第69回(2023) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第69回 午前51(病理組織細胞学)
血栓の誘因となりにくいのはどれか。
- ①喫煙
- ②悪性腫瘍
- ③心房細動
- ④脂質異常症
- ⑤ビタミンK欠乏
正答: ⑤ビタミンK欠乏
ポイント
血栓形成にはVirchowの三徴(血管内皮障害・血流の停滞や乱流・血液凝固能の亢進)が関与する。喫煙は内皮障害と血小板活性化、悪性腫瘍は組織因子放出による凝固亢進、心房細動は左心房内の血流停滞、脂質異常症は動脈硬化を介して血栓を促進する。一方ビタミンKは第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子およびプロテインC・Sの生合成(γ-カルボキシル化)に必須であり、その欠乏は凝固因子産生低下を招いて出血傾向に傾くため、血栓は形成されにくい。
●Virchowの三徴=血管内皮障害(喫煙・高血圧・動脈硬化)・血流停滞や乱流(心房細動・長期臥床・静脈瘤)・凝固能亢進(悪性腫瘍・妊娠・脱水・抗リン脂質抗体症候群)。
●ビタミンK依存性因子=第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子・プロテインC・プロテインS。
●出血傾向をきたす病態=ビタミンK欠乏・肝障害・播種性血管内凝固〈DIC〉・血友病。
選択肢ごとの解説
- ① 喫煙は血管内皮を傷害し血小板を活性化させるため、血栓の誘因となる。
- ② 悪性腫瘍は組織因子などを介して凝固能を亢進させ血栓を生じやすい(Trousseau症候群)。
- ③ 心房細動は左心房内に血流停滞をきたし、左心耳に血栓を形成しやすい。
- ④ 脂質異常症は動脈硬化を促進し、プラーク破綻を介して血栓の誘因となる。
- ⑤ 誤り。ビタミンK欠乏は凝固因子の産生低下を招き出血傾向となるため、血栓の誘因にはなりにくい。
第69回 午前52(病理組織細胞学)
我が国における肺の悪性腫瘍のうち最も頻度が高いのはどれか。
- ①腺癌
- ②小細胞癌
- ③大細胞癌
- ④扁平上皮癌
- ⑤悪性中皮腫
正答: ①腺癌
ポイント
我が国の原発性肺癌では腺癌が最も多く、非喫煙者や女性にも発生し肺野末梢に好発する。次いで扁平上皮癌が多く、喫煙との関連が強く肺門部の太い気管支に生じやすい。小細胞癌は神経内分泌腫瘍で増殖が速く早期に転移し、悪性中皮腫はアスベスト(石綿)曝露に関連する胸膜腫瘍で肺実質原発の癌ではない。
●非小細胞癌=腺癌(最多・末梢発生)・扁平上皮癌(喫煙関連・肺門部)・大細胞癌(未分化・まれ)。
●小細胞癌=神経内分泌腫瘍・増殖が速い・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群〈SIADH〉等の傍腫瘍症候群。
●胸膜腫瘍=悪性中皮腫(アスベスト曝露関連)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。腺癌は我が国の肺悪性腫瘍で最も頻度が高く、肺野末梢に好発する。
- ② 小細胞癌は神経内分泌性で増殖が速いが、腺癌より頻度は低い。
- ③ 大細胞癌は未分化な非小細胞癌で、頻度はまれである。
- ④ 扁平上皮癌は喫煙関連で肺門部に多いが、頻度は腺癌に次ぐ。
- ⑤ 悪性中皮腫はアスベスト曝露に関連する胸膜腫瘍で、肺実質原発の癌ではなく頻度も低い。
第69回 午前53(病理組織細胞学)
遺伝子解析の際に推奨される脱灰液はどれか。
- ①3%塩酸水溶液
- ②5%硝酸水溶液
- ③5%トリクロロ酢酸水溶液
- ④エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉液
- ⑤プランク・リクロ〈Plank-Rychlo〉液
正答: ④エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉液
ポイント
脱灰には酸脱灰とキレート脱灰があり、強酸(塩酸・硝酸など)は脱灰が速いが核酸を断片化させ、遺伝子解析や免疫染色には不向きである。エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉はカルシウムをキレートして緩徐に脱灰し、DNA・RNAや抗原性の保持に優れるため、遺伝子解析を予定する検体に推奨される。Plank-Rychlo液は塩化アルミニウム・塩酸・ギ酸を含む急速脱灰液で、組織や核酸への損傷が大きい。
●酸脱灰(速いが核酸・抗原に不利)=塩酸・硝酸・ギ酸・トリクロロ酢酸・Plank-Rychlo液。
●キレート脱灰(緩徐で核酸・抗原を保持)=EDTA。
●脱灰終了判定=物理的(穿刺)法・化学的(シュウ酸アンモニウム)法・エックス線法。
選択肢ごとの解説
- ① 塩酸水溶液は強酸で脱灰は速いが、核酸を断片化し遺伝子解析には適さない。
- ② 硝酸水溶液も強酸の急速脱灰液で、DNAの損傷が大きく遺伝子解析に不向きである。
- ③ トリクロロ酢酸は酸脱灰液で核酸保持には不利である。
- ④ 正しい。EDTA液はキレート脱灰で緩徐に作用し、DNA・RNAや抗原性を保持するため遺伝子解析に推奨される。
- ⑤ Plank-Rychlo液は塩化アルミニウム・塩酸・ギ酸を含む急速脱灰液で核酸の損傷が大きく、遺伝子解析には不適である。
第69回 午前54(病理組織細胞学)
細胞診検査材料のうち、最も低速遠心で集細胞法を行うのはどれか。
正答: ④髄液
ポイント
細胞診の集細胞(遠心)では、細胞密度が高く粘稠な検体ほど高速で、細胞数が少なく細胞変性を避けたい検体ほど低速で行う。髄液は細胞数がきわめて少なく細胞も脆弱なため、最も低速かつ短時間の遠心、あるいはサイトスピン(オートスメア)が用いられる。尿・胸水・膵液・胆汁はそれよりやや高い回転で集細胞される。
●細胞数が少なく低速集細胞=髄液(サイトスピン併用)。
●体腔液(やや高速)=胸水・腹水・心嚢液。
●その他の細胞診検体=尿(剥離細胞)・喀痰・膵液・胆汁・擦過検体。
●集細胞・標本作製法=遠心沈殿法・サイトスピン法・液状化検体細胞診〈LBC〉。
選択肢ごとの解説
- ① 尿は細胞成分の回収のため髄液より高い回転数で遠心される。
- ② 胸水は細胞数が比較的多く、髄液より高速で集細胞する。
- ③ 膵液は粘稠で細胞も含むため、髄液より高い回転数を要する。
- ④ 正しい。髄液は細胞数が少なく細胞も脆弱なため、最も低速で集細胞法を行う。
- ⑤ 胆汁は細胞回収のため髄液より高い回転数で遠心される。
第69回 午前55(病理組織細胞学)
急性炎症で特徴的にみられる現象はどれか。2つ選べ。
- ①好中球浸潤
- ②リンパ球浸潤
- ③血漿成分の滲出
- ④組織構築の改変
- ⑤線維芽細胞の増殖
正答: ①好中球浸潤・③血漿成分の滲出
ポイント
急性炎症では血管透過性亢進により血漿成分が組織へ滲出して浮腫を生じ、好中球が遊走・浸潤して貪食を行うのが特徴である。リンパ球やマクロファージ・形質細胞の浸潤、線維芽細胞増殖、組織構築の改変(リモデリング)は、より遷延した慢性炎症や修復過程で目立つ所見である。
●急性炎症の徴候=発赤・腫脹・熱感・疼痛・機能障害(炎症の五徴)。
●急性炎症の主体細胞・反応=好中球浸潤・血管透過性亢進と血漿滲出・充血・浮腫。
●慢性炎症の主体=リンパ球・形質細胞・マクロファージ浸潤・肉芽組織形成・線維化(線維芽細胞増殖)。
●滲出液の分類=漿液性・線維素性・化膿性・出血性。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。好中球浸潤は急性炎症に特徴的な細胞反応である。
- ② リンパ球浸潤は主に慢性炎症でみられる所見である。
- ③ 正しい。血管透過性亢進による血漿成分の滲出は急性炎症の特徴である。
- ④ 組織構築の改変(リモデリング)は慢性炎症や修復で生じる。
- ⑤ 線維芽細胞の増殖は慢性炎症・線維化など修復過程でみられる。
第69回 午前56(病理組織細胞学)
静脈血が流れているのはどれか。2つ選べ。
- ①大動脈
- ②肺動脈
- ③臍帯動脈
- ④気管支動脈
- ⑤総腸骨動脈
正答: ②肺動脈・③臍帯動脈
ポイント
静脈血とは酸素分圧の低い血液を指し、必ずしも静脈を流れる血液とは限らない。肺循環では肺動脈が右心室から肺へ向かう酸素の少ない静脈血を運び、肺静脈が酸素化された動脈血を心臓へ戻す。胎児循環では臍帯動脈が胎児から胎盤へ向かう静脈血を運び、臍帯静脈が酸素豊富な動脈血を胎児へ運ぶ。
●静脈血(酸素の少ない血液)が流れる動脈=肺動脈・臍帯動脈。
●動脈血(酸素豊富な血液)が流れる静脈=肺静脈・臍帯静脈。
●胎児循環の短絡=卵円孔・動脈管〈Botallo管〉・静脈管〈Arantius管〉。
選択肢ごとの解説
- ① 大動脈は左心室から全身へ酸素化された動脈血を送る。
- ② 正しい。肺動脈は右心室から肺へ向かう酸素の少ない静脈血を運ぶ。
- ③ 正しい。臍帯動脈は胎児から胎盤へ向かう静脈血を運ぶ。
- ④ 気管支動脈は大動脈の枝で動脈血を肺組織へ供給する。
- ⑤ 総腸骨動脈は大動脈の分枝であり動脈血が流れる。
第69回 午前57(病理組織細胞学)
H-E染色のエオジン液に加えるのはどれか。
正答: ②酢酸
ポイント
ヘマトキシリン・エオジン〈H-E〉染色のエオジンは酸性色素で、細胞質や膠原線維などの好酸性成分を赤く染める。エオジン液には酢酸を少量加えて液を弱酸性に保つことで、染色の鮮明さとコントラストを高める。塩酸は分別(脱色)に、アンモニアや炭酸リチウムはヘマトキシリンの色出し(青化)に用いられる。
●エオジン液に加える=酢酸(弱酸性化・コントラスト向上)。
●ヘマトキシリンの分別(脱色)=塩酸(塩酸アルコール)。
●核染色後の色出し(青化)=アンモニア水・炭酸リチウム・水道水。
●代表的ヘマトキシリン=Mayer・Carazzi・Gill。
選択肢ごとの解説
- ① 塩酸はヘマトキシリンの分別(脱色)に用いる。
- ② 正しい。酢酸をエオジン液に加えて弱酸性に保ち、染色のコントラストを高める。
- ③ 硫酸はH-E染色のエオジン液には用いない。
- ④ アンモニアはヘマトキシリンの色出し(青化)に用いる。
- ⑤ 炭酸リチウムも核染色後の青化(色出し)に用いる。
第69回 午前58(病理組織細胞学)
縦隔に含まれない臓器はどれか。
正答: ①肺
ポイント
縦隔は左右の肺に挟まれた胸郭中央の領域で、心臓・大血管・気管・食道・胸腺・神経・リンパ節などを含む。肺は縦隔の両側に位置する臓器であり、縦隔の構成には含まれない。縦隔は上・前・中・後縦隔に区分され、各臓器が分布する。
●上縦隔=胸腺上部・大血管(大動脈弓・上大静脈)・気管・食道。
●前縦隔=胸腺・脂肪・リンパ節。
●中縦隔=心臓・心膜・上行大動脈・気管分岐部。
●後縦隔=食道・下行大動脈・胸管・交感神経幹・奇静脈。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。肺は縦隔の両側に位置し、縦隔には含まれない。
- ② 気管は縦隔(上縦隔・中縦隔)に含まれる。
- ③ 胸腺は上縦隔(前縦隔)に含まれる。
- ④ 食道は後縦隔に含まれる。
- ⑤ 心臓は中縦隔に含まれる。
第69回 午前59(臨床血液学)
正しいのはどれか。
- ①Bリンパ球は胸腺で成熟する。
- ②髄外造血は胎生期に認められる。
- ③免疫グロブリンは肝臓で合成される。
- ④エリスロポエチンは骨髄で産生される。
- ⑤トロンボポエチンは脾臓で産生される。
正答: ②髄外造血は胎生期に認められる。
ポイント
造血は胎生期に卵黄嚢で始まり、肝臓・脾臓などの髄外で行われた後、出生後は骨髄が主体となる。胎生期の髄外造血は生理的な現象である。Tリンパ球は胸腺で成熟し、Bリンパ球は骨髄で成熟する。エリスロポエチンは主に腎臓で、トロンボポエチンは主に肝臓で産生され、免疫グロブリンは形質細胞が産生する。
●リンパ球の成熟部位=T細胞は胸腺・B細胞は骨髄。
●造血を調節する液性因子と産生部位=エリスロポエチン(腎臓)・トロンボポエチン(肝臓)・顆粒球コロニー刺激因子〈G-CSF〉。
●胎生期の造血部位の移行=卵黄嚢→肝臓・脾臓(髄外造血)→骨髄。
●病的髄外造血=骨髄線維症・慢性溶血性貧血。
選択肢ごとの解説
- ① Bリンパ球は骨髄で成熟する。胸腺で成熟するのはTリンパ球である。
- ② 正しい。髄外造血(卵黄嚢・肝・脾など)は胎生期に生理的に認められる。
- ③ 免疫グロブリンは形質細胞(B細胞由来)が合成し、肝臓ではない。
- ④ エリスロポエチンは主に腎臓で産生される。
- ⑤ トロンボポエチンは主に肝臓で産生される。
第69回 午前60(臨床血液学)
血液塗抹標本の染色法について誤っているのはどれか。
- ①正常赤芽球はPAS染色で陰性となる。
- ②鉄染色は鉄芽球性貧血の診断に有用である。
- ③May-Giemsa染色は細胞形態の観察に適する。
- ④成熟好中球はペルオキシダーゼ染色で陽性となる。
- ⑤特異的エステラーゼ染色はフッ化ナトリウムで阻害される。
正答: ⑤特異的エステラーゼ染色はフッ化ナトリウムで阻害される。
ポイント
細胞化学染色は白血病細胞などの系統同定に有用である。特異的(ナフトールAS-Dクロロアセテート)エステラーゼは顆粒球系を染め、非特異的エステラーゼは単球系を染めてフッ化ナトリウムで阻害される。したがってフッ化ナトリウムで阻害されるのは非特異的エステラーゼであり、特異的エステラーゼは阻害されない。
●ペルオキシダーゼ陽性=顆粒球系(成熟好中球など)・骨髄性白血病の鑑別。
●エステラーゼ=特異的(顆粒球系・NaFで非阻害)・非特異的(単球系・NaFで阻害)。
●鉄染色(ベルリン青反応)=鉄芽球性貧血の環状鉄芽球検出。
●PAS染色=赤白血病の赤芽球やリンパ性白血病で陽性、正常赤芽球は陰性。
選択肢ごとの解説
- ① 正常赤芽球はPAS染色で陰性となり、正しい記述である。
- ② 鉄染色(ベルリン青反応)は鉄芽球性貧血で環状鉄芽球を検出でき有用であり、正しい。
- ③ May-Giemsa染色は細胞形態の観察に広く用いられ適しており、正しい。
- ④ 成熟好中球はミエロペルオキシダーゼを含みペルオキシダーゼ染色で陽性となり、正しい。
- ⑤ 誤り。フッ化ナトリウムで阻害されるのは非特異的エステラーゼであり、特異的エステラーゼは阻害されない。
📋 まとめの表を見る:血液細胞化学染色(特殊染色)の目的・判定・臨床意義
第69回 午前61(臨床血液学)
赤血球沈降速度が遅延するのはどれか。2つ選べ。
- ①関節リウマチ
- ②真性赤血球増加症
- ③ネフローゼ症候群
- ④原発性マクログロブリン血症
- ⑤先天性無フィブリノゲン血症
正答: ②真性赤血球増加症・⑤先天性無フィブリノゲン血症
ポイント
赤血球沈降速度〈赤沈〉は、赤血球の連銭形成を促す血漿蛋白(フィブリノゲンやグロブリン)の増加で亢進し、赤血球数の増加やフィブリノゲン低下で遅延する。真性赤血球増加症は赤血球数増多により赤沈が遅延し、先天性無フィブリノゲン血症は連銭形成を促す蛋白の欠如で遅延する。関節リウマチ・ネフローゼ症候群・原発性マクログロブリン血症は炎症蛋白やグロブリン増加で赤沈が亢進する。
●赤沈遅延=多血症(真性赤血球増加症)・無/低フィブリノゲン血症(先天性無フィブリノゲン血症・DIC)・著明な赤血球増加。
●赤沈亢進=炎症(関節リウマチ・感染症)・高グロブリン血症(多発性骨髄腫・マクログロブリン血症)・貧血・ネフローゼ症候群(高フィブリノゲン血症)。
●赤沈に影響する因子=血漿蛋白(フィブリノゲン・グロブリン)・赤血球数・赤血球形態。
選択肢ごとの解説
- ① 関節リウマチは炎症によりフィブリノゲンなどが増加し赤沈は亢進する。
- ② 正しい。真性赤血球増加症は赤血球数の増多により赤沈が遅延する。
- ③ ネフローゼ症候群は高フィブリノゲン血症などにより赤沈が亢進する。
- ④ 原発性マクログロブリン血症はIgM増加により赤沈が著明に亢進する。
- ⑤ 正しい。先天性無フィブリノゲン血症は連銭形成を促す蛋白を欠き赤沈が遅延する。
第69回 午前62(臨床血液学)
自動血球計数測定値の誤差要因とその影響の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①寒冷凝集素 — 赤血球数偽低値
- ②巨大血小板 — 血小板数偽高値
- ③破砕赤血球 — 血小板数偽低値
- ④有核赤血球 — 白血球数偽低値
- ⑤クリオグロブリン — 白血球数偽高値
正答: ①寒冷凝集素 — 赤血球数偽低値・⑤クリオグロブリン — 白血球数偽高値
ポイント
自動血球計数では検体性状により偽値を生じる。寒冷凝集素は赤血球を凝集させて赤血球数を偽低値とし、平均赤血球容積などにも影響する。クリオグロブリンは低温で析出した蛋白凝集塊が粒子として計数され白血球数を偽高値とする。巨大血小板は白血球域に計数され血小板偽低値、破砕赤血球は血小板域に計数され血小板偽高値、有核赤血球は白血球域に計数され白血球偽高値となる。
●赤血球数偽低値=寒冷凝集素(凝集)。
●白血球数偽高値=クリオグロブリン・有核赤血球・凝集塊・未溶血赤血球。
●血小板数偽低値=巨大血小板・血小板凝集(EDTA依存性偽性血小板減少)。
●血小板数偽高値=破砕赤血球・小型の脂質粒子や細胞断片。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。寒冷凝集素は赤血球を凝集させ、赤血球数を偽低値とする。
- ② 巨大血小板は白血球域に計数されやすく、血小板数は偽低値となる(偽高値ではない)。
- ③ 破砕赤血球は血小板域に計数され血小板数を偽高値とする(偽低値ではない)。
- ④ 有核赤血球は白血球域に計数され白血球数を偽高値とする(偽低値ではない)。
- ⑤ 正しい。クリオグロブリンの析出塊が粒子として計数され白血球数を偽高値とする。
📋 まとめの表を見る:自動血球計数装置における主な偽値(測定誤差)要因
第69回 午前63(臨床血液学)
引きガラス(ウェッジ)法での末梢血液塗抹標本の作製について誤っているのはどれか。
- ①大型細胞は引き終わりに分布しやすい。
- ②塗抹後は速やかに温風で十分に乾燥させる。
- ③塗抹の厚さは引きガラスの角度に影響される。
- ④塗抹スピードが速いと塗抹面の長さは短くなる。
- ⑤血球形態への影響を避けるため採血後速やかに作製する。
正答: ②塗抹後は速やかに温風で十分に乾燥させる。
ポイント
ウェッジ(引きガラス)法では塗抹後に振り乾燥や室温乾燥で速やかに自然乾燥させる。温風で過度に乾燥させると赤血球の収縮や変形などのアーチファクトを生じるため、温風で十分乾燥させるのは適切でない。塗抹の厚さや長さは引きガラスの角度・速度・血液量で変化し、大型細胞は引き終わり(末梢部や辺縁)に分布しやすい。
●良好な塗抹標本の条件=適切な厚さ・舌状で先端に厚い部分(フェザーエッジ)・気泡や穴がない。
●塗抹に影響する因子=引きガラスの角度(大で厚い)・塗抹速度(速いと短い)・血液量・ヘマトクリット。
●乾燥・固定=速やかな自然乾燥(温風は避ける)→メタノール固定。
●大型細胞の分布=単球・芽球・巨大血小板は辺縁や引き終わりに偏る。
選択肢ごとの解説
- ① 大型細胞(単球や芽球など)は引き終わりに分布しやすく、正しい記述である。
- ② 誤り。温風で十分に乾燥させると赤血球が変形しアーチファクトを生じるため適切でない。
- ③ 塗抹の厚さは引きガラスの角度で変わり、正しい記述である。
- ④ 塗抹スピードが速いと塗抹面が短くなり、正しい記述である。
- ⑤ 採血後速やかに作製することは血球形態の保持に重要で、正しい記述である。
第69回 午前64(臨床血液学)
末梢血細胞のMay-Giemsa染色標本とフローサイトメトリの所見を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA064.52999a269d.jpg

- ①急性単球性白血病
- ②急性リンパ性白血病
- ③成人T細胞白血病
- ④慢性骨髄単球性白血病
- ⑤慢性リンパ性白血病
正答: ⑤慢性リンパ性白血病
ポイント
成人で成熟した小型リンパ球が著増し、塗抹標本で壊れた核(バスケット細胞・smudge cell)がみられ、フローサイトメトリでCD5・CD19・CD23陽性のB細胞単クローン性増殖を示す所見は慢性リンパ性白血病〈CLL〉に合致する。芽球が主体となる急性白血病や、花弁状核を示す成人T細胞白血病とは形態・表面マーカーが異なる。
●成熟リンパ系腫瘍=慢性リンパ性白血病(CD5・CD19・CD23陽性B細胞・smudge cell)・成人T細胞白血病〈ATL〉(花弁状核・HTLV-1)。
●急性白血病(芽球主体)=急性リンパ性白血病・急性単球性白血病(単芽球・前単球)。
●骨髄異形成/骨髄増殖=慢性骨髄単球性白血病〈CMML〉(単球増多・異形成)。
選択肢ごとの解説
- ① 急性単球性白血病は単芽球・前単球が主体で、本所見の成熟リンパ球像と合わない。
- ② 急性リンパ性白血病はリンパ芽球が主体で、成熟リンパ球の増加とは異なる。
- ③ 成人T細胞白血病は花弁状核の異常T細胞を示し、本症のB細胞所見と異なる。
- ④ 慢性骨髄単球性白血病は単球増多と異形成が特徴で、本所見と合わない。
- ⑤ 正しい。成熟小型リンパ球増多とCD5・CD19・CD23陽性のB細胞増殖は慢性リンパ性白血病に合致する。
📋 まとめの表を見る:主な白血病・骨髄腫の細胞表面マーカー(CD抗原)パターン
CD5は本来T細胞抗原だが、CLLでは腫瘍性B細胞に共発現する。軽鎖(κ/λ)の偏り(軽鎖制限)もB細胞腫瘍性増殖の指標となる。
第69回 午前65(臨床血液学)
骨髄芽球に当てはまるのはどれか。2つ選べ。
- ①核小体を認める。
- ②N/C比が小さい。
- ③二次顆粒を認める。
- ④細胞質は好塩基性が強い。
- ⑤核クロマチン構造が粗剛である。
正答: ①核小体を認める。・④細胞質は好塩基性が強い。
ポイント
骨髄芽球は最も未熟な顆粒球系細胞で、核細胞質比〈N/C比〉が大きく、明瞭な核小体を認め、クロマチンは繊細(網状)で細胞質は好塩基性が強く、特異的(二次)顆粒を欠く。二次顆粒の出現や核クロマチンの粗剛化は、より成熟した段階の特徴である。
●骨髄芽球の特徴=N/C比大・明瞭な核小体・繊細なクロマチン・強い好塩基性細胞質・二次顆粒なし。
●顆粒球系の成熟過程=骨髄芽球→前骨髄球(アズール顆粒/一次顆粒)→骨髄球(二次顆粒出現)→後骨髄球→桿状核球→分葉核球。
●成熟に伴う変化=N/C比低下・核小体消失・クロマチン粗剛化・特異顆粒出現。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。骨髄芽球は明瞭な核小体を認める。
- ② 骨髄芽球はN/C比が大きく、小さくはない。
- ③ 二次(特異)顆粒は骨髄球以降に出現し、骨髄芽球にはない。
- ④ 正しい。骨髄芽球は細胞質の好塩基性が強い。
- ⑤ 骨髄芽球のクロマチンは繊細で、粗剛ではない。
📋 まとめの表を見る:好中球(顆粒球)系の分化・成熟段階
この後、後骨髄球→桿状核球→分節核好中球へとさらに成熟する。
第69回 午前66(臨床血液学)
フィブリノゲンについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①急性炎症で上昇する。
- ②血中で最も高濃度な蛋白質である。
- ③トロンビン時間法により測定される。
- ④3種類のペプチド鎖が3量体になった構造である。
- ⑤プラスミンで分解されるとDダイマーが遊離する。
正答: ①急性炎症で上昇する。・③トロンビン時間法により測定される。
ポイント
フィブリノゲン(第Ⅰ因子)は肝臓で産生される急性相反応蛋白で、炎症時に上昇する。トロンビンによりフィブリンへ転換され、その時間を測定するトロンビン時間法(Clauss法)で機能的に測定される。分子はAα・Bβ・γ鎖が2本ずつ計6本からなる二量体構造で、プラスミンによる分解産物のうちDダイマーは安定化フィブリンの分解で生じる。血中で最も高濃度な蛋白はアルブミンである。
●フィブリノゲン=肝産生・急性相反応蛋白・トロンビンでフィブリン化・Clauss法で測定。
●分子構造=(Aα・Bβ・γ)が2組の二量体(6本鎖)。
●線溶系マーカー=FDP(フィブリン/フィブリノゲン分解産物)・Dダイマー(安定化フィブリン分解で特異的に上昇)。
●血漿蛋白の濃度=アルブミンが最多、次いでグロブリン・フィブリノゲン。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。フィブリノゲンは急性相反応蛋白で炎症時に上昇する。
- ② 血中で最も高濃度な蛋白質はアルブミンであり、フィブリノゲンではない。
- ③ 正しい。フィブリノゲンはトロンビン時間法(Clauss法)で測定される。
- ④ フィブリノゲンはAα・Bβ・γ鎖が2本ずつの二量体構造で、3量体ではない。
- ⑤ Dダイマーは安定化フィブリンの分解で生じ、フィブリノゲンそのものの分解では遊離しない。
第69回 午前67(臨床血液学)
正しいのはどれか。
- ①ヘムには3価の鉄原子が含まれる。
- ②鉄は血漿中でトランスフェリンに結合している。
- ③赤血球におけるATP供給はクエン酸回路による。
- ④ヘモグロビンの酸素飽和性はpHが上昇すると減少する。
- ⑤健常成人のヘモグロビンの約50%をヘモグロビンA2が占める。
正答: ②鉄は血漿中でトランスフェリンに結合している。
ポイント
ヘム鉄は2価(Fe²⁺)の状態で酸素を可逆的に結合する。血漿中の鉄はトランスフェリンに結合して運搬される。成熟赤血球はミトコンドリアを欠くため、解糖系(Embden-Meyerhof経路)でATPを得る。ヘモグロビンの酸素親和性はpH上昇(アルカリ化)で増大し、ヘモグロビンA2は健常成人で約2〜3%を占めるにすぎない。
●鉄代謝=吸収(十二指腸・2価で吸収)・運搬(トランスフェリン・3価)・貯蔵(フェリチン・ヘモジデリン)。
●赤血球のエネルギー代謝=解糖系(ATP産生)・ペントースリン酸経路(NADPH・抗酸化)。
●酸素解離曲線の右方移動(親和性低下)=pH低下・二酸化炭素分圧上昇・体温上昇・2,3-DPG増加(Bohr効果)。
●正常成人ヘモグロビン分画=HbA(約97%)・HbA2(約2〜3%)・HbF(約1%未満)。
選択肢ごとの解説
- ① ヘム中の鉄は2価(Fe²⁺)であり、3価ではない。
- ② 正しい。血漿中の鉄はトランスフェリンに結合して運搬される。
- ③ 成熟赤血球はミトコンドリアを欠き、ATPは解糖系(クエン酸回路ではない)で供給される。
- ④ pH上昇で酸素親和性は増大し飽和度は高まるため、減少ではない。
- ⑤ ヘモグロビンA2は健常成人で約2〜3%にすぎず、約50%ではない。
📋 まとめの表を見る:ヘモグロビン〈Hb〉の分画と異常ヘモグロビン
ヘム鉄は2価(Fe²⁺)。鉄は血漿中でトランスフェリンに結合して運搬され、成熟赤血球は解糖系(嫌気的)でATPを産生する。
第69回 午前68(臨床微生物学)
世代時間が最も長いのはどれか。
- ①Bacillus cereus
- ②Escherichia coli
- ③Mycobacterium tuberculosis
- ④Staphylococcus aureus
- ⑤Vibrio parahaemolyticus
正答: ③Mycobacterium tuberculosis
ポイント
世代時間(分裂に要する時間)は菌種で大きく異なる。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は脂質(ミコール酸)に富む細胞壁をもち増殖が極めて遅く、世代時間は十数時間に及び、培養に数週間を要する。大腸菌・黄色ブドウ球菌・腸炎ビブリオ・セレウス菌などは世代時間が20〜30分程度と短い。
●世代時間が長い(発育が遅い)=抗酸菌(結核菌・非結核性抗酸菌)。
●世代時間が短い(発育が速い)=大腸菌・黄色ブドウ球菌・腸炎ビブリオ・セレウス菌・腸内細菌科。
●抗酸菌の特徴=Ziehl-Neelsen染色陽性・脂質に富む細胞壁・小川培地など特殊培地・週単位の培養。
選択肢ごとの解説
- ① Bacillus cereusは世代時間が短く、増殖は速い。
- ② Escherichia coliは世代時間が約20分と短い。
- ③ 正しい。Mycobacterium tuberculosisは世代時間が十数時間と最も長く、増殖が遅い。
- ④ Staphylococcus aureusは世代時間が短く増殖は速い。
- ⑤ Vibrio parahaemolyticusは世代時間が短く、むしろ増殖が速い菌である。
📋 まとめの表を見る:抗酸菌(Mycobacterium属)の分類(Runyon分類・発育速度・結核菌の特徴)
抗酸菌は世代時間が長く発育が遅い(培養に数週間を要する)。BCGワクチンには結核菌ではなくMycobacterium bovisの弱毒株が用いられる。Nocardia属は抗酸菌ではないが部分的な抗酸性を示す点で紛らわしい。
第69回 午前69(臨床微生物学)
多剤耐性結核菌の判定に用いないのはどれか。
- ①アミカシン
- ②イソニアジド
- ③リファンピシン
- ④レボフロキサシン
- ⑤ストレプトマイシン
正答: ⑤ストレプトマイシン
ポイント
多剤耐性結核菌〈MDR-TB〉はイソニアジドとリファンピシンの両方に耐性を示すものと定義され、超多剤耐性〈XDR-TB〉ではこれにフルオロキノロン(レボフロキサシンなど)や注射薬(アミカシンなど)への耐性が加わる。これらは耐性判定の対象薬となる。ストレプトマイシンは古くからの抗結核薬だが、現行のMDR/XDR-TBの定義上の判定薬には含まれない。
●一次抗結核薬=イソニアジド・リファンピシン・エタンブトール・ピラジナミド・ストレプトマイシン。
●MDR-TBの定義=イソニアジドとリファンピシンへの耐性。
●XDR-TBの定義に関わる薬=フルオロキノロン(レボフロキサシン)・注射用二次薬(アミカシン・カナマイシン)。
選択肢ごとの解説
- ① アミカシンは注射用抗結核薬で、超多剤耐性の判定に用いられる。
- ② イソニアジドは多剤耐性結核菌の定義に用いる中心的薬剤である。
- ③ リファンピシンは多剤耐性結核菌の定義に用いる中心的薬剤である。
- ④ レボフロキサシンはフルオロキノロンで、超多剤耐性の判定に用いられる。
- ⑤ 正しい。ストレプトマイシンは現行のMDR/XDR-TBの定義上の判定には用いられない。
第69回 午前70(臨床微生物学)
腸管感染症患者の下痢便のGram染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA070.8299fd2a3e.jpg

- ①Aeromonas hydrophila
- ②Campylobacter jejuni
- ③Helicobacter pylori
- ④Vibrio parahaemolyticus
- ⑤Yersinia enterocolitica
正答: ②Campylobacter jejuni
ポイント
腸管感染症患者の下痢便のGram染色で、らせん状またはカモメ翼状(gull-wing)に湾曲したGram陰性桿菌が観察される場合はCampylobacter属が代表的で、カンピロバクター腸炎の所見として矢印で示される。便の直接Gram染色で特徴的な菌形態を捉えることは迅速な推定診断に役立つ。図に示された湾曲した陰性桿菌は本菌に合致する。
●便Gram染色でみる湾曲・らせん菌=Campylobacter(カモメ翼状・微好気培養)・Vibrio(コンマ状)・Helicobacter(らせん状)。
●カンピロバクター腸炎=鶏肉等が原因・微好気で発育・Skirrow培地・Guillain-Barré症候群の先行感染。
●他の細菌性下痢起因菌=サルモネラ・赤痢菌・腸管出血性大腸菌・腸炎ビブリオ。
選択肢ごとの解説
- ① Aeromonas hydrophilaはグラム陰性桿菌だが、矢印の細く湾曲したS字状・カモメ翼状の形態はCampylobacterを示唆する。
- ② 正しい。矢印は赤く染まる細い湾曲した桿菌で、S字状・カモメ翼状にみえる。下痢便の所見と合わせてCampylobacter jejuniを選ぶ。
- ③ Helicobacter pyloriも湾曲・らせん状のグラム陰性桿菌だが、主に胃粘膜に感染する。本問の腸管感染症の下痢便と矢印の形態ではCampylobacter jejuniが合う。
- ④ Vibrio parahaemolyticusはコンマ状に湾曲するグラム陰性桿菌である。矢印のS字状・カモメ翼状の形態からはCampylobacter jejuniを選ぶ。
- ⑤ Yersinia enterocoliticaは短いグラム陰性桿菌で、矢印の細いS字状・カモメ翼状の形態とは異なる。
📋 まとめの表を見る:便のGram染色でみられる彎曲・らせん状グラム陰性桿菌の鑑別
第69回 午前71(臨床微生物学)
カルバペネム系抗菌薬が有効なのはどれか。
- ①メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉
- ②バンコマイシン耐性腸球菌〈VRE〉
- ③多剤耐性緑膿菌〈MDRP〉
- ④多剤耐性アシネトバクター〈MDRA〉
- ⑤基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉産生大腸菌
正答: ⑤基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉産生大腸菌
ポイント
カルバペネム系はβ-ラクタム系抗菌薬で、ESBLには分解されにくい。このため、本問ではESBL産生大腸菌が該当する。MRSAは低親和性PBP2'の獲得、MDRP・MDRAはカルバペネマーゼ、膜透過性低下、排出機構などによりカルバペネム耐性を示す。VREという名称はバンコマイシン耐性を表し、その主な機序であるD-Ala-D-Ala末端の変化を、カルバペネム耐性の機序として説明してはいけない。腸球菌のβ-ラクタム感受性は菌種やPBPなどに左右され、VRE感染症の治療薬としてカルバペネムを一律に選択することはできない。
●ESBL産生大腸菌=本問ではカルバペネムが有効。
●カルバペネムが無効な主な耐性菌=MRSA(PBP2')・MDRP・MDRA・カルバペネム耐性腸内細菌目細菌〈CRE〉。
●VREの代表的機序=VanA/VanB型では末端がD-Ala-D-Lacとなり、バンコマイシンの結合が低下する。
●代表的薬剤=MRSAにバンコマイシン/リネゾリド・VREにリネゾリド。
選択肢ごとの解説
- ① MRSAはPBP2'をもちβ-ラクタム系全般に耐性で、カルバペネムは無効である。
- ② VREはバンコマイシン耐性腸球菌を指す。β-ラクタム薬への感受性は菌種や耐性機序によって異なり、VREであることだけからカルバペネムが有効とは判断できないため、本問でカルバペネム系抗菌薬が有効な菌としては選ばない。
- ③ 多剤耐性緑膿菌はカルバペネムを含む複数系統に耐性で無効である。
- ④ 多剤耐性アシネトバクターもカルバペネム耐性を示し無効である。
- ⑤ 正しい。ESBL産生大腸菌に対しカルバペネムは酵素に安定で有効である。
第69回 午前72(臨床微生物学)
真菌に分類されるのはどれか。2つ選べ。
- ①Chlamydia trachomatis
- ②Cryptococcus neoformans
- ③Nocardia asteroides
- ④Pneumocystis jirovecii
- ⑤Treponema pallidum
正答: ②Cryptococcus neoformans・④Pneumocystis jirovecii
ポイント
真菌は真核生物で、細胞膜に主要ステロールとしてエルゴステロールを、細胞壁にβ-グルカンやキチンなどの多糖を含む(Pneumocystis jiroveciiは例外的に細胞膜のエルゴステロールを欠く)。Cryptococcus neoformansは莢膜をもつ酵母様真菌、Pneumocystis jiroveciiは分類上真菌に位置づけられる。一方Chlamydia trachomatisとTreponema pallidumは細菌、Nocardia asteroidesは放線菌(細菌)である。
●真菌=Cryptococcus neoformans(莢膜・墨汁法)・Pneumocystis jirovecii(β-D-グルカン上昇・免疫不全で肺炎)・Candida・Aspergillus。
●偏性細胞内寄生の細菌=Chlamydia trachomatis(クラミジア)。
●スピロヘータ(細菌)=Treponema pallidum(梅毒)。
●放線菌(細菌)=Nocardia・Actinomyces。
選択肢ごとの解説
- ① Chlamydia trachomatisは偏性細胞内寄生の細菌で、真菌ではない。
- ② 正しい。Cryptococcus neoformansは莢膜を有する酵母様真菌である。
- ③ Nocardia asteroidesは放線菌に属する細菌である。
- ④ 正しい。Pneumocystis jiroveciiは分類上真菌に位置づけられる。
- ⑤ Treponema pallidumはスピロヘータ(細菌)であり真菌ではない。
📋 まとめの表を見る:紛らわしい微生物の分類(真核生物か原核生物か)
原虫・真菌は核膜をもつ核を有する真核生物、細菌・リケッチア・クラミジア・マイコプラズマは核膜のない核様体をもつ原核生物である。ウイルスは細胞構造をもたないため、いずれにも分類されない。Pneumocystis jiroveciiとCryptococcus neoformansは名称や性状から誤認しやすいが真菌に分類される。逆にActinomyces・Nocardiaは放線菌、Treponemaはスピロヘータで、いずれも細菌(原核生物)である。
第69回 午前73(臨床微生物学)
培地と使用目的の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①Bordet-Gengou培地 — 選択分離
- ②Cary-Blair培地 — 性状確認
- ③King A培地 — 検体輸送
- ④LIM培地 — 選択増菌
- ⑤Mueller-Hinton寒天培地 — 薬剤感受性検査
正答: ①Bordet-Gengou培地 — 選択分離・⑤Mueller-Hinton寒天培地 — 薬剤感受性検査
ポイント
Bordet-Gengou培地は百日咳菌の選択分離に用いる。Mueller-Hinton寒天培地は薬剤感受性試験(ディスク拡散法など)の標準培地である。Cary-Blair培地は腸管病原菌の輸送培地、King A培地は緑膿菌のピオシアニン産生確認、LIM培地はリジン脱炭酸・インドール・運動性を確認する性状確認培地である。
●選択分離培地=Bordet-Gengou(百日咳菌)・SS寒天(サルモネラ・赤痢菌)・TCBS(ビブリオ)・マンニット食塩(ブドウ球菌)。
●輸送培地=Cary-Blair(腸管病原菌)・Amies・Stuart。
●性状確認培地=King A/B(緑膿菌色素)・LIM(リジン・インドール・運動性)・TSI/SIM。
●薬剤感受性検査用=Mueller-Hinton寒天(CLSI標準)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。Bordet-Gengou培地は百日咳菌の選択分離に用いる。
- ② Cary-Blair培地は性状確認ではなく検体輸送に用いる。
- ③ King A培地は検体輸送ではなく緑膿菌の色素(ピオシアニン)産生確認に用いる。
- ④ LIM培地は選択増菌ではなく性状確認(リジン・インドール・運動性)に用いる。
- ⑤ 正しい。Mueller-Hinton寒天培地は薬剤感受性検査の標準培地である。
📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地
第69回 午前74(臨床微生物学)
WHOが提唱している手指衛生のタイミングに含まれないのはどれか。
- ①無菌操作の前
- ②患者に触れる前
- ③患者に触れた後
- ④患者周辺の物品に触れる前
- ⑤体液に曝露された可能性のある場合
正答: ④患者周辺の物品に触れる前
ポイント
WHOの「手指衛生の5つのタイミング(My 5 Moments for Hand Hygiene)」は、患者に触れる前・清潔/無菌操作の前・体液曝露リスクの後・患者に触れた後・患者周辺の物品に触れた後、である。患者周辺の物品については「触れた後」が対象であり、「触れる前」は含まれない。
●WHOの5つのタイミング=(1)患者に触れる前 (2)清潔/無菌操作の前 (3)体液曝露の可能性の後 (4)患者に触れた後 (5)患者周辺の物品に触れた後。
●手指衛生の方法=アルコール手指消毒・流水と石けんによる手洗い(目に見える汚染や芽胞形成菌では流水手洗い)。
●標準予防策〈スタンダードプリコーション〉=手指衛生・個人防護具・呼吸器衛生・器具/環境管理。
選択肢ごとの解説
- ① 無菌操作の前は5つのタイミングに含まれる。
- ② 患者に触れる前は5つのタイミングに含まれる。
- ③ 患者に触れた後は5つのタイミングに含まれる。
- ④ 誤り。患者周辺の物品については「触れた後」が対象で、「触れる前」は含まれない。
- ⑤ 体液に曝露された可能性のある場合(後)は5つのタイミングに含まれる。
第69回 午前75(臨床微生物学)
細菌と毒素の組合せで誤っているのはどれか。
- ①Clostridium tetani — 神経毒素
- ②Enterohemorrhagic Escherichia coli〈EHEC〉 — ベロ毒素
- ③Staphylococcus aureus — エンテロトキシン
- ④Streptococcus pyogenes — 毒素性ショック症候群毒素
- ⑤Vibrio parahaemolyticus — 耐熱性溶血毒
正答: ④Streptococcus pyogenes — 毒素性ショック症候群毒素
ポイント
毒素性ショック症候群毒素〈TSST-1〉はStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)が産生するスーパー抗原であり、Streptococcus pyogenes(化膿レンサ球菌)ではない。化膿レンサ球菌は発熱毒素(発赤毒・SPE)を産生する。破傷風菌は神経毒素、腸管出血性大腸菌はベロ毒素、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシン、腸炎ビブリオは耐熱性溶血毒を産生する。
●神経毒素=Clostridium tetani(テタノスパスミン)・Clostridium botulinum(ボツリヌス毒素)。
●下痢/食中毒毒素=腸管出血性大腸菌(ベロ毒素/志賀毒素様毒素)・黄色ブドウ球菌(エンテロトキシン)・腸炎ビブリオ(耐熱性溶血毒TDH)。
●スーパー抗原=黄色ブドウ球菌(TSST-1・エンテロトキシン)・化膿レンサ球菌(発熱毒素SPE)。
選択肢ごとの解説
- ① Clostridium tetaniは神経毒素(テタノスパスミン)を産生し、正しい組合せである。
- ② 腸管出血性大腸菌はベロ毒素を産生し、正しい組合せである。
- ③ Staphylococcus aureusはエンテロトキシンを産生し、正しい組合せである。
- ④ 誤り。毒素性ショック症候群毒素は黄色ブドウ球菌が産生し、化膿レンサ球菌は発熱毒素を産生する。
- ⑤ Vibrio parahaemolyticusは耐熱性溶血毒(TDH)を産生し、正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:主な細菌毒素
TSST-1・エンテロトキシン・発赤毒素はスーパー抗原として働く。EHECのベロ毒素は志賀毒素(Stx)とも呼ばれ、Stx1・Stx2などに分けられる。Stx1はShigella dysenteriae 1型の志賀毒素と極めて近縁であり、「別々の無関係な毒素」として覚えない。
第69回 午前76(臨床微生物学)
ハートインフュージョンブイヨンで培養した菌の染色標本を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA076.4c75092606.jpg

- ①Giménez染色
- ②Hiss法
- ③Leifson法
- ④Neisser法
- ⑤Wirtz法
正答: ③Leifson法
ポイント
Leifson法は鞭毛染色法で、タンニン酸や塩化第二鉄などの媒染剤と塩基性フクシンなどの色素を併用し、細い鞭毛の表面に染色物質を沈着させて肥厚させることで光学顕微鏡で可視化する。ハートインフュージョンブイヨンのような栄養豊富な液体培地は鞭毛を良好に保った若い運動性菌を得やすく、鞭毛の本数や配置(単毛・束毛・周毛)の観察に適する。鞭毛は菌の運動性と関連し、菌種同定の補助所見となる。
●鞭毛染色=Leifson法・Gray法。
●芽胞染色=Wirtz法(Wirtz-Conklin、マラカイトグリーン)・Möller法。
●莢膜染色=Hiss法・墨汁法(陰性染色)・Anthony法。
●異染小体染色=Neisser法・Albert法(ジフテリア菌の同定)。
●細胞内寄生菌の染色=Giménez染色(レジオネラ・リケッチア)。
選択肢ごとの解説
- ① Giménez染色はレジオネラやリケッチアなど細胞内寄生菌の染色に用いる方法で、鞭毛染色ではない。
- ② Hiss法は莢膜を染める方法で、鞭毛染色ではない。
- ③ 正しい。Leifson法は媒染剤で鞭毛を肥厚させて可視化する鞭毛染色法である。
- ④ Neisser法は異染小体(メタクロマジー顆粒)を染める方法で、鞭毛染色ではない。
- ⑤ Wirtz法(Wirtz-Conklin)は芽胞を染める方法で、鞭毛染色ではない。
第69回 午前77(臨床微生物学)
血中薬物濃度測定による治療薬物モニタリング〈TDM〉の対象となるのはどれか。
- ①アンピシリン
- ②イミペネム
- ③エリスロマイシン
- ④ゲンタマイシン
- ⑤セファゾリン
正答: ④ゲンタマイシン
ポイント
治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring:TDM)は、有効域と中毒域が近接し治療域の狭い薬剤や、血中濃度の個人差が大きい薬剤で血中濃度を測定し投与設計を最適化する手法である。アミノグリコシド系のゲンタマイシンは腎毒性・聴器毒性(耳毒性)を生じうるためピーク値・トラフ値の測定が必要で、抗菌薬のなかでTDM対象の代表である。β-ラクタム系やマクロライド系は一般に安全域が広く、ルーチンのTDM対象ではない。
●抗菌薬のTDM対象=アミノグリコシド系(ゲンタマイシン・アミカシン・トブラマイシン)・グリコペプチド系(バンコマイシン・テイコプラニン)。
●その他のTDM対象薬=抗てんかん薬(フェニトイン・バルプロ酸)・強心配糖体(ジゴキシン)・気管支拡張薬(テオフィリン)・免疫抑制薬(シクロスポリン・タクロリムス)・抗不整脈薬。
選択肢ごとの解説
- ① アンピシリンはペニシリン系で安全域が広く、通常TDMの対象ではない。
- ② イミペネムはカルバペネム系で、通常TDMの対象ではない。
- ③ エリスロマイシンはマクロライド系で、通常TDMの対象ではない。
- ④ 正しい。ゲンタマイシンはアミノグリコシド系で腎毒性・聴器毒性のためTDMの対象となる。
- ⑤ セファゾリンはセフェム系で安全域が広く、通常TDMの対象ではない。
第69回 午前78(臨床微生物学)
ウイルスと疾患の組合せで正しいのはどれか。
- ①コクサッキーウイルス — 尿道炎
- ②サイトメガロウイルス — 手足口病
- ③デングウイルス — 肺炎
- ④ヒトパルボウイルス — 伝染性紅斑
- ⑤ヒトRSウイルス — 脳炎
正答: ④ヒトパルボウイルス — 伝染性紅斑
ポイント
ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑(りんご病)の原因ウイルスで、両頬の紅斑と四肢のレース状(網状)紅斑を呈する。赤芽球前駆細胞に感染して増殖を抑制するため、溶血性貧血の患者では一過性赤芽球癆(aplastic crisis)を、妊婦感染では胎児水腫を起こしうる。他の選択肢のウイルスはそれぞれ別の疾患を起こす。
●ピコルナウイルス科=コクサッキーウイルス・エンテロウイルス(手足口病・ヘルパンギーナ・無菌性髄膜炎)。
●ヘルペスウイルス科=サイトメガロウイルス(先天感染・免疫不全者の網膜炎/肺炎)・単純ヘルペス・水痘帯状疱疹。
●フラビウイルス科=デングウイルス(デング熱・出血熱)・日本脳炎ウイルス。
●パラミクソウイルス=麻疹・ムンプス(RSウイルスは2016年の分類変更でニューモウイルス科へ移された。細気管支炎・肺炎の主因)。
●パルボウイルス科=ヒトパルボウイルスB19(伝染性紅斑・赤芽球癆・胎児水腫)。
選択肢ごとの解説
- ① コクサッキーウイルスは手足口病やヘルパンギーナを起こし、尿道炎の原因ではない。
- ② サイトメガロウイルスは先天感染や免疫不全者の肺炎・網膜炎を起こし、手足口病ではない。
- ③ デングウイルスはデング熱・デング出血熱を起こし、肺炎の原因ではない。
- ④ 正しい。ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑(りんご病)を起こす。
- ⑤ RSウイルスは細気管支炎や肺炎を起こし、脳炎が主病態ではない。
📋 まとめの表を見る:主なウイルスと疾患
第69回 午前79(臨床免疫学)
主要組織適合性遺伝子複合体〈MHC〉について正しいのはどれか。
- ①第9染色体短腕上に存在する。
- ②ヘルパーT細胞はクラスⅠ分子と反応する。
- ③CD4分子の結合部位はβ₂ドメインに存在する。
- ④クラスⅠ分子の発現は抗原提示細胞に限局される。
- ⑤β₂-ミクログロブリン遺伝子は多型性に富んでいる。
正答: ③CD4分子の結合部位はβ₂ドメインに存在する。
ポイント
主要組織適合性遺伝子複合体(major histocompatibility complex:MHC、ヒトではHLA)は第6染色体短腕に存在する。クラスⅠ分子はほぼ全有核細胞に発現し、CD8と結合して細胞傷害性T細胞に抗原を提示する。クラスⅡ分子は抗原提示細胞に限局して発現し、CD4はそのβ₂ドメインに結合してヘルパーT細胞に提示する。クラスⅠの軽鎖であるβ₂-ミクログロブリンは多型性に乏しい。
●MHCクラスⅠ=HLA-A/B/C、全有核細胞に発現、CD8(細胞傷害性T細胞)に提示、内因性抗原。
●MHCクラスⅡ=HLA-DR/DQ/DP、抗原提示細胞(樹状細胞・マクロファージ・B細胞)に発現、CD4(ヘルパーT細胞)に提示、外因性抗原。
●関連事項=β₂-ミクログロブリン(クラスⅠ軽鎖・非多型)・HLAは第6染色体短腕。
選択肢ごとの解説
- ① MHC(HLA)は第6染色体短腕に存在し、第9染色体ではない。
- ② ヘルパーT細胞はクラスⅡ分子と反応し、クラスⅠ分子ではない。
- ③ 正しい。CD4分子はクラスⅡ分子のβ₂ドメインに結合する。
- ④ クラスⅠ分子はほぼ全有核細胞に発現し、抗原提示細胞に限局しない(クラスⅡが限局する)。
- ⑤ β₂-ミクログロブリン遺伝子は多型性に乏しい。
第69回 午前80(臨床免疫学)
B細胞はどれか。
- ①CD3陽性細胞
- ②CD4陽性細胞
- ③CD8陽性細胞
- ④CD19陽性細胞
- ⑤CD56陽性細胞
正答: ④CD19陽性細胞
ポイント
細胞表面分化抗原(cluster of differentiation:CD)は白血球系統の同定に用いられる。CD19はB細胞系統で発現する代表的マーカーであり、フローサイトメトリーでのB細胞同定に用いる。CD3はT細胞全般、CD4はヘルパーT細胞、CD8は細胞傷害性T細胞、CD56はNK細胞のマーカーである。
●B細胞マーカー=CD19・CD20・CD79a・表面免疫グロブリン。
●T細胞マーカー=CD3(汎T)・CD4(ヘルパー)・CD8(細胞傷害性)・CD2・CD5・CD7。
●NK細胞マーカー=CD16・CD56(CD3陰性)。
●骨髄系・幹細胞マーカー=CD13・CD33(骨髄系)・CD34(造血幹/前駆細胞)。
選択肢ごとの解説
- ① CD3陽性細胞はT細胞であり、B細胞ではない。
- ② CD4陽性細胞は主にヘルパーT細胞であり、B細胞ではない。
- ③ CD8陽性細胞は主に細胞傷害性T細胞であり、B細胞ではない。
- ④ 正しい。CD19陽性細胞はB細胞である。
- ⑤ CD56陽性細胞は主にNK細胞であり、B細胞ではない。
📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞
第69回 午前81(臨床免疫学)
間接(受身)凝集反応で検出できないのはどれか。
- ①HBs抗体
- ②HCV抗体
- ③HTLV-1抗体
- ④マイコプラズマ抗体
- ⑤Donath-Landsteiner抗体
正答: ⑤Donath-Landsteiner抗体
ポイント
間接(受身)凝集反応は、抗原または抗体をラテックスやゼラチン粒子、赤血球などの担体に結合させ、対応する抗体・抗原が存在すると粒子が架橋されて凝集する現象を検出する方法である。HBs抗体・HCV抗体・HTLV-1抗体・マイコプラズマ抗体はいずれも受身凝集法(粒子凝集法)で検出できる。Donath-Landsteiner抗体は発作性寒冷ヘモグロビン尿症でみられる二相性溶血素で、低温で赤血球に結合し加温で補体を活性化して溶血を起こすため、凝集ではなくDonath-Landsteiner試験(二相性溶血反応)で検出する。
●凝集反応=直接凝集(赤血球・細菌そのものの凝集)・間接(受身)凝集(ラテックス凝集・ゼラチン粒子凝集・受身赤血球凝集)。
●溶血反応で検出=Donath-Landsteiner抗体(二相性溶血素)・補体結合反応。
●標識抗体法=ELISA・蛍光抗体法・化学発光免疫測定。
選択肢ごとの解説
- ① HBs抗体は受身赤血球凝集法(PHA)などで検出できる。
- ② HCV抗体は粒子凝集法(受身凝集法)で検出できる。
- ③ HTLV-1抗体はゼラチン粒子凝集法(PA法)で検出できる。
- ④ マイコプラズマ抗体は受身凝集法(粒子凝集法)で検出できる。
- ⑤ 正しい。Donath-Landsteiner抗体は二相性溶血反応で検出し、凝集反応では検出できない。
第69回 午前82(臨床免疫学)
間接蛍光抗体法による抗核抗体検査所見を別に示す。この所見から考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA082.6f38edbfaa.jpg

- ①CREST症候群
- ②Sjögren症候群
- ③薬剤誘発性ループス
- ④混合性結合組織病〈MCTD〉
- ⑤全身性エリテマトーデス〈SLE〉
正答: ①CREST症候群
ポイント
間接蛍光抗体法による抗核抗体検査で、分裂中期細胞の染色体(セントロメア)に一致した点状の蛍光(discrete speckled=散在斑紋型/セントロメア型)を示す像は、抗セントロメア抗体を反映する。抗セントロメア抗体は限局皮膚硬化型全身性強皮症の一型であるCREST症候群と関連が深く、診断の手がかりとなる。Sjögren症候群・SLE・薬剤誘発性ループス・混合性結合組織病(MCTD)はそれぞれ異なる染色パターンと自己抗体を示す。
●抗核抗体の染色パターンと対応抗体=均質型(homogeneous)=抗DNA・抗ヒストン、斑紋型(speckled)=抗SS-A/SS-B・抗U1-RNP・抗Sm、辺縁型(peripheral)=抗二本鎖DNA、核小体型(nucleolar)=抗Scl-70・抗RNAポリメラーゼ、セントロメア型=抗セントロメア抗体。
●疾患特異的自己抗体=抗Sm(SLE)・抗U1-RNP(MCTD)・抗ヒストン(薬剤誘発性ループス)・抗SS-A/SS-B(Sjögren症候群)・抗セントロメア/抗Scl-70(全身性強皮症)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。セントロメア型(discrete speckled)パターンは抗セントロメア抗体を反映し、CREST症候群と関連する。
- ② Sjögren症候群は抗SS-A/SS-B抗体による斑紋型を主に示す。
- ③ 薬剤誘発性ループスは抗ヒストン抗体による均質型を主に示す。
- ④ MCTDは抗U1-RNP抗体による高力価の斑紋型を主に示す。
- ⑤ SLEは均質型・斑紋型・辺縁型など多彩で、セントロメア型は特徴的でない。
📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患
第69回 午前83(臨床免疫学)
抗ミトコンドリア抗体が検出されるのはどれか。
- ①重症筋無力症
- ②慢性甲状腺炎
- ③Goodpasture症候群
- ④原発性胆汁性胆管炎
- ⑤特発性血小板減少性紫斑病
正答: ④原発性胆汁性胆管炎
ポイント
抗ミトコンドリア抗体(とくにM2分画)は原発性胆汁性胆管炎の血清診断マーカーで、中年女性に多く、肝内小型胆管の慢性非化膿性破壊性胆管炎による胆汁うっ滞を特徴とする。胆道系酵素(ALPやγ-GTP)の上昇やIgMの上昇を伴うことが多い。他の選択肢の疾患はそれぞれ別の自己抗体と関連する。
●臓器特異的自己抗体と疾患=抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)・抗アセチルコリン受容体抗体(重症筋無力症)・抗甲状腺ペルオキシダーゼ/抗サイログロブリン抗体(慢性甲状腺炎)・抗糸球体基底膜抗体(Goodpasture症候群)・抗血小板抗体(特発性血小板減少性紫斑病)。
●肝関連自己抗体=抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)・抗平滑筋抗体/抗LKM-1抗体(自己免疫性肝炎)。
選択肢ごとの解説
- ① 重症筋無力症は抗アセチルコリン受容体抗体と関連する。
- ② 慢性甲状腺炎は抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体・抗サイログロブリン抗体と関連する。
- ③ Goodpasture症候群は抗糸球体基底膜抗体と関連する。
- ④ 正しい。原発性胆汁性胆管炎では抗ミトコンドリア抗体(M2)が検出される。
- ⑤ 特発性血小板減少性紫斑病は抗血小板抗体と関連する。
📋 まとめの表を見る:臓器特異的自己抗体と自己免疫疾患
サイロキシン結合グロブリン〈TBG〉は甲状腺ホルモンの運搬蛋白であり、自己抗体の標的とはならない。
第69回 午前84(臨床免疫学)
抗体を精製する方法でないのはどれか。
- ①塩析
- ②ゲル濾過
- ③イオン交換クロマトグラフィ
- ④塩化セシウム密度勾配遠心分離法
- ⑤アフィニティカラムクロマトグラフィ
正答: ④塩化セシウム密度勾配遠心分離法
ポイント
抗体(免疫グロブリン)の精製には、硫安などによる塩析(タンパク質の溶解度差を利用した粗精製)、分子量差を利用するゲル濾過、電荷差を利用するイオン交換クロマトグラフィ、プロテインA/Gや特異抗原を担体に結合させたアフィニティクロマトグラフィなどが用いられる。塩化セシウム密度勾配遠心分離は密度差を利用してDNAなどの核酸やウイルス粒子を分離する方法で、抗体精製には一般に用いない。
●タンパク質(抗体)精製法=塩析(硫安沈殿)・ゲル濾過・イオン交換クロマトグラフィ・アフィニティクロマトグラフィ(プロテインA/G)・等電点電気泳動。
●密度勾配遠心分離の用途=核酸(DNA/RNA)・ウイルス・細胞分画(リンパ球分離など)。
選択肢ごとの解説
- ① 塩析(硫安沈殿)は溶解度差を利用した抗体の粗精製に用いられる。
- ② ゲル濾過は分子量差による分離で抗体精製に用いられる。
- ③ イオン交換クロマトグラフィは電荷差で抗体を分離でき、精製に用いられる。
- ④ 誤り。塩化セシウム密度勾配遠心分離は核酸などの密度分離法で、抗体精製には用いない。
- ⑤ アフィニティクロマトグラフィはプロテインAや抗原を用いて抗体を特異的に精製できる。
📋 まとめの表を見る:クロマトグラフィの分離原理
第69回 午前85(臨床免疫学)
受血者と供血者の血液型を以下に示す。輸血を行った場合、受血者が産生する可能性のある不規則抗体はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69aA085.d528d6f1c9.jpg

- ①抗c、抗Jkb、抗Fyb、抗Dib
- ②抗C、抗Jka、抗Fya、抗Dia
- ③抗C、抗Jkb、抗Fyb、抗Dia
- ④抗D、抗Jka、抗Fya、抗Dia
- ⑤抗E、抗Jkb、抗Fya、抗Dia
正答: ③抗C、抗Jkb、抗Fyb、抗Dia
ポイント
輸血後に産生されうる不規則抗体は、受血者が持たず供血者赤血球が持つ抗原に対して生じる。本例では、受血者ccに対し供血者がCを持つため抗C、受血者Jk(b−)で供血者Jk(b+)のため抗Jkb、受血者Fy(b−)で供血者Fy(b+)のため抗Fyb、受血者Di(a−)で供血者Di(a+)のため抗Diaが産生されうる。受血者がすでに持つ抗原(c・E・Jka・Fya・Dib)やDのように双方が陽性の抗原に対する抗体は産生されない。
●Rh系=D・C・c・E・eの抗原。本例は受血者DccEE、供血者DCCEEで、欠く抗原はCのみ。
●Kidd系=Jka・Jkb(抗Jka/抗Jkbは遅発性溶血反応の原因となりうる)。
●Duffy系=Fya・Fyb。
●Diego系=Dia・Dib(Diaは日本人で陽性者が比較的多い)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。受血者はc・Jkb・Dibのうちc・Dibを持つため抗c・抗Dibは産生されず、組合せが合わない。
- ② 誤り。受血者はJka・Fyaを持つため抗Jka・抗Fyaは産生されず、組合せが合わない。
- ③ 正しい。受血者が欠くC・Jkb・Fyb・Dia抗原に対し抗C・抗Jkb・抗Fyb・抗Diaが産生されうる。
- ④ 誤り。両者ともD陽性で抗Dは産生されず、受血者はJka・Fyaを持つため組合せが合わない。
- ⑤ 誤り。受血者が欠くJkb・Diaに対する抗Jkb・抗Diaは産生されうるが、受血者自身がE・Fya抗原を持つため抗E・抗Fyaは産生されず、組合せが合わない。
第69回 午前86(臨床免疫学)
緊急輸血が必要な患者が搬送された。血液型の確定ができない状況下で使用する輸血用血液製剤と血液型の組合せで正しいのはどれか。
- ①赤血球製剤 — A型RhD陽性
- ②赤血球製剤 — O型RhD陽性
- ③赤血球製剤 — AB型RhD陽性
- ④血漿製剤 — B型RhD陰性
- ⑤血漿製剤 — O型RhD陰性
正答: ②赤血球製剤 — O型RhD陽性
ポイント
血液型の確定ができない緊急輸血では、赤血球製剤としてA・B抗原を持たないO型を選択する。O型赤血球はどの患者の抗A・抗B抗体とも反応せず破壊されにくいため、異型適合血として用いられる(RhD陰性が望ましいが、確保困難時はO型RhD陽性も状況により用いる)。血漿製剤では逆に抗A・抗Bを含まないAB型を選ぶのが原則である。
●異型適合輸血の原則=赤血球は供血者赤血球抗原を受血者抗体が攻撃しない型(緊急時はO型)、血漿は供血者血漿中抗体が受血者赤血球を攻撃しない型(緊急時はAB型)。
●RhDの考慮=妊娠可能女性ではRhD陰性を優先し、抗D産生(次回妊娠時の新生児溶血性疾患)を避ける。
選択肢ごとの解説
- ① A型赤血球は確定前に用いると患者がO型・B型の場合に溶血のおそれがあり不適である。
- ② 正しい。血液型確定前の緊急時には赤血球製剤としてO型を選択する。
- ③ AB型赤血球はA・B抗原を持ち、確定前の使用は適さない。
- ④ 血漿製剤は抗A・抗Bを含まないAB型が原則で、B型は不適である。
- ⑤ 血漿製剤はAB型を選択すべきで、O型血漿は抗A・抗Bを含むため不適である。
📋 まとめの表を見る:ABO血液型の抗原・抗体と輸血用血液製剤の適合
赤血球製剤は、供血者赤血球の抗原が患者血清中の抗体と反応しない型を選ぶため「抗原の少ない型」ほど適合範囲が広い(O型が万能供血者、AB型が万能受血者)。血漿・血小板製剤は逆に、供血者血漿中の抗体が患者赤血球の抗原と反応しない型を選ぶため、赤血球とは適合関係が左右反対になる(AB型血漿が万能供血)。血液型が確定できない緊急輸血では、赤血球製剤はO型、血漿・血小板製剤はAB型を用いる(RhD陰性製剤は病院在庫が乏しく供給に時間を要するため、救命優先でRhD陽性製剤を応急的に使用することがある)。ラベル色は日本赤十字社の規定で取り違い防止のために用いられる。
第69回 午前87(臨床免疫学)
輸血検査の内部精度管理で、確認する必要性が低い項目はどれか。
- ①検査室気圧
- ②検査室室温
- ③検査室湿度
- ④恒温槽の温度
- ⑤判定用遠心機の回転数
正答: ①検査室気圧
ポイント
輸血検査の内部精度管理では、抗原抗体反応や凝集判定に直接影響する環境・機器条件を点検する。室温・湿度は反応性や試薬・試料の保存状態に、恒温槽の温度は反応温度に、判定用遠心機の回転数(遠心力)は凝集の形成と判定に影響するため確認が必要である。検査室の気圧は輸血検査の結果に実質的な影響を与えず、確認の必要性は低い。
●内部精度管理で点検する項目=試薬の有効期限・性能(既知陽性/陰性のコントロール)・機器(恒温槽温度・遠心機回転数)・環境(室温・湿度)・手技。
●外部精度管理=施設間比較(サーベイ)による精度評価。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。検査室気圧は輸血検査結果に実質的な影響を与えず、確認の必要性は低い。
- ② 室温は抗原抗体反応や試薬性能に影響するため確認が必要である。
- ③ 湿度は試薬・試料の保存や反応に影響するため確認が必要である。
- ④ 恒温槽の温度は反応温度に直結するため確認が必要である。
- ⑤ 判定用遠心機の回転数は凝集の形成と判定に影響するため確認が必要である。
📋 まとめの表を見る:輸血検査の精度管理で確認すべき項目
室温・湿度・恒温槽温度・遠心条件は抗原抗体反応や凝集の判定に直接影響するため内部精度管理で点検する。
第69回 午前88(臨床免疫学)
ABO血液型について誤っているのはどれか。
- ①ABO血液型はLandsteinerの法則に従う。
- ②ABO遺伝子は第9染色体長腕に存在する。
- ③新生児や乳児のABO血液型抗原量は少ない。
- ④抗Aおよび抗B抗体の産生は胎児期に始まる。
- ⑤獲得性BはA抗原が後天的に変化したものである。
正答: ④抗Aおよび抗B抗体の産生は胎児期に始まる。
ポイント
ABO血液型では、Landsteinerの法則により自己が持たない抗原に対する規則抗体(抗A・抗B)を血清中に持つ。これらの自然抗体は出生時にはほとんど検出されず、生後数か月以降に腸内細菌などの環境抗原刺激によって産生され始めるため、胎児期から産生されるわけではない。ABO遺伝子は第9染色体長腕にあり、新生児・乳児では抗原量が成人より少なく、獲得性BはA型者のA抗原が細菌酵素などで後天的に変化したものである。
●ABO血液型の基本=Landsteinerの法則・第9染色体長腕の遺伝子・H物質を基質としてA/B転移酵素がA/B抗原を産生。
●亜型・変異=Bombay型(H欠損)・獲得性B・cisAB・亜型(A2など)。
●自然抗体(抗A・抗B)=IgM主体・生後産生・規則抗体。
選択肢ごとの解説
- ① ABO血液型はLandsteinerの法則に従い、正しい記述である。
- ② ABO遺伝子は第9染色体長腕に存在し、正しい記述である。
- ③ 新生児や乳児のABO抗原量は成人より少なく、正しい記述である。
- ④ 誤り。抗A・抗B抗体は生後数か月以降に産生され始め、胎児期には始まらない。
- ⑤ 獲得性BはA抗原が細菌酵素などで後天的に変化したもので、正しい記述である。
第69回 午前89(臨床免疫学)
Th2細胞が産生するサイトカインはどれか。2つ選べ。
- ①インターロイキン2
- ②インターロイキン4
- ③インターロイキン10
- ④インターロイキン12
- ⑤インターフェロンγ
正答: ②インターロイキン4・③インターロイキン10
ポイント
ヘルパーT細胞はサイトカイン産生パターンによりTh1とTh2に大別される。Th2細胞はインターロイキン4・5・6・10・13などを産生し、B細胞の抗体産生(とくにIgE)やアレルギー・寄生虫に対する液性免疫を促進する。Th1細胞はインターロイキン2やインターフェロンγを産生して細胞性免疫を担い、インターロイキン12は樹状細胞などが産生してTh1分化を誘導する。
●Th1サイトカイン=インターロイキン2・インターフェロンγ・腫瘍壊死因子β(細胞性免疫・マクロファージ活性化)。
●Th2サイトカイン=インターロイキン4・5・6・10・13(液性免疫・IgE産生・好酸球活性化)。
●その他のヘルパーT=Th17(インターロイキン17)・制御性T細胞(インターロイキン10・TGF-β)。
選択肢ごとの解説
- ① インターロイキン2は主にTh1細胞が産生する。
- ② 正しい。インターロイキン4はTh2細胞が産生する代表的サイトカインである。
- ③ 正しい。インターロイキン10はTh2細胞(および制御性T細胞)が産生する。
- ④ インターロイキン12は樹状細胞などが産生し、Th1分化を誘導する。
- ⑤ インターフェロンγは主にTh1細胞が産生する。
第69回 午前90(公衆衛生学)
特定原材料として食品への表示が義務付けられているのはどれか。2つ選べ。
正答: ②卵・③小麦
ポイント
食物アレルギー表示制度では、発症数が多いか重篤化しやすいため容器包装への表示が義務付けられている「特定原材料」が定められており、えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)の8品目に、2026年4月からカシューナッツが追加され9品目が該当する(カシューナッツの表示には約2年の経過措置がある)。卵と小麦はこの義務表示対象である。さば・大豆は表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」に分類され、表示は義務ではない。米は特定原材料にも特定原材料に準ずるものにも含まれない。
●特定原材料(表示義務)=えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生・カシューナッツ(カシューナッツは2026年4月追加・経過措置約2年)。
●特定原材料に準ずるもの(表示推奨)=大豆・さば・あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイ・牛肉・豚肉・鶏肉・さけ・ゼラチン・バナナ・もも・やまいも・りんご・ごま・アーモンド・ピスタチオなど(カシューナッツは2026年4月に表示義務へ移行、ピスタチオは同時に推奨へ追加)。
選択肢ごとの解説
- ① 米は表示義務のある特定原材料ではない。
- ② 正しい。卵は表示が義務付けられた特定原材料である。
- ③ 正しい。小麦は表示が義務付けられた特定原材料である。
- ④ さばは表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」で、義務ではない。
- ⑤ 大豆は表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」で、義務ではない。
第69回 午前91(公衆衛生学)
統合失調症で入院が必要と診断されたが、本人が入院を拒んだため、父親の同意によって入院させた。この場合の入院形態はどれか。
- ①応急入院
- ②措置入院
- ③任意入院
- ④医療保護入院
- ⑤緊急措置入院
正答: ④医療保護入院
ポイント
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)では、精神保健指定医が入院の必要を認めたが本人の同意が得られない場合に、家族等のうちいずれかの者の同意があれば医療保護入院となる。父親は家族等にあたり、本人が入院を拒んでいるため医療保護入院に該当する。任意入院は本人の同意による入院、措置・緊急措置入院は自傷他害のおそれに基づく行政措置、応急入院は家族等の同意も得られない緊急時の72時間以内の入院である。
●精神科入院形態=任意入院(本人同意)・医療保護入院(指定医1名+家族等の同意)・応急入院(指定医1名・同意者なし・72時間以内)・措置入院(指定医2名・自傷他害・知事権限)・緊急措置入院(指定医1名・急を要する措置・72時間以内)。
選択肢ごとの解説
- ① 応急入院は家族等の同意も得られない緊急時の72時間以内の入院で、本例と異なる。
- ② 措置入院は自傷他害のおそれにより都道府県知事の権限で行う入院である。
- ③ 任意入院は本人の同意に基づく入院で、入院を拒んだ本例と合わない。
- ④ 正しい。家族等(父親)の同意による非自発的入院は医療保護入院である。
- ⑤ 緊急措置入院は自傷他害のおそれが著しく急を要する場合に行う措置入院である。
第69回 午前92(公衆衛生学)
保健所の業務はどれか。2つ選べ。
- ①医療計画の策定
- ②乳幼児健康診査
- ③障害者手帳の交付
- ④医療機関への立入検査
- ⑤食中毒発生時の原因調査
正答: ④医療機関への立入検査・⑤食中毒発生時の原因調査
ポイント
保健所は地域保健法に基づく広域的・専門的な公衆衛生の拠点で、都道府県・指定都市・中核市などが設置する。医療法に基づく医療機関への立入検査(医療監視)や、食中毒・感染症発生時の原因調査・防疫、難病・精神保健・結核対策などを担う。医療計画の策定は都道府県、乳幼児健康診査や障害者手帳に関わる身近な対人保健サービスは市町村(保健センター)が主に担う。
●保健所の業務=医療監視(立入検査)・食中毒/感染症の調査と防疫・難病/精神/結核対策・環境衛生/食品衛生監視・人口動態統計。
●市町村(保健センター)の業務=乳幼児/妊産婦健康診査・予防接種・健康相談・健康教育などの身近な対人サービス。
選択肢ごとの解説
- ① 医療計画の策定は都道府県の業務であり、保健所単独の業務ではない。
- ② 乳幼児健康診査は市町村(保健センター)が主に行う業務である。
- ③ 障害者手帳の交付に関する事務は都道府県・市町村が行う。
- ④ 正しい。医療機関への立入検査(医療監視)は保健所の業務である。
- ⑤ 正しい。食中毒発生時の原因調査は保健所の業務である。
第69回 午前93(公衆衛生学)
公的医療保険の給付対象に含まれないのはどれか。
- ①禁煙治療
- ②人工透析
- ③帝王切開
- ④訪問看護
- ⑤予防接種
正答: ⑤予防接種
ポイント
公的医療保険は疾病・負傷の治療に対して給付する制度であり、健康増進や疾病予防を目的とする行為は原則として給付対象外である。予防接種は感染症の予防を目的とするため保険給付に含まれず、予防接種法に基づく定期接種は公費負担で行われる。禁煙治療(条件を満たすニコチン依存症管理料)、人工透析、帝王切開(異常分娩)、訪問看護はいずれも保険給付の対象である。
●公的医療保険の対象外(原則)=予防接種・健康診断/人間ドック・正常妊娠/正常分娩・予防目的の処置・美容目的の施術。
●公費が関わる予防=予防接種法(定期接種)・感染症法・がん検診(健康増進法)。
選択肢ごとの解説
- ① 禁煙治療は条件を満たせばニコチン依存症管理料として保険給付の対象となる。
- ② 人工透析は保険給付の対象であり、長期療養として公費補助の制度もある。
- ③ 帝王切開は異常分娩として保険給付の対象となる。
- ④ 訪問看護は訪問看護療養費として保険給付の対象となる。
- ⑤ 誤り。予防接種は予防を目的とする行為であり、公的医療保険の給付対象に含まれない。
第69回 午前94(公衆衛生学)
水道水質基準において、人の健康の保護のため「検出されないこと」と規定されているのはどれか。
- ①ヒ素
- ②フッ素
- ③大腸菌
- ④アルキル水銀
- ⑤シアン化合物
正答: ③大腸菌
ポイント
水道法に基づく水質基準では、大腸菌は「検出されないこと」と規定され、糞便汚染の指標として陰性であることが求められる。ヒ素・フッ素・アルキル水銀・シアン化合物などの化学物質は健康影響の観点から基準値(濃度の上限値以下)として規定されており、完全な不検出を求めるものではない。
●「検出されないこと」と規定=大腸菌。
●基準値(上限濃度)で規定される主な項目=ヒ素・フッ素・水銀(アルキル水銀含む)・シアン・鉛・カドミウム・硝酸態/亜硝酸態窒素・総トリハロメタンなど。
●水質の分類=健康に関する項目(化学物質・病原微生物)と性状に関する項目(味・臭気・色度・濁度など)。
選択肢ごとの解説
- ① ヒ素は基準値(濃度上限)で規定され、不検出を求めるものではない。
- ② フッ素は基準値(濃度上限)で規定される。
- ③ 正しい。大腸菌は「検出されないこと」と規定されている。
- ④ アルキル水銀は基準値(濃度上限)で規定される。
- ⑤ シアン化合物は基準値(濃度上限)で規定される。
📋 まとめの表を見る:水質基準における「検出されないこと」の規定(水道法/公共用水域環境基準)
同じ「検出されないこと」でも、水道法と公共用水域の環境基準とでは対象項目が異なる。
第69回 午前95(医用工学概論)
100 Ωの負荷につながれた装置の消費電力が100 Wであった。この装置の負荷を200 Ωに変えたときの消費電力[W]はどれか。
正答: ②50
ポイント
電源電圧が一定の条件では、消費電力Pは電圧Vと抵抗Rを用いてP=V²/Rで表され、抵抗に反比例する。100Ωで100Wのとき電圧はV=√(P×R)=√(100×100)=100Vである。同じ電圧のまま抵抗を200Ωにすると、P=100²/200=50Wとなる。
●電力の式=P=VI=V²/R=I²R。
●電圧一定なら抵抗を2倍で電力1/2、電流一定なら抵抗を2倍で電力2倍(条件で結論が変わる)。
●関連単位=電力[W]・電圧[V]・電流[A]・抵抗[Ω]。
選択肢ごとの解説
- ① 25Wは抵抗を4倍にした場合に相当し、200Ω(2倍)の本問には合わない。
- ② 正しい。電圧一定でP=V²/Rより、抵抗を2倍にすると消費電力は半分の50Wとなる。
- ③ 100Wは抵抗が変わらない場合の値で、200Ωでは成り立たない。
- ④ 200Wは抵抗を半分にした場合に相当し、本問と合わない。
- ⑤ 400Wは抵抗を4分の1にした場合に相当し、本問と合わない。
第69回 午前96(医用工学概論)
医用電気機器のクラス別分類で正しいのはどれか。
- ①クラスⅠ機器の追加保護手段は補強絶縁である。
- ②クラスⅠ機器とはB型装着部を持つ機器のことである。
- ③クラスⅡ機器には保護接地線が必要である。
- ④クラスⅡ機器は2 Pプラグで使用することができる。
- ⑤内部電源機器は外部電源と接続できない。
正答: ④クラスⅡ機器は2 Pプラグで使用することができる。
ポイント
医用電気機器のクラス分類は、感電に対する保護手段(追加保護手段)の種類による区分である。クラスⅠ機器は基礎絶縁に加えて保護接地を追加保護手段とし、3Pプラグを用いる。クラスⅡ機器は二重絶縁(基礎絶縁と補助絶縁)またはこれと同等の保護を持つ補強絶縁によって感電を防止する。保護接地に依存しないため、2Pプラグで使用できる。内部電源機器も外部電源に接続して使用できる場合がある。装着部の型(B・BF・CF)は患者漏れ電流による区分で、クラス分類とは別である。
●感電保護のクラス分類=クラスⅠ(保護接地・3P)・クラスⅡ(補強絶縁/二重絶縁・2P)・内部電源機器。
●装着部による分類=B形・BF形(フローティング)・CF形(心臓直接適用可)。
●関連=漏れ電流(接地漏れ・接触/外装漏れ・患者漏れ電流)の許容値管理。
選択肢ごとの解説
- ① クラスⅠ機器の追加保護手段は保護接地であり、補強絶縁ではない。
- ② クラスⅠ機器は保護接地を追加保護手段とする区分で、装着部の型(B/BF/CF)とは別である。
- ③ 保護接地線が必要なのはクラスⅠ機器で、クラスⅡ機器には不要である。
- ④ 正しい。クラスⅡ機器は補強絶縁を持ち保護接地が不要で、2Pプラグで使用できる。
- ⑤ 内部電源機器も外部電源に接続して使用できる場合がある。
📋 まとめの表を見る:医用電気機器のクラス分類と保護手段
基礎絶縁とは感電に対する基本的な保護を行う絶縁。必要な空間距離・沿面距離は適用規格や使用電圧などの条件で決まる。追加保護手段とは、保護手段である基礎絶縁が破壊されても電気的安全を保つための手段である。
第69回 午前97(医用工学概論)
静止画の標準的なファイル拡張子はどれか。2つ選べ。
正答: ③JPEG・⑤TIFF
ポイント
静止画の標準的なファイル形式の拡張子には、写真などの非可逆圧縮に用いるJPEGや、医用・印刷用途の高画質保存に用いるTIFFがある。CSVはカンマ区切りの表形式データ、FLVはFlash Video形式の動画、MP3は音声の圧縮ファイル形式であり、いずれも静止画ではない。
●静止画形式=JPEG・TIFF・PNG・GIF・BMP。
●動画形式=FLV・MP4・AVI・MOV・WMV。
●音声形式=MP3・WAV・AAC・FLAC。
●データ/文書形式=CSV・TXT・XML・PDF。
選択肢ごとの解説
- ① CSVはカンマ区切りの表形式データで、静止画ではない。
- ② FLVはFlash Video形式の動画であり、静止画ではない。
- ③ 正しい。JPEGは静止画の標準的なファイル形式である。
- ④ MP3は音声の圧縮ファイル形式であり、静止画ではない。
- ⑤ 正しい。TIFFは高画質の静止画ファイル形式である。
第69回 午前98(医用工学概論)
医療情報システムで保健医療情報交換の標準規格はどれか。
- ①DICOM
- ②HL7
- ③ICD11
- ④JLAC10/11
- ⑤PACS
正答: ②HL7
ポイント
HL7(Health Level Seven)は、医療情報システム間で患者情報や検査・処方・予約などのデータを交換するための標準規格である。DICOMは医用画像の保存・通信規格、ICD11は世界保健機関による疾病分類、JLAC10/11は臨床検査項目分類コード、PACSは医用画像の保存・伝送・表示システムであり、保健医療情報交換の標準規格はHL7である。
●医療情報の標準規格=HL7(情報交換)・DICOM(医用画像)・FHIR(Web技術ベースの交換規格)。
●コード/分類=ICD(疾病分類)・JLAC10/11(臨床検査項目)・レセプト電算コード・HOT(医薬品)。
●システム=PACS(画像)・電子カルテ・オーダリングシステム。
選択肢ごとの解説
- ① DICOMは医用画像の保存・通信の規格である。
- ② 正しい。HL7は保健医療情報交換のための標準規格である。
- ③ ICD11は世界保健機関による疾病および関連保健問題の国際統計分類である。
- ④ JLAC10/11は臨床検査項目を分類するコードである。
- ⑤ PACSは医用画像の保存・伝送・表示システムである。
第69回 午前99(医用工学概論)
37 ℃の媒質中における音速[m/s]として誤っているのはどれか。
- ①空気:350
- ②脂肪:900
- ③水: 1,480
- ④血液:1,570
- ⑤頭蓋骨:4,080
正答: ②脂肪:900
ポイント
生体内の音速は媒質の密度と弾性で決まる。概ね空気で約340〜350m/s、脂肪で約1,450m/s、水で約1,480m/s、血液で約1,570m/s、頭蓋骨など硬組織で約4,000m/s台である。脂肪の音速は約1,450m/sであり、900m/sという値は実際より大幅に低く誤りである。超音波診断では軟部組織の代表値として約1,530m/sが用いられる。
●生体の音速の目安=空気約350・脂肪約1,450・水約1,480・軟部組織約1,530・血液約1,570・骨約4,000m/s。
●音響インピーダンス=密度×音速で決まり、界面での反射の強さを左右する。
●関連=音速が大きい媒質ほど一般に硬く密度が高い(気体<軟部組織<骨)。
選択肢ごとの解説
- ① 空気の音速は約350m/sで、妥当な値である。
- ② 誤り。脂肪の音速は約1,450m/sであり、900m/sは誤った値である。
- ③ 水の音速は約1,480m/sで、妥当な値である。
- ④ 血液の音速は約1,570m/sで、妥当な値である。
- ⑤ 頭蓋骨の音速は約4,000m/s台で、妥当な値である。
第69回 午前100(医用工学概論)
物理量の変化が電気抵抗の変化として現れるトランスデューサはどれか。2つ選べ。
- ①サーミスタ
- ②ストレインゲージ
- ③熱電対
- ④フォトダイオード
- ⑤ホール素子
正答: ①サーミスタ・②ストレインゲージ
ポイント
トランスデューサ(変換素子)は物理量を電気信号に変換する素子で、出力される電気量の種類によって分類される。サーミスタは温度変化を電気抵抗の変化として、ストレインゲージは機械的ひずみを電気抵抗の変化として検出する抵抗変化型である。熱電対は温度差を起電力(電圧)に、フォトダイオードは光を電流に、ホール素子は磁界を電圧に変換するため、抵抗変化を利用するものではない。
●抵抗変化型=サーミスタ(温度)・ストレインゲージ(ひずみ/圧力)・測温抵抗体(白金)・感光抵抗(CdS)。
●起電力(電圧)型=熱電対(温度差)・ホール素子(磁界)・圧電素子(圧力・超音波)。
●電流型=フォトダイオード(光)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。サーミスタは温度変化を電気抵抗の変化として検出する。
- ② 正しい。ストレインゲージは機械的ひずみを電気抵抗の変化として検出する。
- ③ 熱電対は温度差を起電力(電圧)に変換する素子である。
- ④ フォトダイオードは光を電流に変換する素子である。
- ⑤ ホール素子は磁界を電圧に変換する素子である。
📋 まとめの表を見る:トランスデューサ(センサ)の変換原理による分類