第71回(2025) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第71回 午後1(臨床検査総論)

尿沈渣無染色標本とSternheimer染色標本を別に示す。この構造物はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB001.ece03f240a.jpg
第71回 午後1 の図

正答: ①硝子円柱

ポイント
硝子円柱(ガラス円柱)は主にヘンレ係蹄の太い上行脚で産生・分泌されるTamm-Horsfall蛋白(ウロモジュリン)が遠位尿細管・集合管の管腔内で凝集してできる、均一無構造で透明な円柱である。屈折率が尿とほぼ等しく無染色では辺縁が淡くて見落としやすいが、Sternheimer染色(S染色)では淡青〜淡紫に染まり輪郭が明瞭になる。健常者でも運動後や脱水時に少数出現し、それ自体は強い病的意義をもたない。●基質型円柱=硝子円柱(Tamm-Horsfall蛋白)。●細胞封入型=赤血球円柱(糸球体性血尿)・白血球円柱(腎盂腎炎・間質性腎炎)・上皮円柱(尿細管壊死)。●変性・特殊型=顆粒円柱(細胞崩壊物)・ろう様円柱(高度腎不全・幅広)・脂肪円柱(ネフローゼ)・色素円柱(ヘモグロビン・ミオグロビン・ビリルビン)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後2(臨床検査総論)

滲出液と比較して漏出液で高値を示すのはどれか。

正答: ⑤グルコース

ポイント
漏出液は静水圧上昇や膠質浸透圧低下による血漿成分の濾過で生じ、蛋白・乳酸脱水素酵素(LD)・比重・細胞数がいずれも低い。一方、滲出液は炎症や悪性により血管透過性が亢進した液で、蛋白・LD・細胞数が高く、好中球や腫瘍細胞による消費でグルコースが低下する。したがって漏出液は滲出液と比べグルコースが相対的に高値となる(血漿とほぼ同等)。●漏出液(transudate)の原因=うっ血性心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群(低アルブミン血症)。●滲出液(exudate)の原因=細菌性胸膜炎・結核・悪性腫瘍・膠原病。●鑑別指標=蛋白>3.0g/dL・比重>1.018・LD高値・Rivalta反応陽性は滲出液、グルコース低値も滲出液(膿胸・関節リウマチで著明)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:体腔液(胸水・腹水):滲出液と漏出液の鑑別

項目滲出液漏出液
外観混濁透明・淡黄色
比重1.018以上1.015以下
蛋白質4g/dL以上2.5g/dL以下
LD200 U/L以上200 U/L未満
Rivalta反応陽性陰性
線維素(フィブリン)析出多量微量
細胞数1,000/µL以上(多形核白血球・リンパ球)1,000/µL以下(中皮細胞・組織球)
グルコース血清より低値(細菌・細胞の解糖のため)血糖値に近似

第71回 午後3(臨床検査総論)

X連鎖潜性〈劣性〉遺伝形式をとる疾患はどれか。

正答: ①血友病A

ポイント
血友病Aは凝固第Ⅷ因子の欠乏・活性低下による出血性疾患で、原因遺伝子(F8)はX染色体上にあり、X連鎖潜性(劣性)遺伝形式をとるため主に男児に発症する。糖原病Ⅰ型(von Gierke病)・フェニルケトン尿症は常染色体潜性遺伝、Marfan症候群(フィブリリン-1遺伝子)・遺伝性球状赤血球症の多くは常染色体顕性(優性)遺伝である。●X連鎖潜性遺伝=血友病A・血友病B(第Ⅸ因子)・Duchenne型筋ジストロフィー・赤緑色覚異常・G6PD欠損症。●常染色体潜性遺伝=フェニルケトン尿症・糖原病・Wilson病・嚢胞性線維症。●常染色体顕性遺伝=Marfan症候群・遺伝性球状赤血球症・家族性高コレステロール血症・神経線維腫症。

選択肢ごとの解説

第71回 午後4(臨床検査総論)

血尿をきたすのはどれか。

正答: ⑤Bilharz〈ビルハルツ〉住血吸虫

ポイント
ビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobium)は膀胱静脈叢に寄生し、産卵された虫卵が膀胱壁を貫いて尿中に排出される過程で粘膜を傷つけ、終末血尿(排尿終了時の血尿)をきたす。慢性経過では膀胱の線維化や扁平上皮癌の発生にも関与する。日本住血吸虫・Manson住血吸虫は腸間膜静脈や門脈系に寄生し、血便や肝線維化・門脈圧亢進をきたす。●尿路・血尿=ビルハルツ住血吸虫(膀胱)。●腸管・肝(門脈系)=日本住血吸虫・Manson住血吸虫(血便・肝障害)。●その他の住血吸虫症診断=糞便・尿中の虫卵検査(虫卵の側棘・端棘で鑑別)。●血尿の他要因=糸球体腎炎・尿路結石・膀胱腫瘍。

選択肢ごとの解説

第71回 午後5(臨床検査総論)

衛生動物と疾患の組合せで誤っているのはどれか。

正答: ②ブユ — 疥癬

ポイント
疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫、Sarcoptes scabiei)が表皮角層内に寄生して疥癬トンネルを形成する接触感染性疾患であり、ブユが媒介するものではない。ブユ(蚋)は刺咬による皮膚炎や、熱帯地域では回旋糸状虫を媒介してオンコセルカ症(河川盲目症)を起こす。他の組合せは正しい。●ノミ=ペスト・発疹熱。●シラミ=コロモジラミが発疹チフス・回帰熱・塹壕熱を媒介。●マダニ=日本紅斑熱・ライム病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・野兎病(キチマダニ等)。●ヒョウヒダニ(コナヒョウヒダニ・ヤケヒョウヒダニ)=気管支喘息・アトピー性皮膚炎などのアレルゲン。●ヒゼンダニ=疥癬。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:衛生動物(衛生害虫)と媒介・原因疾患

衛生動物媒介・原因となる疾患
ノミ(ケオプスネズミノミ等)ペスト、発疹熱
コロモジラミ発疹チフス、回帰熱、塹壕熱
マダニ(キチマダニ等)野兎病、日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉、ライム病
ブユ回旋糸状虫症(オンコセルカ症)
ヒゼンダニ疥癬
コナヒョウヒダニ(ヒョウヒダニ類)気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患(吸入性アレルゲン)
ブユは疥癬ではなく回旋糸状虫症(オンコセルカ症)を媒介する点が問われやすい。

第71回 午後6(臨床検査総論)

Kinyoun〈キニヨン〉抗酸染色が用いられるのはどれか。

正答: ⑤クリプトスポリジウム

ポイント
Kinyoun染色は加温を要さない冷染法の抗酸染色で、石炭酸フクシンに界面活性剤を加えて室温で染色する。クリプトスポリジウムのオーシストは抗酸性をもち、本法で赤く染まるため糞便検査での検出に用いられる。マラリア原虫・トリパノソーマ・リーシュマニア・ミクロフィラリアは血液や組織でGiemsa染色により観察する。●抗酸染色で染まる病原体=抗酸菌(結核菌・非結核性抗酸菌・らい菌)・ノカルジア(部分抗酸性)・クリプトスポリジウム/サイクロスポラ/イソスポラなどのコクシジウム類オーシスト。●Giemsa染色で観察=マラリア・トリパノソーマ・リーシュマニア・バベシア・ミクロフィラリア。●抗酸染色法=Ziehl-Neelsen法(加温)・Kinyoun法(冷染)・蛍光のオーラミン法。

選択肢ごとの解説

第71回 午後7(臨床検査総論)

臨床検査の一次分類とそれに含まれる二次分類の組合せで正しいのはどれか。

正答: ②尿・糞便等一般検査 — 寄生虫検査

ポイント
臨床検査の一次分類(検体検査の大区分)と二次分類(細目)の対応では、尿・糞便等一般検査に寄生虫検査が含まれる。細胞性免疫検査は血液学的検査、病原体核酸検査・体細胞遺伝子検査は遺伝子関連・染色体検査、免疫組織化学検査は病理学的検査に属する。●尿・糞便等一般検査=尿検査・糞便検査・寄生虫検査・穿刺液検査。●免疫学的検査=免疫血液学検査・免疫血清学検査。●血液学的検査=血球算定・血液細胞形態検査・血栓・止血関連検査・細胞性免疫検査。●微生物学的検査=細菌培養同定検査・薬剤感受性検査。●遺伝子関連・染色体検査=病原体核酸検査・体細胞遺伝子検査・生殖細胞系列遺伝子検査・染色体検査。●病理学的検査=病理組織・細胞診・免疫組織化学・電子顕微鏡検査。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臨床検査の一次分類と二次分類

一次分類二次分類
微生物学的検査細菌培養同定検査、薬剤感受性検査
免疫学的検査免疫血液学検査、免疫血清学検査
血液学的検査血球算定・血液細胞形態検査、血栓・止血関連検査、細胞性免疫検査
病理学的検査病理組織検査、免疫組織化学検査、細胞検査、分子病理学的検査
生化学的検査生化学検査、免疫化学検査、血中薬物濃度検査
尿・糞便等一般検査尿・糞便等検査、寄生虫検査
遺伝子関連・染色体検査病原体核酸検査、体細胞遺伝子検査、生殖細胞系列遺伝子検査、染色体検査
臨床検査技師等に関する法律施行規則第一条に定める検体検査7分類が一次分類にあたる。

第71回 午後8(臨床検査総論)

疾患と予防策の組合せで適切なのはどれか。

正答: ②水痘 — 医療従事者のN95マスク着用

ポイント
水痘は水痘・帯状疱疹ウイルスによる空気感染症で、空気・接触予防策を追加する。免疫のある医療従事者が対応可能なら、免疫のない医療従事者は担当を避ける。やむを得ず対応する際は施設の感染対策に従いN95マスク等を用いる。疥癬は接触感染で陰圧個室は不要(個人防護具と接触予防策で対応)、肺結核も空気感染でカーテン隔離では不十分、梅毒は性感染・血液感染で標準予防策が基本、マイコプラズマ肺炎は飛沫感染でワクチンはない。●空気感染=結核・麻疹・水痘(N95マスク・陰圧室)。●飛沫感染=インフルエンザ・百日咳・マイコプラズマ肺炎・髄膜炎菌(サージカルマスク)。●接触感染=疥癬・MRSA・ノロウイルス・クロストリジオイデス・ディフィシル(手袋・ガウン)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:感染経路別の予防策

感染経路追加の予防策代表疾患
接触感染手袋・ガウン着用など接触感染予防策疥癬、MRSA
飛沫感染サージカルマスク着用など飛沫感染予防策風疹、百日咳、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ肺炎
空気感染陰圧個室隔離、N95マスク着用結核、水痘、麻疹、播種性帯状疱疹。免疫不全者の限局性帯状疱疹は播種を除外するまで空気・接触予防策を追加
標準予防策はすべての患者に適用し、感染経路別予防策は感染力の強い疾患に標準予防策へ追加して実施する。梅毒・B型/C型肝炎・HIVなど血液媒介感染症は標準予防策のみで対応可能。

第71回 午後9(臨床検査総論)

染色法と濃染する部位の組合せで正しいのはどれか。

正答: ④Q分染法 — AT塩基

ポイント
Q分染法(キナクリン蛍光分染法)はキナクリンがアデニン-チミン(AT)に富む部位に強く結合して蛍光を発するため、AT塩基の多い領域が濃染し、その明暗パターンはG分染とほぼ一致する。C分染法はセントロメア部などの構成的ヘテロクロマチンを、NOR分染法は核小体形成部位(リボソームRNA遺伝子のある部位)を染める。●Q分染=AT塩基リッチ部の蛍光(G分染と一致)。●G分染=Giemsaでバンドを染め、ATリッチが濃染。●C分染=構成的ヘテロクロマチン(セントロメア・Y染色体長腕)。●NOR分染=核小体形成部位(13・14・15・21・22番の短腕)。●姉妹染色分体分染(SCE)=複製した2本の染色分体を染め分け、姉妹染色分体交換の評価に用いる。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:染色体分染法(バンディング法)の種類と特徴

分染法濃染する部位・原理
Cバンド分染法動原体部(セントロメア)のヘテロクロマチン領域
Gバンド分染法アデニン-チミン(AT)塩基対優位部。全長を縞模様に染色(最も一般的な染色法)
Qバンド分染法Gバンドと同じ濃淡パターン(AT優位部)。キナクリンによる蛍光染色。Y染色体長腕が強く蛍光
Rバンド分染法グアニン-シトシン(GC)塩基対優位部(Gバンドと逆の濃淡)。染色体末端部を強調
NOR分染法核小体形成部位(rRNA遺伝子の存在部位)
GバンドとRバンドは互いに逆の濃淡パターンを示す。QバンドはGバンドと同じ濃淡パターンだが、蛍光染色法である点が異なる。

第71回 午後10(臨床検査総論)

標準予防策で感染性を考慮しないのはどれか。

正答: ①汗

ポイント
標準予防策(スタンダードプリコーション)では、血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚はすべて感染の可能性があるものとして扱う。ただし汗は唯一の例外で、感染性を考慮しない。尿・髄液・精液・唾液は感染源として扱う対象に含まれる。●標準予防策で感染性ありとして扱うもの=血液・体液(髄液・胸水・腹水・羊水・関節液など)・分泌物・排泄物(尿・便)・精液・腟分泌液・唾液・粘膜・損傷皮膚。●例外(感染性を考慮しない)=汗。●標準予防策の手段=手指衛生・手袋/ガウン/マスクなどの個人防護具・針刺し防止。

選択肢ごとの解説

第71回 午後11(臨床検査医学総論)

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌判定に用いられるのはどれか。

正答: ③尿素呼気試験

ポイント
ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼを産生して尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する。尿素呼気試験は炭素13で標識した尿素を内服させ、菌のウレアーゼで生じた標識二酸化炭素を呼気から測定する検査で、感度・特異度が高く除菌判定に広く用いられる。血液培養・尿培養・便培養や消化管造影は除菌判定に用いない(便では培養でなく便中抗原検査を用いる)。●ピロリ感染診断(内視鏡不要)=尿素呼気試験・便中抗原検査・血清/尿中抗体検査。●内視鏡を用いる検査=迅速ウレアーゼ試験・鏡検(培養・組織)。●除菌判定に適する検査=尿素呼気試験・便中抗原検査(抗体は除菌後も陽性が続くため不向き)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ヘリコバクター・ピロリ感染の診断・検査法と除菌判定への適否

検査法原理除菌判定への適否
尿素呼気試験¹³C標識尿素を内服しウレアーゼ分解産物¹³CO₂を呼気で検出除菌判定に最も優れる
抗体検査(血中・尿中)抗H.pylori抗体を検出抗体の半減期が長く、早期の除菌判定には不適
便中抗原検査便中のH.pylori抗原を検出除菌判定に利用可(サンプリングにより偽陰性のことあり)
内視鏡・迅速ウレアーゼ試験胃組織のウレアーゼ活性(アンモニア)を検出内視鏡検査時に施行
内視鏡・鏡検/培養/核酸検査組織のGiemsa染色・培養・DNA検出主に感染診断
血液・尿・便からはH.pylori生菌自体は検出されない(抗体または抗原を検出)。

第71回 午後12(臨床検査医学総論)

睡眠時無呼吸症候群で誤っているのはどれか。

正答: ④終夜睡眠ポリグラフィはスクリーニングに有用である。・⑤睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸指数〈AHI〉が5未満を示す。

ポイント
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は肥満や高血圧、循環器疾患を合併しやすく、無呼吸は気道が落ち込みやすい仰臥位で起こりやすい。確定診断は終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)で行う精密検査であり、スクリーニングには簡易モニター(パルスオキシメトリ等)を用いる。重症度指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)は1時間あたり5以上で異常とされ、5未満は正常範囲であるため、SASの所見としては誤りである。●AHIによる重症度=5以上15未満で軽症・15以上30未満で中等症・30以上で重症。●関連病態=高血圧・虚血性心疾患・心房細動・脳卒中・2型糖尿病・日中過眠。●治療=持続陽圧呼吸(CPAP)・口腔内装置・減量・体位療法。

選択肢ごとの解説

第71回 午後13(臨床検査医学総論)

肝硬変において血中で増加するのはどれか。

正答: ③γ-グロブリン

ポイント
肝硬変では肝細胞の合成能が低下し、肝で作られるアルブミン・コリンエステラーゼ・総コレステロール・凝固因子が減少する。また脾腫・脾機能亢進により血小板が減少する。一方、慢性炎症に対する反応や門脈大循環シャント(腸管由来抗原の刺激)によりγ-グロブリンは増加し、血清蛋白電気泳動でβ-γブリッジングを示す。●肝硬変で低下=アルブミン・コリンエステラーゼ・総コレステロール・血小板・凝固因子(プロトロンビン時間延長)。●肝硬変で上昇=γ-グロブリン・総ビリルビン・アンモニア・ICG停滞率・腹水。●肝合成能の指標=アルブミン・コリンエステラーゼ・プロトロンビン時間。

選択肢ごとの解説

第71回 午後14(臨床検査医学総論)

子宮筋腫で正しいのはどれか。

正答: ②月経過多をきたす。

ポイント
子宮筋腫は子宮平滑筋から発生する良性腫瘍で、増大すると月経過多(過多月経)や過長月経をきたし、慢性出血により鉄欠乏性貧血を生じる。悪性ではなくエストロゲン依存性に増大するため性成熟期に大きくなり、閉経後はエストロゲン低下で縮小する。診断は経腟・経腹超音波やMRIによる。●子宮筋腫の発生部位=筋層内筋腫・粘膜下筋腫(月経過多が強い)・漿膜下筋腫。●症状=月経過多・過多月経・貧血・圧迫症状(頻尿・便秘)・不妊。●鑑別=子宮腺筋症・子宮内膜癌・子宮肉腫(平滑筋肉腫は悪性)。●擦過細胞診の対象=子宮頸部の上皮病変(筋腫の診断には用いない)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後15(臨床検査医学総論)

遺伝性乳癌卵巣癌症候群〈HBOC〉の原因遺伝子はどれか。

正答: ②BRCA1

ポイント
遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)は、DNA二本鎖切断の相同組換え修復に関わるBRCA1またはBRCA2遺伝子の生殖細胞系列変異が原因で、常染色体顕性遺伝の形式をとる。乳癌・卵巣癌のほか前立腺癌・膵癌のリスクも上昇する。APC・MEN1・MLH1・VHLは別の遺伝性腫瘍症候群の原因遺伝子である。●HBOC=BRCA1/BRCA2(乳癌・卵巣癌・前立腺癌・膵癌)。●家族性大腸腺腫症=APC。●Lynch症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)=MLH1・MSH2などのミスマッチ修復遺伝子。●多発性内分泌腫瘍症=MEN1(1型)・RET(2型)。●von Hippel-Lindau病=VHL(血管芽腫・腎癌・褐色細胞腫)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後16(臨床生理学)

臨床検査技師が行うことができないのはどれか。

正答: ④前庭性眼振検査のための冷水注入

ポイント
臨床検査技師等に関する法律により、臨床検査技師は採血・検体採取と一定の生理学的検査を行えるが、前庭性眼振検査のための外耳道への冷水(温度刺激)注入はその業務範囲に含まれず、行えない。磁気共鳴画像検査・経胸壁心臓超音波・運動誘発電位検査の針電極装着・直腸肛門機能検査のバルーンへの空気注入は、法令で認められた生理学的検査・行為に含まれる。●臨床検査技師が行える主な生理学的検査=心電図・脳波・筋電図・基礎代謝・呼吸機能・超音波・磁気共鳴画像・眼振図(カロリックを除く一定の刺激)・聴力・経皮的血液ガス分圧。●採血・検体採取=静脈採血・鼻腔/咽頭ぬぐい・喀痰・糞便など。●行えない例=外耳道への温度刺激(冷水注入)・診断行為・医行為に当たる治療。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:臨床検査技師が実施できる主な生理学的検査(厚生労働省令)

検査実施上の制限
心電図検査体表誘導によるものに限る
脳波検査頭皮誘導によるものに限る
筋電図検査針電極による穿刺は除く
運動誘発電位検査・体性感覚誘発電位検査2015年(平成27年)追加
呼吸機能検査マウスピース及びノーズクリップ以外の装着器具によるものは除く
眼振電図検査冷水・温水・電気・圧迫による刺激を加えて行うものは除く(=実施不可)
磁気共鳴画像検査・超音波検査実施可
眼底写真検査散瞳薬を投与して行うものは除く
聴力検査気導による定性的な検査で一定の周波数・聴力レベルのものは除く
直腸肛門機能検査実施可(バルーンへの空気注入を含む)
医師又は歯科医師の指示の下に実施し、投薬や侵襲性の強い検査は行えない。

第71回 午後17(臨床生理学)

心周期現象の圧曲線模式図を別に示す。肺動脈圧曲線はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB017.5a50cc83c8.jpg
第71回 午後17 の図

正答: ④

ポイント
心周期の圧曲線では、大動脈圧が最も高く拡張期も比較的高い圧を保ち、左室圧は拡張期に低く収縮期に大動脈圧近くまで上昇する。肺動脈圧は右心系の動脈圧で、体循環の大動脈圧よりも著しく低い(収縮期で約25mmHg、拡張期で約10mmHg)。④がこの低めの動脈圧波形=肺動脈圧曲線に相当する。●左心系の圧(高い)=大動脈圧(約120/80mmHg)・左室圧・左房圧。●右心系の圧(低い)=肺動脈圧(約25/10mmHg)・右室圧・右房圧。●圧曲線で読む現象=大動脈弁の閉鎖切痕(ダイクロティックノッチ)・房室弁開閉・心房収縮によるa波。

選択肢ごとの解説

第71回 午後18(臨床生理学)

肢誘導心電図を別に示す。所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB018.648af06fcf.jpg
第71回 午後18 の図

正答: ②Ⅰ度房室ブロック

ポイント
Ⅰ度房室ブロックは房室伝導の遅延でPR間隔が0.20秒(成人)を超えて延長するが、すべてのP波にQRS波が続き、QRSの脱落はない。図はPR間隔の延長を示し、各P波に対応してQRSが出現するためⅠ度房室ブロックと判断される。●房室ブロックの分類=Ⅰ度(PR延長・脱落なし)・WenckebachⅡ度(PR漸次延長後にQRS脱落)・MobitzⅡ度(PR一定で突然QRS脱落)・Ⅲ度(完全・PとQRSが無関係に出現)。●洞房ブロック=洞結節からの伝導が間欠的に途絶しP波ごと脱落。●基準=正常PR間隔0.12〜0.20秒。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見

疾患心電図所見
心筋梗塞(陳旧性)異常Q波(心筋壊死を反映)
第1度房室ブロックPQ〈PR〉時間の延長(0.21秒以上)、QRS波の脱落なし
完全右脚ブロックQRS幅延長、V1・V2でrsR'型、V5・V6で深いS波
WPW症候群PQ〈PR〉時間の短縮、デルタ波、QRS幅延長
心房細動RR間隔不整(絶対性不整脈)

第71回 午後19(臨床生理学)

吸気および呼気ともに最大努力で得られたフローボリューム曲線を別に示す。V25〈FEF25〉はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB019.c4ce6a181a.jpg
第71回 午後19 の図

正答: ②・④

ポイント
フローボリューム曲線の・V25(FEF25、肺活量の25%が残った時点の呼出流量)は、努力呼出の後半・低肺気量域での流量で、末梢の細い気道(小気道)の状態を反映する。呼出脚は最初に最大呼気流量(ピークフロー)に達した後、肺気量の低下とともに流量が直線的に下降していくため、その下降脚で残気量に近い側(呼出後半)の点が・V25に相当する。●フローボリューム曲線の指標=ピークフロー(最大呼気流量)・・V50(FEF50、50%残存時)・・V25(FEF25、25%残存時)・・V25/V50比。●末梢気道病変=・V25低下・下降脚の下に凸(scooping)。●他の換気指標=1秒量(FEV1.0)・1秒率・努力肺活量(FVC)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後20(臨床生理学)

測定に100%酸素を使用するのはどれか。2つ選べ。

正答: ④開放回路法による機能的残気量測定・⑤1回呼吸法によるクロージングボリューム測定

ポイント
開放回路法(窒素洗い出し法)による機能的残気量(FRC)測定は、100%酸素を吸入させて肺内の窒素を洗い出し、排出された窒素量から肺気量を算出する。クロージングボリューム測定も100%酸素を1回深吸気させ、呼出時の窒素濃度の上昇(第Ⅳ相)から閉鎖容量を求める。いずれも100%酸素を使う。最大酸素摂取量測定は運動負荷で行い、呼気一酸化窒素濃度測定はNOガスを測り、肺拡散能測定は一酸化炭素を含む混合ガスを用いるため100%酸素は使わない。●100%酸素を用いる検査=機能的残気量の開放回路(窒素洗い出し)法・クロージングボリューム(単一窒素呼出)法。●FRC測定の他法=閉鎖回路ヘリウム希釈法・体プレチスモグラフ。●混合ガスを吸入する検査=肺拡散能測定(一酸化炭素などを含む)。呼気NO測定では周囲のNOを除いた空気を吸入し、一定流量で呼出した息に含まれるNOを測る。

選択肢ごとの解説

第71回 午後21(臨床生理学)

神経筋接合部の伝達物質はどれか。

正答: ①アセチルコリン

ポイント
神経筋接合部では運動神経終末からアセチルコリンが放出され、筋細胞膜(終板)のニコチン性アセチルコリン受容体に結合してナトリウムイオンの流入を起こし、終板電位から筋の活動電位を生じさせる。放出されたアセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼで速やかに分解される。アドレナリン・ドパミン・セロトニン・グルタミン酸は中枢神経や自律神経の伝達物質である。●運動神経終末・自律神経節前・副交感神経節後=アセチルコリン。●交感神経節後=ノルアドレナリン(アドレナリンは副腎髄質)。●中枢の興奮性=グルタミン酸、抑制性=GABA・グリシン。●モノアミン=ドパミン・セロトニン・ノルアドレナリン。●神経筋接合部の障害=重症筋無力症(受容体への自己抗体)・Lambert-Eaton症候群(カルシウムチャネルへの抗体)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後22(臨床生理学)

正中神経における運動神経伝導検査の記録波形を別に示す。最も考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB022.9d592a3450.jpg
第71回 午後22 の図

正答: ⑤慢性炎症性脱髄性多発根神経炎

ポイント
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)は髄鞘が障害される脱髄性ニューロパチーで、運動神経伝導検査では伝導速度の著明な低下、遠位潜時の延長、伝導ブロックや時間的分散がみられる。図はこうした脱髄を示唆する所見を示す。脱髄では速度低下が顕著、軸索障害では振幅低下が主体という点が鑑別の基本である。●脱髄性ニューロパチー=CIDP・Guillain-Barré症候群・Charcot-Marie-Tooth病1型(伝導速度低下・伝導ブロック)。●軸索性ニューロパチー=糖尿病性・アルコール性(振幅低下が主)。●局所性絞扼=手根管症候群(正中神経の遠位潜時延長)。●神経筋接合部疾患=重症筋無力症(反復刺激で振幅漸減=waning)・Lambert-Eaton症候群(高頻度刺激で漸増)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後23(臨床生理学)

脳波を別に示す。所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB023.17f35d95e0.jpg
第71回 午後23 の図

正答: ④ヒプスアリスミア

ポイント
ヒプスアリスミアは、高振幅(300μVに及ぶ)の不規則な徐波と、多焦点性・非同期の棘波・鋭波が無秩序に混在する脳波所見で、乳児のWest症候群(点頭てんかん)に特徴的である。図はこの無秩序な高振幅活動を示す。●ヒプスアリスミア=West症候群(点頭てんかん)。●三相波=肝性脳症など代謝性脳症の周期性波。●棘徐波複合(3Hz)=欠神発作(小発作)。●徐波群発=局在性の病変や非特異的異常。●交代性脳波(トラセアルテルナン)=新生児の静睡眠期にみる正常波形。●周期性同期性放電=Creutzfeldt-Jakob病・亜急性硬化性全脳炎。

選択肢ごとの解説

第71回 午後24(臨床生理学)

折り返し現象がみられたパルスドプラ波形の調整法で正しいのはどれか。

正答: ①ゼロシフトを行う。

ポイント
パルスドプラ法では、検出できる最大周波数偏移がパルス繰り返し周波数(PRF)の半分=ナイキスト限界に制限され、これを超える高速血流では波形が反対方向に折り返すエイリアシング(折り返し現象)が生じる。表示の基線を移動するゼロシフトにより、片方向の表示可能範囲を広げ、見かけ上折り返しを補正できる。根本的にはPRFを上げる、低い送信周波数を選ぶ、サンプル部位を浅くするなどでナイキスト限界を上げる。●折り返しへの対処=ゼロシフト(基線移動)・PRFを上げる・送信周波数を下げる・連続波ドプラへ切替・サンプル部位を浅くする。●パワードプラ=速度・方向の情報をもたず折り返しは生じないが流速評価には不向き。●ドプラゲイン=信号の増幅で折り返しには無関係。

選択肢ごとの解説

第71回 午後25(臨床生理学)

疾患と超音波所見の組合せで正しいのはどれか。

正答: ③肝細胞癌 — モザイクパターン

ポイント
肝細胞癌は腫瘍内に脂肪変性・壊死・線維化・出血などが混在するため、内部エコーが不均一なモザイクパターンを示し、辺縁に低エコー帯(ハロー)や側方陰影を伴うことがある。肝血管腫は境界明瞭な高エコー腫瘤、脂肪肝は肝実質の輝度上昇(bright liver)と深部エコーの減衰を示す。●肝細胞癌=モザイクパターン・ハロー・後方エコー増強・nodule in nodule。●肝血管腫=高エコー腫瘤・wax and wane(カメレオンサイン)・marginal strong echo。●脂肪肝=高輝度肝(bright liver)・深部減衰・肝腎コントラスト・脈管の不明瞭化。●転移性肝癌=bull's eye/target sign・cluster sign。●胆嚢腺筋症=コメット様エコー(RAS内の結晶による多重反射)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:腹部超音波検査:疾患と特徴的なエコー所見

疾患特徴的な超音波所見
肝嚢胞類円形・境界明瞭・内部無エコー・後方エコー増強
肝血管腫境界明瞭な高エコー腫瘤、体位変換で内部エコーが変化(カメレオンサイン)
肝膿瘍経過とともに充実性→混合性→嚢胞性へ変化、辺縁不整・境界不明瞭
肝硬変肝表面の凹凸不整・辺縁鈍化、実質エコーの粗雑化、肝内脈管の狭小化・不明瞭化、脾腫
肝細胞癌内部モザイクパターン(nodule in nodule)、辺縁低エコー帯(ハロー)、側方陰影
転移性肝癌類似エコー像の多発結節、幅広い辺縁低エコー帯+中心部高エコーの同心円状像(bull's eye sign/target sign)
脂肪肝肝実質の輝度上昇(bright liver)、肝深部エコーの減衰、肝腎コントラストの増強
急性膵炎膵腫大、内部エコー不均一で低輝度、膵・腎周囲の液体貯留
急性胆嚢炎胆嚢腫大、胆嚢壁肥厚、胆石・胆泥
腎嚢胞類円形・内部無エコー・後方エコー増強
大腸癌(進行例)限局性の壁肥厚がpseudokidney sign〈偽腎徴候〉として描出
肝血管腫のカメレオンサイン(体位変換による内部エコー変化)とコメット様エコー(胆嚢腺筋症などでみられる多重反射)は別の所見であり混同しない。

第71回 午後26(臨床生理学)

心エコーの傍胸骨長軸像を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB026.c42cf5a834.jpg
第71回 午後26 の図

正答: ①右室

ポイント
心エコーの傍胸骨長軸像はプローブを胸骨左縁に当てて心臓を長軸方向に切る基本断面で、画面手前(浅部)から右室・大動脈基部(大動脈弁)・左房が並び、その下方に左室と僧帽弁が描出される。プローブに最も近い最前面の腔が右室で、矢印はこれを示す。右房や肺動脈はこの断面では主たる腔として描出されない。●傍胸骨長軸像で評価する構造=右室流出路・大動脈弁・大動脈基部・左房・左室・僧帽弁・心室中隔。●心エコーの基本断面=傍胸骨長軸像・傍胸骨短軸像・心尖部四腔像・心尖部二腔像・心窩部像。

選択肢ごとの解説

第71回 午後27(臨床生理学)

頸動脈超音波検査で正しいのはどれか。

正答: ④低輝度プラークは脳血管の塞栓源になりやすい。

ポイント
頸動脈超音波検査では、低輝度(低エコー)プラークは脂質やプラーク内出血に富む不安定プラークで、表面の線維性被膜が破綻して塞栓を生じやすく、脳梗塞の塞栓源になりやすい。狭窄部では血流が加速するため血流速度は上昇し、内中膜複合体厚(IMT)は1.1mm以上を肥厚とする。総頸動脈の外側に内頸静脈が走行し、右総頸動脈は腕頭動脈から分岐するが左総頸動脈は大動脈弓から直接分岐する。●プラークの性状評価=低輝度(不安定・易破綻)・高輝度(線維性・石灰化で安定)・潰瘍形成・可動性プラーク。●頸動脈の評価指標=内中膜複合体厚(IMT)・狭窄率・収縮期最高血流速度・プラークスコア。

選択肢ごとの解説

第71回 午後28(臨床生理学)

人体の磁気共鳴画像を得るために対象としている核種はどれか。

正答: ③水素

ポイント
臨床用の磁気共鳴画像(MRI)は、生体に最も豊富で核磁気共鳴信号が強い水素原子核(プロトン)を対象とする。水素は水や脂肪に多量に含まれ、磁気回転比が大きく感度が高いため画像化に適する。硫黄・酸素・炭素・窒素は主たる対象核種ではない。●核磁気共鳴を示す核種(核スピンをもつ)=水素(¹H)・炭素(¹³C)・リン(³¹P)・ナトリウム(²³Na)・フッ素(¹⁹F)。●MRIの基本パラメータ=T1緩和時間・T2緩和時間・プロトン密度。

選択肢ごとの解説

第71回 午後29(臨床化学)

重炭酸イオンで正しいのはどれか。

正答: ④代謝性アルカローシスで血漿濃度が上昇する。

ポイント
重炭酸イオン(HCO₃⁻)は細胞外液で塩化物イオンに次いで多い陰イオンで、近位尿細管で再吸収され酸塩基平衡の緩衝系を担う。代謝性アルカローシスでは血漿の重炭酸イオン濃度が上昇し、代謝性アシドーシスでは低下する。基準範囲は約22〜26mmol/Lで、50mmol/Lは大きく逸脱する。アニオンギャップは陽イオン(Na⁺)から陰イオン(Cl⁻+HCO₃⁻)を引く式で重炭酸イオンを含む。●酸塩基平衡の代償=代謝性アシドーシス(HCO₃⁻低下・呼吸性代償で過換気)・代謝性アルカローシス(HCO₃⁻上昇)・呼吸性アシドーシス(PaCO₂上昇)・呼吸性アルカローシス(PaCO₂低下)。●細胞外液の主な陰イオン=塩化物イオン>重炭酸イオン>蛋白>リン酸・硫酸・有機酸。

選択肢ごとの解説

第71回 午後30(臨床化学)

日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法において2つ以上の酵素反応を利用しているのはどれか。2つ選べ。

正答: ②AST・③CK

ポイント
日本臨床化学会(JSCC)勧告法では、ASTとCKは指示反応に共役酵素を組み合わせて測定する点が共通する。ASTはリンゴ酸脱水素酵素(MDH)を共役させてNADHの減少を、CKは生成したATPをヘキソキナーゼとグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)で共役させNADPHの増加を測る。ALP・γ-GT・LDは合成基質や基質の変化を1段階で測定する。●共役(指示酵素)反応を用いる主な酵素=AST(MDH)・ALT(LDH)・CK(HK・G6PD)・アミラーゼ(α-グルコシダーゼ系)。●単一反応で直接測る酵素=ALP(p-ニトロフェニルリン酸)・γ-GT(基質分解)・LD(乳酸とNADの反応)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後31(臨床化学)

α-アミラーゼで正しいのはどれか。

正答: ⑤唾液腺型は膵型より分子量が大きい。

ポイント
α-アミラーゼはデンプン分子内部のα-1,4グリコシド結合を切るエンド型酵素で、活性中心にCa²⁺をもちCl⁻によって活性化される。アイソザイムには唾液腺型(S型)と膵型(P型)があり、唾液腺型は糖鎖を多くもつため膵型より分子量がやや大きい。分子量が小さく腎糸球体を通過するため尿中に排泄される。α-1,6結合は切らない。消化管ではイソマルターゼなどがα-1,6結合を加水分解する。グリコーゲン分解では脱分枝酵素が働き、分枝酵素は合成時に分枝を作る酵素である。●アミラーゼ上昇をきたす病態=急性膵炎・膵癌・流行性耳下腺炎(唾液腺型上昇)・マクロアミラーゼ血症・腎不全。●消化酵素の作用様式=エンド型(α-アミラーゼ)・エキソ型(マルターゼ・グルコアミラーゼ)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血清アミラーゼの性質とアイソザイム(P型・S型)比較

項目内容
反応様式α-1,4-グリコシド結合をデンプン内部から切断するエンド型酵素
活性化因子塩化物イオン(Cl⁻)で活性化。カルシウムイオンを含有する金属酵素
アイソザイム膵型(P型)・唾液腺型(S型)
分子量P型 約54,000Da、S型 約56,000〜62,000Da(S型の方が大きい。糖鎖を含むため)
尿中排泄分子量の小さいP型の方が排泄されやすい
臨床的意義急性膵炎でP型上昇、流行性耳下腺炎でS型上昇

第71回 午後32(臨床化学)

サルコイドーシスの活動性マーカーはどれか。

正答: ④アンギオテンシン変換酵素

ポイント
サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患で、類上皮細胞肉芽腫からアンギオテンシン変換酵素(ACE)が産生され、血清ACEが疾患の活動性を反映して上昇する。リゾチームや可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)、血清・尿中カルシウムも上昇しうる。プロカルシトニンやH-FABPなどは別の病態のマーカーである。●サルコイドーシスの活動性・補助マーカー=アンギオテンシン変換酵素(ACE)・リゾチーム・可溶性IL-2受容体・血清カルシウム・ツベルクリン反応陰転化。●他のマーカーの意義=プロカルシトニン(細菌感染・敗血症)・H-FABP(心筋梗塞早期)・デオキシピリジノリン(骨吸収)・NAG(尿細管障害)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後33(臨床化学)

酵素とその分類の組合せで正しいのはどれか。

正答: ④デヒドロゲナーゼ — 酸化還元酵素

ポイント
酵素は国際生化学・分子生物学連合の酵素番号(EC番号)により、酸化還元酵素・転移酵素・加水分解酵素・脱離酵素(リアーゼ)・異性化酵素・合成酵素(リガーゼ)の6群に分類される(近年は転位酵素を加え7群)。デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)は水素を授受する酸化還元酵素である。キナーゼはリン酸基を転移する転移酵素、エステラーゼは加水分解酵素、アルドラーゼは結合を開裂する脱離酵素である。●酸化還元酵素=デヒドロゲナーゼ・オキシダーゼ・ペルオキシダーゼ・カタラーゼ。●転移酵素=キナーゼ・アミノトランスフェラーゼ(AST・ALT)・γ-GT。●加水分解酵素=エステラーゼ・アミラーゼ・リパーゼ・ペプチダーゼ・ホスファターゼ。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:酵素の分類(EC番号)

EC分類反応の種類代表的な酵素
EC1 酸化還元酵素酸化還元反応LD、GOD、POD、カタラーゼ、ウリカーゼ、デヒドロゲナーゼ類(脱水素酵素)
EC2 転移酵素官能基の転移反応CK、AST、ALT、γ-GT、ヘキソキナーゼ、キナーゼ類(リン酸基転移)
EC3 加水分解酵素脱水結合部位の加水分解ALP、LAP、コリンエステラーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、エステラーゼ類
EC4 脱離酵素(除去付加酵素)加水分解によらない基質の除去アルドラーゼ、エノラーゼ、フマラーゼ
EC5 異性化酵素基質を異性体に変換ホスホグリセリン酸ムターゼ
EC6 合成酵素ATPを用いて2分子を結合DNAリガーゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼ
EC7 転位酵素(移動酵素)生体膜を介した物質の移動膜輸送体(トランスロカーゼ)
CKはリン酸基を、AST・ALTはアミノ基を、γ-GTはγ-グルタミル基を転移するため、名称に「トランスフェラーゼ」を含まなくてもEC2(転移酵素)に分類される。同様に、-キナーゼ/-トランスフェラーゼの語尾はEC2、-エステラーゼ/-ホスファターゼの語尾はEC3、-デヒドロゲナーゼ/-オキシダーゼの語尾はEC1、-アルドラーゼの語尾はEC4に対応する。

第71回 午後34(臨床化学)

分岐鎖アミノ酸はどれか。2つ選べ。

正答: ①バリン・④イソロイシン

ポイント
分岐鎖アミノ酸(BCAA)はバリン・ロイシン・イソロイシンの3つで、側鎖が枝分かれした構造をもち、主に骨格筋で代謝される必須アミノ酸である。肝硬変では分岐鎖アミノ酸が低下し芳香族アミノ酸が増加してFischer比(BCAA/芳香族アミノ酸モル比)が低下する。グリシンは最も単純なアミノ酸、システインは含硫アミノ酸、トリプトファンは芳香族アミノ酸である。●分岐鎖アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン。●芳香族アミノ酸=フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン。●含硫アミノ酸=メチオニン・システイン。●Fischer比=(バリン+ロイシン+イソロイシン)/(フェニルアラニン+チロシン)で肝障害で低下。

選択肢ごとの解説

第71回 午後35(臨床化学)

ビリルビンで正しいのはどれか。

正答: ③酸化されるとビリベルジンになる。

ポイント
ビリルビンはヘムの分解によりビリベルジンを経て生じる黄色色素で、4つのピロール環が直鎖状に連なった構造をもつ。逆にビリルビンが酸化されると緑色のビリベルジンに戻る。極大吸収波長は約450〜460nm付近にある。間接(非抱合型)ビリルビンはアルブミンと結合し水に不溶で尿中に出ず、肝でグルクロン酸抱合を受けた直接(抱合型)ビリルビンが水溶性となり尿中に排泄される。●ビリルビン代謝=ヘム→ビリベルジン→間接(非抱合型)ビリルビン→肝でグルクロン酸抱合→直接(抱合型)ビリルビン→胆汁→ウロビリノゲン。●黄疸の分類=溶血性(間接型上昇)・肝細胞性(両方上昇)・閉塞性(直接型上昇・尿中ビリルビン陽性)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)

分画水溶性・血中結合尿中排泄ジアゾ反応光に対する安定性高値を示す代表疾患
非抱合型(間接)ビリルビン脂溶性・アルブミンと結合排泄されない促進剤(メタノール等)が必要不安定(光異性化を受ける)溶血性貧血・新生児黄疸・Gilbert症候群・Crigler-Najjar症候群
抱合型(直接)ビリルビン水溶性・グルクロン酸抱合尿中に排泄される促進剤なしで直接反応比較的安定閉塞性黄疸(胆汁うっ滞)・Dubin-Johnson症候群・Rotor症候群
δビリルビン抱合型ビリルビンがアルブミンと共有結合したもの尿中に排泄されない(半減期が長い)--黄疸遷延時に増加
シャントビリルビン(早期ビリルビン)成熟赤血球のヘム以外(肝・腎のシトクロムやカタラーゼ、未熟赤血球等)に由来---代謝回転の速い特殊な分画で、δビリルビンとは別概念
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。

第71回 午後36(臨床化学)

ビタミンで正しいのはどれか。

正答: ③ビタミンCはコラーゲンの生成に関与する。

ポイント
ビタミンCはコラーゲン合成過程でプロリンとリジンの水酸化に必要な補因子で、欠乏すると壊血病をきたす。ビタミンDはカルシウムの腸管吸収と骨形成、ビタミンKは血液凝固因子(II・VII・IX・X)の合成に必要である。レチノールと結合するのはレチノール結合蛋白で、アミノトランスフェラーゼの補酵素はビタミンB₆(ピリドキサールリン酸)である。●脂溶性ビタミンと機能=A(視覚・上皮)・D(カルシウム代謝・骨)・E(抗酸化)・K(凝固因子合成)。●水溶性ビタミンと機能=B1(糖代謝)・B6(アミノ酸代謝の補酵素)・B12と葉酸(造血)・C(コラーゲン合成・抗酸化)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き

分類ビタミン化学名主な働き
脂溶性ビタミンAレチノール視覚(ロドプシン)・上皮の維持。RBP〈レチノール結合蛋白〉で運搬
脂溶性ビタミンDカルシフェロール腸管Ca・P吸収、骨形成。肝で25位、腎で1α位が水酸化され活性化
脂溶性ビタミンEトコフェロール抗酸化作用(生体膜の脂質を保護)
脂溶性ビタミンKフィロキノン/メナキノン血液凝固因子(第II・VII・IX・X因子)の生成
水溶性ビタミンB1チアミン糖代謝の補酵素(TPP)
水溶性ビタミンB2リボフラビン酸化還元の補酵素(FAD・FMN)
水溶性ナイアシンニコチン酸酸化還元の補酵素(NAD・NADP)
水溶性ビタミンB6ピリドキシンアミノ基転移酵素の補酵素(PLP)
水溶性ビタミンB12コバラミンDNA合成・造血(胃壁細胞の内因子と結合し回腸で吸収)
水溶性葉酸(フォラシン)DNA合成・造血
水溶性ビタミンCアスコルビン酸コラーゲン合成・抗酸化
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。

第71回 午後37(臨床化学)

分子量で分離するのはどれか。

正答: ④ゲルろ過クロマトグラフィ

ポイント
ゲルろ過クロマトグラフィ(サイズ排除クロマトグラフィ)は、多孔性ゲルの細孔への入りやすさの違いを利用して分子を大きさ(分子量)で分離する。小さい分子は細孔に入り込んで移動が遅れ、大きい分子は細孔に入れず先に溶出する。逆相・吸着・分配・アフィニティはそれぞれ疎水性・吸着力・分配係数・特異的結合という別の原理で分離する。●クロマトグラフィの分離原理=ゲルろ過(分子サイズ)・イオン交換(電荷)・逆相/分配(疎水性・分配係数)・吸着(吸着力)・アフィニティ(特異的結合)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後38(臨床化学)

必須脂肪酸はどれか。

正答: ②リノール酸

ポイント
必須脂肪酸は体内で合成できず食事から摂取する必要のある多価不飽和脂肪酸で、リノール酸(n-6系)とα-リノレン酸(n-3系)が代表である。オレイン酸・ステアリン酸・パルミチン酸は体内で合成できる。ドコサヘキサエン酸(DHA)はα-リノレン酸から生体内で合成されうる。●必須脂肪酸=リノール酸(n-6)・α-リノレン酸(n-3)。●n-6系誘導体=γ-リノレン酸・アラキドン酸。●n-3系誘導体=エイコサペンタエン酸(EPA)・ドコサヘキサエン酸(DHA)。●体内合成できる脂肪酸=パルミチン酸・ステアリン酸(飽和)・オレイン酸(一価不飽和)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後39(臨床化学)

尿酸で正しいのはどれか。

正答: ④高尿酸血症の臨床判断値に性差はない。

ポイント
尿酸はプリン塩基(アデニン・グアニン)の最終代謝産物で、血漿中はほぼ遊離型で存在し蛋白結合型は主ではない。高尿酸血症は性別を問わず血清尿酸値7.0mg/dLを超える状態と定義され、臨床判断値に性差はない(ただし基準範囲には性差がある)。測定はウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)を用いた酵素法による。腫瘍崩壊症候群では核酸の急激な分解により尿酸が上昇する。●尿酸代謝の異常=高尿酸血症(痛風・腫瘍崩壊症候群・腎不全)・低尿酸血症(キサンチンオキシダーゼ欠損・腎性低尿酸血症)。●プリン代謝関連酵素=キサンチンオキシダーゼ・HGPRT(欠損でLesch-Nyhan症候群)・ウリカーゼ(ヒトには欠如)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:主な血液・尿検査項目の代謝上の由来(最終代謝産物)

項目由来(前駆体・生成経路)主な排泄経路上昇する主な病態
尿酸プリン塩基(アデニン・グアニン)の最終代謝産物腎排泄痛風・腫瘍崩壊症候群・腎不全
クレアチニン筋肉のクレアチン・クレアチンリン酸から非酵素的に生成糸球体濾過後、ほとんど再吸収されず排泄腎機能低下・脱水(腎前性)
アンモニア蛋白質・アミノ酸の分解(腸内細菌による分解を含む)に由来肝の尿素回路で尿素へ変換消化管出血・肝不全・門脈大循環シャント
アンモニアは採血後、室温放置や溶血で偽高値になりやすいため速やかに測定するか氷冷保存する。

第71回 午後40(臨床化学)

水溶性ビタミンはどれか。2つ選べ。

正答: ①葉酸・③ピリドキシン

ポイント
水溶性ビタミンはビタミンB群とビタミンCで、葉酸とピリドキシン(ビタミンB₆)が該当する。過剰摂取分は尿中に排泄され体内に蓄積しにくい。レチノール(A)・トコフェロール(E)・カルシフェロール(D)は脂溶性ビタミンで、体内に蓄積し過剰症をきたしうる。●水溶性ビタミン=B1(チアミン)・B2(リボフラビン)・B6(ピリドキシン)・B12(コバラミン)・ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・葉酸・C(アスコルビン酸)。●脂溶性ビタミン=A(レチノール)・D(カルシフェロール)・E(トコフェロール)・K(フィロキノン)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き

分類ビタミン化学名主な働き
脂溶性ビタミンAレチノール視覚(ロドプシン)・上皮の維持。RBP〈レチノール結合蛋白〉で運搬
脂溶性ビタミンDカルシフェロール腸管Ca・P吸収、骨形成。肝で25位、腎で1α位が水酸化され活性化
脂溶性ビタミンEトコフェロール抗酸化作用(生体膜の脂質を保護)
脂溶性ビタミンKフィロキノン/メナキノン血液凝固因子(第II・VII・IX・X因子)の生成
水溶性ビタミンB1チアミン糖代謝の補酵素(TPP)
水溶性ビタミンB2リボフラビン酸化還元の補酵素(FAD・FMN)
水溶性ナイアシンニコチン酸酸化還元の補酵素(NAD・NADP)
水溶性ビタミンB6ピリドキシンアミノ基転移酵素の補酵素(PLP)
水溶性ビタミンB12コバラミンDNA合成・造血(胃壁細胞の内因子と結合し回腸で吸収)
水溶性葉酸(フォラシン)DNA合成・造血
水溶性ビタミンCアスコルビン酸コラーゲン合成・抗酸化
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。

第71回 午後41(臨床化学)

eGFRの計算に使用するのはどれか。2つ選べ。

正答: ②性別・④年齢

ポイント
日本の血清クレアチニンを用いた推算糸球体ろ過量(eGFR)の式は、血清クレアチニン値・年齢・性別の3要素から算出する。年齢が高いほど、また女性では係数によりeGFRが補正される。身長・体重・尿中クレアチニン濃度は式に含まれない(身長・体重は実測GFR算出時の体表面積補正に用いられる)。●eGFRの推算に用いる項目=血清クレアチニン・年齢・性別(シスタチンC式ではシスタチンC・年齢・性別)。●腎機能評価法=eGFR・実測クレアチニンクリアランス・イヌリンクリアランス(GFRの基準法)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後42(臨床化学)

疾患とホルモン異常の組合せで誤っているのはどれか。

正答: ①尿崩症 — オキシトシン

ポイント
誤り。尿崩症は抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌低下(中枢性)や腎の反応性低下(腎性)で生じる多尿疾患であり、オキシトシンの異常ではない。橋本病(慢性甲状腺炎)はサイロキシン(T4)低下、褐色細胞腫はカテコールアミン(ノルアドレナリン・アドレナリン)過剰、慢性腎不全は低カルシウム血症などにより二次性副甲状腺ホルモン(PTH)上昇、腎血管性高血圧症は腎血流低下によるレニン上昇をきたす。●下垂体後葉ホルモン=バソプレシン(抗利尿ホルモン)・オキシトシン。●ホルモン異常と疾患=尿崩症(バソプレシン低下)・SIADH(バソプレシン過剰)・褐色細胞腫(カテコールアミン過剰)・原発性アルドステロン症(アルドステロン過剰)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:疾患と血中ホルモン濃度の変化

疾患変化するホルモン変化の向き
Cushing病(下垂体ACTH産生腫瘍)ACTH・コルチゾール上昇
副腎性Cushing症候群(副腎腺腫・副腎癌)コルチゾール上昇(ACTHは低下)
異所性ACTH産生腫瘍(肺小細胞癌など)ACTH・コルチゾール上昇
Addison病(原発性副腎皮質機能低下)コルチゾール低下(ACTHは上昇)
Basedow病甲状腺ホルモン〈T3・T4〉上昇(TSHは低下)
橋本病・慢性甲状腺炎甲状腺ホルモン〈T3・T4〉低下(TSHは上昇)
先端巨大症・巨人症成長ホルモン〈GH〉上昇
中枢性尿崩症バソプレシン〈ADH〉低下
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群〈SIADH〉バソプレシン〈ADH〉上昇
原発性アルドステロン症(Conn症候群)アルドステロン上昇(レニンは低下)
腎血管性高血圧症レニン上昇
褐色細胞腫カテコラミン上昇
慢性腎不全パラトルモン〈PTH〉上昇
橋本病でカルシトニンは特異的に変化しない。カルシトニン上昇は甲状腺髄様癌でみられる。

第71回 午後43(臨床化学)

LDアイソザイムで正しいのはどれか。

正答: ③LD₅は肝疾患で上昇する。

ポイント
乳酸脱水素酵素(LD)はH型とM型の2種類のサブユニット4個からなる四量体で、その組合せによりLD₁(H4)からLD₅(M4)まで5種類のアイソザイムがある。LD₁・LD₂は心筋・赤血球・腎に、LD₅は肝・骨格筋に多く分布し、肝疾患ではLD₅が上昇する。LD₄・LD₅は低温(冷蔵)で失活しやすいため血清は室温保存が望ましい。●LDアイソザイム由来組織=LD₁・2(心筋・赤血球・腎)・LD₃(肺・脾・リンパ)・LD₄・5(肝・骨格筋)。●LD上昇パターン=LD₁優位(心筋梗塞・溶血)・LD₅優位(肝障害・骨格筋障害)・LD₂-3優位(白血病・悪性リンパ腫)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:LDアイソザイムの構造・組織分布・安定性

アイソザイムサブユニット構成主な分布臓器半減期の傾向4℃保存での安定性
LD1 (H4)H型4個心筋・赤血球・腎最も長い(約79時間)安定
LD2 (H3M1)H型3・M型1心筋・赤血球・腎長い安定
LD3H型2・M型2肺・脾・リンパ系中間比較的安定
LD4 (H1M3)H型1・M型3肝・骨格筋短い不安定
LD5 (M4)M型4個肝・骨格筋最も短い不安定(失活しやすい)
LDはH型・M型の2種類のサブユニットからなる四量体(分子量約134kDa)。健常人血清ではLD2の割合が最も高い。溶血で上昇するのはLD1・LD2。

第71回 午後44(臨床化学)

飛行時間型質量分析〈TOF-MS〉法で誤っているのはどれか。

正答: ①イオン化物質は大気圧中を飛行する。

ポイント
誤り。飛行時間型質量分析(TOF-MS)は、イオン化した分子を一定の電場で加速し真空中の飛行管を飛行させ、質量電荷比(m/z)に応じた飛行時間の差で分離・検出する方法であり、大気圧中ではなく真空中を飛行させる。同じ運動エネルギーを与えると軽いイオンほど速く飛ぶため、エネルギー保存の法則から飛行速度が求まり、電荷(m/z)が飛行時間に影響する。イオン化にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法が汎用される。●質量分析のイオン化法=MALDI(マトリックス支援レーザー脱離)・ESI(エレクトロスプレー)・EI(電子衝撃)。●質量分析計の質量分離部=飛行時間型(TOF)・四重極型・イオントラップ型・磁場型。●臨床応用=MALDI-TOF MSによる微生物の菌種同定。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:質量分析計の分類(イオン化法・質量分離部)

区分主な種類
イオン化法MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)・ESI(エレクトロスプレー)・EI(電子衝撃)
質量分離部飛行時間型〈TOF〉・四重極型・イオントラップ型・磁場型
TOF-MSはイオンを真空中の飛行管で加速・飛行させ、質量電荷比(m/z)に応じた飛行時間差で分離する。臨床応用例:MALDI-TOF MSによる微生物の菌種同定。

第71回 午後45(病理組織細胞学)

薄切で切片に傷ができる場合の対処法はどれか。

正答: ②刃を取り替える。

ポイント
薄切で切片に規則的な縦方向の傷(ナイフマーク)ができる主な原因は、ミクロトーム刃の刃こぼれである。刃の使用部位をずらすか刃を新しいものに取り替えると傷は解消する。逃げ角の調整は圧縮・びびり(チャター)対策、ブロックの冷却も圧縮対策であり、刃こぼれによる傷には無効である。●薄切時のトラブルと対処=縦の傷(刃こぼれ→刃の交換・移動)・圧縮やしわ(逃げ角調整・ブロック冷却)・チャター(振動)(逃げ角・固定・速度調整)・切片が丸まる(逃げ角不適)。●ミクロトームの種類=滑走式・回転式・凍結式(クリオスタット)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後46(病理組織細胞学)

膵臓の特殊染色を別に示す。染色法はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB046.bb7cc8c0d5.jpg
第71回 午後46 の図

正答: ③Grimelius染色

ポイント
Grimelius(グリメリウス)染色は好銀性(アルジロフィル)細胞を黒褐色に染める銀含浸法で、外来性の還元剤を加えて銀を還元させる点に特徴があり、膵島細胞や消化管の神経内分泌細胞、カルチノイド腫瘍の証明に用いる。図は膵の内分泌細胞が黒褐色に染まった像である。●銀染色の用途別分類=Grimelius(好銀性の神経内分泌細胞)・Masson-Fontana(メラニン・銀親和性物質)・PAM〈過ヨウ素酸メセナミン銀〉(基底膜・腎糸球体)・Bodian(神経線維)・Warthin-Starry(スピロヘータ・細菌)・渡銀法(細網線維)。●好銀性(アルジロフィル)と銀親和性(アルジェンタフィン)=前者は還元剤を要し、後者は組織自体が銀を還元する。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:病理組織の主な特殊染色と対象

染色法主な対象
HE染色核・細胞質の基本染色
EVG染色弾性線維(黒紫)・膠原線維(赤)
Masson trichrome・azan染色膠原線維(青)
PAS染色糖原・中性粘液・基底膜
PAM染色糸球体基底膜・細網線維
PTAH染色横紋筋・グリア線維・フィブリン
鍍銀法細網線維(好銀線維)
Ziehl-Neelsen染色抗酸菌

第71回 午後47(病理組織細胞学)

子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。考えられる感染はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB047.8bffae39c2.jpg
第71回 午後47 の図

正答: ④ヘルペスウイルス

ポイント
ヘルペスウイルス感染の子宮頸部細胞診では、多核化(多核巨細胞・核のすり合わせ像)・核のすりガラス様(均質化)変化・好酸性核内封入体が特徴的所見としてみられる。図はこれらの変化を示す。カンジダは仮性菌糸と胞子、トリコモナスは洋ナシ形の虫体、ヒトパピローマウイルス(HPV)はコイロサイト(核周明庭をもつ空胞化細胞)を示す。●子宮頸部細胞診で示唆される感染像=ヘルペス(多核化・すりガラス核・核内封入体)・カンジダ(仮性菌糸・胞子)・トリコモナス(洋ナシ形虫体)・クラミジア(細胞質内封入体)・HPV(コイロサイト)・放線菌(綿球状菌塊)。

選択肢ごとの解説

第71回 午後48(病理組織細胞学)

細胞内小器官で正しいのはどれか。

正答: ⑤ミトコンドリアは独自の遺伝情報を有する。

ポイント
ミトコンドリアは独自の環状DNA(ミトコンドリアDNA)とリボソームをもち、一部の蛋白を自ら合成し母系遺伝する独立性をもつ細胞小器官である。核は遺伝情報の保持と転写の場、リボソームは蛋白合成の場、細胞膜は脂質二重層からなる。電子伝達系はミトコンドリア内膜に存在する。●細胞小器官と機能=核(DNA保持・転写)・リボソーム(蛋白合成)・粗面小胞体(分泌蛋白合成)・滑面小胞体(脂質合成・解毒)・ゴルジ装置(修飾・選別・分泌)・ミトコンドリア(ATP産生・電子伝達系・独自DNA)・リソソーム(加水分解・分解)。●生体膜の構造=リン脂質二重層に膜蛋白が埋まる流動モザイクモデル。

選択肢ごとの解説

第71回 午後49(病理組織細胞学)

上腹部の単純CT画像(第12胸椎の高さの横断面)とその模式図を別に示す。矢印で示す臓器はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k71pB049.2236ec4d95.jpg
第71回 午後49 の図

正答: ②肝臓

ポイント
第12胸椎の高さの上腹部横断面では、右側に大きな実質臓器である肝臓、左側に胃や脾臓、中央後方(椎体の前)に円形の大動脈がみえる。矢印は右側に広く占める肝臓を示す。●上腹部横断CTでみえる主な臓器=肝臓(右側・大きな実質)・胃(左前)・脾臓(左後)・膵臓(中央やや尾側)・大動脈と下大静脈(椎体前)・腎臓(後腹膜・より尾側)。●肝臓の区域=Couinaud分類のS1〜S8で門脈・肝静脈を指標に区分。

選択肢ごとの解説

第71回 午後50(病理組織細胞学)

創傷治癒で正しいのはどれか。

正答: ④二次的治癒では肉芽組織に依存して創傷が修復される。

ポイント
創傷治癒のうち二次治癒(第二次癒合)は、創縁が大きく離開した創や感染・汚染創でみられ、欠損を肉芽組織の増生で埋めて修復するため瘢痕が大きく治癒に時間がかかる。一次治癒は清潔で創縁が密着した創の治癒で肉芽組織は少なく瘢痕も小さい。肉芽組織は毛細血管・線維芽細胞・炎症細胞に富む。ケロイドは膠原線維が過剰に増生した硬く隆起した瘢痕である。●創傷治癒の様式=一次治癒(創縁密着・清潔創・瘢痕小)・二次治癒(離開創・感染創・肉芽で充填・瘢痕大)・三次治癒(遅延一次縫合)。●瘢痕の異常=肥厚性瘢痕(創範囲内)・ケロイド(創範囲を越えて増大)。

選択肢ごとの解説