第70回(2024) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第70回 午前51(病理組織細胞学)

腎近位尿細管の刷子縁に一致する電子顕微鏡像はどれか。

正答: ②微絨毛

ポイント
腎近位尿細管の管腔側細胞膜には微絨毛が密に並び、光学顕微鏡で刷子縁(brush border)として観察される。微絨毛は表面積を著しく拡大して水・電解質・糖・アミノ酸などの再吸収を高める指状の突起で、電子顕微鏡では均一な長さの細い突起が密集する像を示す。内部に運動装置である微小管(9+2構造)を欠く点で線毛と区別される。●管腔側の細胞表面構造=微絨毛(刷子縁/吸収面の拡大)・線毛(9+2微小管/協調運動)・不動毛(精巣上体など)。●細胞内小器官=ゴルジ装置(分泌物の修飾・選別)・粗面小胞体(蛋白合成)・滑面小胞体(脂質・ステロイド合成)・ミトコンドリア(エネルギー産生)。●刷子縁が目立つ部位=近位尿細管・小腸吸収上皮。

選択肢ごとの解説

第70回 午前52(病理組織細胞学)

神経組織で正しいのはどれか。

正答: ④樹状突起は受容した興奮を神経細胞体に伝える。

ポイント
神経系はニューロン(神経細胞)と支持細胞であるグリア(神経膠)細胞からなる。ニューロンでは樹状突起が他細胞からの興奮を受けて細胞体へ伝え、軸索が興奮を末端へ送る。グリアのうち稀突起膠細胞・星状膠細胞・小膠細胞は中枢神経系に、シュワン細胞は末梢神経系に存在する。ランヴィエの絞輪は有髄線維で髄鞘が途切れる部位で跳躍伝導を担う。●中枢神経系のグリア=星状膠細胞(支持・血液脳関門)・稀突起膠細胞(中枢の髄鞘形成)・小膠細胞(貪食・免疫)・上衣細胞(脳室面)。●末梢神経系のグリア=シュワン細胞(末梢の髄鞘形成)・衛星細胞(神経節)。●ニューロンの構造=樹状突起(求心性入力)・細胞体・軸索(遠心性出力)・シナプス(神経間接合)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前53(病理組織細胞学)

腹水の原因で誤っているのはどれか。

正答: ②高蛋白血症

ポイント
腹水は腹腔内に液体が貯留する状態で、機序により漏出液と滲出液に大別される。漏出性腹水は門脈系の静水圧上昇(門脈圧亢進)と血漿膠質浸透圧の低下が主因で、肝硬変ではこの両者が関与する。膠質浸透圧は血漿アルブミンが担うため、低蛋白(低アルブミン)血症で腹水を生じやすく、逆に高蛋白血症は腹水の原因とはならない。●漏出性腹水の機序=静水圧上昇(門脈圧亢進症・うっ血性心不全)・膠質浸透圧低下(低アルブミン血症・ネフローゼ症候群・肝硬変)。●滲出性腹水=炎症による血管透過性亢進(腹膜炎・癌性腹膜炎)。●特殊な腹水=乳び腹水(リンパ管閉塞)・血性腹水(悪性腫瘍・外傷)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前54(病理組織細胞学)

細胞死で正しいのはどれか。

正答: ⑤アポトーシスは発生過程で生理的にみられる。

ポイント
細胞死には病的なネクローシス(壊死)と、遺伝子に制御された生理的なアポトーシスがある。壊死は不可逆で、形態から凝固壊死・融解壊死・乾酪壊死などに分けられる。凝固壊死は虚血(心筋梗塞など)で蛋白に富む臓器に多く、融解壊死は脂質に富む脳の梗塞でみられる。アポトーシスは胎生期の指間組織の消退など発生過程で生理的に起こる。●壊死の形態分類=凝固壊死(心筋梗塞・腎梗塞)・融解壊死(脳梗塞・膿瘍)・乾酪壊死(結核)・脂肪壊死(急性膵炎)・フィブリノイド壊死(血管炎)。●壊疽=壊死に二次変化が加わった病態(乾性壊疽・湿性壊疽・ガス壊疽)。●アポトーシスの特徴=細胞縮小・核濃縮・断片化・炎症を伴わない・カスパーゼ依存性。

選択肢ごとの解説

第70回 午前55(病理組織細胞学)

石灰沈着を伴いやすい腫瘍はどれか。

正答: ②髄膜腫

ポイント
腫瘍内の石灰化は変性・壊死部へのカルシウム沈着や、層状の砂粒小体(psammoma body)として生じる。砂粒小体を伴いやすいのは髄膜腫・甲状腺乳頭癌・卵巣漿液性腫瘍などで、髄膜腫では同心円状の渦巻き構造(meningothelial whorl)の中心に層状の石灰化がみられる。●砂粒小体を伴いやすい腫瘍=髄膜腫・甲状腺乳頭癌・卵巣漿液性腺癌。●石灰化を伴いやすい病変=乳癌(微小石灰化)・骨化を伴う骨肉腫・陳旧性壊死巣・結核巣。●良性腫瘍の例=脂肪腫(成熟脂肪)・平滑筋腫・血管腫。

選択肢ごとの解説

第70回 午前56(病理組織細胞学)

化膿性炎で多数認められる細胞はどれか。

正答: ③好中球

ポイント
化膿性炎は細菌感染などで好中球が主体となって滲出する急性炎症で、死滅した好中球・組織融解物・菌が混じった膿を形成する。好中球は細菌の貪食と殺菌を担い、炎症の初期に最初に集積する白血球である。●炎症の主体細胞による分類=化膿性炎(好中球)・慢性炎症/肉芽腫(マクロファージ・リンパ球・形質細胞)・アレルギー性/寄生虫(好酸球)・ウイルス感染(リンパ球)。●化膿性炎の形態=膿瘍(限局性膿貯留)・蜂窩織炎(びまん性)・蓄膿。●代表的化膿菌=黄色ブドウ球菌・化膿レンサ球菌・大腸菌・緑膿菌。

選択肢ごとの解説

第70回 午前57(病理組織細胞学)

内分泌機能を有するのはどれか。

正答: ③膵臓

ポイント
内分泌機能とはホルモンを血中へ分泌し全身に作用させる働きを指す。膵臓はランゲルハンス島でインスリン・グルカゴン・ソマトスタチンなどを分泌する内分泌機能と、消化酵素を腸へ出す外分泌機能を併せ持つ臓器である。●内分泌腺=下垂体・甲状腺・副甲状腺・副腎・膵島・性腺。●内分泌機能を併せ持つ臓器=膵臓(膵島)・腎臓(エリスロポエチン・レニン)・心臓(ナトリウム利尿ペプチド)・消化管(ガストリン・セクレチン)。●外分泌腺=唾液腺・汗腺・膵外分泌部。

選択肢ごとの解説

第70回 午前58(病理組織細胞学)

FISH法で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②遺伝子増幅の検出に用いる。・③染色体転座の検出に用いる。

ポイント
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は蛍光標識したDNAプローブを標的塩基配列に結合させ、蛍光顕微鏡で特定の遺伝子・染色体領域を検出する手法である。シグナル数の増加から遺伝子増幅を、融合シグナルや分離シグナルから染色体転座(遺伝子再構成)を判定でき、間期核でも分裂中期核でも解析できる。蛍光色素は経時的に退色するため永久標本にはならない。●FISHの用途=遺伝子増幅(HER2など)・染色体転座/融合遺伝子(BCR-ABL1など)・欠失/微小欠失・コピー数評価・性染色体判定。●標識色素=フルオレセインイソチオシアネート(FITC)・ローダミン系・テキサスレッド、核対比染色はDAPI。●類縁手法=免疫組織化学(IHC)・in situ hybridization(ISH)・染色体G分染法。

選択肢ごとの解説

第70回 午前59(臨床血液学)

播種性血管内凝固〈DIC〉で上昇するのはどれか。

正答: ②D-ダイマー

ポイント
播種性血管内凝固(DIC)は全身の微小血管で凝固が活性化して血栓が多発し、凝固因子・血小板が消費される一方、二次線溶が亢進する病態である。線溶亢進により安定化フィブリンが分解されてフィブリン分解産物(FDP)とD-ダイマーが上昇し、凝固制御因子のアンチトロンビン・プロテインCや線溶阻害因子は消費されて低下する。●DICで上昇=FDP・D-ダイマー・トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)・プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)。●DICで低下=血小板・フィブリノゲン・アンチトロンビン・プロテインC・α2プラスミンインヒビター。●他のマーカーの意義=PIVKA-Ⅱ(ビタミンK欠乏・肝細胞癌)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前60(臨床血液学)

末梢血の好中球数が増加するのはどれか。

正答: ⑤副腎皮質ステロイド薬投与

ポイント
好中球は感染や炎症、ストレス、薬剤などで増加する。副腎皮質ステロイドは骨髄からの放出促進、血管壁辺縁プールからの動員、組織への遊出抑制により末梢血の好中球数を増やす。一方アルコール中毒では骨髄抑制で減少傾向、伝染性単核球症ではリンパ球が、アレルギー疾患では好酸球が主に増加する。●好中球増加の原因=細菌感染・急性炎症・組織壊死・副腎皮質ステロイド/G-CSF投与・身体的ストレス・慢性骨髄性白血病。●好中球減少の原因=重症感染・再生不良性貧血・抗癌薬/放射線・アルコール中毒・無顆粒球症。●他系統の増加=リンパ球(伝染性単核球症・百日咳)・好酸球(アレルギー・寄生虫)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前61(臨床血液学)

アミノ基転移酵素活性を有するのはどれか。

正答: ④活性化第ⅩⅢ因子

ポイント
血液凝固の最終段階で安定化フィブリンを作るのは活性化第ⅩⅢ因子で、トランスグルタミナーゼ活性によりフィブリン鎖のグルタミン残基とリジン残基をアミド(イソペプチド)結合で架橋する。この架橋反応により、可溶性フィブリンが不溶性の安定化フィブリンへ変換される。他の凝固・線溶因子は蛋白を切断するセリンプロテアーゼである。●セリンプロテアーゼ型の凝固/線溶因子=トロンビン・第Ⅹa因子・第Ⅸa因子・プラスミン・活性化プロテインC。●トランスグルタミナーゼ=第ⅩⅢ因子(フィブリン架橋)。●制御因子=アンチトロンビン・プロテインC/S・組織因子経路インヒビター(TFPI)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血液凝固因子と凝固制御因子

第因子名称系統
第Ⅰ因子フィブリノゲン共通系
第Ⅱ因子プロトロンビン共通系・VitK依存
第Ⅲ因子組織因子外因系
第Ⅴ因子不安定因子共通系
第Ⅶ因子安定因子外因系・VitK依存
第Ⅷ因子抗血友病因子A内因系
第Ⅸ因子クリスマス因子内因系・VitK依存
第Ⅹ因子Stuart-Prower因子共通系・VitK依存
第Ⅺ因子PTA内因系
第Ⅻ因子Hageman因子内因系
第ⅩⅢ因子フィブリン安定化因子共通系
※プロテインC・プロテインS・アンチトロンビン・組織因子経路インヒビターは凝固を抑える抗凝固(凝固制御)因子で、凝固因子には含まれない。

第70回 午前62(臨床血液学)

赤血球に関する記載で正しいのはどれか。

正答: ②前赤芽球は正染性赤芽球よりも大きい。

ポイント
赤芽球は前赤芽球から好塩基性・多染性・正染性赤芽球へと成熟するにつれて細胞・核ともに小さくなり、核は最終的に脱核する。脱核直後の網赤血球はリボソーム残存のため成熟赤血球よりやや大きく、加齢に伴い赤血球膜の変形能は低下する。エリスロポエチンは主に腎臓で産生され、健常者の赤血球寿命は約120日である。●赤芽球の成熟=前赤芽球→好塩基性→多染性→正染性赤芽球→脱核→網赤血球→成熟赤血球(成熟とともに小型化・核濃縮)。●エリスロポエチン=成人では腎尿細管周囲間質細胞が低酸素に応じて産生(胎児期は主に肝臓で産生され、出生後に腎臓へ移行)。●赤血球の数値=寿命約120日・変形能は老化で低下し脾で処理。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:赤芽球(赤血球系)の分化・成熟段階

段階特徴
前赤芽球成熟過程で最も大型、強い好塩基性
好塩基性赤芽球強い好塩基性が持続
多染性赤芽球ヘモグロビン合成が進み好塩基性と好酸性が混在
正染性赤芽球核が濃縮し細胞質は好酸性、その後脱核
網赤血球脱核直後、リボソーム(RNA)残存のため成熟赤血球よりやや大きい
成熟赤血球中央淡明部(central pallor)をもつ円盤状、寿命約120日
成熟につれ細胞・核とも小型化する。巨赤芽球性貧血ではDNA合成障害により核の成熟が遅れ、細胞質(ヘモグロビン合成)との間に成熟解離(不均衡)を生じる。

第70回 午前63(臨床血液学)

骨髄塗抹標本で正しいのはどれか。

正答: ⑤単球のエステラーゼ反応はフッ化ナトリウムによって阻害される。

ポイント
骨髄の細胞は各種特殊染色で識別する。単球とその系統は非特異的エステラーゼ染色が陽性となり、その反応はフッ化ナトリウムで阻害される点が顆粒球系との鑑別に用いられる。健常成人の骨髄は鉄染色で鉄顆粒を持つ鉄芽球を一定数含み、M/E比(顆粒球系/赤芽球系比)はおおむね2〜4である。●ペルオキシダーゼ染色=顆粒球系陽性(前骨髄球以降)・単球弱陽性・リンパ球陰性。●非特異的エステラーゼ=単球系陽性でフッ化ナトリウムにより阻害。●PAS染色=正常赤芽球陰性、赤白血病の異常赤芽球で陽性。●鉄染色=鉄芽球/環状鉄芽球(鉄芽球性貧血)の評価。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血液細胞化学染色(特殊染色)の目的・判定・臨床意義

染色目的・陽性の対象臨床意義
鉄染色3価の非ヘモグロビン鉄(環状鉄芽球など)の証明骨髄異形成症候群〈MDS〉・鉄芽球性貧血の環状鉄芽球の鑑別
ペルオキシダーゼ染色顆粒球系細胞で陽性、リンパ系は陰性AML(3%以上陽性)とALLの鑑別
特異的エステラーゼ染色顆粒球系細胞で陽性非特異的エステラーゼとの二重染色でM4の鑑別
非特異的エステラーゼ染色単球系細胞で陽性、フッ化ナトリウムで阻害される単球性白血病(M4・M5)の鑑別
PAS染色正常赤芽球は陰性、異常な赤芽球やリンパ芽球で陽性赤白血病(M6)・ALL・MDSの異常赤芽球の検出
好中球アルカリホスファターゼ〈NAP〉染色好中球の成熟度を反映CML・PNHで低値、真性多血症・重症感染症で高値

📋 まとめの表を見る:骨髄検査における基準的な値

項目基準的な値
M/E比(顆粒球系:赤芽球系)約1〜3
鉄芽球比率(成熟赤芽球中)約20〜50%
肥満細胞比率通常1%未満

第70回 午前64(臨床血液学)

自動血球計数器法で赤血球ヒストグラムを別に示す。赤血球125万/µL、Hb 7.5 g/dL、Ht 15%で矢印の所見が認められた。可能性があるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA064.a81d58e271.jpg
第70回 午前64 の図

正答: ④寒冷凝集素症

ポイント
寒冷凝集素症では低温で赤血球が凝集塊を作り、自動血球計数器がこれを大型の単一粒子と誤認するため赤血球数が偽低値、平均赤血球容積(MCV)が偽高値となり、ヘマトクリットとの不一致が生じる。設問の赤血球125万/µL・Hb 7.5 g/dL・Ht 15%という値はこの不一致を示し、赤血球ヒストグラムには通常域より右側(大粒子側)へずれた異常成分が現れる。検体を37℃に加温して再検すると是正される。●寒冷凝集素症=マイコプラズマ感染・伝染性単核球症・リンパ増殖性疾患に随伴、IgM寒冷凝集素が原因。●ヒストグラム異常=赤血球凝集(大粒子側)・破砕赤血球/小球性(小粒子側)・二峰性(輸血後・鉄剤治療中)。●偽値の原因=寒冷凝集(RBC偽低値・MCV偽高値)・高WBC/巨大血小板による干渉。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:自動血球計数装置における主な偽値(測定誤差)要因

現象偽値
寒冷凝集素症(低温での赤血球凝集)赤血球数偽低値・MCV偽高値
血小板凝集塊・巨大血小板(EDTA依存性凝集など)血小板数偽低値

第70回 午前65(臨床血液学)

シリンジで採血を行い、止血処置の間にしばらく立てて静置した。その状況の写真を別に示す。そのままシリンジを転倒混和せず、複数の血算用の試験管に分注した。最後の試験管に比べて最初の試験管で測定値が大きくなる可能性の最も高いのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA065.898ccc66cc.jpg
第70回 午前65 の図

正答: ④赤血球数

ポイント
採血後に転倒混和せず静置すると、比重の大きい赤血球が下方へ沈降して上層に血漿、下層に赤血球が濃縮した状態になる。混和しないままシリンジ先端側から分注すると、最初の試験管に赤血球が偏って多く入り赤血球数が高値となり、後の試験管ほど赤血球が少なくなる。●血液成分の比重(大→小)=赤血球>顆粒球>単球>リンパ球>血小板で、沈降すると下層が赤血球層、中間が白血球層(バフィーコート)、上層が血漿。●静置・混和不良による誤差=赤血球数/ヘマトクリットの分注差・凝集塊形成。●正しい取り扱い=採血後すみやかに転倒混和し均一化してから分注。

選択肢ごとの解説

第70回 午前66(臨床血液学)

血清に含まれないのはどれか。

正答: ④フィブリノゲン

ポイント
血清は全血を凝固させた後の上清で、凝固の過程でフィブリノゲンがフィブリンへ変換されて消費されるため、血清にはフィブリノゲンが含まれない。一方、抗凝固剤で凝固を止めた血漿にはフィブリノゲンが残り、これが血清と血漿の主たる違いである。アルブミンやグロブリン、輸送蛋白などは血清にも血漿にも含まれる。●血清=血漿からフィブリノゲンと凝固因子の一部を除いたもの(凝固後の上清)。●血漿=抗凝固剤で凝固を止めた上清でフィブリノゲンを含む。●主要血漿蛋白=アルブミン・グロブリン(α/β/γ)・ハプトグロビン・トランスフェリン・フィブリノゲン・補体。

選択肢ごとの解説

第70回 午前67(臨床血液学)

造血器腫瘍患者の骨髄血を用いた染色体核型(G分染法)の結果を別に示す。異常が認められた染色体を矢印で示す。想定される遺伝子異常はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA067.a57f7563db.jpg
第70回 午前67 の図

正答: ②CBFB-MYH11

ポイント
造血器腫瘍は特徴的な染色体異常と融合遺伝子を伴う。inv(16)またはt(16;16)はCBFB-MYH11融合を生じ、骨髄中に異常好酸球を伴う急性骨髄性白血病(FAB分類M4Eo)に対応する。設問のG分染法でinv(16)が示されていればCBFB-MYH11が想定される。●急性骨髄性白血病の融合遺伝子=CBFB-MYH11[inv(16)/t(16;16)・M4Eo]・RUNX1-RUNX1T1[t(8;21)]・PML-RARA[t(15;17)・急性前骨髄球性白血病]。●慢性骨髄性白血病=BCR-ABL1[t(9;22)・フィラデルフィア染色体]。●小児急性リンパ性白血病=ETV6-RUNX1[t(12;21)]。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉のFAB分類と特徴

病型(FAB)別名MPO(ペルオキシダーゼ)特徴
M0最未分化型骨髄芽球性白血病陰性免疫学的マーカーは骨髄系のみ陽性
M1急性未分化型骨髄芽球性白血病3%以上陽性骨髄中の芽球が90%以上
M2急性分化型骨髄芽球性白血病3%以上陽性芽球90%未満、一部にt(8;21)
M3急性前骨髄球性白血病(APL)高率陽性t(15;17)、Auer小体束(faggot細胞)、DIC合併
M4急性骨髄単球性白血病3%以上陽性顆粒球系・単球系がともに増加、非特異的エステラーゼ陽性(M4Eoは好酸球増加・inv(16))
M5急性単球性白血病陰性非特異的エステラーゼ陽性
M6急性赤白血病3%以上陽性赤芽球50%以上
M7急性巨核芽球性白血病陰性巨核球系マーカー(CD41・CD42・CD61)陽性
急性リンパ性白血病(ALL)はMPO陰性(3%未満)で鑑別する。染色体異常・融合遺伝子は既存の『白血病の染色体異常と融合遺伝子』表を参照。

第70回 午前68(臨床微生物学)

厚いペプチドグリカン層を持つのはどれか。

正答: ⑤Staphylococcus aureus

ポイント
グラム陽性菌は厚いペプチドグリカン層を持つ細胞壁を有し、クリスタルバイオレットを保持して紫色に染まる。グラム陰性菌は薄いペプチドグリカン層の外側に外膜(リポ多糖を含む)を持ち赤色に染まる。マイコプラズマは細胞壁を欠き、クラミジアやリケッチアは細胞内寄生でグラム染色性に乏しい。Staphylococcus aureusはグラム陽性球菌で厚いペプチドグリカン層を持つ。●グラム陽性菌(厚いペプチドグリカン)=ブドウ球菌・レンサ球菌・腸球菌・Bacillus・Clostridium・Corynebacterium。●グラム陰性菌(薄い層+外膜)=大腸菌・Klebsiella・緑膿菌・ナイセリア。●細胞壁を欠く/染色されにくい=マイコプラズマ(細胞壁なし)・クラミジア/リケッチア(偏性細胞内)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前69(臨床微生物学)

β-ラクタム系抗菌薬はどれか。2つ選べ。

正答: ②メロペネム・③セフォタキシム

ポイント
β-ラクタム系抗菌薬はβ-ラクタム環を構造に持ち、ペニシリン結合蛋白に結合して細胞壁合成を阻害する。ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系・モノバクタム系が含まれ、メロペネムはカルバペネム系、セフォタキシムはセフェム系でいずれもβ-ラクタム環を持つ。●β-ラクタム系=ペニシリン系(ペニシリンG・アンピシリン)・セフェム系(セフォタキシム・セファゾリン)・カルバペネム系(メロペネム・イミペネム)・モノバクタム系(アズトレオナム)。●細胞壁合成阻害(非β-ラクタム)=グリコペプチド系(バンコマイシン)。●他系統=ポリペプチド系(コリスチン・ポリミキシン/細胞膜)・キノロン系(シプロフロキサシン/核酸)・クロラムフェニコール(蛋白合成)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前70(臨床微生物学)

感染症法で二類感染症に分類されるのはどれか。

正答: ①結核

ポイント
感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)は重篤度や感染力に応じて一〜五類などに分類する。二類感染症には結核・ジフテリア・重症急性呼吸器症候群(SARS)・中東呼吸器症候群(MERS)・鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)などが含まれる。コレラは三類、サル痘(エムポックス)と炭疽は四類、ペストは一類である。●一類=エボラ出血熱・ペスト・痘そう・南米出血熱・ラッサ熱・マールブルグ病・クリミア-コンゴ出血熱。●二類=結核・ジフテリア・SARS・MERS・鳥インフルエンザ(H5N1/H7N9)・急性灰白髄炎。●三類=コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症。●四類=炭疽・サル痘(エムポックス)・狂犬病・マラリア・デング熱・つつが虫病。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:感染症法における感染症の類型分類(一〜四類・代表疾患)

類型代表的な疾患(一部)
一類エボラ出血熱・クリミア-コンゴ出血熱・痘そう・南米出血熱・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱
二類急性灰白髄炎(ポリオ)・結核・ジフテリア・重症急性呼吸器症候群(SARS)・鳥インフルエンザ(H5N1)・鳥インフルエンザ(H7N9)・中東呼吸器症候群(MERS)
三類コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症・腸チフス・パラチフス
四類E型肝炎・A型肝炎・黄熱・Q熱・狂犬病・炭疽・マラリア・野兎病・エムポックス(サル痘)・デング熱・つつが虫病 等
感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)による分類(令和6年4月現在)。一類・二類は感染力や重篤性等を総合して分類される。三類では特定の職業を介した集団発生、四類では動物・飲食物等を介した感染の防止など、必要な対策の性質も分類の根拠となる。類型の数字をそのまま重症度の順位と考えない。五類は感染症発生動向調査(全数把握・定点把握)の対象で、インフルエンザ・後天性免疫不全症候群(AIDS)・梅毒・麻疹など多数の疾患を含む(個別の疾患名は別途要確認)。

第70回 午前71(臨床微生物学)

TSI培地に細菌を接種して1日後の写真を別に示す。推定されるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA071.ed4ee1a1fd.jpg
第70回 午前71 の図

正答: ④Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi

ポイント
TSI(三糖鉄)培地は乳糖・白糖とブドウ糖の分解、硫化水素・ガス産生をみる培地である。チフス菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi)はブドウ糖のみ分解するため斜面部赤・高層部黄色を示し、硫化水素産生は微量で、特徴的に高層部にごく少量の黒変を呈する。乳糖・白糖を分解する菌では斜面部も黄色化する。●TSIの斜面/高層=斜面赤・高層黄(ブドウ糖のみ分解:サルモネラ・赤痢菌)・両方黄(乳糖/白糖も分解:大腸菌・Klebsiella・Enterobacter)。●硫化水素(黒変)=Salmonella(微量〜中等)・Proteus・Citrobacterで陽性、赤痢菌は陰性。●ガス産生=大腸菌・Enterobacterで強い、チフス菌・赤痢菌は乏しい。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腸内細菌科の生化学的性状の鑑別(乳糖分解・硫化水素・リジン脱炭酸・インドール)

菌乳糖分解硫化水素(H₂S)リジン脱炭酸インドール
Escherichia coli分解陰性陽性陽性
Salmonella Typhi非分解陽性(弱)陽性陰性
Salmonella Paratyphi A非分解陰性陰性陰性
Salmonella(その他大部分の血清型)非分解陽性陽性陰性
Shigella属非分解陰性陰性菌種により異なる
Proteus mirabilis非分解陽性陰性陰性
Proteus vulgaris非分解陽性陰性陽性
Citrobacter属分解(菌株により遅分解)陽性陰性陰性
Serratia marcescens非分解陰性陽性陰性
サルモネラ・赤痢菌など乳糖非分解菌はTSI培地で高層部のみ黄変し斜面は赤色のまま残るが、大腸菌など乳糖分解菌は斜面・高層とも黄変する。チフス菌(Typhi)はTSI培地でガスをほとんど産生せず硫化水素も少量にとどまる点が他の多くのSalmonella血清型と異なる。尿素分解(ウレアーゼ)陽性の代表はProteus属・Morganella属・Providencia属。

第70回 午前72(臨床微生物学)

急性単純性尿路感染症の原因菌で最も頻度が高く検出されるのはどれか。

正答: ②Escherichia coli

ポイント
急性単純性尿路感染症は基礎疾患のない若年女性などに多く、原因菌の大半は腸内細菌叢由来の大腸菌(Escherichia coli)である。大腸菌はP線毛などによる尿路上皮への付着能を持ち、会陰部から上行性に感染する。●単純性尿路感染症の原因菌=大腸菌(最多)・Staphylococcus saprophyticus(若年女性)・Klebsiella・Proteus。●複雑性/カテーテル関連=腸球菌・緑膿菌・Serratia・カンジダなど多様。●尿路結石と関連=Proteus mirabilis(ウレアーゼによるストルバイト結石)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前73(臨床微生物学)

蛋白合成阻害作用を有するのはどれか。

正答: ④クラリスロマイシン

ポイント
抗菌薬は作用機序により細胞壁合成阻害・蛋白合成阻害・核酸合成阻害・細胞膜傷害・葉酸合成阻害などに分けられる。マクロライド系のクラリスロマイシンは細菌リボソームの50Sサブユニットに結合して蛋白合成を阻害する。●蛋白合成阻害=マクロライド系(クラリスロマイシン・エリスロマイシン)・アミノグリコシド系(ゲンタマイシン)・テトラサイクリン系・クロラムフェニコール・リンコマイシン系。●細胞壁合成阻害=β-ラクタム系(ペニシリンG)・グリコペプチド系(バンコマイシン)。●核酸合成阻害=キノロン系(シプロフロキサシン)・リファンピシン。●細胞膜傷害=ポリミキシンB・コリスチン。

選択肢ごとの解説

第70回 午前74(臨床微生物学)

グラム陰性球菌はどれか。

正答: ⑤Moraxella catarrhalis

ポイント
グラム陰性球菌の代表はナイセリア属(淋菌・髄膜炎菌)とモラクセラ属で、Moraxella catarrhalisは上気道感染や中耳炎・副鼻腔炎の原因となるグラム陰性双球菌である。他の選択肢はグラム陰性桿菌やグラム陽性桿菌である。●グラム陰性球菌=Neisseria gonorrhoeae(淋菌)・Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)・Moraxella catarrhalis。●グラム陽性球菌=ブドウ球菌・レンサ球菌・腸球菌。●グラム陽性桿菌=Bacillus(炭疽菌)・Clostridium・Corynebacterium(ジフテリア菌)・Listeria。●グラム陰性桿菌=大腸菌・Klebsiella・Aeromonas・緑膿菌。

選択肢ごとの解説

第70回 午前75(臨床微生物学)

バイオセーフティレベル〈BSL〉3対応が必要なのはどれか。

正答: ③Histoplasma capsulatum

ポイント
バイオセーフティレベル(BSL)は病原体の危険度に応じて4段階で規定される。二相性真菌のHistoplasma capsulatumは分生子の吸入で全身性真菌症(ヒストプラズマ症)を起こし、培養での感染リスクが高いためBSL3で取り扱う。一般的な日和見真菌や皮膚糸状菌はBSL2で取り扱う。●BSL3対応の二相性/輸入真菌=Histoplasma capsulatum・Coccidioides immitis・Blastomyces dermatitidis・Paracoccidioides。●BSL2の真菌=Aspergillus fumigatus・Candida属・Cryptococcus・Trichophyton(皮膚糸状菌)・Pneumocystis jirovecii(培養困難で別扱い)。●BSL4=エボラウイルス・ラッサウイルスなど最高度の病原体。

選択肢ごとの解説

第70回 午前76(臨床微生物学)

ウイルスと親和性の高い組織・細胞の組合せで正しいのはどれか。

正答: ②ロタウイルス — 腸管

ポイント
ウイルスは標的細胞表面の特定受容体を介して侵入するため、感染しやすい組織(向性・トロピズム)が決まる。ロタウイルスは経口感染して小腸の絨毛上皮細胞に感染し、二糖類分解酵素活性の低下と水・電解質の吸収障害から浸透圧性の下痢を起こす乳幼児急性胃腸炎の代表的病原体である。EBウイルスはCD21を受容体としてB細胞に、ポリオウイルスは脊髄前角の運動ニューロンに、ライノウイルスは上気道粘膜上皮に、単純ヘルペスウイルスは皮膚粘膜上皮と知覚神経節に親和性をもつ。
●腸管向性=ロタウイルス・ノロウイルス・アデノウイルス(腸管型40/41)・アストロウイルス。
●神経向性=ポリオウイルス・日本脳炎ウイルス・狂犬病ウイルス・単純ヘルペスウイルス(神経節潜伏)。
●呼吸器向性=インフルエンザウイルス・ライノウイルス・RSウイルス・SARSコロナウイルス。
●リンパ球向性=EBウイルス(B細胞)・ヒト免疫不全ウイルス(CD4陽性T細胞)・ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(T細胞)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:細胞・組織親和性によるウイルスの分類

分類感染部位代表的なウイルス
汎向性ウイルス全身麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘-帯状疱疹ウイルス
向気道性ウイルス気道インフルエンザウイルス、ヒトRSウイルス、コロナウイルス、ライノウイルス
向腸管性ウイルス腸管エンテロウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、サポウイルス
向神経性ウイルス神経狂犬病ウイルス、ポリオウイルス、日本脳炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス
向皮膚性ウイルス皮膚・粘膜伝染性軟属腫ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘-帯状疱疹ウイルス、エンテロウイルス71型
向リンパ球性ウイルスT細胞/B細胞ヒト免疫不全ウイルス・ヒトT細胞白血病ウイルス(T細胞)、EBウイルス(B細胞)
向肝臓性ウイルス肝臓A型〜E型肝炎ウイルス

第70回 午前77(臨床微生物学)

血液培養陽性ボトルのGram染色所見を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA077.9d11dd6503.jpg
第70回 午前77 の図

正答: ②Candida属

ポイント
本像では、グラム染色で紫色(グラム陽性)に染まる、細菌より大型の楕円形酵母細胞と出芽、菌糸状構造(仮性菌糸など)がみられ、Candida属に合致する。血液培養陽性ボトルのGram染色では、球菌・桿菌の染色性や配列だけでなく、酵母細胞の大きさ・形・出芽・菌糸状構造の有無にも注目して菌を絞り込む。血液培養陽性という臨床情報も、Candidaによる血流感染(カンジダ血症)と整合する。
●本像の所見=グラム陽性に染まる楕円形の出芽酵母+菌糸状構造(仮性菌糸など)→Candida属。
●鑑別=Bacillus属(芽胞をもつ大型のグラム陽性桿菌)・Cutibacterium属(嫌気性のグラム陽性桿菌)・Nocardia属(細く分枝する糸状の細菌)は、いずれも出芽酵母の形態を示さない。
●Pneumocystis属=通常の培養では発育せず、血液培養から出芽酵母として検出されることはない。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:酵母様真菌の鑑別(Cryptococcus・Candida・Trichosporon)

菌特徴的な構造莢膜(墨汁法)
Cryptococcus neoformans莢膜を形成、ウレアーゼ試験陽性陽性(墨汁法で排除帯として観察)
Candida albicans発芽管・仮性菌糸・厚膜胞子を形成陰性
Trichosporon属真正菌糸・分節胞子を形成陰性
Candida albicansの厚膜胞子・仮性菌糸の証明にはlactophenol cotton blue染色を用いる(墨汁法はCryptococcusの莢膜証明に用いる)。

第70回 午前78(臨床微生物学)

細菌の遺伝に関する記述で正しいのはどれか。

正答: ⑤形質導入とはバクテリオファージを介した現象である。

ポイント
細菌は核膜をもたない原核生物で、染色体DNAは環状二本鎖として細胞質内に存在する。遺伝子の水平伝達には、裸のDNAを菌が直接取り込む形質転換、バクテリオファージが宿主菌の遺伝子を運搬する形質導入、性線毛を介して接触しプラスミドが移行する接合の三様式がある。Fプラスミド(稔性因子)は性線毛形成と接合を担い、Rプラスミドは薬剤耐性遺伝子を保持して主に接合で耐性を伝播する。
●遺伝子の水平伝達=形質転換(裸のDNA取込み)・形質導入(ファージ介在)・接合(プラスミド移行)。
●代表的プラスミド=Fプラスミド(接合・性線毛)・Rプラスミド(薬剤耐性)・Colプラスミド(コリシン産生)・病原性プラスミド(毒素・付着因子)。
●可動性遺伝因子=プラスミド・トランスポゾン・インテグロン・バクテリオファージ。

選択肢ごとの解説

第70回 午前79(臨床免疫学)

B細胞で誤っているのはどれか。

正答: ⑤コンカナバリンA〈Con A〉で幼若化が起こる。

ポイント
B細胞は骨髄で成熟し、抗原刺激を受けると形質細胞へ分化して抗体(免疫グロブリン)を産生する体液性免疫の中心であり、表面の主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスⅡを介して抗原提示も行う。植物レクチンや細菌成分による幼若化(芽球化)反応では、B細胞はポークウィードマイトジェンや細菌のリポ多糖に反応し、コンカナバリンA(Con A)やフィトヘマグルチニンはT細胞を刺激する。末梢血リンパ球ではT細胞が多数を占め、B細胞の割合はそれより少ない。
●T細胞を幼若化するレクチン=フィトヘマグルチニン(PHA)・コンカナバリンA(Con A)。
●B細胞を幼若化する刺激=ポークウィードマイトジェン(PWM、T細胞も)・リポ多糖(LPS)。
●抗原提示細胞=樹状細胞・マクロファージ・B細胞(いずれもMHCクラスⅡ陽性)。
●末梢血リンパ球の概略比=T細胞約70〜80%・B細胞約10〜20%・NK細胞約10〜15%。

選択肢ごとの解説

第70回 午前80(臨床免疫学)

主要組織適合性遺伝子複合体〈MHC〉でクラスⅡ抗原を発現するのはどれか。

正答: ⑤マクロファージ

ポイント
主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスⅠはほぼすべての有核細胞に発現し、内因性抗原をCD8陽性細胞傷害性T細胞に提示する。MHCクラスⅡの発現は抗原提示細胞に限られ、マクロファージ・樹状細胞・B細胞などが外来性抗原を取り込んでCD4陽性ヘルパーT細胞に提示する。マクロファージは代表的な抗原提示細胞で、選択肢中で唯一クラスⅡを発現する。
●MHCクラスⅡを発現=樹状細胞・マクロファージ・B細胞・活性化した血管内皮や上皮細胞(誘導性)。
●MHCクラスⅠを発現=すべての有核細胞と血小板(血小板は無核だがクラスⅠを発現する)。発現せず=成熟赤血球。
●NK細胞の標的認識=MHCクラスⅠ低下細胞を傷害(missing self)。
●抗原提示の対応=クラスⅠ→CD8陽性T細胞、クラスⅡ→CD4陽性T細胞。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:MHCクラスⅠ・クラスⅡの違い

項目クラスⅠクラスⅡ
発現する細胞赤血球を除くすべての有核細胞と血小板抗原提示細胞(マクロファージ、樹状細胞、B細胞など)に限られる
遺伝子(HLA)HLA-A・HLA-B・HLA-CHLA-DR・HLA-DQ・HLA-DP
提示する抗原内因性抗原(細胞内で産生された抗原)外来性抗原(貪食・取り込んだ抗原)
結合するT細胞CD8陽性細胞傷害性T細胞CD4陽性ヘルパーT細胞
HLA遺伝子は第6染色体短腕上に存在する。NK細胞はMHCクラスⅠの発現が低下した細胞(missing self)を傷害する。

第70回 午前81(臨床免疫学)

抗原と抗体の結合で誤っているのはどれか。

正答: ①共有結合

ポイント
抗原抗体反応は可逆的な非共有結合の総和で成立し、抗体の相補性決定領域(CDR)が抗原のエピトープと立体的に適合(鍵と鍵穴)することで結合する。関与する力は水素結合・疎水結合・静電的なイオン結合・ファンデルワールス力(分子間力)で、いずれも弱く可逆的なため温度・pH・塩濃度の影響を受けて解離も起こりうる。共有結合は電子対を共有する強固で非可逆的な結合であり、抗原抗体反応には関与しない。
●抗原抗体結合に関与する非共有結合=水素結合・疎水結合(疎水性相互作用)・イオン結合(静電的相互作用)・ファンデルワールス力。
●結合の指標=親和性(affinity、単一結合の強さ)・結合活性(avidity、多価結合の総合的強さ)。
●反応に影響する要因=温度・pH・電解質濃度・抗原抗体比(プロゾーン・ポストゾーン現象)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前82(臨床免疫学)

温度依存性蛋白はどれか。2つ選べ。

正答: ③パイログロブリン・④Bence Jones蛋白

ポイント
温度依存性蛋白は温度変化で溶解度や立体構造が変化する異常蛋白で、加温すると不可逆的に析出・ゲル化するパイログロブリンと、加熱と冷却で凝固と溶解を繰り返すBence Jones蛋白(免疫グロブリン遊離軽鎖)が該当する。Bence Jones蛋白は約56℃で凝固し、さらに加熱(約100℃近く)すると再溶解、冷却すると再び凝固する特徴的な挙動を示し、多発性骨髄腫など形質細胞腫瘍で尿中に出現する。
●温度依存性蛋白=パイログロブリン(加温で析出)・Bence Jones蛋白(加温凝固→再溶解→冷却再凝固)。
●低温で析出する蛋白=クリオグロブリン。寒冷凝集素は低温で赤血球を凝集させる抗体であり、蛋白自体の析出とは区別する。
●単クローン性蛋白を呈する疾患=多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症・MGUS。

選択肢ごとの解説

第70回 午前83(臨床免疫学)

冷蔵保存した全血検体で検査可能なのはどれか。

正答: ②HBs抗体検査

ポイント
冷蔵(4℃)保存では低温反応性の抗体が赤血球に結合・解離して結果に影響するため、寒冷凝集素・寒冷溶血素・クリオグロブリンを扱う検査は採血後ただちに37℃で処理・分離する必要がある。これに対しHBs抗体のような血清中で安定した抗体の測定は、冷蔵保存した全血検体からでも問題なく実施できる。低温で活性をもつ反応系を冷蔵すると偽の結果や検出感度低下を生じる。
●37℃保温・分離が必要=寒冷凝集反応・クリオグロブリン検査・Donath-Landsteiner反応(寒冷溶血素)・冷式抗体の検出。
●冷蔵保存でも実施可=HBs抗体・各種ウイルス抗体・一般血清蛋白・温式抗体検査の多く。
●温度で性質が変わる血漿成分=寒冷凝集素(IgM)・クリオグロブリン・パイログロブリン。

選択肢ごとの解説

第70回 午前84(臨床免疫学)

免疫グロブリンで正しいのはどれか。

正答: ⑤IgMは補体の古典経路を活性化する。

ポイント
免疫グロブリンはH鎖2本とL鎖2本からなり、クラスごとに構造と機能が異なる。IgMは五量体で分子量が最も大きく、抗原と結合すると補体C1qに効率よく結合して古典経路を強力に活性化する。IgGは胎盤を通過しIgG1〜IgG4の4つのサブクラスをもち血中濃度が最も高く、IgAは分泌型が二量体をとり粘膜免疫を担い、IgEはⅠ型アレルギーに関与し、IgDはB細胞表面に存在する。
●五量体=IgM(J鎖あり、補体活性化が最強)。
●胎盤通過=IgGのみ(新生児の受動免疫)。
●分泌型二量体=IgA(J鎖+分泌片)。
●サブクラス=IgG(4つ)・IgA(2つ)。
●H鎖定常部ドメイン数=IgG/IgA/IgDは3、IgM/IgEは4。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:5種類の免疫グロブリンの主な性状

種類構造血中量特徴
IgG単量体最多(800〜1,600)胎盤通過・4サブクラス・感染防御
IgM5量体―初期抗体・補体活性化能が最高・最古
IgA分泌型は2量体唾液・涙・初乳など蛋白分解酵素に抵抗・粘膜免疫
IgD単量体微量B細胞表面・分化に関与・代謝速い
IgE単量体最少肥満細胞Fc受容体・Ⅰ型アレルギー
単クローン性増加=1クローン由来で単一Igが増加(原発性マクログロブリン血症=IgM)。多クローン性増加=感染症・自己免疫疾患など。

第70回 午前85(臨床免疫学)

補体系の検査結果を以下に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA085.3f658b8bed.jpg
第70回 午前85 の図

正答: ⑤遺伝性血管性浮腫〈遺伝性血管神経性浮腫〉

ポイント
補体価CH50低下とC4低下に対しC3が正常で、C1インヒビター(C1-INH)活性が低下するパターンは遺伝性血管性浮腫に特徴的である。C1-INHの量的・機能的低下によりブラジキニン産生系の制御が失われ、ブラジキニンの過剰産生によって血管透過性が亢進し、喉頭・腸管・四肢などに反復する非掻痒性の浮腫を生じる。補体古典経路の活性化に伴うC4低下は検査上の手がかりとなる。膠原病や腎炎ではC3も低下するのが典型で、C3正常の所見が鑑別の鍵となる。
●C3低下・C4正常=補体第二経路の活性化(膜性増殖性糸球体腎炎の一部・溶連菌感染後急性糸球体腎炎)。
●C3・C4ともに低下=古典経路の活性化(全身性エリテマトーデス・血清病・混合型クリオグロブリン血症)。
●C4低下・C3正常・C1-INH低下=遺伝性血管性浮腫。
●C1-INH関連=先天性(遺伝性)と後天性(リンパ増殖性疾患に伴う)がある。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:補体価〈CH50〉異常パターンと考えられる病態

CH50(血清補体価)C3C4考えられる病態
低値低値低値免疫複合体による補体消費(急性糸球体腎炎・SLE等)、肝での補体産生低下(慢性肝炎・肝硬変等)
低値低値正常補体第二経路(副経路)の活性化(膜性増殖性糸球体腎炎等)
低値正常低値C1インヒビター〈C1-INH〉欠損(遺伝性血管性浮腫〈HANE〉。HANEではC1qは正常。C1qが低値の場合は後天性血管性浮腫)
低値(血清のみ。血漿補体価・C3蛋白量は正常)正常正常試験管内アーチファクト=コールドアクチベーション(寒冷活性化)。C型肝炎に伴うクリオグロブリンが低温で補体と結合し血清中でのみ補体が消費される。EDTA血漿では低温下の活性化が阻止されるため血漿補体価は基準範囲内に保たれる
高値——炎症性疾患・感染症・悪性腫瘍など(補体は炎症マーカーの一種)
コールドアクチベーションは生体内の病態ではなく採血後の試験管内で生じる現象である点に注意。血清と血漿でCH50に乖離を認める場合はこの現象を疑う。

第70回 午前86(臨床免疫学)

ABO亜型で正しいのはどれか。

正答: ④日本人ではBm型が最も多い。

ポイント
ABO亜型は抗原を作る糖転移酵素の活性が弱いか変異した先天性の形質で、赤血球上のA抗原やB抗原の発現量が減弱する。亜型ではおもて試験(赤血球抗原)とうら試験(血清抗体)に不一致が生じることがあり、確定には吸着解離試験・唾液中の型物質検査・遺伝子検査が補助的に用いられる。日本人のB亜型のなかではBm型の頻度が比較的高い。
●A亜型=A2・A3・Ax・Am・Aend・Ael(抗原量が段階的に減弱)。
●B亜型=B3・Bx・Bm・Bel(日本人ではBmが比較的多い)。
●亜型検出の検査=吸着解離試験・唾液型物質(分泌型)・H抗原確認・遺伝子検査(補助)。
●オモテ・ウラ不一致の原因=亜型・後天的抗原変化・不規則抗体・連銭形成・低γグロブリン血症。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ABO血液型亜型の特徴

項目内容
定義通常の血液型に比べ赤血球上の抗原発現量が少ない、あるいは反応性が弱い先天性の変種(variant)
日本人での出現頻度約0.02%
最も多い亜型(日本人)B亜型のBm型(オモテ試験でO型、ウラ試験でB型を示す)
A亜型の種類(抗原量の多い順)A1、A2、A3、Ax、Aend、Am、Ael など
B亜型の種類B、B2、B3、Bx、Bm など
O型の変種(Bombay型)H抗原・A抗原・B抗原をいずれも持たず、血清中に抗A・抗B・抗H抗体を有する。輸血はBombay型同士に限られる
ABO遺伝子座第9染色体長腕(9q34)。A・B遺伝子は共優性でO遺伝子に対して優性
後天性Bはグラム陰性桿菌感染によるA抗原の一過性修飾であり、亜型(先天性)とは区別される。

第70回 午前87(臨床免疫学)

タイプⅡのクリオグロブリンが高頻度に認められる疾患はどれか。

正答: ②HCV感染症

ポイント
クリオグロブリンは低温で析出し加温で再溶解する免疫グロブリンで、単クローン性のタイプⅠ、単クローン性IgMリウマトイド因子と多クローン性IgGの混合であるタイプⅡ、多クローン性同士の混合であるタイプⅢに分類される。タイプⅡを含む混合型クリオグロブリン血症の多くはC型肝炎ウイルス(HCV)の慢性感染を背景とし、紫斑・関節痛・末梢神経障害・膜性増殖性糸球体腎炎などの血管炎症状を呈する。
●タイプⅠ(単クローン性)=多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症などの形質細胞・リンパ増殖性疾患。
●タイプⅡ(単クローン性IgM+多クローン性IgGの混合)=HCV感染症が高頻度。
●タイプⅢ(多クローン性混合)=慢性感染症・膠原病(全身性エリテマトーデス・関節リウマチ)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前88(臨床免疫学)

Ⅰ型アレルギーが関与するのはどれか。2つ選べ。

正答: ①花粉症・④アナフィラキシーショック

ポイント
アレルギーはGell-Coombs分類で4型に分けられる。Ⅰ型(即時型)はIgEが肥満細胞・好塩基球に結合し、抗原との架橋でヒスタミンなどの化学伝達物質が遊離して起こり、花粉症・気管支喘息・蕁麻疹・アナフィラキシーが該当する。Ⅱ型は細胞表面抗原への抗体による細胞傷害型、Ⅲ型は免疫複合体型、Ⅳ型はT細胞を介する遅延型である。
●Ⅰ型(即時型・IgE)=花粉症・気管支喘息・蕁麻疹・アナフィラキシーショック・食物アレルギー。
●Ⅱ型(細胞傷害型・IgG/IgM)=不適合輸血・自己免疫性溶血性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・Goodpasture症候群。
●Ⅲ型(免疫複合体型)=血清病・全身性エリテマトーデス・糸球体腎炎・過敏性肺炎。
●Ⅳ型(遅延型・T細胞)=接触性皮膚炎・ツベルクリン反応・移植拒絶反応。

選択肢ごとの解説

第70回 午前89(臨床免疫学)

Rh血液型で正しいのはどれか。

正答: ⑤日本人において検出される不規則抗体で最も頻度が高いのは抗Eである。

ポイント
RhD抗原は免疫原性が強く、RhD陰性者がRhD陽性赤血球に曝露すると抗D抗体が産生されやすい。日本人のRhD陰性頻度は約0.5%と低く、欧米より少ない。Rh系の抗体は37℃で反応するIgG型の温式抗体で、検出には間接抗グロブリン試験を用いる。日本人で臨床的に検出される不規則抗体のうち最も頻度が高いのは抗Eである。
●Rh主要抗原の免疫原性=D>E>c>C>e。
●日本人で頻度の高い不規則抗体=抗E・抗Le(a)・抗Di(a)など(抗Eが最多)。
●温式抗体(37℃・IgG・間接抗グロブリン試験で検出)=Rh系・Kidd系・Duffy系。
●冷式抗体(室温以下・IgM)=抗I・抗M・Lewis系の一部。
●RhD輸血の原則=D陰性患者にはD陰性血(抗D産生回避)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:Rh血液型(D抗原)のポイント

項目内容
D陰性頻度日本人約0.5%(白人は約15%)
D陰性の確定直接凝集陰性→間接抗グロブリン試験でweak D除外
weak Dの輸血受血者にはD陰性血/供血者はD陽性扱い
日本人の不規則抗体抗Dは少なく抗Eなどが多い
D陽性の遺伝D陽性の親からD陰性児もありうる

第70回 午前90(公衆衛生学)

令和2(2020)年度傷病分類別医科診療医療費が最も多いのはどれか。

正答: ③循環器系の疾患

ポイント
我が国の傷病分類別医科診療医療費は高齢化を反映して循環器系の疾患が最も多く、令和2(2020)年度も最多で、次いで新生物(腫瘍)が続く。循環器系には高血圧性疾患・心疾患・脳血管疾患が含まれ、慢性に経過し長期の通院・服薬・入院を要するため医療費全体に占める割合が大きい。傷病分類別の医療費は国民医療費の統計で示される基本指標である。
●傷病分類別医科診療医療費の上位=循環器系の疾患・新生物(腫瘍)・筋骨格系及び結合組織の疾患。
●年齢階級別の医療費=高齢者(65歳以上)が国民医療費の約6割を占める。
●国民医療費の構成=医科診療・歯科診療・薬局調剤・入院時食事生活・訪問看護など。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:傷病分類別 医科診療医療費の構成割合(上位5分類)

順位傷病分類構成割合
1循環器系の疾患18.2%
2新生物〈腫瘍〉14.7%
3筋骨格系及び結合組織の疾患7.9%
4腎尿路生殖器系の疾患7.1%
5呼吸器系の疾患6.6%
令和4(2022)年度の国民医療費統計に基づく構成割合。テキストにも「例年、循環器系の疾患が最も多い傾向にある」と明記されている。設問(k70午前A90)は令和2(2020)年度データを問うものだが、同年度についても循環器系の疾患が最多で正解となっている(教科書もこの問題を最新の令和4年度データに基づく形に改変して掲載)。

第70回 午前91(公衆衛生学)

ノーマライゼーションで正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①社会的理解の促進・⑤ユニバーサルデザインの導入

ポイント
ノーマライゼーションは障害の有無にかかわらず誰もが地域で当たり前の生活を送れる社会を目指す理念で、障害者個人の心身機能を正常化するのではなく、社会の側の障壁(バリア)を取り除き理解を促すことを重視する。ユニバーサルデザインの導入や社会的理解の促進はこの理念に沿う取組みで、個別の給付や行政手続き自体は理念そのものを表すものではない。
●ノーマライゼーションに沿う取組み=社会的理解の促進・ユニバーサルデザイン・バリアフリー・社会参加の支援。
●関連理念=インクルージョン(包摂)・ソーシャルインクルージョン・自立生活運動。
●バリアの4分類=物理的・制度的・情報文化的・意識(心)のバリア。
●ユニバーサルデザイン=年齢・能力にかかわらず誰もが利用しやすい設計(7原則)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前92(公衆衛生学)

2021年の我が国の統計で正しいのはどれか。

正答: ③出生数は100万人を下回る。

ポイント
我が国は少子化が進行し、出生数は減少を続けて2021年には約81万人と100万人を大きく下回った。死亡数は高齢化に伴い増加傾向にあり、出生数を上回るため自然増減数(出生数−死亡数)はマイナスである。合計特殊出生率は1.3前後で推移し1.5を下回っている。人口動態統計の基本的な傾向を問う設問である。
●人口動態統計の指標=出生数・死亡数・自然増減数・婚姻数・離婚数・死産数。
●近年の傾向=出生数減少・死亡数増加・自然減の拡大・合計特殊出生率の低迷。
●合計特殊出生率=15〜49歳女性の年齢別出生率の合計(人口置換水準は約2.07)。
●死亡関連=死亡数増加の主因は高齢化、死因第1位は悪性新生物。

選択肢ごとの解説

第70回 午前93(公衆衛生学)

環境問題とその原因物質の組合せで正しいのはどれか。

正答: ④地下水汚染 — 六価クロム

ポイント
環境問題はその原因物質との対応が重要で、酸性雨は硫黄酸化物・窒素酸化物、地球温暖化は二酸化炭素などの温室効果ガス、オゾン層破壊はフロン類(クロロフルオロカーボン)が原因となる。地下水汚染の原因物質には六価クロムやトリクロロエチレン・テトラクロロエチレン・砒素・硝酸性窒素などがあり、土壌から地下水へ浸透して健康影響を起こす。六価クロムは有害な重金属で発がん性が問題となる。
●酸性雨=硫黄酸化物(SOx)・窒素酸化物(NOx)。
●地球温暖化=二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・フロン類(温室効果ガス)。
●オゾン層破壊=フロン類(クロロフルオロカーボン)・ハロン。
●地下水・土壌汚染=六価クロム・砒素・トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン・硝酸性窒素。
●光化学スモッグ=光化学オキシダント(窒素酸化物と炭化水素の光化学反応)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:環境問題と原因物質

環境問題主な原因物質
酸性雨硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)
大気汚染(環境基準物質)二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、微小粒子状物質〈PM2.5〉、光化学オキシダント、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、ダイオキシン類
地球温暖化二酸化炭素、メタン、フロン類等の温室効果ガス
オゾン層破壊フロン類(クロロフルオロカーボン)、ハロン
地下水・土壌汚染六価クロム、シアン化合物

第70回 午前94(公衆衛生学)

産業保健における許容濃度の定義で正しいのはどれか。

正答: ④労働者に健康上の悪影響が見られないと判断される濃度

ポイント
産業保健における許容濃度は、労働者が1日8時間・週40時間程度の労働を続けても、ほとんどの労働者に健康上の悪影響が現れないと判断される作業環境中の有害物質濃度を指す。日本産業衛生学会が勧告する目安であり、安全と危険を明確に二分する境界値ではなく個人差も考慮を要する。作業環境管理の良否を区分する管理濃度や、生体試料を測る生物学的許容値とは概念が異なる。
●許容濃度=労働者にほぼ健康影響が出ない作業環境中濃度(日本産業衛生学会勧告)。
●管理濃度=作業環境測定の評価で管理区分を決める行政上の指標(法令)。
●生物学的許容値=尿・血液中の代謝物などで曝露を評価する基準(生物学的モニタリング)。
●無毒性量(NOAEL)=動物試験で有害影響が認められない最大投与量。
●関連=TLV(米国産業衛生専門家会議の許容限界値)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前95(医用工学概論)

ヤング率〈縦弾性率〉が最も大きいのはどれか。

正答: ②腱(引っ張り)

ポイント
ヤング率(縦弾性率)は引っ張りに対する変形しにくさを示し、値が大きいほど硬く伸びにくい。生体組織では膠原(コラーゲン)線維が密に配列する腱が最も伸びにくくヤング率が大きく、骨に次ぐ硬さをもつ。筋・血管壁・肺胞などは弾性線維に富み柔らかいためヤング率は小さい。応力とひずみの比として材料の力学的性質を表す指標である。
●ヤング率(縦弾性率)=応力/ひずみ(引っ張り変形のしにくさ、単位はパスカル)。
●生体組織のヤング率の概略順=骨>腱・靱帯(コラーゲン)>筋>血管>肺・脂肪。
●関連弾性率=ずり弾性率(剛性率)・体積弾性率。
●コラーゲンに富む組織=腱・靱帯・骨・皮膚真皮。

選択肢ごとの解説

第70回 午前96(医用工学概論)

図の回路で点Aの電圧はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA096.9b8e817acc.jpg
第70回 午前96 の図

正答: ③5.0 V

ポイント
基準点を0Vとすると、図の電池の極性から上側の枝の左端は+10V、下側の枝の左端は+5Vである。点Aの電位をVとし、点Aから各枝へ流れ出す電流の和を0とすると、(V−10)/50+V/50+(V−5)/25=0。両辺を50倍して4V−20=0となり、V=5.0Vを得る。
●節点での電流の総和は0(キルヒホッフの電流則)。
●各枝の電流は両端の電位差を抵抗で割って求める。
●本回路では、下側25Ωの両端はともに5Vとなるため、その枝には電流が流れない。

選択肢ごとの解説

第70回 午前97(医用工学概論)

電圧増幅度がそれぞれ4倍、10倍、100倍の増幅器を直列に接続したとき総合した増幅度[dB]はどれか。

正答: ⑤72

ポイント
増幅器を直列(縦続)接続すると総合の電圧増幅度は各段の増幅度の積で表され、デシベル表示では各段の利得[dB]の和となる。電圧比のデシベルは20×log10(増幅度)で計算する。4倍は約12dB、10倍は20dB、100倍は40dBであり、合計は約72dBとなる。対数を使うと積の計算が和に置き換わる。
●電圧比のデシベル=20×log10(電圧増幅度)。
●電力比のデシベル=10×log10(電力増幅度)。
●代表値=2倍≒6dB・10倍=20dB・100倍=40dB・1000倍=60dB。
●縦続接続=増幅度は積、利得[dB]は和。

選択肢ごとの解説

第70回 午前98(医用工学概論)

ミクロショック対策を目的としているのはどれか。2つ選べ。

正答: ②等電位接地・④CF形装着部

ポイント
ミクロショックは心臓に直接装着したカテーテルや電極を介して微小電流が心筋に直接流れ、わずか数十マイクロアンペアでも心室細動を起こす危険である。対策には患者周囲の金属・機器を同電位に保ち電位差をなくす等電位接地と、患者漏れ電流を極めて低く抑え心臓への直接適用が許されるCF形装着部の使用が有効である。体表に流れるマクロショック対策の保護接地や非接地配線方式とは目的が異なる。
●ミクロショック対策=等電位接地・CF形装着部(心臓直接適用可)。
●マクロショック対策=保護接地(3Pプラグ)・非接地配線方式・漏れ電流の抑制。
●装着部の分類=B形・BF形(フローティング)・CF形(心臓適用、最も漏れ電流が小)。
●非接地配線方式=絶縁監視装置付き、1点地絡でも電源継続。
●無停電電源=停電時の電源確保が目的(感電対策ではない)。

選択肢ごとの解説

第70回 午前99(医用工学概論)

情報の概念で誤っているのはどれか。

正答: ⑤2バイトでは10万種類以上の文字が扱える。

ポイント
コンピュータは情報を2進数(0と1)で表し、1ビットは0か1の1桁、8ビットが1バイトである。本問では、従来の慣用表記に従い1KB=1024Bとして扱う。厳密には、SIの1kBは1000B、2進接頭語の1KiBは1024Bである。2バイトは16ビットで、表現できる組合せは2の16乗=65536種類であり、10万種類には届かない。情報量の基礎的な単位と桁数を問う設問である。
●情報量の単位=ビット(2進1桁)・バイト(8ビット)・キロ/メガ/ギガ(2進では2の10乗刻み)。
●ビット数と表現可能数=nビットで2のn乗通り(8ビット=256、16ビット=65536)。
●文字コード=ASCII(7ビット)・シフトJIS/EUC(2バイト)・Unicode(UTF-8/UTF-16)。
●2進・10進・16進の変換=桁の重み(2のn乗、16のn乗)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:べき乗による情報量・組合せ数の計算

例計算結果
6ビット(2進数6桁)2の6乗64通り
9ビット(2進数9桁)2の9乗512通り(300種類の区別に必要な最小ビット数)
10ビット(2進数10桁)2の10乗1,024通り(1キロバイト=1,024バイト)
16ビット(2バイト)2の16乗65,536通り
8bit AD変換器(0〜2.5V)の分解能2.5V ÷ 2の8乗(256)約9.8mV(≒10mV)
DNA塩基3個の配列(A・C・G・Tの4種類)4の3乗64通り(コドン、情報量はlog2 64=6bit)
nビットの2進数では2のn乗通り、n種類の記号をr桁並べる場合はnのr乗通りの組合せを表現できる。

第70回 午前100(医用工学概論)

コンピュータに接続した複数の端末を用いて処理を行うシステムはどれか。2つ選べ。

正答: ①分散処理・⑤タイムシェアリングシステム〈TSS〉

ポイント
複数の端末をコンピュータに接続して処理する形態には、処理を複数の装置に分担させる分散処理と、1台のコンピュータを時分割(タイムスライス)して多数の端末が同時に共同利用するタイムシェアリングシステム(TSS)がある。これに対しバッチ処理はデータをまとめて一括処理する方式、オンラインシステムは端末と中央装置を通信回線で結ぶ接続形態、リアルタイムシステムは入力に即時応答する処理を指す概念である。
●複数端末での処理形態=分散処理(処理を分担)・タイムシェアリングシステム(時分割共同利用)。
●処理の方式=バッチ処理(一括)・リアルタイム処理(即時応答)・対話処理。
●接続・利用形態=オンライン(回線接続)・オフライン・クライアントサーバ・集中処理/分散処理。
●関連概念=マルチタスク・マルチユーザ・並列処理。

選択肢ごとの解説