第70回(2024) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第70回 午後1(臨床検査総論)

40歳女性。生しらうおの食歴がある。皮膚病変を別に示す。考えられる寄生虫はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB001.51c003eb59.jpg
第70回 午後1 の図

正答: ③顎口虫

ポイント
顎口虫はライギョ・ドジョウ・シラウオなどの淡水魚や両生類を第2中間宿主とし、これらの生食でヒトに第3期幼虫が感染する。幼虫はヒト体内で成虫になれず、皮下を移動して線状や腫瘤状の移動性皮疹(皮膚爬行症)と限局性の遊走性浮腫を起こし、好酸球増多を伴う。生しらうおの食歴と皮膚病変の組合せが診断の手がかりとなる。●皮膚爬行症・移動性皮疹をきたす寄生虫=顎口虫・イヌ/ネコ回虫(幼虫移行症)・旋尾線虫(ホタルイカ生食)・鉤虫幼虫(皮膚爬行疹)。●淡水魚の生食で感染=顎口虫・肝吸虫・横川吸虫。●サケ/マスの生食で感染=日本海裂頭条虫・アニサキス。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な寄生虫と中間宿主・終宿主

寄生虫第一中間宿主第二中間宿主(ヒトの位置づけ)終宿主
肝吸虫マメタニシコイ科淡水魚(フナ・モツゴ等)ヒト・イヌ
横川吸虫カワニナアユ等の淡水魚ヒト
肝蛭ヒメモノアラガイ第二中間宿主なし。メタセルカリアが水草などに付着ヒト・ウシ等
宮崎肺吸虫ホラアナミジンニナサワガニヒト
Westerman肺吸虫カワニナサワガニ・モクズガニヒト
日本住血吸虫ミヤイリガイ(中間宿主はこれのみ)—ヒト
日本海裂頭条虫ケンミジンコサケ・マスヒト
無鉤条虫ウシ—ヒト
有鉤条虫ブタ—ヒト
多包条虫(エキノコックス)野ネズミ(エゾヤチネズミ等)(ヒトも中間宿主になりうる)キツネ・イヌ
単包条虫ヒツジ(ヒトも中間宿主になりうる)イヌ
アニサキスオキアミサバ・イカ(ヒトは非固有宿主=幼虫移行のみ)イルカ・クジラ
広東住血線虫アフリカマイマイ・ナメクジ第二中間宿主なし。カエル・エビなどは待機宿主(ヒトは非固有宿主)ネズミ
有棘顎口虫ケンミジンコドジョウなどの淡水魚・カエルなどの両生類(ヒトは非固有宿主)イヌ
Manson裂頭条虫ケンミジンコヘビ・カエル(ヒトは非固有宿主=待機宿主)イヌ・ネコ
マラリア原虫—ヒト(中間宿主)蚊(ハマダラカ)
トキソプラズマ—ヒト・ネズミ(中間宿主)ネコ
アニサキス・広東住血線虫・顎口虫・Manson裂頭条虫はヒトが本来の宿主でないため幼虫のまま体内を移行し(幼虫移行症)、皮膚爬行症や好酸球性髄膜炎などを起こす。

第70回 午後2(臨床検査総論)

病原体と染色法の組合せで正しいのはどれか。

正答: ②赤痢アメーバ — Hematoxylin染色

ポイント
原虫や寄生虫は種類ごとに適した染色法が異なる。赤痢アメーバの栄養型や囊子は鉄ヘマトキシリン染色で核の核小体や摂取した赤血球を明瞭に観察でき、診断に有用である。マラリアやリーシュマニアはGiemsa染色、クリプトスポリジウムのオーシストは抗酸染色(Kinyoun法など)が用いられる。●Giemsa染色=マラリア・リーシュマニア・トリパノソーマ・トキソプラズマ・バベシア。●抗酸染色(Kinyoun/Ziehl-Neelsen)=クリプトスポリジウム・サイクロスポラ・イソスポラのオーシスト。●墨汁染色=クリプトコッカスの莢膜描出。●鉄ヘマトキシリン染色=赤痢アメーバなど腸管原虫の核構造。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:検査材料・染色法別 主な原虫の検出

検査材料染色法主な対象原虫
糞便Kohn染色・Giemsa染色アメーバ類、鞭毛虫類など
糞便Kinyoun染色クリプトスポリジウム
糞便PAS染色赤痢アメーバの栄養体
血液Giemsa染色(pH7.2)マラリア原虫
血液Giemsa染色ミクロフィラリア(糸状虫)、トリパノソーマなど
膣・尿検体Giemsa染色・Kohn染色腟トリコモナス
組織H-E染色・PAS染色赤痢アメーバ、クリプトスポリジウムなど
組織Giemsa染色トキソプラズマ
穿刺液Giemsa染色リーシュマニア
墨汁染色は病原体特異的な染色ではなく、髄液中のCryptococcus莢膜観察に用いる陰性染色である。赤痢アメーバの虫体はKohn染色やhematoxylin染色で観察する。

第70回 午後3(臨床検査総論)

囊虫症をきたすのはどれか。

正答: ④有鉤条虫

ポイント
囊虫症はテニア属の有鉤条虫の虫卵をヒトが経口摂取し、孵化した六鉤幼虫が組織内に移行して囊虫(有鉤囊虫)となって生じる。脳に寄生すると脳囊虫症としててんかん発作や神経症状を起こす。無鉤条虫はヒトでは成虫が腸管に寄生するのみで囊虫症を起こさない点が鑑別となる。●ヒトが終宿主(成虫が腸管に寄生)=無鉤条虫・有鉤条虫・日本海裂頭条虫。●ヒトが中間宿主(幼虫が組織に寄生)=有鉤条虫(有鉤囊虫症)・多包条虫(多包虫症)・単包条虫(包虫症)。●包虫症=単包条虫(イヌ終宿主)・多包条虫(キツネ終宿主、北海道で問題)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後4(臨床検査総論)

パニック値で誤っているのはどれか。

正答: ③対応不可能な値のことである。

ポイント
パニック値(緊急異常値)は生命に危険が及ぶおそれがあり、ただちに治療を行えば救命しうる異常検査値で、検出時は遅滞なく主治医へ報告する必要がある。基準となる値や報告手順は患者層や診療体制に応じて施設ごとに取り決めておくものであり、生理機能検査の致死的不整脈なども対象になる。「対応不可能な値」を意味するものではない。●代表的なパニック値項目=血清カリウム高値/低値・血糖極端高低・血清カルシウム異常・動脈血pH異常。●生理機能検査でのパニック所見=心室細動・心室頻拍・高度房室ブロック。●報告の原則=迅速・確実な伝達、報告者と受領者・時刻の記録。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:パニック値(緊急異常値)の代表的な基準

項目基準範囲(目安)パニック値(目安)
カリウム〈K〉3.5〜4.8 mEq/L2.5以下、または6.0以上(外来)/7.0以上(入院)
ナトリウム〈Na〉139〜146 mEq/L120以下、または160以上
グルコース〈FBS〉80〜110 mg/dL50以下、または350以上(外来)/500以上(入院)
カルシウム9〜11 mg/dL6.0以下、または12.0以上
LD120〜230 U/L1,000以上
血小板数15万〜35万/µL3万以下、または100万以上(あるいは5万/µL以上の急減)
ヘモグロビン男14〜18/女12〜16 g/dL5以下、または20以上(あるいは3g/dL以上の急減)
ALP38〜113 U/L設定なし
総コレステロール130〜220 mg/dL設定なし
パニック値の基準は施設ごとに異なる(本表は代表的な目安)。検出時は直ちに主治医へ報告する。

第70回 午後5(臨床検査総論)

病院内において不適切な行為はどれか。

正答: ⑤医師の電話指示により、臨床検査技師が医師名で電子カルテを開いて検査オーダーを入力した。

ポイント
医療では各職種の業務範囲の遵守と、医療情報の正確な記録・確実な本人確認が求められる。他者(医師)の名義で電子カルテにログインしてオーダーを入力する行為は、なりすましにあたり記録の責任所在を不明確にするため不適切である。医師の口頭(電話)指示は、所定の口頭指示受け手順に従い指示内容を復唱・記録し、後に指示医の承認を得る運用で対応する。●患者誤認防止=氏名と生年月日の併用確認・リストバンド照合・検体ラベルの突合。●情報セキュリティ=個人IDでのログイン・なりすまし禁止・アクセス記録の保持。●残余検体の研究利用=倫理委員会承認・インフォームドコンセントまたはオプトアウト。

選択肢ごとの解説

第70回 午後6(臨床検査総論)

尿試験紙による尿蛋白検査で正しいのはどれか。

正答: ③強アルカリ尿では偽陽性となる。

ポイント
尿試験紙の蛋白検出はpH指示薬(テトラブロモフェノールブルーなど)の蛋白誤差を利用する比色法で、主にアルブミンに反応する。試験紙は緩衝されているが、強アルカリ尿では指示薬が蛋白非存在下でも変色して偽陽性となる。検出感度はおよそ10〜30 mg/dLで、沈殿反応によるスルホサリチル酸法より感度は低い。●試験紙法の干渉=強アルカリ尿(偽陽性)・第四級アンモニウム化合物・消毒薬残留。●蛋白検出の他法=スルホサリチル酸法(全蛋白を検出、感度が高い)・ピロガロールレッド法(定量)。●微量アルブミン尿=糖尿病性腎症の早期指標で専用試薬・免疫法で測定。

選択肢ごとの解説

第70回 午後7(臨床検査総論)

結核性髄膜炎でみられる脳脊髄液所見はどれか。

正答: ②Cl濃度低下

ポイント
結核性髄膜炎では脳脊髄液は外観が日光微塵様で、リンパ球(単核球)優位の細胞増多、蛋白増加、糖低下を示す。化膿性髄膜炎と同様に塩素(Cl)濃度の低下が比較的特徴的で、放置すると線維素網(フィブリン析出)を形成する。膿性外観や好中球優位は細菌性、蛋白細胞解離はGuillain-Barré症候群の所見であり区別する。●細菌性(化膿性)髄膜炎=膿性・好中球優位・糖低下・蛋白増加。●結核性/真菌性髄膜炎=リンパ球優位・糖低下・Cl低下・蛋白増加。●ウイルス性髄膜炎=リンパ球優位・糖正常・蛋白軽度増加。●蛋白細胞解離=Guillain-Barré症候群。

選択肢ごとの解説

第70回 午後8(臨床検査総論)

PCR法で正しいのはどれか。

正答: ⑤アニーリング温度はプライマーのTm値以下に設定する。

ポイント
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)では、プライマーが鋳型に結合するアニーリング温度を、プライマーの融解温度(Tm値)よりやや低く(数度下に)設定して特異的な結合を促す。アニーリング温度が高すぎると結合しにくく増幅効率が下がり、低すぎると非特異的増幅が増える。プライマー設計ではGC含有量を40〜60%程度、濃度は0.1〜0.5 μM程度とする。●PCRの3ステップ=変性(約94℃)・アニーリング(Tmより数度低く)・伸長(約72℃)。●プライマー設計の要点=長さ18〜25塩基・GC含量40〜60%・3'末端の相補性回避。●発展型=リアルタイムPCR(定量)・逆転写PCR(RNA鋳型)・ネステッドPCR(特異性向上)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後9(臨床検査総論)

染色体で正しいのはどれか。

正答: ④ヌクレオソームはDNA鎖とヒストン8量体から成る。

ポイント
DNAはヒストン8量体(H2A・H2B・H3・H4が各2分子)に巻きついてヌクレオソームを形成し、これが折り畳まれてクロマチン・染色体となる。ヒト体細胞は46本(23対)の染色体をもち、染色体中央のくびれが動原体(セントロメア)、両端がテロメアである。1本の染色体が複製してできる同一の2本は姉妹染色分体、父母由来の対は相同染色体である。●クロマチン構成=DNA・ヒストン8量体・ヌクレオソーム・クロマチン繊維。●染色体の構造=セントロメア(動原体)・テロメア(末端)・キネトコア(紡錘糸付着部)。●ヒトの染色体数=体細胞46本(2n)・配偶子23本(n)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後10(臨床検査総論)

尿沈渣の無染色標本を別に示す。矢印で示した結晶はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB010.749ac7b6d8.jpg
第70回 午後10 の図

正答: ⑤リン酸アンモニウムマグネシウム

ポイント
リン酸アンモニウムマグネシウム(ストラバイト)結晶はアルカリ性尿で析出し、無染色標本で棺の蓋様の長方形ないし羽根状の特徴的な形態を示す。尿路感染で尿素分解菌(プロテウスなど)が存在するとアンモニア産生で尿がアルカリ化し生成しやすい。酸性尿で析出する尿酸・シスチンや、形態の異なるコレステロール・ビリルビン結晶と区別する。●アルカリ尿でみられる結晶=リン酸アンモニウムマグネシウム(棺の蓋様)・炭酸カルシウム・尿酸アンモニウム。●酸性尿でみられる結晶=尿酸(菱形・黄褐色)・シスチン(六角板状)・シュウ酸カルシウム(正八面体)。●病的結晶=シスチン・コレステロール・ビリルビン・チロシン・ロイシン。

選択肢ごとの解説

第70回 午後11(臨床検査医学総論)

一次救命処置〈basic life support:BLS〉に含まれないのはどれか。

正答: ④静脈路確保

ポイント
一次救命処置(basic life support:BLS)は特別な医療器具や薬剤を用いず一般市民も行える救命処置で、胸骨圧迫、気道確保、人工呼吸、自動体外式除細動器(AED)による除細動から成る。静脈路確保や薬剤投与、気管挿管などは医療従事者が行う二次救命処置(advanced life support:ALS)に含まれる。●BLSの要素=胸骨圧迫・気道確保・人工呼吸・AED使用。●ALSの要素=静脈路/骨髄路確保・薬剤投与(アドレナリン等)・気管挿管・心電図モニター解析。●心停止の波形=心室細動・無脈性心室頻拍(除細動適応)、心静止・無脈性電気活動(除細動非適応)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後12(臨床検査医学総論)

慢性腎不全で上昇するのはどれか。

正答: ①血清尿酸

ポイント
慢性腎不全では糸球体濾過量が低下し、尿酸・クレアチニン・リンなどの排泄が滞って血中に蓄積し上昇する。一方、腎でのエリスロポエチン産生やビタミンDの活性化(1α水酸化)が障害されるため、これらは低下し、腎性貧血や低カルシウム血症をきたす。血清総蛋白は栄養状態や蛋白尿により低下することもある。●腎不全で上昇するもの=尿酸・クレアチニン・尿素窒素・血清リン・血清カリウム。●腎不全で低下するもの=エリスロポエチン・活性型ビタミンD・血清カルシウム・糸球体濾過量。●腎不全の合併症=腎性貧血・腎性骨異栄養症・高K血症・代謝性アシドーシス。

選択肢ごとの解説

第70回 午後13(臨床検査医学総論)

診断の根拠になる自己抗体と疾患の組合せはどれか。

正答: ④抗RNP抗体 — 混合性結合組織病〈MCTD〉

ポイント
自己抗体は対応する疾患の診断指標となる。抗RNP抗体(抗U1-RNP抗体)は混合性結合組織病(MCTD)で高頻度に陽性となり診断基準にも含まれる。各疾患で特異的な抗体は異なり、抗CCP抗体は関節リウマチ、抗ミトコンドリア抗体は原発性胆汁性胆管炎などと対応する。●膠原病の自己抗体=抗dsDNA/抗Sm抗体(全身性エリテマトーデス)・抗RNP抗体(MCTD)・抗Scl-70/抗セントロメア抗体(強皮症)・抗SS-A/SS-B抗体(Sjögren症候群)・抗Jo-1抗体(多発性筋炎)。●臓器特異的自己抗体=抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)・抗平滑筋抗体(自己免疫性肝炎)・抗TSH受容体抗体(Basedow病)。●関節リウマチ=抗CCP抗体・リウマトイド因子。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患

染色パターン推定される抗体代表的な疾患
辺縁(peripheral)型抗DNA抗体全身性エリテマトーデス〈SLE〉
均質(homogeneous)型抗ヒストン抗体/抗DNP抗体SLE・薬剤誘発性ループス/SLE・RA・全身性強皮症
斑紋(speckled)型 — 抗U1-RNP抗体抗ENA抗体混合性結合組織病〈MCTD〉
斑紋(speckled)型 — 抗Sm抗体抗ENA抗体SLE
斑紋(speckled)型 — 抗SS-B抗体抗ENA抗体Sjögren症候群
斑紋(speckled)型 — 抗Scl-70抗体抗ENA抗体全身性強皮症
核小体(nucleolar)型抗核小体抗体・抗PM-Scl抗体全身性強皮症
散在斑紋(discrete speckled)型抗セントロメア抗体CREST症候群
細胞質(cytoplasmic)型抗ミトコンドリア抗体/抗Jo-1抗体/抗SS-A抗体原発性胆汁性胆管炎/多発性筋炎・皮膚筋炎/Sjögren症候群

第70回 午後14(臨床検査医学総論)

急性心筋梗塞発症時に血中濃度が上昇しないのはどれか。

正答: ①ALP

ポイント
急性心筋梗塞では心筋トロポニンT、CK-MB(クレアチンキナーゼMB分画)、心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)、LD(乳酸脱水素酵素)などが経時的に上昇する。ALP(アルカリホスファターゼ)は肝胆道や骨由来の酵素で、心筋傷害では上昇しない。●心筋梗塞の早期マーカー=H-FABP・ミオグロビン(発症数時間以内に上昇)。●心筋梗塞の特異的マーカー=心筋トロポニンT/I・CK-MB。●遅発性に上昇=LD(発症後数日持続)・AST。●ALPの主な由来=肝胆道・骨・胎盤・小腸。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:急性心筋梗塞の心筋バイオマーカーの経時変化

マーカー有用な検出期間の目安特徴
H-FABP(心臓型脂肪酸結合蛋白)発症2時間以内に上昇、上昇後は速やかに低下最も早期に上昇するマーカーの一つ
ミオグロビン発症2時間以内に上昇、短時間で消失心筋特異性は低い(骨格筋にも存在)
CK-MB発症4時間〜24時間まで有用ピーク後は比較的早く低下
心筋トロポニンT/I発症4時間〜72時間まで有用高値が長く持続、心筋特異性が高い
心筋ミオシン軽鎖I数日かけ二峰性に推移遅発性・長期間持続
ALP(アルカリホスファターゼ)は心筋梗塞では上昇しない。BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心不全のマーカーであり、心筋梗塞診断には用いない。

第70回 午後15(臨床検査医学総論)

プリオン病はどれか。

正答: ②Creutzfeldt-Jakob病

ポイント
プリオン病は異常型プリオン蛋白が脳に蓄積して神経変性を起こす伝達性海綿状脳症で、Creutzfeldt-Jakob病が代表である。急速進行性の認知症とミオクローヌスを呈し、脳波で周期性同期性放電(PSD)がみられることがある。他の選択肢はそれぞれ異なる蓄積蛋白や機序による疾患である。●プリオン病=Creutzfeldt-Jakob病・Gerstmann-Sträussler-Scheinker病・致死性家族性不眠症・ウシ海綿状脳症由来の変異型。●蓄積蛋白による神経変性疾患=Alzheimer病(アミロイドβ・タウ)・Parkinson病/Lewy小体型(αシヌクレイン)・筋萎縮性側索硬化症(TDP-43)。●自己免疫性末梢神経障害=Guillain-Barré症候群。

選択肢ごとの解説

第70回 午後16(臨床生理学)

標準12誘導心電図を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB016.3d59a8941f.jpg
第70回 午後16 の図

正答: ④低K血症

ポイント
低カリウム血症の心電図ではT波の平低化や陰転化、U波の増高、ST低下がみられ、進行するとQT(QU)延長や不整脈を生じる。高K血症のテント状T波やP波消失、低Ca血症のQT延長(T波形は保たれる)と区別する。●低K血症の心電図=T波平低化・U波増高・ST低下・QT(QU)延長。●高K血症の心電図=テント状T波・P波平低化/消失・QRS幅延長・サイン波。●高Ca血症=QT短縮。●低Ca血症=QT延長(ST延長)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後17(臨床生理学)

トレッドミル負荷試験で正しいのはどれか。

正答: ④患者が下肢の疲労で運動の中止を希望したら中止する。

ポイント
トレッドミル負荷試験は運動負荷で心電図変化や症状を評価する検査で、目標心拍数は年齢(おおむね220−年齢)から算出する。不安定狭心症など重症例は禁忌で、運動中も継続して心電図と血圧を監視し、胸痛・強い疲労・危険な不整脈の出現や患者の中止希望時には中止する。運動中止後も回復期まで心電図記録を継続する。●運動負荷試験の禁忌=不安定狭心症・急性心筋梗塞急性期・重症大動脈弁狭窄症・コントロール不良の不整脈/心不全。●中止基準=著明なST変化・血圧低下・危険な不整脈・強い胸痛/疲労・患者の希望。●他の運動負荷法=マスター二階段試験・自転車エルゴメータ・薬剤負荷(運動困難例)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後18(臨床生理学)

健康成人の大気からミトコンドリアまでの酸素カスケードを別に示す。肺胞気−動脈血酸素分圧較差はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB018.001c1076e4.jpg
第70回 午後18 の図

正答: ②

ポイント
酸素カスケードは大気から肺胞、動脈血、組織、ミトコンドリアへと酸素分圧が段階的に低下していく過程を示す。肺胞気と動脈血の酸素分圧の差が肺胞気−動脈血酸素分圧較差(A-aDO₂)で、ガス交換障害の指標となる。健常成人では小さいが、拡散障害・換気血流不均等・シャントで増大する。●A-aDO₂増大をきたす病態=間質性肺炎(拡散障害)・肺塞栓/慢性閉塞性肺疾患(換気血流不均等)・右左シャント。●A-aDO₂正常で低酸素=肺胞低換気・吸入酸素分圧低下(高地)。●関連指標=動脈血酸素分圧・酸素飽和度・呼吸商。

選択肢ごとの解説

第70回 午後19(臨床生理学)

クロージングボリューム〈CV〉測定における単一呼出曲線で正しいのはどれか。

正答: ④第Ⅳ相の傾きは第Ⅲ相の傾きよりも大きい。

ポイント
クロージングボリューム(CV)測定の単一窒素呼出曲線では、第Ⅰ相が死腔ガス(純酸素由来でN2濃度ほぼ0%)、第Ⅱ相が死腔と肺胞ガスの混合、第Ⅲ相が肺胞ガス(プラトー)、第Ⅳ相が下肺領域の気道閉塞によって窒素濃度が急に上昇する部分を示す。第Ⅳ相の開始点がクロージングポイントで、その傾きは第Ⅲ相より大きい。●単一呼出曲線の各相=第Ⅰ相(死腔)・第Ⅱ相(移行)・第Ⅲ相(肺胞プラトー)・第Ⅳ相(下肺気道閉塞)。●第Ⅲ相の傾き増大=換気不均等の指標。●CV/CC上昇=末梢気道病変・加齢・喫煙。

選択肢ごとの解説

第70回 午後20(臨床生理学)

二酸化炭素排出量が一定のとき動脈血二酸化炭素分圧と反比例の関係にあるのはどれか。

正答: ④肺胞換気量

ポイント
二酸化炭素排出量が一定のとき、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)は肺胞換気量に反比例する。肺胞換気量が増えれば二酸化炭素が多く排出されPaCO₂は低下し、減れば上昇する。分時換気量から死腔換気量を除いたものが肺胞換気量である。●換気量の区分=一回換気量・分時換気量(一回換気量×呼吸数)・肺胞換気量・死腔換気量。●PaCO₂上昇(換気不全)=肺胞低換気・慢性閉塞性肺疾患・呼吸筋麻痺。●PaCO₂低下=過換気症候群・代謝性アシドーシスの代償。

選択肢ごとの解説

第70回 午後21(臨床生理学)

筋萎縮性側索硬化症患者の萎縮が明らかな筋における針筋電図検査で認める所見はどれか。2つ選べ。

正答: ②陽性鋭波・④線維束自発電位

ポイント
筋萎縮性側索硬化症は上位・下位運動ニューロンの変性による疾患で、針筋電図では下位運動ニューロン障害(脱神経)所見として安静時に線維自発電位・陽性鋭波・線維束自発電位(fasciculation potential)を認める。再支配により高振幅・長持続の運動単位電位がみられ、最大努力時には動員される運動単位が減って干渉波が減少する。●神経原性変化(脱神経)=陽性鋭波・線維自発電位・線維束自発電位・高振幅長持続電位・干渉波減少。●筋原性変化=短持続低振幅電位・多相性電位・急速動員・早期完全干渉。●ALSの障害部位=脊髄前角細胞・皮質運動ニューロン。

選択肢ごとの解説

第70回 午後22(臨床生理学)

検査部位の皮膚温度が30 ℃と低い状態で検査を行う場合、神経伝導検査への影響で正しいのはどれか。

正答: ②伝導速度が低下

ポイント
皮膚温が低いと末梢神経の脱分極が遷延して伝導が遅くなり、神経伝導検査では伝導速度の低下と遠位潜時の延長を生じる。さらに複合活動電位の振幅増大や持続時間の延長を伴う。温度の影響を避けるため検査時は皮膚温を32℃以上に保つよう加温する。●低温が神経伝導検査に与える影響=伝導速度低下・潜時延長・振幅増大・持続時間延長。●検査精度を保つ条件=皮膚温32℃以上の維持・四肢の加温・温度補正。●伝導速度低下をきたす病態=脱髄性ニューロパチー(Guillain-Barré症候群・Charcot-Marie-Tooth病)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後23(臨床生理学)

脳波の記録法で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ①電極配置は国際10-20法を基本とする。・②基準電極導出法は耳朶電極を基準とする。

ポイント
脳波記録では電極を国際10-20法に従って配置し、基準電極導出では耳朶など比較的不活性な部位を基準に用いる。接触抵抗を下げて雑音を減らし、過呼吸賦活は通常1分間に20回前後で3分間行う。時定数を大きく(長く)すると低周波成分を通しやすくなる。●脳波の電極配置=国際10-20法(基準点はナジオン・イニオン・耳介前点)。●導出法=基準電極導出(耳朶基準)・双極導出。●賦活法=開閉眼・過呼吸(3分間)・光刺激・睡眠賦活。●記録条件=接触抵抗低減・時定数0.3秒前後・高周波/低周波フィルタ設定。

選択肢ごとの解説

第70回 午後24(臨床生理学)

62歳女性。慢性肝疾患のため通院中である。意識障害が出現し記録した脳波を別に示す。所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB024.0004109830.jpg
第70回 午後24 の図

正答: ①三相波

ポイント
三相波は陰性−陽性−陰性の3相からなる前頭部優位の鋭い波で、肝性脳症などの代謝性脳症で出現する。慢性肝疾患で意識障害を呈した本例の脳波所見として典型的で、高アンモニア血症などの代謝異常を背景とする。●代謝性脳症の脳波=三相波(肝性脳症・尿毒症性脳症)。●てんかん性異常波=棘波・棘徐波複合・鋭波。●周期性同期性放電=Creutzfeldt-Jakob病・亜急性硬化性全脳炎。●ヒプスアリスミア=乳児のWest症候群。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:脳波所見と対応疾患

脳波所見対応する疾患・病態
3Hz棘徐波複合欠神発作(欠神発作型/小発作型てんかん)
多棘波・多棘徐波複合ミオクロニー発作(若年ミオクロニーてんかん)
ヒプスアリスミアWest症候群(点頭てんかん)
1.5〜2.5Hz鋭徐波複合(遅棘徐波複合)Lennox-Gastaut症候群
三相波肝性脳症・腎性脳症などの代謝性脳症
周期性同期性放電〈PSD〉孤発性(古典型)Creutzfeldt-Jakob病、亜急性硬化性全脳炎〈SSPE〉
周期性一側性てんかん型放電〈PLEDs〉単純ヘルペス脳炎、脳血管障害急性期
広汎性α波脳動脈硬化症(慢性脳循環不全)
re-build up(過呼吸後の再増高現象)もやもや病
6&14Hz陽性棘波自律神経発作(健常者にもみられる非特異的所見)
変異型Creutzfeldt-Jakob病(牛海綿状脳症〈BSE〉関連)ではPSDはみられない点に注意。

第70回 午後25(臨床生理学)

心尖部長軸像のカラードプラ像を別に示す。最も考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB025.dd4e44362b.jpg
第70回 午後25 の図

正答: ⑤大動脈弁閉鎖不全症

ポイント
大動脈弁閉鎖不全症では拡張期に大動脈から左室へ血液が逆流し、心尖部長軸像のカラードプラで左室流出路から左室内に向かう拡張期の逆流ジェットが描出される。逆流による容量負荷で左室拡大をきたす。収縮期に出現する僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁狭窄症の血流と時相・方向で区別する。●拡張期の異常血流=大動脈弁閉鎖不全症(大動脈→左室)・僧帽弁狭窄症(左房→左室の加速流入)。●収縮期の異常血流=僧帽弁閉鎖不全症(左室→左房)・大動脈弁狭窄症(左室→大動脈の高速モザイク)・心室中隔欠損症(左室→右室短絡)。●容量負荷をきたす弁膜症=大動脈弁閉鎖不全症・僧帽弁閉鎖不全症。

選択肢ごとの解説

第70回 午後26(臨床生理学)

右側腹部超音波像を別に示す。最も考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB026.2f2ae27c39.jpg
第70回 午後26 の図

正答: ②腎結石

ポイント
腎結石は超音波を強く反射するため、腎洞(中心高エコー部)内に点状〜塊状の高エコーとして描出され、その背後に超音波が透過できないことによる音響陰影(後方エコーの減弱)を伴う。この高エコーと音響陰影の組合せが結石の典型像で、無エコー腔として描出される水腎症や囊胞、充実性腫瘤として描出される腎細胞癌と鑑別される。設問では腎洞内の高エコーと音響陰影を示すことから結石が考えられる。●腎の高エコー=結石(音響陰影あり)・血管石灰化・気腫性腎盂腎炎(ガス)。●腎の無エコー=単純性囊胞・水腎症(腎盂腎杯拡張)。●腎の充実性腫瘤=腎細胞癌・血管筋脂肪腫(高エコー)・腎盂癌。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見

疾患特徴的な超音波所見
肝嚢胞類円形・境界明瞭・内部無エコー・後方エコー増強
肝血管腫境界明瞭な高エコー腫瘤、体位変換で内部エコーが変化(カメレオンサイン)
肝膿瘍経過とともに充実性→混合性→嚢胞性へ変化、辺縁不整・境界不明瞭
肝硬変肝表面の凹凸不整・辺縁鈍化、実質エコーの粗雑化、肝内脈管の狭小化・不明瞭化、脾腫
肝細胞癌内部モザイクパターン(nodule in nodule)、辺縁低エコー帯(ハロー)、側方陰影
転移性肝癌類似エコー像の多発結節、幅広い辺縁低エコー帯+中心部高エコーの同心円状像(bull's eye sign/target sign)
脂肪肝肝実質の輝度上昇(bright liver)、肝深部エコーの減衰、肝腎コントラストの増強
急性膵炎膵腫大、内部エコー不均一で低輝度、膵・腎周囲の液体貯留
急性胆嚢炎胆嚢腫大、胆嚢壁肥厚、胆石・胆泥
腎嚢胞類円形・内部無エコー・後方エコー増強
大腸癌(進行例)限局性の壁肥厚がpseudokidney sign〈偽腎徴候〉として描出
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。

第70回 午後27(臨床生理学)

乳房の超音波像を別に示す。正しいのはどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB027.1ad2d3dea6.jpg
第70回 午後27 の図

正答: ③内部無エコー・⑤後方エコーの増強

ポイント
乳腺超音波で内部無エコーかつ後方エコー増強を示すのは、囊胞など液体貯留の良性所見である。液体は超音波をよく透過するため内部はエコーを生じず、減衰しないまま後方へ抜けて病変の背側でエコーが増強する。一方、形状不整・境界不明瞭・縦横比(深さ/幅)1.0以上は周囲へ浸潤性に増殖する悪性腫瘤を疑う所見であり、設問の良性所見とは矛盾する。●悪性を疑う所見=形状不整・境界不明瞭(粗造)・縦横比1.0以上・微細石灰化・後方エコー減衰。●良性を疑う所見=整な形状・境界明瞭平滑・縦横比1.0未満・後方エコー増強(囊胞)。●乳房の囊胞性病変=単純性囊胞・乳管拡張。●充実性の良性病変=線維腺腫。

選択肢ごとの解説

第70回 午後28(臨床生理学)

MRI検査で誤っているのはどれか。

正答: ③MRアンジオグラフィ〈MRA〉には造影剤を要する。

ポイント
MRアンジオグラフィは流れる血液の信号変化を利用するため、time-of-flight法やphase contrast法など造影剤を用いない撮像が一般に可能で、造影剤が必須という記述は誤りである。MRIの信号はT1・T2緩和時間の差を反映し、T2強調で水(自由水)が高信号、T1強調で脂肪が高信号、拡散強調で超急性期脳梗塞の細胞性浮腫を高信号として描出する。T2*強調は磁化率効果に鋭敏で出血・石灰化の検出に優れる。●MRIの信号=T1強調(脂肪・亜急性期出血が高信号)・T2強調(水・浮腫が高信号)・FLAIR(自由水抑制)。●拡散強調=超急性期脳梗塞・膿瘍・腫瘍で拡散制限。●磁化率を利用=T2*強調/SWI(微小出血・石灰化)。●血流を利用=MRA(TOF・phase contrast)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後29(臨床化学)

ビリルビンで正しいのはどれか。

正答: ④非抱合型は抱合型より光に対して不安定である。

ポイント
非抱合型(間接)ビリルビンはアルブミンに結合した脂溶性で、光照射により構造異性化(光異性化)を受けやすく光に対して不安定であるため、検体は遮光保存が必要で、新生児黄疸の光線療法もこの性質を利用する。抱合型(直接)ビリルビンはグルクロン酸抱合により水溶性となって尿中へ排泄され、δビリルビンは抱合型ビリルビンがアルブミンと共有結合したものを指す。●非抱合型ビリルビン=脂溶性・アルブミン結合・尿中に出ない・光に不安定。●抱合型ビリルビン=水溶性・グルクロン酸抱合・尿中に出る。●δビリルビン=抱合型がアルブミンと共有結合・半減期が長く黄疸遷延。●抱合経路=UDPグルクロン酸転移酵素(欠損でCrigler-Najjar/Gilbert症候群)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)

分画水溶性・血中結合尿中排泄ジアゾ反応光に対する安定性高値を示す代表疾患
非抱合型(間接)ビリルビン脂溶性・アルブミンと結合排泄されない促進剤(メタノール等)が必要不安定(光異性化を受ける)溶血性貧血・新生児黄疸・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群
抱合型(直接)ビリルビン水溶性・グルクロン酸抱合尿中に排泄される促進剤なしで直接反応比較的安定閉塞性黄疸(胆汁うっ滞)・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群
δビリルビン抱合型ビリルビンがアルブミンと共有結合したもの尿中に排泄されない(半減期が長い)--黄疸遷延時に増加
シャントビリルビン(早期ビリルビン)成熟赤血球のヘム以外(肝・腎のシトクロムやカタラーゼ、未熟赤血球等)に由来---代謝回転の速い特殊な分画で、δビリルビンとは別概念
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。

第70回 午後30(臨床化学)

加水分解酵素はどれか。

正答: ①ALP

ポイント
ALP(アルカリホスファターゼ)はリン酸モノエステルを加水分解する加水分解酵素(EC3群)である。酵素は反応様式で6群に大別され、AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)とγ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)は基を移すアミノ基転移・転移酵素、CK(クレアチンキナーゼ)はリン酸基を転移するキナーゼ(転移酵素)、LD(乳酸脱水素酵素)は酸化還元を担う酸化還元酵素である。●酸化還元酵素=LD・グルコース-6-リン酸脱水素酵素。●転移酵素=AST・ALT・γ-GT・CK。●加水分解酵素=ALP・酸性ホスファターゼ・アミラーゼ・リパーゼ・コリンエステラーゼ。●脱離酵素(リアーゼ)・異性化酵素・合成酵素(リガーゼ)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後31(臨床化学)

アルドステロンの作用はどれか。

正答: ③Na再吸収

ポイント
アルドステロンは副腎皮質球状帯から分泌される鉱質コルチコイドで、腎遠位尿細管・集合管に作用してNaの再吸収とKの排泄を促進し、体液量と血圧を維持する。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の最終産物として循環血液量を調節し、原発性アルドステロン症では高血圧と低カリウム血症をきたす。●鉱質コルチコイド(アルドステロン)=Na再吸収・K排泄・体液量維持。●糖質コルチコイド(コルチゾール)=糖新生・抗炎症。●副腎髄質(カテコールアミン)=心拍数・血圧上昇。●副甲状腺ホルモン/ビタミンD/カルシトニン=骨・カルシウム代謝。

選択肢ごとの解説

第70回 午後32(臨床化学)

高エネルギー化合物で最も高いエネルギーをもつのはどれか。

正答: ⑤ホスホエノールピルビン酸

ポイント
ホスホエノールピルビン酸は高エネルギーリン酸化合物のなかで加水分解の標準自由エネルギー変化(ΔG°')が最も大きく(約-62kJ/mol)、解糖系でピルビン酸キナーゼによりADPをATPへ変換する基質レベルのリン酸化のエネルギー源となる。クレアチンリン酸はこれに次ぎ、ATPはこれらより低い中間のエネルギー準位にあるため、高エネルギー化合物と低エネルギー化合物の間でエネルギーを受け渡す役割を担う。●ATPより高エネルギー=ホスホエノールピルビン酸・カルバモイルリン酸・1,3-ビスホスホグリセリン酸・クレアチンリン酸。●ATP(中間)=エネルギー通貨。●ATPより低エネルギー=グルコース6-リン酸・グリセロール3-リン酸。

選択肢ごとの解説

第70回 午後33(臨床化学)

蛋白質の含有率が最も高いのはどれか。

正答: ①HDL

ポイント
リポ蛋白は粒子が小さく密度が高いほど蛋白含有率が高くなる。HDL(高密度リポ蛋白)は最も小さく密度が高い粒子で、蛋白質を約50%含み含有率が最も高い。カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDLの順に粒子径が小さく密度が高くなり、トリグリセリドの割合が減って蛋白質の割合が増えていく。●トリグリセリドに富む=カイロミクロン(食事性)・VLDL(肝由来)。●コレステロールに富む=LDL(悪玉)・IDL。●蛋白に富む=HDL(善玉・約50%が蛋白)。●主要アポ蛋白=カイロミクロン(B48)・VLDL/LDL(B100)・HDL(A-I)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後34(臨床化学)

必須アミノ酸はどれか。

正答: ⑤ロイシン

ポイント
必須アミノ酸は体内で十分に合成できず食事から摂取する必要があるアミノ酸で、ロイシン・イソロイシン・バリン・リシン・メチオニン・フェニルアラニン・トレオニン・トリプトファン・ヒスチジンの9種が該当する。アラニン・グリシン・プロリンは生体内で合成可能な非必須アミノ酸、チロシンはフェニルアラニンから合成される条件付き必須アミノ酸である。●必須アミノ酸(9種)=ロイシン・イソロイシン・バリン(分枝鎖)・リシン・メチオニン・フェニルアラニン・トレオニン・トリプトファン・ヒスチジン。●非必須アミノ酸=アラニン・グリシン・プロリン・グルタミン酸・アスパラギン酸・セリン等。●条件付き必須=チロシン(フェニルアラニンから)・システイン・アルギニン。

選択肢ごとの解説

第70回 午後35(臨床化学)

尿酸で正しいのはどれか。

正答: ⑤血漿中の尿酸の溶解度は約7.0 mg/dLである。

ポイント
尿酸はプリン体(プリン塩基)の最終代謝産物で、血漿中では抗酸化(還元)作用を示す。血漿中の溶解度は約7mg/dL前後で、これを超える高尿酸血症では尿酸塩結晶が析出して痛風や尿路結石の原因となる。酵素法ではウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)で尿酸を分解して測定する。●プリン体最終産物=尿酸(ヒト)。●尿酸高値の病態=痛風・腫瘍崩壊症候群・Lesch-Nyhan症候群・腎不全。●尿酸低値=Fanconi症候群・キサンチンオキシダーゼ阻害薬。●測定法=ウリカーゼ法(尿酸オキシダーゼ)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後36(臨床化学)

血中薬物濃度測定で検体に全血を用いるのはどれか。2つ選べ。

正答: ②タクロリムス・③シクロスポリン

ポイント
免疫抑制薬のタクロリムスとシクロスポリンは赤血球内に多く分布し、その分布が温度依存性で血漿との平衡が変動するため、血中薬物濃度測定には溶血させた全血を検体に用いる。ジゴキシン・フェノバルビタール・メトトレキサートは血清または血漿で測定する。治療薬物モニタリング(TDM)では薬剤ごとに適切な検体と採血時期(トラフ値など)が定められている。●全血で測定=タクロリムス・シクロスポリン(赤血球内分布が多い免疫抑制薬)。●血清/血漿で測定=ジゴキシン(強心配糖体)・フェノバルビタール/フェニトイン(抗てんかん薬)・メトトレキサート(抗癌薬)・バンコマイシン(抗菌薬)。●採血はトラフ値が基本。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:治療薬物モニタリング〈TDM〉の対象薬と検体の種類

薬剤分類検体
タクロリムス免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬)全血(赤血球内分布が多いため)
シクロスポリン免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬)全血(赤血球内分布が多いため)
ジゴキシン強心配糖体血清
フェノバルビタール抗てんかん薬血清
アミノ配糖体抗菌薬抗菌薬血清
ワルファリン(抗凝固薬)は血中濃度でなくPT-INRという薬効指標で管理するためTDMの対象としない。

第70回 午後37(臨床化学)

過剰症を起こすビタミンはどれか。2つ選べ。

正答: ②レチノール・⑤カルシフェロール

ポイント
脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすく過剰症を起こす。レチノール(ビタミンA)は頭蓋内圧亢進や肝障害・催奇形性、カルシフェロール(ビタミンD)は高カルシウム血症や腎障害をきたす。水溶性のチアミン・リボフラビン・アスコルビン酸は尿中に排泄されるため過剰症は起こしにくい。●脂溶性ビタミン(過剰症あり)=A(レチノール)・D(カルシフェロール)・E(トコフェロール)・K。●水溶性ビタミン(過剰症まれ)=B1(チアミン)・B2(リボフラビン)・B6・B12・C(アスコルビン酸)・葉酸・ナイアシン。●欠乏症=A(夜盲)・D(くる病)・B1(脚気)・C(壊血病)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き

分類ビタミン化学名主な働き
脂溶性ビタミンAレチノール視覚(ロドプシン)・上皮の維持。RBP〈レチノール結合蛋白〉で運搬
脂溶性ビタミンDカルシフェロール腸管Ca・P吸収、骨形成。肝で25位、腎で1α位が水酸化され活性化
脂溶性ビタミンEトコフェロール抗酸化作用(生体膜の脂質を保護)
脂溶性ビタミンKフィロキノン/メナキノン血液凝固因子(第II・VII・IX・X因子)の生成
水溶性ビタミンB1チアミン糖代謝の補酵素(TPP)
水溶性ビタミンB2リボフラビン酸化還元の補酵素(FAD・FMN)
水溶性ナイアシンニコチン酸酸化還元の補酵素(NAD・NADP)
水溶性ビタミンB6ピリドキシンアミノ基転移酵素の補酵素(PLP)
水溶性ビタミンB12コバラミンDNA合成・造血(胃壁細胞の内因子と結合し回腸で吸収)
水溶性葉酸(フォラシン)DNA合成・造血
水溶性ビタミンCアスコルビン酸コラーゲン合成・抗酸化
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。

第70回 午後38(臨床化学)

Child-Pughスコアに使用されるのはどれか。2つ選べ。

正答: ③アルブミン・⑤プロトロンビン時間

ポイント
Child-Pugh分類は肝硬変の重症度評価で、血清アルブミン・総ビリルビン・プロトロンビン時間(またはプロトロンビン活性/国際標準比)の検査項目と、腹水・肝性脳症の臨床所見の5項目を点数化して評価する。ALTやγ-GTなどの逸脱酵素は分類項目に含まれない。●Child-Pughの5項目=アルブミン・総ビリルビン・プロトロンビン時間・腹水・肝性脳症。●肝合成能を反映=アルブミン・プロトロンビン時間・コリンエステラーゼ。●肝細胞逸脱酵素=AST・ALT・LD。●胆道系酵素=ALP・γ-GT。●肝予備能の他指標=ICG試験。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:Child-Pughスコアの評価項目

項目1点2点3点
肝性脳症なし軽度(I〜II度)III〜IV度
腹水なし少量(1〜3L)中等量以上(3L以上)
血清総ビリルビン値(mg/dL)2.0未満2.0〜3.03.0超
血清アルブミン値(g/dL)3.5超2.8〜3.52.8未満
プロトロンビン時間 PT活性値(%)70超40〜7040未満
プロトロンビン時間 PT-INR1.7未満1.7〜2.32.3超
合計点でA(5〜6点)=代償性肝硬変、B(7〜9点)=代償性〜非代償性肝硬変、C(10〜15点)=非代償性肝硬変に分類する(肝硬変の重症度分類)。ALT・γ-GT・コリンエステラーゼは評価項目に含まれない。

第70回 午後39(臨床化学)

血中アンモニア濃度で正しいのはどれか。

正答: ③消化管出血により上昇する。

ポイント
アンモニアは消化管で蛋白質や血液が腸内細菌により分解されて産生され腸管から吸収されるため、消化管出血では血中濃度が上昇する。検体は採血後速やかに氷冷して測定する必要があり、室温放置や溶血では赤血球などからの産生・遊離により偽高値となる。生理的には肝で尿素回路により尿素へ変換されて代謝されるため、肝不全では高値となる。●血中アンモニア上昇=消化管出血・肝硬変/肝不全・尿素回路異常症・門脈大循環シャント・高蛋白食。●測定上の注意=氷冷・速やかに測定(室温放置・溶血で偽高値)。●代謝経路=尿素回路(肝)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な血液・尿検査項目の代謝上の由来(最終代謝産物)

項目由来(前駆体・生成経路)主な排泄経路上昇する主な病態
尿酸プリン塩基(アデニン・グアニン)の最終代謝産物腎排泄痛風・腫瘍崩壊症候群・腎不全
クレアチニン筋肉のクレアチン・クレアチンリン酸から非酵素的に生成糸球体濾過後、ほとんど再吸収されず排泄腎機能低下・脱水(腎前性)
アンモニア蛋白質・アミノ酸の分解(腸内細菌による分解を含む)に由来肝の尿素回路で尿素へ変換消化管出血・肝不全・門脈大循環シャント
アンモニアは採血後、室温放置や溶血で偽高値になりやすいため速やかに測定するか氷冷保存する。

第70回 午後40(臨床化学)

LDで正しいのはどれか。

正答: ③半減期が最も長いのはLD₁である。

ポイント
LD(乳酸脱水素酵素)はH型とM型のサブユニットからなる四量体で、その組合せによりLD₁(H4)〜LD₅(M4)の5つのアイソザイムを形成する。LD₁(H4)は心筋・赤血球・腎に多く、半減期が最も長いため心筋梗塞などで遅れて上昇し遷延する。健常人血清ではLD₂の割合が最も高い。●LD₁・LD₂=心筋・赤血球・腎(心筋梗塞・溶血で上昇)。●LD₂・LD₃=肺・リンパ・血小板。●LD₄・LD₅=肝・骨格筋(肝障害・筋疾患で上昇)。●LDアイソザイム比=健常人はLD₂>LD₁>LD₃>LD₄>LD₅。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:LDアイソザイムの構造・組織分布・安定性

アイソザイムサブユニット構成主な分布臓器半減期の傾向4℃保存での安定性
LD1 (H4)H型4個心筋・赤血球・腎最も長い(約79時間)安定
LD2 (H3M1)H型3・M型1心筋・赤血球・腎長い安定
LD3H型2・M型2肺・脾・リンパ系中間比較的安定
LD4 (H1M3)H型1・M型3肝・骨格筋短い不安定
LD5 (M4)M型4個肝・骨格筋最も短い不安定(失活しやすい)
LDはH型・M型の2種類のサブユニットからなる四量体(分子量約134kDa)。健常人血清ではLD2の割合が最も高い。溶血で上昇するのはLD1・LD2。

第70回 午後41(臨床化学)

酵素活性測定の酵素と基質の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤α-アミラーゼ — 4,6-エチリデン-4-ニトロフェニル-マルトヘプタシド

ポイント
α-アミラーゼ活性測定では、4,6-エチリデン-4-ニトロフェニル-マルトヘプタシドなどの合成基質をα-アミラーゼで分解させ、共役酵素を介して遊離する4-ニトロフェノールの吸光度から活性を測る。ALPの基質は4-ニトロフェニルリン酸、ALT・ASTはアミノ基転移反応の基質(アミノ酸とα-ケト酸)を用い、ピリドキサルリン酸はASTの補酵素、N-アセチルシステインはCK測定の活性化剤である。●合成基質=α-アミラーゼ(エチリデン-ニトロフェニル-マルトヘプタシド)・ALP(4-ニトロフェニルリン酸)。●補酵素=AST/ALT(ピリドキサルリン酸)。●活性化剤=CK(N-アセチルシステイン)。●基質と生成物の区別に注意(4-ニトロフェノールは生成物)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:酵素活性測定における基質・共役酵素

酵素基質共役酵素・補酵素等測定対象
ASTL-アスパラギン酸、2-オキソグルタル酸リンゴ酸脱水素酵素〈MDH〉(補酵素はピリドキサルリン酸)NADH(紫外部減少)
ALTL-アラニン、2-オキソグルタル酸乳酸脱水素酵素〈LD〉NADH(紫外部減少)
CKクレアチンリン酸ヘキソキナーゼ〈HK〉、グルコース-6-リン酸脱水素酵素〈G-6-PD〉(活性化剤N-アセチルシステイン)NAD(P)H(紫外部増加)
ALP4-ニトロフェニルリン酸〈4-NPP〉(合成基質)共役酵素は用いない4-ニトロフェノール(黄色)
α-アミラーゼ〈AMY〉4,6-エチリデン-G7-4-ニトロフェニル-マルトヘプタシド(合成基質)α-グルコシダーゼ4-ニトロフェノール(黄色)
4-ニトロフェノールは反応の生成物であり、いずれの酵素の基質でもない点に注意する。

第70回 午後42(臨床化学)

尿細管機能の評価に用いられないのはどれか。

正答: ①シスタチンC

ポイント
近位尿細管障害の評価には、再吸収障害で尿中に増えるα₁-ミクログロブリン・β₂-ミクログロブリン、尿細管上皮由来の酵素NAG、近位尿細管細胞のストレス・障害に伴って尿中に増えるL-FABPなどを用いる。シスタチンCは全身の有核細胞で一定速度で産生され糸球体で濾過される低分子蛋白で、糸球体濾過量(GFR)の指標であり、尿細管機能の評価には用いない。●尿細管障害マーカー=α₁-ミクログロブリン・β₂-ミクログロブリン・L-FABP・NAG・尿中NGAL。●糸球体濾過量(GFR)マーカー=シスタチンC・血清クレアチニン・イヌリンクリアランス。●糸球体障害マーカー=尿中アルブミン・尿蛋白。

選択肢ごとの解説

第70回 午後43(臨床化学)

eGFRで正しいのはどれか。

正答: ②算出に年齢を用いる。

ポイント
eGFR(推算糸球体濾過量)は血清クレアチニン値に年齢と性別を組み込んだ推算式で算出するため、採尿や絶食を必要としない。性別は推算式に補正係数として含まれるが、評価する基準範囲そのものに性差はなく、糸球体の濾過機能を評価する指標である。●eGFR算出に用いる要素=血清クレアチニン・年齢・性別(シスタチンC版もある)。●不要=採尿・絶食。●糸球体機能の指標=eGFR・クレアチニンクリアランス・イヌリンクリアランス。●尿細管機能の指標=β₂-ミクログロブリン・NAG・尿濃縮力。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腎機能を評価する検査の比較(eGFR・クレアチニンクリアランス・シスタチンC)

検査必要な検体計算に用いる要素特徴
eGFR(推算糸球体濾過量)血液のみ(採尿不要)血清クレアチニン・年齢・性別簡便だが筋肉量の影響を受ける
クレアチニンクリアランス〈CCr〉血液+蓄尿(採尿必要)血清・尿中クレアチニン、尿量実測に近いが採尿の手間がある
シスタチンC血液のみ血清シスタチンC筋肉量の影響を受けにくい

第70回 午後44(臨床化学)

糖尿病精査のため来院した患者の検査結果で糖尿病型を示すのはどれか。2つ選べ。

正答: ①HbA1c 7.1%・②随時血糖値210 mg/dL

ポイント
糖尿病型は、空腹時血糖126mg/dL以上、随時血糖または75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上のいずれかを満たすと判定する。随時血糖210mg/dLとHbA1c7.1%はいずれも基準を満たし糖尿病型を示す。グリコアルブミンや負荷試験1時間値、2時間値180mg/dLは診断基準を満たさない。●糖尿病型の判定基準=空腹時血糖≧126・随時血糖≧200・75gOGTT2時間値≧200・HbA1c≧6.5%。●診断=血糖値とHbA1cの両方が糖尿病型、または別日再検で確定。●補助指標(診断基準外)=グリコアルブミン・1,5-アンヒドログルシトール。

選択肢ごとの解説

第70回 午後45(病理組織細胞学)

子宮体癌で正しいのはどれか。

正答: ④エストロゲンの長期投与がリスクとなる。

ポイント
子宮体癌は子宮内膜から発生する腺癌(類内膜癌)が大半で、エストロゲンの持続的刺激が内膜を増殖させ発生リスクとなり、肥満・未経産・閉経後ホルモン補充などが危険因子となる。閉経後の50〜60歳代に好発し、近年は増加傾向にある。ヒトパピローマウイルスが関与し扁平上皮癌が多い子宮頸癌とは発生機序が異なる。●子宮体癌=内膜由来の腺癌・エストロゲン依存・50〜60歳代・増加傾向。●子宮頸癌=扁平上皮癌が多い・ヒトパピローマウイルス関与・30〜40歳代にも多い。●エストロゲン関連腫瘍=子宮体癌・乳癌。

選択肢ごとの解説

第70回 午後46(病理組織細胞学)

自然尿検体のPapanicolaou染色標本の弱拡大写真と強拡大写真を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB046.9a96a3cf5c.jpg
第70回 午後46 の図

正答: ④尿路上皮癌細胞

ポイント
尿路上皮癌細胞はN/C比(核/細胞質比)の増大、核腫大と核形不整、クロマチン増量を示し、孤立散在性または不規則な集塊として出現する。良性の尿路上皮細胞や、ポリオーマウイルス感染による核内封入体をもつデコイ細胞との鑑別には、こうした核異型の有無が重要となる。設問の標本はこれらの核異型を示すことから尿路上皮癌細胞が考えられる。●尿細胞診で出現する細胞=尿路上皮細胞(正常)・扁平上皮細胞・円柱上皮細胞・デコイ細胞(ポリオーマウイルス)・尿路上皮癌細胞。●悪性所見=N/C比増大・核腫大・核形不整・クロマチン増量・核小体明瞭。●尿細胞診の対象=尿路上皮癌・腎盂尿管癌・膀胱癌。

選択肢ごとの解説

第70回 午後47(病理組織細胞学)

成人男性の剖検時の臓器重量で正常範囲内なのはどれか。

正答: ③心臓 — 300 g

ポイント
成人男性の臓器重量の正常範囲は、脳が約1300〜1500g、心臓が約250〜350g、肝臓が約1000〜1500g、脾臓が約100〜150g、甲状腺が約15〜30gである。これに照らすと心臓300gのみが正常範囲に収まり、他の選択肢の重量はいずれも正常範囲を外れている。●成人臓器重量の目安=脳1300〜1500g・心臓250〜350g・肝臓1000〜1500g・腎臓(左右各)約120〜150g・脾臓100〜150g・肺(片側)約400〜600g・甲状腺15〜30g。●心重量増加=心肥大(高血圧・弁膜症・心筋症)。●脾腫=門脈圧亢進・血液疾患・感染。

選択肢ごとの解説

第70回 午後48(病理組織細胞学)

中和処理が必要な脱灰液はどれか。2つ選べ。

正答: ②塩酸・④硝酸

ポイント
塩酸や硝酸などの強酸脱灰液は脱灰力が強く反応が速いが、組織を強く酸性化させ核染色性などを損なうため、脱灰後にアンモニア水や硫酸ナトリウムなどで中和処理が必要となる。EDTAはキレート作用による穏やかな脱灰、ギ酸は弱酸、トリクロロ酢酸も比較的穏やかで、いずれも中和を要さない。●強酸脱灰(中和必要)=塩酸・硝酸(脱灰は速いが組織傷害が強い)。●弱酸脱灰(中和不要)=ギ酸・トリクロロ酢酸(穏やか)。●キレート脱灰=EDTA(最も穏やか・抗原性や核酸を保つが時間がかかる)。●脱灰の評価=化学的(シュウ酸アンモニウム)・物理的(エックス線・針刺し)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後49(病理組織細胞学)

Nissl小体が染まる色素はどれか。

正答: ②クレシル紫

ポイント
Nissl小体は神経細胞の細胞質に存在する粗面小胞体とリボソームの集塊で、リボソームのリボ核酸により塩基好性を示す。塩基性色素であるクレシル紫で青紫色に染色される。Klüver-Barrera染色ではルクソール・ファスト青で髄鞘を青に、クレシル紫でNissl小体を染め分け、神経組織を評価する。●神経染色=Klüver-Barrera染色(髄鞘=ルクソール・ファスト青、Nissl小体=クレシル紫)・Bodian染色/鍍銀(神経原線維)・Holzer染色(グリア線維)。●塩基性色素=クレシル紫・トルイジン青・ヘマトキシリン。●アミロイド=Congo赤・クリスタル紫(メチル紫)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後50(病理組織細胞学)

最も感度が高い免疫組織化学染色法はどれか。

正答: ③ポリマー法

ポイント
免疫組織化学染色の感度は信号増幅の段階数に依存する。ポリマー法は1分子のポリマー担体に多数の二次抗体と酵素を結合させて一度に大きな信号を得るため高感度で、内因性ビオチンによる非特異反応も避けられる。直接法は標識一次抗体のみで増幅がなく最も低感度であり、間接法・PAP法・ABC法を経てポリマー法で最も高い感度が得られる。●免疫組織化学の手法=直接法(低感度)→間接法→PAP法→ABC法→ポリマー法(高感度)。●標識酵素=ペルオキシダーゼ・アルカリホスファターゼ。●発色基質=DAB(ジアミノベンジジン・褐色)。●内因性ペルオキシダーゼ阻止=過酸化水素。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:免疫組織化学染色法の原理と感度比較

方法名原理感度特異性
直接法標識物質(酵素・蛍光物質等)を結合した一次抗体を抗原に直接結合させる低い高い
間接法一次抗体を抗原に結合させた後、標識二次抗体を一次抗体に結合させる中程度高い
PAP法二次抗体にPAP複合体(酵素ペルオキシダーゼ+抗ペルオキシダーゼ抗体)を結合高い高い
ABC法ビオチン標識二次抗体に、アビジンとビオチン化酵素をあらかじめ反応させた複合体(ABC)を結合させる高い高い
LSAB法ビオチン標識二次抗体に酵素標識ストレプトアビジンを結合させる非常に高い非常に高い
ポリマー法ポリマー化した二次抗体に多数の標識物質を結合非常に高い(最も高い)非常に高い
感度は直接法<間接法<PAP法<ABC法<LSAB法・ポリマー法の順に高くなる。ホルマリン固定検体は抗原がマスクされるため、オートクレーブや蛋白分解酵素で抗原賦活化を行う。内因性ペルオキシダーゼは過酸化水素水で失活させ、発色にはジアミノベンジジン〈DAB〉(茶色)やアミノエチルカルバゾール〈AEC〉(赤色)を用いる。凍結切片にも実施可能。