ポイント
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系の呈色反応(Trinder反応)では、各種酵素反応で生じた過酸化水素をペルオキシダーゼが分解し、その酸化力で4-アミノアンチピリンとフェノール(またはアニリン系発色剤)が酸化縮合して赤色のキノンイミン色素を生成する。生成色素の吸光度を測定することで、グルコースやコレステロール、中性脂肪などを定量する。この発色に必要なのはフェノールと4-アミノアンチピリンである。●Trinder反応の構成=酸化酵素(グルコースオキシダーゼ等)→過酸化水素→ペルオキシダーゼ→4-アミノアンチピリン+フェノール(またはTOOS等のカップラー)→キノンイミン色素。●共役酵素系の例=グルコース(GOD-POD法)・コレステロール・中性脂肪・尿酸(ウリカーゼ)。●類似の発色系=NAD(P)Hの340nm測定を用いる脱水素酵素系(UV法)。
選択肢ごとの解説
- ① ADP(アデノシン二リン酸)はこの呈色反応の発色に必要な試薬ではない。
- ② NAD(P)Hは脱水素酵素系の補酵素で、ペルオキシダーゼ系呈色反応の発色には必要ない。
- ③ 正しい。フェノールは4-アミノアンチピリンと酸化縮合してキノンイミン色素を生成する発色基質である。
- ④ 4-ニトロフェノールはアルカリホスファターゼの基質(4-ニトロフェニルリン酸)が加水分解されて生じる黄色の反応生成物であり、本呈色反応の試薬ではない。
- ⑤ 正しい。4-アミノアンチピリンはフェノールと縮合して赤色キノンイミン色素を生成する発色試薬である。
第68回 午後32(臨床化学)
放射線に関する物理量と単位の組合せで正しいのはどれか。
- ①放射能 — eV
- ②吸収線量 — C・kg⁻¹
- ③照射線量 — Gy
- ④線量当量 — Sv
- ⑤放射線のエネルギー — Bq
正答: ④線量当量 — Sv
ポイント
線量当量の単位はシーベルト(Sv)である。等価線量と実効線量も単位はSvだが、同一の量ではない。等価線量は臓器・組織の吸収線量に放射線の種類を考慮した量で、実効線量は各臓器・組織の等価線量に組織加重係数を掛けて全身について合計した量である。放射能の単位はベクレル(Bq)、吸収線量はグレイ(Gy)、照射線量はクーロン毎キログラム(C・kg⁻¹)、放射線のエネルギーは電子ボルト(eV)であり、線量当量とSvの組合せが正しい。各物理量と単位の対応を取り違えないことが鍵となる。●放射線の量と単位=放射能=Bq(ベクレル)、吸収線量=Gy(グレイ)、照射線量=C・kg⁻¹、線量当量・実効線量=Sv(シーベルト)、エネルギー=eV(電子ボルト)。●吸収線量と等価線量の関係=等価線量=吸収線量×放射線荷重係数。●放射線の種類=α線・β線・γ線・X線・中性子線。
選択肢ごとの解説
- ① 放射能の単位はBq(ベクレル)であり、eVではないため誤りである。
- ② 吸収線量の単位はGy(グレイ)であり、C・kg⁻¹は照射線量の単位であるため誤りである。
- ③ 照射線量の単位はC・kg⁻¹であり、Gyは吸収線量の単位であるため誤りである。
- ④ 正しい。線量当量の単位はSv(シーベルト)であり、組合せは正しい。
- ⑤ 放射線のエネルギーの単位はeVであり、Bqは放射能の単位であるため誤りである。
📋 まとめの表を見る:放射線に関する物理量と単位
第68回 午後33(臨床化学)
直接ビリルビンが高値を示すのはどれか。
- ①新生児黄疸
- ②溶血性貧血
- ③Gilbert症候群
- ④Crigler-Najjar症候群
- ⑤Dubin-Johnson症候群
正答: ⑤Dubin-Johnson症候群
ポイント
直接(抱合型)ビリルビンの上昇は、肝細胞での抱合後の排泄障害や胆汁うっ滞で生じる。Dubin-Johnson症候群は肝細胞から毛細胆管への抱合型ビリルビン排泄を担う輸送体(MRP2)の欠損による体質性黄疸で、直接ビリルビンが高値となり肝の黒色化を伴う。一方、新生児黄疸・溶血性貧血・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群は抱合の障害やビリルビン産生過剰により間接(非抱合型)ビリルビンが上昇する。●非抱合型(間接)ビリルビン優位=溶血性貧血(産生過剰)・新生児黄疸・Gilbert症候群(軽度抱合障害)・Crigler-Najjar症候群(UDPグルクロン酸転移酵素欠損)。●抱合型(直接)ビリルビン優位=Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群(体質性)、閉塞性黄疸・肝内胆汁うっ滞。●検査=総ビリルビン・直接/間接分画、尿中ビリルビン(直接型のみ尿中に出る)。
選択肢ごとの解説
- ① 新生児黄疸は肝の抱合能未熟により間接ビリルビン優位の黄疸を示す。
- ② 溶血性貧血はビリルビン産生過剰により間接ビリルビンが上昇する。
- ③ Gilbert症候群は軽度のグルクロン酸抱合障害で間接ビリルビンが上昇する。
- ④ Crigler-Najjar症候群はグルクロン酸抱合酵素の欠損・低下により間接ビリルビンが上昇する。
- ⑤ 正しい。Dubin-Johnson症候群は抱合型ビリルビンの胆管排泄障害により直接ビリルビンが高値となる。
📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。
第68回 午後34(臨床化学)
CK-MBが著しく上昇する疾患はどれか。
- ①心筋炎
- ②皮膚筋炎
- ③重症筋無力症
- ④筋萎縮性側索硬化症
- ⑤Duchenne型筋ジストロフィー
正答: ①心筋炎
ポイント
CK-MBはクレアチンキナーゼ(CK)のアイソザイムのうち心筋に多く含まれる分画で、心筋細胞の傷害により血中へ逸脱して上昇するため心筋傷害の指標となる。心筋炎では心筋細胞の壊死・傷害が広範に生じ、CK-MBが著明に上昇する。骨格筋疾患では主にCK-MM分画が上昇し、CK-MBの著しい上昇は心筋傷害を反映する点が鑑別の要点である。●CKアイソザイム=CK-MM(骨格筋)・CK-MB(心筋)・CK-BB(脳・平滑筋)、ミトコンドリア型・マクロCK。●CK-MB上昇=急性心筋梗塞・心筋炎・心臓手術後。●骨格筋由来CK上昇=筋ジストロフィー・多発筋炎/皮膚筋炎・横紋筋融解症(CK-MM優位)。●心筋傷害の他マーカー=心筋トロポニンT/I・ミオグロビン・H-FABP。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。心筋炎は心筋細胞の傷害により心筋型のCK-MBが著しく上昇する。
- ② 皮膚筋炎は骨格筋傷害が主体でCK-MM優位の上昇を示し、CK-MBの著明上昇は典型的でない。
- ③ 重症筋無力症は神経筋接合部の障害でありCKの著しい上昇は通常みられない。
- ④ 筋萎縮性側索硬化症はCKがやや上昇することはあるが、CK-MBの著明な上昇は典型的でない。
- ⑤ Duchenne型筋ジストロフィーはCK高値を示すが主にCK-MM分画で、CK-MBの著明上昇は典型的でない。
📋 まとめの表を見る:心筋傷害マーカーの比較(血中出現時期・特異性)
第68回 午後35(臨床化学)
アミラーゼについて誤っているのはどれか。
- ①α1,4-グリコシド結合を分解する。
- ②活性化にはクロールイオンが必要である。
- ③カルシウムイオンを含有する酵素である。
- ④膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい。
- ⑤日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法では共役酵素を用いる。
正答: ④膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい。
ポイント
アミラーゼはデンプンなどのα-1,4-グリコシド結合を加水分解する酵素で、活性発現に塩化物イオン(クロール)を必要とし、構造維持にカルシウムイオンを含む金属酵素である。膵臓型(P型)と唾液腺型(S型)のアイソザイムがあるが両者の分子量はほぼ同等で、膵臓型が唾液腺型より分子量が大きいわけではない。日本臨床化学会(JSCC)勧告法では生成糖を共役酵素系で測定する。分子量に関する記述が誤りである。●アミラーゼアイソザイム=膵臓型(P型、膵炎で上昇)・唾液腺型(S型、唾液腺・卵巣・肺等)。●高アミラーゼ血症=急性膵炎・膵癌・耳下腺炎・マクロアミラーゼ血症。●関連酵素=リパーゼ・エラスターゼ(膵特異性が高い)。●測定の留意点=活性化に塩化物イオン、構造にカルシウムを要する。
選択肢ごとの解説
- ① アミラーゼはデンプンのα-1,4-グリコシド結合を分解するため、記述は正しい。
- ② アミラーゼは活性発現に塩化物イオン(クロール)を必要とするため、記述は正しい。
- ③ アミラーゼは構造維持にカルシウムイオンを含む金属酵素であり、記述は正しい。
- ④ 誤り。膵臓型と唾液腺型の分子量はほぼ同等で、膵臓型が大きいとはいえないため、この記述が誤りである。
- ⑤ JSCC勧告法では生成した糖を共役酵素系で測定するため、記述は正しい。
第68回 午後36(臨床化学)
eGFRの計算に使用するのはどれか。2つ選べ。
- ①身長
- ②体重
- ③年齢
- ④血清クレアチニン濃度
- ⑤尿中クレアチニン濃度
正答: ③年齢・④血清クレアチニン濃度
ポイント
推算糸球体濾過量(eGFR)は日本人向けの推算式で算出され、血清クレアチニン濃度・年齢・性別を変数とする。尿中クレアチニンや身長・体重は推算式には用いない(実測クレアチニンクリアランスには蓄尿が必要だが、eGFRの推算では不要)。選択肢では年齢と血清クレアチニン濃度が計算に使用される要素である。●eGFRの変数=血清クレアチニン・年齢・性別(シスタチンCを用いる式もある)。●糸球体濾過量の評価=イヌリンクリアランス(標準)・クレアチニンクリアランス(蓄尿実測)・eGFR(推算)。●慢性腎臓病(CKD)の重症度分類=GFR区分(G1~G5)と尿蛋白(アルブミン)区分の組合せ。●クレアチニンの特性=筋肉量に影響され、シスタチンCは筋肉量の影響が小さい。
選択肢ごとの解説
- ① 身長はeGFRの推算式には使用しない。
- ② 体重はeGFRの推算式には使用しない。
- ③ 正しい。年齢はeGFRの計算に使用する要素である。
- ④ 正しい。血清クレアチニン濃度はeGFRの計算に使用する要素である。
- ⑤ 尿中クレアチニン濃度はeGFRの推算式には使用しない。
第68回 午後37(臨床化学)
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉を活性化するのはどれか。
- ①アポA1
- ②アポA2
- ③アポB100
- ④アポC3
- ⑤アポE
正答: ①アポA1
ポイント
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)はHDL上で遊離コレステロールにレシチンの脂肪酸を転移してコレステロールエステルを生成する酵素で、その活性化因子(補因子)はアポA1である。アポA1はHDLの主要構成アポ蛋白で、末梢からのコレステロール逆転送系においてLCAT反応を促進する。他のアポ蛋白はそれぞれ別のリポ蛋白・酵素に関与する。●アポ蛋白の機能=アポA1=LCAT活性化・HDL主要蛋白、アポB100=LDL受容体結合・LDL構造、アポC2=リポ蛋白リパーゼ活性化、アポC3=リポ蛋白リパーゼ阻害、アポE=レムナント・LDL受容体結合。●リポ蛋白=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。●コレステロール逆転送=HDL・LCAT・CETP・SR-B1。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。アポA1はHDLの主要アポ蛋白で、LCATを活性化する補因子である。
- ② アポA2はHDLに含まれるが、LCATの主要な活性化因子ではない。
- ③ アポB100はLDLの構造蛋白でLDL受容体結合に関与し、LCATを活性化しない。
- ④ アポC3はリポ蛋白リパーゼを阻害する因子で、LCATの活性化因子ではない。
- ⑤ アポEはレムナント受容体やLDL受容体への結合に関与し、LCATの活性化因子ではない。
第68回 午後38(臨床化学)
ビウレット法でキレート呈色反応を示すのはどれか。
- ①鉄イオン
- ②銅イオン
- ③亜鉛イオン
- ④カルシウムイオン
- ⑤マグネシウムイオン
正答: ②銅イオン
ポイント
ビウレット法は、蛋白質中の隣接するペプチド結合がアルカリ性条件で銅イオン(Cu²⁺)と配位(キレート)し、赤紫色の錯体を形成する反応で、総蛋白の定量に用いられる。呈色の中心となる金属イオンは銅イオンで、ペプチド結合数に比例した呈色が得られる。鉄・亜鉛・カルシウム・マグネシウムなどではこの呈色反応は起こらない。●蛋白定量法=ビウレット法(総蛋白)・Lowry法・BCA法・色素結合法(BCG法でアルブミン)・Kjeldahl法(窒素)。●ビウレット反応=アルカリ性+Cu²⁺、最低2個のペプチド結合が必要。●銅関連検査=セルロプラスミン・血清銅(Wilson病・Menkes病)。
選択肢ごとの解説
- ① 鉄イオンはビウレット反応の呈色を担う金属イオンではない。
- ② 正しい。銅イオンはアルカリ性でペプチド結合とキレートして赤紫色錯体を形成する、ビウレット法の呈色に必要な金属イオンである。
- ③ 亜鉛イオンはビウレット反応の呈色には関与しない。
- ④ カルシウムイオンはビウレット反応の呈色には関与しない。
- ⑤ マグネシウムイオンはビウレット反応の呈色には関与しない。
第68回 午後39(臨床化学)
血中半減期が最も短いのはどれか。
正答: ②AMY
ポイント
血中酵素の半減期は酵素ごとに異なり、アミラーゼ(AMY)は半減期が数時間と短く、分子量が小さいため腎糸球体から尿中へも排泄される点が特徴である。クレアチンキナーゼ(CK)やトランスアミナーゼ(AST・ALT)は半減期が比較的長い。乳酸脱水素酵素はアイソザイムにより差が大きく、LD₁は数日と長い一方、LD₅は約8〜10時間とCKより短いが、いずれもAMYよりは長い。半減期が短いほど血中からの消失が速く、選択肢中ではAMYが最も短い。●血中半減期の目安=AMYは数時間と短い、AST約17時間・ALT約2~3日と長い、CK約半日、LDはLD₁が長くLD₅は約8〜10時間。●逸脱酵素の経時変化=心筋梗塞でCK-MB・AST・LDがピーク時期をずらして上昇。●腎排泄される酵素=アミラーゼ(尿中アミラーゼ)。
選択肢ごとの解説
- ① ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は半減期が比較的長く、最も短いものではない。
- ② 正しい。AMY(アミラーゼ)は半減期が数時間と短く、尿中排泄もあり選択肢中で最も短い。
- ③ AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)はALTより半減期が短いが、AMYより長い。
- ④ CK(クレアチンキナーゼ)は半減期が比較的長く、最も短いものではない。
- ⑤ LD₅を含む乳酸脱水素酵素は半減期が長く、最も短いものではない。
📋 まとめの表を見る:血中酵素の半減期の比較
出典により数値に幅があるが、AMYが最も短く、ALTが最も長い傾向は共通する。
第68回 午後40(臨床化学)
血中薬物濃度モニタリングの対象にならないのはどれか。
- ①ジゴキシン
- ②バルプロ酸
- ③テオフィリン
- ④ワルファリン
- ⑤バンコマイシン
正答: ④ワルファリン
ポイント
血中薬物濃度モニタリング(TDM)は、治療域が狭く血中濃度と効果・副作用が相関し、個人差が大きい薬物で行う。ジゴキシン・バルプロ酸・テオフィリン・バンコマイシンはいずれもTDMの対象である。ワルファリンは抗凝固薬だが、効果はプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)で凝固能を直接モニタリングするため、血中濃度測定の対象とはならない。●TDM対象薬の例=強心配糖体(ジゴキシン)・抗てんかん薬(バルプロ酸・フェニトイン・カルバマゼピン)・気管支拡張薬(テオフィリン)・抗菌薬(バンコマイシン・アミノグリコシド系)・免疫抑制薬(タクロリムス・シクロスポリン)。●効果を別指標で評価する薬=ワルファリン(PT-INR)・ヘパリン(APTT)。●TDMの要点=治療域が狭い・濃度と効果が相関・個体差が大きい。
選択肢ごとの解説
- ① ジゴキシンは治療域が狭く中毒域に近いため、TDMの対象である。
- ② バルプロ酸は抗てんかん薬で血中濃度管理が必要なため、TDMの対象である。
- ③ テオフィリンは治療域が狭く中毒を起こしやすいため、TDMの対象である。
- ④ 正しい。ワルファリンは血中濃度ではなくPT-INRで抗凝固効果を評価するため、血中薬物濃度モニタリングの対象とならない。
- ⑤ バンコマイシンは腎毒性回避と有効濃度維持のため、TDMの対象である。
第68回 午後41(臨床化学)
インスリンの分泌を抑制するのはどれか。
- ①アミノ酸
- ②グルカゴン
- ③グルコース
- ④インクレチン
- ⑤ソマトスタチン
正答: ⑤ソマトスタチン
ポイント
ソマトスタチンは膵ランゲルハンス島のD細胞から分泌され、同じ膵島のインスリン(B細胞)とグルカゴン(A細胞)の両方の分泌を抑制する。一方、グルコース・アミノ酸・インクレチン(GLP-1、GIP)はいずれもインスリン分泌を促進する刺激である。選択肢の中でインスリン分泌を抑制するのはソマトスタチンである。●膵島の細胞とホルモン=A(α)細胞=グルカゴン、B(β)細胞=インスリン、D(δ)細胞=ソマトスタチン、PP細胞=膵ポリペプチド。●インスリン分泌促進=高血糖(グルコース)・アミノ酸・インクレチン(GLP-1・GIP)・副交感神経。●インスリン分泌抑制=ソマトスタチン・交感神経(α作用)・アドレナリン。●インクレチン関連薬=DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬。
選択肢ごとの解説
- ① アミノ酸はインスリン分泌を促進する刺激であり、抑制しない。
- ② グルカゴンは血糖を上げる方向に働き、膵島ではインスリン分泌を促進する方向に作用して抑制はしない。
- ③ グルコースはインスリン分泌の主要な促進因子であり、抑制しない。
- ④ インクレチン(GLP-1・GIP)はインスリン分泌を促進する消化管ホルモンであり、抑制しない。
- ⑤ 正しい。ソマトスタチンは膵D細胞から分泌され、インスリン分泌を抑制する。
第68回 午後42(臨床化学)
酸化還元酵素はどれか。
正答: ②LD
ポイント
乳酸脱水素酵素(LD、LDH)は乳酸とピルビン酸の間の酸化還元反応をNAD⁺/NADHを補酵素として触媒する酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)である。クレアチンキナーゼ(CK)・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)・γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)はいずれもリン酸基・アミノ基・γ-グルタミル基などを転移する転移酵素(トランスフェラーゼ)である。酸化還元酵素はLDである。●酵素の分類(国際分類)=酸化還元酵素(LD・グルコースオキシダーゼ)・転移酵素(CK・AST・ALT・γ-GT)・加水分解酵素(アミラーゼ・リパーゼ・ALP・コリンエステラーゼ)・脱離酵素・異性化酵素・合成酵素。●LDアイソザイム=LD₁~LD₅(心・赤血球はLD₁/2、肝・骨格筋はLD₅)。
選択肢ごとの解説
- ① CK(クレアチンキナーゼ)はリン酸基を転移する転移酵素であり、酸化還元酵素ではない。
- ② 正しい。LD(乳酸脱水素酵素)は乳酸とピルビン酸間の酸化還元をNAD⁺/NADHで触媒する酸化還元酵素である。
- ③ ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)はアミノ基を転移する転移酵素であり、酸化還元酵素ではない。
- ④ AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)もアミノ基を転移する転移酵素であり、酸化還元酵素ではない。
- ⑤ γ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)はγ-グルタミル基を転移する転移酵素であり、酸化還元酵素ではない。
第68回 午後43(臨床化学)
Lambert-Beerの法則が成り立つ条件で、15 μmolの物質AをX mLのイオン交換水に溶解し、光路長10 mmのセルで吸光度を測定したところ0.945であった。Aのモル吸光度係数を6.3 ×10³ L・mol⁻¹・cm⁻¹とするとXはどれか。
正答: ④100
ポイント
Lambert-Beerの法則 A=ε・c・l より、濃度 c=A/(ε・l) で求める。光路長 l=10 mm=1 cm、吸光度 A=0.945、モル吸光度係数 ε=6.3×10³ L・mol⁻¹・cm⁻¹なので、c=0.945/(6.3×10³×1)=1.5×10⁻⁴ mol/L。物質量15 μmol=15×10⁻⁶ mol を体積 X mL に溶かしてこの濃度になることから、X=15×10⁻⁶ mol ÷(1.5×10⁻⁴ mol/L)=0.1 L=100 mLとなる。●Lambert-Beerの法則=吸光度A=ε・c・l(εはモル吸光度係数、cは濃度、lは光路長)。●吸光度の性質=A=-log(透過率)、加成性が成り立つ。●単位換算の注意=光路長mm→cm、物質量μmol→mol、体積L↔mL。●吸光光度法=検量線法・モル吸光度係数を用いた絶対定量。
選択肢ごとの解説
- ① 2 mLでは濃度が高くなりすぎ、計算上の吸光度0.945と合致しない。
- ② 10 mLでは算出される濃度が条件と合わず誤りである。
- ③ 50 mLでは算出される濃度が条件と合わず誤りである。
- ④ 正しい。c=A/(εl)=1.5×10⁻⁴ mol/L、X=15×10⁻⁶ mol÷1.5×10⁻⁴ mol/L=0.1 L=100 mLとなる。
- ⑤ 200 mLでは濃度が低くなりすぎ、計算上の吸光度0.945と合致しない。
第68回 午後44(臨床化学)
炭化水素鎖中に1つの二重結合を持つ脂肪酸はどれか。
- ①オレイン酸
- ②リノール酸
- ③ステアリン酸
- ④パルミチン酸
- ⑤α-リノレン酸
正答: ①オレイン酸
ポイント
炭化水素鎖中に二重結合を1つだけもつ脂肪酸は一価不飽和脂肪酸で、オレイン酸(C18:1)が該当する。リノール酸(C18:2)とα-リノレン酸(C18:3)は二重結合を複数もつ多価不飽和脂肪酸、ステアリン酸(C18:0)とパルミチン酸(C16:0)は二重結合をもたない飽和脂肪酸である。炭素数と二重結合数の表記から分類する。●飽和脂肪酸=パルミチン酸(C16:0)・ステアリン酸(C18:0)。●一価不飽和脂肪酸=オレイン酸(C18:1、n-9)。●多価不飽和脂肪酸=リノール酸(C18:2、n-6)・α-リノレン酸(C18:3、n-3)・アラキドン酸(C20:4、n-6)・エイコサペンタエン酸/ドコサヘキサエン酸(n-3)。●必須脂肪酸=リノール酸・α-リノレン酸。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。オレイン酸(C18:1)は二重結合を1つもつ一価不飽和脂肪酸である。
- ② リノール酸(C18:2)は二重結合を2つもつ多価不飽和脂肪酸である。
- ③ ステアリン酸(C18:0)は二重結合をもたない飽和脂肪酸である。
- ④ パルミチン酸(C16:0)は二重結合をもたない飽和脂肪酸である。
- ⑤ α-リノレン酸(C18:3)は二重結合を3つもつ多価不飽和脂肪酸である。
第68回 午後45(病理組織細胞学)
マイヤー〈Mayer〉とカラッチ〈Carazzi〉のヘマトキシリン液のどちらにも用いられるのはどれか。
- ①クエン酸
- ②過ヨウ素酸
- ③グリセリン
- ④抱水クロラール
- ⑤カリウムミョウバン
正答: ⑤カリウムミョウバン
ポイント
ヘマトキシリンは媒染剤として金属塩を加えることで核を染色できる色素レーキ(ヘマテイン-金属複合体)を形成する。マイヤー(Mayer)ヘマトキシリンとカラッチ(Carazzi)ヘマトキシリンはいずれもカリウムミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)を媒染剤とするミョウバンヘマトキシリンで、共通して用いられる試薬がカリウムミョウバンである。両液は進行性染色に適し、核を青紫色に染める。●ミョウバンヘマトキシリン=Mayer・Carazzi・Gill・Harris(アルミニウム塩を媒染剤とする。Mayer・Carazziはカリウムミョウバン、Gillは硫酸アルミニウムを用いる)。●鉄ヘマトキシリン=Weigert・Heidenhain(媒染剤に鉄、退行性染色)。●H-E染色=ヘマトキシリン(核:青紫)とエオジン(細胞質:赤)。●媒染の意義=色素と組織を金属イオンで橋渡しして染色性を高める。
選択肢ごとの解説
- ① クエン酸はヘマトキシリン液の媒染剤として両者に共通して用いる試薬ではない。
- ② 過ヨウ素酸はPAS反応などで用いる酸化剤で、両ヘマトキシリン液に共通する成分ではない。
- ③ グリセリンはカラッチ液に保存・安定化のため含まれるが、マイヤー液(原法)には含まれず両者共通の成分ではない。
- ④ 抱水クロラールはマイヤー液(原法)に防腐剤として含まれるが、カラッチ液には含まれず両者共通の成分ではない。
- ⑤ 正しい。カリウムミョウバンはマイヤーとカラッチのいずれのヘマトキシリン液にも媒染剤として用いられる。
第68回 午後46(病理組織細胞学)
疾患とその診断に有用な染色法との組合せで誤っているのはどれか。
- ①肝硬変 — 渡辺の鍍銀法
- ②心筋梗塞 — azan染色
- ③ヘモジデローシス — toluidine blue染色
- ④慢性糸球体腎炎 — PAM染色
- ⑤B型肝炎 — Victoria blue染色
正答: ③ヘモジデローシス — toluidine blue染色
ポイント
ヘモジデローシスは組織への鉄(ヘモジデリン)沈着で、ベルリンブルー反応(鉄染色、Prussian blue)で青色に証明する。トルイジンブルー(toluidine blue)は肥満細胞顆粒や軟骨基質などの異染性(メタクロマジー)物質を染める色素で、ヘモジデリンの証明には適さない。したがってヘモジデローシスとtoluidine blue染色の組合せが誤りである。●代表的な特殊染色=鉄(ヘモジデリン)=ベルリンブルー、膠原・細網線維=鍍銀法・azan・Masson trichrome、糸球体基底膜=PAM、HBs抗原(すりガラス細胞)=Victoria blue/orcein、アミロイド=Congo red。●toluidine blueの用途=肥満細胞・軟骨基質・粘液(異染性)。●心筋梗塞の線維化評価=azan・Masson trichrome。
選択肢ごとの解説
- ① 肝硬変では渡辺の鍍銀法で膠原線維・細網線維の増生を観察でき、組合せは正しい。
- ② 心筋梗塞ではazan染色で線維化(膠原線維)を青染して評価でき、組合せは正しい。
- ③ 誤り。ヘモジデローシスの鉄沈着はベルリンブルー反応(鉄染色)で証明し、toluidine blueは適さないため、この組合せが誤りである。
- ④ 慢性糸球体腎炎ではPAM染色で糸球体基底膜の変化を観察でき、組合せは正しい。
- ⑤ B型肝炎ではVictoria blue染色でHBs抗原(すりガラス細胞)を証明でき、組合せは正しい。
📋 まとめの表を見る:組織内構造物・疾患・病原体と特殊染色の対応
第68回 午後47(病理組織細胞学)
細胞診標本上でみられる小細胞癌の形態学的特徴はどれか。
- ①核偏在性
- ②真珠形成
- ③粘液空胞
- ④鋳型状配列
- ⑤オタマジャクシ型
正答: ④鋳型状配列
ポイント
小細胞癌は神経内分泌系の悪性腫瘍で、細胞診標本上では細胞質に乏しく裸核状にみえる小型細胞が、相互に圧排し合って木目込み細工のように密に配列する鋳型状(モールディング、nuclear molding)を示す。核クロマチンは微細顆粒状(ごま塩状)で核小体は目立たず、壊死を背景にすることが多い。鋳型状配列が特徴的な所見である。●小細胞癌の所見=小型・裸核状細胞、鋳型状配列(核モールディング)、微細顆粒状クロマチン、挫滅効果(crush artifact)。●扁平上皮癌の所見=角化・真珠形成(癌真珠)・オタマジャクシ型/紡錘形細胞。●腺癌の所見=核偏在・粘液空胞・腺腔/乳頭状配列。●神経内分泌腫瘍=カルチノイド・大細胞神経内分泌癌・小細胞癌。
選択肢ごとの解説
- ① 核偏在性は腺癌などでみられる所見で、小細胞癌に特徴的とはいえない。
- ② 真珠形成(癌真珠)は角化を伴う扁平上皮癌の特徴であり、小細胞癌の所見ではない。
- ③ 粘液空胞は腺癌でみられる所見で、小細胞癌の特徴ではない。
- ④ 正しい。乏しい細胞質の小型細胞が相互に圧排し合う鋳型状配列が小細胞癌の特徴である。
- ⑤ オタマジャクシ型細胞は角化を伴う扁平上皮癌でみられる所見で、小細胞癌の特徴ではない。
第68回 午後48(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。この臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB048.777aa8a304.jpg

正答: ⑤副腎
ポイント
副腎はヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色で外側の皮質と内側の髄質に分かれ、皮質は外側から球状帯・束状帯・網状帯の三層構造を示す。束状帯では脂質に富む明るい細胞が索状に配列し、髄質はカテコールアミンを産生するクロム親和性細胞からなる。皮質の帯状構造と髄質の組合せが副腎の組織像の特徴である。●副腎皮質の三層と産生ホルモン=球状帯=アルドステロン(鉱質コルチコイド)、束状帯=コルチゾール(糖質コルチコイド)、網状帯=副腎アンドロゲン。●副腎髄質=アドレナリン・ノルアドレナリン(褐色細胞腫)。●他の内分泌器官の組織像=下垂体前葉(好酸・好塩基・嫌色素細胞)・副甲状腺(主細胞・好酸性細胞)・膵島(ランゲルハンス島)。
選択肢ごとの解説
- ① 視床下部は神経核からなる脳の一部で、皮質・髄質の帯状構造を示さない。
- ② 下垂体は前葉の好酸性・好塩基性・嫌色素性細胞などからなり、副腎の三層皮質構造とは異なる。
- ③ 副甲状腺は主細胞・好酸性細胞からなる内分泌腺で、皮質・髄質の構造はとらない。
- ④ 膵臓は外分泌腺房とランゲルハンス島からなり、副腎の帯状皮質とは組織像が異なる。
- ⑤ 正しい。皮質の球状帯・束状帯・網状帯の三層構造と髄質を示すのは副腎である。
📋 まとめの表を見る:内分泌臓器の組織構造と分泌ホルモン
副腎は外側の被膜、皮質(球状帯・束状帯・網状帯の3層)、内側の髄質からなる。
第68回 午後49(病理組織細胞学)
健常成人で肝臓に接していないのはどれか。
正答: ④脾臓
ポイント
肝臓は右上腹部に位置し、上面(横隔面)は横隔膜に接し、下面(臓側面)は胆囊・右腎・右副腎・胃・十二指腸・結腸右曲などに接する。脾臓は胃の左後方(左上腹部)にあり膵尾部・左腎・横隔膜に接するが、右葉を中心とする肝臓とは通常接しない。健常成人で肝臓に接していないのは脾臓である。●肝臓に接する臓器=横隔膜(上面)、胆囊・右腎・右副腎・胃・十二指腸・結腸(下面)。●脾臓に接する臓器=胃・膵尾部・左腎・左結腸曲・横隔膜。●肝区域=Couinaud分類のS1~S8、肝鎌状間膜・肝門部(門脈・肝動脈・胆管)。
選択肢ごとの解説
- ① 横隔膜は肝臓の上面(横隔面)に広く接している。
- ② 腎臓(右腎)は肝臓の下面(肝腎接触部)に接している。
- ③ 胆囊は肝臓下面の胆囊窩にはまり込んで肝臓に接している。
- ④ 正しい。脾臓は左上腹部に位置し、右葉を中心とする肝臓とは通常接していない。
- ⑤ 副腎(右副腎)は肝臓の下面後方に接している。
第68回 午後50(病理組織細胞学)
病理解剖において切開開始前の手順に含まれないのはどれか。
- ①身長の計測
- ②皮膚の清拭
- ③死後硬直の確認
- ④臨床経過の確認
- ⑤病理解剖承諾書の確認
正答: ②皮膚の清拭
ポイント
病理解剖(剖検)では、切開を開始する前に病理解剖承諾書の確認、臨床経過の確認、死後硬直など外表所見の確認、身長・体重の計測といった外表観察と記録を行う。皮膚の清拭は解剖開始前の必須手順ではなく、切開開始前の手順には含まれない。承諾の確認と外表観察を経てから切開へ進むのが手順である。●切開開始前に行うこと=承諾書の確認・臨床経過/死因情報の確認・外表所見(死後硬直・死斑・浮腫・黄疸・損傷)・身長/体重などの計測。●剖検の流れ=外表観察→体腔開検→各臓器摘出・計測→割面観察→組織採取→病理組織診断。●関連法規=死体解剖保存法、遺族の承諾、感染症対策。
選択肢ごとの解説
- ① 身長の計測は外表計測として切開開始前の手順に含まれる。
- ② 誤り。皮膚の清拭は切開開始前の必須手順には含まれない。
- ③ 死後硬直の確認は外表所見の観察として切開開始前に行う手順に含まれる。
- ④ 臨床経過の確認は解剖前に行うべき手順に含まれる。
- ⑤ 病理解剖承諾書の確認は解剖開始前に必須の手順に含まれる。