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第70回(2024) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第70回 午前1(臨床検査総論)
Over the counter〈OTC〉検査で実施されるのはどれか。2つ選べ。
正答: ②尿蛋白・⑤尿中hCG
ポイント Over the counter〈OTC〉検査(一般用検査薬)は、医療機関を介さず消費者が薬局等で購入し、自己採取した検体で測定できる体外診断用医薬品を指す。日本で一般用検査薬として認可されているのは、尿蛋白・尿糖などの尿試験紙、尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)による妊娠検査薬、便潜血などである。血糖や感染症抗体は結果解釈に医療者の関与を要し、診断・治療方針へ直結するため一般用としては流通していない。●尿系OTC=尿蛋白・尿糖・尿中hCG(妊娠検査)・尿中黄体形成ホルモン(LH/排卵日予測)。●便系OTC=便潜血(大腸がんスクリーニング)。●医療管理下のみ=血糖(自己血糖測定器)・感染症抗体(HIV・肝炎)・脂質。
選択肢ごとの解説
① 血糖は糖尿病の診断・管理に直結し医療者の判断を要するため、一般用検査薬としては流通せず、自己血糖測定器は医療管理下で扱われる。 ② 正しい。尿蛋白は試験紙による一般用検査薬として薬局で購入でき、自己採尿で簡便に測定できる。 ③ 中性脂肪は採血を要し、脂質異常症の評価に医療者の関与が必要で、一般用検査薬には含まれない。 ④ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体は確定診断とカウンセリングが必須で、誤判定の影響が大きいため一般用検査薬としては認められていない。 ⑤ 正しい。尿中hCGを検出する妊娠検査薬は代表的なOTC検査で、自己採尿により判定できる。
第70回 午前2(臨床検査総論)
検査項目と採血管の添加物の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①PT — EDTA-2Na ②ALP — EDTA-2K ③血糖 — フッ化ナトリウム ④赤沈 — クエン酸溶液 ⑤血小板数 — ヘパリンリチウム
正答: ③血糖 — フッ化ナトリウム・④赤沈 — クエン酸溶液
ポイント 採血管の添加物は目的の検査に合わせて選ぶ。血糖は採血後も赤血球の解糖が続いて値が低下するため、解糖阻止薬のフッ化ナトリウムを用いる。赤血球沈降速度(赤沈)は3.8%クエン酸ナトリウム溶液を血液と一定比(1:4)で混和して測定する。プロトロンビン時間(PT)などの凝固検査はクエン酸ナトリウム加血漿、アルカリホスファターゼ(ALP)などの生化学は血清(無添加)、血小板数を含む血算はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)塩を用いる。●抗凝固薬と用途=EDTA塩(血算)・クエン酸ナトリウム(PT・APTT・赤沈)・ヘパリン(浸透圧脆弱性・染色体)・フッ化ナトリウム(血糖)。●無添加(血清)=生化学・免疫・血清学。
選択肢ごとの解説
① プロトロンビン時間(PT)はクエン酸ナトリウム加血漿で測定し、EDTA-2Naは凝固検査には用いない。 ② アルカリホスファターゼ(ALP)測定は血清で行い、EDTAはマグネシウムや亜鉛をキレートして酵素活性を阻害するため不適である。 ③ 正しい。血糖はフッ化ナトリウムで解糖系を阻害し、採血後の値の低下を防いで測定する。 ④ 正しい。赤沈はクエン酸ナトリウム溶液で抗凝固した血液を用いて測定する。 ⑤ 血小板数を含む血球計数はEDTA塩を用い、ヘパリンリチウムは血小板凝集を起こしやすく計数に不適である。
📋 まとめの表を見る:採血管の抗凝固剤の種類と適する検査項目
PT・赤沈にはクエン酸Na、血糖・HbA1cにはフッ化Na、ALPなど生化学検査は無添加(血清)を用いる。
第70回 午前3(臨床検査総論)
精度管理法で正しいのはどれか。
①精密さは真の値からの偏りの程度をいう。 ②マルチルール管理図法は患者検体を用いる。 ③2シグマ法での管理では統計学的に10回に1回は外れ値が出現する。 ④管理試料の測定値が3点連続して上昇傾向を示した場合をシフト現象という。 ⑤X(bar)-R管理図法のRは日内の管理試料の測定値の最大値と最小値の差である。
正答: ⑤X(bar)-R管理図法のRは日内の管理試料の測定値の最大値と最小値の差である。
ポイント 内部精度管理ではX(bar)-R管理図やマルチルール(Westgard)法が用いられる。R管理図のRは同一日内に測定した管理試料の最大値と最小値の差であり、精密さ(ばらつき)の変動を監視する。精密さは測定値の再現性のばらつきを指し、真の値からのずれは正確さ(偏り)で区別される。3点以上連続して一方向に変化する現象はトレンド、平均値の片側に連続して偏る現象はシフトと呼ぶ。●精度管理の指標=精密さ(ばらつき・SD/CV)と正確さ(偏り・bias)。●管理図異常パターン=シフト(片側連続)・トレンド(連続漸増/漸減)・2SD逸脱・Westgardルール(1-2s/1-3s/2-2s/R-4s/4-1s/10x)。
選択肢ごとの解説
① 精密さはばらつき(再現性)の程度であり、真の値からの偏りを表すのは正確さである。 ② マルチルール管理図法は管理試料(コントロール)の測定値を用いる方法で、患者検体そのものは用いない。 ③ 2シグマ(2SD)を逸脱する確率は統計的に約5%(20回に1回)であり、10回に1回ではない。 ④ 3点以上連続して同方向に変化するのはトレンド(傾向)であり、シフトは平均の片側への連続的な偏りをいう。 ⑤ 正しい。R管理図のRは日内に測定した管理試料の最大値と最小値の差で、ばらつきの変動を監視する。
第70回 午前4(臨床検査総論)
免疫学的便潜血検査で正しいのはどれか。
①検体採取前は食事制限をする。 ②採取後の検体は室温で保存する。 ③化学的測定法より検出感度が低い。 ④胃がんのスクリーニング検査である。 ⑤便のこすり方は検出率に影響を与える。
正答: ⑤便のこすり方は検出率に影響を与える。
ポイント 免疫学的便潜血検査はヒトヘモグロビンに対する抗体を用いるため、食事中の動物性ヘモグロビンやペルオキシダーゼ物質の影響を受けず食事制限が不要で、化学的(グアヤック)法より特異度・感度に優れる。主に大腸がんのスクリーニングに用いられ、上部消化管出血ではヘモグロビンが分解されて検出されにくい。採取部位や便のこすり方によって採取量が変わり検出率に影響するため、便表面を広くこする。ヘモグロビンは室温で失活するため検体は冷蔵保存する。●便潜血法=免疫学的法(ヒトHb抗体・大腸がん)・化学的グアヤック法(食事影響あり)。●検出に影響する因子=採取量(こすり方)・保存温度(冷蔵)・出血部位(上部では分解)。
選択肢ごとの解説
① ヒトヘモグロビンを特異的に検出するため、食事制限は不要である。 ② ヘモグロビンは室温で変性・失活しやすく偽陰性を生むため、採取後は冷蔵で保存する。 ③ 化学的(グアヤック)法より検出感度が高く、ヒトヘモグロビンに特異的である。 ④ 上部消化管出血では分解されて検出されにくく、主に大腸がんのスクリーニング検査である。 ⑤ 正しい。便のこすり方や採取部位で採取されるヘモグロビン量が変わり、検出率に影響する。
第70回 午前5(臨床検査総論)
精液検査で正しいのはどれか。
①2日間連続して採取する。 ②検体採取後は冷蔵で保存する。 ③精子濃度測定は採取後10分以内に行う。 ④運動率の測定は採取後1時間以内に行う。 ⑤精子濃度の基準範囲は150万/mL以上である。
正答: ④運動率の測定は採取後1時間以内に行う。
ポイント 精液検査は2〜7日の禁欲期間をおいて1回採取し、用手法で全量を採取して体温付近(室温〜37℃)で保温し冷却を避ける。精子は時間経過で運動性が低下するため、液化後に運動率は採取後おおむね1時間以内に評価する。世界保健機関(WHO)の参考下限値は第6版(2021年)で精子濃度1,600万/mL、第5版(2010年)で1,500万/mLであり、版の異なる数値を混在させない。参考下限値は妊孕性を単独で二分する診断閾値ではなく、運動率や総精子数などの他の所見とあわせて判定する。●WHO第6版(2021年)の参考下限値=精液量1.4mL・精子濃度1,600万/mL・総精子数3,900万・総運動率42%・正常形態率4%。●検体取扱い=禁欲2〜7日・全量採取・体温保温・液化後1時間以内評価。
選択肢ごとの解説
① 禁欲期間をおいて1回採取するのが基本で、2日間連続して採取するものではない。 ② 精子は低温で運動性が損なわれるため冷蔵せず、体温付近で保温して搬送する。 ③ 採取後はまず液化を待つ必要があり、濃度測定を10分以内に行うわけではない。 ④ 正しい。運動率は時間とともに低下するため、液化後おおむね1時間以内に測定する。 ⑤ 精子濃度の参考下限値はWHO第6版(2021年)で1,600万/mL、第5版(2010年)で1,500万/mLであり、150万/mLは桁が低すぎる。
第70回 午前6(臨床検査総論)
回虫卵(受精卵)より大きい虫卵はどれか。
①肝蛭卵 ②鞭虫卵 ③肝吸虫卵 ④無鉤条虫卵 ⑤横川吸虫卵
正答: ①肝蛭卵
ポイント ヒト寄生蠕虫卵の大きさを比較すると、肝蛭卵が最大級(およそ130〜150μm)で、回虫受精卵(約45〜75μm)よりも明らかに大きい。鞭虫卵(約50μm)、肝吸虫卵(約30μm)、横川吸虫卵(約30μm)はいずれも回虫卵より小さく、肝吸虫卵と横川吸虫卵は形態が酷似する。無鉤条虫卵(約30〜40μm)も回虫卵より小さい。●大型虫卵=肝蛭卵(130〜150μm)・肥大吸虫卵(同程度)・棘口吸虫卵。●小型虫卵=肝吸虫卵・横川吸虫卵(約30μm)・条虫卵(約30〜40μm)・鞭虫卵(約50μm)。●回虫卵=受精卵約45〜75μm・不受精卵はやや細長く大きい。
選択肢ごとの解説
① 正しい。肝蛭卵は約130〜150μmと蠕虫卵中で最大級で、回虫受精卵より大きい。 ② 鞭虫卵は約50μmで両端に栓状構造をもち、回虫受精卵より小さい。 ③ 肝吸虫卵は約30μmと小型で、回虫受精卵より小さい。 ④ 無鉤条虫卵は約30〜40μmで放射状の厚い卵殻をもち、回虫受精卵より小さい。 ⑤ 横川吸虫卵は約30μmで肝吸虫卵に酷似し、回虫受精卵より小さい。
第70回 午前7(臨床検査総論)
寄生虫と中間宿主の組合せで正しいのはどれか。
①肝吸虫 — イカ ②単包条虫 — イヌ ③宮崎肺吸虫 — サワガニ ④日本住血吸虫 — サケ ⑤日本海裂頭条虫 — ブタ
正答: ③宮崎肺吸虫 — サワガニ
ポイント 宮崎肺吸虫は第一中間宿主がホラアナミジンニナ、第二中間宿主がサワガニで、サワガニの生食で感染する。肝吸虫は淡水魚(コイ科)が第二中間宿主、単包条虫はキツネ・イヌなどが終宿主でヒトは幼虫を宿す中間宿主、日本住血吸虫の中間宿主はミヤイリガイ、日本海裂頭条虫はケンミジンコ(第一)とサケ・マスなど(第二)である。●魚介から感染=肝吸虫(コイ科淡水魚)・横川吸虫(アユ)・日本海裂頭条虫(サケ・マス)・アニサキス(海産魚)。●甲殻類から=肺吸虫(サワガニ・モクズガニ)。●貝が宿主=日本住血吸虫(ミヤイリガイ)。
選択肢ごとの解説
① 肝吸虫の第二中間宿主は淡水魚(コイ科)であり、イカではない。 ② 単包条虫はキツネ・イヌなどが終宿主で、ヒトを含む中間宿主が幼虫を宿す。イヌは中間宿主ではない。 ③ 正しい。宮崎肺吸虫はサワガニを第二中間宿主とし、その生食で感染する。 ④ 日本住血吸虫の中間宿主はミヤイリガイで、経皮的にセルカリアが侵入する。サケではない。 ⑤ 日本海裂頭条虫の第二中間宿主はサケ・マスなどであり、ブタではない。
📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。
第70回 午前8(臨床検査総論)
正確度の確認方法はどれか。2つ選べ。
①機種間差の確認 ②室内精度の確認 ③標準物質の測定 ④標準法との比較 ⑤併行精度の確認
正答: ③標準物質の測定・④標準法との比較
ポイント 正確度(正確さ)は測定値の真の値からの偏りの小ささを評価する概念で、値が真値に近いことを確認する手法が該当する。値が既知である標準物質の測定や、信頼できる標準法(基準法)との比較が正確度の確認に当たる。一方、室内精度・併行精度はばらつき(精密さ)を評価する。機種間差の確認では装置間の一致性と系統的な偏りを調べるが、比較する装置の値が真値に結び付くとは限らないため、正確度の確認には当たらない。●正確度(偏り)の確認=標準物質(認証標準物質)の測定・標準法との比較・回収試験・干渉チェック。●精密さ(ばらつき)の確認=併行精度(同時再現)・室内精度(日差)。●装置間の比較=機種間差(系統的な偏りと一致性を評価)。
選択肢ごとの解説
① 機種間差の確認は、装置間の測定値の一致性や系統的な偏りを評価する。比較する装置の値が真値に結び付くとは限らないため、本問の正確度の確認には標準物質の測定と標準法との比較を選ぶ。 ② 室内精度の確認は同一施設内の再現性(ばらつき)の評価であり、精密さに属する。 ③ 正しい。値が既知の標準物質を測定し真値と比較することで正確度を確認できる。 ④ 正しい。信頼できる標準法(基準法)と比較することで偏りを評価し、正確度を確認できる。 ⑤ 併行精度の確認は同一条件で繰り返した際のばらつきの評価で、精密さに属する。
📋 まとめの表を見る:測定法の性能評価:正確度(真度)と精密度の違い
正確度と精密度を総合したものを「精確さ」という。
第70回 午前9(臨床検査総論)
糞便の性状と疾患の組合せで正しいのはどれか。
①緑色便 — 総胆管結石 ②灰白色便 — MRSA腸炎 ③タール便 — コレラ ④米の研ぎ汁様便 — カンピロバクター腸炎 ⑤いちごゼリー状便 — アメーバ赤痢
正答: ⑤いちごゼリー状便 — アメーバ赤痢
ポイント アメーバ赤痢では大腸粘膜の潰瘍から滲出する血液と粘液が混じり、いちごゼリー状の粘血便を呈する。総胆管結石など胆道閉塞では胆汁排泄が妨げられ灰白色便となる。タール便(黒色便)は上部消化管出血、米のとぎ汁様便はコレラ、粘血〜水様便はカンピロバクター腸炎などでみられる。●便の色調=灰白色便(胆道閉塞・脂肪便)・黒色タール便(上部消化管出血)・鮮血便(下部消化管出血・痔)・緑色便(胆汁色素・腸管通過亢進)。●特徴的便=米のとぎ汁様便(コレラ)・いちごゼリー状粘血便(アメーバ赤痢)・粘血便(細菌性赤痢・潰瘍性大腸炎)。
選択肢ごとの解説
① 総胆管結石では胆汁うっ滞により灰白色便となり、緑色便ではない。 ② 灰白色便は胆道閉塞などによる胆汁排泄低下で生じ、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)腸炎の典型像ではない。 ③ タール便(黒色便)は上部消化管出血を示し、コレラの所見ではない。 ④ 米のとぎ汁様便はコレラの特徴であり、カンピロバクター腸炎ではない。 ⑤ 正しい。アメーバ赤痢では大腸潰瘍由来の血液と粘液が混じった、いちごゼリー状粘血便を呈する。
📋 まとめの表を見る:糞便の色調・性状と疾患
健常者の糞便はウロビリンやステルコビリンにより淡褐色〜黄褐色を呈する。灰白色便は総胆管結石・膵頭部癌など閉塞性黄疸で、いちごゼリー状粘血便はアメーバ赤痢で、米のとぎ汁様便はコレラでみられる。
第70回 午前10(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本とSternheimer染色標本を別に示す。この構造物はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA010.d8291dc1b4.jpg
①硝子円柱 ②顆粒円柱 ③上皮円柱 ④赤血球円柱 ⑤白血球円柱
正答: ④赤血球円柱
ポイント 円柱は尿細管腔で形成される鋳型状構造で、内部に封入される成分により分類される。赤血球円柱は円柱基質内に赤血球を含み、糸球体性血尿(糸球体腎炎など)を示唆する。Sternheimer染色や無染色標本で赤血球の輪郭が円柱内に確認できることが鑑別の決め手となる。硝子円柱は封入物がなく透明、顆粒円柱は変性した顆粒、上皮円柱は尿細管上皮、白血球円柱は白血球を含む。●円柱の種類と意義=硝子円柱(生理的・脱水)・顆粒円柱(腎実質障害)・赤血球円柱(糸球体腎炎)・白血球円柱(腎盂腎炎・間質性腎炎)・上皮円柱(尿細管壊死)・ろう様円柱(高度腎不全)・脂肪円柱(ネフローゼ症候群)。
選択肢ごとの解説
① 硝子円柱は内部に封入物のない透明な円柱で、赤血球を含まない。 ② 顆粒円柱は変性した顆粒状物質を含み、赤血球の形態は確認できない。 ③ 上皮円柱は尿細管上皮細胞を封入したもので、赤血球ではない。 ④ 正しい。円柱基質内に赤血球を含み、糸球体性血尿を示す赤血球円柱である。 ⑤ 白血球円柱は白血球を封入し、腎盂腎炎など炎症を示唆するもので、赤血球は含まない。
📋 まとめの表を見る:尿沈渣円柱の種類・特徴と関連疾患
第70回 午前11(臨床検査医学総論)
Addison病で高値を示すのはどれか。2つ選べ。
①血中ACTH ②血清カリウム ③血清ナトリウム ④血中コルチゾール ⑤尿中17-KS〈17-ケトステロイド〉
正答: ①血中ACTH・②血清カリウム
ポイント Addison病は原発性副腎皮質機能低下症で、コルチゾールとアルドステロンの分泌が低下する。コルチゾール低下によるネガティブフィードバックが外れて下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が上昇する。アルドステロン低下によりナトリウム排泄が増え、保持されたカリウムが上昇して低ナトリウム血症・高カリウム血症をきたす。尿中17-ケトステロイドは副腎アンドロゲン由来で低下する。●Addison病(原発性)で高値=ACTH・血清カリウム・血漿レニン活性。●低値=コルチゾール・アルドステロン・血清ナトリウム・尿中17-KS・血糖。●続発性(下垂体性)との違い=ACTH低下・色素沈着なし・電解質異常は軽度。
選択肢ごとの解説
① 正しい。コルチゾール低下によるフィードバック解除で、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が代償性に上昇する。 ② 正しい。アルドステロン低下によりカリウム排泄が減り、高カリウム血症を呈する。 ③ アルドステロン低下でナトリウム保持が低下し、ナトリウムは低値(低ナトリウム血症)となる。 ④ 副腎皮質機能低下によりコルチゾールは低値となる。 ⑤ 尿中17-ケトステロイドは副腎アンドロゲン代謝物で、副腎機能低下により低下する。
第70回 午前12(臨床検査医学総論)
悪性中皮腫の胸水で高値を示すのはどれか。
①ADA ②CEA ③SP-D ④アミラーゼ ⑤ヒアルロン酸
正答: ⑤ヒアルロン酸
ポイント 悪性中皮腫の胸水ではヒアルロン酸が高値を示し、中皮細胞由来の多量のヒアルロン酸産生を反映する。腺癌の胸膜転移では癌胎児性抗原(CEA)が上昇するのに対し、中皮腫ではCEAは低いことが鑑別点となる。アデノシンデアミナーゼ(ADA)高値は結核性胸膜炎、アミラーゼ高値は膵疾患や食道破裂などを示唆する。●胸水マーカーと病態=ヒアルロン酸高値(悪性中皮腫)・CEA高値(腺癌の胸膜転移)・ADA高値(結核性胸膜炎)・アミラーゼ高値(膵疾患・食道破裂)・乳酸脱水素酵素(LD)高値で滲出性。●滲出液と漏出液=Light基準(蛋白比・LD比)で鑑別。
選択肢ごとの解説
① アデノシンデアミナーゼ(ADA)高値は結核性胸膜炎で特徴的で、中皮腫の指標ではない。 ② 癌胎児性抗原(CEA)は腺癌の胸膜病変で上昇し、中皮腫ではむしろ低く鑑別に用いられる。 ③ 肺サーファクタント蛋白D(SP-D)は間質性肺炎などの血清指標で、中皮腫胸水で高値とはならない。 ④ アミラーゼ高値は膵疾患や食道破裂を示唆し、中皮腫の所見ではない。 ⑤ 正しい。中皮細胞由来のヒアルロン酸産生が亢進し、胸水中ヒアルロン酸が高値を示す。
第70回 午前13(臨床検査医学総論)
リンパ腫の原因となるのはどれか。
①サイトメガロウイルス ②単純ヘルペスウイルス ③ヒトT細胞白血病ウイルス1型 ④ヒトパピローマウイルス ⑤ヒトパルボウイルスB19
正答: ③ヒトT細胞白血病ウイルス1型
ポイント ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)の原因ウイルスで、母乳・血液・性行為を介して感染する。発がんウイルスにはほかにEpstein-Barrウイルス(Burkittリンパ腫など)があるが、選択肢中ではHTLV-1が該当する。ヒトパピローマウイルスは子宮頸癌、ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑、サイトメガロウイルスや単純ヘルペスウイルスは主に日和見・粘膜感染を起こす。●腫瘍関連病原体=HTLV-1(成人T細胞白血病・リンパ腫)・EBウイルス(Burkittリンパ腫・上咽頭癌)・HPV(子宮頸癌)・B型/C型肝炎ウイルス(肝細胞癌)・HHV-8(Kaposi肉腫)・ヘリコバクター・ピロリ(胃MALTリンパ腫)。
選択肢ごとの解説
① サイトメガロウイルスは日和見感染や先天感染を起こすが、リンパ腫の直接の原因ではない。 ② 単純ヘルペスウイルスは口唇・性器ヘルペスなどを起こし、リンパ腫の原因ウイルスではない。 ③ 正しい。ヒトT細胞白血病ウイルス1型は成人T細胞白血病・リンパ腫の原因となる。 ④ ヒトパピローマウイルスは子宮頸癌などの上皮性腫瘍に関与し、リンパ腫ではない。 ⑤ ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑や赤芽球癆を起こし、リンパ腫の原因ではない。
第70回 午前14(臨床検査医学総論)
欠乏により巨赤芽球性貧血をきたすのはどれか。
①ビタミンA ②ビタミンB₁₂ ③ビタミンC ④ビタミンD ⑤ビタミンE
正答: ②ビタミンB₁₂
ポイント 巨赤芽球性貧血はDNA合成障害により骨髄で核と細胞質の成熟が乖離し、赤芽球が巨大化する貧血で、ビタミンB₁₂または葉酸の欠乏で生じる。ビタミンB₁₂は内因子と結合して回腸末端で吸収され、欠乏では亜急性連合性脊髄変性などの神経症状も伴う。鉄欠乏では小球性低色素性貧血となり機序が異なる。●大球性貧血=巨赤芽球性(ビタミンB₁₂欠乏・葉酸欠乏)・非巨赤芽球性(肝障害・アルコール・甲状腺機能低下)。●小球性貧血=鉄欠乏・サラセミア・鉄芽球性・慢性炎症。●正球性貧血=溶血性・再生不良性・腎性。
選択肢ごとの解説
① ビタミンA欠乏は夜盲症や上皮角化を起こし、巨赤芽球性貧血の原因ではない。 ② 正しい。ビタミンB₁₂欠乏はDNA合成障害を介して巨赤芽球性貧血をきたす。 ③ ビタミンC欠乏は壊血病(コラーゲン合成障害)を起こし、巨赤芽球性貧血ではない。 ④ ビタミンD欠乏はくる病・骨軟化症を起こし、貧血の直接原因ではない。 ⑤ ビタミンE欠乏は溶血傾向などを起こすが、巨赤芽球性貧血の原因ではない。
第70回 午前15(臨床検査医学総論)
血清コリンエステラーゼ活性が低下するのはどれか。
①一酸化炭素中毒 ②水銀中毒 ③青酸〈シアン〉中毒 ④鉛中毒 ⑤有機リン中毒
正答: ⑤有機リン中毒
ポイント 血清コリンエステラーゼは肝で合成される酵素で、有機リン剤(農薬・神経剤)はコリンエステラーゼを阻害し活性を著明に低下させる。臨床的には肝合成能の指標にもなり、重症肝障害や栄養障害でも低下する。一酸化炭素・シアン・鉛・水銀中毒はそれぞれヘモグロビン結合や細胞呼吸阻害、ヘム合成阻害などの機序で、コリンエステラーゼ活性低下は主たる所見ではない。●コリンエステラーゼ低値=有機リン中毒・重症肝障害・低栄養・消耗性疾患。●高値=ネフローゼ症候群・脂肪肝・甲状腺機能亢進症。●中毒の作用機序=一酸化炭素(Hb結合)・シアン(チトクロム酸化酵素阻害)・鉛(ヘム合成阻害)・有機リン(コリンエステラーゼ阻害)。
選択肢ごとの解説
① 一酸化炭素中毒はヘモグロビンと結合し酸素運搬を阻害するもので、コリンエステラーゼ低下は特徴でない。 ② 水銀中毒は腎・神経障害を起こすが、コリンエステラーゼ活性低下の典型ではない。 ③ シアン中毒は細胞内呼吸酵素(チトクロム酸化酵素)を阻害するもので、コリンエステラーゼ阻害ではない。 ④ 鉛中毒はヘム合成を阻害し貧血を起こすが、コリンエステラーゼ低下は主所見でない。 ⑤ 正しい。有機リン剤はコリンエステラーゼを阻害し、その活性を著明に低下させる。
第70回 午前16(臨床生理学)
僧帽弁が閉じてから大動脈弁が開くまでの心時相はどれか。
①急速流入期 ②駆出期 ③心房収縮期 ④等容弛緩期 ⑤等容収縮期
正答: ⑤等容収縮期
ポイント 等容収縮期は僧帽弁が閉じてから大動脈弁が開くまでの時相で、心室内圧が急上昇するが容積は一定に保たれる。続いて駆出期に大動脈弁が開いて血液が拍出される。大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでが等容弛緩期で、その後に急速流入期・緩徐流入期・心房収縮期と続く。●心周期(左室)=等容収縮期→駆出期→等容弛緩期→急速流入期→緩徐流入期→心房収縮期。●弁の開閉=僧帽弁閉でⅠ音・大動脈弁閉でⅡ音。●圧容積曲線=等容相は容積一定で圧変化のみ。
選択肢ごとの解説
① 急速流入期は僧帽弁が開いた後、心室へ血液が急速に流入する拡張期の時相である。 ② 駆出期は大動脈弁が開いた後に血液が拍出される時相で、設問の時相の次に来る。 ③ 心房収縮期は拡張末期に心房が収縮して心室を充満させる時相である。 ④ 等容弛緩期は大動脈弁閉鎖から僧帽弁開放までの時相で、収縮ではなく弛緩の相である。 ⑤ 正しい。等容収縮期は僧帽弁閉鎖から大動脈弁開放までで、容積一定のまま心室内圧が上昇する。
第70回 午前17(臨床生理学)
標準12誘導心電図を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA017.79f1dbbd27.jpg
①右脚ブロック ②左脚ブロック ③Ⅲ度房室ブロック ④MobitzⅡ型房室ブロック ⑤Wenckebach型房室ブロック
正答: ⑤Wenckebach型房室ブロック
ポイント Wenckebach型(MobitzⅠ型)房室ブロックは、PQ間隔が拍ごとに次第に延長し、ついにQRSが脱落する周期を繰り返す。脱落後はPQが短くなり再び延長を始める。MobitzⅡ型はPQ延長を伴わず突然QRSが脱落し、Ⅲ度はP波とQRSが完全に独立する。脚ブロックはQRS幅の延長と特徴的波形で鑑別する。●房室ブロック分類=Ⅰ度(PQ延長のみ)・Ⅱ度MobitzⅠ型(Wenckebach・PQ漸増後脱落)・Ⅱ度MobitzⅡ型(突然脱落)・Ⅲ度(完全・房室解離)。●脚ブロック=右脚(V1でrsR'型)・左脚(V5/V6で幅広QRS・ノッチ)。
選択肢ごとの解説
① 右脚ブロックはV1でrsR'型などQRS幅延長を示すもので、PQ漸増による脱落ではない。 ② 左脚ブロックは幅広いQRSと特徴的波形を示すもので、本所見と異なる。 ③ Ⅲ度房室ブロックはP波とQRSが完全に解離し、PQの規則的漸増はみられない。 ④ MobitzⅡ型はPQの延長を伴わず突然QRSが脱落する点で、Wenckebach型と異なる。 ⑤ 正しい。PQ間隔が漸増した末にQRSが脱落する周期はWenckebach型房室ブロックである。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第70回 午前18(臨床生理学)
ホルター心電図の誘導部位を別に示す。NASA誘導の陽極はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA018.bf1f45ee38.jpg
正答: ④
ポイント ホルター心電図のNASA誘導は胸骨柄に陰極、胸骨下端(剣状突起付近)に陽極を置く双極誘導で、P波が明瞭に記録され不整脈解析に適する。図の④が胸骨下端に相当する陽極の位置にあたる。骨上に電極を置く配置のため筋電図や体動の影響を受けにくいことが利点である。●ホルター双極誘導=NASA誘導(P波明瞭・胸骨柄〜胸骨下端)・CM5誘導(ST変化・虚血評価に有用・胸骨柄〜V5相当)・CC5誘導。●電極配置の原則=陽極側で陽性波・骨上に置きアーチファクトを減らす。
選択肢ごとの解説
① ①は陽極の位置ではない(胸骨柄など他の電極位置に相当する)。 ② ②は陽極の位置ではない。 ③ ③は陽極の位置ではない。 ④ 正しい。④が胸骨下端付近に置かれるNASA誘導の陽極の位置にあたる。 ⑤ ⑤は陽極の位置ではない。
第70回 午前19(臨床生理学)
残気量を求めるために行う検査はどれか。2つ選べ。
①肺活量測定 ②最大換気量測定 ③努力肺活量測定 ④機能的残気量測定 ⑤クロージングボリューム測定
正答: ①肺活量測定・④機能的残気量測定
ポイント 残気量は最大呼出後も肺内に残る空気量で、スパイロメトリーでは直接測定できない。機能的残気量(FRC)をガス希釈法(窒素洗い出し法・ヘリウム閉鎖回路法)や体プレチスモグラフで求め、そこから別途測定した予備呼気量(肺活量測定で得られる分画)を差し引くことで残気量を算出する。したがって残気量の算出には機能的残気量測定と肺活量(分画)測定が必要となる。●肺気量分画=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・残気量。●合成量=肺活量(直接測定可)・機能的残気量(残気量+予備呼気量)・全肺気量。●FRC測定法=ガス希釈法・体プレチスモグラフ。
選択肢ごとの解説
① 正しい。肺活量測定で得られる予備呼気量を、機能的残気量から差し引くために必要である。 ② 最大換気量測定は換気能力の評価で、残気量算出には用いない。 ③ 努力肺活量測定は1秒量・フローボリューム評価のためで、残気量の算出には直接用いない。 ④ 正しい。機能的残気量をガス希釈法などで測定し、残気量算出の基礎とする。 ⑤ クロージングボリューム測定は末梢気道の閉鎖を評価するもので、残気量算出には用いない。
第70回 午前20(臨床生理学)
呼吸機能検査の結果とフローボリューム曲線を別に示す。考えられる状態はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA020.eb50f0bc16.jpg
①肺切除後 ②気管支喘息 ③間質性肺炎 ④慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉 ⑤筋萎縮性側索硬化症による呼吸筋障害
正答: ③間質性肺炎
ポイント 間質性肺炎は肺の線維化により肺が硬く広がりにくくなる拘束性換気障害で、肺活量(%肺活量)が低下する一方、1秒率(FEV1%)は保たれるか上昇する。フローボリューム曲線は全体に縮小しつつ形は保たれる。閉塞性疾患である気管支喘息やCOPDでは1秒率が低下し下に凸の呼出曲線となり、神経筋疾患では努力依存性の波形変化を示す。●拘束性障害(%肺活量低下)=間質性肺炎・肺線維症・肺切除後・胸郭/神経筋疾患。●閉塞性障害(1秒率低下)=気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・びまん性汎細気管支炎。●混合性=両者の合併。
選択肢ごとの解説
① 肺切除後も肺容量は減るが、線維化を反映する拘束性パターンと所見が異なる。 ② 気管支喘息は閉塞性で1秒率が低下し下に凸の呼出曲線を示し、本所見と異なる。 ③ 正しい。肺活量低下と1秒率保持(拘束性)を示すフローボリューム所見は、間質性肺炎に合致する。 ④ 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は閉塞性で1秒率が低下し呼出が遷延するパターンを示し、本所見と異なる。 ⑤ 呼吸筋障害では努力依存の波形低下を示し、線維化による拘束性パターンとは異なる。
第70回 午前21(臨床生理学)
正常な神経細胞の静止膜電位[mV]はどれか。
正答: ④−70
ポイント 神経細胞の静止膜電位は約−70mVで、細胞内が外に対し負に保たれる。これはナトリウム-カリウムポンプによるイオン勾配と、静止時に高いカリウム透過性によりカリウム平衡電位に近づくことで成立する。脱分極の極期(活動電位ピーク)で一時的に正(約+30mV)になる。●静止膜電位の決定要因=Na/K-ATPアーゼ(3Na排出/2K取込)・静止時の高K透過性・各イオン平衡電位(Nernst式)。●活動電位の相=脱分極(Na流入・+30mV)→再分極(K流出)→過分極(K平衡電位付近)。
選択肢ごとの解説
① +30mVは活動電位の頂点(脱分極極期)に達する電位で、静止膜電位ではない。 ② 0mVは脱分極の途中の値で、静止状態の膜電位ではない。 ③ −50mV付近は閾値に近い値で、安定した静止膜電位ではない。 ④ 正しい。神経細胞の静止膜電位は約−70mVで、細胞内が負に保たれている。 ⑤ −100mVはカリウム平衡電位より過分極側で、通常の静止膜電位ではない。
第70回 午前22(臨床生理学)
手の筋力低下を認める患者における正中神経の運動神経伝導検査の記録を別に示す。誤っているのはどれか。なお、図中の破線は正常波形を示す。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA022.d6e45c5f43.jpg
①遠位潜時延長 ②伝導速度低下 ③伝導ブロック ④異常な時間的分散 ⑤複合筋活動電位振幅低下
正答: ①遠位潜時延長
ポイント 本記録では、手関節刺激による複合筋活動電位(CMAP)の立ち上がりが正常波形(破線)とほぼ一致しており、遠位潜時の延長は認められない。したがって「誤っている(本記録から読み取れない)」所見は遠位潜時延長である。一方、肘窩・腋窩刺激では手関節刺激に比べてCMAP振幅が著明に低下し(伝導ブロック)、波形の拡大・多相化(異常な時間的分散)や立ち上がりの遅れ(伝導速度低下)が近位刺激ほど高度にみられる。脱髄では伝導速度低下・伝導ブロック・時間的分散がみられ、軸索障害では複合筋活動電位(CMAP)振幅が低下する。●脱髄性の所見=遠位潜時延長・伝導速度低下・伝導ブロック・異常な時間的分散。●軸索性の所見=CMAP振幅低下・伝導速度はおおむね保持。●正中神経障害=手根管症候群(遠位潜時延長が代表)。●遠位潜時(distal latency)=最遠位(手関節)刺激からCMAP立ち上がりまでの時間。近位(肘窩・腋窩)刺激の潜時は距離が長いぶん正常でも長く、その遅れは遠位潜時ではなく近位区間の伝導速度低下として評価する。
選択肢ごとの解説
① 誤り。手関節刺激のCMAPの立ち上がりは正常波形(破線)とほぼ一致しており、遠位潜時の延長は本記録では認められない。遠位潜時とは最も遠位(手関節)で刺激したときの立ち上がりまでの時間だけを指す用語で、肘窩・腋窩刺激で立ち上がりが破線より遅れて見えるのは近位区間の伝導遅延(伝導速度低下)であり、遠位潜時延長とは呼ばない。 ② 伝導速度低下は脱髄性病変で生じうる所見で、波形から判定される。 ③ 伝導ブロックは脱髄で近位刺激のCMAP振幅が著明に低下する所見である。 ④ 異常な時間的分散は脱髄により各線維の伝導速度がばらつくことで生じる所見である。 ⑤ 複合筋活動電位(CMAP)の振幅低下は軸索変性でもみられるが、本図のように遠位刺激で正常・近位刺激のみ低下する場合は伝導ブロック(脱髄)を反映する。
第70回 午前23(臨床生理学)
健常成人の脳波でみられるα波で正しいのはどれか。
①開眼で抑制される。 ②振幅は一定である。 ③前頭部に優位である。 ④精神的負荷で増強する。 ⑤加齢で周波数が高くなる。
正答: ①開眼で抑制される。
ポイント 健常成人の覚醒安静閉眼時にα波(8〜13Hz)が後頭部優位に出現し、開眼や視覚刺激・精神活動でα波は抑制される(α-blocking)。振幅は紡錘状に増減し一定ではない。加齢では基礎律動の周波数はむしろ徐々に低下する傾向がある。前頭部優位に出現するのはβ波である。●脳波の周波数帯=δ波(〜4Hz・徐波睡眠)・θ波(4〜8Hz・傾眠)・α波(8〜13Hz・覚醒閉眼後頭部)・β波(13Hz超・覚醒/精神活動・前頭部)。●賦活法=開閉眼(α-blocking)・過呼吸・光刺激・睡眠。
選択肢ごとの解説
① 正しい。開眼や注意・精神活動でα波は抑制される(α-blocking)。 ② α波の振幅は紡錘状に増減し、一定ではない。 ③ α波は後頭部優位に出現し、前頭部優位なのはβ波である。 ④ 精神的負荷ではα波は抑制され、増強はしない。 ⑤ 加齢では基礎律動の周波数はむしろ低下する傾向で、高くはならない。
第70回 午前24(臨床生理学)
超音波検査で誤っているのはどれか。
①周波数1〜20 MHzの超音波が用いられる。 ②距離分解能は超音波の周波数が高いほどよい。 ③連続波ドプラ法は高速血流の測定に適している。 ④深部の描出は超音波の周波数が高いほど有利になる。 ⑤方位分解能は電子フォーカスによるビーム集束で向上する。
正答: ④深部の描出は超音波の周波数が高いほど有利になる。
ポイント 超音波は周波数が高いほど波長が短く距離(軸方向)分解能が向上する一方、組織での減衰が大きくなり深部到達性は低下する。したがって深部の描出には低い周波数が有利で、高周波は浅い部位の高分解能描出に適する。連続波ドプラ法は折り返し(エイリアシング)がなく高速血流の測定に適し、方位分解能は電子フォーカスによるビーム集束で向上する。●分解能=距離(軸)分解能(周波数高いほど良好)・方位(横)分解能(フォーカス・開口径で改善)。●ドプラ法=パルスドプラ(部位特定可・高速血流で折り返し)・連続波ドプラ(高速血流可・部位特定不可)・カラードプラ。
選択肢ごとの解説
① 周波数1〜20MHz程度の超音波が診断に用いられ、正しい記述である。 ② 周波数が高いほど波長が短く距離分解能が向上するのは正しい。 ③ 連続波ドプラ法は折り返しがなく高速血流の計測に適しており、正しい記述である。 ④ 誤り。周波数が高いほど減衰が大きく深部描出には不利で、低周波の方が有利なため、記述が誤っている。 ⑤ 方位分解能は電子フォーカスでビームを細く絞ることで向上し、正しい記述である。
第70回 午前25(臨床生理学)
心尖部長軸断面の連続波ドプラ波形を別に示す。狭窄前後の最大圧較差はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA025.001b2bbdd8.jpg
①16 mmHg ②32 mmHg ③64 mmHg ④80 mmHg ⑤96 mmHg
正答: ③64 mmHg
ポイント 連続波ドプラで得た最大血流速度から、簡易Bernoulli式 ΔP=4V²(Vは最大血流速度、単位m/s)を用いて圧較差を推定する。波形の最大流速が約4m/sであれば4×4²=64mmHgとなる。狭窄部の流速が速いほど圧較差は大きくなり、弁狭窄症などの重症度評価に用いられる。●簡易Bernoulli式の応用=大動脈弁狭窄症(駆出血流)・僧帽弁狭窄症・三尖弁逆流(肺動脈収縮期圧推定)。●流速と圧較差の対応=2m/sで16mmHg・3m/sで36mmHg・4m/sで64mmHg・5m/sで100mmHg。
選択肢ごとの解説
① 16mmHgは最大流速約2m/sに相当し、本波形の流速とは合わない。 ② 32mmHgは簡易Bernoulli式で得られる値(3m/sで36mmHg等)と一致せず、本波形の流速とも合わない。 ③ 正しい。最大流速約4m/sのとき4×4²=64mmHgとなる。 ④ 80mmHgは本波形の最大流速から計算される値と一致しない。 ⑤ 96mmHgは最大流速がさらに速い場合の値で、本波形とは一致しない。
第70回 午前26(臨床生理学)
心窩部斜走査による上腹部の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA026.c9aea7bb22.jpg
正答: ③下大静脈
ポイント 心窩部斜走査では肝臓を音響窓として上腹部の大血管を観察する。下大静脈は脊柱の右前方を縦走して右心房へ流入する太い低圧静脈で、内部は無エコー、呼吸性に管径が変動し、肝静脈が直接流入する点が特徴である。大動脈は脊柱の左前方を拍動性に走り壁が厚く、走行側と拍動性で下大静脈と区別できる。●上腹部の主要血管=大動脈(脊柱左前方・拍動性)・下大静脈(脊柱右前方・呼吸性変動)・門脈本幹(高エコーの壁に縁取られ肝門部へ)・肝動脈(門脈と並走する細い動脈)。●門脈系の指標=門脈本幹径・血流方向・肝静脈の三相波形。●胆道系=肝外胆管は門脈腹側を走る細い管。
選択肢ごとの解説
① 肝動脈は肝固有動脈として門脈と並走する細い動脈で、上腹部斜走査で太い管腔として大きく描出される構造ではない。 ② 大動脈は脊柱の左前方を拍動性に縦走し壁が厚く、矢印の脊柱右前方を走る低圧静脈とは走行側と性状が異なる。 ③ 正しい。脊柱の右前方を縦走して右心房に流入し、肝静脈の流入と呼吸性の径変動を示す太い低圧静脈で下大静脈である。 ④ 肝外胆管は門脈の前方を走る細い管で、上腹部斜走査で背側を走る太い血管としては描出されない。 ⑤ 門脈本幹は肝門部へ向かい高エコーの壁(線維脂肪組織)に縁取られて走り、下大静脈より腹側を走行する。
第70回 午前27(臨床生理学)
下肢静脈超音波検査で大腿静脈に可動性を有する血栓を認めた。対応で正しいのはどれか。
①面積狭窄率を求める。 ②ミルキング法で血流を確認する。 ③総腸骨静脈まで血栓範囲を確認する。 ④圧迫法を強く行いながら血流を確認する。 ⑤パルスドプラ法にて血栓部分の最高流速を測定する。
正答: ③総腸骨静脈まで血栓範囲を確認する。
ポイント 可動性を有する血栓(浮遊血栓)は剝離して肺血栓塞栓症を起こす危険が高く、血栓を物理的に動かす操作は避ける。治療方針の決定には中枢端がどこまで及ぶかの把握が重要で、大腿静脈から総腸骨静脈・下大静脈へ向けて近位側へ血栓範囲を確認する。強い圧迫やミルキングなど、血栓に機械的な力を加える操作は避ける。ドプラ法そのものが血栓を遊離させるわけではない。可動性血栓を認めた際は血栓の中枢への進展範囲・付着部・浮遊性を慎重に評価し、血栓部の最高流速の測定を優先する場面ではない。●深部静脈血栓症の超音波評価=圧迫法(完全に圧排されないことで血栓を確認)・血流評価(カラードプラ)・呼吸性変動の消失。●範囲評価=中枢端の確認(腸骨静脈・下大静脈)・浮遊血栓の有無。●下肢静脈疾患=深部静脈血栓症・表在静脈血栓・静脈瘤(逆流評価にはミルキング)。
選択肢ごとの解説
① 面積狭窄率は動脈硬化性プラークの評価指標で、静脈の浮遊血栓に対する対応とは関係しない。 ② ミルキング法は下腿を圧迫して血流を駆出させる操作で、可動性血栓を遊離させ肺塞栓を誘発する危険がある。 ③ 正しい。中枢端の把握が治療方針に直結するため、大腿静脈から総腸骨静脈・下大静脈方向へ近位側の血栓範囲を確認する。 ④ 圧迫法を強く行うと血栓を圧排・遊離させて肺塞栓を起こす危険があり、可動性血栓では避ける。 ⑤ 血栓部の最高流速の測定より、血栓の広がりや中枢端・浮遊性の確認が重要である。パルスドプラ法自体が血栓を遊離させるのではなく、探触子での強い圧迫やミルキングなど血栓を動かす操作を避ける。
第70回 午前28(臨床生理学)
聴覚伝導路でないのはどれか。
①蝸牛神経核 ②上オリーブ核 ③外側毛帯 ④下丘 ⑤外側膝状体
正答: ⑤外側膝状体
ポイント 聴覚伝導路は蝸牛神経核→上オリーブ核→外側毛帯→下丘→内側膝状体→聴覚皮質と上行する。外側膝状体は視覚伝導路の中継核で、網膜からの線維を受けて視放線を経て視覚皮質へ投射するため聴覚伝導路には含まれない。聴覚の中脳・間脳における中継は下丘と内側膝状体が担う。●聴覚伝導路の中継核=蝸牛神経核(延髄)・上オリーブ核(橋・音源定位)・下丘(中脳)・内側膝状体(間脳)。●視覚伝導路の中継核=外側膝状体(間脳)→視放線→後頭葉視覚皮質。●脳波・誘発電位=聴性脳幹反応(ABR)は各波が蝸牛神経〜下丘の中継を反映する。
選択肢ごとの解説
① 蝸牛神経核は蝸牛神経が最初に入る延髄の核で、聴覚伝導路の一次中継核である。 ② 上オリーブ核は両耳からの入力を受け音源定位に関与する橋の核で、聴覚伝導路に含まれる。 ③ 外側毛帯は上オリーブ核などから下丘へ向かう聴覚の上行線維束で、聴覚伝導路の一部である。 ④ 下丘は中脳にある聴覚の中継核で、外側毛帯を受けて内側膝状体へ投射する。 ⑤ 正しい。外側膝状体は網膜からの線維を受ける視覚伝導路の中継核で、聴覚の中継核(内側膝状体)とは別系統である。
第70回 午前29(臨床化学)
水、10 mg/dL標準液、血清の終点分析法における反応終了後の吸光度を測定したところそれぞれ0.02、0.30、0.16であった。血清中に含まれる物質の濃度[mg/dL]で正しいのはどれか。
正答: ①5.0
ポイント 終点分析法ではLambert-Beerの法則により吸光度が濃度に比例し、ブランク(水)を差し引いた正味の吸光度で濃度を算出する。標準液10mg/dLの正味吸光度は0.30-0.02=0.28、血清の正味吸光度は0.16-0.02=0.14であり、濃度は10×(0.14/0.28)=5.0mg/dLとなる。●吸光光度法の基礎=吸光度A=εcl(モル吸光係数×濃度×光路長)・ブランク補正・検量線。●測定法の型=終点分析法(エンドポイント法)・初速度分析法(レート法)・2点間測定。●誤差要因=濁り・溶血・乳び(脂血)の影響。
選択肢ごとの解説
① 正しい。水のブランクを差し引くと標準0.28・血清0.14となり、10×0.14/0.28=5.0mg/dLが得られる。 ② 5.2では血清の正味吸光度0.14と標準0.28の比から算出される値と一致しない。 ③ 5.4では10×(0.14/0.28)の計算結果と合致せず、計算上の濃度とならない。 ④ 5.6では正味吸光度0.14・0.28の比から導かれる値と一致しない。 ⑤ 5.8では標準液との吸光度比から導かれる濃度と合致しない。
第70回 午前30(臨床化学)
マグネシウムで正しいのはどれか。
①EDTA加血漿では低値となる。 ②欠乏すると味覚障害を引き起こす。 ③細胞内液より細胞外液に多く含まれる。 ④血清中では90%がイオン型で存在する。 ⑤ホスホリパーゼDを用いた酵素法にて測定される。
正答: ①EDTA加血漿では低値となる。
ポイント マグネシウムは主に細胞内に存在する陽イオンで、血清中ではおよそ55〜65%がイオン型、残りが蛋白結合型や複合体型として存在する。EDTAやクエン酸などのキレート剤はマグネシウムを捕捉するため、EDTA加血漿では測定値が低下する。測定法にはキシリジルブルー法などのキレート比色法のほか、グリセロールキナーゼなどの酵素を用いる酵素法がある。●抗凝固剤の影響=EDTAはMg・Caをキレートし低値化/ヘパリンは比較的影響が小さい。●微量元素と欠乏症状=亜鉛欠乏は味覚障害・皮膚炎、マグネシウム欠乏はテタニー・神経筋興奮性亢進、銅欠乏は貧血。●電解質の分布=細胞内に多い(K・Mg・リン酸)/細胞外に多い(Na・Cl)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。EDTAはマグネシウムをキレートして捕捉するため、EDTA加血漿では測定値が低値となる。 ② 味覚障害を引き起こすのは亜鉛欠乏であり、マグネシウム欠乏ではテタニーや神経筋興奮性亢進がみられる。 ③ マグネシウムはカリウムと同様に細胞内液に多く含まれる陽イオンで、細胞外液濃度はわずかである。 ④ 血清中のマグネシウムでイオン型が占めるのは約6割前後で、90%がイオン型というのは過大である。 ⑤ ホスホリパーゼDを用いる酵素法はリン脂質やコリン関連項目の測定に用いられ、マグネシウムの測定法ではない。
📋 まとめの表を見る:血中カルシウム・マグネシウムの存在様式と測定への影響
検体が空気に触れてCO₂が失われるとpHが上昇し、蛋白結合が増えてイオン化Caは低下する。一方、密閉した全血を放置すると解糖による乳酸産生でpHが低下し、イオン化Caが上昇しうる。保存による変化は空気との接触などの条件に左右される。細胞外液中のマグネシウムは体内総量の約1%のみで、大部分は細胞内に存在する。
第70回 午前31(臨床化学)
アガロースゲルを用いたリポ蛋白電気泳動で、β位とpre β位に強い染色像が認められた。WHO脂質異常症タイプ分類で考えられるのはどれか。
①TypeⅠ ②TypeⅡa ③TypeⅡb ④TypeⅣ ⑤TypeⅤ
正答: ③TypeⅡb
ポイント リポ蛋白電気泳動でβ位はLDL(低比重リポ蛋白)、preβ位はVLDL(超低比重リポ蛋白)に相当する。WHO分類のTypeⅡbはLDLとVLDLがともに増加する高脂血症で、コレステロールとトリグリセリドの両方が上昇し、β位とpreβ位の両方に強い染色像を示す。TypeⅡaはLDLのみ増加(β位)、TypeⅣはVLDLのみ増加(preβ位)である。●WHO分類と泳動像=TypeⅠ(カイロミクロン・原点)・TypeⅡa(LDL・β)・TypeⅡb(LDL+VLDL・β+preβ)・TypeⅢ(broad β)・TypeⅣ(VLDL・preβ)・TypeⅤ(カイロミクロン+VLDL・原点+preβ)。●リポ蛋白分画と泳動位置=カイロミクロン(原点)・VLDL(preβ)・LDL(β)・HDL(α)。●脂質指標=総コレステロール・LDL-C・HDL-C・トリグリセリド。
選択肢ごとの解説
① TypeⅠはカイロミクロン増加で原点付近に強い帯がみられ、β位とpreβ位の両方が濃染する像とは異なる。 ② TypeⅡaはLDL単独増加でβ位のみが濃染し、preβ位は強く染まらない。 ③ 正しい。LDL(β位)とVLDL(preβ位)がともに増加する病型で、両分画に強い染色像が認められる。 ④ TypeⅣはVLDL単独増加でpreβ位のみが濃染し、β位は強く染まらない。 ⑤ TypeⅤはカイロミクロンとVLDLの増加で、原点とpreβ位が主体となりβ位の濃染を特徴としない。
第70回 午前32(臨床化学)
尿素で正しいのはどれか。
①血中濃度は小児が成人よりも高い。 ②ウリカーゼによって加水分解される。 ③消化管出血により血中濃度が減少する。 ④血中非蛋白性窒素の中で最も濃度が高い。 ⑤生体内でアルドラーゼによって生成される。
正答: ④血中非蛋白性窒素の中で最も濃度が高い。
ポイント 尿素は蛋白・アミノ酸代謝で生じたアンモニアが肝臓の尿素回路で無毒化されて生成される最終産物で、血中非蛋白性窒素(NPN)の約半分を占め最も濃度が高い。腎から排泄され、腎機能低下や脱水で上昇する。消化管出血では吸収された血液蛋白が代謝されて尿素が増加する。●非蛋白性窒素成分=尿素(最多)・尿酸・クレアチニン・クレアチン・アンモニア・アミノ酸。●関連酵素=尿素はウレアーゼで加水分解/尿酸はウリカーゼで分解。●腎機能指標=尿素窒素(BUN)・クレアチニン・シスタチンC・eGFR。
選択肢ごとの解説
① 尿素の血中濃度は成長や蛋白摂取量を反映するが、小児が成人より一律に高いとはいえない。 ② 尿素を加水分解するのはウレアーゼで、ウリカーゼは尿酸を分解する酵素である。 ③ 消化管出血では血液蛋白が分解吸収されて尿素生成が増し、血中濃度はむしろ上昇する。 ④ 正しい。尿素は肝の尿素回路で生成され腎排泄される最終代謝産物で、非蛋白性窒素中で最も濃度が高い。 ⑤ 尿素は尿素回路で合成され、アルドラーゼは解糖系でフルクトース二リン酸を開裂する酵素であり尿素生成に関与しない。
第70回 午前33(臨床化学)
AST活性測定用試薬(日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法)に含まれないのはどれか。
①NADH ②オキサロ酢酸 ③L-アスパラギン酸 ④リンゴ酸脱水素酵素 ⑤2-オキソグルタル酸
正答: ②オキサロ酢酸
ポイント 日本臨床化学会(JSCC)勧告法のAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)測定は、L-アスパラギン酸と2-オキソグルタル酸からオキサロ酢酸を生成させ、これをリンゴ酸脱水素酵素(MDH)でリンゴ酸へ還元する反応に共役させ、NADHの340nmにおける吸光度減少を測定する。オキサロ酢酸はAST反応で生成する中間体であり、試薬として添加する成分ではない。●AST試薬の構成=基質(L-アスパラギン酸・2-オキソグルタル酸)・共役酵素(MDH)・補酵素(NADH)・緩衝液。●ALT(JSCC)=基質(L-アラニン・2-オキソグルタル酸)・共役酵素(乳酸脱水素酵素LD)・NADH。●共役酵素法の指標=NADHの340nm吸光度の増減を測定。
選択肢ごとの解説
① NADHはMDHによるオキサロ酢酸還元の補酵素で、その340nm吸光度減少を測定するため試薬に含まれる。 ② 正しい。オキサロ酢酸はAST反応で生成する中間体で、試薬としてあらかじめ加える成分ではない。 ③ L-アスパラギン酸はASTのアミノ基供与体となる基質で、試薬に含まれる。 ④ リンゴ酸脱水素酵素はオキサロ酢酸をリンゴ酸へ還元する共役酵素で、試薬に含まれる。 ⑤ 2-オキソグルタル酸はASTのアミノ基受容体となる基質で、試薬に含まれる。
第70回 午前34(臨床化学)
敗血症マーカーはどれか。
①KL-6 ②シスタチンC ③プレセプシン ④アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉 ⑤N-アセチルグルコサミニダーゼ〈NAG〉
正答: ③プレセプシン
ポイント プレセプシンは可溶性CD14サブタイプで、単球・マクロファージが細菌を貪食する過程で産生され、敗血症で早期に上昇する診断マーカーである。プロカルシトニンと並んで細菌感染・敗血症の指標に用いられる。他の選択肢はそれぞれ間質性肺炎・腎機能・サルコイドーシス・尿細管障害のマーカーである。●感染・敗血症マーカー=プレセプシン・プロカルシトニン・C反応性蛋白(CRP)・インターロイキン-6。●腎機能マーカー=シスタチンC・クレアチニン・尿素窒素・尿中NAG(尿細管)。●臓器特異マーカー=KL-6・SP-D(間質性肺炎)・アンジオテンシン変換酵素ACE(サルコイドーシス)。
選択肢ごとの解説
① KL-6はⅡ型肺胞上皮由来の糖蛋白で、間質性肺炎の活動性を反映するマーカーである。 ② シスタチンCは糸球体濾過量を反映する腎機能マーカーで、敗血症の指標ではない。 ③ 正しい。可溶性CD14サブタイプで、細菌貪食に伴い産生され敗血症の早期マーカーとして用いられる。 ④ アンジオテンシン変換酵素はサルコイドーシスなどの活動性指標で、敗血症マーカーではない。 ⑤ N-アセチルグルコサミニダーゼは尿細管障害を反映する尿中酵素で、敗血症の指標ではない。
第70回 午前35(臨床化学)
グルコースオキシダーゼ法による血糖測定で利用する酵素はどれか。
①α-アミラーゼ ②α-グルコシダーゼ ③グルコース-6-ホスファターゼ ④マルターゼ ⑤ムタロターゼ
正答: ⑤ムタロターゼ
ポイント 血中グルコースはα型とβ型の異性体が平衡状態にあり、グルコースオキシダーゼはβ-D-グルコースに特異的に作用する。そこでムタロターゼを加えてα型をβ型へ速やかに変換させ、全グルコースを定量できるようにする。生成した過酸化水素をペルオキシダーゼで発色させて測定する。●グルコース測定法=グルコースオキシダーゼ(GOD)・ペルオキシダーゼ(POD)法/ヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)法/グルコース脱水素酵素法。●補助酵素=ムタロターゼ(α→β型変換)。●糖代謝指標=空腹時血糖・HbA1c・グリコアルブミン・1,5-アンヒドログルシトール。
選択肢ごとの解説
① α-アミラーゼはデンプンを分解する酵素で、グルコースの異性化やオキシダーゼ法の補助には関与しない。 ② α-グルコシダーゼは二糖や多糖からグルコースを遊離させる酵素で、本測定系の補助酵素ではない。 ③ グルコース-6-ホスファターゼはグルコース-6-リン酸を脱リン酸化する酵素で、血糖測定には用いない。 ④ マルターゼはマルトースを分解する酵素で、グルコースオキシダーゼ法の補助酵素ではない。 ⑤ 正しい。α型グルコースをβ型へ変換してグルコースオキシダーゼが作用できるようにするムタロターゼを用いる。
第70回 午前36(臨床化学)
血中の半減期が最も長いのはどれか。
正答: ①ALT
ポイント 血中逸脱酵素の半減期は酵素の種類によって異なり、長いものほど活性上昇が遅く持続する。ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の半減期は約40〜50時間と長く、ASTより長い。CK・α-アミラーゼ・LDのアイソザイムは半減期が短く、上昇後の消失も速い。●肝胆道系酵素の半減期=ALT(約40〜50時間)>AST(約12〜20時間)。●心筋・骨格筋逸脱=CK(約12時間)・CK-MB(数時間)・心筋トロポニン。●その他=α-アミラーゼ(数時間・腎排泄)・LDアイソザイム。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ALTは半減期が約40〜50時間と長く、選択肢中で最も長く血中に持続する。 ② ASTの半減期は約12〜20時間程度でALTより短く、上昇の消失も速い。 ③ CKの半減期は約12時間前後と短く、心筋・骨格筋障害後に速やかに低下する。 ④ LD₅の半減期は数時間〜十数時間程度で、ALTより短い。 ⑤ α-アミラーゼは半減期が数時間と短く、腎から排泄され速やかに低下する。
第70回 午前37(臨床化学)
ALPで誤っているのはどれか。
①ALP₁は閉塞性黄疸で上昇する。 ②ALP₂はABO血液型の影響を受ける。 ③ALP₃は小児期に高値を示す。 ④ALP₄は妊娠後期に上昇する。 ⑤ALP₅は食事の影響を受ける。
正答: ②ALP₂はABO血液型の影響を受ける。
ポイント アルカリホスファターゼ(ALP)はアイソザイム解析で由来臓器を推定できる。ALP₁・ALP₂はいずれも肝由来で、ALP₁は高分子型(胆道膜結合型)で閉塞性黄疸などで増加し、ALP₂が肝細胞由来の主分画である。ALP₃は骨型で骨形成の盛んな小児や骨疾患で上昇する。ALP₅は小腸型で、B型・O型かつルイス分泌型の人で脂肪食後に上昇しABO血液型の影響を受ける。●ALPアイソザイムと由来=ALP₁(肝・高分子)・ALP₂(肝)・ALP₃(骨)・ALP₄(胎盤)・ALP₅(小腸)・ALP₆(免疫グロブリン結合・IgG型)。●生理的高値=ALP₃は小児・思春期/ALP₄は妊娠後期。●食事・血液型の影響=ALP₅(小腸型)はB・O型分泌型で食後上昇。
選択肢ごとの解説
① ALP₁は高分子の肝(胆道)由来分画で、胆汁うっ滞を伴う閉塞性黄疸で上昇する。 ② 誤り。ABO血液型(分泌型)の影響を受けて食後に上昇するのは小腸型のALP₅であり、肝型のALP₂はこの記述に当てはまらない。 ③ ALP₃は骨型で、骨形成が盛んな小児期に生理的に高値を示す。 ④ ALP₄は胎盤型で、妊娠後期に胎盤由来として上昇する。 ⑤ ALP₅は小腸型で、分泌型の人では脂肪食後に上昇するなど食事の影響を受ける。
第70回 午前38(臨床化学)
ペプチドホルモンはどれか。2つ選べ。
①アドレナリン ②アルドステロン ③カルシトニン ④サイロキシン ⑤副甲状腺ホルモン〈PTH〉
正答: ③カルシトニン・⑤副甲状腺ホルモン〈PTH〉
ポイント ホルモンは化学構造からペプチド(蛋白)ホルモン、ステロイドホルモン、アミン(アミノ酸誘導体)ホルモンに分類される。カルシトニンは甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)が分泌する32アミノ酸のペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)は84アミノ酸のペプチドで、いずれもペプチドホルモンである。●ペプチド・蛋白ホルモン=インスリン・グルカゴン・成長ホルモン・カルシトニン・PTH・下垂体前葉ホルモン。●ステロイドホルモン=コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン・エストロゲン・活性型ビタミンD。●アミン(アミノ酸誘導体)=アドレナリン・ノルアドレナリン・甲状腺ホルモン(サイロキシン)。
選択肢ごとの解説
① アドレナリンはチロシンから合成されるカテコールアミンで、アミン(アミノ酸誘導体)ホルモンである。 ② アルドステロンは副腎皮質が産生するステロイドホルモンで、ペプチドではない。 ③ 正しい。甲状腺C細胞が分泌する32アミノ酸からなるペプチドホルモンで、血中カルシウムを低下させる。 ④ サイロキシンはチロシンとヨウ素から合成される甲状腺ホルモンで、アミノ酸誘導体ホルモンである。 ⑤ 正しい。84アミノ酸からなるペプチドホルモンで、血中カルシウムを上昇させる。
📋 まとめの表を見る:ホルモンの化学構造による分類(ペプチド・ステロイド・アミン)
第70回 午前39(臨床化学)
260 nmが極大吸収波長であるのはどれか。
①DNA ②尿酸 ③ビリルビン ④ヘモグロビン ⑤芳香族アミノ酸
正答: ①DNA
ポイント 核酸(DNA・RNA)を構成するプリン・ピリミジン塩基は260nmに極大吸収を示すため、260nmの吸光度は核酸の定量に用いられる。蛋白質中の芳香族アミノ酸(トリプトファン・チロシン)は280nmに極大吸収をもち、260/280比で核酸の純度を評価する。●代表的な吸収極大波長=核酸260nm・芳香族アミノ酸/蛋白280nm・ヘモグロビン410nm(Soret帯)・ビリルビン450nm前後・尿酸290nm付近。●核酸定量=260nm吸光度・260/280比(蛋白混入)・260/230比(有機物混入)。●発色団=プリン/ピリミジン環(核酸)・芳香環(芳香族アミノ酸)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。構成塩基(プリン・ピリミジン)の吸収により260nmに極大吸収を示し、核酸定量に利用される。 ② 尿酸は約290〜293nm付近に吸収極大をもち、極大は260nmではない。 ③ ビリルビンは約450nm前後の可視部に吸収極大をもつ黄色色素で、260nmではない。 ④ ヘモグロビンは約410nm(Soret帯)や540〜580nmに吸収をもち、260nmが極大ではない。 ⑤ 芳香族アミノ酸(トリプトファン・チロシン)は280nm付近に吸収極大をもち、蛋白定量に用いられる。
📋 まとめの表を見る:臨床検査で用いる主要物質の極大吸収波長比較
第70回 午前40(臨床化学)
グルコースのみで構成される二糖類はどれか。
①スクロース ②マルトース ③ラクトース ④ガラクトース ⑤フルクトース
正答: ②マルトース
ポイント 二糖類は構成単糖の組合せで区別される。マルトースはグルコース2分子がα-1,4グリコシド結合した二糖で、デンプンの加水分解で生じる。スクロースはグルコースとフルクトース、ラクトースはガラクトースとグルコースから成り、ガラクトースとフルクトースはいずれも単糖である。●二糖類と構成単糖=マルトース(グルコース+グルコース)・スクロース(グルコース+フルクトース)・ラクトース(ガラクトース+グルコース)。●単糖類=グルコース・フルクトース・ガラクトース・マンノース・リボース。●還元性=マルトース・ラクトースは還元糖/スクロースは非還元糖。
選択肢ごとの解説
① スクロースはグルコースとフルクトースが結合した二糖で、グルコースのみで構成されていない。 ② 正しい。グルコース2分子がα-1,4グリコシド結合した二糖で、デンプンの加水分解で生成する。 ③ ラクトースはガラクトースとグルコースが結合した二糖で、グルコースのみではない。 ④ ガラクトースは単糖であり二糖類ではない。 ⑤ フルクトースは単糖であり二糖類ではない。
第70回 午前41(臨床化学)
解糖系の律速酵素はどれか。
①エノラーゼ ②アルドラーゼ ③イソメラーゼ ④ヘキソキナーゼ ⑤ホスホグリセリン酸キナーゼ
正答: ④ヘキソキナーゼ
ポイント 解糖系の律速段階は不可逆反応を触媒する酵素が担い、ヘキソキナーゼ(グルコキナーゼ)、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼの3つが律速酵素とされる。ヘキソキナーゼはグルコースをグルコース-6-リン酸へリン酸化する最初の不可逆反応を触媒する。エノラーゼ・アルドラーゼ・ホスホグリセリン酸キナーゼは可逆反応を触媒する。●解糖系の律速酵素=ヘキソキナーゼ・ホスホフルクトキナーゼ(主要)・ピルビン酸キナーゼ。●不可逆反応=これら3反応(糖新生では別酵素で迂回)。●他の代謝経路の律速酵素=クエン酸回路はイソクエン酸脱水素酵素・糖新生はピルビン酸カルボキシラーゼ。
選択肢ごとの解説
① エノラーゼは2-ホスホグリセリン酸からホスホエノールピルビン酸を生じる可逆反応を触媒し、律速酵素ではない。 ② アルドラーゼはフルクトース1,6-二リン酸を開裂する可逆反応を触媒し、律速酵素ではない。 ③ イソメラーゼ(トリオースリン酸イソメラーゼ等)は異性化の可逆反応を触媒し、律速酵素ではない。 ④ 正しい。グルコースをグルコース-6-リン酸へリン酸化する最初の不可逆反応を触媒する解糖系の律速酵素である。 ⑤ ホスホグリセリン酸キナーゼは基質レベルのリン酸化を行う可逆反応酵素で、律速段階ではない。
第70回 午前42(臨床化学)
構造蛋白質はどれか。
①アルブミン ②コラーゲン ③フィブリノゲン ④セルロプラスミン ⑤α₁-リポプロテイン
正答: ②コラーゲン
ポイント 構造蛋白質は細胞や組織の骨組みを形づくる蛋白で、コラーゲンは結合組織や基底膜を構成する代表的な線維性構造蛋白である。アルブミン・フィブリノゲン・セルロプラスミン・リポプロテインはいずれも血漿中を循環する機能性(可溶性)蛋白で、構造蛋白ではない。●構造蛋白質=コラーゲン・エラスチン・ケラチン・フィブロネクチン・アクチン/ミオシン(収縮)。●機能性血漿蛋白=アルブミン(運搬・膠質浸透圧)・フィブリノゲン(凝固)・セルロプラスミン(銅運搬)・リポプロテイン(脂質運搬)。●急性相反応物質=CRP・セルロプラスミン・ハプトグロビン・α₁-アンチトリプシン。
選択肢ごとの解説
① アルブミンは膠質浸透圧の維持や物質運搬を担う可溶性の血漿蛋白で、構造蛋白ではない。 ② 正しい。結合組織や基底膜を構成する線維性の構造蛋白質で、組織の骨組みを形づくる。 ③ フィブリノゲンは凝固で働く血漿蛋白で、線維素に変換されるが循環する機能性蛋白である。 ④ セルロプラスミンは銅を運搬する血漿蛋白(急性相反応物質)で、構造蛋白ではない。 ⑤ α₁-リポプロテインは脂質を運搬する血漿リポ蛋白で、構造蛋白ではない。
第70回 午前43(臨床化学)
半減期3日の放射性同位元素の放射能が1/8になるのはどれか。
正答: ②9日後
ポイント 放射性同位元素の放射能は半減期ごとに1/2に減衰する。1/8=(1/2)の3乗なので、半減期3回分が経過すれば1/8になる。半減期3日×3回=9日後に放射能が1/8となる。●放射壊変の基礎=壊変は指数関数的・半減期T1/2ごとに1/2・n回経過で(1/2)のn乗。●減衰の目安=1半減期で1/2・2回で1/4・3回で1/8・4回で1/16。●放射線関連指標=半減期・壊変定数λ・放射能(Bq)・物理的/生物学的/有効半減期。
選択肢ごとの解説
① 6日後は半減期2回分で放射能は1/4となり、1/8には達しない。 ② 正しい。1/8は(1/2)の3乗で半減期3回分にあたり、3日×3=9日後に1/8となる。 ③ 12日後は半減期4回分で放射能は1/16となり、1/8より小さくなる。 ④ 24日後は半減期8回分で放射能は1/256となり、1/8をはるかに下回る。 ⑤ 48日後は半減期16回分でさらに減衰し、1/8には合致しない。
第70回 午前44(臨床化学)
血中カルシウムで正しいのはどれか。
①約30%がイオン型で存在する。 ②基準範囲は3.6〜4.4 mg/dLである。 ③低アルブミン血症では偽高値を示す。 ④アルカローシスではイオン型が低下する。 ⑤副甲状腺ホルモン〈PTH〉の作用で低下する。
正答: ④アルカローシスではイオン型が低下する。
ポイント 血中カルシウムは約半分がイオン型(生理活性をもつ)、約4割がアルブミン結合型、残りが複合体型で存在し、基準範囲は約8.5〜10.2mg/dLである。pHはイオン型カルシウムに影響し、アルカローシスではアルブミンへの結合が増えてイオン型が低下しテタニーを起こしうる。低アルブミン血症では総カルシウムが見かけ上低下する。●カルシウムの存在型=イオン型(約50%)・アルブミン結合型(約40%)・複合体型(約10%)。●カルシウム調節ホルモン=PTH(上昇)・活性型ビタミンD(上昇)・カルシトニン(低下)。●pHの影響=アルカローシスでイオン型低下(テタニー)・アシドーシスでイオン型上昇/補正Ca式は低アルブミン時に用いる。
選択肢ごとの解説
① イオン型は総カルシウムの約半分(約50%)を占め、約30%という値は過小である。 ② 血中カルシウムの基準範囲は約8.5〜10.2mg/dLで、3.6〜4.4mg/dLは無機リンなどの範囲に近い。 ③ 低アルブミン血症ではアルブミン結合分が減り総カルシウムは見かけ上低下し、偽高値ではなく偽低値となる。 ④ 正しい。アルカローシスではアルブミンへの結合が増加してイオン型カルシウムが低下し、テタニーを生じうる。 ⑤ 副甲状腺ホルモンは骨吸収や腎での再吸収を促して血中カルシウムを上昇させ、低下させない。
📋 まとめの表を見る:血中カルシウム・マグネシウムの存在様式と測定への影響
検体が空気に触れてCO₂が失われるとpHが上昇し、蛋白結合が増えてイオン化Caは低下する。一方、密閉した全血を放置すると解糖による乳酸産生でpHが低下し、イオン化Caが上昇しうる。保存による変化は空気との接触などの条件に左右される。細胞外液中のマグネシウムは体内総量の約1%のみで、大部分は細胞内に存在する。
第70回 午前45(病理組織細胞学)
組織の固定原理がメチレン架橋によるのはどれか。
①酢酸 ②アセトン ③エタノール ④ピクリン酸 ⑤ホルマリン
正答: ⑤ホルマリン
ポイント ホルマリン(ホルムアルデヒド)は蛋白質のアミノ基などと反応してメチレン架橋(メチレンブリッジ)を形成する架橋型固定剤で、組織構造を保持する。酢酸・ピクリン酸・エタノール・アセトンは凝固沈殿型や脱水凝固などの固定機序で、架橋形成によらない。●架橋(網状)型固定剤=ホルマリン(ホルムアルデヒド)・グルタルアルデヒド。●凝固・沈殿型固定剤=エタノール・アセトン(脱水凝固)・ピクリン酸・酢酸・昇汞。●固定の目的=自己融解防止・蛋白凝固/架橋による構造保持・抗原性や酵素活性への影響。
選択肢ごとの解説
① 酢酸は核蛋白を膨化・凝固させる作用をもつが、メチレン架橋を形成する固定剤ではない。 ② アセトンは脱水・蛋白凝固による固定で、架橋形成によらない。 ③ エタノールは蛋白を脱水凝固させる固定剤で、メチレン架橋を作らない。 ④ ピクリン酸は蛋白をピクリン酸塩として凝固沈殿させる固定剤で、架橋形成によらない。 ⑤ 正しい。ホルムアルデヒドが蛋白のアミノ基と反応してメチレン架橋を形成する架橋型固定剤である。
第70回 午前46(病理組織細胞学)
リンパ節の術中迅速組織標本の弱拡大写真と強拡大写真を別に示す。標本にみられる不良の原因はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA046.803b585d7c.jpg
正答: ③薄切
ポイント 術中迅速組織標本は凍結した組織をクリオスタットで薄切して作製する。薄切が不適切だと組織が連続して薄く切れず、厚さ不均一による濃淡(波打ち・ちりめんじわ)や折れ込み・裂け目などの不良が生じる。固定や染色とは別に、薄切操作そのものに起因する所見である。●標本作製の不良要因=切り出し(部位選択)・凍結(氷晶による空胞)・薄切(しわ・厚みむら・折れ込み)・固定(自己融解)・染色(色調不良)。●薄切不良の所見=厚薄不均一による濃淡・ちりめんじわ・ナイフ傷(縦線)・剝離。●迅速診断=未固定凍結→ヘマトキシリン・エオジン染色で短時間に判定。
選択肢ごとの解説
① 切り出しは標本作製部位の選択で、面の連続性や厚みむらといった薄切由来の不良とは性質が異なる。 ② 凍結不良では氷晶形成による空胞状変化が主体で、設問の不良所見の主因とは異なる。 ③ 正しい。薄切の不適により厚さ不均一や折れ込み・しわなどが生じた標本で、薄切由来の不良である。 ④ 迅速標本は基本的に未固定で凍結処理するため、固定不良が主因となる像ではない。 ⑤ 染色不良は色調の問題が主で、組織の物理的な切片不良(しわ・厚みむら)を説明しない。
第70回 午前47(病理組織細胞学)
ヘマトキシリンの分別に用いるのはどれか。
①アンモニア水 ②炭酸リチウム ③塩酸アルコール ④カリウムミョウバン ⑤ヨウ素酸ナトリウム
正答: ③塩酸アルコール
ポイント ヘマトキシリン染色の分別(過染部の脱色)は酸を用いて行い、塩酸アルコール(酸アルコール)で余分な色素を除去して核の染まりを適正化する。その後アンモニア水や炭酸リチウムなどのアルカリ水で色出し(青色化)を行うため、これらは役割が異なる。●ヘマトキシリン染色の工程=媒染(カリウムミョウバン等)・染色・分別(塩酸アルコール)・色出し(アンモニア水・炭酸リチウム)。●ヘマトキシリン液の成分=ヘマトキシリン・媒染剤(ミョウバン)・酸化剤(ヨウ素酸ナトリウム等で熟成)。●対比染色=エオジン(細胞質を赤染)。
選択肢ごとの解説
① アンモニア水は分別後の色出し(青色化)に用いるアルカリ性液で、過染部を脱色する分別液ではない。 ② 炭酸リチウムも色出し(青色化)に用いるアルカリ液で、分別ではなく発色の工程に使う。 ③ 正しい。塩酸アルコール(酸アルコール)で過剰なヘマトキシリンを脱色し、核染色を適正に分別する。 ④ カリウムミョウバンはヘマトキシリン染色液の媒染剤として用いる成分で、分別液ではない。 ⑤ ヨウ素酸ナトリウムはヘマトキシリンを酸化(熟成)させる酸化剤で、分別に用いる液ではない。
第70回 午前48(病理組織細胞学)
弾性線維と膠原線維を染め分けるのはどれか。
①PAM染色 ②渡辺の鍍銀法 ③Victoria blue染色 ④Masson trichrome染色 ⑤elastica van Gieson染色
正答: ⑤elastica van Gieson染色
ポイント elastica van Gieson染色(EVG)はワイゲルトのレゾルシン-フクシンなどで弾性線維を黒紫〜黒色に、van Gieson液で膠原線維を赤色、筋・細胞質を黄色に染め分け、弾性線維と膠原線維を同一標本で区別できる。Victoria blueは弾性線維のみ、Masson trichromeは膠原線維を主に染める。●線維成分の染色法=弾性線維(elastica van Gieson・Victoria blue・ワイゲルト)・膠原線維(Masson trichrome・van Gieson)・細網線維(渡辺の鍍銀法・PAM)。●EVGの染め分け=弾性線維(黒紫)・膠原線維(赤)・筋/細胞質(黄)。●基底膜=PAM染色(過ヨウ素酸メセナミン銀)で黒染。
選択肢ごとの解説
① PAM(過ヨウ素酸メセナミン銀)染色は基底膜や細網線維を黒染し、弾性線維と膠原線維を染め分ける目的ではない。 ② 渡辺の鍍銀法は細網線維(格子線維)を黒く染める方法で、弾性線維と膠原線維の染め分けではない。 ③ Victoria blue染色は弾性線維を青染するが、膠原線維との染め分けを主目的とはしない。 ④ Masson trichrome染色は膠原線維を青(緑)に、細胞質や筋を赤に染めるが、弾性線維を特異的に染め分けるものではない。 ⑤ 正しい。弾性線維を黒紫色、膠原線維を赤色に染め分ける染色法である。
第70回 午前49(病理組織細胞学)
食道のPAS染色標本とα-アミラーゼ消化後のPAS染色標本を別に示す。消化試験で同定されるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA049.301a1c7dc5.jpg
①線維素 ②中性粘液 ③アミロイド ④グリコーゲン ⑤リポフスチン
正答: ④グリコーゲン
ポイント PAS(過ヨウ素酸シッフ)反応は糖原性物質を赤紫色に染める。グリコーゲンはα-アミラーゼ(ジアスターゼ)で分解されるため、消化試験後にPAS陽性像が消失することで同定できる。中性粘液など他のPAS陽性物質はアミラーゼで消化されず陽性が残るため鑑別できる。●PAS陽性物質=グリコーゲン(アミラーゼ消化で消失)・中性粘液・基底膜・真菌・糖蛋白。●消化試験=α-アミラーゼ(ジアスターゼ)消化でグリコーゲンのみ陰性化。●関連染色=アミロイド(コンゴー赤・偏光で緑色偏光)・酸性粘液(アルシアン青)・線維素(PTAH等)。
選択肢ごとの解説
① 線維素はPASで明瞭に染まる代表的物質ではなく、アミラーゼ消化で消える性質で同定されるものでもない。 ② 中性粘液はPAS陽性だがアミラーゼで消化されず、消化試験後も陽性が残るため消化試験で同定される物質ではない。 ③ アミロイドはPASで弱く染まることはあるがアミラーゼ消化で消える物質ではなく、コンゴー赤などで同定する。 ④ 正しい。グリコーゲンはPAS陽性でα-アミラーゼ消化により染色性が消失するため、消化試験で同定される。 ⑤ リポフスチンは消耗性色素でPASの陽性消化試験の対象物質ではない。
📋 まとめの表を見る:PAS反応(過ヨウ素酸シッフ反応)の陽性物質・臓器別所見・試薬
第70回 午前50(病理組織細胞学)
腹水のPapanicolaou染色標本を別に示す。矢印で示す細胞はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA050.df82541eb2.jpg
①組織球 ②中皮細胞 ③印環細胞癌 ④扁平上皮癌 ⑤悪性リンパ腫
正答: ③印環細胞癌
ポイント 腹水のPapanicolaou染色で印環細胞癌の細胞は、細胞質内に大量の粘液を蓄えて核を辺縁へ押しつぶし、指輪(印環)状の形態を示す。胃などの腺癌が腹膜播種した際にみられる。良性の中皮細胞や組織球でも、細胞質の空胞化によって核が辺縁へ押され印環状を呈することがある。印環状という形だけで悪性を決めず、核異型、粘液の性状、必要に応じた免疫染色を組み合わせて鑑別する。●体腔液にみられる細胞=中皮細胞(良性・中心核・窓形成)・組織球(泡沫状細胞質)・腺癌細胞(印環細胞癌・乳頭状集塊)。●印環細胞癌の特徴=細胞質内粘液による核の辺縁圧排・指輪状・胃癌などの腹膜播種。●悪性の所見=核腫大・N/C比増大・核形不整・集塊形成・三次元化。
選択肢ごとの解説
① 組織球は泡沫状の細胞質をもち、細胞質の空胞化によって核が偏在し、印環状に見えることもある。印環状という形だけでは悪性を断定せず、核異型や粘液の性状などを併せて鑑別する。本像の矢印は印環細胞癌に相当する。 ② 中皮細胞では細胞間の窓や二相性の細胞質が参考になるが、変性性空胞によって核が偏在し印環状になることもある。本像は粘液による核の圧排と異型を示す印環細胞癌として考える。 ③ 正しい。細胞質内粘液により核が辺縁へ圧排され指輪状を呈する印環細胞癌で、腺癌の腹膜播種でみられる。 ④ 扁平上皮癌は角化やオレンジG好性の濃染細胞質を示し、粘液による印環状の形態は呈さない。 ⑤ 悪性リンパ腫は孤在性の裸核様細胞が主体で、細胞質内粘液による印環状の形態は示さない。
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