第70回(2024) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第70回 午後51(病理組織細胞学)
染色法と病原体の組合せで正しいのはどれか。
- ①PAS反応 — アスペルギルス
- ②DOPA反応 — B型肝炎ウイルス(HBs抗原)
- ③Kossa反応 — 抗酸菌
- ④Berlin blue染色 — クリプトコッカス
- ⑤mucicarmine染色 — ヘリコバクター・ピロリ
正答: ①PAS反応 — アスペルギルス
ポイント
PAS反応は過ヨウ素酸でグリコール基を酸化しシッフ試薬で赤紫色に発色させる染色で、グリコーゲンや基底膜のほか多糖に富む真菌細胞壁を染める。アスペルギルスやカンジダの菌糸・胞子はPAS陽性となり、グロコット銀染色とともに真菌の検出に用いられる。各選択肢の染色は本来の標的が決まっており、病原体との対応が成否を分ける。●真菌の証明=PAS反応・グロコット(GMS)銀染色・ムチカルミン(クリプトコッカス莢膜)・墨汁法。●特殊染色と標的=Kossa反応(カルシウム塩)・Berlin blue(三価鉄・ヘモジデリン)・DOPA反応(メラニン・チロシナーゼ)・オルセイン(HBs抗原・弾性線維)。●細菌の染色=チール・ネルゼン/オーラミン(抗酸菌)・ワルチン・スターリーやギムザ(ヘリコバクター・ピロリ)・グラム染色。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。PAS反応は真菌細胞壁の多糖を赤紫色に染め、アスペルギルスなど真菌の検出に有用である。
- ② DOPA反応はチロシナーゼ活性を示しメラニン産生細胞(メラノサイト・悪性黒色腫)の検出に用いる染色で、B型肝炎ウイルスとは無関係である。HBs抗原はオルセインや免疫染色で証明する。
- ③ Kossa反応はカルシウム塩(石灰沈着)を黒色に染める方法で、抗酸菌の検出はチール・ネルゼン染色やオーラミン蛍光染色で行う。
- ④ Berlin blue(ベルリン青)染色は組織中の三価鉄(ヘモジデリン)を青色に染める方法で、クリプトコッカスはムチカルミンやPAS、墨汁法で証明する。
- ⑤ ムチカルミン染色は酸性ムチンや莢膜の粘液を赤色に染め、莢膜をもつクリプトコッカスの検出に有用で、ヘリコバクター・ピロリにはギムザやワルチン・スターリー染色を用いる。
📋 まとめの表を見る:組織内構造物・疾患・病原体と特殊染色の対応
第70回 午後52(病理組織細胞学)
細胞診検体で抗凝固剤を添加するのはどれか。
正答: ④体腔液
ポイント
体腔液(胸水・腹水・心嚢液)はフィブリノゲンを含み採取後に凝固しやすく、固まると細胞が線維素網に絡め取られて塗抹標本が作りにくくなるため、ヘパリンなどの抗凝固剤を添加する。膵液・胆汁・十二指腸液など消化管・消化腺の検体は蛋白分解酵素や粘稠性のため自己融解が進みやすく、抗凝固ではなく速やかな固定で対応する。髄液は凝固しにくく細胞数も少ないため遠心後に速やかに標本化する。●抗凝固剤を加える検体=体腔液(胸水・腹水・心嚢液)・関節液など凝固しやすい漿液。●速やかな固定が要る検体=膵液・胆汁・十二指腸液・喀痰など消化酵素や粘液で細胞が変性しやすいもの。●抗凝固剤の例=ヘパリン(細胞診で標準)・EDTA・クエン酸ナトリウム。
選択肢ごとの解説
- ① 膵液は消化酵素を含み細胞が自己融解しやすいため、抗凝固ではなく速やかな固定が重要である。
- ② 髄液は本来凝固しにくく細胞数も少ないため、抗凝固剤を加えず遠心・速やかな標本作製で対応する。
- ③ 胆汁は粘稠で凝固を主目的に抗凝固剤を加えるものではなく、速やかな処理・固定を行う。
- ④ 正しい。体腔液は凝固すると細胞が線維素に絡まり塗抹が困難になるため、ヘパリンなどの抗凝固剤を添加する。
- ⑤ 十二指腸液は消化酵素を含み細胞融解が進みやすいため、抗凝固ではなく速やかな処理・固定で対応する。
第70回 午後53(病理組織細胞学)
キシレンの性質で誤っているのはどれか。
- ①引火性
- ②水溶性
- ③生殖毒性
- ④皮膚刺激性
- ⑤呼吸器有毒性
正答: ②水溶性
ポイント
キシレンは芳香族炭化水素で、脱パラフィンや透徹(透明化)に用いる有機溶媒である。無極性のため水にはほとんど溶けず、エタノールなど有機溶媒と混和することを利用して脱水後の組織処理に使う。揮発性・引火性が高く、神経毒性・生殖毒性・皮膚刺激性・気道刺激性をもつため取り扱いには換気と防護が必要である。●キシレンの危険有害性=引火性・揮発性・神経毒性・生殖毒性・皮膚刺激性・呼吸器刺激性。●病理で用いる有機溶媒=キシレン(透徹)・エタノール(脱水)・ホルマリン(固定)・パラフィン(包埋)。●代替透徹剤=リモネン系・脂肪族炭化水素系(低毒性をうたう製品)。
選択肢ごとの解説
- ① キシレンは揮発しやすく引火点が低い引火性物質であり、正しい記述である。
- ② 誤り。キシレンは無極性の芳香族炭化水素で水にはほとんど溶けず(非水溶性)、有機溶媒とのみ混和する。
- ③ キシレンは生殖毒性が指摘される有害物質であり、正しい記述である。
- ④ キシレンは皮膚に触れると脱脂・刺激を起こす皮膚刺激性をもち、正しい記述である。
- ⑤ キシレン蒸気の吸入は気道・呼吸器を刺激し有害であり、正しい記述である。
第70回 午後54(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。この臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB054.3251af05f2.jpg

正答: ①胃
ポイント
胃粘膜は表層を粘液で覆う単層円柱上皮からなり、表面に胃小窩が陥入し、その下に胃底腺(主細胞・壁細胞)や幽門腺が密に並ぶ。固有層を腺管が占め、粘膜筋板の下に粘膜下層がみられる構造が特徴である。表面上皮細胞や壁細胞の好酸性、密な腺の配列がH-E染色で胃と判断する手がかりとなる。●消化管上皮の鑑別=食道(重層扁平上皮)・胃(単層円柱上皮+胃底腺/幽門腺)・小腸(絨毛+杯細胞・パネート細胞)・大腸(直線的な陰窩+多数の杯細胞)。●胃底腺の主な細胞=壁細胞(塩酸・内因子)・主細胞(ペプシノゲン)・副細胞(粘液)。●上皮型による臓器の見分け=肺(肺胞・含気)・膀胱(尿路上皮/移行上皮)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。表面を覆う単層円柱上皮と胃小窩、粘膜深層の胃腺(主細胞・壁細胞)の配列は胃粘膜の特徴である。
- ② 食道は重層扁平上皮で覆われ、腺は粘膜下層の食道腺などにとどまり、胃底腺のような密な腺配列を粘膜内にもたないため、胃の腺組織とは像が異なる。
- ③ 大腸は杯細胞に富む直線的な腺(陰窩)が規則正しく並び、胃底腺のような壁細胞・主細胞はみられない。
- ④ 肺は肺胞や気管支からなる含気組織で、胃の腺粘膜とは構造が大きく異なる。
- ⑤ 膀胱は尿路上皮(移行上皮)で覆われ、胃の円柱上皮や腺組織とは異なる。
📋 まとめの表を見る:臓器・部位と被覆上皮の対応
内皮は血管・リンパ管、中皮は体腔(漿膜)の表面を被覆する単層扁平上皮で、局在により呼び分ける。肺胞の内面は中皮ではなく肺胞上皮(Ⅰ型・Ⅱ型肺胞上皮細胞)が覆う。
第70回 午後55(病理組織細胞学)
病理解剖で正しいのはどれか。
- ①手術室で行う。
- ②疾患の治療効果を判定する。
- ③遺族の承諾を得る必要はない。
- ④医師であれば誰でも行うことができる。
- ⑤犯罪との関係が疑われる死体を対象とする。
正答: ②疾患の治療効果を判定する。
ポイント
病理解剖は病死した患者の死因や治療効果、合併症を解明する目的で行う剖検で、死体解剖保存法に基づき遺族の承諾を得て実施する。解剖は剖検室で行い、執刀は解剖資格認定を受けた医師など法律で定められた者に限られる。犯罪との関係が疑われる異状死体は司法解剖の対象であり、病理解剖とは区別される。●解剖の種類=病理解剖(病死・死因や治療効果の究明)・司法解剖(犯罪関連・刑事訴訟法)・行政解剖(監察医による異状死)・系統解剖(医学教育・献体)。●病理解剖の要件=遺族の承諾・解剖資格認定医・剖検室での実施・死体解剖保存法の遵守。
選択肢ごとの解説
- ① 病理解剖は手術室ではなく剖検室(解剖室)で行う。
- ② 正しい。病理解剖は死因の究明とともに、施した治療の効果や疾患の進展を判定する目的をもつ。
- ③ 遺族の承諾は必要であり、死体解剖保存法に基づき承諾を得て行う。
- ④ 解剖は誰でも行えるわけではなく、解剖資格認定を受けた医師など法律で定められた者が行う。
- ⑤ 犯罪との関係が疑われる死体は司法解剖の対象であり、病理解剖の対象ではない。
第70回 午後56(病理組織細胞学)
うっ血と関係ないのはどれか。
- ①偽膜
- ②心臓病細胞
- ③チアノーゼ
- ④にくずく肝
- ⑤ガムナ・ガンディ〈Gamna-Gandy〉結節
正答: ①偽膜
ポイント
うっ血は静脈側の血液うっ滞で、酸素飽和度の低い還元ヘモグロビンが増えるためチアノーゼを生じ、慢性肝うっ血ではにくずく肝、慢性肺うっ血では心臓病細胞(ヘモジデリンを貪食したマクロファージ)、脾うっ血ではガムナ・ガンディ結節を生じる。偽膜は線維素性炎で生じる線維素と壊死物の膜であり、循環障害ではなく炎症の産物である。●うっ血に伴う所見=チアノーゼ・にくずく肝(慢性肝うっ血)・心臓病細胞(慢性肺うっ血)・ガムナ・ガンディ結節(脾うっ血)・浮腫。●循環障害の用語=充血(動脈側)・うっ血(静脈側)・虚血・梗塞・血栓・塞栓。●炎症の産物=偽膜・膿・肉芽組織・線維素。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。偽膜は線維素性炎で生じる壊死物と線維素の膜で、うっ血ではなく炎症の産物である。
- ② 心臓病細胞は慢性肺うっ血で肺胞内に出現するヘモジデリン貪食マクロファージで、うっ血と関連する。
- ③ チアノーゼは還元ヘモグロビンの増加によるもので、うっ血で局所に生じうる。
- ④ にくずく肝は慢性肝うっ血で中心静脈周囲がうっ血して斑紋状を呈する所見である。
- ⑤ ガムナ・ガンディ結節は脾うっ血で生じる鉄・カルシウム沈着を伴う線維化巣で、うっ血と関連する。
第70回 午後57(病理組織細胞学)
下肢静脈血栓が原因で塞栓症が起こる動脈はどれか。
- ①下行大動脈
- ②腎動脈
- ③前大脳動脈
- ④肺動脈
- ⑤腹腔動脈
正答: ④肺動脈
ポイント
下肢深部静脈にできた血栓が遊離すると、静脈血流に乗って右心系を経て肺動脈に詰まり肺血栓塞栓症を起こす。これは静脈血が右心を通って肺へ向かう循環経路によるもので、深部静脈血栓症と肺塞栓症は一連の病態(静脈血栓塞栓症)として扱われる。動脈系(脳・腎・腹腔動脈など)の塞栓は心房細動や左心系の血栓・動脈硬化に由来し、静脈血栓は卵円孔開存などの短絡がなければ到達しない。●静脈血栓由来=肺血栓塞栓症(下肢深部静脈血栓症から)。●動脈(体循環)塞栓の塞栓源=心房細動・心筋梗塞後の壁在血栓・感染性心内膜炎の疣贅・動脈硬化巣。●特殊な塞栓=脂肪塞栓(骨折)・空気塞栓・羊水塞栓・奇異性塞栓(卵円孔開存)。
選択肢ごとの解説
- ① 下行大動脈の塞栓は左心系や大動脈由来の血栓で起こり、静脈血栓は到達しない。
- ② 腎動脈の塞栓は心臓由来など動脈系の血栓で起こり、下肢静脈血栓は流入しない。
- ③ 前大脳動脈など脳動脈の塞栓は左心系・頸動脈由来で、静脈血栓は卵円孔開存がなければ到達しない。
- ④ 正しい。下肢静脈血栓は右心を経て肺動脈に詰まり、肺血栓塞栓症を起こす。
- ⑤ 腹腔動脈の塞栓は動脈系の血栓由来で、静脈血栓は経路上到達しない。
第70回 午後58(病理組織細胞学)
免疫組織化学染色で正しいのはどれか。
- ①ホルマリン固定パラフィン包埋切片は使用できない。
- ②内因性ペルオキシダーゼ活性の阻害に過酸化水素加メタノールを用いる。
- ③一次抗体反応後は洗浄して十分に乾燥させる。
- ④二次抗体は一次抗体と同じ動物種の抗血清を用いる。
- ⑤ジアミノベンチジンでは赤色に発色される。
正答: ②内因性ペルオキシダーゼ活性の阻害に過酸化水素加メタノールを用いる。
ポイント
免疫組織化学では一次抗体が抗原に結合し、標識した二次抗体を介して検出する。ペルオキシダーゼ標識ではジアミノベンチジン(DAB)で褐色に発色するが、組織内の内因性ペルオキシダーゼ(赤血球や好中球など)による非特異的発色を防ぐため、過酸化水素加メタノールで前処理して内因性活性を阻害する。ホルマリン固定パラフィン包埋切片は賦活化処理を加えれば多くの抗原で使用でき、反応中は切片を乾燥させない。●非特異反応の阻止=過酸化水素加メタノール(内因性ペルオキシダーゼ)・正常血清やブロッキング剤・内因性ビオチンの阻害。●発色基質と色調=DAB(褐色)・AEC(赤色)・アルカリホスファターゼ基質(青〜赤)。●抗原賦活化=加熱処理(オートクレーブ・電子レンジ)・酵素処理(トリプシンなど)。
選択肢ごとの解説
- ① ホルマリン固定パラフィン包埋切片は最も一般的な検体で、賦活化処理を加えれば多くの抗原で使用できる。
- ② 正しい。組織内の内因性ペルオキシダーゼを過酸化水素加メタノールで阻害し、DAB発色の偽陽性を防ぐ。
- ③ 一次抗体反応後は洗浄するが乾燥はさせず、切片を湿潤に保ったまま次の反応へ進める。
- ④ 二次抗体は一次抗体を作製した動物種に対する抗体を、別の動物種で作製したものを用いる。
- ⑤ ジアミノベンチジン(DAB)はペルオキシダーゼと反応して褐色に発色し、赤色ではない。
第70回 午後59(臨床血液学)
骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。診断に有用な表面抗原はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB059.1f3d0f4d93.jpg

正答: ⑤CD38
ポイント
CD38は形質細胞や活性化リンパ球に強く発現する表面抗原で、豊富な好塩基性細胞質・偏在核・核周明庭(核周のハロー)をもつ形質細胞の同定に有用である。多発性骨髄腫の腫瘍性形質細胞はCD38陽性で、CD138とともに診断やフローサイトメトリーでの検出に用いられ、抗CD38抗体は治療標的でもある。●形質細胞のマーカー=CD38・CD138・CD19(腫瘍性では低下)・細胞質内免疫グロブリン(κ/λ偏り)。●系統別CDマーカー=CD3/CD4/CD8(T細胞)・CD19/CD20(B細胞)・CD13/CD33(骨髄球系)・CD34(造血幹/前駆細胞)・CD41/CD61(巨核球・血小板)。●CD25=IL-2受容体α鎖(活性化T細胞・成人T細胞白血病・ヘアリー細胞白血病)。
選択肢ごとの解説
- ① CD4はヘルパーT細胞やマクロファージのマーカーで、形質細胞の同定には用いない。
- ② CD13は骨髄球系(顆粒球・単球系)のマーカーで、形質細胞性疾患の指標ではない。
- ③ CD25はIL-2受容体で活性化T細胞や成人T細胞白血病、ヘアリー細胞白血病で発現する。
- ④ CD34は造血幹・前駆細胞や血管内皮のマーカーで、成熟形質細胞には発現しない。
- ⑤ 正しい。CD38は形質細胞に強く発現する抗原で、骨髄の形質細胞性病変の診断に有用である。
📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞
第70回 午後60(臨床血液学)
疾患とその原因の組合せで正しいのはどれか。
- ①赤芽球癆 — ヒトパルボウイルスB19感染
- ②再生不良性貧血 — エリスロポエチン欠乏
- ③遺伝性球状赤血球症 — αグロビン遺伝子異常
- ④自己免疫性溶血性貧血 — 補体制御因子欠損
- ⑤ビタミンB₁₂欠乏性貧血 — 直腸切除
正答: ①赤芽球癆 — ヒトパルボウイルスB19感染
ポイント
赤芽球癆は赤芽球系のみが選択的に減少する貧血で、ヒトパルボウイルスB19が赤芽球前駆細胞に感染して一過性に造血を停止させることが原因の一つである。慢性溶血性貧血の患者ではこの感染が無形成発作(aplastic crisis)として顕在化する。他の組合せは原因が誤っており、貧血の機序を取り違えている。●赤芽球癆の原因=ヒトパルボウイルスB19・胸腺腫・自己抗体・薬剤。●貧血と病因=再生不良性貧血(造血幹細胞障害)・遺伝性球状赤血球症(膜蛋白スペクトリン/アンキリン異常)・サラセミア(グロビン遺伝子異常)・ビタミンB₁₂欠乏(胃全摘・回腸末端障害・内因子欠乏)。●溶血性貧血の機序=自己免疫性溶血性貧血(自己抗体)・発作性夜間ヘモグロビン尿症(補体制御因子GPIアンカー欠損)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。ヒトパルボウイルスB19は赤芽球前駆細胞に感染し赤芽球癆(無形成発作)を起こす。
- ② 再生不良性貧血は造血幹細胞の障害による汎血球減少で、エリスロポエチン欠乏が原因ではない。
- ③ 遺伝性球状赤血球症は赤血球膜蛋白(スペクトリン・アンキリンなど)の異常で、αグロビン遺伝子異常はサラセミアの原因である。
- ④ 自己免疫性溶血性貧血は自己抗体による赤血球破壊が原因で、補体制御因子欠損は発作性夜間ヘモグロビン尿症の機序である。
- ⑤ ビタミンB₁₂欠乏は胃全摘や回腸末端の障害(内因子・吸収部位の喪失)で起こり、直腸切除では生じない。
📋 まとめの表を見る:貧血・血球減少症の主な原因(病因)
第70回 午後61(臨床血液学)
ヘモグロビン酸素解離曲線を別に示す。矢印の方向に曲線が移動したとき患者の状態で正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB061.aa72d793e4.jpg

- ①体温上昇
- ②激しい運動
- ③PaCO₂上昇
- ④代謝性アシドーシス
- ⑤2,3-ジフォスフォグリセリン酸〈DPG〉濃度低下
正答: ⑤2,3-ジフォスフォグリセリン酸〈DPG〉濃度低下
ポイント
ヘモグロビン酸素解離曲線の左方移動は酸素親和性が高まり組織へ酸素を放出しにくい状態で、体温低下・PaCO₂低下(pH上昇)・2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)濃度低下で起こる。したがって2,3-DPG濃度低下は曲線を左方へ移動させる要因である。体温上昇・運動・PaCO₂上昇・代謝性アシドーシスはいずれも右方移動(酸素放出促進)を起こす。●右方移動(酸素を放出しやすい)=体温上昇・pH低下(アシドーシス)・PaCO₂上昇(ボーア効果)・2,3-DPG増加・運動。●左方移動(酸素を放しにくい)=体温低下・pH上昇(アルカローシス)・PaCO₂低下・2,3-DPG低下・一酸化炭素ヘモグロビン・胎児ヘモグロビン。●2,3-DPG=赤血球解糖系の側路で産生されヘモグロビンに結合し酸素を解離させる。
選択肢ごとの解説
- ① 体温上昇は曲線を右方移動させ、酸素放出を促す。
- ② 激しい運動は代謝による二酸化炭素・体温・2,3-DPG増加で右方移動を起こす。
- ③ PaCO₂上昇は水素イオン増加(ボーア効果)で右方移動を起こす。
- ④ 代謝性アシドーシスはpH低下により右方移動を起こす。
- ⑤ 正しい。2,3-DPG濃度の低下は酸素親和性を高めて曲線を左方移動させる。
第70回 午後62(臨床血液学)
凝固反応でリン脂質を必要とするのはどれか。2つ選べ。
- ①第Ⅹ因子活性化
- ②第Ⅺ因子活性化
- ③フィブリン安定化
- ④プロトロンビン活性化
- ⑤プレカリクレイン活性化
正答: ①第Ⅹ因子活性化・④プロトロンビン活性化
ポイント
リン脂質(血小板第3因子や試薬の負電荷リン脂質)はビタミンK依存性凝固因子とカルシウムが結合する足場となり、酵素複合体の形成を促す。活性化第Ⅹ因子・第Ⅴa因子・カルシウムがリン脂質膜上でプロトロンビナーゼ複合体をつくりプロトロンビンを活性化し、第Ⅸa・第Ⅷa因子のテナーゼ複合体が同じくリン脂質膜上で第Ⅹ因子を活性化する。一方、接触相反応(第Ⅻ・第Ⅺ因子・プレカリクレイン)やフィブリン安定化はリン脂質を必須としない。●リン脂質膜上で進む反応=テナーゼ複合体(第Ⅸa・Ⅷa)による第Ⅹ因子活性化・プロトロンビナーゼ複合体(第Ⅹa・Ⅴa)によるプロトロンビン活性化。●リン脂質を要さない反応=接触相(第Ⅻ因子・第Ⅺ因子・高分子キニノゲン・プレカリクレイン)・第ⅩⅢ因子によるフィブリン安定化。●リン脂質の供給源=活性化血小板の膜・APTT試薬のセファリンなど。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。第Ⅹ因子の活性化はテナーゼ複合体がリン脂質膜上で形成されて進み、リン脂質を必要とする。
- ② 第Ⅺ因子の活性化は接触相(第Ⅻ因子・高分子キニノゲン)で起こり、リン脂質膜を必須としない。
- ③ フィブリン安定化は第ⅩⅢ因子による架橋形成で、リン脂質を必要としない。
- ④ 正しい。プロトロンビンの活性化はプロトロンビナーゼ複合体がリン脂質膜上で形成されて進み、リン脂質を必要とする。
- ⑤ プレカリクレインの活性化は接触相反応でリン脂質を必要としない。
第70回 午後63(臨床血液学)
APTTの延長を認めないのはどれか。
- ①血友病B
- ②血小板無力症
- ③第Ⅺ因子欠損症
- ④ビタミンK欠乏症
- ⑤抗リン脂質抗体症候群
正答: ②血小板無力症
ポイント
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は内因系・共通系の凝固因子を反映し、第Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ因子や共通系因子の低下、抗リン脂質抗体やヘパリンで延長する。血小板無力症は血小板膜糖蛋白GPⅡb/Ⅲaの異常による一次止血障害(血小板凝集障害)で、凝固因子は正常のためAPTTは延長しない。●APTTが延長する病態=血友病A(第Ⅷ)・血友病B(第Ⅸ)・第Ⅺ/Ⅻ因子欠損・ビタミンK欠乏・抗リン脂質抗体症候群(ループスアンチコアグラント)・ヘパリン・von Willebrand病。●APTT正常で出血傾向=血小板無力症(GPⅡb/Ⅲa)・ベルナール・スーリエ症候群(GPⅠb/Ⅸ)・血小板減少・第ⅩⅢ因子欠損。●PTで反映=外因系(第Ⅶ)+共通系。
選択肢ごとの解説
- ① 血友病Bは第Ⅸ因子欠損で内因系が障害されAPTTが延長する。
- ② 正しい。血小板無力症は血小板機能異常(GPⅡb/Ⅲa異常)で、凝固因子は正常のためAPTTは延長しない。
- ③ 第Ⅺ因子欠損症は内因系因子の低下でAPTTが延長する。
- ④ ビタミンK欠乏では第Ⅸ因子など内因系因子も低下しAPTTが延長する(PTも延長する)。
- ⑤ 抗リン脂質抗体症候群ではループスアンチコアグラントがリン脂質依存性反応を阻害しAPTTが延長する。
第70回 午後64(臨床血液学)
緩衝食塩溶液の希釈系列に検体A(ヘパリン血)を滴下後37 ℃で2時間静置した。その溶血度(%)と食塩濃度(%)の関係を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB064.01ab0a4009.jpg

- ①鉄欠乏性貧血
- ②巨赤芽球性貧血
- ③再生不良性貧血
- ④遺伝性球状赤血球症
- ⑤自己免疫性溶血性貧血
正答: ①鉄欠乏性貧血
ポイント
食塩水希釈系列による赤血球浸透圧抵抗試験は、低張食塩水で赤血球が溶血を始める食塩濃度を調べる検査である。鉄欠乏性貧血では赤血球が薄く扁平な低色素赤血球で表面積/体積比が大きく、低張液に対して抵抗が強いため溶血開始が低い食塩濃度側へずれる(抵抗増加)。一方、遺伝性球状赤血球症では球状赤血球が膨張に弱く高い食塩濃度で溶血が始まる(抵抗低下)。●浸透圧抵抗が増す(溶血しにくい)=鉄欠乏性貧血・サラセミア・閉塞性黄疸・標的赤血球(扁平・低色素)。●浸透圧抵抗が低下(溶血しやすい)=遺伝性球状赤血球症・自己免疫性溶血性貧血の一部。●試験の意義=球状赤血球症のスクリーニング(浸透圧脆弱性試験)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。鉄欠乏性貧血の低色素・扁平な赤血球は浸透圧抵抗が増し、溶血開始が低い食塩濃度側へ移動する。
- ② 巨赤芽球性貧血は大型の赤血球を生じるが、本検査で抵抗が著明に増す典型像とは異なる。
- ③ 再生不良性貧血は赤血球産生低下による貧血で、浸透圧抵抗の特徴的変化を示さない。
- ④ 遺伝性球状赤血球症は球状赤血球のため浸透圧抵抗が低下し、高い食塩濃度で溶血が始まる。
- ⑤ 自己免疫性溶血性貧血は抗体による溶血が主体で、浸透圧抵抗増加の像とは合わない。
第70回 午後65(臨床血液学)
異常所見と疾患の組合せで正しいのはどれか。
- ①Auer小体 — 急性リンパ芽球性白血病
- ②Döhle小体 — 伝染性単核球症
- ③Russell小体 — 多発性骨髄腫
- ④核の過分節 — 重症感染症
- ⑤偽Pelger核異常 — 巨赤芽球性貧血
正答: ③Russell小体 — 多発性骨髄腫
ポイント
Russell小体は形質細胞内に蓄積した免疫グロブリンの好酸性球状封入体で、多発性骨髄腫など形質細胞増殖性疾患でみられる。他の組合せは対応疾患を取り違えており、各封入体・形態異常はそれぞれ別の病態の所見である。●形態異常と疾患=Auer小体(急性骨髄性白血病)・Döhle小体や中毒性顆粒(重症感染症の好中球)・核過分節(巨赤芽球性貧血)・偽Pelger核異常/分葉低下(骨髄異形成症候群)。●形質細胞の封入体=Russell小体(細胞質内)・Dutcher小体(核内陥入)。●好中球の毒性変化=Döhle小体・中毒性顆粒・空胞形成(重症感染症)。
選択肢ごとの解説
- ① Auer小体はアズール顆粒が融合した針状封入体で、急性骨髄性白血病に出現し、リンパ芽球性白血病ではみられない。
- ② Döhle小体は重症感染症などの好中球にみられる青灰色の細胞質封入体で、伝染性単核球症の特徴ではない。
- ③ 正しい。Russell小体は免疫グロブリンを蓄積した形質細胞内封入体で、多発性骨髄腫など形質細胞病変でみられる。
- ④ 核の過分節(好中球の分葉過剰)は巨赤芽球性貧血でみられる所見で、重症感染症の特徴ではない。
- ⑤ 偽Pelger核異常は好中球の分葉低下で骨髄異形成症候群などにみられ、巨赤芽球性貧血(過分節)とは逆の所見である。
📋 まとめの表を見る:血球の核・細胞質にみられる特徴的所見
第70回 午後66(臨床血液学)
BCR-ABL1 融合遺伝子が検出されるのはどれか。2つ選べ。
- ①原発性骨髄線維症
- ②真性赤血球増加症
- ③本態性血小板血症
- ④慢性骨髄性白血病
- ⑤急性リンパ性白血病
正答: ④慢性骨髄性白血病・⑤急性リンパ性白血病
ポイント
融合遺伝子は染色体転座で2つの遺伝子が結合して生じる異常遺伝子である。慢性骨髄性白血病はt(9;22)によるBCR-ABL1融合遺伝子(フィラデルフィア染色体)をもち、急性リンパ性白血病もBCR-ABL1やMLL(KMT2A)再構成など融合遺伝子を高頻度に伴う。骨髄増殖性腫瘍(真性赤血球増加症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症)はJAK2・CALR・MPLの点変異や挿入欠失が主体で、特異的融合遺伝子は伴わない。●融合遺伝子をもつ白血病=慢性骨髄性白血病(BCR-ABL1)・急性前骨髄球性白血病(PML-RARA)・急性骨髄性白血病(RUNX1-RUNX1T1・CBFB-MYH11)・急性リンパ性白血病(BCR-ABL1・ETV6-RUNX1・KMT2A再構成)。●点変異が主体=真性赤血球増加症/本態性血小板血症/原発性骨髄線維症(JAK2 V617F・CALR・MPL)。
選択肢ごとの解説
- ① 原発性骨髄線維症はJAK2・CALR・MPLなどの遺伝子変異が主体で、特異的融合遺伝子は伴わない。
- ② 真性赤血球増加症はほぼ全例JAK2 V617F変異をもつが、これは融合遺伝子ではない。
- ③ 本態性血小板血症もJAK2・CALR・MPLの変異が主体で、融合遺伝子は伴わない。
- ④ 正しい。慢性骨髄性白血病はt(9;22)によるBCR-ABL1融合遺伝子(フィラデルフィア染色体)が検出される。
- ⑤ 正しい。急性リンパ性白血病はBCR-ABL1やMLL再構成など融合遺伝子を高頻度に伴う。
📋 まとめの表を見る:白血病の染色体異常と融合遺伝子
予後との関連は疾患・遺伝子異常・治療によって異なる(急性骨髄性白血病ではt(8;21)・inv(16)・t(15;17)が予後良好群、t(9;11)のKMT2A::MLLT3は中間群。t(11;14)を伴うマントル細胞リンパ腫やPh陽性急性リンパ性白血病はむしろ予後不良とされる)。CMLではBCR-ABL1が診断・治療標的である。融合遺伝子の表記は「A-B」「A::B」のどちらの過去問表記にも対応する。
第70回 午後67(臨床血液学)
3種類の濃度のADPを用いた血小板凝集能検査(透過光法)の結果を別に示す。誤っているのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB067.ce98f8e25d.jpg

- ①Aでは、血小板凝集の解離が認められる。
- ②Aでは、プロスタサイクリンが放出されている。
- ③Bでは、トロンボキサンA2が放出されている。
- ④Bでは、二次凝集が認められる。
- ⑤Cでは、血小板同士がフィブリノゲンを介して凝集している。
正答: ②Aでは、プロスタサイクリンが放出されている。
ポイント
血小板凝集能検査(透過光法)では、低濃度ADPで一次凝集のみが起こって解離する波形、より高濃度のADPでトロンボキサンA2放出による不可逆的な二次凝集を示す。プロスタサイクリン(PGI2)は血管内皮が産生する血小板凝集抑制物質であり、凝集反応中の血小板から放出されるものではないため、この記述が誤りである。●血小板から放出される物質(放出反応)=トロンボキサンA2・ADP・セロトニン・血小板第4因子・β-トロンボグロブリン。●凝集抑制物質=プロスタサイクリン(PGI2、内皮由来)・一酸化窒素(NO)。●凝集の最終段階=活性化したGPⅡb/Ⅲaにフィブリノゲンが架橋して血小板同士が結合する。
選択肢ごとの解説
- ① Aの低濃度ADP刺激では一次凝集後に血小板が解離する波形がみられ、妥当な記述である。
- ② 誤り。プロスタサイクリンは血管内皮由来の凝集抑制物質で、凝集中の血小板から放出されるものではない。
- ③ Bでは血小板が活性化してトロンボキサンA2を放出し、二次凝集を促す。
- ④ Bでは放出反応により不可逆的な二次凝集が認められる。
- ⑤ Cでは活性化血小板のGPⅡb/Ⅲaにフィブリノゲンが架橋して血小板同士が凝集する。
📋 まとめの表を見る:血小板凝集能検査における疾患・薬剤による低下パターン
Bernard-Soulier症候群では巨大血小板を伴う。
第70回 午後68(臨床微生物学)
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉で誤っているのはどれか。
- ①mecA 遺伝子を保有する。
- ②院内感染型と市中感染型がある。
- ③治療にはバンコマイシンが用いられる。
- ④判定にはセフォキシチンが用いられる。
- ⑤基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉を産生する。
正答: ⑤基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉を産生する。
ポイント
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)はmecA遺伝子がコードする変異型ペニシリン結合蛋白PBP2'(PBP2a)をもち、β-ラクタム薬が結合できずほぼ全てのβ-ラクタム薬が無効となる。判定にはセフォキシチンディスク(オキサシリンの代替指標)を用い、治療にはバンコマイシンなどのグリコペプチド系を使う。基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)はグラム陰性桿菌が産生する酵素で、黄色ブドウ球菌(グラム陽性球菌)の耐性機序ではない。●MRSAの要点=mecA遺伝子・PBP2'・院内感染型/市中感染型・セフォキシチンで判定・バンコマイシン/リネゾリド/ダプトマイシンで治療。●β-ラクタマーゼによる耐性(グラム陰性桿菌)=ESBL・AmpC・カルバペネマーゼ。●その他の耐性菌=VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)・PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)・多剤耐性緑膿菌。
選択肢ごとの解説
- ① MRSAはmecA遺伝子(PBP2'をコード)を保有し、これが耐性の本体であり正しい記述である。
- ② MRSAには院内感染型と市中感染型があり、市中型は異なる遺伝子型・病態を示す。
- ③ MRSA感染症の治療にはバンコマイシンなどのグリコペプチド系が用いられる。
- ④ MRSAの判定にはセフォキシチンディスク(オキサシリン代替)が用いられる。
- ⑤ 誤り。ESBLはグラム陰性桿菌が産生するβ-ラクタマーゼで、MRSAの耐性機序はPBP2'でありESBL産生ではない。
第70回 午後69(臨床微生物学)
皮膚病変部より分離した真菌のスライド培養のラクトフェノールコットンブルー染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB069.6e63dd1dcc.jpg

- ①Aspergillus属
- ②Exophiala属
- ③Microsporum属
- ④Mucor属
- ⑤Trichophyton属
正答: ③Microsporum属
ポイント
ラクトフェノールコットンブルー染色は真菌の菌糸や分生子を青く染め、スライド培養で分生子の着生様式や形態から属を同定する手法である。皮膚病変由来の糸状菌(皮膚糸状菌)では、分生子柄の形態、大分生子・小分生子の有無や形が属の鑑別に重要となる。提示像では、多数の隔壁をもつ紡錘形の大分生子が多くみられ、厚い壁と粗造な表面を示すことからMicrosporum属と同定できる。Trichophyton属では多数の小分生子が鑑別に重要で、大分生子はより細長く薄壁・平滑である。Aspergillus属の分生子頭やMucor属の球状の胞子嚢を示した像ではない。●皮膚糸状菌の鑑別(大分生子)=Microsporum(紡錘形・厚壁・表面粗造)・Trichophyton(棍棒状・薄壁+多数の小分生子)・Epidermophyton(棍棒状の大分生子のみ・小分生子なし)。●スライド培養で観察する点=菌糸の隔壁・分生子柄・分生子の形と配列。●染色=ラクトフェノールコットンブルー(菌体を青染)。
選択肢ごとの解説
- ① 提示された分生子・菌糸の形態学的特徴に合致しない属である。
- ② 提示された分生子・菌糸の形態学的特徴に合致しない属である。
- ③ 正しい。スライド培養で示された菌糸・分生子の形態がこの属の特徴に合致する。
- ④ 提示された分生子・菌糸の形態学的特徴に合致しない属である。
- ⑤ 提示された分生子・菌糸の形態学的特徴に合致しない属である。
📋 まとめの表を見る:皮膚糸状菌(Epidermophyton・Microsporum・Trichophyton属)の分生子形成による鑑別
第70回 午後70(臨床微生物学)
Acinetobacter属で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①運動性を有する。
- ②ブドウ糖を発酵する。
- ③偏性好気性菌である。
- ④グラム陽性桿菌である。
- ⑤チトクロムオキシダーゼテスト陰性を示す。
正答: ③偏性好気性菌である。・⑤チトクロムオキシダーゼテスト陰性を示す。
ポイント
本問の対象菌群は偏性好気性菌で、エネルギーを酸素呼吸に依存し、ブドウ糖を発酵せず必要時に酸化的に利用する。チトクロムオキシダーゼテスト陰性を示し、これらの性状はブドウ糖発酵能・オキシダーゼ反応で腸内細菌科や他のグラム陰性桿菌と鑑別する際の指標となる。Acinetobacter属は鞭毛をもたず通常の運動性試験は陰性で、グラム染色では陰性の球桿菌である(脱色されにくくグラム不定にみえることがあるが、グラム陽性菌ではない)。●酸素要求性の分類=偏性好気性菌・通性嫌気性菌・偏性嫌気性菌・微好気性菌(カンピロバクターなど)。●糖の利用=発酵(腸内細菌科・通性嫌気性)・酸化(ブドウ糖非発酵菌)・非利用。●オキシダーゼ反応=陽性(緑膿菌・ナイセリア・ビブリオ)・陰性(腸内細菌科・アシネトバクター)。
選択肢ごとの解説
- ① Acinetobacter属は鞭毛をもたず、通常の運動性試験では非運動性を示すため誤りである。
- ② ブドウ糖を発酵するのではなく、偏性好気性菌では酸化的に利用するため発酵は陰性である。
- ③ 正しい。偏性好気性菌で、酸素呼吸に依存しブドウ糖を発酵しない。
- ④ Acinetobacter属はグラム陰性の球桿菌であり、グラム陽性桿菌ではない。脱色されにくくグラム不定にみえることがある。
- ⑤ 正しい。チトクロムオキシダーゼテスト陰性を示す。
📋 まとめの表を見る:グラム陰性桿菌の分類(腸内細菌目・ビブリオ科・パスツレラ科・非発酵菌群)とオキシダーゼ・糖代謝
第70回 午後71(臨床微生物学)
単毛菌はどれか。2つ選べ。
- ①Burkholderia cepacia
- ②Campylobacter jejuni
- ③Klebsiella pneumoniae
- ④Pseudomonas aeruginosa
- ⑤Vibrio cholerae
正答: ④Pseudomonas aeruginosa・⑤Vibrio cholerae
ポイント
単毛菌(極単毛)は菌体の一端に1本の鞭毛をもつ細菌で、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)やコレラ菌(Vibrio cholerae)が代表である。これらは極単毛で活発に運動する。Burkholderia cepaciaは極多毛、Campylobacter jejuniはらせん状で菌体の極に鞭毛をもち(片端または両端)、Klebsiella pneumoniaeは無鞭毛で非運動性である。●鞭毛の配列=単毛(極に1本:緑膿菌・コレラ菌)・束毛/多毛(極に複数:Burkholderia)・周毛(菌体全周:大腸菌・サルモネラ・プロテウス)・両毛(両極に1本ずつ)。●無鞭毛・非運動性=Klebsiella・Shigella・Acinetobacter。●運動性の確認=半流動培地・暗視野/位相差鏡検・鞭毛染色。
選択肢ごとの解説
- ① Burkholderia cepaciaは極に複数の鞭毛(極多毛)をもち、単毛ではない。
- ② Campylobacter jejuniはらせん菌で極に鞭毛をもつが、片端または両端にあり典型的な単毛菌とは区別される。
- ③ Klebsiella pneumoniaeは鞭毛をもたない無鞭毛・非運動性の菌である。
- ④ 正しい。Pseudomonas aeruginosaは菌体一端に1本の鞭毛をもつ極単毛菌である。
- ⑤ 正しい。Vibrio choleraeは菌体一端に1本の鞭毛をもつ極単毛菌である。
第70回 午後72(臨床微生物学)
病原菌と選択分離培地の組合せで正しいのはどれか。
- ①Mycoplasma pneumoniae — PPLO寒天培地
- ②Neisseria gonorrhoeae — SS寒天培地
- ③Pseudomonas aeruginosa — WYOα寒天培地
- ④Shigella sonnei — NAC寒天培地
- ⑤Vibrio parahaemolyticus — CIN寒天培地
正答: ①Mycoplasma pneumoniae — PPLO寒天培地
ポイント
Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁を欠く微生物で、コレステロールや酵母エキスを加えたPPLO寒天培地で発育し、目玉焼き状(fried egg)の微小集落をつくる。各選択分離培地は対象菌に合わせて成分が設計されており、菌と培地の対応が分離の成否を左右する。他の組合せはいずれも本来の対象菌が異なる。●菌と選択分離培地=Mycoplasma(PPLO)・淋菌/髄膜炎菌(Thayer-Martin・チョコレート寒天)・赤痢菌/サルモネラ(SS寒天・マッコンキー)・緑膿菌(NAC寒天)・腸炎ビブリオ/コレラ菌(TCBS寒天)・エルシニア(CIN寒天)・レジオネラ(WYOα/BCYEα寒天)・百日咳菌(ボルデ・ジャング寒天)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。Mycoplasma pneumoniaeはPPLO寒天培地で発育し、目玉焼き状集落を形成する。
- ② Neisseria gonorrhoeaeはチョコレート寒天やThayer-Martin培地で分離し、SS寒天培地は赤痢菌・サルモネラ用である。
- ③ Pseudomonas aeruginosaはNAC寒天などで分離し、WYOαはレジオネラ用の培地である。
- ④ Shigella sonneiはSS寒天やマッコンキー寒天で分離し、NAC寒天は緑膿菌などの分離に用いる。
- ⑤ Vibrio parahaemolyticusはTCBS寒天で分離し、CIN寒天はエルシニアの選択培地である。
📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地
第70回 午後73(臨床微生物学)
毒素型食中毒の病原体で正しいのはどれか。
- ①Campylobacter jejuni
- ②Listeria monocytogenes
- ③Shigella dysenteriae
- ④Staphylococcus aureus
- ⑤Vibrio parahaemolyticus
正答: ④Staphylococcus aureus
ポイント
毒素型食中毒は食品中であらかじめ産生された毒素を摂取して発症するため潜伏期が短い。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は食品中で耐熱性のエンテロトキシンを産生し、その後加熱して菌を殺しても毒素は残るため食中毒を起こす。他の菌は腸管で増殖・侵入して発症する感染型(または侵入型)であり、毒素型ではない。●毒素型食中毒=黄色ブドウ球菌(エンテロトキシン・耐熱性)・ボツリヌス菌(ボツリヌス毒素)・セレウス菌の嘔吐型(セレウリド)。●感染型/侵入型=サルモネラ・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・リステリア・赤痢菌。●生体内毒素型(中間型)=腸管出血性大腸菌(ベロ毒素)・ウェルシュ菌・セレウス菌の下痢型。
選択肢ごとの解説
- ① Campylobacter jejuniは腸管に感染して発症する感染型食中毒の原因菌である。
- ② Listeria monocytogenesは腸管から侵入して感染する感染型(侵入型)で、毒素型ではない。
- ③ Shigella dysenteriaeは腸管に感染して発症し、志賀毒素を産生するが食中毒の分類は感染型である。
- ④ 正しい。Staphylococcus aureusは食品中で耐熱性エンテロトキシンを産生し、毒素型食中毒を起こす。
- ⑤ Vibrio parahaemolyticusは腸管で増殖して発症する感染型食中毒の原因菌である。
第70回 午後74(臨床微生物学)
Serratia marcescensが陰性を示すのはどれか。
- ①VP反応
- ②IPA反応
- ③DNase試験
- ④運動性テスト
- ⑤リジン脱炭酸試験
正答: ②IPA反応
ポイント
IPA反応(トリプトファン脱アミノ反応)はトリプトファンからインドールピルビン酸を生じる試験で、Proteus・Morganella・Providenciaなど一部の腸内細菌で陽性となる。これらの菌群以外では陰性を示すため、生化学的同定で菌種を絞り込む指標となる。設問の対象菌ではこれらの属に該当せずIPA反応が陰性となる。●IPA陽性=Proteus・Morganella・Providencia。●脱炭酸試験=リジン/オルニチン/アルギニン脱炭酸(菌種により陽性・陰性)。●その他の生化学反応=VP反応(アセトイン産生)・DNase試験・運動性(鞭毛)・インドール産生・尿素分解。
選択肢ごとの解説
- ① VP反応(アセトイン産生)は菌により陽性・陰性が分かれ、ここで問う陰性の指標とは異なる。
- ② 正しい。IPA反応はProteus属などに特徴的な反応で、これら以外の菌では陰性を示す。
- ③ DNase試験はDNA分解酵素の有無をみる試験で、設問が問う陰性の指標とは異なる。
- ④ 運動性テストは鞭毛の有無を反映し、菌種により陽性となるため一律陰性とはいえない。
- ⑤ リジン脱炭酸試験はリジンを分解する菌で陽性となり、菌種により結果が異なる。
第70回 午後75(臨床微生物学)
DNAウイルスはどれか。2つ選べ。
- ①B型肝炎ウイルス
- ②ムンプスウイルス
- ③サイトメガロウイルス
- ④ヒト免疫不全ウイルス
- ⑤インフルエンザウイルス
正答: ①B型肝炎ウイルス・③サイトメガロウイルス
ポイント
DNAウイルスはゲノムにDNAをもつウイルスで、ヘルペスウイルス科のサイトメガロウイルスやヘパドナウイルス科のB型肝炎ウイルスが含まれる。ムンプス・インフルエンザ・ヒト免疫不全ウイルスはいずれもRNAウイルスで、ヒト免疫不全ウイルスは逆転写酵素をもつレトロウイルスである。●主なDNAウイルス=ヘルペスウイルス科(単純ヘルペス・水痘帯状疱疹・サイトメガロ・EBウイルス)・ヘパドナウイルス科(B型肝炎)・アデノウイルス・パピローマウイルス・パルボウイルス・ポックスウイルス。●主なRNAウイルス=オルソミクソ(インフルエンザ)・パラミクソ(ムンプス・麻疹)・レトロ(ヒト免疫不全ウイルス)・フラビ(C型肝炎・デング)・ピコルナ(ポリオ・A型肝炎)・コロナ。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。B型肝炎ウイルスはヘパドナウイルス科のDNAウイルスである。
- ② ムンプスウイルスはパラミクソウイルス科のRNAウイルスである。
- ③ 正しい。サイトメガロウイルスはヘルペスウイルス科のDNAウイルスである。
- ④ ヒト免疫不全ウイルスは逆転写酵素をもつRNAウイルス(レトロウイルス)である。
- ⑤ インフルエンザウイルスはオルソミクソウイルス科のRNAウイルスである。
第70回 午後76(臨床微生物学)
カタラーゼテストで使用するのはどれか。
- ①過酸化水素水
- ②水酸化カリウム
- ③α-ナフトール・アルコール
- ④p-ジメチルアミノベンツアルデヒド
- ⑤テトラメチルパラフェニレンジアミン塩酸塩
正答: ①過酸化水素水
ポイント
カタラーゼテストは、細菌が産生するカタラーゼが過酸化水素を水と酸素に分解する反応を利用し、過酸化水素水を菌体に滴下して生じる気泡(酸素)の有無で陽性・陰性を判定する。グラム陽性球菌の鑑別に用いられ、ブドウ球菌属は陽性、レンサ球菌属・腸球菌属は陰性となる。赤血球もカタラーゼをもつため血液寒天培地のコロニーで実施すると偽陽性となりうる。●ブドウ球菌の同定試薬=カタラーゼ(過酸化水素水)・コアグラーゼ。●腸内細菌の生化学試験=インドール試験(p-ジメチルアミノベンズアルデヒド)・VP反応(α-ナフトール・アルコール+KOH)・オキシダーゼ試験(テトラメチルパラフェニレンジアミン)。●グラム染色補助=KOH粘性試験(水酸化カリウム)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。過酸化水素水を菌体に滴下し、カタラーゼによる分解で生じる酸素の気泡を観察するのがカタラーゼテストである。
- ② 水酸化カリウム(KOH)はグラム陰性菌を判別するKOH粘性試験(ストリングテスト)に用いる試薬で、カタラーゼテストには使わない。
- ③ α-ナフトール・アルコールはVoges-Proskauer反応でアセトインを検出する試薬であり、カタラーゼテストの試薬ではない。
- ④ p-ジメチルアミノベンズアルデヒドはインドール試験(Kovács試薬・Ehrlich試薬の主成分)に用いる試薬で、用途が異なる。
- ⑤ テトラメチルパラフェニレンジアミン塩酸塩はオキシダーゼテストの試薬であり、シトクロムcオキシダーゼの検出に用いる。
第70回 午後77(臨床微生物学)
培養に用いる検体で適切なのはどれか。
- ①室温保存された髄液
- ②唾液成分のみの喀痰
- ③尿バックから採取された尿
- ④ホルマリン処理された組織
- ⑤冷蔵保存された血液培養ボトル
正答: ①室温保存された髄液
ポイント
細菌培養検体は目的菌を生かしたまま、常在菌や環境からの汚染を最小限にして提出することが原則である。髄液は本来無菌的な検体で、髄膜炎菌や肺炎球菌は低温に弱いため冷蔵せず室温で速やかに搬送する。固定・防腐処理された検体や常在菌が混入した検体、長時間放置された検体は培養に適さない。●搬送温度=髄液・髄膜炎菌・淋菌は冷蔵を避け室温(低温で死滅)、一般細菌は4℃冷蔵可。●不適検体=唾液主体の喀痰(上気道常在菌)・採尿バッグ貯留尿(雑菌増殖)・ホルマリン固定組織(菌死滅)。●血液培養=冷蔵しない。接種後は室温で速やかに搬送して自動培養装置に装填する(装填が遅れる場合の扱いは機器・ボトルの取扱説明書に従い、37℃での予備保温は一律には行わない)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。髄液は無菌的検体で、髄膜炎菌など寒冷に弱い菌を死滅させないため冷蔵を避け室温保存・迅速搬送が適切である。
- ② 唾液成分のみの喀痰は上気道の常在菌が主体で下気道由来の病原菌を反映せず、培養検体として不適である。
- ③ 尿バッグに貯留した尿は時間経過で雑菌が増殖し、定量培養の結果が信頼できなくなるため適さない。
- ④ ホルマリン処理された組織は固定により菌が死滅しており、培養では生育しないため不適である。
- ⑤ 血液培養ボトルは冷蔵すると菌が障害され偽陰性の原因となるため、冷蔵保存は不適である。接種後は室温で速やかに検査室へ搬送し、自動培養装置に装填する。
第70回 午後78(臨床微生物学)
高水準消毒薬はどれか。2つ選べ。
- ①過酢酸
- ②ポビドンヨード
- ③クロルヘキシジン
- ④グルタルアルデヒド
- ⑤次亜塩素酸ナトリウム
正答: ①過酢酸・④グルタルアルデヒド
ポイント
消毒薬は抗微生物スペクトルにより高水準・中水準・低水準に分類される。高水準消毒薬は多数の細菌芽胞を除くほぼ全ての微生物を死滅させる薬剤で、過酢酸・グルタルアルデヒド・フタラールが代表であり内視鏡などの器具消毒に用いる。過酢酸とグルタルアルデヒドは長時間の接触で芽胞にも有効だが、フタラールの殺芽胞性は弱い。中水準は結核菌・多くのウイルス・栄養型細菌に有効だが通常の使用条件では芽胞への十分な効果は期待できず(次亜塩素酸ナトリウムは有効塩素濃度・接触時間により殺芽胞性を示し得る)、低水準は一部の細菌・真菌・ウイルスにとどまる。●高水準=過酢酸・グルタルアルデヒド・フタラール。●中水準=次亜塩素酸ナトリウム・ポビドンヨード・アルコール・フェノール類。●低水準=クロルヘキシジン・第四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム)・両性界面活性剤。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。過酢酸は強い酸化作用で芽胞を含む広範な微生物に有効な高水準消毒薬で、内視鏡消毒などに用いる。
- ② ポビドンヨードは中水準消毒薬で皮膚・粘膜の消毒に用い、芽胞には無効である。
- ③ クロルヘキシジングルコン酸塩は低水準消毒薬で、結核菌や芽胞、多くのウイルスには無効である。
- ④ 正しい。グルタルアルデヒドはアルデヒド系の高水準消毒薬で、芽胞を含む微生物に有効である。
- ⑤ 次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬に分類され、通常の使用条件では芽胞への確実な作用は期待できない(高濃度・長時間の接触では殺芽胞性を示し得る)。
第70回 午後79(臨床免疫学)
抗炎症性サイトカインはどれか。
- ①インターロイキン-1(IL-1)
- ②インターロイキン-6(IL-6)
- ③インターロイキン-8(IL-8)
- ④インターロイキン-10(IL-10)
- ⑤腫瘍壊死因子-α(TNF-α)
正答: ④インターロイキン-10(IL-10)
ポイント
サイトカインは炎症反応を促進する炎症性サイトカインと、それを抑制する抗炎症性サイトカインに大別される。インターロイキン-10(IL-10)はマクロファージやTh2細胞などから産生され、炎症性サイトカインの産生を抑制する代表的な抗炎症性サイトカインである。一方IL-1・IL-6・IL-8・腫瘍壊死因子-α(TNF-α)はいずれも炎症を促進する側に働く。●抗炎症性サイトカイン=IL-10・トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)・IL-4(Th2系)。●炎症性サイトカイン=IL-1・IL-6・TNF-α・インターフェロン-γ。●ケモカイン(遊走因子)=IL-8(好中球遊走)・MCP-1。
選択肢ごとの解説
- ① IL-1は発熱や急性期反応を誘導する代表的な炎症性サイトカインである。
- ② IL-6は急性期蛋白の産生を促す炎症性サイトカインで、C反応性蛋白(CRP)上昇に関与する。
- ③ IL-8は好中球を遊走・活性化させるケモカインで炎症性に働く。
- ④ 正しい。IL-10は炎症性サイトカインの産生を抑制する代表的な抗炎症性サイトカインである。
- ⑤ TNF-αは炎症や組織傷害を引き起こす代表的な炎症性サイトカインである。
第70回 午後80(臨床免疫学)
ABO血液型が後天的変化を示す原因はどれか。
- ①血友病
- ②赤芽球癆
- ③鉄欠乏性貧血
- ④急性骨髄性白血病
- ⑤自己免疫性溶血性貧血
正答: ④急性骨髄性白血病
ポイント
ABO血液型抗原は本来生涯不変だが、後天的に変化することがある。急性骨髄性白血病など造血器悪性腫瘍では、A・B抗原を作る糖転移酵素の活性低下により赤血球上の抗原が減弱し、見かけ上の血液型が弱まることがある。また腸閉塞や大腸菌などのグラム陰性菌感染では、菌由来の脱アセチル化酵素によりA抗原がB様抗原に変化する獲得性B現象が知られる。●抗原減弱を起こす疾患=急性骨髄性白血病・骨髄異形成症候群などの造血器腫瘍。●獲得性B現象=腸管由来グラム陰性菌感染(大腸菌など)・腸閉塞。●ABO不一致のその他の原因=亜型・連銭形成・寒冷凝集素・不規則抗体。
選択肢ごとの解説
- ① 血友病は凝固第Ⅷ・Ⅸ因子の欠乏による出血性疾患で、赤血球膜のABO抗原発現には影響しない。
- ② 赤芽球癆は赤血球産生の低下を起こすが、ABO抗原そのものを後天的に変化させる病態ではない。
- ③ 鉄欠乏性貧血はヘモグロビン合成低下による貧血で、ABO抗原の発現変化とは関係しない。
- ④ 正しい。急性骨髄性白血病では糖転移酵素活性の低下によりA・B抗原が減弱し、後天的な血液型変化を示すことがある。
- ⑤ 自己免疫性溶血性貧血は赤血球に対する自己抗体による溶血が主体で、ABO抗原自体を変化させるわけではない。
第70回 午後81(臨床免疫学)
カラム凝集像の結果を別に示す。考えられるのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB081.8857aa7eb5.jpg

正答: ①亜型・②新生児
ポイント
カラム凝集法によるABO血液型検査でオモテ検査とウラ検査が一致しない場合、抗原側か抗体側のいずれかに原因がある。亜型ではA抗原やB抗原の発現が弱く、オモテ検査の凝集が弱まって不一致を生じる。新生児では規則抗体である抗A・抗Bがまだ産生されていないため、ウラ検査が陰性となって不一致となる。いずれもABO不一致の代表的原因である。●オモテ検査弱・陰性化(抗原側)=亜型・白血病による抗原減弱。連銭形成は凝集にみえる偽陽性(偽凝集)の原因であり、抗原減弱にはあたらない。●ウラ検査弱・陰性化(抗体側)=新生児・高齢者・無γ-グロブリン血症。●ウラ検査の予期せぬ凝集=寒冷凝集素・不規則抗体・連銭形成。●部分凝集(mixed field)=キメラ・輸血後・骨髄移植後。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。亜型ではA・B抗原の発現が弱いためオモテ検査の反応が弱く、オモテ・ウラ不一致を生じる。
- ② 正しい。新生児は規則抗体(抗A・抗B)を産生していないためウラ検査が陰性となり不一致を示す。
- ③ キメラは2種類の血球集団が混在し部分凝集(mixed field)を呈する病態で、本図の所見とは別の像となる。
- ④ 寒冷凝集素は低温で広く赤血球を凝集させる自己抗体で、ウラ検査の予期せぬ凝集として現れ典型像が異なる。
- ⑤ 不規則抗体はABO以外の抗原に対する抗体で、ウラ検査やスクリーニングで予期せぬ凝集を示すが本設問の像とは異なる。
📋 まとめの表を見る:ABO血液型判定オモテ・ウラ検査不一致の主な原因
新生児は自己の規則抗体(抗A・抗B)をまだ十分に産生していないためウラ検査が陰性化しやすい。混合視野凝集(mixed field)はキメラ・異型輸血後・骨髄移植後などでみられ、通常の不一致とは区別して考える。
第70回 午後82(臨床免疫学)
不規則抗体同定検査で正しいのはどれか。
- ①赤血球試薬はAB型赤血球を使用する。
- ②生理食塩液法で可能性の高い抗体を推定する。
- ③可能性の高い抗体の推定は量的効果を考慮する。
- ④否定できない抗体は陽性反応を示した赤血球から推定する。
- ⑤不規則抗体スクリーニングで陽性となった検査方法で実施する。
正答: ⑤不規則抗体スクリーニングで陽性となった検査方法で実施する。
ポイント
不規則抗体同定検査は、複数の既知抗原をもつパネル赤血球(O型を使用)との反応パターンから抗体を推定する検査である。スクリーニングで陽性となった反応条件(間接抗グロブリン試験や酵素法など)と同じ方法で実施し、反応の有無を抗原表と照合する。可能性の高い抗体は陽性反応を示した赤血球に共通する抗原から推定する。否定できない抗体は、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を量的効果に配慮して消去し、消去されずに残った抗体をいう。●反応相と検出抗体=生理食塩液法(室温・IgM)・酵素法・間接抗グロブリン試験(37℃・IgG)。●推定の原則=陽性赤血球に共通する抗原→可能性の高い抗体、陰性赤血球がもつ抗原に対応する抗体→消去し、消去されずに残ったものが否定できない抗体。●量的効果(dosage)=ホモ接合体の抗原で反応が強まる現象で否定の判断に活用。
選択肢ごとの解説
- ① 同定パネルにはABO血液型を問わないO型赤血球を用いる。AB型赤血球ではABO抗体と反応してしまうため不適である。
- ② 生理食塩液法はIgM抗体を検出するが、可能性の高い抗体の推定はスクリーニング陽性となった反応条件を用いて行う。
- ③ 可能性の高い抗体の推定は陽性反応を示した赤血球の抗原から行い、量的効果は否定の判断に関わる要素である。
- ④ 否定できない抗体は、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を消去した後、消去されずに残った抗体である。陽性反応を示した赤血球からは可能性の高い抗体を推定する。
- ⑤ 正しい。スクリーニングで陽性となった検査方法と同じ条件で同定を実施することで、反応性を一致させて評価できる。
📋 まとめの表を見る:不規則抗体同定検査:反応相と抗体推定の原則
同定は既知抗原表(アンチグラム)とパネル赤血球の反応を照合し、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を消去していく消去法で行う。消去されずに残った抗体が「否定できない抗体」であり、陽性反応を示した赤血球に共通する抗原に対応する抗体を「可能性の高い抗体」と推定する。抗原量が少ないと反応が弱まる量的効果(dosage)があるため、量的効果のある抗原はホモ接合の血球で陰性の場合に消去するのが原則である。間接抗グロブリン試験の反応増強剤にはLISS(低イオン強度溶液)やPEG(ポリエチレングリコール)が用いられる。
第70回 午後83(臨床免疫学)
日本人の新生児血小板減少症の原因で最も多いものはどれか。
- ①抗HPA-1a抗体
- ②抗HPA-2b抗体
- ③抗HPA-3a抗体
- ④抗HPA-4b抗体
- ⑤抗HPA-5b抗体
正答: ④抗HPA-4b抗体
ポイント
新生児同種免疫性血小板減少症は、母児間で血小板抗原(human platelet antigen:HPA)が不適合の場合に母体が産生した抗体が胎盤を通過し、胎児・新生児の血小板を破壊して起こる。原因抗体には人種差があり、HPA-1a陰性者が一定数いる欧米では抗HPA-1aが最多だが、HPA-1bがほとんど存在しない日本人では抗HPA-4b(HPA-4系)による例が最も多い。●欧米で最多=抗HPA-1a。●日本人で最多=抗HPA-4b。●そのほかの原因抗体=抗HPA-5b・抗HPA-3a・抗HPA-2b。●類縁病態=輸血後紫斑病(抗HPA-1aが多い)・血小板輸血不応(抗HLA抗体)。
選択肢ごとの解説
- ① 抗HPA-1aは欧米で最多の原因抗体だが、HPA-1抗原の多型がほとんどない日本人では原因となりにくい。
- ② 抗HPA-2b抗体は本症の主要な原因ではない。
- ③ 抗HPA-3a抗体は原因となりうるが、日本人で最多ではない。
- ④ 正しい。日本人の新生児同種免疫性血小板減少症では抗HPA-4b(HPA-4系)による例が最も多い。
- ⑤ 抗HPA-5b抗体は原因抗体の一つだが、日本人で最も多いものではない。
第70回 午後84(臨床免疫学)
遅発性溶血性輸血反応の原因となるのはどれか。
正答: ②抗Jka
ポイント
遅発性溶血性輸血反応は、過去の輸血や妊娠で感作された不規則抗体が、再輸血後の二次免疫応答で増加し、輸血後数日して赤血球を破壊することで起こる。Kidd血液型の抗Jka(抗Jkb)は時間経過とともに抗体価が低下しやすく、輸血前検査をすり抜けやすいため、遅発性溶血性輸血反応の代表的原因抗体である。臨床的意義の高いIgG性で37℃反応性の抗体が原因となる。●遅発性を起こしやすい抗体=Kidd系(抗Jka・抗Jkb)・Rh系・Duffy系・Kell系。●臨床的意義が低い抗体=抗Leb(Lewis・IgM)・抗N(MNS・室温IgM)・抗Xga・抗P1。●即時型の代表=抗A・抗B(ABO不適合で急性血管内溶血)。
選択肢ごとの解説
- ① 抗AはABO不適合輸血で輸血直後に急性血管内溶血を起こす規則抗体で、遅発性反応の典型ではない。
- ② 正しい。抗Jka(Kidd系)は抗体価が低下しやすく検出困難で、二次免疫応答により遅発性溶血性輸血反応を起こす代表的抗体である。
- ③ 抗LebはLewis系の抗体で多くはIgMで臨床的意義が低く、遅発性溶血を起こすことはまれである。
- ④ 抗NはMNS系の抗体で多くは室温反応性のIgMで臨床的意義が低く、溶血性輸血反応の原因となりにくい。
- ⑤ 抗XgaはXg系の抗体で臨床的意義がほとんどなく、溶血性輸血反応を起こさない。
第70回 午後85(臨床免疫学)
ABO血液型で正しいのはどれか。
- ①抗原は糖蛋白である。
- ②Landsteinerの法則に従わない。
- ③遺伝子は第9染色体上に存在する。
- ④日本人の約20%が抗A陽性である。
- ⑤赤血球1個当たりの抗原量は出生時に最も多い。
正答: ③遺伝子は第9染色体上に存在する。
ポイント
ABO式血液型はA・B・O遺伝子がコードする糖転移酵素が、前駆物質であるH物質に糖を付加することで抗原を作る。抗原の本体は糖鎖で、糖脂質・糖蛋白の双方の上に存在する。赤血球はLandsteinerの法則に従い、自身がもたない抗原に対する規則抗体を血漿中にもつ。抗原量は出生時には弱く、生後数年で成人レベルに達する。●遺伝子座=ABO遺伝子は第9染色体長腕(9q34)、H遺伝子(FUT1)は第19染色体。●抗原本体=H物質に糖を付加した糖鎖(糖脂質・糖蛋白)。●規則抗体=Landsteinerの法則(自分にない抗原に対する抗体を保有)。●亜型=A1・A2・Bm・cisAB等。
選択肢ごとの解説
- ① ABO抗原の本体は糖鎖であり、糖蛋白だけでなく糖脂質上にも存在するため、糖蛋白に限定する記述は誤りである。
- ② ABO血液型はLandsteinerの法則に従い、自分がもたない抗原に対する規則抗体を血漿中にもつ。
- ③ 正しい。ABO血液型を決める遺伝子は第9染色体長腕(9q34)に存在する。
- ④ ABO抗原の発現に個人差はあるが、抗A陽性という表現や約20%という割合の記述は実態に合わず誤りである。
- ⑤ 赤血球上の抗原量は出生時に最も少なく弱く、成長に伴って増加して成人で最大となるため、出生時最多は誤りである。
第70回 午後86(臨床免疫学)
腫瘍マーカーと疾患の組合せで正しいのはどれか。
- ①AFP — 大腸癌
- ②CA125 — 乳癌
- ③CA15-3 — 膵癌
- ④PIVKA-Ⅱ — 卵巣癌
- ⑤ProGRP — 肺小細胞癌
正答: ⑤ProGRP — 肺小細胞癌
ポイント
腫瘍マーカーは特定の癌で上昇しやすく、診断の補助や経過観察に用いる。ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)は神経特異エノラーゼ(NSE)とともに肺小細胞癌の代表的マーカーである。一方、AFPは肝細胞癌、CA125は卵巣癌、CA15-3は乳癌、PIVKA-Ⅱは肝細胞癌の指標であり、設問の他の組合せはいずれも誤りである。●肺癌=ProGRP・NSE(小細胞癌)、CEA・SCC・CYFRA(非小細胞癌)。●肝細胞癌=AFP・PIVKA-Ⅱ。●消化器癌=CEA(大腸)・CA19-9(膵・胆道)。●婦人科・乳腺=CA125(卵巣)・CA15-3(乳)・hCG(絨毛癌)。●前立腺=PSA。
選択肢ごとの解説
- ① AFP(α-フェトプロテイン)は肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍のマーカーで、大腸癌の主要マーカーはCEAである。
- ② CA125は卵巣癌のマーカーであり、乳癌との組合せは誤りである。
- ③ CA15-3は乳癌のマーカーであり、膵癌ではCA19-9が用いられる。
- ④ PIVKA-Ⅱは肝細胞癌のマーカーであり、卵巣癌との組合せは誤りである。
- ⑤ 正しい。ProGRP(ガストリン放出ペプチド前駆体)はNSEとともに肺小細胞癌のマーカーである。
📋 まとめの表を見る:主な腫瘍マーカーと高値を示す代表疾患
第70回 午後87(臨床免疫学)
血小板製剤で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①使用前に加温する。
- ②放射線を照射する。
- ③暗所で静置保存する。
- ④スワーリングが観察される。
- ⑤有効期間は採血後7日間である。
正答: ②放射線を照射する。・④スワーリングが観察される。
ポイント
血小板製剤は室温(20〜24℃)で振盪しながら保存し、有効期間は採血後4日間と短い。輸血関連移植片対宿主病(GVHD)を予防するため放射線を照射する。良好な血小板製剤を振盪すると渦巻き状の光のゆらめき(スワーリング)が観察され、血小板の形態・機能が保たれている指標となる。加温や低温・静置保存は機能を損なうため行わない。●保存条件=赤血球製剤2〜6℃静置(有効期間28日)、血小板製剤20〜24℃振盪(4日)、新鮮凍結血漿-20℃以下(1年)。●放射線照射=GVHD予防のため全血・赤血球・血小板に実施。●品質指標=血小板はスワーリング。
選択肢ごとの解説
- ① 血小板は加温により機能が損なわれるため、使用前に加温しない。
- ② 正しい。輸血後移植片対宿主病を防ぐため、血小板製剤には放射線を照射する。
- ③ 血小板製剤は20〜24℃で振盪保存し、低温・静置では凝集や機能低下を招くため暗所静置は不適である。
- ④ 正しい。良好な血小板製剤では振盪時に渦巻き状のスワーリングが観察され、品質保持の指標となる。
- ⑤ 血小板製剤の有効期間は採血後4日間であり、7日間ではない。
第70回 午後88(臨床免疫学)
貯血式自己血採血の対象とならないのはどれか。
- ①妊娠30週
- ②年齢75歳
- ③体重40 kg
- ④HBs抗原陽性
- ⑤Hb値9.5 g/dL
正答: ⑤Hb値9.5 g/dL
ポイント
貯血式自己血輸血は手術前に自分の血液を採血して保存し、術中・術後に返血する方法である。採血の可否は主にヘモグロビン(Hb)値で判断され、一般にHb11g/dL以上が必要で、貧血があると採血できない。自己血のため本人に返血する原則から、年齢や妊娠は絶対禁忌ではなく、HBs抗原陽性でも対象となりうる。Hb9.5g/dLは貧血で採血基準を満たさない。●採血可否=Hb値(11g/dL以上が目安)・全身状態。●自己血で問題とならない=年齢・妊娠・HBs抗原など感染症陽性(本人返血のため)。●自己血の種類=貯血式・希釈式・回収式。
選択肢ごとの解説
- ① 妊娠中でも貯血式自己血採血は適応となりうるため、対象外とはならない。
- ② 高齢でも全身状態が許せば自己血採血は可能で、年齢のみで対象外とはならない。
- ③ 体重40kgでも採血量を調整すれば実施可能で、体重のみで除外されるわけではない。
- ④ HBs抗原陽性でも自分に返血する自己血では問題とならず、対象外とはならない。
- ⑤ 正しい。Hb9.5g/dLは貧血で採血基準のHb値を満たさないため、貯血式自己血採血の対象とならない。
📋 まとめの表を見る:貯血式自己血輸血の実施条件
第70回 午後89(臨床免疫学)
イムノクロマト法による抗原検査が行われないのはどれか。
- ①EBウイルス
- ②RSウイルス
- ③ロタウイルス
- ④インフルエンザウイルス
- ⑤新型コロナウイルス〈SARS-CoV-2〉
正答: ①EBウイルス
ポイント
イムノクロマト法は検体中の抗原を標識抗体で捕捉して呈色させる迅速抗原検査で、インフルエンザウイルス・RSウイルス・ロタウイルス・SARS-CoV-2など多くのウイルスの迅速診断に用いられる。一方、EBウイルス感染症(伝染性単核球症)の診断は迅速抗原検査ではなく、抗体価測定(VCA-IgM・VCA-IgG・EBNA抗体)や核酸増幅検査(PCR)で行われ、イムノクロマト法による抗原検査は通常実施されない。●迅速抗原検査(イムノクロマト)が普及=インフルエンザ・RSウイルス・アデノウイルス・ロタウイルス・ノロウイルス・SARS-CoV-2・A群レンサ球菌。●抗体・核酸で診断=EBウイルス・サイトメガロウイルス・HIV・肝炎ウイルス。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。EBウイルスの診断は主に抗体検査や核酸検査で行い、イムノクロマト法による抗原検査は通常行われない。
- ② RSウイルスはイムノクロマト法による迅速抗原検査が広く用いられる。
- ③ ロタウイルスは便を検体としたイムノクロマト法による抗原検査が行われる。
- ④ インフルエンザウイルスは鼻咽頭ぬぐい液を用いたイムノクロマト法による迅速抗原検査が代表的に行われる。
- ⑤ 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はイムノクロマト法による抗原検査が広く用いられる。
第70回 午後90(公衆衛生学)
食中毒の原因菌と原因食品の組合せで正しいのはどれか。
- ①ウェルシュ菌 — シチュー
- ②腸炎ビブリオ — はちみつ
- ③ボツリヌス菌 — 生魚介類
- ④黄色ブドウ球菌 — 生肉
- ⑤カンピロバクター — おにぎり
正答: ①ウェルシュ菌 — シチュー
ポイント
細菌性食中毒は原因菌ごとに関連する食品が異なる。ウェルシュ菌は耐熱性の芽胞を形成し、加熱調理後に常温放置されたカレーやシチューなどの煮込み料理で芽胞が発芽・増殖して起こる代表例で、大量調理する給食施設などで問題となる。他の選択肢は菌と原因食品の対応が誤っている。●感染型=腸炎ビブリオ(生魚介類・好塩菌)・カンピロバクター(鶏肉)・サルモネラ(卵・食肉)。●毒素型=黄色ブドウ球菌(おにぎり・弁当)・ボツリヌス菌(缶詰・瓶詰・真空包装食品など、食品内で産生された毒素を摂取)。●乳児ボツリヌス症=はちみつ等に含まれる芽胞を摂取し、腸管内で毒素が産生されて発症する(生体内毒素型)。●生体内毒素型=ウェルシュ菌(煮込み料理)・腸管出血性大腸菌(食肉)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。ウェルシュ菌は加熱後に放置されたシチューやカレーなどの煮込み料理で増殖し、食中毒の原因となる。
- ② 腸炎ビブリオは海水由来の好塩菌で生魚介類が原因となり、はちみつとの組合せは誤りである。
- ③ ボツリヌス菌ははちみつ(乳児ボツリヌス症)や缶詰・真空包装食品が原因で、生魚介類との組合せは誤りである。
- ④ 黄色ブドウ球菌はおにぎりや弁当などヒトの手を介した食品が原因で、生肉との組合せは典型的でない。
- ⑤ カンピロバクターは生〜加熱不十分な鶏肉が主な原因で、おにぎりとの組合せは誤りである。
📋 まとめの表を見る:細菌性食中毒と原因食品
第70回 午後91(公衆衛生学)
要介護認定の申請先はどれか。
- ①主治医
- ②市区町村
- ③都道府県
- ④介護認定審査会
- ⑤介護老人保健施設
正答: ②市区町村
ポイント
要介護認定は介護保険サービスを受けるための手続きで、被保険者またはその家族が保険者である市区町村(特別区を含む)に申請する。申請後、認定調査員による訪問調査と主治医意見書をもとにコンピュータによる一次判定が行われ、介護認定審査会が二次判定で要介護度を審査・判定し、市区町村が認定する。●介護保険の保険者=市区町村(申請先・認定主体)。●関与する者=主治医(意見書作成)・認定調査員(訪問調査)・介護認定審査会(審査判定)。●要介護度=要支援1〜2・要介護1〜5。●ケアプラン作成=介護支援専門員(ケアマネジャー)。
選択肢ごとの解説
- ① 主治医は意見書を作成する立場であり、要介護認定の申請先ではない。
- ② 正しい。要介護認定の申請先は介護保険の保険者である市区町村(特別区を含む)である。
- ③ 都道府県は介護保険の保険者ではなく、要介護認定の申請先ではない。
- ④ 介護認定審査会は申請後に審査・判定を行う機関であり、申請を受け付ける窓口ではない。
- ⑤ 介護老人保健施設は介護サービスを提供する施設であり、要介護認定の申請先ではない。
第70回 午後92(公衆衛生学)
医療法に基づいて設置されるのはどれか。
- ①保健所
- ②保険薬局
- ③特定機能病院
- ④特別養護老人ホーム
- ⑤精神保健福祉センター
正答: ③特定機能病院
ポイント
医療法は病院・診療所・助産所などの医療提供施設の開設・管理について定める法律で、特定機能病院や地域医療支援病院の承認もこれに基づく。特定機能病院は高度の医療を提供する病院として厚生労働大臣が承認する。保健所は地域保健法、保険薬局は医薬品医療機器等法・健康保険法、特別養護老人ホームは老人福祉法、精神保健福祉センターは精神保健福祉法に基づいて設置される。●医療法=病院・診療所・特定機能病院・地域医療支援病院・臨床研究中核病院。●地域保健法=保健所・市町村保健センター。●老人福祉法=特別養護老人ホーム。●精神保健福祉法=精神保健福祉センター。
選択肢ごとの解説
- ① 保健所は地域保健法に基づいて設置される機関で、医療法に基づくものではない。
- ② 保険薬局は医薬品医療機器等法や健康保険法に基づくもので、医療法に基づいて設置されるものではない。
- ③ 正しい。特定機能病院は医療法に基づき厚生労働大臣が承認する高度医療を提供する病院である。
- ④ 特別養護老人ホームは老人福祉法に基づく施設で、医療法に基づくものではない。
- ⑤ 精神保健福祉センターは精神保健福祉法に基づき都道府県・指定都市に設置される機関で、医療法に基づくものではない。
第70回 午後93(公衆衛生学)
感染症法に基づく入院勧告の対象となるのはどれか。
- ①麻疹
- ②コレラ
- ③マラリア
- ④エボラ出血熱
- ⑤後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
正答: ④エボラ出血熱
ポイント
感染症法では一類・二類感染症や新型インフルエンザ等感染症などで、まん延を防ぐため入院勧告・入院措置の対象とする。エボラ出血熱は最も危険な一類感染症で、入院勧告・入院措置の対象となる。麻疹は五類、コレラは三類、マラリアは四類、AIDS(後天性免疫不全症候群)は五類であり、これらは入院勧告の対象とはならない。●一類(入院対象)=エボラ出血熱・ペスト・痘そう・ラッサ熱・クリミア・コンゴ出血熱・マールブルグ病・南米出血熱。●二類(入院対象)=結核・SARS・MERS・ジフテリア・鳥インフルエンザ(H5N1等)。●三類(就業制限)=コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・腸管出血性大腸菌感染症。●四類=マラリア・狂犬病・デング熱。●五類=麻疹・AIDS。
選択肢ごとの解説
- ① 麻疹は五類感染症で、入院勧告の対象ではない。
- ② コレラは三類感染症で、就業制限の対象だが入院勧告の対象ではない。
- ③ マラリアは四類感染症で、入院勧告の対象ではない。
- ④ 正しい。エボラ出血熱は一類感染症で、入院勧告・入院措置の対象となる。
- ⑤ AIDS(後天性免疫不全症候群)は五類感染症で、入院勧告の対象ではない。
第70回 午後94(公衆衛生学)
三次予防はどれか。
- ①職業訓練
- ②保健指導
- ③予防接種
- ④人間ドック
- ⑤新生児マススクリーニング
正答: ①職業訓練
ポイント
疾病予防は三段階に分けられる。一次予防は健康増進や予防接種により発病自体を防ぐ段階、二次予防は健診による早期発見・早期治療、三次予防は発病後の機能回復・社会復帰やリハビリテーション・再発防止を指す。職業訓練は障害者などの社会復帰を促す活動で、三次予防に該当する。●一次予防=健康教育・保健指導・予防接種・生活習慣改善。●二次予防=健康診断・人間ドック・がん検診・新生児マススクリーニング(早期発見)。●三次予防=リハビリテーション・職業訓練・機能回復訓練・再発防止。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。職業訓練は発病後の社会復帰を促す活動で、三次予防に該当する。
- ② 保健指導は発病を防ぐ健康増進の活動で一次予防に該当する。
- ③ 予防接種は感染症の発病を防ぐ一次予防の代表である。
- ④ 人間ドックは疾病の早期発見を目的とする二次予防に該当する。
- ⑤ 新生児マススクリーニングは先天性疾患を早期発見する二次予防に該当する。
第70回 午後95(医用工学概論)
滅菌装置で正しいのはどれか。
- ①プラズマ滅菌装置はカテーテル類の滅菌に使用される。
- ②乾熱滅菌装置の滅菌条件は140 ℃、3時間以上である。
- ③酸化エチレンガス〈EOG〉滅菌装置は高温滅菌法である。
- ④熱を用いる滅菌では、湿熱よりも乾熱の方が滅菌効率が良い。
- ⑤高圧蒸気滅菌装置〈オートクレーブ〉の滅菌条件は1.5気圧、15分間である。
正答: ①プラズマ滅菌装置はカテーテル類の滅菌に使用される。
ポイント
滅菌法は対象物の耐熱性・耐湿性に応じて使い分ける。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)は高温に耐える器材に、酸化エチレンガス(EOG)や過酸化水素低温プラズマは熱や水分に弱い器材に用いる。湿熱は乾熱より蛋白変性効率が高く、低温・短時間で滅菌できる。過酸化水素低温プラズマ滅菌は低温で実施でき、カテーテル類など熱に弱い器材に適する。●高温滅菌=高圧蒸気滅菌(約2気圧・121℃・15〜20分)・乾熱滅菌(160〜170℃・1〜2時間)。●低温滅菌=酸化エチレンガス(50〜60℃)・過酸化水素低温プラズマ・ホルムアルデヒドガス。●効率=湿熱>乾熱。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。過酸化水素低温プラズマ滅菌は低温で実施でき、熱に弱いカテーテル類などの滅菌に使用される。
- ② 乾熱滅菌の標準条件は160〜170℃で1〜2時間などで、140℃3時間以上という記述は条件が異なり誤りである。
- ③ 酸化エチレンガス滅菌は50〜60℃程度の低温滅菌法であり、高温滅菌法ではない。
- ④ 湿熱は乾熱より蛋白変性効率が高く滅菌効率が良いため、乾熱の方が効率が良いとする記述は誤りである。
- ⑤ 高圧蒸気滅菌の標準条件は約2気圧・121℃で15〜20分などであり、1.5気圧15分間という記述は誤りである。
第70回 午後96(医用工学概論)
生体組織の商用交流における導電率の大小関係で正しいのはどれか。
- ①角質>真皮
- ②血清>全血
- ③骨髄>リンパ液
- ④細胞膜>細胞内液
- ⑤脂肪>筋組織
正答: ②血清>全血
ポイント
生体組織の導電率は含まれる電解質(イオン)の量と移動しやすさで決まり、水分やイオンが多く流動性の高い組織ほど大きい。血清は赤血球などの細胞成分を含まずイオンが移動しやすいため、細胞成分を含む全血よりも導電率が大きい。脂肪・角質・骨は水分・イオンが少なく導電率が低い。●導電率が高い(水分・イオン多)=血清・脳脊髄液・リンパ液・筋組織・真皮。●導電率が低い(水分・イオン少)=脂肪・骨・角質・細胞膜(絶縁性)。●細胞膜=コンデンサ的に働き低周波では絶縁、高周波で電流が透過する。
選択肢ごとの解説
- ① 角質は水分が乏しく導電率が低く、真皮は水分・イオンが多く導電率が高いため、角質>真皮は誤りである。
- ② 正しい。血清は細胞成分を含まずイオンが移動しやすいため、全血よりも導電率が大きい。
- ③ 骨髄は脂肪を多く含み導電率が低く、リンパ液は電解質に富み導電率が高いため、骨髄>リンパ液は誤りである。
- ④ 細胞膜は絶縁性が高く導電率が低いのに対し細胞内液はイオンを含み導電率が高いため、細胞膜>細胞内液は誤りである。
- ⑤ 脂肪は水分・イオンが少なく導電率が低く、筋組織は水分が多く導電率が高いため、脂肪>筋組織は誤りである。
第70回 午後97(医用工学概論)
電気工学に関する関係式で誤っているのはどれか。
- ①仕事=仕事率×時間
- ②仕事率=電圧×電流
- ③電圧=電流×抵抗
- ④電流=電気量×時間
- ⑤電気量=静電容量×電圧
正答: ④電流=電気量×時間
ポイント
電気工学の基本式では、電圧と電流と抵抗の関係(オームの法則:電圧=電流×抵抗)、仕事率(電力)=電圧×電流、仕事(エネルギー)=仕事率×時間が成り立つ。電気量(電荷)は電流と時間の積で表され、電流=電気量÷時間が正しい。したがって電流=電気量×時間は次元が合わず誤りである。●オームの法則=V=IR(電圧=電流×抵抗)。●電力=P=VI(仕事率=電圧×電流)。●電力量(仕事)=W=Pt(仕事率×時間)。●電気量(電荷)=Q=It(電流×時間)、Q=CV(静電容量×電圧)。
選択肢ごとの解説
- ① 仕事=仕事率×時間は正しい関係式である。
- ② 仕事率(電力)=電圧×電流は正しい関係式である。
- ③ 電圧=電流×抵抗はオームの法則で正しい関係式である。
- ④ 誤り。電気量=電流×時間であり、電流=電気量÷時間が正しく、電流=電気量×時間は次元が合わず誤りである。
- ⑤ 電気量=静電容量×電圧(Q=CV)は正しい関係式である。
第70回 午後98(医用工学概論)
ME機器のBF形装着部を表す医療機器関連図記号はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB098.52478e0ff5.jpg

正答: ③
ポイント
医用電気機器の装着部は患者への漏れ電流の許容値で分類され、規格化された記号で表示される。B形は最も基本的で立った人型の図で示し、BF形はその人型をフローティング(接地からの絶縁)を示す四角の枠で囲んだ記号、CF形はハート(心臓)をフローティングを示す四角の枠で囲んだ、心臓に直接使用できる装着部の記号である。BF形は装着部が接地から絶縁(フローティング)されていることを意味する。●装着部の分類=B形(立った人型)・BF形(四角枠+人型・フローティング)・CF形(四角枠+ハート・心臓用)。●接地記号=円内の接地線。●二重絶縁(クラスⅡ)=四角の中に四角。●一般警告=三角内の感嘆符。
選択肢ごとの解説
- ① 円の中の接地線は接地を示す記号で、BF形装着部を表すものではない。
- ② 四角の中に四角はクラスⅡ機器(二重絶縁)を示す記号で、BF形装着部ではない。
- ③ 正しい。四角(フローティングを示す枠)の中に人型を描いた記号がBF形装着部を表す。
- ④ 四角の中にハートはCF形装着部(心臓に直接使用できる)を表す記号である。
- ⑤ 三角の中に感嘆符は注意喚起を示す一般的な警告記号で、装着部の分類記号ではない。
📋 まとめの表を見る:装着部の分類(B形・BF形・CF形)と図記号
第70回 午後99(医用工学概論)
図のフローチャートを開始から終了まで実行してsに1から3までの整数の和を得たい。①に入る記号はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB099.45aae5d612.jpg

正答: ②≦
ポイント
1から3までの整数の和を求めるループでは、変数を1から始めて加算し、変数が3を超えるまで繰り返す。条件判定を『変数≦3の間は加算を続け、3を超えたら終了する』とすると1・2・3がすべて加算され、和は6となる。境界値である3を含めて加算するため、不等号は等号を含む≦が適切である。●ループの継続条件=終了値を含めるなら≦(または≧)、含めないなら<(または>)。●for文・while文=初期値・継続条件・更新式の3要素で制御。●境界条件の誤り=off-by-oneエラー(1つずれて回数が過不足する)。
選択肢ごとの解説
- ① 『<3』では変数が3のときループを抜け、3が加算されず和が不足するため不適である。
- ② 正しい。『≦3』とすれば変数が1・2・3のすべてで加算され、1から3までの和6が得られる。
- ③ 『=』では繰り返しの継続条件として機能せず、正しく和を求められない。
- ④ 『>』では条件の向きが逆で、初回から条件を満たさずループが正しく動作しない。
- ⑤ 『≧』では条件の向きが逆で、意図した1から3までの加算が行われない。
第70回 午後100(医用工学概論)
分光光度計から得られる吸光度で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①0から1の値をとる。
- ②透過率の逆数で表す。
- ③混濁によって減少する。
- ④溶液の濃度に比例する。
- ⑤溶液の光路長に比例する。
正答: ④溶液の濃度に比例する。・⑤溶液の光路長に比例する。
ポイント
吸光度AはLambert-Beerの法則に従い、A=εcl(εはモル吸光係数、cは濃度、lは光路長)で表され、溶液の濃度と光路長のそれぞれに比例する。吸光度は透過率Tの逆数の常用対数A=log(1/T)で定義され、理論上は0以上の値をとり1を超えることもある。混濁があると光が散乱し、見かけの吸光度はむしろ増加する。●Lambert-Beerの法則=A=εcl(濃度・光路長に比例)。●吸光度の定義=A=log(1/T)=-logT、透過率の逆数の常用対数。●測定の誤差要因=混濁・濁り(散乱光で吸光度上昇)・迷光・高濃度での直線性のずれ。●定量=検量線(吸光度と濃度の直線関係)を利用。
選択肢ごとの解説
- ① 吸光度はA=log(1/T)で定義され0以上の値をとり、1を超えることもあるため、0から1の範囲に限られるという記述は誤りである。
- ② 吸光度は透過率の逆数そのものではなく、透過率の逆数の常用対数で表されるため誤りである。
- ③ 混濁があると光が散乱して見かけの吸光度は増加するため、減少するという記述は誤りである。
- ④ 正しい。Lambert-Beerの法則により吸光度は溶液の濃度に比例する。
- ⑤ 正しい。Lambert-Beerの法則により吸光度は光路長に比例する。