第72回(2026) 臨床検査技師国家試験 午後51〜100|ケンゼミ過去問ドリル テキスト版
第72回 午後51(病理組織細胞学)
H-E染色標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB051.a2a4b1d1d7.jpg

正答: ②動脈
ポイント
厚い平滑筋の中膜をもち円形の内腔を保つ管腔は動脈で、H-E標本では弾性線維と平滑筋により壁が厚く描出される。静脈は壁が薄く内腔が不整、リンパ管は壁が極めて薄く弁を伴うことがある。神経は管腔ではなく線維束、気管支は軟骨・腺・線毛上皮を伴う点で区別される。●管腔構造の鑑別=動脈(厚い中膜・円形内腔)・静脈(薄壁・不整内腔)・リンパ管(極薄壁・弁)。●呼吸器管腔=気管支(軟骨・腺・線毛円柱上皮)・肺胞(単層扁平・含気腔)。●末梢神経=神経線維束・神経周膜・Schwann細胞。
選択肢ごとの解説
- ① 神経は神経線維束と神経周膜からなり、厚い平滑筋層の管腔構造ではない。
- ② 厚い中膜(平滑筋)により円形の内腔を保つ管腔で、図の矢印に一致する。
- ③ 肺胞は薄い壁の含気腔で、平滑筋に富む血管様管腔ではない。
- ④ 気管支は軟骨・腺・線毛上皮を伴い、平滑筋のみの円形管腔とは構造が異なる。
- ⑤ リンパ管は壁が極めて薄く内腔が不整で、厚い筋層をもたない。
第72回 午後52(病理組織細胞学)
甲状腺穿刺吸引細胞診のPapanicolaou染色標本を別に示す。考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB052.7f431358f5.jpg

- ①正常甲状腺濾胞細胞
- ②橋本病
- ③亜急性甲状腺炎
- ④乳頭癌
- ⑤リンパ腫
正答: ④乳頭癌
ポイント
甲状腺乳頭癌の細胞像は、核内細胞質封入体・核溝(コーヒー豆様)・すりガラス状の淡明核を特徴とし、乳頭状集塊や砂粒小体を伴う。良性の濾胞細胞や橋本病・亜急性甲状腺炎の所見とは核所見で区別される。リンパ腫は異型リンパ球の単調増殖を示し上皮性集塊を欠く。●甲状腺の良性所見=正常濾胞細胞(均一・コロイド)・橋本病(リンパ球とHürthle細胞)・亜急性甲状腺炎(多核巨細胞・肉芽腫)。●甲状腺悪性腫瘍=乳頭癌(核内封入体・核溝)・濾胞癌・髄様癌(アミロイド)・未分化癌・悪性リンパ腫。
選択肢ごとの解説
- ① 正常甲状腺濾胞細胞は均一でコロイドを伴い、乳頭癌の核異型を示さない。
- ② 橋本病はリンパ球浸潤と好酸性のHürthle細胞が混在し、乳頭癌の核所見とは異なる。
- ③ 亜急性甲状腺炎は多核巨細胞・肉芽腫性炎が主体で、腫瘍細胞ではない。
- ④ 核内細胞質封入体・核溝・すりガラス状核を示し、図に一致する。
- ⑤ リンパ腫は異型リンパ球の単調増殖で、濾胞上皮性の乳頭癌所見とは異なる。
📋 まとめの表を見る:甲状腺結節の穿刺吸引細胞診所見
第72回 午後53(病理組織細胞学)
プロテイン銀を使用するのはどれか。
- ①PAM染色
- ②Kossa反応
- ③Bodian染色
- ④Grocott染色
- ⑤Grimelius染色
正答: ③Bodian染色
ポイント
Bodian染色はプロテイン銀(蛋白銀)を用いる鍍銀法で、神経線維(軸索)や神経原線維を黒染する。同じ鍍銀でもPAM(PASM)とGrocottはメセナミン銀、Kossa反応とGrimelius染色は硝酸銀を用い、それぞれ染め分ける対象が異なる。●プロテイン銀=Bodian染色(軸索・神経原線維)。●メセナミン銀=PAM/PASM(基底膜)・Grocott(真菌)。●硝酸銀=Kossa反応(カルシウム塩)・Grimelius染色(好銀性顆粒/神経内分泌)・Fontana-Masson(メラニン)。
選択肢ごとの解説
- ① PAM染色はメセナミン銀で基底膜を黒染する鍍銀法で、プロテイン銀ではない。
- ② Kossa反応は硝酸銀でカルシウム塩を黒染するもので、プロテイン銀ではない。
- ③ Bodian染色はプロテイン銀で神経線維(軸索)を染める鍍銀法である。
- ④ Grocott染色はメセナミン銀で真菌を黒染するもので、プロテイン銀ではない。
- ⑤ Grimelius染色は硝酸銀で好銀性顆粒(神経内分泌)を染めるもので、プロテイン銀ではない。
第72回 午後54(病理組織細胞学)
透過型電子顕微鏡標本作製法で正しいのはどれか。
- ①エポキシ樹脂は酸で重合する。
- ②観察前に金属イオン蒸着を行う。
- ③1mm³大の細切は後固定液中で行う。
- ④光顕用切片はVictoria blue染色を行う。
- ⑤超薄切片はグリッドメッシュに貼り付ける。
正答: ⑤超薄切片はグリッドメッシュに貼り付ける。
ポイント
透過型電子顕微鏡(TEM)では、約60〜90nmの超薄切片を支持グリッド(メッシュ)に載せ、酢酸ウランやクエン酸鉛で電子染色して観察する。試料はグルタルアルデヒド固定後にオスミウム酸で後固定し、エポキシ樹脂に包埋する。エポキシ樹脂は加熱による熱重合で硬化し、金属蒸着は走査型電子顕微鏡(SEM)の手法である。●固定・包埋=グルタルアルデヒド前固定・オスミウム後固定・エポキシ樹脂熱重合包埋。●切片=超薄切片(ウルトラミクロトーム・ダイヤモンドナイフ)・グリッドメッシュ載せ。●染色=電子染色(酢酸ウラン・クエン酸鉛)。●光顕用厚切片=トルイジン青染色。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。エポキシ樹脂は加熱による熱重合で硬化するもので、酸では重合しない。
- ② 誤り。金属イオン蒸着は走査型電子顕微鏡(SEM)の手法で、TEMは電子染色を行う。
- ③ 誤り。細切は固定前に1mm以下へ行うもので、後固定液中で行うものではない。
- ④ 誤り。エポン包埋の光顕用厚切片はトルイジン青などで染め、Victoria blueではない。
- ⑤ 正しい。超薄切片は支持グリッド(メッシュ)に貼り付けて観察する。
第72回 午後55(病理組織細胞学)
アメーバ赤痢が感染した大腸組織の染色標本を別に示す。用いられている染色法はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB055.a118a356d0.jpg

- ①H-E染色
- ②PAS反応
- ③Grocott染色
- ④mucicarmine染色
- ⑤Warthin-Starry染色
正答: ②PAS反応
ポイント
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の栄養型は細胞質にグリコーゲンを含み、PAS反応で赤紫に陽性となるため組織内での同定に有用である。赤血球を貪食した栄養型(被食赤血球を有する)が病理学的に診断的所見となる。H-Eでも検出しうるが、特殊染色としてはPASが用いられる。●原虫の組織染色=赤痢アメーバ(PAS陽性)。●真菌染色=Grocott(銀)・PAS・mucicarmine(クリプトコッカス莢膜)。●細菌・スピロヘータ=Warthin-Starry鍍銀(ヘリコバクター・スピロヘータ・ネコひっかき病)。
選択肢ごとの解説
- ① H-E染色は一般染色で原虫も観察しうるが、本問で同定に用いた特殊染色はPASである。
- ② PAS反応はアメーバ原虫を赤紫に陽性とし同定に有用で、図に一致する。
- ③ Grocott染色は真菌を黒染する銀染色で、アメーバの同定法ではない。
- ④ mucicarmine染色は粘液やクリプトコッカス莢膜を染めるもので、アメーバ用ではない。
- ⑤ Warthin-Starry染色はスピロヘータや細菌の鍍銀染色で、アメーバ用ではない。
📋 まとめの表を見る:病原微生物と特殊染色(病理・微生物標本)
Grocott染色は病理標本で真菌検出に主に用いられ、黒褐色に染色される。Alcian blueは特定の病原体ではなく酸性粘液物質の観察に用いる特殊染色である。
第72回 午後56(病理組織細胞学)
栄養血管が腹腔動脈に由来するのはどれか。2つ選べ。
正答: ①胃・⑤十二指腸
ポイント
腹腔動脈は前腸由来臓器(胃・近位十二指腸・肝・胆・膵)と、前腸の背側胃間膜内の中胚葉から発生する脾を栄養する。中腸由来(遠位十二指腸〜横行結腸右側)は上腸間膜動脈、後腸由来(横行結腸左側〜直腸上部)は下腸間膜動脈が栄養する。十二指腸は前腸由来の近位部を腹腔動脈枝(胃十二指腸動脈)が栄養する。●腹腔動脈(前腸)=胃・近位十二指腸・肝・胆・膵・脾(脾のみ中胚葉由来だが腹腔動脈が栄養する)。●上腸間膜動脈(中腸)=遠位十二指腸・空腸・回腸・盲腸・上行結腸・横行結腸右側。●下腸間膜動脈(後腸)=横行結腸左側・下行結腸・S状結腸・直腸上部。
選択肢ごとの解説
- ① 胃は前腸由来で、腹腔動脈(左胃動脈・脾動脈枝など)が栄養する。
- ② 回腸は中腸由来で上腸間膜動脈が栄養し、腹腔動脈ではない。
- ③ 結腸は中腸〜後腸由来で上・下腸間膜動脈が栄養し、腹腔動脈ではない。
- ④ 直腸は後腸由来で下腸間膜動脈(と内腸骨動脈)が栄養し、腹腔動脈ではない。
- ⑤ 十二指腸は近位が前腸由来で、腹腔動脈枝(胃十二指腸動脈)が栄養する。
第72回 午後57(病理組織細胞学)
ヒトパピローマウイルスが関与する悪性腫瘍はどれか。
正答: ④子宮頸癌
ポイント
高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV16/18型など)はE6・E7蛋白を介してp53・Rbを不活化し、子宮頸癌の主要原因となる。同ウイルスは中咽頭癌・肛門癌・陰茎癌などの一部にも関与する。胃癌・肝臓癌・膀胱癌・子宮体癌はHPVとは関連しない。●発癌に関与するウイルス=HPV(子宮頸癌・中咽頭癌・肛門癌)・HBV/HCV(肝癌)・EBV(Burkittリンパ腫・上咽頭癌・胃癌一部)・HTLV-1(成人T細胞白血病)・HHV-8(Kaposi肉腫)。●発癌に関与する細菌=ヘリコバクター・ピロリ(胃癌・MALTリンパ腫)。
選択肢ごとの解説
- ① 胃癌はヘリコバクター・ピロリやEBVが関与するもので、HPVではない。
- ② 肝臓癌はB型・C型肝炎ウイルスが主因で、HPVではない。
- ③ 膀胱癌は喫煙や化学物質が主因で、HPVは主要原因ではない。
- ④ 子宮頸癌は高リスク型HPV感染が主要原因である。
- ⑤ 子宮体癌はエストロゲン依存性が主で、HPVは関与しない。
第72回 午後58(病理組織細胞学)
劇物はどれか。2つ選べ。
- ①アセトン
- ②キシレン
- ③メタノール
- ④過マンガン酸カリウム
- ⑤イソプロピルアルコール
正答: ②キシレン・③メタノール
ポイント
毒物及び劇物取締法において、キシレンとメタノールは劇物に指定される(メタノールは視神経障害・失明をきたす)。アセトン・イソプロピルアルコール・過マンガン酸カリウムは引火性や酸化性をもつが、同法上の劇物には指定されていない。●毒劇法上の劇物(病理関連)=キシレン・メタノール・ホルムアルデヒド・フェノール・塩酸・硫酸・水酸化ナトリウム。●劇物に該当しない有機溶媒=アセトン・イソプロピルアルコール・エタノール。●消防法危険物(引火性)=アセトン・キシレン・メタノール・アルコール類(劇物指定とは別の規制)。
選択肢ごとの解説
- ① アセトンは引火性をもつが、毒物及び劇物取締法上の劇物には指定されていない。
- ② キシレンは劇物に指定されている。
- ③ メタノールは劇物に指定されている(視神経障害・失明等の毒性)。
- ④ 過マンガン酸カリウムは酸化剤だが、毒劇法上の劇物指定ではない。
- ⑤ イソプロピルアルコールは劇物には指定されていない。
第72回 午後59(臨床血液学)
造血で正しいのはどれか。
- ①エリスロポエチンは肝臓で産生される。
- ②胸腺はBリンパ球の分化・成熟を担う。
- ③髄外造血は健常成人には認められない。
- ④成人では腸骨の骨髄は黄色髄〈脂肪髄〉である。
- ⑤卵黄囊で生成されるヘモグロビンは胎児型Hb(α₂γ₂)である。
正答: ③髄外造血は健常成人には認められない。
ポイント
健常成人の造血は骨髄(赤色髄)で行われ、骨髄外の肝・脾での髄外造血は病的状態でのみ出現する。エリスロポエチンは成人では主に腎臓で産生され、胸腺はTリンパ球の成熟の場である。胎生期の造血は卵黄囊(胚型Hb)→肝・脾(HbF)→骨髄へと移行する。●造血の場の変遷=卵黄囊期(胚型Hb Gower等)→肝脾期(HbF α₂γ₂)→骨髄期(HbA α2β2)。●造血因子=エリスロポエチン(腎・胎児期肝)・トロンボポエチン(肝)・G-CSF。●リンパ球の成熟=T細胞(胸腺)・B細胞(骨髄)。●髄外造血=骨髄線維症・溶血性貧血などで肝脾に出現。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。成人ではエリスロポエチンは主に腎臓で産生される(胎児期は肝)。
- ② 誤り。胸腺はTリンパ球の成熟の場で、Bリンパ球は骨髄で分化・成熟する。
- ③ 正しい。髄外造血は病的状態でのみ生じ、健常成人には認められない。
- ④ 誤り。腸骨など扁平骨は成人でも赤色髄で造血が続き、黄色髄(脂肪髄)ではない。
- ⑤ 誤り。卵黄囊期は胚型Hbで、胎児型HbF(α₂γ₂)は肝造血期以降に主となる。
第72回 午後60(臨床血液学)
止血機構で正しいのはどれか。
- ①動脈血栓は主に赤色血栓である。
- ②セロトニンは血栓形成を促進する。
- ③エピネフリンは血栓形成を抑制する。
- ④凝固因子は主に血小板で産生される。
- ⑤トロンボキサンA2は血管を弛緩させる。
正答: ②セロトニンは血栓形成を促進する。
ポイント
血小板から放出されるセロトニンやトロンボキサンA2(TXA2)は血管収縮と血小板凝集を促し、止血(血栓形成)を促進する。動脈の血栓は血流が速いため血小板主体の白色血栓が主で、エピネフリンは血小板凝集を促進する向きに働く。凝固因子の多くは肝臓で産生される。●血栓形成促進物質=セロトニン・TXA2・ADP・エピネフリン・トロンビン。●血栓形成抑制(血管内皮)=プロスタサイクリン(PGI2)・NO・トロンボモジュリン・ヘパラン硫酸。●血栓の種類=白色血栓(動脈・血小板主体)・赤色血栓(静脈・フィブリンと赤血球)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。血流の速い動脈では血小板主体の白色血栓が主で、赤色血栓は静脈系に多い。
- ② 正しい。セロトニンは血管収縮・血小板凝集を促し血栓形成を促進する。
- ③ 誤り。エピネフリンは血小板凝集を促進する向きに働き、抑制ではない。
- ④ 誤り。凝固因子の多くは肝臓で産生され、血小板で産生されるわけではない。
- ⑤ 誤り。トロンボキサンA2は血管を収縮させ血小板凝集を促し、弛緩させない。
第72回 午後61(臨床血液学)
末梢血検査で赤血球数310万/μL、ヘモグロビン濃度6.2g/dL、ヘマトクリット値21.7%を認めた。原因の特定に有用な検査項目はどれか。
- ①銅
- ②フェリチン
- ③ビタミンB₁₂
- ④ハプトグロビン
- ⑤エリスロポエチン
正答: ②フェリチン
ポイント
MCV≒Ht/RBC×10≒70fL、MCH≒Hb/RBC×10≒20pgで小球性低色素性貧血を示す。最も頻度の高い原因は鉄欠乏で、貯蔵鉄を反映する血清フェリチンが原因特定に有用である。鉄欠乏ではフェリチン低下、慢性炎症に伴う貧血(ACD)ではフェリチンが正常〜高値となり鑑別に役立つ。●小球性低色素性貧血=鉄欠乏性貧血(フェリチン低下)・サラセミア・慢性炎症に伴う貧血・鉄芽球性貧血。●正球性貧血=溶血性貧血・腎性貧血(エリスロポエチン)・再生不良性貧血。●大球性貧血=巨赤芽球性貧血(ビタミンB₁₂・葉酸欠乏)。
選択肢ごとの解説
- ① 銅欠乏も貧血をきたすが、小球性低色素性貧血の第一選択検査ではない。
- ② フェリチンは貯蔵鉄を反映し、鉄欠乏性貧血(小球性低色素性)の原因特定に有用である。
- ③ ビタミンB₁₂は大球性(巨赤芽球性)貧血の検査で、小球性の本例には合わない。
- ④ ハプトグロビンは血管内溶血の指標で、小球性低色素性貧血の原因検索ではない。
- ⑤ エリスロポエチンは腎性貧血等の評価で、小球性貧血の第一選択ではない。
第72回 午後62(臨床血液学)
APTT延長を認めたため、APTTにてクロスミキシング試験を実施した。結果を表に示す。診断に有用なのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB062.02c789e49f.jpg

- ①PIVKA-II
- ②アルブミン
- ③D-ダイマー
- ④von Willebrand因子
- ⑤抗カルジオリピン抗体
正答: ⑤抗カルジオリピン抗体
ポイント
クロスミキシング試験で患者血漿に正常血漿を等量混合してもAPTTが補正されない上に凸(インヒビター)パターンの場合、ループスアンチコアグラントなどの凝固インヒビターを疑う。抗カルジオリピン抗体などの抗リン脂質抗体を測定して抗リン脂質抗体症候群の診断に役立てる。因子欠乏では混合により補正される下に凸のパターンを示す。●補正されない(インヒビター)=ループスアンチコアグラント・第VIII因子インヒビター。●補正される(因子欠乏)=血友病A/B・von Willebrand病。●関連検査=抗カルジオリピン抗体・抗β2GPI抗体・希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT)。
選択肢ごとの解説
- ① PIVKA-IIはビタミンK欠乏・ワルファリンの指標で、インヒビターの確認ではない。
- ② アルブミンは栄養・肝合成の指標で、APTT延長の原因検索には無関係である。
- ③ D-ダイマーは線溶亢進(DIC・血栓)の指標で、インヒビターの同定ではない。
- ④ von Willebrand因子は因子欠乏(補正されるパターン)を疑うときに調べ、インヒビターパターンではない。
- ⑤ 抗カルジオリピン抗体は抗リン脂質抗体症候群(ループスアンチコアグラント)の確認に有用で、インヒビターパターンに一致する。
第72回 午後63(臨床血液学)
血球形態と疾患の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
- ①標的赤血球 — サラセミア
- ②有核赤血球 — 異常ヘモグロビン症
- ③涙滴赤血球 — 骨髄線維症
- ④好塩基性斑点 — 骨髄癌腫症
- ⑤Howell-Jolly小体 — May-Hegglin異常
正答: ①標的赤血球 — サラセミア・③涙滴赤血球 — 骨髄線維症
ポイント
標的赤血球はサラセミアや肝疾患・閉塞性黄疸で膜過剰により生じ、涙滴赤血球は骨髄線維症など骨髄の線維化・置換で押し出される際に生じる。有核赤血球は造血亢進・髄外造血で出現し異常Hb症に特異的ではなく、好塩基性斑点は鉛中毒やサラセミアでみられ、Howell-Jolly小体は脾摘・無脾でみられる。●赤血球形態異常=標的赤血球(サラセミア・肝疾患)・涙滴赤血球(骨髄線維症)・球状赤血球(遺伝性球状赤血球症)・破砕赤血球(TTP/HUS・DIC)・連銭形成(多発性骨髄腫)。●赤血球封入体=好塩基性斑点(鉛中毒)・Howell-Jolly小体(脾摘)・Heinz小体(G6PD欠損)・パッペンハイマー小体(鉄染色)。●血小板・白血球異常=May-Hegglin異常(巨大血小板・Döhle様封入体)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。サラセミアでは膜過剰により標的(ターゲット)赤血球がみられる。
- ② 誤り。有核赤血球は強い造血亢進・髄外造血などでみられ、異常Hb症に特異的ではない。
- ③ 正しい。線維化した骨髄からの押し出しにより涙滴赤血球がみられる。
- ④ 誤り。好塩基性斑点は鉛中毒・サラセミアなどでみられ、骨髄癌腫症に特異的ではない。
- ⑤ 誤り。Howell-Jolly小体は脾摘・無脾でみられ、May-Hegglin異常は巨大血小板と白血球封入体を示す。
📋 まとめの表を見る:赤血球の形態異常と関連疾患
破砕赤血球はTTP・HUS・DICなど微小血管症性溶血性貧血でみられる。
第72回 午後64(臨床血液学)
骨髄塗抹標本を別に示す。矢印で示すのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB064.eb6a706c51.jpg

- ①小胞体
- ②ゴルジ装置
- ③リソソーム
- ④リボソーム
- ⑤ミトコンドリア
正答: ②ゴルジ装置
ポイント
細胞の核近傍にみられる明るく抜けた淡明域(ホフ)はゴルジ装置に相当し、形質細胞などで明瞭に観察される。ゴルジ装置は分泌蛋白の修飾・選別を担う膜系で、光学顕微鏡では明庭として認められる。小胞体・リソソーム・リボソーム・ミトコンドリアは光顕で核近傍の明庭としては同定されない。●光顕で見える細胞内構造=ゴルジ装置(核近傍の明庭/ホフ)・好中球顆粒・封入体。●電顕で観察する細胞小器官=小胞体・リボソーム・リソソーム・ミトコンドリア・ゴルジ装置の微細構造。●形質細胞の特徴=偏在核・車軸状クロマチン・核近傍ホフ。
選択肢ごとの解説
- ① 小胞体は細胞質に広がる膜系で、核近傍の明瞭な明庭(ホフ)としては観察されない。
- ② ゴルジ装置は核近傍の淡明域(ホフ)として観察され、図の矢印に一致する。
- ③ リソソームは分解を担う小胞で、光顕の明庭としては同定しにくい。
- ④ リボソームは蛋白合成の微小構造で、光顕で明庭としては見えない。
- ⑤ ミトコンドリアはエネルギー産生の小器官で、核近傍の明庭(ホフ)ではない。
第72回 午後65(臨床血液学)
末梢血普通染色標本を別に示す。白血球100個を分類する間に別図矢印に示す細胞を25個認めた。同血液の自動血球計数装置で得られた白血球数が8,000/μLであった場合、補正白血球数(/μL)で正しいのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB065.01a594c29b.jpg

- ①320
- ②6,400
- ③10,000
- ④10,666
- ⑤20,000
正答: ②6,400
ポイント
有核赤血球(NRBC)は自動血球計数装置で白血球として誤算定されるため、白血球100個分類中のNRBC数で補正する。補正白血球数=測定白血球数×100/(100+NRBC数)で求められ、8,000×100/(100+25)=6,400/μLとなる。●自動計数の補正=有核赤血球による白血球過大評価の補正(×100/(100+NRBC))。●NRBC出現病態=高度溶血・髄外造血・骨髄線維症・新生児・白血病。●関連指標=網赤血球・幼若顆粒球(左方移動)・赤芽球癆。
選択肢ごとの解説
- ① 320は補正式に一致せず、桁が大きく外れた値である。
- ② 8,000×100/(100+25)=6,400で、正しい補正白血球数である。
- ③ 10,000は分子分母を取り違えるなどで過大評価を補正できておらず誤りである。
- ④ 10,666は8,000に100/(100−25)を掛けた値で、補正式の分母を(100+25)とすべきところを(100−25)と誤ったものである。
- ⑤ 20,000は補正式に一致せず、桁が大きく外れた値である。
📋 まとめの表を見る:自動血球計数装置における主な偽値(測定誤差)要因
第72回 午後66(臨床血液学)
血液細胞の形態検査で正しいのはどれか。
- ①正常赤芽球はPAS染色陰性である。
- ②健常成人骨髄像に鉄芽球は認められない。
- ③健常成人骨髄像ではM-E比は10以上である。
- ④前骨髄球はペルオキシダーゼ染色陰性である。
- ⑤好中球のエステラーゼはフッ化ナトリウムによって阻害される。
正答: ①正常赤芽球はPAS染色陰性である。
ポイント
正常赤芽球はPAS染色陰性で、白血病性赤芽球(赤白血病)やサラセミアなどで陽性化しうる。健常骨髄にも少数の鉄芽球が存在し、M:E(骨髄球系:赤芽球系)比は約2〜4で、前骨髄球はペルオキシダーゼ陽性である。フッ化ナトリウムで阻害されるのは単球系の非特異的エステラーゼである。●細胞化学染色=ペルオキシダーゼ(骨髄系陽性・リンパ系陰性)・PAS(赤白血病の赤芽球やALLのリンパ芽球で陽性)・非特異的エステラーゼ(単球系/NaF阻害)・特異的エステラーゼ(顆粒球系)・好中球ALP(NAPスコア)。●鉄染色=鉄芽球(健常でも少数)・環状鉄芽球(MDS・鉄芽球性貧血)。●M:E比=正常約2〜4。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。正常赤芽球はPAS染色陰性で、白血病赤芽球などで陽性化する。
- ② 誤り。健常骨髄にも少数の鉄芽球が存在する。
- ③ 誤り。M:E比は約2〜4が正常で、10以上ではない。
- ④ 誤り。前骨髄球はペルオキシダーゼ陽性である。
- ⑤ 誤り。フッ化ナトリウムで阻害されるのは単球系の非特異的エステラーゼである。
📋 まとめの表を見る:血液細胞化学染色(特殊染色)の目的・判定・臨床意義
第72回 午後67(臨床血液学)
活性化プロテインCが失活させる凝固因子はどれか。2つ選べ。
- ①第II因子
- ②第V因子
- ③第VII因子
- ④第VIII因子
- ⑤第IX因子
正答: ②第V因子・④第VIII因子
ポイント
活性化プロテインC(APC)はプロテインSを補助因子として、活性型第Va因子と第VIIIa因子を限定分解(失活)させ、トロンビン生成を抑制する抗凝固系である。この経路の異常(第V因子Leiden変異・プロテインC欠損・プロテインS欠損)は血栓性素因となる。●APCの基質=第Va因子・第VIIIa因子。●補助因子=プロテインS。●関連する血栓性素因=プロテインC欠損症・プロテインS欠損症・活性化プロテインC抵抗性(第V因子Leiden)・アンチトロンビン欠損症。●ビタミンK依存因子=II・VII・IX・X・プロテインC・プロテインS。
選択肢ごとの解説
- ① 第II因子(プロトロンビン)はAPCの基質ではない。
- ② 第V因子はその活性型Va因子がAPCに分解・失活される。
- ③ 第VII因子は外因系の因子で、APCの基質ではない。
- ④ 第VIII因子はその活性型VIIIa因子がAPCに分解・失活される。
- ⑤ 第IX因子は内因系の因子だが、APCの直接の失活対象ではない。
📋 まとめの表を見る:血液凝固因子と凝固制御因子
※プロテインC・プロテインS・アンチトロンビン・組織因子経路インヒビターは凝固を抑える抗凝固(凝固制御)因子で、凝固因子には含まれない。
第72回 午後68(臨床微生物学)
中水準消毒薬はどれか。2つ選べ。
- ①塩化ベンザルコニウム
- ②クロルヘキシジン
- ③グルタルアルデヒド
- ④次亜塩素酸ナトリウム
- ⑤ポビドンヨード
正答: ④次亜塩素酸ナトリウム・⑤ポビドンヨード
ポイント
中水準消毒薬は結核菌・多くのウイルス・栄養型細菌に有効だが、芽胞には通常の使用条件では効果が期待できず、次亜塩素酸ナトリウム・ヨード系(ポビドンヨード)・アルコール・フェノール系などが含まれる。塩化ベンザルコニウム(逆性石鹸)とクロルヘキシジンは低水準、グルタルアルデヒドは長時間の接触で芽胞にも有効な高水準消毒薬である。●高水準=グルタルアルデヒド・過酢酸・フタラール(グルタルアルデヒド・過酢酸は長時間の接触で芽胞にも有効。フタラールの殺芽胞性は弱い)。●中水準=次亜塩素酸ナトリウム・ポビドンヨード・アルコール・フェノール(芽胞は原則不可。ただし次亜塩素酸ナトリウムは有効塩素濃度と接触時間によっては芽胞にも有効)。●低水準=塩化ベンザルコニウム(逆性石鹸)・クロルヘキシジン・両性界面活性剤。
選択肢ごとの解説
- ① 塩化ベンザルコニウム(逆性石鹸)は低水準消毒薬である。
- ② クロルヘキシジンは低水準消毒薬である。
- ③ グルタルアルデヒドは芽胞にも有効な高水準消毒薬である。
- ④ 次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬である。
- ⑤ ポビドンヨードは中水準消毒薬(ヨード系)である。
第72回 午後69(臨床微生物学)
オキシダーゼ試験陽性を示すのはどれか。
- ①Citrobacter freundii
- ②Escherichia coli
- ③Plesiomonas shigelloides
- ④Proteus mirabilis
- ⑤Serratia marcescens
正答: ③Plesiomonas shigelloides
ポイント
腸内細菌科(Escherichia coli・Citrobacter・Proteus・Serratiaなど)はオキシダーゼ陰性で、これは細菌同定の重要な鑑別点である。Plesiomonas shigelloidesはビブリオ科(従来)に分類され、オキシダーゼ陽性を示す。●オキシダーゼ陰性=腸内細菌科(E. coli・Klebsiella・Proteus・Serratia・Citrobacter・Salmonella・Shigella)。●オキシダーゼ陽性=Vibrio・Aeromonas・Plesiomonas・Pseudomonas・Neisseria・Campylobacter・Helicobacter・Pasteurella。
選択肢ごとの解説
- ① Citrobacter freundiiは腸内細菌科でオキシダーゼ陰性である。
- ② Escherichia coliは腸内細菌科でオキシダーゼ陰性である。
- ③ Plesiomonas shigelloidesはオキシダーゼ陽性である。
- ④ Proteus mirabilisは腸内細菌科でオキシダーゼ陰性である。
- ⑤ Serratia marcescensは腸内細菌科でオキシダーゼ陰性である。
📋 まとめの表を見る:グラム陰性桿菌の分類(腸内細菌目・ビブリオ科・パスツレラ科・非発酵菌群)とオキシダーゼ・糖代謝
第72回 午後70(臨床微生物学)
Neisseria gonorrhoeaeの選択分離培地はどれか。
- ①CCFA培地
- ②DHL寒天培地
- ③WYOα寒天培地
- ④Skirrow寒天培地
- ⑤Thayer-Martin培地
正答: ⑤Thayer-Martin培地
ポイント
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)は栄養要求が厳しく雑菌に弱いため、抗菌薬(バンコマイシン・コリスチン・ナイスタチン等)を加えたThayer-Martin培地(変法)で常在菌を抑えて選択分離する。同培地は髄膜炎菌の分離にも用いられる。●淋菌・髄膜炎菌=Thayer-Martin/変法Thayer-Martin培地・チョコレート寒天。●Clostridioides difficile=CCFA培地。●腸内細菌(サルモネラ・赤痢菌)=DHL・SS・マッコンキー寒天。●Campylobacter=Skirrow培地。●Legionella=WYOα(BCYEα)寒天。
選択肢ごとの解説
- ① CCFA培地はClostridioides difficile用の選択培地で、淋菌用ではない。
- ② DHL寒天培地は腸内細菌(サルモネラ・赤痢菌)用の選択分離培地で、淋菌用ではない。
- ③ WYOα寒天培地はLegionella用の培地で、淋菌の選択分離培地ではない。
- ④ Skirrow寒天培地はカンピロバクター用の選択培地で、淋菌用ではない。
- ⑤ Thayer-Martin培地は抗菌薬入りの淋菌・髄膜炎菌選択培地である。
第72回 午後71(臨床微生物学)
経路別予防策のうち空気感染対策が必要な疾患はどれか。
- ①水痘
- ②風疹
- ③インフルエンザ
- ④流行性耳下腺炎
- ⑤RSウイルス感染症
正答: ①水痘
ポイント
空気感染(飛沫核感染)対策が必要なのは結核・麻疹・水痘で、陰圧個室とN95マスクなどが求められる。風疹・流行性耳下腺炎・インフルエンザ・RSウイルス感染症は主に飛沫感染で、飛沫予防策(サージカルマスク)が用いられる。●空気感染=結核・麻疹・水痘(播種性帯状疱疹を含む)。●飛沫感染=インフルエンザ・風疹・流行性耳下腺炎・百日咳・髄膜炎菌・マイコプラズマ・RSウイルス。●接触感染=MRSA・ノロウイルス・腸管出血性大腸菌・疥癬。
選択肢ごとの解説
- ① 水痘は空気感染するため空気予防策(陰圧室・N95)が必要である。
- ② 風疹は飛沫感染で、空気感染対策の対象ではない。
- ③ インフルエンザは飛沫(接触)感染で、空気感染対策の対象ではない。
- ④ 流行性耳下腺炎は飛沫感染で、空気感染対策の対象ではない。
- ⑤ RSウイルス感染症は飛沫・接触感染で、空気感染対策の対象ではない。
第72回 午後72(臨床微生物学)
鞭毛を有するのはどれか。
- ①Acinetobacter baumannii
- ②Bacillus anthracis
- ③Campylobacter jejuni
- ④Klebsiella pneumoniae
- ⑤Shigella dysenteriae
正答: ③Campylobacter jejuni
ポイント
Campylobacter jejuniは1〜2本の極鞭毛をもち、らせん状の菌体で活発に運動する(コルク栓抜き様運動)。Acinetobacter baumannii・Bacillus anthracis・Klebsiella pneumoniae・Shigella dysenteriaeはいずれも非運動性(無鞭毛)である。●鞭毛をもつ(運動性)=Campylobacter・Helicobacter・Vibrio・Proteus(周毛)・Salmonella・E. coli・Pseudomonas。●非運動性(無鞭毛)=Klebsiella・Shigella・Acinetobacter・Bacillus anthracis・Streptococcus・Staphylococcus。
選択肢ごとの解説
- ① Acinetobacter baumanniiは鞭毛をもたず非運動性である。
- ② Bacillus anthracis(炭疽菌)は鞭毛を欠き非運動性である。
- ③ Campylobacter jejuniは極鞭毛をもち活発に運動する。
- ④ Klebsiella pneumoniaeは莢膜をもつが鞭毛はなく非運動性である。
- ⑤ Shigella dysenteriaeは非運動性(無鞭毛)である。
第72回 午後73(臨床微生物学)
選択分離培地はどれか。
- ①BTB乳糖寒天培地
- ②マンニット食塩培地
- ③血液加ブルセラ寒天培地
- ④トリプチケースソイ寒天培地
- ⑤ブレインハートインフュージョン寒天培地
正答: ②マンニット食塩培地
ポイント
選択分離培地は目的菌以外の発育を抑える成分を含む培地で、マンニット食塩培地は高濃度(約7.5%)食塩でブドウ球菌を選択的に発育させ、マンニトール分解(黄変)で黄色ブドウ球菌を鑑別する。BTB乳糖寒天は鑑別主体、ブルセラ・トリプチケースソイ・BHI寒天は栄養豊富な非選択培地である。●選択分離培地=マンニット食塩(ブドウ球菌)・SS/DHL(サルモネラ・赤痢菌)・NAC(緑膿菌)・TCBS(ビブリオ)・スキロー(カンピロバクター)。●鑑別培地=BTB乳糖・マッコンキー・TSI。●非選択(増菌)培地=トリプチケースソイ・BHI・ブルセラ・チョコレート寒天。
選択肢ごとの解説
- ① BTB乳糖寒天培地は乳糖分解をみる鑑別主体の培地で、強い選択分離培地の代表ではない。
- ② マンニット食塩培地は高濃度食塩でブドウ球菌を選択的に分離する選択分離培地である。
- ③ 血液加ブルセラ寒天培地は栄養豊富な非選択培地(嫌気性菌培養等)である。
- ④ トリプチケースソイ寒天培地は一般増菌用の非選択培地である。
- ⑤ ブレインハートインフュージョン寒天培地は栄養豊富な非選択培地である。
第72回 午後74(臨床微生物学)
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉の判定に用いられるのはどれか。2つ選べ。
- ①イミペネム
- ②アンピシリン
- ③オキサシリン
- ④セファゾリン
- ⑤セフォキシチン
正答: ③オキサシリン・⑤セフォキシチン
ポイント
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)はmecA遺伝子がコードするペニシリン結合蛋白PBP2'を保有し、β-ラクタム薬に耐性を示す。感受性試験ではオキサシリンとセフォキシチンが指標薬として用いられ、特にセフォキシチンはmecAの発現を誘導するため検出感度・信頼性が高い。●MRSA判定の指標薬=オキサシリン・セフォキシチン(mecA発現誘導)。●確認法=mecA遺伝子検出(PCR)・PBP2'ラテックス凝集・セフォキシチンディスク拡散。●関連薬=バンコマイシン・テイコプラニン・リネゾリド(MRSA治療薬)。
選択肢ごとの解説
- ① イミペネムはカルバペネムで、MRSA判定の指標薬ではない。
- ② アンピシリンはペニシリナーゼで分解され、MRSA判定には用いない。
- ③ オキサシリンは耐性ペニシリンで、MRSAの判定に用いる。
- ④ セファゾリンは第1世代セフェムで、MRSA判定の指標ではない。
- ⑤ セフォキシチンはmecA発現を誘導し、MRSA判定の信頼性が高い指標である。
第72回 午後75(臨床微生物学)
ウイルスの構造で正しいのはどれか。
- ①細胞壁をもつ。
- ②リボソームRNAをもつ。
- ③核酸を包むタンパク質の殻をカプシドという。
- ④ゲノムとしてDNAとRNAの両方を同時にもつ。
- ⑤感染性を有する完全型ウイルス粒子をエンベロープという。
正答: ③核酸を包むタンパク質の殻をカプシドという。
ポイント
ウイルスはDNAかRNAのいずれか一方の核酸と、それを包むカプシド(蛋白の殻)からなり、両者を合わせてヌクレオカプシドという。細胞壁やリボソームをもたず、宿主の翻訳機構を利用して増殖する。一部のウイルスは脂質二重膜のエンベロープをもち、感染性をもつ完全粒子はビリオンと呼ぶ。●ウイルスの構成=核酸(DNA/RNAの一方)・カプシド(蛋白)・ヌクレオカプシド・エンベロープ(一部)・ビリオン(完全粒子)。●もたないもの=細胞壁・リボソーム・代謝系。●核酸による分類=DNAウイルス(ヘルペス・アデノ・パピローマ等)・RNAウイルス(インフルエンザ・コロナ・ピコルナ等)。
選択肢ごとの解説
- ① 誤り。ウイルスは細胞ではなく、細胞壁をもたない。
- ② 誤り。ウイルスはリボソームをもたず、宿主の翻訳機構を利用する。
- ③ 正しい。核酸を包むタンパク質の殻をカプシドという。
- ④ 誤り。ウイルスのゲノムはDNAかRNAのいずれか一方である。
- ⑤ 誤り。感染性の完全粒子はビリオンで、エンベロープは一部ウイルスがもつ脂質膜である。
第72回 午後76(臨床微生物学)
通性嫌気性菌はどれか。2つ選べ。
- ①Acinetobacter baumannii
- ②Escherichia coli
- ③Fusobacterium nucleatum
- ④Legionella pneumophila
- ⑤Streptococcus agalactiae
正答: ②Escherichia coli・⑤Streptococcus agalactiae
ポイント
通性嫌気性菌は酸素があってもなくても増殖でき、酸素存在下では好気呼吸、非存在下では発酵などを行う。腸内細菌科(Escherichia coli)やStreptococcus属が代表で、いずれも臨床検体から高頻度に分離される。Acinetobacter・Legionellaは酸素を必須とする好気性菌、Fusobacteriumは酸素があると増殖できない偏性嫌気性菌である。
●偏性好気性菌=Pseudomonas・Acinetobacter・Legionella・Bordetella・結核菌など。
●通性嫌気性菌=腸内細菌科(大腸菌・Klebsiella等)・ブドウ球菌・連鎖球菌・Vibrio。
●偏性嫌気性菌=Bacteroides・Fusobacterium・Clostridium・Peptostreptococcus。
●微好気性菌=Campylobacter・Helicobacter。
選択肢ごとの解説
- ① Acinetobacter baumanniiは偏性好気性菌で、通性嫌気性ではない。
- ② Escherichia coliは腸内細菌科の通性嫌気性菌である。
- ③ Fusobacterium nucleatumは偏性嫌気性菌である。
- ④ Legionella pneumophilaは好気性菌である。
- ⑤ Streptococcus agalactiaeは連鎖球菌で通性嫌気性菌である。
第72回 午後77(臨床微生物学)
ウイルスと疾患の組合せで正しいのはどれか。
- ①ロタウイルス — 細気管支炎
- ②アデノウイルス — 手足口病
- ③ヒトRSウイルス — 急性胃腸炎
- ④ムンプスウイルス — 流行性耳下腺炎
- ⑤コクサッキーウイルス — 重症熱性血小板減少症候群
正答: ④ムンプスウイルス — 流行性耳下腺炎
ポイント
ムンプスウイルス(パラミクソウイルス科)は飛沫感染し、耳下腺の腫脹を主徴とする流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)を起こす。ロタウイルスは乳幼児の急性胃腸炎、RSウイルスは細気管支炎・肺炎、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスは手足口病の主因である。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニ媒介のSFTSウイルスによる。
●急性胃腸炎=ロタウイルス・ノロウイルス・アデノウイルス40/41型。
●呼吸器感染=RSウイルス(細気管支炎)・アデノウイルス(咽頭結膜熱)・インフルエンザウイルス。
●発疹・粘膜疹=コクサッキー/エンテロウイルス(手足口病)・麻疹・風疹。
●唾液腺炎=ムンプスウイルス。
●ダニ媒介=SFTSウイルス・日本紅斑熱リケッチア。
選択肢ごとの解説
- ① ロタウイルスは急性胃腸炎の原因で、細気管支炎はRSウイルスによる。
- ② 手足口病はコクサッキー/エンテロウイルスにより、アデノウイルスは咽頭結膜熱などを起こす。
- ③ RSウイルスは細気管支炎・肺炎を起こし、急性胃腸炎はロタ・ノロウイルスによる。
- ④ 正しい。ムンプスウイルスは流行性耳下腺炎を起こす。
- ⑤ 重症熱性血小板減少症候群はSFTSウイルスによるダニ媒介感染で、コクサッキーは手足口病などを起こす。
📋 まとめの表を見る:主なウイルスと疾患
第72回 午後78(臨床微生物学)
治療薬物モニタリング〈TDM〉が必要なのはどれか。
- ①アミカシン
- ②アンピシリン
- ③イミペネム
- ④エリスロマイシン
- ⑤セファゾリン
正答: ①アミカシン
ポイント
治療薬物モニタリング(TDM)は有効血中濃度域が狭く、過量で重篤な毒性が出る薬剤に行う。アミカシンはアミノグリコシド系で腎毒性・聴器毒性があり、血中濃度を測定して投与量を調整する。アンピシリン・イミペネム・エリスロマイシン・セファゾリンは安全域が広く、通常TDMの対象とならない。
●TDM対象の抗菌薬=アミノグリコシド系(アミカシン・ゲンタマイシン)・グリコペプチド系(バンコマイシン・テイコプラニン)・ボリコナゾール。
●その他のTDM対象薬=ジゴキシン・テオフィリン・抗てんかん薬(フェニトイン等)・免疫抑制薬(シクロスポリン・タクロリムス)・リチウム。
●TDM不要の抗菌薬=ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系・マクロライド系。
選択肢ごとの解説
- ① アミカシンはアミノグリコシド系で治療域が狭く腎・聴器毒性があり、TDMが必要である。
- ② アンピシリンはペニシリン系で安全域が広く、通常TDMは不要である。
- ③ イミペネムはカルバペネム系で通常TDMは不要である。
- ④ エリスロマイシンはマクロライド系で通常TDMは不要である。
- ⑤ セファゾリンはセフェム系で通常TDMは不要である。
第72回 午後79(臨床免疫学)
免疫グロブリンで正しいのはどれか。
- ①抗原との結合は共有結合による。
- ②H鎖の可変部はC末端側に存在する。
- ③L鎖の定常部ドメインは2つからなる。
- ④Fabフラグメントはパパイン処理で得られる。
- ⑤グロブリンクラスはL鎖のイディオタイプで決定される。
正答: ④Fabフラグメントはパパイン処理で得られる。
ポイント
免疫グロブリンのIgGをパパイン(システインプロテアーゼ)で処理すると、ヒンジ部より上で切断され、抗原結合部位をもつFab断片2個とFc断片1個に分解される。可変部はH鎖・L鎖ともにN末端側にあり、L鎖の定常部はCLの1ドメインのみである。免疫グロブリンのクラス(アイソタイプ)はH鎖定常部の種類で決まり、抗原抗体結合は非共有結合による可逆的なものである。
●酵素消化=パパインは2Fab+Fc、ペプシンは1個のF(ab')2+分解Fcを生じる。
●H鎖の種類とクラス=γ(IgG)・μ(IgM)・α(IgA)・δ(IgD)・ε(IgE)。
●L鎖=κ型・λ型の2種。
●抗原抗体結合の力=静電気力・水素結合・ファンデルワールス力・疎水結合(いずれも非共有結合)。
選択肢ごとの解説
- ① 抗原抗体結合は非共有結合による可逆的な結合で、共有結合ではない。
- ② H鎖の可変部はN末端側に存在する。
- ③ L鎖の定常部ドメインはCLの1つのみである。
- ④ 正しい。パパイン処理によりFab断片2個とFc断片に分解される。
- ⑤ グロブリンクラスはH鎖定常部(アイソタイプ)で決まり、L鎖のイディオタイプではない。
第72回 午後80(臨床免疫学)
II型アレルギーで正しいのはどれか。
- ①補体による細胞障害が起こる。
- ②抗原と感作T細胞の結合で生じる。
- ③アナフィラキシーショックを起こす。
- ④免疫複合体の組織沈着が原因となる。
- ⑤肥満細胞の活性化でヒスタミンが放出される。
正答: ①補体による細胞障害が起こる。
ポイント
II型アレルギー(細胞傷害型)は、細胞表面や組織の抗原に結合したIgG・IgM抗体が補体を活性化し、または抗体依存性細胞傷害(ADCC)を介して標的細胞を破壊する反応である。自己免疫性溶血性貧血や不適合輸血による溶血が代表例である。即時型のI型は肥満細胞からのヒスタミン放出やアナフィラキシー、III型は免疫複合体沈着、IV型は感作T細胞による遅延型反応である。
●I型(即時型)=IgE・肥満細胞・アナフィラキシー・気管支喘息・花粉症。
●II型(細胞傷害型)=補体・ADCC・自己免疫性溶血性貧血・不適合輸血・特発性血小板減少性紫斑病。
●III型(免疫複合体型)=血清病・糸球体腎炎・全身性エリテマトーデス。
●IV型(遅延型)=感作T細胞・ツベルクリン反応・接触性皮膚炎・移植拒絶。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。補体の活性化による標的細胞の傷害が起こる。
- ② 抗原と感作T細胞の結合で生じるのはIV型(遅延型)である。
- ③ アナフィラキシーショックを起こすのはI型(即時型)である。
- ④ 免疫複合体の組織沈着が原因となるのはIII型である。
- ⑤ 肥満細胞の活性化でヒスタミンが放出されるのはI型である。
第72回 午後81(臨床免疫学)
疾患と検出される自己抗体の組合せで誤っているのはどれか。
- ①悪性貧血 — 抗内因子抗体
- ②Basedow病 — 抗TSHレセプター抗体
- ③関節リウマチ〈RA〉 — 抗CCP抗体
- ④Goodpasture症候群 — 抗アセチルコリンレセプター抗体
- ⑤原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉 — 抗ミトコンドリア抗体
正答: ④Goodpasture症候群 — 抗アセチルコリンレセプター抗体
ポイント
誤り。Goodpasture症候群は抗糸球体基底膜(抗GBM)抗体により肺胞・糸球体の基底膜が傷害される疾患で、抗アセチルコリン受容体抗体は重症筋無力症で検出される。悪性貧血の抗内因子抗体、Basedow病の抗TSH受容体抗体、関節リウマチの抗CCP抗体、原発性胆汁性胆管炎の抗ミトコンドリア抗体はいずれも正しい組合せである。
●臓器特異的自己抗体=抗内因子抗体(悪性貧血)・抗TSH受容体抗体(Basedow病)・抗GBM抗体(Goodpasture)・抗AChR抗体(重症筋無力症)・抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(橋本病)。
●全身性自己抗体=抗CCP抗体・リウマトイド因子(関節リウマチ)・抗dsDNA抗体・抗Sm抗体(SLE)。
●肝疾患関連=抗ミトコンドリア抗体(PBC)・抗平滑筋抗体(自己免疫性肝炎)。
選択肢ごとの解説
- ① 正しい。悪性貧血では抗内因子抗体が検出される。
- ② 正しい。Basedow病では抗TSH受容体抗体が検出される。
- ③ 正しい。関節リウマチでは抗CCP抗体が特異性高く検出される。
- ④ 誤り。Goodpasture症候群は抗GBM抗体が検出され、抗AChR抗体は重症筋無力症で認められる。
- ⑤ 正しい。原発性胆汁性胆管炎では抗ミトコンドリア抗体が検出される。
📋 まとめの表を見る:臓器特異的自己抗体と自己免疫疾患
サイロキシン結合グロブリン〈TBG〉は甲状腺ホルモンの運搬蛋白であり、自己抗体の標的とはならない。
第72回 午後82(臨床免疫学)
梅毒血清検査で正しいのはどれか。
- ①TPPA法では担体として炭素粒子を用いる。
- ②生物学的偽陽性〈BFP〉はRPR法で認められる。
- ③RPR法では検査前に血清の不活化が必要である。
- ④スクリーニング検査としてTP抗原の検出が行われている。
- ⑤FTA-ABS法によるIgG型TP抗体の検出は先天梅毒の診断に有用である。
正答: ②生物学的偽陽性〈BFP〉はRPR法で認められる。
ポイント
RPR法はカルジオリピンなどの脂質抗原を用いる非トレポネーマ抗体検査で、妊娠・膠原病・各種感染症などで生物学的偽陽性(BFP)を生じうる。TPPA法は担体にゼラチン粒子を用い、スクリーニングは患者の抗トレポネーマ抗体(または非特異抗体)を検出する。先天梅毒では母体由来IgGが胎児に移行するため、児自身の産生を示すIgM型抗体の検出が診断に有用である。
●非トレポネーマ検査(脂質抗原)=RPR法・VDRL法。BFPの原因となる。
●トレポネーマ検査(TP抗原)=TPPA法(ゼラチン粒子)・TPLA法・FTA-ABS法。
●BFPの原因=妊娠・自己免疫疾患(SLE等)・抗リン脂質抗体症候群・各種感染症。
●梅毒の病期判定=感染初期はトレポネーマ検査が先に陽転、治療効果はRPR定量で評価。
選択肢ごとの解説
- ① TPPA法は担体にゼラチン粒子を用いる。
- ② 正しい。脂質抗原を用いるRPR法では生物学的偽陽性が認められる。
- ③ RPR法では検査前の血清の不活化(非働化)は必要ない。
- ④ スクリーニングでは患者の抗体を検出するもので、TP抗原そのものを検出するのではない。
- ⑤ 母体IgGが胎児に移行するため、先天梅毒の診断にはIgM型抗体の検出が有用である。
📋 まとめの表を見る:梅毒血清学的検査の特徴
感染初期はSTS法のみ陽性でTPPA法は陰性のことがある(STS陽性・TPPA陰性は感染初期または生物学的偽陽性を示唆)。先天梅毒の診断にはFTA-ABS法によるIgM型抗体の検出(児自身の産生を反映)が有用。
第72回 午後83(臨床免疫学)
HEp-2細胞を核材に用いた間接蛍光抗体法による抗核抗体の染色パターンを別に示す。最も考えられるのはどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB083.4a030a60ee.jpg

- ①抗Jo-1抗体
- ②抗RNP抗体
- ③抗dsDNA抗体
- ④抗セントロメア抗体
- ⑤抗ミトコンドリア抗体
正答: ②抗RNP抗体
ポイント
抗RNP(U1-RNP)抗体はHEp-2細胞の核を斑紋型(speckled)に染色する核内可溶性抗原に対する抗体で、混合性結合組織病(MCTD)で高力価に検出される。均質型は抗dsDNA抗体や抗ヒストン抗体、辺縁型は抗dsDNA抗体、散在斑点型(分裂期核に点状)は抗セントロメア抗体、細胞質型は抗Jo-1抗体や抗ミトコンドリア抗体に対応する。核全体の斑紋状パターンは抗RNP抗体に合致する。
●均質型(homogeneous)=抗dsDNA抗体・抗ヒストン抗体(SLE・薬剤誘発性ループス)。
●斑紋型(speckled)=抗U1-RNP抗体・抗Sm抗体・抗SS-A/SS-B抗体(MCTD・SLE・Sjögren症候群)。
●散在斑点型(discrete speckled)=抗セントロメア抗体(限局型強皮症・CREST)。
●細胞質型=抗Jo-1抗体(多発筋炎)・抗ミトコンドリア抗体(PBC)。
●核小体型=抗RNAポリメラーゼ抗体(強皮症)。
選択肢ごとの解説
- ① 抗Jo-1抗体は細胞質型を示し(多発筋炎)、核の斑紋型ではない。
- ② 正しい。抗RNP抗体は核の斑紋型(speckled)を呈する。
- ③ 抗dsDNA抗体は均質型・辺縁型を呈し、斑紋型ではない。
- ④ 抗セントロメア抗体は分裂期に点状の散在斑点型を示し、一様な斑紋型とは異なる。
- ⑤ 抗ミトコンドリア抗体は細胞質が顆粒状に染まり(PBC)、核パターンではない。
📋 まとめの表を見る:抗核抗体の染色パターンと関連する自己免疫疾患
第72回 午後84(臨床免疫学)
糖鎖系抗原はどれか。
正答: ①ABO
ポイント
ABO血液型抗原は赤血球膜の糖脂質・糖蛋白の末端に糖転移酵素が糖を付加して作られる糖鎖系抗原である。同じく糖鎖系にはLewis・P・H抗原がある。一方、Rh・MNS・Kidd・Diegoは膜を貫通する蛋白そのものが抗原となる蛋白系抗原である。
●糖鎖系(糖転移酵素が産生)=ABO・H・Lewis・P・I抗原。
●膜蛋白系=Rh(RhCE/RhD蛋白)・MNS(グリコフォリンA/B)・Kidd(尿素輸送体)・Diego(バンド3)・Kell・Duffy。
●ABO遺伝子型と酵素=A型はN-アセチルガラクトサミン、B型はガラクトースをH抗原に付加する。
選択肢ごとの解説
- ① ABOは糖転移酵素が作る糖鎖系抗原である。
- ② Diegoは赤血球膜蛋白(バンド3)上の抗原で蛋白系である。
- ③ Kiddは尿素輸送体(蛋白)上の抗原である。
- ④ MNSはグリコフォリン(蛋白)上の抗原である。
- ⑤ RhはRh蛋白(膜貫通蛋白)上の抗原である。
第72回 午後85(臨床免疫学)
ABO・RhD血液型検査のカラム凝集像を別に示す。必要な追加検査はどれか。
図: https://medwide.jp/drill/img/k72pB085.b06f300840.jpg

- ①スライド法
- ②抗体解離試験
- ③D陰性確認試験
- ④不規則抗体同定検査
- ⑤直接抗グロブリン試験
正答: ③D陰性確認試験
ポイント
ABO・RhD血液型検査でRhDが陰性または弱陽性を示した場合、抗D試薬と弱く反応するweak D(弱D)やpartial Dを見逃さないために、間接抗グロブリン法によるD陰性確認試験を追加する。これにより真のD陰性かD変異型かを判別する。スライド法や直接抗グロブリン試験、不規則抗体同定はD型確定の目的とは異なる。
●RhD検査の追加=D陰性確認試験(間接抗グロブリン法)でweak D/partial Dを判定。
●ABO検査の食い違い対応=オモテ・ウラ不一致時に被覆抗体・連銭形成・亜型などを精査。
●抗グロブリン試験=直接(赤血球結合抗体)・間接(血清中遊離抗体)を区別。
●不規則抗体=スクリーニング陽性時に同定検査を行う。
選択肢ごとの解説
- ① スライド法は簡易のABO確認法で、D陰性の確認にはならない。
- ② 抗体解離試験は赤血球に結合した抗体を解離・同定する検査で、D型確定の追加検査ではない。
- ③ 正しい。RhD陰性と判定した検体で弱Dを確認するD陰性確認試験を行う。
- ④ 不規則抗体同定検査は抗体スクリーニング陽性時に行うもので、D型確認ではない。
- ⑤ 直接抗グロブリン試験は赤血球結合抗体の有無をみる検査で、D陰性確認とは目的が異なる。
📋 まとめの表を見る:Rh血液型(D抗原)のポイント
第72回 午後86(臨床免疫学)
交差適合試験の主試験が陽性になる原因はどれか。2つ選べ。
- ①患者赤血球の汎赤血球凝集反応。
- ②患者が直接抗グロブリン試験陽性。
- ③患者が不規則抗体を保有している。
- ④供血者が不規則抗体を保有している。
- ⑤患者と供血者のABO血液型が異なる。
正答: ③患者が不規則抗体を保有している。・⑤患者と供血者のABO血液型が異なる。
ポイント
交差適合試験の主試験は患者血清と供血者赤血球を反応させる。患者血清中にABO不適合による抗A・抗Bや臨床的に意義のある不規則抗体が存在し、これが供血者赤血球と反応すると主試験が陽性となる。患者赤血球側の異常(汎赤血球凝集や直接抗グロブリン試験陽性)や供血者血清の抗体は、主試験の陽性原因とはならない。
●主試験(患者血清×供血者赤血球)陽性の原因=ABO不適合・患者の不規則抗体。
●副試験(供血者血清×患者赤血球)=供血者由来抗体の影響を確認。
●偽陽性要因=連銭形成・自己抗体・寒冷凝集素。
●直接抗グロブリン試験陽性=自己免疫性溶血性貧血・新生児溶血性疾患・薬剤性。
選択肢ごとの解説
- ① 患者赤血球の汎赤血球凝集反応は赤血球側の異常で、主試験(患者血清×供血者赤血球)の陽性原因ではない。
- ② 患者の直接抗グロブリン試験陽性は患者赤血球に抗体が結合した状態で、主試験そのものの陽性原因ではない。
- ③ 患者が不規則抗体を保有すると、その抗体が供血者赤血球と反応し主試験が陽性となる。
- ④ 供血者の不規則抗体は供血者血清側にあり、患者血清を用いる主試験には影響しにくい。
- ⑤ 患者と供血者のABO血液型が異なると、患者の抗A・抗Bが供血者赤血球と反応し主試験が陽性となる。
📋 まとめの表を見る:交差適合試験が陽性(不適合)になる原因
HBs抗体など感染症スクリーニング項目は赤血球と反応する抗体ではないため、交差適合試験の不適合原因にはならない。
第72回 午後87(臨床免疫学)
日本国内の献血時に使用する問診票の質問事項に含まれないのはどれか。
- ①妊娠回数
- ②海外渡航歴
- ③予防接種歴
- ④発熱を伴う下痢
- ⑤出血を伴う歯科治療
正答: ①妊娠回数
ポイント
献血時の問診票は、輸血感染症や供血者・受血者の安全に関わる情報を確認するもので、海外渡航歴(マラリア等)、予防接種歴(生ワクチン後の制限)、発熱を伴う下痢(感染症)、出血を伴う歯科治療(菌血症リスク)などを尋ねる。妊娠回数は問診項目に含まれない。
●献血問診で確認する項目=体調・服薬・既往歴・海外渡航歴・予防接種歴・輸血歴・刺青やピアスの有無・特定地域滞在歴。
●感染リスク評価=発熱・下痢・歯科治療・性感染症リスク行動。
●採血基準=年齢・体重・血圧・ヘモグロビン値・前回献血からの間隔。
選択肢ごとの解説
- ① 妊娠回数は献血問診票の質問事項に含まれない。
- ② 海外渡航歴はマラリアなどの感染リスク確認のため含まれる。
- ③ 予防接種歴は生ワクチン接種後の採血制限のため含まれる。
- ④ 発熱を伴う下痢は感染症の有無確認のため含まれる。
- ⑤ 出血を伴う歯科治療は菌血症リスク確認のため含まれる。
第72回 午後88(臨床免疫学)
輸血後の血管外溶血で正しいのはどれか。
- ①補体が関与する。
- ②ヘモグロビン尿を認める。
- ③ABO不適合輸血で起こる。
- ④間接ビリルビンが上昇する。
- ⑤血中ハプトグロビンが低下する。
正答: ④間接ビリルビンが上昇する。
ポイント
血管外溶血は脾臓・肝臓のマクロファージがIgGや補体C3bで感作された赤血球を貪食して破壊する反応で、ゆるやかに進行する。ヘモグロビンは細胞内で分解されて間接(非抱合)ビリルビンが上昇し、ヘモグロビン尿はきたしにくい。これに対し血管内溶血は補体が膜を破壊し、ヘモグロビン尿やハプトグロビン著減を伴う。
●血管外溶血=IgG/C3b感作・脾マクロファージ・間接ビリルビン上昇・温式自己抗体・Rh不適合の遅発性反応。
●血管内溶血=補体終末活性化などによる赤血球膜破壊・ヘモグロビン血症/尿症・ハプトグロビン著減。代表例はABO不適合輸血や発作性寒冷ヘモグロビン尿症。寒冷凝集素症ではC3bが結合した赤血球が主に肝臓で処理される血管外溶血が中心で、増悪時には血管内溶血も起こりうる。
●共通の溶血所見=LD上昇・網赤血球増加・貧血。
選択肢ごとの解説
- ① 補体による膜破壊を介した溶血は主に血管内溶血で起こる。
- ② ヘモグロビン尿は血管内溶血の所見である。
- ③ ABO不適合輸血は急性の血管内溶血を起こす。
- ④ 正しい。マクロファージによる赤血球破壊で間接ビリルビンが上昇する。
- ⑤ ハプトグロビンの著明な低下は主に血管内溶血の所見である。
第72回 午後89(臨床免疫学)
非溶血性輸血反応と原因の組合せで正しいのはどれか。
- ①高カリウム血症 — クエン酸
- ②輸血関連循環過負荷 — 抗白血球抗体
- ③アナフィラキシー反応 — 不規則抗体
- ④輸血後移植片対宿主病 — 供血者由来リンパ球
- ⑤非溶血性発熱性輸血反応 — 規則抗体
正答: ④輸血後移植片対宿主病 — 供血者由来リンパ球
ポイント
輸血後移植片対宿主病(輸血後GVHD)は、輸血製剤中に残った供血者由来のリンパ球が患者の体内で生着・増殖し、患者の組織を異物として攻撃する重篤な反応で、放射線照射した血液製剤の使用で予防する。高カリウム血症は保存赤血球からのカリウム漏出、TACOは循環過負荷、アナフィラキシーはIgA欠損者の抗IgA抗体など、FNHTRは抗HLA抗体やサイトカインによる。
●免疫性輸血反応=溶血性反応(不規則抗体)・FNHTR(抗HLA抗体)・アレルギー/アナフィラキシー(抗IgA抗体等)・TRALI(抗白血球抗体)・輸血後GVHD(生着リンパ球)。
●非免疫性反応=TACO(容量負荷)・高カリウム血症・低カルシウム血症(クエン酸中毒)・細菌汚染による敗血症。
●予防=放射線照射(GVHD)・白血球除去(FNHTR・CMV感染)。
選択肢ごとの解説
- ① 高カリウム血症は保存赤血球からのカリウム漏出が原因で、クエン酸は低カルシウム血症の原因である。
- ② 輸血関連循環過負荷(TACO)は容量負荷が原因で、抗白血球抗体が関与するのはTRALIである。
- ③ アナフィラキシー反応はIgA欠損者の抗IgA抗体などが原因で、不規則抗体は溶血性反応の原因である。
- ④ 正しい。生着した供血者由来リンパ球による反応である。
- ⑤ 非溶血性発熱性輸血反応は抗HLA抗体やサイトカインが原因で、規則抗体ではない。
📋 まとめの表を見る:輸血副作用の機序・発症時期と予防・対策
輸血副作用は「溶血性/非溶血性」×「免疫学的/非免疫学的」×「即時型/遅発型」で整理できる。
第72回 午後90(公衆衛生学)
世界保健機関〈WHO〉による1948年の憲章では、健康を「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、(a)にも、そして(b)にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義している。aとbの組合せで正しいのはどれか。
- ①社会的 — 医学的
- ②身体的 — 環境的
- ③心理的 — 経済的
- ④精神的 — 社会的
- ⑤知性的 — 経済的
正答: ④精神的 — 社会的
ポイント
WHO憲章(1948年)は健康を「単に疾病や虚弱でないだけでなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にもすべてが満たされた状態」と定義する。したがって空欄aは精神的、bは社会的が入る。
●WHOの健康概念=身体的(肉体的)・精神的・社会的の3側面の良好な状態(well-being)。
●関連する宣言=アルマ・アタ宣言(プライマリヘルスケア)・オタワ憲章(ヘルスプロモーション)。
●WHO設立=1948年、本部はジュネーブ。
選択肢ごとの解説
- ① 医学的はWHO憲章の定義に含まれない。
- ② 環境的はWHO憲章の定義に含まれない。
- ③ 経済的はWHO憲章の定義に含まれない。
- ④ 正しい。a=精神的、b=社会的が入る。
- ⑤ 知性的・経済的はWHO憲章の定義に該当しない。
第72回 午後91(公衆衛生学)
四日市喘息の原因物質はどれか。
- ①ヒ素
- ②硫黄酸化物
- ③カドミウム
- ④メチル水銀
- ⑤ダイオキシン類
正答: ②硫黄酸化物
ポイント
四日市喘息は三重県四日市市の石油化学コンビナートから排出された硫黄酸化物(SOx)による大気汚染が原因で、住民に閉塞性呼吸器疾患を多発させた四大公害病の一つである。ヒ素は土呂久砒素中毒、カドミウムはイタイイタイ病、メチル水銀は水俣病の原因物質である。
●四大公害病=水俣病(メチル水銀)・新潟水俣病(メチル水銀)・イタイイタイ病(カドミウム)・四日市喘息(硫黄酸化物)。
●大気汚染物質=硫黄酸化物・窒素酸化物・浮遊粒子状物質・光化学オキシダント。
●その他の環境汚染=ヒ素中毒・ダイオキシン類による汚染。
選択肢ごとの解説
- ① ヒ素は土呂久砒素中毒などの原因で、四日市喘息ではない。
- ② 正しい。工場排煙の硫黄酸化物(SOx)による大気汚染が原因である。
- ③ カドミウムはイタイイタイ病の原因である。
- ④ メチル水銀は水俣病の原因である。
- ⑤ ダイオキシン類は別の環境汚染物質で、四日市喘息の原因ではない。
第72回 午後92(公衆衛生学)
精神保健福祉センターで正しいのはどれか。
- ①設置主体は市町村である。
- ②入院治療を行う施設である。
- ③地域保健法に規定されている。
- ④精神障害者への障害年金の給付を行う。
- ⑤精神保健福祉の知識について普及・啓発を行う。
正答: ⑤精神保健福祉の知識について普及・啓発を行う。
ポイント
精神保健福祉センターは精神保健福祉法に基づき都道府県・指定都市が設置する機関で、精神保健福祉に関する知識の普及啓発、複雑困難な相談指導、調査研究、保健所等への技術援助を行う。入院治療を行う医療施設ではなく、障害年金の給付業務も担わない。
●精神保健福祉センターの業務=知識の普及啓発・相談指導・調査研究・技術援助・精神医療審査会の事務・自立支援医療や精神障害者保健福祉手帳の判定。
●設置主体=都道府県・指定都市(精神保健福祉法)。
●関連機関=保健所(地域精神保健の第一線)・市町村(身近な相談窓口)。
選択肢ごとの解説
- ① 設置主体は都道府県・指定都市である。
- ② 入院治療を行う施設ではない。
- ③ 地域保健法ではなく精神保健福祉法に規定される。
- ④ 障害年金の給付は精神保健福祉センターの業務ではない。
- ⑤ 正しい。精神保健福祉の知識の普及・啓発を行う。
第72回 午後93(公衆衛生学)
受動喫煙の防止を規定している法律はどれか。
- ①環境基本法
- ②健康増進法
- ③健康保険法
- ④地域保健法
- ⑤医薬品医療機器等法
正答: ②健康増進法
ポイント
受動喫煙の防止は健康増進法に規定されており、2018年の改正で多数の者が利用する施設を原則屋内禁煙とする望まない受動喫煙対策が強化された。環境基本法・健康保険法・地域保健法・医薬品医療機器等法は受動喫煙防止を規定していない。
●健康増進法=受動喫煙防止・国民健康・栄養調査・特定給食施設の栄養管理・市町村による健康増進事業。
●環境基本法=環境保全の基本理念・環境基準。
●地域保健法=保健所・市町村保健センターの設置。
●医薬品医療機器等法=医薬品・医療機器の製造販売規制。
選択肢ごとの解説
- ① 環境基本法は環境保全の基本法で、受動喫煙防止の規定ではない。
- ② 正しい。健康増進法が受動喫煙防止を規定している。
- ③ 健康保険法は医療保険の法律で、受動喫煙防止の規定ではない。
- ④ 地域保健法は保健所等の地域保健に関する法律である。
- ⑤ 医薬品医療機器等法は医薬品・医療機器の規制法である。
第72回 午後94(公衆衛生学)
ヘルシンキ宣言で提唱されたのはどれか。
- ①バリアフリー
- ②セカンドオピニオン
- ③ノーマライゼーション
- ④ユニバーサルデザイン
- ⑤インフォームドコンセント
正答: ⑤インフォームドコンセント
ポイント
ヘルシンキ宣言(1964年、世界医師会)は人を対象とする医学研究の倫理原則を定めた宣言で、被験者への十分な説明と自発的同意、すなわちインフォームドコンセントの重要性を提唱した。バリアフリーやノーマライゼーション、ユニバーサルデザインは障害者福祉や設計の概念で、セカンドオピニオンは別医師の意見を求める行為である。
●研究倫理の宣言=ニュルンベルク綱領(被験者保護の起点)・ヘルシンキ宣言(インフォームドコンセント)・ベルモントレポート。
●インフォームドコンセント=説明と同意・自己決定権の尊重。
●福祉の理念=ノーマライゼーション・バリアフリー・ユニバーサルデザイン。
●患者の権利=セカンドオピニオン・知る権利。
選択肢ごとの解説
- ① バリアフリーは障壁除去の概念で、ヘルシンキ宣言の提唱ではない。
- ② セカンドオピニオンは別の医師の意見を求めることで、本宣言の主題ではない。
- ③ ノーマライゼーションは障害者福祉の理念である。
- ④ ユニバーサルデザインは万人向け設計の概念である。
- ⑤ 正しい。インフォームドコンセント(説明と同意)はヘルシンキ宣言で重視された。
第72回 午後95(医用工学概論)
病院内のネットワークと外部ネットワークの間に設置される防御システムは何か。
- ①スイッチ
- ②ハブ
- ③ファイアーウォール
- ④ブリッジ
- ⑤ルーター
正答: ③ファイアーウォール
ポイント
ファイアウォールは内部ネットワークと外部ネットワーク(インターネット)の境界に設置し、通過する通信を監視して許可・遮断するセキュリティシステムである。スイッチ・ハブ・ブリッジ・ルーターは通信の中継や経路選択を行う機器で、防御を主目的とはしない。
●ネットワークセキュリティ=ファイアウォール・IDS/IPS(侵入検知・防御)・VPN・プロキシサーバ。
●中継・接続機器=ハブ(集線)・スイッチ(L2)・ブリッジ(セグメント接続)・ルーター(経路選択)。
●OSI参照モデル=物理・データリンク・ネットワーク・トランスポート層など7層。
選択肢ごとの解説
- ① スイッチはLAN内で機器を接続する装置で、防御システムではない。
- ② ハブは信号を分配する集線装置で、防御機能はない。
- ③ 正しい。ファイアウォールは内外の境界で不正通信を遮断する。
- ④ ブリッジはネットワークセグメントを接続する装置である。
- ⑤ ルーターはネットワーク間で経路選択する装置で、防御専用ではない。
第72回 午後96(医用工学概論)
医療情報システムに用いられる標準規約はどれか。
正答: ②HL7
ポイント
HL7(Health Level Seven)は患者情報や検査オーダ・結果など医療情報を施設間・システム間で交換するための標準規約である。DICOMは医用画像、JPEGは画像圧縮、MP3は音声圧縮、PDFは文書の汎用フォーマットであり、医療情報全般の交換規約ではない。
●医療情報の標準規約=HL7(情報交換)・DICOM(医用画像)・SS-MIX(標準化ストレージ)・ICD(疾病分類)・SNOMED CT(医学用語)。
●汎用フォーマット=JPEG/PNG(画像)・MP3(音声)・PDF(文書)。
●医療情報システム=電子カルテ・部門システム(LIS/RIS)・PACS(画像保管)。
選択肢ごとの解説
- ① DICOMは医用画像の規格で、医療情報全般の交換規約ではない。
- ② 正しい。HL7は医療情報交換の標準規約である。
- ③ JPEGは画像圧縮の規格である。
- ④ MP3は音声圧縮の規格である。
- ⑤ PDFは文書フォーマットである。
第72回 午後97(医用工学概論)
振動を起電力に変換するトランスデューサはどれか。
- ①CdS
- ②圧電素子
- ③サーミスタ
- ④ストレインゲージ
- ⑤フォトトランジスタ
正答: ②圧電素子
ポイント
圧電素子は水晶やセラミックなどに力(圧力・振動)を加えると表面に電圧が発生する圧電効果を利用したトランスデューサで、振動を起電力に変換する。CdSは光導電素子、サーミスタは温度センサ、ストレインゲージはひずみで抵抗が変わる素子、フォトトランジスタは光を電流に変換する素子である。
●圧電素子(力・振動→電圧)=マイクロホン・超音波探触子・加速度センサ。
●光センサ=CdS(光導電)・フォトダイオード/フォトトランジスタ(光→電流)。
●温度センサ=サーミスタ・熱電対・測温抵抗体。
●ひずみセンサ=ストレインゲージ(抵抗変化)。
選択肢ごとの解説
- ① CdSは光で抵抗が変わる光導電素子で、振動を起電力に変換するものではない。
- ② 正しい。圧電素子は圧力・振動を電圧に変換する(圧電効果)。
- ③ サーミスタは温度で抵抗が変わる素子である。
- ④ ストレインゲージはひずみで抵抗が変わる素子で、起電力は生じない。
- ⑤ フォトトランジスタは光を電流に変換する素子である。
第72回 午後98(医用工学概論)
酸化エチレンガス滅菌で滅菌後に使用したガスを排出する工程はどれか。
- ①昇温
- ②乾燥
- ③インターロック
- ④エアレーション
- ⑤プレコンディショニング
正答: ④エアレーション
ポイント
酸化エチレンガス(EOG)滅菌では、滅菌終了後に被滅菌物や庫内に残留した酸化エチレンガスを除去するエアレーション(換気)工程を行う。酸化エチレンは人体に有害なため、この工程で残留ガスを排出してから取り出す。昇温・乾燥・インターロック・プレコンディショニングはガス排出の工程ではない。
●EOG滅菌の工程=プレコンディショニング(温湿度調整)→ガス曝露(滅菌)→エアレーション(残留ガス除去)。
●低温滅菌法=酸化エチレンガス滅菌・過酸化水素ガスプラズマ滅菌・ホルムアルデヒド滅菌。
●高温滅菌法=高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)・乾熱滅菌。
選択肢ごとの解説
- ① 昇温は温度を上げる工程で、ガス排出ではない。
- ② 乾燥は水分を除く工程で、残留ガス除去ではない。
- ③ インターロックは安全のための連動機構で、工程名ではない。
- ④ 正しい。エアレーションは滅菌後に残留EOGを排出・除去する工程である。
- ⑤ プレコンディショニングは滅菌前の温湿度調整工程で、ガス排出ではない。
第72回 午後99(医用工学概論)
遠心分離機において回転数を2倍にすると遠心力は何倍になるか。
正答: ②4
ポイント
遠心力(相対遠心力)は回転半径が一定なら角速度(回転数)の2乗に比例する。したがって回転数を2倍にすると遠心力は2の2乗である4倍になる。
●遠心力の式=F=mrω²(ω=角速度)、回転数nに対しF∝n²。
●相対遠心力(RCF)=1.118×10⁻⁵×r×n²(rは半径cm、nはrpm)。
●遠心分離の応用=血清分離・尿沈渣・密度勾配遠心法。
選択肢ごとの解説
- ① 2倍は回転数の1乗に比例するとした誤りである。
- ② 正しい。遠心力は回転数の2乗に比例し、2²=4倍になる。
- ③ 8倍は3乗とした誤りである。
- ④ 16倍は4乗とした誤りである。
- ⑤ 32倍はさらに誤った値である。
第72回 午後100(医用工学概論)
電子レンジと同じ2.4GHz帯の電波を使用しているのはどれか。2つ選べ。
- ①GPS
- ②AM波
- ③FM波
- ④Wi-Fi
- ⑤Bluetooth
正答: ④Wi-Fi・⑤Bluetooth
ポイント
2.4GHz帯はISMバンド(産業・科学・医療用に開放された周波数帯)で、電子レンジ・Wi-Fi(無線LAN)・Bluetoothが共用する。そのため電子レンジ使用時にWi-FiやBluetoothが干渉を受けることがある。GPSは約1.5GHz帯、AM波は中波(kHz帯)、FM波は超短波(MHz帯)で、いずれも2.4GHz帯ではない。
●2.4GHz帯(ISMバンド)=電子レンジ・Wi-Fi(IEEE802.11b/g/n)・Bluetooth。
●衛星測位=GPS(約1.5GHz帯)。
●放送=AM(中波kHz帯)・FM(超短波MHz帯)・地上デジタルテレビ(UHF)。
●無線LANの別帯域=5GHz帯(IEEE802.11a/ac)。
選択肢ごとの解説
- ① GPSは約1.5GHz帯の衛星測位電波で、2.4GHzではない。
- ② AM波は中波(kHz帯)のラジオで、2.4GHzではない。
- ③ FM波は超短波(MHz帯)のラジオで、2.4GHzではない。
- ④ Wi-Fiは2.4GHz帯(や5GHz帯)を使う無線LANである。
- ⑤ Bluetoothは2.4GHz帯を使う近距離無線である。