第69回(2023) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第69回 午前1(臨床検査総論)
EDTA-2K採血管で採取した血漿を用いた場合、測定値が血清より高くなるのはどれか。
正答: ⑤TP
ポイント
EDTA-2K(エチレンジアミン四酢酸二カリウム)採血管で得た血漿は抗凝固によりフィブリノゲンを保持するため、フィブリノゲン分だけ総蛋白〈TP〉が血清より高くなる。一方EDTAはカルシウム〈Ca〉・マグネシウム〈Mg〉を強くキレートして見かけ上低値とし、アルカリホスファターゼ〈ALP〉は活性中心の亜鉛・マグネシウムが奪われて失活し低値となる。C反応性蛋白〈CRP〉はEDTAの影響を受けにくく血漿・血清間で大きな差を生じない。●血漿>血清となる成分=総蛋白(フィブリノゲン分)・フィブリノゲンそのもの。●EDTAで低値となる成分=Ca・Mg・ALP(金属キレート・酵素失活)。●採血管選択の注意=凝固検査はクエン酸Na、血糖はフッ化Na(解糖阻止)、一般生化学は血清分離剤入り。
選択肢ごとの解説
- ① ALPは活性中心に亜鉛・マグネシウムを要するためEDTAでキレートされ失活し、血漿では低値となる。
- ② カルシウム〈Ca〉はEDTAに強くキレートされるため血漿では著明に低下する。
- ③ C反応性蛋白〈CRP〉はEDTAの影響を受けにくく、血漿と血清で大きな差を生じない。
- ④ マグネシウム〈Mg〉もEDTAにキレートされるため血漿では低値となる。
- ⑤ 正しい。血漿はフィブリノゲンを含むため、総蛋白〈TP〉は血清よりやや高値となる。
第69回 午前2(臨床検査総論)
パニック値として報告すべきなのはどれか。
- ①K 7.0 mmol/L
- ②Na 130 mmol/L
- ③LD 300 U/L
- ④血小板数 50万/μL
- ⑤ヘモグロビン 15.0 g/dL
正答: ①K 7.0 mmol/L
ポイント
パニック値は生命を脅かす危険な状態を示し、直ちに主治医へ報告すべき検査値である。血清カリウム〈K〉7.0 mmol/Lは高度の高カリウム血症で、テント状T波からQRS幅延長を経て心室細動・心停止に至る致死性不整脈の危険があり代表的なパニック値である。ナトリウム〈Na〉130 mmol/Lは軽度低下、乳酸脱水素酵素〈LD〉300 U/Lは軽度上昇、血小板数50万/μLは軽度増加、ヘモグロビン15.0 g/dLは基準範囲内で、いずれも緊急性は低い。●高値側の代表的パニック値=K高値・血糖著明高値・カルシウム高値。●低値側の代表的パニック値=血糖著明低値・Na著明低値・ヘモグロビン著明低下・血小板著減。●測定前確認=偽性高K(溶血・採血後放置・血小板増多)を除外する。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。カリウム〈K〉7.0 mmol/Lは高度の高カリウム血症で致死性不整脈の危険があり、パニック値として直ちに報告する。
- ② ナトリウム〈Na〉130 mmol/Lは軽度の低ナトリウム血症で、ただちに生命を脅かす値ではない。
- ③ 乳酸脱水素酵素〈LD〉300 U/Lは軽度上昇にとどまり緊急報告の対象ではない。
- ④ 血小板数50万/μLは軽度増加だが、緊急性のある危険値ではない。
- ⑤ ヘモグロビン15.0 g/dLは基準範囲内で異常ではない。
📋 まとめの表を見る:パニック値(緊急異常値)の代表的な基準
パニック値の基準は施設ごとに異なる(本表は代表的な目安)。検出時は直ちに主治医へ報告する。
第69回 午前3(臨床検査総論)
クレアチニン(酵素法)の内部精度管理図(x̄管理図)を示す。原因として最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA003.39aa1d3344.jpg

- ①第1試薬と第2試薬を逆にして測定した。
- ②管理試料を半分の溶解液量で溶解した。
- ③標準物質の濃度を2倍にして測定した。
- ④使用期限が切れた試薬で測定した。
- ⑤未熟な技量のスタッフが測定した。
正答: ④使用期限が切れた試薬で測定した。
ポイント
内部精度管理図で測定値が一定方向へ徐々にずれていくトレンド(傾向変動)は、試薬や標準物質の経時的な劣化を示唆する。使用期限が切れた試薬では成分が日を追って分解し、系統誤差が漸増してトレンドを生じる。試薬の取り違えや溶解液量の誤り、標準物質濃度の設定ミスは突発的・一過性のシフト(段差状の偏り)として現れることが多く、徐々に進行する変化の原因としては考えにくい。●管理図のパターンと原因=シフト(試薬ロット変更・標準液設定ミス・取り違え)/トレンド(試薬・電極・光源の経時劣化)/ばらつき増大(手技不安定・分注精度低下)。●系統誤差=かたより(正確度の低下)、偶然誤差=ばらつき(精密度の低下)。●管理ルール=Westgardの多ルール(1₃ₛ・2₂ₛ・R₄ₛ・4₁ₛ・10ₓなど)。
選択肢ごとの解説
- ① 第1試薬と第2試薬の取り違えは突発的な異常値を生じ、徐々に進行するトレンドの原因にはなりにくい。
- ② 溶解液量を誤ると一回限りの大きなずれを生じ、経時的トレンドにはなりにくい。
- ③ 標準物質濃度を2倍にすると一過性のシフトを生じるが、徐々の変化は説明できない。
- ④ 正しい。使用期限切れの試薬では成分が経時的に劣化し、測定値が徐々にずれるトレンドを生じる。
- ⑤ 未熟な技量はばらつき(偶然誤差)を増やすが、一定方向への系統的トレンドの主因とは考えにくい。
第69回 午前4(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本及びSternheimer染色標本を別に示す。この構造物はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA004.def80dac1d.jpg

- ①硝子円柱
- ②顆粒円柱
- ③脂肪円柱
- ④上皮円柱
- ⑤赤血球円柱
正答: ④上皮円柱
ポイント
尿円柱は尿細管腔でTamm-Horsfall蛋白を基質として形成され、表面に付着する細胞や封入物で分類される。上皮円柱は尿細管上皮細胞が基質に付着したもので、急性尿細管壊死や尿細管障害でみられる。硝子円柱は無構造で透明、顆粒円柱は変性した細胞由来の顆粒を含み、脂肪円柱は脂肪滴を含み偏光下で十字状の複屈折を示し、赤血球円柱は赤血球を含み糸球体性血尿を示す。Sternheimer染色では核や細胞質が染め出され、上皮細胞の同定が容易になる。●病的意義の少ない円柱=硝子円柱(脱水・運動後でも出現)。●尿細管障害を示す円柱=上皮円柱・顆粒円柱・ろう様円柱。●糸球体・腎実質障害を示す円柱=赤血球円柱(糸球体腎炎)・白血球円柱(腎盂腎炎)・脂肪円柱(ネフローゼ症候群)。
選択肢ごとの解説
- ① 硝子円柱は無構造で透明な基質のみからなり、上皮細胞を付着しない。
- ② 顆粒円柱は変性した細胞由来の顆粒を含むが、保たれた上皮細胞は付着しない。
- ③ 脂肪円柱は脂肪滴を含み、偏光下で十字状の複屈折を示すのが特徴である。
- ④ 正しい。尿細管上皮細胞が基質に付着した上皮円柱で、尿細管障害を示唆する。
- ⑤ 赤血球円柱は赤血球を含み、糸球体性血尿を示唆する。
第69回 午前5(臨床検査総論)
人獣共通感染症をきたすのはどれか。
- ①蟯虫
- ②ズビニ鉤虫
- ③三日熱マラリア原虫
- ④ガンビアトリパノソーマ
- ⑤エキノコックス〈多包条虫〉
正答: ⑤エキノコックス〈多包条虫〉
ポイント
人獣共通感染症(ズーノーシス)は動物とヒトの間で伝播する感染症である。エキノコックス〈多包条虫〉はキツネやイヌを終宿主とし、その糞便中の虫卵をヒトが経口摂取して肝などに包虫を形成する代表的なズーノーシスである。蟯虫はヒトのみを宿主とし、ズビニ鉤虫はヒトを宿主とする経皮感染の鉤虫、三日熱マラリア原虫はハマダラカ媒介、ガンビアトリパノソーマはツェツェバエ媒介でいずれもヒトを主な宿主とし、動物由来感染の典型ではない。●代表的なズーノーシス(寄生虫)=エキノコックス(キツネ・イヌ)・トキソプラズマ(ネコ)・旋毛虫(ブタ・クマ)・アニサキス(海産魚)。●ヒトを固有宿主とする寄生虫=蟯虫・回虫・ズビニ鉤虫。●ベクター媒介原虫=マラリア原虫(カ)・トリパノソーマ(ツェツェバエ・サシガメ)・リーシュマニア(サシチョウバエ)。
選択肢ごとの解説
- ① 蟯虫はヒトのみを宿主とし、ヒトからヒトへ感染する人獣共通感染症ではない。
- ② ズビニ鉤虫はヒトを宿主とする鉤虫で、動物との共通感染が主体ではない。
- ③ 三日熱マラリア原虫はハマダラカが媒介するヒトのマラリアで、動物由来ではない。
- ④ ガンビアトリパノソーマはツェツェバエ媒介のアフリカ睡眠病の原虫で、主にヒト間で伝播する。
- ⑤ 正しい。エキノコックスはキツネ・イヌを終宿主とし、糞便中虫卵の経口摂取でヒトに感染する人獣共通感染症である。
📋 まとめの表を見る:人獣共通感染症と原因微生物・媒介動物
第69回 午前6(臨床検査総論)
61歳の女性。有機農業従事者。腹痛で来院し、虫卵検査を行った。糞便の直接塗抹標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA006.9c8650eaf1.jpg

正答: ①回虫卵
ポイント
受精回虫卵は40〜60μmの楕円形で、厚い卵殻の外側を蛋白膜が覆い、小丘状の不規則な凹凸をもって黄褐色に染まる。有機農業従事者は人糞肥料を介して虫卵に曝露しやすく、本問の状況と一致する。鉤虫卵は薄い無色の卵殻で内部に割球が透けて見え、鞭虫卵はレモン形で両端に栓状の透明部をもち、横川吸虫卵は25〜30μmと小型で明瞭な蓋をもつ。これらの形態差で鑑別する。●厚い殻と凹凸のある蛋白膜=受精回虫卵(蛋白膜が脱落した脱殻卵もある)。●薄い殻・割球が透見=鉤虫卵。●レモン形・両端栓構造=鞭虫卵。●小型・蓋(卵蓋)あり=吸虫卵(横川吸虫・肝吸虫など)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。厚い卵殻と蛋白膜による凹凸をもつ受精回虫卵で、人糞肥料を扱う有機農業従事者に多い。
- ② 鉤虫卵は薄い無色の卵殻で内部に割球がみられ、表面の凹凸はない。
- ③ 条虫卵は放射状の小溝をもつ厚い殻で六鈎幼虫を内包し、形態が大きく異なる。
- ④ 鞭虫卵はレモン形で両端に栓状の透明な突出部をもつ。
- ⑤ 横川吸虫卵は約25〜30μmと小型で、明瞭な卵蓋を有する吸虫卵である。
第69回 午前7(臨床検査総論)
コンパニオン検査の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①薬局で個人購入できる。
- ②疾患の重症度を評価できる。
- ③分子標的薬の有効性を予測できる。
- ④ベッドサイドで結果を評価できる。
- ⑤医薬品の副作用リスクを評価できる。
正答: ③分子標的薬の有効性を予測できる。・⑤医薬品の副作用リスクを評価できる。
ポイント
コンパニオン診断は特定の医薬品の有効性や安全性を投与前に予測するために行う検査で、分子標的薬の適応判定に用いられる。腫瘍の遺伝子変異やバイオマーカーを調べて分子標的薬の効果を予測したり、特定の遺伝子型から重篤な副作用のリスクを評価したりする。一般用検査として薬局で購入するもの、ベッドサイドの迅速検査、疾患の重症度評価とは目的が異なる。●有効性予測の例=EGFR変異と肺がん(チロシンキナーゼ阻害薬)・HER2と乳がん(トラスツズマブ)・BRAF変異とメラノーマ。●副作用リスク予測の例=UGT1A1多型とイリノテカン・HLA-B*57:01とアバカビル。●類縁概念=コンパニオン診断(適応判定)/補完的診断/治療効果モニタリング。
選択肢ごとの解説
- ① コンパニオン診断は医療機関で実施する検査であり、薬局で個人購入できるものではない。
- ② 重症度評価ではなく、特定薬剤の適応や有効性を判定するのが目的である。
- ③ 正しい。分子標的薬の有効性をバイオマーカーから予測することがコンパニオン診断の中核的役割である。
- ④ ベッドサイドでの即時評価を目的とした検査ではない。
- ⑤ 正しい。遺伝子型などから医薬品の重篤な副作用リスクを予測・評価する役割もある。
📋 まとめの表を見る:コンパニオン診断:がん種と分子標的薬・対応バイオマーカー
コンパニオン診断は医薬品の効果・副作用を投与前に予測する検査で、血液・尿・組織・画像・遺伝子など様々な検査法が用いられる。
第69回 午前8(臨床検査総論)
標準予防策に追加の感染予防策が必要な感染症はどれか。
- ①梅毒
- ②B型肝炎
- ③C型肝炎
- ④帯状疱疹
- ⑤HIV感染症
正答: ④帯状疱疹
ポイント
標準予防策に加える追加予防策には接触予防策・飛沫予防策・空気予防策がある。帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによるもので、播種性帯状疱疹や免疫不全者では空気・接触予防策が必要となる。梅毒、B型肝炎、C型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症はいずれも血液・体液を介する感染症で標準予防策で対応でき、空気や飛沫を介した追加予防策は通常必要としない。●空気予防策=結核・麻疹・水痘・播種性帯状疱疹(N95マスク・陰圧室)。●飛沫予防策=インフルエンザ・流行性耳下腺炎・百日咳・髄膜炎菌(サージカルマスク)。●接触予防策=MRSA・多剤耐性菌・ノロウイルス・疥癬(手袋・ガウン)。●標準予防策のみで足りる=血液媒介感染(B型・C型肝炎・HIV・梅毒)。
選択肢ごとの解説
- ① 梅毒は血液・体液を介する感染で、標準予防策で対応でき追加予防策は不要である。
- ② B型肝炎は血液媒介感染で、標準予防策の遵守で対応できる。
- ③ C型肝炎も血液を介する感染で、標準予防策で十分である。
- ④ 正しい。帯状疱疹では播種性の場合や、免疫不全者で播種を除外できない場合に空気・接触予防策を追加する。免疫正常者の限局性病変を被覆できる場合は標準予防策が基本となる。
- ⑤ ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症は血液・体液を介し、標準予防策で対応できる。
第69回 午前9(臨床検査総論)
培養検査で検出された細菌が起炎菌である可能性の最も高い検体はどれか。
正答: ③髄液
ポイント
本来無菌の検体から細菌が検出されれば、それが起炎菌である可能性が高い。髄液は本来無菌であり、ここから細菌が分離されれば細菌性髄膜炎の起炎菌と考えられる。便や喀痰、鼻咽頭粘液は常在菌が多数存在し、自然尿も外尿道口・会陰部の常在菌混入を受けやすいため、検出菌が起炎菌か汚染・常在かの判断が難しい。●本来無菌の検体(検出菌の意義が高い)=髄液・血液・胸水・腹水・関節液。●常在菌の混在する検体=喀痰・便・鼻咽頭・咽頭・皮膚。●尿の取り扱い=中間尿の定量培養で菌数(コロニー形成単位)により起炎菌か汚染かを判断する。
選択肢ごとの解説
- ① 便には腸内常在菌が多数存在し、検出菌が起炎菌とは限らない。
- ② 喀痰は口腔・咽頭の常在菌が混入しやすく、起炎菌の判定に注意を要する。
- ③ 正しい。髄液は本来無菌であり、検出された細菌は起炎菌である可能性が最も高い。
- ④ 自然尿は外尿道口・会陰部の常在菌混入を受けやすく、汚染と起炎菌の区別が必要である。
- ⑤ 鼻咽頭粘液は常在菌が豊富で、検出菌が起炎菌とは限らない。
第69回 午前10(臨床検査総論)
臥位に比べて座位で採血したときに高値となる血清成分はどれか。
- ①尿酸
- ②尿素窒素
- ③アルブミン
- ④ナトリウム
- ⑤クレアチニン
正答: ③アルブミン
ポイント
臥位から座位・立位へ体位を変えると静水圧の上昇により血管内から間質へ水分が移動し、血漿が濃縮される。このためアルブミンなど高分子量で血管外へ移動しにくい成分は相対的に濃縮されて高値となる。尿酸・尿素窒素・ナトリウム・クレアチニンなどの小分子は血管内外を自由に移動するため、体位による濃縮の影響を受けにくい。●体位(臥位→座位)で高値となる成分=アルブミン・総蛋白・血球(ヘマトクリット)・脂質・カルシウム・蛋白結合物質。●体位の影響を受けにくい成分=ナトリウム・カリウム・尿素窒素・クレアチニン・尿酸などの小分子。●類縁の生理的変動要因=駆血時間延長による濃縮、食事・運動・日内変動。
選択肢ごとの解説
- ① 尿酸は低分子で血管内外を移動でき、体位による濃縮の影響を受けにくい。
- ② 尿素窒素は小分子で自由に拡散するため体位差が出にくい。
- ③ 正しい。アルブミンは高分子で血管外へ移動しにくく、座位での血漿濃縮により高値となる。
- ④ ナトリウムは小分子の電解質で、体位による濃縮の影響をほとんど受けない。
- ⑤ クレアチニンは低分子で血管内外を移動でき、体位差は生じにくい。
第69回 午前11(臨床検査医学総論)
WPW症候群に合併しやすいのはどれか。
- ①心室頻拍
- ②心房細動
- ③心房粗動
- ④房室ブロック
- ⑤発作性上室頻拍
正答: ⑤発作性上室頻拍
ポイント
WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群は房室間に副伝導路(Kent束)が存在し、心室の早期興奮によるデルタ波とPQ短縮を示す。副伝導路と正常房室伝導路を介したリエントリーにより、発作性上室頻拍(房室回帰性頻拍)を生じやすい。また副伝導路は心房細動の興奮を高頻度に心室へ伝え、偽性心室頻拍から心室細動に至る危険もあるが、最も特徴的に合併するのは発作性上室頻拍である。●WPW症候群の心電図所見=デルタ波・PQ短縮・QRS幅延長。●合併する頻脈性不整脈=房室回帰性頻拍(正方向性・逆方向性)・心房細動(高頻度伝導で危険)。●鑑別すべきリエントリー性頻拍=房室結節リエントリー性頻拍。
選択肢ごとの解説
- ① 心室頻拍は心室筋由来の頻拍で、WPW症候群の典型的合併ではない。
- ② 心房細動は合併しうるが、副伝導路を介する回帰性頻拍ほど特徴的ではない。
- ③ 心房粗動はWPW症候群に特徴的な合併ではない。
- ④ 房室ブロックは伝導の遅延・途絶であり、副伝導路をもつWPW症候群とは病態が異なる。
- ⑤ 正しい。副伝導路を介する房室回帰性の発作性上室頻拍がWPW症候群に最も合併しやすい。
第69回 午前12(臨床検査医学総論)
BRCA1/2の病的変異が検出されるのはどれか。
- ①Lynch症候群
- ②家族性大腸腺腫症
- ③Li-Fraumeni症候群
- ④von Hippel-Lindau病
- ⑤遺伝性乳がん卵巣がん症候群
正答: ⑤遺伝性乳がん卵巣がん症候群
ポイント
遺伝性乳がん卵巣がん症候群〈HBOC〉はBRCA1/BRCA2遺伝子の病的変異により乳がん・卵巣がんの発症リスクが著しく高まる常染色体顕性(優性)遺伝の疾患である。各遺伝性腫瘍症候群は原因遺伝子が異なり、Lynch症候群はミスマッチ修復遺伝子、家族性大腸腺腫症はAPC遺伝子、Li-Fraumeni症候群はTP53遺伝子、von Hippel-Lindau病はVHL遺伝子の変異による。本問はBRCA遺伝子の変異が問われている。●BRCA関連=遺伝性乳がん卵巣がん症候群(乳がん・卵巣がん・前立腺がん・膵がん)。●ミスマッチ修復遺伝子=Lynch症候群(大腸がん・子宮内膜がん)。●がん抑制遺伝子の生殖細胞系列変異=家族性大腸腺腫症(APC)・Li-Fraumeni症候群(TP53)・von Hippel-Lindau病(VHL)。
選択肢ごとの解説
- ① Lynch症候群はミスマッチ修復遺伝子(MLH1・MSH2など)の変異による。
- ② 家族性大腸腺腫症はAPC遺伝子の病的変異による。
- ③ Li-Fraumeni症候群はTP53遺伝子の生殖細胞系列変異による。
- ④ von Hippel-Lindau病はVHL遺伝子の変異による。
- ⑤ 正しい。遺伝性乳がん卵巣がん症候群はBRCA1・BRCA2遺伝子の病的変異により発症する。
第69回 午前13(臨床検査医学総論)
汎血球減少症を呈するのはどれか。2つ選べ。
- ①腎性貧血
- ②鉄欠乏性貧血
- ③巨赤芽球性貧血
- ④再生不良性貧血
- ⑤自己免疫性溶血性貧血
正答: ③巨赤芽球性貧血・④再生不良性貧血
ポイント
汎血球減少症は赤血球・白血球・血小板の三系統がすべて減少する状態である。再生不良性貧血は造血幹細胞の障害で骨髄が低形成となり三系統が減少する。巨赤芽球性貧血はビタミンB₁₂や葉酸の欠乏によるDNA合成障害で無効造血が起こり、汎血球減少を呈する。腎性貧血や鉄欠乏性貧血は赤血球系のみの減少で、自己免疫性溶血性貧血は赤血球の破壊が主体で他系統は通常保たれる。●汎血球減少を呈する代表疾患=再生不良性貧血・巨赤芽球性貧血・骨髄異形成症候群・急性白血病・脾機能亢進症。●赤血球系単独の貧血=鉄欠乏性貧血・腎性貧血・サラセミア。●溶血性貧血=自己免疫性溶血性貧血・遺伝性球状赤血球症(赤血球破壊が主体)。
選択肢ごとの解説
- ① 腎性貧血はエリスロポエチン産生低下による赤血球系のみの貧血である。
- ② 鉄欠乏性貧血はヘモグロビン合成障害による赤血球系の貧血で、汎血球減少は呈さない。
- ③ 正しい。巨赤芽球性貧血はDNA合成障害による無効造血で三系統が減少し汎血球減少を呈する。
- ④ 正しい。再生不良性貧血は造血幹細胞障害による骨髄低形成で汎血球減少を呈する。
- ⑤ 自己免疫性溶血性貧血は赤血球の自己抗体による破壊が主体で、汎血球減少は通常呈さない。
第69回 午前14(臨床検査医学総論)
末期慢性腎不全で認められるのはどれか。2つ選べ。
- ①低リン血症
- ②低カリウム血症
- ③低カルシウム血症
- ④低ナトリウム血症
- ⑤低マグネシウム血症
正答: ③低カルシウム血症・④低ナトリウム血症
ポイント
末期慢性腎不全では腎機能の高度低下により電解質・酸塩基平衡の異常が生じる。リン排泄低下で高リン血症となり、活性型ビタミンD産生低下とともに腸管からのカルシウム吸収が減少して低カルシウム血症をきたし、これが二次性副甲状腺機能亢進症を招く。また水分貯留による希釈性の低ナトリウム血症もみられる。一方カリウムは排泄低下で高値、マグネシウムも上昇傾向となる。●末期腎不全で高値となる項目=カリウム・リン・マグネシウム・尿素窒素・クレアチニン。●末期腎不全で低値となる項目=カルシウム(活性型ビタミンD低下)・ナトリウム(希釈性)・ヘモグロビン(エリスロポエチン低下)・重炭酸(代謝性アシドーシス)。●骨ミネラル代謝異常=高リン・低カルシウム・二次性副甲状腺機能亢進症(腎性骨異栄養症)。
選択肢ごとの解説
- ① 末期腎不全ではリン排泄低下により高リン血症となり、低リン血症ではない。
- ② カリウムは排泄低下により高カリウム血症となるのが典型である。
- ③ 正しい。活性型ビタミンD低下と高リン血症により腸管カルシウム吸収が減り低カルシウム血症をきたす。
- ④ 正しい。水分貯留による希釈で低ナトリウム血症がみられる。
- ⑤ マグネシウムは排泄低下により高値傾向となり、低下はしない。
第69回 午前15(臨床検査医学総論)
メタボリックシンドロームの診断基準に含まれるのはどれか。2つ選べ。
- ①総コレステロール220 mg/dL以上
- ②トリグリセライド150 mg/dL以上
- ③HDLコレステロール40 mg/dL未満
- ④LDLコレステロール140 mg/dL以上
- ⑤Non-HDLコレステロール170 mg/dL以上
正答: ②トリグリセライド150 mg/dL以上・③HDLコレステロール40 mg/dL未満
ポイント
メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満(腹囲:男性85 cm以上・女性90 cm以上)を必須項目とし、これに脂質異常・血圧高値・空腹時高血糖の3項目のうち2項目以上を満たすと診断される。脂質異常はトリグリセライド150 mg/dL以上かつ/またはHDLコレステロール40 mg/dL未満で定義される。総コレステロールやLDLコレステロール、Non-HDLコレステロールは診断基準項目に含まれない。●メタボリックシンドロームの基準項目=腹囲(必須)/トリグリセライド高値またはHDL低値/血圧高値/空腹時高血糖。●脂質異常症の診断指標(別基準)=LDL高値・HDL低値・トリグリセライド高値・Non-HDL高値。●関連病態=インスリン抵抗性・2型糖尿病・動脈硬化性疾患。
選択肢ごとの解説
- ① 総コレステロールはメタボリックシンドロームの診断基準項目に含まれない。
- ② 正しい。トリグリセライド150 mg/dL以上は脂質異常の診断基準項目である。
- ③ 正しい。HDLコレステロール40 mg/dL未満は脂質異常の診断基準項目である。
- ④ LDLコレステロールは診断基準には含まれない。
- ⑤ Non-HDLコレステロールは診断基準項目には含まれない。
📋 まとめの表を見る:メタボリックシンドロームの診断基準
腹囲基準に加え、血中脂質・血圧・血糖のうち2項目以上に該当する場合にメタボリックシンドロームと診断する。予備群は腹囲基準を満たし選択項目が1項目のみの場合をいう。腹囲基準未満でBMI25以上の者を拾い上げるのは特定保健指導の対象者選定(階層化)の基準であり、診断基準上の予備群ではない。総コレステロール・LDL-コレステロール・遊離脂肪酸は本診断基準には含まれない。
第69回 午前16(臨床生理学)
シールドルームで行うことが望ましい検査はどれか。
- ①聴力検査
- ②筋電図検査
- ③心音図検査
- ④超音波検査
- ⑤熱画像検査
正答: ②筋電図検査
ポイント
シールドルーム(電磁シールド室)は外部からの電磁波(商用交流のハムなど)の混入を遮断する部屋である。筋電図検査は針電極や表面電極で微小な活動電位を記録するため、電源由来の交流障害を強く受けやすく、シールドルームでの記録が望ましい。聴力検査は防音室で行い、超音波検査・熱画像検査・心音図検査は電磁シールドを特に要しない。●電磁シールドが望ましい検査=筋電図検査・神経伝導検査・脳波検査・誘発電位検査(微小電位記録)。●防音(遮音)が必要な検査=純音聴力検査・語音聴力検査。●シールド不要な生理検査=心音図・超音波・熱画像(サーモグラフィ)。●交流障害対策=接地(アース)・電源の見直し・シールド。
選択肢ごとの解説
- ① 聴力検査は外部音を遮断する防音室で行い、電磁シールドが主目的ではない。
- ② 正しい。筋電図は微小電位を記録し交流障害を受けやすいため、シールドルームが望ましい。
- ③ 心音図検査は音を記録する検査で電磁シールドを特に要しない。
- ④ 超音波検査は電磁シールドを必要としない。
- ⑤ 熱画像検査は体表温度を測る検査で電磁シールドを要しない。
第69回 午前17(臨床生理学)
心電図波形を別に示す。試みるべき対処法として正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA017.46000c14a4.jpg

- ①アースの接続を確認する。
- ②患者に力を抜いてもらう。
- ③電動ベッドの電源を抜く。
- ④電極と誘導コードの接続を確認する。
- ⑤記録の間、患者に呼吸を止めてもらう。
正答: ②患者に力を抜いてもらう。
ポイント
心電図に細かく不規則な高周波の波(筋電図様の混入)が基線に重畳する場合、患者の筋緊張による筋電図混入が原因である。対処は患者に力を抜いてリラックスしてもらうことである。基線の大きな緩やかな動揺は呼吸や体動、規則的な細かい揺れ(交流障害・ハム)はアースや電源・誘導コードの接続不良が原因で、それぞれ対処が異なる。●筋電図混入(不規則高周波)=筋緊張・寒冷による振戦→脱力・保温で対処。●交流障害(規則的50/60 Hz)=接地不良・近接電気機器→アース確認・電動ベッドの電源を抜く。●基線動揺(緩徐な揺れ)=呼吸・体動・電極の接触不良→電極装着・呼吸調整・接続確認。
選択肢ごとの解説
- ① アースの確認は交流(ハム)障害への対処であり、筋電図混入には当たらない。
- ② 正しい。筋緊張による筋電図混入には、患者に力を抜いてもらうのが適切な対処である。
- ③ 電動ベッドの電源を抜くのは交流障害への対処である。
- ④ 電極・誘導コードの接続確認は基線動揺や断線への対処である。
- ⑤ 呼吸停止は呼吸性の基線動揺への対処であり、筋電図混入には対応しない。
第69回 午前18(臨床生理学)
動脈管開存症に特徴的な心雑音はどれか。
- ①連続性雑音
- ②収縮後期雑音
- ③全収縮期雑音
- ④拡張期逆流性雑音
- ⑤収縮期駆出性雑音
正答: ①連続性雑音
ポイント
動脈管開存症では大動脈から肺動脈へ収縮期・拡張期を通じて持続的に血液が流れるため、収縮期から拡張期にかけて連続する連続性雑音(機械様雑音)が第2肋間胸骨左縁付近で聴かれる。これは圧較差が全心周期で持続することによる。収縮期駆出性雑音は大動脈弁狭窄、全収縮期(汎収縮期)雑音は僧帽弁閉鎖不全や心室中隔欠損、拡張期逆流性雑音は大動脈弁閉鎖不全でみられる。●連続性雑音=動脈管開存症・冠動静脈瘻・Valsalva洞動脈瘤破裂。●収縮期駆出性雑音=大動脈弁狭窄・肺動脈弁狭窄。●汎収縮期雑音=僧帽弁閉鎖不全・三尖弁閉鎖不全・心室中隔欠損。●拡張期雑音=大動脈弁閉鎖不全(逆流性)・僧帽弁狭窄(ランブル)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。大動脈から肺動脈への持続的短絡により収縮期・拡張期を通じた連続性雑音を生じる。
- ② 収縮後期雑音は僧帽弁逸脱などでみられ、動脈管開存症には特徴的でない。
- ③ 全収縮期雑音は僧帽弁閉鎖不全や心室中隔欠損でみられる。
- ④ 拡張期逆流性雑音は大動脈弁閉鎖不全でみられる。
- ⑤ 収縮期駆出性雑音は大動脈弁狭窄など駆出路狭窄でみられる。
第69回 午前19(臨床生理学)
フローボリューム曲線を別に示す。1秒量は1.08 Lであった。1秒率[%]に最も近いのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA019.28e5531704.jpg

正答: ②35
ポイント
1秒率〈FEV1.0%〉は1秒量を努力肺活量で割った百分率である。本例では1秒量が1.08 Lで、フローボリューム曲線から読み取れる努力肺活量に対する比が約35%となる。1秒率70%未満は閉塞性換気障害を示し、35%という低値は高度の気流制限を意味する。閉塞性障害では呼出初期にピークフローへ達した後、フローが急速に低下する下に凸の曲線を呈する。●換気障害の分類=閉塞性(1秒率低下)・拘束性(%肺活量低下)・混合性(両者低下)。●閉塞性障害の代表疾患=慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息・びまん性汎細気管支炎。●拘束性障害の代表疾患=間質性肺炎・肺線維症・胸郭変形。
選択肢ごとの解説
- ① 30は計測値より低く、努力肺活量に対する1秒量の比に最も近い値ではない。
- ② 正しい。1秒量1.08 Lと曲線から求めた努力肺活量より、1秒率は約35%となる。
- ③ 40は計測値からの算出値より高い。
- ④ 45は本例の1秒率より高い。
- ⑤ 50は本例の1秒率より高い。
第69回 午前20(臨床生理学)
体プレチスモグラフによる機能的残気量の測定原理はどれか。
- ①Boyle-Charlesの法則
- ②Daltonの法則
- ③Fickの法則
- ④Henryの法則
- ⑤Lambert-Beerの法則
正答: ①Boyle-Charlesの法則
ポイント
体プレチスモグラフは密閉箱内で被験者が閉塞下に呼吸努力を行い、胸郭内ガス量の変化に伴う箱内・口腔内の圧変化から肺気量を求める検査である。一定温度で圧と体積が反比例するBoyle-Charlesの法則(圧×体積が一定)を測定原理とし、機能的残気量を含む全肺気量を測定できる。ガス希釈法では測定できない交通のない閉塞腔のガスも評価できる利点がある。●機能的残気量の測定法=体プレチスモグラフ(Boyle-Charlesの法則)・ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路法・窒素洗い出し法)。●他の物理法則と用途=Daltonの法則(分圧の加算)・Fickの法則(拡散・心拍出量)・Henryの法則(気体溶解度)・Lambert-Beerの法則(吸光度と濃度)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。圧と体積が反比例するBoyle-Charlesの法則を原理として胸郭内ガス量を求める。
- ② Daltonの法則は分圧の加算に関する法則で、測定原理ではない。
- ③ Fickの法則は拡散に関する法則で、心拍出量測定などに用いる。
- ④ Henryの法則は気体の溶解度に関する法則である。
- ⑤ Lambert-Beerの法則は吸光度と濃度の関係を示し、分光測定の原理である。
第69回 午前21(臨床生理学)
呼吸商を求めるのに必要なのはどれか。2つ選べ。
- ①呼吸数
- ②酸素摂取量
- ③肺胞換気量
- ④分時換気量
- ⑤二酸化炭素排出量
正答: ②酸素摂取量・⑤二酸化炭素排出量
ポイント
呼吸商〈RQ〉は単位時間あたりの二酸化炭素排出量を酸素摂取量で割った値である。糖質の燃焼では約1.0、脂質では約0.7、蛋白質では約0.8となり、エネルギー基質の利用状態を反映する。したがって算出には酸素摂取量と二酸化炭素排出量の両方が必要である。呼吸数・分時換気量・肺胞換気量は換気量の指標であり、呼吸商の算出には直接必要としない。●呼吸商の基準値=糖質1.0・脂質0.7・蛋白質0.8(混合食で約0.85)。●呼吸機能の代謝指標=酸素摂取量・二酸化炭素排出量・呼吸商・最大酸素摂取量。●換気量の指標=1回換気量・分時換気量・肺胞換気量・死腔換気量。
選択肢ごとの解説
- ① 呼吸数は換気の頻度であり、呼吸商の算出には直接必要としない。
- ② 正しい。酸素摂取量は呼吸商の分母として算出に必要である。
- ③ 肺胞換気量は換気量の指標で、呼吸商の算出には不要である。
- ④ 分時換気量は換気量の指標で、呼吸商の算出には用いない。
- ⑤ 正しい。二酸化炭素排出量は呼吸商の分子として算出に必要である。
📋 まとめの表を見る:呼吸商〈RQ〉の基準値
呼吸商=二酸化炭素排出量÷酸素摂取量。算出には酸素摂取量と二酸化炭素排出量の両方が必要で、換気量の指標(呼吸数・分時換気量・肺胞換気量)は直接必要としない。
第69回 午前22(臨床生理学)
運動単位を構成するのはどれか。2つ選べ。
- ①Ⅰ a線維
- ②骨格筋細胞
- ③γ運動ニューロン
- ④下位運動ニューロン
- ⑤上位運動ニューロン
正答: ②骨格筋細胞・④下位運動ニューロン
ポイント
運動単位は1個の下位運動ニューロン(脊髄前角のα運動ニューロン)と、その軸索が支配する複数の骨格筋細胞(筋線維)からなる機能的単位である。1つの運動ニューロンの興奮で支配下の全筋線維が同時に収縮する。Ⅰa線維は筋紡錘からの感覚求心線維、γ運動ニューロンは筋紡錘内の錘内筋線維を支配し、上位運動ニューロンは皮質脊髄路など中枢の神経で、いずれも運動単位の構成要素ではない。●運動単位の構成=α運動ニューロン(下位運動ニューロン)+支配下の骨格筋線維群。●筋紡錘に関わる要素=Ⅰa線維(感覚求心)・γ運動ニューロン(錘内筋支配)。●上位運動ニューロン=大脳皮質運動野からの皮質脊髄路(中枢で下位運動ニューロンへ指令)。
選択肢ごとの解説
- ① Ⅰa線維は筋紡錘からの感覚求心線維で、運動単位の構成要素ではない。
- ② 正しい。運動単位は下位運動ニューロンが支配する骨格筋細胞から構成される。
- ③ γ運動ニューロンは錘内筋線維を支配し、通常の運動単位の構成要素ではない。
- ④ 正しい。下位運動ニューロン(α運動ニューロン)は運動単位の構成要素である。
- ⑤ 上位運動ニューロンは皮質脊髄路などの中枢神経で、運動単位を構成しない。
第69回 午前23(臨床生理学)
脳波の記録法で正しいのはどれか。
- ①時定数は0.1秒が標準である。
- ②T6は右側頭葉の後方に相当する。
- ③脳死判定では測定感度は20 μV/mmで記録する。
- ④てんかん発作が起きたときは直ちに記録を中止する。
- ⑤サンプリング周波数200 Hzで高域は120 Hzまで正しく記録できる。
正答: ②T6は右側頭葉の後方に相当する。
ポイント
脳波記録の標準的設定では時定数0.3秒、感度10μV/mmが用いられ、国際10-20法の電極配置でT6は右側頭部後方に相当する。脳死判定では微小電位を検出するため感度を高く(2μV/mm程度)して記録する。サンプリング定理よりサンプリング周波数の半分(ナイキスト周波数)までしか正しく記録できないため、200 Hzでは100 Hzまでが上限である。てんかん発作時はむしろ記録を継続して発作波を捉える。●国際10-20法の電極(右側頭)=F8(前側頭)・T4(中側頭)・T6(後側頭)。奇数が左・偶数が右。●標準記録条件=時定数0.3秒・高域フィルタ約60〜120 Hz・感度10μV/mm。●脳死判定の特殊条件=高感度(2μV/mm)・長時間記録・標準感度との比較。●サンプリング定理=ナイキスト周波数(標本化周波数の1/2)が記録可能上限。
選択肢ごとの解説
- ① 脳波の標準的な時定数は0.3秒であり、0.1秒は標準ではない。
- ② 正しい。国際10-20法でT6は右側頭部の後方に相当する。
- ③ 脳死判定では微小電位検出のため高感度(2μV/mm程度)で記録し、20μV/mmではない。
- ④ てんかん発作時は記録を継続して発作波を捉えるべきで、中止しない。
- ⑤ サンプリング周波数200 Hzではナイキスト周波数の100 Hzまでしか正しく記録できない。
第69回 午前24(臨床生理学)
78歳の男性。心不全患者の左室流入血流速波形と計測値を別に示す。この波形の記録に用いたのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA024.dee186f239.jpg

- ①組織ドプラ法
- ②カラードプラ法
- ③パルスドプラ法
- ④パワードプラ法
- ⑤連続波ドプラ法
正答: ③パルスドプラ法
ポイント
左室流入血流速波形(E波・A波)は僧帽弁口の血流速を時間軸で表示するもので、特定の深さ(サンプルボリューム)の血流速を計測するパルスドプラ法で記録する。連続波ドプラ法は超音波ビーム経路上の最大速度を計測するため部位の特定ができず、カラードプラ法・パワードプラ法は血流の二次元分布表示に、組織ドプラ法は心筋運動速度の評価に用いる。●部位特定の血流速波形=パルスドプラ法(サンプルボリュームを設定、高速血流では折り返しあり)。●高速血流の最大速度計測=連続波ドプラ法(弁狭窄・逆流の圧較差算出)。●二次元の血流表示=カラードプラ法(方向・速度を色表示)・パワードプラ法(信号強度表示)。●心筋運動評価=組織ドプラ法。
選択肢ごとの解説
- ① 組織ドプラ法は心筋などの組織運動速度を計測する方法で、流入血流速波形には用いない。
- ② カラードプラ法は血流方向・速度を二次元的に色表示する方法である。
- ③ 正しい。サンプルボリュームを僧帽弁口に置き血流速波形を得るのはパルスドプラ法である。
- ④ パワードプラ法は血流信号強度を表示する方法で、速度波形の記録には適さない。
- ⑤ 連続波ドプラ法は経路上の最大速度を計測し、特定部位の血流速波形には適さない。
📋 まとめの表を見る:ドプラ法の種類と用途
第69回 午前25(臨床生理学)
78歳の男性。心不全患者の左室流入血流速波形と計測値を別に示す。この波形はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA025.dee186f239.jpg

- ①正常パターン
- ②弛緩障害パターン
- ③偽正常化パターン
- ④拘束パターン
- ⑤判定不可能
正答: ④拘束パターン
ポイント
左室流入血流速波形は左室拡張機能の評価に用いられる。拘束パターンはE波が著明に高く、A波が低くてE/A比が大きく、E波の減速時間が短縮するのが特徴で、左室充満圧の上昇した進行した拡張障害(心不全)を示す。弛緩障害パターンはE波低下・A波増高でE/A比が1未満、偽正常化パターンはその中間で正常に似た波形を示す。計測値から高度の拡張障害を示す拘束パターンと判定される。●拡張障害の進行段階=正常→弛緩障害(E/A<1・減速時間延長)→偽正常化(E/A正常様)→拘束(E/A>2・減速時間短縮)。●拘束パターンの特徴=E波高値・A波低値・減速時間短縮・充満圧上昇。●補助指標=組織ドプラのe′・E/e′比(充満圧推定)。
選択肢ごとの解説
- ① 正常パターンはE/A比が1〜2程度で減速時間も正常範囲にある。
- ② 弛緩障害パターンはE波低下・A波増高でE/A比が1未満となる。
- ③ 偽正常化パターンは弛緩障害と拘束の中間で、見かけ上正常に近い波形を示す。
- ④ 正しい。E波増高・A波低下・減速時間短縮を示す拘束パターンで、高度の拡張障害を示す。
- ⑤ 計測値から波形分類は可能であり、判定不可能ではない。
📋 まとめの表を見る:左室流入血流速波形パターン(左室拡張能の評価)
E/Aは加齢でも弛緩障害パターンに近づくため、判定には被検者の年齢を考慮する。
第69回 午前26(臨床生理学)
頸動脈超音波検査の右総頸動脈長軸像を別に示す。内中膜複合体厚〈IMT〉の計測方法として正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA026.cf572972b0.jpg

正答: ③
ポイント
内中膜複合体厚〈IMT〉は総頸動脈の長軸像で、血管内腔と内膜の境界(内膜の管腔側、第1のライン)から中膜と外膜の境界(中膜の外側、第2のライン)までの距離を計測する。低輝度の中膜を挟む2本の高輝度ラインの間隔がIMTにあたり、超音波ビームが垂直に当たり境界が明瞭に描出される遠位壁(深部側壁)で測定する。動脈硬化の早期指標として用いられ、一般に1.1mm以上で肥厚と判定する。●頸動脈評価=IMT・プラーク(最大隆起厚や性状)・狭窄率(内腔径・流速)。●動脈硬化の評価法=頸動脈エコーIMT・脈波伝播速度〈PWV〉・足関節上腕血圧比〈ABI〉。●計測の基本=遠位壁で測定・ビーム入射角を血管壁に垂直にする。
選択肢ごとの解説
- ① 内腔と内膜の境界から中膜外側までを正しく捉えておらず、IMTの計測法として適切でない。
- ② 内膜・中膜・外膜の境界の取り方が正しくなく、IMTを反映しない。
- ③ 正しい。内膜の管腔側ラインから中膜外側(外膜境界)ラインまでを測るのが正しいIMT計測法である。
- ④ 計測の起点・終点が2本の高輝度ラインからずれており適切でない。
- ⑤ 境界の位置が正しくなく、IMTの計測法として誤りである。
第69回 午前27(臨床生理学)
下腹部正中横走査と右縦走査による女性骨盤腔の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA027.3ab3090576.jpg

正答: ⑤卵巣
ポイント
女性骨盤腔の超音波像では、前方の無エコーの膀胱を音響窓として、その後方に子宮、さらに後方に直腸が並ぶ。卵巣は子宮の両側方で骨盤壁近くに位置する楕円形の構造で、内部に複数の卵胞(小さな無エコーの嚢胞)を含むことが多く、これが同定の手がかりとなる。矢印が示す子宮側方の卵胞を含む楕円形構造は卵巣である。●女性骨盤の超音波解剖(前→後)=膀胱・子宮・直腸。●卵巣の特徴=子宮側方・卵胞(嚢胞性構造)を含む・楕円形。●子宮の評価項目=子宮筋層・内膜厚・腫瘤(筋腫・腺筋症)。
選択肢ごとの解説
- ① 腟は子宮頸部から外陰に至る管状構造で、矢印の位置とは異なる。
- ② 子宮は膀胱の後方に位置する正中の構造で、矢印が示す側方の構造ではない。
- ③ 直腸は骨盤腔の最後方に位置し、矢印の構造とは異なる。
- ④ 膀胱は骨盤腔前方の無エコー構造で、矢印の位置とは異なる。
- ⑤ 正しい。子宮側方にある卵胞を含む楕円形構造は卵巣である。
第69回 午前28(臨床生理学)
標準純音聴力検査の骨導聴力検査において音が直接伝わるのはどれか。
正答: ④内耳
ポイント
骨導聴力検査は振動子(骨導端子)を乳様突起などに当て、頭蓋骨の振動を介して直接内耳(蝸牛)を刺激する方法である。外耳道・鼓膜・耳小骨という気導の伝音経路を経ずに音が内耳へ伝わるため、伝音機構を飛ばして感音器の機能を評価できる。気導聴力との差(気骨導差)が伝音障害の有無と程度の指標となり、伝音難聴と感音難聴の鑑別に用いられる。●聴覚の伝導路=外耳道→鼓膜→耳小骨(伝音系)→蝸牛→蝸牛神経(感音系)。●難聴の分類=伝音難聴(外耳・中耳)・感音難聴(内耳・神経)・混合性難聴。●聴覚検査=標準純音聴力検査(気導・骨導)・語音聴力検査・ティンパノメトリー・耳音響放射〈OAE〉・聴性脳幹反応〈ABR〉。
選択肢ごとの解説
- ① 外耳道は気導の伝音経路であり、骨導検査ではここを経由しない。
- ② 鼓膜は気導の伝音器官で、骨導では介さない。
- ③ 耳小骨は気導の伝音を担い、骨導では経由しない。
- ④ 正しい。骨導検査では頭蓋骨の振動を介して直接内耳(蝸牛)が刺激される。
- ⑤ 蝸牛神経は内耳で受けた刺激を中枢へ伝える神経で、音が直接伝わる部位ではない。
📋 まとめの表を見る:標準純音聴力検査(気導・骨導)で音が伝わる経路
気導と骨導の差(気骨導差)は伝音難聴の有無・程度の指標となる。
第69回 午前29(臨床化学)
グリコアルブミン〈GA〉について正しいのはどれか。
- ①鉄欠乏性貧血で高値になる。
- ②基準範囲は6.2%以下である。
- ③約2か月間の血糖値の平均を反映する。
- ④バリンに安定的に糖が結合したものである。
- ⑤透析患者の血糖コントロールの指標に適している。
正答: ⑤透析患者の血糖コントロールの指標に適している。
ポイント
グリコアルブミン〈GA〉は血中アルブミンに糖が非酵素的に結合したもので、アルブミンの半減期に対応して過去約2〜3週間の平均血糖を反映する。HbA1cと異なり赤血球寿命の影響を受けないため、透析・貧血・出血など赤血球代謝が変動する病態でも信頼性が高く、透析患者の血糖管理指標に適する。基準範囲はおよそ11〜16%で、鉄欠乏性貧血ではHbA1cが影響を受けるのに対しGAは受けにくい。●血糖コントロール指標=HbA1c(約1〜2か月)・GA(約2〜3週間)・1,5-アンヒドログルシトール〈1,5-AG〉(短期・尿糖排泄を反映)。●HbA1cが偽低値になる病態=溶血性貧血・出血・鉄欠乏性貧血の回復期。●GAが選ばれる場面=透析患者・赤血球寿命短縮例・血糖の急変を短期で追う場合。
選択肢ごとの解説
- ① 鉄欠乏性貧血で高値になりやすいのはHbA1cで、GAは影響を受けにくい。
- ② GAの基準範囲はおよそ11〜16%であり、6.2%以下はHbA1cに近い値で誤り。
- ③ GAは約2〜3週間の血糖状態を反映し、約2か月の平均を反映するものではない。
- ④ ヘモグロビンβ鎖N末端のバリンに糖が結合するのはHbA1cで、GAはアルブミンへの結合である。
- ⑤ 正しい。GAは赤血球寿命の影響を受けず、透析患者の血糖管理指標に適している。
📋 まとめの表を見る:血糖コントロール指標の比較(HbA1c・グリコアルブミン・1,5-AG)
糖尿病型の判定に用いられるのは血糖値とHbA1c(6.5%以上)で、グリコアルブミンと1,5-AGは判定基準に含まれない血糖コントロールの補助的指標である。
第69回 午前30(臨床化学)
血漿血糖値が高い順に並んでいるのはどれか。
- ①静脈>動脈>毛細血管
- ②静脈>毛細血管>動脈
- ③動脈>静脈>毛細血管
- ④動脈>毛細血管>静脈
- ⑤毛細血管>静脈>動脈
正答: ④動脈>毛細血管>静脈
ポイント
グルコースは末梢組織へ供給される前の動脈血で最も高く、組織でグルコースが取り込まれた後の静脈血で最も低くなる。毛細血管血はその中間の濃度を示すため、血糖値は動脈>毛細血管>静脈の順となる。動静脈の血糖差は組織のグルコース消費を反映し、食後ほど差が大きくなる。簡易血糖測定で用いる指先の毛細血管血は静脈血よりやや高値を示す点に注意する。●採血部位による血糖差=動脈>毛細血管>静脈。●血糖測定の検体注意=全血は放置で解糖により低下(フッ化ナトリウム入り採血管で解糖阻止)。●血糖関連検査=空腹時血糖・75g経口ブドウ糖負荷試験〈OGTT〉・随時血糖・HbA1c。
選択肢ごとの解説
- ① 静脈血は組織で消費された後で最も低く、最高値ではない。
- ② 静脈を最高とする並びは組織でのグルコース消費の関係に反する。
- ③ 静脈血より毛細血管血の血糖値が高いため、「静脈>毛細血管」とする部分が誤りである。正しい順序は動脈>毛細血管>静脈である。
- ④ 正しい。組織供給前の動脈が最高、消費後の静脈が最低で、動脈>毛細血管>静脈となる。
- ⑤ 毛細血管血を最高とする並びは誤りである。
第69回 午前31(臨床化学)
アポリポ蛋白と主要機能の組合せで誤っているのはどれか。
- ①A-Ⅰ — LCATの活性化
- ②B-100 — VLDLの分泌
- ③B-48 — カイロミクロンの分泌
- ④C-Ⅲ — LPLの活性化
- ⑤E — LDL受容体との結合
正答: ④C-Ⅲ — LPLの活性化
ポイント
アポリポ蛋白〈アポ蛋白〉はリポ蛋白の構造維持や、酵素・受容体との相互作用を担う。C-Ⅱがリポ蛋白リパーゼ〈LPL〉を活性化するのに対し、C-ⅢはLPLを阻害する点が対照的である。A-Iはレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉を活性化、B-100はVLDL・LDLの構成とLDL受容体への結合、B-48はカイロミクロンの構成・分泌、EはLDL受容体やレムナント受容体への結合に関与する。C-ⅢをLPL活性化と組み合わせる選択肢が誤りである。●LPLを活性化=アポC-Ⅱ。●LPLを阻害=アポC-Ⅲ。●LCATを活性化=アポA-I。●受容体結合=アポB-100(LDL受容体)・アポE(レムナント受容体)。●カイロミクロン特有=アポB-48。
選択肢ごとの解説
- ① A-IはLCATを活性化しHDL代謝に関与する正しい組合せである。
- ② B-100はVLDL・LDLの構成蛋白で分泌に関与する正しい組合せである。
- ③ B-48はカイロミクロンの構成・分泌に関与する正しい組合せである。
- ④ 誤り。C-ⅢはLPLを阻害するアポ蛋白であり、LPLの活性化と組み合わせるのは誤りである(LPL活性化はC-Ⅱ)。
- ⑤ EはLDL受容体やレムナント受容体と結合する正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:アポ蛋白の主な機能
C-ⅡはLPLを活性化するが、C-ⅢはLPLを抑制する点が対照的。
第69回 午前32(臨床化学)
Michaelis-Mentenの式について正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、[S]は基質濃度、Vmaxは最大反応速度、KmはMichaelis定数とする。
- ①Km値<<[S]のとき1次反応に近似する。
- ②初速度法による[S]測定は0次反応領域で行う。
- ③Km値が大きいほど酵素と基質の親和性は大きい。
- ④Km値は反応速度がVmaxの1/2を示す[S]である。
- ⑤終点分析法による[S]測定にはVmaxが大きい酵素を使用する。
正答: ④Km値は反応速度がVmaxの1/2を示す[S]である。・⑤終点分析法による[S]測定にはVmaxが大きい酵素を使用する。
ポイント
Michaelis-Mentenの式は酵素反応速度と基質濃度の関係を表す。Michaelis定数Kmは反応速度が最大反応速度Vmaxの1/2となるときの基質濃度で、Kmが小さいほど酵素と基質の親和性が高い。基質濃度がKmに比べ十分高い領域では反応速度がほぼ一定(0次反応)となり、初速度法(レート法)による酵素活性測定はこの0次領域で行う。終点分析(エンドポイント法)では反応を速やかに完結させるためVmaxの大きい酵素を用いる。●反応次数=[S]≪Km(基質に比例=1次反応)・[S]≫Km(一定=0次反応)。●Kmの意味=Vmaxの1/2を与える[S]・小さいほど高親和性。●測定法=初速度法は、基質に対する0次反応領域で酵素活性を、1次反応領域で基質濃度を測定する。終点法は反応完結後の変化量から成分濃度を求める。
選択肢ごとの解説
- ① Km≪[S]のときは反応速度が一定となる0次反応に近似し、1次反応ではない。
- ② 基質濃度を初速度法で測定するときは、反応速度が基質濃度に比例する1次反応領域([S]≪Km)を用いる。0次反応領域は、基質を十分加えて酵素活性を測定するときに用いる。
- ③ Km値が大きいほど酵素と基質の親和性は小さく、この記述は逆である。
- ④ 正しい。KmはVmaxの1/2の反応速度を与える基質濃度として定義される。
- ⑤ 正しい。終点分析法では反応を完結させるためVmaxの大きい酵素を用いる。
第69回 午前33(臨床化学)
血中濃度が低下するとテタニーを生じるのはどれか。
- ①Na⁺
- ②Ca²⁺
- ③Cl⁻
- ④HCO₃⁻
- ⑤H₂PO₄⁻
正答: ②Ca²⁺
ポイント
テタニーは血中のイオン化カルシウム濃度の低下により神経・筋の興奮性が亢進して生じる持続的な筋けいれんである。低カルシウム血症では神経細胞膜の興奮閾値が下がって自発的な活動電位が起こりやすくなり、Trousseau徴候やChvostek徴候が陽性となる。ナトリウム・塩化物・重炭酸・リン酸の各イオンの低下はテタニーの直接の原因とはならない。●低カルシウム血症の原因=副甲状腺機能低下症・ビタミンD欠乏・慢性腎不全・急性膵炎・過換気(アルカローシスでイオン化Ca低下)。●低Ca血症の徴候=Trousseau徴候・Chvostek徴候・テタニー・QT延長。●高カルシウム血症の原因=原発性副甲状腺機能亢進症・悪性腫瘍・ビタミンD過剰。
選択肢ごとの解説
- ① ナトリウムの低下は浸透圧・意識障害をきたすが、テタニーの直接原因ではない。
- ② 正しい。イオン化カルシウムの低下は神経筋興奮性を高めテタニーを生じる。
- ③ 塩化物イオンの低下はテタニーの直接原因とはならない。
- ④ 重炭酸イオンの変動は酸塩基平衡に関与するが、テタニーの直接原因ではない。
- ⑤ リン酸イオンの低下はテタニーを直接引き起こさない。
第69回 午前34(臨床化学)
誤っているのはどれか。
- ①妊娠糖尿病ではインスリン抵抗性が低い。
- ②HbA1cの生成にはアマドリ転移が関与する。
- ③腎臓の糖排泄閾値は160〜180 mg/dLである。
- ④ムタロターゼはグルコースのα型からβ型への変換を行う。
- ⑤SGLT2〈Sodium-glucose co-transporter 2〉は近位尿細管に存在する。
正答: ①妊娠糖尿病ではインスリン抵抗性が低い。
ポイント
妊娠中は胎盤由来のホルモン(ヒト胎盤性ラクトーゲンなど)の作用でインスリン抵抗性が高まり、これに対応できないと妊娠糖尿病を発症する。したがってインスリン抵抗性は高いのが正しく、低いとする記述が誤りである。HbA1c生成にはアマドリ転移が関与し、腎の糖排泄閾値は約160〜180mg/dL、ムタロターゼはグルコースのα型・β型のアノマー変換を触媒し、ナトリウム・グルコース共輸送体2〈SGLT2〉は近位尿細管でのグルコース再吸収を担う。●妊娠と糖代謝=胎盤ホルモンでインスリン抵抗性増大・妊娠糖尿病。●糖の腎処理=糸球体濾過→近位尿細管でSGLT2が再吸収・閾値約160〜180mg/dLを超えると尿糖。●糖の化学=アマドリ転移(HbA1c生成)・ムタロターゼ(アノマー変換)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。妊娠糖尿病ではインスリン抵抗性が高まるのが特徴で、低いとする記述は誤りである。
- ② HbA1cの生成にはアマドリ転移が関与する正しい記述である。
- ③ 腎臓の糖排泄閾値は約160〜180mg/dLで正しい記述である。
- ④ ムタロターゼはグルコースのα型とβ型のアノマー変換を触媒する正しい記述である。
- ⑤ SGLT2は近位尿細管に存在しグルコース再吸収を担う正しい記述である。
第69回 午前35(臨床化学)
グリセロール骨格構造を含むのはどれか。2つ選べ。
- ①レチノール
- ②アラキドン酸
- ③トリグリセライド
- ④スフィンゴミエリン
- ⑤ホスファチジルエタノールアミン
正答: ③トリグリセライド・⑤ホスファチジルエタノールアミン
ポイント
グリセロールを骨格にもつ脂質はグリセロ脂質である。トリグリセライドはグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した中性脂肪、ホスファチジルエタノールアミンはグリセロールを骨格とするグリセロリン脂質で、いずれもグリセロール骨格を含む。スフィンゴミエリンはグリセロールでなくスフィンゴシンを骨格とし、レチノールはイソプレノイド由来のビタミンA、アラキドン酸は脂肪酸そのものでグリセロール骨格をもたない。●グリセロ脂質=トリグリセライド・ホスファチジルコリン・ホスファチジルエタノールアミン・ホスファチジルセリン。●スフィンゴ脂質(スフィンゴシン骨格)=スフィンゴミエリン・セレブロシド・ガングリオシド。●グリセロール骨格をもたない脂質=脂肪酸・ステロイド(コレステロール)・脂溶性ビタミン(レチノール)。
選択肢ごとの解説
- ① レチノールはビタミンAでイソプレノイド構造をもち、グリセロール骨格はない。
- ② アラキドン酸は多価不飽和脂肪酸そのもので、グリセロール骨格を含まない。
- ③ 正しい。トリグリセライドはグリセロールに脂肪酸が結合したグリセロ脂質である。
- ④ スフィンゴミエリンはスフィンゴシンを骨格とし、グリセロール骨格をもたない。
- ⑤ 正しい。ホスファチジルエタノールアミンはグリセロールを骨格とするグリセロリン脂質である。
第69回 午前36(臨床化学)
実効線量を表す単位はどれか。
正答: ⑤Sv
ポイント
実効線量は各組織の放射線感受性(組織加重係数)を加味して全身の確率的影響を評価する防護量で、単位はシーベルト〈Sv〉である。等価線量も同じくSvで表される。これに対しベクレル〈Bq〉は放射能(単位時間あたりの壊変数)、クーロン毎キログラム〈C・kg⁻¹〉は照射線量、電子ボルト〈eV〉はエネルギー、グレイ〈Gy〉は吸収線量の単位である。●放射線量の単位=放射能(Bq)・照射線量(C・kg⁻¹)・吸収線量(Gy)・等価線量/実効線量(Sv)。●防護量=等価線量(臓器ごと)・実効線量(全身)。●基本量=吸収線量(Gy=J/kg)。
選択肢ごとの解説
- ① Bqは放射能(単位時間あたりの壊変数)の単位である。
- ② C・kg⁻¹は照射線量を表す単位である。
- ③ eVはエネルギーの単位で、線量の単位ではない。
- ④ Gyは吸収線量の単位である。
- ⑤ 正しい。実効線量はシーベルト〈Sv〉で表される防護量である。
第69回 午前37(臨床化学)
塩基性アミノ酸はどれか。2つ選べ。
- ①プロリン
- ②アルギニン
- ③ヒスチジン
- ④メチオニン
- ⑤トリプトファン
正答: ②アルギニン・③ヒスチジン
ポイント
塩基性アミノ酸は側鎖に塩基性の官能基をもち、生理的pHで正に荷電する。アルギニン(グアニジノ基)、ヒスチジン(イミダゾール基)、リジン(アミノ基)がこれに該当する。プロリンは側鎖が環状をなすイミノ酸、メチオニンは含硫アミノ酸、トリプトファンは芳香族(インドール環)アミノ酸であり、いずれも塩基性アミノ酸ではない。●塩基性アミノ酸=アルギニン・ヒスチジン・リジン。●酸性アミノ酸=アスパラギン酸・グルタミン酸。●含硫アミノ酸=システイン・メチオニン。●芳香族アミノ酸=フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン。
選択肢ごとの解説
- ① プロリンは側鎖が環状構造をなすイミノ酸で、塩基性アミノ酸ではない。
- ② 正しい。アルギニンはグアニジノ基をもつ塩基性アミノ酸である。
- ③ 正しい。ヒスチジンはイミダゾール環をもつ塩基性アミノ酸である。
- ④ メチオニンは含硫アミノ酸で、塩基性アミノ酸ではない。
- ⑤ トリプトファンはインドール環をもつ芳香族アミノ酸で、塩基性アミノ酸ではない。
第69回 午前38(臨床化学)
溶液Aを30倍希釈して吸光度を測定したとき、0.300であった。この物質の測定波長におけるモル吸光係数を6,000 L・mol⁻¹・cm⁻¹とすると、溶液Aの濃度は何mmol/Lか。ただし、使用した光路長は1.0 cmとする。
正答: ②1.5
ポイント
Lambert-Beerの法則により吸光度A=モル吸光係数ε×濃度c×光路長lである。希釈後の濃度はc=A/(ε×l)=0.300÷(6,000×1.0)=5.0×10⁻⁵mol/L、すなわち0.05mmol/Lとなる。これを30倍希釈前の原液濃度に戻すと0.05×30=1.5mmol/Lである。原液を求める際は希釈倍率を乗じて補正する点に注意する。●Lambert-Beerの法則=A=ε・c・l。●吸光度測定の用語=モル吸光係数ε・光路長l(通常1cm)・透過率と吸光度の関係。●計算手順=希釈後濃度を求める→希釈倍率を乗じて原液濃度。
選択肢ごとの解説
- ① 0.15は希釈倍率の補正が不足しており、原液濃度として誤りである。
- ② 正しい。希釈後0.05mmol/Lに30倍を乗じて原液濃度は1.5mmol/Lとなる。
- ③ 15は希釈倍率の適用や桁を誤った値である。
- ④ 150は桁の取り扱いを誤った値である。
- ⑤ 1,500は計算上の桁が大きく誤りである。
第69回 午前39(臨床化学)
MALDI-TOF-MSによる物質測定で正しいのはどれか。
- ①分子量の大きい物質ほど早く飛行する。
- ②飛行速度は物質の電荷の影響を受けない。
- ③測定対象物質は大気圧の空気中を飛行する。
- ④イオン化はレーザーのパルス照射により行う。
- ⑤タンデム質量分析装置は2台の質量分析部を並列に接続する。
正答: ④イオン化はレーザーのパルス照射により行う。
ポイント
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析〈MALDI-TOF-MS〉は、マトリックスとともに結晶化した試料にレーザーのパルスを照射してイオン化し、生成したイオンを真空中で飛行させ、飛行時間〈TOF〉から質量電荷比〈m/z〉を求める。同じ運動エネルギーを与えると質量の小さいイオンほど速く飛行し、飛行速度は質量と電荷の双方に依存する。タンデム質量分析は2台の質量分析部を直列に接続し、特定イオンを分離・開裂して再度分析する。●質量分析のイオン化法=MALDI(レーザー)・エレクトロスプレーイオン化〈ESI〉・電子イオン化。●質量分離部=飛行時間型〈TOF〉・四重極型・イオントラップ型。●臨床応用=MALDI-TOF-MSによる細菌・真菌の菌種同定。
選択肢ごとの解説
- ① 飛行時間型では質量の小さい物質ほど速く飛行し、大きい物質は遅い。
- ② 飛行速度は質量電荷比に依存するため、電荷の影響を受ける。
- ③ 測定対象イオンは真空中を飛行するもので、大気圧の空気中ではない。
- ④ 正しい。MALDIではレーザーのパルス照射により試料をイオン化する。
- ⑤ タンデム質量分析は2台の質量分析部を直列に接続するもので、並列ではない。
第69回 午前40(臨床化学)
ALPアイソザイムについて誤っているのはどれか。
- ①胎盤型は耐熱性である。
- ②骨型は成人よりも小児で高い。
- ③小腸型は高脂肪食で上昇する。
- ④高分子肝型は閉塞性黄疸で上昇する。
- ⑤免疫グロブリン結合型は電気泳動で最も陽極側に検出される。
正答: ⑤免疫グロブリン結合型は電気泳動で最も陽極側に検出される。
ポイント
アルカリホスファターゼ〈ALP〉アイソザイムは電気泳動の移動度で分類され、陽極側から高分子肝型・肝型・骨型・胎盤型・小腸型の順に泳動される。免疫グロブリン結合型ALPは免疫グロブリンと複合体を形成して分子量が大きくなるため移動度が低下し、最も陽極側ではなく原点側(陰極寄り)に検出される。胎盤型は耐熱性、骨型は骨形成の盛んな小児で高値、小腸型は高脂肪食後やB・O型分泌型で上昇する。●ALPアイソザイムと由来=肝型(肝・胆道)・骨型(骨芽細胞)・胎盤型(妊娠後期)・小腸型(小腸)。●泳動順(陽極→)=高分子肝型・肝型・骨型・胎盤型・小腸型。●性状=胎盤型は耐熱性・骨型は易熱性・免疫グロブリン結合型は原点側。
選択肢ごとの解説
- ① 胎盤型ALPは耐熱性で加熱処理に抵抗する性質をもつ正しい記述である。
- ② 骨型ALPは骨形成の盛んな小児で高値となる正しい記述である。
- ③ 小腸型ALPは高脂肪食後に上昇する正しい記述である。
- ④ 高分子肝型ALPは閉塞性黄疸で上昇する正しい記述である。
- ⑤ 誤り。免疫グロブリン結合型は分子量が大きく移動が遅れ、最も陽極側ではなく原点側に検出されるため誤りである。
第69回 午前41(臨床化学)
二重の膜構造を有するのはどれか。2つ選べ。
- ①核
- ②ゴルジ体
- ③リソソーム
- ④ミトコンドリア
- ⑤ペルオキシソーム
正答: ①核・④ミトコンドリア
ポイント
細胞小器官のうち二重膜構造をもつのは核とミトコンドリアである。核は外膜・内膜からなる核膜で囲まれ核膜孔をもち、ミトコンドリアは外膜と内膜(内膜はクリステを形成)の二重膜をもつ。ゴルジ体・リソソーム・ペルオキシソームはいずれも一重の膜で囲まれる。植物細胞の葉緑体も二重膜をもつ。●二重膜の細胞小器官=核・ミトコンドリア(・葉緑体)。●一重膜の細胞小器官=小胞体・ゴルジ体・リソソーム・ペルオキシソーム・分泌顆粒。●膜をもたない構造=リボソーム・中心体。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。核は外膜・内膜からなる核膜で囲まれた二重膜構造をもつ。
- ② ゴルジ体は一重の膜からなる扁平嚢の集まりである。
- ③ リソソームは一重の膜で囲まれた小胞である。
- ④ 正しい。ミトコンドリアは外膜と内膜からなる二重膜構造をもつ。
- ⑤ ペルオキシソームは一重の膜で囲まれた小器官である。
第69回 午前42(臨床化学)
血中LD/AST比が1のとき、最も考えられるのはどれか。
- ①白血病
- ②急性肝炎
- ③心筋梗塞
- ④多発性筋炎
- ⑤溶血性貧血
正答: ②急性肝炎
ポイント
乳酸脱水素酵素〈LD〉とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ〈AST〉の血中比は障害臓器の推定に役立つ。急性肝炎では肝細胞障害でLDとASTがともに上昇し、LD/AST比はおよそ1前後となる。心筋梗塞や溶血ではLDが優位に上昇してLD/AST比が高くなり、白血病ではLDが著明高値となる。多発性筋炎では筋由来でAST・LDが上昇するが、LD/AST比1が最も典型的なのは急性肝炎である。●LD優位(高LD/AST比)=溶血性貧血・悪性貧血・心筋梗塞・白血病・悪性腫瘍。●AST優位(低比)=アルコール性肝障害(AST>ALT)。●LD/AST比≒1=急性肝炎。●LDアイソザイム=LD₁・2(心筋・赤血球)/LD₅(肝・骨格筋)。
選択肢ごとの解説
- ① 白血病ではLDが著明に高値となりLD/AST比は1より大きくなる。
- ② 正しい。急性肝炎ではLDとASTがともに上昇しLD/AST比はおよそ1となる。
- ③ 心筋梗塞ではLDが相対的に高くLD/AST比は1より大きくなる傾向がある。
- ④ 多発性筋炎では筋由来酵素が上昇するが、LD/AST比1が最も特徴的とはいえない。
- ⑤ 溶血性貧血ではLDが著明に上昇しLD/AST比は1より大きくなる。
第69回 午前43(臨床化学)
欠乏すると巨赤芽球性貧血を引き起こすのはどれか。2つ選べ。
- ①葉酸
- ②ビタミンB₆
- ③ビタミンB₁₂
- ④ビタミンC
- ⑤ビタミンK
正答: ①葉酸・③ビタミンB₁₂
ポイント
巨赤芽球性貧血はDNA合成に必要なビタミンB₁₂または葉酸の欠乏により骨髄での核の成熟が障害され、細胞質に比べ核の成熟が遅れた巨赤芽球が出現する貧血である。ビタミンB₁₂欠乏は悪性貧血や胃切除後・回腸障害で、葉酸欠乏は摂取不足やアルコール多飲などで生じる。ビタミンB₆はヘム合成、ビタミンCは抗酸化、ビタミンKは凝固因子合成に関与し、いずれも巨赤芽球性貧血とは結びつかない。●巨赤芽球性貧血の原因=ビタミンB₁₂欠乏(悪性貧血・胃切除後)・葉酸欠乏(摂取不足・アルコール)。●他のビタミン欠乏症=B1(脚気)・B6(鉄芽球性貧血の一部)・C(壊血病)・K(出血傾向)。●大球性貧血の鑑別=巨赤芽球性・肝障害・甲状腺機能低下。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。葉酸欠乏はDNA合成障害を招き巨赤芽球性貧血を引き起こす。
- ② ビタミンB₆欠乏は鉄芽球性貧血に関与し、巨赤芽球性貧血の原因ではない。
- ③ 正しい。ビタミンB₁₂欠乏はDNA合成障害を招き巨赤芽球性貧血を引き起こす。
- ④ ビタミンCの欠乏は壊血病を起こすが、巨赤芽球性貧血とは関係しない。
- ⑤ ビタミンKは血液凝固因子の合成に関与し、巨赤芽球性貧血の原因ではない。
第69回 午前44(臨床化学)
ビタミンB₆の誘導体を補酵素とするのはどれか。
正答: ③AST
ポイント
ビタミンB₆の活性型であるピリドキサールリン酸はアミノ基転移反応の補酵素として働く。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ〈AST〉はアミノ基転移酵素であり、ピリドキサールリン酸を補酵素とする。アルカリホスファターゼ〈ALP〉は亜鉛・マグネシウム要求性、アミラーゼ〈AMY〉はカルシウム要求性、乳酸脱水素酵素〈LD〉はNAD/NADH、γ-グルタミルトランスフェラーゼ〈γ-GT〉はγ-グルタミル基転移酵素で、いずれもビタミンB₆誘導体を補酵素としない。●ピリドキサールリン酸を補酵素とする酵素=AST・アラニンアミノトランスフェラーゼ〈ALT〉などのアミノ基転移酵素・脱炭酸酵素。●補酵素・補因子の例=LD(NAD)・AMY(Ca)・ALP(Zn・Mg)・カルボキシラーゼ(ビオチン)。
選択肢ごとの解説
- ① ALPは亜鉛・マグネシウムを要する酵素で、ビタミンB₆誘導体を補酵素としない。
- ② AMY(アミラーゼ)はカルシウムを要求し、ビタミンB₆を補酵素としない。
- ③ 正しい。ASTはアミノ基転移酵素でピリドキサールリン酸(ビタミンB₆誘導体)を補酵素とする。
- ④ LDはNAD/NADHを補酵素とし、ビタミンB₆誘導体ではない。
- ⑤ γ-GTはγ-グルタミル基転移酵素で、ビタミンB₆誘導体を補酵素としない。
📋 まとめの表を見る:水溶性ビタミンの補酵素型と関連酵素
ALP・アミラーゼ・γ-GTはビタミン由来の補酵素を必要としない(ALP・アミラーゼは金属イオンが補助因子)。
第69回 午前45(病理組織細胞学)
子宮頸部擦過細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。Bethesdaシステムによる判定はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA045.4500a67cd5.jpg

- ①NILM
- ②LSIL
- ③HSIL
- ④Squamous cell carcinoma
- ⑤Adenocarcinoma
正答: ③HSIL
ポイント
Bethesdaシステムは子宮頸部細胞診の報告様式である。高度扁平上皮内病変〈HSIL〉は核腫大・クロマチン増量・核細胞質比〈N/C比〉の著明な増大を示す異型扁平上皮細胞がみられ、中等度〜高度異形成・上皮内癌に相当する。陰性所見はNILM、軽度扁平上皮内病変〈LSIL〉はヒトパピローマウイルス〈HPV〉感染・軽度異形成で核腫大はあるが比較的軽度であり、扁平上皮癌や腺癌はさらに高度の悪性所見を示す。本例の高度異型所見からHSILと判定される。●Bethesda分類(扁平上皮系)=NILM・ASC-US/ASC-H・LSIL・HSIL・扁平上皮癌。●腺系=AGC・上皮内腺癌〈AIS〉・腺癌。●HPV関連=LSIL(一過性感染が多い)・HSIL(持続感染・前癌)。
選択肢ごとの解説
- ① NILMは上皮内病変や悪性を認めない陰性判定で、強い異型を示す所見と合わない。
- ② LSILは軽度異形成・HPV感染に相当し、HSILより異型は軽度である。
- ③ 正しい。核腫大・クロマチン増量・N/C比増大を示す高度異型でHSILと判定される。
- ④ 扁平上皮癌は浸潤を示唆する壊死性背景や明瞭な悪性所見を伴い、本例の所見とは異なる。
- ⑤ 腺癌は腺系の異型細胞を示し、扁平上皮系のHSILとは異なる。
📋 まとめの表を見る:子宮頸部細胞診 Bethesdaシステムの分類
上皮内癌(CIS)は従来分類のIVに相当し、Bethesdaシステムでは概ねHSILに含まれる。
第69回 午前46(病理組織細胞学)
病理解剖の目的として正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①人体の正常な構造を明らかにすること。
- ②犯罪との関係が疑われる死体を調べること。
- ③災害で亡くなった人の死因を明らかにすること。
- ④生前に行われた治療の効果を明らかにすること。
- ⑤病気で亡くなった人の死因を明らかにすること。
正答: ④生前に行われた治療の効果を明らかにすること。・⑤病気で亡くなった人の死因を明らかにすること。
ポイント
病理解剖は病気で亡くなった患者の死因や病態、生前の診断・治療の妥当性を明らかにする目的で、遺族の承諾のもとに行われる解剖である。これに対し正常構造を調べるのは系統解剖、犯罪が疑われる死体を調べるのは司法解剖、災害死や異状死で事件性が不明な死体の死因究明は行政解剖(監察医制度)の対象であり、目的と法的根拠が異なる。●解剖の種類=病理解剖(死因・病態・治療効果の検証)・系統解剖(正常構造の教育・研究)・司法解剖(犯罪関連)・行政解剖(異状死の死因究明)。●病理解剖の根拠=死体解剖保存法・遺族の承諾。●関連制度=死亡時画像診断〈Ai〉・死因究明等推進。
選択肢ごとの解説
- ① 人体の正常構造を明らかにするのは系統解剖の目的である。
- ② 犯罪との関係が疑われる死体を調べるのは司法解剖の目的である。
- ③ 災害死などの死因究明は行政解剖の対象で、病理解剖とは異なる。
- ④ 正しい。生前に行われた治療の効果を明らかにすることは病理解剖の目的である。
- ⑤ 正しい。病気で亡くなった人の死因を明らかにすることは病理解剖の目的である。
第69回 午前47(病理組織細胞学)
H-E染色標本とパラフィンブロックの肉眼写真を別に示す。H-E染色標本にみられる問題の原因はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA047.a8d0d9b875.jpg

- ①ホルマリン固定不足
- ②パラフィン浸透不足
- ③薄切の面出し不足
- ④切片の伸展不足
- ⑤染色時の切片剝離
正答: ③薄切の面出し不足
ポイント
ヘマトキシリン・エオジン〈H-E〉染色標本で組織の一部が欠けて目的の像が得られない場合、パラフィンブロックの組織面が十分に削り出されておらず(面出し不足)、目的の組織断面が露出していないことが原因となる。ブロックの肉眼像で組織が一部しか出ていなければ、薄切前の面出し(荒削り)が不十分と判断できる。固定不足やパラフィン浸透不足は組織全体の染色性や硬度の問題、伸展不足はしわ、染色時の切片剝離はスライドからの脱落として現れる別の現象である。●標本作製の工程=固定→脱水→パラフィン包埋→薄切(面出し→本薄切)→伸展→染色→封入。●工程ごとの不具合=固定不足(中心部の自己融解)・浸透不足(薄切時の崩れ)・面出し不足(組織欠損)・伸展不足(しわ)・剝離(切片の脱落)。
選択肢ごとの解説
- ① ホルマリン固定不足は組織中心部の染色性低下や自己融解として現れ、面が出ていない原因とは異なる。
- ② パラフィン浸透不足は組織の硬化不良や薄切時の崩れとして現れる。
- ③ 正しい。ブロックの面出し(荒削り)が不十分で目的組織が露出しておらず像が欠ける。
- ④ 切片の伸展不足は切片のしわとして現れ、組織が出ない原因ではない。
- ⑤ 染色時の切片剝離はスライドからの脱落として現れる別の問題である。
第69回 午前48(病理組織細胞学)
気管支の特殊染色標本を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA048.fa0da10ca7.jpg

- ①Nile blue染色
- ②Berlin blue染色
- ③Alcian blue染色
- ④Victoria blue染色
- ⑤toluidine blue染色
正答: ③Alcian blue染色
ポイント
Alcian blue染色は酸性ムコ多糖(酸性粘液)を青色に染める特殊染色で、気管支の杯細胞や粘液腺が産生する酸性粘液の証明に用いられる。気管支標本で粘液産生細胞が青染されていればAlcian blueと判定できる。Nile blueは脂質、Berlin blueは鉄(ヘモジデリン)、Victoria blueは弾性線維やHBs抗原、toluidine blueは肥満細胞などの異染性(メタクロマジー)を示す染色で、それぞれ対象が異なる。●粘液(多糖)の染色=PAS染色(中性粘液・グリコーゲン)・Alcian blue(酸性粘液)。●鉄=Berlin blue(プルシアンブルー)。●弾性線維=Victoria blue・elastica van Gieson〈EVG〉。●異染性=toluidine blue(肥満細胞・軟骨基質)。
選択肢ごとの解説
- ① Nile blue染色は脂質を染める方法で、酸性粘液の証明には用いない。
- ② Berlin blue染色は鉄(ヘモジデリン)を青く染める方法である。
- ③ 正しい。Alcian blue染色は酸性ムコ多糖(酸性粘液)を青染する特殊染色である。
- ④ Victoria blue染色は弾性線維やHBs抗原の証明に用いる。
- ⑤ toluidine blue染色は肥満細胞などの異染性を示す染色である。
第69回 午前49(病理組織細胞学)
甲状腺濾胞細胞で産生されるのはどれか。
- ①カルシトニン
- ②パラトルモン
- ③ソマトスタチン
- ④サイログロブリン
- ⑤甲状腺刺激ホルモン
正答: ④サイログロブリン
ポイント
甲状腺の濾胞上皮細胞(濾胞細胞)はサイログロブリンを産生して濾胞腔のコロイドに貯蔵し、これを材料に甲状腺ホルモン(トリヨードサイロニンT3・サイロキシンT4)を合成する。カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)が産生し、パラトルモンは副甲状腺、ソマトスタチンは膵・消化管・視床下部、甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉は下垂体前葉から分泌され、いずれも濾胞細胞の産物ではない。●甲状腺の細胞と産物=濾胞細胞(サイログロブリン・T3・T4)・傍濾胞細胞C細胞(カルシトニン)。●カルシウム調節=カルシトニン(下げる)・パラトルモン(上げる)・活性型ビタミンD。●甲状腺機能の調節軸=視床下部TRH→下垂体TSH→甲状腺。
選択肢ごとの解説
- ① カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)が産生する。
- ② パラトルモンは副甲状腺から分泌される。
- ③ ソマトスタチンは膵・消化管・視床下部などで産生される。
- ④ 正しい。サイログロブリンは甲状腺濾胞細胞が産生し甲状腺ホルモンの前駆体となる。
- ⑤ 甲状腺刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌される。
第69回 午前50(病理組織細胞学)
平滑筋で構成されるのはどれか。
正答: ⑤子宮筋層
ポイント
平滑筋は横紋をもたない不随意筋で、内臓壁・血管壁・子宮などに分布する。子宮筋層(子宮平滑筋)は平滑筋で構成される。心筋は横紋をもつ不随意筋、舌筋・横隔膜・表情筋はいずれも横紋をもつ随意の骨格筋であり、平滑筋ではない。平滑筋は紡錘形の単核細胞からなり、自律神経やホルモンの支配を受けてゆっくり持続的に収縮する。●筋組織の分類=骨格筋(横紋・随意・多核)・心筋(横紋・不随意・介在板)・平滑筋(無横紋・不随意・紡錘形単核)。●平滑筋の分布=消化管・血管・気管支・膀胱・子宮。●骨格筋の例=舌筋・横隔膜・表情筋・四肢の筋。
選択肢ごとの解説
- ① 心筋は横紋をもつ不随意筋で、平滑筋ではない。
- ② 舌筋は横紋をもつ骨格筋である。
- ③ 横隔膜は呼吸運動を担う骨格筋である。
- ④ 表情筋は横紋をもつ骨格筋である。
- ⑤ 正しい。子宮筋層は平滑筋で構成される。