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第69回(2023) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第69回 午後1(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本を別に示す。矢印が示す構造物はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB001.c1a0e14b46.jpg
①尿酸 ②シスチン ③ビリルビン ④リン酸カルシウム ⑤シュウ酸カルシウム
正答: ②シスチン
ポイント シスチン結晶は無色透明の正六角形板状を呈し、酸性尿で析出する。先天的に腎尿細管でのシスチンなど塩基性アミノ酸の再吸収が障害されるシスチン尿症でみられ、シスチン結石の原因となる。シアニドニトロプルシド反応で確認でき、塩酸やアルカリに溶解する。●酸性尿の結晶=尿酸(黄褐色のひし形・砥石状)・シスチン(無色六角形)・ビリルビン(黄褐色針状)。●アルカリ性尿の結晶=リン酸アンモニウムマグネシウム(無色の蓋つき封筒・羊歯状)・リン酸カルシウム・尿酸アンモニウム。●pHによらず出る=シュウ酸カルシウム(正八面体・封筒状)。●病的結晶=シスチン・チロシン・ロイシン・コレステロール。
選択肢ごとの解説
① 尿酸結晶は黄色〜褐色のひし形・砥石状・バラ花状などで酸性尿に出現し、無色六角形のシスチンとは色調・形態が異なる。 ② 正しい。無色透明の正六角形板状は酸性尿で析出するシスチン結晶に一致し、シスチン尿症を示唆する。 ③ ビリルビン結晶は黄褐色の針状・顆粒状で閉塞性黄疸などビリルビン高値時にみられ、六角形ではない。 ④ リン酸カルシウムは無色の楔状・板状でアルカリ性尿に出現し、正六角形にはならない。 ⑤ シュウ酸カルシウムは無色の正八面体(封筒状)や亜鈴状で、六角形のシスチンとは形態が異なる。
第69回 午後2(臨床検査総論)
結核性髄膜炎において、髄液の測定値が低値となるのはどれか。2つ選べ。
正答: ②糖・④クロール
ポイント 結核性髄膜炎の髄液はリンパ球優位の細胞増加、蛋白上昇、糖低下、クロール(塩素)低下を示す。結核菌による糖消費で髄液糖は血糖比でも低下し、慢性炎症と全身消耗を反映してクロールも低下する。アデノシンデアミナーゼ(ADA)は逆に上昇し補助診断に有用で、髄液圧も炎症により上昇する。●糖が低下する髄膜炎=細菌性・結核性・真菌性(消費による)。●糖が正常のことが多い=ウイルス性髄膜炎。●クロール低下が目立つ=結核性髄膜炎。●ADA上昇=結核性髄膜炎・結核性胸膜炎。●細胞像=細菌性は好中球優位、結核性・ウイルス性・真菌性はリンパ球優位。
選択肢ごとの解説
① 炎症により髄液圧はむしろ上昇するため、低値とはならない。 ② 正しい。結核菌の糖消費により髄液糖は低下し、血糖との比でも低値となる。 ③ 蛋白は血液脳関門の破綻と滲出により増加するため、低下しない。 ④ 正しい。クロール(塩素)は結核性髄膜炎で特徴的に低下し、診断の手がかりとなる。 ⑤ アデノシンデアミナーゼ(ADA)は結核性髄膜炎で上昇するため、低値とはならない。
第69回 午後3(臨床検査総論)
PCR法の原理で正しいのはどれか。
①熱変性は60 ℃前後で行う。 ②2種類のプライマーを用いる。 ③増幅反応は50サイクル前後で行う。 ④伸長反応は3ʼ→5ʼ方向に相補鎖を合成する。 ⑤定量PCR法では標的DNA量が多いほどCt値が大きい。
正答: ②2種類のプライマーを用いる。
ポイント ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は熱変性(約94 ℃で二本鎖を解離)・アニーリング(約55〜60 ℃でプライマー結合)・伸長(約72 ℃でDNAポリメラーゼが合成)の3段階を1サイクルとして繰り返し、標的DNAを指数関数的に増幅する。標的領域の両端に相補的に結合する2種類(フォワード・リバース)のプライマーで挟むことで特異性を確保する。リアルタイムPCRのCt値は蛍光が閾値に達するサイクル数で、鋳型量が多いほどCt値は小さくなる。●PCRの派生法=逆転写PCR(RT-PCR、RNAを対象)・リアルタイムPCR(定量)・ネステッドPCR・マルチプレックスPCR・デジタルPCR。●関連酵素=耐熱性DNAポリメラーゼ(Taq等)・逆転写酵素。●温度の役割=変性94 ℃/アニーリング55〜60 ℃/伸長72 ℃。
選択肢ごとの解説
① 熱変性は二本鎖DNAを解離させる工程で約94 ℃前後で行い、60 ℃前後はアニーリング温度に近い。 ② 正しい。標的配列の両端に相補的に結合するフォワードとリバースの2種類のプライマーを用いる。 ③ 増幅反応は通常30〜40サイクル程度で行い、50サイクル前後は一般的でない。 ④ DNA合成は鋳型の3′末端側を読み新生鎖を5′→3′方向へ伸長するため、記載の方向は不正確である。 ⑤ 定量PCRでは標的量が多いほど早く閾値に達するためCt値は小さくなり、記述は逆である。
📋 まとめの表を見る:PCR法の各反応ステップと内容
定量PCR法ではCt値は標的DNA量が多いほど小さくなる(閾値到達が早い)。
第69回 午後4(臨床検査総論)
出生児における染色体異常のうち最も発生数が多いのはどれか。
①13トリソミー ②18トリソミー ③21トリソミー ④45,X ⑤47,XXY
正答: ③21トリソミー
ポイント 出生児の常染色体トリソミーのうち21トリソミー(Down症候群)が最も頻度が高い。13トリソミー(Patau症候群)や18トリソミー(Edwards症候群)は重篤で胎内・新生児期の死亡が多く、出生数は少ない。Down症候群の多くは減数分裂時の不分離による標準型で、母体高齢が危険因子となり、筋緊張低下・特徴的顔貌・心奇形・知的障害を伴う。●常染色体トリソミー=13(Patau)・18(Edwards)・21(Down)。●性染色体異常=45,X(Turner)・47,XXY(Klinefelter)・47,XXX・47,XYY。●構造異常=5p欠失(猫鳴き症候群)・転座型Down。●検査=染色体分染(G分染)・FISH・染色体マイクロアレイ。
選択肢ごとの解説
① 13トリソミー(Patau症候群)は重篤で予後不良であり、出生数は21トリソミーより少ない。 ② 18トリソミー(Edwards症候群)も予後不良で、出生頻度は21トリソミーに及ばない。 ③ 正しい。21トリソミー(Down症候群)は出生児の染色体異常で最も多くみられる。 ④ 45,X(Turner症候群)はモノソミーで多くが流産となり、出生頻度は高くない。 ⑤ 47,XXY(Klinefelter症候群)は性染色体異常で、21トリソミーより出生数は少ない。
📋 まとめの表を見る:常染色体トリソミーと性染色体異常症の核型・発生頻度
Turner症候群・Klinefelter症候群は性染色体(X染色体)の数的異常。一方、Angelman症候群(15番染色体長腕の欠失など)やDiGeorge症候群(22番染色体長腕11.2の微細欠失)は常染色体の構造異常(微細欠失症候群)であり、トリソミーや性染色体異常とは異なる分類である。
第69回 午後5(臨床検査総論)
囊虫症をきたすのはどれか。
①小形条虫 ②無鉤条虫 ③有鉤条虫 ④日本海裂頭条虫 ⑤クジラ複殖門条虫〈大複殖門条虫〉
正答: ③有鉤条虫
ポイント 囊虫症は条虫の幼虫(囊虫)が組織内に寄生する病態で、有鉤条虫の虫卵をヒトが経口摂取すると幼虫が筋肉・皮下・脳などへ移行し有鉤囊虫症を起こす。脳に寄生すると神経囊虫症としててんかんや頭蓋内圧亢進を生じる。有鉤条虫は成虫の腸管寄生(豚肉摂取)に加え、虫卵摂取で囊虫症を起こす点が他の条虫と異なる。●ヒトの組織に寄生する条虫幼虫=有鉤条虫(有鉤囊虫症)・単包条虫/多包条虫(包虫症)・マンソン裂頭条虫(孤虫症)。囊虫症・包虫症・孤虫症は区別する。●成虫の腸管寄生が主=無鉤条虫(ウシ)・日本海裂頭条虫(サクラマス等)・小形条虫・クジラ複殖門条虫。●感染源=豚肉(有鉤)・牛肉(無鉤)・淡水魚(裂頭条虫類)。
選択肢ごとの解説
① 小形条虫はヒトを終宿主とし腸管寄生が主で、組織内囊虫症の主因とはならない。 ② 無鉤条虫はウシを中間宿主とし、ヒトでは成虫の腸管寄生にとどまり囊虫症をきたさない。 ③ 正しい。有鉤条虫は虫卵の経口摂取でヒトに有鉤囊虫症を起こし、脳寄生で神経囊虫症となる。 ④ 日本海裂頭条虫はサクラマスなどの摂取で感染し、腸管寄生で囊虫症はきたさない。 ⑤ クジラ複殖門条虫(大複殖門条虫)は腸管寄生で、囊虫症の原因とはならない。
第69回 午後6(臨床検査総論)
77歳の男性。西日本在住。農作業で虫に刺されたため診療所を受診し、マダニ咬症と診断された。3日後に39 ℃の発熱があり再診した。考えられる疾患はどれか。
①日本脳炎 ②発疹チフス ③ツツガムシ病 ④デング出血熱 ⑤重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉
正答: ⑤重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉
ポイント 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はSFTSウイルスによるダニ媒介性感染症で、西日本を中心にマダニ咬傷後に発症する。発熱・消化器症状に加え血小板減少・白血球減少を呈し、致死率が高い。マダニ咬症の既往と発生地域・季節から疑い、ウイルス遺伝子検出で確定する。●マダニが媒介=SFTS・日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介性脳炎。●ツツガムシ(恙虫)が媒介=ツツガムシ病(刺し口の焼痂・発疹・発熱)。●蚊が媒介=日本脳炎・デング熱・マラリア。●シラミが媒介=発疹チフス・回帰熱。●ノミが媒介=ペスト・発疹熱。
選択肢ごとの解説
① 日本脳炎はコガタアカイエカが媒介する蚊媒介性で、マダニ咬傷とは関連しない。 ② 発疹チフスはシラミが媒介するリケッチア感染症で、マダニ咬症とは結びつかない。 ③ ツツガムシ病はツツガムシが媒介し、刺し口(焼痂)と発疹が特徴でSFTSとは病像が異なる。 ④ デング出血熱はネッタイシマカなどの蚊が媒介し、マダニ咬傷では生じない。 ⑤ 正しい。マダニ咬症後の発熱と血小板減少はSFTSを最も強く疑わせ、西日本での発生が多い。
第69回 午後7(臨床検査総論)
滲出性胸水の所見はどれか。
①無色透明 ②比重1.010 ③細胞数50/μL ④LD比(胸水/血清)0.8 ⑤蛋白比(胸水/血清)0.2
正答: ④LD比(胸水/血清)0.8
ポイント 胸水は産生機序で滲出性と漏出性に分けられ、Lightの基準で鑑別する。胸水/血清の蛋白比が0.5超、LD比が0.6超、胸水LDが血清正常上限の3分の2超のいずれかを満たせば滲出性である。滲出性は炎症や悪性腫瘍など毛細血管透過性亢進で生じ、蛋白・LD・細胞数・比重が高い。●滲出性の原因=細菌性肺炎・結核・悪性腫瘍・膿胸・膠原病。●漏出性の原因=心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群・低アルブミン血症。●滲出性の目安=比重1.018以上・蛋白比0.5超・LD比0.6超・リバルタ反応陽性。
選択肢ごとの解説
① 無色透明は蛋白・細胞の少ない漏出性に多い所見で、滲出性とは限らない。 ② 比重1.010は低値で漏出性を示唆し、滲出性は比重1.018以上が多い。 ③ 細胞数50/μLは少なく、炎症性の滲出性では一般にもっと多い。 ④ 正しい。LD比(胸水/血清)0.8はLightの基準の0.6を超え、滲出性を示す。 ⑤ 蛋白比0.2はLightの基準0.5を下回り、漏出性を示唆するため滲出性の所見ではない。
第69回 午後8(臨床検査総論)
真核生物におけるmRNAの開始コドンはどれか。
正答: ①AUG
ポイント 真核生物・原核生物ともにmRNAの開始コドンはAUGで、メチオニン(原核生物ではホルミルメチオニン)をコードする。終止コドンはUAA・UAG・UGAの3つで、アミノ酸を指定せず翻訳終結シグナルとして働く。コドンは塩基3個で1アミノ酸を指定し、合計64通りのうち61がアミノ酸に対応する。●開始コドン=AUG(メチオニン)。●終止コドン=UAA(オーカー)・UAG(アンバー)・UGA(オパール)。●コドンの特徴=縮重(複数コドンが同一アミノ酸を指定)・普遍性。●関連分子=tRNA(アンチコドン)・rRNA・リボソーム。
選択肢ごとの解説
① 正しい。AUGが開始コドンで、翻訳開始時にメチオニンを指定する。 ② CUGはロイシンを指定するコドンで、通常は開始コドンではない。 ③ GUCはバリンを指定するコドンで、開始コドンではない。 ④ UACはチロシンを指定するコドンで、開始コドンではない。 ⑤ UAGは終止コドンの一つ(アンバー)で、翻訳を終結させる。
第69回 午後9(臨床検査総論)
尿定性試験紙法でアスコルビン酸による影響がないのはどれか。
正答: ②蛋白
ポイント アスコルビン酸は尿試験紙の糖・潜血・ビリルビン・亜硝酸塩で偽陰性の原因となりうる。糖・潜血は酸化発色を利用する一方、ビリルビン・亜硝酸塩の発色はジアゾ反応/ジアゾ化カップリングであり、4項目をすべて酸化反応としてまとめない。影響の程度は試験紙の製品・反応組成に依存する。一方、蛋白はpH指示薬の蛋白誤差(蛋白存在下での呈色変化)を利用する非酸化的反応のため、アスコルビン酸の影響を受けにくい。●還元物質で偽陰性となる項目=潜血・ブドウ糖・ビリルビン・亜硝酸塩。●影響を受けにくい項目=蛋白(蛋白誤差)・pH・比重。●偽陽性・偽陰性の他要因=高比重尿・薬剤・高ビリルビン・尿の細菌増殖。
選択肢ごとの解説
① 潜血はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用で色素を酸化する反応のため、還元性のアスコルビン酸で偽陰性となる。 ② 正しい。蛋白は蛋白誤差(pH指示薬の呈色変化)による検出で、アスコルビン酸の還元作用の影響を受けない。 ③ 亜硝酸塩はジアゾ化・カップリングによる発色で検出する。アスコルビン酸が反応を妨げて偽陰性を生じうるが、発色原理そのものを酸化反応と呼ぶのは適切でない。 ④ ブドウ糖はグルコースオキシダーゼによる酸化反応のため、アスコルビン酸で偽陰性となる。 ⑤ ビリルビンはジアゾ反応を利用するため、アスコルビン酸の還元作用で影響を受ける。
第69回 午後10(臨床検査総論)
発現蛋白の機能亢進により発がん性を発揮するのはどれか。
正答: ③MYC
ポイント がん遺伝子(オンコジーン)はその産物の機能亢進(過剰発現や活性化変異)によりがん化を促進し、MYCやRASが代表である。MYCは転写因子で細胞増殖を促進し、過剰発現でがん化に働く。これに対しがん抑制遺伝子(TP53・RB1・APC・BRCA1など)は機能喪失でがん化を招く。●がん遺伝子(機能獲得型)=MYC・RAS・HER2/neu・ABL・BCL2。●がん抑制遺伝子(機能喪失型)=TP53・RB1・APC・BRCA1/2・PTEN・p16。●関連病態=Li-Fraumeni症候群(TP53)・家族性大腸腺腫症(APC)・網膜芽細胞腫(RB1)・遺伝性乳癌卵巣癌(BRCA1/2)。
選択肢ごとの解説
① APCは大腸癌に関わるがん抑制遺伝子で、機能喪失でがん化する。機能亢進型ではない。 ② BRCA1はDNA修復に関わるがん抑制遺伝子で、機能喪失が乳癌・卵巣癌の原因となる。 ③ 正しい。MYCはがん遺伝子で、過剰発現など機能亢進により細胞増殖を促進し発がんに働く。 ④ RB1は細胞周期を制御するがん抑制遺伝子で、機能喪失で網膜芽細胞腫などを生じる。 ⑤ TP53は代表的ながん抑制遺伝子で、機能喪失(変異)が多くの悪性腫瘍に関与する。
第69回 午後11(臨床検査医学総論)
ペルオキシダーゼに対する抗好中球細胞質抗体〈MPO-ANCA〉が陽性となるのはどれか。
①Behçet病 ②全身性強皮症 ③結節性多発動脈炎 ④顕微鏡的多発血管炎 ⑤多発性筋炎・皮膚筋炎
正答: ④顕微鏡的多発血管炎
ポイント MPO-ANCA(ミエロペルオキシダーゼに対する抗好中球細胞質抗体、P-ANCAパターン)は顕微鏡的多発血管炎で高頻度に陽性となり、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症でも陽性となる。一方、多発血管炎性肉芽腫症ではPR3-ANCA(C-ANCAパターン)が陽性となることが多い。これらはいずれもANCA関連血管炎に含まれる。●MPO-ANCA陽性=顕微鏡的多発血管炎・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症。●PR3-ANCA陽性=多発血管炎性肉芽腫症(旧Wegener)。●ANCA陰性が多い血管炎=結節性多発動脈炎・高安動脈炎・Behçet病。●他の自己抗体=抗Scl-70/抗セントロメア(強皮症)・抗ARS/抗Mi-2(筋炎)。
選択肢ごとの解説
① Behçet病は血管炎を伴うがANCAは関連せず、陰性であることが多い。 ② 全身性強皮症は抗Scl-70抗体や抗セントロメア抗体が特徴で、MPO-ANCAは典型的でない。 ③ 結節性多発動脈炎は中型血管炎で、一般にANCA陰性である。 ④ 正しい。顕微鏡的多発血管炎ではMPO-ANCA(P-ANCA)が高率に陽性となる。 ⑤ 多発性筋炎・皮膚筋炎は抗ARS抗体や抗Mi-2抗体などが特徴で、MPO-ANCAとは結びつかない。
第69回 午後12(臨床検査医学総論)
急性期の過換気症候群で低下するのはどれか。
①HCO₃⁻ ②PaCO₂ ③動脈血pH ④血清カリウム ⑤血清ナトリウム
正答: ②PaCO₂
ポイント 過換気症候群では換気が過剰になり二酸化炭素が排出されすぎてPaCO₂が低下し、呼吸性アルカローシスとなって動脈血pHは上昇する。代償としてHCO₃−はやや低下するが急性期では大きく変わらない。アルカローシスではイオン化カルシウムが低下し、テタニーやしびれを生じる。●呼吸性アルカローシス=過換気症候群・高地・発熱・サリチル酸中毒初期。●呼吸性アシドーシス=COPD・呼吸抑制・換気不全(PaCO₂上昇・pH低下)。●代謝性アシドーシス=糖尿病性ケトアシドーシス・腎不全・下痢。●代謝性アルカローシス=嘔吐・利尿薬。
選択肢ごとの解説
① HCO₃−は急性期では大きく変化せず、慢性化で代償的に低下する。急性期に明確に低下するのはPaCO₂である。 ② 正しい。過換気でCO₂が過剰に排出されPaCO₂が低下する。これが過換気症候群の基本病態である。 ③ CO₂低下により呼吸性アルカローシスとなり、動脈血pHはむしろ上昇する。 ④ アルカローシスではカリウムが細胞内へ移動し低下傾向となるが、本症の主たる低下指標はPaCO₂である。 ⑤ 血清ナトリウムは過換気で直接的には変化しない。
第69回 午後13(臨床検査医学総論)
深夜に血中濃度が高値を示すのはどれか。
①カテコールアミン ②成長ホルモン〈GH〉 ③副甲状腺ホルモン〈PTH〉 ④卵胞刺激ホルモン〈FSH〉 ⑤副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉
正答: ②成長ホルモン〈GH〉
ポイント ホルモンの多くは日内変動を示し、成長ホルモン(GH)は入眠後の深い徐波睡眠時に分泌が高まり深夜に高値となる。GHは肝臓でのインスリン様成長因子-1(IGF-1)産生を介し成長や代謝を調節する。コルチゾールやACTHは早朝に高く夜間に低い逆の変動を示す。●深夜・睡眠時に高い=成長ホルモン・メラトニン・プロラクチン。●早朝に高い=コルチゾール・ACTH。●拍動性・周期性分泌=LH/FSH(性周期)・GH(拍動性)。●ストレス・活動で上昇=カテコールアミン。●日内変動の少ないもの=PTH・TSH(軽度の夜間上昇あり)。
選択肢ごとの解説
① カテコールアミンは活動時や日中に高まり、深夜睡眠時に特に高値となるわけではない。 ② 正しい。成長ホルモン(GH)は入眠後の深睡眠期に分泌が増し、深夜に高値を示す。 ③ 副甲状腺ホルモン(PTH)は深夜高値の明瞭な日内変動を主たる特徴とはしない。 ④ 卵胞刺激ホルモン(FSH)は月経周期に伴う変動が主で、深夜に特に高値とはならない。 ⑤ 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は早朝に高く深夜に低い日内変動を示し、深夜は低値である。
第69回 午後14(臨床検査医学総論)
伝音性難聴を呈するのはどれか。2つ選べ。
①中耳炎 ②耳垢塞栓 ③聴神経腫瘍 ④突発性難聴 ⑤メニエール〈Ménière〉病
正答: ①中耳炎・②耳垢塞栓
ポイント 難聴は外耳・中耳の障害による伝音難聴と、内耳・聴神経の障害による感音難聴に分けられる。伝音難聴は音の伝達経路の機械的障害で生じ、中耳炎や耳垢塞栓が代表的原因である。感音難聴は内耳から聴神経・中枢の障害で生じる。●伝音難聴の原因=中耳炎・耳垢塞栓・鼓膜穿孔・耳硬化症・耳小骨離断。●感音難聴の原因=突発性難聴・メニエール病・聴神経腫瘍・老人性難聴・騒音性難聴・薬剤性(アミノグリコシド)。●検査=純音聴力検査(気導・骨導)・ティンパノメトリ・耳音響放射・聴性脳幹反応(ABR)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。中耳炎は中耳の音響伝達を障害し、伝音難聴をきたす。 ② 正しい。耳垢塞栓は外耳道を閉塞して音の伝達を妨げ、伝音難聴を生じる。 ③ 聴神経腫瘍は内耳神経の障害で感音難聴をきたす。 ④ 突発性難聴は内耳障害による感音難聴である。 ⑤ メニエール病は内リンパ水腫による感音難聴を呈する。
第69回 午後15(臨床検査医学総論)
自己免疫疾患はどれか。
①Alzheimer病 ②重症筋無力症 ③Creutzfeldt-Jakob病 ④進行性多巣性白質脳症 ⑤筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
正答: ②重症筋無力症
ポイント 重症筋無力症は神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体により神経筋伝達が障害される自己免疫疾患である。眼瞼下垂や易疲労性、夕方に悪化する筋力低下(日内変動)が特徴で、胸腺腫を合併することがある。抗アセチルコリン受容体抗体や抗MuSK抗体が診断に用いられる。●自己免疫性神経疾患=重症筋無力症・多発性硬化症・ギラン・バレー症候群・視神経脊髄炎。●神経変性疾患=Alzheimer病・Parkinson病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)。●感染・プリオン関連=Creutzfeldt-Jakob病・進行性多巣性白質脳症(JCウイルス)。
選択肢ごとの解説
① Alzheimer病はアミロイドβ蓄積などによる神経変性疾患で、自己免疫疾患ではない。 ② 正しい。重症筋無力症はアセチルコリン受容体に対する自己抗体による自己免疫疾患である。 ③ Creutzfeldt-Jakob病は異常プリオン蛋白による感染性の神経変性疾患である。 ④ 進行性多巣性白質脳症はJCウイルス感染による脱髄性疾患で、自己免疫疾患ではない。 ⑤ 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンの変性疾患で、自己免疫機序が主体ではない。
📋 まとめの表を見る:自己免疫疾患と紛らわしい非自己免疫疾患の鑑別
自己免疫疾患は自己の正常な細胞・組織に対する免疫反応で障害が生じる疾患群。慢性肉芽腫症やDuchenne型筋ジストロフィーのように『免疫が関与するようにみえて実は遺伝子異常・酵素欠損が原因』の疾患や、Alzheimer病・Creutzfeldt-Jakob病・進行性多巣性白質脳症・ALSのように『別の神経疾患』が、自己免疫疾患を選ばせる設問の紛らわしい選択肢として繰り返し出題されている。
第69回 午後16(臨床生理学)
冠動脈の左前下行枝が灌流する左室壁はどれか。2つ選べ。
正答: ④心尖部・⑤前壁中隔
ポイント 冠動脈は左前下行枝・左回旋枝・右冠動脈に大別される。左前下行枝は前壁・心室中隔・心尖部を灌流するため、心尖部や前壁中隔の虚血を反映する。左回旋枝は側壁・後壁を、右冠動脈は下壁・後壁および房室結節を主に灌流する。●左前下行枝(LAD)=前壁・前壁中隔・心尖部(V1〜V4)。●左回旋枝(LCX)=側壁・後側壁(Ⅰ・aVL・V5・V6)。●右冠動脈(RCA)=下壁・右室・後壁(Ⅱ・Ⅲ・aVF)・房室結節・洞結節。●梗塞部位と誘導=前壁中隔(V1〜V4)・側壁(Ⅰ・aVL・V5・V6)・下壁(Ⅱ・Ⅲ・aVF)。
選択肢ごとの解説
① 下壁は主に右冠動脈が灌流し、左前下行枝の支配領域ではない。 ② 後壁は右冠動脈や左回旋枝が灌流する領域である。 ③ 側壁は主に左回旋枝が灌流する。 ④ 正しい。心尖部は左前下行枝が灌流する代表的領域である。 ⑤ 正しい。前壁中隔は左前下行枝が灌流し、その閉塞で前壁中隔梗塞を生じる。
第69回 午後17(臨床生理学)
標準12誘導心電図を別に示す。認められる所見はどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB017.294856ccaa.jpg
①右脚ブロック ②左脚ブロック ③前壁中隔梗塞 ④房室ブロック ⑤心室性期外収縮
正答: ②左脚ブロック・④房室ブロック
ポイント 標準12誘導心電図では脚ブロックと房室ブロックを波形から判読する。左脚ブロックではQRS幅の延長(0.12秒以上)とV5・V6の幅広いノッチを伴うR波、V1での深いQSまたはrS型を示す。房室ブロックはPR間隔の延長やP波とQRSの解離・脱落で診断する。図ではこれらの所見が併存している。●心室内伝導障害=右脚ブロック(V1でrsR′・M字型)・左脚ブロック(V1で深いS、V5・V6で幅広R)。●房室ブロック=Ⅰ度(PR延長)・Ⅱ度(Wenckebach型/Mobitz Ⅱ型)・Ⅲ度(完全房室解離)。●期外収縮=心房性(先行異常P波)・心室性(先行P波なし・幅広QRS)。
選択肢ごとの解説
① 右脚ブロックはV1でrsR′型(M字型)を示すが、図の所見とは合致しない。 ② 正しい。幅広いQRSと左側胸部誘導の特徴的波形から左脚ブロックが認められる。 ③ 前壁中隔梗塞はV1〜V4の異常Q波やST変化を示すが、図の主所見ではない。 ④ 正しい。PR間隔延長やP-QRS関係の異常から房室ブロックが認められる。 ⑤ 心室性期外収縮は先行P波を伴わない幅広いQRSの早期出現で、図の主所見ではない。
第69回 午後18(臨床生理学)
右足の足関節上腕血圧比〈ABI〉の算出に用いるのはどれか。
①左上腕収縮期血圧 ②右上腕収縮期血圧 ③左右の上腕収縮期血圧の平均 ④左右の上腕収縮期血圧のうち高い方 ⑤左右の上腕収縮期血圧のうち低い方
正答: ④左右の上腕収縮期血圧のうち高い方
ポイント 足関節上腕血圧比(ABI)は足関節収縮期血圧を上腕収縮期血圧で除した値で、末梢動脈疾患のスクリーニングに用いる。分母には左右の上腕収縮期血圧のうち高い方を採用する。0.9未満で末梢動脈の狭窄・閉塞を疑い、1.3超では動脈の石灰化(中膜硬化)を疑う。●ABIの解釈=0.9未満(末梢動脈疾患)・0.9〜1.3(正常域)・1.3超(石灰化)。●関連指標=足趾上腕血圧比(TBI)・脈波伝播速度(PWV、動脈硬化)・上腕足首脈波伝播速度(baPWV)。●末梢動脈疾患の症状=間欠性跛行・冷感・潰瘍。
選択肢ごとの解説
① 左上腕に限定して用いるのではなく、左右の高い方を採用する。 ② 右上腕に限定するのではなく、左右の高い方を分母とする。 ③ 平均値ではなく、左右のうち高い方を用いる。 ④ 正しい。左右の上腕収縮期血圧のうち高い方を分母として用いる。 ⑤ 低い方ではなく高い方を用いる。低い方を用いるとABIが過大評価となる。
第69回 午後19(臨床生理学)
パルスオキシメータで測定できるのはどれか。2つ選べ。
①体温 ②呼吸数 ③脈拍数 ④動脈血酸素飽和度 ⑤動脈血二酸化炭素分圧
正答: ③脈拍数・④動脈血酸素飽和度
ポイント パルスオキシメータは赤色光と赤外光の2波長の吸光度比から動脈血酸素飽和度(SpO₂)を経皮的・非侵襲的に測定する。拍動成分(動脈血)を抽出して計算するため、脈拍数も同時に得られる。二酸化炭素分圧・体温・呼吸数は測定できない。●非侵襲的モニタ=パルスオキシメータ(SpO₂・脈拍数)・カプノメータ(呼気終末CO₂)・経皮的酸素/二酸化炭素分圧計。●血液ガス分析で得る=PaO₂・PaCO₂・pH・HCO₃−。●測定誤差の原因=末梢循環不全・体動・マニキュア・一酸化炭素ヘモグロビン・メトヘモグロビン。
選択肢ごとの解説
① 体温はパルスオキシメータでは測定できない。 ② 呼吸数はパルスオキシメータでは直接測定できない。 ③ 正しい。拍動成分を検出するため脈拍数を測定できる。 ④ 正しい。赤色光と赤外光の吸光度比から動脈血酸素飽和度(SpO₂)を測定する。 ⑤ 動脈血二酸化炭素分圧は光学的吸光度では測定できず、血液ガス分析が必要である。
第69回 午後20(臨床生理学)
1回呼吸法による肺拡散能力測定のスパイログラムを別に示す。ガスを採取する部分はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB020.fa499a3a7e.jpg
正答: ⑤
ポイント 1回呼吸法による肺拡散能力(DLCO)測定では、一酸化炭素とヘリウムなどの混合ガスを最大吸気で吸入し、約10秒間の息止め後に呼出する。呼出初期の死腔ガス④を捨て、その直後の肺胞気⑤を採取して分析する。図の⑤は呼出が完全に終わる直前の部分ではなく、死腔ガスの排出に続く採気区間である。●肺機能検査=スパイロメトリ(換気量・1秒率)・肺拡散能力(DLCO)・機能的残気量(ガス希釈法・体プレチスモグラフ)。●拡散能力低下=間質性肺炎・肺気腫・肺塞栓・貧血。●拡散能力上昇=多血症・肺出血。
選択肢ごとの解説
① ①は安静吸気位から最大呼気位まで呼出する量を表しており、試験ガス吸入後の採気区間ではない。 ② ②は安静呼気位から最大呼気位までの量(予備呼気量)を表しており、採気区間ではない。 ③ ③は最大呼気位から最大吸気位まで吸入する試験ガス量を表す。死腔ガスを捨てる区間ではない。 ④ ④は息止め後の呼出初期に捨てる死腔ガスの区間。これに続く⑤の肺胞気を採取する。 ⑤ 正しい。死腔ガスを除いた後の肺胞気を反映する⑤の部分でガスを採取する。
第69回 午後21(臨床生理学)
機能と部位の組合せで誤っているのはどれか。
①運動 — 中心後回 ②記憶 — 海馬 ③言語 — Broca野 ④視覚 — 鳥距溝 ⑤聴覚 — 横側頭回
正答: ①運動 — 中心後回
ポイント 誤っている組合せを選ぶ問題である。大脳皮質の機能局在では運動の中枢は中心前回(前頭葉の一次運動野)にあり、中心後回は体性感覚を担う一次感覚野である。海馬は記憶、Broca野は運動性言語、鳥距溝周囲は視覚野、横側頭回(Heschl回)は聴覚野である。●運動野=中心前回(前頭葉)。●体性感覚野=中心後回(頭頂葉)。●視覚野=後頭葉・鳥距溝周囲。●聴覚野=側頭葉・横側頭回(Heschl回)。●言語野=Broca野(運動性・前頭葉)・Wernicke野(感覚性・側頭葉)。●記憶=海馬・扁桃体。
選択肢ごとの解説
① 誤り。運動は中心前回が担い、中心後回は体性感覚野であるため組合せが正しくない。 ② 記憶と海馬の組合せは正しく、海馬は近時記憶の形成に関わる。 ③ 言語とBroca野の組合せは正しく、Broca野は運動性言語中枢である。 ④ 視覚と鳥距溝の組合せは正しく、後頭葉の鳥距溝周囲が一次視覚野である。 ⑤ 聴覚と横側頭回の組合せは正しく、横側頭回(Heschl回)が一次聴覚野である。
📋 まとめの表を見る:中枢神経系の部位と機能
言語中枢はほとんどの場合、左半球(優位半球)にある。運動は中心前回、体性感覚は中心後回であり取り違えやすい。
第69回 午後22(臨床生理学)
脳波を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB022.65adac5b63.jpg
①三相波 ②多棘徐波複合 ③3 Hz棘徐波複合 ④周期性同期性放電 ⑤ヒプスアリスミア
正答: ③3 Hz棘徐波複合
ポイント 3 Hz棘徐波複合は欠神発作(小発作てんかん)に特徴的な脳波所見で、左右対称・同期性に全般性に出現する。過呼吸で誘発されやすく、数秒間の意識消失を伴う発作と関連する。三相波は肝性脳症、ヒプスアリスミアはWest症候群でみられる。●てんかん性脳波=3 Hz棘徐波複合(欠神発作)・多棘徐波複合(ミオクロニー・若年性ミオクロニーてんかん)・ヒプスアリスミア(West症候群)。●代謝性脳症=三相波(肝性脳症)。●感染・変性=周期性同期性放電(Creutzfeldt-Jakob病)・周期性一側性てんかん型放電(PLED)。●賦活法=過呼吸・光刺激・睡眠。
選択肢ごとの解説
① 三相波は肝性脳症などの代謝性脳症でみられる所見で、3 Hz棘徐波とは異なる。 ② 多棘徐波複合はミオクロニーてんかんなどでみられ、本図の所見とは異なる。 ③ 正しい。3 Hz棘徐波複合は欠神発作に特徴的な全般性・同期性の所見である。 ④ 周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病などでみられる所見である。 ⑤ ヒプスアリスミアは乳児のWest症候群でみられる無秩序な高振幅波で、本図とは異なる。
📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。
第69回 午後23(臨床生理学)
神経伝導検査で評価できる神経線維はどれか。
正答: ①Aα線維
ポイント 神経伝導検査は皮膚表面の電極で記録するため、伝導速度が速く有髄で太いAα線維(運動神経・固有感覚)を主に評価する。Aδ線維やC線維のような細い線維は痛覚や温度覚を伝えるが、通常の神経伝導検査では評価できない。運動神経伝導検査と感覚神経伝導検査がある。●神経線維の分類(太い→細い)=Aα(運動・固有感覚)・Aβ(触覚・圧覚)・Aγ(筋紡錘)・Aδ(痛覚・温度覚)・B(自律神経節前)・C(無髄・痛覚・温度覚・自律神経節後)。●神経伝導検査で評価=太い有髄線維(Aα・Aβ)。●細い線維の評価=定量的感覚検査・自律神経機能検査。
選択肢ごとの解説
① 正しい。Aα線維は太い有髄線維で伝導速度が速く、神経伝導検査で評価できる。 ② Aγ線維は筋紡錘を支配する細い線維で、通常の神経伝導検査では評価対象とならない。 ③ Aδ線維は痛覚・温度覚を伝える細い線維で、通常の神経伝導検査では評価しにくい。 ④ B線維は自律神経の節前線維で、神経伝導検査では評価しない。 ⑤ C線維は無髄で伝導が遅く痛覚などを伝えるが、通常の神経伝導検査では評価できない。
第69回 午後24(臨床生理学)
超音波検査で深度に応じて受信の感度を変える機能はどれか。
①γ補正 ②ゲイン ③フォーカシング ④ダイナミックレンジ ⑤STC〈sensitivity time control〉
正答: ⑤STC〈sensitivity time control〉
ポイント STC(sensitivity time control、深度補正・時間利得補正)は超音波の深部からの反射が減衰するのを補うため、深度(受信時間)に応じて受信感度を変える機能で、画面全体の輝度を均一化する。ゲインは受信信号全体の増幅度、ダイナミックレンジは表示する信号強度の幅を調整する。●受信・表示の調整機能=STC/TGC(深度ごとの感度補正)・ゲイン(全体増幅)・ダイナミックレンジ(階調幅)・γ補正(輝度階調)。●ビーム制御=フォーカシング(収束)・電子走査。●画質に影響=周波数(分解能と深達度のトレードオフ)・フレームレート。
選択肢ごとの解説
① γ補正は輝度の階調変換に関する調整で、深度に応じた感度補正ではない。 ② ゲインは受信信号全体を一律に増幅する調整で、深度ごとの補正ではない。 ③ フォーカシングは超音波ビームを特定深度に収束させる機能で、感度補正ではない。 ④ ダイナミックレンジは表示する信号強度の範囲を調整する機能である。 ⑤ 正しい。STC(sensitivity time control)は深度(受信時間)に応じて受信感度を変え、減衰を補正する。
第69回 午後25(臨床生理学)
心エコーの傍胸骨左室長軸像を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB025.14f1903551.jpg
①拡張型心筋症 ②拘束型心筋症 ③肥大型心筋症 ④高血圧性心疾患 ⑤心アミロイドーシス
正答: ③肥大型心筋症
ポイント 肥大型心筋症は心室中隔を中心とした左室壁の非対称性肥厚を特徴とし、傍胸骨左室長軸像で心室中隔の著明な肥厚(中隔/後壁比の増大)として描出される。左室流出路狭窄や僧帽弁収縮期前方運動(SAM)を伴うこともある。拡張型心筋症では左室拡大と壁の菲薄化・収縮低下がみられる。●心筋症=肥大型(非対称性中隔肥厚)・拡張型(左室拡大・収縮低下)・拘束型(拡張障害)。●二次性の壁肥厚=高血圧性心疾患(求心性肥大)・大動脈弁狭窄・心アミロイドーシス(壁肥厚+輝度上昇・グラニュラー像)。●評価=左室壁厚・左室駆出率・流出路圧較差・拡張能。
選択肢ごとの解説
① 拡張型心筋症は左室の拡大と壁菲薄化・収縮低下が特徴で、壁肥厚を示す本図とは異なる。 ② 拘束型心筋症は拡張障害が主体で、著明な非対称性壁肥厚は典型的でない。 ③ 正しい。心室中隔優位の非対称性壁肥厚は肥大型心筋症に合致する。 ④ 高血圧性心疾患では求心性に左室壁が肥厚するが、中隔優位の非対称肥厚は肥大型心筋症を示唆する。 ⑤ 心アミロイドーシスは壁肥厚に加え心筋の輝度上昇を伴うことが多く、本図の主所見とは異なる。
📋 まとめの表を見る:心臓超音波検査:所見と病態
SAM(収縮期前方運動)は閉塞性肥大型心筋症に特徴的な所見であり、僧帽弁逸脱の所見ではない点に注意。
第69回 午後26(臨床生理学)
右上腹部超音波像を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB026.37f9b9b681.jpg
正答: ①肝囊胞
ポイント 肝囊胞は超音波で内部が無エコー(エコーフリー)、辺縁が平滑で境界明瞭な類円形の構造として描出され、後方エコー増強と側方陰影(外側陰影)を伴うのが特徴である。良性で無症状のことが多く、内部に充実成分や隔壁を欠く。これに対し膿瘍や腫瘍は内部にエコーを伴うため、内部性状で鑑別する。 ●充実性病変=肝細胞癌・転移性肝癌・限局性結節性過形成。 ●高エコー腫瘤=肝血管腫(典型は辺縁高エコーのhigh echoic mass)。 ●無エコー〜囊胞性=単純性肝囊胞・多発肝囊胞・肝膿瘍(内部にデブリやエコーを伴う)。 ●超音波の囊胞所見=後方エコー増強・側方陰影・内部無エコー。
選択肢ごとの解説
① 正しい。内部無エコー・境界明瞭・後方エコー増強・側方陰影の所見は肝囊胞に合致する。 ② 肝膿瘍は内部に不均一なエコーやデブリ、ガス像を伴うことが多く、完全な無エコーの本図とは異なる。 ③ 肝血管腫は辺縁高エコーの充実性腫瘤として描出されることが多く、無エコーの囊胞とは異なる。 ④ 肝細胞癌は内部エコーを有する充実性腫瘤で、モザイクパターンなどを示し無エコーの囊胞とは異なる。 ⑤ 転移性肝癌は標的状(ブルズアイ、target sign)など充実性所見を示し、無エコーの囊胞とは異なる。
📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。
第69回 午後27(臨床生理学)
医療用MRI検査で使用するのはどれか。2つ選べ。
①微小気泡 ②テクネチウム ③硫酸バリウム ④ガドリニウム製剤 ⑤超常磁性酸化鉄製剤〈SPIO〉
正答: ④ガドリニウム製剤・⑤超常磁性酸化鉄製剤〈SPIO〉
ポイント 磁気共鳴画像(MRI)の造影剤には、T1短縮効果により陽性造影を与えるガドリニウム製剤と、肝のKupffer細胞(網内系)に取り込まれてT2・T2*短縮を起こす超常磁性酸化鉄製剤(SPIO)がある。いずれも常磁性体・超常磁性体としてプロトンの緩和を促進する。微小気泡は超音波造影剤、テクネチウムは核医学検査の放射性同位元素、硫酸バリウムはX線造影剤であり、いずれもMRIには用いない。 ●MRI造影剤=ガドリニウム製剤(T1短縮)・SPIO(肝特異性、T2短縮)・マンガン製剤。 ●超音波造影剤=マイクロバブル(微小気泡)。 ●X線・CT造影剤=ヨード造影剤・硫酸バリウム。 ●核医学=テクネチウム(⁹⁹ᵐTc)・ガリウム・タリウムなど放射性同位元素。
選択肢ごとの解説
① 微小気泡は超音波(エコー)検査の造影剤であり、MRIでは用いない。 ② テクネチウムは放射性同位元素で核医学(シンチグラフィ)検査に用いる。 ③ 硫酸バリウムは消化管のX線造影に用いる造影剤である。 ④ 正しい。ガドリニウム製剤はT1短縮効果をもつMRI造影剤である。 ⑤ 正しい。超常磁性酸化鉄製剤(SPIO)は肝のKupffer細胞に取り込まれるMRI造影剤である。
第69回 午後28(臨床生理学)
熱画像検査〈サーモグラフィ〉で高温相を示すことが多い病態はどれか。
①動脈瘤 ②皮膚潰瘍 ③リンパ浮腫 ④Raynaud現象 ⑤閉塞性動脈硬化症
正答: ①動脈瘤
ポイント 熱画像検査(サーモグラフィ)は体表から放射される赤外線を検出し、皮膚表面の温度分布を画像化する非侵襲検査である。血流が豊富な部位や炎症部位は高温相(高温像)を示し、血流低下や循環障害のある部位は低温相を示す。動脈瘤は血流が豊富で高温相を示すことが多い。一方、Raynaud現象・閉塞性動脈硬化症・リンパ浮腫・皮膚潰瘍は血流低下やうっ滞により低温相を示す。 ●高温相を示す病態=動脈瘤・炎症・動静脈瘻・過灌流。 ●低温相を示す病態=Raynaud現象・閉塞性動脈硬化症・バージャー病・リンパ浮腫・皮膚潰瘍・血流途絶。
選択肢ごとの解説
① 正しい。動脈瘤は血流が豊富で、サーモグラフィで高温相を示すことが多い。 ② 皮膚潰瘍は循環障害を伴い、低温相を示すことが多い。 ③ リンパ浮腫はリンパうっ滞により低温相を示しやすい。 ④ Raynaud現象は発作時の末梢血流低下による低温相が特徴である。 ⑤ 閉塞性動脈硬化症は動脈血流の低下により低温相を示す。
第69回 午後29(臨床化学)
ステロイド骨格を持つのはどれか。
①アドレナリン ②アルドステロン ③インスリン ④オキシトシン ⑤ガストリン
正答: ②アルドステロン
ポイント ステロイド骨格(シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環=3個の六員環と1個の五員環からなる)をもつのは、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどのステロイドホルモンであり、いずれもコレステロールを母体として合成される。アルドステロンは副腎皮質球状帯で産生される鉱質コルチコイドでステロイド骨格をもつ。アドレナリンはチロシン由来のカテコールアミン(アミン)、インスリン・オキシトシン・ガストリンはペプチドホルモンである。 ●ステロイドホルモン=コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン・エストロゲン・プロゲステロン・ビタミンD。 ●アミン(アミノ酸誘導体)=アドレナリン・ノルアドレナリン・甲状腺ホルモン。 ●ペプチド・蛋白ホルモン=インスリン・グルカゴン・オキシトシン・バソプレシン・ガストリン・下垂体ホルモン。
選択肢ごとの解説
① アドレナリンはチロシン由来のカテコールアミンで、ステロイド骨格をもたない。 ② 正しい。アルドステロンは副腎皮質球状帯で産生される鉱質コルチコイドでステロイド骨格をもつ。 ③ インスリンはペプチドホルモンで、ステロイド骨格をもたない。 ④ オキシトシンはペプチドホルモンで、ステロイド骨格をもたない。 ⑤ ガストリンはペプチドホルモンで、ステロイド骨格をもたない。
第69回 午後30(臨床化学)
BNPについて誤っているのはどれか。
①血清で測定する。 ②心室で合成される。 ③腎不全で増加する。 ④環状構造部分を持つ。 ⑤Na⁺再吸収を抑制する。
正答: ①血清で測定する。
ポイント 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は心室の容量・圧負荷の増大に応じて心室筋から分泌され、利尿・血管拡張・ナトリウム排泄促進により心負荷を軽減するホルモンである。血液凝固過程で分解されやすいため、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)加血漿(全血)で測定し、血清では適切に測定できない。腎排泄が低下する腎不全では高値となる。分子内にジスルフィド結合による環状構造をもつ。 ●心臓由来ナトリウム利尿ペプチド=心房性(ANP、心房由来)・脳性(BNP、心室由来)・NT-proBNP(前駆体由来、血清でも測定可・腎排泄)。 ●BNP高値の病態=心不全・心肥大・腎不全・高齢。 ●測定検体の注意=BNPはEDTA血漿、NT-proBNPは血清・血漿いずれも可。
選択肢ごとの解説
① 誤り。BNPは分解を防ぐためEDTA加血漿で測定し、血清は用いない。 ② BNPは主に心室筋で合成・分泌される。記述は正しい。 ③ 腎排泄が低下する腎不全ではBNPが増加する。記述は正しい。 ④ BNPはジスルフィド結合による17アミノ酸の環状構造をもつ。記述は正しい。 ⑤ BNPはナトリウム再吸収を抑制し利尿を促す。記述は正しい。
第69回 午後31(臨床化学)
尿酸について誤っているのはどれか。
①還元力がある。 ②基準範囲に性差がある。 ③尿塩酸は組織に沈着する。 ④ヘモグロビンの最終代謝産物である。 ⑤血中の飽和溶解濃度は7 mg/dL程度である。
正答: ③尿塩酸は組織に沈着する。・④ヘモグロビンの最終代謝産物である。
ポイント 【本問は公式で複数正答=「尿塩酸は組織に沈着する」と「ヘモグロビンの最終代謝産物である」のいずれも正解】 尿酸はプリン体(核酸の塩基であるアデニン・グアニン)の最終代謝産物で、還元力をもつ。血中での溶解度は低く、約7 mg/dLで飽和し、これを超えると尿酸塩結晶として関節などに沈着し痛風を起こす。基準範囲には性差があり男性で高い。ヘモグロビンの最終代謝産物はビリルビンであって尿酸ではない。なお選択肢の「尿塩酸」は存在せず、組織に沈着するのは尿酸(尿酸塩)である。 ●プリン代謝=アデニン・グアニン→ヒポキサンチン・キサンチン→尿酸(キサンチンオキシダーゼ)。 ●尿酸高値=痛風・腎不全・悪性腫瘍(腫瘍崩壊)・利尿薬。 ●ヘモグロビン代謝の最終産物=ビリルビン(ヘム→ビリベルジン→ビリルビン)。
選択肢ごとの解説
① 尿酸は還元力をもつため、記述は正しい。 ② 尿酸の基準範囲は男性で高く性差がある。記述は正しい。 ③ 公式正答(複数正答の一つ)。尿酸塩(尿酸ナトリウム)は痛風で関節・組織に沈着するため内容自体は正しいが、公式問題冊子の原文が「尿塩酸」と誤植され実在しない物質だったため、公式でもこの選択肢が誤り(正答)に含められた。 ④ 公式正答(複数正答の一つ)。尿酸はプリン体(アデニン・グアニン)の最終代謝産物であり、ヘモグロビンの最終代謝産物はビリルビンである。よって「ヘモグロビンの最終代謝産物である」は誤り。 ⑤ 尿酸の血中飽和溶解濃度は約7 mg/dL程度である。記述は正しい。
📋 まとめの表を見る:主な血液・尿検査項目の代謝上の由来(最終代謝産物)
アンモニアは採血後、室温放置や溶血で偽高値になりやすいため速やかに測定するか氷冷保存する。
第69回 午後32(臨床化学)
非抱合ビリルビンについて正しいのはどれか。
①腸肝循環する。 ②尿中に排泄される。 ③ジアゾ試薬と直接反応する。 ④血中でアルブミンと結合する。 ⑤グロブリンと結合しδビリルビンが生成される。
正答: ④血中でアルブミンと結合する。
ポイント 非抱合(間接)ビリルビンはヘムの分解で生じる脂溶性の色素で、水に溶けにくく、血中ではアルブミンと結合して肝へ運ばれる。肝細胞でグルクロン酸抱合を受けて水溶性の抱合(直接)ビリルビンとなり、胆汁中へ排泄される。非抱合型はアルブミン結合のため腎糸球体を通過せず尿中に出ない。ジアゾ試薬と直接(速やかに)反応するのは抱合型で、非抱合型はアルコールなどの促進剤を要する。 ●非抱合(間接)ビリルビン=脂溶性・アルブミン結合・尿中陰性・溶血性黄疸で増加。 ●抱合(直接)ビリルビン=水溶性・尿中陽性・閉塞性黄疸/肝細胞性黄疸で増加。 ●δビリルビン=抱合ビリルビンがアルブミンと共有結合したもの。 ●腸肝循環するのはウロビリノゲン。
選択肢ごとの解説
① 腸肝循環するのはウロビリノゲンであり、非抱合ビリルビンそのものではない。 ② 非抱合ビリルビンはアルブミン結合のため腎から排泄されず、尿中に出ない。 ③ ジアゾ試薬と直接反応するのは抱合(直接)ビリルビンで、非抱合型は促進剤を要する。 ④ 正しい。非抱合ビリルビンは脂溶性で、血中ではアルブミンと結合して運搬される。 ⑤ δビリルビンは抱合ビリルビンがアルブミンと共有結合したもので、非抱合型の説明ではない。
📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。
第69回 午後33(臨床化学)
酵素反応で過酸化水素を発生しないのはどれか。
①グルコースオキシダーゼ ②サルコシンオキシダーゼ ③アシルCoAオキシダーゼ ④グリセロールオキシダーゼ ⑤アスコルビン酸オキシダーゼ
正答: ⑤アスコルビン酸オキシダーゼ
ポイント オキシダーゼは基質を酸化する際に分子状酸素を還元し、多くは過酸化水素(H₂O₂)を生成する。生成したH₂O₂をペルオキシダーゼと色原体で発色させる方法(Trinder反応など)が臨床化学の測定に広く用いられる。これに対しアスコルビン酸オキシダーゼはアスコルビン酸を酸化する際に過酸化水素を生成せず(生成物は水)、検体中の妨害物質であるアスコルビン酸を消去する前処理酵素として用いられる。 ●H₂O₂を生成するオキシダーゼ=グルコース・サルコシン・アシルCoA・グリセロール・コレステロール・尿酸(ウリカーゼ)オキシダーゼ。 ●H₂O₂を生成しない=アスコルビン酸オキシダーゼ(妨害物質除去に利用)。 ●H₂O₂の検出系=ペルオキシダーゼ+4-アミノアンチピリン等の色原体。
選択肢ごとの解説
① グルコースオキシダーゼはグルコースを酸化し、過酸化水素を生成する。 ② サルコシンオキシダーゼはサルコシンを酸化し、過酸化水素を生成する。 ③ アシルCoAオキシダーゼは反応で過酸化水素を生成する。 ④ グリセロールオキシダーゼは反応で過酸化水素を生成する。 ⑤ 正しい。アスコルビン酸オキシダーゼは過酸化水素を発生せず、妨害物質(アスコルビン酸)の除去に用いられる。
第69回 午後34(臨床化学)
カルシウムについて正しいのはどれか。2つ選べ。
①EDTA加血漿では高値となる。 ②生理活性があるのはイオン型である。 ③アシドーシスではイオン型の割合が増加する。 ④血清中ではトランスフェリンと結合している。 ⑤細胞内液に最も多く含まれる陽イオンである。
正答: ②生理活性があるのはイオン型である。・③アシドーシスではイオン型の割合が増加する。
ポイント 血中カルシウムは蛋白結合型(主にアルブミン)、イオン型(遊離型)、複合型(リン酸・重炭酸などとの錯体)に分かれ、生理活性をもつのはイオン型である。pHが低下するアシドーシスではアルブミンの負電荷が水素イオンで中和されてカルシウム結合が減り、イオン型の割合が増加する。EDTAはカルシウムをキレートするため測定値は低下する。血清中で結合する蛋白は主にアルブミンであり、細胞内に最も多い陽イオンはカリウムである。 ●血中カルシウムの分画=蛋白結合型(約40%)・イオン型(約50%)・複合型(約10%)。 ●イオン型カルシウムを変動させる因子=pH(アシドーシスで上昇、アルカローシスで低下)・アルブミン濃度。 ●陽イオンの分布=細胞外はナトリウム、細胞内はカリウム・マグネシウムが多い。
選択肢ごとの解説
① EDTAはカルシウムをキレートするため、EDTA加血漿では測定値は低値となる。 ② 正しい。生理活性をもつのはイオン型(遊離カルシウム)である。 ③ 正しい。アシドーシスではアルブミンとの結合が減り、イオン型の割合が増加する。 ④ 血清中でカルシウムが結合するのは主にアルブミンで、トランスフェリンは鉄を運ぶ蛋白である。 ⑤ 細胞内液に最も多い陽イオンはカリウムであり、カルシウムではない。
📋 まとめの表を見る:血中カルシウム・マグネシウムの存在様式と測定への影響
検体が空気に触れてCO₂が失われるとpHが上昇し、蛋白結合が増えてイオン化Caは低下する。一方、密閉した全血を放置すると解糖による乳酸産生でpHが低下し、イオン化Caが上昇しうる。保存による変化は空気との接触などの条件に左右される。細胞外液中のマグネシウムは体内総量の約1%のみで、大部分は細胞内に存在する。
第69回 午後35(臨床化学)
ポルフィリン環を含むのはどれか。2つ選べ。
①ヘム ②ビタミンB₁₂ ③アラキドン酸 ④クレアチニン ⑤ヒドロキシ酪酸
正答: ①ヘム・②ビタミンB₁₂
ポイント ポルフィリン環は4つのピロール環がメチン橋で連結した環状構造で、中心に金属イオンを配位する。ヘムは鉄を配位したポルフィリンで、ヘモグロビン・ミオグロビン・シトクロムの補欠分子族となる。ビタミンB₁₂(コバラミン)はコバルトを配位したコリン環をもつポルフィリン類縁構造である。アラキドン酸・クレアチニン・ヒドロキシ酪酸はいずれもポルフィリン環をもたない。 ●ポルフィリン(類縁)環をもつ=ヘム(鉄)・クロロフィル(マグネシウム)・ビタミンB₁₂(コバルト、コリン環)・シトクロム。 ●ヘム合成=アミノレブリン酸→ポルフォビリノゲン→ポルフィリン→ヘム(鉄付加)。 ●もたない=アラキドン酸(脂肪酸)・クレアチニン(クレアチン代謝物)・ヒドロキシ酪酸(ケトン体)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ヘムは鉄を配位したポルフィリン環をもち、ヘモグロビンの構成成分である。 ② 正しい。ビタミンB₁₂はコバルトを中心に配位するコリン環(ポルフィリン類縁構造)をもつ。 ③ アラキドン酸は多価不飽和脂肪酸で、ポルフィリン環をもたない。 ④ クレアチニンはクレアチンの代謝産物で、ポルフィリン環をもたない。 ⑤ ヒドロキシ酪酸はケトン体の一種で、ポルフィリン環をもたない。
第69回 午後36(臨床化学)
Michaelis-Mentenの式に従う酵素反応で、反応速度がVmaxの75%となる基質濃度はKm値の何倍か。ただし、Vmaxは最大反応速度、KmはMichaelis定数とする。
正答: ④3
ポイント Michaelis-Mentenの式 v=Vmax[S]/(Km+[S]) において、反応速度vがVmaxの75%(v=0.75Vmax)となる基質濃度を求める。0.75Vmax=Vmax[S]/(Km+[S]) を整理すると0.75(Km+[S])=[S]、0.75Km=0.25[S]、すなわち[S]=3Kmとなる。基質濃度が[S]=Kmのとき反応速度がVmaxの半分になるという定義と同様の代入計算で導かれる。 ●Michaelis-Menten式の代表値=[S]=Kmでv=Vmax/2、[S]=3Kmでv=0.75Vmax、[S]=Kmの逆比でv=Vmax/(1+Km/[S])。 ●Km=酵素と基質の親和性の指標(小さいほど高親和性)。 ●Lineweaver-Burkプロット=逆数プロットでKm・Vmaxを直線回帰で求める。
選択肢ごとの解説
① 0.5倍では反応速度はVmaxの約33%となり、75%には達しない。 ② 1倍([S]=Km)のとき反応速度はVmaxの50%であり、75%ではない。 ③ 2倍では反応速度はVmaxの約67%となり、75%には満たない。 ④ 正しい。式に代入すると[S]=3Kmでv=0.75Vmaxとなる。 ⑤ 5倍では反応速度はVmaxの約83%となり、75%を超える。
第69回 午後37(臨床化学)
鉄代謝で正しいのはどれか。
①血清鉄は朝低い。 ②食事による摂取では小腸で吸収される。 ③血清ではセルロプラスミンと結合している。 ④ヘモグロビンと結合しているのは3価の鉄である。 ⑤鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能〈UIBC〉が低下する。
正答: ②食事による摂取では小腸で吸収される。
ポイント 食事中の鉄は主に十二指腸から空腸上部で吸収され、3価鉄は腸管で2価鉄に還元されて取り込まれる。血清中ではトランスフェリンと結合して運ばれ、ヘモグロビン中で酸素を結合する鉄は2価である。血清鉄には日内変動があり朝高く夕方低い。鉄欠乏性貧血では血清鉄が低下し、結合に空きが増えるため不飽和鉄結合能(UIBC)と総鉄結合能(TIBC)は上昇する。 ●鉄の吸収=十二指腸〜小腸上部、3価→2価へ還元、ビタミンCで促進。 ●血清中の運搬蛋白=トランスフェリン(鉄)/セルロプラスミン(銅)。 ●鉄欠乏性貧血=血清鉄↓・フェリチン↓・UIBC↑・TIBC↑。 ●鉄過剰(ヘモクロマトーシス)=血清鉄↑・フェリチン↑・UIBC↓。
選択肢ごとの解説
① 血清鉄は日内変動で朝に高く、低いのは夕方である。記述は逆である。 ② 正しい。食事性の鉄は主に小腸(十二指腸〜空腸上部)で吸収される。 ③ 血清中で鉄を運ぶのはトランスフェリンで、セルロプラスミンは銅を運ぶ蛋白である。 ④ ヘモグロビン中で酸素を結合するのは2価の鉄であり、3価ではない。 ⑤ 鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能(UIBC)はむしろ上昇する。記述は逆である。
第69回 午後38(臨床化学)
コレステロールの含有率が最も高いのはどれか。
①HDL ②IDL ③LDL ④VLDL ⑤カイロミクロン
正答: ③LDL
ポイント リポ蛋白は密度・粒子径・脂質組成が異なり、低比重リポ蛋白(LDL)はコレステロール含有率が最も高く、肝で合成したコレステロールを末梢へ運ぶ。カイロミクロンと超低比重リポ蛋白(VLDL)はトリグリセリド(中性脂肪)に富む。高比重リポ蛋白(HDL)は蛋白含有率が高く、末梢からコレステロールを肝へ回収する。 ●トリグリセリドに富む=カイロミクロン(食事由来)・VLDL(肝由来)。 ●コレステロールに富む=LDL(末梢へ運搬)・IDL(中間体)。 ●蛋白に富む=HDL(コレステロール逆転送)。 ●比重の順=カイロミクロン<VLDL<IDL<LDL<HDL。
選択肢ごとの解説
① HDLは蛋白含有率が高く、コレステロール含有率はLDLより低い。 ② IDLはVLDLとLDLの中間体で、コレステロール含有率はLDLに及ばない。 ③ 正しい。LDLはコレステロール含有率が最も高いリポ蛋白である。 ④ VLDLはトリグリセリドに富み、コレステロール含有率は高くない。 ⑤ カイロミクロンはトリグリセリドが主体で、コレステロール含有率は最も低い部類である。
第69回 午後39(臨床化学)
血清中の半減期が最も短いのはどれか。
①IgM ②アルブミン ③トランスフェリン ④トランスサイレチン ⑤レチノール結合蛋白
正答: ⑤レチノール結合蛋白
ポイント 血清蛋白の半減期は蛋白ごとに異なる。レチノール結合蛋白は約12時間と最も短く、トランスサイレチン(プレアルブミン)約2日、トランスフェリン約7日、アルブミン約20日である。半減期の短い蛋白は栄養状態の変化を鋭敏に反映するrapid turnover protein(RTP)として、短期の栄養評価に用いられる。 ●rapid turnover protein(RTP)=レチノール結合蛋白(約12時間)・トランスサイレチン/プレアルブミン(約2日)・トランスフェリン(約7日)。 ●長半減期蛋白=アルブミン(約20日)。 ●免疫グロブリン=IgG約3週間、IgM約5日。
選択肢ごとの解説
① IgMの半減期は約5日で、最短ではない。 ② アルブミンの半減期は約20日で長い。 ③ トランスフェリンの半減期は約7日である。 ④ トランスサイレチン(プレアルブミン)の半減期は約2日で、レチノール結合蛋白より長い。 ⑤ 正しい。レチノール結合蛋白の半減期は約12時間で最も短い。
第69回 午後40(臨床化学)
血中(1→3)-β-D-グルカンが高値となるのはどれか。
①ムコール症 ②溶連菌感染症 ③アスペルギルス症 ④リケッチア感染症 ⑤新型コロナウイルス感染症
正答: ③アスペルギルス症
ポイント (1→3)-β-D-グルカンは多くの真菌の細胞壁に共通する多糖成分で、深在性(侵襲性)真菌症のスクリーニングに用いられる。アスペルギルス、カンジダ、ニューモシスチスなどで上昇する。一方、ムコール(接合菌)やクリプトコッカスは細胞壁にβ-D-グルカンが乏しく上昇しにくい。細菌・ウイルス感染では上昇しない。 ●β-D-グルカンが上昇=アスペルギルス症・カンジダ症・ニューモシスチス肺炎・フザリウム症。 ●上昇しにくい真菌=ムコール(接合菌)症・クリプトコッカス症。 ●他の真菌マーカー=アスペルギルスガラクトマンナン抗原・クリプトコッカス莢膜抗原。 ●上昇しない=細菌(溶連菌・リケッチア)・ウイルス(新型コロナ)感染。
選択肢ごとの解説
① ムコール(接合菌)は細胞壁のβ-D-グルカンに乏しく、上昇しにくい。 ② 溶連菌感染症は細菌感染で、β-D-グルカンは上昇しない。 ③ 正しい。アスペルギルス症では(1→3)-β-D-グルカンが高値となる。 ④ リケッチア感染症は細菌の一種による感染で、β-D-グルカンは上昇しない。 ⑤ 新型コロナウイルス感染症はウイルス感染で、β-D-グルカンは上昇しない。
📋 まとめの表を見る:感染症関連バイオマーカーの比較(細菌性・真菌性・敗血症)
第69回 午後41(臨床化学)
肝臓の解毒機能の評価に用いられるのはどれか。2つ選べ。
①ICG試験 ②血清ALT ③血中アンモニア ④プロトロンビン時間 ⑤血清コリンエステラーゼ
正答: ①ICG試験・③血中アンモニア
ポイント 肝臓の解毒(処理・排泄)機能の評価には、色素を肝で取り込み胆汁中へ排泄する能力をみるインドシアニングリーン(ICG)試験と、肝の尿素サイクルによるアンモニア処理能を反映する血中アンモニアが用いられる。ALTは肝細胞傷害を反映する逸脱酵素、コリンエステラーゼとプロトロンビン時間は肝の蛋白合成能を反映する指標であり、いずれも解毒機能の直接指標ではない。 ●解毒・排泄能=ICG試験(色素排泄)・血中アンモニア(尿素サイクル)・ビリルビン処理。 ●肝細胞傷害(逸脱酵素)=AST・ALT・LD。 ●蛋白合成能=アルブミン・コリンエステラーゼ・プロトロンビン時間(凝固因子)。 ●胆汁うっ滞=ALP・γ-GT。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ICG試験は肝の色素処理・排泄能を評価し、解毒機能の指標となる。 ② 血清ALTは肝細胞傷害を反映する逸脱酵素で、解毒機能の直接評価ではない。 ③ 正しい。血中アンモニアは肝の尿素サイクルによる処理能を反映し、解毒機能の指標となる。 ④ プロトロンビン時間は肝の蛋白(凝固因子)合成能を反映し、解毒機能の指標ではない。 ⑤ 血清コリンエステラーゼは肝の蛋白合成能を反映し、解毒機能の指標ではない。
第69回 午後42(臨床化学)
下垂体後葉から分泌されるのはどれか。
①成長ホルモン ②バソプレシン ③プロラクチン ④ゴナドトロピン ⑤甲状腺刺激ホルモン
正答: ②バソプレシン
ポイント 下垂体後葉からはバソプレシン(抗利尿ホルモン)とオキシトシンが分泌される。これらは視床下部の視索上核・室傍核の神経細胞で合成され、軸索を通って後葉まで輸送され、貯蔵・放出される(神経分泌)。成長ホルモン・プロラクチン・ゴナドトロピン(黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン)・甲状腺刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌される。 ●下垂体後葉ホルモン=バソプレシン(抗利尿ホルモン)・オキシトシン。 ●下垂体前葉ホルモン=成長ホルモン・プロラクチン・副腎皮質刺激ホルモン・甲状腺刺激ホルモン・ゴナドトロピン(LH・FSH)。 ●視床下部ホルモン=放出・抑制ホルモン(GnRH・TRH・CRH・GHRH・ソマトスタチン・ドパミン)。
選択肢ごとの解説
① 成長ホルモンは下垂体前葉から分泌される。 ② 正しい。バソプレシン(抗利尿ホルモン)は下垂体後葉から分泌される。 ③ プロラクチンは下垂体前葉から分泌される。 ④ ゴナドトロピン(黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン)は下垂体前葉から分泌される。 ⑤ 甲状腺刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌される。
第69回 午後43(臨床化学)
生化学自動分析装置の終点分析法における2ポイント法で、影響を回避できるのはどれか。
①検体の色調 ②校正のずれ ③第2試薬の着色 ④光源ランプの劣化 ⑤第1試薬の分注量不足
正答: ①検体の色調
ポイント 終点分析法(エンドポイント法)の2ポイント法(2点測定)は、試薬(とくに第1試薬)添加後・反応開始前の吸光度と反応終了後の吸光度の差をとり、検体由来の濁りや色調などあらかじめ存在する非特異的吸光(盲検値)を補正する方法である。検体の色調は反応前から存在する吸光なので差分により打ち消される。一方、校正のずれ・光源ランプの劣化・第2試薬の着色・第1試薬の分注量不足は2点法では補正できない。 ●2ポイント法で回避できる=検体の溶血・乳び・黄疸(ビリルビン)など検体固有の吸光(盲検)。 ●回避できない=校正(標準)のずれ・光源劣化・測光系の異常・分注量不足・反応後に生じる着色(第2試薬の着色)。 ●測定法の分類=終点法・初速度法(レート法)・2ポイント(固定時間)法。
選択肢ごとの解説
① 正しい。検体の色調は反応前の吸光に含まれ、2点の差をとることで影響を回避できる。 ② 校正(標準液)のずれは2点法では補正できない誤差である。 ③ 第2試薬の着色は反応後の吸光に加わり、2点法では回避できない。 ④ 光源ランプの劣化による測光誤差は2点法では補正できない。 ⑤ 第1試薬の分注量不足は反応量に影響し、2点法では補正できない。
📋 まとめの表を見る:光度分析法の比較(終点法・2ポイント法・レート法)
第69回 午後44(臨床化学)
濃度を窒素量として表示するのはどれか。2つ選べ。
①尿酸 ②尿素 ③アンモニア ④ビリルビン ⑤クレアチニン
正答: ②尿素・③アンモニア
ポイント 尿素やアンモニアは、分子中に含まれる窒素の量として濃度を表示する慣習がある。尿素は分子内に2個の窒素をもち、尿素窒素(BUN、blood urea nitrogen)として表記される。アンモニアも窒素量で表す。一方、尿酸・クレアチニン・ビリルビンは物質そのものの量(モル数や質量)で表示する。 ●窒素量で表示=尿素(尿素窒素・BUN)・アンモニア。 ●物質量で表示=尿酸・クレアチニン・ビリルビン・グルコース。 ●尿素窒素の計算=尿素分子量60に対し窒素28、BUN×2.14=尿素濃度。 ●腎機能指標=BUN・クレアチニン・推算糸球体濾過量(eGFR)。
選択肢ごとの解説
① 尿酸はプリン体由来だが、濃度は物質量として表示し、窒素量では表さない。 ② 正しい。尿素は尿素窒素(BUN)として窒素量で表示する。 ③ 正しい。アンモニアは窒素量として濃度を表示する。 ④ ビリルビンは色素そのものの量として表示し、窒素量では表さない。 ⑤ クレアチニンは物質量として表示し、窒素量では表さない。
第69回 午後45(病理組織細胞学)
粘膜筋板を有する臓器はどれか。
正答: ③食道
ポイント 粘膜筋板は管腔消化管の粘膜層と粘膜下層の境界にある薄い平滑筋層で、食道から胃・小腸・大腸まで連続する消化管壁にみられる。食道は重層扁平上皮の粘膜の下に粘膜筋板をもつ。唾液腺・膵臓は外分泌腺で消化管壁の層構造をもたず、胆囊は粘膜筋板を欠く点で消化管壁と異なる。 ●消化管壁の層構造=粘膜(上皮・粘膜固有層・粘膜筋板)/粘膜下層/固有筋層/漿膜(外膜)。 ●粘膜筋板をもつ=食道・胃・小腸・大腸(管腔消化管)。 ●粘膜筋板をもたない=唾液腺・膵臓(外分泌腺)・胆囊・咽頭。
選択肢ごとの解説
① 唾液腺は外分泌腺で、消化管壁にみられる粘膜筋板はもたない。 ② 咽頭は粘膜筋板を欠くか不明瞭で、食道のような明瞭な粘膜筋板はもたない。 ③ 正しい。食道は管腔消化管として粘膜筋板をもつ。 ④ 膵臓は外分泌腺・内分泌組織からなり、粘膜筋板はもたない。 ⑤ 胆囊は粘膜筋板を欠く点が消化管壁と異なる。
第69回 午後46(病理組織細胞学)
Bethesdaシステムの判定で陰性はどれか。
①ASC-US ②HSIL ③LSIL ④NILM ⑤SCC
正答: ④NILM
ポイント Bethesdaシステムは子宮頸部細胞診の報告様式で、NILM(陰性、上皮内病変・悪性を認めない=negative for intraepithelial lesion or malignancy)が陰性に相当する。ASC-US・LSIL・HSIL・SCCはいずれも扁平上皮系の異常所見であり、NILM以外は要精査・要経過観察となる。 ●陰性=NILM。 ●扁平上皮系の異常=ASC-US(意義不明異型扁平上皮)・ASC-H・LSIL(軽度異形成相当)・HSIL(中等度〜高度異形成・上皮内癌相当)・SCC(扁平上皮癌)。 ●腺系の異常=AGC・AIS・Adenocarcinoma。
選択肢ごとの解説
① ASC-USは意義不明な異型扁平上皮細胞で、陰性ではなく境界的な異常である。 ② HSILは高度扁平上皮内病変で、陽性(異常)所見である。 ③ LSILは軽度扁平上皮内病変で、陽性(異常)所見である。 ④ 正しい。NILMは上皮内病変・悪性を認めない陰性の判定である。 ⑤ SCCは扁平上皮癌で、陽性(悪性)所見である。
第69回 午後47(病理組織細胞学)
親水性封入剤を使用する染色法はどれか。
①orcein染色 ②PTAH染色 ③Bodian染色 ④oil red O染色 ⑤Ziehl-Neelsen染色
正答: ④oil red O染色
ポイント oil red O染色は中性脂肪を染める脂肪染色で、脂肪がアルコールやキシレンなどの有機溶媒に溶けてしまうため、通常のパラフィン包埋(脱水・透徹)を行わず凍結切片を用い、親水性(水溶性)封入剤で封入する。orcein・PTAH・Bodian・Ziehl-Neelsenの各染色は通常の脱水・透徹を経て非水溶性封入剤を用いる。 ●親水性(水溶性)封入剤を用いる=脂肪染色(oil red O・Sudan III・ナイル青)。 ●弾性線維染色=orcein・Elastica van Gieson。 ●神経・鍍銀=Bodian・Bielschowsky。 ●横紋筋・グリア線維=PTAH。 ●抗酸菌=Ziehl-Neelsen。
選択肢ごとの解説
① orcein染色は弾性線維を染める染色で、通常の脱水・透徹後に非水溶性封入剤を用いる。 ② PTAH染色はグリア線維や横紋筋を染める染色で、非水溶性封入剤を用いる。 ③ Bodian染色は神経線維を染める鍍銀染色で、非水溶性封入剤を用いる。 ④ 正しい。oil red O染色は脂肪を染め、脂肪が溶けないよう凍結切片に親水性封入剤を用いる。 ⑤ Ziehl-Neelsen染色は抗酸菌を染める染色で、非水溶性封入剤を用いる。
第69回 午後48(病理組織細胞学)
透過型電子顕微鏡写真を別に示す。矢印で示す細胞小器官はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB048.0ad215c917.jpg
①ゴルジ体 ②粗面小胞体 ③滑面小胞体 ④リソソーム ⑤ミトコンドリア
正答: ⑤ミトコンドリア
ポイント ミトコンドリアは二重膜構造をもち、内膜が内側に折れ込んでクリステ(ひだ状構造)を形成する細胞小器官である。透過型電子顕微鏡では、この二重膜とクリステが特徴的に観察される。電子伝達系・酸化的リン酸化によりATPを産生するエネルギー産生の場である。粗面小胞体はリボソームが付着した膜、ゴルジ体は扁平な膜囊が層状に重なった構造を示す。 ●二重膜をもつ細胞小器官=ミトコンドリア・核。 ●単膜の細胞小器官=小胞体(粗面・滑面)・ゴルジ体・リソソーム・ペルオキシソーム。 ●電顕の特徴=ミトコンドリア(クリステ)・粗面小胞体(リボソーム付着)・ゴルジ体(層状膜囊)。
選択肢ごとの解説
① ゴルジ体は扁平な膜囊が層状に積み重なった構造で、クリステはもたない。 ② 粗面小胞体はリボソームが付着した膜構造で、二重膜のクリステはもたない。 ③ 滑面小胞体はリボソームのない管状の膜構造で、クリステをもたない。 ④ リソソームは加水分解酵素を含む単膜の小胞で、クリステはもたない。 ⑤ 正しい。二重膜とクリステを示す構造はミトコンドリアである。
📋 まとめの表を見る:細胞小器官の膜構造と主な機能
二重膜構造をもつのは核とミトコンドリアのみ。電子顕微鏡ではミトコンドリアのクリステ、粗面小胞体のリボソーム付着、ゴルジ体の層状の膜嚢が特徴的に観察される。
第69回 午後49(病理組織細胞学)
門脈圧亢進症で起こりにくいのはどれか。
①脾腫 ②食道静脈瘤 ③下大静脈のうっ血 ④直腸静脈からの出血 ⑤腹壁皮下静脈の怒張
正答: ③下大静脈のうっ血
ポイント 門脈圧亢進症では肝へ流入する門脈系の血液がうっ滞し、行き場を失った血液が側副血行路を発達させる。これにより食道静脈瘤、直腸静脈瘤(痔静脈)、腹壁皮下静脈の怒張(メドゥーサの頭)を生じ、脾静脈のうっ血により脾腫をきたす。下大静脈は門脈系ではなく全身静脈系に属するため、門脈圧亢進そのものでは直接うっ血を起こしにくい。 ●門脈圧亢進症の所見=食道・胃静脈瘤・直腸静脈瘤・腹壁静脈怒張(メドゥーサの頭)・脾腫・腹水。 ●側副血行路=食道胃接合部・直腸下部・臍周囲(腹壁)・後腹膜。 ●原因=肝硬変(肝内)・門脈血栓(肝前)・Budd-Chiari症候群(肝後)。
選択肢ごとの解説
① 脾腫は門脈圧亢進でうっ血により生じる代表的所見である。 ② 食道静脈瘤は側副血行路の発達による門脈圧亢進の典型的所見である。 ③ 誤り。下大静脈は全身静脈系で、門脈圧亢進では直接うっ血しにくく、起こりにくい。 ④ 直腸静脈からの出血は側副血行路(直腸静脈瘤)による門脈圧亢進の所見である。 ⑤ 腹壁皮下静脈の怒張(メドゥーサの頭)は側副血行路の発達による門脈圧亢進の所見である。
第69回 午後50(病理組織細胞学)
ヘモジデリンを染色する方法はどれか。
①Kossa反応 ②Nissl染色 ③Grocott染色 ④Grimelius染色 ⑤Berlin blue染色
正答: ⑤Berlin blue染色
ポイント ヘモジデリンは鉄を含む不溶性の貯蔵鉄で、組織にBerlin blue(ベルリン青、Prussian blue=プルシアンブルー)反応を行うと青色に染色される。三価鉄イオンがフェロシアン化カリウムと反応し、不溶性の青色色素(フェロシアン化第二鉄)を生じる原理による。Kossa反応はカルシウム、Grocott染色は真菌、Grimelius染色は好銀性顆粒、Nissl染色は神経細胞のNissl小体を染める。 ●鉄(ヘモジデリン)=Berlin blue(Prussian blue)反応。 ●カルシウム(石灰沈着)=von Kossa反応。 ●真菌=Grocott(鍍銀)・PAS。 ●神経内分泌(好銀性)=Grimelius。 ●神経細胞(Nissl小体)=Nissl染色(クレシル紫)。
選択肢ごとの解説
① Kossa反応はカルシウム(石灰沈着)を染める反応で、ヘモジデリンは染めない。 ② Nissl染色は神経細胞のNissl小体を染める染色である。 ③ Grocott染色は真菌を染める鍍銀染色である。 ④ Grimelius染色は好銀性顆粒(神経内分泌細胞)を染める染色である。 ⑤ 正しい。Berlin blue(ベルリン青)反応はヘモジデリン中の鉄を青く染める。
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