← テキスト版の目次 アプリ版で解く
第69回(2023) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第69回 午後51(病理組織細胞学)
Papanicolaou染色と比較したGiemsa染色の特徴として正しいのはどれか。
①核小体が赤染する。 ②細胞が大きく見える。 ③細胞が剝がれやすい。 ④95%エタノールで固定する。 ⑤角化細胞を染め分けられる。
正答: ②細胞が大きく見える。
ポイント Papanicolaou染色は95%エタノールによる湿固定を前提とし、ヘマトキシリンで核を、オレンジGとEA(エオジン・ライトグリーン等の混合色素)で細胞質を染め、扁平上皮の角化度に応じて橙色から青緑色へ染め分けられる。Giemsa染色は塗抹後に空気乾燥してから固定するため、細胞が平面的に伸展して扁平に広がり、同じ細胞でもPapanicolaou染色より大きく観察される。核小体・細胞質内顆粒・粘液・間質などの評価に優れ、血液・リンパ系細胞の観察に強い。●固定法=Papanicolaou染色は湿固定(95%エタノール)、Giemsa染色は乾燥固定後にメタノール固定。●Papanicolaou染色が得意=扁平上皮の角化評価、核クロマチン構造の評価。●Giemsa染色が得意=核小体・細胞質顆粒・粘液・血液リンパ系細胞、原虫(Trichomonas等)。●細胞の見え方=乾燥固定(Giemsa)で大きく、湿固定(Papanicolaou)でやや収縮し小さく見える。
選択肢ごとの解説
① Giemsa染色で核・核小体は赤紫から青紫に染まり赤染とはいえず、核小体を赤色に明瞭化しやすいのはPapanicolaou染色である。 ② 正しい。Giemsa染色は乾燥固定のため細胞が平面的に伸展し、Papanicolaou染色より大きく観察される。 ③ 細胞の剝がれやすさは標本作製や固定操作に依存する現象で、Giemsa染色を特徴づける所見ではない。 ④ 95%エタノールによる湿固定はPapanicolaou染色の特徴で、Giemsa染色は空気乾燥後にメタノールで固定する。 ⑤ 角化細胞をオレンジGとEAで染め分けるのはPapanicolaou染色の特徴で、Giemsa染色では行えない。
📋 まとめの表を見る:パパニコロウ染色とギムザ染色の比較
乾燥固定を要する染色にはギムザ染色のほかペルオキシダーゼ染色などの血液学的染色がある。
第69回 午後52(病理組織細胞学)
パラフィン包埋による標本作製時の工程で切り出しを行うのはいつか。
①固定前 ②固定後 ③脱水後 ④脱脂後 ⑤パラフィン包埋後
正答: ②固定後
ポイント パラフィン包埋標本は固定→切り出し→脱水→脱脂(透徹)→パラフィン浸透→包埋→薄切→染色の順に作製される。切り出しは固定により組織を硬化・安定させた後に行い、目的部位を適切な大きさと厚さに整えることで、以降の脱水・透徹・浸透を均一に進められる。固定前は組織が軟らかく変形・自家融解しやすく、脱水以降では包埋に適した形へ切り直す段階を過ぎている。●標本作製の工程順=固定→切り出し→脱水→透徹(脱脂)→パラフィン浸透→包埋→薄切→染色。●固定の目的=自家融解防止・組織硬化・蛋白凝固による形態保持。●固定液=ホルマリン(中性緩衝ホルマリン)が一般的、電顕用はグルタルアルデヒド。●薄切=ミクロトームで数μmに薄切し伸展・乾燥後に染色。
選択肢ごとの解説
① 固定前は組織が軟らかく変形・自家融解しやすく、この時点の切り出しは適切でない。 ② 正しい。固定で組織を硬化・安定させた後に切り出しを行い、目的部位を適切な大きさに整える。 ③ 脱水後は切り出しを行う段階を過ぎており、工程の順序として誤りである。 ④ 脱脂(透徹)後はパラフィン浸透の直前であり、切り出しを行う段階ではない。 ⑤ パラフィン包埋後は薄切の段階であり、切り出しではなくミクロトームによる薄切を行う。
第69回 午後53(病理組織細胞学)
特定の遺伝子配列を検出するのはどれか。
①FISH法 ②DOPA反応 ③Feulgen反応 ④direct fast scarlet染色 ⑤methyl green-pyronin染色
正答: ①FISH法
ポイント FISH法(蛍光in situハイブリダイゼーション)は蛍光標識した核酸プローブを標的のDNA配列と相補的に結合させ、特定の遺伝子配列や染色体領域を組織・細胞上で可視化する手法で、遺伝子増幅・転座・欠失の検出に用いられる。DOPA反応・Feulgen反応・direct fast scarlet染色・methyl green-pyronin染色はいずれも酵素活性や核酸量・特定物質の検出を目的とし、塩基配列そのものは検出できない。塩基配列特異的に標的を認識する点がFISH法の本質である。●遺伝子・染色体検査=FISH法・PCR・サザンブロット・染色体分染(G分染)。●核酸を染める組織化学=Feulgen反応(DNA)・methyl green-pyronin(DNA緑/RNA赤)。●物質特異的染色=DOPA反応(チロシナーゼ/メラニン)・direct fast scarlet(アミロイド)・Masson-Fontana(メラニン)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。FISH法は蛍光標識プローブを相補的に結合させ、特定の遺伝子配列・染色体領域を検出する。 ② DOPA反応はチロシナーゼ活性を検出してメラニン産生細胞を示す反応で、遺伝子配列は検出しない。 ③ Feulgen反応はDNAを赤紫色に染める核染色で、DNA量の評価はできるが特定配列は検出できない。 ④ direct fast scarlet染色はアミロイドを赤橙色に染める染色で、遺伝子配列の検出には用いない。 ⑤ methyl green-pyronin染色はDNAを青緑、RNAを赤に染め分ける染色で、特定の遺伝子配列は検出できない。
第69回 午後54(病理組織細胞学)
細胞診検査材料で乾燥固定しないのはどれか。
①髄液 ②腹水 ③気管支洗浄液 ④子宮頸部擦過検体 ⑤生検スタンプ検体
正答: ④子宮頸部擦過検体
ポイント 細胞診の固定法には湿固定と乾燥固定があり、Papanicolaou染色を行う検体は核クロマチン所見を保つため塗抹直後に95%エタノールなどで湿固定する。子宮頸部擦過検体はPapanicolaou染色が前提のため乾燥させると核の腫大や染色不良を生じ、湿固定して乾燥固定はしない。髄液・腹水などの体腔液、気管支洗浄液、生検スタンプ検体はGiemsa染色を併用することが多く、乾燥固定が用いられる。●湿固定が前提の検体=子宮頸部・腟部などPapanicolaou染色主体の婦人科材料。●乾燥固定を併用する検体=体腔液(胸水・腹水・心嚢液)・髄液・気管支洗浄液・捺印(スタンプ)標本。●固定法と染色の対応=湿固定→Papanicolaou染色、乾燥固定→May-Giemsa染色。
選択肢ごとの解説
① 髄液はGiemsa染色を併用するため乾燥固定が用いられることがあり、乾燥固定を避ける代表ではない。 ② 腹水などの体腔液はGiemsa染色を併用するため乾燥固定も行われる。 ③ 気管支洗浄液はGiemsa染色を併用でき、乾燥固定が許容される。 ④ 正しい。子宮頸部擦過検体はPapanicolaou染色が前提で、乾燥させると核所見が損なわれるため湿固定し乾燥固定しない。 ⑤ 生検スタンプ検体はGiemsa染色を併用することが多く、乾燥固定が用いられる。
第69回 午後55(病理組織細胞学)
心臓の内腔を展開した肉眼写真を別に示す。枠内の名称はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB055.b3756895a5.jpg
正答: ④大動脈弁
ポイント 心臓の弁は、左心室から大動脈への大動脈弁と右心室から肺動脈への肺動脈弁という2つの半月弁、左房室間の僧帽弁と右房室間の三尖弁という2つの房室弁からなる。大動脈弁は3枚の半月状弁尖をもち、弁尖直上の大動脈壁が膨らんだバルサルバ洞に左右の冠動脈起始部(冠動脈口)を伴うことが、ほかの弁と区別する決め手となる。枠内が大動脈弁であり、左心室流出路の出口に位置し冠動脈口を伴う3弁尖の半月弁という所見が手がかりとなる。●半月弁=大動脈弁(冠動脈口を伴う)・肺動脈弁(冠動脈口なし)。●房室弁=僧帽弁(左房室間・2尖)・三尖弁(右房室間・3尖)。●弁膜症=大動脈弁狭窄症・僧帽弁狭窄症(リウマチ性)・僧帽弁逆流など。●心内構造=右心房・右心室・左心房・左心室、心室中隔。
選択肢ごとの解説
① 右心房は静脈血を受ける薄壁の心房であり、流出路の半月弁ではない。 ② 左心房は肺静脈血を受ける心房であり、図が示す弁の名称ではない。 ③ 三尖弁は右房室間の弁で、半月弁ではなく房室弁である。 ④ 正しい。左心室流出路の出口に位置し冠動脈口を伴う3弁尖の半月弁であり、大動脈弁である。 ⑤ 肺動脈弁は右心室から肺動脈への半月弁で、冠動脈口を伴わず位置も異なる。
第69回 午後56(病理組織細胞学)
病理解剖において、剖検医の直接指示のもとで行う臨床検査技師の役割として適切でないのはどれか。
①血液の採取 ②臓器の取り出し ③開頭 ④縫合 ⑤遺族への説明
正答: ⑤遺族への説明
ポイント 病理解剖(剖検)は剖検医の指示・監督のもとで行われ、臨床検査技師は解剖の補助として臓器の取り出し、開頭・開胸などの切開、解剖後の縫合、検体としての血液採取などの手技を補助できる。一方、遺族への病状や解剖結果の説明は医師が行う医療行為であり、技師の役割としては適切でない。死体解剖保存法と臨床検査技師等に関する法律に基づく業務範囲の理解が問われる。●技師が補助できる手技=臓器摘出・切開(開頭・開胸・開腹)・縫合・検体採取(血液・体液)。●医師が行う行為=解剖の実施判断・診断・遺族への説明・死亡診断。●関連法規=死体解剖保存法・臨床検査技師等に関する法律。
選択肢ごとの解説
① 血液の採取は死因究明のための検体採取として、剖検医の指示下で技師が補助できる。 ② 臓器の取り出しは剖検医の指示・監督のもとで技師が補助できる手技である。 ③ 開頭は剖検医の指示下で技師が補助しうる手技である。 ④ 縫合は解剖終了後の処置として技師が補助できる。 ⑤ 誤り。遺族への説明は医師が行うべき医療行為であり、臨床検査技師の役割として適切でない。
第69回 午後57(病理組織細胞学)
銀液を加温しないのはどれか。
①PAM染色 ②Grocott染色 ③渡辺の鍍銀法 ④Grimelius染色 ⑤Masson-Fontana染色
正答: ③渡辺の鍍銀法
ポイント 鍍銀法は銀イオンを組織成分に結合させて還元・析出させ黒色に可視化する染色で、多くは銀液を加温して反応を促進する。PAM染色(基底膜)、Grocott染色(真菌)、Grimelius染色(好銀性顆粒)、Masson-Fontana染色(メラニン・銀親和性細胞)はいずれも加温した銀液を用いる。一方、渡辺の鍍銀法は細網線維を染める方法で、銀液を加温せず室温で反応させる点が特徴である。●細網線維の鍍銀=渡辺の鍍銀法(室温)・鍍銀染色(Gomori等)。●基底膜=PAM(periodic acid-methenamine silver)染色。●真菌=Grocott染色。●神経内分泌顆粒=Grimelius染色(好銀性)・Masson-Fontana染色(銀親和性、メラニンも染める)。
選択肢ごとの解説
① PAM染色は基底膜を染める鍍銀法で、銀液を加温して反応させる。 ② Grocott染色は真菌などを染める鍍銀法で、加温した銀液を用いる。 ③ 正しい。渡辺の鍍銀法は細網線維を染める方法で、銀液を加温せず室温で反応させる。 ④ Grimelius染色は好銀性顆粒を染める鍍銀法で、加温して反応させる。 ⑤ Masson-Fontana染色はメラニンや銀親和性細胞を染める鍍銀法で、加温した銀液を用いる。
📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象
第69回 午後58(病理組織細胞学)
腫瘍と免疫組織化学的マーカーの組合せで正しいのはどれか。
①肺癌 — エストロゲン受容体〈ER〉 ②乳癌 — CD117(c-kit) ③消化管間質腫瘍 — PSA ④大腸癌 — CEA ⑤B細胞リンパ腫 — AFP
正答: ④大腸癌 — CEA
ポイント 免疫組織化学では腫瘍の由来や種類に特異的なマーカーを用いて鑑別を行う。CEA(癌胎児性抗原)は大腸癌などの消化管腺癌で陽性となる。ER(エストロゲン受容体)は乳癌、CD117(c-kit)は消化管間質腫瘍(GIST)、PSA(前立腺特異抗原)は前立腺癌、AFP(α-フェトプロテイン)は肝細胞癌・卵黄嚢腫瘍に対応し、それぞれ陽性となる腫瘍が決まっている。組合せの誤りを見抜くには各マーカーの対応臓器を把握する必要がある。●上皮性腫瘍=CEA(大腸・消化管腺癌)・PSA(前立腺癌)・AFP(肝細胞癌・卵黄嚢腫瘍)・ER/PgR(乳癌)。●間葉系腫瘍=CD117/DOG1(GIST)・desmin/α-SMA(平滑筋)・S-100(神経・メラノーマ)。●造血器腫瘍=CD20(B細胞)・CD3(T細胞)・CD30/CD15(Hodgkinリンパ腫)。●上皮一般=サイトケラチン(CK)・EMA。
選択肢ごとの解説
① ERは乳癌で陽性となるマーカーで、肺癌の標識ではない。 ② CD117(c-kit)は消化管間質腫瘍で陽性となるマーカーで、乳癌の標識ではない。 ③ PSAは前立腺癌のマーカーで、消化管間質腫瘍にはCD117(c-kit)が用いられる。 ④ 正しい。CEAは大腸癌などの消化管腺癌で陽性となるマーカーである。 ⑤ AFPは肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍のマーカーで、B細胞リンパ腫の標識ではない。
📋 まとめの表を見る:腫瘍と免疫組織化学的マーカーの対応
サイトケラチン・EMAは上皮性腫瘍全般に、CD45は造血器腫瘍全般に陽性となる。免疫組織化学は形態のみでは由来判別が難しい低分化腫瘍・転移巣の原発巣推定や、分子標的治療の適応判定に用いる。
第69回 午後59(臨床血液学)
PT正常、APTT延長のときに考えられるのはどれか。2つ選べ。
①血友病A ②重度肝障害 ③第Ⅴ因子欠乏症 ④ビタミンK欠乏症 ⑤抗リン脂質抗体症候群
正答: ①血友病A・⑤抗リン脂質抗体症候群
ポイント PT(プロトロンビン時間)は外因系・共通系(第Ⅶ・Ⅹ・Ⅴ・Ⅱ因子、フィブリノゲン)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)は内因系・共通系(第Ⅻ・Ⅺ・Ⅸ・Ⅷ因子ほか)を反映する。PT正常・APTT延長は内因系のみの異常を示し、第Ⅷ因子欠乏の血友病Aが典型である。抗リン脂質抗体症候群ではループスアンチコアグラントがリン脂質依存性の凝固反応を阻害してAPTTを延長させるが、in vivoでは血栓傾向を示す点が特徴である。●PT正常・APTT延長=血友病A(第Ⅷ)・血友病B(第Ⅸ)・第Ⅺ/Ⅻ因子欠乏・ループスアンチコアグラント。●PT延長・APTT正常=第Ⅶ因子欠乏。●PT・APTT両方延長=共通系異常(第Ⅹ・Ⅴ・Ⅱ・フィブリノゲン)・肝障害・ビタミンK欠乏・DIC。
選択肢ごとの解説
① 正しい。血友病Aは内因系の第Ⅷ因子欠乏で、PT正常・APTT延長を示す。 ② 重度肝障害は外因系を含む多くの凝固因子が低下し、PTとAPTTがともに延長する。 ③ 第Ⅴ因子は共通系の因子で、欠乏するとPTとAPTTが両方延長する。 ④ ビタミンK欠乏は第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子が低下し、PTが鋭敏に延長するためPTも延長する。 ⑤ 正しい。抗リン脂質抗体症候群ではループスアンチコアグラントがAPTTを延長させ、PTは正常のことが多い。
📋 まとめの表を見る:PT・APTTの延長パターンと欠乏(異常)凝固因子
PTは外因系・共通系、APTTは内因系・共通系の凝固活性を反映する。
第69回 午後60(臨床血液学)
末梢血検査で赤血球数300万/μL、ヘモグロビン6.0 g/dL、ヘマトクリット22.5%であった。診断に最も有用な血液検査項目はどれか。
①フェリチン ②ビタミンB₁₂ ③ハプトグロビン ④エリスロポエチン ⑤セルロプラスミン
正答: ①フェリチン
ポイント MCV(平均赤血球容積)はヘマトクリット22.5%÷赤血球数300万/μLから約75 fLと算出され、Hb 6.0 g/dLと併せて小球性低色素性貧血である。小球性低色素性貧血の代表は鉄欠乏性貧血であり、血清フェリチンは体内貯蔵鉄を反映するため診断に最も有用で、低値であれば鉄欠乏が確定する。ビタミンB₁₂は大球性貧血、ハプトグロビンは溶血、エリスロポエチンは腎性貧血の評価に用い、本病態の鑑別には適さない。●小球性貧血=鉄欠乏性貧血(フェリチン低下)・サラセミア・鉄芽球性貧血・慢性炎症に伴う貧血。●大球性貧血=巨赤芽球性貧血(ビタミンB₁₂・葉酸欠乏)。●正球性貧血=溶血性貧血(ハプトグロビン低下)・腎性貧血(エリスロポエチン低下)・再生不良性貧血。●鉄代謝指標=血清鉄・総鉄結合能(TIBC)・フェリチン・トランスフェリン飽和度。
選択肢ごとの解説
① 正しい。小球性低色素性貧血では鉄欠乏が疑われ、貯蔵鉄を反映するフェリチンが診断に最も有用である。 ② ビタミンB₁₂は大球性貧血の評価に用いる項目で、小球性貧血の本例には適さない。 ③ ハプトグロビンは溶血性貧血で低下する項目で、小球性貧血の鑑別には適さない。 ④ エリスロポエチンは腎性貧血などの評価に用い、鉄欠乏の診断には直接結びつかない。 ⑤ セルロプラスミンは銅代謝の指標で、本貧血の診断に有用ではない。
第69回 午後61(臨床血液学)
32歳の男性。アフリカ系アメリカ人。貧血の精査で採血した末梢血のMay-Giemsa染色標本を別に示す。この疾患について誤っているのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB061.09ef83f896.jpg
①遺伝性疾患である。 ②赤血球は高酸素状態で変形する。 ③マラリア感染に対して耐性がある。 ④変形した赤血球は柔軟性が低下する。 ⑤赤血球にヘモグロビンSが含まれる。
正答: ②赤血球は高酸素状態で変形する。
ポイント 鎌状赤血球症はβグロビン遺伝子の点変異により第6番のグルタミン酸がバリンに置換した異常ヘモグロビンS(HbS)による常染色体性の遺伝性疾患である。HbSは低酸素・脱酸素状態で重合(ポリマー化)して赤血球を鎌状に変形させ、変形赤血球は柔軟性を失って溶血や血管閉塞を起こす。アフリカ系に多く、ヘテロ接合体はマラリア原虫感染に抵抗性を示す。鎌状変形は高酸素ではなく低酸素状態で生じるため、「高酸素状態で変形する」が誤りとなる。●ヘモグロビン異常症=鎌状赤血球症(HbS)・HbC症・HbE症。●サラセミア=αサラセミア・βサラセミア(グロビン鎖合成低下)。●変形のきっかけ=低酸素・脱水・感染・寒冷。●マラリア抵抗性に関わる遺伝形質=HbSヘテロ接合体・G6PD欠損症・サラセミア。
選択肢ごとの解説
① 鎌状赤血球症は常染色体性の遺伝性疾患であり、正しい記述である。 ② 誤り。鎌状変形は高酸素状態ではなく低酸素・脱酸素状態で生じるため、この記述は誤りである。 ③ ヘテロ接合体はマラリア感染に抵抗性を示すとされ、正しい記述である。 ④ 鎌状化した赤血球は柔軟性が低下し溶血や血管閉塞を起こすため、正しい記述である。 ⑤ 本症の赤血球には異常ヘモグロビンであるヘモグロビンSが含まれ、正しい記述である。
第69回 午後62(臨床血液学)
放射線の影響を最も受けにくいのはどれか。
正答: ④赤血球
ポイント 電離放射線の感受性は分裂が盛んで未分化な細胞ほど高い(Bergonié-Tribondeauの法則)。造血系ではリンパ球が最も放射線感受性が高く、単球・好酸球・好中球はそれより低いが分裂・成熟段階を経るため一定の感受性をもつ。成熟赤血球は無核で分裂能をもたず寿命の長い終末細胞であるため、放射線の影響を最も受けにくい。●放射線高感受性=リンパ球・造血幹細胞・精原細胞・腸上皮・生殖細胞。●低感受性=成熟赤血球・神経細胞・筋細胞・骨細胞。●末梢血の放射線変化=早期にリンパ球減少、続いて好中球・血小板減少、赤血球は寿命が長く減少が遅い。
選択肢ごとの解説
① 単球は分裂能をもつ前駆細胞から供給され、赤血球より放射線感受性が高い。 ② 好酸球も核をもつ分裂系の細胞であり、赤血球より影響を受けやすい。 ③ 好中球も骨髄での分裂・成熟を経るため、赤血球より放射線の影響を受ける。 ④ 正しい。成熟赤血球は無核で分裂能をもたない終末細胞のため、放射線の影響を最も受けにくい。 ⑤ リンパ球は造血系で最も放射線感受性が高い細胞である。
第69回 午後63(臨床血液学)
染色体異常とそれに伴う融合遺伝子との組合せで正しいのはどれか。
①t(8;21)(q22;q22) — CBFB-MYH11 ②t(9;11)(p21.3;q23.3) — PML-RARA ③t(9;22)(q34;q11.2) — BCR-ABL1 ④t(15;17)(q22;q12) — KMT2A-MLLT3〈MLL-AF9〉 ⑤inv(16)(p13.1q22) — RUNX1-RUNX1T1
正答: ③t(9;22)(q34;q11.2) — BCR-ABL1
ポイント 白血病の代表的な染色体異常と融合遺伝子は対応が決まっている。t(9;22)(q34;q11.2)はBCR-ABL1融合遺伝子を生じ、慢性骨髄性白血病やフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対応する。t(8;21)はRUNX1-RUNX1T1、t(15;17)はPML-RARA(急性前骨髄球性白血病)、inv(16)はCBFB-MYH11、t(9;11)はKMT2A-MLLT3に対応し、本問はこれらを入れ替えた誤りを見抜く必要がある。●急性骨髄性白血病=t(8;21):RUNX1-RUNX1T1、inv(16)/t(16;16):CBFB-MYH11、t(15;17):PML-RARA(APL)、t/11q23:KMT2A(MLL)再構成。●慢性骨髄性白血病・Ph陽性ALL=t(9;22):BCR-ABL1。●Burkittリンパ腫=t(8;14):MYC-IGH。●濾胞性リンパ腫=t(14;18):BCL2-IGH。
選択肢ごとの解説
① t(8;21)に対応する融合遺伝子はRUNX1-RUNX1T1で、CBFB-MYH11ではない。 ② t(9;11)に対応するのはKMT2A-MLLT3で、PML-RARAではない。 ③ 正しい。t(9;22)(q34;q11.2)はBCR-ABL1融合遺伝子に対応する。 ④ t(15;17)に対応するのはPML-RARAで、KMT2A-MLLT3ではない。 ⑤ inv(16)に対応するのはCBFB-MYH11で、RUNX1-RUNX1T1ではない。
📋 まとめの表を見る:白血病の染色体異常と融合遺伝子
予後との関連は疾患・遺伝子異常・治療によって異なる(急性骨髄性白血病ではt(8;21)・inv(16)・t(15;17)が予後良好群、t(9;11)のKMT2A::MLLT3は中間群。t(11;14)を伴うマントル細胞リンパ腫やPh陽性急性リンパ性白血病はむしろ予後不良とされる)。CMLではBCR-ABL1が診断・治療標的である。融合遺伝子の表記は「A-B」「A::B」のどちらの過去問表記にも対応する。
第69回 午後64(臨床血液学)
67歳の男性。汎血球減少症の精査のため骨髄検査を行った。骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本及び鉄染色標本(別冊No. 10C)を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB064.764ed90408.jpg
①癌の骨髄転移 ②多発性骨髄腫 ③巨赤芽球性貧血 ④再生不良性貧血 ⑤骨髄異形成症候群
正答: ⑤骨髄異形成症候群
ポイント 汎血球減少症で骨髄に異形成を伴う場合、骨髄異形成症候群(MDS)が考えられる。鉄染色で核周囲に環状に並ぶ鉄顆粒をもつ環状鉄芽球がみられれば、MDSの一型を強く示唆する。MDSでは赤芽球系・顆粒球系・巨核球系に異形成(核の過分葉や偽ペルゲル核異常、微小巨核球など)と無効造血を認める。再生不良性貧血は骨髄低形成で異形成を欠き、巨赤芽球性貧血は巨大赤芽球と核・細胞質の成熟解離が主体で鑑別される。●汎血球減少を来す疾患=骨髄異形成症候群・再生不良性貧血・巨赤芽球性貧血・急性白血病・骨髄癌転移・発作性夜間ヘモグロビン尿症。●MDSの形態異常=偽ペルゲル核異常・環状鉄芽球・微小巨核球・顆粒減少。●鉄染色(プルシアンブルー反応)=環状鉄芽球・貯蔵鉄(ヘモジデリン)の評価。
選択肢ごとの解説
① 癌の骨髄転移では腫瘍細胞の集塊がみられ、環状鉄芽球を伴う異形成像は典型でない。 ② 多発性骨髄腫は形質細胞の増加が特徴で、汎血球減少と異形成・環状鉄芽球の像とは異なる。 ③ 巨赤芽球性貧血は巨大な赤芽球と核・細胞質の成熟解離が特徴で、鉄染色での環状鉄芽球は主体でない。 ④ 再生不良性貧血は骨髄低形成で異形成を欠き、鉄染色の環状鉄芽球も典型でない。 ⑤ 正しい。異形成と鉄染色での環状鉄芽球を伴う汎血球減少は骨髄異形成症候群を最も示唆する。
📋 まとめの表を見る:骨髄異形成症候群〈MDS〉の血球系統別 異形成所見
骨髄は一般に正〜過形成だが、低形成を示す病型(低形成MDS)も存在する。芽球比率は20%未満(20%以上は急性骨髄性白血病)。染色体異常は5q-・-7/7q-・+8など多様で、病型特異的なものは少ない。
第69回 午後65(臨床血液学)
79歳の女性。貧血と腰椎の溶骨性病変を指摘されて受診した。血清と尿の免疫固定法による蛋白電気泳動の結果を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB065.a2fc30c47e.jpg
①骨肉腫 ②骨髄線維症 ③多発性骨髄腫 ④大顆粒リンパ球性白血病 ⑤原発性マクログロブリン血症
正答: ③多発性骨髄腫
ポイント 高齢者の貧血と腰椎の溶骨性病変があり、血清・尿の免疫固定法でM蛋白(単クローン性免疫グロブリンや尿中Bence Jones蛋白)を認める場合、多発性骨髄腫が考えられる。骨髄腫では形質細胞が単クローン性に増殖してM蛋白を産生し、骨破壊(溶骨)、高カルシウム血症、貧血、腎障害を来す。原発性マクログロブリン血症はIgM型M蛋白を呈するリンパ形質細胞性腫瘍で、溶骨性病変が乏しい点で鑑別される。●単クローン性免疫グロブリン血症=多発性骨髄腫(IgG/IgA/Bence Jones)・原発性マクログロブリン血症(IgM)・MGUS。●骨髄腫の四徴(CRAB)=高カルシウム血症・腎障害・貧血・骨病変(溶骨)。●検査=血清/尿蛋白電気泳動・免疫固定法・遊離軽鎖・骨髄形質細胞比率。
選択肢ごとの解説
① 骨肉腫は若年に多い骨形成性の悪性腫瘍で、M蛋白を伴う溶骨性病変とは像が異なる。 ② 骨髄線維症は骨髄の線維化と髄外造血が特徴で、M蛋白による溶骨性病変は呈さない。 ③ 正しい。溶骨性病変と血清・尿のM蛋白を伴う貧血は多発性骨髄腫を示唆する。 ④ 大顆粒リンパ球性白血病は大型顆粒リンパ球の増加が特徴で、M蛋白や溶骨性病変は典型でない。 ⑤ 原発性マクログロブリン血症はIgM型M蛋白を呈するが溶骨性病変は乏しく、本例の像と合わない。
第69回 午後66(臨床血液学)
末梢血のMay-Giemsa染色標本を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB066.96699eeb6a.jpg
①血小板無力症 ②von Willebrand病 ③Bernard-Soulier症候群 ④Wiskott-Aldrich症候群 ⑤Schönlein-Henoch紫斑病
正答: ③Bernard-Soulier症候群
ポイント 末梢血で大型の血小板(巨大血小板)と血小板減少を示す場合、Bernard-Soulier症候群が考えられる。本症は血小板膜糖蛋白GPIb/Ⅸ/Ⅴ複合体の欠損によりvon Willebrand因子との結合(リストセチン凝集)が障害される常染色体潜性遺伝の出血性疾患である。血小板無力症はGPⅡb/Ⅲa異常で血小板サイズは正常、von Willebrand病は血漿因子の異常で血小板形態は正常な点が鑑別となる。●巨大血小板を伴う疾患=Bernard-Soulier症候群・May-Hegglin異常・特発性血小板減少性紫斑病の一部。●小型血小板=Wiskott-Aldrich症候群。●リストセチン凝集低下=Bernard-Soulier症候群(VWF添加でも回復せず)・von Willebrand病(VWF添加で回復)。●ADP/コラーゲン凝集低下=血小板無力症(GPⅡb/Ⅲa異常)。
選択肢ごとの解説
① 血小板無力症はGPⅡb/Ⅲaの異常で、血小板の大きさは正常であり巨大血小板を呈さない。 ② von Willebrand病はvon Willebrand因子の量的・質的異常で、血小板形態は正常である。 ③ 正しい。巨大血小板と血小板減少はGPIb/Ⅸ/Ⅴ欠損によるBernard-Soulier症候群を示唆する。 ④ Wiskott-Aldrich症候群は小型血小板と免疫不全・湿疹を伴うX連鎖疾患で、巨大血小板ではない。 ⑤ Schönlein-Henoch紫斑病はIgA血管炎で、血小板数は正常であり巨大血小板を呈さない。
📋 まとめの表を見る:血小板凝集能検査における疾患・薬剤による低下パターン
Bernard-Soulier症候群では巨大血小板を伴う。
第69回 午後67(臨床血液学)
MCVが正常である患者の赤血球の大きさを測定し、健常人と比較した成績を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB067.11546d1080.jpg
①腎性貧血 ②サラセミア ③鉄欠乏性貧血 ④再生不良性貧血 ⑤遺伝性球状赤血球症
正答: ⑤遺伝性球状赤血球症
ポイント MCV(平均赤血球容積)は赤血球容積の平均値であり、赤血球の大小不同があっても平均が正常範囲となることがある。赤血球サイズの分布を健常人と比較し、小型側に偏って濃染する小球がみられるがMCVが正常範囲にとどまる場合は遺伝性球状赤血球症が考えられる。球状赤血球は膜異常により表面積/体積比が低下して小型・濃染(球状)となるが、容積自体は正常範囲のことがある。サラセミアや鉄欠乏は小球性、再生不良性貧血は正球性で像が異なる。●赤血球膜異常症=遺伝性球状赤血球症・遺伝性楕円赤血球症。●小球性貧血=鉄欠乏性貧血・サラセミア。●正球性貧血=腎性貧血・再生不良性貧血・溶血性貧血。●球状赤血球の検査=浸透圧抵抗試験(脆弱性亢進)・MCHC高値・直接Coombs陰性。
選択肢ごとの解説
① 腎性貧血はエリスロポエチン不足による正球性正色素性貧血で、特徴的な赤血球径分布の偏りは示さない。 ② サラセミアは小球性で標的赤血球などを伴い、MCV正常の本設定とは合わない。 ③ 鉄欠乏性貧血は小球性低色素性でMCVが低下するため、MCV正常の本例には合わない。 ④ 再生不良性貧血は正球性で赤血球形態異常に乏しく、特徴的な小型偏位を示さない。 ⑤ 正しい。MCVが正常でも小型・濃染の球状赤血球がみられる遺伝性球状赤血球症が考えられる。
📋 まとめの表を見る:赤血球指数〈MCV〉による貧血の分類と主な疾患
第69回 午後68(臨床微生物学)
薬剤感受性検査でスキップ現象が認められたため再検査を行った。初回と再検査の微量液体希釈法の結果を別に示す。最小発育阻止濃度〈MIC値〉[μg/mL]はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB068.062dc8cccf.jpg
正答: ④8
ポイント 微量液体希釈法のMIC(最小発育阻止濃度)は、菌の発育が認められない最小の薬剤濃度である。スキップ現象は連続する希釈系列の途中で発育が飛んで現れる現象で、技術的要因が疑われるため再検査を行い、再現性のある結果で判定する。再検査で発育阻止が連続して認められる最小濃度がMICとなり、本問では8 μg/mLが該当する。図の発育(混濁)・非発育(清澄)の境界を正しく読み取る必要がある。●薬剤感受性検査=微量液体希釈法(MIC測定)・ディスク拡散法(阻止円径)・Eテスト(MIC測定)。●判定の落とし穴=スキップ現象・トレーリング(発育の尾引き)・コンタミネーション。●MIC関連指標=MIC50/MIC90・ブレイクポイント(感性S/中間I/耐性R)。
選択肢ごとの解説
① 0.5 μg/mLでは発育が認められ、発育阻止の最小濃度ではない。 ② 1 μg/mLでも発育がみられ、MICには該当しない。 ③ 4 μg/mLでは発育阻止が連続して得られておらず、MICとはいえない。 ④ 正しい。再検査で発育阻止が認められる最小濃度は8 μg/mLであり、これがMICである。 ⑤ >8 μg/mLは判定範囲を超える表記で、8で発育阻止が得られる本例のMICではない。
第69回 午後69(臨床微生物学)
初尿を用いて検索を行うのはどれか。
①Candida albicans ②Escherichia coli ③Neisseria gonorrhoeae ④Pseudomonas aeruginosa ⑤Streptococcus agalactiae
正答: ③Neisseria gonorrhoeae
ポイント 淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による男性尿道炎では、尿道前部に存在する菌を捉えるため、排尿の最初の部分である初尿(first-void urine)を用いて核酸増幅検査や培養を行う。中間尿は膀胱内の状態を反映し尿道前部の菌が洗い流されるため淋菌検出には適さない。膀胱炎の起炎菌である大腸菌などでは外陰部の汚染を避けるために中間尿を用いる点が対照的である。●初尿を用いる検査=淋菌・クラミジア(Chlamydia trachomatis)の核酸増幅検査(性感染症の尿道炎)。●中間尿を用いる検査=一般細菌の尿培養(膀胱炎・腎盂腎炎)。●尿検体の種類=初尿・中間尿・カテーテル尿・膀胱穿刺尿。●淋菌の性状=グラム陰性双球菌・オキシダーゼ陽性・好炭酸ガス。
選択肢ごとの解説
① Candida albicansの尿路検索で初尿を特に用いる根拠はなく、本問の対象ではない。 ② Escherichia coliによる膀胱炎では汚染を避けるため中間尿が用いられる。 ③ 正しい。淋菌は尿道前部の菌を捉えるため初尿を用いて核酸増幅検査などを行う。 ④ Pseudomonas aeruginosaの尿路検索で初尿を特に用いる根拠はない。 ⑤ Streptococcus agalactiaeの検索では腟・直腸スワブなどが用いられ、初尿が特異的ではない。
第69回 午後70(臨床微生物学)
ブドウ糖発酵菌はどれか。2つ選べ。
①Aeromonas hydrophila ②Burkholderia cepacia ③Pseudomonas aeruginosa ④Stenotrophomonas maltophilia ⑤Yersinia pestis
正答: ①Aeromonas hydrophila・⑤Yersinia pestis
ポイント ブドウ糖発酵菌は嫌気的にブドウ糖を分解して酸を産生する菌で、腸内細菌目(Yersinia・Escherichia・Klebsiellaなど)、Aeromonas、Vibrioが含まれる。一方、ブドウ糖非発酵菌はPseudomonas・Burkholderia・Stenotrophomonas・Acinetobacterなどで、酸化的にしか糖を利用しない。OF試験(酸化・発酵試験)やTSI寒天培地での発酵性が鑑別の基本となる。●ブドウ糖発酵菌=腸内細菌目(大腸菌・Klebsiella・Salmonella・Yersinia)・Aeromonas・Vibrio・Plesiomonas。●ブドウ糖非発酵菌=Pseudomonas・Burkholderia・Stenotrophomonas・Acinetobacter・Moraxella。●鑑別法=OF試験・TSI/クリグラー培地・オキシダーゼ試験(非発酵菌の多くが陽性)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。Aeromonas hydrophilaはブドウ糖を発酵する通性嫌気性のグラム陰性桿菌である。 ② Burkholderia cepaciaはブドウ糖非発酵菌である。 ③ Pseudomonas aeruginosaは代表的なブドウ糖非発酵菌で、酸化的にしか糖を利用しない。 ④ Stenotrophomonas maltophiliaはブドウ糖非発酵菌である。 ⑤ 正しい。Yersinia pestisは腸内細菌目に属し、ブドウ糖を発酵する。
第69回 午後71(臨床微生物学)
Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhiについて正しいのはどれか。2つ選べ。
①乳糖を分解する。 ②インドールテストが陰性である。 ③リジン脱炭酸試験が陽性である。 ④オキシダーゼテストが陽性である。 ⑤TSI寒天培地でブドウ糖からのガスを産生する。
正答: ②インドールテストが陰性である。・③リジン脱炭酸試験が陽性である。
ポイント Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi(チフス菌)は腸内細菌目のグラム陰性桿菌で、乳糖非分解、インドール陰性、リジン脱炭酸試験陽性、オキシダーゼ陰性が特徴である。TSI寒天培地ではブドウ糖を分解して酸性(黄色)を呈するがガス産生はほとんどなく、硫化水素は少量産生する。これらの生化学的性状で他のSalmonellaや腸内細菌と鑑別される。●チフス菌の性状=乳糖非分解・インドール陰性・リジン脱炭酸陽性・オキシダーゼ陰性・ガス産生ほぼなし・硫化水素少量。●腸内細菌目共通=オキシダーゼ陰性・ブドウ糖発酵・硝酸塩還元陽性。●インドール陽性の代表=Escherichia coli・Proteus vulgaris。●関連疾患=腸チフス(Typhi)・パラチフス(Paratyphi A)。
選択肢ごとの解説
① チフス菌は乳糖非分解であり、乳糖を分解するという記述は誤りである。 ② 正しい。チフス菌はインドールテスト陰性である。 ③ 正しい。チフス菌はリジン脱炭酸試験が陽性である。 ④ チフス菌を含む腸内細菌目はオキシダーゼ陰性であり、陽性とする記述は誤りである。 ⑤ チフス菌はTSI培地でブドウ糖を分解するがガスはほとんど産生しないため、ガス産生の記述は誤りである。
📋 まとめの表を見る:腸内細菌科の生化学的性状の鑑別(乳糖分解・硫化水素・リジン脱炭酸・インドール)
サルモネラ・赤痢菌など乳糖非分解菌はTSI培地で高層部のみ黄変し斜面は赤色のまま残るが、大腸菌など乳糖分解菌は斜面・高層とも黄変する。チフス菌(Typhi)はTSI培地でガスをほとんど産生せず硫化水素も少量にとどまる点が他の多くのSalmonella血清型と異なる。尿素分解(ウレアーゼ)陽性の代表はProteus属・Morganella属・Providencia属。
第69回 午後72(臨床微生物学)
肺炎が疑われた患者の喀痰のGram染色標本を別に示す。分離菌はブドウ糖を発酵し、オキシダーゼ試験と運動性は陰性であった。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB072.abd371342d.jpg
①Acinetobacter baumannii ②Klebsiella pneumoniae ③Mycoplasma pneumoniae ④Pseudomonas aeruginosa ⑤Streptococcus pneumoniae
正答: ②Klebsiella pneumoniae
ポイント ブドウ糖発酵性・オキシダーゼ陰性・運動性陰性のグラム陰性桿菌で肺炎の起炎菌として考えられるのはKlebsiella pneumoniaeである。本菌は莢膜を有する非運動性の腸内細菌目で、喀痰のGram染色では太い陰性桿菌として観察される。Pseudomonas aeruginosaはオキシダーゼ陽性・非発酵・運動性陽性、Acinetobacterは非発酵・グラム陰性球桿菌、肺炎球菌はグラム陽性双球菌、マイコプラズマは細胞壁を欠き染色されない点で鑑別される。●ブドウ糖発酵・オキシダーゼ陰性のグラム陰性桿菌=Klebsiella pneumoniae・Escherichia coliなど腸内細菌目。●ブドウ糖非発酵・オキシダーゼ陽性=Pseudomonas aeruginosa。●非発酵・オキシダーゼ陰性・球桿菌=Acinetobacter baumannii。●Gram染色されない肺炎起炎菌=Mycoplasma pneumoniae・Legionella(染色不良)・Chlamydophila。
選択肢ごとの解説
① Acinetobacter baumanniiはブドウ糖非発酵で、発酵するという本例の所見と合わない。 ② 正しい。ブドウ糖発酵・オキシダーゼ陰性・非運動性のグラム陰性桿菌でKlebsiella pneumoniaeが考えられる。 ③ Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁を欠きGram染色で染まらず、桿菌として観察されない。 ④ Pseudomonas aeruginosaはオキシダーゼ陽性・非発酵・運動性陽性で、本所見と合わない。 ⑤ Streptococcus pneumoniaeはグラム陽性双球菌であり、陰性桿菌の本所見と合わない。
📋 まとめの表を見る:グラム陰性桿菌の分類(腸内細菌目・ビブリオ科・パスツレラ科・非発酵菌群)とオキシダーゼ・糖代謝
第69回 午後73(臨床微生物学)
真菌について正しいのはどれか。
①Aspergillus fumigatus は大分生子を形成する。 ②Candida glabrata は仮性菌糸を形成する。 ③Cryptococcus neoformans は厚膜胞子を形成する。 ④Exophiala dermatitidis は黒色コロニーを形成する。 ⑤Mucor 属は菌糸に隔壁を形成する。
正答: ④Exophiala dermatitidis は黒色コロニーを形成する。
ポイント 真菌の鑑別では分生子・菌糸・胞子の形態と隔壁の有無、色素の有無が重要である。Exophiala dermatitidisはメラニンを産生する黒色真菌で、黒色のコロニーを形成する。Aspergillus fumigatusはフィアライドから小型の分生子を連鎖状に形成し大分生子はつくらず、Mucor属は隔壁のない(無隔壁)幅広い菌糸が特徴、Cryptococcus neoformansは莢膜をもつ酵母で厚膜胞子は形成しない点が鑑別となる。●黒色真菌=Exophiala・Cladosporium・Fonsecaea(クロモミコーシス・黒色真菌症)。●糸状菌(隔壁あり)=Aspergillus・Penicillium・皮膚糸状菌。●接合菌(無隔壁)=Mucor・Rhizopus(ムーコル症)。●酵母=Candida(仮性菌糸を形成)・Cryptococcus(莢膜・厚膜胞子なし)。
選択肢ごとの解説
① Aspergillus fumigatusは小型の分生子をフィアライドから形成し、大分生子は形成しない。 ② Candida glabrataは仮性菌糸をほとんど形成しないCandidaで、この記述は誤りである。 ③ Cryptococcus neoformansは莢膜をもつ酵母で、厚膜胞子の形成は特徴でない。 ④ 正しい。Exophiala dermatitidisは黒色真菌で、メラニンを含む黒色コロニーを形成する。 ⑤ Mucor属は隔壁のない(無隔壁)菌糸が特徴で、隔壁を形成するという記述は誤りである。
第69回 午後74(臨床微生物学)
検査が有用でないのはどれか。
①結核を疑う患者の喀痰抗酸菌培養検査 ②感染性心内膜炎を疑う患者の血液培養検査 ③尿路感染症を疑う患者の尿中レジオネラ抗原検査 ④クリプトコックス髄膜炎を疑う患者の髄液中グルクロノキシロマンナン抗原検査 ⑤抗菌薬関連下痢症を疑う患者の糞便中Clostridioides difficileトキシン抗原検査
正答: ③尿路感染症を疑う患者の尿中レジオネラ抗原検査
ポイント 尿中抗原検査は対象菌と対象病態に応じて使い分ける。レジオネラ尿中抗原検査は肺炎を起こすLegionella pneumophila血清群1による肺炎(レジオネラ症)の診断に用いるもので、尿路感染症の診断には有用でない。喀痰抗酸菌培養(結核)、血液培養(感染性心内膜炎)、髄液クリプトコックス抗原(クリプトコックス髄膜炎)、糞便C. difficileトキシン(抗菌薬関連下痢症)はいずれも対応する病態の診断に適している。●尿中抗原検査=レジオネラ(肺炎)・肺炎球菌(肺炎)。●培養検査=喀痰抗酸菌培養(結核)・血液培養(菌血症・心内膜炎)・尿培養(尿路感染症)。●抗原・毒素検査=髄液クリプトコックス莢膜抗原(髄膜炎)・糞便C. difficileトキシン/GDH(偽膜性腸炎)。
選択肢ごとの解説
① 結核を疑う患者の喀痰抗酸菌培養は結核菌検出に有用な検査である。 ② 感染性心内膜炎を疑う患者の血液培養は起炎菌検出に有用である。 ③ 誤り。レジオネラ尿中抗原は肺炎の診断に用いるもので、尿路感染症の診断には有用でない。 ④ クリプトコックス髄膜炎を疑う患者の髄液中莢膜多糖抗原検査は診断に有用である。 ⑤ 抗菌薬関連下痢症を疑う患者の糞便中C. difficileトキシン抗原検査は診断に有用である。
第69回 午後75(臨床微生物学)
蛋白合成阻害薬はどれか。2つ選べ。
①アミカシン ②ダプトマイシン ③バンコマイシン ④ミノサイクリン ⑤シプロフロキサシン
正答: ①アミカシン・④ミノサイクリン
ポイント 抗菌薬は作用機序により分類される。アミノグリコシド系(アミカシン)とテトラサイクリン系(ミノサイクリン)はいずれもリボソームに作用して蛋白合成を阻害する。ダプトマイシンは細胞膜に作用する環状リポペプチド、バンコマイシンは細胞壁合成を阻害するグリコペプチド、シプロフロキサシン(フルオロキノロン系)はDNAジャイレース・トポイソメラーゼを阻害する核酸合成阻害薬であり、標的部位が異なる。●蛋白合成阻害薬=アミノグリコシド系(アミカシン)・テトラサイクリン系(ミノサイクリン)・マクロライド系・クロラムフェニコール・リンコマイシン系。●細胞壁合成阻害薬=βラクタム系(ペニシリン・セフェム)・グリコペプチド系(バンコマイシン)。●細胞膜傷害=ダプトマイシン・ポリミキシン。●核酸合成阻害薬=フルオロキノロン系(シプロフロキサシン)・リファンピシン。●葉酸合成阻害=ST合剤(サルファ剤・トリメトプリム)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。アミカシンはアミノグリコシド系で、リボソームに作用し蛋白合成を阻害する。 ② ダプトマイシンは細胞膜に作用する環状リポペプチドで、蛋白合成阻害薬ではない。 ③ バンコマイシンは細胞壁合成を阻害するグリコペプチドで、蛋白合成阻害薬ではない。 ④ 正しい。ミノサイクリンはテトラサイクリン系で、リボソームに作用し蛋白合成を阻害する。 ⑤ シプロフロキサシンはDNAジャイレースを阻害する核酸合成阻害薬で、蛋白合成阻害薬ではない。
第69回 午後76(臨床微生物学)
Mycobacterium属について正しいのはどれか。
①M. leprae は小川培地で発育する。 ②M. avium は硝酸塩還元試験陽性である。 ③M. marinum の至適発育温度は37℃である。 ④M. fortuitum は培養7日目には肉眼的に観察できる。 ⑤M. tuberculosis と M. bovis は市販の結核菌検出用PCR試薬で鑑別できる。
正答: ④M. fortuitum は培養7日目には肉眼的に観察できる。
ポイント Mycobacterium属(抗酸菌)は発育速度により遅発育菌と迅速発育菌に大別され、培地・生化学性状・至適温度で鑑別する。M. fortuitum は迅速発育菌で7日以内に肉眼的コロニーを形成する代表菌である。M. leprae(らい菌)は人工培地で発育せず培養できないのが大きな特徴で、M. marinum は皮膚・四肢末梢の感染を起こし至適発育温度は30℃前後と低い。M. tuberculosis と M. bovis は遺伝的に極めて近く、一般的な結核菌検出用PCR試薬では鑑別できない。●遅発育菌(7日超)=M. tuberculosis・M. bovis・M. avium・M. intracellulare・M. kansasii・M. marinum。●迅速発育菌(7日以内)=M. fortuitum・M. chelonae・M. abscessus。●培養不能=M. leprae。●低温発育(30℃前後)=M. marinum・M. ulcerans。
選択肢ごとの解説
① M. leprae(らい菌)は人工培地で発育せず培養できないため、小川培地で発育するという記述は誤りである。 ② M. avium の硝酸塩還元試験は陰性であり、陽性とする記述は誤りである。 ③ M. marinum の至適発育温度は30℃前後と低く、37℃とする記述は誤りである。 ④ 正しい。M. fortuitum は迅速発育菌で培養7日目には肉眼的コロニーとして観察できる。 ⑤ M. tuberculosis と M. bovis は近縁で、市販の結核菌検出用PCR試薬では鑑別できない。
第69回 午後77(臨床微生物学)
選択分離培地と目的菌の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①BBE寒天培地 — Neisseria meningitidis ②CCFA寒天培地 — Bacteroides fragilis ③CIN寒天培地 — Yersinia enterocolitica ④NAC寒天培地 — Pseudomonas aeruginosa ⑤Thayer-Martin寒天培地 — Clostridioides difficile
正答: ③CIN寒天培地 — Yersinia enterocolitica・④NAC寒天培地 — Pseudomonas aeruginosa
ポイント 選択分離培地は目的菌の発育を促し、夾雑菌の発育を抑える組成で設計される。CIN寒天培地(セフスロジン・イルガサン・ノボビオシン加マンニトール寒天)は Yersinia enterocolitica の選択培地で、菌は中心が暗赤色の bull's eye 状コロニーを形成する。NAC寒天培地(ナリジクス酸・セトリミド加)は Pseudomonas aeruginosa の選択培地である。組合せの入れ替えを見抜く必要がある。●腸内細菌・腸管病原菌=SS寒天・DHL寒天(サルモネラ・赤痢菌)、CIN(エルシニア)、TCBS(ビブリオ)、スキロー培地(カンピロバクター)。●嫌気性菌=BBE寒天(Bacteroides fragilisグループ)、CCFA寒天(Clostridioides difficile)。●Neisseria=Thayer-Martin培地・Modified Thayer-Martin(淋菌・髄膜炎菌)。●緑膿菌=NAC寒天。
選択肢ごとの解説
① BBE寒天培地は Bacteroides fragilis グループの選択培地で、Neisseria meningitidis ではない。 ② CCFA寒天培地は Clostridioides difficile の選択培地で、Bacteroides fragilis ではない。 ③ 正しい。CIN寒天培地は Yersinia enterocolitica の選択分離培地である。 ④ 正しい。NAC寒天培地は Pseudomonas aeruginosa の選択分離培地である。 ⑤ Thayer-Martin寒天培地は Neisseria(淋菌・髄膜炎菌)の選択培地で、Clostridioides difficile ではない。
📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地
第69回 午後78(臨床微生物学)
消毒用エタノールに対して抵抗性を示すのはどれか。
①B型肝炎ウイルス ②インフルエンザウイルス ③ノロウイルス ④ヒト免疫不全ウイルス ⑤ヘルペスウイルス
正答: ③ノロウイルス
ポイント 消毒用エタノールは脂質二重膜であるエンベロープを溶解して効果を発揮するため、エンベロープを持つウイルスには有効だが、エンベロープを持たないノンエンベロープウイルスには効果が乏しい。ノロウイルスはエンベロープを持たず環境抵抗性が高くアルコールに抵抗性を示すため、消毒には次亜塩素酸ナトリウムが推奨される。B型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヘルペスウイルスはいずれもエンベロープを有し、エタノールが有効である。●ノンエンベロープウイルス(アルコール抵抗性)=ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス・ポリオウイルス・A型/E型肝炎ウイルス。●エンベロープウイルス(アルコール感受性)=インフルエンザ・ヘルペス・B型/C型肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・コロナウイルス。●ノロ・C. difficile対策=次亜塩素酸ナトリウム。
選択肢ごとの解説
① B型肝炎ウイルスはエンベロープを有し、エタノールが有効である。 ② インフルエンザウイルスはエンベロープを有し、エタノールに感受性がある。 ③ 正しい。ノロウイルスはエンベロープを持たず、消毒用エタノールに抵抗性を示す。 ④ ヒト免疫不全ウイルスはエンベロープを有し、エタノールが有効である。 ⑤ ヘルペスウイルスはエンベロープを有し、エタノールに感受性がある。
第69回 午後79(臨床免疫学)
抗原抗体反応で正しいのはどれか。
①温度に影響されない。 ②非可逆的反応である。 ③非特異反応は起こらない。 ④地帯現象により偽陽性となる。 ⑤酸性にすると抗体は解離しやすくなる。
正答: ⑤酸性にすると抗体は解離しやすくなる。
ポイント 抗原抗体反応は静電気的引力・水素結合・疎水結合・ファンデルワールス力など非共有結合による可逆的な結合で、温度・pH・イオン強度といった環境条件に影響される。酸性条件にすると結合力が弱まり抗体が抗原から解離しやすくなるため、抗体解離試験(acid elution)に応用される。抗体過剰や抗原過剰では反応が抑制される地帯現象(プロゾーン・ポストゾーン)により偽陰性を生じ、リウマトイド因子などによる非特異反応も起こりうる。●結合の性質=可逆的・非共有結合・特異的だが交差反応あり。●反応に影響する因子=温度・pH・イオン強度・反応時間・抗原抗体比。●地帯現象=抗体過剰のプロゾーン/抗原過剰のポストゾーン(いずれも偽陰性)。●解離法=酸処理・加熱・有機溶媒。
選択肢ごとの解説
① 抗原抗体反応は温度に影響される反応であり、影響されないとする記述は誤りである。 ② 抗原抗体反応は非共有結合による可逆的反応で、非可逆的とする記述は誤りである。 ③ リウマトイド因子などによる非特異反応は起こりうるため、起こらないとする記述は誤りである。 ④ 地帯現象は抗体・抗原過剰時に反応が抑制され偽陰性となる現象で、偽陽性とする記述は誤りである。 ⑤ 正しい。酸性にすると抗原抗体の結合が弱まり、抗体は解離しやすくなる。
第69回 午後80(臨床免疫学)
RPRカードテストについて正しいのはどれか。
①地帯現象は起こらない。 ②生物学的偽陽性は起こらない。 ③被検血清は不活化しなくてよい。 ④梅毒トレポネーマに特異的な抗体を検出する。 ⑤1分間に120回転の速さで5分間水平回転する。
正答: ③被検血清は不活化しなくてよい。
ポイント RPR(rapid plasma reagin)カードテストはカルジオリピンを抗原として梅毒の脂質抗体(非特異的反応・レアギン)を検出する非トレポネーマ検査で、スクリーニングや治療効果判定の指標に用いられる。被検血清は不活化せずにそのまま用いてよい。抗体過剰では地帯現象(プロゾーン)が起こり偽陰性を生じうるほか、膠原病・妊娠・感染症などで生物学的偽陽性が生じうる。梅毒トレポネーマに特異的な抗体の検出はTPHA・TPLA・FTA-ABSなどのトレポネーマ検査が担う。●非トレポネーマ検査(脂質抗体)=RPR・VDRL・凝集法。活動性を反映し治療で陰転。●トレポネーマ検査(特異抗体)=TPHA・TPLA・FTA-ABS。治療後も陽性が持続。●生物学的偽陽性の原因=膠原病・妊娠・急性感染症・加齢。
選択肢ごとの解説
① RPRでも抗体過剰時に地帯現象(プロゾーン)が起こりうるため、起こらないとする記述は誤りである。 ② RPRは膠原病や妊娠などで生物学的偽陽性が生じうるため、起こらないとする記述は誤りである。 ③ 正しい。RPRカードテストでは被検血清を不活化しなくてよい。 ④ RPRはカルジオリピンを抗原とする非特異的脂質抗体を検出するもので、トレポネーマ特異抗体ではない。 ⑤ 毎分100回転で8分間水平回転させるのが標準条件で、1分間120回転5分間という記述は本法の正しい条件ではない。
第69回 午後81(臨床免疫学)
フローサイトメトリで誤っているのはどれか。
①蛍光標識抗体を使用する。 ②細胞質内抗原を測定できる。 ③蛍光強度は細胞数を反映する。 ④リンパ球表面マーカーを解析できる。 ⑤測定器の光源はレーザー光を使用する。
正答: ③蛍光強度は細胞数を反映する。
ポイント フローサイトメトリは蛍光標識抗体で標識した細胞を1個ずつ流路に流してレーザー光を照射し、前方散乱光(細胞の大きさ)・側方散乱光(内部構造)と蛍光を測定して細胞を解析する。蛍光強度は1細胞あたりに結合した蛍光標識抗体の量、すなわち抗原(分子)の発現量を反映するもので、細胞数を反映するわけではない。細胞数はイベント数として数えられる。膜表面マーカーだけでなく、細胞膜を透過処理すれば細胞質内・核内抗原も測定できる。●測定パラメータ=前方散乱光(大きさ)・側方散乱光(内部構造・顆粒)・蛍光強度(抗原量)。●用途=リンパ球サブセット解析(CD4/CD8)、白血病・リンパ腫の細胞表面マーカー、CD34陽性細胞数、PNH(CD55/CD59欠失)。●光源=レーザー光。
選択肢ごとの解説
① フローサイトメトリは蛍光標識抗体を用いるため、正しい記述である。 ② 細胞膜の透過処理により細胞質内抗原も測定できるため、正しい記述である。 ③ 誤り。蛍光強度は1細胞あたりの抗原発現量を反映するもので、細胞数を反映するわけではない。 ④ リンパ球表面マーカーの解析はフローサイトメトリの主要用途であり、正しい記述である。 ⑤ 光源にはレーザー光が用いられるため、正しい記述である。
第69回 午後82(臨床免疫学)
自然免疫に関与するのはどれか。2つ選べ。
①B細胞 ②T細胞 ③好中球 ④肥満細胞 ⑤マクロファージ
正答: ③好中球・④肥満細胞 または ③好中球・⑤マクロファージ または ④肥満細胞・⑤マクロファージ(いずれの組合せも正解)
ポイント 自然免疫は抗原特異性をもたず病原体に対して迅速に働く防御機構で、好中球・マクロファージ・樹状細胞・NK細胞・肥満細胞・好酸球・好塩基球などが担う。これらはToll様受容体などのパターン認識受容体で病原体関連分子パターンを認識し、貪食やサイトカイン・化学伝達物質の放出を行う。一方、B細胞とT細胞は抗原受容体遺伝子の再構成により多様な特異性をもち、免疫記憶を形成する獲得(適応)免疫の中心細胞であり、自然免疫には含めない。●自然免疫の細胞=好中球・マクロファージ・樹状細胞・NK細胞・肥満細胞・好酸球・好塩基球。●獲得免疫の細胞=T細胞(細胞性)・B細胞/形質細胞(液性)。●認識機構=自然免疫=パターン認識受容体(Toll様受容体等)、獲得免疫=抗原受容体(TCR・BCR)。●複数正答の認定=本問は公式正答表で「3・4」「3・5」「4・5」のいずれの組合せも正解と認められている。本ドリルでは公式に認められたいずれの組合せ(2つ)を選んでも正解になる。
選択肢ごとの解説
① B細胞は抗体産生を担う獲得免疫の細胞で、自然免疫には含めない。 ② T細胞は抗原特異的に働く獲得免疫の中心細胞で、自然免疫には含めない。 ③ 正しい。好中球は貪食を担う自然免疫の細胞である。 ④ 正しい。肥満細胞はヒスタミンなどの化学伝達物質を放出し自然免疫に関与する。 ⑤ マクロファージも自然免疫の中心的な貪食細胞であり、公式正答表では3・5/4・5の組合せも正解と認められている。
第69回 午後83(臨床免疫学)
自己免疫性膵炎で上昇するのはどれか。
正答: ⑤IgG4
ポイント 自己免疫性膵炎(1型)はIgG4関連疾患の膵病変で、血清IgG4が上昇し、膵組織にIgG4陽性形質細胞が密に浸潤して花筵(むしろ)状線維化や閉塞性静脈炎を呈する。IgGはIgG1〜IgG4の4つのサブクラスに分かれ、IgG4は通常IgG全体のうち最も少ないが、本疾患では選択的に増加する。ステロイドが著効する点も特徴である。●IgG4関連疾患=自己免疫性膵炎・ミクリッツ病(涙腺唾液腺腫大)・後腹膜線維症・硬化性胆管炎・腎尿細管間質性腎炎。●IgGサブクラスの特徴=IgG1(最多・補体活性化)・IgG2(多糖体抗原)・IgG3(補体活性化強)・IgG4(最少・補体活性化弱)。●免疫グロブリンの増加する疾患=IgA腎症(IgA)・多発性骨髄腫(M蛋白)。
選択肢ごとの解説
① IgA1は自己免疫性膵炎で特異的に上昇するマーカーではない。 ② IgA2も自己免疫性膵炎の指標とはならない。 ③ IgDは本疾患で上昇するマーカーではない。 ④ IgG2は本疾患で選択的に上昇するサブクラスではない。 ⑤ 正しい。自己免疫性膵炎(IgG4関連疾患)では血清IgG4が上昇する。
📋 まとめの表を見る:IgG4関連疾患の主な特徴
自己免疫性膵炎には1型と2型の亜型があり、日本では1型(IgG4関連)が多い。
第69回 午後84(臨床免疫学)
HLAについて正しいのはどれか。
①HLAクラスⅠは高度な多型性を示す。 ②HLAは第6染色体長腕上に存在する。 ③HLAクラスⅡは血小板に発現している。 ④HLAクラスⅠにDR、DQ領域が含まれる。 ⑤HLAクラスⅠは体液性免疫と細胞性免疫の両方を誘導する。
正答: ①HLAクラスⅠは高度な多型性を示す。
ポイント HLA(ヒト白血球抗原)は第6染色体短腕にあるMHC(主要組織適合遺伝子複合体)遺伝子群がコードする糖蛋白で、多数のアレルをもち極めて多型性が高い。クラスⅠ(HLA-A・B・C)はほぼ全ての有核細胞と血小板に発現し、CD8陽性T細胞に内因性(細胞内)抗原を提示して細胞性免疫を誘導する。クラスⅡ(HLA-DR・DQ・DP)は樹状細胞・マクロファージ・B細胞などの抗原提示細胞に発現し、CD4陽性T細胞に外来抗原を提示する。●クラスⅠ=HLA-A/B/C、全有核細胞、CD8T細胞、内因性抗原提示。●クラスⅡ=HLA-DR/DQ/DP、抗原提示細胞、CD4T細胞、外来抗原提示。●臨床応用=臓器移植の適合性、輸血(白血球抗体)、HLAと疾患感受性(HLA-B27と強直性脊椎炎等)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。HLAクラスⅠは多数のアレルをもち高度な多型性を示す。 ② HLA遺伝子群は第6染色体短腕に存在し、長腕とする記述は誤りである。 ③ DR・DQはクラスⅡであり、クラスⅡは抗原提示細胞に発現する。クラスⅡを血小板への発現とする記述は誤りである。 ④ DR・DQ領域はクラスⅡに含まれるもので、クラスⅠに含まれるとする記述は誤りである。 ⑤ クラスⅠは主にCD8陽性T細胞を介する細胞性免疫を誘導するもので、体液性と細胞性の両方を誘導するという記述は適切でない。
📋 まとめの表を見る:MHCクラスⅠ・クラスⅡの違い
HLA遺伝子は第6染色体短腕上に存在する。NK細胞はMHCクラスⅠの発現が低下した細胞(missing self)を傷害する。
第69回 午後85(臨床免疫学)
不規則抗体同定検査の結果を以下に示す(+=陽性、0=陰性、Sal=生理食塩液法、IAT=間接抗グロブリン試験)。可能性の高い抗体はどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB085.480e377275.jpg
正答: ③抗E・⑤抗M
ポイント 不規則抗体同定はパネル赤血球の抗原表と各細胞の反応の有無を照合し、反応した細胞すべてに共通して陽性で反応しない細胞すべてに陰性の抗原を残す消去法で行う。本パネルではE抗原陽性の細胞(細胞1・2・6)でIATが陽性、E陰性細胞でIATが陰性という対応から抗E(37℃・間接抗グロブリン試験で反応する温式IgG抗体)が疑われる。またM抗原陽性の細胞(細胞2・3)で生理食塩液法(Sal)が陽性という対応から、低温・生理食塩液法で反応する抗M(冷式IgM抗体)が疑われる。●Rh系(温式IgG・IAT反応・遅発性溶血)=抗D・抗E・抗c・抗C・抗e。●MNS系=抗M(多くは冷式IgM・Sal反応)・抗S・抗s。●Kidd系(抗Jka・抗Jkb・遅発性溶血・補体結合)。●Duffy系(抗Fya・抗Fyb・酵素で失活)。
選択肢ごとの解説
① c抗原は多くの細胞で陽性であり反応パターンが一致しないため、抗cは否定的である。 ② C抗原の陽性・陰性と反応が一致しないため、抗Cは可能性が低い。 ③ 正しい。E抗原陽性細胞でIATが陽性となる対応から抗Eが疑われる。 ④ Fyb抗原の陽性・陰性と反応が一致しないため、抗Fybは可能性が低い。 ⑤ 正しい。M抗原陽性細胞で生理食塩液法が陽性となる対応から抗Mが疑われる。
📋 まとめの表を見る:不規則抗体同定検査:反応相と抗体推定の原則
同定は既知抗原表(アンチグラム)とパネル赤血球の反応を照合し、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を消去していく消去法で行う。消去されずに残った抗体が「否定できない抗体」であり、陽性反応を示した赤血球に共通する抗原に対応する抗体を「可能性の高い抗体」と推定する。抗原量が少ないと反応が弱まる量的効果(dosage)があるため、量的効果のある抗原はホモ接合の血球で陰性の場合に消去するのが原則である。間接抗グロブリン試験の反応増強剤にはLISS(低イオン強度溶液)やPEG(ポリエチレングリコール)が用いられる。
第69回 午後86(臨床免疫学)
多特異性抗グロブリン試薬に含まれるのはどれか。2つ選べ。
正答: ①抗C3・⑤抗IgG
ポイント 多特異性抗グロブリン試薬(広スペクトル抗ヒトグロブリン試薬)は、赤血球に結合した不完全抗体(IgG)と補体成分を同時に検出するため、抗IgGと抗C3d(抗C3)を含む。直接抗グロブリン試験では生体内で感作された赤血球を、間接抗グロブリン試験では試験管内で感作させた赤血球を検出する。抗C4・抗IgD・抗IgEは通常含まれない。●多特異性抗グロブリン試薬=抗IgG+抗C3d。●単特異性抗グロブリン試薬=抗IgG・抗C3d・抗C3bなど個別。●直接抗グロブリン試験陽性=自己免疫性溶血性貧血・新生児溶血性疾患・薬剤性溶血・遅発性溶血性輸血反応。●間接抗グロブリン試験=不規則抗体スクリーニング・交差適合試験・抗体同定。
選択肢ごとの解説
① 正しい。多特異性抗グロブリン試薬には補体成分を検出する抗C3(抗C3d)が含まれる。 ② 抗C4は多特異性抗グロブリン試薬の標準的構成成分ではない。 ③ 抗IgDは多特異性抗グロブリン試薬には含まれない。 ④ 抗IgEは多特異性抗グロブリン試薬には含まれない。 ⑤ 正しい。多特異性抗グロブリン試薬には赤血球に結合したIgGを検出する抗IgGが含まれる。
第69回 午後87(臨床免疫学)
同一患者の試験管法とカラム凝集法の反応像を別に示す。凝集反応の判定として正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB087.3b728369b4.jpg
正答: ⑤部分凝集
ポイント 輸血検査の凝集判定では、凝集した赤血球と凝集しない赤血球が同一視野内に混在する像を部分凝集(mixed field、混合凝集)と判定する。ABO亜型、輸血後(異型赤血球の混在)、骨髄移植後のキメラ、二重集団などで生じる。試験管法では小さな凝集塊を背景に遊離赤血球が散在し、カラム凝集法ではカラム上層に凝集塊が捕捉される一方で底部に赤血球が落ち込む像となる。これは凝集強度の段階(1+〜4+)とは区別して判定する。●部分凝集を呈する病態=ABO亜型(A3・B3等)・輸血後の異型赤血球残存・骨髄移植後キメラ・Tn多凝集。●凝集強度=4+(一塊)〜1+(多数の小凝集)〜0(陰性)。●判定法=試験管法・カラム凝集法・マイクロプレート法。
選択肢ごとの解説
① 凝集が全くない陰性像(0)とは異なり、本例は凝集細胞と非凝集細胞が混在している。 ② 1+は弱いながら一様な凝集を示す判定で、混在する本像とは異なる。 ③ 2+は中等度の一様な凝集で、部分凝集とは判定が異なる。 ④ 4+は赤血球が一塊となる強い一様な凝集で、本像の混在パターンとは異なる。 ⑤ 正しい。凝集した赤血球と凝集しない赤血球が混在しており、部分凝集(mixed field)と判定する。
📋 まとめの表を見る:ABO血液型判定オモテ・ウラ検査不一致の主な原因
新生児は自己の規則抗体(抗A・抗B)をまだ十分に産生していないためウラ検査が陰性化しやすい。混合視野凝集(mixed field)はキメラ・異型輸血後・骨髄移植後などでみられ、通常の不一致とは区別して考える。
第69回 午後88(臨床免疫学)
末梢血幹細胞の採取時期の指標となるのはどれか。
①血小板数 ②好中球数 ③赤血球数 ④CD34陽性細胞数 ⑤CD3陽性リンパ球数
正答: ④CD34陽性細胞数
ポイント 末梢血幹細胞採取(アフェレーシス)では、造血幹細胞のマーカーであるCD34陽性細胞数が採取時期の指標となる。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などで骨髄中の幹細胞を末梢血へ動員し、末梢血中のCD34陽性細胞数がフローサイトメトリで一定値以上に達した時点で採取を行う。好中球数や血小板数は移植後の生着・回復の目安にはなるが、採取時期の直接的指標ではない。●CD34=造血幹/前駆細胞のマーカー(採取・生着の指標)。●動員法=G-CSF単独、化学療法併用、CXCR4阻害薬(プレリキサホル)。●移植後の生着指標=好中球数(500/μL以上)・血小板数の回復。●CD3=T細胞マーカー(GVHD・免疫再構築の指標)。
選択肢ごとの解説
① 血小板数は採取後の回復の目安にはなるが、幹細胞採取時期の指標ではない。 ② 好中球数は生着・回復の指標であり、採取時期の直接的指標ではない。 ③ 赤血球数は末梢血幹細胞採取時期の指標とはならない。 ④ 正しい。CD34陽性細胞数が末梢血幹細胞の採取時期の指標となる。 ⑤ CD3陽性リンパ球数はT細胞の指標で、幹細胞採取時期の指標ではない。
📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞
第69回 午後89(臨床免疫学)
間接抗グロブリン試験で使用される反応増強剤はどれか。2つ選べ。
①フィシン ②パパイン ③低イオン強度溶液〈LISS〉 ④ジチオスレイトール〈DTT〉 ⑤ポリエチレングリコール溶液〈PEG〉
正答: ③低イオン強度溶液〈LISS〉・⑤ポリエチレングリコール溶液〈PEG〉
ポイント 間接抗グロブリン試験では、抗原抗体反応を促進する反応増強剤を加えて感度を高める。低イオン強度溶液(LISS)は反応液のイオン強度を下げて赤血球周囲のイオン雲を減らし、抗体の赤血球への結合を促進する。ポリエチレングリコール溶液(PEG)は水分子を排除して反応系の抗体濃度を相対的に高め反応を増強する。フィシン・パパインは赤血球表面のシアル酸を含む糖蛋白などを切断する蛋白分解酵素で、赤血球の表面荷電を低下させるため酵素法に用い、ジチオスレイトール(DTT)はジスルフィド結合を切るIgM解離・抗原処理用の還元剤である。●反応増強剤=低イオン強度溶液(LISS)・ポリエチレングリコール(PEG)・アルブミン。●酵素(赤血球処理)=フィシン・パパイン・ブロメリン・トリプシン(Rh・Kidd系を増強、Duffy・MNS系を失活)。●還元剤=ジチオスレイトール(DTT)・2-メルカプトエタノール(IgMを解離)。
選択肢ごとの解説
① フィシンは赤血球を処理する蛋白分解酵素(酵素法)の試薬で、間接抗グロブリン試験の反応増強剤ではない。 ② パパインも赤血球処理に用いる蛋白分解酵素で、反応増強剤ではない。 ③ 正しい。低イオン強度溶液(LISS)は抗体の赤血球への結合を促進する反応増強剤である。 ④ ジチオスレイトール(DTT)はIgMや一部抗原を処理する還元剤で、反応増強剤ではない。 ⑤ 正しい。ポリエチレングリコール溶液(PEG)は抗体を濃縮し反応を増強する反応増強剤である。
第69回 午後90(公衆衛生学)
法律とそれに規定されている内容の組合せで正しいのはどれか。
①児童福祉法 — 母子健康手帳 ②老人福祉法 — ケアハウス ③精神保健福祉法 — 療育手帳 ④身体障害者福祉法 — 福祉事務所 ⑤知的障害者福祉法 — 地域包括支援センター
正答: ②老人福祉法 — ケアハウス
ポイント 福祉・保健関連法と制度の対応の理解が問われる。老人福祉法はケアハウス(軽費老人ホーム)をはじめ特別養護老人ホーム・養護老人ホームなどの老人福祉施設を規定する。母子健康手帳は母子保健法、療育手帳は厚生事務次官通知に基づく知的障害児・者向けの制度、福祉事務所は社会福祉法、地域包括支援センターは介護保険法を根拠とし、本問は組合せの入れ替えを見抜く必要がある。●老人福祉法=特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・ケアハウス(軽費老人ホーム)。●母子保健法=母子健康手帳・乳幼児健康診査・妊産婦健康診査。●社会福祉法=福祉事務所・社会福祉協議会。●介護保険法=地域包括支援センター・介護認定。●身体障害者手帳=身体障害者福祉法、療育手帳=通知、精神障害者保健福祉手帳=精神保健福祉法。
選択肢ごとの解説
① 母子健康手帳を規定するのは母子保健法であり、児童福祉法ではない。 ② 正しい。ケアハウス(軽費老人ホーム)は老人福祉法に規定される。 ③ 療育手帳は通知に基づく知的障害児・者向けの制度で、精神保健福祉法の規定ではない。 ④ 福祉事務所は社会福祉法に規定されるもので、身体障害者福祉法ではない。 ⑤ 地域包括支援センターは介護保険法に規定されるもので、知的障害者福祉法ではない。
📋 まとめの表を見る:保健・福祉関連法規と規定内容の対応
母子健康手帳の交付を規定するのは地域保健法・児童福祉法ではなく母子保健法。療育手帳は法律ではなく厚生労働省事務次官通知に基づく制度である点に注意。
第69回 午後91(公衆衛生学)
女性労働者の産前産後休暇を規定しているのはどれか。
①母子保健法 ②労働基準法 ③労働安全衛生法 ④育児・介護休業法 ⑤男女雇用機会均等法
正答: ②労働基準法
ポイント 労働基準法は労働条件の最低基準を定める法律で、女性労働者の母性保護として産前6週間(多胎妊娠は14週間)・産後8週間の休業(産前産後休暇)、妊産婦の危険有害業務の就業制限、軽易業務への転換などを規定する。母子保健法は母子の健康保持増進、育児・介護休業法は子の養育のための育児休業、男女雇用機会均等法は雇用上の性差別禁止や妊娠中・出産後の健康管理措置を定めるが、産前産後休暇そのものを規定するのは労働基準法である。●労働基準法=産前産後休暇・労働時間・休日・年次有給休暇・危険有害業務の就業制限。●育児・介護休業法=育児休業・介護休業・子の看護休暇。●男女雇用機会均等法=募集採用昇進の性差別禁止・セクハラ防止・母性健康管理措置。●労働安全衛生法=健康診断・作業環境管理・安全衛生管理体制。
選択肢ごとの解説
① 母子保健法は母子の健康保持増進を定める法で、産前産後休暇の規定ではない。 ② 正しい。労働基準法が産前産後休暇(産前6週・産後8週)を規定している。 ③ 労働安全衛生法は労働者の安全衛生を定める法で、産前産後休暇の規定ではない。 ④ 育児・介護休業法は育児休業や介護休業を定める法で、産前産後休暇の規定ではない。 ⑤ 男女雇用機会均等法は雇用上の男女平等を定める法で、産前産後休暇そのものの規定ではない。
第69回 午後92(公衆衛生学)
医療計画に含まれないのはどれか。
①保健所の設置 ②在宅医療の確保 ③基準病床数の設定 ④二次医療圏の設定 ⑤地域医療支援病院の整備
正答: ①保健所の設置
ポイント 医療計画は医療法に基づき都道府県が策定する医療提供体制の整備計画で、5疾病6事業および在宅医療に係る目標と医療連携体制、基準病床数、二次医療圏・三次医療圏、地域医療支援病院、医師確保計画、外来医療計画などを定める。保健所の設置は地域保健法に基づくものであり、医療計画の記載事項ではない。各事項とその根拠法・位置づけの区別が問われる。●医療計画の記載事項=5疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞等の心血管疾患・糖尿病・精神疾患)・6事業(救急・災害・へき地・周産期・小児・新興感染症)・在宅医療・基準病床数・医療圏・地域医療支援病院・医師確保。●地域保健法=保健所・市町村保健センターの設置。●医療法=病院/診療所の開設・人員施設基準・医療安全。
選択肢ごとの解説
① 誤り。保健所の設置は地域保健法に基づくもので、医療計画には含まれない。 ② 在宅医療の確保は医療計画に含まれる事項である。 ③ 基準病床数の設定は医療計画に含まれる事項である。 ④ 二次医療圏の設定は医療計画に含まれる事項である。 ⑤ 地域医療支援病院の整備は医療計画に含まれる事項である。
第69回 午後93(公衆衛生学)
健康診断と根拠法の組合せで正しいのはどれか。
①特定健康診査 — 労働安全衛生法 ②特殊健康診断 — 高齢者医療確保法 ③乳幼児健康診査 — 母子保健法 ④妊産婦健康診査 — 母体保護法 ⑤給食従業員の検便 — 学校保健安全法
正答: ③乳幼児健康診査 — 母子保健法
ポイント 各種健康診断と根拠法の対応が問われる。乳幼児健康診査は母子保健法に基づき市町村が実施する(1歳6か月児・3歳児健診など)。特定健康診査・特定保健指導は高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)、特殊健康診断および一般定期健康診断は労働安全衛生法、妊産婦健康診査は母子保健法を根拠とする。本問は組合せの入れ替えを正しく見抜く必要がある。●母子保健法=乳幼児健康診査・妊産婦健康診査・新生児訪問・母子健康手帳。●労働安全衛生法=雇入時/定期一般健康診断・特殊健康診断(有害業務)・給食従業員の検便。●高齢者医療確保法=特定健康診査・特定保健指導(メタボ健診)。●学校保健安全法=児童生徒・職員の健康診断・就学時健康診断。
選択肢ごとの解説
① 特定健康診査の根拠は高齢者医療確保法であり、労働安全衛生法ではない。 ② 特殊健康診断の根拠は労働安全衛生法であり、高齢者医療確保法ではない。 ③ 正しい。乳幼児健康診査は母子保健法に基づく。 ④ 妊産婦健康診査の根拠は母子保健法であり、母体保護法ではない。 ⑤ 給食従業員の検便は労働安全衛生法や食品衛生関連で行われるもので、学校保健安全法を主たる根拠とする組合せは適切でない。
📋 まとめの表を見る:健康診査(健診)の種類と根拠法
母体保護法は不妊手術・人工妊娠中絶に関する法律であり、妊産婦健康診査の根拠法ではない。
第69回 午後94(公衆衛生学)
ある疾患の罹患率を調べるために行うのはどれか。
①横断研究 ②介入研究 ③コホート研究 ④症例集積研究 ⑤症例対照研究
正答: ③コホート研究
ポイント 罹患率は一定期間に集団内で新たに発生した患者の割合で、新規発生(発症)を追跡できる研究デザインが必要である。コホート研究は曝露の有無で集団を分けて前向きに追跡し、観察期間中の新規発生を捉えられるため罹患率の算出や相対危険度・寄与危険度の推定に適する。横断研究は一時点の有病率を、症例対照研究はオッズ比を、介入研究は治療・予防の効果を評価するもので、罹患率の直接測定にはコホート研究が適している。●コホート研究=罹患率・相対危険度・寄与危険度(前向き追跡)。●症例対照研究=オッズ比(後ろ向き・まれな疾患に有利)。●横断研究=有病率(一時点)。●介入研究(ランダム化比較試験)=因果関係の検証・治療効果。●症例集積研究=記述的・仮説生成。
選択肢ごとの解説
① 横断研究はある時点の状態を調べる方法で、有病率の把握には適すが罹患率の測定には適さない。 ② 介入研究は治療や予防の効果判定を目的とし、罹患率の自然発生を測る主目的ではない。 ③ 正しい。コホート研究は集団を追跡し新規発生を捉えるため、罹患率の算出に適する。 ④ 症例集積研究は症例の記述が主で、罹患率の測定はできない。 ⑤ 症例対照研究はオッズ比を求める方法で、罹患率を直接測定できない。
第69回 午後95(医用工学概論)
正しいのはどれか。2つ選べ。
①濡れたガラス製の測容器は乾熱滅菌器で乾燥させる。 ②定量の溶液の作成は物質の溶解を測容器の中で行う。 ③メスフラスコの検定公差はメスシリンダーより大きい。 ④測容器は20 ℃で表示容積になるように製造されている。 ⑤オストワルドピペットは粘性の大きい試料の採取に適する。
正答: ④測容器は20 ℃で表示容積になるように製造されている。・⑤オストワルドピペットは粘性の大きい試料の採取に適する。
ポイント ガラス製測容器は通常20℃で表示容積になるよう製造・検定され、目盛にもその旨が記される。器具により精度(検定公差)が異なり、メスフラスコやホールピペットなどの精密器具はメスシリンダーより精度が高く検定公差は小さい。オストワルドピペットは球部が下端近くにあり粘性の大きい試料の正確な採取に適する。一方、メスフラスコ内で固体を直接溶解させると発熱や体積変化で誤差を生むため避け、濡れたガラス測容器を乾熱滅菌器で加熱乾燥すると変形・容積変化を招くため適さない。●体積計(出量用TD・受用TC)=ホールピペット・メスピペット・メスフラスコ・ビュレット・メスシリンダー。●精度の順=メスフラスコ/ホールピペット>メスピペット>メスシリンダー。●オストワルドピペット=粘性試料用。●基準温度=20℃。
選択肢ごとの解説
① 乾熱滅菌器は高温で測容器を変形・容積変化させうるため、濡れた測容器の乾燥には適さない。 ② 定量溶液の調製は溶解後に標線まで定容するもので、メスフラスコの中で固体を直接溶解させる操作は容積誤差を生むため適切でない。 ③ メスフラスコはメスシリンダーより精度が高く検定公差は小さいため、大きいとする記述は誤りである。 ④ 正しい。測容器は20℃で表示容積になるように製造・検定されている。 ⑤ 正しい。オストワルドピペットは粘性の大きい試料の採取に適している。
第69回 午後96(医用工学概論)
DNAシークエンサーの原理(Sanger法)について誤っているのはどれか。
①塩基欠失を検出できる。 ②ダイターミネーター法が用いられる。 ③ddNTPとdNTPを混ぜてPCRを行う。 ④電気泳動ではDNA断片が短いほど早く流れる。 ⑤ddNTPがDNA合成反応に取り込まれてもDNA伸長は継続する。
正答: ⑤ddNTPがDNA合成反応に取り込まれてもDNA伸長は継続する。
ポイント Sanger法(ジデオキシ法)は、伸長中のDNA鎖に3'-OH基を欠くジデオキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)が取り込まれると、次のヌクレオチドとのホスホジエステル結合を形成できずDNA合成がその位置で停止する原理を利用する。通常のdNTPと微量のddNTPを混ぜて反応させ、停止位置の異なる多数の断片を生じさせる。蛍光標識したddNTPを用いるダイターミネーター法では、キャピラリー電気泳動で短い断片ほど速く泳動され、塩基配列を決定できる。ddNTP取り込み後も伸長が継続するという記述は原理に反する。●Sanger法=ddNTPによる鎖伸長停止・キャピラリー電気泳動・塩基配列決定/変異/欠失検出。●次世代シークエンサー(NGS)=合成時/半導体検出・大量並列。●関連用語=dNTP(基質)・ddNTP(停止剤)・ダイターミネーター(蛍光標識ddNTP)。
選択肢ごとの解説
① Sanger法は塩基配列を決定でき塩基欠失も検出できるため、正しい記述である。 ② 蛍光標識したddNTPを用いるダイターミネーター法はSanger法で用いられるため、正しい記述である。 ③ 微量のddNTPと通常のdNTPを混ぜて反応させるのはSanger法の手順であり、正しい記述である。 ④ 電気泳動ではDNA断片が短いほど速く移動するため、正しい記述である。 ⑤ 誤り。ddNTPが取り込まれるとそこで合成が停止するため、伸長が継続するという記述は原理に反する。
第69回 午後97(医用工学概論)
電子レンジと同じ2.4 GHzの電波を使用しているのはどれか。2つ選べ。
①Bluetooth ②GPS ③HDMI ④USB ⑤Wi-Fi
正答: ①Bluetooth・⑤Wi-Fi
ポイント 2.4 GHz帯(ISMバンド)は電子レンジがマイクロ波加熱に用いる周波数帯と同じで、Wi-Fi(無線LAN)やBluetoothなどの近距離無線通信にも利用される。そのため電子レンジ稼働時にはこれらの無線通信に干渉が生じうる。GPSは約1.2〜1.6 GHzの衛星測位システム、HDMI・USBはいずれも有線インターフェースであり、2.4 GHzの電波を用いる無線通信ではない。●2.4 GHz帯(ISMバンド)の無線=Wi-Fi(一部5 GHzも)・Bluetooth・Zigbee・電子レンジ・無線マウス。●GPS=約1.2〜1.6 GHz(衛星測位)。●有線インターフェース=HDMI・USB・LANケーブル。●医療機器との電磁干渉=携帯電話・無線LANと植込み型機器の離隔。
選択肢ごとの解説
① 正しい。Bluetoothは2.4 GHz帯を用いる近距離無線通信である。 ② GPSは約1.2〜1.6 GHz帯の衛星測位システムで、2.4 GHzではない。 ③ HDMIは映像音声を伝送する有線インターフェースで、2.4 GHzの電波は用いない。 ④ USBは有線インターフェースで、2.4 GHzの電波通信ではない。 ⑤ 正しい。Wi-Fi(無線LAN)は2.4 GHz帯を用いる無線通信である。
第69回 午後98(医用工学概論)
判断を表すフローチャート記号はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k69pB098.07bdf7f5ed.jpg
正答: ④
ポイント フローチャート(流れ図)では記号ごとに意味が定められている。判断(分岐)はひし形で表し、条件の真偽に応じて処理の流れを2方向以上に分ける。角丸四角(端子)は開始・終了を、長方形は処理を、平行四辺形は入出力を、円柱は記憶(データ・ファイル)を表す。記号と意味の対応の理解が問われる。●端子(角丸四角)=開始・終了。●処理(長方形)=演算・代入。●判断(ひし形)=条件分岐。●入出力(平行四辺形)=データの入出力。●記憶(円柱)=データベース・ファイル。●定義済み処理(二重線の長方形)=サブルーチン。
選択肢ごとの解説
① 角丸四角は開始・終了を示す端子記号で、判断ではない。 ② 長方形は処理を表す記号で、判断ではない。 ③ 五角形は判断を表す標準記号ではない。 ④ 正しい。ひし形は判断(分岐)を表すフローチャート記号である。 ⑤ 円柱は記憶(データ)を表す記号で、判断ではない。
第69回 午後99(医用工学概論)
遠心分離機において、回転数を1/2にすると遠心力は何倍になるか。
正答: ①1/4
ポイント 遠心分離における相対遠心力は回転半径が一定であれば角速度の2乗、すなわち回転数(毎分回転数)の2乗に比例する。したがって回転数を1/2にすると遠心力は(1/2)の2乗=1/4倍になる。逆に回転数を2倍にすれば遠心力は4倍となる。回転数と遠心力の二乗関係の理解が問われる。●相対遠心力(RCF)=1.118×10⁻⁵×回転半径(cm)×回転数²(rpm)。●回転数2倍→遠心力4倍、回転数1/2→遠心力1/4。●遠心分離の用途=血清/血漿分離・尿沈渣・血球洗浄・密度勾配遠心。●関連量=角速度ω=2πN/60、遠心力∝rω²。
選択肢ごとの解説
① 正しい。遠心力は回転数の2乗に比例するため、回転数を1/2にすると(1/2)²=1/4倍になる。 ② 1/2は遠心力が回転数に比例すると仮定した場合の値で、2乗の関係に反する。 ③ 1倍は回転数を変えても遠心力が不変という意味で、誤りである。 ④ 2倍は遠心力を増やす方向で、回転数を1/2にする本問とは合わない。 ⑤ 4倍は回転数を2倍にした場合の値で、1/2にする本問とは合わない。
第69回 午後100(医用工学概論)
1,000種類の検査項目をコード化する場合、最小限必要な記憶容量[bit]はどれか。
正答: ⑤10
ポイント nビットで表現できる状態数は2のn乗である。1,000種類の検査項目を区別するには2のn乗が1,000以上となる最小のnが必要で、2の9乗=512は1,000に届かず不足、2の10乗=1,024は1,000を超えるため、最小限必要なのは10ビットとなる。情報量とビット数(2のべき乗)の関係の理解が問われる。●ビットと表現可能数=nビットで2ⁿ通り(1bit=2、4bit=16、8bit=256、10bit=1024)。●1バイト=8ビット=256通り。●情報量の単位=bit・byte・KB・MB。●コード化=必要な種類数を超える最小の2のべき乗を満たすビット数を選ぶ。
選択肢ごとの解説
① 6ビットは2の6乗=64通りで、1,000種類を区別できない。 ② 7ビットは2の7乗=128通りで、1,000種類に足りない。 ③ 8ビットは2の8乗=256通りで、1,000種類に足りない。 ④ 9ビットは2の9乗=512通りで、1,000種類を区別できない。 ⑤ 正しい。10ビットは2の10乗=1,024通りで、1,000種類を区別できる最小限のビット数である。
← テキスト版の目次