第68回(2022) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第68回 午後1(臨床検査総論)

内部精度管理法で管理血清を用いるのはどれか。2つ選べ。

正答: ②X̄-R管理図法・⑤マルチルール管理図法

ポイント
内部精度管理のうち、既知濃度の管理血清(管理試料)を反復測定して評価するのはX̄-R管理図法とマルチルール(Westgard)管理図法である。X̄-R管理図法は同一管理血清の反復測定値から平均値X̄と範囲Rを算出して管理限界線と比較し、X̄が系統誤差(偏り)、Rが偶然誤差(ばらつき)を反映する。マルチルール管理図法は1_2s・1_3s・2_2s・R_4s・4_1s・10x̄などの複数判定規則を組み合わせ、偽棄却を抑えつつ誤差検出力を高める。これに対し患者検体の連続データを利用する手法は管理血清を用いない。●管理試料(管理血清)を用いる法=X̄-R管理図法・マルチルール法・X̄管理図法・累積和(CUSUM)法。●患者データを用いる法=項目間チェック法・デルタチェック法・正常者平均値(X̄_B、Bull)法・患者データ平均値法。●管理図の判定規則=1_2s(警告)・1_3s・2_2s・R_4s・4_1s・10x̄。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)

分類代表的な方法
管理試料を用いる方法x̄-R管理図法(x̄-Rs法・x̄-Rs-R法)・累積和法(CUSUM法)・双値法(ツインプロット法・Youden plot法)・マルチルール管理図法・臼井法
管理試料を用いない方法(患者データを利用)二重測定法・Hoffmann法(ナンバープラス法・正常者平均値法)・個別検体の管理法(高値低値チェック法・項目間チェック法・デルタチェック法)・|R/x̄|管理法(新谷法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。

第68回 午後2(臨床検査総論)

標準予防策において感染性を考慮しない体液・分泌物はどれか。

正答: ①汗

ポイント
標準予防策(スタンダードプリコーション)は、すべての患者の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚を感染性をもつものとして扱う考え方である。この原則のなかで汗のみが例外とされ、感染性を考慮しなくてよい唯一の体液とされる。汗には病原体がほとんど含まれないためで、尿・髄液・精液・唾液はいずれも病原体を含み得るため感染性を考慮して取り扱う。●感染性を考慮する体液・分泌物=血液・髄液・胸水・腹水・心嚢液・関節液・精液・腟分泌物・唾液・尿・便。●感染性を考慮しない例外=汗。●標準予防策の構成要素=手指衛生・個人防護具(手袋・マスク・ガウン・ゴーグル)・針刺し防止・呼吸器衛生・環境整備。

選択肢ごとの解説

第68回 午後3(臨床検査総論)

尿沈渣の無染色標本及びSternheimer染色標本を別に示す。矢印が示す構造物はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB003.6b2508c28c.jpg
第68回 午後3 の図

正答: ①顆粒円柱

ポイント
尿沈渣の円柱は尿細管で分泌されるTamm-Horsfallムコ蛋白を基質とし、これに細胞や成分が封入されて形成される。顆粒円柱は基質内に変性した細胞由来の顆粒を含み、無染色でも顆粒状構造として認識でき、Sternheimer(S)染色では基質と顆粒が明瞭に染め分けられる。硝子円柱が細胞封入物の変性・崩壊を経て移行したもので、腎実質障害を示唆する病的円柱である。●円柱の種類=硝子円柱(基質のみ・しばしば生理的)・顆粒円柱・上皮円柱・赤血球円柱・白血球円柱・脂肪円柱・ろう様円柱・幅広円柱。●病的意義=赤血球円柱(糸球体腎炎・糸球体性血尿)・白血球円柱(腎盂腎炎・間質性腎炎)・上皮円柱(尿細管壊死)・ろう様円柱(高度・慢性の腎障害)。●脂肪円柱=ネフローゼ症候群で偏光下マルタ十字を示す。

選択肢ごとの解説

第68回 午後4(臨床検査総論)

便潜血の免疫学的検査法で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ④便の表面をこするように採取する。・⑤上部より下部の消化管出血の検査に適している。

ポイント
免疫学的便潜血検査(fecal immunochemical test:FIT)は抗ヒトヘモグロビン抗体でヒトのヘモグロビンを特異的に検出する方法である。ヒトヘモグロビンのみに反応するため肉類や鉄剤などの食事・薬剤制限が不要で、化学的(グアヤック)法より高感度・高特異度である。ヘモグロビンは上部消化管を通過する間に消化酵素で変性するため、変性を受けにくい下部消化管(大腸)出血の検出に適し、大腸癌スクリーニングに用いられる。便表面を擦るように採取するのは表面に付着した血液を効率よく回収するためである。●便潜血検査の種類=化学的法(グアヤック法・オルトトリジン法、ヘムのペルオキシダーゼ様活性を利用)・免疫学的法(FIT、抗ヒトHb抗体)。●化学的法の偽陽性=獣肉・血液入り食品・鉄剤・一部野菜(食事制限要)。●免疫学的法の特徴=食事制限不要・下部消化管出血に適する。●大腸癌スクリーニング=FIT2日法が一次検査。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:便潜血検査:化学的検査法と免疫学的検査法の比較

項目化学的検査法(グアヤック法等)免疫学的検査法(イムノクロマト法・FIT)
検出対象ヘムのペルオキシダーゼ様活性ヒトヘモグロビン(抗ヒトHb抗体)
検出感度免疫学的法より低い化学的法より高い
食事制限必要(肉類・鉄剤等)不要
適した出血部位上部・下部消化管とも検出可下部消化管出血に優れる(上部は消化変性で低下)
検体の取扱い-室温または低温(2〜10℃)で輸送、速やかに検査
特有の現象-プロゾーン現象(抗原過剰で偽陰性)
主な用途-大腸癌スクリーニング(2〜3日連続法で検出率上昇)

第68回 午後5(臨床検査総論)

関節液の異常所見はどれか。

正答: ⑤蛋白濃度3.5 g/dL

ポイント
正常関節液は淡黄色透明で粘稠度が高く、有核細胞数は少なく(おおむね200/μL未満)、好中球比率も低い(25%未満)。蛋白濃度は血漿より低く1〜2 g/dL程度である。炎症性関節液では血管・滑膜透過性の亢進により蛋白濃度が上昇し、細胞数増加と好中球比率上昇を伴う。蛋白濃度3.5 g/dLは血漿に近い高値で滑膜透過性亢進を示す異常所見であり、他の項目はいずれも正常範囲である。●関節液の分類=非炎症性(変形性関節症、細胞<2000/μL)・炎症性(関節リウマチ・痛風など、細胞2000〜50000/μL)・化膿性(細菌性、細胞>50000/μL・好中球優位)・血性(外傷・血友病)。●結晶の鑑別=尿酸ナトリウム(痛風、針状・負の複屈折)・ピロリン酸カルシウム(偽痛風、菱形・正の複屈折)。●正常値の目安=蛋白1〜2 g/dL・細胞数<200/μL・粘稠度高。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:正常関節液の性状と異常値の目安

項目正常所見
外観無色〜淡黄色透明
比重1.008〜1.015
細胞数200/µL未満(平均約60/µL)
好中球比率25%以下(約10%)
蛋白濃度約1.7g/dL(血漿の約1/3)
蛋白濃度が明らかに高値(例:3.5g/dL)の場合は滑膜透過性亢進などの異常所見を示唆する。

第68回 午後6(臨床検査総論)

中間宿主を有するのはどれか。

正答: ⑤糸状虫

ポイント
中間宿主とは寄生虫が幼虫期に発育する宿主のことである。糸状虫(フィラリア)は蚊を中間宿主とし、血中のミクロフィラリアが吸血時に蚊体内へ移行して感染幼虫へ発育し、再びヒトへ伝播する。これに対し回虫・蟯虫・鉤虫・鞭虫は中間宿主を必要としない。回虫・鞭虫・鉤虫は土壌伝播性線虫であり、蟯虫は肛門周囲の虫卵が手指や寝具などを介して経口感染する。●中間宿主をもつ線虫=糸状虫(蚊)・旋毛虫(ブタ・経口)・回旋糸状虫(ブユ)・アニサキス(甲殻類・魚類)。●土壌伝播性線虫(中間宿主なし)=回虫・鞭虫・鉤虫・糞線虫。●蟯虫=中間宿主なし。手指・寝具などを介する経口感染。●中間宿主をもつ吸虫=肝吸虫(マメタニシ→淡水魚)・肺吸虫(カワニナ→カニ)・横川吸虫(カワニナ→アユ)・日本住血吸虫(ミヤイリガイ)。●条虫=無鉤条虫(ウシ)・有鉤条虫(ブタ)・日本海裂頭条虫(ケンミジンコ→魚)。

選択肢ごとの解説

第68回 午後7(臨床検査総論)

致死率が最も高いのはどれか。

正答: ③熱帯熱マラリア

ポイント
ヒトに感染するマラリアのうち熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)は致死率が最も高い。赤血球の発育段階を選ばず感染するため高度の原虫寄生率となり、感染赤血球が血管内皮へ付着(細胞接着)して微小循環障害を起こし、脳マラリア・重症貧血・多臓器不全をきたす。三日熱・卵形マラリアは肝に休眠原虫(ヒプノゾイト)を残して再発するが致死率は低く、四日熱・サルマラリアも一般に重症化は少ない。●ヒトのマラリア原虫=熱帯熱(P. falciparum、悪性・致死率高・脳マラリア)・三日熱(P. vivax、再発あり)・卵形(P. ovale、再発あり)・四日熱(P. malariae、慢性・腎症)・サル(P. knowlesi、人獣共通)。●再発(ヒプノゾイト)をもつ=三日熱・卵形。●診断=Giemsa染色塗抹標本での原虫検出、迅速抗原検査。

選択肢ごとの解説

第68回 午後8(臨床検査総論)

染色体分染法でグアニン〈G〉-シトシン〈C〉塩基対優位部が濃染するのはどれか。

正答: ④Rバンド分染法

ポイント
染色体分染法のうちRバンド分染法は、グアニン・シトシン(GC)塩基対に富む領域が濃染する方法で、AT塩基対に富む部位が濃染するGバンドと明暗が逆(reverse)になる。GC領域は遺伝子密度が高く、Gバンドで淡染して観察しにくい染色体末端付近の解析に有用である。CバンドはセントロメアのヘテロクロマチンをQバンドは蛍光で、NORは核小体形成部位を染め分ける。●分染法=Gバンド(AT優位部濃染、核型分析の基本)・Rバンド(GC優位部濃染、Gと逆)・Cバンド(構成的ヘテロクロマチン=セントロメア・Yq)・Qバンド(キナクリン蛍光、AT優位部)・NOR(銀染色、rRNA遺伝子の核小体形成部位)。●高精度法=分染後のFISH・SKY(スペクトル核型分析)。●用途=数的異常(トリソミー等)・構造異常(転座・欠失)の同定。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:染色体分染法(バンディング法)の種類と特徴

分染法特徴
Rバンド分染法GC(グアニン・シトシン)塩基対優位部が濃染。Gバンドと明暗が逆
Cバンド分染法セントロメア近傍の構成的ヘテロクロマチンを濃染
染色体観察に適するのは細胞周期の中期(染色体が最も凝縮する時期)である。

第68回 午後9(臨床検査総論)

アミノ酸を結合してリボソームに運搬する働きをするのはどれか。

正答: ③tRNA

ポイント
tRNA(転移RNA、transfer RNA)はアミノアシルtRNA合成酵素によって特定のアミノ酸を結合し、mRNAのコドンに相補的なアンチコドンを介してリボソーム上に正しいアミノ酸を運搬する。これにより伸長中のペプチド鎖へアミノ酸が順次付加され、翻訳が進行する。mRNAは遺伝情報を伝える鋳型、rRNAはリボソームの構成成分でペプチド結合形成を触媒する。●RNAの種類と機能=mRNA(伝令、翻訳の鋳型)・tRNA(転移、アミノ酸運搬)・rRNA(リボソーム、ペプチド結合触媒)・hnRNA(mRNA前駆体)・snRNA(スプライシング)・snoRNA(rRNA修飾)・miRNA/siRNA(遺伝子発現調節)。●翻訳の場=リボソーム(大・小サブユニット)。●コドン=開始コドンAUG(メチオニン)・終止コドンUAA/UAG/UGA。

選択肢ごとの解説

第68回 午後10(臨床検査総論)

PCR法において核酸増幅産物の特異性を高める方法として正しいのはどれか。

正答: ②プライマー濃度を下げる。

ポイント
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の特異性はプライマーが標的配列にのみ正しく結合(アニーリング)することで担保される。プライマー濃度を下げると非特異的なミスプライミングやプライマーダイマーの形成が抑えられ、増幅産物の特異性が高まる。逆にサイクル数の増加・アニーリング温度の低下・マグネシウムイオン濃度の上昇・DNAポリメラーゼの過剰はいずれも非特異的増幅を助長して特異性を低下させる。●特異性を高める操作=プライマー濃度低減・アニーリング温度上昇・タッチダウンPCR・ホットスタートPCR・ネステッドPCR。●非特異増幅を招く要因=アニーリング温度過低・Mg²⁺過剰・プライマー/酵素過剰・サイクル数過多。●PCRの応用=リアルタイムPCR(定量)・RT-PCR(RNA鋳型)・マルチプレックスPCR・デジタルPCR。

選択肢ごとの解説

第68回 午後11(臨床検査医学総論)

末梢神経障害を呈するのはどれか。

正答: ③Guillain-Barré症候群

ポイント
Guillain-Barré症候群は先行感染(Campylobacter jejuni腸炎や上気道感染)後に自己免疫機序で末梢神経の髄鞘や軸索が障害される急性炎症性脱髄性多発神経炎で、左右対称性の弛緩性運動麻痺と深部腱反射消失をきたす末梢神経障害である。髄液で蛋白細胞解離を認める。Alzheimer病・Creutzfeldt-Jakob病・Parkinson病・Wilson病はいずれも中枢神経が主体の疾患である。●末梢神経障害=Guillain-Barré症候群・慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)・糖尿病性末梢神経障害・Charcot-Marie-Tooth病。●中枢の変性疾患=Alzheimer病(認知症)・Parkinson病(黒質ドパミン神経)・筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン)。●プリオン病=Creutzfeldt-Jakob病。●代謝性=Wilson病(銅蓄積、肝・基底核)。

選択肢ごとの解説

第68回 午後12(臨床検査医学総論)

染色体検査が診断に有用なのはどれか。

正答: ④Turner症候群

ポイント
Turner症候群は性染色体が45,X(X染色体の1本欠失)や構造異常・モザイクとなる染色体異常症で、染色体核型検査が診断に直接有用である。低身長・性腺機能低下(原発性無月経)・翼状頸・外反肘などを呈する。血友病A・サラセミア・Gaucher病・フェニルケトン尿症は特定遺伝子の点変異・欠失による疾患で、染色体数・構造の異常ではないため核型検査では診断できず、遺伝子検査や酵素・代謝物測定で診断する。●染色体核型検査で診断する数的異常=Down症候群(21トリソミー)・Edwards症候群(18トリソミー)・Patau症候群(13トリソミー)・Turner症候群(45,X)・Klinefelter症候群(47,XXY)。●遺伝子(DNA)検査で診断=血友病A(F8)・サラセミア(グロビン)・Gaucher病・PKU(PAH)。●代謝・酵素検査=先天代謝異常症のスクリーニング。

選択肢ごとの解説

第68回 午後13(臨床検査医学総論)

ROC曲線の縦軸と横軸の組合せで正しいのはどれか。

正答: ③感度 — 偽陽性率

ポイント
ROC曲線(受信者動作特性曲線)は検査のカットオフ値を変化させたときの判別能を示す曲線で、縦軸に感度(真陽性率)、横軸に偽陽性率(1−特異度)をとる。曲線が左上に近いほど判別能が高く、曲線下面積(AUC)が1に近いほど性能がよい。横軸を特異度そのものではなく偽陽性率(1−特異度)でとる点が要点である。●ROC関連指標=感度(真陽性率)・特異度・偽陽性率(1−特異度)・AUC(曲線下面積、0.5で無意味・1.0で完全)。●最適カットオフの指標=Youden指数(感度+特異度−1)、左上隅への最近接点。●検査性能の指標=陽性的中率・陰性的中率・尤度比。●関連=有病率は的中率に影響するが感度・特異度には影響しない。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ROC曲線の指標

項目内容
縦軸感度(真陽性率)
横軸偽陽性率(1-特異度)
cut off値疾患の有無を鑑別する分割点
曲線の形状Y軸(左上)に近いほど診断能力が高い
AUC(曲線下面積)1.0に近いほど性能が良く、0.5は有用性が認められない検査
横軸を「特異度」ではなく「偽陽性率(1-特異度)」でとる点が組合せ問題の要点。

第68回 午後14(臨床検査医学総論)

関節リウマチの診断に用いられるのはどれか。

正答: ①抗CCP抗体

ポイント
抗CCP抗体(抗環状シトルリン化ペプチド抗体)はシトルリン化された自己蛋白に対する自己抗体で、関節リウマチに対して高い特異度をもち、早期診断や予後(骨びらん進行)予測に用いられる。リウマトイド因子より特異度が高く、発症前から陽性化することがある。他の選択肢はそれぞれ別の自己免疫疾患の指標である。●自己抗体と疾患=抗CCP抗体・リウマトイド因子(関節リウマチ)・抗GAD抗体(1型糖尿病)・抗SS-A/SS-B抗体(Sjögren症候群・SLE)・抗サイログロブリン抗体/抗TPO抗体(橋本病)・抗TSH受容体抗体(Basedow病)・抗アセチルコリン受容体抗体(重症筋無力症)・抗dsDNA抗体・抗Sm抗体(SLE)・抗Scl-70抗体(全身性強皮症)・抗Jo-1抗体(多発性筋炎)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臓器特異的自己抗体と自己免疫疾患

自己抗体疾患
抗CCP抗体関節リウマチ

第68回 午後15(臨床検査医学総論)

分子標的薬投与の決定にERBB2(HER2)増幅の検索を行うのはどれか。

正答: ①乳癌

ポイント
ERBB2(HER2)はヒト上皮成長因子受容体2型のチロシンキナーゼ型受容体で、その遺伝子増幅・蛋白過剰発現が乳癌の一部にみられる。HER2陽性乳癌では抗HER2抗体薬(トラスツズマブなど)の分子標的治療の適応判定のため、免疫染色(IHC)やFISHによる増幅検索を行う。胃癌でもHER2が検索されるが、選択肢中では乳癌が該当する。●がんと分子標的(コンパニオン診断)=乳癌/胃癌(HER2増幅→トラスツズマブ)・非小細胞肺癌(EGFR変異→ゲフィチニブ、ALK融合→クリゾチニブ)・大腸癌(RAS変異→抗EGFR抗体の適応外)・GIST(KIT変異→イマチニブ)・悪性黒色腫(BRAF V600E→ベムラフェニブ)・卵巣癌/乳癌(BRCA変異→PARP阻害薬)。●検査法=IHC・FISH・PCR・次世代シーケンサー。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:コンパニオン診断:がん種と分子標的薬・対応バイオマーカー

標的分子(代表的薬剤)効果予測マーカー主な適用がん種
EGFR(ゲフィチニブ)EGFR遺伝子変異非小細胞肺癌
EGFR(抗EGFR抗体薬)KRAS遺伝子変異(野生型で有効)大腸癌(結腸・直腸癌)
HER2(トラスツズマブ)HER2過剰発現乳癌・胃癌
BCR-ABL(イマチニブ)BCR-ABL融合遺伝子(フィラデルフィア染色体)慢性骨髄性白血病・Ph陽性急性リンパ性白血病
KIT(イマチニブ)KIT遺伝子変異消化管間質腫瘍〈GIST〉
CD20(リツキシマブ)CD20抗原発現B細胞性非Hodgkinリンパ腫・マントル細胞リンパ腫
VEGF(ベバシズマブ)-大腸癌・非小細胞肺癌・乳癌・卵巣癌
コンパニオン診断は医薬品の効果・副作用を投与前に予測する検査で、血液・尿・組織・画像・遺伝子など様々な検査法が用いられる。

第68回 午後16(臨床生理学)

心周期現象の圧曲線模式図を別に示す。大動脈圧曲線はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB016.0127bfaeba.jpg
第68回 午後16 の図

正答: ①

ポイント
心周期の左心系圧曲線では、左室の収縮により左室圧が大動脈圧を超えると大動脈弁が開いて駆出が起こる。大動脈圧曲線は駆出期に左室圧曲線とほぼ重なる高い収縮期圧を示し、大動脈弁閉鎖時に切痕(ディクロティックノッチ)を生じた後、拡張期に緩やかに下降する。この高圧・ノッチを示す曲線が大動脈圧曲線である。●左心系の圧曲線(高→低)=大動脈圧(収縮期約120/拡張期約80 mmHg・ノッチあり)・左室圧(収縮期は大動脈圧と一致、拡張期は0近くまで低下)・左房圧(a波・c波・v波、平均約5〜10 mmHg)。●弁の開閉=大動脈弁開放(駆出開始)・閉鎖(ノッチ・Ⅱ音)・僧帽弁開放(拡張期充満)・閉鎖(Ⅰ音)。●右心系=肺動脈圧・右室圧・右房圧(低圧系)。

選択肢ごとの解説

第68回 午後17(臨床生理学)

四肢誘導心電図を別に示す。正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB017.2b4211f6dd.jpg
第68回 午後17 の図

正答: ④ペーシングリズム

ポイント
ペーシングリズムでは、ペースメーカからの電気刺激を示す鋭く細いペーシングスパイクが各拍動の直前に出現し、心室ペーシングではそれに続いて幅広いQRS波が生じる。各QRS(または各P波)の直前に規則的なスパイクが認められることが診断の決め手で、これにより他の不整脈やアーチファクトと鑑別される。●ペースメーカ波形=心房ペーシング(P波前にスパイク)・心室ペーシング(幅広QRS前にスパイク)・両室ペーシング。●スパイクを伴わない波形の鑑別=右脚ブロック(V1でrSR'・幅広QRS)・WPW症候群(PQ短縮+デルタ波)・房室ブロック(PQ延長・P-QRS解離)。●アーチファクト=筋電図・体動・基線動揺による不規則な乱れ。

選択肢ごとの解説

第68回 午後18(臨床生理学)

ホルター心電図検査で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③記録中の行動記録は解析に必要である。・④NASA誘導はP波の検出に優れている。

ポイント
ホルター心電図(長時間心電図)は双極誘導を用いて日常生活下で24時間以上記録し、不整脈やST変化を解析する検査である。患者が記録中の症状・行動・服薬などを記す行動記録(日誌)は、検出された不整脈やST変化と症状・行動との対応を解析するために必要である。NASA誘導は胸骨上・下に電極を置く誘導でP波の検出に優れる。●ホルター心電図の誘導=NASA誘導(P波明瞭)・CM5誘導(V5類似、ST・虚血評価)・CC5誘導。●解析項目=不整脈(期外収縮・心房細動・徐脈)・ST変化(虚血)・心拍変動・QT。●関連長時間記録=イベントレコーダー・植込み型ループレコーダー。●注意=行動記録との照合が必須、電極装着不良はアーチファクトの原因。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ホルター心電図の代表的誘導法

誘導電極位置特徴
NASA誘導正電極:剣状突起、負電極:胸骨柄V1誘導波形に類似。P波の検出に優れ不整脈解析に有用
CM5誘導正電極:V5に近い肋骨上、負電極:胸骨柄V5誘導波形に類似。ST偏位(虚血)の検出に優れる
CC5誘導正電極:V5に近い肋骨上、負電極:V5Rに近い肋骨上V5誘導波形に類似。左側胸部誘導のST偏位検出に優れる
双極誘導・2チャンネル収録が一般的で、NASA誘導とCM5(またはCC5)誘導を組み合わせて記録することが多い。行動記録(症状・行動の記録)は解析に必要。

第68回 午後19(臨床生理学)

最大呼気曲線を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB019.9ecd3b965c.jpg
第68回 午後19 の図

正答: ③慢性閉塞性肺疾患

ポイント
図は横軸が時間、縦軸が呼出量の最大呼気曲線(容量時間曲線)である。最初の1秒間の呼出量が最終的な努力肺活量に比べて小さく、その後も呼出が長く続いているため、1秒率が低い閉塞性換気障害を示す。選択肢では慢性閉塞性肺疾患が最も適切である。
●容量時間曲線では、呼出開始から1秒の量が1秒量、最終呼出量が努力肺活量で、1秒率=1秒量÷努力肺活量×100。
●間質性肺炎、胸郭変形、呼吸筋疾患による拘束性障害では肺活量が低下するが、1秒率は比較的保たれる。
●この図の縦軸は流量ではないので、フローボリューム曲線の下降脚やピークフローを読み取る図ではない。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:換気機能障害の分類(%肺活量〈%VC〉・1秒率〈FEV1%〉による判定)

分類判定基準主な疾患・病態
正常%VC≧80% かつ FEV1%≧70%―
拘束性換気障害%VC<80% かつ FEV1%≧70%間質性肺炎・肺線維症・胸郭/胸膜病変・呼吸筋力低下など
閉塞性換気障害%VC≧80% かつ FEV1%<70%COPD(肺気腫・慢性気管支炎)・気管支喘息など
混合性換気障害%VC<80% かつ FEV1%<70%拘束性と閉塞性の合併
閉塞性換気障害ではフローボリューム曲線が下に凸の形となる。機能的残気量〈FRC〉は肺の過膨張により上昇する(肺気腫・COPDなど)。

第68回 午後20(臨床生理学)

動脈血ガス分析の所見を示す。pH 7.36 PaO₂ 58 Torr PaCO₂ 56 Torr HCO₃⁻ 31 mEq/L誤っているのはどれか。

正答: ③アシデミアである。

ポイント
本例はPaCO₂ 56 Torrと高値で呼吸性アシドーシスを呈し、HCO₃⁻ 31 mEq/Lと上昇して腎による代償(重炭酸イオンの再吸収増加)が働いている。代償が十分でpHが7.36と正常下限内に保たれているため、血液は酸性側に偏っておらずアシデミア(pH 7.35未満)ではない。PaO₂ 58 Torrは呼吸不全(60 Torr未満)に相当し、PaCO₂上昇は肺胞低換気を反映するので、これらの記述は正しい。アシデミアとする記述が誤りである。●酸塩基平衡の異常=呼吸性アシドーシス(PaCO₂↑、肺胞低換気)・呼吸性アルカローシス(PaCO₂↓、過換気)・代謝性アシドーシス(HCO₃⁻↓)・代謝性アルカローシス(HCO₃⁻↑)。●代償=呼吸性異常は腎が(HCO₃⁻調整)・代謝性異常は肺が(換気調整)代償。●呼吸不全=PaO₂<60 Torr(Ⅰ型)、これにPaCO₂>45 Torrを伴う(Ⅱ型)。●用語=アシデミア(pH<7.35)・アルカレミア(pH>7.45)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:酸塩基平衡異常の4パターン(pH・一次性変化・代償性変化)

病態pH一次性変化代償性変化主な原因
呼吸性アシドーシス↓PaCO₂↑HCO₃-↑(腎性代償)肺胞低換気(COPD・呼吸中枢抑制・神経筋疾患など)
呼吸性アルカローシス↑PaCO₂↓HCO₃-↓(腎性代償)過換気(過換気症候群・発熱・肺塞栓など)
代謝性アシドーシス↓HCO₃-↓PaCO₂↓(呼吸性代償)糖尿病性ケトアシドーシス・腎不全・下痢など
代謝性アルカローシス↑HCO₃-↑PaCO₂↑(呼吸性代償)嘔吐・利尿薬・原発性アルドステロン症など
代償は血液pHを基準範囲(7.35〜7.45)へ戻そうとする働き。呼吸性代償は換気量の増減により数時間単位、代謝性(腎性)代償はHCO₃-の排泄調節により数日単位で生じる。代償が予測範囲を超える場合は混合性障害を疑う。

📋 まとめの表を見る:呼吸不全の分類とA-aDO₂〈肺胞気-動脈血酸素分圧較差〉

区分基準・所見
I型呼吸不全PaO₂ 60Torr以下 かつ PaCO₂ 45Torr以下
II型呼吸不全PaO₂ 60Torr以下 かつ PaCO₂ 45Torr超
A-aDO₂基準範囲10Torr以下(10〜20Torrは境界域、20Torr以上は明らかな異常)
A-aDO₂正常で低酸素血症肺胞低換気、吸入気酸素分圧低下(高地など)
A-aDO₂開大で低酸素血症換気血流比不均等、拡散障害、シャント
A-aDO₂=(PIO2-PaCO₂/R)-PaO₂(PIO2は室内気で約150、Rは呼吸商)。健常者でも生理的シャントや換気血流比不均等により5〜10Torr程度の較差が存在する。

第68回 午後21(臨床生理学)

神経線維における活動電位とその伝導について誤っているのはどれか。

正答: ⑤刺激の強さに比例して発生する活動電位が大きくなる。

ポイント
神経の活動電位は全か無かの法則に従い、刺激が閾値を超えればその振幅は刺激強度によらず一定で、刺激を強めても活動電位の大きさは増大しない(刺激強度は発火頻度や動員される線維数に反映される)。伝導速度は軸索が太いほど(内部抵抗が小さい)、また温度が高いほど速く、活動電位は再生的に発生するため減衰せず、中間部で発生すれば両方向へ伝導する。刺激の強さに比例して活動電位が大きくなるとする記述が誤りである。●活動電位の性質=全か無かの法則・不応期(絶対/相対)・減衰なし伝導・両方向性伝導(生理的には一方向)。●伝導速度を上げる要因=軸索が太い・有髄(跳躍伝導)・高温。●イオン機構=脱分極(Na⁺流入)・再分極(K⁺流出)・静止電位(Na-K ポンプ)。●関連=神経伝導検査で運動・感覚神経伝導速度を測定。

選択肢ごとの解説

第68回 午後22(臨床生理学)

誘発電位を別に示す。この記録はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB022.5e329ace46.jpg
第68回 午後22 の図

正答: ④聴性脳幹反応

ポイント
聴性脳幹反応(auditory brainstem response:ABR)は短いクリック音刺激後10ミリ秒以内に、第Ⅰ波から第Ⅴ波までの規則的な小さな陽性波が連続して現れる短潜時の誘発電位である。各波は蝸牛神経から脳幹の聴覚伝導路の各部位に対応し、波の潜時・出現の有無から他覚的聴力評価や脳幹機能・脳死判定の補助に用いられる。図でこのⅠ〜Ⅴの連続波が認められればABRである。●誘発電位の種類=視覚誘発電位(VEP、後頭部P100)・聴性脳幹反応(ABR、短潜時Ⅰ〜Ⅴ波)・聴性定常反応(ASSR、周波数解析)・体性感覚誘発電位(SEP、末梢神経刺激)・事象関連電位(P300、認知・長潜時)。●潜時による分類=短潜時(ABR)・中潜時・長潜時(P300)。●臨床応用=新生児聴覚スクリーニング・脳幹機能評価・術中モニタリング。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:誘発電位の種類と特徴

名称刺激主な特徴
視覚誘発電位〈VEP〉パターンリバーサル光・フラッシュ光光刺激で網膜〜大脳視覚領野に出現
聴覚誘発電位〈AEP〉クリック音頭頂中心部(Cz)優位、潜時で短潜時・中間潜時・長潜時の3成分
聴性脳幹反応〈ABR〉クリック音AEPの短潜時成分、音刺激後8ms以内にI〜VI波
体性感覚誘発電位〈SEP〉上肢(正中神経・手関節)、下肢(総腓骨神経・後脛骨神経)短潜時(感覚神経-脊髄-皮質)・長潜時(大脳皮質起源)
事象関連電位〈ERP〉認知課題の負荷P300・随伴陰性変動〈CNV〉、注意・記憶等を反映
意識や睡眠の影響を受けにくいのはABR。ABRは聴覚障害・脳幹障害・脳死判定などに用いる。

第68回 午後23(臨床生理学)

針筋電図検査において急性脱神経でみられるのはどれか。

正答: ②陽性鋭波

ポイント
急性脱神経では神経支配を失った筋線維が脱神経過敏となり、安静時に異常自発放電として陽性鋭波や線維自発電位(fibrillation potential)が出現する。これらは脱神経後1〜数週間して現れる急性〜亜急性の脱神経所見である。一方、高振幅・多相性・長持続の運動単位電位は慢性脱神経後の神経再支配(側枝発芽)を反映する慢性期の所見である。●針筋電図の異常所見=安静時(線維自発電位・陽性鋭波・線維束自発電位・ミオトニー放電・複合反復放電)・随意収縮時(運動単位電位の振幅・持続・多相性、動員パターン)。●神経原性変化=急性は陽性鋭波・線維自発電位、慢性は高振幅・多相性・干渉波減少。●筋原性変化=低振幅・短持続・多相性電位、早期動員(急速動員)。●ミオトニー放電=筋強直性ジストロフィー・先天性筋強直症。

選択肢ごとの解説

第68回 午後24(臨床生理学)

心臓超音波カラードプラ法の四腔像を別に示す。疾患はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB024.9a9c5b11ae.jpg
第68回 午後24 の図

正答: ⑤心房中隔欠損症

ポイント
心房中隔欠損症では心房中隔の欠損部を通じて左房から右房への短絡血流が生じ、カラードプラ四腔像で心房中隔を横切る血流シグナルが描出される。左右短絡による容量負荷で右房・右室が拡大する。欠損部位が心房中隔にあること、短絡が左→右であることが鑑別の要点である。●先天性心疾患(非チアノーゼ性・左右短絡)=心房中隔欠損症・心室中隔欠損症・動脈管開存症(大動脈→肺動脈)。●チアノーゼ性=Fallot四徴症(心室中隔欠損・大動脈騎乗・肺動脈狭窄・右室肥大)・完全大血管転位症・総肺静脈還流異常。●ASDの分類=二次孔型(最多)・一次孔型・静脈洞型。●超音波所見=右房右室拡大・心房中隔の途絶・左右短絡血流・三尖弁逆流から肺動脈圧推定。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:先天性心疾患の心エコーにおける短絡(シャント)血流の向き

疾患短絡血流の向き・所見
心房中隔欠損症〈ASD〉左房→右房短絡。右房・右室拡大、心室中隔の奇異性運動、左室拡張期扁平化
心室中隔欠損症〈VSD〉左室→右室短絡
動脈管開存症〈PDA〉下行大動脈→主肺動脈の短絡
Fallot四徴症大動脈前壁・心室中隔の非連続部位で右→左短絡(心室中隔欠損・大動脈騎乗・肺動脈狭窄・右室肥大を伴う)
完全大血管転位症体循環・肺循環間の短絡(生存のため必須)
心室中隔の奇異性運動は心房中隔欠損症を代表とする右室容量負荷疾患でみられる。

第68回 午後25(臨床生理学)

上腹部超音波像を別に示す。走査法はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB025.b4927b096a.jpg
第68回 午後25 の図

正答: ②心窩部横走査

ポイント
心窩部横走査はプローブを心窩部に横向き(体軸に直交)に当てる走査法で、上腹部の膵臓・腹部大動脈・下大静脈・肝左葉などを横断面で描出する。膵頭部から膵体・膵尾部までを連続的に追え、上腹部臓器のスクリーニングに用いられる。描出される横断面構造(脊椎前面を走る大血管と膵)とプローブの当て方から走査法を判定する。●腹部超音波の主な走査法=心窩部横走査(膵・大血管)・心窩部縦走査(腹部大動脈長軸・肝左葉)・右季肋部斜走査(胆囊・総胆管・肝右葉)・右肋骨弓下走査(肝・肝静脈・下大静脈合流部)・右肋間走査(肝右葉・門脈・胆囊)。●描出臓器の目安=膵は心窩部横走査、胆囊は右季肋部、腎は側腹部走査。●観察の基本=呼吸調整(吸気保持)で肝・腎を肋骨弓下へ移動させる。

選択肢ごとの解説

第68回 午後26(臨床生理学)

下腹部正中横走査による女性の骨盤腔の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB026.a53923ce8f.jpg
第68回 午後26 の図

正答: ②子宮

ポイント
下腹部正中横走査では、前方の無エコー(尿貯留)の膀胱を音響窓として、その背側に子宮が描出される。子宮は均一な低~等エコーの筋層をもつ西洋梨型の充実性臓器で、内腔に内膜の高エコー帯(内膜エコー)を伴う。前方の膀胱、後方の直腸、側方の卵巣との位置関係から正中の充実性臓器を子宮と同定する。●骨盤腔の超音波解剖=前方に膀胱、中央に子宮、後方に直腸、子宮の側方に卵巣・卵管。●子宮の超音波所見=筋層エコーと内膜エコー、月経周期で内膜の厚み・エコー輝度が変化。●関連病変=子宮筋腫(充実性腫瘤)・子宮腺筋症・内膜増殖症・卵巣囊胞。●ダグラス窩(直腸子宮窩)=腹腔内最下点で腹水・出血の貯留を確認する部位。

選択肢ごとの解説

第68回 午後27(臨床生理学)

医療用MRIについて誤っているのはどれか。

正答: ②炭素の磁気共鳴信号を画像化する。

ポイント
医療用磁気共鳴画像(MRI)は、生体に最も多く存在する水素原子核(プロトン)の磁気共鳴信号を画像化するもので、炭素核を信号源とするのではない。任意断面の直接撮像、造影剤を用いないMRアンギオグラフィ(特に頭部のtime-of-flight法)、急性期脳梗塞を高信号として鋭敏にとらえる拡散強調画像、水分子拡散の異方性から神経線維走行を可視化する拡散テンソル画像などが可能である。信号源が水素核である点が誤りの選択肢の鍵となる。●MRIの基本=静磁場・傾斜磁場・RFパルスで水素核の信号を空間情報化、T1強調・T2強調・FLAIR等のコントラスト。●特殊撮像=拡散強調画像(DWI、急性期脳梗塞)・拡散テンソル画像(神経線維)・MRアンギオグラフィ(非造影血管描出)・MRスペクトロスコピー(代謝物)。●禁忌・注意=強磁性体・心臓ペースメーカ・体内金属、造影剤(ガドリニウム)の腎性全身性線維症。

選択肢ごとの解説

第68回 午後28(臨床生理学)

眼底写真を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB028.fe0a3e71a7.jpg
第68回 午後28 の図

正答: ⑤視神経乳頭

ポイント
眼底写真で視神経乳頭は、視神経が眼球を出る部位に相当する境界明瞭な類円形の淡い黄白色領域で、網膜中心動静脈がここから放射状に出入りし、中央に生理的乳頭陥凹を伴う。黄斑は乳頭の耳側にあるやや暗い無血管領域で、その中心の最も感度が高い部位が中心窩である。血管の出入りという特徴から正常構造の視神経乳頭を同定する。●眼底の正常構造=視神経乳頭・黄斑・中心窩・網膜血管(動脈は明赤色で細く、静脈は暗赤色で太い)。●視神経乳頭の評価=陥凹乳頭比(C/D比、緑内障で拡大)・乳頭浮腫(頭蓋内圧亢進)。●眼底病変=白斑(硬性・軟性白斑)・出血・新生血管=糖尿病網膜症・高血圧性眼底変化。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:眼底の正常構造(視神経乳頭・黄斑・中心窩)

構造特徴
視神経乳頭中心窩の約4mm鼻側、直径約1.5mm、円形〜縦楕円形・境界明瞭・黄赤〜橙赤色。網膜中心動静脈が出入りし生理的陥凹(乳頭陥凹/乳頭径比〈C/D比〉は通常0.3以下)。視力はない
黄斑部視神経乳頭の約4mm耳側・やや下方、中心窩から半径約3mmの領域。やや暗く見える
中心窩黄斑部の中心。錐体細胞が密集し視力が最も良い部位

第68回 午後29(臨床化学)

水溶性ビタミンはどれか。2つ選べ。

正答: ②ビタミンC・⑤葉酸

ポイント
水溶性ビタミンはビタミンB群とビタミンCで、過剰分は尿中に排泄されるため体内に蓄積しにくく、欠乏症が比較的早く現れる。葉酸はビタミンB群(ビタミンB₉)に属する水溶性ビタミンである。ビタミンA・D・E・Kは脂溶性ビタミンで肝臓や脂肪組織に蓄積し、過剰摂取で過剰症を起こし得る。選択肢ではビタミンCと葉酸が水溶性に該当する。●水溶性ビタミン=ビタミンB₁(チアミン)・B2・ナイアシン・B6・B12・葉酸・パントテン酸・ビオチン・ビタミンC。●脂溶性ビタミン=ビタミンA(夜盲症)・D(くる病・骨軟化症)・E・K(凝固因子・出血傾向)。●欠乏症=ビタミンC欠乏で壊血病、葉酸・B12欠乏で巨赤芽球性貧血。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き

分類ビタミン化学名主な働き
脂溶性ビタミンAレチノール視覚(ロドプシン)・上皮の維持。RBP〈レチノール結合蛋白〉で運搬
脂溶性ビタミンDカルシフェロール腸管Ca・P吸収、骨形成。肝で25位、腎で1α位が水酸化され活性化
脂溶性ビタミンEトコフェロール抗酸化作用(生体膜の脂質を保護)
脂溶性ビタミンKフィロキノン/メナキノン血液凝固因子(第II・VII・IX・X因子)の生成
水溶性ビタミンB1チアミン糖代謝の補酵素(TPP)
水溶性ビタミンB2リボフラビン酸化還元の補酵素(FAD・FMN)
水溶性ナイアシンニコチン酸酸化還元の補酵素(NAD・NADP)
水溶性ビタミンB6ピリドキシンアミノ基転移酵素の補酵素(PLP)
水溶性ビタミンB12コバラミンDNA合成・造血(胃壁細胞の内因子と結合し回腸で吸収)
水溶性葉酸(フォラシン)DNA合成・造血
水溶性ビタミンCアスコルビン酸コラーゲン合成・抗酸化
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。

第68回 午後30(臨床化学)

尿を検体として測定するのはどれか。

正答: ③Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド〈CTX〉

ポイント
Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド(CTX)は、破骨細胞による骨吸収でⅠ型コラーゲンが分解されて生じる骨吸収マーカーで、尿を検体として測定できる(尿中CTX)。オステオカルシン(OC)と骨型アルカリホスファターゼ(BAP)は骨形成マーカーで血清を検体とし、Ⅰ型プロコラーゲンのC末端・N末端プロペプチド(PICP・PINP)もコラーゲン合成過程で生じる血清骨形成マーカーである。尿検体で測定する骨吸収マーカーがCTXである。●骨吸収マーカー=デオキシピリジノリン(DPD、尿)・Ⅰ型コラーゲン架橋N/Cテロペプチド(NTX・CTX)・酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRACP-5b、血清)。●骨形成マーカー=オステオカルシン・骨型アルカリホスファターゼ・PICP・PINP。●臨床応用=骨粗鬆症の病態評価・治療効果判定。

選択肢ごとの解説

第68回 午後31(臨床化学)

過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応に必要な試薬はどれか。2つ選べ。

正答: ③フェノール・⑤4-アミノアンチピリン

ポイント
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系の呈色反応(Trinder反応)では、各種酵素反応で生じた過酸化水素をペルオキシダーゼが分解し、その酸化力で4-アミノアンチピリンとフェノール(またはアニリン系発色剤)が酸化縮合して赤色のキノンイミン色素を生成する。生成色素の吸光度を測定することで、グルコースやコレステロール、中性脂肪などを定量する。この発色に必要なのはフェノールと4-アミノアンチピリンである。●Trinder反応の構成=酸化酵素(グルコースオキシダーゼ等)→過酸化水素→ペルオキシダーゼ→4-アミノアンチピリン+フェノール(またはTOOS等のカップラー)→キノンイミン色素。●共役酵素系の例=グルコース(GOD-POD法)・コレステロール・中性脂肪・尿酸(ウリカーゼ)。●類似の発色系=NAD(P)Hの340nm測定を用いる脱水素酵素系(UV法)。

選択肢ごとの解説

第68回 午後32(臨床化学)

放射線に関する物理量と単位の組合せで正しいのはどれか。

正答: ④線量当量 — Sv

ポイント
線量当量の単位はシーベルト(Sv)である。等価線量と実効線量も単位はSvだが、同一の量ではない。等価線量は臓器・組織の吸収線量に放射線の種類を考慮した量で、実効線量は各臓器・組織の等価線量に組織加重係数を掛けて全身について合計した量である。放射能の単位はベクレル(Bq)、吸収線量はグレイ(Gy)、照射線量はクーロン毎キログラム(C・kg⁻¹)、放射線のエネルギーは電子ボルト(eV)であり、線量当量とSvの組合せが正しい。各物理量と単位の対応を取り違えないことが鍵となる。●放射線の量と単位=放射能=Bq(ベクレル)、吸収線量=Gy(グレイ)、照射線量=C・kg⁻¹、線量当量・実効線量=Sv(シーベルト)、エネルギー=eV(電子ボルト)。●吸収線量と等価線量の関係=等価線量=吸収線量×放射線荷重係数。●放射線の種類=α線・β線・γ線・X線・中性子線。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:放射線に関する物理量と単位

物理量単位定義
放射能Bq(ベクレル)1秒間に1個放射性壊変する放射性物質の量
照射線量C・kg⁻¹(クーロン毎キログラム)光子によって単位質量当たりの空気中に生成される電荷量
吸収線量Gy(グレイ)物質の単位質量当たりに吸収されるエネルギー量
等価線量Sv(シーベルト)吸収線量に放射線の種類による影響を補正する係数(放射線加重係数)を掛けた値
実効線量Sv(シーベルト)各臓器・組織の等価線量に組織加重係数を掛け、全身について合計した放射線防護上の量。直接測定する量ではない
線量当量Sv(シーベルト)吸収線量に線質係数を掛けた値。1cm線量当量など、放射線量の実測・管理に用いられる
放射線のエネルギーeV(エレクトロンボルト)電子が1Vの電圧で加速されて得る運動エネルギー量

第68回 午後33(臨床化学)

直接ビリルビンが高値を示すのはどれか。

正答: ⑤Dubin-Johnson症候群

ポイント
直接(抱合型)ビリルビンの上昇は、肝細胞での抱合後の排泄障害や胆汁うっ滞で生じる。Dubin-Johnson症候群は肝細胞から毛細胆管への抱合型ビリルビン排泄を担う輸送体(MRP2)の欠損による体質性黄疸で、直接ビリルビンが高値となり肝の黒色化を伴う。一方、新生児黄疸・溶血性貧血・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群は抱合の障害やビリルビン産生過剰により間接(非抱合型)ビリルビンが上昇する。●非抱合型(間接)ビリルビン優位=溶血性貧血(産生過剰)・新生児黄疸・Gilbert症候群(軽度抱合障害)・Crigler-Najjar症候群(UDPグルクロン酸転移酵素欠損)。●抱合型(直接)ビリルビン優位=Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群(体質性)、閉塞性黄疸・肝内胆汁うっ滞。●検査=総ビリルビン・直接/間接分画、尿中ビリルビン(直接型のみ尿中に出る)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)

分画水溶性・血中結合尿中排泄ジアゾ反応光に対する安定性高値を示す代表疾患
非抱合型(間接)ビリルビン脂溶性・アルブミンと結合排泄されない促進剤(メタノール等)が必要不安定(光異性化を受ける)溶血性貧血・新生児黄疸・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群
抱合型(直接)ビリルビン水溶性・グルクロン酸抱合尿中に排泄される促進剤なしで直接反応比較的安定閉塞性黄疸(胆汁うっ滞)・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群
δビリルビン抱合型ビリルビンがアルブミンと共有結合したもの尿中に排泄されない(半減期が長い)--黄疸遷延時に増加
シャントビリルビン(早期ビリルビン)成熟赤血球のヘム以外(肝・腎のシトクロムやカタラーゼ、未熟赤血球等)に由来---代謝回転の速い特殊な分画で、δビリルビンとは別概念
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。

第68回 午後34(臨床化学)

CK-MBが著しく上昇する疾患はどれか。

正答: ①心筋炎

ポイント
CK-MBはクレアチンキナーゼ(CK)のアイソザイムのうち心筋に多く含まれる分画で、心筋細胞の傷害により血中へ逸脱して上昇するため心筋傷害の指標となる。心筋炎では心筋細胞の壊死・傷害が広範に生じ、CK-MBが著明に上昇する。骨格筋疾患では主にCK-MM分画が上昇し、CK-MBの著しい上昇は心筋傷害を反映する点が鑑別の要点である。●CKアイソザイム=CK-MM(骨格筋)・CK-MB(心筋)・CK-BB(脳・平滑筋)、ミトコンドリア型・マクロCK。●CK-MB上昇=急性心筋梗塞・心筋炎・心臓手術後。●骨格筋由来CK上昇=筋ジストロフィー・多発筋炎/皮膚筋炎・横紋筋融解症(CK-MM優位)。●心筋傷害の他マーカー=心筋トロポニンT/I・ミオグロビン・H-FABP。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:心筋傷害マーカーの比較(血中出現時期・特異性)

マーカー上昇開始の目安特異性・備考
H-FABP(心臓型脂肪酸結合蛋白)・ミオグロビン発症後1〜2時間(最も早期)早期診断に有用だが心筋特異性は高くない
高感度心筋トロポニンT発症後約2時間心筋特異性が高い
心筋トロポニンT/I・心筋ミオシン軽鎖発症後3〜6時間確定診断に有用(心筋特異性が高い)
CK-MB発症後3〜8時間心筋に多いが骨格筋にも含まれる。心筋炎でも著増する
LD(LD1優位)発症後6〜10時間(遅い)臓器特異性は低い

第68回 午後35(臨床化学)

アミラーゼについて誤っているのはどれか。

正答: ④膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい。

ポイント
アミラーゼはデンプンなどのα-1,4-グリコシド結合を加水分解する酵素で、活性発現に塩化物イオン(クロール)を必要とし、構造維持にカルシウムイオンを含む金属酵素である。膵臓型(P型)と唾液腺型(S型)のアイソザイムがあるが両者の分子量はほぼ同等で、膵臓型が唾液腺型より分子量が大きいわけではない。日本臨床化学会(JSCC)勧告法では生成糖を共役酵素系で測定する。分子量に関する記述が誤りである。●アミラーゼアイソザイム=膵臓型(P型、膵炎で上昇)・唾液腺型(S型、唾液腺・卵巣・肺等)。●高アミラーゼ血症=急性膵炎・膵癌・耳下腺炎・マクロアミラーゼ血症。●関連酵素=リパーゼ・エラスターゼ(膵特異性が高い)。●測定の留意点=活性化に塩化物イオン、構造にカルシウムを要する。

選択肢ごとの解説

第68回 午後36(臨床化学)

eGFRの計算に使用するのはどれか。2つ選べ。

正答: ③年齢・④血清クレアチニン濃度

ポイント
推算糸球体濾過量(eGFR)は日本人向けの推算式で算出され、血清クレアチニン濃度・年齢・性別を変数とする。尿中クレアチニンや身長・体重は推算式には用いない(実測クレアチニンクリアランスには蓄尿が必要だが、eGFRの推算では不要)。選択肢では年齢と血清クレアチニン濃度が計算に使用される要素である。●eGFRの変数=血清クレアチニン・年齢・性別(シスタチンCを用いる式もある)。●糸球体濾過量の評価=イヌリンクリアランス(標準)・クレアチニンクリアランス(蓄尿実測)・eGFR(推算)。●慢性腎臓病(CKD)の重症度分類=GFR区分(G1~G5)と尿蛋白(アルブミン)区分の組合せ。●クレアチニンの特性=筋肉量に影響され、シスタチンCは筋肉量の影響が小さい。

選択肢ごとの解説

第68回 午後37(臨床化学)

レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉を活性化するのはどれか。

正答: ①アポA1

ポイント
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)はHDL上で遊離コレステロールにレシチンの脂肪酸を転移してコレステロールエステルを生成する酵素で、その活性化因子(補因子)はアポA1である。アポA1はHDLの主要構成アポ蛋白で、末梢からのコレステロール逆転送系においてLCAT反応を促進する。他のアポ蛋白はそれぞれ別のリポ蛋白・酵素に関与する。●アポ蛋白の機能=アポA1=LCAT活性化・HDL主要蛋白、アポB100=LDL受容体結合・LDL構造、アポC2=リポ蛋白リパーゼ活性化、アポC3=リポ蛋白リパーゼ阻害、アポE=レムナント・LDL受容体結合。●リポ蛋白=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。●コレステロール逆転送=HDL・LCAT・CETP・SR-B1。

選択肢ごとの解説

第68回 午後38(臨床化学)

ビウレット法でキレート呈色反応を示すのはどれか。

正答: ②銅イオン

ポイント
ビウレット法は、蛋白質中の隣接するペプチド結合がアルカリ性条件で銅イオン(Cu²⁺)と配位(キレート)し、赤紫色の錯体を形成する反応で、総蛋白の定量に用いられる。呈色の中心となる金属イオンは銅イオンで、ペプチド結合数に比例した呈色が得られる。鉄・亜鉛・カルシウム・マグネシウムなどではこの呈色反応は起こらない。●蛋白定量法=ビウレット法(総蛋白)・Lowry法・BCA法・色素結合法(BCG法でアルブミン)・Kjeldahl法(窒素)。●ビウレット反応=アルカリ性+Cu²⁺、最低2個のペプチド結合が必要。●銅関連検査=セルロプラスミン・血清銅(Wilson病・Menkes病)。

選択肢ごとの解説

第68回 午後39(臨床化学)

血中半減期が最も短いのはどれか。

正答: ②AMY

ポイント
血中酵素の半減期は酵素ごとに異なり、アミラーゼ(AMY)は半減期が数時間と短く、分子量が小さいため腎糸球体から尿中へも排泄される点が特徴である。クレアチンキナーゼ(CK)やトランスアミナーゼ(AST・ALT)は半減期が比較的長い。乳酸脱水素酵素はアイソザイムにより差が大きく、LD₁は数日と長い一方、LD₅は約8〜10時間とCKより短いが、いずれもAMYよりは長い。半減期が短いほど血中からの消失が速く、選択肢中ではAMYが最も短い。●血中半減期の目安=AMYは数時間と短い、AST約17時間・ALT約2~3日と長い、CK約半日、LDはLD₁が長くLD₅は約8〜10時間。●逸脱酵素の経時変化=心筋梗塞でCK-MB・AST・LDがピーク時期をずらして上昇。●腎排泄される酵素=アミラーゼ(尿中アミラーゼ)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血中酵素の半減期の比較

酵素血中半減期の目安
AMY(アミラーゼ)約3時間(最も短い)
LD5約8〜10時間
CK約12〜15時間
AST約17時間
ALT約47時間(約2日)
出典により数値に幅があるが、AMYが最も短く、ALTが最も長い傾向は共通する。

第68回 午後40(臨床化学)

血中薬物濃度モニタリングの対象にならないのはどれか。

正答: ④ワルファリン

ポイント
血中薬物濃度モニタリング(TDM)は、治療域が狭く血中濃度と効果・副作用が相関し、個人差が大きい薬物で行う。ジゴキシン・バルプロ酸・テオフィリン・バンコマイシンはいずれもTDMの対象である。ワルファリンは抗凝固薬だが、効果はプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)で凝固能を直接モニタリングするため、血中濃度測定の対象とはならない。●TDM対象薬の例=強心配糖体(ジゴキシン)・抗てんかん薬(バルプロ酸・フェニトイン・カルバマゼピン)・気管支拡張薬(テオフィリン)・抗菌薬(バンコマイシン・アミノグリコシド系)・免疫抑制薬(タクロリムス・シクロスポリン)。●効果を別指標で評価する薬=ワルファリン(PT-INR)・ヘパリン(APTT)。●TDMの要点=治療域が狭い・濃度と効果が相関・個体差が大きい。

選択肢ごとの解説

第68回 午後41(臨床化学)

インスリンの分泌を抑制するのはどれか。

正答: ⑤ソマトスタチン

ポイント
ソマトスタチンは膵ランゲルハンス島のD細胞から分泌され、同じ膵島のインスリン(B細胞)とグルカゴン(A細胞)の両方の分泌を抑制する。一方、グルコース・アミノ酸・インクレチン(GLP-1、GIP)はいずれもインスリン分泌を促進する刺激である。選択肢の中でインスリン分泌を抑制するのはソマトスタチンである。●膵島の細胞とホルモン=A(α)細胞=グルカゴン、B(β)細胞=インスリン、D(δ)細胞=ソマトスタチン、PP細胞=膵ポリペプチド。●インスリン分泌促進=高血糖(グルコース)・アミノ酸・インクレチン(GLP-1・GIP)・副交感神経。●インスリン分泌抑制=ソマトスタチン・交感神経(α作用)・アドレナリン。●インクレチン関連薬=DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬。

選択肢ごとの解説

第68回 午後42(臨床化学)

酸化還元酵素はどれか。

正答: ②LD

ポイント
乳酸脱水素酵素(LD、LDH)は乳酸とピルビン酸の間の酸化還元反応をNAD⁺/NADHを補酵素として触媒する酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)である。クレアチンキナーゼ(CK)・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)・γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)はいずれもリン酸基・アミノ基・γ-グルタミル基などを転移する転移酵素(トランスフェラーゼ)である。酸化還元酵素はLDである。●酵素の分類(国際分類)=酸化還元酵素(LD・グルコースオキシダーゼ)・転移酵素(CK・AST・ALT・γ-GT)・加水分解酵素(アミラーゼ・リパーゼ・ALP・コリンエステラーゼ)・脱離酵素・異性化酵素・合成酵素。●LDアイソザイム=LD₁~LD₅(心・赤血球はLD₁/2、肝・骨格筋はLD₅)。

選択肢ごとの解説

第68回 午後43(臨床化学)

Lambert-Beerの法則が成り立つ条件で、15 μmolの物質AをX mLのイオン交換水に溶解し、光路長10 mmのセルで吸光度を測定したところ0.945であった。Aのモル吸光度係数を6.3 ×10³ L・mol⁻¹・cm⁻¹とするとXはどれか。

正答: ④100

ポイント
Lambert-Beerの法則 A=ε・c・l より、濃度 c=A/(ε・l) で求める。光路長 l=10 mm=1 cm、吸光度 A=0.945、モル吸光度係数 ε=6.3×10³ L・mol⁻¹・cm⁻¹なので、c=0.945/(6.3×10³×1)=1.5×10⁻⁴ mol/L。物質量15 μmol=15×10⁻⁶ mol を体積 X mL に溶かしてこの濃度になることから、X=15×10⁻⁶ mol ÷(1.5×10⁻⁴ mol/L)=0.1 L=100 mLとなる。●Lambert-Beerの法則=吸光度A=ε・c・l(εはモル吸光度係数、cは濃度、lは光路長)。●吸光度の性質=A=-log(透過率)、加成性が成り立つ。●単位換算の注意=光路長mm→cm、物質量μmol→mol、体積L↔mL。●吸光光度法=検量線法・モル吸光度係数を用いた絶対定量。

選択肢ごとの解説

第68回 午後44(臨床化学)

炭化水素鎖中に1つの二重結合を持つ脂肪酸はどれか。

正答: ①オレイン酸

ポイント
炭化水素鎖中に二重結合を1つだけもつ脂肪酸は一価不飽和脂肪酸で、オレイン酸(C18:1)が該当する。リノール酸(C18:2)とα-リノレン酸(C18:3)は二重結合を複数もつ多価不飽和脂肪酸、ステアリン酸(C18:0)とパルミチン酸(C16:0)は二重結合をもたない飽和脂肪酸である。炭素数と二重結合数の表記から分類する。●飽和脂肪酸=パルミチン酸(C16:0)・ステアリン酸(C18:0)。●一価不飽和脂肪酸=オレイン酸(C18:1、n-9)。●多価不飽和脂肪酸=リノール酸(C18:2、n-6)・α-リノレン酸(C18:3、n-3)・アラキドン酸(C20:4、n-6)・エイコサペンタエン酸/ドコサヘキサエン酸(n-3)。●必須脂肪酸=リノール酸・α-リノレン酸。

選択肢ごとの解説

第68回 午後45(病理組織細胞学)

マイヤー〈Mayer〉とカラッチ〈Carazzi〉のヘマトキシリン液のどちらにも用いられるのはどれか。

正答: ⑤カリウムミョウバン

ポイント
ヘマトキシリンは媒染剤として金属塩を加えることで核を染色できる色素レーキ(ヘマテイン-金属複合体)を形成する。マイヤー(Mayer)ヘマトキシリンとカラッチ(Carazzi)ヘマトキシリンはいずれもカリウムミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)を媒染剤とするミョウバンヘマトキシリンで、共通して用いられる試薬がカリウムミョウバンである。両液は進行性染色に適し、核を青紫色に染める。●ミョウバンヘマトキシリン=Mayer・Carazzi・Gill・Harris(アルミニウム塩を媒染剤とする。Mayer・Carazziはカリウムミョウバン、Gillは硫酸アルミニウムを用いる)。●鉄ヘマトキシリン=Weigert・Heidenhain(媒染剤に鉄、退行性染色)。●H-E染色=ヘマトキシリン(核:青紫)とエオジン(細胞質:赤)。●媒染の意義=色素と組織を金属イオンで橋渡しして染色性を高める。

選択肢ごとの解説

第68回 午後46(病理組織細胞学)

疾患とその診断に有用な染色法との組合せで誤っているのはどれか。

正答: ③ヘモジデローシス — toluidine blue染色

ポイント
ヘモジデローシスは組織への鉄(ヘモジデリン)沈着で、ベルリンブルー反応(鉄染色、Prussian blue)で青色に証明する。トルイジンブルー(toluidine blue)は肥満細胞顆粒や軟骨基質などの異染性(メタクロマジー)物質を染める色素で、ヘモジデリンの証明には適さない。したがってヘモジデローシスとtoluidine blue染色の組合せが誤りである。●代表的な特殊染色=鉄(ヘモジデリン)=ベルリンブルー、膠原・細網線維=鍍銀法・azan・Masson trichrome、糸球体基底膜=PAM、HBs抗原(すりガラス細胞)=Victoria blue/orcein、アミロイド=Congo red。●toluidine blueの用途=肥満細胞・軟骨基質・粘液(異染性)。●心筋梗塞の線維化評価=azan・Masson trichrome。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:組織内構造物・疾患・病原体と特殊染色の対応

対象(構造物・疾患・病原体)染色法
神経内分泌顆粒(カルチノイドなど)Grimelius染色(好銀性)
胆汁色素Gmelin法
ヘモジデリン(鉄)Berlin blue染色(Congo red染色では証明できない)
メラニン色素Masson-Fontana染色(嗜銀性)
リポフスチンSchmorl反応
梅毒(Treponema)Warthin-Starry染色(鍍銀)
アスペルギルス症(真菌)Grocott(GMS)染色・PAS反応(mucicarmine染色では証明できない)
アミロイドーシスCongo red染色
ヘモジデローシスBerlin blue染色(toluidine blue染色では証明できない)
肝硬変(線維化)渡辺の鍍銀法
心筋梗塞(線維化評価)azan染色・Masson trichrome染色
慢性糸球体腎炎(基底膜)PAM染色
B型肝炎(HBs抗原)Victoria blue染色・orcein染色
Cryptococcus(莢膜)mucicarmine染色・Alcian blue染色
カルシウム塩Kossa反応

第68回 午後47(病理組織細胞学)

細胞診標本上でみられる小細胞癌の形態学的特徴はどれか。

正答: ④鋳型状配列

ポイント
小細胞癌は神経内分泌系の悪性腫瘍で、細胞診標本上では細胞質に乏しく裸核状にみえる小型細胞が、相互に圧排し合って木目込み細工のように密に配列する鋳型状(モールディング、nuclear molding)を示す。核クロマチンは微細顆粒状(ごま塩状)で核小体は目立たず、壊死を背景にすることが多い。鋳型状配列が特徴的な所見である。●小細胞癌の所見=小型・裸核状細胞、鋳型状配列(核モールディング)、微細顆粒状クロマチン、挫滅効果(crush artifact)。●扁平上皮癌の所見=角化・真珠形成(癌真珠)・オタマジャクシ型/紡錘形細胞。●腺癌の所見=核偏在・粘液空胞・腺腔/乳頭状配列。●神経内分泌腫瘍=カルチノイド・大細胞神経内分泌癌・小細胞癌。

選択肢ごとの解説

第68回 午後48(病理組織細胞学)

H-E染色標本を別に示す。この臓器はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k68pB048.777aa8a304.jpg
第68回 午後48 の図

正答: ⑤副腎

ポイント
副腎はヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色で外側の皮質と内側の髄質に分かれ、皮質は外側から球状帯・束状帯・網状帯の三層構造を示す。束状帯では脂質に富む明るい細胞が索状に配列し、髄質はカテコールアミンを産生するクロム親和性細胞からなる。皮質の帯状構造と髄質の組合せが副腎の組織像の特徴である。●副腎皮質の三層と産生ホルモン=球状帯=アルドステロン(鉱質コルチコイド)、束状帯=コルチゾール(糖質コルチコイド)、網状帯=副腎アンドロゲン。●副腎髄質=アドレナリン・ノルアドレナリン(褐色細胞腫)。●他の内分泌器官の組織像=下垂体前葉(好酸・好塩基・嫌色素細胞)・副甲状腺(主細胞・好酸性細胞)・膵島(ランゲルハンス島)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:内分泌臓器の組織構造と分泌ホルモン

臓器・部位構成細胞・所見分泌ホルモン等
甲状腺濾胞上皮細胞濾胞を形成しコロイド(サイログロブリン)を貯留、H-Eで好酸性の貯留物トリヨードサイロニン〈T3〉・サイロキシン〈T4〉
甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)濾胞外に散在カルシトニン(血中Ca低下)
副腎皮質・球状帯皮質外層アルドステロン(鉱質コルチコイド)
副腎皮質・束状帯皮質中層コルチゾール(糖質コルチコイド)
副腎皮質・網状帯皮質内層アンドロゲン(性ホルモン)
副腎髄質(クロム親和性細胞)好塩基性の顆粒をもつアドレナリン・ノルアドレナリン
膵島(Langerhans島)B(β)細胞膵島で最も多い細胞インスリン
膵島A(α)細胞グルカゴン
膵島D(δ)細胞ソマトスタチン
副腎は外側の被膜、皮質(球状帯・束状帯・網状帯の3層)、内側の髄質からなる。

第68回 午後49(病理組織細胞学)

健常成人で肝臓に接していないのはどれか。

正答: ④脾臓

ポイント
肝臓は右上腹部に位置し、上面(横隔面)は横隔膜に接し、下面(臓側面)は胆囊・右腎・右副腎・胃・十二指腸・結腸右曲などに接する。脾臓は胃の左後方(左上腹部)にあり膵尾部・左腎・横隔膜に接するが、右葉を中心とする肝臓とは通常接しない。健常成人で肝臓に接していないのは脾臓である。●肝臓に接する臓器=横隔膜(上面)、胆囊・右腎・右副腎・胃・十二指腸・結腸(下面)。●脾臓に接する臓器=胃・膵尾部・左腎・左結腸曲・横隔膜。●肝区域=Couinaud分類のS1~S8、肝鎌状間膜・肝門部(門脈・肝動脈・胆管)。

選択肢ごとの解説

第68回 午後50(病理組織細胞学)

病理解剖において切開開始前の手順に含まれないのはどれか。

正答: ②皮膚の清拭

ポイント
病理解剖(剖検)では、切開を開始する前に病理解剖承諾書の確認、臨床経過の確認、死後硬直など外表所見の確認、身長・体重の計測といった外表観察と記録を行う。皮膚の清拭は解剖開始前の必須手順ではなく、切開開始前の手順には含まれない。承諾の確認と外表観察を経てから切開へ進むのが手順である。●切開開始前に行うこと=承諾書の確認・臨床経過/死因情報の確認・外表所見(死後硬直・死斑・浮腫・黄疸・損傷)・身長/体重などの計測。●剖検の流れ=外表観察→体腔開検→各臓器摘出・計測→割面観察→組織採取→病理組織診断。●関連法規=死体解剖保存法、遺族の承諾、感染症対策。

選択肢ごとの解説