第71回(2025) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第71回 午後1(臨床検査総論)
尿沈渣無染色標本とSternheimer染色標本を別に示す。この構造物はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB001.ece03f240a.jpg

- ①硝子円柱
- ②脂肪円柱
- ③赤血球円柱
- ④ろう様円柱
- ⑤フィブリン円柱
正答: ①硝子円柱
ポイント
硝子円柱(ガラス円柱)は主にヘンレ係蹄の太い上行脚で産生・分泌されるTamm-Horsfall蛋白(ウロモジュリン)が遠位尿細管・集合管の管腔内で凝集してできる、均一無構造で透明な円柱である。屈折率が尿とほぼ等しく無染色では辺縁が淡くて見落としやすいが、Sternheimer染色(S染色)では淡青〜淡紫に染まり輪郭が明瞭になる。健常者でも運動後や脱水時に少数出現し、それ自体は強い病的意義をもたない。●基質型円柱=硝子円柱(Tamm-Horsfall蛋白)。●細胞封入型=赤血球円柱(糸球体性血尿)・白血球円柱(腎盂腎炎・間質性腎炎)・上皮円柱(尿細管壊死)。●変性・特殊型=顆粒円柱(細胞崩壊物)・ろう様円柱(高度腎不全・幅広)・脂肪円柱(ネフローゼ)・色素円柱(ヘモグロビン・ミオグロビン・ビリルビン)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。硝子円柱はTamm-Horsfall蛋白からなる均一透明な円柱で、無染色では淡くSternheimer染色で淡青〜淡紫に染まる。
- ② 脂肪円柱は基質内に脂肪滴を含み、偏光顕微鏡でMaltese cross(十字像)を示すもので、無構造透明の本構造とは異なる。
- ③ 赤血球円柱は基質に赤血球を封入した円柱で、糸球体性血尿を示し本構造とは異なる。
- ④ ろう様円柱は幅広く屈折性が強く辺縁が明瞭で、高度の腎障害(慢性腎不全)でみられ、透明な硝子円柱とは異なる。
- ⑤ フィブリン円柱はフィブリンを基質とする特殊な円柱で、本構造の均一透明な所見とは異なる。
第71回 午後2(臨床検査総論)
滲出液と比較して漏出液で高値を示すのはどれか。
正答: ⑤グルコース
ポイント
漏出液は静水圧上昇や膠質浸透圧低下による血漿成分の濾過で生じ、蛋白・乳酸脱水素酵素(LD)・比重・細胞数がいずれも低い。一方、滲出液は炎症や悪性により血管透過性が亢進した液で、蛋白・LD・細胞数が高く、好中球や腫瘍細胞による消費でグルコースが低下する。したがって漏出液は滲出液と比べグルコースが相対的に高値となる(血漿とほぼ同等)。●漏出液(transudate)の原因=うっ血性心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群(低アルブミン血症)。●滲出液(exudate)の原因=細菌性胸膜炎・結核・悪性腫瘍・膠原病。●鑑別指標=蛋白>3.0g/dL・比重>1.018・LD高値・Rivalta反応陽性は滲出液、グルコース低値も滲出液(膿胸・関節リウマチで著明)。
選択肢ごとの解説
- ① LD(乳酸脱水素酵素)は炎症・細胞崩壊のある滲出液で高値となり、漏出液では低い。
- ② 蛋白は血管透過性が亢進する滲出液で高く、濾過による漏出液では低い。
- ③ 比重は溶質の多い滲出液で高く、漏出液では低い。
- ④ 細胞数は炎症性の滲出液で多く、漏出液では少ない。
- ⑤ 正しい。グルコースは滲出液で細胞による消費のため低下し、漏出液では血漿とほぼ同等で相対的に高値を示す。
📋 まとめの表を見る:体腔液(胸水・腹水):滲出液と漏出液の鑑別
第71回 午後3(臨床検査総論)
X連鎖潜性〈劣性〉遺伝形式をとる疾患はどれか。
- ①血友病A
- ②糖原病Ⅰ型
- ③Marfan症候群
- ④遺伝性球状赤血球症
- ⑤フェニルケトン尿症
正答: ①血友病A
ポイント
血友病Aは凝固第Ⅷ因子の欠乏・活性低下による出血性疾患で、原因遺伝子(F8)はX染色体上にあり、X連鎖潜性(劣性)遺伝形式をとるため主に男児に発症する。糖原病Ⅰ型(von Gierke病)・フェニルケトン尿症は常染色体潜性遺伝、Marfan症候群(フィブリリン-1遺伝子)・遺伝性球状赤血球症の多くは常染色体顕性(優性)遺伝である。●X連鎖潜性遺伝=血友病A・血友病B(第Ⅸ因子)・Duchenne型筋ジストロフィー・赤緑色覚異常・G6PD欠損症。●常染色体潜性遺伝=フェニルケトン尿症・糖原病・Wilson病・嚢胞性線維症。●常染色体顕性遺伝=Marfan症候群・遺伝性球状赤血球症・家族性高コレステロール血症・神経線維腫症。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。血友病Aは第Ⅷ因子遺伝子がX染色体上にあり、X連鎖潜性(劣性)遺伝で男児に多い。
- ② 糖原病Ⅰ型(von Gierke病)はグルコース-6-ホスファターゼ欠損による常染色体潜性遺伝である。
- ③ Marfan症候群はフィブリリン-1遺伝子の異常による常染色体顕性(優性)遺伝である。
- ④ 遺伝性球状赤血球症の多くは常染色体顕性遺伝で、X連鎖ではない。
- ⑤ フェニルケトン尿症はフェニルアラニン水酸化酵素欠損による常染色体潜性遺伝である。
第71回 午後4(臨床検査総論)
血尿をきたすのはどれか。
- ①広東住血線虫
- ②東洋毛様線虫
- ③日本住血吸虫
- ④Manson〈マンソン〉住血吸虫
- ⑤Bilharz〈ビルハルツ〉住血吸虫
正答: ⑤Bilharz〈ビルハルツ〉住血吸虫
ポイント
ビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobium)は膀胱静脈叢に寄生し、産卵された虫卵が膀胱壁を貫いて尿中に排出される過程で粘膜を傷つけ、終末血尿(排尿終了時の血尿)をきたす。慢性経過では膀胱の線維化や扁平上皮癌の発生にも関与する。日本住血吸虫・Manson住血吸虫は腸間膜静脈や門脈系に寄生し、血便や肝線維化・門脈圧亢進をきたす。●尿路・血尿=ビルハルツ住血吸虫(膀胱)。●腸管・肝(門脈系)=日本住血吸虫・Manson住血吸虫(血便・肝障害)。●その他の住血吸虫症診断=糞便・尿中の虫卵検査(虫卵の側棘・端棘で鑑別)。●血尿の他要因=糸球体腎炎・尿路結石・膀胱腫瘍。
選択肢ごとの解説
- ① 広東住血線虫はヒトでは好酸球性髄膜脳炎を起こす線虫で、血尿はきたさない。
- ② 東洋毛様線虫は小腸に寄生する線虫で、血尿の原因とはならない。
- ③ 日本住血吸虫は門脈系に寄生し、血便や肝線維化・門脈圧亢進をきたすが膀胱の血尿ではない。
- ④ Manson住血吸虫は腸間膜静脈に寄生し血便をきたすもので、血尿はきたさない。
- ⑤ 正しい。ビルハルツ住血吸虫は膀胱静脈叢に寄生し、虫卵が膀胱壁を傷つけて終末血尿をきたす。
第71回 午後5(臨床検査総論)
衛生動物と疾患の組合せで誤っているのはどれか。
- ①ノミ — ペスト
- ②ブユ — 疥癬
- ③キチマダニ — 野兎病
- ④コロモジラミ — 回帰熱
- ⑤コナヒョウダニ — アトピー性皮膚炎
正答: ②ブユ — 疥癬
ポイント
疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫、Sarcoptes scabiei)が表皮角層内に寄生して疥癬トンネルを形成する接触感染性疾患であり、ブユが媒介するものではない。ブユ(蚋)は刺咬による皮膚炎や、熱帯地域では回旋糸状虫を媒介してオンコセルカ症(河川盲目症)を起こす。他の組合せは正しい。●ノミ=ペスト・発疹熱。●シラミ=コロモジラミが発疹チフス・回帰熱・塹壕熱を媒介。●マダニ=日本紅斑熱・ライム病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・野兎病(キチマダニ等)。●ヒョウヒダニ(コナヒョウヒダニ・ヤケヒョウヒダニ)=気管支喘息・アトピー性皮膚炎などのアレルゲン。●ヒゼンダニ=疥癬。
選択肢ごとの解説
- ① ノミはペスト菌(Yersinia pestis)を媒介し、正しい組合せである。
- ② 誤り。疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫)が表皮に寄生して起こり、ブユが媒介するものではない。
- ③ キチマダニは野兎病(ツラレミア)の媒介に関与し、正しい組合せである。
- ④ コロモジラミは回帰熱や発疹チフスを媒介し、正しい組合せである。
- ⑤ コナヒョウヒダニはアトピー性皮膚炎や喘息のアレルゲンとなり、正しい組合せである。
📋 まとめの表を見る:衛生動物(衛生害虫)と媒介・原因疾患
ブユは疥癬ではなく回旋糸状虫症(オンコセルカ症)を媒介する点が問われやすい。
第71回 午後6(臨床検査総論)
Kinyoun〈キニヨン〉抗酸染色が用いられるのはどれか。
- ①マラリア
- ②トリパノソーマ
- ③リーシュマニア
- ④ミクロフィラリア
- ⑤クリプトスポリジウム
正答: ⑤クリプトスポリジウム
ポイント
Kinyoun染色は加温を要さない冷染法の抗酸染色で、石炭酸フクシンに界面活性剤を加えて室温で染色する。クリプトスポリジウムのオーシストは抗酸性をもち、本法で赤く染まるため糞便検査での検出に用いられる。マラリア原虫・トリパノソーマ・リーシュマニア・ミクロフィラリアは血液や組織でGiemsa染色により観察する。●抗酸染色で染まる病原体=抗酸菌(結核菌・非結核性抗酸菌・らい菌)・ノカルジア(部分抗酸性)・クリプトスポリジウム/サイクロスポラ/イソスポラなどのコクシジウム類オーシスト。●Giemsa染色で観察=マラリア・トリパノソーマ・リーシュマニア・バベシア・ミクロフィラリア。●抗酸染色法=Ziehl-Neelsen法(加温)・Kinyoun法(冷染)・蛍光のオーラミン法。
選択肢ごとの解説
- ① マラリア原虫は赤血球内に寄生し、Giemsa染色で観察する。
- ② トリパノソーマは血液中の原虫で、Giemsa染色で観察する。
- ③ リーシュマニアはGiemsa染色で無鞭毛体(アマスティゴート)などを観察する。
- ④ ミクロフィラリアは血液塗抹のGiemsa染色で観察する。
- ⑤ 正しい。クリプトスポリジウムのオーシストは抗酸性をもち、Kinyoun染色(冷抗酸染色)で赤く染まる。
第71回 午後7(臨床検査総論)
臨床検査の一次分類とそれに含まれる二次分類の組合せで正しいのはどれか。
- ①生化学的検査 — 細胞性免疫検査
- ②尿・糞便等一般検査 — 寄生虫検査
- ③微生物学的検査 — 病原体核酸検査
- ④病理学的検査 — 体細胞遺伝子検査
- ⑤免疫学的検査 — 免疫組織化学検査
正答: ②尿・糞便等一般検査 — 寄生虫検査
ポイント
臨床検査の一次分類(検体検査の大区分)と二次分類(細目)の対応では、尿・糞便等一般検査に寄生虫検査が含まれる。細胞性免疫検査は血液学的検査、病原体核酸検査・体細胞遺伝子検査は遺伝子関連・染色体検査、免疫組織化学検査は病理学的検査に属する。●尿・糞便等一般検査=尿検査・糞便検査・寄生虫検査・穿刺液検査。●免疫学的検査=免疫血液学検査・免疫血清学検査。●血液学的検査=血球算定・血液細胞形態検査・血栓・止血関連検査・細胞性免疫検査。●微生物学的検査=細菌培養同定検査・薬剤感受性検査。●遺伝子関連・染色体検査=病原体核酸検査・体細胞遺伝子検査・生殖細胞系列遺伝子検査・染色体検査。●病理学的検査=病理組織・細胞診・免疫組織化学・電子顕微鏡検査。
選択肢ごとの解説
- ① 細胞性免疫検査は血液学的検査に属し、生化学的検査の二次分類ではない。
- ② 正しい。尿・糞便等一般検査には寄生虫検査が含まれる。
- ③ 病原体核酸検査は遺伝子関連・染色体検査に分類され、微生物学的検査の二次分類ではない。
- ④ 体細胞遺伝子検査は遺伝子関連・染色体検査に属し、病理学的検査ではない。
- ⑤ 免疫組織化学検査は病理学的検査に属し、免疫学的検査ではない。
📋 まとめの表を見る:臨床検査の一次分類と二次分類
臨床検査技師等に関する法律施行規則第一条に定める検体検査7分類が一次分類にあたる。
第71回 午後8(臨床検査総論)
疾患と予防策の組合せで適切なのはどれか。
- ①疥癬 — 患者の陰圧個室隔離
- ②水痘 — 医療従事者のN95マスク着用
- ③梅毒 — 医療従事者のフェイスシールド着用
- ④肺結核 — 患者のカーテン隔離
- ⑤マイコプラズマ肺炎 — 医療従事者のワクチン接種
正答: ②水痘 — 医療従事者のN95マスク着用
ポイント
水痘は水痘・帯状疱疹ウイルスによる空気感染症で、空気・接触予防策を追加する。免疫のある医療従事者が対応可能なら、免疫のない医療従事者は担当を避ける。やむを得ず対応する際は施設の感染対策に従いN95マスク等を用いる。疥癬は接触感染で陰圧個室は不要(個人防護具と接触予防策で対応)、肺結核も空気感染でカーテン隔離では不十分、梅毒は性感染・血液感染で標準予防策が基本、マイコプラズマ肺炎は飛沫感染でワクチンはない。●空気感染=結核・麻疹・水痘(N95マスク・陰圧室)。●飛沫感染=インフルエンザ・百日咳・マイコプラズマ肺炎・髄膜炎菌(サージカルマスク)。●接触感染=疥癬・MRSA・ノロウイルス・クロストリジオイデス・ディフィシル(手袋・ガウン)。
選択肢ごとの解説
- ① 疥癬は接触感染であり、陰圧個室隔離は不要で接触予防策で対応する。
- ② 正しい。水痘には空気予防策が必要で、対応時にはN95マスク等を用いる。ただし免疫のある担当者が対応可能なら、免疫のない医療従事者は患者対応を避ける。
- ③ 梅毒は性感染・血液感染が主で、フェイスシールド着用が標準的な予防策ではない。
- ④ 肺結核は空気感染であり、カーテン隔離では不十分でN95マスク・陰圧室が必要である。
- ⑤ マイコプラズマ肺炎にはワクチンがなく、飛沫感染対策で対応する。
📋 まとめの表を見る:感染経路別の予防策
標準予防策はすべての患者に適用し、感染経路別予防策は感染力の強い疾患に標準予防策へ追加して実施する。梅毒・B型/C型肝炎・HIVなど血液媒介感染症は標準予防策のみで対応可能。
第71回 午後9(臨床検査総論)
染色法と濃染する部位の組合せで正しいのはどれか。
- ①C分染法 — ユークロマチン
- ②G分染法 — GC塩基
- ③NOR分染法 — テロメア
- ④Q分染法 — AT塩基
- ⑤姉妹染色体分染法 — ヘテロクロマチン
正答: ④Q分染法 — AT塩基
ポイント
Q分染法(キナクリン蛍光分染法)はキナクリンがアデニン-チミン(AT)に富む部位に強く結合して蛍光を発するため、AT塩基の多い領域が濃染し、その明暗パターンはG分染とほぼ一致する。C分染法はセントロメア部などの構成的ヘテロクロマチンを、NOR分染法は核小体形成部位(リボソームRNA遺伝子のある部位)を染める。●Q分染=AT塩基リッチ部の蛍光(G分染と一致)。●G分染=Giemsaでバンドを染め、ATリッチが濃染。●C分染=構成的ヘテロクロマチン(セントロメア・Y染色体長腕)。●NOR分染=核小体形成部位(13・14・15・21・22番の短腕)。●姉妹染色分体分染(SCE)=複製した2本の染色分体を染め分け、姉妹染色分体交換の評価に用いる。
選択肢ごとの解説
- ① C分染法は構成的ヘテロクロマチン(セントロメア部)を濃染し、ユークロマチンではない。
- ② G分染法はAT塩基に富む部位が濃染し、GC塩基に富む部位ではない。
- ③ NOR分染法は核小体形成部位を染め、テロメアではない。
- ④ 正しい。Q分染法はAT塩基に富む部位がキナクリンにより強く蛍光を発する。
- ⑤ 姉妹染色分体分染法は複製した分体を染め分けて姉妹染色分体交換を評価するもので、ヘテロクロマチンの濃染が目的ではない。
📋 まとめの表を見る:染色体分染法(バンディング法)の種類と特徴
GバンドとRバンドは互いに逆の濃淡パターンを示す。QバンドはGバンドと同じ濃淡パターンだが、蛍光染色法である点が異なる。
第71回 午後10(臨床検査総論)
標準予防策で感染性を考慮しないのはどれか。
正答: ①汗
ポイント
標準予防策(スタンダードプリコーション)では、血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚はすべて感染の可能性があるものとして扱う。ただし汗は唯一の例外で、感染性を考慮しない。尿・髄液・精液・唾液は感染源として扱う対象に含まれる。●標準予防策で感染性ありとして扱うもの=血液・体液(髄液・胸水・腹水・羊水・関節液など)・分泌物・排泄物(尿・便)・精液・腟分泌液・唾液・粘膜・損傷皮膚。●例外(感染性を考慮しない)=汗。●標準予防策の手段=手指衛生・手袋/ガウン/マスクなどの個人防護具・針刺し防止。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。汗は標準予防策で感染性を考慮しない唯一の体液である。
- ② 尿は排泄物として感染源に扱う。
- ③ 髄液は体液として感染源に扱う。
- ④ 精液は感染源として扱う対象に含まれる。
- ⑤ 唾液は分泌物として感染源に扱う。
第71回 午後11(臨床検査医学総論)
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌判定に用いられるのはどれか。
- ①血液培養検査
- ②消化管造影
- ③尿素呼気試験
- ④尿培養検査
- ⑤便培養検査
正答: ③尿素呼気試験
ポイント
ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼを産生して尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する。尿素呼気試験は炭素13で標識した尿素を内服させ、菌のウレアーゼで生じた標識二酸化炭素を呼気から測定する検査で、感度・特異度が高く除菌判定に広く用いられる。血液培養・尿培養・便培養や消化管造影は除菌判定に用いない(便では培養でなく便中抗原検査を用いる)。●ピロリ感染診断(内視鏡不要)=尿素呼気試験・便中抗原検査・血清/尿中抗体検査。●内視鏡を用いる検査=迅速ウレアーゼ試験・鏡検(培養・組織)。●除菌判定に適する検査=尿素呼気試験・便中抗原検査(抗体は除菌後も陽性が続くため不向き)。
選択肢ごとの解説
- ① 血液培養はヘリコバクター・ピロリの除菌判定には用いない。
- ② 消化管造影は形態評価であり、除菌判定には用いない。
- ③ 正しい。尿素呼気試験は菌のウレアーゼ活性を利用し、除菌判定に用いられる。
- ④ 尿培養は尿路感染の検査で、ピロリの除菌判定には用いない。
- ⑤ 便については培養ではなく便中抗原検査が用いられ、便培養は除菌判定に用いない。
📋 まとめの表を見る:ヘリコバクター・ピロリ感染の診断・検査法と除菌判定への適否
血液・尿・便からはH.pylori生菌自体は検出されない(抗体または抗原を検出)。
第71回 午後12(臨床検査医学総論)
睡眠時無呼吸症候群で誤っているのはどれか。
- ①肥満に合併することが多い。
- ②高血圧を合併することが多い。
- ③無呼吸は仰臥位で起こりやすい。
- ④終夜睡眠ポリグラフィはスクリーニングに有用である。
- ⑤睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸指数〈AHI〉が5未満を示す。
正答: ④終夜睡眠ポリグラフィはスクリーニングに有用である。・⑤睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸指数〈AHI〉が5未満を示す。
ポイント
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は肥満や高血圧、循環器疾患を合併しやすく、無呼吸は気道が落ち込みやすい仰臥位で起こりやすい。確定診断は終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)で行う精密検査であり、スクリーニングには簡易モニター(パルスオキシメトリ等)を用いる。重症度指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)は1時間あたり5以上で異常とされ、5未満は正常範囲であるため、SASの所見としては誤りである。●AHIによる重症度=5以上15未満で軽症・15以上30未満で中等症・30以上で重症。●関連病態=高血圧・虚血性心疾患・心房細動・脳卒中・2型糖尿病・日中過眠。●治療=持続陽圧呼吸(CPAP)・口腔内装置・減量・体位療法。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。睡眠時無呼吸症候群は肥満に合併することが多い。
- ② 正しい。高血圧を合併することが多い。
- ③ 正しい。気道が虚脱しやすい仰臥位で無呼吸が起こりやすい。
- ④ 誤り。終夜睡眠ポリグラフィは確定診断に用いる精密検査であり、スクリーニングには簡易モニターを用いる。
- ⑤ 誤り。AHIは5以上で異常とされ、5未満は正常範囲であるためSASの所見ではない。
第71回 午後13(臨床検査医学総論)
肝硬変において血中で増加するのはどれか。
- ①血小板数
- ②アルブミン
- ③γ-グロブリン
- ④総コレステロール
- ⑤コリンエステラーゼ
正答: ③γ-グロブリン
ポイント
肝硬変では肝細胞の合成能が低下し、肝で作られるアルブミン・コリンエステラーゼ・総コレステロール・凝固因子が減少する。また脾腫・脾機能亢進により血小板が減少する。一方、慢性炎症に対する反応や門脈大循環シャント(腸管由来抗原の刺激)によりγ-グロブリンは増加し、血清蛋白電気泳動でβ-γブリッジングを示す。●肝硬変で低下=アルブミン・コリンエステラーゼ・総コレステロール・血小板・凝固因子(プロトロンビン時間延長)。●肝硬変で上昇=γ-グロブリン・総ビリルビン・アンモニア・ICG停滞率・腹水。●肝合成能の指標=アルブミン・コリンエステラーゼ・プロトロンビン時間。
選択肢ごとの解説
- ① 血小板数は脾機能亢進やトロンボポエチン産生低下により減少する。
- ② アルブミンは肝合成能低下により減少する。
- ③ 正しい。γ-グロブリンは慢性炎症や門脈大循環短絡により増加する。
- ④ 総コレステロールは肝合成能低下により減少する。
- ⑤ コリンエステラーゼは肝合成能低下により減少する。
第71回 午後14(臨床検査医学総論)
子宮筋腫で正しいのはどれか。
- ①悪性腫瘍である。
- ②月経過多をきたす。
- ③子宮内膜が増殖する。
- ④擦過細胞診で診断する。
- ⑤エストロゲンにより縮小する。
正答: ②月経過多をきたす。
ポイント
子宮筋腫は子宮平滑筋から発生する良性腫瘍で、増大すると月経過多(過多月経)や過長月経をきたし、慢性出血により鉄欠乏性貧血を生じる。悪性ではなくエストロゲン依存性に増大するため性成熟期に大きくなり、閉経後はエストロゲン低下で縮小する。診断は経腟・経腹超音波やMRIによる。●子宮筋腫の発生部位=筋層内筋腫・粘膜下筋腫(月経過多が強い)・漿膜下筋腫。●症状=月経過多・過多月経・貧血・圧迫症状(頻尿・便秘)・不妊。●鑑別=子宮腺筋症・子宮内膜癌・子宮肉腫(平滑筋肉腫は悪性)。●擦過細胞診の対象=子宮頸部の上皮病変(筋腫の診断には用いない)。
選択肢ごとの解説
- ① 子宮筋腫は子宮平滑筋由来の良性腫瘍であり、悪性ではない。
- ② 正しい。子宮筋腫は月経過多をきたし、鉄欠乏性貧血の原因となる。
- ③ 子宮筋腫は平滑筋の腫瘍であり、子宮内膜の増殖によるものではない。
- ④ 擦過細胞診は子宮頸部病変の検査で、筋腫の診断には用いない。
- ⑤ 子宮筋腫はエストロゲン依存性に増大し、閉経後に縮小する。
第71回 午後15(臨床検査医学総論)
遺伝性乳癌卵巣癌症候群〈HBOC〉の原因遺伝子はどれか。
正答: ②BRCA1
ポイント
遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)は、DNA二本鎖切断の相同組換え修復に関わるBRCA1またはBRCA2遺伝子の生殖細胞系列変異が原因で、常染色体顕性遺伝の形式をとる。乳癌・卵巣癌のほか前立腺癌・膵癌のリスクも上昇する。APC・MEN1・MLH1・VHLは別の遺伝性腫瘍症候群の原因遺伝子である。●HBOC=BRCA1/BRCA2(乳癌・卵巣癌・前立腺癌・膵癌)。●家族性大腸腺腫症=APC。●Lynch症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)=MLH1・MSH2などのミスマッチ修復遺伝子。●多発性内分泌腫瘍症=MEN1(1型)・RET(2型)。●von Hippel-Lindau病=VHL(血管芽腫・腎癌・褐色細胞腫)。
選択肢ごとの解説
- ① APCは家族性大腸腺腫症の原因遺伝子で、HBOCではない。
- ② 正しい。BRCA1はBRCA2とともに遺伝性乳癌卵巣癌症候群の原因遺伝子である。
- ③ MEN1は多発性内分泌腫瘍症1型の原因遺伝子で、HBOCではない。
- ④ MLH1はLynch症候群の原因となるミスマッチ修復遺伝子で、HBOCではない。
- ⑤ VHLはvon Hippel-Lindau病の原因遺伝子で、HBOCではない。
第71回 午後16(臨床生理学)
臨床検査技師が行うことができないのはどれか。
- ①磁気共鳴画像検査
- ②経胸壁心臓超音波検査
- ③運動誘発電位検査の針電極装着
- ④前庭性眼振検査のための冷水注入
- ⑤直腸肛門機能検査のバルーンへの空気注入
正答: ④前庭性眼振検査のための冷水注入
ポイント
臨床検査技師等に関する法律により、臨床検査技師は採血・検体採取と一定の生理学的検査を行えるが、前庭性眼振検査のための外耳道への冷水(温度刺激)注入はその業務範囲に含まれず、行えない。磁気共鳴画像検査・経胸壁心臓超音波・運動誘発電位検査の針電極装着・直腸肛門機能検査のバルーンへの空気注入は、法令で認められた生理学的検査・行為に含まれる。●臨床検査技師が行える主な生理学的検査=心電図・脳波・筋電図・基礎代謝・呼吸機能・超音波・磁気共鳴画像・眼振図(カロリックを除く一定の刺激)・聴力・経皮的血液ガス分圧。●採血・検体採取=静脈採血・鼻腔/咽頭ぬぐい・喀痰・糞便など。●行えない例=外耳道への温度刺激(冷水注入)・診断行為・医行為に当たる治療。
選択肢ごとの解説
- ① 磁気共鳴画像検査は臨床検査技師が行える生理学的検査に含まれる。
- ② 経胸壁心臓超音波検査は臨床検査技師が行える。
- ③ 運動誘発電位検査の針電極装着は認められた行為に含まれる。
- ④ 誤り。前庭性眼振検査のための外耳道への冷水注入は業務範囲に含まれず、臨床検査技師は行えない。
- ⑤ 直腸肛門機能検査のバルーンへの空気注入は認められた行為に含まれる。
📋 まとめの表を見る:臨床検査技師が実施できる主な生理学的検査(厚生労働省令)
医師又は歯科医師の指示の下に実施し、投薬や侵襲性の強い検査は行えない。
第71回 午後17(臨床生理学)
心周期現象の圧曲線模式図を別に示す。肺動脈圧曲線はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB017.5a50cc83c8.jpg

正答: ④
ポイント
心周期の圧曲線では、大動脈圧が最も高く拡張期も比較的高い圧を保ち、左室圧は拡張期に低く収縮期に大動脈圧近くまで上昇する。肺動脈圧は右心系の動脈圧で、体循環の大動脈圧よりも著しく低い(収縮期で約25mmHg、拡張期で約10mmHg)。④がこの低めの動脈圧波形=肺動脈圧曲線に相当する。●左心系の圧(高い)=大動脈圧(約120/80mmHg)・左室圧・左房圧。●右心系の圧(低い)=肺動脈圧(約25/10mmHg)・右室圧・右房圧。●圧曲線で読む現象=大動脈弁の閉鎖切痕(ダイクロティックノッチ)・房室弁開閉・心房収縮によるa波。
選択肢ごとの解説
- ① ①は最も高い大動脈圧曲線に相当する。
- ② ②は左室圧曲線に相当する。
- ③ ③は左房圧など他の曲線に相当する。
- ④ 正しい。④は大動脈圧より低い右心系の動脈圧、すなわち肺動脈圧曲線に相当する。
- ⑤ ⑤は心房圧など最も低圧の曲線に相当する。
第71回 午後18(臨床生理学)
肢誘導心電図を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB018.648af06fcf.jpg

- ①洞房ブロック
- ②Ⅰ度房室ブロック
- ③Wenckebach型Ⅱ度房室ブロック
- ④MobitzⅡ型Ⅱ度房室ブロック
- ⑤Ⅲ度房室ブロック
正答: ②Ⅰ度房室ブロック
ポイント
Ⅰ度房室ブロックは房室伝導の遅延でPR間隔が0.20秒(成人)を超えて延長するが、すべてのP波にQRS波が続き、QRSの脱落はない。図はPR間隔の延長を示し、各P波に対応してQRSが出現するためⅠ度房室ブロックと判断される。●房室ブロックの分類=Ⅰ度(PR延長・脱落なし)・WenckebachⅡ度(PR漸次延長後にQRS脱落)・MobitzⅡ度(PR一定で突然QRS脱落)・Ⅲ度(完全・PとQRSが無関係に出現)。●洞房ブロック=洞結節からの伝導が間欠的に途絶しP波ごと脱落。●基準=正常PR間隔0.12〜0.20秒。
選択肢ごとの解説
- ① 洞房ブロックは洞結節からの興奮が間欠的に伝わらず、P波を含む心拍ごと脱落する。
- ② 正しい。PR間隔が0.20秒を超えて延長し、すべての拍が伝導するⅠ度房室ブロックである。
- ③ Wenckebach型Ⅱ度はPR間隔が漸次延長し、やがてQRSが脱落する。
- ④ MobitzⅡ型Ⅱ度はPR間隔が一定のまま突然QRSが脱落する。
- ⑤ Ⅲ度(完全)房室ブロックはP波とQRSが無関係に出現し、PR間隔が一定しない。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第71回 午後19(臨床生理学)
吸気および呼気ともに最大努力で得られたフローボリューム曲線を別に示す。V25〈FEF25〉はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB019.c4ce6a181a.jpg

正答: ②・④
ポイント
フローボリューム曲線の・V25(FEF25、肺活量の25%が残った時点の呼出流量)は、努力呼出の後半・低肺気量域での流量で、末梢の細い気道(小気道)の状態を反映する。呼出脚は最初に最大呼気流量(ピークフロー)に達した後、肺気量の低下とともに流量が直線的に下降していくため、その下降脚で残気量に近い側(呼出後半)の点が・V25に相当する。●フローボリューム曲線の指標=ピークフロー(最大呼気流量)・・V50(FEF50、50%残存時)・・V25(FEF25、25%残存時)・・V25/V50比。●末梢気道病変=・V25低下・下降脚の下に凸(scooping)。●他の換気指標=1秒量(FEV1.0)・1秒率・努力肺活量(FVC)。
選択肢ごとの解説
- ① ①は呼出初期(高肺気量・ピークフロー付近)の点に相当する。
- ② 正しい。②は呼出後半で肺活量25%残存時の流量(・V25/FEF25)に相当する。
- ③ ③は呼出中間付近(・V50相当)の点に相当する。
- ④ 正しい。④も肺活量25%残存時点に対応する・V25の指標に相当する。
- ⑤ ⑤は吸気脚など呼出曲線外の点に相当する。
第71回 午後20(臨床生理学)
測定に100%酸素を使用するのはどれか。2つ選べ。
- ①最大酸素摂取量測定
- ②呼気一酸化窒素濃度測定
- ③1回呼吸法による肺拡散能測定
- ④開放回路法による機能的残気量測定
- ⑤1回呼吸法によるクロージングボリューム測定
正答: ④開放回路法による機能的残気量測定・⑤1回呼吸法によるクロージングボリューム測定
ポイント
開放回路法(窒素洗い出し法)による機能的残気量(FRC)測定は、100%酸素を吸入させて肺内の窒素を洗い出し、排出された窒素量から肺気量を算出する。クロージングボリューム測定も100%酸素を1回深吸気させ、呼出時の窒素濃度の上昇(第Ⅳ相)から閉鎖容量を求める。いずれも100%酸素を使う。最大酸素摂取量測定は運動負荷で行い、呼気一酸化窒素濃度測定はNOガスを測り、肺拡散能測定は一酸化炭素を含む混合ガスを用いるため100%酸素は使わない。●100%酸素を用いる検査=機能的残気量の開放回路(窒素洗い出し)法・クロージングボリューム(単一窒素呼出)法。●FRC測定の他法=閉鎖回路ヘリウム希釈法・体プレチスモグラフ。●混合ガスを吸入する検査=肺拡散能測定(一酸化炭素などを含む)。呼気NO測定では周囲のNOを除いた空気を吸入し、一定流量で呼出した息に含まれるNOを測る。
選択肢ごとの解説
- ① 最大酸素摂取量測定は運動負荷で行い、100%酸素は使用しない。
- ② 呼気一酸化窒素濃度測定は呼気中のNOを測るもので、100%酸素は使用しない。
- ③ 1回呼吸法による肺拡散能測定は一酸化炭素などの混合ガスを用い、100%酸素ではない。
- ④ 正しい。開放回路法による機能的残気量測定は100%酸素を吸わせて肺内の窒素を洗い出す。
- ⑤ 正しい。1回呼吸法によるクロージングボリューム測定は100%酸素を1回吸入して行う。
第71回 午後21(臨床生理学)
神経筋接合部の伝達物質はどれか。
- ①アセチルコリン
- ②アドレナリン
- ③グルタミン酸
- ④セロトニン
- ⑤ドパミン
正答: ①アセチルコリン
ポイント
神経筋接合部では運動神経終末からアセチルコリンが放出され、筋細胞膜(終板)のニコチン性アセチルコリン受容体に結合してナトリウムイオンの流入を起こし、終板電位から筋の活動電位を生じさせる。放出されたアセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼで速やかに分解される。アドレナリン・ドパミン・セロトニン・グルタミン酸は中枢神経や自律神経の伝達物質である。●運動神経終末・自律神経節前・副交感神経節後=アセチルコリン。●交感神経節後=ノルアドレナリン(アドレナリンは副腎髄質)。●中枢の興奮性=グルタミン酸、抑制性=GABA・グリシン。●モノアミン=ドパミン・セロトニン・ノルアドレナリン。●神経筋接合部の障害=重症筋無力症(受容体への自己抗体)・Lambert-Eaton症候群(カルシウムチャネルへの抗体)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンで、ニコチン性受容体に作用する。
- ② アドレナリンは副腎髄質から分泌されるホルモンで、神経筋接合部の伝達物質ではない。
- ③ グルタミン酸は中枢神経系の主要な興奮性伝達物質で、神経筋接合部ではない。
- ④ セロトニンは中枢などで働くモノアミン伝達物質で、神経筋接合部ではない。
- ⑤ ドパミンは中枢神経系の伝達物質で、神経筋接合部ではない。
第71回 午後22(臨床生理学)
正中神経における運動神経伝導検査の記録波形を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB022.9d592a3450.jpg

- ①重症筋無力症
- ②手根管症候群
- ③筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
- ④糖尿病性多発ニューロパチー
- ⑤慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
正答: ⑤慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
ポイント
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)は髄鞘が障害される脱髄性ニューロパチーで、運動神経伝導検査では伝導速度の著明な低下、遠位潜時の延長、伝導ブロックや時間的分散がみられる。図はこうした脱髄を示唆する所見を示す。脱髄では速度低下が顕著、軸索障害では振幅低下が主体という点が鑑別の基本である。●脱髄性ニューロパチー=CIDP・Guillain-Barré症候群・Charcot-Marie-Tooth病1型(伝導速度低下・伝導ブロック)。●軸索性ニューロパチー=糖尿病性・アルコール性(振幅低下が主)。●局所性絞扼=手根管症候群(正中神経の遠位潜時延長)。●神経筋接合部疾患=重症筋無力症(反復刺激で振幅漸減=waning)・Lambert-Eaton症候群(高頻度刺激で漸増)。
選択肢ごとの解説
- ① 重症筋無力症は反復刺激での振幅漸減(waning)が特徴で、運動神経伝導速度自体は通常正常である。
- ② 手根管症候群は手首部での正中神経遠位潜時延長が主で、全体の著明な脱髄所見ではない。
- ③ 筋萎縮性側索硬化症は運動ニューロン病で、伝導速度は比較的保たれ振幅低下が主体である。
- ④ 糖尿病性多発ニューロパチーは軸索障害が主体で、伝導速度低下は軽度にとどまることが多い。
- ⑤ 正しい。著明な伝導速度低下・伝導ブロックを示し、脱髄性の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎が考えられる。
第71回 午後23(臨床生理学)
脳波を別に示す。所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB023.17f35d95e0.jpg

- ①三相波
- ②徐波群発
- ③棘徐波複合
- ④ヒプスアリスミア
- ⑤トラセアルテルナン
正答: ④ヒプスアリスミア
ポイント
ヒプスアリスミアは、高振幅(300μVに及ぶ)の不規則な徐波と、多焦点性・非同期の棘波・鋭波が無秩序に混在する脳波所見で、乳児のWest症候群(点頭てんかん)に特徴的である。図はこの無秩序な高振幅活動を示す。●ヒプスアリスミア=West症候群(点頭てんかん)。●三相波=肝性脳症など代謝性脳症の周期性波。●棘徐波複合(3Hz)=欠神発作(小発作)。●徐波群発=局在性の病変や非特異的異常。●交代性脳波(トラセアルテルナン)=新生児の静睡眠期にみる正常波形。●周期性同期性放電=Creutzfeldt-Jakob病・亜急性硬化性全脳炎。
選択肢ごとの解説
- ① 三相波は肝性脳症など代謝性脳症でみられる周期性の波で、本所見とは異なる。
- ② 徐波群発は一過性の徐波の集まりで、無秩序な高振幅徐波のヒプスアリスミアとは異なる。
- ③ 棘徐波複合は欠神発作などでみられる規則的な複合波で、本所見とは異なる。
- ④ 正しい。ヒプスアリスミアは無秩序な高振幅徐波と多焦点性棘波が混在する所見で、West症候群でみられる。
- ⑤ トラセアルテルナンは新生児静睡眠期にみる交代性の正常波形で、本所見とは異なる。
第71回 午後24(臨床生理学)
折り返し現象がみられたパルスドプラ波形の調整法で正しいのはどれか。
- ①ゼロシフトを行う。
- ②ドプラゲインを上げる。
- ③パワードプラ法を使用する。
- ④パルス繰り返し周波数を下げる。
- ⑤サンプルボリュームを大きくする。
正答: ①ゼロシフトを行う。
ポイント
パルスドプラ法では、検出できる最大周波数偏移がパルス繰り返し周波数(PRF)の半分=ナイキスト限界に制限され、これを超える高速血流では波形が反対方向に折り返すエイリアシング(折り返し現象)が生じる。表示の基線を移動するゼロシフトにより、片方向の表示可能範囲を広げ、見かけ上折り返しを補正できる。根本的にはPRFを上げる、低い送信周波数を選ぶ、サンプル部位を浅くするなどでナイキスト限界を上げる。●折り返しへの対処=ゼロシフト(基線移動)・PRFを上げる・送信周波数を下げる・連続波ドプラへ切替・サンプル部位を浅くする。●パワードプラ=速度・方向の情報をもたず折り返しは生じないが流速評価には不向き。●ドプラゲイン=信号の増幅で折り返しには無関係。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。ゼロシフト(基線移動)により表示範囲を広げ、折り返しを見かけ上補正できる。
- ② ドプラゲインは信号の増幅で、上げても折り返しは解消しない。
- ③ パワードプラ法は速度情報をもたず、折り返しの調整法とはならない。
- ④ パルス繰り返し周波数は下げるのではなく、上げることで折り返しが軽減する。
- ⑤ サンプルボリュームを大きくしても折り返しは解消しない。
第71回 午後25(臨床生理学)
疾患と超音波所見の組合せで正しいのはどれか。
- ①肝血管腫 — コメット様エコー
- ②肝硬変 — 肝深部エコーの減衰
- ③肝細胞癌 — モザイクパターン
- ④脂肪肝 — 肝静脈の拡張
- ⑤転移性肝癌 — カメレオンサイン
正答: ③肝細胞癌 — モザイクパターン
ポイント
肝細胞癌は腫瘍内に脂肪変性・壊死・線維化・出血などが混在するため、内部エコーが不均一なモザイクパターンを示し、辺縁に低エコー帯(ハロー)や側方陰影を伴うことがある。肝血管腫は境界明瞭な高エコー腫瘤、脂肪肝は肝実質の輝度上昇(bright liver)と深部エコーの減衰を示す。●肝細胞癌=モザイクパターン・ハロー・後方エコー増強・nodule in nodule。●肝血管腫=高エコー腫瘤・wax and wane(カメレオンサイン)・marginal strong echo。●脂肪肝=高輝度肝(bright liver)・深部減衰・肝腎コントラスト・脈管の不明瞭化。●転移性肝癌=bull's eye/target sign・cluster sign。●胆嚢腺筋症=コメット様エコー(RAS内の結晶による多重反射)。
選択肢ごとの解説
- ① コメット様エコーは胆嚢腺筋症などでみられる多重反射で、肝血管腫の所見ではない。
- ② 肝深部エコーの減衰は脂肪肝でみられる所見で、肝硬変の特徴ではない。
- ③ 正しい。肝細胞癌は内部不均一なモザイクパターンを示すことがある。
- ④ 肝静脈の拡張は右心不全(うっ血肝)でみられる所見で、脂肪肝の特徴ではない。
- ⑤ カメレオンサインは体位や時間で見え方が変わる肝血管腫の所見で、転移性肝癌ではない。
📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。
第71回 午後26(臨床生理学)
心エコーの傍胸骨長軸像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB026.c42cf5a834.jpg

正答: ①右室
ポイント
心エコーの傍胸骨長軸像はプローブを胸骨左縁に当てて心臓を長軸方向に切る基本断面で、画面手前(浅部)から右室・大動脈基部(大動脈弁)・左房が並び、その下方に左室と僧帽弁が描出される。プローブに最も近い最前面の腔が右室で、矢印はこれを示す。右房や肺動脈はこの断面では主たる腔として描出されない。●傍胸骨長軸像で評価する構造=右室流出路・大動脈弁・大動脈基部・左房・左室・僧帽弁・心室中隔。●心エコーの基本断面=傍胸骨長軸像・傍胸骨短軸像・心尖部四腔像・心尖部二腔像・心窩部像。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。最前面(浅部)にみえる腔が右室で、矢印に相当する。
- ② 右房は傍胸骨長軸像の標準断面では描出されにくい。
- ③ 左室は僧帽弁の下方、左下方に広がる腔としてみえる。
- ④ 左房は大動脈基部の後方(深部)にみえる。
- ⑤ 肺動脈はこの断面の主たる腔ではない。
第71回 午後27(臨床生理学)
頸動脈超音波検査で正しいのはどれか。
- ①狭窄部の血流速度は低下する。
- ②腕頭動脈から左総頸動脈が分岐する。
- ③総頸動脈の内側に内頸静脈が走行する。
- ④低輝度プラークは脳血管の塞栓源になりやすい。
- ⑤内中膜複合体厚は2.0 mm以上から肥厚とする。
正答: ④低輝度プラークは脳血管の塞栓源になりやすい。
ポイント
頸動脈超音波検査では、低輝度(低エコー)プラークは脂質やプラーク内出血に富む不安定プラークで、表面の線維性被膜が破綻して塞栓を生じやすく、脳梗塞の塞栓源になりやすい。狭窄部では血流が加速するため血流速度は上昇し、内中膜複合体厚(IMT)は1.1mm以上を肥厚とする。総頸動脈の外側に内頸静脈が走行し、右総頸動脈は腕頭動脈から分岐するが左総頸動脈は大動脈弓から直接分岐する。●プラークの性状評価=低輝度(不安定・易破綻)・高輝度(線維性・石灰化で安定)・潰瘍形成・可動性プラーク。●頸動脈の評価指標=内中膜複合体厚(IMT)・狭窄率・収縮期最高血流速度・プラークスコア。
選択肢ごとの解説
- ① 狭窄部では血流が加速して血流速度は上昇し、低下ではない。
- ② 腕頭動脈から分岐するのは右総頸動脈で、左総頸動脈は大動脈弓から直接分岐する。
- ③ 内頸静脈は総頸動脈の外側を走行し、内側ではない。
- ④ 正しい。低輝度プラークは脂質に富み不安定で、脳血管の塞栓源になりやすい。
- ⑤ 内中膜複合体厚は1.1mm以上を肥厚とし、2.0mm以上ではない。
第71回 午後28(臨床生理学)
人体の磁気共鳴画像を得るために対象としている核種はどれか。
正答: ③水素
ポイント
臨床用の磁気共鳴画像(MRI)は、生体に最も豊富で核磁気共鳴信号が強い水素原子核(プロトン)を対象とする。水素は水や脂肪に多量に含まれ、磁気回転比が大きく感度が高いため画像化に適する。硫黄・酸素・炭素・窒素は主たる対象核種ではない。●核磁気共鳴を示す核種(核スピンをもつ)=水素(¹H)・炭素(¹³C)・リン(³¹P)・ナトリウム(²³Na)・フッ素(¹⁹F)。●MRIの基本パラメータ=T1緩和時間・T2緩和時間・プロトン密度。
選択肢ごとの解説
- ① 硫黄はMRIの主たる対象核種ではない。
- ② 酸素はMRIの主たる対象核種ではない。
- ③ 正しい。豊富で信号の強い水素(プロトン)がMRIの対象核種である。
- ④ 炭素はMRIの主たる対象核種ではない。
- ⑤ 窒素はMRIの主たる対象核種ではない。
第71回 午後29(臨床化学)
重炭酸イオンで正しいのはどれか。
- ①腎尿細管で再吸収されない。
- ②アニオンギャップの計算式に含まれない。
- ③細胞外液中の陰イオンで最も濃度が高い。
- ④代謝性アルカローシスで血漿濃度が上昇する。
- ⑤動脈血中濃度50 mmol/Lは基準範囲内である。
正答: ④代謝性アルカローシスで血漿濃度が上昇する。
ポイント
重炭酸イオン(HCO₃⁻)は細胞外液で塩化物イオンに次いで多い陰イオンで、近位尿細管で再吸収され酸塩基平衡の緩衝系を担う。代謝性アルカローシスでは血漿の重炭酸イオン濃度が上昇し、代謝性アシドーシスでは低下する。基準範囲は約22〜26mmol/Lで、50mmol/Lは大きく逸脱する。アニオンギャップは陽イオン(Na⁺)から陰イオン(Cl⁻+HCO₃⁻)を引く式で重炭酸イオンを含む。●酸塩基平衡の代償=代謝性アシドーシス(HCO₃⁻低下・呼吸性代償で過換気)・代謝性アルカローシス(HCO₃⁻上昇)・呼吸性アシドーシス(PaCO₂上昇)・呼吸性アルカローシス(PaCO₂低下)。●細胞外液の主な陰イオン=塩化物イオン>重炭酸イオン>蛋白>リン酸・硫酸・有機酸。
選択肢ごとの解説
- ① 重炭酸イオンは近位尿細管などで再吸収される。
- ② アニオンギャップの計算式に重炭酸イオンは含まれる。
- ③ 細胞外液で最も濃度が高い陰イオンは塩化物イオンで、重炭酸イオンではない。
- ④ 正しい。代謝性アルカローシスで血漿の重炭酸イオン濃度は上昇する。
- ⑤ 50mmol/Lは基準範囲(約22〜26mmol/L)を大きく超え、基準範囲内ではない。
第71回 午後30(臨床化学)
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法において2つ以上の酵素反応を利用しているのはどれか。2つ選べ。
正答: ②AST・③CK
ポイント
日本臨床化学会(JSCC)勧告法では、ASTとCKは指示反応に共役酵素を組み合わせて測定する点が共通する。ASTはリンゴ酸脱水素酵素(MDH)を共役させてNADHの減少を、CKは生成したATPをヘキソキナーゼとグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)で共役させNADPHの増加を測る。ALP・γ-GT・LDは合成基質や基質の変化を1段階で測定する。●共役(指示酵素)反応を用いる主な酵素=AST(MDH)・ALT(LDH)・CK(HK・G6PD)・アミラーゼ(α-グルコシダーゼ系)。●単一反応で直接測る酵素=ALP(p-ニトロフェニルリン酸)・γ-GT(基質分解)・LD(乳酸とNADの反応)。
選択肢ごとの解説
- ① ALPはp-ニトロフェニルリン酸の分解を1段階で測る。
- ② 正しい。ASTは共役酵素(リンゴ酸脱水素酵素)を用いる複数酵素反応である。
- ③ 正しい。CKは共役酵素(ヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸脱水素酵素)を用いる。
- ④ γ-GTは合成基質の分解を直接測る単一反応である。
- ⑤ LDは乳酸とNADの反応を直接測る単一反応である。
第71回 午後31(臨床化学)
α-アミラーゼで正しいのはどれか。
- ①エキソ型酵素である。
- ②主に肝臓で代謝される。
- ③活性中心にZn²⁺を有する。
- ④α-1,6-グリコシド結合に作用する。
- ⑤唾液腺型は膵型より分子量が大きい。
正答: ⑤唾液腺型は膵型より分子量が大きい。
ポイント
α-アミラーゼはデンプン分子内部のα-1,4グリコシド結合を切るエンド型酵素で、活性中心にCa²⁺をもちCl⁻によって活性化される。アイソザイムには唾液腺型(S型)と膵型(P型)があり、唾液腺型は糖鎖を多くもつため膵型より分子量がやや大きい。分子量が小さく腎糸球体を通過するため尿中に排泄される。α-1,6結合は切らない。消化管ではイソマルターゼなどがα-1,6結合を加水分解する。グリコーゲン分解では脱分枝酵素が働き、分枝酵素は合成時に分枝を作る酵素である。●アミラーゼ上昇をきたす病態=急性膵炎・膵癌・流行性耳下腺炎(唾液腺型上昇)・マクロアミラーゼ血症・腎不全。●消化酵素の作用様式=エンド型(α-アミラーゼ)・エキソ型(マルターゼ・グルコアミラーゼ)。
選択肢ごとの解説
- ① α-アミラーゼはデンプン内部を切るエンド型酵素で、エキソ型ではない。
- ② α-アミラーゼは主に腎から排泄され、肝臓で代謝される酵素ではない。
- ③ 活性中心にCa²⁺をもち、Zn²⁺ではない。
- ④ α-1,4結合に作用し、α-1,6結合は切らない。
- ⑤ 正しい。唾液腺型は糖鎖を多くもち、膵型より分子量がやや大きい。
📋 まとめの表を見る:血清アミラーゼの性質とアイソザイム(P型・S型)比較
第71回 午後32(臨床化学)
サルコイドーシスの活動性マーカーはどれか。
- ①プロカルシトニン
- ②心臓型脂肪酸結合蛋白
- ③デオキシピリジノリン
- ④アンギオテンシン変換酵素
- ⑤N-アセチルグルコサミニダーゼ
正答: ④アンギオテンシン変換酵素
ポイント
サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患で、類上皮細胞肉芽腫からアンギオテンシン変換酵素(ACE)が産生され、血清ACEが疾患の活動性を反映して上昇する。リゾチームや可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)、血清・尿中カルシウムも上昇しうる。プロカルシトニンやH-FABPなどは別の病態のマーカーである。●サルコイドーシスの活動性・補助マーカー=アンギオテンシン変換酵素(ACE)・リゾチーム・可溶性IL-2受容体・血清カルシウム・ツベルクリン反応陰転化。●他のマーカーの意義=プロカルシトニン(細菌感染・敗血症)・H-FABP(心筋梗塞早期)・デオキシピリジノリン(骨吸収)・NAG(尿細管障害)。
選択肢ごとの解説
- ① プロカルシトニンは細菌感染・敗血症のマーカーである。
- ② 心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)は心筋梗塞の早期マーカーである。
- ③ デオキシピリジノリンは骨吸収マーカーである。
- ④ 正しい。アンギオテンシン変換酵素はサルコイドーシスの活動性マーカーである。
- ⑤ N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)は尿細管障害のマーカーである。
第71回 午後33(臨床化学)
酵素とその分類の組合せで正しいのはどれか。
- ①キナーゼ — 異性化酵素
- ②アルドラーゼ — 転移酵素
- ③エステラーゼ — 脱離酵素
- ④デヒドロゲナーゼ — 酸化還元酵素
- ⑤トランスフェラーゼ — 加水分解酵素
正答: ④デヒドロゲナーゼ — 酸化還元酵素
ポイント
酵素は国際生化学・分子生物学連合の酵素番号(EC番号)により、酸化還元酵素・転移酵素・加水分解酵素・脱離酵素(リアーゼ)・異性化酵素・合成酵素(リガーゼ)の6群に分類される(近年は転位酵素を加え7群)。デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)は水素を授受する酸化還元酵素である。キナーゼはリン酸基を転移する転移酵素、エステラーゼは加水分解酵素、アルドラーゼは結合を開裂する脱離酵素である。●酸化還元酵素=デヒドロゲナーゼ・オキシダーゼ・ペルオキシダーゼ・カタラーゼ。●転移酵素=キナーゼ・アミノトランスフェラーゼ(AST・ALT)・γ-GT。●加水分解酵素=エステラーゼ・アミラーゼ・リパーゼ・ペプチダーゼ・ホスファターゼ。
選択肢ごとの解説
- ① キナーゼはリン酸基を転移する転移酵素で、異性化酵素ではない。
- ② アルドラーゼは結合を開裂する脱離酵素(リアーゼ)で、転移酵素ではない。
- ③ エステラーゼはエステル結合を加水分解する加水分解酵素で、脱離酵素ではない。
- ④ 正しい。デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)は酸化還元酵素である。
- ⑤ トランスフェラーゼは転移酵素であり、加水分解酵素ではない。
📋 まとめの表を見る:酵素の分類(EC番号)
CKはリン酸基を、AST・ALTはアミノ基を、γ-GTはγ-グルタミル基を転移するため、名称に「トランスフェラーゼ」を含まなくてもEC2(転移酵素)に分類される。同様に、-キナーゼ/-トランスフェラーゼの語尾はEC2、-エステラーゼ/-ホスファターゼの語尾はEC3、-デヒドロゲナーゼ/-オキシダーゼの語尾はEC1、-アルドラーゼの語尾はEC4に対応する。
第71回 午後34(臨床化学)
分岐鎖アミノ酸はどれか。2つ選べ。
- ①バリン
- ②グリシン
- ③システイン
- ④イソロイシン
- ⑤トリプトファン
正答: ①バリン・④イソロイシン
ポイント
分岐鎖アミノ酸(BCAA)はバリン・ロイシン・イソロイシンの3つで、側鎖が枝分かれした構造をもち、主に骨格筋で代謝される必須アミノ酸である。肝硬変では分岐鎖アミノ酸が低下し芳香族アミノ酸が増加してFischer比(BCAA/芳香族アミノ酸モル比)が低下する。グリシンは最も単純なアミノ酸、システインは含硫アミノ酸、トリプトファンは芳香族アミノ酸である。●分岐鎖アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン。●芳香族アミノ酸=フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン。●含硫アミノ酸=メチオニン・システイン。●Fischer比=(バリン+ロイシン+イソロイシン)/(フェニルアラニン+チロシン)で肝障害で低下。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。バリンは分岐鎖アミノ酸である。
- ② グリシンは最も単純なアミノ酸で、分岐鎖アミノ酸ではない。
- ③ システインは含硫アミノ酸で、分岐鎖アミノ酸ではない。
- ④ 正しい。イソロイシンは分岐鎖アミノ酸である。
- ⑤ トリプトファンは芳香族アミノ酸で、分岐鎖アミノ酸ではない。
第71回 午後35(臨床化学)
ビリルビンで正しいのはどれか。
- ①極大吸収波長は520 nmである。
- ②2つのピロール環で構成される。
- ③酸化されるとビリベルジンになる。
- ④間接ビリルビンは尿中に排泄される。
- ⑤直接ビリルビンはHPLC法でα分画に検出される。
正答: ③酸化されるとビリベルジンになる。
ポイント
ビリルビンはヘムの分解によりビリベルジンを経て生じる黄色色素で、4つのピロール環が直鎖状に連なった構造をもつ。逆にビリルビンが酸化されると緑色のビリベルジンに戻る。極大吸収波長は約450〜460nm付近にある。間接(非抱合型)ビリルビンはアルブミンと結合し水に不溶で尿中に出ず、肝でグルクロン酸抱合を受けた直接(抱合型)ビリルビンが水溶性となり尿中に排泄される。●ビリルビン代謝=ヘム→ビリベルジン→間接(非抱合型)ビリルビン→肝でグルクロン酸抱合→直接(抱合型)ビリルビン→胆汁→ウロビリノゲン。●黄疸の分類=溶血性(間接型上昇)・肝細胞性(両方上昇)・閉塞性(直接型上昇・尿中ビリルビン陽性)。
選択肢ごとの解説
- ① 極大吸収波長は約450〜460nm付近で、520nmではない。
- ② ビリルビンは4つのピロール環で構成され、2つではない。
- ③ 正しい。ビリルビンが酸化されると緑色のビリベルジンになる。
- ④ 尿中に排泄されるのは直接(抱合型)ビリルビンで、間接型は出ない。
- ⑤ 直接ビリルビンはHPLC法でβ・γ分画に検出され、α分画は間接型である。
📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。
第71回 午後36(臨床化学)
ビタミンで正しいのはどれか。
- ①ビタミンAは骨形成を促進する。
- ②ビタミンB₆はレチノールと結合する。
- ③ビタミンCはコラーゲンの生成に関与する。
- ④ビタミンDは血液凝固因子の生成に必要である。
- ⑤ビタミンKはアミノトランスフェラーゼのホロ化に関与する。
正答: ③ビタミンCはコラーゲンの生成に関与する。
ポイント
ビタミンCはコラーゲン合成過程でプロリンとリジンの水酸化に必要な補因子で、欠乏すると壊血病をきたす。ビタミンDはカルシウムの腸管吸収と骨形成、ビタミンKは血液凝固因子(II・VII・IX・X)の合成に必要である。レチノールと結合するのはレチノール結合蛋白で、アミノトランスフェラーゼの補酵素はビタミンB₆(ピリドキサールリン酸)である。●脂溶性ビタミンと機能=A(視覚・上皮)・D(カルシウム代謝・骨)・E(抗酸化)・K(凝固因子合成)。●水溶性ビタミンと機能=B1(糖代謝)・B6(アミノ酸代謝の補酵素)・B12と葉酸(造血)・C(コラーゲン合成・抗酸化)。
選択肢ごとの解説
- ① 骨形成・カルシウム代謝に関与するのはビタミンDで、ビタミンAではない。
- ② レチノールと結合するのはレチノール結合蛋白で、ビタミンB₆ではない。
- ③ 正しい。ビタミンCはコラーゲンの生成(プロリン・リジンの水酸化)に関与する。
- ④ 血液凝固因子の生成に必要なのはビタミンKで、ビタミンDではない。
- ⑤ アミノトランスフェラーゼのホロ化(補酵素)はビタミンB₆で、ビタミンKではない。
📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。
第71回 午後37(臨床化学)
分子量で分離するのはどれか。
- ①逆相クロマトグラフィ
- ②吸着クロマトグラフィ
- ③分配クロマトグラフィ
- ④ゲルろ過クロマトグラフィ
- ⑤アフィニティクロマトグラフィ
正答: ④ゲルろ過クロマトグラフィ
ポイント
ゲルろ過クロマトグラフィ(サイズ排除クロマトグラフィ)は、多孔性ゲルの細孔への入りやすさの違いを利用して分子を大きさ(分子量)で分離する。小さい分子は細孔に入り込んで移動が遅れ、大きい分子は細孔に入れず先に溶出する。逆相・吸着・分配・アフィニティはそれぞれ疎水性・吸着力・分配係数・特異的結合という別の原理で分離する。●クロマトグラフィの分離原理=ゲルろ過(分子サイズ)・イオン交換(電荷)・逆相/分配(疎水性・分配係数)・吸着(吸着力)・アフィニティ(特異的結合)。
選択肢ごとの解説
- ① 逆相クロマトグラフィは疎水性の違いで分離する。
- ② 吸着クロマトグラフィは固定相への吸着力の違いで分離する。
- ③ 分配クロマトグラフィは2相間の分配係数の違いで分離する。
- ④ 正しい。ゲルろ過クロマトグラフィは分子の大きさ(分子量)で分離する。
- ⑤ アフィニティクロマトグラフィは抗原抗体反応などの特異的結合で分離する。
第71回 午後38(臨床化学)
必須脂肪酸はどれか。
- ①オレイン酸
- ②リノール酸
- ③ステアリン酸
- ④パルミチン酸
- ⑤ドコサヘキサエン酸
正答: ②リノール酸
ポイント
必須脂肪酸は体内で合成できず食事から摂取する必要のある多価不飽和脂肪酸で、リノール酸(n-6系)とα-リノレン酸(n-3系)が代表である。オレイン酸・ステアリン酸・パルミチン酸は体内で合成できる。ドコサヘキサエン酸(DHA)はα-リノレン酸から生体内で合成されうる。●必須脂肪酸=リノール酸(n-6)・α-リノレン酸(n-3)。●n-6系誘導体=γ-リノレン酸・アラキドン酸。●n-3系誘導体=エイコサペンタエン酸(EPA)・ドコサヘキサエン酸(DHA)。●体内合成できる脂肪酸=パルミチン酸・ステアリン酸(飽和)・オレイン酸(一価不飽和)。
選択肢ごとの解説
- ① オレイン酸は一価不飽和脂肪酸で体内合成でき、必須脂肪酸ではない。
- ② 正しい。リノール酸はn-6系の必須脂肪酸である。
- ③ ステアリン酸は飽和脂肪酸で体内合成でき、必須脂肪酸ではない。
- ④ パルミチン酸は飽和脂肪酸で体内合成でき、必須脂肪酸ではない。
- ⑤ ドコサヘキサエン酸はα-リノレン酸から合成でき、必須脂肪酸の代表ではない。
第71回 午後39(臨床化学)
尿酸で正しいのはどれか。
- ①腫瘍崩壊症候群で低下する。
- ②蛋白結合型として存在する。
- ③ウレアーゼを用いた酵素法で測定する。
- ④高尿酸血症の臨床判断値に性差はない。
- ⑤ピリミジン塩基の最終代謝産物である。
正答: ④高尿酸血症の臨床判断値に性差はない。
ポイント
尿酸はプリン塩基(アデニン・グアニン)の最終代謝産物で、血漿中はほぼ遊離型で存在し蛋白結合型は主ではない。高尿酸血症は性別を問わず血清尿酸値7.0mg/dLを超える状態と定義され、臨床判断値に性差はない(ただし基準範囲には性差がある)。測定はウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)を用いた酵素法による。腫瘍崩壊症候群では核酸の急激な分解により尿酸が上昇する。●尿酸代謝の異常=高尿酸血症(痛風・腫瘍崩壊症候群・腎不全)・低尿酸血症(キサンチンオキシダーゼ欠損・腎性低尿酸血症)。●プリン代謝関連酵素=キサンチンオキシダーゼ・HGPRT(欠損でLesch-Nyhan症候群)・ウリカーゼ(ヒトには欠如)。
選択肢ごとの解説
- ① 腫瘍崩壊症候群では核酸分解により尿酸は上昇し、低下ではない。
- ② 尿酸は主に遊離型で存在し、蛋白結合型が主体ではない。
- ③ 尿酸はウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)を用いた酵素法で測定し、ウレアーゼではない。
- ④ 正しい。高尿酸血症の臨床判断値(7.0mg/dL超)に性差はない。
- ⑤ 尿酸はプリン塩基の最終代謝産物で、ピリミジン塩基ではない。
📋 まとめの表を見る:主な血液・尿検査項目の代謝上の由来(最終代謝産物)
アンモニアは採血後、室温放置や溶血で偽高値になりやすいため速やかに測定するか氷冷保存する。
第71回 午後40(臨床化学)
水溶性ビタミンはどれか。2つ選べ。
- ①葉酸
- ②レチノール
- ③ピリドキシン
- ④トコフェロール
- ⑤カルシフェロール
正答: ①葉酸・③ピリドキシン
ポイント
水溶性ビタミンはビタミンB群とビタミンCで、葉酸とピリドキシン(ビタミンB₆)が該当する。過剰摂取分は尿中に排泄され体内に蓄積しにくい。レチノール(A)・トコフェロール(E)・カルシフェロール(D)は脂溶性ビタミンで、体内に蓄積し過剰症をきたしうる。●水溶性ビタミン=B1(チアミン)・B2(リボフラビン)・B6(ピリドキシン)・B12(コバラミン)・ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・葉酸・C(アスコルビン酸)。●脂溶性ビタミン=A(レチノール)・D(カルシフェロール)・E(トコフェロール)・K(フィロキノン)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。葉酸は水溶性ビタミン(ビタミンB群)である。
- ② レチノール(ビタミンA)は脂溶性ビタミンである。
- ③ 正しい。ピリドキシン(ビタミンB₆)は水溶性ビタミンである。
- ④ トコフェロール(ビタミンE)は脂溶性ビタミンである。
- ⑤ カルシフェロール(ビタミンD)は脂溶性ビタミンである。
📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。
第71回 午後41(臨床化学)
eGFRの計算に使用するのはどれか。2つ選べ。
正答: ②性別・④年齢
ポイント
日本の血清クレアチニンを用いた推算糸球体ろ過量(eGFR)の式は、血清クレアチニン値・年齢・性別の3要素から算出する。年齢が高いほど、また女性では係数によりeGFRが補正される。身長・体重・尿中クレアチニン濃度は式に含まれない(身長・体重は実測GFR算出時の体表面積補正に用いられる)。●eGFRの推算に用いる項目=血清クレアチニン・年齢・性別(シスタチンC式ではシスタチンC・年齢・性別)。●腎機能評価法=eGFR・実測クレアチニンクリアランス・イヌリンクリアランス(GFRの基準法)。
選択肢ごとの解説
- ① 身長はeGFRの推算式に用いない。
- ② 正しい。性別はeGFRの計算に用いる。
- ③ 体重はeGFRの推算式に用いない。
- ④ 正しい。年齢はeGFRの計算に用いる。
- ⑤ 尿中クレアチニン濃度はeGFRの推算式に用いない。
第71回 午後42(臨床化学)
疾患とホルモン異常の組合せで誤っているのはどれか。
- ①尿崩症 — オキシトシン
- ②橋本病 — サイロキシン
- ③褐色細胞腫 — ノルアドレナリン
- ④慢性腎不全 — PTH
- ⑤腎血管性高血圧症 — レニン
正答: ①尿崩症 — オキシトシン
ポイント
誤り。尿崩症は抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌低下(中枢性)や腎の反応性低下(腎性)で生じる多尿疾患であり、オキシトシンの異常ではない。橋本病(慢性甲状腺炎)はサイロキシン(T4)低下、褐色細胞腫はカテコールアミン(ノルアドレナリン・アドレナリン)過剰、慢性腎不全は低カルシウム血症などにより二次性副甲状腺ホルモン(PTH)上昇、腎血管性高血圧症は腎血流低下によるレニン上昇をきたす。●下垂体後葉ホルモン=バソプレシン(抗利尿ホルモン)・オキシトシン。●ホルモン異常と疾患=尿崩症(バソプレシン低下)・SIADH(バソプレシン過剰)・褐色細胞腫(カテコールアミン過剰)・原発性アルドステロン症(アルドステロン過剰)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。尿崩症は抗利尿ホルモン(バソプレシン)の異常で、オキシトシンではない。
- ② 橋本病ではサイロキシンが低下する組合せで、正しい。
- ③ 褐色細胞腫ではノルアドレナリンが過剰となる組合せで、正しい。
- ④ 慢性腎不全では二次性に副甲状腺ホルモン(PTH)が上昇する組合せで、正しい。
- ⑤ 腎血管性高血圧症ではレニンが上昇する組合せで、正しい。
📋 まとめの表を見る:疾患と血中ホルモン濃度の変化
橋本病でカルシトニンは特異的に変化しない。カルシトニン上昇は甲状腺髄様癌でみられる。
第71回 午後43(臨床化学)
LDアイソザイムで正しいのはどれか。
- ①2量体である。
- ②LD₄は冷蔵で安定である。
- ③LD₅は肝疾患で上昇する。
- ④LD₁の半減期は約8時間である。
- ⑤5種類のサブユニットからなる。
正答: ③LD₅は肝疾患で上昇する。
ポイント
乳酸脱水素酵素(LD)はH型とM型の2種類のサブユニット4個からなる四量体で、その組合せによりLD₁(H4)からLD₅(M4)まで5種類のアイソザイムがある。LD₁・LD₂は心筋・赤血球・腎に、LD₅は肝・骨格筋に多く分布し、肝疾患ではLD₅が上昇する。LD₄・LD₅は低温(冷蔵)で失活しやすいため血清は室温保存が望ましい。●LDアイソザイム由来組織=LD₁・2(心筋・赤血球・腎)・LD₃(肺・脾・リンパ)・LD₄・5(肝・骨格筋)。●LD上昇パターン=LD₁優位(心筋梗塞・溶血)・LD₅優位(肝障害・骨格筋障害)・LD₂-3優位(白血病・悪性リンパ腫)。
選択肢ごとの解説
- ① LDは四量体で、2量体ではない。
- ② LD₄・LD₅は冷蔵(低温)で失活しやすく、冷蔵で安定とはいえない。
- ③ 正しい。LD₅は肝・骨格筋に多く、肝疾患で上昇する。
- ④ LD₁の半減期はLD₅より長く、約8時間という値は当てはまらない。
- ⑤ サブユニットはH型とM型の2種類で、5種類ではない。
📋 まとめの表を見る:LDアイソザイムの構造・組織分布・安定性
LDはH型・M型の2種類のサブユニットからなる四量体(分子量約134kDa)。健常人血清ではLD2の割合が最も高い。溶血で上昇するのはLD1・LD2。
第71回 午後44(臨床化学)
飛行時間型質量分析〈TOF-MS〉法で誤っているのはどれか。
- ①イオン化物質は大気圧中を飛行する。
- ②イオン化物質の電荷は飛行時間に影響する。
- ③イオン化物質の飛行速度はエネルギー保存の法則から算出される。
- ④イオン化物質はレーザーの熱エネルギーへの変換により引き出される。
- ⑤イオン化にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化〈MALDI〉法が汎用される。
正答: ①イオン化物質は大気圧中を飛行する。
ポイント
誤り。飛行時間型質量分析(TOF-MS)は、イオン化した分子を一定の電場で加速し真空中の飛行管を飛行させ、質量電荷比(m/z)に応じた飛行時間の差で分離・検出する方法であり、大気圧中ではなく真空中を飛行させる。同じ運動エネルギーを与えると軽いイオンほど速く飛ぶため、エネルギー保存の法則から飛行速度が求まり、電荷(m/z)が飛行時間に影響する。イオン化にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法が汎用される。●質量分析のイオン化法=MALDI(マトリックス支援レーザー脱離)・ESI(エレクトロスプレー)・EI(電子衝撃)。●質量分析計の質量分離部=飛行時間型(TOF)・四重極型・イオントラップ型・磁場型。●臨床応用=MALDI-TOF MSによる微生物の菌種同定。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。イオンは真空中の飛行管を飛行するもので、大気圧中ではない。
- ② 飛行時間は質量電荷比(電荷)に依存するもので、正しい。
- ③ 飛行速度はエネルギー保存の法則から算出されるもので、正しい。
- ④ MALDIではレーザーエネルギーによりイオンを脱離・引き出すもので、正しい。
- ⑤ イオン化にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法が汎用され、正しい。
📋 まとめの表を見る:質量分析計の分類(イオン化法・質量分離部)
TOF-MSはイオンを真空中の飛行管で加速・飛行させ、質量電荷比(m/z)に応じた飛行時間差で分離する。臨床応用例:MALDI-TOF MSによる微生物の菌種同定。
第71回 午後45(病理組織細胞学)
薄切で切片に傷ができる場合の対処法はどれか。
- ①逃げ角を変える。
- ②刃を取り替える。
- ③薄切する厚さの設定を変える。
- ④パラフィンブロックを冷却する。
- ⑤ミクロトーム刀の滑走速度を速くする。
正答: ②刃を取り替える。
ポイント
薄切で切片に規則的な縦方向の傷(ナイフマーク)ができる主な原因は、ミクロトーム刃の刃こぼれである。刃の使用部位をずらすか刃を新しいものに取り替えると傷は解消する。逃げ角の調整は圧縮・びびり(チャター)対策、ブロックの冷却も圧縮対策であり、刃こぼれによる傷には無効である。●薄切時のトラブルと対処=縦の傷(刃こぼれ→刃の交換・移動)・圧縮やしわ(逃げ角調整・ブロック冷却)・チャター(振動)(逃げ角・固定・速度調整)・切片が丸まる(逃げ角不適)。●ミクロトームの種類=滑走式・回転式・凍結式(クリオスタット)。
選択肢ごとの解説
- ① 逃げ角の調整は圧縮やびびりの対策で、刃こぼれによる傷は直らない。
- ② 正しい。刃を取り替える(または刃の位置をずらす)と刃こぼれによる傷が解消する。
- ③ 薄切する厚さの設定変更では刃こぼれによる傷は直らない。
- ④ パラフィンブロックの冷却は圧縮対策で、刃こぼれによる傷とは別である。
- ⑤ ミクロトーム刀の滑走速度を速くしても傷は直らない。
第71回 午後46(病理組織細胞学)
膵臓の特殊染色を別に示す。染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB046.bb7cc8c0d5.jpg

- ①PAM染色
- ②Bodian染色
- ③Grimelius染色
- ④Warthin-Starry染色
- ⑤Masson-Fontana染色
正答: ③Grimelius染色
ポイント
Grimelius(グリメリウス)染色は好銀性(アルジロフィル)細胞を黒褐色に染める銀含浸法で、外来性の還元剤を加えて銀を還元させる点に特徴があり、膵島細胞や消化管の神経内分泌細胞、カルチノイド腫瘍の証明に用いる。図は膵の内分泌細胞が黒褐色に染まった像である。●銀染色の用途別分類=Grimelius(好銀性の神経内分泌細胞)・Masson-Fontana(メラニン・銀親和性物質)・PAM〈過ヨウ素酸メセナミン銀〉(基底膜・腎糸球体)・Bodian(神経線維)・Warthin-Starry(スピロヘータ・細菌)・渡銀法(細網線維)。●好銀性(アルジロフィル)と銀親和性(アルジェンタフィン)=前者は還元剤を要し、後者は組織自体が銀を還元する。
選択肢ごとの解説
- ① PAM染色は腎糸球体などの基底膜を染める銀染色である。
- ② Bodian染色は神経線維を染める銀染色である。
- ③ 正しい。Grimelius染色は好銀性の神経内分泌細胞を黒褐色に染める。
- ④ Warthin-Starry染色はスピロヘータや細菌を染める。
- ⑤ Masson-Fontana染色はメラニンや銀親和性物質を染める。
📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象
第71回 午後47(病理組織細胞学)
子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。考えられる感染はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB047.8bffae39c2.jpg

- ①カンジダ
- ②クラミジア
- ③トリコモナス
- ④ヘルペスウイルス
- ⑤ヒトパピローマウイルス
正答: ④ヘルペスウイルス
ポイント
ヘルペスウイルス感染の子宮頸部細胞診では、多核化(多核巨細胞・核のすり合わせ像)・核のすりガラス様(均質化)変化・好酸性核内封入体が特徴的所見としてみられる。図はこれらの変化を示す。カンジダは仮性菌糸と胞子、トリコモナスは洋ナシ形の虫体、ヒトパピローマウイルス(HPV)はコイロサイト(核周明庭をもつ空胞化細胞)を示す。●子宮頸部細胞診で示唆される感染像=ヘルペス(多核化・すりガラス核・核内封入体)・カンジダ(仮性菌糸・胞子)・トリコモナス(洋ナシ形虫体)・クラミジア(細胞質内封入体)・HPV(コイロサイト)・放線菌(綿球状菌塊)。
選択肢ごとの解説
- ① カンジダ感染では仮性菌糸と胞子がみられる。
- ② クラミジア感染では細胞質内の封入体がみられる。
- ③ トリコモナス感染では洋ナシ形の虫体がみられる。
- ④ 正しい。ヘルペスウイルス感染は多核化・すりガラス様核・核内封入体を示す。
- ⑤ ヒトパピローマウイルス感染ではコイロサイト(空胞化細胞)が特徴である。
第71回 午後48(病理組織細胞学)
細胞内小器官で正しいのはどれか。
- ①核は蛋白合成の場である。
- ②細胞膜は脂質単層の構造を持つ。
- ③リボソームは蛋白分解の場である。
- ④ゴルジ装置には電子伝達系が存在する。
- ⑤ミトコンドリアは独自の遺伝情報を有する。
正答: ⑤ミトコンドリアは独自の遺伝情報を有する。
ポイント
ミトコンドリアは独自の環状DNA(ミトコンドリアDNA)とリボソームをもち、一部の蛋白を自ら合成し母系遺伝する独立性をもつ細胞小器官である。核は遺伝情報の保持と転写の場、リボソームは蛋白合成の場、細胞膜は脂質二重層からなる。電子伝達系はミトコンドリア内膜に存在する。●細胞小器官と機能=核(DNA保持・転写)・リボソーム(蛋白合成)・粗面小胞体(分泌蛋白合成)・滑面小胞体(脂質合成・解毒)・ゴルジ装置(修飾・選別・分泌)・ミトコンドリア(ATP産生・電子伝達系・独自DNA)・リソソーム(加水分解・分解)。●生体膜の構造=リン脂質二重層に膜蛋白が埋まる流動モザイクモデル。
選択肢ごとの解説
- ① 核は遺伝情報の保持・転写の場で、蛋白合成の場ではない。
- ② 細胞膜は脂質二重層からなり、単層ではない。
- ③ リボソームは蛋白合成の場で、蛋白分解の場ではない。
- ④ 電子伝達系はミトコンドリア内膜にあり、ゴルジ装置にはない。
- ⑤ 正しい。ミトコンドリアは独自の遺伝情報(ミトコンドリアDNA)を有する。
第71回 午後49(病理組織細胞学)
上腹部の単純CT画像(第12胸椎の高さの横断面)とその模式図を別に示す。矢印で示す臓器はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB049.2236ec4d95.jpg

正答: ②肝臓
ポイント
第12胸椎の高さの上腹部横断面では、右側に大きな実質臓器である肝臓、左側に胃や脾臓、中央後方(椎体の前)に円形の大動脈がみえる。矢印は右側に広く占める肝臓を示す。●上腹部横断CTでみえる主な臓器=肝臓(右側・大きな実質)・胃(左前)・脾臓(左後)・膵臓(中央やや尾側)・大動脈と下大静脈(椎体前)・腎臓(後腹膜・より尾側)。●肝臓の区域=Couinaud分類のS1〜S8で門脈・肝静脈を指標に区分。
選択肢ごとの解説
- ① 胃は左上腹部にみえる。
- ② 正しい。肝臓は右上腹部の大きな実質臓器で、矢印に相当する。
- ③ 心臓はこの断面より頭側に位置する。
- ④ 脾臓は左後方にみえる。
- ⑤ 大動脈は中央後方(椎体前)の円形構造としてみえる。
第71回 午後50(病理組織細胞学)
創傷治癒で正しいのはどれか。
- ①ケロイドは柔らかい組織である。
- ②肉芽組織には毛細血管が乏しい。
- ③創傷面が小さいほど瘢痕が形成されやすい。
- ④二次的治癒では肉芽組織に依存して創傷が修復される。
- ⑤一次的治癒は異物や細菌で汚染された創傷の治癒である。
正答: ④二次的治癒では肉芽組織に依存して創傷が修復される。
ポイント
創傷治癒のうち二次治癒(第二次癒合)は、創縁が大きく離開した創や感染・汚染創でみられ、欠損を肉芽組織の増生で埋めて修復するため瘢痕が大きく治癒に時間がかかる。一次治癒は清潔で創縁が密着した創の治癒で肉芽組織は少なく瘢痕も小さい。肉芽組織は毛細血管・線維芽細胞・炎症細胞に富む。ケロイドは膠原線維が過剰に増生した硬く隆起した瘢痕である。●創傷治癒の様式=一次治癒(創縁密着・清潔創・瘢痕小)・二次治癒(離開創・感染創・肉芽で充填・瘢痕大)・三次治癒(遅延一次縫合)。●瘢痕の異常=肥厚性瘢痕(創範囲内)・ケロイド(創範囲を越えて増大)。
選択肢ごとの解説
- ① ケロイドは膠原線維が過剰増生した硬く隆起した瘢痕で、柔らかい組織ではない。
- ② 肉芽組織は毛細血管に富み、乏しいは誤り。
- ③ 創傷面が大きいほど(欠損が大きいほど)瘢痕が形成されやすい。
- ④ 正しい。二次的治癒では肉芽組織に依存して創傷が修復される。
- ⑤ 一次的治癒は清潔で創縁が密着した創の治癒で、汚染・感染創は二次治癒となる。