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第72回(2026) 臨床検査技師国家試験 午後1〜50|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第72回 午後1(臨床検査総論)
採血時のパンピング(何度も手を握ったり開いたりを繰り返す動作)で偽高値になるのはどれか。
①リン ②カリウム ③クロール ④カルシウム ⑤ナトリウム
正答: ②カリウム
ポイント 採血時のパンピング(手の開閉運動)では前腕の骨格筋が反復収縮し、筋細胞内に高濃度に存在するカリウムが細胞外へ放出されるため、血清カリウムが偽高値となる。同様に止血帯の長時間駆血や駆血中のクレンチングも偽高値の原因になる。カリウムは細胞内に約150mmol/L存在し、わずかな漏出でも血清値に大きく影響する。●偽高値の機序=溶血(赤血球からのK放出)・パンピング(筋からのK放出)・採血後の長時間放置・低温保存(Na-Kポンプ停止)・血小板増多や白血球増多での凝固時放出。●偽低値の例=高度高脂血症や高蛋白血症による電解質の偽性低値(間接電位法での容積排除効果)。
選択肢ごとの解説
① リンも細胞内に多いが、パンピングによる偽高値の代表ではない。 ② 前腕筋の反復収縮で細胞内カリウムが放出され、血清カリウムが偽高値となる。 ③ クロールは細胞外液主体の陰イオンで、パンピングで偽高値にならない。 ④ カルシウムは筋収縮で偽高値の代表とはならない。 ⑤ ナトリウムは細胞外液主体で、パンピングで偽高値にならない。
第72回 午後2(臨床検査総論)
尿試験紙法で酵素法を原理とするのはどれか。
①蛋白 ②亜硝酸塩 ③ケトン体 ④グルコース ⑤ビリルビン
正答: ④グルコース
ポイント 尿試験紙のグルコース検査はグルコースオキシダーゼ(GOD)とペルオキシダーゼ(POD)を用いた酵素法で、生じた過酸化水素が色原体を酸化発色させる。他の項目は化学反応を原理とし、蛋白はpH指示薬の蛋白誤差、亜硝酸塩とビリルビンはジアゾカップリング、ケトン体はニトロプルシド反応による。酵素法のため特異性が高く、還元糖の中でもグルコースに選択的に反応する。●酵素法=グルコース(GOD-POD)。●pH指示薬の蛋白誤差=蛋白(主にアルブミンを検出)。●ジアゾ反応=亜硝酸塩(細菌由来)・ビリルビン。●ニトロプルシド反応=ケトン体(アセト酢酸を主に検出)。●その他=潜血(ヘモグロビンの擬ペルオキシダーゼ作用)・ウロビリノゲン(アルデヒド反応またはジアゾ反応)。
選択肢ごとの解説
① pH指示薬の蛋白誤差を利用する化学法で、酵素法ではない。 ② ジアゾカップリングによる化学法で、酵素法ではない。 ③ ニトロプルシド反応による化学法で、酵素法ではない。 ④ グルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼを用いる酵素法で検出する。 ⑤ ジアゾカップリングによる化学法で、酵素法ではない。
第72回 午後3(臨床検査総論)
経口摂取した薬剤と便の色調の組合せで正しいのはどれか。
①鉄剤 — 赤色 ②蒼鉛 — 白色 ③葉緑素製剤 — 黒色 ④硫酸バリウム — 白色 ⑤ケイ酸アルミニウム — 黒色
正答: ④硫酸バリウム — 白色
ポイント 硫酸バリウムは消化管X線造影剤で、吸収されずに腸管内を通過するため服用後の便は白色(灰白色)となる。鉄剤は硫化鉄を生じて黒色便、蒼鉛(ビスマス)製剤も硫化ビスマスで黒色便となる。葉緑素(クロロフィル)製剤は緑色便を呈する。●黒色便をきたす薬剤=鉄剤・蒼鉛(ビスマス)・活性炭。●白色〜灰白色便=硫酸バリウム造影剤・胆道閉塞(胆汁うっ滞)。●緑色便=葉緑素製剤・緑色色素。●病的な便色=タール便(上部消化管出血)・鮮血便(下部消化管出血)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。鉄剤は便を黒色にする。 ② 誤り。蒼鉛(ビスマス)は便を黒色にする。 ③ 誤り。葉緑素製剤は便を緑色にする。 ④ 正しい。硫酸バリウム造影剤を服用すると便は白色になる。 ⑤ 誤り。ケイ酸アルミニウム(制酸薬)は黒色便の原因にはならない。
📋 まとめの表を見る:内服薬による便色調の変化
疾患による便色調変化(表『糞便の色調・性状と疾患』参照)と機序が異なるため、鑑別には服薬歴の確認が重要。黒色便・灰白色便は疾患でも薬剤でも生じうる点に注意。
第72回 午後4(臨床検査総論)
染色体検査における細胞培養または標本作製の過程でコルセミドを添加する理由はどれか。
①赤血球の溶解 ②細菌の増殖抑制 ③有核細胞の固定 ④有核細胞の膨化 ⑤紡錘糸の形成阻害
正答: ⑤紡錘糸の形成阻害
ポイント コルセミド(コルヒチン誘導体)は微小管の重合を阻害して紡錘糸の形成を妨げ、分裂を中期で停止させる。これにより染色体が凝縮した状態で多数の細胞を集積でき、分染標本の観察に適した中期像が得られる。続く低張処理で細胞を膨化させて染色体を広げ、固定・展開して標本化する。●染色体標本作製の流れ=細胞培養→コルセミド添加(中期停止)→低張処理(膨化・分散)→カルノア固定→展開・分染。●阻害剤=コルセミド/コルヒチン(紡錘糸形成阻害)。●低張処理=赤血球溶解と有核細胞の膨化。●固定=カルノア液(メタノール:氷酢酸=3:1)。
選択肢ごとの解説
① 赤血球の溶解は低張処理(溶血)の役割で、コルセミドではない。 ② 細菌の増殖抑制は抗菌薬の役割で、コルセミドではない。 ③ 有核細胞の固定はカルノア液などの役割で、コルセミドではない。 ④ 有核細胞の膨化は低張処理の役割で、コルセミドではない。 ⑤ 紡錘糸の形成を阻害して細胞を中期で停止させ、染色体を観察しやすくする。
第72回 午後5(臨床検査総論)
PCR法でアニーリングの至適温度に影響を与えるのはどれか。
①pH ②dNTP濃度 ③プライマーの塩基数 ④DNAポリメラーゼ濃度 ⑤マグネシウムイオン濃度
正答: ③プライマーの塩基数
ポイント アニーリングの至適温度はプライマーが鋳型に特異的に結合する温度で、プライマーの融解温度(Tm)を基準に設定する。Tmはプライマーの塩基数・GC含量・塩基配列に加え、塩濃度などの反応条件にも依存するため、塩基数が至適温度に影響する。一般にTmより約5℃低い温度をアニーリング温度の目安とする。●Tmを決める因子=プライマーの塩基数(長さ)・GC含量・塩基配列。●反応組成の役割=dNTP(伸長の基質)・Mg²⁺(酵素活性と特異性)・DNAポリメラーゼ(伸長反応)。●温度ステップ=変性(約94℃)・アニーリング(約50〜60℃)・伸長(約72℃)。
選択肢ごとの解説
① pHは反応条件だが、至適アニーリング温度の決定因子ではない。 ② dNTPはDNA伸長の基質である。濃度は遊離Mg²⁺量にも影響するが、本問ではTmを左右するプライマーの塩基数を選ぶ。 ③ プライマーの塩基数はTmを左右し、至適アニーリング温度に影響する。 ④ DNAポリメラーゼ濃度は酵素量で、アニーリング温度の決定因子ではない。 ⑤ Mg²⁺濃度は酵素活性に加えてプライマーと鋳型DNAの二本鎖の安定性にも影響する。本問では、プライマーのTmを左右する基本的因子として塩基数を選ぶが、実際の至適温度は反応液条件にも依存する。
第72回 午後6(臨床検査総論)
健常成人の髄液所見はどれか。ただし、同時測定の血漿中グルコース濃度は100mg/dLであった。
①色調 黄色透明 ②細胞数 20個/μL ③蛋白質 100mg/dL ④クロール 160mmol/L ⑤グルコース 70mg/dL
正答: ⑤グルコース 70mg/dL
ポイント 正常髄液は無色透明で、細胞数は5/μL以下、蛋白は15〜45mg/dL、糖は血糖の約2/3(同時血糖100mg/dLなら約60〜70mg/dL)、クロールは120mmol/L前後である。よってグルコース70mg/dLが正常所見に該当する。色調の黄染(キサントクロミー)、細胞増多、蛋白増加、クロール高値はいずれも異常を示す。●髄液正常値=色調 無色透明・細胞数 ≦5/μL(主に単核球)・蛋白 15〜45mg/dL・糖 血糖の約1/2〜2/3・Cl 120mmol/L前後。●細菌性髄膜炎=糖低下・蛋白増加・好中球増多・混濁。●ウイルス性髄膜炎=糖正常・蛋白軽度増加・リンパ球増多。●くも膜下出血=キサントクロミー・血性。
選択肢ごとの解説
① 誤り。正常髄液は無色透明で、黄色(キサントクロミー)は異常所見である。 ② 誤り。正常の細胞数は5/μL以下である。 ③ 誤り。正常の蛋白は15〜45mg/dL程度である。 ④ 誤り。正常のクロールは120mmol/L前後である。 ⑤ 正しい。血糖100mg/dLの約2/3で、正常範囲の髄液糖である。
第72回 午後7(臨床検査総論)
ISO 15189で誤っているのはどれか。
①国内規格である。 ②リスクマネジメントについて記載している。 ③検査の質の継続的な改善を進める規格である。 ④品質マネジメントについての要求事項が含まれる。 ⑤臨床検査室の品質管理能力に関する要求事項が含まれる。
正答: ①国内規格である。
ポイント ISO 15189は臨床検査室の品質と能力(力量)に関する国際規格であり、国内規格ではない。品質マネジメントシステム、職員の力量、検査前・検査・検査後の各過程、リスクマネジメント、継続的改善などの要求事項を含む。これに基づく認定により検査結果の信頼性と国際的な同等性が担保される。●ISO規格=国際標準化機構が定める『国際』規格。●ISO 15189=臨床検査室の品質・能力に関する要求事項。●ISO 9001=組織一般の品質マネジメントシステム。●ISO/IEC 17025=試験所・校正機関の能力に関する一般要求事項。
選択肢ごとの解説
① 誤り。ISO規格は国際規格であり、国内規格ではない。 ② 正しい。リスクマネジメントに関する要求を含む。 ③ 正しい。検査の質の継続的改善を求める規格である。 ④ 正しい。品質マネジメントに関する要求事項を含む。 ⑤ 正しい。臨床検査室の技術的力量(能力)に関する要求を含む。
第72回 午後8(臨床検査総論)
体細胞分裂中期の核の模式図を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB008.77c5ea28a8.jpg
正答: ②中心体
ポイント 体細胞分裂中期では複製された中心体が細胞の両極に分かれて移動し、そこを起点に紡錘糸(紡錘体微小管)が伸びて染色体の動原体に結合する。矢印が両極に位置する点状構造を示す場合、それは中心体である。核小体は間期にrRNA合成を担い分裂期には消失し、テロメアとセントロメアは染色体上の構造である。●細胞分裂の構造=中心体(両極・紡錘糸の起点)・紡錘体(極から伸びる微小管束)・動原体(セントロメア部の付着点)。●染色体の構造=セントロメア(中央のくびれ)・テロメア(末端)・短腕(p)/長腕(q)。●間期の核構造=核小体(rRNA合成)・クロマチン。
選択肢ごとの解説
① 核小体は間期にrRNA合成を行い分裂中期には消失するため、極の構造ではない。 ② 中心体は両極に位置し紡錘糸の起点となる構造で、矢印に一致する。 ③ 紡錘体は中心体から伸びる微小管の集合(糸状)で、極の点状構造ではない。 ④ テロメアは染色体末端の構造で、極の構造ではない。 ⑤ セントロメアは染色体のくびれ(動原体)部で、極の中心体とは別である。
第72回 午後9(臨床検査総論)
尿沈渣の無染色標本を別に示す。矢印で示す結晶はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB009.ce42d2cbe1.jpg
①尿酸 ②シスチン ③ビリルビン ④コレステロール ⑤リン酸アンモニウムマグネシウム
正答: ④コレステロール
ポイント コレステロール結晶は角が一部欠けた長方形で、階段状の切れ込みをもつ無色透明の板状結晶として観察される。ネフローゼ症候群など脂質を多く含む尿(脂肪尿)で出現する。尿酸結晶は黄褐色の多形性結晶、シスチンは六角形板状、リン酸アンモニウムマグネシウムは棺の蓋状で形態が異なる。●無色板状(階段状)=コレステロール結晶(脂肪尿・ネフローゼ)。●六角形板状=シスチン結晶(シスチン尿症)。●封筒状(正八面体)=シュウ酸カルシウム。●棺の蓋状(角柱状)=リン酸アンモニウムマグネシウム(アルカリ尿・尿路感染)。●黄褐色多形性=尿酸結晶(酸性尿)。
選択肢ごとの解説
① 尿酸結晶は黄褐色で菱形や砥石状の多形性を示し、板状の切れ込み像ではない。 ② シスチン結晶は六角形板状で、コレステロールの階段状板状とは異なる。 ③ ビリルビン結晶は微細な針状・顆粒状で黄色を呈し、板状ではない。 ④ コレステロール結晶は角が欠けた階段状の無色板状結晶で、図に一致する。 ⑤ リン酸アンモニウムマグネシウムは棺の蓋状(角柱状)結晶で、板状の切れ込みとは異なる。
第72回 午後10(臨床検査総論)
x̄-R管理図法で管理するのはどれか。2つ選べ。
①施設間差 ②標準液の劣化 ③検体採取の過誤 ④分析機器の異常 ⑤パニック値の検出
正答: ②標準液の劣化・④分析機器の異常
ポイント x-R管理図は同一管理試料を反復測定し、各群の平均値(x)とばらつき(範囲R)を日々プロットして、測定系の系統誤差(偏り)や再現性の異常を検出する内部精度管理法である。標準液の劣化はxの偏りとして、分析機器の異常はxのずれやRの拡大として管理図上に現れる。施設間差は外部精度管理(サーベイ)の対象、検体採取の過誤は検査前段階の問題、パニック値検出は精度管理とは目的が異なる。●内部精度管理=x-R管理図・累積和(CUSUM)・twin plot・マルチルール(Westgard)。●外部精度管理=サーベイ(施設間差・トレーサビリティ評価)。●誤差の種類=系統誤差(偏り・x方向)・偶然誤差(ばらつき・R方向)。
選択肢ごとの解説
① 施設間差は外部精度管理(サーベイ)で評価するもので、日内の管理図の対象ではない。 ② 標準液の劣化は測定値の偏り(xのずれ)として管理図で検出できる。 ③ 検体採取の過誤は検査前段階の問題で、測定の管理図では検出できない。 ④ 分析機器の異常は測定値の偏りやばらつき増大として管理図に現れる。 ⑤ パニック値の検出は個々の患者の危険値の話で、精度管理図の目的ではない。
📋 まとめの表を見る:内部精度管理法の分類(管理試料を用いる方法・用いない方法)
累積和法は微小で持続的な偏りの検出に優れる。x̄-R管理図法は標準液の劣化・機器異常等の系統誤差/偶然誤差を検出するが、正確度(真度)そのものの評価には別途標準物質・標準法との比較が必要。
第72回 午後11(臨床検査医学総論)
ウイルス感染が発症原因の血液疾患はどれか。
①急性骨髄性白血病 ②骨髄異形成症候群 ③成人T細胞性白血病/リンパ腫〈ATLL〉 ④多発性骨髄腫 ⑤慢性リンパ性白血病
正答: ③成人T細胞性白血病/リンパ腫〈ATLL〉
ポイント 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染が発症原因で、母乳などを介して感染し長い潜伏期を経て一部が発症する。他の白血病・骨髄腫は遺伝子異常やクローン性造血幹細胞異常が背景で、特定ウイルスが直接の原因ではない。●ウイルスが原因の血液腫瘍=ATLL(HTLV-1)・Burkittリンパ腫の一部やホジキンリンパ腫(EBV)。●その他の腫瘍関連ウイルス=EBV(上咽頭癌)・HPV(子宮頸癌)・HBV/HCV(肝細胞癌)・HHV-8(Kaposi肉腫)。●遺伝子・クローン性異常による血液疾患=AML・MDS・多発性骨髄腫・CLL。
選択肢ごとの解説
① 急性骨髄性白血病は遺伝子異常などによるが、特定ウイルスが直接原因ではない。 ② 骨髄異形成症候群は造血幹細胞のクローン性異常で、ウイルス原因ではない。 ③ 成人T細胞白血病/リンパ腫はHTLV-1感染が発症原因である。 ④ 多発性骨髄腫は形質細胞の腫瘍で、ウイルスが直接原因ではない。 ⑤ 慢性リンパ性白血病は成熟Bリンパ球の腫瘍で、ウイルス原因ではない。
第72回 午後12(臨床検査医学総論)
慢性骨髄性白血病にみられる染色体異常はどれか。
①t(8;14)(q24;q32) ②t(8;21)(q22;q22) ③t(9;22)(q34;q11.2) ④t(14;18)(q32;q21) ⑤t(15;17)(q22;q12)
正答: ③t(9;22)(q34;q11.2)
ポイント 慢性骨髄性白血病(CML)は9番と22番染色体の相互転座t(9;22)(q34;q11.2)によりフィラデルフィア染色体を生じ、BCR::ABL1融合遺伝子が形成される。この融合産物のチロシンキナーゼ活性亢進が病態の中心で、その阻害薬が治療に用いられる。他の転座はそれぞれ別の腫瘍に対応する。●代表的な染色体転座=t(9;22)→CML(BCR::ABL1)・t(8;14)→Burkittリンパ腫(MYC)・t(8;21)→AML(RUNX1::RUNX1T1)・t(15;17)→急性前骨髄球性白血病(PML::RARA)・t(14;18)→濾胞性リンパ腫(BCL2)。●CMLの臨床=白血球著増・好塩基球増加・好中球アルカリホスファターゼ(NAP)低値。
選択肢ごとの解説
① t(8;14)(q24;q32)はBurkittリンパ腫(MYC)の転座である。 ② t(8;21)(q22;q22)はAML(RUNX1::RUNX1T1)の転座である。 ③ t(9;22)(q34;q11.2)はCMLのフィラデルフィア染色体(BCR::ABL1)である。 ④ t(14;18)(q32;q21)は濾胞性リンパ腫(BCL2)の転座である。 ⑤ t(15;17)(q22;q12)は急性前骨髄球性白血病(PML::RARA)の転座である。
📋 まとめの表を見る:白血病の染色体異常と融合遺伝子
第72回 午後13(臨床検査医学総論)
一過性に脳全体が虚血状態になって起こる意識障害はどれか。
正答: ④失神
ポイント 失神は一過性に脳全体の血流が低下して起こる短時間の意識消失で、原因が除かれると速やかに完全回復する。傾眠・昏迷・昏睡は意識レベル低下の程度を示す持続的な状態、せん妄は注意や認知が変動する急性の意識変容で、いずれも脳全体の一過性虚血による消失とは病態が異なる。●意識レベルの障害(覚醒度)=傾眠(刺激で覚醒)・昏迷(強い刺激でわずかに反応)・昏睡(刺激に反応せず)。●意識の質的変容=せん妄(急性・変動性・幻覚)。●一過性の意識消失=失神(脳全体の血流低下)・てんかん発作。●失神の原因=起立性低血圧・神経調節性(血管迷走神経性)・心原性(不整脈・大動脈弁狭窄)。
選択肢ごとの解説
① 傾眠は刺激で覚醒する軽い意識レベル低下で、一過性虚血による消失ではない。 ② 昏睡は強い刺激にも反応しない高度の意識障害で、一過性ではない。 ③ 昏迷は強い刺激でわずかに反応する状態で、本病態とは異なる。 ④ 失神は脳全体の一過性虚血による短時間の意識消失で、速やかに回復する。 ⑤ せん妄は注意・認知が変動する急性の意識変容で、脳虚血による一過性消失ではない。
第72回 午後14(臨床検査医学総論)
呼気延長を呈するのはどれか。
①胸膜炎 ②間質性肺炎 ③気管支喘息 ④細菌性肺炎 ⑤過換気症候群
正答: ③気管支喘息
ポイント 呼気延長は末梢気道の閉塞による閉塞性換気障害でみられ、気管支喘息やCOPDが代表である。呼出時に狭窄した気道がさらに虚脱して空気を吐ききるのに時間がかかり、呼気性喘鳴(wheeze)を伴う。胸膜炎・間質性肺炎・細菌性肺炎・過換気症候群は気道閉塞を主とせず、呼気延長は特徴ではない。●閉塞性障害(呼気延長)=気管支喘息・COPD・びまん性汎細気管支炎。●拘束性障害=間質性肺炎(fine crackles)・肺線維症・肺切除後・胸郭運動制限。●その他=胸膜炎(胸痛・胸水)・過換気症候群(頻呼吸・低CO₂)。
選択肢ごとの解説
① 胸膜炎は胸痛や胸水が主で、呼気延長は特徴ではない。 ② 間質性肺炎は拘束性で吸気時のfine cracklesが特徴で、呼気延長ではない。 ③ 気管支喘息は気道狭窄により呼気が延長し、呼気性喘鳴を伴う。 ④ 細菌性肺炎は肺胞性の炎症で、呼気延長は特徴ではない。 ⑤ 過換気症候群は頻呼吸が主で、気道閉塞による呼気延長ではない。
第72回 午後15(臨床検査医学総論)
腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか。
①敗血症 ②尿管結石 ③前立腺肥大 ④急速進行性糸球体腎炎 ⑤全身性エリテマトーデス〈SLE〉
正答: ①敗血症
ポイント 腎前性急性腎不全は腎血流量の低下で起こり、脱水・出血・心不全・敗血症性ショックなどが原因となる。敗血症ではショックによる腎灌流低下から腎前性腎不全をきたす。尿管結石・前立腺肥大は尿路閉塞による腎後性、急速進行性糸球体腎炎やSLE(ループス腎炎)は腎実質障害による腎性の原因である。●腎前性=脱水・出血・心不全・敗血症性ショック・腎動脈狭窄(腎血流低下)。●腎性=急性尿細管壊死・急速進行性糸球体腎炎・ループス腎炎・薬剤性間質性腎炎。●腎後性=尿管結石・前立腺肥大・腫瘍による尿路閉塞。
選択肢ごとの解説
① 敗血症はショックによる腎血流低下で腎前性腎不全を起こす。 ② 尿管結石は尿路閉塞による腎後性腎不全の原因である。 ③ 前立腺肥大は下部尿路閉塞による腎後性の原因である。 ④ 急速進行性糸球体腎炎は糸球体障害による腎性の原因である。 ⑤ 全身性エリテマトーデスはループス腎炎など腎実質障害(腎性)の原因である。
第72回 午後16(臨床生理学)
疾患と超音波所見の組合せで誤っているのはどれか。
①高血圧性心疾患 — 左室の求心性肥大 ②心房中隔欠損症 — 右房の拡大 ③僧帽弁狭窄症 — 僧帽弁のドーミング ④大動脈弁狭窄症 — 左室壁の菲薄化 ⑤肺高血圧症 — 右室の拡大
正答: ④大動脈弁狭窄症 — 左室壁の菲薄化
ポイント 大動脈弁狭窄症は左室から大動脈への駆出が妨げられ慢性的な圧負荷がかかるため、左室壁は求心性に『肥厚』する。『左室壁の菲薄化』という組合せが誤りである。圧負荷では壁が厚くなり、容量負荷や拡張型心筋症、心筋梗塞後では壁が菲薄化する。●圧負荷による求心性肥大=大動脈弁狭窄症・高血圧性心疾患。●容量負荷による拡大=大動脈弁閉鎖不全症・僧帽弁閉鎖不全症・心房中隔欠損症(右心系)。●僧帽弁狭窄症=弁尖のドーミング・左房拡大。●肺高血圧症=右室の圧負荷で肥大・拡大。
選択肢ごとの解説
① 正しい。高血圧の圧負荷で左室は求心性肥大をきたす。 ② 正しい。心房中隔欠損症では左右短絡で右房・右室が拡大する。 ③ 正しい。僧帽弁狭窄症では弁尖のドーミングがみられる。 ④ 誤り。大動脈弁狭窄症は圧負荷で左室壁が肥厚し、菲薄化ではない。 ⑤ 正しい。肺高血圧症では右室の圧負荷で右室が拡大・肥大する。
📋 まとめの表を見る:心疾患の負荷様式(圧負荷・容量負荷)と超音波所見
圧負荷では心室壁が求心性に肥厚し、容量負荷では心腔が拡大する。
第72回 午後17(臨床生理学)
心尖部長軸像を別に示す。パルスドプラ法によるE/Aの計測部位はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB017.46b0dc2277.jpg
正答: ②
ポイント 左室流入血流速波形(E波・A波)はパルスドプラ法で僧帽弁尖の先端(弁口)にサンプルボリュームを置いて計測する。E波は拡張早期の受動的流入、A波は心房収縮による流入を反映し、E/A比は左室拡張能の指標となる。サンプルボリュームを弁口からずらすと正確な波形が得られない。●左室拡張能の指標=E/A比(僧帽弁口流入血流)・E/e'比(組織ドプラ併用)・減速時間(DT)・等容弛緩時間(IVRT)。●計測法=パルスドプラ(サンプルボリュームで局所血流)・連続波ドプラ(高速血流・最大流速)・組織ドプラ(心筋運動速度e')。●拡張障害の進展=弛緩遅延(E/A<1)→偽正常化→拘束型(E/A>2)。
選択肢ごとの解説
① ①は左房内で、僧帽弁尖先端より心房側にある。E/Aの測定では弁尖先端②にサンプルボリュームを置く。 ② 僧帽弁尖先端(弁口)でE波・A波を計測する適正な位置である。 ③ ③は左室内の位置で、僧帽弁尖先端の流入血流を測る適正な点から外れている。 ④ ④は左室流出路で、大動脈へ向かう駆出血流の測定部位に当たる。僧帽弁流入のE波・A波を測る点ではない。 ⑤ ⑤は大動脈側の位置で、僧帽弁流入血流のE波・A波を測る部位ではない。
第72回 午後18(臨床生理学)
心窩部縦走査の超音波像を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB018.e37da62946.jpg
正答: ①胃
ポイント 心窩部縦走査では前面に肝左葉が描出され、その背側に位置する管腔臓器が胃である。胃は内容物により高エコー〜含気の像を呈し、壁の層構造を伴う管腔構造として観察される。膵臓は胃の背側で大血管(脾静脈・腹部大動脈)の前方に位置する実質臓器で、位置が異なる。●心窩部縦走査の解剖=前方から肝左葉→胃→膵体部→脾静脈・腹部大動脈・椎体。●実質臓器=肝臓・膵臓(均一な実質エコー)。●管腔・含気臓器=胃・横行結腸(含気による音響陰影)。●無エコー構造=胆囊・大血管。
選択肢ごとの解説
① 胃は肝左葉の背側に位置する管腔臓器で、矢印に一致する。 ② 肝臓は前面の充実性実質臓器で、矢印の管腔構造ではない。 ③ 膵臓は胃の背側・大血管前方の実質臓器で、位置が異なる。 ④ 胆囊は肝右葉下面の無エコー嚢状構造で、本断面の構造ではない。 ⑤ 横行結腸は含気で音響陰影を伴うが、本断面の矢印部位とは異なる。
第72回 午後19(臨床生理学)
下肢静脈の超音波検査で誤っているのはどれか。
①主にリニア型プローブを使用する。 ②圧迫法では静脈の虚脱の有無を確認する。 ③バルサルバ法は吸気後に息ごらえをする。 ④カラードプラ法では流速レンジを上げて血流を確認する。 ⑤ミルキング法はプローブより末梢側を握って放し血流を誘発させる。
正答: ④カラードプラ法では流速レンジを上げて血流を確認する。
ポイント 下肢静脈は血流速度が遅いため、カラードプラでは流速レンジ(速度スケール)を『下げて』低速血流を描出する。レンジを上げると低速の静脈血流が表示されにくくなり、『流速レンジを上げて』という記述が誤りである。浅在静脈には高周波リニアプローブを用い、圧迫法・バルサルバ法・ミルキング法で血栓や逆流を評価する。●下肢静脈エコーの手技=圧迫法(血栓で虚脱せず)・ミルキング法(末梢を圧迫し血流誘発)・バルサルバ法(逆流評価)。●描出条件=低流速向けに流速レンジを下げる・高周波リニアプローブ使用。●深部静脈血栓症の所見=内腔の血栓・圧迫で虚脱しない・血流欠損。
選択肢ごとの解説
① 正しい。浅在の静脈描出には高周波のリニアプローブを用いる。 ② 正しい。血栓があると圧迫しても静脈が虚脱しないことを確認する。 ③ 正しい。逆流評価のため吸気後に息ごらえをするバルサルバ法を行う。 ④ 誤り。下肢静脈は低速血流なので流速レンジは下げる。 ⑤ 正しい。ミルキング法は末梢を握って放し血流(逆流)を誘発する手技である。
第72回 午後20(臨床生理学)
機能からみた場合の脳幹に含まれないのはどれか。
正答: ④小脳
ポイント 機能的にみた脳幹は中脳・橋・延髄から構成され、間脳(視床・視床下部)を含める考え方もある。小脳は運動の協調や平衡を担う独立した構造で、脳幹には含まれない。脳幹には呼吸・循環中枢や脳神経核、上行・下行性の伝導路が集まる。●脳幹=中脳・橋・延髄(間脳を含める場合あり)。●小脳の機能=運動の協調・平衡・筋緊張の調節。●間脳=視床(感覚の中継)・視床下部(自律神経・内分泌)。●脳幹の主な機能=呼吸中枢・循環中枢(延髄)・脳神経核・意識の維持(網様体賦活系)。
選択肢ごとの解説
① 橋は脳幹の一部である。 ② 延髄は脳幹の一部である。 ③ 間脳は機能的に脳幹に含めることがある(視床・視床下部)。 ④ 小脳は運動の協調を担うが脳幹には含まれない。 ⑤ 中脳は脳幹の一部である。
第72回 午後21(臨床生理学)
健常者の尺骨神経で行った逆行性記録法による感覚神経伝導検査の記録波形を別に示す。感覚神経活動電位〈SNAP〉の振幅が刺激部位によって図示するように低下する機序はどれか。2つ選べ。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB021.5ad792babf.jpg
①不応期 ②位相相殺 ③逆行性伝導 ④伝導ブロック ⑤生理的な時間的分散
正答: ②位相相殺・⑤生理的な時間的分散
ポイント 刺激部位が記録電極から離れた近位になるほど、太さの異なる神経線維間の伝導速度差により各線維の活動電位が時間的にずれて到達する(生理的な時間的分散)。分散した波形では陽性成分と陰性成分が重なって打ち消し合い(位相相殺)、合成されるSNAPの振幅が低下する。これは健常者にもみられる正常な現象で、伝導ブロックとは異なる。●近位刺激で振幅低下する生理的機序=時間的分散・位相相殺。●病的な振幅低下=伝導ブロック(脱髄)・軸索変性。●不応期=連続刺激による応答低下の機序。●SNAP評価項目=振幅・伝導速度・潜時。
選択肢ごとの解説
① 不応期は連続刺激での応答低下の機序で、刺激距離による振幅低下の主因ではない。 ② 位相相殺は分散した各線維の波形が逆位相で打ち消し合い振幅を低下させる。 ③ 逆行性伝導は記録方向の話で、距離による振幅低下の機序そのものではない。 ④ 伝導ブロックは軸索の伝導途絶による病的現象で、健常者の生理的現象ではない。 ⑤ 生理的な時間的分散は線維間の伝導速度差で波形が広がり振幅を下げる。
📋 まとめの表を見る:神経伝導検査における軸索変性と脱髄の鑑別所見
伝導速度の速い神経線維に軸索消失があると軽度の低下・延長がみられることがある。軸索変性の病初期には可逆性の伝導ブロック(reversible conduction failure)がみられることがある。近位刺激で健常者でもみられる生理的な振幅低下の機序として、神経線維間の伝導速度差による生理的な時間的分散とそれに伴う位相相殺があり、病的な伝導ブロックとは区別される。
第72回 午後22(臨床生理学)
MRI検査で脳脊髄液が高信号となる撮像法はどれか。
①FLAIR ②T1強調画像 ③T2強調画像 ④拡散強調画像 ⑤プロトン密度強調画像
正答: ③T2強調画像
ポイント 水(脳脊髄液)はT2強調画像で高信号(白)、T1強調画像で低信号(黒)となる。FLAIRはT2強調をベースに水の信号を抑制して低信号にする撮像法である。拡散強調画像は急性期梗塞などが高信号となり、正常髄液が特徴的に高信号となる撮像ではない。●T2強調=水(髄液)高信号・脂肪も比較的高信号。●T1強調=水低信号・脂肪高信号・解剖描出に優れる。●FLAIR=水(髄液)抑制で病変を明瞭化。●拡散強調=急性梗塞・膿瘍が高信号(細胞性浮腫)。
選択肢ごとの解説
① FLAIRは水(髄液)信号を抑制して低信号にし、高信号にはしない。 ② T1強調画像では水は低信号(黒)になる。 ③ T2強調画像では水(髄液)が高信号(白)になる。 ④ 拡散強調画像は急性梗塞などが高信号で、正常髄液が特徴的高信号になる撮像ではない。 ⑤ プロトン密度強調画像では髄液は中等度信号で、特徴的高信号ではない。
📋 まとめの表を見る:MRI撮像法と組織の信号
MRIで画像化する原子核は水素原子核(プロトン)のみ。頭部は造影剤なしで血管撮像(MRA)も可能。
第72回 午後23(臨床生理学)
肢誘導心電図を別に示す。心電図所見はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB023.ac417aebf7.jpg
①心房細動 ②心房粗動 ③上室期外収縮 ④III度房室ブロック ⑤心室期外収縮
正答: ⑤心室期外収縮
ポイント 心室期外収縮(PVC)は先行するP波を伴わず、心室内で異所性に発生するため幅広いQRSが正常周期より早期に出現し、しばしば代償性休止を伴う。心房細動はP波消失とRR不整の持続、心房粗動は鋸歯状F波、上室期外収縮は先行する異所性P波と幅の狭いQRS、III度房室ブロックはP波とQRSの完全解離で区別される。●幅広QRSの早期出現=心室期外収縮(PVC)。●P波消失・RR不整=心房細動。●鋸歯状F波=心房粗動。●P-QRS完全解離=III度(完全)房室ブロック。●先行異所性P波・狭いQRS=上室期外収縮。
選択肢ごとの解説
① 心房細動はP波消失とRR不整が持続する所見で、単発の幅広QRSとは異なる。 ② 心房粗動は鋸歯状の粗動波(F波)が連続する所見である。 ③ 上室期外収縮は先行する異所性P波を伴い、QRS幅は正常のことが多い。 ④ III度房室ブロックはP波とQRSが無関係に解離する所見である。 ⑤ 心室期外収縮はP波を伴わない早期の幅広QRSで、図に一致する。
第72回 午後24(臨床生理学)
ヘモグロビン酸素解離曲線で正しいのはどれか。
①横軸は時間である。 ②縦軸はPaO₂である。 ③体温上昇で左方偏移する。 ④アルカレミアで右方偏移する。 ⑤右方偏移すると末梢組織での酸素放出が増える。
正答: ⑤右方偏移すると末梢組織での酸素放出が増える。
ポイント ヘモグロビン酸素解離曲線は横軸に酸素分圧(PO2)、縦軸に酸素飽和度(SO₂)をとるS字状曲線である。右方偏移するとヘモグロビンの酸素親和性が低下し、末梢組織での酸素放出が増える。体温上昇・PCO2上昇・アシドーシス(酸)・2,3-DPG増加で右方偏移し、これらの逆で左方偏移する。●右方偏移(酸素を離しやすい)=体温上昇・PCO2上昇・アシドーシス(pH低下)・2,3-DPG増加。●左方偏移(酸素を離しにくい)=体温低下・PCO2低下・アルカローシス(pH上昇)・2,3-DPG減少・CO中毒・胎児ヘモグロビン。●指標=P50(SO₂が50%となるPO2)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。横軸は酸素分圧(PO2)である。 ② 誤り。縦軸は酸素飽和度(SO₂)である。 ③ 誤り。体温上昇では右方偏移する。 ④ 誤り。アルカレミア(アルカローシス)では左方偏移する。 ⑤ 正しい。右方偏移で酸素親和性が下がり、末梢組織での酸素放出が増える。
第72回 午後25(臨床生理学)
1秒率低下を特徴とするのはどれか。
①肺水腫 ②肺切除後 ③間質性肺炎 ④慢性閉塞性肺疾患 ⑤睡眠時無呼吸症候群
正答: ④慢性閉塞性肺疾患
ポイント 1秒率(FEV1/FVC)の低下は閉塞性換気障害の指標で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息で気道狭窄により低下する。間質性肺炎や肺切除後は肺容量が減少する拘束性障害で、1秒率はむしろ保たれる。肺水腫も拘束性パターンを示しやすく、睡眠時無呼吸症候群は上気道の睡眠時閉塞でスパイロの1秒率低下が特徴ではない。●閉塞性障害(1秒率低下<70%)=COPD・気管支喘息・びまん性汎細気管支炎。●拘束性障害(%肺活量低下)=間質性肺炎・肺線維症・肺切除後・胸郭運動制限。●混合性=両者の合併。●指標=1秒率(FEV1/FVC)・%肺活量(%VC)・%1秒量。
選択肢ごとの解説
① 肺水腫は拘束性パターンを示しやすく、1秒率低下が特徴ではない。 ② 肺切除後は肺容量減少(拘束性)で、1秒率は保たれる。 ③ 間質性肺炎は拘束性障害で1秒率はむしろ正常〜高値となる。 ④ 慢性閉塞性肺疾患は気道閉塞でFEV1が低下し1秒率が低下する。 ⑤ 睡眠時無呼吸症候群は上気道の睡眠時閉塞で、スパイロの1秒率低下が特徴ではない。
第72回 午後26(臨床生理学)
過呼吸賦活法開始前の脳波と開始2分後の脳波を別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB026.5f6ea553e1.jpg
①三相波 ②build up ③3Hz棘徐波複合 ④ヒプスアリスミア ⑤周期性同期性放電〈PSD〉
正答: ②build up
ポイント 過呼吸賦活は脳波検査の代表的賦活法で、過換気による血中二酸化炭素低下と脳血管収縮を介して全般性に高振幅徐波が出現する反応を build up という。生理的反応として小児や若年者で目立ち、賦活終了後数十秒で消退する。図は開始2分後に全般性徐波が増強しており build up に合致する。異常波(てんかん性放電など)の誘発を兼ねる目的でも行われる。●過呼吸で誘発・増強しうる異常=欠神てんかんの3Hz棘徐波複合。●賦活法の種類=開閉眼・間欠的光刺激・過呼吸・睡眠賦活。●build upの増強因子=低血糖・小児/若年。
選択肢ごとの解説
① 三相波は肝性脳症などの代謝性脳症でみられる異常波で、過呼吸の生理反応ではない。 ② 過呼吸により全般性に徐波が増強する生理的反応で、図に一致する。 ③ 3Hz棘徐波複合は欠神てんかんの所見で、過呼吸で誘発されうるが本図はびまん性徐波の増強であり build up である。 ④ ヒプスアリスミアはWest症候群でみられる高振幅・多焦点性の異常波で、健常者の過呼吸反応ではない。 ⑤ 周期性同期性放電はCJDやSSPEでみられる異常波で、過呼吸の生理反応ではない。
📋 まとめの表を見る:脳波賦活法の種類と目的・誘発される異常
build upは小児や若年者で目立ちやすく、賦活終了後数十秒で消退する生理的反応。
第72回 午後27(臨床生理学)
健常者のレム睡眠時にみられる睡眠ポリグラフィ〈PSG〉の所見はどれか。
①K-複合 ②紡錘波 ③高振幅徐波 ④急速眼球運動 ⑤オトガイ筋表面筋電図振幅上昇
正答: ④急速眼球運動
ポイント レム睡眠は急速眼球運動(rapid eye movement)を伴い、脳波は低振幅で覚醒に近い速波を示し、オトガイ筋など骨格筋の筋緊張がほぼ消失するのが特徴である。夢を多くみる時期で、自律神経活動が変動する。これに対しノンレム睡眠では紡錘波・K-複合・高振幅徐波が段階に応じて出現する。●ノンレム段階の指標=段階2=紡錘波・K-複合、段階3〜4=高振幅徐波(徐波睡眠)。●レムの指標=急速眼球運動・低振幅速波・筋緊張消失。
選択肢ごとの解説
① K-複合はノンレム睡眠(段階2)でみられる所見で、レム睡眠の所見ではない。 ② 紡錘波はノンレム睡眠(段階2)の睡眠紡錘波で、レム睡眠の所見ではない。 ③ 高振幅徐波はノンレム睡眠の徐波睡眠(段階3〜4)の所見で、レム睡眠の所見ではない。 ④ 急速眼球運動はレム睡眠を特徴づける所見である。 ⑤ レム睡眠ではオトガイ筋の筋緊張はむしろ低下・消失し、振幅は上昇しない。
📋 まとめの表を見る:睡眠段階(AASM分類)と脳波所見
睡眠ステージ1(N1)からステージ2(N2)への移行は、紡錘波の出現で判断する。旧Rechtschaffen & Kales分類のStage3・4はAASM分類でStage N3に統一された。
第72回 午後28(臨床生理学)
総頸動脈の超音波像を別に示す。内中膜複合体厚〈IMT〉はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB028.20fa5e5a8a.jpg
正答: なし(厚生労働省が採点除外とした不適切問題)
ポイント 内中膜複合体厚(IMT)は総頸動脈などの動脈壁で、内膜と内腔の境界から中膜と外膜の境界までの厚さを指し、超音波で遠位壁(後壁)を計測して動脈硬化の指標とする。一般に1.1mm以上を肥厚とみなす。なお本問は公式に採点除外(正答なし・全員正解扱い)となっている。●頸動脈エコーの評価項目=IMT・プラーク(最大厚・性状)・狭窄率・血流速度。●動脈硬化の評価法=頸動脈IMT・脈波伝播速度(PWV)・足関節上腕血圧比(ABI)・心臓足首血管指数(CAVI)。
解説 ※採点除外問題(全員正解扱い)
選択肢ごとの解説
① 本問は採点除外のため正誤判定は行われない。 ② 本問は採点除外のため正誤判定は行われない。 ③ 本問は採点除外のため正誤判定は行われない。 ④ 本問は採点除外のため正誤判定は行われない。 ⑤ 本問は採点除外のため正誤判定は行われない。
第72回 午後29(臨床化学)
細胞内小器官で糖鎖の付加を行うのはどれか。
①核 ②中心体 ③ゴルジ装置 ④リソソーム ⑤ミトコンドリア
正答: ③ゴルジ装置
ポイント 蛋白への糖鎖付加(糖鎖修飾)は粗面小胞体で開始され、ゴルジ装置で糖鎖の修飾・完成と選別・輸送が行われる。ゴルジ装置は扁平な槽が積み重なった構造で、分泌蛋白や膜蛋白の最終的な仕分けを担う。●細胞内小器官の機能=核=遺伝情報の保管・転写、リボソーム=蛋白合成、小胞体=蛋白・脂質合成と糖鎖付加の開始、ゴルジ装置=糖鎖修飾・選別、リソソーム=加水分解(分解)、ミトコンドリア=ATP産生、中心体=紡錘体形成。
選択肢ごとの解説
① 核は遺伝情報の保管と転写の場で、糖鎖付加は行わない。 ② 中心体は紡錘体形成に関与する構造で、糖鎖付加には関与しない。 ③ ゴルジ装置は蛋白の糖鎖修飾・選別・輸送を担う。 ④ リソソームは加水分解酵素による分解の場で、糖鎖付加は行わない。 ⑤ ミトコンドリアは酸化的リン酸化によるATP産生の場で、糖鎖付加は行わない。
第72回 午後30(臨床化学)
グリコーゲンを貯蔵する主な組織はどれか。
正答: ②筋肉
ポイント グリコーゲンは肝臓と骨格筋に主に貯蔵される。肝臓は濃度(重量比)では筋肉より高いが、組織重量が大きいぶん総量では骨格筋が最も多い。肝グリコーゲンは血糖維持のため全身に供給されるのに対し、筋グリコーゲンは筋自身の収縮エネルギーに用いられる(グルコース6-ホスファターゼを欠くため血糖供給はしない)。●グリコーゲン代謝=合成=グリコーゲンシンターゼ、分解=グリコーゲンホスホリラーゼ。●糖代謝臓器=肝=血糖維持・糖新生、筋=自家消費、脳=グルコース常時消費(貯蔵は乏しい)。
選択肢ごとの解説
① 脳はグルコースを常時消費するが、グリコーゲンの主要な貯蔵組織ではない。 ② 筋肉は総量として体内で最も多くのグリコーゲンを貯蔵する。 ③ 脂肪組織は中性脂肪を蓄える組織で、グリコーゲン貯蔵の主体ではない。 ④ 小腸は吸収を担う組織で、グリコーゲンの貯蔵組織ではない。 ⑤ 腎臓はグリコーゲン貯蔵の主要組織ではない。
第72回 午後31(臨床化学)
血清を試料として定量可能なのはどれか。
正答: ⑤TSH
ポイント ペプチドホルモンのうちACTH・ADH(バソプレシン)・BNPは血中で不安定であり、EDTA加血漿・採血後の氷冷・速やかな血漿分離など特別な取り扱いを要するため血清測定には適さない。PTHも安定性への配慮が必要だが、血清/血漿の適用や採血・保存条件は測定試薬の添付文書に従う(血清を適用検体とする測定系もある)。TSHは比較的安定で、血清を試料として測定できる。●不安定で専用採血を要するホルモン=ACTH・ADH・BNP・PTH(EDTA加・氷冷・速やかな分離)。●血清で安定に測定できる代表=TSH・遊離サイロキシン(FT4)・コルチゾール。●採血管=EDTAは凝固阻止と分解抑制を兼ねる。
選択肢ごとの解説
① ACTHは不安定でEDTA加血漿・氷冷・速やかな分離を要し、血清測定には適さない。 ② ADHは不安定でEDTA加血漿・氷冷を要し、血清測定には適さない。 ③ BNPは専用のEDTA加血漿で測定し、血清では適さない。 ④ PTHは易分解性で氷冷・速やかな分離を要し、安定性の面からEDTA加血漿での測定が一般的である(測定系によっては血清も適用検体とされるが、血清で安定に定量できる代表はTSHである)。 ⑤ TSHは安定で、血清を試料として測定できる。
第72回 午後32(臨床化学)
500nmの余色〈補色〉はどれか。
正答: ②赤
ポイント ある波長の光を吸収する溶液は、その補色(余色)として目に見える。補色は色相環で反対側に位置する色の関係で、約500nmは青緑(緑系)の領域にあり、その補色は赤である。すなわち500nm付近を吸収する溶液は赤色に見える。●補色の関係(吸収波長→見える色)=400〜435nm(紫)→黄緑、490〜500nm(青緑)→赤、560〜580nm(黄緑〜黄)→紫、620〜700nm(赤)→青緑。●吸光光度法=物質が極大吸収を示す波長を選び、補色の色調として観察される。
選択肢ごとの解説
① 青は500nmの補色ではない。 ② 約500nm(青緑)の補色は赤である。 ③ 橙は青系の補色側で、500nmの補色ではない。 ④ 緑は500nm自体が含まれる緑系の領域で、その補色ではない。 ⑤ 紫は黄〜黄緑の補色で、500nmの補色ではない。
第72回 午後33(臨床化学)
アンモニアで正しいのはどれか。
①腎臓で無毒化される。 ②核酸から生合成される。 ③血漿中では蛋白に結合して存在する。 ④ウレアーゼ-GLDH法によって測定される。 ⑤臨床検査ではアンモニア窒素濃度として表示する。
正答: ⑤臨床検査ではアンモニア窒素濃度として表示する。
ポイント アンモニアは主に肝臓の尿素回路で尿素に変換されて無毒化され、組織で生じたアミノ酸の脱アミノ反応に由来する。血漿中では遊離(溶存)して存在し、臨床検査ではアンモニア態窒素(窒素換算)として表示する。測定はGLDH法(グルタミン酸脱水素酵素によるNADPH減少を340nmで追跡)が用いられ、ウレアーゼは尿素測定に用いる試薬である。●窒素化合物の処理=アンモニア→尿素回路(肝)→尿素として腎排泄。●窒素として表示する項目=尿素窒素(BUN)・アンモニア態窒素・非蛋白窒素。●高アンモニア血症の原因=肝不全・門脈大循環シャント・尿素回路酵素欠損。
選択肢ごとの解説
① アンモニアは主に肝臓の尿素回路で尿素に変換され無毒化される(腎ではない)。 ② アンモニアは主にアミノ酸の脱アミノで生じ、核酸からの生合成が主ではない。 ③ 血漿中では遊離して存在し、蛋白結合が主ではない。 ④ アンモニアはGLDH法(NADPH減少)で測定し、ウレアーゼは尿素測定に用いる。 ⑤ 正しい。臨床ではアンモニア態窒素(窒素換算)として表示する。
第72回 午後34(臨床化学)
脂質代謝で誤っているのはどれか。
①ケトン体は胆汁酸の原料となる。 ②リン脂質は細胞膜の構成成分である。 ③血漿中のコレステロールはエステル型が多い。 ④血漿中の遊離脂肪酸はアルブミンと結合している。 ⑤トリグリセライドはカイロミクロンの主要な脂質である。
正答: ①ケトン体は胆汁酸の原料となる。
ポイント 胆汁酸はコレステロールを原料に肝臓で合成される。ケトン体(アセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸・アセトン)は脂肪酸のβ酸化で生じるアセチルCoAから肝で産生され、肝外組織のエネルギー基質となるもので、胆汁酸の原料ではない。●脂質の役割=リン脂質=細胞膜(脂質二重膜)の主成分、コレステロール=膜成分・胆汁酸/ステロイドホルモンの原料、トリグリセライド=エネルギー貯蔵。●血漿脂質の存在様式=コレステロールは約2/3がエステル型、遊離脂肪酸はアルブミン結合で運搬。●リポ蛋白の主成分=カイロミクロン=トリグリセライドが主体。
選択肢ごとの解説
① 誤り。胆汁酸の原料はコレステロールであり、ケトン体ではない。 ② リン脂質は細胞膜(脂質二重膜)の主要な構成成分である。 ③ 血漿コレステロールは約2/3がエステル型である。 ④ 血漿中の遊離脂肪酸はアルブミンと結合して運搬される。 ⑤ トリグリセライドはカイロミクロンの主要な脂質である。
第72回 午後35(臨床化学)
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法による酵素活性測定で340nmの吸光度増加を測定するのはどれか。
正答: ④CK
ポイント 340nmはNADH/NADPHの極大吸収波長で、補酵素の生成・消費を追跡する酵素活性測定に用いられる。CKは共役系(クレアチンキナーゼ→ヘキソキナーゼ→グルコース6リン酸脱水素酵素)でNADPHを生成するため、340nmの吸光度の増加を測定する。●340nm増加(NAD(P)H生成)=CK・LD逆反応など。●340nm減少(NAD(P)H消費)=AST・ALT(共役系でNADH消費)。●比色法(合成基質)=ALP(4-ニトロフェニルリン酸→405nm)・ChE・γ-GT(合成基質の発色)。
選択肢ごとの解説
① ALPは4-ニトロフェニルリン酸を基質とし405nm付近の生成物を比色するため、340nm増加ではない。 ② ASTは共役系でNADHを消費し340nmの吸光度減少を測定するため、増加ではない。 ③ ChEは合成基質の生成物を比色するため、340nmのNADPH増加ではない。 ④ CKは共役系でNADPHを生成し、340nmの吸光度増加を測定する。 ⑤ γ-GTは合成基質の生成物を比色するため、340nm増加ではない。
第72回 午後36(臨床化学)
脂溶性ビタミンはどれか。
①チアミン ②コバラミン ③リボフラビン ④アスコルビン酸 ⑤カルシフェロール
正答: ⑤カルシフェロール
ポイント 脂溶性ビタミンはA・D・E・Kの4種で、過剰摂取で蓄積・過剰症をきたしうる。カルシフェロールはビタミンDの別名で脂溶性に属する。チアミン(B1)・リボフラビン(B2)・コバラミン(B12)・アスコルビン酸(C)はいずれも水溶性ビタミンである。●脂溶性ビタミン=A(レチノール)・D(カルシフェロール)・E(トコフェロール)・K。●水溶性ビタミン=B群(B1チアミン・B2リボフラビン・B6・B12コバラミン・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ビオチン)・C(アスコルビン酸)。
選択肢ごとの解説
① チアミンはビタミンB₁で水溶性ビタミンである。 ② コバラミンはビタミンB₁₂で水溶性ビタミンである。 ③ リボフラビンはビタミンB₂で水溶性ビタミンである。 ④ アスコルビン酸はビタミンCで水溶性ビタミンである。 ⑤ カルシフェロールはビタミンDで脂溶性ビタミンである。
📋 まとめの表を見る:ビタミンの分類・化学名・主な働き
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は肝・脂肪組織に蓄積しやすく過剰症を起こしうる(例:ビタミンA過剰で脳圧亢進・催奇形性、ビタミンD過剰で高カルシウム血症)。水溶性ビタミン(B群・C)は尿中に排泄されやすく過剰症は起こしにくい。β-カロチンはビタミンA(レチノール)の前駆体〈プロビタミンA〉であり、ビタミンEの前駆体ではない。
第72回 午後37(臨床化学)
ナトリウムを測定する電極はどれか。2つ選べ。
①ガラス ②クラウンエーテル ③酵素 ④第4級アンモニウム塩 ⑤バリノマイシン
正答: ①ガラス・②クラウンエーテル
ポイント イオン選択電極は感応膜が特定イオンに選択的に応答することで濃度を測定する。ナトリウムイオン(Na⁺)選択電極の感応膜にはNa⁺選択性ガラス膜や、Na⁺を選択的に取り込む環状ポリエーテルであるクラウンエーテルが用いられる。●イオン選択電極の担体=Na⁺=ガラス膜・クラウンエーテル、K⁺=バリノマイシン、Cl⁻等陰イオン=第4級アンモニウム塩、Ca²⁺=中性キャリア(イオノフォア)。●pH測定=水素イオン選択性ガラス電極。●酵素電極=基質(グルコース等)測定用で特定イオン選択ではない。
選択肢ごとの解説
① ガラス膜はNa⁺選択性ガラス膜電極としてナトリウム測定に用いられる。 ② クラウンエーテルはNa⁺を選択的に取り込む環状化合物で、感応膜に用いられる。 ③ 酵素電極は基質測定用で、Na⁺選択電極ではない。 ④ 第4級アンモニウム塩は陰イオン(Cl⁻等)選択電極の担体で、Na⁺測定には用いない。 ⑤ バリノマイシンはK⁺選択電極の担体で、Na⁺測定には用いない。
第72回 午後38(臨床化学)
アルブミンで正しいのはどれか。
①血清中濃度は座位よりも臥位で低くなる。 ②Rapid Turnover Protein〈RTP〉に分類される。 ③尿中微量アルブミン濃度は色素結合法で測定する。 ④ブロムクレゾールパープル〈BCP〉法はα-グロブリンとの反応性が高い。 ⑤ブロムクレゾールグリーン〈BCG〉改良法が血清中濃度測定で使用されている。
正答: ①血清中濃度は座位よりも臥位で低くなる。
ポイント アルブミンなどの高分子蛋白は、臥位では体液の再分布により血漿が相対的に希釈されるため、座位や立位より低値となる(体位による濃縮・希釈の影響)。血清アルブミンの測定にはBCG法やBCP改良法(色素結合法)が用いられる。半減期は約20日でRapid Turnover Proteinには分類されない。●Rapid Turnover Protein(半減期が短い蛋白)=プレアルブミン(トランスサイレチン)・トランスフェリン・レチノール結合蛋白。●色素結合法=BCG法・BCP改良法(血清用)。●尿中微量アルブミン=免疫法(免疫比濁等)で測定。
選択肢ごとの解説
① 正しい。臥位では血漿が希釈され、座位よりアルブミン濃度は低値となる。 ② 誤り。アルブミンの半減期は約20日で、RTP(プレアルブミン等)には分類されない。 ③ 誤り。尿中微量アルブミンは免疫法で測定し、色素結合法は血清用である。 ④ 誤り。BCP改良法はアルブミン特異性が高く、グロブリンとの反応性は低い。 ⑤ 誤り。血清測定に用いるのはBCG法やBCP改良法で、『BCG改良法』という測定法は一般的でない。
📋 まとめの表を見る:血清総蛋白・アルブミンの定量法と主な性質
第72回 午後39(臨床化学)
血漿カルシウム高値かつPTH低値となる疾患はどれか。
①慢性腎臓病 ②悪性腫瘍の骨転移 ③ビタミンD欠乏症 ④偽性副甲状腺機能低下症 ⑤原発性副甲状腺機能亢進症
正答: ②悪性腫瘍の骨転移
ポイント 血漿カルシウム高値かつPTH低値となるのはPTH非依存性の高カルシウム血症で、悪性腫瘍が代表である。腫瘍の骨転移による骨破壊やPTH関連蛋白(PTHrP)産生で高Caとなり、負のフィードバックで本来のPTHは抑制され低値となる。原発性副甲状腺機能亢進症では高Caに対しPTHが不適切に高値を示す。●高Ca血症の分類=PTH依存性(原発性副甲状腺機能亢進症=高Ca・高PTH)/PTH非依存性(悪性腫瘍・ビタミンD中毒・サルコイドーシス=高Ca・低PTH)。●低Ca血症=慢性腎臓病・ビタミンD欠乏(二次性にPTH高値)・偽性副甲状腺機能低下症(PTH抵抗性で低Ca・高PTH)。
選択肢ごとの解説
① 慢性腎臓病は低Ca・高P・二次性のPTH高値が典型で、高Ca+低PTHではない。 ② 悪性腫瘍の骨転移は骨破壊やPTHrPで高Caとなり、フィードバックでPTHは低値となる。 ③ ビタミンD欠乏症は低Ca傾向でPTHは二次性に高値となる。 ④ 偽性副甲状腺機能低下症はPTH抵抗性で低Ca・PTH高値となる。 ⑤ 原発性副甲状腺機能亢進症は高CaだがPTHは不適切に高値で、低PTHではない。
📋 まとめの表を見る:血中カルシウム異常とPTH値によるパターン分類(PTH依存性・非依存性)
第72回 午後40(臨床化学)
脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉で正しいのはどれか。
①血管を収縮させる。 ②心室で合成される。 ③100個のアミノ酸で構成される。 ④ナトリウムの再吸収を促進する。 ⑤採血後の血漿中濃度は室温で安定である。
正答: ②心室で合成される。
ポイント BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は主に左心室の心筋で合成・分泌される心臓ホルモンで、32個のアミノ酸からなる。血管拡張とナトリウム利尿(排泄促進)により循環血液量と心負荷を軽減し、心不全の重症度マーカーとして用いられる。採血後は不安定でEDTA加・氷冷・速やかな測定を要する。●ナトリウム利尿ペプチド=ANP(心房性、心房で産生)・BNP(脳性、心室で産生)・CNP(血管内皮)。●心不全マーカー=BNP・NT-proBNP。●作用=血管拡張・Na利尿・レニンアンジオテンシン系抑制。
選択肢ごとの解説
① 誤り。BNPは血管を拡張させる作用をもち、収縮させない。 ② 正しい。BNPは心室筋で合成・分泌される。 ③ 誤り。BNPは32個のアミノ酸からなる。 ④ 誤り。BNPはナトリウムの排泄(利尿)を促進し、再吸収は促進しない。 ⑤ 誤り。BNPは不安定でEDTA加・氷冷・速やかな測定を要し、室温では安定でない。
第72回 午後41(臨床化学)
転移酵素はどれか。2つ選べ。
正答: ①ALT・③CK
ポイント 転移酵素(トランスフェラーゼ、EC2群)はある官能基を別の分子に転移する酵素である。ALTはアミノ基を転移するアミノ基転移酵素、CKはリン酸基を転移するキナーゼで、いずれも転移酵素に属する。●酵素の分類=酸化還元酵素(LD・GLDH)・転移酵素(AST・ALT・CK・γ-GT)・加水分解酵素(ChE・リパーゼ・アミラーゼ・ALP)・脱離酵素(リアーゼ)・異性化酵素・合成酵素(リガーゼ)。
選択肢ごとの解説
① ALTはアミノ基を転移するアミノ基転移酵素で、転移酵素である。 ② ChEはエステル結合を加水分解する加水分解酵素で、転移酵素ではない。 ③ CKはリン酸基を転移するキナーゼで、転移酵素である。 ④ LDは酸化還元酵素(脱水素酵素)で、転移酵素ではない。 ⑤ LIPは脂質を加水分解するリパーゼ(加水分解酵素)で、転移酵素ではない。
第72回 午後42(臨床化学)
便中カルプロテクチンで正しいのはどれか。
①抗腫瘍効果を有する。 ②食事の影響を受ける。 ③室温では不安定である。 ④腸内細菌から分泌される。 ⑤潰瘍性大腸炎の病勢の評価として測定される。
正答: ⑤潰瘍性大腸炎の病勢の評価として測定される。
ポイント カルプロテクチンは好中球など白血球の細胞質に多く含まれるカルシウム結合蛋白で、便中濃度は腸管粘膜の好中球性炎症の程度を反映する。潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患(IBD)の病勢評価・再燃モニタリングに用いられ、便中で比較的安定で食事の影響を受けにくい。●便を用いる検査=便潜血(免疫法)・便中カルプロテクチン・便中ヘモグロビン・寄生虫検査。●炎症性腸疾患のマーカー=便中カルプロテクチン・CRP・赤沈。●好中球由来蛋白=カルプロテクチン・ラクトフェリン・ミエロペルオキシダーゼ(MPO)。
選択肢ごとの解説
① 誤り。カルプロテクチンは炎症マーカーであり、抗腫瘍作用はもたない。 ② 誤り。カルプロテクチンは食事の影響を受けにくい。 ③ 誤り。便中で比較的安定である。 ④ 誤り。主に好中球(白血球)由来であり、腸内細菌由来ではない。 ⑤ 正しい。腸管炎症の活動性を反映し、潰瘍性大腸炎の病勢評価に用いられる。
第72回 午後43(臨床化学)
ゲル濾過クロマトグラフィで溶出の順番が最も遅いリポ蛋白はどれか。
①カイロミクロン ②高比重リポ蛋白〈HDL〉 ③中間比重リポ蛋白〈IDL〉 ④低比重リポ蛋白〈LDL〉 ⑤超低比重リポ蛋白〈VLDL〉
正答: ②高比重リポ蛋白〈HDL〉
ポイント ゲル濾過クロマトグラフィでは、大きい粒子は担体の細孔に入れず素早く溶出し、小さい粒子は細孔内を通る経路が長くなり遅く溶出する(分子ふるい効果)。リポ蛋白では粒子径がカイロミクロン>VLDL>IDL>LDL>HDLの順で、最も小さいHDLが最も遅く溶出する。●リポ蛋白(粒子径・大→小/比重・小→大)=カイロミクロン・VLDL・IDL・LDL・HDL。●ゲル濾過の溶出順=大きい粒子ほど早く、小さい粒子ほど遅い。●リポ蛋白の機能=カイロミクロン/VLDL=トリグリセライド運搬、LDL=コレステロール末梢輸送、HDL=コレステロール逆転送。
選択肢ごとの解説
① カイロミクロンは最も大きく、最も早く溶出する。 ② HDLはリポ蛋白で最も小さい粒子で、最も遅く溶出する。 ③ IDLは中間の大きさで、最も遅くはない。 ④ LDLはHDLより大きく、HDLより早く溶出する。 ⑤ VLDLは大きい粒子で、早期に溶出する。
第72回 午後44(臨床化学)
ATP産生に関与しないのはどれか。
①β酸化 ②嫌気的解糖 ③電子伝達系 ④クエン酸回路 ⑤尿素サイクル
正答: ⑤尿素サイクル
ポイント ATP産生は嫌気的解糖・クエン酸回路・電子伝達系(酸化的リン酸化)・脂肪酸のβ酸化が担う。尿素サイクル(尿素回路)はアンモニアを尿素に変換する解毒経路で、ATPを産生せずむしろ消費する。●ATP産生経路=解糖系(基質レベルのリン酸化)・クエン酸回路(GTP・NADH/FADH2)・β酸化(NADH/FADH2)・電子伝達系(酸化的リン酸化)。●ATPを消費する経路=尿素回路・糖新生・脂肪酸合成。
選択肢ごとの解説
① β酸化は脂肪酸を分解しアセチルCoA・NADH/FADH2を生み、ATP産生に寄与する。 ② 嫌気的解糖はグルコースから酸素非依存的にATPを産生する。 ③ 電子伝達系はNADH/FADH2から大量のATPを産生する。 ④ クエン酸回路はNADH/FADH2・GTPを生み、ATP産生に寄与する。 ⑤ 尿素サイクルはアンモニアを尿素に変換する経路で、ATPを消費する。
第72回 午後45(病理組織細胞学)
脱灰で誤っているのはどれか。
①温度が高いほど脱灰速度が速い。 ②組織は脱灰液の上層ないし中層に置く。 ③プランク・リクロ液には硫酸が含まれる。 ④脱灰後の中和には硫酸ナトリウムを用いる。 ⑤EDTA液は免疫組織化学染色を目的とした場合に用いる。
正答: ③プランク・リクロ液には硫酸が含まれる。
ポイント プランク・リクロ(Plank-Rychlo)液は塩酸・ギ酸・塩化アルミニウムなどからなる強い酸脱灰液で、硫酸は含まない。脱灰は温度が高いほど速いが組織傷害も増し、組織は脱灰液中で沈めず上〜中層に保つ。残存酸の中和には硫酸ナトリウムを用い、抗原性を保ちたい免疫染色目的にはEDTA液(キレート脱灰)を用いる。●脱灰液=酸脱灰(塩酸・硝酸・ギ酸・プランク・リクロ液)/キレート脱灰(EDTA、抗原性保持・免疫染色向き)。●脱灰の促進・確認=温度・撹拌で促進、終点判定はX線・化学的検査。
選択肢ごとの解説
① 正しい。温度が高いほど脱灰は速いが、組織傷害も増える。 ② 正しい。組織は底に沈めず脱灰液の上〜中層に保つ。 ③ 誤り。プランク・リクロ液は塩酸・ギ酸系の脱灰液で、硫酸は含まない。 ④ 正しい。脱灰後の残存酸の中和には硫酸ナトリウムを用いる。 ⑤ 正しい。EDTA液は穏やかで抗原性を保つため、免疫組織化学染色目的に用いる。
第72回 午後46(病理組織細胞学)
PAS反応で正しいのはどれか。
①シッフ試薬の作製には濃硫酸を用いる。 ②シッフ試薬には酸性フクシンが含まれる。 ③シッフ試薬の効力の確認には95%エタノールを用いる。 ④グリコーゲン検出の場合セロイジン被膜法が有効である。 ⑤ボイルドシッフ試薬に比べコールドシッフ試薬は染色性が弱い。
正答: ④グリコーゲン検出の場合セロイジン被膜法が有効である。
ポイント PAS反応は組織中のジオール(多糖・糖蛋白など)を過ヨウ素酸で酸化してアルデヒドを生成し、シッフ試薬で赤紫色に染める反応である。シッフ試薬は塩基性フクシンを亜硫酸(メタ重亜硫酸など)で脱色して作製し、効力確認はホルマリン液に滴下して赤紫の発色をみる。水溶性で流出しやすいグリコーゲンはセロイジン被膜法で保持すると検出しやすい。●PAS陽性物質=グリコーゲン・粘液・基底膜・真菌(細胞壁)。●グリコーゲン同定=ジアスターゼ消化試験(消化でPAS陰性化)。●被膜法=セロイジン被膜で水溶性物質の流出を防ぐ。
選択肢ごとの解説
① 誤り。シッフ試薬は塩基性フクシンを亜硫酸で脱色して作製し、濃硫酸は用いない。 ② 誤り。シッフ試薬に含まれるのは塩基性フクシンで、酸性フクシンではない。 ③ 誤り。効力確認はホルマリン液に滴下して赤紫の発色でみるもので、95%エタノールではない。 ④ 正しい。水溶性で流出しやすいグリコーゲンはセロイジン被膜法で保持でき有効である。 ⑤ 誤り。コールドシッフ試薬でも十分な染色性が得られ、ボイルドシッフより弱いとはいえない。
第72回 午後47(病理組織細胞学)
ホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いた酵素抗体法の内因性ペルオキシダーゼをブロックする試薬はどれか。
①EDTA ②カゼイン溶液 ③正常動物血清 ④クエン酸緩衝液 ⑤過酸化水素加メタノール
正答: ⑤過酸化水素加メタノール
ポイント ペルオキシダーゼ標識を用いる酵素抗体法では、組織中に元々存在する内因性ペルオキシダーゼ(赤血球・好中球など)がDABなどの発色を起こし非特異反応となるため、過酸化水素加メタノールで前処理して内因性酵素を失活させる。●免疫染色の前処理=抗原賦活(クエン酸緩衝液・EDTAによる熱処理)/内因性ペルオキシダーゼブロック(過酸化水素加メタノール)/非特異的結合のブロック(正常動物血清・カゼイン・BSA)。●標識酵素=ペルオキシダーゼ(HRP)・アルカリホスファターゼ。
選択肢ごとの解説
① EDTAは抗原賦活(熱処理)用の緩衝液で、内因性酵素のブロックには用いない。 ② カゼイン溶液は非特異的蛋白結合(背景)のブロック剤で、ペルオキシダーゼの失活には用いない。 ③ 正常動物血清は非特異的結合のブロックに用いるが、内因性ペルオキシダーゼは失活させない。 ④ クエン酸緩衝液は抗原賦活用の緩衝液で、内因性酵素のブロックには用いない。 ⑤ 過酸化水素加メタノールは内因性ペルオキシダーゼを失活させる。
第72回 午後48(病理組織細胞学)
染色体数の異常を伴うのはどれか。
①Wilson病 ②Marfan症候群 ③Klinefelter症候群 ④von Hippel-Lindau病 ⑤Duchenne型筋ジストロフィ
正答: ③Klinefelter症候群
ポイント Klinefelter症候群は47,XXYで性染色体(X)が1本多い染色体『数』の異常(性染色体異数性)である。他の選択肢はいずれも特定遺伝子の変異による単一遺伝子病で、染色体数の異常ではない。●染色体数の異常(異数性)=Down症候群(21トリソミー)・Edwards症候群(18トリソミー)・Patau症候群(13トリソミー)・Turner症候群(45,X)・Klinefelter症候群(47,XXY)。●単一遺伝子病=Wilson病(ATP7B)・Marfan症候群(フィブリリン)・von Hippel-Lindau病(VHL)・Duchenne型筋ジストロフィ(ジストロフィン)。
選択肢ごとの解説
① Wilson病は銅代謝に関わるATP7B遺伝子の変異で、染色体数異常ではない。 ② Marfan症候群はフィブリリン遺伝子の変異で、染色体数異常ではない。 ③ Klinefelter症候群は47,XXYの性染色体数異常である。 ④ von Hippel-Lindau病はVHL遺伝子の変異で、染色体数異常ではない。 ⑤ Duchenne型筋ジストロフィはジストロフィン遺伝子の変異で、染色体数異常ではない。
第72回 午後49(病理組織細胞学)
喀痰のPapanicolaou染色標本を別に示す。出現している細胞はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB049.38991a26a8.jpg
①塵埃細胞 ②腺癌細胞 ③小細胞癌細胞 ④気管支上皮細胞 ⑤扁平上皮癌細胞
正答: ③小細胞癌細胞
ポイント 小細胞癌の細胞は小型で細胞質に乏しく裸核状を示し、核クロマチンは細顆粒状で核小体は不明瞭、隣接する核が互いに押し合う核の鋳型(モールディング)が特徴である。喀痰では結合性の弱い小型異型細胞が連珠状に出現する。●肺癌の細胞像=小細胞癌=小型・裸核状・核モールディング、腺癌=核小体明瞭・腺腔形成や粘液空胞、扁平上皮癌=厚い細胞質・角化・オレンジG好性。●良性細胞=塵埃細胞(炭粉貪食マクロファージ)・線毛をもつ気管支上皮細胞。
選択肢ごとの解説
① 塵埃細胞は炭粉を貪食したマクロファージで、悪性所見ではない。 ② 腺癌細胞は大型で核小体が明瞭、腺腔形成や粘液空胞を示し、小細胞癌とは異なる。 ③ 小細胞癌細胞は小型で裸核状、核の鋳型(モールディング)が特徴で、図に一致する。 ④ 気管支上皮細胞は線毛をもつ円柱上皮で良性であり、異型を示さない。 ⑤ 扁平上皮癌細胞は厚い細胞質・角化やオレンジG好性を示し、小細胞癌とは異なる。
📋 まとめの表を見る:肺癌の主な組織型(組織像・好発部位・頻度・予後)
扁平上皮癌・小細胞癌は喫煙との関連が強く中枢(肺門部)発生が多い。腺癌は末梢発生で頻度最多。日本の肺癌死亡者数は増加傾向。転移性肺癌は多発性結節を形成することが多い。腺癌の細胞診は粘液産生・腺腔様配列・立体的重積集塊を示す。
第72回 午後50(病理組織細胞学)
類上皮細胞肉芽腫を形成する疾患はどれか。
①化膿性肺炎 ②間質性肺炎 ③偽膜性腸炎 ④サルコイドーシス ⑤線維素性心外膜炎
正答: ④サルコイドーシス
ポイント サルコイドーシスは全身の臓器(肺門リンパ節・肺・眼・皮膚など)に非乾酪性の類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の疾患である。類上皮細胞肉芽腫はマクロファージ由来の類上皮細胞とラングハンス型巨細胞が集簇したものである。●類上皮細胞肉芽腫を形成する疾患=結核(乾酪壊死を伴う)・サルコイドーシス(非乾酪性)・クローン病・らい・真菌症・異物肉芽腫。●非肉芽腫性炎症=化膿性炎(好中球主体)・線維素性炎・偽膜性腸炎・間質性肺炎(線維化主体)。
選択肢ごとの解説
① 化膿性肺炎は好中球主体の化膿性炎で、肉芽腫は形成しない。 ② 間質性肺炎は線維化が主体で、類上皮細胞肉芽腫は特徴ではない。 ③ 偽膜性腸炎はClostridioides difficileによる偽膜形成性腸炎で、肉芽腫は形成しない。 ④ サルコイドーシスは非乾酪性の類上皮細胞肉芽腫を全身に形成する。 ⑤ 線維素性心外膜炎はフィブリン析出主体の心外膜炎で、肉芽腫は形成しない。
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