第72回(2026) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版

第72回 午後1(臨床検査総論)

採血時のパンピング(何度も手を握ったり開いたりを繰り返す動作)で偽高値になるのはどれか。

正答: ②カリウム

ポイント
採血時のパンピング(手の開閉運動)では前腕の骨格筋が反復収縮し、筋細胞内に高濃度に存在するカリウムが細胞外へ放出されるため、血清カリウムが偽高値となる。同様に止血帯の長時間駆血や駆血中のクレンチングも偽高値の原因になる。カリウムは細胞内に約150mmol/L存在し、わずかな漏出でも血清値に大きく影響する。●偽高値の機序=溶血(赤血球からのK放出)・パンピング(筋からのK放出)・採血後の長時間放置・低温保存(Na-Kポンプ停止)・血小板増多や白血球増多での凝固時放出。●偽低値の例=高度高脂血症や高蛋白血症による電解質の偽性低値(間接電位法での容積排除効果)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後2(臨床検査総論)

尿試験紙法で酵素法を原理とするのはどれか。

正答: ④グルコース

ポイント
尿試験紙のグルコース検査はグルコースオキシダーゼ(GOD)とペルオキシダーゼ(POD)を用いた酵素法で、生じた過酸化水素が色原体を酸化発色させる。他の項目は化学反応を原理とし、蛋白はpH指示薬の蛋白誤差、亜硝酸塩とビリルビンはジアゾカップリング、ケトン体はニトロプルシド反応による。酵素法のため特異性が高く、還元糖の中でもグルコースに選択的に反応する。●酵素法=グルコース(GOD-POD)。●pH指示薬の蛋白誤差=蛋白(主にアルブミンを検出)。●ジアゾ反応=亜硝酸塩(細菌由来)・ビリルビン。●ニトロプルシド反応=ケトン体(アセト酢酸を主に検出)。●その他=潜血(ヘモグロビンの擬ペルオキシダーゼ作用)・ウロビリノゲン(アルデヒド反応またはジアゾ反応)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後3(臨床検査総論)

経口摂取した薬剤と便の色調の組合せで正しいのはどれか。

正答: ④硫酸バリウム — 白色

ポイント
硫酸バリウムは消化管X線造影剤で、吸収されずに腸管内を通過するため服用後の便は白色(灰白色)となる。鉄剤は硫化鉄を生じて黒色便、蒼鉛(ビスマス)製剤も硫化ビスマスで黒色便となる。葉緑素(クロロフィル)製剤は緑色便を呈する。●黒色便をきたす薬剤=鉄剤・蒼鉛(ビスマス)・活性炭。●白色〜灰白色便=硫酸バリウム造影剤・胆道閉塞(胆汁うっ滞)。●緑色便=葉緑素製剤・緑色色素。●病的な便色=タール便(上部消化管出血)・鮮血便(下部消化管出血)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:内服薬による便色調の変化

薬剤便色調
鉄剤黒色(硫化鉄)
蒼鉛(ビスマス)製剤黒色(硫化ビスマス)
硫酸バリウム(消化管造影剤)白色〜灰白色
葉緑素(クロロフィル)製剤緑色
疾患による便色調変化(表『糞便の色調・性状と疾患』参照)と機序が異なるため、鑑別には服薬歴の確認が重要。黒色便・灰白色便は疾患でも薬剤でも生じうる点に注意。

第72回 午後4(臨床検査総論)

染色体検査における細胞培養または標本作製の過程でコルセミドを添加する理由はどれか。

正答: ⑤紡錘糸の形成阻害

ポイント
コルセミド(コルヒチン誘導体)は微小管の重合を阻害して紡錘糸の形成を妨げ、分裂を中期で停止させる。これにより染色体が凝縮した状態で多数の細胞を集積でき、分染標本の観察に適した中期像が得られる。続く低張処理で細胞を膨化させて染色体を広げ、固定・展開して標本化する。●染色体標本作製の流れ=細胞培養→コルセミド添加(中期停止)→低張処理(膨化・分散)→カルノア固定→展開・分染。●阻害剤=コルセミド/コルヒチン(紡錘糸形成阻害)。●低張処理=赤血球溶解と有核細胞の膨化。●固定=カルノア液(メタノール:氷酢酸=3:1)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後5(臨床検査総論)

PCR法でアニーリングの至適温度に影響を与えるのはどれか。

正答: ③プライマーの塩基数

ポイント
アニーリングの至適温度はプライマーが鋳型に特異的に結合する温度で、プライマーの融解温度(Tm)を基準に設定する。Tmはプライマーの塩基数・GC含量・塩基配列に加え、塩濃度などの反応条件にも依存するため、塩基数が至適温度に影響する。一般にTmより約5℃低い温度をアニーリング温度の目安とする。●Tmを決める因子=プライマーの塩基数(長さ)・GC含量・塩基配列。●反応組成の役割=dNTP(伸長の基質)・Mg²⁺(酵素活性と特異性)・DNAポリメラーゼ(伸長反応)。●温度ステップ=変性(約94℃)・アニーリング(約50〜60℃)・伸長(約72℃)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後6(臨床検査総論)

健常成人の髄液所見はどれか。ただし、同時測定の血漿中グルコース濃度は100mg/dLであった。

正答: ⑤グルコース 70mg/dL

ポイント
正常髄液は無色透明で、細胞数は5/μL以下、蛋白は15〜45mg/dL、糖は血糖の約2/3(同時血糖100mg/dLなら約60〜70mg/dL)、クロールは120mmol/L前後である。よってグルコース70mg/dLが正常所見に該当する。色調の黄染(キサントクロミー)、細胞増多、蛋白増加、クロール高値はいずれも異常を示す。●髄液正常値=色調 無色透明・細胞数 ≦5/μL(主に単核球)・蛋白 15〜45mg/dL・糖 血糖の約1/2〜2/3・Cl 120mmol/L前後。●細菌性髄膜炎=糖低下・蛋白増加・好中球増多・混濁。●ウイルス性髄膜炎=糖正常・蛋白軽度増加・リンパ球増多。●くも膜下出血=キサントクロミー・血性。

選択肢ごとの解説

第72回 午後7(臨床検査総論)

ISO 15189で誤っているのはどれか。

正答: ①国内規格である。

ポイント
ISO 15189は臨床検査室の品質と能力(力量)に関する国際規格であり、国内規格ではない。品質マネジメントシステム、職員の力量、検査前・検査・検査後の各過程、リスクマネジメント、継続的改善などの要求事項を含む。これに基づく認定により検査結果の信頼性と国際的な同等性が担保される。●ISO規格=国際標準化機構が定める『国際』規格。●ISO 15189=臨床検査室の品質・能力に関する要求事項。●ISO 9001=組織一般の品質マネジメントシステム。●ISO/IEC 17025=試験所・校正機関の能力に関する一般要求事項。

選択肢ごとの解説

第72回 午後8(臨床検査総論)

体細胞分裂中期の核の模式図を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB008.77c5ea28a8.jpg
第72回 午後8 の図

正答: ②中心体

ポイント
体細胞分裂中期では複製された中心体が細胞の両極に分かれて移動し、そこを起点に紡錘糸(紡錘体微小管)が伸びて染色体の動原体に結合する。矢印が両極に位置する点状構造を示す場合、それは中心体である。核小体は間期にrRNA合成を担い分裂期には消失し、テロメアとセントロメアは染色体上の構造である。●細胞分裂の構造=中心体(両極・紡錘糸の起点)・紡錘体(極から伸びる微小管束)・動原体(セントロメア部の付着点)。●染色体の構造=セントロメア(中央のくびれ)・テロメア(末端)・短腕(p)/長腕(q)。●間期の核構造=核小体(rRNA合成)・クロマチン。

選択肢ごとの解説

第72回 午後9(臨床検査総論)

尿沈渣の無染色標本を別に示す。矢印で示す結晶はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB009.ce42d2cbe1.jpg
第72回 午後9 の図

正答: ④コレステロール

ポイント
コレステロール結晶は角が一部欠けた長方形で、階段状の切れ込みをもつ無色透明の板状結晶として観察される。ネフローゼ症候群など脂質を多く含む尿(脂肪尿)で出現する。尿酸結晶は黄褐色の多形性結晶、シスチンは六角形板状、リン酸アンモニウムマグネシウムは棺の蓋状で形態が異なる。●無色板状(階段状)=コレステロール結晶(脂肪尿・ネフローゼ)。●六角形板状=シスチン結晶(シスチン尿症)。●封筒状(正八面体)=シュウ酸カルシウム。●棺の蓋状(角柱状)=リン酸アンモニウムマグネシウム(アルカリ尿・尿路感染)。●黄褐色多形性=尿酸結晶(酸性尿)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後10(臨床検査総論)

x̄-R管理図法で管理するのはどれか。2つ選べ。

正答: ②標準液の劣化・④分析機器の異常

ポイント
x-R管理図は同一管理試料を反復測定し、各群の平均値(x)とばらつき(範囲R)を日々プロットして、測定系の系統誤差(偏り)や再現性の異常を検出する内部精度管理法である。標準液の劣化はxの偏りとして、分析機器の異常はxのずれやRの拡大として管理図上に現れる。施設間差は外部精度管理(サーベイ)の対象、検体採取の過誤は検査前段階の問題、パニック値検出は精度管理とは目的が異なる。●内部精度管理=x-R管理図・累積和(CUSUM)・twin plot・マルチルール(Westgard)。●外部精度管理=サーベイ(施設間差・トレーサビリティ評価)。●誤差の種類=系統誤差(偏り・x方向)・偶然誤差(ばらつき・R方向)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)

分類代表的な方法
管理試料を用いる方法x̄-R管理図法(x̄-Rs法・x̄-Rs-R法)・累積和法(CUSUM法)・双値法(ツインプロット法・Youden plot法)・マルチルール管理図法・臼井法
管理試料を用いない方法(患者データを利用)二重測定法・Hoffmann法(ナンバープラス法・正常者平均値法)・個別検体の管理法(高値低値チェック法・項目間チェック法・デルタチェック法)・|R/x̄|管理法(新谷法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。

第72回 午後11(臨床検査医学総論)

ウイルス感染が発症原因の血液疾患はどれか。

正答: ③成人T細胞性白血病/リンパ腫〈ATLL〉

ポイント
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染が発症原因で、母乳などを介して感染し長い潜伏期を経て一部が発症する。他の白血病・骨髄腫は遺伝子異常やクローン性造血幹細胞異常が背景で、特定ウイルスが直接の原因ではない。●ウイルスが原因の血液腫瘍=ATLL(HTLV-1)・Burkittリンパ腫の一部やホジキンリンパ腫(EBV)。●その他の腫瘍関連ウイルス=EBV(上咽頭癌)・HPV(子宮頸癌)・HBV/HCV(肝細胞癌)・HHV-8(Kaposi肉腫)。●遺伝子・クローン性異常による血液疾患=AML・MDS・多発性骨髄腫・CLL。

選択肢ごとの解説

第72回 午後12(臨床検査医学総論)

慢性骨髄性白血病にみられる染色体異常はどれか。

正答: ③t(9;22)(q34;q11.2)

ポイント
慢性骨髄性白血病(CML)は9番と22番染色体の相互転座t(9;22)(q34;q11.2)によりフィラデルフィア染色体を生じ、BCR::ABL1融合遺伝子が形成される。この融合産物のチロシンキナーゼ活性亢進が病態の中心で、その阻害薬が治療に用いられる。他の転座はそれぞれ別の腫瘍に対応する。●代表的な染色体転座=t(9;22)→CML(BCR::ABL1)・t(8;14)→Burkittリンパ腫(MYC)・t(8;21)→AML(RUNX1::RUNX1T1)・t(15;17)→急性前骨髄球性白血病(PML::RARA)・t(14;18)→濾胞性リンパ腫(BCL2)。●CMLの臨床=白血球著増・好塩基球増加・好中球アルカリホスファターゼ(NAP)低値。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:白血病の染色体異常と融合遺伝子

疾患染色体異常融合遺伝子
慢性骨髄性白血病〈CML〉t(9;22)(q34;q11.2)BCR::ABL1
急性リンパ性白血病〈ALL〉(一部)t(9;22)(q34;q11.2)BCR::ABL1

第72回 午後13(臨床検査医学総論)

一過性に脳全体が虚血状態になって起こる意識障害はどれか。

正答: ④失神

ポイント
失神は一過性に脳全体の血流が低下して起こる短時間の意識消失で、原因が除かれると速やかに完全回復する。傾眠・昏迷・昏睡は意識レベル低下の程度を示す持続的な状態、せん妄は注意や認知が変動する急性の意識変容で、いずれも脳全体の一過性虚血による消失とは病態が異なる。●意識レベルの障害(覚醒度)=傾眠(刺激で覚醒)・昏迷(強い刺激でわずかに反応)・昏睡(刺激に反応せず)。●意識の質的変容=せん妄(急性・変動性・幻覚)。●一過性の意識消失=失神(脳全体の血流低下)・てんかん発作。●失神の原因=起立性低血圧・神経調節性(血管迷走神経性)・心原性(不整脈・大動脈弁狭窄)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後14(臨床検査医学総論)

呼気延長を呈するのはどれか。

正答: ③気管支喘息

ポイント
呼気延長は末梢気道の閉塞による閉塞性換気障害でみられ、気管支喘息やCOPDが代表である。呼出時に狭窄した気道がさらに虚脱して空気を吐ききるのに時間がかかり、呼気性喘鳴(wheeze)を伴う。胸膜炎・間質性肺炎・細菌性肺炎・過換気症候群は気道閉塞を主とせず、呼気延長は特徴ではない。●閉塞性障害(呼気延長)=気管支喘息・COPD・びまん性汎細気管支炎。●拘束性障害=間質性肺炎(fine crackles)・肺線維症・肺切除後・胸郭運動制限。●その他=胸膜炎(胸痛・胸水)・過換気症候群(頻呼吸・低CO₂)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後15(臨床検査医学総論)

腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか。

正答: ①敗血症

ポイント
腎前性急性腎不全は腎血流量の低下で起こり、脱水・出血・心不全・敗血症性ショックなどが原因となる。敗血症ではショックによる腎灌流低下から腎前性腎不全をきたす。尿管結石・前立腺肥大は尿路閉塞による腎後性、急速進行性糸球体腎炎やSLE(ループス腎炎)は腎実質障害による腎性の原因である。●腎前性=脱水・出血・心不全・敗血症性ショック・腎動脈狭窄(腎血流低下)。●腎性=急性尿細管壊死・急速進行性糸球体腎炎・ループス腎炎・薬剤性間質性腎炎。●腎後性=尿管結石・前立腺肥大・腫瘍による尿路閉塞。

選択肢ごとの解説

第72回 午後16(臨床生理学)

疾患と超音波所見の組合せで誤っているのはどれか。

正答: ④大動脈弁狭窄症 — 左室壁の菲薄化

ポイント
大動脈弁狭窄症は左室から大動脈への駆出が妨げられ慢性的な圧負荷がかかるため、左室壁は求心性に『肥厚』する。『左室壁の菲薄化』という組合せが誤りである。圧負荷では壁が厚くなり、容量負荷や拡張型心筋症、心筋梗塞後では壁が菲薄化する。●圧負荷による求心性肥大=大動脈弁狭窄症・高血圧性心疾患。●容量負荷による拡大=大動脈弁閉鎖不全症・僧帽弁閉鎖不全症・心房中隔欠損症(右心系)。●僧帽弁狭窄症=弁尖のドーミング・左房拡大。●肺高血圧症=右室の圧負荷で肥大・拡大。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:心疾患の負荷様式(圧負荷・容量負荷)と超音波所見

疾患負荷の種類主な超音波所見
高血圧性心疾患左室の圧負荷左室壁の求心性肥厚(内腔は狭小化、壁運動は保たれる)
大動脈弁狭窄症左室の圧負荷左室壁の求心性肥厚(左室壁が菲薄化することはない)
肺高血圧症右室の圧負荷右室の肥大・拡大
心房中隔欠損症右房・右室の容量負荷左房から右房へのシャント血流により右房・右室が拡大
大動脈弁閉鎖不全症左室の容量負荷左室の拡大、拡張期に僧帽弁前尖の細かい振動(fluttering)
僧帽弁閉鎖不全症左室・左房の容量負荷左室・左房の拡大、収縮期にカラードプラで僧帽弁からの逆流シグナル
僧帽弁狭窄症左房の圧負荷僧帽弁前尖のドーミング、弁尖の肥厚・石灰化、左房拡大
圧負荷では心室壁が求心性に肥厚し、容量負荷では心腔が拡大する。

第72回 午後17(臨床生理学)

心尖部長軸像を別に示す。パルスドプラ法によるE/Aの計測部位はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB017.46b0dc2277.jpg
第72回 午後17 の図

正答: ②

ポイント
左室流入血流速波形(E波・A波)はパルスドプラ法で僧帽弁尖の先端(弁口)にサンプルボリュームを置いて計測する。E波は拡張早期の受動的流入、A波は心房収縮による流入を反映し、E/A比は左室拡張能の指標となる。サンプルボリュームを弁口からずらすと正確な波形が得られない。●左室拡張能の指標=E/A比(僧帽弁口流入血流)・E/e'比(組織ドプラ併用)・減速時間(DT)・等容弛緩時間(IVRT)。●計測法=パルスドプラ(サンプルボリュームで局所血流)・連続波ドプラ(高速血流・最大流速)・組織ドプラ(心筋運動速度e')。●拡張障害の進展=弛緩遅延(E/A<1)→偽正常化→拘束型(E/A>2)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後18(臨床生理学)

心窩部縦走査の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB018.e37da62946.jpg
第72回 午後18 の図

正答: ①胃

ポイント
心窩部縦走査では前面に肝左葉が描出され、その背側に位置する管腔臓器が胃である。胃は内容物により高エコー〜含気の像を呈し、壁の層構造を伴う管腔構造として観察される。膵臓は胃の背側で大血管(脾静脈・腹部大動脈)の前方に位置する実質臓器で、位置が異なる。●心窩部縦走査の解剖=前方から肝左葉→胃→膵体部→脾静脈・腹部大動脈・椎体。●実質臓器=肝臓・膵臓(均一な実質エコー)。●管腔・含気臓器=胃・横行結腸(含気による音響陰影)。●無エコー構造=胆囊・大血管。

選択肢ごとの解説

第72回 午後19(臨床生理学)

下肢静脈の超音波検査で誤っているのはどれか。

正答: ④カラードプラ法では流速レンジを上げて血流を確認する。

ポイント
下肢静脈は血流速度が遅いため、カラードプラでは流速レンジ(速度スケール)を『下げて』低速血流を描出する。レンジを上げると低速の静脈血流が表示されにくくなり、『流速レンジを上げて』という記述が誤りである。浅在静脈には高周波リニアプローブを用い、圧迫法・バルサルバ法・ミルキング法で血栓や逆流を評価する。●下肢静脈エコーの手技=圧迫法(血栓で虚脱せず)・ミルキング法(末梢を圧迫し血流誘発)・バルサルバ法(逆流評価)。●描出条件=低流速向けに流速レンジを下げる・高周波リニアプローブ使用。●深部静脈血栓症の所見=内腔の血栓・圧迫で虚脱しない・血流欠損。

選択肢ごとの解説

第72回 午後20(臨床生理学)

機能からみた場合の脳幹に含まれないのはどれか。

正答: ④小脳

ポイント
機能的にみた脳幹は中脳・橋・延髄から構成され、間脳(視床・視床下部)を含める考え方もある。小脳は運動の協調や平衡を担う独立した構造で、脳幹には含まれない。脳幹には呼吸・循環中枢や脳神経核、上行・下行性の伝導路が集まる。●脳幹=中脳・橋・延髄(間脳を含める場合あり)。●小脳の機能=運動の協調・平衡・筋緊張の調節。●間脳=視床(感覚の中継)・視床下部(自律神経・内分泌)。●脳幹の主な機能=呼吸中枢・循環中枢(延髄)・脳神経核・意識の維持(網様体賦活系)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後21(臨床生理学)

健常者の尺骨神経で行った逆行性記録法による感覚神経伝導検査の記録波形を別に示す。感覚神経活動電位〈SNAP〉の振幅が刺激部位によって図示するように低下する機序はどれか。2つ選べ。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB021.5ad792babf.jpg
第72回 午後21 の図

正答: ②位相相殺・⑤生理的な時間的分散

ポイント
刺激部位が記録電極から離れた近位になるほど、太さの異なる神経線維間の伝導速度差により各線維の活動電位が時間的にずれて到達する(生理的な時間的分散)。分散した波形では陽性成分と陰性成分が重なって打ち消し合い(位相相殺)、合成されるSNAPの振幅が低下する。これは健常者にもみられる正常な現象で、伝導ブロックとは異なる。●近位刺激で振幅低下する生理的機序=時間的分散・位相相殺。●病的な振幅低下=伝導ブロック(脱髄)・軸索変性。●不応期=連続刺激による応答低下の機序。●SNAP評価項目=振幅・伝導速度・潜時。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:神経伝導検査における軸索変性と脱髄の鑑別所見

項目軸索変性脱髄
運動神経-伝導速度正常低下
運動神経-遠位潜時正常延長
運動神経-CMAP振幅低下低下
運動神経-CMAP持続時間正常延長
運動神経-伝導ブロックなしあり
運動神経-異常な時間的分散なしあり
感覚神経-伝導速度正常低下
感覚神経-SNAP振幅低下低下
伝導速度の速い神経線維に軸索消失があると軽度の低下・延長がみられることがある。軸索変性の病初期には可逆性の伝導ブロック(reversible conduction failure)がみられることがある。近位刺激で健常者でもみられる生理的な振幅低下の機序として、神経線維間の伝導速度差による生理的な時間的分散とそれに伴う位相相殺があり、病的な伝導ブロックとは区別される。

第72回 午後22(臨床生理学)

MRI検査で脳脊髄液が高信号となる撮像法はどれか。

正答: ③T2強調画像

ポイント
水(脳脊髄液)はT2強調画像で高信号(白)、T1強調画像で低信号(黒)となる。FLAIRはT2強調をベースに水の信号を抑制して低信号にする撮像法である。拡散強調画像は急性期梗塞などが高信号となり、正常髄液が特徴的に高信号となる撮像ではない。●T2強調=水(髄液)高信号・脂肪も比較的高信号。●T1強調=水低信号・脂肪高信号・解剖描出に優れる。●FLAIR=水(髄液)抑制で病変を明瞭化。●拡散強調=急性梗塞・膿瘍が高信号(細胞性浮腫)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:MRI撮像法と組織の信号

撮像法信号の特徴主な用途
T1強調像自由水(髄液等):低信号(黒)、脂肪:高信号(白)解剖の描出に優れる
T2強調像自由水:高信号(白)、脂肪:中等度信号(灰色)病変(浮腫等)の検出に優れる
FLAIRT2をベースに自由水(髄液)の信号を抑制脳室周囲病変の明瞭化
拡散強調像〈DWI〉急性期脳梗塞などが高信号発症直後からの脳梗塞検出に優れる
拡散テンソル画像〈DTI〉水分子の拡散異方性を利用神経線維(白質)の走行を描出、脳腫瘍の術式決定等に利用
MRIで画像化する原子核は水素原子核(プロトン)のみ。頭部は造影剤なしで血管撮像(MRA)も可能。

第72回 午後23(臨床生理学)

肢誘導心電図を別に示す。心電図所見はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB023.ac417aebf7.jpg
第72回 午後23 の図

正答: ⑤心室期外収縮

ポイント
心室期外収縮(PVC)は先行するP波を伴わず、心室内で異所性に発生するため幅広いQRSが正常周期より早期に出現し、しばしば代償性休止を伴う。心房細動はP波消失とRR不整の持続、心房粗動は鋸歯状F波、上室期外収縮は先行する異所性P波と幅の狭いQRS、III度房室ブロックはP波とQRSの完全解離で区別される。●幅広QRSの早期出現=心室期外収縮(PVC)。●P波消失・RR不整=心房細動。●鋸歯状F波=心房粗動。●P-QRS完全解離=III度(完全)房室ブロック。●先行異所性P波・狭いQRS=上室期外収縮。

選択肢ごとの解説

第72回 午後24(臨床生理学)

ヘモグロビン酸素解離曲線で正しいのはどれか。

正答: ⑤右方偏移すると末梢組織での酸素放出が増える。

ポイント
ヘモグロビン酸素解離曲線は横軸に酸素分圧(PO2)、縦軸に酸素飽和度(SO₂)をとるS字状曲線である。右方偏移するとヘモグロビンの酸素親和性が低下し、末梢組織での酸素放出が増える。体温上昇・PCO2上昇・アシドーシス(酸)・2,3-DPG増加で右方偏移し、これらの逆で左方偏移する。●右方偏移(酸素を離しやすい)=体温上昇・PCO2上昇・アシドーシス(pH低下)・2,3-DPG増加。●左方偏移(酸素を離しにくい)=体温低下・PCO2低下・アルカローシス(pH上昇)・2,3-DPG減少・CO中毒・胎児ヘモグロビン。●指標=P50(SO₂が50%となるPO2)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後25(臨床生理学)

1秒率低下を特徴とするのはどれか。

正答: ④慢性閉塞性肺疾患

ポイント
1秒率(FEV1/FVC)の低下は閉塞性換気障害の指標で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息で気道狭窄により低下する。間質性肺炎や肺切除後は肺容量が減少する拘束性障害で、1秒率はむしろ保たれる。肺水腫も拘束性パターンを示しやすく、睡眠時無呼吸症候群は上気道の睡眠時閉塞でスパイロの1秒率低下が特徴ではない。●閉塞性障害(1秒率低下<70%)=COPD・気管支喘息・びまん性汎細気管支炎。●拘束性障害(%肺活量低下)=間質性肺炎・肺線維症・肺切除後・胸郭運動制限。●混合性=両者の合併。●指標=1秒率(FEV1/FVC)・%肺活量(%VC)・%1秒量。

選択肢ごとの解説

第72回 午後26(臨床生理学)

過呼吸賦活法開始前の脳波と開始2分後の脳波を別に示す。最も考えられるのはどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB026.5f6ea553e1.jpg
第72回 午後26 の図

正答: ②build up

ポイント
過呼吸賦活は脳波検査の代表的賦活法で、過換気による血中二酸化炭素低下と脳血管収縮を介して全般性に高振幅徐波が出現する反応を build up という。生理的反応として小児や若年者で目立ち、賦活終了後数十秒で消退する。図は開始2分後に全般性徐波が増強しており build up に合致する。異常波(てんかん性放電など)の誘発を兼ねる目的でも行われる。●過呼吸で誘発・増強しうる異常=欠神てんかんの3Hz棘徐波複合。●賦活法の種類=開閉眼・間欠的光刺激・過呼吸・睡眠賦活。●build upの増強因子=低血糖・小児/若年。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:脳波賦活法の種類と目的・誘発される異常

賦活法主な内容
過呼吸賦活過換気による血中二酸化炭素低下・脳血管収縮を介し、生理的にはbuild up(全般性高振幅徐波の増強)が出現。欠神てんかんの3Hz棘徐波複合を誘発しうる
間欠的光刺激光刺激による異常波(光突発反応等)の誘発
睡眠賦活睡眠に伴い出現しやすいてんかん性異常波の誘発
開閉眼α波の抑制(ブロッキング)の確認
build upは小児や若年者で目立ちやすく、賦活終了後数十秒で消退する生理的反応。

第72回 午後27(臨床生理学)

健常者のレム睡眠時にみられる睡眠ポリグラフィ〈PSG〉の所見はどれか。

正答: ④急速眼球運動

ポイント
レム睡眠は急速眼球運動(rapid eye movement)を伴い、脳波は低振幅で覚醒に近い速波を示し、オトガイ筋など骨格筋の筋緊張がほぼ消失するのが特徴である。夢を多くみる時期で、自律神経活動が変動する。これに対しノンレム睡眠では紡錘波・K-複合・高振幅徐波が段階に応じて出現する。●ノンレム段階の指標=段階2=紡錘波・K-複合、段階3〜4=高振幅徐波(徐波睡眠)。●レムの指標=急速眼球運動・低振幅速波・筋緊張消失。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:睡眠段階(AASM分類)と脳波所見

睡眠段階脳波の主な所見区分
Stage W(覚醒)後頭部優位のα波。閉眼安静時に出現覚醒
Stage N1α波が減少し振幅低下、低振幅4〜7Hzのθ波混在。後半に瘤波〈頭頂鋭波〉が出現Non-REM睡眠
Stage N2紡錘波(12〜14Hz)が出現。明瞭な陰性鋭波に続いて陽性成分が現れるK複合(持続0.5秒以上)も出現Non-REM睡眠
Stage N3高振幅δ波(2Hz以下・75μV以上)が1エポックの20%以上を占めるNon-REM睡眠(徐波睡眠)
Stage R(REM)N1に似た低振幅波形だが瘤波は出現しない。急速眼球運動を伴うREM睡眠
睡眠ステージ1(N1)からステージ2(N2)への移行は、紡錘波の出現で判断する。旧Rechtschaffen & Kales分類のStage3・4はAASM分類でStage N3に統一された。

第72回 午後28(臨床生理学)

総頸動脈の超音波像を別に示す。内中膜複合体厚〈IMT〉はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB028.20fa5e5a8a.jpg
第72回 午後28 の図

正答: なし(厚生労働省が採点除外とした不適切問題)

ポイント
内中膜複合体厚(IMT)は総頸動脈などの動脈壁で、内膜と内腔の境界から中膜と外膜の境界までの厚さを指し、超音波で遠位壁(後壁)を計測して動脈硬化の指標とする。一般に1.1mm以上を肥厚とみなす。なお本問は公式に採点除外(正答なし・全員正解扱い)となっている。●頸動脈エコーの評価項目=IMT・プラーク(最大厚・性状)・狭窄率・血流速度。●動脈硬化の評価法=頸動脈IMT・脈波伝播速度(PWV)・足関節上腕血圧比(ABI)・心臓足首血管指数(CAVI)。

解説
※採点除外問題(全員正解扱い)

選択肢ごとの解説

第72回 午後29(臨床化学)

細胞内小器官で糖鎖の付加を行うのはどれか。

正答: ③ゴルジ装置

ポイント
蛋白への糖鎖付加(糖鎖修飾)は粗面小胞体で開始され、ゴルジ装置で糖鎖の修飾・完成と選別・輸送が行われる。ゴルジ装置は扁平な槽が積み重なった構造で、分泌蛋白や膜蛋白の最終的な仕分けを担う。●細胞内小器官の機能=核=遺伝情報の保管・転写、リボソーム=蛋白合成、小胞体=蛋白・脂質合成と糖鎖付加の開始、ゴルジ装置=糖鎖修飾・選別、リソソーム=加水分解(分解)、ミトコンドリア=ATP産生、中心体=紡錘体形成。

選択肢ごとの解説

第72回 午後30(臨床化学)

グリコーゲンを貯蔵する主な組織はどれか。

正答: ②筋肉

ポイント
グリコーゲンは肝臓と骨格筋に主に貯蔵される。肝臓は濃度(重量比)では筋肉より高いが、組織重量が大きいぶん総量では骨格筋が最も多い。肝グリコーゲンは血糖維持のため全身に供給されるのに対し、筋グリコーゲンは筋自身の収縮エネルギーに用いられる(グルコース6-ホスファターゼを欠くため血糖供給はしない)。●グリコーゲン代謝=合成=グリコーゲンシンターゼ、分解=グリコーゲンホスホリラーゼ。●糖代謝臓器=肝=血糖維持・糖新生、筋=自家消費、脳=グルコース常時消費(貯蔵は乏しい)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後31(臨床化学)

血清を試料として定量可能なのはどれか。

正答: ⑤TSH

ポイント
ペプチドホルモンのうちACTH・ADH(バソプレシン)・BNPは血中で不安定であり、EDTA加血漿・採血後の氷冷・速やかな血漿分離など特別な取り扱いを要するため血清測定には適さない。PTHも安定性への配慮が必要だが、血清/血漿の適用や採血・保存条件は測定試薬の添付文書に従う(血清を適用検体とする測定系もある)。TSHは比較的安定で、血清を試料として測定できる。●不安定で専用採血を要するホルモン=ACTH・ADH・BNP・PTH(EDTA加・氷冷・速やかな分離)。●血清で安定に測定できる代表=TSH・遊離サイロキシン(FT4)・コルチゾール。●採血管=EDTAは凝固阻止と分解抑制を兼ねる。

選択肢ごとの解説

第72回 午後32(臨床化学)

500nmの余色〈補色〉はどれか。

正答: ②赤

ポイント
ある波長の光を吸収する溶液は、その補色(余色)として目に見える。補色は色相環で反対側に位置する色の関係で、約500nmは青緑(緑系)の領域にあり、その補色は赤である。すなわち500nm付近を吸収する溶液は赤色に見える。●補色の関係(吸収波長→見える色)=400〜435nm(紫)→黄緑、490〜500nm(青緑)→赤、560〜580nm(黄緑〜黄)→紫、620〜700nm(赤)→青緑。●吸光光度法=物質が極大吸収を示す波長を選び、補色の色調として観察される。

選択肢ごとの解説

第72回 午後33(臨床化学)

アンモニアで正しいのはどれか。

正答: ⑤臨床検査ではアンモニア窒素濃度として表示する。

ポイント
アンモニアは主に肝臓の尿素回路で尿素に変換されて無毒化され、組織で生じたアミノ酸の脱アミノ反応に由来する。血漿中では遊離(溶存)して存在し、臨床検査ではアンモニア態窒素(窒素換算)として表示する。測定はGLDH法(グルタミン酸脱水素酵素によるNADPH減少を340nmで追跡)が用いられ、ウレアーゼは尿素測定に用いる試薬である。●窒素化合物の処理=アンモニア→尿素回路(肝)→尿素として腎排泄。●窒素として表示する項目=尿素窒素(BUN)・アンモニア態窒素・非蛋白窒素。●高アンモニア血症の原因=肝不全・門脈大循環シャント・尿素回路酵素欠損。

選択肢ごとの解説

第72回 午後34(臨床化学)

脂質代謝で誤っているのはどれか。

正答: ①ケトン体は胆汁酸の原料となる。

ポイント
胆汁酸はコレステロールを原料に肝臓で合成される。ケトン体(アセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸・アセトン)は脂肪酸のβ酸化で生じるアセチルCoAから肝で産生され、肝外組織のエネルギー基質となるもので、胆汁酸の原料ではない。●脂質の役割=リン脂質=細胞膜(脂質二重膜)の主成分、コレステロール=膜成分・胆汁酸/ステロイドホルモンの原料、トリグリセライド=エネルギー貯蔵。●血漿脂質の存在様式=コレステロールは約2/3がエステル型、遊離脂肪酸はアルブミン結合で運搬。●リポ蛋白の主成分=カイロミクロン=トリグリセライドが主体。

選択肢ごとの解説

第72回 午後35(臨床化学)

日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法による酵素活性測定で340nmの吸光度増加を測定するのはどれか。

正答: ④CK

ポイント
340nmはNADH/NADPHの極大吸収波長で、補酵素の生成・消費を追跡する酵素活性測定に用いられる。CKは共役系(クレアチンキナーゼ→ヘキソキナーゼ→グルコース6リン酸脱水素酵素)でNADPHを生成するため、340nmの吸光度の増加を測定する。●340nm増加(NAD(P)H生成)=CK・LD逆反応など。●340nm減少(NAD(P)H消費)=AST・ALT(共役系でNADH消費)。●比色法(合成基質)=ALP(4-ニトロフェニルリン酸→405nm)・ChE・γ-GT(合成基質の発色)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後36(臨床化学)

脂溶性ビタミンはどれか。

正答: ⑤カルシフェロール

ポイント
脂溶性ビタミンはA・D・E・Kの4種で、過剰摂取で蓄積・過剰症をきたしうる。カルシフェロールはビタミンDの別名で脂溶性に属する。チアミン(B1)・リボフラビン(B2)・コバラミン(B12)・アスコルビン酸(C)はいずれも水溶性ビタミンである。●脂溶性ビタミン=A(レチノール)・D(カルシフェロール)・E(トコフェロール)・K。●水溶性ビタミン=B群(B1チアミン・B2リボフラビン・B6・B12コバラミン・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ビオチン)・C(アスコルビン酸)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き

分類ビタミン化学名主な働き
脂溶性ビタミンAレチノール視覚(ロドプシン)・上皮の維持。RBP〈レチノール結合蛋白〉で運搬
脂溶性ビタミンDカルシフェロール腸管Ca・P吸収、骨形成。肝で25位、腎で1α位が水酸化され活性化
脂溶性ビタミンEトコフェロール抗酸化作用(生体膜の脂質を保護)
脂溶性ビタミンKフィロキノン/メナキノン血液凝固因子(第II・VII・IX・X因子)の生成
水溶性ビタミンB1チアミン糖代謝の補酵素(TPP)
水溶性ビタミンB2リボフラビン酸化還元の補酵素(FAD・FMN)
水溶性ナイアシンニコチン酸酸化還元の補酵素(NAD・NADP)
水溶性ビタミンB6ピリドキシンアミノ基転移酵素の補酵素(PLP)
水溶性ビタミンB12コバラミンDNA合成・造血(胃壁細胞の内因子と結合し回腸で吸収)
水溶性葉酸(フォラシン)DNA合成・造血
水溶性ビタミンCアスコルビン酸コラーゲン合成・抗酸化
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。

第72回 午後37(臨床化学)

ナトリウムを測定する電極はどれか。2つ選べ。

正答: ①ガラス・②クラウンエーテル

ポイント
イオン選択電極は感応膜が特定イオンに選択的に応答することで濃度を測定する。ナトリウムイオン(Na⁺)選択電極の感応膜にはNa⁺選択性ガラス膜や、Na⁺を選択的に取り込む環状ポリエーテルであるクラウンエーテルが用いられる。●イオン選択電極の担体=Na⁺=ガラス膜・クラウンエーテル、K⁺=バリノマイシン、Cl⁻等陰イオン=第4級アンモニウム塩、Ca²⁺=中性キャリア(イオノフォア)。●pH測定=水素イオン選択性ガラス電極。●酵素電極=基質(グルコース等)測定用で特定イオン選択ではない。

選択肢ごとの解説

第72回 午後38(臨床化学)

アルブミンで正しいのはどれか。

正答: ①血清中濃度は座位よりも臥位で低くなる。

ポイント
アルブミンなどの高分子蛋白は、臥位では体液の再分布により血漿が相対的に希釈されるため、座位や立位より低値となる(体位による濃縮・希釈の影響)。血清アルブミンの測定にはBCG法やBCP改良法(色素結合法)が用いられる。半減期は約20日でRapid Turnover Proteinには分類されない。●Rapid Turnover Protein(半減期が短い蛋白)=プレアルブミン(トランスサイレチン)・トランスフェリン・レチノール結合蛋白。●色素結合法=BCG法・BCP改良法(血清用)。●尿中微量アルブミン=免疫法(免疫比濁等)で測定。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血清総蛋白・アルブミンの定量法と主な性質

項目原理・分類特徴
ビウレット法(総蛋白)強アルカリ性下でペプチド結合とCu²⁺がキレート錯体形成測定波長545nm。蛋白の種類によらずペプチド結合数に比例して呈色
BCG法(アルブミン)色素結合法アルブミンと色素の結合を利用
BCP改良法(アルブミン)色素結合法血清アルブミン測定に使用
尿中微量アルブミン免疫法(免疫比濁法等)色素結合法ではなく免疫学的手法で測定
アルブミンの体位変動-臥位では座位よりも血漿の希釈により低値となる
アルブミンの半減期・機能-半減期は約20日。Rapid Turnover Protein(半減期の短い蛋白)には分類されない。遊離脂肪酸・ビリルビン・薬物・カルシウム等を運搬し、カルシウムとは正の相関を示す
免疫グロブリンの電気泳動分画-大部分がγ分画に泳動される

第72回 午後39(臨床化学)

血漿カルシウム高値かつPTH低値となる疾患はどれか。

正答: ②悪性腫瘍の骨転移

ポイント
血漿カルシウム高値かつPTH低値となるのはPTH非依存性の高カルシウム血症で、悪性腫瘍が代表である。腫瘍の骨転移による骨破壊やPTH関連蛋白(PTHrP)産生で高Caとなり、負のフィードバックで本来のPTHは抑制され低値となる。原発性副甲状腺機能亢進症では高Caに対しPTHが不適切に高値を示す。●高Ca血症の分類=PTH依存性(原発性副甲状腺機能亢進症=高Ca・高PTH)/PTH非依存性(悪性腫瘍・ビタミンD中毒・サルコイドーシス=高Ca・低PTH)。●低Ca血症=慢性腎臓病・ビタミンD欠乏(二次性にPTH高値)・偽性副甲状腺機能低下症(PTH抵抗性で低Ca・高PTH)。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:血中カルシウム異常とPTH値によるパターン分類(PTH依存性・非依存性)

病態血中カルシウムPTH
原発性副甲状腺機能亢進症高値高値(PTH依存性)
悪性腫瘍(PTHrP産生・骨転移)高値低値(PTH非依存性、負のフィードバックで抑制)
慢性腎臓病低値高値(二次性副甲状腺機能亢進症)
ビタミンD欠乏症低値高値(二次性副甲状腺機能亢進症)
偽性副甲状腺機能低下症低値高値(PTH抵抗性のため)

第72回 午後40(臨床化学)

脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉で正しいのはどれか。

正答: ②心室で合成される。

ポイント
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は主に左心室の心筋で合成・分泌される心臓ホルモンで、32個のアミノ酸からなる。血管拡張とナトリウム利尿(排泄促進)により循環血液量と心負荷を軽減し、心不全の重症度マーカーとして用いられる。採血後は不安定でEDTA加・氷冷・速やかな測定を要する。●ナトリウム利尿ペプチド=ANP(心房性、心房で産生)・BNP(脳性、心室で産生)・CNP(血管内皮)。●心不全マーカー=BNP・NT-proBNP。●作用=血管拡張・Na利尿・レニンアンジオテンシン系抑制。

選択肢ごとの解説

第72回 午後41(臨床化学)

転移酵素はどれか。2つ選べ。

正答: ①ALT・③CK

ポイント
転移酵素(トランスフェラーゼ、EC2群)はある官能基を別の分子に転移する酵素である。ALTはアミノ基を転移するアミノ基転移酵素、CKはリン酸基を転移するキナーゼで、いずれも転移酵素に属する。●酵素の分類=酸化還元酵素(LD・GLDH)・転移酵素(AST・ALT・CK・γ-GT)・加水分解酵素(ChE・リパーゼ・アミラーゼ・ALP)・脱離酵素(リアーゼ)・異性化酵素・合成酵素(リガーゼ)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後42(臨床化学)

便中カルプロテクチンで正しいのはどれか。

正答: ⑤潰瘍性大腸炎の病勢の評価として測定される。

ポイント
カルプロテクチンは好中球など白血球の細胞質に多く含まれるカルシウム結合蛋白で、便中濃度は腸管粘膜の好中球性炎症の程度を反映する。潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患(IBD)の病勢評価・再燃モニタリングに用いられ、便中で比較的安定で食事の影響を受けにくい。●便を用いる検査=便潜血(免疫法)・便中カルプロテクチン・便中ヘモグロビン・寄生虫検査。●炎症性腸疾患のマーカー=便中カルプロテクチン・CRP・赤沈。●好中球由来蛋白=カルプロテクチン・ラクトフェリン・ミエロペルオキシダーゼ(MPO)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後43(臨床化学)

ゲル濾過クロマトグラフィで溶出の順番が最も遅いリポ蛋白はどれか。

正答: ②高比重リポ蛋白〈HDL〉

ポイント
ゲル濾過クロマトグラフィでは、大きい粒子は担体の細孔に入れず素早く溶出し、小さい粒子は細孔内を通る経路が長くなり遅く溶出する(分子ふるい効果)。リポ蛋白では粒子径がカイロミクロン>VLDL>IDL>LDL>HDLの順で、最も小さいHDLが最も遅く溶出する。●リポ蛋白(粒子径・大→小/比重・小→大)=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。●ゲル濾過の溶出順=大きい粒子ほど早く、小さい粒子ほど遅い。●リポ蛋白の機能=カイロミクロン/VLDL=トリグリセライド運搬、LDL=コレステロール末梢輸送、HDL=コレステロール逆転送。

選択肢ごとの解説

第72回 午後44(臨床化学)

ATP産生に関与しないのはどれか。

正答: ⑤尿素サイクル

ポイント
ATP産生は嫌気的解糖・クエン酸回路・電子伝達系(酸化的リン酸化)・脂肪酸のβ酸化が担う。尿素サイクル(尿素回路)はアンモニアを尿素に変換する解毒経路で、ATPを産生せずむしろ消費する。●ATP産生経路=解糖系(基質レベルのリン酸化)・クエン酸回路(GTP・NADH/FADH2)・β酸化(NADH/FADH2)・電子伝達系(酸化的リン酸化)。●ATPを消費する経路=尿素回路・糖新生・脂肪酸合成。

選択肢ごとの解説

第72回 午後45(病理組織細胞学)

脱灰で誤っているのはどれか。

正答: ③プランク・リクロ液には硫酸が含まれる。

ポイント
プランク・リクロ(Plank-Rychlo)液は塩酸・ギ酸・塩化アルミニウムなどからなる強い酸脱灰液で、硫酸は含まない。脱灰は温度が高いほど速いが組織傷害も増し、組織は脱灰液中で沈めず上〜中層に保つ。残存酸の中和には硫酸ナトリウムを用い、抗原性を保ちたい免疫染色目的にはEDTA液(キレート脱灰)を用いる。●脱灰液=酸脱灰(塩酸・硝酸・ギ酸・プランク・リクロ液)/キレート脱灰(EDTA、抗原性保持・免疫染色向き)。●脱灰の促進・確認=温度・撹拌で促進、終点判定はX線・化学的検査。

選択肢ごとの解説

第72回 午後46(病理組織細胞学)

PAS反応で正しいのはどれか。

正答: ④グリコーゲン検出の場合セロイジン被膜法が有効である。

ポイント
PAS反応は組織中のジオール(多糖・糖蛋白など)を過ヨウ素酸で酸化してアルデヒドを生成し、シッフ試薬で赤紫色に染める反応である。シッフ試薬は塩基性フクシンを亜硫酸(メタ重亜硫酸など)で脱色して作製し、効力確認はホルマリン液に滴下して赤紫の発色をみる。水溶性で流出しやすいグリコーゲンはセロイジン被膜法で保持すると検出しやすい。●PAS陽性物質=グリコーゲン・粘液・基底膜・真菌(細胞壁)。●グリコーゲン同定=ジアスターゼ消化試験(消化でPAS陰性化)。●被膜法=セロイジン被膜で水溶性物質の流出を防ぐ。

選択肢ごとの解説

第72回 午後47(病理組織細胞学)

ホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いた酵素抗体法の内因性ペルオキシダーゼをブロックする試薬はどれか。

正答: ⑤過酸化水素加メタノール

ポイント
ペルオキシダーゼ標識を用いる酵素抗体法では、組織中に元々存在する内因性ペルオキシダーゼ(赤血球・好中球など)がDABなどの発色を起こし非特異反応となるため、過酸化水素加メタノールで前処理して内因性酵素を失活させる。●免疫染色の前処理=抗原賦活(クエン酸緩衝液・EDTAによる熱処理)/内因性ペルオキシダーゼブロック(過酸化水素加メタノール)/非特異的結合のブロック(正常動物血清・カゼイン・BSA)。●標識酵素=ペルオキシダーゼ(HRP)・アルカリホスファターゼ。

選択肢ごとの解説

第72回 午後48(病理組織細胞学)

染色体数の異常を伴うのはどれか。

正答: ③Klinefelter症候群

ポイント
Klinefelter症候群は47,XXYで性染色体(X)が1本多い染色体『数』の異常(性染色体異数性)である。他の選択肢はいずれも特定遺伝子の変異による単一遺伝子病で、染色体数の異常ではない。●染色体数の異常(異数性)=Down症候群(21トリソミー)・Edwards症候群(18トリソミー)・Patau症候群(13トリソミー)・Turner症候群(45,X)・Klinefelter症候群(47,XXY)。●単一遺伝子病=Wilson病(ATP7B)・Marfan症候群(フィブリリン)・von Hippel-Lindau病(VHL)・Duchenne型筋ジストロフィ(ジストロフィン)。

選択肢ごとの解説

第72回 午後49(病理組織細胞学)

喀痰のPapanicolaou染色標本を別に示す。出現している細胞はどれか。

図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB049.38991a26a8.jpg
第72回 午後49 の図

正答: ③小細胞癌細胞

ポイント
小細胞癌の細胞は小型で細胞質に乏しく裸核状を示し、核クロマチンは細顆粒状で核小体は不明瞭、隣接する核が互いに押し合う核の鋳型(モールディング)が特徴である。喀痰では結合性の弱い小型異型細胞が連珠状に出現する。●肺癌の細胞像=小細胞癌=小型・裸核状・核モールディング、腺癌=核小体明瞭・腺腔形成や粘液空胞、扁平上皮癌=厚い細胞質・角化・オレンジG好性。●良性細胞=塵埃細胞(炭粉貪食マクロファージ)・線毛をもつ気管支上皮細胞。

選択肢ごとの解説

📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)

組織型組織像・細胞像の特徴好発部位頻度予後
扁平上皮癌細胞間橋・角化・癌真珠。重層扁平上皮に類似。Pap染色では角化を反映した光輝性の橙色細胞質肺門部(中枢)約30%比較的良
腺癌管腔形成のある立方・円柱状上皮の増殖、粘液産生末梢部約38%(最多)不良
小細胞癌均等な小型細胞が胞巣状・索状に増殖、裸核様小型細胞、核鋳型(molding)、中心壊死肺門部(中枢)約22%最も不良
大細胞癌大型で多形性の細胞が特定の配列を作らず増殖、低分化末梢部に多い約4%不良
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。

第72回 午後50(病理組織細胞学)

類上皮細胞肉芽腫を形成する疾患はどれか。

正答: ④サルコイドーシス

ポイント
サルコイドーシスは全身の臓器(肺門リンパ節・肺・眼・皮膚など)に非乾酪性の類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の疾患である。類上皮細胞肉芽腫はマクロファージ由来の類上皮細胞とラングハンス型巨細胞が集簇したものである。●類上皮細胞肉芽腫を形成する疾患=結核(乾酪壊死を伴う)・サルコイドーシス(非乾酪性)・クローン病・らい・真菌症・異物肉芽腫。●非肉芽腫性炎症=化膿性炎(好中球主体)・線維素性炎・偽膜性腸炎・間質性肺炎(線維化主体)。

選択肢ごとの解説