第70回(2024) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第70回 午前1(臨床検査総論)

Over the counter〈OTC〉検査で実施されるのはどれか。2つ選べ。

正答: ②尿蛋白・⑤尿中hCG

ポイント
Over the counter〈OTC〉検査(一般用検査薬)は、医療機関を介さず消費者が薬局等で購入し、自己採取した検体で測定できる体外診断用医薬品を指す。日本で一般用検査薬として認可されているのは、尿蛋白・尿糖などの尿試験紙、尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)による妊娠検査薬、便潜血などである。血糖や感染症抗体は結果解釈に医療者の関与を要し、診断・治療方針へ直結するため一般用としては流通していない。●尿系OTC=尿蛋白・尿糖・尿中hCG(妊娠検査)・尿中黄体形成ホルモン(LH/排卵日予測)。●便系OTC=便潜血(大腸がんスクリーニング)。●医療管理下のみ=血糖(自己血糖測定器)・感染症抗体(HIV・肝炎)・脂質。

選択肢ごとの解説

第70回 午前2(臨床検査総論)

検査項目と採血管の添加物の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③血糖 — フッ化ナトリウム・④赤沈 — クエン酸溶液

ポイント
採血管の添加物は目的の検査に合わせて選ぶ。血糖は採血後も赤血球の解糖が続いて値が低下するため、解糖阻止薬のフッ化ナトリウムを用いる。赤血球沈降速度(赤沈)は3.8%クエン酸ナトリウム溶液を血液と一定比(1:4)で混和して測定する。プロトロンビン時間(PT)などの凝固検査はクエン酸ナトリウム加血漿、アルカリホスファターゼ(ALP)などの生化学は血清(無添加)、血小板数を含む血算はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)塩を用いる。●抗凝固薬と用途=EDTA塩(血算)・クエン酸ナトリウム(PT・APTT・赤沈)・ヘパリン(浸透圧脆弱性・染色体)・フッ化ナトリウム(血糖)。●無添加(血清)=生化学・免疫・血清学。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:採血管の抗凝固剤の種類と適する検査項目

抗凝固剤原理適する検査項目適さない検査項目
EDTA塩(EDTA-2K・2Na)2価金属イオンとのキレート形成各種血球算定、血液像凝固系検査、Ca/Mg/Znなど無機成分定量、ALP等の酵素活性測定
クエン酸Naクエン酸Ca塩形成凝固系検査(PT等)、赤沈検査、血小板機能検査血漿成分の定量検査(希釈をきたす)
フッ化Na(+EDTA)解糖系酵素の活性阻害血糖、HbA1c酵素活性測定
ヘパリン(リチウム塩)アンチトロンビンとの結合による抗トロンビン作用血液ガス分圧、血液pH、染色体検査凝固系検査、血小板機能検査、血液像
PT・赤沈にはクエン酸Na、血糖・HbA1cにはフッ化Na、ALPなど生化学検査は無添加(血清)を用いる。

第70回 午前3(臨床検査総論)

精度管理法で正しいのはどれか。

正答: ⑤X(bar)-R管理図法のRは日内の管理試料の測定値の最大値と最小値の差である。

ポイント
内部精度管理ではX(bar)-R管理図やマルチルール(Westgard)法が用いられる。R管理図のRは同一日内に測定した管理試料の最大値と最小値の差であり、精密さ(ばらつき)の変動を監視する。精密さは測定値の再現性のばらつきを指し、真の値からのずれは正確さ(偏り)で区別される。3点以上連続して一方向に変化する現象はトレンド、平均値の片側に連続して偏る現象はシフトと呼ぶ。●精度管理の指標=精密さ(ばらつき・SD/CV)と正確さ(偏り・bias)。●管理図異常パターン=シフト(片側連続)・トレンド(連続漸増/漸減)・2SD逸脱・Westgardルール(1-2s/1-3s/2-2s/R-4s/4-1s/10x)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前4(臨床検査総論)

免疫学的便潜血検査で正しいのはどれか。

正答: ⑤便のこすり方は検出率に影響を与える。

ポイント
免疫学的便潜血検査はヒトヘモグロビンに対する抗体を用いるため、食事中の動物性ヘモグロビンやペルオキシダーゼ物質の影響を受けず食事制限が不要で、化学的(グアヤック)法より特異度・感度に優れる。主に大腸がんのスクリーニングに用いられ、上部消化管出血ではヘモグロビンが分解されて検出されにくい。採取部位や便のこすり方によって採取量が変わり検出率に影響するため、便表面を広くこする。ヘモグロビンは室温で失活するため検体は冷蔵保存する。●便潜血法=免疫学的法(ヒトHb抗体・大腸がん)・化学的グアヤック法(食事影響あり)。●検出に影響する因子=採取量(こすり方)・保存温度(冷蔵)・出血部位(上部では分解)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前5(臨床検査総論)

精液検査で正しいのはどれか。

正答: ④運動率の測定は採取後1時間以内に行う。

ポイント
精液検査は2〜7日の禁欲期間をおいて1回採取し、用手法で全量を採取して体温付近(室温〜37℃)で保温し冷却を避ける。精子は時間経過で運動性が低下するため、液化後に運動率は採取後おおむね1時間以内に評価する。世界保健機関(WHO)の参考下限値は第6版(2021年)で精子濃度1,600万/mL、第5版(2010年)で1,500万/mLであり、版の異なる数値を混在させない。参考下限値は妊孕性を単独で二分する診断閾値ではなく、運動率や総精子数などの他の所見とあわせて判定する。●WHO第6版(2021年)の参考下限値=精液量1.4mL・精子濃度1,600万/mL・総精子数3,900万・総運動率42%・正常形態率4%。●検体取扱い=禁欲2〜7日・全量採取・体温保温・液化後1時間以内評価。

選択肢ごとの解説

第70回 午前6(臨床検査総論)

回虫卵(受精卵)より大きい虫卵はどれか。

正答: ①肝蛭卵

ポイント
ヒト寄生蠕虫卵の大きさを比較すると、肝蛭卵が最大級(およそ130〜150μm)で、回虫受精卵(約45〜75μm)よりも明らかに大きい。鞭虫卵(約50μm)、肝吸虫卵(約30μm)、横川吸虫卵(約30μm)はいずれも回虫卵より小さく、肝吸虫卵と横川吸虫卵は形態が酷似する。無鉤条虫卵(約30〜40μm)も回虫卵より小さい。●大型虫卵=肝蛭卵(130〜150μm)・肥大吸虫卵(同程度)・棘口吸虫卵。●小型虫卵=肝吸虫卵・横川吸虫卵(約30μm)・条虫卵(約30〜40μm)・鞭虫卵(約50μm)。●回虫卵=受精卵約45〜75μm・不受精卵はやや細長く大きい。

選択肢ごとの解説

第70回 午前7(臨床検査総論)

寄生虫と中間宿主の組合せで正しいのはどれか。

正答: ③宮崎肺吸虫 — サワガニ

ポイント
宮崎肺吸虫は第一中間宿主がホラアナミジンニナ、第二中間宿主がサワガニで、サワガニの生食で感染する。肝吸虫は淡水魚(コイ科)が第二中間宿主、単包条虫はキツネ・イヌなどが終宿主でヒトは幼虫を宿す中間宿主、日本住血吸虫の中間宿主はミヤイリガイ、日本海裂頭条虫はケンミジンコ(第一)とサケ・マスなど(第二)である。●魚介から感染=肝吸虫(コイ科淡水魚)・横川吸虫(アユ)・日本海裂頭条虫(サケ・マス)・アニサキス(海産魚)。●甲殻類から=肺吸虫(サワガニ・モクズガニ)。●貝が宿主=日本住血吸虫(ミヤイリガイ)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主

寄生虫第一中間宿主第二中間宿主(ヒトの位置づけ)終宿主
肝吸虫マメタニシコイ科淡水魚(フナ・モツゴ等)ヒト・イヌ
横川吸虫カワニナアユ等の淡水魚ヒト
肝蛭ヒメモノアラガイ第二中間宿主なし。メタセルカリアが水草などに付着ヒト・ウシ等
宮崎肺吸虫ホラアナミジンニナサワガニヒト
Westerman肺吸虫カワニナサワガニ・モクズガニヒト
日本住血吸虫ミヤイリガイ(中間宿主はこれのみ)—ヒト
日本海裂頭条虫ケンミジンコサケ・マスヒト
無鉤条虫ウシ—ヒト
有鉤条虫ブタ—ヒト
多包条虫(エキノコックス)野ネズミ(エゾヤチネズミ等)(ヒトも中間宿主になりうる)キツネ・イヌ
単包条虫ヒツジ(ヒトも中間宿主になりうる)イヌ
アニサキスオキアミサバ・イカ(ヒトは非固有宿主=幼虫移行のみ)イルカ・クジラ
広東住血線虫アフリカマイマイ・ナメクジ第二中間宿主なし。カエル・エビなどは待機宿主(ヒトは非固有宿主)ネズミ
有棘顎口虫ケンミジンコドジョウなどの淡水魚・カエルなどの両生類(ヒトは非固有宿主)イヌ
Manson裂頭条虫ケンミジンコヘビ・カエル(ヒトは非固有宿主=待機宿主)イヌ・ネコ
マラリア原虫—ヒト(中間宿主)蚊(ハマダラカ)
トキソプラズマ—ヒト・ネズミ(中間宿主)ネコ
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。

第70回 午前8(臨床検査総論)

正確度の確認方法はどれか。2つ選べ。

正答: ③標準物質の測定・④標準法との比較

ポイント
正確度(正確さ)は測定値の真の値からの偏りの小ささを評価する概念で、値が真値に近いことを確認する手法が該当する。値が既知である標準物質の測定や、信頼できる標準法(基準法)との比較が正確度の確認に当たる。一方、室内精度・併行精度はばらつき(精密さ)を評価する。機種間差の確認では装置間の一致性と系統的な偏りを調べるが、比較する装置の値が真値に結び付くとは限らないため、正確度の確認には当たらない。●正確度(偏り)の確認=標準物質(認証標準物質)の測定・標準法との比較・回収試験・干渉チェック。●精密さ(ばらつき)の確認=併行精度(同時再現)・室内精度(日差)。●装置間の比較=機種間差(系統的な偏りと一致性を評価)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:測定法の性能評価:正確度(真度)と精密度の違い

区分意味評価法
正確度(真度)目的成分の真値からの偏りの小ささ標準物質の測定・標準法との比較・添加回収試験・直線性試験・特異性試験・干渉物質の影響試験
精密度測定値のばらつきの小ささ(SD・CV%で表す)同時再現性(併行精度)試験・室内精度(日差再現性)試験・室間再現精度。機種間比較では系統的な偏りや一致性も評価する
正確度と精密度を総合したものを「精確さ」という。

第70回 午前9(臨床検査総論)

糞便の性状と疾患の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤いちごゼリー状便 — アメーバ赤痢

ポイント
アメーバ赤痢では大腸粘膜の潰瘍から滲出する血液と粘液が混じり、いちごゼリー状の粘血便を呈する。総胆管結石など胆道閉塞では胆汁排泄が妨げられ灰白色便となる。タール便(黒色便)は上部消化管出血、米のとぎ汁様便はコレラ、粘血〜水様便はカンピロバクター腸炎などでみられる。●便の色調=灰白色便(胆道閉塞・脂肪便)・黒色タール便(上部消化管出血)・鮮血便(下部消化管出血・痔)・緑色便(胆汁色素・腸管通過亢進)。●特徴的便=米のとぎ汁様便(コレラ)・いちごゼリー状粘血便(アメーバ赤痢)・粘血便(細菌性赤痢・潰瘍性大腸炎)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:糞便の色調・性状と疾患

色調・性状考えられる疾患・原因
黄色〜黄緑色激しい下痢(ウロビリン生成が起こらないため)
黒色(タール便)上部消化管出血、鉄剤投与時
鮮紅色(血便)下部消化管出血、肛門部出血
緑色緑黄色野菜の大量摂取(ビリルビン→ビリベルジン)
灰白色閉塞性黄疸、膵頭部癌、バリウム投与時
白色(水様)ロタウイルス腸炎、コレラ(米のとぎ汁様便)
粘液便過敏性大腸炎など腸の炎症
粘血便(血液+粘液)細菌性赤痢、カンピロバクター腸炎、潰瘍性大腸炎、腸結核
イチゴゼリー状粘血便アメーバ赤痢
膿性便細菌性赤痢、アメーバ赤痢、潰瘍性大腸炎、Crohn病など下部腸管の化膿性炎症
脂肪便慢性膵炎、吸収不良症候群
健常者の糞便はウロビリンやステルコビリンにより淡褐色〜黄褐色を呈する。灰白色便は総胆管結石・膵頭部癌など閉塞性黄疸で、いちごゼリー状粘血便はアメーバ赤痢で、米のとぎ汁様便はコレラでみられる。

第70回 午前10(臨床検査総論)

尿沈渣の無染色標本とSternheimer染色標本を別に示す。この構造物はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA010.d8291dc1b4.jpg
第70回 午前10 の図

正答: ④赤血球円柱

ポイント
円柱は尿細管腔で形成される鋳型状構造で、内部に封入される成分により分類される。赤血球円柱は円柱基質内に赤血球を含み、糸球体性血尿(糸球体腎炎など)を示唆する。Sternheimer染色や無染色標本で赤血球の輪郭が円柱内に確認できることが鑑別の決め手となる。硝子円柱は封入物がなく透明、顆粒円柱は変性した顆粒、上皮円柱は尿細管上皮、白血球円柱は白血球を含む。●円柱の種類と意義=硝子円柱(生理的・脱水)・顆粒円柱(腎実質障害)・赤血球円柱(糸球体腎炎)・白血球円柱(腎盂腎炎・間質性腎炎)・上皮円柱(尿細管壊死)・ろう様円柱(高度腎不全)・脂肪円柱(ネフローゼ症候群)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:尿沈渣円柱の種類・特徴と関連疾患

円柱の種類特徴(封入物)関連疾患
硝子円柱細胞・顆粒をほとんど含まない(基質のみ)健常者でも出現(激しい運動後等)。持続する場合は腎障害を疑う
顆粒円柱1/3以上が顆粒成分腎実質障害
ろう様円柱全体または一部がろう様・均質で不透明ネフローゼ症候群・腎不全・腎炎末期(重篤な腎疾患)
上皮円柱尿細管上皮細胞を3個以上含む腎血流量の低下・尿細管障害
赤血球円柱赤血球を3個以上含む急性糸球体腎炎・膜性増殖性腎炎・IgA腎症
白血球円柱白血球を3個以上含む急性糸球体腎炎・腎盂腎炎(化膿性・炎症性疾患)・腎移植後の拒絶反応
脂肪円柱脂肪顆粒3個以上または卵円形脂肪体1個以上ネフローゼ症候群・高蛋白尿を伴う腎炎

第70回 午前11(臨床検査医学総論)

Addison病で高値を示すのはどれか。2つ選べ。

正答: ①血中ACTH・②血清カリウム

ポイント
Addison病は原発性副腎皮質機能低下症で、コルチゾールとアルドステロンの分泌が低下する。コルチゾール低下によるネガティブフィードバックが外れて下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が上昇する。アルドステロン低下によりナトリウム排泄が増え、保持されたカリウムが上昇して低ナトリウム血症・高カリウム血症をきたす。尿中17-ケトステロイドは副腎アンドロゲン由来で低下する。●Addison病(原発性)で高値=ACTH・血清カリウム・血漿レニン活性。●低値=コルチゾール・アルドステロン・血清ナトリウム・尿中17-KS・血糖。●続発性(下垂体性)との違い=ACTH低下・色素沈着なし・電解質異常は軽度。

選択肢ごとの解説

第70回 午前12(臨床検査医学総論)

悪性中皮腫の胸水で高値を示すのはどれか。

正答: ⑤ヒアルロン酸

ポイント
悪性中皮腫の胸水ではヒアルロン酸が高値を示し、中皮細胞由来の多量のヒアルロン酸産生を反映する。腺癌の胸膜転移では癌胎児性抗原(CEA)が上昇するのに対し、中皮腫ではCEAは低いことが鑑別点となる。アデノシンデアミナーゼ(ADA)高値は結核性胸膜炎、アミラーゼ高値は膵疾患や食道破裂などを示唆する。●胸水マーカーと病態=ヒアルロン酸高値(悪性中皮腫)・CEA高値(腺癌の胸膜転移)・ADA高値(結核性胸膜炎)・アミラーゼ高値(膵疾患・食道破裂)・乳酸脱水素酵素(LD)高値で滲出性。●滲出液と漏出液=Light基準(蛋白比・LD比)で鑑別。

選択肢ごとの解説

第70回 午前13(臨床検査医学総論)

リンパ腫の原因となるのはどれか。

正答: ③ヒトT細胞白血病ウイルス1型

ポイント
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)の原因ウイルスで、母乳・血液・性行為を介して感染する。発がんウイルスにはほかにEpstein-Barrウイルス(Burkittリンパ腫など)があるが、選択肢中ではHTLV-1が該当する。ヒトパピローマウイルスは子宮頸癌、ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑、サイトメガロウイルスや単純ヘルペスウイルスは主に日和見・粘膜感染を起こす。●腫瘍関連病原体=HTLV-1(成人T細胞白血病・リンパ腫)・EBウイルス(Burkittリンパ腫・上咽頭癌)・HPV(子宮頸癌)・B型/C型肝炎ウイルス(肝細胞癌)・HHV-8(Kaposi肉腫)・ヘリコバクター・ピロリ(胃MALTリンパ腫)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前14(臨床検査医学総論)

欠乏により巨赤芽球性貧血をきたすのはどれか。

正答: ②ビタミンB₁₂

ポイント
巨赤芽球性貧血はDNA合成障害により骨髄で核と細胞質の成熟が乖離し、赤芽球が巨大化する貧血で、ビタミンB₁₂または葉酸の欠乏で生じる。ビタミンB₁₂は内因子と結合して回腸末端で吸収され、欠乏では亜急性連合性脊髄変性などの神経症状も伴う。鉄欠乏では小球性低色素性貧血となり機序が異なる。●大球性貧血=巨赤芽球性(ビタミンB₁₂欠乏・葉酸欠乏)・非巨赤芽球性(肝障害・アルコール・甲状腺機能低下)。●小球性貧血=鉄欠乏・サラセミア・鉄芽球性・慢性炎症。●正球性貧血=溶血性・再生不良性・腎性。

選択肢ごとの解説

第70回 午前15(臨床検査医学総論)

血清コリンエステラーゼ活性が低下するのはどれか。

正答: ⑤有機リン中毒

ポイント
血清コリンエステラーゼは肝で合成される酵素で、有機リン剤(農薬・神経剤)はコリンエステラーゼを阻害し活性を著明に低下させる。臨床的には肝合成能の指標にもなり、重症肝障害や栄養障害でも低下する。一酸化炭素・シアン・鉛・水銀中毒はそれぞれヘモグロビン結合や細胞呼吸阻害、ヘム合成阻害などの機序で、コリンエステラーゼ活性低下は主たる所見ではない。●コリンエステラーゼ低値=有機リン中毒・重症肝障害・低栄養・消耗性疾患。●高値=ネフローゼ症候群・脂肪肝・甲状腺機能亢進症。●中毒の作用機序=一酸化炭素(Hb結合)・シアン(チトクロム酸化酵素阻害)・鉛(ヘム合成阻害)・有機リン(コリンエステラーゼ阻害)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前16(臨床生理学)

僧帽弁が閉じてから大動脈弁が開くまでの心時相はどれか。

正答: ⑤等容収縮期

ポイント
等容収縮期は僧帽弁が閉じてから大動脈弁が開くまでの時相で、心室内圧が急上昇するが容積は一定に保たれる。続いて駆出期に大動脈弁が開いて血液が拍出される。大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでが等容弛緩期で、その後に急速流入期・緩徐流入期・心房収縮期と続く。●心周期(左室)=等容収縮期→駆出期→等容弛緩期→急速流入期→緩徐流入期→心房収縮期。●弁の開閉=僧帽弁閉でⅠ音・大動脈弁閉でⅡ音。●圧容積曲線=等容相は容積一定で圧変化のみ。

選択肢ごとの解説

第70回 午前17(臨床生理学)

標準12誘導心電図を別に示す。所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA017.79f1dbbd27.jpg
第70回 午前17 の図

正答: ⑤Wenckebach型房室ブロック

ポイント
Wenckebach型(MobitzⅠ型)房室ブロックは、PQ間隔が拍ごとに次第に延長し、ついにQRSが脱落する周期を繰り返す。脱落後はPQが短くなり再び延長を始める。MobitzⅡ型はPQ延長を伴わず突然QRSが脱落し、Ⅲ度はP波とQRSが完全に独立する。脚ブロックはQRS幅の延長と特徴的波形で鑑別する。●房室ブロック分類=Ⅰ度(PQ延長のみ)・Ⅱ度MobitzⅠ型(Wenckebach・PQ漸増後脱落)・Ⅱ度MobitzⅡ型(突然脱落)・Ⅲ度(完全・房室解離)。●脚ブロック=右脚(V1でrsR'型)・左脚(V5/V6で幅広QRS・ノッチ)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見

疾患心電図所見
心筋梗塞(陳旧性)異常Q波(心筋壊死を反映)
第1度房室ブロックPQ〈PR〉時間の延長(0.21秒以上)、QRS波の脱落なし
完全右脚ブロックQRS幅延長、V1・V2でrsR'型、V5・V6で深いS波
WPW症候群PQ〈PR〉時間の短縮、デルタ波、QRS幅延長
心房細動RR間隔不整(絶対性不整脈)

第70回 午前18(臨床生理学)

ホルター心電図の誘導部位を別に示す。NASA誘導の陽極はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA018.bf1f45ee38.jpg
第70回 午前18 の図

正答: ④

ポイント
ホルター心電図のNASA誘導は胸骨柄に陰極、胸骨下端(剣状突起付近)に陽極を置く双極誘導で、P波が明瞭に記録され不整脈解析に適する。図の④が胸骨下端に相当する陽極の位置にあたる。骨上に電極を置く配置のため筋電図や体動の影響を受けにくいことが利点である。●ホルター双極誘導=NASA誘導(P波明瞭・胸骨柄〜胸骨下端)・CM5誘導(ST変化・虚血評価に有用・胸骨柄〜V5相当)・CC5誘導。●電極配置の原則=陽極側で陽性波・骨上に置きアーチファクトを減らす。

選択肢ごとの解説

第70回 午前19(臨床生理学)

残気量を求めるために行う検査はどれか。2つ選べ。

正答: ①肺活量測定・④機能的残気量測定

ポイント
残気量は最大呼出後も肺内に残る空気量で、スパイロメトリーでは直接測定できない。機能的残気量(FRC)をガス希釈法(窒素洗い出し法・ヘリウム閉鎖回路法)や体プレチスモグラフで求め、そこから別途測定した予備呼気量(肺活量測定で得られる分画)を差し引くことで残気量を算出する。したがって残気量の算出には機能的残気量測定と肺活量(分画)測定が必要となる。●肺気量分画=1回換気量・予備吸気量・予備呼気量・残気量。●合成量=肺活量(直接測定可)・機能的残気量(残気量+予備呼気量)・全肺気量。●FRC測定法=ガス希釈法・体プレチスモグラフ。

選択肢ごとの解説

第70回 午前20(臨床生理学)

呼吸機能検査の結果とフローボリューム曲線を別に示す。考えられる状態はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA020.eb50f0bc16.jpg
第70回 午前20 の図

正答: ③間質性肺炎

ポイント
間質性肺炎は肺の線維化により肺が硬く広がりにくくなる拘束性換気障害で、肺活量(%肺活量)が低下する一方、1秒率(FEV1%)は保たれるか上昇する。フローボリューム曲線は全体に縮小しつつ形は保たれる。閉塞性疾患である気管支喘息やCOPDでは1秒率が低下し下に凸の呼出曲線となり、神経筋疾患では努力依存性の波形変化を示す。●拘束性障害(%肺活量低下)=間質性肺炎・肺線維症・肺切除後・胸郭/神経筋疾患。●閉塞性障害(1秒率低下)=気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・びまん性汎細気管支炎。●混合性=両者の合併。

選択肢ごとの解説

第70回 午前21(臨床生理学)

正常な神経細胞の静止膜電位[mV]はどれか。

正答: ④−70

ポイント
神経細胞の静止膜電位は約−70mVで、細胞内が外に対し負に保たれる。これはナトリウム-カリウムポンプによるイオン勾配と、静止時に高いカリウム透過性によりカリウム平衡電位に近づくことで成立する。脱分極の極期(活動電位ピーク)で一時的に正(約+30mV)になる。●静止膜電位の決定要因=Na/K-ATPアーゼ(3Na排出/2K取込)・静止時の高K透過性・各イオン平衡電位(Nernst式)。●活動電位の相=脱分極(Na流入・+30mV)→再分極(K流出)→過分極(K平衡電位付近)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前22(臨床生理学)

手の筋力低下を認める患者における正中神経の運動神経伝導検査の記録を別に示す。誤っているのはどれか。なお、図中の破線は正常波形を示す。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA022.d6e45c5f43.jpg
第70回 午前22 の図

正答: ①遠位潜時延長

ポイント
本記録では、手関節刺激による複合筋活動電位(CMAP)の立ち上がりが正常波形(破線)とほぼ一致しており、遠位潜時の延長は認められない。したがって「誤っている(本記録から読み取れない)」所見は遠位潜時延長である。一方、肘窩・腋窩刺激では手関節刺激に比べてCMAP振幅が著明に低下し(伝導ブロック)、波形の拡大・多相化(異常な時間的分散)や立ち上がりの遅れ(伝導速度低下)が近位刺激ほど高度にみられる。脱髄では伝導速度低下・伝導ブロック・時間的分散がみられ、軸索障害では複合筋活動電位(CMAP)振幅が低下する。●脱髄性の所見=遠位潜時延長・伝導速度低下・伝導ブロック・異常な時間的分散。●軸索性の所見=CMAP振幅低下・伝導速度はおおむね保持。●正中神経障害=手根管症候群(遠位潜時延長が代表)。●遠位潜時(distal latency)=最遠位(手関節)刺激からCMAP立ち上がりまでの時間。近位(肘窩・腋窩)刺激の潜時は距離が長いぶん正常でも長く、その遅れは遠位潜時ではなく近位区間の伝導速度低下として評価する。

選択肢ごとの解説

第70回 午前23(臨床生理学)

健常成人の脳波でみられるα波で正しいのはどれか。

正答: ①開眼で抑制される。

ポイント
健常成人の覚醒安静閉眼時にα波(8〜13Hz)が後頭部優位に出現し、開眼や視覚刺激・精神活動でα波は抑制される(α-blocking)。振幅は紡錘状に増減し一定ではない。加齢では基礎律動の周波数はむしろ徐々に低下する傾向がある。前頭部優位に出現するのはβ波である。●脳波の周波数帯=δ波(〜4Hz・徐波睡眠)・θ波(4〜8Hz・傾眠)・α波(8〜13Hz・覚醒閉眼後頭部)・β波(13Hz超・覚醒/精神活動・前頭部)。●賦活法=開閉眼(α-blocking)・過呼吸・光刺激・睡眠。

選択肢ごとの解説

第70回 午前24(臨床生理学)

超音波検査で誤っているのはどれか。

正答: ④深部の描出は超音波の周波数が高いほど有利になる。

ポイント
超音波は周波数が高いほど波長が短く距離(軸方向)分解能が向上する一方、組織での減衰が大きくなり深部到達性は低下する。したがって深部の描出には低い周波数が有利で、高周波は浅い部位の高分解能描出に適する。連続波ドプラ法は折り返し(エイリアシング)がなく高速血流の測定に適し、方位分解能は電子フォーカスによるビーム集束で向上する。●分解能=距離(軸)分解能(周波数高いほど良好)・方位(横)分解能(フォーカス・開口径で改善)。●ドプラ法=パルスドプラ(部位特定可・高速血流で折り返し)・連続波ドプラ(高速血流可・部位特定不可)・カラードプラ。

選択肢ごとの解説

第70回 午前25(臨床生理学)

心尖部長軸断面の連続波ドプラ波形を別に示す。狭窄前後の最大圧較差はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA025.001b2bbdd8.jpg
第70回 午前25 の図

正答: ③64 mmHg

ポイント
連続波ドプラで得た最大血流速度から、簡易Bernoulli式 ΔP=4V²(Vは最大血流速度、単位m/s)を用いて圧較差を推定する。波形の最大流速が約4m/sであれば4×4²=64mmHgとなる。狭窄部の流速が速いほど圧較差は大きくなり、弁狭窄症などの重症度評価に用いられる。●簡易Bernoulli式の応用=大動脈弁狭窄症(駆出血流)・僧帽弁狭窄症・三尖弁逆流(肺動脈収縮期圧推定)。●流速と圧較差の対応=2m/sで16mmHg・3m/sで36mmHg・4m/sで64mmHg・5m/sで100mmHg。

選択肢ごとの解説

第70回 午前26(臨床生理学)

心窩部斜走査による上腹部の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA026.c9aea7bb22.jpg
第70回 午前26 の図

正答: ③下大静脈

ポイント
心窩部斜走査では肝臓を音響窓として上腹部の大血管を観察する。下大静脈は脊柱の右前方を縦走して右心房へ流入する太い低圧静脈で、内部は無エコー、呼吸性に管径が変動し、肝静脈が直接流入する点が特徴である。大動脈は脊柱の左前方を拍動性に走り壁が厚く、走行側と拍動性で下大静脈と区別できる。●上腹部の主要血管=大動脈(脊柱左前方・拍動性)・下大静脈(脊柱右前方・呼吸性変動)・門脈本幹(高エコーの壁に縁取られ肝門部へ)・肝動脈(門脈と並走する細い動脈)。●門脈系の指標=門脈本幹径・血流方向・肝静脈の三相波形。●胆道系=肝外胆管は門脈腹側を走る細い管。

選択肢ごとの解説

第70回 午前27(臨床生理学)

下肢静脈超音波検査で大腿静脈に可動性を有する血栓を認めた。対応で正しいのはどれか。

正答: ③総腸骨静脈まで血栓範囲を確認する。

ポイント
可動性を有する血栓(浮遊血栓)は剝離して肺血栓塞栓症を起こす危険が高く、血栓を物理的に動かす操作は避ける。治療方針の決定には中枢端がどこまで及ぶかの把握が重要で、大腿静脈から総腸骨静脈・下大静脈へ向けて近位側へ血栓範囲を確認する。強い圧迫やミルキングなど、血栓に機械的な力を加える操作は避ける。ドプラ法そのものが血栓を遊離させるわけではない。可動性血栓を認めた際は血栓の中枢への進展範囲・付着部・浮遊性を慎重に評価し、血栓部の最高流速の測定を優先する場面ではない。●深部静脈血栓症の超音波評価=圧迫法(完全に圧排されないことで血栓を確認)・血流評価(カラードプラ)・呼吸性変動の消失。●範囲評価=中枢端の確認(腸骨静脈・下大静脈)・浮遊血栓の有無。●下肢静脈疾患=深部静脈血栓症・表在静脈血栓・静脈瘤(逆流評価にはミルキング)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前28(臨床生理学)

聴覚伝導路でないのはどれか。

正答: ⑤外側膝状体

ポイント
聴覚伝導路は蝸牛神経核→上オリーブ核→外側毛帯→下丘→内側膝状体→聴覚皮質と上行する。外側膝状体は視覚伝導路の中継核で、網膜からの線維を受けて視放線を経て視覚皮質へ投射するため聴覚伝導路には含まれない。聴覚の中脳・間脳における中継は下丘と内側膝状体が担う。●聴覚伝導路の中継核=蝸牛神経核(延髄)・上オリーブ核(橋・音源定位)・下丘(中脳)・内側膝状体(間脳)。●視覚伝導路の中継核=外側膝状体(間脳)→視放線→後頭葉視覚皮質。●脳波・誘発電位=聴性脳幹反応(ABR)は各波が蝸牛神経〜下丘の中継を反映する。

選択肢ごとの解説

第70回 午前29(臨床化学)

水、10 mg/dL標準液、血清の終点分析法における反応終了後の吸光度を測定したところそれぞれ0.02、0.30、0.16であった。血清中に含まれる物質の濃度[mg/dL]で正しいのはどれか。

正答: ①5.0

ポイント
終点分析法ではLambert-Beerの法則により吸光度が濃度に比例し、ブランク(水)を差し引いた正味の吸光度で濃度を算出する。標準液10mg/dLの正味吸光度は0.30-0.02=0.28、血清の正味吸光度は0.16-0.02=0.14であり、濃度は10×(0.14/0.28)=5.0mg/dLとなる。●吸光光度法の基礎=吸光度A=εcl(モル吸光係数×濃度×光路長)・ブランク補正・検量線。●測定法の型=終点分析法(エンドポイント法)・初速度分析法(レート法)・2点間測定。●誤差要因=濁り・溶血・乳び(脂血)の影響。

選択肢ごとの解説

第70回 午前30(臨床化学)

マグネシウムで正しいのはどれか。

正答: ①EDTA加血漿では低値となる。

ポイント
マグネシウムは主に細胞内に存在する陽イオンで、血清中ではおよそ55〜65%がイオン型、残りが蛋白結合型や複合体型として存在する。EDTAやクエン酸などのキレート剤はマグネシウムを捕捉するため、EDTA加血漿では測定値が低下する。測定法にはキシリジルブルー法などのキレート比色法のほか、グリセロールキナーゼなどの酵素を用いる酵素法がある。●抗凝固剤の影響=EDTAはMg・Caをキレートし低値化/ヘパリンは比較的影響が小さい。●微量元素と欠乏症状=亜鉛欠乏は味覚障害・皮膚炎、マグネシウム欠乏はテタニー・神経筋興奮性亢進、銅欠乏は貧血。●電解質の分布=細胞内に多い(K・Mg・リン酸)/細胞外に多い(Na・Cl)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血中カルシウム・マグネシウムの存在様式と測定への影響

項目血中の存在様式基準範囲pHの影響抗凝固剤(EDTA)の影響
カルシウムイオン型 約50%・蛋白結合型(主にアルブミン)約40%・複合体型約10%約8.5〜10.2mg/dLアシドーシスでイオン型増加、アルカローシス(アルカレミア)でイオン型低下EDTAがキレートし低値となる
マグネシウムイオン型 約55%・蛋白結合型(主にアルブミン)約30%・複合体型約15%-アルカローシスでイオン型低下EDTAがキレートし低値となる
検体が空気に触れてCO₂が失われるとpHが上昇し、蛋白結合が増えてイオン化Caは低下する。一方、密閉した全血を放置すると解糖による乳酸産生でpHが低下し、イオン化Caが上昇しうる。保存による変化は空気との接触などの条件に左右される。細胞外液中のマグネシウムは体内総量の約1%のみで、大部分は細胞内に存在する。

第70回 午前31(臨床化学)

アガロースゲルを用いたリポ蛋白電気泳動で、β位とpre β位に強い染色像が認められた。WHO脂質異常症タイプ分類で考えられるのはどれか。

正答: ③TypeⅡb

ポイント
リポ蛋白電気泳動でβ位はLDL(低比重リポ蛋白)、preβ位はVLDL(超低比重リポ蛋白)に相当する。WHO分類のTypeⅡbはLDLとVLDLがともに増加する高脂血症で、コレステロールとトリグリセリドの両方が上昇し、β位とpreβ位の両方に強い染色像を示す。TypeⅡaはLDLのみ増加(β位)、TypeⅣはVLDLのみ増加(preβ位)である。●WHO分類と泳動像=TypeⅠ(カイロミクロン・原点)・TypeⅡa(LDL・β)・TypeⅡb(LDL+VLDL・β+preβ)・TypeⅢ(broad β)・TypeⅣ(VLDL・preβ)・TypeⅤ(カイロミクロン+VLDL・原点+preβ)。●リポ蛋白分画と泳動位置=カイロミクロン(原点)・VLDL(preβ)・LDL(β)・HDL(α)。●脂質指標=総コレステロール・LDL-C・HDL-C・トリグリセリド。

選択肢ごとの解説

第70回 午前32(臨床化学)

尿素で正しいのはどれか。

正答: ④血中非蛋白性窒素の中で最も濃度が高い。

ポイント
尿素は蛋白・アミノ酸代謝で生じたアンモニアが肝臓の尿素回路で無毒化されて生成される最終産物で、血中非蛋白性窒素(NPN)の約半分を占め最も濃度が高い。腎から排泄され、腎機能低下や脱水で上昇する。消化管出血では吸収された血液蛋白が代謝されて尿素が増加する。●非蛋白性窒素成分=尿素(最多)・尿酸・クレアチニン・クレアチン・アンモニア・アミノ酸。●関連酵素=尿素はウレアーゼで加水分解/尿酸はウリカーゼで分解。●腎機能指標=尿素窒素(BUN)・クレアチニン・シスタチンC・eGFR。

選択肢ごとの解説

第70回 午前33(臨床化学)

AST活性測定用試薬(日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法)に含まれないのはどれか。

正答: ②オキサロ酢酸

ポイント
日本臨床化学会(JSCC)勧告法のAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)測定は、L-アスパラギン酸と2-オキソグルタル酸からオキサロ酢酸を生成させ、これをリンゴ酸脱水素酵素(MDH)でリンゴ酸へ還元する反応に共役させ、NADHの340nmにおける吸光度減少を測定する。オキサロ酢酸はAST反応で生成する中間体であり、試薬として添加する成分ではない。●AST試薬の構成=基質(L-アスパラギン酸・2-オキソグルタル酸)・共役酵素(MDH)・補酵素(NADH)・緩衝液。●ALT(JSCC)=基質(L-アラニン・2-オキソグルタル酸)・共役酵素(乳酸脱水素酵素LD)・NADH。●共役酵素法の指標=NADHの340nm吸光度の増減を測定。

選択肢ごとの解説

第70回 午前34(臨床化学)

敗血症マーカーはどれか。

正答: ③プレセプシン

ポイント
プレセプシンは可溶性CD14サブタイプで、単球・マクロファージが細菌を貪食する過程で産生され、敗血症で早期に上昇する診断マーカーである。プロカルシトニンと並んで細菌感染・敗血症の指標に用いられる。他の選択肢はそれぞれ間質性肺炎・腎機能・サルコイドーシス・尿細管障害のマーカーである。●感染・敗血症マーカー=プレセプシン・プロカルシトニン・C反応性蛋白(CRP)・インターロイキン-6。●腎機能マーカー=シスタチンC・クレアチニン・尿素窒素・尿中NAG(尿細管)。●臓器特異マーカー=KL-6・SP-D(間質性肺炎)・アンジオテンシン変換酵素ACE(サルコイドーシス)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前35(臨床化学)

グルコースオキシダーゼ法による血糖測定で利用する酵素はどれか。

正答: ⑤ムタロターゼ

ポイント
血中グルコースはα型とβ型の異性体が平衡状態にあり、グルコースオキシダーゼはβ-D-グルコースに特異的に作用する。そこでムタロターゼを加えてα型をβ型へ速やかに変換させ、全グルコースを定量できるようにする。生成した過酸化水素をペルオキシダーゼで発色させて測定する。●グルコース測定法=グルコースオキシダーゼ(GOD)・ペルオキシダーゼ(POD)法/ヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)法/グルコース脱水素酵素法。●補助酵素=ムタロターゼ(α→β型変換)。●糖代謝指標=空腹時血糖・HbA1c・グリコアルブミン・1,5-アンヒドログルシトール。

選択肢ごとの解説

第70回 午前36(臨床化学)

血中の半減期が最も長いのはどれか。

正答: ①ALT

ポイント
血中逸脱酵素の半減期は酵素の種類によって異なり、長いものほど活性上昇が遅く持続する。ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の半減期は約40〜50時間と長く、ASTより長い。CK・α-アミラーゼ・LDのアイソザイムは半減期が短く、上昇後の消失も速い。●肝胆道系酵素の半減期=ALT(約40〜50時間)>AST(約12〜20時間)。●心筋・骨格筋逸脱=CK(約12時間)・CK-MB(数時間)・心筋トロポニン。●その他=α-アミラーゼ(数時間・腎排泄)・LDアイソザイム。

選択肢ごとの解説

第70回 午前37(臨床化学)

ALPで誤っているのはどれか。

正答: ②ALP₂はABO血液型の影響を受ける。

ポイント
アルカリホスファターゼ(ALP)はアイソザイム解析で由来臓器を推定できる。ALP₁・ALP₂はいずれも肝由来で、ALP₁は高分子型(胆道膜結合型)で閉塞性黄疸などで増加し、ALP₂が肝細胞由来の主分画である。ALP₃は骨型で骨形成の盛んな小児や骨疾患で上昇する。ALP₅は小腸型で、B型・O型かつルイス分泌型の人で脂肪食後に上昇しABO血液型の影響を受ける。●ALPアイソザイムと由来=ALP₁(肝・高分子)・ALP₂(肝)・ALP₃(骨)・ALP₄(胎盤)・ALP₅(小腸)・ALP₆(免疫グロブリン結合・IgG型)。●生理的高値=ALP₃は小児・思春期/ALP₄は妊娠後期。●食事・血液型の影響=ALP₅(小腸型)はB・O型分泌型で食後上昇。

選択肢ごとの解説

第70回 午前38(臨床化学)

ペプチドホルモンはどれか。2つ選べ。

正答: ③カルシトニン・⑤副甲状腺ホルモン〈PTH〉

ポイント
ホルモンは化学構造からペプチド(蛋白)ホルモン、ステロイドホルモン、アミン(アミノ酸誘導体)ホルモンに分類される。カルシトニンは甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)が分泌する32アミノ酸のペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)は84アミノ酸のペプチドで、いずれもペプチドホルモンである。●ペプチド・蛋白ホルモン=インスリン・グルカゴン・成長ホルモン・カルシトニン・PTH・下垂体前葉ホルモン。●ステロイドホルモン=コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン・エストロゲン・活性型ビタミンD。●アミン(アミノ酸誘導体)=アドレナリン・ノルアドレナリン・甲状腺ホルモン(サイロキシン)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ホルモンの化学構造による分類(ペプチド・ステロイド・アミン)

分類主なホルモン
ペプチド(蛋白)ホルモンインスリン・グルカゴン・成長ホルモン・カルシトニン・副甲状腺ホルモン〈PTH〉・下垂体前葉ホルモン
ステロイドホルモンコルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン・エストロゲン・活性型ビタミンD
アミン(アミノ酸誘導体)ホルモンアドレナリン・ノルアドレナリン・甲状腺ホルモン(サイロキシン)

第70回 午前39(臨床化学)

260 nmが極大吸収波長であるのはどれか。

正答: ①DNA

ポイント
核酸(DNA・RNA)を構成するプリン・ピリミジン塩基は260nmに極大吸収を示すため、260nmの吸光度は核酸の定量に用いられる。蛋白質中の芳香族アミノ酸(トリプトファン・チロシン)は280nmに極大吸収をもち、260/280比で核酸の純度を評価する。●代表的な吸収極大波長=核酸260nm・芳香族アミノ酸/蛋白280nm・ヘモグロビン410nm(Soret帯)・ビリルビン450nm前後・尿酸290nm付近。●核酸定量=260nm吸光度・260/280比(蛋白混入)・260/230比(有機物混入)。●発色団=プリン/ピリミジン環(核酸)・芳香環(芳香族アミノ酸)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臨床検査で用いる主要物質の極大吸収波長比較

物質極大吸収波長
核酸(DNA・RNA)約260nm
蛋白質(芳香族アミノ酸)約280nm
NAD(P)H約340nm
ビリルビン約450nm
ヘモグロビンソーレー帯 約410nm、可視部 約540/575nm

第70回 午前40(臨床化学)

グルコースのみで構成される二糖類はどれか。

正答: ②マルトース

ポイント
二糖類は構成単糖の組合せで区別される。マルトースはグルコース2分子がα-1,4グリコシド結合した二糖で、デンプンの加水分解で生じる。スクロースはグルコースとフルクトース、ラクトースはガラクトースとグルコースから成り、ガラクトースとフルクトースはいずれも単糖である。●二糖類と構成単糖=マルトース(グルコース+グルコース)・スクロース(グルコース+フルクトース)・ラクトース(ガラクトース+グルコース)。●単糖類=グルコース・フルクトース・ガラクトース・マンノース・リボース。●還元性=マルトース・ラクトースは還元糖/スクロースは非還元糖。

選択肢ごとの解説

第70回 午前41(臨床化学)

解糖系の律速酵素はどれか。

正答: ④ヘキソキナーゼ

ポイント
解糖系の律速段階は不可逆反応を触媒する酵素が担い、ヘキソキナーゼ(グルコキナーゼ)、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼの3つが律速酵素とされる。ヘキソキナーゼはグルコースをグルコース-6-リン酸へリン酸化する最初の不可逆反応を触媒する。エノラーゼ・アルドラーゼ・ホスホグリセリン酸キナーゼは可逆反応を触媒する。●解糖系の律速酵素=ヘキソキナーゼ・ホスホフルクトキナーゼ(主要)・ピルビン酸キナーゼ。●不可逆反応=これら3反応(糖新生では別酵素で迂回)。●他の代謝経路の律速酵素=クエン酸回路はイソクエン酸脱水素酵素・糖新生はピルビン酸カルボキシラーゼ。

選択肢ごとの解説

第70回 午前42(臨床化学)

構造蛋白質はどれか。

正答: ②コラーゲン

ポイント
構造蛋白質は細胞や組織の骨組みを形づくる蛋白で、コラーゲンは結合組織や基底膜を構成する代表的な線維性構造蛋白である。アルブミン・フィブリノゲン・セルロプラスミン・リポプロテインはいずれも血漿中を循環する機能性(可溶性)蛋白で、構造蛋白ではない。●構造蛋白質=コラーゲン・エラスチン・ケラチン・フィブロネクチン・アクチン/ミオシン(収縮)。●機能性血漿蛋白=アルブミン(運搬・膠質浸透圧)・フィブリノゲン(凝固)・セルロプラスミン(銅運搬)・リポプロテイン(脂質運搬)。●急性相反応物質=CRP・セルロプラスミン・ハプトグロビン・α₁-アンチトリプシン。

選択肢ごとの解説

第70回 午前43(臨床化学)

半減期3日の放射性同位元素の放射能が1/8になるのはどれか。

正答: ②9日後

ポイント
放射性同位元素の放射能は半減期ごとに1/2に減衰する。1/8=(1/2)の3乗なので、半減期3回分が経過すれば1/8になる。半減期3日×3回=9日後に放射能が1/8となる。●放射壊変の基礎=壊変は指数関数的・半減期T1/2ごとに1/2・n回経過で(1/2)のn乗。●減衰の目安=1半減期で1/2・2回で1/4・3回で1/8・4回で1/16。●放射線関連指標=半減期・壊変定数λ・放射能(Bq)・物理的/生物学的/有効半減期。

選択肢ごとの解説

第70回 午前44(臨床化学)

血中カルシウムで正しいのはどれか。

正答: ④アルカローシスではイオン型が低下する。

ポイント
血中カルシウムは約半分がイオン型(生理活性をもつ)、約4割がアルブミン結合型、残りが複合体型で存在し、基準範囲は約8.5〜10.2mg/dLである。pHはイオン型カルシウムに影響し、アルカローシスではアルブミンへの結合が増えてイオン型が低下しテタニーを起こしうる。低アルブミン血症では総カルシウムが見かけ上低下する。●カルシウムの存在型=イオン型(約50%)・アルブミン結合型(約40%)・複合体型(約10%)。●カルシウム調節ホルモン=PTH(上昇)・活性型ビタミンD(上昇)・カルシトニン(低下)。●pHの影響=アルカローシスでイオン型低下(テタニー)・アシドーシスでイオン型上昇/補正Ca式は低アルブミン時に用いる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血中カルシウム・マグネシウムの存在様式と測定への影響

項目血中の存在様式基準範囲pHの影響抗凝固剤(EDTA)の影響
カルシウムイオン型 約50%・蛋白結合型(主にアルブミン)約40%・複合体型約10%約8.5〜10.2mg/dLアシドーシスでイオン型増加、アルカローシス(アルカレミア)でイオン型低下EDTAがキレートし低値となる
マグネシウムイオン型 約55%・蛋白結合型(主にアルブミン)約30%・複合体型約15%-アルカローシスでイオン型低下EDTAがキレートし低値となる
検体が空気に触れてCO₂が失われるとpHが上昇し、蛋白結合が増えてイオン化Caは低下する。一方、密閉した全血を放置すると解糖による乳酸産生でpHが低下し、イオン化Caが上昇しうる。保存による変化は空気との接触などの条件に左右される。細胞外液中のマグネシウムは体内総量の約1%のみで、大部分は細胞内に存在する。

第70回 午前45(病理組織細胞学)

組織の固定原理がメチレン架橋によるのはどれか。

正答: ⑤ホルマリン

ポイント
ホルマリン(ホルムアルデヒド)は蛋白質のアミノ基などと反応してメチレン架橋(メチレンブリッジ)を形成する架橋型固定剤で、組織構造を保持する。酢酸・ピクリン酸・エタノール・アセトンは凝固沈殿型や脱水凝固などの固定機序で、架橋形成によらない。●架橋(網状)型固定剤=ホルマリン(ホルムアルデヒド)・グルタルアルデヒド。●凝固・沈殿型固定剤=エタノール・アセトン(脱水凝固)・ピクリン酸・酢酸・昇汞。●固定の目的=自己融解防止・蛋白凝固/架橋による構造保持・抗原性や酵素活性への影響。

選択肢ごとの解説

第70回 午前46(病理組織細胞学)

リンパ節の術中迅速組織標本の弱拡大写真と強拡大写真を別に示す。標本にみられる不良の原因はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA046.803b585d7c.jpg
第70回 午前46 の図

正答: ③薄切

ポイント
術中迅速組織標本は凍結した組織をクリオスタットで薄切して作製する。薄切が不適切だと組織が連続して薄く切れず、厚さ不均一による濃淡(波打ち・ちりめんじわ)や折れ込み・裂け目などの不良が生じる。固定や染色とは別に、薄切操作そのものに起因する所見である。●標本作製の不良要因=切り出し(部位選択)・凍結(氷晶による空胞)・薄切(しわ・厚みむら・折れ込み)・固定(自己融解)・染色(色調不良)。●薄切不良の所見=厚薄不均一による濃淡・ちりめんじわ・ナイフ傷(縦線)・剝離。●迅速診断=未固定凍結→ヘマトキシリン・エオジン染色で短時間に判定。

選択肢ごとの解説

第70回 午前47(病理組織細胞学)

ヘマトキシリンの分別に用いるのはどれか。

正答: ③塩酸アルコール

ポイント
ヘマトキシリン染色の分別(過染部の脱色)は酸を用いて行い、塩酸アルコール(酸アルコール)で余分な色素を除去して核の染まりを適正化する。その後アンモニア水や炭酸リチウムなどのアルカリ水で色出し(青色化)を行うため、これらは役割が異なる。●ヘマトキシリン染色の工程=媒染(カリウムミョウバン等)・染色・分別(塩酸アルコール)・色出し(アンモニア水・炭酸リチウム)。●ヘマトキシリン液の成分=ヘマトキシリン・媒染剤(ミョウバン)・酸化剤(ヨウ素酸ナトリウム等で熟成)。●対比染色=エオジン(細胞質を赤染)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前48(病理組織細胞学)

弾性線維と膠原線維を染め分けるのはどれか。

正答: ⑤elastica van Gieson染色

ポイント
elastica van Gieson染色(EVG)はワイゲルトのレゾルシン-フクシンなどで弾性線維を黒紫〜黒色に、van Gieson液で膠原線維を赤色、筋・細胞質を黄色に染め分け、弾性線維と膠原線維を同一標本で区別できる。Victoria blueは弾性線維のみ、Masson trichromeは膠原線維を主に染める。●線維成分の染色法=弾性線維(elastica van Gieson・Victoria blue・ワイゲルト)・膠原線維(Masson trichrome・van Gieson)・細網線維(渡辺の鍍銀法・PAM)。●EVGの染め分け=弾性線維(黒紫)・膠原線維(赤)・筋/細胞質(黄)。●基底膜=PAM染色(過ヨウ素酸メセナミン銀)で黒染。

選択肢ごとの解説

第70回 午前49(病理組織細胞学)

食道のPAS染色標本とα-アミラーゼ消化後のPAS染色標本を別に示す。消化試験で同定されるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA049.301a1c7dc5.jpg
第70回 午前49 の図

正答: ④グリコーゲン

ポイント
PAS(過ヨウ素酸シッフ)反応は糖原性物質を赤紫色に染める。グリコーゲンはα-アミラーゼ(ジアスターゼ)で分解されるため、消化試験後にPAS陽性像が消失することで同定できる。中性粘液など他のPAS陽性物質はアミラーゼで消化されず陽性が残るため鑑別できる。●PAS陽性物質=グリコーゲン(アミラーゼ消化で消失)・中性粘液・基底膜・真菌・糖蛋白。●消化試験=α-アミラーゼ(ジアスターゼ)消化でグリコーゲンのみ陰性化。●関連染色=アミロイド(コンゴー赤・偏光で緑色偏光)・酸性粘液(アルシアン青)・線維素(PTAH等)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:PAS反応(過ヨウ素酸シッフ反応)の陽性物質・臓器別所見・試薬

項目内容
陽性となる物質グリコーゲン・中性粘液・基底膜・糖蛋白・真菌の細胞壁など
ジアスターゼ〈α-アミラーゼ〉消化試験グリコーゲンのみ消化されPAS陽性が消失する(他のPAS陽性物質は消化されず陽性が残る)
肝臓の所見肝細胞内のグリコーゲンが顆粒状に陽性
食道の所見重層扁平上皮内のグリコーゲンが顆粒状に陽性
腎臓の所見糸球体基底膜・メサンギウム基質・尿細管基底膜が陽性
脾臓の所見脾索の細網線維が陽性
主な使用試薬過ヨウ素酸(酸化剤)・Schiff試薬(塩基性フクシンを重亜硫酸ナトリウムで脱色したロイコ体)・塩酸。アニリンはPAS反応には用いない

第70回 午前50(病理組織細胞学)

腹水のPapanicolaou染色標本を別に示す。矢印で示す細胞はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA050.df82541eb2.jpg
第70回 午前50 の図

正答: ③印環細胞癌

ポイント
腹水のPapanicolaou染色で印環細胞癌の細胞は、細胞質内に大量の粘液を蓄えて核を辺縁へ押しつぶし、指輪(印環)状の形態を示す。胃などの腺癌が腹膜播種した際にみられる。良性の中皮細胞や組織球でも、細胞質の空胞化によって核が辺縁へ押され印環状を呈することがある。印環状という形だけで悪性を決めず、核異型、粘液の性状、必要に応じた免疫染色を組み合わせて鑑別する。●体腔液にみられる細胞=中皮細胞(良性・中心核・窓形成)・組織球(泡沫状細胞質)・腺癌細胞(印環細胞癌・乳頭状集塊)。●印環細胞癌の特徴=細胞質内粘液による核の辺縁圧排・指輪状・胃癌などの腹膜播種。●悪性の所見=核腫大・N/C比増大・核形不整・集塊形成・三次元化。

選択肢ごとの解説