第71回(2025) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第71回 午前1(臨床検査総論)
コンパニオン診断に用いられるのはどれか。
- ①PSA
- ②血小板凝集能
- ③EGFR変異解析
- ④75g経口グルコース負荷試験
- ⑤T細胞サブセット〈CD4/CD8〉
正答: ③EGFR変異解析
ポイント
コンパニオン診断は、特定の分子標的薬の有効性や副作用リスクを投与前に予測し、適応患者を選別するために行う検査である。上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異の解析は、非小細胞肺癌でEGFRチロシンキナーゼ阻害薬が奏効するかを判定する代表的なコンパニオン診断である。腫瘍マーカーや負荷試験、免疫指標とは目的が本質的に異なる。●コンパニオン診断の例=EGFR変異(肺癌・EGFR阻害薬)・KRAS/RAS変異(大腸癌・抗EGFR抗体)・HER2過剰発現(乳癌・胃癌、トラスツズマブ)・BCR-ABL(慢性骨髄性白血病・チロシンキナーゼ阻害薬)・BRAF変異(悪性黒色腫)。●腫瘍マーカー=PSA(前立腺)・CEA(消化器)・AFP(肝)・CA19-9(膵・胆)。●機能検査=血小板凝集能(血小板機能・抗血小板薬評価)・75g経口グルコース負荷試験(糖尿病診断)。●免疫評価=T細胞サブセット〈CD4/CD8〉(HIV感染症の免疫状態)。
選択肢ごとの解説
- ① PSAは前立腺癌の腫瘍マーカーやスクリーニングに用いる検査で、特定薬剤の適応判定ではない。
- ② 血小板凝集能は血小板機能や抗血小板薬の効果評価に用いる検査で、コンパニオン診断ではない。
- ③ EGFR変異解析は分子標的薬であるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の適応を決めるコンパニオン診断である。
- ④ 75g経口グルコース負荷試験は糖尿病の診断に用いる検査で、薬剤適応の判定ではない。
- ⑤ T細胞サブセット〈CD4/CD8〉はHIV感染症などで免疫状態を評価する検査で、コンパニオン診断ではない。
第71回 午前2(臨床検査総論)
混濁尿は透明化処理で鑑別が可能である。処理方法と対象となる混濁の原因の組合せで正しいのはどれか。
- ①加温 — 細菌
- ②3%酢酸 — リン酸塩
- ③10%塩酸 — 尿酸塩
- ④10%水酸化カリウム — 脂肪
- ⑤アルコール・エーテル混合液(2:1)— シュウ酸塩
正答: ②3%酢酸 — リン酸塩
ポイント
混濁尿は加える試薬や処理で溶解の有無を観察し、原因物質を鑑別できる。無晶性リン酸塩や炭酸塩はアルカリ性尿で白濁し、3%酢酸など酸を加えると溶解して透明化する。無晶性尿酸塩は加温で溶解し、脂肪はアルコール・エーテル混合液で溶ける。●酸(3%酢酸)で溶解=リン酸塩・炭酸塩。●加温で溶解=尿酸塩。●塩酸(10%)で溶解=シュウ酸塩。●アルコール・エーテル混合液で溶解=脂肪。●水酸化カリウムなどアルカリで処理=角化物・真菌の鏡検。●溶けない混濁=細菌(遠心や鏡検で確認)・血球・粘液。
選択肢ごとの解説
- ① 加温で溶けるのは無晶性尿酸塩であり、細菌は加温では消えないため組合せが誤っている。
- ② 無晶性リン酸塩はアルカリ性で析出し、3%酢酸を加えると溶解して透明化するため正しい。
- ③ 尿酸塩は加温で溶けるのが特徴で、10%塩酸の対象とはいえず組合せが誤っている。
- ④ 脂肪はアルコール・エーテル混合液で溶解するもので、10%水酸化カリウムの対象ではない。
- ⑤ シュウ酸塩は塩酸で溶け、アルコール・エーテル混合液は脂肪の溶解に用いるため組合せが誤っている。
📋 まとめの表を見る:混濁尿の鑑別(透明化処理と原因物質)
混濁尿の鑑別は「加温→3%酢酸→10%塩酸→10%水酸化カリウム」の順に試薬を加えて溶解の有無を観察する一連の手順として行う。
第71回 午前3(臨床検査総論)
DNA合成酵素はどれか。
- ①リガーゼ
- ②ヘリカーゼ
- ③イソメラーゼ
- ④ポリメラーゼ
- ⑤エンドヌクレアーゼ
正答: ④ポリメラーゼ
ポイント
DNAポリメラーゼは鋳型鎖に相補的なデオキシリボヌクレオチドを連結し、新生DNA鎖を5′→3′方向に伸長させる合成酵素である。DNA複製ではヘリカーゼが二本鎖を開き、プライマーゼがRNAプライマーを合成し、リガーゼが断片を連結するなど多くの酵素が協調する。これらのうち鎖そのものを合成するのはポリメラーゼである。●合成・連結=DNAポリメラーゼ(鎖伸長)・リガーゼ(断片連結)・プライマーゼ(プライマー合成)。●二本鎖の解離・回転=ヘリカーゼ(開裂)・トポイソメラーゼ(ねじれ解消)。●切断=エンドヌクレアーゼ(内部切断)・エキソヌクレアーゼ(末端切断)・制限酵素。●その他=イソメラーゼ(異性化反応)。
選択肢ごとの解説
- ① リガーゼはDNA断片(岡崎フラグメントなど)どうしを連結する酵素で、新生鎖の合成そのものは担わない。
- ② ヘリカーゼは二本鎖DNAをほどいて一本鎖にする酵素で、鎖の合成は行わない。
- ③ イソメラーゼは分子内の構造を変える異性化酵素で、DNA合成酵素ではない。
- ④ ポリメラーゼはヌクレオチドを重合してDNA鎖を合成する酵素である。
- ⑤ エンドヌクレアーゼはDNA鎖の内部を切断する酵素で、合成は行わない。
第71回 午前4(臨床検査総論)
虫卵で小蓋がないのはどれか。
- ①回虫
- ②肝蛭
- ③肝吸虫
- ④日本住血吸虫
- ⑤日本海裂頭条虫
正答: ①回虫・④日本住血吸虫
ポイント
卵蓋(小蓋)は吸虫類や裂頭条虫の虫卵にみられる構造で、肝蛭・肝吸虫・日本海裂頭条虫の卵が該当する。一方、回虫卵は厚い蛋白膜をもつ楕円形で卵蓋がなく、日本住血吸虫卵も卵蓋をもたず側方に小棘をもつ。したがって小蓋がないのは回虫と日本住血吸虫である。●卵蓋をもつ虫卵=肝蛭・肝吸虫・横川吸虫・肺吸虫・日本海裂頭条虫・広節裂頭条虫。●卵蓋をもたない虫卵=回虫(蛋白膜)・鉤虫・鞭虫(レモン形で両端に栓)・蟯虫(柿の種形)。●住血吸虫の卵=日本住血吸虫(側方の小棘)・マンソン住血吸虫(側棘)・ビルハルツ住血吸虫(端棘)で、いずれも卵蓋はない。
選択肢ごとの解説
- ① 回虫卵は厚い蛋白膜をもつ楕円形で、卵蓋はない。
- ② 肝蛭卵は大型で明瞭な卵蓋をもつため、設問の条件に合わない。
- ③ 肝吸虫卵は小型で、卵蓋と肩状の盛り上がりをもつため、設問の条件に合わない。
- ④ 日本住血吸虫卵は卵蓋がなく、側方に小さな棘をもつ。
- ⑤ 日本海裂頭条虫卵は卵蓋をもつため、設問の条件に合わない。
第71回 午前5(臨床検査総論)
Lambl〈ランブル〉鞭毛虫の主な寄生部位はどれか。
正答: ⑤十二指腸
ポイント
ランブル鞭毛虫(ジアルジア、Giardia lamblia)は十二指腸から上部小腸の粘膜表面に栄養型が吸着して寄生し、下痢や脂肪吸収不良を起こす原虫である。糞便中には主に囊子(シスト)が排出され、これが経口感染源となる。胃や大腸、脳脊髄は主たる寄生部位ではない。●小腸(十二指腸)に寄生=ランブル鞭毛虫(ジアルジア)。●大腸に寄生=赤痢アメーバ・大腸バランチジウム。●肝・胆道=肝蛭・肝吸虫。●脳・脊髄=トキソプラズマ・有鉤囊虫(囊虫症)・自由生活アメーバ。●泌尿生殖器=腟トリコモナス。
選択肢ごとの解説
- ① 胃は強酸性の環境で、ランブル鞭毛虫の主たる寄生部位ではない。
- ② 肺に寄生するのは肺吸虫などで、ランブル鞭毛虫ではない。
- ③ 大腸に寄生する原虫は赤痢アメーバや大腸バランチジウムなどである。
- ④ 脳脊髄に寄生するのは有鉤囊虫やトキソプラズマなどである。
- ⑤ 十二指腸から上部小腸の粘膜に栄養型が寄生するため正しい。
第71回 午前6(臨床検査総論)
腟トリコモナス症で誤っているのはどれか。
- ①尿沈渣で虫体が検出される。
- ②栄養型による接触感染である。
- ③腟分泌物から囊子が検出される。
- ④患者とパートナーを同時に治療する。
- ⑤塗抹標本ではGiemsa染色が用いられる。
正答: ③腟分泌物から囊子が検出される。
ポイント
腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)は栄養型のみで増殖し、囊子(シスト)を形成しない原虫である。したがって腟分泌物から囊子が検出されることはなく、この記述が誤りである。感染は栄養型による接触(性行為)感染で、尿沈渣や腟分泌物の塗抹で運動性のある虫体を確認し、Giemsa染色も用いられる。再感染防止のためパートナーの同時治療が行われる。●囊子を形成しない原虫=腟トリコモナス。●囊子を形成する原虫=赤痢アメーバ・ランブル鞭毛虫・大腸バランチジウム・クリプトスポリジウム(オーシスト)。●性感染する原虫=腟トリコモナス。●検出法=鏡検(運動性虫体)・塗抹のGiemsa染色・培養。
選択肢ごとの解説
- ① 尿沈渣で運動性のある虫体が検出されることがあり、正しい。
- ② 栄養型による接触(性行為)感染であり、正しい。
- ③ 誤り。腟トリコモナスは囊子を形成しないため、腟分泌物から囊子が検出されることはない。
- ④ 性感染症であり再感染を防ぐためパートナーを同時に治療するので、正しい。
- ⑤ 塗抹標本のGiemsa染色で虫体を確認でき、正しい。
第71回 午前7(臨床検査総論)
条虫で正しいのはどれか。
- ①雌雄異体である。
- ②消化管を有する。
- ③神経細胞はない。
- ④中間宿主内で増殖する。
- ⑤頭部、頸部、片節の3部位からなる。
正答: ⑤頭部、頸部、片節の3部位からなる。
ポイント
条虫(サナダムシ)は頭節(吸盤や鉤で腸壁に固着)・頸部(片節を産生する成長帯)・多数の片節からなる扁平な寄生虫である。消化管をもたず体表全体から栄養を吸収し、雌雄同体で各片節に雌雄両方の生殖器をもつ。原始的ながら神経索や神経細胞も備える。●条虫の体制=頭節・頸部・片節(成熟片節→受胎片節)の3部位。●雌雄同体の寄生虫=条虫・吸虫(住血吸虫を除く)。●雌雄異体の寄生虫=線虫(回虫・鉤虫など)・住血吸虫。●消化管をもたない=条虫(体表吸収)。●消化管をもつ=線虫・吸虫。
選択肢ごとの解説
- ① 条虫は雌雄同体であり、雌雄異体ではないため誤り。
- ② 条虫は消化管をもたず、体表から栄養を吸収するため誤り。
- ③ 条虫にも神経索などの神経系があり、神経細胞がないとはいえないため誤り。
- ④ 中間宿主内では幼虫(囊虫など)へ発育するもので、成虫が増殖する特徴とはいえないため誤り。
- ⑤ 頭節・頸部・片節の3部位からなり、正しい。
第71回 午前8(臨床検査総論)
パニック値対応となるのはどれか。
- ①ALP 300 U/L
- ②カルシウム 10.8 mg/dL
- ③グルコース 200 mg/dL
- ④ナトリウム 175 mmol/L
- ⑤総コレステロール 300 mg/dL
正答: ④ナトリウム 175 mmol/L
ポイント
パニック値(緊急異常値)は生命にかかわる極端な検査異常で、検出時は直ちに主治医へ報告する。血清ナトリウム175mmol/Lは基準(約135〜145mmol/L)を大きく超える高度の高ナトリウム血症で、意識障害やけいれんを起こしうるためパニック値に該当する。他の選択肢は基準を外れていても致死的水準ではない。●電解質のパニック値の代表=ナトリウム(著明な高値・低値)・カリウム(高K血症は致死的不整脈)・カルシウム(著明高値・低値)。●代謝=血糖(著明な低血糖・高血糖)。●血液=白血球著減・血小板著減・ヘモグロビン著減。●基準範囲で評価し緊急性が低い項目=ALP・総コレステロールなど。
選択肢ごとの解説
- ① ALP 300 U/Lは基準よりやや高い程度で、パニック値ではない。
- ② カルシウム10.8 mg/dLは軽度高値で、緊急報告には及ばない。
- ③ グルコース200 mg/dLは高めだが、致死的水準ではない。
- ④ ナトリウム175 mmol/Lは高度の高ナトリウム血症で、生命の危険があるパニック値である。
- ⑤ 総コレステロール300 mg/dLは高値だが、急を要するものではない。
📋 まとめの表を見る:パニック値(緊急異常値)の代表的な基準
パニック値の基準は施設ごとに異なる(本表は代表的な目安)。検出時は直ちに主治医へ報告する。
第71回 午前9(臨床検査総論)
尿沈渣に認められた結晶を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA009.fda0d48b26.jpg

- ①高尿酸血症
- ②閉塞性黄疸
- ③ネフローゼ症候群
- ④先天性シスチン尿症
- ⑤先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症
正答: ②閉塞性黄疸
ポイント
閉塞性黄疸では胆汁うっ滞により抱合型ビリルビンが血中から尿中へ排泄され、尿沈渣に黄褐色〜赤褐色の針状・束状を呈するビリルビン結晶が出現する。図の結晶はこのビリルビン結晶で、胆道閉塞を示す閉塞性黄疸が考えられる。他の選択肢はそれぞれ異なる特徴的結晶を示す。●ビリルビン結晶=閉塞性黄疸(黄褐色・針状束状)。●尿酸結晶=高尿酸血症・酸性尿(黄褐色・多形)。●シスチン結晶=先天性シスチン尿症(無色六角板状)。●2,8-ジヒドロキシアデニン結晶=アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症(褐色円形)。●卵円形脂肪体・脂肪円柱=ネフローゼ症候群。
選択肢ごとの解説
- ① 高尿酸血症では黄褐色で多形の尿酸結晶がみられ、ビリルビン結晶ではない。
- ② 閉塞性黄疸ではビリルビンが尿中に排泄され、ビリルビン結晶を生じるため正しい。
- ③ ネフローゼ症候群では脂肪円柱や卵円形脂肪体が特徴で、ビリルビン結晶ではない。
- ④ 先天性シスチン尿症では六角板状のシスチン結晶がみられ、ビリルビン結晶ではない。
- ⑤ アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症では2,8-ジヒドロキシアデニン結晶を生じ、ビリルビン結晶ではない。
第71回 午前10(臨床検査総論)
内部精度管理法で患者データを用いるのはどれか。2つ選べ。
- ①X̄-R管理図法
- ②累積和管理図法
- ③項目間チェック法
- ④デルタチェック法
- ⑤マルチルール管理図法
正答: ③項目間チェック法・④デルタチェック法
ポイント
内部精度管理のうち、管理試料ではなく患者データそのものを利用する方法が、同一検体内の関連項目の整合性をみる項目間チェック法と、同一患者の前回値との差をみるデルタチェック法である。X-R管理図法・累積和管理図法・マルチルール管理図法はいずれも管理試料(コントロール)の測定値を統計的に監視する方法である。●患者データを用いる管理=項目間チェック法・デルタチェック法・正常者平均法(基準範囲内の患者値の平均を監視)。●管理試料を用いる管理=X-R管理図法・累積和(CUSUM)管理図法・マルチルール(Westgard)管理図法。●外部精度管理=施設間でのコントロールサーベイ。
選択肢ごとの解説
- ① X-R管理図法は管理試料の測定値を用いる方法で、患者データではない。
- ② 累積和管理図法も管理試料の測定値の偏りを累積して監視する方法である。
- ③ 項目間チェック法は同一検体内の関連項目どうしの矛盾を検出する患者データ利用法である。
- ④ デルタチェック法は同一患者の前回値との差から異常を検出する患者データ利用法である。
- ⑤ マルチルール管理図法は管理試料に複数の判定規則を適用する方法である。
📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。
第71回 午前11(臨床検査医学総論)
カットオフ値が用いられるのはどれか。
正答: ②CEA
ポイント
カットオフ値は陽性・陰性を分ける境界値で、腫瘍マーカーや感染症の抗体検査など定性的に判定する検査で設定される。CEA(癌胎児性抗原)は消化器癌などの腫瘍マーカーで、健常者の基準範囲ではなくカットオフ値を超えるか否かで陽性を判定する。酵素や電解質、腎機能指標は基準範囲で評価する。●カットオフ値で評価=腫瘍マーカー(CEA・AFP・PSA・CA19-9)・感染症の抗体/抗原検査・HbA1c等の診断閾値。●基準範囲で評価=酵素(AST・LD・ALP)・電解質(ナトリウム・カリウム)・腎機能(クレアチニン・尿素窒素)。●感度・特異度=カットオフ値の設定で変化する。
選択肢ごとの解説
- ① ASTは逸脱酵素で、基準範囲で評価する項目である。
- ② CEAは腫瘍マーカーで、カットオフ値により陽性を判定する。
- ③ LDは逸脱酵素で、基準範囲で評価する項目である。
- ④ クレアチニンは腎機能の指標で、基準範囲で評価する項目である。
- ⑤ ナトリウムは電解質で、基準範囲で評価する項目である。
📋 まとめの表を見る:カットオフ値と基準範囲による検査結果の判定
カットオフ値は疾患群と非疾患群を分ける境界値で、基準範囲とは異なる概念。両群の分布に重なりがある場合は感度・特異度を考慮して設定し、ROC曲線(曲線下面積が大きいほど有用性が高い)で最適値を検討する。
第71回 午前12(臨床検査医学総論)
子宮頸癌の原因はどれか。
- ①EBウイルス
- ②単純ヘルペスウイルス
- ③ヒトT細胞白血病ウイルスI型
- ④ヒトパピローマウイルス
- ⑤ヒト免疫不全ウイルス
正答: ④ヒトパピローマウイルス
ポイント
子宮頸癌の主因はヒトパピローマウイルス(HPV)、特に高リスク型である16型・18型の持続感染であり、子宮頸部異形成を経て浸潤癌へ進展する。他のウイルスはそれぞれ別の腫瘍や疾患を起こす。●ヒトパピローマウイルス=子宮頸癌・尖圭コンジローマ・一部の咽頭癌。●EBウイルス=Burkittリンパ腫・上咽頭癌・伝染性単核球症。●ヒトT細胞白血病ウイルスI型=成人T細胞白血病/リンパ腫。●B型・C型肝炎ウイルス=肝細胞癌。●ヘリコバクター・ピロリ=胃癌(細菌)。●単純ヘルペスウイルス=口唇・性器ヘルペス。●ヒト免疫不全ウイルス=後天性免疫不全症候群。
選択肢ごとの解説
- ① EBウイルスはBurkittリンパ腫・上咽頭癌・伝染性単核球症などの原因である。
- ② 単純ヘルペスウイルスは口唇ヘルペスや性器ヘルペスを起こすが、子宮頸癌の主因ではない。
- ③ ヒトT細胞白血病ウイルスI型は成人T細胞白血病の原因である。
- ④ ヒトパピローマウイルスは子宮頸癌の主因である。
- ⑤ ヒト免疫不全ウイルスは後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因である。
第71回 午前13(臨床検査医学総論)
Basedow病で認められるのはどれか。
正答: ①頻脈
ポイント
Basedow病は甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体により甲状腺ホルモンが過剰となり、全身の代謝が亢進する自己免疫性の甲状腺機能亢進症である。頻脈・体重減少・発汗増加・手指振戦・眼球突出・下痢傾向などをきたす。便秘・皮膚乾燥・記銘力低下は甲状腺機能低下症でみられる所見である。●甲状腺機能亢進(Basedow病)=頻脈・体重減少・発汗過多・手指振戦・眼球突出・甲状腺腫・下痢。●甲状腺機能低下(橋本病など)=徐脈・体重増加・皮膚乾燥・便秘・記銘力低下・浮腫(粘液水腫)・寒がり。●自己抗体=Basedow病はTSH受容体抗体(TRAb)、橋本病は抗サイログロブリン・抗TPO抗体。
選択肢ごとの解説
- ① 甲状腺ホルモン過剰で心拍数が増え、頻脈となるため正しい。
- ② 腸蠕動が亢進して下痢傾向となり、便秘は機能低下症の所見である。
- ③ 発汗が増えて皮膚は湿潤となり、皮膚乾燥は機能低下症の所見である。
- ④ フレイルは高齢者の虚弱を指し、Basedow病に特徴的な所見ではない。
- ⑤ 記銘力低下は甲状腺機能低下症でみられる所見である。
第71回 午前14(臨床検査医学総論)
ネフローゼ症候群で誤っているのはどれか。
- ①浮腫
- ②乏尿
- ③蛋白尿
- ④血清アルブミン低下
- ⑤LDL-コレステロール低下
正答: ⑤LDL-コレステロール低下
ポイント
ネフローゼ症候群は糸球体障害による高度の蛋白尿(1日3.5g以上)と、これに伴う低アルブミン血症を本態とし、浮腫・脂質異常症・乏尿などをきたす。低アルブミン血症を代償しようと肝での蛋白合成が亢進し、脂質も同時に増加するためLDLコレステロールはむしろ上昇する。したがって低下は誤りである。●ネフローゼ症候群の所見=高度蛋白尿・低アルブミン血症・浮腫・高LDLコレステロール血症・乏尿・凝固亢進。●浮腫の機序=膠質浸透圧低下による血管外への水分移動。●合併症=静脈血栓症・易感染性(免疫グロブリン喪失)・腎前性腎不全。●尿所見=卵円形脂肪体・脂肪円柱。
選択肢ごとの解説
- ① 低アルブミン血症で膠質浸透圧が低下し浮腫を生じるため、正しい。
- ② 循環血漿量の低下などで乏尿となりうるため、正しい。
- ③ 高度の蛋白尿が診断の中心であり、正しい。
- ④ 蛋白尿でアルブミンが失われ血清アルブミンは低下するため、正しい。
- ⑤ 誤り。脂質は代償性に増加してLDLコレステロールは上昇するため、低下という記述は誤っている。
第71回 午前15(臨床検査医学総論)
バイタルサインでないのはどれか。
正答: ④体重
ポイント
バイタルサイン(生命徴候)は患者の生命活動の基本指標で、血圧・脈拍・呼吸・体温が基本である。これに意識レベルや経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)を加えることもある。体重は栄養状態や体液量の評価に有用だが、バイタルサインには含まれない。●バイタルサインの基本=血圧・脈拍・呼吸・体温。●追加で含めることがある項目=意識レベル・SpO₂(酸素飽和度)。●体重・身長・尿量=全身状態の指標だがバイタルサインではない。
選択肢ごとの解説
- ① 血圧はバイタルサインの一つである。
- ② 呼吸はバイタルサインの一つである。
- ③ 体温はバイタルサインの一つである。
- ④ 体重はバイタルサインに含まれない。
- ⑤ 脈拍はバイタルサインの一つである。
第71回 午前16(臨床生理学)
標準12誘導心電図でV4誘導の電極位置はどれか。
- ①第4肋間胸骨右縁
- ②第4肋間胸骨左縁
- ③第5肋間と左鎖骨中線の交点
- ④第5肋間と左前腋窩線の交点
- ⑤第5肋間と左中腋窩線の交点
正答: ③第5肋間と左鎖骨中線の交点
ポイント
標準12誘導心電図のV4は第5肋間と左鎖骨中線の交点に置く。胸部誘導はV1から順に、第4肋間胸骨右縁・第4肋間胸骨左縁から始まり、V4・V5・V6は同じ高さで外側へ並ぶ。●胸部誘導の位置=V1(第4肋間胸骨右縁)・V2(第4肋間胸骨左縁)・V3(V2とV4の中点)・V4(第5肋間左鎖骨中線)・V5(V4と同じ高さの左前腋窩線)・V6(V4と同じ高さの左中腋窩線)。●V3R〜V6R=右側胸部誘導(右室梗塞の評価)。●V7〜V9=背部誘導(後壁梗塞の評価)。
選択肢ごとの解説
- ① 第4肋間胸骨右縁はV1の位置である。
- ② 第4肋間胸骨左縁はV2の位置である。
- ③ 第5肋間と左鎖骨中線の交点がV4の位置である。
- ④ 左前腋窩線上の電極はV5であり、V5はV4と同じ高さ(水平線上)に装着する。
- ⑤ 左中腋窩線上の電極はV6であり、V6はV4と同じ高さ(水平線上)に装着する。
第71回 午前17(臨床生理学)
標準12誘導心電図を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA017.53471f7220.jpg

- ①心房細動
- ②心房粗動
- ③上室頻拍
- ④心室細動
- ⑤心室頻拍
正答: ②心房粗動
ポイント
図の心電図は基線にのこぎり歯状の規則的な心房波(粗動波、F波)がみられ、心房粗動を示す。心房粗動は心房が約240〜340回/分で規則的に旋回興奮し、房室伝導比に応じて心室拍数が決まる(2:1伝導なら心室は約150回/分)。心房細動の不規則なf波とは区別される。●上室性不整脈=心房細動(不規則f波・RR絶対不整)・心房粗動(規則的F波)・発作性上室頻拍(P波不明瞭の規則的頻拍)・心房期外収縮。●心室性不整脈=心室頻拍(幅広いQRSの連続)・心室細動(無秩序な基線・致死的)・心室期外収縮。●鑑別の鍵=心房波の規則性とQRS幅。
選択肢ごとの解説
- ① 心房細動は不規則なf波を呈しRR間隔も絶対不整となるため、所見が異なる。
- ② のこぎり歯状のF波がみられ、心房粗動である。
- ③ 上室頻拍はP波が判然としない規則正しい頻拍で、F波はみられない。
- ④ 心室細動は基線が無秩序に揺れる致死的不整脈で、心電図像が異なる。
- ⑤ 心室頻拍は幅広いQRSが連続する頻拍で、所見が異なる。
第71回 午前18(臨床生理学)
スパイログラムを別に示す。Aが示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA018.b1fc7e9293.jpg

- ①肺活量
- ②一回換気量
- ③最大吸気量
- ④予備吸気量
- ⑤予備呼気量
正答: ③最大吸気量
ポイント
最大吸気量(IC)は安静呼気位から最大限に吸い込める量で、一回換気量(TV)と予備吸気量(IRV)の和に相当する。図のAはこの最大吸気量を示す。スパイログラムでは各肺気量分画を安静呼吸の基線を基準に区別して読む。●肺気量分画=一回換気量・予備吸気量・予備呼気量・残気量(スパイロメトリで直接測れない)。●合成された量=最大吸気量(一回換気量+予備吸気量)・肺活量(予備吸気量+一回換気量+予備呼気量)・機能的残気量(予備呼気量+残気量)・全肺気量(肺活量+残気量)。●残気量・機能的残気量=ガス希釈法や体プレチスモグラフで測定。
選択肢ごとの解説
- ① 肺活量は最大吸気位から最大呼気位までの量で、最大吸気量より大きい。
- ② 一回換気量は安静時に1回で出入りする量である。
- ③ 最大吸気量は安静呼気位から最大吸気位までの量で、図のAに相当する。
- ④ 予備吸気量は安静吸気位からさらに吸い込める量である。
- ⑤ 予備呼気量は安静呼気位からさらに吐き出せる量である。
第71回 午前19(臨床生理学)
肺拡散能〈DLco〉が低下しないのはどれか。
- ①肺気腫
- ②肺切除後
- ③間質性肺炎
- ④気管支喘息
- ⑤肺血栓塞栓症
正答: ④気管支喘息
ポイント
肺拡散能(DLco)は一酸化炭素を用いて肺胞から肺毛細血管へのガス交換能を評価する指標で、肺胞壁や肺毛細血管床が障害される疾患で低下する。気管支喘息は気道の可逆性の閉塞が主体でガス交換面そのものは保たれるため、DLcoは通常低下しない。●DLcoが低下=肺気腫(肺胞壁破壊)・間質性肺炎(肺胞隔壁肥厚)・肺切除後(肺胞面積減少)・肺血栓塞栓症(毛細血管床減少)・貧血。●DLcoが保たれる/上昇=気管支喘息(気道閉塞主体)・肺胞出血や多血症(上昇)。●拡散障害の機序=膜の肥厚・有効面積の減少・血流の減少。
選択肢ごとの解説
- ① 肺気腫は肺胞壁破壊でガス交換面が減り、DLcoが低下する。
- ② 肺切除後は肺胞面積が減り、DLcoが低下する。
- ③ 間質性肺炎は肺胞隔壁の肥厚でガス交換が妨げられ、DLcoが低下する。
- ④ 気管支喘息は気道閉塞が主体でガス交換面は保たれ、DLcoは低下しない。
- ⑤ 肺血栓塞栓症は肺毛細血管床の減少でDLcoが低下する。
第71回 午前20(臨床生理学)
室内気吸入時の動脈血ガス分析で基準範囲内にあるのはどれか。
- ①pH 7.00
- ②PaO₂ 70 mmHg
- ③PaCO₂ 40 mmHg
- ④HCO₃⁻ 30 mmol/L
- ⑤BE +5 mmol/L
正答: ③PaCO₂ 40 mmHg
ポイント
室内気吸入時の動脈血ガス分析の基準範囲は、おおむねpH 7.35〜7.45、PaO₂ 80〜100mmHg、PaCO₂ 35〜45mmHg、HCO₃⁻(重炭酸イオン) 22〜26mmol/L、塩基過剰(BE) ±2mmol/Lである。PaCO₂ 40mmHgのみが基準範囲内で、他はすべて逸脱している。●酸塩基平衡の指標=pH・PaCO₂(呼吸性)・HCO₃⁻とBE(代謝性)。●呼吸性アシドーシス=PaCO₂上昇・pH低下。●代謝性アシドーシス=HCO₃⁻低下・BE負。●代謝性アルカローシス=HCO₃⁻上昇・BE正。●酸素化の指標=PaO₂・SaO₂(酸素飽和度)。
選択肢ごとの解説
- ① pH 7.00は高度のアシデミアで基準範囲外である。
- ② PaO₂ 70mmHgは基準(80〜100)未満で低酸素血症であり、基準範囲外である。
- ③ PaCO₂ 40mmHgは基準範囲内である。
- ④ HCO₃⁻ 30mmol/Lは基準(22〜26)を超える高値で、基準範囲外である。
- ⑤ BE +5mmol/Lは基準(±2)を超える塩基過剰で、基準範囲外である。
📋 まとめの表を見る:動脈血ガス分析の基準範囲
BE(過剰塩基)は代謝性因子の指標。BEが正常なら酸塩基異常は呼吸性、-2以下なら代謝性アシドーシス、+2以上なら代謝性アルカローシスを示唆する。
第71回 午前21(臨床生理学)
ニューロンの活動電位の始まりを担うイオンはどれか。
正答: ⑤Na⁺
ポイント
ニューロンの活動電位は、刺激で膜電位が閾値に達すると電位依存性ナトリウムチャネルが開き、Na⁺が細胞内へ急速に流入することで脱分極(立ち上がり)が起こり始まる。続いて電位依存性カリウムチャネルが開きK⁺が流出して再分極する。●活動電位の各相=脱分極(Na⁺流入)・再分極(K⁺流出)・過分極(K⁺チャネルの遅い閉鎖)。●Ca²⁺の役割=神経終末での伝達物質放出・心筋活動電位のプラトー相。●静止膜電位=主にK⁺の平衡電位とNa⁺-K⁺ポンプで維持。●Cl⁻=抑制性シナプス(過分極)に関与。
選択肢ごとの解説
- ① Ca²⁺は神経終末での伝達物質放出や心筋活動電位のプラトーに関与するが、活動電位の立ち上がりの主役ではない。
- ② Cl⁻は抑制性(過分極)に関与し、活動電位の立ち上がりは担わない。
- ③ K⁺は再分極(下降相)を担うイオンで、立ち上がりの主役ではない。
- ④ Mg²⁺は活動電位の立ち上がりには直接関与しない。
- ⑤ Na⁺の細胞内流入が脱分極を起こし、活動電位が始まる。
第71回 午前22(臨床生理学)
反復神経刺激検査で検出できる機能障害の部位はどれか。
- ①大脳運動野
- ②脊髄
- ③末梢神経
- ④神経筋接合部
- ⑤骨格筋
正答: ④神経筋接合部
ポイント
反復神経刺激検査は末梢神経を一定頻度で連続刺激し、得られる筋の複合筋活動電位の振幅の変化を観察する検査で、神経筋接合部の障害を評価する。重症筋無力症では低頻度刺激で振幅が漸減(waning)し、Lambert-Eaton筋無力症候群では高頻度刺激で振幅が漸増(waxing)する。●神経筋接合部の評価=反復神経刺激検査・単線維筋電図。●大脳運動野=経頭蓋磁気刺激(運動誘発電位)。●末梢神経=神経伝導検査。●脊髄前角・骨格筋=針筋電図。●代表疾患=重症筋無力症(waning)・Lambert-Eaton症候群(waxing)。
選択肢ごとの解説
- ① 大脳運動野の評価は経頭蓋磁気刺激などで行い、この検査の対象ではない。
- ② 脊髄前角細胞の障害評価ではない。
- ③ 末梢神経自体の評価は神経伝導検査で行う。
- ④ 反復刺激での振幅変化から神経筋接合部の障害を評価する。
- ⑤ 骨格筋自体の障害評価は針筋電図で行う。
第71回 午前23(臨床生理学)
健常成人の脳波を別に示す。睡眠段階はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA023.bf772d5719.jpg

- ①Stage W
- ②Stage N1
- ③Stage N2
- ④Stage N3
- ⑤Stage R
正答: ③Stage N2
ポイント
睡眠段階N2は紡錘波(睡眠紡錘、12〜14Hz)とK複合波の出現が特徴で、図の脳波にはこれらがみられN2と判定される。睡眠段階は脳波・眼球運動・筋電図の所見で分類される。●Stage W(覚醒)=後頭部優位のα波・速波。●Stage N1(入眠期)=α波の減少・低振幅化・頭頂鋭波。●Stage N2=睡眠紡錘波とK複合波。●Stage N3(深睡眠)=高振幅徐波(δ波)が優位。●Stage R(レム睡眠)=低振幅速波・急速眼球運動・筋緊張低下。
選択肢ごとの解説
- ① Stage Wは覚醒で、後頭部にα波がみられる。
- ② Stage N1は入眠期で、低振幅化や頭頂鋭波がみられる。
- ③ Stage N2は睡眠紡錘波とK複合波が特徴で、図に合致する。
- ④ Stage N3は高振幅徐波(δ波)が優位な深睡眠である。
- ⑤ Stage Rはレム睡眠で、急速眼球運動と低振幅波を伴う。
📋 まとめの表を見る:睡眠段階(AASM分類)と脳波所見
睡眠ステージ1(N1)からステージ2(N2)への移行は、紡錘波の出現で判断する。旧Rechtschaffen & Kales分類のStage3・4はAASM分類でStage N3に統一された。
第71回 午前24(臨床生理学)
脳波を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA024.eb956285be.jpg

- ①West症候群
- ②欠神てんかん
- ③Creutzfeldt-Jakob病
- ④ミオクロニーてんかん
- ⑤Lennox-Gastaut症候群
正答: ③Creutzfeldt-Jakob病
ポイント
Creutzfeldt-Jakob病では周期性同期性放電(PSD)とよばれる約0.5〜1秒周期の同期性の鋭波・三相波が特徴的で、急速進行性の認知症やミオクローヌスを伴う。図の脳波はこのPSDを示す。各疾患は特徴的な脳波パターンをもつ。●Creutzfeldt-Jakob病=周期性同期性放電(PSD)。●West症候群=ヒプスアリスミア(無秩序な高振幅徐波と多焦点性棘波)。●欠神てんかん=3Hz棘徐波複合。●若年ミオクロニーてんかん=多棘徐波複合。●Lennox-Gastaut症候群=2Hz前後の遅棘徐波複合。●亜急性硬化性全脳炎=周期性同期性放電。
選択肢ごとの解説
- ① West症候群はヒプスアリスミア(無秩序な高振幅波)が特徴で、PSDとは異なる。
- ② 欠神てんかんは3Hz棘徐波複合が特徴で、PSDとは異なる。
- ③ Creutzfeldt-Jakob病は周期性同期性放電(PSD)を示し、図に合致する。
- ④ ミオクロニーてんかんは多棘徐波がみられ、PSDとは異なる。
- ⑤ Lennox-Gastaut症候群は2Hz前後の遅い棘徐波が特徴で、PSDとは異なる。
第71回 午前25(臨床生理学)
体表からの超音波検査で使用する探触子の周波数が最も低いのはどれか。
正答: ②心臓
ポイント
超音波は周波数が高いほど分解能が向上するが減衰しやすく深部に届きにくいため、観察部位の深さに応じて探触子の周波数を選ぶ。体表から最も深い位置にある心臓は低い周波数(約2〜3.5MHz)のセクタ型探触子を用いる。体表に近い乳腺や頸動脈は高い周波数(約7〜12MHz)を用いる。●低周波数(深部)=心臓・腹部深部臓器。●中周波数=肝臓・膵臓など腹部臓器(約3〜5MHz)。●高周波数(浅部)=乳腺・甲状腺・頸動脈・体表(約7〜15MHz)。●原理=周波数が高いほど分解能が高く減衰が大きく到達深度が小さい、低いほど分解能が低く到達深度が大きい。
選択肢ごとの解説
- ① 肝臓は腹部用の中程度の周波数(3〜5MHz)を用いる。
- ② 心臓は深部にあり、最も低い周波数を用いる。
- ③ 膵臓も腹部用の中程度の周波数を用いる。
- ④ 乳腺は体表に近く、高い周波数を用いる。
- ⑤ 頸動脈は体表に近く、高い周波数を用いる。
第71回 午前26(臨床生理学)
心エコーで連続波ドプラ法を使用するのはどれか。
- ①e′
- ②E/A
- ③左室駆出率
- ④肺体血流比
- ⑤右室収縮期圧
正答: ⑤右室収縮期圧
ポイント
連続波ドプラ法は超音波ビーム上の血流速度を折り返し(エイリアシング)なく計測できるため、高速血流の評価に適する。三尖弁逆流の最高速度を簡易ベルヌーイ式(ΔP=4V²)に当てはめ、これに推定右房圧を加えて右室収縮期圧(肺高血圧の指標)を推定する。一方、組織運動や血流量・容積の評価には連続波ドプラ法は用いない。●ドプラ法の種類=連続波ドプラ(高流速・距離分解能なし)・パルスドプラ(任意の深さの低〜中流速)・カラードプラ(血流の方向と分布の面表示)・組織ドプラ(心筋運動の低速・高振幅信号)。●連続波ドプラで評価する高流速=三尖弁逆流(右室圧・肺高血圧)・大動脈弁狭窄の圧較差・僧帽弁逆流・心室中隔欠損の短絡血流。●左室機能の指標=駆出率(Bモード/容積計測)・E/A・e′(拡張能)。
選択肢ごとの解説
- ① e′は僧帽弁輪の長軸方向運動で、低速・高振幅の組織信号を捉える組織ドプラ法で計測する。
- ② E/Aは僧帽弁口の拡張早期波と心房収縮期波の比で、任意の深さの低〜中流速をみるパルスドプラ法を用いる。
- ③ 左室駆出率は拡張末期・収縮末期の左室容積から算出するもので、ドプラ法ではなくBモードや容積計測による。
- ④ 肺体血流比は肺動脈と大動脈の断面積とドプラ流速から流量を求めて算出するもので、連続波ドプラ単独の高流速計測ではない。
- ⑤ 右室収縮期圧は三尖弁逆流の高速ジェットを連続波ドプラ法で計測し、簡易ベルヌーイ式から推定する。
📋 まとめの表を見る:ドプラ法の種類と用途
第71回 午前27(臨床生理学)
健常者の右肋間走査の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA027.ad87f64f49.jpg

正答: ①門脈
ポイント
右肋間走査の肝断面では、門脈はグリソン鞘(結合組織鞘)に包まれて走るため壁が厚く高エコーに縁取られた管腔としてみえる。これに対し肝静脈は壁が薄く高エコーの縁取りに乏しく、下大静脈へ向かって扇状に集束する。矢印が壁の明瞭な管腔を指すことから門脈と判断される。●肝内の脈管の鑑別点=門脈は壁高エコーで縁取りが明瞭(グリソン鞘内を肝動脈・胆管と伴走)、肝静脈は壁が薄く下大静脈へ集まる。●肝区域の指標=肝静脈(右・中・左)が区域の境界を、門脈枝が区域の中心を走る(Couinaud分類)。●門脈の血流=求肝性(肝へ向かう)で、肝静脈は遠肝性(下大静脈・心臓へ向かう)。
選択肢ごとの解説
- ① 門脈はグリソン鞘に包まれて走るため壁が厚く高エコーに縁取られ、肝門部から肝内へ分岐する。矢印が指す壁の明瞭な管腔がこれにあたる。
- ② 肝動脈は門脈に伴走する細い血管で、通常この断面で太い主管腔としては描出されない。
- ③ 左肝静脈は壁が薄く高エコーの縁取りに乏しく、肝左葉から下大静脈へ向かう。
- ④ 中肝静脈は肝の正中付近(左葉と右葉の境界)を走り、下大静脈へ注ぐ薄壁の静脈である。
- ⑤ 右肝静脈は肝右葉を走り下大静脈へ注ぐ薄壁の静脈で、壁の縁取りが明瞭な門脈とは異なる。
第71回 午前28(臨床生理学)
乳房の超音波像を別に示す。乳腺実質はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA028.debc833d20.jpg

正答: ②
ポイント
乳房超音波では浅部から深部へ、皮膚・低エコーの皮下脂肪層・やや高エコーで乳管や小葉を含む乳腺実質・乳腺後隙の脂肪・大胸筋・肋骨と層構造が並ぶ。乳腺実質は皮下脂肪より高エコーで内部に乳管や脂肪が混在する層としてみえ、設問では②が相当する。●乳房超音波の層構造(浅→深)=皮膚・皮下脂肪(前方脂肪)・乳腺実質(高エコー)・乳腺後隙(後方脂肪)・大胸筋・肋骨・胸膜。●乳腺の正常構造=乳管(乳頭へ集束)・小葉(乳汁産生単位)・Cooper靱帯。●乳腺の評価指標=腫瘤の形状・境界・内部エコー・後方エコー(BI-RADS的所見)。
選択肢ごとの解説
- ① ①は最も浅い皮膚から皮下脂肪層に相当し、乳腺実質ではない。
- ② ②は皮下脂肪より深部にあるやや高エコーの層で、乳管や小葉を含む乳腺実質に相当する。
- ③ ③は乳腺の深部にある乳腺後隙(後方脂肪)に相当し、乳腺実質ではない。
- ④ ④は乳腺後隙のさらに深部に位置する大胸筋に相当する。
- ⑤ ⑤は最深部の肋骨など骨性構造に相当する。
第71回 午前29(臨床化学)
無機質の動態で誤っているのはどれか。
- ①腎不全により高マグネシウム血症をきたす。
- ②副甲状腺機能低下症により高無機リン血症をきたす。
- ③代謝性アルカローシスにより高カリウム血症をきたす。
- ④異所性PTH産生腫瘍により高カルシウム血症をきたす。
- ⑤原発性アルドステロン症により高ナトリウム血症をきたす。
正答: ③代謝性アルカローシスにより高カリウム血症をきたす。
ポイント
代謝性アルカローシスでは細胞外の水素イオン減少を代償するため細胞内から水素イオンが出て、代わりにカリウムが細胞内へ移動し、さらに腎尿細管でのカリウム排泄も亢進するため低カリウム血症をきたす。したがって『代謝性アルカローシスにより高カリウム血症』は誤りで、高カリウム血症を生じやすいのは逆にアシドーシスである。他の選択肢は無機質動態として正しい。●電解質異常の代表的機序=高マグネシウム血症(腎不全で排泄低下)・高無機リン血症(副甲状腺機能低下・腎不全)・高カルシウム血症(副甲状腺機能亢進・悪性腫瘍のPTHrPやPTH異所性産生)・高ナトリウム血症(原発性アルドステロン症・尿崩症・脱水)。●酸塩基平衡とカリウム=アシドーシスで高カリウム・アルカローシスで低カリウムへ傾く。
選択肢ごとの解説
- ① 腎不全では糸球体濾過低下によりマグネシウムの排泄が滞り、高マグネシウム血症をきたす。
- ② 副甲状腺ホルモン(PTH)低下で腎でのリン排泄が減少し、高無機リン血症をきたす。
- ③ 誤り。代謝性アルカローシスではカリウムが細胞内へ移動し腎排泄も増えるため低カリウム血症となり、高カリウム血症は生じない。
- ④ 副甲状腺ホルモンの異所性産生腫瘍では骨吸収亢進と腎でのカルシウム再吸収増加により高カルシウム血症をきたす。
- ⑤ 原発性アルドステロン症ではアルドステロン過剰でナトリウム再吸収が亢進し、高ナトリウム血症をきたす。
第71回 午前30(臨床化学)
蛋白で誤っているのはどれか。
- ①セルロプラスミンは銅を運搬する。
- ②フェリチンは肝臓に多く分布している。
- ③トランスサイレチンはビタミンAの代謝に関与する。
- ④レチノール結合蛋白の血中半減期は約12時間である。
- ⑤トランスフェリンは1分子に約3,000個の鉄原子を含有する。
正答: ⑤トランスフェリンは1分子に約3,000個の鉄原子を含有する。
ポイント
トランスフェリンは1分子あたり鉄(三価鉄)を2個結合して運搬する血漿の鉄輸送蛋白であり、『約3,000個』は誤りである。多数の鉄原子(最大約4,500個といわれる)を内部に貯蔵するのは鉄貯蔵蛋白フェリチンであり、両者を混同したものである。他の選択肢は金属運搬蛋白や栄養関連蛋白の記述として正しい。●金属を運搬・貯蔵する蛋白=トランスフェリン(鉄運搬・鉄2個)・フェリチン(鉄貯蔵)・セルロプラスミン(銅運搬・フェロキシダーゼ活性)・ヘモジデリン(鉄貯蔵)。●ビタミン運搬に関与=トランスサイレチン(プレアルブミン。甲状腺ホルモンとレチノール結合蛋白を運搬)・レチノール結合蛋白(ビタミンA運搬)。●急速代謝回転蛋白(短期栄養指標)=レチノール結合蛋白(約12時間)・トランスサイレチン(約2日)・トランスフェリン(約7日)。
選択肢ごとの解説
- ① セルロプラスミンは銅を結合して運搬し、フェロキシダーゼ活性をもつ血漿蛋白である。
- ② フェリチンは鉄貯蔵蛋白で、肝臓・脾臓・骨髄などに多く分布する。
- ③ トランスサイレチンは甲状腺ホルモンやレチノール結合蛋白を運搬し、ビタミンA代謝に関与する。
- ④ レチノール結合蛋白は半減期が約12時間と短く、短期の栄養指標として用いられる。
- ⑤ 誤り。トランスフェリンは1分子に鉄を2個結合して運搬するもので、約3,000個を含有するという記述は鉄貯蔵蛋白フェリチンと取り違えたものである。
第71回 午前31(臨床化学)
ホルモンで正しいのはどれか。
- ①TSHはBasedow病で高値を示す。
- ②ACTHはCushing病で低値を示す。
- ③C-ペプチドはインスリノーマで低値を示す。
- ④ガストリンはZollinger-Ellison症候群で高値を示す。
- ⑤ADHは抗利尿ホルモン不適合分泌症候群〈SIADH〉で低値を示す。
正答: ④ガストリンはZollinger-Ellison症候群で高値を示す。
ポイント
Zollinger-Ellison症候群はガストリンを過剰産生する腫瘍(ガストリノーマ、多くは膵・十二指腸)が原因で、ガストリンが高値となり胃酸分泌が亢進して難治性・多発性の消化性潰瘍を起こすため、この選択肢が正しい。他の選択肢はいずれもホルモンの増減が逆になっている。●ホルモンとフィードバック=Basedow病は甲状腺ホルモン過剰でTSHは抑制(低値)、Cushing病は下垂体のACTH過剰で高値、インスリノーマはインスリン・C-ペプチドともに高値、SIADHはADH過剰分泌で低ナトリウム血症をきたす。●ホルモン産生腫瘍=ガストリノーマ(ガストリン)・インスリノーマ(インスリン)・グルカゴノーマ(グルカゴン)・褐色細胞腫(カテコールアミン)。
選択肢ごとの解説
- ① Basedow病では甲状腺ホルモンが過剰となりネガティブフィードバックでTSHは抑制され、低値を示す。
- ② Cushing病は下垂体腺腫によるACTH過剰分泌が原因で、ACTHは高値を示す。
- ③ インスリノーマではインスリン分泌が亢進し、内因性分泌の指標であるC-ペプチドも高値を示す。
- ④ Zollinger-Ellison症候群はガストリン産生腫瘍で、ガストリンが高値となり胃酸過多から難治性潰瘍を起こす。
- ⑤ 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)はADHの過剰分泌が本態で、ADHは高値を示す。
第71回 午前32(臨床化学)
コレステロールから生成されるのはどれか。
- ①黄体ホルモン
- ②成長ホルモン
- ③副甲状腺ホルモン
- ④卵胞刺激ホルモン
- ⑤ヒト絨毛性ゴナドトロピン
正答: ①黄体ホルモン
ポイント
コレステロールはステロイド骨格をもち、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどのステロイドホルモン、胆汁酸、ビタミンDの共通の前駆物質となる。黄体ホルモン(プロゲステロン)はステロイドホルモンであり、コレステロールから合成経路上で生成される。他の選択肢はいずれもアミノ酸からなるペプチドホルモンや糖蛋白ホルモンで、コレステロール由来ではない。●コレステロール由来のステロイドホルモン=プロゲステロン(黄体ホルモン)・エストロゲン・テストステロン・コルチゾール・アルドステロン。●ペプチドホルモン=成長ホルモン・副甲状腺ホルモン・インスリン・グルカゴン。●糖蛋白ホルモン=卵胞刺激ホルモン(FSH)・黄体形成ホルモン(LH)・甲状腺刺激ホルモン(TSH)・ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)。
選択肢ごとの解説
- ① 黄体ホルモン(プロゲステロン)はステロイドホルモンで、コレステロールを前駆物質として生成される。
- ② 成長ホルモンはアミノ酸からなるペプチドホルモンで、コレステロール由来ではない。
- ③ 副甲状腺ホルモンはペプチドホルモンで、コレステロール由来ではない。
- ④ 卵胞刺激ホルモンは糖鎖をもつ糖蛋白ホルモンで、コレステロール由来ではない。
- ⑤ ヒト絨毛性ゴナドトロピンは糖蛋白ホルモンで、コレステロール由来ではない。
第71回 午前33(臨床化学)
蛋白質に糖鎖の付加が行われるのはどれか。
正答: ③ゴルジ装置
ポイント
蛋白質への糖鎖付加(糖鎖修飾、グリコシル化)は粗面小胞体で始まり、主にゴルジ装置で糖鎖の修飾・延長が完成される。ゴルジ装置は合成された蛋白の修飾・選別・輸送を担う細胞小器官である。リボソームは蛋白合成、リソソームは加水分解酵素による分解、核は遺伝情報の保持と転写の場であり、いずれも糖鎖付加を主には行わない。●細胞小器官の主な機能=核(DNA保持・転写)・リボソーム(翻訳=蛋白合成)・小胞体(蛋白の折りたたみ・糖鎖付加開始、滑面小胞体は脂質合成)・ゴルジ装置(糖鎖修飾の完成・選別・輸送)・リソソーム(分解)・ミトコンドリア(ATP産生)。●翻訳後修飾=糖鎖付加・リン酸化・アセチル化・ユビキチン化。
選択肢ごとの解説
- ① 核は遺伝情報の保持と転写の場であり、糖鎖付加は行わない。
- ② 細胞膜は物質の出入りや受容体の場で、糖鎖付加の主たる場ではない。
- ③ ゴルジ装置は小胞体で始まった糖鎖付加を完成させ、蛋白の修飾・選別・輸送を担う。
- ④ リソソームは加水分解酵素により物質を分解する細胞小器官で、糖鎖付加は行わない。
- ⑤ リボソームはmRNAの情報をもとに蛋白質を合成(翻訳)する場である。
第71回 午前34(臨床化学)
血漿中でアルブミンと結合しているのはどれか。
- ①ケトン体
- ②リン脂質
- ③遊離脂肪酸
- ④コレステロール
- ⑤トリグリセライド
正答: ③遊離脂肪酸
ポイント
血漿アルブミンは遊離脂肪酸・ビリルビン・薬物・カルシウムなど水に溶けにくい物質を結合して運搬する役割をもつ。遊離脂肪酸は脂溶性で水に溶けにくいため、アルブミンと結合して血中を運ばれる。一方、コレステロール・トリグリセライド・リン脂質はリポ蛋白に組み込まれて運搬され、ケトン体は水溶性でそのまま血中を移動する。●アルブミンが運搬する物質=遊離脂肪酸・非抱合型ビリルビン・カルシウム・蛋白結合型の薬物・一部のホルモン。●リポ蛋白で運ばれる脂質=コレステロール・コレステロールエステル・トリグリセライド・リン脂質(カイロミクロン・VLDL・LDL・HDL)。●水溶性で単独で移動=グルコース・ケトン体・乳酸。
選択肢ごとの解説
- ① ケトン体は水溶性で、特定の運搬蛋白を要さずそのまま血中を移動する。
- ② リン脂質はリポ蛋白の表層を構成する成分として運ばれ、アルブミンとは結合しない。
- ③ 遊離脂肪酸は水に溶けにくいため、血漿中ではアルブミンと結合して運搬される。
- ④ コレステロールはリポ蛋白(LDL・HDLなど)に組み込まれて運ばれる。
- ⑤ トリグリセライドはカイロミクロンやVLDLなどのリポ蛋白として運ばれる。
第71回 午前35(臨床化学)
血清クレアチニンが低下するのはどれか。
正答: ②妊娠
ポイント
血清クレアチニンは筋肉で産生され腎から排泄されるため、筋肉量と腎機能(糸球体濾過量)を反映する。妊娠では循環血漿量の増加と糸球体濾過量の増加により希釈・排泄が進み、血清クレアチニンは低下する。脱水・腎不全・うっ血性心不全では糸球体濾過量低下や排泄低下で上昇し、先端巨大症では筋肉量増加により上昇傾向となる。●血清クレアチニンが上昇する病態=腎不全・脱水・うっ血性心不全(腎前性)・尿路閉塞・横紋筋融解・筋量増加(先端巨大症・運動)。●低下する病態=妊娠・筋萎縮・長期臥床・筋ジストロフィー(筋量減少)。●腎機能の関連指標=eGFR・クレアチニンクリアランス・尿素窒素・シスタチンC(筋量に影響されにくい)。
選択肢ごとの解説
- ① 脱水では循環血漿量低下により糸球体濾過量が下がり、血清クレアチニンは上昇する。
- ② 妊娠では循環血漿量と糸球体濾過量が増加し、血清クレアチニンは低下する。
- ③ 腎不全では糸球体濾過量低下による排泄低下でクレアチニンが上昇する。
- ④ 先端巨大症では成長ホルモン過剰により筋肉量が増え、クレアチニンは上昇しやすい。
- ⑤ うっ血性心不全では腎血流低下(腎前性)により糸球体濾過量が下がり、クレアチニンは上昇しうる。
第71回 午前36(臨床化学)
血清量0.05 mL、試薬量3.1 mL、光路長1.0 cmの条件でLD活性を測定したところ、1分間当たりの吸光度変化量が0.020であった。NADHのモル吸光係数を6.3 × 10³ L・mol⁻¹・cm⁻¹とすると、活性値(U/L)はどれか。
正答: ④200
ポイント
酵素活性(U/L)は ΔA/min ÷(モル吸光係数×光路長)×(反応液全量/検体量)×10⁶ で算出する。反応液全量は血清0.05mLと試薬3.1mLの合計3.15mLである。0.020÷(6.3×10³×1.0)×(3.15/0.05)×10⁶=(0.020/6300)×63×10⁶ を計算すると約200 U/Lとなる。LD(乳酸脱水素酵素)のJSCC標準化対応法は乳酸→ピルビン酸の反応で生成するNADHの340nm吸光度変化(増加)を追う紫外部測定法である(ピルビン酸→乳酸の逆反応を用いる測定法では減少を追う)。●酵素活性測定の紫外部法=NAD(P)Hの340nm吸光度変化を追跡(LD・ALT・AST・CKなど)。●1ユニット(U)の定義=至適条件下で1分間に1μmol(マイクロモル)の基質を変化させる酵素量。●計算で必要な係数=モル吸光係数・光路長・希釈倍率(反応液量/検体量)・換算係数10⁶(mol→μmol)。
選択肢ごとの解説
- ① 20は計算値の約10分の1で、希釈倍率の取り扱いを誤った値であり該当しない。
- ② 50は計算値より小さく、該当しない。
- ③ 100は計算値の半分で、該当しない。
- ④ 0.020÷(6.3×10³)×(3.15/0.05)×10⁶=約200 U/Lで一致する。
- ⑤ 500は計算値より大きく、該当しない。
第71回 午前37(臨床化学)
肝細胞癌に対して特異性が高いのはどれか。2つ選べ。
- ①AFP
- ②CA15-3
- ③PIVKA-Ⅱ
- ④PSA
- ⑤SLX
正答: ①AFP・③PIVKA-Ⅱ
ポイント
肝細胞癌に対して特異性が高い腫瘍マーカーはAFP(α-フェトプロテイン)とPIVKA-Ⅱ(ビタミンK欠乏または拮抗薬存在下で産生される異常プロトロンビン)である。両者は産生機序が異なるため併用すると検出感度が高まる。CA15-3は乳癌、PSAは前立腺癌、SLX(シアリルLeˣ-i抗原)は肺腺癌などのマーカーである。●肝細胞癌のマーカー=AFP・AFP-L3分画・PIVKA-Ⅱ。●臓器別の代表的腫瘍マーカー=乳癌(CA15-3)・前立腺癌(PSA)・卵巣癌(CA125)・膵癌(CA19-9)・大腸癌(CEA・CA19-9)・肺小細胞癌(NSE・ProGRP)・肺腺癌(CEA・SLX)。
選択肢ごとの解説
- ① AFPは肝細胞癌で上昇する代表的腫瘍マーカーである。
- ② CA15-3は乳癌で上昇する腫瘍マーカーで、肝細胞癌には特異的でない。
- ③ PIVKA-Ⅱは肝細胞癌で産生される異常プロトロンビンで、AFPと相補的に用いられる。
- ④ PSAは前立腺癌で上昇する腫瘍マーカーで、肝細胞癌には特異的でない。
- ⑤ SLXは肺腺癌などで上昇する腫瘍マーカーで、肝細胞癌には特異的でない。
第71回 午前38(臨床化学)
血漿カルシウムで正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①イオン型は電極法で測定する。
- ②アルカレミアではイオン型が上昇する。
- ③生理活性として作用するのはイオン型である。
- ④総カルシウム量の30%がイオン型として存在する。
- ⑤蛋白結合型の多くはα₁-グロブリンと結合している。
正答: ①イオン型は電極法で測定する。・③生理活性として作用するのはイオン型である。
ポイント
血漿カルシウムの約50%は生理活性をもつイオン型(遊離カルシウム)として存在し、残りはアルブミンを主とする蛋白結合型と、リン酸・クエン酸などとの複合体型として存在する。イオン型はイオン選択電極(電極法)で直接測定され、生体内で神経・筋・凝固などの生理作用を担うのもこのイオン型である。したがって電極法測定と生理活性の2つが正しい。アルカレミア(アルカローシス)ではアルブミンの負電荷が増えてカルシウム結合が増すため、イオン型はむしろ低下する。●カルシウムの存在形態=イオン型(約50%・活性型)・蛋白結合型(主にアルブミン・約40%)・複合体型(約10%)。●イオン型を変動させる要因=pH(アルカローシスで低下・アシドーシスで上昇)・アルブミン濃度。●カルシウム調節ホルモン=副甲状腺ホルモン(上昇)・活性型ビタミンD(上昇)・カルシトニン(低下)。
選択肢ごとの解説
- ① イオン型カルシウムはイオン選択電極(電極法)で測定する。
- ② アルカレミアではアルブミンへのカルシウム結合が増えてイオン型は低下するため、上昇という記述は誤り。
- ③ 神経・筋・凝固などの生理活性を示すのはイオン型カルシウムである。
- ④ イオン型は総カルシウムの約50%を占めるため、30%という記述は誤り。
- ⑤ 蛋白結合型カルシウムの多くはアルブミンと結合しており、α₁-グロブリンではない。
第71回 午前39(臨床化学)
血清アルブミンで正しいのはどれか。
- ①劇症肝炎で上昇する。
- ②半減期は約7日である。
- ③座位よりも臥位での採血で低い。
- ④総カルシウム濃度と負の相関がある。
- ⑤健常人では1日1 g程度が尿中に排出される。
正答: ③座位よりも臥位での採血で低い。
ポイント
臥位では立位・座位に比べて間質から血管内へ水分が移行して血液が希釈されるため、アルブミンなど高分子成分は座位採血より低値となる。劇症肝炎では肝の蛋白合成能が著しく低下しアルブミンは低下し、その半減期は約3週間と長い。アルブミンはカルシウムを結合するため総カルシウム濃度とは正の相関を示し、健常者では尿中にほとんど排泄されない。●体位による検査値変動=臥位で低下(アルブミン・総蛋白・ヘモグロビン・脂質など高分子は希釈)。●アルブミンが低下する病態=肝硬変・劇症肝炎(合成低下)・ネフローゼ症候群(尿中喪失)・低栄養・炎症(負の急性期蛋白)。●アルブミン関連の補正=補正カルシウム(低アルブミン時に総カルシウムを補正)。
選択肢ごとの解説
- ① 劇症肝炎では肝の合成能が低下するため、アルブミンは上昇せず低下する。
- ② アルブミンの半減期は約3週間(約17〜21日)で、約7日という記述は誤り。
- ③ 臥位では血液が希釈されるため、座位より血清アルブミンは低値となる。
- ④ アルブミンはカルシウムを結合するため総カルシウムと正の相関を示し、負の相関という記述は誤り。
- ⑤ 健常者では尿中にアルブミンはほとんど排出されず、1日1g程度という記述は誤り。
第71回 午前40(臨床化学)
酵素のKm値が10 mmol/Lの場合、最大反応速度の95%で反応させるための基質濃度(mmol/L)はどれか。ただし、酵素反応速度はMichaelis-Mentenの式に従うものとする。
正答: ⑤190
ポイント
Michaelis-Mentenの式 v=Vmax・S/(Km+S) に v=0.95Vmax を代入して整理すると、0.95(Km+S)=S より S=Km×0.95/(1−0.95)=Km×19 となる。Km=10 mmol/L なので S=10×19=190 mmol/L が求める基質濃度である。最大反応速度に近づくほど必要な基質濃度は急激に増える(基質濃度はKmの19倍)。●Michaelis-Mentenの式に基づく関係=S=Kmのとき v=Vmax/2(Kmの定義)・v=0.9Vmaxのとき S=9Km・v=0.95Vmaxのとき S=19Km。●Kmの意味=最大速度の半分を与える基質濃度で、酵素と基質の親和性の指標(小さいほど親和性が高い)。●関連する解析=Lineweaver-Burkプロット(二重逆数プロットでKm・Vmaxを求める)。
選択肢ごとの解説
- ① 70はS=19Kmの関係に合わず、該当しない。
- ② 95はS=19Kmの関係に合わず、該当しない。
- ③ 110はS=19Kmの関係に合わず、該当しない。
- ④ 145はS=19Kmの関係に合わず、該当しない。
- ⑤ S=Km×0.95/(1−0.95)=Km×19=10×19=190 mmol/Lとなる。
第71回 午前41(臨床化学)
ビタミンと欠乏症の組合せで正しいのはどれか。
- ①ビタミンA — 新生児メレナ
- ②ビタミンC — 夜盲症
- ③ビタミンD — 巨赤芽球性貧血
- ④ビタミンE — 新生児溶血性貧血
- ⑤ビタミンK — 脚気
正答: ④ビタミンE — 新生児溶血性貧血
ポイント
ビタミンEは脂溶性の抗酸化物質で、細胞膜の不飽和脂肪酸を酸化から守る。欠乏すると赤血球膜が酸化障害を受けて溶血しやすくなり、特に未熟児・新生児では新生児溶血性貧血を起こす。よってこの組合せが正しい。他は組合せが誤りで、夜盲症はビタミンA欠乏、脚気はビタミンB₁欠乏、新生児メレナはビタミンK欠乏、巨赤芽球性貧血はビタミンB₁₂・葉酸欠乏による。●脂溶性ビタミンと欠乏症=ビタミンA(夜盲症・角膜乾燥)・ビタミンD(くる病・骨軟化症)・ビタミンE(新生児溶血性貧血・神経障害)・ビタミンK(新生児メレナ・出血傾向)。●水溶性ビタミンと欠乏症=ビタミンB₁(脚気・Wernicke脳症)・ビタミンB₁₂/葉酸(巨赤芽球性貧血)・ビタミンC(壊血病)・ナイアシン(ペラグラ)。
選択肢ごとの解説
- ① ビタミンA欠乏は夜盲症などを起こし、新生児メレナはビタミンK欠乏によるため、組合せは誤り。
- ② ビタミンC欠乏は壊血病を起こし、夜盲症はビタミンA欠乏によるため、組合せは誤り。
- ③ ビタミンD欠乏はくる病・骨軟化症を起こし、巨赤芽球性貧血はビタミンB₁₂・葉酸欠乏によるため、組合せは誤り。
- ④ ビタミンE欠乏は赤血球膜の酸化障害により新生児溶血性貧血を起こすため、組合せは正しい。
- ⑤ ビタミンK欠乏は新生児メレナを起こし、脚気はビタミンB₁欠乏によるため、組合せは誤り。
📋 まとめの表を見る:ビタミンと主な欠乏症
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12・葉酸のいずれの欠乏でも生じる。脚気(ビタミンB1欠乏)とペラグラ(ナイアシン欠乏)、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)を取り違えないよう注意する。
第71回 午前42(臨床化学)
脂肪細胞から分泌されるのはどれか。2つ選べ。
- ①レプチン
- ②インスリン
- ③ガストリン
- ④インクレチン
- ⑤アディポネクチン
正答: ①レプチン・⑤アディポネクチン
ポイント
脂肪細胞は単なる脂肪貯蔵組織ではなく内分泌器官として働き、アディポサイトカインと総称される生理活性物質を分泌する。レプチンは視床下部に作用して食欲を抑制し、アディポネクチンはインスリン感受性を高め抗動脈硬化作用をもつ。インスリンは膵β細胞、ガストリンは胃のG細胞、インクレチン(GLP-1・GIP)は消化管から分泌される。●脂肪細胞由来のアディポサイトカイン=レプチン(食欲抑制)・アディポネクチン(インスリン感受性亢進)・TNF-α・レジスチン・PAI-1。●膵島ホルモン=インスリン(β細胞)・グルカゴン(α細胞)・ソマトスタチン(δ細胞)。●消化管ホルモン=ガストリン・セクレチン・コレシストキニン・インクレチン(GLP-1・GIP)。
選択肢ごとの解説
- ① レプチンは脂肪細胞から分泌され、視床下部に作用して食欲を抑制する。
- ② インスリンは膵ランゲルハンス島のβ細胞から分泌される。
- ③ ガストリンは胃幽門前庭部のG細胞から分泌される消化管ホルモンである。
- ④ インクレチン(GLP-1・GIP)は消化管の内分泌細胞から分泌される。
- ⑤ アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され、インスリン感受性を高める。
第71回 午前43(臨床化学)
経口ブドウ糖負荷試験で正しいのはどれか。
- ①検体は血清を用いる。
- ②妊娠糖尿病の診断に用いられる。
- ③試験2時間前まで飲食が可能である。
- ④糖尿病と診断された患者に実施する。
- ⑤病型診断に負荷後1時間値が用いられる。
正答: ②妊娠糖尿病の診断に用いられる。
ポイント
経口ブドウ糖負荷試験は10時間以上の絶食後に75gのブドウ糖を経口負荷し、負荷前と負荷後の血漿グルコースを経時的に測定する検査で、妊娠糖尿病の診断に用いられる。すでに糖尿病と確定診断された患者には著しい高血糖を招く危険があるため通常は実施しない。検体は解糖を抑えるフッ化ナトリウム入りの採血管で得た血漿を用い、正常型・境界型・糖尿病型という耐糖能の判定には空腹時血糖と負荷後2時間値を用いる。●経口ブドウ糖負荷試験の要点=10時間以上絶食・75g負荷・血漿グルコースを0/30/60/120分などで測定・妊娠糖尿病の診断に使用。●判定基準値の指標=空腹時血糖・負荷後2時間値・HbA1c。●血糖測定の検体=フッ化ナトリウム入り採血管の血漿(解糖を抑制)。
選択肢ごとの解説
- ① 検体は解糖を抑えるフッ化ナトリウム入りの血漿を用い、血清は解糖でグルコースが低下するため適さない。
- ② 経口ブドウ糖負荷試験は妊娠糖尿病の診断に用いられる。
- ③ 試験前は10時間以上の絶食が必要で、2時間前まで飲食可という記述は誤り。
- ④ すでに糖尿病と診断された患者には著しい高血糖を招くため、通常この試験は行わない。
- ⑤ 負荷後2時間値と空腹時血糖を用いて、耐糖能を正常型・境界型・糖尿病型に判定する。1時間値をこの判定の基準とする記述は誤りである。なお、1型・2型などの成因による病型分類とは区別する。
第71回 午前44(臨床化学)
短期の栄養指標として用いられる血漿蛋白はどれか。2つ選べ。
- ①アルブミン
- ②ハプトグロビン
- ③セルロプラスミン
- ④トランスフェリン
- ⑤レチノール結合蛋白
正答: ④トランスフェリン・⑤レチノール結合蛋白
ポイント
短期の栄養状態は半減期の短い血漿蛋白(急速代謝回転蛋白、RTP)が鋭敏に反映する。トランスフェリン(半減期約7日)とレチノール結合蛋白(約12時間)が該当し、これにトランスサイレチン(プレアルブミン、約2日)を加えた3種が代表的である。アルブミンは半減期が約3週間と長く、長期の栄養指標である。ハプトグロビンやセルロプラスミンは炎症で変動する急性期蛋白で栄養指標には用いない。●急速代謝回転蛋白(短期栄養指標)=レチノール結合蛋白(約12時間)・トランスサイレチン(約2日)・トランスフェリン(約7日)。●長期栄養指標=アルブミン(約3週間)。●急性期蛋白=CRP・ハプトグロビン・セルロプラスミン・α₁-アンチトリプシン(炎症で上昇)。
選択肢ごとの解説
- ① アルブミンは半減期が約3週間と長く、長期栄養指標であり短期指標には向かない。
- ② ハプトグロビンは炎症で上昇する急性期蛋白で、栄養指標としては用いない。
- ③ セルロプラスミンも炎症で変動する急性期蛋白で、短期栄養指標ではない。
- ④ トランスフェリンは半減期が約7日で、短期の栄養指標として用いられる。
- ⑤ レチノール結合蛋白は半減期が約12時間で、短期の栄養指標として用いられる。
第71回 午前45(病理組織細胞学)
組織標本作製において脱灰の適温が最も高いのはどれか。
- ①塩酸法
- ②硝酸法
- ③トリクロロ酢酸法
- ④エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉法
- ⑤プランク・リクロ〈Plank-Rychlo〉法
正答: ④エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉法
ポイント
脱灰は骨組織の薄切を可能にするためカルシウムを除去する操作で、強酸を用いる酸脱灰(塩酸・硝酸・トリクロロ酢酸・Plank-Rychlo法)とキレート剤を用いるEDTA法に大別される。酸脱灰は反応が速い反面、温度が高いと組織傷害や抗原性低下を招くため低温で行う。EDTA法はカルシウムをキレートする穏やかな反応で組織や抗原性への影響が少なく、反応を促すため比較的高めの温度でも行えるため、適温が最も高い。●脱灰法の種類=酸脱灰(塩酸法・硝酸法・トリクロロ酢酸法・ギ酸法・Plank-Rychlo法は迅速)・キレート脱灰(EDTA法)。●脱灰終了の判定=物理的方法(針刺し・屈曲)・化学的方法(シュウ酸アンモニウムでカルシウム沈殿の有無)・X線撮影。●EDTA法の利点=組織傷害が少なく免疫染色や酵素活性が保たれる(欠点は時間がかかる)。
選択肢ごとの解説
- ① 塩酸法は強酸を用いる酸脱灰で、組織傷害を避けるため低温で行う。
- ② 硝酸法も酸脱灰で、組織傷害を抑えるため低温で行う。
- ③ トリクロロ酢酸法も酸脱灰に分類され、低温で行う。
- ④ EDTA法はキレート脱灰で反応が穏やかなため、適温が最も高く比較的高めの温度でも行える。
- ⑤ Plank-Rychlo法は強力な酸脱灰で迅速だが、低温で短時間に行う。
📋 まとめの表を見る:脱灰法の種類と特徴(分類・適温・中和操作)
無機酸(塩酸・硝酸)・Plank-Rychlo液・電気脱灰法は中和操作が必要。有機酸(ギ酸・トリクロロ酢酸)とEDTA法は中和不要で、有機酸は水洗せず直接70%アルコールに浸漬する。EDTA法は唯一の中性脱灰液で、他の酸脱灰法より高い温度(約30℃)で行える。
第71回 午前46(病理組織細胞学)
ヘマトキシリンの色出しに使用するのはどれか。2つ選べ。
- ①酢酸
- ②クエン酸
- ③アンモニア水
- ④炭酸リチウム
- ⑤塩酸アルコール
正答: ③アンモニア水・④炭酸リチウム
ポイント
ヘマトキシリン染色では染色直後は酸性で赤褐色を呈するが、弱アルカリで処理すると核が青藍色に発色する。この色出し(blueing)にはアンモニア水や炭酸リチウムなどの弱アルカリ溶液を用いる。塩酸アルコールは酸性で、過染部のヘマトキシリンを除く分別(脱色)に用いるものであり、色出しではない。●ヘマトキシリン染色の工程=染色→分別(塩酸アルコールで過染除去)→色出し(弱アルカリで青藍色化)。●色出しに用いる弱アルカリ=アンモニア水・炭酸リチウム・水道水(微アルカリ)。●ヘマトキシリンの種類=Mayer・Carazzi・Gill・Delafield(媒染剤にミョウバンを用いる明礬ヘマトキシリン)。
選択肢ごとの解説
- ① 酢酸は酸性で、ヘマトキシリンの色出しには用いない。
- ② クエン酸は酸性で、色出しには用いない。
- ③ アンモニア水は弱アルカリで、ヘマトキシリンの色出し(青藍色化)に用いる。
- ④ 炭酸リチウムは弱アルカリで、ヘマトキシリンの色出しに用いる。
- ⑤ 塩酸アルコールは酸性で、色出しではなく過染部の分別(脱色)に用いる。
第71回 午前47(病理組織細胞学)
喀痰のPapanicolaou染色標本を別に示す。この細胞で判定するのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA047.2eb656c2c3.jpg

- ①感染の有無
- ②腫瘍の組織型
- ③病変の進行度
- ④検査材料の適性
- ⑤炭粉沈着の程度
正答: ④検査材料の適性
ポイント
喀痰のPapanicolaou染色で肺胞マクロファージ(組織球)が確認されると、その喀痰が口腔や上気道だけでなく下気道(肺胞領域)に由来する適切な検体であることを示す。したがってこの細胞は検査材料の適性(喀痰が肺由来かどうか)の判定に用いられる。逆に肺胞マクロファージがなく扁平上皮や唾液成分ばかりの場合は不適切な検体と判断される。●喀痰細胞診の検体適性の指標=肺胞マクロファージ(組織球)の存在で下気道由来の良好検体・扁平上皮や唾液成分のみで不適。●喀痰中にみられる細胞=肺胞マクロファージ・気管支線毛上皮・扁平上皮・好中球・腫瘍細胞(異型扁平上皮・腺癌細胞)。●喀痰細胞診の判定=従来のClass分類のほか、推定組織型の記載を行う。
選択肢ごとの解説
- ① 感染の有無は炎症細胞や微生物の所見で判断するもので、この肺胞マクロファージの主目的ではない。
- ② 腫瘍の組織型は異型細胞の形態(扁平上皮癌・腺癌など)から判断するもので、この細胞では判定しない。
- ③ 病変の進行度の判定にこの細胞は用いない。
- ④ 肺胞マクロファージの存在から喀痰が下気道由来かという検査材料の適性を判定する。
- ⑤ 炭粉沈着の程度の評価はこの細胞による判定の主目的ではない。
第71回 午前48(病理組織細胞学)
完成した染色標本とパラフィンブロックの照合で確認できるのはどれか。
- ①切片の厚さ
- ②染色の状態
- ③切片の取り違え
- ④切片の折れ曲がり
- ⑤脱パラフィン不足
正答: ③切片の取り違え
ポイント
完成した染色標本とパラフィンブロックの照合は、標本上の組織像とブロック割面の組織像が同一症例のものとして一致するかを見比べる作業であり、別症例の切片が貼られていないか、すなわち切片の取り違え(検体の取り違え)を発見するための工程である。切片の厚さ・染色状態・折れ曲がり・脱パラフィン不足は標本そのものを観察して判断する作製の質に関する事項で、ブロックとの照合では確認できない。●標本作製の精度管理=検体・標本・ブロックの照合(取り違え防止)・ラベルやバーコードによる照合・ダブルチェック。●標本観察で評価する作製不良=切片の厚さ不均一・しわ・折れ・気泡・染色ムラ・脱パラフィン不足。
選択肢ごとの解説
- ① 切片の厚さは標本を顕微鏡で観察して評価するもので、ブロックとの照合では分からない。
- ② 染色の状態は標本自体を観察して評価するもので、照合の目的ではない。
- ③ ブロックと標本の組織像を見比べる照合により、切片の取り違えを確認できる。
- ④ 切片の折れ曲がりは標本観察で分かるもので、照合の目的ではない。
- ⑤ 脱パラフィン不足は染色不良として標本でみるもので、ブロックとの照合では分からない。
第71回 午前49(病理組織細胞学)
肝前性黄疸の原因はどれか。
- ①胆管癌
- ②溶血性貧血
- ③薬剤性肝障害
- ④アルコール性肝障害
- ⑤Dubin-Johnson症候群
正答: ②溶血性貧血
ポイント
肝前性(溶血性)黄疸は赤血球の過剰な破壊により間接(非抱合型)ビリルビンが産生過剰となり、肝の処理能力を超えて血中に増加して生じる。溶血性貧血が代表的原因である。胆管癌は胆汁排泄路の閉塞による肝後性(閉塞性)黄疸、薬剤性肝障害やアルコール性肝障害は肝細胞障害による肝性黄疸、Dubin-Johnson症候群は抱合型ビリルビンの排泄障害による体質性黄疸である。●黄疸の分類=肝前性(溶血性。間接ビリルビン優位。溶血性貧血・無効造血)・肝性(肝細胞性。直接・間接とも上昇。肝炎・肝硬変・薬剤性)・肝後性(閉塞性。直接ビリルビン優位。胆管癌・胆石・膵頭部癌)。●体質性黄疸=Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群(間接優位)・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群(直接優位)。
選択肢ごとの解説
- ① 胆管癌は胆汁の排泄路が閉塞される肝後性(閉塞性)黄疸の原因である。
- ② 溶血性貧血は赤血球破壊で間接ビリルビンが増加し、肝前性黄疸を起こす。
- ③ 薬剤性肝障害は肝細胞が障害される肝性(肝細胞性)黄疸の原因である。
- ④ アルコール性肝障害も肝細胞障害による肝性黄疸の原因である。
- ⑤ Dubin-Johnson症候群は抱合型ビリルビンの排泄障害による体質性黄疸で、肝前性ではない。
📋 まとめの表を見る:黄疸の分類(肝前性・肝性・肝後性)
第71回 午前50(病理組織細胞学)
PAS反応標本を別に示す。この臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA050.ed371ae48a.jpg

正答: ③腎臓
ポイント
PAS反応は過ヨウ素酸でグリコール基を酸化しSchiff試薬で多糖類や糖蛋白、基底膜を赤紫色に染める染色法である。腎臓では糸球体の毛細血管基底膜・メサンギウム基質や尿細管基底膜がPAS陽性に明瞭に描出され、球状の糸球体構造が特徴的にみえるため、図の標本は腎臓と判断される。●PAS反応が陽性となる物質=グリコーゲン・中性粘液・基底膜・糖蛋白・真菌の細胞壁。●腎組織のPAS所見=糸球体基底膜・メサンギウム基質・尿細管基底膜が赤紫色。●基底膜・糖を染める関連染色=PAS反応・PAM(過ヨウ素酸メセナミン銀。基底膜を黒染)・ベスト・カルミン(グリコーゲン)。
選択肢ごとの解説
- ① 肝臓ではグリコーゲンがPAS陽性となるが糸球体構造はみられず、図の所見とは合わない。
- ② 食道は重層扁平上皮からなり、糸球体構造はない。
- ③ 腎臓は糸球体や尿細管の基底膜がPAS陽性に描出され、球状の糸球体構造が特徴的にみえる。
- ④ 大脳には糸球体構造はみられず、図の所見とは合わない。
- ⑤ 脾臓は赤脾髄・白脾髄からなり、糸球体構造はない。
📋 まとめの表を見る:PAS反応(過ヨウ素酸シッフ反応)の陽性物質・臓器別所見・試薬