第70回(2024) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第70回 午前51(病理組織細胞学)
腎近位尿細管の刷子縁に一致する電子顕微鏡像はどれか。
- ①線毛
- ②微絨毛
- ③ゴルジ装置
- ④粗面小胞体
- ⑤ミトコンドリア
正答: ②微絨毛
ポイント
腎近位尿細管の管腔側細胞膜には微絨毛が密に並び、光学顕微鏡で刷子縁(brush border)として観察される。微絨毛は表面積を著しく拡大して水・電解質・糖・アミノ酸などの再吸収を高める指状の突起で、電子顕微鏡では均一な長さの細い突起が密集する像を示す。内部に運動装置である微小管(9+2構造)を欠く点で線毛と区別される。●管腔側の細胞表面構造=微絨毛(刷子縁/吸収面の拡大)・線毛(9+2微小管/協調運動)・不動毛(精巣上体など)。●細胞内小器官=ゴルジ装置(分泌物の修飾・選別)・粗面小胞体(蛋白合成)・滑面小胞体(脂質・ステロイド合成)・ミトコンドリア(エネルギー産生)。●刷子縁が目立つ部位=近位尿細管・小腸吸収上皮。
選択肢ごとの解説
- ① 線毛は内部に9+2配列の微小管を持ち協調運動する突起で、気道上皮や卵管などにみられるが、近位尿細管の刷子縁の実体ではない。
- ② 正しい。刷子縁は再吸収面積を拡大する微絨毛が密に配列したもので、電子顕微鏡で密集する細い指状突起として観察される。
- ③ ゴルジ装置は核近傍にある扁平な膜嚢の集積で、分泌物の修飾・輸送を担う細胞内小器官であり、管腔表面の構造ではない。
- ④ 粗面小胞体はリボソームが付着した膜系で蛋白合成の場であり、細胞質内に存在し刷子縁を構成しない。
- ⑤ ミトコンドリアは細胞質内のエネルギー産生小器官で、近位尿細管には豊富だが管腔側の刷子縁そのものではない。
第70回 午前52(病理組織細胞学)
神経組織で正しいのはどれか。
- ①稀突起膠細胞をニューロンと呼ぶ。
- ②小膠細胞は末梢神経系に存在する。
- ③星状膠細胞は末梢神経系に存在する。
- ④樹状突起は受容した興奮を神経細胞体に伝える。
- ⑤ランヴィエ〈Ranvier〉の絞輪はシナプス間隙に存在する。
正答: ④樹状突起は受容した興奮を神経細胞体に伝える。
ポイント
神経系はニューロン(神経細胞)と支持細胞であるグリア(神経膠)細胞からなる。ニューロンでは樹状突起が他細胞からの興奮を受けて細胞体へ伝え、軸索が興奮を末端へ送る。グリアのうち稀突起膠細胞・星状膠細胞・小膠細胞は中枢神経系に、シュワン細胞は末梢神経系に存在する。ランヴィエの絞輪は有髄線維で髄鞘が途切れる部位で跳躍伝導を担う。●中枢神経系のグリア=星状膠細胞(支持・血液脳関門)・稀突起膠細胞(中枢の髄鞘形成)・小膠細胞(貪食・免疫)・上衣細胞(脳室面)。●末梢神経系のグリア=シュワン細胞(末梢の髄鞘形成)・衛星細胞(神経節)。●ニューロンの構造=樹状突起(求心性入力)・細胞体・軸索(遠心性出力)・シナプス(神経間接合)。
選択肢ごとの解説
- ① 稀突起膠細胞は中枢神経系で軸索に髄鞘を形成するグリア細胞であり、ニューロンとは別の細胞である。
- ② 小膠細胞(ミクログリア)は中枢神経系の貪食・免疫を担うグリアで、末梢神経系には存在しない。
- ③ 星状膠細胞(アストロサイト)は中枢神経系の支持・血液脳関門形成を担うグリアで、末梢神経系には存在しない。
- ④ 正しい。樹状突起は他のニューロンなどから受容した興奮(シナプス入力)を神経細胞体へ向けて伝える。
- ⑤ ランヴィエの絞輪は有髄線維で髄鞘が途切れて跳躍伝導を可能にする部位であり、ニューロン間の接合部であるシナプス間隙とは別物である。
第70回 午前53(病理組織細胞学)
腹水の原因で誤っているのはどれか。
- ①腹膜炎
- ②高蛋白血症
- ③門脈圧亢進症
- ④リンパ管閉塞
- ⑤うっ血性心不全
正答: ②高蛋白血症
ポイント
腹水は腹腔内に液体が貯留する状態で、機序により漏出液と滲出液に大別される。漏出性腹水は門脈系の静水圧上昇(門脈圧亢進)と血漿膠質浸透圧の低下が主因で、肝硬変ではこの両者が関与する。膠質浸透圧は血漿アルブミンが担うため、低蛋白(低アルブミン)血症で腹水を生じやすく、逆に高蛋白血症は腹水の原因とはならない。●漏出性腹水の機序=静水圧上昇(門脈圧亢進症・うっ血性心不全)・膠質浸透圧低下(低アルブミン血症・ネフローゼ症候群・肝硬変)。●滲出性腹水=炎症による血管透過性亢進(腹膜炎・癌性腹膜炎)。●特殊な腹水=乳び腹水(リンパ管閉塞)・血性腹水(悪性腫瘍・外傷)。
選択肢ごとの解説
- ① 腹膜炎では炎症による血管透過性亢進で蛋白に富む滲出性腹水が生じ、腹水の原因となる。
- ② 誤り。血漿膠質浸透圧を保つのはアルブミンで、低蛋白血症が腹水を招く。高蛋白血症は膠質浸透圧を高める方向で、腹水の原因とはならない。
- ③ 門脈圧亢進症では門脈系の静水圧上昇により血管外へ水分が漏出し、漏出性腹水を生じる。
- ④ リンパ管閉塞では乳びを含むリンパ液が腹腔へ漏れ、乳び腹水の原因となる。
- ⑤ うっ血性心不全では全身静脈圧の上昇と静水圧亢進により漏出性の腹水・浮腫を生じる。
第70回 午前54(病理組織細胞学)
細胞死で正しいのはどれか。
- ①壊疽は可逆的である。
- ②乾酪壊死は脳梗塞で起こる。
- ③融解壊死は心筋梗塞で起こる。
- ④凝固壊死は脂質に富んだ臓器に多い。
- ⑤アポトーシスは発生過程で生理的にみられる。
正答: ⑤アポトーシスは発生過程で生理的にみられる。
ポイント
細胞死には病的なネクローシス(壊死)と、遺伝子に制御された生理的なアポトーシスがある。壊死は不可逆で、形態から凝固壊死・融解壊死・乾酪壊死などに分けられる。凝固壊死は虚血(心筋梗塞など)で蛋白に富む臓器に多く、融解壊死は脂質に富む脳の梗塞でみられる。アポトーシスは胎生期の指間組織の消退など発生過程で生理的に起こる。●壊死の形態分類=凝固壊死(心筋梗塞・腎梗塞)・融解壊死(脳梗塞・膿瘍)・乾酪壊死(結核)・脂肪壊死(急性膵炎)・フィブリノイド壊死(血管炎)。●壊疽=壊死に二次変化が加わった病態(乾性壊疽・湿性壊疽・ガス壊疽)。●アポトーシスの特徴=細胞縮小・核濃縮・断片化・炎症を伴わない・カスパーゼ依存性。
選択肢ごとの解説
- ① 壊疽は壊死に細菌感染や乾燥などの二次変化が加わった不可逆的な細胞死で、可逆的ではない。
- ② 乾酪壊死は結核に代表される肉芽腫性炎でみられる壊死であり、脳梗塞で起こるのは融解壊死である。
- ③ 融解壊死は脂質に富む脳の梗塞でみられ、心筋梗塞で起こるのは凝固壊死である。
- ④ 凝固壊死は虚血により蛋白が凝固して組織構築が保たれる壊死で、蛋白に富む心筋などに多く、脂質に富む脳では融解壊死となる。
- ⑤ 正しい。アポトーシスは遺伝子に制御された細胞死で、胎生期の指間組織の消退など発生過程で生理的にみられる。
第70回 午前55(病理組織細胞学)
石灰沈着を伴いやすい腫瘍はどれか。
正答: ②髄膜腫
ポイント
腫瘍内の石灰化は変性・壊死部へのカルシウム沈着や、層状の砂粒小体(psammoma body)として生じる。砂粒小体を伴いやすいのは髄膜腫・甲状腺乳頭癌・卵巣漿液性腫瘍などで、髄膜腫では同心円状の渦巻き構造(meningothelial whorl)の中心に層状の石灰化がみられる。●砂粒小体を伴いやすい腫瘍=髄膜腫・甲状腺乳頭癌・卵巣漿液性腺癌。●石灰化を伴いやすい病変=乳癌(微小石灰化)・骨化を伴う骨肉腫・陳旧性壊死巣・結核巣。●良性腫瘍の例=脂肪腫(成熟脂肪)・平滑筋腫・血管腫。
選択肢ごとの解説
- ① 脂肪腫は成熟脂肪細胞からなる良性腫瘍で、石灰沈着を特徴とはしない。
- ② 正しい。髄膜腫は同心円状の渦巻き構造に砂粒小体(層状の石灰化)を伴いやすく、画像でも石灰化がみられる。
- ③ 肝細胞癌は通常石灰化を伴わず、脂肪変性や血流豊富な像を呈する。
- ④ 子宮頸癌は扁平上皮癌などが主体で、石灰沈着を特徴とする腫瘍ではない。
- ⑤ 悪性黒色腫はメラニン産生を特徴とする悪性腫瘍で、石灰沈着を伴いやすい腫瘍ではない。
第70回 午前56(病理組織細胞学)
化膿性炎で多数認められる細胞はどれか。
正答: ③好中球
ポイント
化膿性炎は細菌感染などで好中球が主体となって滲出する急性炎症で、死滅した好中球・組織融解物・菌が混じった膿を形成する。好中球は細菌の貪食と殺菌を担い、炎症の初期に最初に集積する白血球である。●炎症の主体細胞による分類=化膿性炎(好中球)・慢性炎症/肉芽腫(マクロファージ・リンパ球・形質細胞)・アレルギー性/寄生虫(好酸球)・ウイルス感染(リンパ球)。●化膿性炎の形態=膿瘍(限局性膿貯留)・蜂窩織炎(びまん性)・蓄膿。●代表的化膿菌=黄色ブドウ球菌・化膿レンサ球菌・大腸菌・緑膿菌。
選択肢ごとの解説
- ① 形質細胞は抗体を産生するBリンパ球由来の細胞で、慢性炎症や免疫反応の場で増加する。
- ② 好酸球はアレルギー反応や寄生虫感染で増加する細胞で、化膿性炎の主体ではない。
- ③ 正しい。化膿性炎では細菌を貪食・殺菌する好中球が多数滲出し、膿を形成する。
- ④ 組織球(マクロファージ)は慢性炎症や肉芽腫で主体となる貪食細胞で、急性化膿性炎の主役ではない。
- ⑤ リンパ球はウイルス感染や慢性炎症で増加する細胞で、化膿性炎で多数を占める細胞ではない。
第70回 午前57(病理組織細胞学)
内分泌機能を有するのはどれか。
正答: ③膵臓
ポイント
内分泌機能とはホルモンを血中へ分泌し全身に作用させる働きを指す。膵臓はランゲルハンス島でインスリン・グルカゴン・ソマトスタチンなどを分泌する内分泌機能と、消化酵素を腸へ出す外分泌機能を併せ持つ臓器である。●内分泌腺=下垂体・甲状腺・副甲状腺・副腎・膵島・性腺。●内分泌機能を併せ持つ臓器=膵臓(膵島)・腎臓(エリスロポエチン・レニン)・心臓(ナトリウム利尿ペプチド)・消化管(ガストリン・セクレチン)。●外分泌腺=唾液腺・汗腺・膵外分泌部。
選択肢ごとの解説
- ① 肺はガス交換を担う器官で、ホルモンを分泌する内分泌器官ではない。
- ② 子宮は受精卵の着床・胎児発育の場であり、性ホルモンの標的臓器ではあるがホルモンを分泌する内分泌器官ではない。
- ③ 正しい。膵臓はランゲルハンス島からインスリンなどのホルモンを血中へ分泌する内分泌機能を有する。
- ④ 脾臓は赤血球の処理や免疫を担うリンパ系器官で、内分泌機能はない。
- ⑤ 膀胱は尿を貯留する器官で、ホルモン分泌を行う内分泌器官ではない。
第70回 午前58(病理組織細胞学)
FISH法で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①標本は永久標本となる。
- ②遺伝子増幅の検出に用いる。
- ③染色体転座の検出に用いる。
- ④観察には偏光顕微鏡を用いる。
- ⑤核はフルオレセインイソチオシアネート〈FITC〉で染色する。
正答: ②遺伝子増幅の検出に用いる。・③染色体転座の検出に用いる。
ポイント
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は蛍光標識したDNAプローブを標的塩基配列に結合させ、蛍光顕微鏡で特定の遺伝子・染色体領域を検出する手法である。シグナル数の増加から遺伝子増幅を、融合シグナルや分離シグナルから染色体転座(遺伝子再構成)を判定でき、間期核でも分裂中期核でも解析できる。蛍光色素は経時的に退色するため永久標本にはならない。●FISHの用途=遺伝子増幅(HER2など)・染色体転座/融合遺伝子(BCR-ABL1など)・欠失/微小欠失・コピー数評価・性染色体判定。●標識色素=フルオレセインイソチオシアネート(FITC)・ローダミン系・テキサスレッド、核対比染色はDAPI。●類縁手法=免疫組織化学(IHC)・in situ hybridization(ISH)・染色体G分染法。
選択肢ごとの解説
- ① 蛍光色素は経時的に退色するため、FISH標本は永久標本にはならず保存性に限界がある。
- ② 正しい。HER2など特定遺伝子のシグナル数増加を検出でき、遺伝子増幅の判定に用いる。
- ③ 正しい。融合シグナルや分離シグナルの出現から染色体転座(遺伝子再構成)を検出できる。
- ④ 観察には蛍光顕微鏡を用いる。偏光顕微鏡は複屈折物質(アミロイドなど)の観察に用いる装置でFISHには使わない。
- ⑤ FITCはプローブの標識色素として標的配列を可視化するために用いるもので、核全体を染める色素ではなく、核の対比染色にはDAPIなどを用いる。
第70回 午前59(臨床血液学)
播種性血管内凝固〈DIC〉で上昇するのはどれか。
- ①PIVKA-Ⅱ
- ②D-ダイマー
- ③プロテインC
- ④アンチトロンビン
- ⑤プラスミンインヒビター
正答: ②D-ダイマー
ポイント
播種性血管内凝固(DIC)は全身の微小血管で凝固が活性化して血栓が多発し、凝固因子・血小板が消費される一方、二次線溶が亢進する病態である。線溶亢進により安定化フィブリンが分解されてフィブリン分解産物(FDP)とD-ダイマーが上昇し、凝固制御因子のアンチトロンビン・プロテインCや線溶阻害因子は消費されて低下する。●DICで上昇=FDP・D-ダイマー・トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)・プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)。●DICで低下=血小板・フィブリノゲン・アンチトロンビン・プロテインC・α2プラスミンインヒビター。●他のマーカーの意義=PIVKA-Ⅱ(ビタミンK欠乏・肝細胞癌)。
選択肢ごとの解説
- ① PIVKA-ⅡはビタミンK欠乏や肝細胞癌で上昇する異常プロトロンビンで、DICの上昇マーカーではない。
- ② 正しい。D-ダイマーは安定化フィブリンがプラスミンで分解された産物で、DICの線溶亢進を反映して上昇する。
- ③ プロテインCは凝固を抑制する制御因子で、DICでは消費されて低下する。
- ④ アンチトロンビンはトロンビンなどを阻害する制御因子で、DICでは消費により低下する。
- ⑤ プラスミンインヒビター(α2プラスミンインヒビター)は線溶を抑える因子で、DICの線溶亢進で消費され低下する。
第70回 午前60(臨床血液学)
末梢血の好中球数が増加するのはどれか。
- ①アルコール中毒
- ②伝染性単核球症
- ③アレルギー性鼻炎
- ④急性骨髄性白血病
- ⑤副腎皮質ステロイド薬投与
正答: ⑤副腎皮質ステロイド薬投与
ポイント
好中球は感染や炎症、ストレス、薬剤などで増加する。副腎皮質ステロイドは骨髄からの放出促進、血管壁辺縁プールからの動員、組織への遊出抑制により末梢血の好中球数を増やす。一方アルコール中毒では骨髄抑制で減少傾向、伝染性単核球症ではリンパ球が、アレルギー疾患では好酸球が主に増加する。●好中球増加の原因=細菌感染・急性炎症・組織壊死・副腎皮質ステロイド/G-CSF投与・身体的ストレス・慢性骨髄性白血病。●好中球減少の原因=重症感染・再生不良性貧血・抗癌薬/放射線・アルコール中毒・無顆粒球症。●他系統の増加=リンパ球(伝染性単核球症・百日咳)・好酸球(アレルギー・寄生虫)。
選択肢ごとの解説
- ① アルコール中毒では骨髄抑制や栄養障害で白血球はむしろ減少傾向となる。
- ② 伝染性単核球症はEpstein-Barrウイルス感染による疾患で、異型リンパ球を伴うリンパ球増加が特徴である。
- ③ アレルギー性鼻炎はⅠ型アレルギーで好酸球が増加し、好中球増加の原因ではない。
- ④ 急性骨髄性白血病では芽球が増殖し、成熟好中球はむしろ減少することが多い。
- ⑤ 正しい。副腎皮質ステロイドは骨髄からの放出促進と辺縁プールの動員、組織への遊出抑制で末梢血好中球数を増加させる。
第70回 午前61(臨床血液学)
アミノ基転移酵素活性を有するのはどれか。
- ①トロンビン
- ②プラスミン
- ③活性化第Ⅹ因子
- ④活性化第ⅩⅢ因子
- ⑤活性化プロテインC
正答: ④活性化第ⅩⅢ因子
ポイント
血液凝固の最終段階で安定化フィブリンを作るのは活性化第ⅩⅢ因子で、トランスグルタミナーゼ活性によりフィブリン鎖のグルタミン残基とリジン残基をアミド(イソペプチド)結合で架橋する。この架橋反応により、可溶性フィブリンが不溶性の安定化フィブリンへ変換される。他の凝固・線溶因子は蛋白を切断するセリンプロテアーゼである。●セリンプロテアーゼ型の凝固/線溶因子=トロンビン・第Ⅹa因子・第Ⅸa因子・プラスミン・活性化プロテインC。●トランスグルタミナーゼ=第ⅩⅢ因子(フィブリン架橋)。●制御因子=アンチトロンビン・プロテインC/S・組織因子経路インヒビター(TFPI)。
選択肢ごとの解説
- ① トロンビンはフィブリノゲンを切断してフィブリンを生成するセリンプロテアーゼで、架橋酵素活性は持たない。
- ② プラスミンはフィブリンを分解する線溶系のセリンプロテアーゼで、架橋反応は触媒しない。
- ③ 活性化第Ⅹ因子はプロトロンビンをトロンビンへ変換するセリンプロテアーゼである。
- ④ 正しい。活性化第ⅩⅢ因子はトランスグルタミナーゼとしてフィブリン鎖を架橋し、安定化フィブリンを形成する。
- ⑤ 活性化プロテインCは第Ⅴa・第Ⅷa因子を分解して凝固を抑制する制御因子であり、架橋酵素ではない。
📋 まとめの表を見る:血液凝固因子と凝固制御因子
※プロテインC・プロテインS・アンチトロンビン・組織因子経路インヒビターは凝固を抑える抗凝固(凝固制御)因子で、凝固因子には含まれない。
第70回 午前62(臨床血液学)
赤血球に関する記載で正しいのはどれか。
- ①エリスロポエチンは肝臓で産生される。
- ②前赤芽球は正染性赤芽球よりも大きい。
- ③健常者の赤血球寿命は約80日である。
- ④網赤血球は成熟赤血球よりも小さい。
- ⑤老化につれて赤血球変形能が高まる。
正答: ②前赤芽球は正染性赤芽球よりも大きい。
ポイント
赤芽球は前赤芽球から好塩基性・多染性・正染性赤芽球へと成熟するにつれて細胞・核ともに小さくなり、核は最終的に脱核する。脱核直後の網赤血球はリボソーム残存のため成熟赤血球よりやや大きく、加齢に伴い赤血球膜の変形能は低下する。エリスロポエチンは主に腎臓で産生され、健常者の赤血球寿命は約120日である。●赤芽球の成熟=前赤芽球→好塩基性→多染性→正染性赤芽球→脱核→網赤血球→成熟赤血球(成熟とともに小型化・核濃縮)。●エリスロポエチン=成人では腎尿細管周囲間質細胞が低酸素に応じて産生(胎児期は主に肝臓で産生され、出生後に腎臓へ移行)。●赤血球の数値=寿命約120日・変形能は老化で低下し脾で処理。
選択肢ごとの解説
- ① エリスロポエチンは成人では主に腎臓(尿細管周囲間質細胞)で低酸素に応じて産生される。胎児期には主に肝臓で産生され、成人でも肝臓は少量を産生するが主産生臓器ではない。
- ② 正しい。赤芽球は成熟に伴い小型化するため、最も未熟な前赤芽球は正染性赤芽球より大きい。
- ③ 健常者の赤血球寿命は約120日であり、約80日ではない。
- ④ 網赤血球はリボソーム残存のため成熟赤血球よりやや大きく、小さくはない。
- ⑤ 赤血球は老化につれて膜の変形能が低下し脾臓で破壊されやすくなるため、高まることはない。
📋 まとめの表を見る:赤芽球(赤血球系)の分化・成熟段階
成熟につれ細胞・核とも小型化する。巨赤芽球性貧血ではDNA合成障害により核の成熟が遅れ、細胞質(ヘモグロビン合成)との間に成熟解離(不均衡)を生じる。
第70回 午前63(臨床血液学)
骨髄塗抹標本で正しいのはどれか。
- ①正常赤芽球はPAS染色陽性である。
- ②健常成人骨髄像では鉄芽球が認められない。
- ③前骨髄球はペルオキシダーゼ染色陰性である。
- ④健常成人骨髄像ではM/E比は10以上である。
- ⑤単球のエステラーゼ反応はフッ化ナトリウムによって阻害される。
正答: ⑤単球のエステラーゼ反応はフッ化ナトリウムによって阻害される。
ポイント
骨髄の細胞は各種特殊染色で識別する。単球とその系統は非特異的エステラーゼ染色が陽性となり、その反応はフッ化ナトリウムで阻害される点が顆粒球系との鑑別に用いられる。健常成人の骨髄は鉄染色で鉄顆粒を持つ鉄芽球を一定数含み、M/E比(顆粒球系/赤芽球系比)はおおむね2〜4である。●ペルオキシダーゼ染色=顆粒球系陽性(前骨髄球以降)・単球弱陽性・リンパ球陰性。●非特異的エステラーゼ=単球系陽性でフッ化ナトリウムにより阻害。●PAS染色=正常赤芽球陰性、赤白血病の異常赤芽球で陽性。●鉄染色=鉄芽球/環状鉄芽球(鉄芽球性貧血)の評価。
選択肢ごとの解説
- ① 正常赤芽球はPAS染色陰性で、陽性化は赤白血病など異常赤芽球でみられる。
- ② 健常成人骨髄でも鉄染色で鉄顆粒を持つ鉄芽球が一定数認められる。
- ③ 前骨髄球は顆粒を多く持ちペルオキシダーゼ染色は陽性である。
- ④ 健常成人骨髄のM/E比はおおむね2〜4で、10以上は顆粒球系の著明な増加など異常を示す。
- ⑤ 正しい。単球系の非特異的エステラーゼ反応はフッ化ナトリウムで阻害され、顆粒球系との鑑別に用いられる。
📋 まとめの表を見る:血液細胞化学染色(特殊染色)の目的・判定・臨床意義
📋 まとめの表を見る:骨髄検査における基準的な値
第70回 午前64(臨床血液学)
自動血球計数器法で赤血球ヒストグラムを別に示す。赤血球125万/µL、Hb 7.5 g/dL、Ht 15%で矢印の所見が認められた。可能性があるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA064.a81d58e271.jpg

- ①高血糖
- ②巨大血小板
- ③破砕赤血球
- ④寒冷凝集素症
- ⑤高ビリルビン血症
正答: ④寒冷凝集素症
ポイント
寒冷凝集素症では低温で赤血球が凝集塊を作り、自動血球計数器がこれを大型の単一粒子と誤認するため赤血球数が偽低値、平均赤血球容積(MCV)が偽高値となり、ヘマトクリットとの不一致が生じる。設問の赤血球125万/µL・Hb 7.5 g/dL・Ht 15%という値はこの不一致を示し、赤血球ヒストグラムには通常域より右側(大粒子側)へずれた異常成分が現れる。検体を37℃に加温して再検すると是正される。●寒冷凝集素症=マイコプラズマ感染・伝染性単核球症・リンパ増殖性疾患に随伴、IgM寒冷凝集素が原因。●ヒストグラム異常=赤血球凝集(大粒子側)・破砕赤血球/小球性(小粒子側)・二峰性(輸血後・鉄剤治療中)。●偽値の原因=寒冷凝集(RBC偽低値・MCV偽高値)・高WBC/巨大血小板による干渉。
選択肢ごとの解説
- ① 高血糖は浸透圧変化で赤血球容積に影響しうるが、矢印で示すような凝集を反映するヒストグラム所見の主因ではない。
- ② 巨大血小板は血小板ヒストグラムの高容積側に影響するが、赤血球数の偽低値と凝集像の説明にはなりにくい。
- ③ 破砕赤血球は小型断片として小粒子側に現れる所見で、大型側へずれる凝集の所見とは合わない。
- ④ 正しい。寒冷凝集素症では低温で赤血球が凝集し、計数器が大粒子と誤認して赤血球数低値・ヒストグラム異常を示し、加温で是正される。
- ⑤ 高ビリルビン血症は血漿の色調に影響するが、赤血球凝集によるヒストグラム異常の原因ではない。
📋 まとめの表を見る:自動血球計数装置における主な偽値(測定誤差)要因
第70回 午前65(臨床血液学)
シリンジで採血を行い、止血処置の間にしばらく立てて静置した。その状況の写真を別に示す。そのままシリンジを転倒混和せず、複数の血算用の試験管に分注した。最後の試験管に比べて最初の試験管で測定値が大きくなる可能性の最も高いのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA065.898ccc66cc.jpg

- ①単球数
- ②血小板数
- ③好中球数
- ④赤血球数
- ⑤リンパ球数
正答: ④赤血球数
ポイント
採血後に転倒混和せず静置すると、比重の大きい赤血球が下方へ沈降して上層に血漿、下層に赤血球が濃縮した状態になる。混和しないままシリンジ先端側から分注すると、最初の試験管に赤血球が偏って多く入り赤血球数が高値となり、後の試験管ほど赤血球が少なくなる。●血液成分の比重(大→小)=赤血球>顆粒球>単球>リンパ球>血小板で、沈降すると下層が赤血球層、中間が白血球層(バフィーコート)、上層が血漿。●静置・混和不良による誤差=赤血球数/ヘマトクリットの分注差・凝集塊形成。●正しい取り扱い=採血後すみやかに転倒混和し均一化してから分注。
選択肢ごとの解説
- ① 単球は血漿中に分散し沈降の影響が小さく、最初の試験管で特に高値になる細胞ではない。
- ② 血小板は比重が小さく上層に残りやすいため、最初に出る下層側で高値になる対象ではない。
- ③ 好中球は白血球層(バフィーコート)を作るが、赤血球ほどの量的偏りは生じにくい。
- ④ 正しい。沈降した赤血球がシリンジ先端側に集まり、最初に分注する試験管で赤血球数が高くなる。
- ⑤ リンパ球も白血球層に位置し、赤血球ほど大きな分注差は生じにくい。
第70回 午前66(臨床血液学)
血清に含まれないのはどれか。
- ①アルブミン
- ②γ-グロブリン
- ③ハプトグロビン
- ④フィブリノゲン
- ⑤トランスフェリン
正答: ④フィブリノゲン
ポイント
血清は全血を凝固させた後の上清で、凝固の過程でフィブリノゲンがフィブリンへ変換されて消費されるため、血清にはフィブリノゲンが含まれない。一方、抗凝固剤で凝固を止めた血漿にはフィブリノゲンが残り、これが血清と血漿の主たる違いである。アルブミンやグロブリン、輸送蛋白などは血清にも血漿にも含まれる。●血清=血漿からフィブリノゲンと凝固因子の一部を除いたもの(凝固後の上清)。●血漿=抗凝固剤で凝固を止めた上清でフィブリノゲンを含む。●主要血漿蛋白=アルブミン・グロブリン(α/β/γ)・ハプトグロビン・トランスフェリン・フィブリノゲン・補体。
選択肢ごとの解説
- ① アルブミンは肝臓で合成される主要な血漿蛋白で、血清にも含まれる。
- ② γ-グロブリンは免疫グロブリンを含む分画で、血清にも含まれる。
- ③ ハプトグロビンは遊離ヘモグロビンと結合する血漿蛋白で、血清にも含まれる。
- ④ 正しい。フィブリノゲンは凝固でフィブリンへ変換され消費されるため、血清には含まれない。
- ⑤ トランスフェリンは鉄を運搬する血漿蛋白で、血清にも含まれる。
第70回 午前67(臨床血液学)
造血器腫瘍患者の骨髄血を用いた染色体核型(G分染法)の結果を別に示す。異常が認められた染色体を矢印で示す。想定される遺伝子異常はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA067.a57f7563db.jpg

- ①BCR-ABL1
- ②CBFB-MYH11
- ③ETV6-RUNX1
- ④PML-RARA
- ⑤RUNX1-RUNX1T1
正答: ②CBFB-MYH11
ポイント
造血器腫瘍は特徴的な染色体異常と融合遺伝子を伴う。inv(16)またはt(16;16)はCBFB-MYH11融合を生じ、骨髄中に異常好酸球を伴う急性骨髄性白血病(FAB分類M4Eo)に対応する。設問のG分染法でinv(16)が示されていればCBFB-MYH11が想定される。●急性骨髄性白血病の融合遺伝子=CBFB-MYH11[inv(16)/t(16;16)・M4Eo]・RUNX1-RUNX1T1[t(8;21)]・PML-RARA[t(15;17)・急性前骨髄球性白血病]。●慢性骨髄性白血病=BCR-ABL1[t(9;22)・フィラデルフィア染色体]。●小児急性リンパ性白血病=ETV6-RUNX1[t(12;21)]。
選択肢ごとの解説
- ① BCR-ABL1はt(9;22)(フィラデルフィア染色体)で生じ、慢性骨髄性白血病などに対応する。
- ② 正しい。inv(16)/t(16;16)はCBFB-MYH11融合を生じ、異常好酸球を伴う急性骨髄性白血病に対応する。
- ③ ETV6-RUNX1はt(12;21)で生じ、小児B細胞性急性リンパ性白血病に多い。
- ④ PML-RARAはt(15;17)で生じ、急性前骨髄球性白血病に対応する。
- ⑤ RUNX1-RUNX1T1はt(8;21)で生じる急性骨髄性白血病の融合遺伝子である。
📋 まとめの表を見る:急性骨髄性白血病〈AML〉のFAB分類と特徴
急性リンパ性白血病(ALL)はMPO陰性(3%未満)で鑑別する。染色体異常・融合遺伝子は既存の『白血病の染色体異常と融合遺伝子』表を参照。
第70回 午前68(臨床微生物学)
厚いペプチドグリカン層を持つのはどれか。
- ①Chlamydia trachomatis
- ②Klebsiella pneumoniae
- ③Mycoplasma pneumoniae
- ④Orientia tsutsugamushi
- ⑤Staphylococcus aureus
正答: ⑤Staphylococcus aureus
ポイント
グラム陽性菌は厚いペプチドグリカン層を持つ細胞壁を有し、クリスタルバイオレットを保持して紫色に染まる。グラム陰性菌は薄いペプチドグリカン層の外側に外膜(リポ多糖を含む)を持ち赤色に染まる。マイコプラズマは細胞壁を欠き、クラミジアやリケッチアは細胞内寄生でグラム染色性に乏しい。Staphylococcus aureusはグラム陽性球菌で厚いペプチドグリカン層を持つ。●グラム陽性菌(厚いペプチドグリカン)=ブドウ球菌・レンサ球菌・腸球菌・Bacillus・Clostridium・Corynebacterium。●グラム陰性菌(薄い層+外膜)=大腸菌・Klebsiella・緑膿菌・ナイセリア。●細胞壁を欠く/染色されにくい=マイコプラズマ(細胞壁なし)・クラミジア/リケッチア(偏性細胞内)。
選択肢ごとの解説
- ① Chlamydia trachomatisは偏性細胞内寄生菌でペプチドグリカン層がごく薄く、グラム染色性に乏しい。
- ② Klebsiella pneumoniaeはグラム陰性桿菌で、薄いペプチドグリカン層と外膜を持つ。
- ③ Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁(ペプチドグリカン)そのものを欠く細菌である。
- ④ Orientia tsutsugamushi(つつが虫病の病原体)は偏性細胞内寄生のリケッチア類でペプチドグリカンに乏しい。
- ⑤ 正しい。Staphylococcus aureusはグラム陽性球菌で、厚いペプチドグリカン層を持つ細胞壁を有する。
第70回 午前69(臨床微生物学)
β-ラクタム系抗菌薬はどれか。2つ選べ。
- ①コリスチン
- ②メロペネム
- ③セフォタキシム
- ④シプロフロキサシン
- ⑤クロラムフェニコール
正答: ②メロペネム・③セフォタキシム
ポイント
β-ラクタム系抗菌薬はβ-ラクタム環を構造に持ち、ペニシリン結合蛋白に結合して細胞壁合成を阻害する。ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系・モノバクタム系が含まれ、メロペネムはカルバペネム系、セフォタキシムはセフェム系でいずれもβ-ラクタム環を持つ。●β-ラクタム系=ペニシリン系(ペニシリンG・アンピシリン)・セフェム系(セフォタキシム・セファゾリン)・カルバペネム系(メロペネム・イミペネム)・モノバクタム系(アズトレオナム)。●細胞壁合成阻害(非β-ラクタム)=グリコペプチド系(バンコマイシン)。●他系統=ポリペプチド系(コリスチン・ポリミキシン/細胞膜)・キノロン系(シプロフロキサシン/核酸)・クロラムフェニコール(蛋白合成)。
選択肢ごとの解説
- ① コリスチンはポリペプチド系(ポリミキシン)抗菌薬で、細胞膜に作用しβ-ラクタム環を持たない。
- ② 正しい。メロペネムはカルバペネム系のβ-ラクタム系抗菌薬である。
- ③ 正しい。セフォタキシムはセフェム系のβ-ラクタム系抗菌薬である。
- ④ シプロフロキサシンはフルオロキノロン系でDNAジャイレースを阻害し、β-ラクタム系ではない。
- ⑤ クロラムフェニコールは50Sリボソームに作用して蛋白合成を阻害する抗菌薬で、β-ラクタム系ではない。
第70回 午前70(臨床微生物学)
感染症法で二類感染症に分類されるのはどれか。
- ①結核
- ②コレラ
- ③サル痘〈エムポックス〉
- ④炭疽
- ⑤ペスト
正答: ①結核
ポイント
感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)は重篤度や感染力に応じて一〜五類などに分類する。二類感染症には結核・ジフテリア・重症急性呼吸器症候群(SARS)・中東呼吸器症候群(MERS)・鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)などが含まれる。コレラは三類、サル痘(エムポックス)と炭疽は四類、ペストは一類である。●一類=エボラ出血熱・ペスト・痘そう・南米出血熱・ラッサ熱・マールブルグ病・クリミア-コンゴ出血熱。●二類=結核・ジフテリア・SARS・MERS・鳥インフルエンザ(H5N1/H7N9)・急性灰白髄炎。●三類=コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症。●四類=炭疽・サル痘(エムポックス)・狂犬病・マラリア・デング熱・つつが虫病。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。結核は感染症法で二類感染症に分類される。
- ② コレラは経口感染性の腸管感染症で、三類感染症に分類される。
- ③ サル痘(エムポックス)は四類感染症に分類される。
- ④ 炭疽は四類感染症に分類される。
- ⑤ ペストは一類感染症に分類される。
📋 まとめの表を見る:感染症法における感染症の類型分類(一〜四類・代表疾患)
感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)による分類(令和6年4月現在)。一類・二類は感染力や重篤性等を総合して分類される。三類では特定の職業を介した集団発生、四類では動物・飲食物等を介した感染の防止など、必要な対策の性質も分類の根拠となる。類型の数字をそのまま重症度の順位と考えない。五類は感染症発生動向調査(全数把握・定点把握)の対象で、インフルエンザ・後天性免疫不全症候群(AIDS)・梅毒・麻疹など多数の疾患を含む(個別の疾患名は別途要確認)。
第70回 午前71(臨床微生物学)
TSI培地に細菌を接種して1日後の写真を別に示す。推定されるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA071.ed4ee1a1fd.jpg

- ①Citrobacter freundii
- ②Enterobacter cloacae
- ③Proteus vulgaris
- ④Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi
- ⑤Shigella sonnei
正答: ④Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi
ポイント
TSI(三糖鉄)培地は乳糖・白糖とブドウ糖の分解、硫化水素・ガス産生をみる培地である。チフス菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi)はブドウ糖のみ分解するため斜面部赤・高層部黄色を示し、硫化水素産生は微量で、特徴的に高層部にごく少量の黒変を呈する。乳糖・白糖を分解する菌では斜面部も黄色化する。●TSIの斜面/高層=斜面赤・高層黄(ブドウ糖のみ分解:サルモネラ・赤痢菌)・両方黄(乳糖/白糖も分解:大腸菌・Klebsiella・Enterobacter)。●硫化水素(黒変)=Salmonella(微量〜中等)・Proteus・Citrobacterで陽性、赤痢菌は陰性。●ガス産生=大腸菌・Enterobacterで強い、チフス菌・赤痢菌は乏しい。
選択肢ごとの解説
- ① Citrobacter freundiiは硫化水素を強く産生し高層部が広く黒変するため、微量の黒変を示す像とは合わない。
- ② Enterobacter cloacaeは乳糖・白糖を分解し斜面部も黄色化、ガス産生も強くチフス菌の像と異なる。
- ③ Proteus vulgarisは硫化水素を強く産生し著明な黒変を示すため、チフス菌の所見と異なる。
- ④ 正しい。Salmonella Typhi(チフス菌)はブドウ糖のみ分解し斜面赤・高層黄色で、硫化水素は微量の黒変にとどまる像と一致する。
- ⑤ Shigella sonnei(赤痢菌)はガス・硫化水素を産生せず黒変しないため、設問の像と異なる。
📋 まとめの表を見る:腸内細菌科の生化学的性状の鑑別(乳糖分解・硫化水素・リジン脱炭酸・インドール)
サルモネラ・赤痢菌など乳糖非分解菌はTSI培地で高層部のみ黄変し斜面は赤色のまま残るが、大腸菌など乳糖分解菌は斜面・高層とも黄変する。チフス菌(Typhi)はTSI培地でガスをほとんど産生せず硫化水素も少量にとどまる点が他の多くのSalmonella血清型と異なる。尿素分解(ウレアーゼ)陽性の代表はProteus属・Morganella属・Providencia属。
第70回 午前72(臨床微生物学)
急性単純性尿路感染症の原因菌で最も頻度が高く検出されるのはどれか。
- ①Enterococcus faecalis
- ②Escherichia coli
- ③Klebsiella pneumoniae
- ④Proteus mirabilis
- ⑤Staphylococcus epidermidis
正答: ②Escherichia coli
ポイント
急性単純性尿路感染症は基礎疾患のない若年女性などに多く、原因菌の大半は腸内細菌叢由来の大腸菌(Escherichia coli)である。大腸菌はP線毛などによる尿路上皮への付着能を持ち、会陰部から上行性に感染する。●単純性尿路感染症の原因菌=大腸菌(最多)・Staphylococcus saprophyticus(若年女性)・Klebsiella・Proteus。●複雑性/カテーテル関連=腸球菌・緑膿菌・Serratia・カンジダなど多様。●尿路結石と関連=Proteus mirabilis(ウレアーゼによるストルバイト結石)。
選択肢ごとの解説
- ① Enterococcus faecalisは複雑性尿路感染やカテーテル関連感染でみられるが、単純性での最頻菌ではない。
- ② 正しい。急性単純性尿路感染症の原因菌の大半を大腸菌が占め、最も頻度が高い。
- ③ Klebsiella pneumoniaeは尿路感染の原因にもなるが、頻度は大腸菌に次ぐ。
- ④ Proteus mirabilisは尿素分解による結石形成と関連するが、単純性での最頻菌ではない。
- ⑤ Staphylococcus epidermidisは皮膚常在菌で、単純性尿路感染症の主要原因菌ではない。
第70回 午前73(臨床微生物学)
蛋白合成阻害作用を有するのはどれか。
- ①ペニシリンG
- ②バンコマイシン
- ③ポリミキシンB
- ④クラリスロマイシン
- ⑤シプロフロキサシン
正答: ④クラリスロマイシン
ポイント
抗菌薬は作用機序により細胞壁合成阻害・蛋白合成阻害・核酸合成阻害・細胞膜傷害・葉酸合成阻害などに分けられる。マクロライド系のクラリスロマイシンは細菌リボソームの50Sサブユニットに結合して蛋白合成を阻害する。●蛋白合成阻害=マクロライド系(クラリスロマイシン・エリスロマイシン)・アミノグリコシド系(ゲンタマイシン)・テトラサイクリン系・クロラムフェニコール・リンコマイシン系。●細胞壁合成阻害=β-ラクタム系(ペニシリンG)・グリコペプチド系(バンコマイシン)。●核酸合成阻害=キノロン系(シプロフロキサシン)・リファンピシン。●細胞膜傷害=ポリミキシンB・コリスチン。
選択肢ごとの解説
- ① ペニシリンGはβ-ラクタム系で細胞壁(ペプチドグリカン)合成を阻害する。
- ② バンコマイシンはグリコペプチド系で細胞壁合成を阻害する。
- ③ ポリミキシンBは細胞膜に作用して透過性を障害する。
- ④ 正しい。クラリスロマイシンはマクロライド系で50Sリボソームに結合し蛋白合成を阻害する。
- ⑤ シプロフロキサシンはフルオロキノロン系でDNAジャイレースを阻害し核酸合成を妨げる。
第70回 午前74(臨床微生物学)
グラム陰性球菌はどれか。
- ①Aeromonas hydrophila
- ②Bacillus anthracis
- ③Corynebacterium diphtheriae
- ④Klebsiella pneumoniae
- ⑤Moraxella catarrhalis
正答: ⑤Moraxella catarrhalis
ポイント
グラム陰性球菌の代表はナイセリア属(淋菌・髄膜炎菌)とモラクセラ属で、Moraxella catarrhalisは上気道感染や中耳炎・副鼻腔炎の原因となるグラム陰性双球菌である。他の選択肢はグラム陰性桿菌やグラム陽性桿菌である。●グラム陰性球菌=Neisseria gonorrhoeae(淋菌)・Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)・Moraxella catarrhalis。●グラム陽性球菌=ブドウ球菌・レンサ球菌・腸球菌。●グラム陽性桿菌=Bacillus(炭疽菌)・Clostridium・Corynebacterium(ジフテリア菌)・Listeria。●グラム陰性桿菌=大腸菌・Klebsiella・Aeromonas・緑膿菌。
選択肢ごとの解説
- ① Aeromonas hydrophilaはグラム陰性桿菌で、淡水環境にみられる。
- ② Bacillus anthracis(炭疽菌)は芽胞を作るグラム陽性桿菌である。
- ③ Corynebacterium diphtheriae(ジフテリア菌)はグラム陽性桿菌である。
- ④ Klebsiella pneumoniaeはグラム陰性桿菌である。
- ⑤ 正しい。Moraxella catarrhalisはグラム陰性球菌(双球菌)で、上気道感染などの原因となる。
第70回 午前75(臨床微生物学)
バイオセーフティレベル〈BSL〉3対応が必要なのはどれか。
- ①Aspergillus fumigatus
- ②Candida glabrata
- ③Histoplasma capsulatum
- ④Pneumocystis jirovecii
- ⑤Trichophyton rubrum
正答: ③Histoplasma capsulatum
ポイント
バイオセーフティレベル(BSL)は病原体の危険度に応じて4段階で規定される。二相性真菌のHistoplasma capsulatumは分生子の吸入で全身性真菌症(ヒストプラズマ症)を起こし、培養での感染リスクが高いためBSL3で取り扱う。一般的な日和見真菌や皮膚糸状菌はBSL2で取り扱う。●BSL3対応の二相性/輸入真菌=Histoplasma capsulatum・Coccidioides immitis・Blastomyces dermatitidis・Paracoccidioides。●BSL2の真菌=Aspergillus fumigatus・Candida属・Cryptococcus・Trichophyton(皮膚糸状菌)・Pneumocystis jirovecii(培養困難で別扱い)。●BSL4=エボラウイルス・ラッサウイルスなど最高度の病原体。
選択肢ごとの解説
- ① Aspergillus fumigatusは日和見感染を起こす糸状菌だが、通常BSL2で取り扱う。
- ② Candida glabrataは常在性の酵母様真菌で、BSL2で取り扱う。
- ③ 正しい。Histoplasma capsulatumは二相性真菌で吸入感染の危険が高く、BSL3対応が必要である。
- ④ Pneumocystis jiroveciiは免疫不全者に肺炎を起こす真菌だが、培養困難でBSL3指定の対象ではない。
- ⑤ Trichophyton rubrumは皮膚糸状菌で、BSL2で取り扱う。
第70回 午前76(臨床微生物学)
ウイルスと親和性の高い組織・細胞の組合せで正しいのはどれか。
- ①EBウイルス — 単球
- ②ロタウイルス — 腸管
- ③ポリオウイルス — 皮膚
- ④ライノウイルス — 神経
- ⑤単純ヘルペスウイルス — 気道
正答: ②ロタウイルス — 腸管
ポイント
ウイルスは標的細胞表面の特定受容体を介して侵入するため、感染しやすい組織(向性・トロピズム)が決まる。ロタウイルスは経口感染して小腸の絨毛上皮細胞に感染し、二糖類分解酵素活性の低下と水・電解質の吸収障害から浸透圧性の下痢を起こす乳幼児急性胃腸炎の代表的病原体である。EBウイルスはCD21を受容体としてB細胞に、ポリオウイルスは脊髄前角の運動ニューロンに、ライノウイルスは上気道粘膜上皮に、単純ヘルペスウイルスは皮膚粘膜上皮と知覚神経節に親和性をもつ。
●腸管向性=ロタウイルス・ノロウイルス・アデノウイルス(腸管型40/41)・アストロウイルス。
●神経向性=ポリオウイルス・日本脳炎ウイルス・狂犬病ウイルス・単純ヘルペスウイルス(神経節潜伏)。
●呼吸器向性=インフルエンザウイルス・ライノウイルス・RSウイルス・SARSコロナウイルス。
●リンパ球向性=EBウイルス(B細胞)・ヒト免疫不全ウイルス(CD4陽性T細胞)・ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(T細胞)。
選択肢ごとの解説
- ① EBウイルスはCD21(補体受容体2)を受容体としてB細胞に感染し、伝染性単核球症やBurkittリンパ腫に関与する。単球が標的細胞ではない。
- ② 正しい。ロタウイルスは小腸絨毛上皮細胞に感染し、乳幼児急性胃腸炎(下痢症)を起こす腸管向性のウイルスである。
- ③ ポリオウイルスは経口感染後に脊髄前角の運動ニューロンへ向かい急性灰白髄炎(麻痺)を起こす。皮膚が標的ではない。
- ④ ライノウイルスは上気道の鼻粘膜上皮に感染して普通感冒の主因となる。神経への親和性はない。
- ⑤ 単純ヘルペスウイルスは口唇・性器の皮膚粘膜上皮や知覚神経節に潜伏感染する。気道が主たる標的ではない。
📋 まとめの表を見る:細胞・組織親和性によるウイルスの分類
第70回 午前77(臨床微生物学)
血液培養陽性ボトルのGram染色所見を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA077.9d11dd6503.jpg

- ①Bacillus属
- ②Candida属
- ③Cutibacterium属
- ④Nocardia属
- ⑤Pneumocystis属
正答: ②Candida属
ポイント
本像では、グラム染色で紫色(グラム陽性)に染まる、細菌より大型の楕円形酵母細胞と出芽、菌糸状構造(仮性菌糸など)がみられ、Candida属に合致する。血液培養陽性ボトルのGram染色では、球菌・桿菌の染色性や配列だけでなく、酵母細胞の大きさ・形・出芽・菌糸状構造の有無にも注目して菌を絞り込む。血液培養陽性という臨床情報も、Candidaによる血流感染(カンジダ血症)と整合する。
●本像の所見=グラム陽性に染まる楕円形の出芽酵母+菌糸状構造(仮性菌糸など)→Candida属。
●鑑別=Bacillus属(芽胞をもつ大型のグラム陽性桿菌)・Cutibacterium属(嫌気性のグラム陽性桿菌)・Nocardia属(細く分枝する糸状の細菌)は、いずれも出芽酵母の形態を示さない。
●Pneumocystis属=通常の培養では発育せず、血液培養から出芽酵母として検出されることはない。
選択肢ごとの解説
- ① Bacillus属は芽胞をもつ桿菌であり、本像の出芽する楕円形の酵母細胞と菌糸状構造とは異なる。
- ② 正しい。紫色に染まる楕円形の酵母細胞と出芽、菌糸状構造がみられ、Candida属に合致する。
- ③ Cutibacterium属はグラム陽性桿菌で、図の出芽する酵母細胞を示さない。
- ④ Nocardia属は細く分枝する菌糸状の細菌であり、本像の大きな楕円形の出芽酵母とは異なる。
- ⑤ Pneumocystis属は本像のような血液培養中の出芽酵母・菌糸状構造として同定する菌ではない。
📋 まとめの表を見る:酵母様真菌の鑑別(Cryptococcus・Candida・Trichosporon)
Candida albicansの厚膜胞子・仮性菌糸の証明にはlactophenol cotton blue染色を用いる(墨汁法はCryptococcusの莢膜証明に用いる)。
第70回 午前78(臨床微生物学)
細菌の遺伝に関する記述で正しいのはどれか。
- ①染色体は核膜内にある。
- ②プラスミドは一本鎖DNAである。
- ③Fプラスミドは薬剤耐性遺伝子である。
- ④Rプラスミドは形質転換によって伝達される。
- ⑤形質導入とはバクテリオファージを介した現象である。
正答: ⑤形質導入とはバクテリオファージを介した現象である。
ポイント
細菌は核膜をもたない原核生物で、染色体DNAは環状二本鎖として細胞質内に存在する。遺伝子の水平伝達には、裸のDNAを菌が直接取り込む形質転換、バクテリオファージが宿主菌の遺伝子を運搬する形質導入、性線毛を介して接触しプラスミドが移行する接合の三様式がある。Fプラスミド(稔性因子)は性線毛形成と接合を担い、Rプラスミドは薬剤耐性遺伝子を保持して主に接合で耐性を伝播する。
●遺伝子の水平伝達=形質転換(裸のDNA取込み)・形質導入(ファージ介在)・接合(プラスミド移行)。
●代表的プラスミド=Fプラスミド(接合・性線毛)・Rプラスミド(薬剤耐性)・Colプラスミド(コリシン産生)・病原性プラスミド(毒素・付着因子)。
●可動性遺伝因子=プラスミド・トランスポゾン・インテグロン・バクテリオファージ。
選択肢ごとの解説
- ① 細菌は核膜をもたない原核生物で、染色体は核膜に包まれず細胞質内に存在する。
- ② プラスミドは染色体とは独立した環状二本鎖DNAであり、一本鎖ではない。
- ③ Fプラスミド(稔性因子)は性線毛形成と接合を担う因子で、薬剤耐性遺伝子はRプラスミドが保持する。
- ④ Rプラスミドは主に接合(細菌間の直接接触)によって伝達され、形質転換ではない。
- ⑤ 正しい。形質導入はバクテリオファージが宿主菌の遺伝子を取り込み別の菌へ運搬・伝達する現象である。
第70回 午前79(臨床免疫学)
B細胞で誤っているのはどれか。
- ①抗原提示細胞である。
- ②体液性免疫に関与する。
- ③抗体産生細胞に分化する。
- ④血中の分布はT細胞より少ない。
- ⑤コンカナバリンA〈Con A〉で幼若化が起こる。
正答: ⑤コンカナバリンA〈Con A〉で幼若化が起こる。
ポイント
B細胞は骨髄で成熟し、抗原刺激を受けると形質細胞へ分化して抗体(免疫グロブリン)を産生する体液性免疫の中心であり、表面の主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスⅡを介して抗原提示も行う。植物レクチンや細菌成分による幼若化(芽球化)反応では、B細胞はポークウィードマイトジェンや細菌のリポ多糖に反応し、コンカナバリンA(Con A)やフィトヘマグルチニンはT細胞を刺激する。末梢血リンパ球ではT細胞が多数を占め、B細胞の割合はそれより少ない。
●T細胞を幼若化するレクチン=フィトヘマグルチニン(PHA)・コンカナバリンA(Con A)。
●B細胞を幼若化する刺激=ポークウィードマイトジェン(PWM、T細胞も)・リポ多糖(LPS)。
●抗原提示細胞=樹状細胞・マクロファージ・B細胞(いずれもMHCクラスⅡ陽性)。
●末梢血リンパ球の概略比=T細胞約70〜80%・B細胞約10〜20%・NK細胞約10〜15%。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。B細胞はMHCクラスⅡを発現し、取り込んだ抗原をヘルパーT細胞へ提示する抗原提示細胞である。
- ② 正しい。B細胞は抗体(免疫グロブリン)を産生し体液性免疫を担う。
- ③ 正しい。抗原刺激を受けたB細胞は形質細胞(抗体産生細胞)へ分化する。
- ④ 正しい。末梢血リンパ球ではT細胞が多数を占め、B細胞の割合はそれより少ない。
- ⑤ 誤り。コンカナバリンA(Con A)はT細胞を幼若化させるレクチンであり、B細胞の幼若化に用いるのはポークウィードマイトジェンやリポ多糖である。
第70回 午前80(臨床免疫学)
主要組織適合性遺伝子複合体〈MHC〉でクラスⅡ抗原を発現するのはどれか。
- ①血小板
- ②好中球
- ③NK細胞
- ④神経細胞
- ⑤マクロファージ
正答: ⑤マクロファージ
ポイント
主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスⅠはほぼすべての有核細胞に発現し、内因性抗原をCD8陽性細胞傷害性T細胞に提示する。MHCクラスⅡの発現は抗原提示細胞に限られ、マクロファージ・樹状細胞・B細胞などが外来性抗原を取り込んでCD4陽性ヘルパーT細胞に提示する。マクロファージは代表的な抗原提示細胞で、選択肢中で唯一クラスⅡを発現する。
●MHCクラスⅡを発現=樹状細胞・マクロファージ・B細胞・活性化した血管内皮や上皮細胞(誘導性)。
●MHCクラスⅠを発現=すべての有核細胞と血小板(血小板は無核だがクラスⅠを発現する)。発現せず=成熟赤血球。
●NK細胞の標的認識=MHCクラスⅠ低下細胞を傷害(missing self)。
●抗原提示の対応=クラスⅠ→CD8陽性T細胞、クラスⅡ→CD4陽性T細胞。
選択肢ごとの解説
- ① 血小板は無核で、MHCクラスⅠは発現するがクラスⅡは発現しない。
- ② 好中球は通常MHCクラスⅡを発現しない。
- ③ NK細胞は抗原提示細胞ではなくMHCクラスⅡを発現しない。
- ④ 神経細胞はMHC発現が乏しく、クラスⅡは発現しない。
- ⑤ 正しい。マクロファージは代表的な抗原提示細胞で、MHCクラスⅡを発現してヘルパーT細胞に抗原を提示する。
📋 まとめの表を見る:MHCクラスⅠ・クラスⅡの違い
HLA遺伝子は第6染色体短腕上に存在する。NK細胞はMHCクラスⅠの発現が低下した細胞(missing self)を傷害する。
第70回 午前81(臨床免疫学)
抗原と抗体の結合で誤っているのはどれか。
- ①共有結合
- ②水素結合
- ③疎水結合
- ④分子間力
- ⑤イオン結合
正答: ①共有結合
ポイント
抗原抗体反応は可逆的な非共有結合の総和で成立し、抗体の相補性決定領域(CDR)が抗原のエピトープと立体的に適合(鍵と鍵穴)することで結合する。関与する力は水素結合・疎水結合・静電的なイオン結合・ファンデルワールス力(分子間力)で、いずれも弱く可逆的なため温度・pH・塩濃度の影響を受けて解離も起こりうる。共有結合は電子対を共有する強固で非可逆的な結合であり、抗原抗体反応には関与しない。
●抗原抗体結合に関与する非共有結合=水素結合・疎水結合(疎水性相互作用)・イオン結合(静電的相互作用)・ファンデルワールス力。
●結合の指標=親和性(affinity、単一結合の強さ)・結合活性(avidity、多価結合の総合的強さ)。
●反応に影響する要因=温度・pH・電解質濃度・抗原抗体比(プロゾーン・ポストゾーン現象)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。共有結合は電子対を共有する強固で非可逆的な結合で、抗原抗体反応には関与しない。
- ② 水素結合は抗原抗体間の親和性に寄与する非共有結合の一つである。
- ③ 疎水結合(疎水性相互作用)は抗原抗体結合を安定化させる力の一つである。
- ④ ファンデルワールス力(分子間力)は近接した原子間に働き結合に寄与する。
- ⑤ イオン結合(静電的相互作用)は荷電基どうしの引力として結合に関与する。
第70回 午前82(臨床免疫学)
温度依存性蛋白はどれか。2つ選べ。
- ①ヘモペキシン
- ②ハプトグロビン
- ③パイログロブリン
- ④Bence Jones蛋白
- ⑤α₁-アンチトリプシン
正答: ③パイログロブリン・④Bence Jones蛋白
ポイント
温度依存性蛋白は温度変化で溶解度や立体構造が変化する異常蛋白で、加温すると不可逆的に析出・ゲル化するパイログロブリンと、加熱と冷却で凝固と溶解を繰り返すBence Jones蛋白(免疫グロブリン遊離軽鎖)が該当する。Bence Jones蛋白は約56℃で凝固し、さらに加熱(約100℃近く)すると再溶解、冷却すると再び凝固する特徴的な挙動を示し、多発性骨髄腫など形質細胞腫瘍で尿中に出現する。
●温度依存性蛋白=パイログロブリン(加温で析出)・Bence Jones蛋白(加温凝固→再溶解→冷却再凝固)。
●低温で析出する蛋白=クリオグロブリン。寒冷凝集素は低温で赤血球を凝集させる抗体であり、蛋白自体の析出とは区別する。
●単クローン性蛋白を呈する疾患=多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症・MGUS。
選択肢ごとの解説
- ① ヘモペキシンはヘムを結合・運搬する血漿蛋白で、温度依存性の析出は示さない。
- ② ハプトグロビンは遊離ヘモグロビンと結合する蛋白で、温度依存性蛋白ではない。
- ③ 正しい。パイログロブリンは加温により不可逆的に析出・ゲル化する異常グロブリンである。
- ④ 正しい。Bence Jones蛋白は約56℃で凝固し高温で再溶解、冷却で再凝固する温度依存性を示す遊離軽鎖である。
- ⑤ α₁-アンチトリプシンはプロテアーゼ阻害蛋白で、温度依存性の性質は示さない。
第70回 午前83(臨床免疫学)
冷蔵保存した全血検体で検査可能なのはどれか。
- ①寒冷凝集反応
- ②HBs抗体検査
- ③クリオグロブリン検査
- ④直接抗グロブリン試験
- ⑤Donath-Landsteiner反応
正答: ②HBs抗体検査
ポイント
冷蔵(4℃)保存では低温反応性の抗体が赤血球に結合・解離して結果に影響するため、寒冷凝集素・寒冷溶血素・クリオグロブリンを扱う検査は採血後ただちに37℃で処理・分離する必要がある。これに対しHBs抗体のような血清中で安定した抗体の測定は、冷蔵保存した全血検体からでも問題なく実施できる。低温で活性をもつ反応系を冷蔵すると偽の結果や検出感度低下を生じる。
●37℃保温・分離が必要=寒冷凝集反応・クリオグロブリン検査・Donath-Landsteiner反応(寒冷溶血素)・冷式抗体の検出。
●冷蔵保存でも実施可=HBs抗体・各種ウイルス抗体・一般血清蛋白・温式抗体検査の多く。
●温度で性質が変わる血漿成分=寒冷凝集素(IgM)・クリオグロブリン・パイログロブリン。
選択肢ごとの解説
- ① 寒冷凝集素は低温で赤血球に結合するため、冷蔵すると抗体が赤血球に吸着し正確な評価ができない。37℃での保存・分離が必要。
- ② 正しい。HBs抗体は血清中で安定した抗体で、冷蔵保存した全血からでも検査可能である。
- ③ クリオグロブリンは低温で析出するため、冷蔵すると沈殿し失われる。37℃を保って分離する必要がある。
- ④ 直接抗グロブリン試験は冷蔵で寒冷抗体が非特異的に結合し偽陽性を生じうるため、冷蔵全血では不適である。
- ⑤ Donath-Landsteiner反応(発作性寒冷血色素尿症)は低温で結合し体温で溶血する抗体を検出するため、冷蔵保存は反応を妨げる。
第70回 午前84(臨床免疫学)
免疫グロブリンで正しいのはどれか。
- ①IgAは4つのCHドメインを持つ。
- ②IgDは胎盤通過性を持つ。
- ③IgEは分子量が最も大きい。
- ④IgGには2つのサブクラスが存在する。
- ⑤IgMは補体の古典経路を活性化する。
正答: ⑤IgMは補体の古典経路を活性化する。
ポイント
免疫グロブリンはH鎖2本とL鎖2本からなり、クラスごとに構造と機能が異なる。IgMは五量体で分子量が最も大きく、抗原と結合すると補体C1qに効率よく結合して古典経路を強力に活性化する。IgGは胎盤を通過しIgG1〜IgG4の4つのサブクラスをもち血中濃度が最も高く、IgAは分泌型が二量体をとり粘膜免疫を担い、IgEはⅠ型アレルギーに関与し、IgDはB細胞表面に存在する。
●五量体=IgM(J鎖あり、補体活性化が最強)。
●胎盤通過=IgGのみ(新生児の受動免疫)。
●分泌型二量体=IgA(J鎖+分泌片)。
●サブクラス=IgG(4つ)・IgA(2つ)。
●H鎖定常部ドメイン数=IgG/IgA/IgDは3、IgM/IgEは4。
選択肢ごとの解説
- ① IgAのH鎖定常部(CHドメイン)はIgGと同様に3つであり、4つを持つのはIgMとIgEである。
- ② 胎盤通過性を持つのはIgGである。IgDは胎盤を通過しない。
- ③ 分子量が最も大きいのは五量体のIgMである。IgEは単量体で最大ではない。
- ④ IgGのサブクラスはIgG1〜IgG4の4つである。2つではない。
- ⑤ 正しい。IgMは抗原と結合すると補体C1qに効率よく結合し古典経路を活性化する。
📋 まとめの表を見る:5種類の免疫グロブリンの主な性状
単クローン性増加=1クローン由来で単一Igが増加(原発性マクログロブリン血症=IgM)。多クローン性増加=感染症・自己免疫疾患など。
第70回 午前85(臨床免疫学)
補体系の検査結果を以下に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA085.3f658b8bed.jpg

- ①関節リウマチ
- ②膜性増殖性糸球体腎炎
- ③全身性エリテマトーデス
- ④溶連菌感染後急性糸球体腎炎
- ⑤遺伝性血管性浮腫〈遺伝性血管神経性浮腫〉
正答: ⑤遺伝性血管性浮腫〈遺伝性血管神経性浮腫〉
ポイント
補体価CH50低下とC4低下に対しC3が正常で、C1インヒビター(C1-INH)活性が低下するパターンは遺伝性血管性浮腫に特徴的である。C1-INHの量的・機能的低下によりブラジキニン産生系の制御が失われ、ブラジキニンの過剰産生によって血管透過性が亢進し、喉頭・腸管・四肢などに反復する非掻痒性の浮腫を生じる。補体古典経路の活性化に伴うC4低下は検査上の手がかりとなる。膠原病や腎炎ではC3も低下するのが典型で、C3正常の所見が鑑別の鍵となる。
●C3低下・C4正常=補体第二経路の活性化(膜性増殖性糸球体腎炎の一部・溶連菌感染後急性糸球体腎炎)。
●C3・C4ともに低下=古典経路の活性化(全身性エリテマトーデス・血清病・混合型クリオグロブリン血症)。
●C4低下・C3正常・C1-INH低下=遺伝性血管性浮腫。
●C1-INH関連=先天性(遺伝性)と後天性(リンパ増殖性疾患に伴う)がある。
選択肢ごとの解説
- ① 関節リウマチでは補体は消費されうるが、C1-INH活性低下を特徴とはしない。
- ② 膜性増殖性糸球体腎炎ではC3が低下することが多く、C3正常の本所見と合わない。
- ③ 全身性エリテマトーデスではC3・C4ともに低下するのが典型で、C3正常の本所見と合わない。
- ④ 溶連菌感染後急性糸球体腎炎ではC3が低下するのが特徴で、本所見と合わない。
- ⑤ 正しい。C1-INH活性低下・C4低下・C3正常は遺伝性血管性浮腫の補体所見に合致する。
📋 まとめの表を見る:補体価〈CH50〉異常パターンと考えられる病態
コールドアクチベーションは生体内の病態ではなく採血後の試験管内で生じる現象である点に注意。血清と血漿でCH50に乖離を認める場合はこの現象を疑う。
第70回 午前86(臨床免疫学)
ABO亜型で正しいのはどれか。
- ①後天性の変化である。
- ②ABO抗原が発現していない。
- ③遺伝子関連検査を必要とする。
- ④日本人ではBm型が最も多い。
- ⑤体液にABO型物質を分泌しない。
正答: ④日本人ではBm型が最も多い。
ポイント
ABO亜型は抗原を作る糖転移酵素の活性が弱いか変異した先天性の形質で、赤血球上のA抗原やB抗原の発現量が減弱する。亜型ではおもて試験(赤血球抗原)とうら試験(血清抗体)に不一致が生じることがあり、確定には吸着解離試験・唾液中の型物質検査・遺伝子検査が補助的に用いられる。日本人のB亜型のなかではBm型の頻度が比較的高い。
●A亜型=A2・A3・Ax・Am・Aend・Ael(抗原量が段階的に減弱)。
●B亜型=B3・Bx・Bm・Bel(日本人ではBmが比較的多い)。
●亜型検出の検査=吸着解離試験・唾液型物質(分泌型)・H抗原確認・遺伝子検査(補助)。
●オモテ・ウラ不一致の原因=亜型・後天的抗原変化・不規則抗体・連銭形成・低γグロブリン血症。
選択肢ごとの解説
- ① ABO亜型は遺伝子に基づく先天性の形質であり、後天的に獲得されるものではない。
- ② 亜型でも抗原は発現しており、量が減弱しているだけで完全に欠如しているわけではない。
- ③ 亜型の確認には血清学的検査(吸着解離・唾液型物質など)が基本で、遺伝子検査は補助的であり必須ではない。
- ④ 正しい。日本人のABO亜型のうちB亜型ではBm型の頻度が比較的高い。
- ⑤ 分泌型の亜型では唾液などの体液中にABO型物質を分泌する場合があり、一律に分泌しないとはいえない。
📋 まとめの表を見る:ABO血液型亜型の特徴
後天性Bはグラム陰性桿菌感染によるA抗原の一過性修飾であり、亜型(先天性)とは区別される。
第70回 午前87(臨床免疫学)
タイプⅡのクリオグロブリンが高頻度に認められる疾患はどれか。
- ①HIV感染症
- ②HCV感染症
- ③多発性骨髄腫
- ④原発性胆汁性胆管炎
- ⑤抗リン脂質抗体症候群
正答: ②HCV感染症
ポイント
クリオグロブリンは低温で析出し加温で再溶解する免疫グロブリンで、単クローン性のタイプⅠ、単クローン性IgMリウマトイド因子と多クローン性IgGの混合であるタイプⅡ、多クローン性同士の混合であるタイプⅢに分類される。タイプⅡを含む混合型クリオグロブリン血症の多くはC型肝炎ウイルス(HCV)の慢性感染を背景とし、紫斑・関節痛・末梢神経障害・膜性増殖性糸球体腎炎などの血管炎症状を呈する。
●タイプⅠ(単クローン性)=多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症などの形質細胞・リンパ増殖性疾患。
●タイプⅡ(単クローン性IgM+多クローン性IgGの混合)=HCV感染症が高頻度。
●タイプⅢ(多クローン性混合)=慢性感染症・膠原病(全身性エリテマトーデス・関節リウマチ)。
選択肢ごとの解説
- ① HIV感染症はタイプⅡクリオグロブリンの主たる原因疾患ではない。
- ② 正しい。混合型クリオグロブリン血症(タイプⅡ)の多くはC型肝炎ウイルス(HCV)感染を背景とする。
- ③ 多発性骨髄腫は単クローン性のタイプⅠクリオグロブリンと関連する。
- ④ 原発性胆汁性胆管炎はタイプⅡクリオグロブリンの代表的原因ではない。
- ⑤ 抗リン脂質抗体症候群はタイプⅡクリオグロブリンと特異的に関連しない。
第70回 午前88(臨床免疫学)
Ⅰ型アレルギーが関与するのはどれか。2つ選べ。
- ①花粉症
- ②関節リウマチ
- ③接触性皮膚炎
- ④アナフィラキシーショック
- ⑤特発性血小板減少性紫斑病
正答: ①花粉症・④アナフィラキシーショック
ポイント
アレルギーはGell-Coombs分類で4型に分けられる。Ⅰ型(即時型)はIgEが肥満細胞・好塩基球に結合し、抗原との架橋でヒスタミンなどの化学伝達物質が遊離して起こり、花粉症・気管支喘息・蕁麻疹・アナフィラキシーが該当する。Ⅱ型は細胞表面抗原への抗体による細胞傷害型、Ⅲ型は免疫複合体型、Ⅳ型はT細胞を介する遅延型である。
●Ⅰ型(即時型・IgE)=花粉症・気管支喘息・蕁麻疹・アナフィラキシーショック・食物アレルギー。
●Ⅱ型(細胞傷害型・IgG/IgM)=不適合輸血・自己免疫性溶血性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・Goodpasture症候群。
●Ⅲ型(免疫複合体型)=血清病・全身性エリテマトーデス・糸球体腎炎・過敏性肺炎。
●Ⅳ型(遅延型・T細胞)=接触性皮膚炎・ツベルクリン反応・移植拒絶反応。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。花粉症はIgEを介するⅠ型(即時型)アレルギーである。
- ② 関節リウマチは免疫複合体やT細胞が関与する病態で、典型的なⅠ型アレルギーではない。
- ③ 接触性皮膚炎はT細胞が関与するⅣ型(遅延型)アレルギーである。
- ④ 正しい。アナフィラキシーショックはIgEと肥満細胞によるⅠ型(即時型)アレルギーの全身反応である。
- ⑤ 特発性血小板減少性紫斑病は血小板に対する抗体によるⅡ型(細胞傷害型)アレルギーである。
第70回 午前89(臨床免疫学)
Rh血液型で正しいのはどれか。
- ①検査(試験管法)は37 ℃で行う。
- ②日本人におけるRhD陰性頻度は10%である。
- ③RhD陰性の確認は直接抗グロブリン試験で行う。
- ④RhD陰性患者の赤血球輸血にはRhD陽性血を使用する。
- ⑤日本人において検出される不規則抗体で最も頻度が高いのは抗Eである。
正答: ⑤日本人において検出される不規則抗体で最も頻度が高いのは抗Eである。
ポイント
RhD抗原は免疫原性が強く、RhD陰性者がRhD陽性赤血球に曝露すると抗D抗体が産生されやすい。日本人のRhD陰性頻度は約0.5%と低く、欧米より少ない。Rh系の抗体は37℃で反応するIgG型の温式抗体で、検出には間接抗グロブリン試験を用いる。日本人で臨床的に検出される不規則抗体のうち最も頻度が高いのは抗Eである。
●Rh主要抗原の免疫原性=D>E>c>C>e。
●日本人で頻度の高い不規則抗体=抗E・抗Le(a)・抗Di(a)など(抗Eが最多)。
●温式抗体(37℃・IgG・間接抗グロブリン試験で検出)=Rh系・Kidd系・Duffy系。
●冷式抗体(室温以下・IgM)=抗I・抗M・Lewis系の一部。
●RhD輸血の原則=D陰性患者にはD陰性血(抗D産生回避)。
選択肢ごとの解説
- ① Rh式の凝集反応自体は室温でも観察可能だが、IgG型抗体の検出には間接抗グロブリン試験を要し、37℃のみで完結するわけではない。
- ② 日本人のRhD陰性頻度は約0.5%であり、10%は誤りである。
- ③ RhD陰性の確認はweak Dを含むD陰性確認試験(間接抗グロブリン試験)で行い、直接抗グロブリン試験ではない。
- ④ RhD陰性患者には原則RhD陰性血を輸血する。陽性血の使用は抗D産生を招くため不適切である。
- ⑤ 正しい。日本人で検出される不規則抗体のうち最も頻度が高いのは抗Eである。
📋 まとめの表を見る:Rh血液型(D抗原)のポイント
第70回 午前90(公衆衛生学)
令和2(2020)年度傷病分類別医科診療医療費が最も多いのはどれか。
- ①新生物〈腫瘍〉
- ②呼吸器系の疾患
- ③循環器系の疾患
- ④腎尿路生殖器系の疾患
- ⑤筋骨格系及び結合組織の疾患
正答: ③循環器系の疾患
ポイント
我が国の傷病分類別医科診療医療費は高齢化を反映して循環器系の疾患が最も多く、令和2(2020)年度も最多で、次いで新生物(腫瘍)が続く。循環器系には高血圧性疾患・心疾患・脳血管疾患が含まれ、慢性に経過し長期の通院・服薬・入院を要するため医療費全体に占める割合が大きい。傷病分類別の医療費は国民医療費の統計で示される基本指標である。
●傷病分類別医科診療医療費の上位=循環器系の疾患・新生物(腫瘍)・筋骨格系及び結合組織の疾患。
●年齢階級別の医療費=高齢者(65歳以上)が国民医療費の約6割を占める。
●国民医療費の構成=医科診療・歯科診療・薬局調剤・入院時食事生活・訪問看護など。
選択肢ごとの解説
- ① 新生物(腫瘍)は循環器系に次いで医療費が多いが、最多ではない。
- ② 呼吸器系の疾患は循環器系より医療費が少ない。
- ③ 正しい。令和2年度の傷病分類別医科診療医療費は循環器系の疾患が最も多い。
- ④ 腎尿路生殖器系の疾患は医療費の最多分類ではない。
- ⑤ 筋骨格系及び結合組織の疾患は医療費の最多分類ではない。
📋 まとめの表を見る:傷病分類別 医科診療医療費の構成割合(上位5分類)
令和4(2022)年度の国民医療費統計に基づく構成割合。テキストにも「例年、循環器系の疾患が最も多い傾向にある」と明記されている。設問(k70午前A90)は令和2(2020)年度データを問うものだが、同年度についても循環器系の疾患が最多で正解となっている(教科書もこの問題を最新の令和4年度データに基づく形に改変して掲載)。
第70回 午前91(公衆衛生学)
ノーマライゼーションで正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①社会的理解の促進
- ②住宅改修費の支給
- ③障害者手帳の交付
- ④心身機能の正常化
- ⑤ユニバーサルデザインの導入
正答: ①社会的理解の促進・⑤ユニバーサルデザインの導入
ポイント
ノーマライゼーションは障害の有無にかかわらず誰もが地域で当たり前の生活を送れる社会を目指す理念で、障害者個人の心身機能を正常化するのではなく、社会の側の障壁(バリア)を取り除き理解を促すことを重視する。ユニバーサルデザインの導入や社会的理解の促進はこの理念に沿う取組みで、個別の給付や行政手続き自体は理念そのものを表すものではない。
●ノーマライゼーションに沿う取組み=社会的理解の促進・ユニバーサルデザイン・バリアフリー・社会参加の支援。
●関連理念=インクルージョン(包摂)・ソーシャルインクルージョン・自立生活運動。
●バリアの4分類=物理的・制度的・情報文化的・意識(心)のバリア。
●ユニバーサルデザイン=年齢・能力にかかわらず誰もが利用しやすい設計(7原則)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。障害への社会的理解を促進することはノーマライゼーションの理念に合致する。
- ② 住宅改修費の支給は個別の給付制度であり、ノーマライゼーションの理念そのものを表すものではない。
- ③ 障害者手帳の交付は行政上の手続きであり、ノーマライゼーションの理念を直接表すものではない。
- ④ 心身機能の正常化を目指すのはノーマライゼーションの考え方ではない。障害者を変えるのではなく社会を変える理念である。
- ⑤ 正しい。誰もが利用しやすいユニバーサルデザインの導入はノーマライゼーションの理念に沿う。
第70回 午前92(公衆衛生学)
2021年の我が国の統計で正しいのはどれか。
- ①死産数は前年より増加した。
- ②死亡数は前年より減少した。
- ③出生数は100万人を下回る。
- ④自然増減数はプラス値である。
- ⑤合計特殊出生率は1.5を上回る。
正答: ③出生数は100万人を下回る。
ポイント
我が国は少子化が進行し、出生数は減少を続けて2021年には約81万人と100万人を大きく下回った。死亡数は高齢化に伴い増加傾向にあり、出生数を上回るため自然増減数(出生数−死亡数)はマイナスである。合計特殊出生率は1.3前後で推移し1.5を下回っている。人口動態統計の基本的な傾向を問う設問である。
●人口動態統計の指標=出生数・死亡数・自然増減数・婚姻数・離婚数・死産数。
●近年の傾向=出生数減少・死亡数増加・自然減の拡大・合計特殊出生率の低迷。
●合計特殊出生率=15〜49歳女性の年齢別出生率の合計(人口置換水準は約2.07)。
●死亡関連=死亡数増加の主因は高齢化、死因第1位は悪性新生物。
選択肢ごとの解説
- ① 死産数は近年減少傾向にあり、前年より増加したとはいえない。
- ② 死亡数は高齢化に伴い増加傾向で、前年より減少していない。
- ③ 正しい。2021年の出生数は約81万人で100万人を下回っている。
- ④ 死亡数が出生数を上回るため自然増減数はマイナスであり、プラスではない。
- ⑤ 合計特殊出生率は1.3前後で1.5を下回っており、上回ってはいない。
第70回 午前93(公衆衛生学)
環境問題とその原因物質の組合せで正しいのはどれか。
- ①酸性雨 — 微小粒子状物質〈PM2.5〉
- ②大気汚染 — 二酸化炭素
- ③地球温暖化 — ダイオキシン
- ④地下水汚染 — 六価クロム
- ⑤オゾン層破壊 — 光化学オキシダント
正答: ④地下水汚染 — 六価クロム
ポイント
環境問題はその原因物質との対応が重要で、酸性雨は硫黄酸化物・窒素酸化物、地球温暖化は二酸化炭素などの温室効果ガス、オゾン層破壊はフロン類(クロロフルオロカーボン)が原因となる。地下水汚染の原因物質には六価クロムやトリクロロエチレン・テトラクロロエチレン・砒素・硝酸性窒素などがあり、土壌から地下水へ浸透して健康影響を起こす。六価クロムは有害な重金属で発がん性が問題となる。
●酸性雨=硫黄酸化物(SOx)・窒素酸化物(NOx)。
●地球温暖化=二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・フロン類(温室効果ガス)。
●オゾン層破壊=フロン類(クロロフルオロカーボン)・ハロン。
●地下水・土壌汚染=六価クロム・砒素・トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン・硝酸性窒素。
●光化学スモッグ=光化学オキシダント(窒素酸化物と炭化水素の光化学反応)。
選択肢ごとの解説
- ① 酸性雨の原因は硫黄酸化物・窒素酸化物で、PM2.5は大気汚染物質ではあるが酸性雨の主原因物質ではない。
- ② 大気汚染の主な原因物質は窒素酸化物・硫黄酸化物・浮遊粒子状物質などで、二酸化炭素は温暖化の原因である。
- ③ 地球温暖化の原因は二酸化炭素などの温室効果ガスで、ダイオキシンは温暖化の原因物質ではない。
- ④ 正しい。六価クロムは有害な重金属で、土壌から浸透して地下水汚染を起こす原因物質である。
- ⑤ オゾン層破壊の原因はフロン類で、光化学オキシダントは大気汚染(光化学スモッグ)の原因である。
📋 まとめの表を見る:環境問題と原因物質
第70回 午前94(公衆衛生学)
産業保健における許容濃度の定義で正しいのはどれか。
- ①事務所内の空気環境を規定する濃度
- ②生物学的モニタリングで許容される生体内濃度
- ③毒性試験で動物に有害な影響が見られない最大投与濃度
- ④労働者に健康上の悪影響が見られないと判断される濃度
- ⑤作業環境管理の良否を判断する管理区分を決定するための濃度
正答: ④労働者に健康上の悪影響が見られないと判断される濃度
ポイント
産業保健における許容濃度は、労働者が1日8時間・週40時間程度の労働を続けても、ほとんどの労働者に健康上の悪影響が現れないと判断される作業環境中の有害物質濃度を指す。日本産業衛生学会が勧告する目安であり、安全と危険を明確に二分する境界値ではなく個人差も考慮を要する。作業環境管理の良否を区分する管理濃度や、生体試料を測る生物学的許容値とは概念が異なる。
●許容濃度=労働者にほぼ健康影響が出ない作業環境中濃度(日本産業衛生学会勧告)。
●管理濃度=作業環境測定の評価で管理区分を決める行政上の指標(法令)。
●生物学的許容値=尿・血液中の代謝物などで曝露を評価する基準(生物学的モニタリング)。
●無毒性量(NOAEL)=動物試験で有害影響が認められない最大投与量。
●関連=TLV(米国産業衛生専門家会議の許容限界値)。
選択肢ごとの解説
- ① 事務所の空気環境基準は別の基準であり、許容濃度の定義ではない。
- ② 生体内濃度を扱うのは生物学的許容値で、許容濃度は作業環境中の濃度を示す。
- ③ 動物実験での無毒性量(NOAEL)とは異なる概念である。
- ④ 正しい。許容濃度は労働者に健康上の悪影響が現れないと判断される作業環境中の濃度である。
- ⑤ 管理区分を決定するための濃度は管理濃度であり、許容濃度とは目的・概念が異なる。
第70回 午前95(医用工学概論)
ヤング率〈縦弾性率〉が最も大きいのはどれか。
- ①筋(引っ張り)
- ②腱(引っ張り)
- ③大腸(円周方向)
- ④動脈(円周方向)
- ⑤肺胞(拡張方向)
正答: ②腱(引っ張り)
ポイント
ヤング率(縦弾性率)は引っ張りに対する変形しにくさを示し、値が大きいほど硬く伸びにくい。生体組織では膠原(コラーゲン)線維が密に配列する腱が最も伸びにくくヤング率が大きく、骨に次ぐ硬さをもつ。筋・血管壁・肺胞などは弾性線維に富み柔らかいためヤング率は小さい。応力とひずみの比として材料の力学的性質を表す指標である。
●ヤング率(縦弾性率)=応力/ひずみ(引っ張り変形のしにくさ、単位はパスカル)。
●生体組織のヤング率の概略順=骨>腱・靱帯(コラーゲン)>筋>血管>肺・脂肪。
●関連弾性率=ずり弾性率(剛性率)・体積弾性率。
●コラーゲンに富む組織=腱・靱帯・骨・皮膚真皮。
選択肢ごとの解説
- ① 筋は弾性に富み伸びやすく、腱に比べてヤング率は小さい。
- ② 正しい。腱はコラーゲン線維が密に配列し最も伸びにくく、ヤング率が最も大きい。
- ③ 大腸壁は伸展性に富みヤング率は小さい。
- ④ 動脈壁は弾性線維を含み伸展性があるため、腱よりヤング率は小さい。
- ⑤ 肺胞は拡張・収縮しやすく非常に柔らかいためヤング率は小さい。
第70回 午前96(医用工学概論)
図の回路で点Aの電圧はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70aA096.9b8e817acc.jpg

- ①2.5 V
- ②3.0 V
- ③5.0 V
- ④6.0 V
- ⑤7.5 V
正答: ③5.0 V
ポイント
基準点を0Vとすると、図の電池の極性から上側の枝の左端は+10V、下側の枝の左端は+5Vである。点Aの電位をVとし、点Aから各枝へ流れ出す電流の和を0とすると、(V−10)/50+V/50+(V−5)/25=0。両辺を50倍して4V−20=0となり、V=5.0Vを得る。
●節点での電流の総和は0(キルヒホッフの電流則)。
●各枝の電流は両端の電位差を抵抗で割って求める。
●本回路では、下側25Ωの両端はともに5Vとなるため、その枝には電流が流れない。
選択肢ごとの解説
- ① 計算上の分圧値と一致しない。
- ② 計算上の分圧値と一致しない。
- ③ 正しい。回路の分圧計算により点Aの電圧は5.0Vとなる。
- ④ 計算上の分圧値と一致しない。
- ⑤ 計算上の分圧値と一致しない。
第70回 午前97(医用工学概論)
電圧増幅度がそれぞれ4倍、10倍、100倍の増幅器を直列に接続したとき総合した増幅度[dB]はどれか。
正答: ⑤72
ポイント
増幅器を直列(縦続)接続すると総合の電圧増幅度は各段の増幅度の積で表され、デシベル表示では各段の利得[dB]の和となる。電圧比のデシベルは20×log10(増幅度)で計算する。4倍は約12dB、10倍は20dB、100倍は40dBであり、合計は約72dBとなる。対数を使うと積の計算が和に置き換わる。
●電圧比のデシベル=20×log10(電圧増幅度)。
●電力比のデシベル=10×log10(電力増幅度)。
●代表値=2倍≒6dB・10倍=20dB・100倍=40dB・1000倍=60dB。
●縦続接続=増幅度は積、利得[dB]は和。
選択肢ごとの解説
- ① 24dBは各段の利得の和に合致しない。
- ② 32dBは各段の利得の和に合致しない。
- ③ 46dBは各段の利得の和に合致しない。
- ④ 66dBは各段の利得の和に合致しない。
- ⑤ 正しい。4倍(約12dB)・10倍(20dB)・100倍(40dB)の和は約72dBとなる。
第70回 午前98(医用工学概論)
ミクロショック対策を目的としているのはどれか。2つ選べ。
- ①3 Pプラグ
- ②等電位接地
- ③無停電電源
- ④CF形装着部
- ⑤非接地配線方式
正答: ②等電位接地・④CF形装着部
ポイント
ミクロショックは心臓に直接装着したカテーテルや電極を介して微小電流が心筋に直接流れ、わずか数十マイクロアンペアでも心室細動を起こす危険である。対策には患者周囲の金属・機器を同電位に保ち電位差をなくす等電位接地と、患者漏れ電流を極めて低く抑え心臓への直接適用が許されるCF形装着部の使用が有効である。体表に流れるマクロショック対策の保護接地や非接地配線方式とは目的が異なる。
●ミクロショック対策=等電位接地・CF形装着部(心臓直接適用可)。
●マクロショック対策=保護接地(3Pプラグ)・非接地配線方式・漏れ電流の抑制。
●装着部の分類=B形・BF形(フローティング)・CF形(心臓適用、最も漏れ電流が小)。
●非接地配線方式=絶縁監視装置付き、1点地絡でも電源継続。
●無停電電源=停電時の電源確保が目的(感電対策ではない)。
選択肢ごとの解説
- ① 3Pプラグ(保護接地)は機器外装の感電を防ぐマクロショック対策で、ミクロショックを直接の目的としない。
- ② 正しい。等電位接地は患者周囲の電位差をなくし心臓への微小電流を防ぐミクロショック対策である。
- ③ 無停電電源は停電時の電源確保が目的で、ミクロショック対策ではない。
- ④ 正しい。CF形装着部は漏れ電流を極めて低く抑え心臓に直接適用できるためミクロショック対策となる。
- ⑤ 非接地配線方式は地絡時の電源継続と感電防止を目的とし、主にマクロショック対策に位置づけられる。
第70回 午前99(医用工学概論)
情報の概念で誤っているのはどれか。
- ①情報の表現は2進数で行われる。
- ②情報量の単位はビットとバイトである。
- ③1バイトは8ビットである。
- ④1キロバイトは1024バイトである。
- ⑤2バイトでは10万種類以上の文字が扱える。
正答: ⑤2バイトでは10万種類以上の文字が扱える。
ポイント
コンピュータは情報を2進数(0と1)で表し、1ビットは0か1の1桁、8ビットが1バイトである。本問では、従来の慣用表記に従い1KB=1024Bとして扱う。厳密には、SIの1kBは1000B、2進接頭語の1KiBは1024Bである。2バイトは16ビットで、表現できる組合せは2の16乗=65536種類であり、10万種類には届かない。情報量の基礎的な単位と桁数を問う設問である。
●情報量の単位=ビット(2進1桁)・バイト(8ビット)・キロ/メガ/ギガ(2進では2の10乗刻み)。
●ビット数と表現可能数=nビットで2のn乗通り(8ビット=256、16ビット=65536)。
●文字コード=ASCII(7ビット)・シフトJIS/EUC(2バイト)・Unicode(UTF-8/UTF-16)。
●2進・10進・16進の変換=桁の重み(2のn乗、16のn乗)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。情報は0と1の2進数で表現される。
- ② 正しい。情報量の単位はビットとバイトである。
- ③ 正しい。1バイトは8ビットである。
- ④ 正しい。1キロバイトは2の10乗である1024バイトである。
- ⑤ 誤り。2バイト(16ビット)で表せるのは2の16乗=65536種類で、10万種類以上は扱えない。
📋 まとめの表を見る:べき乗による情報量・組合せ数の計算
nビットの2進数では2のn乗通り、n種類の記号をr桁並べる場合はnのr乗通りの組合せを表現できる。
第70回 午前100(医用工学概論)
コンピュータに接続した複数の端末を用いて処理を行うシステムはどれか。2つ選べ。
- ①分散処理
- ②バッチ処理
- ③オンラインシステム
- ④リアルタイムシステム
- ⑤タイムシェアリングシステム〈TSS〉
正答: ①分散処理・⑤タイムシェアリングシステム〈TSS〉
ポイント
複数の端末をコンピュータに接続して処理する形態には、処理を複数の装置に分担させる分散処理と、1台のコンピュータを時分割(タイムスライス)して多数の端末が同時に共同利用するタイムシェアリングシステム(TSS)がある。これに対しバッチ処理はデータをまとめて一括処理する方式、オンラインシステムは端末と中央装置を通信回線で結ぶ接続形態、リアルタイムシステムは入力に即時応答する処理を指す概念である。
●複数端末での処理形態=分散処理(処理を分担)・タイムシェアリングシステム(時分割共同利用)。
●処理の方式=バッチ処理(一括)・リアルタイム処理(即時応答)・対話処理。
●接続・利用形態=オンライン(回線接続)・オフライン・クライアントサーバ・集中処理/分散処理。
●関連概念=マルチタスク・マルチユーザ・並列処理。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。分散処理は複数のコンピュータ・端末に処理を分担させて実行するシステムである。
- ② バッチ処理はデータをまとめて一括処理する方式で、複数端末による同時処理形態ではない。
- ③ オンラインシステムは端末と中央装置を通信回線で結ぶ接続形態を指し、処理方式の概念ではない。
- ④ リアルタイムシステムは入力に対し即時に応答する処理を指し、複数端末利用の形態を表す語ではない。
- ⑤ 正しい。タイムシェアリングシステムは1台のコンピュータを時分割して複数端末が同時に利用する方式である。