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第70回(2024) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第70回 午後1(臨床検査総論)
40歳女性。生しらうおの食歴がある。皮膚病変を別に示す。考えられる寄生虫はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB001.51c003eb59.jpg
①鞭虫 ②肝吸虫 ③顎口虫 ④東洋毛様線虫 ⑤日本海裂頭条虫
正答: ③顎口虫
ポイント 顎口虫はライギョ・ドジョウ・シラウオなどの淡水魚や両生類を第2中間宿主とし、これらの生食でヒトに第3期幼虫が感染する。幼虫はヒト体内で成虫になれず、皮下を移動して線状や腫瘤状の移動性皮疹(皮膚爬行症)と限局性の遊走性浮腫を起こし、好酸球増多を伴う。生しらうおの食歴と皮膚病変の組合せが診断の手がかりとなる。●皮膚爬行症・移動性皮疹をきたす寄生虫=顎口虫・イヌ/ネコ回虫(幼虫移行症)・旋尾線虫(ホタルイカ生食)・鉤虫幼虫(皮膚爬行疹)。●淡水魚の生食で感染=顎口虫・肝吸虫・横川吸虫。●サケ/マスの生食で感染=日本海裂頭条虫・アニサキス。
選択肢ごとの解説
① 鞭虫は経口的に虫卵を摂取して大腸(盲腸)に寄生する線虫で、皮膚爬行症は起こさない。 ② 肝吸虫は淡水魚(コイ科)の生食で感染するが胆管に寄生し、肝胆道症状を呈して皮膚病変は主症状でない。 ③ 正しい。顎口虫はシラウオなど淡水魚の生食で感染し、幼虫が皮下を移動して移動性の線状皮疹や限局性浮腫を生じる。 ④ 東洋毛様線虫は経口感染する腸管寄生線虫で、皮膚を移動する病変は作らない。 ⑤ 日本海裂頭条虫はサクラマスなどの生食で感染する条虫で、腸管寄生による消化器症状が主で皮膚爬行症は起こさない。
📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。
第70回 午後2(臨床検査総論)
病原体と染色法の組合せで正しいのはどれか。
①マラリア — Kinyoun抗酸染色 ②赤痢アメーバ — Hematoxylin染色 ③トキソプラズマ — 墨汁染色 ④リーシュマニア — Kohn染色 ⑤クリプトスポリジウム — Giemsa染色
正答: ②赤痢アメーバ — Hematoxylin染色
ポイント 原虫や寄生虫は種類ごとに適した染色法が異なる。赤痢アメーバの栄養型や囊子は鉄ヘマトキシリン染色で核の核小体や摂取した赤血球を明瞭に観察でき、診断に有用である。マラリアやリーシュマニアはGiemsa染色、クリプトスポリジウムのオーシストは抗酸染色(Kinyoun法など)が用いられる。●Giemsa染色=マラリア・リーシュマニア・トリパノソーマ・トキソプラズマ・バベシア。●抗酸染色(Kinyoun/Ziehl-Neelsen)=クリプトスポリジウム・サイクロスポラ・イソスポラのオーシスト。●墨汁染色=クリプトコッカスの莢膜描出。●鉄ヘマトキシリン染色=赤痢アメーバなど腸管原虫の核構造。
選択肢ごとの解説
① マラリア原虫の検出にはGiemsa染色を用い、Kinyoun抗酸染色はクリプトスポリジウムなど抗酸性のものに使う。 ② 正しい。赤痢アメーバは鉄ヘマトキシリン染色で核や貪食した赤血球を明瞭に染め出せる。 ③ トキソプラズマはGiemsa染色などで観察し、墨汁染色はクリプトコッカスの莢膜描出に用いる。 ④ リーシュマニアはGiemsa染色で無鞭毛体を観察する。Kohn染色は腸管原虫の囊子染色に用いる方法である。 ⑤ クリプトスポリジウムのオーシストは抗酸染色(Kinyoun法など)で赤く染まり、Giemsa染色では検出しにくい。
📋 まとめの表を見る:検査材料・染色法別 主な原虫の検出
墨汁染色は病原体特異的な染色ではなく、髄液中のCryptococcus莢膜観察に用いる陰性染色である。赤痢アメーバの虫体はKohn染色やhematoxylin染色で観察する。
第70回 午後3(臨床検査総論)
囊虫症をきたすのはどれか。
①多包条虫 ②単包条虫 ③無鉤条虫 ④有鉤条虫 ⑤日本海裂頭条虫
正答: ④有鉤条虫
ポイント 囊虫症はテニア属の有鉤条虫の虫卵をヒトが経口摂取し、孵化した六鉤幼虫が組織内に移行して囊虫(有鉤囊虫)となって生じる。脳に寄生すると脳囊虫症としててんかん発作や神経症状を起こす。無鉤条虫はヒトでは成虫が腸管に寄生するのみで囊虫症を起こさない点が鑑別となる。●ヒトが終宿主(成虫が腸管に寄生)=無鉤条虫・有鉤条虫・日本海裂頭条虫。●ヒトが中間宿主(幼虫が組織に寄生)=有鉤条虫(有鉤囊虫症)・多包条虫(多包虫症)・単包条虫(包虫症)。●包虫症=単包条虫(イヌ終宿主)・多包条虫(キツネ終宿主、北海道で問題)。
選択肢ごとの解説
① 多包条虫はキツネなどが終宿主で、ヒトでは肝に多包虫(多胞性病変)を作る多包虫症を起こし、囊虫症ではない。 ② 単包条虫はイヌが終宿主で、ヒトでは肝などに単包虫(嚢胞)を作る包虫症を起こす。 ③ 無鉤条虫はウシの生食で成虫がヒト腸管に寄生するが、虫卵摂取による組織内囊虫症はほとんど起こさない。 ④ 正しい。有鉤条虫は虫卵を経口摂取すると組織内で有鉤囊虫となり、脳囊虫症など囊虫症をきたす。 ⑤ 日本海裂頭条虫は腸管に成虫が寄生する裂頭条虫で、ヒトの組織内囊虫症は起こさない。
第70回 午後4(臨床検査総論)
パニック値で誤っているのはどれか。
①基準は施設ごとに異なる。 ②生理機能検査が含まれる。 ③対応不可能な値のことである。 ④生命に危険がある値のことである。 ⑤報告方法はあらかじめ取り決めをしておく。
正答: ③対応不可能な値のことである。
ポイント パニック値(緊急異常値)は生命に危険が及ぶおそれがあり、ただちに治療を行えば救命しうる異常検査値で、検出時は遅滞なく主治医へ報告する必要がある。基準となる値や報告手順は患者層や診療体制に応じて施設ごとに取り決めておくものであり、生理機能検査の致死的不整脈なども対象になる。「対応不可能な値」を意味するものではない。●代表的なパニック値項目=血清カリウム高値/低値・血糖極端高低・血清カルシウム異常・動脈血pH異常。●生理機能検査でのパニック所見=心室細動・心室頻拍・高度房室ブロック。●報告の原則=迅速・確実な伝達、報告者と受領者・時刻の記録。
選択肢ごとの解説
① 基準となる値は患者層や診療体制に応じて施設ごとに設定するため、誤りではない。 ② 緊急を要する不整脈所見など生理機能検査の異常もパニック値に含まれうるため、誤りではない。 ③ 誤り。パニック値は対応不能な値ではなく、直ちに対応すれば救命しうる緊急異常値を意味する。 ④ パニック値は生命に危険がある値であり、この記述は正しい。 ⑤ 迅速かつ確実に伝えるため報告方法をあらかじめ取り決めておくのは適切で、誤りではない。
📋 まとめの表を見る:パニック値(緊急異常値)の代表的な基準
パニック値の基準は施設ごとに異なる(本表は代表的な目安)。検出時は直ちに主治医へ報告する。
第70回 午後5(臨床検査総論)
病院内において不適切な行為はどれか。
①診療放射線技師が腹部超音波検査を行った。 ②倫理委員会の承認を受けた研究に残余検体を使用した。 ③採血を行った際、患者の氏名に加えて生年月日を尋ねた。 ④ベッドサイド検査の際、患者確認のために患者情報をプリントアウトして持参した。 ⑤医師の電話指示により、臨床検査技師が医師名で電子カルテを開いて検査オーダーを入力した。
正答: ⑤医師の電話指示により、臨床検査技師が医師名で電子カルテを開いて検査オーダーを入力した。
ポイント 医療では各職種の業務範囲の遵守と、医療情報の正確な記録・確実な本人確認が求められる。他者(医師)の名義で電子カルテにログインしてオーダーを入力する行為は、なりすましにあたり記録の責任所在を不明確にするため不適切である。医師の口頭(電話)指示は、所定の口頭指示受け手順に従い指示内容を復唱・記録し、後に指示医の承認を得る運用で対応する。●患者誤認防止=氏名と生年月日の併用確認・リストバンド照合・検体ラベルの突合。●情報セキュリティ=個人IDでのログイン・なりすまし禁止・アクセス記録の保持。●残余検体の研究利用=倫理委員会承認・インフォームドコンセントまたはオプトアウト。
選択肢ごとの解説
① 腹部超音波検査は診療放射線技師の業務範囲に含まれ、不適切ではない。 ② 倫理委員会の承認を得たうえで残余検体を研究利用することは手続上適切である。 ③ 氏名と生年月日を併用した患者確認は取り違え防止のため推奨される行為で適切である。 ④ ベッドサイドで照合用に患者情報を持参するのは確認の確実性を高める適切な行為である。 ⑤ 不適切である。医師名で電子カルテを開いてオーダー入力するのはなりすましであり、責任の所在が不明確になる。
第70回 午後6(臨床検査総論)
尿試験紙による尿蛋白検査で正しいのはどれか。
①感度は50-100 mg/dLである。 ②アスコルビン酸の影響を受ける。 ③強アルカリ尿では偽陽性となる。 ④蛋白の種類で反応性に差異はない。 ⑤感度はスルホサリチル酸法より高い。
正答: ③強アルカリ尿では偽陽性となる。
ポイント 尿試験紙の蛋白検出はpH指示薬(テトラブロモフェノールブルーなど)の蛋白誤差を利用する比色法で、主にアルブミンに反応する。試験紙は緩衝されているが、強アルカリ尿では指示薬が蛋白非存在下でも変色して偽陽性となる。検出感度はおよそ10〜30 mg/dLで、沈殿反応によるスルホサリチル酸法より感度は低い。●試験紙法の干渉=強アルカリ尿(偽陽性)・第四級アンモニウム化合物・消毒薬残留。●蛋白検出の他法=スルホサリチル酸法(全蛋白を検出、感度が高い)・ピロガロールレッド法(定量)。●微量アルブミン尿=糖尿病性腎症の早期指標で専用試薬・免疫法で測定。
選択肢ごとの解説
① 試験紙法の検出感度はおよそ10〜30 mg/dL程度で、50〜100 mg/dLという記述は高すぎる。 ② アスコルビン酸は酸化反応を利用する潜血や糖の項目に影響するが、蛋白誤差法には影響しにくい。 ③ 正しい。強アルカリ尿では指示薬が蛋白非存在下でも変色し、偽陽性を生じる。 ④ 試験紙法はアルブミンに反応しやすくグロブリンなどには感度が低いため、蛋白の種類で反応性に差がある。 ⑤ 試験紙法の感度は沈殿反応を用いるスルホサリチル酸法より低い。
第70回 午後7(臨床検査総論)
結核性髄膜炎でみられる脳脊髄液所見はどれか。
①膿性 ②Cl濃度低下 ③蛋白細胞解離 ④血糖と同程度の糖濃度 ⑤好酸球優位の細胞増多
正答: ②Cl濃度低下
ポイント 結核性髄膜炎では脳脊髄液は外観が日光微塵様で、リンパ球(単核球)優位の細胞増多、蛋白増加、糖低下を示す。化膿性髄膜炎と同様に塩素(Cl)濃度の低下が比較的特徴的で、放置すると線維素網(フィブリン析出)を形成する。膿性外観や好中球優位は細菌性、蛋白細胞解離はGuillain-Barré症候群の所見であり区別する。●細菌性(化膿性)髄膜炎=膿性・好中球優位・糖低下・蛋白増加。●結核性/真菌性髄膜炎=リンパ球優位・糖低下・Cl低下・蛋白増加。●ウイルス性髄膜炎=リンパ球優位・糖正常・蛋白軽度増加。●蛋白細胞解離=Guillain-Barré症候群。
選択肢ごとの解説
① 膿性外観は細菌性(化膿性)髄膜炎の所見で、結核性では日光微塵様の透明〜やや混濁を示す。 ② 正しい。結核性髄膜炎ではCl(塩素)濃度の低下がみられる。 ③ 蛋白細胞解離はGuillain-Barré症候群でみられる所見で、結核性髄膜炎では細胞も蛋白も増加する。 ④ 結核性髄膜炎では糖が低下し、血糖と同程度に保たれることはない。 ⑤ 細胞増多はリンパ球優位であり、好酸球優位は寄生虫感染などでみられる。
第70回 午後8(臨床検査総論)
PCR法で正しいのはどれか。
①Tm値が低いと特異性が高くなる。 ②プライマー濃度は10 μM以上にする。 ③増幅しにくい場合にはアニーリング温度を上げる。 ④プライマーの塩基配列はGC含有量を20%前後にする。 ⑤アニーリング温度はプライマーのTm値以下に設定する。
正答: ⑤アニーリング温度はプライマーのTm値以下に設定する。
ポイント ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)では、プライマーが鋳型に結合するアニーリング温度を、プライマーの融解温度(Tm値)よりやや低く(数度下に)設定して特異的な結合を促す。アニーリング温度が高すぎると結合しにくく増幅効率が下がり、低すぎると非特異的増幅が増える。プライマー設計ではGC含有量を40〜60%程度、濃度は0.1〜0.5 μM程度とする。●PCRの3ステップ=変性(約94℃)・アニーリング(Tmより数度低く)・伸長(約72℃)。●プライマー設計の要点=長さ18〜25塩基・GC含量40〜60%・3'末端の相補性回避。●発展型=リアルタイムPCR(定量)・逆転写PCR(RNA鋳型)・ネステッドPCR(特異性向上)。
選択肢ごとの解説
① Tm値が高いほど安定して特異的に結合し、低いと非特異的結合が増えやすいため特異性は下がる。 ② プライマー濃度は通常0.1〜0.5 μM程度で用い、10 μM以上は高すぎて非特異反応の原因となる。 ③ 増幅しにくいときはアニーリング温度を下げてプライマーを結合しやすくするのが一般的で、上げると逆効果である。 ④ プライマーのGC含有量は40〜60%程度が適切で、20%前後では結合が弱く増幅効率が下がる。 ⑤ 正しい。アニーリング温度はプライマーのTm値より数度低く設定する。
第70回 午後9(臨床検査総論)
染色体で正しいのはどれか。
①ヒト体細胞の染色体数は23である。 ②染色体の両端部は動原体蛋白に覆われている。 ③染色体中心部のくびれたDNA領域をテロメアという。 ④ヌクレオソームはDNA鎖とヒストン8量体から成る。 ⑤1本の染色体から複製された染色体を相同染色体と呼ぶ。
正答: ④ヌクレオソームはDNA鎖とヒストン8量体から成る。
ポイント DNAはヒストン8量体(H2A・H2B・H3・H4が各2分子)に巻きついてヌクレオソームを形成し、これが折り畳まれてクロマチン・染色体となる。ヒト体細胞は46本(23対)の染色体をもち、染色体中央のくびれが動原体(セントロメア)、両端がテロメアである。1本の染色体が複製してできる同一の2本は姉妹染色分体、父母由来の対は相同染色体である。●クロマチン構成=DNA・ヒストン8量体・ヌクレオソーム・クロマチン繊維。●染色体の構造=セントロメア(動原体)・テロメア(末端)・キネトコア(紡錘糸付着部)。●ヒトの染色体数=体細胞46本(2n)・配偶子23本(n)。
選択肢ごとの解説
① ヒト体細胞の染色体数は46本(23対)で、23は配偶子(半数体)の数である。 ② 染色体の両端部はテロメアであり、動原体蛋白(キネトコア)は中央のセントロメアに形成される。 ③ 中心部のくびれた領域はセントロメア(動原体)で、テロメアは末端部である。 ④ 正しい。ヌクレオソームはDNA鎖がヒストン8量体に巻きついた構造である。 ⑤ 1本の染色体が複製してできる同一の2本は姉妹染色分体で、相同染色体は父母由来の対の染色体を指す。
第70回 午後10(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本を別に示す。矢印で示した結晶はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB010.749ac7b6d8.jpg
①尿酸 ②シスチン ③ビリルビン ④コレステロール ⑤リン酸アンモニウムマグネシウム
正答: ⑤リン酸アンモニウムマグネシウム
ポイント リン酸アンモニウムマグネシウム(ストラバイト)結晶はアルカリ性尿で析出し、無染色標本で棺の蓋様の長方形ないし羽根状の特徴的な形態を示す。尿路感染で尿素分解菌(プロテウスなど)が存在するとアンモニア産生で尿がアルカリ化し生成しやすい。酸性尿で析出する尿酸・シスチンや、形態の異なるコレステロール・ビリルビン結晶と区別する。●アルカリ尿でみられる結晶=リン酸アンモニウムマグネシウム(棺の蓋様)・炭酸カルシウム・尿酸アンモニウム。●酸性尿でみられる結晶=尿酸(菱形・黄褐色)・シスチン(六角板状)・シュウ酸カルシウム(正八面体)。●病的結晶=シスチン・コレステロール・ビリルビン・チロシン・ロイシン。
選択肢ごとの解説
① 尿酸結晶は酸性尿で析出し、菱形や砥石状で黄褐色を呈し形態が異なる。 ② シスチン結晶は六角板状で、シスチン尿症などの酸性尿でみられ形態が異なる。 ③ ビリルビン結晶は黄褐色の細い針状や顆粒状で、所見が異なる。 ④ コレステロール結晶は切れ込みのある薄い四角形の板状で、形態が異なる。 ⑤ 正しい。リン酸アンモニウムマグネシウムはアルカリ尿でできる棺の蓋様の結晶である。
第70回 午後11(臨床検査医学総論)
一次救命処置〈basic life support:BLS〉に含まれないのはどれか。
①気道確保 ②胸骨圧迫心マッサージ ③自動体外式除細動器〈AED〉の使用 ④静脈路確保 ⑤人工呼吸
正答: ④静脈路確保
ポイント 一次救命処置(basic life support:BLS)は特別な医療器具や薬剤を用いず一般市民も行える救命処置で、胸骨圧迫、気道確保、人工呼吸、自動体外式除細動器(AED)による除細動から成る。静脈路確保や薬剤投与、気管挿管などは医療従事者が行う二次救命処置(advanced life support:ALS)に含まれる。●BLSの要素=胸骨圧迫・気道確保・人工呼吸・AED使用。●ALSの要素=静脈路/骨髄路確保・薬剤投与(アドレナリン等)・気管挿管・心電図モニター解析。●心停止の波形=心室細動・無脈性心室頻拍(除細動適応)、心静止・無脈性電気活動(除細動非適応)。
選択肢ごとの解説
① 気道確保はBLSに含まれる基本手技である。 ② 胸骨圧迫(心マッサージ)はBLSの中心的手技である。 ③ AEDの使用は一般市民も行えるBLSの要素である。 ④ 含まれない。静脈路確保は薬剤投与を伴う二次救命処置(ALS)の手技でBLSには含まれない。 ⑤ 人工呼吸はBLSに含まれる。
第70回 午後12(臨床検査医学総論)
慢性腎不全で上昇するのはどれか。
①血清尿酸 ②血清総蛋白 ③糸球体濾過量 ④血清エリスロポエチン ⑤血清活性型ビタミンD3
正答: ①血清尿酸
ポイント 慢性腎不全では糸球体濾過量が低下し、尿酸・クレアチニン・リンなどの排泄が滞って血中に蓄積し上昇する。一方、腎でのエリスロポエチン産生やビタミンDの活性化(1α水酸化)が障害されるため、これらは低下し、腎性貧血や低カルシウム血症をきたす。血清総蛋白は栄養状態や蛋白尿により低下することもある。●腎不全で上昇するもの=尿酸・クレアチニン・尿素窒素・血清リン・血清カリウム。●腎不全で低下するもの=エリスロポエチン・活性型ビタミンD・血清カルシウム・糸球体濾過量。●腎不全の合併症=腎性貧血・腎性骨異栄養症・高K血症・代謝性アシドーシス。
選択肢ごとの解説
① 正しい。慢性腎不全では尿酸の排泄低下により血清尿酸が上昇する。 ② 血清総蛋白は腎不全で必ずしも上昇せず、低下することもある。 ③ 糸球体濾過量は慢性腎不全で低下する。 ④ エリスロポエチンは腎での産生が低下し、腎性貧血の原因となる。 ⑤ 腎での1α水酸化が障害され活性型ビタミンD3は低下し、低Ca血症をきたす。
第70回 午後13(臨床検査医学総論)
診断の根拠になる自己抗体と疾患の組合せはどれか。
①抗平滑筋抗体 — リウマチ熱 ②抗ミトコンドリア抗体 — 強皮症 ③抗CCP抗体 — Behçet病 ④抗RNP抗体 — 混合性結合組織病〈MCTD〉 ⑤抗TSH受容体抗体 — Sjögren症候群
正答: ④抗RNP抗体 — 混合性結合組織病〈MCTD〉
ポイント 自己抗体は対応する疾患の診断指標となる。抗RNP抗体(抗U1-RNP抗体)は混合性結合組織病(MCTD)で高頻度に陽性となり診断基準にも含まれる。各疾患で特異的な抗体は異なり、抗CCP抗体は関節リウマチ、抗ミトコンドリア抗体は原発性胆汁性胆管炎などと対応する。●膠原病の自己抗体=抗dsDNA/抗Sm抗体(全身性エリテマトーデス)・抗RNP抗体(MCTD)・抗Scl-70/抗セントロメア抗体(強皮症)・抗SS-A/SS-B抗体(Sjögren症候群)・抗Jo-1抗体(多発性筋炎)。●臓器特異的自己抗体=抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)・抗平滑筋抗体(自己免疫性肝炎)・抗TSH受容体抗体(Basedow病)。●関節リウマチ=抗CCP抗体・リウマトイド因子。
選択肢ごとの解説
① 抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎で陽性となる抗体で、リウマチ熱とは対応しない。 ② 抗ミトコンドリア抗体は原発性胆汁性胆管炎の指標で、強皮症ではない。 ③ 抗CCP抗体は関節リウマチの診断に有用な抗体で、Behçet病とは無関係である。 ④ 正しい。抗RNP抗体は混合性結合組織病(MCTD)で高率に陽性となり診断の根拠となる。 ⑤ 抗TSH受容体抗体はBasedow病(Graves病)の指標で、Sjögren症候群では抗SS-A/SS-B抗体が陽性となる。
📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患
第70回 午後14(臨床検査医学総論)
急性心筋梗塞発症時に血中濃度が上昇しないのはどれか。
①ALP ②CK-MB ③LD ④心筋トロポニンT ⑤心臓型脂肪酸結合蛋白〈H-FABP〉
正答: ①ALP
ポイント 急性心筋梗塞では心筋トロポニンT、CK-MB(クレアチンキナーゼMB分画)、心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)、LD(乳酸脱水素酵素)などが経時的に上昇する。ALP(アルカリホスファターゼ)は肝胆道や骨由来の酵素で、心筋傷害では上昇しない。●心筋梗塞の早期マーカー=H-FABP・ミオグロビン(発症数時間以内に上昇)。●心筋梗塞の特異的マーカー=心筋トロポニンT/I・CK-MB。●遅発性に上昇=LD(発症後数日持続)・AST。●ALPの主な由来=肝胆道・骨・胎盤・小腸。
選択肢ごとの解説
① 上昇しない。ALPは肝胆道系や骨由来の酵素で心筋梗塞では上昇しない。 ② CK-MBは心筋に多く含まれ、心筋梗塞発症後数時間で上昇する。 ③ LDは心筋梗塞でやや遅れて上昇し、しばらく高値が続く。 ④ 心筋トロポニンTは心筋特異性が高く、心筋梗塞で鋭敏に上昇する。 ⑤ H-FABPは発症ごく早期から上昇する早期マーカーである。
📋 まとめの表を見る:急性心筋梗塞の心筋バイオマーカーの経時変化
ALP(アルカリホスファターゼ)は心筋梗塞では上昇しない。BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心不全のマーカーであり、心筋梗塞診断には用いない。
第70回 午後15(臨床検査医学総論)
プリオン病はどれか。
①Alzheimer病 ②Creutzfeldt-Jakob病 ③Guillain-Barré症候群 ④Parkinson病 ⑤進行性筋ジストロフィ
正答: ②Creutzfeldt-Jakob病
ポイント プリオン病は異常型プリオン蛋白が脳に蓄積して神経変性を起こす伝達性海綿状脳症で、Creutzfeldt-Jakob病が代表である。急速進行性の認知症とミオクローヌスを呈し、脳波で周期性同期性放電(PSD)がみられることがある。他の選択肢はそれぞれ異なる蓄積蛋白や機序による疾患である。●プリオン病=Creutzfeldt-Jakob病・Gerstmann-Sträussler-Scheinker病・致死性家族性不眠症・ウシ海綿状脳症由来の変異型。●蓄積蛋白による神経変性疾患=Alzheimer病(アミロイドβ・タウ)・Parkinson病/Lewy小体型(αシヌクレイン)・筋萎縮性側索硬化症(TDP-43)。●自己免疫性末梢神経障害=Guillain-Barré症候群。
選択肢ごとの解説
① Alzheimer病はアミロイドβやタウ蛋白の蓄積による神経変性疾患でプリオン病ではない。 ② 正しい。Creutzfeldt-Jakob病は異常プリオン蛋白の蓄積によるプリオン病である。 ③ Guillain-Barré症候群は自己免疫性の末梢神経障害でプリオン病ではない。 ④ Parkinson病はαシヌクレイン蓄積を伴う神経変性疾患でプリオン病ではない。 ⑤ 進行性筋ジストロフィは遺伝性の筋疾患でプリオン病ではない。
第70回 午後16(臨床生理学)
標準12誘導心電図を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB016.3d59a8941f.jpg
①高K血症 ②高Ca血症 ③高Na血症 ④低K血症 ⑤低Ca血症
正答: ④低K血症
ポイント 低カリウム血症の心電図ではT波の平低化や陰転化、U波の増高、ST低下がみられ、進行するとQT(QU)延長や不整脈を生じる。高K血症のテント状T波やP波消失、低Ca血症のQT延長(T波形は保たれる)と区別する。●低K血症の心電図=T波平低化・U波増高・ST低下・QT(QU)延長。●高K血症の心電図=テント状T波・P波平低化/消失・QRS幅延長・サイン波。●高Ca血症=QT短縮。●低Ca血症=QT延長(ST延長)。
選択肢ごとの解説
① 高K血症ではテント状T波やP波平低化、QRS幅延長がみられ、所見が異なる。 ② 高Ca血症ではQT短縮がみられ、本図の所見とは異なる。 ③ 高Na血症は心電図に特徴的変化を示さない。 ④ 正しい。T波平低化やU波増高は低K血症の典型的心電図所見である。 ⑤ 低Ca血症ではST部分が延長してQTが延長するが、T波の平低化やU波増高は主体でない。
第70回 午後17(臨床生理学)
トレッドミル負荷試験で正しいのはどれか。
①未治療の不安定狭心症は検査の適応である。 ②目標心拍数を性別、身長と体重から求める。 ③電極は安静12誘導心電図と同じ部位に付ける。 ④患者が下肢の疲労で運動の中止を希望したら中止する。 ⑤運動中止時、心電図記録を終了する。
正答: ④患者が下肢の疲労で運動の中止を希望したら中止する。
ポイント トレッドミル負荷試験は運動負荷で心電図変化や症状を評価する検査で、目標心拍数は年齢(おおむね220−年齢)から算出する。不安定狭心症など重症例は禁忌で、運動中も継続して心電図と血圧を監視し、胸痛・強い疲労・危険な不整脈の出現や患者の中止希望時には中止する。運動中止後も回復期まで心電図記録を継続する。●運動負荷試験の禁忌=不安定狭心症・急性心筋梗塞急性期・重症大動脈弁狭窄症・コントロール不良の不整脈/心不全。●中止基準=著明なST変化・血圧低下・危険な不整脈・強い胸痛/疲労・患者の希望。●他の運動負荷法=マスター二階段試験・自転車エルゴメータ・薬剤負荷(運動困難例)。
選択肢ごとの解説
① 未治療の不安定狭心症は負荷で危険を生じうるため禁忌で、適応ではない。 ② 目標心拍数は年齢(おおむね220−年齢)を基に求め、身長や体重からではない。 ③ 運動による筋電図混入を避けるため四肢電極は体幹に近い位置に変更し、安静時と同一部位ではない。 ④ 正しい。患者が下肢の疲労で中止を希望した場合は検査を中止する。 ⑤ 運動中止後も心電図記録は回復期まで継続し、その場で終了しない。
第70回 午後18(臨床生理学)
健康成人の大気からミトコンドリアまでの酸素カスケードを別に示す。肺胞気−動脈血酸素分圧較差はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB018.001c1076e4.jpg
正答: ②
ポイント 酸素カスケードは大気から肺胞、動脈血、組織、ミトコンドリアへと酸素分圧が段階的に低下していく過程を示す。肺胞気と動脈血の酸素分圧の差が肺胞気−動脈血酸素分圧較差(A-aDO₂)で、ガス交換障害の指標となる。健常成人では小さいが、拡散障害・換気血流不均等・シャントで増大する。●A-aDO₂増大をきたす病態=間質性肺炎(拡散障害)・肺塞栓/慢性閉塞性肺疾患(換気血流不均等)・右左シャント。●A-aDO₂正常で低酸素=肺胞低換気・吸入酸素分圧低下(高地)。●関連指標=動脈血酸素分圧・酸素飽和度・呼吸商。
選択肢ごとの解説
① ①は大気から肺胞気にかけての段階を示し、肺胞気−動脈血較差ではない。 ② 正しい。②は肺胞気と動脈血の酸素分圧の差(A-aDO₂)に相当する。 ③ ③は動脈血以降の組織側の段階で、肺胞気−動脈血較差ではない。 ④ ④は組織への移行段階を示し、A-aDO₂には当たらない。 ⑤ ⑤はミトコンドリア付近の最も低い分圧で、A-aDO₂ではない。
第70回 午後19(臨床生理学)
クロージングボリューム〈CV〉測定における単一呼出曲線で正しいのはどれか。
①第Ⅰ相のN₂濃度は約80%である。 ②第Ⅱ相は肺胞のみから呼出されるガスによる。 ③第Ⅲ相で認められる振動は計測用の管の共振によって発生する。 ④第Ⅳ相の傾きは第Ⅲ相の傾きよりも大きい。 ⑤第Ⅳ相はCV位から安静呼気位までに相当する。
正答: ④第Ⅳ相の傾きは第Ⅲ相の傾きよりも大きい。
ポイント クロージングボリューム(CV)測定の単一窒素呼出曲線では、第Ⅰ相が死腔ガス(純酸素由来でN2濃度ほぼ0%)、第Ⅱ相が死腔と肺胞ガスの混合、第Ⅲ相が肺胞ガス(プラトー)、第Ⅳ相が下肺領域の気道閉塞によって窒素濃度が急に上昇する部分を示す。第Ⅳ相の開始点がクロージングポイントで、その傾きは第Ⅲ相より大きい。●単一呼出曲線の各相=第Ⅰ相(死腔)・第Ⅱ相(移行)・第Ⅲ相(肺胞プラトー)・第Ⅳ相(下肺気道閉塞)。●第Ⅲ相の傾き増大=換気不均等の指標。●CV/CC上昇=末梢気道病変・加齢・喫煙。
選択肢ごとの解説
① 第Ⅰ相は純酸素吸入後の死腔ガスでN2濃度はほぼ0%であり、約80%ではない。 ② 第Ⅱ相は死腔ガスと肺胞ガスが混合する移行部で、肺胞のみではない。 ③ 第Ⅲ相のなだらかな変動は肺の換気不均等を反映し、計測管の共振によるものではない。 ④ 正しい。下肺の気道閉塞でN2濃度が急増するため第Ⅳ相の傾きは第Ⅲ相より大きい。 ⑤ 第Ⅳ相は気道閉塞開始(クロージングポイント)から残気量位までに相当し、安静呼気位までではない。
第70回 午後20(臨床生理学)
二酸化炭素排出量が一定のとき動脈血二酸化炭素分圧と反比例の関係にあるのはどれか。
①一回換気量 ②最大換気量 ③死腔換気量 ④肺胞換気量 ⑤分時換気量
正答: ④肺胞換気量
ポイント 二酸化炭素排出量が一定のとき、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)は肺胞換気量に反比例する。肺胞換気量が増えれば二酸化炭素が多く排出されPaCO₂は低下し、減れば上昇する。分時換気量から死腔換気量を除いたものが肺胞換気量である。●換気量の区分=一回換気量・分時換気量(一回換気量×呼吸数)・肺胞換気量・死腔換気量。●PaCO₂上昇(換気不全)=肺胞低換気・慢性閉塞性肺疾患・呼吸筋麻痺。●PaCO₂低下=過換気症候群・代謝性アシドーシスの代償。
選択肢ごとの解説
① 一回換気量だけではPaCO₂を規定できず、換気回数や死腔も関与するため反比例しない。 ② 最大換気量は換気能力の指標で、安静時のPaCO₂と反比例の関係にはない。 ③ 死腔換気量はガス交換に関与しない部分で、増えるとむしろPaCO₂は上昇する傾向にある。 ④ 正しい。二酸化炭素排出量一定なら肺胞換気量とPaCO₂は反比例する。 ⑤ 分時換気量には死腔換気が含まれるため、PaCO₂と単純に反比例しない。
第70回 午後21(臨床生理学)
筋萎縮性側索硬化症患者の萎縮が明らかな筋における針筋電図検査で認める所見はどれか。2つ選べ。
①急速動員 ②陽性鋭波 ③完全干渉波形 ④線維束自発電位 ⑤短持続低振幅電位
正答: ②陽性鋭波・④線維束自発電位
ポイント 筋萎縮性側索硬化症は上位・下位運動ニューロンの変性による疾患で、針筋電図では下位運動ニューロン障害(脱神経)所見として安静時に線維自発電位・陽性鋭波・線維束自発電位(fasciculation potential)を認める。再支配により高振幅・長持続の運動単位電位がみられ、最大努力時には動員される運動単位が減って干渉波が減少する。●神経原性変化(脱神経)=陽性鋭波・線維自発電位・線維束自発電位・高振幅長持続電位・干渉波減少。●筋原性変化=短持続低振幅電位・多相性電位・急速動員・早期完全干渉。●ALSの障害部位=脊髄前角細胞・皮質運動ニューロン。
選択肢ごとの解説
① 急速動員(早期動員)は筋原性疾患でみられる所見で、神経原性のALSでは動員は減少する。 ② 正しい。陽性鋭波は脱神経を示す安静時の自発電位でALSで認める。 ③ 完全干渉波形は正常筋の最大努力時にみられ、ALSでは干渉が減少する。 ④ 正しい。線維束自発電位(fasciculation)は運動ニューロン障害を示しALSで認める。 ⑤ 短持続低振幅電位は筋原性疾患の所見で、ALSでは長持続・高振幅電位となる。
第70回 午後22(臨床生理学)
検査部位の皮膚温度が30 ℃と低い状態で検査を行う場合、神経伝導検査への影響で正しいのはどれか。
①刺激閾値が低下 ②伝導速度が低下 ③記録波形が多相化 ④記録波形の振幅が低下 ⑤記録波形の持続時間が短縮
正答: ②伝導速度が低下
ポイント 皮膚温が低いと末梢神経の脱分極が遷延して伝導が遅くなり、神経伝導検査では伝導速度の低下と遠位潜時の延長を生じる。さらに複合活動電位の振幅増大や持続時間の延長を伴う。温度の影響を避けるため検査時は皮膚温を32℃以上に保つよう加温する。●低温が神経伝導検査に与える影響=伝導速度低下・潜時延長・振幅増大・持続時間延長。●検査精度を保つ条件=皮膚温32℃以上の維持・四肢の加温・温度補正。●伝導速度低下をきたす病態=脱髄性ニューロパチー(Guillain-Barré症候群・Charcot-Marie-Tooth病)。
選択肢ごとの解説
① 低温では神経の興奮性が下がり刺激閾値はむしろ上昇する傾向にある。 ② 正しい。皮膚温が低いと神経伝導速度は低下する。 ③ 低温で波形が多相化する所見は特徴的ではなく、むしろ持続時間が延長する。 ④ 低温では脱分極の持続が延びて振幅は増大する傾向にあり、低下しない。 ⑤ 低温では脱分極の遷延で波形の持続時間はむしろ延長し、短縮しない。
第70回 午後23(臨床生理学)
脳波の記録法で正しいのはどれか。2つ選べ。
①電極配置は国際10-20法を基本とする。 ②基準電極導出法は耳朶電極を基準とする。 ③過呼吸賦活は1分間に40〜45回で施行する。 ④電極と頭皮との接触抵抗は記録に影響しない。 ⑤時定数を上げると低周波ノイズが低減される。
正答: ①電極配置は国際10-20法を基本とする。・②基準電極導出法は耳朶電極を基準とする。
ポイント 脳波記録では電極を国際10-20法に従って配置し、基準電極導出では耳朶など比較的不活性な部位を基準に用いる。接触抵抗を下げて雑音を減らし、過呼吸賦活は通常1分間に20回前後で3分間行う。時定数を大きく(長く)すると低周波成分を通しやすくなる。●脳波の電極配置=国際10-20法(基準点はナジオン・イニオン・耳介前点)。●導出法=基準電極導出(耳朶基準)・双極導出。●賦活法=開閉眼・過呼吸(3分間)・光刺激・睡眠賦活。●記録条件=接触抵抗低減・時定数0.3秒前後・高周波/低周波フィルタ設定。
選択肢ごとの解説
① 正しい。脳波の電極配置は国際10-20法を基本とする。 ② 正しい。基準電極導出法では耳朶電極を基準として用いる。 ③ 過呼吸賦活は通常1分間に20回前後で3分間行うもので、40〜45回ではない。 ④ 電極と頭皮の接触抵抗が高いと雑音が増え記録に影響するため、影響しないとはいえない。 ⑤ 時定数を上げると低周波成分を通しやすくなり、低周波ノイズはむしろ目立つため低減されない。
第70回 午後24(臨床生理学)
62歳女性。慢性肝疾患のため通院中である。意識障害が出現し記録した脳波を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB024.0004109830.jpg
①三相波 ②徐波群発 ③棘徐波複合 ④周期性同期性放電 ⑤ヒプスアリスミア
正答: ①三相波
ポイント 三相波は陰性−陽性−陰性の3相からなる前頭部優位の鋭い波で、肝性脳症などの代謝性脳症で出現する。慢性肝疾患で意識障害を呈した本例の脳波所見として典型的で、高アンモニア血症などの代謝異常を背景とする。●代謝性脳症の脳波=三相波(肝性脳症・尿毒症性脳症)。●てんかん性異常波=棘波・棘徐波複合・鋭波。●周期性同期性放電=Creutzfeldt-Jakob病・亜急性硬化性全脳炎。●ヒプスアリスミア=乳児のWest症候群。
選択肢ごとの解説
① 正しい。三相波は肝性脳症など代謝性脳症でみられ、本例の所見に合致する。 ② 徐波群発は特定のてんかんや脳症でみられるが、肝性脳症の典型所見は三相波である。 ③ 棘徐波複合はてんかんでみられる発作性異常で、代謝性脳症の三相波とは異なる。 ④ 周期性同期性放電はCreutzfeldt-Jakob病などでみられる所見で本例とは異なる。 ⑤ ヒプスアリスミアは乳児のWest症候群でみられる脳波所見である。
📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。
第70回 午後25(臨床生理学)
心尖部長軸像のカラードプラ像を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB025.dd4e44362b.jpg
①僧帽弁狭窄症 ②大動脈弁狭窄症 ③心室中隔欠損症 ④僧帽弁閉鎖不全症 ⑤大動脈弁閉鎖不全症
正答: ⑤大動脈弁閉鎖不全症
ポイント 大動脈弁閉鎖不全症では拡張期に大動脈から左室へ血液が逆流し、心尖部長軸像のカラードプラで左室流出路から左室内に向かう拡張期の逆流ジェットが描出される。逆流による容量負荷で左室拡大をきたす。収縮期に出現する僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁狭窄症の血流と時相・方向で区別する。●拡張期の異常血流=大動脈弁閉鎖不全症(大動脈→左室)・僧帽弁狭窄症(左房→左室の加速流入)。●収縮期の異常血流=僧帽弁閉鎖不全症(左室→左房)・大動脈弁狭窄症(左室→大動脈の高速モザイク)・心室中隔欠損症(左室→右室短絡)。●容量負荷をきたす弁膜症=大動脈弁閉鎖不全症・僧帽弁閉鎖不全症。
選択肢ごとの解説
① 僧帽弁狭窄症では拡張期に左房から左室への流入血流が加速するが、大動脈からの逆流ジェットは示さない。 ② 大動脈弁狭窄症では収縮期に左室流出路から大動脈への高速のモザイク血流を呈する。 ③ 心室中隔欠損症では収縮期に左室から右室への短絡血流(欠損孔を通るジェット)を示す。 ④ 僧帽弁閉鎖不全症では収縮期に左室から左房へ向かう逆流ジェットを示す。 ⑤ 正しい。大動脈弁閉鎖不全症では拡張期に大動脈から左室へ向かう逆流ジェットが描出される。
第70回 午後26(臨床生理学)
右側腹部超音波像を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB026.2f2ae27c39.jpg
正答: ②腎結石
ポイント 腎結石は超音波を強く反射するため、腎洞(中心高エコー部)内に点状〜塊状の高エコーとして描出され、その背後に超音波が透過できないことによる音響陰影(後方エコーの減弱)を伴う。この高エコーと音響陰影の組合せが結石の典型像で、無エコー腔として描出される水腎症や囊胞、充実性腫瘤として描出される腎細胞癌と鑑別される。設問では腎洞内の高エコーと音響陰影を示すことから結石が考えられる。●腎の高エコー=結石(音響陰影あり)・血管石灰化・気腫性腎盂腎炎(ガス)。●腎の無エコー=単純性囊胞・水腎症(腎盂腎杯拡張)。●腎の充実性腫瘤=腎細胞癌・血管筋脂肪腫(高エコー)・腎盂癌。
選択肢ごとの解説
① 水腎症は閉塞により拡張した腎盂腎杯が無エコー腔として描出され、高エコーと音響陰影を呈する結石像とは異なる。 ② 正しい。腎洞内の点状高エコーとその背後の音響陰影が腎結石に典型的な所見である。 ③ 腎囊胞は境界明瞭で内部無エコー、後方エコー増強を伴う液体貯留像であり、音響陰影を伴う高エコーとは異なる。 ④ 尿管結石は尿管走行に沿って存在し水腎症を伴うことが多く、腎洞内の高エコーという局在とは異なる。 ⑤ 腎細胞癌は充実性腫瘤として低〜等エコーで描出され、音響陰影を伴う点状高エコーとは異なる。
📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。
第70回 午後27(臨床生理学)
乳房の超音波像を別に示す。正しいのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB027.1ad2d3dea6.jpg
①形状不整 ②境界不明瞭 ③内部無エコー ④縦横比1.0以上 ⑤後方エコーの増強
正答: ③内部無エコー・⑤後方エコーの増強
ポイント 乳腺超音波で内部無エコーかつ後方エコー増強を示すのは、囊胞など液体貯留の良性所見である。液体は超音波をよく透過するため内部はエコーを生じず、減衰しないまま後方へ抜けて病変の背側でエコーが増強する。一方、形状不整・境界不明瞭・縦横比(深さ/幅)1.0以上は周囲へ浸潤性に増殖する悪性腫瘤を疑う所見であり、設問の良性所見とは矛盾する。●悪性を疑う所見=形状不整・境界不明瞭(粗造)・縦横比1.0以上・微細石灰化・後方エコー減衰。●良性を疑う所見=整な形状・境界明瞭平滑・縦横比1.0未満・後方エコー増強(囊胞)。●乳房の囊胞性病変=単純性囊胞・乳管拡張。●充実性の良性病変=線維腺腫。
選択肢ごとの解説
① 形状不整は悪性を疑う所見であり、良性の囊胞性病変では形状は整であることが多い。 ② 境界不明瞭は浸潤を示唆する悪性所見で、境界明瞭な良性病変の特徴とは反対である。 ③ 正しい。液体で満たされた囊胞は内部にエコーを生じず無エコーとして描出される。 ④ 縦横比1.0以上は縦方向に伸びる悪性を示唆し、扁平な良性病変では1.0未満となることが多い。 ⑤ 正しい。液体を透過した超音波が減衰せず後方へ抜けるため、病変の背側でエコーが増強する。
第70回 午後28(臨床生理学)
MRI検査で誤っているのはどれか。
①T2強調画像では水は高信号に描出される。 ②T1強調画像では脂肪は高信号に描出される。 ③MRアンジオグラフィ〈MRA〉には造影剤を要する。 ④拡散強調画像では超急性期脳梗塞巣の描出が可能である。 ⑤T2*強調画像はT2強調画像より出血・石灰化の検出に鋭敏である。
正答: ③MRアンジオグラフィ〈MRA〉には造影剤を要する。
ポイント MRアンジオグラフィは流れる血液の信号変化を利用するため、time-of-flight法やphase contrast法など造影剤を用いない撮像が一般に可能で、造影剤が必須という記述は誤りである。MRIの信号はT1・T2緩和時間の差を反映し、T2強調で水(自由水)が高信号、T1強調で脂肪が高信号、拡散強調で超急性期脳梗塞の細胞性浮腫を高信号として描出する。T2*強調は磁化率効果に鋭敏で出血・石灰化の検出に優れる。●MRIの信号=T1強調(脂肪・亜急性期出血が高信号)・T2強調(水・浮腫が高信号)・FLAIR(自由水抑制)。●拡散強調=超急性期脳梗塞・膿瘍・腫瘍で拡散制限。●磁化率を利用=T2*強調/SWI(微小出血・石灰化)。●血流を利用=MRA(TOF・phase contrast)。
選択肢ごとの解説
① T2強調画像では水(自由水)が高信号となり、正しい記述である。 ② T1強調画像では脂肪がT1緩和時間が短いため高信号となり、正しい記述である。 ③ 誤り。MRアンジオグラフィは血流による信号を利用するため、造影剤を用いない撮像法が一般的に可能である。 ④ 拡散強調画像は水分子の拡散制限をとらえ、超急性期脳梗塞の描出が可能で正しい記述である。 ⑤ T2*強調画像は磁化率効果に鋭敏で、出血や石灰化の検出に優れ正しい記述である。
第70回 午後29(臨床化学)
ビリルビンで正しいのはどれか。
①尿中には非抱合型が排泄される。 ②抱合型はタウリンと結合している。 ③抱合型は非抱合型より酸化されやすい。 ④非抱合型は抱合型より光に対して不安定である。 ⑤δビリルビンは抱合型にグロブリンが結合している。
正答: ④非抱合型は抱合型より光に対して不安定である。
ポイント 非抱合型(間接)ビリルビンはアルブミンに結合した脂溶性で、光照射により構造異性化(光異性化)を受けやすく光に対して不安定であるため、検体は遮光保存が必要で、新生児黄疸の光線療法もこの性質を利用する。抱合型(直接)ビリルビンはグルクロン酸抱合により水溶性となって尿中へ排泄され、δビリルビンは抱合型ビリルビンがアルブミンと共有結合したものを指す。●非抱合型ビリルビン=脂溶性・アルブミン結合・尿中に出ない・光に不安定。●抱合型ビリルビン=水溶性・グルクロン酸抱合・尿中に出る。●δビリルビン=抱合型がアルブミンと共有結合・半減期が長く黄疸遷延。●抱合経路=UDPグルクロン酸転移酵素(欠損でCrigler-Najjar/Gilbert症候群)。
選択肢ごとの解説
① 尿中へ排泄されるのは水溶性の抱合型であり、非抱合型はアルブミンと結合し腎から排泄されない。 ② 抱合型ビリルビンはグルクロン酸と結合しており、タウリン結合は胆汁酸の抱合に関わる記述である。 ③ 酸化されやすさで抱合型が非抱合型に勝るとはいえず、脂溶性の非抱合型のほうが光や酸化に対して不安定である。 ④ 正しい。脂溶性の非抱合型は光照射で構造異性化を受けやすく、光に対して不安定である。 ⑤ δビリルビンは抱合型ビリルビンがアルブミンと共有結合したもので、グロブリン結合という記述は誤りである。
📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。
第70回 午後30(臨床化学)
加水分解酵素はどれか。
正答: ①ALP
ポイント ALP(アルカリホスファターゼ)はリン酸モノエステルを加水分解する加水分解酵素(EC3群)である。酵素は反応様式で6群に大別され、AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)とγ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)は基を移すアミノ基転移・転移酵素、CK(クレアチンキナーゼ)はリン酸基を転移するキナーゼ(転移酵素)、LD(乳酸脱水素酵素)は酸化還元を担う酸化還元酵素である。●酸化還元酵素=LD・グルコース-6-リン酸脱水素酵素。●転移酵素=AST・ALT・γ-GT・CK。●加水分解酵素=ALP・酸性ホスファターゼ・アミラーゼ・リパーゼ・コリンエステラーゼ。●脱離酵素(リアーゼ)・異性化酵素・合成酵素(リガーゼ)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。ALPはリン酸モノエステルを加水分解する加水分解酵素である。 ② ASTはアミノ基を転移する転移酵素であり、加水分解酵素ではない。 ③ CKはクレアチンへリン酸基を転移する転移酵素であり、加水分解酵素ではない。 ④ γ-GTはγ-グルタミル基を転移する転移酵素であり、加水分解酵素ではない。 ⑤ LDは乳酸とピルビン酸間の酸化還元を触媒する酸化還元酵素であり、加水分解酵素ではない。
第70回 午後31(臨床化学)
アルドステロンの作用はどれか。
①骨形成 ②脂質合成 ③Na再吸収 ④血糖値低下 ⑤心拍数上昇
正答: ③Na再吸収
ポイント アルドステロンは副腎皮質球状帯から分泌される鉱質コルチコイドで、腎遠位尿細管・集合管に作用してNaの再吸収とKの排泄を促進し、体液量と血圧を維持する。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の最終産物として循環血液量を調節し、原発性アルドステロン症では高血圧と低カリウム血症をきたす。●鉱質コルチコイド(アルドステロン)=Na再吸収・K排泄・体液量維持。●糖質コルチコイド(コルチゾール)=糖新生・抗炎症。●副腎髄質(カテコールアミン)=心拍数・血圧上昇。●副甲状腺ホルモン/ビタミンD/カルシトニン=骨・カルシウム代謝。
選択肢ごとの解説
① 骨形成は副甲状腺ホルモンやビタミンD、カルシトニンが関与し、アルドステロンの作用ではない。 ② 脂質合成はインスリンなどが関与し、アルドステロンの主作用ではない。 ③ 正しい。アルドステロンは遠位尿細管でNaの再吸収を促進する鉱質コルチコイドである。 ④ 血糖値の調節はインスリンやグルカゴン、糖質コルチコイドが担い、アルドステロンの作用ではない。 ⑤ 心拍数上昇はカテコールアミンが担い、アルドステロンの作用ではない。
第70回 午後32(臨床化学)
高エネルギー化合物で最も高いエネルギーをもつのはどれか。
①ATP ②ピロリン酸 ③アセチルCoA ④クレアチンリン酸 ⑤ホスホエノールピルビン酸
正答: ⑤ホスホエノールピルビン酸
ポイント ホスホエノールピルビン酸は高エネルギーリン酸化合物のなかで加水分解の標準自由エネルギー変化(ΔG°')が最も大きく(約-62kJ/mol)、解糖系でピルビン酸キナーゼによりADPをATPへ変換する基質レベルのリン酸化のエネルギー源となる。クレアチンリン酸はこれに次ぎ、ATPはこれらより低い中間のエネルギー準位にあるため、高エネルギー化合物と低エネルギー化合物の間でエネルギーを受け渡す役割を担う。●ATPより高エネルギー=ホスホエノールピルビン酸・カルバモイルリン酸・1,3-ビスホスホグリセリン酸・クレアチンリン酸。●ATP(中間)=エネルギー通貨。●ATPより低エネルギー=グルコース6-リン酸・グリセロール3-リン酸。
選択肢ごとの解説
① ATPはエネルギーの仲介役であり、加水分解エネルギーはホスホエノールピルビン酸より小さい。 ② ピロリン酸の加水分解エネルギーはホスホエノールピルビン酸より小さい。 ③ アセチルCoAはチオエステル結合をもつ高エネルギー化合物だが、ホスホエノールピルビン酸より小さい。 ④ クレアチンリン酸は高い値をもつが、ホスホエノールピルビン酸より小さい。 ⑤ 正しい。ホスホエノールピルビン酸は加水分解の標準自由エネルギー変化が最も大きい高エネルギー化合物である。
第70回 午後33(臨床化学)
蛋白質の含有率が最も高いのはどれか。
①HDL ②IDL ③LDL ④VLDL ⑤カイロミクロン
正答: ①HDL
ポイント リポ蛋白は粒子が小さく密度が高いほど蛋白含有率が高くなる。HDL(高密度リポ蛋白)は最も小さく密度が高い粒子で、蛋白質を約50%含み含有率が最も高い。カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDLの順に粒子径が小さく密度が高くなり、トリグリセリドの割合が減って蛋白質の割合が増えていく。●トリグリセリドに富む=カイロミクロン(食事性)・VLDL(肝由来)。●コレステロールに富む=LDL(悪玉)・IDL。●蛋白に富む=HDL(善玉・約50%が蛋白)。●主要アポ蛋白=カイロミクロン(B48)・VLDL/LDL(B100)・HDL(A-I)。
選択肢ごとの解説
① 正しい。HDLは最も小さく高密度のリポ蛋白で、蛋白含有率が最も高い。 ② IDLはVLDLとLDLの中間で、HDLより蛋白含有率は低い。 ③ LDLはコレステロール主体で、HDLより蛋白含有率は低い。 ④ VLDLはトリグリセリドに富み、蛋白含有率は低い。 ⑤ カイロミクロンはトリグリセリドが大半を占め、蛋白含有率が最も低い。
第70回 午後34(臨床化学)
必須アミノ酸はどれか。
①アラニン ②グリシン ③チロシン ④プロリン ⑤ロイシン
正答: ⑤ロイシン
ポイント 必須アミノ酸は体内で十分に合成できず食事から摂取する必要があるアミノ酸で、ロイシン・イソロイシン・バリン・リシン・メチオニン・フェニルアラニン・トレオニン・トリプトファン・ヒスチジンの9種が該当する。アラニン・グリシン・プロリンは生体内で合成可能な非必須アミノ酸、チロシンはフェニルアラニンから合成される条件付き必須アミノ酸である。●必須アミノ酸(9種)=ロイシン・イソロイシン・バリン(分枝鎖)・リシン・メチオニン・フェニルアラニン・トレオニン・トリプトファン・ヒスチジン。●非必須アミノ酸=アラニン・グリシン・プロリン・グルタミン酸・アスパラギン酸・セリン等。●条件付き必須=チロシン(フェニルアラニンから)・システイン・アルギニン。
選択肢ごとの解説
① アラニンは糖原性で生体内合成が可能な非必須アミノ酸である。 ② グリシンは生体内で合成可能な非必須アミノ酸である。 ③ チロシンはフェニルアラニンから合成される条件付き必須アミノ酸であり、必須アミノ酸ではない。 ④ プロリンはグルタミン酸から合成可能な非必須アミノ酸である。 ⑤ 正しい。ロイシンは体内で合成できず食事からの摂取を要する分枝鎖の必須アミノ酸である。
第70回 午後35(臨床化学)
尿酸で正しいのはどれか。
①血漿中で酸化作用を持つ。 ②血漿中濃度は朝より夜に高い。 ③酵素法試薬ではウレアーゼが用いられる。 ④核酸のピリミジン塩基の最終代謝産物である。 ⑤血漿中の尿酸の溶解度は約7.0 mg/dLである。
正答: ⑤血漿中の尿酸の溶解度は約7.0 mg/dLである。
ポイント 尿酸はプリン体(プリン塩基)の最終代謝産物で、血漿中では抗酸化(還元)作用を示す。血漿中の溶解度は約7mg/dL前後で、これを超える高尿酸血症では尿酸塩結晶が析出して痛風や尿路結石の原因となる。酵素法ではウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)で尿酸を分解して測定する。●プリン体最終産物=尿酸(ヒト)。●尿酸高値の病態=痛風・腫瘍崩壊症候群・Lesch-Nyhan症候群・腎不全。●尿酸低値=Fanconi症候群・キサンチンオキシダーゼ阻害薬。●測定法=ウリカーゼ法(尿酸オキシダーゼ)。
選択肢ごとの解説
① 尿酸は血漿中で抗酸化物質として還元作用を持ち、酸化作用ではない。 ② 尿酸の日内変動は明瞭ではなく、夜に高いという一定の傾向は示さない。 ③ 酵素法ではウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)を用い、ウレアーゼは尿素の測定に用いる。 ④ 尿酸はプリン塩基の最終代謝産物であり、ピリミジン塩基の最終産物ではない。 ⑤ 正しい。血漿中の尿酸溶解度は約7.0mg/dLで、これを超えると結晶化しやすい。
第70回 午後36(臨床化学)
血中薬物濃度測定で検体に全血を用いるのはどれか。2つ選べ。
①ジゴキシン ②タクロリムス ③シクロスポリン ④メトトレキサート ⑤フェノバルビタール
正答: ②タクロリムス・③シクロスポリン
ポイント 免疫抑制薬のタクロリムスとシクロスポリンは赤血球内に多く分布し、その分布が温度依存性で血漿との平衡が変動するため、血中薬物濃度測定には溶血させた全血を検体に用いる。ジゴキシン・フェノバルビタール・メトトレキサートは血清または血漿で測定する。治療薬物モニタリング(TDM)では薬剤ごとに適切な検体と採血時期(トラフ値など)が定められている。●全血で測定=タクロリムス・シクロスポリン(赤血球内分布が多い免疫抑制薬)。●血清/血漿で測定=ジゴキシン(強心配糖体)・フェノバルビタール/フェニトイン(抗てんかん薬)・メトトレキサート(抗癌薬)・バンコマイシン(抗菌薬)。●採血はトラフ値が基本。
選択肢ごとの解説
① ジゴキシンは血清または血漿で測定し、全血は用いない。 ② 正しい。タクロリムスは赤血球内分布が多く、全血を検体に用いる。 ③ 正しい。シクロスポリンは赤血球内に多く分布するため、全血を検体に用いる。 ④ メトトレキサートは血清または血漿で測定し、全血は用いない。 ⑤ フェノバルビタールは血清または血漿で測定し、全血は用いない。
📋 まとめの表を見る:治療薬物モニタリング〈TDM〉の対象薬と検体の種類
ワルファリン(抗凝固薬)は血中濃度でなくPT-INRという薬効指標で管理するためTDMの対象としない。
第70回 午後37(臨床化学)
過剰症を起こすビタミンはどれか。2つ選べ。
①チアミン ②レチノール ③リボフラビン ④アスコルビン酸 ⑤カルシフェロール
正答: ②レチノール・⑤カルシフェロール
ポイント 脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすく過剰症を起こす。レチノール(ビタミンA)は頭蓋内圧亢進や肝障害・催奇形性、カルシフェロール(ビタミンD)は高カルシウム血症や腎障害をきたす。水溶性のチアミン・リボフラビン・アスコルビン酸は尿中に排泄されるため過剰症は起こしにくい。●脂溶性ビタミン(過剰症あり)=A(レチノール)・D(カルシフェロール)・E(トコフェロール)・K。●水溶性ビタミン(過剰症まれ)=B1(チアミン)・B2(リボフラビン)・B6・B12・C(アスコルビン酸)・葉酸・ナイアシン。●欠乏症=A(夜盲)・D(くる病)・B1(脚気)・C(壊血病)。
選択肢ごとの解説
① チアミン(ビタミンB₁)は水溶性で過剰分は尿中排泄され、過剰症は起こしにくい。 ② 正しい。レチノール(ビタミンA)は脂溶性で体内に蓄積し、過剰症を起こす。 ③ リボフラビン(ビタミンB₂)は水溶性で尿中排泄され、過剰症は起こしにくい。 ④ アスコルビン酸(ビタミンC)は水溶性で尿中排泄され、過剰症は起こしにくい。 ⑤ 正しい。カルシフェロール(ビタミンD)は脂溶性で蓄積し、高カルシウム血症などの過剰症を起こす。
📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。
第70回 午後38(臨床化学)
Child-Pughスコアに使用されるのはどれか。2つ選べ。
①ALT ②γ-GT ③アルブミン ④コリンエステラーゼ ⑤プロトロンビン時間
正答: ③アルブミン・⑤プロトロンビン時間
ポイント Child-Pugh分類は肝硬変の重症度評価で、血清アルブミン・総ビリルビン・プロトロンビン時間(またはプロトロンビン活性/国際標準比)の検査項目と、腹水・肝性脳症の臨床所見の5項目を点数化して評価する。ALTやγ-GTなどの逸脱酵素は分類項目に含まれない。●Child-Pughの5項目=アルブミン・総ビリルビン・プロトロンビン時間・腹水・肝性脳症。●肝合成能を反映=アルブミン・プロトロンビン時間・コリンエステラーゼ。●肝細胞逸脱酵素=AST・ALT・LD。●胆道系酵素=ALP・γ-GT。●肝予備能の他指標=ICG試験。
選択肢ごとの解説
① ALTは肝細胞逸脱酵素でChild-Pughスコアの構成項目には含まれない。 ② γ-GTは胆道系酵素でChild-Pughスコアの構成項目には含まれない。 ③ 正しい。血清アルブミンは肝合成能を反映しChild-Pughスコアの項目である。 ④ コリンエステラーゼは肝合成能を反映するがChild-Pughスコアの項目には含まれない。 ⑤ 正しい。プロトロンビン時間は肝の凝固因子合成能を反映しChild-Pughスコアの項目である。
📋 まとめの表を見る:Child-Pughスコアの評価項目
合計点でA(5〜6点)=代償性肝硬変、B(7〜9点)=代償性〜非代償性肝硬変、C(10〜15点)=非代償性肝硬変に分類する(肝硬変の重症度分類)。ALT・γ-GT・コリンエステラーゼは評価項目に含まれない。
第70回 午後39(臨床化学)
血中アンモニア濃度で正しいのはどれか。
①成人では性差がある。 ②溶血検体で低値を示す。 ③消化管出血により上昇する。 ④採血後室温で放置すると低下する。 ⑤動脈血のアンモニア濃度は静脈血より高い。
正答: ③消化管出血により上昇する。
ポイント アンモニアは消化管で蛋白質や血液が腸内細菌により分解されて産生され腸管から吸収されるため、消化管出血では血中濃度が上昇する。検体は採血後速やかに氷冷して測定する必要があり、室温放置や溶血では赤血球などからの産生・遊離により偽高値となる。生理的には肝で尿素回路により尿素へ変換されて代謝されるため、肝不全では高値となる。●血中アンモニア上昇=消化管出血・肝硬変/肝不全・尿素回路異常症・門脈大循環シャント・高蛋白食。●測定上の注意=氷冷・速やかに測定(室温放置・溶血で偽高値)。●代謝経路=尿素回路(肝)。
選択肢ごとの解説
① 血中アンモニア濃度に明らかな性差は認められない。 ② 溶血検体では赤血球内アンモニアの混入で高値を示し、低値ではない。 ③ 正しい。消化管出血では腸内で血液が分解されアンモニア産生が増え上昇する。 ④ 採血後室温放置では赤血球などからの産生で上昇し、低下ではない。 ⑤ 動脈血と静脈血で大きな差はなく、動脈血が高いとはいえない。
📋 まとめの表を見る:主な血液・尿検査項目の代謝上の由来(最終代謝産物)
アンモニアは採血後、室温放置や溶血で偽高値になりやすいため速やかに測定するか氷冷保存する。
第70回 午後40(臨床化学)
LDで正しいのはどれか。
①2量体である。 ②LD₅は赤血球に多く含まれる。 ③半減期が最も長いのはLD₁である。 ④健常人血清ではLD₃の割合が最も高い。 ⑤LD₁はM型のサブユニットで構成される。
正答: ③半減期が最も長いのはLD₁である。
ポイント LD(乳酸脱水素酵素)はH型とM型のサブユニットからなる四量体で、その組合せによりLD₁(H4)〜LD₅(M4)の5つのアイソザイムを形成する。LD₁(H4)は心筋・赤血球・腎に多く、半減期が最も長いため心筋梗塞などで遅れて上昇し遷延する。健常人血清ではLD₂の割合が最も高い。●LD₁・LD₂=心筋・赤血球・腎(心筋梗塞・溶血で上昇)。●LD₂・LD₃=肺・リンパ・血小板。●LD₄・LD₅=肝・骨格筋(肝障害・筋疾患で上昇)。●LDアイソザイム比=健常人はLD₂>LD₁>LD₃>LD₄>LD₅。
選択肢ごとの解説
① LDはサブユニット4個からなる四量体であり、二量体ではない。 ② LD₅は肝臓・骨格筋に多く、赤血球に多いのはLD₁・LD₂である。 ③ 正しい。LD₁は半減期が最も長く、心筋梗塞などで遅れて上昇し遷延する。 ④ 健常人血清で割合が最も高いのはLD₂であり、LD₃ではない。 ⑤ LD₁はH型サブユニット4個(H4)で構成され、M型ではない。
📋 まとめの表を見る:LDアイソザイムの構造・組織分布・安定性
LDはH型・M型の2種類のサブユニットからなる四量体(分子量約134kDa)。健常人血清ではLD2の割合が最も高い。溶血で上昇するのはLD1・LD2。
第70回 午後41(臨床化学)
酵素活性測定の酵素と基質の組合せで正しいのはどれか。
①ALP — 4-ニトロフェノール ②ALT — L-グルタミン ③AST — ピリドキサルリン酸 ④CK — N-アセチルシステイン ⑤α-アミラーゼ — 4,6-エチリデン-4-ニトロフェニル-マルトヘプタシド
正答: ⑤α-アミラーゼ — 4,6-エチリデン-4-ニトロフェニル-マルトヘプタシド
ポイント α-アミラーゼ活性測定では、4,6-エチリデン-4-ニトロフェニル-マルトヘプタシドなどの合成基質をα-アミラーゼで分解させ、共役酵素を介して遊離する4-ニトロフェノールの吸光度から活性を測る。ALPの基質は4-ニトロフェニルリン酸、ALT・ASTはアミノ基転移反応の基質(アミノ酸とα-ケト酸)を用い、ピリドキサルリン酸はASTの補酵素、N-アセチルシステインはCK測定の活性化剤である。●合成基質=α-アミラーゼ(エチリデン-ニトロフェニル-マルトヘプタシド)・ALP(4-ニトロフェニルリン酸)。●補酵素=AST/ALT(ピリドキサルリン酸)。●活性化剤=CK(N-アセチルシステイン)。●基質と生成物の区別に注意(4-ニトロフェノールは生成物)。
選択肢ごとの解説
① ALPの基質は4-ニトロフェニルリン酸であり、4-ニトロフェノールは反応生成物にあたる。 ② ALTの基質はL-アラニンと2-オキソグルタル酸であり、L-グルタミンではない。 ③ ピリドキサルリン酸はASTの補酵素であり、基質ではない。 ④ N-アセチルシステインはCK測定の活性化剤(賦活剤)であり、基質ではない。 ⑤ 正しい。α-アミラーゼは合成基質を分解し、生成する4-ニトロフェノールで活性を測定する。
📋 まとめの表を見る:酵素活性測定における基質・共役酵素
4-ニトロフェノールは反応の生成物であり、いずれの酵素の基質でもない点に注意する。
第70回 午後42(臨床化学)
尿細管機能の評価に用いられないのはどれか。
①シスタチンC ②α₁-ミクログロブリン ③β₂-ミクログロブリン ④肝臓型脂肪酸結合蛋白〈L-FABP〉 ⑤N-アセチルグルコサミニダーゼ〈NAG〉
正答: ①シスタチンC
ポイント 近位尿細管障害の評価には、再吸収障害で尿中に増えるα₁-ミクログロブリン・β₂-ミクログロブリン、尿細管上皮由来の酵素NAG、近位尿細管細胞のストレス・障害に伴って尿中に増えるL-FABPなどを用いる。シスタチンCは全身の有核細胞で一定速度で産生され糸球体で濾過される低分子蛋白で、糸球体濾過量(GFR)の指標であり、尿細管機能の評価には用いない。●尿細管障害マーカー=α₁-ミクログロブリン・β₂-ミクログロブリン・L-FABP・NAG・尿中NGAL。●糸球体濾過量(GFR)マーカー=シスタチンC・血清クレアチニン・イヌリンクリアランス。●糸球体障害マーカー=尿中アルブミン・尿蛋白。
選択肢ごとの解説
① 用いられない。シスタチンCは糸球体濾過量の指標であり、尿細管機能の評価には用いない。 ② α₁-ミクログロブリンは尿細管で再吸収される低分子蛋白で、尿細管機能評価に用いられる。 ③ β₂-ミクログロブリンは尿細管で再吸収される低分子蛋白で、尿細管機能評価に用いられる。 ④ L-FABPは近位尿細管由来で尿細管障害の指標として用いられる。 ⑤ NAGは尿細管上皮由来の酵素で尿細管障害の指標として用いられる。
第70回 午後43(臨床化学)
eGFRで正しいのはどれか。
①採尿が必要である。 ②算出に年齢を用いる。 ③基準範囲に性差がある。 ④尿細管機能を評価する。 ⑤検査前に絶食が必要である。
正答: ②算出に年齢を用いる。
ポイント eGFR(推算糸球体濾過量)は血清クレアチニン値に年齢と性別を組み込んだ推算式で算出するため、採尿や絶食を必要としない。性別は推算式に補正係数として含まれるが、評価する基準範囲そのものに性差はなく、糸球体の濾過機能を評価する指標である。●eGFR算出に用いる要素=血清クレアチニン・年齢・性別(シスタチンC版もある)。●不要=採尿・絶食。●糸球体機能の指標=eGFR・クレアチニンクリアランス・イヌリンクリアランス。●尿細管機能の指標=β₂-ミクログロブリン・NAG・尿濃縮力。
選択肢ごとの解説
① eGFRは血清クレアチニンから算出し、採尿は不要である。 ② 正しい。eGFRの推算式には血清クレアチニン値とともに年齢を用いる。 ③ 性別は推算式に補正係数として含まれるが、評価基準(基準範囲)に性差はない。 ④ eGFRは糸球体濾過量を推算するもので、尿細管機能の評価ではない。 ⑤ 血清クレアチニンによる算出であり、検査前の絶食は不要である。
📋 まとめの表を見る:腎機能を評価する検査の比較(eGFR・クレアチニンクリアランス・シスタチンC)
第70回 午後44(臨床化学)
糖尿病精査のため来院した患者の検査結果で糖尿病型を示すのはどれか。2つ選べ。
①HbA1c 7.1% ②随時血糖値210 mg/dL ③グリコアルブミン21.5% ④75 g経口ブドウ糖負荷試験1時間血糖値220 mg/dL ⑤75 g経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値180 mg/dL
正答: ①HbA1c 7.1%・②随時血糖値210 mg/dL
ポイント 糖尿病型は、空腹時血糖126mg/dL以上、随時血糖または75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上のいずれかを満たすと判定する。随時血糖210mg/dLとHbA1c7.1%はいずれも基準を満たし糖尿病型を示す。グリコアルブミンや負荷試験1時間値、2時間値180mg/dLは診断基準を満たさない。●糖尿病型の判定基準=空腹時血糖≧126・随時血糖≧200・75gOGTT2時間値≧200・HbA1c≧6.5%。●診断=血糖値とHbA1cの両方が糖尿病型、または別日再検で確定。●補助指標(診断基準外)=グリコアルブミン・1,5-アンヒドログルシトール。
選択肢ごとの解説
① 正しい。HbA1c6.5%以上が糖尿病型の基準で、7.1%はこれを満たす。 ② 正しい。随時血糖200mg/dL以上が糖尿病型の基準で、210mg/dLはこれを満たす。 ③ グリコアルブミンは糖尿病型の診断基準には含まれない。 ④ 75g経口ブドウ糖負荷試験は2時間値で判定し、1時間値220mg/dLは診断基準項目ではない。 ⑤ 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値は200mg/dL以上が基準で、180mg/dLはこれに達しない。
第70回 午後45(病理組織細胞学)
子宮体癌で正しいのはどれか。
①扁平上皮癌が多い。 ②好発年齢は30歳代である。 ③我が国の患者数は減少傾向にある。 ④エストロゲンの長期投与がリスクとなる。 ⑤ヒトパピローマウイルス感染に関係する。
正答: ④エストロゲンの長期投与がリスクとなる。
ポイント 子宮体癌は子宮内膜から発生する腺癌(類内膜癌)が大半で、エストロゲンの持続的刺激が内膜を増殖させ発生リスクとなり、肥満・未経産・閉経後ホルモン補充などが危険因子となる。閉経後の50〜60歳代に好発し、近年は増加傾向にある。ヒトパピローマウイルスが関与し扁平上皮癌が多い子宮頸癌とは発生機序が異なる。●子宮体癌=内膜由来の腺癌・エストロゲン依存・50〜60歳代・増加傾向。●子宮頸癌=扁平上皮癌が多い・ヒトパピローマウイルス関与・30〜40歳代にも多い。●エストロゲン関連腫瘍=子宮体癌・乳癌。
選択肢ごとの解説
① 子宮体癌は内膜由来の腺癌が大半であり、扁平上皮癌が多いのは子宮頸癌である。 ② 好発年齢は閉経後の50〜60歳代であり、30歳代ではない。 ③ 我が国の子宮体癌は近年増加傾向にあり、減少傾向ではない。 ④ 正しい。エストロゲンの持続的刺激が子宮内膜を増殖させ、発生リスクとなる。 ⑤ ヒトパピローマウイルス感染が関係するのは子宮頸癌であり、子宮体癌とは異なる。
第70回 午後46(病理組織細胞学)
自然尿検体のPapanicolaou染色標本の弱拡大写真と強拡大写真を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB046.9a96a3cf5c.jpg
①円柱上皮細胞 ②尿路上皮細胞 ③デコイ細胞 ④尿路上皮癌細胞 ⑤リンパ腫細胞
正答: ④尿路上皮癌細胞
ポイント 尿路上皮癌細胞はN/C比(核/細胞質比)の増大、核腫大と核形不整、クロマチン増量を示し、孤立散在性または不規則な集塊として出現する。良性の尿路上皮細胞や、ポリオーマウイルス感染による核内封入体をもつデコイ細胞との鑑別には、こうした核異型の有無が重要となる。設問の標本はこれらの核異型を示すことから尿路上皮癌細胞が考えられる。●尿細胞診で出現する細胞=尿路上皮細胞(正常)・扁平上皮細胞・円柱上皮細胞・デコイ細胞(ポリオーマウイルス)・尿路上皮癌細胞。●悪性所見=N/C比増大・核腫大・核形不整・クロマチン増量・核小体明瞭。●尿細胞診の対象=尿路上皮癌・腎盂尿管癌・膀胱癌。
選択肢ごとの解説
① 円柱上皮細胞は規則的な核と豊富な細胞質をもち、悪性を示す核異型を欠く。 ② 正常尿路上皮細胞は核異型が乏しく、悪性の所見を示さない。 ③ デコイ細胞はポリオーマウイルス感染による核内封入体をもつが、真の悪性細胞ではない。 ④ 正しい。核腫大・核形不整・N/C比増大などの核異型を示し、尿路上皮癌細胞に合致する。 ⑤ リンパ腫細胞は孤立性の裸核様細胞として出現し、上皮性集塊を作る所見とは異なる。
第70回 午後47(病理組織細胞学)
成人男性の剖検時の臓器重量で正常範囲内なのはどれか。
①脳 — 700 g ②甲状腺 — 100 g ③心臓 — 300 g ④肝臓 — 500 g ⑤脾臓 — 400 g
正答: ③心臓 — 300 g
ポイント 成人男性の臓器重量の正常範囲は、脳が約1300〜1500g、心臓が約250〜350g、肝臓が約1000〜1500g、脾臓が約100〜150g、甲状腺が約15〜30gである。これに照らすと心臓300gのみが正常範囲に収まり、他の選択肢の重量はいずれも正常範囲を外れている。●成人臓器重量の目安=脳1300〜1500g・心臓250〜350g・肝臓1000〜1500g・腎臓(左右各)約120〜150g・脾臓100〜150g・肺(片側)約400〜600g・甲状腺15〜30g。●心重量増加=心肥大(高血圧・弁膜症・心筋症)。●脾腫=門脈圧亢進・血液疾患・感染。
選択肢ごとの解説
① 成人の脳は約1300〜1500gであり、700gは正常範囲を下回る。 ② 甲状腺は約15〜30gであり、100gは著しく重く正常範囲を超える。 ③ 正しい。成人男性の心臓は約250〜350gで、300gは正常範囲内である。 ④ 肝臓は約1000〜1500gであり、500gは正常範囲を下回る。 ⑤ 脾臓は約100〜150gであり、400gは正常範囲を大きく超える。
第70回 午後48(病理組織細胞学)
中和処理が必要な脱灰液はどれか。2つ選べ。
①エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉 ②塩酸 ③ギ酸 ④硝酸 ⑤トリクロロ酢酸
正答: ②塩酸・④硝酸
ポイント 塩酸や硝酸などの強酸脱灰液は脱灰力が強く反応が速いが、組織を強く酸性化させ核染色性などを損なうため、脱灰後にアンモニア水や硫酸ナトリウムなどで中和処理が必要となる。EDTAはキレート作用による穏やかな脱灰、ギ酸は弱酸、トリクロロ酢酸も比較的穏やかで、いずれも中和を要さない。●強酸脱灰(中和必要)=塩酸・硝酸(脱灰は速いが組織傷害が強い)。●弱酸脱灰(中和不要)=ギ酸・トリクロロ酢酸(穏やか)。●キレート脱灰=EDTA(最も穏やか・抗原性や核酸を保つが時間がかかる)。●脱灰の評価=化学的(シュウ酸アンモニウム)・物理的(エックス線・針刺し)。
選択肢ごとの解説
① EDTAはキレート作用による穏やかな脱灰で、中和処理は不要である。 ② 正しい。塩酸は脱灰力が強く組織を酸性化させるため、中和処理が必要である。 ③ ギ酸は弱酸で組織への影響が小さく、中和処理は通常不要である。 ④ 正しい。硝酸は脱灰力が強く組織を酸性化させるため、中和処理が必要である。 ⑤ トリクロロ酢酸は中和処理を必要としない脱灰液である。
第70回 午後49(病理組織細胞学)
Nissl小体が染まる色素はどれか。
①アニリン青 ②クレシル紫 ③クリスタル紫 ④アゾカルミンG ⑤ルクソール・ファスト青
正答: ②クレシル紫
ポイント Nissl小体は神経細胞の細胞質に存在する粗面小胞体とリボソームの集塊で、リボソームのリボ核酸により塩基好性を示す。塩基性色素であるクレシル紫で青紫色に染色される。Klüver-Barrera染色ではルクソール・ファスト青で髄鞘を青に、クレシル紫でNissl小体を染め分け、神経組織を評価する。●神経染色=Klüver-Barrera染色(髄鞘=ルクソール・ファスト青、Nissl小体=クレシル紫)・Bodian染色/鍍銀(神経原線維)・Holzer染色(グリア線維)。●塩基性色素=クレシル紫・トルイジン青・ヘマトキシリン。●アミロイド=Congo赤・クリスタル紫(メチル紫)。
選択肢ごとの解説
① アニリン青は膠原線維などの染色に用いられ、Nissl小体を特異的に染めない。 ② 正しい。クレシル紫は塩基性色素で、塩基好性のNissl小体を青紫色に染める。 ③ クリスタル紫はアミロイドやフィブリンの染色に用いられ、Nissl小体の染色色素ではない。 ④ アゾカルミンGはアザン染色の核染色に用いられ、Nissl小体の染色色素ではない。 ⑤ ルクソール・ファスト青は髄鞘を染める色素であり、Nissl小体を染めない。
第70回 午後50(病理組織細胞学)
最も感度が高い免疫組織化学染色法はどれか。
①直接法 ②間接法 ③ポリマー法 ④ABC法〈アビジン・ビオチン・酵素複合体法〉 ⑤PAP法〈ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ法〉
正答: ③ポリマー法
ポイント 免疫組織化学染色の感度は信号増幅の段階数に依存する。ポリマー法は1分子のポリマー担体に多数の二次抗体と酵素を結合させて一度に大きな信号を得るため高感度で、内因性ビオチンによる非特異反応も避けられる。直接法は標識一次抗体のみで増幅がなく最も低感度であり、間接法・PAP法・ABC法を経てポリマー法で最も高い感度が得られる。●免疫組織化学の手法=直接法(低感度)→間接法→PAP法→ABC法→ポリマー法(高感度)。●標識酵素=ペルオキシダーゼ・アルカリホスファターゼ。●発色基質=DAB(ジアミノベンジジン・褐色)。●内因性ペルオキシダーゼ阻止=過酸化水素。
選択肢ごとの解説
① 直接法は標識一次抗体のみで増幅がなく、最も感度が低い。 ② 間接法は標識二次抗体を介するが増幅は限定的で、ポリマー法より感度が低い。 ③ 正しい。ポリマー法は多数の酵素を結合した二次抗体ポリマーで高感度が得られる。 ④ ABC法はアビジン・ビオチンで増幅するが、ポリマー法より感度は低い。 ⑤ PAP法は酵素抗体複合体で増幅するが、ポリマー法より感度は低い。
📋 まとめの表を見る:免疫組織化学染色法の原理と感度比較
感度は直接法<間接法<PAP法<ABC法<LSAB法・ポリマー法の順に高くなる。ホルマリン固定検体は抗原がマスクされるため、オートクレーブや蛋白分解酵素で抗原賦活化を行う。内因性ペルオキシダーゼは過酸化水素水で失活させ、発色にはジアミノベンジジン〈DAB〉(茶色)やアミノエチルカルバゾール〈AEC〉(赤色)を用いる。凍結切片にも実施可能。
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