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第71回(2025) 臨床検査技師国家試験 午前51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第71回 午前51(病理組織細胞学)
FISH法による乳癌HER2検査の模式図を別に示す。HER2とCEP17のシグナル比(HER2/CEP17)で最も近いのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA051.426d13dbec.jpg
正答: ③3.0
ポイント 乳癌のHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)遺伝子増幅は、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)法でHER2シグナル数を第17染色体セントロメア(CEP17)数で割った比により判定する。HER2/CEP17比が2.0以上を増幅陽性とするのが基本で、図ではCEP17に比してHER2シグナルが多数集簇し、比は約3.0でHER2増幅陽性と判断される。●HER2検査の流れ=免疫組織化学(IHC)でスコア0〜3+を一次判定し、IHC 2+(判定保留)でFISHを追加する。●FISH判定指標=HER2/CEP17比とHER2平均コピー数。●HER2陽性で適応となる分子標的薬=トラスツズマブ・ペルツズマブ等の抗HER2抗体薬。
選択肢ごとの解説
① 0.5は非増幅の比よりさらに低く、図の多数のHER2シグナルと合わない。 ② 1.0はHER2とCEP17が同数の非増幅の比で、図の所見とは合わない。 ③ CEP17に対しHER2シグナルが約3倍みられ、約3.0でHER2増幅陽性を示す。 ④ 10.0は図のシグナル比に対し過大で、所見と一致しない。 ⑤ 50.0は腫瘍細胞ではみられない非現実的な過大比である。
第71回 午前52(病理組織細胞学)
子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本の弱拡大写真と強拡大写真を別に示す。適切な判定はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA052.0f3615d298.jpg
①NILM〈陰性〉 ②LSIL〈軽度扁平上皮内病変〉 ③HSIL〈高度扁平上皮内病変〉 ④SCC〈扁平上皮癌〉 ⑤Adenocarcinoma〈腺癌〉
正答: ④SCC〈扁平上皮癌〉
ポイント 子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色で、核腫大・クロマチン増量・核形不整・核/細胞質(N/C)比増大が著明な高度異型扁平上皮細胞がみられ、しばしばオレンジ好性の角化や奇怪な細胞形態を伴う場合は扁平上皮癌(SCC)と判定される。背景の壊死性物質(tumor diathesis)も浸潤癌を示唆する。NILMは正常〜反応性、LSIL/HSILは上皮内病変、腺癌は腺系細胞の異型を示す点で区別する。●ベセスダ分類(扁平上皮系)=NILM・ASC-US・ASC-H・LSIL・HSIL・SCC。●ベセスダ分類(腺系)=AGC・AIS(上皮内腺癌)・腺癌。●HPV関連所見=コイロサイト(LSIL)はヒトパピローマウイルス感染を反映する。
選択肢ごとの解説
① NILMは異型のない正常〜反応性の範囲で、図の高度異型とは合わない。 ② LSILはコイロサイトなど軽度異型にとどまり、浸潤癌の所見ではない。 ③ HSILは高度異型だが上皮内にとどまる病変で、明瞭な癌細胞や壊死性背景を伴う本例とは区別される。 ④ 角化を伴う高度異型扁平上皮細胞がみられ、扁平上皮癌の所見である。 ⑤ 腺癌は腺腔形成や柱状細胞の異型を示し、扁平上皮系の本例とは異なる。
📋 まとめの表を見る:子宮頸部細胞診 Bethesdaシステムの分類
上皮内癌(CIS)は従来分類のIVに相当し、Bethesdaシステムでは概ねHSILに含まれる。
第71回 午前53(病理組織細胞学)
自動固定包埋装置における標本作製工程にないのはどれか。
正答: ①乾燥
ポイント 自動固定包埋装置(組織処理装置)は、固定後の組織を脱脂・脱水・脱アルコール(中間剤への置換)・パラフィン浸透まで連続的に処理する装置である。組織を乾燥させる工程は含まれず、乾燥は組織の収縮や構造破壊を招くため行わない。脱水はエタノール上昇系列、中間剤はキシレン等を用い、最後に溶融パラフィンを浸透させて包埋に備える。●組織標本作製の流れ=固定→脱脂→脱水→中間剤置換(脱アルコール)→パラフィン浸透→包埋→薄切→染色→封入。●固定液=中性緩衝ホルマリン・Bouin液・Carnoy液。●脱灰=骨組織では脱水前に酸(ギ酸・硝酸)やEDTAで脱灰する。
選択肢ごとの解説
① 誤り。乾燥は組織を傷めるため、自動固定包埋装置の処理工程には含まれない。 ② 脱脂は処理工程に含まれ、組織内の脂質を除く。 ③ 脱水(エタノール上昇系列)は処理工程に含まれる。 ④ 脱アルコール(キシレンなど中間剤への置換)は工程に含まれる。 ⑤ パラフィン浸透は包埋前の最終工程として含まれる。
第71回 午前54(病理組織細胞学)
Grocott染色に用いるのはどれか。2つ選べ。
①クロム酸 ②シュウ酸 ③過ヨウ素酸 ④アンモニア銀 ⑤メセナミン銀
正答: ①クロム酸・⑤メセナミン銀
ポイント Grocott染色は真菌やニューモシスチスの細胞壁多糖を黒色に染める銀染色である。まずクロム酸で多糖を酸化してアルデヒド基を生じさせ、次いでメセナミン銀(銀ヘキサメチレンテトラミン液)で還元析出させて菌体を黒く描出する。背景はライトグリーン等で淡染する。過ヨウ素酸はPAS反応の酸化剤、シュウ酸は鍍銀法(細網線維染色)で過マンガン酸カリウム酸化後の脱色(漂白)に用いる試薬で、いずれもGrocott染色では用いない。なおGrocott染色で未反応の銀を除去するのはチオ硫酸ナトリウムである。●銀染色の例=Grocott(真菌)・鍍銀法(細網線維)・Warthin-Starry(らせん菌・Helicobacter)・Bodian/Bielschowsky(神経線維)。●真菌染色=Grocott・PAS反応。●酸化剤=クロム酸(Grocott)・過ヨウ素酸(PAS)。
選択肢ごとの解説
① クロム酸は酸化剤として用い、多糖をアルデヒドに変える。 ② シュウ酸は鍍銀法(細網線維染色)で過マンガン酸カリウム酸化後の脱色(漂白)に用いる試薬で、Grocott染色では用いない。過剰な銀の除去にはチオ硫酸ナトリウムを用いる。 ③ 過ヨウ素酸はPAS反応で用いる酸化剤で、Grocottでは用いない。 ④ アンモニア銀は鍍銀法などで用いるが、Grocottの主剤ではない。 ⑤ メセナミン銀(銀ヘキサメチレンテトラミン)で真菌壁を黒色に染める。
第71回 午前55(病理組織細胞学)
発がん性が指摘されているのはどれか。
①キシレン ②メタノール ③パラフィン ④ホルムアルデヒド ⑤エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉
正答: ④ホルムアルデヒド
ポイント ホルムアルデヒド(ホルマリンの主成分)は国際がん研究機関(IARC)でグループ1(ヒトに対する発がん性あり)に分類され、鼻咽頭癌や白血病との関連が指摘されている。病理検査室では換気設備や曝露濃度の管理、特定化学物質障害予防規則に基づく取扱いが求められる。キシレンやメタノールも有害だが、選択肢のうち発がん性が問われるのはホルムアルデヒドである。●発がん性物質(IARCグループ1のうち検査室関連)=ホルムアルデヒド・ベンゼン・エチレンオキシド。●神経毒性=メタノール(視神経障害)・キシレン(中枢神経抑制)。●労働安全衛生法上の規制=ホルムアルデヒドは特定化学物質(特化則)、キシレンは第2種有機溶剤(有機則)として、いずれも作業環境測定の対象。
選択肢ごとの解説
① キシレンは中枢神経抑制等の毒性をもつ有機溶媒だが、ここで発がん性が問われるのはホルムアルデヒドである。 ② メタノールは視神経障害を起こす有害物質(毒物及び劇物取締法では劇物)だが、発がん性が問われる対象ではない。 ③ パラフィンは包埋剤で、発がん性は問題にならない。 ④ ホルムアルデヒドは発がん性(IARCグループ1)が指摘されている。 ⑤ エチレンジアミン四酢酸(EDTA)はキレート剤で、発がん性は問われない。
第71回 午前56(病理組織細胞学)
疾病の内因となるのはどれか。
正答: ①遺伝
ポイント 疾病の原因は、個体側の素因である内因と、外部環境から作用する外因に大別される。内因には遺伝(遺伝子素因)・年齢・性・体質・免疫状態・内分泌などが含まれ、遺伝はその代表である。温度・感染・紫外線・放射線はいずれも個体の外から作用する外因に属する。●内因=遺伝・年齢・性・素因(体質)・免疫異常・内分泌異常。●外因(物理的)=温度(熱傷・凍傷)・放射線・紫外線・機械的外力。●外因(化学的)=毒物・薬物。●外因(生物的)=細菌・ウイルス・真菌・寄生虫などの感染。
選択肢ごとの解説
① 遺伝は個体側の素因で、内因にあたる。 ② 温度は外部環境から作用する物理的外因である。 ③ 感染(病原体)は生物的外因である。 ④ 紫外線は物理的外因である。 ⑤ 放射線は物理的外因である。
第71回 午前57(病理組織細胞学)
アミロイドの染色法はどれか。
①Congo red染色 ②Alcian blue染色 ③Ziehl-Neelsen染色 ④Sudan black B染色 ⑤Masson trichrome染色
正答: ①Congo red染色
ポイント アミロイドはCongo red(コンゴーレッド)染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下で黄緑色の複屈折(apple-green birefringence)を示すのが診断的特徴である。アミロイドはβシート構造をとる線維状蛋白の沈着物で、Congo redが標準染色とされる。他の染色はそれぞれ異なる標的を染める。●アミロイド染色=Congo red(偏光で黄緑)・ダイロン(DFS)・チオフラビンT(蛍光)。●酸性粘液多糖=Alcian blue。●抗酸菌=Ziehl-Neelsen。●脂質=Sudan black B・オイルレッドO。●膠原線維=Masson trichrome・アザン。
選択肢ごとの解説
① Congo red染色でアミロイドが橙赤色に染まり、偏光で黄緑色の複屈折を示す。 ② Alcian blue染色は酸性粘液多糖類を染める。 ③ Ziehl-Neelsen染色は抗酸菌を染める。 ④ Sudan black B染色は脂質を染める。 ⑤ Masson trichrome染色は膠原線維などを染める。
第71回 午前58(病理組織細胞学)
病理解剖時に摘出された臓器のホルマリン固定後の肉眼写真を別に示す。臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA058.0be810fd07.jpg
正答: ①肺
ポイント 図のホルマリン固定臓器は、割面に含気構造を反映した海綿(スポンジ)状の所見を示し、肺と判断される。肺は気管支・細気管支・肺胞から成り、固定後も含気部が小腔として残るため独特の柔らかい多孔性割面を呈する。肝・腎・膵・脾はいずれも実質性で割面の性状が異なる。●実質臓器の割面の特徴=肝(均一で充実、暗赤褐色)・腎(皮質と髄質の層構造)・膵(小葉構造)・脾(暗赤色で充実、白脾髄の点状構造)。●含気・管腔臓器=肺(スポンジ状)・消化管(管腔と層構造)。
選択肢ごとの解説
① 含気を反映するスポンジ状の割面を示し、肺と判断される。 ② 肝臓は均一で充実した実質の割面を示す。 ③ 腎臓は皮質・髄質の層構造を示す。 ④ 膵臓は小葉構造をもつ実質臓器である。 ⑤ 脾臓は暗赤色で充実した割面を示す。
第71回 午前59(臨床血液学)
血栓形成を抑制するのはどれか。
①ADP ②セロトニン ③エピネフリン ④トロンボキサンA2 ⑤プロスタサイクリン
正答: ⑤プロスタサイクリン
ポイント プロスタサイクリン(プロスタグランジンI2、PGI2)は血管内皮細胞でアラキドン酸から産生され、血小板内のサイクリックAMPを上昇させて血小板凝集を抑制し、血管を拡張させて血栓形成を抑える。これに対しADP(アデノシン二リン酸)・セロトニン・エピネフリン・トロンボキサンA2は血小板を活性化・凝集させ、血栓形成を促進する。●血小板凝集促進=ADP・トロンボキサンA2・セロトニン・エピネフリン・トロンビン・コラーゲン。●血小板凝集抑制(内皮由来)=プロスタサイクリン(PGI2)・一酸化窒素(NO)。●抗血小板薬=アスピリン(トロンボキサン産生抑制)・クロピドグレル(ADP受容体阻害)。
選択肢ごとの解説
① ADPは血小板を活性化し、凝集を促進する。 ② セロトニンは血小板から放出され、血管収縮や凝集を促す。 ③ エピネフリンは血小板凝集を促進する。 ④ トロンボキサンA2は強力に血小板凝集を促進する。 ⑤ プロスタサイクリンは血小板凝集を抑制し、血栓形成を抑える。
第71回 午前60(臨床血液学)
骨髄塗抹標本の染色法と対象細胞の組合せで陽性とならないのはどれか。
①鉄染色 — 環状鉄芽球 ②PAS染色 — 正常赤芽球 ③ペルオキシダーゼ染色 — 好酸球 ④特異的エステラーゼ染色 — 好中球 ⑤非特異的エステラーゼ染色 — 巨核球
正答: ②PAS染色 — 正常赤芽球
ポイント PAS(過ヨウ素酸シッフ)染色は赤白血病の幼若赤芽球や一部の白血病芽球(特にリンパ性)でブロック状陽性を示すが、正常赤芽球は陰性である。鉄染色(プルシアンブルー反応)は環状鉄芽球で核周囲に環状の鉄顆粒を陽性とし、ペルオキシダーゼ染色は好中球・好酸球で陽性、特異的(ナフトールAS-D)エステラーゼは好中球系、非特異的エステラーゼは単球・巨核球系で陽性となる。●骨髄細胞化学染色=ペルオキシダーゼ(骨髄系芽球と単球系の鑑別)。●特異的エステラーゼ=顆粒球系で陽性。●非特異的エステラーゼ=単球・巨核球系で陽性(フッ化ナトリウムで阻害)。●PAS=赤白血病・リンパ性白血病。●鉄染色=環状鉄芽球・鉄欠乏評価。
選択肢ごとの解説
① 鉄染色で核周囲に鉄顆粒が環状に並ぶ環状鉄芽球は陽性となる。 ② 誤り。正常赤芽球はPAS陰性で、陽性とならない。 ③ ペルオキシダーゼ染色で好酸球は陽性となる。 ④ 特異的エステラーゼ染色で好中球系は陽性となる。 ⑤ 非特異的エステラーゼ染色で巨核球・単球系は陽性となる。
📋 まとめの表を見る:血液細胞化学染色(特殊染色)の目的・判定・臨床意義
第71回 午前61(臨床血液学)
JAK2変異の検出が診断に有用なのはどれか。
①骨髄異形成症候群 ②真性赤血球増加症 ③慢性骨髄性白血病 ④慢性リンパ性白血病 ⑤原発性マクログロブリン血症
正答: ②真性赤血球増加症
ポイント 真性赤血球増加症(真性多血症)の大多数はJAK2 V617F変異をもち、その検出が診断に有用で世界保健機関(WHO)分類でも主要診断基準とされる。慢性骨髄性白血病はBCR-ABL1融合遺伝子(フィラデルフィア染色体、t(9;22))の検出で診断され、点変異とは異なる。骨髄異形成症候群は多彩な遺伝子・染色体異常を示すが単一変異で確定するものではない。●骨髄増殖性腫瘍の遺伝子変異=真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症のJAK2 V617F、本態性血小板血症や骨髄線維症のCALR・MPL変異。●慢性骨髄性白血病=BCR-ABL1融合遺伝子。●慢性リンパ性白血病=表面マーカー(CD5・CD19・CD23)。●原発性マクログロブリン血症=単クローン性IgM増加・MYD88変異。
選択肢ごとの解説
① 骨髄異形成症候群は多彩な遺伝子異常をもつが、単一変異で確定するものではない。 ② 真性赤血球増加症はJAK2 V617F変異の検出が診断に有用である。 ③ 慢性骨髄性白血病はBCR-ABL1融合遺伝子(フィラデルフィア染色体)で診断する。 ④ 慢性リンパ性白血病は細胞表面マーカーなどで診断する。 ⑤ 原発性マクログロブリン血症は単クローン性IgMの増加で診断する。
📋 まとめの表を見る:真性赤血球増加症〈PV〉の主な検査所見
第71回 午前62(臨床血液学)
巨核球で誤っているのはどれか。
①正常成熟巨核球は多倍体となる。 ②巨核球の平均直径は200 μmである。 ③トロンボポエチンは巨核球を分化成熟させる。 ④1つの巨核球は2,000個程度の血小板を産生する。 ⑤巨核球は血小板糖蛋白質〈GP〉Ⅱb/Ⅲaを発現する。
正答: ②巨核球の平均直径は200 μmである。
ポイント 成熟巨核球は直径約30〜100μmで骨髄中で最も大きい細胞だが、平均200μmは大きすぎて誤りである。巨核球は核内倍加により多倍体(¹⁶N〜64N程度)となり、トロンボポエチンによって分化・成熟し、1個から約1,000〜数千個の血小板を産生する。血小板膜と同じく糖蛋白質(GP)Ⅱb/Ⅲa複合体を発現する。●血小板産生の調節=トロンボポエチン(主に肝で産生、巨核球の分化・成熟を促進)。●巨核球の特徴=多倍体化・大型・GPⅡb/Ⅲa発現。●血小板膜糖蛋白=GPⅠb/Ⅸ/Ⅴ(von Willebrand因子受容体、Bernard-Soulier症候群で欠損)・GPⅡb/Ⅲa(フィブリノゲン受容体、血小板無力症で異常)。
選択肢ごとの解説
① 正常成熟巨核球は核内倍加により多倍体となる。 ② 誤り。巨核球の平均直径は約30〜100μmで、200μmは大きすぎる。 ③ トロンボポエチンは巨核球を分化・成熟させる。 ④ 1個の巨核球は約1,000〜数千個の血小板を産生する。 ⑤ 巨核球は血小板糖蛋白質GPⅡb/Ⅲaを発現する。
📋 まとめの表を見る:血球分化を誘導する主な造血因子・サイトカイン
好中球はG-CSFのほかIL-3・GM-CSFでも産生促進され、好酸球はIL-5のほかIL-3・GM-CSFでも促進される(1因子1系統の単純対応ではない)。好塩基球の分化誘導因子はIL-3・IL-4とされるが不明な点が多い。
第71回 午前63(臨床血液学)
血液細胞数測定の模式図を別に示す。この測定で正しいのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA063.217be6424e.jpg
①交流電流を用いる。 ②破砕赤血球と血小板を区別できる。 ③パルス電圧は細胞の重量に比例する。 ④溶血処理した後に白血球を計測する。 ⑤細孔を通過するときの電気抵抗の変化を測定する。
正答: ④溶血処理した後に白血球を計測する。・⑤細孔を通過するときの電気抵抗の変化を測定する。
ポイント 図は電気抵抗(インピーダンス)法による血球計数の模式図である。電解液中で細胞が微小な細孔(アパチャー)を通過する際に生じる電気抵抗の変化をパルスとして検出し、パルス数で細胞数、パルスの大きさで細胞の体積を測る。直流電流を用い、白血球計数では赤血球を溶血処理してから計数する。●血球計数の原理=電気抵抗式(インピーダンス、体積に比例)・フローサイトメトリー(光散乱・蛍光、白血球分類)・RF/DC法(核や顆粒の内部情報)。●白血球分類=前方散乱光(大きさ)・側方散乱光(内部構造)・側方蛍光(核酸量)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。電気抵抗式法は直流を用いる方法で、交流ではない。 ② 誤り。破砕赤血球と血小板は大きさが重なり、区別は難しい。 ③ 誤り。パルスの大きさは細胞の体積に比例し、重量ではない。 ④ 白血球は赤血球を溶血処理した後に計数する。 ⑤ 細孔を通過するときの電気抵抗の変化を測定する。
第71回 午前64(臨床血液学)
赤血球の封入体でないのはどれか。
①Cabot環 ②Heinz小体 ③Russell小体 ④好塩基性斑点 ⑤Howell-Jolly小体
正答: ③Russell小体
ポイント 赤血球の封入体にはCabot環・Heinz小体・好塩基性斑点・Howell-Jolly小体などがある。Russell小体は形質細胞の細胞質内に蓄積した免疫グロブリンの好酸性球状塊であり、赤血球の封入体ではない。●赤血球封入体=Howell-Jolly小体(核の遺残、脾摘後など)・Cabot環(紡錘体遺残の環状構造)・好塩基性斑点(リボソーム凝集、鉛中毒・サラセミア)・Heinz小体(変性ヘモグロビン、G6PD欠損症)・Pappenheimer小体(鉄顆粒)。●形質細胞の封入体=Russell小体(細胞質内)・Dutcher小体(核内)。
選択肢ごとの解説
① Cabot環は赤血球内の環状・8の字構造で、赤血球封入体である。 ② Heinz小体は変性ヘモグロビンの封入体で、赤血球にみられる。 ③ 誤り。Russell小体は形質細胞内の免疫グロブリン塊で、赤血球封入体ではない。 ④ 好塩基性斑点はリボソーム残存による点状構造で、赤血球封入体である。 ⑤ Howell-Jolly小体は赤血球内に残った核の断片である。
第71回 午前65(臨床血液学)
胎生中期において主要な造血組織はどれか。
①肝臓 ②脾臓 ③卵黄囊 ④骨髄(脊椎骨) ⑤骨髄(大腿骨)
正答: ①肝臓
ポイント 胎児の造血の場は発生時期で移り変わる。初期(胎生約2〜8週)は卵黄囊で原始造血が起こり、中期(胎生約2〜7か月)は肝臓が主体で脾臓も補助的に造血する。胎生後期から出生後は骨髄が恒久的な主要造血の場となる。したがって胎生中期の主役は肝臓である。●胎児造血の推移=卵黄囊(初期)→肝臓・脾臓(中期)→骨髄(後期〜生後)。●成人の造血=赤色骨髄(椎骨・胸骨・腸骨・肋骨などの扁平骨)。●髄外造血=病的状態で肝・脾で造血が再開する。
選択肢ごとの解説
① 胎生中期の主要造血組織は肝臓である。 ② 脾臓も胎児期に造血するが、中期の主役は肝臓である。 ③ 卵黄囊は胎生初期の造血の場である。 ④ 脊椎骨の骨髄は胎生後期以降に主要となる。 ⑤ 大腿骨の骨髄も胎生後期以降に主要となる。
第71回 午前66(臨床血液学)
血中半減期が最も短いのはどれか。
①プロトロンビン ②第Ⅴ因子 ③第Ⅶ因子 ④第Ⅸ因子 ⑤第Ⅹ因子
正答: ③第Ⅶ因子
ポイント 凝固因子の血中半減期は第Ⅶ因子が最も短く(約4〜6時間)、このためビタミンK欠乏やワルファリン投与では第Ⅶ因子が先に低下し、外因系を反映するプロトロンビン時間(PT)が早期に延長する。プロトロンビン(第Ⅱ因子、約60〜70時間)や第Ⅸ・Ⅹ因子はより半減期が長い。●ビタミンK依存性凝固因子=第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子およびプロテインC・S。●PTで評価=外因系・共通系(第Ⅶに最も鋭敏)。●APTTで評価=内因系(第Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ)。●半減期が長い因子=フィブリノゲン(第Ⅰ)・第ⅩⅢ因子。
選択肢ごとの解説
① プロトロンビン(第Ⅱ因子)の半減期は約60〜70時間で、第Ⅶ因子より長い。 ② 第Ⅴ因子の半減期は第Ⅶ因子より長い。 ③ 第Ⅶ因子は半減期が約4〜6時間で、最も短い。 ④ 第Ⅸ因子の半減期は第Ⅶ因子より長い。 ⑤ 第Ⅹ因子の半減期は第Ⅶ因子より長い。
第71回 午前67(臨床血液学)
血小板数をBrecher-Cronkite法にて目視した。用いた計算板(Burker-Turk)の区画を別に示す。100倍に希釈した血液を用いた図中オレンジ色枠内の任意の5つの中区画のカウントは(14,16,13,12,15)であった。血液1 μL中の血小板数で正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA067.14923906d4.jpg
①3,500 ②7,000 ③70,000 ④350,000 ⑤700,000
正答: ④350,000
ポイント Brecher-Cronkite法はBürker-Türk計算板を用いる血小板の視算法で、希釈血液を計算板に満たし中区画を計数して1μL当たりに換算する。本問では中区画5つの合計が14+16+13+12+15=70個、計数容積は5×(1/25mm²)×0.1mm=0.02μLで、これを希釈倍率100倍で補正すると70÷0.02×100=350,000/μLとなる。●血球計数の視算法=Bürker-Türk計算板・Thoma計算板・改良Neubauer計算板。●計数容積の考え方=面積×深さ(0.1mm)で容積を出し、希釈倍率を乗じる。●血小板基準値(参考)=おおよそ15万〜35万/μL。
選択肢ごとの解説
① 3,500は希釈や容積換算を行っていない値で誤り。 ② 7,000は換算が不足しており誤り。 ③ 70,000は希釈倍率の扱いを誤った値で誤り。 ④ 350,000/μLが正しい換算値である。 ⑤ 700,000は計数容積を誤った過大値で誤り。
第71回 午前68(臨床微生物学)
原核生物はどれか。
①Aspergillus fumigatus ②Cryptococcus neoformans ③Microsporum canis ④Mycoplasma pneumoniae ⑤Pneumocystis jirovecii
正答: ④Mycoplasma pneumoniae
ポイント 原核生物は核膜に包まれた明瞭な核をもたない生物で、細菌類が該当する。選択肢のうちMycoplasma pneumoniaeは細胞壁を欠くものの原核生物(細菌)であり、これが該当する。Aspergillus・Cryptococcus・Microsporum・Pneumocystisはいずれも核膜をもつ真核生物(真菌)である。●原核生物=細菌(一般細菌・マイコプラズマ・リケッチア・クラミジア・スピロヘータ)。●真核生物(病原体)=真菌・原虫・蠕虫。●細胞壁を欠く細菌=マイコプラズマ(ステロールを含む細胞膜をもつ)。
選択肢ごとの解説
① Aspergillus fumigatusは真菌(真核生物)である。 ② Cryptococcus neoformansは酵母様真菌(真核生物)である。 ③ Microsporum canisは皮膚糸状菌(真菌、真核生物)である。 ④ Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁を欠く細菌(原核生物)である。 ⑤ Pneumocystis jiroveciiは真菌(真核生物)に分類される。
第71回 午前69(臨床微生物学)
オキシダーゼ試験陰性を示すのはどれか。2つ選べ。
①Acinetobacter baumannii ②Bordetella pertussis ③Burkholderia cepacia ④Pseudomonas aeruginosa ⑤Stenotrophomonas maltophilia
正答: ①Acinetobacter baumannii・⑤Stenotrophomonas maltophilia
ポイント オキシダーゼ試験はチトクロムcオキシダーゼの有無をみる試験で、ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌の鑑別に有用である。このうちAcinetobacter baumanniiとStenotrophomonas maltophiliaはオキシダーゼ陰性で、両者の鑑別点となる。Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)・Bordetella・Burkholderiaはオキシダーゼ陽性である。●オキシダーゼ陽性=Pseudomonas・Burkholderia・Bordetella・Neisseria・Vibrio・Campylobacter・Aeromonas・Moraxella。●オキシダーゼ陰性=腸内細菌目全般・Acinetobacter・Stenotrophomonas。
選択肢ごとの解説
① Acinetobacter baumanniiはオキシダーゼ陰性である。 ② Bordetella pertussisはオキシダーゼ陽性である。 ③ Burkholderia cepaciaはオキシダーゼ陽性(弱陽性)である。 ④ Pseudomonas aeruginosaはオキシダーゼ陽性である。 ⑤ Stenotrophomonas maltophiliaはオキシダーゼ陰性である。
第71回 午前70(臨床微生物学)
Geckler分類を行う場合の顕微鏡倍率はどれか。
①40倍 ②100倍 ③200倍 ④400倍 ⑤1,000倍
正答: ②100倍
ポイント Geckler分類は喀痰の品質評価法で、弱拡大(100倍)の1視野当たりの白血球数と扁平上皮細胞数の比から検体の良否を判定する。扁平上皮細胞が多く白血球が少ない検体(グループ1・2)は唾液混入とみなして培養に不適とし、白血球が多く扁平上皮が少ない検体(グループ4・5)を良質な下気道由来痰とみなす。●喀痰の肉眼的評価=Miller & Jones分類(膿性度)。●喀痰の顕微鏡的品質評価=Geckler分類(100倍、白血球と扁平上皮の比)。●良質痰の目安=Geckler 4群(白血球>25・扁平上皮10〜25/視野)・5群(白血球>25・扁平上皮<10/視野)。
選択肢ごとの解説
① 40倍はGeckler分類の規定倍率ではない。 ② 100倍(弱拡大)で白血球と扁平上皮細胞を数える。 ③ 200倍はGeckler分類の規定倍率ではない。 ④ 400倍は強拡大で、細胞の同定に向くが本分類の規定倍率ではない。 ⑤ 1,000倍は油浸で、菌の観察に用いる倍率である。
📋 まとめの表を見る:喀痰の品質評価:Geckler分類(鏡検所見、倍率100倍1視野)
4群・5群は白血球優位・扁平上皮少数で良質(検査に適する)。1〜3群は唾液混入が疑われ検体として不適切。6群は経気道吸引痰に限り適切な検体とされる。
第71回 午前71(臨床微生物学)
有芽胞菌はどれか。
①Bacillus anthracis ②Bordetella pertussis ③Cutibacterium acnes ④Klebsiella pneumoniae ⑤Moraxella catarrhalis
正答: ①Bacillus anthracis
ポイント 芽胞(内生胞子)を形成する病原細菌は好気性のBacillus属と嫌気性のClostridium/Clostridioides属に限られ、選択肢ではBacillus anthracis(炭疽菌)が該当する。芽胞は熱・乾燥・消毒薬に強い抵抗性をもち、滅菌の指標ともされる。Bordetella・Cutibacterium・Klebsiella・Moraxellaは芽胞を作らない。●有芽胞菌(好気性)=Bacillus anthracis(炭疽)・Bacillus cereus(食中毒)。●有芽胞菌(嫌気性)=Clostridium tetani(破傷風)・C. botulinum(ボツリヌス)・C. perfringens(ガス壊疽)・Clostridioides difficile(偽膜性大腸炎)。●芽胞の特徴=高い耐熱・耐乾燥性、滅菌効果判定の指標菌に利用。
選択肢ごとの解説
① Bacillus anthracisは芽胞を形成する好気性グラム陽性桿菌である。 ② Bordetella pertussisは芽胞を形成しない。 ③ Cutibacterium acnesは芽胞を形成しない嫌気性菌である。 ④ Klebsiella pneumoniaeは芽胞を形成しない腸内細菌である。 ⑤ Moraxella catarrhalisは芽胞を形成しないグラム陰性球菌である。
第71回 午前72(臨床微生物学)
細菌と分離培地の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
①Aeromonas hydrophila — TCBS寒天培地 ②Bacteroides fragilis — BBE寒天培地 ③Campylobacter jejuni — NAC寒天培地 ④Clostridioides difficile — CCFA培地 ⑤Neisseria meningitidis — PPLO寒天培地
正答: ②Bacteroides fragilis — BBE寒天培地・④Clostridioides difficile — CCFA培地
ポイント 選択分離培地は目的菌の発育を選択的に許し他菌を抑制する。Bacteroides fragilisはBBE(Bacteroides胆汁エスクリン)寒天で胆汁耐性とエスクリン分解により黒色集落を形成し、Clostridioides difficileはCCFA(cycloserine-cefoxitin-fructose agar)培地で選択分離する。TCBS寒天はビブリオ、PPLO培地はマイコプラズマ用である。●選択培地の例=TCBS(Vibrio)・NAC(Pseudomonas・Aeromonas等)・スキロー/CCDA(Campylobacter)・CCFA(C. difficile)・BBE(Bacteroides)・PPLO(マイコプラズマ)・Thayer-Martin(淋菌・髄膜炎菌)。
選択肢ごとの解説
① AeromonasにTCBS寒天は適さず、TCBSはビブリオの選択培地である。 ② Bacteroides fragilisはBBE寒天培地で選択分離する。 ③ Campylobacter jejuniにはスキロー培地やCCDAを用い、NAC寒天は適さない。 ④ Clostridioides difficileはCCFA培地で選択分離する。 ⑤ Neisseria meningitidisの分離にはThayer-Martin培地等を用い、PPLOはマイコプラズマ用である。
📋 まとめの表を見る:細菌の選択分離培地・輸送/性状確認/感受性検査用培地
第71回 午前73(臨床微生物学)
抗真菌薬はどれか。
①アシクロビル ②イソニアジド ③フルコナゾール ④ミノサイクリン ⑤リファンピシン
正答: ③フルコナゾール
ポイント フルコナゾールはアゾール(トリアゾール)系の抗真菌薬で、真菌細胞膜のエルゴステロール合成を担うラノステロール14α-脱メチル化酵素を阻害して抗真菌作用を示す。アシクロビルは抗ウイルス薬、イソニアジド・リファンピシンは抗結核薬、ミノサイクリンはテトラサイクリン系抗菌薬である。●抗真菌薬=アゾール系(フルコナゾール・ボリコナゾール・イトラコナゾール)・ポリエン系(アムホテリシンB)・キャンディン系(ミカファンギン)・フルシトシン。●抗ウイルス薬=アシクロビル(ヘルペス)・オセルタミビル(インフルエンザ)。●抗結核薬=イソニアジド・リファンピシン・エタンブトール・ピラジナミド。
選択肢ごとの解説
① アシクロビルは単純ヘルペスなどに用いる抗ウイルス薬である。 ② イソニアジドは抗結核薬である。 ③ フルコナゾールはアゾール系の抗真菌薬である。 ④ ミノサイクリンはテトラサイクリン系の抗菌薬である。 ⑤ リファンピシンは抗結核薬である。
第71回 午前74(臨床微生物学)
血液培養にて検出された菌のGram染色所見とヒツジ血液寒天培地の集落を別に示す。本菌はCAMPテストおよび馬尿酸塩加水分解試験が陽性であった。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA074.2578e96700.jpg
①Bacillus cereus ②Clostridium perfringens ③Enterococcus faecalis ④Listeria monocytogenes ⑤Streptococcus agalactiae
正答: ④Listeria monocytogenes
ポイント グラム陽性桿菌で、CAMPテスト陽性かつ馬尿酸塩加水分解陽性、ヒツジ血液寒天でβ溶血を示し、低温発育やtumbling motility(転がるような運動性)を示すのはListeria monocytogenesである。Streptococcus agalactiae(B群レンサ球菌)もCAMP・馬尿酸陽性でβ溶血を示すが、グラム陽性球菌である点で鑑別される。●Listeria monocytogenes=食品媒介、髄膜炎・敗血症・周産期感染、低温増殖、β溶血、CAMP・馬尿酸陽性。●CAMPテスト陽性=Streptococcus agalactiae(B群)・Listeria。●グラム陽性桿菌の鑑別=芽胞形成(Bacillus・Clostridium)の有無で大別。
選択肢ごとの解説
① Bacillus cereusは芽胞を形成する大型グラム陽性桿菌で、本所見と合わない。 ② Clostridium perfringensは嫌気性の芽胞形成桿菌で、本所見と合わない。 ③ Enterococcus faecalisはグラム陽性球菌で、本菌とは異なる。 ④ グラム陽性桿菌でCAMP陽性・馬尿酸陽性・β溶血を示し、Listeria monocytogenesである。 ⑤ Streptococcus agalactiaeも類似反応を示すが球菌で、桿菌である本菌とは区別される。
📋 まとめの表を見る:年齢群別 細菌性髄膜炎の主な起因菌
Streptococcus agalactiaeとListeria monocytogenesはともにCAMPテスト・馬尿酸塩加水分解試験が陽性を示すが、前者はグラム陽性球菌、後者はグラム陽性桿菌である点で鑑別する。
第71回 午前75(臨床微生物学)
感染症と原因微生物の組合せで正しいのはどれか。
①類鼻疽 — Burkholderia pseudomallei ②オウム病 — Bacillus anthracis ③放線菌症 — Bartonella henselae ④ライム病 — Chlamydia psittaci ⑤ネコひっかき病 — Rickettsia japonica
正答: ①類鼻疽 — Burkholderia pseudomallei
ポイント 類鼻疽(メリオイドーシス)はBurkholderia pseudomalleiによる感染症で、東南アジアや北部豪州の土壌・水に常在し、肺炎や敗血症を起こす。他の組合せは原因微生物が誤りである。●正しい原因微生物=類鼻疽はBurkholderia pseudomallei、オウム病はChlamydia psittaci、放線菌症はActinomyces israeliiなどActinomyces属、ライム病はBorrelia burgdorferi、ネコひっかき病はBartonella henselae。●参考=炭疽はBacillus anthracis、日本紅斑熱はRickettsia japonica。
選択肢ごとの解説
① 類鼻疽はBurkholderia pseudomalleiが原因で、正しい。 ② オウム病はChlamydia psittaciが原因で、Bacillus anthracisは炭疽の原因である。 ③ 放線菌症はActinomyces属が原因で、Bartonella henselaeはネコひっかき病の原因である。 ④ ライム病はBorrelia burgdorferiが原因で、Chlamydia psittaciはオウム病の原因である。 ⑤ ネコひっかき病はBartonella henselaeが原因で、Rickettsia japonicaは日本紅斑熱の原因である。
📋 まとめの表を見る:人獣共通感染症と原因微生物・媒介動物
第71回 午前76(臨床微生物学)
治療薬物モニタリング〈TDM〉が必要なのはどれか。
①アンピシリン ②エリスロマイシン ③セファゾリン ④バンコマイシン ⑤メロペネム
正答: ④バンコマイシン
ポイント 治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring:TDM)は、有効血中濃度域(治療域)が狭く、過量で重篤な副作用が出る薬剤を対象に、血中濃度を測定して投与量・投与間隔を最適化する手技。バンコマイシンは腎毒性・聴器毒性をもち、トラフ値(次回投与直前の最低濃度)やAUCを指標に投与設計するためTDMの代表的対象である。一般のβ-ラクタム系(ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系)は安全域が広く、通常TDMは行わない。●TDMを行う抗菌薬=グリコペプチド系(バンコマイシン・テイコプラニン)・アミノグリコシド系(ゲンタマイシン・アミカシン・アルベカシン)・抗真菌薬の一部(ボリコナゾール)。●TDMを行う抗菌薬以外の薬=ジゴキシン(強心配糖体)・テオフィリン・抗てんかん薬(フェニトイン・バルプロ酸・カルバマゼピン)・免疫抑制薬(シクロスポリン・タクロリムス)・リチウム。●通常TDM不要=ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系・マクロライド系。
選択肢ごとの解説
① アンピシリンはペニシリン系で安全域が広く、通常は治療薬物モニタリングを要しない。 ② エリスロマイシンはマクロライド系で、通常は治療薬物モニタリングの対象ではない。 ③ セファゾリンはセフェム系で安全域が広く、通常は治療薬物モニタリングを要しない。 ④ バンコマイシンは治療域が狭く腎毒性・聴器毒性があり、血中濃度測定による投与設計(治療薬物モニタリング)が必要。 ⑤ メロペネムはカルバペネム系で、通常は治療薬物モニタリングの対象ではない。
第71回 午前77(臨床微生物学)
インターフェロンγ遊離試験〈IGRA〉が診断に有用なのはどれか。
①結核 ②B型肝炎 ③ネコひっかき病 ④成人T細胞白血病 ⑤後天性免疫不全症候群
正答: ①結核
ポイント インターフェロンγ遊離試験(interferon-gamma release assay:IGRA)は、結核菌に特異的な抗原(ESAT-6、CFP-10など)で全血またはリンパ球を刺激し、感作されたT細胞が放出するインターフェロンγを測定して結核感染を判定する検査。これらの抗原はBCG株や大部分の非結核性抗酸菌に存在しないため、ツベルクリン反応と異なりBCG接種歴の影響を受けにくい。代表的な製品にQuantiFERONとT-SPOTがある。活動性結核と潜在性結核感染の区別はできない点に注意する。●IGRAで診断=結核感染(潜在性結核感染症の診断、接触者健診)。●B型肝炎=HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体・HBV-DNA。●ネコひっかき病=Bartonella henselaeに対する抗体検査・遺伝子検査。●成人T細胞白血病=HTLV-1抗体・プロウイルスDNA。●後天性免疫不全症候群=HIV抗原・抗体(スクリーニング)と確認検査・ウイルスRNA量。
選択肢ごとの解説
① 結核菌特異抗原で刺激しインターフェロンγ産生を測定するインターフェロンγ遊離試験が、結核感染の診断に有用。 ② B型肝炎はHBs抗原・各種HBV関連抗体やHBV-DNAで診断し、インターフェロンγ遊離試験は用いない。 ③ ネコひっかき病はBartonella henselaeに対する抗体検査などで診断する。 ④ 成人T細胞白血病はHTLV-1抗体やプロウイルスDNA検査で診断する。 ⑤ 後天性免疫不全症候群はHIV抗原・抗体やウイルスRNA量で診断する。
第71回 午前78(臨床微生物学)
偏性細胞内寄生性を有するのはどれか。
①Bacteroides fragilis ②Cryptococcus neoformans ③Mycobacterium tuberculosis ④Mycoplasma pneumoniae ⑤Orientia tsutsugamushi
正答: ⑤Orientia tsutsugamushi
ポイント 偏性細胞内寄生体は宿主細胞の中でしか増殖できず、人工培地では培養できない微生物をいう。リケッチアの一種であるOrientia tsutsugamushi(つつが虫病の病原体)はこれに該当し、ダニ(ツツガムシ)の媒介でヒトに感染する。結核菌はマクロファージ内で増殖するが小川培地などで培養できるため、偏性ではなく通性(条件的)細胞内寄生に分類される。●偏性細胞内寄生=リケッチア(Rickettsia、Orientia)・クラミジア(Chlamydia trachomatis等)・コクシエラ(Coxiella burnetii)・らい菌(Mycobacterium leprae、人工培地では培養できない)・全ウイルス。●通性(条件的)細胞内寄生=結核菌・Listeria・Salmonella・Brucella・Legionella。●細胞外(培地で培養可)=Bacteroides・大腸菌・Mycoplasma・大多数の一般細菌・真菌(Cryptococcus等)。
選択肢ごとの解説
① Bacteroides fragilisは嫌気培地で培養できる嫌気性菌で、偏性細胞内寄生ではない。 ② Cryptococcus neoformansは培地で培養できる真菌で、偏性細胞内寄生ではない。 ③ Mycobacterium tuberculosisは細胞内でも増殖するが小川培地などで培養でき、通性であり偏性細胞内寄生ではない。 ④ Mycoplasma pneumoniaeは特殊培地で細胞外培養が可能で、偏性細胞内寄生ではない。 ⑤ Orientia tsutsugamushiはリケッチアで宿主細胞内でのみ増殖する偏性細胞内寄生性をもつ。
第71回 午前79(臨床免疫学)
抗体で正しいのはどれか。
①IgAは分子量が最も大きい。 ②IgGには2つのサブクラスがある。 ③補体の結合部位はFab部分にある。 ④H鎖には5種類のアイソタイプがある。 ⑤2本のH鎖と1本のL鎖で形成される。
正答: ④H鎖には5種類のアイソタイプがある。
ポイント 免疫グロブリンの基本構造は、2本のH鎖(重鎖)と2本のL鎖(軽鎖)がジスルフィド結合で連結したY字型で、抗原結合部位を含むFab領域と、補体結合や細胞への結合を担うFc領域からなる。クラス(アイソタイプ)はH鎖の定常部の違いで決まり、μ・γ・α・δ・εの5種類がそれぞれIgM・IgG・IgA・IgD・IgEに対応する。分子量が最も大きいのは五量体をとるIgMで、補体古典経路の活性化部位(C1q結合部位)はFcのCH2ドメインにある。●H鎖アイソタイプ=μ→IgM、γ→IgG、α→IgA、δ→IgD、ε→IgE。●L鎖=κ鎖・λ鎖の2種類。●サブクラス=IgGはIgG1〜IgG4、IgAはIgA1・IgA2。●重合体=IgMは五量体、分泌型IgAは二量体、他は単量体。
選択肢ごとの解説
① 分子量が最も大きいのは五量体をとるIgMで、IgAではない。 ② IgGにはIgG1〜IgG4の4つのサブクラスがあり、2つは誤り。 ③ 補体(C1q)の結合部位はFcのCH2ドメインにあり、Fab部分ではない。 ④ H鎖の定常部にはμ・γ・α・δ・εの5種類のアイソタイプがある。 ⑤ 基本構造は2本のH鎖と2本のL鎖からなり、L鎖1本は誤り。
📋 まとめの表を見る:5種類の免疫グロブリンの主な性状
単クローン性増加=1クローン由来で単一Igが増加(原発性マクログロブリン血症=IgM)。多クローン性増加=感染症・自己免疫疾患など。
第71回 午前80(臨床免疫学)
免疫比濁法で誤っているのはどれか。
①透過光の強度を測定する。 ②Lambert-Beerの法則に従う。 ③サイトカインの測定に適している。 ④地帯現象による偽低値が見られる。 ⑤化学発光分析法より測定感度が低い。
正答: ③サイトカインの測定に適している。
ポイント 免疫比濁法(透過免疫比濁法)は、抗原抗体反応で生じた免疫複合体による濁りで透過光が減衰する程度を測定し、その吸光度から抗原量を求める方法で、Lambert-Beer(ランバート・ベール)の法則に従う。抗原過剰になると免疫複合体形成が低下し測定値が偽低値となる地帯現象(プロゾーン)が起こりうる。検出感度は化学発光法や酵素免疫法に比べて低く、ピコグラムレベルの微量物質であるサイトカインの測定には適さない。●比濁法(タービジメトリー)=透過光減衰を測定。●比朧法(ネフェロメトリー)=側方散乱光を測定。●地帯現象=抗原過剰によるプロゾーン、偽低値の原因。●高感度免疫測定=化学発光免疫測定(CLIA・CLEIA)・電気化学発光・ELISA(サイトカイン等の微量物質向き)。
選択肢ごとの解説
① 免疫複合体による濁りで減衰した透過光の強度を測定するため、正しい。 ② 吸光度と濃度の関係はLambert-Beerの法則に従うため、正しい。 ③ 誤り。免疫比濁法は感度が低く、ピコグラムレベルの微量サイトカイン測定には適さない。 ④ 抗原過剰では地帯現象(プロゾーン)により偽低値を示すため、正しい。 ⑤ 化学発光分析法に比べて測定感度は低いため、正しい。
📋 まとめの表を見る:免疫測定法の測定原理と地帯現象(プロゾーン)
地帯現象は抗原または抗体が過剰なときに生じ、検体希釈や試薬量の調整で対策する。免疫比濁法は化学発光免疫測定法より感度が低く、サイトカインのような極微量物質の測定には適さない。
第71回 午前81(臨床免疫学)
EBウイルスで正しいのはどれか。2つ選べ。
①ヘルペスウイルス科に属する。 ②ウイルスはB細胞に潜伏する。 ③EBNA抗体は初感染で陽性となる。 ④再活性化により伝染性単核球症を発症する。 ⑤抗体検査はラテックス凝集反応が用いられる。
正答: ①ヘルペスウイルス科に属する。・②ウイルスはB細胞に潜伏する。
ポイント EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)はヘルペスウイルス科に属する二本鎖DNAウイルスで、唾液を介して感染しBリンパ球に潜伏感染する性質をもつ。初感染で伝染性単核球症を起こし、思春期以降の初感染で発症しやすい。抗体検査では、初感染早期に抗VCA-IgMと抗VCA-IgGが出現し、抗EBNA(EBV核内抗原)抗体は感染後数か月以降の回復期に陽性化するため、初感染の時期判定に用いられる。●ヘルペスウイルス科=単純ヘルペス(HSV-1・2)・水痘帯状疱疹(VZV)・サイトメガロ(CMV)・EBウイルス・ヒトヘルペス6・7・8型。●EBウイルス関連疾患=伝染性単核球症・Burkittリンパ腫・上咽頭癌・慢性活動性EBウイルス感染症。●EBウイルス抗体の出現順=VCA-IgM/VCA-IgG(早期)→EBNA(回復期)。
選択肢ごとの解説
① EBウイルスはヘルペスウイルス科に属する二本鎖DNAウイルスで、正しい。 ② EBウイルスはBリンパ球に潜伏感染するため、正しい。 ③ 抗EBNA抗体は回復期以降に陽性化するため、初感染で陽性となるは誤り。 ④ 伝染性単核球症は主に初感染で発症するもので、再活性化により発症するは誤り。 ⑤ 抗体検査は蛍光抗体法や酵素免疫測定で行い、ラテックス凝集反応は用いられないため誤り。
📋 まとめの表を見る:EBウイルス抗体検査による感染時期の推定
EBウイルスはヘルペスウイルス科に属し、Bリンパ球に潜伏感染する。初感染で伝染性単核球症を発症しうる。
第71回 午前82(臨床免疫学)
免疫電気泳動法で正しいのはどれか。
①電気浸透現象の影響を受けない。 ②分子量が大きいほど拡散速度が速い。 ③検査の所要時間はおよそ2時間である。 ④トランスフェリンはβ領域に泳動される。 ⑤免疫固定法よりM蛋白の検出感度が高い。
正答: ④トランスフェリンはβ領域に泳動される。
ポイント 免疫電気泳動法は、寒天ゲル上で血清蛋白を電気泳動で分離した後、抗血清を加えて拡散させ、抗原抗体反応による沈降線(弧)の形・位置・濃度の変化から異常蛋白を判定する方法。トランスフェリンはβ-グロブリン分画に泳動される。寒天ゲルでは電気浸透現象の影響を受け、拡散速度は分子量が大きいほど遅い。沈降線形成に拡散を要するため所要時間は長く、M蛋白(単クローン性免疫グロブリン)の検出感度は免疫固定法のほうが高い。●血清蛋白分画の泳動位置=アルブミン→α1(α₁-アンチトリプシン)→α2(ハプトグロビン・α₂-マクログロブリン)→β(トランスフェリン・補体C3)→γ(免疫グロブリン)。●M蛋白の検出=免疫固定法が免疫電気泳動法より高感度。●電気浸透=寒天の負電荷による緩衝液の陽極→陰極方向の流れ。
選択肢ごとの解説
① 寒天ゲルでは支持体の負電荷により電気浸透現象の影響を受けるため、誤り。 ② 分子量が大きいほど拡散速度は遅く、速いは誤り。 ③ 沈降線形成に拡散を要するため所要時間は長く、約2時間は短すぎるため誤り。 ④ トランスフェリンはβ-グロブリン領域に泳動されるため、正しい。 ⑤ M蛋白の検出感度は免疫固定法のほうが高く、免疫固定法より高いは誤り。
📋 まとめの表を見る:免疫電気泳動法〈IEP〉の原理と特徴
免疫固定法は蛋白質分画後に抗血清を直接反応させる方法でIEPより簡便かつ高感度。
第71回 午前83(臨床免疫学)
ヒトT細胞白血病ウイルス1型〈HTLV-1〉感染症の確認検査はどれか。
①PA法 ②EIA法 ③HPLC法 ④MAST法 ⑤LIA〈line immunoassay〉法
正答: ⑤LIA〈line immunoassay〉法
ポイント ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)感染の検査は、まずスクリーニングとして化学発光酵素免疫測定(CLEIA)や粒子凝集法(PA)を行い、陽性なら確認検査に進む二段階方式をとる。確認検査には複数のウイルス抗原を帯状に固相化したラインブロット(line immunoassay:LIA)法が用いられ、判定保留例では核酸増幅検査(プロウイルスDNAの検出)で確定する。LIAは従来用いられていたウエスタンブロット法に代わる確認法である。●スクリーニング=CLEIA・EIA・PA(粒子凝集)。●確認検査=LIA(ラインブロット)、補助としてプロウイルスDNA検出(PCR)。●HTLV-1関連疾患=成人T細胞白血病・HTLV-1関連脊髄症(HAM)・HTLV-1ぶどう膜炎。●母子感染対策=妊婦スクリーニングと授乳指導。
選択肢ごとの解説
① PA法(粒子凝集法)はスクリーニングに用いる検査で、確認検査ではない。 ② EIA法(酵素免疫測定)はスクリーニングに用いる検査で、確認検査ではない。 ③ HPLC法(高速液体クロマトグラフィー)は物質の分離分析法で、HTLV-1の確認検査ではない。 ④ MAST法は多項目同時のアレルゲン特異IgE測定などに用いる方法で、HTLV-1の確認検査ではない。 ⑤ LIA(ラインブロット)法は複数の抗原に対する抗体を確認するHTLV-1感染の確認検査である。
📋 まとめの表を見る:HIV・HTLV-1感染症の検査:スクリーニング法と確認検査法
抗HTLV抗体には中和活性がなく、ウイルス抗原と共存しうる。HTLV-1は母乳を介した母子感染(垂直感染)と輸血・性交による水平感染がある。
第71回 午前84(臨床免疫学)
Lewis血液型がLe(a-b-)の場合、産生されないのはどれか。
①AFP ②CEA ③PSA ④CA19-9 ⑤ProGRP
正答: ④CA19-9
ポイント CA19-9はシアリルLewis a抗原を糖鎖エピトープとする腫瘍マーカーで、その生合成にはLewis(Le)遺伝子がコードするフコース転移酵素が必要である。Lewis式血液型がLe(a−b−)の人(Le遺伝子欠損、日本人の約10%)ではこの酵素を欠くためシアリルLewis a抗原が作られず、膵癌や胆道癌があってもCA19-9は産生・上昇しない。他の腫瘍マーカーはLewis式血液型と無関係に産生される。●Lewis関連で産生されない=CA19-9(シアリルLewis a)はLe(a−b−)で偽陰性。●膵・胆道癌マーカー=CA19-9・DUPAN-2・SPan-1(DUPAN-2はLewis陰性でも産生)。●AFP=肝細胞癌・胚細胞腫瘍。●CEA=消化器癌全般。●PSA=前立腺癌。●ProGRP・NSE=小細胞肺癌。
選択肢ごとの解説
① AFPはLewis式血液型と無関係に産生され、Le(a−b−)でも産生される。 ② CEAはLewis式血液型と無関係に産生され、Le(a−b−)でも産生される。 ③ PSAはLewis式血液型と無関係に産生され、Le(a−b−)でも産生される。 ④ CA19-9はLewis遺伝子に依存するシアリルLewis a抗原のため、Le(a−b−)では産生されない。 ⑤ ProGRPはLewis式血液型と無関係に産生され、Le(a−b−)でも産生される。
📋 まとめの表を見る:主な腫瘍マーカーと高値を示す代表疾患
第71回 午前85(臨床免疫学)
ABO血液型検査の結果を示す。血液型はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA085.cd2cc3eb70.jpg
①A型RhD陰性 ②A型RhD陽性 ③B型RhD陰性 ④B型RhD陽性 ⑤ABO・RhD判定保留
正答: ④B型RhD陽性
ポイント ABO血液型は、患者赤血球と抗A・抗B試薬を反応させるオモテ検査と、患者血清(血漿)とA1・B試験赤血球を反応させるウラ検査を行い、両者が一致して初めて判定する。本図ではオモテ・ウラがともにB型に一致し(抗B試薬で凝集、A血球で凝集)、抗D試薬で凝集を認めるためRhD陽性で、B型RhD陽性と判定される。オモテ・ウラ不一致や対照の異常がある場合は判定保留として追加検査を行う。●オモテ検査=赤血球上のA・B抗原を抗A・抗B試薬で確認。●ウラ検査=血清中の抗A・抗B(規則抗体)をA1・B血球で確認。●RhD検査=抗D試薬、陰性時はweak Dの確認。●オモテ・ウラ不一致の原因=亜型・不規則抗体・寒冷凝集素・低γグロブリン血症・連銭形成。
選択肢ごとの解説
① A型RhD陰性はオモテがB型で抗D陽性の図の所見と合わない。 ② A型RhD陽性はオモテがB型の図の所見と合わない。 ③ B型RhD陰性は抗D試薬で凝集を認める所見と合わない。 ④ オモテ・ウラがともにB型で抗D試薬陽性のため、B型RhD陽性と判定される。 ⑤ オモテ・ウラとも明瞭にB型を示し抗Dも陽性であれば、判定保留にはあたらない。
第71回 午前86(臨床免疫学)
緊急輸血あるいは患者と同じABO血液型の赤血球液が不足した場合、患者と輸血する赤血球液のABO血液型で輸血可能な組合せはどれか。2つ選べ。
①A型の患者 — B型 ②B型の患者 — A型 ③O型の患者 — AB型 ④AB型の患者 — B型 ⑤血液型不明の患者 — O型
正答: ④AB型の患者 — B型・⑤血液型不明の患者 — O型
ポイント 赤血球輸血では、輸血する赤血球膜上のABO抗原が患者血漿中の抗A・抗B抗体と反応しない組合せのみ許容される。AB型患者は抗A・抗BをもたないためA・B・O・ABいずれの赤血球も受けられ、B型赤血球の輸血が可能である。患者血液型が不明の緊急時は、A・B抗原をもたないO型赤血球が安全に使える。逆に患者がもつ抗体に対応する抗原をもつ赤血球(A型患者にB型、B型患者にA型、O型患者にAB型)は溶血を起こすため不可。●赤血球の適合(異型適合輸血)=O型は万能供血者、AB型は万能受血者。●新鮮凍結血漿・血小板=赤血球と逆で、患者赤血球の抗原を攻撃する抗体を含まない型を選ぶ(AB型血漿が万能)。●緊急時=赤血球はO型RhD陰性、血漿はAB型を選択。
選択肢ごとの解説
① A型の患者は血漿中に抗Bをもち、B型赤血球は溶血するため輸血できない。 ② B型の患者は血漿中に抗Aをもち、A型赤血球は溶血するため輸血できない。 ③ O型の患者は抗A・抗Bをもち、AB型赤血球は溶血するため輸血できない。 ④ AB型の患者は抗A・抗Bをもたず、B型赤血球を輸血できる。 ⑤ 血液型不明の患者にはA・B抗原をもたないO型赤血球が安全に輸血できる。
📋 まとめの表を見る:ABO血液型の抗原・抗体と輸血用血液製剤の適合
赤血球製剤は、供血者赤血球の抗原が患者血清中の抗体と反応しない型を選ぶため「抗原の少ない型」ほど適合範囲が広い(O型が万能供血者、AB型が万能受血者)。血漿・血小板製剤は逆に、供血者血漿中の抗体が患者赤血球の抗原と反応しない型を選ぶため、赤血球とは適合関係が左右反対になる(AB型血漿が万能供血)。血液型が確定できない緊急輸血では、赤血球製剤はO型、血漿・血小板製剤はAB型を用いる(RhD陰性製剤は病院在庫が乏しく供給に時間を要するため、救命優先でRhD陽性製剤を応急的に使用することがある)。ラベル色は日本赤十字社の規定で取り違い防止のために用いられる。
第71回 午前87(臨床免疫学)
末梢血幹細胞採取で臨床検査技師が行うことができないのはどれか。
①静脈路確保 ②成分採血装置の操作 ③採取中の静注薬投与 ④採取後の抜針 ⑤採取細胞の保存処理
正答: ③採取中の静注薬投与
ポイント 臨床検査技師等に関する法律の改正で、末梢血幹細胞採取に関連して臨床検査技師は、成分採血装置の操作、採取した細胞の保存処理、針の刺入(静脈路確保)や抜針などを一定の研修・条件下で行えるようになった。一方、採取中に行う薬剤の静脈内注射(静注)は医行為であり、臨床検査技師の業務範囲には含まれず医師が行う。●臨床検査技師が条件下で実施可=採血・検体採取・成分採血装置の操作・末梢血幹細胞採取に伴う静脈路確保や抜針・細胞処理・超音波等の生理検査。●臨床検査技師が行えない医行為=薬剤の静脈内注射・診断・処方。●関連法=臨床検査技師等に関する法律(タスク・シフト/シェアに伴う2021年改正で業務拡大)。
選択肢ごとの解説
① 静脈路確保は研修等の条件下で臨床検査技師も実施できる。 ② 成分採血装置の操作は臨床検査技師が行える。 ③ 採取中の静注薬投与は医行為であり、臨床検査技師は行うことができない。 ④ 採取後の抜針は臨床検査技師が行える。 ⑤ 採取細胞の保存処理は臨床検査技師が行える。
第71回 午前88(臨床免疫学)
新鮮凍結血漿投与の目的で正しいのはどれか。
①貧血の改善 ②血小板の補充 ③凝固因子の補充 ④アルブミンの補充 ⑤血漿浸透圧の維持
正答: ③凝固因子の補充
ポイント 新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma:FFP)は、採血後に速やかに分離・凍結した血漿で、フィブリノゲンや第V・第VIII因子を含む各種凝固因子を保持している。複数凝固因子の欠乏や大量輸血による希釈性凝固障害、播種性血管内凝固(DIC)、肝障害に伴う凝固因子補充などに用いる。貧血は赤血球液、血小板減少は血小板濃厚液、低アルブミン血症はアルブミン製剤で対応し、FFPをこれらの目的で用いるのは適切でない。●FFPの適応=複数凝固因子欠乏・希釈性凝固障害・DIC・ワルファリン過量の緊急是正・血漿交換の置換液。●赤血球液=貧血・出血の酸素運搬能補充。●血小板濃厚液=血小板減少・機能異常。●アルブミン製剤=低アルブミン血症・膠質浸透圧維持。
選択肢ごとの解説
① 貧血の改善には赤血球液を用い、新鮮凍結血漿の目的ではない。 ② 血小板の補充には血小板濃厚液を用い、新鮮凍結血漿の目的ではない。 ③ 新鮮凍結血漿は各種凝固因子を含み、凝固因子の補充が目的である。 ④ アルブミンの補充にはアルブミン製剤を用い、新鮮凍結血漿の主目的ではない。 ⑤ 血漿浸透圧(膠質浸透圧)の維持はアルブミン製剤の役割で、新鮮凍結血漿の目的ではない。
第71回 午前89(臨床免疫学)
能動免疫はどれか。2つ選べ。
①感染による抗体獲得 ②生ワクチン接種による抗体獲得 ③免疫グロブリン製剤による抗体獲得 ④胎盤を介したIgG抗体の胎児への移行 ⑤母乳に含まれるIgA抗体の児への移行
正答: ①感染による抗体獲得・②生ワクチン接種による抗体獲得
ポイント 能動免疫は、生体自身の免疫系が抗原に反応して抗体や記憶細胞を産生する免疫で、自然感染やワクチン接種で獲得され、効果発現に時間を要するが持続的である。受動免疫は、他者または他個体で作られた抗体を受け取る免疫で、即効性があるが一過性である。感染による抗体獲得と生ワクチン接種による抗体獲得は能動免疫、免疫グロブリン製剤・胎盤経由のIgG移行・母乳中IgAの移行は受動免疫にあたる。●自然能動免疫=感染による抗体獲得。●人工能動免疫=ワクチン接種(生・不活化・トキソイド)。●自然受動免疫=胎盤を介したIgG移行・母乳(初乳)中のIgA移行。●人工受動免疫=免疫グロブリン製剤・抗血清・抗毒素の投与。
選択肢ごとの解説
① 感染による抗体獲得は自身の免疫系が抗体を産生する能動免疫である。 ② 生ワクチン接種による抗体獲得は自身の免疫系が反応する能動免疫である。 ③ 免疫グロブリン製剤による抗体獲得は既成の抗体を受け取る受動免疫である。 ④ 胎盤を介したIgG抗体の胎児への移行は受動免疫である。 ⑤ 母乳に含まれるIgA抗体の児への移行は受動免疫である。
第71回 午前90(公衆衛生学)
以下は日本国憲法第25条の条文である。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び()の向上及び増進に努めなければならない。」()に入るのはどれか。
①健康力 ②公衆衛生 ③国民衛生 ④公共の福祉 ⑤社会経済状況
正答: ②公衆衛生
ポイント 日本国憲法第25条は生存権を定めた条文で、第1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とし、第2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定する。空欄には公衆衛生が入る。この第2項は国の社会保障に関する責務の根拠であり、公衆衛生行政の基盤となっている。●憲法第25条=生存権(社会福祉・社会保障・公衆衛生)。●憲法第13条=個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉。●公衆衛生の柱=感染症対策・母子保健・精神保健・環境衛生・健康増進。●関連法=地域保健法・健康増進法・感染症法。
選択肢ごとの解説
① 健康力は憲法第25条の条文の語ではない。 ② 公衆衛生が「社会福祉、社会保障及び公衆衛生」として条文に入る語である。 ③ 国民衛生は憲法第25条の条文の語ではない。 ④ 公共の福祉は憲法第13条などの語で、第25条の空欄には入らない。 ⑤ 社会経済状況は憲法第25条の条文の語ではない。
第71回 午前91(公衆衛生学)
環境基本法に基づいて環境基準が設定されているのはどれか。
正答: ⑤水質汚濁
ポイント 環境基本法に基づく環境基準は、人の健康保護および生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい行政上の目標値で、大気の汚染・水質の汚濁・土壌の汚染・騒音の4分野について設定されている。水質汚濁はこのうちに含まれ、環境基準が定められている。悪臭・振動・地盤沈下は典型7公害には数えられるが環境基準は設定されておらず、規制は個別法(悪臭防止法・振動規制法等)による。●環境基準が設定される4分野=大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音。●典型7公害=大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・地盤沈下・悪臭。●環境基準なし=振動・地盤沈下・悪臭。●関連=環境基本法(基準設定)、大気汚染防止法・水質汚濁防止法(排出規制)。
選択肢ごとの解説
① 悪臭は典型7公害だが環境基準は設定されておらず、悪臭防止法で規制される。 ② 振動は典型7公害だが環境基準は設定されておらず、振動規制法で規制される。 ③ 酸性雨そのものには環境基準は設定されていない。 ④ 地盤沈下は典型7公害だが環境基準は設定されていない。 ⑤ 水質汚濁は環境基本法に基づき環境基準が設定されている。
📋 まとめの表を見る:環境基準が設定される分野(環境基本法)
環境基準は、人の健康の保護と生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい行政上の目標値である。
第71回 午前92(公衆衛生学)
食中毒予防の原則である「中心温度75℃以上1分以上の加熱」が有効なのはどれか。
①フグ毒 ②ボツリヌス菌 ③黄色ブドウ球菌 ④サルモネラ属菌 ⑤ツキヨタケ(毒キノコ)
正答: ④サルモネラ属菌
ポイント 「中心温度75℃以上1分以上の加熱」は、加熱で菌体そのものを死滅させられる感染型(細菌が体内で増殖して発症する型)の食中毒予防に有効で、サルモネラ属菌がこれに該当する。一方、黄色ブドウ球菌が産生する耐熱性のエンテロトキシン(毒素型)、ボツリヌス菌の芽胞、フグ毒(テトロドトキシン)や毒キノコの自然毒は加熱で十分に不活化されず、この条件では予防できない。●感染型(加熱有効)=サルモネラ属菌・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・腸管出血性大腸菌。●毒素型(加熱で毒素残存)=黄色ブドウ球菌(耐熱性エンテロトキシン)。●芽胞形成(加熱抵抗)=ボツリヌス菌・セレウス菌・ウェルシュ菌。●自然毒(加熱で分解されにくい)=フグ毒(テトロドトキシン)・毒キノコ・貝毒。
選択肢ごとの解説
① フグ毒(テトロドトキシン)は熱に安定で、75℃1分の加熱では分解されない。 ② ボツリヌス菌は耐熱性の芽胞を形成し、75℃1分の加熱では死滅しない。 ③ 黄色ブドウ球菌が産生するエンテロトキシンは耐熱性で、加熱しても残存する。 ④ サルモネラ属菌は感染型で加熱に弱く、中心温度75℃1分以上の加熱で死滅し予防できる。 ⑤ ツキヨタケの毒は加熱で分解されにくく、加熱では予防できない。
第71回 午前93(公衆衛生学)
プライマリヘルスケアの理念が採択されたのはどれか。
①オタワ憲章 ②バンコク憲章 ③リスボン宣言 ④ヘルシンキ宣言 ⑤アルマ・アタ宣言
正答: ⑤アルマ・アタ宣言
ポイント プライマリヘルスケアは、住民が主体となり身近で基本的な保健医療を地域に普及させる理念で、1978年に世界保健機関(WHO)とユニセフが共催した国際会議で採択されたアルマ・アタ宣言で打ち出された。「2000年までにすべての人に健康を」を目標に掲げた。オタワ憲章(1986年)はヘルスプロモーションを提唱した別の文書である。●アルマ・アタ宣言(1978)=プライマリヘルスケア。●オタワ憲章(1986)=ヘルスプロモーション(健康を支援する環境づくり)。●バンコク憲章(2005)=グローバル化時代のヘルスプロモーション。●ヘルシンキ宣言=人を対象とする医学研究の倫理原則。●リスボン宣言=患者の権利。●ジュネーブ宣言=医師の倫理(ヒポクラテスの誓いの現代版)。
選択肢ごとの解説
① オタワ憲章はヘルスプロモーションを提唱した文書で、プライマリヘルスケアの採択ではない。 ② バンコク憲章はグローバル化時代のヘルスプロモーションに関する文書である。 ③ リスボン宣言は患者の権利に関する宣言である。 ④ ヘルシンキ宣言は人を対象とする医学研究の倫理原則を定めた宣言である。 ⑤ アルマ・アタ宣言でプライマリヘルスケアの理念が採択された。
第71回 午前94(公衆衛生学)
世界保健機関〈WHO〉の活動はどれか。
①二国間協力を行う。 ②識字率を向上させる。 ③難民の帰還支援を行う。 ④国際疾病分類〈ICD〉を作成する。 ⑤労働者の健康保護について勧告する。
正答: ④国際疾病分類〈ICD〉を作成する。
ポイント 世界保健機関(World Health Organization:WHO)は国連の専門機関で、国際疾病分類(International Classification of Diseases:ICD)の作成・改訂、保健に関する国際基準づくり、感染症のサーベイランスと対策、各国保健行政への技術支援などを担う。ICDの作成はWHOの代表的な活動である。二国間協力は各国の援助機関、識字率向上は国連教育科学文化機関(UNESCO)、難民支援は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、労働者の健康保護は国際労働機関(ILO)が主に担当する。●WHO=ICD作成・国際保健規則・感染症対策・健康水準向上の勧告。●UNESCO=教育・科学・文化(識字率向上)。●UNHCR=難民の保護・帰還支援。●ILO=労働条件・労働者の健康保護。●UNICEF=児童の保健・福祉。
選択肢ごとの解説
① 二国間協力はWHOの活動ではなく、各国の政府開発援助機関が行う。 ② 識字率の向上は国連教育科学文化機関(UNESCO)の活動である。 ③ 難民の帰還支援は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動である。 ④ 国際疾病分類(ICD)の作成は世界保健機関(WHO)の活動である。 ⑤ 労働者の健康保護に関する勧告は国際労働機関(ILO)が主に担う。
📋 まとめの表を見る:国連関連機関の役割分担
二国間協力は各国の援助機関(日本ではJICA)が行い、WHOなど国連機関は多国間協力が中心である。
第71回 午前95(医用工学概論)
図の回路で12Ωの抵抗に流れる電流I[A]はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71aA095.ff2b213170.jpg
正答: ②0.2
ポイント 電源につながる上下2点の間には、中央上側の4Ωと、右側の12Ω+中央下側の4Ω=16Ωの2経路が並列につながっている。全電流は1Aなので分流則より、16Ωの経路に流れる電流は I=1×4/(4+16)=0.2A。12Ωの抵抗にも同じ0.2Aが流れる。 ●並列の2枝では電流は抵抗の逆比に分かれる。 ●中央下側の4Ωは12Ωと直列であり、中央上側の4Ωとの直列ではない。
選択肢ごとの解説
① 0.1Aはオームの法則による計算値と一致しない。 ② 0.2Aはオームの法則による計算値と一致する。 ③ 0.4Aはオームの法則による計算値と一致しない。 ④ 0.6Aはオームの法則による計算値と一致しない。 ⑤ 0.8Aはオームの法則による計算値と一致しない。
第71回 午前96(医用工学概論)
酸化エチレンガスで正しいのはどれか。
①毒性はない。 ②引火性はない。 ③機材を腐食させる。 ④高温滅菌法である。 ⑤微生物を死滅させる。
正答: ⑤微生物を死滅させる。
ポイント 酸化エチレンガス(ethylene oxide gas:EOG)滅菌は、ガスのアルキル化作用で微生物のDNA・蛋白を変性させ、芽胞を含む微生物を確実に死滅させる低温滅菌法である。熱や湿気に弱いプラスチック製品や内視鏡などに用いられる。酸化エチレンは毒性・発がん性をもち引火性・爆発性もあるため、滅菌後は残留ガスを除去するエアレーションが必要となる。●低温滅菌=酸化エチレンガス滅菌・過酸化水素ガスプラズマ滅菌・ホルムアルデヒドガス滅菌。●高温滅菌=高圧蒸気滅菌(オートクレーブ、121℃)・乾熱滅菌。●酸化エチレンの留意点=毒性・発がん性・引火爆発性・残留ガスのエアレーション必須。●化学的滅菌=過酢酸・グルタルアルデヒド(高水準消毒)。
選択肢ごとの解説
① 酸化エチレンには毒性・発がん性があり、毒性はないは誤り。 ② 酸化エチレンは引火性・爆発性があり、引火性はないは誤り。 ③ 酸化エチレンガス滅菌は低温で行い機材を腐食させにくく、腐食させるは誤り。 ④ 酸化エチレンガス滅菌は高温ではなく低温で行うガス滅菌法で、高温滅菌法は誤り。 ⑤ 酸化エチレンは芽胞を含む微生物を死滅させる滅菌法である。
第71回 午前97(医用工学概論)
通信プロトコルの階層のうち、アプリケーション層の規格はどれか。
①Ethernet ②HTTPS ③IP ④TCP ⑤Wi-Fi
正答: ②HTTPS
ポイント 通信プロトコルは役割ごとに階層化されており、OSI参照モデルやTCP/IPモデルで整理される。HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)はWeb通信を暗号化するアプリケーション層のプロトコルである。IPはネットワーク層(アドレス指定・経路選択)、TCPはトランスポート層(信頼性のある通信)、EthernetやWi-Fiは物理層・データリンク層(物理伝送・隣接機器間の伝送)に位置づけられる。●アプリケーション層=HTTP・HTTPS・FTP・SMTP・DNS・DICOM・HL7。●トランスポート層=TCP・UDP。●ネットワーク層=IP・ICMP。●データリンク/物理層=Ethernet・Wi-Fi・MACアドレス。
選択肢ごとの解説
① Ethernetはデータリンク層・物理層の規格で、アプリケーション層ではない。 ② HTTPSはWeb通信を担うアプリケーション層の規格である。 ③ IPはネットワーク層の規格で、アプリケーション層ではない。 ④ TCPはトランスポート層の規格で、アプリケーション層ではない。 ⑤ Wi-Fiは物理層・データリンク層の規格で、アプリケーション層ではない。
第71回 午前98(医用工学概論)
測定対象の物理量変化に対応して電気抵抗が変化するセンサはどれか。2つ選べ。
①圧電素子 ②サーミスタ ③ストレンゲージ ④熱電対 ⑤ホール素子
正答: ②サーミスタ・③ストレンゲージ
ポイント 物理量の変化を電気抵抗の変化に変換するセンサとして、サーミスタとストレンゲージがある。サーミスタは温度変化で電気抵抗が変化する半導体素子で温度測定に、ストレンゲージは伸縮(ひずみ)で金属抵抗線の抵抗が変化する原理を用い力・圧力・変位の測定に用いる。圧電素子は加わる力を電圧に、熱電対は2点間の温度差を起電力に、ホール素子は磁場を電圧に変換するもので、いずれも抵抗変化ではない。●抵抗変化型センサ=サーミスタ(温度)・ストレンゲージ(ひずみ・力)・測温抵抗体(白金測温抵抗体)。●起電力(電圧)発生型=圧電素子(力)・熱電対(温度差)・ホール素子(磁場)・光電池(光)。●静電容量変化型=静電容量式圧力センサ。
選択肢ごとの解説
① 圧電素子は加わる力を電圧に変換する素子で、抵抗変化ではない。 ② サーミスタは温度変化で電気抵抗が変化する素子である。 ③ ストレンゲージはひずみ(変形)で電気抵抗が変化する素子である。 ④ 熱電対は温度差で起電力(電圧)を生じる素子で、抵抗変化ではない。 ⑤ ホール素子は磁場で電圧を生じる素子で、抵抗変化ではない。
📋 まとめの表を見る:トランスデューサ(センサ)の変換原理による分類
第71回 午前99(医用工学概論)
64種類の項目をコード化する場合、必要最低限の記憶容量[bit]はどれか。
正答: ③6
ポイント nビットの2進数では2のn乗通りの状態を表現でき、これにより区別できる項目数が決まる。64種類の項目を一意にコード化するには2のn乗が64以上である必要があり、2の6乗=64なのでn=6が条件を満たす最小値となる。したがって必要最低限の記憶容量は6ビットである。●ビットと表現可能数=1ビット2通り、4ビット16通り、5ビット32通り、6ビット64通り、8ビット256通り。●1バイト=8ビット。●情報量の関係=必要ビット数は項目数の2を底とする対数を切り上げた値。●関連=ASCIIは7ビット(128文字)、拡張ASCIIは8ビット。
選択肢ごとの解説
① 4ビットは2の4乗で16種類しか表せず、64種類には不足する。 ② 5ビットは2の5乗で32種類しか表せず、64種類には不足する。 ③ 6ビットは2の6乗で64種類を表せ、必要最低限のビット数である。 ④ 8ビットは256種類を表せるが過剰で、必要最低限ではない。 ⑤ 16ビットは65536種類を表せるが大幅に過剰である。
📋 まとめの表を見る:べき乗による情報量・組合せ数の計算
nビットの2進数では2のn乗通り、n種類の記号をr桁並べる場合はnのr乗通りの組合せを表現できる。
第71回 午前100(医用工学概論)
生体組織の電気的性質で誤っているのはどれか。
①血液は脂肪に比べ導電率が低い。 ②体液の導電率には温度依存性がある。 ③骨格筋組織では導電率の異方性が強い。 ④細胞外液は細胞膜に比べ導電率が高い。 ⑤電流の周波数が高いほど導電率が高い。
正答: ①血液は脂肪に比べ導電率が低い。
ポイント 生体組織の導電率は水分・電解質の含有量に大きく依存し、水分と電解質に富む組織ほど高い。血液や体液(脳脊髄液・細胞外液)は導電率が高く、脂肪や骨は水分が少なく導電率が低い。したがって「血液は脂肪に比べ導電率が低い」は事実と逆で誤りであり、実際には血液のほうが脂肪より導電率は高い。導電率には温度依存性があり、骨格筋は線維方向に沿って電流が流れやすい異方性を示し、周波数が高いほど細胞膜の容量を介して電流が流れやすくなり導電率が上がる。●導電率が高い組織=血液・脳脊髄液・体液・筋肉。●導電率が低い組織=脂肪・骨・肺(含気)。●生体電気的特性=温度依存性・骨格筋の異方性・周波数依存性(高周波で導電率上昇)。●細胞膜=コンデンサ的に働き低周波では電流を通しにくい。
選択肢ごとの解説
① 誤り。血液は水分・電解質に富み脂肪より導電率が高く、低いは事実と逆である。 ② 体液の導電率はイオンの移動度が温度で変わるため温度依存性があり、正しい。 ③ 骨格筋は線維方向で電流の通りやすさが異なる導電率の異方性が強く、正しい。 ④ 細胞外液は電解質に富み細胞膜より導電率が高く、正しい。 ⑤ 周波数が高いほど細胞膜の容量を介して電流が流れやすく導電率が高くなり、正しい。
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