第70回(2024) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第70回 午後51(病理組織細胞学)

染色法と病原体の組合せで正しいのはどれか。

正答: ①PAS反応 — アスペルギルス

ポイント
PAS反応は過ヨウ素酸でグリコール基を酸化しシッフ試薬で赤紫色に発色させる染色で、グリコーゲンや基底膜のほか多糖に富む真菌細胞壁を染める。アスペルギルスやカンジダの菌糸・胞子はPAS陽性となり、グロコット銀染色とともに真菌の検出に用いられる。各選択肢の染色は本来の標的が決まっており、病原体との対応が成否を分ける。●真菌の証明=PAS反応・グロコット(GMS)銀染色・ムチカルミン(クリプトコッカス莢膜)・墨汁法。●特殊染色と標的=Kossa反応(カルシウム塩)・Berlin blue(三価鉄・ヘモジデリン)・DOPA反応(メラニン・チロシナーゼ)・オルセイン(HBs抗原・弾性線維)。●細菌の染色=チール・ネルゼン/オーラミン(抗酸菌)・ワルチン・スターリーやギムザ(ヘリコバクター・ピロリ)・グラム染色。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:組織内構造物・疾患・病原体と特殊染色の対応

対象(構造物・疾患・病原体)染色法
神経内分泌顆粒(カルチノイドなど)Grimelius染色(好銀性)
胆汁色素Gmelin法
ヘモジデリン(鉄)Berlin blue染色(Congo red染色では証明できない)
メラニン色素Masson-Fontana染色(嗜銀性)
リポフスチンSchmorl反応
梅毒(Treponema)Warthin-Starry染色(鍍銀)
アスペルギルス症(真菌)Grocott(GMS)染色・PAS反応(mucicarmine染色では証明できない)
アミロイドーシスCongo red染色
ヘモジデローシスBerlin blue染色(toluidine blue染色では証明できない)
肝硬変(線維化)渡辺の鍍銀法
心筋梗塞(線維化評価)azan染色・Masson trichrome染色
慢性糸球体腎炎(基底膜)PAM染色
B型肝炎(HBs抗原)Victoria blue染色・orcein染色
Cryptococcus(莢膜)mucicarmine染色・Alcian blue染色
カルシウム塩Kossa反応

第70回 午後52(病理組織細胞学)

細胞診検体で抗凝固剤を添加するのはどれか。

正答: ④体腔液

ポイント
体腔液(胸水・腹水・心嚢液)はフィブリノゲンを含み採取後に凝固しやすく、固まると細胞が線維素網に絡め取られて塗抹標本が作りにくくなるため、ヘパリンなどの抗凝固剤を添加する。膵液・胆汁・十二指腸液など消化管・消化腺の検体は蛋白分解酵素や粘稠性のため自己融解が進みやすく、抗凝固ではなく速やかな固定で対応する。髄液は凝固しにくく細胞数も少ないため遠心後に速やかに標本化する。●抗凝固剤を加える検体=体腔液(胸水・腹水・心嚢液)・関節液など凝固しやすい漿液。●速やかな固定が要る検体=膵液・胆汁・十二指腸液・喀痰など消化酵素や粘液で細胞が変性しやすいもの。●抗凝固剤の例=ヘパリン(細胞診で標準)・EDTA・クエン酸ナトリウム。

選択肢ごとの解説

第70回 午後53(病理組織細胞学)

キシレンの性質で誤っているのはどれか。

正答: ②水溶性

ポイント
キシレンは芳香族炭化水素で、脱パラフィンや透徹(透明化)に用いる有機溶媒である。無極性のため水にはほとんど溶けず、エタノールなど有機溶媒と混和することを利用して脱水後の組織処理に使う。揮発性・引火性が高く、神経毒性・生殖毒性・皮膚刺激性・気道刺激性をもつため取り扱いには換気と防護が必要である。●キシレンの危険有害性=引火性・揮発性・神経毒性・生殖毒性・皮膚刺激性・呼吸器刺激性。●病理で用いる有機溶媒=キシレン(透徹)・エタノール(脱水)・ホルマリン(固定)・パラフィン(包埋)。●代替透徹剤=リモネン系・脂肪族炭化水素系(低毒性をうたう製品)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後54(病理組織細胞学)

H-E染色標本を別に示す。この臓器はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB054.3251af05f2.jpg
第70回 午後54 の図

正答: ①胃

ポイント
胃粘膜は表層を粘液で覆う単層円柱上皮からなり、表面に胃小窩が陥入し、その下に胃底腺(主細胞・壁細胞)や幽門腺が密に並ぶ。固有層を腺管が占め、粘膜筋板の下に粘膜下層がみられる構造が特徴である。表面上皮細胞や壁細胞の好酸性、密な腺の配列がH-E染色で胃と判断する手がかりとなる。●消化管上皮の鑑別=食道(重層扁平上皮)・胃(単層円柱上皮+胃底腺/幽門腺)・小腸(絨毛+杯細胞・パネート細胞)・大腸(直線的な陰窩+多数の杯細胞)。●胃底腺の主な細胞=壁細胞(塩酸・内因子)・主細胞(ペプシノゲン)・副細胞(粘液)。●上皮型による臓器の見分け=肺(肺胞・含気)・膀胱(尿路上皮/移行上皮)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臓器・部位と被覆上皮の対応

上皮の種類分布部位
重層扁平上皮(非角化)食道・腟・肛門・口腔
重層扁平上皮(角化)表皮
単層円柱上皮胃・小腸・大腸・胆嚢
単層線毛円柱上皮卵管・子宮
多列線毛上皮(円柱)気管・気管支・鼻腔
移行上皮(尿路上皮)腎盂・尿管・膀胱
単層扁平上皮(内皮)血管・リンパ管の内壁
単層扁平上皮(中皮)胸膜・腹膜・心膜(体腔表面)
単層扁平上皮(肺胞上皮)肺胞(表面の大部分をⅠ型肺胞上皮細胞が覆う)
内皮は血管・リンパ管、中皮は体腔(漿膜)の表面を被覆する単層扁平上皮で、局在により呼び分ける。肺胞の内面は中皮ではなく肺胞上皮(Ⅰ型・Ⅱ型肺胞上皮細胞)が覆う。

第70回 午後55(病理組織細胞学)

病理解剖で正しいのはどれか。

正答: ②疾患の治療効果を判定する。

ポイント
病理解剖は病死した患者の死因や治療効果、合併症を解明する目的で行う剖検で、死体解剖保存法に基づき遺族の承諾を得て実施する。解剖は剖検室で行い、執刀は解剖資格認定を受けた医師など法律で定められた者に限られる。犯罪との関係が疑われる異状死体は司法解剖の対象であり、病理解剖とは区別される。●解剖の種類=病理解剖(病死・死因や治療効果の究明)・司法解剖(犯罪関連・刑事訴訟法)・行政解剖(監察医による異状死)・系統解剖(医学教育・献体)。●病理解剖の要件=遺族の承諾・解剖資格認定医・剖検室での実施・死体解剖保存法の遵守。

選択肢ごとの解説

第70回 午後56(病理組織細胞学)

うっ血と関係ないのはどれか。

正答: ①偽膜

ポイント
うっ血は静脈側の血液うっ滞で、酸素飽和度の低い還元ヘモグロビンが増えるためチアノーゼを生じ、慢性肝うっ血ではにくずく肝、慢性肺うっ血では心臓病細胞(ヘモジデリンを貪食したマクロファージ)、脾うっ血ではガムナ・ガンディ結節を生じる。偽膜は線維素性炎で生じる線維素と壊死物の膜であり、循環障害ではなく炎症の産物である。●うっ血に伴う所見=チアノーゼ・にくずく肝(慢性肝うっ血)・心臓病細胞(慢性肺うっ血)・ガムナ・ガンディ結節(脾うっ血)・浮腫。●循環障害の用語=充血(動脈側)・うっ血(静脈側)・虚血・梗塞・血栓・塞栓。●炎症の産物=偽膜・膿・肉芽組織・線維素。

選択肢ごとの解説

第70回 午後57(病理組織細胞学)

下肢静脈血栓が原因で塞栓症が起こる動脈はどれか。

正答: ④肺動脈

ポイント
下肢深部静脈にできた血栓が遊離すると、静脈血流に乗って右心系を経て肺動脈に詰まり肺血栓塞栓症を起こす。これは静脈血が右心を通って肺へ向かう循環経路によるもので、深部静脈血栓症と肺塞栓症は一連の病態(静脈血栓塞栓症)として扱われる。動脈系(脳・腎・腹腔動脈など)の塞栓は心房細動や左心系の血栓・動脈硬化に由来し、静脈血栓は卵円孔開存などの短絡がなければ到達しない。●静脈血栓由来=肺血栓塞栓症(下肢深部静脈血栓症から)。●動脈(体循環)塞栓の塞栓源=心房細動・心筋梗塞後の壁在血栓・感染性心内膜炎の疣贅・動脈硬化巣。●特殊な塞栓=脂肪塞栓(骨折)・空気塞栓・羊水塞栓・奇異性塞栓(卵円孔開存)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後58(病理組織細胞学)

免疫組織化学染色で正しいのはどれか。

正答: ②内因性ペルオキシダーゼ活性の阻害に過酸化水素加メタノールを用いる。

ポイント
免疫組織化学では一次抗体が抗原に結合し、標識した二次抗体を介して検出する。ペルオキシダーゼ標識ではジアミノベンチジン(DAB)で褐色に発色するが、組織内の内因性ペルオキシダーゼ(赤血球や好中球など)による非特異的発色を防ぐため、過酸化水素加メタノールで前処理して内因性活性を阻害する。ホルマリン固定パラフィン包埋切片は賦活化処理を加えれば多くの抗原で使用でき、反応中は切片を乾燥させない。●非特異反応の阻止=過酸化水素加メタノール(内因性ペルオキシダーゼ)・正常血清やブロッキング剤・内因性ビオチンの阻害。●発色基質と色調=DAB(褐色)・AEC(赤色)・アルカリホスファターゼ基質(青〜赤)。●抗原賦活化=加熱処理(オートクレーブ・電子レンジ)・酵素処理(トリプシンなど)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後59(臨床血液学)

骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。診断に有用な表面抗原はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB059.1f3d0f4d93.jpg
第70回 午後59 の図

正答: ⑤CD38

ポイント
CD38は形質細胞や活性化リンパ球に強く発現する表面抗原で、豊富な好塩基性細胞質・偏在核・核周明庭(核周のハロー)をもつ形質細胞の同定に有用である。多発性骨髄腫の腫瘍性形質細胞はCD38陽性で、CD138とともに診断やフローサイトメトリーでの検出に用いられ、抗CD38抗体は治療標的でもある。●形質細胞のマーカー=CD38・CD138・CD19(腫瘍性では低下)・細胞質内免疫グロブリン(κ/λ偏り)。●系統別CDマーカー=CD3/CD4/CD8(T細胞)・CD19/CD20(B細胞)・CD13/CD33(骨髄球系)・CD34(造血幹/前駆細胞)・CD41/CD61(巨核球・血小板)。●CD25=IL-2受容体α鎖(活性化T細胞・成人T細胞白血病・ヘアリー細胞白血病)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な細胞表面マーカー(CD分類)と発現細胞

CD発現細胞・特徴
CD3汎T細胞、T細胞受容体
CD4ヘルパーT細胞(単球でも弱陽性)
CD10幼若B細胞(CALLA)
CD13顆粒球系細胞(CD33とともにFAB分類M0の診断に有用)
CD14成熟単球
CD19B細胞
CD20B細胞
CD25活性化T細胞(IL-2受容体α鎖、成人T細胞白血病でも陽性)
CD33顆粒球系細胞(CD13とともにFAB分類M0の診断に有用)
CD34造血幹細胞
CD38多発性骨髄腫細胞・形質細胞で強陽性(形質細胞に特異的ではない)
CD41巨核球(FAB分類M7の診断に有用)
CD45白血球全般(共通白血球抗原)
CD56NK細胞
CD61血小板(FAB分類M7の診断に有用)
CD138形質細胞に特異的

第70回 午後60(臨床血液学)

疾患とその原因の組合せで正しいのはどれか。

正答: ①赤芽球癆 — ヒトパルボウイルスB19感染

ポイント
赤芽球癆は赤芽球系のみが選択的に減少する貧血で、ヒトパルボウイルスB19が赤芽球前駆細胞に感染して一過性に造血を停止させることが原因の一つである。慢性溶血性貧血の患者ではこの感染が無形成発作(aplastic crisis)として顕在化する。他の組合せは原因が誤っており、貧血の機序を取り違えている。●赤芽球癆の原因=ヒトパルボウイルスB19・胸腺腫・自己抗体・薬剤。●貧血と病因=再生不良性貧血(造血幹細胞障害)・遺伝性球状赤血球症(膜蛋白スペクトリン/アンキリン異常)・サラセミア(グロビン遺伝子異常)・ビタミンB₁₂欠乏(胃全摘・回腸末端障害・内因子欠乏)。●溶血性貧血の機序=自己免疫性溶血性貧血(自己抗体)・発作性夜間ヘモグロビン尿症(補体制御因子GPIアンカー欠損)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:貧血・血球減少症の主な原因(病因)

疾患主な原因・機序
赤芽球癆ヒトパルボウイルスB19感染
再生不良性貧血骨髄の脂肪化・低形成による汎血球減少
遺伝性球状赤血球症赤血球膜蛋白遺伝子異常(α-Spectrin、Band-3等)
α-サラセミアαグロビン遺伝子異常
自己免疫性溶血性貧血温式自己抗体(抗赤血球抗体)
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)補体制御因子CD55・CD59欠損(GPIアンカー欠損)
腎性貧血エリスロポエチン欠乏
ビタミンB12欠乏性貧血胃全摘出(内因子欠乏)が国内で最多

第70回 午後61(臨床血液学)

ヘモグロビン酸素解離曲線を別に示す。矢印の方向に曲線が移動したとき患者の状態で正しいのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB061.aa72d793e4.jpg
第70回 午後61 の図

正答: ⑤2,3-ジフォスフォグリセリン酸〈DPG〉濃度低下

ポイント
ヘモグロビン酸素解離曲線の左方移動は酸素親和性が高まり組織へ酸素を放出しにくい状態で、体温低下・PaCO₂低下(pH上昇)・2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)濃度低下で起こる。したがって2,3-DPG濃度低下は曲線を左方へ移動させる要因である。体温上昇・運動・PaCO₂上昇・代謝性アシドーシスはいずれも右方移動(酸素放出促進)を起こす。●右方移動(酸素を放出しやすい)=体温上昇・pH低下(アシドーシス)・PaCO₂上昇(ボーア効果)・2,3-DPG増加・運動。●左方移動(酸素を放しにくい)=体温低下・pH上昇(アルカローシス)・PaCO₂低下・2,3-DPG低下・一酸化炭素ヘモグロビン・胎児ヘモグロビン。●2,3-DPG=赤血球解糖系の側路で産生されヘモグロビンに結合し酸素を解離させる。

選択肢ごとの解説

第70回 午後62(臨床血液学)

凝固反応でリン脂質を必要とするのはどれか。2つ選べ。

正答: ①第Ⅹ因子活性化・④プロトロンビン活性化

ポイント
リン脂質(血小板第3因子や試薬の負電荷リン脂質)はビタミンK依存性凝固因子とカルシウムが結合する足場となり、酵素複合体の形成を促す。活性化第Ⅹ因子・第Ⅴa因子・カルシウムがリン脂質膜上でプロトロンビナーゼ複合体をつくりプロトロンビンを活性化し、第Ⅸa・第Ⅷa因子のテナーゼ複合体が同じくリン脂質膜上で第Ⅹ因子を活性化する。一方、接触相反応(第Ⅻ・第Ⅺ因子・プレカリクレイン)やフィブリン安定化はリン脂質を必須としない。●リン脂質膜上で進む反応=テナーゼ複合体(第Ⅸa・Ⅷa)による第Ⅹ因子活性化・プロトロンビナーゼ複合体(第Ⅹa・Ⅴa)によるプロトロンビン活性化。●リン脂質を要さない反応=接触相(第Ⅻ因子・第Ⅺ因子・高分子キニノゲン・プレカリクレイン)・第ⅩⅢ因子によるフィブリン安定化。●リン脂質の供給源=活性化血小板の膜・APTT試薬のセファリンなど。

選択肢ごとの解説

第70回 午後63(臨床血液学)

APTTの延長を認めないのはどれか。

正答: ②血小板無力症

ポイント
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は内因系・共通系の凝固因子を反映し、第Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ因子や共通系因子の低下、抗リン脂質抗体やヘパリンで延長する。血小板無力症は血小板膜糖蛋白GPⅡb/Ⅲaの異常による一次止血障害(血小板凝集障害)で、凝固因子は正常のためAPTTは延長しない。●APTTが延長する病態=血友病A(第Ⅷ)・血友病B(第Ⅸ)・第Ⅺ/Ⅻ因子欠損・ビタミンK欠乏・抗リン脂質抗体症候群(ループスアンチコアグラント)・ヘパリン・von Willebrand病。●APTT正常で出血傾向=血小板無力症(GPⅡb/Ⅲa)・ベルナール・スーリエ症候群(GPⅠb/Ⅸ)・血小板減少・第ⅩⅢ因子欠損。●PTで反映=外因系(第Ⅶ)+共通系。

選択肢ごとの解説

第70回 午後64(臨床血液学)

緩衝食塩溶液の希釈系列に検体A(ヘパリン血)を滴下後37 ℃で2時間静置した。その溶血度(%)と食塩濃度(%)の関係を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB064.01ab0a4009.jpg
第70回 午後64 の図

正答: ①鉄欠乏性貧血

ポイント
食塩水希釈系列による赤血球浸透圧抵抗試験は、低張食塩水で赤血球が溶血を始める食塩濃度を調べる検査である。鉄欠乏性貧血では赤血球が薄く扁平な低色素赤血球で表面積/体積比が大きく、低張液に対して抵抗が強いため溶血開始が低い食塩濃度側へずれる(抵抗増加)。一方、遺伝性球状赤血球症では球状赤血球が膨張に弱く高い食塩濃度で溶血が始まる(抵抗低下)。●浸透圧抵抗が増す(溶血しにくい)=鉄欠乏性貧血・サラセミア・閉塞性黄疸・標的赤血球(扁平・低色素)。●浸透圧抵抗が低下(溶血しやすい)=遺伝性球状赤血球症・自己免疫性溶血性貧血の一部。●試験の意義=球状赤血球症のスクリーニング(浸透圧脆弱性試験)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後65(臨床血液学)

異常所見と疾患の組合せで正しいのはどれか。

正答: ③Russell小体 — 多発性骨髄腫

ポイント
Russell小体は形質細胞内に蓄積した免疫グロブリンの好酸性球状封入体で、多発性骨髄腫など形質細胞増殖性疾患でみられる。他の組合せは対応疾患を取り違えており、各封入体・形態異常はそれぞれ別の病態の所見である。●形態異常と疾患=Auer小体(急性骨髄性白血病)・Döhle小体や中毒性顆粒(重症感染症の好中球)・核過分節(巨赤芽球性貧血)・偽Pelger核異常/分葉低下(骨髄異形成症候群)。●形質細胞の封入体=Russell小体(細胞質内)・Dutcher小体(核内陥入)。●好中球の毒性変化=Döhle小体・中毒性顆粒・空胞形成(重症感染症)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血球の核・細胞質にみられる特徴的所見

所見対応する血球補足
ドラムスティック(太鼓のばち)好中球(女性)不活性化X染色体(Barr小体)に由来する核の付属物
明瞭な核小体骨髄芽球などの幼若な芽球N/C比(核/細胞質比)も高い
トルイジン青による異染性(メタクロマジー)好塩基球顆粒中のヘパリン等が原因
核周明庭(perinuclear halo)形質細胞Golgi装置に相当する淡明帯。核は偏在しクロマチンは車軸状
ペルオキシダーゼ反応陽性好中球・好酸球・単球(弱陽性)リンパ球・赤芽球・形質細胞は陰性

第70回 午後66(臨床血液学)

BCR-ABL1 融合遺伝子が検出されるのはどれか。2つ選べ。

正答: ④慢性骨髄性白血病・⑤急性リンパ性白血病

ポイント
融合遺伝子は染色体転座で2つの遺伝子が結合して生じる異常遺伝子である。慢性骨髄性白血病はt(9;22)によるBCR-ABL1融合遺伝子(フィラデルフィア染色体)をもち、急性リンパ性白血病もBCR-ABL1やMLL(KMT2A)再構成など融合遺伝子を高頻度に伴う。骨髄増殖性腫瘍(真性赤血球増加症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症)はJAK2・CALR・MPLの点変異や挿入欠失が主体で、特異的融合遺伝子は伴わない。●融合遺伝子をもつ白血病=慢性骨髄性白血病(BCR-ABL1)・急性前骨髄球性白血病(PML-RARA)・急性骨髄性白血病(RUNX1-RUNX1T1・CBFB-MYH11)・急性リンパ性白血病(BCR-ABL1・ETV6-RUNX1・KMT2A再構成)。●点変異が主体=真性赤血球増加症/本態性血小板血症/原発性骨髄線維症(JAK2 V617F・CALR・MPL)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:白血病の染色体異常と融合遺伝子

染色体異常融合遺伝子主な関連疾患
t(8;21)RUNX1::RUNX1T1急性骨髄性白血病(FAB M2)
t(15;17)PML::RARA急性前骨髄球性白血病(APL、FAB M3)
inv(16)またはt(16;16)CBFB::MYH11急性骨髄性白血病(FAB M4Eo)
t(9;22)(フィラデルフィア染色体)BCR::ABL1慢性骨髄性白血病(CML)、Ph陽性ALLの一部
t(9;11)KMT2A::MLLT3〈MLL-AF9〉小児に多い急性骨髄性白血病(単球系)
t(8;14)IGH::MYCバーキットリンパ腫
t(11;14)IGH::CCND1マントル細胞リンパ腫
t(14;18)IGH::BCL2濾胞性リンパ腫
(特異的な融合遺伝子を伴わない)JAK2遺伝子変異(点変異)真性赤血球増加症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症
予後との関連は疾患・遺伝子異常・治療によって異なる(急性骨髄性白血病ではt(8;21)・inv(16)・t(15;17)が予後良好群、t(9;11)のKMT2A::MLLT3は中間群。t(11;14)を伴うマントル細胞リンパ腫やPh陽性急性リンパ性白血病はむしろ予後不良とされる)。CMLではBCR-ABL1が診断・治療標的である。融合遺伝子の表記は「A-B」「A::B」のどちらの過去問表記にも対応する。

第70回 午後67(臨床血液学)

3種類の濃度のADPを用いた血小板凝集能検査(透過光法)の結果を別に示す。誤っているのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB067.ce98f8e25d.jpg
第70回 午後67 の図

正答: ②Aでは、プロスタサイクリンが放出されている。

ポイント
血小板凝集能検査(透過光法)では、低濃度ADPで一次凝集のみが起こって解離する波形、より高濃度のADPでトロンボキサンA2放出による不可逆的な二次凝集を示す。プロスタサイクリン(PGI2)は血管内皮が産生する血小板凝集抑制物質であり、凝集反応中の血小板から放出されるものではないため、この記述が誤りである。●血小板から放出される物質(放出反応)=トロンボキサンA2・ADP・セロトニン・血小板第4因子・β-トロンボグロブリン。●凝集抑制物質=プロスタサイクリン(PGI2、内皮由来)・一酸化窒素(NO)。●凝集の最終段階=活性化したGPⅡb/Ⅲaにフィブリノゲンが架橋して血小板同士が結合する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血小板凝集能検査における疾患・薬剤による低下パターン

疾患リストセチン凝集ADP・コラーゲン凝集
von Willebrand病低下(正常血漿・vWF添加で回復)正常
Bernard-Soulier症候群低下(vWF添加でも回復せず)正常
血小板無力症正常低下
Bernard-Soulier症候群では巨大血小板を伴う。

第70回 午後68(臨床微生物学)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉で誤っているのはどれか。

正答: ⑤基質拡張型β-ラクタマーゼ〈ESBL〉を産生する。

ポイント
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)はmecA遺伝子がコードする変異型ペニシリン結合蛋白PBP2'(PBP2a)をもち、β-ラクタム薬が結合できずほぼ全てのβ-ラクタム薬が無効となる。判定にはセフォキシチンディスク(オキサシリンの代替指標)を用い、治療にはバンコマイシンなどのグリコペプチド系を使う。基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)はグラム陰性桿菌が産生する酵素で、黄色ブドウ球菌(グラム陽性球菌)の耐性機序ではない。●MRSAの要点=mecA遺伝子・PBP2'・院内感染型/市中感染型・セフォキシチンで判定・バンコマイシン/リネゾリド/ダプトマイシンで治療。●β-ラクタマーゼによる耐性(グラム陰性桿菌)=ESBL・AmpC・カルバペネマーゼ。●その他の耐性菌=VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)・PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)・多剤耐性緑膿菌。

選択肢ごとの解説

第70回 午後69(臨床微生物学)

皮膚病変部より分離した真菌のスライド培養のラクトフェノールコットンブルー染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB069.6e63dd1dcc.jpg
第70回 午後69 の図

正答: ③Microsporum属

ポイント
ラクトフェノールコットンブルー染色は真菌の菌糸や分生子を青く染め、スライド培養で分生子の着生様式や形態から属を同定する手法である。皮膚病変由来の糸状菌(皮膚糸状菌)では、分生子柄の形態、大分生子・小分生子の有無や形が属の鑑別に重要となる。提示像では、多数の隔壁をもつ紡錘形の大分生子が多くみられ、厚い壁と粗造な表面を示すことからMicrosporum属と同定できる。Trichophyton属では多数の小分生子が鑑別に重要で、大分生子はより細長く薄壁・平滑である。Aspergillus属の分生子頭やMucor属の球状の胞子嚢を示した像ではない。●皮膚糸状菌の鑑別(大分生子)=Microsporum(紡錘形・厚壁・表面粗造)・Trichophyton(棍棒状・薄壁+多数の小分生子)・Epidermophyton(棍棒状の大分生子のみ・小分生子なし)。●スライド培養で観察する点=菌糸の隔壁・分生子柄・分生子の形と配列。●染色=ラクトフェノールコットンブルー(菌体を青染)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:皮膚糸状菌(Epidermophyton・Microsporum・Trichophyton属)の分生子形成による鑑別

属小分生子大分生子
Epidermophyton属形成しない棍棒状(先端平ら)・薄壁・表面平滑、多数形成
Microsporum属少数形成紡錘状(先端が細い)・厚壁・表面粗造、多数形成
Trichophyton属多数形成ソーセージ状または鉛筆状・薄壁・表面平滑、少数形成

第70回 午後70(臨床微生物学)

Acinetobacter属で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ③偏性好気性菌である。・⑤チトクロムオキシダーゼテスト陰性を示す。

ポイント
本問の対象菌群は偏性好気性菌で、エネルギーを酸素呼吸に依存し、ブドウ糖を発酵せず必要時に酸化的に利用する。チトクロムオキシダーゼテスト陰性を示し、これらの性状はブドウ糖発酵能・オキシダーゼ反応で腸内細菌科や他のグラム陰性桿菌と鑑別する際の指標となる。Acinetobacter属は鞭毛をもたず通常の運動性試験は陰性で、グラム染色では陰性の球桿菌である(脱色されにくくグラム不定にみえることがあるが、グラム陽性菌ではない)。●酸素要求性の分類=偏性好気性菌・通性嫌気性菌・偏性嫌気性菌・微好気性菌(カンピロバクターなど)。●糖の利用=発酵(腸内細菌科・通性嫌気性)・酸化(ブドウ糖非発酵菌)・非利用。●オキシダーゼ反応=陽性(緑膿菌・ナイセリア・ビブリオ)・陰性(腸内細菌科・アシネトバクター)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:グラム陰性桿菌の分類(腸内細菌目・ビブリオ科・パスツレラ科・非発酵菌群)とオキシダーゼ・糖代謝

分類群代表属オキシダーゼグルコース代謝
腸内細菌目Escherichia属・Salmonella属・Klebsiella属など陰性(例外:Plesiomonas shigelloidesは陽性)発酵的
ビブリオ科Vibrio属陽性発酵的
エロモナス科Aeromonas属陽性発酵的
パスツレラ科Pasteurella属・Haemophilus属など陽性発酵的
非発酵菌群Pseudomonas属・Acinetobacter属・Burkholderia属など菌種により異なる(Pseudomonasは陽性)酸化的

第70回 午後71(臨床微生物学)

単毛菌はどれか。2つ選べ。

正答: ④Pseudomonas aeruginosa・⑤Vibrio cholerae

ポイント
単毛菌(極単毛)は菌体の一端に1本の鞭毛をもつ細菌で、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)やコレラ菌(Vibrio cholerae)が代表である。これらは極単毛で活発に運動する。Burkholderia cepaciaは極多毛、Campylobacter jejuniはらせん状で菌体の極に鞭毛をもち(片端または両端)、Klebsiella pneumoniaeは無鞭毛で非運動性である。●鞭毛の配列=単毛(極に1本:緑膿菌・コレラ菌)・束毛/多毛(極に複数:Burkholderia)・周毛(菌体全周:大腸菌・サルモネラ・プロテウス)・両毛(両極に1本ずつ)。●無鞭毛・非運動性=Klebsiella・Shigella・Acinetobacter。●運動性の確認=半流動培地・暗視野/位相差鏡検・鞭毛染色。

選択肢ごとの解説

第70回 午後72(臨床微生物学)

病原菌と選択分離培地の組合せで正しいのはどれか。

正答: ①Mycoplasma pneumoniae — PPLO寒天培地

ポイント
Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁を欠く微生物で、コレステロールや酵母エキスを加えたPPLO寒天培地で発育し、目玉焼き状(fried egg)の微小集落をつくる。各選択分離培地は対象菌に合わせて成分が設計されており、菌と培地の対応が分離の成否を左右する。他の組合せはいずれも本来の対象菌が異なる。●菌と選択分離培地=Mycoplasma(PPLO)・淋菌/髄膜炎菌(Thayer-Martin・チョコレート寒天)・赤痢菌/サルモネラ(SS寒天・マッコンキー)・緑膿菌(NAC寒天)・腸炎ビブリオ/コレラ菌(TCBS寒天)・エルシニア(CIN寒天)・レジオネラ(WYOα/BCYEα寒天)・百日咳菌(ボルデ・ジャング寒天)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地

培地名目的菌・用途分類
TCBS寒天培地Vibrio属(コレラ菌・腸炎ビブリオ等)選択分離
SS寒天培地Salmonella属・Shigella属選択分離
DHL寒天培地腸内細菌(Salmonella・Shigella等)選択分離
マッコンキー寒天培地腸内細菌(乳糖分解の鑑別)選択分離
CIN寒天培地Yersinia属(Y. enterocolitica等)選択分離
BBE寒天培地Bacteroides fragilis群選択分離
CCFA寒天培地Clostridioides difficile選択分離
NAC寒天培地Pseudomonas aeruginosa選択分離
Thayer-Martin寒天培地・GC寒天培地Neisseria属(淋菌・髄膜炎菌)選択分離
Skirrow寒天培地・CCDA培地Campylobacter属・Helicobacter属選択分離
Bordet-Gengou培地Bordetella pertussis(百日咳菌)選択分離(セファレキシン添加が一般的)
PPLO寒天培地Mycoplasma pneumoniae選択分離
WYOα寒天培地Legionella属選択分離
BCYEα寒天培地Legionella属非選択分離
マンニット食塩培地Staphylococcus属選択分離
小川培地Mycobacterium tuberculosis等の抗酸菌選択分離(マラカイトグリーンが選択剤)
Sabouraud寒天培地真菌全般分離・形態観察用(酸性培地)
Cary-Blair培地腸管病原菌検体輸送
King A培地Pseudomonas aeruginosaのピオシアニン産生確認性状確認
LIM培地腸内細菌のリジン脱炭酸・インドール・運動性確認性状確認
Mueller-Hinton寒天培地薬剤感受性試験(ディスク拡散法・希釈法)薬剤感受性検査

第70回 午後73(臨床微生物学)

毒素型食中毒の病原体で正しいのはどれか。

正答: ④Staphylococcus aureus

ポイント
毒素型食中毒は食品中であらかじめ産生された毒素を摂取して発症するため潜伏期が短い。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は食品中で耐熱性のエンテロトキシンを産生し、その後加熱して菌を殺しても毒素は残るため食中毒を起こす。他の菌は腸管で増殖・侵入して発症する感染型(または侵入型)であり、毒素型ではない。●毒素型食中毒=黄色ブドウ球菌(エンテロトキシン・耐熱性)・ボツリヌス菌(ボツリヌス毒素)・セレウス菌の嘔吐型(セレウリド)。●感染型/侵入型=サルモネラ・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・リステリア・赤痢菌。●生体内毒素型(中間型)=腸管出血性大腸菌(ベロ毒素)・ウェルシュ菌・セレウス菌の下痢型。

選択肢ごとの解説

第70回 午後74(臨床微生物学)

Serratia marcescensが陰性を示すのはどれか。

正答: ②IPA反応

ポイント
IPA反応(トリプトファン脱アミノ反応)はトリプトファンからインドールピルビン酸を生じる試験で、Proteus・Morganella・Providenciaなど一部の腸内細菌で陽性となる。これらの菌群以外では陰性を示すため、生化学的同定で菌種を絞り込む指標となる。設問の対象菌ではこれらの属に該当せずIPA反応が陰性となる。●IPA陽性=Proteus・Morganella・Providencia。●脱炭酸試験=リジン/オルニチン/アルギニン脱炭酸(菌種により陽性・陰性)。●その他の生化学反応=VP反応(アセトイン産生)・DNase試験・運動性(鞭毛)・インドール産生・尿素分解。

選択肢ごとの解説

第70回 午後75(臨床微生物学)

DNAウイルスはどれか。2つ選べ。

正答: ①B型肝炎ウイルス・③サイトメガロウイルス

ポイント
DNAウイルスはゲノムにDNAをもつウイルスで、ヘルペスウイルス科のサイトメガロウイルスやヘパドナウイルス科のB型肝炎ウイルスが含まれる。ムンプス・インフルエンザ・ヒト免疫不全ウイルスはいずれもRNAウイルスで、ヒト免疫不全ウイルスは逆転写酵素をもつレトロウイルスである。●主なDNAウイルス=ヘルペスウイルス科(単純ヘルペス・水痘帯状疱疹・サイトメガロ・EBウイルス)・ヘパドナウイルス科(B型肝炎)・アデノウイルス・パピローマウイルス・パルボウイルス・ポックスウイルス。●主なRNAウイルス=オルソミクソ(インフルエンザ)・パラミクソ(ムンプス・麻疹)・レトロ(ヒト免疫不全ウイルス)・フラビ(C型肝炎・デング)・ピコルナ(ポリオ・A型肝炎)・コロナ。

選択肢ごとの解説

第70回 午後76(臨床微生物学)

カタラーゼテストで使用するのはどれか。

正答: ①過酸化水素水

ポイント
カタラーゼテストは、細菌が産生するカタラーゼが過酸化水素を水と酸素に分解する反応を利用し、過酸化水素水を菌体に滴下して生じる気泡(酸素)の有無で陽性・陰性を判定する。グラム陽性球菌の鑑別に用いられ、ブドウ球菌属は陽性、レンサ球菌属・腸球菌属は陰性となる。赤血球もカタラーゼをもつため血液寒天培地のコロニーで実施すると偽陽性となりうる。●ブドウ球菌の同定試薬=カタラーゼ(過酸化水素水)・コアグラーゼ。●腸内細菌の生化学試験=インドール試験(p-ジメチルアミノベンズアルデヒド)・VP反応(α-ナフトール・アルコール+KOH)・オキシダーゼ試験(テトラメチルパラフェニレンジアミン)。●グラム染色補助=KOH粘性試験(水酸化カリウム)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後77(臨床微生物学)

培養に用いる検体で適切なのはどれか。

正答: ①室温保存された髄液

ポイント
細菌培養検体は目的菌を生かしたまま、常在菌や環境からの汚染を最小限にして提出することが原則である。髄液は本来無菌的な検体で、髄膜炎菌や肺炎球菌は低温に弱いため冷蔵せず室温で速やかに搬送する。固定・防腐処理された検体や常在菌が混入した検体、長時間放置された検体は培養に適さない。●搬送温度=髄液・髄膜炎菌・淋菌は冷蔵を避け室温(低温で死滅)、一般細菌は4℃冷蔵可。●不適検体=唾液主体の喀痰(上気道常在菌)・採尿バッグ貯留尿(雑菌増殖)・ホルマリン固定組織(菌死滅)。●血液培養=冷蔵しない。接種後は室温で速やかに搬送して自動培養装置に装填する(装填が遅れる場合の扱いは機器・ボトルの取扱説明書に従い、37℃での予備保温は一律には行わない)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後78(臨床微生物学)

高水準消毒薬はどれか。2つ選べ。

正答: ①過酢酸・④グルタルアルデヒド

ポイント
消毒薬は抗微生物スペクトルにより高水準・中水準・低水準に分類される。高水準消毒薬は多数の細菌芽胞を除くほぼ全ての微生物を死滅させる薬剤で、過酢酸・グルタルアルデヒド・フタラールが代表であり内視鏡などの器具消毒に用いる。過酢酸とグルタルアルデヒドは長時間の接触で芽胞にも有効だが、フタラールの殺芽胞性は弱い。中水準は結核菌・多くのウイルス・栄養型細菌に有効だが通常の使用条件では芽胞への十分な効果は期待できず(次亜塩素酸ナトリウムは有効塩素濃度・接触時間により殺芽胞性を示し得る)、低水準は一部の細菌・真菌・ウイルスにとどまる。●高水準=過酢酸・グルタルアルデヒド・フタラール。●中水準=次亜塩素酸ナトリウム・ポビドンヨード・アルコール・フェノール類。●低水準=クロルヘキシジン・第四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム)・両性界面活性剤。

選択肢ごとの解説

第70回 午後79(臨床免疫学)

抗炎症性サイトカインはどれか。

正答: ④インターロイキン-10(IL-10)

ポイント
サイトカインは炎症反応を促進する炎症性サイトカインと、それを抑制する抗炎症性サイトカインに大別される。インターロイキン-10(IL-10)はマクロファージやTh2細胞などから産生され、炎症性サイトカインの産生を抑制する代表的な抗炎症性サイトカインである。一方IL-1・IL-6・IL-8・腫瘍壊死因子-α(TNF-α)はいずれも炎症を促進する側に働く。●抗炎症性サイトカイン=IL-10・トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)・IL-4(Th2系)。●炎症性サイトカイン=IL-1・IL-6・TNF-α・インターフェロン-γ。●ケモカイン(遊走因子)=IL-8(好中球遊走)・MCP-1。

選択肢ごとの解説

第70回 午後80(臨床免疫学)

ABO血液型が後天的変化を示す原因はどれか。

正答: ④急性骨髄性白血病

ポイント
ABO血液型抗原は本来生涯不変だが、後天的に変化することがある。急性骨髄性白血病など造血器悪性腫瘍では、A・B抗原を作る糖転移酵素の活性低下により赤血球上の抗原が減弱し、見かけ上の血液型が弱まることがある。また腸閉塞や大腸菌などのグラム陰性菌感染では、菌由来の脱アセチル化酵素によりA抗原がB様抗原に変化する獲得性B現象が知られる。●抗原減弱を起こす疾患=急性骨髄性白血病・骨髄異形成症候群などの造血器腫瘍。●獲得性B現象=腸管由来グラム陰性菌感染(大腸菌など)・腸閉塞。●ABO不一致のその他の原因=亜型・連銭形成・寒冷凝集素・不規則抗体。

選択肢ごとの解説

第70回 午後81(臨床免疫学)

カラム凝集像の結果を別に示す。考えられるのはどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB081.8857aa7eb5.jpg
第70回 午後81 の図

正答: ①亜型・②新生児

ポイント
カラム凝集法によるABO血液型検査でオモテ検査とウラ検査が一致しない場合、抗原側か抗体側のいずれかに原因がある。亜型ではA抗原やB抗原の発現が弱く、オモテ検査の凝集が弱まって不一致を生じる。新生児では規則抗体である抗A・抗Bがまだ産生されていないため、ウラ検査が陰性となって不一致となる。いずれもABO不一致の代表的原因である。●オモテ検査弱・陰性化(抗原側)=亜型・白血病による抗原減弱。連銭形成は凝集にみえる偽陽性(偽凝集)の原因であり、抗原減弱にはあたらない。●ウラ検査弱・陰性化(抗体側)=新生児・高齢者・無γ-グロブリン血症。●ウラ検査の予期せぬ凝集=寒冷凝集素・不規則抗体・連銭形成。●部分凝集(mixed field)=キメラ・輸血後・骨髄移植後。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ABO血液型判定オモテ・ウラ検査不一致の主な原因

原因の種類現象具体例
技術的な問題偽陽性/偽陰性洗浄不十分、最適比のずれ、遠心操作の強弱、検体取り違え
オモテ検査(赤血球側)の問題偽陽性直接抗グロブリン試験陽性の赤血球、汎血球凝集反応、後天性B、輸血歴のある赤血球
オモテ検査(赤血球側)の問題偽陰性白血病・Hodgkinリンパ腫による抗原量低下、亜型(variant)赤血球
ウラ検査(血清側)の問題偽陽性寒冷凝集素、血清中の不規則抗体、連銭形成(高γ-グロブリン血症など)
ウラ検査(血清側)の問題偽陰性生後1年未満の新生児、高齢者、液性免疫不全症患者の血清
新生児は自己の規則抗体(抗A・抗B)をまだ十分に産生していないためウラ検査が陰性化しやすい。混合視野凝集(mixed field)はキメラ・異型輸血後・骨髄移植後などでみられ、通常の不一致とは区別して考える。

第70回 午後82(臨床免疫学)

不規則抗体同定検査で正しいのはどれか。

正答: ⑤不規則抗体スクリーニングで陽性となった検査方法で実施する。

ポイント
不規則抗体同定検査は、複数の既知抗原をもつパネル赤血球(O型を使用)との反応パターンから抗体を推定する検査である。スクリーニングで陽性となった反応条件(間接抗グロブリン試験や酵素法など)と同じ方法で実施し、反応の有無を抗原表と照合する。可能性の高い抗体は陽性反応を示した赤血球に共通する抗原から推定する。否定できない抗体は、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を量的効果に配慮して消去し、消去されずに残った抗体をいう。●反応相と検出抗体=生理食塩液法(室温・IgM)・酵素法・間接抗グロブリン試験(37℃・IgG)。●推定の原則=陽性赤血球に共通する抗原→可能性の高い抗体、陰性赤血球がもつ抗原に対応する抗体→消去し、消去されずに残ったものが否定できない抗体。●量的効果(dosage)=ホモ接合体の抗原で反応が強まる現象で否定の判断に活用。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不規則抗体同定検査:反応相と抗体推定の原則

反応相・検出法検出される抗体クラス代表的な血液型系
生理食塩液法(室温)IgM(冷式抗体)MNS系(抗M)・Lewis系・P1系
酵素法(パパイン・ブロメリン処理)IgG(一部の抗体で反応増強)Rh系
間接抗グロブリン試験(37℃)IgG(温式抗体)Rh系(抗D・抗E・抗c等)・Kidd系・Duffy系
同定は既知抗原表(アンチグラム)とパネル赤血球の反応を照合し、陰性反応を示した赤血球がもつ抗原に対応する抗体を消去していく消去法で行う。消去されずに残った抗体が「否定できない抗体」であり、陽性反応を示した赤血球に共通する抗原に対応する抗体を「可能性の高い抗体」と推定する。抗原量が少ないと反応が弱まる量的効果(dosage)があるため、量的効果のある抗原はホモ接合の血球で陰性の場合に消去するのが原則である。間接抗グロブリン試験の反応増強剤にはLISS(低イオン強度溶液)やPEG(ポリエチレングリコール)が用いられる。

第70回 午後83(臨床免疫学)

日本人の新生児血小板減少症の原因で最も多いものはどれか。

正答: ④抗HPA-4b抗体

ポイント
新生児同種免疫性血小板減少症は、母児間で血小板抗原(human platelet antigen:HPA)が不適合の場合に母体が産生した抗体が胎盤を通過し、胎児・新生児の血小板を破壊して起こる。原因抗体には人種差があり、HPA-1a陰性者が一定数いる欧米では抗HPA-1aが最多だが、HPA-1bがほとんど存在しない日本人では抗HPA-4b(HPA-4系)による例が最も多い。●欧米で最多=抗HPA-1a。●日本人で最多=抗HPA-4b。●そのほかの原因抗体=抗HPA-5b・抗HPA-3a・抗HPA-2b。●類縁病態=輸血後紫斑病(抗HPA-1aが多い)・血小板輸血不応(抗HLA抗体)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後84(臨床免疫学)

遅発性溶血性輸血反応の原因となるのはどれか。

正答: ②抗Jka

ポイント
遅発性溶血性輸血反応は、過去の輸血や妊娠で感作された不規則抗体が、再輸血後の二次免疫応答で増加し、輸血後数日して赤血球を破壊することで起こる。Kidd血液型の抗Jka(抗Jkb)は時間経過とともに抗体価が低下しやすく、輸血前検査をすり抜けやすいため、遅発性溶血性輸血反応の代表的原因抗体である。臨床的意義の高いIgG性で37℃反応性の抗体が原因となる。●遅発性を起こしやすい抗体=Kidd系(抗Jka・抗Jkb)・Rh系・Duffy系・Kell系。●臨床的意義が低い抗体=抗Leb(Lewis・IgM)・抗N(MNS・室温IgM)・抗Xga・抗P1。●即時型の代表=抗A・抗B(ABO不適合で急性血管内溶血)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後85(臨床免疫学)

ABO血液型で正しいのはどれか。

正答: ③遺伝子は第9染色体上に存在する。

ポイント
ABO式血液型はA・B・O遺伝子がコードする糖転移酵素が、前駆物質であるH物質に糖を付加することで抗原を作る。抗原の本体は糖鎖で、糖脂質・糖蛋白の双方の上に存在する。赤血球はLandsteinerの法則に従い、自身がもたない抗原に対する規則抗体を血漿中にもつ。抗原量は出生時には弱く、生後数年で成人レベルに達する。●遺伝子座=ABO遺伝子は第9染色体長腕(9q34)、H遺伝子(FUT1)は第19染色体。●抗原本体=H物質に糖を付加した糖鎖(糖脂質・糖蛋白)。●規則抗体=Landsteinerの法則(自分にない抗原に対する抗体を保有)。●亜型=A1・A2・Bm・cisAB等。

選択肢ごとの解説

第70回 午後86(臨床免疫学)

腫瘍マーカーと疾患の組合せで正しいのはどれか。

正答: ⑤ProGRP — 肺小細胞癌

ポイント
腫瘍マーカーは特定の癌で上昇しやすく、診断の補助や経過観察に用いる。ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)は神経特異エノラーゼ(NSE)とともに肺小細胞癌の代表的マーカーである。一方、AFPは肝細胞癌、CA125は卵巣癌、CA15-3は乳癌、PIVKA-Ⅱは肝細胞癌の指標であり、設問の他の組合せはいずれも誤りである。●肺癌=ProGRP・NSE(小細胞癌)、CEA・SCC・CYFRA(非小細胞癌)。●肝細胞癌=AFP・PIVKA-Ⅱ。●消化器癌=CEA(大腸)・CA19-9(膵・胆道)。●婦人科・乳腺=CA125(卵巣)・CA15-3(乳)・hCG(絨毛癌)。●前立腺=PSA。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な腫瘍マーカーと高値を示す代表疾患

腫瘍マーカー高値を示す代表疾患
AFP原発性肝細胞癌
PIVKA-Ⅱ原発性肝細胞癌
CEA消化器系癌(胃・大腸・転移性肝)
CA125卵巣癌
CA19-9膵臓癌・胆道系癌
CA15-3転移性乳癌
CYFRA21-1肺癌(扁平上皮)
ProGRP肺小細胞癌
NSE肺小細胞癌・神経芽腫
hCG絨毛癌
SCC扁平上皮癌
PSA・PAP前立腺癌

第70回 午後87(臨床免疫学)

血小板製剤で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ②放射線を照射する。・④スワーリングが観察される。

ポイント
血小板製剤は室温(20〜24℃)で振盪しながら保存し、有効期間は採血後4日間と短い。輸血関連移植片対宿主病(GVHD)を予防するため放射線を照射する。良好な血小板製剤を振盪すると渦巻き状の光のゆらめき(スワーリング)が観察され、血小板の形態・機能が保たれている指標となる。加温や低温・静置保存は機能を損なうため行わない。●保存条件=赤血球製剤2〜6℃静置(有効期間28日)、血小板製剤20〜24℃振盪(4日)、新鮮凍結血漿-20℃以下(1年)。●放射線照射=GVHD予防のため全血・赤血球・血小板に実施。●品質指標=血小板はスワーリング。

選択肢ごとの解説

第70回 午後88(臨床免疫学)

貯血式自己血採血の対象とならないのはどれか。

正答: ⑤Hb値9.5 g/dL

ポイント
貯血式自己血輸血は手術前に自分の血液を採血して保存し、術中・術後に返血する方法である。採血の可否は主にヘモグロビン(Hb)値で判断され、一般にHb11g/dL以上が必要で、貧血があると採血できない。自己血のため本人に返血する原則から、年齢や妊娠は絶対禁忌ではなく、HBs抗原陽性でも対象となりうる。Hb9.5g/dLは貧血で採血基準を満たさない。●採血可否=Hb値(11g/dL以上が目安)・全身状態。●自己血で問題とならない=年齢・妊娠・HBs抗原など感染症陽性(本人返血のため)。●自己血の種類=貯血式・希釈式・回収式。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:貯血式自己血輸血の実施条件

項目条件
手術の種類緊急を要しない待機手術(緊急手術には用いない)
血中ヘモグロビン濃度11.0 g/dL以上
年齢・体重明確な制限はない(高齢者・低体重者は状態に応じて慎重に対応)
利点同種免疫・輸血後感染症(肝炎ウイルス等)のリスクを回避できる
採血の間隔・上限1回採血量の上限は400 mL、手術予定日の3日以内は採血しない

第70回 午後89(臨床免疫学)

イムノクロマト法による抗原検査が行われないのはどれか。

正答: ①EBウイルス

ポイント
イムノクロマト法は検体中の抗原を標識抗体で捕捉して呈色させる迅速抗原検査で、インフルエンザウイルス・RSウイルス・ロタウイルス・SARS-CoV-2など多くのウイルスの迅速診断に用いられる。一方、EBウイルス感染症(伝染性単核球症)の診断は迅速抗原検査ではなく、抗体価測定(VCA-IgM・VCA-IgG・EBNA抗体)や核酸増幅検査(PCR)で行われ、イムノクロマト法による抗原検査は通常実施されない。●迅速抗原検査(イムノクロマト)が普及=インフルエンザ・RSウイルス・アデノウイルス・ロタウイルス・ノロウイルス・SARS-CoV-2・A群レンサ球菌。●抗体・核酸で診断=EBウイルス・サイトメガロウイルス・HIV・肝炎ウイルス。

選択肢ごとの解説

第70回 午後90(公衆衛生学)

食中毒の原因菌と原因食品の組合せで正しいのはどれか。

正答: ①ウェルシュ菌 — シチュー

ポイント
細菌性食中毒は原因菌ごとに関連する食品が異なる。ウェルシュ菌は耐熱性の芽胞を形成し、加熱調理後に常温放置されたカレーやシチューなどの煮込み料理で芽胞が発芽・増殖して起こる代表例で、大量調理する給食施設などで問題となる。他の選択肢は菌と原因食品の対応が誤っている。●感染型=腸炎ビブリオ(生魚介類・好塩菌)・カンピロバクター(鶏肉)・サルモネラ(卵・食肉)。●毒素型=黄色ブドウ球菌(おにぎり・弁当)・ボツリヌス菌(缶詰・瓶詰・真空包装食品など、食品内で産生された毒素を摂取)。●乳児ボツリヌス症=はちみつ等に含まれる芽胞を摂取し、腸管内で毒素が産生されて発症する(生体内毒素型)。●生体内毒素型=ウェルシュ菌(煮込み料理)・腸管出血性大腸菌(食肉)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:細菌性食中毒と原因食品

分類原因菌主な原因食品
毒素型ボツリヌス菌缶詰・レトルト食品・辛子蓮根など(はちみつは芽胞摂取による乳児ボツリヌス症の原因で、毒素は腸管内で産生される)
毒素型黄色ブドウ球菌弁当・おにぎり・サンドイッチなど
毒素型セレウス菌(嘔吐型)米飯(焼き飯・ピラフなど)
毒素型セレウス菌(下痢型)肉類・プリン・スープなど
感染型腸炎ビブリオ魚介類の生食
感染型サルモネラ属菌鶏卵・生肉など
感染型カンピロバクター生肉(特に鶏肉)・生乳など
感染型病原大腸菌糞便に汚染された食品(牛肉・野菜・井戸水など)
感染型ウェルシュ菌大量調理され嫌気性条件下になりやすい食品(カレー・シチューなど)

第70回 午後91(公衆衛生学)

要介護認定の申請先はどれか。

正答: ②市区町村

ポイント
要介護認定は介護保険サービスを受けるための手続きで、被保険者またはその家族が保険者である市区町村(特別区を含む)に申請する。申請後、認定調査員による訪問調査と主治医意見書をもとにコンピュータによる一次判定が行われ、介護認定審査会が二次判定で要介護度を審査・判定し、市区町村が認定する。●介護保険の保険者=市区町村(申請先・認定主体)。●関与する者=主治医(意見書作成)・認定調査員(訪問調査)・介護認定審査会(審査判定)。●要介護度=要支援1〜2・要介護1〜5。●ケアプラン作成=介護支援専門員(ケアマネジャー)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後92(公衆衛生学)

医療法に基づいて設置されるのはどれか。

正答: ③特定機能病院

ポイント
医療法は病院・診療所・助産所などの医療提供施設の開設・管理について定める法律で、特定機能病院や地域医療支援病院の承認もこれに基づく。特定機能病院は高度の医療を提供する病院として厚生労働大臣が承認する。保健所は地域保健法、保険薬局は医薬品医療機器等法・健康保険法、特別養護老人ホームは老人福祉法、精神保健福祉センターは精神保健福祉法に基づいて設置される。●医療法=病院・診療所・特定機能病院・地域医療支援病院・臨床研究中核病院。●地域保健法=保健所・市町村保健センター。●老人福祉法=特別養護老人ホーム。●精神保健福祉法=精神保健福祉センター。

選択肢ごとの解説

第70回 午後93(公衆衛生学)

感染症法に基づく入院勧告の対象となるのはどれか。

正答: ④エボラ出血熱

ポイント
感染症法では一類・二類感染症や新型インフルエンザ等感染症などで、まん延を防ぐため入院勧告・入院措置の対象とする。エボラ出血熱は最も危険な一類感染症で、入院勧告・入院措置の対象となる。麻疹は五類、コレラは三類、マラリアは四類、AIDS(後天性免疫不全症候群)は五類であり、これらは入院勧告の対象とはならない。●一類(入院対象)=エボラ出血熱・ペスト・痘そう・ラッサ熱・クリミア・コンゴ出血熱・マールブルグ病・南米出血熱。●二類(入院対象)=結核・SARS・MERS・ジフテリア・鳥インフルエンザ(H5N1等)。●三類(就業制限)=コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・腸管出血性大腸菌感染症。●四類=マラリア・狂犬病・デング熱。●五類=麻疹・AIDS。

選択肢ごとの解説

第70回 午後94(公衆衛生学)

三次予防はどれか。

正答: ①職業訓練

ポイント
疾病予防は三段階に分けられる。一次予防は健康増進や予防接種により発病自体を防ぐ段階、二次予防は健診による早期発見・早期治療、三次予防は発病後の機能回復・社会復帰やリハビリテーション・再発防止を指す。職業訓練は障害者などの社会復帰を促す活動で、三次予防に該当する。●一次予防=健康教育・保健指導・予防接種・生活習慣改善。●二次予防=健康診断・人間ドック・がん検診・新生児マススクリーニング(早期発見)。●三次予防=リハビリテーション・職業訓練・機能回復訓練・再発防止。

選択肢ごとの解説

第70回 午後95(医用工学概論)

滅菌装置で正しいのはどれか。

正答: ①プラズマ滅菌装置はカテーテル類の滅菌に使用される。

ポイント
滅菌法は対象物の耐熱性・耐湿性に応じて使い分ける。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)は高温に耐える器材に、酸化エチレンガス(EOG)や過酸化水素低温プラズマは熱や水分に弱い器材に用いる。湿熱は乾熱より蛋白変性効率が高く、低温・短時間で滅菌できる。過酸化水素低温プラズマ滅菌は低温で実施でき、カテーテル類など熱に弱い器材に適する。●高温滅菌=高圧蒸気滅菌(約2気圧・121℃・15〜20分)・乾熱滅菌(160〜170℃・1〜2時間)。●低温滅菌=酸化エチレンガス(50〜60℃)・過酸化水素低温プラズマ・ホルムアルデヒドガス。●効率=湿熱>乾熱。

選択肢ごとの解説

第70回 午後96(医用工学概論)

生体組織の商用交流における導電率の大小関係で正しいのはどれか。

正答: ②血清>全血

ポイント
生体組織の導電率は含まれる電解質(イオン)の量と移動しやすさで決まり、水分やイオンが多く流動性の高い組織ほど大きい。血清は赤血球などの細胞成分を含まずイオンが移動しやすいため、細胞成分を含む全血よりも導電率が大きい。脂肪・角質・骨は水分・イオンが少なく導電率が低い。●導電率が高い(水分・イオン多)=血清・脳脊髄液・リンパ液・筋組織・真皮。●導電率が低い(水分・イオン少)=脂肪・骨・角質・細胞膜(絶縁性)。●細胞膜=コンデンサ的に働き低周波では絶縁、高周波で電流が透過する。

選択肢ごとの解説

第70回 午後97(医用工学概論)

電気工学に関する関係式で誤っているのはどれか。

正答: ④電流=電気量×時間

ポイント
電気工学の基本式では、電圧と電流と抵抗の関係(オームの法則:電圧=電流×抵抗)、仕事率(電力)=電圧×電流、仕事(エネルギー)=仕事率×時間が成り立つ。電気量(電荷)は電流と時間の積で表され、電流=電気量÷時間が正しい。したがって電流=電気量×時間は次元が合わず誤りである。●オームの法則=V=IR(電圧=電流×抵抗)。●電力=P=VI(仕事率=電圧×電流)。●電力量(仕事)=W=Pt(仕事率×時間)。●電気量(電荷)=Q=It(電流×時間)、Q=CV(静電容量×電圧)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後98(医用工学概論)

ME機器のBF形装着部を表す医療機器関連図記号はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB098.52478e0ff5.jpg
第70回 午後98 の図

正答: ③

ポイント
医用電気機器の装着部は患者への漏れ電流の許容値で分類され、規格化された記号で表示される。B形は最も基本的で立った人型の図で示し、BF形はその人型をフローティング(接地からの絶縁)を示す四角の枠で囲んだ記号、CF形はハート(心臓)をフローティングを示す四角の枠で囲んだ、心臓に直接使用できる装着部の記号である。BF形は装着部が接地から絶縁(フローティング)されていることを意味する。●装着部の分類=B形(立った人型)・BF形(四角枠+人型・フローティング)・CF形(四角枠+ハート・心臓用)。●接地記号=円内の接地線。●二重絶縁(クラスⅡ)=四角の中に四角。●一般警告=三角内の感嘆符。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:装着部の分類(B形・BF形・CF形)と図記号

装着部図記号特徴
B形人型(枠なし)体表に適用、許容漏れ電流が最も大きい
BF形四角の枠+人型フローティング(接地から絶縁)された体表適用部
CF形四角の枠+ハート(黒塗り)心臓に直接適用可能、許容漏れ電流が最も小さい
耐除細動形各装着部の記号を左右から挟む(囲む)記号を追加除細動器のパルスに耐える装着部であることを示す

第70回 午後99(医用工学概論)

図のフローチャートを開始から終了まで実行してsに1から3までの整数の和を得たい。①に入る記号はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k70pB099.45aae5d612.jpg
第70回 午後99 の図

正答: ②≦

ポイント
1から3までの整数の和を求めるループでは、変数を1から始めて加算し、変数が3を超えるまで繰り返す。条件判定を『変数≦3の間は加算を続け、3を超えたら終了する』とすると1・2・3がすべて加算され、和は6となる。境界値である3を含めて加算するため、不等号は等号を含む≦が適切である。●ループの継続条件=終了値を含めるなら≦(または≧)、含めないなら<(または>)。●for文・while文=初期値・継続条件・更新式の3要素で制御。●境界条件の誤り=off-by-oneエラー(1つずれて回数が過不足する)。

選択肢ごとの解説

第70回 午後100(医用工学概論)

分光光度計から得られる吸光度で正しいのはどれか。2つ選べ。

正答: ④溶液の濃度に比例する。・⑤溶液の光路長に比例する。

ポイント
吸光度AはLambert-Beerの法則に従い、A=εcl(εはモル吸光係数、cは濃度、lは光路長)で表され、溶液の濃度と光路長のそれぞれに比例する。吸光度は透過率Tの逆数の常用対数A=log(1/T)で定義され、理論上は0以上の値をとり1を超えることもある。混濁があると光が散乱し、見かけの吸光度はむしろ増加する。●Lambert-Beerの法則=A=εcl(濃度・光路長に比例)。●吸光度の定義=A=log(1/T)=-logT、透過率の逆数の常用対数。●測定の誤差要因=混濁・濁り(散乱光で吸光度上昇)・迷光・高濃度での直線性のずれ。●定量=検量線(吸光度と濃度の直線関係)を利用。

選択肢ごとの解説