第72回(2026) 臨床検査技師国家試験 午前1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第72回 午前1(臨床検査総論)
糖尿病の1型と2型の分類に有用な検査項目はどれか。2つ選べ。
- ①血糖
- ②HbA1c
- ③インスリン
- ④抗GAD抗体
- ⑤グリコアルブミン
正答: ③インスリン・④抗GAD抗体
ポイント
1型糖尿病は膵β細胞の破壊によりインスリン分泌が枯渇する病型で、自己免疫機序のものでは膵島自己抗体が陽性となる。2型はインスリン分泌低下とインスリン抵抗性がさまざまな割合で関与する病型である。したがって病型分類には内因性インスリン分泌能(インスリン・C-ペプチド)と膵島自己抗体の有無が有用で、血糖・HbA1c・グリコアルブミンは血糖管理の指標で両病型に共通して上昇するため鑑別には使えない。
●膵島自己抗体=抗GAD抗体・IA-2抗体・インスリン自己抗体(IAA)・抗ZnT8抗体。
●インスリン分泌能の指標=血中インスリン・C-ペプチド・尿中C-ペプチド・グルカゴン負荷試験。
●血糖管理の指標(病型分類に使えない)=血糖・HbA1c・グリコアルブミン・1,5-AG。
選択肢ごとの解説
- ① 高血糖は1型・2型のいずれでも生じ、病型の区別にはならない。
- ② 過去1〜2か月の平均血糖を反映する指標で、両病型に共通して上昇し鑑別には使えない。
- ③ 内因性インスリン分泌能を反映し、病型鑑別に有用である。1型では分泌が著しく低下・枯渇するが、2型でも分泌低下がみられるため、自己抗体や臨床経過と併せて判断する。
- ④ 膵島β細胞に対する自己抗体で、自己免疫性1型(緩徐進行1型を含む)で陽性となり病型鑑別に有用である。
- ⑤ 約2週間の平均血糖を反映する指標で、病型分類の情報は得られない。
📋 まとめの表を見る:糖尿病の病型鑑別に有用な検査 vs 血糖管理指標
第72回 午前2(臨床検査総論)
検査項目で負の相関となる組合せはどれか。
- ①AST — ALT
- ②ChE — アルブミン
- ③ナトリウム — クロール
- ④クレアチニン — 尿素窒素
- ⑤トリグリセライド — HDL-コレステロール
正答: ⑤トリグリセライド — HDL-コレステロール
ポイント
負の相関とは一方が上昇すると他方が低下する関係をいう。肝逸脱酵素(AST・ALT)、肝合成蛋白(ChE・アルブミン)、主要電解質(ナトリウム・クロール)、腎排泄性老廃物(クレアチニン・尿素窒素)はいずれも同じ病態で同方向に動く正の相関を示す。トリグリセライドが高い脂質代謝状態ではHDL-コレステロールが低下しやすく、互いに逆方向に動く負の相関の代表である。
●正の相関の組合せ=AST/ALT・ChE/アルブミン・Na/Cl・クレアチニン/尿素窒素・総コレステロール/LDL-コレステロール。
●負の相関の組合せ=トリグリセライド/HDL-コレステロール。
選択肢ごとの解説
- ① ともに肝細胞の逸脱酵素で、肝細胞傷害により同時に上昇する正の相関である。
- ② いずれも肝で合成され、合成能低下で揃って低下する正の相関である。
- ③ 細胞外液の主要陽イオンと陰イオンで、電気的中性のため並行して増減する正の相関である。
- ④ ともに腎から排泄される老廃物で、腎機能低下で両者とも上昇する正の相関である。
- ⑤ トリグリセライド高値の脂質代謝状態でHDL-コレステロールが低下しやすく、互いに逆方向に動く負の相関である。
📋 まとめの表を見る:検査項目間の相関(正の相関・負の相関)
負の相関とは一方が上昇すると他方が低下する関係。脂質代謝でトリグリセライドが高いとHDL-コレステロールは低下しやすい。第72回(2026年)の新しい設問のためComplete+ MT内に未収載、確立された臨床化学の知識に基づき作成。
第72回 午前3(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本及びSternheimer染色標本を別に示す。この構造物はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72aA003.e77a366895.jpg

- ①硝子円柱
- ②顆粒円柱
- ③上皮円柱
- ④赤血球円柱
- ⑤ろう様円柱
正答: ⑤ろう様円柱
ポイント
円柱は基質の性状で分類する。幅広く均質で辺縁が明瞭、ろう(蝋)のように見え切れ込み(ひび割れ)を伴うものがろう様円柱で、高度・慢性の腎障害や尿の長期停滞を示す。Sternheimer染色でも均質に淡く染まり、細胞や顆粒の封入を欠く点で他の円柱と区別される。
●円柱の成熟の流れ=硝子円柱→顆粒円柱→ろう様円柱(基質の変性が進む)。
●細胞封入円柱=赤血球円柱(糸球体性血尿)・白血球円柱(腎盂腎炎)・上皮円柱(尿細管壊死)。
●その他の円柱=脂肪円柱(ネフローゼ)・幅広円柱(腎不全)。
選択肢ごとの解説
- ① 無色透明で屈折が弱く健常者でも出現しうる基本的な円柱で、幅広・均質・切れ込みを伴う図とは異なる。
- ② 基質内に変性細胞由来の顆粒を含み表面が顆粒状で、ろう様の均質感・切れ込みはみられない。
- ③ 尿細管上皮細胞が基質に取り込まれた円柱で細胞封入が主体であり、形態が異なる。
- ④ 赤血球を封入し糸球体性血尿を示す円柱で、図の所見とは一致しない。
- ⑤ 幅広く均質で辺縁明瞭、ろうのように見え切れ込みを伴い、高度・慢性腎障害で出現する。図に一致する。
第72回 午前4(臨床検査総論)
原虫に用いられない染色法はどれか。
- ①アクリジンオレンジ染色
- ②抗酸染色
- ③Giemsa染色
- ④Gram染色
- ⑤Kohn染色
正答: ④Gram染色
ポイント
原虫は核や核酸、虫体構造を染める方法で観察・同定する。Gram染色は細胞壁の性状を利用して細菌をグラム陽性・陰性に分類する方法であり、原虫の観察には用いない。アクリジンオレンジ・抗酸染色・Giemsa染色・Kohn染色はいずれも原虫の検出に利用される。
●原虫に用いる染色=Giemsa染色(マラリア・トリパノソーマ等の血液原虫)・アクリジンオレンジ染色(核酸蛍光)・変法抗酸染色(クリプトスポリジウム等のオーシスト)・Kohn染色やトリクローム染色(赤痢アメーバ等の腸管原虫永久標本)。
●細菌に用いる染色=Gram染色・抗酸染色(本来は抗酸菌)。
選択肢ごとの解説
- ① 核酸を蛍光染色する方法で原虫・細菌・真菌の検出に利用でき、原虫にも用いる。
- ② クリプトスポリジウム等のオーシストは抗酸性を示し変法抗酸染色で検出でき、原虫にも用いる。
- ③ マラリア原虫やトリパノソーマなど血液・組織内原虫の観察に用いる基本染色で、原虫に用いる。
- ④ 細菌をグラム陽性・陰性に分けるための染色で、原虫の同定には用いない。
- ⑤ 赤痢アメーバなど腸管原虫の永久標本作製に用いる染色で、原虫に用いる。
📋 まとめの表を見る:病原微生物と特殊染色(病理・微生物標本)
第72回 午前5(臨床検査総論)
蟯虫で誤っているのはどれか。
- ①線虫類である。
- ②腟炎の原因となる。
- ③肛門周囲に産卵する。
- ④世界各地に分布する。
- ⑤オスはメスより大きい。
正答: ⑤オスはメスより大きい。
ポイント
蟯虫(ぎょうちゅう)はヒトに寄生する線虫で世界各地に分布し、集団生活をする小児に感染が多い。雌が夜間に肛門周囲の皮膚へ移動して産卵し、診断はセロハンテープ法による虫卵採取で行う。雌は雄より大きく、雄は小さいため、雄のほうが大きいとする記述は誤りである。
●ヒト寄生線虫=蟯虫・回虫・鉤虫・鞭虫・糞線虫・アニサキス・フィラリア。
●肛門周囲産卵で診断する寄生虫=蟯虫(セロハンテープ法)。
●糞便で虫卵を検出する寄生虫=回虫・鉤虫・鞭虫。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。蟯虫は線形動物(線虫類)に分類される。
- ② 正しい。肛門周囲に出た雌が外陰部・腟へ迷入し腟炎や外陰炎の原因となることがある。
- ③ 正しい。雌は夜間に肛門周囲の皮膚に産卵し、セロハンテープ法で虫卵を採取する。
- ④ 正しい。世界各地に広く分布し、特に集団生活をする小児で感染が多い。
- ⑤ 誤り。実際は雌のほうが大きく雄は小さいため、雌雄の大小が逆である。
第72回 午前6(臨床検査総論)
尿沈渣所見を別に示す。疑われる疾患はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72aA006.8575f1d9eb.jpg

- ①シスチン尿症
- ②ファブリー病
- ③フェニルケトン尿症
- ④α₁-アンチトリプシン欠損症
- ⑤アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ〈APRT〉欠損症
正答: ①シスチン尿症
ポイント
無色〜淡黄色で六角形・板状の結晶はシスチン結晶で、腎尿細管でのシスチンなど二塩基性アミノ酸の再吸収障害である先天性のシスチン尿症を示す。シスチンは溶解度が低く、シスチン結石の原因にもなる。酸性尿で析出しやすい。
●尿中アミノ酸代謝異常の結晶・所見=シスチン尿症(六角形シスチン結晶)・チロシン血症(チロシン結晶)。
●尿に特徴的所見を呈する先天代謝異常=ファブリー病(マルベリー小体)・アルカプトン尿症(尿の黒色化)・APRT欠損症(2,8-ジヒドロキシアデニン結晶)。
●シスチンと鑑別する結晶=尿酸(多形)・シュウ酸カルシウム(正八面体)・リン酸アンモニウムマグネシウム(棺蓋状)。
選択肢ごとの解説
- ① 尿中に特徴的な六角形板状のシスチン結晶が析出し、図の結晶に一致する。
- ② 糖脂質代謝異常症で、尿沈渣には層状・渦巻き状の内部構造をもつマルベリー小体や、それを含むマルベリー細胞がみられる。卵円形脂肪体とは区別され、図の六角形結晶とは異なる。
- ③ フェニルアラニン代謝異常症で特徴的な尿結晶は出ず、マススクリーニングや体臭で疑う。
- ④ 肺気腫や肝障害をきたす疾患で、尿中の特異的結晶とは関係しない。
- ⑤ 尿中に褐色・円形の2,8-ジヒドロキシアデニン結晶が出るもので、六角形のシスチン結晶とは異なる。
第72回 午前7(臨床検査総論)
生化学検査にEDTA-2K採血管を使用した。異常低値を示すのはどれか。
正答: ①鉄
ポイント
EDTAは金属イオンをキレート(結合)して凝固を阻止する抗凝固剤である。生化学検査にEDTA-2K採血管を誤用すると、鉄イオンもキレートされて測定反応に使えず、血清鉄が異常低値となる。さらにK2-EDTAではカリウムが偽高値となり、カルシウム・マグネシウムも低下する。
●EDTAキレートで偽低値となる項目=鉄・カルシウム・マグネシウム・亜鉛・ALP(マグネシウム要求酵素)。
●EDTA塩に由来して偽高値となる項目=カリウム(K-EDTA)・ナトリウム(Na-EDTA)。
●採血管選択の原則=生化学は血清(プレーン)または分離剤入り、抗凝固剤は項目に応じて選択する。
選択肢ごとの解説
- ① EDTAが鉄イオンをキレートして反応に使えなくし、測定値が著しく低下する偽低値となる。
- ② EDTAによる直接の低下は乏しく、溶血があれば赤血球内リンの漏出でむしろ上昇しうる。異常低値にはならない。
- ③ EDTA塩による測定への影響は小さく、異常低値は示さない。
- ④ EDTAはグルコースをキレートせず解糖阻止剤とも別物で、異常低値の原因にならない。
- ⑤ K2-EDTAではカリウムが上昇するが、ナトリウムは大きく変化せず異常低値にはならない。
第72回 午前8(臨床検査総論)
医療安全で正しいのはどれか。
- ①コミュニケーションは医療事故防止対策となる。
- ②インシデントレポートは原因となった個人を同定することが目的である。
- ③臨床検査関連の業務では、検査後プロセスでのインシデントが一番多い。
- ④ハインリッヒの法則によれば1件の重大事故の裏には約10件のヒヤリ・ハット事例がある。
- ⑤医療現場の事故の大部分はノンテクニカルスキルよりテクニカルスキルの不足が原因で発生する。
正答: ①コミュニケーションは医療事故防止対策となる。
ポイント
医療安全は個人の責任追及ではなく、仕組みとチーム連携で事故を防ぐ考え方である。声出し確認や情報共有などのコミュニケーションはエラーの連鎖を断ち事故防止に直結する。ハインリッヒの法則は1件の重大事故の背後に29件の軽傷事故と300件のヒヤリ・ハットがある(1:29:300)とするもので、臨床検査では検体取り違えなど検査前(前分析)プロセスのインシデントが最も多い。
●インシデント発生の分布(臨床検査)=検査前プロセス(採血・受付・検体取り違え)が最多→検査中→検査後。
●安全に関わる概念=ハインリッヒの法則(1:29:300)・スイスチーズモデル・フェイルセーフ・ノンテクニカルスキル(状況認識・意思決定・チームワーク)。
●インシデントレポートの目的=原因分析と再発防止(個人の処罰ではない)。
選択肢ごとの解説
- ① 声出し確認や情報共有などのチーム内コミュニケーションはエラーの連鎖を断ち事故防止に直結する。正しい。
- ② 目的は原因分析と再発防止であり、個人の責任追及ではない。
- ③ 採血・受付・検体取り違えなど検査前(前分析)プロセスのインシデントが最も多い。
- ④ 実際は1件の重大事故の背後に29件の軽傷事故と300件のヒヤリ・ハット(1:29:300)で、約300件である。
- ⑤ 多くは確認・判断・連携といったノンテクニカルスキルの問題に起因し、テクニカルスキル不足が大部分ではない。
第72回 午前9(臨床検査総論)
プリン塩基はどれか。2つ選べ。
正答: ②アデニン・④グアニン
ポイント
核酸塩基はプリン塩基(2環構造)とピリミジン塩基(1環構造)に大別される。プリン塩基はアデニンとグアニンの2つで、ピリミジン塩基はチミン・ウラシル・シトシンである。アデニンはチミン(RNAではウラシル)と、グアニンはシトシンと水素結合で対合する。
●プリン塩基=アデニン・グアニン(代謝でヒポキサンチン・キサンチン・尿酸へ)。
●ピリミジン塩基=シトシン・チミン(DNA)・ウラシル(RNA)。
●塩基対合=A-T(DNA)/A-U(RNA)は水素結合2本、G-Cは3本。
選択肢ごとの解説
- ① ピリミジン塩基でDNA中でアデニンと対合し、プリンではない。
- ② プリン塩基でDNA・RNAに含まれ、ATPの構成成分でもある。
- ③ ピリミジン塩基でRNAでアデニンと対合し、プリンではない。
- ④ プリン塩基でシトシンと3本の水素結合で対合する。
- ⑤ ピリミジン塩基でグアニンと対合し、プリンではない。
第72回 午前10(臨床検査総論)
関節液中にピロリン酸カルシウム結晶が認められるのはどれか。
- ①痛風
- ②偽痛風
- ③化膿性関節炎
- ④変形性関節症
- ⑤関節リウマチ〈RA〉
正答: ②偽痛風
ポイント
関節液中の結晶は結晶誘発性関節炎の鑑別の鍵となる。偽痛風ではピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶が認められ、短冊〜菱形で弱い正の複屈折を示す。一方、痛風では針状で強い負の複屈折を示す尿酸ナトリウム結晶がみられ、両者は偏光顕微鏡で区別される。
●結晶誘発性関節炎=痛風(尿酸ナトリウム結晶・針状・負の複屈折)・偽痛風(ピロリン酸カルシウム結晶・短冊状・正の複屈折)。
●結晶以外の関節液所見=化膿性関節炎(多数の好中球・細菌)・関節リウマチ(炎症細胞・リウマトイド因子)・変形性関節症(非炎症性)。
●関節液の分類=非炎症性・炎症性・化膿性・血性。
選択肢ごとの解説
- ① 針状で強い負の複屈折を示す尿酸ナトリウム結晶がみられ、ピロリン酸カルシウム結晶ではない。
- ② 短冊〜菱形で弱い正の複屈折を示すピロリン酸カルシウム結晶が認められ、高齢者の膝関節などに多い。
- ③ 細菌感染による関節炎で関節液は多数の好中球と菌を認め、結晶が主体ではない。
- ④ 軟骨の摩耗による非炎症性疾患で、結晶の析出が本態ではない。
- ⑤ 自己免疫性の滑膜炎で結晶ではなくリウマトイド因子や炎症細胞が主体である。
第72回 午前11(臨床検査医学総論)
肝硬変で低値を示すのはどれか。
- ①アンモニア
- ②総ビリルビン
- ③ChE
- ④γ-グロブリン
- ⑤γ-GT
正答: ③ChE
ポイント
肝硬変では肝細胞の合成能と解毒能が低下する。肝で合成されるコリンエステラーゼ(ChE)は合成能低下を反映して低値となり、肝予備能の指標となる。一方、解毒されず蓄積するアンモニア、排泄障害で上昇する総ビリルビン、慢性炎症で増加するγ-グロブリン、胆道系酵素であるγ-GTはいずれも上昇する。
●肝硬変で低下する項目(肝合成能低下)=ChE・アルブミン・コレステロール・凝固因子(プロトロンビン時間延長)。
●肝硬変で上昇する項目=アンモニア・総ビリルビン・γ-グロブリン(ポリクローナル)・γ-GT・ヒアルロン酸・線維化マーカー。
●肝合成能の指標=アルブミン・ChE・プロトロンビン時間。
選択肢ごとの解説
- ① 肝での尿素回路による解毒が低下し血中に蓄積して上昇する。低値ではない。
- ② 抱合・排泄能の低下や肝細胞障害で上昇する。低値ではない。
- ③ 肝で合成される酵素で、合成能の低下を反映して低下する。肝予備能の指標である。
- ④ 慢性肝障害では免疫グロブリンが増加するためむしろ高値となる。
- ⑤ 胆道系酵素で肝障害・胆汁うっ滞・アルコールで上昇する。低値ではない。
第72回 午前12(臨床検査医学総論)
自己免疫疾患でないのはどれか。
- ①関節リウマチ〈RA〉
- ②原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉
- ③Basedow病
- ④Duchenne型筋ジストロフィ
- ⑤1型糖尿病
正答: ④Duchenne型筋ジストロフィ
ポイント
自己免疫疾患は自己の成分に対する免疫反応によって生じる。Duchenne型筋ジストロフィはジストロフィン遺伝子の異常によるX連鎖性の遺伝性筋疾患で、免疫機序ではないため自己免疫疾患ではない。他の選択肢はいずれも自己抗体や自己反応性免疫が関与する自己免疫疾患である。
●臓器特異的自己免疫疾患=Basedow病(抗TSH受容体抗体)・橋本病・1型糖尿病(抗GAD抗体)・原発性胆汁性胆管炎(抗ミトコンドリア抗体)・重症筋無力症。
●全身性自己免疫疾患=関節リウマチ(抗CCP抗体)・全身性エリテマトーデス(抗ds-DNA抗体)・シェーグレン症候群。
●遺伝性筋疾患(自己免疫ではない)=Duchenne型/Becker型筋ジストロフィ・筋強直性ジストロフィ。
選択肢ごとの解説
- ① 関節滑膜を標的とする自己免疫疾患で、リウマトイド因子・抗CCP抗体が関与する。
- ② 肝内胆管を標的とする自己免疫疾患で、抗ミトコンドリア抗体が特徴である。
- ③ 抗TSH受容体抗体が甲状腺を刺激する自己免疫疾患である。
- ④ 誤り。ジストロフィン遺伝子の異常によるX連鎖性の遺伝性筋疾患で、自己免疫ではない。
- ⑤ 膵β細胞が自己免疫的に破壊される自己免疫疾患である。
📋 まとめの表を見る:自己免疫疾患と紛らわしい非自己免疫疾患の鑑別
自己免疫疾患は自己の正常な細胞・組織に対する免疫反応で障害が生じる疾患群。慢性肉芽腫症やDuchenne型筋ジストロフィーのように『免疫が関与するようにみえて実は遺伝子異常・酵素欠損が原因』の疾患や、Alzheimer病・Creutzfeldt-Jakob病・進行性多巣性白質脳症・ALSのように『別の神経疾患』が、自己免疫疾患を選ばせる設問の紛らわしい選択肢として繰り返し出題されている。
第72回 午前13(臨床検査医学総論)
対象集団の有病率の影響を受けるのはどれか。
正答: ⑤陽性的中率
ポイント
感度・特異度・尤度比は検査そのものの性能を表す指標で、対象集団の有病率には依存しない。これに対し陽性適中率(的中率)は陽性者のうち真に疾患ありの割合で、有病率が高い集団ほど上昇し、有病率の影響を受ける。陰性適中率も同様に有病率に依存する。
●有病率に依存しない指標(検査固有)=感度・特異度・偽陽性率(1−特異度)・偽陰性率・陽性尤度比・陰性尤度比。
●有病率に依存する指標=陽性適中率・陰性適中率。
●有病率と適中率の関係=有病率が高いほど陽性適中率は上昇、陰性適中率は低下する。
選択肢ごとの解説
- ① 疾患ありの中で陽性となる割合で、検査固有の指標であり有病率に依存しない。
- ② 疾患なしの中で陰性となる割合で、有病率に依存しない。
- ③ 1−特異度に相当し、有病率に依存しない。
- ④ 感度と特異度から計算され、有病率に依存しない。
- ⑤ 陽性者のうち真に疾患ありの割合で、有病率が高いほど上昇し有病率に依存する。
📋 まとめの表を見る:検査指標のまとめ:確定診断(rule in)・除外診断(rule out)適性と有病率依存性
第72回 午前14(臨床検査医学総論)
徐脈性不整脈に分類されるのはどれか。
- ①心室細動
- ②心房粗動
- ③心室期外収縮
- ④洞不全症候群
- ⑤発作性上室頻拍
正答: ④洞不全症候群
ポイント
徐脈性不整脈は脈拍が遅くなる不整脈で、洞結節の機能低下による洞不全症候群や房室ブロックが代表である。洞不全症候群は著明な徐脈や洞停止をきたす。他の選択肢は心室細動・心房粗動・心室期外収縮・発作性上室頻拍でいずれも頻脈性側に分類される。
●徐脈性不整脈=洞不全症候群・房室ブロック(第2度・第3度)・徐脈性心房細動。
●頻脈性(上室性)不整脈=心房細動・心房粗動・発作性上室頻拍・心房期外収縮。
●頻脈性(心室性)不整脈=心室期外収縮・心室頻拍・心室細動。
選択肢ごとの解説
- ① 心室が無秩序に興奮する致死的な頻脈性不整脈である。
- ② 心房が規則的に高頻度で興奮する頻脈性不整脈である。
- ③ 予定より早く出る心室興奮で、頻脈性側に分類される。
- ④ 洞結節の機能低下で著明な徐脈や洞停止をきたす徐脈性不整脈の代表である。
- ⑤ 突然始まる規則的な頻脈で頻脈性不整脈である。
第72回 午前15(臨床検査医学総論)
副甲状腺機能低下症で認められるのはどれか。
正答: ③テタニー
ポイント
副甲状腺ホルモン(PTH)の低下により血中カルシウムが低下し、神経筋の興奮性が高まってテタニー(手足や口周囲のしびれ・筋けいれん)を生じる。多尿・尿路結石・病的骨折・抑うつなどはむしろ高カルシウム血症をきたす副甲状腺機能亢進症でみられる症状である。
●低カルシウム血症の症状(機能低下症)=テタニー・Trousseau徴候・Chvostek徴候・しびれ・けいれん。
●高カルシウム血症の症状(機能亢進症)=多尿・口渇・尿路結石・病的骨折(線維性骨炎)・抑うつ・食欲不振。
●PTHの作用=骨吸収促進・腎でのカルシウム再吸収とビタミンD活性化促進・血中カルシウム上昇。
選択肢ごとの解説
- ① 高カルシウム血症(機能亢進症)でみられ、低下症ではない。
- ② 高カルシウム血症で目立つ症状で、低下症の典型ではない。
- ③ 低カルシウム血症による手足や口周囲のしびれ・筋けいれんで、機能低下症の特徴である。
- ④ 高カルシウム血症・高カルシウム尿(機能亢進症)でみられる。
- ⑤ 骨吸収が亢進する機能亢進症でみられる。
第72回 午前16(臨床生理学)
僧帽弁輪運動速度のe'波で正しいのはどれか。
- ①左室拡張末期にみられる。
- ②心尖部四腔像で計測する。
- ③連続波ドプラ法を使用する。
- ④基線より上向きの波形である。
- ⑤僧帽弁輪部の心尖部方向への運動を表す。
正答: ②心尖部四腔像で計測する。
ポイント
e'波は組織ドプラ法で僧帽弁輪の拡張早期の動きをとらえる指標で、左室拡張能の評価(E/e')に用いる。心尖部四腔断面で僧帽弁輪の中隔側・側壁側に組織ドプラ(パルス)を置いて計測する。拡張早期に弁輪はプローブ(心尖)から遠ざかるため、基線より下向きの波形となる。
●左室拡張能の評価指標=経僧帽弁血流(E波・A波・E/A)・組織ドプラe'・E/e'・左房容積・三尖弁逆流速度。
●僧帽弁輪運動速度の成分=s'(収縮期)・e'(拡張早期)・a'(心房収縮期)。
●計測法=心尖部四腔像で組織ドプラ(パルスドプラ)を使用する。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。e'は拡張早期の弁輪運動で、拡張末期ではない。
- ② 正しい。心尖部四腔断面で僧帽弁輪(中隔側・側壁側)に組織ドプラを置いて計測する。
- ③ 誤り。低速の組織運動なので組織ドプラ(パルス)を用い、連続波ではない。
- ④ 誤り。拡張早期に弁輪は心尖から遠ざかるため、基線より下向きの波形となる。
- ⑤ 誤り。e'は心尖から遠ざかる方向の運動を表し、心尖部方向ではない。
第72回 午前17(臨床生理学)
右肋骨弓下走査の超音波像を別に示す。適正な画像調整で正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72aA017.db74e61f13.jpg

- ①ゲインを高くする。
- ②ゼロシフトを行う。
- ③スラント走査を行う。
- ④ダイナミックレンジを広くする。
- ⑤STC〈sensitivity time control〉を調整する。
正答: ⑤STC〈sensitivity time control〉を調整する。
ポイント
超音波は深部ほど減衰して暗くなる。STC(sensitivity time control。TGCとも呼ぶ)は深さ(受信までの時間)に応じて受信感度を補正し、浅部から深部までの輝度を均一化する調整である。右肋骨弓下走査で深部が暗いときの適正な調整となる。ゲインは全体の明るさを変えるだけで深さ方向の不均一は補正できない。
●Bモードの輝度・画質調整=ゲイン(全体の明るさ)・STC/TGC(深さ方向の感度補正)・ダイナミックレンジ(階調幅・コントラスト)・フォーカス。
●ドプラの設定=ゼロシフト(基線移動)・速度レンジ・壁フィルタ。
●走査の工夫=スラント走査(ビーム傾斜)・体位変換・呼吸調整。
選択肢ごとの解説
- ① 画像全体が明るくなりノイズも増え、深さごとの輝度の不均一は補正できない。
- ② ドプラの基線を移動する操作で、Bモードの明るさ調整とは無関係である。
- ③ ビーム方向を傾ける走査法で、輝度の深さ補正ではない。
- ④ 表示する信号の階調幅を変える設定でコントラストに影響するが、深さ方向の輝度補正ではない。
- ⑤ 深さ(時間)に応じて受信感度を補正し浅部〜深部の輝度を均一化する。適正な画像調整である。
第72回 午前18(臨床生理学)
超音波検査でカメレオンサインがみられるのはどれか。
- ①肝囊胞
- ②肝膿瘍
- ③肝血管腫
- ④肝細胞がん
- ⑤転移性肝がん
正答: ③肝血管腫
ポイント
カメレオンサインは体位変換や時間経過で腫瘤内部のエコー輝度が変化する所見で、肝血管腫に特徴的である。海綿状の血管腔への血流のうっ滞や移動を反映する。肝囊胞・肝膿瘍・肝細胞がん・転移性肝がんではこの所見はみられない。
●肝血管腫の超音波所見=高エコー腫瘤・カメレオンサイン・ワックスアンドウェインサイン・marginal strong echo。
●肝細胞がんの所見=モザイクパターン・ハロー(辺縁低エコー帯)・nodule in nodule。
●転移性肝がんの所見=ブルズアイ(標的)像・クラスターサイン。
●肝囊胞=内部無エコー・後方エコー増強。
選択肢ごとの解説
- ① 内部無エコー・後方エコー増強の単純な囊胞で、エコーが変化するサインはない。
- ② 内部不均一やdebris貯留などを示すが、カメレオンサインの典型ではない。
- ③ 体位変換などで内部エコーが変化するカメレオンサインがみられる。
- ④ モザイクパターンやハローなどを示すが、カメレオンサインは特徴ではない。
- ⑤ ブルズアイ(標的)像などを示し、カメレオンサインの所見ではない。
第72回 午前19(臨床生理学)
循環生理で正しいのはどれか。
- ①肺動脈圧と大動脈圧は等しい。
- ②三尖弁は左房と左室の間にある。
- ③肺静脈から右房に血液が流入する。
- ④心拍出量は左室1回拍出量と心拍数の積で決まる。
- ⑤肺動脈には酸素飽和度の高い動脈血が流れている。
正答: ④心拍出量は左室1回拍出量と心拍数の積で決まる。
ポイント
心拍出量は左室の1回拍出量と心拍数の積で決まる(CO=SV×HR)。肺循環は低圧系で肺動脈圧は大動脈圧よりはるかに低く、肺動脈には全身から戻った酸素飽和度の低い静脈血が流れる。三尖弁は右房と右室の間にあり、肺静脈は左房に流入する。
●体循環(高圧系)=左室→大動脈→全身→大静脈→右房、動脈血を送る。
●肺循環(低圧系)=右室→肺動脈(静脈血)→肺→肺静脈(動脈血)→左房。
●心臓の弁=三尖弁(右房右室間)・肺動脈弁・僧帽弁(左房左室間)・大動脈弁。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。肺循環は低圧系で、肺動脈圧は大動脈圧よりはるかに低い。
- ② 誤り。三尖弁は右房と右室の間にあり、左房左室間は僧帽弁である。
- ③ 誤り。肺静脈は左房に流入し、右房には大静脈・冠静脈洞が入る。
- ④ 正しい。心拍出量は1回拍出量と心拍数の積(CO=SV×HR)で決まる。
- ⑤ 誤り。肺動脈には酸素飽和度の低い静脈血が流れ、動脈血ではない。
第72回 午前20(臨床生理学)
針筋電図検査で随意収縮により記録されるのはどれか。
- ①陽性鋭波
- ②運動単位電位
- ③線維自発電位
- ④線維束自発電位
- ⑤ミオトニー放電
正答: ②運動単位電位
ポイント
随意収縮では運動単位(1つの運動ニューロンとそれが支配する筋線維群)が活動し、運動単位電位(MUP)が記録される。陽性鋭波・線維自発電位・線維束自発電位・ミオトニー放電はいずれも安静時にみられる異常電位で、随意収縮による波形ではない。
●随意収縮で記録される波形=運動単位電位(MUP)・干渉波形。
●安静時の異常自発電位(脱神経・刺激性病変)=線維自発電位・陽性鋭波・線維束自発電位・ミオトニー放電・複合反復放電。
●MUPの異常=神経原性(高振幅・長持続・多相性)・筋原性(低振幅・短持続)。
選択肢ごとの解説
- ① 安静時にみられる脱神経の異常自発電位で、随意収縮で出るものではない。
- ② 随意収縮で運動単位が発火して記録される基本波形である。
- ③ 安静時の脱神経筋でみられる単一筋線維の自発放電である。
- ④ 安静時に運動単位が自発的に発火する異常電位(線維束攣縮)である。
- ⑤ 筋強直性疾患でみられる漸増漸減する自発放電で、随意収縮の所見ではない。
第72回 午前21(臨床生理学)
反復神経刺激検査の小指外転筋における記録波形を別に示す。この現象に関わるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72aA021.5d19bc2485.jpg

正答: ①Ca²⁺
ポイント
神経筋接合部では、活動電位が神経終末に達すると電位依存性カルシウムチャネルが開きCa²⁺が流入し、これがトリガーとなってアセチルコリンが放出される。反復神経刺激検査での振幅の漸減(waning)や漸増(waxing)はこの伝達効率を反映し、Ca²⁺の動態が中心的に関わる。
●神経筋接合部の伝達=神経終末へのCa²⁺流入→アセチルコリン放出→終板電位→筋活動電位。
●反復刺激での異常=重症筋無力症(漸減反応)・Lambert-Eaton症候群(高頻度刺激で漸増反応)。
●関与イオン=Na⁺(活動電位)・Ca²⁺(伝達物質放出)・K⁺(再分極)。
選択肢ごとの解説
- ① 神経終末に流入したCa²⁺がアセチルコリン放出を引き起こし、反復刺激での振幅変化に直接関わる。
- ② 主に抑制性シナプスや静止電位に関与し、この放出機構の主役ではない。
- ③ 再分極に関わるが、伝達物質放出のトリガーではない。
- ④ むしろCa²⁺流入を競合的に抑える向きに働き、放出を促進する主因ではない。
- ⑤ 活動電位の立ち上がりに関与するが、終末での放出の直接トリガーはCa²⁺である。
第72回 午前22(臨床生理学)
心電図所見で基準範囲内であるのはどれか。
- ①P波幅 0.20秒
- ②PR時間 0.26秒
- ③QRS時間 0.16秒
- ④補正QT時間〈QTc〉 0.42秒
- ⑤R-R間隔 0.40秒
正答: ④補正QT時間〈QTc〉 0.42秒
ポイント
心電図各波形の正常の目安は、P波幅が約0.11秒未満、PR時間が0.12〜0.20秒、QRS時間が約0.10秒まで、補正QT時間(QTc)が約0.44秒未満、R-R間隔が約0.6〜1.0秒である。QTc 0.42秒は基準範囲内にあたる。他は延長または頻脈で基準範囲外である。
●基準値の目安=P幅<0.11秒・PR 0.12〜0.20秒・QRS<0.10秒・QTc<0.44秒・RR約0.6〜1.0秒。
●延長を示す病態=P幅延長(左房負荷)・PR延長(第1度房室ブロック)・QRS延長(脚ブロック)・QT延長(QT延長症候群)。
●RR短縮=頻脈、RR延長=徐脈。
選択肢ごとの解説
- ① P波幅の正常は約0.11秒未満で、0.20秒は延長で異常(左房負荷など)である。
- ② 正常上限0.20秒を超えており、第1度房室ブロック相当で異常である。
- ③ QRS時間の正常は約0.10秒までで、0.16秒は幅広く脚ブロックなどで異常である。
- ④ QTcはおおむね0.44秒未満が正常で、0.42秒は基準範囲内である。
- ⑤ 心拍数150/分相当の頻脈で、基準範囲とはいえない。
📋 まとめの表を見る:心電図の各波形・時間と成因
心房の再分極(Ta波)は振幅が小さくQRS波に重なるため、通常の心電図には明瞭に現れない。
第72回 午前23(臨床生理学)
換気で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①換気は内呼吸である。
- ②肺胞換気量とPaCO₂は反比例する。
- ③無意識下の換気は小脳で調節される。
- ④末梢化学受容器は酸素の低下を検出する。
- ⑤一回換気量と呼吸数の積で肺胞換気量になる。
正答: ②肺胞換気量とPaCO₂は反比例する。・④末梢化学受容器は酸素の低下を検出する。
ポイント
肺胞換気量が増えると二酸化炭素が洗い出されPaCO₂が低下するため両者は反比例する。末梢化学受容器(頸動脈小体・大動脈小体)はPaO₂の低下を感知し、中枢化学受容器はCO₂/pHを感知する。肺でのガス交換は外呼吸であり、呼吸中枢は延髄・橋にある。肺胞換気量は(一回換気量−死腔量)×呼吸数である。
●呼吸の調節=中枢化学受容器(延髄・CO₂/pH)・末梢化学受容器(頸動脈小体/大動脈小体・低酸素)・呼吸中枢(延髄・橋)。
●換気量の用語=一回換気量・分時換気量(一回換気量×呼吸数)・肺胞換気量((一回換気量−死腔量)×呼吸数)。
●呼吸の種類=外呼吸(肺胞でのガス交換)・内呼吸(組織でのガス交換)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。肺でのガス交換は外呼吸で、内呼吸は組織レベルのガス交換である。
- ② 正しい。換気が増えるほどCO₂が排出されPaCO₂は低下する反比例の関係である。
- ③ 誤り。呼吸中枢は延髄・橋にあり、小脳ではない。
- ④ 正しい。頸動脈小体・大動脈小体がPaO₂低下を感知する。
- ⑤ 誤り。それは分時換気量で、肺胞換気量は(一回換気量−死腔量)×呼吸数である。
第72回 午前24(臨床生理学)
ノーズクリップが必要な検査はどれか。2つ選べ。
- ①パルスオキシメータ
- ②ピークフローメータ
- ③一回呼吸法によるDLco測定
- ④呼気一酸化窒素濃度〈FeNO〉測定
- ⑤オシロメトリー〈強制オシレーション法〉による呼吸抵抗測定
正答: ③一回呼吸法によるDLco測定・⑤オシロメトリー〈強制オシレーション法〉による呼吸抵抗測定
ポイント
口から正確に呼吸量やガスをやり取りする検査では、鼻からの漏れを防ぐためノーズクリップが必要となる。一回呼吸法によるDLco(肺拡散能)測定は規定ガスを吸って息止めし呼出する精密測定であり、オシロメトリーは安静換気に振動を加えて気道抵抗を測るため、いずれも鼻漏れがあると不正確になる。
●ノーズクリップが必要な検査=スパイロメトリ・肺拡散能(DLco)・機能的残気量測定・オシロメトリー(呼吸抵抗)。
●ノーズクリップが不要な検査=パルスオキシメータ(経皮的SpO₂)・ピークフローメータ・呼気NO(FeNO)測定。
●肺機能検査の区分=換気機能(スパイロメトリ)・肺気量分画・拡散能・気道抵抗・気道過敏性。
選択肢ごとの解説
- ① 指などで経皮的にSpO₂を測る検査で、呼吸路を口に限定する必要がなく不要である。
- ② 最大呼気流量を測るが単回の強い呼出で鼻漏れの影響は小さく、通常は必須でない。
- ③ 規定ガスを吸って止めて吐く精密測定で、鼻漏れがあると不正確になるためノーズクリップが必要である。
- ④ 一定流量で口から呼出する検査で装置側が流量管理し、通常ノーズクリップは用いない。
- ⑤ 安静換気に振動を加えて気道抵抗を測るため、鼻漏れを防ぐノーズクリップが必要である。
第72回 午前25(臨床生理学)
脳波を別に示す。認められるのはどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72aA025.e7f2a2d775.jpg

正答: ①α波・②瞬目
ポイント
安静閉眼覚醒時の脳波では、後頭部優位に8〜13Hzのα波(基礎律動)がみられる。同時にまばたきによる眼球運動が前頭部にアーチファクト(瞬目)として混入する。紡錘波は睡眠第2段階、徐波群発は異常、高振幅速波は薬剤性などの所見で、いずれも安静閉眼覚醒時の正常所見ではない。
●覚醒時の脳波=α波(後頭部・8〜13Hz)・β波(前頭部・速波)。
●睡眠脳波=瘤波・紡錘波(睡眠第2段階)・K複合・徐波(深睡眠)。
●アーチファクト=瞬目(眼球運動)・筋電図・心電図・発汗・体動。
選択肢ごとの解説
- ① 安静閉眼覚醒時に後頭部優位に出現する8〜13Hzの基礎律動で、図に認められる。
- ② まばたきによる眼球(角膜陽性)電位が前頭部に混入するアーチファクトで、図に認められる。
- ③ 睡眠第2段階で出現する律動で、覚醒時の所見ではない。
- ④ てんかんや脳症などでみられる異常な徐波の群発で、ここでの正常所見にはあたらない。
- ⑤ 薬剤性などでみられる速波で、ここでの所見ではない。
第72回 午前26(臨床生理学)
健常者の正中神経を手関節部で電気刺激したときに大脳皮質で最初に生じる反応はどれか。
正答: ③N20
ポイント
正中神経を手関節で刺激した体性感覚誘発電位(SEP)は、末梢から中枢へ順に出現する。N9(Erb点・腕神経叢)→N13(頸髄後角・後索)→N20(対側一次体性感覚野)の順で、大脳皮質で最初に生じる成分はN20である。陰性(N)・陽性(P)と潜時(ms)を組み合わせた名称で、刺激部位ごとに皮質成分の名前が異なる。
●上肢(正中神経)SEPの主成分=N9(腕神経叢)・N13(頸髄)・N20(一次体性感覚野・最初の皮質成分)・P25。
●下肢(後脛骨神経)SEPの主成分=N22(腰髄)・P37(一次体性感覚野・最初の皮質成分)・N45。
選択肢ごとの解説
- ① N9はErb点(腕神経叢)由来の末梢神経電位で、皮質反応ではない。
- ② N13は頸髄(後角〜後索)由来の脊髄電位で、皮質反応ではない。
- ③ N20は対側一次体性感覚野で生じ、正中神経刺激で大脳皮質に最初に現れる成分である。
- ④ P31は下肢(後脛骨神経)刺激SEPでみられる皮質下由来の遠隔電場電位で、正中神経刺激で最初に生じる皮質成分はN20である。
- ⑤ P37は下肢(後脛骨神経)刺激での最初の皮質成分で、正中神経刺激の皮質反応ではない。
📋 まとめの表を見る:体性感覚誘発電位〈SEP〉の主な成分(上肢・下肢)
SEPは末梢神経を電気刺激して体性感覚路に誘発される電位。短潜時成分は感覚神経-脊髄-皮質感覚野の経路を反映する。
第72回 午前27(臨床生理学)
心筋梗塞の心電図を別に示す。推定される梗塞領域はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72aA027.9ba5ebceb2.jpg

- ①下壁と後壁
- ②下壁と側壁
- ③後壁と側壁
- ④前壁中隔と下壁
- ⑤前壁中隔と側壁
正答: ④前壁中隔と下壁
ポイント
心筋梗塞の梗塞部位は、ST上昇だけでなく異常Q波・R波の減高・ST-T変化を示す誘導の組合せから推定する。V1〜V4が前壁中隔、II・III・aVFが下壁、I・aVL・V5〜V6が側壁に対応し、後壁梗塞はV1〜V2のR波増高とST低下という鏡像変化で間接的にとらえる。本図ではV1〜V4がQS型(異常Q波)を示してST-T変化を伴い、II・III・aVFにも異常Q波を認めるため、前壁中隔と下壁の組合せと推定される。
●梗塞部位と誘導=V1〜V4=前壁中隔・I/aVL/V5〜V6=側壁・II/III/aVF=下壁・V1〜V2の鏡像(R増高・ST低下)=後壁。
●冠動脈との対応=前壁中隔・前壁=左前下行枝(LAD)・側壁=回旋枝(LCX)・下壁=右冠動脈(RCA)。
選択肢ごとの解説
- ① 下壁(II・III・aVF)と後壁(V1〜V2鏡像)の組合せで、前壁中隔のST上昇を説明できない。
- ② 下壁と側壁(I・aVL・V5〜V6)の組合せで、V1〜V4のST上昇と一致しない。
- ③ 後壁と側壁の組合せでは、V1〜V4のQS型・異常Q波とII・III・aVFの異常Q波を説明できない。
- ④ 正しい。V1〜V4のQS型・異常Q波から前壁中隔を、II・III・aVFの異常Q波から下壁を推定する。
- ⑤ 前壁中隔の所見は説明できるが、II・III・aVFの異常Q波は側壁ではなく下壁の梗塞を示唆する。
📋 まとめの表を見る:不整脈・心筋梗塞の心電図所見
第72回 午前28(臨床生理学)
心電図を別に示す。心電図所見はどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72aA028.075c211f93.jpg

- ①洞停止
- ②心室頻拍
- ③心房細動
- ④洞不整脈
- ⑤完全右脚ブロック
正答: ③心房細動・⑤完全右脚ブロック
ポイント
P波が消失して基線が細かく不規則に揺れ(f波)、RR間隔が絶対不整となる所見は心房細動である。あわせてV1でrsR'型を呈しQRS幅が0.12秒以上に延長していれば完全右脚ブロックを合併する。心房細動と完全右脚ブロックの2所見が読み取れる。
●上室性不整脈=心房細動・心房粗動・発作性上室頻拍・心房期外収縮。
●脚ブロックの所見=完全右脚ブロック(V1のrsR'・QRS≥0.12秒)・完全左脚ブロック(V5〜V6の幅広R・QRS≥0.12秒)。
●洞機能の異常=洞性不整脈・洞停止・洞房ブロック・洞不全症候群。
選択肢ごとの解説
- ① 洞停止は一過性に洞活動が止まりP-QRSが脱落するもので、持続性に不整な本図とは異なる。
- ② 心室頻拍は幅広QRSが規則的に連続する頻脈で、基線の細動波を伴う本図の基本所見とは異なる。
- ③ P波消失・f波(細動波)・RR絶対不整を認め、心房細動である。
- ④ 洞不整脈は洞調律でP波が保たれ呼吸性にRRが変動するもので、P波消失の本図とは異なる。
- ⑤ V1のrsR'型と幅広QRS(≥0.12秒)を認め、完全右脚ブロックである。
第72回 午前29(臨床化学)
2ポイント法で第1試薬反応後の吸光度は0.005、第2試薬反応後の吸光度は0.200であった。検体盲検補正後の吸光度はどれか。ただし、検体量は10μL、第1試薬量は230μL、第2試薬量は60μLとする。
- ①0.192
- ②0.196
- ③0.200
- ④0.204
- ⑤0.208
正答: ②0.196
ポイント
2ポイント法の検体盲検補正では、第2試薬を加える前(第1試薬反応後)の吸光度を、第2試薬添加による希釈を考慮して第2試薬反応後の吸光度から差し引く。希釈率は(検体量+第1試薬量)/(検体量+第1試薬量+第2試薬量)で求める。本問では0.200−0.005×{(10+230)/(10+230+60)}=0.200−0.005×(240/300)=0.200−0.004=0.196となる。
●吸光光度測定の用語=Lambert-Beerの法則・検体盲検・試薬盲検・モル吸光係数。
●反応方式=エンドポイント法・レート法(初速度法)・2ポイント法。
選択肢ごとの解説
- ① 0.192は補正式に一致しない値である。希釈補正を行わず単純に差し引いた場合でも0.200−0.005=0.195であり、0.192にはならない。
- ② 0.200−0.005×(240/300)=0.200−0.004=0.196で、希釈補正を正しく行った結果である。
- ③ 0.200は検体盲検補正を全く行わない値で、第1試薬後吸光度を差し引いていない。
- ④ 0.204は差し引くべき補正を加算してしまった誤った値である。
- ⑤ 0.208は補正を過大に加算した誤った値である。
第72回 午前30(臨床化学)
ビリルビンで誤っているのはどれか。
- ①遊離型ビリルビンは水に不溶性である。
- ②非抱合型ビリルビンは細胞毒性を有する。
- ③ビリルビンは抗酸化物質として機能する。
- ④間接ビリルビンはジアゾ反応に反応促進剤を必要とする。
- ⑤抱合型ビリルビンはアルブミンと結合してシャントビリルビンとなる。
正答: ⑤抱合型ビリルビンはアルブミンと結合してシャントビリルビンとなる。
ポイント
抱合型(直接型)ビリルビンがアルブミンと共有結合して血中に長く停滞したものはδ(デルタ)ビリルビンであり、シャントビリルビンとは別概念である。シャントビリルビンは成熟赤血球の崩壊以外(骨髄での無効造血やヘム蛋白)に由来し、標識後早期に現れる少量のビリルビンを指す。設問の「抱合型がアルブミンと結合してシャントビリルビンとなる」は誤り。
●ビリルビンの分画=非抱合型(間接・脂溶性)・抱合型(直接・水溶性)・δビリルビン(アルブミン結合)。
●ビリルビン代謝の障害=溶血(間接型上昇)・体質性黄疸(Gilbert・Crigler-Najjar=間接型/Dubin-Johnson・Rotor=直接型)・閉塞性黄疸(直接型上昇)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。遊離型(非抱合・間接型)は脂溶性で水に不溶である。
- ② 正しい。非抱合型は血液脳関門を越えて核黄疸を起こすなど細胞毒性をもつ。
- ③ 正しい。ビリルビンは生体内でフリーラジカルを消去する抗酸化作用をもつ。
- ④ 正しい。間接型はアルコール等の反応促進剤を加えて初めてジアゾ反応が進む。
- ⑤ 誤り。抱合型がアルブミンと結合したものはδビリルビンで、シャントビリルビンは赤血球崩壊以外に由来する別概念である。
📋 まとめの表を見る:ビリルビン代謝の比較(非抱合型・抱合型・δビリルビン・シャントビリルビン)
ビリルビンは4つのピロール環が直鎖状に連なった構造で、酸化されると緑色のビリベルジンになる。極大吸収波長は約450nm。HPLC法での検出順序はα(非抱合型)→β・γ(直接型、モノ・ジグルクロニド)→δ(アルブミン共有結合型)。
第72回 午前31(臨床化学)
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で試薬に脱水素酵素が含まれるのはどれか。
正答: ③CK
ポイント
CKのJSCC勧告法は、CKでクレアチンリン酸からATPを生成し、ヘキソキナーゼとグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PDH)を共役させ、生成するNADPHを340nmで測定する。共役系に脱水素酵素であるG6PDHを含む。他の酵素は合成基質や直接比色を用い、脱水素酵素を試薬に含まない。
●JSCC勧告法の測定原理=ALP/γ-GT/AMY(合成基質の比色)・CK(共役系でNADPH生成)・LD(乳酸⇄ピルビン酸でNAD⇄NADH)。
●共役系にG6PDHを用いる代表例=CK・ヘキソキナーゼ法によるグルコース。
選択肢ごとの解説
- ① ALPは4-ニトロフェニルリン酸を基質とし生成物の吸光度を直接測り、脱水素酵素は使わない。
- ② AMYは合成基質を用いる方法で、脱水素酵素は試薬に含まれない。
- ③ CKは共役系にG6PDH(脱水素酵素)を含み、生成するNADPHを測定する。
- ④ LD自体が脱水素酵素であり、基質はNAD・乳酸・ピルビン酸で、試薬側に別途脱水素酵素を加える必要はない。
- ⑤ γ-GTは合成基質を用い生成物を直接比色する方法で、脱水素酵素は含まれない。
第72回 午前32(臨床化学)
血清総蛋白の検査で誤っているのはどれか。
- ①脱水状態で上昇する。
- ②蛋白質は280nmに極大吸収を持つ。
- ③座位の基準範囲は6.6〜8.1g/dLである。
- ④血清の屈折率は総蛋白濃度に反比例する。
- ⑤ビウレット反応はトリペプチドで起こる。
正答: ④血清の屈折率は総蛋白濃度に反比例する。
ポイント
血清の屈折率は溶質である総蛋白の濃度が高いほど大きくなり、総蛋白濃度に比例する。この性質を利用して屈折計で総蛋白濃度を推定できる。設問の「反比例する」が誤りで、正しくは比例する。
●総蛋白の測定法=ビウレット法(ペプチド結合2個以上で呈色)・色素結合法・屈折計法・紫外部吸収(280nm)。
●総蛋白が変動する病態=上昇(脱水・多発性骨髄腫・慢性炎症)・低下(低栄養・ネフローゼ・肝障害・蛋白漏出性胃腸症)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。脱水では血漿が濃縮され総蛋白は見かけ上上昇する。
- ② 正しい。芳香族アミノ酸(チロシン・トリプトファン)により280nmに吸収極大をもつ。
- ③ 正しい。座位の血清総蛋白の基準範囲はおおむね6.6〜8.1g/dLである。
- ④ 誤り。血清の屈折率は総蛋白濃度に比例するもので、反比例ではない。
- ⑤ 正しい。ビウレット反応はペプチド結合2個以上(トリペプチド以上)で呈色する。
第72回 午前33(臨床化学)
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉を活性化するのはどれか。2つ選べ。
- ①アポAI
- ②アポB48
- ③アポCI
- ④アポCII
- ⑤アポE
正答: ①アポAI・③アポCI
ポイント
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)はHDL表面で遊離コレステロールをエステル化し、コレステロール逆転送に関わる酵素である。主要な活性化因子はアポA-Iで、アポC-Iも活性化作用をもつ。各アポ蛋白は固有の機能をもつ。
●アポ蛋白の主な機能=アポA-I(LCAT活性化・HDL主成分)・アポB(LDL受容体結合)・アポC-II(リポ蛋白リパーゼ活性化)・アポC-III(LPL阻害)・アポE(レムナント・LDL受容体結合)。
●LCAT活性化因子=アポA-I(主)・アポC-I。
選択肢ごとの解説
- ① アポA-IはHDLの主要アポ蛋白で、LCATの主要な活性化因子である。
- ② アポB48はカイロミクロンの構成アポで、LCAT活性化作用はない。
- ③ アポC-IはLCATを活性化する作用が知られる。
- ④ アポC-IIはリポ蛋白リパーゼ(LPL)の活性化因子で、LCATの活性化因子ではない。
- ⑤ アポEはレムナントや肝への取り込み(受容体結合)に関わり、LCAT活性化因子ではない。
第72回 午前34(臨床化学)
酵素法でクレアチニンを測定する際に用いられるのはどれか。2つ選べ。
- ①ウリカーゼ
- ②乳酸脱水素酵素
- ③クレアチニナーゼ
- ④リンゴ酸脱水素酵素
- ⑤ザルコシンオキシダーゼ
正答: ③クレアチニナーゼ・⑤ザルコシンオキシダーゼ
ポイント
クレアチニンの酵素法は、クレアチニナーゼ(クレアチニンアミドヒドロラーゼ)でクレアチニンをクレアチンに変換し、クレアチナーゼ(クレアチンアミジノヒドロラーゼ)でザルコシンと尿素に分解、ザルコシンオキシダーゼでザルコシンを酸化して過酸化水素を生成し、ペルオキシダーゼで色素を発色させて測定する。本系の構成酵素はクレアチニナーゼとザルコシンオキシダーゼである。
●クレアチニン酵素法の構成酵素=クレアチニナーゼ・クレアチナーゼ・ザルコシンオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ。
●他の用途の酵素=ウリカーゼ(尿酸)・乳酸脱水素酵素(乳酸/LD)・リンゴ酸脱水素酵素(共役系)。
選択肢ごとの解説
- ① ウリカーゼは尿酸測定に用いる酵素で、クレアチニン測定系では使わない。
- ② 乳酸脱水素酵素は乳酸やLD関連の反応に用い、クレアチニン酵素法の構成酵素ではない。
- ③ クレアチニナーゼはクレアチニンをクレアチンに変換する初発酵素である。
- ④ リンゴ酸脱水素酵素はリンゴ酸関連の共役反応に用い、本系には含まれない。
- ⑤ ザルコシンオキシダーゼはザルコシンを酸化して過酸化水素を生成する酵素である。
第72回 午前35(臨床化学)
レチノール結合蛋白〈RBP〉と結合するビタミンはどれか。
正答: ①A
ポイント
レチノール結合蛋白(RBP)はビタミンA(レチノール)を肝臓から末梢組織へ運搬する血漿蛋白で、血中ではトランスサイレチン(プレアルブミン)と複合体を形成する。半減期が短く、急速代謝回転蛋白として栄養状態の指標にも用いられる。RBPと結合するのはビタミンAである。
●脂溶性ビタミンとその運搬・特徴=A(RBPで運搬・夜盲)・D(DBPで運搬・骨代謝)・E(リポ蛋白で運搬・抗酸化)・K(凝固因子合成)。
●急速代謝回転蛋白(RTP)=RBP・トランスサイレチン(プレアルブミン)・トランスフェリン。
選択肢ごとの解説
- ① ビタミンA(レチノール)はRBPが運搬するビタミンである。
- ② ビタミンCは水溶性ビタミンで、RBPでは運搬されない。
- ③ ビタミンDはビタミンD結合蛋白(DBP)で運ばれ、RBPではない。
- ④ ビタミンEはリポ蛋白に取り込まれて運搬され、RBPの担当ではない。
- ⑤ ビタミンKは脂溶性だがRBPの運搬対象ではない。
📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。
第72回 午前36(臨床化学)
敗血症マーカーはどれか。
- ①KL-6
- ②シスタチンC
- ③トロポニンT
- ④カルプロテクチン
- ⑤プロカルシトニン
正答: ⑤プロカルシトニン
ポイント
プロカルシトニン(PCT)はカルシトニンの前駆体で、細菌感染や敗血症で全身的に産生が亢進して血中濃度が上昇する代表的な敗血症マーカーである。重症度評価や抗菌薬治療の効果判定にも用いられる。ウイルス感染では上昇しにくい。
●感染・炎症マーカー=プロカルシトニン(細菌感染・敗血症)・CRP(炎症全般)・プレセプシン・IL-6。
●臓器別マーカー=KL-6/SP-D(間質性肺炎)・シスタチンC(GFR)・トロポニンT/I(心筋傷害)・カルプロテクチン(炎症性腸疾患)。
選択肢ごとの解説
- ① KL-6は間質性肺炎のマーカーで、敗血症マーカーではない。
- ② シスタチンCは腎糸球体濾過量(GFR)の指標である。
- ③ トロポニンTは心筋傷害(心筋梗塞)のマーカーである。
- ④ カルプロテクチンは主に便中で炎症性腸疾患の指標として用い、敗血症マーカーではない。
- ⑤ プロカルシトニンは細菌感染・敗血症で上昇し、重症度・治療効果の指標となる。
📋 まとめの表を見る:感染症関連バイオマーカーの比較(細菌性・真菌性・敗血症)
第72回 午前37(臨床化学)
アニオンギャップが上昇するのはどれか。
- ①嘔吐
- ②下痢
- ③乳酸アシドーシス
- ④尿細管性アシドーシス
- ⑤副甲状腺機能亢進症
正答: ③乳酸アシドーシス
ポイント
アニオンギャップ(AG=Na−Cl−HCO₃)の上昇は、乳酸やケト酸などの不揮発性酸が蓄積する代謝性アシドーシスで生じる。一方、下痢や尿細管性アシドーシスはHCO₃-の喪失やH+の排泄障害によりClが代償的に増える高Cl性(AG正常)アシドーシスである。乳酸アシドーシスがAG上昇に該当する。
●AG上昇性代謝性アシドーシス=乳酸アシドーシス・ケトアシドーシス(糖尿病性)・腎不全(尿毒症)・中毒(メタノール・サリチル酸)。
●AG正常(高Cl性)代謝性アシドーシス=下痢・尿細管性アシドーシス(RTA)・尿管腸吻合。
選択肢ごとの解説
- ① 嘔吐は胃酸(HCl)の喪失で代謝性アルカローシスをきたし、AG上昇ではない。
- ② 下痢はHCO₃-喪失による高Cl性(AG正常)代謝性アシドーシスをきたす。
- ③ 乳酸アシドーシスは不揮発性酸である乳酸が蓄積し、AGが上昇する。
- ④ 尿細管性アシドーシスはHCO₃-喪失やH+排泄障害による高Cl性(AG正常)アシドーシスである。
- ⑤ 副甲状腺機能亢進症は高Ca血症などをきたすが、AG上昇の典型病態ではない。
第72回 午前38(臨床化学)
グルコース測定におけるヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ法で正しいのはどれか。
- ①酵素電極法で使用される。
- ②NAD+の吸光度を測定する。
- ③アスコルビン酸の影響を受ける。
- ④試薬にはムタロターゼが必要である。
- ⑤日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法である。
正答: ⑤日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法である。
ポイント
ヘキソキナーゼ(HK)・グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)法は、HKでグルコースをグルコース-6-リン酸に変換し、G6PDで6-ホスホグルコン酸へ酸化する際に生成するNADPHを340nmで測定するグルコース測定法で、日本臨床化学会(JSCC)勧告法である。共役反応で特異性が高く、アスコルビン酸(ビタミンC)の影響を受けにくい。
●グルコース測定法=HK・G6PD法(JSCC勧告法)・GOD-POD法(酵素比色)・GOD電極法(酵素電極)・ムタロターゼ-GOD法。
●340nmでNADPH/NADHを測る共役系=HK・G6PD法・CK・尿素(ウレアーゼ-GLDH)。
選択肢ごとの解説
- ① 酵素電極法はグルコースオキシダーゼ(GOD)などを用いる別法である。
- ② 生成するNADPHの吸光度(340nm)を測るもので、NAD+の吸光度ではない。
- ③ 本法はGOD-POD法と異なりアスコルビン酸(ビタミンC)の影響を受けにくい。
- ④ HKはα・β両アノマーを利用でき、ムタロターゼは不要(GOD法で用いる)である。
- ⑤ HK・G6PD法はグルコースのJSCC勧告法である。
第72回 午前39(臨床化学)
ペプチドホルモンはどれか。
- ①アドレナリン
- ②コルチゾール
- ③テストステロン
- ④トリヨードサイロニン
- ⑤ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉
正答: ⑤ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉
ポイント
ホルモンは化学構造からペプチド(蛋白)ホルモン、ステロイドホルモン、アミン(カテコールアミン・甲状腺)ホルモンに分類される。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)はαサブユニットとβサブユニットからなる糖蛋白(ペプチド)ホルモンである。
●ペプチド・蛋白ホルモン=hCG・LH・FSH・TSH・インスリン・成長ホルモン・PTH。
●ステロイドホルモン=コルチゾール・アルドステロン・テストステロン・エストロゲン。
●アミン・甲状腺ホルモン=アドレナリン・ノルアドレナリン・トリヨードサイロニン(T3)・サイロキシン(T4)。
選択肢ごとの解説
- ① アドレナリンはチロシン由来のカテコールアミンで、ペプチドホルモンではない。
- ② コルチゾールは副腎皮質のステロイドホルモンである。
- ③ テストステロンはステロイドホルモンである。
- ④ トリヨードサイロニンはチロシン由来の甲状腺ホルモンで、ペプチドではない。
- ⑤ hCGはα・βサブユニットからなる糖蛋白(ペプチド)ホルモンである。
第72回 午前40(臨床化学)
クレアチニンで正しいのはどれか。
- ①肝臓で合成される。
- ②尿細管で再吸収される。
- ③血漿濃度は脱水症で低値を示す。
- ④血漿濃度の基準範囲には男女差がある。
- ⑤血漿濃度はDuchenne型筋ジストロフィで高値を示す。
正答: ④血漿濃度の基準範囲には男女差がある。
ポイント
クレアチニンは筋肉中でクレアチンおよびクレアチンリン酸から非酵素的に生成され、糸球体で濾過されてほとんど再吸収されずに排泄される。血漿濃度は筋肉量を反映するため、筋肉量の多い男性で高めとなり、基準範囲に男女差がある。
●腎機能の指標=クレアチニン・eGFR・シスタチンC・尿素窒素(BUN)・クレアチニンクリアランス。
●クレアチニンが上昇する病態=腎機能低下・脱水(腎前性)・筋肉量増加。低下=筋萎縮・筋ジストロフィ進行・低栄養。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。クレアチニンは肝臓ではなく筋肉で生成される。
- ② 誤り。糸球体で濾過されほとんど再吸収されず排泄される(一部は尿細管分泌)。
- ③ 誤り。脱水・腎血流低下ではむしろ上昇する。
- ④ 正しい。筋肉量を反映し男性で高めとなり、基準範囲に男女差がある。
- ⑤ 誤り。Duchenne型筋ジストロフィでは筋萎縮の進行とともにクレアチニン産生はむしろ低下傾向となる。
📋 まとめの表を見る:主な血液・尿検査項目の代謝上の由来(最終代謝産物)
アンモニアは採血後、室温放置や溶血で偽高値になりやすいため速やかに測定するか氷冷保存する。
第72回 午前41(臨床化学)
アミラーゼで誤っているのはどれか。
- ①Cl⁻で活性化される。
- ②加水分解酵素である。
- ③α-1,6-グリコシド結合を切断する。
- ④唾液腺型は膵型より高分子量である。
- ⑤腎不全では血清アミラーゼ値が上昇する。
正答: ③α-1,6-グリコシド結合を切断する。
ポイント
α-アミラーゼはデンプンやグリコーゲンのα-1,4グリコシド結合を加水分解する酵素で、分岐部のα-1,6結合は切断しない。塩化物イオン(Cl⁻)で活性化され、唾液腺型(S型)と膵型(P型)のアイソザイムがある。設問の「α-1,6グリコシド結合を切断する」が誤り。
●アミラーゼのアイソザイム=唾液腺型(S型)・膵型(P型)。S型はマクロアミラーゼや唾液腺・卵巣腫瘍で、P型は膵炎で上昇。
●アミラーゼが上昇する病態=急性膵炎・耳下腺炎・腎不全・マクロアミラーゼ血症・消化管穿孔。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。α-アミラーゼは塩化物イオン(Cl⁻)で活性化される。
- ② 正しい。グリコシド結合を加水分解する加水分解酵素である。
- ③ 誤り。切断するのはα-1,4グリコシド結合で、分岐部のα-1,6結合は切断しない。
- ④ 正しい。唾液腺型(S型)は膵型(P型)より糖鎖が多く分子量がやや大きい。
- ⑤ 正しい。腎排泄が低下する腎不全では血清アミラーゼが上昇する。
第72回 午前42(臨床化学)
インドシアニングリーン〈ICG〉試験で正しいのはどれか。
- ①早朝空腹時に行う。
- ②ICGを経口投与する。
- ③ICGは光に安定である。
- ④肝合成能の評価に用いられる。
- ⑤ICG投与から1時間後に採血を行う。
正答: ①早朝空腹時に行う。
ポイント
インドシアニングリーン(ICG)試験は、色素ICGを静注して肝細胞の色素摂取・胆汁排泄能を評価する検査である。食事の影響を避けるため早朝空腹時に行い、投与15分後の血中停滞率(ICG R15)を測定する。ICGは光で分解しやすいため遮光して扱う。
●肝機能の検査=ICG試験(色素排泄能)・アルブミン/プロトロンビン時間(合成能)・AST/ALT(細胞傷害)・ビリルビン(排泄能)。
●ICG試験の指標=血中停滞率(R15)・血漿消失率(K値)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。食事の影響を避けるため早朝空腹時に実施する。
- ② 誤り。ICGは経口ではなく静脈内に投与する。
- ③ 誤り。ICGは光で分解しやすく遮光して取り扱う。
- ④ 誤り。ICG試験は色素の排泄能の評価で、合成能(アルブミン・PT)とは別である。
- ⑤ 誤り。通常は投与15分後の血中停滞率(ICG R15)を測定する。
第72回 午前43(臨床化学)
放射線感受性が最も高いのはどれか。
- ①肝細胞
- ②脂肪細胞
- ③心筋細胞
- ④神経細胞
- ⑤造血器細胞
正答: ⑤造血器細胞
ポイント
放射線感受性はBergonié-Tribondeauの法則に従い、細胞分裂が盛んで分化度が低く、将来の分裂回数が多い細胞ほど高い。造血器(骨髄)細胞は分裂が盛んで未分化であり、リンパ球・生殖細胞・腸上皮とともに最も感受性が高い。
●放射線感受性が高い細胞=造血器(骨髄)細胞・リンパ球・生殖細胞・腸陰窩上皮・表皮基底細胞。
●放射線感受性が低い細胞=神経細胞・心筋細胞・骨細胞・脂肪細胞(分裂しない高度分化細胞)。
選択肢ごとの解説
- ① 肝細胞は分裂が緩徐で感受性は中等度である。
- ② 脂肪細胞は分裂しにくく感受性は低い。
- ③ 心筋細胞は分裂しない高度分化細胞で感受性は低い。
- ④ 神経細胞は分裂しない高度分化細胞で感受性は低い。
- ⑤ 造血器細胞は分裂が盛んで未分化であり、放射線感受性が最も高い。
第72回 午前44(臨床化学)
空腹時血清中総コレステロール250mg/dL、トリグリセライド150mg/dL、HDL-コレステロール50mg/dLのとき、Friedewaldの計算式から求めたLDL-コレステロール値[mg/dL]はどれか。
正答: ③170
ポイント
Friedewaldの計算式はLDL-コレステロール=総コレステロール−HDL-コレステロール−トリグリセライド/5で求める(TG/5はVLDL-コレステロールの近似)。本問では250−50−(150/5)=250−50−30=170mg/dLとなる。TGが400mg/dL以上では適用できない。
●脂質の指標=総コレステロール・LDL-C・HDL-C・トリグリセライド・non-HDL-C(総コレステロール−HDL-C)。
●Friedewald式の制約=TG400mg/dL未満で適用・カイロミクロン存在時は不適・高TG時は直接法を用いる。
選択肢ごとの解説
- ① 50は計算が大きく誤った値である。
- ② 100は各項の引き方を誤った値である。
- ③ 250−50−30=170で、Friedewald式による正しい計算結果である。
- ④ 200はTG/5を引き忘れた値である。
- ⑤ 230はHDLの控除などを誤った値である。
第72回 午前45(病理組織細胞学)
組織標本作製用固定液で正しいのはどれか。
- ①10%ホルマリンは中性脂肪を溶解する。
- ②グルタルアルデヒドは組織への浸透力が強い。
- ③4%パラホルムアルデヒドにはギ酸が含まれる。
- ④10%中性緩衝ホルマリンは網羅的遺伝子解析に適する。
- ⑤10%中性ホルマリンの作製には塩化ナトリウムを用いる。
正答: ④10%中性緩衝ホルマリンは網羅的遺伝子解析に適する。
ポイント
病理組織標本の標準固定液は10%中性緩衝ホルマリンで、リン酸緩衝液で中性に保つため核酸の劣化が少なく、網羅的遺伝子解析(ゲノムプロファイリング検査)に適する。ホルマリンは中性脂肪を溶解せず、グルタルアルデヒドは浸透力が弱く電顕用の小ブロック固定に用いる。
●固定液=10%中性緩衝ホルマリン(汎用・遺伝子解析に適)・グルタルアルデヒド(電顕用)・アルコール(蛋白凝固)・Bouin液(精巣・組織収縮)。
●固定の目的=蛋白の凝固・自己融解と腐敗の防止・抗原性や核酸の保持。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。ホルマリンは中性脂肪を溶解しない(脂肪染色は凍結標本で行う)。
- ② 誤り。グルタルアルデヒドは浸透力が弱く、電顕用に小さなブロックを固定する。
- ③ 誤り。4%パラホルムアルデヒドはパラホルムアルデヒドを溶かした中性固定液で、ギ酸は含まない。
- ④ 正しい。10%中性緩衝ホルマリンは中性pHで核酸が保たれ、網羅的遺伝子解析に適する。
- ⑤ 誤り。中性ホルマリンは沈降炭酸カルシウムを用いて中性化する。リン酸緩衝液を用いるものは中性緩衝ホルマリンであり、塩化ナトリウムは等張ホルマリンの調製に用いる。
第72回 午前46(病理組織細胞学)
ミクロトームで正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①刃の先端角度〈刃角〉は2°である。
- ②ユング型ミクロトームの逃げ角は90°である。
- ③クリオスタットはミノー型ミクロトームである。
- ④ミノー型ミクロトームの逃げ角は2〜10°である。
- ⑤クロスローラーベアリング方式のミクロトームは回転式である。
正答: ③クリオスタットはミノー型ミクロトームである。・④ミノー型ミクロトームの逃げ角は2〜10°である。
ポイント
一般的な回転式(ミノー型)ミクロトームは回転動作で薄切し、逃げ角(クリアランス角)は2〜10°程度に設定する。クリオスタットは凍結切片作製のためミノー型ミクロトームを冷却箱内に収めた装置である。刃角や機構の細部に注意する。
●ミクロトームの種類=回転式(ミノー型・汎用パラフィン切片)・滑走式(スライディング型・大型/硬組織)・クリオスタット(凍結切片)・ウルトラミクロトーム(電顕用)。
●刃に関する角度=刃角(刃の先端角)・逃げ角(クリアランス角・数度)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。実用的な刃角は十数〜30°程度で、2°ではない。
- ② 誤り。ユング型(滑走式)の逃げ角も数度で、90°ではない。
- ③ 正しい。クリオスタットは回転式(ミノー型)を冷却装置内に収めた凍結切片装置である。
- ④ 正しい。ミノー型ミクロトームの逃げ角は2〜10°程度に設定する。
- ⑤ 誤り。クロスローラーベアリング方式は滑走式(スライディング)に用いる機構である。
📋 まとめの表を見る:ミクロトームの種類と特徴
クリオスタットはMinot型ミクロトームを冷却庫内に内蔵した装置。一般的なパラフィンブロックの引き角は約45度、逃げ角は約5度前後に設定する。
第72回 午前47(病理組織細胞学)
染色結果で正しいのはどれか。
- ①azan染色で膠原線維は赤色に染まる。
- ②渡辺の鍍銀法で細網線維は赤褐色に染まる。
- ③Congo red染色でアミロイドは灰色に染まる。
- ④PAM染色でメサンギウム基質は青色に染まる。
- ⑤elastica van Gieson染色で弾性線維は紫黒色に染まる。
正答: ⑤elastica van Gieson染色で弾性線維は紫黒色に染まる。
ポイント
elastica van Gieson(EVG)染色では弾性線維が紫黒〜黒色、膠原線維が赤色、筋線維や細胞質が黄色に染まる。各特殊染色は標的成分と発色が決まっており、azanでは膠原線維が青、PAMでは基底膜が黒、Congo redではアミロイドが橙赤色(偏光で緑色複屈折)を示す。
●結合組織・線維の染色=azan(膠原線維=青)・EVG(弾性線維=紫黒/膠原線維=赤)・渡辺鍍銀法(細網線維=黒)。
●基底膜・特殊成分の染色=PAM(基底膜=黒)・PAS(糖質=赤紫)・Congo red(アミロイド=橙赤・偏光で緑)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。azan染色で膠原線維は青色に染まる(核は赤)。
- ② 誤り。渡辺の鍍銀法で細網線維は黒色に染まる。
- ③ 誤り。Congo red染色でアミロイドは橙赤色(偏光で緑色複屈折)に染まる。
- ④ 誤り。PAM染色で基底膜・メサンギウム基質は黒色に染まる。
- ⑤ 正しい。EVG染色で弾性線維は紫黒色、膠原線維は赤色に染まる。
第72回 午前48(病理組織細胞学)
健常成人で肝臓に接していないのはどれか。
正答: ⑤腹部大動脈
ポイント
肝臓は右上腹部を占め、上面は横隔膜に、下面は胆囊・右腎(肝腎陥凹)・横行結腸(結腸右曲)・十二指腸・胃などに接する。腹部大動脈は後腹壁の正中をやや左寄りに縦走し、肝臓とは直接接しない。
●肝臓に接する臓器=横隔膜・胆囊・右腎/右副腎・横行結腸(結腸右曲)・胃・十二指腸・下大静脈。
●後腹膜に位置する構造=腹部大動脈・下大静脈・腎臓・膵臓・十二指腸大部分。
選択肢ごとの解説
- ① 右腎は肝右葉の下面(肝腎陥凹)に接する。
- ② 胆囊は肝下面の胆囊窩に収まり接する。
- ③ 横隔膜は肝の上面に接する。
- ④ 横行結腸(結腸右曲)は肝右葉下面に接する。
- ⑤ 腹部大動脈は後腹壁の正中をやや左寄りに走り、肝臓とは直接接しない。
第72回 午前49(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。この組織はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72aA049.2d87546bcc.jpg

正答: ④甲状腺
ポイント
大小さまざまの濾胞が並び、内腔に好酸性のコロイドが充満し、濾胞を一層の立方状濾胞上皮が囲む像は甲状腺に特徴的である。コロイドはサイログロブリンを含み、H-E染色で均質な好酸性に染まる。
●内分泌腺の組織像=甲状腺(コロイド充満の濾胞)・副甲状腺(主細胞の索状配列)・副腎(皮質の層構造と髄質)・下垂体(好酸性/好塩基性/嫌色素性細胞)。
●外分泌腺の組織像=唾液腺(漿液・粘液腺房と導管)・乳腺(小葉と乳管)・汗腺(管状腺)。
選択肢ごとの解説
- ① 汗腺は真皮〜皮下の管状腺で、コロイド充満の濾胞構造はとらない。
- ② 胸腺はリンパ球とハッサル小体からなり、濾胞構造ではない。
- ③ 乳腺は小葉と乳管からなる腺組織で、コロイド濾胞はない。
- ④ 甲状腺はコロイドを満たす濾胞が並ぶ特徴的構造で、図に一致する。
- ⑤ 唾液腺は漿液・粘液腺房と導管からなり、コロイド濾胞ではない。
📋 まとめの表を見る:内分泌臓器の組織構造と分泌ホルモン
副腎は外側の被膜、皮質(球状帯・束状帯・網状帯の3層)、内側の髄質からなる。
第72回 午前50(病理組織細胞学)
組織と胚葉の組合せで正しいのはどれか。
- ①筋肉 — 外胚葉
- ②血管 — 外胚葉
- ③脊髄 — 中胚葉
- ④肺胞 — 中胚葉
- ⑤甲状腺 — 内胚葉
正答: ⑤甲状腺 — 内胚葉
ポイント
三胚葉に由来する組織は、外胚葉=表皮・神経系、中胚葉=筋・骨・血管・腎・血液、内胚葉=消化管/呼吸器の上皮・肝・膵・甲状腺などと対応する。甲状腺は咽頭(原始消化管)の内胚葉から発生するため、甲状腺・内胚葉の組合せが正しい。
●外胚葉由来=表皮・毛髪・神経系(脳・脊髄)・副腎髄質・水晶体。
●中胚葉由来=骨格筋/心筋・骨・軟骨・血管・血液・腎・性腺。
●内胚葉由来=消化管上皮・呼吸器上皮(肺胞)・肝・膵・甲状腺・膀胱上皮。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。筋肉は中胚葉由来である。
- ② 誤り。血管(内皮)は中胚葉由来である。
- ③ 誤り。脊髄は外胚葉(神経管)由来である。
- ④ 誤り。肺胞上皮は内胚葉由来である(間質は中胚葉)。
- ⑤ 正しい。甲状腺は咽頭(内胚葉)から発生する。
📋 まとめの表を見る:三胚葉(外胚葉・中胚葉・内胚葉)由来の組織・器官
厳密には外胚葉は分化過程で表皮外胚葉・神経管・神経堤(外胚葉性間葉)に分かれ、頭部の骨格系は神経堤に由来する例外がある。